経営志林第 38 巻 2 号 2001 年 7 月 67 書評 柴山慎一 正岡幸イ申 森沢徹 藤中英雄箸 バランス スコアカードーケースでわかる曰本企業の戦略推進ツール ( 日本経済新聞社,2001 年 ) 佐藤康男 (1) バランス スコアカードがいまビジネスの世界 で脚光をあびている かつて管理会計を席捲した ABC( 活動基準原価計算 ) が最近になって影が 薄くなってきているのに比べてバランス スコア カードの導入事例がわが国でも発表されている バランス スコアカードが新しい業績評価の手 法として最初に登場したのは 1992 年のハーバード ビジネス レビュー誌にキャプランとノートン (RobertKaplan&DavidNorton) が発表し た TheBalancedScorecard-Measuresthat DrivePerformance ( これはダイヤモンドハー バード ビジネス レビュー誌に 新しい経営指 標一バランス スコアカード ', のタイトルで翻訳 されている ) という論文である その後, 彼等は これについていくつかの論文を発表し,1996 年に TheBalancedScorecard-TranslatingStrategyintoAction ( 吉川武男訳 バランス スコ アカード 生産性出版,1997 年 ) を出版した 1996 年の著書をみると,92 年に発表された論文 の内容がより具体的に示され, また企業への導入 例が述べられている マス マーケットへの直接 販売の例として KenyonStores 社, マス マー ケットへの間接販売の例として PioneerPetroleum 社, 個別的顧客への直接販売の例として Rockwater 社が顧客の視点の分析事例として取 り上げられている また, 社内ビジネス プロ セスの視点では, これらの企業のほかに Metro Bank や NationalMotors 社の事例も示されて いる したがって, 彼等の提起したバランス ス コアカードが米国企業で実際にどのように導入さ れているのかを知ることができる 1999 年に出版された Nils-Goran,Olve,Jan Roy&MagnusWetter の 3 人の著書 Per formancedrivers ( 吉川武男訳 戦略的バランス スコアカード 生産性出版,2000 年 ) はヨーロッパの企業の実例が示されている この著書の初版は97 年にスウェーデンで出版されたものであるが, そのときの書名は バランス スコアカード であったという 本瞥にはBritishAirways 社,BritishTelecom 社,Coca-Cola 社,Volvo 社,Zerox 社などの有名企業の実例が示されている この本の3 人の著者達は研究者ではなくストックホルムに拠点をもつコンサルティング会社に勤務するコンサルタントである したがって, ヨーロッパの有名企業にバランス スコアカードを導入した彼等の実体験である ここにおける特徴はキャプラン & ノートンのように四つの視点から系統立って説明されているのではなく, 企業の実例がそのまま示されているのでまことに多様な内容になっている 果たして, これがバランス スコアカードといえるのかと疑問に思うほどであるが, 彼等によればバランス スコアカードの内容は千差万別であり, これぞという決定版はないという (2) 米国とヨーロッパの実例は上掲の著書に示されているが, バランス スコアカードの日本企業での導入例はこれまでなかった 最新の管理会計手法が企業に導入されるのはどうしても欧米の企業に比べると日本企業はかなり遅れるのが実状である 評者の考えではつぎのような理由からだと思う 管理会計の発展史を紐とけばわかるように, 新しい管理会計手法は常に 必要は発明の母なり という諺の通りに生まれてきた つまり, 管理会計の誕生は大企業の出現と密接に関連していたので, 大企業が世界でもっとも早く, しかも多数あらわ
68 バランス スコアカードーケースでわかる!] 本企業の戦略推進ツール れた米 玉 1が管理会計の先進 :11となったのである 巨大企業は分権組織を必要としたし, そのために予算制度を含む繍理会計手法を生み ') したのである 他方, イギリスは原価計算を誕生させたという点で, 工業会計の先進国である それはイギリスにおいて111 界で溌初に産業 ] [ 命が行われ, 工業が生まれ, 生産過稚を含んだ工業会計が必要となったからである 1511 紀末に複式簿記がイタリアで誕生したのもその地の商業が発展していたからである このように, 管理会計手法は必要性を満たすために考案されてきたので, ほとんどの手法は大企業で生み出されてきた 管理会計の研究者は実践にたずさわっていないので必要性にi'11: できないのである ただ, 彼等ができるのは実務家が考案した手法を精繊化した1), 理論的に盤合化することである しかし, 最近の新しい管理会計手法 _ ここでは, とIソあえずおよそここ20 年 ''11に登場した手法であるABC( 活動基準原価計算 ) バランス. スコアカード IWA( 経済付加 Iillili'1 ) SCM 戦略管理会計あるいは戦略コストマネジメント. ABM 環境管理会計 ERPなど-は実務家でも研究者でもないコンサルタント ( 会社 ) が主役になっている それは企業環境の変化が激しいので企業の実務家では対応ができなくなってきており, それに力 Ⅱえてコンサルタント会社に優秀な人材が集中しつつあるからであろう しかし, もちろん彼等のほとんどは大企業からスピンアウトした人材であるが 最近は1 二 1 本企業もコンサルタント会社を利川する企業が多くなってきたが, 欧米企業と比較するとやはりその落蕪は大きいといわざるを得ない ここに新しい管理手法が日本企業に漣入されるのが欧米企業と比べて遅くなる理由がある しかし,1 本企業におけるバランス スコアカード導入の実例を示す待望の著書が今年初めに (1) 版された 伊藤嘉博 清水孝 長谷川忠一箸 バランスト スコアカード : 理論と導入 ( ダイヤモンド社.2001 年 ) である これについては本誌の前号 ( 経営志林, 第 38 巻節 1 号 ) で紹介しているが, いくつかのH 本企業へのインタビューにも とづいている したがって, キャプラン & ノートンの米国企業やヨーロッパの企業の実例を示した 111 物とは内容がいくぶん異なっている 彼等はコンサルタントとして爽際に導入の現場にたずさわっていたからである 導入のさいの問題点もプロセスも具体的であるし, より詳細な記述になっている命 (3) 股近, もうひとつ注ト される日本企業のバランス. スコアカードに関する :ill: 物が出版された それが本稿で取り上げる柴山慎一他著 バランス スコアカードーケースでわかる11 本企業の戦略推進ツール である 評者が前号で取り上げた バランスト; スコアカード ; 理論と導入 の著特はいずれも大学の研究者であるが, 本譜の執鰔者は経験魁かなコンサルタントであり, 二 1 本企業にバランス. スコアカードを導入するプロセスにたずさわった人達である すなわち, 前掲の米鬮およびヨーロッパの実例と同じ土 ` 俵にあるので比較も可能なのである 前著に続いて本脅を取り上げるゆえんである 本書の著者のひとりである森沢徹氏はハーバード. ビジネス スクールでMBAを取得しているが, そこでES キャプランから指導を受けたという経緯から本譜 : を執筆するにあたって直接に識論する機会があったという R,Sキャプランは 推薦の言葉 のなかでつぎのように述べています これまでの我々の経験によれば,BSC ( バランス スコアカード ) は北米, 南米, 欧州, i:'1 近東, オセアニア地域における民間企業, 公益組織, 製造業, サービス業といった,111 界中のあらゆる組織形態に上手く適合できます しかし, こと日本企業に関しては, 本 :il}: が出版されるまではその適合性に関する確固たる確信がもてなかったことも, ; 実です 本書は9 章からなっているが, すべてをここで取り上げることはできないので, 章別のタイトルを示しておくことにしよう 1 章なぜ, いまバランス スコアカードか 2 章進化するバランス スコアカード 3 章 1 本的経営 iiili 略との関わり
経営志林第 38 巻 2 号 2001 年 7 月 69 4 章導入の目的を明確にする 5 章クロスファンクション チームで検討する 6 章ミドル アップ ダウン方式で導入する 7 章展開にあたってのポイント 8 章運用段階で大きく 発展 させる 9 章バランス スコアカード導入の実例 (4) 第 1 章ではバランス スコアカード ( 以下では BSC と呼ぶ ) の登場の背景について述べられて いるが, これまで多くの書物で示されたように Ⅲ 財務指標だけで業績評価はできなくなっているこ と, 財務業績と因果関係をもつ要素が非常に複雑 になっていることなどがあげられている その原 因として IT 革命による企業間競争の激化, 価値 創造経営 (VBM:ValueBasedManagement) の登場, 多角化戦略による事業の複雑化などがあ げられている 第 2 章では BSC の基本的な性格について述べ られている BSC は バランス と スコアカー ド の二つの単語から成っているが, 前者は短期 的な財務業績と中長期的な財務業績のバランスを とることを意味している つまり, これは短期的 な業績だけをめざすものではないことを示してい る これ以外にも異なるステークホルダー ( 株主, 顧客, サプライヤー, パートナー, 従業員 ) 間の バランス, 財務指標 vs 非財務指標のバランス, ( 事業部 ) 組織間のバランスなどがあげられて いる それに対して後者は暖味になりやすい業績評価 と目標をできるだけ定逓化し, 後に客観的なスコ アをつけ, それを一枚のカードにまとめあげて計 画と業績を一覧できるところに意味がある また,BSC は 1992 年に最初に提唱されたもの から今日の内容をみると, 三つの段階で進化して いるという すなわち, 第 1 世代は業緬評価シス テムとしての BSC であり, 第 2 世代はそれがマ ネジメントシステムとしての BSC に拡張されて いる ここでは, 長期的な目標が明確な言葉で置 き換えられ, それを達成するために各組織の具体 的な行動へとブレークダウンされ, 組織構成員の 業績評価と報酬が連動され, 最終的に目標数値と 実績値とのギャップ分析を行うというマネジメン トサイクル (PDS:Plan-Do-See) で行うと いうものである BSC がわが国で批判される場合によくいわれ ることは, それはわが国の企業で用いられている 目標管理, あるいは予算管理にすぎないのではな いかということである たしかに,PDS によっ て行われる予算管理はここで述べられている考え と同じである 日本の企業でも定性的な目標を定 量化することは行われているし, 業績評価と報酬 を連動する試みもなされている ただ,BSC で は目標が四つの視点から網羅的に示される点で, より明確で, 全組織員に浸透させることができる という利点があげられる きて,BSC は現在第 3 世代に入っているとい う キャプラン & ノートンは 2001 年に Strategy FocusedOrganization という書物を出版した が, そこで BSC は単なる経営管理手法の域を越 えて戦略志向型組織へ変革するためのフレームワー クとして進化していると述べている そして, そ れはつぎの五つの原理原則を満たさなければなら ないとしている l 戦略を実行可能なオペレーショナルな指標 に翻訳する 2 各部門, 組織のベクトルを戦略と一致させる 3 戦略を従業員全員の 日常的なもの にする 4 戦略を継続的なものにする 5 経営トップのリーダーシップにより変革を 始動する キヤプラン & ノートンがこの第 3 世代の BSC で提言しているなかで, とくに注目されるのが, 戦略マッピング という概念である これは BSC の四つの視点に対してそれぞれの具体的な 戦略を図示するというものである たとえば, 財務的視点からの目標が企業価値の増大であるなら ば, それは売上の増加と生産性 効率の向上の二 つを達成しなければならない さらに, 前者を実 現するためにはフランチャイズの確立と顧客価値 の増大が必要になり, 後者を達成するためにはコ スト構造の改善と資産効率の向上が必要となろう このように戦略をつぎつぎとより具体的なものへ と落とし込んで図解したものが戦略マップである
70 バランス スコアカードーケースでわかる [1 本企業の戦略推進ツール (5) 第 3 章は実際に日本企業にBSCを導入するさいにコンサルタントとして桃わった経験からつぎの五つのポイントをあげている まず中期戦略の達成, そして業績は利益だけでなく間接部門やコストセンターなどの部門業績も含めた多様なものとしてとらえること, 第 3に業績指標はすべて定量化すること, 第 4は先行指標 結果指標 戦略目標といったように, 仮説検証を明確にすること, そして最後に組織構成員間のコミュニケーションを促進することをあげている また, 日本企業にBSCを導入するさいの問題点をあげているのが興味深い 日本企業が欧米で開発された管理手法を導入する場合の失敗例, 成功例がいろいろ示されているが, もちろんコンサルタント会社から見たものであるから, 導入した会社が成功例である ここでは当然にコンサルタント科などにはふれていないので, 企業が費用一効果の点をどのように判断したのかはわからない 第 4 章ではBSCを導入するさいの成功要件が示されているが, まず重要なのは導入の目的を明らかにすることであるという BSCは万能ではない 導入しただけでは改革は進まない 導入してどのように改革を進めるか を事前に経営陣に理解してもらうことがスタートラインに立つことであると述べている なお, 導入には半年程度の時間が必要であるとしている 第 5 章ではBSCの導入が決定した後の体制について述べているが, 企画 & 人事 & 経理のクロスファンクション チームを編成し, そこで検討することを勧めている それはどこかの部署が先行してしまうと, 後に調整に時間がかかるからだという また, ここで強調されていることは, クロスファンクション チームの全メンバーはBSC を十分に理解し, エキスパートにならなければならないことである そのためには,BSC 理論を理解していること, 導入の目的も理解していること,BSCを作成できることの三つの条件が満たされなければならないという 第 6 章ではBSCを導入するさいには ミドル アップ ダウン 方式で行うことを推奨している これは経営トップの主導で導入すべきだと述べて きたこれまでの議論と矛盾するようであるが, 日本企業では中長期計画がなかったり, あるいは暖味な場合が多いのでトップダウン方式が使えないからだという そこで, 事業部や部門の方針を記述した フォーマット イメージ を作成することからスタートすることになるという そこには 1 各組織のミッション2 組織の運営方針 3 財務目標および業務 ( 財務以外の ) 目標 4 業務目標達成のための重点課題の四つの必要項目が記入される このような指標が妥当であるかどうかは, 最終的にトップが判断 決定する それはBSCは部門の制度ではなく, 全社の経営管理制度だからである もちろん, 導入のプロセスは対象となる企業によって異なると思うが, ここではひとつのモデルケースとして取り上げられているのであろう 第 7 章では業績指標を評価指標として選定し, 総合評価できるように指数化するプロセスが取り上げられている 指数化とは指標間のウエイトづけと各指標の数値基準の設定であり, これは最終的には報酬とリンクされるが, 著者は導入当初は報酬制度にはこだわらないことを進言している これに拘泥すると, 指標やウエイトづけ, 目標設定の妥当性にまでさかのぼる問題が発生するので, 報酬制度の導入は時間的に後になってもよいというのである しかし, 報酬へのリンクがないと BSCは機能しないとも述べている 第 8 章では第 1 世代としてのBSC( 業績評価制度 ) の導入に成功した企業が直面するさらなる課題 問題点が取り上げられている たとえば, 実際に利益創出活動を行っていない本社組織の BSCをどのように作成するのか, という問題が生じる 本社組織では顧客は誰なのか, という議論が出たとき, ある企業では本社組織の機能を1 トップマネジメント支援機能 2 部門横断的サービス提供機能 3 現場支援機能という三つに分類した例があげられている また,BSCと予算管理の関係についても述べられている これらは内容からみても重複する点が多いからである これについては 本来的には, 予算策定の時期にBSC 的な発想でそれぞれの目標と, それらを実現するために必要な資源を検討し, その検討結果が予算内容に100% 反映されて
経営志林第 38 巻 2 号 2001 年 7 月 71 いるべき だとしている これについては評者も疑問を感じるが, これについては後述することにしよう (6) 第 9 章ではBSCの導入の実例が示されている マネジメントシステムの中枢に導入した事例として リコー, ソフトランディング ( 報酬制度を伴わない ) で導入した事例として 宝酒造, 間接部門の評価を可能にした事例として 伊藤ハム, 新しいビジネスモデルを創出した事例として 伊藤忠紙パルプ, 公共部門への活用例として千葉県と札幌市, の五つがあげられている 株式会社リコーの事例 ここでは リコー をまず取り上げることにする 本誌の前号で掲げた伊藤嘉博他著 バランスト スコアカードー理論と導入 の書評でもリコーを紹介したので本書と比較ができるからである リコーは1999 年 3 月に3 年間の中期経営計画をとりまとめたが, キーワードは 企業価値の増大を目指したグループ経営の革新 というものであった そして,BSCを導入して経営改革を行うために, まず経営システム ( 意思決定システム, 業績評価システム, 人事システム ) の客観的な糀査に着手した そのために, 経営企画担当取締役をリーダーに, 経営企画室, 人事部および経理部から10 名を集めてクロスファンクション チームを編成した 導入までの議論では, 企業価値向上, 各組織の責任 権限, 成果と連動した報酬制度などがとりあげられ, 本体内の51 部門 ( 事業本部, 事業部, 本社機能の部 室レベル ) を対象にして経営企画室がBSC 指標の作成を行った いろいろな議論を経てリコーでは四つの視点に 環境保全の視点 というのを加えた 最初はパイロット2 部門として1 事業部とl 本社機能部を選びBSCをゼロベースで作成し, それが全社経営戦略会議で承認されてから残りの部門の指標も作成された BSCの指標が確定した後は 業績審議会 で半期ごとに重要評価指標の検討を行った この会議の出席者は経営陣 ( 社長以下, 専務まで数名 ), 被審議者としての51 部門の組織長, 事務局としての経営企画室と経理本部 である リコーがBSC 導入に成功した要因としてつぎの三つがあげられている 第 1は導入に着手した当初から社長が改革に賛成し, コミットしたこと, 第 2は経営企画室がクロスファンクション チームをうまくまとめたこと, そして鹸後は米国型の BSCをそのまま導入したのではなく, あくまでもリコー版を目指したことである 環境保全の視点を取り込んだこと, トップダウンよりは組織長を納得させて進めたことがリコーの組織風土に合ったということである しかし, ここで成功した要因としてあげられているのはあくまでもコンサルタント会社が導入の実績をつくったということであり, それによってコンサルタント科を得たという視点からである 導入の効果はそんなに短期間に出てくるものではないし, 又大幅な増益になっているわけでもない 公共部門におけるBSCの事例 BSCは民間企業のために開発された手法であるが, 米国では政府機関に業績評価指標を導入するさいに利用されているという報告がなされている それでは, なぜ公共部門でBSCが使用されるのだろうか ひとつはさまざまな視点の評価を構造的に整理できること, また政府機関の各部門の情報の共有化が進むこと, そして組織のPDCA (Plan-Do-Check-Act) サイクルが促進できることの三つがあげられている わが国の自治体の例として千葉県と札幌市があげられている 前者は2000 年度から導入された 政策評価制度 にBSCの考え方が盛り込まれ, 県民ニーズの把握, 資源の配分状況, 事業推進の効率性 妥当性, 事業改善の四つ視点が取り上げられ,2001 年度から実施されるという 後者は 2000 年 8 月にBSCの研究会を発足させ, 事業評価をベースとする施策 政策評価に導入し, これを組織の視点から見直すという ミドル アップ ダウン方式 として利用しようとしている しかし, まだ本格的に動いていないので, その評価まではかなり時間がかかるであろう 最近, 自治体も企業会計の制度を導入し, バランスシートを作成する試みもかなりなされている したがって, この手法も公企業にも適用できる可能性を秘めているが, まだわが国では民間企業で
72 バランス スコアカードーケースでわかる 11 本企業の戦略推進ツール もほんのわずかな導入例で, その効果も不明である これまでも三文字アルファベットの手法が多く登場してきたがつぎつぎと姿を消していった BSCはどのような運命をたどるのであろうか