表 小児救急トリアージと小児早期警告スコアリング システムとの比較 小児救急トリアージ 小児早期警告スコアリング システム 主な実践場所院内, 外来院内, 一般病棟 目的緊急度評価危急病態の予測 評価優先順位スコアリング評価 わが国での導入 JTAS (CTAS008) 導入施設の報告は当院のみ 評

Similar documents
長野県立病院機構長野県立こども病院小児集中治療科 救急集中治療 蘇生用品 緊急薬剤 用法 用量早見表 新生児 - 乳児 (3-5kg) 乳児 (1) (6-7kg) 乳児 (2) (8-9kg) 幼児 (1) (10-11kg) 幼児 (2) (12-14kg) 幼児 (3) (15-18kg) 学

PowerPoint プレゼンテーション

臨床試験の実施計画書作成の手引き

ども これを用いて 患者さんが来たとき 例えば頭が痛いと言ったときに ではその頭痛の程度はどうかとか あるいは呼吸困難はどの程度かということから 5 段階で緊急度を判定するシステムになっています ポスター 3 ポスター -4 研究方法ですけれども 研究デザインは至ってシンプルです 導入した前後で比較

平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

というもので これまで十数年にわたって使用されてきたものになります さらに 敗血症 sepsis に中でも臓器障害を伴うものを重症敗血症 severe sepsis 適切な輸液を行っても血圧低下が持続する重症敗血症 severe sepsis を敗血症性ショック septic shock と定義して

Microsoft PowerPoint - å½fi报説柔ㅂㅯㅼㅚ㇤ㅳㅋ.pptx

平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2

日産婦誌58巻9号研修コーナー

2017WS痛み配布版


Microsoft PowerPoint - 資料4_救急(ガイドライン)

小児の救急処置

CCU で扱っている疾患としては 心筋梗塞を含む冠動脈疾患 重症心不全 致死性不整脈 大動脈疾患 肺血栓塞栓症 劇症型心筋炎など あらゆる循環器救急疾患に 24 時間対応できる体制を整えており 内訳としては ( 図 2) に示すように心筋梗塞を含む冠動脈疾患 急性大動脈解離を含む血管疾患 心不全など

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

SpO2と血液ガス

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

untitled

Microsoft Word 年度シニア 呼吸器内科 2014.docx

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検

看護師のクリニカルラダー ニ ズをとらえる力 ケアする力 協働する力 意思決定を支える力 レベル Ⅰ 定義 : 基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する 到達目標 ; 助言を得てケアの受け手や状況 ( 場 ) のニーズをとらえる 行動目標 情報収集 1 助言を受けながら情報収集の基本

当院人工透析室における看護必要度調査 佐藤幸子 木村房子 大館市立総合病院人工透析室 The Evaluation of the Grade of Nursing Requirement in Hemodialysis Patients in Odate Municipal Hospital < 諸

000-はじめに.indd

<4D F736F F D E9197BF32817A8AEE967B8D5C917A8A FC92E8817A2E646F63>

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

Microsoft PowerPoint - 薬物療法専門薬剤師制度_症例サマリー例_HP掲載用.pptx

<4D F736F F D2089BB8A7797C C B B835888E790AC8C7689E6>

Microsoft PowerPoint - 冨岡先生HP用スライド.pptx

めまい

小児科救急

<4D F736F F F696E74202D E81798E9197BF33817A8FAC8E998B7E8B7D88E397C391CC90A782CC8CBB8FF32E >

10_12A-20.pdf

短 報 Nurses recognition and practice about psychological preparation for children in child health nursing in the combined child and adult ward Ta

別表第 17( 第 21 条関係 ) 種類支給される職員の範囲支給額 1 放射線業務手当 2 病棟指導手当 3 死後処置手当 4 夜間看護等手当 循環器 呼吸器病センター及びがんセンターに所属する職員 ( 放月額 7,000 円射線科医師及び診療放射線技術者を除く ) がエックス線の照射補助作業に従

慈恵 ICU 勉強会 友利昌平

サマリー記載について

第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

豊川市民病院 バースセンターのご案内 バースセンターとは 豊川市民病院にあるバースセンターとは 医療設備のある病院内でのお産と 助産所のような自然なお産という 両方の良さを兼ね備えたお産のシステムです 部屋は バストイレ付きの畳敷きの部屋で 産後はご家族で過ごすことができます 正常経過の妊婦さんを対

10 秒で分かる 患者の異変ファーストステップ ステップ所要時間観察 実施項目 ファーストステップ 10 秒外観の第一印象 視診 聴診 触診 全体の印象をまず把握 明らかな異常があった場合は 一人での対応困難であり 応援 ( 他の看護師や医師等 ) を呼ぶ 第一印象 全体の印象をまず 10 秒で把握

10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

認定看護師教育基準カリキュラム

2005年 vol.17-2/1     目次・広告

平成 24 年度診療報酬説明会リハビリテーション関連 平成 24 年 4 月 21 日 公益社団法人 高知県理学療法士協会 医療部

一般内科

症候性サーベイランス実施 手順書 インフルエンザ様症候性サーベイランス 編 平成 28 年 5 月 26 日 群馬県感染症対策連絡協議会 ICN 分科会サーベイランスチーム作成

( 様式乙 8) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 米田博 藤原眞也 副査副査 教授教授 黒岩敏彦千原精志郎 副査 教授 佐浦隆一 主論文題名 Anhedonia in Japanese patients with Parkinson s disease ( 日本人パー

賀茂精神医療センターにおける精神科臨床研修プログラム 1. 研修の理念当院の理念である 共に生きる 社会の実現を目指す に則り 本来あるべき精神医療とは何かを 共に考えて実践していくことを最大の目標とする 将来いずれの診療科に進むことになっても リエゾン精神医学が普及した今日においては 精神疾患 症

私のリビングウィル 自分らしい最期を迎えるために あなたが病気や事故で意思表示できなくなっても最期まであなたの意思を尊重した治療を行います リビングウィル とは? リビングウィルとは 生前に発効される遺書 のことです 通常の遺書は 亡くなった後に発効されますが リビングウィルは 生きていても意思表示

<4D F736F F D CA926D817A8EA98CC8928D8ECB82AA89C2945

リハビリテーションマネジメント加算 計画の進捗状況を定期的に評価し 必要に応じ見直しを実施 ( 初回評価は約 2 週間以内 その後は約 3 月毎に実施 ) 介護支援専門員を通じ その他サービス事業者に 利用者の日常生活の留意点や介護の工夫等の情報を伝達 利用者の興味 関心 身体の状況 家屋の状況 家

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft PowerPoint - 矢庭第3日(第6章ケアマネジメントのプロセス)

4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

<4D F736F F D204A4F544E D8E8094BB92E88B4C985E8F DCE88C88FE3816A >

呼吸ケア 人工呼吸器の基礎 4: アラームと対応 アラーム 人工呼吸器のみならず医療機器を使用する場合 患者の状態や医療機器自体の異常を発見するために必要なのがアラームです したがって アラームが適切に設定され さらに医療従事者の耳に届く適切な音量に設定されていないと 異常の早期発見や対応の遅れにつ

American Heart Association PALS ( 小児二次救命処置 ) 受講前の自己評価筆記試験 受講者用質問と解答集 2013 年 4 月 15 日 C 2013 American Heart Association

JSEPTIC CE教材シリーズ 対象:レベル1 ICUで働く新人CE(1~3年目程度)

3. 提出データ形式 平成 28 年度 H ファイル 大項目 必須条件等有 小項目内容 ( 入力様式等 ) (1) 施設コード都道府県番号 + 医療機関コード間 には区切りを入れない (2) 病棟コード病院独自コード 但し 一般 一般以 外の区が可能なこと 左詰め (3) データ識番号複数回入退院し

ここが知りたい かかりつけ医のための心不全の診かた

頭頚部がん1部[ ].indd

PowerPoint プレゼンテーション

SBOs- 3: がん診断期の患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 4: がん治療期 ; 化学療法を受けている患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 5: がん治療期 ; 放射線療法を受けている患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 6: がん治療期

スポーツ紀要小峯・小粥・稲垣(校了).indd

薬剤師のための災害対策マニュアル

心肺停止蘇生後低体温療法

通常の市中肺炎の原因菌である肺炎球菌やインフルエンザ菌に加えて 誤嚥を考慮して口腔内連鎖球菌 嫌気性菌や腸管内のグラム陰性桿菌を考慮する必要があります また 緑膿菌や MRSA などの耐性菌も高齢者肺炎の患者ではしばしば検出されるため これらの菌をカバーするために広域の抗菌薬による治療が選択されるこ

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

< F2D95CA8E86824F82502E6A7464>

3 医療安全管理委員会病院長のもと 国府台病院における医療事故防止対策 発生した医療事故について速やかに適切な対応を図るための審議は 医療安全管理委員会において行うものとする リスクの把握 分析 改善 評価にあたっては 個人ではなく システムの問題としてとらえ 医療安全管理委員会を中心として 国府台

Microsoft Word - ①【修正】B型肝炎 ワクチンにおける副反応の報告基準について

Transcription:

子どもの急変予知を バイタルサインと その測定値から紐解く 小児早期警告スコアリング システム 神薗淳司 Kamizono Junji 北九州市立八幡病院小児科主任部長 小児救急センター長 はじめに 0( 平成 4) 年度診療報酬改定により, 院内トリアージの点数加算が拡大され, 年齢層に関係なく, 時間外や深夜帯, 休日の救急外来全体に, 緊急度 重症度に応じた院内トリアージに対し, 診療報酬が付加された 一方で, 院内急変に対する整備, すなわち Rapid response system(rrs, 容態変化への早期対応体制 ) の導入と運用は医療安全の側面から, わが国でも機運が高まっている 医療安全全国行動では, 行動目標の一つとして 急変時の迅速対応 を掲げ, そのなかのチャレンジ項目として, RRSの確立 のキャンペーンが展開されている 小児外来におけるトリアージ システムと小児病棟における院内急変対応システムというつのシステムが連続性を保ち, 病態評価 の結果を共有し, スタッフ間で 可視化と情報共有 をすることは, 小児医療の質と安全へのスタートになることはいうまでもない 北九州市立八幡病院小児救急センター ( 以下, 当院 ) では, 初期評価とバイタルサイン評価を重視した小児早期警告スコアリング システム (Pediatric Emergency Warning Scing System;PEWSS) を 0( 平成 3) 年に病棟入院患者を対象に導入し, さらに 03( 平成 5) 年には, 外来患者用のトリアージ システムとして運用を開始した PEWSS の基本的なコンテンツは, アセスメントの院内統一教育マニュアルツールとしても利用価値が高い 本稿では, その概要を報告する 外来トリアージと病棟早期警告スコアリング システムの比較 外来における小児救急トリアージと病棟における小児早期警告スコアリング システムの比較を表 に示す 緊急度を評価し, 適切な早期介入を行う患者安全をめざしたシステムであることや, 意識評価を含めたバイタルサインを重要視している点は共通している 両者とも 状況認識 の標準化をめざしたシステムである しかし, 早期警告スコアリング システムは, 院内心停止や院内急変対応の整備を目的としている点で, 個々の緊急度を重視したトリアージ システムとは異なる 小児早期警告スコアリング システムの実際 PEWSS の実際 当院で05( 平成 7) 年現在使用している,Pediatric Early Warning Sce(PEWS) のスコアリング シートを表 に示す 外来救急初療室 (emergency room;er), および小児病棟でも全く同じスコアリング システムで運用している PEWSS の実際と評価項目は実際の電子カルテ画面で入力できるように配慮した Zero Stage; 危急病態の認識 以下の6 項目は, トリアージ担当看護師および病棟担当看護師の判断に全権限を与え, 危急病態に該当する場合は, 58

表 小児救急トリアージと小児早期警告スコアリング システムとの比較 小児救急トリアージ 小児早期警告スコアリング システム 主な実践場所院内, 外来院内, 一般病棟 目的緊急度評価危急病態の予測 評価優先順位スコアリング評価 わが国での導入 JTAS (CTAS008) 導入施設の報告は当院のみ 評価項目因子 初期評価を重視 RR,SpO,HR,CRT GCS 早見表 ( 主訴別 ) バイタルサイン重視呼吸状態,RR SpO,HR GCS,AVPU,Pain scale 機能の評価 応答時間未受診帰宅アンダートリアージ率 院内心肺停止率院内死亡率 AVPU:A(alert, 覚醒 ),V(verbal, 言葉により反応 ),P(pain, 痛みにより反応 ),U(unresponsive, 反応なし ) ただちにERおよび適切な処置可能な病室への転送を行う ( 表 ) 緊急気道 呼吸, 心停止 3 乳幼児突発性危急事態 ( チアノーゼ, 呼吸停止 ) 4 病院前意識障害, けいれん 5 進行する意識障害 6アナフィラキシーなお上記 6 項目は, チェックボックスを電子カルテ内に配置している 3 First Stage; 初期評価 この段階は, 対象患者の詳細な状況認識と評価の段階となる 外観評価と体温 (A), 呼吸 (R), 循環 (C) の3つの大項目ぞれぞれに小項目 3 項目を選定し, 全 9 項目の総点を PEWS 総点とした 各項目の素点は3 0の4 段階とした ( 正常範囲 無症状の場合は0 点 )( 図 ) ) 外観評価と体温 (A) ()AⅠ; 表情と筋緊張の評価以下の3 項目の加点を PEWS A Ⅰ 素点とした ( 表, 図 ) 加点 4~6 点を PEWS A Ⅰ = 3 加点 点をPEWS AⅠ= 加点 0 点をPEWS AⅠ= 0 AⅠ :Face & Eye; 表情 視線 普段どおり, 笑顔, 視線が合う (0 点 ) 時にしかめ面, 表情に乏しい, 無関心, 不安げな表情と視線 ( 点 ) しばしばあるいは常にしかめ面, 口を結んでいる, 閉眼している ( 点 ) AⅠ :Legs & Tone; 下肢肢位 筋緊張 通常, 下肢肢位 動き良好, 筋緊張正常 (0 点 ) 落ち着きなく下肢を動かす, 筋のトーヌス亢進 硬直または低下 ( 点 ) 下肢の進展や屈曲, 安静時震え, 坐位 立位が保てない, 筋緊張亢進 ( 点 ) AⅠ 3:Activity & Interactiveness; 活動性と相互反応 良眠, 活発に動く, 物音に注意を払う (0 点 ) 落ち着きがない, 動くことをいやがる, 身体の一部を押さえつけている ( 点 ) 動かない, 興味を示さない, 頭を大きく動かして暴れる, 身体の一部をこすりつける ( 点 ) 加点 ~3 点を PEWS A Ⅰ = 59

表 当院における PEWS のスコアリング シート 危急病態の認識ただちに気道確保と酸素投与を開始急変対応チームへ蘇生コール 緊急気道 呼吸 心停止 乳幼児突発性危急事態 ( チアノーゼ 呼吸停止 ) 病院前意識障害 けいれん 進行する意識障害 アナフィラキシー Contents Point 3 0 3 AⅠ 表情 筋緊張活動性 FELT-AI Face & Eye AⅠ- Legs & Tone AⅠ- Activity & Interactiveness AⅠ- 3 スコアリング評価法は図 参照 FELT-AI (AⅠ) 3 因子総点加算 AⅡ 意識 GCS(E/M) 言語 機嫌精神的安定 SCC 4 ~ 6 痛み刺激で逃避反応 開眼 Speech & Cry AⅡ- ~ 3 ふれると逃避声かけで開眼 スコアリング評価法は図 参照 0 正常な自発運動自発開眼 Consolability AⅡ- 現在の外観をそのままスコアリング SCC (AⅡ) 因子総点加算 AⅢ 意識 GCS ( V ) 体温 ( ) BT 3 ~ 4 痛み刺激で泣く会話ができない 39.5 不機嫌見当識混乱 39.5 37.5 0 機嫌よい見当識良好 保護者から状況聴取しスコアリング AⅢ 38.5 SIRS 評価 37.5 36.5 36.5 36.50 35.0 RⅠ RⅡ 努力呼吸 RE 陥没呼吸喘鳴 (Grade は図 参照 ) 呼気 / 吸気時間比 SpO (%) SAT 酸素投与 OX 重度 Grade 4 3.0 9% FiO 50% ( ) 中等度 Grade.5 93 94% FiO <50% ( ) 軽度 Grade 95 96% なし Grade 0 <.5 97% Room air 補助換気 RⅠ= 3points 酸素テントヘッドボックスリザーバーマスク RⅡ= 3 points マスクネーザルカニューレ RⅡ = points RⅢ 心拍数 RR 0~5 カ月 6~ カ月 70 65 60 55 55 50 55 ~ 30 50 ~ 5 30 5 7 3 3 8 ~36 カ月 3~5 歳 6 ~ 歳 3 歳 ~ 50 40 40 30 30 30 5 5 0 35 ~ 0 5 ~ 8 5 ~ 5 0 ~ 0 8 5 8 5 5 0 CⅠ 皮膚色 SK 灰色チアノーゼ 蒼白浅黒い ピンク 紅潮 CⅡ CRT CRT 脈拍 PR 4 秒 微弱 3 秒 減弱 秒 < 秒 正常 CⅢ 心拍数 HR 0 ~ 5カ月 6 ~ カ月 80 70 70 60 60 50 60 ~ 0 50 ~ 00 0 00 0 90 90 80 ~ 36 カ月 3 ~ 5 歳 6 ~ 歳 3 歳 ~ 60 50 30 0 50 30 0 00 40 0 00 90 40 ~ 90 0 ~ 80 00 ~ 70 90 ~ 60 90 80 70 60 80 70 60 50 70 60 50 40 評価必須項目は,9 項目 (AⅠ Ⅲ,RⅠ Ⅲ,CⅠ Ⅲ) をそれぞれ 0 ~ 3 点で加点し,PEWS 総点とする RⅡ,CⅠ に関する算定方法 :RⅡは SAT OX,CⅠ は SK CRT のいずれかを評価し,RⅠ,CⅡ の点数する RⅠ に関する算定方法 : 陥没呼吸 喘鳴 呼気 / 吸気時間比 の 3 項目いずれかを評価し, 素点の高い因子を RⅠ の点数とする 60

図 当院における PEWS による初期評価 (Ⅰ) Activity & Consciousness FELT-AI (A Ⅰ) SCC (A Ⅱ) 外観評価 AⅠ- Face & Eye 表情 視線 0 ふだんどおり, 笑顔, 視線が合う時にしかめ面, 表情に乏しい 無関心, 不安げな表情と視線しばしばあるいは常にしかめ面 口を結んでいる, 閉眼している AⅠ- 0 Legs & Tone 下肢肢位 筋緊張 通常, 下肢肢位 動き良好, 筋緊張正常落ち着きなく下肢を動かす筋のトーヌス亢進 硬直または低下下肢の進展や屈曲, 安静時震え坐位や立位が保てない, 筋緊張亢進 AⅠ- 3 Activity & Interactiveness 活動性と相互反応 0 良眠, 活発に動く, 物音に注意を払う落ち着きがない, 動くことをいやがる 身体の一部を押さえつけている動かない, 興味を示さない, 頭を大きく動 かして暴れる AⅡ- Speech & Cry 会話 泣き方 0 啼泣なし, 自発的会話が可能 弱々しい声, うめき声, すすり泣く 会話不能, 泣き叫ぶ, かすれ声, 声が出ない AⅡ- Consolability 精神的安定 0 機嫌良好, 楽しく遊んでいる なだめることが可能 ( ふれる, 抱っこ, 話しかけることにより ) なだめることが困難 Wk of Breathing R 喘鳴努力性呼吸陥没呼吸呻吟, 鼻翼呼吸 呼吸 陥没呼吸の部位と重症度重症鼻ピクピク ( 鼻翼呼吸 ) 胸骨上 肩が上がる鎖骨上肋間胸骨下 ( みぞおち ) 喘鳴のJohnson 分類 Grade 0: 聴取しない Grade : 強制呼気時のみ Grade : 平静呼吸で呼気のみ Grade 3: 平静呼吸で呼気 吸気 Grade 4: 呼吸音減弱 Circulation to skin C 循環 末梢冷感蒼白 まだら皮膚 30 秒迅速評価 Glasgow Coma Scale(GCS) 評価によるスコアリング 開眼 (E), 運動 (M) A Ⅰ 正常な自発運動, 自発開眼 (0 点 ) ふれると逃避, 声かけで開眼 ( 点 ) 痛み刺激で逃避反応, 開眼 (3 点 ) 加点 0 点を PEWS AⅡ= 0 AⅡ :Speech & Cry; 会話 泣き方 啼泣なし, 自発的会話が可能 (0 点 ) 弱々しい声, うめき声, すすり泣く ( 点 ) 開眼 (E) 因子で 開眼せず (GCS:E 点 ), 運動 (M) 因子で 異常な四肢屈曲 (GCS:M 3 点 ) 異常な四肢伸展反応 (GCS:M 点 ) 動かさない (GCS:M 点 ) は Zero Stage 危急病態の認識に相当するとして, 小児早期警告スコアリング システムからは除外した ()AⅡ; 言語, 機嫌と精神的安定以下の 項目の加点を A Ⅱの素点とした ( 表, 図 ) 加点 3~4 点を PEWS A Ⅱ = 3 加点 点をPEWS A Ⅱ = 加点 点をPEWS A Ⅱ = 会話不能, 泣き叫ぶ, かすれた声, 声が出ない ( 点 ) AⅡ :Consolability ; 精神的安定 機嫌良好, 楽しく遊んでいる (0 点 ) なだめることが可能 ( ふれる, 抱っこ, 話しかけることにより )( 点 ) なだめることが困難 ( 点 ) GCS 評価によるスコアリング 発語 (V) AⅡ 機嫌よい, 見当識良好 (0 点 ) 6

図 全身性炎症性反応症候群 (SIRS) 基準 SIRS 基準 A Ⅲ 体温 38.5 RR [bpm] 70 年齢 0 5カ月 RR [bpm] 80 90 多呼吸 年齢別の右記基準, または, 急速な人工呼吸管理が必要 ( 神経筋疾患や全身麻酔は除く ) 65 50 40 6 カ月 36カ月 3 5 歳 6 歳 3 歳 70 60 50 30 0 80 頻脈 徐脈 年齢別の左記基準を超えた, または, ほかに説明のつかない 30 分 ~4 時間以上持続する ( 疼痛刺激, 薬物による影響のない状態 ) 不機嫌, 見当識混乱 ( 点 ) 痛み刺激で泣く, 会話ができない (3 点 ) 胸郭の動きにより, 呼気 / 吸気時間比を観察する 呼気延長の程度により段階的に重症度を評価する 発語 (V) 因子で 痛み刺激でうめき声 (GCS:M 点 ) 声を出さない (GCS:M 点 ) は Zero Stage 危急病態の認識に相当するとして, 小児早期警告スコアリング システムからは除外した (3)AⅢ; 体温評価 ( 図 ) 体温 体温測定は, 生後 3カ月未満児には必ず直腸温での評価を行い, ほかの小児では腋窩での測定を原則とした 37.5 以上を異常と認識し,38.5 以上を 点 39.5 度以上を3 点とした 小児 SIRS( 全身性炎症反応性症候群 ) の基準は 38.5 以上であるため, 点以上の場合, 後述の R 3,C 3の評価により, ただちに SIRS かどうかを評価できるように設定した ) 呼吸 (R) ()RⅠ; 努力呼吸の評価以下の3 つの項目のいずれかを用いて評価することとした 陥没呼吸 陥没している部位とともに陥没の程度を評価し, 重症度を決定する 肋間や胸骨下の陥没呼吸は軽度 ( 点 )~ 中等度 ( 点 ) で, 胸骨上や鼻翼呼吸は重度 (3 点 ) で観察される ()RⅡ; 経皮酸素飽和度 (SpO 濃度 ) 経皮酸素飽和度 動脈血の酸素飽和度を経皮酸素飽和度モニターにより非侵襲的に測定する 呼吸機能障害がある場合には, 客観的なデータとして重要な役割を果たす 酸素飽和度 (SpO) は, ヘモグロビンの何 % が酸素と結合しているかを表記したもので, 正常値は97% 以上である (3)RⅢ; 呼吸数の評価 呼吸数 小児における大規模研究註 ) の年齢段階による呼吸数の基準値を参考に,6 段階の年齢に分類し, それぞれ3 段階の基準値を設けた 過去にない大規模な解析により中央値の特徴を報告した 既存の小児蘇生教育 (Advanced Pediatric Life Suppt;APLS,Pediatric Advanced Life Suppt; PALS) で利用されている基準値範囲との比較がなされた 小児心肺蘇生教育で利用されている基準値内の測定値註 ) が, 健康小児の 99th centile や st centile のレベルを超えていることや, 健康小児の中央値 (median) が基準値内にない年齢相が存在することを結論とした 本論文の結果を受けて, 今後, 小児心肺蘇生教育の新規基準値の策定が始まると予測される 喘鳴 喘鳴の評価は,Johnson 分類を参考に,Grade 4/ 3 を3 点 Grade を 点 Grade を 点と判定する 呼気 / 吸気時間比 註 健康小児における大規模研究 ) の概要 :0 年 Fleming らは, 過去 69 の研究より,0~ 8 歳までの心拍数と呼吸数 ( 心拍数 :59 文献から得た小児 4,346 名, 呼吸数 :0 文献から得た小児 3,88 名 ) を抽出し, 覚醒時小児の基準値 ( パーセントタイル曲線 ) を作成した 註 00 人の測定対象のなかで, 最も高値の小児 (99 パーセンタイル ) や最も低い (パーセンタイル) 小児のレベル 6

3) 循環 (C) ()CⅠ; 皮膚色および毛細血管再充満時間 (Capillary Refill Time;CRT) の評価 皮膚色,CRT 顔面皮膚色の評価は実施し, 口唇周囲の色調にも注意を 払う 乳幼児では, 大腿内側や上腕内側の皮膚を5 秒間押して, その後離して皮膚色が戻る時間 ( 毛細血管再充満時間 ) を測定する 3 秒以上を 点 4 秒以上を3 点として加点する ()CⅡ; 脈拍 ( 触診 ) 脈拍 触診による脈拍を測定する 触診する部位は上肢 ( 前腕遠位の橈骨動脈部位や上腕遠位の上腕動脈部位 ) とする 減弱している場合には必ず血圧の測定をただちに実施する (3)CⅢ; 心拍数の評価 心拍数 前述の小児における大規模研究註 ) の年齢段階による心拍数の基準値を参考に,6 段階の年齢に分類し, それぞれ3 段階の基準値を設けた 4 Second Stage 目的: 総合評価 First Stage により判定された9 項目により, 以下の3 つのSecond Stage の総合評価を実施する )PEWSS 総合点数による緊急度評価 Ⅰ 蘇生レベル 点 Ⅱ 緊急 9 点 Ⅲ 準緊急 6 点 ) した外観 (A) 呼吸 (R) 循環 (C) 因子に よる病態評価 因子ごとの点数を評価し, 患者の状態を以下の6つの病 態に分類する ( :, 正常 : ) 全身性疾患 脳障害 A R C 呼吸障害 A R C 呼吸不全 A R C 代償性ショック A R C 非代償性ショック A R C 心肺停止 A R C 3) 全身性炎症性反応症候群 (SIRS) 判定 ( 図 ) A Ⅲ: 体温 R Ⅲ: 呼吸数 C Ⅲ: 心拍数 の点数評価により, ただちにSIRSを判定できる配慮をした SIRS 基準 :[AⅢ 点 ] かつ [RⅢ = 3 点またはCⅢ = 3 点 ] 5 Third Stage 目的: 評価結果の 可視化 と介入の標準化 外来トリアージでは, 電子カルテ上の来院患者一覧に前述で評価された9 項目の総点を可視化できように設定した PEWSS 総合点数と外観 (A), 呼吸 (R), 循環 (C) ごとの総点を表記し,SIRS に該当する患者を自動的に警告表記できるように工夫した トリアージから診療 介入までの目標時間や再評価までの時間を設定した その詳細を図 3に示す 病棟では, バイタルサイン測定の間隔を PEWS 総点により段階的に設定した 特に入院患者全員の変動する PEWS 総点を電子カルテ上での 見える化 を実現し, 認識と介入を徹底している その詳細を図 4に示す PEWSS と IT 化への展開 状況認識する作業には, ヒューマンエラーがつきものである バイタルサインの変化とフィジカルアセスメントを数量化し, 看護師のみならず医師がリアルタイムに子どもの変化を状況認識する作業ではなおさらである 情報を収集し, 正しく解釈し, 病態変化を予測する医療が求められている 個々の変化を経時的に観察するために十分な電子カルテであっても, 現在, どの看護師がどのような変化をとらえ, 記録したか といった病棟全体での把握には不得意な面がある PEWSS の整備を進めるうえで, 電子カルテとの連携とそのIT 化は不可避な課題である 特に,SIRS 警告や次回訪室時間のアラートなど, 日常の看護や診療での急変対応システムとしての機能のみならず, ナースステーションでの申し送り, また, 急変症例の振り返りの教育ツールとしても利用可能である 今後, さらに患者の安全をめざした医療システムとして, 保護者に対し,PEWS の結果をわかりやすく開示し, 保護者と協同で子どもの安全に取り組んで行く予定である 63

図 3 PEWSS; 外来における起動と再評価方法 5 点 6 点 9 点 点 Ⅲ 準緊急 Ⅱ 緊急 Ⅰ 蘇生 通常診療 5 分以内診療 5 分以内診療持続モニタリング 0 分救急初療室へ蘇生 ABCDE 評価と介入 医師による診察時に PEWS の再評価 5~5 分間隔で再評価を繰り返す PEWS 総点 点 ただちに救急初療室へ搬送,PEWS 総点 9 点 来院 5 分以内の診療,PEWS 総点 6 点 来院 5 分以内の診療 図 4 PEWSS ; 病棟における起動と介入 PEWS ROUND 再評価と介入を検討 :4 時間継続かつ次日勤帯に再評価 5 点 8 時間後 PEWS 記録 6 点 急変警告リストアップ No No No 9 点 点 リカバリー移動持続モニタリング PICU 管理蘇生 4 時間後 PEWS 記録 3 時間後 時間後 PEWS PEWS 記録 記録 48 時間 0~ 点持続 qhr_ 4 時間医師へ緊急コール PEWS 総点 点 ただちに集中治療室への転送 蘇生の準備,PEWS 総点 9 点 病棟観察室への移動 持続モニタリング,PEWS 総点 6 点 警告症例としてリストアップし, 毎日の PEWS ROUND を徹底している 64 おわりに 外来診療と院内 ( 入院 ) 管理中のすべての子どもの病態評価が標準化され, 診療や看護の連続性が保たれることが求められている 評価が難しいとされ, 敬遠されがちな子どもの医療安全文化の醸成役 ( 薬 ) の一つとして, 当院で取り組んでいる PEWSS を紹介した 日常測定しているバイタルサインの 測定とアセスメントが単なる記録にとどまらず, 安全をめざしたチーム医療の実践の一つとしての 病態評価と介入の連鎖 を個々の医療従事者が再考するよい機会になると信じている 文献 ) Fleming S,Thompson M,Stevens R,et al:nmal ranges of heart rate and respiraty rate in children from birth to 8 years of age:a systematic review of observational studies.lancet 377(9770): 0-08,0. レイアウトデザイン mio creative