COI開示及び免責事項 発表者名 矢花直幸 演題発表に関連し 開示すべきCOI関係にある企 業などはありません また本講演の内容は発表者の個人的見解を含む ものであり PMDAの公式の見解ではありません 2

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料 情報の提供に関する記録 を作成する方法 ( 作成する時期 記録の媒体 作成する研究者等の氏名 別に作成する書類による代用の有無等 ) 及び保管する方法 ( 場所 第 12 の1⑴の解説 5に規定する提供元の機関における義務 8 個人情報等の取扱い ( 匿名化する場合にはその方法等を含む ) 9

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2. 検討 ~ 医療に関する事故の特殊性など (1) 医師等による医療行為における事故 医師等が患者に対してどのような医療行為を施すべきかという判断は 医師等の医学的な専門知識 技能に加え 医師等の経験 患者の体質 その時の患者の容態 使用可能な医療機器等の設備等に基づきなされるものである ( 個別

皮的肺生検 ) で遺伝子変異が特定できる可能性がある場合に 血液検査後に 気管支鏡検査 ( または経皮的肺生検 ) を受けたい と回答したのは 130 名 (87.8%) でした 確定診断の検査時にて辛い思いをされた 92 名の方においても 82 名 (89.2%) が再度その辛い思いをした検査を受

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Transcription:

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COI開示及び免責事項 発表者名 矢花直幸 演題発表に関連し 開示すべきCOI関係にある企 業などはありません また本講演の内容は発表者の個人的見解を含む ものであり PMDAの公式の見解ではありません 2

CDx時代からパネル検査時代へ 本邦初のパネル検査の承認 がんゲノム医療推進コン ソーシアム懇談会の報告書 トラスツズマブ の承認 ゲフィチニブの EGFR陽性NSCLCに 対する承認 2005 2000 2010 コンパニオン通知の 発出 2015 Nature 2014 507: 294 2018 3

本邦で承認されているCDx CDx の販売名 対応する医薬品 バイオマーカー ポテリジオテストIHC/ポテリジオテスト FCM モガムリズマブ 遺伝子組換え CCR4 タンパク質 コバス BRAF V600 変異検出キット ベムラフェニブ BRAF 変異 ヒストファイン ALK iaep キット アレクチニブ ALK タンパク質 Vysis ALK Break Apart FISH プローブ キット クリゾチニブ アレクチニブ ALK 融合遺伝子 THxID BRAF キット ダブラフェニブメシル酸塩/トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物 BRAF 変異 コバス EGFR 変異検出キット v2.0 オシメルチニブメシル酸塩 EGFR 変異 OncoGuide AmoyDx ROS1 融合遺伝子 検出キット クリゾチニブ ROS1 融合遺伝子 (RNA) PD-L1 IHC 22C3 pharmdx ダコ ペムブロリズマブ 遺伝子組換え PD-L1 タンパク質 ベンタナ OptiView ALK (D5F3) クリゾチニブ セリチニブ ALK タンパク質 MEBGEN RASKET-B キット セツキシマブ 遺伝子組換え パニツズマブ 遺伝子組換え KRAS 及び NRAS 変異 BRACAnalyis 診断システム オラパリブ BRCA1 及び BRCA2 変異 オンコマイン Dx Target test ダブラフェニブメシル酸塩/トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物 BRAF 変異 4

CDxの意義 市販後 医薬品の臨床試験 Lab test Lab test Lab test 同等性に基づく 臨床性能の担保 本邦における 標準的検査 Lab test 保険適用 5

CDxの意義 市販後 医薬品の臨床試験 Lab test Lab test 後発CDx 同等性に基づく臨床性能の担保 Lab test 本邦における 標準的検査 Lab test 保険適用 6

本邦におけるCDxの今後の課題 One CDx to One clinical trial. One CDx to One drug ではなく また One CDx to One biomarker でもない 例 ALK, BRAF, etc 分析学的同等性に基づく開発により 複数の医薬 品に使用可能なCDxが増えることを期待 がんのサブタイプの診断とCDxの境界があい まいになる. 医薬品投与の治療反応因子としてのCDxの位置付け が確立されるにつれ 通常診療で測定する検査項目 としての位置づけを獲得し 両者の境界はあいまい になる. 例 乳癌におけるHER2 7

遺伝子一つのCDx検査から数百遺伝子の パネル検査へ 期待されるベネフィット NGSの実用化は以下のような変化をもたらしつ つある: 多数の遺伝子のSNV, Ins/Dels, CNA, 染色体 転座などの様々なタイプの変異の情報を入手で きるようになる これまでのCDxのみならず 治療反応因子や 予後因子などの情報に基づき さらなる個別化 医療が可能となる 8

遺伝子一つのCDx検査から数百遺伝子の パネル検査へ 検査や診療の変化 NGSの臨床現場への実装は以下のような変化を もたらしつつある: バリアントの結果解釈のために取り扱う情報 量は飛躍的に増大し データベースとの参照が 不可欠となった 遺伝子異常の判定 結果解釈 最適な治療の 選定といった新たな診療領域の拡大 検体の解析から変異レポート作成までのプロ セスを企業が独自のパイプラインで実施する検 査ビジネスの発展 9

事例1: BRACAnalysis CDxTM BRACAnalysis診断システム 乳癌患者を対象に, 19,000 以上のバリアントから生殖 系BRCA1/2遺伝子の病的変異又は病的疑い変異を同定 する診断システム. 本邦では2018年にオラパリブのCDx プログラム医療 機器 として承認された. 新たに分類された 変異については 市販後にPMDAに 報告することが求 められている. BRACAnalysis診断システム審査報告書 http://www.pmda.go.jp/medical_devices/2018/m20180420001/navi.html) 10

事例2: OncomineTM Dx Target Test オンコマイン Dx Target Test CDxシステム 米国添付文書では BRAF, ROS1, EGFR の3遺伝子に係 るCDxの使用目的で承認され また標準的な治療がない 患者のみ23遺伝子の測定結果を使用可能とされている. 本邦では2018年にNSCLCに対するダブラフェニブメシ ル酸塩/トラメチニブジメチルスルホキシド付加物の CDxとして承認された 搭載する他の遺伝子については 医師が必要と判断した場合に限り参考情報として提示が 可能. NGSベースの診断システムとし て 本邦で初めて承認された品 目である. 11

事例3: NCC オンコパネル 本品は国立がんセンターのTOP-GEARプロジェクトの 中で開発されたNGSベースの遺伝子パネル検査であり 2017年に先駆け審査指定制度の対象に指定された すべての癌種の114遺伝子のSNV, Ins/Dels, CAN, 染 色体転座を検出する 114 mutation amplification (whole exon) ABL1 ACTN4 AKT1 AKT2 AKT3 ALK APC ARAF ARID1A ARID2 ATM AXIN1 AXL BAP1 BARD1 BCL2L11/BIM BRAF BRCA1 BRCA2 CCND1 CD274/PD-L1 CDK4 CDKN2A CHEK2 CRKL CREBBP CTNNB1/b-catenin CUL3 DDR2 EGFR ENO1 EP300 ERBB2/HER2 ERBB3 ERBB4 ESR1/ER EZH2 FBXW7 FGFR1 FGFR2 FGFR3 FGFR4 FLT3 GNA11 GNAQ GNAS HRAS IDH1 IDH2 IGF1R IGF2 IL7R JAK1 JAK2 JAK3 KDM6A/UTX KEAP1 KIT KRAS MAP2K1/MEK1 MAP2K2/MEK2 MAP2K4 MAP3K1 MAP3K4 MDM2 MDM4 MET MLH1 MTOR MSH2 MYC MYCN NF1 NFE2L2/Nrf2 NOTCH1 NOTCH2 NOTCH3 NRAS NRG1 NTRK1 NTRK2 NTRK3 NT5C2 PALB2 PBRM1 PDGFRA PDGFRB PIK3CA PIK3R1 PIK3R2 POLD1 POLE PRKCI PTCH1 PTEN RAC1 13 fusion genes RAC2 RAD51C RAF1/CRAF RB1 RET RHOA ROS1 SETBP1 SETD2 SMAD4 SMARCA4/BRG1 SMARCB1 SMO STAT3 STK11/LKB1 TP53 TSC1 VHL ALK AKT2 AKT3 BRAF ERBB4 FGFR2 FGFR3 NRG1 NTRK1 NTRK2 PDGFRA RET ROS1 2017.10.4 厚生労働省 がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するWG資料 12

事例4: FoundationOne CDxTM 本品はすべての癌種の324遺伝子の変異を検出すると ともに MSI及びTMBの情報を提示する EGFR, ALK, BRAF, HER2, KRAS/NRAS BRCA1/2に 係るCDxとの分析学的同等性が検討され 米国では17 種類の治療法に対するCDxとして承認されている 本邦でも2018年に承認申請された 13

本邦で想定されるがんゲノム医療の枠組み がんゲノム医療中核拠点 病院 11箇所 がんゲノム医療連携病院 100箇所 遺伝子パネルによる癌ゲノムのバ リアントのデータの取得 データベースとの参照により得ら れた遺伝子変異の情報を付加し 包括的なプロファイルのレポート を作成 エキスパートパネルが 得られた 遺伝子変異のエビデンスレベルに 基づき 治療方針を策定しレポー トを作成 14

CDxと包括的なプロファイル検査の違い CDx プロファイル検査 測定対象 個別のマーカー 包括的なプロファイル 想定される治療 エビデンスが確立し た治療方法 原則として標準的治療は存在 せず エビデンスレベルが高 くない治療を想定 出力された検査結 果の位置づけ 医薬品適応の可否を 直接提示する 出力された結果に基づき医師 による結果解釈が行われ 治 療方針が策定される 想定される使用施 設 - がんゲノム中核拠点病院等の エキスパートパネルが存在す る施設を想定 検査薬 医療機器 として評価される 性能 一つのマーカーに対 する高い診断的中率 包括的なプロファイル検査を 前提とした測定機器としての 分析性能 真度 再現性な ど 15

遺伝子パネル検査の模式的な流れ 配列決定 バリアントコール 遺伝子パネル GeneX: c.2611c>t GeneY: c.1652a>g GeneZ:... シークエンサー アノテーション 変異データ ベース プログラム Bioinformatics Pipeline SNV, Ins/Del, CNA, Rearrangements レポート 診断用医療機器として承認 GeneA: SNV: xxxx GeneB: Indel: xxxx 知識データ ベース レポート Patient GeneA:#: Tier1:xxxxxxxx SNV: xxxx Tier2:xxxx. GeneB: Indel: xxxx エキスパート パネルによる 結果解釈 16

パネル検査の審査の論点 変異データ 分析性能の評価 ベース データベースの評価 パネル検査が出力す GeneX: c.2611c>t 遺伝子パネル 多数の遺伝子の多様なタイ GeneY: c.1652a>g プログラム PMDAはデータベー る遺伝子変異の結果 GeneZ:... プの変異に対する分析性能 シークエンサー スの完全性を評価す や付加情報の適切性 SNV, Ins/Del, CNA, の妥当性をどのように評価 Bioinformatics Pipeline Rearrangements るのか? をどのように評価す すべきか? べきか 配列決定 アノテーション バリアントコール プログラムの評価 レポート GeneA: SNV: xxxx GeneB: Indel: xxxx 知識データ ベース 診断用医療機器として承認 臨床的有用性の評価 遺伝子パネル検査の レポート 臨床性能の評価 臨床的有用性を申請 Patient GeneA:#: パネル検査の臨床性能を Tier1:xxxxxxxx SNV: xxxx の中で示す必要があ Tier2:xxxx. どのように評価すべきか? エキスパート GeneB: るか? Indel: xxxx パネルによる 結果解釈 17

審査の考え方 パネル検査の臨床的有用性は, がんゲノム医療推進コンソー シアム懇談会 の報告書から既に示されており 今後の先進 医療や臨床研究の中で確立される 臨床性能 分析性能 審査の対象ではないが 承認書上で規定: 臨床上公知のDB 審査の対象であり 承認書上で規定: 企業独自のDB 審査の対象であり 承認の対象: Bioinformatics Pipeline プログラムの評価 出力されるレポートの妥当性は Bioinformatics Pipeline全体のデザイン 参照するDBの適切 性及びそのバリデーションに基づき評価される 18

分析性能について 対照となる試験法や試料を使用して 代表的 な変異のタイプ SNV, Ins/Dels, CNAs, 染色 体転座 毎に 陽性一致率 陽性的中率を算出 し 真度を評価 提示する 本邦においてどのように対照法を選定すべき か 今後の課題 Example: FoundationOne CDx SSED Table 6 19

パネル検査が実装された後 CDxは どうなるのか 新医薬品の開発においてマーカーXが陽性の患者を組み 入れ 検証的試験を実施した 本邦ではパネルによる包 括的な遺伝子プロファイル検査の中でマーカーXは既に 測定されているが 医薬品の承認申請にあたりマーカー XのCDxの承認申請は要求されるのか 新医薬品の承認にあたりマーカーXの検査システム がCDxとして新たに承認された 本邦ではパネルに よる包括的な遺伝子プロファイル検査の中でマー カーXは既に測定されているが パネル検査の結果 に基づき当該医薬品を投与することはできるか 20

パネル検査が実装された後のCDx 医薬品の臨床試験 Lab test 市販後 コンパニオン的な考え方は 変わらない Lab test Lab test 同等性に基づく 臨床性能の担保 本邦における 標準的検査 Lab test 保険適用 21

パネル検査時代のCDxはどうなるのか 市販後 医薬品の臨床試験 NGS-1 NGS-2 NGS-3 同等性に基づく 臨床性能の担保? NGS-4 新たな保険適用? 22

CDxのない世界 NGS-1 医薬品の臨床試験 NGS-1 NGS-2 NGS-2 NGS-3 市販後 NGS-4 NGS-3 NGS-5 23

まとめ がんゲノム医療の推進に伴い 承認された遺 伝子パネル検査を臨床現場に実装する動きは着 実に進みつつある PMDAにおいても遺伝子パネル検査の審査及び 評価の考え方の議論が進められている. 遺伝子パネル検査の登場は本邦におけるCDx の規制を直ぐに変えるものではない. ただし パネル検査が普及し標準化された場合には CDxの規制に影響を与えると考えられる. 24