能性を示した < 方法 > M-CSF RANKL VEGF-C Ds-Red それぞれの全長 cdnaを レトロウイルスを用いてHeLa 細胞に遺伝子導入した これによりM-CSFとDs-Redを発現するHeLa 細胞 (HeLa-M) RANKLと Ds-Redを発現するHeLa 細胞 (HeL

Similar documents
学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小川憲人 論文審査担当者 主査田中真二 副査北川昌伸 渡邉守 論文題目 Clinical significance of platelet derived growth factor -C and -D in gastric cancer ( 論文内容の要旨 )

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 松尾祐介 論文審査担当者 主査淺原弘嗣 副査関矢一郎 金井正美 論文題目 Local fibroblast proliferation but not influx is responsible for synovial hyperplasia in a mur

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer (

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

Microsoft Word - FHA_13FD0159_Y.doc

解禁日時 :2019 年 2 月 4 日 ( 月 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 2019 年 2 月 1 日 国立大学法人東京医科歯科大学 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 IL13Rα2 が血管新生を介して悪性黒色腫 ( メラノーマ ) を

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

<4D F736F F D F4390B38CE3816A90528DB88C8B89CA2E646F63>

ASC は 8 週齢 ICR メスマウスの皮下脂肪組織をコラゲナーゼ処理後 遠心分離で得たペレットとして単離し BMSC は同じマウスの大腿骨からフラッシュアウトにより獲得した 10%FBS 1% 抗生剤を含む DMEM にて それぞれ培養を行った FACS Passage 2 (P2) の ASC

日本標準商品分類番号 カリジノゲナーゼの血管新生抑制作用 カリジノゲナーゼは強力な血管拡張物質であるキニンを遊離することにより 高血圧や末梢循環障害の治療に広く用いられてきた 最近では 糖尿病モデルラットにおいて増加する眼内液中 VEGF 濃度を低下させることにより 血管透過性を抑制す

1. Caov-3 細胞株 A2780 細胞株においてシスプラチン単剤 シスプラチンとトポテカン併用添加での殺細胞効果を MTS assay を用い検討した 2. Caov-3 細胞株においてシスプラチンによって誘導される Akt の活性化に対し トポテカンが影響するか否かを調べるために シスプラチ

Microsoft Word - 学位論文内容の要旨 .doc

学位論文の要約

子として同定され 前立腺癌をはじめとした癌細胞や不死化細胞で著しい発現低下が認められ 癌抑制遺伝子として発見された Dkk-3 は前立腺癌以外にも膵臓癌 乳癌 子宮内膜癌 大腸癌 脳腫瘍 子宮頸癌など様々な癌で発現が低下し 癌抑制遺伝子としてアポトーシス促進的に働くと考えられている 先行研究では ヒ

るが AML 細胞における Notch シグナルの正確な役割はまだわかっていない mtor シグナル伝達系も白血病細胞の増殖に関与しており Palomero らのグループが Notch と mtor のクロストークについて報告している その報告によると 活性型 Notch が HES1 の発現を誘導

報告にも示されている. 本研究では,S1P がもつ細胞遊走作用に着目し, ヒト T 細胞のモデルである Jurkat 細胞を用いて血小板由来 S1P の関与を明らかにすることを目的とした. 動脈硬化などの病態を想定し, 血小板と T リンパ球の細胞間クロストークにおける血小板由来 S1P の関与につ

抑制することが知られている 今回はヒト子宮内膜におけるコレステロール硫酸のプロテ アーゼ活性に対する効果を検討することとした コレステロール硫酸の着床期特異的な発現の機序を解明するために 合成酵素であるコ レステロール硫酸基転移酵素 (SULT2B1b) に着目した ヒト子宮内膜は排卵後 脱落膜 化

Mincle は死細胞由来の内因性リガンドを認識し 炎症応答を誘導することが報告されているが 非感染性炎症における Mincle の意義は全く不明である 最近 肥満の脂肪組織で生じる線維化により 脂肪組織の脂肪蓄積量が制限され 肝臓などの非脂肪組織に脂肪が沈着し ( 異所性脂肪蓄積 ) 全身のインス

-119-

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 花房俊昭 宮村昌利 副査副査 教授教授 朝 日 通 雄 勝 間 田 敬 弘 副査 教授 森田大 主論文題名 Effects of Acarbose on the Acceleration of Postprandial

Untitled

研究目的 1. 電波ばく露による免疫細胞への影響に関する研究 我々の体には 恒常性を保つために 生体内に侵入した異物を生体外に排除する 免疫と呼ばれる防御システムが存在する 免疫力の低下は感染を引き起こしやすくなり 健康を損ないやすくなる そこで 2 10W/kgのSARで電波ばく露を行い 免疫細胞

ルグリセロールと脂肪酸に分解され吸収される それらは腸上皮細胞に吸収されたのちに再び中性脂肪へと生合成されカイロミクロンとなる DGAT1 は腸管で脂質の再合成 吸収に関与していることから DGAT1 KO マウスで認められているフェノタイプが腸 DGAT1 欠如に由来していることが考えられる 実際

<4D F736F F D208A7788CA90528DB895F18D908F912097E996D893DE8C8E2E646F63>

ヒト慢性根尖性歯周炎のbasic fibroblast growth factor とそのreceptor

関係があると報告もされており 卵巣明細胞腺癌において PI3K 経路は非常に重要であると考えられる PI3K 経路が活性化すると mtor ならびに HIF-1αが活性化することが知られている HIF-1αは様々な癌種における薬理学的な標的の一つであるが 卵巣癌においても同様である そこで 本研究で

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 神谷綾子 論文審査担当者 主査北川昌伸副査田中真二 石川俊平 論文題目 Prognostic value of tropomyosin-related kinases A, B, and C in gastric cancer ( 論文内容の要旨 ) < 要旨

結果 この CRE サイトには転写因子 c-jun, ATF2 が結合することが明らかになった また これら の転写因子は炎症性サイトカイン TNFα で刺激したヒト正常肝細胞でも活性化し YTHDC2 の転写 に寄与していることが示唆された ( 参考論文 (A), 1; Tanabe et al.

血漿エクソソーム由来microRNAを用いたグリオブラストーマ診断バイオマーカーの探索 [全文の要約]

く 細胞傷害活性の無い CD4 + ヘルパー T 細胞が必須と判明した 吉田らは 1988 年 C57BL/6 マウスが腹腔内に移植した BALB/c マウス由来の Meth A 腫瘍細胞 (CTL 耐性細胞株 ) を拒絶すること 1991 年 同種異系移植によって誘導されるマクロファージ (AIM

長期/島本1

東邦大学学術リポジトリ タイトル別タイトル作成者 ( 著者 ) 公開者 Epstein Barr virus infection and var 1 in synovial tissues of rheumatoid 関節リウマチ滑膜組織における Epstein Barr ウイルス感染症と Epst

論文題目  腸管分化に関わるmiRNAの探索とその発現制御解析

図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル

考えられている 一部の痒疹反応は, 長時間持続する蕁麻疹様の反応から始まり, 持続性の丘疹や結節を形成するに至る マウスでは IgE 存在下に抗原を投与すると, 即時型アレルギー反応, 遅発型アレルギー反応に引き続いて, 好塩基球依存性の第 3 相反応 (IgE-CAI: IgE-dependent

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小島光暁 論文審査担当者 主査森尾友宏 副査槇田浩史 清水重臣 論文題目 Novel role of group VIB Ca 2+ -independent phospholipase A 2γ in leukocyte-endothelial cell in

博第265号

八村敏志 TCR が発現しない. 抗原の経口投与 DO11.1 TCR トランスジェニックマウスに経口免疫寛容を誘導するために 粗精製 OVA を mg/ml の濃度で溶解した水溶液を作製し 7 日間自由摂取させた また Foxp3 の発現を検討する実験では RAG / OVA3 3 マウスおよび

83.8 歳 (73 91 歳 ) であった 解剖体において 内果の再突出点から 足底を通り 外果の再突出点までの最短距離を計測した 同部位で 約 1cmの幅で帯状に皮膚を採取した 採取した皮膚は 長さ2.5cm 毎にパラフィン包埋し 厚さ4μmに薄切した 画像解析は オールインワン顕微鏡 BZ-9

九州大学病院の遺伝子治療臨床研究実施計画(慢性重症虚血肢(閉塞

( 続紙 1 ) 京都大学 博士 ( 薬学 ) 氏名 大西正俊 論文題目 出血性脳障害におけるミクログリアおよびMAPキナーゼ経路の役割に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 脳内出血は 高血圧などの原因により脳血管が破綻し 脳実質へ出血した病態をいう 漏出する血液中の種々の因子の中でも 血液凝固に関

スライド 1

Untitled

メディカルスタッフのための白血病診療ハンドブック

糖鎖の新しい機能を発見:補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する

インプラント周囲炎を惹起してから 1 ヶ月毎に 4 ヶ月間 放射線学的周囲骨レベル probing depth clinical attachment level modified gingival index を測定した 実験 2: インプラント周囲炎の進行状況の評価結紮線によってインプラント周囲

脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http

モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の特性と

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 中谷夏織 論文審査担当者 主査神奈木真理副査鍔田武志 東田修二 論文題目 Cord blood transplantation is associated with rapid B-cell neogenesis compared with BM transpl

研究成果報告書

ス化した さらに 正常から上皮性異形成 上皮性異形成から浸潤癌への変化に伴い有意に発現が変化する 15 遺伝子を同定し 報告した [Int J Cancer. 132(3) (2013)] 本研究では 上記データベースから 特に異形成から浸潤癌への移行で重要な役割を果たす可能性がある

背景 歯はエナメル質 象牙質 セメント質の3つの硬い組織から構成されます この中でエナメル質は 生体内で最も硬い組織であり 人が食生活を営む上できわめて重要な役割を持ちます これまでエナメル質は 一旦齲蝕 ( むし歯 ) などで破壊されると 再生させることは不可能であり 人工物による修復しかできませ

cover

Wnt3 positively and negatively regu Title differentiation of human periodonta Author(s) 吉澤, 佑世 Journal, (): - URL Rig

博士学位論文 内容の要旨及び論文審査結果の要旨 第 11 号 2015 年 3 月 武蔵野大学大学院

論文の内容の要旨

ヒト胎盤における

論文の内容の要旨

を行った 2.iPS 細胞の由来の探索 3.MEF および TTF 以外の細胞からの ips 細胞誘導 4.Fbx15 以外の遺伝子発現を指標とした ips 細胞の樹立 ips 細胞はこれまでのところレトロウイルスを用いた場合しか樹立できていない また 4 因子を導入した線維芽細胞の中で ips 細

博士の学位論文審査結果の要旨

報道関係者各位 平成 26 年 1 月 20 日 国立大学法人筑波大学 動脈硬化の進行を促進するたんぱく質を発見 研究成果のポイント 1. 日本人の死因の第 2 位と第 4 位である心疾患 脳血管疾患のほとんどの原因は動脈硬化である 2. 酸化されたコレステロールを取り込んだマクロファージが大量に血

Untitled

( 平成 22 年 12 月 17 日ヒト ES 委員会説明資料 ) 幹細胞から臓器を作成する 動物性集合胚作成の必要性について 中内啓光 東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センター JST 戦略的創造研究推進事業 ERATO 型研究研究プロジェクト名 : 中内幹細胞制御プロジェクト 1

研究成果報告書

EBウイルス関連胃癌の分子生物学的・病理学的検討

今後の展開現在でも 自己免疫疾患の発症機構については不明な点が多くあります 今回の発見により 今後自己免疫疾患の発症機構の理解が大きく前進すると共に 今まで見過ごされてきたイントロン残存の重要性が 生体反応の様々な局面で明らかにされることが期待されます 図 1 Jmjd6 欠損型の胸腺をヌードマウス

平成14年度研究報告

Microsoft Word CXCL12-CXCR axis.docx

学位論文要旨 牛白血病ウイルス感染牛における臨床免疫学的研究 - 細胞性免疫低下が及ぼす他の疾病発生について - C linical immunological studies on cows infected with bovine leukemia virus: Occurrence of ot

態である新生血管の発生を一部再現したものであり 疾患モデル動物の代替として病態解析や創薬スクリーニングに応用できる可能性があります 本研究の成果は 平成 29 年 6 月 14 日 ( 英国時間 ) 付けで Scientific Reports 誌 ( 電子版 ) に掲載されます 本研究は 文部科学

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

<4D F736F F D F4390B388C4817A C A838A815B8358>

Untitled

4氏 すずき 名鈴木理恵 り 学位の種類博士 ( 医学 ) 学位授与年月日平成 24 年 3 月 27 日学位授与の条件学位規則第 4 条第 1 項研究科専攻東北大学大学院医学系研究科 ( 博士課程 ) 医科学専攻 学位論文題目 esterase 染色および myxovirus A 免疫組織化学染色

骨形成における LIPUS と HSP の関係性が明らかとなった さらに BMP シグナリングが阻害されたような症例にも効果的な LIPUS を用いた骨治癒法の提案に繋がる可能性が示唆された < 方法 > 10%FBS と 抗生剤を添加した α-mem 培地を作製し 新生児マウス頭蓋骨採取骨芽細胞を

報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効

( 様式甲 5) 氏 名 忌部 尚 ( ふりがな ) ( いんべひさし ) 学 位 の 種 類 博士 ( 医学 ) 学位授与番号 甲第 号 学位審査年月日 平成 29 年 1 月 11 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 Benifuuki green tea, containin

妊娠認識および胎盤形成時のウシ子宮におけるI型IFNシグナル調節機構に関する研究 [全文の要約]

ウシの免疫機能と乳腺免疫 球は.8 ~ 24.3% T 細胞は 33.5 ~ 42.7% B 細胞は 28.5 ~ 36.2% 単球は 6.9 ~ 8.9% で推移し 有意な変動は認められなかった T 細胞サブセットの割合は γδ T 細胞が最も高く 43.4 ~ 48.3% で CD4 + T 細

肝クッパ 細胞を簡便 大量に 回収できる新規培養方法 農研機構動物衛生研究所病態研究領域上席研究員山中典子 2016 National Agriculture and Food Research Organization. 農研機構 は国立研究開発法人農業 食品産業技術総合研究機構のコミュニケーショ

この学位申請論文は Journal of Dermatological Science に掲載された主要公刊論文を基に作成された Journal of Dermatological Science に掲載された主要公刊論文の一部を学位申請論文に用いることに加えて 学位申請論文を機関リポジトリ -[

<4D F736F F D DC58F4994C A5F88E38A D91AE F838A838A815B835895B68F FC189BB8AED93E089C82D918189CD A2E646F63>

Untitled

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or


H

1

周期的に活性化する 色素幹細胞は毛包幹細胞と同様にバルジ サブバルジ領域に局在し 周期的に活性化して分化した色素細胞を毛母に供給し それにより毛が着色する しかし ゲノムストレスが加わるとこのシステムは破たんする 我々の研究室では 加齢に伴い色素幹細胞が枯渇すると白髪を発症すること また 5Gy の

( 様式乙 8) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 米田博 藤原眞也 副査副査 教授教授 黒岩敏彦千原精志郎 副査 教授 佐浦隆一 主論文題名 Anhedonia in Japanese patients with Parkinson s disease ( 日本人パー

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 山田淳 論文審査担当者 主査副査 大川淳野田政樹 上阪等 論文題目 Follistatin Alleviates Synovitis and Articular Cartilage Degeneration Induced by Carrageenan ( 論文

RNA Poly IC D-IPS-1 概要 自然免疫による病原体成分の認識は炎症反応の誘導や 獲得免疫の成立に重要な役割を果たす生体防御機構です 今回 私達はウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA アナログの Poly I:C を用いて 自然免疫応答メカニズムの解析を行いました その結果


Untitled

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 野上彩子 論文審査担当者 主査神奈木真理 副査北川昌伸 東田修二 論文題目 FLT3-ITD confers resistance to the PI3K/Akt pathway inhibitors by protecting the mtor/4ebp1/m

No146三浦.indd


られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

STAP現象の検証の実施について

化を明らかにすることにより 自閉症発症のリスクに関わるメカニズムを明らかにすることが期待されます 本研究成果は 本年 京都において開催される Neuro2013 において 6 月 22 日に発表されます (P ) お問い合わせ先 東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野教授大隅典

<4D F736F F D20322E CA48B8690AC89CA5B90B688E38CA E525D>

Transcription:

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 秦野雄 論文審査担当者 主査竹田秀副査北川昌伸 山口朗 論文題目 Tumor associated osteoclast-like giant cells promote tumor growth and lymphangiogenesis by secreting vascular endothelial growth factor-c ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 破骨細胞様巨細胞 (Osteoclast-like giant cell, OGC) を伴う腫瘍の症例報告はあるが OGCの腫瘍環境における機能的役割はあまり知られていない 本論文では腫瘍内にOGC 分化を誘導するモデルを作成して 腫瘍の表現型に与える影響を検討した まずmacrophage colony-stimulating factor (M-CSF) を発現するHeLa 細胞とreceptor activator of nuclear factor-κb ligand (RANKL) を発現するHeLa 細胞を作成した これら2 種類の細胞と骨髄由来単核球を混合培養することで 破骨細胞様細胞分化が誘導できることをin vitroで確認した さらに免疫不全マウスの皮下に移植する実験によって in vivoでもogc 分化を腫瘍内に誘導できることが確認できた OGCを有する腫瘍は 遺伝子導入をしていないHeLa 細胞やM-CSF RANKLのみを発現しているHeLa 細胞によって形成された腫瘍と比較して有意に大きく 組織学的にはマクロファージ浸潤やリンパ管新生が亢進していた OGC 分化に伴いvascular endothelial growth factor (VEGF)-CのmRNA 発現レベルが上昇していることがin vitroで確認され VEGF-Cを高発現するHeLa 細胞はOGCを有する腫瘍と類似した表現型を呈した 追加実験と併せて OGCが分泌するVEGF-Cがリンパ管新生促進とともに 血管透過性亢進やマクロファージ遊走促進を介して腫瘍増大に寄与している可能性を示した < 緒言 > 近年 腫瘍の増大 浸潤 転移といった腫瘍実質細胞の性質に 線維芽細胞や免疫細胞といった腫瘍間質細胞が影響を与えることが知られるようになった 免疫細胞の中では M2タイプのマクロファージが腫瘍の悪性化に関連していることが多くの論文で報告されている OGCも腫瘍間質の免疫細胞の一つと考えられ OGCを有する腫瘍が甲状腺 肺 乳腺 胃 肝臓 膵臓 膀胱 子宮 皮膚などで報告されている OGCと破骨細胞の表面マーカーは共通しており 腫瘍細胞が発現しているM-CSFやRANKLにより骨髄由来の単球系細胞がOGCに分化することが報告されている OGCと腫瘍の悪性化との関連は不明の点が多く 腫瘍が発生する臓器によっても患者予後に与える影響が異なることが報告されている 本論文では 子宮頸癌細胞株であるHeLa 細胞を用いて OGCが腫瘍増大やリンパ管新生といった悪性を示唆する表現型に積極的に関与している可 - 1 -

能性を示した < 方法 > M-CSF RANKL VEGF-C Ds-Red それぞれの全長 cdnaを レトロウイルスを用いてHeLa 細胞に遺伝子導入した これによりM-CSFとDs-Redを発現するHeLa 細胞 (HeLa-M) RANKLと Ds-Redを発現するHeLa 細胞 (HeLa-R) VEGF-CとDs-Redを発現するHeLa 細胞 (HeLa-VC) を得た 細胞株は10% ウシ胎児血清を含むDMEM 培地で5%CO2/95%air 37 で培養をおこなった それぞれの細胞増殖が異ならないことを確認するため in vitroで培養し 経日的に細胞数をカウントした In vitroでの破骨細胞様細胞分化を評価するため HeLa HeLa-M HeLa-R HeLa-MとHeLa-R の混合 (HeLa-M + -R) の4 種類の細胞をそれぞれddYマウス由来の骨髄単核球と共培養し 7 日目に破骨細胞を特異的に染めるTRAP (tartrate-resistant acid phosphatase) 染色で評価した In vivoでのogc 分化とその役割を評価するため 免疫不全マウスであるTie2-GFP/Rag1 -/- マウスの皮下に それぞれのHeLa 細胞を接着させたコラーゲンスポンジを移植し 5 週間観察後に組織切片を作成した 単球 マクロファージの分布は抗 CD11b 抗体を リンパ管分布は抗 LYVE-1 (lymphatic vessel endothelial receptor 1) 抗体を用いた免疫染色によって評価した また抗 LYVE-1 抗体による免疫染色後にTRAP 染色をおこなうことで OGCとリンパ管の位置関係を評価した OGC VEGF-Cが血管透過性に与える影響を評価するため HeLa HeLa-M + -R HeLa-VC をそれぞれコラーゲンスポンジに接着させて Tie2-GFP/Rag1-/- マウスの皮下に移植後 3 週間目にEvans blue 尾静注 30 分後に摘出し 1N KOH 0.6N H3PO4 / acetoneを用いて色素溶出し610nm 吸光度を測定した またVEGF-Cとマクロファージ遊走の関係を調べるため M-CSF 存在下で5 日培養後にLPSで24 時間刺激したddYマウス由来の骨髄細胞をトランスウェルインサート (24well, 8μm pore size) 上層に 下層にVEGF-Cを含む培地をいれて3 時間後に遊走した細胞数を計数した < 結果 > In vitroでの細胞増殖率はhela HeLa-M HeLa-R HeLa-M + -R HeLa-VC いずれにおいても有意差は認めなかった また骨髄由来単核球との共培養において HeLa-M + -Rのみが破骨細胞様細胞分化を誘導できた 同様にin vivoにおいてもhela-m + -Rより形成された腫瘍内にのみOGCを認め HeLa-Mのみ HeLa-Rのみによって形成された腫瘍内にはOGCは認めなかった 組織切片においてOGCは腫瘍の周辺に分布し OGCを有する腫瘍はそうでない腫瘍と比較して移植 5 週間後の腫瘍径は有意に大きかった 破骨細胞分化の過程でVEGF-C 発現が上昇することが報告されており in vitroでvegf-cの mrna 発現を調べたところ 破骨細胞様分化に伴ってその発現が上昇していた そこで 腫瘍組織におけるリンパ管を抗 LYVE-1 抗体で免疫染色したところ OGCを有する腫瘍においてリンパ管新生が著明に亢進していることが明らかとなり リンパ管が存在している領域はOGCが分布し - 2 -

ている領域と近接していた 次に腫瘍増大においてVEGF-Cが関与している可能性をin vivoでのhela-vcの増殖を指標に評価した その結果 HeLa-M + -Rにより形成された腫瘍とほぼ同等の増大を示すことが明らかになった HeLa-VCによって形成された腫瘍においてリンパ管新生を認めたが OGCは認めず 腫瘍内の一部には間質液貯留を認めた VEGF-Cによる腫瘍増大メカニズムとして 血管透過性亢進とマクロファージ浸潤の増加が考えられた 追加実験の結果 HeLaによって形成された腫瘍と比較して HeLa-M + -Rにより形成された腫瘍で有意に血管透過性の亢進がみられ HeLa-VCで形成された腫瘍においても同様の傾向が示された HeLa-M + -Rによって形成された腫瘍は他の腫瘍と比較して 有意にマクロファージ浸潤が増加しており HeLa-VCにおいてもやはり増加していた In vitroでマクロファージの遊走をみたところ LPS 刺激マクロファージがVEGF-Cに対する遊走を示すことが示された < 考察 > 本論文において OGCを有する腫瘍のモデルを作成するとともに 腫瘍環境においてOGCが果たす役割に関して検討を行った 破骨細胞分化にM-CSFとRANKLが必要十分であることが知られているが HeLa-MとHeLa-Rを混合することで OGCの分化誘導がin vitro in vivoの両方において可能であることが明らかとなった これは骨のない軟部組織においてもM-CSFとRANKLの発現があればOGCを誘導できる可能性を示唆しており 様々な病態におけるOGCの役割を検討する方法として有用なモデルである 今回の研究において HeLa-Mのみ あるいはHeLa-Rのみによって形成された腫瘍は 親株の HeLa 細胞とほぼ同等の大きさであり M-CSFとRANKLが同時に存在する環境下においてのみ著明な腫瘍増大効果を認めた つまりOGCが腫瘍環境に形成されることが 腫瘍増大に重要であると考えた 腫瘍におけるVEGF-C 発現はリンパ管新生を介して 腫瘍のリンパ行性転移および血行性転移を促進するため腫瘍の悪性化因子の一つとして知られている 破骨細胞はRANKLによる分化誘導の過程でVEGF-Cの発現が上昇することが報告されており 今回の研究においても同様の結果が確認された またOGCを有する腫瘍において腫瘍周囲のリンパ管新生が促進しており OGC 由来のVEGF-Cがリンパ管新生に働いている可能性が強く示唆された さらに今回の研究ではHeLa-VCによって形成された腫瘍が OGCを有する腫瘍と同等の腫瘍増大効果を有することが示され VEGF-Cが腫瘍増大に積極的に関与している可能性を示唆した VEGF-Cはリンパ管内皮細胞に発現するVEGFR-3を介したリンパ管新生や 血管内皮細胞に発現するVEGFR-2を介した血管透過性亢進に働くことが知られている また最近ではマクロファージ上に存在するVEGFR-3を介したマクロファージ遊走への関与も報告されている 実際にOGCを有する腫瘍において有意に血管透過性は亢進しており HeLa-VCによって形成された腫瘍においても同様の傾向がみられた ただHeLa-VCによって形成された腫瘍における血管透過性亢進が OGCを有する腫瘍と同等にならなかった原因として 機能的なリンパ管新生が乏しいために 血管透過性亢進に伴う間質液の貯留が間質圧増大につながり 血管透過性亢進に拮抗的に働いたことが考えられた 以上の結果から VEGF-Cを介した血管透過性亢進によって血中の増殖因子が - 3 -

豊富に腫瘍環境に供給されることが 腫瘍増大の一つの原因として考えられた また今回の実験においてOGCを有する腫瘍 HeLa-VCによって形成された腫瘍においてマクロファージの浸潤が増加しており in vitroでも活性化マクロファージがvegf-cに対する正の走化性をもつことが示された 腫瘍浸潤マクロファージが腫瘍増大と関連しているとする報告があり OGCが発現するVEGF-Cがマクロファージの遊走を介して腫瘍増大に寄与した可能性が考えられた < 結論 > 腫瘍内に分化した OGC は VEGF-C 分泌を介して腫瘍増大やリンパ管新生といったより悪性の表現型形成に積極的に寄与している可能性が示された - 4 -

論文審査の要旨および担当者 報告番号甲第 4 6 6 0 号秦野雄 論文審査担当者 主査竹田秀副査北川昌伸 山口朗 ( 論文審査の要旨 ) これまでに病理学的な検討から 腫瘍局所において破骨細胞様巨細胞 (Osteoclast-like giant cell, OGC) が存在することが明らかとされている その腫瘍環境における機能的役割は不明である 申請者らは 腫瘍内にOGC 分化を誘導するモデルを作成して 腫瘍の表現型に与える影響を検討した まずmacrophage colony-stimulating factor (M-CSF) を発現するHeLa 細胞とreceptor activator of nuclear factor-κb ligand (RANKL) を発現するHeLa 細胞を確立し これら2 種類の細胞と骨髄由来単核球を混合培養することで 破骨細胞様細胞分化が誘導できることをin vitroで確認した さらに免疫不全マウスの皮下に移植することで in vivoでもogc 分化を腫瘍内に誘導できることを示した OGCを有する腫瘍は 遺伝子導入をしていないHeLa 細胞やM-CSF RANKLのみを発現しているHeLa 細胞によって形成された腫瘍と比較して有意に大きく 組織学的にはマクロファージ浸潤やリンパ管新生が亢進していた in vitro における検討から OGC 分化に伴い vascular endothelial growth factor (VEGF)-CのmRNA 発現レベルが上昇していることが確認され また VEGF-Cを高発現するHeLa 細胞はOGCを有する腫瘍と類似した表現型を呈した これらの検討から OGCが分泌するVEGF-Cがリンパ管新生促進とともに 血管透過性亢進やマクロファージ遊走促進を介して腫瘍増大に寄与している可能性を示した 本研究は 腫瘍における OGC が腫瘍の増大に促進的に作用する可能性を明らかにした点において 優れた研究であり 今後の腫瘍生物学 細胞生物学の進歩 発展に寄与するところが大きいと考えられた ( 1 )