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3. ハラール認証に関する相談窓口 MUI が正式に承認している 海外のハラール認定団体リストには 23 か国の 40 の認定団体が掲載されている リストは 3 つのカテゴリーから構成されており 日本の状況は次の通りである カテゴリー牛のと畜 slaughtering 食品加工 food processing 香料 flavor 承認団体名九州イスラム文化センター日本ムスリム協会日本ムスリム協会 また 新たに 2013 年 9 月に一般社団法人 HDFJ(Halal Development Foundation Japan) が設立された (URL:www.hdfj.org )HDFJ は 日本製品のハラール認証を促進することを目的としており ハラール認証普及促進事業 ハラール認証に関連した業界 団体等への業務提携支援 ハラール認証製品の輸出入 販売コンサルティング事業 MUI のハラール認証取得のサポートを開始していると聞いている - 27 -

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Ⅲ. 国内の食肉処理施設の事例調査結果 1. ハラールの認証取得に関する関心度の調査 国内の牛のと畜のみを行う食肉処理施設に対し インドネシアのハラール認証取得の意向調査を行った 意向調査は調査票を郵送し FAX により回収後 必要に応じ電話で補足調査を行った 当初は 24 か所の施設を対象としたが そのうち 2 施設は既に閉鎖となっていた また 2 施設は連絡がとれない状態になっており 回答企業は 20 施設となった この 20 施設をハラール認証の取得状況 ハラール認証への関心により区分すると 以下のようになった 図表 8 ハラール認証の取得状況と認証取得への関心 取得済 未取得 計 関心あり 4 3 7 関心なし 0 13 13 計 4 16 20 すでにハラール認証を取得した と回答した施設は 4 ヶ所で 内容は インドネシア UAE トルコ 日本国内向けとなっている 認証取得済みの施設は すでに取得した認証以外の国の認証取得に対しても 総じて関心が高い ハラール認証未取得の施設では 16 施設中関心があるのは 3 施設だけで 13 施設は関心がなかった 認証取得済の施設では 関心が具体的な国の認証制度になっているのに対し 未取得施設では まだ具体的な相手国等がなく ハラール認証取得の要件等についての基本的な情報を模索している段階である 関心がないと答えた施設の関心がない理由は 要望がない 取扱頭数が少ない 予算がない などである 意見や疑問として挙げられたのは 現状のと畜処理方法と大きな差異がある ハラール牛肉以外の枝肉と同じラインで処理して問題ないか ハラール認証取得によるデメリットはあるか イスラム聖職者やハラール専門の職人の雇用契約について などであった - 29 -

2. 国内食肉処理施設事例 (1) 調査対象 (1) A 県の事例 (2) B 県の事例 (2) 調査実施時期 (1) A 県事例平成 25 年 11 月 (2) B 県事例平成 26 年 2 月 (3) 調査の要約 (1) A 県事例はインドネシア トルコのハラール認証を受けており タイは輸出認証を得ている B 県事例は UAE オマーンの輸出認証を得ている (2) 両社とも直接ハラール認証を得ているのではなく 認証国に新たに設立された輸入商社 販売会社のと畜場 加工工場として認証を取得している (3) A 県事例のハラール認証のビジネススキームは以下の通り 現在のところ このようなスキームを利用しないとインドネシアでの認証を得ることは難しいとの発言があった MUI 食品販売会社 ( インドネシア窓口 )) コンサルタント ( 日本側窓口 ) A 県事例 MUI はインドネシアの認証機関 (4) ハラール認証に伴ってハラール保証システムマニュアルの整備が義務付けられており その内容は1マニュアルの目的と範囲 2ハラール方針 3ハラールマネージメントチーム 4 危険行動に関する手順 5 流通経路追跡システム 6 訓練 7 内部監査 8 経営監査などである (5) A 県事例は 2009 年にインドネシアのハラール認証を取得し 販売実績は 4,000 kg / 月程度である (6) ハラールと畜の特徴は以下の通り 1 ハラールと畜では ムスリムのと夫 ( スロータ マン ) によって神へのお祈りの後にと畜する - 30 -

2 牛を気絶させた後 ナイフで喉切りを行うが それ以前に牛を殺すことは禁止されている 3 インドネシアでは 気絶させるためにスタニングの使用は認められている エアガンの使用も認められている 4 放血時間は A 県事例で 7~8 分 一般的なと畜時間と比べると長く と畜処理の効率性は低くなる 5 と畜後は頭を落とし 額等のスタニングによって死亡していないかを確かめるために頭部の写真を撮って 日本側コンサルを通じて LPPOM MUI に送らなければならない 6 冷蔵庫もハラール専用庫を用意する必要がある (7) 今後の課題は インドネシア向けの輸出を実現するための方策を日本側コンサルタントとともに検討する点にあるとしている また スタニング方法の確立とと畜時間の短縮 効率化が求められている - 31 -

A 県事例 ( 聞き取り ) 1. 工場概要 (1) 工場名 :A 県事例 (2) 平成 24 年度生産実績 1 と畜頭数 :8,448 頭 2 冷蔵牛肉及び冷凍牛肉 :1,800 トン (3) 1 日当たり業務時間 :7 時間 30 分 (4) 施設従業員数 :65 名 (5) 排水処理能力 :250t/ 日 (6) 食品安全プログラム : 1 ISO9001 認証取得 (2004 年 ) 2 HACCP 認証取得 (2004 年 ) 2. ハラール認証取り組みの経緯と現状 (1) ハラール取組の意図 1 2001 年に発生した BSE 問題によって牛肉需要が急減し 当社の経営状況が危機的状況に直面していた このピンチをチャンスに変えるためにホルモンの直接販売や食肉のインターネット販売に取り組むとともに 今後の需要拡大が見込める ASEAN 地域での牛肉販売に注目した 2 ASEAN 諸国のニーズ調査を始めてイスラム教徒の食肉マーケットは大きな成長が見込めること 同時に国内に一定の需要が存在していることを理解した 当社は差別化によってニッチなマーケットを探していきたいと考えていた 3 したがって他社に先駆けてハラール認証を獲得することにより国内外のイスラムマーケット獲得できると考え 牛肉のハラール認証の取得に取り組んでいった 結局 2011 年 11 月には日本で通用するハラール認証を取得し 2012 年 7 月 25 日にはインドネシアの認証機関である MUI から国際的なハラール認証を受けた (2) ハラール認証の窓口 1 ハラール認証取得のためマレーシアの JAKIM と交渉したが ハラールの専用施設でないとダメであり スタニングもダメということであった 最後は ダメなものはダメという見解であり 断念せざるを得なかった 2 その後 インドネシア認証取得のため 日本側コンサルタントとハラール認証の取得のビジネススキーム提案を受けた - 32 -

(3) ハラール認証スキーム 1 2010 年に日本側コンサルの協力を背景にしてハラール認証スキームづくりを提案された 2 その提案されたスキームは以下の通り MUI 食品販売会社 ( インドネシア窓口 )) コンサルタント ( 日本側窓口 ) A 県事例 MUI はインドネシアの認証機関 (4) ハラール販売の実績 1 2011 年以来 国内向けに月 4 トン程度出荷している 1 日換算で 200 kg程度となる 2 販売先は留学生や在日の労働者などをターゲットとしたハラールショップ ( 全国 200 店 ) に販売 3. ハラールと畜の方法 (1) と畜場の条件 1 豚と畜を行っていないこと 周辺 5km 圏に養豚場や豚と畜場がないことが条件 (2) と畜方法 1 と畜の喉切りは回転式のノッキングペンを使用している 鼻に引き縄を付けた生体を回転式の不動化装置に導入する 2 その前にエアガンで額をスタニング する 牛は気絶した状態となり 体を回転させ 喉を上に向けてナイフで動脈 気管等を切断する スタニングとはと畜する際にスタンガンなどで牛を失神させること 3 1 人のムスリムのと夫がナイフでスロータリングする このナイフはハラール専用を使用 4 その後 7~8 分放血する 放血は下のバケツで受ける と夫がもういいと合図したら 回転式を開き 床に生体を搬出する 5 その後 後脚にチェーン掛けして シャックリングする 6 それ以後のプロセスは 通常のと畜方法と同じ 7 1 頭をと畜すると と畜室の血液等をきれいに洗浄し と夫の前掛け 靴なども - 33 -

水で洗浄する ハラールと畜では 1 頭 1 頭と畜した後にきれいに洗浄することが求められている 8 冷蔵庫はハラール用を分けて確保しなければならない 9 ハラールと畜と非ハラールと畜とが併存する場合では と畜順は ハラールと畜を最後にするか 最初に行う タイムラグを持つことによってハラールと非ハラールのクロスを回避する 10 部分肉処理も同様で一般的には その日のカットの最後にハラールカットを行う このようなタイムラグの設定は 国内供給を中心とした施設ではやむ得ないものとして認められている (3) 衛生管理 1 マレーシア インドネシアの場合は国際的に通用する HACCP や ISO22000 等 は不可欠である (4) ハラール設備投資 合計 約 26,000 千円 - 34 -

B 県事例 ( 聞き取り ) 1. 工場概要 (1) 工場名 :B 県事例 (2) 許可頭数 : 牛 150 頭 / 日 (3) と畜 : 週 2 回 ( 現状はと畜を集約している ) (4) と畜頭数 : 約 8,000 頭 (5) 部分肉処理 : 約 6,000 頭 (6) 排水処理能力 :600 m3 / 日 (1 頭 4 m3換算 ) (7) 食品安全プログラム :HACCP や ISO の認定は取っていない 2. ハラール認証取り組みの経緯と現状 (1) 取り組みのきっかけ 2007 年夏 当社に間接的な知人よりドバイの王族が和牛を食べたいと言っているので供給できないかという打診があり 日本産和牛を扱いたいという声が多く聞かれたこともあり当社に協力を求めてきた (2) 認証 1 2009 年 8 月にドバイ自治政府からのインポートライセンスが届き 正式に認証を受ける 2 認証は ドバイの食肉輸入会社が受け 当社はそのと畜場と加工工場という位置づけで認証を受ける 3 認証までの期間は約 6 ヶ月 (3) 認証の仲介機関認証の仲介機関はイスラミックセンター ジャパンである (4) ハラールと畜の導入現在までに 15 頭の牛をハラールでと畜している 3. UAE のハラールと畜の方法 (1) と畜場の条件 1 同じ施設内で豚のと畜や食肉処理を行うことはできない 2 周辺に養豚場や豚処理施設があるところでの牛のと畜は出来ない (2) と畜方法 1 牛と畜の際に気絶させることはできるがスタニングは禁止 ハラールに則って行 うと畜ではスタニングは使わなかった - 35 -

2 喉切りの前には西の方向にお祈りを捧げる 3 スタニング無しにと畜を行う場合には 牛の鼻に引き縄を付けて 慎重に牛の足を縛り 喉を切る と畜は 喉の動脈 気管等を一気に切る 4 使用するナイフは と畜場で使用していたものを貸した 5 喉切りはムスリムでなければならない 6 放血時間は 15 分程度 7 ハラールに基づくと畜方法で行っても肉質にスポットなどは発生することはなかった 4. インドネシアのハラール認証取得の検討 (1) インドネシアのハラール認証取得への基本的考え方 1 インドネシア対しても今後は輸出を検討したい 2 現在 インドネシアの食肉パッカーと食肉輸入に関してアプローチを受けている 3 基本的には 国の機関 ( 農水省 厚労省 動物検疫所等 ) とよく協議しながら インドネシア向けのハラール輸出を検討したい (2) 認証に関する取組 1 インドネシアの認証に関しては今後取り組む予定 2 現在アプローチのあるインドネシアのパッカーは既にハラール認証を受けているのであるから そこ向けの牛肉輸出ということであれば認証を受けるための障壁は大きくない 3 認証仲介機関に関しては検討していない (3) ハラールと畜の方法 1 と畜場の条件 と畜場の立地条件は UAE と同じく 周辺に豚と畜施設や養豚場があるところでは牛のハラールと畜は出来ない 同じ施設内で豚のと畜処理は出来ない 2 と畜方法 両国ともあらかじめ牛を気絶させてと畜 ( スロータリング ) を行うことは認められている スタニングがインドネシアと UAE では異なる インドネシアでは牛を気絶させる方法としてスタニングが認められているが UAE では認められない 喉切り用のナイフも通常日本で使用しているもので良いと理解している それ以外は基本的に UAE のハラールと畜と大きく異なる点はないと理解している - 36 -

5. 今後の方向性 (1) ハラール専用施設としての活用 1 インドネシアの認証取得時にノッキングペンによるスタニングが認められ と畜スピードが短縮できるようになれば この施設全体をハラール専用施設にするという考えもある (2) 牛肉輸出の考え方 1 インドネシア対しても今後は輸出を検討したい 2 ドバイに関しても手順を踏んで輸出拡大を図っていきたい 3 イスラム専用と畜場を目指して その他のイスラム圏の人たちにも日本の和牛を届けたい 4 最終的には世界中の人々に日本の和牛を食してもらいたい (3) 牛肉輸出の問題点 1 ハラールと畜は原則フルセット販売のみである 輸入先は単品 特にロイン系 ( ロース ヒレ ) を望んでいる 2 しかし 当初はロイン系の部位販売を先行させて 販売量が定着し 数量拡大していくとともにフルセット販売に転換していく事も可能ではないかと考えている 逆にフルセットを販売して必要部位以外は日本の各部位相場で買い取ることもできる ただしこの場合通常日本で流通している単価になる 3 将来を視野に入れて考えると現在の施設を全量ハラール処理施設に転換していきたいと考えている イスラム教信者の数や日本国内で消費されるであろう数量を考えると間違いなくハラールビーフが増えていくと確信している 4 ハラールビーフの流通ルートも現状では確立されていないことなど 問題は山積である - 37 -