インストラクションコース8 金沢医大での白内障術前検査の流れ ORTが知っておくべき白内障術前検査の基礎知識 視能訓練士による検査 白内障検査の流れ 白内障手術適応の評価と多焦点の適応 非適応をカルテに記載 渋谷 金沢医科大学 医師の診断 恵理 視能訓練士が眼内レンズについて 単焦点 多焦点レンズの特徴など を説明 眼科学講座 ①単焦点 多焦点 二重または三重 IOLのどちらを希望するのか ②単焦点IOLを希望した場合は遠方視狙いか近方視狙いか ただし 多焦点IOLが適応とならない患者様には多焦点IOLの紹介のみ行う 看護師による入院説明 白内障術前検査 ① 白内障眼の手術適応決定のための検査 遠見 裸眼 矯正 近見 裸眼 矯正 100cm 70cm 50cm 40cm 30cmの裸眼視力 片眼と両眼 中距離と近距離視力 Cランドルト近距離 中距離視力表 TMI-V5(テイエムアイ) 屈折検査 眼圧 視力検査 全距離視力 コントラスト視力 角膜曲率および形状 読書チャート 瞳孔径 眼軸長測定 光 超音波 前方 後方散乱計測 高次収差測定 水晶体 撮影 眼底検査 OCT) ② 眼内レンズのタイプ 度数決定に必要な検査 眼軸長測定 光 超音波 角膜曲率 角膜高次収差測定 瞳孔径計測 全距離視力を測定することにより 明視域を確認する 術後屈折値を決定する ための参考にもなる コントラスト視力 読書チャート(MNREAD-J はんだや) 視標の濃さを薄くして コントラストを低下させ 患者が見える最も薄い コ ントラストが最も低い 視標を測定する 液晶視力表システム チャート ニデック ① 読書視力 患者がそれほど困難なく読める最小の 文字サイズ logmar) ② 臨界文字サイズ 最大読書速度で読める最小の文字サイズ(logMAR) ③ 最大読書速度 文字サイズが最適な場合に読める最大速度 cpm:1分間に読める文字数 コントラスト感度視力検査 装置 CAT-2000 ナイツ 読書速度 cpm 対比視力表 マルチコントラスト視力表 KOWA 全距離視力検査 通常測定している視力に比べてより広い範囲の形態覚を定量的に測定すること により 散乱で生じやすい視機能の変化を評価できる ③最大読書速度 白内障で視機能が 低下すると文字が 読みにくくなり 読書能力は低下する ①読書視力 -0.6-0.4 ②臨界文字サイズ -0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 文字サイズ logmar 0.8 1.0 1.2 1.4
瞳孔径 瞳孔径に影響する因子 1. 遠方視 近方視両眼開放型オートレフケラトメーター 2. 片眼視 両眼視 (GrandSeiko) 3. 明室 暗室 4. 点眼薬 etc 視機能に影響する因子と検査法 高次収差前方散乱後方散乱 第 32 回 JSCRS 学術学会 日常自然視に近い状態での瞳孔径計測が重要であり 術後瞳孔径を予測することができれば 術後視機能への瞳孔径の影響を考慮した眼内レンズの選択を行うことが可能になる Wave front analyzer (TOPCON) C-Quant (OCULUS) EAS-1000 (NIDEK) 水晶体撮影 EAS-100 CASIA2 KMU 徹照カメラ 第 32 回 JSCRS 学術学会 視機能低下を生じる 5 病型 皮質 核 後嚢下 (NIDEK) (TOMEY) (LOVEOX) Retrodots Waterclefts 眼内レンズおよび度数決定 第 32 回 JSCRS 学術学会 単焦点 IOL 希望 二重 三重焦点 IOL 希望 角膜乱視ありトーリックIOL トーリック適応者にはトーリックIOLの 角膜乱視なし non トーリック単焦点 IOL 適応基準に該当二重 三重焦点 IOL 手術日までに3~5 回の 挿入が決定したことは説明していない 眼軸 角膜乱視測定を行う 術後は直乱視になるようにする 眼内レンズ各社のToric Calculator または光眼軸長測定機器でトーリックスタイルを確認す る トーリックIOL 適応者であっても 実際は通常の単焦点 IOLを挿入する場合もある (Drの判断) 第 32 回 JSCRS 学術学会 白内障術前検査における視能訓練士の役割 白内障混濁病型により 視機能低下の要因は異なるため 検査から視機能低下の要因を見つける IOL のタイプとトーリックの適応 ( スタイル ) を決定するには術前の正確な検査結果が必要不可欠である 視能訓練士が単焦点 多焦点の特性を十分に理解し 患者の要望に合った視環境を提供できるように術前にしっかり説明することが重要である 遠方視 近方視 モノビジョンかで度数を決定 遠方視の度数で決定
Kitasato University 本講演の内容 眼内レンズ度数計算式 眼内レンズ (IOL) 度数計算の基本 異常眼軸長眼の度数決定 計算式から考える視能訓練士が検査で注意すべき点 北里大学医療衛生学部川守田拓志 1. 理論式 2. 経験式 IOL の計算式は 大別すると 理論式 曲率半径や厚み 屈折率がわかれば 光線がどのように進むかわかる 理論式の落とし穴は? 1. 薄肉レンズ計算 近軸光学でいいのか? 2. 瞳孔径や収差の影響は? 3. 非共軸の影響は? 4. 計算式に挿入する計測値は 正しいの? ( 曲率半径 厚み 屈折率等 ) 代表的な経験式 SRK 式 1980 年 Sanders, Retzlaff,Kraff により 発表 A 定数を入れ 誤差を減らす仕組みを取り入れた IOL 度数 = A-2.5 眼軸長 -0.9 平均ケラト値 理論式よりも簡単かつ予測精度が良かったため普及した
代表的な経験式 SRK 式 1980 年 Sanders, Retzlaff,Kraff により 発表 A 定数を入れ 誤差を減らす仕組みを取り入れた IOL 度数 = A-2.5 眼軸長 -0.9 平均ケラト値 理論式よりも簡単かつ予測精度が良かったため普及した 第 1 世代 第 2 世代 IOL 度数計算式発展の歴史 年計算式特記 1967 Fyodorov 近軸光学とグルストランド模型眼 1974 Hoffer 1975 Binkhorst 1981 SRKⅠ (Sanders, Retzlaff, Kraff et al. による ) P = A 2.5 AL 0.9 K (P: IOL 度数 A: A 定数 AL: 眼軸長 K: 角膜屈折力 ) 1982 Hoffer ACD = 2.92 AL 2.93 (ACD: 前房深度 ) 1987 BinkhorstⅡ 1988 SRKⅡ P = A 2.5 AL 0.9 K+C C = 3 (AL<20), 2 (20 AL<21), 1 (21 AL<22), 0 (22 AL<24.5), -0.5 (24.5 AL) IOL 度数計算式発展の歴史 眼軸長と IOL 度数計算式 第 3 世代 第 4 世代 第 5 世代 年計算式特記 1988 HolladayⅠ Surgeon Factor(SF) の考慮 1990 SRK/T 理論式 1992 Hoffer Q personalized ACD の考慮 1996 Holladay Ⅱ Estimated Scaling Factorの考慮 ( 年齢 角膜径 術前 ACD 等を考 慮 ) 1999 Haigis ELP ELP = a 0 +a 1 ACD+a 2 AL (ELP: 予測 IOL 位置 a0~a3: 重回帰式による定数 ) IOL power (D) 60 50 40 30 20 10 SRK/T HofferQ Holladay I Haigis 最近では角膜屈折矯正手術後の IOL 度数計算式 光線追跡法による IOL 度数計算式等があり 発展し続けている 0 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 眼軸長 (mm) 角膜屈折力 著者 検査再計測の目安 測定方法 年齢年齢区分 ( 歳 ) n 2 回計測の差 ( Mean ± SD; D ) 95% 信頼限界 Kawamorita et. al. Pentacam 成人 21-38 17 0.00 ± 0.40 D 眼軸長 Orbscan 成人 21-38 17 0.17 ± 0.78 D Sheng et. al. IOLMaster 成人 21-44 20-0.02 ± 0.09 mm A-scan 成人 21-44 20 +0.05 ± 0.30 mm 複数回計測し 角膜屈折力が 0.5 D 以上 眼軸長は 光学式で 0.1mm 以上 超音波式で 0.3mm 以上ばらつくようなら再計測 計算式から考える視能訓練士が検査で注意すべき点 1. 超音波式と光学式による眼軸長計測 眼軸長は IOL 度数への寄与が非常に大きい 2. 角膜形状計測 ケラトメータを利用する場合 角膜前面屈折力から角膜 全屈折力を推定しており 誤差を含んでいる 3. 術前後の自覚屈折検査 術前どのような屈折度数で 生活していたか あるいは 術後屈折誤差の基準になるので大切 4. 検査結果の再現性 各々の検査結果の再現性を把握する必要がある
まとめ 視能訓練士の検査結果は IOL 挿入後の屈折誤差に 大きな影響を与える IOL 度数計算式を学ぶことは 術後屈折誤差を減ら すために重要 一般に短 長眼軸眼では精度は低下するが 選択 する計算式や最適化によって誤差を小さくできる 近年計測技術や計算式が発展していることから 精度の向上が期待される LASIK 術後眼の IOL 度数計算 慶應義塾大学病院佐伯めぐみ LASIK を施行すると何故 IOL 度数計算がずれるのか? 1. 角膜屈折力 (K 値 ) の評価誤差 1.K 値の評価誤差の原因 ケラトメータによる角膜屈折力 (K 値 ) 推定方法 2. 術後前房深度 (ELP) の予測誤差 46D (-4D) 角膜前面曲率半径 換算屈折率 (1.3375) = 42D 角膜全屈折力を推定 後面曲率を推定 角膜前面 後面曲率半径の比が一定であることが前提 術後 K 値が過大評価されてしまう 術前 46D (-4D) = 42D エキシマレーザーにて 6D 矯正 真の屈折値 40D (-4D) LASIK で削ったのは角膜前面のみ角膜後面の屈折は変わらないことに注意 = 36D 近視矯正 LASIK の場合 推定値 ( オートケラト ) 40D (-2D) = 38D K 値を過大評価 2.ELP の予測誤差の原因 近視矯正 LASIK の場合 第三世代の理論式 (SRK/T 式など ) では 術後前房深度を K 値と眼軸長から予測している K 値の過大評価により ELP が浅く算出されてしまう IOL 度数が小さく算出される LASIK 術前 遠視化 LASIK 術前
LASIK 術後眼用に考案された IOL 度数計算式 ( 例 ) A-P 法 A-P Calculator ver.2 ペンタカム LASIK 術前のデータを使った計算式 double-k 法 Masket 法 modified-masket 法 Feiz-Mannis 法 LASIK 術前データがなくてもできる計算式 Haigis-L 式 (IOLマスター) Camellin-Calossi 式 A-P 法 (Ver.2)( ペンタカム ) OKULIX(CASIA TMSに内蔵 ) Phaco Optics(LENSTAR 他 ) Barrett True-K(APACRS ウェブサイト ) A-P Calculator OKULIX ( トーメー社 ) について 角膜形状と眼軸長データより光線追跡を行う 光線追跡方向 : 網膜中心窩から角膜へ 屈折面 :IOL 後面 前面 角膜後面 前面の4 面 IOLの特性データを内蔵 ( アップデート可能 ) 角膜中心から 瞳孔半径 /2 離れた位置をベストフォーカスとして 1 本の光線追跡を行う 4 3 2 1 術後前房深度の予測は θ 眼軸長からの計算で求める 角膜 IOL 網膜 Barrett True-K formula APACRS のウェブサイトで計算可能 https://www.apacrs.org/ まとめ 近視矯正 LASIK 術後眼の IOL 度数計算では 一般的な計算式 (SRK/T 式 ) などでそのまま計算をすると 遠視側に誤差を生じる その場合 専用の計算式や光線追跡法を用いたソフトウェア (OKULIX) などを用いて 計算をする必要がある LASIK 術前データがない場合には Camellin-Calossi 式 A-P 法 Haigis-L 式 OKULIX Barrett True-K formula など 各施設にある検査機器や計算可能なソフトウェアに応じて使用すると良い