JCM で扱われる 低炭素技術について ~ アジア低炭素発展に向けた企業セミナー ~ 平成 26 年 10 月 29 日 ( 公財 ) 地球環境センター (GEC) 常務理事木村祐二
二国間クレジット制度とは 優れた低炭素技術 製品 システム サービス インフラの普及や緩和活動の実施を加速し 途上国の持続可能な開発に貢献 日本からの温室効果ガス排出削減 吸収への貢献を 測定 報告 検証 (MRV) 方法論を適用し 定量的に適切に評価し 日本の排出削減目標の達成に活用 CDMを補完し 地球規模での温室効果ガス排出削減 吸収行動を促進することにより 国連気候変動枠組条約の究極的な目的の達成に貢献 ( 出典 : 日本国政府資料 二国間クレジット制度 (JCM) の最新動向 より ) 2
2014 年度 JCM 設備補助事業及び FS 等調査 業務名実現可能性等調査 (JCMFS) JCM 設備補助事業 業務内容 途上国において優れた技術等を活用して CO2 排出削減を行うプロジェクトが 実際にホスト国において実施可能かどうかを判断するため 以下の調査を行う I. 案件組成調査 (PS) II. 実現可能性等調査 (FS) III.REDD+ 実証調査 JCM 署名国 ( 及び今後の署名国 ) においてエネルギー起源 CO2 排出削減を図る設備導入事業を行う国際コンソーシアムに対し 初期投資費用の 1/2 を上限として補助を行う 案件公募期間 5/22~6/10 4/21~5/19( 一次募集 ) 9/11~1/16( 二次募集 ) 案件採択 7/7(72 件の提案に対し 25 件採択 ) 6/20(9 件の提案に対し 7 件採択 ) 3
JCM 実現可能性等調査 目的 JCM プロジェクトの投資計画 MRV 方法論の開発 潜在的な JCM プロジェクトの発掘等 調査の種類 JCM 案件組成調査 (PS) JCM 実現可能性調査 (FS) JCM 大規模案件形成可能性調査 翌年度以降に実施する JCM プロジェクトの具体的計画の立案 潜在的な JCM プロジェクトの実現可能性の検討 都市レベルの協力を含む潜在的な大規模 JCM プロジェクトの実現可能性の検討 調査委託業務の契約イメージ 委託契約 環境省 報告 GEC ( 事務局 ) 進捗管理等 事業者 本調査の実施については 平成 26 年度二国間クレジット制度に係る実現可能性調査等の運営等委託業務 の受託者である ( 公財 ) 地球環境センター (GEC) が事務局を務めます 4
2014 年度予算額 : 年間 12 億円かつ 3 か年 ( 合計 36 億円 ) 初期投資費用の最大 1/2 を補助 環境省 JCM 設備補助事業 日本国政府 国際コンソーシアム ( 日本の民間団体を含む ) MRV の実施により GHG 排出削減量を測定 クレジットの発行後は一部又は全量を日本政府に納入 補助対象者 ( 日本の民間団体を含む ) 国際コンソーシアム 補助対象 エネルギー起源 CO2 排出削減のための設備 機器を導入する事業 ( 工事費 設備費 事務費等を含む ) 事業実施期間 最大 3 年間 補助対象要件 出典 : 環境省 補助交付決定を受けた後に設備の設置工事に着手し 2016 年度内に完工すること また JCMプロジェクトとしての登録及びクレジットの発行を目指すこと 5
2013~2014 年度 JCM プロジェクト設備補助事業の概要 モンゴル : 高効率型熱供給ボイラの集約化に係る更新 新設 ベトナム : 卸売市場における有機廃棄物メタン発酵およびガス利用事業 デジタルタコグラフを用いたエコドライブプロジェクト パラオ : 島嶼国の商用施設への小規模太陽光発電システム導入プロジェクト 2013 年度採択案件 (6 ヶ国 11 案件 ) 2014 年度採択案件 (2 ヶ国 7 案件 ) インドネシア : 工場空調及びプロセス冷却用のエネルギー削減 (Batang 市 ) インドネシアコンビニエンスストア省エネプロジェクト インドネシアにおけるコールドチェーンへの高効率冷却装置導入プロジェクト 飲料製造工場における冷温同時取出し型ヒートポンプ導入による省エネルギー事業 紡績工場の空調に係るエネルギー削減事業 ( 西ジャワ州 バンテン州 ) セメント工場における廃熱利用発電 パーム残渣バイオマス発電プロジェクト 無電化地域の携帯基地局への太陽光発電ハイブリッドシステムの導入プロジェクト 自動車部品工場のアルミ保持炉へのリジェネバーナー導入による省エネルギー化 省エネ型ターボ冷凍機を利用した工場設備冷却
2013~2014 年度設備補助案件リスト 年度ホスト国実施団体名案件名対象技術分野 2014 インドネシア JFE エンジニアリング ( 株 ) セメント工場における廃熱利用発電省エネルギー 2014 インドネシア ( 株 ) 豊通マシナリー 自動車部品工場のアルミ保持炉へのリジェネバーナー導入による省エネルギー化 省エネルギー 2014 インドネシア荏原冷熱システム ( 株 ) 省エネ型ターボ冷凍機を利用した工場設備冷却省エネルギー 2013 インドネシア荏原冷熱システム ( 株 ) 工場空調及びプロセス冷却用のエネルギー削減省エネルギー 2013 インドネシア ( 株 ) ローソンインドネシアコンビニエンスストア省エネプロジェクト省エネルギー 2013 インドネシア ( 株 ) 前川製作所 2013 インドネシア ( 株 ) 豊田通商 インドネシアにおけるコールドチェーンへの高効率冷却装置導入プロジェクト 省エネルギー 飲料製造工場における冷温同時取出し型ヒートポンプ省エネルギー導入による省エネルギー事業 2013 インドネシア荏原冷熱システム ( 株 ) 紡績工場の空調に係るエネルギー削減事業省エネルギー 2013 モンゴル ( 株 ) 数理計画高効率型熱供給ボイラの集約化に係る更新 新設省エネルギー 2014 インドネシア伊藤忠商事 ( 株 ) 2013 パラオパシフィックコンサルタンツ ( 株 ) 無電化地域の携帯基地局への太陽光発電ハイブリッドシステムの導入プロジェクト 島嶼国の商用施設への小規模太陽光発電システム導入プロジェクト 再生可能エネルギー 再生可能エネルギー 2014 インドネシア清水建設 ( 株 ) パーム残渣バイオマス発電プロジェクト廃棄物 バイオマス 2014 ベトナム日立造船 ( 株 ) 卸売市場における有機廃棄物メタン発酵およびガス利用事業 廃棄物 バイオマス 2013 カンボジア ( 株 ) プロマテリアルスターリングエンジンを用いた小規模バイオマス発電廃棄物 バイオマス 2014 ベトナム日本通運 ( 株 ) ベトナム日通エコドライブプロジェクト交通
2013~2014 年度 PS 案件リスト 年度ホスト国実施団体名案件名対象技術分野 2014 インドネシア富士電機 ( 株 ) ホテルにおけるコジェネレーションシステムの導入省エネルギー 2014 カンボジアメタウォーター ( 株 ) プノンペン水道公社における浄水場設備の高効率化によるエネルギー削減 省エネルギー 2013 インドネシア ( 株 ) 豊通マシナリー 自動車部品工場におけるアルミ溶解炉へのリジェネバーナ導入 省エネルギー 2013 インドネシア JFE エンジニアリング ( 株 ) セメント工場における廃熱利用発電省エネルギー 2013 インドネシア 日本工営 ( 株 ) 荏原冷熱システム ( 株 ) 高効率冷凍機システムの導入による省エネルギー 省エネルギー 2013 ベトナム ( 株 ) レノバビール工場における総合的エネルギー消費削減省エネルギー 2014 モルディブパシフィックコンサルタンツ ( 株 ) エネルギー管理システム (EMS) を用いた太陽光発電 蓄電池利用システム 再生可能エネルギー 2014 モンゴル ( 株 ) サイサン 10MW 級太陽光発電施設の導入によるエネルギー供給の安定化 再生可能エネルギー 2013 モンゴル清水建設 ( 株 ) 10MW 級太陽光発電所及び屋上太陽光発電システム再生可能エネルギー 2014 モルディブパシフィックコンサルタンツ ( 株 ) エネルギー管理システム (EMS) を用いた太陽光発電 蓄電池利用システム 再生可能エネルギー 2014 ベトナム 日立造船 ( 株 ) ( 株 ) サティスファクトリーインターナショナル 卸売市場における有機廃棄物メタン発酵及びコジェネレーション 廃棄物 バイオマス 2014 ベトナム日立造船 ( 株 ) ホーチミン市における統合型廃棄物発電廃棄物 バイオマス
JCM プロジェクト設備補助事業 セメント工場における廃熱利用発電プロジェクト実施者 :( 日本側 )JFE エンジニアリング株式会社 ( インドネシア側 ) セメンインドネシア社 GHG 排出削減プロジェクトの概要 ホスト国 : インドネシア 本事業では セメンインドネシア社トゥバン工場 ( 東ジャワ州トゥバン ) にあるセメント生産プロセスに廃熱回収設備を設置し 熱エネルギーを回収して電気エネルギーに転換し 工場の電気エネルギーの一部を賄う事で省エネルギーを図り 結果として 温室効果ガス排出削減を図るものである 想定 GHG 削減量 122,000 tco2/ 年 正味代替電力量 発電量 A B C D E(A*B*C*D) 実質的な発電容量 (MW) 年間稼働日数 ( 日 / 年 ) セメンインドネシア社トゥバン工場 時間 ( 時間 / 日 ) 稼働率 電力量 (MWh) 乾季 28 182.5 24 0.85 104,244 雨季 22 182.5 24 0.85 81,906 自家消費電力量 2.4 365 24 1 21,024 正味代替電力量 165,126 リファレンス排出量 (RE y ) = 正味代替電力量 * グリッド係数 =165,126 MWh/y * 0.741 tco 2 e/mwh 122,000 tco 2 e/ 年 プロジェクト排出量 (PE y )=0 排出削減量 (ER y ) = RE y PE y 122,000 tco 2 / 年 Pre-Heater Kiln Clinker Cooler PH Boiler AQC Boiler Turbine & Generator JCM 設備補助事業実施サイト Steam トゥバン工場 ( 東ジャワ州トゥバン市 ) インドネシア人口第二の都市スラバヤから北西 100km
JCM プロジェクト設備補助事業 パーム残渣バイオマス発電プロジェクトプロジェクト実施者 :( 日本側 ) 清水建設 ( インドネシア側 )PTPNⅢ(Persero) GHG 排出削減プロジェクトの概要 1. インドネシア北スマトラ州のセイマンケイ工業団地内に計画しているパーム残渣を利用したバイオマス発電プロジェクト 2. 今まで有効活用できずに大量に廃棄されていた パーム残渣 ( 空果房 :EFB) を日本の先進的なボイラー技術で燃料として利用 3. 発電した電力は 工業団地内の企業に供給 4. インドネシアは電力が不足しており 同国のエネルギー政策と合致 ホスト国 : インドネシア 想定 GHG 削減量 28,128tCO2/ 年 ( リファレンス CO 2 排出量 - プロジェクト CO 2 排出量 ) =( プロジェクト活動において工業団地に売電する電力量 グリッド電力の CO 2 排出係数 ) -( プロジェクト活動で EFB の輸送に伴い排出する CO 2 排出量 + プロジェクト活動における補助燃料の使用に伴う CO 2 排出量 + プロジェクト活動における補助発電機の稼働に伴う CO 2 排出量 ) JCM 設備補助事業実施サイト フ ロシ ェクトサイトはメダンの南東 140km にあるセイ マンケイ経済特区内
JCM プロジェクト設備補助事業 ホスト国 : インドネシア 無電化地域携帯基地局への太陽光発電ハイブリットシステムの導入プロジェクトプロジェクト実施者 :( 日本側 ) 伊藤忠商事株式会社 ( インドネシア側 )PT. Telekomunikasi Selular GHG 排出削減プロジェクトの概要 多数の離島から構成されるインドネシアの無電化地域においてディーゼル発電で稼働させている携帯電話基地局にリン酸鉄リチウム電池と太陽光発電システムの Hybrid System 電力供給を行い 現在使用しているディーゼル発電機は補助的に利用することでディーゼルオイル使用量を削減する 日照量豊富なインドネシアにおいて日中太陽光で発電した電気を蓄電池にも充電させることでディーゼル発電機の稼働率を抑え CO2 を削減する 又 点在する基地局のデータを Cloud により集め遠隔管理をする技術も投入する 想定 GHG 削減量 50 箇所に導入した場合 2,786 tco2/ 年 CO2 削減量 (QE)= リファレンス排出量 (QB)- プロジェクト排出量 (QA) = 燃料の CO2 排出係数 2.58 tco2/kl(fc) 燃料削減率 (90%) 年間燃料使用量 24,000L/year 50 箇所 JCM 設備補助事業実施サイト カリマンタン島及びスラウェシ島にて実施予定
JCMプロジェクト設備補助事業ホスト国 : インドネシア 省エネ型ターボ冷凍機を使用した工場設備冷却 GHG 排出削減プロジェクトの概要 プロジェクト実施者 :( 日本側 ) 荏原冷熱システム ( 株 ) ( インドネシア側 )PT. Nikawa Textile Industry PT. Ebara Indonesia 紡績業はインドネシアで重要な産業の一つで 高品質な繊維製品を生産するには温度と湿度の制御 ( 空調 ) が不可欠である この空調を行うのに冷凍機が必要で 冷凍機は多量の電力を消費するため CO2 の削減には高効率のターボ冷凍機の採用が必要である 現在採用されている 500USRt の冷凍機を高効率の省エネターボに替え省エネを計ると共に CO2 を削減する 省エネターボは 高効率 2 段圧縮機 エコノマイザーおよびサブクーラーを採用し省エネを達成している 冷媒はオゾン層破壊係数 0 の HFC245fa を採用し 更に活性炭吸着装置を持った抽気装置で排出府凝縮ガスからほぼ 100% の冷媒を回収再利用し温室効果ガスの大気への放出を無くしている ( USRt: 米国冷凍トンを表し 0 の水 2000lb を 24 時間で 0 の氷にするのに必要な冷却熱量 1USRt:3.5163kW) With Economizer & sub-cooler High Efficiency two stage Compressor Purge Unit with Activated Carbon 想定 GHG 削減量 118 tco2/ 年省エネ冷凍機の採用でレファレンス機比 19.1kW/ 時の省エネが実現できる 工場は 24 時間 365 日稼働で年間 8322 時間 ( 年間総時間数の 95% 稼働 ) 程度運転される 年間の省エネ量 159MWh = 19.1 kw/ 時 x 8322 時間 / 年該当工場所在地の電力グリッド (JAMALI 系統 ) の排出係数 (2010 年度 ): 0.741 tco2/mwh JCM 設備補助事業実施サイト
JCM プロジェクト設備補助事業 自動車部品工場のアルミ保持炉へのリジェネバーナー導入による省エネルギー化 ホスト国 : インドネシア プロジェクト実施者 : 日本側代表 ( 株 ) 豊通マシナリー 北陸テクノ ( 株 ) ( インドネシア側 ) PT. TOYOTA TSUSHO INDONESIA( 豊田通商 ) PT. YAMAHA MOTOR PARTS MANUFACTURING INDONESIA, PT. HOKURIKU TECHNO INDONESIA, PT. MATAHARI WASISO TAMA GHG 排出削減プロジェクトの概要 アルミ溶湯保持炉の従来形バーナーを高性能リジェネバーナーに置き換えることで省エネルギーを実現し 燃料消費を抑えて GHG 排出量を削減する. ヤマハ発動機の現地部品製造会社 YPMI がアルミホイールのダイカスト鋳造ラインに所有する 11 基のるつぼ型保持炉をリジェネ化する. 現地の炉製造会社 PT.MATAHARI WASISO TAMA は 北陸テクノ ( 株 ) の現地法人の技術支援のもとでリジェネ化を実施することで リジェネバーナー保持炉の設計および製作のノウハウ 調整や保全の技術を得ることができる. この技術を日系企業のみならず インドネシア現地企業含めて広く普及させる計画である. リジェネバーナーシステム るつぼ リジェネバーナー るつぼ型アルミ溶湯保持炉 想定 GHG 削減量 855.6t CO2/ 年 ( リファレンスの保持燃費原単位 - プロジェクトの保持燃費原単位 ) 平均保持溶湯量 溶湯保持時間 天然ガスの発熱量 排出係数 JCM 設備補助事業実施サイト Kawasan Industri KIIC, Karawang, West Java INDONESIA 天然ガス消費量のモニタリングでは 2 個の流量計を直列に配置し比較検証することで 長期に渉り正確な値を得る. YPMI Plant
公益財団法人地球環境センター E-mail : cdm-fs@gec.jp