石炭資源開発の流れと JOGMEC 石炭開発事業との関係 1

平成 28 年度 JOGMEC 石炭開発部成果報告会海外炭探鉱支援等事業 7 海外地質構造調査概要 ( 豪州 クリフォードJV カナダ パリセイドJV カナダ パノラマノースJV) 平成 29 年 6 月 15 日

石炭資源開発の流れと JOGMEC 石炭開発事業との関係 1

海外地質構造調査概要 支援スキーム 2

平成 28 年度海外地質構造調査 (JV 調査 日系 JV 調査 ) 3

海外地質構造調査結果概要 ( クリフォード JV)1 Liberty 地区 Grange 地区 概要 位置 オーストラリア クイーンズランド州南東部 ( スラット堆積盆北部 ) 炭種 一般炭 ( 高揮発分 低硫黄分 低粉砕性 ) 共同調査相手側 Stanmore Coal 社及び子会社 QLD 州にて 9 件の石炭探査案件を保有するほか アイザックプレーンズ炭鉱の操業を手掛ける石炭専業ジュニア企業 所在地はブリスベンで 2008 年設立され 2009 年に ASX 上場 鉱区 EPC1274 1276( 約 1,161km 2 ) JV 契約締結日 2013 年 12 月 12 日 契約内容 JOGMEC が 4 年間で A$450 万を拠出し 権益オプション (40%) を獲得 (1 年次 :A$45 万 2 年次 :A$150 万 3 年次 :A$150 万 4 年次 :A$105 万 ) 4 クリフォード JV 調査位置図

海外地質構造調査結果概要 ( クリフォード JV)2 緩やかな向斜構造 (Mimosa 向斜 ) Grange 地区は軸部 Liberty 地区は西翼部で 傾斜は非常に緩やか (1~ 3 度 ) で南 ~ 東落ち 鉱区内では主要な断層や貫入岩は未確認 夾炭層は Taroom 夾炭層 Walloon 超層群 ( ジュラ紀中期 ) 石炭層を含む砂岩 シルト 泥岩 炭層深度が浅い 夾炭層中に 上位から 3 炭層が賦存 Auburn 炭層 Bulwer 炭層 (Upper Lower) Condamine 炭層 各層は複数枚の炭層に分離 炭層の平均厚は 0.2 ~ 1.5m で 最大厚は 3m 超 炭層はシート ~ レンズ状 層厚変化が大きく夾みが多い 5 クリフォード JV 調査地域の地質及び模式柱状図

海外地質構造調査結果概要 ( クリフォード JV)3 既存探鉱 Stanmore Coal 社参入以前 :1970~80 年代に周辺にて 10 社以上が 1,000 本以上の試錐を実施し うち現鉱区内では 150 本の試錐実績あり JOGMEC 参入以前 :Stanmore Coal 社が 9 本のオープンホール ( ノンコア ) 試錐を実施 JOGMEC 参入以降 : 計 104 本の試錐を実施 Grange 地区 約 50 枚の炭層を確認 各炭層は南に 1~2 度傾斜し 顕著な断層なし 南部ほど炭層が厚くなる傾向 Liberty 地区 約 30 枚の炭層を確認 南東に 2~3 度傾斜し 西側で削剥されて消滅 東部ほど炭層が厚くなる傾向 探鉱実績 (2013 年 ~2016 年 ) 実施年 Grange Liberty その他 ノンコアコアノンコアコアノンコア 2013 年 7 1 2 - - 10 2014 年 11 8 9 5 10 43 2015 年 14 6 13 10-43 2016 年 2 6 - - - 8 合計 計 34 21 24 15 10 104 6

海外地質構造調査結果概要 ( クリフォード JV)4 炭質分析結果分析項目 Grange 地区 Liberty 地区 灰分 (adb) 9.3% 9.9% 揮発成分 (adb) 42.7% 42.6% 硫黄分 (adb) 0.42% 0.47% HGI 33 34 発熱量 (NAR) 5,920kcal/kg 5,930kcal/kg 灰の融点 1,520 1,540 資源量 (2016 年 5 月 ) 項目 Type Mt Grange 地区 Liberty 地区 Indicated 190 Inferred 430 Grand Total 620 Grange 地区資源量計算範囲 クリフォード地域の石炭は典型的なスラット炭 高揮発分 低灰分 低硫黄分 低粉砕性 7 Liberty 地区資源量計算範囲

海外地質構造調査結果概要 ( クリフォード JV)5 現状 対象鉱区は QLD 州 Surat 堆積盆に位置し Taroom 夾炭層が広く分布し Grange 地区 Liberty 地区の 2 有望地区にて探鉱を実施 3 炭層 (Auburn Bulwer Condamine) が分布 各層は炭層に分離し 最大で約 50 枚を確認 各炭層の厚さは平均 1m 程度で 最大厚 3m 超 2016 年度は Grange 地区でボーリング 8 孔を実施し 本 JV 案件に対する JOGMEC 拠出額は A$4.5M に到達したことから 参入期間を終了しプロラタ期間に移行 資源量は計 620Mt(Indicated:190Mt Inferred : 430Mt) 低硫黄分 (0.5% 以下 ) 低灰分 (10% 以下 ) の良質な一般炭であるが HGI が 33~34 と低いのが特徴 鉄道インフラが未整備 建設のためには 周辺の開発案件が合同で立ち上がる必要あり 今後の予定 日本企業への案件の引継ぎ ( 入札 ) を目指す 8

海外地質構造調査結果概要 ( パリセイド JV)1 Wildland Parks パリセイド鉱区 他社鉱区 鉱区 申請鉱区 他社鉱区 概要 位置 カナダ アルバータ州西部 ( ヒントンの北西 35km) 炭種 原料炭 ( 低揮発分 低硫黄分 低リン分 ) 共同調査相手側 Altitude Resources 社アルバータ州にて 4 件の石炭探査案件を保有する探鉱ジュニア企業 所在地はカルガリーで 2012 年設立され 2013 年に TSX-V に上場 鉱区 6 鉱区 1 申請鉱区 (117km 2 ) インフラ 鉱区西側 12km に CN 鉄道 港に接続 JV 契約締結日 2015 年 4 月 8 日 契約内容 1JOGMEC が 4 年間で C$480 万を拠出し 権益オプション ( 51% ) を獲得 ( 1 年次 :C $ 150 万 2 年次 :C$150 万 3 年次 :C$110 万 4 年次 :C$70 万 ) 2 オペレーターは Altitude Resources 社 National Parks Provincial Parks 9 パリセイド JV 調査位置図

海外地質構造調査結果概要 ( パリセイド JV)2 夾炭層は 下部白亜紀の Grand Cache 層 Luscar 層群 石炭を含む細粒砂岩 泥岩 夾炭層中に 上位から以下の 3 炭層が賦存 Moosehorn 炭層 Hoff 炭層 Solomon 炭層 ( 最も厚い ) 褶曲が発達 褶曲軸部で厚い炭層が発達 10 パリセイド JV 調査地域の模式柱状図

海外地質構造調査結果概要 ( パリセイド JV)3 Grand Cache 夾炭層 Coal Hill A A 200m CL CLA Coal Hill A A Central Luscar 層群 (Grande Cache 層を含む ) 地質構造 褶曲や断層が発達し地質構造が複雑 褶曲軸は南東方向にプランジ スラストの影響で炭層を含む地層 ( 断面図の紫色部分 ) が複数回繰り返す South 炭層 炭層が地表付近に賦存する 3 有望地区を抽出 (Coal Hill Central South) 11 パリセイド JV 調査地域の地質構造図

海外地質構造調査結果概要 ( パリセイド JV)4 対象鉱区での調査量 探査年実施体制トレンチ ボーリング ( チップ ) ボーリング ( コア ) ~1991 前鉱区権者 21 5 23 2013 Altitude 25 27 3 2015 24 22 3 JV 2016 9 25 4 合計 79 79 33 1 孔のボーリング長 : 最大 230m 2016 年 2015 年 2013 年 1982 年 1969 年 Grand Cache 層 500m パリセイドJV 調査地域の地質図 ボーリングにより捕捉された炭層厚 層厚 (m) (Max) 層厚 (m) (Min) 層厚 (m) ( 平均 ) Moosehorn 4.80 0.20 1.60 Hoff 3.20 0.20 1.21 Solomon 5.49 0.20 1.19 見かけ層厚 12

海外地質構造調査結果概要 ( パリセイド JV)5 石炭分析 ( 精炭分析 ): 原料炭 低揮発分 低硫黄分 低リン分 Sample Seam Thickness (m) Raw Ash% Float SG Clean Coal Proximate Analysis Yield % Ash % VM % S % P % FSI APC16-011-01 Hoff 1.92 16.76 1.6 84.48 9.04 18.56 0.72 0.010 7.5 APC16-020a-01 Moosehorn 1.45 35.94 1.5 36.45 12.21 19.64 0.53 0.014 7 資源量 : 約 2,580 万トン Area Seam In-Place Coal Resources (TONNES) Stripping Ratio Cut-off 20:1 ASTM Group Measured Indicated Inferred Coal Hill/ Central Palisades South Palisades Moosehorn Mid-Volatile Bituminous 910,000 540,000 530,000 Hoff Low-Volatile Bituminous 3,540,000 2,580,000 3,620,000 Solomon Low-Volatile Bituminous 5,110,000 3,300,000 4,060,000 Moosehorn Mid-Volatile Bituminous 20,000 160,000 110,000 Hoff Low-Volatile Bituminous 70,000 160,000 190,000 Solomon Low-Volatile Bituminous 210,000 300,000 390,000 Total Property 9,860,000 7,040,000 8,900,000 13

海外地質構造調査結果概要 ( パリセイド JV)6 現状 対象鉱区には夾炭層 Grande Cache 層が広く分布し Coal Hill Central South の 3 有望地区で探鉱を実施中 2016 年度は Coal Hill 地区でボーリング調査 (29 孔 ) 及びトレンチ調査 ( 4 箇所 ) を実施し 3 炭層 (Solomon Hoff Moosehorn) を確認 各炭層の厚さは平均 1.3m 程度で 最大厚は 5m を超える 資源量は 2,580 万トン 夾炭層が分布する未探鉱エリアが広く残っており 今後の探査による増加が見込まれる 炭質については 低硫黄分 (0.5% 程度 ) 低揮発性 (17~20%) FSI >5 強粘結性の良質な原料炭であることが期待できる 14 パリセイドJV 調査地域におけるボーリング位置図 実施予定を含む 今後の予定 未探鉱地区 (North Extension) にてボーリング調査を実施 特定した夾炭層の分布範囲を拡張し 資源量の増加を狙う 一部試料が酸化しているため サンプル数を増やして石炭の代表性状を明らかにする

海外地質構造調査結果概要 ( パノラマノース JV)1 概要 位置 カナダ BC 州 Bowser 堆積盆北東部 (Atrum Coal Ltd. 社が開発中の Groundhog 案件 ( 無煙炭坑内掘 ) の近隣 ) 炭種 無煙炭 共同調査相手側 Atrum Coal 社 ASX 上場の豪州 ( シドニー ) の石炭開発会社で 2011 年 10 月に設立 カナダ BC 州及び Alberta 州において 石炭の探査 開発プロジェクトを 5 件保有 本鉱区近隣の Groundhog 案件は同社の旗艦プロジェクト 15 パノラマノース JV 調査位置図 Groundhog North 開発坑口周辺イメージ 鉱区 12 鉱区 (73.59km 2 ) インフラ Stewart 港まで約 200km JV 契約締結日 2016 年 8 月 24 日 契約内容 1JOGMEC が 3 年間で C$500 万 (1 年次 :C$150 万 2 年次 :C$150 万 3 年次 :C$200 万 ) を拠出することで 権益オプション (35%) を獲得 2 パノラマウェスト案件に対して 契約発効日から 4 年間の独占交渉権を獲得 3 オペレータは Atrum Coal Panorama Inc. 社

海外地質構造調査結果概要 ( パノラマノース JV)2 地質構造 褶曲 断層が発達し地質構造が複雑 これまで鉱区内でボーリング調査が行われたことはない Groundhog 鉱区と同じ地層が 本鉱区まで連続している 可能性がある 鉱区内で確認される地質構造の俯瞰 16 パノラマノース JV 調査地域の模式柱状図 炭層 夾炭層は ジュラ紀 ~ 白亜紀の Currier 層 ( 上方粗粒化する砂泥互層 ) 9 炭層の賦存 炭層厚は 0.4~2.9m 全 9 炭層を確認できる露頭があり 炭層厚は合計 9.1m に 達する

海外地質構造調査結果概要 ( パノラマノース JV)3 未実施実施済 2016 年実績 コア試錐 4 孔を実施 計画では8 孔を掘削する予定であったが 予想より早く降雪が始まったことから 4 孔の掘削でボーリング調査を終了 本地域で初めて実施されたボーリング調査であり 複数の炭層を確認 ( 層厚 1.70~2.30m 平均 1.99 m) パノラマノース JV 調査地域におけるボーリング調査位置図 ボーリングにより捕捉された炭層厚 Drill Hole ID Total Depth (m) Total Coal (m) Thickest Seam (m) DHPN-16-01 326 6.85 1.90 DHPN-16-02 260 9.87 2.05 DHPN-16-03 325 10.75 2.30 DHPN-16-04 269 11.80 1.70 見かけ層厚 17

海外地質構造調査結果概要 ( パノラマノース JV)4 石炭分析 ( 精炭分析 ) Seam Name Raw Ash (%AD) Yield @1.7SG M (%AD) Ash (%AD) VM (%AD) Fixed Carbon (%AD) TS (%AD) Kcal/Kg (DAF) A1 30.9 53.3 0.8 12.4 5.9 80.9 1.16 8,423 A3 33.3 54.3 1.0 15.3 6.3 77.4 0.70 8,354 A5 33.0 47.9 1.0 13.1 6.1 79.8 0.88 8,378 B1 32.2 53.3 1.0 13.5 6.0 79.6 0.97 8,335 B3 30.6 53.4 0.8 9.5 6.1 83.6 0.56 8,360 B5 26.4 59.0 0.7 9.2 4.5 85.6 0.88 8,394 Groundhog 鉱区の無煙炭と類似した石炭性状 今後ビトリナイト反射率などの特性を把握することにより 性状の差が明確になる見込み ボーリング調査は 4 孔で実施されたのみであり 資源量評価には至っていない 18

海外地質構造調査結果概要 ( パノラマノース JV)5 現状 本 JV 調査によって 対象鉱区において初めてボーリング調査が実施された その結果 Groundhog 鉱区と同じ地層が連続している可能性が示唆され 炭質は Groundhog 炭と類似した無煙炭であることが推測された 降雪時期の現地の状況 ( 例年より早く降雪に見舞われた 2016 年 10 月上旬 ) 今後の予定 鉱区内の地質構造及び夾炭層が分布する範囲の特定 ( 地質調査 ) 未探鉱地区でのボーリング調査の実施 サンプル数を増やし 石炭の代表性状を明らかにする 19