はじめに Ⅰ 豊かで活力ある経済社会を支えるエネルギー政策のあり方 はじめに Ⅰ 1 エネルギー政策に関する基本的考え方と現在のエネルギー情勢 (1) エネルギー問題は 国民生活と事業活動の基盤となる極めて重要な政策課題 (2) 安全性の確保を大前提に 安定供給 経済合理性 環境適合性のバランス S

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緒論 : 電気事業者による地球温暖化対策への考え方 産業界における地球温暖化対策については 事業実態を把握している事業者自身が 技術動向その他の経営判断の要素を総合的に勘案して 費用対効果の高い対策を自ら立案 実施する自主的取り組みが最も有効であると考えており 電気事業者としても 平成 28 年 2

RIETI Highlight Vol.66

1. はじめに 1 需要曲線の考え方については 第 8 回検討会 (2/1) 第 9 回検討会 (3/5) において 事務局案を提示してご議論いただいている 本日は これまでの議論を踏まえて 需要曲線の設計に必要となる考え方について整理を行う 具体的には 需要曲線の設計にあたり 目標調達量 目標調達

御意見の内容 御意見に対する電力 ガス取引監視等委員会事務局の考え方ることは可能です このような訴求は 小売電気事業者が行うことを想定したものですが 消費者においても そのような訴求を行っている小売電気事業者から電気の小売供給を受け 自らが実質的に再生可能エネルギーに由来する電気を消費していることを

次世代エネルギーシステムの提言 2011 年 9 月 16 日 株式会社日本総合研究所 創発戦略センター Copyright (C) 2011 The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.[tv1.0]

平成 21 年度資源エネルギー関連概算要求について 21 年度概算要求の考え方 1. 資源 エネルギー政策の重要性の加速度的高まり 2. 歳出 歳入一体改革の推進 予算の効率化と重点化の徹底 エネルギー安全保障の強化 資源の安定供給確保 低炭素社会の実現 Cool Earth -1-


電力システム改革に関する意見 <ポイント>

これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約 28 万キ

UIプロジェクトX

バイオマス比率をめぐる現状 課題と対応の方向性 1 FIT 認定を受けたバイオマス発電設備については 毎の総売電量のうち そのにおける各区分のバイオマス燃料の投入比率 ( バイオマス比率 ) を乗じた分が FIT による売電量となっている 現状 各区分のバイオマス比率については FIT 入札の落札案

電解水素製造の経済性 再エネからの水素製造 - 余剰電力の特定 - 再エネの水素製造への利用方法 エネルギー貯蔵としての再エネ水素 まとめ Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 2

目次 1. 策定の趣旨 2 2. 水素利活用による効果 3 3. 能代市で水素エネルギーに取り組む意義 5 4. 基本方針 7 5. 水素利活用に向けた取り組みの方向性 8 6. のしろ水素プロジェクト 10 1

日本市場における 2020/2030 年に向けた太陽光発電導入量予測 のポイント 2020 年までの短 中期の太陽光発電システム導入量を予測 FIT 制度や電力事業をめぐる動き等を高精度に分析して導入量予測を提示しました 2030 年までの長期の太陽光発電システム導入量を予測省エネルギー スマート社

Ⅱ 主な改革内容 上記の 3 つの目的からなる電力システム改革につき 以下の 3 つの柱を中心として 大胆な改革を現実的なスケジュールの下で着実に実行する 1. 広域系統運用の拡大 電力需給のひっ迫や出力変動のある再生可能エネルギーの導入拡大に対応するため 国の監督の下に 報告徴収等により系統利用者

平成20年度税制改正(地方税)要望事項

( 太陽光 風力については 1/2~5/6 の間で設定 中小水力 地熱 バイオマスについては 1/3~2/3 の間で設定 )) 7 適用又は延長期間 2 年間 ( 平成 31 年度末まで ) 8 必要性等 1 政策目的及びその根拠 租税特別措置等により実現しようとする政策目的 長期エネルギー需給見通

1. 目的 実施計画 高度なエネルギーマネジメント技術により 需要家側のエネルギーリソースを統合的に制御することで バーチャルパワープラントの構築を図る < 高度なエネルギーマネジメント技術 > 蓄熱槽を活用した DR 複数建物 DR 多彩なエネルギーリソースのアグリゲーション < 便益 > 系統安


お知らせ

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政策体系における政策目的の位置付け エネルギー基本計画 ( 平成 22 年 6 月 18 日閣議決定 ) において 一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合を 2020 年までに 10% とすることを目指す と記載 地球温暖化対策基本法案 ( 平成 22 年 10 月 8 日閣議決定 )

2 政策体系における政策目的の位置付け 3 達成目標及び測定指標 1. 地球温暖化対策の推進 1-2 国内における温室効果ガスの排出抑制 租税特別措置等により達成しようとする目標 2030 年の電源構成における再生可能エネルギーの割合を 22~24% とする 租税特別措置等による達成目標に係る測定指

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H28秋_24地方税財源

スライド 1

市町村から国への要望一覧 事項名要望内容改善案 ( 省庁名を記入してください ) いつまでに実施するか 効果 ( 現状との数値比較等 ) 再生可能エネルギーの導入促進 要望事項 1 政府は将来を見据えた責任あるエネルギー政策を実行するためにも エネルギー基本計画に掲げている再生可能エネルギーの導入量

資料 2 接続可能量 (2017 年度算定値 ) の算定について 平成 29 年 9 月資源エネルギー庁

1. 調整力公募について 本年 4 月に施行された第 2 弾の改正電事法により 新しいライセンス制度が導入されたことを受け 一般送配電事業者が電力供給区域の周波数制御 需給バランス調整を行うこととなっている そのために必要な調整力を調達するにあたって 一般送配電事業者は原則として公募の方法で調達する

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平成 30 年度地方税制改正 ( 税負担軽減措置等 ) 要望事項 ( 新設 拡充 延長 その他 ) No 8 府省庁名環境省 対象税目個人住民税法人住民税事業税不動産取得税固定資産税事業所税その他 ( ) 要望項目名 要望内容 ( 概要 ) 再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置の延長

参考資料 1 約束草案関連資料 中央環境審議会地球環境部会 2020 年以降の地球温暖化対策検討小委員会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合事務局 平成 27 年 4 月 30 日

参考 :SWITCH モデルの概要 SW ITCH モデル は既存の発電所 系統 需要データを基にして 各地域における将来の自然エネルギーの普及 ( 設備容量 ) をシミュレーションし 発電コストや CO 排出量などを計算するモデルです このモデルでは さらに需要と気象の時間変動データから 自然エネ

公開用_ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の定義と評価方法(150629)

目次 1. エネルギー基本計画見直しのポイント 2 2. エネルギー基本計画における電源別に見た論点 6 3. 電力システム改革の進捗状況 電力及び関連業界に与える影響 14 ご参考資料 17 1

今回の調査の背景と狙いについて当社では国のエネルギー基本計画の中で ZEH 普及に関する方針が明記された 200 年より 実 邸のエネルギー収支を調査し 結果から見えてくる課題を解決することが ZEH の拡大につなが ると考え PV 搭載住宅のエネルギー収支実邸調査 を実施してきました 205 年

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整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

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2 ご議論いただきたい事項 1. 長期方針の中間報告 ( 案 ) 2. 海外事例調査の調査項目案について

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FIT/ 非 FIT 認定設備が併存する場合の逆潮流の扱いに関する検討状況 現在 一需要家内に FIT 認定設備と非 FIT 認定設備が併存する場合には FIT 制度に基づく買取量 ( 逆潮流量 ) を正確に計量するため 非 FIT 認定設備からの逆潮流は禁止されている (FIT 法施行規則第 5

Microsoft Word 後藤佑介.doc

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MARKALモデルによる2050年の水素エネルギーの導入量の推計

企画書タイトル - 企画書サブタイトル -

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エネルギー規制 制度改革アクションプラン (11 月 1 日 ) の概要 重点課題と詳細リスト 現時点で政府が取り組むこととしている又は検討中の事項を 実施 検討事項詳細リスト (77 項目 ) として取りまとめ その中から 3つの柱で計 26 項目の重点課題を特定 1 電力システムの改革 (9 項

扉〜目次

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( 別紙 ) 中国電力株式会社及び JFE スチール株式会社 ( 仮称 ) 蘇我火力 発電所建設計画計画段階環境配慮書 に対する意見 1. 総論 (1) 石炭火力発電を巡る環境保全に係る国内外の状況を十分認識し 本事業を検討すること 本事業を実施する場合には 本事業に伴う環境影響を回避 低減するため

参考資料3(第1回検討会資料3)

電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法改正に関する意見書

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資料1 :住宅(家庭部門)の中期の対策・施策検討

( 考慮すべき視点 ) 内管について 都市ガスでは需要家の所有資産であるがガス事業者に技術基準適合維持義務を課しており 所有資産と保安責任区分とは一致していない LPガスでは 一般にガスメータの出口より先の消費設備までが需要家の資産であり 資産区分と保安責任区分が一致している 欧米ではガスメータを境

整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

図 2: 今後の主な市場整備等 2. ベースロード電源市場等 2.1. 契約見直しの必要性新電力がベースロード電源 ( 石炭火力 水力 原子力等 ) にアクセスすることを容易にし 小売競争を更に活性化させることを目的として ベースロード電源市場を創設するとともに ベースロード電源を保有する旧一般電気

再生可能エネルギーの自立に向けた取組の加速化 1 FIT 制度の創設当初は 量 の拡大を重視し 固定価格と買取義務に依拠した売電モデルの下で 高コストで大量 多様なプレーヤーが再生可能エネルギー発電事業に参入 世界的に脱炭素化へのモメンタムが高まり 再生可能エネルギーがコスト競争力のある主力電源とな

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下水道は私たちの安全で快適なくらしを支えています

電気事業分科会資料

総合資源エネルギー調査会基本政策分科会第 18 回会合資料 2-5 火力発電の高効率化 資源エネルギー庁 平成 27 年 11 月

スライド 1

23 年のエネルギーミックス 一次エネルギー供給構成 発電構成 6 原油換算百万 kl 億 kwh % 24% 再生可能 ( 含水力 ) 原子力 % 1% ,666 9,88 1,65 17% 程度の省エネ 再生可能 22~24

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問題意識 民生部門 ( 業務部門と家庭部門 ) の温室効果ガス排出量削減が喫緊の課題 民生部門対策が進まなければ 他部門の対策強化や 海外からの排出クレジット取得に頼らざるを得ない 民生部門対策において IT の重要性が増大 ( 利用拡大に伴う排出量増加と省エネポテンシャル ) IT を有効に活用し

余白 1

女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について

経営指標の概要 ( 電気事業 ) 1. 経営の状況 ( 電気事業全体で算出 ) 算出式 ( 法適用事業 ) 算出式 ( 法非適用事業 ) 1 経常収支比率 (%) 1 収益的収支比率 (%) 指標の意味 経常収益 100 経常費用 総収益 100 総費用 + 地方債償還金 法適用企業に用いる経常収支

エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律の制定の背景及び概要 ( 平成 22 年 11 月 ) 資源エネルギー庁総合政策課編

4 木質バイオマス発電設備 (2 万 kw 未満 木質バイオマス燃料の年間利用率 80% 以上と見込まれるもの ) < 下記要件のいずれかを満たすもの > 年間稼働率 80% 以上と見込まれるもの kw あたりの資本費一定以下 2,000kW 未満 62 万円 /kw 以下 2,000kW 以上 2

個人情報保護法の3年ごと見直しに向けて

れなくなる 特に 小規模の新規参入事業者にとって このリスクに対応するシステムが設けられていなければならない すなわち 万が一 小売販売事業者が倒産した場合には 送電を担う旧電力会社の責任で電力供給が保証されることになっており そのためには 在来の地域独占の旧電力会社が その発電量を補償する仕組みに

包括的アライアンスに係る基本合意書の締結について

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宮下第三章

マートシティ 省エネルギー対策の推進 <ビル 工場等における省エネルギー対策の推進 > 大規模事業所が対象のキャップ & トレード制度 * ( 以下 C&T 制度 という ) について 2020 年度からの第 3 計画期間に向け 専門家による検討会の設置に係る準備等を実施 新規 東京 2020 大会

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北杜市新エネルギービジョン

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第 2 章各論 1. フェーズ 1( 水素利用の飛躍的拡大 ) 1.2. 運輸分野における水素の利活用 FCV は 水素ステーションから車載タンクに充填された水素と 空気中の酸素の電気化学反応によって発生する電気を使ってモーターを駆動させる自動車であり 一般ユーザーが初めて水素を直接取り扱うことにな

200kW 未満 272 万円 /kw 以下 200kW 以上 1,000kW 未満 109 万円 /kw 以下 1,000kW 以上 3 万 kw 未満 39 万円 /kw 以下 4 木質バイオマス発電設備 (2 万 kw 未満 木質バイオマス燃料の年間利用率 80% 以上と見込まれるもの ) <

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

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これまでの経緯 2 これまでの経緯 第 1 回コスト等検証小員会 ( 平成 29 年 5 月 17 日 ) コスト等検証小委員会の進め方を決定 第 2 回コスト等検証小員会 ( 平成 29 年 6 月 26 日 ) 調達プロセスの基本的な考え方 の検証 第 3 回コスト等検証小員会 ( 平成 29

資料2 紙類の判断の基準等の設定に係る検討経緯について


部分供給については 例えば 以下の3パターンが考えられる ( 別紙 1 参照 ) パターン1: 区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ( 又は他の小売電気事業者 ) が一定量のベース供給を行い 他の小売電気事業者 ( 又は区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ) がを行う供給

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資料 1-1 今後のエネルギー政策に関する提言 - 豊かで活力ある経済社会の実現に向けて - 概要 217 年 11 月 14 日

はじめに Ⅰ 豊かで活力ある経済社会を支えるエネルギー政策のあり方 はじめに Ⅰ 1 エネルギー政策に関する基本的考え方と現在のエネルギー情勢 (1) エネルギー問題は 国民生活と事業活動の基盤となる極めて重要な政策課題 (2) 安全性の確保を大前提に 安定供給 経済合理性 環境適合性のバランス S+3E が取れたエネル ギー政策を実行することが必要 (3) S+3Eの実現に向けて 多様なエネルギー源のバランスが取れた活用 ベストミックス が重要 (4) 政府には 23年度のエネルギーミックス の実現に向けた取り組み強化を求める 電源構成は 原子力2 22 再生可能エネルギー24 22 火力56 程度 ベースロード電源比率56 程度 と想定 23年度のエネルギーミックス 策定時の政策目標 エネルギー自給率 CO2排出量の推移 ① エネルギー自給率 CO2排出量の推移 3 懸念 中東を中心に地政学リスクが増大 安定供給リスクに ( ) 震災前を上回る (24 ) 2 世界の上流投資が減少 資源高をもたらす可能性 原子力の停止 火力稼働の増加 エネルギー 自給率 1 (百万t-CO2) 12 既に投資額の減少が進んでいる 214 215 25 減少 215 216 24 減少 CO2排出量 野心的な削減 ( 26 ) (エネルギー由来) 1 原子力の停止 需要の減少 老朽火力の運転 再生可能エネルギーの導入 原子力の再稼働 8 23 215 214 213 212 211 21 (年度) 課題 安全性を大前提とした原子力の活用 再稼働 リプレース 新増設 国民負担の抑制と両立する 持続可 能な再生可能エネルギーの導入拡大 家庭部門等の省エネ推進 電力コストの政策目標における 現状 は ミックス策定当時の213年度頃を想定 (左 資源エネルギー庁資料 右 経団連事務局作成) 1

Ⅰ 豊かで活力ある経済社会を支えるエネルギー政策のあり方 Ⅰ 2 エネルギー価格から見た今後のわが国エネルギー政策のあり方 (1) わが国経済の再生に向けた道筋を確実なものとするため 国内投資の促進が必要 国際的に競争 力あるエネルギーコストの実現は そのための極めて重要な環境整備の一つ (2) 個々のエネルギー源等の特性や課題に配慮しつつ 政策パッケージ全体としては 海外に遜色ない 価格でのエネルギー供給を実現することを目指すべき 主要国の産業用電気料金 216年 電気料金の主な上昇要因と低下要因 円/kWh 16 低下要因 着実に実施 x1.5 x2 12 経済合理的なエネルギー源の利用 ベースロード電源の積極的な活用等 発送電の効率化 最適化 電力システム改革 競争の進展 8 国際的に見て遜色ない電気料金水準 4 上昇要因 最大限の影響緩和 日本 日本 韓国 アメリカ フランス ドイツ イギリス (英ビジネス エネルギー 産業戦略省 International industrial energy prices を基に作成) 経済性に劣るエネルギー源への補助 送配電等設備の更新 新規整備 増強 太陽光 風力等のバックアップコストの増加 2

Ⅰ 豊かで活力ある経済社会を支えるエネルギー政策のあり方 Ⅰ 3 エネルギー技術への投資拡大と 海外展開 (1) 環境 エネルギー分野は 有望な投資分野 (2) 研究開発支援に加え ユーザーの投資ハード ルを下げる施策 税制優遇等 も効果的 (3) 海外にわが国の高度なエネルギー技術を展 開 途上国の経済成長を後押しするとともに その成長力を取り込むことが重要 未来投資戦略217に盛り込まれた エネルギー 環境分野の施策 第2 具体的施策 6 エネルギー 環境制約の克服と投資の拡大 1 KPI KPI① 22 年4月1日に電力システム改革の最終段階となる送配 電部門の法的分離を実施する KPI② 23 年までに乗用車の新車販売に占める次世代自動車の 割合を5 7割とすることを目指す KPI③ 商用水素ステーションを22 年度までに16 か所程度 225年度までに32 か所程度整備する 2 新たに講ずべき具体的施策 ⅰ 徹底した省エネルギーの推進 ⅱ 再生可能エネルギーの導入促進 ⅲ 新たなエネルギーシステムの構築等 ⅳ 福島新エネ社会構想の推進 ⅴ 革新的エネルギー 環境技術の研究開発の強化 ⅵ 資源価格の低迷下での資源安全保障の強化等 ⅶ 安全性が確認された原子力発電の活用 ⅷ 日本のエネルギー 環境産業の国際展開の推進 (出所 未来投資戦略217) Ⅰ 4 Society 5.のもとでの新たな エネルギーシステムの構築 (1) ビッグデータ AI IoT等が活用されるSociety 5.の実現により エネルギー効率が向上 例 DRの高度化 電力デジタルツインの構築 エネルギー制約の克服に向け前進 (2) Society 5.実現に向けた取り組み 技術開発 の継続 柔軟な制度設計 運用 を進展 ディマンドリスポンス DR の概要 時 刻 需要量 DR発動の指令を受けて 空調 照明の調整 発電機や蓄電池の利用 生産設備の稼働調整 などを実施 (出所 経済産業省 ディマンドリスポンス ネガワット取引 ハンドブック を整理 加筆) 3

Ⅱ. 各エネルギー源 政策課題に対する考え方 Ⅱ-1. 省エネルギー Ⅱ-2. 化石燃料 (1) 省エネルギーは 基本的に 3E 全てを満たす重要な政策課題 国を挙げて取り組む必要 (2) 経済界としては 経団連低炭素社会実行計画 のもと 自主的な取り組みを続けていく (3) 政府は 事業の実態に合った公平な評価とともに税制等の支援策を講じ 事業者の主体的な省エネを支援すべき (1) 化石燃料は原燃料として引き続き重要 有効活用を続けるため 高効率化と低炭素化を図る (2) 政府は 積極的な資源外交や海外権益確保への支援等を通じ 安定的かつ安価な資源調達を期すべき 経団連低炭素社会実行計画 のもとでの自主的取り組み 各燃料資源に関する基本的な考え方 実態に即した評価 産業部門 運輸部門 国内事業活動における CO2 削減 政 府 業務部門 エネルギー転換部門 事業者の主体的省エネへの支援を期待 税制等の支援策 主体間連携の強化 国際貢献の推進 革新的技術開発 石油 天然ガス 石炭 幅広い用途を有する重要なエネルギー源 災害時等にエネルギー供給の 最後の砦 としての役割を果たす 強靭な供給体制の維持が重要 3E のバランスに優れ 一層幅広い活用が期待されるエネルギー源 コージェネレーションシステムは 柔軟な運転が可能で高効率な分散型エネルギー源 BCP 対応も含めた活用に期待 CO2 排出量に課題があるが 経済性や供給安定性に強みがあり 発電用燃料等として期待 わが国の高効率利用技術を世界展開することで 地球規模の温暖化対策に貢献できる 4

Ⅱ 各エネルギー源 政策課題に対する考え方 Ⅱ 3 原子力 (1) 原子力の活用について検討する際は 福島第一原子力発電所事故の教訓等を踏まえた安全性の確 保が大前提 安全性を高めつつ より一層 国民の信頼回復と理解促進に努めるべき (2) 原子力は発電時にCO2を排出せず 燃料価格の安定した準国産エネルギーであるとともに 経済性 出力安定性の面でも優れる ベースロード電源として重要な役割を果たしていくことを期待 まずは着 実な再稼働を進めるとともに 運転期間6年への延長を行っていくべき (3) 長期的な温暖化対策等を見据えると 今後とも一定規模の原子力活用が不可欠 既存の発電所が 順次運転年限を迎えることから リプレース 新増設を政府施策に盛り込むべき リプレース 新増設 は人材 技術の維持の観点からも欠かせない 火力焚き増しによる 燃料消費量の増加を通じた 発電コストの押し上げ影響は 年間1.6兆円相当 震災後の原子力発電所 停止の影響 21 216年度 3 リプレース 新増設がない場合の原子力発電量の推移 (億kWh) 6年運転 3 6年運転 (億kWh) 発 2 電 発 2 電 電 力 電 量 力 1量 原子力比率 2 22 原子力比率 2 22 1 4年運転 4年運転 電力由来CO2の排出は 年間.32億トン増 (出所 電力 ガス基本政策小委員会 電力需給検証報告書 (217年1月)) 215 22 215 225 23 235 22 26 225 23 24 235 245 25 24 8 245 25 (目指すべき方向性) 温室効果ガス削減目標 26 温室効果ガス削減目標 全プラント(45基)の稼働を想定 (建設中3基(大間 島根3 東電東通)含む) 設備利用率 7%と仮定 6年までの運転延長認可済みプラント 高浜1 2号 美浜3号 (年) 255 26 (年) 255 2 2 8 (目指すべき方向性) (出所 電気事業連合会資料(経団連事務局加筆)) 5

Ⅱ 各エネルギー源 政策課題に対する考え方 Ⅱ 4 再生可能エネルギー (1) 再生可能エネルギーは 発電時にCO2を排出しないため 地球温暖化対策に資する また 限界発 電コストがゼロであり 将来的に抜本的な発電コスト低減を実現するポテンシャルを有する 長期的には わが国のエネルギー供給において大きな役割を担うと期待 (2) 現時点では 導入拡大に向けて2つの課題 産学官の総力を結集して課題解決に取り組む必要 課題① 供給安定性 太陽光 風力は 火力等のバックアップ電源等で出力変動を打ち消す必要 課題② 発電等コスト 世界では火力よりも安い再エネが登場する一方 日本の再エネ発電コストは高止まり (3) FIT制度は需要家に過大な負担を課しており 不断の検証 見直しの継続が必要 FIT法附則で定め られているとおり 22年度までに制度の抜本的な見直しを実施すべき エネルギーミックスと整合的 な買取総額等の設定 併せて 足元の制度の合理化を迅速に実施すべき 入札制度の対象拡大 情報公開の徹底 発電コスト $/MWh) FIT制度導入後の賦課金等の推移 各国の太陽光 風力発電コスト 25 賦課金 単価 2.64円 218 2 太陽光 15 風力 155 /kwh 石炭 LNG 買取 費用 2.7兆円 12倍 1 賦課金 2.1兆円 5 3.7 4.兆円.22円 (参考) 日本の火力 発電コスト (左 第8回再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会資料等を基に作成 右 第3回調達価格等算定委員会資料を基に作成) /kwh 212 213 214 215 216 217 (年度) 23 6 (エネルギーミックス)

Ⅱ. 各エネルギー源 政策課題に対する考え方 Ⅱ-5. エネルギーネットワーク Ⅱ-6. 電力市場 (1) 電気 ガス 熱のエネルギーネットワークは 将来を見据え 引き続き大規模集中電源を活用するとともに 分散型エネルギー源も活用していくことを意識する必要 (2) 送配電網については 整備コストの圧縮を志向しつつ 費用便益を考慮して真に必要な更新等投資の促進を図るべき 適切なインセンティブの設定も重要 送配電設備増強の費用便益分析対象として想定される主な項目 ( 広域機関等において検討中 ) 便益項目 総発電費用 CO2 排出量 設備更新による設備事故の低減 内容 設備増強に伴う年間総発電費用の低減効果 ( 燃料費削減など ) 設備増強の結果としての再エネ発電量増加等 CO2 排出量の抑制効果 経年や劣化度合いを踏まえた設備更新による停電の低減効果 (1) 電力システム改革において最も重要な点は 新制度への移行によって電力需要家が電気料金引き下げと安定供給確保というメリットを得られること (2) この観点から 経団連は提言 電力システム改革に関する意見 (217 年 1 月 ) を取りまとめた 政府には同提言に沿った慎重な検討を求める ベースロード電源市場 容量市場 ( 集中型 ) 政府が創設に向けた検討を進める主な新市場 概要 : 旧一般電気事業者等が保有するベースロード電源の電気の一部について適正な価格での供出を求め 新電力等が購入 新電力が安価で安定したベースロード電源にアクセスできるようにする 安価な電力供給 需要家の選択肢拡大 概要 : 必要な発電容量 (kw) を 発電事業者が参加する入札により募集 費用は小売事業者が負担 発電設備への投資回収の予見性を確保することで 将来的な需給逼迫を回避する 電気料金の安定化 ( 第 19 回広域系統整備委員会資料を基に作成 ) 概要 : 再エネ 原子力の非化石価値を証書化し 発電した電気とは別に取引非化石 広域機関は 広域系統長期方針 (217 年 3 月 ) において エネル 価値ギーミックスを踏まえたシナリオのもと 燃料費抑制効果のみを 1 小売電気事業者の高度化法目標 ( 非化石電源比率取引便益として費用便益分析を実施 この前提では 現行計画以上 44%) 達成を後押し市場の連系線増強は費用に見合わないとしたうえで 他の便益の取り 2FIT 制度による国民負担の軽減扱いについては継続検討事項とした 3 環境価値を評価する需要家の選択肢拡大 7

おわりに おわりに 25年とその先を見据えて (1) エネルギー問題は 国家の根本をなす重要課題であり また需給体制の変更 整備の完遂に時間が かかる そのため 常に長期の将来を見据えた検討を行うことが重要 (2) この点 政府が23年度のエネルギーミックス実現を主眼とする検討とともに 25年に向けたわが 国のエネルギー需給の絵姿を議論していることを評価 政府が策定を目指す 長期温室効果ガス低 排出戦略 についても S+3Eに立脚したエネルギー政策と整合的なものとなることを期待 (3) 25年など長期の将来は 革新的技術の開発 普及等によって社会に非連続な変化が生じうるた め 予測が極めて困難 複数のシナリオを想定し 柔軟な政策像を描くべき (4) エネルギー需給のあり方は わが国の産業構造に大きな影響を及ぼす エネルギー政策の検討にあ たっては 豊かな国民生活を実現する観点から将来の産業ビジョンを描き そのビジョンを念頭に責 任ある議論を深めることが必要 参考 温室効果ガス排出を25年に国内で8 減 とする場合の含意 業務 家庭 運輸 エネルギー転換 部門をほぼゼロエミッション化 しても 農林水産業と2 3の 産業しか国内に許容されない 革新的技術の導入を想定しなけ れば エネルギー関連インフラ を総入れ替えすることが必要と なる これは 巨額のコスト負 担と 痛みを伴うエネルギー構 造の大転換を意味する (出所 経済産業省 長期地球温暖化対策プラットフォーム報告書(217年4月)) 8