日本内科学会雑誌第104巻第6号

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1 急性骨髄性白血病の遺伝子異常と予後 清井仁 要旨 急性骨髄性白血病 (acute myeloid leukemia:aml) の発症 進展には, 細胞増殖の促進に関与する遺伝子変異と細胞分化を阻害する遺伝子変異が蓄積することが必要とされてきた. 次世代シークエンサーによるゲノム解析技術により,DAやヒストンのメチル化状態などのエピジェネティック制御に関与する遺伝子,RAスプライスに関与する遺伝子, 娘染色体の安定化に関与するcohesin 複合体遺伝子など, 新たな機能分子をコードする遺伝子の変異が明らかにされ, より複雑な分子機構がAMLの発症 進展に関与していることが示唆されている. しかし, それら同定された変異遺伝子個々の生物学的意義はほとんど明らかにされていない状況であり, さらなる研究と複数の遺伝子変異の協調的意義に対する解明が待たれている. 一方, 分子病態に基づく診断基準, 予後層別化, 標的治療薬をはじめとする個別化治療への実用化も進んでいる. 本稿では,AMLにおける遺伝子異常と予後層別化システムへの応用について概説する. 日内会誌 104:1180~1188,2015 Key words 急性骨髄性白血病, 遺伝子変異, 予後層別化 はじめに急性骨髄性白血病 (acute myeloid leukemia: AML) は, 分化 成熟能が障害された幼若骨髄系細胞 ( 芽球 ) の自律性増殖によって特徴づけられる血液腫瘍である. 急性白血病の分類は 1976 年にFrench-American-British(FAB) グループが提唱した細胞形態を基本に免疫学的マーカーを用いたFAB 分類が世界共通の分類方法として広く普及していた. しかし,FAB 分類は必ずしもAMLの発症過程, 分子病態, 臨床像を反映しておらず, また, 白血病の病因 病態が染色体 遺伝子レベルで解明され, 特異的な染色体異常 遺伝子変異が白血病の治療予後に関わることが明らかとなってきたことより, 臨床 像, 細胞形態, 免疫学的表現型の特徴と遺伝子異常を組み入れたWorld ealth Organization (WO) 分類第 3 版が提唱された.WO 分類において最も重要な点は, 形態学的な特徴に基づく分類にとどまらず, 臨床的, 生物学的に均質な疾患群を抽出することにより, 個々の疾患群に対して最適の治療法へとつなげていくことを基本理念としたパラダイムシフトが行われたことである. このAMLの分類における理念は分子標的療法の有効性と妥当性が証明された時代のニーズにも適合し, 現在では幅広く受け入れられ,2008 年にはより詳細な分子基盤を組み入れた改訂第 4 版が出版されている 1). 一方, 多数のAML 症例を対象とした網羅的遺伝子変異解析により, 分子病型に基づくより詳 名古屋大学大学院医学系研究科血液 腫瘍内科学 The Cutting-edge of Medicine;Genetic alterations and their prognostic implications in acute myeloid leukemia. itoshi Kiyoi:Department of ematology and Oncology, agoya University Graduate School of Medicine, Japan 日本内科学会雑誌 104 巻 6 号

2 細な予後層別化も試みられている. 従来, 染色体核型に基づく予後分類が幅広く用いられてきたが,European Leukemiaet(EL) により, 染色体核型に加えて,C-AML(cytogenetically normal acute myeloid leukemia) における遺伝子変異の状態を加味した新たな予後分類が提唱されている 2).EL システムに基づいた臨床的有用性はドイツ (Süddeutsche ämoblastose Gruppe) および米国 (CALGB(Cancer and Leukemia Group B)) での臨床試験登録症例における後方視的解析により検証されている. しかし,2008 年に染色体核型正常 (C-AML) のAML 症例において実施された全ゲノムシークエンス解析結果が初めて報告されて以降,AML 症例におけるゲノム エクソームレベルでの網羅的遺伝子変異解析結果が相次いで報告され,DAやヒストンのメチル化状態などのエピジェネティック制御機構に関与する分子の遺伝子変異がさらなる予後層別化に有用である可能性が示唆されている 3). 本稿では, ほぼ全貌が明らかになったといえるAMLにおける遺伝子変異と, それら分子病態に基づく予後層別化システムの現状を概説する. 1.AMLにおける遺伝子変異 1)AMLにおける遺伝子変異の種類従来,AMLにおける遺伝子変異は,FLT3, RAS,KITなどの細胞増殖に促進的に関与する遺伝子変異とPM1,CEBPA などの細胞分化抑制に関与する遺伝子変異がAMLの発症 進展ならびに予後に関係する主たる遺伝子変異として知られていた.2008 年にC-AML1 症例の全ゲノムシークエンス解析の結果が報告されて以降,AML 症例における全エクソンシークエンス解析の結果が相次いで報告され,TET2 遺伝子, ID1/2 遺伝子,DMT3A 遺伝子などのDAやヒストンのメチル化に関与する分子,ASXL1 や EZ2 などのクロマチン修飾に関わる分子, STAG2 やRAD21 などの細胞分裂時に染色体を均等分離する過程において中心的な役割を果たすコヒーシン複合体を構成する分子や,SF3B1, U2AF1 などのRAスプライシング分子の遺伝子変異が明らかにされた 3,4). さらに,2013 年にはTCGA(The Cancer Genome Atlas) により,de novo AMLの50 例の全ゲノムシーケンスと150 例の全エクソンシーケンス合わせて200 例の網羅的な遺伝子変異解析の結果が報告された 5). この解析では多数の遺伝子変異が同定されたが,1 症例あたりのアミノ酸の置換を伴う変異遺伝子数の平均は13 個, 複数の症例で認める変異に限ってみると平均 5.2 個であり, 他の癌腫に比較して極めて少数の遺伝子変異の蓄積により発症していることが理解される. また,10% 以上の頻度で同定された遺伝子変異は,FLT3, PM1,DMT3Aのわずか3 種類のみであり, 大多数の遺伝子変異は5% 未満の頻度に過ぎないことが明らかになった. 表 1にこれまでにAML で同定された遺伝子変異をまとめた. 多くの機能分子に変異を認めていることが理解されるが, これら遺伝子変異を機能別に分類すると, 細胞増殖促進に関与する遺伝子変異 (Class 1 遺伝子異常とも呼ばれる ), 細胞の分化障害に関与する遺伝子変異 (Class 2 遺伝子異常とも呼ばれる ), エピジェネティック制御に関与する遺伝子変異が高頻度に認められ, また, これら3 種類の遺伝子変異が高率に重複して獲得されていることから,AMLの発症に極めて重要な役割を果たしていることが明らかになっている. 2) 日本人 AML 症例における遺伝子変異遺伝子変異の頻度や病態に及ぼす影響には人種差があることが知られている. 日本人 AML 患者における網羅的遺伝子変異解析は日本成人白血病治療共同研究グループ (Japan Adult Leukemia Study Group:JALSG) 登録症例において実施されている. この解析では,AMLにおいて同 日本内科学会雑誌 104 巻 6 号 1181

3 表 1 機能別にみた AML における遺伝子変異と頻度 機能 遺伝子 変異頻度 FLT3 ITD:20~28% KDM:5~10% Tyrosine kinase KIT 25~30% in CBF-AML JAK1 1~3% JAK3 1~2% RAS pathway RAS 9~14% KRAS 5~17% Protein phosphatase PTP11 4~5% Ubiquitin pathway CBL 2~3% uclear-cytoplasmic shuttling phosphoprotein PM1 25~35% CEBPA 10~20% RUX1 5~13% GATA2 3~5% Transcription factor RUX1-RUX1T1 10~15% CBFB-MY11 3~8% PML-RARA 5~10% MLL fusion 5~9% DEK-UP214 1% TET2 8~27% DA hydroxymethylation ID1 6~9% ID2 9~12% DA methylation DMT3A 18~23% istone 3 K27 methylation istone 3 K4 methylation istone 3 K27 tri-methylation Transcriptional corepressor Cohesin complex Tumor suppressor EZ2 MLL rare in AML 8~12% of MP-BC 5~6% PTD:5~13% ASXL1 3~11% BCOR 4~5% BCORL1 6% STAG2 2% SMC3 3% SMC1A 3% RAD21 2% TP53 7~12% WT1 10~13% 定されている55 種類の遺伝子につき, ターゲットシークエンスにより網羅的遺伝子変異解析が実施された 6).44 種類の遺伝子変異が同定され たが,10% 以上の頻度で存在する遺伝子変異は,FLT3,PM1,DMT3A,CEBPA,KIT の5 種類であった ( 図 1). 注目すべきはKIT 遺伝子 1182 日本内科学会雑誌 104 巻 6 号

4 30% 25% 20% 15% 10% 5% 0% FLT3 PM1 DMT3A CEBPA KIT RAS TET2 RUX1 WT1 COR2 OTC1 BCORL1 ID1 ID2 KRAS MLL-PTD STAG2 GATA2 MLL PF6 TP53 BCOR EZ2 OTC2 ASXL1 DIS3 JAK3 KDM6A PTP11 SMC1A DOT1L ETV6 COR1 PBRM1 RAD21 SMC3 SF3B1 U2AF1 ATRX CBL JAK1 図 1 JALSG AML201 試験登録例における遺伝子変異 44 種類の遺伝子変異が同定されたが,10% 以上の頻度で同定されたものは,FLT3,PM1,DMT3A, CEBPA,KITの 5 種類であった. A 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% ClassⅠ ClassⅡ epigenetic BCOR COR OTC cohesin spliceosome others B COR BCOR Spliceosome OTC Cohesin Epigenetic modifier Other ClassⅠ ClassⅡ 図 2 機能別の遺伝子変異割合と重複 Class 1,Class 2, エピジェネティック制御に関わる遺伝子変異が高頻度に認められ, かつ, これら 3 種類の遺伝子変異が高頻度に重複して存在することが理解できる. 変異の頻度が高いことであるが, これは日本人ではt(8;21)(q22;q22) やinv(16)(p13.1q22) またはt(16;16)(p13.1;q22) 染色体異常を有するAML(CBF-AMLと呼ばれる ) が高頻度に認められ,CBF-AML においてはKIT 遺伝子変異が協調的にAMLの発症に関与していることが要因である. これら遺伝子変異を機能別にみると,Class 1 遺伝子変異,Class 2, エピジェネ ティック制御に関与する遺伝子変異が高頻度で認められ, これら3 者が高頻度に重複して獲得され, さらにBCOR,Cohesin 複合体などの遺伝子変異が獲得されることにより, 多様性が得られていることが理解される ( 図 2A,B). また, TCGAによる解析では,PML-RARAやMLL 転座を伴うAMLにおける変異遺伝子数は少なく, C-AMLにおいては多くの遺伝子変異が獲得さ 日本内科学会雑誌 104 巻 6 号 1183

5 o. of mutations per sample P=0.042 P=0.039 P= 内では, これら活性化 ( リン酸化 ) した受容体やシグナル伝達分子を制御するフィードバック機構 ( 脱リン酸化酵素 ) が存在していることも明らかになっている.AMLにおいては, これら細胞増殖因子受容体やシグナル伝達に関与する分子の遺伝子異常が多数認められ,KIT,FLT3, RAS,PTP11,JAK2,JAK3 遺伝子変異が代表的なものである. これらの遺伝子変異は細胞の自律性増殖を導き, 単独での変異獲得は骨髄増殖性腫瘍の病態を来たす. 慢性期慢性骨髄性白血病ではBCR- ABL1 キメラ遺伝子, 真性多血症, 本態性血小板増多症, 原発性骨髄線維症ではJAK2 遺伝子変異が病態発症の原因遺伝子であり, それらが単独である限り, 慢性期の状態であり続けることができるが, 分化阻害に関係する遺伝子変異の獲得があると急性白血病へ形質転換すると考えられている. 2) 細胞分化障害に関与する遺伝子異常血液細胞は造血幹細胞から分化 成熟過程を経て産生されるが, この過程は造血因子とともに, 複数の転写因子などにより緻密に制御されている. これら分化 成熟機構に関与する分子 All RUX1- Sample RUX1T1 (=197)(=41) AR, TP53 Mt. (=7) IR, ot K (=22) AR, TP53 Wild (=7) C-AML (=22) CBFB- MY11 All others MLL-X (=8) (=14)(=197) 図 3 JALSG AML201 試験登録例における 1 症例あたりの遺伝子変異数 C-AMLでは1 症例あたりの獲得遺伝子変異数が有意に多く, 一方 CBF-AMLでは有意に少ないことが示された. れていることが示されているが,JALSG 登録症例における解析では,CBF-AMLにおける獲得遺伝子変異数は有意に少ないことが明らかにされた ( 図 3). このことは,PML-RARA,MLL 転座, RUX1-RUX1T1,CBFB-MY11 などのキメラ遺伝子複合体はAMLの発症において極めて重要な役割と強い発がん作用を有していることが推測される. 2. 遺伝子変異がもたらす分子病態 1) 細胞増殖促進に関与する遺伝子異常細胞外から核内に伝わる増殖あるいは分化のシグナルは, 細胞表面に発現する受容体とそのリガンドの相互作用によって惹起される. これらは, サイトカインとその受容体であり, 増殖因子と受容体型チロシンキナーゼ (receptor tyrosine kinase:rtk) である. リガンドの結合により活性化された受容体は, 種々のアダプター蛋白を活性化し, 場合によっては, クロストークにより他の受容体を活性化して, 主に, JAK/STAT,RAS/MAPK,PI3K/AKT 経路を活性化し, そのシグナルを核内へ伝える. また, 生体 1184 日本内科学会雑誌 104 巻 6 号

6 の異常は白血病発症に深く関与している. 特に, 幼弱な芽球の増殖を特徴とする急性白血病においては, これら分子の異常が発症の初期段階で重要な要因となっている. 染色体転座 t(8;21)(q22;q22) や inv(16) (p13.1q22) またはt(16;16)(p13.1;q22) により形成されるキメラ遺伝子産物 RUX1-RUX1T1 およびCBFB-MY11 は生体型造血に不可欠であるcore binding factor(cbf) 複合体の機能抑制を導き, 分化阻害, 自己複製能力の亢進に関与している. CCAAT/enhancer-binding protein-α(c/ebp α) は, 好中球の分化 増殖に関わる重要な転写因子である.CEBPA 遺伝子変異は 末端領域におけるframe-shiftをもたらす遺伝子挿入 欠失型変異とC 末端領域におけるin-frameでの遺伝子挿入 欠失型変異の2 種類に分類されているが, いずれの異常においても, 好中球分化機構が阻害されることによりAMLの発症に関与している. GATAは赤血球, 巨核球, 好酸球, 肥満細胞の発生 分化に必須の転写因子であり, その欠失は赤血球前駆細胞の分化抑制とアポトーシスならびに幼弱巨核球の蓄積をもたらす.GATA1 遺伝子変異は, ダウン症における急性巨核芽球性白血病 (DS-AMKL) 発症における初期段階の異常として注目されている. また,GATA2 遺伝子変異もAMLで同定されている. 核内リン酸化蛋白であるucleophosmin (PM) 分子は核内で生じたpreribosomal particlesと結合して細胞質へ移動し,ribosomeの形成に重要な役割を果たすほか, 核内において, p53 分子やp19 ARF 分子の分子シャペロンとしての機能を持ち, 細胞外からのストレス刺激による細胞死を回避する機能も知られている. 3) エピジェネティック機構に関与する遺伝子異常 AMLではDMT3A,TET2,ID1/2 などDA のメチル化に関わる因子や,EZ2,ASXL1 などのクロマチン制御因子の変異が高頻度に認めら れる. 注目すべき点は, これらの遺伝子変異は前述の細胞増殖促進や分化阻害に関わる遺伝子異常と高頻度に重複することで, エピジェネティック機構の脱制御がAMLの発症 進展に協調的に関与していることを示している. ID(isocitrate dehydrogenase) はクエン酸回路において,ADP+のADPへの変換を介して, イソクエン酸からα-KG(α-ketoglutaric acid) の産生をもたらす酵素で,ID1~ID3 の3 種類が存在する.ID1,ID2 遺伝子変異は脳腫瘍, AMLの他, 前立腺癌, 悪性黒色腫, 甲状腺腫瘍, 大腸癌などの複数の腫瘍細胞で認められているが,AML においても,ID1 遺伝子変異が約 6%, ID2 遺伝子変異は約 9% に認められている. 変異 ID1/2 分子はADPからADP+への変換を介してα-KGから2G(2-hydroxyglutarate) を産生する新たな酵素活性を獲得し, 細胞内の2G を上昇させる. この2Gは後述するTET2の酵素活性を競合的に阻害することが明らかにされている. TET(Ten-Eleven-Translocation) ファミリー (TET1,TET2,TET3) は,α-KG 依存的に 5mC (5-methylcytosine) のメチル基をヒドロキシル化し,5hmC(5-hydroxymethylcytosine) に変換する酵素である.TET2 変異の多くはナンセンスあるいはフレームシフト変異による早期終止コドンを伴ったC 末端欠落, またはC 末端側の酵素活性を担うドメインのミスセンス変異による機能喪失型変異である.TET2 変異によりTET2の酵素活性が低下すると5mCから5hmCへの変換が阻害され, メチル化が集積することになる. ID1/2 変異においてもTET2の機能阻害を来たすことからTET2 遺伝子変異と同様の機序が働いている ( 図 4). 一方,DAメチル化酵素であるDMT3Aの機能欠失型変異も高頻度で認められている. 重要なことは,TET2,ID1/2 変異はメチル化の蓄積をもたらすのに対し,DMT3A 変異はメチル化が抑制される正反対の結果をもたらすことで 日本内科学会雑誌 104 巻 6 号 1185

7 2 2 O 2 3C α-kg O DMT O TET2 O Cytosine 5mC 5hmC DMT 5mC TET 5hmC 2-G α-kg Mt-ID1/2 図 4 TET2,ID1/2,DMT3A 変異がもたらすメチル化状態異常 TET2 変異により TET2 の酵素活性が低下すると 5mC から 5hmC への変換が阻害され, メチル化が集積する.ID1/2 変異により産生される 2G は TET2 の機能阻害を来たすことから TET2 遺伝子変異と同様の機序が働く. 一方,DA メチル化酵素である DMT3A の機能欠失型変異はメチル化が抑制される正反対の結果をもたらす. ある ( 図 4). 今後, 白血病細胞において, それぞれの変異分子が標的とする分子異常の解明が重要である. 3. 遺伝子変異に基づく予後層別化 AMLにおいては, 染色体核型に基づく予後層別化システムが最も確立したものとして頻用されているが, 遺伝子変異の状態によりさらなる細分化が試みられている 7).CC(ational Comprehensive Cancer etwork) のガイドラインの分類では, 予後良好群として分類される t(8;21)(q22;q22),inv(16)(p13.1q22) または t(16;16)(p13.1;q22) 核型を有する症例 (CBF- AML) においても,KIT,FLT3 遺伝子変異を併せもつ症例は予後不良である可能性があることが示唆されている. また,C-AMLを中心とする予後中間群においては,PM1 変異は寛解導入に対して良好な因子であること,FLT3-ITD 変異は予後不良因子であること,CEBPA 変異と PM1 変異陽性かつFLT3-ITD 変異陰性の分子病型は染色体正常核型の症例群における予後良好因子であることが報告されており,FLT3, PM1,CEBPA 遺伝子変異の存在の有無により, その長期予後が異なることが示唆されている. ELのリスク分類においても,AMLの予後分類にC-AMLのFLT3,PM1,CEBPAの遺伝子変異を加えており, その有用性が2つの異なるコホートを用いた解析結果より検証されている. 一方,ECOG(Eastern Cooperative Oncology Group) からは,PM1 変異陽性例はID1/2 変異を有する症例に限り予後良好というこれまでとは異なる結果や, ドイツのグループからは, TET2 変異とID1/2 変異が予後良好群において予後不良因子とはならなかったという結果が報告されており, 各々新たなリスク分類を提唱している 8,9).JALSG AML201 試験登録例における解析では, 染色体正常核型でPM1 変異陽性かつFLT3-ITD 陰性症例群の中でDMT3A 変異陰性群が予後良好となる結果が示されている 6). JALSGでは, これらの結果に基づき, 新たな分子層別化システムを提唱している ( 表 2 図 5) EL 層別化システムにおいて示されているように,FLT3,PM1,CEBPA 遺伝子変異はAML における有力な予後予測因子といえる. しかし,TET2,ID1/2,DMT3Aなどのエピジェネ 1186 日本内科学会雑誌 104 巻 6 号

8 表 2 JALSG による分子病態に基づく予後層別化システム Genetic group Favorable Intermediate-Ⅰ Intermediate-Ⅱ Adverse Very Adverse Subsets CBF-AMLs C-AMLs with mutated PM1 without FLT3-ITD and mutated DMT3A(normal karyotype) C-AMLs with mutated CEBPA without mutated DMT3A(normal karyotype) C-AMLs with mutated DMT3A C-AMLs except for those included in the FR and AR AMLs included in the IR-Ⅱ of the EL stratification C-AMLs with MLL-PTD AMLs included in the AR of the EL stratification AMLs with mutated TP53 (%) FR(n=83) IR-Ⅰ(n=38) IR-Ⅱ(n=41) AR(n=28) Very-AR(n=7) Overall survival ,000 Days P< ,500 2,000 2,500 図 5 JALSG による分子層別化システムに基づく予後曲線表 2 に示す分子層別化システムにより, 成人 AML 患者の予後を 5 群に層別化することが可能である. ティック制御分子の遺伝子変異がさらなる層別化因子として重要であることが相次いで示されている. また, これら遺伝子変異を予後予測因子として個別化治療を行うことが予後の改善につながることを前方視的に証明した臨床試験はいまだ報告されていない. 今後多数例の前方向視的な解析とともに, 分子標的療法や同種造血幹細胞移植などの個別化治療の有効性を検証する臨床試験の実施が急務である. おわりに全ゲノムシークエンスにより,AMLにおける遺伝子変異のほぼ全容が明らかにされたといえる. 驚くべきことに,AMLにおける1 症例あたりの遺伝子変異数は5~6 個程度であり,10% 以上の頻度で変異が認められる遺伝子も数個程度であることが明らかにされた.AMLで同定された大多数の遺伝子変異の頻度は極めて低いことから, これらの遺伝子変異を全て網羅する中 日本内科学会雑誌 104 巻 6 号 1187

9 で予後層別化を検証していくことは不可能といえる. 恐らく, 機能的に重要な限られた遺伝子変異に基づく層別化システムが確立されるものと期待される. 今後, 遺伝子変異の結果もたらされる生物学的異常メカニズムの解明と複数の異常による協調性を考慮する中で分子層別化システムを構築していくことが必要であると同時に, 継続的にvalidation 試験を実施することによ り, 最新の治療法に適合する層別化システムに改変していくことが必要である. 著者のCOI(conflicts of interest) 開示 : 清井仁 ; 研究費 助成金 ( 富士フイルム ), 寄附金 ( 協和発酵キリン, 全薬工業, 大日本住友製薬, 中外製薬, ブリストル マイヤーズ ) 文献 1 ) Swerdlow S, et al : WO Classification of Tumours of aematopoietic and Lymphoid Tissues, Fourth Edition, WO Press, Lyon, ) Döhner, et al : Diagnosis and management of acute myeloid leukemia in adults : recommendations from an international expert panel, on behalf of the European Leukemiaet. Blood 115 : , ) Ley TJ, et al : DA sequencing of a cytogenetically normal acute myeloid leukaemia genome. ature 456 : 66 72, ) aoe T, Kiyoi : Gene mutations of acute myeloid leukemia in the genome era. Int J ematol 97 : , ) Cancer Genome Atlas Research etwork : Genomic and epigenomic landscapes of adult de novo acute myeloid leukemia. Engl J Med 368 : , ) Kihara R, et al : Comprehensive analysis of genetic alterations and their prognostic impacts in adult acute myeloid leukemia patients. Leukemia 28 : , ) Grimwade D, et al : Refinement of cytogenetic classification in acute myeloid leukemia : determination of prognostic significance of rare recurring chromosomal abnormalities among 5876 younger adult patients treated in the United Kingdom Medical Research Council trials. Blood 116 : , ) Patel JP, et al : Prognostic relevance of integrated genetic profiling in acute myeloid leukemia. Engl J Med 366 : , ) Grossmann V, et al : A novel hierarchical prognostic model of AML solely based on molecular mutations. Blood 120 : , 日本内科学会雑誌 104 巻 6 号

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