4 植物色素についてア主な植物色素の分子構造による分類 1 ポルフィリン系 クロロフィルなど 2 カロテノイド系 植物中で作られる黄 橙 赤色の色素で β- カロテンなど 3 フラボノイド系 ポリフェノール化合物で 花や葉の色素として広く分布しており アントシアニン系の色素が多い ウコンに含まれる色

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1 植物色素を使った水溶液の性質調べ 1 目的小学校では水溶液をなかま分けする場合, リトマス紙や BTB 溶液を用いて酸性, 中性, アルカリ性の 3 つに分類することが多い しかし, 身近な水溶液には, 強い酸性や弱い酸性, 強いアルカリ性や弱いアルカリ性があるがリトマス紙などではその分類ができない そこで, ムラサキキャベツを使った水溶液のなかま分けを行い, 興味関心を持たせながら, より細かい水溶液のなかま分けを行う 2 小学校における水溶液の液性についての取り扱い小学校における水溶液の液性を調べる主な指示薬 ( リトマス紙 BTB 溶液 ) 酸性 中性 アルカリ性 (3 つに分類 ) 実際は 強い酸性や弱い酸性 強いアルカリ性や弱いアルカリ性がある 児童が水溶液を取り扱う際の安全面から考えても 可能な範囲で触れる必要がある ph メーター 万能 ph 試験紙 万能 ph 指示薬 植物色素の活用 人体の一番の弱点は目 中学校教科書での記述 小中学校の化学領域で取り扱う試薬の多くは 濃度の大きいものが多い ( 高校の約 10 倍の濃さ ) うすい と書いていても かなり濃い または 濃度の指定がないため 教員が自己判断で濃い溶液を用いていることもある 6 年生の水溶液の実験では 小中学校から安全眼鏡の使用を是非させてください 児童の目に薬品が入ってからでは遅いのです 3 ph( ピーエイチ ) について ph 液性強酸性 弱酸性中性弱アルカリ性 強アルカリ性 主な指示薬と ph による色の変化 ph と希釈の考え方 0.1mol/L の塩酸は ph=1 の水溶液である これを 10 倍に薄めると ph=2 の水溶液に さらに 10 倍に薄めると ph=3 の水溶液になる ただし 何倍に薄めても ph が 7 を超えることはない 0.1mol/L の水酸化ナトリウム水溶液は ph=13 の水溶液である これを 10 倍に薄めると ph=12 の水溶液に さらに 10 倍に薄めると ph=11 の水溶液になる ただし ph が 7 より小さくなることはない

2 4 植物色素についてア主な植物色素の分子構造による分類 1 ポルフィリン系 クロロフィルなど 2 カロテノイド系 植物中で作られる黄 橙 赤色の色素で β- カロテンなど 3 フラボノイド系 ポリフェノール化合物で 花や葉の色素として広く分布しており アントシアニン系の色素が多い ウコンに含まれる色素であるクルクミンなどもここに入る クロロフィル ( 葉緑体 ) β- カロテン ( ミカン ) アントシアニジン ( ムラサキキャベツ ) シソニン ( しそ ) クルクミン ( ウコン ) イ ph によって色が変わる植物色素植物色素の中で ph により色が変化することが期待されるもの ( 方法によって抽出されない場合がある 複数の色素が含まれることがある ) 花 野草 野菜 果物 マローブルー パンジー アサガオ バラ コスモス ダリア キク イモカタバミ ミゾソバ イヌタデ ムラサキキャベツ ブドウ ナス アカカブ ムラサキタマネギ サツマイモの皮 黒豆 イチゴ チンゲンサイ その他紅茶 緑茶 カレールー ( アルカリ性でのみ変色 ) 保存が可能 アルカリ性で色が濃くなる色素 ブルーベリー カシス クランベリー ブドウジュース しそふりかけ ダイコンの皮 ニンジン ミニトマト ミカンの皮 ( 水で抽出 ) ( アルコールで抽出 ) ( 熱湯で抽出 )

3 5 ムラサキキャベツ色素の指示薬としての活用教科書にムラサキキャベツを水溶液のなかま分けに使用する実験が紹介されている ムラサキキャベツ使用時の問題点 ムラサキキャベツが手に入りにくい 冷蔵庫で保存が難しい 教科書ではムラサキキャベツをお湯で煮出すようにしているが 色素液が濁ることがある また 加熱の際 火を使用しなければならない 実験で余った色素液を捨てるのはもったいない そこで ムラサキキャベツを見つけたときに 細かく切ってナイロン袋に入れ 冷凍庫で凍らせる方法が良い 凍らせることで長期間保存が可能になる また 凍らせると ムラサキキャベツの細胞内の水分が凍結するため 細胞壁が破壊され 水を加えただけで濃い色素液を得ることができる ムラサキキャベツ色素の抽出方法 ( できるだけ濃い色素液を抽出するために ) 凍結法 植物を細かく切って冷凍庫で凍結させた後 もんで水で抽出する 凍結して細胞を壊して色素を取り出す 濃い色素液が得られる 冷凍庫なのでキャベツ保存にも適している 抽出方法操作長所 短所 1 煮出し法 2 アルコール法 3 湯 + アルコール法 4 浸透圧法 5 すりつぶし法 植物に沸騰したお湯を入れ 色素を抽出する ( 教科書 ) 植物をお湯に入れて数分間沸騰させ 煮出す ビーカーに植物を入れ エタノールを加えて色素を抽出する ナイロン袋に植物を入れ エタノールを加えて もんで抽出する 植物を湯につけてふやかした後 その植物をエタノールに入れ 抽出する ナイロン袋に植物を入れ 水と小さじ一杯の食塩を入れもみ出す 植物を乳鉢ですりつぶし 水を加えキッチンペーパーで絞って抽出する 植物を乳鉢ですりつぶし エタノールを加えて抽出する 簡単にできる 長期保存できない 色素が分解する可能性がある 煮出した色素液が濁ることもある 透明できれい 抽出までに時間がかかる 比較的長期保存できる 時間短縮できる エタノールを使わなければならない 花びらから色素を取り出すのに適している 湯とエタノールの両方用意しなければならない 色素液に食塩が混じる しかし 食塩は中性なので液性には影響ない 手間がかかる ろ過に時間がかかる

4 6 ムラサキキャベツ色素 万能 p H 試験紙を用いた水溶液の液性調べ 実験の目的 植物色素や万能 p H 試験紙を使い より細かい水溶液の液性の違いについて理解させる 実験操作 1 ムラサキキャベツを細かく切って ナイロン袋に入れ 冷凍庫で凍らせる 2 凍らせたムラサキキャベツをひとにぎりずつナイロン袋に入れ授業前に少し解凍しておく 3 水を 100mL 程度加え 手でもみ 色素を抽出する 数分で 非常に濃い色素液が得られる 4 この色素液を点眼瓶に入れる 身近な水溶液をマイクロプレート ( またはウズラの卵パック ) に 5 滴ずつ入れる 5 4 のそれぞれの溶液に 点眼瓶に入れたムラサキキャベツ色素液を数滴ずつ加え 色の変化を観察する 6 それぞれの色の変化を右のように ph が 1~13 の溶液で出た色を写真にとっておいたものと比較し その水溶液の液性を確認する ph=1~13 の溶液 ( 右写真 ) の作り方はあとに書いています ph=1~ph=13 でのムラサキキャベツ液の色の変化 ( 上段 ph=1~6 中段 7~12 下段 13) 7 万能 ph 試験紙をはさみで小さく切り 白い紙の上に並べ 身近な水溶液を 1 滴ずつ落とし 色の変化からその水溶液の液性 (ph) を確認する トイレ用洗剤食酢洗顔料食塩水 ベーキングパウダー虫さされ薬換気扇クリーナー水酸化ナトリウム水溶液

5 7 植物色素を使った虹作り ( 試験管内にすべての液性を作る ) 実験の目的 試験管内にすべての液性を作り出すことで 試験管内で起こっている反応について考察させる また 駒込ピペットが正しく使用できるよう習熟させる 実験操作 1 無水炭酸ナトリウムの粉末を小さじに 1/2 杯取り 試験管に入れる これにムラサキキャベツの色素液を試験管の内壁を伝わらせなが ら 9mL 入れる かき混ぜないこと 2 1 の液に 0.1mol/L の塩酸を 1mL 試験管の内壁を伝わらせながら 静かに加える 3 竹串で試験管の内壁をゆっくり輪を描くように回しながら 竹串を少しずつ引き上げ アルカリ性から酸性へなだらかに 変わるようにする 試験管の上部の赤い色がなくなりそうなときは塩酸を追加する 4 別の試験管にムラサキキャベツの色素液を 2~3 滴入れ その上に 1.0mol/L の水酸化ナトリウム水 溶液を 3mL 加えてよく振った後 試験管立てに立てておく 次第に黄色になる 5 4 の黄色い液を 2ml くらい取り 3 の試験管に 駒込ピペットで空気が入らないように注意しながら 3 の試験管の底に静かに注ぎ 最後はピペットに少量残してゆっくりと抜く 試験管内で起こっている反応 ( 色と関連づけて考える ) 赤色 HCl( 強酸性 ) 紫色 中性から弱酸性 NaHCO 3 +HCl NaCl+H 2 O+CO 2 ( 中性 ) ( 弱酸性 ) 青色 Na 2 CO 3 +HCl NaHCO 3 +NaCl ( 弱アルカリ性 ) 緑色 Na 2 CO 3 ( アルカリ性 ) 黄色 NaOH( 強アルカリ性 )

6 8 植物色素からオリジナルの指示薬の作製 実験の目的 抽出した植物色素を用いてオリジナルの指示薬を作成する その際 色素の保存期間を伸ばすことも目的とする 実験操作 1 高吸水性樹脂 携帯トイレなどから高吸水性樹脂を取り出し その少量に色素液をしみこませて フィルムケースなどに入れる 結構長期間保存可能 色が鮮やか 2 アルギン酸カルシウムゲル ( 人工イクラ ) 色素液にアルギン酸ナトリウムを加え さらに水を加える 溶けにくいがしっかりかき混ぜる 別のビーカーに塩化カルシウム ( 水和物 ) をビーカーに入れ 水に溶かす アルギン酸ナトリウム溶液を点眼瓶に取り 塩化カルシウム溶液に滴下する 瞬間的に固まってイクラ状のアルギン酸カルシウムができる ろ過して よく蒸留水で洗い フィルムケースなどに入れる 調べる水溶液に入れると人工イクラの色が変わる 1 高吸水性樹脂を用いた指示薬色素液は水溶液のままであると不安定で変色する しかし 高吸水性樹脂で ゲル状にすることで空気と触れにくくなるため 色素が安定化する 携帯トイレなどから高吸水性樹脂を取り出す 高吸水性樹脂を小さじに 2 杯ビーカーに入れ 色素液を少量ずつ加えてゲル化する これをフィルムケースに保存する これで 冷蔵庫で保管すると長期間の保存が可能で 色も鮮やかである 容器の上に色素をふくんだゲルを薬さじで少量置き それに各 ph の溶液を少量ずつかけると 色が変化する 2 アルギン酸カルシウムゲル ( 人工イクラ ) を用いた指示薬色素液 20mL をビーカーに取り これにアルギン酸ナトリウム 0.2g を加え よくかき混ぜる 溶けにくいがしっかりかき混ぜる 多少溶け残りがあってもよい 別のビーカーに塩化カルシウム ( 水和物 )3.5g をビーカーに入れ 50mL の水に溶かす アルギン酸ナトリウム溶液をしょうゆさしに取り 塩化カルシウム溶液に滴下する 瞬間的に固まってイクラ状のアルギン酸カルシウムができる 液面の近くから落とすときれいにできる ろ過して よく蒸留水で洗い フィルムケースなどに入れる このイクラに調べる水溶液を加えると アルギン酸カルシウム膜を通じて 水溶液が色素液と少しずつ反応するため 徐々にイクラの色が変わる

7 9 ムラサキキャベツ色素液の保存についてアントシアニンは 中性 ~ アルカリ性で酸化するために不安定であり また 抽出した色素液は冷蔵庫に入れておいても 白く濁ったりカビが生えてきたりして保存には向かない したがって 抽出した色素液は使い切るのが望ましい アントシアニンは 強酸性では非常に安定なので いくつかの色素液保存方法を検討した まず 水で抽出した色素液にうすい塩酸を加えて酸性にして右写真のように赤色に変色させ 冷蔵庫で保存したが 結構長期間保存できることが分かった 児童が使用して余った色素液にうすい塩酸を加えてペットボトルなどで冷蔵庫で保存できることがわかった 使用するときは炭酸ナトリウムか うすい水酸化ナトリウム水溶液で中和して紫色にすると 使用できる また 塩酸 : メタノール =1:35 の抽出液で色素を抽出すると 常温で 10 か月以上保存できることが確認できた ( 右写真 ) 右写真のように高吸水性樹脂に色素液を混ぜ ゲル状にしてフィルムケースに入れて冷蔵庫で保存すると 数週間は鮮やかな色調のままであった 空気と色素が触れにくく 酸化が防止されたと考える 10 植物色素の色の変化による絵 実験の目的 ろ紙に植物色素を染みこませ 乾かしたものに 綿棒につけたいくつか水溶液で絵を描く 水溶液の液性による植物色素の色の変化について考察させる 実験操作 1 シャーレにムラサキキャベツ色素液を入れ ろ紙をこれに浸した後 乾燥させる 2 児童の手に水溶液がつかないようにするため 綿棒の片側を切る 3 ウズラ卵パックに入れた身近な水溶液を綿棒の先につけ 絵を描く 11 H + や OH - を 10 万倍に薄める方法 参考 塩酸と水酸化ナトリウム水溶液をうすめて ph=1 から ph=13 の水溶液を作る 1 1.0mol/L の塩酸をメスシリンダーに 1mL 取り 蒸留水で薄めて 10mL とする これを試験管 1 に移す この試験管 1 が ph=1 の溶液である これで 10 倍に薄めたことになる 2 試験管 1 の溶液を 1mL メスシリンダーに取り 蒸留水で薄めて 10mL とする これを試験管 2 に移す この試験管 2 が ph=2 の溶液である これで 100 倍に薄めたことになる 3 同じ要領で 1000 倍 倍 倍 (10 万倍 ) に薄めた溶液を作成する

8 4 ph=7 には蒸留水を用いる 5 1.0mol/L の水酸化ナトリウム水溶液をメスシリンダーに 1mL 取り 蒸留水で薄めて 10mL とする これを試験管 13 に移す この試験管 13 が ph=13 の溶液である これで 10 倍に薄めたことになる 6 試験管 13 の溶液を 1mL メスシリンダーに取り 蒸留水で薄めて 10mL とする これを試験管 12 に移す この試験管 12 が ph=12 の溶液である これで 100 倍に薄めたことになる 7 同じ要領で 1000 倍 倍 倍 (10 万倍 ) に薄めた溶液を作成する 8 以上の試験管を ph が 1~13 の順に並べる 12 青い焼きそば 赤い焼きそば焼きそばの麺には こしを持たせるために普通 かんすい ( 成分 : 炭酸カリウム 炭酸ナトリウム ) が含まれている このかんすいはアルカリ性なので ムラサキキャベツ入り焼きそばを作れば アントシアニンにより 麺は青緑色になる また ターメリックをかけたカレー焼きそばにすれば クルクミンにより うすい赤色の焼きそばになる 12 色が消えるのり色が消えるのりは その中に ph で色変化する色素 ( アルカリ性で青色 それ以外では無色 ) が入れられている のりの状態ではアルカリ性で青色になっているが 紙に塗った後 空気中の二酸化炭素と反応して 中性となり色が消えていく

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