　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2007/05/23

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まいええんの
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1 日本生気象学会会員各位 2007/05/23 日常生活における熱中症予防指針 ( 案 ) の公表について熱中症予防研究委員会世話人稲葉裕 ( 順天堂大学医学部 ) 朝山正己 ( 中京女子大学健康科学部 ) 冠省昨年 (2006 年 5 月 ) の幹事会で設置が認められました熱中症予防研究委員会はその後 4 回の会合を開催し不十分ながら別紙の日常生活における熱中症予防指針 ( 案 ) をまとめることができました ( 次ページ以下ご覧下さい ) 本年度第 1 回幹事会での検討の結果これをたたき台として学会内外に意見をもとめ 11 月の幹事会評議員会総会での検討を通して学会の指針として確立させたいと願っておりますこれから約半年間いろいろな会合や書物などに公表していきますので会員の方々の建設的なご意見をお待ちしていますご意見は世話人の稲葉 (yinaba@med.juntendo.ac.jp ) または朝山 (asayama@chujo-u.ac.jp) までメールでお願いいたします. 尚, 直近の会合として下記のものが準備されておりますお時間の許す方は是非ご出席下さい草々記日時 :2007 年 6 月 30 日 ( 土 ) 午後 1 時 ~3 時場所 : 立正大学大崎キャンパス会議室内容 : 1. 日常生活における熱中症予防指針 ( 案 ) のできるまで ( 稲葉裕 ) 2. 熱中症の概念について ( 森本武利 ) 3. 日常生活における熱中症予防指針 ( 案 ) の内容説明 ( 星秋夫 ) 4. 質疑応答入場無料日本生気象学会バイオクリマ研究会共催以上

2 日常生活における熱中症予防指針 ( 案 )2007 年 5 月 21 日修正版日本生気象学会熱中症予防研究委員会 1. はじめにわが国においては,TV やラジオ等のマスメデイアの天気予報や日本気象協会の熱中症予防情報, あるいは環境省の熱中症保健指導マニュアルや熱中症予防情報サイト等において, 熱中症予防のための情報が提供がされているこれらいずれの予防情報においても, どの程度の環境温でどのように運動したらよいかを示した日本体育協会の熱中症予防のための運動指針が, そのまま各予報システムに用いられている熱中症はスポーツ活動や労働作業時だけでなく, 日常の生活活動時にも多く発生しているまた, 高齢者での発生も少なくないしかし, 日常生活場面での熱中症発生を予測評価しうる指針はわが国には無いのが現状であるこのような背景から, 日本生気象学会では 2006 年に新たな熱中症予防指針を確立すべく熱中症予防研究委員会を発足した委員会は生理学, 衛生学, 健康学, 体育学, 気象学, 建築学などの学際領域からなる委員によって構成され, 熱中症予防指針についての議論を重ねてきたその成果としてわが国の熱中症発生の実態に即した新たな熱中症予防指針である日常生活の熱中症予防指針 ( 案 )( 以下指針案 ) を作成した日本生気象学会幹事会で検討の結果 11 月の評議員会総会までに学会内外の意見を求め最終的な指針とすることを条件として広く一般に公開することとした 2. 指針案の骨子熱中症発症には温度, 湿度, 気温, 輻射熱などの温熱環境因子, 性, 年齢, 既住歴や健康状態などの個体因子, さらには運動, 労働, 日常生活活動など様々な要因が作用する従って, 予防指針を策定するにあたってこれらの要因を考慮した予防指針づくりをする必要があるが, 発症要因が複雑多岐にわたることからこれは実に困難なことである本委員会では, 生活活動強度を生活活動水準, また温度基準は WBGT(Wet-bulb globe temperature index, 湿球黒球温度指標 ) を採用し, その温度レベルによって危険 (31 ~), 厳重警戒 (28~31 ), 警戒 (25~28 ), 注意 (~25 ) の 4 段階に分けた生活活動水準については, 注意すべき生活活動としてすべての活動, 中等度以上の生活活動, 強い生活活動の 3 つに分けたまた,4 つのそれぞれの温度基準域には注意事項を設けて, 熱中症予防の注意事項を挙げた

3 そして, さらに具体的な対応に役立てるために付表 1 注意すべき生活活動水準の目安付表 2 水分塩分補給の目安付表 3 ハイリスク者への対応を添付した日常生活における熱中症予防指針温度基準 (WBGT) 危険 (31 ~) 厳重警戒 (28~31 ) 注意すべき生活活動の目安すべての生活活動で発生する危険注意事項高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい外出はなるべく避け, 涼しい室内に移動する外出時は炎天下を避け, 室内では室温の上昇に注意する警戒 (25~28 ) 中等度以上の生活活動で発生する危険運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる注意 (~25 ) 強い生活活動で発生する危険発生する危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある ( ここでの WBGT はその日の最高気温時の気温と湿度から推定されるものである )

4 軽い (RMR:~2.5) (METs:~3.0) (kcal/h:~250) 休息談話教養食事身の回り楽器演奏裁縫 ( 縫い, ミシンかけ ) 自動車運転机上事務乗物 ( 電車バス立位 ) 洗濯手洗い, 洗顔歯磨き炊事 ( 料理かたづけ ) 買い物掃除 ( 電気掃除機 ) 散歩 / 分速 60~70m 家庭菜園, 草むしり体操 ( 軽め ) 入浴ゲートボール付表 1 注意すべき生活活動水準の目安中等度 (RMR:2.5~6.0) (METs:3.0~6.0) (kcal/h:250~490) 自転車 ( 平地 ) 時速 10~15km 歩行 / 分速 80~100m 掃除 ( はくふく ) 布団あげおろし体操 ( 強め ) 階段昇降ウオーキング床磨き / 分速 100~120m 垣根の刈り込み芝刈りゴルフ野球強い (RMR:6.0~) (METs:6.0~) (kcal/h:490~) ジョギングサッカーテニス自転車 ( 登り ) リズム体操卓球バドミントン登山剣道水泳 ( 平泳 ) 時速 10km バスケットボール縄跳びマラソン野球やゴルフ, ゲートボールは活動強度は低いが運動時間が長いので要注意 RMR(Relative metabolic rate): エネルギー代謝率と呼ばれ, 労働の作業強度を評価するものであり, 活動に要したエネルギー量の基礎代謝量に対する比率を表わすわが国で長い間用いられてきた指標である METS(Metabolic equivalent): 代謝当量と呼ばれ, アメリカスポーツ医学会が 1975 年に用いたことに始まる運動強度の尺度である全エネルギーの安静時代謝量に対する比率を表し, 現在では,METS による表示が主に用いられている kcal/h:1 時間あたりの消費エネルギー量

5 付表 2 水分塩分補給の目安 1. 就寝前, 起床時, 入浴前後に補給 : 睡眠時, 入浴時にも発汗する就寝前, 起床時, 入浴前後にコップ一杯 ( 約 200ml) の水分を補給する 2. 乾く前に補給 : コップ半分程度の水分を定期的 (1 時間程度 ) に補給するのどの渇きを感じる前に水分補給を心掛ける特に高齢者は口喝感等の感覚が衰えており, 十分に注意する必要がある 3. 運動時や作業時の補給 : 多量に発汗する運動時や作業時には他の補給ポイントよりも塩分補給が重要である 0.2% 程度の塩分を含む水分を補給するよう心掛ける作業前 : コップ 1~2 杯程度の水分塩分を補給する作業中 : コップ半分 ~1 杯程度の水分塩分を 20~30 分ごとに補給する作業後 :30 分以内に水分塩分を補給する 4. 飲酒時の補給 : アルコールは利尿作用が強く, 飲酒量以上の水分を排泄するので, 飲酒後は, 水分を十分に補給する 5. 空調装置使用時の補給 : 室内は空気が乾燥することから, 気がつかないうちに脱水が生じるこまめに水分を補給する

6 付表 3 ハイリスク者への対応以下の 1~9 に該当する場合は熱中症を発症しやすい ( ハイリスク者 ) ため, 特に注意が必要であり, 温度基準 1 段階上の区分を適用する 1. 乳幼児の場合, 自動車内放置事故など保護者の不注意等の要因によって多く発症する 2. 幼児学童は体温調節機能が未発達であり, 適切な水分塩分の補給は保護者によって行われるため保護者の対応が不適切になると発症しやすい歳以上の高齢者, 特に 75 歳以上の後期高齢者は発汗能や口渇感等, 体温調節機能が低下するため発症しやすい 4. 肥満者は, より体温が上昇しやすい傾向にあるため, 熱中症を発症しやすい 5. 仕事や運動 ( スポーツ ) に無理をしすぎる人, 頑張りすぎる人は熱中症を発症しやすい 6. 基礎疾患 ( 高血圧, 心疾患, 慢性肺疾患, 肝臓病, 腎臓病, 内分泌疾患など ) のある人, 寝たきりの人熱中症の発症を助長する以下のような薬を服用している人抗コリン作用のある薬 ( 鎮痙薬 *, 頻尿治療薬 *, パーキンソン病治療薬 *, 抗ヒスタミン薬, 抗てんかん薬, 睡眠薬抗不安薬, 自律神経調節薬, 抗うつ薬,β 遮断薬, ある種の抗不整脈薬, 麻薬 ) は発汗抑制を来たす可能性がある利尿剤は脱水を来たしやすい興奮剤覚せい剤は代謝を亢進させる多くの抗精神病薬 * は体温調節中枢を抑制する可能性がある * 医薬品添付文書に, 発汗( あるいは体温調節中枢 ) が抑制されるため, 高温環境では体温が上昇するおそれがあるとの記載のあるもの 7. 農作業, 安全対策作業等で厚着, 安全服等で全身を覆う場合 8. 平均気温の低い地域 6 月以前, 日常生活で高温暴露の経験が少ない場合, 旅行や移動 ( 涼しい場所から高温の場所 ) および気象変化などで急激に高温となった場合 9. 発熱, 下痢, 二日酔い等, 体調不良時

7 3. 用語について暑さによる障害に関し, 最近では熱中症が定着しているしたがって生気象学会では, 皮膚の障害などを除外した暑熱障害(heat disorder) を熱中症とする熱中症をこのように使用するに伴い, 生気象学の事典 ( 朝倉書店 1992) においては,heatstroke の訳語として用いている熱中症または熱射病を, 熱射病に統一する 4. 日常生活における熱中症予防指針の説明 1) 温度環境の指標本予防指針は, あらかじめの熱中症発生を予防するために用いるものである日最高気温は暑さ寒さの環境条件を表す指標として最もわかりやすいことから, 気象予報では日最高気温の予報が一般的に行われているしたがって, 最寄りの気象台, あるいは測候所における日最高気温を指標として用いることは利用者にとってもわかりやすいと考えられるしかし, すでに先行研究でも明らかなように,WBGT との関係の方が熱中症による死亡者数や救急患者搬送数との相関が高くある程度地域差の影響を削除できることが証明されていることから, 本指針では WBGT を用いることにしたなお,WBGT 値 ( ) は屋外 :WBGT=0.7 湿球温度 +0.2 黒球温度 +0.1 乾球温度屋内 :WBGT=0.7 湿球温度 +0.3 黒球温度で計算されるしかし, 通常黒球温度は, 測定されることがないため, 気温や湿度等から WBGT 値を推定することができる WBGT と乾球温度, 湿球温度との関係はおおよそ以下のようになる

8 WBGT( ) 乾球温度 ( ) 湿球温度 ( ) 31~ 35~ 27~ 28~31 31~35 24~27 25~28 28~31 21~24 ~25 ~28 ~21 相対湿度 ( % ) 気温 ( ) 危険 31 ~ 厳重警戒 28~ 31 警戒 25~ 28 注意 ~ 25 図 1. WBGT と気温, 湿度との関係 WBGT は気温が低くても湿度が高ければ高値を示すしたがって, 一般の人にもわかりやすいように,WBGT と気温, 相対湿度との関係を図 1 に示した各項目中の値は WBGT 値を示す気温や相対湿度の変化によって WBGT が変化することがわかりやすいように, 予防指針の危険は赤色, 厳重警戒はオレンジ色, 警戒は黄色, 注意は白色で示した 2) 注意すべき生活活動水準の目安各温度基準域における注意すべき生活活動水準の目安を付表 1に示した軽い活動水準は RMR:~2.5,METs:~3.0,kcal/h:~250, 中等度の活動水準は RMR:2.5~6.0,METs:3.0 ~6.0,kcal/h:250~490, 強い活動水準は RMR:6.0~,METs:6.0~,kcal/h:490~に相当する以上のように生活活動水準を強度別に区分したが, 熱中症の発生は作業強度だけでなく, 作業時間によっても大きく影響されるしたがって, 運動や労作をする場合, 軽い活動水

9 準であっても, 定期的に休息を取り入れ, 水分を補給する必要がある 3) 水分塩分補給の目安水分塩分の補給は熱中症予防対策の基本であるので, 水分塩分補給の目安として付表 2とした水分を補給する際には塩分も同時に補給する必要がある (0.2% 程度の塩分を含む水分 ) これは汗に水分の他塩分も含まれるためであるまた, 水分の補給量は体重減少量の 7~8 割程度が目安となる体重の 2% 以上の脱水を起こさないよう注意する 4) ハイリスク者への対応付表 3の 1~9 に該当する場合は熱中症を発症しやすい ( ハイリスク者 ) ため, 特に注意が必要であり, 温度基準 1 段階上の区分を適用する 5. 日本体育協会熱中症予防運動指針との比較表 2 に日本体育協会熱中症予防運動指針と日本生気象学会日常生活の熱中症予防指針とを比較したものを示した日本体育協会熱中症予防運動指針の基準温度区分は熱中症発生予報に利用され, 広く周知されていることを鑑み, 日本生気象学会日常生活の熱中症予防指針においても基準区分はそのまま用いた表 2. 日本体育協会熱中症予防運動指針との比較日本体育協会熱中症予防運動指針 (1994, 2006) 運動は原則中止厳重警戒 ( 激しい運動は中止 ) 警戒 WBGT ( ) ( 積極的に休息 ) 25~28 注意 ( 積極的に水分補給 ) ほぼ安全 ( 適宜水分補給 ) 日本生気象学会日常生活の熱中症予防指針 (2007) 31 ~ 危険 28~31 厳重警戒 21~25 警戒 ~21 注意しかしながら, 熱中症予防運動指針における運動は原則中止は日常生活時の表現としては実情にそぐわないことから, 日常生活の熱中症予防指針では危険へと変更した厳重警戒, 警戒はそのまま用いた熱中症予防運動指針では,21 未満をほぼ安全として区分されているが, 日常生活時においては,21 未満が対象になること

10 は考えにくいことしかし自動車内の閉じ込めによる事件など特殊の場合があることなどからほぼ安全を削除して, 注意を 25 未満へと変更した日本生気象学会熱中症予防研究委員会委員朝山正己 ( 中京女子大学健康科学部健康スポーツ科学科 ) 井川正治 ( 日本体育大学 ) 稲葉裕 ( 順天堂大学医学部衛生学講座 ) 入來正躬 ( 医療法人向陽会ひかりの里クリニック ) 宇野忠 ( 山梨県環境科学研究所 ) 大野秀夫 ( 椙山女学園大学 ) 河端隆志 ( 大阪市立大学 ) 桑原浩平 ( 北海道大学 ) 菅原正志 ( 長崎大学 ) 田中英登 ( 横浜国立大学 ) 中井誠一 ( 京都女子大学家政学部食物栄養学科 ) 中出高明 ( 滋賀県草津市役所 ) 西川健太 ( 滋賀県草津市役所 ) 平下政美 ( 金城大学 ) 水越祐一 (( 財 ) 日本気象協会関西支社 ) 森本武利 ( 京都府立医科大学名誉教授 ) 寄本明 ( 滋賀県立大学 ) 花輪啓一 ( 小樽商科大学 ) 丸山博 ( 京都電子工業株式会社 ) 岸本孝志 ( 株式会社きんでん京都研究所 ) 吉野正敏 ( 筑波大学名誉教授 ) 山口隆子 ( 東京都環境局都市地球環境部 ) 山本享 ( いであ株式会社バイオクリマ事業部 ) 小野雅司 ( 国立環境研究所 ) 小野寺福司 ( 工一アンドデイ ) 松原斎樹 ( 京都府立大学人問環境学部環境デザイン学科 ) 松本孝朗 ( 中京大学体育学部運動生理 ) 星秋夫 ( 日本歯科大学共同利用研究センター ) 石川勝敏 ( ライフビジネスウェザー ) 登内道彦 ( 気象業務支援センター )

11 梅宮典子 ( 大阪市立大学大学院工学研究科 ) 本田靖 ( 筑波大学 ) 野本茂樹 (( 財 ) 東京都高齢者研究福祉振興財団 ) 齋藤輝幸 ( 名古屋大学 ) 芳田哲也 ( 京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科 )

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