福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 用語の定義花粉飛散に関する用語の定義は ( 財 ) 日本アレルギー協会の 空中花粉測定および花粉情報標準化委員会 ( 平成 6 年 ) 合意事項 に基づく ( 表 1) 表 1 用語の定義 飛散開始日 飛散終了日 花粉飛散ランク基

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1 調査研究 県内スギ ヒノキ花粉の飛散予測および情報提供に関する研究 高岡大 酒井忠彰 泉宏導 花粉情報提供システム推進チーム Survey Research on Forecast and Information of Airborne Cryptomeria Japonica and Cupressaceae Pollen in Fukui Prefecture Dai TAKAOKA, Tadaaki SAKAI, Hiromichi IZUMI, Propulsive team of Pollen Information 当センターでは平成 19 年から福井および敦賀においてスギ ヒノキ花粉飛散数の観測を行っており 本研究ではこれらのデータを活用して花粉の飛散開始日や翌日の日飛散数予測を実施した 飛散開始日の予測は日最高気温の累積値を過去の測定データと照らし合わせて行い 差はすべて 2 日以内に収まり 予測精度は非常に高かった 日飛散数については シグモイド関数を基にベースとなる数値を算出し 予測日の気象条件を数値化した式で補正して予測した 日飛散数予測のシーズンを通した適中率は 60%~83% とあまり高いとは言えず 現行の手法では正確な予測情報を得ることは難しいと考えられる 1. はじめに スギ花粉症については 1963 年に堀口らにより最初の報告 1) がなされて以来 様々な調査研究が実施されているが ヒノキ花粉やブタクサ花粉なども含めた花粉症全般の患者数は未だに多く 社会的 経済的な損失が大きいことからその有用な対処法が強く望まれている また スギおよびヒノキ樹は 優れた加工性や成長速度の早さから戦災復興や経済発展の需要に伴い人工林の造成面積が拡大した経緯があり 現在の花粉症患者数増加の要因となっている スギは樹齢が 25 年を越える頃から花粉量が増加し 30 年を超えると花粉の多い状態がその後数十年に渡って継続すると言われている 2) そこで本研究では 当センターが平成 19 年から実施しているスギ ヒノキ花粉飛散数の測定データを基に花粉の飛散開始日や翌日の日飛散数予測の情報を提供し 以って県民の健康維持に資することを目的とした 2. 方法 2.1 花粉飛散観測 捕集装置自動交換機構を備えたダーラム型 ( 重力法 ) 捕集装置にワセリンを塗布した格子線入りスライドガラスを装着し 自然落下してくる花粉を捕集した 装置の外観および機構の概要を図 1 に示す 正面側面機構 調査地点花粉の捕集は 嶺北地域として衛生環境研究センター屋上 ( 以下 福井地点 という ) 嶺南地域として二州健康福祉センター屋上 ( 以下 敦賀地点 という ) の 2 地点で実施した ( 図 2) なお 敦賀地点の調査については二州健康福祉センター衛生検査課が実施した 嶺南地域 2 1 嶺北地域 1 福井地点 : 福井市原目町 敦賀地点 : 敦賀市開町 6-4 図 2 調査地点 調査期間調査実施期間は 平成 19 年から 27 年までの毎年 1 月下旬 ~ ヒノキ花粉の飛散終了日までとし 1 日の捕集時間は午前 9 時 ~ 翌日午前 9 時までの 24 時間とした 飛散数測定捕集した花粉は 0.1% ゲシチアナバイオレットエタノール溶液で染色し 光学顕微鏡 (OLYMPUS BX41) で個数を計測した ( 図 3) 検鏡においては スライドガラス上の 18mm 四方 (3.24cm 2 ) に付着している花粉を スギ ヒノキ その他に分類して計測し 1cm 2 あたりの数値に換算した ( 花粉飛散数 = 計測数 /3.24cm 2 ) 7 3 スギ花粉 ヒノキ花粉 図 1 花粉捕集装置の外観および機構の概要 図 3 スギ ヒノキ花粉の顕微鏡写真 -41-

2 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 用語の定義花粉飛散に関する用語の定義は ( 財 ) 日本アレルギー協会の 空中花粉測定および花粉情報標準化委員会 ( 平成 6 年 ) 合意事項 に基づく ( 表 1) 表 1 用語の定義 飛散開始日 飛散終了日 花粉飛散ランク基準 (4 段階 ) 1 月 1 日より初めて連続 2 日以上 1 個 /cm 2 以上を観測した最初の日 花粉飛散終了期に 3 日間連続して 0 個が続いた最初の日の前日 少 な い 1 平方 cm あたり 10 個未満 や や 多 い 同 10~30 個未満 多 い 同 30~50 個未満 非常に多い 同 50 個以上 2.2 花粉飛散予測 飛散開始日スギ花粉の飛散開始日については 先行研究で日最高気温の累積値との関連性が報告されている 3 4) ことから 本研究でもこれに準拠することとした また特に気温積算の起点日については 各観測年の飛散開始日の日最高気温累積値を平均し この気温に相当する各観測年の日と実際の飛散開始日の標準偏差が最小となる日に設定した 5) 起点日設定方法の詳細を以下に示す 変数 A: 起点日 [day] 変数 Bi: 各シーズン i における変数 Aから飛散開始実測日までの最高気温累積値 [ ] (i: 年度 H19~H26) 変数 C: 変数 B19 ~B26 平均値 [ ] 変数 Di: 各シーズン i における変数 Aから飛散開始実測日までの日数 [day] 変数 Ei: 各シーズン i における変数 Aからの最高気温累積値が変数 C を越えた日までの日数 [day] 変数 F: 変数 [D19-E19]~ 変数 [D26-E26] の標準偏差 [day] 操作 : 変数 A を前年 11/1~ 翌年 2/9( 過去最も早い飛散開始日 ) の間で変えていき 変数 F が最小となったときの変数 A を最適な起点日とする上記の手法で求められた最適な起点日と飛散開始日の日最高気温累積値は それぞれ福井地点が 1/21, 敦賀地点が 1/16, であった 日飛散数 1 日の間に飛散する花粉の数 ( 日飛散数 ) の推移パターンは 日最高気温の累積値を変数とした次式のシグモイド関数 ( 図 4) で近似でき 6) 予測日とその前日の相対比の差から基本日飛散数を求めた <シグモイド関数 > Y=100 exp { a exp ( b T ) } Y: 花粉日飛散数の累積値の相対比 ( 総飛散数比 ) T: 日最高気温の累積値 (T の起点日は で求めた日 ) a,b: 定数 < 基本日飛散数算定式 > 基本日飛散数 = { Y(T1)-Y(T2) } M T1: 予測日までの日最高気温の累積値 T2: 予測日前日までの日最高気温の累積値 M: シーズン中の総飛散数 なお シグモイド関数中の定数 a,b については 予測の度に Microsoft Excel ソフトのソルバー機能を用いて最小二乗法により求めた 図 4 H25 福井の花粉飛散数の相対比と累積気温の関係 ( シグモイド関数 ) 総飛散数スギ ヒノキそれぞれのシーズン中の総飛散数は 環境省が毎年公表している福井市の予測平年値比 7) に福井地点または敦賀地点の平年値を乗じて求めた ただし 日最高気温の累積値が相対比 50% 推定値を越えた時点で その時までの花粉日飛散数の累積値 ( 実測値 ) の 2 倍量を総飛散数とした なお 50% 推定値は 平成 19 年から 26 年までの で求めた起点日から花粉日飛散数の累積値の相対比が 50% を超えた日までの日最高気温の累積値の平均から求めた 補正式日々の花粉飛散数は天気が良く暖かい日に多くなるとされており 6 8) またスギ林の分布と風向も影響することが分かっている 5) このことから で求めた基本日飛散数を予測日の気象条件等で補正する式を求めた 補正式の導出に当たっては 日飛散数の実測値と予測値の相対比 ( 次式 ) と降雨の有無 降水量 風向 風速 日照時間を重回帰解析して求めた なお 補正式はスギ花粉についてのみ導出し ヒノキ花粉については飛散数が比較的少ないことと 重回帰解析によって相関が高い式が得られなかったことから補正を行わないこととした < 実測値と予測値の相対比 > 相対比 = ( 実測値 - 予測値 )/ 予測値 < 補正式 > ( 福井地点 ) = X X X X1: 降雨の有無 (0.5mm 以上の降雨ありで 1 なしで 0) X2: 平均風速 ( 予測日の午前 9 時 ~ 翌日午前 0 時 ) X3: 北風頻度 ( 予測日の午前 9 時 ~ 翌日午前 0 時 ) ( 敦賀地点 ) = X X X X1: 日照時間 X2: 南風頻度 X3: 降雨の有無 福井地点および敦賀地点いずれも係数は平成 19 年 ~ 25 年までのデータを基準としている 気象データの取得予測に必要な日最高気温や翌日の気象条件等のデータは気象庁のホームページ 9) から取得した 特に翌日の気象予測は 予測日前日の午後 5 時時点での地域時系列予報を -42-

3 参考とした また 補正式を導出する際に用いた風向 風速のデータは 大気汚染常時監視測定局のセンター局および敦賀局での測定値とした 2.3 花粉情報の提供 2.2 で求めた花粉飛散予測の情報は 当センターのホームページに特設ページを設け 県民に公開した 図 5 にそのトップページを示す また 当該ホームページでは予測情報の他に 過去の実測値や花粉に関する基礎知識 花粉症の予防法に関する情報等を併せて掲載した なお 日飛散数の予測情報はスギ ヒノキ花粉の合計値とした 図 5 花粉情報ホームページ 3. 結果 3.1 花粉飛散観測結果福井地点および敦賀地点における平成 19 年から 27 年までの花粉飛散の観測結果を表 2 に示す また特にスギおよびヒノキ花粉のシーズンごとの総飛散数の推移を図 6 に示す 福井地点のスギ花粉飛散数は平成 21, 23, 25 年の奇数年に 5,000 個 /cm 2 を超え 平成 22, 24, 26 年の偶数年には 800 個 /cm 2 未満となっており 飛散数が多い年と少ない年を交互に繰り返す表年裏年の関係 10) が見られた ただし 平成 19, 20, 27 年のように必ずしもこのような隔年変動に適合しない年も見られた またヒノキ花粉についてはスギ花粉に比べて飛散数そのものが少ないことから 隔年変動の明瞭な傾向は確認できなかった 予測日と実測日の差はすべて 2 日以内に収まっており 予測精度は非常に高かった 表 3 スギ花粉飛散開始日の予測と実測 福井地点 敦賀地点 シース ン 予測 実測 予測 実測 H25 2/27 2/28 2/27 2/27 H26 2/27 2/26 2/26 2/25 H27 2/24 2/23 2/23 2/ 日飛散数福井地点および敦賀地点における平成 25 年から 27 年までの日飛散数の予測結果を表 4 に示す また 概要としてシーズンを通じた予測の適中率を表 5 に示す 平成 25 年は福井地点 敦賀地点ともに 76~83% と適中率は比較的高かったが 平成 26, 27 年の適中率は 60~71% と低かった 花粉飛散ランク基準では やや多い および 多い と予測した場合の適中率が低く これらの出現頻度が高い程 シーズン通しての適中率が低くなる傾向が見られた ( 表 5, 6) やや多い および 多い の出現頻度が高かったのは 総飛散数が平年値以下である平成 26,27 年であったことから 総飛散数の少ない年には適中率が低くなると言える また 総飛散数の予測値を算出する際に用いた環境省の予測値と実測値の差が大きい程 予測の適中率は低下する傾向にあった ( 表 5, 7) 今回用いた予測手法では 90% 以上の高い精度を得ることは困難であると考えられ 特に総飛散数が平年値以下のシーズンへの対応に問題があると考えられる 表 5 日飛散数予測の適中率と総飛散数 適中率 総飛散数 [ 個 / cm 2 ] シース ン 福井地点 敦賀地点 福井地点 敦賀地点 H25 76 % 83 % 5,916 6,902 H26 60 % 71 % H27 66 % 71 % 3,147 1,520 H19-27 平均 - - 3,503 2,771 表 6 花粉飛散ランク基準ごとの予測適中率 適中率 ( 予測回数 ) シース ン 少ない やや多い 多い 非常に多い H25 93 %(43 回 ) 30 %(10 回 ) 50 %(2 回 ) 80 %(25 回 ) H26 89 %(56 回 ) 28 %(18 回 ) 27 %(11 回 ) 0 %(3 回 ) H27 87 %(57 回 ) 26 %(19 回 ) 50 %(6 回 ) 50 %(10 回 ) 表 7 環境省のスギ ヒノキ総飛散数予測値と実測値 ( 福井地点 ) シース ン 環境省予測値 [ 個 / cm 2 ] 実測値 [ 個 / cm 2 ] 差の割合 H25 7,070 5, % H26 3, % H27 5,676 3, % 図 6 総飛散数の推移 3.2 花粉飛散予測結果 飛散開始日福井地点と敦賀地点それぞれについて 平成 25 年から 27 年のスギ花粉飛散開始日を予測した結果を表 3 に示す 4. まとめ 平成 19 年から 27 年まで福井地点および敦賀地点においてスギ ヒノキ花粉の飛散数を観測し これらのデータを用いて平成 25 年から 27 年の 3 年間 飛散開始日と日飛散数の予測を行い その情報をホームページで県民に提供 -43-

4 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) した 予測の結果は 飛散開始日については精度が非常に高かったが 日飛散数については高いとは言えず 現行の手法では正確な予測情報を得ることは難しいと考えられる 謝辞 花粉飛散数の測定にご協力いただきました 二州健康福祉センター衛生検査課に深謝いたします 参考文献 1) 堀口申作 : 栃木県日光地方におけるスギ花粉症 Japanese Cedar Pollinosis の発見, アレルギー 13(5), 370 (1964) 2) 新田裕史 : 我が国における花粉症対策の展望, 科学技術動向 (Science & Technology Trends) 59, (2006) 3) 安田京 : 降雪地帯におけるスギ花粉飛散状況とその予測 - 弘前市における検討 -, 日本耳鼻咽喉科学会会報 106(2), (2003) 4) 松原篤 : 降雪地域におけるスギ花粉飛散開始日の予測, 耳鼻と臨床 51(3), (2005) 5) 酒井忠彰 : 福井県におけるスギ ヒノキ花粉の飛散観測, 日本海地域の自然と環境 (Science & Technology Trends) 20, (2013) 6) 図子光太郎 : 気象予報を用いたスギ花粉の日飛散量予測, 富山県林業技術センタ - 研究報告 15, (2002) 7) 環境省ホームページ : 花粉情報サイトより 8) 環境省 : 花粉症環境保健マニュアル 年 1 月改訂版 - 9) 気象庁ホームページ : 過去の気象データ検索より 10) 高橋祐一 : 気象変動がスギ花粉飛散数に及ぼす影響の予測, 日本花粉学会第 37 回大会講演要旨集 34 (1996) -44-

5 表 2 花粉飛散観測結果 (H19~H27) スギ花粉福井地点 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 測定開始日 1 月 25 日 1 月 24 日 1 月 26 日 2 月 1 日 2 月 14 日 1 月 30 日 1 月 28 日 1 月 27 日 1 月 26 日 花粉初観測日 2 月 16 日 2 月 16 日 2 月 10 日 2 月 2 日 2 月 14 日 2 月 12 日 1 月 31 日 1 月 30 日 2 月 7 日 花粉飛散開始日 2 月 16 日 3 月 7 日 2 月 14 日 2 月 23 日 2 月 25 日 3 月 6 日 2 月 28 日 2 月 26 日 2 月 23 日 飛散ピーク日 3 月 2 日 3 月 18 日 3 月 5 日 3 月 8 日 3 月 20 日 3 月 29 日 3 月 9 日 3 月 17 日 3 月 17 日 花粉飛散終了日 4 月 15 日 4 月 9 日 4 月 5 日 3 月 31 日 5 月 11 日 4 月 28 日 4 月 15 日 4 月 26 日 4 月 24 日 飛散期間 [ 日 ] 花粉総飛散数 [ 個 /cm 2 ] 3,245 3,363 5, , , ,050.2 H19~27 の平均値 3,152.1 敦賀地点 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 測定開始日 1 月 25 日 1 月 24 日 1 月 26 日 1 月 29 日 2 月 7 日 1 月 30 日 1 月 28 日 1 月 27 日 1 月 26 日 花粉初観測日 2 月 6 日 1 月 24 日 1 月 29 日 2 月 21 日 2 月 20 日 2 月 17 日 1 月 30 日 1 月 29 日 2 月 11 日 花粉飛散開始日 2 月 9 日 3 月 7 日 2 月 11 日 2 月 24 日 2 月 25 日 3 月 6 日 2 月 27 日 2 月 25 日 2 月 25 日 飛散ピーク日 3 月 2 日 3 月 13 日 3 月 5 日 3 月 8 日 3 月 13 日 3 月 16 日 3 月 9 日 3 月 17 日 3 月 17 日 花粉飛散終了日 4 月 12 日 4 月 15 日 4 月 15 日 3 月 26 日 5 月 7 日 4 月 25 日 5 月 2 日 4 月 21 日 4 月 16 日 飛散期間 [ 日 ] 花粉総飛散数 [ 個 /cm 2 ] 3,123 1,517 3, , , ,299.1 H19~27 の平均値 2,110.5 ヒノキ花粉福井地点 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 花粉初観測日 4 月 6 日 3 月 27 日 3 月 19 日 3 月 19 日 3 月 29 日 3 月 29 日 2 月 27 日 3 月 21 日 3 月 6 日 花粉飛散開始日 4 月 6 日 3 月下旬 3 月 19 日 4 月 5 日 3 月 29 日 4 月 2 日 3 月 21 日 3 月 24 日 3 月 21 日 飛散ピーク日 4 月 6 日 5 月 1 日 4 月 10 日 5 月 5 日 4 月 14 日 4 月 12 日 4 月 9 日 3 月 29 日 4 月 4 日 花粉飛散終了日 4 月 22 日 5 月 1 日 4 月 23 日 5 月 10 日 5 月 15 日 5 月 1 日 4 月 30 日 4 月 26 日 4 月 24 日 飛散期間 [ 日 ] 花粉総飛散数 [ 個 /cm 2 ] , H19~27 の平均値 敦賀地点 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 花粉初観測日 2 月 22 日 3 月 13 日 3 月 23 日 3 月 18 日 3 月 23 日 3 月 27 日 2 月 8 日 3 月 24 日 3 月 8 日 花粉飛散開始日 3 月 28 日 3 月 20 日 3 月 23 日 4 月 18 日 4 月 1 日 3 月 27 日 4 月 3 日 3 月 24 日 3 月 21 日 飛散ピーク日 4 月 20 日 4 月 13 日 4 月 11 日 4 月 19 日 4 月 15 日 4 月 15 日 4 月 5 日 3 月 24 日 4 月 12 日 花粉飛散終了日 5 月 15 日 5 月 4 日 4 月 30 日 5 月 13 日 5 月 9 日 5 月 5 日 4 月 29 日 4 月 30 日 5 月 3 日 飛散期間 [ 日 ] 花粉総飛散数 [ 個 /cm 2 ] , H19~27 の平均値

6 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 表 4 花粉日飛散数予測結果 (H25~H27) 適中 H25 H26 H27 月日 福井地点 敦賀地点 2 月 27 日 - 少ない 2 月 28 日 少ない 少ない 3 月 1 日 少ない 少ない 3 月 2 日 少ない 少ない 3 月 5 日 やや多い 多い 3 月 6 日 非常に多い非常に多い 3 月 7 日 非常に多い非常に多い 3 月 8 日 多い 非常に多い 3 月 9 日 非常に多い非常に多い 3 月 12 日 非常に多い非常に多い 3 月 13 日 非常に多い非常に多い 3 月 14 日 非常に多い非常に多い 3 月 15 日 非常に多い非常に多い 3 月 16 日 非常に多い非常に多い 3 月 19 日 非常に多い非常に多い 3 月 20 日 非常に多い非常に多い 3 月 22 日 非常に多い非常に多い 3 月 23 日 非常に多い非常に多い 3 月 26 日 やや多い やや多い 3 月 27 日 やや多い やや多い 3 月 28 日 少ない やや多い 3 月 29 日 やや多い やや多い 3 月 30 日 やや多い やや多い 4 月 2 日 少ない 少ない 4 月 3 日 少ない 少ない 4 月 4 日 少ない 少ない 4 月 5 日 少ない 少ない 4 月 6 日 少ない 少ない 4 月 9 日 少ない 少ない 4 月 10 日 少ない 少ない 4 月 11 日 少ない 少ない 4 月 12 日 少ない 少ない 4 月 13 日 少ない 少ない 4 月 16 日 少ない 少ない 4 月 17 日 - 少ない 4 月 18 日 - 少ない 4 月 19 日 - 少ない 4 月 20 日 - 少ない 4 月 21 日 - 少ない 4 月 22 日 - 少ない 4 月 23 日 - 少ない 4 月 24 日 - 少ない 4 月 25 日 - 少ない 4 月 26 日 - 少ない 4 月 27 日 - 少ない 4 月 28 日 - 少ない 4 月 29 日 - 少ない 適中率 76% 83% 月日 福井地点 敦賀地点 2 月 25 日 - 少ない 2 月 26 日 少ない 少ない 2 月 27 日 少ない 少ない 2 月 28 日 少ない 少ない 3 月 1 日 少ない 少ない 3 月 4 日 少ない やや多い 3 月 5 日 少ない 少ない 3 月 6 日 少ない 少ない 3 月 7 日 少ない 少ない 3 月 8 日 少ない 少ない 3 月 11 日 やや多い 多い 3 月 12 日 多い 非常に多い 3 月 13 日 やや多い 多い 3 月 14 日 少ない やや多い 3 月 15 日 多い 多い 3 月 18 日 多い 多い 3 月 19 日 多い 非常に多い 3 月 20 日 やや多い やや多い 3 月 21 日 やや多い 少ない 3 月 25 日 非常に多い 多い 3 月 26 日 やや多い やや多い 3 月 27 日 やや多い やや多い 3 月 28 日 多い 多い 3 月 29 日 やや多い やや多い 4 月 1 日 やや多い やや多い 4 月 2 日 やや多い やや多い 4 月 3 日 少ない やや多い 4 月 4 日 少ない 少ない 4 月 5 日 少ない 少ない 4 月 8 日 少ない 少ない 4 月 9 日 少ない 少ない 4 月 10 日 少ない 少ない 4 月 11 日 少ない 少ない 4 月 12 日 少ない 少ない 4 月 15 日 少ない 少ない 4 月 16 日 少ない 少ない 4 月 17 日 少ない 少ない 4 月 18 日 少ない 少ない 4 月 19 日 少ない 少ない 4 月 22 日 少ない 少ない 4 月 23 日 少ない 少ない 4 月 24 日 少ない 少ない 4 月 25 日 少ない 少ない 4 月 26 日 少ない 少ない 4 月 29 日 - 少ない 適中率 60% 71% 月日 福井地点 敦賀地点 2 月 24 日 少ない - 2 月 25 日 少ない 少ない 2 月 26 日 少ない 少ない 2 月 27 日 少ない 少ない 2 月 28 日 少ない 少ない 3 月 3 日 少ない 少ない 3 月 4 日 少ない 少ない 3 月 5 日 少ない 少ない 3 月 6 日 少ない やや多い 3 月 7 日 少ない 多い 3 月 10 日 やや多い やや多い 3 月 11 日 やや多い 少ない 3 月 12 日 やや多い やや多い 3 月 13 日 多い 多い 3 月 14 日 非常に多いやや多い 3 月 17 日 非常に多い非常に多い 3 月 18 日 非常に多い非常に多い 3 月 19 日 非常に多いやや多い 3 月 20 日 非常に多い 多い 3 月 21 日 非常に多い 多い 3 月 24 日 やや多い 少ない 3 月 25 日 やや多い 少ない 3 月 26 日 非常に多いやや多い 3 月 27 日 非常に多いやや多い 3 月 28 日 多い やや多い 3 月 31 日 やや多い やや多い 4 月 1 日 少ない やや多い 4 月 2 日 やや多い やや多い 4 月 3 日 少ない 少ない 4 月 4 日 少ない やや多い 4 月 7 日 少ない 少ない 4 月 8 日 少ない 少ない 4 月 9 日 少ない 少ない 4 月 10 日 少ない 少ない 4 月 11 日 少ない 少ない 4 月 14 日 少ない 少ない 4 月 15 日 少ない 少ない 4 月 16 日 少ない 少ない 4 月 17 日 少ない 少ない 4 月 18 日 少ない 少ない 4 月 21 日 少ない 少ない 4 月 22 日 少ない 少ない 4 月 23 日 少ない 少ない 4 月 24 日 少ない 少ない 4 月 25 日 - 少ない 4 月 28 日 - 少ない 4 月 29 日 - 少ない 5 月 1 日 - 少ない 5 月 2 日 - 少ない 適中率 66% 71% -46-

7 調査研究 浴槽水の過マンガン酸カリウム消費量に関する検討 酒井康行 山岸浩 青木保憲 Investigation on the potassium permanganate consumption of bath water Yasuyuki SAKAI, Hiroshi YAMAGISHI, Yasunori AOKI 過マンガン酸カリウム消費量の測定への影響について 県内温泉の泉質および成分量を調査したところ 影響を与え得る共存成分は塩化物イオンだけであることがわかった そこで 塩化物イオンのマスキング法を調べると 各試験法 (JIS 上水試験方法 ) で使用するマスキング剤の種類 添加方法および添加量が異なっていたので これらの比較検討をおこなった 県内入浴施設における実態調査では 対象とした 135 検体のほとんどは基準値以下であり 1 検体だけが超過したが これは薬湯であるため適用が除外されるものであった また 過マンガン酸カリウム消費量と紫外線吸光度および TOC を併行測定して相関性を調べたところ 紫外線吸光度との間には高い相関性が認められたが TOC との間には認められなかった その原因として 炭酸水素塩泉の場合には TOC が著しく高値となることが確認され 酸性化通気処理が正しくおこなわれなかったことがその原因と考えられた 1. はじめに 本県では 福井県公衆浴場基準条例施行規則および旅館業法施行細則によって入浴施設における浴槽水の水質基準を濁度 過マンガン酸カリウム消費量 大腸菌群数およびレジオネラ属菌数について定め 監視指導の一環として行政検査を実施している これまで 福井健康福祉センターが検査を担当してきたが 今般の組織改編によって福井健康福祉センターの担当部署が廃止され 平成 24 年度から検査業務が当所へ移管されることになったので 検査体制を整備する必要があった 過マンガン酸カリウム消費量は 有機物の汚染指標として用いられるものであり その検査にあたっては 公衆浴場における衛生等管理要領等の改正について ( 平成 15 年 2 月 14 日付け厚生労働省健康局長通知 ) の別添 1 公衆浴場における水質基準等に関する指針 によって 水質基準に関する省令 ( 平成 4 年厚生省令第 69 号 ) で定める検査方法 によることが示されている その概要は 硫酸酸性下で過マンガン酸カリウムを加え煮沸して被酸化性物質を酸化した後 当量のシュウ酸ナトリウムを加えて未反応の過マンガン酸カリウムを消失させ 過マンガン酸カリウムで逆滴定するものである 酸化還元反応を利用した本法は 水道水のように有機物以外の被酸化性物質をほとんど含まない試料に対しては 良好な結果が得られるが 海水や工場排水のように多量に含む試料に対しては 妨害を受けることが知られており 1,2,3) 浴槽水に適用した場合にも同様の影響が懸念された そこで 当所における浴槽水の検査体制を整備することを目的として 県内の温泉成分を調査したうえで 測定に影響のある物質を除去 ( マスキング ) して過マンガン酸カリウム消費量を測定する方法について検討をおこなった また 確立した試験法を用いて 県内入浴施設における実態調査をおこなったので その結果を報告する なお 実態調査に際しては 過マンガン酸カリウム消費量と同じく有機物の汚染指標として用いられる紫外線吸光度および TOC( 全有機炭素 ) を併行測定し 両者の比較検討もおこなったので併せて報告する 2. 実験方法 2.1 分析方法 過マンガン酸カリウム消費量水質基準に関する省令 ( 平成 15 年厚生労働省令第 101 号 ) によって 水質基準に関する省令 ( 平成 4 年厚生省令第 69 号 ) は廃止され 水質基準から過マンガン酸カリウム消費量は除外された したがって 過マンガンカリウム消費量の分析方法は 水質基準に関する省令の制定及び水道法施行規則の一部改正等並びに水道水質管理における留意事項について ( 平成 15 年 10 月 10 日付け厚生労働省健康局水道課長通知 ) の別添 4 水質管理目標設定項目の検査方法 による なお 上記の分析方法と公衆浴場における水質基準等に関する指針に規定していた水質基準に関する省令 ( 平成 4 年厚生省令第 69 号 ) で定める検査方法は 同一分析方法であることを確認している 紫外線吸光度上水試験方法 2) で定める検査方法による TOC 水質基準に関する省令 ( 平成 15 年厚生労働省令第 101 号 ) で定める検査方法による 2.2 試薬等 2mmol/L 過マンガン酸カリウム及び 5mmol/L シュウ酸ナトリウムは 和光純薬製の容量分析用を使用した 硫酸 塩酸 硝酸銀 塩化ナトリウムおよびラクトース一水和物は 和光純薬製の試薬特級を使用した TOC 標準液は 和光純薬製の水質試験用フタル酸水素カリウム標準液を使用した 分析に使用した精製水は アドバンテック製の CPW-200 で作成した 2.3 装置塩分濃度計 :( 株 ) 佐藤計量器製作所製 SK-5SⅡ イオンクロマトグラフ : 日本ダイオネクス ( 株 ) 製 DXi-500 TOC 計 :( 株 ) 島津製作所製 TOC-V ph メーター :( 株 ) 堀場製作所製 F

8 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 各装置の仕様または測定条件を表 1~ 表 3 に示す 表 1 SK-5SⅡの仕様 測定方式 導電率測定法 測定範囲 0.01~5.0% 測定精度 ±0.3 以内 ( 濃度範囲 0.00~2.0%) ±0.5 以内 ( 濃度範囲 2.0~5.0%) 分解能 0.01%( 濃度範囲 0.01~0.09%) 0.1%( 濃度範囲 0.1~5.0%) 表 2 DXi-500 の測定条件 カラム 陰イオン交換カラム (4mm i.d. 25cm) カラム温度 35 検出器 電気伝導度検出器 流速 1.0mL/min 溶離液 35mmol/L KOH 10650mg/L 中央値 394mg/L) が圧倒的に多く含まれていた (mg/l) (mg/l) 表 3 TOC-V の測定条件 IC 処理 酸性化通気処理法 注入量 150μL 酸添加 2N HCl を試料量の 1.5% 燃焼温度 680 通気時間 1.5min キャリア 空気 2.4 実態調査の試料県内の公衆浴場法または旅館業法の許可を受けた施設等入浴施設における浴槽水 135 検体 ( 平成 25 年 67 検体 平成 26 年 68 検体 ) を用いた 3. 結果および考察 3.1 県内温泉の温泉成分過マンガン酸カリウム消費量の測定に影響を及ぼすには 共存成分が酸化 還元能を有し かつ 多量に存在する必要がある そこで 温泉法に基づく温泉成分表を利用して 試料中に含まれる成分量を明らかにしたうえで それらの酸化 還元能を調べ 影響を及ぼす可能性があるかを評価した 表 4 県内温泉の泉質 泉質 温泉数 泉質 温泉数 塩化物泉 95 炭酸塩泉 19 単純温泉 21 放射能泉 8 硫酸塩泉 19 その他 9 調査結果を表 4 および図 1 に示す 福井県内では塩化物泉が 56% と最も多く 以下 単純温泉 12% 炭酸水素塩泉 11% 硫酸塩泉 11% 放射能泉 5% と続いた 日本国内では塩化物泉 27% 単純温泉 26% 硫黄泉 14% 炭酸水素塩泉 8% 放射能泉 8% 硫酸塩泉 7% 鉄泉 2% と報告 4) されていることから 塩化物泉の割合が高いことが本県の温泉の特徴であるとわかった 温泉成分量については 陽イオンではアルカリ金属イオンとアルカリ土類金属イオンが 陰イオンでは塩化物イオン 炭酸水素イオン 硫酸イオンが多かった 特に ナトリウムイオン ( 最大値 6789mg/L 中央値 434mg/L) と塩化物イオン ( 最大値 図 1 県内温泉の温泉成分量 ( 陽イオン 陰イオン ) 成分量の多かった各イオンの酸化 還元能を調べたところ 塩化物イオンは還元性 1,2,3) を有することで正の妨害を与え 硫酸イオンは酸化性 5,6,7) を有することで負の妨害を与え得ることがわかった ただし 温泉に含まれる硫酸イオンの量は 過マンガン酸カリウム消費量の測定過程で加える硫酸イオンの量と比べると十分に少ないことから 影響を及ぼす可能性は極めて低いと考えられた よって 主たる妨害物質は塩化物イオンだけであると結論付けた 県内では 塩化物泉の割合が高いので注意が必要である なお 県内温泉では特に問題とはならなかったが 鉄 (Ⅱ) イオン 亜硝酸塩および硫化物等も妨害を与えると報告 3) されており このほかにも塩化物イオンと同じハロゲン化物であるフッ化物イオン 臭化物イオン ヨウ化物イオンは還元剤として 硝酸イオンは酸化剤として働くことが知られている 5,6) したがって 試料の泉質または成分量によっては 妨害物質となることが想定されるので これらの情報を把握しておくことは正確に過マンガン酸カリウム消費量を測定するうえで必須であることがわかった 3.2 塩化物イオンのマスキング マスキングの方法塩化物イオンのマスキング法の検討をおこなった 一般に 塩化物イオンの除去には塩化銀沈殿法 すなわち塩化物イオンに銀イオンを添加し 塩化銀として析出沈殿させることで試料中から除去する方法が用いられる 本法が採用されている各試験法 ( 工場排水試験法 JIS K0102(2013) -48-

9 ( 以下 JIS 1) ) 上水試験方法 2011 年版 理化学編 ( 以下 上水試験方法 2) ) を見比べると JIS では 200g/L の硝酸銀水溶液を当量よりも 5mL 過剰に加える ただし 添加量が 10mL を超える場合には 硝酸銀水溶液 (500g/L) に代えて当量よりも 2mL 過剰に加えるか または硝酸銀粉末に代えて当量よりも 1g 過剰に加え 更に水 5mL を加える ことを原則として 備考の記載により硫酸銀の使用も認めている 一方 上水試験方法では 100g/L の硝酸銀水溶液を当量加える としており 両者の間で添加する銀塩の種類 添加方法および添加量に差異が見られたことから これらについて検討をおこなった マスキング剤の種類添加する銀塩では 硝酸銀と硫酸銀の 2 通りがあった これまでに両者の比較検討は数多くなされており 伏脇ら 8) は両者でほぼ同じ値が得られると報告しているが 手塚や鷹野ら 9,10) は硫酸銀を用いた場合に有意に測定値が低くなるとしている 一方 大森や山内 11,12) は硫酸銀ではなく 硝酸銀を用いた場合に優位に低くなると報告しており その結果は様々である ただし これらの報告はいずれも試料の種類や試験方法等が僅かに異なっていることを考慮しなければならない ここでは 水溶性の違いから硝酸銀の方がマスキングに要する反応時間が短く かつ 添加量を少量に抑えることができるとされていることから硝酸銀を用いた 8) マスキング剤の添加方法添加方法では 硝酸銀水溶液 (100g/L 200g/L 500g/L) と硝酸銀粉末があった 水溶液であれば ピペット等を用いて容易に添加することができ 均一化もしやすいので水溶液を採用した 水溶液の濃度については 県内温泉における塩化物イオン濃度が約 0~10g/L と広範囲であること 複数濃度の硝酸銀水溶液を用いると試験操作中に取り違える可能性があること等を考慮して 200g/L 硝酸銀水溶液のみを用いることとした なお 塩化物イオンが多い試料では多量の硝酸銀水溶液を加えることになるので液量が増加して 過マンガン酸カリウム消費量の測定に影響を及ぼすことが懸念されたため これらについて検討をおこなった 精製水と塩化ナトリウム水溶液 (0.5% 1.0% 1.5%) を用いて それぞれの試料に含まれる塩化物イオンと当量の硝酸銀 (200g/L: mL 500g/L:3 6 9mL) を添加した後 過マンガン酸カリウム消費量を測定した 測定は 同一試料につき 4 回繰り返して行い その平均値を算出した その結果を図 2 に示す 図 2 では 200g/L 硝酸銀水溶液を用いた場合の測定値が有意に低いように見受けられたが 有意水準 5% で t 検定 ( 表 5) を実施したところ いずれの濃度でも硝酸銀水溶液の濃度による有意差はないと判定された よって 検討した塩化物イオンの濃度範囲内においては 液量が増えることによる測定値への影響はないため 200g/L 500g/L のどちらも使用が可能と考えられた 表 5 AgNO 3 水溶液の濃度と KMnO 4 消費量 n NaCl 水溶液の濃度 0% 0.5% 1.0% 1.5% (200g/L AgNO3) 平均値 (500g/L AgNO3) 平均値 p 値 マスキング剤の添加量添加量では 塩化物イオンに対して当量 すなわち塩化物イオン 1g に対して硝酸銀 4.8g 加える場合と 当量にさらに一定過剰量を加える場合があった 硝酸銀は反応性が高いことから 当量で完全にマスキングできるとの見解が示されており 8) また 非常に高価な試薬でもあるので塩化物イオンの当量が適当と考えられた ただし 実際に測定する浴槽水検体の塩化物イオン量は不明であり 温泉成分表に基づく結果 ( 図 1) を見ても かなり幅があることが見て取れる よって 実検体を処理する際には 塩化物イオンの定量が必須と考えられたので これについて検討した 塩化物イオンの定量には 一般にイオンクロマトグラフ法や滴定法が用いられるが 過マンガン酸カリウム消費量は当日検査が原則とされるため 塩化物イオンの定量には高い定量性と同時に迅速性が求められる よって イオンクロマトグラフ法や滴定法は不適と判断し より迅速性の高い塩分濃度計 (( 株 ) 佐藤計量器製作所製の SK-5SⅡ) の導入を試み 浴槽水を対象としてイオンクロマトグラフ法との比較検討をおこなった ( 図 3) 図 2 AgNO 3 水溶液の濃度と KMnO 4 消費量 図 3 イオンクロマトグラフと塩分濃度計による Cl - の測定値の比較 -49-

10 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 両者の測定結果から得られた回帰直線は y=1.063x (R 2 =0.952) であった 傾きがほぼ 1 を指し かつ 相関係数も良好であったことから 定量性能は概ね十分であると考えられたが 両者の最大誤差は塩化物イオンとして ±1,000mg/L 程度であり 検水 100mL に換算すると ±100mg 程度に達した 上水試験法 2) では塩化物イオンが約 30mg 以上存在すると測定に妨害が生じるとされていることから このマイナス誤差は十分に妨害を与え得ることになる よって 塩分濃度計が示す塩化物イオンの当量よりも硝酸銀を過剰に加える必要性があると考えられ 塩化物イオン 100mg に対して硝酸銀 480mg が当量であり すなわち 200g/L 硝酸銀水溶液 2.4mL に相当することから その量は 200g/L 硝酸銀水溶液 3mL が適当と考えられた 一方で プラス誤差となる場合には 塩分濃度計が示したとおりに 200g/L 硝酸銀水溶液を加えたところで 既に最大 2.4mL 過剰であり さらに補正用に 3mL 加えるとなると最大 5.4mL 過剰に加えることになる そこで 硝酸銀を過剰量加えた場合の影響について検討をおこなった 表 6 には 精製水に段階的に 200g/L 硝酸銀水溶液 ( mL) を加えて 過マンガン酸カリウム消費量を測定した結果を示す 表 6 AgNO 3 水溶液の添加量と KMnO 4 消費量 n 200g/L 硝酸銀水溶液の添加量 0mL 1.5mL 5mL 10mL p 値 g/L 硝酸銀水溶液の添加量が増えるに連れて 過マンガン酸カリウム消費量の測定値も大きくなる傾向にあるが t 検定 ( 有意水準 5%) では 5mL 程度までは有意差がないという判定であった よって 最大プラス誤差 100mg を与える場合でも過剰量が 5.4mL に留まることから その影響はないと考えられた 以上の検討結果から 塩化物イオンに対して当量の硝酸銀でマスキングすることが適当と考えたが 塩分濃度計による塩化物イオンの定量に一定の誤差が認められるため 200g/L 硝酸銀水溶液を塩分濃度計が示す塩化物イオンの当量にさらに 3mL 過剰に加えることとした ( 図 4) なお 硝酸銀が有する触媒作用 8,12) に起因する測定値の差が出ないように 全ての試料に硝酸銀を添加する 未知試料 塩分濃度を測定 0.03% 未満 0.03% 以上 200g/L AgNO3 3mL 添加 マスキング法の検証次に 確立した試験法が妥当であるか検証作業をおこなった 過マンガン酸カリウム消費量には標準品が存在しないので WHO 飲料水水質ガイドライン改訂等に対応する水道における化学物質等に関する研究 報告書 13) を参考にして 5mg/L ラクトース水溶液と % の塩化ナトリウム含有 5mg/L ラクトース水溶液 ( いずれも C として ) をモデル試料とした 測定した結果を表 7 に示す 表 7 ラクトース水溶液の過マンガン酸カリウム消費量 n NaCl 濃度 0% 0.75% 1.5% 平均値 (mg/l) 標準偏差 理論炭素濃度に対する割合 (%) p 値 得られた測定値から t 検定 ( 有意水準 5%) を実施したところ 塩化ナトリウムの濃度による有意差はないと判定された よって 正の妨害を与える塩化物イオンを完全にマスキングできていると確認できたので 確立したマスキング法は有効であったと結論付けた ただし 得られた平均値の理論炭素濃度に対する割合は 176~212% となり 前出の報告書による報告値 115% と比較すると やや高めに測定された この点については モデル試料の調製方法や使用した容器 加熱方法 加熱時間 滴定における終点の見極め等に因るところと考えているが 従来から過マンガン酸カリウム消費量は測定精度が悪いことが指摘されていることを鑑みると やむを得ない程度であると考えている 県内の実態調査県内の入浴施設における浴槽水の実態調査をおこなった 先の検討で 過マンガン酸カリウム消費量の測定精度が悪いことが明らかとなったので 基準項目である過マンガン酸カリウム消費量と 別に紫外線吸光度および TOC を測定した 新たに測定する 2 項目は 有機物の汚染指標として用いられ 特に TOC は過マンガン酸カリウム消費量に代わって水道水質基準に採用された項目である 200g/L AgNO3 当量を添加 NaCl0.01% 毎に 0.15mL 攪拌 KMnO4 消費量を測定 図 4 KMnO 4 消費量の測定フロー 図 5 県内の入浴施設のおける KMnO 4 消費量 -50-

11 始めに過マンガン酸カリウム消費量の結果を図 5 に示す 測定した 135 検体の平均値は 3.17mg/L であり 最小値 0.05mg/L 最大値 40.59mg/L となった 基準値である 25mg/L を超過したのは 1 検体だけであったが この検体は薬湯 ( レモンスカッシュ風呂 ) であったことから 基準の適用が除外されるものであった 紫外線吸光度と相関関係では 回帰式が y=0.0044x (R 2 =0.7465)( 図 6) となり 高い相関性を示した 水種別ごとに見ると 上水 井水で y=0.0048x (R 2 =0.8695) 温泉で y=0.0017x (r 2 =0.0729) となり 上水 井水の方が良好な相関性を示す傾向にあることがわかった この理由として 紫外線吸光度は 不飽和結合を有する有機物が示す紫外部 (260nm) の吸収を利用する方法 2) であるから 水種別ごとに構成する有機物が異なっていたことが その原因であると考えている 既報でも 紫外線吸光度を示さない場合でも過マンガン酸カリウム消費量が高いことがあることを認めている 13) TOC との相関関係では 回帰式が y=0.324x (R 2 =0.012) となり 相関性が確認できなかった ( 図 7) ただし 水種別に分けると 温泉では y=-0.915x (R 2 =0.009) となったが 上水 井水では y=0.516 x+0.729(r 2 =0.627) となり 相関性を示した ここで 両者の測定値に著しく乖離が見られた検体 ( 下図 ) を確認すると いずれも炭酸水素塩泉であることがわかった 炭酸水素塩泉のデータを棄却した場合には 全体の回帰式 全体 全体 上水 井水 上水 井水 温泉 温泉 図 6 KMnO 4 消費量と E260 図 7 KMnO 4 消費量と TOC 図 7 中の は薬湯を指し 第 2 軸を使用 また 同図中の破線は薬湯 ( ) を含めた全検体の回帰直線を指し 実線は薬湯 ( ) を除いた検体の回帰直線を指す -51-

12 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 表 8 TOC と炭酸塩類 炭酸水素塩類 ラクトース NaHCO3 Na2CO3 NaHCO3-Na2CO3 25mM 50mM 25mM 50mM 25mM 50mM TOC ph ( 酸添加前 ) ph ( 酸添加後 ) 表 9 TOC と炭酸塩類 炭酸水素塩類 (5 倍希釈後 再測定 ) ラクトース NaHCO3 Na2CO3 NaHCO3-Na2CO3 25mM 50mM 25mM 50mM 25mM 50mM TOC ph ( 酸添加前 ) ph ( 酸添加後 ) は y=0.508x+0.610(r 2 =0.599) 温泉の回帰式は y= 0.317x+0.868(R 2 =0.215) と大幅に改善した この理由については 次節で詳しく考察する なお 棄却後の回帰式は 青沼ら 14) や森脇ら 15) によって報告された回帰式 ( 上水を用いた浴槽水を対象として )y=0.473x (R 2 =0.68) ( 上水 井水等を用いた浴槽水を対象として ) y=0.51x+0.52(r 2 =0.741) と傾きがほぼ合致していることから 上水に限らず温泉 薬湯等でも十分に相関性を有していることが確認できた TOC 異常の考察今回採用した TOC 測定法は 酸性化通気処理法と呼ばれる方法で 酸を少量加えた試料を通気処理することによって 試料中の無機炭素 (IC) を二酸化炭素として追い出し 残った全炭素 (TC) を完全燃焼させることで生成する二酸化炭素を赤外線ガス分析部にて検出する方法である (TOC=TC-IC) 2) 本来 炭酸水素イオンは酸性化通気処理 (CO H + HCO3 - +H + H2CO3 H2O+ CO2 ) によって 系外に除去されるべきところであるが 酸が不足したことによって上記の反応が進まず 系内に残存してしまったことが TOC が高値となった原因として疑われた なお JIS では 酸性化通気処理する際には ph2 以下にしなければならないと規定している 1) そこで 5mg/L ラクトース水溶液と炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムを用いてモデル試料を作成し ph および TOC の比較検討をおこなった ( 表 8) いずれの検体も 塩酸添加前は中性 ~ アルカリ性を示していたが 添加後は 5mg/L ラクトース溶液および 25mmol/L NaHCO3 含有 5mg/L ラクトース水溶液だけが酸性 (1.4~2.0) を示し その他の検体は中性 ~ アルカリ性 (6.2~9.8) を示したままであった TOC を測定したところ 添加後に酸性を示した 5mg/L ラクトース溶液および 25mmol/L NaHCO3 含有 5mg/L ラクトース水溶液は理論値 5mg/L に近い値が得られたが その他の検体では良好な結果を得ることができなかった この対策としては 塩酸の濃度を高くする 塩酸の添加量を増やす あるいは試料を希釈すること等が有効と考えられたが 塩濃度を高くすることは測定機器へのダメージに繋がると考えられたので 希釈することを選択した モデル試料において 5 倍希釈後に再測定した結果では 50mmol/L NaHCO3-Na2CO3 含有 5mg/L ラクトース水溶液を除いて良好な結果が得られることを確認している ( 表 9) 残る 50mmol/L NaHCO3-Na2CO3 含有 5mg/L ラクトース水溶液についても 緩衝作用が働いて ph が 2.0 以下とならなかったことが直接的な原因であると推察されるので さらに希釈することで良好な結果が得られるものと考えている 以上の検討結果から 炭酸イオンおよび炭酸水素イオンと ph TOC の間には密接な関係があることが確認できた 実態調査で異常値を示した 3 検体については いずれも検査時に ph を測定していなかったので本理由が原因であると断言できないが 温泉分析表から原水となる温泉の ph は 6.5~7.8 の間であることを確認しており また 鉱物中には炭酸イオンが広く存在することを踏まえると 緩衝作用が働いて塩酸添加後の ph が 2.0 以下にならなかった可能性は極めて高いと考えられる 紫外線吸光度および TOC の活用過マンガン酸カリウム消費量と 紫外線吸光度および TOC の間には一定の相関性が認められたので 次に活用法を検討した 関係法令では 過マンガン酸カリウム消費量を規制物質としているため 紫外線吸光度や TOC に代えることはできない ただし 測定精度が悪いので基準の適合判定を見誤るおそれがあり また 有機物の種類によって消費される過マンガン酸カリウムの量が異なることから有機物量を正しく評価できていないことが問題視されている 15) よって これらのリスクを軽減するために 過マンガン酸カリウム消費量で基準に近い値が検出された場合には 紫外線吸光度または TOC を併行測定し これらの測定値をもって総合的に判定することとしたい その際の各検査方法における閾値は 回帰直線を基に紫外線吸光度は 0.11 TOC は 13.6 が妥当と考えられた 4. まとめ 過マンガン酸カリウム消費量の測定に影響を与え得る浴槽水の共存成分は 塩化物イオンだけであることを見出し 塩化物イオンのマスキングに使用するマスキング剤の種類 添加方法および添加量の検討をおこなった 確立した試験法を用いて ラクトース水溶液および塩化 -52-

13 ナトリウム含有ラクトース水溶液を測定したところ 両者の測定値に有意差が無かったことから マスキング法の有効性を確認することができた 県内入浴施設における浴槽水 135 検体を対象にした実態調査では そのほとんどが基準値 25mg/L に対して低値 ( 平均値 3.17mg/L) に収まったが 僅か 1 検体が基準値を超過した ただし 薬湯であるため 基準の適用が除外されるものであった 過マンガン酸カリウム消費量と紫外線吸光度との回帰式は y=0.0044x (r 2 =0.7465) と良好な結果を示したが TOC との回帰式は y=0.324x+2.795(r 2 = 0.012) で 相関性を得ることができなかった ただし 試料が炭酸水素塩泉である場合に限って測定値が著しく乖離することがわかり 当該データを棄却することによって y=0.508x+0.610(r 2 =0.599) と大幅に改善した この理由として 酸の不足によって酸性化通気処理が正常におこなわれず 炭酸水素イオンが残存してしまったことが TOC が高値となった原因であると推察しており 試料の希釈が有効な対処法であると考えられた 参考文献 1) 日本工業標準調査会 :JIS K-0102( 工場排水試験方法 ), 日本規格協会,38-41(2013) 2) 日本水道協会 : 上水試験方法, 日本水道協会,2, , (2011) 3) 日本薬学会 : 衛生試験法 注解 2010, 金原出版株式会社, (2010) 4) 金原啓司 : 日本温泉 鉱泉分布図及び一覧, 地質調査所,7(1992) 5) 日本化学会 : 化学便覧基礎編改訂 4 版, 丸善, (2004) 6) 田中誠之, 飯田芳男 : 機器分析三訂版, 裳華堂, 248(1996) 7) 化学大辞典編集委員会 : 化学大辞典, 共立出版株式会社,6,910(1963) 8) 伏脇裕一, 深谷勝久, 和田裕, 並木博 :COD 試験における塩化物イオンのマスキング剤の検討, 工業用水,253, 20(1979) 9) 手塚真知子 : 地下かん水の化学的酸素要求量測定値に及ぼす銀塩の影響, 分析化学,29.9,T68-T72(1980) 10) 鷹野洋, 藤田和男, 斎藤直己, 田邊英子 : 海水の COD 分析についての一考察, 岡山県環境保健センター年報, 32,31-34(2008) 11) 大森正男 :COD 測定に関する 2 3 の考察水質総量規制の実施にあたって, 環境技術,8(6), (1979) 12) 山内陽子 : 硝酸銀法による COD の検討および試料の保存効果, 用水と廃水,23(6), (1981) 13) 第 9 回厚生科学審議会生活環境水道部会水質管理専門委員会 : 過マンガン酸カリウム消費量と全有機炭素の関係について, 資料 2(2003) 14) 青沼徹, 前田信治, 岡田誠之, 野知啓子, 赤井仁志 : 循環式浴槽水の水質実態に関する研究, 空気調和 衛生工学会論文集,157,11-17(2010) 15) 森脇直子, 石丸陽子, 岸美紀, 林幸子, 田中幸生 : 過マンガン酸カリウム消費量と全有機炭素 (TOC) の量の関係について ( 第 2 報 ), 川崎市衛生研究所年報,42, 69-73(2006) 16) 大野浩之, 鈴木昌子, 六鹿元雄, 河村葉子 : 合成樹脂製器具 容器包装および玩具における過マンガン酸カリウム消費量および全有機炭素の検討, 食品衛生学雑誌, 50(5), (2009) -53-

14 調査研究 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 光化学オキシダント等の越境汚染に関する調査研究 ( 第 3 報 ) 水平および垂直分布について 谷口佳文 福島綾子 川下博之 泉宏導 Research on the Cross-border Pollution of Photochemical Oxidants(3) - For horizontal and vertical distribution Yoshifumi TANIGUCHI,Ayako FUKUSHIMA,Hiroyuki KAWASHITA,Hiromichi IZUMI 福井県への光化学オキシダント等の越境汚染の影響を探るため 県西部の海沿いの高地 県東部の内陸の高地 県西部の海沿いの中間高度での調査を行い 平野部の測定局との比較を行った その結果 標高が高くなるほど移流の影響を受けやすく 海沿いと内陸の比較では海沿いが移流の影響を受けやすいことが示唆された また オキシダントが高濃度となる場合は 上空および平野部のオキシダントの蓄積が影響することが示唆された 1. はじめに 本県における光化学オキシダント等の越境汚染の影響を探るため 県西部の海沿いに位置する標高 600m 付近 ( 以下 海沿いの高地 という ) での調査を平成 21 年度から行っている これまでの調査で 各調査地点における汚染物質濃度は 県内の常時監視測定局 ( 以下 測定局 という ) に比べ概ね低いもしくは同程度の濃度であったが オキシダント (Ox) のみ高めに推移しており 特に夜間に測定局との濃度差が大きくなる傾向にあった また 移流等により夜間上空に蓄積された Ox が 日中の平野部の Ox 濃度を上昇させることを示唆する解析結果が得られた 1) 本報では Ox の水平および垂直分布から越境汚染の影響等について解析したので その結果について報告する 評価対象測定局 福井局( 平野部 ) 福井市豊島 2 丁目標高 7m 大野局( 平野部 ) 大野市水落町標高 170m 測定項目 二酸化硫黄(SO2) 窒素酸化物(NOx(NO+NO2)) 炭化水素(NMHC CH4) 浮遊粒子状物質(SPM) オキシダント(Ox) 六呂師および越前岬は Ox のみ 調査期間平成 25 年度 6 月 5 日 ~7 月 29 日平成 26 年度 5 月 1 日 ~6 月 30 日 2. 調査方法 Ox の水平および垂直分布を把握するため 従来から実施している大気環境測定車 みどり号 ( 以下 みどり号 という ) による海沿いの高地 ( 国見岳 ) での調査に加え 内陸の高地として県東部の六呂師高原に位置し 国見岳と同程度の高度にある福井県自然保護センター ( 以下 六呂師 という ) に Ox 計を設置し調査を実施した また 水平および垂直分布の評価にあたっては 国見岳および六呂師の測定結果に加えて 県西部の海沿いの中間高度に位置する国設越前岬酸性雨測定所 ( 注 ( ) 以下 越前岬 という ) および調査地点に近い平野部の測定局である福井局 大野局 ( 以下 評価対象測定局 という ) の測定値を用いた ( 注 ) 酸性雨モニタリング調査事業により設置され Ox 計の測定値を使用 測定値は環境省に帰属する 調査地点 国見岳( 県西部の海沿いの高地 ) 福井市国見元町標高 640m 六呂師( 県東部の内陸の高地 ) 大野市南六呂師標高 550m 越前岬( 県西部の海沿いの中間高度 ) 丹生郡越前町血ヶ平標高 220m 図 1 調査地点 図 2 地形断面図 ( を使用 ) -54-

15 3 結果および考察 3 1予備調査 六呂師における大気環境を把握するため 平成 25 年 4 月 24 日 5 月 31 日にみどり号による予備調査を行った 調査結果を図 3 14 に示す 六呂師における大気環境は 県内の測定局に比べ SO2 図3 SO2 日平均値 図5 NMHC 日平均値 図7 SPM 日平均値 NOx NMHC CH4 SPM の日平均値 日最高値とも低 いまたは同程度で推移した Ox は 日平均値は高めに推 移し大きな差がでる日もみられたが 日最高値は概ね同程 度であった 図4 図6 図8 55 NOx 日平均値 CH4 日平均値 Ox 日平均値

16 福井県衛生環境研究センター年報 図9 SO2 日最高値 図 11 NMHC 日最高値 図 13 SPM 日最高値 図 10 図 12 図 14 3 2 Ox 計での評価に関する検討 Ox 濃度の評価については NO タイトレーションの影響 を避けるため PO を用いて評価を行うのが一般的である が 越前岬および六呂師については Ox 計のみの調査とな るため Ox 値で PO の代用が可能か否かの検討を行った その際 六呂師については予備調査の結果を 越前岬に ついては以下のみどり号による測定値を用いた 第 13 巻 2014 NOx 日最高値 CH4 日最高値 Ox 日最高値 図 15 図 16 に六呂師での 図 17 図 18 に福井市茱崎 町での PO と Ox の 1 時間値および時刻別平均濃度を示す 1 時間値および時刻別平均濃度とも 調査地点における PO と Ox の濃度推移は同様の傾向であり 濃度差も数 ppb 以内に収まっていた このことから 六呂師 越前岬ともに Ox 値を用いて 評価を行うことは可能と考えられた 調査地点 みどり号による調査 福井市茱崎町 越前岬より東北東 8km 調査期間 平成 24 年 8 月 31 日 10 月 1 日 56

17 図 15 1 時間値推移 ( 六呂師 ) 図 16 時刻別平均値 ( 六呂師 ) 図 17 1 時間値推移 ( 福井市茱崎町 ) 図 18 時刻別平均値 ( 福井市茱崎町 ) 3.3 調査結果図 19~24 に各調査期間における PO(Ox) の 1 時間値 日平均値および日最高値の濃度推移を示す また 表 1 に日平均値および日最高値の期間平均値を示す 平成 26 年度の PO(Ox) の濃度は 各調査地点 評価対象測定局とも平成 25 年度に比べ日平均値 日最高値ともに高めに推移した 1 時間値では 各調査地点は評価対象測定局に比べ夜間に濃度が下がりにくい傾向にあり 調査地点と調査地点に近い評価対象測定局 ( 越前岬および国見岳 = 福井局 六呂師 = 大野局 ) との 24 時の濃度差が 15ppb 以上となる頻度は 平成 25 年度 26 年度ともに国見岳 > 越前岬 > 六呂師の順であった ( 表 2) 図 19 1 時間値推移 (H25) 図 20 1 時間値推移 (H26) -57-

18 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 図 21 日平均値推移 (H25) 図 22 日平均値推移 (H26) 図 23 日最高値推移 (H25) 表 1 日平均値および日最高値の期間平均 (ppb) 越前岬国見岳六呂師福井局大野局平成 25 年度 日平均値平成 26 年度 平成 25 年度 日最高値平成 26 年度 夜間濃度差に関する考察県内いずれかの測定局で 80ppb 以上の Ox 濃度が観測された日を抽出し 前日 24 時の国見岳に対する各調査地点もしくは評価対象測定局との濃度差について 後方流跡線による分類をおこなった 結果を図 25 に示す なお 分類は気塊の源流やその経路別に図 26 のとおりとし 地表に接地した場合は不明とした 図 24 日最高値推移 (H26) 表 2 24 時の濃度差が 15ppb 以上の頻度 ( 回 ) 国見岳 - 福井局越前岬 - 福井局六呂師 - 大野局 平成 25 年度 平成 26 年度 国見岳との濃度差は 特に福井局 大野局において 国内 (A) 由来の場合に小さく 東アジア (B) 由来の場合に大きくなる傾向であった 標高が高くなるほど風速が速くなる傾向であることや 夜間は混合層高度の低下により平野部からの Ox の供給も弱まることから Ox の発生源がより遠方となる東アジア (B) 由来の場合に夜間の濃度差が大きくなると考えられる 図 25 後方流跡線分類 - 夜間 (24 時 ) 濃度差 図 26 後方流跡線による分類 -58-

19 3.5 標高および距離による考察図 27~33 に各調査期間における PO(Ox) の標高別および海岸からの距離別の日平均値および日最高値の期間平均を示す 標高別では 日平均値 日最高値ともに明確な傾向は見られず 相関についてもほとんどない ~ 弱いであったが 同程度の標高では海沿い ( 西寄り ) の地点が高くなる傾向であった 距離別では 内陸 ( 東寄り ) に入るに従って日平均値お よび日最高値がともに下がる傾向が見られ 平成 26 年度の日最高値を除き距離との強い相関が得られた 海沿い ( 西寄り ) の調査地点 ( 越前岬 国見岳 ) は 付近に排出源が無いにも関わらず PO(Ox) 濃度が高い傾向にあることから 海沿いは移流の影響を受けやすく 内陸に入るに従って影響を受けにくくなることが示唆された 図 27 標高別日平均値 (H25) 図 28 標高別日平均値 (H26) 図 29 標高別日最高値 (H25) 図 30 標高別日最高値 (H26) 図 31 距離別日平均値 (H25) 図 32 距離別日平均値 (H26) -59-

20 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 図 33 距離別日最高値 (H25) 3.6 時刻別濃度推移による考察図 35~46 に PO(Ox) の時刻別濃度および福井局の日最高 PO 濃度区分毎の時刻別濃度を示す なお 降雨による影響を排除するため 福井地方気象台で降雨が観測された日は除外した 平成 25 年度 平成 26 年度ともに 各調査地点の濃度推移は評価対象測定局に比べて緩やかで 標高が低くなるに従い 評価対象測定局の濃度推移に近づく挙動がみられた この要因として 日中に混合層高度が高くなり 夜間に低下することから 標高が低くなるほど一日を通して対流の影響を受けやすくなることが考えられる また 国見岳のみ日没後の PO 濃度の上昇がみられた この要因として 国見岳よりも標高の低い地点では夜間の濃度上昇が見られないことや 夜間は混合層高度の低下に 図 34 距離別日最高値 (H26) より平野部からの Ox の供給も弱まることから 近傍発生源よりも遠方からの移流の影響が大きいと考えられる PO 濃度区分別では 濃度区分が高くなるにつれ 各調査地点の夜間の PO(Ox) 濃度が上昇していた また 評価対象測定局の日の出前後の日最低 PO 濃度は 濃度区分が 90ppb 未満では概ね 20~30ppb の範囲にあることから 調査地点のある地域 ( 県北部 ) における春から初夏にかけての PO のバックグラウンド濃度は 20~30ppb 程度と推察される 濃度区分が 90ppb 以上では 評価対象測定局の日の出前後の日最低 PO 濃度が 50ppb 付近まで上昇しており 数日間かけて徐々に濃度が上昇する傾向にあることから ( 図 20) 上空に加え平野部においても Ox(PO) が蓄積されることで高濃度になると考えられる 図 35 時刻別濃度推移 (H25) 図 36 時刻別濃度推移 (H26) ( 濃度区分なし ) ( 濃度区分なし ) データなし 図 37 時刻別濃度推移 (H25) 図 38 時刻別濃度推移 (H26) (40ppb 未満 ) (40ppb 未満 ) -60-

21 図 39 時刻別濃度推移 (H25) (40~59ppb) 図 40 時刻別濃度推移 (H26) (40~59ppb) 図 41 時刻別濃度推移 (H25) (60~74ppb) 図 42 時刻別濃度推移 (H26) (60~74ppb) 図 43 時刻別濃度推移 (H25) (75~89ppb) 図 44 時刻別濃度推移 (H26) (75~89ppb) データなし 図 45 時刻別濃度推移 (H25) 図 46 時刻別濃度推移 (H26) (90ppb 以上 ) (90ppb 以上 ) -61-

22 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 3.7 SPM 計ろ紙の成分分析越境汚染の指標となる物質を探るため 国見岳での SPM 計のろ紙 ( ガラス繊維 ) を用い Ox 濃度が特に高く 後方流跡線により源流が国内 (A) と考えられる日と東アジア (B) と考えられる日 ( 平成 25 年度は 6 月 10 日と 7 月 26 日 平成 26 年度は 5 月 31 日と 6 月 3 日 ) について 8 時間分 (1-8 時 9-16 時 時 ) のスポットを 1 検体として 時間帯毎にイオン成分の分析を行った 表 3 に分析結果の日平均値 県内測定局の日最高 Ox 濃度 後方流跡線分類および国内由来の日とアジア由来の日の濃度比 (B/A) を示す なお SPM 計ろ紙は 1 ヶ月単位の回収であることから 捕集された成分の揮発や ろ紙の裏写り等の影響が考えられるため 分析値については参考値とする 平成 25 年度は 硫酸イオン (SO4 2- ) アンモニウムイオン (NH4 + ) カルシウムイオン (Ca 2+ ) マグネシウムイオン (Mg 2+ ) が 2 倍以上の濃度比であったが 平成 26 年度に 2 倍以上の濃度比となったのは Ca 2+ Mg 2+ のみで SO4 2- NH4 + の濃度比はそれほど高くなかった 平成 26 年度の 5 月末から 6 月上旬にかけては Ox 濃度が高い状態を維持しており この間 後方流跡線から東アジア (B) を源流とする気塊が国内 (A) に数日間滞留したとみられることから 6 月 3 日は国内と東アジアの複合汚染の影響を受けて SO4 2- NH4 + の濃度が高い状態を維持し このことにより濃度比がそれほど高くならなかったと考えられる このため 今後データを蓄積することで 越境汚染の指標となる物質が明らかになると考えられる 4. まとめ 後方流跡線分類別による地点間の夜間の PO 濃度差の評価において 福井局 大野局で国内 (A) のときに国見岳との濃度差が少なく 東アジア (B) の時に大きくなる傾向にあった 標高が高くなるほど風速が速くなることから Ox の発生源が遠方となる東アジア由来の場合に国見岳にいち早く Ox が到達することで 測定局との濃度差が大きくなると考えられた 標高別および海岸からの距離別による PO 濃度は 標高による明確な傾向は見られなかったが 同程度の標高では海沿い ( 西寄り ) の濃度が高い傾向にあり 距離別では海沿いが高く 内陸 ( 東寄り ) に入るに従い濃度が低下する傾向にあった 時刻別濃度推移では 国見岳のみ夜間の濃度上昇がみられた また 各調査地点の濃度推移は緩やかで 調査地点の標高が低くなるに従い 評価対象測定局の濃度推移に近づく挙動がみられたことから 国見岳は対流の影響を受けにくく 移流の影響を受け易いと考えられた また 県北部における春 ~ 初夏にかけての PO のバックグラウンド濃度は 20~30ppb 程度であることや オキシダントが高濃度となる場合は 上空および平野部のオキシダントの蓄積が影響することが示唆された 参考文献 1) 谷口佳文他 : 光化学オキシダント等の越境汚染に関する調査研究 ( 第 2 報 ), 福井県衛生環境研究センター年報,8,79-84(2012) 表 3 成分分析結果 μmol/l Oxはppb 2- SO 4 - NO 3 + NH 4 K + Ca 2+ Mg 2+ Ox 流跡線分類 平成 25 年 6 月 10 日 国内 (A) 7 月 26 日 東アジア (B) 濃度比 (B/A) 平成 26 年 5 月 31 日 東アジア (B) 6 月 3 日 国内 (A) 濃度比 (B/A)

23 調査研究 透水性最終覆土中の水分変化挙動 田中宏和 松井亮 Moisture Content Behavior inside the Water Permeable Final Soil Cover Hirokazu TANAKA, Ryou MATSUI 透水性が高い砂質土を最終覆土に使用している管理型最終処分場において 最終覆土内部の水分量の変化をモニタリングした その結果 最終覆土中の水分量は浅層部では変動が大きいが 深層部では高値で変動しにくく また 地点により土壌水分量の変動挙動に差がみられた これらの原因として 最終覆土からの蒸発 水分移動 再分配 保有水水位の上昇および廃棄物層の不均一性が影響していると考えられた さらに 10m 四方のキャッピングをした場合の影響について評価したところ キャッピング下部の土壌水分量は周辺と差がみられず 豊富な浸透水量による保有水水位の上昇と 最終覆土内部の水分分配による影響が考えられた 1. はじめに 最終処分場の最終覆土層に関しては厚さに関しての法的基準はあるが 材質については 土砂またはそれに類するもの とされ 具体的な基準は無い 1) 一般的には 浸出水量を削減して水処理のランニングコストを抑制するために 透水性が低い土質が望ましいとされている 2) しかしながら 埋立地内部の早期安定化を優先するのであれば 塩類洗い出しと有機物の好気性分解を速やかに進行させる上で 透水性と透気性が高い土質の方が有利であるように思われる 従って 処分場廃止までに要する費用を検討する上では 安定化に要する期間と処理浸出水量が重要な要素であり 最終覆土はこれらの要素に直接影響する しかし 透水性が高い最終覆土を採用している処分場は全国的に少なく 研究事例が少ない そこで今回 最終覆土に砂質土を使用している管理型最終処分場を対象として 最終覆土内部の水分変化挙動の把握を目的とし 覆土中の土壌水分量をモニタリングした また 浸透水量の制御として有効な手法のひとつであるキャッピングが最終覆土内の水分量に及ぼす影響を調べるため 埋立地の一部に小面積のキャッピングを施し 降水を遮断した場合の水分量変化についても評価した を 1 時間間隔で計測した 地表の凹凸や傾斜の影響を避けるため センサーの埋設は水準器を用い センサー間の相対的な高さに差が生じないよう配慮した 試験期間は 2012 年 6 月 23 日から 2013 年 8 月 31 日としたが 11 月 27 日から 29 日まではモニタリングを中断し 野生動物によるセンサーケーブル切断対策と それに伴うレイアウト変更を行った レイアウト変更前後のセンサー位置をそれぞれ図 1 と図 2 に示す さらに 2012 年 12 月 3 日から 2013 年 5 月 2 日の間は図 2 の正方形で示した位置にブルーシート (10m 10m) を敷設し 地表から覆土層への降水浸透を遮断した ( キャッピング ) ブルーシート上の降水は周囲に設置した 雨樋 にて導水し センサーから離れた位置に排除した 試験現場の写真を図 3 に示した 試験区域の近くに気象計も併せて設置し 試験期間中の 2. 方法 2.1 試験対象処分場埋立地の概要試験は北陸地方沿岸部に位置する掘り込み式の管理型最終処分場で実施した この処分場では埋立地造成時に発生した砂質土を保管し 最終覆土として使用している 2009 年に計測した最終覆土厚は 0.75m 日本工業規格 JIS A 1218 の定水位法で測定した透水係数は cm/s であり 一般的な最終覆土に比べて透水性が高い 一方 廃棄物層の透水係数はバラツキが大きく 最高で cm/s 最低で cm/s であり 概して最終覆土よりも透水性が低い傾向にあるが 高い部分も存在した 2.2 土壌水分量 降水量および保有水水位調査最終覆土の地表から深度約 0.2m と約 0.4m に複数のセンサー (onset 社製 S-SMC-M005) を埋設し 土壌水分量 図 1 レイアウト変更前のセンサー埋設位置 -63-

24 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 気温と降水量を計測した また 試験対象処分場から約 8km 離れた地点のアメダスデータを用い Blaney Criddle 法による月間可能蒸発量を算出し その 60% が蒸発に有効に使用されたとした場合の水分浸透量を算出した 2) また 本報における保有水水位は 埋立地に存在する最も近傍の約 30m 離れた観測井の水位を用いた 3.2 キャッピングと位置による影響 2012 年 11 月 29 日から 2013 年 8 月 31 日までの B 地点 C 地点および D 地点 ( それぞれブルーシート中心部から 3. 結果および考察 3.1 深度による影響 2012 年 6 月 23 日から 11 月 27 日までの a 地点における深度 0.2m と 0.4m の土壌水分量 ( 体積含水率 ) の変化を 降水量と併せて図 4 に示す また z 地点 (a 地点から 8m の地点 ) についても 気温と併せて図 5 に示す この間はブルーシートの被覆はしていない 図 4 図 5 とも 深度 0.4m に比べて 0.2m の土壌水分量は低く 変動が大きい傾向がみられた 降水後に水分量が増加しており 降水直後においては短時間ではあるものの 深度 0.4m よりも 0.2m の水分量が多くなる場合もみられた 月間可能蒸発量と水分浸透量を図 6 に示す 6 月から 10 月までは月間可能蒸発量が 100mm 以上であり 8 月の浸透水量はマイナス値を示した 観測井の保有水水位を図 7 に示す 8 月を除き 保有水水位は最終覆土 (GL-0.75m) 以上の水位に達しており 最終覆土の底部の水分は飽和していたと考えられる 最終覆土内部の土壌水分量に及ぼす影響因子として降水量 蒸発量 廃棄物層への浸透水量が挙げられる 砂質土は一般の土壌に比べて透水性と透気性が高いため 地表から浸透した降水は速やかに底部に移動し かつ 大気への蒸発による乾燥も進みやすく このことが表層部の水分変動が大きい原因と考えられた 一方 深層部においては 保有水水位がセンサーの深度 (GL-0.4m) まで達していなくても 最終覆土層よりも廃棄物層の方の透水性が低い傾向があるため 水分は溜まり易い さらに加えて 毛管現象もあることから 0.4m 深度においては水分が飽和 もしくはそれに近い状態になりやすく その結果 水分量変動が小さかったと考えられた なお 図 5 の 8 月にみられた z-0.4m の水分量低下は 図 6 と図 7 で確認できる水分浸透量の減少と それによる保有水水位の低下が原因と考えられ 降雨後は速やかに回復している 覆土深層部の水分が低下している時期に集中した降水があると 浅層部と深層部の水分量が一時的な逆転が起こり得ると考えられる 図 2 レイアウト変更後のセンサー埋設位置 図 3 キャッピング試験現場の写真 図 4 a 地点の水分量と降水量 図 5 z 地点の水分量と気温 -64-

25 2m) の結果を図 8 に E 地点と G 地点 ( それぞれ中心部から 4m) の結果を図 9 に示す 図 8 に降水量を 図 9 に気温を併せて示した F 地点は試験再開直後から異常値を示し 短期間でデータ欠損したため評価から除外した 図 8 では B 地点は 11 月 29 日から 1 月 9 日 D 地点は 3 月 20 日以降 C 地点は 4 月 28 日以降のデータが欠損している 3 地点ともデータ収集できた期間については 土壌水分量の大きな変動はみられず 0.33~0.37m 3 /m 3 であり ほぼ同程度の水分量を示した 図 9 では 7 月に E 地点と G 地点で 0.1m 3 /m 3 程度の差がみられた期間があったが それ以外では両地点で同程度の値を示した A B E および Z の各地点の深度 0.4m の結果を図 10 に示す これらの地点はそれぞれ ブルーシートの中央 中央から 2m 4m ブルーシート外 ( 中央から 8m) にある モニタリング再開から 3 月中旬までは 全ての地点の土壌水分量はそれぞれ一定の値で推移し 大きな変動はみられなかった 月間可能蒸発量と水分浸透量を図 11 に示す 12 月から 2 月の冬期は 月間可能蒸発量が 50mm 未満であるが 3 月以降は月間可能蒸発量が増加し 5 月の水分浸透量はマイナス値を示した 観測井の保有水水位を図 12 に示す 12 月から 2 月の冬期は 保有水は GL-0.4m よりも高い水位を示しており 深度 0.4m のセンサーは水没していたと考えられる 3 月以降は低下し 5 月から 7 月の間は最終覆土 (GL-0.75m) 以下となった 以上から モニタリング再開から 3 月中旬までの期間で水分量変動が小さかった原因は 保有水水位上昇に伴う水分飽和によると考えられ このことは図 4 と図 5 における 10 月以降のキャッピングを実施していない期間においても同程度の値を示していることからも示唆される センサー間の僅かな水分量の差は間隙率等の影響が考えられ 深度 0.2m 付近の間隙率は 0.39~0.47 の範囲で差がみられた 次に 3 月下旬から 4 月上旬にみられた水分量の変動について考察する キャッピング中で大きな水分変動が確認されたのはこの期間のみであり 図 11 で示した月間蒸発可能量が増加し 水分浸透量が減少した時期と一致する ただし 図 12 では この期間の観測井の水位は GL-0.6m 程度で依然高く 最終覆土層にある 水分量が最も大きく減少したのは Z 地点 続いて B 地点 A 地点であり E 地点についてはごく僅かな減少しかみられず ブルーシートの中心からの距離との関係はみられなかった さらに E 地点はブルーシート撤去後も 土壌水分量が減少した後の降雨による回復幅が大きく 全体的にも他の地点に比べて水分量が多い 一方 Z 地点は降雨後の水分回復量が少ない傾向がみられた このような地点による水分量変化挙動の差は 廃棄物層の不均一な透水性が影響していると推察した つまり 下部の埋立廃棄物の透水性が高く 浸透水が速やかに下部に移動しやすい地点であっても 降水量が多く 水分浸透量が豊富な期間は周囲から水分が移動することによる水分の再分配が発生し 周囲と同等の水分量を維持できる しかし 水分浸透量が少なくなると 再分配による水分移動速度が低下し 相対的に廃棄物層への浸透移動速度の方が速い部分が発生し その結果 地点により最終覆土層の水分量に差が生じたものと考えた 地点による水分量変動挙動の差異を引き起こす因子としては 廃棄物層の透水性以外にも表層部の蒸発散量の差異が考えられる 例えば 部分的なキャッピングは降雨を 図 6 可能蒸発量と水分浸透量 図 7 観測井の地表からの水位 図 8 2m 地点の水分量と降水量 図 9 4m 地点の水分量と降水量 遮水するだけでなく 蒸発可能量も低減させる効果がある つまり 夏期の蒸発散量が大きい時期はキャッピング部以外の水分量が低下することで吸引力が発生し キャッピング下部の水分がキャッピング部周辺に移動することが考 -65-

26 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) えられる しかし 透水性が高い砂質土を使用した場合は蒸発に起因する水分移動よりも 降雨の浸透による水分移動が速いため 本研究で試験した程度の部分的なキャッピングが その下部の土壌水分のみを局所的に低下させることは考えにくい 4. まとめ 最終覆土に砂質土を使用した場合 最終覆土中の水分量は浅層部では変動が大きく 深層部では高値で変動しにくいことが分かった 浅層部の変動は深部への水分移動と蒸発が 深層部の安定は保有水水位の上昇と毛管現象に伴う水分飽和が原因と考えられた また 地点による土壌水分量の変動挙動に差がみられた これは廃棄物層の不均一な透水性によるものであり 水分浸透量が少なく保有水水位が低い時期においては 透水性が高い埋立廃棄物の上部にある覆土中の水分減少が 最終覆土内部での周囲からの水分の移動 再分配よりも速くなることが原因と推察された 本研究では 部分的なキャッピングによって降雨を遮断しても 保有水水位の上昇や覆土層内での水分移動 再分配により キャッピング下部の水分量がキャッピング部周辺と同程度で維持されることが確認された このことは 透水性が高い最終覆土を用いた埋立地において キャッピング面積が過大でなく 周囲に水分浸透する部分があれば 下部の廃棄物層への水分浸透や塩類洗い出し効果を阻害しないことを意味しており 総浸透水量と水分浸透エリアを適正に調整したキャッピングは安定化の促進と維持管理費用の削減を同時に実現することが期待できると考えている 図 10 各地点の水分量 図 11 可能蒸発量と水分浸透量 謝辞 本研究は 特別電源所在県科学技術振興事業 安定化の促進と安全な跡地利用のための最終処分場の分析評価と技術開発 の一環として実施した 御指導いただいた国立環境研究所資源循環 廃棄物研究センター廃棄物適正処理処分研究室の山田正人室長 遠藤和人主任研究員 石垣智基主任研究員 日本工業大学の小野雄策教授 早稲田大学理工学術院の香村一夫教授 そして 調査に御協力いただきました関係者の方々に深謝いたします 図 12 観測井の地表からの水位 参考文献 1) 総理府厚生省 : 一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令 ( 昭和 52 年 3 月総理府 厚生省令 ) 2) 社団法人全国都市清掃会議 : 廃棄物最終処分場整備の計画 設計要領 ( 平成 13 年 11 月 28 日 ) -66-

27 ノート 福井県における日本紅斑熱の感染環調査 年の患者発生を受け媒介種のスクリーニング調査 石畒史 *3 藤田博己 *1, 3 平野映子 矢野泰弘 *2 高田伸弘 *2,3 Survey of infection dynamics of Japanese spotted fever in Fukui Prefecture, Japan 1. Screening of vectors in endemic areas after an outbreak in 2014 Fubito ISHIGURO *3, Hiromi FUJITA *1, 3, Eiko HIRANO, Yasuhiro YANO *2, Nobuhiro TAKADA *2,3 1. はじめに 日本紅斑熱は 1984 年に徳島県で確認されて以来 南西日本を中心に発生し 1-3) 2008~2012 年の全国における患者報告数は 例と増加し 4) 一昨年来は 200 台にあると聞く そういう中で 日本海側をみれば従来から島根県の島根半島の西部で多発していたものが 5) 2007 年からは鳥取県東部で発生が確認されるようになり 6) 昨年は兵庫県北部でも初めて患者が確認された 7-8) そして福井県では 2004 年に我国初ともなる欧州型紅斑熱の Rickettsia helvetica 感染例が確認されたため 9-10) 媒介マダニ種の分布および当該病原体の保有状況の調査を 2005~2007 年に本県北部の山間部を中心に行ない 媒介種はヒトツトゲマダニ Ixodes monospinosus 保有病原体は R. helvetica であると判明している 11-12) そういう状況下 2014 年 9 月中旬に二州健康福祉センター管内で本県初となる日本紅斑熱の感染が見出された 患者の概況は別報のとおりで 8) 希少例ゆえ診断が遅れて重症化したものの救命はし得て 抗体検査で R. japonica 感染と判定された 時を移さず発生地区で試行したマダニ調査では本病の一般的媒介種となるチマダニ類が優占的に生息することを確認した 今回は この発生地区に周辺地域も加えて広くマダニの分布を調べるとともに それらのマダニから紅斑熱群リケッチア (spotted fever group rickettsiae:sfgr) の分離を試行したので報告する 2. 材料および方法 2.1 材料 調査期間および調査地域 2014 年 10~11 月 ( 以下 秋季 ) に嶺南の患者発生地区で 3 回 および周辺 ( 若狭湾岸の 4 市町の計 5 地区 ) で各 1 回 2015 年 3 月 ( 以下 春季 ) に患者発生地区で 2 回および周辺の 1 地区で 1 回採集した いずれの地区も海岸から約 100m~1.5km( 標高数 m~100m ほど ) にあり 普通の里山麓の小道で類似した環境であった 材料フランネル法により植生上から採集したマダニ 910 個体を成書を参考に分類同定した上で 13-14) 現発生地区の秋季採集分 253 個中の 159 個体 また春季採集分 360 個体中の 325 個体 さらに周辺の秋季採集分 260 個中の 114 個体と春季採集分 37 個体のすべて 以上合計 635 個体を生菌分離に供した 1 馬原アカリ医学研究所 ( 徳島県阿南市 ) 2 福井大学医学部 ³ 医学野外研究支援会 (MFSS) 2.2 方法 マダニからの SFGR 生菌分離マダニからの SFGR の分離は 既報 15) のとおり実施した マダニ表面を 0.01% イソジン加 70% エタノールで消毒後 1% 牛胎児血清加 0.01M PBS(pH7.2) で 5 分間洗浄した その後 SPG(sucrose phosphate glutamate) で乳剤とした各内臓を L929 細胞で培養し 2~4 週間観察した 分離株の同定単クローン抗体 (Rickettsia japonica 種特異的 C3 および紅斑熱群特異的 S3 X1 F8) 16) に対する反応性を調べ 遺伝子シーケンス前段階の同定の目安とした 3. 結果 3.1 採集されたマダニ種 秋季のマダニ種採集できたマダニは 発生地ではチマダニ属のヤマアラシチマダニ Haemaphisalis hystricis フタトゲチマダニ Haemaphysalis longicornis キチマダニ Haemaphysalis flava タカサゴチマダニ Haemaphysalis formosensis オオトゲチマダニ Haemaphysalis megaspinosa およびヒゲナガチマダニ Haemaphysalis kitaokai の他に タイワンカクマダニ Dermacentor taiwanensis タカサゴキララマダニ Amblyomma testudinarium およびアカコッコマダニ Ixodes turdus の 4 属 9 種の 253 個体であった ( 表 1) 幼若虫が 98.0% を占め 成虫はキチマダニ 3 個体およびヒゲナガチマダニ 2 個体のみで 幼虫および若虫で最も多かったのは それぞれオオトゲチマダニおよびキチマダニであった また ヤマアラシチマダニは若虫 1 個体および幼虫 14 個体 およびフタトゲチマダニは幼虫 12 個体であった 周辺ではヤマアラシチマダニ フタトゲチマダニ キチマダニ タカサゴチマダニ オオトゲチマダニ ヒゲナガチマダニおよびタカサゴキララマダニの 2 属 7 種の 260 個体であった 幼若虫が 82.3% を占め 成虫は キチマダニ 11 個体 オオトゲチマダニ 4 個体およびヒゲナガチマダニ 31 個体のみで 幼虫および若虫で最も多かったのは それぞれオオトゲチマダニおよびキチマダニであった なお ヤマアラシチマダニは採集されなかった 春季のマダニ種発生地では 4 属 9 種の 360 個体採集できた ( 表 1) 幼若虫が 89.2% を占め 成虫はキチマダニ 13 個体およびヒゲナガチマダニ 26 個体のみで 幼虫および若虫で最も多かったのは それぞれタイワンカクマダニおよびキチマダニであった ヤマアラシチマダニは若虫 3 個体および幼虫 19 個体 およびフタトゲチマダニは幼虫 12 個体であった -67-

28 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 表 1 日本紅斑熱患者発生地および周辺におけるマダニ分布相採集 Hf Hfo Hh Hk Hl Hm Io It Dt At 採集地時季 N L N L N L N L N L L L N 秋季 発生地春季 秋季 周辺春季 N: 若虫 L; 幼虫 Hf; キチマダニ Hfo; タカサゴチマダニ Hh; ヤマアラシチマダニ Hk; ヒゲナガチマダニ Hl; フタトゲチマダニ Hm; オオトゲチマダニ Io; ヤマトマダニ It; アカコッコマダニ Dt; タイワンカクマダニ At; タカサゴキララマダニ 表 2 日本紅斑熱患者発生地および周辺のマダニにおけるリケッチア分離個体数採集 Hf Hfo Hh Hk Hl Hm Io It Dt At 採集地時季 N L N L N L N L N L L L N 秋季 発生地春季 * 8* 秋季 周辺春季 * 各 1 個体からSFGRを分離 N: 若虫 L; 幼虫 Hf; キチマダニ Hfo; タカサゴチマダニ Hh; ヤマアラシチマダニ Hk; ヒゲナガチマダニ Hl; フタトゲチマダニ Hm; オオトゲチマダニ Io; ヤマトマダニ It; アカコッコマダニ Dt; タイワンカクマダニ At; タカサゴキララマダニ 周辺では秋季に採集できなかったヤマトマダニ Ixodes ovatus 成虫も僅少得られて計 3 属 5 種の 37 個体であった 3.2 SFGR 分離状況 & 単クローン抗体の反応性リケッチア分離に供したのは 秋季と春季を合わせると発生地ではキチマダニ幼若成虫 270 個体 タカサゴチマダニ幼若虫 66 個体 タイワンカクマダニ幼虫 59 個体 ヤマアラシチマダニ幼若虫 22 個体およびフタトゲチマダニ幼若虫 14 個体など計 484 個体 また周辺ではキチマダニ幼若成虫 97 個体 オオトゲチマダニ幼若成虫 33 個体 ヒゲナガチマダニ成虫 15 個体 フタトゲチマダニおよびヤマアラシチマダニの各 1 個体など計 151 個体であった ( 表 2) リケッチアが分離できたのは いずれも発生地の春季の個体で タイワンカクマダニ幼虫 59 個体中 1 個体 ( 株名を Dt-2 とする ) およびタカサゴキララマダニ若虫 8 個体中 1 個体 ( 株名を At-102) であった そのうち Dt-2 は 4 種類の単クローン抗体全てに陽性であったことから Rickettsia japonica と推定された また At-102 は過去の西日本におけるタカサゴキララマダニ由来株の例から Rickettsia tamurae と推定された 4. 考察 2005~2007 年の県内における SFGR の調査 11-12) では 主に標高 300~1,600m の山間部を中心調査したこともあったためか 県内の 4 地点のヒトツトゲマダニから R. helvetica および嶺南地区のフタトゲチマダニから R. japonica の近縁種とされる R. sp. Lon type などが分離されたものの R. japonica は分離されていなかった 今回は 患者をみていない周辺に比べマダニ生息数が多い傾向をみる患者発生地区のタイワンカクマダニ幼虫から R. japonica と推定される株が生菌分離された 周辺に生息するマダニは秋季には種類が少ない傾向が 春季は生 息数が低い傾向がみえて分離もなかった ただ 過去に R. japonica が分離されて日本紅斑熱の媒介種と言われるヤマアラシチマダニ フタトゲチマダニおよびキチマダニの 3 種からは分離できなかった 17-18) ちなみに 熊本県上天草地区ではヤマアラシチマダニ 196 個体中 2 個体から R. japonica が分離されている 19) R. japonica 遺伝子は島根半島ではフタトゲチマダニ 585 個体中 16 個体およびヤマトマダニ 215 個体中 2 個体 6. 20) 和歌山県岩出市のヤマアラシチマダニ 44 個体中 1 個体 21) 鹿児島県大隅半島ではタカサゴキララマダニ ヤマアラシチマダニおよびフタトゲチマダニから検出されている 22-23) 今回の調査地域は標高が低く 嶺南地区の海岸に近かっためか 2005~2007 年に採集できなかったヤマアラシチマダニおよびタカサゴチマダニが新たに採集できたが 三重県志摩半島において R. japonica 遺伝子が検出されて媒介の可能性は言われるツノチマダニ Haemaphysalis cornigera は採集されなかった 3) 一方 タカサゴキララマダニ由来株は藤田ら 17) および Motoi et al 24) の報告により R. tamurae と推定され このリケッチア感染例は島根県で 1 例報告 25) されている 本種は卵を除く発育全期でヒト嗜好性が強い種類であることから注意が必要である 17) 今回は 西日本においで有力媒介種とされるヤマアラシチマダニおよびフタトゲチマダニの採集数は少なかったため 分離供試数もいささか少なかった 今後は それら媒介有力種の生息地区を探査しつつ 年間を通した調査などで 患者発生地区の疫学的意義を非発生地区と比較してゆきたい ちなみに 昨年は福井県と同じ日本海側として兵庫県北部および新潟県中越地区 7-8) 一方で 国立感染症研究所からの情報では内陸の栃木県那須塩原市でそれぞれ初の日本紅斑熱患者が発生している この理由のひとつとして考えられるのは 熊本県上天草におけるヤマアラシチマダ -68-

29 ニおよびタカサゴチマダニからの R. japonica 遺伝子の検出 19) また島根半島におけるフタトゲチマダニとニホンジカの密接な関係など言われるが 20) 福井県でもこれらの野生動物の繁殖と生息域拡大の影響を受けている可能性もあり 今後の調査を待ちたい 5. まとめ 2014 年 10~11 月および 2015 年 3 月に 日本紅斑熱発生地区と周辺にてマダニを採集して SFGR の分離を試みた その結果 10~11 月は患者発生地で 4 属 9 種の 253 個体 周辺では 2 属 7 種 260 個体のマダニが採集でき 3 月は発生地で 4 属 9 種類 360 個体 周辺は 3 属 5 種 37 個体のマダニが採集でき 計 4 属 10 種の 910 個体であった SFGR の分離は計 4 属 10 種 635 個体について試みたところ 北陸で初めてタイワンカクマダニおよびタカサゴキララマダニ各 1 個体から SFGR が分離でき 前者は R. japonica 後者は R. tamurae と推定された 謝辞 現地調査に直接 間接に支援いただいた敦賀市立病院および二州健康福祉センターの諸氏に感謝する なお 本研究の一部は 平成 26 年度厚労省科学研究費補助金 ( 新興再興感染症研究事業 ) により実施した 参考文献 1) 御供田睦代 濱田まどか他 : 鹿児島県におけるつつが虫及び日本紅斑熱について, 鹿児島県環保セ所報, 14, 50~52(2013) 2) 山本正悟 : 九州地域におけるリケッチア感染症の実態調査 日本紅斑熱の患者発生状況および宮崎県 長崎県 熊本県の患者発生地における媒介マダニ調査, 厚生労働科学研究費補助金新興 再興感染症研究事業 リケッチア感染症の国内実態調査及び早期診断体制の確立による早期警鐘システムの構築 平成 19 年度総括 分担研究報告, 99~107(2008) 3) 高田伸弘 : 三重県志摩半島に多発する紅斑熱 その感染環と環境要因, 厚生労働科学研究費補助金新興 再興感染症研究事業 リケッチア感染症の国内実態調査及び早期診断体制の確立による早期警鐘システムの構築 平成 20 年度総括 分担研究報告, 85~101(2009) 4) つつが虫病 日本紅斑熱 2006~2009, IASR, 31, 120 ~122(2010) 5) Tabara, K., Kawabata, H. et al:high incidence of Rickettsiosis correlated to prevalence of Rickettsia japonica among Haemaphysalis longicornis tick, J Vet Med Sci, 73, 507~510(2011) 6) 白井僚一 松本尚美他 : 鳥取県における日本紅斑熱, IASR,31, 130~131(2010) 7) 高田伸弘 : 地域特性に伴う多様な感染環調査 ~ シモコシ型や南方系の恙虫病および日本海側の紅斑熱 ~, 厚生労働科学研究費補助金新型インフルエンザ等新興 再興感染症研究事業 ダニ媒介性細菌感染症の診断 治療体制構築とその基盤となる技術 情報の体系化に関する研究 平成 26 年度総括 分担研究報告書, 93~98(2015) 8) 高田伸弘 清水達人他 : 福井県南部で初確認できた紅 斑熱の速報 若狭湾地方の環境要因と症例比較から, 衛生動物,69, 60(2015) 9) Noji, Y., Takada, N. et al:the first reported case of spotted fever in Fukui Prefecture, the northern part of central Japan, Jpn J Infect Dis,58, 112~114 (2005) 10) 高田伸弘 石畒史他 : 福井県で初めて確認された R. helvetica 感染が示唆された症例, IASR, 27, 4(2006) 11) Ishiguro,F., Takada, N. et al:survey of the vectorial competence of ticks in an Endemic area of spotted fever group rickettsioses in Fukui prefecture, Japan, Microbiol Immunol, 52, (2008) 12) 石畒史 藤田博己他 : 福井県の紅斑熱発生に係るベクターと病原リケッチアの調査, 福井県衛環研年報, 7, 46 ~49(2009) 13) 高田伸弘 : 病原ダニ類図譜, 金芳堂, 107~130 14) 藤田博己 高田伸弘 : 日本産マダニの種類と幼弱期の検索, ダニと新興再興感染症 (SADI 組織委員会編集 ), 全国農村教育協会, 53-68(2007) 15) Takada, N., Fujita, H. et al:first isolation of arickettsia closely related to Japanese spotted fever pathogen from a tick in Japan, J Med Entmol, 31, 183 ~185(1994) 16) Oikawa, Y., Takada, N. et al:identity of pathogenic strains of spotted fever rickettsiae isolated in Shikoku District based on reactivates to monoclonal antibodies, Jpn J Med Sci Biol, 46, 45~49(1993) 17) 藤田博己 高田伸弘 : マダニ類から検出されるリケッチアの多様性, ダニと新興興感染症, SADI 組織委員会編集, 全国農村教育協会, 129~139(2007) 18) 馬原文彦 : マダニ媒介性疾患を考える ~ 日本紅斑熱の現況と SFTS の出現 ~, モダンメディア, 60, 13~20 (2014) 19) 大迫英夫 古川真斗他 : 熊本県における日本紅斑熱の疫学調査, 熊本県保環研所報, 41, 27~33(2011) 20) 田原研司 : 島根半島における日本紅斑熱 (Rickettsia japonica) の感染リスクとニホンジカの影響, JVM, 65, 817~822(2012) 21) 寺杣文男 下野尚悦他 : 和歌山県内のマダニ類の日本紅斑熱リケッチア保有状況調査, 厚生労働科学研究費補助金新型インフルエンザ等新興 再興感染症研究事業 ダニ媒介性細菌感染症の診断 治療体制構築とその基盤となる技術 情報の体系化に関する研究 平成 26 年度総括 分担研究報告書, 183~187(2015) 22) Noda, S., Yamamoto, S.:Detection of Japanese spotted fever rickettsiae DNA from ixodid ticks in Osumi Peninsula of Kagoshima Prefecture, Japan, Med Entomol Zool, 4, 273~277(2006) 23) 御供田睦代 岩元由佳他 : 鹿児島県におけるつつが虫及び日本紅斑熱患者の病原体検出に関する調査研究, 鹿児島県環保セ所報, 15, 50~52(2014) 24) Motoi, Y., Asano, M. et al:detection of Rickettsia tamurae DNA in ticks and wild boar(sus scrofa leucomystax) skin in Shimane Prefecture, Japan, J Vet Med Sci, 75, 263~267(2013) 25) Imaoka, K., Kaneko, S. et al:the first human case of Rickettsia tamurae infection in Japan, Case Rep Dematol, 3, 68~73(2011) -69-

30 ノート 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 近年の福井県におけるノロウイルスの検出状況 ( 平成 22~26 年度 ) 小和田和誠 平野映子 野田希 大村勝彦 Detection of noroviruses from Fukui Prefecture in recent years Kazuaki KOWADA, Eiko HIRANO, Nozomi NODA, Katsuhiko OMURA 1. はじめに ノロウイルス ( 以下 NoV) は カリシウイルス科に属するウイルス属の一つであり ノーウォークウイルス種を唯一の種として持つ 1) エンベロープを持たない約 7,600 塩基のプラス 1 本鎖 RNA ウイルスである 2) また NoV は主に糞口感染により 嘔吐 下痢 腹痛および発熱等を発症する さらに 感染経路が多種多様で 汚染食品の喫食や 調理従事者を介しての摂取による食中毒およびヒト - ヒト感染による感染症の集団発生原因となることが知られている 3),4) NoV には Ⅰ~Ⅴ の Genogroup があり その中の GenogroupⅠ( 以下 GⅠ ) GenogroupⅡ( 以下 GⅡ ) GenogroupⅣ がヒトを宿主とすることが知られている 3) さらに GⅠ は 9 GⅡ は 22 の遺伝子型が報告されている 5),6) 中でも GⅡ.4 の検出率は 世界的に高いことが報告されており 胃腸炎の大流行に関与することがある 7)-9) 過去に胃腸炎が大流行した平成 18 年度冬期 ( 平成 18 年 10 月 ~19 年 1 月 ) および平成 24 年度冬期 ( 平成 24 年 10 月 ~25 年 1 月 ) には GⅡ.4 の変異株が出現しており その関連性が指摘されている 10),11) 福井県においても GⅡ.4 変異株出現時には胃腸炎が大流行した 12),13) そのため NoV の検出および遺伝子解析による流行動態の把握は 公衆衛生において非常に重要であり これまでに NoV の検出および遺伝子解析を実施してきた 12),13) 平成 25 年には NoV の遺伝子型分類法が ノロウイルスサイエンティフィックコミッティー ( 以下 NoV S.C.) より報告 5),6) されたことを受けて 従来の調査法 14) で定めた遺伝子型番号とは異なる場合については 新分類法で統一するなどの対応が必要となった 本報では 近年 5 ヵ年に福井県内で発生した集団発生事例から検出された NoV について 遺伝子型の変遷を調査した結果について報告する 2. 方法 2.1 検査材料平成 22~26 年度 ( 平成 22 年 4 月 ~27 年 3 月 ) に福井県内で発生した急性胃腸炎のうち 当センターへ行政検査依頼があった急性胃腸炎集団発生 67 事例 839 検体を対象とした 検体の由来の内訳は 有症者由来 407 検体 調理従事者および施設職員由来 331 検体 その他 ( 拭き取り等 ) 101 検体であった また 各年度の期間は 4 月 ~ 翌年 3 月とした 2.2 検査方法糞便および嘔吐物は滅菌水で 10% 乳剤とし 8,500G 10 分間冷却遠心後の上清を試料とし 直腸拭い液は粗遠心後の上清を試料とした カキは中腸腺摘出後 滅菌水で 10% 乳剤とし 30% ショ糖を用いた超遠心 (36,000rpm 2hr) で濃縮したものを試料とした 試料から 厚生労働省通知 15) のリアルタイム PCR 法に準じて RNA 抽出 DNase 処理および逆転写反応を実施し cdna を合成した その後 糞便 吐物はリアルタイム PCR で 拭き取りは 1st PCR 産物を用いた nested リアルタイム PCR で NoV が陽性であるか判定をした リアルタイム PCR 装置は StepOne Plus [Life technologies] を使用した NoV 陽性と判定した検体については Kojima ら 16) のプライマー (G1-SKF/G1-SKR もしくは G2-SKF/ G2-SKR) を用いて Capsid NS 領域を増幅し ダイレクトシークエンス法により塩基配列を決定した そして プライマー配列を除いた領域 (GⅠ:295nt GⅡ:282nt) について 相同性解析および系統解析を実施した シークエンス装置は ABI PRISM 3130 Genetic Analyzer [Life technologies] を使用した データの解析は MEGA (Molecular Evolutionary Gene Analysis)ver. 5.0 プログラム 17) を使用し 最尤法 (ML 法 ) により系統樹を作製した その際に 系統樹評価のため 1000 回のブートストラップを実施した 各遺伝子型の標準株は NoV S.C. が推奨する株を使用した 5),6) また 同一事例内で同一の塩基配列が得られた検体については 塩基配列を一つ選出し その事例の代表株とした 3. 結果および考察 調査対象の集団発生 67 事例のうち NoV が検出されたのは 46 事例であった 全ての事例において GⅡ が検出され GⅡ だけでなく GⅠ も同一事例から検出されたのは 6 事例 (13.0%) であった GⅠ は計 7 検体から検出され GⅡ は計 374 検体から検出された GⅠ が検出された検体は いずれの検体も GⅡ が検出されており GⅠ が単独で検出された検体はなかった 発生施設別では 飲食店 (21 事例 ) が最も多く 他には仕出し店 (10 事例 ) 小 中学校 保育所 (6 事例 ) が多かった ( 表 1) 食中毒の原因施設になるケースが含まれる飲食店および仕出し店における事例については G Ⅱ.4 の検出が半数以上 ( 飲食店 12 事例 仕出し店 9 事例 ) を占めた それに対し 食中毒ではなくヒト - ヒト感染などの感染症が推定された小 中学校 保育所の 6 事例においては GⅡ.4 の検出は無く GⅡ.2 GⅡ.3 GⅡ.14 等が主に検出された -70-

31 表 1. 胃腸炎集団発生事例の発生 ( 原因 ) 施設 発生施設 件数 (%) 飲食店 仕出店 学校 保育所 社員食堂 イベント会場 公共施設 高齢者施設 旅館 病院 表 2. 検出されたノロウイルスの遺伝子型 ( 月 ) H22 H23 H24 H25 H ( 事例件数 ) 図 1 集団発生事例の発生月 遺伝子型 検出年度 ( 件数 ) 合計 H22 H23 H24 H25 H26 件数 (%) GⅠ GⅠ GⅠ GⅠ GⅠ GⅠ GⅡ GⅡ GⅡ GⅡ GⅡ GⅡ GⅡ GⅡ 複数の遺伝子型を検出した事例は 当該遺伝子型の全てに数える 図 2 GenogroupⅠの系統樹解析 また 発生月別では 3 月 (13 事例 ) が最も多く 5 年連続で NoV が検出された ( 図 1) 他には 1 月 (7 事例 ) 12 月 (6 事例 ) など NoV 流行期にあたる冬季に多かった 一方で 5 月 (5 事例 ) や 7 月 (2 事例 ) のような春から夏にかけても NoV が検出される年もあった 全国的には 1 月に NoV 食中毒のピークが見られることが多い 18) が 本県では春にかけて発生が継続または増加しており 全国よりやや遅れて流行する傾向が見られた そのため 冬のピークをすぎた後も NoV の予防対策は重要であると考えられた 検出された NoV の塩基配列について 各事例の代表株を用いて Genogroup ごとに系統樹解析を実施した ( 図 2 3) その結果 GI では GⅠ.1 GⅠ.2 GⅠ.3 GⅠ.4 GⅠ.5 GⅠ.6 の 6 種類の遺伝子型が確認された 同様に GⅡ では GⅡ.2 GⅡ.3 G Ⅱ.4 GⅡ.6 GⅡ.12 GⅡ.13 GⅡ.14 GⅡ.17 の 8 種類の遺伝子型が確認された 遺伝子型ごとの検出頻度を比較すると G Ⅱ.4 が 24 事例 (52.2%) で突出して多く 次点の GⅡ.3 および GⅡ.14 の各 6 事例 (13.0%) の約 4 倍であった ( 表 2) 検出された各遺伝子型について 発生時期との関連性について調査した まず GⅡ.2 については 平成 22 年 11 月から翌年 1 月までに検出された株 (3 事例 ) と 平成 25 年 3 月から 4 月までに検出された株 (2 事例 ) では異なるクラスターに分かれていた 同様に GⅡ.3 についても平成 22 年 11 月から翌年 3 月までに検出された株 (2 事例 ) と平成 26 年 11 月から翌年 1 月までに検出された株 (4 事例 ) では異なるクラスターに分かれていた 両者とも検出の無かった 3~4 年の間に変異したために 再び流行するようになったと考えられた -71-

32 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 図 3 GenogroupⅡ の系統樹解析 -72-

33 一方で GⅡ.6 および GⅡ.14 については検出年度の違いによるクラスターの違いは見られなかった GⅡ.6 は平成 25 年 8 月から平成 26 年 6 月の間に検出され GⅡ.14 は平成 23 年 1 月から平成 24 年 5 月の間に検出された 両者とも検出期間が 1~2 年以内と GⅡ.2 等と比べて検出期間が短く 大きな変異を起こすには至っていない可能性があり 数年後にはクラスターの異なる変異株が検出される可能性が考えられた 検出頻度が最も高かった GⅡ.4 について NoV S.C. が推奨する GⅡ.4 変異株の標準株を用いて系統樹解析を実施した その結果 平成 22~23 年度に発生した 6 事例は全て DenHaag2006b 平成 24 年度の 4~5 月頃に発生した 2 事例は NewOrleans2009 平成 24~25 年度に発生した 16 事例は全て Sydney2012 に分類され 検出されるクラスターが変遷していた 以前検出された変異型が再び検出されるということもなく 新しい変異型に移行していると考えられた 今後の変異の行方が注目される GⅡ.4 であるが 例年最も多く検出されているにもかかわらず 平成 26 年度の集団発生事例からは検出されなかった このことから Sydney2012 に対する免疫が獲得された可能性が考えられた その一方で 免疫逃避のために新たな変異が起きている可能性も考えられた GⅡ.4 が検出されない中で GⅡ.3 や GⅡ.17 が平成 26 年度に数年ぶりに検出されるようになった 今後も検出される遺伝子型が変遷していくと推定されるため その動向に注視する必要があると考えられた 4. まとめ 近年 5 ヵ年 ( 平成 22~26 年度 ) に検査した集団発生 67 事例 839 検体のうち 46 事例 374 検体から NoV を検出した そして 事例ごとに発生状況を調査し 代表株について遺伝子解析を実施した その結果 14 種類 (GⅠ:6 種類 GⅡ:8 種類 ) の遺伝子型に分類され 特に GⅡ.4 が多数 (24 事例 :52.2%) を占めた 検出された GⅡ.2 G Ⅱ.3 GⅡ.4 は 集団発生時期により主要流行株が異なっており 遺伝子変異を繰り返しながら胃腸炎の流行に関与していることが示唆された 謝辞 検体の採取 搬入および疫学等の情報収集を担当された健康福祉センター 医療機関 福井県健康福祉部医薬食品衛生課 健康増進課の関係各位に深謝いたします 参考文献 2) 片山和彦 : 胃腸炎関連カリシウイルス ( ノロウイルス サポウイルス ) 総論, IASR., 24, (2003) 3) 田代眞人他 : ウイルス感染症の検査 診断スタンダード, 羊土社 (2011) 4) 丸山務他 : つけない うつさない 持ち込まないノロウイルス現場対策その感染症と食中毒, 幸書房 (2006) 5) 片山和彦 : ノーウォークウイルス ( ノロウイルス ) の遺伝子型 2014 年版 IASR, 35, (2014) 6) Kroneman A et al.: Proposal for a unified norovirus nomenclature and genotyping., Arch Virol., 158, (2013) 7) Siebenga JJ et al.: Epochal Evolution of GGII.4 Norovirus Capsid Proteins from 1995 to 2006., J Virol., 81, (2007) 8) Vega E et al.: Novel surveillance network for norovirus gastroenteritis outbreaks, United States., Emerg Infect Dis., 17, (2011). 9) J van Beek et al., Indications for worldwide increased norovirus activity associated with emergence of a new variant of genotype II.4, late 2012., Eurosurveillance., 18, 03 Jan (2013). 10) 本村和嗣他 : ノロウイルスのゲノム解析と流行発生のしくみ, 感染症誌,86, (2012) 11) 田村務他 : ノロウイルス GⅡ/4 の新しい変異株の遺伝子解析と全国における検出状況,IASR., 33(12), (2012) 12) 東方美保他 : 平成 14~18 年度に福井県で検出されたノロウイルスの遺伝子解析, 福井県衛生環境研究センター年報,5, 60-72(2006) 13) 小和田和誠他 : 平成 22~24 年度に福井県の集団発生事例から検出されたノロウイルスの遺伝子解析, 福井県衛生環境研究センター年報,11, 58-62(2012) 14) Kageyama T et al.: Coexistence of multiple genotypes,including newly identified genotypes,in outbreaks of gastroenteritis due to Norovirus in Japan., J.Clin.Microbiol., 42, (2004) 15) 厚生労働省医薬局食品安全部監視安全課長通知 : ノロウイルスの検出法について, 食安監発第 号, 平成 15 年 11 月 5 日 16) Kojima S et al.: Genogroup-specific PCR primers for detection of Norwalk-like viruses, J Virol Methods., 100, (2002) 17) Tamra K, et al.: MEGA5: Molecular Evolutionary Genetics Analysis Using Maximum Likelihood, Evolutionary Distance, and Maximum Parsimony Methods., Mol. Biol. Evol. 28, (2011) 18) 厚生労働省食中毒統計資料, 公式 HP ou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html 1) 武田直和他 : カリシウイルスの命名変更について, IASR., 24, (2003) -73-

34 ノート 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 福井県内の河川における HBCD の実態について 三木崇 吉川昌範 Distribution of Hexabromocyclododecane in River Water and Sediment in Fukui. Takashi MIKI, Masanori YOSHIKAWA 1. はじめに 樹脂製品やカーテン素材に使用されている臭素系難燃剤ヘキサブロモシクロドデカン (HBCD:C12H18Br6) は 2013 年 5 月にストックホルム条約の規制対象物質に追加され 2014 年 5 月に化審法第一種特定化学物質に指定された 繊維産業が盛んな福井県では 嶺北地方の平野部を中心として多数の繊維染色加工事業所が操業していることから 工場排水による HBCD 汚染が懸念され 他機関の研究報告 1-3) でも九頭竜川の底質から 主要異性体である γ-hbcd が高濃度で検出されている また 環境中の分解過程においては より毒性が高いとされる分解産物 (PBCDs) による汚染も懸念される このため 県内における HBCD 汚染実態の把握を目的として 平成 26 年度に県内全域の 30 河川を対象とした河川水および底質試料の分析を実施した を除去して LC-MS/MS 測定 (Shimadzu 社製 LP-8050) を行った ( 図 1) 図 1 河川水分析フロー 生物濃縮係数 (BCF) α 体 β 体 γ 体 3,390~16,100 3,350~8, ~2,030 ヘキサブロモシクロドデカン (HBCD) の構造式 2. 方法 2.1 河川水分析法河川水 (0.5~1L) に内部標準物質 ( 13 C-HBCD)50ng を添加し ガラス繊維ろ紙で懸濁物をろ過した後 試料溶液を再度固相ディスク (Empore Disk C18) にて約 50mL/min で吸引ろ過を行った 1 時間の 40 乾燥と風乾により試料を完全に乾燥させ 超音波抽出 ( アセトン 1 回 ジクロロメタン 2 回 各 20mL) により得られた抽出液を濃縮してヘキサン 5mL に転溶し 1mL まで窒素パージ濃縮を行った クリーンアップ用固相カートリッジ (Envi-Carb) に固定後 25% ジクロロメタン / ヘキサン溶液 10mL で溶出させ 窒素パージ濃縮後 ヘキサン 3mL 程度に転溶し 乾固寸前まで濃縮した アセトニトリル 3mL に転溶後 再度 0.5mL まで濃縮し シリンジスパイク用内部標準物質 (d18-αhbcd)50ng を添加後 1mL にメスアップし シリンジフィルターで懸濁物 2.2 底質分析法底質の分析法に関しては 既存の分析法検討結果 4-6) を参考に 高速溶媒抽出装置 (ASE) による抽出操作 ( 表 1) と硫酸シリカゲルによる精製操作を行った 風乾処理後の底質 2g を分取し 抽出セル内に珪藻土と底質試料を入れて内部標準物質 ( 13 C-HBCD)50ng を添加し アセトン抽出 ( psi) を 2 回行った アセトン抽出液を濃縮後 銅片 1g を加えて 45 にて 1 時間以上加温処理した後 精製水 100mL とヘキサン 40mL で液 - 液抽出し 再度精製水 100mL を加え液 - 液抽出を行った ヘキサン層を無水硫酸ナトリウムで脱水ろ過して 1mL 程度まで濃縮し 多層カラム ( 硫酸シリカゲル 22% 6g 44% 4.5g ワコーゲル 硫酸ナトリウム適量 ) に固定させ 25% ジクロロメタン / ヘキサン溶液 140mL で溶出し 精製液を濃縮してヘキサン溶液に転溶した 窒素パージ濃縮で乾固寸前まで濃縮し アセトニトリル 3mL に転溶後 再度 0.5mL まで濃縮し シリンジスパイク用内部標準物質 (d18-αhbcd)50ng を添加後 1mL にメスアップし シリンジフィルターで懸濁物を除去して LC-MS/MS 測定を行った ( 図 2) なお 河口付近の底質の多くはヘドロ状のシルト質であることが多く ( 表 2) 濃縮時には硫黄と思われる多量の針状結晶が析出したため Cu 処理 (45 ) を行うこととした この操作により針状結晶の析出が大きく抑制さ -74-

35 れ 100% 近い回収率を安定して得ることができた 今回採取した底質試料の性状を表 2 に示す 表 1 高速溶媒抽出条件 (DIONEX ASE-350) 項目 条件 セル容量 22 ml 空隙充填 珪藻土 セル圧力 10.3 MPa(1500psi) 加熱温度 100 靜置時間 7 min フラッシュ溶媒量 13.2 ml パージ時間 60 sec 抽出溶媒 アセトン 3. 結果と考察 3.1 分析条件の検討 LC-MS/MS パラメータの検討 HBCD には α~ε まで 5 種類の異性体があり 環境試料の測定の際には各々についてピーク分離 定量可能な精度が必要である 移動相として水 アセトニトリル系を選択し グラジエント条件と機器パラメータの調整を行った 他報と比べて異性体毎の感度差が大きく 同一濃度において β ε のピーク面積は α γ δ の約 7~ 10 倍であった ( 図 3) ヒートブロック温度やヒーティングガス流量などの機器パラメータを調整したが 各々のピーク面積は一様に増加 減少しており 感度比に目立った変化は認められなかった ( 図 4 5) 移動相の流速を上げると MS 感度は低下するが 流速 0.4mL/min で 5 異性体の分離が可能となり グラジエント条件はアセトニトリル 62% が最適であった ( 図 6) また 移動相のアセトニトリル濃度とともに感度が増加する傾向が認められた 試料溶液の注入量を 5μL まで減らした結果 ピーク形状 異性体分離の良いクロマトが得られた ( 図 7) 諸条件の検討の結果 流速 0.4mL 注入量 5μL グラジエント 62 72%(0-20min) ヒートブロック温度 375 ガス流量 7.5L/min を採用することとした ( 表 3) 表 3 LC-MS/MS 測定条件 図 2 底質分析フロー 表 2 底質試料の性状 (H26.10-H27.1 採取 ) 水系 No 採取河川 地点 含水率 (%) 強熱減量 (%) 粒径 九頭竜川 荒鹿橋 粗砂 九頭竜川 2 日野川 豊橋 粗砂 ( 本川 ) 3 竹田川 清間橋 粗砂 4 竹田川 栄橋 シルト 5 兵庫川 新野中橋 シルト 6 荒川 水門 粗砂 7 吉野瀬川 高見橋 細砂 8 浅水川 天神橋 粗砂 9 真名川 土布子橋 粗砂 10 磯部川 安沢橋 粗砂 11 底喰川 西野橋 粗砂 12 狐川 狐橋 粗砂 九頭竜川 13 鞍谷川 浮橋 シルト ( 支派川 ) 14 清滝川 新在家橋 粗砂 15 赤根川 東大月橋 粗砂 16 穴田川 楱木橋 粗砂 17 田島川 長屋橋 粗砂 18 八ケ川 水門 シルト 19 五領川 熊堂橋 粗砂 20 馬渡川 末端 シルト 21 大納川 末端 粗砂 22 黒津川 水門 粗砂 23 笙の川 三島橋 粗砂 24 木の芽川 木の芽橋 粗砂 笙の川 25 深川 木の芽橋 粗砂 井の口川 26 二夜の川 末端 ( 採取不可 ) ( 採取不可 ) ( 採取不可 ) 27 井の口川 豊橋 粗砂 28 井の口川 穴地蔵橋 粗砂 耳川 29 耳川 和田橋 粗砂 30 北川 新道大橋 粗砂 北川 南川 31 鳥羽川 末端 シルト 32 南川 湯岡橋 粗砂 HPLC Column Mobile phase CELI L-column2 ODS 2.1mm 150mm 2μm A : H2O B : CH3CN 400μL/min Flow rate Column oven temp 40 Injection volume 5μL Gradient condition 0 20 min A : B = : min A : B = 28 0 : min A : B = 0 : min A : B = 0 28 : min A : B = 28 : 72 MS/MS Ionization ESI Polarity mode negative Scan type MRM DL temp 250 Heater temp 375 Nebulizer gas 3 L/h Heater gas 7.5 L/min 図 3 HBCD 異性体ピーク (α~ε)

36 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 90,000 80,000 α HBCD 70,000 β HBCD 60,000 50,000 γ HBCD 40,000 30,000 20,000 10, 図 4 ヒートブロック温度による感度変動 120, ,000 80,000 α HBCD β HBCD γ HBCD 60,000 40,000 20,000 0 (L/min) 図 5 ヒーティングガス流量による感度変動 検出下限値 0.5ng/mL の標準混合溶液の繰り返し測定により算出した装置の検出下限値 (IDL) を表 4 に示す α~γ 体の検出下限値は溶液濃度で 0.13~0.22 ng/ml であり 環境省の化学物質環境実態調査結果 7) と比較しても妥当な水準といえる 表 4 定量下限値の算出 α-hbcd β-hbcd γ-hbcd 注入液濃度 (ng/ml) 注入量 (μl) 測定値 1 (ng/ml) 測定値 2 (ng/ml) 測定値 3 (ng/ml) 測定値 4 (ng/ml) 測定値 5 (ng/ml) 測定値 6 (ng/ml) 測定値 7 (ng/ml) 平均値 (ng/ml) 標準偏差 (ng/ml) IDL(ng/mL) IQL(ng/mL) CV(%) IDL=t(n-1,0.05) σ n-1,i 2 IQL=10 σ n-1,i 添加回収試験結果底質試料の添加回収試験結果を表 5 に示す 大納川の底質 2.0g(α- β- γ- HBCD 全て ND) に各異性体 50ng を添加し 前述の底質前処理法にて ASE 抽出 分析前処理を行った 各異性体の平均値は 26.5~27.8ng/g 平均回収率 102.5% であり 設定濃度より 6~11% 高めであったが 再現性の良い定量結果が確認できた 表 5 底質試料添加回収試験結果 ( 大納川 2g) 図 6 グラジエント分離条件 α-hbcd β-hbcd γ-hbcd 設定濃度 (ng/g) 注入量 (μl) 測定値 1 (ng/g) 測定値 2 (ng/g) 測定値 3 (ng/g) 測定値 4 (ng/g) 測定値 5 (ng/g) 平均値 (ng/g) 標準偏差 (ng/g) σ(ng/g) CV(%) 図 7 注入量とピーク形状 3.2 河川水調査結果平成 26 年 10 月に採水した福井県内 29 河川 31 地点の河川水 ( 八ヶ川は河川工事中のため欠測 ) を分析した結果 γ-hbcd が 19 地点で検出された ( 表 6 図 8) そのうち 3 地点 ( 兵庫川 磯部川 狐川 ) で環境省の化学物質環境実態調査結果 (H23) 7) の γ-hbcd 最大値 (65ng/L) を超える濃度が確認され それぞれ 90ng/L 320ng/L 890ng/L であった 異性体組成比はいずれも一般的な工業用 HBCD と同様 8,9) で γ 体が 8 割以上を占め 次いで α 体 β 体の順であった 工業用 HBCD に含まれていない δ 体 ε 体は全地点で不検出であった -76-

37 表 6 河川水調査結果 水系 No 採取河川 地点 九頭竜川 ( 本川 ) αhbcd (ng/l) βhbcd (ng/l) γhbcd (ng/l) 異性体比 α 体 β 体 γ 体 1 九頭竜川荒鹿橋 (ND) (ND) 日野川豊橋 (ND) (ND) (ND) 竹田川清間橋 0.19 (ND) 竹田川栄橋 兵庫川 新野中橋 荒川 水門 0.39 (ND) 吉野瀬川高見橋 (ND) (ND) (ND) 浅水川 天神橋 0.39 (ND) 真名川 土布子橋 0.21 (ND) 磯部川 安沢橋 底喰川 西野橋 狐川 狐橋 九頭竜川 13 鞍谷川 浮橋 ( 支派川 ) 14 清滝川 新在家橋 (ND) (ND) (ND) 赤根川 東大月橋 0.28 (ND) 穴田川 楱木橋 0.33 (ND) 田島川 長屋橋 0.31 (ND) 八ケ川 水門 ( 河川工事中 ) ( 河川工事中 ) ( 河川工事中 ) 五領川 熊堂橋 0.52 (ND) 馬渡川 末端 大納川 末端 (ND) (ND) (ND) 黒津川 水門 0.32 (ND) 笙の川 三島橋 木の芽川木の芽橋 笙の川 25 深川 木の芽橋 (ND) (ND) (ND) 井の口川 26 二夜の川末端 (ND) (ND) (ND) 井の口川豊橋 0.25 (ND) (ND) 井の口川穴地蔵橋 (ND) (ND) (ND) 耳川 29 耳川 和田橋 (ND) (ND) (ND) 北川 新道大橋 (ND) (ND) (ND) 北川 南川 31 鳥羽川 末端 (ND) (ND) (ND) 南川 湯岡橋 (ND) (ND) (ND) :γ-hbcd 濃度が 化学物質実態調査結果 ( 河川水 :H23) の最大値を超えた地点 表 7 底質調査結果 水系 No 採取河川 地点 αhbcd βhbcd γhbcd 異性体比 (ng/g) (ng/g) (ng/g) α 体 β 体 γ 体 1 九頭竜川荒鹿橋 (ND) (ND) (ND) 九頭竜川 2 日野川 豊橋 (ND) (ND) (ND) ( 本川 ) 3 竹田川 清間橋 (ND) (ND) (ND) 竹田川 栄橋 兵庫川 新野中橋 荒川 水門 吉野瀬川高見橋 (ND) (ND) 浅水川 天神橋 真名川 土布子橋 磯部川 安沢橋 底喰川 西野橋 0.56 (ND) 狐川 狐橋 九頭竜川 13 鞍谷川 浮橋 1.1 (ND) ( 支派川 ) 14 清滝川 新在家橋 (ND) (ND) (ND) 赤根川 東大月橋 (ND) (ND) (ND) 穴田川 楱木橋 (ND) (ND) (ND) 田島川 長屋橋 八ケ川 水門 五領川 熊堂橋 1.7 (ND) 馬渡川 末端 大納川 末端 (ND) (ND) (ND) 黒津川 水門 笙の川 三島橋 (ND) (ND) (ND) 木の芽川木の芽橋 (ND) (ND) (ND) 笙の川 25 深川 木の芽橋 (ND) (ND) 井の口川 26 二夜の川末端 採取不可 採取不可 採取不可 井の口川豊橋 (ND) (ND) 井の口川穴地蔵橋 (ND) (ND) (ND) 耳川 29 耳川 和田橋 (ND) (ND) (ND) 北川 新道大橋 (ND) (ND) (ND) 北川 南川 31 鳥羽川 末端 (ND) (ND) (ND) 南川 湯岡橋 (ND) (ND) (ND) :γ-hbcd 濃度が 化学物質環境実態調査結果 ( 底質 :H23-24) の最大値を超えた地点 H23 化学物質実態調査結果 ( 環境省 ) α 体 β 体 γ 体 最大値 6.3ng/L 1.3ng/L 65ng/L 検出頻度 ( 検体 ) 4/47 4/47 5/47 検出頻度 ( 地点 ) 4/47 4/47 5/47 H23-H24 化学物質環境実態調査結果 ( 環境省 ) α 体 β 体 γ 体 最大値 24ng/g 14ng/g 570ng/g 検出頻度 ( 検体 ) 125/249 77/ /249 検出頻度 ( 地点 ) 82/125 50/125 88/125 図 8 河川水濃度分布 (γ-hbcd) 図 9 底質濃度分布 (γ-hbcd)

38 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 3.3 底質調査結果平成 26 年 10 月 ~27 年 1 月にかけて採取した 29 河川 31 地点の底質 ( 二夜の川はコンクリート三面張りのため底質なし ) を分析した結果 γ-hbcd が 17 地点で検出された ( 表 7 図 9) そのうち高濃度河川を中心に 5 地点 ( 竹田川 兵庫川 狐川 八ヶ川 馬渡川 ) で化学物質環境実態調査結果 (H23-24) 7) の γ-hbcd 最大値 (570ng/g-dry) を超える濃度が確認され 最高濃度は兵庫川新野中橋の 6,800 ng/g-dry であった 異性体組成比はいずれも一般的な工業用 HBCD と同様 8,9) であり δ 体 ε 体は河川水と同様 全地点で不検出であった 4. まとめ 県内 30 河川 32 地点を対象に 河川水 底質中の HBCD を分析した結果 多数の染色事業所が操業している嶺北地方の平野部に高濃度が確認され 奥越地方 嶺南地方は ND に近い水準であった 河川水 底質がともに比較的高濃度の地点については 両方の組成比が地点毎に似通っている傾向が認められた 今後は 今回の調査で HBCD が高濃度で検出された 5 河川 ( 竹田川 兵庫川 磯部川 狐川 八ヶ川 ) および他研究 1-3) で高濃度が報告されている九頭竜川を対象に 流域毎に区切った調査を行い 主要な発生源を推定するとともに HBCD の分解産物である PBCDs 測定条件を確立し HBCD の分解プロセス 環境動態の解明を行う予定である 謝辞 本研究は文部科学省 特別電源所在県科学技術振興事業費補助金 により 化学物質対策調査研究事業 ( 平成 26~28 年度 ) として実施したものであり ご協力を賜りました関係者の方々に感謝申し上げます 参考文献 1) Oh.JK et al. : Profile for Hexabromocyclododekane and its Degradation Product in River Sediment, Japan and Korea, Organohalogen Compounds, Vol 74, (2012) 2) 呉正根他 第 21 回環境化学会討論会要旨集 p (2012) 3) Managaki.S et al. : Spatial Distribution of HBCD in Japanese River Sediment and its Source, 29th International Symposium on Halogenated Persistent Organic Pollutants (2009) 4) 長谷川瞳他 名古屋市環境科学研究所年報 41 p39-46 (2012) 5) 舟橋祐子他 第 22 回環境化学会討論会要旨集 p (2013) 6) 環境省 : 平成 21 年度化学物質分析法開発調査報告書 p (2010) 7) 環境省 : 化学物質と環境 (2011), (2012) 8) 環境省 HP: 化学物質審査小委員会 ( 第 103 回 ) 参考資料 11 9) M. Peled et al. : Thermal Rearrangement of Hexabromocyclododekane(HBCD), Advance in Organobromic Chemistry Ⅱ,

39 ノート 平成 26 年度大気中揮発性有機化合物の調査結果と一考察 山崎隆博 三木崇 吉川昌範 Survey results and Consideration of Volatile Organic Compounds in the Atmosphere, 2014 Takahiro YAMAZAKI, Takashi MIKI, Masanori YOSHIKAWA 1. はじめに 本県では 大気汚染防止法第 18 条第 23 項に基づき平成 9 年度より県内 5 地点において揮発性有機化合物 ( 以下 VOC という ) を含む大気中の有害大気汚染物質濃度の測定を行っており これまで 植山や高橋が既報 1,2) にて 各物質濃度の経年変化や風向風速 発生源との関係等について考察し報告している 本報では 平成 26 年度の VOC 調査結果とともに 平成 26 年度から武生局に替わって新たに調査を開始した神明局において一部の物質が高濃度であったため その要因について考察したので報告する 2. 調査方法 2.1 調査期間平成 26 年 4 月 ~ 平成 27 年 3 月 ( 毎月 1 回 24 時間採取 ) 2.2 調査物質環境基準値および指針値が設定されている 9 項目と 塩化メチル トルエンを加えた計 11 項目 環境基準値設定物質 (4 項目 ) ベンゼン トリクロロエチレン テトラクロロエチレン ジクロロメタン 指針値設定物質 (5 項目 ) アクリロニトリル 塩化ビニルモノマー クロロホルム 1,2- ジクロロエタン 1,3- ブタジエン その他 (2 項目 ) 塩化メチル トルエン 2.3 分析方法等採取方法および分析方法は 有害大気汚染物質測定方法マニュアル に準拠した 測定に使用した機器等は以下のとおりである 測定機器 型式 試料導入部 GL サイエンス AERO C 2 GC/MS 島津 GCMS-QP2010 Ultra カラム GL サイエンス InertCap AQUATIC 2.4 調査地点平成 26 年度の調査地点を図 1 表 1 に示す 環境省策定の 有害大気汚染物質モニタリング地点選定ガイドライン による全国標準監視地点が 2 地点 ( 福井局 和久野局 ) 地域特設監視地点が 3 地点 ( 自排福井局 神明局 三国局 ) の計 5 地点で調査を実施した 図 1 調査地点 表 1 調査地点一覧 調査地点 分類 属性 所在地 福井局 全国標準監視 一般環境 福井市豊島 2 丁目 和久野局 全国標準監視 一般環境 敦賀市新和町 2 丁目 自排福井局 地域特設監視 沿道 福井市下六条町 神明局 地域特設監視 固定発生源周辺 鯖江市水落町 4 丁目 三国局 地域特設監視 固定発生源周辺 坂井市三国町山岸 3. 結果および考察 3.1 環境基準値および指針値との比較平成 26 年度の県内 VOC 年平均値と平成 25 年度の全国平均値を表 2 に示す 環境基準値が設定されているベンゼン トリクロロエチレン テトラクロロエチレン ジクロロメタンの 4 項目は全て環境基準値未満であった 指針値が設定されているアクリロニトリル 塩化ビニルモノマー クロロホルム 1,2- ジクロロエタン 1,3- ブタジエンの 5 項目は全て指針値未満であった 表 2 VOC 測定結果 ( 年平均値 ) (μg/m 3 ) 福井 和久野 神明 三国 自排福井 全国平均値環境基準値 (H25 年度 ) ( 指針値 ) ベンゼン トリクロロエチレン テトラクロロエチレン ジクロロメタン アクリロニトリル 塩化ビニルモノマー クロロホルム ,2-ジクロロエタン ,3-ブタジエン 塩化メチル トルエン

40 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 3.2 全国平均値との比較殆どの項目は全国平均値と同程度もしくはそれ以下であったが 神明局のトリクロロエチレン ジクロロメタンおよび和久野局以外の 4 地点の塩化ビニルモノマーは全国平均値を大きく超過していた なお 和久野局以外の 4 地点の塩化ビニルモノマー濃度は 0.047~0.062μg/m 3 であり 平成 21~24 年度の全国平均値 (0.047~0.066μg/m 3 ) と比較すると概ね同水準であった 3.3 VOC 濃度の経月変動項目別の VOC 濃度の経月変動を図 2 に示す 1,2- ジクロロエタン 塩化メチルは 5 地点ともほぼ同濃度でかつ経月変動も類似していた このことから これらの物質は 調査地点周辺に排出源がなく 越境汚染のような広域的な影響を受けているものと示唆される ベンゼン ジクロロメタン アクリロニトリル クロロホルムおよび 1,3- ブタジエンについては 一部の地点で高い濃度になる月があるものの 5 地点とも概ね同様の経月変動を示していた トリクロロエチレン テトラクロロエチレン 塩化ビニルモノマー トルエンについては 地点毎の濃度に差があり また経月変動も異なっていたことから 調査地点周辺に排出源があり 風向 風速など局所的な影響を受けているものと推察される なお 本県では 1,2- ジクロロエタン クロロホルムなど一部の有機ハロゲン化合物が 4 月 ~5 月に高濃度となる傾向にあるが 1,2- ジクロロエタンが同様な時期に高濃度となる傾向は 滋賀県や広島県など西日本を中心に確認されており この要因として 排出源の多い中国で滞留した気塊が 日本国内に移流している可能性が報告 3,4) されている また 1,2- ジクロロエタンについては 11 項目の中で唯一経年的な増加傾向にあり 今後ともデータを蓄積し 注視していく必要がある 図 2 VOC 濃度の経月変動 3.4 神明局の VOC 高濃度要因の検討神明局の VOC 濃度は他の調査地点に比べ高めで推移している物質が多く 中でもトリクロロエチレン ジクロロメタンは年間を通じて 5 地点で最も高い濃度レベルであった 特に トリクロロエチレンは他の地点との濃度差が大きかった 高濃度の要因を検討するため 化学物質排出移動量届出制度 ( 以下 PRTR という ) の登録データを基に神明局周辺の排出源について調査した その結果 ジクロロメタンに関しては 年間大気排出量 6.7~51 t の事業所群が神明局の北東約 1km 東 2km 南西 4km の 3 箇所に確認され これらの事業所からの影響を受けている可能性が推察された また トリクロロエチレンに関しては PRTR 届出事業所は存在しなかったが 神明局周辺には小規模事業所が多数立地していることか -80-

41 ら 届出対象外の小規模な排出源の影響を受けている可能性も考えられる そこで 排出源の影響を把握するため 濃度と神明局の風向 風速の関係について検討した 図 3 神明局周辺のジクロロメタン排出地点 神明局のトリクロロエチレン ジクロロメタン濃度と無風頻度 平均風速の関係を図 4 図 5 に示す 両物質の濃度とも 無風頻度とは正の相関が 平均風速とは負の相関がそれぞれ認められ 各相関係数は ジクロロメタンの方がトリクロロエチレンより高かった なお 神明局と排出源との位置関係が明確なジクロロメタンについて風向による影響を評価したが 濃度と風向との間に明確な関係は認められなかった 以上のことから 神明局では 近傍の固定発生源から排出されたトリクロロエチレンやジクロロメタンが 風速が弱い時に 希釈 拡散されずに周辺に漂うことによって 高濃度になったものと考えられる 図 5 ジクロロメタン濃度と風況の相関 4. まとめ 県内 5 地点における VOC 濃度は 環境基準値および指針値を大きく下回っていた 塩化メチル 1,2- ジクロロエタンは 県内 5 地点全てでほぼ同様の濃度推移を示していたことから 越境汚染由来など広域的影響を受けていると考えられた 神明局のトリクロロエチレン ジクロロメタン濃度は他の 4 地点に比べ高濃度であった その要因として 近傍の固定発生源から排出されたトリクロロエチレンやジクロロメタンが 希釈 拡散されずに周辺に漂うことで高濃度になったものと考えられた 参考文献 1) 植山洋一他 : 福井県における有害大気汚染物質濃度について - 平成 10~19 年度の調査結果のまとめ -, 福井県衛生環境研究センター年報, 6, , (2007) 2) 高橋伸行 : 福井県における大気中揮発性有機化合物の挙動について, 10, , (2011) 3) 瀧野昭彦他 : 大気環境モニタリング - 有害大気汚染物質調査結果について, 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター研究報告書, 8, 50-60, (2013) 4) 小中ゆかり他 : 広島市における有害大気汚染物質 (1,2- ジクロロエタン ) の挙動, 広島市衛研年報 32, 45-50, (2013) 図 4 トリクロロエチレン濃度と風況の相関 -81-

42 ノート 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 最終処分場跡地の自然エネルギー発電施設としての利用可能性の検討 田中宏和 中村大充 Consideration of the Availability of Industrial Waste Landfill Site as Electric Generating Facilities using the Natural Power Sources Hirokazu TANAKA, Masamitsu NAKAMURA 1. はじめに 近年 再生可能エネルギーの固定価格買取制度 (FIT) を受け これまで利活用されていなかった最終処分場跡地に太陽光発電施設を設置する事例が増えている 著者らは 2011 年から最終処分場の跡地利用法として 埋立地からの発生ガスによる事故や健康被害のリスクが少なく 廃棄物層の安定化を阻害しにくいと考えられる太陽光発電所と風力発電所としての利用可能性を検証した 本報では 検証試験で得られた結果を評価検証する 2. 方法 埋立が終了した管理型最終処分場跡地に 家庭用の太陽光パネルを用いて作成した発電システムと 市販のプロペラ式マイクロ風力発電機を使用したシステムをそれぞれ据付し 発電量をモニタリングした なお 風力発電システムについては 最終処分場跡地では大型風力発電施設の建設は困難であり 非現実的であるため 小型風力発電を想定した 実証試験は福井県北部の沿岸部に近い管理型最終処分場で行った 冬期の北陸地方は季節風の影響で荒天が続き 降水量が多く 特に沿岸部は風が強いが 内陸部に比べて積雪は少ない特徴がある 太陽光発電試験装置の概要を図 1 に 使用した計器類情報を表 1 に 写真を図 2 に示した システムには蓄電用の 表 1 発電試験装置 気象計機器情報 機器名 メーカー 型式等 太陽光発電システム 太陽光モジュール シャープ製 ND-114CA 114W 7.52A 15.16V 2 枚 発電コントローラー 未来舎製 PV-1212D1A 発電量計測器 安川商事 M-DC KY-REC-01 電圧データロガー アズワン VR-71 バッテリー 古河電池製 12m38B 高サイクル密閉型 12V 38AH 2 個 正弦波インバータ 未来舎製 FI-S256(12V) 250W 60Hz 風力発電システム 風力発電機 ニューパワー製 NP-30A 30W( 風速 8m/ 秒時 ) 発電コントローラー 未来舎製 PV-1212D1A 発電量計測器 安川商事 M-DC KY-REC-01 電圧データロガー アズワン VR-71 バッテリー 古河電池製 12m38B 高サイクル密閉型 12V 38AH 1 個 正弦波インバータ 未来舎製 FI-S126T(12V) 125W 60Hz 気象計 データロガー オンセット製 U30NRC 風速 / 風向センサー オンセット製 S-WSET-A 日照センサー オンセット製 S-LIB-M003 バッテリーが含まれ その電圧変化から発電量を計測するシステムであり 負荷として太陽光システムにはモバイルパソコン ( 定格出力 30W) を接続し 途中 (2012 年 12 月 14 日 ) からコンプレッサー ( 定格出力 110W タイマーによる間欠運転 ) に変更した 太陽光発電試験は 2012 年 6 月 19 日から 2013 年 5 月 30 日まで実施した ただし気象計センサーの故障や データロガーの故障により一部の期間はデータが欠損している 風力発電試験装置の概要を図 3 に 使用した計器類情報を表 1 に 写真を図 4 に示した このシステムにも蓄電用のバッテリーが含まれるが 風力システムは発電量が少なく 発電量計測器による電力消費量だけで十分なバッテリー電圧低下がみられたため 追加の負荷は設置しなかった 風力発電試験では 風力と発電量との関係を調査することを目的とするため 風力発電機の強風保護機能が作動しな 図 1 太陽光発電試験装置概要 図 2 太陽光発電試験装置写真 -82-

43 いように改造した 試験は 2012 年 9 月 20 日から開始し 2013 年 9 月 5 日に発電機が破損して終了した 発電システムと併せて気象計を設置し 日射量や風速等の気象データを収集した 気象計の型式は表 1 に示した また モニタリングデータはロガーの性能上 発電量は 15 分間隔の瞬時値を 日照量と風速は 1 時間あたりの平均値を記録した 3. 結果および考察 3.1 太陽光発電試験消費電力負荷を変更する前の 2012 年 6 月 19 日から 12 月 13 日までの日照量と発電量の関係を図 5 に示す 全体的にバラツキが大きく 日照量が多くても発電量が検出されていない点がみられ また 20W の付近に集まる傾向もみられた これは発電量が多いときにバッテリー充電量が飽和し ソーラーコントローラーの過充電防止機能が作動したことが原因と考えられた そこで過充電防止機能の影響を除外して評価するため 計測時とその 1 時間前のバッテリー電圧が 13.5V 未満のデータのみを抽出したものを図 6 に示す その結果 日照量と発電量は一次関数的な相関関係が確認できた 気象庁のアメダスデータによれば 1974 年から 2013 年の福井市における平均年間日照量は 4,477 MJ/m 2 (1,243,535 Wh/m 2 ) であり 図 6 の関係から 本試験で用いたシステムを 1kW にスケールアップした場合の年間発電量は約 950 kwh と推計される ただし 試験では実際の発電量から負荷分の電力が差し引きされているため 実際の年間発電量はさらに多いと考えられる 太陽光発電協会によれば 我が国での一般的な家庭用太陽光発電 1kW システム当たりの年間発電量は 1,000 kwh 程度とされており 北陸地方の年間日照時間が短いことを考慮すると 最終処分場跡地でも一般家屋屋根と同等の発電量が見込めることが確認できた 1) 3.2 風力発電試験強風による風力発電機の破損や故障が頻発し 信頼性のあるデータが収集できたのは 2013 年 2 月 1 日から 16 日 3 月 28 日から 4 月 20 日 5 月 6 日から 28 日の合計 63 日間のみであった 3 月 28 日から 4 月 20 日までの風速と発電量の経時変化を図 7 に示す この図では強風時に発電量が多く それぞれが関係しているようにみえる しかし その関係を図 8 にプロットするとバラツキが大きいことが分かった これは プロペラの回転速度は短時間で不安定に変化し データロガーが一時的な強風または弱風時の発電量を計測することが原因と考えられた そこで データ収集ができた 63 日間の日間平均風速と日間平均発電値を計算し 図 9 にプロットすると相関性が確認できた プロペラ型風力発電機の場合 原理的には発電量が風速の 3 乗に比例する しかし 図 9 の近似式のべき数は であり これは試験に採用した風力発電機の性能による影響と考えられた 次に 2013 年 4 月から 2014 年 3 月までの時間平均風速の経時変化を図 10 に示す なお 気象計センサー不良によるデータ欠損部分は最も近いアメダス地点データを用いて補填した 冬季に風が強まる傾向はみられるが 時間平均では 10m/s を超えるデータは少なく ほとんどが 5m/s 以下であった 図 3 風力発電試験装置概要図 4 風力発電試験装置写真図 5 日照量と発電量の関係 ( 全データ ) 図 6 日照量と発電量の関係 ( バッテリー 13.5V 未満 ) -83-

44 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 風力発電は微風ではプロペラが回転せず 一定の風速がなければ発電しない そこで風速が 2m/s 未満の風速をゼロとして年間平均風速を算出すると 1.6 m/s であり 本試験で用いた風力発電機で定格 1kW のシステムを設営した場合の年間発電予想量は約 210 kwh となる この計算結果は定格出力が同じ発電システムの場合 小型風力発電は太陽光発電の約 20% 程度の発電量しか見込めないことを示している 実際に風力発電設備を設置する場合は 強風に耐えられる風力発電機になるため弱風での発電効率がさらに悪化することが予想される 4. まとめ 福井県沿岸部の最終処分場跡地では 太陽光発電は一般的な家庭用発電と同程度の発電能力が見込めるが 小型風力発電は太陽光発電に比べて発電効率が悪いことが示された 実際に試験を実施した処分場跡地において 2013 年 11 月から最大出力 500kW の太陽光発電所が運転している 今回の試験結果から想定される年間発電量は 475,000 kwh と算出され 売電価格を 40 円 /kwh とすれば 1,900 万円の年間収入になる 総建設費は約 2 億円であるため単純には約 11 年で減価償却できる計算になるが 実際にはパネル劣化による発電能力の低下や維持管理コスト 建設費用の金利等を考える必要がある しかし 実際に設置した太陽光パネルは試験に使用したものよりも高性能であり パワーコンデショナーの変換効率も高く 発電ロスが少ないため年間発電量は本試験による想定量よりも多いと考えられ 事業者は約 12 年間での減価償却を見込んでいる 処分場跡地での太陽光発電は 通常活用が困難な広大な土地で再生可能エネルギーが生産できるといった環境面の利点だけでなく 処分場跡地が適正に維持管理されるといった副次的なメリットがある ただし 安定化に伴う不等沈下により発電施設破損等が発生する懸念もあり 筆者らは現在 これらのリスクを回避するための調査研究を進めている 謝辞 図 7 時間平均風速と発電量の経時変化 図 8 時間平均風速と発電量の関係 図 9 日間平均風速と日間平均発電量 本研究は 特別電源所在県科学技術振興事業 安定化の促進と安全な跡地利用のための最終処分場の分析評価と技術開発 の一環として実施した 御指導いただいた国立環境研究所資源循環 廃棄物研究センター廃棄物適正処理処分研究室の山田正人室長 遠藤和人主任研究員 石垣智基主任研究員 早稲田大学理工学術院の香村一夫教授 そして 調査に御協力いただきました関係者の方々に深謝いたします 参考文献 1) ( 平成 27 年 6 月 10 日閲覧 ) 図 10 時間平均風速の経時変化 -84-

45 ノート 河川水中のノニルフェノールの分析方法の検討 松井亮 Quantitative Analysis of 4-Nonylphenol in River Water by GC/MS/MS Ryou MATSUI 1. はじめに ノニルフェノール (4-NP) は 2012 年 8 月に 環境基本法に基づく水質汚濁に係る環境基準 のうち 水生生物保全環境基準 の項目に追加された これに関して 2012 年 8 月 22 日 環境省告示 127 号付表 11 に示される 4-NP 分析法では ガスクロマトグラフィー質量分析 (GC-MS) 法が採用されたものの 4-NP の 13 異性体のピーク検出が難しい 1) そこで 本研究では トリプル四重極型ガスクロマトグラフ質量分析 (GC-MS/MS) 法を使用して分析する方法を検討したので報告する 2. 実験方法 2.1 試験操作法前処理フローを図 1 に示す 前処理操作における濃縮は 1000 倍とした また クリーンアップ操作は行わなかった それ以外の試験操作法は告示付表 11 に準じた 2.2 試薬 4-NP 標準液は 100 mg/l( 異性体として ) アセトン溶液であるノニルフェノール溶液 ( 和光純薬工業 ( 株 ) 環境分析用 ) 4-NP サロゲート溶液は 10 mg/l アセトン溶液である 4-(3,6- ジメチル -3- ヘプチル ) フェノール - 13 C6 標準液 ( 関東化学 ( 株 ) 環境分析用 ) 4-NP 内標準液 ( シリンジスパイク溶液 ) は 4-n- ノニルフェノール -2, 3, 5, 6-d4 標準品 ( 関東化学 ( 株 ) 環境分析用 ) を用いた 検量線作成は 標準液を mg/l に希釈した各溶液 0.5 ml に 4-NP サロゲート溶液 10 μl と 4-NP 内標準液 10 μl をそれぞれ添加したものを使用した 2.3 GC-MS/MS 分析条件 GC-MS/MS は Agilent Technologies 7000C を用い 多重反応モニタリング (MRM) モードで測定した 分析条件を表 1 に示す 2.4 GC-MS/MS モニターイオン分析に使用したモニターイオンを表 2 に示す 2.5 既知濃度試料の分析設定値 0.32 μg/l( 総 4-NP 濃度 ) の既知濃度試料を 当該条件で最適化した MRM モードで分析した 2.6 河川水実試料の分析夾雑物が多い河川水の実試料について 当該条件で最適化した MRM モードで分析した 表 1 GC-MS/MS 分析条件 system: GC-MS/MS Agilent Technologies 7000C Column: ジーエルサイエンス ( 株 ) 製 Inert Cap 5MS/NP ProGuard (0.25 mm I.D. 30 m df=0.25 μm ガードカラム長さ 2 m) Col. Temp: 50 (1 min. hold) - 8 /min Carrier Gas: He 1.2 ml/min.(constant Flow) Injection: Splitless 1 min. 280 Detection: MS MRM Interface Temp.: 280 Injection Vol.: 2 μl ion source: 280 表 2 GC-MS/MS モニターイオン 化合物名 トランジショントランジション (Target) (Qual.) 4-NP > > NP > > 77 4-NP > > 77 4-NP > > 55 4-NP > > 77 4-NP > > 55 4-NP > > 77 4-NP > > NP > > 55 4-NP > > NP > > 77 4-NP > > NP > > 55 Surr > > 127 I.S > > 111 備考 4-NP01~13 は 4-NP の各異性体番号を表す 3. 結果および考察 3.1 既知濃度試料の分析結果 5 回の繰り返し分析の結果 設定値と同値である平均値 0.32 μg/l( 総 4-NP 濃度 ) を得た このことから標準物質を希釈した試料については 精度の高い結果を得られることが確認された 3.2 河川水実試料の分析結果従来法 (GC-MS 法 ) で得た分析結果 0.84 μg/l に対して GC-MS/MS 法の MRM モードでも同値である 0.84 μg/l を得た この結果は 実試料についても GC-MS/MS 法が告示における公定法と同等の信頼性を有することを示している また 4-NP の 12 番目の異性体 (4-NP12) のクロマトグラムについて GC-MS 法と GC-MS/MS 法との比較を図 2 に示す ピーク検出の難しい 4-NP12 ピークは従来法と比べて GC-MS/MS 法の方が 明確に分離できていること -85-

46 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) が分かる 4. まとめ 河川水等の 4-NP 分析において GC-MS/MS 法は クリーンアップ操作を省略しても 従来法である GC-MS 法と同等の精度の高い分析を実現することができた このことから GC-MS/MS 法の有用性が確認できた 参考文献 1) 株式会社島津製作所 : トリプル四重極型ガスクロマトグラフ質量分析計を用いた河川水中のノニルフェノールの高感度分析,SHIMADZU Application News, No.M269,2014 試料 500 ml コンディショニング 1 mol/l HCl 約 150 μ L で ph3.5 に調整 10 mg/l 4-NP サロゲート溶液 10μ L 5~ 10 ml/min. で流下 試料容器を約 20 ml の水で洗い込み 固相カラムに通水 GL Sciences InertSep PLS-3 CH3COCH3 10 ml H 2O 10 ml 脱水 30 sec. 吸引 ( 3000 rpm 20min. 遠心分離 ) 30 min.n2 パージ + 吸引 ( 流速 1000 ml/min.) 溶出 CH3COCH3 4 ml 濃縮 N 2 吹付 転溶 CH3COCH3 が約 0.2 ml になったら C 6H 14 1 ml 脱水 Na2SO4( 無水 ) 約 0.3 g( 目安として濃縮管の 0.5 ml メス部分まで入れる ) カラムクロマトグラフクリーンアップ 省略 濃縮 溶出液の入っていた濃縮管を C 6H14 3~4 ml で洗い その洗液と溶出液を合わせる窒素吹付 定容 GC-MS/MS C 6H ml まで 10 mg/l シリンジスパイク 10μ L 場所 : 当センター 2F 機器分析第二室 GC-MS/MS Agilent Technologies 7000C 図 1 前処理フロー GC-MS SIM モード GC-MS/MS MRM モード 図 2 4-NP12 の従来法 ( 左 ) と GC-MS/MS 法 ( 右 ) のクロマトグラム -86-

47 ノート 環境水中の LAS 分析における操作ブランク低減化の検討 荻野賢治 Consideration on Reduction of Reference Blank in LAS Analysis of Environmental Water Kenji OGINO 1. はじめに 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩 (LAS) は 界面活性剤の一種であり 業務用および家庭用洗剤 繊維染色加工の際の分散剤等に用いられるが 1) 水生生物の生育に支障を及ぼすおそれがあるとして 2013 年から新たに水生生物保全項目として環境基準値が設定された項目である LAS 分析における操作ブランク値が高値となることは多くの分析機関から報告されており 2) 当センターで LAS 分析を実施したところ 操作ブランク値が高い傾向がみられた この原因としては 固相抽出操作に用いる分析機材に洗剤由来の LAS が付着残存し 汚染している可能性が考えられた そこで本研究では 固相抽出操作におけるコンタミネーション低減化方法 ( 以下 固相抽出法 という ) を検討した さらに根本的な対策として 固相抽出操作を行わずに水試料を分析機器に直接導入する方法 ( 以下 直打ち試験法 という ) についても検討したのでそれらの結果を報告する 2. 実験方法 高速液体クロマトグラフは Nexera タンデム質量分析計は LCMS8050( ともに島津製作所製 ) を用いた 機器分析条件を表 1 に モニターイオンを表 2 に示す 表 2 における C10-LAS とはアルキル基の炭素数が 10 の LAS を示しており 本検討では内部標準物質 (I.S.) として C8-LAS を用いた 2.1 固相抽出法固相抽出法の前処理フローを図 1 に示す 操作に用いた分析機材は温水 (40 程度 ) アセトン メタノールの順に洗浄したものを使用した 温水は冷水に比べて LAS の溶解性が高いため 3) 効率的に洗い落とすことができると考えて洗浄溶媒として選定し 洗浄用に簡便かつ大量に洗浄に使うことができる一般的な給湯器の温水を使用した 試料は超純水を用いて 機材をメタノールのみで洗浄した操作ブランク試験を併行して行い 温水洗浄の効果を確認した また既知濃度試料を測定することにより 固相抽出法の信頼性を確認した 2.2 直打ち試験法直打ち試験法の前処理フローを図 2 に示す 2.1 で示した固相抽出法で用いた既知濃度試料と同一の試料を測定することにより 直打ち試験法の信頼性を評価し さらに固相抽出法の結果と比較した 表 1 機器分析条件 カラム Shim-pack XR-Phenyl/3.0 μm/ mm 注入量 10 μl( 直打ち ) 1 μl( 固相抽出 ) 流速 0.3 ml/min カラム温度 40 移動相 A 0.1% ギ酸 50 mm ギ酸アンモニウム 移動相 B アセトニトリル ク ラシ エント条件 時間 ( 分 ) A(%) B(%) イオン化モート ESI negative 表 2 モニターイオン Q1(m/z) Q3(m/z) CE(V) C8-LAS(I.S.) C10-LAS C11-LAS C12-LAS C13-LAS C14-LAS コンディショニング InertSep C18-ENV 500 mg メタノール 10 ml 超純水 10 ml 分取 超純水 200 ml または既知濃度試料 200 ml 固相通水 流速 20 ml/min 脱水 吸引 窒素ガス吹き付け 2 min 溶出 メタノール 5 ml 濃縮 窒素ガスで 0.3 ml まで 定容 I.S. 1 mg/l 50 μl アセトニトリル / 超純水 (65/35) 1 ml LC-MS/MS 測定 図 1 前処理フロー ( 固相抽出法 ) 分取 既知濃度試料 950 μl I.S. 1 mg/l 50 μl LC-MS/MS 測定 図 2 前処理フロー ( 直打ち試験法 ) -87-

48 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 3. 結果および考察 3.1 固相抽出法分析機材を温水 アセトンおよびメタノールで洗浄して実施した操作ブランク試験の結果を表 3 に示す 本検討に先がけて実施した操作ブランク試験 ( メタノールのみによる機材洗浄 ) では C10-LAS C11-LAS C12-LAS C13-LAS および C14-LAS の和 ( 計 LAS) で 0.44 μg/l の高値が検出されたが 本検討の結果では平均値は μg/l となり 約 20 分の 1 まで低下し 告示 4) 付表 12 に示される定量下限値 0.1 μg/l を下回った これは温水に溶けやすい LAS の特性により 高温かつ多量の温水が分析機材に付着していた LAS を溶解除去したためと考えられ 温水による機材の洗浄が効果的であることが示された 既知濃度試料試験の結果を表 4 に示す なお測定値を設定値で除した値を信頼度として記載した 計 LAS の信頼度は 94% となり 固相抽出法は信頼度の高い分析法であることが確認できた しかしながら C14-LAS の信頼度は 70% と他の同族体と比べて低く これは C14-LAS は疎水性が高いため 抽出操作に用いたガラス器具等に付着したことによると考えられる 表 3 操作ブランク試験結果 LAS 濃度 (μg/l) C10 C11 C12 C13 C14 計 n= < n= < n= < n= < 平均 < RSD 16% 15% 20% 18% - 18% 表 4 既知濃度試料試験結果 ( 固相抽出法 ) LAS 濃度 (μg/l) n=3 C10 C11 C12 C13 C14 計 既知試料設定値 直打ち試験法直打ち試験法による既知濃度試料試験結果を表 5 に示す 直打ち試験法の計 LAS の信頼度は 93% と高く 固相抽出法の信頼度は表 4 より 94% であったことからも 直打ち試験法は固相抽出法と同等の結果が得られることが分かった しかしながら直打ち試験法でも C14-LAS の信頼度は他の同族体と比較して低く これは直打ち試験法ではサンプル溶液が水であるため 疎水性の高い C14-LAS が十分にイオン化しなかったためと考えられる 表 5 既知濃度試料試験結果 ( 直打ち試験法 ) 4. まとめ 固相抽出法は 使用機材の温水洗浄により告示定量下限値以下まで操作ブランク値を低減化することに成功した また 直打ち試験法は 固相抽出法と同等の結果が得られることを確認した この方法は前処理操作による煩雑な操作を省くことができ コンタミネーションの低減化も図られることから有効であると考えられた 参考文献 LAS 濃度 (μg/l) n=3 C10 C11 C12 C13 C14 計 既知試料設定値 直打ち 測定値 信頼度 97% 100% 88% 89% 80% 93% 1) 環境省 : 化学物質ファクトシート 2011 年版 (2012) 2) 環境省 : 平成 25 年度環境測定分析統一精度管理調査結果 ( 本編 ),110(2014) 3) 佐々木麻紀子他 : 洗濯用洗剤の性質について, 東京家政学院大学紀要,52,33-38(2012) 4) 環境省 : 環境省告示 30 号,13(2013) 固相抽出 測定値 信頼度 105% 95% 95% 89% 70% 94% -88-

49 資料 福井県における飛来物質の分布に関する実態調査 高岡大 谷口佳文 福島綾子 吉川昌範 酒井忠彰 坪内彰 *1 三浦麻 *2 Actual condition survey of the trans-border matter in Fukui Dai TAKAOKA, Yoshifumi TANIGUCHI, Ayako FUKUSHIMA, Masanori YOSHIKAWA, Tadaaki SAKAI, Akira TSUBOUCHI, Asa MIURA 1. はじめに 近年 微小粒子状物質 (PM2.5) や黄砂などがアジア大陸方面から飛来する越境汚染が深刻な環境問題となっており こうした飛来物質による人の呼吸器や循環器などへの健康影響も懸念されている PM2.5 については 平成 21 年 9 月に環境基準が設定され 福井県内でも平成 22 年 4 月から測定を開始し 現在 県内 9 地点で常時監視を実施している また 気象庁の黄砂観測結果 1) によると 平成 17 年から平成 26 年の 10 年間に 福井で黄砂の飛来が 49 日観測されている そこで本研究では 黄砂など福井県内に飛来する浮遊物質の分布状況等を明らかにするための調査を行い 各調査日の濃度分布における影響について検討した 2. 方法 2.1 試料採取 採取装置大気中を浮遊する物質の採取法としては 粒径 10μm 以下の浮遊粒子状物質 ( 以下 SPM という ) を自動測定機 (SPM 計 ) で採取する方法や 大気中の全浮遊物質 ( 以下 TSP という ) をハイボリュームサンプラーで採取する方法が用いられているが 本研究では低コストで可搬性に優れた簡易採取装置を作成し TSP を捕集した 2) 簡易採取装置の構成等は表 1 および図 1 のとおりである 表 1 簡易採取装置の構成等構成メーカー型式等吸引ポンプ A.P.BUCK The BUCK INC I.H.PUNP 流量調整部 TM MODEL DC-2 積算流量計 シナガワ ( 乾式カ スメータ ) φ47mm ホルダー柴田科学 オーフ ンフェース型捕集部フィルター Pall PTFE(φ47mm Corporation 孔径 2μm) Air 吸引ポンプ 積算流量計 図 1 簡易採取装置 ホルダー Air フィルター TSP 調査地点当センターでは 大気汚染防止法に基づき従来から SPM 濃度の常時監視を実施しており 市等の測定局も含め県内 26 地点 (H 時点 ) で測定している この既存の観測点に加え 本研究では嶺北地方を対象に 主に SPM 濃度を観測していないエリアを補完するために越前海岸から大野までを東西に結ぶ方向に TSP の調査地点を選定した なお TSP 濃度と SPM 濃度の相関関係を把握するため SPM 濃度を測定している常時監視測定局の福井局と大野局には TSP 濃度を観測するための簡易採取装置を設置した TSP 調査地点の詳細は図 2 のとおりである 番号 調査地点 場所等 1 越前岬 国設越前岬酸性雨測定所 2 滝波 滝波ダム管理所 3 福井局 常時監視測定局 4 上志比 永平寺町上志比支所 5 美山 福井市美山総合支所 6 大野局 常時監視測定局 図 2 TSP 調査地点 調査日調査日は 九州大学の大気浮遊粒子状物質および黄砂の汚染状況をシミュレートする SPRINTARS 3) や九州大学 / 国立環境研究所の化学天気予報システム CFORS 4) 気象庁の黄砂予測 5) などを活用して エアロゾルや黄砂が福井県内に飛来する可能性の高い日を選定した ( 表 2) 採取時間は 環境省 微小粒子状物質 (PM2.5) の成分分析ガイドライン 6) に準拠し 朝 10 時から翌日 10 時までの 24 時間とした なお 調査日における天候および降水量は表 2 のとおりである 表 2 調査日の気象状況 調査日 10 時 ~22 時 22 時 ~ 翌 10 時天候降水量天候降水量 H 曇 0 mm 曇 0 mm H 曇 / 晴れ 12.0 mm 晴れ 0 mm H 雨 / 曇 1.5 mm 雷 7.0 mm H 晴れ / 雪 2.0 mm 曇 0 mm H 雨 / 曇 17.0 mm 晴れ 0 mm 天候 降水量は福井地方気象台の観測データ 2.2 解析手法 TSP 濃度への換算方法 TSP 濃度の分布状況を解析するため 福井局および大野局における TSP/SPM 濃度比率を用いて 各常時監視測定局の SPM 濃度を TSP 濃度に換算する * 1 福井大学地域環境研究教育センター * 2 福井大学教育地域科学部 -89-

50 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 福井局と大野局における TSP/SPM 濃度比率が異なることから 各常時監視測定局の過去 5 年間 (H21~H25) の SPM 濃度平均値が 福井局と大野局のいずれかに近い値を適用して各地点の TSP 濃度を算出した 各常時監視測定局の TSP/SPM 濃度比率の適用区分結果は表 3 のとおりであり 後述の表 4 に示す地域特性から概ね 人為発生源の寄与が大きい ( 小さい粒子の割合が高い ) と考えられる市街地と 自然発生源の寄与が大きい ( 大きい粒子の割合が高い ) 7) と推定される郊外に分類された 表 3 各常時監視測定局の SPM 濃度 (5 年平均 ) と TSP/SPM 濃度比率適用区分 [μg/m 3 ] 安島局宿局金津局三国局河合局坂井局中川局社局センター局 麻生津局順化局神明局御幸局武生局武生北局今立局鯖江東局武生西局 福井局の比率適用 大野局の比率適用 濃度分布図県内の嶺北地方について 緯度 経度の 1 度を 10 分割した図 3 のメッシュ図 (1 メッシュ : 約 11km 約 9km) を作成し 各メッシュ内で測定された各調査日における SPM 濃度を の方法により換算し 調査日ごとの TSP 濃度分布図を作成した なお 同一メッシュ内に複数の常時監視測定局がある場合には 平均値を用いた 各メッシュ内の測定地点は表 4 のとおりである A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z AA AB AC AD 図 3 メッシュ図 測定メッシュ 未測定メッシュ 表 4 メッシュ内測定地点 メッシュ記号 地点名 場所 ( 地域特性 ) B 安島局安島保育所 ( 沿岸 ) 宿局宿保育所 ( 住宅地 ) C 金津局 あわら市役所 ( 市街地 ) H 三国局三国西小学校 ( 工業地帯に隣接 ) 河合局河合小学校 ( 田畑 ) I 坂井局坂井中学校 ( 田畑 ) 中川局金津東小学校 ( 田畑 ) N 滝波滝波ダム管理所 ( 山間地 ) 社局ちもり体育館 ( 住宅地 ) 福井局 福井市豊島東公園 ( 市街地 ) O センター局県衛生環境研究センター ( 田畑 ) 麻生津局福井県立音楽堂 ( 田畑 ) 順化局 順化小学校 ( 市街地 ) P 上志比 永平寺町上志比支所 ( 田畑 ) S 越前岬 国設越前岬酸性雨測定所 ( 沿岸 ) 神明局 神明小学校 ( 工業地帯に隣接した住宅地 ) T 御幸局 御幸第一公園 ( 工業地帯に隣接した住宅地 ) 武生局 武生第一中学校 ( 市街地 ) 武生北局 吉野児童センター ( 工業地帯 ) U 今立局越前市今立図書館 ( 田畑 ) 鯖江東局定次公園 ( 田畑 ) V 美 山 福井市美山総合支所 ( 山間地 ) W 大野局 大野市交通公園 ( 市街地 ) Y 武生西局 丸岡 沓掛ふれあい会館 ( 山間地 ) 気象解析各調査日における TSP 濃度分布と気象との関係を見るため 後方流跡線解析および各常時監視測定局での風向 風速の解析を実施した 後方流跡線解析は アメリカ海洋大気庁 (NOAA) が提供するオンラインの HYSPLIT モデル計算プログラム 8) を使用した 計算条件としては 出発地点を調査地点の越前岬 福井局 大野局の 3 地点とし 出発高度を大気境界層の影響を除外するため 9) に 1,300m 開始時間を 10 時 22 時 翌日 10 時の 12 時間刻み 追跡時間を 72 時間に設定した 風向風速については 日中 (10 時 ~18 時 ) 夜間 (18 時 ~2 時 ) 翌日 (2 時 ~10 時 ) の 3 区分とし 各区分内の平均風速および最多風向を採用した 成分分析捕集した TSP について環境省 大気中微小粒子状物質 (PM2.5) 成分測定マニュアル 10) に準拠し イオンクロマトグラフ法による成分分析を行った なお 分析の対象成分はイオン成分 8 項目 (NH4 + Mg 2+ Ca 2+ K + Na + Cl - NO3 - SO4 2- ) とした 3. 結果および考察 3.1 測定結果 補完調査地点での測定結果補完調査地点で観測を実施した 5 日分の TSP 濃度を図 4 に示す いずれの調査日も 福井地方気象台の公表情報によると 黄砂の飛来は確認されなかった また 各調査日における福井局および大野局の SPM 濃度および TSP/SPM 濃度比率をそれぞれ図 5 図 6 に示す 今回の調査では 地点間の TSP 濃度差は各調査日によって異なる傾向を示した 例えば 海沿い ( 越前岬 ) から東方向の内陸部 ( 大野局 ) にかけて TSP 濃度が概ね減少していくパターン (H ) や 市街地 ( 福井局 ) が最も高くなるパターン (H ) などが見られた TSP/SPM 濃度比率は いずれの調査日も福井局より大野局の方がやや大きくなったが その推移は福井局と大野局でよく一致していた ( 図 6) なお 他の調査日より TSP/SPM 濃度比率が特に高かった H は 福井局 大野局の SPM 濃度が他の調査日よりも低い ( 図 5) 一方で TSP 質量濃度は同レベルであった ( 図 4) ことから 当日は 粗大粒子 (10μm 超 ) が広域的に飛来した可能性があると考えられる -90-

51 TSP/SPM 図 4 TSP 質量濃度測定結果 濃度分布図各調査日の TSP 濃度分布は 図 7 のとおりである 濃度分布に一定の傾向は認められず 市街地を中心に高くなる分布を示す日 (H H ) や嶺北の西部 ( 海沿い ) が高くなる分布を示す日 (H ) のほか ほぼ一様な分布の日 (H ) や疎らな日 (H26.3.6) も見られた (a) H (c) H (e) H 福井局 大野局 0.00 H H H H H 福井局 大野局 図 6 TSP/SPM 濃度比率 (b) H (d) H 単位 [μg/m 3 ] 20 TSP<30 30 TSP<40 40 TSP<50 50 TSP TSP<20 測定なし 図 7 各調査日における濃度分布図 図 5 SPM 質量濃度測定結果 気象解析調査した 5 日間の時間帯ごとの後方流跡線図および地上風向風速分布図 ( メッシュ P V は観測データなし ) を図 8 に示す 福井市などの市街地を中心にやや高い濃度分布を示した H ( 図 7 (a)) の後方流跡線は 終始北寄りの方向を示していたが 地上風の風速は概ね 3.0m/s 以下で 風向は北寄り風から 夜間 ~ 翌日にかけて濃度分布の高かった地域を中心に南寄りに変わっていた ( 図 8 (a)) また 曇りで日射が弱かったことなどから 昼頃を除きパスキル安定度階級分類が D( 中立 )~E( やや安定 ) と 空気が滞留しやすい条件であった こうした気象状況と濃度分布図から 当日は アジア大陸からの移流よりもむしろ市街地の地域発生源からの汚染物質の滞留が影響していたと推測される 嶺北の西部 ( 海沿い ) が高くなる分布を示した H ( 図 7 (b)) の後方流跡線は 夜間 ~ 翌日は北西方向を示していたが 市街地の地上風は概ね南寄り 海沿いについては翌日は南から東寄りであった ( 図 8 (b)) こうした気象状況と濃度分布図から 当日は 移流の影響により全体的に濃度が高くなり 特に上空と地上で風向きが対向していた地点 ( メッシュ N O S) では 市街地の発生源からの汚染物質が滞留することでより高濃度になったと考えられる 濃度分布がほぼ一様であった H 日 ( 図 7 (c)) は 後方流跡線が終始西方向を示しており ( 図 8 (c)) 主に国内 ( 中国地方 ) からの移流が推測されるが 当日は雨が降っていたため ( 表 2 参照 ) 移流の影響は小さく 降雨によるウォッシュアウトが濃度レベルや濃度分布に影響を与えたものと考えられる 濃度分布が疎らであった H26.3.6( 図 7 (d)) は 後方流跡線が終始北西方向を示しており ( 図 8 (d)) アジア大陸からの移流が推測された しかし 全体的に濃度が低く 降雨もなかったことから移流してきた飛来物質そのものの濃度が低かったと考えられる H ( 図 7 (e)) は 雨が降っていた日中を除き北寄りの後方流跡線および地上風を示していた ( 図 8 (e)) また 翌朝を除きパスキル安定度階級分類が D( 中立 ) であったことから 空気が滞留しやすい条件であった 一方 濃度分布は テクノポート福井周辺 ( メッシュ H) や福井市 ~ 丹南 ( メッシュ O T U) の市街地を中心に特に濃度が高くなっていた これらのことから 当日は アジア大陸からの移流に加えて市街地等の地域発生源からの汚染物質の影響も受けていたと推測される 成分分析結果各調査日の TSP に含まれるイオン成分を分析した結果 調査日ごとに異なる傾向が見られた ( 図 9) -91-

52 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) H ( 図 9 (a)) は 他の調査日に比べて SO4 2- 濃度が高くなった 当日は 前述した TSP の濃度分布および気象解析結果において地域発生源の影響が推測されていることから 市街地で発生した SOx から二次生成された硫酸エアロゾルによって SO4 2- 濃度が高くなった可能性がある H ( 図 9 (b)) は 主に海塩粒子に由来する Na + および Cl - 濃度が海沿い ( 越前岬 ) で高く内陸に向かって徐々に減少している傾向にあったことから 当日は 海塩粒子の広域的な移流があったと考えられる H ( 図 9 (c)) は H と同様に海沿い ( 越前岬 ) で Na + および Cl - 濃度が高くなったが その影響は越前岬のみに留まっていた 当日は雨が降っていたことから 降雨が海塩の影響範囲を小さくしたと推察される H26.3.6( 図 9 (d)) は 各成分濃度とも地点間にほとんど差がなかったことから 広域的な影響を受けていたことが推測された また 他の調査日に比べて SO4 2- 濃度が低かったが その要因として SO4 2- の粒径分布は 1μm 以下の微小粒子側にあると言われている 7) ことから 当日の SPM 濃度が低く微小粒子が少なかったことが考えられる H ( 図 9 (e)) は 福井局で全てのイオン成分濃度が高かったことから 当該地域では 移流よりも地域発生源の影響が大きかったと考えられる 4. まとめ TSP 濃度は 調査日によって異なった分布を示した 市街地を中心に高くなる傾向を示す日や嶺北の西部 ( 海沿い ) が高くなる傾向を示す日のほか 濃度分布が疎らな日が見られた 1.H 後方流跡線の向きと地上風の向きが対向し 市街地の発生源からの汚染物質が滞留し この地域を中心に比較的濃度が高かった また 市街地由来の SOx から二次生成された硫酸エアロゾルによって SO4 2- 濃度が高くなった可能性が推察された 2.H 後方流跡線が北西方向を向いていること 沿岸部で Na + および Cl - 濃度が高かったことから海側からの海塩粒子の影響が推測された また地上風は概ね南よりであったことから市街地の発生源からの移流も影響したと考えられ 海側と市街地からの移流により嶺北西沿 ( 海沿い ) の濃度が高かった 3.H 後方流跡線は国内からの移流を示しており また越前岬では Na + および Cl - 濃度が高く 海塩粒子の影響が示唆された また その影響は降雨のため小さくなり 疎らな濃度分布を示した 4.H 後方流跡線がアジア大陸からの移流を示し また 地点間で各イオン成分濃度に差が無かったことから 広域的な影響を受けたと推測された なお 当日は TSP/SPM 濃度比率や成分分析結果から粗大粒子の割合が高かった 5.H 後方流跡線や地上風の向きからアジア大陸からの移流と地域発生源の影響が推測されたが 成分分析結果から地域発生源の影響がより大きいと考えられ 市街地を中心に高い濃度を示す分布となった 以上の結果から TSP の濃度分布はアジア大陸から移流してきた物質 海塩粒子の移流および地域由来の浮遊物質の発生 または降雨 風向等の気象条件がそれぞれ複合的に影響することで形成されると考えられた 謝辞 調査の実施に当たり 採取装置の設置に御協力いただいた福井市美山総合支所 福井市清水総合支所および永平寺町上志比支所の関係者の方々に深く感謝いたします 本研究は 福井大学地域環境教育センターの研究支援により実施しました 参考文献 1) 気象庁 HP: /kosahp /kosa _data_index.html 2) 吉川昌範他 : 福井県における飛来物質の実態に関する研究 - 粒子状物質の簡易採取法の検討 -, 福井大学地域環境研究教育センター研究紀要 日本海地域の自然と環境 No.21,25-30(2014) 3) SPRINTARS, 九州大学応用力学研究所 : 4) 化学天気予報システム 九州大学 / 国立環境研究所 : 5) 気象庁 HP: jp/jp/kosafcst/ index.html 6) 環境省水 大気環境局 : 微小粒子状物質 (PM2.5) の成分分析ガイドライン について, 環水大大発第 号 ( ) 7) 環境省 : 中央環境審議会大気環境部会微小粒子状物質環境基準専門委員会報告 (2009.9) 8) アメリカ海洋大気庁 ( NOAA ) HP : pe=archive 9) 村尾直人 : 大気モデル - 第 6 講流跡線解析 -, 大気環境学会誌, Vol.46 No.5, ) 環境省水 大気環境局 : 大気中微小粒子状物質 ( PM2.5 ) 成分測定マニュアル, 環水大大発第 号, 環水大自発第 号 ( ) -92-

53 H :00 22:00 翌日 10: :00~18:00 18:00~ 翌日 2:00 翌日 2:00~10:00 H (a) H :00 22:00 翌日 10: :00~18:00 18:00~ 翌日 2:00 (b) H H 翌日 2:00~10:00 10:00 22:00 翌日 10:00 10:00~18:00 18:00~ 翌日 2:00 (c) H 翌日 2:00~10:00-93-

54 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) H :00 22:00 翌日 10: :00~18:00 18:00~ 翌日 2:00 翌日 2:00~10:00 (d) H H :00 22:00 翌日 10:00 10:00~18:00 18:00~ 翌日 2:00 (e) H 後方流跡線図凡例 越前岬福井大野 図 8 後方流跡線図および地上風向風速図 翌日 2:00~10:00 地上風向風速図凡例 0.2m/S 0.2 m/s 以下以下 0.2~3m/s 0.2~3.0 未満以下 3~6m/s 3.0~6.0 m/s 未満以下 6.0~10 m/s 以下 6~10m/s 未満 10m/s 以上 -94-

55 (a) H (b) H (c) H (d) H SO 4 - NO 3 Cl - Na + K + Ca 2+ Mg 2+ + NH 4 other other 成分 : 第 2 軸 (e) H 図 9 TSP のイオン成分分析結果 -95-

56 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 資料資料 2014/15 シーズンの福井県のインフルエンザ 野田希 平野映子 小和田和誠 大村勝彦 Epidemiological Studies of Influenza in Fukui Prefecture in 2014/15 Season Nozomi Noda, Eiko HIRANO, Kazuaki KOWADA, Katsuhiko OMURA 1. はじめに インフルエンザウイルスには A B C の 3 つの型があるが このうち A 型および B 型は 毎年のように大きな流行を引き起こしている 1) 2013/14 シーズン ( 以下 昨シーズン ) の流行は 2009 年に新型インフルエンザとして大流行を起こした A(H1N1)pdm2009( 以下 AH1pdm09 ) が流行の主流であったが 2014/15 シーズン ( 以下 今シーズン ) は A(H3N2)( 以下 AH3 ) が主流となった 2) 当センターでは 流行ウイルスの性状を把握するために 県内の患者から採取された検体を用いてインフルエンザウイルスの分離 型の同定および薬剤耐性サーベイランス等の性状解析を行っている 本報では 今シーズンのインフルエンザの流行状況について これらの結果をまとめたので報告する 2. 調査方法 2.1 調査期間 2014 年 9 月 ~2015 年 5 月 2.2 検査材料県内 4 医療機関 ( 嶺北 2 機関 嶺南 2 機関 ) でインフルエンザ様疾患患者から採取された 155 検体 (155 名 ) を用いた その内訳は 鼻腔拭い液 153 検体 咽頭拭い液 2 検体であった 2.3 ウイルス分離および同定ウイルス分離は MDCK 細胞を用い 既報 3) に準じて実施した 細胞変性効果が見られた培養上清は 0.75% モルモット血球を用いて赤血球凝集 (HA) 試験を実施した 同定および抗原解析には 国立感染症研究所から分与された抗血清 ( A/California/7/2009H1N1pdm09 A/New York/39/2012H3N2 B/Brisbane/60/2008 B/Massachuset ts/2/2012) を用いて赤血球凝集阻止 (HI) 試験を実施した 2.4 ウイルス遺伝子検出 HA 価が十分に上がらず HI 試験を実施できない場合は MDCK 細胞の培養上清 ウイルス分離陰性の場合は臨床検体を材料として それぞれリアルタイム RT-PCR 法にてウイルス遺伝子を検出した RNA 抽出には QIAamp Viral RNA Mini Kit(QIAGEN) を用い 検体 140μL から RNA 抽出液 60μL を得た A 型インフルエンザウイルス共通の M 遺伝子 (A/M) と AH1pdm09 および AH3 の HA 遺伝子 (SwH1 H3) B 型の NS 遺伝子の 4 種類の遺伝子の検出を インフルエンザ診断マニュアル ( 第 2 版 ) 4) に準じ リアルタイム RT-PCR 法により実施した リアルタイム RT-PCR 法には QuantiTect Probe RT-PCR Kit(QIAGEN) を用い 機器は Step One Plus Real-Time PCR System(Life technologies) を使用した 2.5 患者発生状況調査インフルエンザ様疾患の集団発生については 福井県健康増進課感染症 疾病対策グループからの公表 5) に基づき 集計を行った インフルエンザ様疾患発生報告数については 県内の 32 の定点医療機関 ( 小児科および内科 ) から報告のあったインフルエンザ ( 鳥インフルエンザを除く ) の患者情報について 感染症サーベイランスシステム ( National Epidemiological Surveillance of Infectious Diseases: NESID) 内の感染症発生動向調査システムの数値を用いて集計した 3. 結果および考察 3.1 病原体検出および性状把握 ウイルス検出状況インフルエンザウイルスの検出状況を検体採取週別に図 1 に示した 今シーズンは AH3 124 件 (85.5% ) B 型 Victoria 系統 ( 以下 B(Vic) )1 件 (0.7%) および B 型山形系統 ( 以下 B( 山形 ) )20 件 (13.8%) が検出された AH3 は 2014 年第 47 週から検出され 2015 年第 3 週をピークに 2015 年第 13 週まで検出された 一方 B( 山形 ) は 2015 年第 8 週から検出され 2015 年第 15 週をピークに 2015 年第 20 週まで検出された B(Vic) は 2015 年第 13 週に嶺北地区で 1 件検出されたのみであった B 型の検出時期が比較的早かった昨シーズン 6) と比較すると 今シーズンの B 型の流行は 検出時期が遅く 規模も小さいものであった 全国でも本県同様 AH3 が全体の 9 割近くを占め B 型は B( 山形 ) が優位であった 2) 分離ウイルスの抗原性状ウイルス分離の結果は AH3 106 株 B(Vic)1 株および B( 山形 )20 株であった 分離株について HA 試験および HI 試験を行い 各分離ウイルスの抗原性状を表 1 に示した -96-

57 (1)AH3 AH3 は 106 株のうち 96 株について HI 試験が実施できたが 残りの 10 株は HA 価が十分に上がらず 細胞培養上清を用いてリアルタイム RT-PCR 法にてウイルス遺伝子を検出した ワクチン株である A/New York/39/2012H3N2 と 5.2% が 2 倍差 22.9% が 4 倍差 36.5% が 8 倍差 33.3% が 16 倍差 2.1% が 32 倍差となり HI 価の低い傾向が見られた 分離できず臨床検体からリアルタイム RT-PCR 法によりウイルス遺伝子を検出した検体は 18 件であった (2)B 型 B 型は 21 株について全て HI 試験を実施した B(Vic) 1 株は B/Brisbane/60/2008 と 4 倍差であった B( 山形 ) は ワクチン株である B/Massachusetts/2/2012 と 40.0% が同等 50.0% が 2 倍差であった 検出件数(件) B ( 山形系統 ) B (Victoria 系統 ) AH ( 週 ) 図 1 検体採取週別検出状況 表 1 分離ウイルスの抗原性状 AH3 HI 価 A/California A/New York B/Brisbane B/Massachu /7/ /2012 /60/2008 setts/2/2012 分離数 (H1N1)pdm09 (H3N2) (Victoria) (Yamagata) <10 80 <10 <10 2 < <10 <10 32 < <10 <10 35 < <10 <10 22 < <10 <10 5 PCRで同定計 B(Victoria 系統 ) HI 価 A/California A/New York B/Brisbane B/Massachu /7/ /2012 /60/2008 setts/2/2012 分離数 (H1N1)pdm09 (H3N2) (Victoria) (Yamagata) <10 < <10 1 計 1 B( 山形系統 ) HI 価 A/California A/New York B/Brisbane B/Massachu /7/ /2012 /60/2008 setts/2/2012 分離数 (H1N1)pdm09 (H3N2) (Victoria) (Yamagata) <10 <10 < <10 <10 < <10 <10 < <10 <10 < <10 < 計 20 ホモ価 患者発生状況 インフルエンザ様疾患集団発生報告インフルエンザ様疾患の集団発生状況を図 2( 施設数および患者数 ) および表 2( 施設別 ) に示した 今シーズンの初発は 2014 年第 48 週 ピークは 2015 年第 4 週 ( 施設数 :81 件 患者数 :862 人 ) であり 2015 年第 20 週に終息した 集団発生施設数は 261 件 総患者数 2,565 人 総欠席者数 2,388 人であった 施設別では 小学校が最も多く 次いで中学校 幼稚園と続いた 昨シーズン 6) と比較すると 初発は 7 週早かったが 終息は同時期に迎えた 施 60 設 50 数(40 件) 施設数 患者数 /13 シーズン 2013/14 シーズン 2014/15 シーズン 総数 保育所 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 その他 ( 週 ) 図 2 インフルエンザ様疾患集団発生の状況 ( 施設数および患者数 ) 患者数(人)表 2 インフルエンザ様疾患集団発生の状況 ( 施設別 ) 感染症発生動向調査 ( 患者報告 ) 患者発生動向調査における定点あたりのインフルエンザ様疾患の患者報告数を図 3( 福井県 :2010 年第 36 週 ~2015 年第 24 週 ) および図 4( 福井県と全国 :2014 年第 36 週 ~ 2015 年第 24 週 ) に示した 定点あたり患者報告数は 2014 年第 48 週に流行開始指標値である 1.0 人 / 定点に達し 流行期に入った 2014 年第 52 週に流行発生注意報の基準値である 10.0 人 / 定点を超え 過去 5 シーズンで最も早い注意報の発令となった 2015 年第 4 週に今シーズンのピーク (63.31 人 / 定点 ) に達し ピークの高さは過去 5 シーズンで 上位 2 番目であった 2015 年第 10 週に 10.0 人 / 定点を下回り その後緩やかに減少し 2015 年第 23 週に 1.0 人 / 定点以下となって終息した 今シーズンの累積患者数における年齢階層別割合を図 5 に 年齢および受診週毎の年齢階層別患者報告数の推移を図 6 に示した 累積患者数は 例年同様 5~9 歳が最も多く 次いで 10~19 歳 0~4 歳の順であった 昨シーズンは 9 歳未満が半数以上を占めたが 今シーズンは半数には達しなかった また 図 6 に示すとおり ピークは 0~19 歳の年齢層で顕著に見られた -97-

58 福井県衛生環境研究センター年報第 13 巻 (2014) 定点あたり患者数(人 / 定点)定点あたり患者数(人/定点)( 週 ) / / / / / ( 週 ) 図 3 インフルエンザ様疾患患者報告数 ( シーズン別 ) ~59 歳 4.1% 40~49 歳 6.2% 30~39 歳 7.7% 20~29 歳 5.8% 全国 福井県 図 4 インフルエンザ様疾患患者報告数 60~69 歳 3.3% 10~19 歳 20.0% 70 歳以上 5.0% 0~4 歳 19.8% 5~9 歳 28.2% ( 週 ) 0~4 5~9 10~19 20~29 30~39 40~49 50~59 60~69 70 以上 図 6 年齢階層別患者報告数 4. まとめ 2014/15 シーズンの福井県のインフルエンザの流行は 例年よりも立ち上がり時期が早く 昨シーズンよりも 5 週早くピークを迎えたが 終息時期は例年並みであった 本県におけるインフルエンザウイルス検出率は AH3 が 85.5%(124/145) および B 型 14.5%(21/145) であった B 型については B( 山形 ) が流行の主流であった 謝辞 検体採取に御協力いただきました各健康福祉センターおよび医療機関の皆様に深謝いたします 参考文献 ) 押谷仁 : 新型インフルエンザと鳥インフルエンザ, 臨床と微生物,41,55-58(2014) 2) 国立感染症研究所感染症疫学センター : 週別インフルエンザウイルス分離 検出報告数,2010/11~2014/15 シーズン 3) 中村雅子他 :2002/03 シーズンの福井県のインフルエンザ, 福井県衛生環境研究センター年報,1, (2003) 4) 国立感染症研究所 : インフルエンザ診断マニュアル ( 第 2 版 ) _2003.pdf 5) 6) 野田希他 :2013/14 シーズンの福井県のインフルエンザ, 福井県衛生環境研究センター年報,12, (2014) 患者数(人)年齢 ( 歳 ) 図 5 年齢階層別割合 -98-

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