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1 平成 29 年度 食料 農業 農村の動向 平成 3 年度 食料 農業 農村施策 第 196 回国会 ( 常会 ) 提出

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4 この文書は 食料 農業 農村基本法 ( 平成 11 年法律第 16 号 ) 第 14 条第 1 項の規定に基づく平成 29 年度の食料 農業 農村の動向及び講じた施策並びに同条第 2 項の規定に基づく平成 3 年度において講じようとする食料 農業 農村施策について報告を行うものである

5 平成 29 年度 食料 農業 農村の動向 第 196 回国会 ( 常会 ) 提出

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7 トピックス第1章第2章第3章第4章用語の解説目次 第 1 部食料 農業 農村の動向はじめに 1 特集次世代を担う若手農業者の姿 ~ 農業経営の更なる発展に向けて~ 3 1 若手農業者がいる販売農家の経営構造分析 4 (1) 若手農業者の現状 4 (2) 若手農業者がいる販売農家の分析 5 ア若手農家と非若手農家の経営構造の比較 5 ( 若手農家は大規模経営による面積シェアが高い ) 5 イ若手農家における経営規模の拡大の進展 6 ( 若手農家の経営規模の拡大は 稲作をはじめ各部門で進展 ) 6 ウ若手農家における雇用労働力の広がり 7 ( 常雇いを雇い入れた若手農家の割合は 直近 1 年間で 5.3% から 12.6% へ上昇 ) 7 エ若手農家における投資とその効果 8 ( 若手農家は 投資により 労働生産性と農業所得の向上を実現 ) 8 2 若手農業者向けアンケート結果の分析 9 (1) 農業 農業施策に対する考え ( 農家の経営主 世帯員 + 法人役員 + 農家 法人の雇用者 :1,885 人 ) 9 ア我が国農業の在り方 9 ( 国内だけでなく海外にも目を向けるべき との回答は 35.1%) 9 イ関心の高い農業施策 1 ( 労働力の確保 農地の集積 生産資材価格の引下げ が上位) 1 ウ農業の魅力 11 ( 裁量の自由度の大きさ 時間の自由度の大きさ が上位) 11 (2) 経営者の農業経営に対する考え ( 農家の経営主 + 法人役員 :1,58 人 ) 12 ア農業経営で大切なこと 12 ( 販売金額が大きいほど重視される 経営分析能力 と 財務管理能力 ) 12 イ現在の経営における課題 14 ( 労働力の不足 を挙げる割合が最も高く 特に酪農と果樹で深刻) 14 ウ今後伸ばしていきたい方向 15 ( ア ) 農業生産 15 ( 販売金額が大きいほど重視される IoT 等新技術の導入 と 異業種との連携 ) 15 i 特集

8 ( イ ) 出荷 販売先 16 ( 消費者への直接販売 が 56.7% で最高 ) 16 ( ウ ) 関連事業 17 ( 農産物の加工 販売 が 49.7% で最高 ) 17 ( エ ) 農業経営の法人化 17 ( 販売金額が大きいほど高くなる法人化の意向 ) 17 3 効率的かつ安定的な農業経営に向けた施策の展開方向 18 ( 農業経営の法人化 新技術の開発 伸ばしたい方向を後押しできる環境づくりが重要 ) 18 4 若手農業者の雇用に関する動向等 19 (1) 若手新規就農者の動向 19 ( 若手新規就農者数は 3 年連続で 2 万人を超過 ) 19 (2)44 歳以下の常雇いの分析 2 ( 法人経営体の 44 歳以下の常雇いは雇用先人数規模 1 人以上の経営体に 68.7% が集中 ) 2 (3) 法人雇用者の満足度や将来に対する考え ( 法人雇用者 :79 人 ) 22 ア就職情報の入手経路 22 ( 非農家出身者は 求人サイトや求人誌 行政相談窓口の活用割合が高い ) 22 イ現勤務先の満足度 22 ( 満足の者 は 給与 以外の項目で 不満の者 を上回る) 22 ウ将来の進路と身に付けたい技能 23 ( 現勤務先への残留意向が 39.2% 独立就農意向が 3.4%) 23 トピックス 1 産出額が2 年連続増加の農業 更なる発展に向け海外も視野に 26 ( 農業総産出額は 2 年連続で増加し 16 年ぶりに 9 兆円台を回復 ) 26 ( 減少が続く食料の国内需要 増加に向かう食料の世界需要 ) 27 ( 専ら国内需要を念頭に置く農業生産から 世界需要も視野に入れた農業生産へ ) 28 トピックス 2 日 EU EPA 交渉の妥結と対策 29 1 交渉の概要 29 2 合意内容 3 (1) 関税に関する合意 3 (2) ルール分野に関する合意 31 ア EU 域内での我が国の地理的表示 (GI) の保護 32 ii

9 トピックス第1章第2章第3章第4章用語の解説 イ衛生植物検疫措置 32 ウ税関 貿易円滑化 32 エ農業分野における協力 32 3 総合的なTPP 関連政策大綱の改訂 33 トピックス 3 明治 15 年 関連施策テーマ我が国の近代化に大きく貢献した養蚕 35 ( 欧州向け輸出 : 開港を機に始まるも やがて停滞 ) 35 ( 米国向け輸出 : 明治期の品質向上の取組により 大正期に飛躍的に拡大 ) 36 ( 教訓 : マーケットインの発想で取り組むことで輸出の拡大は可能 ) 37 トピックス 4 動き出した農泊 39 (22 年までに 5 地域の創出を目指す ) 39 ( 地域の取組を 知って もらう機会の創出 ) 39 ( 訪日外国人旅行者は 訪日回数が多い人ほど地方部への訪問割合が増加 ) 42 第 1 章食料の安定供給の確保 43 第 1 節食料自給率と食料自給力指標 44 (1) 食料自給率の目標と動向 44 ( 供給熱量ベースは 1 ポイント低下の 38% 生産額ベースは 2 ポイント上昇の 68%) 44 ( 長期的には低下傾向で 近年は一定の範囲で推移 ) 45 (2) 食料自給力指標の考え方と動向 46 ( 食料の潜在生産能力の大きさを数値化したものが食料自給力指標 ) 46 ( 食料自給力指標が低下する中 農地の面積確保と単収の高位安定化が重要 ) 47 第 2 節グローバルマーケットの戦略的な開拓 49 (1) 農林水産物 食品の輸出促進 49 ( 輸出額は 5 年連続で増加 ) 49 ( 残留農薬 HACCP 等輸出についての様々なルールへの適合 ) 54 ( 動植物検疫は 5 か国 地域 7 品目で解禁 ) 54 ( 放射性物質に関する輸入規制は 6 か国で撤廃 3 か国 地域で緩和 ) 56 (2) 日本食 食文化の海外展開と規格 認証 知的財産の活用等 57 ア日本食 食文化の海外展開 57 ( 海外における日本食レストラン数は 2 年前の前回調査から 3 割増加 ) 57 iii 特集

10 ( 日本産食材サポーター店は 2,931 店舗 調理技能認定は 47 人がそれぞれ認定 ) 57 ( トップセールスやメディア等を活用した日本食 食文化の魅力発信 ) 59 イ規格 認証 知的財産の活用 59 ( 農業者による GAPの実施と認証取得の拡大に向け 様々な動きが進展 ) 59 ( 畜産物で GAP 認証がスタート ) 61 ( 農業者と食品関連事業者で GAP の取組に関する共通認識を醸成 ) 61 (HACCPの実施を含む日本発の食品安全管理規格について GFSI に承認申請 ) 62 (JAS 法の改正を受けて 切り花の日持ち生産管理等 3つの新規格を制定 ) 64 ( 地理的表示の登録は 34 道府県に拡大 ) 65 ( 海外における植物品種保護を進めることが必要 ) 66 第 3 節世界の食料需給と食料安全保障の確立 68 (1) 世界の食料需給の動向 68 (217/18 年度の穀物需給は 消費量が生産量を上回る見通し ) 68 ( 単収の伸びの鈍化 不安定要素の存在から 中長期的に穀物需給の逼迫も懸念 ) 69 (2) 総合的な食料安全保障の確立 7 ( 不測の事態に備えたリスクの分析 評価 ) 7 ( 輸入農産物の安定的な確保に向け 相手国との良好な関係の構築 維持等が重要 ) 71 ( 家庭では 非常時に備え 食料や飲料水の備蓄が自身の身を守る上で有効 ) 72 ( 緊急の事態に備え 食品産業事業者による事業継続計画 (BCP) の策定等が必要 ) 73 ( 我が国の食料安全保障の確立に貢献する 開発途上国等への支援 ) 73 (3) 農産物の貿易交渉 73 (WTO の進展が見られない中 EPA/FTA の締結が世界的に増加 ) 73 (TPP は 米国を除く 11 か国による協定として署名 ) 75 第 4 節食料消費の動向と食育の推進 76 (1) 食料消費の動向 76 ア食料消費支出の動向 76 ( 食料消費支出が減少し 調理食品の利用割合が高まる ) 76 ( 週 1 回以上調理食品を利用している割合は 3 歳代から 5 歳代で 5 割 ) 78 ( 調理食品や外食の利用の高まりにより 野菜と果実の摂取量は減少の懸念 ) 78 ( 外食産業や中食産業において 国産原料をうたった消費者への訴求の強化へ期待 ) 79 イ食料の購入先の変化 79 ( ネット通販による食料の支出額は この 1 年間で約 4 倍に拡大 ) 79 iv

11 トピックス第1章第2章第3章第4章用語の解説( ネット通販の購入経験は 4 歳代から 7 歳代で多く 情報の充実に高い期待 ) 8 (2) 食育の推進と国産農林水産物の消費拡大 和食 の保護 継承 81 ( 国産農林水産物の消費拡大に向けた 食育とフード アクション ニッポン ) 81 ( 幼少期の子供や子育て世代等に対する 和食 の継承 ) 82 第 5 節食の安全と消費者の信頼確保 83 (1) 食品の安全性向上 83 ( 食品の安全性を高めるための措置を策定 普及し 問題発生を未然に防止 ) 83 (2) 消費者の信頼確保 83 ( 食品表示の適正化を図るため 地方農政局等の職員が監視 取締り ) 83 ( 食品事故等発生時の円滑な原因究明と商品回収等に資するトレーサビリティ ) 84 ( 新たな加工食品の原料原産地表示制度が平成 29 年 9 月にスタート ) 84 ( 遺伝子組換え食品について 消費者庁が表示制度の見直し内容を公表 ) 85 ( 機能性表示食品制度について 消費者庁が生鮮食品での活用に向けた改善策を公表 ) 85 (3) 動植物の防疫 86 ( 家畜の伝染病の発生予防に向けては 空港 港での検疫等三段構えで対応 ) 86 ( 植物病害虫の侵入防止に向けては 貨物 携帯品等の輸入植物を対象に検疫を実施 ) 87 (4) 薬剤耐性対策の推進 87 ( 動物分野における薬剤耐性菌の出現率を低く抑えるための取組を強化 ) 87 第 6 節食品産業の動向 89 ( 農林水産物 1.5 兆円に食品産業のサービスが付加され 最終消費額は 76.3 兆円に ) 89 ( 国産食用農林水産物の重要な仕向先である食品製造業と外食産業 ) 9 ( 食品産業の事業再編等を支援する法律が施行 国内外では業界再編の動きが進行 ) 91 ( コンビニエンスストアは 調理パン等の販売好調により食料品販売額は堅調に推移 ) 92 ( 外食 中食の市場規模は 近年 増加傾向で推移 ) 93 ( 卸売市場を含めた食品流通の合理化等を促進する法案を国会に提出 ) 94 ( 流通チャネルが多様化する中 マッチングを支援する仕組みを構築 ) 95 ( 食品産業の海外展開に向けて 二国間による官民の新たな対話の場を立ち上げ ) 96 ( 食品産業における労働時間が長いなどの課題解決に向け ハンドブックを作成 ) 97 v 特集

12 ( 中小企業等経営強化法の支援により 食品産業の成長投資を後押し ) 97 ( 食品製造業と小売業の適正取引を推進するガイドラインを策定 公表 ) 97 ( 食品ロスの削減に向けた食品業界の取組が進展 ) 98 第 7 節農林水産物 食品の新たな需要の開拓 11 (1)6 次産業化と地産地消 11 ( 加工 直売等の農業生産関連事業の年間総販売金額は前年度から約 1 千億円増加 ) 11 ( 農産物直売所の年間総販売金額が大きい福岡県 埼玉県 愛知県 ) 13 (2) 医療分野と食料 農業分野との連携 15 ( 医療分野で徐々に取り入れられつつある新たな農産物 ) 15 ( 漢方薬メーカーが期待する国産の薬用作物 ) 16 第 2 章強い農業の創造 17 第 1 節農業の構造改革の推進 18 (1) 農業所得の動向 18 ( 農業所得に影響を及ぼす交易条件指数は 2 年連続で上昇し 所得向上の方向に作用 ) 18 (1 経営体当たりの農業所得は直近 5 年間で最高を記録 ) 18 (2) 農地中間管理機構の活用による農地の集積 集約化 11 ( 農地面積 作付延べ面積ともに緩やかに減少し 耕地利用率は横ばいで推移 ) 11 ( 荒廃農地面積は 横ばいで推移 ) 111 ( 担い手に対する農地の利用集積率は 前年度に比べ 1.7 ポイント上昇の 54.%) 111 ( 簡易な手続により相続未登記農地に利用権設定が可能となる法案を国会に提出 ) 112 ( 高齢農業者の意向を速やかに把握できるよう 定期的な話合いが重要 ) 113 (3) 担い手の育成 確保 113 ( 農業経営体数が一貫して減少する中 1 経営体当たりの経営規模は着実に増加 ) 113 ( 基幹的農業従事者数 常雇い人数とも 49 歳以下の割合が上昇 ) 115 ( 農業における働き方改革に向けて 農業経営者の取組のヒント等を取りまとめ ) 116 ( 認定農業者は法人が一貫して増加 ) 117 ( 集落営農組織は法人化が進展し 法人組織の割合は 33.8% までに上昇 ) 118 ( 農地のリース方式による農業への参入企業は 平成 28 年 12 月末時点で 2,676 法人 ) 118 vi

13 トピックス第1章第2章第3章第4章用語の解説 (4) 人材力の強化 119 ( 高い農業技術や経営管理能力を持つ人材の育成が期待される農業大学校 ) 119 ( 静岡県が 農業分野の専門職大学開学に向けた基本構想を公表 ) 121 ( 農業者が営農をしながら体系的に経営を学べる農業経営塾が 21 県で開講 ) 122 ( 留学や海外研修を通して国際感覚を身に付ける学生や社会人 ) 123 ( 農業支援外国人受入事業の実施に向け京都府 新潟市 愛知県が実施区域に認定 ) 124 (5) 女性農業者の活躍 124 ( 組織経営体の常雇いにおいて女性の活躍の場が拡大 ) 124 ( 女性農業者の経営参画等につながる家族経営協定の締結農家数は増加 ) 125 ( 女性農業者の飛躍を後押しする農業女子プロジェクトと WAP1) 126 ( 女性農業者の良きパートナーである 女性の普及指導員等が活躍 ) 127 (6) 農業金融 129 ( 農業向け融資は 公庫 一般金融機関 農協系統のいずれも増加傾向 ) 129 (7) 経営所得安定対策 131 ( 米穀 麦 大豆等の重要な農産物を対象とした担い手に対する経営所得安定対策 ) 131 (8) 収入保険 131 ( 平成 31 年 1 月 農業経営者ごとの収入減少を補てんする収入保険がスタート ) 131 第 2 節農業生産基盤の整備と保全管理 133 (1) 農業生産基盤の整備と保全管理における重点的な取組 133 ( 強い農業基盤づくり 農業水利施設の長寿命化 防災 減災対策に重点化 ) 133 (2) 担い手のニーズに応える強い農業基盤づくり 133 ( 区画整備済み水田は全体の 64.7% 畑地かんがい施設の整備は全体の 23.9%) 133 ( 水田の区画整備と排水改良により 労働生産性の向上と担い手への農地集積を推進 ) 135 (3) 農業生産の継続に欠かせない農業水利施設の長寿命化 136 ( 農業用用排水路の総延長は約 4 万 km 基幹的農業水利施設の施設数は約 7,6 か所 ) 136 ( 老朽化した農業水利施設は ストックマネジメントにより機能を保全 ) 137 (4) 災害リスクから農業 農村を守る防災 減災対策 139 ( 大規模自然災害に対応した農業水利施設の機能強化 地域の防災 減災力の強化 ) 139 vii 特集

14 第 3 節主要農畜産物の生産等の動向 142 (1) 農業産出額の動向 142 ( 都道府県別分析 : 直近 1 年間で産出額が増加したのは 34 都道府県 ) 142 ( 市町村別分析 : 農業産出額の上位は 九州や関東の市町が多数 ) 144 (2) 米 145 ( 主食用米から戦略作物等への取組が定着し 超過作付けは 3 年連続で解消 ) 145 ( 担い手の米の生産コストは 平成 23 年の全国平均に比べ 3 割程度低い水準 ) 147 ( 業務用途の堅調な需要が見込まれる中 米の産地には需要に応じた生産 販売が期待 ) 148 ( 平成 3 年産米の生産において 重要な役割を担う農業再生協議会 ) 148 ( 飼料用米の給与により生産した畜産物を対象に 初めてのコンテストが開催 ) 149 ( 平成 29 年 12 月 米粉製品の認証制度がスタート ) 149 (3) 小麦 15 (1 経営体当たり作付面積は着実に拡大し 都府県でより大きな伸び ) 15 ( 需要が高まる国産小麦 ) 15 (4) 大豆 151 (1 経営体当たり作付面積は着実に拡大し 都府県でより大きな伸び ) 151 ( 豆腐や納豆で 国産表示商品の販売額は増加の傾向 ) 152 (5) 野菜 152 ( 加工 業務用向けで国産シェアの回復が進展 ) 152 (6) 果実 154 ( 食の簡便化等が進む中 良食味果実に加え 原材料に適した果実の生産も重要 ) 154 (7) 花き 156 ( 優れた特徴を持つ品種や高品質な花きを生産し 輸入品との差別化を図ることが重要 ) 156 (8) 茶 158 ( 優良品種への改植による茶園の若返りと需要に応じた生産体制の強化が重要 ) 158 (9) 甘味資源作物 159 ( この 1 年間で てんさいは直播率が上昇 さとうきびはハーベスタ収穫率が上昇 ) 159 (1) いも類 16 ( ばれいしょ かんしょともに 需要に応じた新たな品種の作付けが拡大 ) 16 (11) 畜産物 161 ( 飼養戸数が減少する中 1 戸当たり飼養頭羽数は増加 ) 161 ( 生乳の増産に向けて 乳用後継牛の確保が重要 ) 161 viii

15 トピックス第1章第2章第3章第4章用語の解説( 牛肉の増産に向けて 子牛育成部門の外部化による繁殖雌牛の増頭等が重要 ) 163 ( 豚肉 鶏肉 鶏卵の生産量は いずれも前年度より増加 ) 165 ( 畜産物の生産基盤等の強化に向けて 輸入飼料の国産飼料への置換えが重要 ) 166 (12) 平成 29 年度の自然災害による農業関係の被害 168 (5 つの台風や梅雨前線による大雨と暴風で 農業関係は 1,264 億円の被害 ) 168 ( 広範囲に大雪による被害が発生 ) 169 第 4 節生産現場の競争力強化等の推進 17 (1) スマート農業の推進 17 ( 人工知能未来農業創造プロジェクトにおいて 11 課題の研究開発が進行中 ) 17 (221 年度までの市販化に向け 5 万円以下の無人草刈りロボットの開発がスタート ) 171 ( フォーラムを通じて スマート農業の情報を発信 ) 171 ( ドローンの農薬の空中散布について ガイドラインを改訂し 自動操縦による飛行に対応 ) 172 ( 平成 31 年 4 月の本格稼働を目指し 農業データ連携基盤の構築を推進 ) 173 ( 農業研究見える化システム アグリサーチャー が開設 ) 174 ( 知 の集積と活用の場において 産学官連携による共同研究の支援を実施 ) 175 ( ゲノム編集技術や遺伝子組換え技術を 国民に対し分かりやすく説明 ) 175 ( 自動車メーカーとの連携により 農業者の労働時間が短縮 ) 176 (2) 農業生産資材価格の動向と引下げに向けた動き 176 ( 近年 上昇傾向が続いた農業生産資材価格指数は 平成 28 年に僅かに低下 ) 176 ( 農業資材比較 web サイト AGMIRU の開設のほか 各農業資材で取組が進展 ) 177 (3) 農作業安全対策の推進 179 ( 農業者に応じた効果的な取組を進める 農作業安全リスクカルテ が完成) 179 第 5 節気候変動への対応等の環境政策の推進 18 (1) 気候変動に対する緩和 適応策の推進等 18 (COP23 では パリ協定の運用ルールのアウトライン等が具体化 ) 18 ( 我が国は 農業分野の温室効果ガスに関する国際研究ネットワークの議長国に就任 ) 18 ( 我が国の農林水産分野では 気候変動の緩和と適応を推進 ) 181 (ITPGR の仕組みを通じ 海外から農作物の遺伝資源約 2 万点を入手 ) 182 ix 特集

16 (2) 環境保全に配慮した農業の推進 183 ( 有機認証を受けた茶 こんにゃく 梅加工品の輸出が急増 ) 183 ( エコファーマーは 件数減少の一方で 地域ぐるみで取り組む事例も ) 184 ( 産学官によるプラットフォームに 戦略会議やプロジェクトが設置 ) 185 第 6 節農業を支える農業関連団体 186 (1) 農業協同組合 186 ( 農協による農業者の所得向上に向けた事業の見直しが急務 ) 186 (2) 農業委員会 187 ( 推進委員には 農地利用の最適化を推進するに当たり 現場活動が期待 ) 187 (3) 農業共済団体 188 ( 収入保険と農業共済の円滑な実施のための体制整備が必要 ) 188 (4) 土地改良区 189 ( 土地持ち非農家が増加し 耕作者の意見が適切に反映される事業運営体制が必要 ) 189 第 3 章地域資源を活かした農村の振興 活性化 191 第 1 節農村地域の現状と地方創生に向けた動き 192 ( 農村地域では 全国を超える減少率で人口が推移する見込み ) 192 ( 生活関連サービスを受け続けられるよう 各地で 小さな拠点 づくりが進展 ) 193 ( 農山漁村での仕事づくりに向け 農村産業法等が施行 ) 193 ( 若い世代を中心に高まりを見せる 田園回帰 の意識 ) 194 ( 農業分野行政職員の能力向上を目指す 地方創生カレッジや地域農政未来塾 ) 197 第 2 節中山間地域の農業の活性化 199 ( 地域資源を 宝 として活用することで 収益力のある農業を実現できる可能性 ) 199 ( 各地の優良事例の発信と取組への支援を通じた横展開が重要 ) 2 ( チャレンジを支援する中山間地農業ルネッサンス事業と中山間地域所得向上支援対策 ) 2 第 3 節農業 農村の有する多面的機能の維持 発揮 22 ( 農業 農村の有する多面的機能の効果は 国民全体が享受 ) 22 ( 多面的機能支払では 中間評価において効果の発現と地方裁量の有効活用を確認 ) 23 ( 中山間地域等直接支払では 前期対策に比べ 1 協定当たり平均交付面積は拡大 ) 25 x

17 トピックス第1章第2章第3章第4章用語の解説( 環境保全型農業直接支払では 前年度に比べ 実施面積が拡大 ) 26 第 4 節鳥獣被害とジビエ 27 (1) 鳥獣被害の現状と対策 27 ( 平成 28 年度の農作物被害額 172 億円は 平成 11 年度の調査開始以来最低の水準 ) 27 ( 狩猟免許所持者は 近年 若手や女性が増加 ) 27 ( 鳥獣被害の防止に向け 鳥獣被害対策実施隊が 1,14 市町村で設置 ) 28 (2) ジビエの利用拡大 21 ( 食肉処理施設で解体され 食用 ペットフード用等に仕向けられたジビエは 1,283 t) 21 ( モデル地区の整備等により ジビエ利用量を平成 31 年度に倍増 ) 211 ( 消費者にとってジビエを身近な食材に ) 212 第 5 節地域資源の積極的な活用 213 ( 農業農村整備事業等により整備が進む各種発電施設 ) 213 ( 農山漁村再生可能エネルギー法に基づく基本計画の作成市町村は着実に増加 ) 214 ( バイオマス産業都市は 11 市町村が新たに選定され 79 市町村に ) 214 第 6 節都市農業の振興 216 ( 農産物の供給 農業体験 学習の場の提供等 多様な役割を有する都市農業 ) 216 ( 都市農地の位置付けは 宅地化すべきものから 都市部にあるべきものへ ) 217 ( 都府県や市で地方計画の作成が進展 ) 218 ( 都市農地の保全 活用に向けた制度改正 ) 219 ( 市民農園の開設数は都市的地域を中心に増加 ) 219 第 7 節農業と多様な分野との連携 221 ( 子ども農山漁村交流プロジェクトによる子供の受入れは 185 地域で実施 ) 221 ( 近年 ハローワークを通じた障害者の農林漁業分野への就職件数は年間 3 千件弱 ) 221 第 4 章東日本大震災 熊本地震からの復旧 復興 223 第 1 節東日本大震災からの復旧 復興 224 (1) 地震 津波による被害と復旧 復興 224 ア農地の復旧 復興 224 ( 除塩等が進められ 復旧対象農地の 89% で営農再開が可能に ) 224 xi 特集

18 ( 防災集団移転と連携した農地整備事業が 1 市町 16 地区で実施中 ) 225 イ農業の復興 226 ( 新たな食料生産基地としての再生に向け 先端的農業技術の研究が進行 ) 226 ( 共創力で進む東北プロジェクト で 新たな農産物流通について議論 ) 226 ( 新しい東北 復興ビジネスコンテストでは 農業関係 3 点が優秀賞に選定 ) 227 (2) 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響と復旧 復興 229 ア福島県の避難指示区域等の復興 229 ( 帰還困難区域を除き ほぼ全ての避難指示が解除 ) 229 ( 帰還困難区域の復興 再生に向けた計画制度が創設 ) 23 ( 農地は 国直轄の面的除染は完了 市町村等の除染も完了 ) 23 ( 葛尾村で水稲作付けが再開するなど 農業の復興は着実に進展 ) 231 イ風評の払拭に向けた取組等 232 ( 食品の安全確保に向けた生産現場の取組 ) 232 ( 安全が確認された地域で出荷制限を解除 ) 234 ( 福島県産農林水産物の風評払拭に向けた取組を強化 ) 235 ( 食べて応援しよう! で消費を回復) 236 (GAP 認証の取得日本一を目指す ふくしま GAP チャレンジ宣言 ) 236 ( 東京電力による農林水産業関係者への損害賠償支払額は 平成 29(217) 年度分は 763 億円 ) 237 第 2 節熊本地震からの復旧 復興 238 ( 平成 31 年までの取組をロードマップ化し 復旧 復興の実現に向けて施策を推進 ) 238 ( 県営 団体営の災害復旧事業は着手済みが 88.2% 完了が 4.2%) 238 ( 大豆へ転換された水田では 広域農場等への作業委託が進展 ) 24 ( 被災した畜産農家における家畜の再導入や畜舎等の整備は平成 3 年度内に完了 ) 24 ( カントリーエレベーター等の共同利用施設の復旧はほぼ完了 ) 24 (JA 熊本中央会が 農業労働力確保サポート事業を開始 ) 241 xii

19 トピックス第1章第2章第3章第4章用語の解説農業 農村地域の活性化を目指して 平成 29(217) 年度農林水産祭天皇杯等受賞者事例紹介 244 用語の解説 247 主な分野横断的テーマ インデックス 264 事例一覧 特集 トピックス 4 第 1 章 第 2 章 投資と機械の稼働率向上等を通じて 効率的稲作経営を実現 ( 新潟県 ) 18 農協が出資している農業法人が就農を支援 ( 長野県 ) 2 農業法人が従業員の技能向上を通じて 昇給を実現 ( 岐阜県 ) 24 新名物となるジビエ加工品の開発に挑戦 ( 石川県 ) 4 外国人延べ宿泊者数の倍増を目指し 滞在拠点等を整備 ( 徳島県 ) 41 小型のサツマイモ生産への転換で 輸出を飛躍的に拡大 ( 宮崎県 ) 53 卸売会社の強みを活かし 米国向け切り花輸出をけん引 ( 大阪府 ) 53 日本料理の海外普及を夢に 外国人が日本料亭等で研修 ( 京都府ほか ) 58 作業事故の防止を目指し GLOBALG.A.P. の団体認証を取得 ( 滋賀県 ) 6 22 年を目指し 北海道初の JGAP 家畜 畜産物の認証を取得 ( 北海道 ) 61 子供たちが自ら考えて学ぶ食育プログラムを農協が開始 ( 愛知県 ) 82 農業者が店舗や価格を決定できる小売店向け販売の仕組み ( 全国 ) 95 生産者が需要に応じて出荷できる飲食店向け販売の仕組み ( 東京都 ) 96 みかん産地の農業者が作り出した新発想の調味料加工品 ( 愛媛県 ) 12 地産地消の取組モデルの一つとなる地域支援型農業 ( 茨城県 ) 15 高栄養価にんじんによる農業と医療分野との連携 ( 岡山県 ) 16 農外参入企業が 7ha の巨大温室を再生し 黒字化を実現 ( 北海道 ) 114 第三者継承による新規就農 ~ 分べん時期が分散された乳用牛を引き継げたのはメリット ~( 北海道 ) 115 第三者継承による新規就農 ~ハウスとパート社員を引き継げたのはメリット~( 岡山県 ) 116 農業大学校として全国初の GLOBALG.A.P. 認証取得 ( 新潟県 ) 12 大学生の目線で 全国の元気な農業者の情報を発信 ( 東京都 ) 121 全国に先駆けて農業経営塾が開講 ( 山口県 ) 123 xiii 特集

20 25 歳で北海道酪農の経営者になった女性農業者 ( 北海道 ) 126 農業法人で実現された女性従業員が働きやすい職場環境 ( 香川県 ) 127 女性の家畜人工授精師等にこだわりを持つ女性農業者 ( 北海道 ) 128 女性酪農ヘルパーが語る仕事の魅力 ( 北海道 ) 129 農業向け融資の拡大により 地域農業の発展を目指す銀行 ( 滋賀県 ) 13 畑地かんがい施設の整備により 農業所得が大きく増加 ( 長崎県 ) 136 ため池の水を活用する防災協定の締結 ( 大阪府 ) 141 マイルドなパクチー 岡山マイルドパクチー OKAPAKU ( 岡山県 ) 154 業務用野菜への転換により 大規模経営が出現 ( 千葉県 ) 154 収穫機の導入による加工原料用りんごの生産 ( 青森県 ) 156 後継者育成や肥育農家の経営安定の役割を果たす繁殖農場 ( 岩手県 ) 164 ドローンと AI 技術を活用した 大豆のコスト削減と高付加価値化 ( 佐賀県 ) 173 ドローンを活用した 稲作のコスト削減と品質向上 ( 東京都 ) 173 地球温暖化を契機とし りんご産地で広がるももの生産 ( 青森県 ) 182 豚肉で国内初となる有機 JAS 畜産物の認証取得 ( 鹿児島県 ) 184 生協の信頼を得て 地域ぐるみで環境保全型農業を実践 ( 宮城県 ) 185 一括仕入れ等の導入で 生産資材の販売価格を引下げ ( 宮崎県 ) 187 農地利用の現状を地域で共有するため 独自の地図を作成 ( 茨城県 ) 188 第 3 章 元地域おこし協力隊員が こだわりの米づくりを実践 ( 新潟県 ) 194 集落に移住した若者による U ターンのきっかけづくり ( 高知県 ) 197 第 1 期塾生が 新たな農産物の集荷システムを構築 ( 京都府 ) 198 集落の体制を整備し 都市住民との交流や 6 次産業化を展開 ( 福島県 ) 2 多面的機能支払の事務負担軽減等に貢献する広域組織 ( 新潟県 ) 24 狩猟に興味を持つ県内外の女性がつながる 狩女の会 ( 石川県 ) 28 カメラと ICT を活用したイノシシの捕獲システム ( 福岡県 ) 21 調理師専門学校で全国初のジビエのカリキュラム化が実現 ( 熊本県 ) 212 ブルーベリーの品質と収量を維持しつつ 売電収入を獲得 ( 千葉県 ) 214 農業体験の場や災害時の避難場所となる都市の農地 ( 神奈川県 ) 217 安定した販路により 全国平均を大きく超える賃金を実現 ( 北海道 ) 222 第 4 章 大規模農業法人が被災農業者の雇用の受皿に ( 宮城県 ) 225 老舗のしょうゆ醸造企業が 特徴ある商品を次々と発売 ( 岩手県 ) 228 浪江町をきれいな花の町に ( 福島県 ) 231 トマトのテーマパークで 地域を元気に ( 福島県 ) 232 被災箇所を含めた水田等の区画整理による創造的復興 ( 熊本県 ) 239 学生の援農活動が熊本農業の復興の一助に ( 熊本県 ) 242 台湾向けの情報発信が期待される台湾大学生の受入れ ( 熊本県 ) 242 xiv

21 トピックス第1章第2章第3章第4章用語の解説コラム一覧 トピックス 3 第 1 章 第 2 章 官営模範工場としての富岡製糸場 37 蚕の今 ~ 純国産絹製品づくりの取組と新素材原材料の役割 ~ 38 我が国で初の開催となった GFSI 世界食品安全会議 家計調査で見る米消費の動向 77 明治 15 年 関連施策テーマ 明治期のグルタミン酸ナトリウムに始まる うま味 成分の発見 91 気象データと AI 技術を活用し 豆腐の廃棄をほぼゼロに 1 我が国とフランスの農業高校間の交流がスタート! 12 優遇措置が付与され 経営上の利点もある青色申告 132 明治 15 年 関連施策テーマ 農業水利発展の一翼を担った明治期の逆サイホンの設置 139 飛騨高山高等学校が 和牛の共進会 高校の部 で最優秀賞を獲得 165 ゲノム編集技術を大きく進化させた C ク RISPR/C リスパーキャスナイン as9 176 xv 特集

22 第 2 部 平成 29 年度食料 農業 農村施策 概説 施策の重点 財政措置 立法措置 税制上の措置 金融措置 政策評価 272 Ⅰ 食料自給力 食料自給率の維持向上に向けた施策 食料自給力 食料自給率の維持向上に向けた取組 主要品目ごとの生産努力目標の実現に向けた施策 273 Ⅱ 食料の安定供給の確保に関する施策 国際的な動向等に対応した食品の安全確保と消費者の信頼の確保 幅広い関係者による食育の推進と国産農産物の消費拡大 和食 の保護 継承 生産 加工 流通過程を通じた新たな価値の創出による需要の開拓 グローバルマーケットの戦略的な開拓 様々なリスクに対応した総合的な食料安全保障の確立 国際交渉への戦略的な対応 285 Ⅲ 農業の持続的な発展に関する施策 力強く持続可能な農業構造の実現に向けた担い手の育成 確保 女性農業者が能力を最大限発揮できる環境の整備 農地中間管理機構のフル稼働による担い手への農地集積 集約化と 農地の確保 担い手に対する経営所得安定対策の推進 収入保険制度等の検討 構造改革の加速化や国土強靱化に資する農業生産基盤整備 需要構造等の変化に対応した生産 供給体制の改革 コスト削減や高付加価値化を実現する生産 流通現場の技術革新等 気候変動への対応等の環境政策の推進 296 Ⅳ 農村の振興に関する施策 多面的機能支払制度の着実な推進 中山間地域の農業の振興 地域コミュニティ機能の発揮等による地域資源の維持 継承等 多様な地域資源の積極的活用による雇用と所得の創出 31 3 多様な分野との連携による都市農村交流や農村への移住 定住等 32 xvi

23 第2部Ⅴ 東日本大震災からの復旧 復興に関する施策 33 Ⅵ 団体の再編整備等に関する施策 36 Ⅶ 食料 農業及び農村に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項 37 1 幅広い関係者の参画と関係府省の連携による施策の推進 37 2 施策の進捗管理と評価 37 3 財政措置の効率的かつ重点的な運用 37 4 国民視点や地域の実態に即した施策の決定 37 5 効果的かつ効率的な施策の推進体制 37 Ⅷ 災害対策 38 1 災害復旧事業の早期実施 38 2 激甚災害指定 38 3 被災農林漁業者等の資金需要への対応 38 4 共済金の迅速かつ確実な支払 38 5 特別対策の実施 38 6 その他の施策 39 平成 29 年度食料 農業 農村の動向 の年次は 原則として和暦と西暦を並記していますが 22 年以降は元号が未定のため西暦のみを表記しています 平成 29 年度食料 農業 農村施策 の年次は 法律名や予算の引用が必要となることから 和暦を用いています なお 平成 は省略しています ( ただし 法律番号等を除く ) 図表の数値は 原則として四捨五入しており 合計とは一致しない場合があります 本資料に記載した地図は 必ずしも 我が国の領土を包括的に示すものではありません xvii

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25 第 1 部 食料 農業 農村の動向

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27 はじめに 食料 農業 農村の動向 ( 以下 本報告書 という ) は 食料 農業 農村基本法に 基づき 食料 農業 農村の動向に関する報告を 毎年 国会に提出しているものです 農業においては担い手の高齢化や減少が課題となっていますが 近年 49 歳以下の新規就農者数が比較的高い水準で推移するという明るい兆しも見られます 農業の持続的発展に向けては 次世代を担う若手農業者が 付加価値の向上 規模拡大や投資を通じた生産性の向上に挑戦し 効率的かつ安定的な農業経営を実現していくことが重要です このため 本報告書では 冒頭の特集において 次世代を担う若手農業者の姿 と題し 49 歳以下の若手農業者に焦点を当て 農林業センサス等の統計データやwebアンケートから明らかになった経営構造の特徴 農業経営に対する考え等について記述をしています 特集に続くトピックスでは 産出額が2 年連続増加の農業 更なる発展に向け海外も視野に 日 EU EPA 交渉の妥結と対策 我が国の近代化に大きく貢献した養蚕 動き出した農泊 の4つのテーマを取り上げています なお 我が国の近代化に大きく貢献した養蚕 については 平成 3(218) 年が明治元 (1868) 年から満 15 年の年に当たることを節目として政府が推進する明治 15 年関連施策に位置付けられるものです トピックスに続いては 食料 農業 農村の動向について 食料の安定供給の確保 強い農業の創造 地域資源を活かした農村の振興 活性化 として章立てを行い これらに続けて 道半ばにある 東日本大震災 熊本地震からの復旧 復興 の章を設けています さらに 平成 27(215) 年 3 月に閣議決定された食料 農業 農村基本計画に基づく施策の着実な推進に資するため 主な施策の取組状況やその効果等も記述しています 本報告書の記述分野は多岐にわたりますが 統計データの分析や解説だけでなく 全国各地で展開されている成長産業化に向けた取組事例等を可能な限り紹介し 写真も交え分かりやすい内容を目指しました 本報告書を通じて 我が国の食料 農業 農村に対する国民の理解と関心が一層深まることを期待します 1

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29 特集 次世代を担う若手農業者の姿 ~ 農業経営の更なる発展に向けて ~

30 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて 特集 我が国農業においては担い手の高齢化や減少が課題となっていますが 近年 農業法人 等での雇用が拡大し 若手の新規就農者数が比較的高い水準で推移するという明るい兆し も見られます 農業の持続的発展に向けては 次世代を担う若手農業者が 付加価値の向 上 規模拡大や投資を通じた生産性の向上に挑戦し 効率的かつ安定的な農業経営を実現 していくことが重要です この特集では 49 歳以下の若手農業者に焦点を当て 農林業センサス等や独自のアン ケートから 経営構造の特徴 農業経営に対する考え等を確認し 農業経営の更なる発展 に向けた施策の展開方向を考察します 1 若手農業者がいる販売農家の経営構造分析 平成 年における農業経営体 1137 万 7,266 経営体のうち 販売農家 2 は 96.5% に相当する 132 万 9,591 戸と大宗を占めています 以下では 215 年農林業セン サス等を用い 若手農業者の有無別の経営構造を販売農家について分析を行い 明らかに していきます 1 若手農業者の現状 販売農家の世帯員である基幹的農業従事者 3175 万 4 千人のうち 49 歳以下は 17 万 7 千人 と 1.1 を 販売農家と法人経営体 4 における常雇い 52 万 4 千人のうち 44 歳以下は 8 万 7 千人と 42.8 をそれぞれ占めています 図表 1 図表 2 図表 1 年齢別の基幹的農業従事者数 平成 年 万人 9 万人 歳以下 17.7 万人 歳 資料 農林水産省 215 年農林業センサス 販売 農家 年齢別の常雇い人数 平成 年 44 歳以下 販売農家における常雇い 3.8 万人 法人経営体における常雇い 4.9 万人 図表 2 65 歳 以上 歳 資料 農林水産省 215 年農林業センサス 用語の解説 を参照 用語の解説 を参照 用語の解説 を参照 法人の組織経営体のうち販売目的のものであり 一戸一法人は含まない 用語の解説 を参照 法人 経営体 歳 以上

31 特集 2 若手農業者がいる販売農家の分析 全体で見ると 49 歳以下の基幹的農業従事者がいる販売農家 以下 若手農家 とい う は いない販売農家 以下 非若手農家 という に比べ戸数は大幅に少なくなっ ています 若手農家では この 1 年間で個々の経営の規模拡大が進む中 常雇いが拡大 するとともに 投資を通じて労働生産性と農業所得の向上を実現している姿が確認できま した 以上が本項における分析結果の概略となります ア 若手農家と非若手農家の経営構造の比較 若手農家は大規模経営による面積シェアが高い 若手農家は 非若手農家に比べて 準単一 複合経営 1 の割合が高く 単一経営 2 では露 地野菜 施設野菜等の割合が高くなっています 図表 3 このような違いは 非若手農 家の稲作において 規模の小さい農家が多数存在していること等に起因しています 農産物販売金額規模別に見ると 非若手農家では 3 万円未満が 82.8 を占める一方 で 若手農家では 1, 万円以上が 45.2 を占めています 図表 4 経営耕地を有する販売農家で見ると 若手農家の戸数は非若手農家の 1 割程度にすぎま せんが 若手農家の経営耕地面積は非若手農家の 6 割程度の規模となっています 図表 5 経営耕地面積規模別に見ると 若手農家においては 1ha 以上の経営体が全体の 73.1 の面積シェアを占めています 図表 3 営農類型別の戸数割合 平成 年 単一経営 若手農家 13 万 8,845 戸 非若手農家 17 万 88 戸 露地野菜 準単一 複合経営 施設野菜 11.1 果樹 1.6 酪農 花き 花木 稲作 ha 未満 0 畑作 肉用牛 その他 資料 農林水産省 215 年農林業センサス 組替集計 注 1 販売農家 132 万 9,591 戸のうち 販売なし を除く 12 万 8,933 戸を若手農家と非若手農家に区分 2 畑作は 麦類 雑穀 いも類 豆類 工芸農作物 3 その他は その他の作物 養豚 養鶏 養蚕 その他の畜産 図表 4 農産物販売金額規模別の戸数割合 平成 年 若手農家 13 万 8,845 戸 非若手農家 17 万 88 戸 0 , 1. 3, 5, 1, 3, , 万 1億 1億円以上.5 1 万円未満 資料 農林水産省 215 年農林業センサス 組替集計 注 販売農家 132 万 9,591 戸のうち 販売なし を除く 12 万 8,933 戸を若手農家と非若手農家に区分 1 準単一複合経営 と 複合経営 の合計 準単一複合経営経営体 複合経営経営体 については用語の解説 2 1 を参照 2 単一経営経営体 については 用語の解説 2 1 を参照 5

32 特集 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて 図表 5 経営耕地面積規模別の戸数割合と規模別農家による面積シェア 平成 年 戸数割合 若手農家 13 万 8,7 戸 ha 以上 ha 未満 0 1. 規模別農家による面積シェア 若手農家 万 9,376ha 0 2.ha 以上 ha 未満 非若手農家 118 万 5,987 戸 非若手農家 186 万 5,484ha 資料 農林水産省 215 年農林業センサス 組替集計 注 販売農家 132 万 9,591 戸のうち 経営耕地面積なし を除く 132 万 4,687 戸の経営耕地面積を若手農家と非若手農家に区分 イ 若手農家における経営規模の拡大の進展 若手農家の経営規模の拡大は 稲作をはじめ各部門で進展 土地利用型部門の代表である稲作単一経 図表 6 営について 直近 1 年間における若手農 ha 8 家と非若手農家の 1 戸当たり経営規模の動 向を見ると 非若手農家はほぼ横ばいであ 6 るのに対し 若手農家は経営規模が 1.5 倍 2 平成 年から平成 年までの 5 年間における各規模階層に属す 66.5 が同一階層にとどまる一方 上位 若手農家 非若手農家 に拡大しています 図表 6 る農家の動きを見ると 非若手農家では 稲作単一経営の 1 戸当たり経営規模 1.2 平成17 25 年 資料 農林水産省 農林業センサス 組替集計 注 各農家の1戸当たりの経営規模は 経営耕地面積 経営耕地 のある農家数で集計 階層に移ったものは 14.5 でしたが 若 手農家では 3.7 が上位階層に移っており 規模拡大がより進展しています 図表 7 図表 7 直近 5 年間における稲作単一経営の規模の動向 平成 年から平成 年にかけての規模階層間移動 単位 戸 規模縮小 稲作単一経営の若手農家 稲作単一経営の非若手農家 農家数 割合 農家数 割合 変化なし 規模拡大 合計 2,161 8,123 4, , , ,572 7, , 資料 農林水産省 農林業センサス 組替集計 注 1 規模階層の移動は 経営耕地なし.3ha 未満 , ha 以上のそれぞれの規模階層から上がった場合は規模拡大 下がった場合は規模縮小としている 2 若手農家は 平成 年時点で 49 歳以下の基幹的農業従事者がいる販売農家 6

33 図表 8 の部門においても この 1 年間で規模拡 大が進展しています 図表 8 稲作単一経営以外の若手農家の経営規模 平成 年を 1 とする指数 畑作 14 露地野菜 13 乳用牛 12 肉用牛 11 1 特集 また 若手農家では 稲作単一経営以外 果樹 平成17 25 年 資料 農林水産省 農林業センサス 組替集計 注 1 畑作は 麦類 雑穀 いも類 豆類 工芸農作物 2 各年の1戸当たりの経営規模は次のとおり集計 畑作 露地野菜 果樹は 経営耕地面積 経営耕地面積 のある農家数 乳用牛は 2歳以上の乳用牛飼養頭数 2歳以上の乳用牛飼養農家数 肉用牛は 子取りめす牛 肉用種肥育 F1 肥育 乳用種肥育の飼養頭数の合計 子 取りめす牛 肉用種肥育 F1 肥育 乳用種肥育の飼養農 家数 ウ 若手農家における雇用労働力の広がり 常雇いを雇い入れた若手農家の割合は 直近 1 年間で 5.3 から 12.6 へ上昇 規模拡大に必要な労働力を確保したり 親世代のリタイア等により減少した労働力 図表 9 雇用者を雇い入れた農家の割合 単位 を補完するため 若手農家においては常雇 いが広がっており 直近 1 年間で常雇い を雇い入れた農家数は 1 万 2 千戸から 1 万 8 千戸に増加しています この結果 常雇 いを雇い入れた農家の割合は非若手農家を 大きく上回るペースで上昇しました 図表 平成 17 年 常雇い 臨時雇い 若手農家 5.3 非若手農家 若手農家 非若手農家 資料 農林水産省 農林業センサス 組替集計 9 若手農家 1 戸当たり農業従事日数を見ると 常雇いが一貫して増加しています 図表 1 また 一貫して規模拡大が進んできた中で 農業従事日数はさほど大きな伸びを示 していません 図表 1 若手農家の 1 戸当たり農業従事日数 世帯員 平成 17 年 臨時雇い 0 常雇い , 人日 資料 農林水産省 農林業センサス 組替集計 注 世帯員の農業従事日数は 自営農業従事日数規模階層の中位数 各階層の農業従事者数により推計 7

34 特集 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて エ 若手農家における投資とその効果 若手農家は 投資により 労働生産性と農業所得の向上を実現 水田作における若手農家 1 の経営では 非若手農家の経営に比べ 1a 当たり労働時間 が短く 農業固定資産装備率が高いことから 労働時間の短縮を図るための投資が進んで いることが分かります 図表 11 このことが 規模拡大や高い農業所得につながってい ると考えられます 同様に酪農における若手農家の経営でも 非若手農家の経営に比べ 搾乳牛 1 頭当たり 労働時間が短く 農業固定資産装備率が高くなっており このことが 規模拡大や高い農 業所得につながっていると考えられます このように 若手農家においては 投資を行うことで労働生産性の向上を図り 規模拡 大を通じて農業所得の向上が図られていると考えられます 図表 11 主な営農類型別の若手農家の経営状況 平成 年から 年までの 3 か 年平均 水田作 酪農 若手農家 非若手農家 ha 農業専従者数 人 , 自営農業労働時間 時間 農業所得 万円 農業粗収益 万円 2,44 25 農業経営費 万円 1, 農業固定資産額 万円 1, 円 水田作作付延べ面積 1a 万円 当たり農業所得 /1a 2,93 2, 搾乳牛飼養頭数 頭 搾乳牛 1 頭当たり乳量 kg 8,86 8,192 農業専従者数 人 時間 7,376 4,822 搾乳牛 1 頭当たり自営農 業労働時間 時間 /頭 農業所得 万円 1, 農業粗収益 万円 6,511 3,81 農業経営費 万円 5,323 2,576 農業固定資産額 万円 4,889 1,678 円 6,628 3, 分析指標 分析指標 農業固定資産装備率 非若手農家 自営農業労働時間 経営収支 経営収支 水田作作付延べ面積 1a 時間 当たり自営農業労働時間 /1a 経営概況 経営概況 水田作作付延べ面積 若手農家 農業固定資産装備率 搾乳牛 1 頭当たり農業所 得 万円 /頭 資料 農林水産省 農業経営統計調査 営農類型別経営統計 個別経営 組替集計 注 1 農業固定資産装備率 円 農業固定資産額 自営農業労働時間 2 集計値は 平成 年から平成 年の 3 か年平均 平成 年 平成 年 平成 年それぞれの集計経営体数は次のとおり 水田作 若手農家 249 経営体 以下 単位は省略 非若手農家 1,36 1,382 1,392 酪農 若手農家 非若手農家 ここでいう 若手農家 は 49 歳以下の農業専従者がいる経営体 非若手農家 はいない経営体 農業専従者 については 用語の解説 2 4 を参照 8

35 若手農業者向けアンケート結果の分析 特集 2 農林水産省では 若手農業者の現状や将来に向けた考えを把握するため 平成 年 1 月から 11 月にかけて web アンケートを実施しました 図表 12 以下で は 回答に協力いただいた 1,885 人の現状や考えを 総回答者と経営者 1 の 2 つの視点で 分析を行い 明らかにしていきます 図表 12 若手農業者向けアンケートの概要 1 実施時期 平成 年 1月26日から 11月5日までの 11日間 2 実施方法 web アンケート メールマガジンや SNS を活用して周知 3 対 象 者 平成 年 1月1日時点で 49 歳以下の農業者 4 内 容 農家 法人役員編 と 雇用者編 の2種類 該当する方に回答 5 回答者数 1,885人 詳細は以下のとおり 本アンケートの結果は 若手農業者全体の考えを統計的に推計したものではなく アンケートに応じた 1,885人の回答を集計したもの 農家の経営主 1,357人 農家の世帯員 経営主以外 24人 総回答者 1,885人 web アンケート 農家 法人役員編 法人役員 151人 農家雇用者 94人 法人雇用者 79人 web アンケート 雇用者編 注 1 総回答者の集計結果は 2 1 農業 農業施策に対する考え 農家 法人役員編 は 2 2 経営者の農業経営に対する考え 雇用 者編 は 4 3 法人雇用者の満足度や将来に対する考えに掲載 2 Social Networking Service の略 登録された利用者同士が交流できる web サイトのサービス 1 農業 農業施策に対する考え 農家の経営主 世帯員 法人役員 農家 法人の雇用者 1,885 人 ア 我が国農業の在り方 国内だけでなく海外にも目を向けるべき との回答は 35.1 我が国農業の在り方について考えを尋ねたところ 国内で国産シェアの回復を目指す べき が 48.7 国内だけでなく海外にも目を向けるべき が 35.1 となりました 図 表 13 これを部門別に見ると 国内だけでなく海外にも目を向けるべき の割合は 肉用牛 果樹 稲作で高くなっています また 法人役員で見ると 国内だけでなく海外にも目を向けるべき が 46.9 と 国 1 農家の経営主と法人役員 9

36 特集 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて 内で国産シェアの回復を目指すべき の 4.8 を上回っています 図表 13 我が国農業の在り方 全体の集計 全体 部門別 国内で国産シェアの回復を目指すべき 国内だけでなく海外 にも目を向けるべき 全体 N 1, 稲作 N 露地野菜 N 49 施設野菜 N 果樹 N 肉用牛 N 0 酪農 N 花き 花木 N 畑作 N 145 わからない その他 注 1 回答者が少ない部門 養豚等 は掲載しない 2 総回答者 1,885 人のうち回答者 1,867 人 法人役員の集計 国内で国産シェアの 回復を目指すべき 法人役員 N=147) 0 国内だけでなく海外 にも目を向けるべき わからない その他 注 法人役員 151 人のうち回答者 147 人 イ 関心の高い農業施策 労働力の確保 農地の集積 生産資材価格の引下げ が上位 関心の高い農業施策を複数回答で尋ねたところ 労働力の確保 が 48. と最も高く 次いで 農地の集積 が 41.1 生産資材価格の引下げ が 4.6 となりました 図表 14 これを部門別に見ると 全ての部門で 労働力の確保 が上位となっており なかでも 露地野菜 施設野菜 果樹 花き 花木 酪農の 5 部門は 労働力の確保 が 1 位となっ ています 稲作では ほ場 水路等の整備 が 1 位となっているほか 稲作 畑作 露地 野菜では 農地の集積 が 稲作以外の耕種部門 1 では 生産資材価格の引下げ が上位 となっています 1 畑作 露地野菜 施設野菜 果樹 花き 花木 1

37 関心の高い農業施策 複数回答 特集 図表 14 全体の集計 労働力の確保 農地の集積 生産資材価格の引下げ 人材の育成 ほ場 水路等の整備 流通 加工の構造改革 1 収入保険 2 6次化 農商工連携 3 IoT ロボット ドローン等新技術の普及 米 野菜 畜産等の個別品目の政策 農産物の輸出 4 鳥獣対策 ジビエ の活用 5 日本型直接支払 中山間直払等 6 GAP の普及 7 地理的表示 GI その他 特になし 1.2 0 注 1 ) 総回答者 1,885 人のうち回答者 1,875 人 上記は回答者 1,875 人における各項目の選択者の割合 2 )1 第2章第1節 8 を参照 2 6次産業化 用語の解説3 1 を参照 3 6 用語の解説3 2 を参照 4 第3章第4節 2 を参照 5 第3章第3節を参照 7 第1章第2節 2 を参照 全体の集計 部門別 上位 3 項目 1位 単位 2位 3位 稲作 N=277 ほ場 水路等の整 備 59.6 農地の集積 49.8 労働力の確保 36.1 畑作 N=146 農地の集積 45.9 労働力の確保 45.2 生産資材価格の引 下げ 42.5 露地野菜 N=49 労働力の確保 48. 農地の集積 施設野菜 N=438 労働力の確保 51.8 生産資材価格の引 下げ 生産資材価格の引 下げ 46.3 人材の育成 4.6 果樹 N=292 労働力の確保 52.7 人材の育成 花き 花木 N=69 労働力の確保 52.2 生産資材価格の引 下げ 生産資材価格の引 下げ 43.5 人材の育成 42. 酪農 N=57 労働力の確保 61.4 人材の育成 47.4 IoT ロボット ド ローン等新技術の 普及 36.8 肉用牛 N=54 人材の育成 48.1 米 野菜 畜産等の個別品目の政策 労働力の確保 4.7 注 上記は 各部門の回答者における各項目の選択者の割合 回答者が少ない部門 養豚等 は掲載しない ウ 農業の魅力 裁量の自由度の大きさ 時間の自由度の大きさ が上位 農業の魅力を複数回答で尋ねたところ 裁量の自由度の大きさ が 46.5 で最も高く 次いで 時間の自由度の大きさ が 42.1 となりました 図表 15 これを経営者と法人雇用者で見ると 経営者は全体と同じ傾向となっていますが 法人 雇用者は 自然や動物相手の仕事 が最も高く 次いで 地域とのつながり となってい ます また 経営者について 販売金額別に見ると 販売金額が大きいほど 食料供給の社会 的責任 は高くなり 逆に 時間の自由度の大きさ 趣味 家族団らんを含む は低く なる傾向が見られます 11

38 特集 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて 図表 15 農業の魅力 複数回答 全体の集計 裁量の自由度の大きさ 時間の自由度の大きさ 自然や動物相手の仕事 食料供給の社会的責任 地域とのつながり 安全 高品質の実現 儲けの可能性の大きさ 生活環境の豊かさ 消費者との交流 主従関係のなさ 遠距離通勤のなさ その他 特になし 0 注 総回答者 1,885 人のうち回答者 1,88 人 上記は 回答者 1,88 人における各項目の選択者の割合 法人雇用者の集計 上位3項目 55.7 自然や動物相手の仕事 4.5 地域とのつながり 38. 食料供給の社会的責任 0 注 法人雇用者 79 人のうち回答者 79 人 上記は 回答者 79 人における各項目の選択者の割合 経営者の集計 販売金額別 1 万円未満 N 万円 N 万円 N , 3, 万円 N , 5, 万円 N 77 時間の自由度の大きさ , 万円 N , 1億円 N 61 1億円以上 N 食料供給の社会的責任 0 注 経営者 1,58 人のうち回答者 1,53 人 上記は 販売金額の各階層に属する回答者における各項目の選択者の割合 2 経営者の農業経営に対する考え 農家の経営主 法人役員 1,58 人 ア 農業経営で大切なこと 販売金額が大きいほど重視される 経営分析能力 と 財務管理能力 農業経営で大切なことを複数回答で尋ねたところ 経営分析能力 が 59. と最も高 く 次いで 栽培 飼養技術 が 5.6 となりました 図表 16 これを部門別に見ると 酪農では 経営分析能力 と 財務管理能力 が 肉用牛 施 設野菜 花き 花木では 栽培 飼養技術 が他部門に比べて高くなっています また 販売金額別に見ると 販売金額が大きいほど 経営分析能力 と 財務管理能 力 は高くなる傾向が見られます 12

39 農業経営で大切なこと 複数回答 特集 図表 16 経営者の集計 経営分析能力 栽培 飼養技術 パートナー作り 農業者仲間や取引相手 財務管理能力 マーケティング能力 リスク管理 危機管理能力 プレゼンテーション コミュニケーション能力 新技術の研究 導入 働きやすい職場環境 経営規模の拡大 従業員の技能向上 3.5 その他 特になし 0 注 経営者 1,58 人のうち回答者 1,494 人 上記は 回答者 1,494 人における各項目の選択者の割合 経営者の集計 部門別 上位 5 項目 単位 稲作 N=27 畑作 N=118 露地野菜 N=48 施設野菜 N=37 果樹 N=232 花き 花木 N=55 酪農 N=3 肉用牛 N=35 経営分析能力 栽培 飼養技術 パートナー作り 農 業者仲間や取引相手 財務管理能力 マーケティング能力 注 上記は 各部門の回答者における各項目の選択者の割合 回答者が少ない部門 養豚等 は掲載しない 経営者の集計 販売金額別 1 万円未満 N 万円 N 万円 N , 万円 N 276 経営分析能力 財務管理能力 , 3, 万円 N , 5, 万円 N , 1億円 N 1億円以上 N 37 0 注 上記は 販売金額の各階層に属する回答者における各項目の選択者の割合 13

40 特集 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて イ 現在の経営における課題 労働力の不足 を挙げる割合が最も高く 特に酪農と果樹で深刻 現在の経営における課題を複数回答で尋ねたところ 労働力の不足 が 47.3 と最も 高く 次いで 品質に見合わない売価 が 34.8 となりました 図表 17 これを部門別に見ると 労働力の不足 は酪農と果樹で 品質に見合わない売価 は 花き 花木で特に高くなっています なお 稲作では部門固有の ほ場の排水不良や不整 形 と 水路の老朽化 が高くなっています また 就農からの年数別に見ると 年数が長いほど 労働力の不足 は高くなり 逆に 技術の不足 と 資金調達の難しさ は低くなる傾向が見られます 図表 17 現在の経営における課題 複数回答 経営者の集計 労働力の不足 品質に見合わない売価 ほ場の排水不良や不整形 技術の不足 生産コストの高さ 資金調達の難しさ 進まない農地の集積 販路の少なさ JA 農業委員会 地域農業者との意識の相違 リスク管理 危機管理 鳥獣被害の発生 経営に役立つ情報の不足 水路の老朽化 近隣の苦情 悪臭 農薬等 その他 特になし 0 注 経営者 1,58 人のうち回答者 1,51 人 上記は 回答者 1,51 人における各項目の選択者の割合 経営者の集計 部門別 上位 3 項目 1位 単位 2位 3位 稲作 N=28 ほ場の排水不良や不整 形 53.4 水路の老朽化 45.7 労働力の不足 43.3 畑作 N=119 技術の不足 4.3 労働力の不足 39.5 品質に見合わない売価 35.3 露地野菜 N=48 労働力の不足 45.3 ほ場の排水不良や不整 形 4. 技術の不足 39.5 施設野菜 N=373 労働力の不足 48.8 品質に見合わない売価 37.3 生産コストの高さ 34.6 果樹 N= 鳥獣被害の発生 35.2 品質に見合わない売価 労働力の不足 花き 花木 N=56 労働力の不足 46.4 品質に見合わない売価 44.6 JA 農業委員会 地域 農業者との意識の相違 酪農 N=3 6. 生産コストの高さ 43.3 進まない農地の集積 JA 農業委員会 地域 農業者との意識の相違 37.1 資金調達の難しさ 34.3 肉用牛 N=35 労働力の不足 労働力の不足 注 上記は 各部門の回答者における各項目の選択者の割合 回答者が少ない部門 養豚等 は掲載しない 経営者の集計 就農からの年数別 か月未満 N 137 1年以上5年未満 N 年以上 N 67 0 36.9 資金調達の難しさ 45.2 技術の不足 労働力の不足 5 注 経営者 1,58 人のうち回答者 1,51 人 上記は 就農からの年数の各階層に属する回答者における各項目の選択者の割合 14 6

41 今後伸ばしていきたい方向 特集 ウ ア 農業生産 販売金額が大きいほど重視される IoT 等新技術の導入 と 異業種との連携 農業生産で今後伸ばしていきたい方向を複数回答で尋ねたところ 単収の向上 が 7.6 と最も高く 次いで 高品質化 ブランド化 が 53.1 となりました 図表 18 これを部門別に見ると 耕種部門 1 では 単収の向上 畜産部門 2 では 面積 飼養頭 数の拡大 が最も高くなっています なお 耕種部門と肉用牛では 高品質化 ブランド 化 が上位となっています また 販売金額別に見ると 販売金額が大きいほど IoT3 等新技術の導入 と 異業 種との連携 が高くなる傾向が見られます 図表 18 今後伸ばしていきたい方向 農業生産 複数回答 経営者の集計 単収の向上 高品質化 ブランド化 面積 飼養頭数の拡大 資材費等コストの削減 異業種との連携 新たな品目の導入 有機 環境保全型農業の実践 IoT 等新技術の導入 GAP の実践 認証を取得しないものを含む 現品目での品種多様化 家畜飼料の生産 3.7 その他 3.7 特になし 0 注 経営者 1,58 人のうち回答者 1,497 人 上記は 回答者 1,497 人における各項目の選択者の割合 経営者の集計 部門別 上位 3 項目 1位 稲作 N=27 畑作 N=119 露地野菜 N=49 施設野菜 N=372 果樹 N=232 花き 花木 N=55 単収の向上 単収の向上 単収の向上 単収の向上 単収の向上 単収の向上 酪農 N=3 面積 飼養頭数の拡大 4. 肉用牛 N=35 面積 飼養頭数の拡大 位 高品質化 ブランド化 面積 飼養頭数の拡大 高品質化 ブランド化 高品質化 ブランド化 高品質化 ブランド化 高品質化 ブランド化 単収の向上 異業種との連携 家畜飼料の生産 高品質化 ブランド化 単位 位 面積 飼養頭数の拡大 高品質化 ブランド化 面積 飼養頭数の拡大 資材費等コストの削減 資材費等コストの削減 新たな品目の導入 家畜飼料の生産 4. 注 上記は 各部門の回答者における各項目の選択者の割合 回答者が少ない部門 養豚等 は掲載しない 経営者の集計 販売金額別 1 万円未満 N 万円 N 万円 N , 万円 N , 3, 万円 N , 5, 万円 N , 1億円 N 1億円以上 N 37 0 異業種との連携 IoT 等新技術の導入 注 経営者 1,58 人のうち回答者 1,497 人 上記は 販売金額の各階層に属する回答者における各項目の選択者の割合 1 稲作 畑作 露地野菜 施設野菜 果樹 花き 花木 2 酪農 肉用牛 3 用語の解説 3 2 を参照 15

42 特集 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて イ 出荷 販売先 消費者への直接販売 が 56.7 で最高 出荷 販売先で今後伸ばしていきたい方向を複数回答で尋ねたところ 消費者への直 接販売 が 56.7 と最も高くなりました 図表 19 これを部門別に見ても 全ての耕種部門と酪農で 消費者への直接販売 が 1 位となっ ており なかでも稲作と果樹で割合が高くなっています また 販売金額別に見ると 販売金額が大きいほど 食品製造業者 外食 中食業 者 が高くなる傾向が見られます 図表 19 今後伸ばしていきたい方向 出荷 販売先 複数回答 経営者の集計 消費者への直接販売 自営以外の直売所 19.2 JA 専門農協 食品製造業者 13.1 卸売市場 特になし 輸出 その他 食品小売業者 集荷業者 外食 中食業者 0 注 経営者 1,58 人のうち回答者 1,491 人 上記は 回答者 1,491 人における各項目の選択者の割合 経営者の集計 部門別 上位 3 項目 1位 単位 2位 3位 稲作 N=27 消費者への直接販売 69.1 外食 中食業者 33.3 自営以外の直売所 23.2 畑作 N=119 消費者への直接販売 52.9 外食 中食業者 26.1 食品製造業者 23.5 露地野菜 N=41 消費者への直接販売 57.1 外食 中食業者 28. 自営以外の直売所 26.6 施設野菜 N=368 消費者への直接販売 5.8 JA 専門農協 26.6 外食 中食業者 25.8 果樹 N=233 消費者への直接販売 66.1 自営以外の直売所 25.3 外食 中食業者 18.5 花き 花木 N=55 消費者への直接販売 49.1 卸売市場 38.2 自営以外の直売所 34.5 酪農 N=28 消費者への直接販売 42.9 特になし 32.1 JA 専門農協 食品小売業者 17.9 食品製造業者 肉用牛 N=34 特になし 35.3 消費者への直接販売 23.5 輸出 17.6 注 上記は 各部門の回答者における各項目の選択者の割合 回答者が少ない部門 養豚等 は掲載しない 経営者の集計 販売金額別 1 万円未満 N 万円 N 万円 N , 万円 N , 3, 万円 N , 5, 万円 N , 1億円 N 1億円以上 N 35 0 外食 中食業者 食品製造業者 注 経営者 1,58 人のうち回答者 1,491 人 上記は 販売金額の各階層に属する回答者における各項目の選択者の割合 16 5

43 特集 ウ 関連事業 農産物の加工 販売 が 49.7 で最高 関連事業で今後伸ばしていきたい方向を複数回答で尋ねたところ 農産物の加工 販 売 が 49.7 と最も高くなりました 図表 2 図表 2 今後伸ばしていきたい方向 関連事業 複数回答 経営者の集計 49.7 農産物の加工 販売 25.5 観光農園 体験農園 自営の直売所 21. レストラン 宿泊サービス その他 特になし 0 注 経営者 1,58 人のうち回答者 1,455 人 上記は 回答者 1,455 人における各項目の選択者の割合 エ 農業経営の法人化 販売金額が大きいほど高くなる法人化の意向 法人化していない経営者に対し 法人化の意向について尋ねたところ 法人化の考え がある 1 が 48. と 法人化の考えはない の 37.9 を上回りました 図表 21 これ を販売金額別に見ると 販売金額が大きいほど法人化の考えがある者の割合が高く 5 万円以上の層では 5 割を超えています 図表 21 今後伸ばしていきたい方向 農業経営の法人化 法人化していない経営者の集計 販売金額別 現在の農家のままで法人化 複数農家により 法人化 法人化の考えはない わからない 全体 N 1,328 1 万円未満 N 万円 N 万円 N , 万円 N , 5, 万円 N 0 , 3, 万円 N 213 5, 万円以上 N 注 経営者 1,58 人のうち法人化していない経営者の回答者 1,328 人 1 現在の農家のままで法人化 と 複数農家により法人化 を選択した者の合計 17

44 特集 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて 3 効率的かつ安定的な農業経営に向けた施策の展開方向 農業経営の法人化 新技術の開発 伸ばしたい方向を後押しできる環境づくりが重要 経営構造分析を通じ 若手農家では非若手農家に比べ 経営規模の拡大 常雇いを雇い 入れた農家の割合の上昇 単位面積 頭数当たり労働時間の短縮を図る投資が行われてい ることが確認されました また 若手農業者向けアンケートを通じ 農業生産 出荷 販 売先等で今後伸ばしていきたい方向について回答者の考えが確認されました 効率的かつ安定的な農業経営の育成に向けては 若手農家がいち早く実行に移している 経営規模の拡大 労働力の確保 生産性を向上させる投資を強力に進めていく必要があり ますが その際には農業経営を法人化していた方が有利に働くことが多いことからも更な る法人化の推進が重要となっています また 農業者の投資を促す上では 生産現場が直 面する課題を速やかに解決するための技術を AI1 IoT ロボット ドローン等を取り入 れた革新的なものとして開発し 農業者が導入可能な価格で速やかに商品化していくこと も重要です さらに アンケート回答者を含め農業者が今後伸ばしていきたい方向を後押 しできる環境づくりが重要であり 生産資材価格の引下げ 農産物の流通 加工の構造改 革等の農業競争力強化プログラムの着実な実施等を進めていくことが必要です 事例 投資と機械の稼働率向上等を通じて 効率的稲作経営を実現 新潟県 まる た ひろし 工業系エンジニアをしていた丸田洋さんは 知人の稲作農 新潟県 家で農作業を手伝った際に農業に面白さを感じ 平成 17 じょうえつ し ほ うみのうこう 25 年に 31 歳で新潟県 上 越市に有限会社穂海農耕を 設立し 代表に就任しました 稲作単一経営での規模拡大を目指し 平成 年 上越市 長野県 福島県 群馬県 栃木県 度は 所有地 2ha と借入地 11ha の計 13ha の水田に 業務用米を中心とした作付けを行いました 丸田代表は これまで規模拡大に合わせてコンバインとト ラクターの大型化を図り労働生産性を高めるとともに 早生 から晩生の 1 品種の米を組み合わせ 作期分散を図ること で機械の稼働率向上も実現しており 今後は水田の大区画化 ちょく はん を進め 乾田 直 播栽培を広げることで更なる省力化を目指 すとしています 代表の丸田洋さん 後列一番左 と若手従業員 また 社員については 経営者を目指す職種 と 労働者として働く職種 を設けることで 採用がしやすくなったといい 平成 年度には 2 代から 3 代の若手を中心に 11 人の従業員を確保しています 1 用語の解説 3 2 を参照 18

45 若手農業者の雇用に関する動向等 特集 4 1 若手新規就農者の動向 若手新規就農者数は 3 年連続で 2 万人を超過 平成 年の新規就農者数は 6 万 15 人となり うち 49 歳以下の若手新規就 農者は 2 万 2,5 人と 36.7 を占めています 図表 年に 4 代以下の農業従事者を 4 万人に拡大 する目標 1 が掲げられる中 49 歳 以下の新規就農者数は 3 年連続で 2 万人を超えており 近年 新規雇用就農者 2 が増加傾 向となっています 営農類型別に見ると 新規自営農業就農者 3 は稲作が多く 新規雇用就農者は畜産が多 くなっています また 平成 年における若手新規雇用就農者の雇用直前の就業状態を見ると 農業以外に勤務 が 61.3 と最も高く 次いで 学生 が 22.4 を占めています 図表 歳以下の新規就農者 新規就農者数 平成 年 千人 就農形態別の推移 千人 歳以上 歳以下 平成 24 年 新規参入者 新規雇用 就農者 新規自営 農業就農者 営農類型別割合 平成 年 稲作 畑作 33.2 新規自営農業就農者 7.4 露地野菜 14.5 施設野菜 果樹類 花き 花木 新規雇用就農者 0 畜産 6.2 その他 新規雇用就農者の雇用直前の就業状態別割合 平成 年 0 2 農業以外に勤務 学生 その他 資料 農林水産省 新規就農者調査 営農類型別割合については 215 年農林業センサス との組替集計 注 1 平成 年から平成 年の調査結果は 東日本大震災の影響により福島県の一部地域を除いて集計 2 平成 年調査より 新規参入者については 従来の 経営の責任者 に加え 新たに 共同経営者 を含めた 3 平成 年の調査結果は 熊本地震の影響により熊本県の一部地域を除いて集計 4 新規雇用就農者の雇用直前の就業状態別割合のその他は 農業以外の自営業 家事 育児等 1 農林水産業 地域の活力創造プラン 平成 年 11 月改訂 2 3 用語の解説 2 5 を参照 19

46 特集 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて 事例 農協が出資している農業法人が就農を支援 長野県 うえ だ し 農業協同組合が出資している農業法人である長野県上田市 新潟県 しんしゅう 群馬県 の有限会社信州うえだファームでは 平成 年度 富山県 から 独立就農を目指す就農希望者を雇用し 栽培技術等の 岐阜県 上田市 研修を行う新規就農者育成事業を実施しています 同社に雇用された就農希望者には 給与支給により研修に 長野県 山梨県 専念できる環境が与えられるとともに 果樹や野菜等の就農 を目指す作目の研修ほ場が各人に設定されます 2 年間の研 修を終えた就農希望者は 研修ほ場を受け継ぐ形で独立就農 を行い 平成 年度までに研修を終えた 2 人が 果樹や施設野菜の新規就農者となりました このうち 13 人 は長野県外の出身者であり 同事業は減少が続いてきた担い 手の確保にも貢献しています 信州うえだファームで研修した う だ がわ 後に就農した宇田川さん夫妻 近年 醸造用ぶどうの栽培を目指す就農相談が多く寄せら れるようになったことから 同社では同事業にワインコース を新設し 醸造用のぶどうを植栽した研修ほ場の整備も進めています 2 44 歳以下の常雇いの分析 法人経営体の 44 歳以下の常雇いは雇用先人数規模 1 人以上の経営体に 68.7 が集中 44 歳以下の常雇い人数は 平成 年において 法人経営体が 4 万 8,83 人 販売農家が 3 万 8,376 人となっています 一方 これら 44 歳以下の常雇いを雇い入れた経営体の割合を見ると 法人経営体で 46.5 販売農家で 1.5 となっています 図表 23 農産物販売金額規模別に見ると 法人経営体では 3, 万円を境に 5 を超え 販売農家では 3, 万円を境に 1 割未満 から 2 割台へと大きく伸びています 図表 23 農産物販売金額規模別の法人経営体と販売農家における 44 歳以下の常雇いを雇い入れた経 営体の割合 平成 年 法人経営体 販売農家 46.5 全体 全体 1.5 販売なし 2. 販売なし. 1 万円未満 万円未満 , 5 1, , 3, 1, 3, 52. 3, 5, , 1億 資料 農林水産省 215 年農林業センサス 組替集計 注 法人経営体1万 8,857 経営体 販売農家 132 万 9,591 戸の集計結果 , 1億 8.6 1億円以上 0 3, 5, 1億円以上 0

47 特集 44 歳以下の常雇い人数の営農類型別割合を見ると 法人経営体では養鶏 施設野菜 養豚が 販売農家では施設野菜 露地野菜 花き 花木が それぞれ高くなっています 図表 24 また これら人数の農産物販売金額規模別割合を見ると 法人経営体では農産物販売金 額 1 億円以上の経営体が 6 割となっています さらに これら人数の雇用先人数規模別割合を見ると 法人経営体では 5 人以上の経 営体が 人以上の経営体が 68.7 となっています 一方 販売農家では 4 人 以下の経営体が 63.4 となっています 図表 24 営農類型別 農産物販売金額規模別 雇用先人数規模別の法人経営体と販売農家の 44 歳以 下常雇い人数の割合 平成 年 営農類型別 単一経営 稲作 露地野菜 法人経営体 4万 8,83 人 販売農家 3万 8,376 人 果樹 畑作 酪農 養豚 施設野菜 13.1 養鶏 花き 花木 その他 販売なし 肉用牛 準単一 複合経営 0 農産物販売金額規模別 販売なし 万円未満 法人経営体 4万 8,83 人 販売農家 3万 8,376 人 , 1億 6.7 1億円以上 , , 3, , 5, 0 雇用先人数規模別 1人 2 4人 法人経営体 11.6 4万 8,83 人 1.6 販売農家 3万 8,376 人 0 5 9人 1 19 人 人 人 人以上 資料 農林水産省 215 年農林業センサス 法人経営体と雇用先人数規模別の販売農家については組替集計 注 1 畑作は 麦類 雑穀 いも類 豆類 工芸農作物 2 その他は その他の作物 養蚕 その他の畜産 21

48 特集 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて 3 法人雇用者の満足度や将来に対する考え 法人雇用者 79 人 ア 就職情報の入手経路 非農家出身者は 求人サイトや求人誌 行政相談窓口の活用割合が高い 法人雇用者に就職情報の入手経路を尋ねたところ 人からの紹介 が 35.4 と最も高 く 次いで ハローワーク が 15.2 学校 が 13.9 となりました 図表 25 これを出身別に見ると 非農家出身者は これら以外に 求人サイトや求人誌 や 行 政相談窓口 も高くなっています 図表 25 就職情報の入手経路 法人雇用者の集計 全体 出身別 人からの紹介 就職イベント ハローワーク 全体 N 学校 その他 農家 農業法人の HP 農家出身者 N 求人サイトや求人誌 非農家出身者 N 55 0 行政相談窓口 注 法人雇用者 79 人のうち回答者 79 人 イ 現勤務先の満足度 満足の者 は 給与 以外の項目で 不満の者 を上回る 現勤務先の満足度を尋ねたところ やりがい 楽しさ 労働保険 社会保険 人 間関係 の項目で 満足の者 1 は 6 割以上となりました 図表 26 給与 については 不満の者 2 が 満足の者 を上回りました 1 満足 と やや満足 を選択した者の合計 2 不満 と やや不満 を選択した者の合計 22

49 現勤務先の満足度 特集 図表 26 法人雇用者の集計 やりがい 楽しさ N 79 満足 やや満足 労働保険 社会保険 N 79 スキルアップの研修機会 N 農作業事故防止策 N 労働時間 休日 N 給与 N 昇進や独立への道筋 N 0 不満 残業手当 N 人間関係 N 79 どちらとも言えない やや不満 注 法人雇用者 79 人のうち回答者は各項目の括弧内の数値 ウ 将来の進路と身に付けたい技能 現勤務先への残留意向が 39.2 独立就農意向が 3.4 将来の進路を尋ねたところ 現勤務先にとどまる 1 が 39.2 と最も高く 次いで 独 立して就農 が 3.4 実家に戻り農業を継ぐ が 7.6 となりました 図表 27 将来に向けて身に付けたい技能を複数回答で尋ねたところ 栽培 飼養技術 が 7.9 と最も高く 次いで 経営分析能力 が 68.4 となりました 図表 28 これを 将来意向別に見ると 経営への関与意向がある者 2 は 経営への関与意向がない者 3 に 比べ 経営分析能力 と 財務管理能力 を挙げる割合が高くなっています 図表 27 将来の進路 法人雇用者の集計 現勤務先にとどまる 現勤務先で現在の 地位のまま 現勤務先で 経営主や役員 現勤務先で従業員 になる として昇進する 0 他の農業法人等へ転職 実家に戻り農業を継ぐ 4 わからない その他 独立して就農 農業以外の 職業に転職 注 法人雇用者 79 人のうち回答者 79 人 1 現勤務先で経営主や役員になる 現勤務先で従業員として昇進する 現勤務先で現在の地位のまま を選択した者の合 計 2 現勤務先で経営主や役員になる 独立して就農 実家に戻り農業を継ぐ を選択した者の合計 3 現勤務先で従業員として昇進 現勤務先で現在の地位のまま 他の農業法人等へ転職 を選択した者の合計 23

50 特集 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて 図表 28 身に付けたい技能 複数回答 法人雇用者の集計 栽培 飼養技術 経営分析能力 財務管理能力 各種資格 リスク管理 危機管理能力 プレゼンテーション コミュニケーション能力 マーケティング能力 IoT 等新技術 その他 0 特になし 0 2.3 0 注 法人雇用者 79 人のうち回答者 79 人 法人雇用者のうち将来の経営関与意向を明らかにした回答者の集計 将来の経営関与意向の有無別 栽培 飼養技術 下段 23.8 ポイント 下段 17.3 ポイント 経営分析能力 財務管理能力 下段 2.3 ポイント 下段 18.5 ポイント 下段 5.4 ポイント 下段 7.8 ポイント 下段 1.8 ポイント 2.8 各種資格 リスク管理 危機管理能力 プレゼンテーション コミュニケーション能力 マーケティング能力 IoT 等新技術 その他 0 0 0 特になし 0 0 76.2 下段 9.5 ポイント 上段 経営への関与意向がある者 N 42 下段 経営への関与意向がない者 N 注 法人雇用者 79 人のうち将来の経営関与意向の有無を明らかにした回答者 66 人 事例 農業法人が従業員の技能向上を通じて 昇給を実現 岐阜県 たかやま し しいたけ はし ば 岐阜県高山市でトマトと菌床椎茸の栽培を行っていた橋場 石川県 はし ば のうえん 康夫さんは 平成 12 2 年に 有 橋場農園を設立し 福井県 て代表に就任し 現在は パート等を含む従業員 4 人を雇 高山市 長野県 やす お 岐阜県 用し トマト 椎茸の生産 トマト加工品 干し椎茸の製造 等を行っています 愛知県 橋場代表は 各従業員に担当部門を割り当てるとともに 外部研修の受講等を推奨することで 一人ひとりが考え技能 向上できる就業環境づくりに努めています このような就業環境づくりは 収量や作業効率の向上等を 通じて会社の収益を高めることにつながっており 増加した 収益は各従業員の業務成績や技能等に応じて昇給や賞与とい う形で還元されています また これを通じてリーダー級の人材が育った場合 経営 トマトの生産状況を確認する 橋場康夫さんと従業員 の拡大が可能となり更なる収益の向上にもつなげられます 橋場代表は 会社の成績が給与等に反映されるとの認識が社内に広がり 会社の収益向上を 意識して従業員が一丸となって働けるようになったと考えています 24

51 トピックス 1 産出額が 2 年連続増加の農業 更なる発展に向け海外も視野に 2 日 EU EPA 交渉の妥結と対策 3 明治 1 5 年 関連施策テーマ 我が国の近代化に大きく貢献した養蚕 4 動き出した農泊

52 トピックス1 産出額が 2 年連続増加の農業 更なる発展に向け海外も視野に 産出額が 2 年連続増加の農業 更なる発展に向け海外も視野に トピックス 1 我が国の農業総産出額 1 は 2 年連続で増加となりました 他方 将来に向けた食料需要 は 国内では人口減少や高齢化の進行に伴い減少し 海外では人口増加や経済成長に伴い 増加すると考えられています このような中 我が国農業の持続的発展に向けては 国内 への供給はもちろんですが 海外も視野に入れた農業の実現が一つの鍵を握ります 農業総産出額は 2 年連続で増加し 16 年ぶりに 9 兆円台を回復 農業総産出額は 米の消費の減退による産出額の減少等を主たる要因として平成 年まで長期的に減少してきました この 2 年間は増加が続き 平成 年は米や野菜等の需要に応じた生産の進展等から前年に比べて 4,46 億円 4.6 増加 の 9 兆 2 千億円となりました 図表 兆円台の回復は 平成 12 2 年以来 16 年ぶりとなります 図表 1-1 兆円 農業総産出額 米 1.6 野菜 11.5 果実 昭和 59 年 1984 肉用牛 乳用牛 豚 鶏 その他 畜産 その他 平成2年 199 7 1995 資料 農林水産省 生産農業所得統計 注 その他は 麦類 雑穀 豆類 いも類 花き 工芸農作物 その他作物 加工農産物の合計 また 主要品目の生産量を見ると 米は 需要に応じて減少 野菜と果実は 1 年間 図表 1-2 ばい 肉類は鶏肉の伸びが全体をけん引し たことで一貫して増加となっています 図 品目別生産量 平成 年を 1 とする指数 単位 指数 では減少傾向ですがこの 5 年間ではほぼ横 表 平成 18 年 米 野菜 果実 肉類 資料 農林水産省 作物統計 食料需給表 注 1 肉類は 牛肉 豚肉 鶏肉の合計 2 野菜 果実 肉類は年度の数値 また 平成 年は概算値 1 用語の解説 を参照 26

53 減少が続く食料の国内需要 増加に向かう食料の世界需要 我が国では 平成 年から平成 年までの 1 年間で 総人口が 97 万人.8 減少するとともに 高齢化率 1 は 6.5 ポイント上昇して先進国の最高水準 を更新し 食料の国内需要は減少が進みました 図表 1-3 図表 1-4 トピックス 約 3 年後の 25 年において 総人口は平成 年に比べて ,51 万人 減少の 1 億 192 万人 高齢化率は 1.4 ポイント上昇の 37.7 と推計されており 食料の国内需要はこれまで以上に減少が進むと考えられます 図表 1-3 我が国の人口と高齢化率 歳 億人 14 歳以下 推計 高齢化率 右目盛 1 65 歳以上 資料 総務省 人口推計 国立社会保障 人口問題研究所 日本の 将来推計人口 平成 29 年推計 を基に農林水産省で作成 注 1 各年 1 月1日時点 2 平成 年の年齢別内訳と高齢化率は 補完補 正を行わない数値 国内 総供給熱量 魚介類の 消費量 24 1 平成 18 年度 26 果実の 消費量 野菜の 消費量 平成 18 年 主要品目の国内需要 平成 年度を 1 とする指数 14 食用穀物 の消費量 27.3 図表 1-4 資料 農林水産省 食料需給表 を基に作成 注 1 平成 年度は概算値 2 消費量は粗食料を基に計算 一方 世界では 平成 年から平成 年までの 1 年間で人口が 8 億 4,85 万人 12.9 増加するとともに GDP2 は 1.3 倍に成長 3 し 食料の世界需要は大 幅に増加してきました 図表 1-5 図表 1-6 図表 1-5 世界の人口 図表 1-6 見通し 億人 歳 14 歳以下 歳以上 主要品目の世界需要 平成 年を 1 とする指数 平成 15 年 資料 国連 World Population Prospects The 217 Revision を基に農林水産省で作成 肉類の 消費量 25 魚介類の 消費量 24 果実の 消費量 23 野菜の 消費量 平成 17 年 食用穀物 の消費量 資料 FAOSTAT Food Balance Sheets を基に農林水産省で作 成 注 肉類は 牛肉 豚肉 家きん肉の合計 1 総人口に占める 65 歳以上の高齢者の割合 2 国内総生産 用語の解説 を参照 3 国連 National Accounts Main Aggregates Database 27

54 トピックス1 産出額が 2 年連続増加の農業 更なる発展に向け海外も視野に 約 3 年後の 25 年において 世界の 人口は平成 年に比べて 億人 増加の 98 億人になると推計さ れています また 人口増加とともに経済 成長も進み 25 年の穀物の消費量は 図表 1-7 世界の穀物消費量の見通し 億t 平成 年から平成 年までの 3 か年平均に比べて 1.5 倍に増加 2 引き続き増加に向かうと考えられます 図 先進国 2.1 途上国 8. すると見通されており 食料の世界需要は 12.6 表 1-7 平成 17/19 年 25/27 25 資料 FAO WORLD AGRICULTURE TOWARDS 23/25 The 212 Revision を基に農林水産省で作成 専ら国内需要を念頭に置く農業生産から 世界需要も視野に入れた農業生産へ これまでの我が国農業は 多くの農産物において 専ら国内需要を念頭に置いて 需要 に応じた生産を行うことで 販売価格の下落を避けてきました このような農業の姿は 国内の食料需要が増加している時代には農業生産の拡大と農業所得の増大を通じて農業の 発展を実現でき 合理的な面もありました しかし 人口減少や高齢化が進行する中 国 内需要だけを念頭に置いて農業生産を続けることは 需要減少に伴う生産縮小を余儀なく され 農業の発展を図ることが困難になるとともに 我が国の食料安全保障にも悪影響が 懸念されます 一方 海外に目を向けると 人口は増加し 所得も向上していく中で 海外に広がる日 本食料理店で食事をし また 我が国を訪れて日本食 食文化に触れた経験を持つ外国人 の日本食ファンが確実に増加しています 様々な流通上の追加コストや手続が存在する農 産物の輸出は これまで多くの農業者にとって必ずしも身近なものとは言えませんでした が 輸出体制や輸出インフラの整備 輸送技術や資材の開発 検疫条件の合意等が徐々に 進展してきた現在は 農業者が輸出に取り組む好機となっています 農産物の販路の一つに輸出を位置付けることで 産 地における新たな販路の獲得につながり 農業生産を 拡大した際の販売価格の下落が避けられ この結果 販売額全体が増加し 農業所得を向上させることが可 能となります このように 専ら国内需要を念頭に置 く農業生産から 国内需要に加えて世界需要も視野に 入れた農業生産へと意識の転換を図ることが 農業の 持続的発展と これを通じた農村の振興を実現する一 つの鍵となります より多くの意欲ある農業者 農業 者団体 品目別輸出団体等による積極的な挑戦が期待 されています 28 米の輸出に意欲的に取り組む農業者 ゆ ざ まち 香港で バイヤーを囲む山形県遊佐町 の米生産者

55 トピックス 2 日 EU EPA 交渉の妥結と対策 トピックス 日 EU 経済連携協定 日 EU EPA1 が 平成 年 12 月に交渉妥結し 我が 国の農林水産業の再生産が引き続き可能となる国境措置を確保しました 新たな国際環境 の下でも 意欲ある農林漁業者が安心して経営に取り組めるようにすることにより確実に 再生産が可能となるよう 交渉で獲得した措置と合わせて 万全の対策を実施することと しています 1 交渉の概要 日 EU EPA は 平成 年 3 月に首脳間で交渉開始が決定され 交渉が始ま りました 物品にかかる関税の削減 撤廃だけでなく サービス貿易 投資自由化 知的 財産権等の分野を対象に 4 年以上の交渉期間 18 回に及ぶ交渉会合等を経て平成 年 7 月 6 日の第 24 回日 EU 定期首脳協議で大枠合意に至り 同年 12 月 8 日の首 脳電話会談で交渉は妥結しました 図表 2-1 我が国と EU が経済連携協定を締結することで 世界の人口シェアの 8.6 に相当する 6 億 4 千万人を抱え 世界の GDP2 シェアの 28.4 に相当する 21 兆 4 千億ドルの経済圏が 誕生することとなります 図表 2-2 内閣官房が平成 年 12 月に公表した経済効果分析では 我が国の国内総生 産の押し上げ効果が約 1 約 5 兆円 労働供給の増加が約.5 約 29 万人 とされ ています 日 EU EPA 交渉に当たっては 我が国の農林水産業の再生産を確保するため そのセ ンシティビティに十分配慮し 粘り強く交渉を行った結果 再生産が引き続き可能となる 国境措置を確保することができました また 牛肉 茶 水産物等の輸出重点品目を含 む ほぼ全ての品目に課される EU 側の関税は即時撤廃となり EU 向けの輸出拡大につ ながることが期待されま す この結果を踏まえ 我 が国農林水産業の国際競争 力を強化し 輸出産業への 成長を目指した強い農林水 産業の構築のため 万全の 対策を講ずることとしまし 図表 2-1 第1章 総則 第2章 物品貿易 本協定の目的 用語の定 義等を規定 物品貿易に関し 関税撤 廃 削減の他 内国民待 遇等の基本的なルール等 を規定 第8章 サービス貿易 投資自由化 電子商取引 第7章 貿易の技術的障 害 TBT 強制規格等を導入する際 の手続の適正化 透明性 の確保等を規定 第13章 国有企業 た 国有企業等の物品 サー ビスの購入につき商業的 考慮に従うこと等を規定 期の署名 発効に向け 日 第19章 農業協力 現在 日 EU EPA の早 EU 双方で鋭意作業を進め ています 日 EU EPA の全体像 全 23 章 農産品 食品の輸出入の 促進 安全で良質な食品 の提供等のための協力を 規定 サービス貿易 投資に関 する内国民待遇等の他 電子商取引のルール等を 規定 注 第14章 知的財産 第3章 原産地規則 第4章 税関 貿易円滑 関税撤廃 削減が適用さ 化 れるための原産品の要件 税関手続の透明性 予見 証明手続等を規定 可能性の確保 簡素化等 を規定 第9章 資本移動 支払 第1章 政府調達 移転 WTO政府調達協定を基 資本の移動等に関し 原 則自由な移動を可能にす る他 一時的なセーフガー ド等を規定 第15章 コーポレート 特許権 商標権 意匠権 ガバナンス 著作権の保護及び権利行 株主の権利や取締役会の 使の他 農産品及び酒類 役割等に係る基本的要素 に係る地理的表示の保護 等を規定 等を規定 第2章 中小企業 第21章 紛争解決 中小企業に関し 情報提 供等の協力等について規 定 本とし 本協定において 追加する政府調達のルー ル及び適用範囲 鉄道含 む 等を規定 第16章 貿易と持続可能 な開発 貿易と持続可能な開発に 関わる環境や労働分野に 係る協力等を規定 第22章 制度的規則 協定の解釈等に関する日 本協定運用のための合同 EU間の紛争を解決する際 委員会の設置 その下で の手続等を規定 の特別委員会の設置 連 絡部局の指定等を規定 第5章 貿易救済 第6章 衛生植物検疫 輸入急増の場合等におけ SPS 措置 る緊急措置 セーフガー SPS措置に係る手続の透 ド 等を規定 明性向上 技術的協議の 開催等を規定 第11章 反トラスト及び 第12章 補助金 企業結合 補助金に関する通報や協 反競争的行為に対する適 切な措置 協力等を規定 議 一定の類型の補助金 の禁止等を規定 第17章 透明性 第18章 規制協力 協定の対象となる事項に 関する法令等の速やかな 公表等を規定 規制案の事前公表 意見 提出の機会の提供等の他 動物福祉に関する情報交 換等の協力を規定 第23章 最終規定 効力発生 改正等に係る 手続 日本語を含む正文 等を規定 注 投資保護と紛争解決の扱 いについては引き続き協 議 資料 外務省作成 1 用語の解説 3 2 を参照 2 国内総生産 用語の解説 を参照 29

56 トピックス2 日 EU EPA 交渉の妥結と対策 図表 2-2 世界の人口と GDP に占める我が国と EU の割合 平成 年 人口 GDP 日本 EU 8.6 日本 EU 28.4 日本 1.7 日本 6.5 EU 6.9 米国 4.3 その他 68.6 中国 14.9 人口 百万人 EU 21.8 その他 32. 中国 18.5 シェア 米国 24.7 GDP 1 億ドル シェア 日本 日本 4, EU EU 16, 米国 米国 18, 中国 1, 中国 11, その他 5, その他 24, 世界計 7,442 世界計 75,368 資料 外務省資料を基に農林水産省で作成 2 合意内容 1 関税に関する合意 米については関税削減 撤廃等からの 除外 を確保したほか 麦 乳製品の国家貿易 制度 1 糖価調整制度 2 豚肉の差額関税制度 3 といった基本制度の維持 関税割当てやセーフ ガード等の有効な措置を獲得し 農林水産業の再生産が引き続き可能となる国境措置が確 保できました 図表 2-3 乳製品のうち ソフト系チーズについては 意欲ある酪農家の生産拡大の取組に水を差 さないよう 関税割当てに留め 枠の数量を国産の生産拡大と両立できるものにしまし た また 脱脂粉乳 バター等については国家貿易を維持し 限定的な民間貿易枠を設定 するにとどめました 豚肉については 差額関税制度を維持し 分岐点価格を維持したほか 長期の関税削減 期間と輸入急増に対するセーフガードを確保しました 牛肉については 長期の関税削減期間と輸入急増に対するセーフガードを確保しました 林産物については 構造用集成材等の即時関税撤廃を回避し 一定の関税撤廃期間を確 保しました 一方 EU 側の関税については 牛肉 茶 水産物等の輸出重点品目を含め ほぼ全て の品目で関税撤廃を獲得 4 し EU5 億人の市場に向けた我が国農産物の輸出拡大の可能性 が広がりました 図表 国が一元的に輸入を行う仕組みであり 我が国では 米 麦 指定乳製品の輸入を国家貿易により行っている 2 輸入糖から徴収される調整金等を財源に 国内の生産者 製造事業者を支援することにより砂糖の需給と価格の安定を図る制度 3 輸入品の価格が低いときは基準輸入価格に満たない部分を関税として徴収 価格が高いときには低率な従価税を適用する制 度 この制度により 海外からの安価な豚肉の大量輸入による国内需給の混乱を防止し 国内の需給と価格の安定に寄与 4 ほとんどが即時撤廃 3

57 図表 2-3 主な品目の合意内容 EU からの輸入 品目 合意内容 関税削減 撤廃等からの 除外 を確保 麦 現行の国家貿易制度を維持するとともに 枠外税率 小麦 55 円 /kg 大麦 39 円 /kg を維持 ごく少量の関税割当枠 小麦 2t 27t 7 年目 大麦 3t 即時 を設定 国家貿易 SBS 方式 砂糖 現行の糖価調整制度を維持 粗糖 精製糖については 少量の新商品開発のための試験輸入枠 5 t 無税 無調整金 を設定 豚肉 差額関税制度を維持 分岐点価格 524 円 /kg を維持 長期の関税削減期間 9 年 と輸入急増に対するセーフガードを確保 牛肉 長期の関税削減期間 15 年 最終関税率 9 と輸入急増に対するセーフガードを確保 脱脂粉乳 バター等 脱脂粉乳 バター等については 国家貿易を維持した上で 民間貿易による関税割当枠を設定 数量は 最 近の追加輸入量の範囲内 12,857 t 15, t 6 年目 生乳換算 トピックス 米 ソフト系チーズについては TPP で関税撤廃や関税削減となったものも含めた 横断的な関税割当 枠内税 率は段階的に引き下げ 16 年目に無税 とし 枠数量は 国内消費の動向を考慮し 国産の生産拡大と両立 できる範囲にとどめた 2, t 初年度 31, t 16 年目 TPP での合意内容 シュレッドチーズ おろし 粉チーズ プロセスチーズ 関税撤廃 熟成ソフトチーズ カマンベール等 関税維持 一部のフレッシュチーズ モッツァレラ等 関税維持 ブルーチーズ 関税削減 プロセスチーズ 関税割当枠の設定 チーズ EU との合意内容 横断的な 関税割当枠の設定 主に原材料として使われる熟成ハード系チーズ チェダー ゴーダ等 やクリームチーズ 乳脂肪 45 未満 等については TPP と同様 関税撤廃するものの 長期の撤廃期間を確保 16 年目に撤廃 パスタ チョコレー ト菓子等の 加工品 パスタ マカロニ スパゲッティ チョコレート菓子等の加工品については関税撤廃するものの 長期の撤 廃期間を確保 パスタ チョコレート菓子 キャンディーは 11 年目 ビスケットは 6 年から 11 年目に そ れぞれ撤廃 林産物 構造用集成材 SPF 製材等の林産物 1 品目については 関税撤廃するものの 即時撤廃を回避し 一定の撤 廃期間を確保 段階的に 8 年目に撤廃 資料 農林水産省作成 図表 2-4 主な品目の合意内容 EU への輸出 品目 現行関税 水産物 無税 26 醤油等調味料 7.7 醤油 緑茶 無税 3.2 牛肉 ユーロ /1kg 花き 6.5 又は 8.3 植木 盆栽 鉢もの 8.5 又は 1 切り花 青果物 12.8 かんきつ ゆず等 9.5 ユーロ /1kg ながいも 林産物 無税 1 豚肉 ユーロ /1kg 鶏肉 ユーロ /1kg 鶏卵 粉卵等含む ユーロ /1kg 乳製品 ユーロ /1kg 等 脱脂粉乳 ユーロ /1kg 等 バター 合意内容 即時撤廃 ほたて貝 段階的に 8 年目に撤廃 アイスクリーム 段階的に6年目までに7 削減 ココア粉 段階的に8年目までに25 削減 等を除く 資料 農林水産省作成 注 平成 年度末時点で 輸出解禁に向け協議中の品目 2 ルール分野に関する合意 ルール分野の合意内容は多岐にわたり 日 EU 経済圏の経済活動等における共通のルー ルが整備され 地域の産業が活躍の場を広げていくことが期待されます 特に 農林水 産 食品分野に関係が深いものは以下のとおりです 31

58 トピックス2 ア 日 EU EPA 交渉の妥結と対策 EU 域内での我が国の地理的表示 GI の保護 EU 側 GI171 産品 日本側 GI48 産品 2 をそれぞれ相互に保護することで合意しました 図表 2-5 また 相互に高いレベルで GI を保護するため 物への直接表示だけでなく 広告等のサービス的な使用も含めた措置を講ずることとなりました これにより EU 域 内での GI の保護によるブランド化や 我が国生産者の EU 域内における GI 登録手続の大 幅な負担軽減が図られます イ 衛生植物検疫措置 食品の安全に関する分野は 我が国が既に締結している衛生植物検疫措置の適用に関す 3 る協定 SPS 協定 を踏まえた内容となりました 我が国の制度変更が必要となる規定は 設けられておらず 我が国の食の安全が脅かされることはありません 一方 双方の衛生 植物検疫措置やその適用に関して相互理解を強化するとともに 要請に応じて情報提供を 速やかに行うことが規定され EU 側の輸入条件や手続の進捗状況についての情報が入手 しやすくなります ウ 税関 貿易円滑化 税関手続は 関係する法令や手続等の情報をインターネット等で公表することや 税関 当局等と貿易業者等との定期的な協議の場を設けることが規定され 透明性が確保されま す また 法令の遵守を確保するために必要な期間内に迅速に物品の引取りを許可するこ とや 政府が税関手続の要件や作業の簡素化に向けて努力することが規定されました エ 農業分野における協力 農業や食品に関する協力の枠組みが規定されるとともに 農業分野の協力に関する委員 会が設置されることが規定されました これにより 農林水産品 食品の生産 製造段階 での技術協力や情報交換が促進され 一層の技術向上に資するだけでなく 貿易上の諸課 題に関する政府間の情報交換の場を設けることで 我が国農林水産品 食品の輸出促進に も資することが期待されます 図表 2-5 EU との相互保護対象となる我が国の GI48 産品 あおもりカシス 青森県 加賀丸いも 石川県 前沢牛 岩手県 紀州金山寺味噌 和歌山県 神戸ビーフ 兵庫県 下関ふく 山口県 東根さくらんぼ 山形県 木頭ゆず 徳島県 入善ジャンボ西瓜 富山県 夕張メロン 北海道 八女伝統本玉露 福岡県 鹿児島の壺作り黒酢 鹿児島県 くまもと県産い草 熊本県 鳥取砂丘らっきょう 鳥取県 三輪素麺 奈良県 市田柿 長野県 能登志賀ころ柿 石川県 十勝川西長いも 北海道 十三湖産大和しじみ 青森県 連島ごぼう 岡山県 特産松阪牛 三重県 米沢牛 山形県 西尾の抹茶 愛知県 みやぎサーモン 宮城県 大館とんぶり 秋田県 大分かぼす 大分県 すんき 長野県 田子の浦しらす 静岡県 万願寺甘とう 京都府 飯沼栗 茨城県 上庄さといも 福井県 琉球もろみ酢 沖縄県 若狭小浜小鯛ささ漬 福井県 桜島小みかん 鹿児島県 岩手野田村荒海ホタテ 岩手県 奥飛騨山之村寒干し大根 岐阜県 八丁味噌 愛知県 香川小原紅早生みかん 香川県 宮崎牛 宮崎県 近江牛 滋賀県 辺塚だいだい 鹿児島県 鹿児島黒牛 鹿児島県 但馬牛 兵庫県 三島馬鈴薯 静岡県 くろさき茶豆 新潟県 美東ごぼう 山口県 堂上蜂屋柿 岐阜県 小川原湖産大和しじみ 青森県 凡例 野菜類 果実類 畜産物 水産物 加工品 資料 農林水産省作成 1 第 1 章第 2 節 2 を参照 2 平成 年度末時点 3 人 動物又は植物の生命又は健康を守るという衛生植物検疫 SPS 措置の目的を達成しつつ 貿易に与える影響を最小限に するための国際ルール WTO 協定の附属書の一部 32

59 ピックス3 総合的な TPP 関連政策大綱の改訂 日 EU EPA の交渉妥結や TPP11 1 の署名 2 により 我が国農林水産業は新たな国際環境 に入りました こうした国際環境の下でも 我が国農林水産業の国際競争力を強化し 強い農林水産業を構築するため 交渉で獲得した措置と合わせて万全の施策を講じていく必要があります 農林水産省では 平成 29(217) 年 7 月の日 EU EPA の大枠合意の内容を踏まえて 主要な農林水産物の影響について定性的に分析を行い 平成 29(217) 年 11 月に その結果を公表しました また 政府は TPP(TPP11を含む ) と日 EU EPAの発効を見据え 平成 27 (215) 年 11 月に決定した 総合的なTPP 関連政策大綱 を平成 29(217) 年 11 月 3 に 総合的なTPP 等関連政策大綱 として改訂しました 改訂された大綱では これまでの施策について 実績の検証を踏まえた所要の見直しを行った上で 国産チーズや構造用集成材等の木材製品の国際競争力の強化 パスタ 菓子等の関税撤廃等に関して国境措置の整合性確保の観点から 小麦のマークアップ 4 の実質的撤廃 ( パスタ原料 ) 引下げ 豚肉 鶏肉 鶏卵 乳製品等の輸出環境の整備等の対策等を新たに盛り込み TPP 等を見据えた政策を体系的に整理しました ( 図表 2-6 図表 2-7) 農林水産分野の対策の財源については TPP 等が発効し関税削減プロセスが実施されていく中で将来的に麦のマークアップや牛肉の関税が減少することにも鑑み 既存の農林水産予算に支障を来さないよう政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保することとなっています 平成 29(217) 年度補正予算においては 改訂された大綱に基づき 我が国農林水産業の体質強化対策を実施するため 総額 3,17 億円を確保しました なお これまでに 平成 27(215) 年度補正予算において3,122 億円 平成 28(216) 年度補正予算において 3,453 億円を計上しています また 農林水産省では 平成 29(217) 年 12 月に 農林水産物の生産額への影響について試算結果を公表しました 試算においては 関税削減等の影響で価格低下による生産額の減少が生じるものの 体質強化対策による生産コストの低減 品質向上や経営安定対策等の国内対策により 引き続き生産や農家所得が確保され 国内生産量が維持されると見込んでおり 農林水産物の生産減少額は約 6 億円から約 1,1 億円としています この試算結果を反映して行った食料自給率の影響試算では 反映の前後で食料自給率は同水準 5 となりました 1 米国を除く 我が国と豪州 ブルネイ カナダ チリ マレーシア メキシコ ニュージーランド シンガポール ペルー ベトナムの 11 か国による 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定 (TPP11 協定 ) 2 第 1 章第 3 節 (3) を参照 3 日 EU EPA と TPP(TPP11 を含む ) 4 国家貿易品目について 政府が輸入する際に徴収している差益をいい 政府管理経費と国内における生産振興対策に利用されている 5 平成 28(216) 年度 : カロリーベース 38% 生産額ベース 68% 試算を反映したもの : カロリーベース 38% 生産額ベース 68% 33 ト

60 トピックス 2 日 EU EPA 交渉の妥結と対策 図表 2-6 総合的な TPP 等関連政策大綱 の概要 新輸出大国国内産業の競争力強化農政新時代 輸出促進によるグローバル展開推進 TPP 等を通じた国内産業の競争力強化 農林水産業 1 丁寧な情報提供及び相談体制の整備 TPP 等の普及 啓発 中堅 中小企業等のための相談体制の整備 2 新たな市場開拓 グローバル バリューチェーン構築支援 中堅 中小企業等の新市場開拓のための総合的支援体制の抜本的強化 ( 新輸出大国 コンソーシアム ) コンテンツ サービス 技術等の輸出促進 農林水産物 食品輸出の戦略的推進 インフラシステムの輸出促進 海外展開先のビジネス環境整備 資料 : 内閣官房 TPP 等政府対策本部作成 1 TPP 等による貿易 投資の拡大を国内の経済再生に直結させる方策 イノベーション 企業間 産業間連携による生産性向上促進 対内投資活性化の促進 2 TPP 等を通じた地域経済の活性化の促進 地域に関する情報発信 地域リソースの結集 ブランド化 地域の雇用や経済を支える中堅 中小企業 小規模事業者 サービス産業の高付加価値化 食の安全 知的財産 政府調達 輸入食品監視指導体制強化 原料原産地表示 特許 商標 著作権関係について必要な措置 著作物等の利用円滑化等 政府調達に係る合意内容の正確かつ丁寧な説明 1 強い農林水産業の構築 ( 体質強化対策 ) 政策大綱策定以降 各種の体質強化策を実施 引き続き必要な施策を実施 次世代を担う経営感覚に優れた担い手の育成 国際競争力のある産地イノベーションの促進 畜産 酪農収益力強化総合プロジェクトの推進ー国産チーズ等の競争力強化等 高品質な我が国農林水産物の輸出等需要フロンティアの開拓 合板 製材 構造用集成材等の木材製品の国際競争力の強化 持続可能な収益性の高い操業体制への転換 消費者との連携強化 規制改革 税制改正 2 経営安定 安定供給のための備え ( 重要 5 品目関連 ) TPP 又は日 EU EPA 発効後の経営安定に万全を期すため 協定発効に合わせて経営安定対策の充実の措置を講ずる 米 ( 政府備蓄米の運営見直し ) 麦 ( 経営所得安定対策の着実な実施 ) 牛肉 豚肉 乳製品 ( 畜産 酪農の経営安定充実 ) 甘味資源作物 ( 加糖調製品を調整金の対象 ) 図表 2-7 総合的な TPP 等関連政策大綱 の農林水産分野の概要 農林水産分野における TPP 対策 1 攻めの農林水産業への転換 ( 体質強化対策 ) 次世代を担う経営感覚に優れた担い手の育成 国際競争力のある産地イノベーションの促進 畜産 酪農収益力強化総合プロジェクトの推進 高品質な我が国農林水産物の輸出等需要フロンティアの開拓 合板 製材の国際競争力の強化 持続可能な収益性の高い操業体制への転換 消費者との連携強化等 2 経営安定 安定供給のための備え ( 経営安定対策 ) 米: 政府備蓄米の運営の見直し 麦: 経営所得安定対策の着実な実施 牛肉 豚肉 乳製品: 牛 豚マルキンの法制化牛 豚マルキンの補填率の引上げ豚マルキンの国庫負担水準の引上げ等 甘味資源作物: 加糖調製品の調整金の対象化 3 検討の継続項目 農政新時代に必要な人材力を強化するシステムの整備 生産者の所得向上につながる生産資材価格形成の仕組みの見直し 生産者が有利な条件で安定取引を行うことができる流通 加工の業界構造の確立 真に必要な基盤整備を円滑に行うための土地改良制度の在り方の見直し 戦略的輸出体制の整備 原料原産地表示等 資料 : 内閣官房 TPP 等政府対策本部作成 H27 28 補正予算により 具体的な対策を実施 必要な法的手当を実施 TPP 未発効のため 未施行 平成 28 年 11 月に 農業競争力強化プログラム を決定 対策の主な効果 ( 億円 ) 輸出促進策 41の輸出拠点のうち 本年度までに 19が稼働 1 兆円 米 青果 水産物等の品目別にプロモーションや輸送技術の実証試験を実施 5, 農林水産物の輸出額は4 年連続最高値を更 6,117 新 1 兆円目標を1 年前倒し 平成 26 年 214 年 平成 27 年 215 年 +22.6% ( 対 26 年比 ) 平成 28 年 216 年 1, 平成 31 年 219 年 今後の取組 これまで総合的な TPP 関連政策大綱に盛り込まれていた施策 体質強化対策 : 引き続き実績の検証を踏まえた所要の見直しを行った上で 必要な施策を実施 経営安定対策 :TPP 又は日 EU 協定の発効に合わせて対策の充実等の措置 牛 豚マルキンの補填率引上げ (8 割 9 割 ) 豚マルキンの国庫負担水準引上げ ( 国 : 生産者 =3:1 へ ) 改正糖価調整法に基づき加糖調製品を調整金の対象化 チーズ等の乳製品 国産チーズ等の競争力を高めるとともに その需要を確保し 将来にわたって安定的に国産チーズ等の生産に取り組めるようにする 原料面での低コスト 高品質化 製造面での低コスト 品質向上 ブランド化等 構造用集成材等の木材製品 加工施設の効率化 競争力のある製品への転換 原木供給の低コスト化等 パスタ 菓子等 国境措置整合性確保のための小麦のマークアップの実質的撤廃( パスタ原料 ) 引下げ 輸出環境の整備等 7,451 7,52 その他の担い手等の体質強化策の例 取組内容事業実施による効果 ( 実例 ) 全国での実施状況 認定農業者等が農業経営の発展に取り組む場合に必要な機械 施設の導入を支援 畜産に関する施設整備や機械導入等を支援 27 年度事業実施分 経営体 (397 者 ) の経営改善売上高 : 平均 16% 増経営コスト : 平均 4% 減経営面積 : 平均 15% 拡大 28 年度事業実施分 搾乳ロボット導入による乳量の増加 27.kg 29.1kg( 頭 / 日 ) 8.% 増加 H27 補正 :479 地区 793 経営体 H28 補正 :43 地区 719 経営体 H27 補正 : 施設整備 431 件機械導入 7,772 件 H28 補正 : 施設整備 369 件機械導入 3,718 件 畜産物 ( 豚肉 鶏肉 鶏卵 乳製品等 ) 等の輸出条件の改善 国内の環境整備等 等 34

61 明治 15 年 関連施策テーマ 我が国の近代化に大きく貢献した養蚕 トピックス 3 トピックス き いと 我が国の生糸 1 輸出は 欧州向けの反省を踏まえ 明治期に様々な取組が進められた結 果 大正期に飛躍的に拡大しました 我が国の養蚕は 官営模範工場富岡製糸場ととも に 輸出先の米国が求める高品質の生糸の生産を実現し 我が国の近代化に大きく貢献し ました 欧州向け輸出 開港を機に始まるも やがて停滞 江戸時代末期 フランス南部で発生した蚕の微粒子病 2 は その後 同国北部や隣国イ タリアにも広がり 欧州の生糸生産は壊滅的な打撃を受けました この影響は フランス の細菌学者ルイ パスツールが明治初期に対処法を発見するまで続き 欧州の絹織物業で は 不足する生糸を輸入によって確保しようとする動きが高まりました このような中 我が国では 江戸時代末期の安政 年に横浜 長崎が開港し 欧州向けの生糸 輸出が始まりました 図表 3-1 けん し 当時の我が国における繭糸 3 と生糸の生産は養蚕農家の仕事であり 飼養した蚕が作っ ざ ぐりせい し た繭を釜で煮て繭糸を取り出し 座繰製糸という方法で生糸を生産し出荷を行っていまし た 養蚕は現在の東北地方 関東地方の一部 甲信地方を中心に行われていましたが 輸 出が盛んになるとこれらの地域を中心に広く普及し 全国で生糸の増産が図られました しかしながら 当時 我が国では 蚕の品種や生糸生産の技術レベルが農家ごとに異 なっていたことから生糸の品質にばらつきが大きく また 輸出が拡大するにつれ 切れ たくず生糸や石灰が混入されたもの等も横行し始め 品質の悪い生糸が大量に輸出されま した この結果 慶応 年には 信用を失った我が国の生糸は 輸出が大きく 落込みました 4 図表 3-1 生糸に関する年表 年 できごと 安政 6 年 1859 横浜 長崎開港 明治 官営模範工場富岡製糸場設置 内藤新宿試験場蚕業試験掛設置 廃止後 蚕 病試験場 蚕業試験場 蚕業講習所等が設置 生糸検査所設置 遺伝学者外山亀太郎が蚕の一代交雑種の導入 提唱 大正初期から普及開始 と やまかめ た ろう 農家が行っていた生糸の生産の様子 座繰製糸 資料 横浜開港資料館所蔵 資料 農林水産省作成 蚕の繭からとった繊維を合わせて糸としたままで まだ精錬などの加工を施していないもの 蚕への原生動物ノゼマ - ボンビシスの寄生によって生じ 蚕は桑を食べなくなり 黒褐色の小斑点ができて死亡に至る流行病 蚕の繭からとった繊維 神奈川県横浜市 横浜市史 第二巻 35

62 トピックス3 明治 15 年 関連施策テーマ 我が国の近代化に大きく貢献した養蚕 米国向け輸出 明治期の品質向上の取組により 大正期に飛躍的に拡大 りき このような中 絹織物業において最新の機械 設備の導入が進んでいた米国では 力 しょっ き 織 機と呼ばれる機械動力式の織機に耐えられる 節が少なくて切れにくい丈夫な生糸の 需要が高まっていました 我が国では 欧州向け輸出での反省を踏まえ 米国が求める品 質の生糸生産に向けて様々な取組が行われました 生糸の品質向上については 明治 年に官営模範工場として富岡製糸場が設 置されたことで 器械製糸による丈夫な生糸の生産が可能となりました また 座繰製糸 により養蚕農家が紡いだ生糸についても 組合組織が集荷し仕上げ作業を行うことで 強 度のそろった生糸を製造できるようになりました 繭の品質向上については 明治 年に蚕に関する国立の試験場が設置され 優良蚕品種の育成 飼育方法や病気の研究等が始まったことで 品質の良い繭が生産でき るようになりました 大正初期には より質の高い繭が生産できる一代交雑 1 の原蚕種の 配布が始まり その後 大正後期に蚕の人工ふ化技術 2 が開発されたことで繭の安定供給 が可能となりました また 明治 年に 神奈川県 よこ はま し こう べ し 横 浜 市 と兵庫県神 戸 市 に生糸検査所が設 置され 輸出用生糸の重量 太さ 強度 等の検査が始まり 品質が明示されて取 引が円滑化されたことで 我が国の生糸 の評価が高まり 輸出の拡大につながり ました これら明治期の様々な取組により 評 価が高まった生糸の輸出は大正期に飛躍 的に拡大し 米国の生糸輸入量に占める 日本産のシェアは 7 割から 8 割 3 に至りま した 図表 3-2 我が国の養蚕が生み出 富岡製糸場と洋式製糸器械 左 富岡製糸場 右 富岡製糸作業場 内部 東京国立博物館所蔵 Image TNM Image Archives した生糸は 明治 年から昭和 年にかけて品目別輸出額第 1 位を維持 4 して 国内の生糸商人や貿易商人等に利 益をもたらし 資本蓄積を通じて我が国の近代化に大きく貢献しました 1 異なる系統品種間の交配によって生じた第一代の子 2 蚕の寿命は卵のふ化から成虫が死亡するまで約 1 か月から 1 か月半と短いものの 通常の飼育方法では 卵のふ化は年に 1 度しか行われない 蚕業講習所で開発された塩酸処理による浸酸法は 夏と秋の年 2 回の飼育が可能な蚕の普及に貢献した 3 農林水産省 蚕糸業要覧 4 東洋経済新聞社 日本貿易精覧 36

63 図表 3-2 億円 1 生糸の輸出額と輸出量 生産量 戦前の生糸輸出額ピーク 大正 年 9 8 5 生糸輸出量ピーク 昭和7 1932 年 生糸輸出額 3 2 生糸輸出量 右目盛 216 0 2 7 5 7 9 平成元 4 9 14 昭和元 年 大正元 明治 1 4 戦後の生糸生産量ピーク 昭和 年 生糸生産量 右目盛 トピックス 7 万t 6 生糸生産量ピーク 昭和9 1934 年 資料 財務省 貿易統計 農林水産省 蚕糸業要覧 一般財団法人 大日本蚕糸会調べを基に農林水産省で作成 注 1 昭和 年以降の生糸輸出額は表示していない 2 農林水産省 繭生産統計 によれば 生糸生産量ピークの昭和 年には 46 都道府県で繭の生産が行われており 収繭 量 1 位長野県 2 位群馬県 3 位埼玉県 コラム 官営模範工場としての富岡製糸場 明治政府は 高品質な生糸を大量に生産できる器械製糸技術を国内に広めるため 明治 5 とみおか し 1872 年に 良質な水と燃料となる石炭を確保しやすい現在の群馬県富岡市に官営模範工場 として富岡製糸場を建設しました フランス式の技術が導入された富岡製糸場では 全国から集まった若い女性たちが製糸作 業に従事し そこで習得された技術はそれぞれの故郷に持ち帰られ 器械製糸技術の普及が進 みました 明治 年に民営化された富岡製糸場では 昭和 年の操業停止まで 1 年以上にわたり生糸の生産が続けられました 富岡製糸場は 明治政府が建設した官営工場の中で唯一当時の姿が残っている建築物であ り 世界の絹産業の発展と絹消費の大衆化に貢献した資産としての価値が認められ 平成 年 6 月に 養蚕関連の史跡とともにユネスコ世界遺産に登録されました 富岡製糸場の錦絵 資料 群馬県立歴史博物館提供 教訓 マーケットインの発想で取り組むことで輸出の拡大は可能 新たな製糸技術の導入 優良蚕品種の育成や飼育方法の改良 輸出検査の導入等の取組 が着実に進められたことで良質な生糸の生産が可能となり これを土台として輸出の飛躍 的拡大に成功しました 一度落込んだ生糸の輸出が 新たな輸出先となる米国のニーズに応えるというマーケッ トインの発想で取組を進めたことで品質の高い丈夫な生糸の生産が進み 再び盛り返した 明治期の出来事は現代に活かすべき教訓です 37

64 トピックス 3 明治 15 年 関連施策テーマ我が国の近代化に大きく貢献した養蚕 将来 食料について 国内需要は減少に向かい 世界需要は増加に向かうことを踏まえると 我が国農業の持続的発展を実現するためには 農産物の販路の一つに輸出を位置付けていくことが重要となっています 農林水産物 食品の輸出は マーケットインの発想でより多くの農業者や農業者団体等が農業生産等に取り組むことで 更なる拡大を実現できるのです コラム 蚕の今 ~ 純国産絹製品づくりの取組と新素材原材料の役割 ~ 戦後の我が国の繭生産量は 昭和 43(1968) 年の12 万 tをピークに 和装需要の減退や生糸 絹製品の輸入増加等の影響で減少が続き 平成 28(216) 年には13tとなりました 349 戸にまで減少した養蚕農家は 群馬県がその4 割を占めています このような中 純国産絹製品づくりを目指す養蚕農家 製糸業者 絹織物業者 呉服店等で構成する 絹を未来に プラチナボーイ研究会では 良質で細い糸を作る蚕品種 プラチナボーイ * を用いた着物を開発 販売しています 同研究会が開催する養蚕体験イベント等は 純国産絹への消費者の支持や養蚕農家の生産意欲の向上につながっています また 近年 遺伝子組換え蚕を用いて 緑色蛍光に光るシルクや 蚕が生成するたんぱく質を用いた骨粗しょう症の検査薬 動物用医薬品等が生産されています 人工血管や難病治療薬等の開発も進められており 蚕の役割は絹織物の材料生産だけでなく 新たな素材の原材料生産へと広がっています 国産の繭 生糸だけを使って製造された絹製品に付けられる 純国産絹マーク 資料 : 一般財団法人大日本蚕糸会 養蚕体験イベントの様子 資料 : 絹を未来に プラチナボーイ研究会 * 雄のみが産まれる特徴を持つ品種 卵を作らない雄は たんぱく質を全て糸として吐き出すことができるため 繭糸の品質が良いと言われている 参考文献 蚕糸業要覧 ( 昭和 28 年 ) 農林省蚕糸局 (1998 年 ) 農林水産省農産園芸局蚕糸課 蚕糸絹用語集 一般財団法人大日本蚕糸会 日本蚕糸業史分析 - 日本産業革命研究序論 石井寛治 東京大学出版会 横浜市史第二巻 神奈川県横浜市 蚕糸王国日本と神奈川の顛末 小泉勝夫編 開港とシルク貿易蚕糸 絹業の近現代 小泉勝夫 世織書房 日本の蚕糸のものがたり 髙木賢編著 大成出版社 カイコってすごい虫! 国立研究開発法人農業 食品産業技術総合研究機構遺伝子組換え研究推進室世界遺産富岡製糸場ホームページ 歴史を学ぶ 国立研究開発法人農業 食品産業技術総合研究機構ホームページ 農林水産省における蚕糸試験研究の歴史 38

65 トピックス 4 動き出した農泊 トピックス 農泊とは 農山漁村において日本ならではの伝統的な生活体験と非農家を含む農山漁村 の人々との交流を楽しみ 農家民宿や古民家等を活用した宿泊施設に滞在して 観光客に その土地の魅力を味わってもらう農山漁村滞在型旅行を指します 農泊をビジネスとして 実施できる体制を持った地域を 22 年までに 5 地域創出することにより 農山漁村の 所得向上と活性化の実現を目指しています 22 年までに 5 地域の創出を目指す 訪日外国人旅行者を含む観光客を呼び込み ニーズ に応じた様々なサービスを提供することで リピー ターや新たな観光客を獲得していくことは 農山漁村 の所得向上と活性化に貢献します 観光客の受皿とな かじ る農山漁村においては 観光地域づくりの舵取り役を 担う DMO1 等との連携を通じ 世界農業遺産 2 や日本 3 農業遺産 棚田百選の選定地域を始めとした伝統的な 農林水産業や優れた景観等の地域資源を活用した観光 農山漁村地域で滞在を楽しむ 外国人観光客 む ら 第 3 回 ディスカバー農山漁村の宝 せんぼく し 選定地区 秋田県仙北市 コンテンツの創出や ビジネスとして継続的にサービ スを提供できる地域が一丸となった体制の整備が急務となっています 農泊は地方創生や観光立国の関連施策にも位置付けられており 22 年までに 農泊 をビジネスとして実施できる体制を持った地域を 5 地域まで増やすことを目標として います 平成 年度の農山漁村振興交付金の農泊推進対策では 約 4 地域の応募の 中から 26 地域を支援しました 地域の取組を 知って もらう機会の創出 訪日外国人旅行者を含めた観光客を農山漁村に呼び 込むため 農泊の魅力を国内外へ発信することによ り 地域の取組を 知って もらう機会の創出を戦略 的に実施する必要があります 農林水産省では 平成 年度に 情報発 信力のある海外のタレント等を起用し 農泊に取り組 む地域を紹介する動画を東南アジア 7 か国でテレビ放 海外のタレントを起用した動画 東南アジアの CATV 放送局 LiTV による放送 1 Destination Management Organization の略 観光地域づくりの舵取り役として 多様な関係者と協同して明確なコンセ プトに基づいた地域の戦略を策定するとともに 戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人 2 国連食糧農業機関 FAO が世界的に重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域を認定する制度 平成 年度末時 点で 世界 19 か国 49 地域が認定されており 我が国では新潟県佐渡市を含め 11 地域が認定 3 農林水産大臣が我が国において重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域を認定する制度 平成 年度末時点で 宮 城県大崎地域を含め 8 地域が認定 39

66 トピックス4 動き出した農泊 映するとともに 動画配信サイト等で全世界へ情報を発信しました また 外国人や旅行者のモニターに加え 海外のエージェントや情報発信力のあるブロ ガー等を対象にモニターツアー等を実施し 食 景観 古民家等の地域の魅力を SNS1 で 発信しました さらに 農泊の先進事例 12 地域を集めた農泊プロ セス事例集を作成するとともに 全国主要都市で 14 回の農泊シンポジウムを開催し このうち 2 月から 3 月にかけての 5 回の開催においては 更なる観光客の 増大に向け 農泊に取り組む地域と国内外の旅行業者 等とのビジネスマッチングを実施しました 事例 農泊シンポジウムの様子 新名物となるジビエ加工品の開発に挑戦 石川県 なな お わん の と じま いしざかじゅん 石川県の七尾湾に浮かぶ能登島で民宿業を営む石坂淳さん 七尾市 は 様々な地域資源を活用して島に滞在してもらえる仕組み を構築するため 平成 年 4 月に 島内の住民団 石川県 体等を構成員とする能登島ペスカグリ ネットワークを設立 し 代表に就任しました 福井県 富山県 岐阜県 同ネットワークは これまで埋却していたイノシシを 地 域の事業者の協力を得ることで適切な処理が行われた良質の ジビエとして確保し イノシシメンチカツ等の商品開発を進 めており ジビエ加工品には新たな名物として期待が寄せら れています また 里山里海を象徴する 米 を中心とした暮らしに触 れる機会を サイクリングツアーなどの体験メニューとして 提供することで これまで取り込めていなかった訪日外国人 交流イベントでの イノシシメンチカツ販売の様子 旅行者への訴求力向上を図ることとしています 同ネットワークでは 感動を与えるモノ 商品 とコト 体験 づくりを通じて能登島のブ ランド化を図り 採算性が高い持続的な取組への進化を目指すとしています 地域の食とそれを生み出す農林水産業を核として 訪日外国人旅行者を中心とする観光 客を誘致する取組も各地で広がっています 農林水産省では 地域の食材の特長や歴史 セ イ バ ー 食べ方 郷土料理や食文化等を 滞在しながら楽しむことのできる地域を SAVOR として認定し海外向けに情報発信を行っており JAPAN 農泊 食文化海外発信地域 これまでに 15 地域を認定しました 図表 Social Networking Service の略 登録された利用者同士が交流できる web サイトのサービス 4

67 図表 4-1 SAVOR JAPAN 認定地域一覧 平成 29 年度認定地域 あき た いぬ 一社 秋田犬ツーリズム 平成 28 年度認定地域 OBAMA 食と農の景勝地 一社 こまつ観光物産 実行委員会 ネットワーク 福井県小浜市 石川県小松市 一社 京都府北部地域 連携都市圏振興社 報恩講料理 京都府北部地域 きりたんぽ 食と農の景勝地 十勝協議会 精進料理 北海道十勝地域 鶴岡食文化創造都市 推進協議会 へしこ 一関もち食推進会議 山形県鶴岡市 ま ぜ 馬瀬地方自然公園 づくり委員会 さぬきの農泊食文化海外発信地域 推進協議会 チーズ 岩手県一関市 平泉町 岐阜県下呂市馬瀬地域 丹後ばら寿司 トピックス 秋田県大館地域 もち料理 会津若松市食と農の景勝地 推進協議会 鮎 福島県会津若松市 香川県さぬき地域 こづゆ さぬきうどん 十日町市食と農の景勝地 推進委員会 たかちほごう フォレストピア高千穂郷 ツーリズム協会 新潟県十日町市 浜松 浜名湖地域 食 農プロジェクト推進協議会 宮崎県高千穂郷 椎葉山地域 さと 一社 そらの郷 徳島県にし阿波地域 神楽料理 紀の川グリーンツーリズム 推進協議会 そば米雑炊 静岡県浜松 浜名湖地域 へぎそば 和歌山県紀の川市 フルーツ料理 うなぎ 資料 農林水産省作成 事例 外国人延べ宿泊者数の倍増を目指し 滞在拠点等を整備 徳島県 徳島県西部の 2 市 2 町で一体的な観光地域づくりに取り組 あ わ んできたにし阿波地域は そば 雑穀等の郷土食や急傾斜の 畑で営まれてきた伝統的な農業を核とした訪日外国人旅行者 誘致の取組が認められ 平成 年 11 月に SAVOR JAPAN に認定されました また 伝統的な農業が評価され 東みよし町 美馬市 つるぎ町 三好市 徳島県 高知県 平成 年 3 月に日本農業遺産に 平成 年 3 月には世界農業遺産に認定されました 同地域では にし阿波 桃源郷 の実現 をキャッチフ レーズとしています 具体的には 特徴的な景観や歴史を持 つ集落において 地域内で訪日外国人旅行者の誘致に成功し おち あい ている落合集落のノウハウを活かし 22 年度までに 農 家民宿 古民家再生 廃校利用等により滞在拠点を整備する とともに 伝統料理 農作業等のインストラクターを配置し 餅つき体験の様子 桃源郷の営みを体感できる仕組みを構築するとしています 同地域の外国人延べ宿泊者数については 平成 年の 1 万 5 千人を 22 年に 3 万 人に倍増する目標を掲げており 同地域の暮らしをじっくり体験したい旅行者の取り込みを目 指しています 41

68 トピックス4 動き出した農泊 訪日外国人旅行者は 訪日回数が多い人ほど地方部への訪問割合が増加 訪日外国人旅行者については 22 年東京オリンピック パラリンピック競技大会が 開催される 22 年までに 人数 4 千万人 旅行消費額 8 兆円 地方部における延べ宿泊 者数 7 千万人泊等の目標 1 が設定されています 平成 年においては 旅行者数 2,869 万人 2 旅行消費額 4 兆 4,162 億円 3 地方部における延べ宿泊者数 3,188 万人泊 4 とな り いずれも過去最高を記録しました 消費額の費目別構成割合を見ると 平成 図表 年は 買物代が減少する一方 宿泊料金 で 娯楽サービス費が増加しており モノ からコトへの消費のシフトが進んでいます 図表 4-2 延べ宿泊者数の増加率を都道府県別に見 訪日外国人旅行消費額の費目別構成 割合 平成 28 年 216 3兆7,476億円 27.1 飲食費 ると 青森県 大分県 佐賀県等で前年に 比べ 5 以上増加しています 図表 4-3 また 訪問地を訪日回数別に見ると 回数 が多い人ほど地方部を訪れる割合が高く 交通費 買物代 38.1 娯楽サービス費 兆4,162億円 なっています 図表 4-4 地方には 豊かな自然環境の中で代々継 承されてきた独自性のある伝統的な農林水 その他 % 1 資料 観光庁 訪日外国人消費動向調査 平成 29 年年間値 速報 を基に農林水産省で作成 注 内は訪日外国人旅行消費額の総額 産業 これと密接に関わって育まれた文化 等 外国人にとって魅力的な資源が存在し 地方部を訪れる訪日外国人旅行者の中には 機密性 情報 限り このような資源に触れようと中山間地域を訪れる者も見られます 図表 4-3 図表 4-4 都道府県別に見た訪日外国人旅行者延べ宿泊 者数の対前年増加率 平成 年 訪日回数別に見た外国人旅行者の訪問地に 占める地方部の割合 平成 年 以上 㻡㻜 以上㻌 3 25 以上 5 未満 㻞㻡 以上㻡㻜 未満㻌 以上 25 未満 㻌㻜 以上㻞㻡 未 全国㻌 㻝㻞 㻌 資料 観光庁 宿泊旅行統計調査 を基に農林水産省で作成 観光立国推進基本計画 平成 年 3 月閣議決定 日本政府観光局 JNTO 217 年訪日外客数 総数 観光庁 訪日外国人消費動向調査 平成 29 年年間値 確報 観光庁 宿泊旅行統計調査 平成 29 年年間値 速報値 1回目 2回目 3回目以降 資料 観光庁 訪日外国人消費動向調査 平成 29 年年間値 確報 を基に農林水産省で作成 注 訪日外国人旅行者が訪問した都道府県の延べ数に占める 三 大都市圏 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 愛知県 京 都府 大阪府 兵庫県 以外の道県の割合

69 第 1 章 食料の安定供給の確保

70 第1節 食料自給率と食料自給力指標 第 1節 食料自給率と食料自給力指標 平成 年 3 月に閣議決定された食料 農業 農村基本計画 以下 基本計画 という においては 225 年度を目標年度とする食料自給率 1 の目標を設定するととも に 我が国の食料の潜在生産能力を評価する食料自給力 2 指標を示しました 以下では 食料自給率の目標と動向 食料自給力指標の考え方と動向について記述します 1 食料自給率の目標と動向 供給熱量ベースは 1 ポイント低下の 38 生産額ベースは 2 ポイント上昇の 68 食料自給率の目標は 225 年度を目標 年度として 供給熱量ベースで 45 生 図表 単位 産額ベースで 73 と定められました 図 表 平成 年度の供給熱 量ベースは 小麦 てんさい等について天 候不順により生産量が減少したこと 魚介 類についてサバ類等の漁獲量が減少したこ と等から 前年度に比べ 1 ポイント低下の 38 となりました 生産額ベースは 野 菜と果実について輸入額が減少した一方で 生産額が増加したこと等から 前年度に比 べ 2 ポイント上昇の 68 となりました 主要品目の生産量の動きを見ると 平成 年度は さとうきび 飼料用 食料自給率等の実績値と目標 平成 年度 216 目標 概算値 供給熱 量ベー スの総 合食料 自給率 生産額 ベース の総合 食料自 給率 飼料 自給率 資料 農林水産省 食料 農業 農村基本計画 食料需給表 注 年度における生産額ベースの総合食料自給率は 各 品目の単価が平成 年度と同水準として試算 2 飼料自給率は 粗飼料及び濃厚飼料を可消化養分総量 TDN に換算して算出 米 かんしょ等で増加した一方で 小麦 てんさい ばれいしょ等で減少しました 図表 図表 主要品目における生産量の実績 生産努力目標 目標比率 単位 万t 米 米粉用米 飼料用米 小麦 大豆 かんしょ ばれいしょ 野菜 果実 てんさい さとうきび 生乳 牛肉 豚肉 鶏肉 鶏卵 飼料作物 平成 25 年度 213 基準年度 , , , 資料 農林水産省 食料 農業 農村基本計画 食料需給表 農林水産省調べ 注 1 米は米粉用米 飼料用米を除く 2 飼料作物の単位は万 TDNt 1 2 用語の解説 3 1 を参照 , 目標年度 , 平成 28 年度 216 目標比率

71 平成 年における農作物の作 図表 付延べ面積は 水稲 野菜 果樹等を中心 単位 万 ha に減少し 前年に比べ 2 万 5 千 ha.6 平成 年 見通し 213 減少の 41 万 2 千 ha となりました 1 図表 この結果 耕地利用率は前年と同 率の 92 となりました 作付延べ面積の拡大に向けては 二毛作 等により農地の有効利用を図るとともに 担い手に対し農地の集積 集約化 を進め ていくことが重要です 農地 面積 作付延 べ面積 耕地 利用率 第1 章 2 農地 作付延べ面積 耕地利用率の 実績値と見通し 資料 農林水産省 食料 農業 農村基本計画 耕地及び作付面 積統計 食料自給率の目標の達成に向けては 各品目の生産努力目標を達成することが重要で す 平成 年度の生産量に対する 225 年度の生産努力目標の比率を見ると 基準年度から目標年度にかけて増産を目指す品目のうち かんしょ 果実 さとうきび 生乳では 9 以上達成しており 全体の中でも比較的高くなっています 一方 米粉用 米 飼料用米 飼料作物 大豆等では生産努力目標の達成に向けて更なる増産が必要と なっており 多収米品種の導入等による収量の向上 飼料生産組織の育成 活用 排水対 策等による収量 品質の高位安定等の品目ごとの課題解決に向けて取組の一層の強化が求 められます 長期的には低下傾向で 近年は一定の範囲で推移 我が国の食料自給率は 長期的に低下傾向で推移してきましたが 近年では 供給熱量 ベースは平成 年度以降 4 前後で 生産額ベースは平成 年度以降 ほぼ 6 台後半から 7 台前半の範囲で それぞれ推移しています 図表 図表 我が国の総合食料自給率 生産額ベースの総合食料自給率 供給熱量ベースの総合食料自給率 2 1 昭和 年度 平成3 8 概算値 資料 農林水産省 食料需給表 1 作物別の作付面積は 第 2 章第 3 節 2 から 1 までを参照 2 用語の解説 3 1 を参照 45

72 第1節 食料自給率と食料自給力指標 供給熱量ベースの総合食料自給率の低下 が続いたのは 食生活の多様化が進み 国 図表 消費者に対する働き掛けの一例 食料 自給率の消費者向けパンフレットより 産で需要量を満たすことのできる米の消費 量が減少する一方で 飼料や原料を海外に 依存せざるを得ない畜産物や油脂類の消費 量が増加したことが主な要因です また 近年 横ばいとなっているのは 人口減少 や高齢化の進行により国内消費 分母 が し 減少傾向で推移してきた中で 消費者の嗜 こう 資料 農林水産省作成 注 国産米粉パンを含む米粉の普及に向けたノングルテン認証制 度の創設や用途別基準等については第 2 章第 3 節 2 米を参 照 好の変化や実需者のニーズに十分に対応で きずに国内生産 分子 の減少も続いていることが要因です 食料自給率の向上に向けては 農地の確保や集積 集約化 担い手の育成 確保等によ る国内農業の生産拡大とともに 消費者に対する国産農産物の消費拡大に向けた働き掛け 等による国産農産物の国内外での需要拡大を図ることが重要です 図表 年農林業センサスでは 7 代となった昭和 1 年代生まれの世代が 基幹的農業従 事者 1 の 3 割を占めており 今後 この世代のリタイアにより労働力の減少が急激に進む と見込まれています このような中 国内農業の生産拡大を図っていくためには 農作業 の効率化につながる農地の集積 集約化とともに 農作業の省力化を実現する AI2 IoT3 ロボット技術の開発 普及 労働時間の平準化に資するデータの活用等により 労働生産 性を向上させていくことが重要です また 新たな販路の開拓は国内農業の生産拡大の契機となり得ることから 世界需要も 視野に入れた農業経営が国内に広がり 農産物の輸出とともに農業生産が拡大すること で 食料自給率の向上につながることが期待されます 2 食料自給力指標の考え方と動向 食料の潜在生産能力の大きさを数値化したものが食料自給力指標 ひっぱく 世界の食料需給が中長期的には逼迫も懸念される中 食料の多くを海外に依存している 我が国では 食料安全保障 4 の観点から 国内の農地等を最大限活用することで どの程 度の食料が得られるのかという食料の潜在生産能力 食料自給力 を評価しておくことが 重要です 食料の潜在生産能力の大きさを数値で示すため その時点における農地と平均単収等を 基に 食料の供給熱量の最大値を 1 人 1 日当たりの値として試算したものが食料自給力指 標です 食料自給率では 現実に生産された食料作物の生産実績をもって算定がなされることか ら 非食用作物が栽培された農地の持つ食料の潜在生産能力を評価できません 一方 食 料自給力指標では 現実と切り離された一定の仮定の下で 全ての農地に米 小麦 大豆 やいも類を中心に作付けすることを想定した試算を行うことで 非食用作物が栽培された 農地 さらには荒廃の程度が比較的軽く再生利用可能な荒廃農地 5 も含め 食料の潜在生 産能力を評価し 指標に反映させることができます 図表 用語の解説 を参照 2 3 用語の解説 3 2 を参照 4 5 用語の解説 3 1 を参照 46

73 図表 食料自給力指標の考え方 引き続き 作付け 食料自給力指標 作物を栽培して いる農地 食用作物 を作付け 花等の非食用作物を 栽培している農地 いも類 試算の前提 ① ② ③ 再び作物 を作付け 荒廃農地 再生利用可能部分 生産転換に要する期間は考慮しない 農林水産業生産に必要な労働力は確保され ている 肥料 農薬 化石燃料 種子 農業用水及 び農業機械等の生産要素 飼料を除く については 国内の農林水産業生産に十分 な量が確保されているとともに 農業水利 施設等の生産基盤が適切に保全管理 整備 され その機能が持続的に発揮されてい る 第1 章 二毛作可能地等の全てで 農地を最大限に活用 米 小麦 大豆 資料 農林水産省作成 食料自給力指標が低下する中 農地の面積確保と単収の高位安定化が重要 平成 年度の食料自給力指標の試算で用いた農地は 447 万 ha 再生利用可 能な荒廃農地は 12 万 4 千 ha1 となり これらの面積を前提として 米 小麦 大豆を中 心とした作付け と いも類を中心とした作付け の試算を行っています 平成 年度の食料自給力指標は 米 小麦 大豆を中心とした作付け で は前年度に比べ 13kcal/ 人 日減少の 1,814kcal/ 人 日 いも類を中心とした作付け では同 27kcal/ 人 日減少の 2,66kcal/ 人 日となりました 図表 日本人の平 均的な 1 人当たりの推定エネルギー必要量 22,147kcal/ 人 日と比較すると 供給熱量を 重視する いも類を中心とした作付け ではこれを超える一方 より私たちの食生活に近 い 米 小麦 大豆を中心とした作付け ではこれを下回ります 図表 食料自給力指標の前提となる農地等と試算結果 平成 年度 概算値 農地 農地と荒廃農地 荒廃農地 16. 万 ha 12.4 万 ha 再生利用可能 再生利用困難 万 ha 食料自給力指標の前提 米 小麦 大豆 を中心に作付け 1,814 推定エネルギー 必要量 2,147 いも類 を中心に作付け 2,66 5 1, 1,5 2, 2,5 3, kcal/人 日 資料 農林水産省 食料自給力指標の手引き 注 食料自給力指標の試算結果には 上記の 2 パターンのほか 以下の 2 パターンがある ①栄養バランスを考慮し 米 小麦 大豆を中心に作付けした試算値 1,449kcal/ 人 日 ②栄養バランスを考慮し いも類を中心に作付けした試算値 2,339kcal/ 人 日 1 農林水産省 荒廃農地の発生 解消状況に関する調査 平成 年 2 比較的短期間の場合には そのときの体重を保つ 増加も減少もしない ために適当なエネルギー の推定値 平成 年度の値 2,147kcal/ 人 日は 日本人の食事摂取基準 215 年版 にある性別 年齢階層別の値を 人口で加 重平均したもの 47

74 第1節 食料自給率と食料自給力指標 また 食料自給力指標は 供給熱量ベースの総合食料自給率が近年ほぼ横ばいで推移す る中 農地面積の減少や単収の伸び悩み等により低下傾向で推移しています 図表 将来における世界の食料需給に不安定要素が存在する中 平素から我が国における食料 自給力の維持向上に努める必要があります このため 農業生産においては 農地につい て 担い手に対する集積 集約化 荒廃農地の再生等による面積の確保を 単収につい て 新品種 新技術の開発 導入 輪作体系の最適化 排水対策の実践等による高位安定 化をそれぞれ図っていくことが重要です 他方 食料消費においては 食料自給力指標の認知度向上等を通じ 食料の潜在生産能 力の低下が危惧される状況について国民の理解を深めていくことが重要です その上で 国産農産物の消費拡大に向けた国民の具体的な行動が期待されます 図表 食料自給力指標等の推移 kcal/人 日 再生利用可能な荒廃農地に おいても作付けする場合 * いも類を中心に作付け 3, 3,47 2,8 2,6 食料自給 力指標は 2,4 2,2 2,18 2, 1,8 1,6 2,66 2, 低下傾向 米 小麦 大豆を中心に作付け 供給熱量ベースの 総合食料自給率 41 4 食料自給率は 2 年間ほぼ横ばいで推移 1,814 1,77 38 平元 2 3 4 5 6 7 8 9 資料 農林水産省作成 注 1 * 荒廃農地の調査は平成 年度から行われていることから 同年度以降のみ 2 栄養バランスを考慮した残り 2 つの作付けパターンも同様に低下傾向で推移 48 で推移 年度

75 第 2節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 将来 食料の国内需要は減少が進み 世界需要は増加が見込まれています 以下では 食料の世界需要の獲得に向けた農林水産物 食品の輸出促進 輸出の拡大に資する日本 食 食文化の海外展開と規格 認証 知的財産の活用等について記述します 1 農林水産物 食品の輸出促進 第1 章 輸出額は 5 年連続で増加 平成 年の農林水産物 食品の輸出額は 前年に比べ 億円 増 加の 8,71 億円となり 5 年連続で過去最高を更新しました 図表 農林水産物別の内訳を見ると 農産物は前年に比べ 億円 増加 林産物は 同 億円 増加 水産物は同 億円 増加となっており 水産物の 伸びが小幅にとどまったのはホタテ貝の生産減少に伴う輸出額減少が大きく影響していま す 図表 国 地域別の内訳を見ると 輸出額第 5 位の韓国は前年に比べ 億円 増加 第 3 位の中国は同 億円 増加と大きな伸びとなったもの の 第 4 位の台湾は同 億円 減少となり 第 1 位の香港は 億円 の増加にとどまりました 台湾向けが減少したのはりんごの生産量の減少に伴う輸出額減 少が大きく影響しています 農林水産物の中には輸出額の伸びが全体の 8.1 を大きく超えた品目も見られ なかで も 牛肉 植木等 緑茶 米 1 いちご等は過去最高の輸出額となりました 図表 農林水産物 食品の輸出額 億円 9, 8, 農産物 7, 林産物 水産物 6,117 6, 5, 4, 3, 5,55 4,454 1, ,92 1, ,511 4,497 1,736 1, , 1, 2,637 2,865 2,652 2,68 平成 21 年 , , ,337 7,451 7,52 2,757 2, ,431 4, ,71 2, , , 資料 財務省 貿易統計 を基に農林水産省で作成 1 政府による食糧援助の米を除く 49

76 第 2 節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 図表 主な国 地域と主な品目別の農林水産物 食品の輸出額 ( 国 地域別 ) ( 品目別 ) ( 単位 : 億円 ) ( 単位 : 億円 ) 国 地域 平成 28 年 (216) 29 (217) 増減率 (%) 世界 7,52 8, アジア 5,539 5, 香港 ( 真珠 なまこ ( 調製 ) たばこ ) 1,853 1, 中国 ( ホタテ貝 丸太 植木等 ) 899 1, 台湾 ( りんご アルコール飲料 ソース混合調味料 ) 5 韓国 ( アルコール飲料 ホタテ貝 ソース混合調味料 ) アセアン 1,177 1, ベトナム ( 粉乳 植木等 かつ お まぐろ類 ) 7タイ ( 豚の皮 かつお まぐろ 類 さば ) 8シンガポール ( アルコール飲料 牛肉 ソース混 合調味料 ) 1フィリピン ( 合板 製材 さば ) マレーシア インドネシア カンボジア GCC( 湾岸 6か国 ) アラブ首長国連邦 北米 1,149 1, 米国 ( ぶり アルコール飲料 ソー 1,45 1, ス混合調味料 ) カナダ 欧州 EU オランダ フランス 英国 ドイツ ロシア 大洋州 豪州 ( 清涼飲料水 アルコール飲料 ソース混合調味料 ) アフリカ ナイジェリア 南米 品目 平成 28 年 (216) 29 (217) 増減率 (%) 農林水産物 7,52 8, 農産物 4,593 4, 加工食品 ( アルコール飲料 調味料 清涼飲料 2,355 2, 水 菓子等 ) 畜産品 ( 食肉 酪農品 鶏卵 牛 豚等の 皮等 ) 穀物等 ( 小麦粉 米等 ) 野菜 果実等 ( 青果物 果汁 野 菜 果実の缶詰等 ) その他農産物 ( たばこ 播種用の種 花き 茶等 ) 林産物 ( 丸太 製材 合板等 ) 水産物 2,64 2, 水産物 ( 調製品除く ) ( 生鮮魚介類 真珠 1,954 2, ( 天然 養殖 ) 等 ) 水産調製品 ( 水産缶詰 練り製品 ( 魚肉ソーセージ等 ) 等 ) 資料 : 財務省 貿易統計 を基に農林水産省で作成注 : 国 地域別の表において 国 地域 欄に 1~1 を付した国 地域は 平成 29(217) 年の輸出先上位 1 か国 地域 うち ( ) 内は主な輸出品目 5

77 平成 年における輸出額の割合を国 地域別に見ると 香港 23.3 米国 13.8 中国 12.5 台湾 1.4 と続いており アジアの国 地域が 73.1 を占めてい ます 図表 また 品目別に見ると 農産物が 61.5 水産物が 34.1 林産物 が 4.4 を占めています 図表 輸出額の国 地域別と品目別の割合 平成 年 国 地域別 その他.9 北米 米国 その他 6.6 農林水産物 食品の輸出額 8,71 億円 シンガポール 3.2 タイ 4.8 ベトナム 4.9 韓国 7.4 水産調製品 8.7 香港 23.3 アジア 73.1 中国 12.5 水産物 水産物 34.1 調製品 農林水産物 を除く 食品の輸出額 ,71 億円 台湾 1.4 林産物 4.4 その他 12. 第1 章 その他 EU その他 欧州 6.5 品目別 加工食品 32.7 農産物 61.5 畜産品 7.8 野菜 果実等 4.5 穀物等 4.6 資料 財務省 貿易統計 を基に農林水産省で作成 農林水産物 食品の輸出額については 平成 年に 1 兆円とする目標を設定 しており これを達成するには 年率 11.3 のペースで輸出額を伸ばしていく必要があ ります このため 国が策定した 農林水産業の輸出力強化戦略 と 農林水産物輸出イ ンフラ整備プログラム に基づき 政府と民間が一丸となって取組を着実に実施していく とともに 農林水産物 食品の輸出拡大に必要なハード面 ソフト面のインフラ整備を強 力に進めていくこととしています このような中 農林水産省では 米輸出の飛躍的な拡大に向けて 平成 年 9 月に コメ海外市場拡大戦略プロジェクト を立ち上げました 図表 同プロ ジェクトにおいて 平成 年までに米の輸出量を 1 万t 1 とする目標を掲げ 米輸出に取り組む事業者と輸出用米の安定的な生産に取り組む産地の結び付きを強化 拡 大するとともに 輸出事業者が重点的に輸出を拡大する国 地域におけるプロモーション 等を実施していくこととしています 同プロジェクトでは 平成 年度末時点 で 53 の輸出事業者と 246 の産地が参加しており 今後 輸出事業者による海外の具体 的な需要先の開拓を支援するとともに 輸出事業者と産地を結び付け 海外需要に応じた 輸出用米の生産を後押ししていくこととしています また 平成 年 1 月に 我が国で世界中のバイヤーと直接商談できる 日 本の食品 輸出 EXPO が国内で初めて開催され 食品メーカーや商社など 3 社以上 が出展し 7 を超える国 地域の海外バイヤー 国内の輸出商等多数の来場者と輸出に 向けた商談が行われました 1 米菓 日本酒等の原料米換算分を含む 平成 年は 2.4 万t 51

78 第2節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 図表 コメ海外市場拡大戦略プロジェクトの概要 1 戦略的輸出事業者 産地と事業者の 結び付きの強化 拡大 2 戦略的輸出基地 産地 連携したプロモーション等 の実施 コメ輸出の飛躍的拡大 3 戦略的輸出ターゲット国 目標 1 万トン 米菓 日本酒等の原料米換算分を含む 資料 農林水産省作成 さらに ハード面では 空港や港湾に近い卸売市場 生産物の流通 加工施設等におい て 検疫 食品規制等への対応 品質や鮮度保持への対応 積替えや再こん包の手間 コ ストの削減といった機能を重視した施設整備等が進められており 平成 年度 末までに 17 施設が稼働しました 一方 ソフト面では 日本産の農林水産物 食品のブラン ディングのためにオールジャパンでのプロモーションを消費 者向けに行うため 日本食品海外プロモーションセンター JFOODO1 が平成 年 4 月に創設されました JFOODO では 食品や海外マーケット等に精通した人材で体 制を構築するとともに 同年 12 月には和牛 水産物 緑茶 日本酒等 7 つのテーマについてプロモーション戦略を公表し 事業者等と協力しながら順次取組を実行しています 日本産和牛の試食の様子 1 The Japan Food Product Overseas Promotion Center の略 52

79 事例 小型のサツマイモ生産への転換で 輸出を飛躍的に拡大 宮崎県 くし ま し 宮崎県串間市でサツマイモを生産する株式会社くしまアオ 熊本県 いけ だ まこと イファームの代表池田誠さんは 国内での店頭催事で いも こ うね 成 年に 小畝密植栽培 を導入し 小型のいも 宮崎県 鹿児島県 が大きすぎて食べきれない と言われたことをヒントに 平 串間市 生産へ転換を図りました 第1 章 海外でも小型のいもが売れると聞いていた池田代表は 同 時期にシンガポール 香港 台湾の外資系スーパーに売り込 みを行ったところ 小型のサイズが功を奏し 輸出量は平成 年の 17 tから平成 年には年間総出 荷量の 1 割に相当する 3 tへと飛躍的に拡大しました 平成 年度には自社の出荷施設内に非破壊糖度 測定器を導入することで サイズだけでなく 食味の良さに もこだわった販売が可能となりました 池田代表は 今後 自社の規模拡大とともに 地域の農家 との契約栽培を広げることで出荷量の増加を図り 22 年 代表の池田誠さん に世界 1 か国へ 3 千tのサツマイモ輸出を目指しています 事例 卸売会社の強みを活かし 米国向け切り花輸出をけん引 大阪府 なにわ花いちばは 販路の開拓を目指し 平成 2 28 しなぞろ 会社の強みが活かされ 現在 スイトピーやトルコギキョウ 等年間 2 種類以上の切り花が米国等に輸出されています 大阪市 大阪府 奈良県 年に切り花の輸出を開始しました 品揃えが豊富という卸売 兵庫県 京都府 おおさか し 大阪府大阪市の卸売市場内で卸売業を営んでいる株式会社 和歌山県 同社では 輸出向けの箱に花弁等を傷めることなく国内流通 の 3 倍程度の量の切り花を詰め込むリパックにより 切り花 1 本当たりの空輸コストを低減しています 平成 年 1 月に卸売市場の隣接地に輸出対応型 施設が完成したことで これまで作業場所が分散していた保 冷 除湿 殺菌 こん包の作業が短時間で済むようになり 品質の高さと日持ちの良さをよりアピールできるようになり ました 輸出の主力のスイトピー 米国向けの切り花輸出における同社のシェアは 9 割となっていますが 同社は米国向け輸出 を増やすことで 平成 年度の輸出額約 2 億円を 221 年度に 5 億 5 千万円まで拡 大することを目指しています 53

80 第2節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 残留農薬 HACCP 等輸出についての様々なルールへの適合 農産物の輸出に際しては それぞれの輸出先国 地域の政府が定めた 食品安全を始め とする様々なルールに適合する必要があります 食品中の残留農薬については 日本国内では残留基準を満たし流通が認められている食 品であっても 輸出先国 地域によっては 特定の農薬に関し自国の残留基準が設定され ていないことを理由に輸入を認めない場合があります このような場合 農業生産におい て特定の農薬の使用を回避する工夫が重要となりますが どうしても使用せざるを得ない ものについては 輸出先国 地域に対し 輸入食品用の当該農薬の残留基準 インポート トレランス の設定を求めていく必要があります 政府が台湾に申請した件数は 平成 年度末時点で 286 件となり このうち 128 件で残留基準が設定されました また 農林水産省では 事業者等がインポートトレランスの申請を行う際に必要となる残 留農薬分析や作物残留試験等の費用を支援しており この支援を活用した茶の関連団体は 平成 年度末時点で米国に対して 7 件 EU に対して 1 件の申請を行い この うち米国で 2 件残留基準が設定されました 食肉では と畜場等が輸出先国 地域の求める HACCP 危害要因分析 重要管理点 1 等の衛生基準を満たしていることを求められます 輸出の要件を満たすと畜場等は 平成 年度末時点で 牛肉では香港向けが 1 施設 米国向けが 1 施設等となって います EU 向けの畜産物 畜産加工品では あらかじめ欧州委員会が作成する輸入承認リスト への原産国としての掲載を求められます 我が国は 平成 年度末時点で 牛 肉等一部の品目で掲載済みとなっており 豚肉 鶏肉 鶏卵 乳製品では掲載に向けて EU 側による疾病リスクの評価を受けている状況です 以上のような食品安全に関するルールに加え イスラム圏向けの畜産物 畜産加工品で は ハラール認証 2 を取得したものであることを求められる場合があります 動植物検疫は 5 か国 地域 7 品目で解禁 農畜産物を輸出する際には 輸出先国 地域が求める検疫条件に従う必要があります このため 農林水産省では 検疫上の理由から輸出ができない あるいは検疫条件が厳し い品目について 農林水産業の輸出力強化戦略を踏まえて 当該国 地域の当局との動植 物検疫の協議を重点的かつ戦略的に進めていくこととしています 動植物検疫に関する輸出解禁は 産地の要望を踏ま え 農林水産省が相手国 地域への解禁要請を行った 後 相手国 地域で疾病や病害虫のリスク評価がなさ れ さらに検疫条件の協議を経て行われます 図表 これまでの技術的協議を積重ねてきた結果 農産物 については 平成 年 9 月に米国向けかき 柿 の輸出が解禁されました 同年 12 月に和歌山県 の米国向けかき 柿 生産園地で生産されたかき 柿 の初輸出が行われ 平成 年 1 月には 米 1 用語の解説 3 2 を参照 2 用語の解説 3 1 を参照 54 植物防疫官による米国向けかき 柿 の 輸出検査の様子

81 国での販売促進イベント等で PR が行われました さらに 同年 1 月には くん蒸処理を 行わない方式での豪州向けかき 柿 の輸出解禁が実現するとともに EU 向けかんきつ 類も園地の検査が不要となり輸出に取り組みやすくなりました 畜産物については 平成 年 9 月に台湾向け牛肉 同年 11 月にはマレーシ ア向けの牛肉等が解禁されました 同年 11 月には 米国向け牛肉について 輸出検疫証 明書が添付されているお土産等の個人消費用携帯品であれば 国内の空港等に設置された 動物検疫所の検疫手続を経ずに持ち出すことが可能となりました また 平成 年 11 月以降に発生した高病原性鳥インフルエンザの影響で輸 第1 章 出が停止された家きん肉等については 平成 年 6 月に国際獣疫事務局 OIE1 が定める同病の清浄国に復帰したことを受け 発生地域を含め 全国で輸出再開が認めら れました 平成 年 1 月に再び国内で高病原性鳥インフルエンザが発生し 2 輸 出が一時停止となりましたが 輸出先国 地域に対し疾病の発生や防疫措置についての情 報提供等を行った結果 数日中に発生地域以外の家きん肉の輸出が認められたことから 影響は最小限に抑えられました 図表 輸出解禁に向けた動植物検疫協議の手続の流れ 相手国 地域への 解禁要請 要請段階の例 インドネシア 鶏肉 韓国 牛肉 豚肉 台湾 鶏卵 フィリピン 豚肉 鶏肉 米国 ウリ科 相手国 地域における リスク評価 リスク評価段階の例 EU 黒松盆栽 錦松盆栽を含 む 豚肉 鶏肉 鶏卵 乳製品 カナダ もも 韓国 りんご なし タイ 玄米 豚肉 中国 牛肉 豚肉 鶏肉 鶏卵 米国 なし 全ての都道府県の 解禁 豚肉 ベトナム かんきつ類 ペルー なし 携帯品 検疫条件の協議 検疫協議段階の例 カナダ りんご 臭化メチルくん蒸等に代わる検疫措置の追加 韓国 鶏卵 豪州 りんご なし 臭化メチルくん蒸等に代わる検疫措置の追加 いちご 牛肉 タイ かんきつ類 生産地域の追加 中国 牛乳 乳製品 NZ かんきつ類 全品種解禁等 米国 りんご 輸出前臭化メチルくん蒸の廃止 鶏肉 鶏卵 ペルー いちご 携帯品 マレーシア 鶏肉 ロシア 牛肉 施設追加 輸出解禁済 平成 29 年度の実績例 EU かんきつ類 栽培地検査の撤廃 豪州 かき 柿 臭化メチルくん蒸に代わる検疫措置 常温保存可能牛肉製品 台湾 牛肉 米国 かき 柿 マレーシア 牛肉 資料 農林水産省作成 注 1 平成 年度末時点 2 台湾向け鶏卵は 平成 年 1 月に輸出が解禁しましたが 同年 1 月の我が国における 高病原性鳥インフルエンザ発 生により 輸出停止となり 解禁を要請中 1 用語の解説 3 2 を参照 2 第 1 章第 5 節 3 を参照 55

82 第2節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 放射性物質に関する輸入規制は 6 か国で撤廃 3 か国 地域で緩和 東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に伴い 多くの国 地域において 日本 産農林水産物 食品の輸入停止や放射性物質の検査証明書等の要求 検査の強化といった 輸入規制措置が実施されています 図表 これらの輸入規制措置を実施している国 地域に対し 我が国が実施している安全確保 のための措置やモニタリング結果等の科学的データ等の情報提供を行ってきた結果 平成 年度内も 輸入規制の撤廃 緩和の動きが見られました 図表 この結果 輸入規制を設けた 54 か国 地域のうち 27 か国が規制措置を撤廃しました 図表 主な輸出先国 地域の輸入停止措置 平成 年度末時点 国 地域 対象県 農林水産物 食品の輸出額 平成 年 主な対象品目 香港 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 千葉県 野菜 果実 牛乳 乳飲料 粉乳 1,877 億円 中国 * 宮城県 福島県 茨城県 栃木県 群馬 県 埼玉県 千葉県 東京都 新潟県 長野県 全ての食品 飼料 1,7 億円 台湾 韓国 シンガ ポール マカオ 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 千葉県 全ての食品 酒類を除く 日本国内で出荷制限措置がとられた県 日本国内で出荷制限措置がとられた品目 838 億円 青森県 岩手県 宮城県 福島県 茨城 県 栃木県 群馬県 千葉県 水産物 福島県 林産物 水産物 東京電力株式会社福島第一原子力発電所 周辺の 1 市町村 全ての食品と農産物 福島県 野菜 果物 乳製品 食肉 食肉加工品 卵 水産物 水産加工品 宮城県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉 県 千葉県 東京都 新潟県 長野県 野菜 果物 乳製品 597 億円 261 億円 38 億円 資料 農林水産省作成 注 1 中国当局は 上記輸入停止措置対象都県以外の 野菜 果実 乳 茶葉等 について 放射性物質検査証明書の添付による輸入を 認めているが 放射性物質の検査項目が合意されていないため 事実上輸入を停止している状態 2 上記 6 か国 地域のほか 米国 フィリピンの 2 か国は 日本国内において出荷制限措置がとられている品目を輸入停止 3 農林水産物 食品の輸出額は 我が国から当該国 地域へのもの 図表 国 地域 カタール 平成 年 4 月以降の主な輸出先国 地域の輸入規制措置緩和 撤廃の動き 平成 年度末時点 年月 概要 平成 年 4 月 規制撤廃 ウクライナ 4月 規制撤廃 ロシア 4月 青森県に所在する施設から出荷される水産物について 検査証明書の添付が 不要に 米国 9 月 11 月 福島県等 5 県産の牛乳 乳製品について 輸入時の 放射性物質に係る 安 全性証明が不要に 輸入停止 福島県等 一部の品目の解除等 パキスタン 1 月 規制撤廃 サウジアラビア 11 月 規制撤廃 アルゼンチン 12 月 規制撤廃 12 月 検査証明書及び産地証明書の対象地域及び対象品目が縮小 福島県のコメ等 を検査証明対象から除外等 EU* トルコ 平成 年 1 月 輸入時全ロット検査の対象品目が縮小 切り花 盆栽等を検査対象から除外 2月 規制撤廃 米国 3月 輸入停止 栃木県産のくり 解除 ロシア 3月 輸入停止 7 県産の水産物 岩手県等 6 県産の水産物については停止措置 を解除 福島県産の水産物については放射性物質検査証明書の添付を条件 に停止措置を解除 資料 農林水産省作成 注 スイス ノルウェー アイスランド リヒテンシュタイン 欧州自由貿易連合加盟国 も EU に準拠した規制緩和を実施 56

83 2 日本食 食文化の海外展開と規格 認証 知的財産の活用等 ア 日本食 食文化の海外展開 日本産農林水産物 食品に対する需要を拡大させるため 日本産食材の魅力を伝える日 本食 食文化を海外で定着させていくことが重要です 海外における日本食レストラン数は 2 年前の前回調査から 3 割増加 平成 年 1 月時点の海外における日本食レストランの数はこの 2 年間で 3 割 第1 章 増加し 約 11 万 8 千店となりました 図表 これを平成 年 1 月調査と 比べると約 2 倍となっており 海外での日本食 食文化への関心は一層高まっていること がうかがえます このような関心の高まりを追い風に 農林水産業の輸出力強化戦略に基づき 海外の飲 食店等を日本産食材の輸出拠点として活用しつつ 日本食 食文化の魅力を効果的に発信 し 輸出につなげることが重要です 図表 海外における日本食レストランの数 欧州 約 12,2 店 約 1,55 店から 2 割増 ロシア 約 2,4 店 約 1,85 店から 3 割増 北米 約 25,3 店 約 25,1 店から微増 アフリカ 約 35 店 約 3 店から 2 割増 中東 約 95 店 約 6 店から 6 割増 オセアニア 約 2,4 店 約 1,85 店から 3 割増 アジア 約 69,3 店 約 45,3 店から 5 割増 中南米 約 4,6 店 約 3,1 店から 5 割増 資料 外務省調べ 農林水産省推計 注 1 数値は平成 年 1 月時点 2 ( ) 内は平成 年 7 月時点の数値と増加した割合 日本産食材サポーター店は 2,931 店舗 調理技能認定は 47 人がそれぞれ認定 急増している海外の日本食レストラン等を日本産食材の輸出拠点として継続的に活用し ていくため 平成 年度に民間が主体となり 日本産食材を積極的に使用する 海外のレストランや小売店をサポーター店として認定する 日本産食材サポーター店認定 制度 と 海外の料理人の日本料理に関する知識 調理技能を習得度合いに応じて認定す る 調理技能認定制度 をそれぞれ創設し 認定を開始しました 57

84 第2節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 サポーター店については 平成 年度末時点で 香港 中国 タイ 米国 フランス シンガポール マレーシア カナダ等 35 の国 地域において 2,931 店舗が認 定されました 調理技能認定については 平成 年度末時点で 我が国の日本 料理店において実務経験があり 現在海外の日本食レストランに従事する者等 4 人が ゴールド に認定されたほか 168 人が シルバー 298 人が ブロンズ の合計 47 人が認定されました 農林水産省では 平成 年度までに サポーター店で 3 千店舗以上 調理技 能認定で 1 千人以上の認定を目指し 日本食普及イベント等で本制度を PR するとともに 在外公館や独立行政法人日本貿易振興機構 JETRO 等の協力を得ながら日本産食材の 魅力を発信し 認知度を高めていくこととしています 実務経験がおおむね2年 程度の者 日本料理学校等の卒業者 又は実務経験がおおむね 1 年程度の者 海外における日本産食材サポーター店認定制度の 認定ロゴマーク 調理技能認定制度の認定ロゴマークと基準 事例 日本料理の海外普及を夢に 外国人が日本料亭等で研修 京都府ほか デンマークの寿司レストランで寿司職人としての技能を学 んでいたラトビア人のエドガー シュトゥカさんは 我が国 成 年 6 月に来日しました 日本食 食文化普及人材育成支援協議会が行うプログラム 兵庫県 滋賀県 で外国人を対象とした日本料理の研修が行われると聞き 平 福井県 京都府 京都市 奈良県 に参加し 2 か月間の集団研修と6 か月間の著名な日本料理店 での技能研修を通じて日本料理の知識や調理技能 おもてな しの精神等を学んだシュトゥカさんは 研修最終日に行われ た試験に合格し 日本料理の調理技能認定制度におけるシル バー認定を受けました その後 シュトゥカさんはより高い知 識と技能の修得を目指し 同プログラムのゴールド認定を一 きょう と し エドガー シュトゥカさん つの目標に 京都府 京 都市の料亭で修行を続けています シュトゥカさんは 将来 デンマークに日本料理店を開き 我が国の食材だけでなく 畳や 食器等も使いながら 我が国で修得した日本料理の知識や技能等をデンマークの料理人に伝え ていきたいと夢を語っています 58

85 トップセールスやメディア等を活用した日本食 食文化の魅力発信 日本食 食文化の海外での定着に向けて 農林水産省では トップセールスや大型イベ ント等を通じた情報発信や 海外メディアを活用したプロモーション等を実施していま す 平成 年 9 月には ニューヨークでの国連総会の機会を捉え 観光庁 独 立行政法人国際観光振興機構 JNTO と連携して 我が国の地方と食の魅力をテーマに 日本食と訪日旅行への需要喚起を目的とした和食レセプションをニューヨーク歴史協会に おいて開催しました はつ ね また 平成 年 3 月には 世界的に有名なバーチャル シンガー 初音ミク 第1 章 が案内役を務めるプロモーション動画 OISHII TRIP を公開し 全国各地の食材や 料理の情報発信を始めました ニューヨーク歴史協会で開催された 和食レセプションの様子 日本食文化の魅力を発信するプロモーション動画 OISHII TRIP また これまで我が国への関心が必ずしも高くなかった人々を含めた世界の幅広い層に 対し 我が国の 正しい姿 や多様な魅力を発信しながら 親日派 知日派の裾野を拡大 していくことを目的に 海外における新たな発信拠点としてジャパン ハウスの開設が進 められています ジャパン ハウスは 平成 年 4 月にブラジルのサンパウロ 同年 12 月に米国のロサンゼルスで開設されたほか 今後 英国のロンドンでも開設が計 画されています 同拠点内に設置されたレストランでは我が国の農林水産物 食品を利用 した料理が提供され 日本食 食文化の魅力発信に貢献しています イ 規格 認証 知的財産の活用 食料の世界需要の獲得に向けては 農業者や食品産業事業者等が規格や認証等を戦略的 に活用できる環境づくりが重要です 農業者による GAP の実施と認証取得の拡大に向け 様々な動きが進展 GAP 農業生産工程管理 1 とは 農業において 食品安全 環境保全 労働安全等の 持続可能性を確保するための生産工程管理の取組です GAP を実施している農業者は 従業員の自主性の向上 販売先の信頼確保 資材の不良在庫の削減等の経営改善効果を得 た と 回 答 し て い ま す 図 表 さ ら に 農 業 者 が 第 三 者 機 関 の 審 査 を 受 け て GLOBALG.A.P.2 や ASIAGAP3 等の GAP 認証を取得することで GAP を正しく実施し ていることを客観的に証明できるようになります 1 3 用語の解説 3 2 を参照 59

86 第2節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 また GAP の実施と認証取得の拡大は 22 年東京オリンピック パラリンピック 図表 競技大会への国産農畜産物の供給の観点だ けでなく 輸出の拡大や農業の人材育成等 農業競争力の強化を図る観点からも極めて 重要です このため GAPを指導すること ができる人材を平成 年度中に1 千人以上確保すること GLOBALG.A.P. 1 ASIAGAP JGAP の認証取得済みの農業 経営体数を平成 年度末までに 平成 年 4 月末時点の 3 倍以上 2 に拡大 することを目標に掲げ 団体認証 の推進等により GAP の普及の推進と認証 の効率的な取得の拡大を図っています GAP 実施による経営改善効果 7 従業員の 自主性の向上 56 販売先への信頼 営業のしやすさ 資材の不良在庫 の削減 54 生産 販売計画の 立てやすさ 46 品質 等級 規格 の向上 44 0 資料 国立研究開発法人農業 食品産業技術総合研究機構 GAP 導 入 による経営改善効果に関するアンケート結果 平成 年1月公表 を基に農林水産省で作成 注 改善した と回答した者の割合 また GAP の意義や内容の理解を深めるための農業者向け説明会が全国で開催されて いるほか 農業高等学校や農業大学校等で GAP をカリキュラムに位置付けるなど農業を 目指す若者に対する GAP 教育の動きも進んでいます 平成 年度に初開催と なった 未来につながる持続可能な農業推進コンクール では GAP 部門の農林水産大 じょうえつ し ほ うみのうこう 臣賞に新潟県 上 越市の有限会社穂海農耕が選ばれました このほか 我が国発の GAP 認証である ASIAGAP については 輸出促進にもつながる よう国際規格化が進められています 平成 年 11 月に ASIAGAP を運営す る一般財団法人日本 GAP 協会が GFSI3 に対して承認申請を行ったところであり 早期の 承認に向け 官民をあげて取組を進めています 事例 作業事故の防止を目指し GLOBALG.A.P. の団体認証を取得 滋賀県 お う み はち まん し 滋賀県近 江八 幡 市の4つの集落営農組織で構成するグリーン おうみ おい そ 近江農業協同組合の老蘇集落営農連絡協議会は 平成 年8月に米176.5haでGLOBALG.A.P.の団体認証を取得しました 各組織においては 兼業農家が交代で農作業を担う中で事故 の防止が課題となっていましたが 認証取得に併せて農作業の 岐阜県 福井県 近江八幡市 京都府 滋賀県 三重県 マニュアルや記録簿等の見直しが行われたことで作業管理レベ ルの向上につながりました また 22 年東京オリンピック パラリンピック競技大会への食材供給を目指すことで農業者の モチベーションが高まる効果も見られ 協議会事務局の農協職 員はロットの大きさを強みに米の有利販売につなげたいと語っ ています 同協議会では 今後 麦と大豆で団体認証を取得し 地域の 認証取得時の審査の様子 ほぼ全ての農作物を GLOBALG.A.P. でカバーすることで よ り効率的な管理業務を実現するとともに 老蘇ブランドの確立を目指すとしています 1 3 用語の解説 3 2 を参照 2 平成 年 4 月末時点の GLOBALG.A.P. ASIAGAP JGAP の認証取得済みの農業経営体は 4,5 経営体 6

87 畜産物で GAP 認証がスタート 畜産物については 一般財団法人日本 GAP 協会により GAP 認証の仕組みと体制の整 備が進められています 平成 年 3 月に同協会が公表した JGAP 家畜 畜産物 の基準書に基づき 同年 8 月に JGAP 家畜 畜産物の認証が始まりました また JGAP 取得の準備段階として 同年 8 月 公益社団法人中央畜産会により GAP 取得チャ レンジシステムの確認が始まりました 平成 年 3 月末時点で JGAP 家畜 畜産物の認証取得件数は 26 件 GAP 取得チャレンジシステムの確認件数は 19 件 1 となっ ています 第1 章 事例 22 年を目指し 北海道初の JGAP 家畜 畜産物の認証を取得 北海道 め むろ ちょう おお の 北海道芽 室 町 で肉用牛の肥育を行っている株式会社大 野 北海道 おお の やす ひろ ファームの代表大野泰裕さんは 22 年東京オリンピック パラリンピック競技大会への自社牛肉の供給を目指し 平成 年 9 月に北海道で初となる JGAP 家畜 畜産物の 芽室町 認証を取得しました 同社では 約 4 千頭の肉用牛の飼育と 14ha の畑で飼料生産が行われており ふん尿から製造され た堆肥は自社の畑や地域内の農家で利用されています 認証の取得に際しては 農場運営 食品安全 家畜衛生 環 境保全 労働安全 人権 福祉 アニマルウェルフェアの 7 項 目に掲げられた各管理点への適合が求められ 大野代表は飼料 生産に使用する農薬保管庫の整備を行うことで全ての管理点が 求める基準に合格しました 代表の大野泰裕さん 大野代表は 今回の認証取得を牛肉の品質と付加価値の向上に役立てるとともに 就職希望 者の増加に向けた職場のイメージアップにつなげたいと考えています 農業者と食品関連事業者で GAP の取組に関する共通認識を醸成 GAP の実施と認証取得の拡大に向けては 食品製造 卸売 小売 外食 中食等の食 品関連事業者の理解が不可欠です しかしながら 農林水産省が食品関連事業者を対象に 実施した調査では GAP の認知度について GAP を知っていた と回答した割合は 4. であり GAP 認証取得等農畜産物 2 を仕入れている食品関連事業者の割合は合計 16.4 であることが明らかになりました 図表 このような中 農林水産省では 平成 年度に農業者と食品関連事業者を集 めた GAP の価値を共有するフードチェーン連携パートナー会 を 3 回開催し GAP の 取組に関する共通認識の醸成や情報の共有等を図り 消費者 3 も含めたフードチェーン全 体で GAP の認知度の向上や価値の共有化を図っていくこととしています 1 このうち 11 件は JGAP 家畜 畜産物の認証を取得済み 2 GLOBALG.A.P. ASIAGAP JGAP を取得した農場 都道府県 GAP GAP チャレンジシステムに取り組む農場で生産さ れた農畜産物 3 平成 年 2 月に消費者を対象に実施した調査では GAP を知っていた と回答した割合は 5.4 にとどまる一方 国内の食品関係企業が農畜産物の取引に当たって GAP 認証を取引の要件としたり 優先的に取引することについて 評 価する と回答した割合は 56.4 であった 国内の 2 歳以上 69 歳以下の男女を対象に実施 有効回答数 2, 61

88 第2節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 図表 食品産業における GAP の認知度 取引要件化等の有無 聞いたことはあるが 内容は知らなかった 知っていた 4. GAP の認知度 知らなかった 無回答.1 取引要件にして 仕入れている 取引要件ではないが 優先的に仕入れている 取引要件や優先取引要件とはしていないが 仕入れている GAP 認証取得等 2.3 農畜産物の 仕入れの有無 仕入れている 仕入れていない 4 分からない 無回答 資料 農林水産省 平成 29 年度食品産業動態調査 平成 年 3 月公表 注 有効回答があった事業者数は 1,66 内訳は 食品製造業 348 食品卸売業 363 食品小売業 284 外食業 71 HACCP の実施を含む日本発の食品安全管理規格について GFSI に承認申請 HACCP とは 食品の製造 加工工程のあらゆる段階で発生のおそれのある微生物汚染 等の危害要因を分析し 危害の防止につながる特に重要な工程を継続的に監視 記録する 衛生管理のシステムです HACCP を導入することで 問題のある食品の出荷を効果的に 未然防止できることなどが期待され 世界においても HACCP 導入義務化の動きが広がっ ています また 取引の中で HACCP を含む認証の取得を求められることも増えており 国際的に通用する認証を取得することで 海外バイヤーとの食品の取引が円滑にできる可 能性があります 国内では 高齢化の進行により食中毒のり患や重症化のリスクが高まっていくことも懸 念されており また 異物混入による食品の回収事例の告知件数も増加傾向にあります このような国内での状況と 国際標準との整合性の観点から 厚生労働省は 全ての食品 等事業者に対する HACCP に沿った衛生管理の制度化の検討を進めています 農林水産省は 制度化を見据え HACCP 導入に向けた人材育成研修や HACCP 手引 書作成に対する支援 施設整備等に対する政策融資により 中小企業における HACCP の導入を支援しています 一方 国内には地方公共団体や業界団体による様々な HACCP 認証の仕組みが存在し ていますが 必ずしも国際規格となることを意識して設けられたものではありません こ のような中 一般財団法人食品安全マネジメント協会 JFSM は 国際取引に使われる 食品安全規格である JFS-C 製造セクター とその認証の仕組みを策定し 平成 年 9 月に GFSI に対し承認申請を行いました この日本発の食品安全管理規格が 承認されることで 我が国の規格の国際的な標準化過程への参画につながることが期待さ れます 62

89 また JFSM では 一般衛生管理を中心 とした規格 JFS-A 製造セクター と 図表 JFS 製造セクター 規格の概要 これに HACCP の要求事項を全て含んだ 国際取引に 使われる 規格 JFS-B 製造セクター の策定も 行っています 図表 ためにも 日本発の食品安全管理規格の充 一般衛生 管理 第1 章 A規格 実と普及等が重要となっています 段階 HACCP の 実施を含む B規格 安全に要するコストの最適化を図っていく C規格 中小事業者の食品安全の取組向上や食品 要求事項の種類 資料 農林水産省作成 コラム 我が国で初の開催となった GFSI 世界食品安全会議 218 GFSI 世界食品安全会議は 平成 年以降 欧 米を中心に 世界の食品関係企業の食品安全に係る知見の向 上とネットワークの構築等を目的に毎年開催されてきました 17 回目となった平成 年 3 月の 世界食品安全会 議 218 は 我が国で初の開催となり 開催地の東京に世 界 52 か国から関係事業者 専門家 政府関係者ら約 1,2 人が集まりました 同会議では 官民が連携して食品安全に取り組むことの必 会議における農林水産大臣の スピーチの様子 要性 ビッグデータ の活用や新たなテクノロジーを活用し たサプライチェーン全体での透明性の向上 事業者における食品安全文化の形成の重要性等が 議論されました 同会議において我が国は 我が国の食文化と食品安全について紹介するとともに 食品安全 管理の標準化や認証の活用 人材育成を推進することで 世界の食品安全の向上に貢献してい くとのメッセージを発しました 我が国で同会議が開催されたことにより 我が国の食品関係事業者が世界の食品安全に関す る議論を知るまたとない機会となりました 用語の解説 3 1 を参照 63

90 第2節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 JAS 法の改正を受けて 切り花の日持ち生産管理等 3 つの新規格を制定 従来の JAS 制度は 国が設けた食品 農林水産品の品質に関する規格 JAS 規格 によ り第三者機関が認証を行うことで 一定の品質を保証する公的枠組みとして 粗悪品を排 除し市場に出回る商品の品質の改善に寄与してきました しかし 近年 商品の品質が総じて高まる中 品質以外の価値が商品選択において重視 されるようになっています また 食品 農林水産品の海外展開が課題となる中 食文化 や商慣行が異なる海外市場において その産品になじみのない取引相手に 日本産品の品 質や特色 事業者の技術や取組等を訴求する際に 規格 認証の活用が重要かつ有効と なっています 平成 年 6 月に施行された改正後の JAS 法 1 では これまで品質基準に限定さ れてきた JAS 規格の対象を 産品の生産方法や試験方法 事業者の取扱方法まで拡大する とともに 事業者 団体 産地等の提案を受けて新たな規格を制定する枠組みが整備され ました 図表 この法改正により 我が国特有の 強み が JAS 規格として見え る化され 海外との取引で活用されることにより バイヤーへのアピールに役立つことが 期待されます 改正後の JAS 制度においては 平成 年 8 月に JAS 規格の制定 に至るまでの手順をまとめた JAS 規格原案作成マニュアル が公表されるとともに 同 年 8 月以降 全国各地の説明会で制度の周知が図られました 新たな JAS 規格については 22 年までに 2 規格以上の制定を目指しており 平成 年 3 月には 切り花 における日持ち生産管理 べにふうき茶とうんしゅうみかんにおける機能性成分の定量試 験方法の規格が新たに制定されました JAS 規格の国際化に向けては 国内外の企業や海外に進出している日系企業等に対する JAS 規格活用に向けた支援 アジア各国との協力関係の構築に向けた働き掛け 研修会等 を通じた専門人材の育成を進めるとともに 新たな JAS 規格の検討作業においてコーデッ クス規格や ISO2 規格の考え方を積極的に取り込んでいくこととしています 1 正式名称は 日本農林規格等に関する法律 2 国際標準化機構 International Organization for Standardization の略 64

91 図表 JAS 規格等制定の流れ 規格化の事前相談 農林水産省及び独立行政法人農林水産消費安全技術センター FAMIC に窓口 プロジェクトチームの編成 官民連携 基本方針の設定 共有 目標の設定 検討の進め方 国際化の枠組 方法 合意形成 ロビイングの方法等を含む など 同内容 若しくは必要 に応じて改変 技術的データの収集 規格基準値の作成 関係者間の調整 など 第1 章 JAS 規格原案作成 英文規格作成 国際化対応 事業者の協力 参画の取付け 普及を見据えたアジア諸国のコミッ ト確保 ロビイング など 国際規格提案 JAS 原案の申出 国際化対応がない 場合もあり得る JAS 規格案 国際会議出席 通商弘報 6 日間 パブコメ 3 日間 JAS 調査会 国際規格制定 JAS 規格制定 告示 制度の拡充を受けて新たに制定された JAS 規格 規格 活用における利点 規格認証品は 日持ち性に優れた切り花として内外に広 く訴求が可能に 1 日持ち生産管理切り花の日本農林規格 2 べにふうき緑茶中のメチル化カテキンの定量 高速液体 クロマトグラフ法の日本農林規格 3 ウンシュウミカン中のβ クリプトキサンチンの定量 高速液体クロマトグラフ法の日本農林規格 日本産品の優位性の客観的な説明 証明が可能に データを活用した特長の説明 証明に当たり 試験方法 を個々に開発する必要がなくなり 事業者の負担軽減が 期待 資料 農林水産省作成 注 平成 年度末時点 地理的表示の登録は 34 道府県に拡大 地理的表示 GI1 保護制度とは 地域ならではの特徴的な産品を知的財産として保護 する仕組みであり 同制度を活用した産地では 販売先の拡大や担い手の増加等の効果が え ど さき つらじま や め でんとうほんぎょく ろ 現れています 江戸崎かぼちゃ 連島ごぼう や 八女伝統本 玉 露 は価格の上昇 いち だ がき くろさき茶豆 は首都圏の加工業者からの引き合い増加 市田柿 は台湾 香港 タイ 等への輸出の本格化等の販売面での効果が見られました 鳥取砂丘らっきょう や あ 1 Geographical Indication の略 65

92 第2節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 おもりカシス では担い手が増加するといった効果が見られました 地理的表示については 22 年までに各都道府県 1 産品以上の登録を目指しており 平成 年度末時点で 34 道府県で 58 産品の登録が行われています 図表 このほか 平成 年 9 月には 初の外国産品となるイタリアの プロ シュット ディ パルマ の登録が行われています 平成 年 7 月には 地理的表示の産品であることを示す GI マークの積極的 な使用を進める 広告 インターネット販売 外食業等における GI マークの使用に関す るガイドライン が策定され 今後 GI マークの掲示機会が増えることを通じてブラン ド化を進めやすくなるなど様々な効果の発現につながることが期待されます 地理的表示に登録された産品は 共通の知的財産保護の枠組みを持つ国 地域と協定等 を結ぶことで模倣品を排除できるようになります 平成 年度にタイで発見さ れた模倣品の 夕張日本メロン については タイの生産者に警告状を送付することで 名称の使用を停止させることができました 平成 年には タイ及びベトナム と GI の相互保護に向け協力を行うことに合意しました また EU との間では EPA 協 定の発効に合わせて 日本側 48 産品 EU 側 71 産品の保護が開始される予定となってい ます 図表 地理的表示として登録された産品 平成 年度末時点 図表 地理的表示として登録された産品 平成 年度末時点 福 井 よしかわ 富 山 (14)吉川ナス や た べ 石 川 (15)谷田部ねぎ やまうち (16)山内かぶら (22)くにさき七島藺表 おおいた (33)大分かぼす 福 岡 熊 本 わかさ おばま こだい や め でんとうほんぎょくろ 和 歌 山 兵 庫 (5)八女伝統本玉露 けんさん ぐさたたみおもて (9)くまもと県産い草畳表 (39)紀州金山寺味噌 たじまぎゅう (2)但馬牛 山 口 きとう さくらじまこ 岡 山 つらじま へつか 愛 媛 い よ い と りゅうきゅう す (44)琉球もろみ酢 とっとりさきゅう (54)香川小原紅早生みかん (11)鳥取砂丘らっきょう (21)十勝川西長いも じゅうさんこさんやまと (23)十三湖産大和しじみ (52)小川原湖産大和しじみ おおだて 秋 田 み わ そうめん (12)三輪素麺 (32)大館とんぶり の (51)ひばり野オクラ (56)近江牛 (1)伊予生糸 鳥 取 (1)あおもりカシス とかち かわにしなが お がわら こさんやまと (37)万願寺甘とう 岩 手 まえさわぎゅう 山 形 よねざわぎゅう (28)前沢牛 いわて のだむら あらうみ (47)岩手野田村荒海ホタテ 宮 城 三 重 愛 知 (26)米沢牛 ひがしね (31)みやぎサーモン おく ひ だ やまのむらかんぼ だいこん 岐 阜 (3)東根さくらんぼ 静 (48)奥飛騨山之村寒干し大根 岡 みしまばれいしょ (5)堂上蜂屋柿 (36)田子の浦しらす どうじょうはちやがき (24)連島ごぼう かがわおばらべに わ せ 青 森 (4)夕張メロン おうみぎゅう (42)木頭ゆず 香 川 ゆうばり まんがんじあま みとう 徳 島 (58)鹿児島黒牛 奈 良 北 海 道 (29)くろさき茶豆 (19)下関ふく かごしま つぼづく くろず か ごしまくろうし 京 都 ちゃまめ しものせき 鹿 児 島 (57)辺塚だいだい 滋 賀 新 潟 (4)美東ごぼう (55)宮崎牛 (46)桜島小みかん のと しか がき こうべ みやざきぎゅう (7)鹿児島の壺造り黒酢 (17)加賀丸いも (3)神戸ビーフ けんさん ぐさ (8)くまもと県産い草 きしゅうきんざんじ みそ 宮 崎 沖 縄 づけ (45)若狭小浜小鯛ささ漬 しちとういおもて 大 分 (43)上庄さといも (41)プロシュット ディ パルマ か が まる (2)能登志賀ころ柿 かみしょう 共イ 和タ 国リ ア にゅうぜん すいか (53)入善ジャンボ西瓜 とくさんまつさかうし (25)特産松阪牛 にしお まっちゃ (27)西尾の抹茶 はっちょうみ そ (49)八丁味噌 栃 木 長 野 にっさと (18)三島馬鈴薯 (35)新里ねぎ いちだがき (13)市田柿 (34)すんき たご うら 茨 城 えどさき (6)江戸崎かぼちゃ いいぬまくり (38)飯沼栗 み と やわらか (59)水戸の柔甘ねぎ 資料 農林水産省作成 海外における植物品種保護を進めることが必要 我が国で開発された優良な植物品種は海外で高く評価されていますが これらが海外で 正当な対価を支払われることなく栽培されれば 農産物の輸出拡大に支障を来すことが懸 念されます 植物の新品種の保護に関する国際条約 以下 UPOV 条約 という で は 品種の登録出願期限が国内における販売開始後 4 年 果樹等木本性は 6 年 とされて 66

93 章おり この間に出願できなければ品種登録が受けられず 海外に持ち出された際の差止めができません このため 海外において品種登録するとともに 侵害された場合には 栽培差し止め等の適切な侵害対応を行っていくことが必要です このため 平成 28(216) 年度から 育成者が速やかに出願手続に着手できるよう 海外出願マニュアルの配布や海外出願に関する相談窓口の設置 出願経費の支援等を行っています また 我が国と密接な関係にあるアジアの多くの国がUPOV 条約に未加盟となっており これらの国で我が国の品種が適切に保護されない状況が続いています 平成 2 (28) 年から 我が国のイニシアティブの下 ASEAN 1 1か国と日中韓の計 13か国が参加して開催されている 東アジア植物品種保護フォーラム では 技術協力に関する情報交換や政策決定者への意識啓発等が継続的に行われてきました この結果 平成 29 (217) 年 1 月には UPOV 理事会において ブルネイ ミャンマー両国の植物品種保護に関する法律案が UPOV 条約に適合すると認められました 今後 国内手続が進めば アジア地域で平成 18(26) 年のベトナム以来の加盟国となり アジアにおける植物品種保護制度の強化に向けた機運の高まりにつながることが期待されます 1 用語の解説 3(2) を参照 67 第1

94 第3節 世界の食料需給と食料安全保障の確立 第 3節 世界の食料需給と食料安全保障の確立 世界の食料需給は 人口の増加や経済発展に伴う畜産物等の需要増加が進む一方 気候 変動による農作物の生産可能地域の変化等が食料生産に影響を及ぼす可能性があり 中長 ひっぱく 期的に逼迫も懸念されます 以下では 世界の食料の需給動向と見通し 総合的な食料安 全保障 1 の確立に向けた取組 農産物貿易交渉の状況について記述します 1 世界の食料需給の動向 217/18 年度の穀物需給は 消費量が生産量を上回る見通し 217/18 年度における世界の穀物と大豆の需給動向を見ると 小麦の生産量は 米国 で収穫面積が減少し 豪州で乾燥等の影響から単収が減少するものの ロシアで作柄が極 めて良好となり 史上最高となることから 前年度に比べ 1.1 の増加 消費量は ロシ ア等で増加し 同.4 の増加となる見込みです 図表 とうもろこしの生産量は 米国と中国で収穫面積が減少し アルゼンチンで長引く高温 乾燥等の影響から単収が減少し 同 3.1 の減少 消費量は 中国 米国等で増加し 同 1.5 の増加となる見込みです 米の生産量は 米国で洪水等により収穫面積が減少するものの タイ ベトナム等で収 穫面積 単収ともに増加することからほぼ前年度並み 消費量は タイ 米国等で減少 し 同.2 の減少となる見込みです 大豆の生産量は 米国で史上最高の収穫面積を記録し増加するものの アルゼンチンで 乾燥等の影響により 単収が減少することから 同 3. の減少 消費量は 中国 ブラ ジル等で増加し 同 4.2 の増加で史上最高となる見込みです 図表 世界全体の穀物等の生産量 消費量 期末在庫量等 217/18 年度 単位 百万t 生産量 品目 小麦 とうもろこし 消費量 対前年度 増減率 期末在庫量 対前年度 増減率 期末在庫率 対前年度 増減差 ポイント 対前年度 増減率 , , 米 大豆 資料 米国農務省 World Agricultural Supply and Demand Estimates を基に農林水産省で作成 平成 年 3 月時点 これらの結果 217/18 年度における世界の穀物の需給は 消費量が生産量を上回り 期末在庫率は前年度に比べ.7 ポイント減少の 24.7 となる見込みです 図表 用語の解説 3 1 を参照 68

95 図表 世界全体の穀物の生産量 消費量 期末在庫率 億t 消費量 生産量 消費量 期末在庫率 右目盛 24.7 生産量 /6 21/11 215/16 2 第1 章 2/ /18 資料 米国農務省 PS&D World Agricultural Supply and Demand Estimates を基に農林水産省で作成 平成 年3月時 点 注 1 穀物は 小麦 粗粒穀物 とうもろこし 大麦等 米 精米 の合計 2 期末在庫率 期末在庫量 消費量 1 穀物と大豆の国際価格は 平成 2 28 年から平成 年にかけて過去最 高を記録しましたが その後 生産量が増加したことにより低下傾向で推移し 落ち着き を見せています 図表 図表 穀物等の国際価格 ドル /t 1, 米 小麦 大豆 とうもろこし ドル /t 過去最高価格 ドル /t 平成 年8月 21 日 とうもろこし 2 平成 12 年 小麦 18.8 ドル /t 過去最高価格 47.3 ドル /t 平成 2 28 年2月 27 日 米 44 ドル /t 過去最高価格 1,38 ドル /t 平成 2 28 年5月 21 日 大豆 ドル /t 過去最高価格 65.7 ドル /t 平成 年9月4日 資料 シカゴ商品取引所 タイ国家貿易取引委員会 注 1 小麦 とうもろこし 大豆の価格は 各月ともシカゴ商品取引所の第1金曜日の期近価格 2 米の価格は タイ国家貿易取引委員会公表による各月第1水曜日のタイうるち精米 1 2等の FOB 価格 FOB は Free On Board の略 国際的売買契約の約款の1つで 売主は船積港で指定の船舶に物品を積み込むまでの一切の責任と費用を持つ 3 平成 年 3 月 2 日時点 単収の伸びの鈍化 不安定要素の存在から 中長期的に穀物需給の逼迫も懸念 世界人口が増加し 1 人当たりの年間肉類消費量も増加する中で 穀物の食用 飼料用 バイオエタノール原料用の需要は増加していく見通しです 図表 一方 生産面を見ると これまで増産を支えてきた単収は近年伸びが鈍化しており 今 後 遺伝子組換え作物の導入や開発途上国における生産技術の普及等による伸びの余地は 期待されるものの 農作物の生産可能地域の変化等をもたらす気候変動 水資源の制約 ひっ ぱく 土壌の劣化等の不安定要素も存在し 中長期的に穀物需給の逼 迫 も懸念されます 図表

96 第3節 世界の食料需給と食料安全保障の確立 図表 世界全体の穀物需要と 1 人当たり年間肉類消費量 億t 35 1人当たり年間肉類消費量 右目盛 年 食用等 1 5 飼料用 kg/人 年 バイオ エタノール 原料用 資料 農林水産政策研究所 227年における世界の食料需給見通し 図表 穀物の収穫面積等 a/人 1人当たりの収穫面積 右目盛 生産量 単収 収穫面積 t/ha 単収 単収伸び率 年率 年代 資料 米国農務省 PS&D 国連 World Population Prospects : The 217 Revision を基に農林水産省で作成 平成 年3 月時点 注 1 穀物は 小麦 粗粒穀物 とうもろこし 大麦等 米 精米 の合計 2 1人当たりの収穫面積以外は昭和 年度を 1 とする指数 2 総合的な食料安全保障の確立 不測の事態に備えたリスクの分析 評価 国民に対する食料の安定的な供給は 世界の食料需給等に不安定要素が存在しているこ とを考慮し 国内の農業生産の増大を図ることを基本とし これと輸入 備蓄を適切に組 み合わせることにより確保することが必要です 世界の人口増加等による食料需要の増大 や異常気象による生産減少等 我が国の食料の安定的な供給に影響を及ぼす可能性のある リスクが顕在化しつつあり 自然災害や輸送障害等の一時的 短期的に発生するリスクも 存在しています このため 農林水産省では 不測の事態に備えて 食料の安定的な供給に関するリスク の影響等を定期的に分析 評価しており 必要に応じ その影響を軽減するための対応策 の検討等を行うこととしています 図表 平成 年度は いずれのリス クも現状において食料の安定的な供給に影響を及ぼす可能性はないと評価しました ま た 国内における不作や輸入の大幅な減少等 食料の安定的な供給に影響を及ぼす不測の 事態が生じた場合には 緊急事態食料安全保障指針 に基づき対策を講ずることとして います 7

97 図表 影響の分析 評価の対象としているリスク一覧 海外におけるリスク 一時的 短期的に発生するリスク 生産面 ① 大規模自然災害や異常気象 ② 家畜 水産動物の伝染性疾病や植物病害虫 ③ 食品の安全に関する事件 事故 流通面 港湾等での輸送障害 輸出国の政情不安 テロ 輸出国における輸出規制 為替変動 石油等の燃料の供給不足 既に顕在化しつつあるリスク 生産面 ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑭ 地球温暖化等の気候変動 肥料 養殖用飼料 需給の逼迫 遺伝資源の入手困難 水需給の逼迫 ⑬ 単収の伸び率の鈍化 水産資源の変動 需要面 一時的 短期的に発生するリスク 生産面 ① 大規模自然災害や異常気象 ② 家畜 水産動物の伝染性疾病や植物病害虫 ③ 食品の安全に関する事件 事故 流通面 ④ 食品等のサプライチェーンの寸断 既に顕在化しつつあるリスク ⑮ 人口増加に伴う食料需要増加 ⑯ バイオ燃料向け需要の増加 ⑰ 新興国との輸入の競合 生産面 第1 章 ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 国内におけるリスク ⑤ 地球温暖化等の気候変動 資料 農林水産省作成 輸入農産物の安定的な確保に向け 相手国との良好な関係の構築 維持等が重要 平成 年における我が国の農産物輸入額は 6 兆 4,259 億円となっており 主要 農産物で見ると良好な関係にある国からの輸入が大きいことがわかります 図表 図表 我が国の主要農産物の国別輸入額割合 平成 年 農産物全体 米国 22.7 その他 41.6 輸入額 6兆 4,259 億円 中国 11.3 豪州 イタリア 7.1 タイ 4.4 カナダ 小麦 大豆 米国 輸入額 1,715 億円 5.4 ブラジル 輸入額 ,735 億円 カナダ 3.7 ニュージー ランド 3.2 とうもろこし その他 1.7 カナダ 13. その他 1.4 豪州 17.5 その他 3.4 南アフリカ 3.3 ブラジル 14.1 米国 71.6 米国 79.1 その他 牛肉 カナダ 2.3 輸入額 米国 43. 3,55 億円 豪州 49.8 豚肉 メキシコ 1.4 その他.4 その他 米国 メキシコ 9.3 輸入額 4,91 億円 スペイン 11.6 カナダ デンマーク 飼料用 輸入額 3,458 億円 米国 3.1 タイ 28.2 鶏肉 その他.9 輸入額 1,59 億円 ブラジル 67.8 資料 財務省 貿易統計 を基に農林水産省で作成 71

98 第3節 世界の食料需給と食料安全保障の確立 小麦について世界の主要輸出国とその輸 出先上位を見ると EUからは主にアフリカ 図表 単位 万トン に 米国とカナダからはアジアや中南米に 輸出量 ロシアからはエジプトと西アジアに 豪州か らはアジアに それぞれ輸出が行われていま す 図表1-3-8 インドと中国における小麦 の増産 小麦の貿易量の拡大等により 輸 小麦の主要輸出国の輸出量と主な輸 出先割合 世界全体 主な輸出先割合 24 6年 3か年合計 年 3か年合計 39,18 49,68 EU 3, , アルジェリア エジプト モロッコ サウジアラビア イラン 日本 メキシコ フィリピン ナイジェリア ブラジル 米国 日本 インドネシア イタリア ペルー 米国 8,56 6,843 日本 ナイジェリア メキシコ エジプト フィリピン カナダ 4,631 6,535 米国 中国 日本 インドネシア メキシコ 6,616 エジプト アゼルバイジャン インド バングラディシュ ジョージア 5,2 インドネシア 日本 中国 マレーシア ベトナム は 輸出国と輸入国の間における地勢 政 治 経済等の様々な関係が影響することから 特別な事情がある場合を除き 短期間で大 きく変わることはまれと考えられます このため 国内において農業生産の増大 ロシア 2,468 を目指すとともに 海外においては輸入相 手として期待される国との良好な関係の構 築 維持を図り 日系企業の投資の促進や 食料輸送インフラの整備等の取組を着実に 進めていくことも重要です 豪州 6,947 アルジェリア エジプト モロッコ チュニジア インド 出先に多少の変動はあるものの この1 年 間で大きな変化は見られません 貿易の相手 エジプト 8.1 トルコ 7. イラン 6.5 アゼルバイジャン 6.2 ナイジェリア インドネシア ベトナム 中国 韓国 マレーシア 資料 米国農務省 GATS を基に農林水産省で作成 注 平成 年 1 月時点 家庭では 非常時に備え 食料や飲料水の備蓄が自身の身を守る上で有効 国と地方公共団体では 国民に対する食 料の供給を確保するため備蓄を行っていま す 国の備蓄は 国内生産量の減少や輸入 途絶等による供給不足等に備え 主食であ る米と小麦 家畜の飼料を対象に 地方公 共団体の備蓄は 大規模な自然災害等に備 え 飲料水や食料を対象に行われています 1 また 家庭では 大規模な自然災害の発 図表 農林水産省のリーフレットで紹介さ れている家庭での備蓄例 家庭での備蓄例 1週間分 大人2人の場合 必需品 水 42ℓ カセットコンロ カセットボンベ 1人1日おおよそ3L程度 飲料水 調理用水 12 本 1人1週間おおよそ6本程度 主食 エネルギー及び炭水化物の確保 米 あわせて 42 食分 乾麺 うどん パスタ 1食ひとり1g程度 1食ひとり75g程度 生や新型インフルエンザ等の流行性疾患の まん延に備え 当面必要となる食料や飲料 水を用意しておくことが自身の身を守る上 で有効な手段となります その際 保存性 の高い食品を普段使いとして食生活に取り 食パン 主菜 タンパク質の確保 林水産省では 家庭での備蓄の普及に向け て 全国各地の防災イベント等において リーフレットの配布やパネルの展示等を 行っています 図表 レトルトご飯 カレー 牛丼 パスタソース等 缶詰 肉 魚 豆腐 充填 かつお節 副菜 その他 適宜 野菜 山菜 海草類等 梅干し のり等 汁物 インスタント味噌汁等 資料 農林水産省作成 1 地方公共団体による備蓄は 都道府県 市町村 行政と災害時応援協定を締結した民間事業者等が実施 72 シリアル あわせて 42 食分 レトルト食品 入れて一定量買い置くことで 無理なく家 庭での備蓄に取り組むことができます 農 カップ麺類 ロングライフ牛乳 食べる量や嗜好 高齢 者 乳幼児 アレルギー の方など ご家庭の状況 にあわせて準備を

99 緊急の事態に備え 食品産業事業者による事業継続計画 BCP の策定等が必要 大規模な自然災害の発生や流行性疾患の まん延等の緊急事態においては 食料が安 定的に供給されるよう 食品産業事業者に よる事業の継続や中断した場合の早期復旧 が重要となります これを実現するための 図表 食品産業事業者と物流事業者のBCP 策定状況 平成 年度 化が求められています 5 1 計画 BCP の策定や事業者間の連携強 農林水産省が実施したアンケート調査に よれば 食品産業事業者では 7 割が 物流 事業者では 9 割が BCP を策定済み 策定 予定となっています 図表 事業継続計画を策定する 予定がある 11.9 他の災害を対象とした 事業継続計画は 策定済みである 震災を対象とした 事業継続計画を 策定済みである 食品産業 事業者 物流 事業者 事業継続計画を 策定しておらず 今後も策定する予定はない 第1 章 備えとして 食品産業事業者には事業継続 無回答 資料 農林水産省調べ 注 首都直下地震及び南海トラフ地震の被災想定地域 32 都府県 の食品製造業 食品卸売業 食品小売業 物流業を対象とした 調査 回答総数 412 社 平成 年3月公表 我が国の食料安全保障の確立に貢献する 開発途上国等への支援 世界的な人口増加による食料需要の増加や気候変 動による生産減少等は 我が国の食料安全保障にも 影響を及ぼす可能性があります これまで減少してきた世界の栄養不足人口は 平 成 年にはアジアやアフリカ等の開発途 上国を中心に増加に転じ 世界人口の 11 を占める 8 億 1,5 万人 2 となりました このような中 農林水産省では 独立行政法人国 際協力機構 JICA を通じ 技術協力や資金協力と いった二国間援助に積極的に協力するとともに フー ドバリューチェーン 3 の構築 飢餓 貧困対策への貢 献 気候変動や越境性感染症等の地球的規模の課題 ウガンダでの農業指導の様子 しの だ ゆう じ 資料 独立行政法人国際協力機構 篠田有史氏撮影 への対応を重点分野として 国連食糧農業機関 FAO を始めとした国際機関への拠出 等を通じ アフリカ等の開発途上国において水稲栽培の技術体系の実証 普及 アジアに おいて口蹄疫や鳥インフルエンザ等の越境性感染症対策等を支援しています 3 農産物の貿易交渉 WTO の進展が見られない中 EPA/FTA の締結が世界的に増加 世界共通の貿易ルールづくり等が行われる WTO4 では これまで数次にわたる貿易自 由化交渉が行われてきました 平成 年に開始されたドーハ ラウンド交渉は 平成 年 12 月にアルゼンチンのブエノスアイレスで閣僚会議が開催されたも 1 4 用語の解説 3 2 を参照 2 国連食糧農業機関 FAO 国際農業開発基金 IFAD 国連世界食糧計画 WFP 国連児童基金 UNICEF 世界保健 機関 WHO 世界の食料安全保障と栄養の現状 用語の解説 3 1 を参照 73

100 第3節 世界の食料需給と食料安全保障の確立 のの 開発途上国と先進国の溝は埋まら ず 農業については 今後の交渉の進め方 図表 世界の発効済みの EPA/FTA 件数 累積 件 3 についても合意は得られませんでした このように WTO における世界全体の 25 貿易交渉等が進展しない中 特定の国 地 15 1 EPA/FTA の締結が世界的に増加してい の間で 16 の EPA/FTA を締結しています ほかの EPA/FTA については 平成 ます 図表 我が国では 平成 域同士で貿易等のルールを取り決める 217 年度末時点で 2 の国 地域と 年 資料 独立行政法人日本貿易振興機構 JETRO ジェトロ世界貿易 投資報告 217 年版 を基に農林水産省で作成 注 平成 年6月末時点 217 年 12 月には日 EU EPA が交渉妥結 平成 年 3 月には TPP11 が署 名に至ったほか 日コロンビア EPA 日中韓 FTA RCEP 東アジア地域包括的経済連 携 日トルコ EPA は交渉継続中 日 GCC 湾岸協力理事会 FTA 日韓 EPA 日カナ ダ EPA は交渉延期 中断となっています 図表 図表 我が国における EPA/FTA 交渉の状況 EU TPP モンゴル トルコ GCC カナダ 日中韓 スイス 韓国 中国 タイ ラオス フィリピン カンボジア インドネシア ASEAN 全体 RCEP 署名済 交渉妥結 交渉中 メキシコ ブルネイ シンガポール 豪州 コロンビア ペルー チリ NZ TPP 署名国 シンガポール NZ チリ ブルネイ 米国 豪州 ペルー ベトナム マレーシ ア カナダ メキシコ 日本 RCEP RCEP 東アジア地域包括的経済連携 ASEAN1か国にEPA/FTAを有する日中韓印豪NZ6か国が交渉に参加する広域経済連携 ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シン ガポール タイ ベトナムの 1 か国 湾岸協力理事会 加盟国 バーレーン クウェート オマーン カタール サウジアラビア アラブ首長国連邦 ASEAN 資料 農林水産省作成 平成 年度末時点 74 ベトナム マレーシア TPP GCC 1 用語の解説 3 2 を参照 米国 インド ミャンマー 発効済 日本

101 章(TPP は 米国を除く 11か国による協定として署名 ) 環太平洋パートナーシップ ( 以下 TPP 1 という ) は 平成 28(216) 年 2 月に参加 12か国が協定への署名を行い 我が国は平成 29(217) 年 1 月に国内手続の完了を寄託国であるニュージーランドに通報し TPP 協定を締結しました その後 平成 29(217) 年 1 月の米国によるTPPの離脱表明を受け 米国を除く11 か国で TPP の早期発効に向けた議論が進められました そして 同年 11 月には ベトナムのダナンで開催されたTPP 閣僚会合において 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定 (TPP11 協定 ) の大筋合意が確認され 平成 3(218) 年 1 月に東京で開催された首席交渉官会合で協定文が最終的に確定しました 平成 3(218) 年 3 月には チリのサンティアゴにおいて参加 11か国による協定への署名が行われました 今後 我が国を含め参加 11か国で国内手続が進められることになり このうち6か国で国内手続が完了した旨を寄託者に通報した日の6 日後に協定は発効することとなっています TPP11は TPPのハイスタンダードを維持する観点から 物品市場アクセスに関するものを含め 各規定の修正は行わないこととしています 1 Trans-Pacific Partnership の略 75 第1

102 第4節 食料消費の動向と食育の推進 第 4節 食料消費の動向と食育の推進 高齢者世帯や共働き世帯の増加が見込まれる中 食料消費の内容 食料の購入先等に変 化が見られるようになっています また 国産農林水産物の消費拡大や 和食 の保護 継承に向けた様々な活動も展開されています 以下では 食料消費の動向 食育の推進と 国産農林水産物の消費拡大 和食 の保護 継承について記述します 1 食料消費の動向 ア 食料消費支出の動向 食料消費支出が減少し 調理食品の利用割合が高まる 平成 年における二人以上の世帯の 1 人当たり食料消費支出額は 世帯主の 年齢が高いほど多く 29 歳以下の世帯の 16,37 円 / 月に対し 7 歳代以上の世帯では 27,928 円 / 月となっています 図表 また 食料消費支出額に占める生鮮食品の 割合は世帯主の年齢が高いほど高いのに対し 外食の割合は若い世代で高くなっていま す 平成 年の食料消費支出額は 平成 年と比べると 全ての世 代で減少しており このうち 生鮮食品の支出額についても 全ての世代で減少していま す 食料消費支出額が減少する中 その内訳は平成 年から変化しています 調 理食品の占める割合は 平成 年から全ての世代で上昇しています 図表 外食の占める割合は 年齢により傾向が異なっており 29 歳以下は低下 5 歳代は 上昇しています 家庭で調理する機会が減少し 生鮮食品の消費が減少する中 調理食品の利用が増加す る傾向にあります 図表 世帯主の年齢別 費目別の 1 人当たり食料消費支出 円/月 3, 25, 2, 15, 27,811 その他 生鮮食品 16,37 23,672 外食 調理食品 27,928 2,46 17,167 1, 5, 平成 年 歳以下 3 歳代 4 歳代 5 歳代 6 歳代 7 歳代以上 資料 総務省 家計調査 全国 二人以上の世帯 用途分類 注 1 生鮮食品は 米 生鮮魚介 生鮮肉 牛乳 卵 生鮮野菜 生鮮果物の合計 2 消費者物価指数 食料 平成 年基準 を用いて物価の上昇 下落の影響を取り除いた数値 76

103 図表 食料消費支出に占める調理食品 外食の割合 外食 調理食品 第1 章 平成 年 歳以下 3 歳代 4 歳代 5 歳代 6 歳代 7 歳代以上 資料 総務省 家計調査 全国 二人以上の世帯 用途分類 コラム 家計調査で見る米消費の動向 総務省の 家計調査 で 1 人当たり年間消費支出を見ると 米は平成 12 2 年の 13,177 円から平成 年の 7,76 円へと 4 割減少しています 一方 この間に 弁 当は 2 割増加 おにぎり その他は 4 割増加しています このように 米消費は 精米等を購入し自宅で炊飯して食べる形が減り 弁当 おにぎり等 の調理食品として食べる形が増えています 食生活の多様化 高齢者世帯や共働き世帯の増加 等が進む中で 米消費の自宅での炊飯から調理食品へのシフトは今後も進むと見込まれていま す かつておにぎりは 家でにぎって外で食べる携行食という性格の食べ物でしたが 今日 コ ンビニエンスストアの主力商品の一つとなり 店頭で製造 販売する専門店も出現する中 私 たちの生活に欠かせない調理食品になっています 円/年 5, 3,916 4, 3, すし 弁当 おにぎり等への 1 人当たり年間消費支出 弁当 4,23 3,79 おにぎり その他 2, 1, 4,79 1,41 1,16 円/年 14, 13,177 米 12, 1, 7,76 8, 6, 平成 12 年 資料 総務省 家計調査 全国 二人以上の世帯 品目分類 注 1 おにぎり その他 のその他は 弁当 すしに分類されない単品の米飯 2 消費者物価指数 食料 平成 年基準 を用いて物価の上昇 下落の影響を取り除いた数値 77

104 第4節 食料消費の動向と食育の推進 週 1 回以上調理食品を利用している割合は 3 歳代から 5 歳代で 5 割 平成 年における外食の利用頻度を年代別に見ると 週 1 回以上利用してい る割合は いずれの世代においても男性が女性に比べて高く 2 歳代から 3 歳代の男性 では 5 割以上となっています 図表 一方 6 歳代では 男性 3 割 女性 2 割 7 歳以上では 男性 2 割 女性 1 割となり 5 歳代以下に比べて低い割合となっていま す 持ち帰りの弁当や総菜の利用頻度については 週 1 回以上利用している割合は 男女と もに 3 歳代から 5 歳代で 5 割 6 歳代で 4 割 7 歳以上で 3 割となっています 高 齢者を含め 日常的に調理食品を利用する消費者が一定割合存在することがうかがえま す 図表 外食 持ち帰りの弁当や総菜を利用している頻度 平成 年 外食 1 持ち帰りの弁当や総菜 週4 6回 全く利用しない 週2 3回 週1回未満 週1回 毎日2回以上 毎日1回 1 女性 2 歳代 3 歳代 4 歳代 5 歳代 6 歳代 男性 女性 男性 女性 男性 女性 男性 女性 男性 女性 7 歳 以上 毎日1回 男性 女性 2 歳代 3 歳代 4 歳代 5 歳代 6 歳代 男性 女性 男性 女性 2 男性 2 女性 4 男性 4 女性 6 男性 6 女性 8 男性 8 週4 6回 全く利用しない 週2 3回 週1回 週1回未満 毎日2回以上 7 歳 以上 資料 厚生労働省 平成 年国民健康 栄養調査 調理食品や外食の利用の高まりにより 野菜と果実の摂取量は減少の懸念 平成 年において 外食を利用している頻度別に 生鮮食品の摂取量を見る と 外食を利用している頻度が高いほど 穀類と肉類の摂取量が多い一方 野菜類 果実 類 魚介類は少ない傾向にあります 図表 毎日外食をしている人は 週 1 回未満 の人に比較して 穀類では 87g/ 日 21 多く 野菜類で 53g/ 日 18 果実類で 46g/ 日 39 少なくなっています また 持ち帰り弁当や総菜についても同様の傾向 が見られ 高齢者世帯における調理食品の利用や共働き世帯における調理食品 外食の利 用が増えることで 野菜や果物の消費量が減少することが考えられます 78

105 図表 外食 持ち帰り弁当や総菜を利用している頻度別の生鮮食品の摂取量 平成 年 外食 持ち帰りの弁当や総菜 g/日 35 g/日 6 g/日 毎日1回 週2 3回 毎日1回 週2 3回 週1回未満 1 5 穀類 魚介類 肉類 果実類 野菜類 穀類 魚介類 肉類 果実類 5 野菜類 第1 章 週1回未満 g/日 5 資料 厚生労働省 平成 年国民健康 栄養調査 外食産業や中食産業において 国産原料をうたった消費者への訴求の強化へ期待 我が国の飲食料の最終消費額は 平成 年をピークに減少し 平成 年には 76 兆 3 千億円 1 となっています 一方 一般社団法人日本フードサービス協会の推 計によれば 外食産業では市場規模が平成 年をピークに減少していましたが 近年は増加傾向で推移しており 中食産業では年々増加傾向で推移しています このよう に 外食産業や中食産業は 国産農林水産物の需要先としての地位が高まっており 高齢 者世帯における調理食品の利用増加や共働き世帯の増加等の動きを踏まえれば 今後とも その地位は高位で続くものと見込まれます 農林水産省が実施した調査 2 では 9 割以上が国産原料の使用を強調した総菜や外食に 魅力を感じる 3 と回答するなど消費者の国産志向は加工食品 外食においても高くなって います 農業においては 加工 業務用への仕向けを前提にした生産が徐々に広がりつつあり 外食産業や中食産業における国産原料をうたった消費者への訴求の強化が期待されます イ 食料の購入先の変化 ネット通販による食料の支出額は この 1 年間で約 4 倍に拡大 平成 年における購入先別の一世帯当たり食料消費支出額は スーパーマー ケットが 36,839 円 / 月と最も大きく 次いで一般小売店 7,232 円 / 月 生協 購買 3,29 円 / 月と続いています 4 インターネットによる通信販売 以下 ネット通販 という は インターネットを利用していない世帯を含めた平均であるため支出額は 44 円 / 月と 小さいものの 平成 年からの 1 年間で 一般小売店や生協 購買等が支出 額を減らす中で と大きく伸びています 図表 また 大都市に着目する と ネット通販の支出額は 625 円 / 月となり 各購入先別支出額の増減率ではネット通販 1 農林水産省 平成 年農林漁業及び関連産業を中心とした産業連関表 2 農林水産省 平成 29 年度農林水産情報交流ネットワーク事業 食料 農業及び水産業に関する意識 意向調査 平成 年 3 月公表 全国の農林水産情報交流モニターのうち消費者モニター 987 人を対象に行ったアンケート調査 回収 率 9.1% 3 魅力を感じる 又は やや魅力を感じる と回答した者の合計 4 総務省 平成 年全国消費実態調査 79

106 第4節 食料消費の動向と食育の推進 の伸びは と更に大きくなっています ネ ッ ト 通 販 に よ る 品 目 別 支 出 額 の 増 減 率 を 見 る と 生 鮮 果 物 生 鮮 野 菜 生鮮肉 乳製品 等となっており いずれの品目も大きく増加 しています 図表 図表 食料の購入先別の支出額の増減率 平成16 24 年と平成 年の比較 4 35 大都市 全国 図表 生鮮果物 生鮮野菜 卵 乳製品 加工肉 生鮮肉 生鮮魚介 米 通信販売 その他 ディスカウントストア 量販専門店 生協 購買 百貨店 コンビニエンスストア スーパーマーケット 一般小売店 通信販売 インターネット 5 1 ネット通販による品目別支出額の増減率 平 成16 24 年と平成 年の比較 資料 総務省 平成 年全国消費実態調査 注 消費者物価指数 食料 平成 年基準 を用いて 物価の上昇 下落の影響を取り除いた数値 資料 総務省 平成 年全国消費実態調査 注 1 大都市は 政令指定都市及び東京都区部 2 通信販売以外の購入先は店頭販売 3 消費者物価指数 食料 平成 年基準 を用 いて物価の上昇 下落の影響を取り除いた数値 ネット通販の購入経験は 4 歳代から 7 歳代で多く 情報の充実に高い期待 株 式 会 社 日 本 政 策 金 融 公 庫 が 平 成 年に実施した食品の消費者向けア ンケート調査では 農産物等をネット通販 で購入したことがあるか否かとの設問にお いて ある と回答した者の割合は 5 歳代と 6 歳代が 4 割 4 歳代と 7 歳代 が 3 割となり 4 歳代以上の世代で高い 結果となっています 図表 また ネット通販による購入未経験者に 対する 今後の購入意向を尋ねた設問にお いて 購入してみたい と回答した者の割 合は 6 歳代以下が 3 割 7 歳代が 2 割 図表 ネット通販の購入経験 購入したことがある 全体 31.8 購入したことがない 歳代 歳代 歳代 歳代 歳代 歳代 資 料 株 式 会 社 日 本 政 策 金 融 公 庫 消 費 者 動 向 調 査 平 成 年3月公表 注 全国の 2 歳代から 7 歳代の男女2千人を対象としたイン ターネット調査 となっており 今後 ネット通販の利用が 増加すると見込まれます ネット通販事業者に期待することを尋ねた設問では 生産者や商品の情報をもっと提 供して欲しい 35 配送料を安くして欲しい 24 商品の価格をより安くして欲 8

107 しい 18 と 情報提供に対する期待が配送料や価格に対する期待を上回っています ネット通販サイトにおける情報の拡充や SNS1 を通じた生産者と消費者との交流等が進 むことでネット通販の利用者数の増加や利用頻度の向上が図られ国産農林水産物の消費拡 大が期待されます 2 食育の推進と国産農林水産物の消費拡大 和食 の保護 継承 国産農林水産物の消費拡大に向けた 食育とフード アクション ニッポン 高齢化が進行する中で 生活習慣病の予防による健康寿命の延伸や 健康な次世代の育 第1 章 成の観点から 消費者の健全な食生活の実践が進められています 日本型食生活は ごは んを中心に多様な副食等を組み合わせることで栄養バランスに優れたものとなっています が 簡便化志向が高まる中で 家庭調理だけでなく 冷凍食品やレトルト食品等も活用す る形で普及が図られています 毎年 6 月の食育月間には 全国の地方公共団体において ごはん食を含む様々な食についてのイベントや展示が行われています また 平成 年度には 食育を推進する優れた取組の全国展開を目的として 食育活動表彰 を新たに実施しました 国産農林水産物の消費拡大の前提となる食や農林水産業への理解増進につながる農林漁 業体験の機会が 全国の教育ファーム等で提供されています 酪農においては 一般社団 法人中央酪農会議が体験の受入れや学校への講師派遣等を行う牧場を酪農教育ファームと して認証しており 平成 年度末時点で認証牧場は 287 となっています 国産農林水産物の消費拡大に向けた農業者 食品事業者 教育機関等の取組の輪が フード アクション ニッポン 2 の推進パートナーへの参加という形で広がっており 平 成 年度末時点 3 の推進パートナー数は 1,192 となっています また 毎年 11 月を 食と農林漁業の祭典 の月間と位置付けてイベントを開催しており 平成 年度に東京丸の内周辺で開催した ジャパンハーヴェスト 217 丸の内農園 に は 2 日間で 14 万人が来場しました さらに 国産農林水産物の消費拡大に寄与する民間 事業者の優れた産品を表彰するフード アクション ニッポン アワードを毎年開催して います 平成 年度は 国内の食に関する大手企業のトップ 1 人により選定 された国産農林水産物を原材料とする優れた加工品等 1 産品が大手企業の店舗等で販売 されました 酪農教育ファームで子供たちが 牛にブラッシングをする様子 フード アクション ニッポン アワード 217 の表彰式 1 Social Networking Service の略 登録された利用者同士が交流できる web サイトのサービス 2 民間企業 団体 行政等が一体となって推進する国産農林水産物の消費拡大の取組 3 平成 年 3 月 23 日時点 81

108 第4節 食料消費の動向と食育の推進 事例 子供たちが自ら考えて学ぶ食育プログラムを農協が開始 愛知県 あ ま ひがし 岐阜県 考えて学ぶ食育のプログラムとして 平成 年度 津島市 愛知県 JA海部東ドリームジュニア という独自の取組を始めました 静岡県 から 海部東子どものうぎょうきょうどうくみあい 愛称 長野県 つ しま し 愛知県津島市の海部 東 農業協同組合は 子供たちが自ら 同農協では 子供たちが農産物の生産から販売 売上げの使 途の決定まで関わるこの取組を 子供たちによる擬似的な農 協組織の活動にたとえてネーミングを考えたとのことです 取組に参加した 29 人の小学生の中からは組合長 販売部 長等の役員 5 人が選出され 役員となった子供たちを中心に 農産物の販売代金等で九州北部豪雨被災地の小学生に文具を 届けること等を決めました 取組の責任者を務める同農協の たちかずひこ 地域振興部長城和彦さんは この取組は 単なる農業体験に 農産物の販売活動の様子 とどまらず 植付けから収穫 販売まで一貫して関わること で きれいな農産物を作ることの難しさや農作業の苦労と販売価格のバランス等を子供たちが 考えるきっかけになる と取組の意義に胸を張ります 幼少期の子供や子育て世代等に対する 和食 の継承 和食 日本人の伝統的な食文化 が平成 年 12 月にユネスコ無形文化遺産に登録されました 和食文化の保護 継承に当たっては 食習慣の変化を 受け入れやすいライフステージにある幼少期の子供や 子育て世代等に対し 和食文化を取り入れた食生活を 促すことが重要となっています 平成 年 度には 子育て世代に接点のある地方公共団体の栄養 士や子育て中の親向けに和食文化のテキストを活用し 全国子ども和食王選手権の様子 た講座等や 小学生を対象とした和食文化の知識と技 を競うイベント 全国子ども和食王選手権 が開催されました また 給食を通じて和食文化を子供たちへ伝えたいという熱意を持った和食の料理人等 による 和食給食応援団 が 食品企業や JA グループ等と協力して全国の小中学校を訪 問し 和食給食献立の開発や 和食に関する授業を実施しています さらに 和食文化の 保護 継承に取り組む一般社団法人和食文化国民会議等民間企業 団体では 和食文化を 国民全体で共有するための情報収集や だしで味わう和食の日 企画の実施など 普及啓 発等の活動が展開されています 82

109 第 5節 食の安全と消費者の信頼確保 実態調査の解析結果等の科学的根拠に基づく措置を通じて 食品の安全性を向上させる とともに 商品選択に役立つ表示情報の充実と提供を通じて消費者の食品に対する信頼確 保を図ることが重要です 以下では 食品の安全性向上 消費者の信頼確保 動植物の防 疫 薬剤耐性対策の推進について記述します 第1 章 1 食品の安全性向上 食品の安全性を高めるための措置を策定 普及し 問題発生を未然に防止 食品の安全性を向上させるためには 科 図表 学的根拠に基づき 生産から消費の必要な 食品安全に関するリスク管理の流れ 有害微生物 化学物質に関する情報を収集 段階で汚染の防止や低減を図る措置を策 定 普及させることが重要です このた 情報収集 を継続 め 農林水産省は 有害微生物 化学物質 優先的に調査する対象を選定 NO による農畜水産物 加工食品の汚染実態の 調査 調査を踏まえた汚染防止 低減措置 国際基準 国内基準に 実態を反映 の策定 これら措置の関係者への普及 さ らには 措置の効果検証 見直しを行って 平成 年度は 食品中の有害 実態調査 効果の検証 NO YES 微生物 化学物質の汚染実態を調査 解析 バーベキューの際の食中毒の発生を防止す YES 安全と言えるか どうか います 図表 しました また 4 月には 消費者向けに わが国の実態を 調べる必要性 安全確認 安全性向上対策の 策定 普及 資料 農林水産省作成 るための注意点を紹介したリーフレットの作成 9 月には 豚肉の生産段階での食中毒菌 の侵入 まん延を防止するための衛生管理をまとめたハンドブックの作成 1 月には 営 農指導者向けにコメ中のカドミウムの低減対策をまとめた実施指針の改訂 学校や保育園 向けに学校等の菜園で栽培したジャガイモによる食中毒の発生を防止するための注意点を 紹介したリーフレットの作成を行い これらを広く周知することで対策の普及を図りまし た 2 消費者の信頼確保 食品表示の適正化を図るため 地方農政局等の職員が監視 取締り 食品表示は 消費者が食品を摂取する際の安全性の確保や自主的かつ合理的な食品の選 択の機会の確保に資する重要な情報の一つであり その適正化を図ることは食品に対する 消費者の信頼を確保する上で極めて重要です このため 農林水産省では 原材料や原産地等の品質に関する表示の適正化を図るた め 新たな原料原産地表示制度に関する事業者等からの相談に対応するとともに 食品表 示法に基づき地方農政局等の食品表示監視担当職員による監視 取締りを行っています 具体的には 食品表示 11 番 1 等に寄せられた不適正表示等に関する情報や巡回調査の 1 地方農政局や独立行政法人農林水産消費安全技術センター等に設置された国民からの食品表示に関する問合せや情報提供を受 け付けるホットライン 83

110 第5節 食の安全と消費者の信頼確保 結果に基づき DNA 分析等の科学的な分析手法も活用しつつ 各流通段階における立入 検査等を実施しており 不適正な表示を確認した場合には 改善のための指示 公表を行 うなど 食品表示の適正化を推進するため 厳格な対応を行っています 食品事故等発生時の円滑な原因究明と商品回収等に資するトレーサビリティ 食品のトレーサビリティは コーデックス委員会 1 において 生産 加工及び流通の特 定の一つ又は複数の段階を通じて 食品の移動を把握できること と定義されています トレーサビリティは 食品事故等の問題があったときに 食品の移動ルートを書類等で特 定し 遡及 追跡して 原因究明や商品回収等を円滑に行えるようにする仕組みです 図 表 我が国においては 牛 2 米穀等 3 のトレーサビリティが義務化されています また 義 務化されていない食品についても 自主的な取組が着実に促進されるよう 食品トレーサ ビリティの意味や効果 業種ごとの取組の進め方などを解説したマニュアルを活用し 食 品事業者への普及 啓発を行っています このほか 地域におけるセミナー 講習会等の 開催 相談窓口の設置 指導員による普及促進活動等を行う都道府県等の取組を支援して います 図表 食品のトレーサビリティの概念 生産段階 製造 加工段階 問題食品のルートを遡及 原因を究明 流通段階 例えば ここで問題 発覚 小売段階 消費者 問題食品のルートを追跡 商品を回収 資料 農林水産省作成 新たな加工食品の原料原産地表示制度が平成 29 年 9 月にスタート 食品流通の国際化に伴い 様々な国の原材料を用いた加工食品が流通するようになり 消費者の原料原産地表示への関心が高まっています このような中 食品表示基準 4 が改正され 平成 年 9 月に これまで一部の 加工食品のみに義務付けられていた原料原産地表示について 全ての加工食品を対象に 重量割合上位 1 位の原材料の原産地を 原則として国別重量順で表示する新たな制度が始 まりました 図表 この制度により 消費者は 原材料の原産地について より充 実した情報を得て 自主的かつ合理的に食品選択ができるようになります 新たな制度では 222 年 3 月 31 日までを経過措置期間としており 政府としては あ らゆる機会を通じて 表示義務者となる食品関連事業者等へのマニュアル等を活用した丁 寧な説明や相談 消費者への制度の周知を行っていくこととしています 1 用語の解説 3 1 を参照 2 牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法 による 3 米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律 の対象となる米穀等 米及び米加工品 は 米穀 米 粉 米粉調製品 米菓生地 もち だんご 米飯類 米菓 米こうじ 清酒 単式蒸留焼酎 みりん等 4 食品表示法に基づく内閣府令 84

111 図表 新たな加工食品の原料原産地表示制度での表示例 重量割合上位1位の原材料が 生鮮食品 の場合 産地を重量順に表示 国別重量別表示の場合 これまでの 表示 新たな 表示 名 称 原材料名 ウインナーソーセージ 豚肉 豚脂肪 たん白加水分解物 豚肉産地 豚肉部分の表示 豚肉 アメリカ産 2か国 豚肉 アメリカ産 国産 3か国以上 第1 章 1か国 全て表示する場合 豚肉 アメリカ産 国産 カナダ産 デンマーク産 3か国目以降を その他 と表示する場合 豚肉 アメリカ産 国産 その他 3か国目以降は その他 とまとめて表示可能 重量割合上位1位の原材料が 加工食品 の場合 原産国名を 製造 と表示 これまでの 表示 名 称 原材料名 チョコレートケーキ チョコレート 小麦粉 新たな 表示 名 称 原材料名 チョコレートケーキ チョコレート ベルギー製造 小麦粉 資料 農林水産省作成 遺伝子組換え食品について 消費者庁が表示制度の見直し内容を公表 近年 米国 ブラジル アルゼンチン等を中心に 大豆やとうもろこし等の遺伝子組換 え作物の作付けが増加しており その一部は我が国にも輸入されています 遺伝子組換え 作物を原材料とした遺伝子組換え食品については 食品表示法に基づく食品表示基準によ り 加工工程後も組み換えられた DNA 等が検出可能な 8 農産物とこれを原材料とする 33 加工食品群を対象に 遺伝子組換え作物を使用した旨の表示が義務付けられています 表示を義務付ける制度が始まってから 17 年が経過し DNA 等に関する分析技術が向 上している可能性や 遺伝子組換え作物の流通実態が変化している可能性があります こ のため 消費者庁では 事業者の実行可能性を確保しつつ 消費者が求める情報提供を可 能とする表示の制度設計について 有識者による検討会を開催して検討を進め 平成 年 3 月に その結果を報告書に取りまとめました 報告書には 遺伝子組換えでない と表示する条件の厳格化等が盛り込まれており 今後 消費者庁において 報告書を踏まえた具体的な制度の検討が行われることとなりま す 機能性表示食品制度について 消費者庁が生鮮食品での活用に向けた改善策を公表 平成 年度の機能性表示食品制度の創設により 食品関連事業者が安全性と 機能性に関する一定の科学的根拠等を消費者庁長官に届け出ることで 食品関連事業者の 責任において商品に おなかの調子を整えます 等の健康の維持 増進に役立つ旨の表示 ができるようになりました 平成 年度末時点で 消費者庁長官への届出が公 表された生鮮食品は 前年同期に比べ 5 品目増加の 13 品目となりました 図表 そのうち農産物として 平成 年度には 血圧が高めの方に適した機能があ 85

112 第5節 食の安全と消費者の信頼確保 ガンマ るとの報告がある GABA γ - アミノ酪酸 を含む米 内臓脂肪を減らす働きがあるとの 報告があるリンゴ由来プロシアニジンを含むりんごが新たに届出されました 平成 年度までの生鮮食品 8 品目の内訳を見ると 機能性関与成分は骨の健康に役立つ ベータ との報告があるβ - クリプトキサンチンと大豆イソフラボンの 2 種類であり 品目も温州 みかんともやしの 2 種類にとどまっていました このため 規制改革実施計画 1 に基づき 消費者庁と農林水産省では 関係者からの意見聴取を行い 生鮮食品における機能性表示 食品制度の活用促進のための施策を検討しています 今後 得られた検討結果に基づき 必要な措置が講じられることとなります 図表 機能性表示食品として届出されている生鮮食品 農産物 届出年月日 平成 年 8月3日 届出者名 みっ か び ちょう 三ヶ日 町 農業協同組合 商品名 機能性関与成分名 三ヶ日みかん β クリプトキサンチン 平成 年 株 サラダコスモ 8月3日 大豆イソフラボン 子大豆もやし 大豆イソフラボン 平成 年 株 サラダコスモ 1 月 27 日 ベジフラボン 大豆イソフラボン 平成 年 6 月 29 日 太子食品工業 株 小大豆もやし 大豆イソフラボン 平成 年 9 月 12 日 とぴあ浜松農業協同組合 とぴあみかん β クリプトキサンチン 平成 年 1 月 24 日 清水農業協同組合 清水のミカン β クリプトキサンチン 平成 年 2月8日 イオントップバリュ 株 オーガニック 大豆もやし 大豆イソフラボン 平成 年 3 月 23 日 南駿農業協同組合 西浦みかん β クリプトキサンチン 平成 年 8 月 24 日 広島県果実 農業協同組合連合会 広島みかん β クリプトキサンチン 平成 年 1 月 19 日 東京フーズクリエイト 株 平成 年 11 月 24 日 名水美人ファクトリー 株 平成 年 1 月 15 日 つがる弘前農業協同組合 たい し はままつ しみず なんすん めいすい び じん ひろさき GABA ギャバ 芽ぐみ米 特殊三分づき米 大豆イソフラボン 小大豆もやし プライムアップル ふじ GABA γ アミノ酪酸 大豆イソフラボン リンゴ由来プロシアニジン 資料 消費者庁資料を基に農林水産省で作成 注 平成 年度末時点 3 動植物の防疫 家畜の伝染病の発生予防に向けては 空港 港での検疫等三段構えで対応 輸入農畜産物の輸送手段の多様化や訪日外国人旅行者の増加に伴い 鳥インフルエン ザ 口蹄疫等の家畜の伝染病の侵入リスクが高まっていることを踏まえ 国内への侵入防 止や国内での早期発見 封じ込めの徹底等を図ることが重要です 家畜の伝染病の発生予防に向けては 海外での発生レベルを低減させる国際協力 空 港 港での検疫 農場での飼養衛生管理の徹底の三段構えで対応しています 国際協力と しては平成 年 9 月に東アジア地域シンポジウムを開催したほか 同年 1 月 には G7 新潟農業大臣会合での宣言に基づく G7 主席獣医官フォーラムの第 2 回会合が イタリアで開催されました また 空港 港では 平成 年度に国際便の到着 1 平成 年 6 月閣議決定 86

113 する空港 港の家畜防疫官の 国際便の到着する空港 港での旅行客に対する水際対策 増員 動植物検疫探知犬の増 頭を行うとともに 同年 11 月 には検疫対象品目に乳製品を 追加し 検疫の強化を図りま した さらに 国内では飼養衛生 管理の徹底に加え 万一の発 資料 農林水産省資料 第1 章 生に備え 都道府県が 防疫 資材の備蓄と定期的な防疫演習を行っています 平成 年度の我が国の高病原性鳥インフルエンザの発生件数は 1 件であり 迅速な防疫措置の実施により 発生から 1 か月以内に移動制限区域が解除されました 図 表 図表 高病原性鳥インフルエンザの発生概要と防疫対応の状況 発生事例 香川県さぬき市 発生日 移動制限区域解除日 1/11 2/5 飼養羽数 / 種別 約9.1万羽/肉用鶏 資料 農林水産省作成 注 1 発生日は遺伝子検査で H5 亜型陽性となり 疑似患畜と判定した日 2 飼養羽数は 殺処分時の最終羽数 疫学関連農場を含む 3 平成 年度末時点 植物病害虫の侵入防止に向けては 貨物 携帯品等の輸入植物を対象に検疫を実施 農作物の栽培に被害を及ぼす植物病害虫についても 国内への侵入防止を図ることが重 要です このため 我が国の主要な空港 港では 輸入植物に付着した病害虫の侵入を防 止するため 貨物 携帯品 郵便物で輸入される植物を対象とした検疫が行われていま す 平成 年度には国際便の到着する空港 港の植物防疫官の増員が行われ 検疫体制の強化が図られました また 国内に侵入した病害虫を早期に発見できるよう全国の畑や樹園地で植物防疫所に よる調査が行われており 発見が確認された場合には植物の移動規制や廃棄等により早期 の根絶を図ることとしています 平成 年度には 長野県においてテンサイシストセンチュウが国内で初めて 確認され 関係機関が連携し 発生範囲を特定するための調査 土壌の移動防止 発生ほ 場の土壌消毒等の防除対策を講じています 4 薬剤耐性対策の推進 動物分野における薬剤耐性菌の出現率を低く抑えるための取組を強化 動物分野の抗菌剤の使用により薬剤耐性菌が増加し 家畜の治療を難しくしたり 畜産 でん ぱ 物等を介して人に伝播して健康に影響を及ぼしたりすることを防止するため 家畜と人の 医療上重要な抗菌剤について 動物分野における薬剤耐性菌の出現率を低く抑えることが 重要です このため 農林水産省では 食品安全委員会のリスク評価結果に基づく抗菌剤のリスク 管理措置や 動物用医薬品である抗菌剤の慎重使用等の薬剤耐性対策を実施してきまし 87

114 第5節 食の安全と消費者の信頼確保 た 平成 年 4 月には 政府として薬剤耐性対策アクションプランを決定し 動物用医薬品である抗菌剤の使用機会の削減に向けた飼養衛生管理基準の遵守の徹底や 薬剤耐性菌に関するモニタリング調査の強化等を行っています 平成 年度には 食品安全委員会が人の健康に影響を及ぼすおそれがあると 評価した抗菌剤の飼料添加物としての指定取消し 1 水産用抗菌剤の購入に魚類防疫員等の 専門家の関与を必要とする新たな仕組みの導入 2 養殖魚や愛玩動物の全国的なモニタリン グ調査等を行いました 図表 薬剤耐性の考え方 㻌 通常 感受性菌が大宗を占める 㻌 耐性菌が増加 㻌 㻌 抗菌剤が有効 㻌 㻌 㻌 抗菌剤が効きにくい 㻌 耐性菌は一定程度は自然に存在 㻌 㻌 㻌 㻌 人や他の動物に伝播する可能性 抗菌剤の不適切な 使用などにより増加 有効 抗菌剤 効きにくい 抗菌剤があっても 生存 増殖 薬剤耐性菌 抗菌剤により 死滅 感受性菌 伝播の 可能性 抗菌剤 資料 農林水産省作成 1 平成 年 7 月にコリスチンの飼料添加物としての指定取消しを決定し 平成 年 7 月から使用禁止 2 新たな仕組みは 平成 年 1 月から運用開始 88

115 第 6節 食品産業の動向 食品産業は 農林水産業と消費者の間に位置し 品質と安全性を保ちつつ食品を安定的 に供給するとともに 消費者ニーズを生産者に伝達する役割を担っています 以下では 食品産業の役割と動向 卸売市場制度の見直し 食品ロスの削減等について記述します 農林水産物 1.5 兆円に食品産業のサービスが付加され 最終消費額は 76.3 兆円に 第1 章 平成 年の我が国の農林水産物 食品の流通 加工は 国内で生産された 9 兆 2 千億円に輸入品を加えた 1 兆 5 千億円の食用農林水産物に 流通 加工の各段階で 加工経費 商業マージン 運賃 調理サービス代等が付加され 最終的に 76 兆 3 千億円 と な っ て 消 費 さ れ る 構 造 に あ り ま す 図 表 昭 和 年 か ら 平 成 年にかけて 国内最終消費に占める生鮮品等の割合は 28.4 から 16.3 へ低下 し 外食や加工品の割合は上昇しています また 卸売市場の取扱金額は 直売所やイン ターネット販売等の様々なチャネルによる卸売市場外流通の増加により 9 兆 2 千億円か ら 6 兆 7 千億円へ減少しています 図表 農林水産物 食品の流通 加工の流れの比較 平成 年 飲食料の国内最終消費 76 3兆円 販売 国内消費向け食用農林水産物 1 5兆円 生産 輸入 加工 流通 取扱金額 6.7兆円 9.2 兆円 輸入 市場経由率 青果 6% 水産物 54% 食肉 1% 集出荷組合 業者 最終製品 の輸入 4.5兆円 農協等 一次加工品 の輸入 1.5兆円 卸売市場 卸売業者 33.4 兆円 仲卸業者 買参人 食品製造業者 51.2 兆円 食品卸売業者 加工品 38.7兆円 兆円 食品小売業者等 兆円 生鮮品等 12.5兆円 16.3 青果 4% 水産物 46% 食肉 9% 外食産業 国内消費者 76.3 外食 25.1兆円 32.9 国内生産 生産者 卸売市場外流通 1.3 兆円 89

116 第6節 食品産業の動向 図表 農林水産物 食品の流通 加工の流れの比較 つづき 昭和 年 飲食料の国内最終消費 49 5兆円 販売 国内生産 生産者 35.7 兆円 兆円 取扱金額 9.2兆円 集出荷組合 業者 最終製品 の輸入 1.4兆円 卸売市場 農協等 一次加工品 の輸入.6兆円 生産 輸入 青果 14% 水産物 14% 食肉 81% 卸売業者 食品卸売業者 食品小売業者等 24.4 兆円 仲卸業者 買参人 食品製造業者 13.7 兆円 生鮮品等 14.兆円 28.4 加工品 21.7兆円 加工 流通 卸売市場外流通 外食産業 国内消費者 外食 13.7兆円 27.7 国内消費向け食用農林水産物 13 5兆円 12.3 兆円 輸入 市場経由率 青果 86% 水産物 86% 食肉 19% 1.2 兆円 資料 農林水産省 平成 23 年 211 年 農林漁業及び関連産業を中心とした産業連関表 食料需給表 青果物卸売市場調査報告 を基 に農林水産省で作成 注 1 年次や対象等が異なる複数の統計 調査等を組み合わせて作成したものであり 金額等が整合しない場合がある 2 国内生産 生産者 から国内消費者への直接販売の最終消費金額は 食品小売業者等から国内消費者への販売額 生鮮品等と加工 品 に含まれる 3 市場経由率は 重量ベースの推計であり 平成 年の市場経由率と取扱金額は平成 年の数値を使用 国産食用農林水産物の重要な仕向先である食品製造業と外食産業 食品産業は国内農林水産業と深く結び付いており 国産食用農林水産物の用途別仕向割 合を見ると 金額ベースで食品製造業仕向が 59.4 外食産業仕向が 9.2 となっていま す 図表 一方 食品製造業における加工原材料調達割合を見ると 金額ベースで 国産食用農林水産物が 69.5 となっています 図表 国産食用農林水産物の用途別仕向割合 食品製造業の加工原材料調達割合 平成 年 国産食用農林水産物の用途別仕向割合 最終消費仕向 食品製造業仕向 食品製造業の加工原材料調達割合 食品産業仕向 国産食用 農林水産物 外食産業仕向 輸入食用 農林水産物 2 4 輸入 加工食品 資料 農林水産省 平成 23 年 211 年 農林漁業及び関連産業を中心とした産業連関表 注 1 総務省等 1 府省庁 産業連関表 を基に農林水産省で推計 2 内は兆円 大部分が中小零細企業である食品製造業は 国産食用農林水産物の重要な仕向先である ことに加え 雇用の場の提供という役割を有しており 地方創生と地域経済の活性化にお いて欠かせない存在となっています しかしながら 食品製造業の従業者 1 人当たりの付 9

117 加価値額を見ると 製造業全体の 1,332 万円の 66 に相当する 882 万円と低位にとど まっています 1 食品製造業が引き続きその役割を果たし持続的に発展していくためには 消費者ニーズを的確に捉えた付加価値の向上や IoT2 ロボット技術の導入等による労働生 産性の向上が重要となっています コラム 明治 15 年 関連施策テーマ 明治期のグルタミン酸ナトリウムに始まる うま味 成分の発見 第1 章 甘味 酸味 塩味 苦味に続く第 5 の味 うま味 は 明 いけ だ きくなえ 治期の東京帝国大学池田菊苗教授による昆布のうま味成分の 発見に始まります 明治 年に留学先のドイツで 最先端の化学を学んだ池田教授は うま味のある廉価な調味 料で国民の栄養状態を改善したいとして研究を開始し 昆布 中のグルタミン酸ナトリウムに強いうま味があることを突き とめ 明治 年に製造に関する特許出願を行いま した こ だま しん その後 大正 年には池田教授の弟子の小 玉 新 た ろう 太郎博士によりかつお節のうま味成分がイノシン酸であるこ くになかあきら 池田菊苗教授 6 歳 大正 年撮影 資料 東京大学理学系研究科 しいたけ と 昭和 年には民間企業の研究者国中明さんらにより干し椎茸のうま味がグアニ ル酸に起因することが明らかにされました これらうま味成分は 料理で手軽にうま味を引き出せる調味料として商品化され 今日 家 庭用 業務用を問わず広く利用されており 調理時間を短くしたいとする食の簡便化に応える 調味料の一つとなっています また うま味成分を利用した調味料商品は 世界の国 地域に も広がっています 食品産業の事業再編等を支援する法律が施行 国内外では業界再編の動きが進行 食料の国内需要が縮小に向かう中 食品産業の持続的発展に向けては 合併や買収等の 事業再編により 経営基盤の強化や事業領域の拡大等を図ることが重要となっています 平成 年 8 月に施行された農業競争力強化支援法では 農産物流通 加工に 関する事業再編の取組を推進しており 事業再編計画の認定を受けることで 株式会社日 本政策金融公庫による低利融資等や税制上の支援措置を活用できるようになりました 平 成 年度には 食品小売業者による子会社の吸収合併 食品製造業者による同 業他社の一部門の子会社化 米穀卸売業者による製造工場の設備廃棄 食品卸売業者によ る同業他社の子会社化 吸収合併の合計 4 件の事業再編計画が同法の認定を受けました また 近年 大豆加工品製造事業者による同業者からの事業の譲受けの動き 米の卸売 業者による野菜や水産物の卸売業者の買収等の動きが国内で見られるほか 調味料製造事 業者による米国の医療食品会社の買収等 成長する食料の世界需要を取り込むためのグ ローバルな業界再編も進んでいます 図表 総務省 経済産業省 平成 年経済センサス - 活動調査 の従業者 4 人以上の事業所における平成 年 の付加価値額を平成 年 6 月 1 日時点の従業者数で除して算出 個人経営事業所を除く 2 用語の解説 3 2 を参照 91

118 第6節 食品産業の動向 図表 年 我が国の食品企業による M&A 事例 平成 年度 月 M&A 形態 一部の事業を取得 株式取得 買収を行った会社 会社名 所在地 事業内容 一部の事業を譲渡 株式譲渡 売却を行った会社 会社名 所在地 事業内容 米国 ガソリン小売事業 及びコンビニエン スストア事業 平成 4 7 Eleven,Inc. 一部事業 セブン アイ ホー 取得 ルディングス子会社 米国 コンビニエンスス Sunoco LP トア事業 4 子会社化 日本ハム株式会社 日本 加工事業 食肉事 Breeders & Packers 食肉処理及び販売 ウルグアイ 業等 Uruguay S.A. 事業 6 資本参加 双日株式会社 日本 衣服その他の繊維 製品及びその原料 FB Food Service 等商品の売買及び 217 Ltd. 輸出入業等 6 子会社化 ユニー ファミリー マートホールディン グス株式会社 7 資本業務 提携 7 買収 8 Anchor Brewing Company,LLC 子会社化 サッポロホールディ ングス子会社 年 2017 29 タイ 業務用食品卸事業 日本 コンビニエンスス トア等の経営及び カネ美食品株式会社 コンサルタント事 業等 日本 寿司 揚物 総菜 等の小売店舗の展 開 コンビニエン スストア弁当の製 造事業 東日本旅客鉄道株式 会社 日本 旅客鉄道事業 小 スターフェスティバ 売業 飲食事業等 ル株式会社 日本 弁当等のインター ネットモール事業 等 丸紅株式会社 日本 内外物資の輸出入 Creekstone Farms 及び販売事業等 Premium Beef LLC 米国 牛肉処理及び販売 事業 米国 ビール販売事業 米国 ビール製造 販売 事業 11 子会社化 Ajinomoto FOODS EUROPE S.A.S. 味の素子会社 11 子会社化 Anchor Brewing Company,LLC 2018 フランス LABEYRIE 調味料 酵素製剤 TRAITEUR の製造販売事業等 SURGELES S.A.S. フランス 冷凍食品の製造 販売事業 Ajinomoto North America,Inc. 味の素子会社 米国 医薬用 食品用ア Camberooke ミノ酸と調味料の Therapeutics,Inc. 製造 販売事業 米国 医療食品の製造 販売事業 日本ハム株式会社 日本 加工事業 食肉事 株式会社アクシーズ 業等 日本 鶏肉及びその加工 食品の製造販売 3 2 資本業務 提携 資料 金融庁 金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム EDINET M&A タイムス M&A ニュー ス を基に農林水産省で作成 注 1 株式会社東京証券取引所第 1 部上場会社のうち 日経平均株価銘柄 平成 年 1 月 18 日時点 の会社 又はその子会社 であり 食品製造業 食品流通業 食品小売業が関係する M&A Mergers and Acquisitions の略 2 M&A 形態の一部事業取得は 株式取得を伴わず事業の一部を取得すること 子会社化は 株式又は持分の過半を取得すること 買 収は 持分を取得すること 資本参加は 子会社化以外の株式を取得又は買収以外の持分を取得すること 資本業務提携は 業務提 携を行うため相互に株式を取得すること コンビニエンスストアは 調理パン等の販売好調により食料品販売額は堅調に推移 食品小売業の平成 年における食料品販売額は前年に比べ 1,47 億円.3 増加の 44 兆 5 千億円となりました 図表 販売額が伸びているコンビニエンスストアでは ファストフード 調理パン 冷凍食品 等の販売が好調となっています また 食料品販売額を 1 店舗当たりで見ると 店舗数を 増やすことによって販売額を伸ばす傾向が続いています 図表

119 図表 食品小売業における食料品販売額 兆円 6 飲食料品小売業全体 図表 コンビニエンスストア 兆円 右目盛 7.59 8 4 3 2 5 億円 1.5 1店舗当たり販売額 右目盛 店舗数 1. 4 3 2 第1 章 万店 7 6 6 コンビニエンスストアにおける 1 店 舗当たり食料品販売額 1 0 平成19年 資料 経済産業省 商業動態統計 注 1 飲食料品小売業全体は 非食品の販売額を含む総販売額 2 コンビニエンスストアは ファストフード 日配食品 加工食品の販売額合計 また 物販系分野の消費者向け電子商取 引の市場規模は 平成 年度で 0 平成19年 資料 経済産業省 商業動態統計 注 1店舗当たり販売額は コンビニエンスストアのファストフー ド 日配食品 加工食品の合計販売額を店舗数で除したもの 図表 物販系分野の消費者向け電子商取引 の市場規模 平成 年度 単位 兆円 8 兆円となっており このうち食品等は 2 電子商取引 市場規模 A 割に相当する 1 兆 5 千億円となっています 図表 食品等は 全取引額に占め る電子商取引の割合が他の分類に比べて小 さいものの 高齢化の進行や共働き世帯の 増加等で宅配ニーズが高まり また 食品 宅配事業へ参入する事業者も見られ 消費 者向け電子商取引は引き続き堅調に推移す ると見込まれます 構成割合 商取引 市場規模 B 電子商 取引化率 A/B 食品等 生活家電 AV 機器等 書籍 映像 音楽ソフト 雑貨 家具等 衣類 服飾雑貨等 その他 合計 資料 経済産業省 電子商取引に関する市場調査 注 1 電子商取引化率は 電子商取引市場規模を商取引市場規 模 商取引額 で除したもの 2 食品等は 食品 飲料 酒類 3 その他は 化粧品 医薬品 自動車 自動二輪車 パー ツ 事務用品 文房具等 外食 中食の市場規模は 近年 増加傾向で推移 外食産業の市場規模は 訪日外国人旅行者の増加や 1 人当たり外食支出額の上昇等によ り平成 年からは増加傾向で推移しており 平成 年は前年に比べ 163 億円.1 増加の 25 兆 4 千億円となりました 図表 また 持ち帰り弁当 店や総菜店等の中食産業の市場規模は 高齢化の進行や共働き世帯の増加等による需要の 高まりから増加傾向で推移しており 平成 年は前年に比べ 4 千億円 6. 増加の 7 兆円となりました 1 外食 中食業者向けモニター調査 2 における国産原材料の使用割合 重量ベース 別の 事業者割合を見ると 外食 総菜ともに 8 割以上の階層が最も高く それぞれ 46 4 となっています 図表 国産原材料の使用を増やしたいと回答した事業者は 1 一般社団法人日本フードサービス協会調べの料理品小売業 弁当給食を除く の数値 2 農林水産省 食料 農業及び水産業に関する意識 意向調査 平成 年 3 月公表 全国の農林水産情報交流モニ ターのうち 食品製造 食品卸売 食品小売 外食産業の経営に携わっている流通加工業者モニター 75 人を対象に行った アンケート調査 回収率

120 第6節 食品産業の動向 外食 4 総菜 33 となっており 国産原材料を使用する際の課題としては 外食 総 菜ともに 価格が高い が最も高く 次いで外食は 生産者 産地 供給元との信頼関 係の構築 総菜は 必要な量を確保できない 必要な時期に確保できない が上位と なっています 外食産業や中食産業において国産原材料の使用割合を増やしていくためには 米や野菜 等の産地と実需者との契約取引により 農産物の出荷量や出荷時期等の問題を解決してい くことが重要です 図表 兆円 3 2 図表 外食 中食産業の市場規模 27.9 外食産業 国産原材料の使用割合別の事業者割合 4割 2割 6割 8割 2割 6割 4割 未満 未満 未満 未満 8割 以上 総菜に使用 中食産業 昭和 6 年 1985 平成7 外食で利用 資料 一般社団法人日本フードサービス協会調べ 注 1 外食産業の市場規模には中食産業の市場規模は含まない 2 中食産業の市場規模は 料理品小売業 弁当給食を除く の数値 0 資料 農林水産省 食料 農業及び水産業に関する意識 意向調査 平成 年3月公表 組替集計 注 国産原材料を使用していると回答した者 4 人の回答 卸売市場を含めた食品流通の合理化等を促進する法案を国会に提出 卸売市場は 全国各地から多種大量の生鮮食料品等を 集荷 し 実需者のニーズに合 わせて必要な品目を必要な分量だけ 分荷 する役割 小売店等の実需者から販売代金を 回収し 早期かつ確実に生産者に 決済 する役割 産地と消費地との間で需給を反映し た 価格形成 を行う役割等を通じ 生鮮食料品等の安定供給に向けて 調整機能を果た しています 他方 食品流通においては 加工食品や外食での生鮮食料品需要の増加 産直取引等流 通チャネルの多様化といった変化が見られ 卸売市場では これらの変化に対応するため かい り 市場関係者が子会社を通じて規制のない市場外取引を行うなど制度と乖離した動きが見ら れるようになっています このような状況を踏まえ 卸売市場を含めた食品流通の合理化と生鮮食料品等の公正な 取引環境の確保を促進し 生産者 消費者双方のメリット向上につながる食品流通構造を 実現するため 卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案 を国 会に提出しました 94

121 流通チャネルが多様化する中 マッチングを支援する仕組みを構築 消費者による農林水産物の購入先は 従 来の食品スーパー中心から 直売所 コン ビニエンスストア ドラッグストア イン ターネット販売等へと広がりを見せ それ ぞれの購入先に応じて流通チャネルも多様 化しています 今後 ライフスタイルの変 化等により流通チャネルの多様化が更に進 農林水産業流通マッチングサイト agreach 第1 章 むと見込まれる中 より効率的で有利な流 通を求める 流通業者 実需者と生産者の 直接取引が拡大すると考えられます 農林水産省では 流通業者 実需者と生産者の双方が最適な取引先を見つけられるよ ア グ リ ー チ う マッチング支援サイト agreach を平成 年 6 月に開設しました 事例 農業者が店舗や価格を決定できる小売店向け販売の仕組み 全国 おいかわともまさ 株式会社農業総合研究所の及川智正代表は 会社勤務 農 業を経験後 農業がビジネスとして独り立ちできる仕組みづ くりを目指し 平成 年 1 月に 32 歳で同社を設 立しました 同社のシステムは 農業者が農産物を集荷場に持ち込み 自らが決めた店舗や価格のバーコードシールを貼り付ければ 原則翌朝には都市部のスーパーマーケットの売り場に並ぶと いうものです 価格の6 から65 は農業者の手取りとなり 店舗での販売情報は農業者に随時メールで届きます また 集荷場には販売店舗を巡回した同社スタッフのコメントや相 場情報は集荷場掲示板や専用ポータルサイトを通じて農業者 集荷場の拠点数 平成 年度末時点 に提供され パッケージの工夫 店舗選択 価格設定等に役 立てられています 平成 年度末時点で 同社の 集荷場は 72 か所 登録農業者数は 7,3 人となっており 22 年までに農業者数を 2 万人に拡大したい考えです 平成 年 2 月には香港向け輸出を始めており 将来的には 農業者が海外の店舗を販売先に選択できること を目指しています バーコードシールの発券機と タブレット 95

122 第6節 食品産業の動向 事例 生産者が需要に応じて出荷できる飲食店向け販売の仕組み 東京都 きく ち しん 東京都渋谷区のプラネットテーブル株式会社の菊池紳代表 埼玉県 は 生産者が意欲的かつ持続的に取り組める農畜水産業にし 山梨県 東京都 たいとの思いから 金融機関勤務等を経て平成 年 5 月に 35 歳で同社を設立し その翌年 生産者と飲食店 神奈川県 セ ン ド をつなぐ流通システム SEND を開始しました SEND では 野菜について生産者が種類や収穫時期等の情 渋谷区 静岡県 報を登録すると同社から注文が届きます 飲食店向けはサイ ズや外観 包装ではなく 鮮度と品質が重要視され 生産者 は飲食店が求める品質の野菜を収穫後すぐに同社へ送ります 同社が買い上げた野菜は 受注に基づいてほぼ全て飲食店へ 販売 配送されます 同社の需要予測システムによって野菜 をロスなく流通させることで 販売価格の 8 割が生産者に還 菊池代表 左 と生産者 元されています 平成 年 2 月末時点で SEND の登録農業者数は 4,5 人 レストラン数は 4,3 店となっており 菊池代表は 今後 23 区の一部に限定してきたレストランの範囲を都内全 域と近隣の政令指定都市に拡大を目指すとしています 食品産業の海外展開に向けて 二国間による官民の新たな対話の場を立ち上げ 急速に拡大する食料の世界需要を取り込み 我が国 の食品産業の持続的な発展を図るためには 我が国の 強み である鮮度保持の先端技術等を活かした 農林 水産物の生産から製造 加工 流通 消費に至る フー ドバリューチェーンの構築を官民が連携して推進し その事業基盤を拡大 強化していくことが重要です このため 政府では 官民による対話等を通じて食 品産業の海外展開を促進する環境整備を進めており 第1回日亜農林水産業 食料産業対話 平成 年度には 農業 食品関連産業に係 る協力覚書に基づいた日インド官民合同作業部会 日露 1 農業関係次官級対話 日亜 2 農林 水産業 食料産業対話を新たに立ち上げるとともに 東南アジア諸国等との二国間政策対 話の開催 官民ミッションの派遣 官民協議会における食関連企業への投資関連情報の提 供等を行いました 1 ロシア 2 アルゼンチン 96

123 食品産業における労働時間が長いなどの課題解決に向け ハンドブックを作成 食品産業は 他産業に比べ労働時間が長 いことや 休みが取りづらいなど様々な課題 図表 労働時間の産業間比較 平成 年 単位 時間 / 月 が挙げられており 職場環境の整備等働き方 改革が急務とされています 図表1-6-9 こ のような中 農林水産省では 働く人も企 業もいきいき食品産業の働き方改革検討会 を開催し その議論を基に 経営層に対し課 取組へのきっかけづくりとなるよう 取組の ポイント等を盛り込んだハンドブックを平成 年 3月に作成しました 今後 食品産業における働き方改革の推進に向けて 各種会議 セミナー等の機会を通じてハンド ブックの活用を促していく予定です 所定内 労働時間 所定外 労働時間 調査産業計 製造業 飲食店 持ち帰り 配達飲食サービス業 食料品製造業 飲料 たばこ 飼料製造業 卸売業 飲食料品卸売業 小売業 飲食料品小売業 第1 章 題への気づきを促すチェックリストをはじめ 総実 労働時間 資料 厚生労働省 毎月勤労統計調査 注 1 常用労働者 5 人以上の事業所 2 一般労働者 パートタイム労働者以外 の数値 3 年平均値であり 各月の労働時間を各月の常用労働者数 で加重平均して算出 中小企業等経営強化法の支援により 食品産業の成長投資を後押し 中小企業においては 深刻な人手不足 IT 活用の遅れ等が見られますが こうした状 況下においても設備投資 IT 投資 海外展開等の成長投資に積極的に取り組むことによ り 労働生産性や収益力の向上を実現している企業があります 平成 年 7 月に施行された中小企業等経営強化法では 税制 金融等の支援 措置を通じ 新たな付加価値の創造や生産性向上につながる成長投資を後押ししており 農林水産省が同法に基づき認定した食品産業等の計画件数は 平成 年度末時 点で 5,574 件となっています 食品製造業と小売業の適正取引を推進するガイドラインを策定 公表 我が国経済を持続的な成長軌道に乗せて いくため 下請など中小企業の取引条件を 図表 食品製造業 小売業の適正取引推進ガイドライ ン 豆腐 油揚製造業 パンフレット抜粋 改善していくことが重要との観点から 政 府では 平成 年 12 月から関 係省庁による連絡会議を開催し 取引実態 の把握や各種制度の改正などの取組を行っ てきました このような取組の一環とし て 独占禁止法と下請法上問題となり得る 事例を記載した業種別ガイドラインを関係 省庁で作成しています 農林水産省では 加工食品の中でも いわゆる日配品で日持 ちがせず 店頭での特売の対象となりやす い豆腐 油揚製造業と小売業との取引を対 象として 食品関係では初めてとなるガイ ドラインを 平成 年 3 月に策 定 公表しました 図表 資料 農林水産省作成 97

124 第6節 食品産業の動向 また 平成 年 3 月には 過度な鮮度要求 欠品回避のための短納期発注 客寄せのための納品価格の不当な引下げ 等の事例を盛り込んだ牛乳 乳製品に関する ガイドラインを策定 公表しました さらに スーパーマーケットやドラッグストアを含む小売業界では 関係業界への適正 取引の浸透を目的とした 自主行動計画 を策定し 自ら率先して適正取引の推進を図っ ていくこととしています 食品ロスの削減に向けた食品業界の取組が進展 世 界 に は 8 億 1,5 万 人 の 栄 養 不 足 人 1 2 口 が存在し 持続可能な開発目標 SDGs 図表 分の 1 ルールの見直し 賞味期間 6 か月の食品の場合 では 23 年までに小売 消費レベルにお ける世界全体の一人当たりの食料廃棄を半 13 ルール 納品期限 緩和後 中で 我が国においても資源の有効利用と 環境負荷の軽減の観点から 食品ロスの削 減を最優先に取り組み 発生した廃棄物を 資源として有効活用することが重要となっ ています 食品ロスの削減に向けては 小売業者で 4 は納品期限の緩和 の取組が 食品製造業 スーパー等 世界が食料廃棄を減少させる方向に向かう 売 6 万t強の食品ロスが発生しています 2か月 卸 国連 WFP3 の食料援助量の 2 倍に相当する 販売期限 納品期限 2か月 メーカー 減させる目標が掲げられる中 我が国では 多量の返品や未出荷廃棄が発生 製造日 賞味期限 2か月 店頭から 撤去 廃棄 一部値引き販売 3か月 3か月 販売期限は各スーパーが設定 ロス削減 これまでに納品期限を見直したスーパー等 対象の食品 飲料 菓子 賞味期間18日以上 コンビニエンスストア セブンイレブン ジャパン ローソン 山崎製パン デイリーヤマザキ ファ ミリーマート ポプラ ミニストップ セイコーマート スーパー イズミ イトーヨーカ堂 東急ストア ユニー イオンリテール イオンリテー ルストア イオン北海道 イオン九州 イオンストア九州 イオン琉球 イオン スーパーセンター マックスバリュ北海道 マックスバリュ東北 マックスバ リュ中部 マックスバリュ北陸 マックスバリュ西日本 カスミ コープさっぽ ろ 資料 公益財団法人流通経済研究所資料を基に農林水産省で作成 者では品質保持技術の開発による賞味期限 の延長の取組が広がりをみせています 図表 また 食品製造業者 卸売業者 小売業者の間での取引において 既に納入した商品よりも賞味期限 年月日表示 賞味期限の年月表示化 年月表示 218 年 4 月 が前の日付のものの納入は受け入 れないという慣行があり このこ とが食品ロスの一因となっていま す このような中 食品製造業者 等は 賞味期限が 3 か月を超える 菓子や清涼飲料水等について 年月日表示から年月表示へ切替えを進めています このこ とは 賞味期限の日にち部分の逆転による納入拒否の問題が解消され食品ロスの削減につ ながるとともに 卸売業者や小売業者に出荷作業の省力化や品出しの効率化等のメリット をもたらします 一方で 年月表示への切替えは 例えば 218 年 5 月 5 日 の表示は 1 国連食糧農業機関 FAO 国際農業開発基金 IFAD 及び国連世界食糧計画 WFP 国連児童基金 UNICEF 世界 保健機関 WHO 世界の食料安全保障と栄養の現状 用語の解説 3 1 を参照 3 国連世界食糧計画 World Food Programme の略 4 商慣行に基づく小売業者の加工食品の納品期限について 製造日から賞味期間の 3 分の 1 に相当する日数を経過した日 い わゆる 3 分の 1 ルール から 2 分の 1 を経過した日にまで緩和するというもの 現在は 主に飲料と賞味期間 18 日以上の 菓子で取り組まれており 対象商品や取組企業の拡大が今後の課題となっている 98

125 218 年 4 月 と表示されるように 1 か月に満たない日数の切捨てにより賞味期限が短 くなることから 食品ロスの削減に向けては 納品期限の緩和や品質保持技術の開発によ る賞味期限の延長を併せて進めていくことが必要です し まつもと また 平成 年 1 月 3 日に 3 1 運動 1 の発祥の地である長野県松本 市で第 1 回目となる食品ロス削減全国大会が開催されました 同大会では ゴミ半減の条 きょうと し 例を制定した京都市や民間事業者の取組が紹介され 食品ロスの削減の取組が広がってい く契機となりました 食品産業の製造 流通段階で発生する未利用食品を 必要とする人や施設に提供する 第1 章 フードバンク活動については 認知度が低いことや 利用者 寄付者のマッチングが効率 的に行われていないこと等が課題となっています その解決に向け 平成 年 度においては 情報交換会やセミナーが全国 6 か所で開催されたほか 食品を譲り受ける 団体等が活動を適切に運営できるよう HACCP2 指導者による衛生管理講習会も併せて 開催されました 発生した廃棄物の有効活用に向けては 食品リサイクル法 3 の枠組みにより 食品製造 業 外食産業等業種別に再生利用等実施率の目標が設定されており 各事業者において取 組が進められています 食品製造業では 発生する廃棄物の品質と量が安定していること から多くが家畜の飼料として再生利用されている一方で 外食産業では 廃棄物の分別が 困難であること等から焼却処分の割合が多く 発生抑制と再生利用のより一層の推進が必 要となっています 図表 図表 食品廃棄物等の発生と処理状況 平成 年度 食品産業計 2,1 万t 飼料 肥料 メタン その他 焼却 埋立量 減量した量 食品製造業 1,653 万t 食品卸売業 29 万t 食品小売業 128 万t 外食産業 万t 0 資料 農林水産省調べ 注 1 焼却 埋立量は 食品リサイクル法において規定されていない手法により処理されたものを含む 2 メタンは 食品循環資源を嫌気性発酵することにより メタンガスを発生させ これをエネルギー等の用途に利用する場合をいう 3 減量は 脱水 乾燥 発酵 炭化の方法により食品廃棄物等の量を減少させることをいう 運動 とは 宴会において乾杯後 3 分間と終了前 1 分間は席で料理をしっかり食べる運動のこと 2 用語の解説 3 2 を参照 3 正式名称は 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律 99

126 第6節 食品産業の動向 コラム 気象データと AI 技術を活用し 豆腐の廃棄をほぼゼロに 一般財団法人日本気象協会は 気象条件が消費者の購買行動に影響を及ぼすことに着目し 平成 年度に 豆腐製造業者 小売業者とともに 豆腐の廃棄 食品ロス 削減の 実証実験を行いました これまで 小売業者から豆腐製造業者への注文は出荷前日に行われていましたが 豆腐の製 造には 2 日を要することから 豆腐製造業者は 出荷 2 日前の時点で注文に対し不足すること のないよう製造数を多めに設定しており このことが廃棄の原因となっていました 実証実験では 同協会が豆腐製造業者と小売業者の知見を踏まえ 気象データと AI 1 技術 を活用して 出荷 2 日前の時点で豆腐の販売数を予測する 寄せ豆腐の 豆腐指数 2 を考案 しました 小売業者が寄せ豆腐の 豆腐指数 に基づき出荷 2 日前の注文を試行したところ 需要予測 の精度がこれまでよりも向上し また 豆腐製造業者は注文を受けてから製造数を設定できる ようになったことにより 予測誤差がほぼなくなりました これにより 豆腐製造業者での廃 棄をほぼゼロにすることができるようになりました 1 用語の解説 3 2 を参照 2 豆腐指数 は 気象により消費者の購買行動が変化する商品群として 寄せ豆腐 夏季 厚揚げ 冬季 につ いて作成 寄せ豆腐の 豆腐指数 資料 一般財団法人日本気象協会資料 1

127 第 7節 農林水産物 食品の新たな需要の開拓 農林漁業の成長産業化のためには 消費者や実需者の需要に応じて農林水産物を生産 供給するというマーケットインの発想による 需要と供給をつなぐバリューチェーン 1 の 構築が不可欠です 以下では 農林漁業者等が取り組む 6 次産業化 2 農産物直売所等を 通じた地産地消 3 医療分野との連携等について記述します 第1 章 1 6 次産業化と地産地消 加工 直売等の農業生産関連事業の年間総販売金額は前年度から約 1 千億円増加 平成 年度の加工 直売等の 4 農業生産関連事業の年間総販売金額 は 図表 前年度に比べ 1,8 億円 5 増加の 1 兆 9,68 億円となりました 図表 業態別に見ると 農産物直売所 9,974 億 円 農産物の加工 8,923 億円 観光農園 農業生産関連事業の年間総販売金額 観光農園 364 億円 農産物の加工 農産物直売所 平成 26 年度 9,356 億円 214 年間総販売金額 1兆 8,672 億円 8,577 億円 378 億円となっており いずれも前年度を 上回りました その他農業 生産関連事業 375 億円 46 億円 378 億円 また 平成 年度の農業生産 と 常雇い 68.8 臨時雇い 69.5 と 9,974 億円 年間総販売金額 1兆 9,68 億円 8,923 億円 関連事業における雇用者の女性割合を見る いずれも女性の割合が7割となっています 業態別に常雇いの女性割合を見ると 農産 物の加工 59.2 農産物直売所 77.1 観光農園 54.6 農家民宿 67.1 農家 レストラン 74.6 と全ての業態で高く 女性の活躍が顕著となっています 5 六次産業化 地産地消法 に基づく総合 化事業計画 6 の認定件数は年々増えており 平成 年度末時点で 2,349 件と なっています 図表 これまでに認 定された計画の内容を見ると 経営区分別 では法人が 75.8 事業別では加工と直 売を組み合わせて行うものが を占 め 品目別では野菜が で最多と 兆円 資料 農林水産省 6次産業化総合調査 図表 総合化事業計画の認定件数 その他 件 2,5 加工 直売 2, 1,811 1,5 1, 5 0 1, ,228 2, ,156 2, , ,457 1,531 1,389 1,427 平成 年度 資料 農林水産省調べ 注 1 その他は 直売 加工 加工 直売 レストラン 加工 直売 輸出 輸出 レストラン ファンドの認定件数 2 各年度末の累積値 なっています 9 株式会社農林漁業成長産業化支援機構 A-FIVE による出資等の支援は 農林漁業者 用語の解説 3 1 を参照 4 農業経営体による 農産物の加工 農産物直売所 観光農園 農家民宿 農家レストラン 農業協同組合等が運営 する 農産物の加工 農産物直売所 農家レストラン の販売金額の合計 5 正式名称は 地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律 7 加工 直売 68.4 加工 19.1 加工 直売 レストラン 野菜 31.7 果樹 18.4 畜産物 12.2 米 11.8 水産物 農林水産省調べ 11

128 第7節 農林水産物 食品の新たな需要の開拓 等が主体となって 6 次産業化に取り組むために設立された合弁事業体のみを対象としてい ましたが 平成 年 5 月に 農林漁業を行う法人が別法人を作らずに 6 次産業 化に取り組む場合も支援の対象となりました 農林漁業成長産業化ファンドの出資決定件数は 平成 年度末時点の累計で 127 件 出資決定額は約 114 億円となり 対象農林水産物別に見ると 園芸作物等 41 件 32.3 畜産物 3 件 23.6 水産物 2 件 15.7 等となっています 図表 1-73 地域ぐるみの 6 次産業化等を実現するため 市町村 農林漁業団体 農林漁業者 商工 団体 金融機関等で構成する市町村段階の 6 次産業化 地産地消推進協議会では 6 次産 業化等に関する戦略の策定が進められています 平成 年 12 月末時点で 18 市町村の参加により 9 の戦略が策定されています また 農林漁業者と中小企業者による農商工連携も進んでおり 新規用途の開拓や作 目 品種の特徴の活用による需要拡大の取組を中心に 農商工等連携事業計画 1 の認定件 数は増加しています 図表 株式会社農林漁業成長産業化支援機構による農林水産物別の出資決定件数 出資決定 件数 127 件 園芸作物等 畜産物 水産物 果物類 件 件 件 件 0 米 穀類 林産物 件 9 件 8 1 資料 農林水産省調べ 注 1 平成 年度末時点 2 出資決定件数は累積値 事例 みかん産地の農業者が作り出した新発想の調味料加工品 愛媛県 や わたはま し 愛媛県八幡浜市でみかんの生産 販売を行う株式会社ミヤ みやもとやすくに モトオレンジガーデンの代表宮本泰邦さんは 平成 愛媛県 年に摘果段階の青いみかんを使った調味料 塩みかん を開 高知県 八幡浜市 発しました この地区の園地はスプリンクラーにより一斉に農薬散布が 行われることから 宮本代表は無農薬の摘果みかんを得るた め 隣接地区で耕作放棄されたみかん園の再生に取り組みま した 商品開発に際しては 野菜ソムリエの協力を得て代表 自身が試作を繰り返し 原料に適したみかんの摘果時期の特 定に成功しました 商品は 容器への充填のみ食品メーカー に依頼し みかんの塩漬けは同社で行っています どう ご コンテストで特別賞を受賞した 塩みかん は 道後温泉 の高級老舗旅館の料理や国際線ファーストクラスの機内食で 塩みかん と これを使った 高級老舗旅館の料理 も使用されました 宮本代表は 塩みかん の特長を下味用に使うことで料理の引き締めに なると語り ホームページを通じて 塩みかん レシピの発信を続けています 1 中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律 に基づき認定される計画 12

129 農産物直売所の年間総販売金額が大きい福岡県 埼玉県 愛知県 地産地消は 地域の農林漁業と関連事業の活性化につながる取組であり 農産物直売所 での販売や学校給食での使用を通じ 地元における地場産品の消費が進んでいます 農産物直売所については 22 年度までに年間販売金額が 1 億円以上のものの割合を 5 以上とする目標が掲げられており 平成 年度においては 総販売金額 が前年度に比べ 618 億円 6.6 増加の 9,974 億円となり 1 億円以上の直売所割合は 前年度に比べ.4 ポイント上昇の 2.7 となりました 図表 第1 章 図表 農産物直売所の数と総販売金額 単位 直売所数 農業経営体 事業体 農業協同組合等 総販売金額 農業経営体 億円 農業協同組合等 1 直売所当たり販売金額 万円 1 億円以上の直売所割合 常設店舗 通年営業 平成 23 年度 目標 22,98 23,71 23,59 12,6 12,99 13,6 1,38 1,73 1,52 7,927 9,356 9,974 15,6 1,29 1,315 1,527 6,899 8,42 8,446 3,45 3,946 4, 資料 農林水産省 6 次産業化総合調査 注 22 年度目標は 農林漁業者等による農林漁業及び関連事業の総合化並びに地域の農林水産物の利用の促進に関する基本方針 にお ける目標値 都道府県別に見ると 農産物直売所の年間総販売金額では 福岡県が 474 億円と最も 大きくなっています 図表 直売所当たり販売金額では 沖縄県の 1 億 72 万円 が最も大きく 次いで愛媛県 佐賀県 1 億円以上の直売所割合では 香川県が 28. と 最も高く 次いで福井県 沖縄県となっています 13

130 第7節 農林水産物 食品の新たな需要の開拓 図表 都道府県別の農産物直売所の年間総販売金額 平成 年度 順位 都道 府県名 年間総販 売金額 億円 1 福岡県 埼玉県 愛知県 千葉県 直売所 当たり年間 販売金額 万円 ⑨ 7,224 ⑦ 7,581 1 億円以上 の直売所 割合 5,121 ⑦ 2,945 順位 都道 府県名 年間総販 売金額 億円 長崎県 直売所 当たり年間 販売金額 万円 ⑥ 7,815 ④ ⑧ 岡山県 172 5, 大分県 168 4, 佐賀県 162 ③ 1 億円以上 の直売所 割合 8, ⑥ 静岡県 38 3, 山口県 156 3, 長野県 363 3, 山梨県 155 1, 熊本県 36 6,748 ⑩ 東京都 155 2, ⑨ 和歌山県 148 6, 宮城県 142 2, 茨城県 351 5,313 9 群馬県 317 3,15 1 愛媛県 296 ② 1, 広島県 142 3, 兵庫県 287 4, 青森県 139 4, 栃木県 275 4, 沖縄県 128 ① 1,72 ③ 神奈川県 27 3, 奈良県 北海道 267 2, 石川県 鹿児島県 263 5, 鳥取県 福島県 238 3, 徳島県 111 6, 岐阜県 234 4, 滋賀県 19 4, 高知県 京都府 17 2, 三重県 196 5, 香川県 12 2 山形県 192 2, 秋田県 91 ④ 7,998 ⑤ ⑧ ⑩ ⑤ 5, , , ,925 ① 2, 新潟県 184 2, 福井県 89 6, 大阪府 182 6, 島根県 82 2, 宮崎県 181 5, 富山県 71 3, 岩手県 177 3, ② 27.9 資料 農林水産省 6 次産業化総合調査 注 丸数字は順位 また 学校給食については 22 年度 までに地場産物の使用割合を食材数ベース 図表 で 3 以上とする目標が掲げられており 単位 平成 年度においては 前年度 平成 年度 から 1.1 ポイント低下し 25.8 となりまし た 図表 その要因としては 台風 被害により野菜の価格が高くなったこと等 が考えられます 14 学校給食における地場産物 国産食 材の使用状況 22 目標 地場産物 以上 国産食材 以上 資料 文部科学省 学校給食栄養報告 注 第 3 次食育推進基本計画における目標値 割合は食材数ベース

131 事例 地産地消の取組モデルの一つとなる地域支援型農業 茨城県 茨城県つくば市で平成 年に就農し野菜の有機 いい の のぶ ゆき え り 栃木県 栽培を行ってきた飯 野信行さん 恵理さん夫妻は 平成 年から地域支援型農業 CSA に取り組んでいます 埼玉県 CSA とは代金前払いによる農産物の購入契約を通じて農業 者と消費者が支え合う仕組みで 契約の仲介組織が存在する 茨城県 つくば市 千葉県 第1 章 欧米で広がっている取組です いい の 飯野農園で会員となる消費者は あらかじめ農産物の種類 や栽培方法等を確認し 農園での農産物の受取を了解した上 で 農産物の購入代金を一括で前払いします 豊作時に多め に供給されることも踏まえ 会員は天候不順による減収リス クを共有してくれます 会員 48 人の多くは市内在住の子育 て世代と退職後のシニア世代で 農産物の受取だけでなく自 主的に農作業を手伝う目的で農園を訪れる会員も多いといい じゃがいもの草取り体験の様子 ます 会員との交流を深める畑ランチ会等のイベントも定期的に開催されており この CSA は地産地消の取組モデルの一つになるものです Community Supported Agriculture の略 2 医療分野と食料 農業分野との連携 医療分野で徐々に取り入れられつつある新たな農産物 消費者の食に対する健康志向が高まる中 医療分野と食料 農業分野が連携することに より 健康に着眼した機能性の観点から農産物の新たな需要を開拓していくことが重要と なっています また 品種改良で育成された機能性成分を多く含有する農産物や 新たな 加工技術で生み出された良食味で高栄養価の農産物が 医療分野で徐々に取り入れられつ つあります 医療機関と連携し 国産農林水産物 食品における健康機能性を解明することにより海 外農産物との差別化を図る研究開発等が国家プロジェクト 1 によって進められています この研究開発では 平成 年度までに 機能性に関する科学的エビデンスの取 得と 15 品目以上の商品化が目標に掲げられており 平成 年度には 脳機能 活性化等が期待される農林水産物 食品について 臨床試験による検証等が行われまし た 1 内閣府が推進する 戦略的イノベーション創造プログラム SIP 用語の解説 3 1 を参照 15

132 第7節 農林水産物 食品の新たな需要の開拓 事例 高栄養価にんじんによる農業と医療分野との連携 岡山県 おか やま し じゅん ぷう かい 島根県 岡山県岡山市の健康管理施設内で一般財団法人 淳 風会と 岡山県 岡山市 広島県 平成 年から にんじん こいくれない が使 鳥取県 用されています 兵庫県 株式会社タニタが共同運営する岡山淳風会タニタ食堂では こいくれないは 一般的なにんじんに含まれないリコピン を豊富に含むほか 平成 年には露地野菜で初と なる栄養機能食品 栄養成分 ビタミン A にもなりました 岡山淳風会タニタ食堂では この栄養価の高さとともに 食 味の良さ 鮮やかな紅色を評価し プレミアムコース受診者 限定の食事メニューの食材としてこいくれないの採用を決め ました こいくれない こいくれないは 平成 年度時点で全国 7 道県 の農業者 5 人によりリレー出荷が行われていますが 作付 面積が 36ha にとどまり出荷量が限られていることから 他の高級志向のクリニック等からの 要望に応えられていないとのことです 医療分野と連携できる食材として こいくれないには 生産の拡大が期待されます NK アグリ株式会社の管理により栽培されたにんじんの商品名 同社の登録商標 なお 同にんじんの品種名は京くれない 漢方薬メーカーが期待する国産の薬用作物 薬用作物の根等を乾燥して製造する生薬は その 8 割を中国に依存していますが 中国 国内の需要増加等からその輸入価格は近年上昇しています このため 我が国の漢方薬 メーカーは 漢方製剤の原料となる生薬を安定的に確保するため 国内産地と薬用作物の 契約栽培を進めています 専用の農業機械がほとんど存在しない薬 用作物では農作業の多くを人手に頼らざる 図表 単位 ha を得ず 農業者の高齢化が進行する中 薬 用作物の栽培面積は近年緩やかに減少して いましたが 平成 年度は増加 に転じました 図表 薬用作物の栽培面積 平成 26 年度 214 薬用作物 資料 公益財団法人日本特産農産物協会 薬用作物 生薬 に関す る資料 薬用作物及び和紙原料等に関する資料 薬用作物の産地においては 漢方薬メー カーが求める品質の生薬をより多く供給できるよう 地域の土壌や気候等の条件に適した 薬用作物の選定や 栽培マニュアルの作成等の取組が行われています 16

133 第 2 章 強い農業の創造

134 第1節 農業の構造改革の推進 第 1節 農業の構造改革の推進 農業の競争力を強化し 持続可能なものとするためには 農業の構造改革を加速化する ことが必要となっています 以下では 農業所得 1 の動向 農地の集積 集約化 2 担い手 の育成 確保 人材力の強化 女性農業者の活躍等について記述します 1 農業所得の動向 農業所得に影響を及ぼす交易条件指数は 2 年連続で上昇し 所得向上の方向に作用 農業生産に必要な資材の小売価格を指数化した農業生産資材価格指数を見ると 平成 年は 畜産用動物等の価格が上昇したものの 飼料 光熱動力等の価格が低 下したことから 前年に比べ 1.5 ポイント低下の 98.5 となりました 図表 一方 農家が販売する個々の農産物の価格を指数化した農産物価格指数を見ると 平成 年は 米 野菜等の価格が上昇したことから 前年に比べ 7.4 ポイント上昇 の 17.4 となりました このような状況を反映し 農産物と農業生産資材の価格の相対的な関係の変化を示す農 業の交易条件指数は 19. と 2 年連続で上昇し 所得向上の方向に作用しました 図表 農業物価指数と農業の交易条件指数 平成 年を 1 とする指数 農業の交易条件指数 農産物価格指数 総合 84.1 農業生産資材価格指数 総合 平成 年 資料 農林水産省 農業物価統計 注 農業の交易条件指数 農産物価格指数 総合 農業生産資材価格指数 総合 1 1 経営体当たりの農業所得は直近 5 年間で最高を記録 平成 年の個別経営体と組織法人経営体の調査結果を基に作成した 1 経営体 当たりの農業所得を主な営農類型別に見ると 前年に比べて いずれの営農類型でも増加 しており 直近 5 年間で最高を記録しました 図表 水田作経営については 需要に応じた生産の推進により 平成 年産米の価 格が上昇したこと等から 平成 年の 1 経営体当たりの農業所得は前年を 22.6 上回る 78 万円となりました また 作付延べ面積が 2ha 以上の水田作経営の農 業所得は 1,967 万円となっています 1 用語の解説 2 3 を参照 2 用語の解説 3 1 を参照 18

135 施設野菜作経営については 加工用や業務用への国産野菜を求める実需者ニーズへの対 応により価格が上昇したこと等から 農業所得は前年を 12.4 上回る 573 万円となりま した また 作付延べ面積が1 ha 以上の施設野菜作経営の農業所得は 1,664 万円となっ ています 果樹作経営については 夏場の少雨等で生産量が減少する一方 高糖度等の品質への評 価が高まったことを受け 総じて価格が上昇したこと等から 農業所得は前年を 2.1 上回る 253 万円となりました また 果樹植栽面積が 3ha 以上 組織法人経営体は 5ha 以上 の果樹作経営の農業所得は 911 万円となっています 酪農経営については 生乳価格の上昇 搾乳牛 1 頭当たり乳量の増加 副産物である子 牛の価格の上昇等から 農業所得は前年を 38.5 上回る 1,558 万円となりました また 搾乳牛飼養頭数 1 頭以上の酪農経営の農業所得は 4,771 万円となっています 肥育牛経営については 需要が堅調に推移するとともに 和牛改良の進展や飼養管理技 第2 章 術の向上等により高品質化等が進み 肥育牛価格が上昇したこと等から 農業所得は前年 を 72.6 上回る 2,239 万円となりました また 肥育牛飼養頭数 2 頭以上 組織法人 経営体は 3 頭以上 の肥育牛経営の農業所得は 7,415 万円となっています 図表 主な営農類型別の農業所得 単位 ha 頭 万円 平成 24 年 212 水田作経営 水田作作付延べ面積 農業所得 2ha 以上 施設野菜作経営 水田作作付延べ面積 農業所得 施設野菜作作付延べ面積 農業所得 1ha 以上 果樹作経営 施設野菜作作付延べ面積 農業所得 果樹植栽面積 農業所得 3ha 以上 組織法人は 5ha 以上 酪農経営 1 頭以上 肥育牛経営 果樹植栽面積 農業所得 , , , , , , , , 農業所得 ,125. 1,558.2 搾乳牛飼養頭数 , , ,689. 3, , , , , ,239.3 搾乳牛飼養頭数 農業所得 肥育牛飼養頭数 農業所得 肥育牛飼養頭数 2 頭以上 組織法人は 3 頭以上 農業所得 , , ,69.2 1,21.2 4,48.1 7,415.3 資料 農林水産省 農業経営統計調査 営農類型別経営統計 を基に作成 注 1 個別経営体と組織法人経営体の調査結果を母集団 農林業センサス の経営体数で加重平均した 1 経営体当たりの結果 2 営農類型は 最も多い農業生産物販売収入により区分した分類 なお 水田作経営は 稲 麦類 雑穀 豆類 いも類 工芸農作物 の販売収入のうち 水田で作付けした農業生産物の販売収入が他の営農類型の農業生産物販売収入と比べて最も多い経営 19

136 第1節 農業の構造改革の推進 食料 農業 農村基本計画 以下 基本計画 という においては 農業生産額の増 大や生産コストの縮減による農業所得の増大に向けた施策を推進するとされています 平 成 年の生産農業所得 1 は前年に比べ 5 千億円増加の 3 兆 8 千億円となりまし た 2 なお 生産農業所得から雇用賃金相当額 支払利子 地代相当額 経常補助金等を 控除した労働農業所得 家族 は 平成 年において 2 兆円で そのうち経営 主に帰属する部分である労働農業所得 経営主 は 1 兆 3 千億円と試算されています また 基本計画においては 6 次産業化 3 等を通じた農村地域の関連所得 4 の増大に向け た施策を推進するとされています 日本再興戦略 平成 年 6 月閣議決定 に おいて 22 年度に 6 次産業化の市場規模を 1 兆円とすることが目標とされています 平成 年度の 6 次産業化の市場規模は前年度に比べ 4 千億円増加の 5 兆 5 千億 円となっており これから試算される農村地域の関連所得は同 2 千億円増加の 1 兆 5 千億 円となります 2 農地中間管理機構の活用による農地の集積 集約化 農地面積 作付延べ面積ともに緩やかに減少し 耕地利用率は横ばいで推移 我が国の農地面積は 平成 年においては前年に比べ 2 万 7 千 ha.6 減少の 444 万 4 千 ha となり 近年 緩やかな減少が続いています 図表 作付 栽 培 延べ面積も緩やかな減少が続いており この結果 耕地利用率は近年 92 で推移し ています 担い手が不足している地域では新規就農者や集落営農組織の確保 育成 企業の参入等 を図りつつ 担い手への農地の集積 集約化を進め 我が国の限られた農地を有効に利用 していくことが重要です 図表 万 ha 9 農地面積 作付 栽培 延べ面積 耕地利用率 耕地利用率 右目盛 作付 栽培 延べ面積 農地面積 その他 飼肥料作物 果樹 野菜 2 豆類 1 麦類 水陸稲 6 昭和 35 年 平成2 7 (196) 資料 農林水産省 耕地及び作付面積統計 注 1 耕地利用率 作付 栽培 延べ面積 耕地面積 1 2 その他は かんしょ 雑穀 工芸農作物 その他作物 1 用語の解説 1 を参照 2 農林水産省 生産農業所得統計 3 4 用語の解説 3 1 を参照 11

137 荒廃農地面積は 横ばいで推移 市町村と農業委員会が調査した荒廃農地 1 の面積は 平成 年においては 28 万 1 千 ha となり このうち再生利用が可能なもの 遊休農地 2 が 9 万 8 千 ha 再生利用 が困難と見込まれるものが 18 万 3 千 ha となっています 図表 地域における定期的な話合いを通じ リタイアを考えている高齢者等の農地を担い手に 集積することで荒廃農地の発生を未然に防ぐとともに 担い手や農地中間管理機構 以下 機構 という による雑木除去等の取組を支援する事業を活用すること等により 荒廃 農地の解消を進めることが重要です 図表 全国の荒廃農地面積 単位 万 ha 荒廃農地面積計 再生利用が可 能な荒廃農地 再生利用が困 難と見込まれ る荒廃農地 第2 章 平成 2 年 資料 農林水産省 荒廃農地の発生 解消状況に関する調査 再生利用が可能な荒廃農地 とは 抜根 整地 区画整理 客土等によって再生することにより 通常の農作業による耕作が可能 注 1 となると見込まれる荒廃農地 2 再生利用が困難と見込まれる荒廃農地 とは 森林の様相を呈しているなど農地に復元するための物理的な条件整備が著しく困難 なもの 又は周囲の状況から見て その土地を農地として復元しても継続して利用することができないと見込まれるものに相当する 荒廃農地 3 平成 年までは推計値 平成 年は実績値 担い手に対する農地の利用集積率は 前年度に比べ 1.7 ポイント上昇の 54. さくそう 農業の競争力を強化し 持続可能なものとするためには 機構が地域内に分散 錯綜す る農地を借り受け これをまとまりのある形で担い手が利用できるよう配慮して貸し付け る 農地の集積 集約化が重要です 担い手に対する農地の利用集積率は 機構を中心として 農地利用集積円滑化団体や農 業委員会等様々な主体が農地の利用集積に向けて取組を進めた結果 平成 年 度においては前年度に比べ 1.7 ポイント上昇し 54. となりました 図表 機構の平成 年度の実績 フロー は 条件の良い平場での機構の活用や集 落営農組織の法人化に合わせた機構の活用など取り組みやすいケースが一巡する中で農地 の出し手 受け手の掘り起こしが十分に行われなかったことから 転貸面積で前年度に比 べ 3.4 万 ha 43.6 減少の 4.3 万 ha となり この結果 機構の平成 年度 末の累計の転貸面積 ストック は 14.2 万 ha となりました 図表 担い手に対する農地の利用集積率については 223 年度までに 8 割に引き上げる目標 が設定されており この実現に向けて機構の取組を加速化していくことが必要です この ため 農地利用最適化推進委員 3 の機構と連携した積極的な現場活動 農業者の申請 同 意 費用負担によらない機構借入農地の基盤整備等 相続未登記農地の担い手に対する集 積を図るための条件整備等を推進しています 1 2 用語の解説 3 1 を参照 3 第 2 章第 6 節 2 を参照 111

138 第1節 農業の構造改革の推進 図表 万 ha 7 6 担い手に対する農地の利用集積率 農地面積に占める 担い手の利用面積 担い手の農地利用 集積率 右目盛 平成 年度 資料 農林水産省 耕地及び作付面積統計 集落営農実態調査 組替集計 農林水産省調べを基に作成 注 1 農地中間管理機構以外によるものを含む 2 各年度末時点 3 担い手の利用面積 とは 認定農業者 特定農業法人を 含む 認定新規就農者 市町村基本構想の水準到達者 集落営農経 営 平 成 年 度 か ら が 所 有 権 利用権 農作業受託 集落営農経営は農作業受託のみ により経営する面積 図表 農地中間管理機構の実績 転貸面積 累計値 万 ha 15 フロー 4.3 万 ha フロー 7.7 万 ha 2.4 平成 26 年度 資料 農林水産省調べ 注 1 各年度末時点で農地中間管理機構が転 貸している面積の累計値 2 フローについては 単年度中に農地中 間管理機構が転貸した面積 簡易な手続により相続未登記農地に利用権設定が可能となる法案を国会に提出 近年 農地所有者の死亡後に 相続人が所有権移転の登記を行っ 土地の登記事項証明書 抜粋イメージ ていない相続未登記農地等が増え て お り 平 成 年 8 月 の全農地を対象とした調査の結果 この面積は全農地面積の 2 割に相 当する 93 万 4 千 ha1 に上ることが 明らかになりました 2 このうち遊 休 農 地 は 6 に 相 当 す る 5 万 4 千 ha に過ぎず ほとんどの農地では 耕作が行われています しかし 農業者のリタイアにより農地の貸借を行おうとした場 合 関係する相続人を探した上で その持分の過半を有する者から同意を得る必要がある など 多大な労力が必要となることから 貸借が断念されるケースもあり このような相 続未登記農地の存在が担い手への農地の集積 集約化を進める上での阻害要因の一つに なっています このため 相続人の一人 3 が簡易な手続で機構に最長 2 年間の利用権を設定可能とする ため 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案 を国会に提出しました さらに 相続されたものの登記が行われなかったり 相続自体が放棄されたりすること で発生 拡大する所有者不明土地の問題は 農地を含む土地全般の課題となっていること から 登記制度や土地所有権の在り方等の中期的課題として政府全体で検討を進めていま す 1 登記名義人が死亡していることが確認された農地の面積は約 47 万 7 千 ha 登記名義人が市町村外に転出し既に死亡してい る可能性があるなど 相続未登記のおそれのある農地の面積は約 45 万 8 千 ha 2 農林水産省調べ 3 固定資産税等の管理費用を負担している者等 112

139 高齢農業者の意向を速やかに把握できるよう 定期的な話合いが重要 集落や地域が抱える人と農地の問題を解決するため 地権者や担い手の参加を得た話合 いを通じ 地域農業を担う経営体や地域の在り方等をまとめた未来の設計図となる 人 農地プラン 1 の作成が進められています 平成 年 3 月末時点における 人 農地プランを作成した地域がある市町村 数は 1,58 人 農地プラン作成済みの地域数は 1 万 4,511 となり これら地域のうち機 構の活用方針が明らかになっているものは 8 に相当する 1 万 1,624 となっています 図 表 話合いの際に農地を貸し出す意思表示をしていなかった高齢農業者が 健康状態の悪化 等から その 1 年後には農地を貸したいと心境が変化することもあり得ます このような 農地が荒廃することなく円滑に担い手に集積 集約化されるよう 人 農地プランの見直 しと機構の活用に向けて 定期的に話合いの機会が持たれることが重要です 第2 章 図表 人 農地プランの作成数 平成 25 年 人 農地プランを作成した地域がある市町村数 1,312 1,498 1,532 1,565 1,58 人 農地プラン作成済みの地域数 7,573 11,812 12,86 13,845 14,511 7,182 56% 1,265 74% 11,624 8% 農地中間管理機構の活用方針が明らかになっている 地域数 資料 農林水産省調べ 注 1 各年 3 月末時点 2 平成 年の進捗率は 作成済み市町村で 99 作成予定市町村 1,591 に対する割合 作成済み地域で 97 作成予定 地域 15, に対する割合 3 担い手の育成 確保 平成 年の新規就農者数は 6 万 15 人と 2 年連続で 6 万人を超え 新規雇用 就農者も 1 万 68 人と 2 年連続で 1 万人を超えました 2 農業経営体数が一貫して減少する中 1 経営体当たりの経営規模は着実に増加 農業経営体 3 の数は一貫して減少し 平成 年においては前年に比べ 6 万 4.6 減少の 125 万 8 千経営体となり このうち販売農家 4 は同 6 万 2 千 4.9 減少 の 12 万戸 法人経営体 5 は 1 千 4.8 増加の 2 万 2 千経営体となりました 6 農業経営体数の減少は農産物の生産減少につながる懸念がある一方で 経営規模の拡大 を志向する経営体にとっては農地等の経営資源を獲得する好機となります 農林業センサ スにより近年の 1 経営体当たりの経営規模の推移を見ると 田 畑 樹園地の経営耕地面 積 牛 豚の飼養頭数のいずれも着実に拡大しています 図表 法人経営には 従業員を集めやすい 経営継続がしやすいなどの利点があることから 大規模農家や集落営農組織を中心に 農業経営を法人化する経営体が徐々に増えていま 用語の解説 3 1 を参照 農林水産省 新規就農者調査 49 歳以下の新規就農者の動向は 特集 4 1 を参照 用語の解説 用語の解説 法人の組織経営体のうち販売目的のものであり 一戸一法人は含まない 農林水産省 農業構造動態調査 113

140 第1節 農業の構造改革の推進 す 法人経営体数については 223 年までに 5 万法人とする目標が設定されており 農 業委員会や都道府県農業委員会ネットワーク機構等により 法人経営の利点や制度上の優 遇措置への理解の深化 税理士等による相談や法人化手続の支援の更なる周知が求められ ています 図表 経営体当たりの経営規模 平成 年を 1 とする指数 豚 肉用牛 14 田 12 1 畑 131 乳用牛 117 樹園地 平成 17 年 資料 農林水産省 農林業センサス を基に作成 注 各年の1経営体当たりの経営規模は次のとおり集計 田は 田の経営耕地面積 田の経営耕地のある経営体数 畑は 畑の経営耕地面積 畑の経営耕地のある経営体数 樹園地は 樹園地の経営耕地面積 樹園地の経営耕地のある経営体数 乳用牛は 乳用牛の飼養頭数 乳用牛飼養経営体数 肉用牛は 肉用牛の飼養頭数 肉用牛飼養経営体数 豚は 豚の飼養頭数 豚飼養経営体数 事例 農外参入企業が 7haの巨大温室を再生し 黒字化を実現 北海道 産業用ガスの販売を行うエア ウォーター株式会社は 北 ち とせ し 海道千歳市において 平成 年 4 月 子会社とし 北海道 て株式会社エア ウォーター農園を設立し農業生産に参入し ました 放置されていたトマト用の温室 7ha を再生して始まった農 千歳市 業生産では 安定した販路と販売リスクの分散に重点が置か れ トマト栽培を 4ha に限定しつつ その半分をカゴメ株 式会社との契約栽培とし これにベビーリーフ等を組み合わ せることとなりました また 暖房費を抑えるためトマトの 収穫を 11 月で終える決断をしたこと等から 同社では平成 年度から単年度黒字が実現しています さっぽろ し パート社員は 札幌市のベッドタウンとして人口が増加し ている千歳市等から通年社員 8 人 期間限定社員 6 人が集 温室で栽培されているトマト やまおうまる まり 地域の雇用創出にも貢献しています 同農園の山王丸取締役は 今後 海外のようにサ ラダ以外の食べ方が広がることでトマトの消費は大きく伸びると期待を寄せています 114

141 基幹的農業従事者数 常雇い人数とも 49 歳以下の割合が上昇 販売農家における基幹的農業従事者 1 数は 平成 年は前年に比べ 7 万 9 千 人 5. 減少の 15 万 7 千人となりました 図表 このうち 49 歳以下の階層で は 前年からの減少率が 2.3 と全体を下回り この結果 全体に占める 49 歳以下の階 層の割合は 1.2 から 1.5 へ.3 ポイント上昇しました また 農業経営体における常雇い 2 人数は 平成 年は前年に比べ 7 千人 2.9 減少の 24 万人となりました このうち 49 歳以下の階層では 前年からの減少率 が 2.7 と全体を下回り この結果 全体に占める 49 歳以下の階層の割合は 5.1 から 5.2 へ.1 ポイント上昇しました 基幹的農業従事者と常雇いを合わせた農業就業者については 223 年までに 4 代以 下を 4 万人に拡大する目標が設定されており 自営農業への従事や法人における雇用等 を通じ 新規就農者を確保していくことが必要です 第2 章 図表 基幹的農業従事者数 常雇い人数 単位 万人 基幹的 農業従事者 うち 49 歳以下 49 歳以下の割合 平成 年 減少率 常雇い うち 49 歳以下 49 歳以下の割合 資料 農林水産省 農業構造動態調査 注 常雇い人数は農業経営体における数値 事例 第三者継承による新規就農 分べん時期が分散された乳用牛を引き継げたのはメリット 北海道 しべ ちゃ ちょう おお みや むつ み な な こ 北海道標 茶 町 の大 宮 睦 美 さん 菜 々 子 さん夫妻は 平成 年 4 月に 前経営者からの経営継承によりそれ ぞれ 34 歳 3 歳で就農し 酪農を始めました 夫妻は 就農前 1 年間は前経営者の下で研修を受け 就農 北海道 標茶町 に合わせて畜舎 乳用牛等の農業用資産一式と住居を譲り受 けました 農業用資産は 農協が前経営者から取得し 夫妻 にリースされています 町内市街地に移住した前経営者から は 地域で助け合うことで経営は上手くいく 困ったことが あれば駆けつける との応援メッセージが寄せられました 大宮睦美さんは 経営継承について 分べん時期が分散さ れた乳用牛 6 頭をそのまま引き継げたのは大きなメリット と語り 採草放牧地 6ha では 肥料計算や土壌改良等によ り牧草の収量を高めることで乳用牛の増頭を目指したいとし ています また 将来は 農場を世襲させるのではなく や 新規就農イベントに参加する 大宮さん夫妻 る気のある新規就農者に引き継ぎたい と語っています 1 2 用語の解説 を参照 115

142 第1節 農業の構造改革の推進 事例 第三者継承による新規就農 ハウスとパート社員を引き継げたのはメリット 岡山県 くらしき し おのうえひろのぶ 6 月に 前経営者からの経営継承により 37 歳で就農し 農 広島県 き継ぐことができないかとの思いから 平成 年 鳥取県 岡山県 倉敷市 兵庫県 地が増えている状況を憂慮し 耕作放棄される前に農業を引 島根県 岡山県倉敷市の尾上博信さんは 生まれ育った地で荒廃農 業用ハウス 3 棟のリースを受けて切り花の生産を始めました 尾上さんは 多額の初期投資を行うことなく ハウスと技 術を持ったパート社員を引き継げたのは経営継承のメリット と語ります 現在は前経営者と同じ切り花生産のみを行って いますが 今後は 独自性を発揮し 施設の一部をパクチー 等の葉物野菜に切り替えて収益を高め 規模拡大を目指した いとのことです 尾上さんは 自分の経験や仲間の話から 経営継承におけ る経営を渡す側 受ける側の心構えや準備等で様々なことを 学んだといい 将来 自身の農業経営が軌道に乗ったら 新 尾上博信さん 左 と なん ば さだとし 前経営者の難波貞敏さん 右 たな活動として 経営継承に取り組む経営を渡す側 受ける側に対し 途中で破綻してしまわ ないように継承のサポートを行いたいと考えています 農業における働き方改革に向けて 農業経営者の取組のヒント等を取りまとめ 農業においては 一時期 労働力の 4 割を担った昭和一桁世代が 8 歳代を迎え 農業 生産の第一線から退きました また 生産年齢人口は平成 年のピークから減 少の一途をたどり 今日 農業を始めとする多くの業種に深刻な人手不足をもたらしてい ます 今後 他産業との人材獲得競争が更に厳しさを増すと見込まれる中 農業の持続的 発展に向けて 多様な人材を農業界に呼び込むための 働き方改革 が求められていま す 平成 年における我が国の人口 1 億 2,671 万人 1 は 25 年に 1 億 192 万人 2 にまで減少すると予想されており 他産業との人材獲得競争が激化することが見込まれま す このため 農林水産省では農業の 働き方改革 検討会を開催し 平成 年 3 月に 農業経営者による生産性の向上と人に優しい環境作りなどの 働き方改革 の 取組の拡大に向け 農業の 働き方改革 経営者向けガイド 等の取りまとめを行いまし た 図表 同ガイドの中には 先進的な農業経営者等との意見交換等を通じて得 られた実例を基に 農業経営者が取り組む具体的手法等が整理されており 今後 農業経 営者にこれらの普及を図ることで 農業における 働き方改革 を進めていくこととして います 1 総務省 人口推計 平成 年 1 月 1 日時点 2 国立社会保障 人口問題研究所 日本の将来推計人口 平成 29 年推計 116

143 図表 農業の 働き方改革 経営者向けガイド 等の概要 1 今こそ農業経営者に 働き方改革 が必要なとき 農業経営者に働き方改革の必要性を伝え 意識改革につなげてもらうための基本的考え方 人口減少の中で人手不足は農業だけの問題ではないこと 他産業との人材獲得競争の中で いかに農業が 選ばれるか という経営者の意識改革が必要であること 選ばれる 経営体に共通するのは 生産性が高く 人 にやさしい環境作り 働き方改革 を経営者が考え 取り組み 実践していること 農業就業人口は 2 年あまりで 半分以下に減少し 高齢化も 進んでいる 1995 年 農業の有効求人倍率は全産業 平均を上回って年々上昇して いる 59 歳 414 万人 217 年 1.63 農耕作業員 基幹的農業従事者数 うち女性 万人 全産業 万人 212 第2 章 182 万人 2XX 年 養畜作業員 歳 農業従事者に占める女性の割 合は減少している 2 働き方改革 に向けて段階的に経営者が取り組む具体的手法 農業経営者の取組のヒントとなる 現場の実例を基に整理した具体的手法 ステージ1 経営者が自らの働き方を見つめ直す 課題を洗い出す 従業員の立場に立って自らの経営を見つめ直す 他人の意見を聴いてみる 積極的に情報収集する 経営理念 目標を作る ステージ2 働きやすい やりがいがある 実感できる職場を作る 等 清掃や書類整理等 できることから一つ一つ改善に取り組む 正社員として雇用できるよう年間の作業を平準化する 基本的な労働法等を理解する 給与体系を明確にする 農業の繁閑を活かした柔軟な就労体系を導入する 従業員に経営理念や担当してもらう業務とその意義を説明する 口頭指示だけでなく SNS 等を活用した情報共有をする 業務内容をマニュアル化する 意見を言いやすい環境や公平な評価制度を作る ステージ3 人材を育成し更に発展する 等 採用後のミスマッチがないよう必要な人材像を明確にして募集 採用する 経営者が経営に集中できるよう 現場を任せられる人材を育成する 人 がやるべき仕事に注力できるよう最先端の技術を導入する 自らの経営と地域農業が同時に発展し 社会的価値を高める 等 資料 農林水産省作成 認定農業者は法人が一貫して増加 1 認定農業者制度 は農業者が作成した経 営発展に向けた計画を市町村が認定するも ので 認定を受けた農業者 認定農業者 には 計画の実現に向け 農地の集積 集 約化 経営所得安定対策 低利融資等の支 援措置が講じられています 平成 年 3 月末時点の認定農 業者数は 前年に比べ 4 千 1.5 減少 の 24 万 2 千 経 営 体 と な り ま し た 図 表 図表 認定農業者数 万経営体 認定農業者のうち法人 万経営体 平成 年 資料 農林水産省調べ 注 各年3月末時点 1 用語の解説 3 1 を参照 117

144 第1節 農業の構造改革の推進 この減少は 計画期間を終えた認定農業者が高齢化等のため再認定申請を行わなかった ことによるものです なお 認定農業者のうち個人についても高齢化が進行しているものの 65 歳以上の割 合は 32.5 と 基幹的農業従事者の よりも低くなっています 一方 認定農業者のうち法人の数は一貫して増加しており 平成 年は前年 に比べ 2 千 8. 増加の 2 万 2 千経営体となりました 集落営農組織は法人化が進展し 法人組織の割合は 33.8 までに上昇 集落営農 2 は農作業の共同化や機械の共同利用を通じて経営の効率化を目指す取組であ り 集落営農組織は主に高齢化が進行した水田地帯で担い手として農業生産を担う役割を 果たしています 近年 集落営農数は横ばいで推移する中 任意組織から法人組織への移行は着実に進 み 平成 年には集落営農組織全体に占める法人組織の割合が 33.8 にまで 上昇しました 図表 また 任意組織のうち将来の法人化に向けた計画を策定し ている集落営農数は 3,222 で 法人化の時期別に割合を見ると 平成 年とし ているものは 55.1 平成 年としているのは 14.2 となっています 図表 任意組織から法人組織への移行は 法人格を有することにより制度資金の利用が可能に なる 経営等の責任ある執行体制が確立されるなどの利点があることから より多くの任 意組織において法人化に向けた取組の進展が期待されます 図表 集落営農数と法人組織の割合 集落営農 2, 14, 13,62 13,577 14,742 14,717 15,134 15,136 15,111 8, 年 22 年 8.9 6, 222 年 7.9 1, 2, 223 年以降 任意組織 12, 4, 平成 年 法人組織 18, 16, 図表 集落営農の法人化予定年別の割合 平成 年 資料 農林水産省 集落営農実態調査 注 1 各年2月1日時点 2 平成 年調査から 東日本大震災の影響で営 農活動を休止している宮城県と福島県の集落営農につい ては調査結果に含まない 3 は法人組織の割合 2. 農業経営を営む 法人となる計画 を策定している 平成 3 年 任意組織の 218 集落営農数 3,222 集落営農 年 資料 農林水産省 集落営農実態調査 注 2 月 1 日時点 農地のリース方式による農業への参入企業は 平成 28 年 12 月末時点で 2,676 法人 平成 年の農地法の改正により 農地の全てを効率的に利用するなどの基本 的な要件を満たす企業は 法人形態や事業内容等にかかわらず農地を借り受けて農業に参 1 農林水産省 平成 29 年農業構造動態調査 2 用語の解説 3 1 を参照 118

145 入 リース方式 することが可能となりました 改正後から平成 年 12 月末 時点までに 2,676 法人がリース方式で参入し 1 年当たりの法人参入数は 改正前の 5 倍 のペースとなっています 1 さらに 平成 年 4 月に施行された改正後の農地法で 農地を所有できる法 人の要件が見直され 法人の議決権に占める農業関係者の割合が 4 分の 3 以上から 2 分の 1 以上に緩和されました また 役員要件については 役員又は農場長等の重要な使用人 のうち 1 人以上が農作業に従事すれば足りることとされました 4 人材力の強化 高い農業技術や経営管理能力を持つ人材の育成が期待される農業大学校 農業大学校は 農業の担い手を養成する 教育機関として 42 の道府県に設置され 台で推移しており 平成 年度 は卒業生 1,741 人に対し就農者は 994 人 となり 就農率は 57.1 となりました 図 表 農業大学校の数を就農率別に見ると 8 以上が 1 校 6 以上 8 未満が 17 校あるのに対し 4 未満も 5 校ありま す 2 農業大学校には 高校と連携した実習 等の実施 就農相談窓口と連携した社会人 人 3, ,5 2, 就農率 右目盛 卒業生数 1,97 1,767 就農者 1, 就農者以外 5 1,736 1, ,5 3 1, 2 5 1, , 平成 24 年度 第2 章 ています 近年 卒業生の就農率は 5 図表 農業大学校卒業生の就農率 1 資料 全国農業大学校協議会調べ 注 就農者には 一度 他の仕事に就いた後に就農した者は含まない の積極的な受入れ 国際的に通用する GAP3 や輸出に関する学習の導入 特徴あるカリ キュラムの創設等により意欲ある若者を集め 高い農業技術や経営管理能力を持つ人材と して育て上げ 農業分野に送り出すことが期待されています 全国の農業高等学校 以下 農業高校 という における平成 年度卒業 生の就農率は 3. 4 農業大学校等へ進学した者の割合は となっています このた め 農業高校生の就農への関心や意欲の高揚に向けて 都道府県の農業部局が紹介した農 業経営者が 農業高校において外部講師や実習受入先となる動きが広がっています また 農業高校において習得した基礎的 基本的な知識や技術を 農業大学校において 高度で実践的なものに発展させることも 人材力強化の観点から重要となっています 滋 よ う か いち 賀県では県立八日市南高等学校農業科等の生徒による農業大学校への訪問が毎年行われて おり 農業大学校に進学した先輩から学校生活や卒業後の進路等の話を直接聴くことで 生徒の進学の動機付けにつながっています 1 農林水産省調べ 1 年当たりの平均参入数は 改正前 平成 年 4 月から平成 年 12 月 は 65 法人 改正後 平成 年 12 月から平成 年 12 月 は 34 法人 2 全国農業大学校協議会調べ 3 用語の解説 3 2 を参照 4 文部科学省 学校基本調査 を基に農林水産省で作成 5 文部科学省 学校基本調査 全国農業大学校協議会調べを基に農林水産省で作成 119

146 第1節 農業の構造改革の推進 事例 農業大学校として全国初の GLOBALG.A.P. 認証取得 新潟県 新潟県農業大学校の稲作経営科では 実習時の事故防止と 新潟市 農産物への異物混入防止等の生産工程管理能力やグローバル な人材の育成を目的として 平成 年 11 月に 新潟県 農業大学校として全国初となる GLOBALG.A.P. の認証を米 で取得しました 長野県 福島県 群馬県 栃木県 認証の取得に向けては 講義や演習を積重ねた同科の学生 が担当職員とともに審査に臨み この結果 同校の水田 17ha が認証ほ場となりました 演習後の学生のレポートに は実際に農場や施設でリスク評価を行ってみて GAP の効果 や必要性を実感できたとの意見が多数見られ 認証取得のプ ロセスで学生の GAP に対する理解が深まっています 平成 年度には 全科の学生が GAP の意義や GAP の学習の様子 内容を学習できるよう 全科の 1 学年を対象としたカリキュ ラム GAP 導入演習 を必須科目に加えました また 同校では他科の学生も GAP 認証に関 する実践学習ができるよう認証品目の増加を目指しており 平成 年 4 月には 新 たにいちごで GLOBALG.A.P. の認証を取得する見込みです コラム 我が国とフランスの農業高校間の交流がスタート 平成 年 12 月に東京で開催された我が国とフランスによる農政の実務者会合に おいて 若手農業者の新規参入等について相互協力の合意がなされ この一環として 平成 年 5 月に 我が国の農業高校の教員 5 人によるフランスの農業高校の視察が行わ れました フランスの農業高校には農業者が技術や経営等を学ぶ 生涯教育センター が併設されてい ることも多く 農業高校の施設は 農業を目指す学生だけでなく 現役の農業者にも利用され ています また 地域農業の発展に必要な最先端技術 の実証も行われており 地域で求められる人材の育成 新技術の提案といった役割も果たされています 視察を通じて得られた知見等は 5 人の教員によって 自校内だけでなく他校へも積極的に情報発信が行われ ています 平成 年度以降は フランスの 農業高校の教員による我が国への訪問等も計画されて います 12 フランスのパドカレ県農業高校での 交流の様子

147 静岡県が 農業分野の専門職大学開学に向けた基本構想を公表 学校教育法の改正により 平成 年 4 月 1 日以降 実践的な職業教育を行う新たな高等教育機 関として 専門職大学 専門職短期大学 が開学でき ることとなりました 農業分野では 質の高い農産物 の生産に加えて 直売 加工品開発等も手がけ 高付 加価値化 販路拡大等を先導できる人材の育成等が期 待されています 静岡県では 県立農林大学校の専門 職大学への移行に向けた基本構想を平成 年 2 月に公表しました 開学時期は 22 年 4 月を目 22 年 4 月の専門職大学への移行を 目指す静岡県立農林大学校 標としており 農業大学校からの移行により開学する農業分野の専門職大学としては全国 初となる見込みです 第2 章 近年 大学の農学系の学部において志願者が増えていること等を背景に 全国各地で 農 や 食 を名前に掲げた大学の開設や学部 学科の設置の動きが広がっています 平成 年 4 月には 新潟県で新潟食料農業大学が 長野県で食健康学科を持つ 長野県立大学がそれぞれ開設されるとともに 東京都の東京家政学院大学では食物学科 が 滋賀県の立命館大学では食マネジメント学部がそれぞれ設置されました また 福島 大学では平成 年 4 月の食農学類の設置に向けて準備が進められています 農 や 食 に関わる人材の裾野が広がり 農業分野で活躍する若者の輩出が期待され ます 事例 大学生の目線で 全国の元気な農業者の情報を発信 東京都 ち よ だ く の っ ぽ 東京都千 代 田 区 の株式会社 NOPPO では 農業を仕事と 埼玉県 して考える学生等をターゲットに 全国に元気な農業者がた 山梨県 東京都 千代田区 くさんいることを大学生の目線で情報発信するフリーペー パー VOICE を発行しています 季刊誌となる同誌は ふくもと ゆ き 神奈川県 こ 同社取締役の福本由紀子さんと農業に興味のある大学生のス タッフにより制作され 全国 2 校以上の大学 各県の農 静岡県 業大学校や就農センター等に届けられています 農学系の大学生であっても実際に農業者と接点を持つ機会 は少なく 農業に触れる機会を得ようと同誌の編集に参加し た大学生は 多くの気づきを得ることができた 農の可能性 を肌で感じることができた といった喜びの声を同誌の編集 後記に綴っています 福本取締役は 同誌のインタビュー記事で農業者を広く 女子学生スタッフによる取材の様子 知ってもらい 同社や協力企業 団体のホームページに掲載された求人情報等を見てもらうこ とで 農業法人等へ就職し 農業界で活躍する学生が増えていってほしい と語っています 121

148 第1節 農業の構造改革の推進 農業者が営農をしながら体系的に経営を学べる農業経営塾が 21 県で開講 農業者が営農をしながら体系的に経営を学ぶ場として 平成 年度に 農業 大学校等が運営主体となり 21 県で農業経営塾が開講されました 図表 農業経 営塾では 経営戦略 財務 労務管理 マーケティング等に関する座学や演習等が 各県 において 1 年間でおおむね 1 日間以上実施され 全県を通じた受講生は 441 人となりま した また 平成 年度の開講を目指す都道府県においては 開講に向けた準 備が進められています 図表 農業経営塾の開講状況 開講都道府県 名称 平成 年度の年間講義日数 新 潟 県 富 山 県 石 川 県 新潟県版農業経営塾 12 日間 とやま農業未来カレッジ 農業経営塾 21日間 いしかわ耕稼塾 2 日間 山 口 県 やまぐち尊農塾 1 日間 福 岡 県 福岡県農業経営確立 発展塾 18 日間 長 崎 長 野 県 信州農業 MBA 研修 2 日間 滋 賀 分 県 しがの農業経営塾 13 日間 崎 鹿 児 島 県 三 かごしま農業経営塾 8 日間 奈 香 川 県 かがわ農業 MBA 塾 12 日間 愛 媛 県 農業経営高度化塾 15 日間 資料 農林水産省作成 122 重 県 農業ビジネス人材育成 研修 26 日間 県 県 茨 城 県 埼 玉 県 千 葉 県 ちばアグリトップラン ナー経営塾 16 日間 おおいた農業経営塾 13 日間 宮 県 埼玉農業経営塾 9 日間 県 みやざき次世代農業リー ダー養成塾 11日間 形 いばらきリーダー農業経 営者育成講座 1日間 ながさき農業オープン アカデミー 9 日間 大 山 やまがた農業経営塾 12 日間 良 県 奈良食のつくり手経営塾 18日間 神 奈 川 県 かながわ農業版 MBA 研修 12 日間 静 岡 県 ふじのくにアグリ カレッジ 13 日間

149 事例 全国に先駆けて農業経営塾が開講 山口県 そんのうじゅく む農業経営塾を 全国に先駆け 5 月に やまぐち尊農塾 と 島根県 の名称で開講しました ほう ふ 広島県 山口県では 平成 年度に各県で順次設置が進 防府市 し 防府市の農業大学校をメイン会場に月 1 回のペースで 3 月 山口県 まで 1 回にわたり講義や演習等が行われた同塾には 県内 のモデル経営者となることが期待される農業法人役職員や法 人化志向のある自営農業者等 23 人が集まりました 参加者 のうち最多世代は 3 歳代の 11 人で 女性は 2 歳代と 4 歳 代の 2 人が参加しました 第2 章 講師陣は 県外の先進的な農業者のほか 食品スーパー 大学 銀行 県中小企業診断協会等多彩な組織から人材が派 遣され 最終日には 参加者各自が 中小企業診断士や県の 塾生による演習の様子 普及指導員等の指導を受けて作成した自身の経営計画を発表 しました 経営マネジメントやマーケティングの能力を高めた同塾の卒業生が優れた農業経営を実践し 同県農業のけん引役となっていくことが期待されます 留学や海外研修を通して国際感覚を身に付ける学生や社会人 社会や経済のグローバル化が進む中 社会総がかりで将来世界において活躍できる人材 を育成するため 高校生 大学生等を対象とする官民が協力した海外留学支援制度 トビ タテ 留学 JAPAN 日本代表プログラム が平成 年度に始まりました 平成 年度末時点で 累計137 人 1 の農学系の大学生 同15 人の農業高校生が 同プロ グラムの支援を受け 農業 食品産業分野での留学やインターンシップ等に取り組みました また 公益社団法人国際農業者交流協会では 大学 農業大学校の卒業生等の若手が 欧米の農場等で 1 年から 1 年半程度の研修を行う海外農業研修プログラムを実施していま す 同プログラムの研修生は 近年 年間 6 人程度となっており その半数以上は非農 家出身者となっています 図表 同協会には国際人材を求める農業法人等から求 人が寄せられており 帰国後に就農する研修生も見られます 農業分野における国際感覚を身に付けた人材の育成に向けて これらプログラムの更な る活用が期待されています 図表 海外農業研修の参加者の内訳 平成 年度から平成 年度 農家 49 出身別 男女別 野菜 54 専攻別 2 非農家 51 男 75 4 畜産 22 6 果樹 13 8 女 25 花き 11 1 資料 公益社団法人国際農業者交流協会資料を基に農林水産省で作成 注 3年間における海外農業研修参加者 23 人の数値 1 プログラム開始から平成 年度末までに留学に出発した人数の合計で 高校生も同様 留学期間は 大学生につい ては 28 日以上 2 年以内 3 か月以上を推奨 高校生については 2 週間から 1 年間となっている 123

150 第1節 農業の構造改革の推進 農業支援外国人受入事業の実施に向け京都府 新潟市 愛知県が実施区域に認定 産地での多様な作物の生産等を推進し 経営規模の拡大などによる 強い農業 を実現 するため 農業分野における外国人材の活用を図ることが課題となっています このため 平成 年 9 月に 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の 一部を改正する法律 が施行され 国家戦略特別区域内において 我が国の農業現場で即 戦力となる一定水準以上の技能等を有する外国人材を就労目的で受け入れることが可能と なる国家戦略特別区域農業支援外国人受入事業が創設されました これにより 農業者 は 労働者派遣契約に基づいて 必要な時期に 一定の基準を満たした特定機関に雇用さ れた外国人材の派遣を受けることができるようになりました 図表 平成 29 にいがた し 217 年度末時点で 京都府 新潟市 愛知県が本事業の実施区域として認定を受けて おり これらの区域内で 今後 外国人材が農作業に従事することとなります 図表 農業支援外国人受入事業の概要 国家戦略特別区域会議 国家戦略特区 区域会議の下に設置 適正受入管理協議会 連携 関係自治体 苦情 相談 定期報告 重大問題発生時 には速やかに報告 特定機関の基準 適合性の確認 巡回指導 監査 現地調査 定期報告 重大問題発生時 には速やかに報告 特定機関 受入企業 労働者派遣法の許可を受ける等の要件を 満たした事業者 苦情相談 内閣府地方創生推進事務局 地方入国管理局 都道府県労働局 地方農政局 労働者 派遣契約 派遣先農業経営体 農業経営を行う個人又は法人 雇用契約 作業指示 農業支援活動 外国人農業支援人材 通算在留可能期間は3年とし この期間を超えない範囲内で帰国 再度の入国は可能 資料 内閣府資料を基に農林水産省で作成 農業分野においては これまで修得した技能や知識の母国への移転という国際協力を目 的とした技能実習制度の下 農業関連の技能実習生を受け入れてきました 同制度は 平 成 年 11 月に技能実習法 1 が施行されたことを受け 制度の適正化や技能実習 生の保護を図るとともに 優良な監理団体と実習実施者の下で行われる技能実習につい て 技能実習期間の延長や実習実施先での受入人数上限の拡大が図られました 5 女性農業者の活躍 組織経営体の常雇いにおいて女性の活躍の場が拡大 平成 年における女性農業者は 基幹的農業従事者で前年に比べ 3 万 7 千人 5.7 減少の 61 万 9 千人 組織経営体 2 の常雇いで前年に比べ 4 千人 8.4 増加の 5 1 正式名称は 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律 2 用語の解説 を参照 124

151 万 7 千人となりました 図表 女性の割合は 基幹的農業従事者がほぼ横ばいで あるのに対し 組織経営体の常雇いは 2.3 ポイント上昇しており 後者において女性農業 者の活躍の場が広がっていることが分かります また 組織経営体の常雇いを営農類型別に見ると 施設野菜部門と花き 花木部門で女 性の割合が高くなっています これは 男性との体力差がハンデになりづらい 女性の感 性やきめ細かさを活かしやすい 職場に女性が多く働きやすいなどが理由として考えられ ます 図表 農業労働力における女性の割合 販売農家と組織経営体における農業労働力 単位 万人 平成 年 基幹的農業従事者 販売農家 常雇い 組織経営体 うち女性 女性割合 全体 うち女性 第2 章 全体 女性割合 資料 農林水産省 農業構造動態調査 組替集計 組織経営体のうち施設野菜部門と花き 花木部門における常雇い 単位 人 平成 年 全体 施設野菜 花き 花木 うち女性 女性割合 12,991 8, ,453 5, 資料 農林水産省 215 年 農林業センサス 女性農業者の経営参画等につながる家族経営協定の締結農家数は増加 農家において女性農業者が経営参画や仕事と生活が 調和した働き方を実現する上で 家族経営協定 1 の締 結は重要な役割を果たします 平成 年度 末時点で 家族経営協定を締結している農家数は前年 度に比べ 758 戸 1.3 増加の 5 万 7,155 戸 2 となり ました また 農業委員と農業協同組合役員に占める女性割 合はそれぞれ増加しており 平成 年は 3 農業委員は前年に比べ 2.5 ポイント上昇の 世代 4 人で家族協定を締結した や ごう 矢郷さん一家 農業協同組合役員は.2 ポイント上昇の となりました 平成 年 4 月に 施行された改正後の農業委員会法では 農業委員の任命に際し性別等の偏りに配慮する旨 の規定が置かれており この施行後に任命が行われた農業委員に占める女性の割合は さ く あさ となりました また 女性役員不在の農業協同組合もある中で 長野県の佐久浅 1 用語の解説 3 1 を参照 2 3 農林水産省調べ 4 JA 全国女性組織協議会調べ 5 農林水産省調べ 平成 年 1 月 1 日時点 125

152 第1節 農業の構造改革の推進 ま 間農業協同組合では 女性役員の全地区からの選出を積極的に働き掛けたところ 平成 年 5 月の役員選出で 全 38 人のうち女性が 8 人と 21 を占めるなど 女性 の経営参画を進める動きも見られます 事例 25 歳で北海道酪農の経営者になった女性農業者 北海道 て し かが ちょう は が 北海道弟 子 屈 町 の酪農家の二女芳 賀 ひとみさんは 平成 年に 2 歳で実家の酪農の後継者として就農し 北海道 ました 弟子屈町 芳賀さんは 就農時 自給粗飼料を中心に給餌し搾乳牛 1 頭当たり乳量が極端に低い自家の経営に不安を抱きましたが 4H クラブ の仲間と勉強会を重ね 経営費の低減が所得の 向上に結びついていることを確認し 親が実践してきた経営 に自信を持てるようになりました 同町内では 3 歳代でも経営主になっていない酪農家が多 い中 芳賀さんは父親が 65 歳を迎えたのを機に 25 歳で経産 牛 4 頭の酪農経営者となりました 男性であれば言われる ことのない 凄いね 偉いね という言葉の悔しさをバネ に 自分が格好いい女性農業者になることで地域に仲間が増 えることを夢みて芳賀さんは経営者として歩み出しました 平成 年7月の全国酪農青年女性酪農発表大会で 就農から現在までの歩みを発表した芳賀さんは 最優秀賞を 受賞しています 酪農経営者となった 芳賀ひとみさん 農業経営上の課題の解決方法やより良い技術を検討する活動をはじめ 消費者や他クラブとの交流 地域ボランティ ア等を実施する組織 メンバーの中心は 2 歳代から 3 歳代前半 女性農業者の飛躍を後押しする農業女子プロジェクトと WAP1 農業女子プロジェクトは 女性農業者の知恵と企業の技術を結びつけ 新たな商品や サービスの開発等を進める取組であり 女性農業者の存在感の向上と農業を志す若手女性 の増加を目指しています 平成 年度末時点で 農業女子プロジェクトのメン バー 以下 農業女子メンバー という は 662 人 参画企業は 34 社 教育機関は 4 校 1 となりました 農業女子メンバーの有志は 平成 年の 9 月 27 日から 1 月 31 日までの間 秋の農業女子フェア in 香港 を開催しました 同年 1 月 2 に続く 2 度目の海外イベントと なり 農業女子メンバーによる百貨店等での試食イベントのほか 新たに 料理教室と連 携したレセプションパーティの開催 日本料理店と連携した特別メニューの提供等が行わ れました 高等学校や大学等の教育機関と農業女子メンバーが連携した取組を行う チーム はぐ かま た くみ では 蒲田女子高等学校 東京農業大学 産業能率大学において 農業女子メン バーが講師となった高校 大学での授業 生徒や学生を生産現場に招いた農業インターン 1 農林水産省調べ 2 平成 年 1 月 11 日から 18 日までの間 香港における複数の店頭で農業女子メンバー自らが試食販売を実施 126

153 シップや農産物の加工 販売の体験等が行われまし た 平成 年 3 月に近畿大学が参加した ことで チーム はぐくみ のパートナー校は 4 校となりました また 公益社団法人日本農業法人協会では 女性 活躍に向けて先進的な取組を実践している農業経営 体を 農業の未来をつくる女性活躍経営体 1 選 WAP11 に認定する活動を行っています 3 年目となる平成 年度は 42 経営体が認 定され この 3 年間の累計は 12 経営体となりまし た 第2 章 秋の農業女子フェア in 香港 のチラシ 事例 農業法人で実現された女性従業員が働きやすい職場環境 香川県 かんおん じ し お いけ み わ 香川県観音寺市の尾池美和さんは 夫と九条ねぎ 青ねぎ 岡山県 の生産を行っていました 平成 年に農業経営の サ ン ソウ 法人化を図り株式会社 Sun so を設立しました 香川県 同社の取締役となった尾池さんは 従業員の長期雇用に向 愛媛県 けて パート従業員の土日祝休み 退社時間の選択制 残業 観音寺市 なしの労働条件を取り入れるとともに 社会保険や産休 育 休 介護休業制度を完備しました また 女性パート 8 人を含む従業員 12 人全てが作業を平 均的に効率よくこなせるようにするため チーム制の導入や ビデオ撮影による作業の見える化 マニュアル化を進めまし た この結果 子供の病気等で急な休みが必要になった場合 に作業の代替ができるようになりました さらに 新たな集出荷場を整備し 清潔で快適な作業しや すい職場環境づくりにも取り組んでいます 同社の取組は 農業女子プロジェクトアワード 216 オブ 従業員による収穫作業の様子 ザ イヤーと平成 年度の WAP1に選ばれました 女性農業者の良きパートナーである 女性の普及指導員等が活躍 農業を周りで支える仕事においても女性が活躍しています 都道府県職員の普及指導員は 主に普及指導センターに駐在し 試験研究機関等で開発 された品種 技術の普及 営農情報の提供 農業者向け施策の活用支援等の業務を行って います 平成 年度末時点における全国の普及指導員 6,568 人のうち女性は 1 農業経営 体 における女性の積極的な参画 の英訳である Women's Active Participation in Agricultural Management の頭文字 127

154 第1節 農業の構造改革の推進 1,73 人で割合は 26.3 となっています 特に 栃木県や埼玉県では 県が採用した直 近 5 年間 1 の農業職職員のうち半数以上が女性となっており 普及指導員として活躍する 若手の女性が増加しています 農業協同組合職員の営農指導員は 管内の本支所や 営農指導センター等に駐在し 地域の主要作物を中心 とした巡回指導 共同選果 共同販売の管理等の業務 を行っています 中には積極的に女性の採用を進める はま まつ 動きも見られ 静岡県のとぴあ浜 松 農業協同組合で は 近年 営農部門を希望する有能な女性新規採用職 員を積極的に同部門に配置した結果 営農指導員に占 め る 女 性 の 割 合 は 平 成 年 4 月 時 点 の 女性営農指導員による技術指導の 様子 とぴあ浜松農業協同組合 23.5 から平成 年 4 月時点では 31.4 にまで高まっています また 酪農では 家畜の人工授精等を行う家畜人工授精師や 酪農家が休日を確保でき るよう酪農家に代わって乳牛の世話や牛舎の掃除等を行う酪農ヘルパーとして活躍する女 と かち 性がいます 北海道を代表する家畜人工授精師免許の交付地である十勝総合振興局内で免 許交付を受けた家畜人工授精師を見ると 近年 女性の割合は 2 割から 3 割程度で推移し ています 農業を周りで支える彼女たちは 経営を発展させ活躍の場を広げていこうとす る女性農業者にとって 気持ちを打ち明けやすく 考え方に共感してくれる良きパート ナーであり この役割をしっかりと果たしていけるよう彼女たちの働きやすい環境づくり が重要です 事例 女性の家畜人工授精師等にこだわりを持つ女性農業者 北海道 べつ かい ちょう こ ばやし はる か 北海道別海町の酪農家の長女小 林 晴香さんは 弟の企業 就職を機に 平成 2 28 年に 27 歳で実家の酪農の後 継者として就農しました 両親とともに搾乳牛 8 頭 採草 地 9ha の経営を行う小林さんは 女性の家畜人工授精師と 北海道 別海町 酪農ヘルパーにこだわりを持っています 女性は 牛への接 し方も優しいので安心できるとのことです 小林さんは 女子学生等の体験受入れを通じ酪農の魅力を 伝える活動を行っているほか 平成 年 9 月には 同町で酪農を楽しむ姿を発信し全国から農業女子を集めたい として 女性の酪農関係者をメンバーとする活動組織 別海 ストロン ギュウ 町酪農女子同盟 Stron gyu を立ち上げました 以前 酪 農家に就職した町外出身女性が仕事に悩み町を離れてしまっ た例があり 小林さんは 活動組織を作ることで このよう な女性に働き方の選択肢があることを伝える役割も果たした いと考えています 1 平成 年 4 月採用から 平成 年 4 月採用までの 5 年間 128 乳牛に牧草を与える 小林晴香さん

155 事例 女性酪農ヘルパーが語る仕事の魅力 北海道 べつかいちょう わたなべ ゆ き 北海道別海町の渡辺有紀さんは 北海道の酪農にひかれ なか しゅん べつ 平成 年 4 月に千葉県から移住し 中 春 別 農業 北海道 協同組合の酪農ヘルパー利用組合で酪農ヘルパーとして働き 別海町 始めました ヘルパーの仕事は 搾乳 牛舎の清掃 餌やりの作業を 午後 3 時から 7 時までと翌朝 5 時から 9 時までを 1 セットと して担当し その後 酪農家に牛の状態等を報告して終了と なります 休日であっても酪農家の都合で急に仕事を頼まれ るなど大変な面もありますが ヘルパーとしていろいろな酪 第2 章 農家からノウハウを勉強できるのは 将来 酪農家を目指す 自分にはプラスと渡辺さんは考えています 同僚は 酪農家 を目指す人 酪農家の従業員を目指す人 ヘルパーを続ける 人等様々です 乳牛に囲まれる渡辺有紀さん 渡辺さんは ヘルパーを通じ地域とのつながりができることで離農跡地の声がけをいただい たり ご縁があれば酪農家と結婚し就農という道もあり このようなヘルパーの魅力を広く発 信していきたい と語っています 6 農業金融 農業向け融資は 公庫 一般金融機関 農協系統のいずれも増加傾向 農業は 果樹作や畜産を中心として生産サイクルが長く投資回収に長期間を要する 天 候等の外的要因により収益が不安定であるといった特性があります このため 農業向け の融資においては 農業協同組合 信用農業協同組合連合会 農林中央金庫 以下 農協 系統金融機関 という や地方銀行等の一般金融機関が短期の運転資金や中期の施設資 金を中心に 株式会社日本政策金融公庫 以下 公庫 という がこれらを補完する形 で長期 大型の施設資金を中心に 資金供給の役割を担っています 近年 農業経営の規模拡大や人手不足等を背景とした省力設備の導入等による資金需要 の高まりから 農業向け融資は増加傾向にあります 図表 農業向け融資の新規 貸付額の伸びを融資機関別に見ると 一般金融機関は 5 年間で 1.7 倍 1 農協系統金融機関 は 1 年間 2 で 1.4 倍 公庫は 5 年間で 1.5 倍に増加しています 農業者の多様な資金ニーズに適切に対応していくためには 一般金融機関と公庫との連 携 協調融資の取組強化が重要となっています このため 公庫は 一般金融機関との間 で情報交換を行うほか 農業融資についてのノウハウの提供を行っています 平成 年度の公庫と一般金融機関の協調融資による新規貸付額は前年度に比べ 億円 増加の 1,762 億円 3 となっています 1 農業 林業向けの新規設備資金 2 農協系統金融機関においては 農業向けの新規融資額を平成 年度から調査している 3 株式会社日本政策金融公庫ニュースリリース 平成 年 5 月公表 農林漁業分野における実績値 129

156 第1節 農業の構造改革の推進 次世代を担う競争力ある担い手の確保 育成を図るためには 個々の農業者の経営能力 や将来性を見極め 資金面から支援を行っていくことが必要となっています このため公 庫は 平成 年 2 月から 担保や保証人に依存せず 個々の農業者の経営能力 や投資内容の事業性に重点を置く 事業性評価融資の取扱いを行っており 平成 年度末時点での 融資実績は 2 億円 1 となっています また 地方の一般金融 機関においても 地域活性化等の観点から 農業向けの事業性評価融資に取り組む動きが 見られます 図表 農業向けの新規融資額 一般金融機関 設備資金 億円 3,5 億円 1, , 2, 農協系統金融機関 平成 23 年度 ,45 公庫 億円 3,5 3, 2,535 2,5 2, 2, 1,5 1,5 1, 1, 5 5 平成 27 年度 215 3, ,153 平成 23 年度 資料 日本銀行 貸出先別貸出金 農林中央金庫調べ 株式会社日本政策金融公庫 業務統計年報 農林水産事業 注 一般金融機関 設備資金 は国内銀行 3 勘定合算 と信用金庫の農業 林業向けの新規設備資金の合計 事例 農業向け融資の拡大により 地域農業の発展を目指す銀行 滋賀県 株式会社滋賀銀行では 近年 農林業向け融資に積極的に 取り組み 平成 年 3 月末から平成 年 3 月末にかけて農林業向け融資残高は 2 倍以上に拡大して います 農業向け融資の特殊性がある中で 担保保証に必要以上に 依存せず企業の成長可能性等を評価する事業性評価融資 不 動産以外の流動資産や売掛債権を担保とする流動資産担保融 資といった手法も積極的に取り入れています また 独自の 事業性評価融資を受けて さわ い 設備投資を行った澤井牧場の牛舎 取組として 融資後の健全経営の継続を目的に 経営の格付 りゅうおうちょう 竜王町 けを行った上で 格付け作業の過程で把握した強みと弱みを企業診断資料として融資先に提示 し 課題やリスクに早めに対処できるよう意思疎通を図っています 平成 年 4 月からは特定の GAP 認証を取得した農業者向けに金利を割り引く新 たな融資も始めており 同行では 資金面での支援と経営ノウハウやネットワークを活かした アドバイスを通じて 地域農業の発展に貢献したいと考えています 1 株式会社日本政策金融公庫 平成 29 年 9 月中間期の取組み及び決算の概要 13

157 7 経営所得安定対策 米穀 麦 大豆等の重要な農産物を対象とした担い手に対する経営所得安定対策 経営所得安定対策は 米穀 麦 大豆等の重要な農産物を生産する農業の担い手 1 に対 し 経営の安定に資するよう 諸外国との生産条件の格差から生ずる不利を補正する交付 金の交付 以下 ゲタ対策 2 という と 農業収入の減少が経営に及ぼす影響を緩和す るための交付金の交付 以下 ナラシ対策 3 という を実施するものです 図表 2-12 平成 年度の加入申請状況を見ると ゲタ対策は加入申請件数が前年度に比 べ 1 千件減少の 4 万 5 千件 作付計画面積が同 3 千 ha 減少の 49 万 9 千 ha となりました また ナラシ対策は加入申請件数が前年産に比べ 4 千件減少の 1 万 6 千件 申請面積が 同 1 千 ha 増加の 99 万 1 千 ha となりました 第2 章 図表 経営所得安定対策の仕組み ナラシ対策 ゲタ対策 数量払 生産量と品質に応じて交付 面積払 当年産の作付面積に応じて数量払の先払いとして交付 数量払と面積払との関係 都道府県等地域単位で算定 交付金 収入減少 数量払 標準的収入 面積払 営農継続支払 過去5年のうち 最高 最低を除く 3年の平均収入 5中3 品目ごとの収入 差額を合算相殺 当年産収入 補てん金 収入減の 9割まで 補てん 農業者1 国3 の割合で 拠出した積立金から補てん 収量 資料 農林水産省作成 8 収入保険 平成 31 年 1 月 農業経営者ごとの収入減少を補てんする収入保険がスタート 農業災害補償法等の改正により 平成 年 1 月に 農業経営者 4 ごとの収入減 少を補てんする収入保険が始まることとなりました 5 補てんの仕組みは まず 農業経営 者ごとに 過去 5 年間の平均収入を基本として 保険期間の営農計画も考慮して基準収入 が設定されます そして 保険期間の収入が基準収入の 9 割 補償限度 を下回った場合 に 下回った額の 9 割 支払率 を上限として 掛捨ての保険方式 保険金 と 掛捨 てとならない積立方式 特約補てん金 の組合せで補てんが行われます 図表 収入保険は 品目の枠にとらわれず 収入全体を対象とした総合的なセーフティネットと しての機能を持つことから 収益性の高い新規作物の生産や新たな販路の開拓等 農業経 営者の挑戦を後押しするものとなります 初年度の加入申請は平成 年の秋からを予定しており 制度の対象となる青 色申告を行う農業経営者数の拡大と収入保険への理解を促進するため 平成 認定農業者 集落営農 認定新規就農者 対象作物は 麦 大豆 てんさい でん粉原料用ばれいしょ そば なたね 対象作物は 米 麦 大豆 てんさい でん粉原料用ばれいしょ 収入把握の正確性を期す観点から 日々の取引を残高まで記帳する義務があり 在庫等と帳簿が照合できる青色申告を行って いる者を対象 5 収入保険の実施主体の設立については 第 2 章第 6 節 3 を参照 131

158 第1節 農業の構造改革の推進 年度は 農林水産省と農業共済団体が連携して全国各地で説明会を開催し 農業者への制 度の周知を図りました 図表 収入保険の補てん方式 支払率 上限 9 割 収入減少 1% 自己責任部分 9 積立方式で補てん 8 保険方式で補てん 基準 収入 保険期間 の収入 機密性 農業者ごとの 過去 5 年間の農業収入 限り 過去 5 年間の平均収入を基本 情報 規模拡大など保険期間の 営農計画も考慮して設定 資料 農林水産省作成 注 5 年以上の青色申告実績がある者の場合 コラム 優遇措置が付与され 経営上の利点もある青色申告 農家の 1 月から 12 月までの年間所得に課される 所得税については 翌年 3 月 15 日までに 税務署 青色申告による節税効果の比較 事業収入 6 万円の場合 単位 円 に確定申告を行い 納税額を確定し納付する必要 青色申告 白色申告 があります 確定申告のため 農業による課税対 事業の利益 $ 象となる所得を計算するに当たっては 収入や経 青色申告者特別控除 ; 費に関する日々の取引の状況を記帳し 領収書等 青色事業専従者控除 < の証拠書類を保管する必要があります 所得控除 = 課税所得金額 % $ ; < = 青色申告とは 一定水準以上の記帳をし 正し い申告を行う者について 課税対象となる所得か ら最大 65 万円を控除できるなどの優遇措置が受け られる制度です 一定水準以上の記帳を行うために 貸借対照表等を作成することは 自らの経営を客 観的に把握する機会が得られる 金融機関の信用 を得られやすくなるといった経営上の利点もあり ます 平成 年の販売農家 133 万戸のうち 所得税額 % 税率 資料 国税庁 はじめてみませんか 青色申告 を 基に農林水産省で作成 注 1 夫 婦 で 製 造 業 を 営 み 年 間 の 利 益 額 が 6 万円である場合の試算 2 青色申告者特別控除は 正規の簿記の原則 による記帳を行った場合の試算 3 青色事業専従者控除は 妻に対し専従者給 与 12 万円を支払った場合の控除額 白 色申告の場合は 事業専従者控除 とし て 86 万円が上限 4 所得控除は 基礎控除 社会保険料控除等 5 所得税額には 住民税 事業税等を含む 青色申告を行っているものは42万戸となっており 農林水産省では収入保険の幅広い活用の観点からも青色申告の普及を推進しています 132

159 第 2節 農業生産基盤の整備と保全管理 農地の大区画化 汎用化を始めとする農業生産基盤整備は農業生産性の向上や農業生産 の多様化に 農業水利施設やため池の保全管理は農業生産の継続や防災 減災に寄与し これらは食料自給率 食料自給力の維持向上にもつながります 以下では 担い手のニー ズに応える強い農業基盤づくり 農業生産の継続に欠かせない農業水利施設の長寿命化 災害リスクから農業 農村を守る防災 減災対策等の状況について記述します 1 農業生産基盤の整備と保全管理における重点的な取組 強い農業基盤づくり 農業水利施設の長寿命化 防災 減災対策に重点化 次世代を担う若者等の後継者の参入が進むような魅力ある農業にするためには 農業の 第2 章 成長産業化を一層後押しする必要があるとともに 農業水利施設の老朽化が進行する中 将来にわたり施設の機能を適切に発揮させ 次世代に引き継いでいく必要があります ま た 災害リスクが高まる中 平常時のみならず 大規模災害が発生しても機能不全に陥ら ない強靭性を確保した持続可能な農業 農村の構築を目指していく必要があります このため 農業生産基盤の整備と保全管理を行う農業農村整備は 強い農業基盤づく り 農業水利施設の長寿命化 防災 減災対策に重点化し実施することとしています 2 担い手のニーズに応える強い農業基盤づくり 区画整備済み水田は全体の 64.7 畑地かんがい施設の整備は全体の 23.9 我が国の農業の競争力を強化するために は 農地の大区画化 汎用化や畑地かんが い施設の整備等の農業生産基盤整備を実施 するとともに 農地中間管理機構とも連携 した地域農業の担い手への農地の集積 集 約化 1 や農業の高付加価値化等を図る必要 があります 担い手が耕作の依頼を断った理由の調査 では 区画が狭小又は未整備 や 湿田 汎用化されていない といった理由が上 位に挙がっており 農業基盤づくりは 担 い手への農地の集積 集約化を進める上で 重要となっています 図表 図表 担い手が耕作の依頼を断った理由 複数回答 区画が狭小 又は未整備 72.8 離れた場所に あるほ場 54.4 湿田 汎用化されて いない 現状以上の 規模拡大は困難 21.8 その他 資料 農林水産省調べ 注 担い手農家を無作為に抽出し 36 府県 45 経営体 その うち農地所有者からの耕作の依頼を断ったことがあると回答 した 26 経営体から聴取 平成 22 年 21 年 11 月 担い手への農地の集積 集約化に資する 農地の区画整備については 未整備の農地全体の一体的な区画整備に加え 区画整備済み けいはん の水田の畦畔除去等による区画拡大や農業者の自力施工による簡易整備など 地域の担い 手の多様なニーズに沿ったきめ細やかな事業メニューの充実を図ってきています 1 用語の解説 3 1 を参照 133

160 第2節 農業生産基盤の整備と保全管理 基盤整備を通じた担い手への集積 集約化のイメージ 平成 年における水田の区画 現況 整備の状況を見ると 3a 程度以上の区画 に 整 備 済 み の も の は 157 万 ha と 全 体 の 農家数 64.7 を 5a 以上の大区画に整備済み 戸当たり規模 363戸 0 6ha 戸 農家数 戸当たり規模 集落営農参加合意者 のものは 24 万 ha と全体の 9.9 を占めて 363戸 0 6ha 戸 自家消費希望者 自家消費希望者 います 図表 また 3a 程度以上 計画 の区画に整備済みの水田の 7 割は 排水が 良好で畑としても利用可能な汎用田となっ 凡 ています 図表 畑の整備状況を見ると 幅員 3m 以上の 末端農道が整備されているものは 156 万 ha と全体の 76.4 を 畑地かんがい施設 例 A経営体 55ha B経営体 83ha C経営体 43ha 自家消費農家 51ha 基盤整備を通じた担い手への集積 集約化のイメージ 資料 農林水産省作成 資料 農林水産省作成 が整備されているものは全体の 23.9 を 区画整備済みの面積は 128 万 ha と全体の 62.7 を占めています 図表 また 区 画整備済みの畑のうち 9 割において末端農道の整備が 3 割において畑地かんがい施設 の整備がされています 図表 図表 水田面積 万 ha 4 水田の区画整備の状況 3a 程度以上 区画整備済 図表 a 以上 区画整備済 3a 程度以上 5a 以上 整備率 右目盛 整備率 右目盛 昭和 5 58 平成 年 資料 農林水産省 耕地及び作付面積統計 農業基盤情報基礎調 査 注 水田面積は 7 月 15 日時点 平成 年以前は 8 月 1 日時点 水田面積以外は 3 月末時点 134 区画整備済の水田における汎用田の 状況 平成 年 水田面積 243 万 ha うち大区画 区画整備済 24万ha 9.9% 157 万 ha 64.7% 排水良好 19 万 ha 未整備 86 万 ha 35.3% 排水良好でない 48 万 ha 汎用田 資料 農林水産省 耕地及び作付面積統計 農業基盤情報基礎調 査 注 1 区画整備済とは 3a 程度以上に区画整備された田 大 区画は 5a 以上に区画整備された田 2 排水良好とは 地下水位が 7cm 以深かつ湛水排除時間 が 4 時間以下の田

161 図表 畑面積 畑のかんがい施設等の整備状況 畑地かんが い施設整備 率 右目盛 万 ha 末端農道 3 整備率 右目盛 末端農道 整備済 図表 区画整備済 畑地かんがい 区画整備率 施設整備済 右目盛 区画整備済の畑におけるかんがい施設 等の整備状況 平成 年 49 2 畑面積 24 万 ha 区画整備済 128 万 ha 62.7% 末端農道整備済 118 万 ha 畑地かんがい施設 整備済 38 万 ha 未整備 76 万 ha 37.3% 未整備 1 万 ha 未整備 9 万 ha 資料 農林水産省 耕地及び作付面積統計 農業基盤情報基礎調 査 第2 章 昭和 5 58 平成 年 資料 農林水産省 耕地及び作付面積統計 農業基盤情報基礎調 査 注 1 畑面積は 7 月 15 日時点 平成 年以前は 8 月 1 日時点 畑面積以外は 3 月 31 日時点 2 末端農道整備済とは 幅員 3m 以上の農道に接している 畑をいう 3 区画整備済とは 区画の形状が原則として方形に整形さ れている状態をいう 水田の区画整備と排水改良により 労働生産性の向上と担い手への農地集積を推進 水田の区画整備率と稲作の労働時間の関係を見ると 水田の区画整備と排水改良が進む ことで 大型農業機械の導入が可能となり また 農地の集約化により水田間の移動も容 易になることから 労働時間は減少しています 図表 また 平成 年度から平成 年度に区画整備が完成した地区の担 い手への農地集積率を見ると 区画整備前に比べて 区画整備後は主に 3a 程度以上区 画の地区で 2 ポイント 主に 5a 以上の大区画の地区で 32 ポイントの上昇となってい ます 図表 さらに 高度な地下水位の管理を実現する地下水位制御システムの導入は 稲作におけ ちょくはん る乾田 直 播の導入等による省力化や 野菜等の高収益作物の品質と収量の向上に寄与し ます 135

162 第2節 農業生産基盤の整備と保全管理 図表 時間/1a 稲作労働時間 右目盛 6 3a 程度以 上の整備率 うち 5a 以上の 大区画の割合 2 図表 水田の区画整備率と稲作労働時間 昭和 58 年 資料 農林水産省 農業基盤情報基礎調査 農業経営統計調査 米 及び麦類の生産費 を基に農林水産省で作成 事例 担い手への農地集積率 ポイント 2 ポイント 区画整備前 区画整備後 主に 3a 程度以上 区画 区画整備後 主に 5a 以上 区画 資料 農林水産省 土地改良長期計画実績把握調査 農業基盤情 報基礎調査 注 1 平成 年度から平成 年度までに 区画整備が完了した 122 地区 主に 3a 程度区画 5 地 区 主に 5a 以上区画 72 地区 における農地集積率 2 調査対象としている 担い手 とは 農業法人 水稲作付 面積 15ha 以上の認定農業者 用語の解説 3 1 を参照 畑地かんがい施設の整備により 農業所得が大きく増加 長崎県 うんぜん し やま だ ばら 長崎県雲仙市の山田原地区では 保水性の低い火山灰性土 佐賀県 壌のため 作付けできる農作物がソルゴー等の飼料作物に限 長崎県 られていましたが 平成 年度から平成 年度にかけて畑地かんがい施設を整備したことで農業用水を 雲仙市 安定的に確保し 収益性の高い野菜を作付けできるようにな りました 農作物の作付延べ面積は平成 年度の 牧草を中心とした137haから平成 年度にはブロッ コリー等の野菜を中心とした 169ha に拡大し 1ha 当たり 農業所得も 56 万円から 24 万円へと増加しました 平成 年度には ブロッコリーの安定出荷と品 質向上を求める市場の要望に応えるため 個選から共選への 移行と製氷機の導入が行われました これにより 選果作業 氷詰め出荷されるブロッコリー から解放された農業者によるブロッコリーの作付拡大で安定出荷が実現するとともに 氷詰め 出荷により鮮度の高いブロッコリーが消費地に届けられるようになり 同地区のブロッコリー は雲仙ブロッコリーとしてブランディングに成功しました 3 農業生産の継続に欠かせない農業水利施設の長寿命化 農業用用排水路の総延長は約 4 万 km 基幹的農業水利施設の施設数は約 7,6 か所 農業水利施設は 農業用水の安定的な確保と高度な水利用を実現し 単位面積当たり収 量の維持 向上を通じて食料自給力の基礎を支えています これらの農業水利施設の整備 状況を見ると 農業用用排水路の総延長は地球約 1 周分に相当する約 4 万 km ダムや せき 取水堰 用排水機場等の基幹的農業水利施設の施設数は約 7,6 か所となっています 136

163 また 農業水利施設のうち基幹的施設は国 地方公共団体 土地改良区により 農地の 周りの農業用用排水路等の末端施設は農業者を中心とする地域住民により それぞれ管理 が行われています 老朽化した農業水利施設は ストックマネジメントにより機能を保全 農業水利施設は 戦後の高度経済成長期に整備されたものが多く 老朽化が進行してい ます 平成 年度末時点において標準耐用年数を超過した基幹的農業水利施設は再 建設費ベースで約 4.3 兆円となり これは全体の 2 割強に相当する規模となっています 図表 経年的な劣化や局部的な劣化による農業水利施設の突発的な事故が近年急 増しており 農地に水を安定的に供給する機能に支障が生じることが懸念されています 図表 第2 章 図表 基幹的農業水利施設の標準耐用年数超過状況 1 年経過後も標準耐用 年数を超過しない施設 11.7 兆円 全体の 62.9 既に標準耐用年数を超過した施設 4.3 兆円 全体の 23.2 国営 1. 兆円 全体 18.6 兆円 県営等 3.3 兆円 国営.9 兆円 県営等 1.7 兆円 今後 1 年のうちに標準耐用 年数を超過する施設 2.6 兆円 全体の 13.9 資料 農林水産省 農業基盤情報基礎調査 注 基幹的農業水利施設 受益面積 1ha 以上の農業水利施設 の資産価値 再建設費ベース 平成 年度末時点 図表 農業水利施設における突発事故の 発生状況 件 1,8 1,643 1,5 1,39 1,2 9 6 その他 降雨 地盤沈下等 経年的な劣化 及び局部的な劣化 3 平成 1 年度 資料 農林水産省調べ 注 施設の管理者 国 都道府県 市町村 土地改良区等 に対 する聞き取り調査 パイプラインの破損による水の噴出 これら施設の機能を効率的に保全する取組として 施設の長寿命化とライフサイクルコ ストの低減を図るストックマネジメントが進められています 図表 また 近年 水路トンネルの劣化状況を調査する点検ロボットや 既設パイプの中に新たなパイプを挿 入することで老朽化したパイプラインを更新するパイプインパイプ工法といった新技術の 導入が進んでいます 図表 適時適切な補修を行うことにより 機能保全を図っ 137

164 第2節 農業生産基盤の整備と保全管理 た地区においては単純な更新に比べて 整備コストが平均 3 割低減するというデータがあ ります 図表 図表 ストックマネジメントによる農業水利施設の保全管理の考え方 施設の機能診断に基づき機能保全計画を策定し 既存ストック の有効活用を図りつつ劣化の状況に応じた適切な対策を実施 ダム 凡例 機能診断の実施範囲 補修する部分 補強工事により更新 までの期間を延長 簡易な工事で施設機能 を回復し継続使用 継続使用 頭首工 用水路 資料 農林水産省作成 図表 農業水利施設の点検 改修で導入されている新技術 点検ロボット 高感度 CCD カメラ ドップラー 速度計 パイプインパイプ工法 農業用水路トンネルでの調査状況 既設パイプ 止水バンド 赤外線距離計 LED 照明 新設パイプ 水を止めることができない水路トンネルの ひび割れや漏水の調査が可能 既設パイプの中に新設パイプを挿入することで 既設パイプを掘り起こすことなく更新が可能 資料 農林水産省作成 図表 農業水利施設の長寿命化によるコスト低減効果 億円 平均 3 割コストが低減 29 低減 2 更新コスト 低減 機能保全コスト 5 低減 開水路 水路トンネル パイプライン 55 低減 17 頭首工 土木 資料 農林水産省調べ 注 1 更新コストとは 施設を全面更新した場合のコスト 2 機能保全コストとは 施設の補修を繰り返した場合のコスト 3 平成 年度と平成 2 28 年度の国営造成施設の機能保全計画書より算定 低減 1 機場 土木

165 明治 15 年 関連施策テーマ 農業水利発展の一翼を担った明治期の逆サイホンの設置 コラム いな み ちょう 兵庫県稲美町を中心に広がるいなみ野台地は周辺を流れる川より 3m 以上標高が高く 明 治期に至るまで水に恵まれない地域でした この地に水を確保し農業の振興を図るという農家 お う ご がわ の悲願は 明治 年の淡河川からいなみ野台地へ延長 26km の水路を引く事業の着 手により動き出しました し じみがわ 水路は途中 志染川の谷間を越える必要があり 事業の最大の難関となっていました 在留 中の英国人技師 1 の助言を得ることで 農業用水としては我が国初の大規模錬鉄管製の逆サ イホン 2 が水路橋とともに施工され 幹線水路の完成を経て明治 年には淡河川の 水が初めていなみ野台地の水田まで届き 淡河川疏水逆サイホンイメージ図 ました 第2 章 今日 このような大規模逆サイホンは 農業用水が河川や谷部等を横断して送ら れる場合に欠かせない施設となっており 明治期における海外の新技術を導入した 逆サイホンの設置の成功は我が国の農業 水利の発展の一翼を担ったとも言えます 1 ヘ ンリー スペンサー パーマー 英国陸軍少 将 内務省土木局名誉顧問 2 水 路が河川 湖沼 窪地などの低位部や鉄道 道路などの障害物を横断するとき 管路をそれ らの下などに設けることで流下させる仕組み 資料 いなみ野ため池ミュージアム運営協議会ほか 淡河 川 山田川疏水記録誌 を基に農林水産省で作成 4 災害リスクから農業 農村を守る防災 減災対策 大規模自然災害に対応した農業水利施設の機能強化 地域の防災 減災力の強化 近年 豪雨の発生頻度が増加傾向にあることに加え 都市化の進展等による排水量の増 たんすい 加や排水施設の地盤沈下により 農地や周辺の住宅 公共施設等への湛水被害の発生リス クが高まっている地域がみられます このような地域では 排水施設の機能強化が必要と 図表 なっています 排水機場等の排水施設を整備することにより 豪雨時の湛水被害が防止さ たんすい れ 地域の農業経営の安定化が図られています 図表 排水施設の機能強化による災害発生防止 図表 排水施設の機能強化による災害発生防止 排水機場新設前 平成2 㻝㻥㻥㻜 年 㻌 6日間降雨量㻌 㻠㻠㻝㼙㼙㻌 排水機場新設後㻔平成9 㻝㻥㻥㻣 年㻕㻌 6日間降雨量㻌 㻠㻢㻝㼙㼙㻌 湛水被害 KD 城西排水路㻌 湛水被害 0KD 湛水状況㻌 城西排機場㻌 集水区域 集水区域 湛水被害 湛水被害 資料 農林水産省調べ 注 国営総合農地防災事業 佐賀中部地区 で排水機場を新設したことで 豪雨時の湛水被害が防止され アスパラガス等の施設園芸が拡 大するなど 地域の農業経営が安定化 139

166 第2節 農業生産基盤の整備と保全管理 農業水利施設の老朽化が進み 南海トラフ地震等の発生も懸念される中 同地震の被害 想定範囲内には 全国の基幹的農業水利施設の 3 割が存在しています 図表 大 規模地震による発災時の人命への影響等が大きい国営造成施設を中心に耐震設計 照査 1 が進められており 平成 年度末時点で 重要度の高い国営造成施設のうち 7.7 に相当する 183 施設で照査が完了しています このうち耐震対策が必要と判明し ている施設については 順次 耐震化を進めていくこととしています 図表 図表 南海トラフ地震の被害想定範囲内の 基幹的農業水利施設の割合 図表 頭首工の耐震化 南海トラフ地震の被害想定範囲 内の基幹的水利施設 点施設 ,418 か所 それ以外のエリアの基幹的水利施設 線施設 2 再建設費 ,746km とうしゅこうせきちゅう 耐震化前の頭首工堰柱 18.6 兆円 1 % 資料 農林水産省調べ 注 平成 年度末時点 1 農業用ダムやポンプ場等 2 農業用用排水路 3 基幹的農業水利施設全体 耐震化後の頭首工堰柱 資料 農林水産省作成 ため池は西日本を中心に全国に約 2 万 か所存在しています 受益面積 2ha 以上 図表 受益面積 2ha 以上のため池の築造 年代 のため池 6 万 1 千か所のうち 7 が江戸 昭和以降 1% 時代以前に築造されたものであり 自然災 害による被害リスクが高まっています 図 表 平成 年度末時点 で 下流に住宅 公共施設等があり 決壊 明治 大正 2% 江戸時代 以前 ため池数 7% 6万1千か所 した場合に影響を与えるおそれがあるなど の防災重点ため池は全国で 1 万 1,362 か所 あります このうち 4,444 か所で地震に対 する詳細調査を実施したところ 2,35 か 資料 農林水産省調べ 所 で 安 全 が 確 認 さ れ て い ま す ま た 3,634 か所で豪雨に対する詳細調査を実施したところ 2,888 か所で安全が確認されてい ます ハード面の対策とともに ソフト面の対策を早急に講じていくことが防災 減災の 観点から重要となっており 堤体決壊時の浸水範囲や避難場所等を示したハザードマップ については 防災重点ため池の約半数で作成 公表が行われています 1 施設の耐震性能の有無を確認し 耐震上必要な対策を設計すること 14

167 章事例 ため池の水を活用する防災協定の締結 ( 大阪府 ) こうみょういけ 大阪府でため池の管理を行う光明池土地改良区は ため 池の耐震対策の完了を契機に平成 23(211) 年度 大阪府 大阪府 いずみし和泉市との3 者で 大規模災害時における農業用水を活用した防災活動に関する協定 を締結しました 同協定は 地震 泉大津市 高石市 等の発生時に市が土地改良区に要請を行うことで ため池の 和泉市 水を消火用水や生活用水等に活用できるとするものです 協 定締結に際しては 貴重な農業用水の転用に対して農家から 慎重な意見も出ましたが 非常時に地域で役立つため池を目 指したいと土地改良区の役員が説得に当たりました 平成 24(212) 年度からは地域住民を交え ため池から 水路に送られた水を使った消火や 貯留水の飲用へのろ過等 の訓練も行われています 防災協定への理解が広がり 平成たかいししいずみおおつし 25(213) 年度以降 高石市や泉大津市との協定締結も行 浄化装置による貯留水のろ過の様子 われました この防災協定の締結はモデル的な取組として評価され 府内の他の土地改良区や水利組合に おける防災協定の締結にもつながっています 奈良県兵庫県 第2141

168 第3節 主要農畜産物の生産等の動向 第 3節 主要農畜産物の生産等の動向 食料自給率 1 目標の実現と農業の持続的発展に向けては 作付面積の拡大と単収の向上 を通じて農畜産物の生産拡大を図っていくことが重要です 以下では 農業産出額 主要 な農畜産物の生産 流通の動向 自然災害による農業被害について記述します 1 農業産出額の動向 平成 年の農業総産出額 2 は前年に比べ 4 千億円増加の 9 兆 2 千億円となりま した 3 都道府県別分析 直近 1 年間で産出額が増加したのは 34 都道府県 農業総産出額は直近 1 年間で 9 千億円 1.4 増加しており この増分を都道府県 別に見ると 北海道が 1,588 億円と最も大きく 茨城県 915 億円 千葉県 697 億円 鹿 児島県 657 億円 熊本県 491 億円と続き 増加したのは 34 都道府県となっています 図 表 この 34 都道府県について 農業産出額における割合の高い部門 4 を見ると 15 道県が 畜産 13 都府県が野菜となっています 一方 減少した 13 県について 農業産出額にお ける割合の高い部門を見ると 8 県が米となっています この 8 県のうち 6 県は 農業産 出額における米の割合が 5 割以上となっています 用語の解説 3 1 を参照 用語の解説 を参照 トピックス 1 を参照 農業産出額における割合の高い部門 の考え方は 農業産出額に占める割合が 3 割以上で 1 位部門となっていること と した

169 章図表 都道府県別の農業産出額 平成 18 年 (26) 28 (216) 増減差 28(216) 1 位部門 2 位部門 3 位部門 ( 単位 : 億円 %) 北海道 1,527 12,115 1,588 畜産 57.7 野菜 18.2 米 9.6 青森県 2,885 3, 畜産 28.5 野菜 26.8 果実 26.5 岩手県 2,544 2,69 65 畜産 6.5 米 19.6 野菜 11.3 宮城県 1,929 1, 畜産 41.9 米 38.6 野菜 14.7 秋田県 1,861 1, 米 54.1 畜産 2.9 野菜 16.4 山形県 2,152 2, 米 33.6 果実 28.9 野菜 17.7 福島県 2,5 2, 米 33.3 畜産 23.9 野菜 23.2 茨城県 3,988 4, 野菜 43.9 畜産 25.6 米 16.2 栃木県 2,69 2, 畜産 35.6 野菜 33.7 米 21.2 群馬県 2,25 2, 畜産 42.7 野菜 4.7 米 5.8 埼玉県 1,9 2, 野菜 51.2 米 18.7 畜産 14.4 千葉県 4,14 4, 野菜 4.9 畜産 28.7 米 14.1 東京都 野菜 59.8 花き 15.4 果実 1.5 神奈川県 野菜 56.3 畜産 19.5 果実 1.2 新潟県 2,964 2, 米 57.5 畜産 19.3 野菜 14.9 富山県 米 67.3 畜産 14.7 野菜 9.2 石川県 米 51.6 野菜 19.7 畜産 17.3 福井県 米 61.3 野菜 18.9 畜産 11.1 山梨県 果実 6.2 野菜 15.7 畜産 9.3 長野県 2,322 2, 野菜 36.4 果実 22.6 米 18.4 岐阜県 1,236 1, 畜産 37.8 野菜 31. 米 18.6 静岡県 2,443 2, 野菜 3.9 畜産 21.6 果実 14.6 愛知県 3,18 3, 野菜 35.7 畜産 27.7 花き 18.1 三重県 1,142 1,17-35 畜産 37.7 米 24.1 野菜 14. 滋賀県 米 54.7 野菜 19.2 畜産 18.1 京都府 野菜 37.2 米 23.5 畜産 2.1 大阪府 野菜 45.3 米 21.5 果実 18.4 兵庫県 1,462 1, 畜産 4.2 米 26.7 野菜 25.7 奈良県 野菜 27.5 米 22. 果実 2.4 和歌山県 1,95 1, 果実 62.9 野菜 15.5 米 6.8 鳥取県 畜産 35.3 野菜 3.9 米 17.9 島根県 畜産 39.6 米 3.4 野菜 18.1 岡山県 1,255 1, 畜産 38.4 米 23.9 野菜 17.4 広島県 1,69 1, 畜産 41.1 米 2.3 野菜 2.1 山口県 米 32.2 畜産 28. 野菜 26. 徳島県 1,52 1,11 49 野菜 4.7 畜産 25.1 米 12. 香川県 畜産 4.3 野菜 32. 米 14.1 愛媛県 1,3 1, 果実 41.4 畜産 2.9 野菜 18.1 高知県 987 1, 野菜 61. 果実 1.4 米 1.2 福岡県 2,116 2,196 8 野菜 36.8 畜産 18.5 米 18.2 佐賀県 1,194 1, 野菜 28. 畜産 25.7 米 19.9 長崎県 1,329 1, 畜産 33.2 野菜 32.4 果実 8.7 熊本県 2,984 3, 野菜 38. 畜産 32.8 米 1.8 大分県 1,32 1, 畜産 35.3 野菜 28.5 米 17.7 宮崎県 3,211 3, 畜産 61.9 野菜 21.6 米 4.8 鹿児島県 4,79 4, 畜産 62.5 野菜 13. 工芸農作物 7.1 沖縄県 96 1, 畜産 42.9 工芸農作物 25. 野菜 14. 資料 : 農林水産省 生産農業所得統計 注 : 農業産出額には 自都道府県で生産され農業へ再投入した中間生産物 ( 飼料用米 種子用米 素畜等 ) は含まない 第2143

170 第3節 主要農畜産物の生産等の動向 市町村別分析 農業産出額の上位は 九州や関東の市町が多数 農業産出額を市町村別に見ると 全国 1,719 市町村 1 のうち 農業産出額が最高となっ た はら し たのは愛知県田原市で 853 億円でした 図表 農業産出額上位 3 位の市町村を見 ると 鹿児島県 5 市町 北海道 3 市町 熊本県 3 市 宮崎県 3 市等となっています また 上位 3 位市町の産出額 1 位の部門を見ると 野菜が 1 市町と最も多く 次いで 肉用牛 4 市 米 3 市 乳用牛 3 市町 豚 3 市等となっています 図表 農業産出額の上位 3 市町村 平成 年 単位 億円 順位 都道府県名 市町村名 た はら し 農業産出額 1 位部門 2 位部門 3 位部門 愛知県 田原市 花き 野菜 豚 茨城県 ほこ た 鉾田市 78.1 野菜 豚 14.1 いも類 宮崎県 みやこのじょう し 都 豚 24.5 肉用牛 181. ブロイラー 新潟県 にいがた し 米 33.4 野菜 果実 し 城市 新潟市 べつかいちょう その他の 畜産物 北海道 別海 町 621. 乳用牛 肉用牛 6 6 千葉県 旭 市 あさひ し 野菜 26.1 豚 鶏卵 54.8 静岡県 はままつ し 浜松市 果実 野菜 花き 69. 熊本県 くまもと し 熊本市 野菜 果実 7.2 米 51.2 愛知県 とよはし し 豊橋市 野菜 豚 39.1 果実 29.8 青森県 ひろさき し 弘前市 果実 米 32.3 野菜 23. 鹿児島県 かの や 鹿屋市 肉用牛 豚 99.8 野菜 52.8 鹿児島県 みなみきゅうしゅう し 南 九 州市 41.9 鶏卵 97.5 工芸農作物 71. 豚 46. 群馬県 まえばし し 前橋市 48.2 豚 97.2 野菜 94.7 乳用牛 89.1 千葉県 か とり し 42.1 野菜 93.5 いも類 8.1 米 し 香取市 し ぶ し し 鹿児島県 志布志市 豚 肉用牛 17.9 野菜 45.3 宮崎県 みやざき し 宮崎市 野菜 25.2 肉用牛 48.1 果実 29.1 熊本県 きく ち 菊池市 肉用牛 112. 乳用牛 77.4 豚 69.2 熊本県 やつしろ し 野菜 米 45.1 工芸農作物 18. し 八代市 な す しおばら し 栃木県 那須塩原市 乳用牛 野菜 6. 米 48.9 埼玉県 ふか や し 野菜 花き 3. 鶏卵 25.8 お み たま し 鶏卵 野菜 98.1 乳用牛 43.2 そ お し 351. 肉用牛 豚 9.2 ブロイラー 38.4 く る め 茨城県 鹿児島県 深谷市 小美玉市 曽於市 し 福岡県 久留米市 野菜 米 41.2 花き 36.5 鹿児島県 おおさきちょう ブロイラー 野菜 55.3 肉用牛 36.7 宮城県 し 登米市 米 肉用牛 86.7 豚 48.6 山形県 つるおか し 鶴岡市 36.5 米 野菜 16.8 果実 23. 北海道 きた み 34.2 野菜 乳用牛 大崎 町 と め し 北見市 宮崎県 こ ばやし し 小林市 33.2 肉用牛 北海道 まくべつちょう 幕別 町 乳用牛 岩手県 いちのせき し ブロイラー 一 関市 97.1 ブロイラー 野菜 6.7 豚 45.8 いも類 野菜 いも類 米 59.1 資料 農林水産省 市町村別農業産出額 推計 農林業センサス結果等を活用した市町村別農業産出額の推計結果 を基に作成 注 は 前年の順位 1 東京都の特別区は 1 市町村として計上

171 にい がた し 主な部門別に上位 5 市町村を見ると 米は 1 位の新潟県新潟市をはじめ 上位 5 市の うち 3 市が新潟県の市となっています 図表 いも類と野菜は かんしょや ほう ほこ た し れんそう メロン等の生産が盛んな茨城県鉾田市が 1 位となっています 果実は りんご ひろさき し た はら し 等の生産が盛んな青森県弘前市 花きは 菊やバラ等の生産が盛んな愛知県田原市が 工 みや こ じま し 芸農作物はさとうきびの生産が盛んな沖縄県宮古島市がそれぞれ 1 位となっています みやこのじょう し また 畜産物では 肉用牛は 1 位の宮崎県 都 城 市をはじめ 九州地域の市が上位 5 べつかいちょう 市を占めています 乳用牛については 1 位の北海道別海町をはじめ 上位 5 市町のうち みやこのじょう し 4 町が北海道の町となっています 豚については 1 位が宮崎県 都 城 市で 次いで 千 あさひ し きりゅう し 葉県 旭 市 群馬県桐生市となっています 図表 農業産出額の主な部門の上位 5 市町村 平成 年 米 いも類 順位 都道 府県名 1 新潟県 にいがた し 新潟県 ながおか し 長岡市 秋田県 だいせん し 大仙市 山形県 つるおか し 鶴岡市 新潟県 じょうえつ し 市町村名 農業 産出額 33.4 新潟市 上 越市 都道 府県名 市町村名 茨城県 ほこ た し 千葉県 なり た し 鉾田市 成田市 か とり し 千葉県 香取市 茨城県 なめがた し 長崎県 うんぜん し 行方市 雲仙市 第2 章 単位 億円 野菜 農業 産出額 都道 府県名 農業 産出額 市町村名 鉾田市 し 愛知県 た はら し 田原市 熊本県 やつしろ し 八代市 熊本県 くまもと し 熊本市 愛知県 とよはし し 茨城県 ほこ た 豊橋市 単位 億円 果実 花き 順位 都道 府県名 1 青森県 ひろさき し 静岡県 はままつ し 山梨県 ふえふき し 山形県 山形県 市町村名 農業 産出額 弘前市 浜松市 笛吹市 ひがし ね し 14.5 東 根市 てんどう し 天童市 工芸農作物 都道 府県名 市町村名 愛知県 田原市 静岡県 はままつ し 鹿児島県 た はら し 浜松市 わ どまりちょう 和泊 町 かみ す 茨城県 千葉県 し 神栖市 みなみぼうそう し 南 房総市 農業 産出額 都道 府県名 農業 産出額 市町村名 沖縄県 みや こ じま し 鹿児島県 みなみきゅうしゅう し 南 九 州市 71. 静岡県 まき の はら し 牧之原市 33.8 静岡県 しま だ し 島田市 31.2 群馬県 しょう わ むら 宮古島市 昭 和村 単位 億円 肉用牛 順位 都道 府県名 1 宮崎県 鹿児島県 鹿児島県 熊本県 鹿児島県 乳用牛 市町村名 農業 産出額 みやこのじょう し 城市 都 かの や し 鹿屋市 そ お し きく ち し 曽於市 菊池市 し ぶ し し 志布志市 都道 府県名 市町村名 北海道 べつかいちょう 北海道 なかしべ つ ちょう 北海道 しべちゃちょう 別海 町 中標津 町 標茶 町 な す しおばら し 栃木県 那須塩原市 北海道 し み ず ちょう 清水 町 豚 農業 産出額 都道 府県名 市町村名 農業 産出額 宮崎県 みやこのじょう し 24.5 千葉県 あさひ し 旭 市 群馬県 きりゅう し 鹿児島県 茨城県 城市 都 桐生市 し ぶ し し 志布志市 ほこ た し 鉾田市 資料 農林水産省 市町村別農業産出額 推計 農林業センサス結果等を活用した市町村別農業産出額の推計結果 を基に作成 2 米 主食用米から戦略作物等への取組が定着し 超過作付けは 3 年連続で解消 米 1 の 1 人当たりの年間消費量は ピークの昭和 年度の 118.3kg から一貫し 1 主食用米のほか 菓子用 穀粉用の米 145

172 第3節 主要農畜産物の生産等の動向 て減少傾向で推移し 平成 年度は前年度に比べ.2kg 減少の 54.4kg1 となり ました 1 人当たり年間消費量と人口が減少する中 主食用米の需要量は毎年 8 万t程度 2 のペースで減少しており この傾向は今後も続くと見込まれています このような背景から 主食用米の作付面積は減少傾向で推移している一方 平成 年産は戦略作物等 3 の取組が定着したことから前年産に比べ 1 万 1 千 ha 減少の 137 万 ha となり 生産数量目標の面積換算値 138 万 7 千 ha を下回り 超過作付けは 3 年 連続で解消しました 図表 図表 また 作況指数 4 が前年産 13 から 1 と なったこととあわせ 主食用米の収穫量は前年産に比べ 19 万t減少の 73 万 6 千tとな りました 5 図表 万 ha 田における農作物作付 栽培 面積 平成 19 年 飼肥料作物 野菜 豆類 乾燥子実 麦類 子実用 その他 水陸稲 子実用 資料 農林水産省 耕地及び作付面積統計 注 1 麦類は6麦 子実用 合計面積 2 雑穀及び豆類は乾燥子実 未成熟との兼用を含む 3 野菜はえんどう そらまめ 大豆 いんげん及びとうもろこしの未成熟を含む またばれいしょは野菜に含む 4 飼肥料作物は青刈り作物を含む 5 その他は かんしょ 雑穀 乾燥子実 果樹 工芸農作物 桑 花き 花木 種苗等 図表 主食用米の超過作付面積 万 ha 平成 2 年産 資料 農林水産省調べ 農林水産省 食料需給表 平成 年度は概算値 農林水産省 米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針 麦 大豆 飼料用米等 用語の解説 3 1 を参照 農林水産省 作物統計

173 担い手の米の生産コストは 平成 23 年の全国平均に比べ 3 割程度低い水準 稲作経営の農業所得を向上させるためには 品質や収量の向上に加えて 生産コストの 削減が重要です 担い手の米 1 の生産コストについては 223 年までに 平成 年産全国平均 2 比で 4 割削減する目標 9,6 円 /6kg を設定 3 しており 平成 年産は 認定農業者 15ha 以上層が平成 年産全国平均比 31.9 減少の 1,9 円 /6kg4 稲作主体の組織法人経営が同 27. 減少の 11,677 円 /6kg5 となりました 農林水産省では 更なる生産コスト削減に向けて 農地中間管理機構による農地の集 ちょく はん 積 集約化 6 直播栽培 7 等の省力栽培技術の導入 多収品種の導入や作期の異なる品種 の組合せによる作期分散等とともに 農業競争力強化支援法に基づく生産資材価格の引下 げに向けた関係者の着実な取組を推進しています 図表 図表 図表 作期の異なる品種の組合せによる生産コスト削減効果のイメージ 1日当たり 作業量 1日当たり作業量のピーク が高く 多くの労働者や 農業機械が必要 第2 章 図表 1日当たり 作業量 1日当たり作業量のピーク が低く 少ない労働者や 農業機械で作業可能 早生 品種 中生品種のみ 中生 品種 作業時期 晩生 品種 作業時期 資料 農林水産省作成 図表 円 /6kg 12, 直播栽培の導入によるコスト 労働 時間削減効果 Kg 当たり 14 全算入生産費 11, 1, 時間 /1a 15 1a 当たり 作業時間 , ,67 直播栽培を導入 していない経営体 13 直播栽培を導入 している経営体 11 図表 収量増加によるコスト削減効果 円 /6kg 12, 11, 1, 11,296 1,714 資料 農林水産省調べ 注 1 経営体は 作付面積 15ha 以上の経営体 2 生産コストは 農林水産省 農業経営統計調査米及び麦 類の生産費 より組替集計 平成 平成 年産の5か年平均 全体平均 収量 55kg/1a 以上 の層の平均 資料 農林水産省調べ 注 1 経営体は 作付面積 15ha 以上の経営体 2 生産コストは 農林水産省 農業経営統計調査米及び麦 類の生産費 より組替集計 平成 平成 年産の5か年平均 1 飼料用米以外の米 2 16,1 円 /6kg 農林水産省 農業経営統計調査平成 年産米及び麦類の生産費 3 日本再興戦略 平成 年 6 月閣議決定 4 農林水産省 農業経営統計調査平成 年産米及び麦類の生産費 5 農林水産省 組織法人経営体に関する経営分析調査 6 7 用語の解説 3 1 を参照 147

174 第3節 主要農畜産物の生産等の動向 業務用途の堅調な需要が見込まれる中 米の産地には需要に応じた生産 販売が期待 主食用米の需要に占める外食 中食 1 向 図表 け の 割 合 は 近 年 高 ま っ て お り 平 成 年度においては 31.1 となって います 図表 異なり 値頃感も重視されることから 米 6 丼等の使われ方によって求められる品質が の生産段階で販売先を確保し 適切な品種 4 の選定と単収向上に重点を置いた肥培管理 が重要となります 外食 中食 主食用米の業務用途は今後も堅調な需要 が見込まれており 米の産地には 一般家 売に取り組んでいくことが期待されます 家庭内食 1 外食 中食向けの業務用途では 寿司や 庭用と業務用各々の需要に応じた生産 販 米消費における外食 中食 家庭内 食の占める割合 平成 9 年度 1997 資料 平成 年度は農林水産省調べ 平成 年 度は公益社団法人米穀安定供給確保支援機構調べ 平成 3 年産米の生産において 重要な役割を担う農業再生協議会 主食用米については 平成 年から環境整備を進めていた 行政による生産 数量目標の配分に頼らずに 生産者が自らの経営判断 販売戦略に基づき 需要に応じた 生産 販売が行われる新しい仕組みが平成 年産から始まります この仕組みにおいて 都道府県段階と地域段階に設置された農業再生協議会は 農林水 産省から提供される全国の需給見通し等の情報と 自らの販売戦略等を踏まえ 主食用 米 麦 大豆 飼料用米等の作付方針 水田フル活用ビジョン を検討し 地域内の農業 者等に周知を行うという重要な役割を担います 平成 年産以降の主食用米では 戦略作物等の取組が定着し 3 年連続で超 過作付けが解消され 需要に応じた生産 販売が行われてきました 平成 / 年における主食用米等の需要量は 742 万tと見通され ており 各農業再生協議会の構成員となっている農業者団体や地方公共団体には 需要に 応じた生産が引き続き行われるよう中心的な役割が期待されています 図表 図表 平成 / 年の主食用米等の需給見通し 単位 万t 平成 年 6 月末民間在庫量 A 186 平成 年産主食用米等生産量 B 735 平成 / 年 主食用米等供給量計 C A B 922 平成 / 年 主食用米等需要量 D 742 平成 年 6 月末民間在庫量 E C D 18 資料 農林水産省 米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針 平成 年 3 月公表 注 1 主食用米等 の中には 主食用に供給されるもののほか 加工用途及び 輸出用に供給されているものの一部が含まれている 2 平成 / 年主食用米等需要量については 3 月時 点で価格の状況を見通すことが困難であるため 価格の変動が生じた場 合の需要量への影響は見込んでいない 1 用語の解説 3 1 を参照 148

175 飼料用米の給与により生産した畜産物を対象に 初めてのコンテストが開催 飼料用米の生産量については 225 年度までに 11 万tに増産する目標が設定 1 されて おり 平成 年産は生産計画ベースで 48 万 3 千tとなりました 担い手の飼料用米の生産コストについては 225 年度までに 平成 年産 全国平均 2 比で 6kg 当たり 5 割程度低減する目標 約 7,615 円 /6kg が設定 3 されており 平成 年産は 平成 年産比 34.1 低減の 1,3 円 /6kg4 となり ました 引き続きの生産コストの低減に向けて 飼料用米以外の米と同様 農地中間管理 機構による農地の集積 集約化等を進めるとともに 多収品種の導入と高単収が得られる 適正な肥培管理の実践等が重要となっています また 飼料用米の給与により生産した豚肉 牛肉 鶏卵等のブランド化の取組が全国で行われています 平成 年度には このようなブランド化に 活用畜産物ブランド日本一コンテスト が開催され 最優秀者に農林水産大臣賞が授与されました 第2 章 取り組む畜産事業者を対象として 第 1 回 飼料用米 飼料用米活用畜産物ブランド日本一コ ンテスト で農林水産大臣賞を受賞した ひら た ぼくじょう 平田牧場の皆さん 平成 29 年 12 月 米粉製品の認証制度がスタート 米粉の消費拡大をめぐっては 平成 年 3 月に農林水産省が ノングルテン 米粉製品の表示に関するガイドライン 用途別の加工適性に関する米粉の用途別基準を公 表し 同年 5 月に米粉製造業者 米粉製品製造業者 外食事業者 生産者団体等で構成す る日本米粉協会が設立されました 欧米のグルテンフリー表示は 食品のグルテン 5 含有基準値を 2ppm としているのに対 し 我が国のノングルテン表示は ガイドラインにおいて欧米より厳しい基準が設けられ ており 具体的には含有 1ppm 以下の米粉と この米粉を主たる原料とするなどの基準 を満たす加工製品で行うとされています 日本米粉協会は 平成 年 12 月 に ガイドラインに基づく米粉製品の認証制度 と 用途別基準への適合等の要件を満たす米粉 製品の推奨制度を創設しました 平成 年度には ドイツ スペイ ン等の EU 諸国で 麦類アレルギーを持つ消費 者等を対象とした米粉料理教室等のイベントが 開催されており 今後 ノングルテン認証を受 けた米粉製品の認知度と信頼が高まることで 欧州向け輸出の拡大につながることが期待され ます ノングルテン米粉 認証ロゴマーク 米粉利用拡大のための推奨 ロゴマーク 資料 日本米粉協会 食料 農業 農村基本計画 平成 年 3 月閣議決定 15,229 円 /6kg 農林水産省 農業経営統計調査平成 年産米及び麦類の生産費 日本再興戦略 改訂 215 平成 年 6 月閣議決定 農林水産省 農業経営統計調査平成 年産米及び麦類の生産費 小麦等に含まれるたんぱく質の一種で アレルギー症状や免疫疾患の原因となりうる 149

176 第3節 主要農畜産物の生産等の動向 3 小麦 1 経営体当たり作付面積は着実に拡大し 都府県でより大きな伸び 平成 年産の小麦は 作付面積が前年産に比べて 1. 減少したものの お おむね天候に恵まれ単収が 15.7 増加したことから 収穫量は前年産に比べ 14.7 増加 の 9 万 7 千tとなりました 図表 また 小麦の 1 経営体当たり作付面積は着実に拡大しており 主食用米からの作付転換 が進んだ都府県でより大きな伸びとなっています 図表 図表 小麦の単収 作付面積 収穫量 図表 小麦の 1 経営体当たり作付面積 ha 1 /1a a 当たり収量 北海道 北海道 365 1a 当たり収量 都府県 万 ha 万t 作付面積 全国 右目盛 収穫量 都府県 収穫量 北海道 平成 2 年産 都府県 平成 17 年 資料 農林水産省 農林業センサス 注 内は平成 年を 1 とした指数 資料 農林水産省 作物統計 需要が高まる国産小麦 国内で栽培されている小麦は これまでうどん用等の中力系の品種が主でしたが 近 年 パンに適した ゆめちから や中華麺に適した ちくし W2 号 ラー麦 等の強力 系の新品種 きしめんに適した きぬあかり や伊勢うどんに適した あやひかり など 地域の食文化と結びついた新品種の育成 普及が進んでいます 高品質品種の生産増加や消費者の国産志向等により 国産小麦 1 使用のパンの販売 額が増加傾向で推移しているほか 生麺やゆで麺の販売金額上位 15 製品のうち国産小麦 使用の表示があるものが 9 製品を占めるなど国産小麦に対する需要は高まっています 図 表

177 図表 生麺 ゆで麺 チルド 販売金額上位 15 位 平成 年 単位 順位 製品の種類 1 焼きそば なし 3 そば なし 2 うどん 4 11 焼きそば あり 国内産小麦使用 1.2 なし 焼きそば 1. なし 1. あり 国内産小麦使用 ラーメン.9 あり 北海道産小麦使用 第2 章 うどん あり 国内産小麦使用 つけ麺 なし うどん あり 国内産小麦使用 焼きうどん あり 国内産小麦使用 うどん あり 国内産小麦使用 うどん あり 北海道産小麦使用 冷やし中華 なし ラーメン 6 販売金額シェア あり 北海道産小麦使用 冷やし中華 5 産地表示の有無.9 上位 15 製品の販売金額に占める国内産 北海道産小麦使用の表示がある 製品のシェア 41.3 資料 民間流通制度導入後の国内産麦のフードシステムの変容に関する研究 小麦編 最新の需給事情も踏まえ よし だ ゆきさと た今後の対応方向 農林水産政策研究所レビューNo.76 平成 年 3 月 吉田行郷 注 日経メディアマーケティング社による首都圏スーパーマーケット等 18 店における POS データに基づき集計 4 大豆 1 経営体当たり作付面積は着実に拡大し 都府県でより大きな伸び 平成 年産の大豆は 作付面積が前年産並みであったものの 単収が 5.7 増加したことから 収穫量は前年産に比べ 6.1 増加の 25 万 3 千tとなりました 図表 食料 農業 農村基本計画で定める生産量 32 万tの達成に向けては 輪作体系の構築 による連作障害の回避 畝立栽培等による湿害回避 有機物の補給による地力の回復等に 取り組み 近年伸び悩んでいる単収向上を図ることが必要です また 大豆の 1 経営体当たり作付面積は着実に拡大しており 主食用米からの作付転換 が進んだ都府県でより大きな伸びとなっています 図表 図表 大豆の単収 作付面積 収穫量 図表 大豆の 1 経営体当たり作付面積 kg/1a ha a 当たり収量 北海道 万t a 当たり収量 都府県 作付面積 全国 右目盛 万ha 収穫量 都府県 12 収穫量 北海道 平成 2 年産 北海道 都府県.6 1 平成 17 年 資料 農林水産省 農林業センサス 注 内は平成 年を 1 とした指数 資料 農林水産省 作物統計 151

178 第3節 主要農畜産物の生産等の動向 豆腐や納豆で 国産表示商品の販売額は増加の傾向 輸入大豆の多くは大豆油を搾油するための油糧用に仕向けられているのに対し 国産大 豆は 食味や外観等の品質が評価されており ほぼ全量が豆腐 納豆 煮豆等の食用に仕 向けられています 近年 豆腐や納豆では 国産の表示が行われている商品の販売額が増 加傾向で推移しており 国産大豆に対する需要は高まっています 図表 事業者団体等は 商品の表示について 景品表示法に基づいた自主的な業界ルールを設 定することができます 豆腐業界では 豆腐の種類別名称 大豆固形分の含有率 食品添 加物等の表示に関する業界ルールの設定に向けた検討が行われています 問屋や大豆加工品製造業者からの入札はこれまで大豆の収穫後に行われていましたが 作柄により価格が大幅に変動してきました 国産大豆の安定取引を推進するために 平成 は しゅ 年産から入札の一部を播種前に行う 播種前入札取引 が実施されます こ れに先立ち 平成 年産について 平成 年 4 月に播種前入札取引 の試験導入が行われ 全国 15 の産地品種銘柄が上場されました 図表 量販店の大豆製品販売額と国産表示品のシェア 豆腐 納豆 豆腐 百万円 6 国産表示ありの割合 右目盛 納豆 国産表示なし 国産表示あり 平成19年 国産表示ありの割合 右目盛 百万円 国産表示あり 国産表示なし 平成21年 資料 農林水産政策研究所作成 注 1 日経メディアマーケティング社による地域 業態が全国 スーパーにおける各年 1 月の POS データに基づき作成 2 対象商品は 木綿豆腐 絹ごし豆腐 ソフト豆腐 納豆は粒納豆 ひきわり納豆 5 野菜 加工 業務用向けで国産シェアの回復が進展 平成 年産の野菜は 作付面積が前年産に比べ 3 千 ha 減少の 39 万 4 千 ha と なり 生産量は同 22 万t減少の 1,163 万tとなりました 図表 減少面積の内訳 を品目別に見ると だいこんの 6ha が最も大きく 次いで にんじん さといも は くさい ほうれんそうがそれぞれ 3ha 等となっています 1 近年では えだまめやブロッ し こう コリー等で作付面積が増加しているとともに 消費者の嗜好の多様化を受け人気が高まっ てきたパクチー バターナッツカボチャ等で 生産の広がりが見られます 1 農林水産省 野菜生産出荷統計 152

179 図表 野菜の作付面積と生産量 万 ha 5 万t 2, , , , , 生産量 1,5 1, 作付面積 右目盛 1, , 果実的 野菜 1, , , 果菜類 根菜類 葉茎 菜類 5 平成 19 年産 第2 章 1, 資料 農林水産省 野菜生産出荷統計 食料需給表 注 1 作付面積は 野菜生産出荷統計 のうち ばれいしょを除いたもの 2 生産量は年度の数値 また 平成 年度の生産量は概算値 生活スタイルの変化や簡便化志向を背景に 野菜の需要量に占める加工 業務用の割合 は上昇傾向で推移しており 平成 年度には 57 となっています 図表 国産割合を見ると 家計消費用は 98 1 とほぼ一定であるのに対し 加工 業務用 では上昇傾向で推移しており 国産シェアの回復が進んでいます 加工 業務用の野菜には高い加工歩留りや定時 定量 定価での供給が求められます が 近年 加工適性の高い品種の栽培 低コスト化に資する機械化一貫体系の導入 物流 コスト削減に資する大型鉄コンテナの利用等の取組が広がり 加工 業務用向けの出荷量 は増加しています 図表 野菜の加工 業務用と家計消費用の需要量 加工 業務用 平成 17 年度 25 国産 輸入 0 家計消費用 , 万t 1,1 資料 農林水産政策研究所資料を基に農林水産省で作成 注 指定野菜 14 品目のうち ばれいしょを除いたもの だいこん にんじん さといも はくさい キャベツ ほうれんそう レタス ね ぎ たまねぎ きゅうり なす トマト ピーマン を対象に粗食料ベースで推計 粗食料 国内生産量 輸入量 輸出量 減耗量 1 農林水産政策研究所資料 153

180 第3節 主要農畜産物の生産等の動向 事例 マイルドなパクチー 岡山マイルドパクチー OKAPAKU 岡山県 おか やま し うえ だ てる よし 生産の提案を受けたことを機に仲間とともに生産を開始しま 広島県 めました 平成 12 2 年に東京の卸売市場からパクチー 鳥取県 岡山県 岡山市 兵庫県 24 歳で 農家をしていた奥さんの実家で黄ニラの生産を始 島根県 岡山県岡 山 市 の植 田 輝 義 さんは 平成 年に した 当時 国内にパクチーの産地はほとんどなく 植田さ んは岡山市農業協同組合や仲間たちと一緒に 試行錯誤の上 現在の栽培方法を確立したと言います 同農協の青果物生産 組合パクチー部会には 平成 年時点で 植田さ んを含む 13 戸の農家が参加し 約 5ha でパクチーの生産が 行われています 出荷先は東京向けが 8 割ですが 植田さんは今後県内での 消費を増やしたいと語ります 地元飲食店ではマイルドな食 味が好評を得ており 飲食店と提携したメニューづくり等も 進められています 植田さんたちが生産するパクチーは 平 植田輝義さん 右 とパクチー あきもとよしのり 部会部会長の秋本佳範さん 左 成 年に 岡山マイルドパクチー OKAPAKU として商標登録されました 事例 業務用野菜への転換により 大規模経営が出現 千葉県 きみ つ し ふっ つ し そで が うら し 千葉県の君津市 富津市 袖ケ浦市を区域とする君津市農 業協同組合では 卸売市場の勧めを受けて平成 年から業務用キャベツの出荷を始めました 元々 生食用が生産されていた同農協区域内では選果や箱 詰めの作業がネックとなり農業者の規模拡大が進んでいませ 千葉県 袖ケ浦市 君津市 富津市 んでしたが 業務用への切替えが広がったことで 1ha 規 模の経営が出現するなど若手農業者を中心に規模拡大が進み ま し た 平 成 年 産 冬 キ ャ ベ ツ の 作 付 面 積 は 42ha にまで拡大し 全量が業務用となっています キャベ ツは 1 か所の加工工場に鉄コンテナ詰めで直接届けられま すが 同農協では 作柄リスクを回避するため 卸売市場や 全国農業協同組合連合会を経由した取引を行っています わか ばやし ひろ ゆき 同農協直販企画課長の若 林 博之さんは 担い手ほどキャ キャベツを詰め込んだ鉄コンテナ をトラックに載積する様子 ベツやだいこん等の業務用野菜に熱心に取り組んでおり 今 後 高齢者の農地が担い手に集積されることで 業務用野菜の生産は徐々に増えると見込んで います 6 果実 食の簡便化等が進む中 良食味果実に加え 原材料に適した果実の生産も重要 平成 年産の果樹は 栽培面積が前年産に比べ 4 千 ha 減少の 22 万 7 千 ha と 154

181 なり 生産量は同 5 万 4 千t減少の 291 万 5 千tとなりました 図表 減少面積 の内訳を品目別に見ると みかんの 8ha が最も大きく 次いで かきとくりがそれぞ れ 5ha みかん以外のかんきつ類が 4ha 等となっています 一方で ここ数年では べに 愛媛県が育成した良食味で独特の食感を持つかんきつ品種の愛媛果試第 28 号 紅まどん かんぺい な 甘平や長野県育成の高糖度りんご品種シナノスイートの生産が拡大するなど優良品 目 品種への改植が進められています また 長野県と山梨県が主産地のぶどう品種シャ インマスカットは国内外での旺盛な需要を受け 市場出荷量が増加するとともに 平成 年産市場価格は前年以上を実現しました 図表 果樹の栽培面積と果実の生産量 万t 生産量 平成 19 年産 第2 章 万 ha 3 栽培面積 右目盛 2 その他 りんご 1 みかん 資料 農林水産省 耕地及び作付面積統計 食料需給表 注 生産量は年度の数値 また 平成 年度の生産量は概算値 果実の摂取量を年齢階層別に見ると この 1 年間でほぼ全ての世代で減少しており また 特に子育て世代に当たる 2 歳代から 4 歳代は摂取量が少なく 子供たちの摂取量 し こう の減少につながることも懸念されています 図表 食の簡便化や嗜好の多様化が 進む中 今後は 国内外の消費者ニーズに合った食べやすく良食味の果実に加えて 加工 品の原材料を念頭に置いた果実の生産を伸ばしていくことも重要です 果実の産地におい ては 食品製造事業者と連携し 加工適性に優れた品種を選び省力化栽培に取り組む動き も見られます 図表 年齢階層別の 1 人 1 日当たり果実摂取量 g/ 日 平成 年から 平成 年までの 3 か年平均 12 平成 年から 平成 年までの 3 か年平均 7 総数 1 6歳 歳以上 資料 厚生労働省 国民健康 栄養調査 注 果実摂取量とは 摂取した生鮮果実 果実缶詰 ジャム 果汁類の重量の合計 155

182 第3節 主要農畜産物の生産等の動向 果実の輸出では 近年 ぶどうとももの 輸出額の伸びが続いており この 5 年間で 図表 輸出額の伸びが続いている果実 平 成 年を 1 とする指数 ぶどうはシンガポール向け ももはマレー 5 表 シア向けの輸出が大きく伸びています 図 ぶどう もも 平成 25 年 資料 財務省 貿易統計 を基に農林水産省で作成 事例 収穫機の導入による加工原料用りんごの生産 青森県 あじ が さわまち き むらさい き 青森県鰺ヶ沢町のりんご農家の長男木村才樹さんは 大学 青森県 を卒業後 昭和 年に 22 歳で実家に就農しました りんご園の一部はジュース用園地で 木村さんは収穫を行 鰺ヶ沢町 うパートの高齢化を見込み 平成 年度にジュー ス用りんごの収穫機を導入しました 同機による収穫は樹を 秋田県 岩手県 振動させて落下した果実を風で集め拾い上げて行いますが 低床型でブロワーを駆動できる 1 馬力のトラクターは国 内になく ドイツ製を導入しました 近年需要が高まってい るプレザーブ用りんご は落下による外傷が許されないこと から 木村さんは落下させずに収穫できる外国製の収穫機の 導入を検討しています 外国製の機械はメンテナンスの問題があり 多くの農家は 収穫したジュース用りんごを 鉄コンテナに詰める様子 ちゅうちょ 導入に躊躇すると言います りんご王国青森でもパートの高齢化により生食用を含めりんご作 りができない園地が急増すると木村さんは憂慮しており 国内メーカーによるりんご用の農業 機械の開発が急務と語ります アップルパイ等にすぐに使えるよう 皮をむき 芯を抜き カットしたりんごを砂糖で煮付けたもの 7 花き 優れた特徴を持つ品種や高品質な花きを生産し 輸入品との差別化を図ることが重要 花きの産出額は 切り花の輸入増加 栽培農家の減少等から 平成 年を ピークに減少していましたが 近年は横ばいで推移しており 平成 年産は前 年産に比べ 億円 増加の 3,81 億円となりました 図表 また 作付 面積は前年産に比べ 千 ha 減少の 2 万 8 千 ha となりました 156

183 図表 花きの作付面積と産出額 ha 4,394 4, 3, 4,449 億円 4,12 36,752 19,252 35,628 18,398 34,682 17,842 3,826 32,756 16,256 3,816 31,429 15,229 2, 1, 3,671 3,761 3,785 3,732 3,81 3,187 3,72 29,621 28,82 28,119 14,47 14,522 14,241 13,73 13,299 4, 産出額 右目盛 その他 17,5 17,23 16,84 16,5 16,2 15,78 15,55 15,38 15,9 3, 2, 1, 14,82 切り花類 第2 章 平成 18 年産 26 資料 農林水産省 花き生産出荷統計 花木等生産状況調査 注 その他は 鉢もの類 花壇用苗もの類 球根類 花木類 芝 地被植物類の合計 カーネーションやきく等の切り花の輸入量は増加傾向にあり 平成 年では 切り花の消費量 本数ベース の 26 が輸入品となっています 一方で 一輪一輪の花 が大きくボリュームのあるトルコギキョウが人気を集め 長野県や熊本県等で生産が広 がっています 平成 年の花きの輸出額は 前年に比べ 52 増加の 137 億円で はじめて 1 億円を超えました 1 このうち植木 盆栽 鉢ものの輸出額は 中国やベトナム等のア ジア地域におけるプロモーション活動等の結果 前年に比べ 57 増加の 126 億円となり ました また 切り花の輸出額は 米国等におけるプロモーション活動等により 日本産 の品質に対する評価が高まった結果 前年に比べ 2 増加の 9 億円となりました 花きの品種は 海外で育成されたものだけでなく 国内の個人育種家や種苗会社等によ り多数のオリジナル品種が開発され 種苗法に基づく育成者権の保護のための品種登録の 出願が行われています 図表 花きの生産振興に向けては 他の国にはない優れた特徴を持った品種の育成や 採花後 の前処理や適切な温度管理による高品質な花き流通の実現により 輸入品との差別化を図 ることが重要です また 子供たちが花きを学び触れる機会の創出 花きの需要が低迷す る時期の消費喚起キャンペーンの実施等により 国内花き需要の回復を図ることも重要で す 図表 種苗法に基づく品種登録出願件数 単位 件 全体 33,26 うち草花類 件数と 全体に占める割合 2, % 資料 農林水産省作成 注 平成 年度末時点 うち個人 種苗会社 からの出願 件数と 草花類に占める割合 18, % ちくま し なか そ ね けん 長野県千曲市の個人育種家 中曽根健さんが育種した トルコギキョウ品種 コサージュ 資料 株式会社ナカソネリシアンサス 1 財務省 貿易統計 157

184 第3節 主要農畜産物の生産等の動向 8 茶 優良品種への改植による茶園の若返りと需要に応じた生産体制の強化が重要 茶は 生葉の収穫後 産地で荒茶に加工され 消費地でブレンドや茎の除去等が行われ 製茶となります 平成 年産の茶は 栽培面積が前年産に比べ 1 千 ha 減少の 4 万 2 千 ha となり 荒茶の生産量は 2 千t増加の 8 万 2 千tとなりました 図表 近年における品種ごとの栽培面積を見ると 栽培面積の 7 割以上 1 を占める やぶきた が減少する一方で やぶきたより収穫時期が早くうま味に富む さえみどり やぶきた より収穫時期が遅く茶葉の緑色が鮮やかな おくみどり 香りが強く機能性成分である カテキンを多く含む さやまかおり 等が増加しています 国立研究開発法人農業 食品 産業技術総合研究機構が平成 年 6 月に品種登録出願を行った新品種 せいめ い は 耐寒性に優れ栽培適地が広く 高品質な抹茶等の原料となることから 将来 輸 出等による需要拡大への貢献が期待されます 全国の茶園面積の 3 割程度は収量や品質の低下が懸念される樹齢 3 年以上の老園であ り 優良品種への計画的な改植を進め 茶園の若返りと需要に応じた生産体制の強化を図 ることが重要となっています また 米国等における日本食ブームや抹茶への関心の高ま りにより茶の輸出が拡大しており 国連食糧農業機関 FAO の予測では世界における 緑茶の貿易量は平成 年から 1 年間で 2.4 倍に増加するとされています 輸出 の更なる拡大に向けては 米国や EU 等に対する我が国と同等以上の残留農薬基準の設定 申請 輸出先国 地域の残留農薬基準を踏まえた生産段階での防除体系の確立 抹茶の生 産体制の強化 有機栽培を行う産地の拡大等の取組に対し支援が行われています 図表 茶の栽培面積と荒茶生産量 万t 栽培面積 右目盛 荒茶生産量 万 ha 5 4.2 4 2 4 1 2 平成 2 年産 0 概数値 資料 農林水産省 作物統計 注 平成 年産 平成 年産の荒茶生産量は主産県の合計値 1 農林水産省調べ 3 せいめい で作られた抹茶 資料 国立研究開発法人農業 食品産業技 術総合研究機構

185 9 甘味資源作物 この 1 年間で てんさいは直播率が上昇 さとうきびはハーベスタ収穫率が上昇 平成 年産のてんさいは 作付面積が前年産に比べ 3 減少したものの 天 候に恵まれ単収が 25 増加したことから 収穫量は前年産に比べ 22 増加の 39 万tと なり 糖度は前年産に比べ.8 ポイント上昇し 17.1 度となりました 図表 一方 平成 年産のさとうきびは 収穫面積が前年産に比べ 2 減少したものの 天 候に恵まれ単収が 28 増加したことから 収穫量は前年産に比べ 25 増加の 157 万 4 千tとなり 糖度は前年産に比べ.7 ポイント上昇し 14.4 度となりました 図表 なお 平成 年産については 糖度の低下につながる秋の台風被害が多 発しました てんさいは北海道の畑作地帯において輪作体系に組み込まれる重要な作物であり さと 第2 章 うきびは沖縄県と鹿児島県南西諸島において干ばつと台風に強い基幹作物です これら産 地に存在する製糖工場等は雇用の創出を通じ地域経済に一定の役割を果たしていますが 近年 設備の老朽化が進んでおり 省力化など生産性の向上が課題となっています ちょく はん てんさいの生産においては直 播 の普及による省力化が重要となっており 平成 29 ちょくはん 217 年産の直播率 1 は 1 年間で 16.3 ポイント上昇の 23.7 となっています 2 また さとうきびの生産においては増産と機械化が重要となっており 2 年 1 作の夏植栽培から 1 年 1 作の春植 株出栽培への移行が進むとともに 平成 年産のハーベスタ 収穫率 3 は 1 年間で 25.9 ポイント上昇の 77.4 となっています 4 図表 てんさいの作付面積 収穫量 糖度 度 万t 6 5 糖度 作付面積 右目盛 平成 2 年産 万 ha 資料 農林水産省 作物統計 北海道庁調べ 糖度 度 収穫量 図表 さとうきびの収穫面積 収穫量 概算値 13 糖度 万 ha 万t 収穫面積 右目盛 収穫量 平成 19 年産 資料 農林水産省 作物統計 鹿児島県 沖縄県 さとうきび及び 甘しゃ糖生産実績 を基に農林水産省で作成 作付面積全体に占める直播面積の割合 北海道庁調べ さとうきびの全収穫面積に占めるハーベスタによる収穫面積の割合 鹿児島県 沖縄県 さとうきび及び甘しゃ糖生産状況 を基に農林水産省で推計 159

186 第3節 主要農畜産物の生産等の動向 1 いも類 ばれいしょ かんしょともに 需要に応じた新たな品種の作付けが拡大 平成 年産のばれいしょは 作付面積は前年産と同じであったものの 台風 に伴う大雨の影響で単収が 8 減少したことから 収穫量は前年産に比べ 9 減少の 219 万 9 千tとなりました 図表 平成 年産のかんしょは 作付面積が 前年産に比べて 1 減少したことに加え 日照不足や大雨の影響により単収が 5 減少し たことから 収穫量は前年産に比べ 6 減少の 8 万 7 千tとなりました 図表 図表 ばれいしょの作付面積と収穫量 図表 かんしょの作付面積と収穫量 万 ha 万t 作付面積 右目盛 収穫量 6 万t 15 万 ha 5 作付面積 右目盛 収穫量 平成 19 年産 資料 農林水産省 野菜生産出荷統計 平成 2 年産 概数値 資料 農林水産省 作物統計 近年における品種ごとの動向を見ると ばれいしょでは かつて 3 割以上のシェアを だんしゃくいも もっていた 男 爵 薯 が減少傾向となる中で 煮崩れしにくく剥皮褐変が少ないという 特性を持ち煮物やサラダに適した とうや 低温下で長期貯蔵が可能なポテトチップス 原料の きたひめ 等の作付けが増加しています かんしょでは かつて 3 割以上のシェ アをもっていた ベニアズマ が減少傾向となる中で 強い甘みとしっとりとした食感が 特徴の べにはるか 等の作付けが増加しています いも類の増産に向けては 病害虫抵抗性品種の導入 や適切な栽培管理等による単収向上 省力化機械の導 入等による作付面積の拡大が重要となっています 特 に 平成 年 8 月に国内で初めて発生が確 認されたジャガイモシロシストセンチュウは これま で育成されてきたジャガイモシストセンチュウ抵抗性 品種にも被害を及ぼすことから 抵抗性を有する新た な品種の育成が待たれます 16 べにはるかの焼き芋

187 11 畜産物 飼養戸数が減少する中 1 戸当たり飼養頭羽数は増加 平成 年における飼養戸数は全ての主要畜種において減少し その一方で 1 戸当たり飼養頭羽数は全ての畜種において増加しました 図表 今後も 離農後 に残された家畜や採草地等を引き受ける形で 1 戸当たり飼養頭羽数は増加が続くと見込ま れますが 担い手の高齢化や労働力の不足が深刻化する中 より多くの若手が就農を目指 す魅力ある労働環境となるよう 畜産クラスター1 の形成等による機械や施設の導入 ヘ ルパー組織や TMR センター2 等の支援組織の充実等を進めることが重要です 図表 畜種別飼養戸数と 1 戸当たり飼養頭羽数 単位 戸 頭 千羽 乳用牛 戸当たり飼養頭羽数 平成 19 年 肉用牛 北海道 8,31 6,68 6,49 6, 都府県 17,1 11, 1,5 1, ,3 54,4 51,9 5, 子取り用 めす牛 71,1 47,2 44,3 43, 肥育用牛 12,4 8,21 8,33 7, 乳用種 7,55 5,32 5,4 4, 豚 7,55 4,83 4,67 1, , ,1.3 採卵鶏 3,46 2,44 2, ブロイラー 2,583 2,36 2, 第2 章 飼養戸数 平成 19 年 27 資料 農林水産省 畜産統計 を基に農林水産省で作成 注 1 各年 2 月 1 日時点 2 採卵鶏は成鶏雌 1, 羽数以上の飼養者の数値 3 ブロイラーは平成 年は全飼養者の数値 平成 年以降は年間出荷羽数 3, 羽以上の飼養者の数値 4 平成 年は農林業センサス実施年のため 豚調査 採卵鶏調査及びブロイラー調査を休止 生乳の増産に向けて 乳用後継牛の確保が重要 平成 年度における生乳は 経産牛の頭数が前年度に比べ 1 万 9 千頭 2.2 減少 1 頭当たりの乳量が同 15kg.2 増加した結果 生産量は前年度に比べ 6 万t.9 減少の 734 万tとなりました 図表 生産地域別に見ると 北海道は前年 度に比べ 1 万t減少の 389 万t 都府県は前年度に比べ 6 万t減少の 345 万tとなりました 図表 生乳生産量と北海道 都府県別の経産牛飼養頭数 万t 万頭 生乳生産量 全国 経産牛飼養頭数 北海道 経産牛飼養頭数 都府県 平成 19 年度 資料 農林水産省 畜産統計 牛乳乳製品統計 注 頭数は各年度2月1日時点 用語の解説 3 1 を参照 2 用語の解説 3 2 を参照 161

188 第3節 主要農畜産物の生産等の動向 近年 経産牛の頭数は減少傾向で推移しており このことが生乳生産量の減少につな がっています 酪農家は 病気 怪我による死亡や廃用で減少した経産牛を補充できるよ う多くの場合後継となる乳用雌牛を自家生産しますが この数年間 肉用子牛価格の高値 が続いたことから 都府県の酪農家を中心に 黒毛和種精液の交配や和牛受精卵の移植に より交雑種や黒毛和種を生産する動きが広がり この結果 経産牛の頭数が減少していま す 生乳の増産に向けては 乳用種の性判別精液の交配を普及し 増頭した雌子牛を預託 も含めて着実に育成する体制を整備することにより 後継となる乳用雌牛の必要頭数を確 保していくことが重要です 図表 図表 図表 性判別精液等による乳用雌牛確保の イメージ 母牛 乳用種 母牛 肉用種 図表 雄雌別乳用種出生頭数 万頭 雄 雌 産まれ る子牛 乳用 雌牛 乳用 交雑種 雄牛 酪農家 由来 和牛 肉用牛繁殖 農家由来 平成2年 資料 農林水産省 畜産統計 注 各年2月1日時点 性判別精液 雌 の交配や 同精液を利用した 受精卵の移植により 高確率で雌牛を生産可能 資料 農林水産省作成 注 酪農家由来とは 乳用牛への和牛受精卵移植により生産され た和牛 し こう 近年 嗜好の多様化や小学生の児童数の減少等によ り牛乳等の消費量が減少傾向にある中 料理やおつま みでの利用等によりチーズの消費量が増加しています 国産ナチュラルチーズについては 全国各地で製造に 取り組む酪農家や事業者が着実に増加するとともに 特色ある商品の製造 販売が進み 国際コンテストで 上位に入賞するものも見られるなど品質の向上も進ん でいます 拡大する国内チーズ市場で国産のシェアを 国産ナチュラルチーズ リコッタ 高めるためには 原料面での生乳の高品質化 コスト低減に向けた取組の強化や製造面で のコスト低減と品質向上 ブランド化等を図り 更なる国産チーズの競争力の強化を進め ていくことが重要です 162

189 牛肉の増産に向けて 子牛育成部門の外部化による繁殖雌牛の増頭等が重要 平成 年度の肉用牛については 肥育牛の飼養頭数が前年度並みと減少に歯 止めがかかったものの 肥育開始からと畜までにおおむね 14 か月から 2 か月程度のタイ ムラグがあることから 牛肉の生産量は前年度に比べ 1 万 2 千t 2.5 減少の 46 万 3 千tとなりました 図表 繁殖雌牛の飼養頭数は前年度に比べ 8 千頭 1.4 増 加の 59 万 7 千頭で 増加は 2 年連続となり 今後 肉用肥育牛の増加が期待されます また 繁殖用雌牛の飼養頭数の増加に伴い 肉用子牛の取引価格は平成 年 度に比べて低下しています 図表 図表 肉用牛の飼養頭数と牛肉生産量 万頭 肉用肥育牛飼養頭数 2 繁殖雌牛飼養頭数 第2 章 24 万t 牛肉生産量 右目盛 平成 19 年度 資料 農林水産省 畜産統計 食料需給表 注 1 頭数は各年度2月1日時点 2 肉用肥育牛の飼養頭数は 肉用種の肥育用牛と乳用種の合計 3 牛肉生産量は枝肉ベース 図表 肉用子牛取引価格 黒毛和種 百円/頭 9, 8,514 8, 7,734 7, 6, 5, 4, 3,513 3, 2, 平成 2 年 資料 農林水産省作成 注 1 グラフの数値は肉用子牛生産者補給金制度における平均売買価格 四半期毎 のデータ 2 平成 年度は第3四半期時点 牛肉の増産に向けては 繁殖経営における子牛の哺育 育成と母牛の繁殖管理を外部化 するキャトルブリーディングステーション 1 CBS の活用を通じた繁殖雌牛の増頭や 酪 農経営における乳用牛への黒毛和種受精卵の移植等により 肉用子牛の増頭を図っていく ことが重要です 図表 用語の解説 3 1 を参照 163

190 第3節 主要農畜産物の生産等の動向 また 肉用牛の生産基盤の強化に向けては 肥育農家が繁殖部門を取り入れる繁殖肥育 一貫経営に取り組むことも重要であり この 1 年間で肉用種経営に占める繁殖肥育一貫 経営内の飼養頭数の割合は 3.7 ポイント上昇しました 図表 肉用牛の繁殖農家 が減少する中 近年 農業協同組合 以下 農協 という や農協が出資している農業 法人のほか 飼料会社や食品小売業者等が肉用牛の繁殖経営に参入する動きも見られま す 図表 キャトルブリーディングステーション CBS の活 用による繁殖雌牛の増頭のしくみ 畜舎を増築するこ となく 預託中の 空きスペースを活 用して増頭 CBS 子牛 3 頭 繁殖牛 2 頭規模 もと牛安定確保による 一貫経営への円滑な移 行 規模拡大支援 図表 肉用種経営に占める繁殖肥 育一貫経営の飼養頭数割合 肥育用もと牛 肉用牛 繁殖 経営 繁殖基盤 の強化 繁殖雌牛に 種付け 集中管理による 効率化 地域内一貫体制 の確立 事故率低減 育成成績の向上 繁殖技術のノウ ハウのない肥育 農家の経営上の リスクを低減 早期離乳 分べん間隔の短縮 母牛はCBSで種付け 妊娠確認後 農家へ返す 子牛を育成 農家で分べん後 子牛と セットで CBS へ預託 14.6 肉用牛 肥育 経営 平成 19 年 資料 農林水産省 畜産統計 資料 農林水産省作成 事例 後継者育成や肥育農家の経営安定の役割を果たす繁殖農場 岩手県 いちの せき し 214 年に岩手県 一 関 市 の 1 万頭規模の肥育牧場を買い ふじさわ 受け 同社直営の 藤沢牧場 として黒毛和牛の繁殖経営を 開始しました 秋田県 JA 全農北日本くみあい飼料株式会社は 東北 6 県の飼料 供給シェアの 3 割を占める飼料会社です 同社は平成 26 岩手県 一関市 山形県 26haの敷地に牛舎45棟を備えた同牧場では 繁殖牛2,7 頭 子牛 肥育牛 2,3 頭が飼養されています 従業員数は 獣医師や家畜人工授精師等を含め 42 人で 将来実家に戻る 若い後継者の従業員にとっては飼育技術を習得する場にも なっています 8 か月齢になった子牛は 肥育農家に管理委託が行われ 藤沢牧場の全景 現在 1,5 頭の子牛が東北 6 県の 12 戸の畜産農家で管理 されています 委託を受けた肥育農家は肥育料を受け取り 飼料 枝肉等の相場変動のリスク は同社が負うことで 肥育農家の経営安定にも寄与しています 同牧場では 繁殖牛を 3 千頭規模とすることを目指しており 東北における畜産生産基盤の 維持 拡大につなげたいとしています 164

191 コラム 飛騨高山高等学校が 和牛の共進会 高校の部 で 最優秀賞を獲得 日本各地の和牛の改良の成果等を広く発信することなどを目的として 5 年に 1 度開催される せん だい し 全国和牛能力共進会 が平成 年 9 月に宮城県仙台市で開催されました 11 回目 となる今大会には 大会史上最多となる計 513 頭の和牛が全国各地から出品されました 今 回の共進会では 高校の部 が設けられ 全国から集まった 14 校により出品された雌牛と取 ひ だ たかやま 組の発表について審査が行われた結果 ともみさと号 を出品した岐阜県の県立飛騨高山高 等学校が最優秀賞を獲得しました 同校では 全国の農業高校で使用される教科書には掲載さ ひ だ れていない飛騨地域特有の給餌方法や管理技術等を学べるよ ひ だ う 平成 年度から新たに学校設定科目 飛 騨 うし 第2 章 牛 を設置します 生徒たちは 地元の畜産農家の協力を得 ながら 座学と実習を通じ 飛騨牛の繁殖から肥育 出荷ま でを 2 年間で学ぶこととなっており 飛騨牛の生産を将来に 引き継ぐ優秀な農業人材の輩出が期待されています 牛肉の輸出額は 検疫協議を通じた輸出 解禁による輸出先国の拡大や海外でのプロ モーション活動を通じた販路の掘り起こ し 拡大等もあり 近年伸びが続き この 5 年 間 で 3.3 倍 に 増 加 し て い ま す 図 表 共進会での飛騨高山高等学校の 生徒たち 図表 牛肉の輸出額の伸び率 平成 年の輸出額を 1 とした指数 平成 25 年 資料 財務省 貿易統計 を基に農林水産省で作成 豚肉 鶏肉 鶏卵の生産量は いずれも前年度より増加 平成 年度の豚肉は 豚の飼 養頭数が前年度に比べ 3 万 3 千頭.4 増加したことにより 生産量は前年度に比 図表 豚の飼養頭数と豚肉生産量 万頭 1,2 べ 9 千t.7 増加の 127 万 7 千tと 126. なりました 図表 我が国の平成 年度における母豚一腹当たり 1, 万t 15 豚肉生産量 右目盛 飼養頭数 産子数は 9.9 頭と デンマークの 13.6 頭 1 オランダの 12.3 頭を下回っています こ のような中 国産豚の生産性の向上に向 け 独立行政法人家畜改良センター 都道 府県 民間種豚生産者が種豚のデータ共有 や精液の交換等を行い 種豚改良を加速化 する取組が進められています 平成 19 年度 資料 農林水産省 畜産統計 食料需給表 注 1 飼養頭数は各年度2月1日時点 2 平成 年度と平成 年度は飼養頭 数の調査を休止 165

192 第3節 主要農畜産物の生産等の動向 平成 年度の鶏肉は ブロイ ラーの飼養羽数が前年に比べ 52 万 8 千羽.4 増加したことにより 生産量は前 図表 ブロイラーの飼養羽数と鶏肉生産量 万羽 15, 万t 2 年 度 に 比 べ 2 万 8 千 t 1.8 増 加 の 154 万 5 千tとなりました 図表 鶏肉生産量 右目盛 14, 消費者の健康志向の高まり等を背景に生産 量は過去最高となり 225 年度における 生産量の目標を 5 以上上回っています されます 平成 年度の鶏卵は 採卵鶏 の成鶏雌の飼養羽数が前年度に比べ 153 万 2 千羽 1.1 増加したことにより 採卵鶏部門は大規模経営体によ 万羽 15, , 万t 飼養羽数 2 13, 14, , , , , ,38.5 目標を 6 以上上回っており 採卵鶏の経 平成 19 年度 27 営体においては 需給バランスを踏まえた くことが重要となっています 鶏卵生産量 右目盛 す 生産量は 225 年度における生産量の 生産を行うことで 経営の安定を図ってい 13,439.5 図表 成鶏雌の飼養羽数と鶏卵生産量 る飼養頭羽数シェアが他の畜産部門に比べ て高く 効率的な生産が最も進んでいま 1 13,492.3 資料 農林水産省 畜産統計 食料需給表 注 1 飼養羽数は各年度2月1日時点 2 平成 年度以前は飼養羽数の調査を実施して いなかった 平成 年度は飼養羽数の調査を 休止 生産量は前年度に比べ 1 万 8 千t.7 増加の 256 万 2 千tとなりました 図表 飼養羽数 13,574.7 平成 19 年度 ,162.4 ついての認知度の高まりから鶏むね肉の人 ズに応える形での生産の維持 拡大が期待 , 近年 高たんぱく 低脂肪といった特性に 気が高まっており 引き続き 消費者ニー , , 資料 農林水産省 畜産統計 食料需給表 注 1 飼養羽数は各年度2月1日時点 2 平成 年度と平成 年度は飼養羽 数の調査を休止 畜産物の生産基盤等の強化に向けて 輸入飼料の国産飼料への置換えが重要 平成 年度の飼料作物の作付 面積は前年度並みとなりましたが この数 年間は飼料用米等の生産拡大により増加傾 向となっています 図表 平成 28 図表 飼料作物の作付面積と収穫量 万 TDNt 4 収穫量 作付面積 右目盛 年度の TDN1 ベース収穫量は 台 3 り 2.3 t 6.1 減少したことから 前 2 風や長雨の影響により単収が同 1ha 当た 年度に比べ 15 万 4 千 TDN t 4. 減 少 の 364 万 9 千 TDNt と な り ま し た 万 ha 草等が減少する一方 飼料用米が増加して 平成 2 年度 資料 農林水産省 耕地及び作付面積統計 農林水産省調べ 注 収穫量は農林水産省 作物統計 を基に推計 1 Total Digestible Nutrients の略で 家畜が消化できる養分の総量 TDN ベース収穫量を作物別に見ると 牧 います 図表

193 図表 飼料作物の作物別収穫量 単位 千 TDNt 平成 22 年 収穫量 3,625 3,641 3,532 3,431 3,522 3,83 3,649 うち牧草等 3,571 3,514 3,41 3,345 3,375 3,457 3, うち飼料用米 資料 農林水産省 作物統計 を基に推計 注 飼料用米収穫量は平成 年度新規需要米生産集出荷数量 エコフィード 1 の製造数量はほぼ一貫して増加傾向にあり 平成 年度は前 年度に比べ 4 万 TDNt 3.5 増加の 119 万 TDNt で とうもろこしの TDN ベース輸 入量の約 15 に相当する規模となりました 図表 鹿児島県の焼酎粕 北海道の ばれいしょ等地域で発生した食品残さをエコフィード原料として利用し 畜産物のブラン 第2 章 ド化を図る取組が広がっています 畜産部門において飼料費は経営コストの 3 割から 7 割を占めており 国際相場や為替 レート等の影響で価格が乱高下しやすい輸入飼料原料を 国産の飼料作物やエコフィード 等を増産しこれに置換えていくことは 我が国畜産物の生産基盤と畜産部門の経営基盤を 強化する上で重要となっています 図表 エコフィードの製造数量と濃厚飼料 に占める割合 万 TDNt 濃厚飼料に占める割合 右目盛 製造数量 4 9 焼酎粕を混合した飼料で生産した豚肉 資料 株式会社ジャパンファーム養豚事業本部 平成 19 年度 資料 農林水産省調べ 1 用語の解説 3 1 を参照 167

194 第3節 主要農畜産物の生産等の動向 12 平成 29 年度の自然災害による農業関係の被害 5 つの台風や梅雨前線による大雨と暴風で 農業関係は 1,264 億円の被害 平 成 年 度 は 相 次 い で 接 近 上陸した台風や梅雨前線による大雨と 図表 つの台風と梅雨前線による農業関 係の被害額 平成 年度 単位 億円 暴風により農作物や農地 農業用施設等に 被害が発生し 農林水産関係の被害額は全 農業 関係 都道府県で 2,169 億円 このうち農業関係 の被害額は 1,264 億円に上りました 図表 農作 物等 農地 農業用 施設 関係 台風第 3 号及び梅雨前線に よる 6 月 3 日からの大雨 東北地方を中心に全国に大雨をもたらし 台風第 18 号 9 月 台風第 21 号 1 月 台風第 22 号 1 月 , 台風第 3 号及び梅雨前線は 九州北部や 農林水産関係の被害額は35道府県で1,122 億 円 こ の う ち 農 業 関 係 は 35 道 府 県 で 661 億円となりました 台風第 5 号は 奄美地方や近畿地方 北 台風第 5 号 8 月 計 資料 農林水産省調べ 注 1 平成 年 1 月末時点 2 被害額は 各都道府県からの報告を取りまとめたもの 陸地方を中心に大雨をもたらし 農林水産関係の被害 額は 33 府県で 71 億円 このうち農業関係は 29 府県 で 37 億円となりました 台風第 18 号は 9 月 17 日に鹿児島県に上陸後北上 しながら大雨と暴風をもたらし 農林水産関係の被害 額は 43 道府県で 32 億円 このうち農業関係は 41 道府県で 193 億円となりました 台風第 21 号は 1 月 23 日に静岡県に上陸後北東 に進みながら大雨と暴風をもたらし 農林水産関係の 台風第 3 号及び梅雨前線による けいはん 水田の畦畔崩壊 大分県 被害額は 46 都府県で 622 億円 このうち農業関係は 45 都府県で 351 億円となりました 台風第 22 号は 1 月 28 日に沖縄県に接近後本州 南海上を北東に進みながら大雨をもたらし 農林水産 関係の被害額は 27 県で 33 億円 このうち農業関係は 18 県で 22 億円となりました これらの災害については 被災自治体への技術者等 の派遣 被災農業者に対する共済金の早期支払等によ り 早期の復旧と営農再開に向けた支援を行いまし 台風第 3 号及び梅雨前線による 柿園への土砂流入 福岡県 た また 台風第 3 号及び梅雨前線 台風第 18 号 台風第 21 号による災害についてはそ れぞれ激甚災害の指定 1 を受けており 農林水産省では 平成 年 1 月から事前 ルール化した 大規模災害時の災害査定の効率化 2 を適用して 被災自治体の災害査定に 1 激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令の施行日は 6 月 7 日から 7 月 27 日までの間の豪雨及び暴風雨 による災害 台風第 3 号及び梅雨前線による災害 は 8 月 1 日 9 月 15 日から同月 19 日までの間の暴風雨及び豪雨によ る災害 台風第 18 号による災害 は 1 月 25 日 1 月 21 日から同月 23 日までの間の暴風雨による災害 台風第 21 号に よる災害 は 11 月 27 日 2 激甚災害 本激 に指定又は指定の事前公表がされた災害については 机上査定上限額を査定見込み件数のおおむね 7 割 農 地 農業用施設は 9 割 までの額 採択保留額を保留見込箇所数全体のうちおおむね 6 割までの額に引き上げる等 災害査 定の効率化を措置 168

195 要する業務や期間の縮減等を図りました さらに 台風第 3 号及び梅雨前線による 災害については 農林水産省では 平成 年 7 月 1 日に農林水産大臣を 本部長とする緊急自然災害対策本部を設置 し その後 同年 8 月 8 日の同本部で 平 成 29 年梅雨期における豪雨及び暴風雨に よる農林水産関係被害への支援対策 を決 定 公表しました 本対策に基づき 被災 図表 平成29年梅雨期における豪雨及び 暴風雨による農林水産関係被害への支援対策 支援対策の概要 災害復旧事業等の促進 共済金等の早期支払 災害関連資金の特例措置 農業用ハウス等の導入の支援 営農再開に向けた支援 被災農業者の就労機会の確保 被災農業法人等の雇用の 維持のための支援 農地 農業用施設の早期復旧等の支援 等 資料 農林水産省作成 農林漁業者への支援を行っています 図表 広範囲に大雪による被害が発生 第2 章 平成 年度冬期の大雪により 北海道や北陸地方を中心に広範囲に雪害が発 生し 農林水産関係の被害額は 27 都道府県で 46 億円 このうち農業関係は 25 都道府県 で 44 億円となりました 図表 農林水産省では 平成 年 3 月 16 日に農林水産大臣を本部長とする緊急自 然災害対策本部を設置し 同日 同本部で 大雪による被災農林漁業者への支援対策 を 決定 公表しました 本対策に基づき 被災農林漁業者への支援を行っています 図表 図表 大雪による農業関係の被害額 図表 大雪による被災農林漁業者への 平成 年度 支援対策 単位 億円 農業関係 平成 年 から 年 までの冬期大雪 44 農作物等 農地 農業用 施設関係 43 資料 農林水産省調べ 注 1 平成 年 3 月 29 日時点 2 被害額は 各都道府県からの報告を取りまとめたもの 農業用ハウスの損壊 福井県 支援対策の概要 災害復旧事業等の促進 共済金等の早期支払 災害関連資金の措置 農業用ハウス等の導入の支援 経営再開 経営継続に向けた支援 新規就農者の経営継続に向けた支援 鳥獣被害防止施設の復旧等の支援 等 資料 農林水産省作成 きゅうしゃ 厩 舎の損壊 北海道 169

196 第4節 生産現場の競争力強化等の推進 第 4節 生産現場の競争力強化等の推進 AI1 IoT2 ロボット技術等の先端技術を活用し 超省力 高品質生産を可能にする新 たな農業 スマート農業 の実現に向けて 様々な研究開発等が進められています 以下 では 農業分野における AI IoT ロボット技術等の開発 導入等について記述します 1 スマート農業の推進 人工知能未来農業創造プロジェクトにおいて 11 課題の研究開発が進行中 農業分野における AI 技術は 平成 年度に開始した農林水産省の人工知能 未来農業創造プロジェクトにより研究開発が進められており 平成 年度には 国立研究開発法人 大学 地方公共団体 民間企業等で構成するコンソーシアムで 収穫 作業を大幅に省力化できる果菜類収穫ロボットの開発等 11 課題の研究開発が実施されて います 図表 図表 平成 年度に実施している人工知能未来農業創造プロジェクトの課題 課題の概要 開発目標の時期 コンソーシアムの代表機関 1 牛の疾病を早期発見し 死廃事故を防止 する技術を開発 22 年度までに 体表温センサーシステ ムを市販化 農研機構 * 動物衛生研究部門 2 新規参入者による放牧牛の繁殖管理を容 易にし 低コストな繁殖経営を可能とす る技術を開発 22 年度までに 遠隔監視システムを市 販化 農研機構 畜産研究部門 3 乳牛の体調変化を早期に検出し 乳牛の 健康管理の向上を可能とする技術を開発 223 年度までに 搾乳牛 1 頭当たりの収 益を 1 割以上向上させる技術を開発 農研機構 北海道農業研究センター 4 空撮画像に基づく牧草の適期収穫や収穫 作業等の自動化を可能とする技術を開発 22 年度までに ロボットトラクターを 市販化 農研機構 北海道農業研究センター 5 収穫作業を大幅に省力化できる果菜類収 穫ロボットを開発 平成 年度までに 軌道走行 収穫ロボットを市販化 パナソニック株式会社 6 露地野菜の収穫 集荷等を大幅に省力化 できるロボット作業体系を開発 22 年度までに 収穫ロボット等のプロ トタイプを完成 同年より順次市販化 学校法人 7 収穫作業の省力化を実現する果実の収穫 ロボットとロボット作業にマッチする樹 形を開発 225 年度までに収穫ロボット等を市販化 農研機構 果樹茶業研究部門 8 病害虫診断と対策の早期化を可能とする 技術の開発 221 年度までに 7 千種以上のデータベー スを整備 農研機構 中央農業研究センター 9 土壌病害の発生を未然に防ぎ被害を最小 化する技術の開発 221 年度までに 5 種類以上の土壌病害対 策を講ずる技術を開発 農研機構 中央農業研究センター 1 AI を活用した栽培 労務管理の最適化技 術の開発 221 年度までに雇用労働時間を 1 割以上 削減可能なシステムを開発 11 栽培労務管理の最適化を加速するオープ ンフォームの整備 221 年度までに労働時間の短縮を可能と する技術を 3 種以上開発 立命館大学 国立大学法人 農研機構 野菜花き研究部門 資料 農林水産省作成 注 1 1 から 7 までは平成 年度予算 8 から 11 までは平成 年度予算により研究開発を実施 2 国立研究開発法人農業 食品産業技術総合研究機構 1 2 用語の解説 3 2 を参照 17 愛媛大学

197 ま た IoT 技 術 に つ い て は 平 成 年度に 国家プロジェクト の中 で研究開発が進められてきた 水田の水管 理を遠隔 自動制御化するシステムが開発 されました 図表 AI IoT 技術は ロボット ドローン カメラ センサー等と融合することで 高 図表 制御ソフト データ蓄積 バルブ操作 最適水管理 観測データ 水位 水温 給排水状況 せい ち 度で精緻な農業生産や農作業の軽労化を実 給水バルブ IoT 技術による水田の水管理の仕組 み クラウド アクセス 蓄積 サーバー 自動制御 遠隔制御 確認 操作 タ デー 信号 制御 基地局 制御 信号 給水バルブ 現し これまでの農業の姿を大きく変えて いくことができます また その研究開発 が進む中 将来の生産現場での活用に向け て 農業者に技術をつなぎ 広く普及させ 資料 国立研究開発法人農業 食品産業技術総合研究機構資料を基 に農林水産省で作成 第2 章 ることができる人材を育成していくことが 必要となっています 221 年度までの市販化に向け 5 万円以下の無人草刈りロボットの開発がスタート ロボット技術は 機械にセンサー 動作プログラム 等を搭載することで農作業を自動化したり 機械が人 間の動作等に反応し作動することで労働負荷を軽減し たりするものです 作業者が着用することで 重労働 等を軽減するアシストスーツは 既に複数のメーカー から製品の販売やレンタルが行われています 更なる 農作業の軽労化に向けて 農作業へのロボット技術の 無人作業中の自動運転田植機による 田植の様子 導入に向けた研究開発が進められています 無人草刈りロボットは 221 年度までに 5 万円 以下での市販化を目指し研究開発が進められていま 資料 国立研究開発法人農業 食品産業技術総 合研究機構 す GPS2 等の位置情報を活用した農業機械の自動走行は トラクターについては平成 年までに有人監視下でのほ場内の自動走行システムの市販化 22 年までに遠 隔監視下での無人システムの実現を目指し 田植機については平成 年度以降 の実用化を目指し それぞれ研究開発が進められています このほか AI 技術の研究開発の中で 果菜類 露地野菜 果実等を収穫するロボット の開発が進められています 農業機械の自動走行については 安全性の確保が重要であることから 農林水産省で は 研究開発と併行して生産現場における安全性の検証やこれに基づく安全性確保策の ルールづくり等の環境整備を進めています フォーラムを通じて スマート農業の情報を発信 スマート農業の実現に向けて様々な研究開発等が進められる一方で 農業現場からは どのように機材を使ったらよいのかわからない という声も寄せられています 1 内閣府が推進する 戦略的イノベーション創造プログラム SIP 用語の解説 3 1 を参照 2 用語の解説 3 2 を参照 171

198 第4節 生産現場の競争力強化等の推進 このため 農林水産省では 平成 年度 から スマート農業の活用状況や普及に向けた課題等 を議論する スマート農業推進フォーラム を開催し ています 平成 年度のフォーラムでは 実際に IoT 等を活用している農業者や先進的な取組を 行っている地方公共団体による講演のほか アシスト スーツの実機体験等が行われ 農業者 都道府県の普 及指導員 農業協同組合の営農指導員等約 3 人が 来場しました 来場者からは 全国の先進的な取組事 にし や うち フォーラムで講演する有限会社西谷内 にし や うちとしはる 農場代表の西谷内智治さん 例を聴くことができ大変有意義だった 今回のようなセミナーなどを継続的に開催してほ しい といった感想がありました ドローンの農薬の空中散布について ガイドラインを改訂し 自動操縦による飛行に対応 ドローンについては 航空法の許可を要する航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれ のある空域 人口集中地区の上空を除き 一定の規制の下で飛行が認められています 様々な分野でドローンの活用に向けた技術開発や実証実験が進められる中 農業分野で は農作業の効率化を図るため 農薬の空中散布にドローンを活用する実証実験が行われて おり 一部で市販化も行われています ドローンによる空中散布を実施するに当たっては 農薬飛散 いわゆるドリフトの防止 対策を含め ドローンを適切に使用することが重要です 人 家畜 農作物 周辺環境等 に対する安全性を確保するため 農林水産省では 空中散布の実施体制の整備等を定めた ガイドライン 1 を策定しています 同ガイドラインには 風の強いときには散布を中止す る 散布高度を 2m 以下にするなどの散布方法や 適切な機種の確認等が記載されていま す また ドローンの自動操縦技術の開発が進められる中 農林水産省は平成 年 3 月にガイドラインを改訂し 空中散布を安全かつ適正に実施できる飛行経路の設定や 緊急時にマニュアル操作への切替えが可能な機種の確認といった自動操縦により飛行する ドローンの安全対策を記載しました 農林水産省では 生産現場での安全性の確保を徹底するため ガイドラインの周知を図 るとともに オペレーターの育成等を推進しています 1 空中散布等における無人航空機利用技術指導指針 平成 27 年 12 月 3 日付け 27 消安第 4545 号消費 安全局長通知 172

199 事例 ドローンと AI 技術を活用した 大豆のコスト削減と高付加価値化 佐賀県 さ が し 佐賀県佐賀市の株式会社オプティムでは 楽しく かっ こよく 稼げる農業 の実現を目指し ドローンと AI の開 佐賀県 発等に取り組んでいます 同社では ハスモンヨトウ 1 の幼虫の食害を受けた大豆 長崎県 の葉の画像 2 千枚以上を AI に学習させ これと IoT でつな 福岡県 佐賀市 がれたドローンを大豆畑で自動飛行させることで 同幼虫の 食害を受けた株に農薬を散布する実証実験を行っています 平成 年度には 同幼虫による被害のまん延を防 ぎつつ 農薬の使用量が通常栽培の 1 分の 1 以下に削減さ 同社では全国の農業者とともに新たな実証実験を行う ス マート農業アライアンス を平成 年 12 月に立 第2 章 れた高付加価値大豆の生産に成功しました 大豆畑上空を飛行するドローン ち上げ 米や野菜等での減農薬栽培 スマートグラス 2 を活用した技術伝承等に取組を拡大 すが や しゅん じ するとしています 同社代表の菅谷 俊 二さんは 同アライアンス等を通じて スマート農業 の全国展開を図りたい と語ります 1 2 害虫の一種 幼虫は主に夜間に活動し 野菜 果物 花きなど幅広い作物に被害をもたらす 眼鏡型携帯情報端末 事例 ドローンを活用した 稲作のコスト削減と品質向上 東京都 しぶ や く 東京都渋谷区の株式会社ナイルワークスは 空からの精 埼玉県 密農業 に向けて稲作に特化したドローンの開発に取り組ん 山梨県 東京都 でいます 同社が開発中のドローンは 12 種類のセンサーを活用し水 平位置精度 2cm 以内 高度精度 5cm 以内で自動飛行が実現 されており 稲の上空 3cm から 5cm を時速 2km で飛行 渋谷区 神奈川県 静岡県 もみ することで稲 1 株単位の生育状況や穂数 籾数の情報把握が 可能となっています 3a の水田に植えられた稲 5 万株の情 報を把握する時間は約 1 分間とのことです 農薬や肥料を搭載することで必要な部分への散布もでき やなぎ した ひろし 同社の代表を務める柳下洋さんは ドローンで把握した情報 に基づく農薬や肥料の適期適量の散布で その使用量を 3 分 の1 以下に減らすことを目標としていて 過剰施肥による食 ドローンによる稲の 生育自動診断図 味低下も防止できる と語っています 平成 年度には稲作農家の協力を得て実証実 験が行われており 平成 年度内には台数限定でのドローンの販売が予定されています 平成 31 年 4 月の本格稼働を目指し 農業データ連携基盤の構築を推進 これまでの我が国の農業は 農業者の経験や勘に基づいて行われてきましたが 担い手 の減少や高齢化によってこれらの世代間継承が難しくなる中 経験や勘をデータ化し活用 していくことが生産性の向上や経営の改善を図る上で重要となっています しかしなが ら 現状では農業の生産や経営に役立つ農地 気象 研究成果等の様々な農業関連データ 173

200 第4節 生産現場の競争力強化等の推進 は それぞれがバラバラに存在し ICT 等で活用できないものも多いことに加え 様々 な農業 ICT サービスやデータに相互間連携がないため 農業者にとって使い勝手が良い ものではありませんでした このような課題を解決するため データの連携 共有 提供機能を持ち 農業における Society5.1 の実現に資する 農業データ連携基盤 2 の構築を進めています 図表 平成 年 8 月には 様々な分野から農業データ連携基盤を活用した取組への参 画を促進するため 農業データ連携基盤協議会 WAGRI3 が設立され 同年 12 月には 農業データ連携基盤のプロトタイプが構築されました 今後 平成 年 4 月の本格稼働に向けて 公的機関が保有する 農地の位 置 面積情報 メッシュ単位での気温や降水量等の気象情報等を同基盤内に整備し 将来 的には 農業者 農業機械メーカー ICT ベンダー4 等が持つデータをビッグデータ 5 とし て整備することで 最適な営農計画の立案支援やデータの統合 分析による高度な生産管 理等に活かしていくこととしています データの整備に併せ データ提供者への利益還元 の仕組みや データの利用に関するルールの検討が進められる予定となっています 図表 農業データ連携基盤の構造 農 農機メーカー A 業 者 農機メーカー B 等 ICT ベンダー C ICT ベンダー D 農業データ連携基盤 Public データ 気象 API 気象や土地 地図情報に関する様々なデータを提供 有償提供を含む 農地 API 地図 API センサ API 生育予測 API 土壌 API 統計 API Private データ Closed データ 農業従事者および 農業に関するデータ Master データ Public や Private データの マスター系を定義したデータ を提供 民間企業 民間団体 民間企業 民間企業 民間企業 農研機構 認証方式 Open ID Connect を利用 官公庁 資料 農林水産省作成 農業研究見える化システム アグリサーチャー が開設 平成 年 11 月に策定された 農業競争力強化プログラムに基づき 農業 者等が研究成果に直接アクセスできる環境 図表 農業研究見える化システム アグリサーチャー 分類した 8 分野から検索開始 を整備するため 農林水産省では 平成 年 4 月に農業研究見える化シ ステム アグリサーチャー を開設しまし た 図表 作物 畜産動物 生産技術 病虫害 雑草 省力化 効率化 測定 分析技術 加工 保存技術 地域 スマートフォン等から研究成果等を容易 に検索することができるアグリサーチャー には 平成 年度末時点で 約 3 万件の研究成果と約 4 千人の研究者情報 フリーワード検索も可能 トップ画面から最短 3 ステップで研究成果や実用化情報などを検索 約 3 万件の研究成果と 約 4 千人の研究者情報を掲載 現場の問題解決や新しいチャレンジを支援 資料 農林水産省作成 1 政府の科学技術政策の指針となる 第 5 期科学技術基本計画 で用いられている超スマート社会を意味する用語 2 内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム SIP 次世代農林水産業創造技術 で開発を進めている 3 農業データプラットフォームが 様々なデータやサービスを連環させる 輪 となり 様々なコミュニティの更なる調和を促 す 和 となることで 農業分野にイノベーションを引き起こすことへの期待から生まれた造語 WA+AGRI 4 農業分野における AI IoT ロボット技術に関する機材を製造又は販売している企業 5 用語の解説 3 1 を参照 174

201 が収録され 農業者等からのアクセス数は月平均 7 千件以上となっています 知 の集積と活用の場において 産学官連携による共同研究の支援を実施 農林水産省では 農林水産 食品分野に様々な分野の技術等を導入してイノベーション を創出する 新たな産学官連携研究の仕組みである 知 の集積と活用の場の取組を推進 しています 知 の集積と活用の場では 工学や医学等の農業分野以外を含めた民間企 業 大学 研究機関等の多様な関係者が集まる産学官連携協議会が設置され 多分野間の 共同研究に向けた会員同士のマッチングが進められています さらに 知 の集積と活用の場による研究開発モデル事業により 平成 年度には農業関係で新規 5 課題を含む計 12 課題の共同研究に対し支援が行われました 図 表 第2 章 図表 平成 年度に支援が行われた 知 の集積と活用の場による研究開発モデル事業 の農業関係研究課題 研究計画名 研究期間 コンソーシアムの代表機関 1 過冷却促進技術による農産物の革新的保存 流通技術の開発 平成 年度 学校法人 2 低価格農薬を実現する革新的生産プロセスの開発 平成 年度 日産化学工業株式会社 3 高付加価値野菜品種ごとに適した栽培条件を 作出できる AI ロボット温室の開発 平成 年度 国立大学法人 4 脳機能改善作用を有する機能性食品開発 平成 年度 国立研究開発法人農業 食品産業技術総合研究機構 5 農産物のグローバルコールドチェーン網を 実現させる高鮮度保持システムの研究開発 平成 年度 日通商事株式会社 6 高付加価値日本食の開発とそのグローバル展開 平成 年度 国立大学法人 東北大学 7 アミノ酸の代謝制御性シグナルを利用した 高品質食肉の研究開発とそのグローバル展開 平成 年度 国立大学法人 東京大学 8 機能性野菜を用いた腸内フローラ解析による 生体恒常性維持効果の実証研究 平成 年度 京都府公立大学法人 立医科大学 9 農林水産 食品産業の情報化と生産システムの 革新を推進するアジアモンスーンモデル植物工場 システムの開発 平成 年度 三菱ケミカル株式会社 1 糖鎖ナノバイオテクノロジーを基盤とした か きん 家畜家禽ウイルスの迅速高感度検査法の確立 普及とワクチン製造技術開発 平成 年度 国立大学法人 11 農業水利施設ストックマネジメントの高度化 に関する技術開発 平成 年度 国際航業株式会社 12 高度インテリジェントロボットハンドによる 自動箱詰めの実現 平成 年度 シブヤ精機株式会社 関西大学 筑波大学 京都府 鹿児島大学 資料 農林水産省作成 ゲノム編集技術や遺伝子組換え技術を 国民に対し分かりやすく説明 農林水産省では 平成 年度から ゲノム編集技術や遺伝子組換え技術によ る研究成果や技術特性等を研究者から国民に分かりやすく伝えるアウトリーチ活動 1 を実 施しています 平成 年度においては 全国で 8 回のサイエンスカフェ2 等を 実施しました 今後も最新の科学的知見や研究成果等について国民に対する丁寧な説明を 行っていくこととしています 1 研究者と国民の双方向コミュニケーション活動 2 カフェのような雰囲気の中で 研究者と国民が科学技術について語り合う場 175

202 第4節 生産現場の競争力強化等の推進 コラム クリスパー キャスナイン ゲノム編集技術を大きく進化させた CRISPR/Cas9 ゲノム編集技術が 今 世界的に注目を集めています CRISPR/Cas9 による 標的遺伝子の切断イメージ 放射線等を使うこれまでの突然変異育種技術等では 改変したい遺伝子 標的遺伝子 の変異を 低い確率 でしか起こすことができませんでした これに対しゲ ノム編集技術は 標的遺伝子を狙って切断することに よって 高い確率で標的遺伝子を改変することが可能 です なかでも 平成 年に発表された ク リ ス パ ー キャスナイン CRISPR/Cas9 は 標的遺伝子への案内役を果たすガ イド RNA を作り替えるだけで 様々な標的遺伝子を 改変することができ ゲノム編集技術を大きく進化さ せました 我が国では CRISPR/Cas9 によるゲノム編集技術 ギ ャ バ を活用し GABA を高蓄積したトマト 超多収の水 資料 農林水産省作成 稲等が実験段階で既に開発されています また 標的遺伝子を切断せずに改変する手法等 新 たな国産ゲノム編集技術の開発も行われています 現在 ゲノム編集技術を活用して生み出さ れた農作物等の取扱いについての検討が世界で進みつつあります 近年 世界各国の取組により 多くの農作物や家畜等のゲノムが解読されています ゲノム 解読により 人間に利益をもたらす標的遺伝子の塩基配列が明らかになったことに加え ゲノ ム編集技術が進化したことによって 農作物等の品種改良が大きく進展しつつあります 自動車メーカーとの連携により 農業者の労働時間が短縮 農業分野にイノベーションをもたらし 農業者の所得向上を図るためには 産業界と連 携し その先端技術や知見を農業分野に取り入れていくことが重要であり 現在 メー カーや大学と農業者の連携による実証研究等が進められています 農業用 IT 管理ツール と自動車メーカーの生産管理手法を活用したサービスを組み合わせた農業者の現地実証で は 労働時間の短縮等の効果が見られました 今後 産業界との連携による技術の開発や実用化が更に進み 広く農業現場に普及され ることにより 農作業の軽労化 生産コストの削減 収量の増加が図られ 農業者の所得 向上につながることが期待されます 2 農業生産資材価格の動向と引下げに向けた動き 近年 上昇傾向が続いた農業生産資材価格指数は 平成 28 年に僅かに低下 近年の農業生産資材価格指数は全体的に上昇基調で推移してきましたが 平成 年は 飼料等の価格が低下したことから前年に比べ 1.5 ポイントの低下となりま した 図表 肥料と飼料の価格は 輸入原材料となる鉱石 穀物の国際相場や為替 変動の影響を受けやすく 変動幅が大きくなる傾向があります 176

203 図表 農業生産資材価格指数の推移 平成 年を 1 とする指数 農業生産資材総合 農機具 1. 農薬 98.2 肥料 農機具 平成 18 年 26 肥料 93.1 飼料 飼料 第2 章 平成 18 年 26 農薬 1 資料 農林水産省 農業物価統計 主要な農業生産資材である農機具 農薬 肥料 飼料の農業経営費に占める割合は 水 田作経営で 43.2 施設野菜作経営で 25.1 肥育牛経営で 32. を占めており 農業 所得の向上に向けては これら資材価格の引下げが不可欠となっています 図表 図表 農業経営費に占める農機具 農薬 肥料 飼料の割合 平成 年 その他 農機具 農薬 肥料 飼料 水田作経営 資料 農林水産省 農業経営統計調査 施設野菜作経営 28.6 肥育牛経営 営農類型別経営統計 個別経営 農業資材比較 web サイト AGMIRU の開設のほか 各農業資材で取組が進展 平成 年 11 月に策定された農業競争力強化プログラムや 平成 年 8 月に施行された農業競争力強化支援法に基づき 良質で低価格な資材の供給に向けた 取組が進展しています 177

204 第4節 生産現場の競争力強化等の推進 同法では 農業者が各種資材を購入する 図表 に当たって 価格やサービス等を比較して 選択できる環境の整備を進めるとされたこ 農業者 とから 平成 年 6 月に 農業 ア グ ミ 資材比較 web サイト AGMIRU が開設 4 質問への回答 されました AGMIRU は 資材を求める 6 提案内容を確認 農業者と有利な条件を提示した販売業者を 7 提案について質問 販売者 B 2 依頼を確認 質問の やりと りで 依頼条 件を確 定 3 依頼について質問 質問の 5 販売提案登録 やりと りで 提案条 件を確 定 8 質問への回答 交渉期限 マ ッ チ ン グ さ せ る サ ー ビ ス で 平 成 3 9 購入業者決定 218 年 3 月 15 日時点の同 web サイト 図表 AGMIRU については 利 販売者 A 1 資材購入依頼登録 ル への登録者数は 4,324 人となっています 農業資材比較webサイト AGMIRU の仕組み 12 1 受注通知を確認 販売者に直接 代金振込 / 商品受取 11 生産者に直接 振込依頼 / 商品発送 資料 農林水産省作成 便性の向上に向け 利用者の声を踏まえた改善が進められています 農薬については 平成 年 4 月に 果樹類の農薬登録において 従来の個別 作物ごとの登録に加え 作物群での登録が可能となる仕組みが導入されました これによ り 農薬メーカーが行う薬効 薬害試験等の例数軽減が図られ登録に要するコストの削減 につながるほか 作物群に含まれるマイナー作物に使用可能な農薬の確保も可能となりま す 図表 また 効果が高く安全な農薬の供給に向けて 登録された農薬を定期的 に最新の科学的根拠に照らし再評価する仕組みの導入や 農薬の安全性に関する審査の充 実を図るため 農薬取締法の一部を改正する法律案 を国会に提出しました 図表 果樹類での農薬登録における作物群の導入 平成 年3月以前 個別作物 ごとの登録 平成 年4月以降 個別作物 ごとの登録 又は 作物群 での登録 仁果作物群 マルメロ りんご なし びわ かりん マルメロ りんご なし びわ かりん 全ての作物で試験が必要 群内の一部作物で試験が必要 資料 農林水産省作成 肥料については 多銘柄 少量生産が製造コストの増加につながっていることから そ の要因の一つとなっている都道府県の施肥基準の見直しを推進しており 平成 年 1 月末時点で 41 の県において稲を中心に施肥基準数の削減が検討されています 引 き続き 幅広い作物で施肥基準数の削減を促し 肥料の銘柄集約につなげていくこととし ています 飼料については 国際競争に対応できる生産性の確保を目指し 農業競争力強化支援法 の事業再編スキームにより業界再編 設備投資等を推進しており 平成 年 1 月には同法に基づく初の計画認定が行われ 民間事業者における工場等の再編に向け た動きが見られるようになりました 178

205 3 農作業安全対策の推進 農業者に応じた効果的な取組を進める 農作業安全リスクカルテ が完成 農作業死亡事故は 近年 年間 35 件程度で推移しており 平成 年は前年 に比べ 26 件減少の 312 件となりました 同年の就業者 1 万人当たりの死亡事故件数を 見ると 全産業は 1.4 件 建設業は 6. 件であるのに対し 農業は 16.2 件と高い水準にあ ります 図表 農作業死亡事故が発生すると 農業経営の継続が困難になるだけ でなく 地域の農業の維持 発展に影響が生じる場合もあります このため 農作業安全 対策の一層の強化が重要となっています 国立研究開発法人農業 食品産業技術総合研究機構 1 は 平成 年 6 月に 過 去の事故事例を基に 農作業事故は人的要因のほか 機械 施設 作業環境 作業方法と いった要因が複雑に関係していることを明らかにし 地域によって異なる事故の傾向や要 第2 章 因等を踏まえた改善の必要性を提案する報告書をまとめました また 一般社団法人全国 農業改良普及支援協会等は 平成 年 3 月に 過去の事故情報に関するリスク 分析結果を基に 農業者向け啓発資材として 農作業安全リスクカルテ を作成しました 同カルテは 普及指導員等を通じて現場で普及 活用されており 農作業事故の未然防 止に対する意識が高まり 事故発生件数の減少につながることが期待されます また 労働安全は GAP2 の取組事項の 1 つに位置付けられており 今後の GAP の実践 や認証取得の進展が 農作業事故の未然防止につながることが期待されます さらに トラクターを使用しているなど一定の要件を満たす農業者は 万が一の事故に 備え 療養費や死亡時の遺族補償等の給付が受けられる労災保険に特別加入できます し かしながら 同保険に加入した農業者は 平成 年度末時点で 12 万 8,297 人 と特別加入対象農業者の 6.8 にとどまっています 農林水産省は 厚生労働省や関係団 体と連携の下 パンフレットやメールマガジン等を活用し 農業者に対する制度の周知を 行っています 図表 万人当たりの死亡事故発生件数 件 /1 万人 農業 建設業 全産業 平成 19 年 資料 厚生労働省 死亡災害報告 総務省 労働力調査 農林水産省 農作業死亡事故調査 農林業センサス 農業構造動態調査 を基 に農林水産省で作成 1 国立研究開発法人農業 食品産業技術総合研究機構の機関である農業技術革新工学研究センター 2 用語の解説 3 2 を参照 179

206 第5節 気候変動への対応等の環境政策の推進 第 5節 気候変動への対応等の環境政策の推進 国連が平成 年に採択した SDGs1 には 気候変動の緩和と適応 生物多様性 の損失の阻止が盛り込まれており 我が国の農業生産もこれに即し的確に対応していく必 要があります 以下では 農業分野における気候変動の緩和と適応 有機農業 エコ ファーマー等について記述します 1 気候変動に対する緩和 適応策の推進等 COP23 では パリ協定の運用ルールのアウトライン等が具体化 平成 年 11 月から 12 月にか 図表 けてフランスのパリで開催された国連気候 COP21 2 変動枠組条約第21回締約国会議 COP 21 において 22 年以降の国際的な気候変 定が採択されました 図表 同協定 COP22 では 世界の平均気温の上昇を産業革命前 22 年以降の新たな枠組として パリ協定 を採択 平成 年11月7日 18日 モロッコ マラケシュ パリ協定のルールづくりを 218 年に終える工程表を採択 平成 年6月1日 に比べ 2 度未満に抑えることを目指し 1.5 度未満を努力目標として 全ての国に COP23 対し温室効果ガス 3 排出量の削減目標の提 出を義務付けました 開催されたCOP23では 農業分野について 平成 年11月3日 12月13日 フランス パリ 平成 年 11 月4日 パリ協定発効 11 月8日 日本がパリ協定を締結 動対策についての法的枠組みであるパリ協 平成 年11月にドイツのボンで パリ協定をめぐるこれまでの経過 COP24 米国大統領がパリ協定からの 離脱を発表 平成 年11月6日 17日 ドイツ ボン COP24 に向け ルールづくりの交渉加速化に合意 平成3 218 年12月 ポーランド カトヴィツェ 予定 ルールの採択を目指す 資料 農林水産省作成 気候変動に関わる技術等をテーマとして取り組むことが決定されました また 同協定の運用 ルールづくりの交渉が行われ COP24での運用ルールの合意を目指し 各指針のアウトライ ンやその項目が具体化されました 我が国は 農業分野の温室効果ガスに関する国際研究ネットワークの議長国に就任 我が国は 平成 年 8 月からの 1 年間 49 か国 4 が参加する農業分野の温室効果ガス排出削減 等に関する国際研究ネットワークである グローバ ル リ サ ー チ ア ラ イ ア ン ス 以 下 GRA と い う の議長国を務めています GRA には 水田 農地 畜産 の各分野とこれらの分野を横断した 研究グループが設置され 農業由来の温室効果ガス排 平成 年 8 月に開催された GRA 理事会 出の削減等に関する研究が進められています 同年 8 月には 我が国が議長国として 茨城県つくば市で第 7 回 GRA 理事会を開催し ました 同理事会では GRA の戦略プランの進捗状況や 各研究グループの活動の進め方 等が議論され 我が国は 今後の温室効果ガス削減のための研究協力に向けた計画の紹介 持続可能な開発目標 Sustainable Development Goals の略 条約の締約国会議 Conference of the Parties の略 用語の解説 3 1 を参照 平成 年 1 月時点

207 を行いました 同年 11 月の COP23 のサイドイベントにおいて GRA の活動と我が国の 貢献について 紹介を行いました 我が国の農林水産分野では 気候変動の緩和と適応を推進 パリ協定の採択に向けた動きを踏まえ 農林水産省 では 平成 年 8 月に 地球温暖化の影響 が特に大きいとされる品目への対応等を盛り込んだ農 林水産省気候変動適応計画 以下 適応計画 とい う を策定しました 米については 近年 西日本を中心に白未熟粒 1 の 発生による品質低下が問題となっています 適応計画 水稲の白未熟粒 左 と正常粒 右 の断面 では高温耐性品種の普及を図るとしており 平成 28 第2 章 216 年における高温耐性品種の作付面積は前年に 比べ 4 千 ha 増加の 9 万 1,4ha となりました りんごについては 近年 東日本から北日本にかけ て早生品種を中心に着色不良や収穫の遅れによる品質 低下が問題となっています 適応計画では 高温下に あっても着色が進みやすい品種の導入を図るとしてお り 長野県では着色に優れた早生品種の普及を目指す りんごの着色の違い など各生産県で取組が進められています また 温室効果ガスは 自動車 工場 図表 火力発電所等における化石原料の燃焼に よってその多くが発生していますが 農林 農林水産分野の温室効果ガス排出の 現状 平成 年度 11.5 一酸化二窒素 432 万t N2O 万t 水産分野における生産活動も排出量の割合 はごく僅かですが排出源の一つとなってい ます 図表 このため 農林水産省 二酸化炭素 CO2 排出量 3,742 万t では 平成 年 3 月に 気候変動 の緩和に関してその取組の推進方向を具体 化した農林水産省地球温暖化対策計画 以 メタン CH ,365 万t 下 対策計画 という を策定しました 水田から排出されるメタンについては 稲刈り後の稲わらのすき込みを堆肥施用に 転換することで発生が抑制されます 対策 資料 温室効果ガスインベントリオフィス 日本の温室効果ガス排 出量データ 確報値 年度 を基に農林水産 省で作成 注 1 日本全体の温室効果ガス排出量は約13 億 25 万t 2 排出量はCO2 換算 計画では 農業者に対し堆肥施用がメタン の発生抑制に有効であることを周知するとともに 耕種農家と畜産農家の連携による稲わ らと堆肥の交換を促進することとしています 家畜の排せつ物からはメタンと一酸化二窒素が発生しますが 一酸化二窒素については 飼 料のアミノ酸バランスを改善することで発生が抑制されます 対策計画では アミノ酸バラン ス改善飼料の給餌の普及を図るとともに 排せつ物処理方法の改善等を推進するとしています 気候変動の緩和と適応に向けて 引き続き両計画に位置付けられた施策を一体的に推進 1 白く濁って見える米粒 出穂後の登熟期に高温が続くと でん粉の蓄積が不十分となり発生 181

208 第5節 気候変動への対応等の環境政策の推進 することとしています 事例 地球温暖化を契機とし りんご産地で広がるももの生産 青森県 つ がる 青森県津軽地方の津軽みらい農業協同組合の区域内では 近年の地球 温暖化の影響により 9 月から収穫が始まる早生種のりんごで着色の進み が悪くなったため 平成 年頃から 早生種のりんごをもも 青森県 同農協の区域 へ改植する動きが見られるようになりました 平成 年には 同農協にもも生産協議会が設置され 平成 年産のももは農 家戸数 77 戸 結果樹面積 15ha にまで拡大しています 多くがりんご農 家の 1 部門として行われているももの栽培には 地球温暖化の影響を回 ひらかわ 平川市 他 5 市町村 の全部又は一部 避するだけでなく 光反射シートをりんごと共用できる 収穫時期がり んごと重ならず台風襲来前に収穫を終えられるなどの利点があると言い ます 同農協では平成 年 7 月に津軽地方の他の農協の理解を得 て地域団体商標 津軽の桃 を取得しました 卸売市場からは現出荷量 の 1 倍以上の要望を受けており 同農協では 津軽の桃 としてブラ ンド化を図りながら 生産の拡大を進めていく考えです 同農協が販売する 津軽の桃 ITPGR の仕組みを通じ 海外から農作物の遺伝資源約 2 万点を入手 多様な生物の遺伝資源は 農業分野における有望品種の開発等に欠かせないものとなっ ており 近年 遺伝資源の適正な利用等に関して 国際的な意識が高まっています この ため 我が国は 平成 年 7 月には 食料 農業植物遺伝資源の保全 利用等 を国際的に進める条約 以下 ITPGR という 1 を 平成 年 5 月には 生 物多様性条約に基づく名古屋議定書 2 をそれぞれ締結し 国内の種苗会社や研究機関等が 海外の遺伝資源を利用するための環境を整備しました ITPGR 締結後 我が国は アジ ア諸国と連携した遺伝資源の探索や共同研究等を実施しています また 平成 年 4 月時点で ITPGR の仕組みを通じ 海外から約 2 万点の農作物の遺伝資源を我が国 の研究機関等が入手しています 図表 図表 我が国が海外から入手した遺伝資源の例 様々なメロン 様々なトウガラシ 高温耐性の強いささげの仲間 1 食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約 International Treaty on Plant Genetic Resources for Food and Agriculture の略 2 正式名称は 生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する 名古屋議定書 182

209 2 環境保全に配慮した農業の推進 有機認証を受けた茶 こんにゃく 梅加工品の輸出が急増 有機農業は 有機農業推進法 1 において 化学的に合成された肥料及び農薬を使用しな いこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として 農業生産に由来する環境 への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業と定義されていま す 有機農業を始めとする環境保全に配慮した農業は 農業の自然循環機能を増進させる とともに 環境への負荷を低減させるものであり 生物多様性の保全等生物の生育 生息 環境の維持にも寄与しています 農業者は 有機 JAS の認証 2 を受けるこ とにより 農産物に 有機 や オーガ ニック と表示できるようになります 有 は 近年 1 万 ha 程度で推移しています 図表 一方 有機 JAS の認証は受 けていないものの 化学肥料や化学合成農 薬を使用せずに生産を行う農業者もいま す そのほ場面積は近年増加傾向にあり 平 成 年 時 点 で 1 万 3 千 ha と なっています これらを合算した面積 2 万 3 千 ha は国内農地の.5 に相当し おお むね平成 年度までにこれを 1 に向上させる目標が設定されていま す 有機 JAS 認証ほ場の面積の推移 ha 12, 田 牧草地 普通畑 樹園地 その他 第2 章 機 JAS の認証を受けた農業者のほ場面積 図表 ,956 1, 83 8, , 999 1,326 6, 4,235 4,879 2,92 2,825 平成 21 年 , 2, 資料 農林水産省調べ 注 各年4月1日時点 その他 は きのこ栽培における採取場 等 有機農産物は 22 年東京オリンピッ ク パラリンピック競技大会の食材調達基 準で推奨されるものにも位置付けられてい ます また 近年 我が国と諸外国の有機認証 制度を同等に取り扱い 諸外国における認 証を受けずに有機 JAS 認証のみで 農産物 等に organic 等と表示して輸出できる 国が拡大しています これにより我が国有 機食品の輸出量は増加し 平成 年から平成 年にかけて 米国 向けの茶 こんにゃくは約 2 倍 EU 向け の茶は約 2 倍 梅加工品は約 6 倍となって います 図表 図表 米国 EU への有機食品 茶 こん にゃく 梅加工品 の輸出量 単位 t 平成 26 年 仕向先 品目 茶 米国 こんにゃく 梅加工品 EU 加盟国 茶 こんにゃく 梅加工品 資料 農林水産省調べ 1 正式名称は 有機農業の推進に関する法律 2 日本農林規格等に関する法律 に基づき定められた 有機農産物の日本農林規格 に適合することの認証 183

210 第5節 気候変動への対応等の環境政策の推進 事例 豚肉で国内初となる有機 JAS 畜産物の認証取得 鹿児島県 かの や し ゆうげんがいしゃさんしん や 鹿児島県鹿屋市で黒豚の飼育を行う有限会社三清屋は 平 成 年 3 月に 豚肉で国内初の有機 JAS 畜産物の 鹿児島県 認証を取得しました 飼料には 自家産の有機栽培のサツマ 宮崎県 鹿屋市 イモのほか 地域の畑作農家が生産した有機栽培の飼料作物 が使用され 平成 年度からは地域で生産された 有機栽培の飼料用米も使われています 同社の黒豚は 山林 を開拓して作られた放牧場とバンガロー風豚舎で飼育され 放牧中にドングリやミネラルを豊富に含んだ赤土等も食べな がら 白豚の飼育期間の 1.5 倍に相当する約 9 か月間育てら れます 同社の黒豚は 月に 5 頭を限度に 有機 JAS 畜産物に対応 山林で自由に動きまわる黒豚 した県内のと畜場に出荷され 精肉やみそ漬け等の加工品と た なか なって主にデパート等で販売されています 同社代表の田中 たけ お 武雄さんは 鹿屋市の畜産業の更なる発展に向けて 日本初の有機 JAS 畜産物認証の取得が 若者達のビジネスモデルの一つとなれるよう努力していきたい と語ります エコファーマーは 件数減少の一方で 地域ぐるみで取り組む事例も エコファーマーは 持続農業法 1 に基づき 土づくり技術 化学肥料の使用低減技術 化学合成農薬の使用低減技術の全てに取り組む計画を作成し 都道府県知事の認定を受け た農業者の愛称です 平成 年度末時点のエコファーマーの認定件数は 同年度の新規認定件数が 5,84件となり前年度を上回ったものの再認定を受けなかった件数がこれを上回ったため 前年度に比べ 2 万 5,28 件減少の 12 万 9,389 件となっています 図表 計画期間 の最終年を迎えた農業者が再認定を受けなかった理由としては高齢化による離農や生産し た農産物が価格的優位性に乏しいこと等が挙げられています 図表 エコファーマーの認定状況 エコファーマーの認定件数 認定件数の増減の内訳 単位 件 単位 件 増加数 認定件数 平成 27 年度 , ,389 増減 25,28 新規認定 全体 再認定 再認定受けず 5,84 19,77 5,197 3,297 12,62 3,932 葉茎菜類 687 1,149 4,163 果菜類 64 2,525 7,248 果樹 512 2,467 4,95 その他 ,949 水稲 資料 農林水産省作成 注 1 エコファーマーの認定件数は 認定後 5 年間の計画期間内にあるもの 2 各年度末時点 1 正式名称は 持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律 184 減少数 計画期間が終了となったもの

211 農林水産省が実施した消費者向けアンケート 1 によれば 環境に配慮した農産物の基準 についての認知度は 有機農産物の基準が 7 割に達しているのに対し エコファーマーが 生産した農産物の基準は 2 割にとどまっています エコファーマーや有機農業を実践する 農業者が環境保全に配慮した農業生産を継続していく上では 農業や農産物の価値につい て消費者の理解を深めていくことが重要です エコファーマーの中には 地域の仲間と一 緒に活動を展開し 消費者との交流を継続して実践している事例も見られます 事例 生協の信頼を得て 地域ぐるみで環境保全型農業を実践 宮城県 おおさき し た じり ち く 宮城県大崎市田尻地区では 農業者の農薬による健康被害 山形県 秋田県 から 農協青年部が推進役を果たし環境保全型農業が広がり 第2 章 や水田の生き物の減少が見られるようになる中 197 年代 岩手県 大崎市 宮城県 始めました 平成 年度時点で田尻地区の農業者 の 7 割がエコファーマーの認定を受けており 生産した米は 主に農協を通じて県内や東京都内の生活協同組合向けに販売 されています 同地区の米は 近隣の慣行農法の米と比べ 化学肥料や農薬の使用量削減により単収は低くなりますが 生活協同組合の理解により販売価格が高めに設定され 面積 当たりの収入は高いとのことです 平成 年度に結成された 田尻地域田んぼの生 きもの調査プロジェクト では 農協 農業者 県内や東京 都内の生活協同組合等が参加して 水田におけるトンボの羽 水田での生き物調査の様子 化殻や土中のイトミミズの生息状況の調査等が行われており 現在も続くこの調査活動を通じ 産地と消費地の強い信頼関係が維持されています 産学官によるプラットフォームに 戦略会議やプロジェクトが設置 平成 年 7 月に設立された産学官の連携プラットフォーム オーガニック エコ農と食のネットワーク NOAF2 では 有機農産物 特別栽培農産物 エコファー マーが生産した農産物等 環境に配慮して生産された農産物の市場拡大に向け 生産 実 需 学術 行政等の様々な関係者による情報交換が行われています また 同ネットワーク内には 22 年東京オリンピック パラリンピック競技大会へ の食材提供と競技大会後の農業 関連産業の発展を目指す戦略会議 オーガニック エコ 農産物の生産技術の向上や海外への情報発信等を推進するプロジェクトが設けられ 多様 な関係者の知見を活用することにより課題解決を図っていくとしています 1 農林水産省 有機農業を含む環境に配慮した農産物に関する意識 意向調査結果 平成 年 2 月公表 2 Network for Organic-eco Agriculture and Food Lifestyle, NIPPON の略 185

212 第6節 農業を支える農業関連団体 第 6節 農業を支える農業関連団体 農業関連団体はその活動を通じて我が国農業を支えてきましたが 農業を取り巻く環境 が変化する中で 寄せられる期待に応え 課せられた役割を果たしていけるよう 事業や 組織の見直しが急務となっています 以下では 農業協同組合 以下 農協 という 農業委員会 農業共済団体 土地改良区について その現状や課題等について記述します 1 農業協同組合 農協による農業者の所得向上に向けた事業の見直しが急務 農業者等による自主的な相互扶助組織で 図表 ある農協のうちの総合農協 の数は 平成 単位 組合 万人 事業年度末時点で 661 となっ 平成 年度 ています 図表 奈良県 香川県 沖縄県及び島根県の 4 県では 1 県 1 農協が 組合数 組合員数 実現しており 山口県 福井県においても これに続く動きが見られます 2 農協の職員 平成 年 4 月に施行された改 正後の農業協同組合法第 7 条には 農協が 998 1,15 1,27 1,37 1,44 正組合員 准組合員 職員数 数は減少傾向で推移する中 部門別では販 売や営農指導の割合が高まっています 農業協同組合 総合農協 の状況 うち販売担当 営農指導職員 の割合 資料 農林水産省 総合農協統計表 注 1 組合数は 総合農協統計表 における集計組合数 2 各組合事業年度末時点 農産物を有利に販売したり 生産資材を有利に仕入れるといった取組を進めていく旨の規 定 3 が置かれました 農林水産省が実施した平成 年度のアンケート調査によ れば 地域の農協が農業者の所得向上に向けて農産物販売事業や生産資材購買事業の見直 しを進めているかを尋ねた設問で 総合農協 農業者双方とも 具体的取組を開始した との回答が前年度に比べ増加しましたが 総合農協と農業者の評価に一定の差があります 図表 事業見直しの成果が表れている農協も一部に見られますが 多くの農協に おいて具体的な取組の開始や組合員への取組成果の還元が急務となっています 図表 農協改革に関するアンケート結果 抜粋 単位 区分 回答者 平成 28 年度 農産物販売事業の見直しについて 具体的取組を開始した と回答したもの 総合農協 農業者 生産資材購買事業の見直しについて 具体的取組を開始した と回答したもの 総合農協 農業者 農産物販売事業の進め方や役員の選び方等に関し 組合員と徹底した話合いを進めている と回答したもの 総合農協 農業者 資料 農林水産省 農協の自己改革に関するアンケート調査 平成 年 7 月公表 注 1 総合農協の回答数は 平成 年度 666 平成 年度 農業者は認定農業者を基本として都道府県が選定した者が対象 回答数は 平成 年1,442 人 平成 年1,882 人 1 農業協同組合法に基づき設立された農協のうち 信用事業 共済事業 販売事業などを総合的に行う農協 2 平成 年 11 月に 山口県の全 12 農協が臨時総代会で平成 年 4 月の合併を承認 また 同年 11 月 に 福井県農業協同組合中央会は 22 年 4 月に県内 12 農協を合併する旨を発表 3 具体的には 農協が農産物の有利販売等に積極的に取り組むことを促すために 事業の実施に当たって農業所得の増大に配慮 しなければならないこと 事業を的確に行うことで収益性を高め この収益を利用分量配当等で組合員に還元することを規定 186

213 事例 一括仕入れ等の導入で 生産資材の販売価格を引下げ 宮崎県 さい と さい と 宮崎県西都市の西都農業協同組合では 平成 熊本県 年度に生産資材の一括仕入れ等を導入し 組合員に対する販 宮崎県 鹿児島県 売価格の引下げを実現しています 同農協は これまで組合員から注文を受ける度に卸売業者 西都市 から仕入れを行っていましたが 注文時期を肥料 飼料等は 年 2 回に 農薬は部会単位で設定し まとめて予約注文を受 け付け 複数卸売業者による入札で一括仕入れを行うように しました 注文数量を増やし更に有利な仕入れができるよう 同農協 第2 章 では職員による組合員全戸訪問を徹底し 予約注文の周知を 図っています これと併せて農協の配送センターに受け取り に来る組合員向けの自己取り割引を導入しました これらの 結果 組合員に対する販売価格を 1 2 割程度引き下げるこ 組合員による生産資材の 自己取りの様子 とができました 同農協は 近隣農協と連携してより多くの注文数量を確保すること 生産資材の配送業務を 自ら行うことで 更なる販売価格の引下げを目指したいと考えています 2 農業委員会 推進委員には 農地利用の最適化を推進するに当たり 現場活動が期待 担い手への農地の集積 集約化 遊休農 地の発生防止 解消 新規就農の促進等の 図表 単位 委員会 人 農地の利用の最適化に関する業務を行う農 業 委 員 会 は 平 成 年 1 月 1 日時点で市町村等に 1,73 設置されていま す 図表 平成 年 4 月 に施行された改正後の 農業委員会等に関 する法律 により農業委員会に新設される こととなった農地利用最適化推進委員 以 農業委員会数等 平成 年 農業委員会数 1,71 1,71 1,78 1,77 1,76 1,73 農業委員数 35,729 35,514 35,618 35,488 33,174 26,11 推進委員数 事務局職員数 7,755 7,732 7,725 7,722 3,257 13,465 7,775 7,77 資料 農林水産省調べ 注 1 事務局職員数は 市役所 町村役場内他部局との兼任職 員を含む 2 各年 1 月 1 日時点 下 推進委員 という は 任期 3 年間 の農業委員の改選時期に合わせて順次委嘱が進められており 平成 年 1 月 1 日時点で 1,379 委員会で 13,465 人の推進委員が委嘱されています 推進委員には 農地利用の最適化を推進するに当たり 主に現場活動を行うことが期待 されており 地域農業の振興において鍵を握る人物の一人と言っても過言ではありませ ん 担当地域において 戸別訪問による農地の出し手の意向把握 農地利用の集積 集約 化への理解深化等の活動により 農地中間管理機構の活用につなげた事例が見られます 推進委員が積極的に活動を展開し成果をあげられるよう サポート役である農業委員会の 支援が不可欠です また 今後 新たに推進委員の委嘱が行われる農業委員会において は 熱意と識見を有する推進委員候補者の確保が重要となっています 187

214 第6節 農業を支える農業関連団体 事例 農地利用の現状を地域で共有するため 独自の地図を作成 茨城県 さくら がわ し ふじ た つね お 茨城県 桜 川市の藤田恒男さんは 勤務していた銀行を退 栃木県 職後 平成 年 4 月に 地域の推薦を受けて 67 埼玉県 歳で農地利用最適化推進委員に任命されました 同時期に任 命された推進委員は藤田さんのほか 32 人おり 市内の農地 5,3ha について 1 人当たり平均 16ha の担当区域で農 茨城県 桜川市 千葉県 地の利用集積 集約化に向けた説明会等を開催しています 農地利用の現状を地域で共有するため 藤田さんは白地図 に色付けして 耕作されている借入農地や自己所有農地 遊 休農地の分布が分かる地図を作成し 平成 年 7 月に 2 回 平成 年 7 月に 1 回 農業者向けの説 明会で提示しました 併せて農地中間管理機構を活用した場 合のメリット措置等を説明したことで 農業者 2 人が機構を 活用した農地の貸借を行うことになりました 藤田さんは 農地の所有者の意向を把握するとともに 所 有者と担い手に対し機構を活用した場合のメリット措置等を 理解してもらえるよう努力していきたいと語ります 藤田恒男さんと自作の色付け白地図 3 農業共済団体 収入保険と農業共済の円滑な実施のための体制整備が必要 農業共済の実務を担う農業共済団体で 図表 は 業務の効率化等に向けて県内の農業共 単位 組織 人 済組合と農業共済組合連合会を統合する 平成25年 県 1 組 合 化 が 進 め ら れ て お り 平 成 29 農業共済 組合連合会 217 年 4 月 1 日時点で 3 都府県で 1 県 1 組合が実現しています 図表 平成 年 4 月に施行された改 農業共済 組合等 組合営 ,436 7,394 7,238 7,69 6, 市町村営 正後の農業災害補償法 農業保険法 によ 職員数 入保険は 全国を区域とする農業共済組合 1 県 1 組合 となった 都府県数 り 平成 年 1 月から始まる収 連合会が事業を実施し その業務の一部は 農業共済団体等に委託できることとなって 農業共済団体の状況 資料 農林水産省調べ 注 各年 4 月 1 日時点 います このような中 農業共済団体では 引き続き 1 県 1 組合化による業務の効率化 等と 全国農業共済組合連合会の設立準備を進め 収入保険と農業共済の円滑な実施のた めの体制整備を図っていくこととしています 188

215 4 土地改良区 土地持ち非農家が増加し 耕作者の意見が適切に反映される事業運営体制が必要 土地改良区は ほ場整備等の土地改良事 業を実施するとともに 農業水利施設等の 図表 単位 地区 万人 万 ha 土地改良施設の維持 管理等の業務を行っ て お り 平 成 年 度 末 時 点 で 4,585 地区となっています 図表 土地改良区の運営をめぐっては 組合員 の高齢化による離農や農地集積の進展に伴 い 組合員の中で土地持ち非農家が増加し ている等の課題があります 今後も 土地 平成 年度 土地改良区 数 4,869 4,795 4,73 4,646 4,585 土地改良区 組合員数 延べ面積 資料 農林水産省調べ 注 各年度末時点 第2 章 持ち非農家の増加が続けば 土地改良施設 土地改良区の状況 の管理や更新等に関する土地改良区の意思決定が適切に行えなくなるおそれがあり 耕作 者の意見が適切に反映される事業運営体制に移行していくことが求められています ぜいじゃく また 土地改良区の業務執行体制が脆 弱 化する中で 適正な事業運営を確保しつつ より一層の事務の効率化を図っていく必要があります このため 土地改良区の組合員資格の拡大 総代会の設置 土地改良区連合の設立に係 る要件の緩和等の措置を講ずる 土地改良法の一部を改正する法律案 を国会に提出しま した 189

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217 第 3 章 地域資源を活かした農村の振興 活性化

218 第1節 農村地域の現状と地方創生に向けた動き 第 1節 農村地域の現状と地方創生に向けた動き 農村地域の人口減少が全国を超えるペースで進む中 都市部の若い世代を中心に高まり を見せる 田園回帰 1 の流れを活かし 農村地域に仕事をつくり 移住 定住を進めてい くことが重要です 以下では 農村地域における人口等の動向 仕事づくりの取組 田 園回帰 の意識と移住の動向等について記述します 農村地域では 全国を超える減少率で人口が推移する見込み 我が国の総人口は平成 2 28 年をピークに減少局面に転じ 2 高齢化率 3 は上昇の一 途をたどってきましたが 農村地域の人口は全国を超えるペースで減少が進み 高齢化率 も 近年 都市を 6 から 7 ポイント上回る水準で推移してきました 図表 また 農村地域では 今後も全国を超える減少率で人口が推移すると見込まれています 平成 年から平成 年にかけて 総農家数が 253 万戸から 216 万 戸へと減少する中 1 農業集落当たりの平均総農家数は 17.6 戸から 15.1 戸へと減少し また 全農業集落に占める農家戸数 5 戸以下集落の割合は山間農業地域を中心に高まって います 4 農村地域における農家を含めた住民の減少は 商店や医療機関等の生活関連サービスの 撤退や 地域活動の縮小による地縁的なつながりの希薄化をもたらし これらは就業機会 の減少 利便性の低下 魅力の喪失を招くことで 更なる住民の減少を引き起こすことに もつながりかねません 図表 万人 14, 農村人口と高齢化 総人口 農村人口 12, 6, 21.3 都市の高齢化率 右目盛 推計 , 8, 農村の高齢化率 右目盛 農村の 高齢人口 , 1 2, 5 平成 12 年 資料 総務省 国勢調査 国立社会保障 人口問題研究所 日本の地域別将来推計人口 平成 年推計 を基に農林水産省で作成 注 1 都市は国勢調査における人口集中地区 農村はこれ以外の地域 2 平成 年までの高齢化率は 年齢不詳の人口を除いて算出 農村の魅力の再発見により 都市と農村を人々が行き交うこと 総務省 人口推計 総人口に占める 65 歳以上の高齢者の割合 農林水産省 農林業センサス

219 生活関連サービスを受け続けられるよう 各地で 小さな拠点 づくりが進展 農村地域の住民が生活関連サービ スを受け続けられるよう 政府では 小さな拠点 のイメージ図 地域住民や地方公共団体等が協力 役割分担をしながら 生活サービス 機能等を集約 確保し 地域の資源 を活用して仕事や収入を確保する取 組を 小さな拠点 づくりとして推 進しています まち ひと しごと 創生法に基づき市町村が策定する地 方版総合戦略に位置付けられた 小 さな拠点 の数は 平成 年 5 月末時点で 98 か所となり 1 各 地で 小さな拠点 づくりが進展し ています 資料 内閣官房資料を基に農林水産省で作成 第3 章 また 小さな拠点 づくりや地域の課題解決を担う住民主体の組織 地域運営組織 の設立も進展しています 同組織の数は 平成 年 1 月末時点で 4,177 団体 にのぼり 2 政府では 量的拡大を図るとともに 質的向上を推進しています 農山漁村での仕事づくりに向け 農村産業法等が施行 新たな人材を外部から呼び込むことは 農村地域の活性化に向けて一つの契機となり得 ます 平成 年 1 月に総務省が実施した都市住民に対する web アンケート 3 で は 農山漁村地域に移住意向のある者に対する移住で最も重視する条件の設問において 生活が維持できる仕事 収入 があること との回答が 55.8 と最多を占めました 農山漁村に仕事をつくるとの施策の方向は 内閣官房の まち ひと しごと創生総合 戦略 や農林水産省の 農山漁村活性化ビジョン に位置付けられており 政府を挙げて これに取り組んでいます 平成 年度においては 農村地域での就業の場の確 保に向けて農村地域に導入する場合に支援対象となる業種を拡大した改正後の農工法 農 村産業法 4 と地域の特性を活かした成長性の高い産業の集積を支援する地域未来投資促進 法 5 の 2 法が 7 月に施行されました また 施行に際しては それぞれの法律に基づく基本 方針により優良農地の確保を図るための措置が講じられました このほか 農業関連分野 での雇用創出に向けた 6 次産業化 6 や農泊 7 等の地域内発型産業の育成も進められました 地域おこし協力隊の活動も 農山漁村での仕事づくりにつながります 平成 年度末までに任期を終えた元隊員 2,23 人の約半数は 活動地と同一市町村内に定住し 宿泊業や農業法人等への就業 古民家カフェ等の起業等により仕事を確保しています 図 表 内閣府調べ 総務省調べ 総務省 田園回帰 に関する調査研究中間報告書 平成 年 3 月公表 正式名称は 農村地域への産業の導入の促進等に関する法律 改正前の正式名称は 農村地域工業等導入促進法 正式名称は 地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律 用語の解説 3 1 を参照 トピックス 4 を参照 193

220 第1節 農村地域の現状と地方創生に向けた動き 図表 地域おこし協力隊任期終了後の居住地と同一市町村内定住者の進路 任期終了後の居住地 人 1,2 同一市町村内に定住した隊員の進路 その他 人 1,75 未定.9 1 人 1, 不明 他の条件不利 地域に転出 その他へ転出 活動地の近隣 市町村内に定住 活動地と同一 市町村内に定住 就農等 人 就業 活動地と同一 47.4 市町村内に定住 51 人 1,75 人 起業 人 資料 総務省 平成 29 年度地域おこし協力隊の定住状況等に係る調査結果 を基に農林水産省で作成 事例 元地域おこし協力隊員が こだわりの米づくりを実践 新潟県 よこはま し みやはらひろ き 神奈川県横浜市で会社員をしていた宮原大樹さんは 新潟 新潟県 とお か まち し 県十日町市で地域おこし協力隊として 3 年間活動した後 農 業法人での研修を経て 平成 年に 37 歳で十日 町市内で就農しました 夫婦で中山間地域の水田 1.2ha を経営する宮原さんは 自 上越市 長野県 福島県 群馬県 栃木県 分で全てを行う農業を目指し 自分で作ることのできない肥 料や農薬は用いず 農業機械も使用しない米づくりを実践し ています 米は差別化が難しい商品なのでシンプルで分かり やすいメッセージが必要と考え 無農薬 無化学肥料 手植 え 手刈り 自然乾燥をキーワードに米の生産を行っていま す 単収は地域の 6 割程度と低めですが 収穫されたコシヒ わ のぞみ カリは 和の希 等のブランド名で 都市部の消費者や個 手作業で田植を行う 宮原大樹さん 人商店に 1kg 当たり平均 9 円で販売されています 宮原さんは 今後 子育てが落ち着いたら 集落内の農地を引き受けて 経営規模の拡大を 目指したいとしています 若い世代を中心に高まりを見せる 田園回帰 の意識 近年 若い世代を中心に 田園回帰 の意識が高まっています 総務省が実施した調査 では 2 歳代と 3 歳代の 4 割が農山漁村地域への移住について前向きな回答を行ってい ます 図表

221 図表 農山漁村地域への移住希望 農山漁村地域に移住する予定がある 歳代 いずれは ゆくゆくは 農山漁村地域に移住したいと思う 歳代 条件が合えば農山漁村地域に移住してみても良いと思う 歳代 あまり積極的に農山漁村地域に移住してみたいとは思わない 5 歳代 農山漁村地域に移住したいとはまったく思わない 6 歳代 資料 総務省 田園回帰に関する調査研究中間報告書 平成 年 3 月公表 を基に農林水産省で作成 注 東京都特別区又は政令市に居住する 2 歳から 64 歳の在住者を対象としたアンケート調査 特定非営利活動法人ふるさと回帰支援センターによれば 電話等で同センターに問合せ 第3 章 を行った者 センターが開催する面談 セミナーへ参加した者等の移住相談者の延べ数 は 平成 年において前年に比べ 7 千人 26 増加の 3 万 3 千人となりまし た 図表 年代別に見ると近年は 4 歳代以下が過半を占める状況が続いており 居住 就労 生活支援等についての総合的なワンストップポータルサイト 全国移住ナ ビ 1 の開設等があった平成 年以降は 4 歳代以下の割合が 7 割に高まっていま す 図表 図表 図表 移住相談者等の延べ数 人 4, 1 33,165 3, 2, 1, 電話等問合せ 面談 セミナー 参加等 9, ,426 21,584 12, 平成 25 年 資料 特定非営利活動法人ふるさと回帰支援センター調べ 移住相談者等の年代別割合 歳代 4 歳代 歳代 6 歳代 歳代 2 歳代 平成 25 年 (214) (215) (216) (217) 資料 特定非営利活動法人ふるさと回帰支援センター調べ 総務省が平成 年 3 月に公表した都市部から過疎区域 2 への移動に関する分 析 3 では 平成 12 2 年から平成 年にかけて都市部からの移住者が増え た過疎区域は 18 区域であったのに対し 平成 年から平成 年に 1 総務省が全国の地方公共団体と共同して構築する web サイト 各地の PR 動画や移住者の体験談等の情報を見ることができる 2 過疎地域自立促進特別措置法の規定に基づき 過疎地域として公示された市町村の区域 3 田園回帰 に関する調査研究報告書 195

222 第1節 農村地域の現状と地方創生に向けた動き かけては 397 区域と 4 倍弱にまで増加したことが明らかになりました 移住者の年齢は 2 歳代と 3 歳代が多く 若者の間で地方への移住の動きが進んでいることが分かります また 一般社団法人持続可能な地域社会総合研究所が平成 年 8 月に公表し た 全国の過疎区域に指定された 797 市町村における人口動態分析によれば 平成 年から平成 年にかけて 327 市町村で 3 歳代女性が流入超過によ り増加し 93 市町村で人口の実質社会増加が進みました これら増加がみられた市町村 には島しょ部のものも多く含まれ 田園回帰の流れが離島にまで及んでいることがうかが えます 図表 図表 歳代女性増加率及び実質社会増加率の上位 2 市町村 過疎指定市町村 青色網掛けは離島 3 歳代女性増加率 順位 県名 市町村名 と しまむら 鹿児島県 十島村 和歌山県 きたやまむら 鹿児島県 み しまむら 三島村 沖縄県 きただいとうそん 北山村 北大東村 あ ま ちょう 島根県 海士 町 長野県 きたあい き むら 北相木村 こ すげむら 山梨県 小菅村 島根県 ち ぶ むら 知夫村 い ぜ な そん 沖縄県 伊是名村 鹿児島県 や ま と そん 大和村 宮崎県 もろつかそん 長野県 いくさかむら 新潟県 あわしまうらむら 長野県 うる ぎ むら 沖縄県 諸塚村 生坂村 粟島浦村 売木村 と な き そん 渡名喜村 み はらむら 高知県 三原村 長野県 なかがわむら 愛知県 とうえいちょう 中川村 東栄 町 お ぢ か ちょう 長崎県 小値賀 町 北海道 なかがわちょう 中川 町 実質社会増加率 単位 増減率 順位 県名 市町村名 と しまむら 単位 増減率 鹿児島県 十島村 27.7 新潟県 あわしまうらむら 17.2 粟島浦村 よ な ぐにちょう 17.2 と な き そん 11.1 あ ま ちょう 9.4 島根県 ち ぶ むら 知夫村 8.3 高知県 おおかわむら 大川村 7.1 島根県 にし の しまちょう 西ノ島 町 6.5 広島県 おおさきかみじまちょう 6.2 沖縄県 沖縄県 島根県 与那国 町 渡名喜村 海士 町 大崎上島 町 ざ ま み そん 沖縄県 座間味村 5.7 愛知県 とうえいちょう 東栄 町 5.6 和歌山県 きたやまむら 5.3 北山村 に せ こ ちょう 北海道 ニセコ 町 4.9 北海道 あつ ま ちょう 厚真 町 4.3 沖縄県 たけとみちょう 竹富 町 4. 高知県 きたがわむら 4. 北川村 あ ぶ ちょう 山口県 阿武 町 3.9 福島県 かねやままち 3.1 金山町 き じょうちょう 宮崎県 木城 町 3.1 長野県 いくさかむら 3. 生坂村 資料 一般社団法人持続可能な地域社会総合研究所 全国持続可能性市町村リスト 平成 年 8 月公表 を基に農林水産省で作成 注 1 3 歳代女性増加率は 平成 年の 3 39 歳女性人口と平成 年の 歳女性人口を比較 2 実質社会増加率は 平成 年の 5 69 歳人口と平成 年の 64 歳人口を 自然減分を補正して比較 あ と しまむら 鹿児島県十島村 図表 第 1 位 196 ま ちょう 島根県海士 町 図表 第 5 位

223 事例 集落に移住した若者による U ターンのきっかけづくり 高知県 な ご や し た ばたゆう た 愛知県名古屋市出身の田畑勇太さんは 高知大学在学中の おおとよちょう ぬ 徳島県 た ゼミ活動で高知県大豊町の怒田集落に通う中で 高齢化が進 む同集落で自分ができることに取り組んでみたいとして 平 成 年 3 月に 24 歳で妻とともに同集落に移住し 愛媛県 大豊町 高知県 ました 同集落は住民約 7 人のうち 6 歳代以上が 9 割強を占め 地域の行事が途絶え住民同士のつながりも希薄になっていま した 高齢の住民がかつての盆踊りを懐かしそうに話す姿に 心を打たれた田畑さんは 平成 年に約 5 年ぶ りに盆踊りを再開させ 平成 年の盆踊りには集 落の住民の 3 倍に相当する約 2 人が参加したと言います 田畑さんは 地域活動を継続するため 平成 年 2 月に地域住民の参加を得て NPO 法人 ぬたを守る会を 田畑さん夫妻 設立しました 集落の住民は出身者が U ターンで戻ってくることを強く望んでおり 同法人 第3 章 がそのきっかけを作ることで持続可能な集落を目指したいと田畑さんは考えています 用語の解説 3 2 を参照 農業分野行政職員の能力向上を目指す 地方創生カレッジや地域農政未来塾 地方創生の実現に向けては それぞれの地方公共団体が策定した地方版総合戦略に基づ ふ かん き具体的な事業を推進していく段階にありますが 地方公共団体には全体を俯瞰する総合 プロデューサーや専門的知見を持つ分野別プロデューサーの役割を担う人材が不足してい る状況にあります このため 政府は 全国の地方公共団体職員が 地域にいながら地方創生に必要かつ実 践的な知識を習得できるよう eラーニング形式 1 にて学習コンテンツを提供する 地方創生 カレッジ を平成 年12 月に開講しました 1を超える講座の中には 地域 農業の再生 創生 農山村の地域づくり といった農業分野のテーマも設定されています また 全国町村会独自の取組として 地域の実情に合った農業政策の展開に向け 自ら 課題に気付き 提案し 行動できる能力を兼ね備えた町村職員の養成を目指す 地域農政 未来塾 が平成 年度に開講されました 2 年間で受講した塾生 4 人の多く は それぞれの町村役場で農業政策の主要部門に配属されており 今後 地域農政の未来 を担うリーダーとして活躍が期待されます 1 情報技術によるコミュニケーション ネットワーク等を活用した学習 197

224 第1節 農村地域の現状と地方創生に向けた動き また 市町村においては 事務事業の見 直しや組織の合理化等により職員数が減少 し 特に農林水産関係で減少の程度は大き くなっており 将来に向けて地方農政の推 進体制を確保していくことが必要となって 図表 市町村における部門別職員数の比較 平成 年を 1 とする指数 平成 年 平成 年 います 図表 一般行政関係 農林水産関係 民生関係 資料 総務省 地方公務員給与実態調査 を基に農林水産省で作成 注 各年 4 月 1 日時点 事例 第 1 期塾生が 新たな農産物の集荷システムを構築 京都府 よ さ の ちょう いのうえきみあき 京都府与謝野 町 役場に勤務する井上公章さんは 平成 年度に 全国町村会が開講した 地域農政未来塾 福井県 に第 1 期 19 人の塾生の 1 人として参加しました 大阪府 京都府北部の中山間地域に位置する同町では農業者が生産 に集中できる環境の構築を目指しており 井上さんは同町農 林課で農業者の出荷作業の負担軽減に資する農産物の集荷シ ステムの担当をしています 井上さんが携わり平成 年度末に完成した新たなシステムは 農業者の庭先集荷の申 込み情報を基に人工知能が作成したその日の効率的な集荷 ルートを集荷業者に提示するものであり 将来的にはビッグ データを活用して農業者の収入向上につながるようシステム を発展させていきたいとのことです 井上公章さん 井上さんは 未来塾で身に付けた新たな視点で事業の構築 や運営に取り組む柔軟性を今後の仕事に活かしていきたいと語っています 198 奈良県 滋賀県 与謝野町 京都府 兵庫県

225 第 2節 中山間地域の農業の活性化 中山間地域は 不利な営農条件下にありますが 地域資源を活かすことで地域ならでは の収益力のある農業を実現できる可能性を有しています 以下では 中山間地域における 農業の現状 各地に広がる収益力のある農業の事例 中山間地域の取組を後押しする中山 間地農業ルネッサンス事業や中山間地域所得向上支援対策について記述します 地域資源を 宝 として活用することで 収益力のある農業を実現できる可能性 中山間地域とは山間地及びその周辺の地域を 中山間地域 指す概念であり 総土地面積の 7 割を占め 人 平地農業地域 口の 1 割が居住しています 中山間地域におけ る農地面積と農業産出額は ともに全国の 4 割 を占めています 図表 中山間地域で営まれる農業は 食料生産と多 担っていますが 傾斜地を多く抱え ほ場の大 中山間地域のイメージ 区画化や大型農業機械の導入 農地の集積 集 約化 1 が容易ではなく 平地に比べ営農条 件面において不利な状況にあります 図表 また 野生鳥獣の生息地となる山 林と農地が隣接することから平地に比べて 農作物の鳥獣被害を受けやすく 過疎や高 齢化の進行による担い手不足もあいまって 荒廃農地が発生しやすい環境にあります 一方で 中山間地域は 地理的条件 気 候 都市からの距離等が大きく異なり 栽 培されている作物等を始めとする営農の姿 に多様性があります 加えて 中山間地域 ひ では インバウンドや都市住民を惹き付け る田園風景や古民家等が保存 継承される とともに 清らかな水や冷涼な気候の下で 良食味の米や伝統野菜等が栽培され ま た 鳥獣を捕獲 処理することでジビエと いう資源も得られます 中山間地域は バ ラエティに富んだ地域資源を 宝 として それぞれの地域が活用することにより 経 営規模の拡大だけに頼らない収益力のある 農業を実現できる可能性を秘めています また 山村振興法や過疎地域自立促進特 第3 章 面的機能の維持 発揮の両面で重要な役割を 図表 中山間地域の主要指標 単位 万人 千 ha 億円 全国 中山間地域 割合 総土地面積 37,185 27, 人口 12,79 1, ,496 1, ,631 35, 農地面積 農業産出額 資料 総務省 平成 27 年国勢調査 農林水産省 215 年農林業 センサス 平成 27 年耕地及び作付面積統計 平成 27 年 生産農業所得統計 注 1 農業地域類型区分は 平成 年3月改訂のものに よる 2 中山間地域の各種数値は 上記の資料を基に農林水産省で 推計 図表 中山間地域の田の整備率 平成 年 3a 程度以上整備率 a 以上 整備率 中山間地域 都市的地域 平地農業地域 資料 農林水産省 耕地及び作付面積統計 農業基盤情報基礎調 査 注 1 区画が 3a 程度以上で整形済みの田面積の割合 2 農業地域類型区分は 平成 年3月改訂のものに よる 3 整備率は 上記の資料を基に農林水産省で推計 1 用語の解説 3 1 を参照 199

226 第2節 中山間地域の農業の活性化 別措置法等 地域振興立法に位置付けられる地域に中山間地域の多くが位置しています このような条件不利地域についても それぞれの地域の状況に合わせて特色ある地域資源 を活かせるような支援をしていく必要があります 例えば より地理的条件が厳しい山村 においては 薪炭 山菜等の加工 販売 観光資源としての森林空間の活用等を通じて 地域の収益力を向上できる可能性を秘めています 各地の優良事例の発信と取組への支援を通じた横展開が重要 近年 中山間地域において 生産基盤や施設整備を契機に 地域の特色に合った作物の 導入 拡大やブランド化等を図る取組が進められています また 豊かな自然 伝統的な 農法 多様な生物との共存等を付加価値とする特別な農産物を販売したり 旅行者の訪 問 滞在につながる魅力ある体験や宿泊 食事サービスを提供する取組も見られます 例えば 地域を広域的にカバーする集落営農の法人化や中山間地域等直接支払の集落協 定等の一本化に取り組むとともに 農産物の加工直売 都市との交流に取り組む広島県 ひがしひろしま し お だ 東 広島市の小田集落や 災害ボランティアの受け入れを契機とした都市との交流やブラ と お か まち し いけ たに いり やま ンド米の直販等を移住 定住に結びつけている新潟県十日町市の池谷 入山集落のよう に 地域の様々な状況に応じた取組が行われています それぞれの地域の 宝 を活用して 中山間地域の活性化を図るためには 様々な事業 を活用した各地の優良事例を発掘 分析し これらを分かりやすく発信するとともに 地 域のチャレンジを支援して横展開を図っていくことが重要です 事例 集落の体制を整備し 都市住民との交流や 6 次産業化を展開 福島県 い なわしろまち み ね 福島県猪苗代町の見祢集落では 米やそば等の農作業受託 ゆい の むらのうがくだん 組織を法人化し 農事組合法人結乃村農楽団として体制を整 備して 都市住民との交流活動や農家レストランの運営と いった 6 次産業化を展開し 地域における所得の向上を実現 しています 山形県 猪苗代町 宮城県 新潟県 福島県 栃木県 茨城県 都市住民との交流活動では 東京都や神奈川県の自治会組 織等との相互交流や水田のオーナー制度が実施され 田植 稲刈り アスパラガスの収穫 そば打ち等の体験に多くの都 市住民が同集落を訪れており 平成 年度の体験 参加者数は延べ 32 人となりました 農家レストランでは 常時 2 人が雇用され 地元食材を使っ た郷土料理等の提供のほか そばの直売も行われています アスパラガスの収穫体験の様子 結乃村農楽団が生産に関わる猪苗代町のブランド米 いなわ しろ天のつぶ は 国内で 1kg 当たり 6 円程度と高値で販売されているほか 地元の農業 協同組合の協力を得てドバイやカタール等の中東や香港向けに輸出も行われています チャレンジを支援する中山間地農業ルネッサンス事業と中山間地域所得向上支援対策 農林水産省では 中山間地域を含む地域振興立法の指定を受けた地域に対しては 中山 間地域等直接支払による超急傾斜農地への加算を含めた支援により 営農条件の不利の補 2

227 正を行っていますが 収益力のある農業の実現に向けては 地方公共団体による地域の将 来ビジョンづくりとともに 女性や高齢者を含む意欲ある農業者による従来の方法を超え た新たな取組へのチャレンジが重要となっています このため 平成 年度から 中山間地農業ルネッサンス事業により 意欲あ る農業者の新たな取組に対し 各種事業での優先枠の設定や面積要件の緩和等の優遇措置 つ がる により 総合的な支援を行っています 図表 青森県の津軽半島では たまねぎの 導入 拡大により収益力の向上を目指すなど 同事業を活用した取組が各地に広がってい ます また 平成 年度補正予算では 中山間地農業ルネッサンス事業の計画策定 地域を対象に マーケティングの専門家等の参画を得て所得向上計画を策定し 水田の畑 地化等の基盤整備や 生産 販売のための施設整備等を総合的に支援する中山間地域所得 向上支援対策が措置されました 同対策により 約 2 地区で所得向上計画が策定され 農産物の品質や付加価値の向上に向けた基盤整備や施設整備等が実施されています 図表 中山間地農業ルネッサンス事業 模式図 第3 章 地域別農業振興計画 都道府県が複数の市町村単位等で作成する地域別農業振興計画に基づき 各種支援事業等を総合的かつ優先的に実施 多様で豊かな農業 と 美しく活力ある農山村 の実現に向けた支援 地域の特色を活かした農業の展開 推進事業 側面支援 地域の創意工夫にあ ふれる事例の紹介 専門知識を有する者 等による営農指導 地域のリーダーの確 保 育成等 農地や農業施設など生産条件の改善 集落営農の組織化 法人化等の生産体制の確立 少量でもこだわりのある厳選食材の生産 販売 6 次産業化 ブランド化 地産地消の取組 最先端技術の導入 都市農村交流や農村への移住 定住 インバウンド需要を呼び込む 農泊 の取組 教育 福祉等と連携した交流の取組 移住 定住 二拠点居住の推進 生活環境の改善 地域を下支え 地域コミュニティによる農地等の地域資源の維持 継承 多面的機能発揮を図る地域の共同活動 放牧の取組 農業と林業との多様な連携 鳥獣被害防止とジビエ等の利活用 耕作放棄地の解消 等 資料 農林水産省作成 21

228 第3節 農業 農村の有する多面的機能の維持 発揮 第 3節 農業 農村の有する多面的機能の維持 発揮 農村は 農業の持続的な発展の基盤であり 農業の持つ多面的機能の発揮の場となって います 以下では 農業 農村の有する多面的機能を維持 発揮できるよう講じている施 策について記述します 農業 農村の有する多面的機能の効果は 国民全体が享受 農業 農村は 食料を供給する機能だけでなく 農業生産活動を通じ 国土の保全や水 かんよう 源の涵養 生物多様性の保全 良好な景観の形成 文化の伝承等 様々な機能を有してお り このような多面的機能の効果は 農村地域の住民だけでなく国民全体が享受していま す 歴史や伝統ある棚田 疎水等については 地域の協働力を育みながら 美しい農村景 観を形成しており 地域資源として保全 復元し 次世代に継承していくことが重要で す また 農業 林業 水産業は 農山漁村地域において それぞれの基盤である農地 森 林 海域の間で相互に関係を持ちながら 水 大気 物質の循環等に貢献しつつ 多面的 機能を発揮しています 図表 図表 農業 森林 水産業の多面的機能 かんよう 生物多様性保全機能 地球環境保全機能 水源涵養機能 土砂災害防止機能 土壌保全機能 物質生産機能 土壌侵食防止機能 土砂崩壊防止機能 雨水の保水 貯留による洪水防止機能 快適環境形成機能 文化機能 良好な景観の形成機能 かんよう 文化の伝承機能 水源涵養機能 水質浄化機能 保健 レクリエーション機能 気候緩和機能 生物多様性保全機能 有機性廃棄物分解機能 交流等の場を 提供する機能 伝統漁法等の伝統的 文化を継承する機能 チッソ リン 水質浄化機能 生態系保全機能 干潟 漁獲によるチッソ リン循環の補完機能 海難救助機能 国境監視機能 災害救援機能 植物プランクトン 藻場 海域環境の保全機能 再資源化 資料 日本学術会議答申を踏まえ農林水産省で作成 注 図中の用語については 用語の解説 4 を参照 22 海域環境モニタリング機能

229 平成 年度からは これら農 業 農村の有する多面的機能の維持 発揮 のために行われる地域の共同活動や農業生 産活動等への支援を目的とし 日本型直接 支払制度が導入され 平成 年 度からは 農業の有する多面的機能の発 1 揮の促進に関する法律 に基づく制度とし て 支援が行われています 図表 図表 多面的機能支払 農地維持支払 農地法面の草刈り等の地域資源の 基礎的保全活動等を支援 持 発揮できるよう 各種施策を通じて 水路 農道 ため池の軽微な補修等の地域 資源の質的向上を図る共同活動等を支援 水路の補習 中山間地域等直接支払 中山間地域等の条件不利地域の農業 生産活動の継続を支援 農業 農村の持続的な発展に努めていくこ ととしています 農地法面の草刈り 資源向上支払 国 都道府県 市町村が相互に連携を図 りながら 多面的機能を将来にわたって維 日本型直接支払制度の全体像 中山間地域 環境保全型農業直接支払 自然環境の保全に資する農業生産 活動を支援 カバークロップ 資料 農林水産省作成 効果の発現と地方裁量の有効活用を確認 多面的機能支払は 多面的機能の維持 発揮を目的として平成 年度に 図表 農地維持支払 て実施されています 2 1 については 活動組織数が 2 万 8 千 取組 面 積 が 227 万 ha 1 万 5 千 ha 増 加 資 向上を図る共同活動 で 活動組織数が 2 万 2 千 取組面積が 2 万 ha 5 千 ha 増 加 施設の長寿命化のための活動 で 活動組織数が 1 万 2 千 取組面積が 69 万 ha 1 万 4 千 ha 増加 となり いずれの 支払も前年度に比べ取組面積が拡大してい ます 図表 活動組織数 右目盛 2, 取組面積 平成 年度における多面的機 源向上支払 3 については 地域資源の質的 組織 28,291 3, 24,885 3 能支払の取組の見込みは 農地維持支払 2 多面的機能支払の取組状況 万 ha 4 農地 水 環境保全向上対策として始ま り 現在は日本型直接支払制度の一つとし 第3 章 多面的機能支払では 中間評価において 平成 年度 万 ha , 資源向上支払 活動組織数 共同活動 右目盛 21,299 組織 3, 活動組織数 長寿命化 右目盛 22,298 2, 取組面積 取組面積 共同活動 長寿命化 1, , 平成 年度 , 資料 農林水産省調べ 注 平成 年度は 平成 年 1 月末時点で 取りまとめた概数値 1 平成 年 4 月施行 2 地域共同による農用地 水路 農道等の地域資源の基礎的な保全管理活動と 地域資源の適切な保全管理のための推進活動を 支援するもの 3 地域共同による施設の軽微な補修と農村環境の保全のための活動等の地域資源の質的向上を図る共同活動 老朽化が進む農業 用排水路等の施設の長寿命化のための補修 更新等の活動を支援するもの 23

230 第3節 農業 農村の有する多面的機能の維持 発揮 農林水産省では 多面的機能支払の効果 や事業の仕組みを検証するため 中間評価 図表 多面的機能支払の効果 景観形成等 かなり効果が出てきたと思う わからない 効果が出てきたと思う を行い 平成 年 8 月に公表し ました 中間評価の中で示された活動組織 に対するアンケート調査の結果によれば 多面的機能支払は 景観形成のための植 景観形成のため の植栽面積の増 加 雑草の繁茂 や不法投棄の減 少などの効果 栽面積の増加 雑草繁茂や不法投棄の減少 図表 また 水路やため池におけ る転落防止のための安全施設の補修等 地 あまり効果が出てきたとは思わない 全く効果が出てきていないと思う 等 に効果が出ていると回答した活動組織 が 85 に上るなど高い評価を得ています 資料 農林水産省 多面的機能支払交付金の中間評価 平成 年 8 月 注 平成 年度に多面的機能支払に取り組んでいた活 動組織を対象としたアンケート調査 回答数 816 方裁量で活動を追加できる仕組みが有効に活用されていることが明らかになりました 一 方で 活動組織の代表の後継者の不在 書類作成等の事務の負担といった課題が全国的に 見られることも明らかになりました このため 農林水産省では 後継者の確保や事務負担の軽減に向けて 既存の活動組織 による近隣の農用地の取り込みや活動組織の合併等による広域的な体制づくりを進めてい ます 事例 多面的機能支払の事務負担軽減等に貢献する広域組織 新潟県 み つけ 新潟県見附市では 平成 年度に始まった農地 水 環境保全向上対策 に取り組む組織数が増加する中 各 組織の事務の一元化や活動のルールの共通化を図るため 平 新潟県 成 年度に同市が主導して広域組織 見附市農地 見附市 水 環境保全管理協定運営委員会 を設立しました 平成 長野県 群馬県 栃木県 年度に多面的機能支払が創設されたのを機に 同保全組織は市内の全ての組織が参加する一市一組織の広域 組織 見附市広域協定運営委員会 へと改称されました 同広域組織の活動は 各組織における事務作業の負担軽減 資材等の共同発注による経費の節減 大型機械の共同利用等 による取組の効率化に貢献しており 事務負担の軽減等を目 指す地方公共団体の視察を多数受け入れるなど 全国的にも モデル的な広域組織の一つとして注目されています 多面的機能支払の前身事業 平成 年度から平成 年度 24 福島県 共同利用の大型機械で 草刈りをする様子

231 中山間地域等直接支払では 前期対策に比べ 1 協定当たり平均交付面積は拡大 中山間地域等直接支払は 不利な営農条 件下での農業生産活動の継続を目的として 図表 平成 12 2 年度に始まり 現在は日 協定 3, います 28, 本型直接支払制度の一つとして実施されて 平成 年度における中山間地 域等直接支払の交付面積の見込みは 前年 度 に 比 べ 2 千 ha.3 増 加 の 66 万 3 千 ha となりました 図表 中山間 地域等直接支払では 5 年間以上継続して 農業生産活動等を行うことを要件としてい ることから 第 4 期対策への移行に際して 協定集落における農業者の高齢化等による 協定者数の減少や 新協定の締結に向けた 中山間地域等直接支払の実施状況 第 3 期対策 26,937 27,57 第 4 期対策 27,849 28,1 28, ,635 25,883 25,871 8 協定数 26, 万 ha , 22, 交付面積 右目盛 平成 年度 資料 農林水産省調べ 注 平成 年度は 平成 年 1 月末時点で 取りまとめた概数値 第3 章 話合いに時間を要し 協定の締結に至らな かったこと等により 取組面積は大きく減少しました しかし 集落における十分な話合 いや市町村による指導 助言等により その後徐々に回復してきています また 高齢化 の進行等により担い手が減少する中 担い手の確保に向けた協定の広域化に対する支援を 強化しており 対策 1 年目から 3 年目までの 3 年間における 1 協定当たり平均交付面積は 第 3 期対策が 24.6ha であるのに対し 第 4 期対策は 25.6ha と拡大しています さらに 営農の条件が特に厳しい超急傾斜農地についても 加算措置を講ずるなど支援を強化して います 農林水産省では 第 4 期対策の中間年評価の一環として 中山間地域等直接支払に取り 組む集落協定へのアンケート調査を実施しました 1 これによれば 回答した全国2万5,266 協定のうち 93.2 に相当する 2 万 3,552 協定が 22 年度からの次期対策に取り組める 2 と回答しました このうち 協定農用地を拡大又は維持して取り組めると回答した 1 万 2,766 協定に今後の取組を尋ねたところ 1 年後も協定農用地を拡大又は維持したまま 取組が継続されていると回答したものは 56.6 に相当する 7,227 協定となり 広域で取 り組む協定や規模が大きい協定でこの割合は高くなっています その理由を尋ねたとこ ろ 担い手への農地集積 集約面積 作業委託面積が増加した 協定参加者の世代交 代 若返り が進んだ または気運が高まった 等が挙げられています 一方 1 年後の協定農用地について 一部 荒廃しているかもしれない と回答した 43.4 に相当する 5,539 協定にその理由を尋ねたところ 農業の担い手が不在 または 不足 高齢化 後継者不足によるリーダー等の不在 高齢化や人口減少により 農 道 水路等の管理が困難 等が挙げられ 協定農用地の維持に向けて担い手の確保や集落 間の連携等が重要となっています 1 平成 年度に中山間地域等直接支払に取り組む集落協定を対象に 平成 年 6 月から 1 月にかけて 行ったアンケート調査 回収率 1 なお 平成 年 7 月の九州北部豪雨のため 福岡県朝倉市と同県東峰村 の協定は対象外 2 協定農用地を拡大し取り組める と回答した 748 協定 協定農用地を維持して取り組める と回答した 1 万 2,18 協定 取り組めるが 荒廃が懸念される農用地を除外する と回答した 1 万 786 協定の計 25

232 第3節 農業 農村の有する多面的機能の維持 発揮 環境保全型農業直接支払では 前年度に比べ 実施面積が拡大 環境保全型農業直接支払は 多面的機能支払と同様に平成 年度に農地 水 環境保全向上対策として始まり 現在は日本型直接支払制度の一つとして実施されて います 農業者団体等が交付金を受けるには 化学肥料 化学合成農薬の使用を慣行レベルから 原則 5 割以上低減させるとともに 地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い営農活 動を実施する必要があります 具体的には 全国共通の取組である カバークロップ 緑 肥 の作付け 堆肥の施用 有機農業 のほか 地域の環境や農業の実態等を勘案し た上で 地域を限定して取り組むことができる 地域特認取組 1 があります 平成 年度における環境保全型農業直接支払の実施面積の見込みは 前年度 に比べ 5,213ha 6.2 増加の 8 万 9,778ha となりました 取組別面積の見込みは 地 域特認取組が 3 万 6,7ha と全体の 4.9 を占めており 堆肥の施用 カバークロップ の作付け 有機農業と続いています 図表 図表 環境保全型農業直接支払の実施状況 ha 1, 84,566 8, 74,18 たんすい 6, 冬期湛水管理 51,114 41,439 4, 2, 8,547 17,9 11,258 2,84 2,911 平成 23 年度 ,469 15,539 13,32 57,744 34,845 36,7 地域特認取組 14,593 有機農業 2,48 堆肥の施用 カバークロップ の作付け 31,141 2,24 13,263 89,778 13,281 16,68 14,427 18,522 7,79 1,426 12,392 11,344 11,831 11,849 13,15 16,772 18, 資料 農林水産省調べ 注 1 平成 年度は 平成 年1月末時点で取りまとめた概数値 2 冬期湛水管理は 平成 年度以降は地域特認取組に含む 3 堆肥の施用は 平成 年度は地域特認取組に含む 4 草生栽培とリビングマルチは 平成 年度以前はカバークロップの作付けに 平成 年度以降は地域特認取組 に含む 1 都道府県知事が特に必要と認める 草生栽培 冬期湛水管理 リビングマルチ 総合的病害虫 雑草管理 IPM Integrated Pest Management の実践等の取組 なお IPM とは 病害虫の発生状況に応じて 天敵 生物的防除 や粘着板 物理 的防除 等の防除方法を適切に組み合わせ 環境への負荷を低減しつつ 病害虫の発生を抑制する防除体系 26

233 第 4節 鳥獣被害とジビエ 野生鳥獣をめぐっては 生息数の増加等により深刻な農作物被害が発生していますが 一方で 若手や女性の狩猟者の増加 ジビエ 1 を食材として利用する動きが広がっていま す 以下では 鳥獣被害の現状 野生鳥獣の捕獲やジビエの利用拡大に向けた取組等につ いて記述します 1 鳥獣被害の現状と対策 平成 28 年度の農作物被害額 172 億円は 平成 11 年度の調査開始以来最低の水準 平成 年度の野生鳥獣による 農作物被害額は 172 億円と 4 年連続で減 少しており 平成 年度の調査 開始以来 最低の水準となりました 図表 り 数字に現れる以上に深刻な影響を及ぼ しています る野生鳥獣の生息域拡大 狩猟者の高齢化 に起因する捕獲圧の低下等は 野生鳥獣の 生息頭羽数の増加を招き 被害を拡大させ その他 鳥類 カラス その他 獣類 サル 獣類 近年の少雪 暖冬や荒廃農地の発生によ 億円 第3 章 欲の減退や耕作放棄の要因ともなってお 野生鳥獣による農作物被害額 鳥類 しかしながら 鳥獣被害は営農意 図表 イノ シシ シカ 平成 年度 る可能性があります 資料 農林水産省調べ 狩猟免許所持者は 近年 若手や女性が増加 野生鳥獣を捕獲するためには狩猟免許の取 得が必要であり この狩猟免許には第1種銃 2 図表 単位 千人 3 猟 第2種銃猟 わな猟 網猟の4種類があ 2 49 歳 4 ります わな猟免許の所持者は止めさし を行 うため銃猟免許を併せて所持する場合もあり ます 狩猟免許の延べ所持者数は 近年 横 ばいとなっており 年齢階層別に見ると49歳 以下の若手が増加しています 図表3-4-2 また 女性の狩猟免許所持者数も増加し ており 平成 年度の 4,181 人 を都道府県別に見ると 北海道が 52 人と 年代別狩猟免許所持者数 2 29 歳 3 39 歳 4 49 歳 5 59 歳 6 歳 以上 合計 うち 女性 平成 23年度 資料 環境省 鳥獣関係統計 を基に農林水産省で作成 最も多く 次いで東京都 292 人 長野県 24 人 神奈川県 193 人 兵庫県 185 人と続き フランス語で野生鳥獣肉のこと 装薬銃を使用した狩猟を行うための免許 空気銃を使用した狩猟を行うための免許 くくり罠等で捕獲したイノシシやシカ等のとどめをさすこと 環境省 鳥獣関係統計 27

234 第4節 鳥獣被害とジビエ 地方だけでなく首都圏においても女性の狩猟に対する関心の高まりがうかがえます 近年 各地において狩猟現場の見学 狩猟の疑似体験 若手狩猟免許所持者とのフリー トーキング等のイベントが開催されるとともに 狩猟を題材にしたコミックも出版されており 狩猟が身近に感じられるようになることで 狩猟免許を取得する者の増加が期待されます 事例 かりじょ 狩猟に興味を持つ県内外の女性がつながる 狩女の会 石川県 はくさん し なが た ふ じ こ 石川県白山市の長田富士子さんは 夫が捕獲した鳥獣のジ 石川県 ビエを使い 自身が経営するカフェでの料理の提供や 県内 白山市 のイベントでのジビエサンドの販売のほか 鳥獣の革を使っ た商品づくりを行っていました 狩猟に興味を持つようになった長田さんは 平成 福井県 富山県 岐阜県 年の狩猟免許の取得を機に 男性中心の狩猟社会で 仕事や 家事をしながら狩猟活動を行う女性が互いに悩みを共有し励 まし合えるつながりを作ることを目的に 平成 年 3 月 同時期に免許を取得した県内の女性仲間 4 人と 狩 女の会 を結成しました 狩女の会がマスコミ等で取り上げられると狩猟に興味を持 つ県外の女性を含め会への参加希望が多数寄せられ 3 人 以上のメンバーを抱えるようになった狩女の会では 現在 自身が経営するカフェの前に立つ 長田富士子さん SNS 上での意見交換や情報発信等を中心に活動を展開しています Social Networking Service の略 登録された利用者同士が交流できる web サイトのサービス 鳥獣被害の防止に向け 鳥獣被害対策実施隊が 1,14 市町村で設置 野生鳥獣による農作物被害の防止に向け て 鳥獣被害防止計画 1 の策定や鳥獣被害 対策実施隊 2 の設置を進める市町村が増加 しており 平成 年 4 月末時点 図表 市町村 1,5 1,331 鳥獣被害防止計画の策定と鳥獣被害 対策実施隊の設置の状況 計画策定 実施隊設置 1,443 1,428 1,41 で計画策定市町村数は 1,458 実施隊設置 市町村数は 1,14 となりました 図表 , 3 実施隊設置市町村数については 22 年度に 1,2 まで増加させる目標を掲げて おり 未設置市町村に対し 隊員の狩猟税 ,73 1,458 1, の免除措置等 実施隊設置のメリットの周 知等を図っていくこととしています 平成 年 5 月に施行された改 正後の鳥獣保護法 3 により 鳥獣の著しい 平成 25 年 資料 農林水産省調べ 注 1 全国 1,741 市町村のうち 鳥獣による農作物被害が認め られる市町村数は約 1,5 2 各年 4 月末時点 1 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律 に基づき市町村が策定 対策を講ずるべき鳥獣 被害の軽減目標 軽減に向けた捕獲や防護柵の設置 捕獲鳥獣の処理等が規定される 計画を策定した市町村には 鳥獣捕獲 の許可権限が都道府県から委譲される 2 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律 に基づき設置され 市町村職員や積極的な取組 が見込まれる者が隊員となり 鳥獣の捕獲や防護柵の設置等の活動を行う 実施隊については 活動経費への特別交付税措置 等の財政措置が講じられている 3 正式名称は 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律 改正前の正式名称は 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に 関する法律 28

235 増加等で劣化した植生を回復し 自然環境 とバランスの取れた個体管理等を行うた め 都道府県が事業者に鳥獣捕獲等を委託 す る 事 業 1 が 創 設 さ れ ま し た 平 成 年度においては 38 道府県で同事 2 業による鳥獣の捕獲等が行われました シカとイノシシを合わせた生息頭数につ い て は 平 成 年 度 を 基 準 に 223 年度までに半減させる目標が掲げら れています 図表 近年 シカとイ ノシシの捕獲頭数は増加しており 半減目 標の実現に向けて 市町村や都道府県等に よる捕獲が引き続き進められることとなり ます 図表 また IoT3 センサー カメラ等を活用 が進められているほか 牛の放牧による緩 衝地帯の設置 集落が一体となった農作物 万頭 45 シカとイノシシの生息頭数の半減目標 平成 年度の捕獲 頭 数 は 113 万 頭 シ カ 58 万 頭 イノシシ 55 万頭 半減目標に向けては 更に年 間 3 万頭の捕獲頭数の増加が 必要 シカ イノシシ 平成 23 年度 資料 環境省 農林水産省 抜本的な鳥獣捕獲強化対策 平成 年 12 月 を基に農林水産省で作成 注 1 平成 年度における生息頭数は 環境省にお いて推定 北海道の生息頭数は北海道が独自に推定 2 随時新たなデータを活用し補正 平成 年 9 月更新 平成 年 9 月の速報値を基に算出しているため 同年度末の確報値とは異なる 第3 章 した効率的な有害鳥獣の捕獲方法の実用化 図表 残さの除去 集落の全住民によるサルの追 い払い等 地域の事情に応じた様々な被害防止活動が展開されています 鳥獣による被害は 農林水産業にとどまらず 生活環境 生態系など広い範囲に及ぶた め 捕獲の担い手の負担軽減に向けて 関係省庁が連携して有効な対策を実施していくこ ととしています 図表 シカとイノシシの捕獲頭数の推移 シカ 万頭 有害鳥獣等 平成 23 年度 狩猟 狩猟 有害鳥獣等 平成 23 年度 イノシシ 万頭 資料 環境省 狩猟及び有害捕獲等による主な鳥獣の捕獲数 注 有害鳥獣等 は 被害防止を目的とした市町村長等の許可に基づく捕獲 狩猟 は 狩猟による捕獲 1 指定管理鳥獣捕獲等事業交付金事業 2 環境省調べ 3 用語の解説 3 2 を参照 29

236 第4節 鳥獣被害とジビエ 事例 カメラと ICT を活用したイノシシの捕獲システム 福岡県 のおがた し 福岡県直方市では 平成 年度にカメラと ICT 直方市 を活用したイノシシの捕獲システムを導入しました イノシ 福岡県 シは成獣を捕獲することで個体数を効率的に減らすことがで 佐賀県 きます 同システムでは箱わな上部に取り付けられたカメラ がわな内に進入したイノシシを確認し 画像解析から成獣と 大分県 熊本県 判別した場合に扉を閉じます 通常のわな猟では錯誤捕獲の 防止等のため わな設置者には頻繁にわなの見回り監視が求 められますが 同システムでは作動したわなの位置や日時の 情報がクラウド上で確認できることから見回り監視の負担は 大きく軽減されています 平成 年 1 月に 3 機 のわなを設置して以降 平成 年度末までに 131 頭の成獣のイノシシが捕獲されました わなに捕獲されたイノシシ また カメラが捉えたわな周辺に出現したイノシシの頭数 や時刻の情報は随時クラウドサーバーに蓄積され イノシシの生息管理にも役立てられていま す 2 ジビエの利用拡大 食肉処理施設で解体され 食用 ペットフード用等に仕向けられたジビエは 1,283 t 捕獲されたシカやイノシシについては これまでその多くが埋設や焼却場等での焼 却により処理されていましたが 近年 捕 獲鳥獣を地域資源に位置付けジビエとして 利用する動きが広がっています 図表 解体処理請負 34t 2.7 利用量等の調査によれば 全国 563 の食 された野生鳥獣のうち 食肉利用されたシ カ肉は 665 t イノシシ肉は 343 tとな り ペットフード等への利用も含めたジビ 自家消費向け 84t 6.5 食肉処理 施設が 販売 ペット フード 15t t 11.7 平成 年度に実施したジビエ 肉処理施設で平成 年度に解体 食肉処理施設で解体された野生鳥獣の ジビエ利用量 平成 年度 その他鳥獣 食肉 7t.5 合計 1,283t イノシシ 食肉 343t t 26.7 シカ 食肉 665t t 51.8 エ利用量は 1,283 tとなりました 図表 また 食肉処理施設で卸売 小売された 食肉の販売先は 卸売業者 の割合が最 資料 農林水産省 野生鳥獣資源利用実態調査 平成 28 年度 注 1 解体処理請負 は 食肉処理施設が解体処理のみを請け 負って依頼者へ渡した量 2 自家消費向け は 食肉処理施設の従業員やその家族で 消費する場合等 も高く 以下 シカ肉は 外食産業 宿泊施設 が イノシシ肉は 消費者への直接販 売 や 外食産業 宿泊施設 が続いています 図表 なお 平成 年度のシカとイノシシの捕獲頭数は合わせて 117 万頭であるの に対し 食肉処理施設で解体されジビエとして利用された頭数は シカとイノシシを合わ せて約 8 万頭にとどまっており 今後 食肉処理施設への持込み頭数の増加によるジビエ の利用拡大が期待されます 21

237 図表 食肉処理施設における食用ジビエの販売先割合 平成 年度 38.8 全体 卸売業者 小売業者 外食産業 宿泊施設 シカ 8.9 その他 消費者への直接販売 29.8 イノシシ その他鳥獣 % 資料 農林水産省 野生鳥獣資源利用実態調査 平成 28 年度 注 1 上記は 卸売 小売された食肉の販売先割合 2 その他 は 加工品製造業者 学校給食 等 第3 章 モデル地区の整備等により ジビエ利用量を平成 31 年度に倍増 捕獲された鳥獣を地域資源として有効利 用する観点から 捕獲から搬送 処理加工 がしっかりとつながり ビジネスとして持 続できる安全で良質なジビエの提供を実現 することが重要となっています このた め ジビエ利用量を平成 年度 に倍増 1 させる目標が掲げられ 目標達成 に向けて平成 年度にジビエ利 用モデル地区を全国から 17 地区選定しま した 図表 また 外食や小売等を 2 始め 農泊 観光や学校給食 さらには ペットフード等 様々な分野において ジ ビエ利用量が増大するよう 関係省庁が一 体となって取り組むこととしています さらに 農林水産省では ジビエ利用に 取り組む地域からの各種相談に対し 専門 家 3 の協力を得てこれに応じるワンストッ プ窓口を平成 年 9 月に設置し ました 平成 年度末時点の相 図表 番号 1 ジビエ利用モデル地区 モデル地区名 北海道 そら ち 空知地区 なが の し 2 長野県 長野市 3 石川県 南 加賀地区 みなみ か が せいのう 4 岐阜県 5 三重県 6 京都府 京都丹波 ほくせつ 大阪府 大阪北摂地区 7 京都府 8 西濃ブランチ い が マスタープラン策定主体 コンソーシアム名 ジビエ de そらち 長野市ジビエコンソーシアム 南加賀ジビエコンソーシアム ぎふジビエ コンソーシアム し 伊賀市 いなべ市 みえジビエ推進コンソーシアム たん ば ちゅうたん 京都丹波 大阪北摂連携ジビエモデル構想 協議会 中 丹地区 京都中丹認証ジビエ推進コンソーシアム 兵庫県 県内広域 兵庫県シカ イノシシ丸ごと 1 頭活用コン ソーシアム 9 和歌山県 紀北地区 1 和歌山県 古座川 町 11 岡山県 美作地区 みまさか有害獣利活用研究コンソーシアム 12 鳥取県 東部地区 いなばのジビエ推進協議会ジビエ倍増モデ ル推進委員会 13 徳島県 県内広域 阿波地美栄推進協議会 14 熊本県 県内全域 くまもとジビエコンソーシアム 15 大分県 県内全域 大分ジビエ振興協議会 16 宮崎県 延岡地区 17 鹿児島県 き ほく こ ざ がわちょう みまさか のべおか あ く ね 阿久根地区 わかやまジビエ紀北地区コンソーシアム 古座川ジビエコンソーシアム あ わ じ び え 延岡市ジビエ振興コンソーシアム 阿久根市鳥獣被害防止対策協議会 資料 農林水産省作成 談件数は 47 件となっており 各地域の課題解決が ジビエ利用量の増大につながること が期待されます 1 基準は平成 年度のジビエ利用量 2 トピックス 4 を参照 3 鳥獣の捕獲 解体 ジビエの流通 利用等の各分野の専門家 211

238 第4節 鳥獣被害とジビエ 消費者にとってジビエを身近な食材に ジビエ利用量の増大に向けては 消費者にとってジ ビエを身近な食材としていくことが重要です 農林水産省では 平成 年度において 一般家庭等にジビエ料理を普及させるため 家庭料理 や給食向けのジビエ料理レシピを募集する ジビエ料 理コンテスト を開催し 入賞した 5 レシピを公表 したほか ジビエを安全においしく食べてもらう方法 を料理人に普及するため 調理師専門学校の講師によ る講演や調理実習等を行う ジビエ料理セミナー を ジビエ料理コンテスト 給食アイディア 料理部門 農林水産大臣賞受賞レシピ 鹿カツドッグ 全国各地で開催しました 地元で捕獲されたシカやイノシシのジビエを学校給食で利用する動きもあります 平成 年 1 月末時点で ジビエを学校給食で利用している小中学校数は 32 校と なりました 1 また ジビエ料理を農泊におけるコンテンツとして利用する動きも各地に見られます む ら なん 2 平成 年の第 4 回 ディスカバー農山漁村の宝 の選定地区となった京都府南 たん し み やまちょう 丹市の美山 町 自然文化村では 宿泊客やツアーの参加者等にジビエ料理を振る舞い 好 評を得ています 事例 調理師専門学校で全国初のジビエのカリキュラム化が実現 熊本県 熊本県では 有害駆除等で捕獲されたシカやイノシシを地 域資源と捉え くまもとジビエ として活用されるよう 平成 年度に 処理加工業者 飲食店業者 市町 村等が構成員となって くまもとジビエ研究会 が設立され ました 同研究会では 処理加工業者や飲食店業者向けの研 修 県内の飲食店やホテルと連携したジビエ料理フェアの開 催等 ジビエのブランド化とジビエ料理の定着につながる活 ジビエの授業の様子 動が継続的に行われています また 平成 年度には 調理師にとってジビエが身近な食材となるよう 同研究 くまもと し 会が協力を行うことで 熊本市の調理師専門学校で全国初となるジビエのカリキュラム化が実 現しました ジビエの授業では シカの解体見学 精肉加工体験 一流シェフによるジビエ料 理の実演等が行われ 同校卒業生の活躍によるジビエ料理の一層の普及が期待されます 1 農林水産省調べ 2 農山漁村の有するポテンシャルを引き出すことにより 地域の活性化 所得向上に取り組んでいる優良地区を選定し 全国に 発信するもの 平成 年度から毎年実施 212

239 第 5節 地域資源の積極的な活用 農村に存在する地域資源を活用することは 再生可能エネルギーの供給拡大に資するだ けでなく 地域に新たな収益や雇用をもたらします 以下では 各種発電施設の整備 農 山漁村再生可能エネルギー法 1 に基づく取組 バイオマス産業都市の選定について記述し ます 農業農村整備事業等により整備が進む各種発電施設 長期エネルギー需給見通し 2 では 23 年度に総発電電力量に占める再生可能エネル ギーの割合を 22 から 24 程度にまで高めることが示されており 平成 年 度は前年度と比べ.8 ポイント上昇の 15.3 となっています 3 農村には水 バイオマス 4 等の地域資源が豊富に存在しており これらを活用し再生可能エネルギーの割合を高める とともに 地域の活性化につなげていくことが重要です 再生可能エネルギーの導入は ばいでん 電力会社が買電に要した費用の一部を電気の利用者からの賦課金で賄う固定価格買取制度 第3 章 によって支えられており 国民負担を抑制しながら再生可能エネルギーの最大限の導入に 努めていくこととされています 農業用ダムや水路を活用した小水力発電施設 農業 水利施設の敷地等を活用した太陽光発電施設について は 農業農村整備事業等により国 地方公共団体 土 地改良区が実施主体となって整備を進めており 小水 力発電施設は 平成 年度末時点で整備済 み 84 施設 計画 建設中 78 施設 太陽光発電施設は 平成 年度末時点で整備済み 16施設となっています 5 これら発電によ り得られた電気を自らの農業水利施設で利 用することで 施設の稼働に要する電気代 が節約でき 農業者の負担軽減につながり ます また 支柱により農地の上部空間にソー ラーパネルを設置し 農作物とパネルで太 陽光を分け合うことで農業生産と発電を同 時に実現する営農型太陽光発電という方式 図表 ,269 許可件数 右目盛 加え電力会社への売電収入も得られること とその設備を設置するために必要な農地転 営農型太陽光発電の取組面積 設備を設 置するための農地転用許可件数 累計 ha 4 があります 農業者は農産物の販売収入に から 近年 営農型太陽光発電の取組面積 資料 市民エネルギーちば合同会社 件 1,4 1,2 1, 8 取組 面積 平成 25 年度 資料 農林水産省調べ 注 取組面積は 営農型太陽光発電設備の下部での営農面積 用の許可件数は増加しています 図表 正式名称は 農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律 平成 年 7 月経済産業省策定 経済産業省資源エネルギー庁 平成 28 年度 216 年度 総合エネルギー統計速報 用語の解説 3 1 を参照 農林水産省調べ 213

240 第5節 地域資源の積極的な活用 事例 ブルーベリーの品質と収量を維持しつつ 売電収入を獲得 千葉県 千葉県いすみ市で果実の観光農園と農家民宿の経営を行う ふじ え しんいちろう 藤江信一郎さんは 平成 年 3 月から 1a のブルー 千葉県 ベリー園地で営農型太陽光発電に取り組んでいます 園地上 いすみ市 部の太陽光パネルは 設置費用に約 1,5 万円を要しました が 年間約 2 万円の売電収入を生み出しています 太陽 光パネルの下で栽培されたブルーベリーは パネルの設置前 のものと比べ 糖度 大きさ 色付き 収量とも遜色なく また 園地内に日陰ができることで夏場の収穫作業が楽にな る効果もみられました 発電施設の設置 運営や電気の販売は藤江さんが代表を務 めるいすみ自然エネルギー株式会社で実施されており 近隣 太陽光パネルの下で実った ブルーベリー の農業者から同社に対し営農型太陽光発電についての相談が 寄せられているとのことです 藤江さんは 自身が新たな農業の実践モデルの一つとなることで 若者が安定した収入を得 ながら農業で生計が立つ姿を作ることに役立ちたいと考えています 農山漁村再生可能エネルギー法に基づく基本計画の作成市町村は着実に増加 農林漁業の健全な発展と調和のとれた再 生可能エネルギー電気の発電の促進による 農 山 漁 村 の 活 性 化 を 図 る た め 平 成 年に農山漁村再生可能エネルギー 法が制定されました 同法に基づく基本計 画を作成し再生可能エネルギー発電の導入 に取り組む市町村は着実に増加しており 平成 年 12 月末時点で 前年 に比べ 15 市町村増加の 44 市町村となりま した 図表 しち か しゅく まち このうち宮城県七 ヶ 宿 町 の基本計画で は 発電事業者が事業開始後 2 年の間 太陽光発電の売電収入の約 4 を同町の基 金に繰り入れることとされており 2 年 図表 農山漁村再生可能エネルギー法に基 づく基本計画を作成した市町村数 市町村 平成 26 年 資料 農林水産省調べ 注 各年 12 月末時点 間の想定繰入額は 4 億円となっています 同町は基金を財源に畜産や施設園芸の振興や担 い手の育成等の取組を行うとしています バイオマス産業都市は 11 市町村が新たに選定され 79 市町村に バイオマス産業都市 以下 産業都市 という とは 経済性が確保された一貫シス テムを構築し 地域の特色を活かしバイオマス産業を軸とした環境に優しく災害に強いま 214

241 章ち むらづくりを目指す地域です 農林水産省を含む関係 7 府省 1 では 平成 25(213) 年度から 市町村等 2 の地域による産業都市構想の募集 産業都市の選定 支援を行っています 平成 29(217) 年度には新たに11 市町村が選定され 産業都市数は79 市町村となりました みなみさんりくちょう平成 25(213) 年度に産業都市に選定された宮城県南三陸町では 産業都市構想に基づき 町内で発生する生ごみやし尿などを原料にメタン発酵処理を行い 発生したバイオガスを用いて電気 熱を生成して処理施設内で利用するとともに 余剰電気を売電しています また メタン発酵により発生する消化液を 液肥として町内の農地で利用することを通じて 地域資源の循環利用に取り組んでいます 1 内閣府 総務省 文部科学省 農林水産省 経済産業省 国土交通省 環境省 2 構想の作成主体は 単独又は複数の市町村 市町村と都道府県の共同体 これら地方公共団体と民間団体等との共同体 第3215

242 第6節 都市農業の振興 第 6節 都市農業の振興 我が国の都市やその周辺の地域における農業 以下 都市農業 という は 新鮮な 農産物の供給 災害時の防災空間の確保 国土 環境の保全等 多様な役割を有していま す 以下では 都市農業が有する多様な役割 都市農業振興基本法を受けた地方公共団体 の動き 生産緑地制度の見直し等について記述します 農産物の供給 農業体験 学習の場の提供等 多様な役割を有する都市農業 都市農業は 都市という消費地に近接している特徴を活かし 新鮮な農産物を供給す る 農業体験 学習の場を提供する 住民生活にやすらぎをもたらすなど 多様な役割を 有しています 図表 また 南海トラフ地震 首都直下型地震が遠くない将来発生する可能性があるとされる 中 オープンスペースの不足する大都市部では 延焼遮断帯や避難地といった役割も期待 されています 食をめぐるグローバル化の動きが進む中で 国産農産物の消費拡大を図り 農業の持続 的発展を実現していくためには 国民による農業への理解が欠かせません 人口の 7 割が 集中する都市部において 都市住民が 身近に存在する都市農業を通じて 農業が育んで きた歴史 文化に触れることは 農業や農業政策に対する理解の醸成を図る観点からも期 待されます 政府は 人口や生活に必要なサービスを一定のエリアに集約するとともに各地域をネッ トワークで結ぶことで 密度の経済性の発揮により生産性を向上させるコンパクト プラ ス ネットワークを推進しています この中では都市縁辺部の土地の低 未利用化等が課 題となっており 土地利用の適正化の観点から 都市農地の保全 活用の推進が重要で す このためには 都市農業の多様な役割に対する都市住民の理解の醸成に取り組む必要 があります 図表 都市農業の多様な役割 新鮮な農産物の供給 消費者が求める地元産の新 鮮な農産物を供給する役割 災害時の防災空間 農業体験 学習 交流の場 火災時における延焼防止や地 都市住民や学童の農業体験 震時における避難場所 仮設 学習の場及び生産者と都市住 住宅建設用地等のための防災 民の交流の場を提供する役割 空間としての役割 国土 環境の保全 良好な景観の形成 都市の緑として 雨水の保 緑地空間や水辺空間を提供し 保護等に資する役割 や 潤い をもたらす役割 水 地下水の涵養 生物の 都市住民の生活に やすらぎ 都市住民の農業への理解の醸成 身近に存在する都市農業を 通じて都市住民の農業への 理解を醸成する役割 資料 農林水産省作成 216

243 事例 農業体験の場や災害時の避難場所となる都市の農地 神奈川県 かわ さき し き どころ だい すけ 山梨県 神奈川県川崎市で農業を営む木 所 大輔さんは 同市の農 業後継者で組織する農業青年協議会の会長も務めた地域農業 東京都 川崎市 神奈川県 のリーダーの 1 人で 大学卒業後 代々守られてきた畑を自 分の代でつぶすのは忍びないとして平成 年 4 月 に後継者として就農しました 住宅に囲まれた 4a の畑では 黄色や白色のにんじん等の 珍しい品種を含め年間 8 種類以上の野菜が生産されていま す 畑は 近隣の小学生の授業で年に 2 回活用されているほ か 農業青年協議会が実施する市民の農業体験の場としても 利用されています また 川崎市から防災協力農地の指定を 受けており 地域の防災力の向上にも役立っています 生産された野菜は 付近の駅前に設置された直売所 農業 協同組合の支店 自宅前の自動販売機で販売され 地域内で 小学生に都市農業の授業をする 木所大輔さん 消費されています 木所さんは 借りることのできる畑があれば 借り受けて経営規模を拡大 第3 章 したいと考えています 都市農地の位置付けは 宅地化すべきものから 都市部にあるべきものへ 都市における農地の位置付けは その時代の要請を背景に変遷してきました 高度経済成長期以降 都市における農地は市街化の進展とともに消えていく過渡的な存 在と捉えられていました 高度経済成長に伴い都市への人口流入が進む中 無秩序な市街 地の拡大を防止しつつ宅地開発需要等に対応していくため 都市計画法の区域区分制度に より 都市部を中心に市街化区域 1 が設定されました 市街化区域内の農地は 事前届出 による宅地等への転用が認められました ひっぱく 昭和 年代になると 急激な地価上昇に伴い逼迫する宅地需要への対応とし て市街化区域内の農地に宅地化の促進が求められるようになり また その一方で良好な 生活環境を確保する上で農地保全の必要性が高まりました このような中 三大都市圏特 定市 2 における市街化区域内の農地は 平成 年以降 宅地化するもの 以下 宅地化農地 という と生産緑地地区 3 に指定して保全するものへの区分が進められま した 宅地化農地については 固定資産税の宅地並み課税 相続税の納税猶予制度の不適 用といった宅地等となることを前提とした税制の措置がとられました 図表 一 方 生産緑地地区内の農地については 固定資産税は農地課税 相続税は納税猶予制度の 適用というように 農地としての土地利用を担保するための営農の義務付けや開発行為の 規制を踏まえた税制の措置がとられました 1 既に市街地を形成している区域及びおおむね 1 年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域 2 東京都の特別区 三大都市圏 首都圏 近畿圏 中部圏 内にある政令指定都市 市域の全部又は一部が三大都市圏の既成市 街地 近郊整備地帯等の区域内にある市 3 都市計画に定める地域地区の一つ 市街化区域内にある農地等で 良好な生活環境の確保に相当の効用があり かつ 公共施 設等の敷地の用に供する土地として適しているものが指定され 開発行為等が規制される 217

244 第6節 都市農業の振興 図表 市街化区域内の農地における現行の税制措置 相続税納税猶予制度 三大都市圏の 特定市 市街化区域内の農地 生産緑地地区 三大都市圏の特定市以外の 市町村 納税猶予期間の終了 事由とならない貸付け 適 用 2 年継続で免除 営農困難時の貸付け 1 適用なし 適 用 終身営農が必要 固定資産税の軽減 市街化区域内の農地 生産緑地地区 三大都市圏の特定市 三大都市圏の特定市以外の市町村 宅地並評価 宅地並課税 宅地並評価 農地に準じた課税 2 農地評価 農地課税 農地評価 農地課税 資料 農林水産省作成 注 1 猶予期間中に身体障害等により営農継続が困難となった場合の農地の貸付け 平成 21 年度税制改正で創設され 平成 25 年度税制 改正で現行の要件に緩和された 2 三大都市圏の特定市以外の市町村の市街化区域内の農地は 評価は宅地並となるものの 課税の際には負担調整措置 税額の増を 前年度比最大 1 までに抑制する措置 が講じられる 平成 年に食料 農業 農村基本法が制定されると 都市農業は同法に位置 付けられ 農業政策上の振興対象として明確化されました その後 国民の意識が多様化する中で 都市に農業や農地を残していくべきという声が 高まり また 平成 年 3 月に発生した東日本大震災を経て 防災の観点から も都市農地の役割が見直されるようになりました このような中 平成 年 4 月に都市農業振興基本法が施行され 平成 年 5 月に同法に基づき国は都市農 業振興基本計画 以下 基本計画 という を策定しました この基本計画では 従来 宅地化すべきもの とされていた都市農地の位置付けを 都市に あるべきもの へと 大きく転換するとともに 都市農業の振興に向けた施策の方向性等が示されました 都府県や市で地方計画の作成が進展 都市農業振興基本法では 地方公共団体に対 し 国の基本計画を基本として地方計画の作成 を求めています 兵庫県では 平成 年 11 月に 兵 庫県都市農業振興計画 を作成し 産業として の持続的な発展 営農の継続による多様な機能 の発揮と農地の活用 農 のある暮らしづくり の 3 項目を基本方向として施策を推進するとし ています その他 平成 年 3 月に 埼玉県で 埼玉県都市農業振興計画 神奈川県 で かながわ農業活性化指針 愛知県で 愛知 小学生の農業体験学習の様子 兵庫県伊丹市 資料 兵庫県 兵庫県都市農業振興計画 県都市農業振興計画 同年 5 月に東京都で 東 京農業振興プラン 次代に向けた新たなステップ 同年 8 月に大阪府で 新たなおお さか農政アクションプラン 等 都道府県段階において地方計画の作成が進められていま す くに たち し また 市町村段階でも 平成 年 3 月に東京都国立市で 国立市第 3 次農業 ふじさわ し いたみ し 振興計画 神奈川県藤沢市で 藤沢市都市農業振興基本計画 兵庫県伊丹市で 伊丹市 都市農業振興基本計画 等 地方計画の作成が進められています 218

245 都市農地の保全 活用に向けた制度改正 都市農地の中核となる市街化区域内の農 地は 平成 年時点で 我が国 図表 農地の 1.6 に相当する 7.2 万 ha となって 万 ha は宅地需要等に応じて転用が進み減少が続 12 います 図表 市街化区域内の農地 く一方 生産緑地地区に指定された農地は ほぼ維持されています 生産緑地制度 1 をめぐっては 公共収用 等により農地の一部が生産緑地地区の指定 から解除された場合 残された農地が下限 面積を割込むと 生産緑地地区全体の指定 が解除されてしまう 2 という課題がありま した このため 平成 年 6 月 に施行された改正後の生産緑地法により 市街化区域内農地面積 市街化区域内農地面積 うち生産緑地地区面積 平成 5年 資料 総務省 固定資産の価格等の概要調書 国土交通省 都市計 画現況調査 を基に農林水産省で作成 第3 章 生産緑地地区の下限面積をこれまでの一律 5m2 から 市町村が条例により 3m2 まで引き下げることを可能とし 併せて都市計 画運用指針の見直しにより 同一又は隣接する街区内の複数の農地を一団の農地として生 ねり ま く 産緑地地区に指定できるようになりました この法改正を受け 東京都練馬区は 平成 年 1 月に 生産緑地地区の下限面積を 3m2 とする条例を制定しており 各地で条例制定により下限面積を緩和する動きが広がっています 他方 生産緑地地区に指定された農地は 3 年を経過すると市町村に買取り申出がで きるようになり 222 年には生産緑地地区に指定されている農地の 8 割が 3 年を迎えま す 改正後の生産緑地法では 引き続き農地を保全する措置 3 が創設されたほか 生産緑 地地区内における施設設置の要望を踏まえ 農業の安定的な継続に資する直売所や農家レ ストラン等を生産緑地地区内に設置できるようになりました また 都市農業における従事者の高齢化が進行する中 意欲ある都市農業者等に対する 都市農地の貸借が円滑に行われる仕組みが必要となっています このため 市町村長の認 定を受けた都市農業者に対する定期貸借を可能とすることにより 都市農地の貸し借りを しやすくする 都市農地の貸借の円滑化に関する法律案 を国会に提出しました 市民農園の開設数は都市的地域を中心に増加 土に触れ 野菜や草花を育ててみたいという都市住民の要望の高まりを受け 市民農園 の開設数は都市的地域 4 を中心に増加しています 図表 また 開設主体別では 地方公共団体によるものが多数を占めますが 近年は農業者が開設するケースも増えてい ます 市民農園には 地産地消 5 食農教育 高齢者の健康維持 住民の交流の場等の様々 な役割が期待されています 1 良好な都市環境の形成を図るため 農林漁業との調整を図りつつ 都市部の農地の計画的な保全を図る制度 2 いわゆる生産緑地地区の 道連れ解除 3 特定生産緑地制度 生産緑地地区の都市計画の告示日から 3 年経過しようとする生産緑地を市町村が所有者等の同意を得て 特定生産緑地に指定すると 買取り申出が可能となる期間が 1 年延長される 制度の開始は平成 年 4 月 1 日 4 用語の解説 2 6 を参照 5 用語の解説 3 1 を参照 219

246 第 6 節 都市農業の振興 図表 農業地域類型別 開設主体別の市民農園の開設数 か所 5, 4, 3, 3, 都市的地域 ( 農業地域類型別 ) ( 開設主体別 ) か所 都市的地域 5, 農業者 以外 農業協 4,223 地方公共同組合 4,223 4, 団体 , 3, 企業 NPO 等 526 1,18 2, 3,37 2, 1, 2,643 1, 2,276 2,26 平成 2 年度 (28) (21) (212) (214) (216) 平成 2 年度 (28) 資料 : 農林水産省調べ注 : 特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律 又は 市民農園整備促進法 に基づき開設されたもの (21) (212) (214) (216) 22

247 第 7節 農業と多様な分野との連携 農業と多様な分野との連携は 農業側において収入の向上や労働力の確保につながるだ けでなく 連携相手の分野においても一定の目的を達することができ 双方にとって有益 な取組です 以下では 農業と教育分野との連携 農業と福祉分野との連携について記述 します 子ども農山漁村交流プロジェクトによる子供の受入れは 185 地域で実施 農村地域において子供が農作業等を体験したり人々 と交流することは 子供たちにとっては 食の大切さ や農業 農村への理解を深めるとともに 豊かな人間 性や社会性を育むなどの教育効果が期待され 農業 農村側にとっては 女性や高齢者等の活躍 地域コ ミュニティの活性化 また 農家民宿等における収入 農 林 水 産 省 文 部 科 学 省 総 務 省 で は 平 成 2 子ども農山漁村交流プロジェクトでの りんごの収穫体験の様子 第3 章 源の一つにもなっています 28 年度から 子ども農山漁村交流プロジェク ト による農山漁村での子供の宿泊体験活動を推進しています 同プロジェクトにより これまでに子供の受入れを行ったモデル地域は平成 年度末時点で 185 地域と なりました 一方で このような教育旅行の受入れについては 受入農家の高齢化のほか 子供の訪 問時期が限られるなどの理由から収益性が低く新たな施設整備や人材の雇用等が難しいと いう課題があります そこで 教育旅行のみならず 持続的にサービスを提供できる体制 の整備をしつつ 訪日外国人を含む観光客も対象に ビジネスとして実施する農泊 1 にも 取り組む地域が増えています また 農業と教育分野との連携は このほか 学校行事としての林間学校 都市部と農 村部の姉妹都市 友好都市の提携が契機となり行われることもあります 近年 ハローワークを通じた障害者の農林漁業分野への就職件数は年間 3 千件弱 農作業に障害者や生活困窮者 2 高齢者が携わることは 働く側にとっては就業の場の確 保 本格就業に向けた訓練 生きがいの創出 健康の増進に役立ち 農業 農村側にとっ ては労働力の確保 地域の活性化等にも貢献します ハローワークを通じた障害者の農林漁業分野への年間就職件数は 平成 2 28 年 度から平成 年度までの 5 年間で約 4 倍に増加し その後 3 千件弱の水準で 推移しています 図表 近年では 障害者就労施設が荒廃農地 3 を借り受けて福祉 農園を営む取組や 農業者が障害者就労施設等に農作業を委託したり障害者を雇用する取 組が進んでいます 22 年東京オリンピック パラリンピック競技大会における食材の調達基準には 障 1 トピックス 4 を参照 2 現に経済的に困窮し 最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者 3 用語の解説 3 1 を参照 221

248 第7節 農業と多様な分野との連携 害者が主体的に携わって生産された農畜産 物が推奨されることが示されました 調達 基準の解説では 同大会において推奨され る 障害者が主体的に携わって生産された 農畜産物であることを都道府県が確認する と記載されました 農業に従事する障害者の作業知識等の見 える化や働く意識醸成のため 京都府は 平成 年度に 農業に興味を持 つ障害者を対象に 農業についての知識や 技能等を評価し認証する制度を創設しまし た 平成 年度からの本格認証 図表 ハローワークを通じた農林漁業分野 への障害者の就職件数 件 3, 2,87 2,495 2,5 1,96 2, 1,5 1, 2,821 2,825 2,728 1,576 1, 平成2 年度 資料 厚生労働省 ハローワークにおける障害者の職業紹介状況 に向け 平成 年度には一部講座の受講によるプレ認証が行われており 同認 証制度を活用して障害者と農作業のマッチングが行われることで 働く意欲の向上や作業 工賃の改善等の効果が期待されます また 平成 年 3 月に 民間が中心となった全国組織として 全国農福連携 推進協議会 が 同年 7 月に都道府県間の連携組織である 農福連携全国都道府県ネット ワーク が設立されるなど 全国的な連携が進みつつあります 事例 安定した販路により 全国平均を大きく超える賃金を実現 北海道 め むろ ちょう きゅう じん 北海道芽室町の株式会社 九 神ファームめむろは 就労に 北海道 必要な知識や能力の向上のための訓練を行う就労継続支援 A 型事業所として 平成 年 4 月に設立されました 設立当初 9 人だった同社で働く障害者は 平成 芽室町 年 7 月時点で 19 人となり 3ha の畑でのじゃがいも栽培等 に加え 加工施設での皮むき カット等の 1 次加工も行うこ とで 通年での作業量が確保されています 同社で 1 次加工された加工品は 同社の親会社である愛媛 県の総菜製造販売会社が全量を買い取ることとなっており 安定した販路を持つ同社では 近年の就労継続支援 A 型事業 所の全国月額平均賃金が 6 万円台後半となる中で 平均 11 万 5 千円を実現しています 同社で働いていた障害者の 1 人は平成 年度に じゃがいもの皮むき作業の様子 障害者手帳を返還し障害者をサポートする側の生活支援員として同社で働き また 別の 1 人 は平成 年度に地元の大手スーパーへ初の一般就労を果たしました 222

249 第 4 章 東日本大震災 熊本地震からの復旧 復興

250 第1節 東日本大震災からの復旧 復興 第 1節 東日本大震災からの復旧 復興 平成 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災では 岩手県 宮城県 福島県 の 3 県を中心とした東日本の広い地域に東京電力株式会社福島第一原子力発電所 以下 東電福島第一原発 という の事故の影響を含む甚大な被害が生じました 以下では 東日本大震災の地震 津波による被害と東電福島第一原発事故の影響からの復旧 復興に 向けた取組について記述します 1 地震 津波による被害と復旧 復興 ア 農地の復旧 復興 除塩等が進められ 復旧対象農地の 89 で営農再開が可能に 東日本大震災による農業関係の被害額は 図表 ,49 億円となっています 図表 農林水産関係の被害の状況 区分 津波により被災した農地 2 万 1,48ha か ら公共用地等への転用が見込まれるものを 被害額 億円 農業関係 除いた復旧対象農地 1 万 9,8ha につい 農地 農業 用施設 れており 平成 年度末時点で 農作物等 農地 水路 揚水機 集落排水施設等 635 農作物 家畜 農業倉 庫 ハウス 畜舎 堆 肥舎等 林野関係 2,155 林地荒廃 治山施設 林道施設等 水産関係 12,637 漁船 漁港施設 共同 利用施設等 合計 23,841 ては 除塩や畦畔の修復等の復旧が進めら なりました 図表 残りの避難指示が解除された区域内の農 地やまちづくり等他の復旧 復興事業との 工程調整が必要な農地についても 早期復 9,49 8,414 けいはん 89 1 万 7,63ha が営農再開可能と 主な被害 資料 農林水産省調べ 旧に向けた取組を進めています 図表 農地 農業用施設等の復旧状況 農地 89 主要な排水機場 99 農地海岸 97 農業集落排水施設 資料 農林水産省作成 注 1 平成 年度末時点 2 農地は 農地転用が行われたもの 見込みを含む を除いた津波被災農地 19,8ha に対するもの 岩手県 91 宮城県 98 福島県 59 3 主要な排水機場は 復旧が必要な 96 か所に対するもの 復旧事業実施中も含む 4 農地海岸は 復旧が必要な 126 地区に対するもの 復旧事業実施中も含む 5 農業集落排水施設は 被災した 41 地区に対するもの 復旧事業実施中も含む 224

251 防災集団移転と連携した農地整備事業が 1 市町 16 地区で実施中 岩手県 宮城県 福島県の 3 県では 地 域の意向を踏まえ 復旧に併せた農地の大 区画化を進めています 平成 年 1 月末時点で 7,2ha の農地で大区画 図表 県名 南 三陸 町 いしのまき し 石 巻市 七ヶ浜町 け せんぬま し 気仙沼市 宮城県 して実施された農地整備事業は 平成 年 1 月末時点で 宮城県と福島県 南三陸地区 七ヶ浜地区 気仙沼地区 磯地区 山元東部地区 亘理 町 亘理地区 東 松島市 な とり し 名取市 良法の換地 1 を活用することで 移転元地 なります このような防災集団移転と連携 山元 町 ひがしまつしま し 住宅等の移転元地が点在する場合 土地改 と農地をそれぞれ集団化することが可能と やまもとちょう わた り ちょう 団移転促進事業により市町村が買い上げた 地区名 牡鹿地区 大川地区 北上地区 し ち が は ま まち 8 割の進捗となり 地域農業の復興基盤の また 農地整備事業の区域内に 防災集 市町村名 みなみさんりくちょう 化が図られ 計画されている面積に対して 整備が着実に進展しています 農業農村整備事業と防災集団移転促 進事業の連携実施市町 西矢本地区 名取地区 いわぬま し 岩沼市 岩沼地区 福島県 南 相馬市 原町東地区 右田 海老地区 真 野地区 八沢地区 2県 1 市町 16 地区 みなみそう ま し 資料 農林水産省作成 注 平成 年 1 月末時点 の 1 市町 16 地区となりました 図表 大規模農業法人が被災農業者の雇用の受皿に 宮城県 やまもとちょう 設立された株式会社やまもとファームみらい野は 野菜等の 露地栽培 8ha とトマトの施設栽培 66a の大規模経営を実現 しています 露地の作物では ねぎ かんしょ たまねぎ等 秋田県 山形県 津波被害を受けた宮城県山元町で平成 年度に 第4 章 事例 岩手県 宮城県 山元町 が生産されており かんしょについては 干し芋 焼き芋を 求める食品スーパー等の要望に応え 平成 年度 から自社で製造した干し芋の出荷を始めました また 同年 度に同町から施設の貸与を受け生産が開始されたトマトは コンピュータにより施設内の温度が管理され 5 月中旬から 翌年 2 月上旬にかけて収穫が行われました 同社では 被災した農業者のうち専従で働くことのできる 若者は役員や正社員として 高齢者や主婦はパートとして働 しま だ たか お いています 同社代表の島田孝雄さんは 天候の影響を受け 代表の島田孝雄さん にくい施設栽培のトマトを経営の核とし 露地栽培の収量を高め 経営の安定化を急ぎたいと 語ります 1 用語の解説 3 1 を参照 225

252 第1節 東日本大震災からの復旧 復興 イ 農業の復興 新たな食料生産基地としての再生に向け 先端的農業技術の研究が進行 被災地域を新たな食料生産基地として再生するため 岩手県 宮城県 福島県の 3 県で 平成 年度から平成 年度にかけて 産学官連携の下 先端的な農 業技術を駆使した大規模実証研究を進めました これまでに実施した農業 農村分野の研究は 34 課題にのぼり 得られた研究成果の被 災地への導入が進められています 図表 例えば 大型畑作用機械を活用した乾田 ちょく はん せん だい 直 播 技術については 仙 台 平野の大規模経営体を中心に普及が進んでおり 平成 年度末時点で普及面積が約 5ha となっています また 8 月盆 9 月彼岸と いった小ギクの需要期への計画出荷を可能とする露地電照栽培技術については 福島県内 で普及が進んでおり 平成 年度末時点で普及面積が約 3ha となっています 今後は 被災地域の着実な復興に向けて こうした普及 実用化に向けた取組をより発 展 強化していくことが重要です 図表 食料生産地域再生のための先端技術展開事業の研究成果 抜粋 研究概要 研究成果 たんすいちょくはん 岩手県三陸沿岸部の水田作経営に おける省力 低コスト化 高付加 価値化の実証 岩手県 湛水 直 播による栽培により 移植栽培に比べて生産費を 削減 夏季冷涼な気象条件を利用した新形質米 低アミロース 米 有色素米 の高品質生産 機能性 加工適性を踏まえた農産加工品開発と販売戦略 の策定による付加価値の向上 動力散粒機による散播 ちょくはん 大区画ほ場に対応した水田輪作体系として 乾田 直 播等 の稲 麦 大豆の 2 年 3 作体系を確立 大規模水田作経営の高能率 安定 多収化の実証 宮城県 効率的かつ低コスト化な花きの周 年生産 収益の大幅増加を可能と する夏秋小ギク効率生産体系の実 証 福島県 ちょくはん 可変施肥技術を活用した大豆跡乾田 直 播の稲では 6kg/1a の増収 たまねぎで中規模機械化栽培体系の適用による低コス ト 省力化と春播き栽培体系の導入により 5 t /1a を 確保 は しゅ グレーンドリルによる播種 夏秋トルコギキョウと低温開花性花き カンパニュラ の組合せによる周年安定生産体系の確立 露地電照栽培を核とした夏秋小ギクの安定出荷により 8 月と 9 月の単位面積当たり所得を 16 向上 電照栽培される小ギク 資料 農林水産省作成 共創力で進む東北プロジェクト で 新たな農産物流通について議論 被災地域では 東日本大震災発生前から人口減少や 高齢化 産業の空洞化等 全国の地域が抱える課題が 顕著に現れていました このため 復興庁では 復 旧 復興に取り組むに当たり 単なる原状回復にとど めるのではなく 地方公共団体 企業 大学 NPO1 等がこれまでの手法や発想にとらわれない新しい挑戦 に取り組み 地域の諸課題の解決を進める 新しい 東北 の創造に向けた取組を推進しています 1 用語の解説 3 2 を参照 226 第 3 回共創イベント リアルタイム流通 で農産物をつなぐ ICT 地域商社

253 この一環として 平成 年度に アイデアソン 1 等の共創イベントを通じて 情報発信力の強化や新たなパートナーとのつながりを創出し 地域社会の課題解決を目指 す 共創力で進む東北プロジェクト を実施しました 農業関係では 農家が飲食店等と リアルタイムに情報を共有しながら農産物を届けるための ICT を活用した仕組みづくり をテーマにした共創イベントを開催しています また 平成 年度から 被災地域で進む 新しい東北 の実現に大きな貢献 をしている個人や団体を顕彰する 新しい東北 復興 創生顕彰を実施しています 平 成 年度顕彰においては 農業関係では 6 次化による産業の創出と なりわ とお の い の再生に取り組む特定非営利活動法人遠野まごころネットと ふくしまオーガニック コットンプロジェクト に取り組む特定非営利活動法人ザ ピープルが選定されました 新しい東北 復興ビジネスコンテストでは 農業関係 3 点が優秀賞に選定 被災地域の産業復興に向けては 地域産業の創出の機運を高め 新たなビジネスを育て 上げていくことが重要です 復興庁では 平成 年度から 新しい東北 復興 ビジネスコンテストを開催し 被災地域における地域産業の復興や地域振興に資する事業 の表彰を行っています 平成 年度は 農業関係では 地熱を活用して製造した馬ふん堆肥で ウマ はちまんたい い野菜 を栽培する企業組合八幡平地熱活用プロジェクト 岩手県 荒れ地の開墾と障 害者の雇用を行い長ネギの大規模生産に取り組む株式会社つながるファーム 福島県 ゆ な そう ま 第4 章 地域ブランド油 油菜ちゃん を使用した新商品の開発 販売に取り組む福島県立相馬農 業高等学校 福島県 が優秀賞に選定されました 図表 受賞者に対しては 新しい東北 交流会でのプレゼンテーションやブース展示の機会 の提供 受賞者の事業をパンフレットへの掲載により紹介 希望者への専門家による派遣 指導等の特典が贈られ 事業の更なる発展につながることが期待されています 1 様々な立場の者が主体的に集まり その相互作用を通じて 課題解決に向けたアイデア創出や新たな商品 サービス アイデ アの創造を目指す共創の場 227

254 第1節 東日本大震災からの復旧 復興 図表 新しい東北 復興ビジネスコンテスト 217 の優秀賞 抜粋 団体名 事業概要 1 年後の東北の里山にも馬たちの放牧風景を残すために 引退競走馬や乗馬たちとつくる馬の堆肥でウマい野菜の宅配 サービス うま e ベジ と循環型社会の構築 企業組合八幡平地熱活用プロ はちまんたい し ジェクト 岩手県八幡平市 地熱を活用して製造した馬ふん堆肥によるマッシュルーム栽 培を行っている農場 ジオファーム八幡平 において 引退競 走馬等を飼育し 馬ふん堆肥によって ウマい野菜 を栽培 馬の愛好家等からの会費を馬の飼育にあて 野菜を還元すると いう持続可能な仕組みの普及拡大を目指す事業 荒野を開墾して ふるさとを守る!! 長ネギ大規模生産で 農 業後継者と障がい者を雇用 株式会社つながるファーム ふくしま し 福島県福島市 耕作放棄地を利用し ラーメン店向け長ねぎの大規模生産 流通 販売の一環体制構築を図る事業 地域の農業後継者の育成と障害者の雇用を図り 農家の息子 が地域を守り 障害者が納税者となるモデルを創る取組 地域ブランド油 油菜ちゃん の 6 次化商品の開発と販売 福島県立相馬農業高等学校 みなみそう ま し 福島県 南 相馬市 震災直後より 市 農家 企業と連携して 稲作に代わる作 物として菜の花を栽培し 無焙煎で菜種本来の風味を生かした 菜種油の 6 次化商品を開発 販売する事業 マヨネーズベー ス みそベース等のドレッシングの開発に取り組む 資料 復興庁 新しい東北 復興ビジネスコンテスト 217 受賞者一覧 事例 老舗のしょうゆ醸造企業が 特徴ある商品を次々と発売 岩手県 りくぜんたか た し 岩手県陸前高田市で 2 年以上にわたりしょうゆづくりを ぎ さわ しょう てん 秋田県 や 行ってきた株式会社八木澤 商 店は 津波により工場を失い ましたが 同業者に OEM 生産 を受けてもらうことで販売 岩手県 陸前高田市 を継続し その 2 年 8 か月後の平成 年 11 月に自 社で醸造したしょうゆの出荷を再開しました 山形県 かま いし し 平成 年 11 月には 震災前に釜 石 市 にある北 里大学海洋バイオテクノロジー釜石研究所にサンプルとして 預けていたことで奇跡的に津波の被害を免れたもろみを基に ひしお 造ったしょうゆ 奇跡の醤 を発売しました 平成 年 1 月には 同県産の大豆 小麦と岩手県工業技術センター こうじ が開発した独自の種麹 南部もやし を使用した高級しょう ご しょうまる ゆ 互 醤 丸 を 県内同業 4 社とともに発売しました いちの せき し 現在の工場は同県 一 関市の廃校跡地に再建されており 高級しょうゆ 互醤丸 震災翌月の平成 年 4 月に 37 歳で同社の代表に こう の みちひろ 就任した河野通洋さんは 同社の創業の地である陸前高田市でのしょうゆ仕込みの再開を心に 誓っています Original Equipment Manufacturing の略 他社に自社ブランドの商品製造を委託すること 228

255 2 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響と復旧 復興 ア 福島県の避難指示区域等の復興 帰還困難区域を除き ほぼ全ての避難指示が解除 東電福島第一原発の事故に伴い設定された避難指示区域は 除染やインフラ整備等が進 んだ結果 平成 年 4 月までに 帰還困難区域を除き ほぼ全ての避難指示が 解除され 避難指示区域の面積は 同区域設定時の約 1,15km2 から約 37km2 にまで減 少しました 図表 図表 避難指示区域の解除の状況 平成 年 8月時点 区域設定時 伊達市 凡例 平成 年 4月時点 伊達市 凡例 帰還困難区域 居住制限区域 避難指示解除準備区域 旧避難指示区域 平成 29 年春までに解除 された区域 帰還困難区域 居住制限区域 避難指示解除準備区域 飯館村 飯館村 川俣町 川俣町 南相馬市 葛尾村 南相馬市 葛尾村 浪江町 浪江町 双葉町 双葉町 大熊町 川内村 福島第一 原子力発電所 田村市 川内村 富岡町 楢葉町 福島第二 原子力発電所 2 避難指示区域 からの避難対象者数 約 8.1 万人 避難指示区域の面積 約 1,15 区域設定時から約 3 年 8 か月 大熊町 富岡町 楢葉町 いわき市 福島第一 原子力発電所 第4 章 田村市 広野町 福島第二 原子力発電所 2 約 2.4 万人 約 5.7 万人減 約 37 約 78 減 避難指示区域の定義 平成 年 12 月 26 日原子力災害対策本部決定 避難指示解除準備区域 年間積算線量 2 ミリシーベルト 以下となることが確実であることが確認された地域 居住制限区域 年間積算線量が 2 ミリシーベルトを超えるおそれがあり 住民の被ばく線量を低減する観点から引き続き避 難の継続を求める地域 帰還困難区域 これから5年間を経過してもなお 年間積算線量が 2 ミリシーベルトを下回らないおそれのある 現時点で 年間積算線量が 5 ミリシーベルト超の地域 注 基準となる年間積算線量は 全ての市町村において平成 年3月 31 日時点のもの * 放射線による人体への影響 人体が受けた放射線の量 を表す単位 資料 原子力災害対策本部資料を基に農林水産省で作成 注 避難指示区域からの避難者数は 市町村からの聞き取った情報 それぞれ 平成 年 8 月 8 日時点 平成 年 2 月 1 日時点の住民登録数 を基に 原子力被災者生活支援チームが集計 このような中 避難指示区域の住民を含む 福島県内外への避難住民数は 平成 年 2 月末時点で約 5 万人 1 であり 避難住民の早期帰還 定住と生活再建に向けた 環境整備や支援を引き続き進めていく必要があります 1 福島県 平成 23 年東北地方太平洋沖地震による被害状況即報 第 1736 報 平成 年 3 月 5 日時点 229

256 第1節 東日本大震災からの復旧 復興 帰還困難区域の復興 再生に向けた計画制度が創設 平成 年 5 月に施行された改 正後の福島復興再生特別措置法 以下 改 図表 避難指示解除準備区域 正福島特措法 という において 帰還 特定復興再生拠点区域 困難区域のうち 5 年を目処に避難指示を 仮称 双葉 IC の計画制度が創設されました 図表 4-1平成 年度は 双葉町 大熊 まち なみ え まち 国道 8号 28 中間貯蔵施設 予定地 福島第一 原子力 発電所 6 号 おお くま JR 双葉駅 県道井手長塚線 国道 ふた ば まち 県道長塚請戸浪江線 町 JR常磐線 江線 わき浪 県道い 生拠点区域 の復興 再生を推進するため 松線 寺 草 道鴻 県道広 野 小 高 線 帰還困難区域 常磐自 動車道 解除し 住民の帰還を目指す 特定復興再 7 特定復興再生拠点区域の例 双葉町 とみおかまち 町 浪江町 富岡町の計画が認定され 本 計画に基づき インフラの復旧 生活環境 資料 復興庁 特定復興再生拠点区域復興再生計画の制度概要 の整備 産業の復興 再生 除染 家屋解体等が進められていきます 農地は 国直轄の面的除染は完了 市町村等の除染も完了 土壌等の除染は 放射性物質汚染対処特別措置法 1 に基づき 国直轄除染地域 2 は環境省 が 市町村除染地域 3 は市町村等がそれぞれ実施することとなっています 国直轄除染地 域における農地の面的除染は平成 年度末までに完了し 市町村除染地域にお ける農地の面的除染も 平成 年度末までに完了しました 図表 今後 これら地域においては 実証栽培を通じて農産物の安全性が確認され 出荷制限 が解除されていく中で 本格的な営農再開が進められることとなります 図表 国直轄除染地域における除染の状況 国直轄除染の進捗状況地図 市町村 伊達市 飯館村 川俣町 南相馬市 二本松市 葛尾村 田村市 避難指示解除 面的除染完了 除染特別地域 帰還困難区域 国直轄除染の完了報告 川内村 浪江町 双葉町 東京電力 福島第一 大熊町 原子力発電所 富岡町 単位 ha 面的除染が完了した時期 田村市 た むら し 14 平成 年 6 月 なら は まち 楢葉町 83 平成 年 3 月 かわうちむら 川内村 13 平成 年 3 月 おおくままち 大熊町 17 平成 年 3 月 かつら お むら 葛 尾村 57 平成 年 12 月 かわまたまち 川俣町 61 平成 年 12 月 ふた ば まち 双葉町 1 平成 年 3 月 いいたてむら 飯舘村 2,4 とみおかまち 75 平成 年 1 月 南 相馬市 1,6 平成 年 3 月 なみ え まち 浪江町 1,4 平成 年 3 月 合計 8,7 富岡町 楢葉町 除染が完了した 農地面積 みなみそう ま し 平成 年 12 月 資料 環境省 除染特別地域における進捗状況 注 国直轄除染の進捗状況地図 は平成 年 4 月 1 日時点 国直轄除染の完了報告 は平成 年 9 月 3 日時点 1 正式名称は 平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物 質による環境の汚染への対処に関する特別措置法 2 放射性物質汚染対処特別措置法第 25 条第 1 項の規定に基づき環境大臣が指定する除染特別地域 3 放射性物質汚染対処特別措置法第 32 条第 1 項の規定に基づき環境大臣が指定する汚染状況重点調査地域 23

257 葛尾村で水稲作付けが再開するなど 農業の復興は着実に進展 農林水産省は 福島県の農業の再生に向けて 福 島相双復興官民合同チーム の 営農再開グループ に参加し 地域農業の将来像の策定を支援していま す また その将来像の実現に向けて 除染の進捗状 況に合わせた農業関連インフラの復旧 除染後の農地 の保全管理 鳥獣被害防止対策 作付実証 放射性物 質の吸収抑制対策 ため池等の放射性物質対策 農業 用機械 施設や家畜等の導入 新たな農業への転換等 作付再開した水田での稲刈りの様子 かつら お むら 葛尾村 の一連の取組を切れ目なく支援しています さらに 営農再開を加速させるため 平成 年 4 月から 営農再開グルー プ に担当課を設けて 農業者訪問担当員を拡充し 平成 年度に実施した認 定農業者の個別訪問活動の対象を拡大して 要望調査や支援策の説明を行っています ま た 改正福島特措法の施行により 官民合同チームの中核である公益社団法人福島相双復 興推進機構に国の職員を派遣できるようになったことから 平成 年 7 月から 同機構に農林水産省職員を派遣しています かつら お これらの取組の結果 平成 年度には 水稲の作付けが新たに再開した葛尾 むら 村を含む 7 市町村 1 で行われ 作付面積は前年産の約 2,5ha から約 3,ha に拡大しま いいたてむら した また 新たに飯舘村と葛尾村でトルコギキョウやりんどう等の花き栽培が再開する だ て 第4 章 とともに 伊達地方の特産品である あんぽ柿 の出荷量が震災前の 8 割の水準にまで回 復しました このように福島県における農業の復興は着実に進んでいます 事例 浪江町をきれいな花の町に 福島県 なみ え まち かわむら 福島県浪江町で高齢者や障害者の施設を運営していた川村 山形県 ひろし 博さんは 農業に携わることで施設の利用者にやりがいを感 じてほしいと考え 日中の同町内への出入りが可能となった 平成 年 4 月以降 施設の付近にビニールハウス を設置して花きの栽培を始め 平成 年 8 月に初 新潟県 宮城県 浪江町 福島県 栃木県 茨城県 出荷を行いました 平成 年時点でビニールハウ スは 16 棟にまで拡大し 高齢者や障害者も携わって栽培さ れた川村さんのトルコギキョウ りんどう ストック等は東 京都の卸売市場で高い評価を得ています 同町が花き栽培の振興を図る中 平成 年 8 月に 花 き の 品 質 向 上 等 を 目 的 に 町 内 の 農 業 者 14 人 に よ り はな む そう 花 夢 想みらい塾 か き 浪江町花卉研究会 が設立され 川 村さんが代表に就任しました 川村さんは 若手に就農して 出荷作業をする川村博さん もらい一緒に花き栽培を広げていくことで 浪江町をきれいな花の町にしていきたいと考えて います 1 作付再開時期は 飯舘村は平成 年 葛尾村は平成 年 川内村は平成 年 田村市は平成 年 楢葉町は平成 年 広野町は平成 年 南相馬市は平成 年 231

258 第1節 東日本大震災からの復旧 復興 事例 トマトのテーマパークで 地域を元気に 福島県 福島県いわき市では 地域社会と農業の活性化に向けて トマトのテーマパーク ワンダーファーム が平成 年2月にオープンしました 同ファームでは トマトのスイー ツを提供するカフェ 見学可能なトマトのジュースやジャム 等の製造施設が営業されているほか 来場者はトマトの収穫 山形県 新潟県 宮城県 福島県 いわき市 栃木県 茨城県 も体験できます 直売所ではトマトをはじめ地元農家が生産した野菜が販売 され レストランでは地元の契約農家約 1 軒から毎日届 けられる様々な食材を使用したメニューが日替わりで提供さ れ 地元農産物の消費拡大につながっています また 同 ファームではパートを含め 48 人の従業員が働いており 地 域の雇用創出にも寄与しています トマトの収穫体験の様子 施設を運営する株式会社ワンダーファームの代表を務める もと き ひろし 元木寛さんは 放射性物質の検査を受けた県産農産物は安全であり 来場者には農業の魅力や 農産物の美味しさを体感してほしいと考えています イ 風評の払拭に向けた取組等 食品の安全確保に向けた生産現場の取組 市場で放射性物質の基準値を下回る農畜産物のみが流通するように 生産現場では放射 性物質の吸収抑制対策 暫定許容値以下の飼料の使用等 それぞれの品目に合わせた取組 が行われています 福島県では 作付制限 放射性物質の吸収抑制等の対策とともに 米については全域で 抽出検査に替えて全袋検査が実施されています 図表

259 図表 平成 年産米の作付制限等地域の縮小 平成 年産米 平成 年産米 作付制限 作付 営農は不可 農地保全 試験栽培 除染後農地の保全管理や市町村 の管理の下で試験栽培を実施 作付再開準備 管理計画を策定し 作付再開に 向けた実証栽培等を実施 全量生産出荷管理 管理計画を策定し 全てのほ場で 吸収抑制対策を実施 もれなく検査 全量管理 全袋検査 し 順次出荷 福島県 拡大 福島第一原子力発電所 資料 農林水産省作成 放射性物質を含む要因とその対策について 調査が行われ この調査結果に基づき 土 壌中のカリウム濃度に応じた適切なカリウ 図表 米 畜産物の取組例 米 カリウム施肥等による放射性物質の吸収 抑制対策を実施 基準値を超過した米の流通を防ぐ取組を 実施 ム施肥による吸収抑制対策等が実施されて います 畜産物については 飼料から畜産物への 放射性物質の移行に関する知見等を活用し て設定した暫定許容値以下の飼料給与とと 第4 章 米 大豆 そばについては 高い濃度の カリウム施肥による稲の吸収抑制対策 カリウム施肥 K K K CsKCs K K K Cs K 土壌中のカリウム 濃度が適正な場 合 放射性セシウ ムの吸収は抑制さ れる もに 畜産物中の放射性物質の検査が徹底 畜産物 畜産物が食品の基準値を超える放射性 セシウムを含まないよう 暫定許容値 以下の飼料の給与など家畜の飼養管理 を実施 牛肉については 食品の基準値以下の もののみが流通するよう全頭検査 全 戸検査を実施 飼料の放射性セシウムの暫定許容値 牛 馬 1Bq/kg 豚 8Bq/kg 鶏 16Bq/kg 牧草の放射性物質の吸収抑制対策 反転耕等による牧草地における放射 性物質の低減対策の推進 重機を活用 した反転耕 されています 牧草等の飼料作物について は モニタリング調査の結果により利用の 可否を判断し 暫定許容値を上回ると考え られる牧草地においては 反転耕を活用し カリウム散布状況 急傾斜牧草地での無線 ストーンクラッシャーに トラクターの活用 よる石礫破砕 資料 農林水産省作成 た草地更新 1 や適正なカリウム施肥による放射性物質の移行低減対策等が実施されていま す 図表 このような生産現場における努力の結果 平成 年度は くりを除き 農畜 産物の基準値超過はありませんでした なお 当該くりは廃棄されています 図表 草地は年数を経るとともに収量が低下し 飼料作物としての品質も雑草混入などにより低下する 草地の植生回復を図るため の一連の作業を草地更新という 233

260 第1節 東日本大震災からの復旧 復興 図表 農畜産物の放射性物質の検査の概要 17 都県 単位 点 基準値超過率 *1 平成 年度末 まで 品目 検査 点数 基準値 超過 点数 基準値 超過率 米 *2* 万 麦 ,664 豆類 *2 野菜類 果実類 , 茶 * ,792 その他地域特産物 そばを含む 原乳 肉 卵 野生鳥獣肉を除く 資料 厚生労働省資料 地方公共団体資料を基に農林水産省で作成 注 1 基準値を超過した品目 地域については 出荷制限や自粛等が行われている 2 1 平 成 年 4 月施行の基準値 1Bq/Kg の超過率 茶については浸出液換算で 1Bq/Kg 原乳については 5Bq/ Kg Bq ベクレル は 放射性物質が放射線を出す能力 放射能 を表す単位 2 穀類 米 豆類 について 生産年度と検査年度が異なる場合は 生産年度の結果に含めている 3 福島県で行った平成 年度産の緊急調査 福島県及び宮城県の一部地域で平成 年度以降に行った全袋 検査の点数を含む 4 平成 年度以降の茶は 飲料水の基準値 1Bq/Kg が適用される緑茶のみ計上 3 平成 年 2 月 22 日時点 食品安全の関係府省庁 1 では このような生産現場での取組 国や地方公共団体が実施 した検査の方法 結果 食品中の放射性物質による健康への影響等について消費者等が理 解を深められるように意見交換会等を開催し 食品中の放射性物質に関する情報を発信し ています 平成 年度は 意見交換会の開催や親子イベントへの出展を 全国 で 7 回実施しました 安全が確認された地域で出荷制限を解除 東電福島第一原発の事故後 地域的な広がりをもって放射性物質の基準値を超える品目 と地域に対して出荷制限が指示されました その後 原子力災害対策本部が取りまとめた 検査計画 出荷制限等の品目 区域の設定 解除の考え方 に沿って 検査結果が基準 値を下回り 安全が確認された農畜産物や地域について 出荷制限が解除されました 図 表 図表 平成 年 4 月以降に農畜産物の出荷制限が解除された品目 地域 区分 品目 地域 な す まち だ て くり 栃木県那須町 ワサビ 畑において栽培されたものに限る 福島県伊達市 県の定める管理計画に基づき栽培されるもの し かわまたまち 福島県川俣町 山木屋の区域 とみおかまち 原乳 福島県冨岡町 帰還困難区域を除く区域に限る なみ え まち 福島県浪江町 帰還困難区域を除く区域に限る いいたてむら 福島県飯舘村 帰還困難区域を除く区域に限る 資料 厚生労働省資料を基に農林水産省で作成 1 消費者庁 内閣府食品安全委員会 厚生労働省 農林水産省 234

261 福島県産農林水産物の風評払拭に向けた取組を強化 福島県産の食品は放射性物質検査の徹底により安全が確保されています しかしなが ら 消費者庁が平成 年 3 月に公表した消費者の意識調査 1 によると 放射性物 質を理由に福島県産品の購入をためらう人の割合は調査開始以来最低の水準となったもの の 依然 他県に比べて高い状況となっています 図表 図表 産地別の放射性物質を理由に購入をためらう人の割合 福島県 岩手県 宮城県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 8. 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 1 月 平成 25 年 1 月 26 年 27 年 3月 3月 3月 月 月 29 年 1 月 3 年 28 年 3月 3月 3月 資料 消費者庁 風評被害に関する消費者意識の実態調査 を基に農林水産省で作成 第4 章 このような中 福島県産農林水産物の風評払拭に向けた取組を一層強化するため 改正 福島特措法に 福島県産品の販売不振の実態調査と当該調査に基づく指導 助言等の措置 を講ずることが位置付けられました また 農林水産省は 平成 年度から 生産から流通 販売に至るまでの総合的な支援を行っています 具体的には 流通実態調 査を実施するとともに 安全で特徴的な農林水産物の生産 農林水産物の放射性物質検 査 オンラインストアや様々なイベント等を通じた販売促進の取組等を支援しています この流通実態調査 2 において 小売業者へのヒアリングでは 福島県産農産物等について 消費者からのクレームはほとんどなく また 応援のため福島県産品を買いたいと考える 消費者がいること 震災直後に福島県産品を他県産で代替した小売業者では福島県産を積 極的に取り扱う理由 きっかけが見出せていない場合も見られること等が明らかになりま した また 仲卸業者に対するアンケートでは 福島県産取扱量の減少理由を尋ねた設問 に対し 販売先による別産地の指定があるため 販売先が福島県産以外を希望してい ると想定されるため などに多くの回答が寄せられました 農林水産省では こうした調 査結果を踏まえ 関係省庁と協力して 関係事業者に指導 助言等を行うこととしていま す さらに 政府の 原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース 3 にお いて 関係府省庁がこれまでのリスクコミュニケーション対策の総点検を行い 知って もらう 食べてもらう 来てもらう それぞれの観点から 伝えるべき対象や内容 取り組むべき具体的施策等を示した 風評払拭 リスクコミュニケーション強化戦略 を 1 消費者庁 風評被害に関する消費者意識の実態調査 第 11 回 平成 年 3 月公表 2 農林水産省 平成 29 年度福島県産農産物等流通実態調査 平成 年 3 月公表 3 復興大臣の下 関係各府省庁の風評被害対策事業の進捗管理及び課題の洗い出しを行い 今後の方向性を定めることにより 各事業の推進を図ることを目的とするもの 235

262 第1節 東日本大震災からの復旧 復興 平成 年 12 月に策定しました 今後は 同戦略に基づき 関係府省庁が工夫 を凝らした情報発信に取り組むこととしています 図表 図表 風評払拭 リスクコミュニケーション強化戦略のポイント 今なお残る科学的根拠に基づかない風評の払拭やいわれのない偏見 差別の解消に向け 風評払拭 リスクコミュニケーション強化戦略 に基づき 関係府省庁が連携して広く国民 に対して情報発信を実施 風評払拭 リスクコミュニケーション強化戦略(平成29年12月12日策定) Ⅰ 知ってもらう Ⅱ 食べてもらう Ⅲ 来てもらう の3つの視点から 伝えるべき対象 伝えるべき内 容 等について シンプルかつ重要な事項順に明示 今後 本戦略の具体化に向け 関係府省庁において工夫を凝らした情報発信等を実施 また 関係府省庁の取組を継続的にフォローアップする体制を整備し 点検を実施 Ⅰ 知ってもらう Ⅱ 食べてもらう Ⅲ 来てもらう 対象 内容 発信の 工夫 ①児童生徒及び教育関係者 ②妊産婦並びに乳幼児及び児童生徒の保護者 ③広く国民一般 ①小売 流通事業者 ②消費者 ③在京大使館 外国要人及び外国プレス ④在留外国人及び海外からの観光客 ①教師 PTA関係者 旅行業者 ②海外からの観光客 外国プレス及び 在留外国人 ③県外からの観光客 ①放射線の基本的事項及び健康影響 日常生活で被ばく をゼロにできない 放射線はうつらない等 ②食品及び飲料水の安全性 ③復興が進展している被災地の姿 等 受信者目線で印象に残るような表現の工夫や 単なる資料配布に止まらないためのメディアミックス の活用 等 ①福島県産品の 魅力 や 美味しさ ②食品及び飲料水の安全を守る仕組みと 放射性物質の基準 ③生産段階での管理体制 等 魅力 や 美味しさ のみならず 安全性も理解してもらえる工夫 福島県 を相対化した情報発信 等 ①福島県の旅行先としての 魅力 ②福島県における空間線量率や食品 等の安全 ③教育旅行への支援策 等 ホープツーリズム に関する発信 モニターツアー 被災者の生の声の 発信 等 戦略に基づく今後の対応 例 様々な媒体を活用した放射線リスクに関する情報発信 復興庁 全国の小中高生を対象とした放射線副読本の改訂 普及 文部科学省 福島県産農林水産物の販路拡大 販売促進等の取組への支援 農林水産省 教育旅行を含めた福島県の国内観光振興への支援 国土交通省 資料 復興庁資料 食べて応援しよう で消費を回復 農林水産省は 被災地産食品 1 の積極的な消費を通じて被災地域の復興を応援するため 多様な関係者間で一体感を醸成できるよう 共通のキャッチフレーズ 食べて応援しよ う の利用を呼びかけています 平成 年度末までに 同キャッチフレーズを利用した企業の社員食堂におけ る被災地産食材の活用等の取組は 1,585 件となりました GAP 認証の取得日本一を目指す ふくしま GAP チャレンジ宣言 福島県では 風評の払拭と信頼される産地づくりに 向け 平成 年 5 月に 県と福島県農業協 同組合中央会が GAP2 認証の取得日本一を目指す ふ くしま GAP チャレンジ宣言 を行いました 同年 7 月に福島県が策定した ふくしま県 GAP FGAP には 食品安全や環境保全 労働安全等に関する項目 のほか 放射性物質対策も詳細に規定されています ふくしま GAPチャレンジ宣言 の様子 福島県の発表によれば 平成 年度末時点 における FGAP の件数は 米や野菜等の 5 件となっています 1 東日本大震災の被災地及びその周辺地域で生産 製造されている農林水産物 加工食品 2 用語の解説 3 2 を参照 236

263 東京電力による農林水産業関係者への損害賠償支払額は 平成 年度分は 763 億円 原子力損害の賠償に関する法律 の規定により 東電福島第一原発の事故の損害賠償 責任は東京電力ホールディングス株式会社 以下 東京電力 という が負っています 東京電力によるこれまでの農林水産業関係者の損害賠償支払累計額は 平成 年度末時点で 8,631 億円 平成 年度分は 763 億円 となっています なお 東京電力は平成 年以降 避難指示区域外の農林業における風評賠償 の取扱いについて 平成 年 12 月に JA グループ福島県協議会 2 と大枠で合意に 至りました 図表 図表 農林業者に対する営業損害賠償の取扱い 平成 年 3 月 平成 年 12 月 避難指示 区域内 避難指示 区域外 年間逸失利益の 6 年分 を一括賠償 年 1 月 年 12 月 年 1 月 年間逸失利益の 3 倍相当額を一括賠償 3 年後以降 事故との相当因果関係がある損害が一括賠償額を超えた場合は 適 切に賠償 事故前と比較した逸失利益を額の確定後に随時請求 を受け賠償 基準単価の変更 価格変動係数の導入等の継続協議事 項について 平成 年中に協議 事故前と比較した逸失利益を額の確定後に随時請求 を受け賠償 これまで品目ごとに算定方式が統一されていなかっ たことから 事故前の価格 と 販売時の価格 の 差額 価格差方式 を賠償する方式を導入 算定した損害を 3 か月ごとに損益を通算する方式に 変更 第4 章 資料 東京電力のプレスリリースを基に農林水産省で作成 1 東京電力からの聞き取りによる 2 JA グループ東京電力原発事故農畜産物損害賠償対策福島県協議会 237

264 第2節 熊本地震からの復旧 復興 第 2節 熊本地震からの復旧 復興 平成 年 4 月に発生した熊本地震では 熊本県を中心とする九州各県で大き な被害が生じました 以下では 熊本地震からの復旧 復興に向けた取組について記述し ます 平成 31 年までの取組をロードマップ化し 復旧 復興の実現に向けて施策を推進 熊本地震による農林水産関係の被害額は 1,841 億円 このうち農業関係の被害額は 1,368 億円となりました 図表 熊本県では平成 年 8 月に 平成 年度までの完了を目指す 平成 28 年熊本地震からの復旧 復興プラン を策定 し 競争力ある農林水産業の実現に向けて 生産を支える基盤の復旧 復興 多様な担い 手の確保 育成 農業生産力の回復等の施策を進めています 復旧 復興に向けた平成 年度までの 4 年間の取組を同プランの別冊となるロードマップにまとめてお り 熊本地震からの創造的復興を目指しています 図表 農林水産関係の被害状況 区分 農業関係 被害額 億円 主な被害 1,368.2 農作物等 655. 共同利用施設の損壊 畜舎等の損壊 農地 農業用施設関係 農地の損壊 農業用施設の損壊 林野関係 林地荒廃 治山施設 林道施設等 水産関係 33.4 合計 漁港施設 共同利用施設等 1,841.3 資料 農林水産省調べ 注 1 平成 年 3 月 13 日時点 2 被害額は 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県から報告があり その合計 県営 団体営の災害復旧事業は着手済みが 88.2 完了が 4.2 農地では亀裂 沈下 法面崩壊等の被害が 11,172 か所で ため池 農道 用排水路等 の農業用施設では破損等の被害が 4,97 か所で発生しました 1 ロードマップでは平成 年度までに復旧を完了するとしており 平成 年度末時点で県営と団 体営 2 の災害復旧事業は 着手済みが全体の 88.2 に当たる 1,975 件 このうち完了が全 体の 4.2 に当たる 91 件となりました 図表 また 被害の程度が小さいものについては 農家が多面的機能支払や復興基金 3 を活用 し自ら復旧工事を実施しています 1 熊本県 平成 28 年熊本地震による農林水産関係被害 平成 年 3 月 13 日公表 2 市町村 土地改良区等が主体となって行う事業 3 正式名称は 平成 28 年熊本地震復興基金交付事業 238

265 さらに 熊本県では 平成 年度末の完了を目指し 大規模な地表面の亀裂 やずれによる被害が発生した農地や農業用施設について 創造的復興の取組として 単に 元あった姿に戻すだけでなく 大区画化と併せた農地集積を図る基盤整備事業を行うとし くまもと し まし き まち あき つ あ そ し あ そ だに みなみ あ ています 具体的には 熊本市と益城町にまたがる秋津地区 阿蘇市の阿蘇谷地区 南阿 そ むら おと が せ 蘇村の乙ヶ瀬地区の 3 地区を対象に復旧 復興を進めるとしています 図表 農地 農業用施設の復旧状況 単位 件 復旧予定 件数 農地 農業用施設 県営 団体営 工事着手件数 工事完了件数 着手率 完了率 2,239 1, ,56 1, 資料 熊本県からの聞き取りを基に農林水産省で作成 注 1 平成 年度末時点 2 上記以外の被害発生箇所は農家自らが復旧工事を実施 3 1 件につき複数の被害箇所を含む場合がある 第4 章 農家の自力施工による復旧の様子 あ そ し 熊本県阿蘇市 事例 被災箇所を含めた水田等の区画整理による創造的復興 熊本県 そ むら 大分県 みなみ あ 中山間地域に約 26ha の農地が広がる熊本県 南 阿 蘇 村 の おと が せ 乙ヶ瀬地区では 平成 年 4 月の熊本地震により 急傾斜地のため元あった姿に戻すことが困難となる中 水稲 と飼料作物が作付けされていた同地区では 地域での話合い 南阿蘇村 熊本県 宮崎県 山腹が崩壊し 大量の土砂が約 4ha の農地を直撃しました 鹿児島県 や基盤整備先進地の視察等を経て 被災箇所以外の農地を含 め一体的な区画整理を行い 担い手への農地集積と高収益作 物の導入による創造的復興に取り組むこととなりました 平成 年度から平成 年度にかけて 標準区画 4a の区画整理や農道 用排水路の整備が行われ る計画となっており 11 にとどまっていた担い手への農 区画整理の完成予想図 地集積率は工事完了後には 71 に向上し はくさい 高菜 さといもの作付けが 6ha で行われる予定です 239

266 第2節 熊本地震からの復旧 復興 大豆へ転換された水田では 広域農場等への作業委託が進展 水路の破損を機に水稲以外の作物へ転換された水田面積は平成 年度におい て約 1,ha となり このうち経営所得安定対策の活用等により大豆へ転換された水田 面積は約 66ha となりました 大豆へ転換された水田の過半は広域農場をはじめとする 11 の生産組織へ作業委託が行われることで営農体制の強化が進展しており 大豆の生産 コストの削減が図られました は しゅ 生産組織による大豆播種の様子 くまもと し 熊本県熊本市 広域農場による大豆収穫の様子 か しままち 熊本県嘉島町 被災した畜産農家における家畜の再導入や畜舎等の整備は平成 3 年度内に完了 家畜の死亡や畜舎の損壊等の被害を受けた畜産農家は ロードマップに即し 畜産クラ スター事業 1 を活用した畜舎等の整備や家畜の再導入を進めています 平成 年度末時点で完了したものが 24 事業 実施中のものが 9 事業となっており 平成 年度内には全ての事業が完了する予定となっています また 乳業工場 4 施設 家畜市場 1 施設についても ロードマップに即し 平成 年度末時点で復旧を完了しています きく ち し 整備を終えた牛舎 熊本県菊池市 おお づ まち 再導入された雌牛 熊本県大津町 カントリーエレベーター等の共同利用施設の復旧はほぼ完了 カントリーエレベーター2 ライスセンター 選果場等の共同利用施設は 国庫補助を活 用して復旧を図る施設 13 件のうち 平成 年度内に 12 件の復旧を完了して います これら以外の施設 44 件は 共済金等を活用することで復旧を完了しています また 将来を見据えた効率的な集出荷体制の確立を図るため 県内の 3 農業協同組合は カントリーエレベーター ライスセンター等について再編整備を伴う改修事業を実施して います 平成 年度内に 2 農業協同組合で完了 残り 1 農業協同組合について 1 用語の解説 3 1 を参照 2 大形サイロと乾燥装置を搬送機や揚穀機で連結した大規模な穀物乾燥貯蔵施設 24

267 も平成 年度内の完了に向けて整備を進めています う き し 復旧を終えた選果場 熊本県宇城市 復旧を終えたカントリーエレベーター か しままち 熊本県嘉島町 JA 熊本中央会が 農業労働力確保サポート事業を開始 農業生産を支える労働力を確保するため 熊本県農業協同組合中央会 以下 JA 熊本 中央会 という に労働力サポートを担う部署が設置され 県全域における産地の労働 実態調査や モデルとなった産地における労働力のマッチング 請負事業等が実施されて います ロードマップでは 平成 年度に 無料職業紹介事業や複数産地間で連携し た労働力のマッチングを実施する予定となっています また 平成 年度にか けて労働力のマッチングを県全域で行うとともに 県内外で働く人材を募集することによ 第4 章 り これまでできなかった農業協同組合の区域を越えた労働力の確保を目指す予定となっ ています 図表 図表 農業労働力確保サポート事業の概要 JA 熊本中央会 県全域の求人 情報を集約 県内外から 求職者を募集 紹介 斡旋 農家 選果場等 A 産地 選果場 B 産地 農家 労働者 マッチング A 産地 労働者 B 産地 労働者 資料 農林水産省作成 241

268 第2節 熊本地震からの復旧 復興 事例 学生の援農活動が熊本農業の復興の一助に 熊本県 熊本県にキャンパスが置かれている東海大学農学部では 農作業の負担軽減と 農業の魅力と苦労の理解を目的に 学 あ そ 生が主体的に企画や準備を行い 阿蘇地域で週末や長期休暇 を利用して農作業を手伝う 阿蘇援農コミュニティープロ ジェクト が平成 2 28 年度から実施されています 平成 年 4 月の熊本地震により活動の継続が危 ぶまれましたが 被災した阿蘇の農業者の助けになりたいと 約 13 人の学生メンバーが準備を進め 同年 7 月に活動を再 いちご生産者と東海大学農学部の 学生たち 開しました 農業者からは 震災で来てくれないと諦めていたが 来てくれて有り難い な どの感謝の言葉が寄せられました 熊本農業の復興の一助になった同プロジェクトの活動は 農林水産省が実施する 食と農林 漁業大学生アワード 217 の最高賞となる農林水産大臣賞を受賞しました プロジェクトリー ふじかわ し づ か ダーの藤川志津香さんは 熊本の復興のためにも活動をつないでいくことが何よりも大切 と語りました 事例 台湾向けの情報発信が期待される台湾大学生の受入れ そ し あ そ 大分県 あ 熊本県阿蘇市の NPO 法人 1ASO 田園空間博物館は 阿蘇 で楽しく過ごせる空間の創出に向けた取組を行っています の弁当の商品化や 留学生の協力を得た SNS 2 による観光 熊本県 情報の発信等により 地域おこし活動を進めてきました 宮崎県 阿蘇市 平成 年の取組開始以来 高校生と連携した赤牛 鹿児島県 熊本地震の発生後 同法人は 阿蘇の特産品の通販事業を 強化して販路の拡大を図るとともに 順調に伸びてきた台湾 人旅行客の回復に向け台湾の大学と連携したインターンを始 めました 台湾での情報発信を期待して始めたインターンは 平成 年度に 2 週間の期間で行われ 台湾の大学生 大学院生 6 人が観光案内所や旅館等で働きながら阿蘇市の魅 説明を受ける台湾の女子大学生 力に触れました 同インターンは翌年度も継続され 台湾を 含む外国人観光客は徐々に回復しています む ら 同法人の取組は 農林水産省が実施する平成 年度の ディスカバー農山漁村の宝 の選定においてグランプリを獲得しました 用語の解説 3 2 を参照 Social Networking Service の略 登録された利用者同士が交流できる web サイトのサービス

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270 農業 農村地域の活性化を目指して 平成 年度農林水産祭天皇杯等受賞者事例紹介 効率的な農業経営や地域住民によるむ らづくり等を行っている事例のうち そ の内容が優れており広く社会の賞賛に値 するものについては 毎年度 秋に開催 される農林水産祭式典において天皇杯等 が授与されています 1 ここでは 平成 年度の農林水産祭天皇杯等 の受賞者を紹介します 第 56 回農林水産祭天皇杯受賞者 平成 年度農林水産祭天皇杯受賞者 中山間地域での多品種栽培を活かした安定生産と周年型大規模経営の展開 じょうえつ し 農産 蚕糸部門 有限会社 経営 水稲 新潟県 上 越市 きよさと ほ さか グリーンファーム清里 代表 保坂 新潟県 かずはち 一八さん 平成 年に設立された有限会社グリーンファーム清里 は 積雪 2m を超える豪雪地帯の中山間地域で 水稲を主体に野 菜 山菜を合わせて約 137ha の経営を行っています 上越市 長野県 福島県 群馬県 栃木県 水稲では 標高差を活かした多品種栽培 適切な施肥設計等に よるコスト削減 地域内連携による農地の集約を進めています また エコファーマー認定を受けるなど環境保全型農業の実践 収穫物をロット番号で管理するトレーサビリティシステムの導入 障害者の雇用にも取り組んでいます リーダーシップで地域をけん引 平群の小菊 をトップブランドに なか お 中尾 へぐりちょう 経営 小ギク 奈良県平群町 よしてる なか お ゆ み 佳照さん 中尾 由美さん 平成元 1989 年に会社を退職し実家で就農した中尾佳照さん は 妻の由美さんとともに 小ギク約 53a の作付けを行い 品質 を評価され農林水産大臣賞を 3 回受賞しました また 奈良県農業 せい わ か 大阪府 園芸部門 三重県 平群町 奈良県 和歌山県 き 協 同 組 合 西 和 花 卉 部 会 理 事 を 22 年 連 続 で 務 め た 後 平 成 年に部会長に就任しました 規模拡大に必須となる省力機械をいち早く導入し地域への普及 を図るなど 平群町の夏秋期小ギク生産量日本一に大きく貢献し ました また 中尾夫妻は 地域で先駆けとなる家族経営協定を 締結しています 1 天皇杯等三賞の選賞は 過去 1 年間 平成 年 8 月から平成 年 7 月 の農林水産祭参加表彰行事に おいて農林水産大臣賞を受賞した 487 点の中から決定 選賞部門は 掲載の 5 部門のほか 林産部門及び水産部門を加えた 7 部門 244

271 口蹄疫のピンチをチャンスに変えて衛生レベルの高い養豚産地に復興 畜産部門 有限会社 かわみなみちょう 経営 ( 養豚 ) 宮崎県川南町かがわかがわまさひこ香川畜産 ( 代表 : 香川雅彦さん ) 養豚経営を行っていた有限会社香川畜産では 平成 22(21) 年の口蹄疫発生を受け 豚全頭の殺処分を行いました 地域から豚がいなくなったことを疾病のない状態になったと前向きに捉え 自身の養豚経営を再興しつつ 養豚産地の復興に向けて地域の養豚農家に肥育もと豚の供給を始めました 同社では 生産技術の向上に努力し 養豚の成績評価で 種雌豚 1 頭当たり年間分べん頭数 32.1 頭という全国トップクラスの結果を収めています また 女性雇用者の働きやすい職場環境の整備にも力を入れています 熊本県鹿児島県宮崎県 川南町 味で勝負する 焼き芋 販売戦略による地域活性化と農家所得の向上 なめがたし 多角化経営部門 経営 ( かんしょ ) 茨城県行方市かんしょみのわあきお JAなめがた甘藷部会連絡会 ( 代表 : 箕輪秋雄さん ) JAなめがた甘藷部会連絡会では かんしょの消費が落込む中で 手頃な値段で買え 味でも勝負できる焼き芋を作るため 良食味品種の高品質栽培技術を確立させました これによりかんしょ栽培に転換する生産者が増え 栽培面積は平成 17(25) 年の 487haから平成 27(215) 年の 7haへと拡大しました 同連絡会では 地元スーパーの店舗内に電気オーブンを設置して焼き芋販売を開始するとともに 体験型農業テーマパーク施設を建設して 6 次産業化に取り組み 地域の活性化と農家所得の向上を実現しています 栃木県行方市茨城県埼玉県千葉県 結い の心でみんなでむらづくり むらづくり部門 あむろ うけんそん 鹿児島県宇検村 ごとうきょう 阿室校区活性化対策委員会 ( 代表 : 後藤 こ恭子さん ) 小中学校の存続危機に直面した宇検村阿室校区では 集落の区長などからなる 阿室校区活性化対策委員会 を平成 21(29) 年に立ち上げ 親子山村留学の受入れを開始しました 現在の同委員会メンバーは41 人で イベントの企画 山村留学希望者との連絡調整 地域農業の活性化の3 班に分かれ 活動を行っています 同校区では平成 22(21) 年以降の8 年間で受け入れた35 世帯 79 人の移住者と地域住民の交流が図られ 校区一体となってゆ 結い の心で教育や文化継承等に取り組んでいます 鹿児島県 奄美大島 宇検村 245

272 平成 29(217) 年度農林水産祭内閣総理大臣賞受賞者 部門出品財住所氏名等 う 農産 蚕糸 産物 ( 茶 ) 京都府宇 じ治 し市 つじ辻 き喜 よはるさん 代治 なかの 園芸経営 ( ぶどう ) 長野県中野 し市 中野市農協ぶどう部会うえはらしんいち ( 代表 : 上原真一さん ) きりしまし 畜産経営 ( 肉用牛繁殖 ) 鹿児島県霧島市 株式会社 たま玉 く 牧場 ( 代表 : 久 る留 す須 しげる茂さん ) 多角化経営 経営 ( 米 麦 大豆等 ) ひがしおうみし滋賀県東近江市 うちこちょう むらづくり むらづくり活動 愛媛県内子町 くりみでざいけちょう 栗見出在家町魚のゆりかご水田協議会むらばやしまたぞう ( 代表 : 村林又藏さん ) からり直売所出荷者運営協議会たなかきょうこ ( 代表 : 田中京子さん ) 平成 29(217) 年度農林水産祭日本農林漁業振興会会長賞受賞者 部門出品財住所氏名等 とよおかし 農産 蚕糸経営 ( 大豆 ) 兵庫県豊岡市 なかのたに 中 こじま 谷農事組合法人 ( 代表 : 小島 あきのり昭則さん ) 園芸 畜産 多角化経営 経営 ( すいか メロン ) 技術 ほ場 ( 飼料生産 ) やまが 熊本県山鹿 し市 はまなかちょう北海道浜中町 経営にいがたし新潟県新潟市 ( ぶどう なし もも等 ) にほんまつし むらづくりむらづくり活動福島県二本松市 まえだまえだひろとも株式会社前田ファーム ( 代表 : 前田博智さん ) むらこし 村越 かさはら 笠原 としはるさん 敏春 せつお節夫さん むらこし 村越 かさはら 笠原 はるこ晴子さんひでこ秀子さん さととうわ 特定非営利活動法人ゆうきの里東和 むとう ふるさとづくり協議会 ( 代表 : 武藤 いちお一夫さん ) 平成 29(217) 年度農林水産祭内閣総理大臣賞受賞者 ( 女性の活躍 ) 部門出品財住所氏名等 - 女性の活躍 ( 水稲 ピーマン ) かみす 茨城県神栖 し市 はら原 のりこ範子さん 平成 29(217) 年度農林水産祭日本農林漁業振興会会長賞受賞者 ( 女性の活躍 ) 部門出品財住所氏名等 - 女性の活躍 ( 農産加工品等 ) まえばしし 群馬県前橋市 ふ富 じ士 み見 こんどう 農産物加工組合 ( 代表 : 近藤 まさこ昌子さん ) 246

273 語の解説用語の解説 目次 1. 紛らわしい用語について 基本統計用語の定義 25 (1) 農業経営体分類関係 (25 年農林業センサス以降の定義 ) 25 (2) 農家等分類関係 (199 年世界農林業センサス以降の定義 ) 25 (3) 農家経済関係 251 (4) 農家世帯員の農業労働力関係 252 (5) 新規就農者関係 ( 新規就農者調査の定義 ) 252 (6) 農業地域類型区分 253 (7) 全国農業地域区分 五十音順 アルファベット順 254 (1) 五十音順 254 (2) アルファベット順 農業 森林 水産業の多面的機能 261 (1) 農業 261 (2) 森林 261 (3) 水産業 用

274 接1. 紛らわしい用語について 紛らわしい用語について 生産額 所得 目的用語統計値 出典 国内で生産された農産物の売上げ相当額の総額を知りたいとき 農業総産出額 *1 9.2 兆円 ( 平成 28 年 ) 生産農業所得統計 国内で生産された農産物の売上げ相当額の総額から物的経費を引いた付加価値額を知りたいとき GDP( 国内総生産 ) のうち 農業が生み出した付加価値額を 他産業や外国と比較するとき 生産農業所得 農業総生産 3.8 兆円 ( 平成 28 年 ) 生産農業所得統計 5.2 兆円 ( 平成 28 年 ) 国民経済計算 農業総産出額 9.2 兆円 最終生産物の生産量 価格 経常 3.8 兆円税 生産農業所得 補助 金等 減価償却費関資材費等 ( 肥料 農薬 光熱費等 ) 物的経費 農業総生産 5.2 兆円 資材費等 ( 肥料 農薬 光熱費等 ) 農業総産出額 + 中間生産物 ( 種子 飼料作物等 )+ 農業サービス ( 選果場等 ) 農業経営体 目的用語統計値 出典 農業生産や農作業受託の事業を営む者の数を知りたいとき 農業を営む世帯数を知りたいとき 農業経営体 *2 家族経営体 *2 126 万経営体 ( 平成 29 年 ) 農業構造動態調査 122 万経営体 ( 平成 29 年 ) 農業構造動態調査 家族経営体のうち 販売用の農産物を主に生産する世帯数を知りたいとき 販売農家 *3 12 万戸 ( 平成 29 年 ) 農業構造動態調査 農業を営む会社や集落営農などの数を知りたいとき 組織経営体 *2 3 万経営体 ( 平成 29 年 ) 農業構造動態調査 *1: 用語の解説 3(1) を参照 *2: 用語の解説 2(1) を参照 *3: 用語の解説 2(2) を参照 248

275 語の解説農家 ( 世帯 ) 目的用語統計値 出典 自家消費用も含めて農業を行っている全ての世帯数を知りたいとき 農家 *1 216 万戸 ( 平成 27 年 ) 215 年農林業センサス 販売用の農産物を主に生産する世帯数を知りたいとき 販売農家 *1 12 万戸 ( 平成 29 年 ) 農業構造動態調査 農業による所得が主である 65 歳未満の世帯員がいる世帯数を知りたいとき 主業農家 *1 27 万戸 ( 平成 29 年 ) 農業構造動態調査 農業以外の兼業者がいない ( 年齢制限なし ) 世帯数を知りたいとき 専業農家 *1 38 万戸 ( 平成 29 年 ) 農業構造動態調査 農業以外の兼業者がいる世帯数 ( 年齢制限なし ) を知りたいとき 兼業農家 *1 82 万戸 ( 平成 29 年 ) 農業構造動態調査 自家消費用の農産物を主に生産する世帯数を知りたいとき 自給的農家 *1 83 万戸 ( 平成 27 年 ) 215 年農林業センサス 販売農家の世帯員 目的用語統計値 出典 年間 1 日以上自営農業に従事した世帯員数を知りたいとき 農業従事者 *2 3 万人 ( 平成 29 年 ) 農業構造動態調査 主に自営農業に従事した世帯員数を知りたいとき ( 家事や育児が主体の主婦や学生等も含む ) ふだん仕事として 主に自営農業に従事した世帯員数を知りたいとき ( 家事や育児が主体の主婦や学生等は含まない ) 農業における被雇用者 長期 (7 か月以上 ) で雇われた人数を知りたいとき 短期 ( 臨時 ) で雇われた人数を知りたいとき *1: 用語の解説 2(2) を参照 *2: 用語の解説 2(4) を参照 農業就業人口 *2 基幹的農業従事者 *2 常雇い *2 臨時雇い *2 182 万人 ( 平成 29 年 ) 農業構造動態調査 151 万人 ( 平成 29 年 ) 農業構造動態調査 目的用語統計値 出典 24 万人 ( 平成 29 年 ) 農業構造動態調査 246 万人 ( 平成 29 年 ) 農業構造動態調査 249 用

276 2. 基本統計用語の定義 (1) 農業経営体分類関係 (25 年農林業センサス以降の定義 ) 農業経営体 用語定義 農産物の生産を行うか又は委託を受けて農作業を行い (1) 経営耕地面積が 3a 以上 (2) 農作物の作付面積又は栽培面積 家畜の飼養頭羽数又は出荷羽数等 一定の外形基準以上の規模 ( 露地野菜 15a 施設野菜 35m 2 搾乳牛 1 頭等 ) (3) 農作業の受託を実施 のいずれかに該当するもの (199 年 1995 年 2 年センサスでは 販売農家 農家以外の農業事業体及び農業サービス事業体を合わせたものに相当する ) 家族経営体組織経営体単一経営経営体準単一複合経営経営体複合経営経営体 農業経営体のうち個人経営体 ( 農家 ) 及び 1 戸 1 法人 ( 農家であって農業経営を法人化している者 ) 農業経営体のうち家族経営体に該当しない者 農産物販売金額のうち 主位部門の販売金額が 8 割以上の経営体 単一経営経営体以外で 農産物販売金額のうち 主位部門の販売金額が 6 割以上 8 割未満の経営体 単一経営経営体以外で 農産物販売金額のうち 主位部門の販売金額が 6 割未満 ( 販売のなかった経営体を除く ) の経営体 (2) 農家等分類関係 (199 年世界農林業センサス以降の定義 ) 用語定義 農家 経営耕地面積が 1a 以上の農業を営む世帯又は農産物販売金額が年間 15 万円以上ある世帯 販売農家主業農家準主業農家副業的農家専業農家兼業農家第 1 種兼業農家第 2 種兼業農家自給的農家農家以外の農業事業体農業サービス事業体土地持ち非農家 経営耕地面積 3a 以上又は農産物販売金額が年間 5 万円以上の農家 農業所得が主 ( 農家所得の 5% 以上が農業所得 ) で 1 年間に 6 日以上自営農業に従事している 65 歳未満の世帯員がいる農家 農外所得が主 ( 農家所得の 5% 未満が農業所得 ) で 1 年間に 6 日以上自営農業に従事している 65 歳未満の世帯員がいる農家 1 年間に 6 日以上自営農業に従事している 65 歳未満の世帯員がいない農家 ( 主業農家及び準主業農家以外の農家 ) 世帯員の中に兼業従事者が 1 人もいない農家 世帯員の中に兼業従事者が 1 人以上いる農家 農業所得の方が兼業所得よりも多い兼業農家 兼業所得の方が農業所得よりも多い兼業農家 経営耕地面積が 3a 未満かつ農産物販売金額が年間 5 万円未満の農家 経営耕地面積が 1a 以上又は農産物販売金額が年間 15 万円以上の農業を営む世帯 ( 農家 ) 以外の事業体 委託を受けて農作業を行う事業所 ( 農業事業体を除き 専ら苗の生産及び販売を行う事業所を含む ) 農家以外で耕地及び耕作放棄地を 5a 以上所有している世帯 25

277 語の解説(3) 農家経済関係用語定義総所得農業所得 + 農業生産関連事業所得 + 農外所得 + 年金等の収入 農業所得農業生産関連事業所得農外所得生産費物財費家族労働費自己資本利子自作地地代 農業粗収益 ( 農業経営によって得られた総収益額 )- 農業経営費 ( 農業経営に要した一切の経費 ) 農業生産関連事業収入 ( 農業経営関与者が経営する農産加工 農家民宿 農家レストラン 観光農園等の農業に関連する事業の収入 )- 農業生産関連事業支出 ( 同事業に要した雇用労賃 物財費等の支出 ) 農外収入 ( 農業経営関与者の自営兼業収入 給料 俸給 )- 農外支出 ( 農業経営関与者の自営兼業支出 通勤定期代等 ) 農産物を生産するために消費した費用合計 ( 物財費と労働費 ) から副産物価額を控除したもの 農産物を生産するために消費した流動財費 ( 種苗費 肥料費 農業薬剤費 光熱動力費 その他の諸材料費等 )+ 固定財 ( 建物 自動車 農機具 生産管理機器の償却資産 ) の減価償却費 家族労働時間に 毎月勤労統計調査 ( 厚生労働省 ) の 建設業 製造業 及び 運輸業 郵便業 に属する 5 人から 29 人規模の事業所における賃金データ ( 都道府県単位 ) を基に算出した単価を乗じて評価したもの 総資本額から借入資本額を差し引いた自己資本額に年利 4% を乗じて算出したもの その地方の類地 ( 調査対象作物の作付地と地力等が類似している作付地 ) の小作料で評価したもの 251 用

278 (4) 農家世帯員の農業労働力関係 主に仕だんの主な状態の他(農業に のみ従事 農業との関わり 農業とその他の両方に従事農業その他が主ふ基幹的農業事従事者 (1) (2) 家事 通学等)常雇い 農業就業人口 農業従事者そ(3) 農業には従事していない 世帯員 原則として住居と生計を共にする者 (1) 基幹的農業従事者自営農業に主として従事した世帯員 ( 農業就業人口 ) のうち ふだんの主な状態が 主に仕事 ( 農業 ) である者 (2) 農業就業人口自営農業のみに従事した者又は自営農業以外の仕事に従事していても年間労働日数で自営農業が多い者 (3) 農業従事者 15 歳以上の世帯員で年間 1 日以上自営農業に従事した者 農業専従者農業従事者のうち自営農業に従事した日数が 15 日以上の者 主として農業経営のために雇った人で 雇用契約 ( 口頭の契約でもかまわない ) に際し あらかじめ 7 か月以上の期間を定めて雇った人 ( 期間を定めずに雇った人を含む ) のことをいう 臨時雇い 日雇い 季節雇いなど農業経営のために臨時雇いした人で 手間替え ゆい ( 労働交換 ) 手伝い ( 金品の授受を伴わない無償の受入れ労働 ) を含む なお 農作業を委託した場合の労働は含まない また 主に農業経営以外の仕事のために雇っている人が農繁期などに農業経営のための農作業に従事した場合や 7 か月以上の契約で雇った人がそれ未満で辞めた場合を含む (5) 新規就農者関係 ( 新規就農者調査の定義 ) 就農の形態 学生他に雇われて勤務が主家事 育児 その(3) 農前の主な状態他252 自営農業への従事が主 新規自営農業就農者 (1) 新規学卒就農者 法人等に常雇いとして雇用 新規雇用就農者 (2) 新たに農業 経営を開始 新規参入者 新規就農者 次のいずれかに該当する者 (1) 新規自営農業就農者家族経営体の世帯員で 調査期日前 1 年間の生活の主な状態が 学生 又は 他に雇われて勤務が主 から 自営農業への従事が主 になった者 (2) 新規雇用就農者調査期日前 1 年間に新たに法人等に常雇い ( 年間 7 か月以上 ) として雇用され 農業に従事した者 (3) 新規参入者調査期日前 1 年間に土地や資金を独自に調達し 新たに農業経営を開始した経営の責任者及び共同経営者 新規学卒就農者新規自営農業就農者で 学生 から 自営農業への従事が主 になった者及び新規雇用就農者で雇用される直前に学生であった者就

279 語の解説(6) 農業地域類型区分 用語定義 農業地域類型区分 地域農業の構造を規定する基盤的な条件 ( 耕地や林野面積の割合 農地の傾斜度等 ) に基づき市区町村及び旧市区町村を区分したもの 区分基準指標 ( 下記のいずれかに該当するもの ) 都市的地域 平地農業地域 中間農業地域 可住地に占める DID 面積が 5% 以上で 人口密度 5 人 /km 2 以上又は DID 人口 2 万人以上の市区町村及び旧市区町村 可住地に占める宅地等率が 6% 以上で 人口密度 5 人 /km 2 以上の市区町村及び旧市区町村 ただし 林野率 8% 以上のものは除く 耕地率 2% 以上かつ林野率 5% 未満の市区町村及び旧市区町村 ただし 傾斜 2 分の 1 以上の田と傾斜 8 度以上の畑との合計面積の割合が 9% 以上のものを除く 耕地率 2% 以上かつ林野率 5% 以上で 傾斜 2 分の 1 以上の田と傾斜 8 度以上の畑の合計面積の割合が 1% 未満の市区町村及び旧市区町村 耕地率が 2% 未満で 都市的地域 及び 山間農業地域 以外の市区町村及び旧市区町村 耕地率が 2% 以上で 都市的地域 及び 平地農業地域 以外の市区町村及び旧市区町村 山間農業地域 林野率 8% 以上かつ耕地率 1% 未満の市区町村及び旧市区町村 注 :1) 決定順位 : 都市的地域 山間農業地域 平地農業地域 中間農業地域 2)DIDとはDensely Inhabited Districtの略で人口集中地区のこと 原則として人口密度が4 千人 /km 2 以上の国勢調査基本単位区等が市区町村内で互いに隣接して それらの隣接した地域の人口が5 千人以上を有する地区をいう 3) 傾斜は1 筆ごとの耕作面の傾斜ではなく 団地としての地形上の主傾斜をいう 4) 農業地域類型区分の 中間農業地域 と 山間農業地域 を合わせた地域を 中山間地域 という 5) 旧市区町村とは 昭和 25(195) 年 2 月 1 日時点での市区町村をいう (7) 全国農業地域区分 全国農業地域名 所属都道府県名 全国農業地域名 所属都道府県名 北海道北海道近畿 東 北 青森 岩手 宮城 秋田 山形 福島 中 山山 国陰陽 滋賀 京都 大阪 兵庫 奈良 和歌山 鳥取 島根岡山 広島 山口 北陸新潟 富山 石川 福井四国徳島 香川 愛媛 高知 関 東 東 山 北 関 東 南 関 東 東 山 茨城 栃木 群馬埼玉 千葉 東京 神奈川山梨 長野 九 州 北 九 州 南九州 東海岐阜 静岡 愛知 三重沖縄沖縄 福岡 佐賀 長崎 熊本 大分宮崎 鹿児島 253 用

280 3. 五十音順 アルファベット順 (1) 五十音順 あ 遺伝資源 植物 動物 微生物等あらゆる生物に由来する素材であって 現実の 又は潜在的な価値を有するもの 例えば 植物では品種改良の素材として活用される作物 ( 最新の品種のみならず 古い品種や有用性がはっきりしないが潜在的に利用可能と思われるものも含む ) インポート トレランス エコフィード (ecofeed) 温室効果ガス 輸入国 地域が自国等での登録がないため残留基準値を持たない農薬について これを使用した農産物を輸入するために設定する残留基準値 食品残さ等を有効活用した飼料のこと 環境にやさしい (ecological) や節約する (economical) 等を意味するエコ (eco) と飼料を意味するフィード (feed) を併せた造語 地面から放射された赤外線の一部を吸収 放射することにより地表を暖める働きがあるとされるもの 京都議定書では 二酸化炭素 (CO 2 ) メタン (CH 4 水田や廃棄物最終処分場等から発生 ) 一酸化二窒素 (N 2 O 一部の化学製品原料製造の過程や家畜排せつ物等から発生 ) ハイドロフルオロカーボン類 (HFCs 空調機器の冷媒等に使用 ) パーフルオロカーボン類 (PFCs 半導体の製造工程等で使用 ) 六ふっ化硫黄 (SF 6 半導体の製造工程等で使用 ) 三ふっ化窒素 (NF 3 半導体の製造工程等で使用 第二約束期間から追加 ) を温室効果ガスとして削減の対象としている か 家族経営協定 換地 キャトル ブリーディング ステーション (CBS) 供給熱量 ( 摂取熱量 ) 家族で営農を行っている農業経営において 家族間の話合いを基に経営計画 各世帯員の役割 就業条件等を文書にして取り決めたものをいう 家族農業経営においても 効率的 安定的な経営を目指すためには 経営に携わる構成員の役割 就業条件等の明確化を図っていくことが重要である この協定により 女性や後継者等の農業に従事する世帯員の役割が明確化され 農業者年金制度等の支援対象となるほか 認定農業者制度の共同申請の活用等が可能となる 区画整理や農用地の造成等の農用地の区画形質を変更する事業の実施に伴い 換地処分により 工事前の土地 ( 従前の土地 ) とみなされる土地として定められる土地をいう 換地処分とは 区画整理 農用地の造成等の実施による農用地の区画形質の変更に伴い 工事前の土地 ( 従前の土地 ) に対しその土地に代わる工事後の新たな土地 ( 換地 ) を定め 一定の法手続を経た後 当該換地を工事前の土地 ( 従前の土地 ) とみなす行政処分をいう 繁殖経営で多くの時間を費やす 繁殖雌牛の分べん 種付けや子牛のほ育 育成を集約的に行う組織 なお キャトル ステーション (CS) は 繁殖経営で生産された子牛のほ育 育成を集約的に行う組織であり 繁殖雌牛の預託を行う場合もある 食料における供給熱量とは国民に対して供給される総熱量をいい 摂取熱量とは国民に実際に摂取された総熱量をいう 一般には 前者は農林水産省 食料需給表 後者は厚生労働省 国民健康 栄養調査 の数値が用いられる 両者の算出方法は全く異なることに留意する必要があるが 供給熱量は流通段階も含めて廃棄された食品や食べ残された食品も含まれているため これと摂取熱量との差は 食品産業において加工工程でやむを得ず発生する食品残さを含めた廃棄分や家庭での食べ残し等のおおよその目安とされる 254

281 語の解説コーデックス 委員会 高病原性鳥インフルエンザ 荒廃農地 国内総生産 (GDP) さ 作況指数 持続可能な開発目標 (SDGs) 集落営農 食料安全保障 消費者の健康の保護 食品の公正な貿易の確保等を目的として 昭和 38 (1963) 年に国連食糧農業機関 (FAO) 及び世界保健機関 (WHO) により設置された国際的な政府間機関 国際食品規格の策定等を行っている 我が国は昭和 41(1966) 年から同委員会に加盟 鳥インフルエンザのうち 家きんを高い確率で致死させるもの 家きんがこのウイルスに感染すると 神経症状 呼吸器症状 消化器症状等全身症状をおこし 大量に死ぬ なお 我が国ではこれまで 鶏卵 鶏肉を食べることにより人が感染した例は報告されていない 現に耕作に供されておらず 耕作の放棄により荒廃し 通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている農地 国内において一定期間 ( 通常 1 年間 ) に生産された財貨 サービスの付加価値額の総計のことで 国内の経済活動の水準を表す指標となる GDP は Gross Domestic Product の略 米の作柄の良否を表す指標で その年の 1a 当たり平年収量に対する 1a 当たり ( 予想 ) 収量の比率で表す 1a 当たり平年収量は 作物の栽培を開始する以前に その年の気象の推移や被害の発生状況等を平年並みとみなし 最近の栽培技術の進歩の度合いや作付変動等を考慮し 実収量のすう勢を基に作成したその年に予想される 1a 当たり収量をいう 平成 27(215) 年 9 月の国連サミットにおいて全会一致で採択された 23 年を期限とする国際社会全体の開発目標 飢餓や貧困の撲滅 経済成長と雇用 気候変動など包括的な 17 の目標を設定 法的な拘束力はなく 各国の状況に応じた自主的な対応が求められる 我が国では 平成 28(216) 年 5 月に SDGs の実施のために閣議決定で 持続可能な開発目標 (SDGs) 推進本部 を設置 同年 12 月に SDGs 実施のための我が国のビジョンや優先課題などを掲げた 持続可能な開発目標 (SDGs) 実施指針 を 平成 29(217) 年 12 月には我が国の SDGs モデルの発信に向けた方向性や主要な取組を盛り込んだ SDGs アクションプラン 218 を同本部で決定 SDGs は Sustainable Development Goals の略 集落等地縁的にまとまりのある一定の地域内の農家が農業生産を共同して行う営農活動をいう 転作田の団地化 共同購入した機械の共同利用 担い手が中心となって取り組む生産から販売までの共同化等 地域の実情に応じてその形態や取組内容は多様である 我が国における食料安全保障については 食料 農業 農村基本法において 国民が最低限度必要とする食料は 凶作 輸入の途絶等の不測の要因により国ひっぱくひっぱく内における需給が相当の期間著しく逼迫し 又は逼迫するおそれがある場合においても 国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に著しい支障を生じないよう 供給の確保が図られなければならない とされている 他方 世界における食料安全保障 (Food Security) については 国連食糧農業機関 (FAO) で 全ての人が いかなる時にも 活動的で健康的な生活に必しこう要な食生活上のニーズと嗜好を満たすために 十分で安全かつ栄養ある食料を 物理的にも経済的にも入手可能であるときに達成されるとされている また 食料安全保障には4つの要素があり 適切な品質の食料が十分に供給されているか ( 供給面 ) 栄養ある食料を入手するための合法的 政治的 経済的 社会的な権利を持ちうるか ( アクセス面 ) 安全で栄養価の高い食料を摂取できるか( 利用面 ) いつ何時でも適切な食料を入手できる安定性があるか( 安定面 ) とされている 255 用

282 国内の食料消費が 国内の農業生産でどの程度賄えているかを示す指標 品目別自給率 : 以下算定式により 各品目における自給率を重量ベースで算出 食料自給率の算定式 品目別自給率 = 国内生産量 国内消費仕向量 = 国内生産量 国内生産量 + 輸入量 - 輸出量 ± 在庫増減 食料自給率 食料自給力 戦略的イノベーション創造プログラム (SIP) 総合化事業計画 総合食料自給率 : 食料全体における自給率を示す指標として 供給熱量ベース 生産額ベースの 2 通りの方法で算出 畜産物については 国産であっても輸入した飼料を使って生産された分は 国産には算入していない 供給熱量ベースの総合食料自給率 : 日本食品標準成分表 215 に基づき 重量を供給熱量 ( カロリー ) に換算した上で 各品目を足し上げて算出 これは 1 人 1 日当たり国産供給熱量を 1 人 1 日当たり供給熱量で除したものに相当 生産額ベースの総合食料自給率 : 農業物価統計の農家庭先価格等に基づき 重量を金額に換算した上で 各品目を足し上げて算出 これは 食料の国内生産額を食料の国内消費仕向額で除したものに相当 飼料自給率 : 畜産物に仕向けられる飼料のうち 国内でどの程度賄われているかを示す指標 日本標準飼料成分表 等に基づき TDN( 可消化養分総量 ) に換算した上で 各飼料を足し上げて算出 国内農林水産業生産による食料の潜在生産能力を示す概念 その構成要素は 農産物は農地 農業用水等の農業資源 農業技術 農業就業者 水産物は潜在的生産量と漁業就業者 食料自給力指標農地等を最大限活用することを前提に 生命と健康の維持に必要な食料の生産を以下 4 パターンに分けた上で それらの熱量効率が最大化された場合の国内農林水産業生産による 1 人 1 日当たり供給可能熱量を示したもの 1 栄養バランスを一定程度考慮して 主要穀物 ( 米 小麦 大豆 ) を中心に熱量効率を最大化して作付けする場合 ( パターン A) 2 主要穀物 ( 米 小麦 大豆 ) を中心に熱量効率を最大化して作付けする場合 ( パターン B) 3 栄養バランスを一定程度考慮して いも類を中心に熱量効率を最大化して作付けする場合 ( パターン C) 4 いも類を中心に熱量効率を最大化して作付けする場合 ( パターン D) 内閣府に設置されている総合科学技術 イノベーション会議が 府省 分野の枠を超えて自ら予算配分して 基礎研究から出口 ( 実用化 事業化 ) までを見据えた取組を推進するためのプログラム SIP は Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program の略 地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律 ( 六次産業化 地産地消法 ) に基づき 農林漁業経営の改善を図るため 農林漁業者等が農林水産物や副産物 ( バイオマス等 ) の生産とその加工又は販売を一体的に行う事業活動に関する計画 た 地産地消 国内の地域で生産された農林水産物 ( 食用に供されるものに限る ) を その生産された地域内において消費する取組 食料自給率の向上に加え 直売所や加工の取組などを通じて 6 次産業化にもつながるもの 256

283 語の解説畜産クラスター ちょくはん 直播栽培 ( 水稲 ) な 中食 認定農業者 ( 制度 ) 農業集落 農業水利施設 農業総産出額 農村地域の関連所得 農地の集積 集約化 は バイオマス 畜産農家と地域の畜産関係者 ( コントラクター等の外部支援組織 流通加工業者 農業団体 行政等 ) が連携し クラスター ( ぶどうの房 ) のように 一体的に結集することで 畜産の収益性を地域全体で向上させるための取組 たねもみはしゅ稲の種籾を直接田に播種する栽培方法で 慣行栽培 ( 移植栽培 ) で必要な育苗や移植の作業を省略できる 播種の仕方等により様々な方法があるが 大別するたんすいと 耕起 代かき後の水を張った水田に播種する湛水直播栽培と 水を張っていない状態の田に播種する乾田直播栽培がある レストラン等へ出かけて食事をする 外食 と 家庭内で手づくり料理を食べる 内食 の中間にあって 市販の弁当や総菜 家庭外で調理 加工された食品を家庭や職場 学校等で そのまま ( 調理加熱することなく ) 食べること これら食品 ( 日持ちしない食品 ) の総称としても用いられる 農業経営基盤強化促進法に基づき 市町村が地域の実情に即して効率的 安定的な農業経営の目標等を内容とする基本構想を策定し この目標を目指して農業者が作成した農業経営改善計画を認定する制度 認定農業者に対しては スーパー L 資金等の低利融資制度 農地流動化対策 担い手を支援するための基盤整備事業等の各種施策を実施 市町村の区域の一部において 農作業や農業用水の利用を中心に 家と家とが地縁的 血縁的に結び付いた社会生活の基礎的な地域単位のこと 農業水利施設の維持管理 農機具等の利用 農産物の共同出荷等の農業生産面ばかりでなく 集落共同施設の利用 冠婚葬祭 その他生活面に及ぶ密接な結び付きの下 様々な慣習が形成されており 自治及び行政の単位としても機能している 農地へのかんがい用水の供給を目的とするかんがい施設と 農地における過剰な地表水及び土壌水の排除を目的とする排水施設に大別される かんがい施設にせきは ダム等の貯水施設や 取水堰等の取水施設 用水路 揚水機場 分水工 ファームポンド等の送水 配水施設があり 排水施設には 排水路 排水機場等がある このほか かんがい施設や排水施設の監視や制御 操作を行う水管理施設がある 農業生産活動による最終生産物の総産出額であり 農産物の品目別生産量から 二重計上を避けるために 種子 飼料等の中間生産物を控除した数量に 当該品目別農家庭先価格を乗じて得た額を合計したもの 農村の地域資源を活用した 農林漁業者による生産 加工 販売の一体化や 農林水産業と食品産業 医療 福祉産業 観光業等の 2 次 3 次産業との連携による取組のうち 特に 今後成長が期待できる 7 分野 ( 加工 直売 輸出 都市と農山漁村の交流 医福食農連携 地産地消 ( 施設給食等 ) ICT 活用 流通 バイオマス 再生可能エネルギー ) を対象に 一定の前提を置きつつ算出したもの 農地の 集積 とは 農地を所有し 又は借り入れること等により 利用する農地面積を拡大することをいう 農地の 集約化 とは 農地の利用権を交換すること等により 農作業を連続的に支障なく行えるようにすることをいう 動植物に由来する有機性資源で 化石資源を除いたものをいう バイオマスは 地球に降り注ぐ太陽のエネルギーを使って 無機物である水と二酸化炭素から 生物が光合成によって生成した有機物であり ライフサイクルの中で 生命と太陽エネルギーがある限り持続的に再生可能な資源である 257 用

284 ハラール認証 バリューチェーン ビッグデータ 人 農地プラン その食品が イスラムの法に基づいて食べることを許された食品であることを確認 認証する仕組み 生産から加工 流通 販売に至るまで 各事業が有機的につながり それぞれの工程で付加価値を生み出していくプロセスのこと インターネット等を通した位置情報 行動履歴などから得られる膨大なデータのことで リアルタイム性があるもの 近年 このデータを高速かつ簡単に分析できる技術が登場したことで ビジネスや社会に有用な知見を得たり 新たな仕組みやシステムを生み出す可能性が高まるとされている 政府や公共団体が保有している公共情報 ( オープンデータ ) もビッグデータの一つ 地域農業の課題を解決するため 地域農業者による徹底した話合いの結果をまとめたもの 毎年 見直しを行い 地域農業の 未来の設計図 として活用する や 遊休農地 農地法第 32 条第 1 項各号のいずれかに該当するもので 現に耕作の目的に供されておらず かつ 引き続き耕作の目的に供されないと見込まれる農地 ( 第 1 号 ) その農業上の利用の程度がその周辺の地域における農地の利用の程度に比し著しく劣っていると認められる農地 ( 第 2 号 ) ら 6 次産業化 農林漁業者等が必要に応じて農林漁業者等以外の者の協力を得て主体的に行う 1 次産業としての農林漁業と 2 次産業としての製造業 3 次産業としての小売業等の事業との総合的かつ一体的な推進を図り 地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取組 わ 和食 ; 日本人の伝統的な食文化 平成 25(213) 年 12 月 和食 ; 日本人の伝統的な食文化 がユネスコの無形文化遺産に登録された この 和食 は 自然の尊重 という日本人の精神を体現した食に関する 社会的慣習 であり 1 新鮮で多様な食材とその持ち味の尊重 2 健康的な食生活を支える栄養バランス 3 自然の美しさや季節の移ろいを表現した盛り付け 4 正月行事などの年中行事との関わりという特徴を持つ 日本人全体が担い手としてその保護 継承を推進することとしている 258

285 語の解説(2) アルファベット順 A AI Artificial Intelligence の略で人工知能のこと 学習 推論 判断といった人間の知能の持つ機能を備えたコンピュータシステム ASEAN ASIAGAP B BCP D DMO E EPA/FTA G GAP GFSI GLOBAL G.A.P. Association of South-East Asian Nations の略で東南アジア諸国連合のこと 昭和 42(1967) 年 東南アジアにおける経済成長や社会 文化的発展の促進 政治 経済的安定の確保 その他諸問題に関する協力を目的として タイのバンコクにおいて設立された 設立当初は インドネシア マレーシア フィリピン シンガポール タイの 5 か国が加盟 その後 ブルネイ ( 昭和 59(1984) 年加盟 ) ベトナム ( 平成 7(1995) 年加盟 ) ラオス ミャンマー ( 平成 9 (1997) 年加盟 ) カンボジア ( 平成 11(1999) 年加盟 ) が加わり 1 か国となっている また 平成 9(1997) 年のアジア通貨危機を契機に 我が国 中国 韓国の 3 か国が加わり 東アジアで地域協力をする ASEAN+3 の枠組みも進められている JGAP/ASIAGAP を参照 Business Continuity Plan の略で災害などのリスクが発生したときに重要業務が中断しないための計画のこと また 万一 事業活動が中断した場合でも 目標復旧時間内に重要な機能を再開させ 業務中断に伴うリスクを最低限にするために 平時から事業継続について戦略的に準備しておく計画 Destination Management Organization の略 観光地域づくりの舵取り役として 多様な関係者と協同して明確なコンセプトに基づいた地域の戦略を策定するとともに 戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人 EPA は Economic Partnership Agreement の略で経済連携協定 FTA は Free Trade Agreement の略で自由貿易協定のこと 物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減 撤廃することを目的として特定国 地域の間で締結される協定を FTA という FTA の内容に加え 投資ルールや知的財産の保護等も盛り込み より幅広い経済関係の強化を目指す協定を EPA という 関税及び貿易に関する一般協定 (GATT) 等においては 最恵国待遇の例外として 一定の要件 ((1) 実質上のすべての貿易 について 関税その他の制限的通商規則を廃止 すること (2) 廃止は 妥当な期間内 ( 原則 1 年以内 ) に行うこと (3) 域外国に対して関税その他の通商障壁を高めないこと等 ) の下 特定の国々の間でのみ貿易の自由化を行うことも認められている ( 関税及び貿易に関する一般協定 (GATT) 第 24 条他 ) Good Agricultural Practice の略で農業において 食品安全 環境保全 労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取組のこと Global Food Safety Initiative の略で世界食品安全イニシアティブのこと グローバルに展開する食品事業者が集まり 食品安全の向上と消費者の信頼強化に向け様々な取組を行う機関 平成 12(2) 年 5 月に The Consumer Goods Forum(CGF: 世界 7 か国 約 4 社のメーカー 小売業者 サービス プロバイダーによる国際的な組織 ) の下部組織として発足 ドイツの Food PLUS GmbH が策定した第三者認証の GAP 青果物及び水産養殖に関して GFSI 承認を受けており 主に欧州で普及 259 用

286 GPS Global Positioning System の略で人工衛星を使い 全世界どこにいても現在位置を正確に割り出すことができる測位システムのこと 農業分野では GPS を活用した無人走行トラクタなどの開発が進められている H HACCP Hazard Analysis and Critical Control Point の略で危害要因分析 重要管理点のこと 原料受入れから最終製品までの各工程で 微生物による汚染 金属の混入等の危害の要因を予測 ( 危害要因分析 :Hazard Analysis) した上で 危害の防止につながる特に重要な工程 ( 重要管理点 :Critical Control Point 例えば加熱 殺菌 金属探知機による異物の検出等の工程 ) を継続的に監視 記録する工程管理のシステム I IoT Internet of Things の略でモノのインターネットのこと 世の中に存在する様々なモノがインターネットに接続され 相互に情報をやり取りして 自動認識や自動制御 遠隔操作などを行うこと J JGAP/ ASIAGAP N NPO/ NPO 法人 O OIE T TMR センター W WCS 用稲 WTO 一般財団法人日本 GAP 協会が策定した第三者認証の GAP JGAP の対象は青果物 穀物 茶 家畜 畜産物 ASIAGAP の対象は青果物 穀物 茶 なお ASIAGAP は GFSI の承認による国際規格となることを目指すスキームであり 平成 29(217) 年 11 月に 同協会が GFSI に承認申請を実施 Non Profit Organization の略で非営利団体のこと 様々な社会貢献活動を行い 団体構成員に対し収益を分配することを目的としない団体の総称である 様々な分野 ( 福祉 教育 文化 まちづくり 環境 国際協力等 ) で 社会の多様化したニーズに応える重要な役割を果たすことが期待されている NPO のうち 特定非営利活動促進法に基づき法人格を取得したものを特定非営利活動法人といい 銀行口座の開設や事務所の賃借等を法人名で行うことができる フランス語の Office International des Epizooties の略 英語では World Organisation for Animal Health の略で 国際獣疫事務局のこと 大正 14 (1924) 年に発足した動物衛生の向上を目的とした政府間機関で 181 の国と地域が加盟 ( 平成 3(218) 年時点 ) 我が国は昭和 5(193) 年に加盟 動物衛生 食品安全 アニマルウェルフェアなどの分野を作業対象とし 取扱動物は 哺乳類 鳥類 蜂 魚類 甲殻類 軟体動物 両生類及び爬虫類 TMR は Total Mixed Ration の略で粗飼料 濃厚飼料 添加物等をバランス良く混合した牛の飼料のこと TMR センターは TMR を製造し 畜産農家に供給する組織 WCS は Whole Crop Silage の略で実と茎葉を一体的に収穫し 乳酸発酵させた飼料のこと WCS 用稲は WCS として家畜に給与する目的で栽培する稲のことで 水田の有効活用と飼料自給率の向上に資する World Trade Organization の略で世界貿易機関のこと ウルグアイ ラウンド合意を受け 関税及び貿易に関する一般協定 (GATT) の枠組みを発展させるものとして 平成 7(1995) 年 1 月に発足した国際機関 本部はスイスのジュネーブにあり 貿易障壁の除去による自由貿易推進を目的とし 多角的貿易交渉の場を提供するとともに 国際貿易紛争を処理する 26

287 語の解説4. 農業 森林 水産業の多面的機能 (1) 農業 雨水の保水 貯留による洪水防止機能 けいはん畦畔に囲まれている水田や 耕された畑の土壌に雨水を一時的に貯留することで洪水を防止 軽減する機能 土砂崩壊防止機能 土壌侵食防止機能 かんよう 水源涵養機能 水質浄化機能 有機性廃棄物分解機能 気候緩和機能 生物多様性保全機能 良好な景観の形成機能 文化の伝承機能 (2) 森林 生物多様性保全機能 地球環境保全機能 土砂災害防止機能 / 土壌保全機能 かんよう 水源涵養機能 快適環境形成機能 保健 レクリエーション機能 文化機能 物質生産機能 傾斜地農地において 農業の生産活動を通じて農地の崩壊を初期段階で発見し補修することにより 斜面の崩壊を未然に防ぐ機能 また 田畑を耕作することで 雨水を地下にゆっくりと浸透させ 地下水位が急上昇することを抑え 地すべりを防止する機能 水田に水が張られたり 田畑の作物の葉や茎により雨水や風による土壌の侵食を防ぐ機能 水田で利用される農業用水や雨水が地下に浸透し 時間をかけて河川に還かんよう元されるとともに より深く地下に浸透した水が流域の地下水を涵養する機能 水田や畑の水中や土中の微生物が水中の有機物を分解し 作物が窒素を吸収するほか 微生物の働きにより窒素分を取り除き 水質を浄化する機能 水田や畑の土の中で バクテリア等の微生物が家畜排せつ物や生ごみ等から作った堆肥を更に分解し 再び農作物が養分として吸収する機能 農地で栽培される作物の蒸発散によって熱を吸収し気温を下げることや水田の水面からの蒸発により気温が低下する機能 水田 畑等が適切かつ持続的に管理されることによって 植物や昆虫 動物等の豊かな生態系をもつ二次的な自然が形成 維持され 生物の多様性が確保される機能 農業の営みを通じ 農地と農家の家屋 その周辺の水辺や里山等が一体となった良好な農村の景観を形成する機能 日本の年中行事や祭事の多くは 豊作を祈る祭事等に由来しており このような行事や地域独自の祭り等の文化を 農業活動を通じて伝承する機能 多くの野生動植物が生息 生育するなど 遺伝子や生物種 生態系の多様性を保全する機能 温暖化の原因である二酸化炭素の吸収や蒸発散作用により 地球規模で自然環境を調節する機能 森林の下層植生や落枝落葉が地表の侵食を抑制するとともに 森林の樹木が根を張りめぐらすことによって土砂の崩壊を防止する機能 森林の土壌が雨水を貯留し 河川へ流れ込む水の量を平準化して洪水を緩和するとともに 川の流量を安定させる機能 じんあいの 蒸発散作用等による気候緩和や 防風や防音 樹木の樹冠による塵埃吸着やヒートアイランド現象の緩和等により 快適な環境を形成する機能 フィトンチッドに代表される樹木からの揮発性物質により直接的な健康増進効果や 行楽やスポーツの場を提供する機能 森林景観が 伝統文化伝承の基盤として日本人の自然観の形成に大きく関わるとともに 森林環境教育や体験学習の場を提供する機能 木材のほか 各種の抽出成分 きのこ等を生産する機能 261 用

288 (3) 水産業 漁獲によるチッソ リン循環の補完機能 海域環境の保全機能 水質浄化機能 生態系保全機能 伝統漁法等の伝統的文化を継承する機能 海難救助機能 災害救援機能 海域環境モニタリング機能 国境監視機能 交流等の場を提供する機能 適度な漁獲によって 食物連鎖によって海の生物に取り込まれたチッソ リンを陸上へと回収し チッソ リンの循環を補完する機能 カキやアサリ等の二枚貝類が 海水をろ過し プランクトンや有機懸濁物を餌とすることで海水を浄化するなど 海域環境を保全する機能 干潟 藻場及びそこに生育 生息する動植物が 水中の有機物を分解し 栄養塩類や炭酸ガスを吸収し 酸素を供給するなど海水を浄化する機能 適切な水産業の営みにより多くの水生生物に生息 生育の場を提供する干潟や藻場等の生態系が保全される機能 漁村の人々の営みを通じて 伝統漁法等の伝統的文化を継承する機能 沈没 転覆 座礁 漂流 衝突 火災等船が航海中に起こる海難事故の発生時に 漁業者が行う救助活動 震災やタンカー事故等災害時の 漁業者が行う物資輸送や流出油の回収等の救援機能 赤潮 青潮やクラゲの大量発生等の漁業者による早期発見等 海域環境の異変の監視機能 貴重な水産資源の密漁監視活動を通じて 密輸や密入国の防止等国益を守る機能 海洋性レクリエーション等のリフレッシュの場 自然の大切さを学べる交流の場を提供する機能 262

289

290 主な分野横断的テーマ インデックス 輸出 1. 中心となる記述部分 第 1 章第 2 節グローバルマーケットの戦略的な開拓 (1) 農林水産物 食品の輸出促進 (P.49) 2. その他の記述部分 特集 次世代を担う若手農業者の姿 ~ 農業経営の更なる発展に向けて~ 2 若手農業者向けアンケート結果の分析 (1) 農業 農業施策に対する考え ( 農家の経営主 世帯員 + 法人役員 + 農家 法人の雇用 者 :1,885 人 ) ア 我が国農業の在り方 ( 国内だけでなく海外にも目を向けるべき との回答は35.1%)(P.9) トピックス1 産出額が2 年連続増加の農業 更なる発展に向け海外も視野に ( 専ら国内需要を念頭に置く農業生産から 世界需要も視野に入れた農業生産へ )(P.28) トピックス2 日 EU EPA 交渉の妥結と対策 2 合意内容 (P.3) 3 総合的なTPP 関連政策大綱の改訂 (P.33) トピックス3 明治 15 年 関連施策テーマ我が国の近代化に大きく貢献した養蚕 (P.35) 第 1 章第 1 節 食料自給率と食料自給力指標 (1) 食料自給率の目標と動向 ( 長期的には低下傾向で 近年は一定の範囲で推移 )(P.45) 第 1 章第 2 節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 (2) 日本食 食文化の海外展開と規格 認証 知的財産の活用等 (P.57) 第 1 章第 3 節 世界の食料需給と食料安全保障の確立 (3) 農産物の貿易交渉 (P.73) 第 1 章第 6 節 食品産業の動向 事例 農業者が店舗や価格を決定できる小売店向け販売の仕組み( 全国 )(P.95) 第 2 章第 1 節 農業の構造改革の推進 (4) 人材力の強化 ( 高い農業技術や経営管理能力を持つ人材の育成が期待される農業大学校 )(P.119) 第 2 章第 3 節 主要農畜産物の生産等の動向 (2) 米 ( 平成 29 年 12 月 米粉製品の認証制度がスタート )(P.149) (6) 果実 ( 食の簡便化等が進む中 良食味果実に加え 原材料に適した果実の生産も重要 )(P.154) (7) 花き ( 優れた特徴を持つ品種や高品質な花きを生産し 輸入品との差別化を図ることが重要 ) (P.156) (8) 茶 ( 優良品種への改植による茶園の若返りと需要に応じた生産体制の強化が重要 )(P.158) (11) 畜産物 ( 牛肉の増産に向けて 子牛育成部門の外部化による繁殖雌牛の増頭等が重要 )(P.163) 第 2 章第 5 節 気候変動への対応等の環境政策の推進 (2) 環境保全に配慮した農業の推進 ( 有機認証を受けた茶 こんにゃく 梅加工品の輸出が急増 )(P.183) ( 産学官によるプラットフォームに 戦略会議やプロジェクトが設置 )(P.185) 264

291 第 3 章第 2 節中山間地域の農業の活性化 事例 集落の体制を整備し 都市住民との交流や 6 次産業化を展開 ( 福島県 )(P.2) GAP 1. 中心となる記述部分 第 1 章第 2 節グローバルマーケットの戦略的な開拓 (2) 日本食 食文化の海外展開と規格 認証 知的財産の活用等イ規格 認証 知的財産の活用 (P.59) 2. その他の記述部分 第 2 章第 1 節農業の構造改革の推進 (4) 人材力の強化 事例 農業大学校として全国初のGLOBALG.A.P. 認証取得 ( 新潟県 )(P.12) (6) 農業金融 事例 農業向け融資の拡大により 地域農業の発展を目指す銀行( 滋賀県 )(P.13) 第 2 章第 4 節生産現場の競争力強化等の推進 (3) 農作業安全対策の推進 ( 農業者に応じた効果的な取組を進める 農作業安全リスクカルテ が完成 )(P.179) 第 4 章第 1 節東日本大震災からの復旧 復興 (2) 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響と復旧 復興イ風評の払拭に向けた取組等 (GAP 認証の取得日本一を目指す ふくしま GAPチャレンジ宣言 )(P.236) 6 次産業化 1. 中心となる記述部分 第 1 章第 7 節農林水産物 食品の新たな需要の開拓 (1)6 次産業化と地産地消 (P.11) 2. その他の記述部分 特集次世代を担う若手農業者の姿 ~ 農業経営の更なる発展に向けて~ 2 若手農業者向けアンケート結果の分析 (2) 経営者の農業経営に対する考え ( 農家の経営主 + 法人役員 :1,58 人 ) ウ今後伸ばしていきたい方向 ( ウ ) 関連事業 ( 農産物の加工 販売 が49.7% で最高 )(P.17) 第 2 章第 1 節農業の構造改革の推進 (1) 農業所得の動向 (1 経営体当たりの農業所得は直近 5 年間で最高を記録 )(P.18) 第 3 章第 1 節農村地域の現状と地方創生に向けた動き ( 農山漁村での仕事づくりに向け 農村産業法等が施行 )(P.193) 第 3 章第 2 節中山間地域の農業の活性化 ( 各地の優良事例の発信と取組への支援を通じた横展開が重要 )(P.2) ( チャレンジを支援する中山間地農業ルネッサンス事業と中山間地域所得向上支援対策 ) (P.2) 第 3 章第 5 節地域資源の積極的な活用 事例 ブルーベリーの品質と収量を維持しつつ 売電収入を獲得( 千葉県 )(P.214) 265

292 第 4 章第 1 節東日本大震災からの復旧 復興 (1) 地震 津波による被害と復旧 復興イ農業の復興 ( 共創力で進む東北プロジェクト で 新たな農産物流通について議論)(P.226) ( 新しい東北 復興ビジネスコンテストでは 農業関係 3 点が優秀賞に選定 )(P.227) (2) 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響と復旧 復興ア福島県の避難指示区域等の復興 事例 トマトのテーマパークで 地域を元気に( 福島県 )(P.232) 農業 農村地域の活性化を目指して - 平成 29(217) 年度農林水産祭天皇杯等受賞者事例紹介 - 味で勝負する 焼き芋 販売戦略による地域活性化と農家所得の向上 (P.245) 人材力の強化 1. 中心となる記述部分 第 2 章第 1 節農業の構造改革の推進 (4) 人材力の強化 (P.119) 2. その他の記述部分 特集次世代を担う若手農業者の姿 ~ 農業経営の更なる発展に向けて~ 3 効率的かつ安定的な農業経営に向けた施策の展開方向 ( 農業経営の法人化 新技術の開発 伸ばしたい方向を後押しできる環境づくりが重要 ) 事例 投資と機械の稼働率向上等を通じて 効率的稲作経営を実現( 新潟県 )(P.18) 4 若手農業者の雇用に関する動向等 (1) 若手新規就農者の動向 ( 若手新規就農者数は3 年連続で2 万人を超過 ) 事例 農協が出資している農業法人が就農を支援( 長野県 )(P.2) (3) 法人雇用者の満足度や将来に対する考え ( 法人雇用者 :79 人 ) ウ将来の進路と身に付けたい技能 事例 農業法人が従業員の技能向上を通じて 昇給を実現( 岐阜県 )(P.24) 第 1 章第 2 節グローバルマーケットの戦略的な開拓 (2) 日本食 食文化の海外展開と規格 認証 知的財産の活用等イ規格 認証 知的財産の活用 ( 農業者によるGAPの実施と認証取得の拡大に向け 様々な動きが進展 )(P.59) 第 2 章第 3 節主要農畜産物の生産等の動向 (11) 畜産物 ( 牛肉の増産に向けて 子牛育成部門の外部化による繁殖雌牛の増頭等が重要 ) 事例 後継者育成や肥育農家の経営安定の役割を果たす繁殖農場( 岩手県 )(P.164) 第 3 章第 7 節農業と多様な分野との連携 ( 近年 ハローワークを通じた障害者の農林漁業分野への就職件数は年間 3 千件弱 )(P.221) 女性の活躍 1. 中心となる記述部分 第 2 章第 1 節農業の構造改革の推進 (5) 女性農業者の活躍 (P.124) 266

293 2. その他の記述部分 第 1 章第 7 節農林水産物 食品の新たな需要の開拓 (1)6 次産業化と地産地消 ( 加工 直売等の農業生産関連事業の年間総販売金額は前年度から約 1 千億円増加 )(P.11) 第 3 章第 4 節鳥獣被害とジビエ (1) 鳥獣被害の現状と対策 ( 狩猟免許所持者は 近年 若手や女性が増加 )(P.27) 第 3 章第 7 節農業と多様な分野との連携 ( 子ども農山漁村交流プロジェクトによる子供の受入れは185 地域で実施 )(P.221) 農業 農村地域の活性化を目指して - 平成 29(217) 年度農林水産祭天皇杯等受賞者事例紹介 - 平成 29(217) 年度農林水産祭内閣総理大臣賞受賞者 ( 女性の活躍 )(P.246) 平成 29(217) 年度農林水産祭日本農林漁業振興会会長賞受賞者 ( 女性の活躍 )(P.246) スマート農業 1. 中心となる記述部分 第 2 章第 4 節生産現場の競争力強化等の推進 (1) スマート農業の推進 (P.17) 2. その他の記述部分 特集次世代を担う若手農業者の姿 ~ 農業経営の更なる発展に向けて~ 2 若手農業者向けアンケート結果の分析 (2) 経営者の農業経営に対する考え ( 農家の経営主 + 法人役員 :1,58 人 ) ウ今後伸ばしていきたい方向 ( ア ) 農業生産 ( 販売金額が大きいほど重視される IoT 等新技術の導入 と 異業種との連携 ) (P.15) 3 効率的かつ安定的な農業経営に向けた施策の展開方向 ( 農業経営の法人化 新技術の開発 伸ばしたい方向を後押しできる環境づくりが重要 ) (P.18) 第 1 章第 1 節食料自給率と食料自給力指標 (1) 食料自給率の目標と動向 ( 長期的には低下傾向で 近年は一定の範囲で推移 )(P.45) 第 3 章第 4 節鳥獣被害とジビエ (1) 鳥獣被害の現状と対策 ( 鳥獣被害の防止に向け 鳥獣被害対策実施隊が1,14 市町村で設置 )(P.28) 地方創生 1. 中心となる記述部分 第 3 章第 1 節農村地域の現状と地方創生に向けた動き (P.192) 2. その他の記述部分 トピックス4 動き出した農泊 (P.39) 第 1 章第 6 節食品産業の動向 ( 国産食用農林水産物の重要な仕向先である食品製造業と外食産業 )(P.9) 第 3 章第 2 節中山間地域の農業の活性化 (P.199) 267

294 第 3 章第 4 節鳥獣被害とジビエ (2) ジビエの利用拡大 (P.21) 第 3 章第 5 節地域資源の積極的な活用 (P.213) 第 3 章第 7 節農業と多様な分野との連携 ( 子ども農山漁村交流プロジェクトによる子供の受入れは185 地域で実施 )(P.221) 第 4 章第 1 節東日本大震災からの復旧 復興 (2) 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響と復旧 復興ア福島県の避難指示区域等の復興 事例 トマトのテーマパークで 地域を元気に( 福島県 )(P.232) 農業 農村地域の活性化を目指して - 平成 29(217) 年度農林水産祭天皇杯等受賞者事例紹介 - 味で勝負する 焼き芋 販売戦略による地域活性化と農家所得の向上 (P.245) 結い の心でみんなでむらづくり(P.245) 明治 15 年 トピックス3 明治 15 年 関連施策テーマ我が国の近代化に大きく貢献した養蚕 (P.35) 第 1 章第 6 節食品産業の動向 コラム 明治 15 年 関連施策テーマ明治期のグルタミン酸ナトリウムに始まる うま味 成分の発見 (P.91) 第 2 章第 2 節農業生産基盤の整備と保全管理 コラム 明治 15 年 関連施策テーマ農業水利発展の一翼を担った明治期の逆サイホンの設置 (P.139) 268

295 第 2 部 平成 29 年度食料 農業 農村施策

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297 第2部概説 1 施策の重点食料自給力 食料自給率の維持向上に向けた施策 食料の安定供給の確保に関する施策 農業の持続的な発展に関する施策 農村の振興に関する施策及び食料 農業 農村に横断的に関係する施策等を総合的かつ計画的に展開しました また 農業者の所得向上に向け 農業者が自由に経営展開できる環境を整備するとともに 農業者の努力では解決できない構造的な問題を解決するため 生産資材価格の引下げや流通 加工構造の改革等 今後の農政の改革方向を盛り込んだ 農業競争力強化プログラム (28 年 11 月策定 ) に示された改革の具体化のための法整備や制度の運用改善 事業者の自主的な取組の支援等の諸施策を着実に実行しました さらに 日 EU 経済連携協定 (EPA) 及び環太平洋パートナーシップ協定 (TPP 11か国による新たな協定を含む ) の発効を見据え 29 年 11 月 総合的なTPP 等関連政策大綱 を決定しました また 東日本大震災及び東京電力株式会社福島第一原子力発電所 ( 以下 東電福島第一原発 という ) 事故からの復旧 復興に関係省庁が連携しながら全力で取り組みました 2 財政措置 (1)29 年度農林水産関係予算額は 2 兆 3,71 億円を計上しました 本予算は 農林水産業 地域の活力創造プラン (28 年 11 月改訂 ) に基づき 農林水産業の成長産業化に向けて 強い農林水産業 と 美しく活力ある農山漁村 を実現していくための施策として措置しました 具体的には 1 担い手への農地集積 集約化による構造改革の推進 2 水田フル活用と経営所得安定対策の着実な実施 3 強い農林水産業のための基盤づくり 4 農林水産業の輸出力強化と農林水産物 食品の高付加価値化 5 食の 安全 消費者の信頼確保 6 人口減少社会における農山漁村の活性化 7 林業の成長産業化 森林吸収源対策の推進 8 水産日本の復活を推進しました また 29 年度農林水産関係補正予算額は 4,68 億円を計上しました (2)29 年度の農林水産関連の財政投融資計画額は 2,564 億円を計上しました このうち主要なものは 株式会社日本政策金融公庫への2,35 億円及び株式会社農林漁業成長産業化支援機構への13 億円となりました 3 立法措置第 193 回国会及び第 195 回国会において以下の法律が成立しました 農業競争力強化支援法 ( 平成 29 年法律第 35 号 ) 農業機械化促進法を廃止する等の法律 ( 平成 29 年法律第 19 号 ) 主要農作物種子法を廃止する法律 ( 平成 29 年法律第 2 号 ) 土地改良法等の一部を改正する法律 ( 平成 29 年法律第 39 号 ) 農村地域工業等導入促進法の一部を改正する法律 ( 平成 29 年法律第 48 号 ) 農林物資の規格化等に関する法律及び独立行政法人農林水産消費安全技術センター法の一部を改正する法律 ( 平成 29 年法律第 7 号 ) 畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律 ( 平成 29 年法律第 6 号 ) 農業災害補償法の一部を改正する法律 ( 平成 29 年法律第 74 号 ) 競馬法の一部を改正する法律 ( 平成 29 年法律第 81 号 ) また 29 年度において 以下の法律が施行されました 農業競争力強化支援法 (29 年 8 月施行 ) 土地改良法等の一部を改正する法律 (29 年 9 月施行 ) 271

298 平成 29 年度食料 農業 農村施策 農村地域工業等導入促進法の一部を改正する法律 (29 年 7 月施行 ) 競馬法の一部を改正する法律 (29 年 12 月施行 ) 4 税制上の措置施策の総合的な推進を図るため 以下を始めとする税制措置を講じました ア生産資材価格の引下げ及び農産物の流通加工構造の改革のための税制上の措置を創設しました ( 所得税 法人税 登録免許税 ) イ農村地域における就業構造改善の仕組みの見直しに伴い 譲渡所得の特別控除の適用範囲を拡充しました ( 対象業種の拡大等 )( 所得税 ) ウ協同組合の上部団体への普通出資に係る受取配当等について 益金不算入の特例措置を創設しました ( 法人税 ) エ農業経営基盤強化準備金制度を1 年延長しました ( 所得税 法人税 ) オ農林漁業用 A 重油等に対する石油石炭税の免税 還付措置を3 年延長しました ( 石油石炭税 ) 5 金融措置政策と一体となった長期 低利資金等の融通による担い手の育成 確保等の観点から 農業経営の特性に応じた資金調達の円滑化を図るための支援措置である農業制度金融の充実を図りました (1) 株式会社日本政策金融公庫ア認定農業者であって 人 農地プランの中心経営体として位置付けられた者又は農地中間管理機構から農地を借り受けた者が借り入れる農業経営基盤強化資金 ( スーパー L 資金 ) について 貸付当初 5 年間の金利負担を軽減し 実質無利子化する措置を講じました イ意欲のある農業法人の財務基盤の強化や経営展開を支援するため 農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法 ( 平 成 14 年法律第 52 号 ) に基づき 農業法人に対する投資育成事業を行う投資事業有限責任組合の出資原資を株式会社日本政策金融公庫から出資しました (2) 農業近代化資金認定農業者が借り入れる農業近代化資金に対し 金利負担軽減措置を実施しました (3) 農業経営改善促進資金 ( スーパー S 資金 ) 民間金融機関と都道府県農業信用基金協会との協調融資方式により 農業経営改善促進資金 ( スーパー S 資金 ) を低利で融通できるよう 基金協会が民間金融機関に貸付原資を低利預託するために借り入れた借入金に対し利子補給金を交付しました (4) 農業信用保証保険農業経営の維持 再生に必要な資金の円滑な供給が図られるよう 独立行政法人農林漁業信用基金に対して 保険引受に必要な財務基盤の強化を図るために必要な交付金を交付しました (5) 被災農業者等支援対策ア甚大な自然災害により被害を受けた農業者等が借り入れる災害関連資金について 貸付当初 5 年間実質無利子化する措置を講じました イ甚大な自然災害により被害を受けた農業経営の再建に必要となる農業近代化資金の借入れについて 都道府県農業信用基金協会の債務保証に係る保証料を保証当初 5 年間免除するために必要な補助金を交付しました 6 政策評価効果的かつ効率的な行政の推進 行政の説明責任の徹底を図る観点から 行政機関が行う政策の評価に関する法律 ( 平成 13 年法律第 86 号 ) に基づき 政策評価基本計画 (27 年 3 月策定 ) 及び毎年度定める 実施計画 により 事前評価 ( 政策を決定する前に行う政策評価 ) 事後評価( 政策を決定した後に行う政策評価 ) を推進しました 272

299 第2部Ⅰ 食料自給力 食料自給率の維持向上に 向けた施策 1 食料自給力 食料自給率の維持向上に向けた取組食料自給力 食料自給率の維持向上に向けて 以下の取組を重点的に推進しました (1) 食料消費ア国内外での国産農林水産物の需要拡大地産地消等国産農林水産物の消費拡大に向けた取組や 国産農林水産物を求める食品産業事業者と生産現場との連携等を推進するとともに 日本食や日本の食文化に関する情報発信と併せ 農林水産物 食品の輸出を促進しました イ食育の推進ごはんを中心に多様な副食等を組み合わせ 栄養バランスに優れた 日本型食生活 の実践を推進するため 地方公共団体 生産者や食品企業等の地域の関係者が一体となって取り組む食育活動を実施しました ウ食品に対する消費者の信頼の確保食品の品質管理 消費者対応等の取組について 食品の生産から加工 流通 消費に至るまでの各段階の関係者が連携し 情報共有を通じた取組の向上と標準化等を図りました (2) 農業生産ア優良農地の確保と担い手への農地集積 集約化優良農地を確保するとともに 農業水利施設の適切な保全管理等による農業用水の持続的な活用を推進しました また 農地中間管理機構の取組を更に加速化させ 地域の話合いにより作成する人 農地プランの活用等を進めることにより担い手への農地集積 集約化と荒廃農地対策を推進しました イ担い手の育成 確保農業経営の法人化や経営の多角化 複合 化等を推進するとともに 農業の内外からの青年層の新規就農を促進しました ウ農業の技術革新や食品産業事業者との連携等による生産 供給体制の構築等の実現生産コストの低減を図るための省力栽培技術 新品種の導入等や 次世代施設園芸の取組拡大等を推進するとともに 食品産業事業者との連携等を通じて 需要構造等の変化に対応した生産 供給体制の構築等を推進しました 2 主要品目ごとの生産努力目標の実現に向けた施策 (1) 米ア水田活用の直接支払交付金により 水田フル活用を推進しました イ業務用米や飼料用米等の多収品種や新たな輪作体系の導入実証 担い手向けの革新的な低コスト生産技術の導入支援 カドミウム低吸収性品種及び植物浄化技術の実証を推進しました ウ飼料用米等の増産等に対応するため 乾燥調製施設等の再編整備等を推進しました エ米穀の需給及び価格の安定を図るため 米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針 を策定し公表しました オ経営所得安定対策を円滑に実施し 米粉用米 飼料用米等の用途外への流通を防止することが必要であることから 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律 ( 平成 6 年法律第 113 号 ) に基づき 適切な保管及び販売を徹底しました カ生産者や集荷業者 団体が主体的な経営判断や販売戦略等に基づき 需要に応じた米の生産 販売に取り組めるよう きめ細かい需給 価格情報 販売進捗 在庫情報等を毎月公表しました (2) 麦ア経営所得安定対策の中でパン 中華麺用小麦品種に対する別途の数量単価を設けることにより 需要規模が大きいものの国産 273

300 平成 29 年度食料 農業 農村施策 シェアが低いパン 中華麺用小麦の作付拡大を推進しました イ水田の高度利用 ( 二毛作 ) に資する作付体系への転換 実需者ニーズに対応した新品種や単収 品質向上技術等の導入の支援により 小麦 大麦 はだか麦の作付拡大を推進しました ウ麦の生産拡大に対応するため 乾燥調製施設等の再編整備等を推進しました (3) 大豆ア経営所得安定対策等により支援を行うと うね ともに 生産性向上に資する耕うん同時畝 はしゅ 立て播種栽培等の大豆 3A 技術の導入や 適正な輪作体系の構築により 大豆の作付拡大を推進しました イ実需者ニーズに対応した新品種や栽培技術の導入により 実需者の求める大豆の安定生産を支援し 国産大豆の需要拡大を推進しました ウ国産大豆の安定取引を図るため 3 年 はしゅ 度から本格実施する 播種前入札取引 に ついて 円滑な導入に向けた試験実施を行いました (4) そばア需要に応じた生産拡大を図るとともに 国産そばの需要拡大に向けて 実需者への安定的な供給を図るため 排水対策等の基本技術の徹底 湿害回避技術の普及等を推進しました イ高品質なそばの安定供給に向けた生産体制の強化に必要となる乾燥調製施設の整備等を支援しました ウ国産そばを取り扱う製粉業者と農業者の連携を推進しました (5) かんしょ ばれいしょアかんしょについては 担い手への農地 作業の集積や受託組織の育成等を推進するとともに 生産コストの低減 品質の向上を図るため共同利用施設整備や機械化一貫体系の確立等への取組を支援しました イばれいしょについては 生産コストの低減 品質の向上 労働力の軽減やジャガイ モシストセンチュウの発生 まん延の防止を図るための共同利用施設整備等を推進しました 加えて 安定生産に向けた作業の共同化やコントラクター等の育成による作業の外部化 加工食品用途への供給拡大に うね 必要なソイルコンディショニング技術 ( 畦どかいれきから土塊 礫を取り除くことにより ばれ いしょの高品質化 収量向上及び収穫作業の効率化を可能にする技術 ) を導入した省力的な機械化栽培体系の確立等への取組を支援しました ウジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有する新品種の普及を促進しました エでん粉原料用ばれいしょ及びかんしょについては 安定的な収量確保のため 適正生産技術の確立を支援しました また でん粉の加工食品用途等への販路拡大や収益性の向上を図るため 高品質化に向けた品質管理の高度化等を支援しました (6) なたねア良質で高単収ななたね品種の作付拡大を はしゅ 図るとともに 播種前契約の実施による国 産なたねを取り扱う搾油事業者と農業者の連携を推進しました イなたねの生産拡大に伴い必要となる乾燥調製施設の整備等の支援を推進しました (7) 野菜ア野菜の生産 出荷の安定と消費者への野菜の安定供給を図るため 価格低落時における生産者補給交付金の交付等により 野菜価格安定対策を的確かつ円滑に実施しました イ加工 業務用野菜への転換を推進する産地に対し 加工 業務用野菜の安定生産に必要な作柄安定技術の導入を支援するとともに 水田地帯における水稲から野菜への転換を支援しました あわせて 加工 業務用需要に対応したサプライチェーンの構築に加えて 加工 業務用野菜の生産を加速化するための新技術 機械化の導入等について支援しました ウ青果物流通の合理化 効率化を推進する 274

301 第2部ため 物流業界との連携による新たな輸送 システムの構築に向けた取組を支援しました エ次世代施設園芸の取組を拡大するため 次世代施設園芸への転換に必要な技術について 習得のための実証 研修や地域展開を支援するとともに 技術習得に必要な実証温室や次世代型大規模園芸施設の整備とその成果やノウハウの分析 情報発信を支援しました (8) 果樹ア農地中間管理機構による担い手への園地集積の推進 高品質果実の供給力の維持向上につながる優良品目 品種への転換の加速化等を進めたほか 事業により改植を実施した際の未収益期間に対する支援を引き続き行いました イ計画生産 出荷の推進や需給安定対策 契約取引の強化や加工原料供給の安定化を図るための新たな品質基準の導入や低コスト栽培の実証 高品質果汁設備等の導入等の加工流通対策を総合的に行いました (9) 甘味資源作物アてんさいについては 労働力不足に対応するため 省力化や作業の共同化 労働力 ちょくはん の外部化や直播栽培体系の確立 普及等を 推進しました イさとうきびについては 自然災害からの回復に向けた取組を支援するとともに 地域ごとの さとうきび増産計画 に定めた 地力の増進等特に重要な取組や機械化一貫体系の確立を推進しました (1) 茶産地の生産性向上と収益力の強化を図るため 改植等による優良品種等への転換や茶園の若返り 玉露やてん茶 ( 抹茶の原料 ) 栽培に適した棚施設を利用した栽培法への転換や転換に必要な資材の導入 担い手への集積等に伴う茶園整理 ( 茶樹の抜根 ) 荒茶加工施設の整備を推進したほか 海外ニーズに応じた茶の生産 加工技術や低コスト生産 加工技術の導入 新たな抹 茶加工技術の実証や緑茶生産において使用される主要な農薬について 輸出相手国 地域に対し日本と同等の基準を新たに設定申請する取組に対して支援しました (11) 畜産物需要に即した畜産物の生産のため 多様な経営の育成 確保や生乳需給の安定 多様な和牛肉の生産 家畜の改良増殖 生産性の向上の取組等を推進しました また 我が国畜産の競争力強化のため 生産性向上等を進めることにより 地域ぐるみで収益性向上を図る取組に対して支援しました (12) 飼料作物等輸入飼料に過度に依存した畜産から国産飼料生産基盤に立脚した畜産に転換するため 生産性の高い草地への改良 国産濃厚飼料 ( 子実用とうもろこし等 ) の増産 飼料生産組織の機能高度化 地域一体となった放牧の取組 飼料用米等の利活用の取組等を推進しました (13) その他地域特産物等アこんにゃくいも等の特産農産物については 付加価値の創出 新規用途開拓 機械化 省力作業体系の導入等を推進するとともに 新たな需要の創出 拡大を図るため 生産者 実需者等が一体となって取り組む 安定的な生産に向けた体制の整備等を支援しました イ繭 生糸については 蚕糸業の再生と持続的発展を図るため 養蚕 製糸業と絹織物業者等が提携して取り組む 輸入品と差別化された高品質な純国産絹製品づくり ブランド化を推進するとともに 新たな需要の創出 拡大を図るため 生産者 実需者等が一体となって取り組む 安定的な生産に向けた体制の整備等を支援しました ウ葉たばこについては 葉たばこ審議会の意見を尊重した種類別 品種別価格により 日本たばこ産業株式会社が買い入れました エいぐさについては 輸入品との差別化 275

302 平成 29 年度食料 農業 農村施策 ブランド化に取り組むいぐさ生産者の経営安定を図るため 国産畳表の価格下落影響緩和対策の実施 実需者や消費者のニーズを踏まえた 産地の課題を解決するための技術実証等の取組を支援しました Ⅱ 食料の安定供給の確保に関する施策 1 国際的な動向等に対応した食品の安全確保と消費者の信頼の確保リスクアナリシスに基づいた食の安全確保としては 科学的知見に基づき 客観的かつ中立公正に食品健康影響評価 ( リスク評価 ) を実施しました リスクコミュニケーションの推進としては 食品の安全に関するリスク評価や施策等について 国民の意見を反映し その過程の公正性及び透明性を確保するとともに 消費者 事業者 生産者等の関係者による情報や意見の交換の促進を図るため 関係府省や地方公共団体及び消費者団体等と連携した意見交換会 施策の実施状況の公表 webサイト等を通じた分かりやすく効果的な情報発信 意見 情報の募集等を実施しました (1) 科学の進展等を踏まえた食品の安全確保の取組の強化 a 食品安全に関するリスク管理を一貫した考え方で行うための標準手順書に基づき 有害化学物質 有害微生物の調査や生産資材 ( 肥料 飼料 飼料添加物 農薬 動物用医薬品 ) の試験等を実施しました b 試験研究や調査結果の科学的解析に基づき 施策 措置に関する企画や立案を行いました c 食品中に残留する農薬等に関するポジティブリスト制度の周知に努めるとともに 制度導入時に残留基準を設定した農薬等についての食品健康影響評価結果を踏まえた残留基準の見直し 新たに登録等の申請があった農薬等についての残留 基準の設定を推進しました d 食品の安全性等に関する国際基準の策定作業への積極的な参画や 国内における情報提供や意見交換を実施しました ア生産段階における取組 ( ア ) 生産資材の適正な使用生産資材 ( 肥料 飼料 飼料添加物 農薬 動物用医薬品 ) の適正使用を推進するとともに 科学的データに基づく生産資材の使用基準 有害物質等の残留基準値の設定 見直し等を行い 安全な農畜水産物の安定供給を確保しました また 農薬による蜜蜂の被害件数及び都道府県による被害軽減対策の検証結果を取りまとめ 公表しました ( イ )GAP( 農業生産工程管理 ) の推進農産物においては 生産現場への周知の徹底 指導員の育成 認証取得の支援 優良事業表彰等を通じてGAPの取組拡大を推進しました 畜産物においては 日本版畜産 GAP やGLOBALG.A.P. の認証取得 GAP の取得に向けたステップアップを目指す GAP 取得チャレンジシステム の取組拡大を図りました イ製造段階における取組 ( ア ) 食品製造事業者の中小規模層における HACCP( 危害要因分析 重要管理点 ) の導入を推進するため HACCPに係る体制 施設の整備の支援 HACCP 導入の前段階の衛生 品質水準の確保や消費者の信頼確保のための体制 施設の整備 ( 高度化基盤整備 ) の支援 HACCP 導入を担う人材の養成研修等の取組の支援を実施しました また HACCPの制度化に対応したHACCP 手引書の作成支援を実施しました ( イ ) 食品等事業者に対する監視指導や事業者による自主的な衛生管理を推進しました ( ウ ) 食品衛生監視員の資質向上や検査施設の充実等を推進しました 276

303 ( エ ) 長い食経験を考慮し使用が認められて第2部いる既存添加物については 毒性試験等を実施し 安全性の検討を推進しました ( オ ) 国際的に安全性が確認され かつ 汎用されている食品添加物については 国が主体的に指定に向けて検討しました ( カ ) 保健機能食品 ( 特定保健用食品 栄養機能食品及び機能性表示食品 ) を始めとした健康食品について 事業者の安全性の確保の取組を推進するとともに 保健機能食品制度の普及 啓発に取り組みました ( キ ) 特定危険部位 (SRM) の除去 焼却 BSE 検査の実施等により 食肉の安全を確保しました ウ危機管理等に関する取組 ( ア ) 食品関係事業者のコンプライアンス確立のための取組食品関係事業者の自主的な企業行動規範等の策定を促すなど食品関係事業者のコンプライアンス ( 法令の遵守及び倫理の保持等 ) 確立のための各種取組を促進しました ( イ ) 危機管理体制の整備 a 食品の摂取による人の健康への重大な被害が拡大することを防止するため 関係府省庁の消費者安全情報総括官等による情報の集約及び共有を図りました b 食品安全に関する緊急事態等における対応体制を点検 強化しました c 22 年東京オリンピック パラリンピック競技大会での食品テロを防止するため 対策の構築に取り組みました エ輸入に関する取組輸出国政府との二国間協議や在外公館を通じた現地調査等の実施 情報等を入手するための関係府省の連携の推進 監視体制の強化等により 輸入食品の安全性の確保を図りました (2) 食品表示情報の充実や適切な表示等を通じた食品に対する消費者の信頼の確保ア食品表示の適正化の推進 ( ア ) 食品表示に関する規定を一元化した 食品表示法 ( 平成 25 年法律第 7 号 ) の下 関係府省の連携を強化して立入検査等の監視業務を実施するとともに 科学的な分析手法の活用等により 効果的 効率的な監視を実施しました また 不当景品類及び不当表示防止法 ( 昭和 37 年法律第 134 号 ) に基づき 関係府省が連携した監視体制の下 外食メニュー等の適切な表示を推進しました ( イ ) 加工食品の原料原産地表示については 29 年 9 月に食品表示基準の一部を改正し 全ての加工食品を義務表示の対象としました あわせて 消費者 事業者等への普及 啓発を行い 理解促進を図りました ( ウ ) 米穀等については 米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律 ( 平成 21 年法律第 26 号 以下 米トレーサビリティ法 という ) により産地情報伝達の徹底を図りました イ流通段階における取組 ( ア ) 食品事故等発生時の原因究明や商品回収等の円滑化に資するため 食品のトレーサビリティに関し 米穀等については 米トレーサビリティ法に基づき 制度の適正な運用に努めました 他の飲食料品については 実践的なマニュアル の活用等により トレーサビリティの取組の拡大を図るよう その普及 啓発に取り組みました ( イ ) 国産牛肉については 牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法 ( 平成 15 年法律第 72 号 ) による制度の適正な実施が確保されるよう DNA 分析技術を活用した監視等を実施しました 277

304 平成 29 年度食料 農業 農村施策 ウフード コミュニケーション プロジェクトの推進消費者の 食 に対する信頼向上に向けた食品関連事業者の主体的な活動を促すため フードチェーンの各段階で事業者間のコミュニケーションを円滑に行い 食品事業者の取組を消費者まで伝えていくためのツールの普及等を進めました エ消費者への情報提供 ( ア ) 食品安全等について 消費者に分かりやすいwebサイトによる情報提供を行いました ( イ ) 消費者の部屋 等において 消費者からの相談を受け付けるとともに 特別展示等を開催し 農林水産行政や食生活に関する情報を幅広く提供しました 2 幅広い関係者による食育の推進と国産農産物の消費拡大 和食 の保護 継承 (1) 食育の推進と国産農産物の消費拡大ア国民運動としての食育の推進 ( ア ) 第 3 次食育推進基本計画 (28 年 3 月策定 ) 等に基づき 関係府省庁が連携しつつ 様々な分野において国民運動として食育を推進しました ( イ ) 朝ごはんを食べること等 子供の基本的な生活習慣を育成するための 早寝早起き朝ごはん 国民運動を推進しました ( ウ ) 国民運動として食育を推進するため 食育推進全国大会や食育活動表彰を実施するとともに 第 3 次食育推進基本計画 の主要課題の解決に向けた実態調査や事例調査等を実施しました イ地域における食育の推進地域の関係者が連携して取り組む郷土料理等地域の食文化の継承 和食給食の普及 共食機会の提供 農林漁業体験機会の提供 地域で食育を推進するリーダーの育成等の食育活動を支援しました ウ学校における食育の推進家庭や地域との連携を図るとともに 学 校給食を教材として活用しつつ給食の時間を始めとする関連教科等において食に関する指導を行い 学校における食育の推進を図りました エ国産農産物の消費拡大の促進 ( ア ) 食品関連事業者と生産者団体 国が一体となって 食品関連事業者等における国産農産物の利用促進の取組等を後押しするなど 国産農産物の消費拡大に向けた取組を実施しました ( イ ) 地域の生産者等と協働し 日本産食材の利用拡大や日本の食文化の海外への普及等に貢献した料理人を顕彰する制度である 料理マスターズ を引き続き実施しました ( ウ ) 学校給食等における米の利用の促進 朝食欠食の改善等による米消費拡大を図るため 地域における商品開発 販路開拓 全国段階における商談会 消費拡大フェア等を支援しました また 消費者ニーズに対応した新たな米の需要創出に向けた取組を支援しました ( エ ) 米粉倶楽部 の取組を通じ 官民一体による米粉の消費拡大の活動を展開したほか 米粉の用途別基準等の普及 新商品の開発 普及 消費者等へのアピール等の民間の米粉消費拡大に向けた取組を支援しました ( オ ) 民間による日本産米粉製品の輸出拡大に向けた取組を支援しました ( カ ) 麦や大豆等の生産拡大を図るため 需要に応じた品種の作付けや 実需者等と産地が連携した特色のある製品づくりを推進し 需要の拡大を図りました ( キ ) 飼料用米を活用した豚肉 鶏卵等のブランド化を推進するための付加価値の向上等に向けた新たな取組を支援しました オ地産地消の推進地産地消の中核的施設である農産物直売所の運営体制強化のための検討会の開催及び観光需要向けの商品開発や農林水産物の 278

305 第2部加工 販売のための機械 施設等の整備を 支援するとともに 学校給食等の食材として地場産農産物を安定的に生産 供給する体制の構築に向けた取組やメニュー開発等の取組を支援しました カ 食と農林漁業の祭典 の開催生産者と消費者の結び付きを強化し 我が国の 食 と 農林漁業 についてのすばらしい価値を国内外にアピールするため 食と農林漁業の祭典 を開催しました (2) 和食文化の保護と次世代への継承ユネスコ無形文化遺産に登録された和食文化を国民全体で保護 継承するため 次世代継承型の食育活動として 食習慣を変えることに抵抗感の少ないと考えられるライフステージ ( 幼少期 育児世代等 ) にある者に対し 和食文化に慣れ親しみ 日々の食生活に取り入れることを促す集中的な和食文化の普及活動に取り組みました また メディア等と連携して和食文化の魅力等を効果的に発信することで 国民に食生活の見直し等を促し 和食文化の次世代への継承を図りました 3 生産 加工 流通過程を通じた新たな価値の創出による需要の開拓 (1)6 次産業化等の取組の質の向上と拡大に向けた戦略的推進ア 6 次産業化等の推進都道府県及び市町村段階に 行政 農林漁業 商工 金融機関等の関係機関で構成される6 次産業化 地産地消推進協議会を設置し 6 次産業化等戦略を策定する取組を支援しました また 6 次産業化等に取り組む農林漁業者等に対するサポート体制を整備するとともに 農林漁業者等が多様な事業者とネットワークを構築して行う新商品開発 販路開拓の取組 地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律 ( 平成 22 年法律第 67 号 ) 等に基づき認定された農林漁業者等が農林水産物を加工 販売するための機械 施設の整備等を支援しました さらに 市町村の6 次産業化等に関する戦略に沿って 市町村が地域ぐるみで行う 6 次産業化の取組を支援しました イ農林漁業成長産業化ファンドの積極的活用農林漁業成長産業化ファンドを通じて 農林漁業者が主体となって流通 加工業者等と連携して取り組む6 次産業化の事業活動に対し 資本の提供と経営支援を一体的に実施しました (2) 食品産業の競争力の強化ア新たな市場を創出するための環境づくり ( ア ) 介護食品に関する検討新しい介護食品 ( スマイルケア食 ) の商品開発 普及をより一層推進するため 医師や歯科医師等 指導的な立場からスマイルケア食の普及に関して特に影響を与える関係者や在宅介護や病院 介護施設等で介護を実践する関係者に対する研修会の開催とともに 教育ツールの作成等の取組を支援しました ( イ ) 強み のアピールにつながるJAS 規格等の検討農産品の品質や事業者の技術や取組についての説明や証明 信頼の獲得を容易にし 取引の円滑化に資するよう 訴求力の高いJAS 規格の制定 活用等について検討を進め 3つの新規格を制定しました また これに関連し 農林物資の規格化等に関する法律及び独立行政法人農林水産消費安全技術センター法の一部を改正する法律 が第 193 回国会で成立しました イ食品流通の効率化や高度化等 ( ア ) 流通 加工の業界構造の見直し生産者が有利な条件で安定取引を行うことができる流通 加工の業界構造の確立のため 流通 加工業界の再編に係る 279

306 平成 29 年度食料 農業 農村施策 取組の支援等を実施する 農業競争力強化支援法 が第 193 回国会で成立しました ( イ ) 食品流通の効率化食品流通の効率化を図るため 食品流通構造改善促進法 ( 平成 3 年法律第 59 号 ) に基づく事業計画の認定等により 共同配送等の物流の効率化や電子商取引による情報ネットワーク化等を進め フードチェーンの各段階において 関係者が連携して行う取組を支援しました ( ウ ) 卸売市場の機能強化 活性化等卸売市場については 第 1 次卸売市場整備基本方針 (28 年 1 月策定 ) に基づき 生鮮食料品等の基幹的な流通インフラとして その機能や役割の強化 高度化を図るため 各卸売市場の経営戦略の策定及びその着実な遂行を促進するとともに 卸売市場を活用した国産農林水産物の輸出促進や 農林漁業者が6 次産業化に取り組む際のパートナーとしての機能発揮等新たな需要開拓の取組等を推進しました ( エ ) 商品先物市場の活性化 a 商品先物市場の健全な運営を確保するため 商品先物市場の監視を行うとともに 外国規制当局と協力しつつ適切な市場管理を行いました b 顧客の保護及び取引の適正化を図るため 商品先物取引法 ( 昭和 25 年法律第 239 号 ) の迅速かつ適正な執行を行いました ウ生産性向上等の取組家族経営等 中小規模の事業者が多い食品産業の生産性向上等に向けて 優良事例の収集 共有化等を図る表彰事業等を通じて 生産性向上に向けた課題解決を図る取組を支援しました また 外食 中食産業の生産性向上を図るため 生産性向上の推進を普及 啓発する研修会や異業種交流会等を実施するとともに ICT ロボット技 術の導入 業務の共同化 サービス工学の知見を活用した業務の最適化等のモデル的な取組を支援しました エ環境問題等の社会的な課題への対応 ( ア ) 食品ロスの削減に向けた取組個別企業等では解決が困難な商慣習の見直しに向けたフードチェーン全体の取組や フードバンク活動を行う団体が食品関連事業者からの信頼を向上させ食品の受入量拡大を図る取組等を支援しました また 食品ロスの削減による環境負荷の低減効果の 見える化 や 環境にやさしい買物キャンペーン 等により 都道府県 市町村 食品関連事業者等の協力を得て食品ロス削減を含めた3R 行動の実施を消費者に呼びかけました ( イ ) 食品産業における環境負荷の低減及び資源の有効利用 a 食品循環資源有効利用促進対策食品流通の川下における食品循環資源の再生利用等を促進するため 地域における多様な食品リサイクルループの形成に向け 食品関連事業者 再生利用事業者 農業者等の関係者間のマッチングを支援しました また 食品小売業者や外食事業者が 再生利用事業者 農業者と連携して 食品廃棄物のメタン化及びメタン発酵消化液の肥料利用を行うための取組を支援しました b 容器包装リサイクル促進対策 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律 ( 平成 7 年法律第 112 号 ) に基づく 義務履行の促進 容器包装廃棄物の排出抑制のための取組として 食品関連事業者への点検指導 食品小売事業者からの定期報告の提出の促進等を実施しました また 容器包装の環境配慮設計を進めるため 食品ロス削減にも資する容器包装の高機能化に関わる食品産業の取組を事例集として公表し 消費者に伝えました c CO2 排出削減対策 28

307 CO2 排出削減に向第2部食品産業における けた多様な取組事例の調査 検討 分析を実施し 研修会及び優良事例の表彰を開催するとともに 低炭素社会実行計画の進捗状況の点検等を実施しました ( ウ ) 高齢化の進展等に対応した食料提供等食料品の購入や飲食に不便や苦労を感じる 食料品アクセス問題 を抱える市町村等が民間事業者等と連携した取組が促進されるよう支援しました 4 グローバルマーケットの戦略的な開拓 (1) 官民一体となった農林水産物 食品の輸出促進アオールジャパンでの輸出促進体制の整備 31 年に輸出額を1 兆円とする目標の達成に向けて官民一体となって 農林水産業の輸出力強化戦略 (28 年 5 月策定 以下 輸出力強化戦略 という ) の着実な実行に努め 以下の取組を行いました ( ア ) 輸出戦略実行委員会において 輸出力強化戦略の実行状況の検証を行いました ( イ ) 水産物 コメ コメ加工品 林産物 ( 木材 ) 花き 青果物 畜産物 茶及び加工食品 ( 菓子 ) の品目別輸出団体が ジャパン ブランドの確立を目的として 国内検討会の開催や海外マーケットの調査 日本産品のPRや販路開拓の取組 輸出環境課題の解決等を実施する取組を支援しました ( ウ ) 日本産の農林水産物 食品のブランディングのためにオールジャパンでの消費者向けプロモーション等を担う 日本食品海外プロモーションセンター (JFOODO) や 独立行政法人日本貿易振興機構 (JETRO) 等への予算措置を通じて 輸出相談窓口のワンストップ対応 専門家による支援 セミナーの開催 国内外での商談 見本市への出展 マーケティング拠点での販売促進 様々な国内支援機関が参画する 新輸出大国 コンソーシアム による支援等 輸出に取り組む事業者を継続的にかつ一貫して支援しました イ輸出阻害要因の解消等による輸出環境の整備 ( ア ) 農産物等輸出促進 a 23 年 3 月の東電福島第一原発事故を受けて 諸外国 地域において日本産食品に対する輸入規制が行われていることから 関係省庁が協力し 各種資料 データを提供しつつ輸入規制の撤廃 緩和に向けた働きかけを引き続き実施しました b 日本産食品等の安全性や魅力に関する情報を諸外国 地域に発信するほか 海外におけるプロモーション活動の実施により 日本産食品等の輸出回復に取り組みました c 輸出力強化戦略に基づく輸出環境整備に向けた取組として 放射性物質に係る諸外国の輸入規制の撤廃 緩和等の政府間交渉に必要となる科学的データの収集や 現行では輸出先国で使用が認められていない既存添加物の登録申請等に取り組む民間団体等への支援を行いました d 輸出先となる事業者等から求められる HACCP GAP 等の認証取得を促進しました また 国際的な取引にも通用する HACCPをベースとした食品安全管理に関する規格 認証の仕組みやGAP に関する認証の仕組みの構築を推進し その国際規格化に向けた取組を支援しました e 輸出先国 地域における農薬の残留基準値を満たすため 新たな防除体系や IPMを活用した防除技術の産地への導入の取組を支援しました ( イ ) 輸出検疫 a 輸出植物解禁協議を迅速化するため 協議に必要となる全国的な病害虫の発生状況 病害虫防除に有効な園地管理の方法等の技術的データ等の蓄積を都道府県 281

308 平成 29 年度食料 農業 農村施策 等との連携の下で集中的 体系的に進めました また 畜産物の輸出先国が求める家畜衛生上の要件に対応するため EBL( 牛白血病 ) 等の家畜の伝染性疾病対策を支援するとともに 野生動物を対象とした伝染性疾病の検査を行いました b 輸出先国の検疫条件に則した防除体系 栽培方法 選果等の技術を普及するためのサポート体制を整備するとともに 卸売市場や集荷地等での輸出検査を行うことにより 産地等の輸出への取組を支援しました c 輸出解禁協議については 輸出戦略実行委員会で優先的に取り組むべき輸出環境課題として整理された国 品目を対象に 産地と連携しつつ 重点的かつ戦略的に推進しました d 輸出検疫の円滑化 輸出可能品目の訪日外国人旅行者への情報提供 訪日外国人旅行者が直売所等で購入した農畜産物を動植物検疫を経て空港等で受け取ることができるモデル体制の整備と 整備された検疫受検方法の周知等により お土産としての農畜産物の持ち帰りを推進しました ( ウ ) フードバリューチェーンの構築開発途上国等において 官民連携によるフードバリューチェーンの構築を図るため グローバル フードバリュ- チェーン戦略 (26 年 6 月策定 ) に基づき 官民協議会や二国間政策対話等を活用して 我が国食産業の海外展開等によるコールドチェーン ( 低温流通体系 ) 流通販売網等の輸出環境の整備を推進しました ウ輸出促進等に向けた日本食や日本の食文化の海外展開海外の市場拡大を目指して日本食 食文化の魅力を適切かつ効果的に発信する取組を推進しました ( ア ) 日本食 食文化の魅力発信による農産 物等の輸出促進を加速化するため トップセールスの実施 料理学校や在外公館等と連携した日本産食材の活用促進 海外メディア等を活用した取組を実施しました ( イ ) 日本食 食文化の普及を担う海外人材の育成 日本食レストランの海外出店をサポートするための取組や海外の飲食店等へ向けた日本産食材供給体制を強化する取組等を支援しました ( ウ ) 増大するインバウンドを国産農林水産物 食品の需要拡大や農山漁村の活性化につなげていくため 農泊と連携しながら 地域の食や農林水産業 景観等の観光資源を活用して訪日外国人旅行者をもてなす取組を認定し 一体的に海外に発信しました (2) 食品産業のグローバル展開ア海外展開による事業基盤の強化 ( ア ) 日本の 食文化 食産業 の海外展開を促進するため 海外展開における阻害要因の解決を図るとともに グローバル人材の確保に向け 食関連企業及びアセアン各国の大学と連携し 食品加工 流通等に関する教育を行う取組等を推進しました ( イ ) 輸出力強化戦略に沿った取組を円滑に進めるために JETROにおいて 商品トレンドや消費者動向等を踏まえた現場目線の情報提供やその活用ノウハウを通じたサポートを行うとともに 輸出先国バイヤーの発掘 関心喚起等輸出環境整備に引き続き取り組みました また 独立行政法人中小企業基盤整備機構では 実現可能性調査支援等を通じ 食品分野も含めた中小企業の海外展開を支援しました イビジネス投資環境の整備 グローバル フードバリューチェーン戦略 に基づき 我が国食産業の海外展開を図るため 二国間政策対話や経済連携等を活用し ビジネス投資環境の整備を推進 282

309 第2部しました ウ食料産業における国際標準への戦略的対応我が国の食品産業事業者の国際的な取引における競争力を確保し 消費者に対してより安全な食品を供給するため 日本発の国際的に通用するHACCPをベースとした食品安全管理に関する規格や認証の仕組みの構築とその国際規格化に向けた取組を官民が連携して推進しました あわせて 事業者におけるHACCP 等食品安全に関する知識を有する人材や国際的な基準の策定等の過程に参画できる人材の育成と 我が国におけるこうした取組の海外への積極的な発信等を推進しました (3) 知的財産の戦略的な創造 活用 保護ア品質等の特性が産地と結び付いている我が国の伝統的な農林水産物 食品を登録 保護する地理的表示 (GI) 保護制度の円滑な運用を図るとともに 引き続き 登録申請に係る支援や制度の周知と理解の促進に取り組みました また GIを活用した地域ブランド化等を促すため 全国のGI 産地 GI 産品を流通関係者や消費者等に紹介するシンポジウムや展示会等を開催し 制度の普及 活用を推進しました あわせて 制度の適切な運用を図るため 登録生産者団体等に対する定期検査を行いました イ各地域 産品の実情に応じた知的財産の保護 活用を図るため 申請者の視点に立ち 農林水産省と特許庁が協力しながら 特許 商標 営業秘密 GI 及び植物品種の育成者権等の相談に対応しました ウ我が国種苗の海外への流出 無断増殖を防止するため 海外における品種登録 ( 育成者権取得 ) に対して支援するとともに 品種保護に必要となる検査手法 DNA 品種識別法の開発等の技術課題の解決や 東アジアにおける品種保護制度の整備を促進するための協力活動等を推進しました エ日本のGI 産品等の保護のため 28 年 12 月に改正された 特定農林水産物等の名称の保護に関する法律 ( 平成 26 年法律第 84 号 ) に基づき国際協定による諸外国との相互保護に向けた取組を進めました また 海外における日本のGI 等を調査し 都道府県等の関係機関と共有することで 海外における知的財産侵害対策の強化を図りました オ農業分野のICT 規格の標準化を図るため 実証展示ほにおいて農業分野のICT 関連のシステムの接続性及び互換性を検証し ICT 関連事業者に採用される標準化技術仕様の策定を支援しました 5 様々なリスクに対応した総合的な食料安全保障の確立 (1) 食料供給に係るリスクの定期的な分析 評価等主要な農林水産物の供給に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し そのリスクごとの影響度合 発生頻度 対応の必要性等について分析 評価を行いました また 不測の事態が発生した場合に備え 緊急事態食料安全保障指針 (24 年 9 月策定 ) に基づく具体的な対応手順等について 引き続き関係者との共有を図りました (2) 海外や国内におけるリスクへの対応 緊急事態食料安全保障指針 に基づき 食料の安定供給を確保するための平時の取組を行いました また 食料の安定供給に関するリスクの定期的な分析 評価結果を踏まえ 平素から 食料供給への影響を軽減するための対応策を検討 実施しました ア国際的な食料需給の把握 分析省内外において収集した国際的な食料需給に係る情報を一元的に集約するとともに 我が国独自の短期的な需給変動要因の分析や 中長期の需給見通しを策定し これらを国民に分かりやすく発信しました 283

310 平成 29 年度食料 農業 農村施策 イ輸入穀物等の安定的な確保 ( ア ) 輸入穀物の安定供給の確保穀物の輸入先国との緊密な情報交換等を通じ 安定的な輸入を確保しました 輸入依存度の高い飼料穀物について 不測の事態における海外からの供給遅滞 途絶 国内の配合飼料工場の被災に ひっぱく 伴う配合飼料の急激な逼迫等に備え 配 合飼料メーカー等が事業継続計画に基づいて実施する飼料穀物の備蓄の取組に対して支援しました ( イ ) 国際港湾の機能強化 a ばら積み貨物の安定的かつ安価な輸入を実現するため 大型船に対応した港湾機能の拠点的確保や企業間連携の促進等による効率的な海上輸送網の形成に向けた取組を引き続き推進しました b 国際海上コンテナターミナル 国際ターミナルの整備等 国際港湾の機能強化を推進しました ( ウ ) 海外農業投資の支援国民への食料の安定供給の確保に向け 穀物等の調達に関する取組の強化や我が国からの海外農業投資の促進を図るため 各国との政策対話と国内での官民協議会とを連携させて取り組みました ( エ ) 肥料原料の供給安定化対策肥料原料については 海外からの輸入への依存度を低減させるため 国内の未利用資源の活用に向けた技術開発 実証 実用化等をコストに配慮しつつ推進しました ( オ ) 遺伝資源の収集 保存 提供機能の強化食料の安定供給に資する品種の育成 改良に貢献するため 農業生物資源ジーンバンクにおいては 収集した遺伝資源を基に 幅広い遺伝変異をカバーしたコアコレクションの整備を進め 植物 微生物 動物遺伝資源の更なる充実と利用者への提供を促進しました また 食料及び農業のための植物遺伝資源に関する 国際条約 (ITPGR) の枠組みを活用した他国との植物遺伝資源の相互利用や 植物遺伝資源に関するアジア諸国との二国間共同研究等を推進することによって 海外遺伝資源の導入環境を整備しました ウ国際協力の新展開 ( ア ) 世界の食料安全保障に係る国際会議への参画等 G7サミット G2サミット及びその関連会合 アジア太平洋経済協力 (APEC) 関連会合 ASEAN+3 農林大臣会合 世界食料安全保障委員会 (CFS) 等 FAO 関連会合 経済協力開発機構 (OECD) 農業委員会等世界の食料安全保障に係る国際会議等に積極的に参画し 持続可能な農業生産の増大 生産性の向上及び多様な農業の共存に向けて国際的な議論に貢献しました また フードバリューチェーンの構築が農産物の付加価値を高め 農家 農村の所得向上と食品ロス削減に寄与し 食料安全保障を向上させる上で重要であることを発信しました ( イ ) 官民連携によるフードバリューチェーンの構築 a フードバリューチェーンの構築に向け 官民連携による二国間政策対話や合同ミッションの派遣 生産 流通 投資環境調査等を実施し 民間投資と連携した国際協力を推進しました b TICAD VI( 第 6 回アフリカ開発会議 ) で採択されたナイロビ実施計画の着実な推進に向け アフリカにおけるフードバリューチェーン構築に資する 農家のマーケティング能力の向上等 人材育成等を支援しました ( ウ ) 飢餓 貧困対策への貢献 a 途上国 新興国における栄養不良人口の削減に貢献するため 現地調査 栄養改善に関する将来的なビジネス展開のためのセミナーの開催や情報発信等を支援 284

311 第2部しました b 飢餓 貧困の削減に向け 米等の生産性向上のための研究や技術普及等を支援しました ( エ ) 気候変動や越境性動物疾病等の地球規模の課題への対策 a パリ協定を踏まえた森林減少 劣化抑制等の気候変動対策や アジアにおける口蹄疫 鳥インフルエンザ等の越境性動物疾病及び薬剤耐性菌対策等を推進しました b 大規模災害等の緊急時に対処することを目的としたASEAN+3 緊急米備蓄 (APTERR) 協定に基づき APTERR 体制の確立に向けた基金の造成や現物備蓄事業への支援を行いました エ動植物防疫措置の強化 ( ア ) 家畜防疫体制の強化や植物病害虫の防除の徹底世界各国における口蹄疫 高病原性鳥インフルエンザ等の発生状況 地球温暖化に伴う新たな植物病害虫の侵入等を踏まえ 国内における家畜の伝染性疾病や植物の病害虫の発生予防及びまん延防止対策 発生時の危機管理体制の整備等を実施しました ( イ ) 輸入検疫体制の強化 a 家畜防疫官 植物防疫官の適切な配置及び動植物検疫探知犬の増頭等検査体制の整備 強化により 円滑で確実な水際対策を講ずるとともに 家畜の伝染性疾病及び植物の病害虫の侵入 まん延を防止しました b 政府が輸入する米麦について残留農薬等の検査を実施しました ( ウ ) 産業動物獣医師の育成 確保地域の産業動物獣医師への就業を志す獣医大学への地域枠入学者 獣医学生への修学資金の貸与 獣医学生を対象とした産業動物獣医師の業務について理解を深めるための臨床研修や女性獣医師等を対象とした職場復帰 再就職に向けたス キルアップのための研修等による産業動物獣医師の育成等の支援 産業動物獣医療の提供体制整備に取り組む地域への支援を実施しました オ食品流通における不測時への備えの強化 ( ア ) 米穀の備蓄運営について 米穀の供給が不足する事態に備え 国民への安定供給を確保するため 1 万 t 程度 (29 年 6 月末時点 ) の備蓄保有を行いました ( イ ) 海外依存度の高い小麦について 港湾スト等により輸入が途絶した場合に備え 外国産食糧用小麦需要量の2.3か月分を備蓄し そのうち政府が1.8か月分の保管料を助成しました ( ウ ) 緊急時に備えた家庭における食料品の備蓄を推進しました 6 国際交渉への戦略的な対応 (1)EPA( 経済連携協定 )/FTA( 自由貿易協定 ) への取組等 日本再興戦略 216 (28 年 6 月策定 ) 等に基づき グローバルな経済活動のベースとなる経済連携を進めました 日 EU EPA TPP 東アジア地域包括的経済連携 (RCEP) 日中韓 FTA 等の経済連携について 我が国の農林水産品がこれらの交渉において慎重に扱うべき事項であることに十分配慮し 重要品目の再生産が引き続き可能となるよう 交渉を行いました 日 EU EPA は 29 年 12 月に交渉妥結 TPP11は 3 年 3 月に協定の署名を行いました (2)WTO 交渉における取組 多様な農業の共存 という基本理念の下 食料輸出国と輸入国のバランスの取れた農産物貿易ルールの確立に向けて WTO 交渉の前進と 多角的貿易体制の維持 強化に積極的に貢献しました 285

312 平成 29 年度食料 農業 農村施策 Ⅲ 農業の持続的な発展に関する施策 1 力強く持続可能な農業構造の実現に向けた担い手の育成 確保 (1) 法人化 経営の多角化等を通じた経営発展の後押しア担い手への重点的な支援の実施 ( ア ) 認定農業者等の担い手が主体性と創意工夫を発揮して経営発展できるよう 担い手に対する農地の集積 集約化の促進や経営所得安定対策 出資や融資 税制等 経営発展の段階や経営の態様に応じた支援を行いました ( イ ) 担い手の育成 確保に向けた施策について 構造改革の進展の状況を踏まえつつ 担い手の経営発展に資するよう 分析 検証を行いました イ農業経営の法人化等の加速化 ( ア ) 農業経営の法人化を促進するため 大規模な家族農業経営や集落営農等を中心に 法人化のメリットや手続 法人経営に必要となる財務 労務管理に関する情報やノウハウ等の普及 啓発を行うとともに 税理士等の経営に関する専門家による相談 指導体制の整備等を推進しました ( イ ) 労働力不足の状況に対応し 農業法人において 幅広い年齢層や他産業からの人材等の活用を図るため 他産業並の就業環境の整備を推進するとともに 従業員のキャリアパスとして別の法人の経営者として独立する取組等を促進しました ( ウ ) 担い手が少ない地域においては 地域における農業経営の受皿として 集落営農の組織化を推進するとともに これを法人化に向けての準備 調整期間と位置付け 法人化を推進しました ( エ ) 農業の 働き方改革 検討会を開催し 働き方改革に向けて段階別に農業経営者が取り組む具体的手法等について取 りまとめを行いました ウ経営の多角化 複合化雇用労働力の有効活用や農業機械等の経営資源の有効利用 価格変動や自然災害による経営リスクの分散等を図るため 経営の多角化や複合化を推進しました また これらの経営体の経営発展を図るため 農林水産祭等において新たに 多角化経営部門 を設置し 表彰を行いました (2) 新規就農や人材の育成 確保 経営継承等ア青年層の新規就農 ( ア ) 将来の我が国の農業を支える人材を確保するためには 青年新規就農者を増大させる必要があることから 次世代を担う農業者となることを志向する者に対し 1 就農前の研修 (2 年以内 ) の後押しと就農直後 (5 年以内 ) の経営確立に資する資金の交付 2 農業法人等が実施する新規就農者に対する実践研修への支援を行いました ( イ ) 初期投資の負担を軽減するため 農業機械等の取得に対する補助や無利子資金の貸付けを行いました ( ウ ) 就農希望者等に対する全国的な求人情報等の提供や就農相談 就農前の短期間就業体験 ( インターンシップ ) の実施を支援しました ( エ ) 地域の農業大学校 農業高校等の卒業生の就農を促進するため 関係府省や都道府県等の連携の下 先進的な農業経営の学習の充実や就農支援体制の強化等を推進しました ( オ ) 次世代の農業経営者育成キャリアパスを明確化するため 農業大学校の専門職大学化を推進しました イ経営感覚を持った農業者の育成 確保 ( ア ) 今後の地域農業のリーダーとなる人材の層を厚くするとともに 農業界をけん引するトッププロを育成するため 高度 286

313 第2部な経営力 地域リーダーとしての人間力 等を養成する高度な農業経営者育成教育機関が実施する研修等を支援しました また 優れた経営感覚を備えた農業者の育成支援のため 農業者が営農しながら経営ノウハウを学べる 農業経営塾 の創出を支援しました ( イ ) 社会の変化や産業の動向等に対応した 高度な知識 技能を身に付け 社会の第一線で活躍できる専門的職業人を育成するため 先進的な卓越した取組を行う専門高校を指定し 取組を支援しました ウ次世代の担い手への円滑な経営継承今後 担い手の優れた技術や農地等の生産基盤を確実に次世代の担い手に継承していくため 農業法人や大規模な家族農業経営が経営継承の重要性の理解を深めるなど 円滑な経営継承を促進しました エ企業の農業参入企業の農業参入は 特に担い手が不足している地域においては農地の受皿として期待されていることから 農地中間管理機構を中心としてリース方式による企業の参入を促進しました 2 女性農業者が能力を最大限発揮できる環境の整備 (1) 女性の活躍推進女性農業者が その能力を最大限に発揮し 農業経営や6 次産業化を展開することができる環境を整備するため 経営体向け補助事業について女性農業者等による積極的な活用を促進するほか 地域農業における次世代のリーダーとなり得る女性農業経営者の育成及び農業で新たにチャレンジを行う女性の経営の発展を促進するための取組を推進しました また 女性農業者の知恵と民間企業の技術 ノウハウ アイデア等を結び付け 新たな商品やサービス開発等を行う 農業女子プロジェクト の活動を拡大しました (2) 政策 方針決定過程への女性の参画の促進ア地域農業に関する方針等に女性農業者等の声を反映させるため 人 農地プランを検討する場への女性農業者の参画を義務付けました イ 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律 ( 平成 27 年法律第 63 号 ) による 28 年 4 月改正後の 農業委員会等に関する法律 ( 昭和 26 年法律第 88 号 ) 及び 農業協同組合法 ( 昭和 22 年法律第 132 号 ) において 農業委員会の委員や農業協同組合の役員について 年齢及び性別に著しい偏りが生じないよう配慮しなければならない旨の規定が置かれたことを踏まえ 委員 役員の任命 選出が男女共同参画の視点から行われるよう 女性の参画拡大に向けた取組をより一層促進しました 3 農地中間管理機構のフル稼働による担い手への農地集積 集約化と農地の確保 (1) 担い手への農地集積 集約化の加速化ア人 農地プランの活用各地域の人と農地の問題を解決していくため 人 農地プランの作成と定期的な見直しを推進しました その際 地域内外の幅広い関係者が参画した徹底的な話合いを進め 担い手を同プランに位置付けていくとともに 話合いにおける農地情報公開システム ( 全国農地ナビ ) の活用を推進しました 人 農地プランに即して担い手が行う経営規模の拡大等の取組を 融資等を通じて促進しました イ農地中間管理機構のフル稼働全都道府県に設立された農地中間管理機構の取組を更に加速化させ 担い手への農地の集積 集約化を進めました (2) 荒廃農地の発生防止 解消等農業者等が行う 荒廃農地を再生利用する取組を推進するとともに 農地法 ( 昭和 27 年法律第 229 号 ) に基づく農業委員 287

314 平成 29 年度食料 農業 農村施策 会による利用意向調査 農地中間管理機構との協議の勧告等の一連の手続を活用して再生利用可能な遊休農地の農地中間管理機構への利用権設定を進めることにより 荒廃農地の発生防止と解消に努めました (3) 農地転用許可制度等の適切な運用農地の転用規制及び農業振興地域制度の適正な運用を通じ 優良農地の確保に努めました 4 担い手に対する経営所得安定対策の推進 収入保険制度等の検討 (1) 担い手を対象とした経営所得安定対策の着実な推進担い手の農業経営の安定を図り 我が国農業の更なる構造改革を進める観点から 畑作物の直接支払交付金 ( ゲタ対策 ) と 米 畑作物の収入減少影響緩和対策 ( ナラシ対策 ) について 引き続き 認定農業者 認定新規就農者 集落営農を対象として 規模要件を課さずに実施しました ア畑作物の直接支払交付金諸外国との生産条件の格差から生じる不利がある畑作物 ( 麦 大豆 てんさい でん粉原料用ばれいしょ そば なたね ) を生産する農業者に対して 標準的な生産費と標準的な販売価格の差に相当する額を直接交付する 畑作物の直接支払交付金 ( ゲタ対策 ) を実施しました イ米 畑作物の収入減少影響緩和対策国民に対する熱量の供給を図る上で特に重要なもの等で 収入の減少が農業経営に及ぼす影響を緩和する必要がある農産物を生産する農業者に対して 農業者拠出に基づくセーフティネットとして 米 畑作物の収入減少影響緩和対策 ( ナラシ対策 ) を実施しました ウ米の直接支払交付金米の直接支払交付金について 29 年産米までの時限措置として実施しました (2) 経営の新たなセーフティネットとしての収入保険制度等の検討農業経営全体の収入に着目した収入保険制度を創設するとともに 従来の農業共済事業の改善を行う 農業災害補償法の一部を改正する法律 が第 193 回国会で成立しました きょうじん 5 構造改革の加速化や国土強靱化に資す る農業生産基盤整備農地集積の加速化 農業の高付加価値化に資する農地の大区画化 汎用化や畑地かんがい等の整備 老朽化した農業水利施設の長寿命化 耐震化等を推進しました また 生態系や景観等の農村環境の保全 形成に配慮した農業生産基盤の整備を推進しました (1) 力強い農業を支える農業生産基盤整備ア大区画化 汎用化等の基盤整備を実施し 農地中間管理機構とも連携した担い手への農地集積 集約化や農業の高付加価値化を推進しました イ農地整備状況について 地理情報システムを活用した情報の可視化 共有を図りました ウパイプライン化やICTの導入等により 水管理の省力化と担い手の多様な水利用への対応を実現する新たな農業水利システムを構築し 農地集積の加速化を推進しました (2) 老朽化等に対応した農業水利施設の持続的な保全管理ア点検 機能診断及び監視を通じた適切なリスク管理の下での計画的かつ効率的な補修 更新等により 施設の徹底した長寿命化とライフサイクルコストの低減を図りました イ地理情報システムを活用した農業水利施設に係る点検 機能診断結果等の情報の蓄積 可視化 共有を推進しました 288

315 (3) 農村地域の強第2部きょうじん 靱化に向けた防災 減災対 策ア基幹的な農業水利施設やため池等の耐震診断やハザードマップの作成 耐震対策 集中豪雨による農村地域の洪水被害防止対策等のハード面とソフト面を組み合わせた防災 減災対策を実施しました 特にため池については 下流に住宅や公共施設等があり 施設が決壊した場合に影響を与えるおそれがあるなどの防災重点ため池の対策を実施しました イ津波 高潮 波浪その他海水又は地盤の変動による被害等から農地等を防護するため 海岸保全施設の整備等を実施しました (4) 農業 農村の構造の変化等を踏まえた土地改良制度の検証 検討農地の利用集積の促進を図るため 農地中間管理機構が借り入れている農地について 都道府県が農業者からの申請によらず 農業者の費用負担や同意を求めずに基盤整備事業を実施できる制度を創設するなどの措置を講ずる 土地改良法等の一部を改正する法律 が第 193 回国会で成立しました また 農業 農村の構造の変化を見極めつつ 土地改良事業や土地改良区の現状 ニーズ等について把握 分析した上で 土地改良区の組合員資格や体制等の在り方について 引き続き検証 検討を行いました 6 需要構造等の変化に対応した生産 供給体制の改革 (1) 米政策改革の着実な推進 飼料用米等の戦略作物の生産拡大ア米政策改革の着実な推進 ( ア ) 需要に応じた生産 販売を推進するため 水田活用の直接支払交付金による支援 外食 中食等のニーズに応じた生産 はしゅ と播種前契約 複数年契約等による安定 取引の一層の推進 県産別 品種別等のきめ細かい需給 価格情報 販売進捗情 報 在庫情報の提供 都道府県別 地域別の作付動向 ( 中間的な取組状況 ) の公表等の環境整備を推進しました ( イ )3 年産から行政による生産数量目標の配分に頼らずとも 国が策定する需給見通し等を踏まえつつ生産者や集荷業者 団体が中心となって円滑に需要に応じた生産 販売が行える状況になるよう 行政 生産者団体 現場が一体となって取り組みました イ飼料用米等の戦略作物の生産拡大食料自給力 食料自給率の維持向上を図るため 飼料用米 麦 大豆等 戦略作物の本作化を進めるとともに 地域の特色のある魅力的な産品の産地づくりに向けた取組を支援することにより 水田のフル活用を図りました 具体的には 飼料用米及び米粉用米について 単収向上へのインセンティブとして 生産数量に応じて交付金を支払う数量払い等により戦略作物の生産への支援を行うとともに 地域が作成する 水田フル活用ビジョン に基づき 地域の特色のある魅力的な産品の産地を創造するため 地域の裁量で活用可能な産地交付金により 産地づくりに向けた取組を支援しました (2) 畜産クラスター構築等による畜産の競争力強化ア畜産 酪農の競争力強化 ( ア ) 畜産農家を始めとして 地域に存在する外部支援組織 ( コントラクター TMR センター キャトルステーション ヘルパー等 ) や関連産業等の関係者 ( 乳業 食肉センター等 ) が有機的に連携 結集し 地域ぐるみで収益性を向上させる畜産クラスターの取組を推進するため 新規就農者等の確保や経営資源の円滑な継承を促進するとともに 省力化機械の導入 活用 外部支援組織の活用による労働負担の軽減や経営規模拡大に資する施設の整備を支援しました ( イ ) 酪農経営における性判別受精卵 精液 289

316 平成 29 年度食料 農業 農村施策 を活用した優良な乳用後継雌牛の確保や和牛受精卵を活用した和子牛生産の拡大 和牛繁殖経営におけるICT 等の新技術を活用した繁殖性の向上 種豚生産経営における優良な純粋種豚の導入による豚の生産能力の向上等を図る取組を支援しました ( ウ ) 輸入飼料に過度に依存した畜産から国内の飼料生産基盤に立脚した畜産に転換するため 国産飼料の生産 利用の拡大や流通基盤 体制の強化 放牧の活用や食品残さ等の飼料利用の拡大等を推進しました ( エ ) 需要面での変化については 人口減少等により 国内需要は減少が見込まれる中 チーズ 発酵乳 適度な脂肪交雑の牛肉への需要の拡大や安全 安心への関心等を踏まえ 多様な消費者ニーズに的確に対応した生産等を推進しました また 酪農家による6 次産業化の取組を支援するため 指定生乳生産者団体との生乳取引の多様化を推進しました ( オ ) 農業競争力強化プログラム に基づき 生乳を需要の増加が見込まれる乳製品に仕向けやすい環境を整備し 需給状況に応じた乳製品の安定供給の確保等を図る 畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律 が第 193 回国会で成立しました ( カ ) 酪農家の 働き方改革 を推進するため 農業競争力強化プログラム に基づき 搾乳ロボット等の機械装置の導入を短期 集中的に支援しました イ畜産 酪農関係の経営安定対策経営安定対策として 以下の施策等を実施し 畜産農家等の経営安定を図りました ( ア ) 畜種ごとの経営安定対策 a 酪農関係では 1 加工原料乳に対する加工原料乳生産者補給金の交付 2 加工原料乳の取引価格が低落した場合の補塡 金の交付 3 自給飼料生産基盤に立脚した経営を行う酪農家 ( 自給飼料の生産を行うとともに環境負荷軽減に取り組んでいる者 ) に対し 飼料作付面積に応じた交付金の交付等の対策 b 肉用牛関係では 1 肉用子牛対策として 子牛価格が保証基準価格を下回った場合に補給金を交付する肉用子牛生産者補給金制度及び本制度を補完する肉用牛繁殖経営支援事業 ( 肉専用種の子牛価格が発動基準を下回った場合に交付金を交付 ) 2 肉用牛肥育対策として 粗収益が生産コストを下回った場合に補塡金を交付する肉用牛肥育経営安定特別対策事業 ( 牛マルキン ) c 養豚関係では 粗収益が生産コストを下回った場合に補塡金を交付する養豚経営安定対策事業 ( 豚マルキン ) d 養鶏関係では 鶏卵の取引価格が補塡基準価格を下回った場合に補塡金を交付する鶏卵生産者経営安定対策事業 ( イ ) 飼料価格高騰対策配合飼料価格の大幅な変動に対応するための配合飼料価格安定制度を適切に運用するとともに 国産飼料の増産や食品残さ等を飼料として利用する取組等を推進しました (3) 実需者ニーズ等に対応した園芸作物等の供給力の強化ア野菜関係対策 ( ア ) 野菜の生産 出荷の安定と消費者への安定供給を図るため 価格低落時における生産者補給交付金の交付等により 野菜価格安定対策を的確かつ円滑に実施しました ( イ ) 加工 業務用野菜への転換を推進する産地に対し 加工 業務用野菜の安定生産に必要な作柄安定技術の導入を支援するとともに 水田地帯において水稲から野菜への転換を図り 実需者等の関係者と連携して取り組む新しい野菜産地の育成を推進しました あわせて 加工 業 29

317 第2部務用需要に対応したサプライチェーンの 構築に加えて 加工 業務用野菜の生産を加速化するための新技術 機械化の導入等について支援しました ( ウ ) 燃油価格の高騰の影響を受けにくい経営構造への転換を進めるため 燃油価格高騰時のセーフティネットの構築を支援しました イ花き関係対策 花きの振興に関する法律 ( 平成 26 年法律第 12 号 ) に基づき 以下の施策を実施しました ( ア ) 国産シェアの奪還等を図るため 花き業界関係者が一堂に会する協議会の設置 運営や 需要期に合わせた高品質な切り花の低コスト安定供給体制の構築 植木 盆栽の育苗期間短縮化の実証 広域連携による加工技術の向上 日持ち性の向上 コールドチェーンの確立等の国産花きの 強み を活かす生産 供給体制の強化 花育活動等の需要拡大に向けた取組等を支援しました ( イ ) 輸出力強化戦略に基づき 全国花き輸出拡大協議会を核とし オールジャパンの体制で行う国産花きの輸出拡大に向けた取組を推進しました ウ茶関係対策茶の新需要開拓や高付加価値化に向け 実需者ニーズに即した新たな茶商品の生産 加工技術や機能性成分等の特色を持つ品種の導入 てん茶 ( 抹茶の原料 ) 栽培に適した棚施設を利用した栽培法への転換 新たな抹茶加工技術の実証等を支援しました エ砂糖及びでん粉関係対策 砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律 ( 昭和 4 年法律第 19 号 ) に基づき さとうきび でん粉原料用かんしょ生産者及び国内産糖 国内産いもでん粉の製造事業者に対して 経営安定のための支援を行いました (4) 需要拡大が見込まれる有機農産物や薬用作物の生産拡大ア有機農産物関係対策有機農産物等の生産拡大を推進するため 生産者と実需者 ( スーパーマーケット レストラン等 ) の連携を促進し円滑なビジネス環境を整えるとともに 新規就農 転換者の定着 拡大や地域の生産供給拠点を構築するための取組を支援しました また 有機 JAS 認証の取得を推進するとともに 輸出促進に向けた諸外国との有機同等性の取得等を推進しました イ薬用作物関係対策薬用作物の産地形成を加速化させるため 産地と実需者 ( 漢方薬メーカー等 ) とが連携した栽培技術の確立のための実証ほの設置 優良種苗の安定供給に向けた取組及び省力化のための農業機械の改良のほか 事前相談窓口の設置や栽培技術の指導体制の確立に向けた取組を支援しました 7 コスト削減や高付加価値化を実現する生産 流通現場の技術革新等 (1) 戦略的な研究開発と技術移転の加速化ア現場のニーズを踏まえた戦略的な研究開発様々な農政の課題に技術面で的確に対応するため 農林水産研究基本計画 (27 年 3 月策定 ) に基づきつつ 攻めの農林水産業の展開に向けて 以下の施策を推進しました その際 農業現場のニーズに直結した戦略的な研究開発を推進するため 農業者や普及組織等から現場の意見を聴取するとともに 研究への参画を推進しました ( ア ) 生産現場強化のための研究開発 a 輸入飼料と同等の価格の自給濃厚飼料の生産 調製 利用技術の開発を推進しました b 畜産 酪農の生産力強化を図るため 家畜の繁殖機能の早期回復技術等の開発を推進しました 291

318 平成 29 年度食料 農業 農村施策 c 大豆等の収量の高位安定化技術の開発を推進しました d 有機資源の循環利用や微生物利用による化学肥料 農薬の削減技術 養分利用効率の高い施肥体系 土壌に蓄積された養分を有効活用する管理体系等の確立を推進しました e 国産花きの競争力強化のため 実需ニーズの高い新系統及び低コスト栽培技術 品質保持期間延長技術の開発を推進しました f 自動走行トラクター 生育予測システム 自動水管理システム 植物工場における収量 成分の制御を可能とする栽培管理技術等 農業のスマート化を実現するための様々な技術の開発を総合的に推進しました ( イ ) 市場開拓に向けた取組を支える研究開発 a 薬用作物の国内生産拡大に向け カンゾウ トウキ等の需要が多い品目について 低コストで安定生産を可能とする栽培 生産技術の開発を推進しました b 地域の農林水産物 食品について 機能性表示を可能とするエビデンスを取得するとともに 機能性を高めるための栽培 加工技術の開発を推進しました c 農産物の多様な品質を集出荷施設等で迅速に評価する新しい技術の開発を推進するとともに 輸出先の嗜好に適合する品種を容易に選定する技術の開発を推進しました ( ウ ) バリューチェーン構築のための研究開発 a 実需者等のニーズに的確に対応した業務 加工用の大豆 野菜 果樹等の品種及び生産 加工 鮮度保持技術の開発を推進しました b 稲 麦 大豆 園芸作物等の農業上有用な遺伝子を同定し DNAマーカーの開発 利用を推進するとともに ゲノム情報を活用した新しい育種技術や 遺伝 資源等から有用遺伝子を効率よく発掘する技術 害虫の薬剤抵抗性管理技術等の開発を推進しました また 海外植物遺伝資源の導入環境を整備しました ( エ ) 農林水産分野における気候変動対応のための研究開発 a 農林水産分野における気候変動への適応を進めるため 温暖化の進行による農林水産業への影響を高精度に評価しました b 温暖化の将来予測や影響評価に基づく品種育成 生産安定技術のほか 豪雨等の異常気象による被害を回避 軽減する技術等を開発しました c 温暖化の進行による環境の変化に伴う野生鳥獣の分布拡大 被害予測に関する研究を行うとともに ロボットやICT 等の利用 獣種特性等に応じた野生鳥獣被害対策技術及び海外から侵入が危惧される有害動植物の迅速な検出 同定技術の開発を行いました d 各国の農業研究機関等との密な連携により気候変動適応 緩和技術を開発し 開発途上国での気候変動対策及び持続可能な食料安定供給への取組を支援しました ( オ ) 戦略的プロジェクト研究推進事業 a 人工知能 (AI) 等の最新技術を活用して 飛躍的な生産性の向上等を実現する技術の開発を推進しました b 日本の独自技術である遺伝子組換え蚕を活用して新たな地域産業を創出するため 遺伝子組換え蚕に医薬品等の有用物質を効率的に生産させるための基盤技術やICT ロボットを導入した新たな養蚕システムの開発を推進しました c 家畜生産基盤の強化のため 動物用抗菌剤の使用によるリスクを低減するための研究を実施するとともに 抗菌剤に頼らない常在疾病防除技術の開発を推進しました d 家畜に関連する温室効果ガスの発生を 292

319 第2部低減する新たな飼養管理技術や 有用な 花粉媒介昆虫を解明し 農業生産に効果的 持続的に利活用する技術等の開発を推進しました イ技術移転の加速化 ( ア ) 橋渡し 機能の強化 a 知 の集積と活用の場による技術革新 (a) 産学官による研究開発プラットフォームづくりを促進するため 産学官連携協議会において ポスターセッション セミナー ワークショップ等を開催し 技術シーズ ニーズに関する情報交換 意見交換を行いました (b) 研究開発プラットフォームから形成された研究開発コンソーシアムで行われる研究開発を国と民間企業等が 資金を出し合うマッチングファンド方式等により支援しました b 異分野融合研究の強化工学 医学等異分野の技術を農林水産分野に導入 活用するための共同研究を新たに開始するとともに これまでの研究成果を社会実装につなげるための展示等を行う機会を設けるなど 研究開発を推進しました c 研究開発 普及 生産現場の連携による技術開発 普及 (a) 農林水産業 食品産業等におけるイノベーションにつながる革新的な技術シーズを開発するための基礎研究及び開発された技術シーズを実用化に向けて発展させるための研究開発を推進しました (b) 研究開発から産業化までを一貫して支援するため 大学 民間企業等の地域の関係者による技術開発から改良 開発実証試験までの取組を切れ目なく支援するとともに 民間企業等における事業化を支援しました (c) 全国に配置されたコーディネーターが 技術開発ニーズ等を収集するとと もに マッチング支援や商品化 事業化に向けた支援等を行い 研究の企画段階から産学が密接に連携し 早期に成果を実現できるよう支援しました (d) 農業技術に関する近年の研究成果のうち 生産現場への導入が期待される品種 技術を 最新農業技術 品種 217 として紹介しました (e) 産地においては 普及指導センターと大学 企業 試験研究機関等が連携しつつ 技術指導を核に総合的な支援を展開するなど 研究成果の普及 実用化体制の強化を推進しました ( イ ) 効果的 効率的な技術 知識の普及指導国と都道府県が協同して 高度な技術 知識を持つ普及指導員を設置し 普及指導員が農業者に直接接して行う技術 経営指導等を推進しました その際には 営農情報を提供する民間企業等との役割分担を図り 地域の合意形成や新規就農者の支援 地球温暖化及び災害への対応等 公的機関が担うべき分野についての取組を強化しました また 農業分野の技術革新 農業者の多様なニーズ等に的確に対応するため 計画的に普及指導員の資質の向上を図る研修等を実施しました ( ウ ) 戦略的な知的財産マネジメントの推進 a 研究開発の推進に当たっては 事業化 商品化に向けた知的財産戦略を研究開発の企画 立案段階から描き 研究開発を効果的に推進しました b 研究成果については 秘匿化や特許等の独占的な実施許諾も選択肢として 社会還元を加速化する観点から最も適切な方法が採用されるよう 農林水産研究における知的財産に関する方針 (28 年 2 月策定 ) に基づき 研究機関に対して指導 支援しました ( エ ) レギュラトリーサイエンスの充実 強化 293

320 平成 29 年度食料 農業 農村施策 a レギュラトリーサイエンス研究推進計画 (27 年 6 月策定 ) で明確化した取り組むべき調査研究の内容や課題について その進捗状況の検証 見直しを行うとともに 所管法人 大学 民間企業 関係学会等への情報提供や研究機関との意見交換を行い 研究者の認識や理解の醸成とレギュラトリーサイエンスに属する研究の拡大を促進しました b 研究開発部局と規制担当部局とが連携して 食品中の危害要因 家畜疾病 植物病害虫等のリスク管理に必要な調査研究を推進しました c レギュラトリーサイエンスに属する研究事業の成果を国民に分かりやすい形で公表するとともに 行政施策 措置の検討 判断に活用された研究成果の報告会を開催しました ( オ ) 国民理解の促進最先端技術の研究開発及び実用化に当たっては 国民への分かりやすい情報発信 生産者や消費者との意見交換を並行して行い 研究成果の実用化に向けた環境づくりを進めました 特に 遺伝子組換え技術等は 飛躍的な生産性の向上等が期待される一方 国民的理解を得ていくことが課題であることから 関係府省の連携によるリスクコミュニケーション等の取組を強化しました (2) 先端技術の活用等による生産 流通システムの革新ア規模拡大 省力化や低コスト化を実現するための技術導入 ( ア ) スマート農業の実現に向けた取組ロボット技術やICTを活用して 超省力 高品質生産を実現する新たな農業 ( スマート農業 ) を実現するため ICT を活用した高度な生産管理やロボット農機等の生産現場における実証研究に取り組み これまでに開発された先進技術の実用化を推進しました また 明確な開発目標の下で現場での実装までを視野に 入れた技術開発を進めるとともに AI IoT 等の活用により 収穫ロボットの高度化等の全く新しい技術体系を創造するための研究開発等を実施しました さらに 引き続き現場実装に際して安全上の課題解決が必要なロボット技術について 安全性の検証やルールづくりのほか 関係府省が連携して農業におけるICTの利活用に向けて農業情報の標準化に取り組みました また 関係府省の協力の下 大学や民間企業等と連携して 農業データ連携基盤の構築に取り組みました ( イ ) 次世代施設園芸の取組拡大次世代施設園芸の取組を拡大するため 次世代施設園芸への転換に必要な技術について 習得のための実証 研修や地域展開を支援するとともに 技術習得に必要な実証温室や次世代型大規模園芸施設の整備とその成果やノウハウの分析 情報発信を支援しました ( ウ ) 産地の戦略的取組の推進産地の活性化を図るため 強み のある産地形成に向けた取組 品目ごとの多様な課題の解決に向けた取組 産地に人材を供給する取組等を支援しました ( エ ) 作業を受託する組織の育成 確保農作業の外部化により 高齢化や担い手不足が進行している生産現場の労働負担の軽減を図るとともに 規模拡大や主要部門への経営資源集中等を通じた経営発展を促進する観点から 地域の実情を踏まえつつ 飼料生産組織やヘルパー組織の育成 確保を推進しました ( オ ) 産地における農業労働力を確保 活用する仕組みの構築産地における人手不足を補うため 労働力の募集 産地への派遣を一体的に行う仕組みや 農業サービス事業体による農作業の外部化 援農隊 ( 農繁期等に農作業を支援する援農者の組織 ) による労働力の提供を円滑に行う仕組みの構築を 294

321 第2部支援しました イ需要に応じた生産や高付加価値化を進めるための技術導入我が国の 強み である技術力を活かした新たな品種や技術の開発 普及を進め かつ知的財産を総合的に活用することにより 日本各地で品質やブランド力等 強み のある農畜産物を実需者と連携して生み出すため 新品種 新技術の開発 保護 普及の方針 (25 年 12 月策定 ) に基づく取組等を推進しました ( ア ) 実需者や産地が参画したコンソーシアムを構築し ニーズに対応した新品種の開発等の取組を推進しました また 実需者等の多様なニーズに即応するため 育種期間を短縮するためのDNAマーカーの開発 様々な形質の導入を可能とする新たな育種技術の開発を行いました ( イ ) 新品種やICT 等の新技術等を活用した 強み のある産地形成を図るため 実需者 生産者等が連携して新たな産地形成を行う取組を総合的に支援しました また 埋もれた品種等の発掘や実需者等との結び付き強化 種苗の機動的な供給体制の整備 農業機械のリース導入 産地基幹施設整備等の取組を支援しました ( ウ ) 海外遺伝資源を戦略的に確保するため 締約国として食料 農業植物遺伝資源条約の運営に必要な資金拠出を行うとともに 条約の機能を改善するための議論等に参画したほか 遺伝資源保有国における制度調査や遺伝資源の取得 利用に関する遺伝資源保有国との枠組み構築等を実施しました また 二国間共同研究による海外植物遺伝資源の特性情報の解明等を推進することにより 海外植物遺伝資源へのアクセス環境を整備しました ウ異常気象などのリスクを軽減する技術の確立 ( ア ) 地球温暖化に対応する産地形成に向けた取組支援地球温暖化に対応する品種 技術を活用し 強み のある産地形成に向け 生産者 実需者等が一体となって先進的 モデル的な実証や事業者のマッチング等の取組を支援しました ( イ ) 農業生産資材費の低減 a 農業競争力強化プログラム に基づき 1 生産資材メーカーについて 国際競争に対応できる生産性の確保を図るための業界再編 2 生産資材に関する各種法制度及びその運用等の見直し 3 生産資材価格の 見える化 等を進めることにより 生産資材価格の引下げと農業及び生産資材関連産業の国際競争力の強化を図る 農業競争力強化支援法 が第 193 回国会で成立しました b 農薬登録を効率的に行うため 果樹においては 個別作物ごとの登録に加え作物群での登録も可能としました また 後発農薬 ( ジェネリック農薬 ) の登録審査において 一定の条件の下で 既登録農薬の試験データの一部を利用できるようにしました c 肥料 飼料 農薬 農業機械等の農業生産資材費の低減に向け 単肥 単肥を混合した配合肥料 国内未利用資源 ( 鶏ふん焼却灰等 ) を用いた肥料 エコフィード ( 食品残さ等利用飼料 ) 等の低コスト飼料 大型包装農薬やジェネリック農薬 中古農業機械や基本性能に絞った海外向けの農業機械等の低コスト生産資材の活用を推進するとともに フレキシブルコンテナによる肥料の流通 利用の合理化を推進しました d 農業者の生産資材の効率的利用を促進するため 土壌中の肥料成分を踏まえた施肥や局所施肥 地域の土壌条件や作物に応じた減肥基準の活用等による肥料利 295

322 平成 29 年度食料 農業 農村施策 用効率の向上 作期分散による農業機械稼働率の向上等を推進しました (3) 効果的な農作業安全対策の推進毎年 35 件前後発生し続けている農作業死亡事故を減少させるため 以下の取組を実施しました ア地方公共団体はもとより 農業機械メーカー 農業機械販売店等からの事故情報の効果的 体系的な収集の実施イ農業機械の安全鑑定や事故調査に取り組んでいる農業技術革新工学研究センターにおける 労働分野や交通関係の専門家等と連携した事故分析の実施と分析結果の発信 一人一人の農業者に伝える観点による分析情報の発信と注意喚起の充実ウ乗用型トラクターの片ブレーキによる事故を防止する装置を搭載した機種の普及及び農業機械の安全性を向上させる研究開発や 農業機械メーカー等の企業における安全設計を一層促進する取組の推進エ農業者やその家族等の安全意識の向上を図るための事故事例や啓発資材等を活用した 声かけ ( 注意喚起 ) や 農林水産省と警察庁等が連携した乗用型トラクター乗車時のシートベルトの着用 安全キャブ フレームの装着 ブレーキ連結の確認 低速車マークや反射材の取付け ヘルメット着用等についての農業者への声かけや啓発活動の推進オ都道府県や関係団体と連携した農業法人等に対する労働法制の啓発 農業団体における労災保険特別加入団体の設置の促進等による労災保険特別加入制度への農業者の加入の促進カ農林水産省と厚生労働省等が連携した熱中症予防に係る取組 農作業ウェアや熱中症計等の事故予防に資するグッズ利用の推進キリスク分析結果を基に作成された啓発資材 ( 農作業安全リスクカルテ ) を活用した農作業安全アドバイザーによる普及 啓発活動の展開 8 気候変動への対応等の環境政策の推進 (1) 気候変動に対する緩和 適応策の推進ア 農林水産省地球温暖化対策計画 (29 年 3 月策定 ) に基づき 農林水産分野における地球温暖化防止技術の開発 マニュアル等を活用した省エネ型の生産管理の普及 啓発や省エネ設備の導入等による施設園芸の省エネルギー対策 施肥の適正化を推進しました イ農地からの温室効果ガスの排出 吸収量の国連への報告に必要な農地土壌中の炭素量等のデータを収集する調査を行うとともに 地球温暖化防止等に効果の高い営農活動に対して支援しました ウ温室効果ガスの更なる排出削減対策や吸収源対策の推進のため 排出削減 吸収量を認証しクレジットとして取引できるJ- クレジット制度において 農林水産分野の取組を推進しました エバイオマスの変換 利用施設等の整備等を支援し 農山漁村地域におけるバイオマス等の再生可能エネルギーの利用を推進しました オ廃棄物系バイオマスの利活用については 廃棄物処理施設整備計画 (25 年 5 月策定 ) に基づく施設整備を推進するとともに 市町村等における生ごみのメタン化等の活用方策の導入検討を支援しました カ各国の研究機関等との連携により気候変動適応 緩和技術を開発し 開発途上国での気候変動対策及び持続可能な食料安定供給への取組を支援しました キ 農林水産省気候変動適応計画 (27 年 8 月策定 ) 及び 気候変動の影響への適応計画 (27 年 11 月策定 ) に基づき 農林水産分野における気候変動の影響への適応に関する取組を推進するため 以下の取組を実施しました ( ア ) 中長期的な視点に立った我が国農林水産業に与える気候変動の影響評価や適応技術を開発するとともに 各国の研究機関等との連携による気候変動適応 緩和 296

323 第2部技術を開発しました ( イ ) 地球温暖化に対応する品種 技術を活用し 強み のある産地形成に向け 生産者 実需者等が一体となって先進的 モデル的な実証や事業者のマッチング等に取り組む産地を支援しました ( ウ ) 地域ごとの気候の違いを踏まえた 気候変動への適応の取組を促進するための調査 分析を行いました ク気候変動枠組条約第 23 回締約国会議 (COP23) 等の地球環境問題に係る国際会議に参画し 農林水産分野における国際的な地球環境問題に対する取組を推進しました (2) 生物多様性の保全及び利用ア有機農業や冬期湛水管理等 生物多様性保全に効果の高い営農活動等に対して支援しました イ企業等による生物多様性保全活動への支援等について取りまとめた農林漁業者及び企業等向け手引き パンフレット並びに国連生物多様性の1 年日本委員会 (UNDB-J) のMy 行動宣言の更なる促進につながる農林水産関係アクション ( エコツーリズム 森林ボランティア 藻場の再生等 ) の普及 啓発資料を活用し農林水産分野における生物多様性保全活動を推進しました ウ遺伝子組換え農作物に関する取組については 生物多様性に及ぼす影響についての科学的な評価 安全性未確認の遺伝子組換え農作物に対する輸入時検査 国内の生産状況の把握 生態系への影響の監視等の調査を実施しました エ農林水産分野における遺伝資源の持続的利用を推進するため 以下の取組を実施しました ( ア ) 遺伝資源の持続可能な利用等の推進を目的とする食料 農業植物遺伝資源条約の運営に必要な資金拠出を行い 条約の機能改善のための議論等に参画しました ( イ ) 国内の遺伝資源利用者が海外の遺伝資 源を円滑に取得するために必要な情報収集及び提供や 遺伝資源の取得 利用に関する遺伝資源保有国との枠組み構築等を行いました ( ウ ) 国際農業研究機関の遺伝資源活用のための取組を推進しました (3) 農業の自然循環機能の維持増進とコミュニケーション環境保全型農業を推進するため 次の取組を実施しました ア 農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律 ( 平成 26 年法律第 78 号 ) に基づき 化学肥料 化学合成農薬の使用を原則 5 割以上低減する取組と一体的に実施する地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い営農活動に対して支援を実施しました また 持続性の高い農業生産方式の導入の促進 農業環境規範 (17 年 3 月策定 ) の普及 定着に取り組みました イ農業者 消費者 流通関係者等に対し エコファーマーが行う取組を始め環境保全型農業に関する情報発信を実施しました ウ 有機農業の推進に関する法律 ( 平成 18 年法律第 112 号 ) 及び 有機農業の推進に関する基本的な方針 (26 年 4 月策定 ) に基づき 有機農業の取組面積の拡大に取り組むとともに 有機農業への参入 定着支援や有機農産物の流通 販売面の支援 技術開発等の促進や消費者の理解等の増進を図りました エ 家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律 ( 平成 11 年法律第 112 号 ) の趣旨を踏まえ 家畜排せつ物の適正な管理に加え その利活用を図るため 耕畜連携の強化やニーズに即した堆肥づくり 地域の実情に応じたエネルギー利用等の高度利用を推進しました 297

324 平成 29 年度食料 農業 農村施策 Ⅳ 農村の振興に関する施策 1 多面的機能支払制度の着実な推進 中山間地域の農業の振興 地域コミュニティ機能の発揮等による地域資源の維持 継承等 (1) 多面的機能の発揮を促進するための取組ア多面的機能支払制度 ( ア ) 農業者等による組織が取り組む 水路の泥上げや農道の路面維持等の地域資源の基礎的保全活動 農村の構造変化に対応した体制の拡充 強化等 多面的機能を支える共同活動を支援しました ( イ ) 地域住民を含む組織が取り組む 水路 農道等の軽微な補修 植栽による景観形成等の農村環境の良好な保全といった地域資源の質的向上を図る共同活動や 施設の長寿命化のための活動を支援しました イ中山間地域等直接支払制度 ( ア ) 条件不利地域において 引き続き農業生産活動の維持を通じて多面的機能を確保するため 中山間地域等直接支払制度に基づく直接支払を実施しました ( イ ) 高齢化や人口減少の進行を踏まえ 女性 若者等の集落活動への参画や広域での集落協定に基づく複数集落が連携した活動体制づくり 条件が特に厳しい超急傾斜地における農業生産活動への支援等 集落の維持 強化に向けた取組を推進するなどにより 中山間地域等における自律的かつ安定的な農業生産活動を促進しました (2) 中山間地域の農業の振興中山間地域の特色を活かした多様な取組を後押しするため 中山間地農業ルネッサンス事業 を創設し 多様で豊かな農業と美しく活力ある農山村の実現や 地域コミュニティによる農地等の地域資源の維持 継承に向けた取組を総合的に支援しました (3) 集約とネットワーク化 による集落機能の維持等ア地域のコミュニティ機能の維持 ( ア ) 地域住民が主体となった地域の将来像の合意形成や地域全体の維持 活性化を図るための体制構築を支援しました ( イ ) 地域の実情を踏まえつつ 小学校区等複数の集落が集まる地域において 生活サービス機能等を基幹集落に集約 確保し 周辺集落とをネットワークで結ぶ 小さな拠点 の取組を推進しました ( ウ ) 地域活性化や地域コミュニティ再生の取組の拡大を図るため 農山漁村振興交付金 を軸として 集落が多様な主体と連携し 農山漁村の持つ豊かな自然や 食 を福祉 教育 観光等に活用する地域活動等を支援しました イ生活環境の整備 ( ア ) 農村における効率的 効果的な生活環境の整備 a 地方創生等の取組を支援する観点から 地方公共団体が策定する 地域再生計画 に基づき 関係府省が連携して道や汚水処理施設の整備を効率的 効果的に推進しました b 高齢化や人口減少が進行する農村において 住みやすい生活環境を整備するため 農業 生活関連施設の再編 整備を推進しました c 農山漁村における定住や都市と農山漁村の二地域居住を促進する観点から 関係府省が連携しつつ 計画的な生活環境の整備を推進しました ( イ ) 交通 a 交通事故の防止 交通の円滑化を確保するため 歩道の整備や交差点改良等を推進しました b 生活の利便性向上や地域交流に必要な道路 都市まで安全かつ快適な移動を確保するための道路の整備を推進しました c 多様な関係者の連携により 地方バス 298

325 第2部路線 離島航路 航空路等の生活交通の 確保 維持を図るとともに バリアフリー化や地域鉄道の安全性向上に資する設備の整備等 快適で安全な公共交通の構築に向けた取組を支援しました d 地域住民の日常生活に不可欠な交通サービスの維持 活性化 輸送の安定性の確保等のため 島しょ部等における港湾整備を推進しました ( ウ ) 衛生 a 下水道 農業集落排水施設及び浄化槽等について 未整備地域の整備とともに より一層の効率的な汚水処理施設整備のために 社会情勢の変化を踏まえた都道府県構想の見直しの取組について 関係府省が密接に連携して支援しました b 下水道 農業集落排水施設においては 既存施設について 長寿命化や老朽化対策を適時 適切に進めるための地方公共団体による機能診断等の取組や更新整備を支援しました c 農村における汚水処理施設整備を効率的に推進するため 農業集落排水施設と下水道との連携等による施設の再編や 農業集落排水施設と浄化槽との一体的な整備を推進しました d 農村地域における適切な資源循環を確保するため 農業集落排水施設から発生する汚泥や処理水の循環利用を推進しました e 下水道や農業集落排水施設等複数の汚水処理施設が共同で利用できる施設の整備を図る汚水処理施設共同整備事業 (MICS) や従来の技術基準にとらわれず地域の実情に応じた低コスト 早期かつ機動的な整備が可能な新たな整備手法の導入を図る 下水道クイックプロジェクト 等により 効率的な汚水処理施設の整備を推進しました f 地方部において より効率的な汚水処理施設である浄化槽の整備を推進しまし た 特に 循環型社会 低炭素社会 自然共生社会の同時実現を図るとともに 単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換を促進するため 環境配慮型の浄化槽 ( 省エネルギータイプに更なる環境性能を追加した浄化槽 ) 整備や 公的施設に設置されている単独処理浄化槽の集中的な転換を推進しました ( エ ) 情報通信高度情報通信ネットワーク社会の実現に向けて 河川 道路 下水道において公共施設管理の高度化を図るため 光ファイバ及びその収容空間を整備するとともに 民間事業者等のネットワーク整備の更なる円滑化を図るため 施設管理に支障のない範囲で国の管理する河川 道路管理用光ファイバやその収容空間を開放しました ( オ ) 住宅 宅地 a 優良田園住宅による良質な住宅 宅地供給を促進し 質の高い居住環境整備を推進しました b 地方定住促進に資する地域優良賃貸住宅の供給を促進しました c 農山漁村振興交付金 等により 農家住宅を含む魅力ある生活環境の整備に取り組む地域の構想づくりを支援しました ( カ ) 文化 a 文化財保護法 ( 昭和 25 年法律第 214 号 ) に基づき 農村に継承されてきた民俗文化財に関して 特に重要なものを重要無形民俗文化財に指定するとともに その修理や伝承事業等に対する補助を行いました b 保存及び活用が特に必要とされる有形の民俗文化財について登録有形民俗文化財に登録するとともに 資料整備に対する補助を行いました c 棚田や里山等の文化的景観や歴史的集落等の伝統的建造物群のうち 特に重要なものをそれぞれ重要文化的景観 重要 299

326 平成 29 年度食料 農業 農村施策 伝統的建造物群保存地区として選定し 修理 防災等の保存及び活用に対して支援しました ( キ ) 公園都市計画区域の定めのない町村において スポーツ 文化 地域交流活動の拠点となり 生活環境の改善を図る特定地区公園の整備を推進しました ウ医療 福祉等のサービスの充実 ( ア ) 医療 第 11 次へき地保健医療計画 に基づき へき地診療所等による住民への医療提供等農村を含めたへき地における医療の確保を推進しました ( イ ) 福祉介護 福祉サービスについて 地域密着型サービス拠点等の整備等を推進しました エ安全な生活の確保 ( ア ) 山腹崩壊 土石流等の山地災害を防止するための治山施設の整備や 農地等を ひ さ 飛砂害や風害 潮害から守るなど重要な 役割を果たす海岸防災林の整備等を通じて地域住民の生命 財産及び生活環境の保全を図りました ( イ ) 山地災害による被害を軽減するため 治山施設の設置等のハード対策と併せて 地域における避難体制の整備等の取組と連携して 山地災害危険地区を地図情報として住民に提供するなどのソフト対策を推進しました ( ウ ) 高齢者や障害者等の自力避難の困難な者が入居する要配慮者利用施設に隣接する山地災害危険地区等において治山事業を計画的に実施しました ( エ ) 激甚な水害の発生や床上浸水の頻発により 国民生活に大きな支障が生じた地域等において 被害の防止 軽減を目的として 治水事業を実施しました ( オ ) 土砂災害の発生のおそれのある箇所に えんてい おいて 砂防堰堤等の土砂災害防止施設 の整備や警戒避難体制の充実 強化等 ハード ソフト一体となった総合的な土砂災害対策を推進しました また 近年 死者を出すなど甚大な土砂災害が発生した地域の再度災害防止対策を推進しました ( カ ) 南海トラフ地震や首都直下地震等による被害の発生及び拡大 経済活動への甚大な影響の発生等に備え 防災拠点 重要交通網 避難路等に影響を及ぼすほか 孤立集落発生の要因となり得る土砂災害の発生のおそれのある箇所において 土砂災害防止施設の整備を戦略的に推進しました ( キ ) 社会福祉施設 医療施設等の要配慮者利用施設が存在する土砂災害の発生のおそれのある箇所において 土砂災害防止施設を重点的に整備しました ( ク ) 土砂災害から人命を保護するため 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律 ( 平成 12 年法律第 57 号 ) に基づき 土砂災害警戒区域等の指定を促進し 土砂災害のおそれのある区域についての危険の周知 警戒避難体制の整備及び特定開発行為の制限を実施しました ( ケ ) 農地災害等を防止するため ハード整備に加え 防災情報を関係者が共有するシステムの整備や減災のための指針づくり等のソフト対策を推進し 地域住民の安全な生活の確保を図りました きょうりょう ( コ ) 橋梁の耐震対策 道路斜面や盛土等の防災対策 災害のおそれのある区間を回避する道路整備を推進しました また 冬期の道路ネットワークを確保するため 道路の除雪 防雪 凍雪害防止を推進しました オ経済の活性化を支える基盤の整備 ( ア ) 日常生活の基盤としての市町村道から国土構造の骨格を形成する高規格幹線道路に至る道路ネットワークの強化を推進しました ( イ ) 農産物の海上輸送の効率化を図るた 3

327 第2部め 船舶の大型化等に対応した複合一貫 輸送ターミナルの整備を推進しました ( ウ ) 道の駅 の整備により 休憩施設と地域振興施設を一体的に整備し 地域の情報発信と連携 交流の拠点形成を支援しました ( エ ) 都市と農村地域を連絡するなど 地域間の交流を促進し 地域の活性化に資する道路の整備を推進しました (4) 深刻化 広域化する鳥獣被害への対応ア 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律 ( 平成 19 年法律第 134 号 ) に基づき 市町村による被害防止計画の作成及び鳥獣被害対策実施隊の設置 体制強化を推進しました イ鳥獣の急速な個体数増加や分布拡大により 被害が拡大するおそれがあることから 関係省庁が連携 協力し 個体数等の削減に向けて 抜本的な鳥獣捕獲対策 (25 年 12 月策定 ) 及び ニホンザルの被害対策の考え方 (26 年 4 月策定 ) に基づき 捕獲等の対策を推進しました ウ市町村が作成する被害防止計画に基づく 鳥獣の捕獲体制の整備 箱わなの導入 侵入防止柵の設置 鳥獣の捕獲 追払い 緩衝帯の整備 捕獲鳥獣を地域資源として利活用するための処理加工施設の整備やジビエの需要拡大等の取組を推進しました エ東日本大震災や東電福島第一原発事故に伴う捕獲活動の低下による鳥獣被害の拡大を抑制するための侵入防止柵の設置等を推進しました オ鳥獣の生息環境にも配慮した森林の整備 保全活動等を推進しました カ地域における技術指導者の育成を図るため 普及指導員 市町村職員 農林漁業団体職員等を対象とする研修を実施しました キ鳥獣を誘引しない営農管理手法等 鳥獣被害を防止する技術の開発を推進しまし た ク地域ブロック単位の連絡協議会の積極的な運営や 鳥獣被害対策のアドバイザーを登録 紹介する取組を推進しました 2 多様な地域資源の積極的活用による雇用と所得の創出 (1) 地域の農産物等を活かした新たな価値の創出ア農林漁業者等と食品製造 流通業者等の多様な事業者がネットワークを構築して取り組む新商品開発 農林水産物の加工 販売施設の整備等の取組及び市町村の6 次産業化等に関する戦略に沿って行う地域ぐるみの6 次産業化の取組を支援しました イ農林水産業 農山漁村に豊富に存在する資源を活用した革新的な産業の創出に向け 農林漁業者と異業種の事業者間の連携により 市場ニーズに即した商品開発や新たなサービスを創造するための事業化可能性調査を支援しました ウ農林漁業者と中小企業者が有機的に連携して行う新商品 新サービスの開発や販路開拓等に係る費用の一部を支援しました エ山村の豊かな地域資源の活用を通じた地元の所得や雇用の増大に向け 農林漁業者を始めとする地域住民が協力して行う 農林水産物やその加工品等の地域資源の利用状況 活用可能量の調査 資源活用のための活動組織づくり 技術研修等の人材育成 地域産品のマーケティング調査 商品開発 商品パッケージのデザイン検討等の取組を支援しました (2) バイオマスを基軸とする新たな産業の振興アバイオマスの活用の推進に関する施策についての基本的な方針 国が達成すべき目標等を定めた バイオマス活用推進基本計画 (28 年 9 月策定 ) に基づき 素材 熱 電気 燃料等への変換技術を活用し より経済的な価値の高い製品等を生み出す高度利用等の取組を推進しました また 関係 31

328 平成 29 年度食料 農業 農村施策 府省の連携の下 地域のバイオマスを活用した産業化を推進し 地域循環型の再生可能エネルギーの強化と環境にやさしく災害に強いまち むらづくりを目指すバイオマス産業都市の構築に向けた取組を支援しました イバイオマスの効率的な利用システムの構築を進めることとし 以下の取組を実施しました ( ア ) 農林漁業に由来するバイオマスのバイオ燃料向け利用の促進を図り 国産バイオ燃料の生産拡大に資するため 農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律 ( 平成 2 年法律第 45 号 ) に基づく事業計画の認定を行い支援しました ( イ ) 下水道を核とした資源 エネルギーの循環のため バイオマスである下水汚泥等の利活用を図り 下水汚泥等のエネルギー利用 りん回収 利用等を推進しました (3) 農村における地域が主体となった再生可能エネルギーの生産 利用農山漁村に豊富に存在する土地 水 バイオマス等の資源を再生可能エネルギーとして活用し 農山漁村の活性化を図るため 次の取組を実施しました ア 農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律 ( 平成 25 年法律第 81 号 ) を積極的に活用し 農地等の利用調整を適切に行いつつ 再生可能エネルギーの導入と併せて 地域農業の健全な発展に資する取組を促進しました イ農林漁業者やその組織する団体が主導する再生可能エネルギー事業の構想から運転開始 利用に至るまでに必要な様々な手続 取組 エネルギーの地産地消に向けた農林漁業を中心とする地域内のエネルギーマッチング 小水力等発電施設の整備に係る調査設計及び施設整備等の取組を支援しました (4) 農村への農業関連産業の導入等による雇用と所得の創出農村地域での立地ニーズが高いと見込まれる産業を対象とするなどの見直しを行う措置を講ずる 農村地域工業等導入促進法の一部を改正する法律 が第 193 回国会で成立したことを受け 農村地域への産業の導入に関する基本方針 (29 年 8 月策定 ) を公表しました 3 多様な分野との連携による都市農村交流や農村への移住 定住等 (1) 観光 教育 福祉等と連携した都市農村交流ア 農泊 の推進による農山漁村の所得向上を実現するため 農泊をビジネスとして実施するための現場実施体制の構築や 地域資源を魅力ある観光コンテンツとして磨き上げる取組への支援を行うとともに 関係省庁が連携して 優良地域の国内外へのプロモーションを行いました イ観光を通じた地域振興を図るため 地域の関係者が連携し 地域の幅広い資源を活用し地域の魅力を高めることにより 国内外の観光客が2 泊 3 日以上の滞在交流型観光を行うことができる 観光圏 の整備を促進しました ウ農山漁村が有する教育的効果に着目し 農山漁村を教育の場として活用するため 関係府省が連携し 子供の農山漁村宿泊体験等を推進するとともに 農山漁村を健康づくりの場等として活用する取組を支援しました エ高齢者の生きがいづくり 障害者の就労訓練 雇用の場として 農 を取り入れたいというニーズに応えるため 関係省庁が連携し高齢者や障害者を対象とした福祉農園等の開設 整備に関する取組 農業 福祉関係者を対象としたセミナーの開催 農業専門家の派遣等を支援しました オ地域の伝統的農林水産業の価値及び認知度向上につながる世界農業遺産及び日本農 32

329 第2部業遺産の拡大に向けた取組を推進しまし た カ 子どもの水辺 再発見プロジェクト の推進 水辺整備等により 河川における交流活動の活性化を支援しました キ 歴史的砂防施設の保存活用ガイドライン (15 年 5 月策定 ) に基づき 景観整備 散策路整備等の周辺整備等を推進しました また 歴史的砂防施設及びその周辺環境一帯を地域の観光資源の核に位置付けるなど 新たな交流の場の形成を推進しました ク エコツーリズム推進法 ( 平成 19 年法律第 15 号 ) に基づき エコツーリズム推進全体構想の認定 周知 技術的助言 情報の収集 普及 啓発 広報活動等を総合的に実施しました ケ自然観光資源を活用したエコツーリズムを推進するため エコツーリズム推進全体構想の作成 魅力あるプログラムの開発 ガイド等の人材育成等 地域における活動の支援を行いました コ良好な農村景観の再生 保全を図るため コンクリート水路沿いの植栽等 土地改良施設の改修等を推進しました そすい サ棚田 疏水等将来に残すべき農村景観 資源を保全 復元 継承するための取組を推進しました シ河川においては湿地の保全 再生や礫河 原の再生等 自然再生事業を推進しました ス魚類等の生息環境改善等のため 河川等に接続する水路との段差解消により水域の連続性の確保 生物の生息 生育環境を整備 改善する魚のすみやすい川づくりを推進しました (2) 多様な人材の都市から農村への移住 定住ア農山漁村地域への定住及び都市農村の交流の促進を図るため 農業体験モニターツアー等 農山漁村に定住する契機となるための取組 農山漁村の空き家 廃校等の地 れき 域資源を活用した取組や 拠点施設等の整備等を関係省庁が連携して支援しました イ農山漁村の持つ豊かな自然や 食 を福祉 教育 観光等に活用する地域活動の推進に必要な外部専門家や都市人材を長期に受け入れ 地域活性化と暮らしの安心につなげていく取組について 総務省の 地域おこし協力隊 と一体的に運用を行いました ウ二地域居住等に関する国や地方公共団体の支援策や取組について情報発信を行いました (3) 多様な役割を果たす都市農業の振興新鮮な農産物の供給 農作業体験の場や防災空間の確保等 都市農業が有する多様な機能の発揮のため 都市住民の理解の促進を図りつつ 都市農業の振興に向けた取組を推進しました また 都市農業振興基本計画 (28 年 5 月策定 ) に基づき 関係省庁が連携して 都市農業の振興に関する法制度等の検討を進めました Ⅴ 東日本大震災からの復旧 復興に関する施策 東日本大震災からの復興の基本方針 (23 年 8 月改訂 ) に沿った復興に向けた支援として 農業 農村の復興マスタープラン (23 年 8 月策定 ) や 避難指示解除準備区域等における公共インフラ復旧の工程表 に沿って 農地の大区画化等の取組を推進するとともに 被害が甚大な農地や避難指示区域内の農地の復旧と早期の営農再開に向けた支援を行いました また 東日本大震災復興特別区域法 ( 平成 23 年法律第 122 号 ) に沿って 関係府省が連携し 津波被災地域等の円滑かつ迅速な復興を図りました (1) 地震 津波災害からの復旧 復興ア農地等の生産基盤の復旧 整備 ( ア ) 農地 農業用施設災害復旧等 33

330 平成 29 年度食料 農業 農村施策 被災した農地や農業用施設等の着実な復旧を進めました ( イ ) 農業水利施設等の震災対策地震により損壊のおそれがある農業水利施設の改修 整備等を実施しました ( ウ ) 耕作放棄地再生利用緊急対策 ( 被災者支援型 ) 被災を免れた地域や避難先等において荒廃農地を活用し営農活動を再開する被災農業者等の取組を支援しました ( エ ) 災害廃棄物処理への対応福島県 ( 避難区域を除く ) においては 個々の市町村の状況に応じて 災害廃棄物等の処理を進めることが必要であり 引き続き災害等廃棄物処理事業費補助金や災害廃棄物処理代行事業により 市町への支援を継続しました 避難区域については 対策地域内廃棄物処理計画 (25 年 12 月一部改定 ) に基づき 国が災害廃棄物等の処理を着実に進めました イ経営の継続 再建 ( ア ) 農業経営の復旧 復興等のための金融支援東日本大震災により被災した農業者等に対して 速やかな復旧 復興のために必要となる資金が円滑に融通されるよう利子助成金等を交付しました ( イ ) 東日本大震災被災地域土地改良負担金の償還助成被災した農地 農業用施設に係る償還中の土地改良事業等の負担金について 利子助成事業を実施し 営農再開まで農家を支援しました ( ウ ) 浸水農地における農業共済の引受け海水が流入した浸水農地にあっても 除塩により収穫が可能と見込まれる農地については 現地調査を行い 水稲等の生育状況を踏まえて共済引受を行いました ウ東日本大震災農業生産対策交付金による生産手段の回復震災の影響により低下した被災地の生産力の回復 農畜産物の販売力の回復等に向けた取組を支援するため 都道府県向け交付金を交付しました エ再生可能エネルギーの導入被災地域に存在する再生可能エネルギーを活用し小水力等発電施設の整備に係る調査設計等の取組を支援しました オ農山漁村対策被災地を食料生産地域として再生するため 岩手県 宮城県 福島県で実施している大規模実証研究の取組を引き続き行い 技術の導入効果を分析し 研究成果の普及を促進しました カ東日本大震災復興交付金 ( ア ) 被災地域農業復興総合支援被災市町村が農業用施設 機械を整備し 被災農業者に貸与等することにより 被災農業者の農業経営の再開を支援しました ( イ ) 震災対策 戦略作物生産基盤整備震災によって著しい被害を受けた地域 けいはん において 畦畔除去等による区画拡大や あんきょ 暗渠排水等の農地の整備 老朽施設の更 新等の農業水利施設の整備をきめ細かく支援しました ( ウ ) 農林水産関係試験研究機関緊急整備被災県の基幹産業たる農林水産業を復興するための農林水産研究施設等整備を支援しました ( エ ) 農山漁村地域復興基盤総合整備被災地域における農地 農業用施設や集落道等の整備を支援しました ( オ ) 農山漁村活性化プロジェクト支援 ( 復興対策 ) 被災地域の復旧 復興のため 生産施設 地域間交流拠点施設等の整備を支援しました 34

331 (2) 原子力災害からの復旧 復興第2部ア食品中の放射性物質の検査体制及び食品の出荷制限 ( ア ) 食品中の放射性物質の基準値を踏まえ 検査結果に基づき 都道府県等に対して食品の出荷制限 摂取制限の設定 解除を行いました ( イ ) 都道府県等に食品中の放射性物質の検査を要請しました また 都道府県の検査計画策定の支援 都道府県等からの依頼に応じた民間検査機関での検査の実施 検査機器の貸与を行いました さらに 引き続き 都道府県等が行った検査の結果を集約し 公表しました ( ウ ) 消費者の安全 安心を一層確保するため 独立行政法人国民生活センターとの共同により 希望する地方公共団体に放射性物質検査機器を貸与し 消費サイドで食品の放射性物質を検査する体制の整備を支援しました イ稲の作付制限等 29 年産稲の作付制限区域及び農地保全 試験栽培区域における稲の試験栽培 作付再開準備区域における実証栽培等の取組に対して支援を行いました ウ放射性物質の吸収抑制対策放射性物質の農作物への吸収抑制を目的とした資材の施用 品種 品目転換等の取組を支援しました エ農業系副産物循環利用体制の再生 確立放射性物質の影響から 利用可能であるにも関わらず循環利用が寸断されている農業系副産物の循環利用体制の再生 確立を支援しました オ避難区域等の営農再開支援 ( ア ) 避難区域等において 除染終了後から営農が再開されるまでの間の農地等の保全管理 鳥獣被害防止緊急対策 放れ畜対策 営農再開に向けた作付実証 避難からすぐに帰還しない農家の農地の管理耕作 収穫後の汚染防止対策 水稲の作付再開 新たな農業への転換及び農業用 機械 施設 家畜等の導入を支援しました ( イ ) 認定農業者への個別訪問活動のフォローアップと個別訪問する農業者の対象拡大により 営農再開の加速化を図りました カ肥料等の規制肥料の検査計画立案 検査法開発に必要な科学的データを収集するための試験や実態調査を実施しました キ農産物等輸出回復諸外国 地域において日本産食品に対する輸入規制が行われていることから 関係省庁が協力し 各種資料 データを提供しつつ輸入規制の撤廃 緩和に向けた働きかけを引き続き実施しました ク福島県産農産物等の風評の払拭福島県の農業の再生に向けて 生産から流通 販売に至るまで 風評の払拭を総合的に支援しました ケ農産物等消費拡大推進被災地及び周辺地域で生産された農林水産物及びそれらを活用した食品の消費の拡大を促すため 生産者や被災地の復興を応援する取組をPRするとともに 被災地産食品の販売促進等 官民の連携による取組を推進しました コ農地土壌等の放射性物質の分布状況等の推移に関する調査今後の営農に向けた取組を進めるため 農地土壌等の放射性核種の濃度を測定し 農地土壌の放射性物質濃度の推移を把握しました サ放射性物質対策技術の開発東電福島第一原発事故の影響を受けた被災地での本格的な営農の早期再開のため 除染後農地の省力的維持管理技術や農地への放射性物質の流入防止技術等の開発 放射性セシウムの吸収モデルの構築を推進しました 35

332 平成 29 年度食料 農業 農村施策 シため池等の放射性物質のモニタリング調査 ため池等の放射性物質対策ため池等における水質 底質の放射性物質の経年変化等を把握するため 放射性物質のモニタリング調査等を行いました また 市町村等がため池の放射性物質対策を効果的 効率的に実施できるよう技術的助言等を行いました ス東電福島第一原発事故で被害を受けた農林漁業者への賠償等東電福島第一原発事故により農林漁業者等が受けた被害については 東京電力ホールディングス株式会社から適切かつ速やかな賠償が行われるよう 引き続き 関係省庁 東京電力ホールディングス株式会社等との連絡を密にし 必要な情報提供や働きかけを実施しました セ食品と放射能に関するリスクコミュニケーション食品中の放射性物質に関する消費者の理解を深めるため 関係府省 各地方公共団体及び消費者団体等が連携した意見交換会等のリスクコミュニケーションの取組を促進しました ソ福島再生加速化交付金 ( ア ) 農山村地域復興基盤総合整備事業農地 農業用施設の整備や農業水利施設の保全管理 ため池の放射性物質対策等を支援しました ( イ ) 農山漁村活性化プロジェクト支援 ( 福島復興対策 ) 事業生産施設 地域間交流拠点施設等の整備を支援しました ( ウ ) 農業基盤整備促進事業 けいはん 地域の実情に応じ 農地の畦畔除去に あんきょ よる区画拡大や暗渠排水整備等の簡易な 基盤整備を支援しました ( エ ) 被災地域農業復興総合支援事業被災市町村が農業用施設 機械を整備し 被災農業者に貸与等することにより 被災農業者の農業経営の再開を支援しました ( オ ) 農林水産関係試験研究機関緊急整備事業基幹産業たる農林水産業を復興するための農林水産研究施設等整備に対する支援措置を講じました ( カ ) 木質バイオマス施設等緊急整備事業木質バイオマスや小水力等再生可能エネルギー供給施設 木造公共建築物等の整備を支援しました Ⅵ 団体の再編整備等に関する施策ア農業協同組合系統組織 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律 を踏まえ 農業者の所得向上に向けた自己改革を進めていくための取組を促進しました イ農業委員会 農業委員会等に関する法律 の改正の趣旨を踏まえて 農業委員会の適切な新制度への移行を図るとともに 地域における農地利用の最適化 ( 担い手への農地利用の集積 集約化 耕作放棄地の発生防止 解消 新規参入の促進 ) を推進しました ウ農業共済団体農業共済団体の組織の効率化やガバナンスの強化を図るとともに 収入保険制度の実施主体として農業共済団体が新たに設立する全国組織を位置付ける 農業災害補償法の一部を改正する法律 が第 193 回国会で成立しました エ土地改良区土地改良区の組織運営基盤の強化を図るため 広域的な合併支援等を行いました 36

333 第2部Ⅶ 食料 農業及び農村に関する施策を総 合的かつ計画的に推進するために必要な事項 1 幅広い関係者の参画と関係府省の連携による施策の推進食料自給率の向上に向けた取組を始め 政府一体となって実効性のある施策を推進しました 2 施策の進捗管理と評価 (1) 施策の進捗管理施策の着実な推進を図るため その実施に当たっては 手順 時期 手法及び目的を明らかにするとともに 随時 対象者の対応状況を把握することにより 進捗管理を行いました (2) 政策評価の適切な活用政策評価については 食料 農業 農村基本計画 (27 年 3 月策定 ) 等を踏まえた目標の設定を行い 設定した目標の達成度に関して実績の測定を行いました また 政策評価第三者委員会を公開し 議事録等をwebサイトに掲載するなど情報の公開を進めました 3 財政措置の効率的かつ重点的な運用厳しい財政事情の下で予算を最大限有効に活用する観点から 既存の予算を見直した上で 農林水産業 地域の活力創造プラン に基づき 新たな農業 農村政策を着実に実行するための予算に重点化を行い 財政措置を効率的に運用しました 4 国民視点や地域の実態に即した施策の決定 (1) 国民の声の把握ア透明性を高める観点から 国民のニーズに即した情報公開 情報の受発信を推進しました イ幅広い国民の参画を得て施策を推進する ため 国民との意見交換等を実施しました ウ農林水産省本省の意図 考え方等を地方機関に的確に浸透させるとともに 地方機関が把握している現場の状況を適時に本省に吸い上げ施策立案等に反映させるため 地方農政局長等会議を開催しました (2) 科学的 客観的な分析ア施策の科学的 客観的な分析施策の立案から決定に至るまでの検討過程において 証拠に基づく政策立案 (EBPM) の視点も踏まえつつ できる限り客観的なデータに基づいた計量経済分析等の科学的な手法を幅広く導入したり 国民に分かりやすい指標を開発したりするなど 施策を科学的 客観的に分析し その必要性や有効性を明らかにしました イ政策展開を支える統計調査の実施と利用の推進農政の推進に不可欠な情報インフラを整備し 的確に統計データを提供しました ( ア ) 農家等の経営状況や作物の生産に関する実態を的確に把握するため 農業経営統計調査 作物統計調査等を実施しました ( イ ) 統計調査の基礎となる農地の区画情報 ( 筆ポリゴン ) を活用し各種農林水産統計調査を効率的に実施するとともに 農業行政及び農業振興の推進に資する関係機関等に筆ポリゴンを提供しました ( ウ )6 次産業化に向けた取組状況を的確に把握するため 引き続き 農業経営体等を対象とした調査を実施しました ( エ ) 地域施策の検討等に資するため 市町村別農業産出額 ( 推計 ) を公表しました 5 効果的かつ効率的な施策の推進体制 (1) 施策の具体的内容等が生産現場等に速やかに浸透するよう 関係者に対する周知 徹底 人材の育成や組織づくりを促進しました 37

334 平成 29 年度食料 農業 農村施策 (2) 専門調査員の導入による調査の外部化を引き続き推進し 質の高い信頼性のある統計データの提供体制を確保しました また 市場化テスト ( 包括的民間委託 ) を導入した統計調査を引き続き実施しました (3) 国民の利便性 サービスの向上等を図るため 国民に広く利用されているオンライン手続の改善の取組及び政府情報システム改革ロードマップ等の着実な実施による業務 システムの改革等を推進しました う 関係機関に対して依頼通知を発出しました また 九州北部豪雨 台風第 18 号 台風第 21 号等により被災した農業者等が借り入れる災害関連資金について 貸付当初 5 年間実質無利子化する措置を講じました 4 共済金の迅速かつ確実な支払迅速かつ適切な損害評価の実施及び共済金の早期支払体制の確立等が図られるよう 農業共済団体を指導しました Ⅷ 災害対策 29 年度は 6 月 3 日からの梅雨前線に伴う大雨 台風第 3 号 台風第 5 号 台風第 18 号 台風第 21 号 台風第 22 号 冬期の大雪等により 農作物 農業用ハウス 農林水産関係施設等に大きな被害が発生しました 1 災害復旧事業の早期実施農地 農業用施設 共同利用施設 林地荒廃 治山施設 林道施設 漁港等の被害に対して 災害復旧事業等により早期復旧を図りました 2 激甚災害指定特に被害が大きかった以下の災害等については 激甚災害に指定し 災害復旧事業費に対する地方公共団体等の負担の軽減を図りました (1) 平成 29 年 6 月 7 日から7 月 27 日までの間の豪雨及び暴風雨による災害 (2) 平成 29 年 9 月 15 日から同月 19 日までの間の暴風雨及び豪雨による災害 ( 台風第 18 号 ) (3) 平成 29 年 1 月 21 日から同月 23 日までの間の暴風雨による災害 ( 台風第 21 号 ) 3 被災農林漁業者等の資金需要への対応被災農林漁業者等に対する資金の円滑な融通及び既貸付金の償還猶予等が図られるよ 5 特別対策の実施 (1)29 年梅雨期における豪雨及び暴風雨による被災農林漁業者への支援 29 年梅雨期における豪雨及び暴風雨により 福岡 大分県を中心に 農作物 農業用ハウス等の施設 農地 農業用施設 林地 林道施設等に多大な被害が発生したことから 農林水産省では 29 年 7 月 1 日に 緊急自然災害対策本部 を設置し 被災した農林漁業者の一日も早い経営再開に向けて必要な対策の検討を行い 29 年 8 月 8 日に 平成 29 年梅雨期における豪雨及び暴風雨による被災農林漁業者への支援対策 を決定 公表しました 具体的には 1 災害復旧事業等の促進 2 共済金等の早期支払 3 災害関連資金の特例措置 4 農業用ハウス等の導入支援 5 営農再開に向けた支援 6 被災農業者の就労機会の確保 被災農業法人の雇用維持のための支援 7 農地 農業用施設の早期復旧等の支援 8 林野関係被害に対する支援 9 水産関係被害に対する支援等を行いました また 補正予算において 災害復旧に必要な予算を措置しました (2) 大雪による被災農林漁業者への支援 29 年度冬期の大雪により 北陸地方や北海道を中心に 農業用ハウス 畜舎等に大きな被害が発生したことから 農林水産省では 3 年 3 月 16 日に 緊急自然災害対策本部 を設置し 大雪による被災農 38

335 第2部林漁業者への支援対策 を決定 公表しま した 具体的には 1 災害復旧事業等の促進 2 共済金等の早期支払 3 災害関連資金の措置 4 農業用ハウス等の導入支援 5 経営再開 経営継続に向けた支援 6 新規就農者の経営継続に向けた支援 7 鳥獣被害防止施設の復旧等の支援 8 林野関係被害に対する支援等を行いました 6 その他の施策地方農政局等を通じ 台風等の暴風雨 高温 大雪等による農畜産物等被害に対する農業者等への適切な技術指導が行われるよう通知を発出しました 39

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339 平成 3 年度 食料 農業 農村施策 第 196 回国会 ( 常会 ) 提出

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341 目次 平成 3 年度食料 農業 農村施策 概説 1 1 施策の重点 1 2 財政措置 1 3 立法措置 1 4 税制上の措置 1 5 金融措置 1 6 政策評価 2 Ⅰ 食料自給力 食料自給率の維持向上に向けた施策 2 1 食料自給力 食料自給率の維持向上に向けた取組 2 2 主要品目ごとの生産努力目標の実現に向けた施策 3 Ⅱ 食料の安定供給の確保に関する施策 5 1 国際的な動向等に対応した食品の安全確保と消費者の信頼の確保 5 2 幅広い関係者による食育の推進と国産農産物の消費拡大 和食 の保護 継承 7 3 生産 加工 流通過程を通じた新たな価値の創出による需要の開拓 9 4 グローバルマーケットの戦略的な開拓 1 5 様々なリスクに対応した総合的な食料安全保障の確立 13 6 国際交渉への戦略的な対応 15 Ⅲ 農業の持続的な発展に関する施策 15 1 力強く持続可能な農業構造の実現に向けた担い手の育成 確保 15 2 女性農業者が能力を最大限発揮できる環境の整備 16 3 農地中間管理機構のフル稼働による担い手への農地集積 集約化と 農地の確保 17 4 担い手に対する経営所得安定対策の推進 収入保険等の実施 17 5 構造改革の加速化や国土強靱化に資する農業生産基盤整備 18 6 需要構造等の変化に対応した生産 供給体制の改革 18 7 コスト削減や高付加価値化を実現する生産 流通現場の技術革新等 21 8 気候変動への対応等の環境政策の推進 26 Ⅳ 農村の振興に関する施策 27 1 多面的機能支払制度の着実な推進 中山間地域の農業の振興 地域コミュニティ機能の発揮等による地域資源の維持 継承等 27 2 多様な地域資源の積極的活用による雇用と所得の創出 31 i

スライド 1

スライド 1 1 TPP 協定について ( 意義と特徴 ) 2013 年 7 月 日本が交渉参加 2015 年 10 月 アトランタでのTPP 閣僚会合にて大筋合意 2016 年 2 月 オークランドでのTPP 閣僚会合にて署名 2017 年 1 月 日本がTPP 協定を締結 21 世紀のアジア太平洋にフェアでダイナミックな 一つの経済圏 を構築する試み 世界の GDPの約 4 割 人口の1 割強を占める巨大な経済圏

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