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1 平成 29 年度 食料 農業 農村の動向 平成 30 年度 食料 農業 農村施策 第 196 回国会 ( 常会 ) 提出

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4 この文書は 食料 農業 農村基本法 ( 平成 11 年法律第 106 号 ) 第 14 条第 1 項の規定に基づく平成 29 年度の食料 農業 農村の動向及び講じた施策並びに同条第 2 項の規定に基づく平成 30 年度において講じようとする食料 農業 農村施策について報告を行うものである

5 平成 29 年度 食料 農業 農村の動向 第 196 回国会 ( 常会 ) 提出

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7 トピックス第1章第2章第3章第4章用語の解説目次 第 1 部食料 農業 農村の動向はじめに 1 特集次世代を担う若手農業者の姿 ~ 農業経営の更なる発展に向けて~ 3 1 若手農業者がいる販売農家の経営構造分析 4 (1) 若手農業者の現状 4 (2) 若手農業者がいる販売農家の分析 5 ア若手農家と非若手農家の経営構造の比較 5 ( 若手農家は大規模経営による面積シェアが高い ) 5 イ若手農家における経営規模の拡大の進展 6 ( 若手農家の経営規模の拡大は 稲作をはじめ各部門で進展 ) 6 ウ若手農家における雇用労働力の広がり 7 ( 常雇いを雇い入れた若手農家の割合は 直近 10 年間で 5.3% から 12.6% へ上昇 ) 7 エ若手農家における投資とその効果 8 ( 若手農家は 投資により 労働生産性と農業所得の向上を実現 ) 8 2 若手農業者向けアンケート結果の分析 9 (1) 農業 農業施策に対する考え ( 農家の経営主 世帯員 + 法人役員 + 農家 法人の雇用者 :1,885 人 ) 9 ア我が国農業の在り方 9 ( 国内だけでなく海外にも目を向けるべき との回答は 35.1%) 9 イ関心の高い農業施策 10 ( 労働力の確保 農地の集積 生産資材価格の引下げ が上位) 10 ウ農業の魅力 11 ( 裁量の自由度の大きさ 時間の自由度の大きさ が上位) 11 (2) 経営者の農業経営に対する考え ( 農家の経営主 + 法人役員 :1,508 人 ) 12 ア農業経営で大切なこと 12 ( 販売金額が大きいほど重視される 経営分析能力 と 財務管理能力 ) 12 イ現在の経営における課題 14 ( 労働力の不足 を挙げる割合が最も高く 特に酪農と果樹で深刻) 14 ウ今後伸ばしていきたい方向 15 ( ア ) 農業生産 15 ( 販売金額が大きいほど重視される IoT 等新技術の導入 と 異業種との連携 ) 15 i 特集

8 ( イ ) 出荷 販売先 16 ( 消費者への直接販売 が 56.7% で最高 ) 16 ( ウ ) 関連事業 17 ( 農産物の加工 販売 が 49.7% で最高 ) 17 ( エ ) 農業経営の法人化 17 ( 販売金額が大きいほど高くなる法人化の意向 ) 17 3 効率的かつ安定的な農業経営に向けた施策の展開方向 18 ( 農業経営の法人化 新技術の開発 伸ばしたい方向を後押しできる環境づくりが重要 ) 18 4 若手農業者の雇用に関する動向等 19 (1) 若手新規就農者の動向 19 ( 若手新規就農者数は 3 年連続で 2 万人を超過 ) 19 (2)44 歳以下の常雇いの分析 20 ( 法人経営体の 44 歳以下の常雇いは雇用先人数規模 10 人以上の経営体に 68.7% が集中 ) 20 (3) 法人雇用者の満足度や将来に対する考え ( 法人雇用者 :79 人 ) 22 ア就職情報の入手経路 22 ( 非農家出身者は 求人サイトや求人誌 行政相談窓口の活用割合が高い ) 22 イ現勤務先の満足度 22 ( 満足の者 は 給与 以外の項目で 不満の者 を上回る) 22 ウ将来の進路と身に付けたい技能 23 ( 現勤務先への残留意向が 39.2% 独立就農意向が 30.4%) 23 トピックス 1 産出額が2 年連続増加の農業 更なる発展に向け海外も視野に 26 ( 農業総産出額は 2 年連続で増加し 16 年ぶりに 9 兆円台を回復 ) 26 ( 減少が続く食料の国内需要 増加に向かう食料の世界需要 ) 27 ( 専ら国内需要を念頭に置く農業生産から 世界需要も視野に入れた農業生産へ ) 28 トピックス 2 日 EU EPA 交渉の妥結と対策 29 1 交渉の概要 29 2 合意内容 30 (1) 関税に関する合意 30 (2) ルール分野に関する合意 31 ア EU 域内での我が国の地理的表示 (GI) の保護 32 ii

9 トピックス第1章第2章第3章第4章用語の解説 イ衛生植物検疫措置 32 ウ税関 貿易円滑化 32 エ農業分野における協力 32 3 総合的なTPP 関連政策大綱の改訂 33 トピックス 3 明治 150 年 関連施策テーマ我が国の近代化に大きく貢献した養蚕 35 ( 欧州向け輸出 : 開港を機に始まるも やがて停滞 ) 35 ( 米国向け輸出 : 明治期の品質向上の取組により 大正期に飛躍的に拡大 ) 36 ( 教訓 : マーケットインの発想で取り組むことで輸出の拡大は可能 ) 37 トピックス 4 動き出した農泊 39 (2020 年までに 500 地域の創出を目指す ) 39 ( 地域の取組を 知って もらう機会の創出 ) 39 ( 訪日外国人旅行者は 訪日回数が多い人ほど地方部への訪問割合が増加 ) 42 第 1 章食料の安定供給の確保 43 第 1 節食料自給率と食料自給力指標 44 (1) 食料自給率の目標と動向 44 ( 供給熱量ベースは 1 ポイント低下の 38% 生産額ベースは 2 ポイント上昇の 68%) 44 ( 長期的には低下傾向で 近年は一定の範囲で推移 ) 45 (2) 食料自給力指標の考え方と動向 46 ( 食料の潜在生産能力の大きさを数値化したものが食料自給力指標 ) 46 ( 食料自給力指標が低下する中 農地の面積確保と単収の高位安定化が重要 ) 47 第 2 節グローバルマーケットの戦略的な開拓 49 (1) 農林水産物 食品の輸出促進 49 ( 輸出額は 5 年連続で増加 ) 49 ( 残留農薬 HACCP 等輸出についての様々なルールへの適合 ) 54 ( 動植物検疫は 5 か国 地域 7 品目で解禁 ) 54 ( 放射性物質に関する輸入規制は 6 か国で撤廃 3 か国 地域で緩和 ) 56 (2) 日本食 食文化の海外展開と規格 認証 知的財産の活用等 57 ア日本食 食文化の海外展開 57 ( 海外における日本食レストラン数は 2 年前の前回調査から 3 割増加 ) 57 iii 特集

10 ( 日本産食材サポーター店は 2,931 店舗 調理技能認定は 470 人がそれぞれ認定 ) 57 ( トップセールスやメディア等を活用した日本食 食文化の魅力発信 ) 59 イ規格 認証 知的財産の活用 59 ( 農業者による GAPの実施と認証取得の拡大に向け 様々な動きが進展 ) 59 ( 畜産物で GAP 認証がスタート ) 61 ( 農業者と食品関連事業者で GAP の取組に関する共通認識を醸成 ) 61 (HACCPの実施を含む日本発の食品安全管理規格について GFSI に承認申請 ) 62 (JAS 法の改正を受けて 切り花の日持ち生産管理等 3つの新規格を制定 ) 64 ( 地理的表示の登録は 34 道府県に拡大 ) 65 ( 海外における植物品種保護を進めることが必要 ) 66 第 3 節世界の食料需給と食料安全保障の確立 68 (1) 世界の食料需給の動向 68 (2017/18 年度の穀物需給は 消費量が生産量を上回る見通し ) 68 ( 単収の伸びの鈍化 不安定要素の存在から 中長期的に穀物需給の逼迫も懸念 ) 69 (2) 総合的な食料安全保障の確立 70 ( 不測の事態に備えたリスクの分析 評価 ) 70 ( 輸入農産物の安定的な確保に向け 相手国との良好な関係の構築 維持等が重要 ) 71 ( 家庭では 非常時に備え 食料や飲料水の備蓄が自身の身を守る上で有効 ) 72 ( 緊急の事態に備え 食品産業事業者による事業継続計画 (BCP) の策定等が必要 ) 73 ( 我が国の食料安全保障の確立に貢献する 開発途上国等への支援 ) 73 (3) 農産物の貿易交渉 73 (WTO の進展が見られない中 EPA/FTA の締結が世界的に増加 ) 73 (TPP は 米国を除く 11 か国による協定として署名 ) 75 第 4 節食料消費の動向と食育の推進 76 (1) 食料消費の動向 76 ア食料消費支出の動向 76 ( 食料消費支出が減少し 調理食品の利用割合が高まる ) 76 ( 週 1 回以上調理食品を利用している割合は 30 歳代から 50 歳代で 5 割 ) 78 ( 調理食品や外食の利用の高まりにより 野菜と果実の摂取量は減少の懸念 ) 78 ( 外食産業や中食産業において 国産原料をうたった消費者への訴求の強化へ期待 ) 79 イ食料の購入先の変化 79 ( ネット通販による食料の支出額は この 10 年間で約 4 倍に拡大 ) 79 iv

11 トピックス第1章第2章第3章第4章用語の解説( ネット通販の購入経験は 40 歳代から 70 歳代で多く 情報の充実に高い期待 ) 80 (2) 食育の推進と国産農林水産物の消費拡大 和食 の保護 継承 81 ( 国産農林水産物の消費拡大に向けた 食育とフード アクション ニッポン ) 81 ( 幼少期の子供や子育て世代等に対する 和食 の継承 ) 82 第 5 節食の安全と消費者の信頼確保 83 (1) 食品の安全性向上 83 ( 食品の安全性を高めるための措置を策定 普及し 問題発生を未然に防止 ) 83 (2) 消費者の信頼確保 83 ( 食品表示の適正化を図るため 地方農政局等の職員が監視 取締り ) 83 ( 食品事故等発生時の円滑な原因究明と商品回収等に資するトレーサビリティ ) 84 ( 新たな加工食品の原料原産地表示制度が平成 29 年 9 月にスタート ) 84 ( 遺伝子組換え食品について 消費者庁が表示制度の見直し内容を公表 ) 85 ( 機能性表示食品制度について 消費者庁が生鮮食品での活用に向けた改善策を公表 ) 85 (3) 動植物の防疫 86 ( 家畜の伝染病の発生予防に向けては 空港 港での検疫等三段構えで対応 ) 86 ( 植物病害虫の侵入防止に向けては 貨物 携帯品等の輸入植物を対象に検疫を実施 ) 87 (4) 薬剤耐性対策の推進 87 ( 動物分野における薬剤耐性菌の出現率を低く抑えるための取組を強化 ) 87 第 6 節食品産業の動向 89 ( 農林水産物 10.5 兆円に食品産業のサービスが付加され 最終消費額は 76.3 兆円に ) 89 ( 国産食用農林水産物の重要な仕向先である食品製造業と外食産業 ) 90 ( 食品産業の事業再編等を支援する法律が施行 国内外では業界再編の動きが進行 ) 91 ( コンビニエンスストアは 調理パン等の販売好調により食料品販売額は堅調に推移 ) 92 ( 外食 中食の市場規模は 近年 増加傾向で推移 ) 93 ( 卸売市場を含めた食品流通の合理化等を促進する法案を国会に提出 ) 94 ( 流通チャネルが多様化する中 マッチングを支援する仕組みを構築 ) 95 ( 食品産業の海外展開に向けて 二国間による官民の新たな対話の場を立ち上げ ) 96 ( 食品産業における労働時間が長いなどの課題解決に向け ハンドブックを作成 ) 97 v 特集

12 ( 中小企業等経営強化法の支援により 食品産業の成長投資を後押し ) 97 ( 食品製造業と小売業の適正取引を推進するガイドラインを策定 公表 ) 97 ( 食品ロスの削減に向けた食品業界の取組が進展 ) 98 第 7 節農林水産物 食品の新たな需要の開拓 101 (1)6 次産業化と地産地消 101 ( 加工 直売等の農業生産関連事業の年間総販売金額は前年度から約 1 千億円増加 ) 101 ( 農産物直売所の年間総販売金額が大きい福岡県 埼玉県 愛知県 ) 103 (2) 医療分野と食料 農業分野との連携 105 ( 医療分野で徐々に取り入れられつつある新たな農産物 ) 105 ( 漢方薬メーカーが期待する国産の薬用作物 ) 106 第 2 章強い農業の創造 107 第 1 節農業の構造改革の推進 108 (1) 農業所得の動向 108 ( 農業所得に影響を及ぼす交易条件指数は 2 年連続で上昇し 所得向上の方向に作用 ) 108 (1 経営体当たりの農業所得は直近 5 年間で最高を記録 ) 108 (2) 農地中間管理機構の活用による農地の集積 集約化 110 ( 農地面積 作付延べ面積ともに緩やかに減少し 耕地利用率は横ばいで推移 ) 110 ( 荒廃農地面積は 横ばいで推移 ) 111 ( 担い手に対する農地の利用集積率は 前年度に比べ 1.7 ポイント上昇の 54.0%) 111 ( 簡易な手続により相続未登記農地に利用権設定が可能となる法案を国会に提出 ) 112 ( 高齢農業者の意向を速やかに把握できるよう 定期的な話合いが重要 ) 113 (3) 担い手の育成 確保 113 ( 農業経営体数が一貫して減少する中 1 経営体当たりの経営規模は着実に増加 ) 113 ( 基幹的農業従事者数 常雇い人数とも 49 歳以下の割合が上昇 ) 115 ( 農業における働き方改革に向けて 農業経営者の取組のヒント等を取りまとめ ) 116 ( 認定農業者は法人が一貫して増加 ) 117 ( 集落営農組織は法人化が進展し 法人組織の割合は 33.8% までに上昇 ) 118 ( 農地のリース方式による農業への参入企業は 平成 28 年 12 月末時点で 2,676 法人 ) 118 vi

13 トピックス第1章第2章第3章第4章用語の解説 (4) 人材力の強化 119 ( 高い農業技術や経営管理能力を持つ人材の育成が期待される農業大学校 ) 119 ( 静岡県が 農業分野の専門職大学開学に向けた基本構想を公表 ) 121 ( 農業者が営農をしながら体系的に経営を学べる農業経営塾が 21 県で開講 ) 122 ( 留学や海外研修を通して国際感覚を身に付ける学生や社会人 ) 123 ( 農業支援外国人受入事業の実施に向け京都府 新潟市 愛知県が実施区域に認定 ) 124 (5) 女性農業者の活躍 124 ( 組織経営体の常雇いにおいて女性の活躍の場が拡大 ) 124 ( 女性農業者の経営参画等につながる家族経営協定の締結農家数は増加 ) 125 ( 女性農業者の飛躍を後押しする農業女子プロジェクトと WAP100) 126 ( 女性農業者の良きパートナーである 女性の普及指導員等が活躍 ) 127 (6) 農業金融 129 ( 農業向け融資は 公庫 一般金融機関 農協系統のいずれも増加傾向 ) 129 (7) 経営所得安定対策 131 ( 米穀 麦 大豆等の重要な農産物を対象とした担い手に対する経営所得安定対策 ) 131 (8) 収入保険 131 ( 平成 31 年 1 月 農業経営者ごとの収入減少を補てんする収入保険がスタート ) 131 第 2 節農業生産基盤の整備と保全管理 133 (1) 農業生産基盤の整備と保全管理における重点的な取組 133 ( 強い農業基盤づくり 農業水利施設の長寿命化 防災 減災対策に重点化 ) 133 (2) 担い手のニーズに応える強い農業基盤づくり 133 ( 区画整備済み水田は全体の 64.7% 畑地かんがい施設の整備は全体の 23.9%) 133 ( 水田の区画整備と排水改良により 労働生産性の向上と担い手への農地集積を推進 ) 135 (3) 農業生産の継続に欠かせない農業水利施設の長寿命化 136 ( 農業用用排水路の総延長は約 40 万 km 基幹的農業水利施設の施設数は約 7,600 か所 ) 136 ( 老朽化した農業水利施設は ストックマネジメントにより機能を保全 ) 137 (4) 災害リスクから農業 農村を守る防災 減災対策 139 ( 大規模自然災害に対応した農業水利施設の機能強化 地域の防災 減災力の強化 ) 139 vii 特集

14 第 3 節主要農畜産物の生産等の動向 142 (1) 農業産出額の動向 142 ( 都道府県別分析 : 直近 10 年間で産出額が増加したのは 34 都道府県 ) 142 ( 市町村別分析 : 農業産出額の上位は 九州や関東の市町が多数 ) 144 (2) 米 145 ( 主食用米から戦略作物等への取組が定着し 超過作付けは 3 年連続で解消 ) 145 ( 担い手の米の生産コストは 平成 23 年の全国平均に比べ 3 割程度低い水準 ) 147 ( 業務用途の堅調な需要が見込まれる中 米の産地には需要に応じた生産 販売が期待 ) 148 ( 平成 30 年産米の生産において 重要な役割を担う農業再生協議会 ) 148 ( 飼料用米の給与により生産した畜産物を対象に 初めてのコンテストが開催 ) 149 ( 平成 29 年 12 月 米粉製品の認証制度がスタート ) 149 (3) 小麦 150 (1 経営体当たり作付面積は着実に拡大し 都府県でより大きな伸び ) 150 ( 需要が高まる国産小麦 ) 150 (4) 大豆 151 (1 経営体当たり作付面積は着実に拡大し 都府県でより大きな伸び ) 151 ( 豆腐や納豆で 国産表示商品の販売額は増加の傾向 ) 152 (5) 野菜 152 ( 加工 業務用向けで国産シェアの回復が進展 ) 152 (6) 果実 154 ( 食の簡便化等が進む中 良食味果実に加え 原材料に適した果実の生産も重要 ) 154 (7) 花き 156 ( 優れた特徴を持つ品種や高品質な花きを生産し 輸入品との差別化を図ることが重要 ) 156 (8) 茶 158 ( 優良品種への改植による茶園の若返りと需要に応じた生産体制の強化が重要 ) 158 (9) 甘味資源作物 159 ( この 10 年間で てんさいは直播率が上昇 さとうきびはハーベスタ収穫率が上昇 ) 159 (10) いも類 160 ( ばれいしょ かんしょともに 需要に応じた新たな品種の作付けが拡大 ) 160 (11) 畜産物 161 ( 飼養戸数が減少する中 1 戸当たり飼養頭羽数は増加 ) 161 ( 生乳の増産に向けて 乳用後継牛の確保が重要 ) 161 viii

15 トピックス第1章第2章第3章第4章用語の解説( 牛肉の増産に向けて 子牛育成部門の外部化による繁殖雌牛の増頭等が重要 ) 163 ( 豚肉 鶏肉 鶏卵の生産量は いずれも前年度より増加 ) 165 ( 畜産物の生産基盤等の強化に向けて 輸入飼料の国産飼料への置換えが重要 ) 166 (12) 平成 29 年度の自然災害による農業関係の被害 168 (5 つの台風や梅雨前線による大雨と暴風で 農業関係は 1,264 億円の被害 ) 168 ( 広範囲に大雪による被害が発生 ) 169 第 4 節生産現場の競争力強化等の推進 170 (1) スマート農業の推進 170 ( 人工知能未来農業創造プロジェクトにおいて 11 課題の研究開発が進行中 ) 170 (2021 年度までの市販化に向け 50 万円以下の無人草刈りロボットの開発がスタート ) 171 ( フォーラムを通じて スマート農業の情報を発信 ) 171 ( ドローンの農薬の空中散布について ガイドラインを改訂し 自動操縦による飛行に対応 ) 172 ( 平成 31 年 4 月の本格稼働を目指し 農業データ連携基盤の構築を推進 ) 173 ( 農業研究見える化システム アグリサーチャー が開設 ) 174 ( 知 の集積と活用の場において 産学官連携による共同研究の支援を実施 ) 175 ( ゲノム編集技術や遺伝子組換え技術を 国民に対し分かりやすく説明 ) 175 ( 自動車メーカーとの連携により 農業者の労働時間が短縮 ) 176 (2) 農業生産資材価格の動向と引下げに向けた動き 176 ( 近年 上昇傾向が続いた農業生産資材価格指数は 平成 28 年に僅かに低下 ) 176 ( 農業資材比較 web サイト AGMIRU の開設のほか 各農業資材で取組が進展 ) 177 (3) 農作業安全対策の推進 179 ( 農業者に応じた効果的な取組を進める 農作業安全リスクカルテ が完成) 179 第 5 節気候変動への対応等の環境政策の推進 180 (1) 気候変動に対する緩和 適応策の推進等 180 (COP23 では パリ協定の運用ルールのアウトライン等が具体化 ) 180 ( 我が国は 農業分野の温室効果ガスに関する国際研究ネットワークの議長国に就任 ) 180 ( 我が国の農林水産分野では 気候変動の緩和と適応を推進 ) 181 (ITPGR の仕組みを通じ 海外から農作物の遺伝資源約 2 万点を入手 ) 182 ix 特集

16 (2) 環境保全に配慮した農業の推進 183 ( 有機認証を受けた茶 こんにゃく 梅加工品の輸出が急増 ) 183 ( エコファーマーは 件数減少の一方で 地域ぐるみで取り組む事例も ) 184 ( 産学官によるプラットフォームに 戦略会議やプロジェクトが設置 ) 185 第 6 節農業を支える農業関連団体 186 (1) 農業協同組合 186 ( 農協による農業者の所得向上に向けた事業の見直しが急務 ) 186 (2) 農業委員会 187 ( 推進委員には 農地利用の最適化を推進するに当たり 現場活動が期待 ) 187 (3) 農業共済団体 188 ( 収入保険と農業共済の円滑な実施のための体制整備が必要 ) 188 (4) 土地改良区 189 ( 土地持ち非農家が増加し 耕作者の意見が適切に反映される事業運営体制が必要 ) 189 第 3 章地域資源を活かした農村の振興 活性化 191 第 1 節農村地域の現状と地方創生に向けた動き 192 ( 農村地域では 全国を超える減少率で人口が推移する見込み ) 192 ( 生活関連サービスを受け続けられるよう 各地で 小さな拠点 づくりが進展 ) 193 ( 農山漁村での仕事づくりに向け 農村産業法等が施行 ) 193 ( 若い世代を中心に高まりを見せる 田園回帰 の意識 ) 194 ( 農業分野行政職員の能力向上を目指す 地方創生カレッジや地域農政未来塾 ) 197 第 2 節中山間地域の農業の活性化 199 ( 地域資源を 宝 として活用することで 収益力のある農業を実現できる可能性 ) 199 ( 各地の優良事例の発信と取組への支援を通じた横展開が重要 ) 200 ( チャレンジを支援する中山間地農業ルネッサンス事業と中山間地域所得向上支援対策 ) 200 第 3 節農業 農村の有する多面的機能の維持 発揮 202 ( 農業 農村の有する多面的機能の効果は 国民全体が享受 ) 202 ( 多面的機能支払では 中間評価において効果の発現と地方裁量の有効活用を確認 ) 203 ( 中山間地域等直接支払では 前期対策に比べ 1 協定当たり平均交付面積は拡大 ) 205 x

17 トピックス第1章第2章第3章第4章用語の解説( 環境保全型農業直接支払では 前年度に比べ 実施面積が拡大 ) 206 第 4 節鳥獣被害とジビエ 207 (1) 鳥獣被害の現状と対策 207 ( 平成 28 年度の農作物被害額 172 億円は 平成 11 年度の調査開始以来最低の水準 ) 207 ( 狩猟免許所持者は 近年 若手や女性が増加 ) 207 ( 鳥獣被害の防止に向け 鳥獣被害対策実施隊が 1,140 市町村で設置 ) 208 (2) ジビエの利用拡大 210 ( 食肉処理施設で解体され 食用 ペットフード用等に仕向けられたジビエは 1,283 t) 210 ( モデル地区の整備等により ジビエ利用量を平成 31 年度に倍増 ) 211 ( 消費者にとってジビエを身近な食材に ) 212 第 5 節地域資源の積極的な活用 213 ( 農業農村整備事業等により整備が進む各種発電施設 ) 213 ( 農山漁村再生可能エネルギー法に基づく基本計画の作成市町村は着実に増加 ) 214 ( バイオマス産業都市は 11 市町村が新たに選定され 79 市町村に ) 214 第 6 節都市農業の振興 216 ( 農産物の供給 農業体験 学習の場の提供等 多様な役割を有する都市農業 ) 216 ( 都市農地の位置付けは 宅地化すべきものから 都市部にあるべきものへ ) 217 ( 都府県や市で地方計画の作成が進展 ) 218 ( 都市農地の保全 活用に向けた制度改正 ) 219 ( 市民農園の開設数は都市的地域を中心に増加 ) 219 第 7 節農業と多様な分野との連携 221 ( 子ども農山漁村交流プロジェクトによる子供の受入れは 185 地域で実施 ) 221 ( 近年 ハローワークを通じた障害者の農林漁業分野への就職件数は年間 3 千件弱 ) 221 第 4 章東日本大震災 熊本地震からの復旧 復興 223 第 1 節東日本大震災からの復旧 復興 224 (1) 地震 津波による被害と復旧 復興 224 ア農地の復旧 復興 224 ( 除塩等が進められ 復旧対象農地の 89% で営農再開が可能に ) 224 xi 特集

18 ( 防災集団移転と連携した農地整備事業が 10 市町 16 地区で実施中 ) 225 イ農業の復興 226 ( 新たな食料生産基地としての再生に向け 先端的農業技術の研究が進行 ) 226 ( 共創力で進む東北プロジェクト で 新たな農産物流通について議論 ) 226 ( 新しい東北 復興ビジネスコンテストでは 農業関係 3 点が優秀賞に選定 ) 227 (2) 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響と復旧 復興 229 ア福島県の避難指示区域等の復興 229 ( 帰還困難区域を除き ほぼ全ての避難指示が解除 ) 229 ( 帰還困難区域の復興 再生に向けた計画制度が創設 ) 230 ( 農地は 国直轄の面的除染は完了 市町村等の除染も完了 ) 230 ( 葛尾村で水稲作付けが再開するなど 農業の復興は着実に進展 ) 231 イ風評の払拭に向けた取組等 232 ( 食品の安全確保に向けた生産現場の取組 ) 232 ( 安全が確認された地域で出荷制限を解除 ) 234 ( 福島県産農林水産物の風評払拭に向けた取組を強化 ) 235 ( 食べて応援しよう! で消費を回復) 236 (GAP 認証の取得日本一を目指す ふくしま GAP チャレンジ宣言 ) 236 ( 東京電力による農林水産業関係者への損害賠償支払額は 平成 29(2017) 年度分は 763 億円 ) 237 第 2 節熊本地震からの復旧 復興 238 ( 平成 31 年までの取組をロードマップ化し 復旧 復興の実現に向けて施策を推進 ) 238 ( 県営 団体営の災害復旧事業は着手済みが 88.2% 完了が 40.2%) 238 ( 大豆へ転換された水田では 広域農場等への作業委託が進展 ) 240 ( 被災した畜産農家における家畜の再導入や畜舎等の整備は平成 30 年度内に完了 ) 240 ( カントリーエレベーター等の共同利用施設の復旧はほぼ完了 ) 240 (JA 熊本中央会が 農業労働力確保サポート事業を開始 ) 241 xii

19 トピックス第1章第2章第3章第4章用語の解説農業 農村地域の活性化を目指して 平成 29(2017) 年度農林水産祭天皇杯等受賞者事例紹介 244 用語の解説 247 主な分野横断的テーマ インデックス 264 事例一覧 特集 トピックス 4 第 1 章 第 2 章 投資と機械の稼働率向上等を通じて 効率的稲作経営を実現 ( 新潟県 ) 18 農協が出資している農業法人が就農を支援 ( 長野県 ) 20 農業法人が従業員の技能向上を通じて 昇給を実現 ( 岐阜県 ) 24 新名物となるジビエ加工品の開発に挑戦 ( 石川県 ) 40 外国人延べ宿泊者数の倍増を目指し 滞在拠点等を整備 ( 徳島県 ) 41 小型のサツマイモ生産への転換で 輸出を飛躍的に拡大 ( 宮崎県 ) 53 卸売会社の強みを活かし 米国向け切り花輸出をけん引 ( 大阪府 ) 53 日本料理の海外普及を夢に 外国人が日本料亭等で研修 ( 京都府ほか ) 58 作業事故の防止を目指し GLOBALG.A.P. の団体認証を取得 ( 滋賀県 ) 年を目指し 北海道初の JGAP 家畜 畜産物の認証を取得 ( 北海道 ) 61 子供たちが自ら考えて学ぶ食育プログラムを農協が開始 ( 愛知県 ) 82 農業者が店舗や価格を決定できる小売店向け販売の仕組み ( 全国 ) 95 生産者が需要に応じて出荷できる飲食店向け販売の仕組み ( 東京都 ) 96 みかん産地の農業者が作り出した新発想の調味料加工品 ( 愛媛県 ) 102 地産地消の取組モデルの一つとなる地域支援型農業 ( 茨城県 ) 105 高栄養価にんじんによる農業と医療分野との連携 ( 岡山県 ) 106 農外参入企業が 7ha の巨大温室を再生し 黒字化を実現 ( 北海道 ) 114 第三者継承による新規就農 ~ 分べん時期が分散された乳用牛を引き継げたのはメリット ~( 北海道 ) 115 第三者継承による新規就農 ~ ハウスとパート社員を引き継げたのはメリット ~( 岡山県 ) 116 農業大学校として全国初の GLOBALG.A.P. 認証取得 ( 新潟県 ) 120 大学生の目線で 全国の元気な農業者の情報を発信 ( 東京都 ) 121 全国に先駆けて農業経営塾が開講 ( 山口県 ) 123 xiii 特集

20 25 歳で北海道酪農の経営者になった女性農業者 ( 北海道 ) 126 農業法人で実現された女性従業員が働きやすい職場環境 ( 香川県 ) 127 女性の家畜人工授精師等にこだわりを持つ女性農業者 ( 北海道 ) 128 女性酪農ヘルパーが語る仕事の魅力 ( 北海道 ) 129 農業向け融資の拡大により 地域農業の発展を目指す銀行 ( 滋賀県 ) 130 畑地かんがい施設の整備により 農業所得が大きく増加 ( 長崎県 ) 136 ため池の水を活用する防災協定の締結 ( 大阪府 ) 141 マイルドなパクチー 岡山マイルドパクチー OKAPAKU ( 岡山県 ) 154 業務用野菜への転換により 大規模経営が出現 ( 千葉県 ) 154 収穫機の導入による加工原料用りんごの生産 ( 青森県 ) 156 後継者育成や肥育農家の経営安定の役割を果たす繁殖農場 ( 岩手県 ) 164 ドローンと AI 技術を活用した 大豆のコスト削減と高付加価値化 ( 佐賀県 ) 173 ドローンを活用した 稲作のコスト削減と品質向上 ( 東京都 ) 173 地球温暖化を契機とし りんご産地で広がるももの生産 ( 青森県 ) 182 豚肉で国内初となる有機 JAS 畜産物の認証取得 ( 鹿児島県 ) 184 生協の信頼を得て 地域ぐるみで環境保全型農業を実践 ( 宮城県 ) 185 一括仕入れ等の導入で 生産資材の販売価格を引下げ ( 宮崎県 ) 187 農地利用の現状を地域で共有するため 独自の地図を作成 ( 茨城県 ) 188 第 3 章 元地域おこし協力隊員が こだわりの米づくりを実践 ( 新潟県 ) 194 集落に移住した若者による U ターンのきっかけづくり ( 高知県 ) 197 第 1 期塾生が 新たな農産物の集荷システムを構築 ( 京都府 ) 198 集落の体制を整備し 都市住民との交流や 6 次産業化を展開 ( 福島県 ) 200 多面的機能支払の事務負担軽減等に貢献する広域組織 ( 新潟県 ) 204 狩猟に興味を持つ県内外の女性がつながる 狩女の会 ( 石川県 ) 208 カメラと ICT を活用したイノシシの捕獲システム ( 福岡県 ) 210 調理師専門学校で全国初のジビエのカリキュラム化が実現 ( 熊本県 ) 212 ブルーベリーの品質と収量を維持しつつ 売電収入を獲得 ( 千葉県 ) 214 農業体験の場や災害時の避難場所となる都市の農地 ( 神奈川県 ) 217 安定した販路により 全国平均を大きく超える賃金を実現 ( 北海道 ) 222 第 4 章 大規模農業法人が被災農業者の雇用の受皿に ( 宮城県 ) 225 老舗のしょうゆ醸造企業が 特徴ある商品を次々と発売 ( 岩手県 ) 228 浪江町をきれいな花の町に ( 福島県 ) 231 トマトのテーマパークで 地域を元気に ( 福島県 ) 232 被災箇所を含めた水田等の区画整理による創造的復興 ( 熊本県 ) 239 学生の援農活動が熊本農業の復興の一助に ( 熊本県 ) 242 台湾向けの情報発信が期待される台湾大学生の受入れ ( 熊本県 ) 242 xiv

21 トピックス第1章第2章第3章第4章用語の解説コラム一覧 トピックス 3 第 1 章 第 2 章 官営模範工場としての富岡製糸場 37 蚕の今 ~ 純国産絹製品づくりの取組と新素材原材料の役割 ~ 38 我が国で初の開催となった GFSI 世界食品安全会議 家計調査で見る米消費の動向 77 明治 150 年 関連施策テーマ 明治期のグルタミン酸ナトリウムに始まる うま味 成分の発見 91 気象データと AI 技術を活用し 豆腐の廃棄をほぼゼロに 100 我が国とフランスの農業高校間の交流がスタート! 120 優遇措置が付与され 経営上の利点もある青色申告 132 明治 150 年 関連施策テーマ 農業水利発展の一翼を担った明治期の逆サイホンの設置 139 飛騨高山高等学校が 和牛の共進会 高校の部 で最優秀賞を獲得 165 ゲノム編集技術を大きく進化させた C ク RISPR/C リスパーキャスナイン as9 176 xv 特集

22 第 2 部 平成 29 年度食料 農業 農村施策 概説 施策の重点 財政措置 立法措置 税制上の措置 金融措置 政策評価 272 Ⅰ 食料自給力 食料自給率の維持向上に向けた施策 食料自給力 食料自給率の維持向上に向けた取組 主要品目ごとの生産努力目標の実現に向けた施策 273 Ⅱ 食料の安定供給の確保に関する施策 国際的な動向等に対応した食品の安全確保と消費者の信頼の確保 幅広い関係者による食育の推進と国産農産物の消費拡大 和食 の保護 継承 生産 加工 流通過程を通じた新たな価値の創出による需要の開拓 グローバルマーケットの戦略的な開拓 様々なリスクに対応した総合的な食料安全保障の確立 国際交渉への戦略的な対応 285 Ⅲ 農業の持続的な発展に関する施策 力強く持続可能な農業構造の実現に向けた担い手の育成 確保 女性農業者が能力を最大限発揮できる環境の整備 農地中間管理機構のフル稼働による担い手への農地集積 集約化と 農地の確保 担い手に対する経営所得安定対策の推進 収入保険制度等の検討 構造改革の加速化や国土強靱化に資する農業生産基盤整備 需要構造等の変化に対応した生産 供給体制の改革 コスト削減や高付加価値化を実現する生産 流通現場の技術革新等 気候変動への対応等の環境政策の推進 296 Ⅳ 農村の振興に関する施策 多面的機能支払制度の着実な推進 中山間地域の農業の振興 地域コミュニティ機能の発揮等による地域資源の維持 継承等 多様な地域資源の積極的活用による雇用と所得の創出 多様な分野との連携による都市農村交流や農村への移住 定住等 302 xvi

23 第2部Ⅴ 東日本大震災からの復旧 復興に関する施策 303 Ⅵ 団体の再編整備等に関する施策 306 Ⅶ 食料 農業及び農村に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項 幅広い関係者の参画と関係府省の連携による施策の推進 施策の進捗管理と評価 財政措置の効率的かつ重点的な運用 国民視点や地域の実態に即した施策の決定 効果的かつ効率的な施策の推進体制 307 Ⅷ 災害対策 災害復旧事業の早期実施 激甚災害指定 被災農林漁業者等の資金需要への対応 共済金の迅速かつ確実な支払 特別対策の実施 その他の施策 309 平成 29 年度食料 農業 農村の動向 の年次は 原則として和暦と西暦を並記していますが 2020 年以降は元号が未定のため西暦のみを表記しています 平成 29 年度食料 農業 農村施策 の年次は 法律名や予算の引用が必要となることから 和暦を用いています なお 平成 は省略しています ( ただし 法律番号等を除く ) 図表の数値は 原則として四捨五入しており 合計とは一致しない場合があります 本資料に記載した地図は 必ずしも 我が国の領土を包括的に示すものではありません xvii

24 第 1 部 食料 農業 農村の動向

25 はじめに 食料 農業 農村の動向 ( 以下 本報告書 という ) は 食料 農業 農村基本法に 基づき 食料 農業 農村の動向に関する報告を 毎年 国会に提出しているものです 農業においては担い手の高齢化や減少が課題となっていますが 近年 49 歳以下の新規就農者数が比較的高い水準で推移するという明るい兆しも見られます 農業の持続的発展に向けては 次世代を担う若手農業者が 付加価値の向上 規模拡大や投資を通じた生産性の向上に挑戦し 効率的かつ安定的な農業経営を実現していくことが重要です このため 本報告書では 冒頭の特集において 次世代を担う若手農業者の姿 と題し 49 歳以下の若手農業者に焦点を当て 農林業センサス等の統計データやwebアンケートから明らかになった経営構造の特徴 農業経営に対する考え等について記述をしています 特集に続くトピックスでは 産出額が2 年連続増加の農業 更なる発展に向け海外も視野に 日 EU EPA 交渉の妥結と対策 我が国の近代化に大きく貢献した養蚕 動き出した農泊 の4つのテーマを取り上げています なお 我が国の近代化に大きく貢献した養蚕 については 平成 30(2018) 年が明治元 (1868) 年から満 150 年の年に当たることを節目として政府が推進する明治 150 年関連施策に位置付けられるものです トピックスに続いては 食料 農業 農村の動向について 食料の安定供給の確保 強い農業の創造 地域資源を活かした農村の振興 活性化 として章立てを行い これらに続けて 道半ばにある 東日本大震災 熊本地震からの復旧 復興 の章を設けています さらに 平成 27(2015) 年 3 月に閣議決定された食料 農業 農村基本計画に基づく施策の着実な推進に資するため 主な施策の取組状況やその効果等も記述しています 本報告書の記述分野は多岐にわたりますが 統計データの分析や解説だけでなく 全国各地で展開されている成長産業化に向けた取組事例等を可能な限り紹介し 写真も交え分かりやすい内容を目指しました 本報告書を通じて 我が国の食料 農業 農村に対する国民の理解と関心が一層深まることを期待します 1

26 特集 次世代を担う若手農業者の姿 ~ 農業経営の更なる発展に向けて ~

27 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて 特集 我が国農業においては担い手の高齢化や減少が課題となっていますが 近年 農業法人 等での雇用が拡大し 若手の新規就農者数が比較的高い水準で推移するという明るい兆し も見られます 農業の持続的発展に向けては 次世代を担う若手農業者が 付加価値の向 上 規模拡大や投資を通じた生産性の向上に挑戦し 効率的かつ安定的な農業経営を実現 していくことが重要です この特集では 49 歳以下の若手農業者に焦点を当て 農林業センサス等や独自のアン ケートから 経営構造の特徴 農業経営に対する考え等を確認し 農業経営の更なる発展 に向けた施策の展開方向を考察します 1 若手農業者がいる販売農家の経営構造分析 平成 年における農業経営体 1137 万 7,266 経営体のうち 販売農家 2 は 96.5% に相当する 132 万 9,591 戸と大宗を占めています 以下では 2015 年農林業セン サス等を用い 若手農業者の有無別の経営構造を販売農家について分析を行い 明らかに していきます 1 若手農業者の現状 販売農家の世帯員である基幹的農業従事者 3175 万 4 千人のうち 49 歳以下は 17 万 7 千人 と 10.1 を 販売農家と法人経営体 4 における常雇い 520 万 4 千人のうち 44 歳以下は 8 万 7 千人と 42.8 をそれぞれ占めています 図表 1 図表 2 図表 1 年齢別の基幹的農業従事者数 平成 年 万人 9 万人 歳以下 17.7 万人 歳 資料 農林水産省 2015 年農林業センサス 販売 農家 年齢別の常雇い人数 平成 年 44 歳以下 販売農家における常雇い 3.8 万人 法人経営体における常雇い 4.9 万人 図表 2 65 歳 以上 歳 資料 農林水産省 2015 年農林業センサス 用語の解説 を参照 用語の解説 を参照 用語の解説 を参照 法人の組織経営体のうち販売目的のものであり 一戸一法人は含まない 用語の解説 を参照 法人 経営体 歳 以上

28 特集 2 若手農業者がいる販売農家の分析 全体で見ると 49 歳以下の基幹的農業従事者がいる販売農家 以下 若手農家 とい う は いない販売農家 以下 非若手農家 という に比べ戸数は大幅に少なくなっ ています 若手農家では この 10 年間で個々の経営の規模拡大が進む中 常雇いが拡大 するとともに 投資を通じて労働生産性と農業所得の向上を実現している姿が確認できま した 以上が本項における分析結果の概略となります ア 若手農家と非若手農家の経営構造の比較 若手農家は大規模経営による面積シェアが高い 若手農家は 非若手農家に比べて 準単一 複合経営 1 の割合が高く 単一経営 2 では露 地野菜 施設野菜等の割合が高くなっています 図表 3 このような違いは 非若手農 家の稲作において 規模の小さい農家が多数存在していること等に起因しています 農産物販売金額規模別に見ると 非若手農家では 300 万円未満が 82.8 を占める一方 で 若手農家では 1,000 万円以上が 45.2 を占めています 図表 4 経営耕地を有する販売農家で見ると 若手農家の戸数は非若手農家の 1 割程度にすぎま せんが 若手農家の経営耕地面積は非若手農家の 6 割程度の規模となっています 図表 5 経営耕地面積規模別に見ると 若手農家においては 10ha 以上の経営体が全体の 73.1 の面積シェアを占めています 図表 3 営農類型別の戸数割合 平成 年 単一経営 若手農家 13 万 8,845 戸 非若手農家 107 万 88 戸 露地野菜 準単一 複合経営 施設野菜 11.1 果樹 10.6 酪農 花き 花木 稲作 ha 未満 0 畑作 肉用牛 その他 資料 農林水産省 2015 年農林業センサス 組替集計 注 1 販売農家 132 万 9,591 戸のうち 販売なし を除く 120 万 8,933 戸を若手農家と非若手農家に区分 2 畑作は 麦類 雑穀 いも類 豆類 工芸農作物 3 その他は その他の作物 養豚 養鶏 養蚕 その他の畜産 図表 4 農産物販売金額規模別の戸数割合 平成 年 若手農家 13 万 8,845 戸 非若手農家 107 万 88 戸 0 , ,000 5,000 1,000 3, ,000 万 1億 1億円以上 万円未満 資料 農林水産省 2015 年農林業センサス 組替集計 注 販売農家 132 万 9,591 戸のうち 販売なし を除く 120 万 8,933 戸を若手農家と非若手農家に区分 1 準単一複合経営 と 複合経営 の合計 準単一複合経営経営体 複合経営経営体 については用語の解説 2 1 を参照 2 単一経営経営体 については 用語の解説 2 1 を参照 5

29 特集 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて 図表 5 経営耕地面積規模別の戸数割合と規模別農家による面積シェア 平成 年 戸数割合 若手農家 13 万 8,700 戸 ha 以上 ha 未満 0 1.0 規模別農家による面積シェア 若手農家 万 9,376ha 0 20.0ha 以上 ha 未満 非若手農家 118 万 5,987 戸 非若手農家 186 万 5,484ha 資料 農林水産省 2015 年農林業センサス 組替集計 注 販売農家 132 万 9,591 戸のうち 経営耕地面積なし を除く 132 万 4,687 戸の経営耕地面積を若手農家と非若手農家に区分 イ 若手農家における経営規模の拡大の進展 若手農家の経営規模の拡大は 稲作をはじめ各部門で進展 土地利用型部門の代表である稲作単一経 図表 6 営について 直近 10 年間における若手農 ha 8 家と非若手農家の 1 戸当たり経営規模の動 向を見ると 非若手農家はほぼ横ばいであ 6 るのに対し 若手農家は経営規模が 1.5 倍 2 平成 年から平成 年までの 5 年間における各規模階層に属す 66.5 が同一階層にとどまる一方 上位 若手農家 非若手農家 に拡大しています 図表 6 る農家の動きを見ると 非若手農家では 稲作単一経営の 1 戸当たり経営規模 1.2 平成 年 資料 農林水産省 農林業センサス 組替集計 注 各農家の1戸当たりの経営規模は 経営耕地面積 経営耕地 のある農家数で集計 階層に移ったものは 14.5 でしたが 若 手農家では 30.7 が上位階層に移っており 規模拡大がより進展しています 図表 7 図表 7 直近 5 年間における稲作単一経営の規模の動向 平成 年から平成 年にかけての規模階層間移動 単位 戸 規模縮小 稲作単一経営の若手農家 稲作単一経営の非若手農家 農家数 割合 農家数 割合 変化なし 規模拡大 合計 2,161 8,123 4, , , ,572 70, , 資料 農林水産省 農林業センサス 組替集計 注 1 規模階層の移動は 経営耕地なし 0.3ha 未満 , ha 以上のそれぞれの規模階層から上がった場合は規模拡大 下がった場合は規模縮小としている 2 若手農家は 平成 年時点で 49 歳以下の基幹的農業従事者がいる販売農家 6

30 図表 8 の部門においても この 10 年間で規模拡 大が進展しています 図表 8 稲作単一経営以外の若手農家の経営規模 平成 年を 100 とする指数 畑作 140 露地野菜 130 乳用牛 120 肉用牛 特集 また 若手農家では 稲作単一経営以外 果樹 平成 年 資料 農林水産省 農林業センサス 組替集計 注 1 畑作は 麦類 雑穀 いも類 豆類 工芸農作物 2 各年の1戸当たりの経営規模は次のとおり集計 畑作 露地野菜 果樹は 経営耕地面積 経営耕地面積 のある農家数 乳用牛は 2歳以上の乳用牛飼養頭数 2歳以上の乳用牛飼養農家数 肉用牛は 子取りめす牛 肉用種肥育 F1 肥育 乳用種肥育の飼養頭数の合計 子 取りめす牛 肉用種肥育 F1 肥育 乳用種肥育の飼養農 家数 ウ 若手農家における雇用労働力の広がり 常雇いを雇い入れた若手農家の割合は 直近 10 年間で 5.3 から 12.6 へ上昇 規模拡大に必要な労働力を確保したり 親世代のリタイア等により減少した労働力 図表 9 雇用者を雇い入れた農家の割合 単位 を補完するため 若手農家においては常雇 いが広がっており 直近 10 年間で常雇い を雇い入れた農家数は 1 万 2 千戸から 1 万 8 千戸に増加しています この結果 常雇 いを雇い入れた農家の割合は非若手農家を 大きく上回るペースで上昇しました 図表 平成 17 年 常雇い 臨時雇い 若手農家 5.3 非若手農家 若手農家 非若手農家 資料 農林水産省 農林業センサス 組替集計 9 若手農家 1 戸当たり農業従事日数を見ると 常雇いが一貫して増加しています 図表 10 また 一貫して規模拡大が進んできた中で 農業従事日数はさほど大きな伸びを示 していません 図表 10 若手農家の 1 戸当たり農業従事日数 世帯員 平成 17 年 臨時雇い 0 常雇い ,000 人日 資料 農林水産省 農林業センサス 組替集計 注 世帯員の農業従事日数は 自営農業従事日数規模階層の中位数 各階層の農業従事者数により推計 7

31 非若手農家経営概非若手農家経営概営収営収農業固定資産額万円 1, 分農業固定資産額万円 4,889 1,678 分析指析指特集 次世代を担う若手農業者の姿 ~ 農業経営の更なる発展に向けて ~ エ若手農家における投資とその効果 ( 若手農家は 投資により 労働生産性と農業所得の向上を実現 ) 水田作における若手農家 1 の経営では 非若手農家の経営に比べ 10a 当たり労働時間が短く 農業固定資産装備率が高いことから 労働時間の短縮を図るための投資が進んで いることが分かります ( 図表 11) このことが 規模拡大や高い農業所得につながっていると考えられます 同様に酪農における若手農家の経営でも 非若手農家の経営に比べ 搾乳牛 1 頭当たり労働時間が短く 農業固定資産装備率が高くなっており このことが 規模拡大や高い農業所得につながっていると考えられます このように 若手農家においては 投資を行うことで労働生産性の向上を図り 規模拡大を通じて農業所得の向上が図られていると考えられます 図表 11 主な営農類型別の若手農家の経営状況 ( 平成 25(2013) 年から 27(2015) 年までの 3 か年平均 ) ( 水田作 ) ( 酪農 ) 況34 58 経農業所得万円 32 支自営農業労働時間 時間 5, 水田作作付延べ面積 ha 農業専従者数 人 水田作作付延べ面積 10a 時間当たり自営農業労働時間 /10a 799 農業粗収益 万円 2, 農業経営費 万円 1, 況 経農業所得万円 505 支自営農業労働時間 時間 7,376 4,822 搾乳牛飼養頭数 頭 搾乳牛 1 頭当たり乳量 kg 8,806 8,192 農業専従者数 人 搾乳牛 1 頭当たり自営農時間業労働時間 / 頭 1,188 農業粗収益 万円 6,511 3,081 農業経営費 万円 5,323 2,576 農業固定資産装備率円 2,930 2,420 標水田作作付延べ面積 10a 万円 当たり農業所得 /10a 農業固定資産装備率円 6,628 3,480 標搾乳牛 1 頭当たり農業所万円 得 / 頭 資料 : 農林水産省 農業経営統計調査営農類型別経営統計 ( 個別経営 ) ( 組替集計 ) 注 :1) 農業固定資産装備率 ( 円 )= 農業固定資産額 自営農業労働時間 2) 集計値は 平成 25(2013) 年から平成 27(2015) 年の 3 か年平均 平成 25(2013) 年 平成 26(2014) 年 平成 27(2015) 年それぞれの集計経営体数は次のとおり 水田作 :( 若手農家 )249 経営体 ( 以下 単位は省略 ) ( 非若手農家 )1,360 1,382 1,392 酪農 :( 若手農家 ) ( 非若手農家 ) ここでいう 若手農家 は 49 歳以下の農業専従者がいる経営体 非若手農家 はいない経営体 農業専従者 については 用語の解説 2(4) を参照 8

32 若手農業者向けアンケート結果の分析 特集 2 農林水産省では 若手農業者の現状や将来に向けた考えを把握するため 平成 年 10 月から 11 月にかけて web アンケートを実施しました 図表 12 以下で は 回答に協力いただいた 1,885 人の現状や考えを 総回答者と経営者 1 の 2 つの視点で 分析を行い 明らかにしていきます 図表 12 若手農業者向けアンケートの概要 1 実施時期 平成 年 10月26日から 11月5日までの 11日間 2 実施方法 web アンケート メールマガジンや SNS を活用して周知 3 対 象 者 平成 年 10月1日時点で 49 歳以下の農業者 4 内 容 農家 法人役員編 と 雇用者編 の2種類 該当する方に回答 5 回答者数 1,885人 詳細は以下のとおり 本アンケートの結果は 若手農業者全体の考えを統計的に推計したものではなく アンケートに応じた 1,885人の回答を集計したもの 農家の経営主 1,357人 農家の世帯員 経営主以外 204人 総回答者 1,885人 web アンケート 農家 法人役員編 法人役員 151人 農家雇用者 94人 法人雇用者 79人 web アンケート 雇用者編 注 1 総回答者の集計結果は 2 1 農業 農業施策に対する考え 農家 法人役員編 は 2 2 経営者の農業経営に対する考え 雇用 者編 は 4 3 法人雇用者の満足度や将来に対する考えに掲載 2 Social Networking Service の略 登録された利用者同士が交流できる web サイトのサービス 1 農業 農業施策に対する考え 農家の経営主 世帯員 法人役員 農家 法人の雇用者 1,885 人 ア 我が国農業の在り方 国内だけでなく海外にも目を向けるべき との回答は 35.1 我が国農業の在り方について考えを尋ねたところ 国内で国産シェアの回復を目指す べき が 48.7 国内だけでなく海外にも目を向けるべき が 35.1 となりました 図 表 13 これを部門別に見ると 国内だけでなく海外にも目を向けるべき の割合は 肉用牛 果樹 稲作で高くなっています また 法人役員で見ると 国内だけでなく海外にも目を向けるべき が 46.9 と 国 1 農家の経営主と法人役員 9

33 特集 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて 内で国産シェアの回復を目指すべき の 40.8 を上回っています 図表 13 我が国農業の在り方 全体の集計 全体 部門別 国内で国産シェアの回復を目指すべき 国内だけでなく海外 にも目を向けるべき 全体 N 1, 稲作 N 露地野菜 N 490 施設野菜 N 果樹 N 肉用牛 N 0 酪農 N 花き 花木 N 畑作 N 145 わからない その他 注 1 回答者が少ない部門 養豚等 は掲載しない 2 総回答者 1,885 人のうち回答者 1,867 人 法人役員の集計 国内で国産シェアの 回復を目指すべき 法人役員 N=147) 0 国内だけでなく海外 にも目を向けるべき わからない その他 注 法人役員 151 人のうち回答者 147 人 イ 関心の高い農業施策 労働力の確保 農地の集積 生産資材価格の引下げ が上位 関心の高い農業施策を複数回答で尋ねたところ 労働力の確保 が 48.0 と最も高く 次いで 農地の集積 が 41.1 生産資材価格の引下げ が 40.6 となりました 図表 14 これを部門別に見ると 全ての部門で 労働力の確保 が上位となっており なかでも 露地野菜 施設野菜 果樹 花き 花木 酪農の 5 部門は 労働力の確保 が 1 位となっ ています 稲作では ほ場 水路等の整備 が 1 位となっているほか 稲作 畑作 露地 野菜では 農地の集積 が 稲作以外の耕種部門 1 では 生産資材価格の引下げ が上位 となっています 1 畑作 露地野菜 施設野菜 果樹 花き 花木 10

34 関心の高い農業施策 複数回答 特集 図表 14 全体の集計 労働力の確保 農地の集積 生産資材価格の引下げ 人材の育成 ほ場 水路等の整備 流通 加工の構造改革 1 収入保険 2 6次化 農商工連携 3 IoT ロボット ドローン等新技術の普及 米 野菜 畜産等の個別品目の政策 農産物の輸出 4 鳥獣対策 ジビエ の活用 5 日本型直接支払 中山間直払等 6 GAP の普及 7 地理的表示 GI その他 特になし 1.2 0 注 1 ) 総回答者 1,885 人のうち回答者 1,875 人 上記は回答者 1,875 人における各項目の選択者の割合 2 )1 第2章第1節 8 を参照 2 6次産業化 用語の解説3 1 を参照 3 6 用語の解説3 2 を参照 4 第3章第4節 2 を参照 5 第3章第3節を参照 7 第1章第2節 2 を参照 全体の集計 部門別 上位 3 項目 1位 単位 2位 3位 稲作 N=277 ほ場 水路等の整 備 59.6 農地の集積 49.8 労働力の確保 36.1 畑作 N=146 農地の集積 45.9 労働力の確保 45.2 生産資材価格の引 下げ 42.5 露地野菜 N=490 労働力の確保 48.0 農地の集積 施設野菜 N=438 労働力の確保 51.8 生産資材価格の引 下げ 生産資材価格の引 下げ 46.3 人材の育成 40.6 果樹 N=292 労働力の確保 52.7 人材の育成 花き 花木 N=69 労働力の確保 52.2 生産資材価格の引 下げ 生産資材価格の引 下げ 43.5 人材の育成 42.0 酪農 N=57 労働力の確保 61.4 人材の育成 47.4 IoT ロボット ド ローン等新技術の 普及 36.8 肉用牛 N=54 人材の育成 48.1 米 野菜 畜産等の個別品目の政策 労働力の確保 40.7 注 上記は 各部門の回答者における各項目の選択者の割合 回答者が少ない部門 養豚等 は掲載しない ウ 農業の魅力 裁量の自由度の大きさ 時間の自由度の大きさ が上位 農業の魅力を複数回答で尋ねたところ 裁量の自由度の大きさ が 46.5 で最も高く 次いで 時間の自由度の大きさ が 42.1 となりました 図表 15 これを経営者と法人雇用者で見ると 経営者は全体と同じ傾向となっていますが 法人 雇用者は 自然や動物相手の仕事 が最も高く 次いで 地域とのつながり となってい ます また 経営者について 販売金額別に見ると 販売金額が大きいほど 食料供給の社会 的責任 は高くなり 逆に 時間の自由度の大きさ 趣味 家族団らんを含む は低く なる傾向が見られます 11

35 特集 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて 図表 15 農業の魅力 複数回答 全体の集計 裁量の自由度の大きさ 時間の自由度の大きさ 自然や動物相手の仕事 食料供給の社会的責任 地域とのつながり 安全 高品質の実現 儲けの可能性の大きさ 生活環境の豊かさ 消費者との交流 主従関係のなさ 遠距離通勤のなさ その他 特になし 0 注 総回答者 1,885 人のうち回答者 1,880 人 上記は 回答者 1,880 人における各項目の選択者の割合 法人雇用者の集計 上位3項目 55.7 自然や動物相手の仕事 40.5 地域とのつながり 38.0 食料供給の社会的責任 0 注 法人雇用者 79 人のうち回答者 79 人 上記は 回答者 79 人における各項目の選択者の割合 経営者の集計 販売金額別 100 万円未満 N 万円 N 万円 N ,000 3,000 万円 N ,000 5,000 万円 N 77 時間の自由度の大きさ ,000 万円 N ,000 1億円 N 61 1億円以上 N 食料供給の社会的責任 0 注 経営者 1,508 人のうち回答者 1,503 人 上記は 販売金額の各階層に属する回答者における各項目の選択者の割合 2 経営者の農業経営に対する考え 農家の経営主 法人役員 1,508 人 ア 農業経営で大切なこと 販売金額が大きいほど重視される 経営分析能力 と 財務管理能力 農業経営で大切なことを複数回答で尋ねたところ 経営分析能力 が 59.0 と最も高 く 次いで 栽培 飼養技術 が 50.6 となりました 図表 16 これを部門別に見ると 酪農では 経営分析能力 と 財務管理能力 が 肉用牛 施 設野菜 花き 花木では 栽培 飼養技術 が他部門に比べて高くなっています また 販売金額別に見ると 販売金額が大きいほど 経営分析能力 と 財務管理能 力 は高くなる傾向が見られます 12

36 図表 16 農業経営で大切なこと ( 複数回答 ) 経営分析能力栽培 飼養技術パートナー作り ( 農業者仲間や取引相手 ) 財務管理能力マーケティング能力リスク管理 危機管理能力プレゼンテーション コミュニケーション能力新技術の研究 導入働きやすい職場環境経営規模の拡大従業員の技能向上その他 3.5 特になし 0.7 ( 経営者の集計 ) 注 : 経営者 1,508 人のうち回答者 1,494 人 上記は 回答者 1,494 人における各項目の選択者の割合 % 80 ( 経営者の集計 - 部門別 ( 上位 5 項目 )-) ( 単位 :%) 稲作 (N=207) 畑作 (N=118) 露地野菜 (N=408) 施設野菜 (N=370) 果樹 (N=232) 花き 花木 (N=55) 酪農 (N=30) 肉用牛 (N=35) 経営分析能力 栽培 飼養技術 パートナー作り ( 農業者仲間や取引相手 ) 財務管理能力 マーケティング能力 注 ) 上記は 各部門の回答者における各項目の選択者の割合 回答者が少ない部門 ( 養豚等 ) は掲載しない 100 万円未満 (N=245) 100~300 万円 (N=357) 300~500 万円 (N=191) 500~1,000 万円 (N=276) 1,000~3,000 万円 (N=251) 3,000~5,000 万円 (N=76) 5,000~1 億円 (N=61) 1 億円以上 (N=37) 0 ( 経営者の集計 - 販売金額別 -) 注 : 上記は 販売金額の各階層に属する回答者における各項目の選択者の割合 経営分析能力 財務管理能力 % 特集

37 特集 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて イ 現在の経営における課題 労働力の不足 を挙げる割合が最も高く 特に酪農と果樹で深刻 現在の経営における課題を複数回答で尋ねたところ 労働力の不足 が 47.3 と最も 高く 次いで 品質に見合わない売価 が 34.8 となりました 図表 17 これを部門別に見ると 労働力の不足 は酪農と果樹で 品質に見合わない売価 は 花き 花木で特に高くなっています なお 稲作では部門固有の ほ場の排水不良や不整 形 と 水路の老朽化 が高くなっています また 就農からの年数別に見ると 年数が長いほど 労働力の不足 は高くなり 逆に 技術の不足 と 資金調達の難しさ は低くなる傾向が見られます 図表 17 現在の経営における課題 複数回答 経営者の集計 労働力の不足 品質に見合わない売価 ほ場の排水不良や不整形 技術の不足 生産コストの高さ 資金調達の難しさ 進まない農地の集積 販路の少なさ JA 農業委員会 地域農業者との意識の相違 リスク管理 危機管理 鳥獣被害の発生 経営に役立つ情報の不足 水路の老朽化 近隣の苦情 悪臭 農薬等 その他 特になし 0 注 経営者 1,508 人のうち回答者 1,501 人 上記は 回答者 1,501 人における各項目の選択者の割合 経営者の集計 部門別 上位 3 項目 1位 単位 2位 3位 稲作 N=208 ほ場の排水不良や不整 形 53.4 水路の老朽化 45.7 労働力の不足 43.3 畑作 N=119 技術の不足 40.3 労働力の不足 39.5 品質に見合わない売価 35.3 露地野菜 N=408 労働力の不足 45.3 ほ場の排水不良や不整 形 40.0 技術の不足 39.5 施設野菜 N=373 労働力の不足 48.8 品質に見合わない売価 37.3 生産コストの高さ 34.6 果樹 N= 鳥獣被害の発生 35.2 品質に見合わない売価 労働力の不足 花き 花木 N=56 労働力の不足 46.4 品質に見合わない売価 44.6 JA 農業委員会 地域 農業者との意識の相違 酪農 N= 生産コストの高さ 43.3 進まない農地の集積 JA 農業委員会 地域 農業者との意識の相違 37.1 資金調達の難しさ 34.3 肉用牛 N=35 労働力の不足 労働力の不足 注 上記は 各部門の回答者における各項目の選択者の割合 回答者が少ない部門 養豚等 は掲載しない 経営者の集計 就農からの年数別 か月未満 N 137 1年以上5年未満 N 年以上 N 607 0 36.9 資金調達の難しさ 45.2 技術の不足 労働力の不足 50 注 経営者 1,508 人のうち回答者 1,501 人 上記は 就農からの年数の各階層に属する回答者における各項目の選択者の割合 14 60

38 今後伸ばしていきたい方向 特集 ウ ア 農業生産 販売金額が大きいほど重視される IoT 等新技術の導入 と 異業種との連携 農業生産で今後伸ばしていきたい方向を複数回答で尋ねたところ 単収の向上 が 70.6 と最も高く 次いで 高品質化 ブランド化 が 53.1 となりました 図表 18 これを部門別に見ると 耕種部門 1 では 単収の向上 畜産部門 2 では 面積 飼養頭 数の拡大 が最も高くなっています なお 耕種部門と肉用牛では 高品質化 ブランド 化 が上位となっています また 販売金額別に見ると 販売金額が大きいほど IoT3 等新技術の導入 と 異業 種との連携 が高くなる傾向が見られます 図表 18 今後伸ばしていきたい方向 農業生産 複数回答 経営者の集計 単収の向上 高品質化 ブランド化 面積 飼養頭数の拡大 資材費等コストの削減 異業種との連携 新たな品目の導入 有機 環境保全型農業の実践 IoT 等新技術の導入 GAP の実践 認証を取得しないものを含む 現品目での品種多様化 家畜飼料の生産 3.7 その他 3.7 特になし 0 注 経営者 1,508 人のうち回答者 1,497 人 上記は 回答者 1,497 人における各項目の選択者の割合 経営者の集計 部門別 上位 3 項目 1位 稲作 N=207 畑作 N=119 露地野菜 N=409 施設野菜 N=372 果樹 N=232 花き 花木 N=55 単収の向上 単収の向上 単収の向上 単収の向上 単収の向上 単収の向上 酪農 N=30 面積 飼養頭数の拡大 40.0 肉用牛 N=35 面積 飼養頭数の拡大 位 高品質化 ブランド化 面積 飼養頭数の拡大 高品質化 ブランド化 高品質化 ブランド化 高品質化 ブランド化 高品質化 ブランド化 単収の向上 異業種との連携 家畜飼料の生産 高品質化 ブランド化 単位 位 面積 飼養頭数の拡大 高品質化 ブランド化 面積 飼養頭数の拡大 資材費等コストの削減 資材費等コストの削減 新たな品目の導入 家畜飼料の生産 40.0 注 上記は 各部門の回答者における各項目の選択者の割合 回答者が少ない部門 養豚等 は掲載しない 経営者の集計 販売金額別 100 万円未満 N 万円 N 万円 N ,000 万円 N ,000 3,000 万円 N ,000 5,000 万円 N ,000 1億円 N 1億円以上 N 37 0 異業種との連携 IoT 等新技術の導入 注 経営者 1,508 人のうち回答者 1,497 人 上記は 販売金額の各階層に属する回答者における各項目の選択者の割合 1 稲作 畑作 露地野菜 施設野菜 果樹 花き 花木 2 酪農 肉用牛 3 用語の解説 3 2 を参照 15

39 特集 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて イ 出荷 販売先 消費者への直接販売 が 56.7 で最高 出荷 販売先で今後伸ばしていきたい方向を複数回答で尋ねたところ 消費者への直 接販売 が 56.7 と最も高くなりました 図表 19 これを部門別に見ても 全ての耕種部門と酪農で 消費者への直接販売 が 1 位となっ ており なかでも稲作と果樹で割合が高くなっています また 販売金額別に見ると 販売金額が大きいほど 食品製造業者 外食 中食業 者 が高くなる傾向が見られます 図表 19 今後伸ばしていきたい方向 出荷 販売先 複数回答 経営者の集計 消費者への直接販売 自営以外の直売所 19.2 JA 専門農協 食品製造業者 13.1 卸売市場 特になし 輸出 その他 食品小売業者 集荷業者 外食 中食業者 0 注 経営者 1,508 人のうち回答者 1,491 人 上記は 回答者 1,491 人における各項目の選択者の割合 経営者の集計 部門別 上位 3 項目 1位 単位 2位 3位 稲作 N=207 消費者への直接販売 69.1 外食 中食業者 33.3 自営以外の直売所 23.2 畑作 N=119 消費者への直接販売 52.9 外食 中食業者 26.1 食品製造業者 23.5 露地野菜 N=410 消費者への直接販売 57.1 外食 中食業者 28.0 自営以外の直売所 26.6 施設野菜 N=368 消費者への直接販売 50.8 JA 専門農協 26.6 外食 中食業者 25.8 果樹 N=233 消費者への直接販売 66.1 自営以外の直売所 25.3 外食 中食業者 18.5 花き 花木 N=55 消費者への直接販売 49.1 卸売市場 38.2 自営以外の直売所 34.5 酪農 N=28 消費者への直接販売 42.9 特になし 32.1 JA 専門農協 食品小売業者 17.9 食品製造業者 肉用牛 N=34 特になし 35.3 消費者への直接販売 23.5 輸出 17.6 注 上記は 各部門の回答者における各項目の選択者の割合 回答者が少ない部門 養豚等 は掲載しない 経営者の集計 販売金額別 100 万円未満 N 万円 N 万円 N ,000 万円 N ,000 3,000 万円 N ,000 5,000 万円 N ,000 1億円 N 1億円以上 N 35 0 外食 中食業者 食品製造業者 注 経営者 1,508 人のうち回答者 1,491 人 上記は 販売金額の各階層に属する回答者における各項目の選択者の割合 16 50

40 特集 ウ 関連事業 農産物の加工 販売 が 49.7 で最高 関連事業で今後伸ばしていきたい方向を複数回答で尋ねたところ 農産物の加工 販 売 が 49.7 と最も高くなりました 図表 20 図表 20 今後伸ばしていきたい方向 関連事業 複数回答 経営者の集計 49.7 農産物の加工 販売 25.5 観光農園 体験農園 自営の直売所 21.0 レストラン 宿泊サービス その他 特になし 0 注 経営者 1,508 人のうち回答者 1,455 人 上記は 回答者 1,455 人における各項目の選択者の割合 エ 農業経営の法人化 販売金額が大きいほど高くなる法人化の意向 法人化していない経営者に対し 法人化の意向について尋ねたところ 法人化の考え がある 1 が 48.0 と 法人化の考えはない の 37.9 を上回りました 図表 21 これ を販売金額別に見ると 販売金額が大きいほど法人化の考えがある者の割合が高く 500 万円以上の層では 5 割を超えています 図表 21 今後伸ばしていきたい方向 農業経営の法人化 法人化していない経営者の集計 販売金額別 現在の農家のままで法人化 複数農家により 法人化 法人化の考えはない わからない 全体 N 1, 万円未満 N 万円 N 万円 N ,000 万円 N ,000 5,000 万円 N 0 ,000 3,000 万円 N 213 5,000 万円以上 N 注 経営者 1,508 人のうち法人化していない経営者の回答者 1,328 人 1 現在の農家のままで法人化 と 複数農家により法人化 を選択した者の合計 17

41 特集 次世代を担う若手農業者の姿 ~ 農業経営の更なる発展に向けて ~ 3 効率的かつ安定的な農業経営に向けた施策の展開方向 ( 農業経営の法人化 新技術の開発 伸ばしたい方向を後押しできる環境づくりが重要 ) 経営構造分析を通じ 若手農家では非若手農家に比べ 経営規模の拡大 常雇いを雇い入れた農家の割合の上昇 単位面積 頭数当たり労働時間の短縮を図る投資が行われていることが確認されました また 若手農業者向けアンケートを通じ 農業生産 出荷 販売先等で今後伸ばしていきたい方向について回答者の考えが確認されました 効率的かつ安定的な農業経営の育成に向けては 若手農家がいち早く実行に移している経営規模の拡大 労働力の確保 生産性を向上させる投資を強力に進めていく必要がありますが その際には農業経営を法人化していた方が有利に働くことが多いことからも更なる法人化の推進が重要となっています また 農業者の投資を促す上では 生産現場が直面する課題を速やかに解決するための技術を AI 1 IoT ロボット ドローン等を取り入れた革新的なものとして開発し 農業者が導入可能な価格で速やかに商品化していくことも重要です さらに アンケート回答者を含め農業者が今後伸ばしていきたい方向を後押しできる環境づくりが重要であり 生産資材価格の引下げ 農産物の流通 加工の構造改革等の農業競争力強化プログラムの着実な実施等を進めていくことが必要です 事例 投資と機械の稼働率向上等を通じて 効率的稲作経営を実現 ( 新潟県 ) まるたひろし工業系エンジニアをしていた丸田洋さんは 知人の稲作農家で農作業を手伝った際に農業に面白さを感じ 平成 17 じょうえつしほうみのうこう (2005) 年に 31 歳で新潟県上越市に有限会社穂海農耕を設立し 代表に就任しました 稲作単一経営での規模拡大を目指し 平成 29(2017) 年度は 所有地 20haと借入地 110haの計 130haの水田に 業務用米を中心とした作付けを行いました 丸田代表は これまで規模拡大に合わせてコンバインとトラクターの大型化を図り労働生産性を高めるとともに 早生から晩生の10 品種の米を組み合わせ 作期分散を図ることで機械の稼働率向上も実現しており 今後は水田の大区画化ちょくはんを進め 乾田直播栽培を広げることで更なる省力化を目指すとしています 上越市 また 社員については 経営者を目指す職種 と 労働者として働く職種 を設けることで採用がしやすくなったといい 平成 29(2017) 年度には20 代から30 代の若手を中心に11 人の従業員を確保しています 長野県 新潟県 福島県 群馬県栃木県 代表の丸田洋さん ( 後列一番左 ) と若手従業員 1 用語の解説 3(2) を参照 18

42 若手農業者の雇用に関する動向等 特集 4 1 若手新規就農者の動向 若手新規就農者数は 3 年連続で 2 万人を超過 平成 年の新規就農者数は 6 万 150 人となり うち 49 歳以下の若手新規就 農者は 2 万 2,050 人と 36.7 を占めています 図表 年に 40 代以下の農業従事者を 40 万人に拡大 する目標 1 が掲げられる中 49 歳 以下の新規就農者数は 3 年連続で 2 万人を超えており 近年 新規雇用就農者 2 が増加傾 向となっています 営農類型別に見ると 新規自営農業就農者 3 は稲作が多く 新規雇用就農者は畜産が多 くなっています また 平成 年における若手新規雇用就農者の雇用直前の就業状態を見ると 農業以外に勤務 が 61.3 と最も高く 次いで 学生 が 22.4 を占めています 図表 歳以下の新規就農者 新規就農者数 平成 年 千人 就農形態別の推移 千人 歳以上 歳以下 平成 24 年 新規参入者 新規雇用 就農者 新規自営 農業就農者 営農類型別割合 平成 年 稲作 畑作 33.2 新規自営農業就農者 7.4 露地野菜 14.5 施設野菜 果樹類 花き 花木 新規雇用就農者 0 畜産 6.2 その他 新規雇用就農者の雇用直前の就業状態別割合 平成 年 0 20 農業以外に勤務 学生 その他 資料 農林水産省 新規就農者調査 営農類型別割合については 2015 年農林業センサス との組替集計 注 1 平成 年から平成 年の調査結果は 東日本大震災の影響により福島県の一部地域を除いて集計 2 平成 年調査より 新規参入者については 従来の 経営の責任者 に加え 新たに 共同経営者 を含めた 3 平成 年の調査結果は 熊本地震の影響により熊本県の一部地域を除いて集計 4 新規雇用就農者の雇用直前の就業状態別割合のその他は 農業以外の自営業 家事 育児等 1 農林水産業 地域の活力創造プラン 平成 年 11 月改訂 2 3 用語の解説 2 5 を参照 19

43 特集 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて 事例 農協が出資している農業法人が就農を支援 長野県 うえ だ し 農業協同組合が出資している農業法人である長野県上田市 新潟県 しんしゅう 群馬県 の有限会社信州うえだファームでは 平成 年度 富山県 から 独立就農を目指す就農希望者を雇用し 栽培技術等の 岐阜県 上田市 研修を行う新規就農者育成事業を実施しています 同社に雇用された就農希望者には 給与支給により研修に 長野県 山梨県 専念できる環境が与えられるとともに 果樹や野菜等の就農 を目指す作目の研修ほ場が各人に設定されます 2 年間の研 修を終えた就農希望者は 研修ほ場を受け継ぐ形で独立就農 を行い 平成 年度までに研修を終えた 20 人が 果樹や施設野菜の新規就農者となりました このうち 13 人 は長野県外の出身者であり 同事業は減少が続いてきた担い 手の確保にも貢献しています 信州うえだファームで研修した う だ がわ 後に就農した宇田川さん夫妻 近年 醸造用ぶどうの栽培を目指す就農相談が多く寄せら れるようになったことから 同社では同事業にワインコース を新設し 醸造用のぶどうを植栽した研修ほ場の整備も進めています 2 44 歳以下の常雇いの分析 法人経営体の 44 歳以下の常雇いは雇用先人数規模 10 人以上の経営体に 68.7 が集中 44 歳以下の常雇い人数は 平成 年において 法人経営体が 4 万 8,803 人 販売農家が 3 万 8,376 人となっています 一方 これら 44 歳以下の常雇いを雇い入れた経営体の割合を見ると 法人経営体で 46.5 販売農家で 1.5 となっています 図表 23 農産物販売金額規模別に見ると 法人経営体では 3,000 万円を境に 50 を超え 販売農家では 3,000 万円を境に 1 割未満 から 2 割台へと大きく伸びています 図表 23 農産物販売金額規模別の法人経営体と販売農家における 44 歳以下の常雇いを雇い入れた経 営体の割合 平成 年 法人経営体 販売農家 46.5 全体 全体 1.5 販売なし 20.0 販売なし 万円未満 万円未満 , , ,000 3,000 1,000 3, ,000 5, ,000 1億 資料 農林水産省 2015 年農林業センサス 組替集計 注 法人経営体1万 8,857 経営体 販売農家 132 万 9,591 戸の集計結果 ,000 1億 80.6 1億円以上 0 3,000 5, 1億円以上 0

44 特集 44 歳以下の常雇い人数の営農類型別割合を見ると 法人経営体では養鶏 施設野菜 養豚が 販売農家では施設野菜 露地野菜 花き 花木が それぞれ高くなっています 図表 24 また これら人数の農産物販売金額規模別割合を見ると 法人経営体では農産物販売金 額 1 億円以上の経営体が 6 割となっています さらに これら人数の雇用先人数規模別割合を見ると 法人経営体では 50 人以上の経 営体が 人以上の経営体が 68.7 となっています 一方 販売農家では 4 人 以下の経営体が 63.4 となっています 図表 24 営農類型別 農産物販売金額規模別 雇用先人数規模別の法人経営体と販売農家の 44 歳以 下常雇い人数の割合 平成 年 営農類型別 単一経営 稲作 露地野菜 法人経営体 4万 8,803 人 販売農家 3万 8,376 人 果樹 畑作 酪農 養豚 施設野菜 13.1 養鶏 花き 花木 その他 販売なし 肉用牛 準単一 複合経営 0 農産物販売金額規模別 販売なし 万円未満 法人経営体 4万 8,803 人 販売農家 3万 8,376 人 ,000 1億 6.7 1億円以上 , ,000 3, ,000 5, 0 雇用先人数規模別 1人 2 4人 法人経営体 11.6 4万 8,803 人 1.6 販売農家 3万 8,376 人 0 5 9人 人 人 人 人以上 資料 農林水産省 2015 年農林業センサス 法人経営体と雇用先人数規模別の販売農家については組替集計 注 1 畑作は 麦類 雑穀 いも類 豆類 工芸農作物 2 その他は その他の作物 養蚕 その他の畜産 21

45 特集 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて 3 法人雇用者の満足度や将来に対する考え 法人雇用者 79 人 ア 就職情報の入手経路 非農家出身者は 求人サイトや求人誌 行政相談窓口の活用割合が高い 法人雇用者に就職情報の入手経路を尋ねたところ 人からの紹介 が 35.4 と最も高 く 次いで ハローワーク が 15.2 学校 が 13.9 となりました 図表 25 これを出身別に見ると 非農家出身者は これら以外に 求人サイトや求人誌 や 行 政相談窓口 も高くなっています 図表 25 就職情報の入手経路 法人雇用者の集計 全体 出身別 人からの紹介 就職イベント ハローワーク 全体 N 学校 その他 農家 農業法人の HP 農家出身者 N 求人サイトや求人誌 非農家出身者 N 55 0 行政相談窓口 注 法人雇用者 79 人のうち回答者 79 人 イ 現勤務先の満足度 満足の者 は 給与 以外の項目で 不満の者 を上回る 現勤務先の満足度を尋ねたところ やりがい 楽しさ 労働保険 社会保険 人 間関係 の項目で 満足の者 1 は 6 割以上となりました 図表 26 給与 については 不満の者 2 が 満足の者 を上回りました 1 満足 と やや満足 を選択した者の合計 2 不満 と やや不満 を選択した者の合計 22

46 現勤務先の満足度 特集 図表 26 法人雇用者の集計 やりがい 楽しさ N 79 満足 やや満足 労働保険 社会保険 N 79 スキルアップの研修機会 N 農作業事故防止策 N 労働時間 休日 N 給与 N 昇進や独立への道筋 N 0 不満 残業手当 N 人間関係 N 79 どちらとも言えない やや不満 注 法人雇用者 79 人のうち回答者は各項目の括弧内の数値 ウ 将来の進路と身に付けたい技能 現勤務先への残留意向が 39.2 独立就農意向が 30.4 将来の進路を尋ねたところ 現勤務先にとどまる 1 が 39.2 と最も高く 次いで 独 立して就農 が 30.4 実家に戻り農業を継ぐ が 7.6 となりました 図表 27 将来に向けて身に付けたい技能を複数回答で尋ねたところ 栽培 飼養技術 が 70.9 と最も高く 次いで 経営分析能力 が 68.4 となりました 図表 28 これを 将来意向別に見ると 経営への関与意向がある者 2 は 経営への関与意向がない者 3 に 比べ 経営分析能力 と 財務管理能力 を挙げる割合が高くなっています 図表 27 将来の進路 法人雇用者の集計 現勤務先にとどまる 現勤務先で現在の 地位のまま 現勤務先で 経営主や役員 現勤務先で従業員 になる として昇進する 0 他の農業法人等へ転職 実家に戻り農業を継ぐ 40 わからない その他 独立して就農 農業以外の 職業に転職 注 法人雇用者 79 人のうち回答者 79 人 1 現勤務先で経営主や役員になる 現勤務先で従業員として昇進する 現勤務先で現在の地位のまま を選択した者の合 計 2 現勤務先で経営主や役員になる 独立して就農 実家に戻り農業を継ぐ を選択した者の合計 3 現勤務先で従業員として昇進 現勤務先で現在の地位のまま 他の農業法人等へ転職 を選択した者の合計 23

47 特集 次世代を担う若手農業者の姿 農業経営の更なる発展に向けて 図表 28 身に付けたい技能 複数回答 法人雇用者の集計 栽培 飼養技術 経営分析能力 財務管理能力 各種資格 リスク管理 危機管理能力 プレゼンテーション コミュニケーション能力 マーケティング能力 IoT 等新技術 その他 0 特になし 0 20.3 0 注 法人雇用者 79 人のうち回答者 79 人 法人雇用者のうち将来の経営関与意向を明らかにした回答者の集計 将来の経営関与意向の有無別 栽培 飼養技術 下段 23.8 ポイント 下段 17.3 ポイント 経営分析能力 財務管理能力 下段 2.3 ポイント 下段 18.5 ポイント 下段 5.4 ポイント 下段 7.8 ポイント 下段 1.8 ポイント 20.8 各種資格 リスク管理 危機管理能力 プレゼンテーション コミュニケーション能力 マーケティング能力 IoT 等新技術 その他 0 0 0 特になし 0 0 76.2 下段 9.5 ポイント 上段 経営への関与意向がある者 N 42 下段 経営への関与意向がない者 N 注 法人雇用者 79 人のうち将来の経営関与意向の有無を明らかにした回答者 66 人 事例 農業法人が従業員の技能向上を通じて 昇給を実現 岐阜県 たかやま し しいたけ はし ば 岐阜県高山市でトマトと菌床椎茸の栽培を行っていた橋場 石川県 はし ば のうえん 康夫さんは 平成 年に 有 橋場農園を設立し 福井県 て代表に就任し 現在は パート等を含む従業員 40 人を雇 高山市 長野県 やす お 岐阜県 用し トマト 椎茸の生産 トマト加工品 干し椎茸の製造 等を行っています 愛知県 橋場代表は 各従業員に担当部門を割り当てるとともに 外部研修の受講等を推奨することで 一人ひとりが考え技能 向上できる就業環境づくりに努めています このような就業環境づくりは 収量や作業効率の向上等を 通じて会社の収益を高めることにつながっており 増加した 収益は各従業員の業務成績や技能等に応じて昇給や賞与とい う形で還元されています また これを通じてリーダー級の人材が育った場合 経営 トマトの生産状況を確認する 橋場康夫さんと従業員 の拡大が可能となり更なる収益の向上にもつなげられます 橋場代表は 会社の成績が給与等に反映されるとの認識が社内に広がり 会社の収益向上を 意識して従業員が一丸となって働けるようになったと考えています 24

48 トピックス 1 産出額が 2 年連続増加の農業 更なる発展に向け海外も視野に 2 日 EU EPA 交渉の妥結と対策 3 明治 年 関連施策テーマ 我が国の近代化に大きく貢献した養蚕 4 動き出した農泊

49 トピックス1 産出額が 2 年連続増加の農業 更なる発展に向け海外も視野に 産出額が 2 年連続増加の農業 更なる発展に向け海外も視野に トピックス 1 我が国の農業総産出額 1 は 2 年連続で増加となりました 他方 将来に向けた食料需要 は 国内では人口減少や高齢化の進行に伴い減少し 海外では人口増加や経済成長に伴い 増加すると考えられています このような中 我が国農業の持続的発展に向けては 国内 への供給はもちろんですが 海外も視野に入れた農業の実現が一つの鍵を握ります 農業総産出額は 2 年連続で増加し 16 年ぶりに 9 兆円台を回復 農業総産出額は 米の消費の減退による産出額の減少等を主たる要因として平成 年まで長期的に減少してきました この 2 年間は増加が続き 平成 年は米や野菜等の需要に応じた生産の進展等から前年に比べて 4,046 億円 4.6 増加 の 9 兆 2 千億円となりました 図表 兆円台の回復は 平成 年以来 16 年ぶりとなります 図表 1-1 兆円 農業総産出額 米 1.6 野菜 11.5 果実 昭和 59 年 1984 肉用牛 乳用牛 豚 鶏 その他 畜産 その他 平成2年 1990 7 1995 資料 農林水産省 生産農業所得統計 注 その他は 麦類 雑穀 豆類 いも類 花き 工芸農作物 その他作物 加工農産物の合計 また 主要品目の生産量を見ると 米は 需要に応じて減少 野菜と果実は 10 年間 図表 1-2 ばい 肉類は鶏肉の伸びが全体をけん引し たことで一貫して増加となっています 図 品目別生産量 平成 年を 100 とする指数 単位 指数 では減少傾向ですがこの 5 年間ではほぼ横 表 平成 18 年 米 野菜 果実 肉類 資料 農林水産省 作物統計 食料需給表 注 1 肉類は 牛肉 豚肉 鶏肉の合計 2 野菜 果実 肉類は年度の数値 また 平成 年は概算値 1 用語の解説 を参照 26

50 減少が続く食料の国内需要 増加に向かう食料の世界需要 我が国では 平成 年から平成 年までの 10 年間で 総人口が 97 万人 0.8 減少するとともに 高齢化率 1 は 6.5 ポイント上昇して先進国の最高水準 を更新し 食料の国内需要は減少が進みました 図表 1-3 図表 1-4 トピックス 約 30 年後の 2050 年において 総人口は平成 年に比べて ,501 万人 減少の 1 億 192 万人 高齢化率は 10.4 ポイント上昇の 37.7 と推計されており 食料の国内需要はこれまで以上に減少が進むと考えられます 図表 1-3 我が国の人口と高齢化率 歳 億人 14 歳以下 推計 高齢化率 右目盛 歳以上 資料 総務省 人口推計 国立社会保障 人口問題研究所 日本の 将来推計人口 平成 29 年推計 を基に農林水産省で作成 注 1 各年 10 月1日時点 2 平成 年の年齢別内訳と高齢化率は 補完補 正を行わない数値 国内 総供給熱量 魚介類の 消費量 平成 18 年度 2006 果実の 消費量 野菜の 消費量 平成 18 年 主要品目の国内需要 平成 年度を 100 とする指数 140 食用穀物 の消費量 図表 1-4 資料 農林水産省 食料需給表 を基に作成 注 1 平成 年度は概算値 2 消費量は粗食料を基に計算 一方 世界では 平成 年から平成 年までの 10 年間で人口が 8 億 4,085 万人 12.9 増加するとともに GDP2 は 1.3 倍に成長 3 し 食料の世界需要は大 幅に増加してきました 図表 1-5 図表 1-6 図表 1-5 世界の人口 図表 1-6 見通し 億人 歳 14 歳以下 歳以上 主要品目の世界需要 平成 年を 100 とする指数 平成 15 年 資料 国連 World Population Prospects The 2017 Revision を基に農林水産省で作成 0 肉類の 消費量 2050 魚介類の 消費量 2040 果実の 消費量 2030 野菜の 消費量 平成 17 年 食用穀物 の消費量 0 資料 FAOSTAT Food Balance Sheets を基に農林水産省で作 成 注 肉類は 牛肉 豚肉 家きん肉の合計 1 総人口に占める 65 歳以上の高齢者の割合 2 国内総生産 用語の解説 を参照 3 国連 National Accounts Main Aggregates Database 27

51 トピックス1 産出額が 2 年連続増加の農業 更なる発展に向け海外も視野に 約 30 年後の 2050 年において 世界の 人口は平成 年に比べて 億人 増加の 98 億人になると推計さ れています また 人口増加とともに経済 成長も進み 2050 年の穀物の消費量は 図表 1-7 世界の穀物消費量の見通し 億t 平成 年から平成 年までの 3 か年平均に比べて 1.5 倍に増加 20 引き続き増加に向かうと考えられます 図 先進国 20.1 途上国 8.0 すると見通されており 食料の世界需要は 12.6 表 平成 17/19 年 2005/ 資料 FAO WORLD AGRICULTURE TOWARDS 2030/2050 The 2012 Revision を基に農林水産省で作成 専ら国内需要を念頭に置く農業生産から 世界需要も視野に入れた農業生産へ これまでの我が国農業は 多くの農産物において 専ら国内需要を念頭に置いて 需要 に応じた生産を行うことで 販売価格の下落を避けてきました このような農業の姿は 国内の食料需要が増加している時代には農業生産の拡大と農業所得の増大を通じて農業の 発展を実現でき 合理的な面もありました しかし 人口減少や高齢化が進行する中 国 内需要だけを念頭に置いて農業生産を続けることは 需要減少に伴う生産縮小を余儀なく され 農業の発展を図ることが困難になるとともに 我が国の食料安全保障にも悪影響が 懸念されます 一方 海外に目を向けると 人口は増加し 所得も向上していく中で 海外に広がる日 本食料理店で食事をし また 我が国を訪れて日本食 食文化に触れた経験を持つ外国人 の日本食ファンが確実に増加しています 様々な流通上の追加コストや手続が存在する農 産物の輸出は これまで多くの農業者にとって必ずしも身近なものとは言えませんでした が 輸出体制や輸出インフラの整備 輸送技術や資材の開発 検疫条件の合意等が徐々に 進展してきた現在は 農業者が輸出に取り組む好機となっています 農産物の販路の一つに輸出を位置付けることで 産 地における新たな販路の獲得につながり 農業生産を 拡大した際の販売価格の下落が避けられ この結果 販売額全体が増加し 農業所得を向上させることが可 能となります このように 専ら国内需要を念頭に置 く農業生産から 国内需要に加えて世界需要も視野に 入れた農業生産へと意識の転換を図ることが 農業の 持続的発展と これを通じた農村の振興を実現する一 つの鍵となります より多くの意欲ある農業者 農業 者団体 品目別輸出団体等による積極的な挑戦が期待 されています 28 米の輸出に意欲的に取り組む農業者 ゆ ざ まち 香港で バイヤーを囲む山形県遊佐町 の米生産者

52 ピックストピックス 2 日 EU EPA 交渉の妥結と対策 日 EU 経済連携協定 ( 日 EU EPA 1 ) が 平成 29(2017) 年 12 月に交渉妥結し 我が 国の農林水産業の再生産が引き続き可能となる国境措置を確保しました 新たな国際環境の下でも 意欲ある農林漁業者が安心して経営に取り組めるようにすることにより確実に再生産が可能となるよう 交渉で獲得した措置と合わせて 万全の対策を実施することとしています 1 交渉の概要 日 EU EPAは 平成 25(2013) 年 3 月に首脳間で交渉開始が決定され 交渉が始まりました 物品にかかる関税の削減 撤廃だけでなく サービス貿易 投資自由化 知的財産権等の分野を対象に4 年以上の交渉期間 18 回に及ぶ交渉会合等を経て平成 29 (2017) 年 7 月 6 日の第 24 回日 EU 定期首脳協議で大枠合意に至り 同年 12 月 8 日の首脳電話会談で交渉は妥結しました ( 図表 2-1) 我が国とEUが経済連携協定を締結することで 世界の人口シェアの8.6% に相当する 6 億 4 千万人を抱え 世界の GDP 2 シェアの 28.4% に相当する 21 兆 4 千億ドルの経済圏が誕生することとなります ( 図表 2-2) 内閣官房が平成 29(2017) 年 12 月に公表した経済効果分析では 我が国の国内総生産の押し上げ効果が約 1%( 約 5 兆円 ) 労働供給の増加が約 0.5%( 約 29 万人 ) とされています 日 EU EPA 交渉に当たっては 我が国の農林水産業の再生産を確保するため そのセンシティビティに十分配慮し 粘り強く交渉を行った結果 再生産が引き続き可能となる国境措置を確保することができました また 牛肉 茶 水産物等の輸出重点品目を含む ほぼ全ての品目に課されるEU 側の関税は即時撤廃となり EU 向けの輸出拡大につながることが期待されま図表 2-1 日 EU EPAの全体像 ( 全 23 章 ) す この結果を踏まえ 我第 1 章総則第 2 章物品貿易第 3 章原産地規則第 4 章税関 貿易円滑第 5 章貿易救済第 6 章衛生植物検疫化 (SPS) 措置本協定の目的 用語の定物品貿易に関し 関税撤関税撤廃 削減が適用さ輸入急増の場合等におけが国農林水産業の国際競争義等を規定廃 削減の他 内国民待れるための原産品の要件 税関手続の透明性 予見る緊急措置 ( セーフガー SPS 措置に係る手続の透遇等の基本的なルール等証明手続等を規定可能性の確保 簡素化等ド ) 等を規定明性向上 技術的協議の力を強化し 輸出産業へのを規定を規定開催等を規定第 7 章貿易の技術的障第 8 章サービス貿易 第 9 章資本移動 支払 第 10 章政府調達第 11 章反トラスト及び第 12 章補助金害 (TBT) 投資自由化 電子商取引移転企業結合成長を目指した強い農林水 WTO 政府調達協定を基補助金に関する通報や協強制規格等を導入する際サービス貿易 投資に関資本の移動等に関し 原本とし 本協定において反競争的行為に対する適議 一定の類型の補助金の手続の適正化 透明性する内国民待遇等の他 則自由な移動を可能にす追加する政府調達のルー切な措置 協力等を規定の禁止等を規定産業の構築のため 万全のの確保等を規定電子商取引のルール等をる他 一時的なセーフガール及び適用範囲 ( 鉄道含規定 ( 注 ) ド等を規定む ) 等を規定対策を講ずることとしまし第 13 章国有企業第 14 章知的財産第 15 章コーポレート 第 16 章貿易と持続可能第 17 章透明性第 18 章規制協力ガバナンスな開発国有企業等の物品 サー特許権 商標権 意匠権 協定の対象となる事項に規制案の事前公表 意見た ビスの購入につき商業的著作権の保護及び権利行株主の権利や取締役会の貿易と持続可能な開発に関する法令等の速やかな提出の機会の提供等の他 考慮に従うこと等を規定使の他 農産品及び酒類役割等に係る基本的要素関わる環境や労働分野に公表等を規定動物福祉に関する情報交に係る地理的表示の保護等を規定係る協力等を規定換等の協力を規定現在 日 EU EPA の早等を規定第 19 章農業協力第 20 章中小企業第 21 章紛争解決第 22 章制度的規則第 23 章最終規定期の署名 発効に向け 日 ( 注 ) 農産品 食品の輸出入の中小企業に関し 情報提協定の解釈等に関する日本協定運用のための合同効力発生 改正等に係る投資保護と紛争解決の扱促進 安全で良質な食品供等の協力等について規 EU 間の紛争を解決する際委員会の設置 その下で手続 日本語を含む正文いについては引き続き協 EU 双方で鋭意作業を進めの提供等のための協力を定の手続等を規定の特別委員会の設置 連等を規定議 規定絡部局の指定等を規定ています 1 用語の解説 3(2) を参照 2 国内総生産 用語の解説 1 3(1) を参照 資料 : 外務省作成 29 ト

53 トピックス2 日 EU EPA 交渉の妥結と対策 図表 2-2 世界の人口と GDP に占める我が国と EU の割合 平成 年 人口 GDP 日本 EU 8.6 日本 EU 28.4 日本 1.7 日本 6.5 EU 6.9 米国 4.3 その他 68.6 中国 14.9 人口 百万人 EU 21.8 その他 32.0 中国 18.5 シェア 米国 24.7 GDP 10 億ドル シェア 日本 日本 4, EU EU 16, 米国 米国 18, 中国 1, 中国 11, その他 5, その他 24, 世界計 7,442 世界計 75,368 資料 外務省資料を基に農林水産省で作成 2 合意内容 1 関税に関する合意 米については関税削減 撤廃等からの 除外 を確保したほか 麦 乳製品の国家貿易 制度 1 糖価調整制度 2 豚肉の差額関税制度 3 といった基本制度の維持 関税割当てやセーフ ガード等の有効な措置を獲得し 農林水産業の再生産が引き続き可能となる国境措置が確 保できました 図表 2-3 乳製品のうち ソフト系チーズについては 意欲ある酪農家の生産拡大の取組に水を差 さないよう 関税割当てに留め 枠の数量を国産の生産拡大と両立できるものにしまし た また 脱脂粉乳 バター等については国家貿易を維持し 限定的な民間貿易枠を設定 するにとどめました 豚肉については 差額関税制度を維持し 分岐点価格を維持したほか 長期の関税削減 期間と輸入急増に対するセーフガードを確保しました 牛肉については 長期の関税削減期間と輸入急増に対するセーフガードを確保しました 林産物については 構造用集成材等の即時関税撤廃を回避し 一定の関税撤廃期間を確 保しました 一方 EU 側の関税については 牛肉 茶 水産物等の輸出重点品目を含め ほぼ全て の品目で関税撤廃を獲得 4 し EU5 億人の市場に向けた我が国農産物の輸出拡大の可能性 が広がりました 図表 国が一元的に輸入を行う仕組みであり 我が国では 米 麦 指定乳製品の輸入を国家貿易により行っている 2 輸入糖から徴収される調整金等を財源に 国内の生産者 製造事業者を支援することにより砂糖の需給と価格の安定を図る制度 3 輸入品の価格が低いときは基準輸入価格に満たない部分を関税として徴収 価格が高いときには低率な従価税を適用する制 度 この制度により 海外からの安価な豚肉の大量輸入による国内需給の混乱を防止し 国内の需給と価格の安定に寄与 4 ほとんどが即時撤廃 30

54 ピックス図表 2-3 主な品目の合意内容 (EU からの輸入 ) 米 麦 砂糖 豚肉 品目 牛肉脱脂粉乳 バター等 チーズ パスタ チョコレート菓子等の加工品 林産物 資料 : 農林水産省作成 関税削減 撤廃等からの 除外 を確保 合意内容 現行の国家貿易制度を維持するとともに 枠外税率 ( 小麦 :55 円 /kg 大麦:39 円 /kg) を維持 ごく少量の関税割当枠 ( 小麦 :200t 270t(7 年目 ) 大麦 :30t( 即時 )) を設定 ( 国家貿易 SBS 方式 ) 現行の糖価調整制度を維持 粗糖 精製糖については 少量の新商品開発のための試験輸入枠 (500t 無税 無調整金) を設定 差額関税制度を維持 ( 分岐点価格 (524 円 /kg) を維持 ) 長期の関税削減期間 (9 年 ) と輸入急増に対するセーフガードを確保 長期の関税削減期間 (15 年 : 最終関税率 9%) と輸入急増に対するセーフガードを確保 脱脂粉乳 バター等については 国家貿易を維持した上で 民間貿易による関税割当枠を設定 数量は 最近の追加輸入量の範囲内 (12,857 t 15,000 t(6 年目 生乳換算 )) ソフト系チーズについては TPP で関税撤廃や関税削減となったものも含めた 横断的な関税割当 ( 枠内税率は段階的に引き下げ 16 年目に無税 ) とし 枠数量は 国内消費の動向を考慮し 国産の生産拡大と両立できる範囲にとどめた (20,000 t( 初年度 ) 31,000t(16 年目 )) (TPP での合意内容 ) (EU との合意内容 ) シュレッドチーズ おろし 粉チーズ ( プロセスチーズ ) : 関税撤廃 熟成ソフトチーズ ( カマンベール等 ): 関税維持 一部のフレッシュチーズ ( モッツァレラ等 ): 関税維持 ブルーチーズ : 関税削減 プロセスチーズ : 関税割当枠の設定 横断的な関税割当枠の設定 主に原材料として使われる熟成ハード系チーズ ( チェダー ゴーダ等 ) やクリームチーズ ( 乳脂肪 45% 未満 ) 等については TPP と同様 関税撤廃するものの 長期の撤廃期間を確保 (16 年目に撤廃 ) パスタ ( マカロニ スパゲッティ ) チョコレート菓子等の加工品については関税撤廃するものの 長期の撤廃期間を確保 ( パスタ チョコレート菓子 キャンディーは 11 年目 ビスケットは 6 年から 11 年目に それぞれ撤廃 ) 構造用集成材 SPF 製材等の林産物 10 品目については 関税撤廃するものの 即時撤廃を回避し 一定の撤廃期間を確保 ( 段階的に 8 年目に撤廃 ) 図表 2-4 主な品目の合意内容 (EU への輸出 ) 品目 現行関税 合意内容 水産物 無税 ~26% 醤油等調味料 7.7%( 醤油 ) 緑茶無税 ~3.2% 牛肉 12.8%+141.4~304.1ユーロ /100kg 即時撤廃 花き 6.5% 又は8.3%( 植木 盆栽 鉢もの ) 8.5% 又は10%( 切り花 ) 青果物 12.8%( かんきつ ( ゆず等 )) 9.5ユーロ /100kg( ながいも ) 林産物 無税 ~10% * 豚肉 46.7~86.9ユーロ /100kg * 鶏肉 6.4% 18.7~102.4 ユーロ /100kg 鶏卵 * ( 粉卵等含む ) 16.7~142.3ユーロ /100kg * 118.8ユーロ /100kg 等 ( 脱脂粉乳 ) 乳製品 189.6ユーロ /100kg 等 ( バター ) 資料 : 農林水産省作成注 :* 平成 29(2017) 年度末時点で 輸出解禁に向け協議中の品目 (2) ルール分野に関する合意 ほたて貝 ( 段階的に 8 年目に撤廃 ) アイスクリーム ( 段階的に 6 年目までに 70% 削減 ) ココア粉 ( 段階的に 8 年目までに 25% 削減 ) 等を除く ルール分野の合意内容は多岐にわたり 日 EU 経済圏の経済活動等における共通のルールが整備され 地域の産業が活躍の場を広げていくことが期待されます 特に 農林水産 食品分野に関係が深いものは以下のとおりです 31 ト

55 トピックス2 ア 日 EU EPA 交渉の妥結と対策 EU 域内での我が国の地理的表示 GI の保護 EU 側 GI171 産品 日本側 GI48 産品 2 をそれぞれ相互に保護することで合意しました 図表 2-5 また 相互に高いレベルで GI を保護するため 物への直接表示だけでなく 広告等のサービス的な使用も含めた措置を講ずることとなりました これにより EU 域 内での GI の保護によるブランド化や 我が国生産者の EU 域内における GI 登録手続の大 幅な負担軽減が図られます イ 衛生植物検疫措置 食品の安全に関する分野は 我が国が既に締結している衛生植物検疫措置の適用に関す 3 る協定 SPS 協定 を踏まえた内容となりました 我が国の制度変更が必要となる規定は 設けられておらず 我が国の食の安全が脅かされることはありません 一方 双方の衛生 植物検疫措置やその適用に関して相互理解を強化するとともに 要請に応じて情報提供を 速やかに行うことが規定され EU 側の輸入条件や手続の進捗状況についての情報が入手 しやすくなります ウ 税関 貿易円滑化 税関手続は 関係する法令や手続等の情報をインターネット等で公表することや 税関 当局等と貿易業者等との定期的な協議の場を設けることが規定され 透明性が確保されま す また 法令の遵守を確保するために必要な期間内に迅速に物品の引取りを許可するこ とや 政府が税関手続の要件や作業の簡素化に向けて努力することが規定されました エ 農業分野における協力 農業や食品に関する協力の枠組みが規定されるとともに 農業分野の協力に関する委員 会が設置されることが規定されました これにより 農林水産品 食品の生産 製造段階 での技術協力や情報交換が促進され 一層の技術向上に資するだけでなく 貿易上の諸課 題に関する政府間の情報交換の場を設けることで 我が国農林水産品 食品の輸出促進に も資することが期待されます 図表 2-5 EU との相互保護対象となる我が国の GI48 産品 あおもりカシス 青森県 加賀丸いも 石川県 前沢牛 岩手県 紀州金山寺味噌 和歌山県 神戸ビーフ 兵庫県 下関ふく 山口県 東根さくらんぼ 山形県 木頭ゆず 徳島県 入善ジャンボ西瓜 富山県 夕張メロン 北海道 八女伝統本玉露 福岡県 鹿児島の壺作り黒酢 鹿児島県 くまもと県産い草 熊本県 鳥取砂丘らっきょう 鳥取県 三輪素麺 奈良県 市田柿 長野県 能登志賀ころ柿 石川県 十勝川西長いも 北海道 十三湖産大和しじみ 青森県 連島ごぼう 岡山県 特産松阪牛 三重県 米沢牛 山形県 西尾の抹茶 愛知県 みやぎサーモン 宮城県 大館とんぶり 秋田県 大分かぼす 大分県 すんき 長野県 田子の浦しらす 静岡県 万願寺甘とう 京都府 飯沼栗 茨城県 上庄さといも 福井県 琉球もろみ酢 沖縄県 若狭小浜小鯛ささ漬 福井県 桜島小みかん 鹿児島県 岩手野田村荒海ホタテ 岩手県 奥飛騨山之村寒干し大根 岐阜県 八丁味噌 愛知県 香川小原紅早生みかん 香川県 宮崎牛 宮崎県 近江牛 滋賀県 辺塚だいだい 鹿児島県 鹿児島黒牛 鹿児島県 但馬牛 兵庫県 三島馬鈴薯 静岡県 くろさき茶豆 新潟県 美東ごぼう 山口県 堂上蜂屋柿 岐阜県 小川原湖産大和しじみ 青森県 凡例 野菜類 果実類 畜産物 水産物 加工品 資料 農林水産省作成 1 第 1 章第 2 節 2 を参照 2 平成 年度末時点 3 人 動物又は植物の生命又は健康を守るという衛生植物検疫 SPS 措置の目的を達成しつつ 貿易に与える影響を最小限に するための国際ルール WTO 協定の附属書の一部 32

56 ピックス3 総合的な TPP 関連政策大綱の改訂 日 EU EPA の交渉妥結や TPP11 1 の署名 2 により 我が国農林水産業は新たな国際環境 に入りました こうした国際環境の下でも 我が国農林水産業の国際競争力を強化し 強い農林水産業を構築するため 交渉で獲得した措置と合わせて万全の施策を講じていく必要があります 農林水産省では 平成 29(2017) 年 7 月の日 EU EPA の大枠合意の内容を踏まえて 主要な農林水産物の影響について定性的に分析を行い 平成 29(2017) 年 11 月に その結果を公表しました また 政府は TPP(TPP11を含む ) と日 EU EPAの発効を見据え 平成 27 (2015) 年 11 月に決定した 総合的なTPP 関連政策大綱 を平成 29(2017) 年 11 月 3 に 総合的なTPP 等関連政策大綱 として改訂しました 改訂された大綱では これまでの施策について 実績の検証を踏まえた所要の見直しを行った上で 国産チーズや構造用集成材等の木材製品の国際競争力の強化 パスタ 菓子等の関税撤廃等に関して国境措置の整合性確保の観点から 小麦のマークアップ 4 の実質的撤廃 ( パスタ原料 ) 引下げ 豚肉 鶏肉 鶏卵 乳製品等の輸出環境の整備等の対策等を新たに盛り込み TPP 等を見据えた政策を体系的に整理しました ( 図表 2-6 図表 2-7) 農林水産分野の対策の財源については TPP 等が発効し関税削減プロセスが実施されていく中で将来的に麦のマークアップや牛肉の関税が減少することにも鑑み 既存の農林水産予算に支障を来さないよう政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保することとなっています 平成 29(2017) 年度補正予算においては 改訂された大綱に基づき 我が国農林水産業の体質強化対策を実施するため 総額 3,170 億円を確保しました なお これまでに 平成 27(2015) 年度補正予算において3,122 億円 平成 28(2016) 年度補正予算において 3,453 億円を計上しています また 農林水産省では 平成 29(2017) 年 12 月に 農林水産物の生産額への影響について試算結果を公表しました 試算においては 関税削減等の影響で価格低下による生産額の減少が生じるものの 体質強化対策による生産コストの低減 品質向上や経営安定対策等の国内対策により 引き続き生産や農家所得が確保され 国内生産量が維持されると見込んでおり 農林水産物の生産減少額は約 600 億円から約 1,100 億円としています この試算結果を反映して行った食料自給率の影響試算では 反映の前後で食料自給率は同水準 5 となりました 1 米国を除く 我が国と豪州 ブルネイ カナダ チリ マレーシア メキシコ ニュージーランド シンガポール ペルー ベトナムの 11 か国による 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定 (TPP11 協定 ) 2 第 1 章第 3 節 (3) を参照 3 日 EU EPA と TPP(TPP11 を含む ) 4 国家貿易品目について 政府が輸入する際に徴収している差益をいい 政府管理経費と国内における生産振興対策に利用されている 5 平成 28(2016) 年度 : カロリーベース 38% 生産額ベース 68% 試算を反映したもの : カロリーベース 38% 生産額ベース 68% 33 ト

57 トピックス 2 日 EU EPA 交渉の妥結と対策 図表 2-6 総合的な TPP 等関連政策大綱 の概要 新輸出大国国内産業の競争力強化農政新時代 輸出促進によるグローバル展開推進 TPP 等を通じた国内産業の競争力強化 農林水産業 1 丁寧な情報提供及び相談体制の整備 TPP 等の普及 啓発 中堅 中小企業等のための相談体制の整備 2 新たな市場開拓 グローバル バリューチェーン構築支援 中堅 中小企業等の新市場開拓のための総合的支援体制の抜本的強化 ( 新輸出大国 コンソーシアム ) コンテンツ サービス 技術等の輸出促進 農林水産物 食品輸出の戦略的推進 インフラシステムの輸出促進 海外展開先のビジネス環境整備 資料 : 内閣官房 TPP 等政府対策本部作成 1 TPP 等による貿易 投資の拡大を国内の経済再生に直結させる方策 イノベーション 企業間 産業間連携による生産性向上促進 対内投資活性化の促進 2 TPP 等を通じた地域経済の活性化の促進 地域に関する情報発信 地域リソースの結集 ブランド化 地域の雇用や経済を支える中堅 中小企業 小規模事業者 サービス産業の高付加価値化 食の安全 知的財産 政府調達 輸入食品監視指導体制強化 原料原産地表示 特許 商標 著作権関係について必要な措置 著作物等の利用円滑化等 政府調達に係る合意内容の正確かつ丁寧な説明 1 強い農林水産業の構築 ( 体質強化対策 ) 政策大綱策定以降 各種の体質強化策を実施 引き続き必要な施策を実施 次世代を担う経営感覚に優れた担い手の育成 国際競争力のある産地イノベーションの促進 畜産 酪農収益力強化総合プロジェクトの推進ー国産チーズ等の競争力強化等 高品質な我が国農林水産物の輸出等需要フロンティアの開拓 合板 製材 構造用集成材等の木材製品の国際競争力の強化 持続可能な収益性の高い操業体制への転換 消費者との連携強化 規制改革 税制改正 2 経営安定 安定供給のための備え ( 重要 5 品目関連 ) TPP 又は日 EU EPA 発効後の経営安定に万全を期すため 協定発効に合わせて経営安定対策の充実の措置を講ずる 米 ( 政府備蓄米の運営見直し ) 麦 ( 経営所得安定対策の着実な実施 ) 牛肉 豚肉 乳製品 ( 畜産 酪農の経営安定充実 ) 甘味資源作物 ( 加糖調製品を調整金の対象 ) 図表 2-7 総合的な TPP 等関連政策大綱 の農林水産分野の概要 農林水産分野における TPP 対策 1 攻めの農林水産業への転換 ( 体質強化対策 ) 次世代を担う経営感覚に優れた担い手の育成 国際競争力のある産地イノベーションの促進 畜産 酪農収益力強化総合プロジェクトの推進 高品質な我が国農林水産物の輸出等需要フロンティアの開拓 合板 製材の国際競争力の強化 持続可能な収益性の高い操業体制への転換 消費者との連携強化等 2 経営安定 安定供給のための備え ( 経営安定対策 ) 米: 政府備蓄米の運営の見直し 麦: 経営所得安定対策の着実な実施 牛肉 豚肉 乳製品: 牛 豚マルキンの法制化牛 豚マルキンの補填率の引上げ豚マルキンの国庫負担水準の引上げ等 甘味資源作物: 加糖調製品の調整金の対象化 3 検討の継続項目 農政新時代に必要な人材力を強化するシステムの整備 生産者の所得向上につながる生産資材価格形成の仕組みの見直し 生産者が有利な条件で安定取引を行うことができる流通 加工の業界構造の確立 真に必要な基盤整備を円滑に行うための土地改良制度の在り方の見直し 戦略的輸出体制の整備 原料原産地表示等 資料 : 内閣官房 TPP 等政府対策本部作成 H27 28 補正予算により 具体的な対策を実施 必要な法的手当を実施 TPP 未発効のため 未施行 平成 28 年 11 月に 農業競争力強化プログラム を決定 対策の主な効果 ( 億円 ) 輸出促進策 41の輸出拠点のうち 本年度までに 19が稼働 1 兆円 米 青果 水産物等の品目別にプロモーションや輸送技術の実証試験を実施 5,000 農林水産物の輸出額は4 年連続最高値を更 6,117 新 1 兆円目標を1 年前倒し 0 平成 26 年 2014 年 平成 27 年 2015 年 +22.6% ( 対 26 年比 ) 平成 28 年 2016 年 10,000 平成 31 年 2019 年 今後の取組 これまで総合的な TPP 関連政策大綱に盛り込まれていた施策 体質強化対策 : 引き続き実績の検証を踏まえた所要の見直しを行った上で 必要な施策を実施 経営安定対策 :TPP 又は日 EU 協定の発効に合わせて対策の充実等の措置 牛 豚マルキンの補填率引上げ (8 割 9 割 ) 豚マルキンの国庫負担水準引上げ ( 国 : 生産者 =3:1 へ ) 改正糖価調整法に基づき加糖調製品を調整金の対象化 チーズ等の乳製品 国産チーズ等の競争力を高めるとともに その需要を確保し 将来にわたって安定的に国産チーズ等の生産に取り組めるようにする 原料面での低コスト 高品質化 製造面での低コスト 品質向上 ブランド化等 構造用集成材等の木材製品 加工施設の効率化 競争力のある製品への転換 原木供給の低コスト化等 パスタ 菓子等 国境措置整合性確保のための小麦のマークアップの実質的撤廃( パスタ原料 ) 引下げ 輸出環境の整備等 7,451 7,502 その他の担い手等の体質強化策の例 取組内容事業実施による効果 ( 実例 ) 全国での実施状況 認定農業者等が農業経営の発展に取り組む場合に必要な機械 施設の導入を支援 畜産に関する施設整備や機械導入等を支援 27 年度事業実施分 経営体 (397 者 ) の経営改善売上高 : 平均 16% 増経営コスト : 平均 4% 減経営面積 : 平均 15% 拡大 28 年度事業実施分 搾乳ロボット導入による乳量の増加 27.0kg 29.1kg( 頭 / 日 ) 8.0% 増加 H27 補正 :479 地区 793 経営体 H28 補正 :403 地区 719 経営体 H27 補正 : 施設整備 431 件機械導入 7,772 件 H28 補正 : 施設整備 369 件機械導入 3,718 件 畜産物 ( 豚肉 鶏肉 鶏卵 乳製品等 ) 等の輸出条件の改善 国内の環境整備等 等 34

58 明治 150 年 関連施策テーマ 我が国の近代化に大きく貢献した養蚕 トピックス 3 トピックス き いと 我が国の生糸 1 輸出は 欧州向けの反省を踏まえ 明治期に様々な取組が進められた結 果 大正期に飛躍的に拡大しました 我が国の養蚕は 官営模範工場富岡製糸場ととも に 輸出先の米国が求める高品質の生糸の生産を実現し 我が国の近代化に大きく貢献し ました 欧州向け輸出 開港を機に始まるも やがて停滞 江戸時代末期 フランス南部で発生した蚕の微粒子病 2 は その後 同国北部や隣国イ タリアにも広がり 欧州の生糸生産は壊滅的な打撃を受けました この影響は フランス の細菌学者ルイ パスツールが明治初期に対処法を発見するまで続き 欧州の絹織物業で は 不足する生糸を輸入によって確保しようとする動きが高まりました このような中 我が国では 江戸時代末期の安政 年に横浜 長崎が開港し 欧州向けの生糸 輸出が始まりました 図表 3-1 けん し 当時の我が国における繭糸 3 と生糸の生産は養蚕農家の仕事であり 飼養した蚕が作っ ざ ぐりせい し た繭を釜で煮て繭糸を取り出し 座繰製糸という方法で生糸を生産し出荷を行っていまし た 養蚕は現在の東北地方 関東地方の一部 甲信地方を中心に行われていましたが 輸 出が盛んになるとこれらの地域を中心に広く普及し 全国で生糸の増産が図られました しかしながら 当時 我が国では 蚕の品種や生糸生産の技術レベルが農家ごとに異 なっていたことから生糸の品質にばらつきが大きく また 輸出が拡大するにつれ 切れ たくず生糸や石灰が混入されたもの等も横行し始め 品質の悪い生糸が大量に輸出されま した この結果 慶応 年には 信用を失った我が国の生糸は 輸出が大きく 落込みました 4 図表 3-1 生糸に関する年表 年 できごと 安政 6 年 1859 横浜 長崎開港 明治 官営模範工場富岡製糸場設置 内藤新宿試験場蚕業試験掛設置 廃止後 蚕 病試験場 蚕業試験場 蚕業講習所等が設置 生糸検査所設置 遺伝学者外山亀太郎が蚕の一代交雑種の導入 提唱 大正初期から普及開始 と やまかめ た ろう 農家が行っていた生糸の生産の様子 座繰製糸 資料 横浜開港資料館所蔵 資料 農林水産省作成 蚕の繭からとった繊維を合わせて糸としたままで まだ精錬などの加工を施していないもの 蚕への原生動物ノゼマ - ボンビシスの寄生によって生じ 蚕は桑を食べなくなり 黒褐色の小斑点ができて死亡に至る流行病 蚕の繭からとった繊維 神奈川県横浜市 横浜市史 第二巻 35

59 トピックス 3 明治 150 年 関連施策テーマ我が国の近代化に大きく貢献した養蚕 ( 米国向け輸出 : 明治期の品質向上の取組により 大正期に飛躍的に拡大 ) このような中 絹織物業において最新の機械 設備の導入が進んでいた米国では 力しょっき織機と呼ばれる機械動力式の織機に耐えられる 節が少なくて切れにくい丈夫な生糸の 需要が高まっていました 我が国では 欧州向け輸出での反省を踏まえ 米国が求める品質の生糸生産に向けて様々な取組が行われました 生糸の品質向上については 明治 5(1872) 年に官営模範工場として富岡製糸場が設置されたことで 器械製糸による丈夫な生糸の生産が可能となりました また 座繰製糸により養蚕農家が紡いだ生糸についても 組合組織が集荷し仕上げ作業を行うことで 強度のそろった生糸を製造できるようになりました 繭の品質向上については 明治 7(1874) 年に蚕に関する国立の試験場が設置され 優良蚕品種の育成 飼育方法や病気の研究等が始まったことで 品質の良い繭が生産できるようになりました 大正初期には より質の高い繭が生産できる一代交雑 1 の原蚕種の配布が始まり その後 大正後期に蚕の人工ふ化技術 2 が開発されたことで繭の安定供給が可能となりました また 明治 29(1896) 年に 神奈川県よこはましこうべし横浜市と兵庫県神戸市に生糸検査所が設置され 輸出用生糸の重量 太さ 強度等の検査が始まり 品質が明示されて取引が円滑化されたことで 我が国の生糸の評価が高まり 輸出の拡大につながりました これら明治期の様々な取組により 評価が高まった生糸の輸出は大正期に飛躍的に拡大し 米国の生糸輸入量に占める日本産のシェアは7 割から8 割 3 に至りま富岡製糸場と洋式製糸器械 ( 左 ) 富岡製糸場 ( 右 ) 富岡製糸作業場内部 東京国立博物館所蔵した ( 図表 3-2) 我が国の養蚕が生み出 Image:TNM Image Archives した生糸は 明治 9(1876) 年から昭和 8 (1933) 年にかけて品目別輸出額第 1 位を維持 4 して 国内の生糸商人や貿易商人等に利益をもたらし 資本蓄積を通じて我が国の近代化に大きく貢献しました りき 1 異なる系統品種間の交配によって生じた第一代の子 2 蚕の寿命は卵のふ化から成虫が死亡するまで約 1 か月から 1 か月半と短いものの 通常の飼育方法では 卵のふ化は年に 1 度しか行われない 蚕業講習所で開発された塩酸処理による浸酸法は 夏と秋の年 2 回の飼育が可能な蚕の普及に貢献した 3 農林水産省 蚕糸業要覧 4 東洋経済新聞社 日本貿易精覧 36

60 図表 3-2 億円 10 生糸の輸出額と輸出量 生産量 戦前の生糸輸出額ピーク 大正 年 9 8 5 生糸輸出量ピーク 昭和7 1932 年 生糸輸出額 3 2 生糸輸出量 右目盛 2016 0 2 7 5 7 9 平成元 4 9 14 昭和元 年 大正元 明治 1 4 戦後の生糸生産量ピーク 昭和 年 生糸生産量 右目盛 トピックス 7 万t 6 生糸生産量ピーク 昭和9 1934 年 資料 財務省 貿易統計 農林水産省 蚕糸業要覧 一般財団法人 大日本蚕糸会調べを基に農林水産省で作成 注 1 昭和 年以降の生糸輸出額は表示していない 2 農林水産省 繭生産統計 によれば 生糸生産量ピークの昭和 年には 46 都道府県で繭の生産が行われており 収繭 量 1 位長野県 2 位群馬県 3 位埼玉県 コラム 官営模範工場としての富岡製糸場 明治政府は 高品質な生糸を大量に生産できる器械製糸技術を国内に広めるため 明治 5 とみおか し 1872 年に 良質な水と燃料となる石炭を確保しやすい現在の群馬県富岡市に官営模範工場 として富岡製糸場を建設しました フランス式の技術が導入された富岡製糸場では 全国から集まった若い女性たちが製糸作 業に従事し そこで習得された技術はそれぞれの故郷に持ち帰られ 器械製糸技術の普及が進 みました 明治 年に民営化された富岡製糸場では 昭和 年の操業停止まで 100 年以上にわたり生糸の生産が続けられました 富岡製糸場は 明治政府が建設した官営工場の中で唯一当時の姿が残っている建築物であ り 世界の絹産業の発展と絹消費の大衆化に貢献した資産としての価値が認められ 平成 年 6 月に 養蚕関連の史跡とともにユネスコ世界遺産に登録されました 富岡製糸場の錦絵 資料 群馬県立歴史博物館提供 教訓 マーケットインの発想で取り組むことで輸出の拡大は可能 新たな製糸技術の導入 優良蚕品種の育成や飼育方法の改良 輸出検査の導入等の取組 が着実に進められたことで良質な生糸の生産が可能となり これを土台として輸出の飛躍 的拡大に成功しました 一度落込んだ生糸の輸出が 新たな輸出先となる米国のニーズに応えるというマーケッ トインの発想で取組を進めたことで品質の高い丈夫な生糸の生産が進み 再び盛り返した 明治期の出来事は現代に活かすべき教訓です 37

61 トピックス 3 明治 150 年 関連施策テーマ我が国の近代化に大きく貢献した養蚕 将来 食料について 国内需要は減少に向かい 世界需要は増加に向かうことを踏まえると 我が国農業の持続的発展を実現するためには 農産物の販路の一つに輸出を位置付けていくことが重要となっています 農林水産物 食品の輸出は マーケットインの発想でより多くの農業者や農業者団体等が農業生産等に取り組むことで 更なる拡大を実現できるのです コラム 蚕の今 ~ 純国産絹製品づくりの取組と新素材原材料の役割 ~ 戦後の我が国の繭生産量は 昭和 43(1968) 年の12 万 tをピークに 和装需要の減退や生糸 絹製品の輸入増加等の影響で減少が続き 平成 28(2016) 年には130tとなりました 349 戸にまで減少した養蚕農家は 群馬県がその4 割を占めています このような中 純国産絹製品づくりを目指す養蚕農家 製糸業者 絹織物業者 呉服店等で構成する 絹を未来に プラチナボーイ研究会では 良質で細い糸を作る蚕品種 プラチナボーイ * を用いた着物を開発 販売しています 同研究会が開催する養蚕体験イベント等は 純国産絹への消費者の支持や養蚕農家の生産意欲の向上につながっています また 近年 遺伝子組換え蚕を用いて 緑色蛍光に光るシルクや 蚕が生成するたんぱく質を用いた骨粗しょう症の検査薬 動物用医薬品等が生産されています 人工血管や難病治療薬等の開発も進められており 蚕の役割は絹織物の材料生産だけでなく 新たな素材の原材料生産へと広がっています 国産の繭 生糸だけを使って製造された絹製品に付けられる 純国産絹マーク 資料 : 一般財団法人大日本蚕糸会 養蚕体験イベントの様子 資料 : 絹を未来に プラチナボーイ研究会 * 雄のみが産まれる特徴を持つ品種 卵を作らない雄は たんぱく質を全て糸として吐き出すことができるため 繭糸の品質が良いと言われている 参考文献 蚕糸業要覧 ( 昭和 28 年 ) 農林省蚕糸局 (1998 年 ) 農林水産省農産園芸局蚕糸課 蚕糸絹用語集 一般財団法人大日本蚕糸会 日本蚕糸業史分析 - 日本産業革命研究序論 石井寛治 東京大学出版会 横浜市史第二巻 神奈川県横浜市 蚕糸王国日本と神奈川の顛末 小泉勝夫編 開港とシルク貿易蚕糸 絹業の近現代 小泉勝夫 世織書房 日本の蚕糸のものがたり 髙木賢編著 大成出版社 カイコってすごい虫! 国立研究開発法人農業 食品産業技術総合研究機構遺伝子組換え研究推進室世界遺産富岡製糸場ホームページ 歴史を学ぶ 国立研究開発法人農業 食品産業技術総合研究機構ホームページ 農林水産省における蚕糸試験研究の歴史 38

62 ピックストピックス 4 動き出した農泊 農泊とは 農山漁村において日本ならではの伝統的な生活体験と非農家を含む農山漁村 の人々との交流を楽しみ 農家民宿や古民家等を活用した宿泊施設に滞在して 観光客にその土地の魅力を味わってもらう農山漁村滞在型旅行を指します 農泊をビジネスとして実施できる体制を持った地域を2020 年までに500 地域創出することにより 農山漁村の所得向上と活性化の実現を目指しています (2020 年までに 500 地域の創出を目指す ) 訪日外国人旅行者を含む観光客を呼び込み ニーズに応じた様々なサービスを提供することで リピーターや新たな観光客を獲得していくことは 農山漁村の所得向上と活性化に貢献します 観光客の受皿となかじる農山漁村においては 観光地域づくりの舵取り役を担うDMO 1 等との連携を通じ 世界農業遺産 2 や日本農山漁村地域で滞在を楽しむ農業遺産 3 外国人観光客むら 棚田百選の選定地域を始めとした伝統的な ( 第 3 回 ディスカバー農山漁村の宝 せんぼくし農林水産業や優れた景観等の地域資源を活用した観光選定地区 ( 秋田県仙北市 )) コンテンツの創出や ビジネスとして継続的にサービスを提供できる地域が一丸となった体制の整備が急務となっています 農泊は地方創生や観光立国の関連施策にも位置付けられており 2020 年までに 農泊をビジネスとして実施できる体制を持った地域を500 地域まで増やすことを目標としています 平成 29(2017) 年度の農山漁村振興交付金の農泊推進対策では 約 400 地域の応募の中から 206 地域を支援しました ( 地域の取組を 知って もらう機会の創出 ) 訪日外国人旅行者を含めた観光客を農山漁村に呼び込むため 農泊の魅力を国内外へ発信することにより 地域の取組を 知って もらう機会の創出を戦略的に実施する必要があります 農林水産省では 平成 29(2017) 年度に 情報発信力のある海外のタレント等を起用し 農泊に取り組む地域を紹介する動画を東南アジア7か国でテレビ放 海外のタレントを起用した動画 ( 東南アジアの CATV 放送局 LiTV による放送 ) 1 Destination Management Organization の略 観光地域づくりの舵取り役として 多様な関係者と協同して明確なコンセプトに基づいた地域の戦略を策定するとともに 戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人 2 国連食糧農業機関 (FAO) が世界的に重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域を認定する制度 平成 29(2017) 年度末時点で 世界 19 か国 49 地域が認定されており 我が国では新潟県佐渡市を含め 11 地域が認定 3 農林水産大臣が我が国において重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域を認定する制度 平成 29(2017) 年度末時点で 宮城県大崎地域を含め 8 地域が認定 39 ト

63 トピックス 4 動き出した農泊 映するとともに 動画配信サイト等で全世界へ情報を発信しました また 外国人や旅行者のモニターに加え 海外のエージェントや情報発信力のあるブロガー等を対象にモニターツアー等を実施し 食 景観 古民家等の地域の魅力をSNS 1 で発信しました さらに 農泊の先進事例 12 地域を集めた農泊プロセス事例集を作成するとともに 全国主要都市で14 回の農泊シンポジウムを開催し このうち2 月から3 月にかけての5 回の開催においては 更なる観光客の増大に向け 農泊に取り組む地域と国内外の旅行業者 等とのビジネスマッチングを実施しました 農泊シンポジウムの様子 事例 新名物となるジビエ加工品の開発に挑戦 ( 石川県 ) ななおわんのとじまいしざかじゅん石川県の七尾湾に浮かぶ能登島で民宿業を営む石坂淳さんは 様々な地域資源を活用して島に滞在してもらえる仕組みを構築するため 平成 29(2017) 年 4 月に 島内の住民団体等を構成員とする能登島ペスカグリ ネットワークを設立し 代表に就任しました 同ネットワークは これまで埋却していたイノシシを 地域の事業者の協力を得ることで適切な処理が行われた良質のジビエとして確保し イノシシメンチカツ等の商品開発を進めており ジビエ加工品には新たな名物として期待が寄せられています また 里山里海を象徴する 米 を中心とした暮らしに触れる機会を サイクリングツアーなどの体験メニューとして提供することで これまで取り込めていなかった訪日外国人旅行者への訴求力向上を図ることとしています 七尾市 石川県 同ネットワークでは 感動を与えるモノ ( 商品 ) とコト ( 体験 ) づくりを通じて能登島のブランド化を図り 採算性が高い持続的な取組への進化を目指すとしています 福井県 富山県 岐阜県 交流イベントでのイノシシメンチカツ販売の様子 地域の食とそれを生み出す農林水産業を核として 訪日外国人旅行者を中心とする観光客を誘致する取組も各地で広がっています 農林水産省では 地域の食材の特長や歴史 食べ方 郷土料理や食文化等を 滞在しながら楽しむことのできる地域を S セ AVOR イバー JAPAN( 農泊食文化海外発信地域 ) として認定し海外向けに情報発信を行っており これまでに 15 地域を認定しました ( 図表 4-1) 1 Social Networking Service の略 登録された利用者同士が交流できる web サイトのサービス 40

64 図表 4-1 SAVOR JAPAN 認定地域一覧 平成 29 年度認定地域 あき た いぬ 一社 秋田犬ツーリズム 平成 28 年度認定地域 OBAMA 食と農の景勝地 一社 こまつ観光物産 実行委員会 ネットワーク 福井県小浜市 石川県小松市 一社 京都府北部地域 連携都市圏振興社 報恩講料理 京都府北部地域 きりたんぽ 食と農の景勝地 十勝協議会 精進料理 北海道十勝地域 鶴岡食文化創造都市 推進協議会 へしこ 一関もち食推進会議 山形県鶴岡市 ま ぜ 馬瀬地方自然公園 づくり委員会 さぬきの農泊食文化海外発信地域 推進協議会 チーズ 岩手県一関市 平泉町 岐阜県下呂市馬瀬地域 丹後ばら寿司 トピックス 秋田県大館地域 もち料理 会津若松市食と農の景勝地 推進協議会 鮎 福島県会津若松市 香川県さぬき地域 こづゆ さぬきうどん 十日町市食と農の景勝地 推進委員会 たかちほごう フォレストピア高千穂郷 ツーリズム協会 新潟県十日町市 浜松 浜名湖地域 食 農プロジェクト推進協議会 宮崎県高千穂郷 椎葉山地域 さと 一社 そらの郷 徳島県にし阿波地域 神楽料理 紀の川グリーンツーリズム 推進協議会 そば米雑炊 静岡県浜松 浜名湖地域 へぎそば 和歌山県紀の川市 フルーツ料理 うなぎ 資料 農林水産省作成 事例 外国人延べ宿泊者数の倍増を目指し 滞在拠点等を整備 徳島県 徳島県西部の 2 市 2 町で一体的な観光地域づくりに取り組 あ わ んできたにし阿波地域は そば 雑穀等の郷土食や急傾斜の 畑で営まれてきた伝統的な農業を核とした訪日外国人旅行者 誘致の取組が認められ 平成 年 11 月に SAVOR JAPAN に認定されました また 伝統的な農業が評価され 東みよし町 美馬市 つるぎ町 三好市 徳島県 高知県 平成 年 3 月に日本農業遺産に 平成 年 3 月には世界農業遺産に認定されました 同地域では にし阿波 桃源郷 の実現 をキャッチフ レーズとしています 具体的には 特徴的な景観や歴史を持 つ集落において 地域内で訪日外国人旅行者の誘致に成功し おち あい ている落合集落のノウハウを活かし 2020 年度までに 農 家民宿 古民家再生 廃校利用等により滞在拠点を整備する とともに 伝統料理 農作業等のインストラクターを配置し 餅つき体験の様子 桃源郷の営みを体感できる仕組みを構築するとしています 同地域の外国人延べ宿泊者数については 平成 年の 1 万 5 千人を 2020 年に 3 万 人に倍増する目標を掲げており 同地域の暮らしをじっくり体験したい旅行者の取り込みを目 指しています 41

65 トピックス4 動き出した農泊 訪日外国人旅行者は 訪日回数が多い人ほど地方部への訪問割合が増加 訪日外国人旅行者については 2020 年東京オリンピック パラリンピック競技大会が 開催される 2020 年までに 人数 4 千万人 旅行消費額 8 兆円 地方部における延べ宿泊 者数 7 千万人泊等の目標 1 が設定されています 平成 年においては 旅行者数 2,869 万人 2 旅行消費額 4 兆 4,162 億円 3 地方部における延べ宿泊者数 3,188 万人泊 4 とな り いずれも過去最高を記録しました 消費額の費目別構成割合を見ると 平成 図表 年は 買物代が減少する一方 宿泊料金 で 娯楽サービス費が増加しており モノ からコトへの消費のシフトが進んでいます 図表 4-2 延べ宿泊者数の増加率を都道府県別に見 訪日外国人旅行消費額の費目別構成 割合 平成 28 年 兆7,476億円 27.1 飲食費 ると 青森県 大分県 佐賀県等で前年に 比べ 50 以上増加しています 図表 4-3 また 訪問地を訪日回数別に見ると 回数 が多い人ほど地方部を訪れる割合が高く 交通費 買物代 38.1 娯楽サービス費 兆4,162億円 なっています 図表 4-4 地方には 豊かな自然環境の中で代々継 承されてきた独自性のある伝統的な農林水 その他 % 100 資料 観光庁 訪日外国人消費動向調査 平成 29 年年間値 速報 を基に農林水産省で作成 注 内は訪日外国人旅行消費額の総額 産業 これと密接に関わって育まれた文化 等 外国人にとって魅力的な資源が存在し 地方部を訪れる訪日外国人旅行者の中には 機密性 情報 限り このような資源に触れようと中山間地域を訪れる者も見られます 図表 4-3 図表 4-4 都道府県別に見た訪日外国人旅行者延べ宿泊 者数の対前年増加率 平成 年 訪日回数別に見た外国人旅行者の訪問地に 占める地方部の割合 平成 年 以上 㻡㻜 以上㻌 以上 50 未満 㻞㻡 以上㻡㻜 未満㻌 0 以上 25 未満 㻌㻜 以上㻞㻡 未 全国㻌 㻝㻞 㻌 資料 観光庁 宿泊旅行統計調査 を基に農林水産省で作成 観光立国推進基本計画 平成 年 3 月閣議決定 日本政府観光局 JNTO 2017 年訪日外客数 総数 観光庁 訪日外国人消費動向調査 平成 29 年年間値 確報 観光庁 宿泊旅行統計調査 平成 29 年年間値 速報値 0 1回目 2回目 3回目以降 資料 観光庁 訪日外国人消費動向調査 平成 29 年年間値 確報 を基に農林水産省で作成 注 訪日外国人旅行者が訪問した都道府県の延べ数に占める 三 大都市圏 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 愛知県 京 都府 大阪府 兵庫県 以外の道県の割合

66 第 1 章 食料の安定供給の確保

67 第 1 節 食料自給率と食料自給力指標 第 1 節 食料自給率と食料自給力指標 平成 27(2015) 年 3 月に閣議決定された食料 農業 農村基本計画 ( 以下 基本計画 という ) においては 2025 年度を目標年度とする食料自給率 1 の目標を設定するととも 2 に 我が国の食料の潜在生産能力を評価する食料自給力指標を示しました 以下では 食料自給率の目標と動向 食料自給力指標の考え方と動向について記述します (1) 食料自給率の目標と動向 ( 供給熱量ベースは 1 ポイント低下の 38% 生産額ベースは 2 ポイント上昇の 68%) 食料自給率の目標は 2025 年度を目標 図表 食料自給率等の実績値と目標 年度として 供給熱量ベースで45% 生産額ベースで73% と定められました ( 図平成 年度 (2016) (2014)(2015) 目標表 1-1-1) 平成 28(2016) 年度の供給熱 (2013) ( 概算値 ) 供給熱量ベースは 小麦 てんさい等について天量ベースの総 候不順により生産量が減少したこと 魚介合食料自給率類についてサバ類等の漁獲量が減少したこ生産額と等から 前年度に比べ1ポイント低下のベースの総合 % となりました 生産額ベースは 野食料自給率菜と果実について輸入額が減少した一方で飼料 生産額が増加したこと等から 前年度に比自給率べ 2 ポイント上昇の 68% となりました 主要品目の生産量の動きを見ると 平成 28(2016) 年度は さとうきび 飼料用米 かんしょ等で増加した一方で 小麦 てんさい ばれいしょ等で減少しました ( 図表 1-1-2) ( 単位 :%) 資料 : 農林水産省 食料 農業 農村基本計画 食料需給表 注 :1)2025 年度における生産額ベースの総合食料自給率は 各品目の単価が平成 25(2013) 年度と同水準として試算 2) 飼料自給率は 粗飼料及び濃厚飼料を可消化養分総量 (TDN) に換算して算出 図表 主要品目における生産量の実績 生産努力目標 目標比率 ( 単位 : 万 t %) 平成 25 年度平成 28 年度 (2013) (2016) (2014) (2015) (2016) ( 目標年度 ) ( 基準年度 ) 目標比率 米 米粉用米 飼料用米 小麦 大豆 かんしょ ばれいしょ 野菜 1,195 1,196 1,186 1,163 1, 果実 てんさい さとうきび 生乳 牛肉 豚肉 鶏肉 鶏卵 飼料作物 資料 : 農林水産省 食料 農業 農村基本計画 食料需給表 農林水産省調べ注 :1) 米は米粉用米 飼料用米を除く 2) 飼料作物の単位は万 TDNt 1 2 用語の解説 3(1) を参照 44

68 平成 年における農作物の作 図表 付延べ面積は 水稲 野菜 果樹等を中心 単位 万 ha に減少し 前年に比べ 2 万 5 千 ha 0.6 平成 年 見通し 2013 減少の 410 万 2 千 ha となりました 1 図表 この結果 耕地利用率は前年と同 率の 92 となりました 作付延べ面積の拡大に向けては 二毛作 等により農地の有効利用を図るとともに 担い手に対し農地の集積 集約化 を進め ていくことが重要です 農地 面積 作付延 べ面積 耕地 利用率 第1 章 2 農地 作付延べ面積 耕地利用率の 実績値と見通し 資料 農林水産省 食料 農業 農村基本計画 耕地及び作付面 積統計 食料自給率の目標の達成に向けては 各品目の生産努力目標を達成することが重要で す 平成 年度の生産量に対する 2025 年度の生産努力目標の比率を見ると 基準年度から目標年度にかけて増産を目指す品目のうち かんしょ 果実 さとうきび 生乳では 90 以上達成しており 全体の中でも比較的高くなっています 一方 米粉用 米 飼料用米 飼料作物 大豆等では生産努力目標の達成に向けて更なる増産が必要と なっており 多収米品種の導入等による収量の向上 飼料生産組織の育成 活用 排水対 策等による収量 品質の高位安定等の品目ごとの課題解決に向けて取組の一層の強化が求 められます 長期的には低下傾向で 近年は一定の範囲で推移 我が国の食料自給率は 長期的に低下傾向で推移してきましたが 近年では 供給熱量 ベースは平成 年度以降 40 前後で 生産額ベースは平成 年度以降 ほぼ 60 台後半から 70 台前半の範囲で それぞれ推移しています 図表 図表 我が国の総合食料自給率 生産額ベースの総合食料自給率 供給熱量ベースの総合食料自給率 昭和 年度 平成3 8 概算値 資料 農林水産省 食料需給表 1 作物別の作付面積は 第 2 章第 3 節 2 から 10 までを参照 2 用語の解説 3 1 を参照 45

69 第 1 節 食料自給率と食料自給力指標 供給熱量ベースの総合食料自給率の低下図表 消費者に対する働き掛けの一例 ( 食料自給率の消費者向けパンフレットより ) が続いたのは 食生活の多様化が進み 国産で需要量を満たすことのできる米の消費量が減少する一方で 飼料や原料を海外に依存せざるを得ない畜産物や油脂類の消費量が増加したことが主な要因です また 近年 横ばいとなっているのは 人口減少資料 : 農林水産省作成や高齢化の進行により国内消費 ( 分母 ) が注 : 国産米粉パンを含む米粉の普及に向けたノングルテン認証制し度の創設や用途別基準等については第 2 章第 3 節 (2) 米を参減少傾向で推移してきた中で 消費者の嗜照こう好の変化や実需者のニーズに十分に対応できずに国内生産 ( 分子 ) の減少も続いていることが要因です 食料自給率の向上に向けては 農地の確保や集積 集約化 担い手の育成 確保等による国内農業の生産拡大とともに 消費者に対する国産農産物の消費拡大に向けた働き掛け等による国産農産物の国内外での需要拡大を図ることが重要です ( 図表 1-1-5) 2015 年農林業センサスでは70 代となった昭和 10 年代生まれの世代が 基幹的農業従事者 1 の3 割を占めており 今後 この世代のリタイアにより労働力の減少が急激に進むと見込まれています このような中 国内農業の生産拡大を図っていくためには 農作業の効率化につながる農地の集積 集約化とともに 農作業の省力化を実現する AI 2 IoT 3 ロボット技術の開発 普及 労働時間の平準化に資するデータの活用等により 労働生産性を向上させていくことが重要です また 新たな販路の開拓は国内農業の生産拡大の契機となり得ることから 世界需要も視野に入れた農業経営が国内に広がり 農産物の輸出とともに農業生産が拡大することで 食料自給率の向上につながることが期待されます (2) 食料自給力指標の考え方と動向 ( 食料の潜在生産能力の大きさを数値化したものが食料自給力指標 ) ひっぱく世界の食料需給が中長期的には逼迫も懸念される中 食料の多くを海外に依存している我が国では 食料安全保障 4 の観点から 国内の農地等を最大限活用することで どの程度の食料が得られるのかという食料の潜在生産能力 ( 食料自給力 ) を評価しておくことが重要です 食料の潜在生産能力の大きさを数値で示すため その時点における農地と平均単収等を基に 食料の供給熱量の最大値を1 人 1 日当たりの値として試算したものが食料自給力指標です 食料自給率では 現実に生産された食料作物の生産実績をもって算定がなされることから 非食用作物が栽培された農地の持つ食料の潜在生産能力を評価できません 一方 食料自給力指標では 現実と切り離された一定の仮定の下で 全ての農地に米 小麦 大豆やいも類を中心に作付けすることを想定した試算を行うことで 非食用作物が栽培された農地 さらには荒廃の程度が比較的軽く再生利用可能な荒廃農地 5 も含め 食料の潜在生産能力を評価し 指標に反映させることができます ( 図表 1-1-6) 1 用語の解説 1 2(4) を参照 2 3 用語の解説 3(2) を参照 4 5 用語の解説 3(1) を参照 46

70 図表 食料自給力指標の考え方 引き続き 作付け 食料自給力指標 作物を栽培して いる農地 食用作物 を作付け 花等の非食用作物を 栽培している農地 いも類 試算の前提 ① ② ③ 再び作物 を作付け 荒廃農地 再生利用可能部分 生産転換に要する期間は考慮しない 農林水産業生産に必要な労働力は確保され ている 肥料 農薬 化石燃料 種子 農業用水及 び農業機械等の生産要素 飼料を除く については 国内の農林水産業生産に十分 な量が確保されているとともに 農業水利 施設等の生産基盤が適切に保全管理 整備 され その機能が持続的に発揮されてい る 第1 章 二毛作可能地等の全てで 農地を最大限に活用 米 小麦 大豆 資料 農林水産省作成 食料自給力指標が低下する中 農地の面積確保と単収の高位安定化が重要 平成 年度の食料自給力指標の試算で用いた農地は 447 万 ha 再生利用可 能な荒廃農地は 12 万 4 千 ha1 となり これらの面積を前提として 米 小麦 大豆を中 心とした作付け と いも類を中心とした作付け の試算を行っています 平成 年度の食料自給力指標は 米 小麦 大豆を中心とした作付け で は前年度に比べ 13kcal/ 人 日減少の 1,814kcal/ 人 日 いも類を中心とした作付け では同 27kcal/ 人 日減少の 2,660kcal/ 人 日となりました 図表 日本人の平 均的な 1 人当たりの推定エネルギー必要量 22,147kcal/ 人 日と比較すると 供給熱量を 重視する いも類を中心とした作付け ではこれを超える一方 より私たちの食生活に近 い 米 小麦 大豆を中心とした作付け ではこれを下回ります 図表 食料自給力指標の前提となる農地等と試算結果 平成 年度 概算値 農地 農地と荒廃農地 荒廃農地 16.0 万 ha 12.4 万 ha 再生利用可能 再生利用困難 万 ha 食料自給力指標の前提 米 小麦 大豆 を中心に作付け 1,814 推定エネルギー 必要量 2,147 いも類 を中心に作付け 2, ,000 1,500 2,000 2,500 3,000 kcal/人 日 資料 農林水産省 食料自給力指標の手引き 注 食料自給力指標の試算結果には 上記の 2 パターンのほか 以下の 2 パターンがある ①栄養バランスを考慮し 米 小麦 大豆を中心に作付けした試算値 1,449kcal/ 人 日 ②栄養バランスを考慮し いも類を中心に作付けした試算値 2,339kcal/ 人 日 1 農林水産省 荒廃農地の発生 解消状況に関する調査 平成 年 2 比較的短期間の場合には そのときの体重を保つ 増加も減少もしない ために適当なエネルギー の推定値 平成 年度の値 2,147kcal/ 人 日は 日本人の食事摂取基準 2015 年版 にある性別 年齢階層別の値を 人口で加 重平均したもの 47

71 第1節 食料自給率と食料自給力指標 また 食料自給力指標は 供給熱量ベースの総合食料自給率が近年ほぼ横ばいで推移す る中 農地面積の減少や単収の伸び悩み等により低下傾向で推移しています 図表 将来における世界の食料需給に不安定要素が存在する中 平素から我が国における食料 自給力の維持向上に努める必要があります このため 農業生産においては 農地につい て 担い手に対する集積 集約化 荒廃農地の再生等による面積の確保を 単収につい て 新品種 新技術の開発 導入 輪作体系の最適化 排水対策の実践等による高位安定 化をそれぞれ図っていくことが重要です 他方 食料消費においては 食料自給力指標の認知度向上等を通じ 食料の潜在生産能 力の低下が危惧される状況について国民の理解を深めていくことが重要です その上で 国産農産物の消費拡大に向けた国民の具体的な行動が期待されます 図表 食料自給力指標等の推移 kcal/人 日 再生利用可能な荒廃農地に おいても作付けする場合 * いも類を中心に作付け 3,000 3,047 2,800 2,600 食料自給 力指標は 2,400 2,200 2,108 2,000 1,800 1, ,660 2, 低下傾向 米 小麦 大豆を中心に作付け 供給熱量ベースの 総合食料自給率 食料自給率は 20 年間ほぼ横ばいで推移 1,814 1, 平元 2 3 4 5 6 7 8 9 資料 農林水産省作成 注 1 * 荒廃農地の調査は平成 年度から行われていることから 同年度以降のみ 2 栄養バランスを考慮した残り 2 つの作付けパターンも同様に低下傾向で推移 48 で推移 年度

72 第 2節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 将来 食料の国内需要は減少が進み 世界需要は増加が見込まれています 以下では 食料の世界需要の獲得に向けた農林水産物 食品の輸出促進 輸出の拡大に資する日本 食 食文化の海外展開と規格 認証 知的財産の活用等について記述します 1 農林水産物 食品の輸出促進 第1 章 輸出額は 5 年連続で増加 平成 年の農林水産物 食品の輸出額は 前年に比べ 億円 増 加の 8,071 億円となり 5 年連続で過去最高を更新しました 図表 農林水産物別の内訳を見ると 農産物は前年に比べ 億円 増加 林産物は 同 億円 増加 水産物は同 億円 増加となっており 水産物の 伸びが小幅にとどまったのはホタテ貝の生産減少に伴う輸出額減少が大きく影響していま す 図表 国 地域別の内訳を見ると 輸出額第 5 位の韓国は前年に比べ 億円 増加 第 3 位の中国は同 億円 増加と大きな伸びとなったもの の 第 4 位の台湾は同 億円 減少となり 第 1 位の香港は 億円 の増加にとどまりました 台湾向けが減少したのはりんごの生産量の減少に伴う輸出額減 少が大きく影響しています 農林水産物の中には輸出額の伸びが全体の 8.1 を大きく超えた品目も見られ なかで も 牛肉 植木等 緑茶 米 1 いちご等は過去最高の輸出額となりました 図表 農林水産物 食品の輸出額 億円 9,000 8,000 農産物 7,000 林産物 水産物 6,117 6,000 5,000 4,000 3,000 5,505 4,454 1, ,920 1, ,511 4,497 1,736 1, ,000 1, ,637 2,865 2,652 2,680 平成 21 年 , , ,337 7,451 7,502 2,757 2, ,431 4, ,071 2, , , 資料 財務省 貿易統計 を基に農林水産省で作成 1 政府による食糧援助の米を除く 49

73 第 2 節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 図表 主な国 地域と主な品目別の農林水産物 食品の輸出額 ( 国 地域別 ) ( 品目別 ) ( 単位 : 億円 ) ( 単位 : 億円 ) 国 地域 平成 28 年 (2016) 29 (2017) 増減率 (%) 世界 7,502 8, アジア 5,539 5, 香港 ( 真珠 なまこ ( 調製 ) たばこ ) 1,853 1, 中国 ( ホタテ貝 丸太 植木等 ) 899 1, 台湾 ( りんご アルコール飲料 ソース混合調味料 ) 5 韓国 ( アルコール飲料 ホタテ貝 ソース混合調味料 ) アセアン 1,177 1, ベトナム ( 粉乳 植木等 かつ お まぐろ類 ) 7タイ ( 豚の皮 かつお まぐろ 類 さば ) 8シンガポール ( アルコール飲料 牛肉 ソース混 合調味料 ) 10フィリピン ( 合板 製材 さば ) マレーシア インドネシア カンボジア GCC( 湾岸 6か国 ) アラブ首長国連邦 北米 1,149 1, 米国 ( ぶり アルコール飲料 ソー 1,045 1, ス混合調味料 ) カナダ 欧州 EU オランダ フランス 英国 ドイツ ロシア 大洋州 豪州 ( 清涼飲料水 アルコール飲料 ソース混合調味料 ) アフリカ ナイジェリア 南米 品目 平成 28 年 (2016) 29 (2017) 増減率 (%) 農林水産物 7,502 8, 農産物 4,593 4, 加工食品 ( アルコール飲料 調味料 清涼飲料 2,355 2, 水 菓子等 ) 畜産品 ( 食肉 酪農品 鶏卵 牛 豚等の 皮等 ) 穀物等 ( 小麦粉 米等 ) 野菜 果実等 ( 青果物 果汁 野 菜 果実の缶詰等 ) その他農産物 ( たばこ 播種用の種 花き 茶等 ) 林産物 ( 丸太 製材 合板等 ) 水産物 2,640 2, 水産物 ( 調製品除く ) ( 生鮮魚介類 真珠 1,954 2, ( 天然 養殖 ) 等 ) 水産調製品 ( 水産缶詰 練り製品 ( 魚肉ソーセージ等 ) 等 ) 資料 : 財務省 貿易統計 を基に農林水産省で作成注 : 国 地域別の表において 国 地域 欄に 1~10 を付した国 地域は 平成 29(2017) 年の輸出先上位 10 か国 地域 うち ( ) 内は主な輸出品目 50

74 章平成 29(2017) 年における輸出額の割合を国 地域別に見ると 香港 23.3% 米国 13.8% 中国 12.5% 台湾 10.4% と続いており アジアの国 地域が73.1% を占めています ( 図表 1-2-3) また 品目別に見ると 農産物が61.5% 水産物が34.1% 林産物が 4.4% を占めています 図表 輸出額の国 地域別と品目別の割合 ( 平成 29(2017) 年 ) シンガポール 3.2% その他 0.9% その他 1.4% 北米米国 15.2% 13.8% その他 6.6% タイ 4.8% EU 5.6% 資料 : 財務省 貿易統計 を基に農林水産省で作成 ( 国 地域別 ) ( 品目別 ) 欧州 6.5% その他 5.2% 農林水産物 食品の輸出額 8,071 億円 韓国 7.4% ベトナム 4.9% 香港 23.3% アジア 73.1% 台湾 10.4% 中国 12.5% 水産物 ( 調製品を除く ) 25.4% 水産調製品 8.7% 水産物 34.1% 林産物 4.4% その他 12.0% 農林水産物 食品の輸出額 8,071 億円 野菜 果実等 4.5% 加工食品 32.7% 農産物 61.5% 畜産品 7.8% 穀物等 4.6% 農林水産物 食品の輸出額については 平成 31(2019) 年に1 兆円とする目標を設定しており これを達成するには 年率 11.3% のペースで輸出額を伸ばしていく必要があります このため 国が策定した 農林水産業の輸出力強化戦略 と 農林水産物輸出インフラ整備プログラム に基づき 政府と民間が一丸となって取組を着実に実施していくとともに 農林水産物 食品の輸出拡大に必要なハード面 ソフト面のインフラ整備を強力に進めていくこととしています このような中 農林水産省では 米輸出の飛躍的な拡大に向けて 平成 29(2017) 年 9 月に コメ海外市場拡大戦略プロジェクト を立ち上げました ( 図表 1-2-4) 同プロジェクトにおいて 平成 31(2019) 年までに米の輸出量を10 万 t 1 とする目標を掲げ 米輸出に取り組む事業者と輸出用米の安定的な生産に取り組む産地の結び付きを強化 拡大するとともに 輸出事業者が重点的に輸出を拡大する国 地域におけるプロモーション等を実施していくこととしています 同プロジェクトでは 平成 29(2017) 年度末時点で 53の輸出事業者と246の産地が参加しており 今後 輸出事業者による海外の具体的な需要先の開拓を支援するとともに 輸出事業者と産地を結び付け 海外需要に応じた輸出用米の生産を後押ししていくこととしています また 平成 29(2017) 年 10 月に 我が国で世界中のバイヤーと直接商談できる 日本の食品 輸出 EXPO が国内で初めて開催され 食品メーカーや商社など300 社以上が出展し 70を超える国 地域の海外バイヤー 国内の輸出商等多数の来場者と輸出に向けた商談が行われました 1 米菓 日本酒等の原料米換算分を含む 平成 28(2016) 年は 2.4 万 t 51 第1

75 第2節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 図表 コメ海外市場拡大戦略プロジェクトの概要 1 戦略的輸出事業者 産地と事業者の 結び付きの強化 拡大 2 戦略的輸出基地 産地 連携したプロモーション等 の実施 コメ輸出の飛躍的拡大 3 戦略的輸出ターゲット国 目標 10 万トン 米菓 日本酒等の原料米換算分を含む 資料 農林水産省作成 さらに ハード面では 空港や港湾に近い卸売市場 生産物の流通 加工施設等におい て 検疫 食品規制等への対応 品質や鮮度保持への対応 積替えや再こん包の手間 コ ストの削減といった機能を重視した施設整備等が進められており 平成 年度 末までに 17 施設が稼働しました 一方 ソフト面では 日本産の農林水産物 食品のブラン ディングのためにオールジャパンでのプロモーションを消費 者向けに行うため 日本食品海外プロモーションセンター JFOODO1 が平成 年 4 月に創設されました JFOODO では 食品や海外マーケット等に精通した人材で体 制を構築するとともに 同年 12 月には和牛 水産物 緑茶 日本酒等 7 つのテーマについてプロモーション戦略を公表し 事業者等と協力しながら順次取組を実行しています 日本産和牛の試食の様子 1 The Japan Food Product Overseas Promotion Center の略 52

76 章事例 小型のサツマイモ生産への転換で 輸出を飛躍的に拡大 ( 宮崎県 ) くしまし宮崎県串間市でサツマイモを生産する株式会社くしまアオいけだまことイファームの代表池田誠さんは 国内での店頭催事で いも が大きすぎて食べきれない と言われたことをヒントに 平こうね成 24(2012) 年に 小畝密植栽培 を導入し 小型のいも生産へ転換を図りました 海外でも小型のいもが売れると聞いていた池田代表は 同時期にシンガポール 香港 台湾の外資系スーパーに売り込みを行ったところ 小型のサイズが功を奏し 輸出量は平成 25(2013) 年の17tから平成 27(2015) 年には年間総出荷量の1 割に相当する300tへと飛躍的に拡大しました 平成 29(2017) 年度には自社の出荷施設内に非破壊糖度測定器を導入することで サイズだけでなく 食味の良さにもこだわった販売が可能となりました 池田代表は 今後 自社の規模拡大とともに 地域の農家との契約栽培を広げることで出荷量の増加を図り 2020 年に世界 10か国へ3 千 tのサツマイモ輸出を目指しています 事例 児島串間市鹿県熊本県 代表の池田誠さん 宮崎県 卸売会社の強みを活かし 米国向け切り花輸出をけん引 ( 大阪府 ) おおさかし大阪府大阪市の卸売市場内で卸売業を営んでいる株式会社なにわ花いちばは 販路の開拓を目指し 平成 20(2008) しなぞろ年に切り花の輸出を開始しました 品揃えが豊富という卸売大阪府京会社の強みが活かされ 現在 スイトピーやトルコギキョウ等年間 200 種類以上の切り花が米国等に輸出されています 和歌山県同社では 輸出向けの箱に花弁等を傷めることなく国内流通の3 倍程度の量の切り花を詰め込むリパックにより 切り花 1 本当たりの空輸コストを低減しています 平成 30(2018) 年 1 月に卸売市場の隣接地に輸出対応型施設が完成したことで これまで作業場所が分散していた保冷 除湿 殺菌 こん包の作業が短時間で済むようになり 品質の高さと日持ちの良さをよりアピールできるようになり輸出の主力のスイトピーました 米国向けの切り花輸出における同社のシェアは9 割となっていますが 同社は米国向け輸出を増やすことで 平成 28(2016) 年度の輸出額約 2 億円を2021 年度に5 億 5 千万円まで拡大することを目指しています 都府大阪市 奈良県兵庫県 53 第1

77 第 2 節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 ( 残留農薬 HACCP 等輸出についての様々なルールへの適合 ) 農産物の輸出に際しては それぞれの輸出先国 地域の政府が定めた 食品安全を始めとする様々なルールに適合する必要があります 食品中の残留農薬については 日本国内では残留基準を満たし流通が認められている食品であっても 輸出先国 地域によっては 特定の農薬に関し自国の残留基準が設定されていないことを理由に輸入を認めない場合があります このような場合 農業生産において特定の農薬の使用を回避する工夫が重要となりますが どうしても使用せざるを得ないものについては 輸出先国 地域に対し 輸入食品用の当該農薬の残留基準 ( インポートトレランス ) の設定を求めていく必要があります 政府が台湾に申請した件数は 平成 29(2017) 年度末時点で286 件となり このうち128 件で残留基準が設定されました また 農林水産省では 事業者等がインポートトレランスの申請を行う際に必要となる残留農薬分析や作物残留試験等の費用を支援しており この支援を活用した茶の関連団体は平成 29(2017) 年度末時点で米国に対して7 件 EUに対して1 件の申請を行い このうち米国で 2 件残留基準が設定されました 食肉では と畜場等が輸出先国 地域の求める HACCP( 危害要因分析 重要管理点 ) 1 等の衛生基準を満たしていることを求められます 輸出の要件を満たすと畜場等は 平成 29(2017) 年度末時点で 牛肉では香港向けが10 施設 米国向けが10 施設等となっています EU 向けの畜産物 畜産加工品では あらかじめ欧州委員会が作成する輸入承認リストへの原産国としての掲載を求められます 我が国は 平成 29(2017) 年度末時点で 牛肉等一部の品目で掲載済みとなっており 豚肉 鶏肉 鶏卵 乳製品では掲載に向けて EU 側による疾病リスクの評価を受けている状況です 以上のような食品安全に関するルールに加え イスラム圏向けの畜産物 畜産加工品では ハラール認証 2 を取得したものであることを求められる場合があります ( 動植物検疫は 5 か国 地域 7 品目で解禁 ) 農畜産物を輸出する際には 輸出先国 地域が求める検疫条件に従う必要があります このため 農林水産省では 検疫上の理由から輸出ができない あるいは検疫条件が厳しい品目について 農林水産業の輸出力強化戦略を踏まえて 当該国 地域の当局との動植物検疫の協議を重点的かつ戦略的に進めていくこととしています 動植物検疫に関する輸出解禁は 産地の要望を踏まえ 農林水産省が相手国 地域への解禁要請を行った後 相手国 地域で疾病や病害虫のリスク評価がなされ さらに検疫条件の協議を経て行われます ( 図表 1-2-5) これまでの技術的協議を積重ねてきた結果 農産物については 平成 29(2017) 年 9 月に米国向けかき ( 柿 ) の輸出が解禁されました 同年 12 月に和歌山県の米国向けかき ( 柿 ) 生産園地で生産されたかき ( 柿 ) 植物防疫官による米国向けかき ( 柿 ) のの初輸出が行われ 平成 30(2018) 年 1 月には 米輸出検査の様子 1 用語の解説 3(2) を参照 2 用語の解説 3(1) を参照 54

78 章国での販売促進イベント等でPRが行われました さらに 同年 1 月には くん蒸処理を行わない方式での豪州向けかき ( 柿 ) の輸出解禁が実現するとともに EU 向けかんきつ類も園地の検査が不要となり輸出に取り組みやすくなりました 畜産物については 平成 29(2017) 年 9 月に台湾向け牛肉 同年 11 月にはマレーシア向けの牛肉等が解禁されました 同年 11 月には 米国向け牛肉について 輸出検疫証明書が添付されているお土産等の個人消費用携帯品であれば 国内の空港等に設置された動物検疫所の検疫手続を経ずに持ち出すことが可能となりました また 平成 28(2016) 年 11 月以降に発生した高病原性鳥インフルエンザの影響で輸出が停止された家きん肉等については 平成 29(2017) 年 6 月に国際獣疫事務局 (OIE 1 ) が定める同病の清浄国に復帰したことを受け 発生地域を含め 全国で輸出再開が認められました 平成 30(2018) 年 1 月に再び国内で高病原性鳥インフルエンザが発生し 2 輸出が一時停止となりましたが 輸出先国 地域に対し疾病の発生や防疫措置についての情報提供等を行った結果 数日中に発生地域以外の家きん肉の輸出が認められたことから 影響は最小限に抑えられました 図表 相手国 地域への解禁要請 ( 要請段階の例 ) インドネシア : 鶏肉韓国 : 牛肉 豚肉台湾 : 鶏卵 * フィリピン : 豚肉 鶏肉米国 : ウリ科 輸出解禁に向けた動植物検疫協議の手続の流れ 相手国 地域におけるリスク評価 ( リスク評価段階の例 ) EU : 黒松盆栽 ( 錦松盆栽を含む ) 豚肉 鶏肉 鶏卵 乳製品カナダ : もも韓国 : りんご なしタイ : 玄米 豚肉中国 : 牛肉 豚肉 鶏肉 鶏卵米国 : なし ( 全ての都道府県の解禁 ) 豚肉ベトナム : かんきつ類ペルー : なし ( 携帯品 ) 輸出解禁済 検疫条件の協議 ( 検疫協議段階の例 ) カナダ : りんご ( 臭化メチルくん蒸等に代わる検疫措置の追加 ) 韓国 : 鶏卵豪州 : りんご なし ( 臭化メチルくん蒸等に代わる検疫措置の追加 ) いちご 牛肉タイ : かんきつ類 ( 生産地域の追加 ) 中国 : 牛乳 乳製品 NZ : かんきつ類 ( 全品種解禁等 ) 米国 : りんご ( 輸出前臭化メチルくん蒸の廃止 ) 鶏肉 鶏卵ペルー : いちご ( 携帯品 ) マレーシア : 鶏肉ロシア : 牛肉 ( 施設追加 ) ( 平成 29 年度の実績例 ) EU : かんきつ類 ( 栽培地検査の撤廃 ) 豪州 : かき ( 柿 )( 臭化メチルくん蒸に代わる検疫措置 ) 常温保存可能牛肉製品 台湾 : 牛肉 米国 : かき ( 柿 ) マレーシア : 牛肉 資料 : 農林水産省作成注 :1) 平成 29(2017) 年度末時点 2)* 台湾向け鶏卵は 平成 30(2018) 年 1 月に輸出が解禁しましたが 同年 1 月の我が国における 高病原性鳥インフルエンザ発生により 輸出停止となり 解禁を要請中 1 用語の解説 3(2) を参照 2 第 1 章第 5 節 (3) を参照 55 第1

79 第 2 節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 ( 放射性物質に関する輸入規制は 6 か国で撤廃 3 か国 地域で緩和 ) 東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に伴い 多くの国 地域において 日本産農林水産物 食品の輸入停止や放射性物質の検査証明書等の要求 検査の強化といった輸入規制措置が実施されています ( 図表 1-2-6) これらの輸入規制措置を実施している国 地域に対し 我が国が実施している安全確保のための措置やモニタリング結果等の科学的データ等の情報提供を行ってきた結果 平成 29(2017) 年度内も 輸入規制の撤廃 緩和の動きが見られました ( 図表 1-2-7) この結果 輸入規制を設けた 54 か国 地域のうち 27 か国が規制措置を撤廃しました 図表 主な輸出先国 地域の輸入停止措置 ( 平成 29(2017) 年度末時点 ) 国 地域 対象県 主な対象品目 農林水産物 食品の輸出額 ( 平成 29(2017) 年 ) 香港 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 千葉県 野菜 果実 牛乳 乳飲料 粉乳 1,877 億円 中国 * 宮城県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 新潟県 全ての食品 飼料 1,007 億円 長野県 台湾 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 千葉県 全ての食品 ( 酒類を除く ) 838 億円 日本国内で出荷制限措置がとられた県 日本国内で出荷制限措置がとられた品目 韓国青森県 岩手県 宮城県 福島県 茨城 597 億円水産物県 栃木県 群馬県 千葉県 シンガポール マカオ 福島県東京電力株式会社福島第一原子力発電所周辺の10 市町村 福島県 宮城県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 新潟県 長野県 林産物 水産物 全ての食品と農産物 野菜 果物 乳製品 食肉 食肉加工品 卵 水産物 水産加工品 野菜 果物 乳製品 261 億円 38 億円 資料 : 農林水産省作成注 :1)* 中国当局は 上記輸入停止措置対象都県以外の 野菜 果実 乳 茶葉等 について 放射性物質検査証明書の添付による輸入を認めているが 放射性物質の検査項目が合意されていないため 事実上輸入を停止している状態 2) 上記 6 か国 地域のほか 米国 フィリピンの 2 か国は 日本国内において出荷制限措置がとられている品目を輸入停止 3) 農林水産物 食品の輸出額は 我が国から当該国 地域へのもの 図表 平成 29(2017) 年 4 月以降の主な輸出先国 地域の輸入規制措置緩和 撤廃の動き ( 平成 29(2017) 年度末時点 ) 国 地域 年月 概要 カタール 平成 29(2017) 年 4 月 規制撤廃 ウクライナ 4 月 規制撤廃 ロシア 4 月 青森県に所在する施設から出荷される水産物について 検査証明書の添付が不要に 米国 9 月 11 月 福島県等 5 県産の牛乳 乳製品について 輸入時の ( 放射性物質に係る ) 安全性証明が不要に 輸入停止( 福島県等 ) 一部の品目の解除等 パキスタン 10 月 規制撤廃 サウジアラビア 11 月 規制撤廃 アルゼンチン 12 月 規制撤廃 EU* 12 月 検査証明書及び産地証明書の対象地域及び対象品目が縮小 ( 福島県のコメ等を検査証明対象から除外等 ) トルコ 平成 30(2018) 年 1 月輸入時全ロット検査の対象品目が縮小 ( 切り花 盆栽等を検査対象から除外 ) 2 月規制撤廃 米国 3 月 輸入停止( 栃木県産のくり ) 解除 ロシア 3 月 輸入停止 (7 県産の水産物 ) 岩手県等 6 県産の水産物については停止措置を解除 福島県産の水産物については放射性物質検査証明書の添付を条件に停止措置を解除 資料 : 農林水産省作成注 : スイス ノルウェー アイスランド リヒテンシュタイン ( 欧州自由貿易連合加盟国 ) も EU に準拠した規制緩和を実施 56

80 2 日本食 食文化の海外展開と規格 認証 知的財産の活用等 ア 日本食 食文化の海外展開 日本産農林水産物 食品に対する需要を拡大させるため 日本産食材の魅力を伝える日 本食 食文化を海外で定着させていくことが重要です 海外における日本食レストラン数は 2 年前の前回調査から 3 割増加 平成 年 10 月時点の海外における日本食レストランの数はこの 2 年間で 3 割 第1 章 増加し 約 11 万 8 千店となりました 図表 これを平成 年 1 月調査と 比べると約 2 倍となっており 海外での日本食 食文化への関心は一層高まっていること がうかがえます このような関心の高まりを追い風に 農林水産業の輸出力強化戦略に基づき 海外の飲 食店等を日本産食材の輸出拠点として活用しつつ 日本食 食文化の魅力を効果的に発信 し 輸出につなげることが重要です 図表 海外における日本食レストランの数 欧州 約 12,200 店 約 10,550 店から 2 割増 ロシア 約 2,400 店 約 1,850 店から 3 割増 北米 約 25,300 店 約 25,100 店から微増 アフリカ 約 350 店 約 300 店から 2 割増 中東 約 950 店 約 600 店から 6 割増 オセアニア 約 2,400 店 約 1,850 店から 3 割増 アジア 約 69,300 店 約 45,300 店から 5 割増 中南米 約 4,600 店 約 3,100 店から 5 割増 資料 外務省調べ 農林水産省推計 注 1 数値は平成 年 10 月時点 2 ( ) 内は平成 年 7 月時点の数値と増加した割合 日本産食材サポーター店は 2,931 店舗 調理技能認定は 470 人がそれぞれ認定 急増している海外の日本食レストラン等を日本産食材の輸出拠点として継続的に活用し ていくため 平成 年度に民間が主体となり 日本産食材を積極的に使用する 海外のレストランや小売店をサポーター店として認定する 日本産食材サポーター店認定 制度 と 海外の料理人の日本料理に関する知識 調理技能を習得度合いに応じて認定す る 調理技能認定制度 をそれぞれ創設し 認定を開始しました 57

81 第 2 節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 サポーター店については 平成 29(2017) 年度末時点で 香港 中国 タイ 米国 フランス シンガポール マレーシア カナダ等 35の国 地域において2,931 店舗が認定されました 調理技能認定については 平成 29(2017) 年度末時点で 我が国の日本料理店において実務経験があり 現在海外の日本食レストランに従事する者等 4 人が ゴールド に認定されたほか 168 人が シルバー 298 人が ブロンズ の合計 470 人が認定されました 農林水産省では 平成 30(2018) 年度までに サポーター店で3 千店舗以上 調理技能認定で 1 千人以上の認定を目指し 日本食普及イベント等で本制度を PR するとともに 在外公館や独立行政法人日本貿易振興機構 (JETRO) 等の協力を得ながら日本産食材の魅力を発信し 認知度を高めていくこととしています 実務経験がおおむね 2 年程度の者 海外における日本産食材サポーター店認定制度の認定ロゴマーク 日本料理学校等の卒業者又は実務経験がおおむね 1 年程度の者 調理技能認定制度の認定ロゴマークと基準 事例 日本料理の海外普及を夢に 外国人が日本料亭等で研修 ( 京都府ほか ) デンマークの寿司レストランで寿司職人としての技能を学んでいたラトビア人のエドガー シュトゥカさんは 我が国福井県で外国人を対象とした日本料理の研修が行われると聞き 平兵庫県成 28(2016) 年 6 月に来日しました 京都市日本食 食文化普及人材育成支援協議会が行うプログラム奈良県に参加し 2か月間の集団研修と 6か月間の著名な日本料理店での技能研修を通じて日本料理の知識や調理技能 おもてなしの精神等を学んだシュトゥカさんは 研修最終日に行われた試験に合格し 日本料理の調理技能認定制度におけるシルバー認定を受けました その後 シュトゥカさんはより高い知識と技能の修得を目指し 同プログラムのゴールド認定を一エドガー シュトゥカさんきょうとしつの目標に 京都府京都市の料亭で修行を続けています シュトゥカさんは 将来 デンマークに日本料理店を開き 我が国の食材だけでなく 畳や食器等も使いながら 我が国で修得した日本料理の知識や技能等をデンマークの料理人に伝えていきたいと夢を語っています 滋賀県京都府 58

82 章( トップセールスやメディア等を活用した日本食 食文化の魅力発信 ) 日本食 食文化の海外での定着に向けて 農林水産省では トップセールスや大型イベ ント等を通じた情報発信や 海外メディアを活用したプロモーション等を実施しています 平成 29(2017) 年 9 月には ニューヨークでの国連総会の機会を捉え 観光庁 独立行政法人国際観光振興機構 (JNTO) と連携して 我が国の地方と食の魅力をテーマに 日本食と訪日旅行への需要喚起を目的とした和食レセプションをニューヨーク歴史協会において開催しました はつねまた 平成 28(2016) 年 3 月には 世界的に有名なバーチャル シンガー 初音ミク が案内役を務めるプロモーション動画 OISHII TRIP を公開し 全国各地の食材や料理の情報発信を始めました ニューヨーク歴史協会で開催された和食レセプションの様子 日本食文化の魅力を発信するプロモーション動画 OISHII TRIP また これまで我が国への関心が必ずしも高くなかった人々を含めた世界の幅広い層に対し 我が国の 正しい姿 や多様な魅力を発信しながら 親日派 知日派の裾野を拡大していくことを目的に 海外における新たな発信拠点としてジャパン ハウスの開設が進められています ジャパン ハウスは 平成 29(2017) 年 4 月にブラジルのサンパウロ 同年 12 月に米国のロサンゼルスで開設されたほか 今後 英国のロンドンでも開設が計画されています 同拠点内に設置されたレストランでは我が国の農林水産物 食品を利用した料理が提供され 日本食 食文化の魅力発信に貢献しています イ規格 認証 知的財産の活用食料の世界需要の獲得に向けては 農業者や食品産業事業者等が規格や認証等を戦略的に活用できる環境づくりが重要です ( 農業者による GAP の実施と認証取得の拡大に向け 様々な動きが進展 ) GAP( 農業生産工程管理 ) 1 とは 農業において 食品安全 環境保全 労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取組です GAPを実施している農業者は 従業員の自主性の向上 販売先の信頼確保 資材の不良在庫の削減等の経営改善効果を得たと回答しています ( 図表 1-2-9) さらに 農業者が第三者機関の審査を受けて GLOBALG.A.P. 2 やASIAGAP 3 等のGAP 認証を取得することで GAPを正しく実施していることを客観的に証明できるようになります 1~3 用語の解説 3(2) を参照 59 第1

83 第2節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 また GAP の実施と認証取得の拡大は 2020 年東京オリンピック パラリンピック 図表 競技大会への国産農畜産物の供給の観点だ けでなく 輸出の拡大や農業の人材育成等 農業競争力の強化を図る観点からも極めて 重要です このため GAPを指導すること ができる人材を平成 年度中に1 千人以上確保すること GLOBALG.A.P. 1 ASIAGAP JGAP の認証取得済みの農業 経営体数を平成 年度末までに 平成 年 4 月末時点の 3 倍以上 2 に拡大 することを目標に掲げ 団体認証 の推進等により GAP の普及の推進と認証 の効率的な取得の拡大を図っています GAP 実施による経営改善効果 70 従業員の 自主性の向上 56 販売先への信頼 営業のしやすさ 資材の不良在庫 の削減 54 生産 販売計画の 立てやすさ 46 品質 等級 規格 の向上 44 0 資料 国立研究開発法人農業 食品産業技術総合研究機構 GAP 導 入 による経営改善効果に関するアンケート結果 平成 年1月公表 を基に農林水産省で作成 注 改善した と回答した者の割合 また GAP の意義や内容の理解を深めるための農業者向け説明会が全国で開催されて いるほか 農業高等学校や農業大学校等で GAP をカリキュラムに位置付けるなど農業を 目指す若者に対する GAP 教育の動きも進んでいます 平成 年度に初開催と なった 未来につながる持続可能な農業推進コンクール では GAP 部門の農林水産大 じょうえつ し ほ うみのうこう 臣賞に新潟県 上 越市の有限会社穂海農耕が選ばれました このほか 我が国発の GAP 認証である ASIAGAP については 輸出促進にもつながる よう国際規格化が進められています 平成 年 11 月に ASIAGAP を運営す る一般財団法人日本 GAP 協会が GFSI3 に対して承認申請を行ったところであり 早期の 承認に向け 官民をあげて取組を進めています 事例 作業事故の防止を目指し GLOBALG.A.P. の団体認証を取得 滋賀県 お う み はち まん し 滋賀県近 江八 幡 市の4つの集落営農組織で構成するグリーン おうみ おい そ 近江農業協同組合の老蘇集落営農連絡協議会は 平成 年8月に米176.5haでGLOBALG.A.P.の団体認証を取得しました 各組織においては 兼業農家が交代で農作業を担う中で事故 の防止が課題となっていましたが 認証取得に併せて農作業の 岐阜県 福井県 近江八幡市 京都府 滋賀県 三重県 マニュアルや記録簿等の見直しが行われたことで作業管理レベ ルの向上につながりました また 2020 年東京オリンピック パラリンピック競技大会への食材供給を目指すことで農業者の モチベーションが高まる効果も見られ 協議会事務局の農協職 員はロットの大きさを強みに米の有利販売につなげたいと語っ ています 同協議会では 今後 麦と大豆で団体認証を取得し 地域の 認証取得時の審査の様子 ほぼ全ての農作物を GLOBALG.A.P. でカバーすることで よ り効率的な管理業務を実現するとともに 老蘇ブランドの確立を目指すとしています 1 3 用語の解説 3 2 を参照 2 平成 年 4 月末時点の GLOBALG.A.P. ASIAGAP JGAP の認証取得済みの農業経営体は 4,500 経営体 60

84 章( 畜産物で GAP 認証がスタート ) 畜産物については 一般財団法人日本 GAP 協会により GAP 認証の仕組みと体制の整 備が進められています 平成 29(2017) 年 3 月に同協会が公表したJGAP 家畜 畜産物の基準書に基づき 同年 8 月に JGAP 家畜 畜産物の認証が始まりました また JGAP 取得の準備段階として 同年 8 月 公益社団法人中央畜産会によりGAP 取得チャレンジシステムの確認が始まりました 平成 30(2018) 年 3 月末時点で JGAP 家畜 畜産物の認証取得件数は26 件 GAP 取得チャレンジシステムの確認件数は19 件 1 となっています 事例 2020 年を目指し 北海道初の JGAP 家畜 畜産物の認証を取得 ( 北海道 ) めむろちょうおおの北海道芽室町で肉用牛の肥育を行っている株式会社大野北海道おおのやすひろファームの代表大野泰裕さんは 2020 年東京オリンピック パラリンピック競技大会への自社牛肉の供給を目指し 平成 29(2017) 年 9 月に北海道で初となるJGAP 家畜 畜産物の芽室町認証を取得しました 同社では 約 4 千頭の肉用牛の飼育と 140haの畑で飼料生産が行われており ふん尿から製造された堆肥は自社の畑や地域内の農家で利用されています 認証の取得に際しては 農場運営 食品安全 家畜衛生 環境保全 労働安全 人権 福祉 アニマルウェルフェアの7 項目に掲げられた各管理点への適合が求められ 大野代表は飼料生産に使用する農薬保管庫の整備を行うことで全ての管理点が代表の大野泰裕さん求める基準に合格しました 大野代表は 今回の認証取得を牛肉の品質と付加価値の向上に役立てるとともに 就職希望者の増加に向けた職場のイメージアップにつなげたいと考えています ( 農業者と食品関連事業者で GAP の取組に関する共通認識を醸成 ) GAPの実施と認証取得の拡大に向けては 食品製造 卸売 小売 外食 中食等の食品関連事業者の理解が不可欠です しかしながら 農林水産省が食品関連事業者を対象に実施した調査では GAPの認知度について GAPを知っていた と回答した割合は 40.0% であり GAP 認証取得等農畜産物 2 を仕入れている食品関連事業者の割合は合計 16.4% であることが明らかになりました ( 図表 ) このような中 農林水産省では 平成 29(2017) 年度に農業者と食品関連事業者を集めた GAPの価値を共有するフードチェーン連携パートナー会 を3 回開催し GAPの取組に関する共通認識の醸成や情報の共有等を図り 消費者 3 も含めたフードチェーン全体で GAP の認知度の向上や価値の共有化を図っていくこととしています 1 このうち 11 件は JGAP 家畜 畜産物の認証を取得済み 2 GLOBALG.A.P. ASIAGAP JGAP を取得した農場 都道府県 GAP GAP チャレンジシステムに取り組む農場で生産された農畜産物 3 平成 29(2017) 年 2 月に消費者を対象に実施した調査では GAP を知っていた と回答した割合は 5.4% にとどまる一方 国内の食品関係企業が農畜産物の取引に当たって GAP 認証を取引の要件としたり 優先的に取引することについて 評価する と回答した割合は 56.4% であった ( 国内の 20 歳以上 69 歳以下の男女を対象に実施 有効回答数 2,000) 61 第1

85 第2節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 図表 食品産業における GAP の認知度 取引要件化等の有無 聞いたことはあるが 内容は知らなかった 知っていた 40.0 GAP の認知度 知らなかった 無回答 0.1 取引要件にして 仕入れている 取引要件ではないが 優先的に仕入れている 取引要件や優先取引要件とはしていないが 仕入れている GAP 認証取得等 2.3 農畜産物の 仕入れの有無 仕入れている 仕入れていない 40 分からない 無回答 資料 農林水産省 平成 29 年度食品産業動態調査 平成 年 3 月公表 注 有効回答があった事業者数は 1,066 内訳は 食品製造業 348 食品卸売業 363 食品小売業 284 外食業 71 HACCP の実施を含む日本発の食品安全管理規格について GFSI に承認申請 HACCP とは 食品の製造 加工工程のあらゆる段階で発生のおそれのある微生物汚染 等の危害要因を分析し 危害の防止につながる特に重要な工程を継続的に監視 記録する 衛生管理のシステムです HACCP を導入することで 問題のある食品の出荷を効果的に 未然防止できることなどが期待され 世界においても HACCP 導入義務化の動きが広がっ ています また 取引の中で HACCP を含む認証の取得を求められることも増えており 国際的に通用する認証を取得することで 海外バイヤーとの食品の取引が円滑にできる可 能性があります 国内では 高齢化の進行により食中毒のり患や重症化のリスクが高まっていくことも懸 念されており また 異物混入による食品の回収事例の告知件数も増加傾向にあります このような国内での状況と 国際標準との整合性の観点から 厚生労働省は 全ての食品 等事業者に対する HACCP に沿った衛生管理の制度化の検討を進めています 農林水産省は 制度化を見据え HACCP 導入に向けた人材育成研修や HACCP 手引 書作成に対する支援 施設整備等に対する政策融資により 中小企業における HACCP の導入を支援しています 一方 国内には地方公共団体や業界団体による様々な HACCP 認証の仕組みが存在し ていますが 必ずしも国際規格となることを意識して設けられたものではありません こ のような中 一般財団法人食品安全マネジメント協会 JFSM は 国際取引に使われる 食品安全規格である JFS-C 製造セクター とその認証の仕組みを策定し 平成 年 9 月に GFSI に対し承認申請を行いました この日本発の食品安全管理規格が 承認されることで 我が国の規格の国際的な標準化過程への参画につながることが期待さ れます 62

86 また JFSM では 一般衛生管理を中心 とした規格 JFS-A 製造セクター と 図表 JFS 製造セクター 規格の概要 これに HACCP の要求事項を全て含んだ 国際取引に 使われる 規格 JFS-B 製造セクター の策定も 行っています 図表 ためにも 日本発の食品安全管理規格の充 一般衛生 管理 第1 章 A規格 実と普及等が重要となっています 段階 HACCP の 実施を含む B規格 安全に要するコストの最適化を図っていく C規格 中小事業者の食品安全の取組向上や食品 要求事項の種類 資料 農林水産省作成 コラム 我が国で初の開催となった GFSI 世界食品安全会議 2018 GFSI 世界食品安全会議は 平成 年以降 欧 米を中心に 世界の食品関係企業の食品安全に係る知見の向 上とネットワークの構築等を目的に毎年開催されてきました 17 回目となった平成 年 3 月の 世界食品安全会 議 2018 は 我が国で初の開催となり 開催地の東京に世 界 52 か国から関係事業者 専門家 政府関係者ら約 1,200 人が集まりました 同会議では 官民が連携して食品安全に取り組むことの必 会議における農林水産大臣の スピーチの様子 要性 ビッグデータ の活用や新たなテクノロジーを活用し たサプライチェーン全体での透明性の向上 事業者における食品安全文化の形成の重要性等が 議論されました 同会議において我が国は 我が国の食文化と食品安全について紹介するとともに 食品安全 管理の標準化や認証の活用 人材育成を推進することで 世界の食品安全の向上に貢献してい くとのメッセージを発しました 我が国で同会議が開催されたことにより 我が国の食品関係事業者が世界の食品安全に関す る議論を知るまたとない機会となりました 用語の解説 3 1 を参照 63

87 第 2 節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 (JAS 法の改正を受けて 切り花の日持ち生産管理等 3 つの新規格を制定 ) 従来のJAS 制度は 国が設けた食品 農林水産品の品質に関する規格 (JAS 規格 ) により第三者機関が認証を行うことで 一定の品質を保証する公的枠組みとして 粗悪品を排除し市場に出回る商品の品質の改善に寄与してきました しかし 近年 商品の品質が総じて高まる中 品質以外の価値が商品選択において重視されるようになっています また 食品 農林水産品の海外展開が課題となる中 食文化や商慣行が異なる海外市場において その産品になじみのない取引相手に 日本産品の品質や特色 事業者の技術や取組等を訴求する際に 規格 認証の活用が重要かつ有効となっています 平成 29(2017) 年 6 月に施行された改正後の JAS 法 1 では これまで品質基準に限定されてきた JAS 規格の対象を 産品の生産方法や試験方法 事業者の取扱方法まで拡大するとともに 事業者 団体 産地等の提案を受けて新たな規格を制定する枠組みが整備されました ( 図表 ) この法改正により 我が国特有の 強み がJAS 規格として見える化され 海外との取引で活用されることにより バイヤーへのアピールに役立つことが期待されます 改正後のJAS 制度においては 平成 29(2017) 年 8 月にJAS 規格の制定に至るまでの手順をまとめた JAS 規格原案作成マニュアル が公表されるとともに 同年 8 月以降 全国各地の説明会で制度の周知が図られました 新たな JAS 規格については 2020 年までに20 規格以上の制定を目指しており 平成 30(2018) 年 3 月には 切り花における日持ち生産管理 べにふうき茶とうんしゅうみかんにおける機能性成分の定量試験方法の規格が新たに制定されました JAS 規格の国際化に向けては 国内外の企業や海外に進出している日系企業等に対する JAS 規格活用に向けた支援 アジア各国との協力関係の構築に向けた働き掛け 研修会等を通じた専門人材の育成を進めるとともに 新たな JAS 規格の検討作業においてコーデックス規格や ISO 2 規格の考え方を積極的に取り込んでいくこととしています 1 正式名称は 日本農林規格等に関する法律 2 国際標準化機構 International Organization for Standardization の略 64

88 図表 JAS 規格等制定の流れ 規格化の事前相談 農林水産省及び独立行政法人農林水産消費安全技術センター FAMIC に窓口 プロジェクトチームの編成 官民連携 基本方針の設定 共有 目標の設定 検討の進め方 国際化の枠組 方法 合意形成 ロビイングの方法等を含む など 同内容 若しくは必要 に応じて改変 技術的データの収集 規格基準値の作成 関係者間の調整 など 第1 章 JAS 規格原案作成 英文規格作成 国際化対応 事業者の協力 参画の取付け 普及を見据えたアジア諸国のコミッ ト確保 ロビイング など 国際規格提案 JAS 原案の申出 国際化対応がない 場合もあり得る JAS 規格案 国際会議出席 通商弘報 60 日間 パブコメ 30 日間 JAS 調査会 国際規格制定 JAS 規格制定 告示 制度の拡充を受けて新たに制定された JAS 規格 規格 活用における利点 規格認証品は 日持ち性に優れた切り花として内外に広 く訴求が可能に 1 日持ち生産管理切り花の日本農林規格 2 べにふうき緑茶中のメチル化カテキンの定量 高速液体 クロマトグラフ法の日本農林規格 3 ウンシュウミカン中のβ クリプトキサンチンの定量 高速液体クロマトグラフ法の日本農林規格 日本産品の優位性の客観的な説明 証明が可能に データを活用した特長の説明 証明に当たり 試験方法 を個々に開発する必要がなくなり 事業者の負担軽減が 期待 資料 農林水産省作成 注 平成 年度末時点 地理的表示の登録は 34 道府県に拡大 地理的表示 GI1 保護制度とは 地域ならではの特徴的な産品を知的財産として保護 する仕組みであり 同制度を活用した産地では 販売先の拡大や担い手の増加等の効果が え ど さき つらじま や め でんとうほんぎょく ろ 現れています 江戸崎かぼちゃ 連島ごぼう や 八女伝統本 玉 露 は価格の上昇 いち だ がき くろさき茶豆 は首都圏の加工業者からの引き合い増加 市田柿 は台湾 香港 タイ 等への輸出の本格化等の販売面での効果が見られました 鳥取砂丘らっきょう や あ 1 Geographical Indication の略 65

89 第 2 節 グローバルマーケットの戦略的な開拓 おもりカシス では担い手が増加するといった効果が見られました 地理的表示については 2020 年までに各都道府県 1 産品以上の登録を目指しており 平成 29(2017) 年度末時点で 34 道府県で58 産品の登録が行われています ( 図表 ) このほか 平成 29(2017) 年 9 月には 初の外国産品となるイタリアの プロシュットディパルマ の登録が行われています 平成 29(2017) 年 7 月には 地理的表示の産品であることを示すGIマークの積極的な使用を進める 広告 インターネット販売 外食業等におけるGIマークの使用に関するガイドライン が策定され 今後 GIマークの掲示機会が増えることを通じてブランド化を進めやすくなるなど様々な効果の発現につながることが期待されます 地理的表示に登録された産品は 共通の知的財産保護の枠組みを持つ国 地域と協定等を結ぶことで模倣品を排除できるようになります 平成 28(2016) 年度にタイで発見された模倣品の 夕張日本メロン については タイの生産者に警告状を送付することで 名称の使用を停止させることができました 平成 29(2017) 年には タイ及びベトナムとGIの相互保護に向け協力を行うことに合意しました また EUとの間では EPA 協定の発効に合わせて 日本側 48 産品 EU 側 71 産品の保護が開始される予定となっています 図表 地理的表示として登録された産品 ( 平成 29(2017) 年度末時点 ) 共イ和タ プロシュット ディ パルマ 国リ ア しちとういおもて 大分 くにさき七島藺表 おおいた 大分かぼす 福 や め でんとうほんぎょくろ 岡 八女伝統本玉露 けんさん ぐさ 熊 くまもと県産い草 本 けんさん ぐさたたみおもて くまもと県産い草畳表 宮 みやざきぎゅう 崎 宮崎牛 鹿 かごしま つぼづく くろず 児 鹿児島の壺造り黒酢 島 さくらじまこ 桜島小みかん へつか 辺塚だいだい か ごしまくろうし 鹿児島黒牛 沖 りゅうきゅう す 縄 琉球もろみ酢 資料 : 農林水産省作成 よしかわ 福井 吉川ナス や た べ 谷田部ねぎ やまうち 山内かぶら かみしょう 上庄さといも わかさ おばま こだい づけ 若狭小浜小鯛ささ漬 和 きしゅうきんざんじ みそ 歌 紀州金山寺味噌 山 たじまぎゅう 兵庫 但馬牛 こうべ 神戸ビーフ しものせき 山口 下関ふく みとう 美東ごぼう きとう 徳島 木頭ゆず 滋 おうみぎゅう 賀 近江牛 岡 つらじま 山 連島ごぼう い よ い と 愛媛 伊予生糸 香 かがわおばらべに わ せ 川 香川小原紅早生みかん 鳥 とっとりさきゅう 取 鳥取砂丘らっきょう 富 にゅうぜん すいか 山 入善ジャンボ西瓜 か が まる 石川 加賀丸いも のと しか がき 能登志賀ころ柿 ちゃまめ 新潟 くろさき茶豆 京 まんがんじあま 都 万願寺甘とう 奈 み わ そうめん 良 三輪素麺 岐阜 宮城 どうじょうはちやがき 堂上蜂屋柿 とくさんまつさかうし 三重 特産松阪牛 にしお まっちゃ 愛知 西尾の抹茶 はっちょうみ そ 八丁味噌 みやぎサーモン おく ひ だ やまのむらかんぼ だいこん 奥飛騨山之村寒干し大根 静岡 ゆうばり 北海 夕張メロン 道 とかち かわにしなが 十勝川西長いも 青森 栃 にっさと 木 新里ねぎ いちだがき 長野 市田柿 すんき あおもりカシス じゅうさんこさんやまと 十三湖産大和しじみ お がわら こさんやまと 小川原湖産大和しじみ おおだて 秋田 大館とんぶり の ひばり野オクラ まえさわぎゅう 岩手 前沢牛 いわて のだむら あらうみ 岩手野田村荒海ホタテ よねざわぎゅう 山形 米沢牛 ひがしね 東根さくらんぼ みしまばれいしょ 三島馬鈴薯 たご うら 田子の浦しらす 茨 えどさき 城 江戸崎かぼちゃ いいぬまくり 飯沼栗 み と やわらか 水戸の柔甘ねぎ ( 海外における植物品種保護を進めることが必要 ) 我が国で開発された優良な植物品種は海外で高く評価されていますが これらが海外で正当な対価を支払われることなく栽培されれば 農産物の輸出拡大に支障を来すことが懸念されます 植物の新品種の保護に関する国際条約 ( 以下 UPOV 条約 という ) では 品種の登録出願期限が国内における販売開始後 4 年 ( 果樹等木本性は6 年 ) とされて 66

90 章おり この間に出願できなければ品種登録が受けられず 海外に持ち出された際の差止めができません このため 海外において品種登録するとともに 侵害された場合には 栽培差し止め等の適切な侵害対応を行っていくことが必要です このため 平成 28(2016) 年度から 育成者が速やかに出願手続に着手できるよう 海外出願マニュアルの配布や海外出願に関する相談窓口の設置 出願経費の支援等を行っています また 我が国と密接な関係にあるアジアの多くの国がUPOV 条約に未加盟となっており これらの国で我が国の品種が適切に保護されない状況が続いています 平成 20 (2008) 年から 我が国のイニシアティブの下 ASEAN 1 10か国と日中韓の計 13か国が参加して開催されている 東アジア植物品種保護フォーラム では 技術協力に関する情報交換や政策決定者への意識啓発等が継続的に行われてきました この結果 平成 29 (2017) 年 10 月には UPOV 理事会において ブルネイ ミャンマー両国の植物品種保護に関する法律案が UPOV 条約に適合すると認められました 今後 国内手続が進めば アジア地域で平成 18(2006) 年のベトナム以来の加盟国となり アジアにおける植物品種保護制度の強化に向けた機運の高まりにつながることが期待されます 1 用語の解説 3(2) を参照 67 第1

91 第 3 節 世界の食料需給と食料安全保障の確立 第 3 節 世界の食料需給と食料安全保障の確立 世界の食料需給は 人口の増加や経済発展に伴う畜産物等の需要増加が進む一方 気候変動による農作物の生産可能地域の変化等が食料生産に影響を及ぼす可能性があり 中長ひっぱく期的に逼迫も懸念されます 以下では 世界の食料の需給動向と見通し 総合的な食料安全保障 1 の確立に向けた取組 農産物貿易交渉の状況について記述します (1) 世界の食料需給の動向 (2017/18 年度の穀物需給は 消費量が生産量を上回る見通し ) 2017/18 年度における世界の穀物と大豆の需給動向を見ると 小麦の生産量は 米国で収穫面積が減少し 豪州で乾燥等の影響から単収が減少するものの ロシアで作柄が極めて良好となり 史上最高となることから 前年度に比べ1.1% の増加 消費量は ロシア等で増加し 同 0.4% の増加となる見込みです ( 図表 1-3-1) とうもろこしの生産量は 米国と中国で収穫面積が減少し アルゼンチンで長引く高温乾燥等の影響から単収が減少し 同 3.1% の減少 消費量は 中国 米国等で増加し 同 1.5% の増加となる見込みです 米の生産量は 米国で洪水等により収穫面積が減少するものの タイ ベトナム等で収穫面積 単収ともに増加することからほぼ前年度並み 消費量は タイ 米国等で減少し 同 0.2% の減少となる見込みです 大豆の生産量は 米国で史上最高の収穫面積を記録し増加するものの アルゼンチンで乾燥等の影響により 単収が減少することから 同 3.0% の減少 消費量は 中国 ブラジル等で増加し 同 4.2% の増加で史上最高となる見込みです 図表 世界全体の穀物等の生産量 消費量 期末在庫量等 (2017/18 年度 ) 品目 ( 単位 : 百万 t) 生産量 消費量 期末在庫量 期末在庫率 (%) 対前年度増減率 (%) 対前年度増減率 (%) 対前年度増減率 (%) 対前年度増減差 ( ポイント ) 小麦 とうもろこし 1, , 米 大豆 資料 : 米国農務省 World Agricultural Supply and Demand Estimates を基に農林水産省で作成 ( 平成 30(2018) 年 3 月時点 ) これらの結果 2017/18 年度における世界の穀物の需給は 消費量が生産量を上回り 期末在庫率は前年度に比べ 0.7 ポイント減少の 24.7% となる見込みです ( 図表 1-3-2) 1 用語の解説 3(1) を参照 68

92 図表 世界全体の穀物の生産量 消費量 期末在庫率 億t 消費量 生産量 消費量 期末在庫率 右目盛 24.7 生産量 / / /16 20 第1 章 / /18 資料 米国農務省 PS&D World Agricultural Supply and Demand Estimates を基に農林水産省で作成 平成 年3月時 点 注 1 穀物は 小麦 粗粒穀物 とうもろこし 大麦等 米 精米 の合計 2 期末在庫率 期末在庫量 消費量 100 穀物と大豆の国際価格は 平成 年から平成 年にかけて過去最 高を記録しましたが その後 生産量が増加したことにより低下傾向で推移し 落ち着き を見せています 図表 図表 穀物等の国際価格 ドル /t 1,000 米 小麦 大豆 とうもろこし ドル /t 過去最高価格 ドル /t 平成 年8月 21 日 とうもろこし 平成 12 年 小麦 ドル /t 過去最高価格 ドル /t 平成 年2月 27 日 米 440 ドル /t 過去最高価格 1,038 ドル /t 平成 年5月 21 日 大豆 ドル /t 過去最高価格 ドル /t 平成 年9月4日 資料 シカゴ商品取引所 タイ国家貿易取引委員会 注 1 小麦 とうもろこし 大豆の価格は 各月ともシカゴ商品取引所の第1金曜日の期近価格 2 米の価格は タイ国家貿易取引委員会公表による各月第1水曜日のタイうるち精米 100 2等の FOB 価格 FOB は Free On Board の略 国際的売買契約の約款の1つで 売主は船積港で指定の船舶に物品を積み込むまでの一切の責任と費用を持つ 3 平成 年 3 月 2 日時点 単収の伸びの鈍化 不安定要素の存在から 中長期的に穀物需給の逼迫も懸念 世界人口が増加し 1 人当たりの年間肉類消費量も増加する中で 穀物の食用 飼料用 バイオエタノール原料用の需要は増加していく見通しです 図表 一方 生産面を見ると これまで増産を支えてきた単収は近年伸びが鈍化しており 今 後 遺伝子組換え作物の導入や開発途上国における生産技術の普及等による伸びの余地は 期待されるものの 農作物の生産可能地域の変化等をもたらす気候変動 水資源の制約 ひっ ぱく 土壌の劣化等の不安定要素も存在し 中長期的に穀物需給の逼 迫 も懸念されます 図表

93 第3節 世界の食料需給と食料安全保障の確立 図表 世界全体の穀物需要と 1 人当たり年間肉類消費量 億t 35 1人当たり年間肉類消費量 右目盛 年 食用等 10 5 飼料用 kg/人 年 バイオ エタノール 原料用 資料 農林水産政策研究所 2027年における世界の食料需給見通し 図表 穀物の収穫面積等 a/人 1人当たりの収穫面積 右目盛 生産量 単収 収穫面積 0 0 t/ha 単収 単収伸び率 年率 年代 資料 米国農務省 PS&D 国連 World Population Prospects : The 2017 Revision を基に農林水産省で作成 平成 年3 月時点 注 1 穀物は 小麦 粗粒穀物 とうもろこし 大麦等 米 精米 の合計 2 1人当たりの収穫面積以外は昭和 年度を 100 とする指数 2 総合的な食料安全保障の確立 不測の事態に備えたリスクの分析 評価 国民に対する食料の安定的な供給は 世界の食料需給等に不安定要素が存在しているこ とを考慮し 国内の農業生産の増大を図ることを基本とし これと輸入 備蓄を適切に組 み合わせることにより確保することが必要です 世界の人口増加等による食料需要の増大 や異常気象による生産減少等 我が国の食料の安定的な供給に影響を及ぼす可能性のある リスクが顕在化しつつあり 自然災害や輸送障害等の一時的 短期的に発生するリスクも 存在しています このため 農林水産省では 不測の事態に備えて 食料の安定的な供給に関するリスク の影響等を定期的に分析 評価しており 必要に応じ その影響を軽減するための対応策 の検討等を行うこととしています 図表 平成 年度は いずれのリス クも現状において食料の安定的な供給に影響を及ぼす可能性はないと評価しました ま た 国内における不作や輸入の大幅な減少等 食料の安定的な供給に影響を及ぼす不測の 事態が生じた場合には 緊急事態食料安全保障指針 に基づき対策を講ずることとして います 70

94 図表 影響の分析 評価の対象としているリスク一覧 海外におけるリスク 一時的 短期的に発生するリスク 生産面 ① 大規模自然災害や異常気象 ② 家畜 水産動物の伝染性疾病や植物病害虫 ③ 食品の安全に関する事件 事故 流通面 港湾等での輸送障害 輸出国の政情不安 テロ 輸出国における輸出規制 為替変動 石油等の燃料の供給不足 既に顕在化しつつあるリスク 生産面 ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑭ 地球温暖化等の気候変動 肥料 養殖用飼料 需給の逼迫 遺伝資源の入手困難 水需給の逼迫 ⑬ 単収の伸び率の鈍化 水産資源の変動 需要面 一時的 短期的に発生するリスク 生産面 ① 大規模自然災害や異常気象 ② 家畜 水産動物の伝染性疾病や植物病害虫 ③ 食品の安全に関する事件 事故 流通面 ④ 食品等のサプライチェーンの寸断 既に顕在化しつつあるリスク ⑮ 人口増加に伴う食料需要増加 ⑯ バイオ燃料向け需要の増加 ⑰ 新興国との輸入の競合 生産面 第1 章 ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 国内におけるリスク ⑤ 地球温暖化等の気候変動 資料 農林水産省作成 輸入農産物の安定的な確保に向け 相手国との良好な関係の構築 維持等が重要 平成 年における我が国の農産物輸入額は 6 兆 4,259 億円となっており 主要 農産物で見ると良好な関係にある国からの輸入が大きいことがわかります 図表 図表 我が国の主要農産物の国別輸入額割合 平成 年 農産物全体 米国 22.7 その他 41.6 輸入額 6兆 4,259 億円 中国 11.3 豪州 イタリア 7.1 タイ 4.4 カナダ 小麦 大豆 米国 輸入額 1,715 億円 50.4 ブラジル 輸入額 ,735 億円 カナダ 30.7 ニュージー ランド 3.2 とうもろこし その他 1.7 カナダ 13.0 その他 1.4 豪州 17.5 その他 3.4 南アフリカ 3.3 ブラジル 14.1 米国 71.6 米国 79.1 その他 牛肉 カナダ 2.3 輸入額 米国 ,505 億円 豪州 49.8 豚肉 メキシコ 1.4 その他 0.4 その他 米国 メキシコ 9.3 輸入額 4,910 億円 スペイン 11.6 カナダ デンマーク 飼料用 輸入額 3,458 億円 米国 3.1 タイ 28.2 鶏肉 その他 0.9 輸入額 1,509 億円 ブラジル 67.8 資料 財務省 貿易統計 を基に農林水産省で作成 71

95 第3節 世界の食料需給と食料安全保障の確立 小麦について世界の主要輸出国とその輸 出先上位を見ると EUからは主にアフリカ 図表 単位 万トン に 米国とカナダからはアジアや中南米に 輸出量 ロシアからはエジプトと西アジアに 豪州か らはアジアに それぞれ輸出が行われていま す 図表1-3-8 インドと中国における小麦 の増産 小麦の貿易量の拡大等により 輸 小麦の主要輸出国の輸出量と主な輸 出先割合 世界全体 主な輸出先割合 年 3か年合計 年 3か年合計 39,018 49,680 EU 3, , アルジェリア エジプト モロッコ サウジアラビア イラン 日本 メキシコ フィリピン ナイジェリア ブラジル 米国 日本 インドネシア イタリア ペルー 米国 8,056 6,843 日本 ナイジェリア メキシコ エジプト フィリピン カナダ 4,631 6,535 米国 中国 日本 インドネシア メキシコ 6,616 エジプト アゼルバイジャン インド バングラディシュ ジョージア 5,002 インドネシア 日本 中国 マレーシア ベトナム は 輸出国と輸入国の間における地勢 政 治 経済等の様々な関係が影響することから 特別な事情がある場合を除き 短期間で大 きく変わることはまれと考えられます このため 国内において農業生産の増大 ロシア 2,468 を目指すとともに 海外においては輸入相 手として期待される国との良好な関係の構 築 維持を図り 日系企業の投資の促進や 食料輸送インフラの整備等の取組を着実に 進めていくことも重要です 豪州 6,947 アルジェリア エジプト モロッコ チュニジア インド 出先に多少の変動はあるものの この10 年 間で大きな変化は見られません 貿易の相手 エジプト 8.1 トルコ 7.0 イラン 6.5 アゼルバイジャン 6.2 ナイジェリア インドネシア ベトナム 中国 韓国 マレーシア 資料 米国農務省 GATS を基に農林水産省で作成 注 平成 年 10 月時点 家庭では 非常時に備え 食料や飲料水の備蓄が自身の身を守る上で有効 国と地方公共団体では 国民に対する食 料の供給を確保するため備蓄を行っていま す 国の備蓄は 国内生産量の減少や輸入 途絶等による供給不足等に備え 主食であ る米と小麦 家畜の飼料を対象に 地方公 共団体の備蓄は 大規模な自然災害等に備 え 飲料水や食料を対象に行われています 1 また 家庭では 大規模な自然災害の発 図表 農林水産省のリーフレットで紹介さ れている家庭での備蓄例 家庭での備蓄例 1週間分 大人2人の場合 必需品 水 42ℓ カセットコンロ カセットボンベ 1人1日おおよそ3L程度 飲料水 調理用水 12 本 1人1週間おおよそ6本程度 主食 エネルギー及び炭水化物の確保 米 あわせて 42 食分 乾麺 うどん パスタ 1食ひとり100g程度 1食ひとり75g程度 生や新型インフルエンザ等の流行性疾患の まん延に備え 当面必要となる食料や飲料 水を用意しておくことが自身の身を守る上 で有効な手段となります その際 保存性 の高い食品を普段使いとして食生活に取り 食パン 主菜 タンパク質の確保 林水産省では 家庭での備蓄の普及に向け て 全国各地の防災イベント等において リーフレットの配布やパネルの展示等を 行っています 図表 レトルトご飯 カレー 牛丼 パスタソース等 缶詰 肉 魚 豆腐 充填 かつお節 副菜 その他 適宜 野菜 山菜 海草類等 梅干し のり等 汁物 インスタント味噌汁等 資料 農林水産省作成 1 地方公共団体による備蓄は 都道府県 市町村 行政と災害時応援協定を締結した民間事業者等が実施 72 シリアル あわせて 42 食分 レトルト食品 入れて一定量買い置くことで 無理なく家 庭での備蓄に取り組むことができます 農 カップ麺類 ロングライフ牛乳 食べる量や嗜好 高齢 者 乳幼児 アレルギー の方など ご家庭の状況 にあわせて準備を

96 緊急の事態に備え 食品産業事業者による事業継続計画 BCP の策定等が必要 大規模な自然災害の発生や流行性疾患の まん延等の緊急事態においては 食料が安 定的に供給されるよう 食品産業事業者に よる事業の継続や中断した場合の早期復旧 が重要となります これを実現するための 図表 食品産業事業者と物流事業者のBCP 策定状況 平成 年度 化が求められています 50 1 計画 BCP の策定や事業者間の連携強 農林水産省が実施したアンケート調査に よれば 食品産業事業者では 7 割が 物流 事業者では 9 割が BCP を策定済み 策定 予定となっています 図表 事業継続計画を策定する 予定がある 11.9 他の災害を対象とした 事業継続計画は 策定済みである 震災を対象とした 事業継続計画を 策定済みである 食品産業 事業者 物流 事業者 事業継続計画を 策定しておらず 今後も策定する予定はない 第1 章 備えとして 食品産業事業者には事業継続 無回答 資料 農林水産省調べ 注 首都直下地震及び南海トラフ地震の被災想定地域 32 都府県 の食品製造業 食品卸売業 食品小売業 物流業を対象とした 調査 回答総数 412 社 平成 年3月公表 我が国の食料安全保障の確立に貢献する 開発途上国等への支援 世界的な人口増加による食料需要の増加や気候変 動による生産減少等は 我が国の食料安全保障にも 影響を及ぼす可能性があります これまで減少してきた世界の栄養不足人口は 平 成 年にはアジアやアフリカ等の開発途 上国を中心に増加に転じ 世界人口の 11 を占める 8 億 1,500 万人 2 となりました このような中 農林水産省では 独立行政法人国 際協力機構 JICA を通じ 技術協力や資金協力と いった二国間援助に積極的に協力するとともに フー ドバリューチェーン 3 の構築 飢餓 貧困対策への貢 献 気候変動や越境性感染症等の地球的規模の課題 ウガンダでの農業指導の様子 しの だ ゆう じ 資料 独立行政法人国際協力機構 篠田有史氏撮影 への対応を重点分野として 国連食糧農業機関 FAO を始めとした国際機関への拠出 等を通じ アフリカ等の開発途上国において水稲栽培の技術体系の実証 普及 アジアに おいて口蹄疫や鳥インフルエンザ等の越境性感染症対策等を支援しています 3 農産物の貿易交渉 WTO の進展が見られない中 EPA/FTA の締結が世界的に増加 世界共通の貿易ルールづくり等が行われる WTO4 では これまで数次にわたる貿易自 由化交渉が行われてきました 平成 年に開始されたドーハ ラウンド交渉は 平成 年 12 月にアルゼンチンのブエノスアイレスで閣僚会議が開催されたも 1 4 用語の解説 3 2 を参照 2 国連食糧農業機関 FAO 国際農業開発基金 IFAD 国連世界食糧計画 WFP 国連児童基金 UNICEF 世界保健 機関 WHO 世界の食料安全保障と栄養の現状 用語の解説 3 1 を参照 73

97 第3節 世界の食料需給と食料安全保障の確立 のの 開発途上国と先進国の溝は埋まら ず 農業については 今後の交渉の進め方 図表 世界の発効済みの EPA/FTA 件数 累積 件 300 についても合意は得られませんでした このように WTO における世界全体の 250 貿易交渉等が進展しない中 特定の国 地 EPA/FTA の締結が世界的に増加してい の間で 16 の EPA/FTA を締結しています ほかの EPA/FTA については 平成 ます 図表 我が国では 平成 域同士で貿易等のルールを取り決める 2017 年度末時点で 20 の国 地域と 年 資料 独立行政法人日本貿易振興機構 JETRO ジェトロ世界貿易 投資報告 2017 年版 を基に農林水産省で作成 注 平成 年6月末時点 2017 年 12 月には日 EU EPA が交渉妥結 平成 年 3 月には TPP11 が署 名に至ったほか 日コロンビア EPA 日中韓 FTA RCEP 東アジア地域包括的経済連 携 日トルコ EPA は交渉継続中 日 GCC 湾岸協力理事会 FTA 日韓 EPA 日カナ ダ EPA は交渉延期 中断となっています 図表 図表 我が国における EPA/FTA 交渉の状況 EU TPP モンゴル トルコ GCC カナダ 日中韓 スイス 韓国 中国 タイ ラオス フィリピン カンボジア インドネシア ASEAN 全体 RCEP 署名済 交渉妥結 交渉中 メキシコ ブルネイ シンガポール 豪州 コロンビア ペルー チリ NZ TPP 署名国 シンガポール NZ チリ ブルネイ 米国 豪州 ペルー ベトナム マレーシ ア カナダ メキシコ 日本 RCEP RCEP 東アジア地域包括的経済連携 ASEAN10か国にEPA/FTAを有する日中韓印豪NZ6か国が交渉に参加する広域経済連携 ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シン ガポール タイ ベトナムの 10 か国 湾岸協力理事会 加盟国 バーレーン クウェート オマーン カタール サウジアラビア アラブ首長国連邦 ASEAN 資料 農林水産省作成 平成 年度末時点 74 ベトナム マレーシア TPP GCC 1 用語の解説 3 2 を参照 米国 インド ミャンマー 発効済 日本

98 章(TPP は 米国を除く 11か国による協定として署名 ) 環太平洋パートナーシップ ( 以下 TPP 1 という ) は 平成 28(2016) 年 2 月に参加 12か国が協定への署名を行い 我が国は平成 29(2017) 年 1 月に国内手続の完了を寄託国であるニュージーランドに通報し TPP 協定を締結しました その後 平成 29(2017) 年 1 月の米国によるTPPの離脱表明を受け 米国を除く11 か国で TPP の早期発効に向けた議論が進められました そして 同年 11 月には ベトナムのダナンで開催されたTPP 閣僚会合において 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定 (TPP11 協定 ) の大筋合意が確認され 平成 30(2018) 年 1 月に東京で開催された首席交渉官会合で協定文が最終的に確定しました 平成 30(2018) 年 3 月には チリのサンティアゴにおいて参加 11か国による協定への署名が行われました 今後 我が国を含め参加 11か国で国内手続が進められることになり このうち6か国で国内手続が完了した旨を寄託者に通報した日の60 日後に協定は発効することとなっています TPP11は TPPのハイスタンダードを維持する観点から 物品市場アクセスに関するものを含め 各規定の修正は行わないこととしています 1 Trans-Pacific Partnership の略 75 第1

99 第4節 食料消費の動向と食育の推進 第 4節 食料消費の動向と食育の推進 高齢者世帯や共働き世帯の増加が見込まれる中 食料消費の内容 食料の購入先等に変 化が見られるようになっています また 国産農林水産物の消費拡大や 和食 の保護 継承に向けた様々な活動も展開されています 以下では 食料消費の動向 食育の推進と 国産農林水産物の消費拡大 和食 の保護 継承について記述します 1 食料消費の動向 ア 食料消費支出の動向 食料消費支出が減少し 調理食品の利用割合が高まる 平成 年における二人以上の世帯の 1 人当たり食料消費支出額は 世帯主の 年齢が高いほど多く 29 歳以下の世帯の 16,037 円 / 月に対し 70 歳代以上の世帯では 27,928 円 / 月となっています 図表 また 食料消費支出額に占める生鮮食品の 割合は世帯主の年齢が高いほど高いのに対し 外食の割合は若い世代で高くなっていま す 平成 年の食料消費支出額は 平成 年と比べると 全ての世 代で減少しており このうち 生鮮食品の支出額についても 全ての世代で減少していま す 食料消費支出額が減少する中 その内訳は平成 年から変化しています 調 理食品の占める割合は 平成 年から全ての世代で上昇しています 図表 外食の占める割合は 年齢により傾向が異なっており 29 歳以下は低下 50 歳代は 上昇しています 家庭で調理する機会が減少し 生鮮食品の消費が減少する中 調理食品の利用が増加す る傾向にあります 図表 世帯主の年齢別 費目別の 1 人当たり食料消費支出 円/月 30,000 25,000 20,000 15,000 27,811 その他 生鮮食品 16,037 23,672 外食 調理食品 27,928 20,460 17,167 10,000 5, 平成 年 歳以下 30 歳代 40 歳代 50 歳代 60 歳代 70 歳代以上 資料 総務省 家計調査 全国 二人以上の世帯 用途分類 注 1 生鮮食品は 米 生鮮魚介 生鮮肉 牛乳 卵 生鮮野菜 生鮮果物の合計 2 消費者物価指数 食料 平成 年基準 を用いて物価の上昇 下落の影響を取り除いた数値 76

100 図表 食料消費支出に占める調理食品 外食の割合 外食 調理食品 第1 章 平成 年 歳以下 30 歳代 40 歳代 50 歳代 60 歳代 70 歳代以上 資料 総務省 家計調査 全国 二人以上の世帯 用途分類 コラム 家計調査で見る米消費の動向 総務省の 家計調査 で 1 人当たり年間消費支出を見ると 米は平成 年の 13,177 円から平成 年の 7,760 円へと 4 割減少しています 一方 この間に 弁 当は 2 割増加 おにぎり その他は 4 割増加しています このように 米消費は 精米等を購入し自宅で炊飯して食べる形が減り 弁当 おにぎり等 の調理食品として食べる形が増えています 食生活の多様化 高齢者世帯や共働き世帯の増加 等が進む中で 米消費の自宅での炊飯から調理食品へのシフトは今後も進むと見込まれていま す かつておにぎりは 家でにぎって外で食べる携行食という性格の食べ物でしたが 今日 コ ンビニエンスストアの主力商品の一つとなり 店頭で製造 販売する専門店も出現する中 私 たちの生活に欠かせない調理食品になっています 円/年 5,000 3,916 4,000 3,000 すし 弁当 おにぎり等への 1 人当たり年間消費支出 弁当 4,230 3,790 おにぎり その他 2,000 1, ,709 1,401 1,016 円/年 14,000 13,177 米 12,000 10,000 7,760 8,000 6,000 平成 12 年 資料 総務省 家計調査 全国 二人以上の世帯 品目分類 注 1 おにぎり その他 のその他は 弁当 すしに分類されない単品の米飯 2 消費者物価指数 食料 平成 年基準 を用いて物価の上昇 下落の影響を取り除いた数値 77

101 第4節 食料消費の動向と食育の推進 週 1 回以上調理食品を利用している割合は 30 歳代から 50 歳代で 5 割 平成 年における外食の利用頻度を年代別に見ると 週 1 回以上利用してい る割合は いずれの世代においても男性が女性に比べて高く 20 歳代から 30 歳代の男性 では 5 割以上となっています 図表 一方 60 歳代では 男性 3 割 女性 2 割 70 歳以上では 男性 2 割 女性 1 割となり 50 歳代以下に比べて低い割合となっていま す 持ち帰りの弁当や総菜の利用頻度については 週 1 回以上利用している割合は 男女と もに 30 歳代から 50 歳代で 5 割 60 歳代で 4 割 70 歳以上で 3 割となっています 高 齢者を含め 日常的に調理食品を利用する消費者が一定割合存在することがうかがえま す 図表 外食 持ち帰りの弁当や総菜を利用している頻度 平成 年 外食 100 持ち帰りの弁当や総菜 週4 6回 全く利用しない 週2 3回 週1回未満 週1回 毎日2回以上 毎日1回 100 女性 20 歳代 30 歳代 40 歳代 50 歳代 60 歳代 男性 女性 男性 女性 男性 女性 男性 女性 男性 女性 70 歳 以上 毎日1回 男性 女性 20 歳代 30 歳代 40 歳代 50 歳代 60 歳代 男性 女性 0 男性 0 女性 20 男性 20 女性 40 男性 40 女性 60 男性 60 女性 80 男性 80 週4 6回 全く利用しない 週2 3回 週1回 週1回未満 毎日2回以上 70 歳 以上 資料 厚生労働省 平成 年国民健康 栄養調査 調理食品や外食の利用の高まりにより 野菜と果実の摂取量は減少の懸念 平成 年において 外食を利用している頻度別に 生鮮食品の摂取量を見る と 外食を利用している頻度が高いほど 穀類と肉類の摂取量が多い一方 野菜類 果実 類 魚介類は少ない傾向にあります 図表 毎日外食をしている人は 週 1 回未満 の人に比較して 穀類では 87g/ 日 21 多く 野菜類で 53g/ 日 18 果実類で 46g/ 日 39 少なくなっています また 持ち帰り弁当や総菜についても同様の傾向 が見られ 高齢者世帯における調理食品の利用や共働き世帯における調理食品 外食の利 用が増えることで 野菜や果物の消費量が減少することが考えられます 78

102 図表 外食 持ち帰り弁当や総菜を利用している頻度別の生鮮食品の摂取量 平成 年 外食 持ち帰りの弁当や総菜 g/日 350 g/日 600 g/日 毎日1回 週2 3回 毎日1回 週2 3回 週1回未満 穀類 魚介類 肉類 果実類 野菜類 穀類 0 魚介類 0 肉類 0 果実類 50 野菜類 第1 章 週1回未満 g/日 500 資料 厚生労働省 平成 年国民健康 栄養調査 外食産業や中食産業において 国産原料をうたった消費者への訴求の強化へ期待 我が国の飲食料の最終消費額は 平成 年をピークに減少し 平成 年には 76 兆 3 千億円 1 となっています 一方 一般社団法人日本フードサービス協会の推 計によれば 外食産業では市場規模が平成 年をピークに減少していましたが 近年は増加傾向で推移しており 中食産業では年々増加傾向で推移しています このよう に 外食産業や中食産業は 国産農林水産物の需要先としての地位が高まっており 高齢 者世帯における調理食品の利用増加や共働き世帯の増加等の動きを踏まえれば 今後とも その地位は高位で続くものと見込まれます 農林水産省が実施した調査 2 では 9 割以上が国産原料の使用を強調した総菜や外食に 魅力を感じる 3 と回答するなど消費者の国産志向は加工食品 外食においても高くなって います 農業においては 加工 業務用への仕向けを前提にした生産が徐々に広がりつつあり 外食産業や中食産業における国産原料をうたった消費者への訴求の強化が期待されます イ 食料の購入先の変化 ネット通販による食料の支出額は この 10 年間で約 4 倍に拡大 平成 年における購入先別の一世帯当たり食料消費支出額は スーパーマー ケットが 36,839 円 / 月と最も大きく 次いで一般小売店 7,232 円 / 月 生協 購買 3,209 円 / 月と続いています 4 インターネットによる通信販売 以下 ネット通販 という は インターネットを利用していない世帯を含めた平均であるため支出額は 440 円 / 月と 小さいものの 平成 年からの 10 年間で 一般小売店や生協 購買等が支出 額を減らす中で と大きく伸びています 図表 また 大都市に着目する と ネット通販の支出額は 625 円 / 月となり 各購入先別支出額の増減率ではネット通販 1 農林水産省 平成 年農林漁業及び関連産業を中心とした産業連関表 2 農林水産省 平成 29 年度農林水産情報交流ネットワーク事業 食料 農業及び水産業に関する意識 意向調査 平成 年 3 月公表 全国の農林水産情報交流モニターのうち消費者モニター 987 人を対象に行ったアンケート調査 回収 率 90.1% 3 魅力を感じる 又は やや魅力を感じる と回答した者の合計 4 総務省 平成 年全国消費実態調査 79

103 第4節 食料消費の動向と食育の推進 の伸びは と更に大きくなっています ネ ッ ト 通 販 に よ る 品 目 別 支 出 額 の 増 減 率 を 見 る と 生 鮮 果 物 生 鮮 野 菜 生鮮肉 乳製品 等となっており いずれの品目も大きく増加 しています 図表 図表 食料の購入先別の支出額の増減率 平成 年と平成 年の比較 大都市 全国 図表 生鮮果物 生鮮野菜 卵 乳製品 加工肉 生鮮肉 生鮮魚介 0 米 通信販売 その他 ディスカウントストア 量販専門店 生協 購買 百貨店 コンビニエンスストア スーパーマーケット 一般小売店 通信販売 インターネット ネット通販による品目別支出額の増減率 平 成 年と平成 年の比較 資料 総務省 平成 年全国消費実態調査 注 消費者物価指数 食料 平成 年基準 を用いて 物価の上昇 下落の影響を取り除いた数値 資料 総務省 平成 年全国消費実態調査 注 1 大都市は 政令指定都市及び東京都区部 2 通信販売以外の購入先は店頭販売 3 消費者物価指数 食料 平成 年基準 を用 いて物価の上昇 下落の影響を取り除いた数値 ネット通販の購入経験は 40 歳代から 70 歳代で多く 情報の充実に高い期待 株 式 会 社 日 本 政 策 金 融 公 庫 が 平 成 年に実施した食品の消費者向けア ンケート調査では 農産物等をネット通販 で購入したことがあるか否かとの設問にお いて ある と回答した者の割合は 50 歳代と 60 歳代が 4 割 40 歳代と 70 歳代 が 3 割となり 40 歳代以上の世代で高い 結果となっています 図表 また ネット通販による購入未経験者に 対する 今後の購入意向を尋ねた設問にお いて 購入してみたい と回答した者の割 合は 60 歳代以下が 3 割 70 歳代が 2 割 図表 ネット通販の購入経験 購入したことがある 全体 31.8 購入したことがない 歳代 歳代 歳代 歳代 歳代 歳代 資 料 株 式 会 社 日 本 政 策 金 融 公 庫 消 費 者 動 向 調 査 平 成 年3月公表 注 全国の 20 歳代から 70 歳代の男女2千人を対象としたイン ターネット調査 となっており 今後 ネット通販の利用が 増加すると見込まれます ネット通販事業者に期待することを尋ねた設問では 生産者や商品の情報をもっと提 供して欲しい 35 配送料を安くして欲しい 24 商品の価格をより安くして欲 80

104 章しい 18% と 情報提供に対する期待が配送料や価格に対する期待を上回っています ネット通販サイトにおける情報の拡充や SNS 1 を通じた生産者と消費者との交流等が進 むことでネット通販の利用者数の増加や利用頻度の向上が図られ国産農林水産物の消費拡大が期待されます (2) 食育の推進と国産農林水産物の消費拡大 和食 の保護 継承 ( 国産農林水産物の消費拡大に向けた 食育とフード アクション ニッポン ) 高齢化が進行する中で 生活習慣病の予防による健康寿命の延伸や 健康な次世代の育成の観点から 消費者の健全な食生活の実践が進められています 日本型食生活は ごはんを中心に多様な副食等を組み合わせることで栄養バランスに優れたものとなっていますが 簡便化志向が高まる中で 家庭調理だけでなく 冷凍食品やレトルト食品等も活用する形で普及が図られています 毎年 6 月の食育月間には 全国の地方公共団体において ごはん食を含む様々な食についてのイベントや展示が行われています また 平成 29 (2017) 年度には 食育を推進する優れた取組の全国展開を目的として 食育活動表彰 を新たに実施しました 国産農林水産物の消費拡大の前提となる食や農林水産業への理解増進につながる農林漁業体験の機会が 全国の教育ファーム等で提供されています 酪農においては 一般社団法人中央酪農会議が体験の受入れや学校への講師派遣等を行う牧場を酪農教育ファームとして認証しており 平成 29(2017) 年度末時点で認証牧場は 287 となっています 国産農林水産物の消費拡大に向けた農業者 食品事業者 教育機関等の取組の輪が フード アクション ニッポン 2 の推進パートナーへの参加という形で広がっており 平成 29(2017) 年度末時点 3 の推進パートナー数は10,192となっています また 毎年 11 月を 食と農林漁業の祭典 の月間と位置付けてイベントを開催しており 平成 29 (2017) 年度に東京丸の内周辺で開催した ジャパンハーヴェスト2017 丸の内農園 には2 日間で14 万人が来場しました さらに 国産農林水産物の消費拡大に寄与する民間事業者の優れた産品を表彰するフード アクション ニッポンアワードを毎年開催しています 平成 29(2017) 年度は 国内の食に関する大手企業のトップ10 人により選定された国産農林水産物を原材料とする優れた加工品等 10 産品が大手企業の店舗等で販売されました 酪農教育ファームで子供たちが牛にブラッシングをする様子 フード アクション ニッポンアワード 2017 の表彰式 1 Social Networking Service の略 登録された利用者同士が交流できる web サイトのサービス 2 民間企業 団体 行政等が一体となって推進する国産農林水産物の消費拡大の取組 3 平成 30(2018) 年 3 月 23 日時点 81 第1

105 第 4 節 食料消費の動向と食育の推進 事例 子供たちが自ら考えて学ぶ食育プログラムを農協が開始 ( 愛知県 ) つ 愛知県津 しま島 しあの海 市 まひがし 部東農業協同組合は 子供たちが自ら 考えて学ぶ食育のプログラムとして 平成 29(2017) 年度津島市から 海部東子どものうぎょうきょうどうくみあい ( 愛称 : JA 海部東ドリームジュニア ) という独自の取組を始めました 同農協では 子供たちが農産物の生産から販売 売上げの使途の決定まで関わるこの取組を 子供たちによる擬似的な農協組織の活動にたとえてネーミングを考えたとのことです 取組に参加した29 人の小学生の中からは組合長 販売部長等の役員 5 人が選出され 役員となった子供たちを中心に 農産物の販売代金等で九州北部豪雨被災地の小学生に文具を届けること等を決めました 取組の責任者を務める同農協のたちかずひこ地域振興部長城和彦さんは この取組は 単なる農業体験に農産物の販売活動の様子とどまらず 植付けから収穫 販売まで一貫して関わることで きれいな農産物を作ることの難しさや農作業の苦労と販売価格のバランス等を子供たちが考えるきっかけになる と取組の意義に胸を張ります 岐阜県 長野県静岡県愛知県 ( 幼少期の子供や子育て世代等に対する 和食 の継承 ) 和食; 日本人の伝統的な食文化 が平成 25(2013) 年 12 月にユネスコ無形文化遺産に登録されました 和食文化の保護 継承に当たっては 食習慣の変化を受け入れやすいライフステージにある幼少期の子供や子育て世代等に対し 和食文化を取り入れた食生活を促すことが重要となっています 平成 29(2017) 年度には 子育て世代に接点のある地方公共団体の栄養士や子育て中の親向けに和食文化のテキストを活用した講座等や 小学生を対象とした和食文化の知識と技 全国子ども和食王選手権の様子 を競うイベント 全国子ども和食王選手権 が開催されました また 給食を通じて和食文化を子供たちへ伝えたいという熱意を持った和食の料理人等による 和食給食応援団 が 食品企業やJAグループ等と協力して全国の小中学校を訪問し 和食給食献立の開発や 和食に関する授業を実施しています さらに 和食文化の保護 継承に取り組む一般社団法人和食文化国民会議等民間企業 団体では 和食文化を国民全体で共有するための情報収集や だしで味わう和食の日 企画の実施など 普及啓発等の活動が展開されています 82

106 第 5節 食の安全と消費者の信頼確保 実態調査の解析結果等の科学的根拠に基づく措置を通じて 食品の安全性を向上させる とともに 商品選択に役立つ表示情報の充実と提供を通じて消費者の食品に対する信頼確 保を図ることが重要です 以下では 食品の安全性向上 消費者の信頼確保 動植物の防 疫 薬剤耐性対策の推進について記述します 第1 章 1 食品の安全性向上 食品の安全性を高めるための措置を策定 普及し 問題発生を未然に防止 食品の安全性を向上させるためには 科 図表 学的根拠に基づき 生産から消費の必要な 食品安全に関するリスク管理の流れ 有害微生物 化学物質に関する情報を収集 段階で汚染の防止や低減を図る措置を策 定 普及させることが重要です このた 情報収集 を継続 め 農林水産省は 有害微生物 化学物質 優先的に調査する対象を選定 NO による農畜水産物 加工食品の汚染実態の 調査 調査を踏まえた汚染防止 低減措置 国際基準 国内基準に 実態を反映 の策定 これら措置の関係者への普及 さ らには 措置の効果検証 見直しを行って 平成 年度は 食品中の有害 実態調査 効果の検証 NO YES 微生物 化学物質の汚染実態を調査 解析 バーベキューの際の食中毒の発生を防止す YES 安全と言えるか どうか います 図表 しました また 4 月には 消費者向けに わが国の実態を 調べる必要性 安全確認 安全性向上対策の 策定 普及 資料 農林水産省作成 るための注意点を紹介したリーフレットの作成 9 月には 豚肉の生産段階での食中毒菌 の侵入 まん延を防止するための衛生管理をまとめたハンドブックの作成 1 月には 営 農指導者向けにコメ中のカドミウムの低減対策をまとめた実施指針の改訂 学校や保育園 向けに学校等の菜園で栽培したジャガイモによる食中毒の発生を防止するための注意点を 紹介したリーフレットの作成を行い これらを広く周知することで対策の普及を図りまし た 2 消費者の信頼確保 食品表示の適正化を図るため 地方農政局等の職員が監視 取締り 食品表示は 消費者が食品を摂取する際の安全性の確保や自主的かつ合理的な食品の選 択の機会の確保に資する重要な情報の一つであり その適正化を図ることは食品に対する 消費者の信頼を確保する上で極めて重要です このため 農林水産省では 原材料や原産地等の品質に関する表示の適正化を図るた め 新たな原料原産地表示制度に関する事業者等からの相談に対応するとともに 食品表 示法に基づき地方農政局等の食品表示監視担当職員による監視 取締りを行っています 具体的には 食品表示 110 番 1 等に寄せられた不適正表示等に関する情報や巡回調査の 1 地方農政局や独立行政法人農林水産消費安全技術センター等に設置された国民からの食品表示に関する問合せや情報提供を受 け付けるホットライン 83

107 第5節 食の安全と消費者の信頼確保 結果に基づき DNA 分析等の科学的な分析手法も活用しつつ 各流通段階における立入 検査等を実施しており 不適正な表示を確認した場合には 改善のための指示 公表を行 うなど 食品表示の適正化を推進するため 厳格な対応を行っています 食品事故等発生時の円滑な原因究明と商品回収等に資するトレーサビリティ 食品のトレーサビリティは コーデックス委員会 1 において 生産 加工及び流通の特 定の一つ又は複数の段階を通じて 食品の移動を把握できること と定義されています トレーサビリティは 食品事故等の問題があったときに 食品の移動ルートを書類等で特 定し 遡及 追跡して 原因究明や商品回収等を円滑に行えるようにする仕組みです 図 表 我が国においては 牛 2 米穀等 3 のトレーサビリティが義務化されています また 義 務化されていない食品についても 自主的な取組が着実に促進されるよう 食品トレーサ ビリティの意味や効果 業種ごとの取組の進め方などを解説したマニュアルを活用し 食 品事業者への普及 啓発を行っています このほか 地域におけるセミナー 講習会等の 開催 相談窓口の設置 指導員による普及促進活動等を行う都道府県等の取組を支援して います 図表 食品のトレーサビリティの概念 生産段階 製造 加工段階 問題食品のルートを遡及 原因を究明 流通段階 例えば ここで問題 発覚 小売段階 消費者 問題食品のルートを追跡 商品を回収 資料 農林水産省作成 新たな加工食品の原料原産地表示制度が平成 29 年 9 月にスタート 食品流通の国際化に伴い 様々な国の原材料を用いた加工食品が流通するようになり 消費者の原料原産地表示への関心が高まっています このような中 食品表示基準 4 が改正され 平成 年 9 月に これまで一部の 加工食品のみに義務付けられていた原料原産地表示について 全ての加工食品を対象に 重量割合上位 1 位の原材料の原産地を 原則として国別重量順で表示する新たな制度が始 まりました 図表 この制度により 消費者は 原材料の原産地について より充 実した情報を得て 自主的かつ合理的に食品選択ができるようになります 新たな制度では 2022 年 3 月 31 日までを経過措置期間としており 政府としては あ らゆる機会を通じて 表示義務者となる食品関連事業者等へのマニュアル等を活用した丁 寧な説明や相談 消費者への制度の周知を行っていくこととしています 1 用語の解説 3 1 を参照 2 牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法 による 3 米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律 の対象となる米穀等 米及び米加工品 は 米穀 米 粉 米粉調製品 米菓生地 もち だんご 米飯類 米菓 米こうじ 清酒 単式蒸留焼酎 みりん等 4 食品表示法に基づく内閣府令 84

108 図表 新たな加工食品の原料原産地表示制度での表示例 重量割合上位1位の原材料が 生鮮食品 の場合 産地を重量順に表示 国別重量別表示の場合 これまでの 表示 新たな 表示 名 称 原材料名 ウインナーソーセージ 豚肉 豚脂肪 たん白加水分解物 豚肉産地 豚肉部分の表示 豚肉 アメリカ産 2か国 豚肉 アメリカ産 国産 3か国以上 第1 章 1か国 全て表示する場合 豚肉 アメリカ産 国産 カナダ産 デンマーク産 3か国目以降を その他 と表示する場合 豚肉 アメリカ産 国産 その他 3か国目以降は その他 とまとめて表示可能 重量割合上位1位の原材料が 加工食品 の場合 原産国名を 製造 と表示 これまでの 表示 名 称 原材料名 チョコレートケーキ チョコレート 小麦粉 新たな 表示 名 称 原材料名 チョコレートケーキ チョコレート ベルギー製造 小麦粉 資料 農林水産省作成 遺伝子組換え食品について 消費者庁が表示制度の見直し内容を公表 近年 米国 ブラジル アルゼンチン等を中心に 大豆やとうもろこし等の遺伝子組換 え作物の作付けが増加しており その一部は我が国にも輸入されています 遺伝子組換え 作物を原材料とした遺伝子組換え食品については 食品表示法に基づく食品表示基準によ り 加工工程後も組み換えられた DNA 等が検出可能な 8 農産物とこれを原材料とする 33 加工食品群を対象に 遺伝子組換え作物を使用した旨の表示が義務付けられています 表示を義務付ける制度が始まってから 17 年が経過し DNA 等に関する分析技術が向 上している可能性や 遺伝子組換え作物の流通実態が変化している可能性があります こ のため 消費者庁では 事業者の実行可能性を確保しつつ 消費者が求める情報提供を可 能とする表示の制度設計について 有識者による検討会を開催して検討を進め 平成 年 3 月に その結果を報告書に取りまとめました 報告書には 遺伝子組換えでない と表示する条件の厳格化等が盛り込まれており 今後 消費者庁において 報告書を踏まえた具体的な制度の検討が行われることとなりま す 機能性表示食品制度について 消費者庁が生鮮食品での活用に向けた改善策を公表 平成 年度の機能性表示食品制度の創設により 食品関連事業者が安全性と 機能性に関する一定の科学的根拠等を消費者庁長官に届け出ることで 食品関連事業者の 責任において商品に おなかの調子を整えます 等の健康の維持 増進に役立つ旨の表示 ができるようになりました 平成 年度末時点で 消費者庁長官への届出が公 表された生鮮食品は 前年同期に比べ 5 品目増加の 13 品目となりました 図表 そのうち農産物として 平成 年度には 血圧が高めの方に適した機能があ 85

109 第 5 節 食の安全と消費者の信頼確保 るとの報告があるGABA(γ ガンマ -アミノ酪酸) を含む米 内臓脂肪を減らす働きがあるとの 報告があるリンゴ由来プロシアニジンを含むりんごが新たに届出されました 平成 28 (2016) 年度までの生鮮食品 8 品目の内訳を見ると 機能性関与成分は骨の健康に役立つ との報告がある β ベータ - クリプトキサンチンと大豆イソフラボンの 2 種類であり 品目も温州 みかんともやしの 2 種類にとどまっていました このため 規制改革実施計画 1 に基づき 消費者庁と農林水産省では 関係者からの意見聴取を行い 生鮮食品における機能性表示食品制度の活用促進のための施策を検討しています 今後 得られた検討結果に基づき 必要な措置が講じられることとなります 図表 機能性表示食品として届出されている生鮮食品 ( 農産物 ) 届出年月日届出者名商品名機能性関与成分名 平成 27(2015) 年 8 月 3 日平成 27(2015) 年 8 月 3 日平成 28(2016) 年 1 月 27 日平成 28(2016) 年 6 月 29 日平成 28(2016) 年 9 月 12 日平成 29(2017) 年 1 月 24 日平成 29(2017) 年 2 月 8 日平成 29(2017) 年 3 月 23 日平成 29(2017) 年 8 月 24 日平成 29(2017) 年 10 月 19 日平成 29(2017) 年 11 月 24 日平成 30(2018) 年 1 月 15 日 みっか三ヶ びちょう町 日 ( 株 ) サラダコスモ 農業協同組合三ヶ日みかん β- クリプトキサンチン 大豆イソフラボン子大豆もやし 大豆イソフラボン ( 株 ) サラダコスモベジフラボン大豆イソフラボン たいし太 子食品工業 ( 株 ) 小大豆もやし大豆イソフラボン はままつ とぴあ浜松農業協同組合とぴあみかん β-クリプトキサンチン しみず 清水農業協同組合 清水のミカン β-クリプトキサンチン イオントップバリュ ( 株 ) なんすん オーガニック大豆もやし 大豆イソフラボン 南駿農業協同組合西浦みかん β-クリプトキサンチン 広島県果実農業協同組合連合会 東京フーズクリエイト ( 株 ) めいすいびじん名水美人ファクトリー ( 株 ) ひろさき つがる弘前農業協同組合 資料 : 消費者庁資料を基に農林水産省で作成注 : 平成 29(2017) 年度末時点 広島みかん GABA( ギャバ ) 芽ぐみ米 ( 特殊三分づき米 ) 大豆イソフラボン小大豆もやしプライムアップル! ( ふじ ) β- クリプトキサンチン GABA(γ- アミノ酪酸 ) 大豆イソフラボン リンゴ由来プロシアニジン (3) 動植物の防疫 ( 家畜の伝染病の発生予防に向けては 空港 港での検疫等三段構えで対応 ) 輸入農畜産物の輸送手段の多様化や訪日外国人旅行者の増加に伴い 鳥インフルエンザ 口蹄疫等の家畜の伝染病の侵入リスクが高まっていることを踏まえ 国内への侵入防止や国内での早期発見 封じ込めの徹底等を図ることが重要です 家畜の伝染病の発生予防に向けては 海外での発生レベルを低減させる国際協力 空港 港での検疫 農場での飼養衛生管理の徹底の三段構えで対応しています 国際協力としては平成 29(2017) 年 9 月に東アジア地域シンポジウムを開催したほか 同年 10 月には G7 新潟農業大臣会合での宣言に基づくG7 主席獣医官フォーラムの第 2 回会合がイタリアで開催されました また 空港 港では 平成 29(2017) 年度に国際便の到着 1 平成 29(2017) 年 6 月閣議決定 86

110 章する空港 港の家畜防疫官の国際便の到着する空港 港での旅行客に対する水際対策増員 動植物検疫探知犬の増頭を行うとともに 同年 11 月には検疫対象品目に乳製品を追加し 検疫の強化を図りました さらに 国内では飼養衛生管理の徹底に加え 万一の発資料 : 農林水産省資料生に備え 都道府県が 防疫資材の備蓄と定期的な防疫演習を行っています 平成 29(2017) 年度の我が国の高病原性鳥インフルエンザの発生件数は1 件であり 迅速な防疫措置の実施により 発生から1か月以内に移動制限区域が解除されました ( 図表 1-5-5) 図表 高病原性鳥インフルエンザの発生概要と防疫対応の状況 発生事例 発生日 移動制限区域解除日 飼養羽数 / 種別 香川県さぬき市 1/11-2/5 約 9.1 万羽 / 肉用鶏 資料 : 農林水産省作成注 :1) 発生日は遺伝子検査で H5 亜型陽性となり 疑似患畜と判定した日 2) 飼養羽数は 殺処分時の最終羽数 ( 疫学関連農場を含む ) 3) 平成 29(2017) 年度末時点 ( 植物病害虫の侵入防止に向けては 貨物 携帯品等の輸入植物を対象に検疫を実施 ) 農作物の栽培に被害を及ぼす植物病害虫についても 国内への侵入防止を図ることが重要です このため 我が国の主要な空港 港では 輸入植物に付着した病害虫の侵入を防止するため 貨物 携帯品 郵便物で輸入される植物を対象とした検疫が行われています 平成 29(2017) 年度には国際便の到着する空港 港の植物防疫官の増員が行われ 検疫体制の強化が図られました また 国内に侵入した病害虫を早期に発見できるよう全国の畑や樹園地で植物防疫所による調査が行われており 発見が確認された場合には植物の移動規制や廃棄等により早期の根絶を図ることとしています 平成 29(2017) 年度には 長野県においてテンサイシストセンチュウが国内で初めて確認され 関係機関が連携し 発生範囲を特定するための調査 土壌の移動防止 発生ほ場の土壌消毒等の防除対策を講じています (4) 薬剤耐性対策の推進 ( 動物分野における薬剤耐性菌の出現率を低く抑えるための取組を強化 ) 動物分野の抗菌剤の使用により薬剤耐性菌が増加し 家畜の治療を難しくしたり 畜産でんぱ物等を介して人に伝播して健康に影響を及ぼしたりすることを防止するため 家畜と人の医療上重要な抗菌剤について 動物分野における薬剤耐性菌の出現率を低く抑えることが重要です このため 農林水産省では 食品安全委員会のリスク評価結果に基づく抗菌剤のリスク管理措置や 動物用医薬品である抗菌剤の慎重使用等の薬剤耐性対策を実施してきまし 87 第1

111 第5節 食の安全と消費者の信頼確保 た 平成 年 4 月には 政府として薬剤耐性対策アクションプランを決定し 動物用医薬品である抗菌剤の使用機会の削減に向けた飼養衛生管理基準の遵守の徹底や 薬剤耐性菌に関するモニタリング調査の強化等を行っています 平成 年度には 食品安全委員会が人の健康に影響を及ぼすおそれがあると 評価した抗菌剤の飼料添加物としての指定取消し 1 水産用抗菌剤の購入に魚類防疫員等の 専門家の関与を必要とする新たな仕組みの導入 2 養殖魚や愛玩動物の全国的なモニタリン グ調査等を行いました 図表 薬剤耐性の考え方 㻌 通常 感受性菌が大宗を占める 㻌 耐性菌が増加 㻌 㻌 抗菌剤が有効 㻌 㻌 㻌 抗菌剤が効きにくい 㻌 耐性菌は一定程度は自然に存在 㻌 㻌 㻌 㻌 人や他の動物に伝播する可能性 抗菌剤の不適切な 使用などにより増加 有効 抗菌剤 効きにくい 抗菌剤があっても 生存 増殖 薬剤耐性菌 抗菌剤により 死滅 感受性菌 伝播の 可能性 抗菌剤 資料 農林水産省作成 1 平成 年 7 月にコリスチンの飼料添加物としての指定取消しを決定し 平成 年 7 月から使用禁止 2 新たな仕組みは 平成 年 1 月から運用開始 88

112 第 6節 食品産業の動向 食品産業は 農林水産業と消費者の間に位置し 品質と安全性を保ちつつ食品を安定的 に供給するとともに 消費者ニーズを生産者に伝達する役割を担っています 以下では 食品産業の役割と動向 卸売市場制度の見直し 食品ロスの削減等について記述します 農林水産物 10.5 兆円に食品産業のサービスが付加され 最終消費額は 76.3 兆円に 第1 章 平成 年の我が国の農林水産物 食品の流通 加工は 国内で生産された 9 兆 2 千億円に輸入品を加えた 10 兆 5 千億円の食用農林水産物に 流通 加工の各段階で 加工経費 商業マージン 運賃 調理サービス代等が付加され 最終的に 76 兆 3 千億円 と な っ て 消 費 さ れ る 構 造 に あ り ま す 図 表 昭 和 年 か ら 平 成 年にかけて 国内最終消費に占める生鮮品等の割合は 28.4 から 16.3 へ低下 し 外食や加工品の割合は上昇しています また 卸売市場の取扱金額は 直売所やイン ターネット販売等の様々なチャネルによる卸売市場外流通の増加により 9 兆 2 千億円か ら 6 兆 7 千億円へ減少しています 図表 農林水産物 食品の流通 加工の流れの比較 平成 年 飲食料の国内最終消費 76 3兆円 販売 国内消費向け食用農林水産物 10 5兆円 生産 輸入 加工 流通 取扱金額 6.7兆円 9.2 兆円 輸入 市場経由率 青果 60% 水産物 54% 食肉 10% 集出荷組合 業者 最終製品 の輸入 4.5兆円 農協等 一次加工品 の輸入 1.5兆円 卸売市場 卸売業者 33.4 兆円 仲卸業者 買参人 食品製造業者 51.2 兆円 食品卸売業者 加工品 38.7兆円 兆円 食品小売業者等 兆円 生鮮品等 12.5兆円 16.3 青果 40% 水産物 46% 食肉 90% 外食産業 国内消費者 76.3 外食 25.1兆円 32.9 国内生産 生産者 卸売市場外流通 1.3 兆円 89

113 第6節 食品産業の動向 図表 農林水産物 食品の流通 加工の流れの比較 つづき 昭和 年 飲食料の国内最終消費 49 5兆円 販売 国内生産 生産者 35.7 兆円 兆円 取扱金額 9.2兆円 集出荷組合 業者 最終製品 の輸入 1.4兆円 卸売市場 農協等 一次加工品 の輸入 0.6兆円 生産 輸入 青果 14% 水産物 14% 食肉 81% 卸売業者 食品卸売業者 食品小売業者等 24.4 兆円 仲卸業者 買参人 食品製造業者 13.7 兆円 生鮮品等 14.0兆円 28.4 加工品 21.7兆円 加工 流通 卸売市場外流通 外食産業 国内消費者 外食 13.7兆円 27.7 国内消費向け食用農林水産物 13 5兆円 12.3 兆円 輸入 市場経由率 青果 86% 水産物 86% 食肉 19% 1.2 兆円 資料 農林水産省 平成 23 年 2011 年 農林漁業及び関連産業を中心とした産業連関表 食料需給表 青果物卸売市場調査報告 を基 に農林水産省で作成 注 1 年次や対象等が異なる複数の統計 調査等を組み合わせて作成したものであり 金額等が整合しない場合がある 2 国内生産 生産者 から国内消費者への直接販売の最終消費金額は 食品小売業者等から国内消費者への販売額 生鮮品等と加工 品 に含まれる 3 市場経由率は 重量ベースの推計であり 平成 年の市場経由率と取扱金額は平成 年の数値を使用 国産食用農林水産物の重要な仕向先である食品製造業と外食産業 食品産業は国内農林水産業と深く結び付いており 国産食用農林水産物の用途別仕向割 合を見ると 金額ベースで食品製造業仕向が 59.4 外食産業仕向が 9.2 となっていま す 図表 一方 食品製造業における加工原材料調達割合を見ると 金額ベースで 国産食用農林水産物が 69.5 となっています 図表 国産食用農林水産物の用途別仕向割合 食品製造業の加工原材料調達割合 平成 年 国産食用農林水産物の用途別仕向割合 最終消費仕向 食品製造業仕向 食品製造業の加工原材料調達割合 食品産業仕向 国産食用 農林水産物 外食産業仕向 輸入食用 農林水産物 輸入 加工食品 資料 農林水産省 平成 23 年 2011 年 農林漁業及び関連産業を中心とした産業連関表 注 1 総務省等 10 府省庁 産業連関表 を基に農林水産省で推計 2 内は兆円 大部分が中小零細企業である食品製造業は 国産食用農林水産物の重要な仕向先である ことに加え 雇用の場の提供という役割を有しており 地方創生と地域経済の活性化にお いて欠かせない存在となっています しかしながら 食品製造業の従業者 1 人当たりの付 90

114 章加価値額を見ると 製造業全体の1,332 万円の66% に相当する882 万円と低位にとどまっています 1 食品製造業が引き続きその役割を果たし持続的に発展していくためには 消費者ニーズを的確に捉えた付加価値の向上や IoT 2 ロボット技術の導入等による労働生産性の向上が重要となっています コラム 明治 150 年 関連施策テーマ明治期のグルタミン酸ナトリウムに始まる うま味 成分の発見 甘味 酸味 塩味 苦味に続く第 5の味 うま味 は 明いけだきくなえ治期の東京帝国大学池田菊苗教授による昆布のうま味成分の発見に始まります 明治 32(1899) 年に留学先のドイツで最先端の化学を学んだ池田教授は うま味のある廉価な調味料で国民の栄養状態を改善したいとして研究を開始し 昆布中のグルタミン酸ナトリウムに強いうま味があることを突きとめ 明治 41(1908) 年に製造に関する特許出願を行いました 池田菊苗教授こだましん (60 歳 大正 12(1923) 年撮影 ) その後 大正 2(1913) 年には池田教授の弟子の小玉新資料 : 東京大学理学系研究科たろう太郎博士によりかつお節のうま味成分がイノシン酸であるこくになかあきらしいたけと 昭和 35(1960) 年には民間企業の研究者国中明さんらにより干し椎茸のうま味がグアニル酸に起因することが明らかにされました これらうま味成分は 料理で手軽にうま味を引き出せる調味料として商品化され 今日 家庭用 業務用を問わず広く利用されており 調理時間を短くしたいとする食の簡便化に応える調味料の一つとなっています また うま味成分を利用した調味料商品は 世界の国 地域にも広がっています ( 食品産業の事業再編等を支援する法律が施行 国内外では業界再編の動きが進行 ) 食料の国内需要が縮小に向かう中 食品産業の持続的発展に向けては 合併や買収等の事業再編により 経営基盤の強化や事業領域の拡大等を図ることが重要となっています 平成 29(2017) 年 8 月に施行された農業競争力強化支援法では 農産物流通 加工に関する事業再編の取組を推進しており 事業再編計画の認定を受けることで 株式会社日本政策金融公庫による低利融資等や税制上の支援措置を活用できるようになりました 平成 29(2017) 年度には 食品小売業者による子会社の吸収合併 食品製造業者による同業他社の一部門の子会社化 米穀卸売業者による製造工場の設備廃棄 食品卸売業者による同業他社の子会社化 吸収合併の合計 4 件の事業再編計画が同法の認定を受けました また 近年 大豆加工品製造事業者による同業者からの事業の譲受けの動き 米の卸売業者による野菜や水産物の卸売業者の買収等の動きが国内で見られるほか 調味料製造事業者による米国の医療食品会社の買収等 成長する食料の世界需要を取り込むためのグローバルな業界再編も進んでいます ( 図表 1-6-3) 1 総務省 経済産業省 平成 28(2016) 年経済センサス - 活動調査 の従業者 4 人以上の事業所における平成 27(2015) 年の付加価値額を平成 28(2016) 年 6 月 1 日時点の従業者数で除して算出 ( 個人経営事業所を除く ) 2 用語の解説 3(2) を参照 91 第1

115 30 (2018第 6 節 食品産業の動向 図表 我が国の食品企業による M&A 事例 ( 平成 29(2017) 年度 ) 年月 M&A 形態 一部の事業を取得 株式取得 買収を行った会社 一部の事業を譲渡 株式譲渡 売却を行った会社 成29 年(2017会社名所在地 4 )7- Eleven,Inc. 一部事業 ( セブン & アイ ホー取得ルディングス子会社 ) 事業内容平米国 7 買収 丸紅株式会社 日本 4 子会社化 日本ハム株式会社 日本 6 資本参加 双日株式会社 日本 会社名 所在地 ユニー ファミリー 6 子会社化 マートホールディン 日本 グス株式会社 7 資本業務東日本旅客鉄道株式提携会社 日本 コンビニエンスストア事業 加工事業 食肉事業等衣服その他の繊維 Sunoco LP Breeders & Packers Uruguay S.A. 製品及びその原料 FB Food Service 等商品の売買及び (2017)Ltd. 輸出入業等 コンビニエンスストア等の経営及びコンサルタント事業等 旅客鉄道事業 小売業 飲食事業等 内外物資の輸出入及び販売事業等 カネ美食品株式会社 スターフェスティバル株式会社 Creekstone Farms Premium Beef LLC 米国 ウルグアイ タイ 日本 日本 米国 ガソリン小売事業及びコンビニエンスストア事業食肉処理及び販売事業 業務用食品卸事業 寿司 揚物 総菜等の小売店舗の展開 コンビニエンスストア弁当の製造事業弁当等のインターネットモール事業等牛肉処理及び販売事業 8 子会社化 Anchor Brewing Company,LLC ( サッポロホールディングス子会社 ) 米国 ビール販売事業 Anchor Brewing Company,LLC 米国 ビール製造 販売事業 11 子会社化 Ajinomoto FOODS EUROPE S.A.S. ( 味の素子会社 ) フランス 調味料 酵素製剤の製造販売事業等 LABEYRIE TRAITEUR SURGELES S.A.S. フランス 冷凍食品の製造 販売事業 11 子会社化 Ajinomoto North America,Inc. ( 味の素子会社 ) 米国 医薬用 食品用アミノ酸と調味料の製造 販売事業 Camberooke Therapeutics,Inc. 米国 医療食品の製造 販売事業 )2 資本業務提携 日本ハム株式会社 日本 加工事業 食肉事業等 株式会社アクシーズ 日本 鶏肉及びその加工食品の製造販売 資料 : 金融庁 金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム (EDINET) M&A タイムス M&A ニュース を基に農林水産省で作成注 :1) 株式会社東京証券取引所第 1 部上場会社のうち 日経平均株価銘柄 ( 平成 30(2018) 年 1 月 18 日時点 ) の会社 又はその子会社であり 食品製造業 食品流通業 食品小売業が関係する M&A(Mergers and Acquisitions の略 ) 2)M&A 形態の一部事業取得は 株式取得を伴わず事業の一部を取得すること 子会社化は 株式又は持分の過半を取得すること 買収は 持分を取得すること 資本参加は 子会社化以外の株式を取得又は買収以外の持分を取得すること 資本業務提携は 業務提携を行うため相互に株式を取得すること ( コンビニエンスストアは 調理パン等の販売好調により食料品販売額は堅調に推移 ) 食品小売業の平成 29(2017) 年における食料品販売額は前年に比べ 1,470 億円 (0.3%) 増加の 44 兆 5 千億円となりました ( 図表 1-6-4) 販売額が伸びているコンビニエンスストアでは ファストフード 調理パン 冷凍食品等の販売が好調となっています また 食料品販売額を1 店舗当たりで見ると 店舗数を増やすことによって販売額を伸ばす傾向が続いています ( 図表 1-6-5) 92

116 図表 食品小売業における食料品販売額 兆円 60 飲食料品小売業全体 図表 コンビニエンスストア 兆円 右目盛 7.59 8 4 30 2 5 億円 1.5 1店舗当たり販売額 右目盛 店舗数 1.0 4 3 2 第1 章 万店 7 6 6 コンビニエンスストアにおける 1 店 舗当たり食料品販売額 1 0 平成19年 資料 経済産業省 商業動態統計 注 1 飲食料品小売業全体は 非食品の販売額を含む総販売額 2 コンビニエンスストアは ファストフード 日配食品 加工食品の販売額合計 また 物販系分野の消費者向け電子商取 引の市場規模は 平成 年度で 0 平成19年 資料 経済産業省 商業動態統計 注 1店舗当たり販売額は コンビニエンスストアのファストフー ド 日配食品 加工食品の合計販売額を店舗数で除したもの 図表 物販系分野の消費者向け電子商取引 の市場規模 平成 年度 単位 兆円 8 兆円となっており このうち食品等は 2 電子商取引 市場規模 A 割に相当する 1 兆 5 千億円となっています 図表 食品等は 全取引額に占め る電子商取引の割合が他の分類に比べて小 さいものの 高齢化の進行や共働き世帯の 増加等で宅配ニーズが高まり また 食品 宅配事業へ参入する事業者も見られ 消費 者向け電子商取引は引き続き堅調に推移す ると見込まれます 0 構成割合 商取引 市場規模 B 電子商 取引化率 A/B 食品等 生活家電 AV 機器等 書籍 映像 音楽ソフト 雑貨 家具等 衣類 服飾雑貨等 その他 合計 資料 経済産業省 電子商取引に関する市場調査 注 1 電子商取引化率は 電子商取引市場規模を商取引市場規 模 商取引額 で除したもの 2 食品等は 食品 飲料 酒類 3 その他は 化粧品 医薬品 自動車 自動二輪車 パー ツ 事務用品 文房具等 外食 中食の市場規模は 近年 増加傾向で推移 外食産業の市場規模は 訪日外国人旅行者の増加や 1 人当たり外食支出額の上昇等によ り平成 年からは増加傾向で推移しており 平成 年は前年に比べ 163 億円 0.1 増加の 25 兆 4 千億円となりました 図表 また 持ち帰り弁当 店や総菜店等の中食産業の市場規模は 高齢化の進行や共働き世帯の増加等による需要の 高まりから増加傾向で推移しており 平成 年は前年に比べ 4 千億円 6.0 増加の 7 兆円となりました 1 外食 中食業者向けモニター調査 2 における国産原材料の使用割合 重量ベース 別の 事業者割合を見ると 外食 総菜ともに 8 割以上の階層が最も高く それぞれ となっています 図表 国産原材料の使用を増やしたいと回答した事業者は 1 一般社団法人日本フードサービス協会調べの料理品小売業 弁当給食を除く の数値 2 農林水産省 食料 農業及び水産業に関する意識 意向調査 平成 年 3 月公表 全国の農林水産情報交流モニ ターのうち 食品製造 食品卸売 食品小売 外食産業の経営に携わっている流通加工業者モニター 705 人を対象に行った アンケート調査 回収率

117 第6節 食品産業の動向 外食 40 総菜 33 となっており 国産原材料を使用する際の課題としては 外食 総 菜ともに 価格が高い が最も高く 次いで外食は 生産者 産地 供給元との信頼関 係の構築 総菜は 必要な量を確保できない 必要な時期に確保できない が上位と なっています 外食産業や中食産業において国産原材料の使用割合を増やしていくためには 米や野菜 等の産地と実需者との契約取引により 農産物の出荷量や出荷時期等の問題を解決してい くことが重要です 図表 兆円 図表 外食 中食産業の市場規模 27.9 外食産業 国産原材料の使用割合別の事業者割合 4割 2割 6割 8割 2割 6割 4割 未満 未満 未満 未満 8割 以上 総菜に使用 中食産業 昭和 60 年 1985 平成7 外食で利用 資料 一般社団法人日本フードサービス協会調べ 注 1 外食産業の市場規模には中食産業の市場規模は含まない 2 中食産業の市場規模は 料理品小売業 弁当給食を除く の数値 0 資料 農林水産省 食料 農業及び水産業に関する意識 意向調査 平成 年3月公表 組替集計 注 国産原材料を使用していると回答した者 400 人の回答 卸売市場を含めた食品流通の合理化等を促進する法案を国会に提出 卸売市場は 全国各地から多種大量の生鮮食料品等を 集荷 し 実需者のニーズに合 わせて必要な品目を必要な分量だけ 分荷 する役割 小売店等の実需者から販売代金を 回収し 早期かつ確実に生産者に 決済 する役割 産地と消費地との間で需給を反映し た 価格形成 を行う役割等を通じ 生鮮食料品等の安定供給に向けて 調整機能を果た しています 他方 食品流通においては 加工食品や外食での生鮮食料品需要の増加 産直取引等流 通チャネルの多様化といった変化が見られ 卸売市場では これらの変化に対応するため かい り 市場関係者が子会社を通じて規制のない市場外取引を行うなど制度と乖離した動きが見ら れるようになっています このような状況を踏まえ 卸売市場を含めた食品流通の合理化と生鮮食料品等の公正な 取引環境の確保を促進し 生産者 消費者双方のメリット向上につながる食品流通構造を 実現するため 卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案 を国 会に提出しました 94

118 章( 流通チャネルが多様化する中 マッチングを支援する仕組みを構築 ) 消費者による農林水産物の購入先は 従 来の食品スーパー中心から 直売所 コン ビニエンスストア ドラッグストア イン ターネット販売等へと広がりを見せ それ ぞれの購入先に応じて流通チャネルも多様 化しています 今後 ライフスタイルの変化等により流通チャネルの多様化が更に進農林水産業流通マッチングサイト agreach むと見込まれる中 より効率的で有利な流通を求める 流通業者 実需者と生産者の直接取引が拡大すると考えられます 農林水産省では 流通業者 実需者と生産者の双方が最適な取引先を見つけられるよう マッチング支援サイト a ア greach グリーチ を平成 29(2017) 年 6 月に開設しました 事例 農業者が店舗や価格を決定できる小売店向け販売の仕組み ( 全国 ) おいかわともまさ 株式会社農業総合研究所の及川智正代表は 会社勤務 農業を経験後 農業がビジネスとして独り立ちできる仕組みづくりを目指し 平成 19(2007) 年 10 月に32 歳で同社を設立しました 同社のシステムは 農業者が農産物を集荷場に持ち込み 自らが決めた店舗や価格のバーコードシールを貼り付ければ 原則翌朝には都市部のスーパーマーケットの売り場に並ぶというものです 価格の60% から65% は農業者の手取りとなり 店舗での販売情報は農業者に随時メールで届きます また 集荷場には販売店舗を巡回した同社スタッフのコメントや相場情報は集荷場掲示板や専用ポータルサイトを通じて農業者に提供され パッケージの工夫 店舗選択 価格設定等に役立てられています 平成 29(2017) 年度末時点で 同社の集荷場は72か所 登録農業者数は7,300 人となっており 2020 年までに農業者数を2 万人に拡大したい考えです 平成 29(2017) 年 2 月には香港向け輸出を始めており 将来的には 農業者が海外の店舗を販売先に選択できることを目指しています 集荷場の拠点数 ( 平成 29(2017) 年度末時点 ) バーコードシールの発券機とタブレット 95 第1

119 第 6 節 食品産業の動向 事例 生産者が需要に応じて出荷できる飲食店向け販売の仕組み ( 東京都 ) きくち 東京都渋谷区のプラネットテーブル株式会社の菊池 は 生産者が意欲的かつ持続的に取り組める農畜水産業にしたいとの思いから 金融機関勤務等を経て平成 26(2014) 渋谷区年 5 月に35 歳で同社を設立し その翌年 生産者と飲食店をつなぐ流通システムS セ END ンド神奈川県を開始しました SENDでは 野菜について生産者が種類や収穫時期等の情報を登録すると同社から注文が届きます 飲食店向けはサイズや外観 包装ではなく 鮮度と品質が重要視され 生産者は飲食店が求める品質の野菜を収穫後すぐに同社へ送ります 同社が買い上げた野菜は 受注に基づいてほぼ全て飲食店へ販売 配送されます 同社の需要予測システムによって野菜をロスなく流通させることで 販売価格の8 割が生産者に還菊池代表 ( 左 ) と生産者元されています 平成 30(2018) 年 2 月末時点でSENDの登録農業者数は4,500 人 レストラン数は4,300 店となっており 菊池代表は 今後 23 区の一部に限定してきたレストランの範囲を都内全域と近隣の政令指定都市に拡大を目指すとしています しん紳 代表 東京都山梨県埼玉県 ( 食品産業の海外展開に向けて 二国間による官民の新たな対話の場を立ち上げ ) 急速に拡大する食料の世界需要を取り込み 我が国 の食品産業の持続的な発展を図るためには 我が国の 強み である鮮度保持の先端技術等を活かした 農林 水産物の生産から製造 加工 流通 消費に至る フー ドバリューチェーンの構築を官民が連携して推進し その事業基盤を拡大 強化していくことが重要です このため 政府では 官民による対話等を通じて食 第 1 回日亜農林水産業 食料産業対話 品産業の海外展開を促進する環境整備を進めており 平成 29(2017) 年度には 農業 食品関連産業に係 1 2 る協力覚書に基づいた日インド官民合同作業部会 日露農業関係次官級対話 日亜農林水産業 食料産業対話を新たに立ち上げるとともに 東南アジア諸国等との二国間政策対話の開催 官民ミッションの派遣 官民協議会における食関連企業への投資関連情報の提供等を行いました 1 ロシア 2 アルゼンチン 96

120 食品産業における労働時間が長いなどの課題解決に向け ハンドブックを作成 食品産業は 他産業に比べ労働時間が長 いことや 休みが取りづらいなど様々な課題 図表 労働時間の産業間比較 平成 年 単位 時間 / 月 が挙げられており 職場環境の整備等働き方 改革が急務とされています 図表1-6-9 こ のような中 農林水産省では 働く人も企 業もいきいき食品産業の働き方改革検討会 を開催し その議論を基に 経営層に対し課 取組へのきっかけづくりとなるよう 取組の ポイント等を盛り込んだハンドブックを平成 年 3月に作成しました 今後 食品産業における働き方改革の推進に向けて 各種会議 セミナー等の機会を通じてハンド ブックの活用を促していく予定です 所定内 労働時間 所定外 労働時間 調査産業計 製造業 飲食店 持ち帰り 配達飲食サービス業 食料品製造業 飲料 たばこ 飼料製造業 卸売業 飲食料品卸売業 小売業 飲食料品小売業 第1 章 題への気づきを促すチェックリストをはじめ 総実 労働時間 資料 厚生労働省 毎月勤労統計調査 注 1 常用労働者 5 人以上の事業所 2 一般労働者 パートタイム労働者以外 の数値 3 年平均値であり 各月の労働時間を各月の常用労働者数 で加重平均して算出 中小企業等経営強化法の支援により 食品産業の成長投資を後押し 中小企業においては 深刻な人手不足 IT 活用の遅れ等が見られますが こうした状 況下においても設備投資 IT 投資 海外展開等の成長投資に積極的に取り組むことによ り 労働生産性や収益力の向上を実現している企業があります 平成 年 7 月に施行された中小企業等経営強化法では 税制 金融等の支援 措置を通じ 新たな付加価値の創造や生産性向上につながる成長投資を後押ししており 農林水産省が同法に基づき認定した食品産業等の計画件数は 平成 年度末時 点で 5,574 件となっています 食品製造業と小売業の適正取引を推進するガイドラインを策定 公表 我が国経済を持続的な成長軌道に乗せて いくため 下請など中小企業の取引条件を 図表 食品製造業 小売業の適正取引推進ガイドライ ン 豆腐 油揚製造業 パンフレット抜粋 改善していくことが重要との観点から 政 府では 平成 年 12 月から関 係省庁による連絡会議を開催し 取引実態 の把握や各種制度の改正などの取組を行っ てきました このような取組の一環とし て 独占禁止法と下請法上問題となり得る 事例を記載した業種別ガイドラインを関係 省庁で作成しています 農林水産省では 加工食品の中でも いわゆる日配品で日持 ちがせず 店頭での特売の対象となりやす い豆腐 油揚製造業と小売業との取引を対 象として 食品関係では初めてとなるガイ ドラインを 平成 年 3 月に策 定 公表しました 図表 資料 農林水産省作成 97

121 第6節 食品産業の動向 また 平成 年 3 月には 過度な鮮度要求 欠品回避のための短納期発注 客寄せのための納品価格の不当な引下げ 等の事例を盛り込んだ牛乳 乳製品に関する ガイドラインを策定 公表しました さらに スーパーマーケットやドラッグストアを含む小売業界では 関係業界への適正 取引の浸透を目的とした 自主行動計画 を策定し 自ら率先して適正取引の推進を図っ ていくこととしています 食品ロスの削減に向けた食品業界の取組が進展 世 界 に は 8 億 1,500 万 人 の 栄 養 不 足 人 1 2 口 が存在し 持続可能な開発目標 SDGs 図表 分の 1 ルールの見直し 賞味期間 6 か月の食品の場合 では 2030 年までに小売 消費レベルにお ける世界全体の一人当たりの食料廃棄を半 13 ルール 納品期限 緩和後 中で 我が国においても資源の有効利用と 環境負荷の軽減の観点から 食品ロスの削 減を最優先に取り組み 発生した廃棄物を 資源として有効活用することが重要となっ ています 食品ロスの削減に向けては 小売業者で 4 は納品期限の緩和 の取組が 食品製造業 スーパー等 世界が食料廃棄を減少させる方向に向かう 売 600 万t強の食品ロスが発生しています 2か月 卸 国連 WFP3 の食料援助量の 2 倍に相当する 販売期限 納品期限 2か月 メーカー 減させる目標が掲げられる中 我が国では 多量の返品や未出荷廃棄が発生 製造日 賞味期限 2か月 店頭から 撤去 廃棄 一部値引き販売 3か月 3か月 販売期限は各スーパーが設定 ロス削減 これまでに納品期限を見直したスーパー等 対象の食品 飲料 菓子 賞味期間180日以上 コンビニエンスストア セブンイレブン ジャパン ローソン 山崎製パン デイリーヤマザキ ファ ミリーマート ポプラ ミニストップ セイコーマート スーパー イズミ イトーヨーカ堂 東急ストア ユニー イオンリテール イオンリテー ルストア イオン北海道 イオン九州 イオンストア九州 イオン琉球 イオン スーパーセンター マックスバリュ北海道 マックスバリュ東北 マックスバ リュ中部 マックスバリュ北陸 マックスバリュ西日本 カスミ コープさっぽ ろ 資料 公益財団法人流通経済研究所資料を基に農林水産省で作成 者では品質保持技術の開発による賞味期限 の延長の取組が広がりをみせています 図表 また 食品製造業者 卸売業者 小売業者の間での取引において 既に納入した商品よりも賞味期限 年月日表示 賞味期限の年月表示化 年月表示 2018 年 04 月 が前の日付のものの納入は受け入 れないという慣行があり このこ とが食品ロスの一因となっていま す このような中 食品製造業者 等は 賞味期限が 3 か月を超える 菓子や清涼飲料水等について 年月日表示から年月表示へ切替えを進めています このこ とは 賞味期限の日にち部分の逆転による納入拒否の問題が解消され食品ロスの削減につ ながるとともに 卸売業者や小売業者に出荷作業の省力化や品出しの効率化等のメリット をもたらします 一方で 年月表示への切替えは 例えば 2018 年 5 月 5 日 の表示は 1 国連食糧農業機関 FAO 国際農業開発基金 IFAD 及び国連世界食糧計画 WFP 国連児童基金 UNICEF 世界 保健機関 WHO 世界の食料安全保障と栄養の現状 用語の解説 3 1 を参照 3 国連世界食糧計画 World Food Programme の略 4 商慣行に基づく小売業者の加工食品の納品期限について 製造日から賞味期間の 3 分の 1 に相当する日数を経過した日 い わゆる 3 分の 1 ルール から 2 分の 1 を経過した日にまで緩和するというもの 現在は 主に飲料と賞味期間 180 日以上の 菓子で取り組まれており 対象商品や取組企業の拡大が今後の課題となっている 98

122 章 2018 年 4 月 と表示されるように 1 か月に満たない日数の切捨てにより賞味期限が短 くなることから 食品ロスの削減に向けては 納品期限の緩和や品質保持技術の開発による賞味期限の延長を併せて進めていくことが必要です また 平成 29(2017) 年 10 月 30 日に 運動 1 まつもとの発祥の地である長野県松本し市で第 1 回目となる食品ロス削減全国大会が開催されました 同大会では ゴミ半減の条きょうとし例を制定した京都市や民間事業者の取組が紹介され 食品ロスの削減の取組が広がっていく契機となりました 食品産業の製造 流通段階で発生する未利用食品を 必要とする人や施設に提供するフードバンク活動については 認知度が低いことや 利用者 寄付者のマッチングが効率的に行われていないこと等が課題となっています その解決に向け 平成 29(2017) 年度においては 情報交換会やセミナーが全国 6か所で開催されたほか 食品を譲り受ける団体等が活動を適切に運営できるよう HACCP 2 指導者による衛生管理講習会も併せて開催されました 発生した廃棄物の有効活用に向けては 食品リサイクル法 3 の枠組みにより 食品製造業 外食産業等業種別に再生利用等実施率の目標が設定されており 各事業者において取組が進められています 食品製造業では 発生する廃棄物の品質と量が安定していることから多くが家畜の飼料として再生利用されている一方で 外食産業では 廃棄物の分別が困難であること等から焼却処分の割合が多く 発生抑制と再生利用のより一層の推進が必要となっています ( 図表 ) 図表 食品廃棄物等の発生と処理状況 ( 平成 27(2015) 年度 ) 食品産業計 2,010 万 t 食品製造業 1,653 万 t 食品卸売業 29 万 t 食品小売業 128 万 t 飼料 外食産業 万 t % 資料 : 農林水産省調べ 注 :1) 焼却 埋立量は 食品リサイクル法において規定されていない手法により処理されたものを含む 2) メタンは 食品循環資源を嫌気性発酵することにより メタンガスを発生させ これをエネルギー等の用途に利用する場合をいう 3) 減量は 脱水 乾燥 発酵 炭化の方法により食品廃棄物等の量を減少させることをいう 肥料 メタン その他 焼却 埋立量 減量した量 運動 とは 宴会において乾杯後 30 分間と終了前 10 分間は席で料理をしっかり食べる運動のこと 2 用語の解説 3(2) を参照 3 正式名称は 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律 第1

123 第 6 節 食品産業の動向 コラム 気象データと AI 技術を活用し 豆腐の廃棄をほぼゼロに 一般財団法人日本気象協会は 気象条件が消費者の購買行動に影響を及ぼすことに着目し 平成 28(2016) 年度に 豆腐製造業者 小売業者とともに 豆腐の廃棄 ( 食品ロス ) 削減の実証実験を行いました これまで 小売業者から豆腐製造業者への注文は出荷前日に行われていましたが 豆腐の製造には2 日を要することから 豆腐製造業者は 出荷 2 日前の時点で注文に対し不足することのないよう製造数を多めに設定しており このことが廃棄の原因となっていました 実証実験では 同協会が豆腐製造業者と小売業者の知見を踏まえ 気象データとAI *1 技術を活用して 出荷 2 日前の時点で豆腐の販売数を予測する 寄せ豆腐の 豆腐指数 *2 を考案しました 小売業者が寄せ豆腐の 豆腐指数 に基づき出荷 2 日前の注文を試行したところ 需要予測の精度がこれまでよりも向上し また 豆腐製造業者は注文を受けてから製造数を設定できるようになったことにより 予測誤差がほぼなくなりました これにより 豆腐製造業者での廃棄をほぼゼロにすることができるようになりました *1 用語の解説 3(2) を参照 *2 豆腐指数 は 気象により消費者の購買行動が変化する商品群として 寄せ豆腐 ( 夏季 ) 厚揚げ ( 冬季 ) について作成 寄せ豆腐の 豆腐指数 資料 : 一般財団法人日本気象協会資料 100

124 第 7節 農林水産物 食品の新たな需要の開拓 農林漁業の成長産業化のためには 消費者や実需者の需要に応じて農林水産物を生産 供給するというマーケットインの発想による 需要と供給をつなぐバリューチェーン 1 の 構築が不可欠です 以下では 農林漁業者等が取り組む 6 次産業化 2 農産物直売所等を 通じた地産地消 3 医療分野との連携等について記述します 第1 章 1 6 次産業化と地産地消 加工 直売等の農業生産関連事業の年間総販売金額は前年度から約 1 千億円増加 平成 年度の加工 直売等の 4 農業生産関連事業の年間総販売金額 は 図表 前年度に比べ 1,008 億円 5 増加の 1 兆 9,680 億円となりました 図表 業態別に見ると 農産物直売所 9,974 億 円 農産物の加工 8,923 億円 観光農園 農業生産関連事業の年間総販売金額 観光農園 364 億円 農産物の加工 農産物直売所 平成 26 年度 9,356 億円 2014 年間総販売金額 1兆 8,672 億円 8,577 億円 378 億円となっており いずれも前年度を 上回りました その他農業 生産関連事業 375 億円 406 億円 378 億円 また 平成 年度の農業生産 と 常雇い 68.8 臨時雇い 69.5 と 0 9,974 億円 年間総販売金額 1兆 9,680 億円 8,923 億円 関連事業における雇用者の女性割合を見る いずれも女性の割合が7割となっています 業態別に常雇いの女性割合を見ると 農産 物の加工 59.2 農産物直売所 77.1 観光農園 54.6 農家民宿 67.1 農家 レストラン 74.6 と全ての業態で高く 女性の活躍が顕著となっています 5 六次産業化 地産地消法 に基づく総合 化事業計画 6 の認定件数は年々増えており 平成 年度末時点で 2,349 件と なっています 図表 これまでに認 定された計画の内容を見ると 経営区分別 では法人が 75.8 事業別では加工と直 売を組み合わせて行うものが を占 め 品目別では野菜が で最多と 兆円 資料 農林水産省 6次産業化総合調査 図表 総合化事業計画の認定件数 その他 件 2,500 加工 直売 2,000 1,811 1,500 1, 0 1, ,228 2, ,156 2, , ,457 1,531 1,389 1,427 平成 年度 資料 農林水産省調べ 注 1 その他は 直売 加工 加工 直売 レストラン 加工 直売 輸出 輸出 レストラン ファンドの認定件数 2 各年度末の累積値 なっています 9 株式会社農林漁業成長産業化支援機構 A-FIVE による出資等の支援は 農林漁業者 用語の解説 3 1 を参照 4 農業経営体による 農産物の加工 農産物直売所 観光農園 農家民宿 農家レストラン 農業協同組合等が運営 する 農産物の加工 農産物直売所 農家レストラン の販売金額の合計 5 正式名称は 地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律 7 加工 直売 68.4 加工 19.1 加工 直売 レストラン 野菜 31.7 果樹 18.4 畜産物 12.2 米 11.8 水産物 農林水産省調べ 101

125 第7節 農林水産物 食品の新たな需要の開拓 等が主体となって 6 次産業化に取り組むために設立された合弁事業体のみを対象としてい ましたが 平成 年 5 月に 農林漁業を行う法人が別法人を作らずに 6 次産業 化に取り組む場合も支援の対象となりました 農林漁業成長産業化ファンドの出資決定件数は 平成 年度末時点の累計で 127 件 出資決定額は約 114 億円となり 対象農林水産物別に見ると 園芸作物等 41 件 32.3 畜産物 30 件 23.6 水産物 20 件 15.7 等となっています 図表 1-73 地域ぐるみの 6 次産業化等を実現するため 市町村 農林漁業団体 農林漁業者 商工 団体 金融機関等で構成する市町村段階の 6 次産業化 地産地消推進協議会では 6 次産 業化等に関する戦略の策定が進められています 平成 年 12 月末時点で 108 市町村の参加により 90 の戦略が策定されています また 農林漁業者と中小企業者による農商工連携も進んでおり 新規用途の開拓や作 目 品種の特徴の活用による需要拡大の取組を中心に 農商工等連携事業計画 1 の認定件 数は増加しています 図表 株式会社農林漁業成長産業化支援機構による農林水産物別の出資決定件数 出資決定 件数 127 件 園芸作物等 畜産物 水産物 果物類 件 件 件 件 0 米 穀類 林産物 件 9 件 資料 農林水産省調べ 注 1 平成 年度末時点 2 出資決定件数は累積値 事例 みかん産地の農業者が作り出した新発想の調味料加工品 愛媛県 や わたはま し 愛媛県八幡浜市でみかんの生産 販売を行う株式会社ミヤ みやもとやすくに モトオレンジガーデンの代表宮本泰邦さんは 平成 愛媛県 年に摘果段階の青いみかんを使った調味料 塩みかん を開 高知県 八幡浜市 発しました この地区の園地はスプリンクラーにより一斉に農薬散布が 行われることから 宮本代表は無農薬の摘果みかんを得るた め 隣接地区で耕作放棄されたみかん園の再生に取り組みま した 商品開発に際しては 野菜ソムリエの協力を得て代表 自身が試作を繰り返し 原料に適したみかんの摘果時期の特 定に成功しました 商品は 容器への充填のみ食品メーカー に依頼し みかんの塩漬けは同社で行っています どう ご コンテストで特別賞を受賞した 塩みかん は 道後温泉 の高級老舗旅館の料理や国際線ファーストクラスの機内食で 塩みかん と これを使った 高級老舗旅館の料理 も使用されました 宮本代表は 塩みかん の特長を下味用に使うことで料理の引き締めに なると語り ホームページを通じて 塩みかん レシピの発信を続けています 1 中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律 に基づき認定される計画 102

126 章( 農産物直売所の年間総販売金額が大きい福岡県 埼玉県 愛知県 ) 地産地消は 地域の農林漁業と関連事業の活性化につながる取組であり 農産物直売所での販売や学校給食での使用を通じ 地元における地場産品の消費が進んでいます 農産物直売所については 2020 年度までに年間販売金額が1 億円以上のものの割合を 50% 以上とする目標が掲げられており 平成 27(2015) 年度においては 総販売金額が前年度に比べ618 億円 (6.6%) 増加の9,974 億円となり 1 億円以上の直売所割合は前年度に比べ 0.4 ポイント上昇の 20.7% となりました ( 図表 1-7-4) 図表 農産物直売所の数と総販売金額 単位 平成 23 年度 (2011) 26 (2014) 27 (2015) 直売所数 22,980 23,710 23,590 - 農業経営体 事業体 12,600 12,990 13,060 - 農業協同組合等 10,380 10,730 10,520 - 総販売金額 7,927 9,356 9,974 15,600 農業経営体 億円 1,029 1,315 1,527 - 農業協同組合等 6,899 8,042 8,446-1 直売所当たり販売金額 万円 3,450 3,946 4,229-1 億円以上の直売所割合 ( 常設店舗 通年営業 ) % 資料 : 農林水産省 6 次産業化総合調査 注 :2020 年度目標は 農林漁業者等による農林漁業及び関連事業の総合化並びに地域の農林水産物の利用の促進に関する基本方針 における目標値 都道府県別に見ると 農産物直売所の年間総販売金額では 福岡県が474 億円と最も大きくなっています ( 図表 1-7-5) 1 直売所当たり販売金額では 沖縄県の1 億 720 万円が最も大きく 次いで愛媛県 佐賀県 1 億円以上の直売所割合では 香川県が28.0% と最も高く 次いで福井県 沖縄県となっています 2020 目標 103 第1

127 第 7 節 農林水産物 食品の新たな需要の開拓 図表 都道府県別の農産物直売所の年間総販売金額 ( 平成 27(2015) 年度 ) 順位 都道府県名 年間総販売金額 ( 億円 ) 1 直売所当たり年間販売金額 ( 万円 ) 1 億円以上の直売所割合 (%) 順位 都道府県名 年間総販売金額 ( 億円 ) 1 直売所当たり年間販売金額 ( 万円 ) 1 億円以上の直売所割合 (%) 1 福岡県 , 長崎県 , 埼玉県 445 5, 岡山県 172 5, 愛知県 , 大分県 168 4, 千葉県 426 2, 佐賀県 , 静岡県 380 3, 山口県 156 3, 長野県 363 3, 山梨県 155 1, 熊本県 360 6, 東京都 155 2, 茨城県 351 5, 和歌山県 148 6, 群馬県 317 3, 宮城県 142 2, 愛媛県 , 広島県 142 3, 兵庫県 287 4, 青森県 139 4, 栃木県 275 4, 沖縄県 , 神奈川県 270 3, 奈良県 117 5, 北海道 267 2, 石川県 , 鹿児島県 263 5, 鳥取県 113 6, 福島県 238 3, 徳島県 , 岐阜県 234 4, 滋賀県 109 4, 高知県 , 京都府 107 2, 三重県 196 5, 香川県 , 山形県 192 2, 秋田県 91 2, 新潟県 184 2, 福井県 89 6, 大阪府 182 6, 島根県 82 2, 宮崎県 181 5, 富山県 71 3, 岩手県 177 3, 資料 : 農林水産省 6 次産業化総合調査 注 : 丸数字は順位 また 学校給食については 2020 年度までに地場産物の使用割合を食材数ベースで 30% 以上とする目標が掲げられており 平成 28(2016) 年度においては 前年度から1.1ポイント低下し25.8% となりました ( 図表 1-7-6) その要因としては 台風被害により野菜の価格が高くなったこと等が考えられます 図表 学校給食における地場産物 国産食材の使用状況 平成 24 年度 (2012) 27 (2015) 28 (2016) 地場産物 国産食材 ( 単位 :%) 2020 目標 30.0% 以上 80.0% 以上 資料 : 文部科学省 学校給食栄養報告 注 : 第 3 次食育推進基本計画における目標値 ( 割合は食材数ベース ) 104

128 章事例 地産地消の取組モデルの一つとなる地域支援型農業 ( 茨城県 ) 茨城県つくば市で平成 24(2012) 年に就農し野菜の有機いいののぶゆきえり栃木県栽培を行ってきた飯野信行さん 恵理さん夫妻は 平成 27 (2015) 年から地域支援型農業 (CSA * ) に取り組んでいます つくば市茨城県埼玉CSAとは代金前払いによる農産物の購入契約を通じて農業県者と消費者が支え合う仕組みで 契約の仲介組織が存在する千葉県欧米で広がっている取組です いいの飯野農園で会員となる消費者は あらかじめ農産物の種類や栽培方法等を確認し 農園での農産物の受取を了解した上で 農産物の購入代金を一括で前払いします 豊作時に多めに供給されることも踏まえ 会員は天候不順による減収リスクを共有してくれます 会員 48 人の多くは市内在住の子育て世代と退職後のシニア世代で 農産物の受取だけでなく自じゃがいもの草取り体験の様子主的に農作業を手伝う目的で農園を訪れる会員も多いといいます 会員との交流を深める畑ランチ会等のイベントも定期的に開催されており このCSA は地産地消の取組モデルの一つになるものです * Community Supported Agriculture の略 (2) 医療分野と食料 農業分野との連携 ( 医療分野で徐々に取り入れられつつある新たな農産物 ) 消費者の食に対する健康志向が高まる中 医療分野と食料 農業分野が連携することに より 健康に着眼した機能性の観点から農産物の新たな需要を開拓していくことが重要となっています また 品種改良で育成された機能性成分を多く含有する農産物や 新たな加工技術で生み出された良食味で高栄養価の農産物が 医療分野で徐々に取り入れられつつあります 医療機関と連携し 国産農林水産物 食品における健康機能性を解明することにより海外農産物との差別化を図る研究開発等が国家プロジェクト 1 によって進められています この研究開発では 平成 30(2018) 年度までに 機能性に関する科学的エビデンスの取得と15 品目以上の商品化が目標に掲げられており 平成 29(2017) 年度には 脳機能活性化等が期待される農林水産物 食品について 臨床試験による検証等が行われました 1 内閣府が推進する 戦略的イノベーション創造プログラム (SIP)( 用語の解説 3(1) を参照 ) 105 第1

129 第7節 農林水産物 食品の新たな需要の開拓 事例 高栄養価にんじんによる農業と医療分野との連携 岡山県 おか やま し じゅん ぷう かい 島根県 岡山県岡山市の健康管理施設内で一般財団法人 淳 風会と 岡山県 岡山市 広島県 平成 年から にんじん こいくれない が使 鳥取県 用されています 兵庫県 株式会社タニタが共同運営する岡山淳風会タニタ食堂では こいくれないは 一般的なにんじんに含まれないリコピン を豊富に含むほか 平成 年には露地野菜で初と なる栄養機能食品 栄養成分 ビタミン A にもなりました 岡山淳風会タニタ食堂では この栄養価の高さとともに 食 味の良さ 鮮やかな紅色を評価し プレミアムコース受診者 限定の食事メニューの食材としてこいくれないの採用を決め ました こいくれない こいくれないは 平成 年度時点で全国 7 道県 の農業者 50 人によりリレー出荷が行われていますが 作付 面積が 36ha にとどまり出荷量が限られていることから 他の高級志向のクリニック等からの 要望に応えられていないとのことです 医療分野と連携できる食材として こいくれないには 生産の拡大が期待されます NK アグリ株式会社の管理により栽培されたにんじんの商品名 同社の登録商標 なお 同にんじんの品種名は京くれない 漢方薬メーカーが期待する国産の薬用作物 薬用作物の根等を乾燥して製造する生薬は その 8 割を中国に依存していますが 中国 国内の需要増加等からその輸入価格は近年上昇しています このため 我が国の漢方薬 メーカーは 漢方製剤の原料となる生薬を安定的に確保するため 国内産地と薬用作物の 契約栽培を進めています 専用の農業機械がほとんど存在しない薬 用作物では農作業の多くを人手に頼らざる 図表 単位 ha を得ず 農業者の高齢化が進行する中 薬 用作物の栽培面積は近年緩やかに減少して いましたが 平成 年度は増加 に転じました 図表 薬用作物の栽培面積 平成 26 年度 2014 薬用作物 資料 公益財団法人日本特産農産物協会 薬用作物 生薬 に関す る資料 薬用作物及び和紙原料等に関する資料 薬用作物の産地においては 漢方薬メー カーが求める品質の生薬をより多く供給できるよう 地域の土壌や気候等の条件に適した 薬用作物の選定や 栽培マニュアルの作成等の取組が行われています 106

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