日本家政学会誌 Vol. No. (0) を掛け, その家庭での CO 排出量を計算する形式のもの, 日常生活における行動が環境に配慮したものであるかをチェックするタイプのもの, そしてこれらつを組み合わせたものである ). 環境家計簿の歴史は,0 年に盛岡等が新しい家計簿という形

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まともたかはし
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1 日本家政学会誌 Vol. No. ~ (0) 資料環境家計簿の長期記帳者の特徴からみた記帳普及への提案近藤隆二郎 *, 入江紗恵子, 樋口幸永滋賀県立大学環境科学部, 明治安田生命保険相互会社, NPO 法人びぃめ~る企画室. 緒言環境家計簿とは, 家庭を中心とした人間の活動が, 環境にどのような負荷を与えるかをチェックして記入する記録 * To whom correspondence should be addressed rcon@ses.usp.ac.jp 原稿受付平成年月日 ; 原稿受理平成年月日 Suggestions for the Dissemination of Household Eco-Account Books Based on Research of the Characteristics of Long-term Bookkeepers Ryujiro KONDO *, Saeko IRIE and Sachie HIGUCHI Environmental Science, University of Shiga Prefecture, Shiga, - Meiji Yasuda Life Insurance Company, Tokyo, NPO BmailKikaku-sitsu, Shiga, 0- It is difficult to say why using household eco-account books, which are said to be very effective in reducing environmental impact, is not popular today. We believe that the reason for this lies in not only the design of the books, but also the attitude of the people who use them. In order to clarify this, we analyzed the background, the attitude, and the description of the books of twentyone people who had been using the books for more than three years. The research showed that those who had been keeping these books were generally more than sixty years old and had a lot of free time. It also showed that they could be classified into four different groups. We named them as follows: Nonbiri are the members who use the books casually. Kotsukotsu use the books on a regular basis. Waiwai tend to work in groups, and Takumi thoroughly investigate the cause and are active in environmental investment. Of these groups, the people identified as members of Waiwai and Takumi had been using the books relatively longer than the other groups, and their books showed the effect of the reduction of emissions of carbon dioxide. As a result of our research, we came to the following conclusions: () It is important to understand that there are two stages, reducing energy on a day to day basis and reducing CO by environmental investment. () Book-keepers who would like to be part of Takumi should be identified. ()Creating groups like Waiwai should be encouraged. (Received February, 0: Accepted in revised form December, 0) Keywords:Household eco-account books 環境家計簿,Life style ライフスタイル,Global warming 地球温暖化,Reduction of carbon dioxide emissions CO 排出量削減帳簿のこと ) で, 継続して記帳することで環境負荷を減らすだけでなく, 環境配慮行動の慣習化や関心の深化にも有効であるとされている. その形式は様々あるが, 現在使われているものはおおよそつのタイプに分けられる. まず, 毎月使用する電気, ガス, 水道, ガソリンなどの使用量に二酸化炭素係数 ()

2 日本家政学会誌 Vol. No. (0) を掛け, その家庭での CO 排出量を計算する形式のもの, 日常生活における行動が環境に配慮したものであるかをチェックするタイプのもの, そしてこれらつを組み合わせたものである ). 環境家計簿の歴史は,0 年に盛岡等が新しい家計簿という形で提唱したことに始まる ). 同年, 滋賀県大津生協はこれを実用化したくらし点検表 Ⅰ を作成 ), 以降, 環境家計簿はさまざまな団体により開発提案されてきた. 年には環境庁が環境家計簿を作成, その普及拡大を目的に, 広島県で第回環境家計簿運動推進全国大会を開催する. 以降この大会はこの後回にわたり開催されたが, 年の神戸大会を最後に全国大会は終了する *. その後の環境家計簿の推進運動は, 全国的な普及活動という形ではなく, 各自治体の環境政策に委ねられるようになり, 年, 東京都板橋区が全国で初めて環境家計簿簡略版エコチェックシートを全戸に配布した. 翌年には特定非営利活動法人地球環境と大気汚染を考える全国市民会議 (CASA) が, より簡単に環境家計簿に取り組めるようインターネット環境家計簿を公開, 続いて 00 年にはネットワーク地球村が運営するストップザ温暖化キャンペーンストッコも, インターネット環境家計簿を公開する *.00 年には, 環境家計簿のさらなる普及を目指し, 環境省が環境家計簿記帳サイト我が家の環境大臣において, エコ帳の記帳サービスを展開した *. また,00 年同省は, 環境家計簿を活用した企業向け環境教育セミナーを開催, 企業を通した家庭への環境家計簿普及に乗り出している *. このように, 行政や団体が様々な形で普及ための努力を重ねてきた環境家計簿であるが, 現在広く一般に普及し活用されている状況にあるとはいえない. 年度環境白書では, 環境家計簿をつけている人は国民のわずか % であるという ). また, 東京電力の 00 年調査によれば, 環境家計簿の認知度は約 0% にのぼるにも関わらず, 実際に記帳を行なっている人はわずか約 % で, 使ったことはあってもやめてしまう人が.% にのぼる. 記帳しない, またはやめてしまう理由は, 入力が面倒(0.%) CO 削減量がわかりにくい (.%) 等( 複数回答有 ) であったという ). こうした状況に研究者たちも注目し, 記帳者が増加しない原因は環境家計簿自体にあるという視点から ), 多様な環境家計簿が開発されてきている. 杉原等は, 環境家計簿に不足している機能を模索し, 不足機能を補った新たな環境家計簿の提案を行っている ). 村上等は, 動機とインセンティブの問題に着目し, 取り組みやすい環境家計簿として想起型環境家計簿を作成し, その可能性について論じた ). この研究結果を受けて中小田は, もったいない帳という生活チェック型の簡易型環境家計簿を開発, 普及を試みた 0). 誰でも容易に取り組める環境家計簿として示されたものの, 現在も環境家計簿の普及する状況には至っていない. これらの研究結果から筆者等は, 環境家計簿が普及しない原因が, 記帳する側の取り組み方にもあるのではないかと考えた. そこで本研究では, 実際に環境家計簿を記帳する人の取り組み方に焦点を当てることとした. 環境家計簿自体の問題の存在も否めないが, 実際に記帳成果を出している人達から学ぼうというのが本研究の視点である. そのために, 長く記帳を続けている人の記帳開始当初から長期継続するに至った経緯を丁寧に追い, そこに隠された継続のヒントを探り出す. 本研究の主な目的は, 以下の点である. ) 長期記帳者の記帳に至った経緯と具体的な記帳スタイル, 記帳内容の特徴を明らかにする. ) 把握した記帳スタイルと記帳内容に分析を試み, 環境家計簿の普及を推進支援する行政や団体に, 有効な知見を提供する. 本研究の成果は, 長期記帳者の増加, ひいては CO 排出削減に寄与するものと考えられる.. 研究方法 () 環境家計簿の長期記帳者の選定まず, ヒアリングの対象となる環境家計簿を長期にわたって記帳し続けている人を探さねばならない. ここで長期の示す期間であるが, 環境家計簿は年記帳しただけではその成果の把握は困難で, 年目も記帳することで比較もでき, ようやく初期的段階に踏み込んだといえよう. そこで本研究の対象は, さらに次の段階に踏み込んで年目に至っている, あるいはそれ以上継続記帳している人とした ( 以降, 当該者を継続記帳者とする ). 継続記帳者は, インターネットのキーワード検索, 雑誌及び新聞の記事検索のほか, 環境家計簿記帳サービスを提供する我が家の環境大臣とストッコ運営者からの紹介 * や, 実際にヒアリングを行なった継続記帳者からの紹介によって名を把握することができた ( 表 ). このうち, 直接会うことが可能な人を対象に, ~ 時間程度の面談によるヒアリングを行なった. 遠方のため会うことが難しい対象者名にはヒアリングシートを送付, その返信を分析対象とした. このうちの名は電話によるヒアリングで補完調査も行った. 人という対象数は少数であり, 得られた結論において客観性を欠く可能性も否めない. しかし, 把握した継続記帳者は確実に母集団の一部であり, 今後さらなる研究が行われていくための仮説作りを行うことは可能であると考える ()

3 環境家計簿の長期記帳者の特徴からみた記帳普及への提案日本家政学会誌 Vol. No. (0) 番号記号年齢性別 () 継続記帳者へのヒアリング調査ヒアリングでは, 表に示した内容を問うた. 面談による対象者からは, 雑談的な語りの中から関連する言及も漏らさず拾い上げ, 記録した. () ライフヒストリーの作成本研究では, 継続記帳者の特徴や記帳開始からの取り組み, 周囲との関係を明らかにするために, ヒアリング内容からライフヒストリー ( 以下 LH とする) を作成, これを主たる資料とした.LH 分析とは, 個人の人生, その人の過去から現在に至る体験及び主観的な意味づけの記録である LH のデータを第次資料とし, 社会現象における新たな知見, 仮説, 理論を構築する研究方法である ). 本研究の目的を達成するためには, 個人の人生に焦点を当て, 長期にわたり個人の足跡を追うことができる LH 分析が最適であると判断した. LH を作成できたのは, 面談によるヒアリングを行なった名のうち,LH 作成の承諾が得られた名である. 各継続記帳者の LH は, 作画ソフト Visio を使ってまとめた.LH は社会での環境に関する大きな事象をまとめた環境年表に並列させ, それぞれの継続記帳者の家族や地域との関係や環境意識, 環境家計簿をめぐる事象などをまとめた個人年表と, 所属する団体との関係性を表. 分析対象者一覧と使用環境家計簿について継続年数居住地職業境家計表. 継続記帳者への質問内容事項機容基本名前, 職業, 年齢的家族構成動No. 質問内環境活動に興味を持ち始めたきっかけ動機環境家計簿記帳のきっかけ環簿使用環境家計簿の種類使用環境家計簿の選択理由識環境家計簿を記帳するデメリット削減成果意環境家計簿を記帳するメリット現在までの CO 0 環境家計簿記帳中断の有無取り組み記帳項目記帳頻度使用環境家計簿の形式 A 男北海道技術者月知人団体製 B 女北海道専業主婦月知人団体製 C 0 女鳥取県専業主婦月知人団体製 D 女 0 滋賀県技術者月会社製 E 0 男大阪府マーケティング後 ISO 審査員月知人団体製 F 男滋賀県自然観察委員月知人団体製 G 女滋賀県環境部門担当ヶ月の内の自作 ( 手書き ) 必要なとき H 男滋賀県コミュニケーション月行政製 ( 手書き ) I 男千葉県技術者月自作 0 J 男千葉県不明月自作 K 女千葉県経理, 専業主婦月行政製 ( 手書き ) L 男千葉県技術者月知人団体製 M 男千葉県技術者月行政製 ( 手書き ) N 男埼玉県技術者月知人団体製 O 男埼玉県技術者月知人団体製 P 0 男京都府技術者ヶ月に一度自作 Q 女京都府専業主婦ヶ月に一度知人団体製 R 女 0 京都府看護婦月知人団体製 S 男京都府建築士ヶ月に一度知人団体製 0 T 女京都府専業主婦ヶ月に一度知人団体製 U 0 代女京都府専業主婦ヶ月に一度知人団体製グレー塗りつぶしはライフヒストリー (LH) 作成対象者方家族の協力環境家計簿記帳で心がけていること環境家計簿記入方法 ( 個人で家族でチームで ) 会社内での取り組みその他所属団体継続記帳者の友達紹介の可不可環境家計簿記帳を可能にした要因 ()

4 日本家政学会誌 Vol. No. (0) まとめた時系列所属団体関係図のつで構成される. 年表の開始年は, 環境活動に関わるようになった経緯も知るために, 記帳開始年よりさかのぼった時点に設定した. とくに環境活動に関わり始めたきっかけや, 記帳を継続するための工夫や努力点など, 継続記帳者が語ったことがらを当該箇所に書き込む形で補完した. なお, 本研究で作成した LH は, 継続記帳者の個人情報と深く関わるため, 作成後に各継続記帳者本人に確認してもらい, 必要があれば修正を加えた. () 記帳内容の分析 LH 分析と共に, 継続記帳者が残している実際の環境家計簿データの分析も行なった. 具体的には電気ガス水道灯油等の使用量とゴミの排出量, これらから係数をかけて算出した CO 排出量の年ごとの増減状況をグラフ化して経過を把握するというものである. () 記帳スタイルの分類 LH と記帳内容から, 記帳スタイルの特徴を類型化し, その組み合わせからクラスター分析を用い, 記帳スタイルごとの継続記帳者の特徴を把握する. 読み取れた特徴から, 行政や各種団体に提案できる有効な知見を導き出す.. 結果ヒアリング結果から, 環境活動及び環境家計簿記帳に関わり始めたきっかけ, 省エネへの取り組み方, 環境家計簿継続の理由, 継続記帳者の属性の特徴等について集計整理を行なった. () 属性の特徴継続記帳者の年齢は人中人が 0 歳以上であった. 会社を退職し, 時間的余裕ができたことにより何か新しいことを始めたいという願望が生まれ, その欲求を満た図. 継続記帳者が環境活動へ関わったきっかけ ( 重複回答 ) すために環境活動を選んだという人がほとんどであった. 性別比は男性人, 女性人である. 会社勤務時代にデータ管理や技術職など理系の要素を含む職務経験がある人が人, そのうち人は男性であった. 一方女性は, 専業主婦と答えた人が人中人で, 女性はデータ処理の経験がなくても, 記帳のデータ処理を委ねることで継続が可能になっていることがわかる. () 記帳者が環境活動に関わり始めたきっかけ ( 図 ) 男性と女性で環境活動に関わり始めるきっかけに違いがあることが特徴的である. 勤務先が環境活動に取り組み始めた勤務先が以前から取り組んでいた等, 会社内での取り組みがきっかけとなっている人は人中 0 人, そのうち人が男性である. また, 退職後に新しいことをしたいと考え環境に関わるようになった人は人中人, そのうち人が男性であった. 一方, 幼い頃から親にもったいない意識を学んだという家庭からの刺激がきっかけとなった人中人は女性である. 女性記帳者人中人が, 報道で日本や世界の情勢を知り環境保護に興味を持つようになったという. () 環境家計簿の記帳に至った動機 ( 図 ) 0 歳を過ぎてから記帳を始めた記帳者が, 半分以上を占めた ( 人中人 ). その多くが, 退職を契機とした時間的余裕の中で, 市やイベントなどの情報から刺激を受け, 知人に誘われる中で環境家計簿を記帳するに至っている.0 歳以下で記帳を始めた人中人は, 勤務先が ISO0 等の環境の取り組みを始め, それに関わったことがきっかけであった. 図. 世代別にみた継続記帳者が記帳に至ったきっかけ ( 重複回答 ) (0)

5 環境家計簿の長期記帳者の特徴からみた記帳普及への提案日本家政学会誌 Vol. No. (0) () 記帳に伴う環境行動 ( 図 ) 記帳者のほぼ全員が, 環境家計簿の記帳だけでなく, 省エネ行動をとっていた. 積極的に省エネ行動に取り組んでいる記帳者は人中人, そのうち家電製品の買い換えと住宅改善 ( 以下, この行動をまとめて環境投資とする ) を行っている記帳者は人, 徹底的な原因究明までおこなっている記帳者は人中人である. 環境家計簿をチームで記帳していたのは人中人で, それ以外は個人で記帳していた. () 環境家計簿の継続理由 ( 図 ) 記帳により CO 排出量を減らすことができたという成果の実感を継続理由に挙げた記帳者は人中人であった. また, 記帳の簡単さ記帳を継続していると答えた記帳者は人であり, 継続するためには自分が苦にならないレベルの環境家計簿であることが前提条件となっていることがわかる. () 使用環境家計簿の特徴 ( 表, 図 ) 継続記帳者が使用している環境家計簿全てが,CO を計図. 継続記帳者の記帳に伴う環境行動と継続理由 ( 男女別重複回答 ) 算するタイプの環境家計簿であった. 手書きで記帳している記帳者は人であったのに対し, 残る人が, エクセルやインターネットのサイトに作られたフォーマットを利用して環境家計簿を記帳していた. 記帳項目は項目が人中人でほぼ半数である. 最も少ない項目数が項目で, 最多は項目であった. いずれの環境家計簿にも共通する項目は, 電気ガス水道の項目であり, 次にガソリン灯油と続く. 記帳頻度は, 月回が人中人で最多である. ヶ月に一度, 気になった時のみ記帳するという意見もあった.. 記帳スタイル別特徴表. 環境家計簿記帳スタイル以上のように各継続記帳者の特徴を把握できたところで, その動機やきっかけ, 取り組み方, 属性等にいくつかの似た傾向があることがわかった. そこで, 比較的詳細な調査ができている LH を作成した記帳者人を, 記帳に伴う環境行動と継続記帳の継続理由を変数としたクラスター分析を用いて分類し ( 表 ), それぞれのんびり型 ( 成果非重視個人型 ), こつこつ型( 成果堅実独自型 ), わいわい型 ( 成果追求集団型 ), たくみ型( 成果追求主導型 ) と名付けた. 分類したところで年間 CO 排出量推移についても比較してみると, これについても似た特徴があることがわかった ( 図 ). なお,0 年度家庭からの図. 使用環境家計簿における記帳項目スタイル名のんびり型こつこつ型わいわい型たくみ型記帳特徴成果非重視個人型成果堅実独自型成果追求集団型成果追求主導型記帳者 D K E F G H L M N Q R T I P S ()

6 日本家政学会誌 Vol. No. (0) 平均年間 CO 排出量は約,00kg CO ( 温室効果ガスインベントリオフィス ) であり, ほとんどが下回っていることがわかる. () のんびり型 ( 成果非重視個人型 ) のんびり型に分類されたのはわずか人で, 年齢 ( 代と 0 代 ) や職種 ( 技術者と専業主婦 ) に違いはあるもの, いずれも女性である点, また日常生活の中で環境意識を高く持っているという点で共通している. そのライフスタイルの大きな特徴は, 特に意識した省エネ行動はとっていないということであった. それぞれがんばりすぎない自然のままにと語るとおり, 気楽に, 日常生活の一つの行為として記帳を楽しんでいる様子が伺える. その結果, 他の記帳スタイルグループに比べ, わずかではあるものの CO 排出量を確実に削減させている. なお,D 氏は複数の家計簿を使用してきており全体のデータをまとめることが困難なため, グラフ化していない. () こつこつ型 ( 成果堅実独自型 ) こつこつ型に分類されたのは男性人女性人で, データ処理に強く探究心があるという点, 時間的余裕があって記帳の成果を含め環境活動について発表の場を持ち積極的に推進しているという点で共通している. 人中人が会社を退職後環境活動に関わるようになっている. 環境投資を行っている人は人中人, 家族の協力を得て省エネ行動をとっている人は人中人である.CO 排出量の推移を見てみると, たくみ型わいわい型ほど図. 記帳スタイル別にみた年間 CO 排出量推移ではないものの, 緩やかに削減させている. () わいわい型 ( 成果追求集団型 ) わいわい型に分類されたのはいずれも 0 代の女性人である. いずれも環境意識が高く活動にも積極的に参加, 環境家計簿記帳についてはチームを結成, 互いに励まし合いながら記帳しているが, データ処理や解析に関してはそのリーダーに依存している. 環境投資や省エネ行動に積極的で, そうした活動に関して発表の場を持っているなど, はっきりとした共通点が多くみられた.CO 排出量はたくみ型と同じく大幅に減らしており, うち人は記帳開始時から最大 0kg CO まで削減させている. これは太陽光発電による売電によるものであるが, 例えば冬の暖房温度設定をにするなど, その取り組みの徹底ぶりに因る成果でもある. () たくみ型 ( 成果追求主導型 ) たくみ型に分類されたのは男性人であるが, いずれも 0 歳前後である点, 環境家計簿の結果に対する原因究明を徹底的に行っている点, 環境投資を積極的に行なっている点, 環境活動について発表の場を持っている点, データ処理に強く探究心がある点において共通している. 知人の付けた環境家計簿のデータ処理も行っている人は人, 会社で環境活動を行なっていた人が人いた. I 氏の CO 排出量が年目に急激に増えているのは, 年目に灯油の計算をしていなかったためで, 年目を 00% とすると最終年は 0% にまで削減している ()

7 環境家計簿の長期記帳者の特徴からみた記帳普及への提案日本家政学会誌 Vol. No. (0) 図. 環境家計簿長期記帳者におけるつの記帳スタイルの位置づけ () 記帳スタイルの変遷以上つのタイプを図に位置づけた. 記帳スタイルとして, データや数字に基づく工夫を重視するスタイル, また, 仲間や社会といったつながりを重視するスタイル, さらには自身や家族に対して記録ということを重視するスタイルという特徴のもとで整理した. また, タイプ別の環境家計簿記帳に対する取り組み努力の度合いは, のんびり型 < こつこつ型 < わいわい型 < たくみ型の順で強いと推察される. この強さは記帳年数と関係していると考え, 分析対象母数はと極めて少ないながらも, 上記のつのタイプごとの平均記帳年数を比較した. その結果, こつこつ型が. 年, のんびり型が年, わいわい型が. 年, たくみ型が. 年であった. わいわい型とたくみ型はいずれも平均記帳年数が年を超えており, こつこつ型よりも長い. つのグループには, データ処理を委ねる - ( 全員ではないが ) データ処理を任されるという相互関係が成り立っているため, この関係はしばらく維持され続けるであろう. LH からわかることは, このタイプでも最初はこつこつ型であったということである. 記録して工夫することが最初のステップであり, ここから工夫の追求と指導や評価といったつながりを重視することでたくみ型になる. 工夫よりもわいわいとする楽しさを重視する場合はわいわい型として続けられるのである. のんびり型は代女性が 0 年,0 代女性が年である.LH からは, やはり最初はこつこつ型であり, 環境家計簿に触れたあとは, マイペースで記帳している. 代女性は 0 年もこのスタイルを守り続けてきているので, 今後このままのスタイルを維持するかもしれない. こつこつ型に属する人たちは, 初期段階である場合とともに, 長年こつこつ型のままでいる人もいるため, 最初の基礎ステップとしてとらえることができ, その後の展開ではたくみ型やその他のタイプに展開していく可能性がある. () 環境投資との関係性ここで注目しておきたいのが, 環境投資, すなわち家電製品の買い替えと住宅改善への取り組み状況である. こつこつ型に属する人のうち環境投資を行っている人は人であるが, わいわい型やたくみ型に至ると全員が環境投資を積極的に行なっている. これにはこつこつ型に属する M 氏のでも最近は電気が行き詰ってきましたね.( 中略 ) あとやるとすればもう車ですねという語りからもわかるように, ある程度削減努力の年数を重ねると削減具合が緩やかになってしまい, いよいよ環境投資も考えねばと思うようになるものと考えられる. しかし, 同じこつこつ型に属する F 氏は環境投資を行なうには至っていない. 記帳開始時に比べ削減率が緩やかになっている状況の中, ( 今後 ) 住宅改善を行うか否か, そこがさらに継続して環境家計簿を記帳するかの分かれ目になるどのような生活を行なえば省エネできるのかを把握すれば, 記帳は必ずしも必要ではないのではないか環境家計簿は初心者向けのツールだと思っていると語り, 環境家計簿は継続記帳にこそ意味があるとする筆者等の大前提を覆す形となった. こつこつ型に属する G 氏は, 記帳開始から年目に冷蔵庫の買い替えや二重ガラス設置等の環境投資を行っているが, これはやはり CO 排出量が減らなくなってきたからだという. また, こつこつ型に属し, 今回の分析対象の中で最も記帳年数が長かった E 氏は, 自らの経験と分析からランニングコストとイニシャルコストと, 最初の投資から省エネで元が取れるクロスポイントは年, 冷蔵庫なんてのは年潰れへんから, だからこれは買い替えるとかね, 計算してやっているんですと, 巧みな環境投資を遂行し, 記帳当初と比較して % 削減にまでこぎつけている. そんな E 氏でも近年は大きな成果が得られなくなってきており, 今後はさらなる環境改善を検討中だという. このように, ある程度長く記帳した結果省エネ行動が常態化すると CO 排出量削減の成果が出にくくなり, 環境投資に至るか否かに迷う過渡期があることがわかった.F 氏の語りから, 数年間記帳してある程度成果が得られ省エネ行動も体得できたところで, 環境投資には至らず ( ある ()

8 日本家政学会誌 Vol. No. (0) いは, 至れる経済状況ではないため ), 記帳をやめてしま工夫の意識を刺激していくことが有効であろう. う人も多いのではないかと推察できる. 一方環境投資に至わいわい型に属する人たちのようなグループづくりる人はその後も記帳を継続していく. すなわち, 記帳の継を後押しすることも必要である. そしてそこにたくみ型続は数値として見える結果に因るところが大きく, 自分ののリーダーを配置する. さらに前述の筆者等の先行研究結日常生活でできることを実行した後環境投資を行うことに果から, そのグループが狭い地域から広域まで階層的に存より, さらなる削減を可能にするのである. ここまで至っ在すれば, それぞれにおいて多岐にわたる比較と情報交換た記帳継続者は,CO 排出量の数字と環境投資という経済が可能となり, より効果を発揮するであろう. 的インセンティブとを冷静に比較検討する暮らし方ができ () 今後の課題ているものと考えられる. 本研究結果からは以下の課題が残された. 0 まずは分析対象が人, そのうち LH を作成できたの 0. 結論が名と母数が少なかったことである. 環境家計簿は個 () 継続記帳者の特徴人の家庭内での取り組みであるため, 把握するすべが少な環境家計簿の継続記帳者の大きな特徴は, 時間的余裕のく, インターネットのキーワード検索と雑誌や新聞の記事ある 0 歳以上が多い (%) ことである. 検索, これらにより分析対象となった人の紹介でしか抽出継続記帳者は, 大きくつの記帳スタイルに分類するできなかった. 家計簿と同様に, 環境家計簿の記帳者は露ことができる. すなわち, 記帳初段階で, 成果を追求し堅出が少なく, 結果的に記帳方法やスキルを共有する機会も実に独自に取り組むこつこつ型, 成果を求めるという少ないのである. 記帳者の記帳意欲を上げるためにも, 今より記帳をマイペースで楽しむのんびり型, 成果を追後環境家計簿を記帳している人たちや個別のスキルが積極求し仲間と共に記帳を続けているわいわい型, そして, 的に紹介されるシステムが必要で, また研究者もそれらを 0 成果を追求し, 記帳グループのデータを取りまとめるなど丁寧に掬い上げて提示していく必要があると感じた. 0 記帳を主導するたくみ型である. もう点は, 省エネ行動によって成果が出にくくなっこれらの記帳スタイルのうち, 比較的長く記帳し環境投たところで記帳の継続を躊躇する傾向があることが明らか資も行ない CO 排出量削減にも効果を出しているのは, わとなったことである. 継続記帳を前提にすすめたこの研究いわい型とたくみ型である. わいわい型は記帳であったが, この過渡期に関する継続記帳者たちの議論のをグループで行ない, たくみ型に属するリーダーに分うち, 省エネ行動を常態化できさえすれば必ずしも記帳を析を委ねている. つまり, 継続記帳し CO 排出量削減を継続する必要はないのでは, という意見は重要である. 井効果的に遂行するには, 統計分析能力のあるリーダーと, 元他 ) が環境家計簿運動は, 個の生活見直しに終始して切磋琢磨する仲間の存在が有効であることがわかる. これおり, 社会システムの改善の道具として扱う視点が希薄では, 筆者等の家計簿に関する先行研究 ) における全国あると指摘したように, 個人の力だけでは解決が難しい問 0 友の会の中央部と会員の関係と似ており, この関係題が明確になった段階からさらに社会システムの改善につ 0 性が有効であることがさらに証明されたといえる. なぐ仕組みが課題であることが浮かび上がった. () 環境家計簿記帳普及への提案以上点を今後の研究課題としていきたい. 継続記帳者すべての CO 排出量は年々低下しており, 実際に減るということを実感できることが重要であることがわかる. 削減というステージには, 段階があると整理 * 大会概要は, 環境省による以下の WEB サイトに記載があできる. 第ステージは, 記帳を開始し生活を認識するる ; ことより身近な工夫で徐々に削減していく段階であり, 初 * ストッコに関する概要は, 以下の WEB サイトに記載期段階とも言える. 第ステージは, 家電買い替えや住がある ; 宅設備等への環境投資を実践する段階である. このス * エコ帳は, 以下の WEB サイトからダウンロードできる ; テージを前提として普及プログラムに組み込むことで, 認識から実践, 効果把握そしてふり返りといった一連のサイ * 企業向け環境教育セミナーの概要は, 環境省による下記クルとしてモチベーションを持続することができよう. の WEB サイトに記載がある ; たくみ型に属する人たちのようなリーダーが活躍する場を提供していくことが望まれる. とくに本研究におい * 個人情報保護の観点から, 運営側からの一方的な紹介はてこつこつ型に属するようなタイプの人たちを企業リできないとの返答を受けたが, 協力者を募るという形タイア層などから発掘すると共に, 発表の場などによってで賛同者の協力を得ることができた. ()

9 環境家計簿の長期記帳者の特徴からみた記帳普及への提案日本家政学会誌 Vol. No. (0) 引用文献 ) 杉原利治大藪千穂. 環境家計簿. 多様化するライフスタイルと家計.( 社 ) 日本家政学会家庭経済学部会.( 東京都 ). 建帛社.00,p.-. ) 杉原利治, 環境家計簿の実践がもたらすもの ( 特集エコライフという生活者価値 ) ( 生活者が始める身近なエコ. ライフ ).CEL,00,0 号,p.0-. ) 盛岡通日下正基八木俊策. 新しい家計簿. 山河計画家. 0, 第号,p.00-. ) 盛岡通. 身近な環境づくり環境家計簿と環境カルテ. ( 東京都 ). 日本評論社.. ) 環境省, 平成 0 年度版環境白書, 第 -- 図. ) 東京電力株式会社. 家庭における光熱費チェックに関する調査.00,p.-. ) 杉原利治杉原久美. 新しい環境家計簿. 環境家計簿の評価と新家計簿の構想. 岐阜大学教育学部研究報告自然科学.00,,(),p.-0. ) 杉原利治杉原久美. 前掲書. ) 村上浩継近藤隆二郎. 想起型環境家計簿の提案とその可能性に関する研究環境日めくり日記の試作と実験を通じて. 環境システム研究論文集.00, Vol.,p.-. 0) 中小田すばる. もったいないの継続的な記録を用いた環境行動を促すシステムの作成と効果. 滋賀県立大学環境科学部卒業論文,00. ) 谷富夫. ライフヒストリーを学ぶ人のために.( 京都府 ). 世界思想社.00. ) 樋口幸永近藤隆二郎. 全国友の会における家計簿記帳運動の特徴と役割. 日本家政学会誌.00,Vol.0, No.0,p.-. ) 井元りえ小澤紀美子, 環境家計簿の役割と可能性. 日本家政学会誌.000,Vol.,No.,p ()

派遣社員の評価に関する派遣先担当者調査結果

派遣社員の評価に関する派遣先担当者調査結果派遣社員の評価に関する派遣先担当者調査結果 ( 概要 ) 2017 年 4 月調査結果の概要派遣社員の必要性を強く感じている派遣先担当者は非常に多く処遇向上や正社員登用にも前向きであり派遣社員の評価結果を処遇向上や正社員登用の判断に活用する派遣先担当者も少なくない派遣先担当者が派遣社員を評価する際に重要視するのはまじめさや報告連絡相談などの基礎力であり処遇向上や正社員登用の際には