欧米の状況 ( ロンドン パリ ベルリン ) 日本には 3500 万本の電柱がある さらに毎年 7 万本増えている その背景には 電柱を立て電線を架空することが 安価な電力や電話には必要と言われてきた それでは 外国ではどうか? 1

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1 無電柱化民間プロジェクト概要 松原隆一郎

2 欧米の状況 ( ロンドン パリ ベルリン ) 日本には 3500 万本の電柱がある さらに毎年 7 万本増えている その背景には 電柱を立て電線を架空することが 安価な電力や電話には必要と言われてきた それでは 外国ではどうか? 1

3 欧米の状況 ( ロンドン パリ ベルリン ) ベルリン ヨーロッパの主要都市では 無電柱化により良好な景観を創出 ロンドン パリ

4 2-3 欧米諸国の状況 ( ニューヨーク ) 19 世紀末のクモの巣のような電線を無電柱化 ブロードウェイとジョンストリートの交差点 19 世紀末 出典 :Joseph P.Sullivan 1889 Overhead Wire Panic in New York City IEEE Power Engineering Review" December,1995 無電柱化後 3

5 2-4 アジア諸国の状況 ( シンガポール 香港 ) アジアの主要都市でも 無電柱化により良好な空間を形成 シンガポール 香港 ストリートビューを基に作成 4

6 アジアの状況 ( 台北 ) 台北 台北駅周辺は 面的に無電柱化され すっきりした街並み 鉄道駅 病院 住宅地 1 台北駅 繁華街 3 中山堂 総統府 国立博物館 学校 住宅地 2 中正紀念堂 4 Google マップ ストリートビューを基に作成 縮尺 1km 5

7 アジアの状況 ( ジャカルタ ) ジャカルタにおいても面的に無電柱化が進められている (cf. 下水道普及率約 3%) ジャカルタ 商業地域 鉄道駅 1 1 住宅地 3 美術館 オフィス街 公園 スタジアム 住宅地 2 4 オフィス街 ジャカルタ市政府観光局 1km Googleマップを基に作成縮尺 6

8 各都市の無電柱化率の推移 無電柱化率 (%) 100 欧米の主要都市では戦前より地中化が標準 100% 99% ロンドン パリ ベルリン 86% 93% シンガポール 100% 100% 香港 83% 100% オークランド ( ブリトマート駅周辺 ) 1 99% 95% 台北 ( 台北駅周辺 ) 1 ニューヨーク 72% 50 アジアの都市では 無電柱化が顕著に進展 ソウル 42% 46% 40% 34% 北京 57% 35% マニラ ( マカティ地区周辺 ) 1 ジャカルタ ( コタ駅周辺 ) 1 28% リマ ( 歴史地区周辺 ) 1 ハノイ ( 日本大使館周辺 ) 1 17% ( 高圧 ) 一方 日本の無電柱化は遅れたまま 7% 3% 5% 1% 2% 戦前 1970 年代 1980 年代 1990 年代 2000 年代 2010 年以降 東京 23 区 2 大阪市 2 京都市 2 年 1: 周辺 1km の道路延長ベース 2: 道路延長ベース ( ケーブル延長ベースの無電柱化率 : 東京 (23 区 )32% 大阪市 29% 京都市 14%) 電柱本数 ( 日本全国 ) 3007 万本 518 万本 3525 万本 27 万本 3552 万本 (S62) 増加 (H20) 増加 (H24) (7 万本 / 年 ) 7

9 日本の空 電線病 上空は蜘蛛の巣のような電線に覆われている 日本人は外国に行くまで気づかない 外国人は日本に来て気づく 電線は国土の魅力と安全を大いに損なっている 8

10 日本にいま必要なこと 1. 成長戦略としての観光 2. 震災対策

11 日本にいま必要なこと 1. 成長戦略としての観光 2. 震災対策 日本には 絵画で見て憧れた景観は 電線に覆われている 富士山を電線に横切られずに眺められる地点は大半が消滅した

12 海外との比較 ( 世界遺産周辺 ) 海外 日本 世界遺産 ペルーリマ大聖堂前 富岡製糸場正門前 世界遺産 カナダケベック歴史地区 富士山を望む道路 ストリートビューを基に作成 11

13 海外との比較 ( 住宅地 細街路 ) 海外 日本 住宅地 ロサンゼルスビバリーヒルズ 田園調布 細街路 ストリートビューを基に作成 台北 築地 12

14 海外との比較 ( 郊外 ) 海外 日本 郊外 ブータン 出典 : 熊本県阿蘇市 ストリートビューを基に作成 郊外 スイス 兵庫県多可郡多可町 出典 : 出典 : 13

15 日本にいま必要なこと 1. 成長戦略としての観光 2. 震災対策 阪神大震災では 道幅の広い道路にも電柱が無残に横たわって消防車が入られなかった 14

16 1 無電柱化の目的 無電柱化は 景観 観光 安全 快適 防災 の観点から推進 良好な景観形成観光振興 通行空間の安全性 快適性の確保 道路の防災性能の向上 15

17 地震等による電柱の倒壊状況 災害年月名称電柱の倒壊状況 地震 1995 年 1 月 阪神淡路大震災 ( 兵庫県南部地震 ) 電力 : 約 4,500 基 1 通信 : 約 3,600 基 2 ( 供給支障に至ったもののみ ) 倒壊した電柱や電線が道路の通行を阻害 生活物資の輸送に影響を与えたほか 緊急車両の通行にも支障 1 地震に強い電気設備のために ( 資源エネルギー庁編 ) 2 NTT 調べ 台風 2003 年 9 月台風 14 号 津波 2011 年 3 月東日本大震災 ( 東北地方太平洋沖地震 ) 宮古島市全体電柱 800 本 倒壊した電柱により 通行不能箇所が多数発生 沖縄電力調べ 電力 : 約 28,000 基 1 通信 : 約 28,000 基 2 ( 供給支障に至ったもののみ ) 断線した電線が発災直後の道路の啓開作業を阻害 出典 :NPO 法人電線のない街づくり支援ネットワーク 1 経済産業省 HP 2 NTT 調べ 竜巻 2013 年 9 月 埼玉県越谷市 46 本 1 千葉県野田市 5 本 2 1 越谷市 HP 2 内閣府 HP 16

18 無電柱化の目的 ( 通行空間の安全性 快適性 ) 無電柱化により歩道の有効幅員を広げることで 通行空間の安全性 快適性を確保 通行を阻害する電柱 17

19 無電柱化の整備延長の推移 1 年あたりの整備延長は平成 10 年代後半をピークに減少 年度毎の無電柱化延長 整備延長 (km/ 年 ) 平均整備延長 [350km/ 年 ] 平均整備延長 [420km/ 年 ] 実績整備延長約 2,100km 平均整備延長 [440km/ 年 ] 実績整備延長約 2,200km 平均整備延長 [325km/ 年 ] 平均整備延長 [200km/ 年 ] 実績整備延長約 1,000km 第一期計画 平均整備延長 [250km/ 年 ] 実績整備延長約 1,000km 第二期計画 実績整備延長約 1,400km 第三期計画 第四期計画 第五期計画 実績整備延長約 1,300km 平成 24 年度末時点 無電柱化に係るガイドライン S61 ~ H2 H3 ~ H6 H7 ~ H10 H11 ~ H15 H16 ~ H20 H21~ 18

20 手詰まりになった 理由は?

21 無電柱化の実施状況と道路幅員別道路延長 ( 東京都内 ) 約 9 割の延長を占める市区町村道の無電柱化率は 2% 歩道幅員が 2.5m 未満の道路は市区町村道で 94% ( 国道 都道 ) 約 1 割 ( 道路延長 :2,450km) < 東京都内の道路延長 > 無電柱化率 :27% < 市区町村道の歩道幅員別延長 > 2.5m 以上 :6% ( 道路延長 :1,374km) 市区町村道 ) 約 9 割 ( 道路延長 :21,406km) 2.5m 未満 :94% ( 道路延長 :20,032km) 無電柱化率 :2% ( 全体 ) ( 道路延長 :23,856km) 20

22 電気料金は安いのか? 公共の財産である空に電線というゴミを無料で捨てているから 電線の埋設費が高いのも コスト削減してこなかったから 21

23 無電柱化手法の変遷 歩道幅員が広く 電力や通信の需要が大きい地域を想定した手法から徐々にコンパクト化を図っているが 現場対応として限界 歩道幅員 広い 4.5m 電力線 通信線 3.5m 電力管 通信管 2.5m 電力管 電線共同溝 H11~ よりコンパクト化 通信管 電線共同溝 H7~ コンパクト化 各管路の中にケーブルを敷設 キャブシステム cable box system S61~ 歩道下のボックスにまとめて収納 狭い 電力 通信の需要 小さい 住居系地域 商業系地域 大きい 大規模商業系地域 22

24 3-4 無電柱化手法の海外との比較 無電柱化先進都市は主な埋設方式として直接埋設を活用また 地上機器の設置場所は民地や公共用地を活用 都市名ロンドンパリベルリンニューヨークソウル東京 (23 区 ) 無電柱化率 ( ケーブル延長ベース ) 100% (2004) 100% (2004) 99% (2012) 83% (2011) 46% (2011) 32% (2012) 主な埋設方式 車道 : 管路歩道 : 直接埋設 直接埋設 直接埋設 直接埋設 ( 一部管路 ) 管路 管路 費用負担事業者事業者 行政 住民負担 地上機器の主な設置場所 道路 民地 公共用地 地下 地下 国土交通省調べ 23

25 電線共同溝と直接埋設の比較 電線共同溝 直接埋設 通信用管路電力用管路 通信線電力線 断面図 民地 コスト ( 1) 土木工事約 3.5 億円 /km 土木工事約 0.8 億円 /km( 2) 採用している主な国 ( 都市 ) 日本 韓国等 ロンドン パリ ベルリン ニューヨーク等 1 コストには 上記のほか 電気設備 ( 地上機器 ( トランス ) ケーブル ) 工事に係る費用 ( 約 1.8 億円 ) がある 2 日本において導入実績がないことから試算したもの 24

26 3-3-1 多様な整備手法の活用 1 管路やケーブルの設置形式や 地上機器の設置場所について 歩道幅員や 電力 通信の需要に応じて多様な手法を活用 歩道幅員 電線共同溝 広い 2.5m 歩道幅員や 電力 通信の需要に応じて 多様な手法を活用 電力管 通信管 管路 ケーブルの設置形式 地上機器の設置場所 民地 公共用地を活用 [ コンパクトで効率的な手法の適用 ] [ 地上機器の設置場所の工夫 ] 直接埋設や小型 BOX 活用埋設を導入 狭い 小さい 電力 通信の需要 大きい 25

27 民間プロジェクトの今後の目標 1. 工事経費抑制のための直埋設の推進 2. 民地確保の手法確立 3. 新設の電柱は 原則禁止 とする法律 ( 無電柱化基本法など )

28 活動方針 企業の協力を求める CSR 民地にトランスを置く 軒下に配線するなどの協力を求める 予算の確保 税制による優遇 無電柱化基本法の策定

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