法政論叢52巻2号

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つねたけはしかわ
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連続シンポジウム岐阜発わが国の政策課題への処方箋諸外国におけるジェンダーギャップへの取組み韓国 : 政治代表の男女不平等を是正するためのクォータ制度大澤貴美子 Ⅰ はじめに韓国は日本と同様に男女間の不平等が大きい国である例えば 2015 年に世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ指数の内訳を見るととくに政治への関与の分野において

1 連続シンポジウム岐阜発わが国の政策課題への処方箋諸外国におけるジェンダーギャップへの取組み韓国 : 政治代表の男女不平等を是正するためのクォータ制度大澤貴美子 Ⅰ はじめに韓国は日本と同様に男女間の不平等が大きい国である例えば 2015 年に世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ指数の内訳を見るととくに政治への関与の分野において両国とも極めて低いスコアになっていることが分かる ( 図表 1) ⑴ その一方で 2012 年に実施された第 19 回総選挙の時点での韓国国会に占める女性議員割合は15.7% になっているそれに比べて2014 年 12 月総選挙後の日本の衆議院における女性議員割合は9.5% であり下院で比べると韓国の方の割合が高くなっている ⑵ 韓国の女性議員割合の増加は2000 年から04 年の間に起こっており ( 図表 2) その背景にはジェンダークォータ制 ( 以下クォータ ) の導入があるクォータ制とは政治 203

2 の意思決定の場における男性優位を是正するために候補者や議席政党幹部の一定比率を女性 ( あるいは両性 ) に割り当てる制度であり法律によってクォータの実施を全政党に義務づける法律型と政党が自主的にクォータを実施する政党型に分類される ⑶ クォータは候補者および当選者における女性 ( あるいは両性 ) 割合に適用され得る ⑷ 2015 年現在何らかのクォータ制を導入している国は128カ国に及ぶ ⑸ 本稿では韓国の国政レベルにおけるクォータ制の概要その導入の契機となった要因現在までのクォータ制の効果と限界について述べ日本における政治代表の男女不平等是正のために韓国のケースから学べることを指摘する Ⅱ 韓国におけるクォータ制 1. 概要韓国のクォータ制は法律型であり政党法公職選挙法政治資金法の三法で規定されている ⑹ 韓国の選挙制度は日本と同様に比例代表制と小選挙区制の併用だが 2000 年に導入された最初のクォータ制は比例代表制部分のみに関わるものであり各政党の候補者リストの30% 以上を女性にするという規定であったしかしこの規定は宣言的なものにとどまり同年に行われた選挙ではこのクォータ制はほとんど遵守されなかった ⑺ その後クォータ制は改正されその強度を増した ( 表 3) 改正後の現行制度では比例代表制部分については女性の割合が30% から 50% に増やされ候補者名簿の奇数順位に女性を割り当てるというジッパー方式も採用された 2000 年クォータ制の効果が弱かった理由として女性候補者が名簿の下位に配置されたため当選が難しかったという状況があったが ⑻ こ 204

3 れを防ぐことができるのがジッパー方式であるまた小選挙区部分にも30% のクォータ制が導入されたがこれは一定以上の女性を公認した政党には補助金が給付されるというインセンティブが設けられているものの ⑼ あくまでも努力義務にとどまっている現行クォータ制の効果については後ほど詳しく分析をするがここでは 2000 年版の制度に比べると罰則条項は設けられなかったにも関わらずより効果が高くなっているということを指摘しておく ⑽ 2. クォータ制導入の経緯と推進要因ジェンダーギャップ指数で見る限り日本も韓国も男女平等の状況については大差がないということは既に指摘したそれではなぜ韓国でクォータ制が導入されるに至ったのかその要因として女性団体の運動および政治環境の2つが主たる事由として指摘されている (1) 女性団体の運動多くの論者が韓国におけるクォータ制導入の最大の立役者は女性運動であると指摘している ⑾ なかでも80 年代の民主化運動の過程で誕生した女性団体が女性の政治参加の問題へ関心を寄せ始めたことの影響が大きいこれらの比較的新しい女性団体は 1991 年の地方自治の開始をきっかけにそれまではより保守的な既成女性団体が中心となっていた女性の政治参加促進運動に積極的に取り組むようになったその結果世代や理念の異なる団体が団結することとなり 94 年には56の女性団体からなるクォータ制導入のための女性連帯が作られクォータ立法を強力に推進するに至った ⑿ 2000 年にクォータ制が導入された後も多くの女性団体がクオータ制の改正と強化を求め続けその努力がさらなる法改正を可能にした ⒀ とくに 2003 年に321の女性団体によって結成された第 17 回総選挙のための女性連帯は比例代表における女性の割合を50% 小選挙区における女性の割合を30% にすることなどを要求し 2004 年の法改正でこれらの要求を実現させるに至っている ⒁ (2) 政治環境前述のように韓国の女性団体は1990 年代初頭から女性の政治代表の重要性を訴えてきていたがその訴えが実際のクォータ制導入に至るには政治環境 205

4 の変化も重要であったそもそも韓国の大統領制は大統領に大きな政治指導力を付与しているが ⒂ 比較的女性政策に関心の高い金大中が大統領になることでクォータ制導入への道が開けた ⒃ 1998 年に就任した金大中大統領は 2000 年初頭に女性団体に対して同年に行われる第 16 回国会議員選挙を女性の政治参加を拡大する画期的転換にする 30% クォータ制を必ず成し遂げると表明しておりこれがクォータ制導入の契機となった ⒄ また政治改革を求める動きが続いていたこともクォータ制導入につながる政治環境として作用した申が指摘するように韓国では民主化の試行錯誤の過程であった90 年代以降選挙の度に政治改革が訴えられ選挙制度が繰り返し改革されたこのことは制度の変動をもたらし新制度の導入を容易にした女性団体はこの激しい政治変動期に市民社会が展開した政治改革運動に積極的に参加し女性の過少代表の問題を訴えることができた ⒅ すなわちクォータ制はより大きな政治改革を求める動きの一環として導入されたという側面があるまたこの改革の流れの中で女性は新しい政治のシンボルとして見られる傾向がありそのことも政治改革の中のクォータ制導入を可能にした一因であるといえる ⒆ さらには1995 年に女性発展基本法が制定されるなど女性の積極的な登用の法的根拠が確立され女性の社会進出の必要性が公的に認められるという状況が存在していたこともクォータ制の導入に有利に働いたということができる ⒇ 3. 韓国クォータ制の効果と限界このようにして導入改正されてきた韓国のクォータ制だがこれまでどのような成果を生み出しまたどのような限界問題に直面してきたのだろうかクォータ制を評価するに当たって記述的評価と実質的評価の二側面を考えてみたい (1) 記述的評価記述的評価とは女性議員の数あるいは比率の変化を問うもの 21であるがクォータ制導入の結果女性議員の数比率が増えているのは明らかであるとくに比例代表選出部分において女性議員の増加がめざましくその女性割合は 2004 年以降 50% を超え続けている ( 図表 ) 206

5 これは主要政党が比例代表部分のクォータを比較的厳密に遵守してきた結果であるといえよう22 罰則規定がないにも関わらずこのような状況が生まれている原因としては 1クォータ制の法的規定がより明確であること23 2 女性団体をはじめとする市民団体によるモニタリングがあったこと24 3 韓国で比例代表名簿は政党の民主主義に対するバロメーターの意味を持ち法律違反の負担が相当高いこと25 4 議会全体に占める比例議席の少なさに加えて比例選出議員は再選を目指さないという原則があることから男性現職議員の既得権益が弱いことなどがあげられる26 マイナスの記述的評価としてはいかに比例代表において女性の政界進出が進もうとも比例選出の議席が議会全体に占める割合は18% に過ぎないため議会全体における女性の割合はいまだ低いままであるという点を指摘できる 2015 年現在韓国の女性議員割合のランキングは190か国中 86 位であり必ずしも高いとは言えない27 ここで問題となってくるのが各政党が小選挙区部分の30% クォータ制度を遵守していないということである韓国の主な政党はクォータ制の導入後も能力を備えた女性がいない女性は政治に関心がない女性は小選挙区で競争力がないなどの理由を挙げ女性候補者発掘 207

6 や育成をないがしろにしてきており28 女性議員にとっては選挙で当選することより政党の公認を受けることがはるかに困難であるという状況が存在しているという29 例えば 2012 年総選挙時当時最大野党であった民主統合党は党首が女性であったこともあり小選挙区 15% を強制的に女性に割り当てる強制規定を党紀に明記し意欲を見せたが男性議員がこれに強く反発しこの目標を達成することは叶わなかった男性候補者らは自分の選挙区で不利な立場に置かれることを恐れ党指導部とりわけ女性党代表を強く批判したという30 このような政党の態度から男性現職議員の既得権の根強い小選挙区で政党の自発性に依存したクォータを実施することの難しさを見ることができる31 このように小選挙区から女性が出馬することの難しさは依然として存在しているが比例代表から小選挙区への波及効果が見られるとの指摘もあるすなわちクォータ制の助けを借りて比例代表で当選した女性議員たちが 4 年間の議員生活の中で政治経験と自信知名度を得て比例代表での任期が終わった後に小選挙区から出馬をするという流れが観察されている32 より具体的には 2004 年 2008 年 2012 年の各総選挙において小選挙区で当選した女性議員の4 割以上は比例代表のクォータによって初めて国会に進出した女性たちであった彼女たちは比例議員の任期を終えた直後もしくはその次の選挙で小選挙区に出馬し当選しているしかも 2008 年と2012 年に小選挙区で当選した女性議員はいずれも競争力があり平均当選率と得票率が男性候補者より高く女性当選者の個人的な得票は所属政党が比例代表枠で集めた票より多いことも判明しており女性が政党の公認さえ受ければ当選の可能性は高く小選挙区で競争力があることが明らかにされている 33 こうした流れは能力を備えた女性がいないとか女性は政治に関心がないという政党側の言い訳を徐々にではあるが無効化し比例代表部分のクォータ制度が小選挙区部分における女性候補者を増やすメカニズムとして機能していく可能性を示唆するものであり現行クォータ制の記述的評価のプラス面とすることができよう34 (2) 実質的評価次にクォータ制を評価する際のもう1つの側面実質的評価についてみて 208

7 いきたい実質的評価とは女性議員の増加によって政治過程や政策決定にいかなる変化が起き女性や社会全体にどのようなメリットをもたらしたのかクォータによって増加した女性議員の政治活動に注目するものである35 まずプラス面としては女性関連法案の数の増加を上げられる例えば 2000 年から2004 年の間に女性政治家の数は15 人から39 人に増加したがその間に提出された女性関連法案は24から149に増加しており女性議員数の増加が女性の利益や視点のさらなる政治的代表を生み出したと考えることができる36 提出された法案の全てが立法化されているわけではないが 2005 年の家族法改正による戸主制度および戸籍の廃止が実現された背景にはクォータ制で増加した女性議員の働きが大きいことが指摘されている37 同時に女性議員の増加に伴い委員会の委員長などの要職に就任する女性議員も増えてきており委員会を通した議会における女性議員の影響力の増加も見ることができる38 基本的に女性議員は男性議員に比べて活発な立法者であることが指摘されている例えば 2004 年 4 月から2006 年 9 月の間また2004 年から2008 年の第 17 回国会において女性議員の議案発案数は男性議員を上回っており議員としての女性の有効性が示唆されている39 すなわち女性議員の増加によって議会における女性の視点や利益への関心が高まったのみならず立法活動そのものの活性化にもつながっている現行制度の限界としては比例代表選出議員の影響力の弱さがある韓国では比例代表議員は1 期限りという原則があるため議員の党内や議会での発言力が当選回数にある程度比例することを考えると比例区から多くの女性が選ばれたとしても彼女たちの発言力政治的影響力は限られたものになってしまう40 ここでも小選挙区から選ばれる女性議員の数がいまだに少ないことが現行クォータ制の実質的評価を低くしていることの要因であることが窺われる Ⅲ 韓国のケースから学ぶ日本への示唆法律型クォータ制が女性の政治代表を短期間で増やすのに有効であることは韓国における近年の女性議員数の増加を見ても明らかでありクォータ制はお 209

8 そらく日本でも同様の効果を発揮するであろう実質的な変化女性議員の増加による女性の利益視点の政治代表の増加や立法活動の活性化については国ごとによって異なる関係性が現れる可能性が高いが少なくとも韓国のケースでは一定程度の相関関係が見て取れた同時に 2000 年導入時の制度と改正後の制度また比例代表と小選挙区でのクォータ制の効果を比較することでクォータ制度設計の仕方によってその効果が大幅に変わることも示された目標割合の設定政党や議員のインセンティブが異なる小選挙区と比例代表部分でのクォータの運用党名簿に女性を入れる際にジッパー方式を採用するかどうかそして罰則規定を設けて法的拘束力を高めるのか努力義務にとどめるのかなど法律型クォータであったとしても制度設計の仕方によってはクォータ制の効果も変わってくるということに留意する必要があるより根本的には韓国でクォータ制が導入された経緯を見ると日本で類似の法律型クォータ制を導入することは難しいのではないかという懸念を抱く韓国では活発かつ大規模な女性運動とその影響力を強める政治環境があったことがクォータ制の導入と改善を可能にしたとくに女性運動は韓国におけるクォータ制導入の最大の推進力であった41 しかし日本では韓国と同様な女性運動は少なくとも現時点では存在していない一般的に日本の女性運動は小規模な草の根団体が分散して存在しており政治家が無視できないような全国的な一大勢力とはなっていない42 クォータ制導入を求める女性運動も例外ではなくこれまでにいくつかの団体が結成されてはいるものの成功を収めるまでには至っていない43 その他にクォータ制導入の要因として指摘されているものには政治エリートの戦略的判断国際圧力政治文化と規範 44 女性問題に関心の高い左派政党の強さ45などがあるがそのいずれもクォータ導入を推進するような状態にはなっていないのが日本の現状である日本において近い将来の法律型クォータ制の導入が困難であろう状況また法律型クォータ制があるにも関わらず政党が必ずしもそれを遵守していない韓国の現実を考えるとクォータ制以外の方法で政治分野における男女平等を推進する方法も重要かつ有益であると思われる韓国において政党が小選挙区部分のクォータ制遵守に積極的でないのは男性議員の既得権益が強いこともあ 210

9 るがより根本的にはそれでも女性議員を増やす必要があるのだという認識が広く社会に共有されていないことにも原因があると考えられる46 そうであるならば法律型クォータ制導入が難しい現在の日本においては制度の導入を推進しながらも同時にそもそもなぜ女性議員を増やす必要があるのかに関して民主主義の観点から議論を深めていく作業が不可欠 47ではないだろうか政治代表におけるさらなる男女平等の必要性が認識されればクォータ制導入自体の可能性も導入後に政党がクォータを遵守する可能性も高まるであろうことが予想されるまた有権者の多くが政治における数的男女平等を求めることになればそのような有権者にアピールしようとする政党が独自に政党レベルでのクォータ制を導入する契機につながる可能性もあるだろう48 これらのアプローチは法律型クォータに比べれば間接的かつ時間がかかるであろうがより根本的に男女平等を推進していくためには結局は避けて通れない道である註 ⑴ 政治への関与は議席数閣僚数国家元首としての任期の長さそれぞれの男女比から算出されている総合スコアに基づく韓国の順位は145か国中 115 位で日本は101 位だが政治への関与のみに注目すると韓国は101 位日本は104 位となっている ⑵ 日本の参議院における女性議員割合は 2013 年 7 月現在で15.7% となっている Inter-Parliamentary Union, Women in National Parliaments, [ classif.htm] ( 最終閲覧日 2016 年 1 月 20 日 ). ⑶ 衛藤幹子三浦まりなぜクォータが必要なのか比較研究の知見から三浦まり衛藤幹子編ジェンダークォータ : 世界の女性議員はなぜ増えたのか明石書店 2014 年頁 ⑷ Quota Project: Global Database of Quotas for Women, About Quotas, [ quotaproject.org/aboutquotas.cfm] ( 最終閲覧日 2016 年 1 月 20 日 ). ⑸ Quota Project: Global Database of Quotas for Women, Country Overview, [ quotaproject.org/country.cfm] ( 最終閲覧日 2016 年 1 月 20 日 ). ⑹ 申琪榮韓国における女性候補者クォータ制の成立過程と効果三浦まり衛藤幹子編ジェンダークォータ : 世界の女性議員はなぜ増えたのか明石書店 211

10 2014 年 158 頁 ⑺ 申 2014 年前掲註 ⑹ 頁 ;Kim, Won-Hong Knowledge Sharing on Korea s Development in Women s Policies Introduction of the Gender Quota System in the Party List, Korean Womenʼs Development Institute, p.30. ⑻ 白井京韓国の女性関連法制 - 男女平等の実現に向けて 2005 年 Vol 頁山本健太郎韓国における女性の政治参加レファレンス 2005 年 4 月号 88 頁山本健太郎韓国における女性の政治参加選挙法の改正によるクォータ制度の強化と女性議員の増加を中心にレファレンス 2009 年 7 月号頁申琪榮ジェンダー政策の形成過程理論的考察と韓国の事例国際ジェンダー学会誌 2013 年 Vol 頁申前掲註頁 ⑼ 山本 2009 年前掲註 ⑻ 29 頁 Kim 2014 年前掲註 7 pp ⑽ 国政選挙では政党が比例代表のクォータ制度を遵守しない場合の罰則規定は存在していないが地方選挙では地方選挙広域会議に限ってこれに違反した場合に候補者登録の無効化や比例名簿の受理をしないという罰則規定も設けられている申 2014 年前掲註 ⑹ 155 頁また 2006 年には地方選挙に限ってであるが選挙区クォータにも強制事項が盛り込まれるようになった申 2013 年前掲註 ⑻ 46 頁 ⑾ 白井 2005 年前掲註 ⑻ 頁山本 2005 年前掲註 ⑻ 88 頁山本 2009 年前掲註 ⑻ 31 頁申 2014 年前掲註 ⑹ 149 頁 ⑿ 申 2013 年前掲註 ⑻ 頁申 2014 年前掲註 ⑹ 頁 ⒀ 白井 2005 年前掲註 ⑻ 106 頁山本 2005 年前掲註 ⑻ 88 頁申 2013 年前掲註 ⑻ 43 頁申 2014 年前掲註 ⑹ 頁 ⒁ 春木育美現代韓国と女性新幹社 2006 年頁 ⒂ 春木前掲註 ⒁ 146 頁高安雄一韓国における女性の国会への参画推進と我が国への示唆点内閣府男女共同参画局諸外国における政策方針決定過程への女性の参画に関する調査 : ドイツ共和国フランス共和国大韓民国フィリピン共和国 2008 年 [ h19shogaikoku/sec4.pdf] ( 最終閲覧日 2016 年 1 月 20 日 ) 134 頁 ⒃ 金大中大統領が女性政策推進に熱心であった理由として金大中政権が少数与党であり政権の支持基盤が脆弱であったという政治的状況があった金大中政権は女性運動団体をはじめとする市民運動団体との連携を強化することで国民の支持を高め反改革勢力や保守既得権勢力の批判を牽制しようとしたということが指摘されている春木前掲註 ⒁ 131 頁 ⒄ 春木 2006 年前掲註 ⒁ 177 頁 ⒅ 申 2013 年前掲註 ⑻ 44 頁 ⒆ 申 2013 年前掲註 ⑻ 44 頁 212

11 ⒇ 申 2013 年前掲註 ⑻ 44 頁 21衛藤三浦 2014 年前掲註 ⑶ 32 頁 22しかし Yoon と Shin が指摘するように 2012 年の総選挙では与党のセヌリ党は46% 野党第一党の民主統合党は47% の女性候補者を名簿に登録するにとどまっており後述するように主要政党がクォータ制の遵守より根本的には女性議員の増加に必ずしも熱心ではないことを示唆している Yoon, Jiso and Shin, Ki-young Mixed Effects of Legislative Quotas in South Korea. Politics&Gender. Vol.11, No.1, p 申 2014 年前掲註 ⑹ 159 頁 24山本 2005 年前掲註 ⑻ 88 頁申 2014 年前掲註 ⑹ 159 頁 25申 2014 年前掲註 ⑹ 159 頁 26 Shin, Ki-young Womenʼs Sustainable Representation and the Spillover Effect of Electoral Gender Quotas in South Korea. International Political Science Review. Vol.35, No.1, p Inter-Parliamentary Union. Women in national parliament. [ classif.htm]( 最終閲覧日 2016 年 1 月 20 日 ) 28申 2014 年前掲註 ⑹ 161 頁 29申 2014 年前掲註 ⑹ 162 頁 30申 2014 年前掲註 ⑹ 162 頁 31申 2014 年前掲註 ⑹ 163 頁 32申 2014 年前掲註 ⑹ 159 頁 Shin 2014 年前掲註頁 Yoon and Shin 2015 前掲註頁 33申 2014 年前掲 ⑹ p しかし申が指摘するようにここでも政党の小選挙区 30% クォータへの遵守の欠如が壁となっている比例代表として国会で能力が証明された女性が小選挙区で政党の公認を得る制度的な回路があれば女性の代表性の向上をさらに促し得る可能性を示す小選挙区 30% クォータはそのために間接的な役割を果たせるしかし政党はそのような好循環に無関心であるばかりかむしろ回路を閉ざしているたとえば第 18 回国会の女性比例代表 15 名が第 19 回総選挙の選挙区候補審査に申し出たがわずか7 名しか公認を受けられなかったという申 2014 年前掲註頁 35衛藤三浦 2014 年前掲註 ⑶ 32 頁 36 Chun, Kyung Ock Womenʼs Political Participation and the Impact of the Quota System in Korea: A Decade of Achievements. Gender Equality in Asia: Policies and Political Participation. Eds. Miyoko Trujimura and Jackie F. Steel (Tohoku University Press), p

12 37山本 2009 年前掲註 ⑻ 36 頁申 2013 年前掲註 ⑻ 47 頁 38山本 2009 年前掲註 ⑻ 37 頁 Kim 2014 年前掲註 ⑺ 54 頁 39山本 2009 年前掲註 ⑻ 36 頁 Chun 2011 年前掲註頁 40高安 2008 年前掲註 ⒂ 147 頁申 2014 年前掲註 ⑹ 163 頁 41クォータ制導入の国際比較研究により多くの国において女性運動がクォータ導入の重要な要因であることが指摘されている三浦まり日本におけるクォータ制成立の政治的条件三浦まり衛藤幹子編ジェンダークォータ : 世界の女性議員はなぜ増えたのか明石書店 2014 年頁 42三浦 2014 年前掲註頁 43 Eto, Mikiko Women and Representation in Japan: The Causes of Political Inequality. International Feminist Journal of Politics.Vol.12, No.2, p.194. 現在も活動中の主な団体としては 2012 年に創設されたクォータ制を推進する会がある 44三浦 2014 年前掲註頁 45 Alisa Gaunder Quota Nonadoption in Japan: The Role of the Womenʼs Movement and the Opposition. Politics&Gender. Vol.11, No.1, pp Kim 2014 年前掲註 ⑼ 61 頁 47三浦 2014 年前掲註頁年現在社会民主党だけがクォータを党則で規定している三浦 2014 年前掲註頁 214

13 South Korea: Korean Quota System to Remedy Gender Inequality in Political Representation Kimiko Osawa Behind the recent increase of female legislators in the Korean National Assembly exists the gender quota system. Korea is, similar to Japan, a relatively gender conservative country. While Japan has not yet introduced any major gender quota system, however, Korea implemented the legislative candidate quota system in 2000 and reformed it subsequently. As of today, the Korean quota system for the National Assembly elections stipulates that political parties need to nominate at least 50% of female candidates with the zipper system in their party lists for the proportional representation and recommends parties to nominate at least 30% of female candidates in single member districts. What are the factors that led to the adoption of the gender quota system in Korea? What effects has the quota produced and what limitations and difficulties has it faced so far? From the experiences of Korea, what lessons can Japan learn in order to increase the level of gender equality in political representation? This article answers these questions by referring to the existing studies. 215