テクニカルスキル カテゴリーとスキル・行動特性および到達目標と研修項目

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1 ハイパフォーマーな看護管理者の行動特性と管理者研修 HANA(High Achievements of Nursing Administrator) 研究会

2 研究会立ち上げの背景 わが国の医療 看護提供体制の変化を十分理解した上で柔軟に対応し かつ病院経営に参画できるハイパフォーマーな管理者の行動特性 ( マネジメントコンピテンシー ) を明らかにする その行動特性を備えた管理者になるために 個人の顕在能力や潜在能力の変革を促す教育支援 研修プログラムを開発する

3 本日の内容 1. オリエンテーション 2. ハイパフォーマーな看護管理者とは 3. HANA 研究会モデル (Katz+ 人間性 ) の紹介 4. 人間性 のスキル 行動特性 5. 看護管理者レベル毎の到達目標と研修項目 6. 事例紹介 7. ディスカッション 8. 全体共有 9. まとめ

4 ハイパフォーマーな看護管理者とは HANA 研究会モデル (Katz+ 人間性 )

5 ハイパフォーマーな看護管理者とは ハイパフォーマー (High Performer) とは 一般的に コンピテンシー ( 成果を生む行動特性 ) から派生した概念 仕事上のスキルに長けて 高い成果を残すことができる優れた人材を指す ハイパフォーマーが成果を生む特性や要素を抽出し より高い成果を生み出せる人材の育成と 成果に対する客観的な評価を行う HANA 研究会 ハイパフォーマーな管理者 定義課題達成度や組織への貢献度 利用者の満足度まで高成果を上げている人

6 HANA 研究会モデル Katz の 3 つのスキル + 人間性 トップマネジメント ミドルマネジメント ロワーマネジメント コンセプチュアルスキルヒューマンスキル テクニカルスキル 人間性

7 Katz の 3 つのスキル + 人間性の定義 コンセプチュアルスキル事象に対して情報の本質を見極め 問題解決に向けて計画 組織化 指揮 統制する能力 ヒューマンスキル相手の立場や役割に合わせて 時と場合と方法を選んで職場の全体の最適を調整する能力 テクニカルスキル科学的根拠に基づき 効果的 効率的な看護サービスを提供するための職務遂行能力 人間性常に品格を保ち 組織の目標達成に向けて個々人やチームの力を引き出せる人間的な魅力

8 テクニカルスキルの 4 つのカテゴリーと 9 つのスキル 4 つのカテゴリー 9 つのスキル 1. 実践能力 1. 看護実践能力 / 看護過程 2. 研究 2. 看護管理に対する考え 3. 看護観 4. 管理観 3. 資源管理 5. 人事管理力 6. 労務管理力 7. 情報管理 8. 業務 ( 工程 ) 管理 4. 安全管理 9. 安全管理

9 ヒューマンスキルの 4 つのカテゴリーと 16 のスキル カテゴリー 1. 対人関係 2. 人材育成 3. 倫理 4. ストレスマネシ メント 1. 対人影響力 2. 内省力 3. コミュニケーション能力 4. 自己統制力 スキル 8. 自己実現への支援 9. 動機付け 10. 育成力 13. 職業倫理 14. 倫理性 15. 自己調整力 16. 洞察力 5. 統率力 6. 関係構築力 7. 交渉力 11. 指導力 12. 教育力

10 コンセプチュアルスキルの 3 つのカテゴリーと 19 のスキル カテゴリー スキル 1. 問題解決 2. 目標管理 3. 組織開発 1. 情報収集力 2. 洞察力 3. 情報統合 分析力 4. 概念化能力 8. 組織管理力 9. 経営観理力 10. 変革力 11. 創造力 12. 想像力 13. 企画力 14. 職場活性力 5. 先見力 6. 判断力 7. 決断力 15. 人脈力 16. 交渉力 17. 説明力 議論力 18. 具現化力 19. 統率力 牽引力

11 人間性 のスキル 行動特性 看護管理者レベル毎の到達目標 と研修項目

12 人間性カテゴリーとスキル 行動特性および到達目標と研修項目 < 人間性の定義 > 常に品格を保ち 組織の目標達成に向けて個々人やチームの力を引き出せる人間的な魅力

13 人間性 を基盤とした理由 (4 つ ) 人間を看護する管理者に求められるリーダーシップ 人間的な魅力 看護管理者の基盤 原動力 他のスキル ( コンセプチャルスキル ヒューマンスキル テクニカルスキル ) が長けていても 組織の活性化や成果に繋がらない体験 人事制度が整備されていない現状 人間性が備わっていない看護管理者への対応の苦悩 人間性の変容は 他のスキルと異なり難しい 昇格基準として 人間性 のスキルを整備する必要 管理者レベル 0 から見極める必要性

14 リーダーシップとマネジメントの違い 定義 リーダーシップ 集団を一定の方向に導く影響力 マネジメント 組織に秩序と効をもたらす仕組み 原動力人間的な魅力 ビジョンの魅力権限 報償 土台信頼関係規則 システム 対象一人一人組織全体 岩崎一郎 (2016): なぜ稲盛和夫の経営哲学は人を動かすのか,46, クロスメデイア パブリッシングより引用

15 人間性に求められるスキルの構造図 6 つのカテゴリー スキル数 24 のスキル 1 情動性 3 1 内省力 2 謙虚さ 3 誠実性 2 責任 2 1 責任感 2 責任を持つ覚悟 3 品性 7 1 成熟性 2 豊かさ 3 自己啓発力 4 余裕 ゆとり 5 寛容さ 7 思いやり 7 品位 4 管理者としての姿勢 6 1 協調性 2 前向きさ 3 公正性 4 公平性 5 承認 6 柔軟性 5 人柄 3 1 生き方 人生観 2 人間的魅力 3 価値の多様性 6 センス 3 1 想像力 創造力 2 五感の活用 3 感性

16 24 のスキルと行動特性 カテゴリースキル行動特性 1. 情動性 2. 責任 1. 内省力 2. 謙虚さ 3. 誠実性 4. 責任感 5. 責任を持つ覚悟 対象の情動を受け止め 自分の考えを深く顧みることができる 素直に相手の意見を受け入れることができる 自分に非があった場合は 素直に認め謝罪することができる 私利私欲を交えず 真心を持って対象に対応することができる 自分の仕事へのプロセスと 結果および立場上負うべき範囲についての責任を果たすことができる いかなる状況にあっても看護管理者としての責務を負うことができる ( 部下が行ったことについても責任を持つ覚悟 )

17 24 のスキルと行動特性 カテゴリースキル行動特性 3. 品性 6. 成熟性 7. 豊かさ 8. 自己啓発力 9. 余裕 ゆとり 10. 寛容さ 豊かな経験に基づき 自己や他者の人間的魅力を引き出し最大限に発揮することができる 利益や成功を分かち合い 心の中から喜ぶことができる 日々 満ち足りた生活を送り健全な倫理観を持って 自分自身も相手もいとおしむことができる 本人の意思で自分自身の能力向上や精神的な成長を目指すことができる 自分自身の潜在能力に気づき発揮できる 焦ったり あわてたりすることなく 精神的に安定した状態で行動することができる 他の人のことまで気配りができる 自らの身の丈を知り ( 自分の限界 ) 自分の感情で相手を振り回すことなく行動することができる 11. 思いやり 対象の置かれている状況や心情に心を配り 必要な対応をとることができる 12. 品位 TPO にあった服装 態度 言葉使い ルール マナーや作法を持って他人のモデルになることができる

18 24 のスキルと行動特性 カテゴリースキル行動特性 公平で無私の心 = マインドフルネスの状態 瞑想 座禅 4. 管理者としての姿勢 13. 協調性 14. 前向きさ 15. 公正性 16. 公平性 17. 承認 18. 柔軟性 同じ目標に向けてお互いが納得できるよう調整できる 自分のマインドを平静に保ち前向きな行動につなげることができる 物事をタイムリーに正しく判断し 行動することができる 自分の利益を優先せず 偏らない判断ができ行動することができる 対象の行為 行動を認め 相手が実感できるように伝えることができる 対象の存在を認め その変化を察し対応することができる その場に応じた適切な判断を持ってさまざまな状況に対応できる

19 24 のスキルと行動特性 カテゴリースキル行動特性 5. 人柄 6. センス 19. 生き方 人生観 20. 人間的魅力 21. 価値の多様性 22. 想像力 創造力 23. 五感の活用 24. 感性 自己の人生観を持ち 必要な場面で伝え活用することができる 必要時 相手に自己開示でき人を引き付けることができる さまざまな価値観の存在を認め 受け入れて活用することができる 自己満足や偏った視野でなく さまざまな角度から事象を広い視野で考えることができる 感覚的に物事を捉えることができる さまざまなアンテナを立てキャッチした事象を解釈し 相手が理解できる方法で伝えることができる 感覚的に印象をつかみその存在を認め 歩み寄る姿勢を持つことができる

20 配布資料 人間性 看護管理者レベルごとの到達目標と研修項目 カテゴリー スキル M0 看護管理者を目指すスタッフ MⅠ 看護主任 MⅡ 看護師長 MⅢ 副看護部長 MⅣ 看護部長 1. 内省力 自己の固定観念に気づくことができる リフレクション 瞑想 1. 情動性 2. 謙虚さ問題発生時 具体的な方策を考え 役割に応じた成果につなげられる 管理場面をとおしたリフレクション 3. 誠実性 常に組織の利益を考えた行動がとれる 他部署体験 他者の意見も尊重し 相手の意見を引出しながら相互に影響を与えられる 面接技法のリフレクション ロールプレイング

21 配布資料 人間性 看護管理者レベルごとの到達目標と研修項目 カテゴリー スキル M0 看護管理者を目指すスタッフ MⅠ 看護主任 MⅡ 看護師長 MⅢ 副看護部長 MⅣ 看護部長 2. 責任 4. 責任感 5. 責任を持つ覚悟 所属するチームに責任が持てる リフレクション 所属する病棟に責任が持てる リフレクション 所属する病棟 看護部に責任が持てる リフレクション 看護部 病院組織に責任が持てる 360 度評価 3. 品性 6. 成熟性 7. 豊かさ 8. 自己啓発力 9. 余裕 ゆとり 10. 寛容さ 11. 思いやり 12. 品位 他者の意見も尊重し 相手の意見を引出しながら相互に影響を与えられる ポートフォーリオ キャリアの棚卸 自己の限界を自覚し メンバーの成長を支援できる キャリアの棚卸 自己の限界を認識し 他者の強みを活用しながら組織の成長につなげられる 人格者の話を聞き豊かな人間性を学ぶ 自分の許容範囲を知ることができる ロールプレイング 瞑想 座禅 所属する組織風土に合った服装 マナーができ チームに影響を与えられる 接遇研修他 組織人としての身だしなみ 品位が保てる ビジネスマナー 所属する組織文化を認識し 公的にも違和感を与えない身だしなみ 品位が保てる 学会参加他

22 配布資料 人間性 看護管理者レベルごとの到達目標と研修項目 カテゴリー スキル M0 看護管理者を目指すスタッフ MⅠ 看護主任 MⅡ 看護師長 MⅢ 副看護部長 MⅣ 看護部長 13. 協調性 同じ目標に向けてスタッフを調整することができる 交渉術 ロールプレイングで交渉を振り返る他 4. 管理者としての姿勢 14. 前向きさ 15. 公正性 16. 公平性 17. 承認 18. 柔軟性 病棟の目標達成に向けて 相手が実感できる表現に落とし込み柔軟に行動できる 360 度評価 別の言葉に置き換える練習 同じ目標に向かってチームメンバーの調整ができる アサーテイブネス 良いこと探し 病院組織の目標達成に向けて 院内外のメンバーに平静かつ柔軟に対応できる 360 度評価 自己評価 組織の最適化をめざし 他部門と協働して公正 公平に行動できる 他職種から異なる立場で話を聴く : 異なる価値観に触れ相互理解を深める 仕事の場面での行動や言動を通して尊敬される 自分気付き : 自己分析 院内ボランテイア体験 人となりが行動や言動に現れ スタッフの動機付けにつなげることができる 面接技法のリフレクション ロールプレイング 自分の生き様を語り 他者に影響を与えられる キャリアの棚卸

23 配布資料 人間性 看護管理者レベルごとの到達目標と研修項目 カテゴリー スキル M0 看護管理者を目指すスタッフ MⅠ 看護主任 MⅡ 看護師長 MⅢ 副看護部長 MⅣ 看護部長 19. 生き方 人生観 人となりが行動や言動に現れ スタッフの動機付けにつなげることができる 面接技法のリフレクション ロールプレイング 5. 人柄 6. センス 20. 人間的魅力 21. 価値の多様性 22. 想像力 創造力 23. 五感の活用 24. 感性 仕事の場面での行動や言動を通して尊敬される 自分気付き : 自己分析 院内ボランテイア体験 多様な価値観を認めることができる 人格者の話を聴き 豊かな人間性を学ぶ 所属するメンバーの多様な価値を受け入れ チームの強みにできる 院内留学 多職種の話を聴く 病院組織における他職種や組織外の多様な価値を認め 組織の強みにできる 他職種 患者 家族の話を聴く 五感を活用し物事を多角的に捉えられる 患者体験 患者体験談を聴く 瞑想 自分と異なる感性を認め 職場やスタッフにあった方策がとれる 声掛け変換づくり リフレッシュ研修 常に五感を活用し 組織にとって必要な方策がとれる リフレッシュ研修 リフレクション研修

24 人間性 は育成可能か? < 今後の課題 > 人間性 の要素として 6 つのカテゴリーと 24 のスキル 行動特性は 看護管理者のキャリア 支援に活用できるか? 人事考課として昇格基準への活用は?

25 ディスカッションのテーマ 人間性 は育成可能か? 人間性 の 6 つのカテゴリーごとの 24 のスキルと行動特性 研修項目は 看護管理者の育成 キャリア支援に活用できるでしょうか?