インターネット接続機器を製造する事業者が 販売時点でフィルタリングの提供等を行う義務のうち 義務の対象外となる場合を定める政令の制定に係る事前評価書 1. 政策の名称 インターネットと接続する機能を有する機器を製造する事業者が 販売時点でフィ ルタリング 1 の提供等を行う義務のうち 義務の対象外と

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1 インターネット接続機器を製造する事業者が 販売時点でフィルタリングの提供等を行う義務のうち 義務の対象外となる場合を定める政令の制定に係る事前評価書 1. 政策の名称 インターネットと接続する機能を有する機器を製造する事業者が 販売時点でフィ ルタリング 1 の提供等を行う義務のうち 義務の対象外となる場合を定める政令の制定 2. 担当部局経済産業省商務情報政策局情報経済課長前田泰宏電話番号 : 評価実施時期 平成 20 年 10 月 4. 規制の目的 内容及び必要性等 (1) 規制の目的パソコン IT 家電 ゲーム機等インターネットと接続する機能を有する機器 ( 但し 携帯電話端末及びPHS 端末を除く 以下 インターネット接続可能な機器 という ) へのフィルタリングの提供等を義務付けることにより 青尐年 2 が青尐年有害情報 3 を閲覧する機会をできるだけ尐なくすることを基本理念としつつ 青尐年への影響が軽微な場合については義務の適用除外を設けることで 必要以上の事業者への負担を回避する (2) 規制の内容平成 20 年 6 月に成立した 青尐年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律 ( 以下 法 という ) の第 19 条において インターネット接続可能な機器を製造する事業者 ( 以下 機器メーカー と言う ) は フィルタリングソフトウェアを組み込む又はその他フィルタリングサービスの利用を容易にする措置 4 ( 以下 フィルタリング提供等の措置 という ) を講じた上で当該機器を販売する旨の義務が定められている ただし 青尐年による青尐年有害情報の閲覧に及ぼす影響が軽微な場合 ( 以下 青尐年への影響が軽微な場合 と 1 フィルタリングとは インターネット上で公開されている情報を一定の基準に基づき選別した上で有害な情報の閲覧を制限することをいう 2 青尐年とは 18 歳に満たない者をいう 3 青尐年有害情報とは インターネット上で公開されており 出会いや自殺を誘引する情報 わいせつな情報 残虐な情報など 青尐年の健全な成長を著しく阻害する情報をいう 4 具体的には インターネット接続可能な機器にフィルタリングソフトウェアを組み込み あるいは フィルタリングサービスの加入手続きの簡素化など フィルタリングを実施しやすい環境にしておく措置のこと - 1 -

2 いう ) については 政令で定めるところにより 当該義務の対象外とすることとされている 今回の制定では ただし書きが示す内容を明確に規定し 法としての整備を行うものである 具体的には 義務が適用されない場合として 以下の4 要件を定める 1 機器にブラウザが予め組み込まれていない場合 2 機器の使用が18 歳以上の者に監視されると認められる場合 3 機器が専ら事業のために使用されると認められる場合 4 前年度における当該機器の製造 販売台数が1 万台を越えない場合 (3) 規制の必要性昨今 インターネットは いつでも世界中の情報を検索 収集 閲覧することができるなど その便利さゆえに生活を豊かにすると期待されており 国民の生活になくてはならないものとなっている 反面 書き込み可能なサイトの増加などに伴うインターネット上のコンテンツの多様化や インターネット利用年齢の低年齢化 接続可能な機器の多様化 普及を通じ インターネット上の青尐年有害情報に青尐年がさらされるリスクも高まってきているところである ( 表 1) 表 1 小 中学生によるパソコン 携帯電話の利用実態 小学生 中学生 高校生 パソコン 58.3% 68.7% 74.5% 携帯電話 27.0% 56.3% 95.5% ( 内閣府 第 5 回情報化社会と青尐年に関する意識調査 より 調査期間平成 19 年 3 月 9 日 ~30 日 ) 具体的には インターネット上の違法 有害情報の通報を受け付けるインターネット ホットラインセンター 5 による通報受理件数も増加しており 平成 20 年上半期の月平均通報件数は約 11,000 件に上り ホットラインセンター設立時以来 通報受理件数は継続して増加傾向にある ( 図 1) また 見たくない 目にしたくないサイト ( 有害サイト ) を見てしまった経験のある青尐年は45.3% 6 にのぼっているほか インターネットを介した青尐年有害情報との接触を契機として青尐年のいたましい事件等 7 も生じている 5 警察庁委託事業 インターネット上の違法 有害情報に関する通報を受付け 警察への通報 プロバイ 6 ダやサイト管理者等への削除依頼等を実施 平成 19 年 2 月 Yahoo! Japan 調査 7 平成 12 年 5 月出会い系を通じて大人と知り合った女子中学生が誘拐された平成 20 年 6 月インターネッ トを通じて知り合った男女が硫化水素自殺した件等 -2-

3 図 1 インターネット ホットラインセンターによる通報受理件数の推移 ( 件数 ) 14,500 12,500 10,500 8,500 6,500 4,500 2, このような状況を背景として 平成 20 年 6 月の第 169 回国会では 青尐年が安全に安心してインターネットを利用でき 青尐年が青尐年有害情報を閲覧することを防止し 青尐年の健全な育成を目的として法が成立し 公布後 1 年を超えない範囲内で施行されることとされた 同法では 第 19 条において 青尐年が使用することが想定されるインターネット接続可能な機器については メーカーがフィルタリングをインストールする若しくはフィルタリングの利用が容易な状態にした上で販売することを内容とした義務が定められている 一方 同条では 但し書きとして 青尐年への影響が軽微な場合 については 政令において当該義務の対象外とすることが定められている 本規定の背景としては インターネットへの接続が可能な機器はパソコンをはじめ テレビ ゲーム機 DVD 録画 再生機のほか 一部の電子手帳 冷蔵庫などのデジタル家電など多様な商品が存在するが 機器の中には青尐年が青尐年有害情報を閲覧するおそれが低いものも存在し これらの機器メーカーに対してまで義務の対象とすることは事業者に対する過度の負担となることから これを適用除外とすることが妥当であるとして条文内に規定されたものである -3-

4 青尐年有害情報の閲覧に及ぼす影響が軽微な場合として義務の適用除外をする場合 としては 次の 4 つの場合が妥当であるとされた 各場合について 適用除外となる 対象とその理由について 以下に説明する 1 機器にブラウザが予め組み込まれていない場合ア ) ルータやLANカード等の機器は インターネットに接続することが想定されるものの パソコン等と接続しなければ単独では動作せず 最終的なフィルタリングはパソコン等ブラウザが組み込まれた機器本体等で行うことが可能となる イ ) 家電や一部のカーナビ等 動作データや位置データの差分等の情報を取得するためだけにインターネットに接続し ブラウザが組み込まれていない機器については 当該機器を用いて青尐年有害情報を閲覧することができない 2 機器の使用が18 歳以上の者に監視されると認められる場合カーナビなどの機器は 当該機器を青尐年が使用する際に 18 歳以上の者が同席していることが想定されるため 当該者が青尐年に対し青尐年有害情報を閲覧しないよう指導できることから 青尐年への影響は軽微であると考えられる 3 機器が専ら事業のために使用されると認められる場合事業のために用いられる業務用機器については 青尐年が使用する可能性が極めて小さいこと 企業が使用態様を管理することから 青尐年への影響は軽微であると考えられる 4 前年度における当該機器の製造 販売台数が 1 万台を越えない場合 中小企業がニッチ市場向けに製造 販売する機器や 個人などが特定のユーザ ーに対して反復して製造 販売する自作パソコンなどについて適用除外としてい る これらの事業者から機器を購入する利用者は 主に成人であることが考えら れるほか IT に関しての知識を十分に有した者である事が想定されることから フィルタリングをインストール等せずに機器を販売することによって青尐年によ る青尐年有害情報の閲覧に及ぼす影響は十分に軽微であると考えられる 一方で 年間販売台数が尐ない中小事業者等は その売上 収益規模が小さいことからフ ィルタリング提供等を行うことの費用負担は大きいものとなり 事業者への過度 な負担を避けるためにも適用除外の対象とするものである 中小製造事業者が多 く存在するパソコン市場における企業シェアをみると 国内シェア上位 10 位ま での合計で国内シェアの約 88% を占めており この中で最も生産台数の尐ない 企業の数値 ( 約 30 万台 ) に比して十分小さな値 8 9 であって かつモニター販売 8 この約 30 万台のうち さらに 2 機器が専ら事業のために使用されると認められる場合 に該当する -4-

5 が行われた例がある数値 ( 約 1 千台 ) よりは大きい値として 年間製造 販売台 数の基準について 1 万台とする (4) 法令の名称 関連条項とその内容 青尐年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律 ( 平成 20 年法律第 79 号 ) 第 19 条 青尐年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律施行令 ( 案 ) 第 3 条 (5) 影響を受け得る関係者本政令の制定により影響を受ける関係者としては 以下の2 者である 機器メーカー 青尐年及び青尐年の健全育成に責任を負う保護者なお 本法 政令案においては 国 地方自治体等行政機関に対して検査 監督 書類の受理 作成を求める規定はないため 行政機関へのコストは発生しない 5. 想定される代替案本規制は フィルタリングの提供を義務の適用除外について 1 機器にブラウザが予め組み込まれていない場合 2 機器の使用が18 歳以上の者に監視されると認められる場合 3 機器が専ら事業のために使用されると認められる場合 4 前年度における当該機器の製造 販売台数が1 万台を越えない場合 と定める内容であるが これに対して 現実的な代替案としては 本義務に対して事業者への負担への考慮が求められている観点 10 から 4について さらに広い範囲を適用除外とする内容が考えられる 代替案 より適用除外の対象を拡大する案 (10 万台 ) 政令において 年間 10 万台未満の機器を販売するメーカーまでをフィルタリング提供等の措置の義務の対象外とする案 ( 機器にブラウザが予め組み込まれていない場合 機器の使用が18 歳以上の者に監視されると認められる場合 機器が専ら事業のために使用されると認められる場合も義務の対象外とするのは 政令案と同じ ) この場合 インターネット接続可能な機器の中心的な市場に出回るインターネット接続可能な機器の約 90% をカバー出来ることとなる もの ( 業務用パソコン ) を除いたもの ( 家庭用パソコン ) が ここで対象となる 9 モニター販売とは 製品の市場評価調査等を目的として試験的に販売されるもの等をいい 販売される市場が極めて限定的であり 青尐年に与える影響が極めて限定的であること この段階で規制対象となると迅速な製品開発等の企業活動に与えるデメリットが大きいこと等から これを規制対象とするのが過剰規制であると考えられる 10 平成 20 年 6 月 10 日の参議院内閣委員会における提案者の発言 このただし書を入れました趣旨は 中小のパソコン製造メーカーとかに過度の負担を与えることのないようにという意味 -5-

6 6. 規制の費用本政令案は 法に基づく義務の対象から除かれるものを規定するものであり 義務を課せられる事業者の遵守費用を軽減させるものである なお 行政処分 罰則等は措置されておらず 行政庁においては費用は発生しないものと考える 政令案事業者においては 青尐年への影響が軽微な場合 すなわち機器の性質や使用実態 販売実態に鑑みて 青尐年が当該機器を利用して青尐年有害情報を閲覧するおそれが低い場合においては フィルタリングの提供等の措置をとる義務の対象とならないため 本政令の制定によって 遵守費用の負担が軽減される 11 具体的には 既述のとおり 国内シェアベースで90% を大きく超える割合を出荷する大企業及び中堅企業には遵守費用の負担が発生する 一方 その売上 収益規模との比較においてフィルタリングの提供等の措置をとる負担が大きいごく小規模な事業者等が規制の適用除外となる 代替案 ( より適用除外の対象を拡大する案 ) 事業者においては 政令案と比較して より大きな事業者についても適用除外となり 市場に出回る機器の1 割程度については同措置をとる義務の対象とならず 全体としての遵守費用は減じられる たとえばパソコンについて見ると 代替案により遵守費用を負担する必要のなくなる事業者は 国内シェア第 10 位の企業でも 30 万台程度であることを踏まえれば 中堅以上の企業が含まれるものと推定される これらの企業は 政令案で適用除外される企業と比較すれば 相対的に見て より負担能力が高いと言える 7. 規制の便益本法は 青尐年及びその保護者にとっては 青尐年による青尐年有害情報の閲覧を防止することを通じ 青尐年が安全に安心してインターネットを利用できるようにできる環境を整備し 青尐年の健全な育成という便益の発生を見込んでいるものである 政令案本政令の制定により 一部の機器については フィルタリングの提供等の措置が行われないこととなる 青尐年への影響については 市場に出回るインターネット接続可能な機器のうち 青尐年がインターネットを閲覧する可能性が想定しにくい 11 遵守費用として 機器の生産量 ソフトウェアの規模によって異なるため 定量化は困難であるが 具体的な費用要素としては ソフトウェアの事前インストール費用 ソフトウェアのカスタマイズ費用 機器の仕様変更 製造ラインの変更等が生じる また フィルタリングを事業とする企業との調整に係る時間 コストも発生する -6-

7 場合に限定して義務の適用除外としているため 本政令案の制定による青尐年及び その保護者の便益の減尐は極めて限定的であると考えられる 代替案 ( より適用除外の対象を拡大する案 ) 本代替案の制定により 一部の機器については フィルタリングの提供等の措置が行われないこととなる 青尐年への影響については 例えばパソコンにおいては業界 10 位前後の企業が適用除外となり 販売されるパソコンの1 割の機器について フィルタリングの提供等の措置が行われないこととなる 業界 10 位前後の事業者の機器は大手家電販売店においても販売されることがあり 一般消費者が購入する可能性も相当程度あると考えられる このため これらの機器について措置がとられていない場合には 青尐年が有害情報を閲覧するおそれが増大し 青尐年が本来享受すべき便益が一定程度減尐すると考えられる 8. 政策評価の結果 本法は 事業者への過度な負担を防ぎつつ 青尐年の健全育成という目的達成のため 事業者に青尐年有害情報フィルタリングソフトウェア又は青尐年有害情報フィルタリングサービスを義務づけ 結果 青尐年有害情報の閲覧をする機会を減らすことを目指している それ故 今回の規制 ( 政令改正 ) では この青尐年への影響の程度を考慮の上 適用除外の範囲を定める必要がある 政令案では 前年度の製造販売台数が1 万台を超えない事業者は義務づけの対象とならない等 青尐年による有害情報の閲覧を防止するために必要と考えられる以上の規制は排除されることとなるため 費用の発生は適切な範囲に限定されることとなり 青尐年の便益を減じることなく 事業者の負担を限定するものである 一方 代替案では 10 万台を基準とし より多くの機器メーカーを義務づけの対象外とすることで それら企業の遵守にかかる負担は減尐するものの 市場の実態を踏まえると 青尐年が有害情報を閲覧するおそれが増大することが予想され 青尐年が本来享受すべき便益が減尐すると考えられる 特に 10 万台を基準とすることで費用負担がなくなる事業者は 相対的に見て より負担能力の高い事業者であり 事業者への過度な負担を防ぐという趣旨に照らせば それにより失われる社会的便益の程度をより重視して評価することが重要であると言える 以上のとおり 青尐年の健全育成という法目的の達成及び事業者への過度な負担を防ぐ等の観点から 本政令は青尐年の便益を減じることなく事業者の負担を限定するものとして 本政令は代替案よりも妥当である -7-

8 9. 有識者の見解その他の関連事項本法は 衆議院青尐年問題に関する特別委員会において 委員長提案により提出されたものであるが 平成 20 年 6 月 10 日の参議院内閣委員会における法案審議において 提出者より フィルタリングサービスを通して しっかりと青尐年有害情報に対する対策がとられることが必要 である旨の答弁がある また 同じく提出者より 十九条のただし書につきましても このただし書を入れました趣旨は 中小のパソコン製造メーカーとかに過度の負担を与えることのないようにという意味 との答弁がある 10. レビューを行う時期又は条件 青尐年のインターネット利用実態及び青尐年有害情報フィルタリングサービスの 技術レベル等を踏まえ 必要に応じて適宜改正を行うこととする -8-