学位論文の内容の要旨論文提出者氏名大庭祥子論文審査担当者主査深山治久副査下山和弘古屋純一論文題目 Screening tests for predicting the prognosis of oral intake in elderly patients with acute pneu

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きよあつよしなが
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1 学位論文の内容の要旨論文提出者氏名大庭祥子論文審査担当者主査深山治久副査下山和弘古屋純一論文題目 Screening tests for predicting the prognosis of oral intake in elderly patients with acute pneumonia ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 高齢者の肺炎の多くは誤嚥性肺炎であるよって入院後一時的に絶食の措置がとられるがその時点で経口摂取再開の可否を予測することは難しいしかし退院時の栄養投与方法を考慮せずに漫然と治療を続けることは入院期間の長期化を招き医療費の増大にもつながる近年脳血管障害患者の経口摂取の予後予測に関する報告は散見されるが高齢肺炎患者についての報告はほとんどみられない本研究では簡便なスクリ-ニングテストを用い高齢急性期肺炎患者の経口摂取の予後予測について検証した対象は 2011 年 9 月から 2013 年 8 月までの間に JCHO 東京新宿メディカルセンターに入院中の急性期肺炎患者で誤嚥リスクのため絶食となり摂食機能訓練を行った 77 名としたスクリ-ニングテストは意識レベルの評価としてグラスゴーコーマスケール (GCS) 嚥下機能評価として反復唾液嚥下テスト (RSST) 改訂水飲みテスト (MWST) 簡易嚥下誘発試験(SSPT) 咳テストを採用した介入から4 週間後それ以前に退院となった者は退院時の経口摂取の状態を目的変数各スクリ-ニングテストの結果を説明変数とし受信者動作特性曲線 (ROC) を描出した次に ROC 曲線下面積 (AUC) を比較し各カットオフ値での感度特異度を求めた結果は, GCS 14 が最も AUC が大きく感度 0.71 特異度 0.80 でありその次に RSST 1 が AUC (0.771) 感度 0.81 特異度 0.67 であったこれらにより GCS と RSST が高齢急性期肺炎患者の経口摂取可否に関する予後予測に有用なスクリ-ニングテストであることが示唆された < 緒言 > 近年日本では高齢化の進行とともに肺炎が死因の上位を占めるようになり急性期病院においても誤嚥性肺炎を含む医療ケア関連肺炎を原疾患とする症例が増加している当該患者の場合入院後一時的に絶飲食となり急性期を脱した後経口摂取の再開を試みるがその時点で適切な評価ができれば安全に治療を進めることが可能となるしかし現状では関連職種の経験 - 1 -

2 による試行錯誤に依存することが多く経口摂取再開後に再度誤嚥性肺炎を惹起することも少なくない摂食嚥下障害の精査としては嚥下ビデオレントゲン造影 (videofluoroscopic swallowing study:vfss) および嚥下内視鏡検査 (fiberoptic endoscopic evaluations of swallowing:fees) が優れているが設備や人員費用などの点で全ての患者にそれらを実施することは困難であるそこで肺炎急性期の高齢患者に対し誰でもできる簡単なスクリ-ニングとして意識レベルの評価と嚥下障害のスクリーニングテストで経口摂取の予後予測が可能かどうかを検証した < 対象と方法 > 対象は 2011 年 9 月から 2013 年 8 月までの間に JCHO 東京新宿メディカルセンターに入院中の患者で肺炎で絶食中の 68 歳 ~105 歳の 77 名 ( 男性 34 名女性 43 名平均年齢 86.0± 7.7 歳 ) とした方法は入院科主治医より嚥下機能評価と摂食機能訓練の依頼があった患者について初回に歯科医師が意識レベルの評価と嚥下機能評価を行った意識レベルの評価は GCS 嚥下機能評価はベッドサイドで簡単に行える RSST MWST SSPT 咳テストを採用したその後継続的に歯科衛生士と看護師が口腔ケアと間接機能訓練を行い必要に応じて言語聴覚士が間接直接訓練を行った介入 4 週間後の時点それ以前に退院した者については退院時にペースト食 (800kcal/ 日 ) 以上を経口のみで摂取できていたものを経口摂取可能群とし経管栄養など他の補助的栄養投与が必要であったものを経口摂取不可能群とした年齢性別入院から歯科介入までの期間入院期間各スクリ-ニングテストの結果を二群間で Mann-Whitney U 検定とカイ二乗検定で比較し次に経口摂取の可否を目的変数各スクリ-ニングテストの結果を説明変数とし ROC 曲線による解析で各スクリーニングテストの AUC を比較した ROC 曲線上の左上隅に最も近接する点をそれぞれのカットオフ値として検出し各カットオフ値での感度特異度有効度陽正反応的中度陰性反応的中度を求めより有効度の高いスクリ-ニングテストについて検討した本研究は JCHO 東京新宿メディカルセンター倫理委員会と東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会 ( 第 711 号第 933 号 ) の承認を受け実施した < 結果 > 経口摂取の可否を目的変数とし GCS RSST MWST SSPT 咳テストを説明変数とした ROC 曲線での各スクリ - ニング検査の AUC を比較した結果もっとも AUC が大きかったもの - 2 -

3 は GCS(0.790) でその次は RSST(0.771) であった MWST の AUC はであり GCS RSST に比較してやや感度が低かった SSPT と咳テストに関しては AUC が 0.5 以下であった各スクリーニングテストの経口摂取可否に対するカットオフ値は GCS14 点以上 RSST 1 回以上 MWST 4 点以上 SSPT 2.3 秒以下咳テストはクエン酸濃度 1.4mg/ml 以下であった経口摂取可否に対して最も感度が高かったものは RSST で 0.81 であったが特異度は 0.67 であった GCS は感度 0.71 特異度 0.80 と最も有効度が高いと考えられた SSPT と咳テストについては感度特異度ともに低かった < 考察 > 摂食機能は先行期準備期口腔期咽頭期食道期からなる一連の統合運動である本研究で経口摂取可否の予後予測に有用なスクリ-ニングテストと考えられたのは GCS と RSST であり ROC 曲線による AUC の比較感度特異度で GCS が最も有用であった意識障害と嚥下障害との関係は多くの報告で認められているが本研究での経口摂取可否における GCS のカットオフ値 14 点は過去の脳血管障害患者での報告に比較して若干高い対象者の年齢が高くまたこれまで肺炎をおこしていることから経口摂取再開にはより高い覚醒レベルが必要だったのではないかと思われた RSST は認知期口腔期咽頭期の統合機能のスクリ-ニングと考えられカットオフ値 1 回 /30 秒が最良であり 1 回でも施行できた者は 83.8% の割合で経口摂取可能となっていた誤嚥のスクリ-ニングテストとしての RSST のカットオフ値は VF 所見と比較した結果 3 回以上 /30 秒が妥当とされており本研究のカットオフ値は誤嚥のカットオフ値と比較すると低い値であった肺炎急性期では数日間の絶飲食に加え酸素吸入口呼吸などで極度の口腔乾燥となっている者が多くみられこの状態での空嚥下は難易度が高いそこで 1 回でも随意嚥下が可能であったということは嚥下機能と意識レベルがある程度保たれていることを意味し全身状態の改善に伴い嚥下機能の回復が期待できるのではないかと考えられた MWST は口腔期咽頭期の機能を反映し誤嚥のスクリ-ニングに有用と考えられているが GCS RSST と比較して経口摂取可否に関するスクリ-ニングテストとしての検出感度が低かった MWST では検査材料として水を使用するが水はゼリーや粥と比較して粘度が低く流入速度が速い口腔期咽頭期の反射が低下している場合嚥下の速度が間に合わず食材としての難易度が高いため検出感度が低かったと考えられた SSPT と咳テストは意識レベルが低く指示に従えなくても施行できるというメリットがあるがカイ二乗検定 ROC 曲線感度特異度いずれにおいても経口摂取可否の予後予測のスクリ-ニングには有用ではなかった SSPT は水飲みテスト同様誤嚥に対して有用性の高いスクリ-ニングテストであるが嚥 - 3 -

4 下反応を直接誘発し咽頭期のみを観察する検査であり準備期口腔期また意識レベルという意味での先行期の異常が検出できないためと考えられた咳テストも不顕性誤嚥 (SA) のスクリ-ニングに有用であるが SA があるからといって一切経口摂取が不可能ということではなく SA を回避するトロミ付けや食物形態を工夫することで経口摂取が可能となるため経口摂取可否と有意な相関がなかったと考えられた本研究の結果はあくまで肺炎急性期の高齢患者における結果で脳血管障害患者や長期療養施設入所中の患者には該当しないまた経口摂取の基準はペ-スト食でこの基準で常食を摂取可能もしくは誤嚥しないということではない必要に応じ VFSS や FEES を併用し多角的に観察を行うことが重要である < 結論 > 肺炎急性期患者においてベッドサイドで行える簡便な方法で経口摂取再開の予後予測が可能かどうかを検証した経口摂取可否に関して意識レベルの評価と各種の嚥下障害のスクリーニングテストを検証した結果 GCS と RSST が有用であった GCS14 点以上 RSST1 回以上では経口摂取可能となる確率が 80% 以上あり積極的な摂食機能訓練をおこなえることが示唆された - 4 -

5 論文審査の要旨および担当者報告番号甲第 5079 号大庭祥子論文審査担当者論文題目主査深山治久副査下山和弘古屋純一 Screening tests for predicting the prognosis of oral intake in elderly patients with acute pneumonia ( 論文審査の要旨 ) 近年日本では高齢化の進行とともに肺炎が死因の上位を占めるようになり急性期病院においても誤嚥性肺炎を含む医療ケア関連肺炎を原疾患とする症例が増加している当該患者の場合入院後一時的に絶飲食の措置がとられるがその時点で急性期を脱した後の経口摂取の再開を予測することは難しい脳血管疾患患者の経口摂取の予後予測に関する報告は散見されるが高齢肺炎患者についての報告はほとんどみられない摂食嚥下障害の精査としてはビデオ嚥下造影検査 (Videofluoroscopic Swallowing Study:VFSS) が Gold standard だが設備や人員費用などの点で全ての患者に実施することは困難であるそこで大庭は肺炎急性期の高齢患者に対し簡単なスクリ-ニングテストとして意識レベルの評価と嚥下障害のスクリーニングテストで経口摂取再開の予後予測の可能性を検証した方法は肺炎で絶食中の 77 名 ( 男性 34 名女性 43 名平均年齢 86.0±7.7 歳 ) の患者について初回に意識レベルの評価としてグラスゴ- コ-マスケ-ル (Glasgow Coma Scale:GCS) 嚥下機能評価として反復唾液嚥下テスト(Repetitive Saliva Swallowing Test: RSST) 改訂水飲みテスト(Modified Water Swallow Test : MWST) 簡易嚥下誘発試験 (Simple Swallowing Provocation Test:SSPT) 咳テストを行った後継続的に歯科衛生士看護師必要に応じて言語聴覚士が間接直接訓練を行い 4 週間後の時点またはそれ以前に退院した者については退院時にペースト食 (800kcal/ 日 ) 以上を経口のみで摂取できていたものを経口摂取可能群他の補助的栄養投与が必要であったものを経口摂取不可能群とした年齢性別入院から歯科介入までの期間入院期間各スクリ-ニングテストの結果を 2 群間で Mann-WhitneyU 検定とカイ二乗検定で比較し次に経口摂取可否を目的変数各スクリ- ニングテストの結果を説明変数とした受信者動作特性曲線 (Receiver Operating Characteristic Curve: ROC 曲線 ) による解析で各スクリーニングテストの ROC 曲線下面積 (Area Under the Curve: AUC) を比較しそれぞれのカットオフ値を検出した各カットオフ値での感度特異度有効度陽正反応的中度陰性反応的中度を求めより有効度の高いスクリ-ニングテストについて検討したここで経口摂取の予後予測についての先行研究はいくつかみられるが ROC 曲線を用いたスクリ-ニングテストの検討はなくまたスクリ- ( 1 )

6 ニングテストに意識レベルの GCS を採用したことは新しい手法である大庭は本研究より以下の結果を得た ROC 曲線での各スクリ-ニング検査の AUC を比較した結果もっとも AUC が大きかったものは GCS でその次は RSST であった他のスクリ-ニングテストは AUC が小さく有用ではなかった各スクリーニングテストの経口摂取可否に対するカットオフ値は GCS14 点以上 RSST 1 回以上 MWST 4 点以上 SSPT 2.3 秒以下咳テストはクエン酸濃度 1.4mg/ml 以下であった経口摂取可否に対して最も有効度が高かったものは GCS でありその次は RSST であった他のスクリ-ニングテストは感度特異度ともに低かったこれらの結果について大庭は以下のように考察している経口摂取可否の予後予測に有用なスクリ-ニングテストと考えられたのは GCS と RSST であった意識障害と嚥下障害との関係は多くの報告で認められているが経口摂取可否における GCS のカットオフ値 14 点は脳血管疾患患者における先行研究に比較して若干高いその理由について大庭は対象者の平均年齢が高くこれまで肺炎をおこしていることから経口摂取再開の判断の際に主治医が覚醒レベルを高く設定したと考えられる RSST は認知期口腔期咽頭期の統合機能のスクリ-ニングでカットオフ値 1 回 /30 秒は誤嚥のスクリ-ニングテストとしてのカットオフ値 3 回以上 /30 秒と比較すると低い値であった肺炎急性期では数日間の絶飲食酸素吸入口呼吸など極度の口腔乾燥状態での空嚥下は難易度が高い 1 回でも随意嚥下が可能であれば嚥下機能と意識レベルがある程度保たれており全身状態の改善に伴い嚥下機能の回復が期待できると考えられた MWST の検査材料としての水は流入速度が速く口腔期咽頭期の反射が低下している場合食材としての難易度が高いため検出感度が低いと考えられた SSPT は咽頭期のみを観察する検査で先行期準備期口腔期の異常が検出できずまた咳テストも不顕性誤嚥 (Silent Aspiration:SA) のスクリ-ニングであるが SA を回避するトロミ付けや食物形態を工夫することで経口摂取が可能となるため経口摂取可否に関する有意義な検査ではなかったと考えられた本研究において大庭は高齢肺炎急性期患者においてベッドサイドで行える簡便なスクリ -ニングテストで経口摂取再開の予後予測の可能性を検証し GCS14 点以上 RSST1 回以上では経口摂取可能となる確率が 80% 以上あることを明らかにしたこれまで摂食機能評価はリハビリテーション医や専門職種が多角的な診察を行い総合的判断に基づいて行われていたがこのような専門職の数が現在にも増して不足することは自明である種々の介護施設や長期療養型病院でも看護師介護福祉士など非専門職の関連職種が簡単に行える経口摂取可否のスクリ-ニングテストは必要であると考えられる本研究は今後の多疾患他施設におい ( 2 )

7 ての同様の臨床研究の発展に寄与することが期待できるよって本論文は博士 ( 歯学 ) の学位申請を行うにあたり十分価値あるものと認められた ( 3 )

学位論文の内容の要旨論文提出者氏名庄司仁孝論文審査担当者主査深山治久副査倉林亨, 鈴木哲也論文題目 The prognosis of dysphagia patients over 100 years old ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 日本人の平均寿命は世界で最も高い水準であり

学位論文の内容の要旨論文提出者氏名庄司仁孝論文審査担当者主査深山治久副査倉林亨, 鈴木哲也論文題目 The prognosis of dysphagia patients over 100 years old ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 日本人の平均寿命は世界で最も高い水準であり学位論文の内容の要旨論文提出者氏名庄司仁孝論文審査担当者主査深山治久副査倉林亨, 鈴木哲也論文題目 The prognosis of dysphagia patients over 100 years old ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 日本人の平均寿命は世界で最も高い水準であり, 高齢者の人口は全人口の約 25% を占め, 介護の問題なども含め, 高齢化は深刻な問題である. 平均寿命の延伸とともに,100

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 大庭祥子 論文審査担当者 主査深山治久副査下山和弘 古屋純一 論文題目 Screening tests for predicting the prognosis of oral intake in elderly patients with acute pneu

学位論文の内容の要旨論文提出者氏名大庭祥子論文審査担当者主査深山治久副査下山和弘古屋純一論文題目 Screening tests for predicting the prognosis of oral intake in elderly patients with acute pneu