Microsoft Word - SPS doc

Size: px

Start display at page:

Download "Microsoft Word - SPS doc"

かおりひでやま
5 years ago
Views:

1 社団法人電子情報通信学会信学技報 THE INSTITUTE OF ELECTRONICS, TECHNICAL REPORT OF IEICE INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS SPS ( ) 2.45GHz マイクロ波が植物の生長へ与える影響について - 発芽促進, 根の伸長促進, 葉緑素合成促進の可能性 - 齋藤英也宮坂寿郎大土井克明中嶋洋橋本弘藏篠原真毅三谷友彦京都大学大学院農学研究科京都市左京区北白川追分町京都大学生存圏研究所京都府宇治市五ヶ庄 saitou.prius.2years@n506is.mbox.media.kyoto-u.ac.jp {miyasaka, ohdoi, hiron}@kais.kyoto-u.ac.jp {kozo, shino, mitani}@rish.kyoto-u.ac.jp あらまし今回の研究ではマイクロ波送電が種子の発芽過程に与える影響と, 根の伸長葉緑素の出現の 3 つに的を絞って調査を行った. ホウレンソウ種子を配置しマイクロ波送電を行いながら発芽の影響を調査した. マイクロ波処理区の方で促進の可能性が示唆された. インゲンマメを用いた水の浸透促進の可能性について検証を行った浸透実験では水の浸透過程に影響を与えている可能性は低くなった. この結果を受け, 植物の代謝系へ影響を与える可能性を考慮しホウレンソウの発芽後もマイクロ波照射を継続した結果, 根の著しい発達が確認された. そして, マイクロ波と光照射を同時に行いながら同様の実験を行った結果, マイクロ波処理区では 3 日目に葉緑素が確認されたのに対して, 対象区では確認できなかった. キーワードマイクロ波送電, 発芽促進, 根の伸長, 葉緑素 Effects of 2.45GHz Microwave on the plant growth rate -Promotion of germination, root elongation, and synthesis of the chlorophyll- Hideya SAITOU Juro MIYASAKA Katsuaki OHDOI Hiroshi NAKASHIMA Kozo HASHIMOTO Naoki SHINOHARA and Tomohiko MITANI Graduate School of Agriculture, Kyoto University Kitashirakawa Oiwake-cho, Sakyo-ku, Kyoto Japan Research Institute for Sustainable Humanosphere, Kyoto University Gokasho, Uji, Kyoto Japan saitou.prius.2years@n506is.mbox.media.kyoto-u.ac.jp,{miyasaka, ohdoi, hiron}@kais.kyoto-u.ac.jp {kozo, shino, mitani}@rish.kyoto-u.ac.jp Abstract In this study we investigated that the effects of microwave on the germination process, root elongation, and chlorophyll appearance. When seeds of spinach are put on the germination floor by microwave irradiation, exposed seeds germination processes were promoted. About the possibility that physical process of osmosis is affected by microwave with beans, it was not affected. Moreover, spinach seeds were exposed by microwave after germination and their root were notably developed. In the experiment adding light to the same condition, chlorophyll was observed in individuals in microwave area. And this result indicated that microwave may promote plant metabolism such as root elongation and chlorophyll appearance. Keyword root elongation, chlorophyll 1. はじめに現在, 多くの農業用車両はガソリンやディーゼルといった化石燃料を動力源としている. しかし, 化石燃料には有限性があり, 燃焼させることで二酸化炭素, 窒素酸化物そして硫黄酸化物などの温室効果ガスを排出し, 温暖化の原因になってしまう. 電気車両は一切 - 7 -

2 排気ガスを排出せず, 上記で指摘されている問題を解決するためには, 理想的な次世代車両と考えられており近年注目の的になっている. そこで本研究室ではこの理想的な駆動システムを持った農業用車両とその車両の圃場での応用を目的とした研究開発を行っている. 農業用車両は大規模な電力を必要とし電力をバッテリから供給するとなるとバッテリの体積, 重量がともに大きくなってしまう. そのため, バッテリ自体が走行の際の負荷になってしまい, 更なる電力が必要となる悪循環を生み出す. これらの問題を解決するべく, 本研究室ではバッテリから電力供給するのではなく, バッテリそのものを搭載せずにその駆動電力をマイクロ波送受電技術 [2][3] による無線送電を行うことで解決する車両を開発中である. マイクロ波が野外で照射されるにあたって, 生態系への影響が懸念される. 人体や動植物に対する研究, 実験は多く報告されているが植物に関しての例は多くない.Marc Trafforeau[4] は亜麻の種子に 105GHz のマイクロ波照射を行いながら発芽をさせ, 栽培を行った. その結果, 葉の上偏組織で局所的な分裂細胞を観察した.C.pedrajas[5] はクラミドモナスに 2.45GHz のマイクロ波を照射し, 細胞への窒素浸透性に注目をして実験を行い, 浸透性が増加する結果を得た. 既往の研究として, 大西は殻付のホウレンソウ種子を蒸留水に湿らせた発芽床に種子を配置しマイクロ波照射を行い発芽への影響を調査した結果,10mW/cm 2 区で発芽が抑制されるという結果を得たしかし, この実験では濾紙の温度が対象区と比較して 4 上昇していた為, 温度による影響も考えられる. 宮永の実験では上記の温度上昇の課題を克服すべく蒸留水で満たされた水槽内に柱を立て, その上にケント紙を静置し, さらにその上に種子を格子状に配置することでマイクロ波による温度上昇を防ぐ状態を作り上げ実験を行ったが, 明確な傾向を示せなかった. そこで本研究では宮永の実験を参照しマイクロ波による温度上昇を防ぐ条件を作りだし再び発芽実験を行った. 2. 目的本研究では大西宮永が明確な影響を示すことが出来なかったマイクロ波による直接的な発芽への影響を調査することを目的とする. さらに,Marc Trafforeau[4] や C.Perdrajas[5] の研究報告より推察し植物の代謝系, 特に根の伸長と葉緑素の出現に関して調査を行うこととする. 3. 実験装置 3.1 マイクロ波送受電システム京都大学大学院生存圏研究所橋本研究室より借入した機材を用いて図 3.1 に示すようなマイクロ波送受電システムを組み上げ人工気象器に取り付けた [2][3]. マイクロ波送電に関しては 2.45GHz 用のマイクロ波発振回路 (TOKIMEC 製,TSV-NB-F2400M-01, 図 3.3) に電源 (KENWOOD 製, 直流安定化電源 PS-60-18), チューニング電源 ( 同電源 ) を接続する. そして, チューニング電源を 11V 付近に, 電源を+ 5V に設定しマイクロ波を発振させた. それより発振されたマイクロ波を実験に適正な周波数である 2.45GHz 帯に調節するためにスペクトルアナライザー (HEWLETT PACKWARD 製,SPECTRUM ANALYZER 8593E) 上のモニターを監視しながらチューニング電源を 11.2V に調節した.2.45GHz に調節後, 発振器をパワーメータ (Agilent 製,POWER METER 44193B EPM) に接続したパワーセンサ (HEWLETT PACKARD 製, POWER SENSOR ) に接続しマイクロ波の出力を測定した. 1W アンプ (R& 製,1W アンプ A250-SMA-H, 図 3.4) の入力までの値は-19.58dBm の値を示し,1W アンプからの出力は 15.8dBm の値を示した. そして, この後に 20W アンプ (R&K 製,20W マイクロ波増幅器 A R, 図 3.6) へ繋げる為に 20W の入力限界である 0dBm まで減衰させる必要がある. そこで減衰させるために可変抵抗器 ( 日本高周波株式会社製, 可変抵抗器 AT-SJ-806, 図 3.5) に接続させる. この可変抵抗器からの出力は 0dBm になるまで減衰させた.20W アンプ,L 字コネクタ, マイクロ波送電アンテナ ( 図 3.7) を介して出力されたマイクロ波はチャンバ内部へと照射される. さらに照射されたマイクロ波による電力密度の分布を調べるために受信アンテナ ( 有効開口面積 30cm 2, 絶対利得 35dBm, 図 3.8) を用いて測定した. 測定には, 受信アンテナの後に再びパワーセンサを取り付けさらに測定値を出力させるためにパワーメータを使用して電力密度を測定した. マイクロ波発振器 1W アンプ可変抵抗器 60cm 電源 (Vcc=5V) チューニング電源 (Vt=11.2V) 20W アンプ 100cm 25cm 電源 (Vcc=5V) 送電アンテナ図 3.1 マイクロ波総受電システム概要 - 8 -

3 チューニング電源 1W アンプ電源発振器電源 1W アンプ可変抵抗器マイクロ波発振器図 W アンプ 20W アンプ図 3.2 マイクロ波送受電システム写真図 3.7 マイクロ波送電アンテナ図 3.8 マイクロ波受電アンテナまたマイクロ波システムを取り付けたチャンバ内図 3.3 マイクロ波発振器の電力密度分布を図 3.9 に示す. 29cm 図 3.4 1W アンプ mw/cm 2 54cm 図 3.9 チャンバ内部の電力密度分布図 3.5 可変抵抗器 3.2 発芽床マイクロ波により水温が上昇することを防ぐために図 3.10 の様な網でできた発芽床を作りあげた. この発芽床を蒸留水で満たされた水槽に設置し水流ポンプを利用することで水槽内に水の循環を作りマイクロ波による局所的な水温上昇を防いだ

6 cm 2mm 2mmのポリプレン製の網 3cm 6cm 図 3.10 発芽床また, 本実験で用いる発芽床は, 発芽床を一つ一つ配置するごとに電力密度を確認しながら図 3.11, と図 3.12 のように配置した. である 0~ 10,000lx で十分である. また湿度域においては今回行った全ての実験では, 蒸留水で満たされた水槽中に発芽床を設置し, その上に播種を行った.

4 6 cm 2mm 2mmのポリプレン製の網 3cm 6cm 図 3.10 発芽床また, 本実験で用いる発芽床は, 発芽床を一つ一つ配置するごとに電力密度を確認しながら図 3.11, と図 3.12 のように配置した. である 0~ 10,000lx で十分である. また湿度域においては今回行った全ての実験では, 蒸留水で満たされた水槽中に発芽床を設置し, その上に播種を行った. よって, 今回使用される種子は常に十分な湿度条件下で発芽できるので湿度は無視できる. 以上のことより本実験で用いるチャンバは高山製作所製 ( 電気定温恒温器,NS-360H-2, 図 3.12), に決定した. 0mW/cm 2 区図 3.12 チャンバ 0mW/cm 2 区蒸留水図 mw/cm 2 区発芽床配置図 3mW/cm 2 区 3mW/cm 2 区 5mW/cm 2 区 4mW/cm 2 区 4mW/cm 2 区 5mW/cm 2 区 2mW/cm 2 区 1mW/cm 2 区 1mW/cm 2 区 2mW/cm 2 区蒸留水図 ~ 5 mw/cm 2 発芽床配置図 4. 実験方法 4.1. ホウレンソウ発芽実験実験条件として, 供試種子はホウレンソウ, 品種名トライ ( 図 3.14), を使用し使用した種子数は各処理区に 400 粒播種し完全暗黒下で行ったまたマイクロ波処理区は 0.0, 1.0, 2.0, 3.0, 4.0, 5.0mW/cm 2 区の計 6 処理としそれぞれの発芽床を図 3.10 と図 3.11 のように設置した. 実験期間は 42 時間とした. 評価方法には発芽率, 平均発芽日数, 発芽係数を用いて発芽への影響を調査した. 最終発芽率(%)=( 総発芽種子数 / 置床数 ) 100 平均発芽日数( 日 ) =(Σ 発芽日数当日発芽種子数 )/ 芽種子数発芽係数 =( 平均発芽日数 / 最終発芽率 ) 100 最終発芽率は 42 時間経過後の発芽した種子の割合を示す. 平均発芽日数は発芽に要するまでの平均日数を示し, 発芽係数は最終発芽率と平均発芽日数を加味した値であり, 値が小さいほど発芽が容易であることを示す. 3.3 人工気象器実験に用いる人工気象器 ( チャンバ ) の温度域は特に高温地や寒冷地を想定した実験を行うのではないため品種によって差はあるものの供試体の生育に適している 5 から 35 の範囲が必要とされる. 同様に照度域に置いても太陽光または光源からの特定の光の効果を検討する実験ではないため, 各供試体の通常の生育に必要とされる照度域を考慮した既製チャンバ光源の照度

図 3.12 ホウレンソウ ( 品種名 : トライ ) 4.2. 浸透過程実験マイクロ波を種子に照射した結果発芽促進の可能性が示された. この結果を踏まえて, さらに発芽過程に踏み込んだ実験を行った. 種子が発芽するに当たっては 4 つの過程が存在する. 物理的な水の浸透, 酵素の復元, 貯蔵物質の分解, 植物ホルモンの活性化である.

1) を配置し 96 時間完全暗黒条件下で経時的に種子の重量を電子天秤で測定した. 謝系に影響を与えている可能性が示唆された. この結果を踏まえて, 光照射を行うことで光合成の代謝系への影響を調査した. 光合成は植物にとって必須の生命活動でありこの光合成系への影響をホウレンソウとインゲンマメを用いて実験を行った. 実験条件は完全暗黒条件を除いて全て発芽実験と浸透過程実験と同様の条件で行った.

5 図 3.12 ホウレンソウ ( 品種名 : トライ ) 4.2. 浸透過程実験マイクロ波を種子に照射した結果発芽促進の可能性が示された. この結果を踏まえて, さらに発芽過程に踏み込んだ実験を行った. 種子が発芽するに当たっては 4 つの過程が存在する. 物理的な水の浸透, 酵素の復元, 貯蔵物質の分解, 植物ホルモンの活性化である. 中でも水の物理的な浸透は種子にとって極めて重要で, 十分な水が吸収されない限り種子は発芽することが出来ない. 今回行った実験では, マイクロ波がこの水の浸透現象に対して影響を与えているかどうかを調査することを目的とした. 実験条件は蒸留水で満たされた水槽に設置された発芽床 ( 図 3.9) 上にインゲンマメ ( 品種名初ミドリ, 図 4.1) を配置し 96 時間完全暗黒条件下で経時的に種子の重量を電子天秤で測定した. 謝系に影響を与えている可能性が示唆された. この結果を踏まえて, 光照射を行うことで光合成の代謝系への影響を調査した. 光合成は植物にとって必須の生命活動でありこの光合成系への影響をホウレンソウとインゲンマメを用いて実験を行った. 実験条件は完全暗黒条件を除いて全て発芽実験と浸透過程実験と同様の条件で行った. この実験では完全暗黒条件を光照射条件に置き換えて実験を行った. 5. 実験結果および考察 5.1. ホウレンソウ発芽実験結果発芽率 (%) 図 5.1 各電力密度と発芽率経過時間 (hour) ホウレンソウ発芽率結果 0mW/cm^2 1mW/cm^2 2mW/cm^2 3mW/cm^2 4mW/cm^2 5mW/cm^2 30 時間目辺りからマイクロ波照区で発芽の促進が確認された. 次に, この結果より発芽係数を算出した. 平均発芽日数と電力密度図 4.1 実験で使用したインゲンマメ 4.3. 根の伸長実験発芽実験, 浸透実験と二つの実験の結果から後述するように, マイクロ波は代謝系へ影響を及ぼしている可能性が示唆された. この仮説を検証するために, 発芽完了後も引き続きマイクロ波照射を行って植物体の変化を調査した. 実験条件はマイクロ波照射時間を除いて発芽実験と同様にして行った. マイクロ波照射時間は 96 時間行い 96 時間目にチャンバから植物体を取り出し根の長さを定規で用いて測定した. 平均発芽煮日数 ( 日 ) 電力密度 (mw/cm 2 ) 図 5.2 ホウレンソウ平均発芽日数結果 4.4. 葉緑素確認実験根の伸長実験より後述するように, マイクロ波が代

ホウレンソウ発芽係数 1.3 1.25 発芽係数 1.2 1.15 1.1 1.05 1 0.95 0 5 電力密度 (mw/cm^2) 図 5.3 ホウレンソウ発芽係数結果図 5.

4 より 6h より 30hまで緩やかな種子重量の増加が確認される. これは種子に対して物理的な水の浸透現象が起こっていることを示唆している. また,36h 以降は種子重量が変化していないので生物的な吸水現象が生じていると考えられる.

これは 30 時間目間までが物理的な浸透現象が行われておりそれ以降は吸水以外の代謝系の働きが活発になったと考えられる. そこで, 開始から 30 時間目までの 5 つの電力密度別の種子重量の値を分散分析に掛けた.

6 ホウレンソウ発芽係数発芽係数電力密度 (mw/cm^2) 図 5.3 ホウレンソウ発芽係数結果図 5.4 各電力密度とインゲンマメの種子重量マイクロ波照射を行った処理区は全て 0mW/cm 2 区の発芽係数の値を下回った. 次にこの結果を分散分析にかけ t 検定を行った結果 5% レベルでの有意差水準が確認された浸透過程実験結果図 5.4 より 6h より 30hまで緩やかな種子重量の増加が確認される. これは種子に対して物理的な水の浸透現象が起こっていることを示唆している. また,36h 以降は種子重量が変化していないので生物的な吸水現象が生じていると考えられる. 96 時間目まで種子の重量変化に注目して観察を行った結果,30 時間目までが種子は徐々にその自重を増加させ, それ以降は平衡状態を保つという結果になった. これは 30 時間目間までが物理的な浸透現象が行われておりそれ以降は吸水以外の代謝系の働きが活発になったと考えられる. そこで, 開始から 30 時間目までの 5 つの電力密度別の種子重量の値を分散分析に掛けた. 結果は全ての電力密度区で有意的な差は検出されなかった. また, ホウレンソウの実験と同じく, この実験においてもマイクロ波照射区で発芽促進の結果が得られた根の伸長実験結果マイクロ波照射を行った個体の方が根の伸長が著しいという結果になった. さらに, この結果を分散分析にかけて t 検定を行ったところ 5% レベルで有意差が確認された. 図 5.5 0mW/cm 2 区の種子の全体図図 5.6 5mW/cm 2 区の種子の全体図

ホウレンソウ根の伸長 14 12 10 根の長さ (cm) 8 6 4 2 0 0 5 電力密度 (mw/cm^2) 図 5.

葉緑素確認実験結果 (a) 0mW/cm 2 区の様子 (b) 5mW/cm 2 区の様子図 5.

インゲンマメの両方の植物体で葉緑素の出現が 0mW/cm 2 区よりもマイクロ波照射区で, 早期に確認できかつ発芽係数も低い値を示した.

結言今回の実験より, マイクロ波照射区の方で, 発芽が促進されたという結果が得られた.

7 ホウレンソウ根の伸長根の長さ (cm) 電力密度 (mw/cm^2) 図 5.7 暗黒条件下での根の長さ (a) 0mW/cm 2 区の様子 5.4. 葉緑素確認実験結果 (a) 0mW/cm 2 区の様子 (b) 5mW/cm 2 区の様子図日目のインゲンマメの緑化の様子マイクロ波照射と光照射 (120±10μmol/m 2 /s) を行ったところホウレンソウ, インゲンマメの両方の植物体で葉緑素の出現が 0mW/cm 2 区よりもマイクロ波照射区で, 早期に確認できかつ発芽係数も低い値を示した. (b) 1~ 5mW/cm 2 区の様子図日目のホウレンソウの緑化の様子 6. 結言今回の実験より, マイクロ波照射区の方で, 発芽が促進されたという結果が得られた. そして, 今回の実験条件からはマイクロ波照射によって水温の上昇による影響は考えにくい.Marc Tafforeau[4] の報告によれば亜麻の種子に 105GHz のマイクロ波照射を行った実験によれば照射されたマイクロ波はその殆どの熱エネルギーを水面上で吸収され, そして残りのエネルギーも種皮の段階で吸収されることが報告されている. 今回の実験ではマイクロ波の熱エネルギーについては調査できなかったが, 水温が 0.5 の範囲内でしか変化していなことを踏まえるとマイクロ波の直接的な影響によって代謝系や発芽過程が促進される可能性を示した

8 また, 発芽の過程の一つである浸透過程に関しては種子重量が変化しなかったことよりマイクロ波によって水の浸透が促進されなかったことが示された. このことは, マイクロ波は物理的な水の浸透過程に対しては影響を及ぼさないということが示された. また, 根の伸長実験結果に関しては根系の部位は水中深部にあるため, マイクロ波の直接的な影響を考えることは難しい. しかし, 胚軸より上層ではマイクロ波によって影響を受けたことは考えられる. この現象は暗黒条件下実験, 光照射付随実験ともに確認できた現象である. 本研究で得られた知見は次の通りである. マイクロ波照射に直接的な影響 ( 非熱作用 ) よって発芽が促進された可能性が示唆された. 発芽過程のうち物理的な水の浸透に対しては統計的に種子重量を測定した結果, 影響を及ぼしていなかった. マイクロ波を発芽後も常時種子に照射し続けると, 明期条件, 暗黒条件に関わらず著しい根の発達が確認できた. 明期条件でマイクロ波照射を行った結果, 葉緑素の合成が促進された可能性が示された. [9] P.E. Pilet and D.Ney, Rapid,Localized Light Effect on Root Growth in Maize, Planta,144, ,1978. [10] Jones AM,Im KH et al., Auxin-dependent cell expansion mediated by over-expressed auxin-binding protein 1, Science,282, ,1998 [11] Keller CP,Van VOlkenburgh E:Auxin-induced epinasty of tabacco leaf tisues.plant Physiology,113, ,1997. [12] Keller CP,Van Volkenburgh E et al., Evidence that auxin-induced growth of tobacco leaf tissues does not involve cell wall acidification, Plant physiology,118, ,1998. [13] Qutob SS, Microarray gene expression profiling of a human glioblastoma cell line exposed in vitro to a 1.9 GHz pulse-modulated radiofrequency field, BioOne.165, ,2006. [14] Lixia S et al, Effects of 1.8 GHz radiofrequency field on DNA damage and expression of heat shock protein 70 in human lens epithelial cells, Science Direct,602, ,2006. [15] Ian A Cotgreave, Biological stress responses to radio frequency electromagnetic radiationaare mobile phones really so (heat) shocking? Science Direct,435, ,2005. 文献 [1] 宮坂寿郎, 渡辺雅俊, 大土井克昭, 笈田昭, マイクロ波駆動農用電気車両の開発 - 走行制御および送電アンテナ方向盛業 -, 電子情報通信学会, 電子通信学会技法, ,2006. [2] 大西晋嗣, マイクロ波送電の際の植物種子発芽への影響, 京都大学大学院農学研究科修士論文,2003. [3] 宮永英彰, 植物種子発芽へのマイクロ波照射の影響に関する実験的研究, 京都大学大学院農学研究科修士論文,2005. [4] Marc Tafforeau et al., Plant sensitibity to low intensity 105 GHz electromagnetic radiation, Biomagnetics.25, , [5] C.pedrajas and J.cotorino, Nonthermal Effect of Microwave Irradiation on Nitrite Uptake in Chlamydomonas renhardtii, Jounal of Biological Physics,17,51-56,1989. [6] Marina Porelli et al.,"non-thermal effects of microwave on proteins : thermophilic enzymes as model system, FEBS Letters,402, ,1997. [7] Mirta Talec,Kresimir Malaric, and Brenka Pevalek-Kozlina, Influence of 40 0,900 and 1900 MHz Electromagnetic Fields on Lemna minor Growth and peroxidase Activity, Bioelectromagnetics, 26, ,2005. [8] Kerstin A et al., Dynamics of root growth stimulation in Nicotiana tabacum in increasing light intensity, Plant,cell and Environment,29, ,

Microsoft Word - METLAB doc

Microsoft Word - METLAB doc 社団法人電子情報通信学会信学技報 THE INSTITUTE OF ELECTRONICS, TECHNICAL REPORT OF IEICE INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS SPS-1 (6-) マイクロ波駆動農用電気車両の開発 - 走行制御および送受電アンテナ方向制御 - 宮坂寿郎渡部雅俊大土井克明中嶋洋笈田昭松本紘橋本弘藏篠原真毅