資源開発環境調査 フィリピン共和国 Republic of the Philippines

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1 資源開発環境調査 フィリピン共和国 Republic of the Philippines

2 目 次 第 1 部資源開発環境調査 1. 一般事情 1 2. 政治 経済概要 2 3. 鉱業概要 4 4. 鉱業行政 7 5. 鉱業関係機関 投資環境 地質 鉱床概要 鉱山概要 新規鉱山開発状況 探査状況 製錬所概要 わが国のこれまでの鉱業関係プロジェクト実施状況 44 第 2 部地質解析 1. 地質 地質構造 鉱床 鉱床生成区 タイプ別 時代別分布の特徴 鉱床胚胎有望地域 70 資料 ( 統計 法律 文献名 URL など ) 73

3 1. 一般事情 1-1. 面積 299,404km 2 7,109 の島がある 1-2. 人口 7,650 万人 (2000 年 5 月国勢調査値 ) 1-3. 首都マニラ 1-4. 人種マレイ系が主体 他に中国系 スペイン系 及びこれらとの混血 更に少数民族等がいる 1-5. 公用語国語はフィリピノ語 公用語はフィリピノ語と英語 80 前後の言語があると言われているが 国語であるフィリピノ語をより広い範囲で使用できるようにすべく タガログ語をはじめとする主要言語 ( セブアノ語, イロカノ語, ヒリガイノン語, ビコール語, ワライ語, パンパンゴ語, パンガシナン語等 ) の単語のフィリピン語への導入作業が少しずつ進められている 1-6. 宗教国民の 83% がカトリック その他のキリスト教が 10% イスラム教は 5% 1-7. 地勢等フィリピンは アジア大陸の東南 マレー諸島の東北部に南北 1,851km にわたって散在する 7,109 の島々から構成なる そのうち 3km 2 以上の島は 500 にも満たず 大多数は無名の小島である 主要な島はルソン ミンダナオの 2 大島 ピサヤ諸島の 7 島 ( サマール レイテ マスバテ ボホール セブ ネグロス パナイ ) とミンドロ パラワンの 11 島で これだけで総面積の 92.5% 全人口の 96% を占める LUZON Manila SOUTH CHINA SEA PALAWAN MINDORO SULU SEA PANAY NEGROS SULAWESI SEA PHILIPPINE SEA SAMAR BOHOL MINDANAO Davao フィリピン 1

4 2. 政治 経済概要 2-1. 政体立憲共和制 2-2. 元首大統領 ( 直接選挙により選出 任期 6 年 ) 現大統領フィデル ラモス (1992 年 6 月 30 日就任 ) 現副大統領ジョセフ エストラーダ (1992 年 6 月 30 日就任 ) 2-3. 議会 2 院制 上院: 任期 6 年で定員 24 名 すべて単一の全国区から選出される ( 構成 ) 議長ネプタリ ゴンザレス LDP 16 議席 NPC 5 議席 Lakas-NUCD( 与党 ) 2 議席 LP PDP ラバン 2 議席 下院: 任期 3 年で定員 200 名 200 の選挙区より選出される ( 小選挙区制 ) ( 構成 ) 議長ホセ デ ベネシア LDP 87 議席 NPC 48 議席 Lakas-NUCD( 与党 ) 46 議席 LP PDP ラバン 13 議席 NP 3 議席 KBL 3 議席 2-4. 政治概況 1521 年マジェランのフィリピン到着 1571 年スペインの統治開始 1898 年米西戦争中 6 月 12 日アギナルド将軍が独立を宣言 米製パリ講和条約調印により 米の統治開始 1935 年独立準備政府 ( コモンウェルス ) 発足 1942 年日本軍政開始 1946 年 7 月 4 日フィリピン共和国独立 1965 年マルコス大統領就任 (1972 年戒厳令布告 ) 1986 年 2 月革命によりアキの大統領就任 マルコス大統領が亡命 1992 年ラモス大統領就任 1998 年エストラーダ大統領就任 2001 年アロヨ大統領就任 2-5. 主要産業農林水産業 ( 全就業人口の約 37% が従事 ) と労働集約型軽工業が主要である 米 ココナッツ サトウキビ バナナ パイナップル等の農産物を産する 繊維 化学 木材製品 フィリピン 2

5 食品加工 加えて近年は電気 電子産業の発展が目覚ましい 製品は大半が輸出されている 2-6. GNP 第 2-1 表フィリピン共和国の GDP( 単位 : 億ドル ) 年 1998 年 1999 年 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年億米 $ 通貨 1 米 $=54.60 ペソ (2005/02/ 現在 ) 2-8. 為替レート年末 1999 年 2000 年 年 2003 年 1US$= (International Financial Statistics 2004) 2-9. 貿易 フィリピンは資本財および石油を含む中間財をほぼ全面的に輸入に依存しているため 80 年代から 90 年代末までは輸入が輸出を大きく上回る構造が定着して 貿易収支は恒常 的に赤字を記録した しかし 1999 年と 2000 年では 貿易収支は小幅ながら黒字に転換 している これはエレクトロニクスを中心に輸出が堅調に推移したことがその要因である 従来からの貿易収支の動向を辿ると 貿易赤字がピークを記録した 96 年では 赤字幅は GDP の 13% に相当する 億ドルとなり 輸入は輸出の 3 分の 2 程度の規模に過ぎな かった 2000 年では 輸出は前年に対して 8.7% 伸びたのに対し 輸入の伸びはさらに小 幅な 5.9% に留まったため 貿易収支は 35.9 億ドルの黒字となった 2001 年でも 輸出が 15.6% 減少したのに対し 輸入は 4.2% の減少に過ぎなかったため 9.1 億ドルの赤字とな った 2002 年では輸出 輸入ともに伸びたため 貿易赤字は 2.3 億ドルに減少している (ARC レポート 2003) 第 2-2 表フィリピン共和国の貿易 ( 億米ドル ) 99 年 00 年 01 年 02 年 03 年 輸 出 貿易品 電子 電気機器 輸送用機器等 輸 入 貿易品 半導体 電気機器 部品 ワイヤーハーネス フィリピン 3

6 第 2-3 表フィリピンの対日主要商品別輸出入 ( 百万ドル ) 輸出 輸入 2002 年 2003 年 2002 年 2003 年 金額 金額 金額 金額 工業製品 4,048 4,413 6,808 7,278 エレクトロニクス製品 3,393 3,642 3,238 3,458 機械 輸送機器 ,184 1,220 消費財 衣類 家具 食品 同調製品 天然資源製品 合計 ( その他含む ) 5,295 5,769 7,233 7, 経済概況フィリピン経済は 2000 年の IT ブームの際に電子部品産業の生産 輸出拡大に牽引されて 6% の高成長率を記録したが 2001 年には IT 不況により経済成長率は 3% と落ち込んだ 2002 年は 規制緩和を受けての小売業の出店拡大 携帯電話の普及拡大による通信部門の伸びといったサービス部門の高成長を受け 4.4% の伸びを示した 製品輸出は 半導体の回復等により 前年比 4.8% 増の 350 億 6 千万 US ドル 輸入は 電子機器等の増加により 前年比 6.2% 増の 334 億 7 千万 US ドルとなった 一方 インフレ率は 10% 台で推移 2002 年の平均為替レートは 1US ドルに対し ペソ (P) で推移した 工業部門は 製造業 鉱業 採石業等が堅調であり 特に鉱業 ( 原油 ) が 49.2% の伸びを示した 原油を除く鉱物輸出額は 輸出総額の約 1.7% を占め 前年比 12.4% 増の 5 億 9,600 万 US ドル 鉱物の売上総額は 373 億 2 千万 P と 2001 年の 269 億 2 千万 P から 40% の大幅増となった 3. 鉱業概要フィリピンは鉱物資源 ( 銅 金 ニッケル クロム等 ) に恵まれた国で かつては東南アジア最大の鉱産国として君臨していた しかしながら フィリピンの鉱業は 1980 年代から衰退し始め 例えば 銅の生産量は 1980 年の 千 t をピークに落ち込みが続き 2003 年には 21.0 千 t しか生産されず この 20 年間で銅生産量は 10 分の 1 以上にまで落ち込んでいる これは 生産コストの上昇 金属価格の低迷によって引き起こされ さらに 86 年に起こったマルコス元大統領の亡命に見られるような政治的 社会的不安が鉱業の衰退に拍車を掛けた 1994 年の鉱産税の減税 1995 年の新鉱業法制定により 鉱業の再生が進むものと見られたのにも拘らず その後も鉱業は冷え込んでいる フィリピン 4

7 1981 年には 58 鉱山が稼行していたが 現在は 大規模な 2 鉱山 (Victoria Gold Mine Padcal Copper Mine) 中規模ニッケル 4 鉱山 (Rio Tuba Cagdianao Sigbanog Taganito) 中規模クロム 3 鉱山 (Masinoloc Omasdang Homonhon) 中規模金鉱山(Canatuan Acupan Diwalwal Paracale) が稼行している状況となっている この他 多数の石灰石や採石 砂利採取等の非鉄金属鉱山が操業しているほか 2 千以上にのぼる小規模鉱業が活動している 輸出額については 80 年の 21.3% から 1.5% にまで落ち込んでおり GDP の 1.6% を占めるに過ぎない 外資によるフィリピンの鉱業資産所有を認めている鉱業法 (RA 7942 Philippine Mining Act 1995 年 3 月 ) の資金又は技術支援協定 (FTAA) 条項の違憲性が最高裁判所で争われていたことや 先住民族権法 (IPRA) との不整合性の問題 さらに 1996 年の Marcopper 鉱山鉱滓流出事故を契機とした地域住民 環境 NGO 等の強い反鉱業運動等を背景に 近年鉱業は低迷しているといえる 2004 年 6 月末現在の鉱業権認可状況は 探査許可 (EP)12 件 鉱物生産分配協定 (MPSA)206 件 資金又は技術支援協定 (FTAA)2 件 鉱物処理許可 (MPP)4 件となっている 生産量については ニッケルが着実な伸びを示してきており 金が近年増加しているほかは 減少傾向にある (JOGME カレント トッピクス 2001 年 24 号 フィリピン鉱業の現状 ) (JOGMEC カレント トピックス 2002 年 23 号 フィリピンの鉱山開発環境 ) ( 金属資源レポート Vol.34 No フィリピンの鉱業政策動向 ) 3-1. 鉱物資源埋蔵量フィリピンは世界第 6 位のセレン 世界第 10 位のニッケルの埋蔵量を有する 第 3-1 表フィリピン共和国の鉱物資源埋蔵量 (2005 年 ) 鉱種イント ネシア (A) 世界 (B) (A)/(B)(%) ランクニッケル ( 千トン ) 5, , セレン ( トン ) 3, , 出典 :Mineral Commodity Summaries 非鉄金属の生産量主要な非鉄金属の生産は ニッケル 銅 金 クロムで生産量はそれほど多くはないが ニッケルは第 13 位である 銅過去 10 年間の銅生産は 産業界が被った技術的 経済および環境的要因によって一貫して減少してきた 1997 年以前には セブ島のアトラス鉱山 ミンダナオの北ダバオ鉱山およびマリンドゥケ島のマーカッパー鉱山のようなこの国最大の鉱業プロジェクトが操業 フィリピン 5

8 を停止したため 生産量が 1993 年に比較して 51% も下落した 1998 年には 他の 2 つの主要な銅鉱山 すなわちベンゲット州にある Lepanto Consolidated Mining 社の硫砒銅鉱プロジェクトおよびディソン銅オペレーションが 生産量において 10% のさらなる低下を引き起こした 1999 年および 2000 年に それぞれ Manila Mining 社 ( 銅プロジェクト ) および Lepanto Consolidated Mining 社 ( 銅プロジェクト ) が参入したため 生産額の低下は小規模に止まった ただしこれら2 社の参入も 1996 年以来の減少傾向を逆転させるには十分ではなかった (JMEC 平成 14 年度資源開発協力調査プロジェクト選定調査報告書平成 15 年 3 月 ) 金金は 銅生産の低下にもかかわらず 鉱業投資家たちが再び興味を示してきたために 金の生産は一貫して増加した 4つの新規プロジェクト すなわち Philex Mining 社の Bulawan 鉱山および Subutad 鉱山 Lepanto Consolidated Mining 社のビクトリア鉱山 Manila Mining 社の砂鉱銅プロジェクトが金の分野に参入したこと および小規模鉱山が増加に貢献したことにより MT に過ぎなかった 1991 年と比較して 2000 年には MT へと大幅に生産量が増加した (JMEC 平成 14 年度資源開発協力調査プロジェクト選定調査報告書平成 15 年 3 月 ) ニッケルニッケル生産量は また 2000 年に前例のない増加を示した それは 1993 年の 16,000MT から 2000 年の約 7.9 千 MT までの 6 年間に2 倍以上の飛躍的な増加を示した 長い乾季により Surigao におけるニッケル生産者にとって操業日数の増加したことによる さらに CagdianaoMining 社が 2000 年に参入したことによって ニッケル生産量の増加に貢献した 2002 年のニッケル鉱生産量は Taganito 社が生産減となったものの RioTuba 及び Cagdianao 鉱山が生産を伸ばしたことから 前年比 16% 増の 116 万 t となった パラワン州 RioTuba 鉱山においては 高圧硫酸浸出法により 年間ニッケル約 1 万 t コバルト約 700t を生産する新たなニッケル精錬施設の建設が進展しており 2004 年半ばの生産開始を目指している (JMEC 平成 14 年度資源開発協力調査プロジェクト選定調査報告書平成 15 年 3 月 ) クロムクロム鉄鉱は過去 10 年以上にわたって非常に不規則な挙動を示した 1993 年から 1996 年の間, 生産量は年平均 22% で一貫して増加していた ところが 1997 年までに Visayas および Mindanao 地域におけるいくつかの小規模な金属クロム鉄鉱鉱山の縮小によって生産量が 16.7% 低下した 1998 年には 生産量はさらに 58% まで低下した 2000 年 4 月におけるベンゲット社 Masinloc クロム鉄鉱プロジェクトの操業再開はクロム鉄鉱分野への最後の一呼吸だった フィリピンにおける唯一の耐火クロム鉄鉱の生産者であるベンゲット社は 1999 年にその操業を一時中断していた フィリピン 6

9 第 3-2 表フィリピンの主要鉱産物の生産量 年 銅 (t) 48,600 34,600 30,644 20,322 18,364 20,400 金 (kg) 36,513 31,031 36,540 33,840 40,000 38,000 銀 (kg) 18,220 18,000 17,000 17,000 9,000 9,000 ニッケル (t) 12,840 20,689 17,388 27,359 26,532 21,150 クロム (t) 87,000 19,566 26,361 26,932 23,703 24,000 ( 出典 : USGS Mineral Commodity Summaries) 4. 鉱業行政 4-1. 法律 新鉱業法: 1995 年フィリピン鉱業法実施規則 第 7942 号 1995 年スモールスケールマイニング計画等を実現するための法律及び施行細則 1987 年にアキノ政権の下で新憲法が制定されて以来 かねてより懸案となっていたフィリピンの 新鉱業法 が 1995 年 2 月 20 日に 上 下院の両院において可決され 同年 3 月 3 日 ラモス大統領の署名を得て 共和国法第 7942 号 ( 新鉱業法 95) として発効した この新鉱業法 95 は 従来マルコス政権下で制定された 1974 年鉱物資源開発令 ( 大統領令第 463 号 ) に代わるものであり 法律としては 1936 年 11 月 7 日に制定された鉱業法 ( 共和国法 CA 第 137 号 ) 以来 59 年ぶりの改定となる なお 新鉱業法 95 の運用ガイドラインとして 実施細則 (IRR: Implementing Rules and Regulations) が 95 年 8 月 15 日にラモス環境天然資源省長官により署名された (AO 第 23 号 ) この新鉱業法の特徴は以下のとおり 鉱物生産分配契約:MPSA(Mineral Production Sharing Agreement) 鉱山の開発及び加工分野への 100% 外国企業の参入 :FTAA 追加投資の奨励: 損失の所得税繰越 特別償却 鉱害防止装置の税額控除 (1) 鉱物生産分配契約 (MPSA) MPSA に関する憲法の規定を実行するため 1987 年 7 月 25 日に行政令第 279 号が大統領によって署名され 環境天然資源省 (DENR) 長官がかかる契約を取り決め 締結することを承認した 同令の実行ガイドラインは DENR 省令第 57 号 第 06 号 第 32 号 第 82 号および 82-A 号として発令されている MPSA では 政府が契約者に契約鉱区内の採掘専有権を与えるが その所有権を与えるものではなく 政府が鉱物資源の所有者として その生産分配を現物でも金銭でも取得する契約 と規定している 従って 企業が鉱山開発を行う場合は DENR を通じて必ず政府と契約を締結しなければならないこととなっている フィリピン 7

10 MPSA の主な特徴の一つは 鉱業の各段階を 3 段階に区分し 明確に定義したことである 契約期間を探鉱 - 最大 4 年 建設及び開発 - 最大 3 年 商業生産 -25 年 ( さらに 25 年更新可能 ) としている 他の特徴としては 鉱業による生産物から政府への分け前を決めた点で この分配は純所得のみならず 生産量も含めて計算することとなっている 企業の利益が少ない時には政府への分配が少ないが 企業の利益が上がればそれに応じて政府への分配も多くするため 生産量より純所得にウエイトを置いた分配方式を採用している (2) 財政あるいは技術援助契約 (FTAA) 鉱業はリスクの大きい 投資の必要な事業であるが 投資を目的とする国内資本はどちらかといえば不足しているか あるいはない状態にある この点に関しては 外国投資家は 必要な資本の100% を投資すれば それに応じて鉱業活動を支配できる計画に関心が深い 残念ながら 憲法は 鉱物を含めた天然資源の開発には 国内所有権には 60% 外国の所有権には 40% の制限を設けている しかし 大規模な鉱業には FTAAと呼ばれているサービス契約が 100% の外国所有権と経営を規定している この大規模とは 単一の鉱業単位に 600 万米ドル以上の資本投資を行うことを意味する FTAA は大統領とその契約を締結した外国企業に 探鉱期間から鉱山の開発までの資本投資がすべて償却される原価の回収期間を認めている この原価の回収期間を過ぎると 政府はその企業の純所得にシェアを課す 次に 最初の 25 年間が終了する前に 企業は徐々に 60% をフィリピン所有権の割合に転換していかねばならない この FTAA 取決め実行のガイドライン及び細則が 現在 立法化される最終段階にあり 豪州 Arimco 社の Didipio 金 銅プロジェクトが 近々 FTAA の適用第一号となりそうである 4-2. 政策新規探鉱 開発に向けた外国投資は低迷している この背景には 憲法上 国有地及び同地に含まれる鉱物は全て国家の所有物である との規定にも拘わらず 新鉱業法 (1995 年 3 月 ) の資金又は技術支援協定 (FTAA) 条項が外資によるフィリピンの鉱業資産所有を認めている点について最高裁判所で審理が行われていたことや 先住民人権法 (IPRA) との不整合性の問題が膠着状態であること さらに 地域住民 環境 NGO 等の強い反鉱業運動が挙げられる このような状況下 環境天然資源省 (DENR) は 2003 年に入り 鉱業の再活性化 持続的な鉱業の発展のため 許認可手続きの簡素化や Mining Invest Assistance Center の設置等を図ったほか かねてから検討されていた国家鉱業政策 (National Mineral Policy) の策定作業を開始 2004 年 1 月には National Mining Policy を承認する大統領令 270 号が発布された フィリピン 8

11 同大統領令は フィリピンの経済発展に資する 信頼性ある鉱物資源探査 開発及び利用の促進を目的とし National Mining Conference 等の一連のコンサルテーションで得られた以下の原則を強調したうえで 現行鉱業法 (MiningAct1995) の的確な運用により 鉱業の再活性化を図るものとしている 鉱業への投資促進 透明性 安定性及び予見性を有する投資 規制政策の策定 鉱物及び鉱産品の高付加価値化 鉱業界の正式な一員として 小規模採掘の推進 鉱物資源の開発 利用への高効率技術の利用 リハビリテーションまでを含めた鉱業活動の統合的な環境保全 生物多様性や小規模島嶼における生態系の保護 多角的な土地利用や鉱床地域の持続的利用の促進 休廃止鉱山対策の推進 鉱業活動による経済 社会的利益配分の均等化 鉱業に対する社会的認識向上の促進 産業と利害関係者の効果的な対話スキームの構築また 環境天然資源省 (DENR) に対し 今後の探査 開発活動の方向付けや許認可手続きの簡素化 他省庁間の連携等に係る活動計画 Draft Mineral Action Plan(MAP) の策定を指示した しかしながら 憲法上 国有地及び同地に含まれる鉱物は全て国家の所有物である との規定にも拘わらず 新鉱業法 (1995 年 3 月 ) の資金又は技術支援協定 (FTAA) 条項が外資によるフィリピンの鉱業資産所有を認めている点の裁判については 最高裁判所が 1 月 29 日に 憲法に抵触するとの判断を下した これに対し DENR は再審請求を提出するとともに Mineral Action Plan やロードマップの策定 有望プロジェクトの選定等 鉱業再活性化に向けた取り組みを進めている 4-3. 税制フィリピンの税務法規は 1987 年内国歳入法 (NationalInternalRevenueCodeof1987) と関税法 (Tariff and Custom Code) を基本とする 税務法規の解釈及び執行は 内国歳入庁 (Bureau of Internal Revenue) および関税庁 Bureau of Customs が担い 彼らの裁量のみならず判例を踏まえつつ 実際の税務行政が執行されている 日本と同じく自主納税申告制度のため 記帳義務が明記されており 会計帳簿の保存期間は3 年となっている フィリピンにおける税体系は 直接税 間接税 その他に分類されている 直接税には 個人所得税 法人所得税 関税がある 間接税には 付加価値税 百分率事業税 ( 定率税 ) 物品税 印紙税などがあり そのほか フィリピン 9

12 のものとして 地方税 固定資産税 輸出税 ( 丸太の輸出 ) がある フィリピンにおける鉱業税は 従来金属鉱物については総生産高の5% を 非金属鉱物については総生産高の3% をロイヤルティとして課税していた しかし 1989 年 7 月に鉱物生産分配契約 (MPSA) が政府によって発令されて以来 M PSA 締結下では次の鉱業税に変更されることとなった 金属鉱物総収入の2% 課税プラス経常収益の 10% 課税 非金属鉱物総収入の2% 課税プラス経常収益の5% 課税 その他 フィリピン政府は 大統領令 1251 号及び 1720 号を発令し 鉱山操業によって生じる採鉱ズリ及び選鉱廃さいに対し 鉱さい料 を徴収する法令を制定した そして 1990 年の環境天然資源省 (DENR) の省令によって 鉱さい料 の細則が規定された この省令により 各鉱山会社は 鉱さい料 として 鉱山から廃棄される採鉱ズリに対し1t 当たり 0.50 ペソ またパイプや坑道等を通じて廃さいダム或いは海 河川に直接投棄される選鉱廃さいに対し1t 当たり 0.10 ペソの支払い義務が課されることとなった 鉱さい料 として徴収された金は 新設の鉱害阻止積立基金に資され 鉱害防止事業や鉱害損害賠償に当てられることとなっている 5. 鉱業関係機関 5-1. 政府機関鉱山地球科学局 :(MGB:Mines and Geosciences Bureau) 鉱山地球科学局は 環境天然資源省 (DENR) の系列局として位置づけられ 本部と 14 支所を有している 鉱物資源を含む土地と鉱物資源の運営と処分を直接取りまとめる任があり 地質調査および鉱物資源探査と同様に地質的 採掘的 冶金的 化学的およびその他の調査を行う 局長は 正式な資格取得者に対する鉱物協定の授与を長官に勧告し 契約者が鉱物協定の条件に従う事を監視する 局は 局長によって発布された命令を通して提示された抵当 履行保証および担保証書を押収する権限を持つ 局長は 必要に応じ フィリピン国家警察の一員または団体バランガイ ( 最小行政区 ) の一員または団体 正式に登録された非政府組織 (NGO) の一員または団体あるいはその他誰でも適任であると見なした者に 全ての鉱業活動の監視の代理を命ずる権限を持つ 環境天然資源省 :(DENR:Department of Environment and Natural Resources) フィリピン 10

13 環境天然資源省は 保護地 分水界流域および国有地を含む国家の鉱物資源の節約 管理 開発および適切な取扱いに関して責任を負う主要官庁である 長官は 局長の勧告に基づき政府を代表して鉱物協定を結び この法令の目的と条項を実行するために必要な規定を制定する権限を持つ 第 5-1 図鉱山地球科学局の組織図 5-2 公営機関 フィリピン鉱業協会:(COMP:Chamber of Mines of the Philippines) Philippine Society of Mining Engineers 鉱業投資支援センター(MIAC:Mining Investment Assistance Center) 支援センターは環境天然資源省傘下の鉱山地球科学局 (MGB) と貿易産業省が運営し 投資に当たっての法務相談や技術指導 環境適合のためのコンサルティング 地質調査結果等に関する情報提供を行っていくこととしている MGB は 支援センターが関係機関への提出書類の記入方法についての助言も行うとした上で 今後は申請の審査が短縮できると強調 また 各地域に One-Stop-Shop Clearance Center を設け 複数の政府機関にまたがる鉱山事業認定を一括する方針を示している (Jun23(Mon)2003(News NetAsia, Mines and Geosciences Bureau)) フィリピン 11

14 5-3 民間会社 第 5-1 表フィリピンで活動中の主な鉱業会社 会社名業務内容対象鉱物ウェブサイト ALTAI RESOURCES INC. Exploration rces.com/ ANGLO AMERICAN PLC Production, Exploration Gold and base metals ican.co.uk/ ANGLOGOLD ASHANTI LIMITED Exploration Gold com/default.htm APOLLO GOLD CORPORATION Exploration com/ BACTECH MINING CORP Production Gold and base metals m/s/home.asp CONSTELLATION COPPER CORPORATION Exploration Base metals oncopper.com/ CREW GOLD CORP Investment Gold and base metals m/ GEOSTAR METALS INC. Production, Exploration Gold and base metals tals.com/ GOLDEN CYCLE GOLD CORP Production, Exploration Gold e.com/ LAFAYETTE MINING LIMITED Exploration Gold and base metals ining.com/ MBMI RESOURCES INC. Exploration Gold and base metals MINDORO RESOURCES LTD. Exploration Gold and base metals om/s/home.asp ODESSA GOLD CORP. Exploration Gold PANORO MINERALS LTD. Exploration Gold and base metals m/s/home.asp PHILEX GOLD INC. Production, Exploration Gold RED 5 LIMITED Exploration Gold d.com/ SUR AMERICAN GOLD CORPORATION Exploration Gold m/ THISTLE MINING INC. Exploration Gold ing.com/ TIGER INTERNATIONAL RESOURCES INC Exploration Gold rces.com/ TVI PACIFIC INC Exploration Gold and base metals om/ フィリピン 12

15 6. 投資環境フィリピンにおける鉱業投資環境については 前述した様にハワイ East-WestCenter の鉱物資源政策に関する調査結果 (1990) によると 政情安定性の面では良い投資環境とは言えないが 地質学的資源ポテンシャルの面では最適投資環境を有しており 総合的には世界における有望鉱業投資国の一つに位置付けられるとされている その一方で フィリピン鉱業の現状を鑑みると同国鉱業が将来において発展するには 外国資本を国内への鉱業投資に導入することが必要不可欠となっている そのため 同国政府及び鉱業界は 古くから関係の深い日本やオーストラリア等の近隣諸国からの鉱業投資に 大きな期待を抱いており 官民一体となって外国資本導入のための努力を行っている このような状況において フィリピン政府は外国投資法を改正し ( 1991 年外国投資法 の制定 ) 外国資本の投資規制を大幅に緩和する政策を行った しかしながら 鉱業投資分野においては 依然として投資環境に問題を残した内容となっており 国内外の投資家から政府に対して 投資環境のより一層の整備 改善を求めた要望が出されている 6-1. 外資法 (1) 1987 年オムニバス投資法 ( 共和国法第 226 号 ) 優遇措置を伴う外国及び内国の投資に関する基本的な法律で奨励措置を規定している (2) 1991 年外国投資法 ( 共和国法第 7042 号 ) 優遇措置を伴わない外国投資に関する基本的な法律で ネガティブリストに記載された分野以外への外資は 100% 認められる (3) 1995 年特別経済区法 ( 共和国法第 7916 号 ) 輸出加工区及び特別経済区 (Special Economic Zones: ECOZONES) に関する総括的な法律で最も多くの奨励措置を規定している フィリピン政府は 1991 年 6 月に 1991 年外国投資法 ( 共和国法 7042 号 ) を制定し 同年 11 月にその施行細則を発令した 1991 年外国投資法 は 外国資本の投資規制を大幅に緩和するもので 従来の全ての産業分野における外資比率を 40% 以下とする規制を緩め 外国投資ネガティブ リスト ( 規制業種のリスト ) にない産業分野であれば 100% までの外国投資を認めることに改正した しかし 鉱業投資分野は 外国投資ネガティブ リストに含まれており 規制の対象に取り上げられている 経過ネガティブ リスト中の鉱業関連項目は次の通りであり 憲法第 12 条第 2 節の国内天然資源の保護規制 共和国法 7076 号の小規模鉱業法による規制及び本法共和国法 7042 号の中小企業保護規制によるものである フィリピン 13

16 リストA 外資の参入が許可されない分野 小規模鉱業 ( 共和国法 7076 号 ) 小規模鉱業 (SmallScaleMining) とは 年間粗鉱生産量 5 万 t 以下 資本金 300 万ペソ以下の業者によって営まれる鉱業 外資比率が 40% 以下に制限されている分野 天然資源の探査 開発及び利用注 : 財政或いは技術援助契約を大統領との間に締結することにより全額外国資本による参加が可能となる ( 憲法第 12 条第 2 節 ) 憲法第 12 条第 2 節 ( 本憲法は アキノ政権誕生後の 1987 年に制定された新憲法 関連項目だけを抜粋 ) 全ての公有地 水 鉱物 石炭 石油及びその他の鉱油 全ての賦存エネルギー資源 水産 森林 野生動物 動物及び植物は 国によって所有される 農耕地を除いた全ての他の天然資源は 譲渡されない 天然資源の探査 開発及び利用は 国の完全な管理 監督の元に行われる 国は直接これらの活動を実施するか 或いは少なくとも 60% の資本の所有権を有するフィリピンの国民 会社 協会と共同生産 合弁事業もしくは生産分配に関する契約を行うことができる これらの契約は 25 年間を越えない期間とし 法律で決められた規定や条件のもとで行われる 議会は 法律を制定し フィリピン国民による天然資源の小規模利用を認める 大統領は 当国の経済成長及び一般的繁栄に合致する鉱物 石油及びその他の鉱油の大規模な探査 開発及び利用に関して 外国所有法人と財政或いは技術援助を含む契約を締結することができる 大統領は この条項に関して締結された全ての契約について その実行から 30 日以内に議会に対して通知することとする リストB 外資比率が 40% 以下に制限されている分野 第 6 項払込資本額が 50 万米ドル相当未満の輸出企業で 枯渇する天然資源を原材料として使用する場合 ( 憲法第 12 条第 2 節 共和国法 7042 号 ) なお 財政或いは技術援助契約 (FTAA) は 政府が鉱物資源及び石油資源に限定して 総投資額が 5,000 万米ドル以上の大規模鉱業プロジェクトに対し 100% の外国所有権を認めるサービス契約である 以上 1991 年外国投資法 制定後のフィリピンにおける鉱業投資の外資比率については次のように解釈される フィリピン 14

17 鉱物資源の探査 開発及び利用に関する投資については 外資比率が従来通り 40% 以下に制限される 但し 総投資額が 5,000 万米ドル以上の大規模鉱業プロジェクトについては 100% の外国所有権が認められる 小規模鉱業への外資の参入は許可されない 6-2. 通関輸入品の課税価格は 以下の優先順位に基づき決定される (1) 取引価格を用いる方法輸入品に対して実際に支払われた または支払われるべき価格に 輸出港から輸入港までの輸送費 保険料など 関税法により定められた加算要素を加えた価格を用いる方法 (2) 同一品の取引価格を用いる方法輸入品と同時かほぼ同時期に輸出された同一品の取引価格に基づき計算する方法 同一品とは 物理的特長 品質などすべての点において その輸入品と同一のものを言う (3) 類似品の取引価格を用いる方法輸入品と同時かほぼ同時期に輸出された類似品の取引価格に基づき計算する方法 類似品とは 輸入品とはすべての点においては同一ではないが 同様の特徴を有し かつ 同様の材料から成っており 輸入品と同じような使用が可能で 商業上の交換も可能なものを言う (4) 推定価格を用いる方法輸入品またはそれと同一あるいは類似する商品の フィリピン国内での販売価格に基づき計算する方法 (5) 計算価格を用いる方法輸入品の製造にかかった材料や加工の費用に 利益 輸入に関連する運賃 保険料などを積み上げて計算する方法 (6) 代替価格を用いる方法上記以外の合理的な方法を用いて またフィリピン国内で入手可能なデータに基づいて 決定する方法 なお (4) と (5) の優先順位は 輸入者の要請により 逆にすることが可能である 6-3. 金融 (1) 国内からの借入に関する規定 外資 40% 以上の場合事前に IAC(Inter-Agency Committee: 中央銀行 投資委員会 国家経済開発庁及び財務省の代表により構成され 外国企業による国内借入に関する政策及び細則を監理し実施する組織 ) に申請し 許可を取得する必要あり 借り入れ枠についての制限は資本金との関係で以下の比率を維持することが義務づけられている フィリピン 15

18 BOI 及び PEZA に登録された輸出指向型企業 自己資本 30: 借入金 70 その他の製造業 自己資本 35: 借入金 65 非製造業自己資本 40: 借入金 60 外資 40% 以下の場合フィリピンの地場企業と同様の条件で借り入れ可能 (2) 海外からの借り入れに関する規定外貨の借入は原則として自由だが 将来 元本返済及び利子の支払いにあたり銀行を経由した外国為替を利用する場合 中央銀行の事前許可 ( 中長期借入の場合 ) または登録 ( 短期借入の場合 ) が必要 ( 承認なしで借入も可 ただし 元本及び利子の返済にあたり外貨を銀行以外から調達しなければならない ) 6-4. 労働フィリピンにおける労働基準については 1974 年に制定された労働法典が基本となっている 最低賃金制については 1989 年に大きな改正が行われ それまでほぼ全国一律に決められていた最低賃金は 都市部と地方の生活費格差 賃金面からの企業の地方誘致へのインセンティブ付与の必要性などから地方ごとに決定されることとなった この改正に伴い労働雇用省の付属機関として国家賃金生産性委員会 ( 以下 国家委員会 と呼ぶ ) 及び 13 の地方三者賃金生産性委員会 ( 以下 地方委員会 と呼ぶ ) が設置された この国家委員会は 政府からは労働大臣 国家経済開発庁長官及び国家委員会の事務局長の3 名 労使の代表としては 労働者側と使用者側が提出する候補者名簿に基づき労働雇用大臣が推薦し 大統領が指名したそれぞれ2 名の委員によって構成される また 地方委員会は労働雇用省 国家経済開発庁 貿易産業省の各々の地方事務所長 3 名の政府代表者及びそれぞれ2 名の労働者側及び使用者側からの委員によって構成される 地方委員会は 国家経済開発プログラムの枠組の範囲内で経済的に実行可能であるとともに労働者の健康 能率 福祉全般に必要な最低限の生活水準を維持するのに十分な最低賃金を決定し 賃金命令を発布する この賃金命令はその地域における有力な新聞のうち少なくとも一紙に全文が発表されてから 15 日後に発効する 労働者の労働時間は通常 1 日 8 時間を超えてはならないと規定されており ここでいう労働時間には ( ア ) 労働者が職務を課されているか または規定の場所にいるように要求されている全時間 ( イ ) 労働者が労働することを黙認されている または許可されている全時間が含まれている なお 労働時間中の短時間の休憩時間は労働した時間とみなされる また ある日の規定労働時間に満たない労働時間を他の日の時間外労働と相殺することはできないと規定しており 変形労働時間制は認められていない フィリピンにおいては 食事休憩制度が規定されており 原則として使用者は 60 分以 フィリピン 16

19 上の食事のための休憩時間を与えなければならない 週休日 法定祝祭休日 年次有給休暇については 使用者は 6 日間の連続した労働日ごとに 24 時間以上の連続した休憩を与えなければならない 週休日を何曜日とするかは 使用者が決定できるが その際従業員が宗教的信念に基づき特別な曜日を週休日として選好する場合には それを尊重しなければならない 6-5. 治安外務省は ミンダナオ地域への渡航の延期を勧告している アロヨ大統領主導の下 種々治安維持対策が講じられているが フィリピン情勢は 引き続き高いレベルの警戒が必要である 特に全国的に活動する反政府共産勢力の軍事部門である新人民軍 (NPA) 及びミンダナオ地域を中心に活動する反政府イスラム勢力 ( モロ イスラム解放戦線 :MILF) の存在に加え アル カーイダ イスラム過激派のアブ サヤフ グループ (ASG) 及びジュマ イスラミーヤ (JI) 等の国際テロ組織あるいはその関連分子がテロを敢行する脅威は依然として排除されていない また 2004 年 5 月に行われた国政選挙は 比較的平穏裡に実施されたが その後も政治的緊張は完全に解消されたとは言い難く 引き続き安全対策には万全を期す必要がある 同国へ渡航を予定される方及び滞在されている方は 政治的な集会やデモ等には近寄らない 外国人や不特定多数が集まる場所等 ( 公共施設 レストラン ショッピングモール デパート カフェ ナイトクラブ等 ) においては絶えず警戒する 夜間や裏通りの単独行動は避ける等 一般犯罪 テロや誘拐の標的にならないよう注意する必要がある 6-6. 交通道路を含め輸送インフラの建設はまだ不十分である 長年にわたって投資が不足するまま推移したため インフラの整備は需要に追いつかない状況に置かれており 今後も継続してインフラ整備を重視しなければならない ラモス大統領時代からインフラへの投資を見直す機運が高まっているが 投資はマニラ首都圏地域に集中する傾向にある 最も重要な運輸手段である道路輸送は 貨物輸送の 60% 旅客輸送の 80% を賄い 水路は貨物の 40% 旅客の 10% を賄っている 遠隔地の島々への旅客の輸送は 空路の利用に依存する傾向が強まっている 鉄道は 最小に留まっている 道路道路網全長は 16 万 1,000km である うち 3 分の 2 が支線に相当するフィーダー ロード (feeder road) と呼ばれる幹線道路に通じる 2 次的道路で 全天候型道路は半分以下である 舗装道路 ( コンクリートまたはアスファルト ) は 17% のみである フィーダー ロードは概して貧弱であるが その理由は1 基準以下の工事で建設され 2 保守が不十分なうえ 3 過剰に荷物を積んだ車の走行によって破損されやすいこと等である 橋梁も概して貧弱であり 遠隔地の村では幹線道路に通じる支線がないところも少なくない 道路の建設 改修プログラムが実施されており ルソン島で1マニラのハイウエイの改修工事が行われている他 2 北部ルソン ハイウエイのリハビリと近代化および3 同ハイウエイのス フィリピン 17

20 ーゼック特別経済地域への延長工事も行われている これらの道路建設拡張工事は いずれも BOT 方式 (build-operate-transfer) による民間資本の導入が予定されている 鉄道鉄道網はルソン島に全長わずかに 740km のシングル ライン トラックが Bicol-Manila-Launion 間に施設されている しかし 鉄道施設で利用されているのは 全体のわずか 5 分の 1 に過ぎず 早急な改善が必要である マニラには近代的な鉄道が建設されており 拡充工事が進められている 2000 年では同鉄道は 述べ 1.1 億人の旅客を輸送している 海運フィリピンの地勢からして船舶輸送と港湾サービスは極めて重要である 現在利用されている港湾の数は あわせて約 1,500 にのぼる うち 6 つの主要港 マニラ セブ イロイロ カガヤンデオロ サンボアンガおよびダバオで港湾利用の約 80% を占める 内海の島を巡る船舶輸送が旧式でかつ安全規制が貧弱 航行支援の設備が貧弱で特に灯台が不足している 空港国内に 85 の空港があり うち国際空港はマニラ セブおよび General Santos の 3 つである 航空セクターの規制緩和によって空港サービスが改善されている 1998 年の Philippine Airlines (PAL) の民営化によって 資本が過剰に支出されたが 国内線が削減されている 6-7 電力フィリピンはエネルギー需要の多くを海外に依存しており 石油価格が急騰した 1970 年代以来 海外のエネルギー資源に対する依存度を軽減させる努力を続けている 地熱発電と水力発電の設備に対する投資が拡充しているため 国内のエネルギー資源の開発が進み 国内資源への依存度がより高まっている さらに 2001 年 10 月には パラワン沖合のマランパヤ ガス田でのガス生産が開始され 国内資源の利用がさらに進んでいる 国内の原油生産はごくわずかに過ぎず エネルギー需要に重要な貢献をする見通しにはない また 国内の石炭は輸入需要を補足する役割を担っている 発電事業はかつては 国家専有とされていたが 過去 10 年間では電力の供給不足に対処し投資を進める必要性から 民間にも開放されている 1992 年にラモス大統領が登場した折 マニラもその圏内に包括されるルソン発電網 (grid) が 1,000MW の供給不足に直面していた 直接の原因は 1986 年から稼動が予定されていた 620MW の原子力発電計画が挫折したことにある 新政権は電力拡充計画の早期着工に乗り出したため 1993 年からは電力不足は軽減されている 1999 年末における発電能力は 1992 年末に対して 6,949MW 増に当る 12,341MW である 増加分の多くは BOT 契約によって建設されている マランパヤ ガス田の利用についても 設備の建設は BOT 契約とともに BOO(build-own-operate) 契約が採用されている 地熱発電は今後最も長期間にわたって設 フィリピン 18

21 備の拡充が期待される発電分野である 地熱発電の商業利用は 1979 年から開始され 2000 年における能力は 1,931MW の設備が建設されており フィリピンはこの分野では世界でも米国に次ぐ第 2 位である エネルギー庁の電力開発計画によれば 2011 年までにさらに 990MW の設備の増設が見込まれている エネルギー分野の規制緩和が進められており その最も重要な第一歩として 2001 年には国営企業 National Power Corporation (NAPOCOR) の民営化が予定されている 発電設備と送電設備ともに 25% のコンセッションで 資本の 51% が 2002 年後半以降の 5 年問で売却される予定である 資本の所有比率または設備能力の支配権に対して制約が課せられる 民営化後の経営は新たな立法機関に委ねられることになろう ルソン島で頻繁に生じている停電は 発電設備でなく送電網のメンテナンスに問題があって生じているため 電力の配送設備の早急な民営化が必要である 7. 地質 鉱床概要 7-1. 地質概要フィリピン群島は西太平洋にあり ユーラシヤプレート 太平洋プレートおよびインド -ストラリヤプレートの三大プレート接合部のすぐ北に位置している その北は Bashi 海峡 西は西 Luzon 一 Manila Palawan 海溝 南は Sulu-Sabah リッジ複合帯および Cotabato 海溝 さらに東は Philippine- 東 Luzon 海溝によって境されている 地質的に Palawan 西部 中央 および東部の 4 地域に区分される ( 第 7-1 図 ) 第 7-2 図に地質図を示す Palawan 地域は更に Palawan, Cuyo 陸棚 北西 Sulu 海盆および Cagayan de Sulu 海嶺に分けられる Palawan の北部には上部古生代から下部中生代の堆積物が分布し 早朝ジュラ紀の広域変成 変形作用を受けている 中央 ~ 南部 palawan は片岩類 チャート 大理石および珪岩を伴う超苦鉄質岩を基盤とし 白亜紀 ~ 始新世の塩基性溶岩と砕屑岩が被う 北西 Sulu 海盆は厚い堆積岩を有する海底沈降部である これは NE-SW 方向に伸びる火山岩基盤をもつ Cagayan de Sulu 海嶺により南東 Sulu 海盆と隔てられている 西部地域は間に海溝を挟む長く延び山脈を形成し Philippine 変動帯の西側部分を占め 北は Ilcos から Zambales および Antiqu をとおり Zamboanga-Sulu 区域にわたっている Ilcos 地域の最古の岩石は先第三紀の結晶片岩および珪岩で これらは断層により白亜紀 - 古第三紀の蛇紋石化かんらん岩と接し 所により始新世および中新世の堆積岩に被われている Zambales 地域は 主にかんらん岩 ダンかんらん岩および斑れい岩からなる超苦鉄質岩によって大部分を占められ 東部および北西部で輝緑岩岩脈複合岩体 枕状玄武岩 ; 上部始新世 ~ 下部漸新世の遠洋堆積物がこれを被って発達する Antique 区域は中新世の構造運動の結果生成されたと考えられるメランジュからなっている Buruanga 半島は二畳紀から上部三畳紀の変成岩からなる Zamboanga 半島は Mindolo の基盤岩に類似する変成した地向斜岩石が露出している この基盤岩に衝上したオフィオライトが認め フィリピン 19

22 られる これらを被って中新世堆積物及び火山岩類が発達し さらに中性岩によって貫かれている 北東部は 第四紀火山岩により被れている 中央部地域は さらに Babuyan, Cageyan-Carabello 中央 Luzon, Bondoc-Sarangani 中央 Visaya および Cotabato に区分される Cagayan-Carabello 区域西部の中央 Luzon 山系は白亜紀 ~ 下部第三紀の変火山岩と変堆積岩類からなり これらは石英閃緑岩と花崗閃緑岩の底盤に貫かれ さらに早期中部中新世の石灰岩と砕屑岩類に被われている Cagayan 堆積盆地は漸新世 ~ 更新世の浅海性砕屑物および炭酸塩岩で充たされている 中央 Luzon 堆積盆は中新世から鮮新世の堆積物により占められ 沈降と隆起を繰返した 中新世およびそれ以降の中性 ~ 硅長質岩体がこれらの地層を貫いている Minila 南方の地域は第四紀火山岩類が卓越している 南部 Botonga の古期岩類は弱変成の漸新世火山岩類 砕屑性堆積岩および石灰岩からなり 中部中新世の閃緑岩およびトロニエム岩質の底盤より貫かれている Bondoc-Sarangani 区域に入って Bondoc 半島は SE 方向にプランジする複背斜構造を有する中新世 ~ 更新世の堆積層からなる Visaya 堆積盆は中央フィリピンの第三紀沈降部で 後期中新世から鮮新世の Cubu 地背斜の隆起帯によりややさえぎられている Visaya 区域の基盤は主として白亜紀 ~ 下部第三紀の変火山岩類および変堆積岩類で これらは閃緑岩の岩株および底盤により貫かれている 東部地域は Sierra Madre, Bocol, Samar 高地および Diwata の区域に細分される 北 Sierra Madre は基本的にはオフィオライト メランジュおよび島弧貫入岩の複合体で 一部 安山岩質火山岩類と非変形の中部中新世石灰岩により被れている 南 Sierra Madre の基盤は上部白亜系および下部第三系からなり これらは漸新世の閃緑岩質底盤により貫かれる 西部 Bocol 区域は緑色片岩 超苦鉄質岩 および変成火山岩類 白亜紀 ~ 下部第三紀の砕屑岩類および石灰岩の衝上スライスからなり この上を漸新世 ~ 中新世の堆積岩および火山岩が被い さらに中部中新世の閃緑岩に貫かれている Samar の基盤は上部白亜紀の変火山岩類および変堆積岩を主とし チャートおよび超苦鉄質岩の衝上岩塊をともなう Diwata 区域は衝上とした苦鉄質 - 超苦鉄質岩 変成岩および堆積岩類からなり 古第三紀の沈み込み帯であったと思われる その北部は中新世の砕屑岩類および石灰岩によって被れ 中部中新世の閃緑岩 安山岩および石英安山岩により貫かれている 7-2. 鉱床概要フィリピンでは 主として 金 銅およびラテライト質ニッケルの鉱化作用が顕著であり 浅熱水性およびポーフィリーに関係した金鉱床および金に富む銅鉱床が広範囲に分布しており それに付随して金発見の高いポテンシャルを有している Cu-Zn-Au を伴う黄鉄鉱からなる別子型 SEDEX 鉱床もまた見られ 初生 Ni Cr および PGM は 広範な Ni ラテライトを伴ってオフィオライト中に認められる (Mining ProFile - Philippines, 11/1997) これらの主要な鉱床を第 7-3 図に示す フィリピン 20

23 金鉱床はフィリピン諸島内の随所に分布しているが 大規模な金鉱床の大半はフィリピン諸島を縦断するフィリピン断層沿いに見られる 金鉱床が断層とほぼ平行に配列していることから Wisser(1952) はこの主要な断層と成因的に関係していると考えたが この関係は含金熱水溶液のための導管として および含金石英脈形成の場として役立つ構造の形成に限られている 稼行鉱山数 鉱床規模 および鉱山 探鉱地の分類に基づいて 5つの金鉱床区 すなわち 1) ルソン中央山岳地帯の西麓に沿う Baguio 金地区 2) CamarinesNorte の太平洋岸に沿う Paracale 金地区 3) Masbate 北西部の Masbate 金地区 4) ミンダナオ北東部において おそらく北方はレイテ南部 南方は AgusandelNorte まで延長する Surigao 金地区 および 5) ミンダナオ南東部の Masara 金地区が認められる ポーフィリー銅鉱床は 1955 年にアトラス鉱山で生産開始後 国の総銅生産量への貢献は 35% から 1982 年の 94% 以上まで着実に増加してきた この数十年間の銅生産量はフィリピンにおける年間総生産量の平均 90% を占める 1953 年以来 このタイプの鉱床は 100 以上発見され そのうち 約 35 が成功し 開発あるいは生産に入っている ポーフィリー銅鉱床は一般に白亜紀から鮮新世に貫入した閃緑岩 - 花崗閃緑岩ストックおよびプルトンと共生している これらの貫入岩類から得られた最近のデータによると 貫入時期は造山運動と関係しての3つの主要なエピソード ( 例えば セブ島の Lutopan 石英閃緑岩のような白亜紀後期 ネグロスおよびボホールあるいは北シエラマドレ山脈における閃緑岩類ストックのような始新世 - 漸新世 およびバギオ バタンガス マリンデュケ ララップ半島およびダバオ地域におけるような中新世 - 鮮新世 ) を示す傾向がある (JMEC 平成 14 年度資源開発協力調査基礎調査プロジェクト選定調査報告書 ) フィリピン 21

24 第 7-1 図フィリピンの地質構造図 (Bureau of Minis and Geosciences, 1982)( 平成 3 年度地質解析委員会報告書 ) フィリピン 22

25 Legend of Geology Quaternary sedimentary rocks Neogene to Quaternary sedimentary rocks Paleogene sedimentary rocks Cretaceous to Paleogene sedimentary rocks Paleozoic to Mesozoic sedimentary rocks Quaternary felsic volanic rocks Cretaceous felsic plutonic rocks Ultramafic rocks Jurassic to Cretaceous sedimentary rocks 第 7-2 図フィリピンの地質図 (200 万分の一東 東南アジアの数値地図 (2004) から作成 ) フィリピン 23

26 SOUTH CHINA SEA PALAWAN MINDORO SULU SEA LUZON PANAY NEGROS BOHOL SAMAR MINDANAO SULAWESI SEA PHILIPPINE SEA Legend of Minerals Au Cr Cu Mo Ni PGE 第 7-3 図フィリピンの鉱床位置図 (GSC Selected world mineral deposits database etc. から作成 ) フィリピン 24

27 8. 鉱山概要 8.1 Nonoc 国名 / 地域 :Philippines/Dinagat 名前 :Nonoc 位置 :Dinagat 島の南端近くの Nonoc 島 緯度 経度 : 北緯 10 度 12 分 東経 125 度 38 分鉱床鉱種 :Ni Fe 埋蔵鉱量 :75 百万 t 品位 :1.24%Ni 住鉱コンサルタント株式会社 (2001): 世界のニッケル - 資源の実態とその問題点 鉱床タイプ : ラテライト地質概要 : 橄欖岩を母岩とする ルソン島の東 Bicol から Mindanao 島東に続くオフィオライト帯に位置する 本鉱床は褐鉄鉱型であり サプロライト型と比較して Fe の含有量が高く Ni の含有量が低い 鉱化作用の年代 : 第四紀 Victoria Far Southeast Mankayan Dinkidi Santo Tomas II Rio Tuba Rapu Rapu Carmen Nonoc Sipalay Hinatuan Boyongan Taganito Tampakan (GSC Selected world Legend of mineral Minerals deposits database etc. から作成 ) Au Cu Ni フィリピン 25

28 8.2 Lepanto(Mankayan) 国名 / 地域 :Philippines/ Baguio 地区 Lepanto 名前 :Lepanto 位置 :Baguio 地区 Lepanto 会社名 ( 権益比率 ):Lepanto Consolidated Mining 鉱床鉱種 :Cu Au 鉱床タイプ : 高硫化浅熱水性 鉱脈型鉱床 地質概要 : 古くから硫砒銅鉱およびテルル金を産する鉱脈型鉱床として知られてきたが 1987 年頃には酸化硫黄型熱水鉱床の典型例とされている 鉱床は基盤岩の変火山岩類と石英安山岩質火山砕屑岩の間の不整合面と WNW 方向の断層との交差部に発達する断層破砕鉱化帯とこれから派生する多数の平行脈からなっている 主要鉱石鉱物は硫砒銅鉱 ルソン銅鉱である 金および銀はテルル化合物として産す 鉱床の南東端深部に 金に富む斑岩銅鉱床 (Far Southeast 鉱床 ) が 更にその南約 1Km に Victoria 金鉱床が発見されている 鉱化作用の年代 : 第四紀更新世 (1.51±0.07Ma) 採鉱法 : 坑内掘り選鉱法 : 浮遊選鉱 副産物等 :Au フィリピン 26

29 8.3 Santo Tomas(Padcal) 国名 / 地域 :Philippines/Luzon 名前 :Santo Tomas (Padcal) Copper/Gold Mine 位置 :Luzon 島 Baguio 地域 Padcal 会社名 ( 権益比率 ):Philex 鉱床鉱種 :Cu Au 埋蔵鉱量 : 百万 t 品位 :0.30%Cu Raw Materials Data August 2004 鉱床タイプ : ポーフィリーカッパー 地質概要 : 変安山岩 玄武岩質溶岩と少量の堆積岩および凝灰岩からなる Pugo 層 に後期中部中新世に斑岩類が貫入して鉱床を生成した 鉱体は断面の大 きさが 400mx500m 急傾斜のパイプ状を示す 鉱化されている岩石 は主に角閃石英閃緑斑岩および変火山岩類である 銅鉱物は石英網状脈 や小脈に あるいは鉱染状に産する 鉱石鉱物は黄銅鉱 斑銅鉱 磁鉄 鉱 金および銀鉱物である 鉱化作用の年代 : 後期中部中新世 発見の経緯 : 生産量 ( 直近 5 ヵ年 ) 生産開始年 :1958 年 粗鉱生産量 Mt - 8 e 5 e 6 e 5 e 金属量 t 20,900 21,100 15,500 18,400 21,000 e Raw Materials Data August 2004 採鉱法 : 坑内掘り 副産物等 :Au 2002 年 3.9t(Mining Annual Review 2003) フィリピン 27

30 8.4 Victoria 国名 / 地域 :Philippines/ Baguio 地区 Lepanto 名前 :Victoria 位置 :Baguio 地区 Lepanto 会社名 ( 権益比率 ):Lepanto Consolidated Mining 鉱床鉱種 :Cu Au 埋蔵鉱量 品位 : 確定鉱量 4.17 百万 t 0.37%Cu, 6.68g/tAu 推定鉱量 2.68 百万 t 0.32%Cu, 6.89g/tAu 推定埋蔵量 2.45 百万 t 0.51%Cu, 7.66g/tAu 予想埋蔵量 9.56 百万 t 0.33%Cu, 8.03g/tAu ( 財 ) 国際鉱物資源開発協力協会 (2002) 鉱床タイプ : 低硫化型浅熱水性鉱床 地質概要 : この地域の基盤は 白亜紀 ~ 中新世の火山岩 堆積岩からなり これを 母岩として Far Southeast 鉱床 ( 開発 別ファイル ) がある これを不 整合に覆って Lepanto( 別ファイルあり ) 及び本鉱床の主要な母岩とな る鮮新世の石英安山岩が広く分布している 本鉱床は鉱脈型の含金石英 脈からなり 脈幅 2-8m 水平延長 600mおよび垂直延長 300mの規模 を有する 走向は ENE から NS 方向で 度南に傾斜している 主な鉱石鉱物は方鉛鉱 閃亜鉛鉱 黄鉄鉱 黄銅鉱であり 四面銅鉱 濃紅銀鉱 輝銀鉱 エレクトラムを伴う 鉱脈の一部には少量の硫砒銅 鉱が産する 鉱床の北約 1Km には北西 - 南東方向に Lepanto 鉱床 お よび Far Southeast 鉱床が位置する 鉱化作用の年代 : 第四紀更新世 (1.51±0.07Ma) 発見の経緯 : 生産量 ( 直近 3 ヵ年 ) 生産開始年 :1997 年 金属量 Cu(t) 700 1,300 金属量 Au(t) Raw Materials Data August 2004 採鉱法 : 坑内掘り 選鉱法 : 浮遊選鉱 Carbon in pulp フィリピン 28

31 8.5 Rio Tuba 国名 / 地域 :Philippines/Palawan 州 名前 :Rio Tuba 位置 :Palawan 島南部 緯度 経度 : 北緯 8 度 35 分 東経 117 度 24 分 会社名 ( 権益比率 ):Rio Tuba 社 フィリピンと日本 (1976 年当時 太平洋金属 日本鋼管 日新製鋼 日商岩井 ) の合弁企 業 鉱床鉱種 :Ni Fe 埋蔵鉱量 :9.6 百万 t 品位 :2.30%Ni 鉱床タイプ : 橄欖岩を母岩とするラテライト 風化残留鉱床 地質概要 : 鉱床を伴う超塩基性岩は 北東ボルネオのオフィオライト帯の延長と推 定されるパラワンオフィオライト帯に属す このオフィオライトは始新 世のチャート スピライトを伴い 斑レイ岩 橄欖岩 ダナイトなどか ら構成される それらは漸新世後期 ~ 中新世前期に定置したと考えられ ている 鉱床はこの超塩基性岩類の風化生成物であり 地表から 20m 付 近までが採掘の対象となっている 採掘対象の鉱石鉱物はサプロライト 中の珪ニッケル鉱 (garnierite) である 鉱化作用の年代 : 第四紀 生産量 ( 直近 5 ヵ年 ) 生産開始年 :1976 年 年 粗鉱生産量 Mt 金属量 Ni t 5,000 e 6,000 e 5,000 e 10,000 e 10,000 e Raw Materials Data August 年の鉱石消費量 : 低品位鉱石 1.08 百万 t 2mm 鉱石 百万 t(1.26%ni, 0.094%Co) 採鉱法 :OP 金属回収法 : 加圧酸リーチング 副産物等 :Co(750t), 備考 : 住友金属鉱山など日系企業との合弁で Palawan 島 Bataraza で高圧硫酸浸出 法により年間約 1 万 t Ni, 約 700t Co を生産する精錬施設の建設が進展している 2004 年半ばの生産開始を目指している 既に環境適合証 (ECC) を取得してい る 企業費 US$150 百万 フィリピン 29

32 8.6 Hinatuan 国名 / 地域 :Philippines/Mindanao 島北東端 名前 :Hinatuan 位置 :Mindanao 島北東端 会社名 ( 権益比率 ): Hinatuan 鉱床鉱種 :Ni 埋蔵鉱量 : 資源量 百万 t 2.30%Ni, 11.50%Fe, 0.09%Co 住鉱コンサルタント株式会社 (2001): 世界のニッケル - 資源の実態とその問題点 より引用 (Philippine の Bureau of Mines and Geosciences 1986) 鉱床タイプ : ラテライト ニッケル 地質概要 : オフィオライト帯 鉱化作用の年代 : 第四紀生産量 ( 直近 5 ヵ年 ) 年 粗鉱生産量 Mt e 0.2 e 0.2 e 金属量 Ni t 2,500 e 5,000 e 6,000 e 7,000 e 7,000 e Raw Materials Data August 2004 採鉱法 :OP フィリピン 30

33 8.7 Surigao 国名 / 地域 :Philippines/Mindanao 名前 :Surigao 位置 :Mindanao 島北東部 緯度 経度 : 北緯 9 度 51 分 東経 125 度 37 分 鉱床鉱種 :Ni Fe 埋蔵鉱量 品位 :66.6 百万 t 1.23%Ni(R1E) 2,694 百万 t 0.75%Ni(R2S) 住鉱コンサルタント株式会社 (2001): 世界のニッケル - 資源の実態とその問題点 鉱床タイプ : ラテライト 地質概要 : ダナイトを母岩とする 鉱化作用の年代 : 第四紀 採鉱法 : 露天掘り 8.8 Taganito 国名 / 地域 :Philippines/Mindanao 島北東部 名前 :Taganito 位置 :Marinduque 島北部 会社名 ( 権益比率 ): Taganito 鉱床鉱種 :Ni 鉱床タイプ : ラテライト ニッケル 地質概要 : オフィオライト帯 鉱化作用の年代 : 第四紀 発見の経緯 : 生産量 ( 直近 5 ヵ年 ) 年 粗鉱生産量 Mt e 0.5 e 0.5 e 金属量 Ni t 12,000 e 5,000 e 11,000 e 10,000 e 10,000 e Raw Materials Data August 2004 採鉱法 :OP フィリピン 31

34 9. 新規鉱山開発状況 9.1 Victoria II 国名 / 地域 :Philippines/Luzon 島北部名前 :Victoria II 位置 :Luzon 島北部 Lepanto FSE プロジェクトの南約 1Km. 会社名 ( 権益比率 ):Lepanto 社鉱床鉱種 :Au 埋蔵鉱量 : 金 130 万 oz 地質概要 : 同鉱床は VictoriaⅠ 鉱体の南西に位置し Nayak 地域に至る南方に約 900m 延びており VictoriaⅠとは別系統の新たな銅 金鉱床とみられる発見の経緯 :1995 年金属資源レポート Vol.34 No.1 特集号 : 世界の鉱業の趨勢 JOGMEC 9.2 Boyongan 国名 / 地域 :Philippines/Surigao del Norte, Mindanao 名前 :Boyongan 位置 :Surigao, Mindanao 島緯度 経度 : 北緯 9 度 42 分 00 秒 東経 125 度 34 分 00 秒会社名 ( 権益比率 ):Silangan Mindanao Mining Company Inc. Philex Gold, Anglo American の J/V 鉱床鉱種 :Cu Au 鉱床タイプ : ポーフィリーおよび鉱脈型地質概要 : 斑状閃緑岩を母岩とする 2002 年の試錐で 950mx500mの範囲で 0.5%Cu 換算の鉱化域を把握 ( 内 500mx350mの範囲は 1%Cu 換算 ) した また初生硫化物鉱化も把握している 試錐で 339m 1.68%Cu,2.64 g/tau( 内 187m 2.58%Cu, 4.47g/tAu) に着鉱しており大規模鉱床が期待されている 発見の経緯 :2000 年 8 月に現在の J/V による探鉱で発見される 備考 :1999 年 MPSA を得る フィリピン 32

35 9.3 Carmen (Toledo) 国名 / 地域 : Philippines/Cebu 島 名前 : Carmen (Toledo) 位置 : Cebu 島 Toledo 市 会社名 ( 権益比率 ):Minoro 鉱床鉱種 :Cu 埋蔵鉱量 : 資源量 850 百万 t 品位 :0.41%Cu 鉱床タイプ : ポーフィリーカッパー 地質概要 : 早期白亜紀の石英閃緑岩 斑岩の貫入に伴い 2 つの断層の間に生成さ れたポーフィリーカッパー Lutopan, Carmen, Biga の 3 鉱体よりなる 鉱化に伴う変質作用は緑泥石化 珪化 絹雲母化および黒雲母化である Carmen 鉱体は NNE の方向に 1300m 延長し 幅 400mを示す 鉱石鉱 物は主に黄鉄鉱 黄銅鉱よりなり 少量の斑銅鉱 輝水鉛鉱 磁鉄鉱を 伴う 鉱化作用の年代 : 早期白亜紀末期 開発計画 :2001 年再開予定だったが未だ再開されず 開発の概要 : 年間採掘量 百万 開発費 :US$124 百万 副産物等 :Au, Ag, Mo 備考 :1955 年に生産を開始し 1982 年までに 170 万 t の銅を生産していた その後も生産を続け 1992 年には 546 万 t の鉱石を採掘し 16,800tCu を生産している (infomine) 現在は休山している 9.4 Dinkidi 国名 / 地域 :Philippines/Kasib 州 Nueva Vizcaya 州 名前 :Dinkidi(Didipio) 位置 :Manila の北東 200Km 緯度 経度 : 北緯 16 度 20 分 00 秒 東経 121 度 27 分 00 秒 会社名 ( 権益比率 ):Climax Arimco Mining 鉱床鉱種 :Cu, Au 埋蔵鉱量 : 1)1,770 万トン 0.67% Cu, 2.37g/t Au 金属鉱業事業団 ( ) 2) 露天掘り対象 高品位鉱 百万 t 3.8g/tAu 低品位鉱 百万 t 1.34g/tAu フィリピン 33

36 坑内掘り対象 15.2 百万 t 3.26g/tAu 資源量 121 百万 t 0.39%Cu, 0.97g/tAu ( 財 ) 国際鉱物資源開発協力協会 (2002) 鉱床タイプ : ポーフィリー銅 金地質概要 : 急勾配で傾斜する細粒閃緑岩に貫入された火山砕屑岩中に胚胎する 黄銅鉱 テルル石の鉱化は表層ではおおむね楕円形 ( 約 450mX150m) 地下深部少なくとも 800-1,000mまでパイプ状鉱体が広がっている 開発の概要 : 金 205 千 Oz 銅 36 百万ポンドの年産量開発費 :138 百万 US$ 採鉱法 : 当初露天掘り 後にブロックケービング環境保全 : 係争中の ECC に関わる 関係バランガイとの協定覚書の有効性については選挙管理委員会の決定待ち 備考 : 新鉱業法施行前に付与された FTAA 案件 2 件のうちの 1 件 バンカブル F/S が最終段階にある 9.5 Far Southeast 国名 / 地域 :Philippine/Baguio 地区 Lepanto 名前 :Far Southeast 位置 :Luzon 島 Baguio 地区 Lepanto 会社名 ( 権益比率 ):Lepanto Consolidated 鉱床鉱種 :Cu 埋蔵鉱量 :163 百万 t 0.81%Cu, 1.76g/tAu と推定される ( 梶谷 1990; 金属鉱業事業団 (2001): 地質解析委員会報告書 鉱床タイプ : ポーフィリーカッパー 地質概要 :Victoria 銅 金プロジェクト (Lepanto) の南東端深部に位置してい る新第三紀の貫入岩に伴い生成された WNW 方向に延びたベル形をな し 最上部が地表下 650mの潜頭鉱床である その規模は長さ 1,000m 幅最大 500m 深さ延長は少なくとも 900m に達する 成因的には後期 中新世に火山岩 堆積岩系に貫入した石英閃緑斑岩に関係すると考えら れ 鉱床は石英閃緑斑岩と Balili 火山岩 堆積岩系中に胚胎する 鉱床 中心部ではカリウム変質が顕著である 外側に向かって緑泥石 イライ ト帯 プロピライト帯となる 鉱石鉱物は斑銅鉱 黄銅鉱 磁鉄鉱 赤 鉄鉱 輝水鉛鉱である 金と銅の品位には正の相関が認められ 金 ( 自 然金 ) は斑銅鉱 黄銅鉱に伴う また磁鉄鉱とも密接に共存する フィリピン 34

37 9.6 Tampakan 国名 / 地域 :Philippines/South Cotabato 州名前 :Tampakan 位置 :South Cotabato 州 Tampakan 緯度 経度 : 北緯 6 度 31 分 30 秒 東経 125 度 4 分 00 秒会社名 ( 権益比率 ):Western Mining Corp. 鉱床鉱種 :Cu, Au 埋蔵鉱量 品位 : カットオフ 0.5%Cu 推定資源量 600 百万 t 0.78%Cu, 0.32g/tAu 予想資源量 300 百万 t 0.69%Cu, 0.26g/tAu ( 財 ) 国際鉱物資源開発協力協会 (2002) 鉱床タイプ : 高硫化型浅熱水性鉱床 ポーフィリー銅 金鉱床 地質概要 : 斑状安山岩を母岩とする 高硫化型銅 金鉱床である 深部で角閃石閃緑斑岩の貫入を受けている 鉱石鉱物は黄鉄鉱 輝銅鉱 斑銅鉱 硫砒銅鉱を主とし 銅藍 輝水鉛鉱 黄銅鉱を伴う 備考 :FTAA の対象プロジェクトである Western Mining は権利の売却を検討している Tampakan グループか Lepanto グループのどちらに対して行うか裁判所の決定を待っているところである 9.7 Rapu Rapu 国名 / 地域 :Philippines Albay 州名前 :Rapu Rapu 位置 :Rapu Rapu 島 Legaspi, Albay 緯度 経度 : 北緯 13 度 10 分 45 秒 東経 124 度 11 分 50 秒会社名 ( 権益比率 ):Lafyette Mining 社 ( 豪州 ) 韓国 LG 社 (15.6%) 及び国営 Korean Resources Co 社 (10.4%) は Lafyette Mining 社に出資し 26% の権益を得る見込み鉱床鉱種 :Cu Zn Au, Ag 埋蔵鉱量 : 1)Ungay-Malobago 鉱体確定鉱量 5.32 百万 t 1.51%Cu, 2.67%Zn, 2.94g/tAu, 32.21g/tAg 可採鉱量 4.93 百万 t 1.38%Cu, 2.43%Zn, 2.71g/tAu, 30.38g/tAg (Cut-off 0.5%Cu, 1.0%Zn) ( 財 ) 国際鉱物資源開発協力協会 (2002) 2)7.14 百万 t 1.23% Cu, 2.05% Zn, 2.54g/t Au, 27.37g/t Ag ( 社 ) 日本メタル経済研究所 (2003.6): 躍進する中国銅産業と原料問題 - 銅鉱石 ス フィリピン 35

38 クラップ及び銅地金の現状と予測 鉱床タイプ : 多金属鉱床 塊状硫化物鉱床 地質概要 : 超塩基性岩および片岩中に胚胎する 片岩は褶曲構造を示し 珪長質砕屑岩を挟む 鉱床下盤は緑泥石 緑簾石の強い変質作用を受けており 上盤は非常に強い石英 絹雲母変質を受けている 鉱石鉱物は黄鉄鉱 黄銅鉱 閃亜鉛鉱を主とし 銅藍 砒四面銅鉱 斑銅鉱 硫砒銅鉱を伴う 開発計画 :2004 年末の事業開始が想定されている. 当初 5 年間 年産 37,000t の銅精鉱 ( 銅量 10,000t) 25,000t の亜鉛精鉱 1.5t の金の生産が見込まれており 2004 年末の事業開始が想定されている 採鉱法 : 年間鉱石採掘量 82 万 t 選鉱法 : 浮遊選鉱および CIL 9.8 Adlay 国名 / 地域 :Philippines/Surigao del Sur 名前 :Adlay 位置 :Surigao 緯度 経度 : 北緯 9 度 26 分 30 秒 東経 125 度 54 分 30 秒 会社名 ( 権益比率 ):CTP Construction and Mining Corporation オペレーター QNI Philippines Inc 社 ( 本社豪州 ) 鉱床鉱種 :Ni 埋蔵鉱量 : 1)5.58 百万 t 1%Ni 金属鉱業事業団 (2003) 2)3.348 百万 t 1.41%Ni, 46.4%Fe ( 財 ) 国際鉱物資源開発協力協会 (2002) 鉱床タイプ : ニッケル ラテライト 地質概要 : オフィオライトに伴う フィリピン 36

39 10. 探査状況 フィリピンにおける探鉱活動は概して低調ではあるが 鉱物資源賦存のポテンシャルは 高く 最近いくつかの探鉱プロジェクトで成果が上がっている Longos Celestial Batong Buhay Far Southeast Lobo Victoria Sangilo Dinkidi Santo Tomas II Masinoloc Dizon 第 10-1 図フィリピンで進行中の主なプロジェクト San Antonio Rapu Rapu Masbate Carmen Loreto Nonoc Island Manlupo Cagdianao Boyongan Siana Placer Sibutad Canatuan Amacan King-King Tampakan フィリピン 37

40 10.1 カナトゥアン (Canatuan) プロジェクト TVI Resources Development Inc. はこのほど 向こう 10 年間でミンダナオ島北サンボアンガ州の Canatuan 鉱山事業に 3,000 万 ~4,000 万米ドルを投資すると発表している 同社のトラックが何者かに襲撃され 13 人が死亡する事件が発生したが 国軍と警察が警備態勢の強化を約束したことから 事業継続と追加の投資に至った 1994 年から探鉱を開始 銅 亜鉛 金 銀の鉱脈を確認している この鉱床は いくつかの緩く傾斜した多金属硫化物鉱体と その他の硫化物を豊富に含む層準から成り 表層付近は金 銀に富んだゴッサンに変質している 鉱体はアーチ状の形態をしており 走向延長約 825 m で幅は 150 ~ 300 m である 硫化物鉱床は 黄鉄鉱に富んだ約 40 m の区間中に レンズ状および縞状の硫化物層として含まれる 埋蔵鉱量の多くは厚さ 3.35~21.5 m の主要な硫化物層準に含まれている ゴッサン鉱 ; 鉱量 940,000t(Au:4.13g/t, Ag:134.96g/t) 硫化鉱 ; 鉱量 1,266,300t(Ag:73.01g/t, Cu:3.36%, Zn:2.45%) (Jan. 14 (Tue) 2003 News Net Asia) ( バンコック市原秋男 ) 10.2 Celestial プロジェクトカナダ Mighty Beaut 社 ( 本社 : ヴァンクーヴァー ) は フィリピンのパラワン島に所有する Celestial 鉱区 ( ラテライトニッケル ) の開発に関し 中国 China Nonferrous Metal Industry 社との間で 確認書を取り交わした この確認書には China Nonferrous Metal Industry 社が中国銀行を通じて 建設資金の支援を行うこと 20 年間の精鉱購入契約を結ぶこと 戦略的パートナーシップ協定を締結すること等が確認されている Mighty Beaut 社の主たる責務は 開発可能性調査を完了することであり China Nonferrous Metal Industry 社の主たる責務は 中国銀行を通じた建設資金の支援である Mighty Beaut 社の Celestial 鉱区は 埋蔵量 77 百万 t 平均品位ニッケル 1.29% コバルト 0.09% であり 年産 2 万 t が見込まれている ( ヴァンクーヴァー小野寺修司 ) 10.3 Masbate プロジェクト Masbate 州に位置し 鉱床は 5 km の広さの鉱化した火山性のブロックが二つの大きな断層の分岐に挟まれて存在する 母岩は断裂の発達したデイサイト質凝灰岩の集塊岩である 浅熱水性の金と銀の鉱化は 石英と方解石の鉱脈 角礫岩 ストックワーク および変質した火山性の母岩の中に生じている 推定資源鉱量 71,340,000t(Au:1.35g/t( カットオフ品位 Au:0.7g/t)) 鉱量 36,400,000t(Au:1.42g/t) Au 含有量 1,697,000oz 本プロジェクトは 以前 Atlas Consolidated Mining And Development Company (ACMDC) が運営し 1980 年から 1984 年まで平均 80,000oz/year で金を産出していた フィリピン 38

41 8,336 ヘクタールの面積を対象とする MPSA が 1997 年 11 月に与えられ これに対応する 20,000 t/day の操業に対する ECC が フィリピン ゴールド社の子会社である Base Metal Mineral Resources 社 (BMMRC) に与えられた カナダの鉱業金融会社 Thistle Mining Inc. が 2000 年にこの土地の運用を受け継ぎ BMMRC は名称を Filminera Resources Corporation (FRC) に変更した 計画生産量 :20,000 t/day,au:250,000 oz/year 10.4 Nonoc プロジェクト Surigao del Norte 州の Nonoc 島でのニッケル コバルトプロジェクト 埋蔵量 144,700,000t(Ni:1.10%( カットオフ品位 :0.90%) Co:0.10%) HPAL プラント設立計画についての南アフリカ Impala Platinum および中国投資家との交渉は未成功 Hinatuan Mining 社との間で旧採鉱地北側 Gaboc 鉱体の操業 採掘の可能性について検討している 10.5 Amacan プロジェクト (North Davao Mining 社 ) Compostela Valley にある Amacan 鉱山は 政府の資産信託民営化 (APT) による受託下にある この土地を入札に掛ける試みが数回なされたが これまでに一つも成功していない この地域の重要性は 鉱石の残存埋蔵量の可能性によるだけでなく 同社のその他の土地のためでもある しかし それらの保有財産については 鉱業法の新たな規定に従った承認のための申請がまだ提出されていない 10.6 その他プロジェクト Placer 金プロジェクト Placer ゴールドプロジェクトは Surigao del Norte の Placer にあり 1981 年に純粋の金 銀鉱山として生産を開始し 1997 年に拡大して銅の精鉱まで生産するようになった 200 万トンを超える原料が鉱石区域に滑りこんだため それ以来停止されたままである Longos この鉱山は Camarines Norte の Paracale にあり Longos 地下鉱山での採掘を 1998 年に またその後 1999 年 3 月に Malaguit での露天掘りを一時中止した 鉱山が確実に 8~10 年にわたり利益をもたらすよう 鉱石の可採埋蔵量を少なくとも 350 万まで増やすため ドリルによる掘削を今後も続ける計画である Sibutad 金プロジェクト本鉱山は Zamboanga del Norte の Sibutad に位置し 1997 年に 2,000 TPD で操業を開始した 1999 年に操業を一時停止するまで 同鉱山ではその三年間に約 623 kg の金と 954 kg の銀を生産した フィリピン 39

42 Sangilo 鉱山 (Itogon Suyoc) Aroroy 鉱山 Itogon-Suyoc Cagdianao ニッケル鉱山 Surigao del Norte の Dinagat 島 Cagdianao にあり 2000 年半ばに操業を始めたばかりである ニッケル ラテライト鉱床は 現在 Hinatuan により運営され 産出する鉱石については QNI の Yabulu プラントとの販売契約が交わされている Masinloc Chromite Operations 2000 年 3 月に操業を再開し 約 25,425 トンの耐火性クロム鉄鉱の精鉱を産出している Loreto 鉱山 (Krominco Mining 社 ) この冶金用クロム鉄鉱砂と塊状鉱石鉱床は Surigao del Norte の Dinagat 島 Loreto に位置する 1998 年に精鉱 9,873 トンと塊状鉱石 9,941 トンを生産し 1999 年に精鉱 10,207 トンと塊状鉱石 3,142 トンを生産した 操業は Dinagat 島 Loreto にある地域に集中しており 一部を同地域の小規模のクロム鉄鉱採掘業者から購入して不足を補っている 同社は その操業が拡大できる可能性がある ECC の発給を待っているところである フィリピン 40

43 第 10-1 表その他のプロジェクト一覧 プロジェクト名場所会社鉱類 Amacan Copper Maco,Compostela Valley North Davao Mining Corp./PMO/NRMDC Batong Buhay Gold Pasil, Kalinga Batong Buhay Gold Mines Inc Cu Cu Canatuan Gold Zamboanga del Norte TVI Resources Au Celestial Palawan Mighty Beaut Ni Direct State Development Monkayo, Compostela Valley Natural Resources Mining Au Itogon Gold Benguet Itogon-Suyoc Mines, Inc. Au Masbate Gold Aroroy, Masbate Filminera Resources Corp. Au Mindoro Nickel Mindoro Oriental Aglubang Mining Ni Nonoc Nickel Nonoc Island Nonoc Processing Corp. / Philnico Palawan HPP Bataraza, Palawan Rio Tuba Nickel Mining Corp.and Sumitomo Mining Pujada Nickel Davao Oriental Asiaticus Ni Ni Ni San Antonio Copper Sta. Cruz, Marinduque Marcopper Mining Corporation Cu Siana Gold JCG Resources Corporation Au Teresa Gold Mankayan, Benguet Lepanto Consolidated Au フィリピン 41

44 11. 製錬所概要 11.1 Leyte(Pasar) 国名 / 地域 :Philippines/Leyte 名前 :Leyte (Pasar) Copper Smelter/Refinery PASAR; Philippine Associated Smelting and Refining 位置 :Leyte Industrial, Development Estate, Isabel, Leyte 会社名 ( 権益比率 ): Glencore 丸紅伊藤忠住友金属鉱山 IFC State of Philippines Raw Materials Data, August 2004 ( 注 ;Glencore が全権益を取得したとの情報もある ) 主要生産金属 :Cu 生産量 ( 直近 5 ヵ年 ) 生産開始年 年 生産量 ( 金属量千トン ) 溶錬 精錬 e Raw Materials Data, August 2004, Raw Materials Group 溶錬 : 自溶炉 精錬 :ELR 備考 : 製錬所の近代化のため 2,000 万 US ドルを投資する計画である フィリピン 42

45 Lepanto/Victop Victoria Ⅱ /Far i Dinkidi SantoTomas (P d l) Taganito Rapu Rapu Isabel Sipaay Carmen Suriga Nonoc Boyongan Adlay Rio Tuba Hinatu Tampakan 第 11-1 図鉱山 製錬所位置図 鉱山 Philippines-CuAu-Lepanto(Mankayan) Baguio 地区 Lepanto Philippines-CuAu-Santo Tomas(Padcal) Luzon 島 Baguio 地域 Padcal Philippines-CuAu-Victoria Baguio 地区 Lepanto Philippines-NiCo-Rio Tuba 北緯 8 度 35 分 東経 117 度 24 分 Philippines-Ni-Hinatuan Mindanao 島北東端 Philippines-Ni-Nonoc 北緯 (10 度 12 分 ) 東経 125 度 38 分 Dinagat 島の南端近くの Nonoc 島 ( 北緯 9 度 50 分 ) Philippines-Ni-Surigao( 北緯 9 度 51 分 東経 125 度 37 分?) Mindanao 島北東部 Philippines-Ni-Taganito Marinduque 島北部 フィリピン 43

46 探鉱 開発 Philippines-Au-Victoria II Luzon 島北部 LepantoFSE の南約 1Km VictoriaⅠ 鉱体の南西 Philippines-CuAu-Boyongan( 北緯 9 度 42 分 00 秒 東経 125 度 34 分 00 秒 ) Philippines-CuAu-Carmen (Toledo) Cebu 島 Toledo 市 Philippines-CuAu-Dinkidi 北緯 16 度 20 分 00 秒 東経 121 度 27 分 00 秒 Philippines-CuAu-Far Southeast Luzon 島 Baguio 地区 Lepanto Philippines-CuAu-Tampakan 北緯 6 度 31 分 30 秒 東経 125 度 4 分 00 秒 Philippines-CuZn-Rapu Rapu 北緯 13 度 10 分 45 秒 東経 124 度 11 分 50 秒 Philippines-Ni-Adlay 北緯 9 度 26 分 30 秒 東経 125 度 54 分 30 秒精錬所 Philippines-Cu-Leyte(Pasar) 休廃止鉱山 Philippines-Cu-Sipalay 12. わが国のこれまでの鉱業関係プロジェクト実施状況わが国のフィリピンに対する技術経済協力プロジェクト ( 鉱業部門 ) は次の通りである 経済協力プロジェクト ( 一般無償協力 ) 岩石学 鉱物学地質年代学研究所(1981 年 7 月 16 日締結 1,030 百万円 ) 海洋資源探査計画(1982 年 7 月 23 日締結 2,140 百万円 ) 技術協力プロジェクト ( 海外開発計画調査 ) バギオ地区鉱滓公害防止計画調査 (1977 年度 ~78 年 ) 一貫製鉄所建設計画調査 (1978 年度 ~79 年 ) ( センター協力 ) 窯業研究開発センター (1976 年度 ~82 年 ) ( 研究協力 ) 未利用低品位銅資源の有効利用 (1973 年度 ~77 年 ) 資源開発協力基礎調査 ( 資源開発調査 ) ミンダナオ東部地域 (1971 年度 ~73 年度 ) ルソン北部地域 (1974 年度 ~76 年度 ) ルソン北西部地域 (1978 年度 ~80 年度 ) ミンドロ地域 (1981 年度 ~83 年度 ) パラワン パナイ地域 (1990 年度 ~92 年度 ) カタンドゥアネス地域 (1993 年度 ~95 年度 ) フィリピン 44

47 ビコール北部地域 (1999 年度 ~2001 年度 ) ( 鉱物資源広域調査 ) ビサヤス地域 (1984 年度 ~89 年度 ) ビコール地域 (1997 年度 ~98 年度 ) 海外地質構造調査 フィリピン西部 (1973 年度 ~75 年度 ) ルソン地域 (1978 年度 ~79 年度 ) フィリピン中部 (1980 年度 ~81 年度 ) フィリピン 45

48 第 2 部地質解析 1. 地質 地質構造フィリピン群島は西太平洋にあり ユーラシヤプレート 太平洋プレートおよびインドーオーストラリアプレートの三大プレート接合部のすぐ北に位置している その北は Bashi 海峡 西は西 Luzon-Manila Palawan 海溝 南は Sulu-Sabah リッジ複合帯および Cotabato 海溝 さらに東は Philippine- 東 Luzon 海溝によって境とされている (Bureau of Mines and Geosciences, 1982) 地形的には フィリッピンは周辺の海溝にはほぼ平行な山脈と堆積盆あるいは地溝が交互に並んでいると見ることができる 山脈は衝上または上昇したオフィオライトおよび火山岩 - 深成岩複合体であり 間の低地は上昇あるいは褶曲に引続いて陸上に露出した堆積盆および地溝である 群島は太平洋に面した主島弧と東に凸の南島弧からなる (Steve Garwin (2002): MMAJ Forum) 第 1-1 図フィリピン群島の鉱床生成区フィリピン群島は構造上 変動帯と安定地域とに分けることができる 変動帯は列島全長にわたって長く走る地震及火山帯により特徴づけられる 巾広い活動的な変形帯である フィリピン 46

49 テクトニック活動は周辺の海溝に沿って沈み込むプレートにより規定される 東側ではフィリピン海洋底がフィリピン海溝から西に傾斜する沈み込みを行い 西側では 支那海の海底が東に向かって Manila 海溝に沿って沈み込んでいる 活動的な東傾斜の沈み込みは Negros および Cotabato 海溝に沿っても行なわれている Palawan および Sulu 海を包む群島南西部は 変動帯と異なり 一般に安定で地震の少ない帯である Sulu および Palawan 海溝 - 島弧系は 北 Palawan において恐らく早朝ジュラ紀に発達した大陸プラットフォームを残留しており 一般に非活動的な沈み込み系のように見える フィリピン群島は地質的に Palawan 西部 中央 および東部の4 地域に区分される ( 第 7-1 図 ) Palawan 地域は更に Palawan, Cuyo 陸棚 北西 Sulu 海盆および Cagayan de Sulu 海嶺に分けられる Palawan の北部には上部古生代から下部中生代の堆積物が分布し 早朝ジュラ紀の広域変成 変形作用を受けている これらの地層は中性の深成岩に貫かれ 上部始新世 ~ 現世の非変形堆積物に被われている 中央 ~ 南部 palawan は片岩類 チャート 大理石および珪岩を伴う超苦鉄質岩を基盤とし 白亜紀 ~ 始新世の塩基性溶岩と砕屑岩が被う 更に これらを被って櫂曲した始新世 ~ 中新世の堆積岩が分布する 北西 Sulu 海盆は厚い堆積岩を有する海底沈降部である これは NE-SW 方向に伸びる火山岩基盤をもつ Cagayan de Sulu 海嶺により南東 Sulu 海盆と隔てられている 西部地域は間に海溝を挟む長く延び山脈を形成し Philippine 変動帯の西側部分を占め 北は Ilcos から Zambales および Antiqu をとおり Zamboanga-Sulu 区域にわたっている Ilcos 地域の最古の岩石は先第三紀の結晶片岩および珪岩で これらは断層により白亜紀 - 古第三紀の蛇紋石化かんらん岩と接し 所により始新世および中新世の堆積岩に被われている Zambales 地域は 主にかんらん岩 ダンかんらん岩および斑れい岩からなる超苦鉄質岩によって大部分を占められ 東部および北西部で輝緑岩岩脈複合岩体 枕状玄武岩 ; 上部始新世 ~ 下部漸新世の遠洋堆積物がこれを被って発達する これらは緑海プレートを示すオフィオライト層序を形成している 石英閃緑岩がこの地域の東部および北西部に貫入している 中新世の砕屑性堆積岩が東側において貫入岩とオフィオライトを不整合に被っている 南部および東部では 若い非変形の中新世 ~ 第四紀の安山岩質火山岩類が分布している 西部 Mindolo では石灰紀から更新世にわたる種々の岩石が露出している 山岳地帯は主として変成岩と貫入岩が分布し 第三紀の堆積岩は海岸地帯に限られている Antique 区域は中新世の構造運動の結果生成されたと考えられるメランジュからなっている Buruanga 半島は二畳紀から上部三畳紀の変成岩からなる Zamboanga-Sulu 山脈は Mindanao と Sabah を結びつける NE 方向に延びる島弧である Zamboanga 半島は Mindolo の基盤岩に類似する変成した地向斜岩石が露出している この基盤岩に衝上したオフィオライトが認められる これらを被って中新世堆積物及び火山岩類が発達し さらに中性岩によって貫かれている 北東部は 第四紀火山岩により被れている フィリピン 47

50 中央部地域は さらに Babuyan, Cageyan-Carabello 中央 Luzon, Bondoc-Sarangani 中央 Visaya および Cotabato に区分される Cagayan-Carabello 区域西部の中央 Luzon 山系は白亜紀 ~ 下部第三紀の変火山岩と変堆積岩類からなり これらは石英閃緑岩と花崗閃緑岩の底盤に貫かれ さらに早期中部中新世の石灰岩と砕屑岩類に被われている 後期中部中新世に貫入したと思われる石英閃緑斑岩の岩株も認められる この区域の東部に位置する Cagayan 堆積盆地は漸新世 ~ 更新世の浅海性砕屑物および炭酸塩岩で充たされている 中央 Luzon 区域の中央 Luzon 堆積盆は中新世から鮮新世の堆積物により占められ 沈降と隆起を繰返した 中新世およびそれ以降の中性 ~ 硅長質岩体がこれらの地層を貫いている Minila 南方の地域は第四紀火山岩類が卓越している 南部 Botonga の古期岩類は弱変成の漸新世火山岩類 砕屑性堆積岩および石灰岩からなり 中部中新世の閃緑岩およびトロニエム岩質の底盤より貫かれている Bondoc-Sarangani 区域に入って Bondoc 半島は SE 方向にプランジする複背斜構造を有する中新世 ~ 更新世の堆積層からなる Marinduque 島では白亜紀のグレイワッケと変成岩を基盤とし 不整合に始新世の溶岩 ワッケおよび石灰岩がこれを被っており これらの地層は石英閃緑岩および安山岩斑岩により貫かれている Masbate 島の最古の岩石は先白亜紀の片岩で この岩石は粘板岩 グレイワッケおよび変火山岩類により被れ さらに石英閃緑岩により貫かれる これらの岩石は第三紀の砕屑岩および石灰岩により被れている Leyte 島の基盤は蛇紋石化したかんらん岩と斑れい岩により貫かれた強く変成した堆積岩と火山岩類で これらを下部 ~ 中部中新世の堆積岩が被い さらに山腹に沿って非変形の上部中新世 ~ 更新世の浅海成および陸成の堆積物によりこれらの岩石が被れている Mindanao 島の中央山系は恐らく白亜紀 - 古第三紀のオフィオライト メランジュとして説明される複雑な基盤を有し これは安山岩質火山岩 火山砕屑岩互層を伴う上部中新世堆積岩に被れる 中部中新世閃緑岩の底盤 岩株が山系の軸に沿って分布している Agusan-Davao 低地は半グラーベン構造であり 広域的に主断層の方向 東へ傾斜する 東 Mindanao はこの断層に沿って上昇している この低地の周縁に沿って古期第三紀の岩石が露出し 中心部には新期の恐らく鮮新世および更新世の岩石が分布する Mindanao 島 Cotabato 盆地は NW 方向に延びる構造的沈降帯で上部漸新世 ~ 更新世の堆積岩が充填する Visaya 区域の Iloilo 盆地は Panay 島の2つの山脈に挟まれ 低い重力値を示し 北と南はそれぞれ Sibuyan 海と Guimaras 海峡に向かって開いている ここでは火成岩と変成岩の複合岩体を被って漸新世 ~ 更新世の堆積岩が分布する 東 Panay 山脈は基本的には白亜紀から下部第三紀と考えられる変火山岩類と変堆積岩類を貫く古第三紀閃緑岩 - 花崗閃緑岩底盤帯であって 北は中央 Masbate 南は Guimaras および南西 Negros に追跡可能である Visaya 堆積盆は中央フィリピンの第三紀沈降部で 後期中新世から鮮新世の Cubu 地背斜の隆起帯によりややさえぎられている Visaya 区域の基盤は主として白亜紀 ~ 下部第三紀の変火山岩類および変堆積岩類で これらは閃緑岩の岩株および底盤により貫かれている 東部地域は Sierra Madre, Bocol, Samar 高地および Diwata の区域に細分される 北 フィリピン 48

51 Sierra Madre は基本的にはオフィオライト メランジュおよび島弧貫入岩の複合体で 一部 安山岩質火山岩類と非変形の中部中新世石灰岩により被れている 南 Sierra Madre の基盤は上部白亜系および下部第三系からなり これらは漸新世の閃緑岩質底盤により貫かれる 上部漸新世ないし中部中新世の石灰岩 砕屑岩および火山岩類がこれを被い さらに中部中新世の閃緑岩に貫かれ 非変形の中新世 ~ 更新世の火山岩類と礫岩により被れている 西部 Bocol 区域は緑色片岩 超苦鉄質岩 および変成火山岩類 白亜紀 ~ 下部第三紀の砕屑岩類および石灰岩の衝上スライスからなり この上を漸新世 ~ 中新世の堆積岩および火山岩が被い さらに中部中新世の閃緑岩に貫かれている Bocol 盆地には褶曲した下部中新世および鮮新世の地層が分布している Samar の基盤は上部白亜紀の変火山岩類および変堆積岩を主とし チャートおよび超苦鉄質岩の衝上岩塊をともなう これらは古第三紀の閃緑岩により貫かれ さらに中新世 ~ 鮮新世の砕屑岩類 石灰岩および火山岩類により被れる Diwata 区域は衝上とした苦鉄質 - 超苦鉄質岩 変成岩および堆積岩類からなり 古第三紀の沈み込み帯であったと思われる その北部は中新世の砕屑岩類および石灰岩によって被れ 中部中新世の閃緑岩 安山岩および石英安山岩により貫かれている フィリピンの主要な褶曲構造を第 1-1 図に示す これらは褶曲軸の方向によって (1) NW-SE 系褶曲 (2)NE-SW 系褶曲 および (3)N-S 系褶曲の三つに分けることができる NW-SW 系褶曲はフィリピン群島の中央北部に見出される 北部 Palawan の上部古生層および変成岩の北にプランジする向斜および背斜構造 Mindolo 島の暁新世 ~ 下部更新世堆積岩 Marinduque 島 Bondoc および Bicol 半島 Somar 島北部の第三系などの褶曲がこれに含まれる フィリピン群島南部 Mindanao 島 Cotabato 盆地の漸新世 ~ 更新世の褶曲もこの方向に走る NE-SW 系の褶曲は群島南西部に分布している 中部 ~ 南部 Palawan の NE 系褶曲帯と北部 Palawan の NW 系褶曲の境界は先上部ジュラ紀方向の屈曲によって形成されている Hashimoto and Sato(1968) によれば NE 方向の褶曲は NW 系のものより古く 北部 Palawan が現在の NW 方向の褶曲軸は反時計方向に 90 回転して形成された NE -SW 系褶曲は Palawan 南半の古第三紀 ~ 下部鮮新世の地層 Panay, Negros, Cebu, Bohol 島および西部 Mindanao 島とくに Sibuquey および Zamboanga 半島の漸新世 ~ 下部更新世の地層に認められてる N-S 系の褶曲は北緯 40 以北の北部 Luzon 東部 Visayan および Mindanao 島に見出される Luzon 島における N-S 系褶曲は La Union および Ilocos 区域 Cagayan Valley および北 Sierra Madre 区域に見出される La Union-Ilcos 区域の褶曲は中央 Luzon 山系の西翼に発達する平行な向斜 - 背斜系からなる Cagayan Valley の N-S 系褶曲はその北部および北西部に良く発達し 北端部では褶曲軸が北東方向に変化する 北 Sierra Madre フィリピン 49

52 の北部に発達する N-S 系褶曲は 一部に N-W 系褶曲を伴うが南部で N-S 系のみからなる 東部 Visayan 区域の N-S 系褶曲は中部中新世 ~ 下部更新世の堆積岩 火山砕屑岩類の地層に発達し Samar 島南半 Tablas 島 Cebu 島北端および Leyte 島東部に見出される Mindanao 島 Diwata Range の褶曲構造も N-S 系と考えられる フィリピンの主要断裂系を第 1-2 図に示す これらの断裂系のうちフィリピン断層は最も大規模な走向移動断層であり 北は Lingayen 湾から Luzon 中央山系の南縁 Polillp 海峡 Masbate, Leyte を経て南は Davao 湾に至るまで約 1200km にわたって追跡することができる フィリピン断層は左横ずれの走向スリップ活断層とされてきたが Barcelona(1981) の研究によると垂直成分より水平移動成分の大きい斜め移動断層であって 現在の断層の運動は左横ずれで北部 Leyte において最大 8km 新第三紀の岩石が移動しているのが認められている 断層の活動は古第三紀より続いており その活動は過去においてより盛んであったとされ Leyte の断層帯がマグマの貫入と地熱水の通路となっていると報告されている (Barcelona, 1981) (Bureau of Mines and Geosciences, 1982) 種々のスケールの正断層が列島中に散在している 多くの正断層は構造盆地や隆起山塊の周縁部に分布する 重力断層の例として Luzon 島では Ilcos Norte の Loag 平地周辺部の断層 Cagayan Valley 区域の断層 Marikina 断層および Bicol 区域 Comarines Sur 中央部の NW 系断層などがある その他の地域には Mindolo 島北東部を横切る Mindolo 断層 Cotabato 区域 Daguma 地帯の東端に沿う Cotabato 断層などの例がある 列島には多くの衝上断層が認められるが その多くは規模が小さい そのうち主なものはフィリピン弧と Sulu 弧に平行であり Mindolo 島西端および Panay 島に発達する東傾斜の衝上断層 Bicol 区域の Camarines Norte, Camarines Sur および Catanduanes 島に分布する断層 Samar 島南西部の断層 Mindanao 島の種々の方向に発達する衝上断層などの例がある 多くの衝上断層は隣接する海溝と平行で傾斜も同方向であるが Samar 島と Mindanao 島東部の衝上断層はフィリピン海溝と反対方向に傾斜し Zamboana 半島の衝上断層の傾斜も Sulu 海海溝の傾斜と反対である 閃緑岩 - 花崗岩の貫入は先第三紀 古第三紀および新第三紀の三つの時期に分けることができる 先第三紀閃緑岩 - 花崗岩は北部 Palawan 北部 Mindolo, Lubang 島 Sibuyan 島および Buruanga 半島などに産する 古第三紀閃緑岩 - 花崗岩の分布を第 1-3 図に示す その貫入年代は暁新世から漸新世にわたっている 新第三紀閃緑岩 - 花崗岩の貫入も 古第三紀のものと同様に主にフィリピン弧に限られている ( 第 1-4 図 ) フィリピン 50

53 第 1-2 図フィリピン群島の褶曲系 (Bureau of Minis and Geosciences, 1982)( 平成 3 年度地質解析委員会報告書 ) フィリピン 51

54 第 1-3 図フィリピン群島の断裂系 (Bureau of Minis and Geosciences, 1982)( 平成 3 年度地質解析委員会報告書 ) フィリピン 52

55 第 1-4 図古期閃緑岩 - 花崗岩分布図 (Bureau of Minis and Geosciences, 1982)( 平成 3 年度地質解析委員会報告書 ) フィリピン 53

56 第 1-5 図新第三期閃緑岩 - 花崗岩分布図 (Bureau of Minis and Geosciences, 1982)( 平成 3 年度地質解析委員会報告書 ) フィリピン 54

57 2. 鉱床 2-1. 鉱床生成区フィリピンでは 主として 金 銅およびラテライト質ニッケルの鉱化作用が顕著である 浅熱水性及び斑岩に関係した金鉱床及び銅鉱床が広範囲に分布しており それに付随して金発見の高いポテンシャルを有している Cu-Zn-Au を伴う黄鉄鉱からなる別子型鉱床も見られ 初生 Ni Cr および PGM は 広範な Ni ラテライトを伴ってオフィオライト中に認められる 主要な鉱床の分布図を第 7-3 図に示した 金鉱床はフィリピン諸島内の随所に分布しているが 大規模な金鉱床の大半はフィリピン諸島を縦断するフィリピン断層沿いに見られる 金鉱床が断層とほぼ平行に配列していることから Wisser (1952) はこの主要な断層と成因的に関係していると考えたが この関係は含金熱水溶液のための導管として および含金石英脈形成の場として役立つ構造の形成に限られている 稼行鉱山数 鉱床規模 および鉱山 探鉱地の分類に基づいて 5つの金鉱床区 すなわち 1) ルソン中央山岳地帯の西麓に沿う Baguio 金地区 2) Camarines Norte の太平洋岸に沿う Paracale 金地区 3) Masbate 北西部の Masbate 金地区 4) ミンダナオ北東部において おそらく北方はレイテ南部 南方は Agusan del Norte まで延長する Surigao 金地区 および 5) ミンダナオ南東部の Masara 金地区に分類される ( 第 2-1 図 ) フィリピンの銅鉱床はスカルン型鉱床 斑岩銅鉱床 鉱脈型銅鉱床 塊状硫化物鉱床に分類される スカルン型銅鉱床はフィリピンに広く分布するが いずれも小規模で採掘するに至っていない 鉱床は中部中新世閃緑岩 ~ 閃長岩質斑岩の貫入に伴って暁新世 ~ 始新世 Universal 層中の石灰岩を交代して形成されたスカルン中に胚胎する 斑岩銅鉱床は閃緑岩 - 花崗閃緑岩ストックおよびプルトンと共生しており 貫入時期により白亜紀 始新世 ~ 漸新世および中新世 ~ 鮮新世の三つに分けられる これらの貫入岩類から得られたデータによると 3つの主要なエピソード ( 例えば セブ島の Lutopan 石英閃緑岩のような白亜紀後期 ネグロスおよびボホールあるいは北シエラマドレ山脈における閃緑岩類ストックのような始新世 - 漸新世 およびバギオ バタンガス マリンデュケ ララップ半島およびダバオ地域におけるような中新世 - 鮮新世 ) を示す傾向がある これらの閃緑岩 - 花崗閃緑岩類とこれらの中に見られる主要な鉱床の幾つかの分布を第 2-2 図に示す 鉱脈型銅鉱床は鉱物組合せからさらに次の三つに分けることができる (1) 硫砒銅鉱 ( ルソン鉱 )- 四面銅鉱 - 黄銅鉱 - 斑銅鉱 - 石英 - 重晶石脈 (2) 黄銅鉱 - 黄鉄鉱 -( 閃亜鉛鉱 - 方鉛鉱 )- 石英脈 (3) 黄銅鉱 - 磁硫鉄鉱 - 黄鉄鉱 - 石英脈 (1) は後期中新世ないし鮮新世の安山岩 ~ 石英安山岩形成に伴って生成されたもので 酸化硫黄型鉱床である 銅とともに高品位の金を含むのが特徴である (2) は若い閃緑岩 ~ 花崗閃緑岩付近の変成した火山岩類および堆積岩類中に産するもので 一般に小規模であるが 比較的品位が高い フィリピン 55

58 (3) は主として斑れい岩および蛇紋岩化したかんらん岩中に発達し Zambales 地域に産する 塊状硫化物鉱床は 黒鉱型鉱床 キプロス型鉱床および別子型鉱床に分類される フィリピンの黒鉱型鉱床は白亜紀 ~ 古第三紀の基盤の上に発達する古第三紀あるいは新第三紀の安山岩ないし石英安山岩溶岩および火山砕屑砕屑岩およびこれらの間に挟在する堆積岩類に伴って産する 別子型鉱床は先白亜紀の塩基性 泥質および珪質片岩中に産する フィリピンのニッケル鉱床は正マグマ性硫化物鉱床 浅熱水性鉱床および残留ラテライト鉱床に分類される 正マグマ性硫化物鉱床はオフィオライト複合体のダンかんらん岩および輝岩層周縁に主として産し ときに斑れい岩に伴うことがある ( 第 2-3 図 ) この鉱床はニッケルおよび銅を含む不混和溶融体から形成されたと考えられている 浅熱水性鉱床は蛇紋石化かんらん岩に加わった熱水作用によって形成されたもので 母岩中の割目や剪断帯に鉱化作用が認められるものであるが 経済的には重要でないと思われる 残留ラテライト鉱床は二つの型に分類される 一つは褐鉄鉱型 他はサプロライト型である 褐鉄鉱型は高い Fe 含有量 (40~50%) と比較的低い Ni(0.5~1.0%) Co(0.05~0.2%) Mn(<0.8%) および SiO2(<10%) の含有量で特徴づけられ サプロライト型は比較的高い Ni, Co および Mu 含有率と低い Fe 含有率を有する フィリピン 56

59 第 2-1 図フィリピン群島における金鉱床区分布図 (Bureau of Minis and Geosciences, 1982)( 平成 3 年度地質解析委員会報告書 ) フィリピン 57

60 第 2-2 図新第三紀閃緑岩 - 花崗閃緑岩と斑岩銅鉱床 (Bureau of Minis and Geosciences, 1982)( 平成 3 年度地質解析委員会報告書 ) フィリピン 58

61 第 2-3 図オフィオライトとニッケル鉱床 (Bureau of Minis and Geosciences, 1982)( 平成 3 年度地質解析委員会報告書 ) フィリピン 59

62 2-2. タイプ別 時代別分布の特徴一次的金鉱床はフィリピン列島に広く分布するが 重要なものは列島全長にわたって延長するフィリピン断層に沿って存在する 恐らくこの断層は金を含んだ熱水溶液の通路としての役割をなしたと考えられる また Mitchell and Balce(1990) は還元型浅熱水性金鉱床の大部分は鮮新世の形成であるとし それらの分布が鮮新世 - 第四紀安山岩アークと密接な関係があることを示した (1) 熱水性金鉱床 Benguet(Antamok, Acupan) 鉱床 Luzon 島 Bagio 地区にあり 北部の Anamok 鉱床と南部の Acupan 鉱床からなる この地域の基盤は上部 (?) 白亜紀の Itogan オフィオライトで これより上位へ 上部 (?) 始新世 Halfway Creek 層 早期中部中新世 Zigzag 層 後期中部中新世 Tuba River 層および早期上部中新世の Klondyke 層が分布する Itogan オフィオライトは斑れい岩 角閃岩および Pugo シーテッド岩脈からなり Zigzag 層により不整合に被れる Zigzag 層の下部は礫岩 赤色 - 緑色層および泥質石灰岩 中部に Kennon 石灰岩層をはさみ 上部は玄武岩および石英安山岩からなる Tuba River 層はワツケ 岩屑流 泥岩などからなり Klondyke 層は礫岩 ワツケ 安山岩質火山角礫岩 凝灰岩からなる また中部中新世から上部中新世にかけて 閃緑岩 花崗閃緑岩 安山岩斑岩 石英安山岩斑岩などが貫入している Acupan 鉱床付近には Balatoc 火山岩類と呼ばれる完新世生成とされるダイアトリームを産する これはおおよそ m の楕円形断面を有し 深さは地表下 1km 以上に達する 火山岩類は閃緑岩 花崗閃緑岩 石英斑岩 安山岩斑岩 砂質頁岩などの大小の角礫からなっている Antamok 鉱床付近には走向 NW 南に急傾斜する三本の主要断層 - 鉱脈が発達し これを Keystone, 440 および Amigo-Camote と称する これらの断層 - 鉱脈系は E-W および WNW 方向の支脈を派生している 鉱化作用は主として Zigzag 層に発達する角礫充塡石英脈に限られる 断層 - 鉱脈は通常東部に存在する閃緑岩まで延長するが 閃緑岩中で尖減する 主要鉱脈である 440 脈および Keystone 脈はそれぞれ走向延長約 3km 傾斜延長 600m 脈中 1~6m で下方に向かって収縮する傾向がある この2つの脈の間にはこれから派生した WNW 方向の支脈が多数存在する 北方にはやや小規模の NW 系 Amigo-Camote 脈があり これは NE 系の断層 - 鉱脈系に切られている 鉱脈は 塊状ないし角礫状 白色 ~ 灰色 晶洞結晶状 ~ 潜晶質 / 蛋白石質石英を含んでいる 北部の鉱脈系は主として石英からなるが南部に向って方解石 硬石硬の量を増すと報告されている 鉱脈には少量の閃亜鉛鉱 黄銅鉱 黄鉄鉱および方鉛鉱をともない 金は主として石英中に自然金として産する (Fernandezet al., 1979) Au/Ag 比はほぼ1:1である Acupan 鉱床は主として閃緑岩 / 花崗閃緑岩および安山岩中に発達する EW および NE 系の断層および裂か系を充塡した6つの鉱脈群からなる すなわち北から南へ Star, 99, フィリピン 60

63 231, 364, 400 および 500 である これらの断層脈は走向延長 500m~2km に達するが 鉱化範囲はこれより短く Star 脈で 150m 最の 231 脈で約 900m である 傾斜延長は 300~500m 脈巾 1.5m で 密に鉱脈が集合した部分の巾が 20m 以上に達する 鉱脈は主として石英と方解石からなり ときに硬石膏および石膏 永長石 K- 雲母 菱マンガン鉱 ばら輝石 マンガン方解石および重晶石を含む 鉱脈中に認められる硫化鉱物および金属鉱物としては 黄鉄鉱 白鉄鉱 硫砒鉄鉱 閃亜鉛鉱 方鉛鉱 黄銅鉱 四面安銅鉱 濃紅銀鉱 淡紅銀鉱 ファマチナイト 斑銅鉱 輝安鉱 長砂 赤鉄鉱 ぺッツァイト ヘッサイト アルタアイト シルバナイト カラベライトおよびコロラドアイトなどがある (Callow and Worley, 1965; Cooke and Bloom, 1990) 金は自然金として石英 方解石 卑金属硫化物およびテルル化物をともなって産する Acupan 鉱床には Balatoc 火山岩類の周縁角礫帯を鉱化した Bonanza 型鉱床があり G W 鉱床と呼ばれている この鉱床は角礫帯と主金 - 石英脈 綱状石英 - 金脈あるいは南北系の供給系と交叉する場所で発達し 最高の富鉱帯は主金 - 石英脈である 99 脈との交叉部で ここではしばしば鉱体は 60m 60m の大きさに達する 鉱体はパイプ状で急傾斜をなし ほぼ 99 脈の傾斜に平行である 鉱化作用は微量の方鉛鉱 閃亜鉛鉱 黄銅鉱 自然金 エレクトラム 輝安鉱 表砂およびテルル化物をともなう石英と白鉄鉱の集合体として産する (Worley, 1968) Cook and Bloom(1990) は Acupan 鉱床の流体包有物および鉱物共生の研究から鉱化作用を5ステージに区分し ステージ1 と2は斑岩型鉱化作用 ステージ3~5は浅熱水性鉱化作用によるものであり 二つの型の鉱化作用が重複し 両者の間には約 100 万年の間隔があるとした これは斑岩銅鉱床と浅熱水性金鉱床の関係を考える上で興味あるデータであると考えられる Antamok および Acupan 鉱床は いずれも還元硫黄型浅熱水性鉱床と考えられ この型の鉱床のうちでは比較的深部生成のものと考えられる 両鉱床を形成した割目系は 上昇運動に伴って形成され これとともに活動した安山岩 石英安山岩の後火山作用あるいは地熱作用によって金鉱床が生成されたと考えられ Balatoc 火山岩類が完新世であるとすれば第四紀鉱化作用ということになる (Fernandez et al., 1979; Sawkins et al., 1979) が 鮮新世の鉱化作用とする考えもある (Mitchell and Balce, 1990) 1988 年現在 Benguet 鉱山の埋蔵鉱量は坑内 1,777,436t(Au 6.24g/t) 露出堀 1,394,309t (Au 4.01g/t) で 1988 年の粗鉱生産量は 91,374t(Au 4.22g/t) である このほかヒープ リーチング法により 19,225t(Au 1.11g/t) の処理を行っている ( 細井 1990) Masbate 鉱床本鉱床は Masbate 島にあり フィリピン最大の一次的金鉱床である 鉱床付近の地質は中期 ~ 後期中新世の Panique 火山岩類からなる Panique 火山岩類は凝灰質火山角礫岩 安山岩質火山角礫岩 石質ないし火山礫凝灰岩 泥質岩類および角閃石 - 輝石安山岩斑岩からなる Panique 火岩岩類の母岩の変質としては主として珪化 絹雲母化 粘土化およ フィリピン 61

64 び緑泥石化作用が認められる 鉱脈系を中心として見ると 最も顕著なのは珪化作用である 珪化帯では石英および非晶質シリカが脈 綱状脈 角礫および母岩中での鉱染として産出する 珪化作用は割目から1~3m の範囲の母岩中に及んでいる 粘土化および絹雲化作用は珪化帯の外側まで行なわれている 金の鉱化作用は珪化 粘土化および絹雲母化帯の範囲に限られている さらに外側では緑泥石化作用が認められる 以上のほか方解石化作用および過粘土化作用が観察される 方解石化作用は Dabu-Panique 鉱脈系によく見られる 過粘土化作用はとくに Basalt 鉱脈系および Colorado 鉱脈系上部に小規模な不規則パッチとして認められる (Aquino and fischer, 1989) 含金石英脈は中新世の火山岩類および火山 - 堆積岩類中に胚胎する 一般に脈中は母岩の透水性と密接に関係し これの低い変堆積岩中で縮小する また鉱脈上方に向って広がる傾向が認められる 鉱脈系には二つの方向すなわち5NNW/NW 系と ENE/NE 系である 前者に属するものとしては Colorado, Main Vein, Dabu Panique, Bin Star, Masbate Goldfields, Royal Paracale および VROI の鉱脈系があり 後者には IXL-Balete, Tinago, Capsay および Basalt/Holy Moses などがある Colorado No.5-No.6 鉱脈が最大の走向延長 1300m を示し Main Vein, Capsay 系の Nabob および Water West 鉱脈はそれぞれ 600m の走向延長を有する 脈中は多くの場合数 m であるが Main Vein と Breccia Vein の交差部では 90m に達する 鉱脈は主として石英および方解石からなるが 次の三つのステージの鉱化が識別される 最初のステージは灰色 ~ 帯青灰色石英の生成 次のステージは乳白色の潜晶質 - 玉ずい質石英の沈澱 最後は方解石と石英の晶出で特徴づけられる 金は極めて微細な粒子として産し 共存する金属鉱物としては黄鉄鉱が主なもので その他微量の黄銅鉱 閃亜鉛鉱および水マンガン鉱が見出された 金の品位は石英 - 方解石脈ばかりでなく 周辺の母岩でもかなり高く 鉱染鉱化作用が広く認められる (Aquino and Fischer, 1989) Masbate 鉱床はスペイン時代以前から知られた古い歴史を有するが 戦後は 1980 年に露天採掘により操業を開始した 1988 年には カーボンパルプ法により 128 万 6,000t(Au 1.88g/t) ヒープリーチング法により 48 万 5,000t(Au 0.722g/t) の鉱石を処理し 534 万 4,500t(Au 2.47g/t) の鉱量を保有している ( 梶谷 1990a) Nalesbitan 鉱床本鉱床は Luzon 島 Parcale 地区にあり 1990 年操業を開始した Lepanto 鉱床と同様 酸化硫黄型熱水性鉱床であるが 銅を多く含まないのが特徴である この地域でのもっとも古い岩石は 白亜紀超苦鉄質岩および結晶片岩 角閃岩などの異地性岩石である これらの岩石の上に不整合に下から順に Bosign 層 Tibinan 層 Universal 層 Larap 火山岩類および Tamisan 泥岩層と重っている これらは後期白亜紀から中期中新世にかけての島弧火山活動と堆積作用の結果である 早期 ~ 中期中新世には フィリピン 62

65 閃緑岩質の岩株および岩脈が Universal 層と Tamisan 泥岩を貫いている Paracale 花崗閃緑岩は先白亜紀の大陸性地殻であったものが 中新世に古島弧に衝突合体したものと考えられる 後期中新世の侵食の後に 鮮新世に至って Macogon 層が堆積した 本層は主として安山岩ないし石英安山岩の溶岩流および火山泥流からなる 鮮新世には石英安山岩斑岩が Paracale 花崗閃緑岩および Universal 層に貫入している この火成活動がこの付近の金鉱化作用と関係していると考えられる 第四紀後期に安山岩 石英安山岩溶岩からなる Lobo 火山が形成された Macogan 層は NW 方向にプランジする軸を持った向斜構造を示し この軸方向に平行な鉱化前および後の断層が発達する 鉱化前の構造は金鉱化作用を支配する 一方鉱化後の断層は左横ずれ断層で水平方向に 300m の変位を示す 鉱化作用はいくつかの NW 方向に発達するほぼ垂直なレンズ状の珪化帯中に行なわれている そのうち最大のものは大よそ巾 40m 走向延長 1.3km の規模を有する上部の広がったレンズ状をなしている 変質作用は 珪化作用 粘土化作用および緑泥石化作用の三つのタイプが認められるが金の鉱化作用は一般に珪化作用と密接な関係を示し 他の変質帯は基本的に不毛である 珪化帯は通常空隙に富んだ鉱滓状を呈し 微粒の石英粒子からなり微量のカオリナイト イライト 重晶石 ダイアスポア パイロフェライトおよび明ばん石を伴う 熱水性角礫がもっとも強く珪化作用を蒙っている (Angeles et al., 1987; Sillitoc et al., 1990) 鉱石鉱物としては 黄鉄鉱が最も多く その大部分は角礫の間隙を充填したり 鉱染状あるいは石英細脈に伴って座する 黄鉄鉱のほかには微量の銅鉱物 自然金および金 - 銀テルル化物を産する 一次銅鉱物としては輝銅鉱 斑銅鉱 銅藍 黄銅鉱 硫砒銅鉱およびダイジェナイトなどが報告されている (Angeles et al., 1987) 本鉱山の操業開始時の埋蔵鉱量は 500 万 t(au 0.5g/t カットオフ 平均 Au 1.6g/t) とされている (Angeles et al., 1987) Siana 鉱床 Mindanao 島 Diwarte Renge 北部の Surigao 金鉱床区に位置する 本鉱床は フィリピンにおける Carlin 型金鉱床の例として知られている 本鉱床地域の基盤岩は変成した礫岩 砂岩 粘板岩 蛇紋石化かんらん岩 変閃緑岩および結晶質石灰岩からなる これらの岩石を被って 古第三紀の玄武岩溶岩流および集塊岩およびこれに挟在する頁岩および石灰岩などからなる Bacuag 層 Mabuhay 層および Timamana 石灰岩層が分布する 以上の岩石を貫いて西部では Lpili 黒雲母安山岩 東部では Mabuhay 安山岩斑岩 また南部ではより新しい Maniayao 玄武岩質安山岩が発達する さらにこれらの岩石を被って溶岩流 角礫岩 砕屑性堆積岩と石灰岩が分布する Surigao 谷断層と西側の Mainit 断層がほぼ平行に NNW の走向で地域を縦断している 同時生成の高角度の NE および NW 系の剪断断層と EW 系の張力割目が発達し これら フィリピン 63

66 は石英脈の生成と金の鉱化作用の場を提供している 鉱床は Timamana 石灰岩層 (Siana 層 ) 中に胚胎する鉱染 - 交代鉱床 脈状交代鉱床および石英 - 硫化物綱状脈の複合型鉱床である 地表および地表近くの鉱床は 強く角礫化した炭質石灰岩 マンガン- 石灰質頁岩およびアルコーズ質砂岩中に産する 硫化物は細粒のフランボイダルないし自形黄鉄鉱を除けば少量のみ産するに過ぎない 金は極めて微粒であり 母岩全体に分布する 断層帯および割目はときに珪化作用を受けているのが認められる 金は主として閃亜鉛鉱の方鉛鉱 黄銅鉱および黄鉄鉱を伴い これら鉱物の粒間を充めて産するが 石英中に包有されることもある 地表下数 m 下ると 石灰岩は珪化をより強く受け 鉱化作用は断層や割目に沿った脈状交代型のものが優勢となる 更に下部では石英 - 酸化物脈 綱状脈および細脈は安山岩斑岩中にも延びるようになる (Bureau of Mines and Geosciences, 1986) 本鉱山は 1955 年から 1967 年までに 4,800kg の金と 8,000kg の銀を生産したのち 一旦閉山し 1981 年に再開した 1988 年には 36 万 1000t(Au 3.97g/t) の鉱石を処理 1,041kg の金を生産し 351 万 4000t(Au 3.87g/t) の埋蔵鉱量を保有している (2) 主要銅鉱床 Cebu(Atlas) 鉱床 Cebu 島 Toledo 市にあり フィリピン最大かつ最古の斑岩銅鉄床である 地域の地質は古期から新期に向って 白亜紀 Pandan 層 閃緑斑岩 石英安山岩斑岩および第三紀 Naga 層からなる Pandan 層の岩石は暗色の広域変成を受けたスピライト質の塩基性溶岩で枕状構造および流理構造を示す 塩基性溶岩には石質凝灰岩とワツケを挟んでいる Pandan 層に貫入する Lutopan 斑岩は K-Ar および Rb-Sr 法により早期白亜紀末期のものとされた Biga 地区の Lutopan 斑岩には雲母に乏しい角閃石に富んだ岩相と 角閃石と黒雲母に乏む岩相とが認められる Lutopan 地区の閃緑斑岩はマッシュルーム状をなし 地表では径 200m の広さを有する 石英安山岩斑岩は Lutopan ピットでのみ観察され 閃緑斑岩の傘の部分にツルとして貫入している 第三紀 Naga 層は上記の岩石を不整合に被って堆積し 砂岩 炭質頁岩 礫岩レンズおよびときに挟在する石炭層からなる 鉱床は ENE 走向急傾斜の略平行な North Barot 断層と Cantabaco 断層の間に存在している これらの断層によって形成された 3,660m 巾のホルスト中には NE 系および NW 系の断層が発達し これらに沿って鉱化前 後の珪化作用が行われている Biga-Barat においては NNE 方向の Barat 断層と ENE 方向の断層の交叉部に角礫パイプが認められる 鉱化作用に伴う変質作用は緑泥石化 珪化 絹雲母化および黒雲母化である 閃緑岩は明らかに絹雲化され Biga においては顕著な黒雲母化が認められる 鉱体の周縁部に近いところでは緑れん石 モンモリロナイト パイロフィライトおよびカオリナイトが認められ さらに外側では緑泥石 - 緑れん石変質のプロピライト帯が発達する 鉱化作用後と考 フィリピン 64

67 えられる石膏脈が鉱体および母岩中に均質に分布している 鉱床は Lutopan Caemen および Big-Barot の3つの鉱体からなる Lutopan 鉱体はマッシュルームの形をした角閃石閃緑斑岩の柄の部分に座する Cu 0.3% カットオフにおいて 鉱化作用は下盤火山岩中へ約 120m 及び 走向方向に 900m 延長する 変成堆積岩類はより変質され易く高品位の銅鉱が形成される傾向がある 硫化物の鉱染は閃緑岩中に一般的に認められ 苦鉄質鉱物を交代したり 石英の綱状脈に伴って座する Hanging Wall 断層では塊状の石英交代部が観察されその破砕部は硫化物細脈により充塡されている Carmen 鉱体は断面が駒形を示すような形をしており NNE の方向に 1300m 延長し 巾は 400m を示す 鉱体内には各々経 200m の石英閃緑斑岩の二つの貫入岩体が認められる Cu 0.3% カットオフ鉱化帯において Pandan 層が 75% 貫入岩体が 25% を占める Big-Barot 鉱体の鉱化帯は North Barot 断層に規制され NNE 方向に長さ 1,500m 巾 450m の規模を有する 鉱体は角礫パイプのまわりを取り囲んでいるように見える 角礫パイプそれ自身は弱い鉱化を受け 石英 - 硫化物が角礫間隙を充塡している 鉱石鉱物は主に黄鉄鉱および黄銅鉱からなり 少量の斑銅鉱 輝水鉛鉱 磁鉄鉱をともない微量の金 銀鉱物が認められる Lutopan 鉱体の上盤側では硫化物の量は岩石の 10% に達し 下盤側では 1.5% に減少する これにともなって 黄鉄鉱 : 黄銅鉱比も5:1から 0.5:1 へと変化する Barot 鉱体は5% の磁鉄鉱を含み 少量の赤鉄鉱を伴う 磁鉄鉱は各鉄鉱に分布し 変火山岩類および低品位銅鉱帯に鉱染状に産するか 珪化した銅鉱化帯では小脈をなして産する 輝水鉛鉱は普通粗粒の石英脈中に粗粒の黄鉄鉱 黄銅鉄および炭酸塩鉱物に伴う 金および銀は極めて微粒であり 精錬段階で回収される 地表では二次銅鉱物が鉱石の表面にのみ産する Cebu 鉱山は 1955 年に生産を開始し 1992 年までの間に 170 万 4,000t の銅 39,199kg の金 168,917kg の銀 70t のモリブデンおよび 814,504t の鉄鉱石を生産した 1988 年には 2,41417 万 t(cu 0.43%) の粗鉱を処理し 2,272kg の金を生産 8 億 3,528 万 t(cu 0.44%) の埋蔵鉱量を保有している ( 細井 1990: 梶谷 1990a) Sipalay 鉱床 Negros 島 Sipalay にあり フィリピンにおいて Cebu 鉱床に次ぐ大型の斑岩銅鉱床である 地域の基盤は白亜紀の変火山岩類で安山岩から玄武岩質安山岩の塊状溶岩流 自破砕溶岩 集塊岩および凝灰岩からなる これらの岩石を貫いて閃緑岩 (Pagatban 閃緑岩 ) が NE 方向に発達する この岩体は黒雲母石英閃緑岩 角閃石石英閃緑岩および石英斑岩 ( トロニエム岩質 ) などの岩相を示し 貫入年代は始新世ないし漸新世である これらの岩石に加えて Baclao 区域では閃緑岩体の内部に垂直な角礫 - 円礫岩脈が認められる この岩脈は大よそ直径 250m のほぼ円形断面を示し 少なくとも深さ方向に 120m 連続する 円礫は経 1~15cm で安山岩およ フィリピン 65

68 びスピライトからなり 間隙は一般に石英により充塡されるが 鉄または銅の硫化物がマトリックスになることもある 断層には NE 系と NW 系がいずれも珪化作用の中心となっており 鉱床はこれら二つの断層系の交叉部に発達する 鉱山付近で一般的な変質作用は珪化 絹雲母化 カオリン化 緑泥石化および硫酸塩化作用である 珪化作用は閃緑岩内部によく発達し 鉱化帯と密接に伴う 粘土化作用は鉱体周縁部に 主として閃緑岩岩株中に認められる 被貫入岩である変火山岩類は閃緑岩との接触部付近で緑泥石化が著しい また Cansibit ピットでは石膏 - 硬石膏が全体的にレンズ状ないし 断層破砕帯に沿う形で分布する 鉱床は Binulig, Cansibit および Baclao の三つの鉱体からなり いずれも変火山岩類と閃緑岩の接触部またはその付近に産する 前二者では 上部で黄銅鉱が多く 中間部では斑銅鉱および銅藍の混合帯 下部では斑銅鉱が優勢になるという累帯配列が認められる Baclao 鉱体では鉱化した円礫岩脈が存在する以外は Binulig-Cansibit 地域と同様な鉱化作用が認められる 円礫岩脈中には黄銅鉱 斑銅鉱 輝水鉛鉱および黄鉄鉱からなる小脈 小レンズあるいは差や状鉱化部が含まれる 本鉱山は 1957 年に操業を開始し 1982 年までに 448,409t の銅 79,430kg の銀 2,071kg の金および 968t のモリブデンを産出した 1981 年における埋蔵鉱量は6 億 900 万 t(cu 0.5% Mo 0.1%) と報告されている (Bureau of Mines and Geosciences, 1986) Padcal(Sto. Tomas Ⅱ) 鉱床 Luzon 島 Bagio 地区 Padcal に位置する斑岩銅鉱床である 鉱化作用を受けている岩石は 変安山岩 ~ 玄武岩質溶岩と少量の堆積岩および凝灰岩からなる Pugo 層 後期中部中新世に貫入したと考えられる角閃石石英閃緑斑岩 変質閃緑斑岩 安山岩斑岩および角閃安山岩斑岩である 石英閃緑斑岩はパイプ状をなして変安山岩中に貫入している 熱水変質作用としては 珪化 黒雲母化 絹雲母化 プロピライト化 黄鉄鉱化および硫酸塩化が観察される 珪用は一般に石英閃緑斑岩および変安山岩中に発達し 綱状石英脈 石英脈および晶洞石英などの形で出現する 黒雲母化も同様に変火山岩類と斑岩中によく発達する 緑泥石 - 緑れん石帯は鉱体から離れたところに発達する傾向がある 黄鉄鉱ハローは鉱体外縁から 50m 付近に形成されている 鉄床下部では石膏 - 硬石膏脈が石英を密接に伴なって発達する 鉱体は断面の大きさが 400m 500m 急傾斜のパイプ状を呈する 鉱化されている岩石は主に角閃石英閃緑斑岩および変火山岩類である 鉱化作用は構造支配が顕著で 割目のよく発達する上部の方が品位が高い 銅鉱物は石英綱状脈や小脈と密接に伴うか 母岩中に鉱染状に産する 鉱石鉱物は黄銅鉱 斑銅鉱 磁鉄鉱 金および銀鉱物である 金の品位は銅品位の増加とともに高くなる傾向がある 一部の金はかなり粗粒で重力選鉱で回収可能である 本鉱山は 1958 年に生産を開始 1982 年までに 377,300t の銅 54,935kg の金 62,889kg フィリピン 66

69 の銀および 37 万 t の鉄鉱石を産出した 1988 年には 900 万 t(cu 0.30%) の粗鉱を処理し 4,207kg の金を生産 1 億 7,835 万 t(cu 0.21%) の鉱量を保有している ( 細井 1990; 梶谷 1990a) Dizon 鉱床 Dizon 鉱床は開発の歴史も浅く 斑岩銅鉱床としては規模が小さいが 金の品位が極めて高いのが特徴である 本鉱床は Luzon 島 Zambales 地域南部に位置し この地域で最も古い岩石は塊状安山岩および石英安山岩溶岩流とこれに挟在する火山砕屑岩からなる先鮮新世変火山岩類である これらの岩石は巾 100~300m 以下の貫入角礫岩により切られている この角礫岩は変火山岩類の角礫 ~ 亜角礫と珪化ないし粘土化したマトリックスからなっている また変火山岩類中には 境界の明瞭な直立した円礫岩脈が認められる この岩脈は安山岩斑岩または石英安山岩斑岩の円礫ないし亜角礫と粘土質あるいは岩粉質のマトリックスからなり 径 30cm 以上の大礫も含まれる Pua Diatreme と呼ばれる若いダイアトリームまたは角礫パイプがピットの南面に露出している このダイアトリームは恐らく後期鮮新世ないし更新世の形成と考えられる このほか鮮新世 ~ 第四紀の火山生成物としてピットの南側に石英安山岩斑岩または安山岩斑岩が分布する 鉱床の中央部および北部には 走向 WNW 急傾斜の断層がいくつか走り この断層運動に伴って形成されたと見られる割目に沿って 銅の鉱化を伴う石英細脈が生成されている 鉱床の中心部は緑泥石 緑れん石と少量の黒雲母を共存するカリウム変質作用が顕著で この外側には石英 - 粘土 - 絹雲母帯が発達し 黄鉄鉱ハロー帯に漸移する 粘土鉱物としてはイライトが主で モンモリロナイトとカオリナイトがこれに次ぐ 鉱床外側の母岩は多量の緑泥石と少量の黄鉄鉱をともなうプロピライト化が発達する これらの変質作用に重複して ダイアトリームに接するか近くに発達する割目に沿って方解石と石膏 - 硬石膏を多量に産している ダイアトリームの範囲内には噴気作用の影響が見られる 鉱化作用は変火山岩類の石質凝灰岩中でよく発達する Cu 0.2% カットオフの鉱体は直径約 600~650m 深さ 280m の規模を有し ほぼ円形の水平断面を示すが 南側はダイアトリーム形式の影響を受けて不規則な形をしている 鉱化作用には次の三つのタイプが識別される 1) 斑岩銅鉱型 2) 二次富化型および3) 石英脈型 これらのうちもっとも優勢なのは斑岩銅鉱型鉱化作用であり 石英網状脈 割目充塡脈および岩石マトリックス中での鉱染により特徴づけられる 網状脈は鉱体中心部に最も強く出現する 銅硫化物鉱化作用は石英網状脈および細脈の密度にほぼ比例する 一次鉱石鉱物は黄銅鉱 黄鉄鉱 斑銅鉱 および金 銀鉱物である 黄鉄鉱は鉱体中心部あるいは深部に向って減少し 斑銅鉱は増加する傾向がある 金の品位は銅の品位とほぼ正の相関を示すが 下部に向って上昇し 鉱床最下位の銅の貧鉱部で最高となる 金の粒度は極めて微小で 石英と密接に共存するが 磁鉄鉱や硫化物と接することもある 二次富化帯は Pua 山の山腹に沿って 10~30m フィリピン 67

70 の厚さで発達し 同程度の厚さの酸化帯に被れる 二次富化帯の銅品位は平均 0.6% である 石英脈型の鉱化作用は最も後期の産物で 斑岩銅鉱体を切る石英細脈として出現する これらの脈を構成する鉱石鉱物は主として閃亜鉛鉱および方鉛鉱で 少量の自然銀 四面安銅鉱 長砂 黄鉄鉱および輝水鉛鉱を含む Dizon 鉱山は 1979 年に生産開始以来 1982 年までに 80,385t の銅 9,724kg の金 19,677kg の銀を生産した 1988 年には 697 万 t の粗鉱 (Cu 0.35%) を処理し 3,544kg の金を生産 5,265 万 t の埋蔵鉱量を保有している ( 細井 1990; 梶谷 1990a) Lepanto(Mankayan) 鉱床本鉱山は Luzon 島 Bagio 地区の Lepanto にあり フィリッピンにおいて最も古くかつ永く操業を続けている最大級の銅 金および銀の生産鉱山の一つである 古くから硫砒銅鉱およびテルル金を産する金 - 銅鉱脈型鉱床として知られて来たが 最近は典型的な酸化硫黄型熱水鉱床 ( ヘデンクウィスト- 松久訳 ) の例として注目された さらに極く最近 金 - 銅鉱脈の東約 3km のところに発見された金に含む斑岩銅鉱床の開発が進んでいる ( 梶谷 1990a) この地域の基盤岩は Lepanto 変火山岩類である この岩石は低変成度変成の玄武岩および安山岩熔岩流からなりその一部は緑色片岩となっている この上に Apoan 火山岩 - 堆積岩系が重なり 以上の岩石を貫いてトロンエム岩質の Bagon 貫入岩が分布する これら岩石を不整合に被って中期中新世の Balili 火山岩 - 堆積岩が堆積し さらに後期中新世の石英閃緑斑岩の岩株が貫いしている これ以後後期中新世 ~ 鮮新世 Imbanguila 石英安山岩質火山砕屑岩 - 斑岩および鮮新世 ~ 完新世 Bato 石英安山岩質火山砕屑岩 - 斑岩の活動がある 金 - 銅鉱脈型鉱床は Lepanto 変火山岩類と Imbanguila 石英安山岩質火山砕屑岩の間の不整合面と WNW 方向の断層との交叉部に発達する断層破砕鉱化帯とこれから派生する多数の平行脈からなっている 変質作用には鉱化作用の中心部から珪化帯 -カオリン帯- イライト-モンモリロナイト帯 - 緑泥石帯のような累帯分布が認められる 主要な鉱石鉱物は硫砒銅鉱およびルソン銅鉱で ほかに少量の四面砒銅鉱と黄銅鉱をともなう 硫砒銅鉱は全銅鉱物量の 75% ルソン銅鉱は 15~20% を占める 金および銀は主としてヘッサイト カラベライトおよびクレンネライトなどのテルル化物として産する 脈石鉱物は石英 カオリン 重晶石および明ばん石などである 最近開発されつつある斑岩銅鉱床は Far Souteast(FSE) 鉱床と呼ばれ WNW 方向に延びたベル形をなし 最上部が地表下 650m の潜頭鉱床である その規模は長さ約 1,000m 巾最大 500m 深さ延長は少なくとも 900m に達する 成因的には後期中新世貫入の石英閃緑斑岩に関係が深いと考えられ 石英閃緑斑岩と Balili 火山岩 - 堆積岩系中に胚胎する 鉱床中心部はカリウム変質帯に一致し 黒雲母と K- 長石を生成しているが後退変質により緑泥石 - 粘土化を受けている この変質帯は貫入岩体の中心から貫入面の外側約 フィリピン 68

71 100m 迄続き 次第に緑泥石 -イライト帯に移る 鉱体の外側はプロピライト帯になっている 鉱石鉱物の累帯配列は変質帯と密接に関係し カリウム変質帯では斑銅鉱 - 黄銅鉱 - 磁鉄鉱の組合せで緑泥石 -イライト帯では黄銅鉱- 磁鉄鉱 - 赤鉄鉱 ± 黄鉄鉱 斑銅鉱および輝水鉛鉱の組合せとなる さらにプロピライト変質帯に向って次第に黄銅鉱 - 黄鉄鉱 - 赤鉄鉱の組合せになるとともに鉱化細脈の密度が減少する 石英閃緑斑岩と Balili 火山岩 - 堆積岩系を母岩とする斑岩型鉱床の東南側に隣接して Imbanguila 石英安山岩を噴出したダイアトリームが存在する このダイヤトリーム角礫は金 - 銅の鉱化作用を受け急傾斜のパイプ状鉱体を形成している この鉱体の深部ではイライト- 電気石 - 緑泥石の組合せの変質体を形成しているが 上部に行くにしたがって明ばん石 -イライト-ダイアスポア-ズニ石-パイロフィライト-カオリナイトの組合せの過粘土化帯 (Advanced argilic zone) となっている 鉱化作用は石膏 - 硬石膏 - 石英 - 硫化物 ( 酸化物 ) の細脈として出現し 下部での鉱石鉱物組合せは 黄銅鉱 - 磁鉄鉱 - 黄鉄鉱土斑銅鉱 輝水鉛鉱であるが上部では黄銅鉱 - 黄鉄鉱 - 赤鉄鉱土硫砒銅鉱 輝水鉛鉱となっている この角礫パイプ状鉱体の外側の Imbanguila 石英安山岩斑岩中には硫砒銅鉱の細脈が角礫パイプを中心として分布している FSE 鉱床においては 金と銅の品位には正の相関が認められ しばしば金は斑銅鉱 黄銅鉱と接して産する また金は磁鉄鉱とも密接に共存する Lepanto 鉱山は 1948 年から 1982 年の間に 537,644t の銅 72,505kg の金 220,523kg の銀を生産し 1988 年には 96 万 1,000t の粗鉱 (Cu 1.46%) を処理 2,399kg の金を生産した ( 細井 1990; 梶谷 1990a) これらは金- 銅鉱脈型鉱床からのものであるが 1989 年現在その埋蔵鉱量は発表されていない FSE 鉱床の埋蔵鉱量は1 億 6,300 万 t(cu 0.81% Au 1.76g/t) と推定されている ( 梶谷 1990a) (3) ニッケル鉱床 Rio Tuba 鉱床本鉱床は Palawan 島南西部に位置ずる残留ラテライト鉱床 ( サプロライト ) である 付近の地質は下位から後期ジュラ紀 Iranuan 変火山岩類 後期白亜紀 Beaufort 山超苦鉄質岩類 暁新世 - 始新世 Panas 層 漸新世 Pandian 層および第四紀層からなる Iranuan 変火山岩類は場所により枕状構造のよく発達した細粒ないし中粒のスピライト質玄武岩からなり ときに細粒砂岩と頁岩を挟む また薄紫色ないし赤褐色のチャートを産することもある これらの岩石は地域の東北部に分布するが その南側の Beaufort 山超苦鉄質岩類との接触部に沿って 両者を貫く石英閃緑岩が露出する Beaufort 山超苦鉄質岩類は 主としてかんらん岩 ダンかんらん岩および輝岩からなり 一般に変質して蛇紋石化している 本岩類が Ni 鉱床の原岩であり4km 2 にわたって露出している Panas 層は 面積は狭い 層理のあまり発達しない頁岩と細粒砂岩からなり その基底部に珪化し 化石に富んだ石灰岩の巨礫がレンズ状に分布する Panadian 層は超苦鉄質岩類の四方に露出し フィリピン 69

72 頁岩の薄層を挟むアルコーズ質砂岩からなる 鉱床は大きく二つの帯に区分される 上部のラテライト帯は地表から深さ7m までの範囲で 下部のサブロライト帯はその下厚さ 10m の部分である これらの二つの帯は風化生成物の色と外観により区別される また ラテライト帯は色によって上から L1 L2 および L3 帯に分けられ それぞれ黒色 帯黒赤褐色および帯黄褐色を呈する ラテライト帯は一般に径数 mm~1.5cm の赤褐色の粒子 ( ピソライト ) を含みとくに L1 と L2 多い (Ogura et al., 1983) また ときには地表近くの粘土物質に伴って周縁部が風化して緑色を呈する岩片が認められる サプロライト帯は 一般に常青緑色を示し 多数の岩片を含む また原岩の構造を残し 多用な外観を呈する とくにサプロライト帯下部は硬くて風化により生成した比較的大きな粒子からなり 上部に行くに従い 次第に殆ど原構造を残さない比較的軟らかい粘土状粒子に移化する ラテライト帯に近い所は小さい赤色斑点が薄く観察される ラテライト帯とサプロライト帯の境界は一般に明瞭でなく 巾 10cm 程度の漸移帯が形成されている 境界部分には ときに多数の 二酸化珪素箱状集合体 (Boxwork) あるいは薄い二酸化珪素層が認められる ラテライト帯の L1 帯と L2 帯の間には実質的に差がなく 高い Fe 含有量と低い MgO および SiO2 含有量により特徴づけられる 他方 L3 帯と漸移帯で SiO2 と MgO の含有量が急激に増加し Fe が急に減少する サプロライト帯では残留岩片の量によって影響されるほかは 比較的化学組成が安定している サプロライト帯では残留岩片の量によって影響されるほかは 比較的化学組成が安定している サプロライト帯の鉱石中に見出される鉱物は蛇紋石 滑石 ガーニエライト (10Å) 石英及び針鉄鉱であるラテライト中の鉄鉱物としては 針鉄鉱 磁鉄鉱 赤鉄鉱 マグへマイトおよび褐鉄鉱を産する クローム鉄鉱も見出されるが それほど一般的ではない 漸移帯には 滑石および Ni-スメタクタイトを産することがある ラテライト帯の Ni 含有量は少ないが 深さとともに 次第に漸移帯をとおってサプロライト帯で最高値に達する Ni は針鉄鉱 スメクタイトおよび含水 Mg-Ni 珪酸塩鉱物中に含まれていると考えられる (Ogura et al., 1987) Rio Tuba 鉱山は 1977 年操業を開始し 現在年産 50 万 t 埋蔵鉱量は 2,300 万 t(ni 2.2%) とされている ラテライトは第 1 2 3および4 帯の四つの帯に分けられる 第 1 帯は地表と鉄に富んだ団塊を含む赤褐色の部分からなる 平均の厚さは 1.8~3.6cm Ni0.73% Co0.050% Fe30%( 平均値 ) である 第 2 帯は空隙率が高く 淡褐色を示す 平均の厚さは 1.46m Ni1.02% Co0.107% Fe50%( 平均値 ) となっている 第 3 帯は変化に富んだラテライトで磁鉄鉱に富む 平均の厚さは 2.8m Ni1.5% Co0.53% Fe40% である 第 4 帯は蛇紋岩の分解および破砕物からなり 帯緑黄色ないしオリーブ灰色を示す 上部は軟らかいが下部では固くなる 空隙率は低く 原岩の構造を残している ガーニエライトおよびクリソタイルの脈が認められる 厚さは1から8m と変化し Ni1.7~2.6% Co0.043%~ 0.050% Fe10~20% を示す ラテライトの化学組成は原岩によって大きく異なる フィリピン 70

73 本鉱床は褐鉄鉱型で サプロライト型と比較して Fe 含有量が高く Ni 含有量が低い 現在 MMIC 鉱山は操業を停止している Acoje 鉱床本鉱床は Acoje クローム鉱山の操業中に発見され 1970 年に硫化ニッケル鉱石の出鉱を開始したが 1975 年迄に約 1,600t( 金属量 ) を生産し 1976 年に操業を停止した なお 約 100 万 t(ni0.47%) の埋蔵鉱量を有する (Bureau of Mines and Geosciences, 1986) Acoje 鉱床の Fe-Ni-Cu 硫化物鉱石は Acoje ブロックの超苦鉄質岩類の 黒色ダンかんらん岩 中に産する 鉱床は 一般に NNE の走向を示し 東に中 ~ 急角度で傾斜する この方向は超苦鉄質岩の基盤との接触面に平行である ニッケル鉱床は1m 以下ないし 25m の厚さのほぼ平行ないくつかのレンズ状鉱染体からなる 鉱石鉱物は主として結晶をなす磁硫鉄鉱 -ペントランド鉱と黄銅鉱からなり 少量の白金族元素鉱物 金および銀鉱物を伴う 3. 鉱床胚胎有望地域フィリピンの鉱業は 1980 年代から衰退し始めていたが 近年 King-King Tampakan Rapu-Rapu Boyongan Dinkidi などの新規鉱床が発見され探査活動が活発になってきている フィリピンの金と銅の鉱化は中期から後期新生代 (3,000 万年 ~100 万年前 ) マグマ弧のなかで起こった 一般的な鉱床は 斑岩 スカルン 高 / 低硫黄含有エピサーマル ( 浅熱水 ) 分散型堆積岩賦存 VMS 鉱床に付随している 大部分の金は斑岩 (65% まで ) 低硫黄含有エピサーマル ( 浅熱水 )(15% まで ) とスカルン (10% まで ) に分散している 鉱床の有望地は以下の通りである 3-1. 銅鉱床フィリピンの銅鉱床はスカルン型鉱床 鉱脈型銅鉱床 塊状硫化物鉱床に分類されるが 現在の開発案件はほとんどが金の品位の高い斑岩銅鉱床である 有望地域は ルソン島中央部 ミンダナオ島南部である 3-2. 金鉱床大規模な金鉱床の大半はフィリピン諸島を縦断するフィリピン断層沿いに見られる 有望地域は ルソン島中央山岳地帯の西麓に沿う Baguio 地区 ミンダナオ北東部の Surigao 地区および南東部の Masara 地区である 3-3. ニッケル鉱床ニッケル鉱床は正マグマ性硫化物鉱床 浅熱水性鉱床および残留ラテライト鉱床に分類される 経済的には重要なのは残留ラテライト鉱床で 一つは褐鉄鉱型 他はサプロライト型である これらの有望地域は ミンダナオ島の北東部 Surigao 地区とその付近の島々及びパラワン島南東部である フィリピン 71

74 第 2-1 図 フィリピンの金 銅鉱床 第 2-2 図 フィリピンの斑岩銅鉱床 Steve Garwin (2002): MMAJ Forum フィリピン 72