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1 岩 石 1. 岩石の分類岩石はいろいろな種類の鉱物からできており 岩石を構成する主たる鉱物を主成分鉱石 ( 造岩鉱物 ) という また 岩石に少量しか含まれていない鉱物を副成分鉱物 ( 随伴鉱物 ) という 岩石は成因的にみて 火成岩 (igneous rock) 堆積岩 (sedimentary rock) 変成岩(metamorphic rock) の 3 種類に分類するのが一般的で 3 分類法といわれている 1.1 火成岩 (igneous rock): 火成岩は 産出の状態によって 大きく二つに分けられる 一つは 高温のマグマ (magma) が地表に噴出したか または 地表近くまで上昇して 急速に冷却 固結して形成された岩石 ( 火山岩 ) であり 他の一つは マグマが地殻の深い所に貫入して 長期間をかけて徐々に冷却し 固結した岩石 ( 深成岩 ) である 火成岩の分類法火成岩の主成分鉱物は 一般に珪長質鉱物と 鉄苦土質鉱物とに大別される 珪長質鉱物は 主に石英 長石類であり 色はほとんど無色か白色である 鉄苦土質鉱物は 主に黒雲母 角閃石 輝石 カンラン石であり 色は黒色 黒緑色 緑色など特有の色をしている 火成岩の分類方法としては 産出の状態 ( 火山岩 深成岩 ) による分類の他に次ぎの様な分類が一般的である [1] a.sio 2 含有量を基準に分類 [1] 火成岩の主化学組成で最も多いのは SiO 2 で その他の成分は SiO 2 の含有量の変化に対応して ある程度規則正しく変化する そのため SiO 2 含有量を基準として分類されている この分類法では 火成岩を超塩基性岩 (ultrabasic rock:sio 2 < 45%) 塩基性岩 (basic rock:sio 2 45~53%) 中性岩 (intermediate rock:sio 2 53 ~63%) 酸性岩(acid rock:sio 2 >63%) の 4 群に分類されることが多い b. 鉄苦土質鉱物の体積百分率を基準に分類 [1] 岩石に含まれる鉱物は化学組成上からは珪長質鉱物 ( フェルシック鉱物 :felsic mineral) と鉄苦土質鉱物 ( マフィック鉱物 :mafic mineral) に分けられる フェルシック鉱物は石英 長石 ( 斜長石とアルカリ長石 ) 準長石などで Si,Al,Na,K などに富み 白あるいは白に近い淡色であることから無色鉱物 (colorless mineral) ともいう マフィック鉱物はカンラン石 輝石 角閃石 黒雲母などで Mg や Fe に富み 黒色や黒緑色 緑色など特有の色をもっていることから有色鉱物 (color mineral) ともいう 火成岩のマフィック鉱物の量比 ( 体積 %) を色指数 (color index) という この色指数を基準に 火成岩は 超マフィック岩 (ultramafic rock: 色指数 >70) マフィック岩 (mafic rock: 色指数 70~40) 中性岩( 色指数 40~20) 及びフェルシ

2 ック岩 (felsic rock: 色指数 <20) の 4 群に分類される 表 -1 に火成岩の主な珪長質鉱物及び鉄苦土質鉱物の鉱物名及び化学組成を示す 表 -1 火成岩の主な鉱物 [1] 鉱物分類鉱物名鉱物名英名化学組成 珪長質 (felsic) 石英 quartz SiO 2 カリ長石 orthoclase KAlSi 3 O 8 主成分鉱物 斜長石類 plagioclase NaAlSi 3 O 8 と CaAl 2 SiO 2 O 8 の固溶体 曹長石 albite NaAlSi 3 O 8 :100-90%,CaAl 2 SiO 2 O 8 :0-10% 灰曹長石 oligoclase NaAlSi 3 O 8 :90-70%,CaAl 2 SiO 2 O 8 :10-30% 中性長石 andesine NaAlSi 3 O 8 :70-50%,CaAl 2 SiO 2 O 8 :30-50% 曹灰長石 labradorite NaAlSi 3 O 8 :50-30%,CaAl 2 SiO 2 O 8 :50-70% 亜灰長石 bytownite NaAlSi 3 O 8 :30-10%,CaAl 2 SiO 2 O 8 :70-90% 灰長石 anorthite NaAlSi 3 O 8 :10-0%,CaAl 2 SiO 2 O 8 :90-100% 鉄苦土質 (mafic) 黒雲母 biotite K(Mg,Fe) 3 (AlSi 3 O 10 )(OH) 2 角閃石 hornblende Ca 2 Na(Mg,Fe +2 ) 4 (Al,Fe +3,Ti)(Al,Si) 8 O 22 -(O,OH) 主成分鉱物 輝石類 Pyroxene group 頑火輝石 enstatite Mg 2 (Si 2 O 6 ) 紫蘇輝石 hypersthene (Fe,Mg) 2 (Si 2 O 6 ) 普通輝石 common augite (Ca,Na)(Mg,Fe +2,Fe +3,Al)(Si,Al) 2 O 6 カンラン石 olivine (Mg,Fe) 2 (SiO 4 ) 蛇紋石 serpentine Mg 6 (Si 4 O 10 )(OH) 8 副成分鉱物 白雲母 muscovite KAl 2 (AlSi 3 O 10 )(OH) 2 緑泥石 chlorite (Mg,Al) 6 (Si 4 O 10 )(OH) 火成岩の代表的岩石 ( 表 -2 参照 ) 酸性岩 (acid rock) a. 花崗岩 (granite): 深成岩 ( 産出の状態による分類 ) フェルシック岩( 色指数による分類 ) 酸性岩(SiO 2 の含有量による分類 ) 花崗岩は酸性岩で非常に一般的な岩石であり 世界各地で見つかる 日本では阿武隈山地 関東北部 飛騨山脈 木曽山脈 美濃山脈 近畿地方中部 瀬戸内海から中国山地 北九州などに広く分布している 花崗岩は地球の深い地殻部分でマグマが長い間に徐々に冷えて結晶化した深成岩である 花崗岩の主要構成鉱物は 石英 カリ長石 斜長石 黒雲母 白雲母 角閃石である 副成分鉱物としては磁鉄鉱 ザクロ石 ジルコン 燐灰石を含むことがある また 褐簾石 (allanite:x2y3o(sio4)(si2o7)(oh),x:ca,ce,la,na, Y:Ae,Fe,Mn,

3 類(2) 深成岩脈岩または半深成岩火山ガラス質岩構成鉱物類Be,Mg) を含む事があり この褐簾石は弱い放射能性がある [2] 表 -2 には主な火成岩の分類表を示す [2] 表 -2 火成岩の分類表 組織分分類 (1) ケイ酸分 酸性岩中性岩塩基性岩超塩基性岩 6 6 % 以上 6 5 ~ 5 3 % 5 2 ~ 4 5 % 4 4 % 以下 色指数 完晶質 下 岩石 1 0 % 以下 1 1 ~ 3 5 % 3 6 ~ 6 0 % 6 1 % 以上 花崗岩 Granite 閃長岩 Syenite 花崗閃緑岩 Granodiorite モンゾニ岩 Monzonite 閃緑岩 Diorite 石英閃緑岩 Quartz-diorite 斑糲岩 Gabbro 蛇紋岩 Serpentinite カンラン岩 Peridotite 輝岩 角閃岩 Pyroxenite Amphibolite 花崗斑岩 Graniteporphyry 石英斑岩 L ip ar ite ひん岩 Porphyrite 輝緑岩 Diabase 半晶質流紋岩 Rhyolite 石英粗面岩 Quartztrachyte 黒曜岩 松脂岩 Obsidian i t e 浮岩熔結凝灰岩 pumice Welded tuff 安山岩 andesite 石英安山岩 Dacite 玄武岩 Basalt 岩滓 scoria 長石類 カ 長石 の 長石 カ 長石 灰 長石 中性長石 灰長石 灰長石 灰長石 灰長石長石 の 長 色 色 色 色 角閃石 輝 石 カンラン石 1) の の 表 2) 長石類 表 の の の の 花崗岩の主な岩石には 1 黒雲母花崗岩 (biotite-granite): 単に花崗岩という場合には 通常 黒雲母花崗岩を指すほど分布が広く 広大な花崗岩地域を形成している 主成分鉱物は石英 カリ長石 微斜長石 黒雲母のほかに少量の灰曹長石を含んでいる 2 複雲母花崗岩 (two mica-granite): 主成分鉱物は石英 カリ長石 微斜長石と他に黒雲母 白雲母を含む 灰曹長石は極めて少ない 副成分として ジルコンと微量の緑泥石を含んでいる 3 雲花崗岩 (hornblende-biotite-granite): 主成分鉱物は石英 カリ長石 斜長石 角閃石と黒雲母である 4 花崗閃緑岩 (granodiorite): 主成分鉱物は石英 斜長石 カリ長石 角閃石と黒

4 雲母からなり 典型的な花崗岩と比較し カリ長石が少なく斜長石が多い 日本ではこの花崗閃緑岩が多く産出する b. 花崗斑岩 (granite-porphyry) : 半深成岩 ( 産出の状態による分類 ) フェルシック岩 ( 色指数による分類 ) 酸性岩(SiO 2 の含有量による分類 ) 花崗斑岩は成分的には花崗岩と同じであるが 花崗岩体の周辺部や岩脈 岩床として産出するため マグマの冷却が花崗岩より速く そのために石基と斑晶 ( 細粒またはガラス質の石基中に散在する比較的大きな結晶 ) を生じている 斑晶は石英と斜長石及び少量のカリ長石である また 石基は微粒の石英 カリ長石 角閃石 黒雲母の集まりである [2] c. 石英斑岩 (quartz-porphyry) : 半深成岩 ( 産出の状態による分類 ) フェルシック岩 ( 色指数による分類 ) 酸性岩(SiO 2 の含有量による分類 ) 花崗斑岩と外観の似た岩石である 石英と長石 あるいは石英だけの斑晶で大きく発達している 石英斑岩は風化に対する抵抗力が強く 石英斑岩の岩脈の部分だけ浸食が進まず そそり立つ険しい地形を形成する d. 流紋岩 (rhyolite) : 火山岩 ( 産出の状態による分類 ) フェルシック岩( 色指数による分類 ) 酸性岩(SiO 2 の含有量による分類 ) 流紋岩は 花崗岩に対応する成分の火山岩である 色指数は極めて低く 白 ~ 淡灰色の岩石である 斑状組織を持ち 長石を主とする石基中に 石英 カリ長石 灰曹長石のほか有色鉱物の黒雲母 角閃石の斑晶が認められる 色は白っぽいことが多いが 火山の噴出条件や結晶度などにより多様であり 黒っぽい流紋岩もある 流紋岩の名称は マグマの流動時に形成される斑晶の配列により 流理構造の線が認められることによる 以前はこの流理構造が認められないものを石英粗面岩 (liparite) と呼んでいたが 現在では流紋岩に統一された e. 松脂岩 (pitchstone) 黒曜岩(obsidian) : 火山岩 ( 産出の状態による分類 ) フェルシック岩 ( 色指数による分類 ) 酸性岩(SiO 2 の含有量による分類 ) 松脂岩は 貝殻状の断口や光沢が ピッチ ( コールタール ) に似ているため ピッチストーンと呼ばれる 日本では松脂 ( まつやに ) の光沢に近いため松脂岩と呼んでいる 色は青緑色 ~ 緑褐色で 全体がほとんどガラス質で 斑晶として石英 斜長石 黒雲母が認められる事が多い 黒曜岩は 強いガラス光沢をした 黒色 ~ 暗灰色をした岩石である 黒曜岩は全体がガラス質で 斑晶が無い 水の含有量は 1% 程度で 松脂岩 ( 水含有量 4~10%) より少ない f. 浮岩 (pumice) : 火山岩 ( 産出の状態による分類 ) フェルシック岩( 色指数による分類 ) 酸性岩(SiO 2 の含有量による分類 ) 浮岩は 軽石 ともいわれ軽く 水にも浮く 水蒸気やガスを多量に含んだ流紋

5 岩質マグマが噴出したときにできやすい 色は白色か灰色のものが多く 多孔質な岩石である 中性岩 (intermediate rock) a. 閃緑岩 (diorite) 石英閃緑岩(quartz-diorite) : 深成岩 ( 産出の状態による分類 ) 中性岩( 色指数による分類 ) 中性岩(SiO 2 の含有量による分類 ) 閃緑岩は代表的中性岩であり 花崗閃緑岩と外観は似ているが 石英はほとんど無い 主成分鉱物は斜長石と角閃石であり 花崗岩と比較して輝石 角閃石などの有色鉱物が多く 花崗岩より黒味が強い 副成分としては黒雲母 石英 緑泥石 イルメナイト ジルコン 燐灰石などである 石英を含まない純粋な閃緑岩はほとんど産出しない 石英を含むものは石英閃緑岩 (quartz-diorite) と呼んでいる b. ひん岩 (porphyrite) : 半深成岩 ( 産出の状態による分類 ) 中性岩( 色指数による分類 ) 中性岩(SiO 2 の含有量による分類 ) ひん岩は 成分的には 深成岩の閃緑岩と火山岩の安山岩に相当する中性岩である 斑状組織の完晶質の火成岩である 石基は結晶度が高く 主に長石と有色鉱物の小さな結晶が密に集合し 色は暗緑色である 斑晶は石英 角閃石 斜長石であるが 石英は少ない 副成分鉱物としてイルメナイト ジルコン 燐灰石などを含む ひん岩の成分が 花崗閃緑岩に近いものは 閃緑ひん岩 (dioriteporphyrite) と呼び 斑糲岩に近いものを輝緑ひん岩 (diabase-porphyrite) とよんでいる c. 安山岩 (andesite) : 火山岩 ( 産出の状態による分類 ) 中性岩( 色指数による分類 ) 中性岩(SiO 2 の含有量による分類 ) 安山岩は日本の火山地域に多く産出する岩石であり 成分的には SiO2 を約 60% 程度 有色鉱物を 20~40% 程度含み 深成岩の閃緑岩に相当する 石基の中には斜長石 有色鉱物の輝石 角閃石 黒雲母などが斑晶として存在する 色は灰色気味が多いが 噴出条件や結晶度などの違いにより黒っぽかったり紫っぽかったりいろいろである d. 石英安山岩 (dacite) : 火山岩 ( 産出の状態による分類 ) 中性岩( 色指数による分類 ) 中性岩(SiO 2 の含有量による分類 ) 石英安山岩は 一般の安山岩と比較して石英の量が多い 斑晶は石英 斜長石 黒雲母 角閃石 輝石などである 副成分として石基中に磁鉄鉱 チタン鉄鉱 燐灰石などが認められる 色は淡灰色 ~ 灰緑色であるが 風化あるいは熱水の影響を受け 黄褐色 ~ 赤褐色になることもある 塩基性岩 (basic rock) a. 斑糲岩 (gabbro) : 深成岩 ( 産出の状態による分類 ) マフィック岩 ( 色指数によ

6 る分類 ) 塩基性岩(SiO 2 の含有量による分類 ) 斑糲岩は深成岩中の輝緑岩より粗粒で且つ完晶質な代表的塩基性岩である 主成分鉱物は斜長石 ( 曹灰長石と少量の亜灰長石 ) 輝石 角閃石である 磁鉄鉱なども含んでいることもある 玄武岩 輝緑岩と同様に 鉱物組成 化学組成上多くの種類がある アルカリ長石が含まれるとモンゾ斑糲岩 石英が含まれると石英斑糲岩 アルカリ長石と石英両方を含むと石英モンゾ斑糲岩また カンラン岩が主成分としてある場合はカンラン斑糲岩という b. 輝緑岩 (diabase) : 半深成岩 ( 産出の状態による分類 ) マフィック岩( 色指数による分類 ) 塩基性岩(SiO 2 の含有量による分類 ) 輝緑岩は 成分的には深成岩の斑糲岩と火山岩の玄武岩に相当する代表的な塩基性岩であり 主成分は塩基性斜長石 ( 曹灰長石 ) 輝石および角閃石で完晶質である 斜長石の一部が分解したり 輝石が緑泥石に変質しているものが多く そのため色は暗緑色な岩石である c. 玄武岩 (basalt) : 火山岩 ( 産出の状態による分類 ) マフィック岩( 色指数による分類 ) 塩基性岩(SiO 2 の含有量による分類 ) 玄武岩は 成分的には深成岩の斑糲岩に相当する 代表的な塩基性火山岩である 主成分は塩基性斜長石 ( 曹灰長石や亜灰長石 ) と輝石などの鉄苦土質鉱物である 斑状組織を有し 斑晶は肉眼で見えないほど小さい場合もある 色は黒っぽいことが多いが 有色鉱物の種類により 灰色のこともある 斜長石と輝石を主成分とするものを正玄武岩 カンラン石が含まれるものをカンラン玄武岩 カンラン石の代わりに角閃石が主成分のものが角閃玄武岩と呼ぶ 超塩基性岩 (ultrabasic rock) a. 蛇紋岩 (serpentinite) : 深成岩 ( 産出の状態による分類 ) 超マフィック岩 ( 色指数による分類 ) 超塩基性岩(SiO 2 の含有量による分類 ) 蛇紋岩は 蛇紋石 カンラン石が主成分であるが その他透角閃石 光線石 滑石 磁鉄鉱 炭酸塩鉱物を含んでいる 蛇の皮の様な模様や光沢があるため 蛇紋岩と名称がつけられた カンラン岩などの超塩基性岩が水と反応し 蛇紋岩化作用を受けることで生成すると考えられている クロム 石綿 ニッケルなどを含んでいることが多い 色は一般には 暗緑 ~ 黒色である b. カンラン岩 (peridotite) : 深成岩 ( 産出の状態による分類 ) 超マフィック岩 ( 色指数による分類 ) 超塩基性岩(SiO 2 の含有量による分類 ) カンラン岩は 主としてカンラン石からなり その他に斜方輝石 単斜輝石 透角閃石 光線石 滑石 磁鉄鉱などを含む超塩基性岩である カンラン岩は変質を受けやすく 地表では蛇紋岩に変化している場合が多い 色は苦土質鉱物を

7 多く含むことから黒緑色 ~ 黄緑色である 火成岩の見分け方 ( 目視 ) [4] 火山岩 ( 噴出岩 ) a. 火山岩はマグマが急激に冷却した岩石であることから 結晶が成長しておらず 地下のマグマだまりで結晶した 小さい結晶 ( 斑晶 ) が少し存在し まわりの石基部分は 結晶質ではなくガラス質である b. 火山岩の中に含まれる有色鉱物の含有量が色調に影響を及ぼし 比較的明るい色のものが流紋岩 真黒の感じを受ける岩石が玄武岩 中間的な色調を示すものが最も広く見られる安山岩である 半深成岩 a. ややゆっくりと冷却してできた岩石であるため 火山岩と比較し 結晶は大きく生長し はっきりした外形を示す b. 肉眼では判別できないが ルーペで観察すると基質の部分は細かい結晶ができている 深成岩 a. ゆっくりと冷却してできた岩石であるため 全てが結晶の集まりとなって それらがたがいにかみ合った状態である b. 割れた面をさわるとざらざらしている c. 風化すると岩石の表面がアバタ面になる d. 灰色をした石英は不定形で 火山岩や半深成岩のものとは形が違う e. 色調の明るいものに花崗岩があり 中間色が閃緑岩 色調の暗いものが斑糲岩 カンラン岩である 1.2 堆積岩 (sedimentary rock): 堆積岩の多くは 既存の岩石が風化作用 浸食作用を受け 水や風などによる運搬作用と湖底 海底などに集まる堆積作用を経て やがて地圧等により固化するという一連の作用で形成されたもので このような岩石を砕屑岩 (clastic rock) という 堆積岩には砕屑岩のほかに 水に溶解していた珪酸 酸化カルシウム 鉄などの物質が 水の温度 ph などの変化 水の蒸発などによって水底に沈殿堆積して形成された化学的沈殿岩 (chemical rock) 陸上あるいは水中に動物または植物の遺体が堆積して形成された生物岩 (organic rock) 火山噴出物が空気中あるいは水中で堆積してできた火山性岩などがある 種々の堆積物が岩石らしく固結化するには 約 200 万年程度の長い年月を要し 硬岩といわれる硬い岩石になるには約 6000 万年程度の年月の経過が必要であるといわれている 表 -3 には堆積岩を構成する主な鉱物を示す 堆積岩の化学組成は元の岩石 ( 原岩 )

8 の種類で決まることが多い しかし続成作用により堆積岩中にあらたに形成される鉱物 ( 自成鉱物 :authigenic mineral) もある 表 -3 堆積岩の主な鉱物 [1] 鉱物名 英名 化学組成 おもな原岩 石英 quartz SiO 2 砂岩 斜長石 plagioclase NaAlSi 3 O 8 と CaAl 2 SiO 2 O 8 の固溶体 砂岩 オパール opal SiO 2 nh 2 O 自成鉱物 イライト illite K 2 O 3Al 2 O 3 6SiO 2 2H 2 O チャート 緑泥石 chlorite (Mg,Al) 6 (Si 4 O 10 )(OH) 8 チャート ヘマタイト hematite Fe 2 O 3 チャート 方解石 calcite CaCO 3 石灰岩 アラゴナイト aragonite CaCO 3 石灰岩 ドロマイト dolomite CaMg(CO 3 ) 2 ドロマイト 礫岩 (conglomerate): 2mm 以上の大きさの石粒を 礫 といい この礫が集まって固まったものを礫岩という 礫岩は運搬の過程により 礫径や形がいろいろに変化する 角ばっている礫は角礫 (rubble) といい おもに角礫からなる礫岩が角礫岩 (breccia) である 礫岩は礫の粒間を砂や泥が充填していることが多い この充填物をマトリックス ( 基質 ) という 砂岩 (sandstone): 砂岩の主成分鉱物は石英 長石及びそのほかの鉱物 岩片から構成されている 砂岩は主に大きさが ~2mm の砂粒が集まって固まってできた岩石である 砂粒の周囲を充填しているマトリックスおよびセメント ( 炭酸塩鉱物やシリカ鉱物などの充填物 ) からなり マトリックスやセメントの種類により 泥質砂岩 シルト質砂岩 粘土質砂岩 石灰質砂岩 珪質砂岩 凝灰質砂岩 炭質砂岩という またマトリックスの含有量が 15% 以下の砂岩をアレナイトといい 15% 以上の砂岩をワッケという 泥岩 (mudstone): 泥岩は主に大きさが mm 以下の泥などの細かい粒が集まって固化したもので 粒径により 粗粒のシルト岩 (siltstone) と細粒の粘土岩 (claystone) に分けられる 古い地質時代のもので 続成作用が進行した泥岩では 堆積面に沿って剥離しやすくなる このような岩石を頁岩 (shale) という また 泥岩が構造運動や弱い変成作用を受けて 堆積面からの剥離性が顕著になったものを粘板岩 (slate) という

9 1.2.4 化学的沈殿岩 (chemical rock) と生物岩 (organic rock) 化学的沈殿岩と生物岩のうち最も多量に存在する岩石はチャートなどの珪質岩と石灰岩である 化学的沈殿岩と生物岩は 形成過程がはっきりしているもの以外は 区別できないことが多い a. チャート (chert): 微細な石英からなる緻密な硬い岩石で SiO 2 含有量が 90% 以上である イライト 緑泥石 ヘマタイト マンガンの酸化物が少量ふくまれているので 灰色 緑色 赤褐色 黒色等が一般的である チャートは産状から縞状チャート 塊状チャート 団塊状チャートに分類される b. 石灰岩 (limestone): 炭酸塩岩を代表する堆積岩で 主に方解石やアラゴナイトなど CaCO 3 ( 通常 50% 以上 ) からなる サンゴの破片や貝殻などの石灰成分が集まって固まってできた c. ドロマイト (dolomite): 一般に石灰岩に伴って層状やレンズ状に分布する ドロマイトの成因は 海底に堆積した石灰岩が マグネシウムを含む溶液と反応して生成したと考えられている 主な構成鉱物は炭酸カルシウム (CaCO 3 ) と炭酸マグネシウム (MgCO 3 ) である 表 -4 に堆積岩の分類を示す 表 -4 堆積岩の分類 堆積岩の種類砕屑岩分類砕屑物粒径 mm 主な岩石名 () 内は総称 砕屑岩 礫岩 巨礫 256 以上 ( 礫岩 角礫岩 ) clastic rock conglomerate 大礫 64~256 中礫 4~64 細礫 2~4 砂岩 sandstone 極粗粒砂 1~2 粗粒砂 1/2~1 ( 砂岩 ) 中粒砂 1/4~1/2 細粒砂 1/8~1/4 極細粒砂 1/16~1/8 泥岩 シルト 1/256~1/16 ( 頁岩 ) mudstone 粘土 1/256 以下 化学的沈殿岩と 生物岩 chemical rock チャート 石灰岩 ドロマ イト 燐灰石 ( 石炭 ) organic rock

10 1.2.5 堆積岩の見分け方 ( 目視 ) [4] a. 広い範囲に 本や板を重ね合わせた様な縞模様の状態で 砂層 泥層或いは礫層が 水平にあるいは傾斜して体積している b. 砂岩などは 岩石の中の粒子がすべて一様にまるく 大きさもほとんど同一 c. 鉱物や岩石の角ばった破片が入っているのは 角礫岩や 凝灰角礫岩である d. 層状の地層中に化石が入っていることがある e. 礫岩は 礫や砂粒が不規則に固まっている f. 石灰岩は釘で傷が付く 1.3 変成岩 (metamorphic rock) 鉱物や岩石は 一般には温度や圧力の変化に対して変化しにくいものである しかし 地下深部における非常に高い温度や強い圧力を受けると 一般に2 種以上の鉱物間で化学反応 ( 固相 - 固相反応 ) が起こり 新しく鉱物が形成されたりする また単一の鉱物では結晶構造が変化することもある 単一の鉱物が 2 種以上の鉱物になることもある このように新しい鉱物が形成される過程を一般に再結晶作用という 既存の岩石が 地下深部で強い加熱 圧縮 変形などの諸作用を受けた結果 鉱物組成や鉱物の組織変化した岩石を変成岩といい この様な変化を起こさせた働きを変成作用という [1] 表 -5 に変成作用により新たに形成された主な鉱物を示す 表 -5 変成岩の主な鉱物 [1] 鉱物名英名化学組成色 ザクロ石 garnet X 3 Y 2 (SiO4) 3,X:Ca,Mg,Fe,Mn Y:Al,Fe,Cr の固溶体 赤色 褐色 黄色 緑色 黒色 十字石 staurolite Fe 2 Al 9 O 23 (OH) 黄 ~ 黄金色 紅柱石 andalusite Al 2 SiO 5 淡紅色 灰色 珪線石 sillimanite Al 2 SiO 5 白色 クロリトイド chloritoid (Fe,Mn,Mg)(Al,Fe) 2 SiO 5 (OH) 2 青色 キンセイ石 cordierite (Mg,Fe) 2 Al 4 Si 5 O 18 nh 2 O 青色 コランダム corundum Al 2 O 3 黄 赤 青色 スカポライト scapolite (Na,Ca,K) 4 Al 4 Si 9 O 24 (Cl,CO 3,SO 4 ) 白色透明 ~ 淡紫色 緑泥石 chlorite (Mg,Al) 6 (Si 4 O 10 )(OH) 8 緑色 プレーナイト prehnite Ca 2 Al 2 Si 3 O 10 (OH) 2 黄色 緑黄色 パンペリー石 pumpellyite Ca 4 (Fe,Mg)(Al,Fe) 5 Si 6 O 22 (OH) 3 2H 2 O 淡青緑 ~ 暗緑色 ローソン石 lawsonite CaAl 2 Si 2 O 8 2H 2 O 薄青色 緑簾石 epidote Ca2(Al,Fe)Al2O(SiO4)(Si2O7)(OH) 緑 ~ 青色 石墨 graphite C 黒色

11 1.3.1 変成作用の種類 広域変成作用 (regional metamorphism) 数十億年から現在までの間に 大陸プレートどうしの衝突や海洋プレートの沈み込みなどに起因する幅が数 10km~ 数 100km 長さが数 100km~ 数 1000km にもおよぶ細長い変成帯が生じた このような地帯の岩石は 長期間 (1 億年以上 ) にわたって高温高圧下で激しい変成作用を受け続けてきた 堆積岩や火成岩が地殻運動に起因する大きな強い圧力を受けると 元の岩石 ( 原岩 ) が変化を起こし 岩石全体がある方向に剥がれやすくなる このように 新しい鉱物が形成され ある方向に配列し 薄く剥がれやすい性質を持つ変成岩を結晶片岩 (crystalline schist) という 花崗岩や石英斑岩 流紋岩などの火成岩起源の岩石が強い圧力を受けると片麻岩 (gneiss) になる 片麻岩は新たに形成された鉱物がある方向に平行に並んでいることは 片岩と同一であるが薄く剥がれない点が異なる 細粒の泥岩や凝灰石が極低温 極低圧の広域変成作用を受けると剥離性を持った岩石になる このような岩石には粘板岩や千枚岩がある 千枚岩は粘板岩と結晶片岩の中間的な岩石で 粘板岩より再結晶作用が進んでいる 千枚岩では雲母 緑泥石などの板状の鉱物が平行に配列した面構造 ( 片理 :schistosity) が認められる [1] 局所変成作用 (local metamorphism) 局所変成作用は 広域変成作用と比較し 小規模な範囲で起こる地殻内の変成作用である 局所変成作用は それをもたらす要因により 接触変成作用 (contact metamorphism) 熱水変成作用(hydrothermal metamorphism) 動力変成作用(dynamic metamorphism) 衝撃変成作用(impact metamorphism) 交代作用(metasomatism) の 5 つに分けることができる 接触変成作用は 花崗岩などの貫入岩体からの熱拡散により母岩が局所的に再結晶することである 接触変成作用で形成される岩石の多くは 原岩の化学組成にかかわらず 新たに片理や片麻状組織を形成しないのが一般的である 熱水変成作用は 高温の熱水やガスが岩石の割れ目にそって侵入し 岩石の化学組成が変化しておこる局所的な変成作用である 交代作用は 流体が鉱物粒内部や鉱物の粒間をとおる拡散で 岩石の鉱物組成 化学組成が変化する変成作用である [1] 変成岩の代表的岩石 a. 石英片岩 (quartz-schist): 石英片岩は 石英を主成分とする結晶片岩である 堆積岩起源の片岩と比較し 片理の発達が悪く また剥離性も劣る 他の鉱物はほとんど含まれない b. 黒雲母片岩 (biotite-schist): 黒雲母片岩は 多量の黒雲母と 少量の石英が含まれており 片状をなし 片理

12 が著しく 代表的な結晶片岩である 多量の黒雲母が認められることは 原岩がカリウム アルミニウム 鉄 マグネシウムなどを多く含んだ泥質岩と考えられる c. 千枚岩 (phylite): 千枚岩は 結晶片岩と比較し結晶度が低く 粘板岩より再結晶が進んでいるが結晶片岩との中間的なものである 片理はよく発達しており 成分中の絹雲母や緑泥石が片理方向に並んでいる 色は暗緑色のものが多い 成分としては 石英 絹雲母 緑泥石 黒雲母が主で その他には石墨 磁鉄鉱などが含まれている d. 黒雲母片麻岩 (biotite-gneiss): 黒雲母片麻岩は K 2 O や Al 2 O 3 を多く含む泥質の堆積岩から変成したものと考えられる 成分としては 石英 長石などの白粒状鉱物と緑泥石や緑簾石などの片状有色鉱物が含まれている 黒雲母片岩と比較し 広域変成作用で受ける変成温度がはるかに高温であったため 片麻岩になったと考えられる e. 花崗片麻岩 (granite-gneiss): 花崗片麻岩は 花崗岩が広域変成作用を受けて 構成物質が圧砕され 再結晶して 縞状組織の配列になったものである 成分としては 石英 長石の白色鉱物と黒雲母と少量の角閃石などを含んでいる 石英 長石質の岩石は変成作用により片岩になりにくく片麻岩になりやすい f. 大理石 (marble): 大理石は 石灰岩が 主としてマグマの熱による変性を受け 再結晶して方解石の結晶集合体になった変成岩である 原岩の石灰岩が不純物を含まない場合は純白の大理石になるが 不純物がある場合や変性によりスカルン鉱物が形成されると 色や模様がついたりする g. 珪岩 (quartzite): 珪岩は チャートや石英質砂岩 その他の珪質岩が圧力や熱による変性作用を受け 結晶質になり 極微粒石英の集合体となった岩石である 石英を主成分とする石英片岩と似ているが 石英片岩は石英粒が片理方向に並んでいる 変成岩の見分け方 ( 目視 ) [4] a. 一般に片理 ( 薄く剥がれ易い ) 性質がある b. ハンマーでたたくと ある面に沿ってすぐ割れる c. 緑色やピンク色のきれいな結晶鉱物が多く含まれているため 輝きのある岩石が多い d. 岩石中に黒雲母のきれいな結晶が見られるのは 暗い紫色で 緻密で硬い e. 結晶が並んで 縞模様をつくっている

13 2. 日本におけるにおける岩石岩石の採取量採取量と主な用途 2.1 石灰石 珪石 珪砂 ドロマイト表 -6 に石灰石 ( 石灰岩 結晶質石灰岩 ) 珪石( チャート 珪岩 珪質砂岩 石英片岩など主に石英から成る鉱物や岩石類 ) 珪砂( 珪岩 ) ドロマイト( 苦灰岩 ) の 2005 年における国内の生産量及び用途別使用量を示す 表 -6 石灰石 珪石 珪砂 ドロマイトの生産量及び用途別販売数量 (2005 年 ) [7] 石灰石 珪石 珪砂 ドロマイト 生産数量千 t 165,240 12,600 4,549 3,534 販売数量千 t 156,630 % 11,163 % 4,395 % 3,595 % 鉄鋼 製錬用 23, 鋳物 耐火物用 セメント用 65, , ソーダガラス用 , 道路用 7, , コンクリート用 34, , , その他用 23, , , 出典 : 経済産業省経済産業政策局 資源エネルギー統計月報 石灰石 :2005 年における石灰石の生産量は 1 億 65 百万トンであり 日本における産地は北海道から沖縄県にかけて広く分布している 特に福岡県 大分県 岡山県 山口県 東京都 埼玉県が生産量の約 60% を占めている 石灰石の用途の 42% がセメント用途であり 粘土や珪石と混合 粉砕 焼成してセメントクリンカを製造し ついで石膏を混合 粉砕してセメントを製造する セメントは大半がモルタル及びコンクリート用として消費されている 鉄鋼用途 ( 焼結用 製銑用 フェロアロイ用 製鋼用等 ) として約 24 百万トンが消費されている [3] 珪石 : 珪石の生産量は 1260 万トンであり その大半がコンクリート セメント 道路用途の建築 土木用途に消費されている 珪石は銑鉄やスクラップから鋼を造るときに 酸化鉄や硫黄分を取り除く材料として また 特殊な鋼や鋳鉄の成分添加剤としても使用されている 石英は 珪石の最も純粋な結晶を指し 光学レンズや石英ガラス 半導体原料として使用される 日本における産地は全国に分布している 主な産地としては島根県 佐賀県 岩手県 埼玉県 群馬県 栃木県 愛知県などがあ る [3] 珪砂 : 珪砂は珪酸分の多い石英の砂をいう 珪砂は陸地で地層として分布したり 河口や海岸で砂浜として存在する これらを天然珪砂と呼んでいる 珪砂の生産量は約 455 万トンであり 板ガラス ガラス製品 ガラス繊維などの主原料として使用さ

14 れている [3] ドロマイト : ドロマイトの生産量は 353 万トンであり 一般に石灰岩に伴って産出する 日本における産地は栃木県が全国生産量の約 90% を占める その他岐阜県 三重県 北海道 愛媛県などで産出する ドロマイト原石の工業利用では鉄鋼用途が重要であり 出銑と製鋼の工程で使用される その他コンクリートの骨材 耐火物 ガラス用途として使用されている [3] 2-2 砕骨材 石材 工業原料用岩石表 -7 に用途別の岩石生産量を示す 表 -7 用途別岩石生産量単位千トン 表 -8 に岩石別 用途別生産量を示す 表 -8 から 岩石の用途は大別して砕骨材 石材及び工業用材料に分けられる 2005 年における岩石の採取量は約 3 億 54 百万トンであり そのうち砕骨材用途が約 67% 石材用途が約 32% 工業原料用途が約 1% である 表 -7 から道路用としては路盤材として使用されている 切石用途としては墓石 建築 彫刻 石垣などに使用される 間知石 割石は主に河川の護岸などに使用される 割ぐり石は土木 建築の基礎工事用や防波堤など港湾の基礎工事に使用されている [12] 用 途 生産量 比率 道路用骨材 96, コンクリート用骨材 75, 鉄道 道床用骨材 1, 砂 28, 切石 3, 間知石 割石 1, 割ぐり石 11, 工業用原料 4, その他 130, 合 計 354, 表 -8 岩石別 用途別生産量単位 : 千トン出典 : 資源エネルギー庁資源 鉱物資源課 [9] 岩石名採取量比率 用途別生産量と比率 砕骨材用途 % 石材用途 % 工業原料 % 砂岩 133, , , 安山岩 66, , , 花崗岩 51, , , 凝灰岩 16, , , 粗面岩 13, , , 粘板岩 13, , , 頁岩 12, , , 玄武岩 8, , , 蛇紋岩 1, , その他 36, , , ,148 3

15 合計 354, , , ,785 1 砂岩 (sandstone): 砂岩は 主に砂が続成作用により固結してできた岩石で 堆積岩で最も一般的である 2005 年における砂岩の生産量は約 1 億 33 百万トンと全体量の 38% を占める 砂岩は汎用的な建材であり 構造材や一般的な仕上げ材 屋根材として使用されている また 道路 石垣 石段など利用範囲が広い 安山岩 (andesite): 安山岩はマグマが噴出して冷えたものである 安山岩の生産量は約 67 百万トンと全体量の 19% を占める 安山岩は石垣や石壁 また砕石 ( 砂利 ) としてコンクリートの骨材 土木用の基礎工事 間知石として使用される 最近では特殊な石材として鉄平石などは床 壁材として大量に使用されている 国内の主な山地は福島県 ( 白河石 須賀川石 ) 栃木県 ( 芦野石 ) 神奈川県 ( 本小松石 ) 群馬県 ( 赤城小松石 ) 山梨県 ( 山崎石 ) 長野県 ( 鉄平石 ) 大分県 ( 日田石 ) などがある 花崗岩 (granite): 花崗岩は マグマがゆっくりと冷えてできた岩石である 花崗岩の生産量は約 52 百万トンと全体量の 15% を占める 花崗岩は緻密で硬いことから 石材としての利用が多く 石の鳥居や石垣 石橋 建築物の外壁 墓石 パネルなど広範囲に利用されている 花崗岩は石材としては御影石とも呼ばれており 斑糲岩や閃緑岩も含めて御影石という 国内の御影石の主な山地は岡山県 ( 北木石 万成石 ) 岐阜県 ( 蛭川石 ) 香川県 ( 庵治石 ) 茨城県 ( 稲田石 ) 広島県 ( 議院石 ) などがある 凝灰岩 (tuff): 凝灰岩は火山砕屑物が 火山灰によって固められた堆積岩である 凝灰岩の生産量は約 17 百万トンと全体量の 5% を占める 凝灰岩は主に住宅 倉庫 防火壁 階段 貼石 石塀 門柱 敷石 石垣など 建築材料として使用されている 国内の凝灰岩の主な産地は 北海道 ( 札幌軟石 ) 秋田県 ( 十和田石 ) 宮城県 ( 松島石 ) 栃木県 ( 大谷石 ) 石川県 ( 日華石 ) 福井県 ( 笏谷石 ) 静岡県 ( 伊豆青石 ) 兵庫県 ( 龍山石 ) などがある 粗面岩 (trachyte): 粗面岩は主としてアルカリ長石及び有色鉱物の班晶を含む火山岩である 国内で採取されている粗面岩は石英粗面岩と呼ばれる酸性火山岩が主であり その生産量は 13 百万トンと全体量の 4% を占める 粗面岩は主に骨材として利用されている 粘板岩 (slate): 粘板岩は泥岩や頁岩が密圧作用により硬くなり 薄く剥がれるような性質を持った変成岩である 粘板岩の生産量は 13 百万トンと全体量の 4% を占める 粘板岩は砕骨材としての利用の他 スレート瓦や塀などの建築材料 硯などの材料として利用されている 国内の主な産地は岡山県 ( 高田硯 ) 宮城県 ( 雄勝石 ) 三重県 ( 那智黒石 ) などである 蛇紋岩 (serpentinite): 蛇紋岩はカンラン岩などの超塩基性岩類が水と反応し 蛇紋岩化作用を受けて生成する 蛇紋岩の生産量は 155 万トンである 蛇紋岩は製鉄時

16 に溶鉄中のスラグを取り除く高炉用造滓材として利用されている

17 3. 鉱物性生産品 ( 土石類 ) の国別輸入量表 -9 に 2005 年における鉱物性生産品 ( 土石類 ) の輸入量及び上位 3 ヶ国名 占有率を示す 表中の品目名は原則として財務省関税率解説表の品名を採用した [6] 表 -9 鉱物性生産品の国別輸入量出典 : 財務省貿易統計 2005 品目名 天然黒鉛 ( 粉状 フレーク状 ) 1) ~12 輸入実績 単位 合計 輸入国 輸入量 比率 トン 37,983 中華人民共和国 35, スリランカ 1, ブラジル その他 トン 2,135,728 中華人民共和国 1,379, 天然の砂 ( けい砂 石英砂 ) 2) スリランカ 549, ブラジル 127, その他 79, トン 3,936,180 中華人民共和国 3,747, カオリン質砂 長石質砂 3) 台湾 187, オーストラリア 1, その他 トン 40,170 中華人民共和国 18, 石英 4) 台湾 8, オーストラリア 6, その他 6, トン 114,384 中華人民共和国 47.3 珪岩 5) 台湾 30.2 オーストラリア 17.2 その他 5, トン 1,275,501 中華人民共和国 827, カオリンその他カオリン系 粘土 6) 台湾 261, オーストラリア 106, その他 80,

18 表 -9 鉱物性生産品の国別輸入量 [6] ( つづき ) 出典 : 財務省貿易統計 2005 品目名 ~12 輸入実績 単位合計輸入国輸入量比率 トン 203,749 アメリカ合衆国 159, ベントナイト 7) 中華人民共和国 42, ニュージーランド その他 1, 耐火粘土 カイアナイト ム ライト フラーズアース シ ャモナイト アンダルーサイ トン 175,732 中華人民共和国 145, アメリカ合衆国 12, 南アフリカ共和国 11, ト等の粘土 8) その他 5, 白亜 9) トン 114 中華人民共和国 りん灰石 天然のりん酸カルシウ ム及びりん酸アルミニウムカ ルシウム 10) トン 774,297 中華人民共和国 387, ヨルダン 149, モロッコ 111, その他 125, トン 75,852 中華人民共和国 70, 天然の硫酸バリウム ( 重晶石 ) 11) 北朝鮮 5, タイ その他 トン 6,980 アメリカ合衆国 5, 珪藻土 けい酸質の土 12) 中華人民共和国 1, メキシコ その他 トン 3,480 アメリカ合衆国 1, パミストーン 13) 中華人民共和国 メキシコ その他 トン 11,515 インド 7, エメリー 天然のコランダ ム 天然のガーネット 14) 中華人民共和国 3, アメリカ合衆国 その他

19 表 -9 鉱物性生産品の国別輸入量 [6] ( つづき ) 出典 : 財務省貿易統計 2005 品目名 ~12 輸入実績 単位合計輸入国輸入量比率 トン 9,726 中華人民共和国 6, スレート 15) フランス 2, ドイツ その他 トン 21,864 イタリア 7, 大理石及びトラバーチン 16) トルコ 4, ポルトガル 2, その他 7, トン 2,521 ドイツ 1, エコーシン 17) トルコ ポルトガル その他 トン 44,696 中華人民共和国 1, 花崗岩 18) インド 南アフリカ共和国 その他 42, トン 3,171 インド 1, 砂岩 19) 中華人民共和国 ドイツ その他 トン 6,047 大韓民国 2, 石碑用又は建築用の岩石 20) インドネシア 中華人民共和国 その他 2, 小石 砂利 砕石 ( コンクリ ート用 道路舗装用 鉄道 用 ) シングル及びフリント トン 239,673 中華人民共和国 108, 台湾 68, フィリピン 28, ) その他 33,

20 表 -9 鉱物性生産品の国別輸入量 [6] ( つづき ) 出典 : 財務省貿易統計 2005 品目名 ~12 輸入実績 単位合計輸入国輸入量比率 トン 2,446,232 中華人民共和国 1,360, ドロマイト 22) フィリピン 564, タイ 491, その他 29, 天然の炭酸マグネシウム 溶 融マグネシア 焼結マグネシ ア及び酸化マグネシウム トン 585,028 中華人民共和国 554, 大韓民国 15, 北朝鮮 10, ) その他 4, 天然石膏 天然無水石膏 天 然石膏を焼いたもの又は硫 酸カルシウムからなるプラ トン 1,960,178 オーストラリア 976, タイ 975, モロッコ 3, スター 24) その他 4, トン 293,871 ベトナム 134, 石灰石 石灰質の岩石 ( 石灰 又はセメント用 ) 25) マレーシア 98, 中華人民共和国 37, その他 23, トン 207,210 中華人民共和国 206, 生石灰 消石灰及び水硬性石 灰 26) アメリカ合衆国 インドネシア その他 ポートランドセメント アル ミナセメント スラグセメン ト スーパーサルフェートセ トン 951,051 大韓民国 873, 中華人民共和国 57, フランス 17, メント 水硬性セメント 27) その他 2, トン 110 ジンバブエ 石綿 28) ブラジル カナダ その他 0 0.0

21 表 -9 鉱物性生産品の国別輸入量 [6] ( つづき ) 出典 : 財務省貿易統計 2005 品目名 ~12 輸入実績 単位合計輸入国輸入量比率 トン 61,513 中華人民共和国 45, 雲母 29) インド 7, カナダ 4, その他 5, トン 285,976 中華人民共和国 271, ステアタイト及びタルク 30) オーストラリア 4, フィンランド 3, その他 6, 天然硼酸塩及びその精鉱 トン 28,084 トルコ 19, ) ロシア 8, トン 18,733 大韓民国 15, 長石 32) インド 1, 中華人民共和国 その他 1, トン 418,465 中華人民共和国 271, 蛍石 33) メキシコ 138, 香港 4, その他 3, 白榴石 霞石 霞石閃長岩 34) トン 2,794 カナダ 2, トン 264,627 中華人民共和国 244, 蛭石 真珠岩 緑泥石 35) 南アフリカ共和国 14, ジンバブエ 1, その他 3, ) 黒鉛 (graphite): 黒鉛はダイヤモンドと同様に炭素からなり 硬度 ( モース ) は1 ~2と軟らかい 外観は石炭の様に黒く 特有の金属光沢と潤滑性に富み 揮発分や灰分を含む 天然黒鉛は外観や性状により 鱗状黒鉛と土状黒鉛に分けられる 日本では岐阜県 富山県で産出したが 現在は全量を輸入している 黒鉛は電気の良導体で 潤滑性に優れ 耐熱性があるため 電極 電刷子 炭素棒 坩堝など炭素工業の主原料となるほか 耐火物 鉛筆 鋳物塗型材 減

22 磨材 パッキング等に使われる [3] 2) 珪砂 (silica sand) 石英砂: 珪砂は花崗岩あるいは珪岩と呼ばれる岩が 雨風 あるいは振動によって細かくなり 粒状に変化したものであり 海 湖 川または採石場の砂から採取している 珪砂は板ガラス ( 建造物 自動車 車輌用 ) ガラス製品 ( 清酒 ビール 牛乳などの生活用ガラス製品及び電球 蛍光灯 ブラウン管などの産業用ガラス製品 ) ガラス繊維 ( 断熱材 コンクリート強化材 プラスチック強化材 ) 鋳物砂として広く使用されている 3) カオリン質の砂 長石質砂 : カオリン質の砂を含む粘土状の砂は主に鋳型及び耐火物の製造に使用されている 長石質の砂は陶磁器やタイルの窯業品の原料として また研削砥石 ガラス繊維や溶接棒の融着結合材 板ガラスなどに使用されている 4) 石英 (quartz): 石英は天然に産出する結晶状のシリカ (SiO2) である 主に水晶振動子 光ファイバー 化学器具 光学機器に用いられる石英を材料としたガラスの製造などに使用される 5) 珪岩 (quartzite): 珪岩はチャートや珪質砂岩が熱による変成を受けた変成岩で 石英が再結晶して大きくなったものである 主に道路の舗装用石 敷石などに使用される他に 合金鉄 ( フェロアロイ ) 研削材 耐火材 陶磁器 ガラス製品 セメント 建材などに広く使用されている 6) カオリン (kaolin) カオリン系粘土 : カオリンはカオリナイト (kaolinite: Al2Si2O5(OH)4) デイッカイト(dickite) ナクライト (nacrite) などの鉱物の総称 またはそれらからなる天然に産出する粘土のことである アメリカには世界最大規模の鉱床があり 良質のカオリナイトが産出する カオリンは蛙目粘土や長石とともに重要な窯業原料である 陶磁器 床タイル 衛生陶器などの原料として使用される また カオリンは優れたレオロジー特性を持つことから 紙用コート材 塗料 接着剤 ゴム プラスチック 化粧品 医薬用などに使用されている 7) ベントナイト (bentonite): ベントナイトは火山灰が海や湖の底に堆積し変質した粘土鉱物であり 主にモンモリロナイト (montomorillonite: (Al,Mg)8 (Si4O10)4(OH)8 12H2O) を主成分とする ベントナイトは水を加えると もとの体積の約 5~10 倍に膨潤する性質がある 他の粘土と比較し 粘性に富みチキソトロピー性がある ベントナイトは鋳物砂の粘結材 土木建設工事用 ボーリング泥水用 土壌改良用 製鉄 合金鉄ペレット用 肥料 飼料の成形用として使用されている また ベントナイトを有機化合物で処理したものは 潤滑剤 パテ 塗料 インキ 化粧品などに使用されている 8) 耐火粘土 カイアナイト等珪酸アルミノ系粘土 : 耐火粘土は主にカオリナイト

23 やハロサイトなどのカオリン鉱物に 石英などを含む高温に耐える粘土である 耐火粘土は成因によって 熱水性粘土と堆積性粘土に分けられる 熱水性粘土は安山岩や流紋岩などの岩石が 地下から上がってきた熱水により変質した粘土をいう 堆積性粘土は 岩石中のカオリン鉱物が二次的に海や湖に運ばれ堆積した粘土である 珪酸アルミノ系粘土はアルミナ (Al2O3) と珪酸 (SiO2) の 2 成分からなる 主な鉱物はシリマイト (sillimanite: 珪線石 ) カイヤナイト (kyanite: 藍晶石 ) アンダルサイト (andalusite: 紅柱石 ) で結晶状態が異なるだけで同じ化学組成 (Al2O3 SiO2) で表される これら珪酸アルミノ珪粘土は耐火物用材料として使用されている [3] 9) 白亜 (chalk): 白亜は未固結の泥質の石灰岩であり 天然に存在する種々の炭酸カルシウムである 白亜は筆記用又は図画用のチョーク 歯磨き粉などに使用されている 10) リン灰石 天然のリン酸カルシウム及びリン酸アルミニウムカルシウム : 天然のリン酸カルシウムとしてはリン灰石 (apatite) リン酸三カルシウムなどが含まれるが これらは粉砕されて肥料として使用される リン鉱石は成因によって無機質と有機質リン鉱石に分けられる 無機質リン鉱石は マグマや火成岩の生成 活動によるもので代表的な鉱物にリン灰石がある 有機リン鉱石は 古い地質時代の魚類や脊椎動物の遺骸が海底で堆積後 地殻の隆起で陸化してリン灰土 (phosphorite) になったものをいう [3] 11) 天然の硫酸バリウム : 天然に産出する硫酸バリウムは重晶石 (barite) という 重晶石の品位は硫酸バリウム (BaSO 4 ) のパーセントで示すが 一般に不純物が入るため 粗鉱の品位は約 50% 程度と低い 特に銅や鉛 亜鉛の鉱石に伴う場合には 5~10% で 浮遊選鉱で品位を 90% 以上の精鉱にする 重晶石は工業的に利用できる唯一のバリウム鉱物で バリウム塩類の原料として使用されている バリウム塩類としては リトポン ( 塗料 顔料 ) 塩化バリウム( 製紙コーティング剤 医薬原料 ( レントゲン造影剤 ) 硝酸バリウム 炭酸バリウム 酸化バリウムなどがある [3] 12) 珪藻土 (diatomite): 珪藻土は 藻類が海や湖の底に堆積し 珪酸を主体とした遺殻からなる有機質の堆積岩をいう 珪藻土は微細で多孔質な構造なため 表面積が大きく 絶縁性 耐火性に優れている 主な用途としては濾過助剤 耐火断熱レンガの原料 保温材料の原料 農業 園芸用土壌改良剤などに使用されている [3] 13) パミスストーン (pumice stone: 軽石 ): パミスストーンは 流紋岩や安山岩の多孔質の酸性火山岩である 軽石の主な用途は軽量コンクリートの骨材やブロックの原料 耐火モルタルの細骨材などに使用されている

24 14) エメリー (emery) 天然のコランダム (natural corundum) 天然のガーネット : コランダムは酸化アルミニウム (Al2O3) の結晶からなる鉱物で 鋼玉とも呼ばれる コランダムはダイヤモンドに次いで硬い 宝飾業界ではコランダムはサファイアやルビーの総称である コランダムは主に研削材として使用されている エメリーはコランダムの結晶に赤鉄鉱や磁鉄鉱の結晶が分散している鉱物である エメリーは主に粉砕して研磨用として使用されている 15) スレート (slate): 天然スレートは 粘板岩を加工し 薄い板に剥がした岩石である 強度や耐久性に優れているため 屋根材として使われてきた その他 工場の床材 ビルの内外装 ポーチ テラス 塀などに使用される 16) 大理石 (marble) トラバーチン (travertines): 大理石は硬い石灰質の岩石で不透明又は半透明である 通常 無機酸化物が含まれており 種々に着色しているものがある トラバーチンは多孔質の層を含む石灰質の岩石である 大理石の約 90% が内装建築石材 約 10% が硯 文鎮や彫刻品等工芸用として使用されてい る [3] 17) エコーシン (ecaussine): エコーシンは 不規則な結晶構造をもつ青灰色の岩石で 貝殻の化石を含んでいる 主に建築用として使用される 18) 花崗岩 (granite): 花崗岩は 石英 長石 雲母などの鉱物からなる岩石で 日本では神戸市御影地域が代表的な産地であったため 御影石 とよんでいる 花崗岩は一般には淡灰色 ~ 帯紅色であるが 雲母や角閃石が多いと黒味を帯び 長石の色によって白味 ~ 桃色になる 花崗岩は石材の中でも堅硬で耐圧 耐震性に優れ 美観が他の石材に較べて優れているため 石碑用 建築用石材として使用される [3] 19) 石碑用又は建築用の岩石 : 玄武岩 (basalt, 黒色の非常に緊密で硬い一種の火成岩 ) 蛇紋岩 (serpentinemarble, 天然の珪酸マグネシウムの一種 ) 閃長岩 (syenite) 片麻岩 (gneiss) 粗面岩 (trachyte) 溶岩 (lava) 輝緑岩 (diabase) 閃緑岩 (diorite) 響岩 (phonolite) 等が石碑用や建築用岩石として使用されている [10] 20) 砂岩 (sand stone): 砂岩は 石英質又は珪酸質の物質が自然に凝結した堆積岩である 輸入された砂岩の用途は石碑用 建築用石材として使用される 21) 小石 砂利 砕石 : 輸入された小石 砂利 砕石の用途は コンクリートの骨材 道路舗装用又は鉄道用のバラストとして使用される 22) ドロマイト (dolomite): ドロマイトは 苦灰石または白雲石ともいう 化学組成は炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムの複塩であり CaCO3 MgCO3 で表される 石灰石とマグネサイトの中間にあたる ドロマイト原石の工業的利用では 鉄鋼用が最も多く 出銑と製鋼の工程で使われる アスファルト舗装混和材 土木建築用砕石 陶磁器用の融剤としても使用される その他板ガラス 耐火物 煉瓦

25 金属マグネシウムの原料 肥料 などの用途がある 23) マグネサイト (magnesite): マグネサイトの化学式は MgCO3 で表される マグネサイトを高温で焼成したマグネシアクリンカー及び溶融マグネシアの輸入量が圧倒的に多い マグネシアクリンカーは 鉄鋼 セメント ガラスの製造に必要な耐火煉瓦や不定形耐火物の主原料として使用されている 24) 石膏 (gypsum): 天然石膏は熱帯性の乾燥気候のもとで 海水や湖水の塩分が蒸発乾固して硫酸カルシウムが析出してできる 純粋な石膏は無色透明な結晶で 白色の塊状で産出する 石膏には 繊維状に細長い結晶をした繊維石膏や 雪の様な針状の結晶をした大理石模様の雪花石膏 ( アラバスター ) がある 石膏には地下資源として取れる天然石膏のほかに 化学的に副生する化学石膏がある 化学石膏には 肥料工場でリン鉱石からリン酸を生産する際に副生するリン酸石膏 (phospho gypsum) や火力発電所等の排煙中の硫黄酸化物を除くため 石灰石粉末や消石灰に反応させて回収 副生した排煙脱硫石膏がある 日本においては 秋田県 山形県 宮城県 福島県 石川県 島根県などで採取されていたが 現在 生産は行われていない 天然石膏の用途としては セメント混和剤 建築材料の石膏ボード用原料が主な用途である 石膏をか焼すると焼石膏になり 美術工芸用 ギブス 白墨 レンズ研磨用 豆腐の凝固剤などに使用されている [3] 25) 石灰石 石灰質の岩石 : 石灰石その他の石灰質の岩石は 通常 石灰又はセメントの製造用として使用される 石灰石は主に鉄鋼業において融剤 (flux) 土壌改良用として使用される 26) 生石灰 消石灰 水硬性石灰 : 生石灰 (quicklime 不純な酸化カルシウム) は 石灰石をか焼して得られ 水と急速に結合して消石灰 (slakedlime 水酸化カルシウム ) を生じる 消石灰は通常土壌改良用 精糖工業で使用されている 水硬性石灰は 粘土を十分な量含む石灰石を低温でか焼して得られる [10] 27) ポートランドセメント アルミナセメント 水硬性セメント : ポルトランドセメントは多種多様にあるセメントの種類のなかで 最も多様されており石灰石 粘土 珪石 酸化鉄原料 石膏を調合し 粉砕機で粉砕し 焼成工程 仕上げ工程を経て生産される ポルトランドセメントは その固まったものの色や硬さがイギリスのポルトランド岬から産出される建築材 ポルトランドストーン によく似ている事からポルトランドセメントと呼ばれている アルミナセメントはポルトランドセメントが珪酸石灰を主体とするのに対して ボーキサイト アルミナ等アルミン酸石灰を主成分とするセメントで 耐火性 耐食性 早強性に優れているため緊急の捕集工事や低温下での工事 耐火物 化学工場での建設工事等に使用される [11]

26 28) 石綿 (asbestos): 石綿は天然に産する唯一の繊維状の鉱物であり 母岩の種類により蛇紋岩系石綿と角閃石系石綿に分けられる 蛇紋岩系石綿は 一般にクリソタイル (chrysotile) または温石綿とも言い 石綿の生産量の約 95% を占めている 組成は 珪酸マグネシウム (3MgO 2SiO2 2H2O) で蛇紋岩と成分は同一である 産地は ロシア カナダ 南アフリカが世界の生産量の約 80% を占める 石綿は酸 アルカリに強く 腐食することがない また 耐熱性や絶縁性があり 機械的強度にも優れている この様な特性を有するため日本では建設資材 電気製品 自動車 家庭用品等 様々な用途に広く使用されてきた [3] しかし 石綿繊維を吸入すると肺癌や中皮種を引き起こす確率が高いため 石綿を使用した製品は全面製造禁止となったが 代替品が確立していないジョイントシートガスケット 渦巻き形ガスケット メタルジャケット形ガスケット グランドパッキング 国産ミサイル用断熱材など 6 種 (2007 年 2 月現在 ) については 代替技術が確立されるまで製造の禁止が猶予されている 29) 雲母 (mica): 天然雲母は珪酸アルミニウム系の鉱物で 白雲母 (muscovite) 金雲母 (phlogopite) 黒雲母(biotite) などの種類がある 雲母は 石英や長石とともに雲母の大きい結晶からなるペグマタイト (pegmatite: 巨晶花崗岩 ) が母岩である 主な産地はインド カナダ アメリカ 中国 ブラジルなどである 雲母は耐熱性と電気絶縁性があり 加工処理を行って電気絶縁材料として使用されている その他 ゴム ペイント 樹脂の充填材など用途が広い [3] 30) ステアタイト及びタルク : タルクの化学組成は含水珪酸マグネシウムであり 硬度 ( モース )1と軟らかい 純粋で緻密な塊をステアタイト(steatite) といい 必ずしもタルクと明確な区別はない タルクは無害で滑性に富み 吸収性や付着力が良く 白色度が高いためカオリンと同様製紙工業界で多く使用されている その他 陶磁器の釉 ステアタイト磁器の材料 合成樹脂や農薬 ゴム 化粧品 医薬品の添加成分として使用されている 31) 天然硼酸塩及びその精鉱 : 硼素を含む天然物を硼素鉱物といい 代表的な硼素鉱物としては硼砂 ( テンカル tincal) カーン石(kernite) 灰硼石 ( コレマナイト colemanite) 曹灰硼石( ウレキサイト ulexite) 等がある 硼砂 硼酸はガラス製品 ガラス繊維などの窯業用 メッキ 医薬 防腐剤 殺虫剤 触媒などに使用されている [3] 32) 長石 (feldspar): 長石は 石英や雲母とともに 岩石の主要な鉱物で ほとんどの岩石に含まれている 長石には正長石 (orthsoclase:k 2 O Al 2 O 3 6SiO 2 ) 層長石 (albite:na 2 O Al 2 O 3 6SiO 2 ) 灰長石 (anorthite:cao Al 2 O 3 6SiO 2 ) などがあり 曹長石と灰長石を併せて斜長石と呼ぶ 長石類は一般にはペグマタイト アプライト (aplite: 半花崗岩 ) や風化花崗岩中に産する場合が多い 日本における産地

27 としては 滋賀県の信楽町 岐阜県釜戸町 長野県木曽郡 愛知県などに産出する 海外では韓国 中国 インド オーストラリアなど世界中で産出する 長石の用途としては 陶磁器の原料 研削砥石 ガラス繊維や溶接棒の融着結合剤 ガラス用原料 ゴム 塗料 プラスチックの充填材 耐火セメント 屋根タイルの材料として使用されている [3] 33) 蛍石 (fluorspar): 蛍石の化学組成はフッ化カルシウム (CaF 2 ) であり 一般に塊状や粉状の原石が多い 主な産地はメキシコ 中国 モンゴル 南アフリカ タイ スペイン イタリアなどがある 日本においては 新潟県や岐阜県で産出したが 現在は 国内での産出は無い 蛍石の用途としては 鉄鋼やアルミニウム製錬時の溶剤としての用途が多い 蛍石に含まれるフッ素は他の元素と反応してフッ化物を生成するため フッ化物工業の重要な原料である フッ化物としては フッ酸 フッ素樹脂 フロンガス フッ化ナトリウムなどがあり 広く使用されている [3] 4. 参考資料 [1] 周藤賢治 小山内康人 : 記載岩石学, 共立出版株式会社 [2] 木下亀城 : 岩石鉱物, 保育社 [3] 吉田國夫 : 鉱産物の知識と取引, 財団法人通商産業調査会 [4] 三木幸蔵 : わかりやすい岩石と岩盤の知識, 鹿島出版会 [5] 鈴木淑夫 : 岩石学辞典, 朝倉書店, [6] 財務省 : 貿易統計,2005 [7] 経済産業省経済産業政策局 資源エネルギー統計月報 [8] 経済産業省製造産業局住宅産業窯業建材課編 : 砕石統計年報, 平成 16 年 [9] 資源エネルギー庁 鉱物資源課 : 砕石業者の業務の状況に関する報告書の集計結果, 平成 17 年版 [10] 財務省貿易統計関税率表解説 [11] 社団法人セメント協会ホームページ 年 2 月 [12] 国土交通省河川局河川環境課 : 石積み構造物の整備に関する資料, 平成 18 年 8 月