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くうしょうこびき
4 years ago
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1 標準岩石試料と ISO 取得 ( 独 ) 産業技術総合研究所岡井貴司

2 標準岩石試料 ( 地球化学標準物質 ) とは各種地質試料の化学分析用標準試料として旧工業技術院地質調査所時代の 1964 年から作製を開始した世界各国 (43 カ国 460 機関うち国内 260 機関以上 ) の研究機関との共同研究により ( 配布試料総数約 1 万個 ) 化学組成や同位体組成年代値の信頼性の高いデータを定め公表してきたこの標準試料は世界中で活用されており分析精度を高める標準として世界的に大きな貢献をしている 2

3 標準試料の種類 45 試料火成岩 : 安山岩玄武岩花崗岩流紋岩はんれい岩閃長岩長石堆積岩堆積物 : 石灰岩ドロマイトスレートチャート湖底堆積物河川堆積物海底堆積物サンゴシャコガイ土壌コールフライアッシュ鉱石 : マンガンノジュール鉛 - 亜鉛鉱石銅鉱石 3

ホームページ http://riodb02.ibase.aist.go.jp/ geostand/welcomej.

4 ホームページ geostand/welcomej.html データベース標準値個別の分析値が検索可能産地粒度顕微鏡写真や分析方法使用上の注意入手方法参考文献などが参照できる 4

5 ISO 対応を検討した背景 (1) 配布方法の変更 (2001 年 4 月 ) 地質調査所時代無償配布共同研究の形をとり何らかの化学分析値を報告 ( 義務 ) 報告された値を取りまとめ標準値を決定産総研移行後有償販売販売したものに対して分析値の報告を義務付けることは無理初めからある程度の成分について標準値を設定する必要 ISO に対応した認証標準物質にすることが望ましい 5

6 ISO 対応を検討した背景 (2) 学会等周辺の動き地球化学標準物質の主要雑誌である Geostandards Newsletter 誌 ( 現在は Geostandards and Geoanalytical Research に誌名変更 ) において 1990 年代末から ISO への対応が問題提起された J. S. Kane and P. J. Potts(1999) An Interpretation of ISO Guidelines for the Certification of Geological Reference Materials. など GSJ は地球化学標準物質の主要発行機関として認められており新規に作製した試料の ISO への対応について必ずコメントを求められるようになった他国に先駆けて ISO への対応を行う ( 検討する ) 必要がある 6

7 ISO 認定を取得する意義 1.GSJ 地球化学標準物質は地球化学研究の現場で必要な試料をその時々の要求に柔軟に対応して作製してきた 2. 長年の実績から高く評価され世界中で多く使われており一定の社会的責任を負っている 3. 世の中の様々なことが ISO を初めとする世界的な基準による制約の下に成り立つようになってきた 1. 認定を取得することで世界に通用する標準物質生産者としての社会的責任を果たし今後も研究現場のニーズに柔軟に対応して試料を作製する体制を維持する 2. 地質試料の化学分析を行う中枢機関として世界トップレベルの分析技術 ( 技能 ) を維持する 7

8 認証標準物質とは認証標準物質 (certified reference material)(crm) (ISO Guide 30:1992 JIS Q0030:1997) 認証書のついた標準物質で,1 つ以上の特性値が, その特性値を表す単位を正確な現示へのトレーサビリティが確立された手順によって認証され, 各認証値にはある表記された信頼水準での不確かさが付いているもの. 認証書 : 認証標準物質の使用に当たって重要な全ての情報を含んだ文書認証標準物質 (CRM) に添付する認証書は, その使用に当たって必須の情報を全て含むことが望ましい. 認証書のない標準物質は, 生産費用の多寡にかかわらず, 無価値である. それ故, 認証標準物質生産者は認証書の作成に対し非常に入念な注意を払うことが望ましくなる (ISO Guide 31:2000 JIS Q 0031:2002) 8

9 認定を取得する必要がある規定標準物質の製造 ISO Guide 34:2000 (JIS Q 0034:2001) 標準物質生産者の能力に関する一般要求事項特性値 ( 認証値 ) の付与 ISO/IEC 17025:2005 (JIS Q 17025:2005) 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項その他主な関連規定 ISO Guide 30:1992 (JIS Q 0030:1997) 標準物質に関連して用いられる用語及び定義 ISO Guide 31:2000 (JIS Q 0031:2002) 標準物質認証書及びラベルの内容 ISO Guide 35:1989 (JIS Q 0035:1997) 標準物質の認証一般的及び統計学的原則これらの規定に則り地球化学標準物質の品質システムを構築 9

10 標準物質生産者の認定制度独立行政法人製品評価技術基盤機構 (NITE) 認定センター (IAJapan) ASNITE プログラム Accreditation System of National Institute of Technology and Evaluation ASNITE 認定プログラム JCSS が適用されない校正事業者の認定 JNLA が適用されない試験事業者の認定 ( 試験事業者 (IT) を含む ) 標準物質 (RM) 生産者の認定製品認証機関の認定認定基準 ISO/IEC ( 校正機関 ) ISO/IEC ( 試験所 ) ISO/IEC ISO Guide34 ISO/IEC Guide 65 (ISO/IEC 17025) 標準物質生産者の認定区分化学標準物質生物及び臨床標準物質物理標準物質工学標準物質及びその他の標準物質 10

11 運営組織マニュアル類上級経営管理者 ( トップマネジメント ): 長品質管理者技術管理者 : 地球化学研究グループ長地球化学研究グループ (5 名 ) 標準物質の製造特性値付与協力者管理ユーザーサポートなど広報部地質標本館 (2 名 ) 標準物質の販売窓口販売用在庫の保管管理上級経営管理者の下に : 運営委員会認証委員会技術管理者の下に : 技術委員会地球化学標準物質業務品質基本マニュアル (1 件 ) 各種実施書管理書 (20 件 ) 標準作業手順書 (SOP)(3 件 ) 11

12 認定申請内容標準物質の種類は特性値を付与する成分 ( 項目 ) により 3 つに分ける種類項目特性値の範囲二酸化ケイ素 35w/w% ~ 80w/w% 酸化チタン 0.1w/w% ~ 2w/w% 酸化アルミニウム 10w/w% ~ 30w/w% 全鉄 ( 酸化鉄 (Ⅲ) として ) 1w/w% ~ 20w/w% 地球化学標準物質酸化鉄 (Ⅱ) 0.5w/w% ~ 10w/w% ( 岩石堆積物土酸化マンガン 0.05w/w% ~ 3w/w% 壌粘土 ) 酸化マグネシウム 1w/w% ~ 10w/w% 酸化カルシウム 0.5w/w% ~ 10w/w% 酸化ナトリウム 0.5w/w% ~ 10w/w% 酸化カリウム 0.1w/w% ~ 5w/w% 五酸化リン 0.05w/w% ~ 2w/w% 1. 岩石堆積物土壌粘土 2. 炭酸塩 3. 鉱石鉱物項目は地球化学研究でその岩種において多く使われる表記にする例 : ナトリウム岩石等 :Na 2 O 酸化ナトリウム炭酸塩 :Na ナトリウム地球化学標準物質 ( 炭酸塩 ) 地球化学標準物質 ( 鉱石鉱物 ) 酸化カルシウムバリウム鉄カリウムマグネシウムマンガンナトリウムリンストロンチウム酸化チタン酸化アルミニウム全鉄 ( 酸化鉄 (Ⅲ) として ) 酸化マンガン酸化マグネシウム酸化カルシウム酸化ナトリウム酸化カリウム銅亜鉛鉛 50w/w% ~ 56w/w% 5mg/kg ~ 15mg/kg 15mg/kg ~ 30mg/kg 80mg/kg ~ 200mg/kg 200mg/kg ~ 1000mg/kg 0.2mg/kg ~ 2mg/kg 4000mg/kg ~ 5000mg/kg 3mg/kg ~ 10mg/kg 1000mg/kg ~ 8000mg/kg 0.01w/w% ~ 0.3w/w% 0.2w/w% ~ 10w/w% 10w/w% ~ 20w/w% 0.5w/w% ~ 2w/w% 1w/w% ~ 3w/w% 15w/w% ~ 25w/w% 0.05w/w% ~ 0.5w/w% 0.01w/w% ~ 1w/w% 3w/w% ~ 4w/w% 0.05w/w% ~ 2.5w/w% 0.1w/w% ~ 0.2w/w% 12

13 認証値決定方法及び付与成分認証値 ( 特性値 ) 決定方法 (ISO Guide 35:1989 JIS Q0035:1997) a) 単一の試験室における単一の基準方法による測定 b) 一つの試験室での二つ以上の独立した参照方法による測定 c) 資格がある試験室網による立証された真度を持つ一つ以上の方法を用いる測定地球化学標準物質では共同分析が多く用いられること及びこれまでの値付けの経験から c) を選択し共同分析により認証値決定を行う認証値付与成分 1. 地球化学標準物質はほとんど変質しないため永続的に使用可能 2. 共同分析により認証値を決める 1. 十分に精度の良い分析法が確立されており今後新しい分析法が開発されたとしても認証値が変わる可能性が極めて低い ( ほぼない ) 2. 濃度が比較的高く共同分析が比較的容易である各試料における主成分ないし主成分相当の元素について認証値をつける 13

14 記載内容生産者 ( 発行者 ) 試料名主な使用目的認証値参考値分析方法 ( 測定方法 ) 試料前処理方法 ( 分解方法 ) 認証値の決定方法試料調製方法 ( 作製方法 ) 使用上保管上の注意均質性の確認協力機関認証書例 (JCp-1 1 枚目 ) 独立行政法人産業技術総合研究所地質調査総合センター地球化学標準物質認証書認証標準物質 GSJ CRM JCp-1 サンゴ ( ハマサンゴ ) GSJ certified geochemical reference material JCp-1 Coral (Porites sp.) 本標準物質は, サンゴやその他の炭酸塩等, 類似したマトリックスを持つ試料中の主微量成分濃度の定量において, 分析の精度管理及び分析方法や分析装置の妥当性の確認に用いることができる見認証値成分認証値 (%) 分析方法 ( 下記参照 ) CaO ± ,2,3,4 成分認証値 (μg g-1) 分析方法 ( 下記参照 ) 2) ICP 発光分光分析法た試料についてのみ発行予定 3) フレーム原子吸光分析法 4) 滴定法 Ba 10.3 ± 0.5 2,6 Fe 29 ± 2 2,3 K 185 ± 8 2,3,7 Mg 972 ± 8 2,3 Mn 1.0 ± 0.1 2,3,6 Na 4350 ± 30 2,3,7 P 4.1 ± 0.9 2,5 発行年月日発行責任者 Sr 7240 ± 70 2,3 参考値連絡問い合わせ先など認証成分以外のいつくかの成分について分析値の一例を参考値として以下に示す. 成分参考分析値分析方法参考分析値分析方法参考分析値分析方法成分成分 (mg/kg) ( 下記参照 ) (mg/kg) ( 下記参照 ) (mg/kg) ( 下記参照 ) Al 490,480 2,3 Cl 全 S B Li Zn Cd 0.028, ,6 Mo 0.08, ,6 その他の成分の分析値についても順次産総研地球化学標準試料ホームページ上で公開するので参照されたい. 認証書は前述の共同分析に分析方法より特性値 ( 認証値 ) を決定し 1) 重量法 5) 吸光光度法 6) ICP 質量分析法 7) 炎光法 8) 抽出分離フレームレス原子吸光分析法本14

15 要員の確保育成今後の課題品質システムを今後も維持していくのに必要な人員の確保と品質技術要員としての育成生産化学分析担当者は長期の練成による熟練が必要なため長期的な視点での人員の確保が急務品質システム文書の管理 (1 名以上 ) 内部監査 ( 管理者生産化学分析担当者を除き 4 名 (2 名 2 チーム ) 以上 ) 標準物質の生産 (1 名以上 ) 化学分析 (2 名以上 ) 協力者 ( 共同分析参加機関 ) の確保管理正確な特性値を付与するのに必要な高い技術レベルを持った協力者の確保及び技術レベルを維持するためのチェック機能の強化協力者としての参加を促すこと及び測定監査等チェック機能を強化するための予算の確保が必要ユーザーサポート顧客満足度の調査地球化学標準物質の使い方の指導など 15

16 代理店を通して入手する西進商事ゼネラルサイエンスコーポレーション創和科学 2 種類在庫のあるもの 100g:2 万円在庫の少ないもの 20g:1 万円 ( 同時購入は各 2 本まで ) 標準試料の入手販売実績平成 15 年度 16 年度 17 年度個数金額 ( 千円 ) 5,928 4,504 6,072 新規試料については認証値を付与しなかった成分について共同分析を前提に無料配布 ( 分析値の報告義務有 ) 試料内容量価格カタログ 16

ASNITE 試験事業者認定の一般要求事項 (TERP21) ASNITE 校正事業者認定の一般要求事項 (CARP21) ASNITE 試験事業者 IT 認定の一般要求事項 (TIRP21) ASNITE 標準物質生産者認定の一般要求事項 (RMRP21) ASNITE 試験事業者認定の一般要求事

ASNITE 試験事業者認定の一般要求事項 (TERP21) ASNITE 校正事業者認定の一般要求事項 (CARP21) ASNITE 試験事業者 IT 認定の一般要求事項 (TIRP21) ASNITE 標準物質生産者認定の一般要求事項 (RMRP21) ASNITE 試験事業者認定の一般要求事 IAJapan 測定のトレーサビリティに関する方針 (URP23) 改正案新旧対照表 1. 目的 ~2. 適用範囲略改正案 1. 目的 ~2. 適用範囲略現行 ( 下太線部分は改正部分 ) 3. 引用法令規格規程等 ISO 11843-1 Capability of detection -- Part 1: Terms and definitions (JIS Z 8462-1 測定方法の検出能力