秋田のみちのあり方について ( たたき台 ) 提言 現在我が国は 近年の経済低迷とこれに起因する財政制約 少子高齢化の進展 経済 産業の空洞化 情報技術の飛躍的な発展等 大きな潮流の転換期にあり 戦後構築された社会システムのあり方そのものが問われています また 国土の有効活用 適正管理という観点では

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1 秋田のみちのあり方について ( たたき台 ) 提言 現在我が国は 近年の経済低迷とこれに起因する財政制約 少子高齢化の進展 経済 産業の空洞化 情報技術の飛躍的な発展等 大きな潮流の転換期にあり 戦後構築された社会システムのあり方そのものが問われています また 国土の有効活用 適正管理という観点では 身近な暮らしの質の向上や地域の選択による個性ある地域形成を重視する傾向が顕著になってきているなど 国民意識も大きく変化してきています これまでも 道路の整備により暮らしが変化し また暮らしの変化が道路に更なる高度な役割やサービスを要求するなど 暮らしと道路が相互に密接に関係しあってきたところですが 社会経済情勢や国民意識が大きく変化している今日において 道路に求められるサービスについて原点に立ち返って検討すべき時期にあると言えます 一方 秋田県においては 口の減少や少子 高齢化 労働生産性の低い産業構造 自立と開放性が不 足している地域社会といった基本問題を抱えており 特に高速交通網を享受しにくい地域においては深刻 なものとなっています 秋田のみちを考える懇談会 では 今後の秋田県内の道路サービスのあり方 道路行政の進め方につ いて検討することを目的として 平成 14 年 5 月に発足し 討論を行ってきました また これまでは 全国一律の基準により道路など社会資本の整備が進められてきましたが 今後は 地域の実情にあった基準 制度 ( ローカルスタンダード ) づくりに取り組み 道づくりの発想の転換を 地方から発信していく必要があります 秋田の実情にあった きめこまやかな道づくりを進めていくため このたび 本懇談会において 秋田のみちのあり方 についてとりまとめたので ここに提言するものです 提言 1. 々の交流と連携を支えるみちづくり提言 2. いのちとくらしを守るみちづくり提言 3. 美しい秋田の環境にやさしいみちづくり提言 4. みんなで進めるみちづくり提言 5. 提言 6. 1

2 提言 -1. 々の交流と連携を支えるみちづくり 県内外の交流 連携を高める広域ネットワークの形成 秋田県は 高速道路の整備が遅れていたために 全国で最も高い口減少率 2% を超える高齢化率といった活力の低下が見られます 現在は高速道路の供用率が 49% まで高まっていますが ネットワークとしては依然として不連続な状況にあり 例えば県北地域では能代市から秋田市へ 大館市からは弘前市へとの流れができ 地域が分断されています 高速道路の不連続な箇所をつなげることで これまでの投資効果が大きく跳ね上がることが期待できます 今後 口増加による地域活力の向上を望むことは難しく 県内外 県内相互の交流口を増やすことによって活性化を図ることが重要と考えます 秋田県は面積が広く 口も分散しており 鉄道やバスなどの公共交通が成り立ちにくいため 道路の役割は大きく 高速道路や これを補完する地域高規格道路や国道による広域ネットワークの形成が必要です 県内には秋田新幹線 秋田空港 秋田港といった高速 広域の交通機関が整備されており これらと道路を効率的に結びつけ 移動に関する時間 コストを削減し や物の流れを活発化させることも必要です 物流においては 鉄道 トラック フェリー等のそれぞれ特化した機能を互いに連結させた効率的なシステムの検討も必要です 整備が遅れ 現在でも不連続な高速道路 2 年前 (S57,1982) 1 年前 (H4,1992) 現在 (H14,22) 2

3 秋田県は口減少率ワースト 1 (%) 口減少率ワースト5(H12/H2) 秋田県長崎県山口県島根県愛媛県 高速道路未整備地域は口減少 地域間交流が少ない県北東部 市町村間流動 空港利用者の伸び悩み ( 千 ) 秋田空港利用者数 1,8 秋田新幹線開業 1,5 1,2 9 1,21 1,249 1,356 1,449 1,363 1,27 1,21 1,211 1, H5 H6 H7 H8 H9 H1 H11 H12 H13 資料 : 秋田県港湾空港集 秋田港国際コンテナ取扱数急増 韓国航路 99% ロシア ( ポシェット ) 航路 11 年開設 秋田港国際コンテナ取扱数 居住口の推移 (S55~H12) 14, 12, 11, , TEU 8, 6, 4, 2, 1,775 4,936 7,38 3,421 3,7 6,533 4, ,967

4 提言 -2 いのちとくらしを守るみちづくり 安全 安心 快適なくらしを支える道路整備 日常生活を送る上では 救急医療活動や消防活動がスムーズに行えるような 万が一の時に備えた安心して暮らせる地域づくりが必要であり 医療施設や消防署との時間短縮などを図ることが必要です 高齢化の著しい秋田県にとって 高齢者や身体障害者が自由に移動できるようなシステム作りは 重要なものとなっています これらの々の移動空間において バリアフリー等を推める必要があり 子どもから高齢者までが安全に移動できるような歩道の整備等が必要です 各市町村から中心都市まで 3 分以内で到着できるような道路整備は 安全 安心 快適なくらしを支える上で必要であり 今後の市町村合併を考えると一層重要なものと考えられます 道路の傷みによる凹凸の改善など すでに整備された道路を快適に通行できる状態に保つことも重要と考えられます 全国を上回る高齢化の進展 (%) 秋田県 全国 高齢化の将来予測 H12 H17 H22 H27 H32 H37 資料 : 国勢調査 (H12 まで ) 都道府県の将来推計口 ( 国立社会保障 口問題研究所 H14.3 推計 第三次医療 1 時間カバー率は 47% と低い 4

5 自然災害に強い交通基盤の整備 秋田県は全域が豪雪地帯に指定されており 冬期には 46 路線 51 区間で通行が不能となり 歩道がなくなるなど 産業活動や生活全般に大きな障害となっています 県民の道路に対する不満も積雪期に高まっており 冬でも安心して移動できる道路の整備はきわめて重要です 冬期通行不能区間の解消や 除雪 防雪 防雪施設の充実による交通の円滑化とともに 十分な歩行空間を確保するための歩道の広幅員化等も必要です 冬期以外でも 風水害 地震等による道路災害などで幹線道路が通行止めになった時の代替路を確保することにより 日常生活や産業活動に支障をきたさないようにすることも重要です 県民が最も不満なのは歩道の除雪 通行不能区間 現在の整備状況の不満足度 不満だやや不満だ歩道の除雪 :1 舗装の凹凸補修 :2 歩道の新設 拡幅 :3 車道の除雪 :4 歩道の段差解消などのバリアフリー化の推進 :5 狭い道路の改良 :6 路面凍結対策 :7 交差点の改良 :8 踏切道の改良 :9 水たまりのない透水性舗装の整備 :1 わかりやすい案内標識の整備 :11 電線の地中化 :12 混雑している道路の改良 :13 道路の安全施設の整備 :15 高速道路の整備 :16 道路事業への住民参加 :17 渋滞や交通止めなどの道路情報の提供 :18 道路の除草清掃 冬期の道路の状況 5

6 戸八岡盛台仙田秋形山島福山郡 総合交通サービスによる都市内交通の円滑化 マイカーを使えないようなでも自由に移動できるためには 歩行や自転車の安全性 快適性を考慮したみちづくりや バス 鉄道等の公共交通の利便性を向上させることが必要です 県内の都市部 特に秋田市内においては首都圏なみの渋滞が発生していて 都市活動の阻害となっています 渋滞を緩和し都市活動を円滑にするためにも公共交通は重要なものとなっており 現状のバスレーンのようなバスと車が一緒に走るようなものではなく 確実に公共交通を利活用できるような方策が必要です 渋滞を緩和することによって 大気汚染や騒音が軽くなり 都市内の環境がよくなることも期待できます (km/km2) 鉄道網密度 ( 東北 首都圏 ).3.25 低いサービス水準 1.5 バス路線密度 ( 東北 首都圏 ) 青森岩手宮城秋田山形福島東北首都圏 青森岩手宮城秋田山形福島東北首都圏 注 ) 鉄道網密度 (km/k m2 )= 営業キロ (km)/ 面積 (K m2 ) 注 ) バス路線道度 (km/k m2 )= 免許キロ (km)/ 面積 (K m2 ) 首都圏 : 埼玉 千葉 東京 神奈川 首都圏 : 埼玉 千葉 東京 神奈川 平成 12 年版地域交通年報 資料 : 平成 13 年版運送要覧 ( 各運輸局 ) 首都圏なみに深刻な秋田市の渋滞 秋田市の渋滞状況 (km/h) 秋田市 17.2 首都圏 14.3 全国 H2 H6 H9 H11 1, 77,82 8, 6, 49,59 4, 32,83 23,432 21,128 23,142 2, 13,746 ) ) ) ) ) ) ) ) 青森資料 : 国土交通省東北地方整備局 秋田市の H13 度予 の約 4 分の 22,6 渋滞損失額(百万円/年) 東北の主要都市における渋滞損失額 (H9) ) 3 いわ22,557 横手市の渋滞状況 国道 13 号横手市 6

7 提言 -3. 美しい秋田の環境にやさしいみちづくり 自然 歴史 文化を守り 々の心をいやす道路空間の形成 秋田県は世界遺産に指定された白神山地をはじめ 十和田湖 田沢湖や鳥海山などの美しい自然と その中で育まれてきた歴史 文化に恵まれています これらを守り育てることは極めて重要であり 自然と調和を図り 四季折々の風景を楽しみ 心が癒されるようなみちづくりを進めていく必要があります 観光資源を活用するには 県内外 国外から気軽に観光地を訪れることができるように 高速道路の整備を促進するとともに 観光地相互や観光地と空港 鉄道駅をスムーズに連絡するとともに 観光ルート上の道の駅などもそれぞれ特色を出して 全国に売れる 秋田 を目指す必要があります 豊かな観光資源 観光客の流動 7

8 提言 -4 みんなで進めるみちづくり 社会情勢の変化と住民のニーズに対応した道路事業への転換 長引く不況のなかで国家財政 地方財政とも非常に厳しくなっており 道路整備においても効率的な事業の推進が強く求められています 限られた財源の中で 交通施設の未完成な部分を完成形に近づけるとともに 既存のストックを有効に活用 改善することも重要です 道路を作る 作らないといった議論よりは どのような道路が必要なのかということが重要です また 経済によって道路を作る 作らないではなく みちづくりが経済の前にあるべきだと考えます 今後 みちづくりにおいては CS( 満足度調査 ) やグループインタビューといった PI( パブリックインボブルメント ) 手法を活用し 県民の考えを積極的にみちづくりに反映させることが必要です すでに整備された道路では 道路の清掃や歩道の除雪などについて 地域のボランティア団体や NPO などとの連携を図って 行政と住民が一体となって守り育てるみちづくりを進める必要があります ハード面では 例えば山間部では歩道が狭くてよい 片側通行でもよいといったこと ソフト面では制度やシステムをどう考えるかといったこと ハート面では住民の参加をどう考えるか というようにハード ソフト ハートを考慮したみちづくりを検討することも必要です 8

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