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たつやつくとの
4 years ago
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1 ダニエルアーバンカイリーが都市に創出した幾何学の森 - 非住宅ランドスケープの 25 作品を対象として- Forest of Geometry in Cities Created by Daniel Urban Kiley : A Study on the 25 Works of Landscape Design at Non-residential Projects 平場美帆 * 村上修一** Miho HIRABA* Shuichi MURAKAMI** Daniel Urban Kiley ( ) was one of the most significant figures in the realm of landscape architecture of the twentieth century. His design principle was to create the urban forest which enabled people to feel spatial changes when passing through the trees. His design was also characterized by his arranging trees in geometric forms. The objective of this survey was to grasp the ways how Kiley had realized his idea in 25 works of non-residential project through arranging trees geometrically. The results of analyses of drawings, plans and articles were as follows. (1) There were three types of tree arrangement. The trees were arranged in lines, grids and enclosed shapes. (2) It was possible to walk through the trees arranged in geometric forms because the grounds between them were paved or lawn. On the other hand, it was impossible to walk through the trees in planting beds. (3) Various types and forms of trees were used, and no specific tendencies were recognized among the arrangements. Keywords: modernism, landscape architecture, geometry, grid モダニズム, ランドスケープアーキテクチュア, 幾何学, 格子 1. 背景と目的米国の代表的なランドスケープアーキテクトの一人として, ダニエルアーバンカイリー (Daniel Urban Kiley, 年 ) を挙げることができるカイリーについてはこれまで, ブレム (1993 年 ) 1), ウォーカーとサイモ (1994 年 ) 2), ヒルダーブランド (1999 年 ) 3), ベリスベイチャ (1999 年 ) 4), ドノヴァン (1999 年 ) 5), クロファー (1999 年 ) 6), トライブ (2005 年 ) 7), ウォーカー (2005 年 ) 8) により, 敷地条件への対応性, 機能性, 素材性, 近代芸術との関係という諸点において, 作家論や作品論が展開されてきた特に, 空間構成における幾何学性は, 既往研究の中で繰り返し指摘されている列状あるいは格子状に一定の間隔で配置された高木により, 園路や果樹園といった空間を構成するというものであるこのような空間構成の意図を示唆するものとして, 以下のようなカイリー自身の言葉がある木立の間を分け入って進むと, 空間が常に変化する実にダイナミックだこの感覚こそ当初より私を魅了してやまない私はこの感覚の創出を試みてきた 9) すなわち, 樹冠が人の視線よりも上にある高木による空間構成に, 木々の間の移動によるダイナミックな体験を創出する意図があったと考えられるこの点について, 村上 (2011 年 ) 10) は, 初期の住宅庭園作品に対して, 高木の間を移動することが前提となるような高木配置および動線との関係づけがなされていることを指摘したしかし, カイリーが世に知られるようになった非住宅作品についても, この知見が該当するのか否か未解明のままであるしたがって, 本報は, カイリーの非住宅作品を対象として, ダイナミックな体験を創出するという意図が, 高木による空間構成としてどのように表現されたのか明らかにすることを目的とする表 -1 対象作品一覧高木の幾何学配置 No. 作品年列状格子状囲み配置配置配置 1 Lincoln Center for the Performing Arts Art Institute of Chicago, South Garden Dulles Airport The Third Block of Independence Mall Ford Foundation Irwin Union Bank and Trust Company North Christian Church Chicago Filtration Plant Concordia Senior College United States Air Force Academy Tenth Street Overlook Sarah Scaife Sculpture Court National Gallery of Art Dallas Museum of Art Fountain Place Donald J. Hall Sculpture Park North Carolina NationsBank Plaza Silicon Valley Financial Center Carnegie Boulevard National Sculpture Garden Corning Riverfront Centennial Park AG Group Headquaters Millennium Tower Columbus Circle Milwaukee Art Museum Expansion * 非会員株式会社創巧園 Soukouen Co., Ltd. ** 正会員滋賀県立大学環境科学部 School of Environmental Science, University of Shiga Prefecture

2 2. 方法本研究では, 表 -1 の25 作品を対象とする選定の理由は, 書籍, 雑誌, ホームページにおいて紹介され代表作品として広く認知されていること, および, 高木の配置と動線の計画を分析可能な情報が入手できることである 11) 入手した平面図を用いて, 高木の樹幹の位置と, 建物壁面や地面表層の輪郭をトレースし, 分析図を作成した分析図をもとに, 高木の配置の特徴, 建物や表層との関係について分析を行った 3. 結果 3-1. 高木の幾何学配置 25 作品のトレース結果は, 図 -1~ 図 -3 のとおりである分析図における高木の樹幹 ( 図中の ) の配置を見ると, 作品 5( アトリウム ) を除く 24 作品において, 幾何学配置が認められるその幾何学配置をより詳細に見ると, 等間隔の樹幹が一線で並ぶ列状配置, 等間隔の樹幹が一定の面を占める格子状配置, 等間隔の樹幹が図形の輪郭をなす囲み配置の 3 種類に分けられる ( 図 -4 の上段 ) 表-1 に, 各作品における列状配置, 格子状配置, 囲み配置の有無を示している列状配置は 18 作品, 格子状配置は 20 作品, 囲み配置は 13 作品と, どの配置も一定の割合で認められる作品 5 を除く 24 作品の中に, 列状配置のみというものは無く, 格子状配置または囲み配置が必ず含まれている格子状配置の中には,1 方向に長い列状のものや,1 列ずつ斜めにずれる斜方のものがあり, 囲み配置の中には, 輪郭が矩形でなく円形のものがある ( 図 -4 の上段 ) 3-2. 想定される樹木間の通り抜け等間隔に並んだ樹幹の間の地面表層が舗装や芝生の場合, 間隔が人体の幅以上であれば, これらの幾何学配置が存在する庭や広場の利用者にとって, 樹幹の間を通り抜ける移動が想定される逆に, 植込の場合は通り抜けを想定し難いこれらを判断根拠として, 各作品の列状配置, 格子状配置, 囲み配置について, 想定される樹木間の通り抜けを検証したその結果, 図 -4 の中下段のように, 単木間に舗装または芝生の地面があって通り抜けの想定される配置が認められる一方, 植込の中にある木々の通り抜けは困難で, 植込の隙間 ( 群植間 ) に限定される場合が認められた 3-3. 幾何学配置の樹種各作品の列状配置, 格子状配置, 囲み配置の樹種は, 表 -2 のとおりである樹種名, 学名に加えて, 常緑と落葉の区別, 樹形および特質 ( 垂直性が強いか, 水平性が強いか ), 作品数を示している樹種が不明な場合や,1 作品に複数の樹種の配置が含まれる場合があるため, 表 -2の作品数の合計は表 -1と一致しない常緑と落葉の区別や, 樹形および特質には, 特定の傾向が認められないむしろ, 様々な性質や形状の樹木が幾何学配置に用いられているその中で,3 種類の配置,6 作品の格子状配置に見られるアメリカサイカチ (Gleditsia triacanthos) は, 他の樹種に比べてよく用いられている

3 公益社団法人日本都市計画学会都市計画報告集 No.16, 2017 年 8 月

4 公益社団法人日本都市計画学会都市計画報告集 No.16, 2017 年 8 月

5 図 -4 幾何学配置の模式図 4. まとめカイリーの非住宅 25 作品のうち, 高木の幾何学配置を含む 24 作品について, 以下のことが言える 1 高木の幾何学配置には, 列状配置, 格子状配置, 囲み配置の 3 種類がある 23 種類の幾何学配置について, 単木間に舗装または芝生の地面があって通り抜けの想定される場合と, 複数の樹木の植込 ( 群植 ) の間のみ通り抜けの想定される場合がある双方とも, 冒頭で述べたカイリーの意図 ( 木立の間を分け入るダイナミックな体験の創出 ) が, 具体化された形と考えられるただし, 前者と後者では, 通り抜けの経路の自由度に差がある 33 種類の幾何学配置について, 樹種の選択に特定の傾向は認められない様々な性質や形の樹木が用いられている現代では, 都市における高木の幾何学配置が当たり前のように行われている本研究で取り上げたカイリーの作品群は, 近代デザインにおける高木の幾何学配置の原初的な意味を留めるものであるしかし, 作品 17 の格子状配置が失われてしまうなど, 植栽は時の経過とともに変わる運命にある高木の幾何学配置の原点や, カイリーが現代の都市空間におよぼした影響の再認識が重要である表 -2 幾何学配置の樹種樹種名学名落葉常緑樹形作品数樹種名学名落葉常緑樹形作品数ベニカエデ Acer rubrum 落葉円柱 1 ベニカエデ Acer rubrum 落葉円柱 1 垂直性サバルヤシ Sabal palmetto 常緑房頭垂直性 1 ダイオウヤシ Roystonea elata 常緑房頭 1 ダイオウヤシ Roystonea elata 常緑房頭 1 シベリアリンゴ Malus baccata 落葉広円柱 1 シベリアコリンゴ Malus baccata 落葉広円柱 1 アメリカブナ Fagus grandifolia 落葉卵 1 列状配置スズカケノキ Platanus orientalis 落葉卵 1 アメリカユクノキ Cladrastis lutea 落葉卵 1 モミジバスズカケノキ Platanus acerifolia 落葉卵 1 スズカケノキ Platanus orientalis 落葉卵 2 アメリカサイカチ Gleditsia triacanthos 落葉円錐 1 モミジバスズカケノキ Platanus acerifolia 落葉卵 1 中間イチョウ Ginkgo biloba 落葉円錐 1 アメリカサイカチ Gleditsia triacanthos 落葉円錐 6 オウシュウトウヒ Picea abies 常緑円錐 1 アメリカシナノキ Tilia Redmond 落葉円錐 2 中間格ボダイジュ Tilia cordata 落葉円錐 2 イチョウ Ginkgo biloba 落葉円錐 1 子トランシトリア Malus transitoria 落葉不整 1 状イトスギ Cupressus 常緑円錐 1 配クロガシワ Quercus velutina 落葉球水平性 1 置ベイスギ Thuja plicata 常緑円錐 1 ヨーロッパブナ Fagus sylvatica 落葉円柱 1 ボダイジュ Tilia cordata 落葉円錐 1 垂直性メキシコオオギバヤシ Washingtonia robusta H.Wendl 常緑房頭 1 ユリノキ Liriodendron tulipifera 落葉円錐 2 シベリアリンゴ Malus baccata 落葉広円柱 1 サージェントカイドウ Malus sargentii 落葉不整 1 囲み配置モミジバスズカケノキ Platanus acerifolia 落葉卵 1 サルスベリ Lagerstroemia indica alba 落葉不整 1 アメリカサイカチ Gleditsia triacanthos 落葉円錐 2 サラサモクレン Magnolia soulangiana 落葉半球 2 中間アメリカシナノキ Tilia Redmond 落葉円錐 1 セイヨウサンザシ Crataegus crusgalli 落葉半球 2 ベイスギ Thuja plicata 常緑円錐 1 ホンコンマグノリア Magnolia sinensis 落葉半球水平性 1 ボダイジュ Tilia cordata 落葉円錐 2 ライブオーク Quercus virginiana 常緑半球 1 セイヨウサンザシ Crataegus crusgalli 落葉半球水平性 1 ソメイヨシノ Prunus x yedoensis 落葉盃状

6 補注及び引用文献 1)Glegg Bleam(1993)Modern and Classical Themes in the Work of Dan Kiley:Modern Landscape Architecture: A Critical Review:The MIT Press: )Peter Walker and Melanie Simo (1994 )The Lone Classicist:Invisible Gardens: The Search for Modernism in the American Landscape:The MIT Press: )Gary Hilderbrand(1999)The Miller Garden: Icon of Modernism:Spacemaker 4)Anita Berrizbeitia(1999)Early Housing Projects and Garden Prototypes, :Daniel Urban Kiley: The Early Gardens:Princeton Architectural Press: )Daniel Donovan(1999)The Hundred Gardens: The Social, Historical, and Design Contexts of Hollin Hills:Daniel Urban Kiley: The Early Gardens:Princeton Architectural Press: )Mark A. Klopfer(1999)Theme and Variation at Hollin Hills: A Typological Investigation:Daniel Urban Kiley: The Early Gardens:Princeton Architectural Press: )Treib, M. (2005)Dan Kiley and Classical Modernism: Mies in Leaf:Landscape Journal Vol.24: ) Walker, P. ( 2005 ) Daniel Urban Kiley : dan-kiley/biography-dan-kiley : The Cultural Landscape Foundation:2016/06/13 閲覧 9)Kiley, D. and Amidon, J. (1999)Dan Kiley - The Complete Works of America s Master Landscape Architect:Bulfinch Press:13 10) 村上修一 (2011) ホーリンヒルズ住宅庭園におけるダンカイリーの高木による空間構成について : ランドスケープ研究 ( オンライン論文集 )Vol.4: ) 対象作品の選定にあたって, 前掲書 9) に加えて, 雑誌プロセスアーキテクチュア 33 号 ( ランドスケープデザイン : ダンカイリーの作品 ), 同 108 号 ( ダンカイリーのランドスケープデザインⅡ: 語りかける自然 ), ホームページ The Landscape Architecture Legacy of Dan Kiley /sites/default/files/microsites/ kiley-legacy/index.html :The Cultural Landscape Foundation(2015 年 4 月閲覧 ) を参照したまた, 空間情報の収集にあたって, これらの書籍や雑誌に掲載の図面に加えて, ハーバード大学デザインスクールが所蔵する図面資料 ( カイリーコレクション ) も参照したカイリーコレクションの図面には, 縮尺, 方位, 樹種の記載があったが, 書籍や雑誌の掲載図面で縮尺や方位が不明のものについては Google map で特定した

橡vi.PDF

橡vi.PDF The Urban Revitalization Demonstration Funding 1993 National Commission on Severely Distressed Public Housing 100,000 93 3 (HUD:U.S. Department of Housing and Urban Development) HOPE VI 3 Shelter Self-Sufficiency