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1 Guidelines Guidelines for for the Prevention the Prevention and Treatment and Treatment of of Opportunistic Infections Infections in in HIV-Infected Adults Adults and and Adolescents HIV Recommendations from the from Centers the Centers for Disease for Disease Control Control and Prevention, and Prevention, the National the National Institutes Institutes of Health, of Health, and the and HIV the Medicine HIV Medicine Association Association of the of Infectious the Infectious Diseases Diseases Society Society of America of America

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3 Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents HIV Recommendations from the Centers for Disease Control and Prevention, the National Institutes of Health, and the HIV Medicine Association of the Infectious Diseases Society of America

4 Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents July 8, 2013 Recommendations from the Centers for Disease Control and Prevention, the National Institutes of Health, and the HIV Medicine Association of the Infectious Diseases Society of America 成 人 および 青 少 年 における 日 和 見 感 染 症 のガイドラインの 引 用 方 法 : Panel on Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents. Guidelines for the prevention and treatment of opportunistic infections in HIV-infected adults and adolescents: recommendations from the Centers for Disease Control and Prevention, the National Institutes of Health, and the HIV Medicine Association of the Infectious Diseases Society of America. については にアクセスして 閲 覧 できる [ 引 用 する 場 合 ページ 番 号 表 番 号 等 を 表 示 する] HIV の 管 理 に 関 する 概 念 は 急 速 に 進 化 している 当 委 員 会 は 推 奨 を 定 期 的 に 更 新 する 体 制 を 整 えており 最 新 の 情 報 を AIDS info ウェブサイト にて 提 供 している Japanese Translation Copyright 2013 by TECHNOMICS Inc Kyobashi, Chuo-ku, Tokyo, Japan. 注 ) 当 ガイドラインの 日 本 語 版 において その 訳 文 に 疑 義 が 生 じた 場 合 は 当 ガイドラインの 原 文 の 内 容 が 常 に 優 先 されます * 当 ガイドラインにおける 薬 剤 に 関 する 記 述 については 本 邦 における 承 認 内 容 と 異 なる 場 合 があります また 紹 介 さ れている 臨 床 試 験 等 には 本 邦 未 承 認 の 薬 剤 を 含 む 場 合 があります 各 製 品 の 効 能 効 果 用 法 用 量 につきましては 国 内 製 品 添 付 文 書 をご 参 照 ください Printed in Japan, 2013

5 監 訳 者 序 文 有 効 性 の 高 い 抗 HIV 療 法 (ART)が 普 及 し HIV 感 染 による 免 疫 不 全 日 和 見 感 染 症 (OI)を 診 る 機 会 は 随 分 減 少 しましたが 日 本 ではまだHIVに 感 染 していることを 知 らずに あるいは 感 染 を 知 っていて も 事 情 によりARTを 受 けずに 経 過 して 日 和 見 感 染 症 を 発 症 してしまう 事 例 が 毎 年 450 名 前 後 存 在 し ます 感 染 の 発 見 が 遅 れると ART 開 始 に 伴 う 免 疫 再 構 築 症 候 群 として 日 和 見 感 染 症 が 顕 在 化 し そ の 治 療 を 迫 られることもしばしば 経 験 します さらには 少 数 ながら 多 くの 抗 HIV 薬 に 耐 性 のウイルス が 出 現 したり アドヒアランスが 不 良 で 思 うように 治 療 効 果 が 上 がらず 免 疫 不 全 が 進 行 し 日 和 見 感 染 症 を 発 症 してしまう 事 例 もあります このようなことから ARTが 発 達 した 現 在 においてもOIの 適 切 な 予 防 診 断 治 療 の 重 要 性 は 変 わっ ていません 日 常 診 療 ではあまり 使 うことのない 薬 剤 を 使 いこなす 必 要 があり また 日 和 見 感 染 症 の 一 次 予 防 二 次 予 防 をいつ 始 め いつ 終 了 すると 良 いのか どのような 予 防 薬 をどれくらい 投 与 すると 良 いのかといった 基 本 的 な 知 識 も 要 求 されます ARTには 薬 剤 相 互 作 用 が 強 いものが 多 いのも 悩 ま しい 課 題 です これらの 諸 問 題 を 解 決 してくれるのが 優 れたガイドラインですが 日 本 にはHIV 感 染 症 にみられる 日 和 見 感 染 症 に 特 化 した 詳 細 なガイドラインがないことから 今 回 2013 年 5 月 (2013 年 7 月 に 一 部 見 直 し)に 米 国 の 疾 病 管 理 予 防 センター(CDC)と 国 立 衛 生 研 究 所 (NIH) アメリカ 感 染 症 学 会 (IDSA)/HIV 医 学 協 会 (HIVMA) 合 同 で 出 版 された Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents を 邦 訳 しましたので 診 療 に 役 立 てていただけると 幸 いです この 米 国 のガイドラインの 原 型 は 1995 年 に 米 国 公 衆 衛 生 局 (US-PHS)とIDSAで 作 成 され その 後 改 定 が 繰 り 返 されてきたOIの 予 防 ガイドラインと 2004 年 にCDCとNIH IDSA/HIVMAで 作 成 した 治 療 ガイドラインを 合 体 させた2009 年 版 予 防 治 療 ガイドラインで 今 回 のものはその 改 訂 版 です 翻 訳 版 を 作 成 するにあたっては 鳥 居 薬 品 株 式 会 社 のご 協 力 をいただきました 厚 く 御 礼 申 し 上 げます 日 本 と 米 国 では 使 用 できる 薬 剤 や 適 応 症 に 多 少 の 違 いがありますが 大 差 はなく 内 容 は 大 変 参 考 に なるものばかりです 患 者 さんのために 是 非 とも 有 効 活 用 していただきたいと 思 います 2013 年 10 月 東 京 医 療 保 健 大 学 大 学 院 学 長 木 村 哲 Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents iii

6 What s New in the Guidelines 成 人 および 青 少 年 HIV 感 染 者 における 日 和 見 感 染 症 の 予 防 法 と 治 療 法 に 関 するガイドライン に 対 する 改 訂 成 人 および 青 少 年 HIV 感 染 者 における 日 和 見 感 染 症 の 予 防 法 と 治 療 法 に 関 するガイドライン が 電 子 版 で 出 版 された 電 子 版 では 予 防 や 治 療 に 関 する 推 奨 に 重 要 な 変 更 が 生 じた 場 合 に 容 易 に 更 新 できる 医 療 従 事 者 患 者 政 策 立 案 者 にとって このガイドラインは 臨 床 現 場 における 必 須 の 情 報 源 である ことから 編 集 者 および 各 項 目 専 門 の 担 当 者 はガイドラインの 内 容 を 適 宜 更 新 するべく 努 力 している 変 更 内 容 はすべて ガイドラインの 最 後 に 列 記 されている 項 目 担 当 グループ(グループ 構 成 員 に 変 更 が 生 じた 場 合 にも 遅 滞 なく 報 告 される)が 練 り 上 げ ガイドラインの 更 新 に 先 立 ち 編 集 者 および 外 部 の 査 読 者 によって 確 認 される 過 去 6 ヵ 月 以 内 の 主 要 な 変 更 を 下 記 に 記 す 2013 年 7 月 8 日 改 訂 1. サイトメガロウイルス(CMV) 感 染 症 :2013 年 5 月 米 国 ではガンシクロビル 眼 内 留 置 薬 の 販 売 が 終 了 となった その 結 果 を 受 けて CMV 網 膜 炎 の 治 療 に 対 する 推 奨 が 変 更 された( ペー ジ) CMV 網 膜 炎 に 対 する 推 奨 では 抗 レトロウイルス 療 法 バルガンシクロビルの 経 口 投 与 ガンシクロビルの 経 口 または 静 注 投 与 ホスカルネットの 静 注 投 与 ( 特 定 の 病 変 部 位 に 対 して) ガンシクロビルの 眼 内 注 射 による 治 療 を 強 調 している これらの 推 奨 は 2013 年 に 得 られる 最 も 信 頼 できる 情 報 と 見 解 に 基 づいている 効 果 的 で 持 続 可 能 な 抗 レトロウイルス 療 法 を 受 けること のできる 時 代 ガンシクロビル 経 口 投 与 ではなくバルガンシクロビルの 経 口 投 与 を 利 用 できる 時 代 が 到 来 してはいるが CMV 網 膜 炎 の 治 療 について 十 分 に 検 証 した 研 究 は 不 足 している 2. 水 痘 帯 状 疱 疹 ウイルス 感 染 症 :2013 年 5 月 米 国 ではガンシクロビル 眼 内 留 置 薬 の 販 売 が 終 了 と なったことから 進 行 性 網 膜 外 層 壊 死 の 治 療 に 対 する 推 奨 ( ページ)が 見 直 された これ らの 推 奨 では まだ 静 注 投 与 を 併 用 する 治 療 法 が 強 調 されているが 焦 点 はガンシクロビルの 眼 内 留 置 から 硝 子 体 内 注 射 に 変 更 されている iv Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents

7 成 人 および 青 少 年 HIV 感 染 者 における 2013 年 7 月 8 日 版 目 次 日 和 見 感 染 症 の 予 防 法 と 治 療 法 に 関 するガイドライン CONTENTS 緒 言 1 ニューモシスチス 肺 炎 9 トキソプラズマゴンディ 脳 炎 24 クリプトスポリジウム 症 36 ミクロスポリジウム 症 42 結 核 菌 感 染 症 47 播 種 性 非 結 核 性 抗 酸 菌 症 70 細 菌 性 呼 吸 器 疾 患 78 細 菌 性 腸 管 感 染 症 90 バルトネラ 感 染 症 99 梅 毒 104 粘 膜 皮 膚 カンジダ 症 115 風 土 性 真 菌 症 およびアスペルギルス 症 121 クリプトコッカス 症 121 ヒストプラズマ 症 130 コクシジオイデス 症 136 アスペルギルス 症 142 サイトメガロウイルス 感 染 症 145 非 サイトメガロウイルス 性 ヘルペス 158 単 純 ヘルペスウイルス 感 染 症 158 水 痘 帯 状 疱 疹 ウイルス 感 染 症 163 ヒトヘルペスウイルス8 型 感 染 症 170 ヒトパピローマウイルス 感 染 症 176 B 型 肝 炎 ウイルス 感 染 症 191 C 型 肝 炎 ウイルス 感 染 症 205 Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents v

8 成 人 および 青 少 年 HIV 感 染 者 における 日 和 見 感 染 症 の 予 防 法 と 治 療 法 に 関 するガイドライン 2013 年 7 月 8 日 版 目 次 CONTENTS 進 行 性 多 巣 性 白 質 脳 症 / JCウイルス 感 染 症 220 地 理 的 に 特 に 考 慮 すべき 日 和 見 感 染 症 230 マラリア 230 マルネッフェイ 型 ペニシリウム 症 238 リーシュマニア 症 243 シャーガス 病 252 イソスポーラ 症 (シストイソスポーラ 症 ) 259 [ 表 一 覧 ] 表 1. 日 和 見 疾 患 の 一 次 予 防 264 表 2. AIDS 関 連 日 和 見 感 染 症 の 治 療 268 ( 急 性 期 治 療 および 二 次 予 防 / 長 期 抑 制 / 維 持 療 法 に 関 する 推 奨 事 項 を 含 む) 表 3. 成 人 および 青 少 年 における 結 核 治 療 の 第 一 選 択 薬 の 推 奨 用 量 287 表 4. 成 人 および 青 少 年 HIV 感 染 者 における 日 和 見 感 染 症 予 防 の 中 止 再 開 の 基 準 288 表 5. 日 和 見 感 染 症 の 治 療 薬 または 予 防 薬 の 重 大 な 薬 物 動 態 相 互 作 用 290 表 6. 日 和 見 感 染 症 の 予 防 薬 または 治 療 薬 に 関 連 した 一 般 的 または 重 度 の 副 作 用 300 表 7. 用 量 調 節 が 必 要 な 腎 不 全 患 者 における 日 和 見 感 染 症 の 治 療 または 予 防 的 投 与 の 推 奨 用 量 304 表 8. 妊 娠 中 の 日 和 見 感 染 症 治 療 薬 に 関 する 前 臨 床 データおよび 臨 床 データの 要 約 とその 適 応 症 309 図 1. 成 人 のヒト 免 疫 不 全 ウイルス(HIV) 感 染 者 に 対 するワクチン 接 種 スケジュール 316 付 録 A. 日 和 見 病 原 体 への 曝 露 と 感 染 を 防 ぐためのHIV 感 染 患 者 への 推 奨 事 項 317 付 録 B. 略 語 一 覧 325 付 録 C. 専 門 委 員 会 名 簿 および 資 金 情 報 の 開 示 327 付 録 D. Contributors 340 vi Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents

9 緒 言 (2013 年 6 月 17 日 改 訂 2013 年 5 月 7 日 見 直 し) 効 果 の 高 い 抗 レトロウイルス 薬 併 用 療 法 (ART)が 普 及 する 以 前 日 和 見 感 染 症 (OI)はHIV 感 染 者 の 合 併 症 や 死 亡 の 主 たる 原 因 であった OIは 免 疫 力 が 低 下 しているHIV 感 染 者 に 通 常 よりも 高 頻 度 に 重 症 化 した 形 で 見 られる 感 染 症 と 定 義 されている 1, 年 代 初 期 に 化 学 的 予 防 や 免 疫 付 与 より 効 果 の 高 い 急 性 OI 管 理 法 が 用 いられるようになったことで QOLは 改 善 し 生 存 率 も 向 上 した 3 その 後 効 果 の 高 いARTが 広 く 普 及 したこ とが OIに 関 連 したHIV 感 染 者 の 死 亡 率 低 下 に 大 きく 貢 献 した 3-10 ARTが 利 用 されるようになったにもかかわらず OIは 今 なお 米 国 でHIV 感 染 者 の 合 併 症 や 死 亡 の 原 因 の 大 き な 部 分 を 占 めている その 主 な 理 由 は3 つある 1. 米 国 のHIV 感 染 者 の 約 20%は 自 分 がHIVに 感 染 していることに 気 づいておらず 11, 12 感 染 の 最 初 の 徴 候 とし てOIを 発 症 して 初 めて 医 療 機 関 を 受 診 する 一 部 の 患 者 は 自 分 がHIVに 感 染 していることを 知 っているが 心 理 社 会 的 理 由 や 経 済 的 理 由 からARTを 受 け ない 3. HIVのケアを 受 け ARTを 開 始 しても 一 部 の 患 者 は 治 療 を 継 続 しなかったり アドヒアランス 不 良 また は 不 十 分 な 薬 物 動 態 あるいは 予 測 できない 生 物 学 的 理 由 により 適 切 なウイルス 学 的 免 疫 学 的 効 果 が 得 られないことがある 6, 14, 15 最 近 の 分 析 では ARTによる 治 療 を 受 けているHIV 感 染 者 の77%はウイルス 学 的 に 抑 制 されているが 米 国 の 推 定 HIV 感 染 者 集 団 全 体 の20 28%しかウイルス 学 的 な 抑 制 が 得 られておらず 11, 16 何 らかの 管 轄 下 にあるの はわずか10%でしかない 17 したがって ARTが 実 施 されるようになってから 入 院 数 や 死 亡 数 は 劇 的 に 減 少 した が OIは 依 然 としてHIV 感 染 者 の 疾 病 や 死 亡 の 主 要 な 原 因 のひとつであることに 変 わりはない 医 師 は 最 適 なOIの 診 断 法 予 防 法 管 理 法 についてよく 理 解 し 包 括 的 で 質 の 高 い 医 療 を 患 者 に 提 供 する 必 要 がある 重 要 なのは OIとHIV 感 染 症 は 双 方 向 的 に 関 連 している 点 を 認 識 することである HIVによって 免 疫 が 抑 制 さ れると HIV 感 染 者 は 日 和 見 病 原 体 による 疾 患 に 罹 患 しやすくなる さらに OIやHIV 感 染 者 によく 見 られる 性 感 染 症 (STI)などの 重 複 感 染 により 循 環 血 中 のウイルス 量 が 可 逆 的 に 増 加 することで HIV 感 染 症 の 進 行 が 加 速 したり HIVの 伝 播 を 増 大 するおそれがあり 35 HIV 感 染 症 の 自 然 経 過 に 有 害 な 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 がある したがって 化 学 的 予 防 やワクチン 接 種 は 病 原 体 特 異 的 な 疾 患 や 死 亡 を 直 接 予 防 するだけでなく HIV 感 染 症 の 進 行 を 遅 らせる 役 割 もあると 考 えられる 例 えば トリメトプリム スルファメトキサゾール 合 剤 を 用 いた 無 作 為 化 臨 床 試 験 では 化 学 的 予 防 によってOI 関 連 罹 患 率 が 低 下 し 生 存 率 が 向 上 する 可 能 性 のあることが 示 されて いる 生 存 率 の 向 上 は ある 程 度 HIV 感 染 症 の 進 行 を 抑 制 できたことに 起 因 していると 考 えられる さらに HIV 感 染 症 の 進 行 抑 制 は その 後 のOI 発 症 のリスクを 低 減 する 効 果 があるとされている Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents 1

10 本 ガイドライン 作 成 の 経 緯 1989 年 に 初 めてのHIV 関 連 治 療 ガイドラインとして ヒト 免 疫 不 全 ウイルス 感 染 者 のためのPneumocystis carinii 肺 炎 予 防 ガイドラインが 米 国 公 衆 衛 生 局 から 発 表 された 41 この 報 告 書 に 続 いて 1993 年 には Mycobacterium avium 複 合 体 疾 患 の 予 防 ガイドラインが 発 表 され 年 にはこのガイドラインが 拡 大 され てHIVに 関 連 したあらゆるOIの 予 防 が 含 まれるようになり さらに 米 国 感 染 症 学 会 (IDSA)が 共 同 スポンサーと して 加 わった 43 予 防 ガイドラインは1997 年 1999 年 2002 年 に 改 訂 され Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR) Clinical Infectious Diseases The Annals of Internal Medicine 50, 51 American Family Physician 52, 53 Pediatrics 54 の 各 誌 に 発 表 された Journal of the American Medical Association(JAMA) 2, 55 およ びTopics in HIV Medicine 56 誌 には 本 ガイドラインに 関 する 論 説 も 併 せて 掲 載 された 2004 年 に 疾 病 管 理 予 防 センター(CDC) 国 立 衛 生 研 究 所 (NIH) IDSAのHIV 医 学 協 会 (HIVMA)は OI を 有 する 成 人 および 青 少 年 HIV 感 染 者 に 関 する 治 療 推 奨 を 含 んだ 新 たなガイドラインを 発 表 し 57 その 姉 妹 編 と してHIV 感 染 小 児 に 向 けたガイドラインも 発 表 した 成 人 および 青 少 年 HIV 感 染 者 ならびにHIV 曝 露 小 児 お 60 よびHIV 感 染 小 児 におけるOIの 予 防 法 および 治 療 法 のガイドラインの 改 訂 版 は2009 年 に 発 表 された 上 記 ガイドラインに 対 する 反 応 (リプリント 請 求 数 ウェブサイトへのアクセス 数 など)は それがHIV 医 療 従 事 者 にとって 貴 重 な 参 考 文 献 となっていることを 物 語 っている ガイドラインには それぞれの 推 奨 レベルとそ の 裏 付 けとなるエビデンスの 質 を 示 す 評 定 が 付 与 されており それによって 読 者 は 各 推 奨 の 重 要 性 を 評 価 でき るようになっている 今 回 の 改 訂 には 成 人 および 青 少 年 HIV 感 染 者 におけるOIの 予 防 と 治 療 に 関 する 推 奨 が 示 されており HIV 曝 露 小 児 および HIV 感 染 小 児 に 関 する 推 奨 の 改 訂 も に 示 され ている 本 ガイドラインは 米 国 在 住 の 医 師 をはじめとする 医 療 従 事 者 HIV 感 染 患 者 政 策 立 案 者 を 対 象 としている 世 界 の 他 の 地 域 特 に 医 療 資 源 に 限 りのある 国 々におけるガイドラインは 関 心 の 対 象 となるOIの 範 囲 や それ ぞれの 診 断 能 力 および 治 療 能 力 という 点 で 本 ガイドラインとは 異 なった 内 容 になる 可 能 性 がある ガイドラインの 作 成 過 程 本 ガイドラインは NIHのOffice of AIDS Research Advisory Council[OARAC]が 主 催 する 日 和 見 感 染 症 専 門 委 員 会 によって 作 成 された 簡 潔 に 述 べると それぞれの 機 関 (NIH CDC IDSA)によって 指 名 された 6 名 の 共 同 編 集 者 が 特 定 のOIの 専 門 知 識 をもつ 医 師 と 研 究 者 からなる 作 業 部 会 を 組 織 し それぞれのリーダーを 指 名 した 各 作 業 部 会 で 旧 版 の 予 防 治 療 ガイドライン 発 表 以 降 に 発 表 された 文 献 を 検 討 し 数 ヵ 月 間 にわたって 協 議 を 行 い 推 奨 の 改 訂 案 を 作 成 した 2010 年 10 月 にカナダのバンクーバーで 開 催 されたIDSAの 年 次 総 会 で 共 同 編 集 者 と 各 作 業 部 会 のリーダーが 特 に 注 意 すべき 問 題 を 見 直 し 議 論 した さらに 改 訂 を 重 ねた 後 患 者 ケアの 支 援 グループと HIV 感 染 症 の 管 理 に 経 験 豊 かなプライマリケア 医 療 従 事 者 がガイドラインを 見 直 した 最 終 的 なガイドラインは 共 同 編 集 者 Office of AIDS Research(OAR) CDCの 専 門 家 IDSA 連 携 してい るHIV 医 学 協 会 による 追 加 の 改 訂 を 反 映 後 最 終 承 認 を 受 け AIDS info ウェブサイトで 公 表 された すべての 協 力 者 の 氏 名 と 所 属 ならびに 彼 らの 資 金 情 報 の 開 示 は 本 ガイドラインの 専 門 委 員 会 名 簿 および 資 金 情 報 の 開 示 ( 付 録 C)の 項 に 記 載 されている 本 ガイドラインの 見 直 しに 協 力 した 患 者 支 援 グループおよびHIV 感 染 症 治 療 に あたるプライマリケア 医 療 従 事 者 の 氏 名 のリストは Contributors ( 付 録 D)に あ る 2 Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents

11 ガイドライン 作 成 過 程 の 概 要 (1/2 ページ) 項 目 説 明 本 ガイドラインの 目 標 委 員 会 メンバー 資 金 情 報 の 開 示 と 利 益 相 反 の 管 理 本 ガイドラインの 利 用 者 作 成 者 資 金 源 エビデンス 収 集 データのまとめ 方 および 推 奨 の 作 成 方 法 推 奨 の 評 価 その 他 のガイドライン 米 国 においてHIV 感 染 者 の 治 療 にあたる 医 療 従 事 者 を 対 象 に 成 人 および 青 少 年 のためのHIV 関 連 日 和 見 感 染 症 (OI)の 最 適 な 予 防 と 管 理 について 指 針 を 示 す この 専 門 委 員 会 は 国 立 衛 生 研 究 所 (NIH) 米 国 疾 病 管 理 予 防 センター(CDC) 米 国 感 染 症 学 会 HIV 医 学 協 会 (HIVMA/IDSA)を 代 表 する6 名 の 共 同 編 集 者 と HIVの 臨 床 診 療 感 染 症 対 策 研 究 について 専 門 知 識 を 有 する100 名 を 超 えるメンバーで 構 成 される 共 同 編 集 者 は 各 々が 所 属 する 機 関 または 組 織 に 指 名 される 委 員 会 メンバーは 共 同 編 集 者 によって 政 府 学 会 医 療 界 から 選 ばれ そのメンバーの 専 門 分 野 に 基 づき ガイドラインの1つかそれ 以 上 のセクションを 担 当 する 作 業 部 会 に 割 り 当 てられる 各 作 業 部 会 のリーダーは 共 同 編 集 者 によって 委 員 会 メンバーの 中 から 選 ばれる 委 員 会 メンバーの 任 期 は1 期 4 年 で 再 任 は2 期 まで である 委 員 会 の 共 同 編 集 者 は HIV 疾 患 患 者 のコミュニティ( 成 人 HIV 感 染 者 HIV 感 染 者 の 支 援 グルー プ)からもメンバーを 選 び ガイドライン 全 体 の 見 直 しに 協 力 してもらう 現 在 の 委 員 会 メンバー 本 ガイドラ インの 見 直 しに 協 力 した 患 者 支 援 グループおよびHIV 感 染 症 治 療 にあたるプライマリケア 医 療 従 事 者 のリスト を それぞれ 付 録 C D に 記 載 している 委 員 会 メンバーの 全 員 が 資 金 情 報 の 開 示 書 類 を 年 1 回 提 出 し HIV 関 連 OIの 管 理 に 用 いた 薬 剤 ワクチン 医 療 機 器 または 診 断 薬 の 製 造 業 者 との 関 係 を 報 告 する この 開 示 とその 最 新 の 更 新 の 一 覧 を 付 録 C に 示 す 委 員 会 の 共 同 編 集 者 は 報 告 された 関 連 ごとに 利 益 相 反 の 可 能 性 がないか 精 査 し 適 切 な 措 置 ( 委 員 会 資 格 剥 奪 項 目 の 見 直 しおよび 議 論 の 資 格 剥 奪 / 忌 避 資 格 剥 奪 不 要 )を 決 定 する 利 益 相 反 とは ある 委 員 会 メン バーが 改 訂 を 担 当 しているガイドラインのセクションで 取 り 上 げた 製 品 に 関 するあらゆる 直 接 的 な 金 銭 的 利 害 関 係 と 定 義 する 金 銭 的 利 害 には その 製 品 に 商 業 的 利 益 を 有 する 実 体 からの 支 払 心 付 け コンサルタント 業 務 謝 礼 雇 用 助 成 金 旅 費 や 宿 泊 費 の 支 援 寄 贈 品 の 委 員 会 メンバーによる 直 接 の 受 領 を 含 む また 諮 問 協 議 会 データ 安 全 性 モニタリング 委 員 会 またはスピーカーズビューローの 会 員 資 格 に 対 する 直 接 報 酬 も 含 む 委 員 会 メンバーの 大 学 または 施 設 を 経 由 する 報 酬 や 支 援 ( 助 成 金 研 究 資 金 提 供 など)は 利 益 相 反 とは みなされない HIV 感 染 治 療 にあたる 医 療 従 事 者 成 人 および 青 少 年 HIV 感 染 者 における 日 和 見 感 染 症 の 予 防 法 と 治 療 法 に 関 するガイドライン(Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-infected Adults and Adolescents)について の 専 門 委 員 会 Office of AIDS Research Advisory Council(OARAC)の 作 業 部 会 NIHのAIDS 研 究 部 局 (OAR) 通 常 本 ガイドラインに 示 された 推 奨 は 査 読 誌 に 発 表 された 研 究 に 基 づいている 特 に 新 たな 情 報 が 患 者 の 安 全 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 がある 場 合 など 状 況 によっては 主 要 な 会 議 で 示 された 未 発 表 データや 米 国 食 品 医 薬 品 局 または 製 造 業 者 が 作 成 した 情 報 ( 一 般 の 人 々に 対 する 警 告 など)をエビデンスとして 本 ガイドライ ンの 改 訂 を 行 うこともある 各 作 業 部 会 の 委 員 会 メンバーは 文 献 の 包 括 的 なシステマティックレビューを 行 い そのレビューの 更 新 を 行 い 自 身 が 属 する 作 業 部 会 の 注 意 をあらゆる 関 連 文 献 に 向 かせる 責 任 がある ガイドラインの 各 項 を 当 該 領 域 が 専 門 の 委 員 会 メンバーによる 作 業 部 会 に 割 り 当 てる 作 業 部 会 のメンバー は 現 行 のデータをまとめる 現 行 のデータとすべての 新 しいデータの 質 と 影 響 を 評 価 した 後 に 各 作 業 部 会 が 推 奨 を 見 直 し 更 新 する 考 慮 対 象 となるエビデンスは 試 験 の 種 類 ( 症 例 シリーズ プロスペクティブコホー ト 無 作 為 化 比 較 対 照 試 験 など) 方 法 の 質 と 妥 当 性 被 験 者 数 認 められた 効 果 量 を 含 むが 必 ずしもこれ らに 限 定 されない ガイドラインは 改 訂 のたびに 患 者 治 療 支 援 グループと HIV 感 染 症 の 管 理 において 広 範 な 経 験 をもつ 一 次 医 療 従 事 者 が 見 直 して 文 化 的 感 受 性 と 運 用 上 の 利 便 性 を 評 価 する 最 後 に 共 同 編 集 者 OAR 各 領 域 におけるCDCおよびHIVMA/IDSAの 専 門 家 がすべての 資 料 を 見 直 してから 最 終 的 に 承 認 され 公 表 される 推 奨 は 以 前 の 評 価 基 準 の 改 訂 版 を 用 いて 評 価 し( 下 記 の 本 報 告 書 に 示 されている 情 報 の 利 用 方 法 と 予 防 法 および 治 療 法 の 推 奨 評 価 の 基 準 を 参 照 ) 必 要 があれば エビデンスおよび 作 業 部 会 の 評 価 を 総 説 した 説 明 文 を 添 付 する すべての 提 案 について 電 話 会 議 および 電 子 メールで 議 論 した 後 に 委 員 会 の 共 同 編 集 者 が 評 価 し OAR CDC HIVMA/IDSAが 審 査 してから 公 式 の 推 奨 として 承 認 する 本 ガイドラインは 成 人 および 青 少 年 のHIV 関 連 OIの 予 防 と 治 療 に 主 眼 を 置 いている HIV 感 染 小 児 およ びHIV 曝 露 小 児 に 対 する 推 奨 に 関 しては 専 用 のガイドラインが 設 けられており これらのガイドラインも AIDS infoウェブサイト に 掲 示 されている Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents 3

12 ガイドライン 作 成 過 程 の 概 要 ( 続 き) (2/2 ページ) 改 訂 の 計 画 一 般 からのコメント 各 作 業 部 会 と 共 同 編 集 者 は 最 低 6ヵ 月 ごとに 電 話 会 議 を 開 き ガイドラインを 修 正 する 必 要 があるか 否 かにつ いてデータの 検 討 を 行 っている 新 薬 ワクチン 医 療 機 器 または 診 断 薬 の 承 認 または 新 たな 適 応 用 法 用 量 に 関 する 情 報 新 たに 得 られた 安 全 性 データもしくは 有 効 性 データ その 他 HIV 関 連 OIの 予 防 と 治 療 に 影 響 を 及 ぼすと 思 われる 情 報 が 得 られた 場 合 には 改 訂 作 業 を 進 める 患 者 の 安 全 または 治 療 に 大 きな 影 響 を 与 え 迅 速 な 通 知 が 妥 当 と 思 われる 更 新 については 本 ガイドライン 文 書 に 所 定 の 変 更 を 加 えるまでの 期 間 AIDS infoウェブサイト 上 に 一 時 的 に 公 示 することもある AIDS infoウェブサイトに 改 訂 内 容 を 発 表 し その 後 2 週 間 にわたって 一 般 の 人 々から 当 委 員 会 へのコメント を 募 集 する 寄 せられたコメントを 検 討 し しかるべき 作 業 部 会 と 共 同 編 集 者 が 修 正 が 必 要 かの 判 断 を 下 す 当 委 員 会 へのコメントは contactus@aidsinfo.nih.gov でも 常 時 受 け 付 けている 前 版 のガイドラインからの 主 な 変 更 点 本 ガイドラインの 主 な 変 更 点 は 以 下 の 通 り: 1) 結 核 を 含 む 急 性 OIの 場 合 ARTの 開 始 時 期 に 関 する 最 新 情 報 2) B 型 肝 炎 および C 型 肝 炎 の 治 療 の 開 始 時 期 と 使 用 薬 剤 3) OIおよび HIVの 管 理 に 使 用 する 薬 剤 間 の 薬 物 相 互 作 用 4) 各 推 奨 の 強 さと その 推 奨 を 裏 付 けるエビデンスの 質 を 評 価 する 基 準 の 変 更 ( 予 防 法 および 治 療 法 の 推 奨 評 価 の 基 準 を 参 照 ) 5) 各 OIの 項 目 の 最 後 に 推 奨 される 予 防 法 および 治 療 法 の 選 択 肢 を 病 原 体 ごとに 表 にまとめて 追 加 し 本 ガ イドラインの 最 後 に 概 略 の 表 を 加 えたこと 本 報 告 書 に 示 されている 情 報 の 利 用 方 法 本 報 告 書 の 推 奨 では 次 の 事 柄 を 取 り 扱 う 1) 日 和 見 病 原 体 への 曝 露 予 防 2 ) 発 症 予 防 3) 免 疫 再 構 築 後 の 一 次 予 防 の 中 止 4 ) 疾 患 の 治 療 5) 急 性 OIの 場 合 のARTの 開 始 時 期 6) 副 作 用 モニタリング( 免 疫 再 構 築 症 候 群 [IRIS]を 含 む) 7) 治 療 に 失 敗 した 場 合 の 対 処 8) 再 発 予 防 ( 二 次 予 防 または 長 期 維 持 療 法 ) 9) 免 疫 再 構 築 後 の 二 次 予 防 の 中 止 10) 妊 娠 中 に 特 に 考 慮 すべきこと それぞれの 推 奨 は 以 前 の 評 価 基 準 を 改 訂 した 基 準 に 基 づいて 評 価 が 行 われており( 下 記 の 予 防 法 および 治 療 法 の 推 奨 評 価 の 基 準 を 参 照 ) 必 要 に 応 じて エビデンスおよび 作 業 部 会 の 評 価 を 総 説 した 説 明 文 を 付 けてい る このシステムでは 予 防 法 または 治 療 法 を 推 奨 する しないに 関 する 推 奨 の 強 さをアルファベットのA B Cによって 示 し 推 奨 の 裏 付 けとなるエビデンスの 質 をⅠ Ⅱ Ⅲのローマ 数 字 によって 示 している HIV 感 染 者 で 実 施 した 試 験 に 基 づくOIの 予 防 法 または 治 療 法 についてのデータはなくても HIV 感 染 者 の 管 理 の 指 針 となり うるHIV 未 感 染 者 のデータがある 場 合 その 推 奨 はⅡまたはⅢと 評 価 されるが 推 奨 の 強 さによってA Bまた はCが 割 り 当 てられる 4 Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents

13 予 防 法 および 治 療 法 の 推 奨 評 価 の 基 準 推 奨 の 強 さ A: 強 い 推 奨 B: 中 程 度 の 推 奨 C: 任 意 推 奨 のエビデンスの 質 Ⅰ: 臨 床 的 転 帰 および/または 妥 当 性 確 認 済 みの 検 査 項 目 を 評 価 した 無 作 為 化 臨 床 試 験 が1 件 以 上 Ⅱ: 長 期 的 な 臨 床 的 転 帰 を 評 価 した 適 切 にデザインされた 非 無 作 為 化 臨 床 試 験 または 観 察 コホート 研 究 が1 件 以 上 Ⅲ: 専 門 家 の 見 解 さらに 本 ガイドラインには 各 OIのセクションにOIの 予 防 と 治 療 に 関 する 表 ガイドラインの 最 後 に 概 要 の 表 ( 表 1 8) 予 防 接 種 に 関 する 推 奨 を 示 した 図 ( 図 1) STIへの 曝 露 予 防 を 含 む 日 和 見 病 原 体 への 曝 露 予 防 に 関 す る 推 奨 をまとめた 付 録 ( 付 録 A)が 収 載 されている 妊 娠 中 に 特 に 考 慮 すべきこと 妊 婦 におけるHIV 関 連 OIの 疫 学 や 症 状 徴 候 に 関 する 大 規 模 研 究 は 今 のところ 行 われていない CD4 陽 性 T リンパ 球 (CD4) 数 が 同 程 度 の 値 を 示 す 妊 婦 以 外 の 女 性 と 比 べてOIのスペクトルが 異 なるというデータはない 妊 娠 中 の 生 理 学 的 変 化 はOIの 確 認 を 困 難 にし 薬 物 動 態 の 変 化 により 治 療 を 複 雑 にする 可 能 性 がある これ はOIの 予 防 または 治 療 に 用 いられる 薬 剤 の 最 適 の 投 薬 に 影 響 するおそれがある 妊 娠 中 に 考 慮 すべき 要 因 を 以 下 に 挙 げる 61 心 拍 出 量 が 30 50% 増 加 すると 同 時 に 糸 球 体 濾 過 量 および 腎 クリアランスが 増 加 する 血 漿 量 が45 50% 増 加 するのに 対 し 赤 血 球 容 積 は20 30%しか 増 加 しないため 希 釈 性 貧 血 が 生 じ る 一 回 換 気 量 および 肺 血 流 量 が 増 加 するため 噴 霧 薬 の 吸 収 が 増 加 する 可 能 性 がある 換 気 補 助 が 必 要 な 場 合 は 一 回 換 気 量 が30 40% 増 加 していることを 考 慮 する 薬 物 の 胎 盤 移 行 腎 クリアランス 増 加 消 化 管 吸 収 の 変 化 胎 児 による 代 謝 が 母 体 の 薬 物 濃 度 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 がある 薬 物 動 態 データが 限 られている 現 在 の 体 重 に 基 づいて 通 常 の 成 人 用 量 を 投 与 し 可 能 ならば 薬 物 濃 度 のモニタリングを 行 い 予 想 通 りの 効 果 が 認 められない 場 合 は 増 量 の 必 要 性 を 検 討 する 患 者 を 放 射 線 に 曝 露 する 恐 れのある 画 像 検 査 を 含 む 非 侵 襲 的 画 像 検 査 は OIの 診 断 で 重 要 な 要 素 である 累 積 線 量 が5 rad 未 満 であれば 胎 児 へのリスクが 上 昇 することはない 多 くの 画 像 検 査 では 胎 児 への 放 射 線 曝 露 は 推 奨 限 界 値 である5 radを 下 回 っている ヒトの 場 合 高 曝 露 線 量 に 伴 う 主 なリスクは 成 長 抑 制 小 頭 症 発 達 障 害 である 特 に 危 険 な 時 期 は 妊 娠 8 15 週 であり 妊 娠 8 週 以 前 および 25 週 以 降 ではリスクが 少 ない 精 神 遅 滞 を 生 じると 思 われる 閾 値 は20 40 radであり 曝 露 量 がこのレベルを 超 えると より 重 篤 な 精 神 遅 滞 を 生 じるリスクが 直 線 形 的 に 上 昇 する 子 宮 内 曝 露 線 量 上 昇 に 伴 う 小 児 の 発 癌 リスク 上 昇 は 曝 露 線 量 が1 rad 上 昇 するごとに 約 1 例 /1,000 人 以 下 であると 考 えられる 62 したがって OI が 疑 われる 場 合 には 妊 娠 しているからと いって 通 常 の 診 断 評 価 を 除 外 すべきではない 63 可 能 であれば 胎 児 の 放 射 線 曝 露 量 をさらに 抑 えるために 腹 部 を 遮 蔽 する 方 法 をとるべきである 妊 娠 時 の 磁 気 共 鳴 撮 像 法 (MR)についてはわずかなデータしか 得 られていな いが これまでのところ 胎 児 への 有 害 な 影 響 は 認 められていない 64 OIが 疑 われる 場 合 に 必 要 な 他 の 診 断 手 法 は 妊 娠 中 であっても 通 常 の 患 者 と 同 じように 実 施 すべきである 妊 娠 20 週 を 超 えた 妊 婦 は 水 平 に 仰 臥 させるのではなく 楔 状 の 物 で 右 腰 部 を 支 え 上 げた 状 態 にして 子 宮 を 大 血 管 から 離 し 仰 臥 位 低 血 圧 が 生 じないようにする 換 気 や 灌 流 が 妨 げられる 可 能 性 のある 体 位 を 妊 娠 患 者 にとらせ る 場 合 は 酸 素 供 給 の 状 態 を 監 視 すべきである Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents 5

14 米 国 では HIV 感 染 女 性 が 治 療 をまだ 行 っていない 場 合 妊 娠 は 抗 レトロウイルス 療 法 開 始 の 適 応 とされてい る 現 在 または 最 近 のOIがあるために(HIVの) 治 療 を 遅 らせる 判 断 は それぞれの 妊 娠 に 独 特 な 要 因 について 産 科 医 と 相 談 しながら 妊 婦 以 外 の 者 と 同 じ 根 拠 に 基 づいて 下 すべきである このガイドラインに 記 載 している 多 くの 抗 感 染 症 薬 をはじめとした 妊 娠 初 期 に 催 奇 形 性 が 明 らかでない 薬 剤 が 投 与 された 場 合 は 妊 娠 後 期 に4 6 週 ごとに 超 音 波 検 査 を 実 施 して 胎 児 の 成 長 と 羊 水 量 を 調 べ 成 長 の 遅 れ や 羊 水 の 減 少 が 認 められる 場 合 は 分 娩 前 検 査 を 行 う 必 要 がある 参 考 文 献 1 Kaplan JE, Masur H, Holmes KK, et al. USPHS/IDSA guidelines for the prevention of opportunistic infections in persons infected with human immunodeficiency virus: introduction. USPHS/IDSA Prevention of Opportunistic Infections Working Group. Clin Infect Dis. Aug 1995;21 Suppl 1:S1-11. < 2 Kaplan JE, Masur H, Jaffe HW, Holmes KK. Reducing the impact of opportunistic infections in patients with HIV infection. New guidelines. JAMA. Jul ;274(4): < 3 Walensky RP, Paltiel AD, Losina E, et al. The survival benefits of AIDS treatment in the United States. J Infect Dis. Jul ;194(1): < 4 Palella FJ, Jr., Delaney KM, Moorman AC, et al. Declining morbidity and mortality among patients with advanced human immunodeficiency virus infection. HIV Outpatient Study Investigators. N Engl J Med. Mar ;338(13): < ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/ > 5 Detels R, Munoz A, McFarlane G, et al. Effectiveness of potent antiretroviral therapy on time to AIDS and death in men with known HIV infection duration. Multicenter AIDS Cohort Study Investigators. JAMA. Nov ;280(17): < nih.gov/pubmed/ > 6 Jones JL, Hanson DL, Dworkin MS, et al. Surveillance for AIDS-defining opportunistic illnesses, MMWR. CDC surveillance summaries : Morbidity and mortality weekly report. CDC surveillance summaries / Centers for Disease Control. Apr ;48(2):1-22. < 7 Mocroft A, Vella S, Benfield TL, et al. Changing patterns of mortality across Europe in patients infected with HIV-1. EuroSIDA Study Group. Lancet. Nov ;352(9142): < 8 McNaghten AD, Hanson DL, Jones JL, Dworkin MS, Ward JW. Effects of antiretroviral therapy and opportunistic illness primary chemoprophylaxis on survival after AIDS diagnosis. Adult/Adolescent Spectrum of Disease Group. AIDS. Sep ;13(13): < 9 Miller V, Mocroft A, Reiss P, et al. Relations among CD4 lymphocyte count nadir, antiretroviral therapy, and HIV-1 disease progression: results from the EuroSIDA study. Ann Intern Med. Apr ;130(7): < 10 Dore GJ, Li Y, McDonald A, Ree H, Kaldor JM, National HIVSC. Impact of highly active antiretroviral therapy on individual AIDSdefining illness incidence and survival in Australia. J Acquir Immune Defic Syndr. Apr ;29(4): < nih.gov/pubmed/ > 11 Centers for Disease C, Prevention. Vital signs: HIV prevention through care and treatment--united States. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. Dec ;60(47): Available at 12 Campsmith ML, Rhodes PH, Hall HI, Green TA. Undiagnosed HIV prevalence among adults and adolescents in the United States at the end of J Acquir Immune Defic Syndr. Apr 2010;53(5): < 13 Seal PS, Jackson DA, Chamot E, et al. Temporal trends in presentation for outpatient HIV medical care : implications for short-term mortality. J Gen Intern Med. Jul 2011;26(7): < 14 Perbost I, Malafronte B, Pradier C, et al. In the era of highly active antiretroviral therapy, why are HIV-infected patients still admitted to hospital for an inaugural opportunistic infection? HIV Med. Jul 2005;6(4): < 15 Palacios R, Hidalgo A, Reina C, de la Torre M, Marquez M, Santos J. Effect of antiretroviral therapy on admissions of HIV-infected patients to an intensive care unit. HIV Med. Apr 2006;7(3): < 16 Gardner EM, McLees MP, Steiner JF, Del Rio C, Burman WJ. The spectrum of engagement in HIV care and its relevance to testand-treat strategies for prevention of HIV infection. Clin Infect Dis. Mar ;52(6): < pubmed/ > 17 Greenberg AE, Hader SL, Masur H, Young AT, Skillicorn J, Dieffenbach CW. Fighting HIV/AIDS in Washington, D.C. Health affairs. Nov-Dec 2009;28(6): < 18 Gebo KA, Fleishman JA, Reilly ED, Moore RD, Network HIVR. High rates of primary Mycobacterium avium complex and Pneumocystis jiroveci prophylaxis in the United States. Medical care. Sep 2005;43(9 Suppl):III < pubmed/ > 19 Bonnet F, Lewden C, May T, et al. Opportunistic infections as causes of death in HIV-infected patients in the HAART era in France. Scandinavian journal of infectious diseases. 2005;37(6-7): < 20 Teshale EH, Hanson DL, Wolfe MI, et al. Reasons for lack of appropriate receipt of primary Pneumocystis jiroveci pneumonia prophylaxis among HIV-infected persons receiving treatment in the United States: Clin Infect Dis. Mar ;44(6): < 21 Gebo KA, Fleishman JA, Moore RD. Hospitalizations for metabolic conditions, opportunistic infections, and injection drug use among HIV patients: trends between 1996 and 2000 in 12 states. J Acquir Immune Defic Syndr. Dec ;40(5): < 6 Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents

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17 ニューモシスチス 肺 炎 (2013 年 5 月 7 日 改 訂 2013 年 5 月 7 日 見 直 し) 疫 学 ニューモシスチス 肺 炎 (PCP)はPneumocystis jirovecii によって 生 じる Pneumocystis jirovecii は 真 菌 に 分 類 される 広 く 一 般 的 に 存 在 する 生 物 であるが 原 虫 類 と 同 じ 生 物 学 的 特 性 を 有 している 分 類 学 的 変 更 が 行 われ 現 在 Pneumocystis carinii はラットに 感 染 するニューモシスチスのみを 指 し P. jirovecii はヒトに 感 染 する 別 の 種 を 指 す ニューモシスチス 肺 炎 の 略 語 はPCPのままである 通 常 P. jirovecii に 初 めて 感 染 するのは 幼 少 期 で あり 健 常 児 の 3 分 の 2 は 2 4 歳 までにP. jirovecii に 対 する 抗 体 を 有 するようになる 1 げっ 歯 類 を 用 いた 研 究 や 免 疫 不 全 患 者 における 症 例 集 積 から ニューモシスチスは 空 気 感 染 によって 拡 がるこ とが 示 唆 されている 発 病 は 新 たな 感 染 獲 得 と 潜 伏 感 染 の 再 活 性 化 によって 起 こると 考 えられている 2-11 PCPの 予 防 や 抗 レトロウイルス 療 法 (ART)が 広 く 行 われるようになる 前 は AIDS 患 者 の70 80%がPCPを 発 病 し 12 PCPを 治 療 しても 重 症 の 免 疫 不 全 患 者 の 死 亡 率 は20 40%に 上 っていた PCP 症 例 の 約 90%はCD4 陽 性 Tリ ンパ 球 (CD4) 数 が200 個 /mm 3 未 満 の 患 者 であった その 他 PCPのリスク 上 昇 に 関 連 する 要 因 として CD4 細 胞 の 割 合 が14% 未 満 PCPの 既 往 鵞 口 瘡 再 発 性 の 細 菌 性 肺 炎 意 図 しない 体 重 減 少 血 漿 中 HIV RNA 量 高 値 などが 挙 げられている 13, 14 PCP 発 症 予 防 とARTが 広 く 行 われるようになるにつれて PCPの 発 現 率 は 大 幅 に 低 下 した 西 ヨーロッパや 米 国 のAIDS 患 者 における 最 近 の 発 現 率 は100 人 年 当 り1 例 未 満 である 15 症 例 の 多 くは 自 身 が HIVに 感 染 16 していることを 知 らない 患 者 あるいは 継 続 的 なHIVケアを 受 けていない 患 者 または 免 疫 不 全 が 進 行 した 患 者 (CD4 数 が100 個 /mm 3 未 満 )で あ る 17 臨 床 像 HIV 感 染 者 におけるPCPの 最 も 一 般 的 な 症 状 徴 候 は 進 行 性 の 呼 吸 困 難 発 熱 空 咳 胸 部 不 快 感 が 亜 急 性 に 生 じ 数 日 数 週 間 のうちに 悪 化 するものである 非 HIV 感 染 患 者 に 見 られる 劇 症 肺 炎 は 比 較 的 少 ない 18, 19 軽 症 例 では 一 般 に 安 静 時 の 呼 吸 器 検 査 は 正 常 である 労 作 時 には 頻 呼 吸 頻 脈 広 汎 性 の 乾 性 ラ 音 (cellophane)が 認 められることがある 19 重 複 感 染 として 鵞 口 瘡 が 高 頻 度 に 見 られる 多 くの 症 例 では 明 らかな 発 熱 が 見 られ 一 部 の 患 者 ではこれが 主 症 状 となることもある 肺 外 の 疾 患 はまれであるが あらゆる 臓 器 に 生 じ る 可 能 性 があり ペンタミジンエアゾル 吸 入 による 予 防 と 関 連 しているといわれている 20 最 も 特 徴 的 な 検 査 値 の 異 常 は 低 酸 素 血 症 であるが これは 軽 度 ( 室 内 空 気 吸 入 時 の 動 脈 血 酸 素 分 圧 [po2]が 70 mmhg 以 上 または 肺 胞 気 動 脈 血 酸 素 分 圧 較 差 [[A-a]DO2]が 35 mmhg 未 満 )から 中 等 度 ([A-a]DO2が mmhg 未 満 ) 重 度 ([A-a]DO2が 45 mmhg 以 上 )と 幅 が 広 い 運 動 時 の 酸 素 不 飽 和 はA-a 勾 配 の 異 常 を 示 しているが 特 異 的 なものではない 21 乳 酸 デヒドロゲナーゼ 値 が500 mg/dlを 超 えることも 多 いが これも 特 異 的 なものではない 22 胸 部 X 線 像 では 通 常 肺 門 から 両 側 性 に 対 称 的 に 広 がるびまん 性 の 間 質 性 浸 潤 影 ( 蝶 形 陰 影 )が 認 められる 19 が 初 期 の 患 者 では 正 常 な 場 合 もある 23 さらに 結 節 や 胸 膜 下 嚢 胞 および 気 管 支 性 嚢 胞 非 対 称 性 疾 患 上 葉 への 局 在 化 気 胸 を 伴 う 非 定 型 的 なX 線 病 像 もある HIV 感 染 患 者 に 気 胸 が 自 然 発 生 した 場 合 は PCPを 疑 うべきである 24, 25 他 の 肺 病 原 体 や 癌 が 存 在 しなければ 空 洞 形 成 胸 腔 内 アデノパシー 胸 水 が 観 察 されることはまれであり これらが 認 められる 場 合 にはPCP 以 外 の 診 断 が 示 唆 される PCP 確 定 例 の 約 13 18%には 肺 機 能 不 全 の 原 因 が 他 にも 存 在 する( 結 核 [TB] カポジ 肉 腫 [KS] 細 菌 性 肺 炎 など) 26, 27 軽 度 中 等 度 の 症 状 を 示 す 胸 部 X 線 正 常 の 患 者 において 薄 切 コンピュータ 断 層 撮 影 (CT)で 斑 状 すりガラス 28, 29 様 陰 影 が 認 められる 場 合 は 気 管 支 鏡 検 査 などの 診 断 検 査 によってPCPが 確 認 される 確 率 が 高 くなる した がって これは 補 助 的 検 査 として 有 用 であると 思 われる Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents 9

18 診 断 臨 床 像 血 液 検 査 胸 部 X 線 検 査 からはPCPに 特 異 的 な 所 見 は 得 られず この 病 原 体 を 日 常 的 に 培 養 するこ ともできないため 確 定 診 断 には 組 織 病 理 学 的 または 細 胞 病 理 学 的 検 査 により 組 織 や 気 管 支 肺 胞 洗 浄 (BAL) 液 あるいは 誘 発 喀 痰 中 に 病 原 体 が 確 認 されることが 必 要 である 18, 26, 27, 30 自 発 痰 は 感 度 が 低 いため PCPの 診 断 検 査 には 不 向 きである ギムザ 染 色 Diff-Quik 染 色 ライト 染 色 ではシスト 型 と 栄 養 型 の 両 方 を 検 出 できるが 嚢 子 壁 は 染 色 されない 嚢 子 壁 が 染 色 されるのは ゴモリのメテナミン 銀 染 色 グラム ワイゲルト 法 クレシ ルバイオレット トルイジンブルー 染 色 である 一 部 の 検 査 施 設 では 直 接 免 疫 蛍 光 染 色 が 好 んで 用 いられてい る 種 々の 方 法 で 採 取 した 気 道 検 体 を 染 色 した 過 去 の 研 究 では 以 下 に 示 すような 相 対 的 な 診 断 感 度 が 示 されて いる それによれば 誘 発 喀 痰 は50 90%の 範 囲 を 下 回 る( 感 度 は 病 原 体 量 および 標 本 の 質 特 異 度 は 微 生 物 検 査 担 当 者 または 病 理 検 査 担 当 者 の 経 験 によって 左 右 される) 気 管 支 鏡 検 査 によるBALは90 99% 経 気 管 支 生 検 は95 100% 開 胸 肺 生 検 は95 100%である ポリメラーゼ 連 鎖 反 応 (PCR)は 新 しいPCP 診 断 法 である 31 気 管 支 肺 胞 洗 浄 に 対 するPCRの 感 度 は 高 いとみ られるが PCRで 細 菌 叢 を 病 巣 と 区 別 できるかどうかは 不 明 確 である PCP 患 者 では 1,3 β-d-グルカン( 真 菌 細 胞 壁 の 成 分 )が 高 値 を 示 すことがあるが PCPの 確 定 診 断 におけるこの 試 験 の 感 度 および 特 異 度 には 問 題 が 多 く 35, 36 その 他 の 真 菌 疾 患 で 上 昇 することがある 一 部 の 疾 病 プロセスは 類 似 した 臨 床 像 を 生 じるため 特 に 中 重 症 患 者 の 場 合 は 推 定 診 断 に 頼 るのではなく PCPの 特 異 的 診 断 を 求 めるべきである 有 効 な 治 療 が 開 始 された 後 も 数 日 ないし 数 週 間 は 臨 床 検 体 から 病 原 体 が 検 出 できるため 確 定 診 断 を 待 たずに 治 療 を 開 始 してもよい 30 曝 露 予 防 ニューモシスチスは PCP 患 者 近 くの 空 気 中 で 定 量 でき 37 腎 移 植 患 者 間 でそれぞれ 異 なる 株 のニューモシス チスが 原 因 で 複 数 のアウトブレーク 例 があったことが 示 されている 5-11, 38 これらは PCPに 罹 っていない 高 リス ク 患 者 には 既 知 のPCP 感 染 症 患 者 からの 隔 離 が 有 効 と 思 われることを 示 唆 しているが 隔 離 を 標 準 治 療 とするに は 裏 付 け デ ー タ が 不 十 分 で あ る( CⅢ) 発 症 予 防 一 次 予 防 の 適 応 妊 婦 およびARTを 実 施 している 患 者 を 含 め CD4 数 が200 個 /mm 3 未 満 を 示 す( AⅠ) ま た は 口 腔 咽 頭 カ ン ジ ダ 症 の 既 往 を 有 す る( AⅡ) 成 人 および 青 少 年 HIV 感 染 者 には PCPに 対 する 化 学 的 予 防 を 実 施 すべきである 12, 13, 39 CD4 細 胞 の 割 合 が14% 未 満 またはAIDSの 指 標 となる 疾 患 の 既 往 をもつのみで 上 記 の 条 件 にはあてはまらない 者 も 予 防 の 対 象 として 検 討 す べきで ある( BⅡ) 12, 13, 39 C D 4 数 を 頻 回 に( 例 えば 1 3 ヵ 月 ごと)モニタリング する ことができない 場 合 は CD4 数 が 個 /mm 3 を 示 した 段 階 で 化 学 的 予 防 を 開 始 することも 検 討 すべきで あ る( BⅡ) 13 トキソプラズマ 症 の 治 療 または 抑 制 のためピリメタミン スルファジアジンを 投 与 されている 患 者 は P C P の 追 加 予 防 は 必 要 な い( AⅡ) 40 予 防 薬 として 推 奨 されるのはトリメトプリム スルファメトキサゾール 合 剤 (TMP-SMX)である(AⅠ) 39, double-strength(ds) 錠 を1 日 1 錠 投 与 するのが 望 ましい(AⅠ)が single-strength(ss) 錠 を1 日 1 錠 でも 有 効 であり DS 錠 を1 日 1 錠 投 与 する 場 合 に 比 べて 忍 容 性 に 優 れている 場 合 もある(AⅠ) D S 錠 1 錠 を 週 3 回 投 与 す るのも 有 効 で ある( BⅠ) TMP-SMX DS 錠 を1 日 1 錠 投 与 すると トキソプラズマ 症 や 多 くの 呼 吸 器 細 菌 感 染 41, 46 症 に 対 する 交 差 防 御 も 得 られる こうした 効 果 はTMP-SMXの 低 量 投 与 によっても 得 られる 可 能 性 が 高 い 副 作 用 が 認 められても 生 命 を 脅 かすほどではなく 臨 床 的 に 可 能 であれば TMP-SMXによる 化 学 的 予 防 を 継 続 すべきである 軽 度 の 副 作 用 のためにTMP-SMXを 中 止 した 場 合 は 副 作 用 が 解 消 した 後 に 再 開 を 積 極 的 に 検 討 す べきで ある( AⅡ) スティーブンス ジョンソン 症 候 群 や 中 毒 性 表 皮 壊 死 症 (TEN)などの 生 命 を 脅 かす 副 作 用 10 Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents

19 が 発 生 したかその 可 能 性 のある 患 者 では 治 療 を 永 久 に 中 止 すべきである( 再 投 与 してはならない)(AⅢ) 発 熱 や 発 疹 などの 有 害 事 象 が 生 じた 患 者 には 公 表 されている 方 法 に 従 って 用 量 を 漸 増 しながらTMP-SMXを 再 開 する( 脱 感 作 法 )か(BⅠ) 47, 48 または TMP-SMXの 用 量 もしくは 投 与 回 数 を 少 なくして 再 開 する(CⅢ)こと で 忍 容 性 が 改 善 することがある こうした 方 法 で 投 与 を 再 開 すれば 70%の 患 者 は 治 療 継 続 が 可 能 である 46 TMP-SMXに 対 する 不 忍 容 が 認 められる 場 合 は 別 の 予 防 法 として ダプソン(BⅠ) 41 ダプソン+ピリメタミ ン+ロイコボリン(BⅠ) RespirGard Ⅱ TM ネブライザ( 製 造 :Marquest, Englewood, Colorado)によるペンタ ミジンエアゾ ル 吸 入 ( BⅠ) 42 アトバコン( BⅠ) 52, 53 などが 考 えられる アトバコンは ペンタミジンエアゾル 吸 52 入 やダプソン 53 と 同 程 度 に 有 効 であるが 他 の 治 療 法 に 比 べてかなり 高 額 である Toxoplasma gondii 血 清 陽 性 のTMP-SMX 不 忍 容 患 者 の 場 合 PCPとトキソプラズマ 症 の 両 方 に 対 する 代 替 予 防 法 として ダプソン+ピリ メタミン+ロイコボリン(BⅠ) またはアトバコン 単 独 もしくはアトバコンとピリメタミン+ロイコボリン 併 用 (CⅢ)が 推 奨 さ れ る 経 口 ピリメタミン+スルファドキシンもPCPの 予 防 に 効 果 がある が スティーブンス ジョンソン 症 候 群 と いった 重 度 の 皮 膚 反 応 のリスクが 高 く 57 またピリメタミンとスルファドキシンはいずれも 半 減 期 が 長 いため 投 与 を 中 止 してもクリアランスが 遅 い TMP-SMXの 方 が 安 全 性 に 優 れ 広 く 普 及 しており コストも 低 いため 米 国 では 経 口 ピリメタミン+スルファドキシンを 使 用 すべきではない(AⅢ) 以 下 の 治 療 法 は PCP 予 防 効 果 に 関 するデータが 不 十 分 なため 代 替 予 防 として 用 いることは 推 奨 できない RespirGard Ⅱ TM ネブライザ 以 外 の 吸 入 器 具 によるペンタミジンエアゾル 吸 入 投 与 ペンタミジン 非 経 口 薬 の 間 欠 的 投 与 経 口 クリンダマイシン +プリマキン ただし 推 奨 薬 剤 を 投 与 できないかそれに 不 忍 容 である 場 合 は 上 記 薬 剤 の 使 用 を 検 討 してもよい(CⅢ) 一 次 予 防 の 中 止 ARTが 奏 効 し CD4 数 が200 個 /mm 3 未 満 から 増 加 し200 個 /mm 3 を 上 回 る 状 態 が 3 ヵ 月 を 超 えて 続 いている 成 人 および 青 少 年 患 者 については ニューモシスチスの 一 次 予 防 を 中 止 すべきである(AⅠ) こ の 推 奨 の 裏 付 け と な る 観 察 研 究 や 無 作 為 化 試 験 では 大 半 の 患 者 がPCP 予 防 を 中 止 するまでに3 ヵ 月 を 超 えてCD4 数 が200 個 /mm 3 を 上 回 る 状 態 を 継 続 していた 予 防 中 止 時 のCD4 数 の 中 央 値 は300 個 /mm 3 を 上 回 っており ほとんどの 患 者 でCD4 細 胞 の 割 合 は14% 以 上 であり 多 くの 患 者 の 血 漿 中 HIV RNA 量 が 使 用 した 検 査 法 の 検 出 限 界 未 満 に 持 続 的 に 抑 制 されていた 追 跡 調 査 期 間 の 中 央 値 は6 19 ヵ 月 であった 上 記 の 患 者 では 一 次 予 防 を 中 止 することが 望 ましい その 理 由 は 予 防 投 与 継 続 によって 得 られる 疾 患 防 止 効 果 が PCP トキソプラズマ 症 細 菌 感 染 症 に 限 られるためであり 60, 66 投 薬 を 中 止 することで 服 薬 の 負 担 が 減 り コストが 節 減 され 薬 物 毒 性 薬 物 相 互 作 用 薬 剤 耐 性 病 原 体 の 選 択 を 生 じる 可 能 性 が 少 なくなるためである CD4 数 が200 個 /mm 3 未 満 に 減 少 した 場 合 は 予 防 を 再 開 すべきである(AⅢ) 欧 州 の12のコホート 68 および 症 例 シリーズ 69 の 統 合 解 析 から CD4 数 が 個 /mm 3 であり ART 治 療 を 受 けていて 血 漿 中 HIV RNA 量 が コピー /mlの 範 囲 を 下 回 っており PCP 予 防 を 中 止 したか 受 けたこ とがない 患 者 では PCPの 発 症 率 が 低 いことが 明 らかとなった この 結 果 により CD4 数 が 個 /mm 3 で 血 漿 中 HIV RNA 量 が 市 販 の 検 査 法 の 検 出 限 界 未 満 の 患 者 では PCPの 一 次 予 防 を 安 全 に 中 止 できることが 示 唆 されている このアプローチの 推 奨 の 基 礎 となっているデータは 不 十 分 ではあるが 合 理 的 であると 考 えて 自 分 の 患 者 に 推 奨 している 専 門 家 もいる Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents 11

20 疾 患 の 治 療 TMP-SMXがPCPの 選 択 治 療 となる(AⅠ) 70, 71 腎 機 能 に 異 常 がある 場 合 は 用 量 調 節 を 行 う 必 要 がある TMP- SMXはペンタミジン 非 経 口 薬 と 同 程 度 に 有 効 であり 他 の 治 療 法 よりも 効 果 が 優 れていることが 複 数 の 無 作 為 化 臨 床 試 験 で 示 されている 急 性 期 治 療 時 の 骨 髄 抑 制 を 防 ぐためにロイコボリンを 追 加 する 方 法 は 有 効 性 が 不 確 かであり 治 療 失 敗 率 が 高 くなるというエビデンスもあるため 推 奨 されない(AⅡ) 72 軽 度 中 等 度 の 患 者 に は TMP-SMXの 外 来 内 服 治 療 が 非 常 に 有 効 である(AⅠ) 71 サルファ 剤 耐 性 を 伴 う 変 異 が 複 数 報 告 されているが 臨 床 転 帰 に 及 ぼす 影 響 は 不 明 である 一 般 に TMP- SMXによる 予 防 にもかかわらずPCPを 発 症 した 患 者 には 標 準 量 のTMP-SMXが 治 療 薬 として 有 効 である 可 能 性 が あ る( BⅢ) PCPが 確 認 された あるいはPCPが 疑 われる 中 等 度 重 度 の 患 者 ( 室 内 空 気 吸 入 時 のpO2が70 mmhg 未 満 ま たは 肺 胞 気 動 脈 血 酸 素 分 圧 勾 配 が35 mmhg 以 上 )には PCPに 対 する 具 体 的 な 治 療 を 開 始 後 72 時 間 以 内 に 可 及 的 速 やかに 補 助 として 副 腎 皮 質 ステロイド 薬 を 投 与 すべきである(AⅠ) ステロイド 薬 の 開 始 がこれより 遅 れた 場 合 の 効 果 は 明 らかではないが 医 師 の 多 くはこうした 状 況 でも 中 等 度 重 度 の 患 者 にステロイド 薬 を 慣 例 的 に 使 用 し て い る( BⅢ) 非 経 口 投 与 が 必 要 な 場 合 は 各 プレドニゾンの 用 量 の75%のメチルプレドニゾロン を 投 与 してもよい 軽 中 等 度 のPCPに 対 する 代 替 治 療 法 としては ダプソンとトリメトプリム(TMP)の 併 用 (BⅠ) 71, 83 (TMP- SMXと 同 程 度 に 有 効 であり 副 作 用 はTMP-SMXよりも 少 ないが 服 用 錠 剤 数 の 点 で 便 宜 性 に 劣 る) プリマキ ン+クリンダマイシン(BⅠ) ( 重 症 例 にはクリンダマイシン 静 注 も 可 能 であるが プリマキンは 経 口 薬 のみであ る ) ア ト バ コ ン 懸 濁 液 ( BⅠ) 53, 58, 70, 87 ( 軽 度 中 等 度 の 場 合 の 効 果 はTMP-SMXに 劣 るが 副 作 用 は 少 ない)など がある 可 能 ならば プリマキンまたはダプソン 投 与 前 にはグルコース-6-リン 酸 デヒドロゲナーゼ(G6PD) 欠 乏 の 有 無 を 調 べるべきである 中 重 度 の 患 者 に 対 する 代 替 治 療 法 としては クリンダマイシン-プリマキン またはペンタミジン 静 注 がある (AⅠ) 86, 88, 89 有 効 性 の 高 さとペンタミジンよりも 毒 性 が 低 いことからクリンダマイシン-プリマキン 併 用 を 好 む 医 師 もいる ペンタミジンエアゾル 吸 入 は 効 果 が 限 られており 再 発 率 が 高 いため PCPの 治 療 には 用 いるべきではない (AⅠ) 88, 93, 94 トリメトレキサートは 現 在 市 販 されていない P C P の 推 奨 治 療 期 間 は 2 1 日 で ある( AⅡ) 18 治 療 が 奏 効 する 確 率 および 実 際 の 奏 効 率 は 使 用 する 薬 剤 や 過 去 のPCP 発 現 回 数 肺 疾 患 重 症 度 免 疫 不 全 の 程 度 治 療 開 始 時 期 併 存 疾 患 によって 異 なる 集 中 治 療 室 (ICU)での 治 療 が 必 要 な 重 症 の 低 酸 素 血 症 の 患 者 の 全 般 的 予 後 は 依 然 として 不 良 であるが 近 年 の 報 告 では おそらく 併 存 疾 患 の 管 理 の 向 上 と 支 持 療 法 の 向 上 により こうした 患 者 の 生 存 は 以 前 よりはるかに 改 善 している ARTが 有 効 な 患 者 は 長 期 生 存 が 可 能 であるため 重 度 PCPを 有 するAIDS 患 者 にはその 機 能 状 態 に 応 じてICUでの 治 療 または 機 械 的 人 工 換 気 を 適 宜 実 施 すべきであり それは 非 HIV 感 染 患 者 の 場 合 と 同 様 で あ る( AⅡ) ART 開 始 について 特 に 考 慮 すべきこと ART 治 療 を 受 けていない 患 者 では 可 能 であれば PCPの 診 断 から2 週 間 以 内 にARTを 開 始 すべきである (AⅠ) TB 以 外 の 日 和 見 感 染 症 (OI) 患 者 282 例 (この63%がPCP 患 者 )を 対 象 とした 無 作 為 化 比 較 対 照 試 験 で ARTを 早 期 に 開 始 (OIの 治 療 開 始 後 中 央 値 12 日 以 内 )した 患 者 では ART 開 始 を 遅 らせた( 中 央 値 45 日 ) 患 者 よ りもAIDSへの 進 行 または 死 亡 ( 副 次 的 試 験 エンドポイント)の 発 生 率 が 有 意 に 低 かった 99 注 目 すべきは PCP で 挿 管 が 必 要 な 呼 吸 不 全 の 患 者 はこの 試 験 に 登 録 されていなかったことである 99 奇 異 性 の 免 疫 再 構 築 症 候 群 12 Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents

21 (IRIS)がPCP 後 に 報 告 されている 100 ほとんどの 症 例 ではPCPの 発 現 から 数 週 間 以 内 にIRISを 発 症 しており その 症 状 は 発 熱 および 咳 や 息 切 れなど 肺 症 状 の 再 発 または 悪 化 などである PCPの 際 のIRISが 生 命 を 脅 か すことはほとんどない 101 が ART 開 始 後 は 症 状 の 再 発 がないか 患 者 の 綿 密 な 追 跡 調 査 をすべきである PCP に 併 発 したIRISの 管 理 については 十 分 に 定 義 されていないが 呼 吸 障 害 の 患 者 で 他 の 原 因 が 除 外 できればステロ イド 薬 を 考 慮 する 専 門 家 もいる 治 療 効 果 および 有 害 事 象 (IRIS を 含 む)のモニタリング 治 療 中 の 綿 密 なモニタリングは 治 療 効 果 を 検 討 し 毒 性 をなるべく 速 く 検 出 するうえで 重 要 である 治 療 後 の 追 跡 調 査 では 早 期 再 発 の 有 無 を 確 認 する 特 に TMP-SMX 以 外 の 薬 剤 を 治 療 に 用 いた 場 合 や 毒 性 が 生 じたた めに 治 療 を 短 縮 した 場 合 は 重 要 である 治 療 終 了 後 直 ちにPCP 予 防 を 開 始 し 少 なくとも3 ヵ 月 以 上 続 けてCD4 数 が200 個 /mm 3 を 上 回 るまで 継 続 すべきである AIDS 患 者 におけるTMP-SMXの 副 作 用 発 現 率 は 高 い(20 85%) 70, 71, 83, 85, 89, 副 作 用 の 中 で 発 現 頻 度 が 高 いのは 発 疹 (30 55%)(スティーブンス ジョンソン 症 候 群 を 含 む) 発 熱 (30 40%) 白 血 球 減 少 症 ( % ) 血 小 板 減 少 症 ( 1 5 % ) 高 窒 素 血 症 ( 1 5 % ) 肝 炎 ( 2 0 % ) 高 カ リ ウ ム 血 症 で あ る 発 現 頻 度 の 高 い 副 作 用 については TMP-SMXを 中 止 する 前 に 対 症 療 法 を 試 みるべきである(AⅢ) 多 く の 場 合 発 疹 は 抗 ヒ ス タ ミン 薬 によって 最 後 まで 治 療 を 行 う(treated through) ことが 可 能 であり 悪 心 は 制 吐 薬 によってコントロール し 発 熱 は 解 熱 薬 によって 対 処 することが 可 能 である 他 の 治 療 法 において 特 に 発 現 頻 度 の 高 い 副 作 用 としては ダプソンまたはプリマキンによるメトヘモグロビン 71, 83 血 症 と 溶 血 ( 特 にG6PD 欠 乏 患 者 の 場 合 ) ダプソンによる 発 疹 と 発 熱 ペンタミジンによる 高 窒 素 血 症 膵 87-89, 105 炎 低 血 糖 もしくは 高 血 糖 白 血 球 減 少 症 電 解 質 異 常 不 整 脈 プリマキンおよびクリンダマイシンによ 71, 84, 85 70, 104 る 貧 血 発 疹 発 熱 下 痢 アトバコンによる 頭 痛 悪 心 下 痢 発 疹 トランスアミナーゼ 上 昇 など がある 治 療 失 敗 への 対 処 方 法 臨 床 的 失 敗 とは PCP 治 療 開 始 後 少 なくとも4 8 日 経 っても 動 脈 血 ガス(ABG)によって 示 される 呼 吸 機 能 の 改 善 がみられないこと もしくは 悪 化 することをいう 薬 剤 の 効 果 欠 如 による 失 敗 は 軽 度 中 等 度 の 患 者 の 約 10%に 生 じる 薬 剤 の 効 果 欠 如 による 治 療 失 敗 への 対 処 方 法 については 推 奨 の 裏 付 けとなる 有 力 な 臨 床 試 験 が 存 在 しない 少 なくとも4 8 日 間 様 子 をみて 臨 床 的 改 善 がみられない 場 合 は 治 療 を 変 更 すべきである(B Ⅲ) ステロイド 薬 を 投 与 していない 場 合 は 治 療 開 始 後 3 5 日 以 内 には 初 期 の 可 逆 的 な 悪 化 が 見 られるのが 普 通 である これは 抗 生 物 質 によって 肺 内 の 病 原 生 物 が 溶 解 されることによる 炎 症 反 応 が 原 因 であると 思 われる 臨 床 的 失 敗 の 原 因 として 併 存 する 他 の 感 染 症 の 可 能 性 を 除 外 することも 必 要 である 26, 27 そのためには たとえ 治 療 開 始 前 に 既 に 実 施 していたとしても 気 管 支 鏡 検 査 とBALを 積 極 的 に 検 討 すべきである 治 療 を 制 限 する 毒 性 が 原 因 の 治 療 失 敗 は 患 者 の3 分 の1で 起 こる 71 治 療 関 連 毒 性 に 対 する 適 切 な 対 処 方 法 は 別 の 治 療 法 への 切 り 替 えである(BⅡ) 中 等 度 重 度 の 症 例 においてTMP-SMXが 無 効 だった 場 合 または 毒 性 のためにTMP-SMXを 使 用 できない 場 合 によく 用 いられる 方 法 は 非 経 口 ペンタミジンまたは 経 口 プリマキンと クリンダ マ イシン 静 注 の 併 用 で ある( BⅡ) 85, 89, 106 軽 症 例 にはアトバコンが 妥 当 な 選 択 肢 である(BⅡ) あ る メ タ アナリシス システマティックレビュー コホート 研 究 では クリンダマイシンとプリマキンの 併 用 が 最 も 効 果 的 なサルベージ 療 法 となる 可 能 性 があると 結 論 づけている 86, 91, 92 が TMP-SMX 無 効 例 に 対 する 最 適 なアプローチ を 検 討 したプロスペクティブ 臨 床 試 験 は 行 われていない 再 発 予 防 二 次 予 防 の 開 始 時 期 PCPの 既 往 がある 患 者 には ARTによる 免 疫 再 構 築 の 場 合 を 除 き 生 涯 にわたってTMP-SMXによる 化 学 的 Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in HIV-Infected Adults and Adolescents 13