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1 平 成 25 年 度 発 電 用 原 子 炉 等 利 用 環 境 調 査 ( 海 外 における 原 子 力 政 策 等 実 態 調 査 ) 報 告 書 平 成 26 年 3 月 株 式 会 社 三 菱 総 合 研 究 所

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3 目 次 1 はじめに 事 業 目 的 調 査 内 容 米 国 電 力 市 場 制 度 と 原 子 力 ( 発 電 ) 政 策 の 変 遷 米 国 の 原 子 力 発 電 及 び 電 気 事 業 の 規 制 制 度 体 制 米 国 における 電 力 自 由 化 の 経 緯 と 現 状 自 由 化 電 力 市 場 と 原 子 力 発 電 原 子 力 発 電 事 業 体 制 原 子 力 発 電 事 業 者 の 事 業 体 制 新 設 プロジェクトの 現 状 原 子 力 関 連 政 策 施 策 米 国 の 原 子 力 関 連 政 策 の 概 要 原 子 力 発 電 連 邦 債 務 保 証 プログラム 待 機 支 援 ( 許 認 可 遅 延 リスク 保 険 ) 生 産 税 控 除 その 他 原 子 炉 新 設 プロジェクトと 資 金 調 達 スキーム 米 国 における 原 子 炉 新 設 プロジェクトの 資 金 調 達 の 概 要 電 気 事 業 規 制 緩 和 と 原 子 力 プレミアム 連 邦 債 務 保 証 など 諸 施 策 の 効 果 と 課 題 原 子 炉 新 設 プロジェクト 事 例 と 資 金 調 達 スキーム 電 力 自 由 化 に 伴 うバックエンド 費 用 の 取 り 扱 い 電 力 自 由 化 とバックエンド 費 用 の 資 金 確 保 米 国 における 廃 止 措 置 費 用 の 確 保 制 度 米 国 における 廃 止 措 置 費 用 確 保 の 現 状 電 力 自 由 化 と 廃 止 措 置 費 用 の 資 金 確 保 電 力 自 由 化 後 の 廃 止 措 置 資 金 確 保 等 の 事 例 まとめと 考 察 英 国 電 力 市 場 制 度 と 原 子 力 ( 発 電 ) 政 策 の 変 遷 主 要 発 電 事 業 者 の 概 要

4 3.2 原 子 力 発 電 事 業 体 制 原 子 力 関 連 政 策 施 策 低 炭 素 電 源 への 投 資 促 進 のための 電 力 市 場 改 革 (EMR) 低 炭 素 発 電 電 力 に 対 する 固 定 価 格 買 取 差 額 決 済 契 約 (FIT CfD) 制 度 重 要 なインフラ 施 設 の 建 設 のための 資 金 調 達 における 政 府 債 務 保 証 制 度 原 子 力 支 援 施 策 に 対 する 欧 州 委 員 会 の 国 家 補 助 (State Aid) 審 査 重 要 なインフラ 施 設 の 立 地 自 治 体 への 支 援 策 その 他 の 制 度 新 増 設 の 状 況 と 資 金 調 達 スキーム(ケーススタディ) 新 増 設 の 状 況 資 金 調 達 スキーム 考 察 ドイツ 電 力 市 場 制 度 と 原 子 力 ( 発 電 ) 政 策 の 変 遷 電 力 市 場 制 度 電 力 市 場 の 変 遷 ドイツ 電 力 市 場 における 問 題 点 大 グループの 概 要 原 子 力 ( 発 電 ) 政 策 の 変 遷 原 子 力 発 電 事 業 体 制 原 子 力 発 電 事 業 の 概 要 原 子 力 関 連 政 策 施 策 原 子 力 発 電 事 業 者 に 対 する 損 失 補 償 に 関 連 する 法 律 規 定 年 ~2011 年 の 原 子 力 政 策 変 更 に 対 する 事 業 者 の 反 応 年 の 原 子 力 政 策 転 換 に 係 る 補 償 に 関 する 訴 訟 フランス 電 力 市 場 制 度 と 原 子 力 ( 発 電 ) 政 策 の 変 遷 電 力 市 場 制 度 の 変 遷 原 子 力 発 電 政 策 の 変 遷 原 子 力 発 電 事 業 体 制 運 転 基 数 と 運 転 者 原 子 力 発 電 事 業 に 関 する 最 新 動 向 原 子 力 関 連 政 策 施 策 NOME 法 の 制 定 ARENH 価 格 の 設 定 ARENH の 運 用 方 法

5 5.3.4 NOME 法 と ARENH による 影 響 と 問 題 点 新 増 設 の 状 況 フラマンヴィル 原 子 力 発 電 所 の 建 設 状 況 EPR の 建 設 費 用 と 資 金 調 達 政 府 や AREVA 社 の 関 係 者 の 費 用 に 関 する 発 言 EDF と RTE の 出 資 関 係 と EU 指 令 2009/72 との 関 連 フィンランド 電 力 市 場 制 度 と 原 子 力 ( 発 電 ) 政 策 の 変 遷 電 力 市 場 制 度 の 変 遷 原 子 力 政 策 の 変 遷 と 気 候 変 動 政 策 の 関 係 原 子 力 発 電 事 業 体 制 Fortum 社 TVO マンカラ モデルの 特 徴 新 増 設 の 状 況 と 資 金 調 達 スキーム オルキルオト 3 号 機 ハンヒキビ 1 号 機 付 録

6 1 はじめに 1.1 事 業 目 的 2011 年 3 月 に 発 生 した 東 日 本 大 震 災 とこれに 伴 う 東 京 電 力 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 におけ る 事 故 を 契 機 に エネルギー 政 策 を 取 り 巻 く 情 勢 は 大 きく 変 化 してきている 本 調 査 事 業 期 間 中 総 合 資 源 エネルギー 調 査 会 基 本 政 策 分 科 会 において エネルギー 政 策 の 見 直 しが 行 われてきたところ 本 調 査 においては 今 後 の 原 子 力 政 策 を 検 討 するにあ たり 電 力 自 由 化 で 先 行 する 諸 外 国 における 制 度 の 詳 細 な 把 握 分 析 を 行 い これらの 政 策 立 案 に 役 立 てることを 目 的 として 情 報 収 集 調 査 分 析 を 実 施 した 1.2 調 査 内 容 本 調 査 では 仕 様 書 に 示 された(1) 海 外 における 原 子 力 政 策 の 動 向 調 査 (2) 国 内 外 における 市 場 制 度 等 の 調 査 および(3) 新 たな 政 策 課 題 への 対 応 の 3 項 目 について 調 査 を 実 施 した 次 章 以 下 では これら 項 目 を 国 別 に 整 理 し 以 下 のとおり 再 構 成 して 調 査 の 結 果 を 示 す (1) 海 外 における 原 子 力 政 策 の 動 向 調 査 各 国 第 1 節 電 力 市 場 制 度 と 原 子 力 ( 発 電 ) 政 策 の 変 遷 (2) 国 内 外 における 市 場 制 度 等 の 調 査 各 国 第 2 節 原 子 力 発 電 事 業 体 制 (3) 新 たな 政 策 課 題 への 対 応 各 国 第 3 節 ~ 原 子 力 関 連 政 策 施 策 国 ごとに 主 要 な 政 策 施 策 課 題 について 節 を 分 割 している 4

7 2 米 国 2.1 電 力 市 場 制 度 と 原 子 力 ( 発 電 ) 政 策 の 変 遷 米 国 の 原 子 力 発 電 及 び 電 気 事 業 の 規 制 制 度 体 制 原 子 力 発 電 に 係 る 連 邦 州 の 規 制 制 度 体 制 米 国 は 連 邦 制 国 家 であり 合 衆 国 憲 法 で 連 邦 に 権 限 が 与 えられた 事 項 以 外 については 基 本 的 に 州 が 権 限 を 有 すことになる しかしながら 原 子 力 の 利 用 については 国 家 安 全 保 障 も 絡 む 問 題 として 連 邦 で 1954 年 原 子 力 法 が 定 められており 原 子 力 安 全 については 連 邦 法 の 専 占 の 法 理 により 連 邦 法 が 優 先 し 1 NRC が 規 制 権 限 を 有 している したがって 原 子 力 発 電 プラントを 含 む 原 子 力 施 設 の 建 設 運 転 所 有 等 に 係 る 許 認 可 や 監 督 核 物 質 など 原 子 力 法 で 規 定 された 放 射 性 物 質 の 保 有 利 用 許 可 監 督 等 は 全 て NRC の 規 制 権 限 に 属 している その 他 原 子 力 関 係 では 放 射 性 廃 棄 物 処 分 について 規 定 した 1982 年 放 射 性 廃 棄 物 政 策 法 1985 年 低 レベル 放 射 性 廃 棄 物 政 策 法 が 連 邦 法 として 制 定 されており 使 用 済 燃 料 の 処 分 は 電 気 事 業 者 が 発 電 量 当 りの 拠 出 金 を 支 払 うことにより 連 邦 政 府 がその 引 取 り 処 分 に 責 任 を 持 つこと 低 レベル 放 射 性 廃 棄 物 については 州 政 府 が 主 体 となって 処 分 場 を 確 保 し また NRC の 監 督 委 任 の 下 で 低 レベル 放 射 性 廃 棄 物 規 制 に 当 たれることなどが 規 定 されて いる また 規 制 分 野 以 外 では 連 邦 エネルギー 省 (DOE)が 全 米 大 のエネルギー 政 策 の 一 環 として 原 子 力 発 電 事 業 に 係 る 政 策 を 検 討 する 他 先 進 技 術 の 研 究 開 発 活 動 などを 行 って いる DOE は 核 兵 器 を 含 む 国 防 安 全 保 障 関 連 の 原 子 力 活 動 も 行 っており 全 米 の DOE サイトでは 研 究 開 発 を 含 む 活 動 が 行 われている 他 かつての 核 兵 器 開 発 などによる 廃 棄 物 汚 染 等 の 環 境 修 復 活 動 も 行 われている 電 気 事 業 の 規 制 制 度 体 制 一 方 電 気 事 業 については 原 則 として 連 邦 は 規 制 権 限 を 持 たず 電 気 事 業 規 制 は 各 州 に 公 益 事 業 委 員 会 等 が 置 かれ 州 毎 に 異 なる 規 制 が 行 われている 電 気 料 金 の 承 認 電 気 1 この 連 邦 法 の 専 占 による 法 理 は 最 近 のバーモントヤンキー 発 電 所 の 運 転 延 長 を 巡 る 州 と 事 業 者 の 争 い でも 見 られた バーモント 州 では バーモントヤンキー 発 電 所 の 運 転 延 長 に 際 して 必 要 とされる 公 益 性 証 明 (Certificate of goods)の 発 給 には 州 議 会 の 承 認 が 必 要 とする 州 法 を 制 定 していたが 同 発 電 所 の 安 全 性 への 懸 念 などから 制 定 された 州 法 は 連 邦 法 の 専 占 により 無 効 とされた 一 方 カリフォルニア 州 では 使 用 済 燃 料 の 最 終 処 分 場 が 確 保 されない 状 況 では 原 子 力 発 電 プラントの 新 設 を 認 めないとする 州 法 を 制 定 しているが これは 経 済 的 自 由 に 基 づくもので 連 邦 法 に 専 占 されたものとは 言 えないとして 有 効 とされ た 5

8 事 業 者 の 監 督 電 気 事 業 規 制 の 検 討 決 定 など 州 内 の 電 気 事 業 小 売 電 力 市 場 に 関 する 事 項 は 州 憲 法 の 下 で 制 定 された 州 法 により 決 定 されている したがって いわゆる 電 力 自 由 化 電 気 事 業 規 制 緩 和 も 各 州 の 電 気 事 業 法 令 の 改 正 により 行 われており 州 により 自 由 化 州 規 制 州 が 分 かれ また 自 由 化 の 形 態 も 州 毎 に 異 なっている 但 し 合 衆 国 憲 法 の 州 際 通 商 条 項 により 州 際 取 引 は 連 邦 の 権 限 とされており 州 を 跨 がる 卸 電 力 取 引 送 電 に 関 する 分 野 では 連 邦 電 力 法 (FPA) i が 制 定 され 連 邦 エネルギー 規 制 委 員 会 (FERC)が 規 制 に 当 たっている FPA は 卸 電 力 料 金 / 送 電 料 金 など 州 際 取 引 の 規 制 (FPA の PartⅡ PartⅢ)の 他 ダム 水 力 発 電 ( 同 Part I)についても 規 定 して いる その 他 電 気 事 業 に 関 する 基 本 的 な 連 邦 法 としては 公 益 事 業 持 株 会 社 法 (PUHCA) 公 益 事 業 者 規 制 政 策 法 (PURPA)などが 定 められ 州 際 取 引 に 関 連 する 公 益 事 業 者 の 規 制 再 生 可 能 エネルギーを 含 む 代 替 電 源 供 給 源 としての 公 益 事 業 者 以 外 の 発 電 事 業 者 の 拡 充 規 制 なども FERC など 連 邦 政 府 により 行 われて 来 ている FPA は 1992 年 及 び 2005 年 のエネルギー 政 策 法 により 大 きな 改 正 が 加 えられており FERC の 権 限 も 強 化 されてきている 特 に 後 述 するように 1992 年 エネルギー 政 策 法 は 系 統 アクセスの 自 由 化 を 可 能 とし その 後 の FERC の Order-888 を 経 て 卸 電 力 の 自 由 化 を 実 現 した 他 2005 年 エネルギー 政 策 法 では 信 頼 度 基 準 送 電 インフラ 運 用 の 改 善 PURPA の 改 正 及 び PUHCA の 廃 止 など 電 気 事 業 規 制 の 大 幅 な 改 革 が 行 われている 電 気 事 業 に 係 る 連 邦 州 の 主 な 権 限 は 表 のように 整 理 される ii 6

9 表 電 気 事 業 に 係 る 連 邦 州 の 主 な 権 限 連 邦 州 根 拠 法 連 邦 電 力 法 (FPA)( 1992/2005 各 州 の 電 気 事 業 法 年 エネルギー 政 策 法 等 により 改 正 ) 規 制 機 関 FERC 各 州 公 益 事 業 委 員 会 (PUC/PSC) 等 規 制 対 象 公 益 事 業 者 = 州 際 送 電 卸 販 売 に 係 る 施 設 小 売 / 配 電 事 業 者 送 電 事 業 者 発 電 事 業 者 など( 州 法 により 規 定 ) を 有 する 者 主 な 規 制 権 限 公 益 事 業 者 による 州 際 送 電 ( 料 金 その 他 の 条 件 ) 公 益 事 業 者 による 州 際 卸 販 売 ( 料 金 その 他 の 条 件 ) 州 を 跨 ぐ 送 電 卸 販 売 及 び そのための 施 設 に 排 他 的 な 管 轄 公 益 事 業 者 の 会 社 取 引 等 ( 合 併 株 式 発 行 等 ) 公 益 事 業 者 の 会 計 系 統 信 頼 度 ローカル な 配 電 ( 料 金 そ の 他 の 条 件 ) 最 終 消 費 者 への 電 力 販 売 ( 料 金 その 他 の 条 件 ) 発 電 送 電 設 備 の 立 地 建 設 2 環 境 関 連 2 安 全 性 関 連 2 なお 連 邦 と 州 の 権 限 の 境 界 線 となる 州 際 / 州 内 の 判 断 については 取 引 を 行 う 両 者 が 共 に 同 一 州 内 に 存 在 し 同 一 州 内 の 送 配 電 網 のみを 使 用 しているという 事 実 のみで FERC の 権 限 が 奪 われる 訳 ではなく 州 の 間 で 繋 がっている 送 電 網 を 利 用 した 場 合 には 州 際 取 引 として FERC の 規 制 対 象 になることが 判 例 で 示 されている 但 し アラスカ 州 とハワ イ 州 及 び 一 部 の 例 外 を 除 きテキサス 州 の ERCOT 地 域 は 州 際 電 力 取 引 が 発 生 しないた め FERC の 管 轄 外 となる また FERC が 権 限 を 有 するのは 販 売 であり 州 際 取 引 の 購 入 は 州 の 規 制 対 象 となる 米 国 における 電 力 自 由 化 の 経 緯 と 現 状 米 国 における 電 気 事 業 規 制 緩 和 / 電 力 市 場 自 由 化 は 1990 年 代 に 本 格 化 したが この 自 由 化 の 動 きに 繋 がる 最 初 の 大 きな 契 機 は 1978 年 公 益 事 業 者 規 制 政 策 法 (PURPA)の 制 定 で 2 発 電 設 備 は FERC 管 轄 の 水 力 発 電 所 関 連 を 除 く 7

10 あったとされている カーター 政 権 の 下 で 制 定 された PURPA は それまで 公 営 / 私 営 の 公 益 電 気 事 業 者 が 独 占 してきた 発 電 事 業 について コジェネレーション 及 び 再 生 可 能 エネルギーの 小 規 模 プラ ントを 適 格 施 設 (QF)として 認 定 し 公 益 電 気 事 業 者 による QF の 系 統 接 続 と 回 避 費 用 (Avoided Cost)での 買 い 取 りを 義 務 付 けるものである カリフォルニア 州 やテキサス 州 などが 回 避 費 用 を 高 めに 設 定 したことなどから QF は 急 増 し 規 制 独 占 事 業 からは 独 立 の 発 電 事 業 の 可 能 性 に 気 付 かせることになったと 言 われている 1992 年 には ブッシュ 政 権 下 で 1992 年 エネルギー 政 策 法 (Epact-1992)が 成 立 した 同 法 は 公 益 事 業 者 持 株 会 社 法 (PUHCA)の 適 用 を 除 外 される 免 除 卸 発 電 事 業 者 (EWG) という 非 公 益 電 気 事 業 者 のカテゴリを 創 出 し PUHCA の 制 約 なく IPP 事 業 を 行 える 環 境 が 作 られた EPAct-1992 は 連 邦 電 力 法 (FPA)の 卸 電 力 の 託 送 規 定 も 修 正 し 全 米 大 で 卸 電 力 取 引 の 系 統 へのオープンアクセスが 認 められることになった EPAct-1992 により EWG は 全 米 で 発 電 所 を 建 設 運 転 することが 可 能 となり 公 正 で 合 理 的 な 料 金 での 系 統 ア クセスを 送 電 網 所 有 の 公 益 電 気 事 業 者 に 命 ずることを FERC に 申 請 できることとなった EPAct-1992 は 直 ちに 全 面 的 な 卸 電 力 自 由 化 を 進 めた 訳 ではないが 同 法 により 権 限 が 強 化 された FERC は 1996 年 にオーダー888 を 発 し 競 争 的 卸 電 力 市 場 が 本 格 的 に 成 立 す ることとなった オーダー888 では 主 要 なオープンアクセス 関 連 条 項 として 公 益 電 気 事 業 者 の 機 能 的 アンバンドリング 非 差 別 的 なオープンアクセス 料 金 要 件 などが 規 定 され ISO/RTO の 設 立 奨 励 を 含 め 全 米 大 で 卸 電 力 市 場 が 自 由 化 されていくことになった なお FERC のオーダー888 では 公 益 電 気 事 業 者 が 競 争 市 場 においてサンクコストを 回 収 出 来 ることも 目 指 されており ストランデッドコスト/ 競 争 移 行 費 用 の 回 収 に 係 るガ イドラインとなる 規 定 も 示 された ストランデッドコスト 回 収 の 根 拠 は 公 益 電 気 事 業 者 は 従 来 の 規 制 体 制 下 で 全 ての 適 正 なコストが 回 収 される 前 提 で 多 額 の 投 資 を 行 ってきたこ ととされた オーダー888 では ストランデッドコストは 離 脱 顧 客 からも 回 収 されるべきこ とを 示 していたが 小 売 市 場 については 競 争 移 行 によるコスト 回 収 問 題 も 基 本 的 に 州 が 管 轄 権 を 有 するものとしている オーダー888 は 1オープンアクセスによる 系 統 接 続 に 係 る 反 競 争 的 差 別 的 な 慣 行 の 排 除 及 び2 移 行 期 におけるストランデッドコスト 回 収 の 確 実 化 という 二 つの 主 要 な 目 的 の 下 で 策 定 されている ストランデッドコストに 関 する 主 要 な 規 定 のポイントは 表 に 示 す 通 りとなっている 表 オーダー888 におけるストランデッドコストに 関 する 主 な 規 定 のポイント ストランデッドコスト 要 件 正 当 で 証 明 可 能 なストランデッドコストの 回 収 は 認 め られるべき 逸 失 収 益 ベースで 計 算 するのが 適 切 な 回 収 方 法 卸 売 ストランデッドコストの 公 益 事 業 者 のアンバンドル 後 も 卸 売 顧 客 であり 続 ける 定 義 顧 客 へのサービス 提 供 のために 生 じた 正 当 な 費 用 8

11 小 売 顧 客 から 卸 顧 客 となった FERC が 第 一 次 的 な 裁 定 場 所 となる 場 合 のストランデッドコスト の 回 収 契 約 の 定 義 1994 年 7 月 11 日 より 後 の 契 約 は 新 契 約 それ 以 前 の 契 約 は 既 存 契 約 新 契 約 の 下 でのストランデッ 解 約 金 など 契 約 上 の 明 文 規 定 が 無 い 限 り 公 益 事 業 者 ドコストの 回 収 は 新 契 約 に 基 づくストランデッドコストの 回 収 は 主 張 できない 既 存 契 約 の 下 でのストランデ 解 約 金 など 契 約 上 の 明 文 規 定 が 無 い 既 存 契 約 では 以 ッドコストの 回 収 下 の 回 収 を 求 めることが 可 能 ストランデッドコスト 回 収 を 当 事 者 が 交 渉 し FERC に 登 録 いずれかの 当 事 者 が 契 約 終 了 前 に FERC に 承 認 を 求 め 申 請 公 益 事 業 者 又 は 送 電 事 業 者 が 顧 客 向 けの 卸 送 電 サー ビス 料 金 を 通 じてのストランデッドコストの 回 収 提 案 を FERC に 申 請 小 売 ストランデッドコストの FERC と 州 は 共 に 小 売 ストランデッドコストに 関 する 回 収 法 的 権 限 を 有 しているが FERC は 小 売 託 送 で 生 じ るストランデッドコストの 回 収 については 州 が 第 一 次 的 な 管 轄 権 を 持 つべきと 決 定 小 売 託 送 から 生 じるス トランデッドコストの 回 収 を 送 電 料 金 から 回 収 できる のは 州 規 制 当 局 が 権 限 を 有 していない 場 合 に 限 る 証 拠 的 事 実 ストランデッドコストの 回 収 を 求 める 公 益 事 業 者 は 継 続 的 なサービス 提 供 が 合 理 的 に 見 込 まれた 顧 客 に 対 する 卸 託 送 のために 生 じたコストであることを 証 明 す る 必 要 がある ( 中 略 ) 小 売 顧 客 関 連 のケースでは 州 法 による 排 他 的 供 給 エリアでのユニバーサル 供 給 義 務 の 規 定 は 上 記 合 理 性 判 断 の 考 慮 要 因 となる 回 収 可 能 な 卸 ストランデッド 逸 失 収 益 アプローチに 基 づき 以 下 のフォーミュ コストの 決 定 ラで 計 算 する ストランデッドコスト 現 在 価 値 =(RSE - CMVE) L 但 し RSE は 離 脱 需 要 家 の 過 去 3 年 間 の 平 均 収 入 から 送 電 関 連 収 益 を 除 いたもの 9

12 一 方 州 際 の 卸 電 力 取 引 以 外 の 電 気 事 業 に 管 轄 権 を 有 する 州 でも EPAct-1992 の 成 立 な どを 受 けて 電 力 小 売 市 場 への 競 争 の 導 入 が 堰 を 切 ったように 検 討 されていた 先 進 的 な 州 の 一 つであったカリフォルニア 州 では 1992 年 に 電 気 事 業 規 制 プログラムの 代 替 案 検 討 が 命 じられ 1993 年 に 所 謂 イエローブック 報 告 書 が 策 定 され 従 来 の 規 制 盟 約 の 再 定 義 を 含 め 電 気 事 業 規 制 プログラムを 改 革 すべきことが 提 言 された その 後 公 益 事 業 委 員 会 (CPUN)による ブルーブック が 提 案 され 総 括 原 価 主 義 に 基 づく 規 制 枠 組 みを 改 革 し 市 場 ベースの 枠 組 みへと 移 行 する 電 気 事 業 再 編 計 画 が 進 められていくこ ととなった 米 国 では 全 ての 州 が 規 制 緩 和 に 前 向 きだった 訳 ではないが 他 州 でも 1996 年 の 法 律 制 定 により 小 売 市 場 自 由 化 を 決 定 したペンシルバニア 州 1997 年 に 電 気 事 業 再 編 法 が 制 定 さ れたマサチューセッツ 州 など 1990 年 代 に 多 くの 州 で 電 気 事 業 規 制 緩 和 / 電 力 自 由 化 が 決 定 され 1999 年 時 点 でも 12 の 州 で 実 際 に 電 力 供 給 者 の 選 択 が 可 能 になっていた しかしながら 2000 年 にはカリフォルニア 州 で 卸 市 場 における 市 場 操 作 などから 電 力 価 格 及 び 天 然 ガス 価 格 が 高 騰 し 競 争 移 行 過 程 で 小 売 価 格 に 上 限 が 設 定 されていた 電 力 会 社 の 破 綻 に 繋 がるなど 所 謂 カリフォルニア 電 力 危 機 が 発 生 し 同 州 の 小 売 自 由 化 は 2001 年 10 月 に 停 止 された こうした 中 で 自 由 化 の 検 討 段 階 にあった 多 くの 州 で 電 力 自 由 化 の 動 きは 凍 結 されることとなった DOE エネルギー 情 報 局 (EIA)のウェブサイトによれば 現 在 米 国 で 小 売 自 由 化 を 法 律 等 で 決 定 している 州 は 図 の 15 州 1 特 別 区 で また 7 州 は 自 由 化 の 動 きを 中 断 した 状 態 となっている 但 し 例 えば 2001 年 10 月 から 小 売 市 場 自 由 化 を 停 止 したカリフォル ニア 州 でも 近 年 は 限 定 的 な 形 ながら 系 統 の 直 接 アクセスを 認 めるなど 一 部 自 由 化 の 動 きも あり 最 新 の 詳 細 情 報 については 各 州 の 公 益 事 業 委 員 会 情 報 などの 確 認 が 必 要 である 10

13 ワシントン モンタナ ノースダコタ ミネソタ バーモント メイン オレゴン ニューハンプシャー ネバダ カリフォルニア アイダホ ユタ アリゾナ ワイオミング コロラド ニューメキシコ サウスダコタ ネブラスカ カンサス オクラホマ アイオワ ウィスコンシン ミズーリ アーカンソー イリノイ ミシガン インディアナ ケンタッキー テネシー ミシシッピー アラバマ ペンシルバニア オハイオ ウエスト バージニア ジョージア ニューヨーク ノースカロライナ サウスカロライナ マサチューセッツ ニュージャージー デラウェア メリーランド ワシントンD.C. 規 制 バージニア 自 由 化 ロードアイランド コネチカット アラスカ テキサス ルイジアナ フロリダ 自 由 化 中 断 ハワイ 図 米 国 の 小 売 り 自 由 化 州 の 分 布 図 ( 出 典 )DOE/EIA, Status of Electricity Restructuring by State 表 米 国 の 小 売 自 由 化 州 等 の 分 布 自 由 化 州 自 由 化 中 断 州 メイン ニューハンプシャー マサチューセ バージニア アーカンソー モンタナ ニュ ッツ ロードアイランド コネチカット ニ ーメキシコ アリゾナ ネバダ カリフォル ューヨーク ニュージャージー ペンシルバ ニア ニア デラウェア メリーランド ワシント ン D.C. オハイオ ミシガン イリノイ テキサス オレゴン 11

14 2.1.3 自 由 化 電 力 市 場 と 原 子 力 発 電 規 制 / 非 規 制 の 原 子 力 発 電 プラント 前 項 で 示 したように 米 国 では 15 州 とワシントン D.C.で 電 力 自 由 化 が 行 われており 原 子 力 発 電 プラントについても 表 に 示 すように 29 発 電 所 45 基 が 自 由 化 州 に 立 地 して いる また 規 制 州 に 立 地 するプラントでも 規 制 公 益 事 業 者 以 外 に 売 却 されたプラント は 規 制 から 外 れて 所 謂 マーチャント プラント 3 となる 表 の 最 下 部 に 示 したように バーモント 州 のバーモントヤンキー 発 電 所 アイオワ 州 の デュアンアーノルド 発 電 所 ウィスコンシン 州 のポイントビーチ 発 電 所 は 州 における 電 力 自 由 化 は 行 われていないが 規 制 事 業 者 以 外 に 売 却 されたことによりマーチャント プ ラントとなっている この 中 で バーモントヤンキー 発 電 所 は 2033 年 迄 の 運 転 認 可 更 新 を NRC から 承 認 さ れていたが 経 済 性 を 理 由 として 2014 年 末 での 閉 鎖 を 決 定 している また 2013 年 に 閉 鎖 したキウォーニ 発 電 所 も 規 制 州 のウィスコンシン 州 に 立 地 していたが やはりドミニ オン 社 への 売 却 によりマーチャント プラントとなっており 経 済 性 を 主 な 理 由 として 閉 鎖 していた なお サウスカロライナ 州 のカタウバ(Catawba) 発 電 所 も 2008 年 に 売 買 が 行 われているが これは 規 制 事 業 者 である 元 々の 共 同 所 有 者 間 での 売 買 のため 4 その 後 も 規 制 プラントとして 継 続 している このように 米 国 では 共 同 所 有 の 発 電 プラントも 多 いが その 場 合 の 規 制 / 非 規 制 の 別 は 所 有 者 が 規 制 事 業 者 であるか 否 かにより 決 定 されている 5 例 えば 表 中 でマーチャント プラントとして 示 しているデュアンアーノルド 及 びポイントビーチ 発 電 所 は 共 にフロリ ダ 州 に 本 拠 を 置 くネクトエラ エナジー( 旧 FPL エナジー) 社 と 地 元 州 の 規 制 電 力 事 業 者 の 共 同 所 有 となっており ネクトエラ 社 の 持 ち 分 のみがマーチャント プラント 扱 いとな っている また こうして 規 制 事 業 者 から 規 制 事 業 者 以 外 への 売 却 によりマーチャント プラント となった 発 電 所 では 一 般 に 売 却 元 の 規 制 事 業 者 と 購 入 事 業 者 との 間 で 長 期 電 力 調 達 契 約 (PPA)が 締 結 され 発 電 電 力 の 多 くは 売 却 前 と 同 様 に 規 制 事 業 者 の 小 売 顧 客 向 けに 供 給 さ れている 2013 年 に 閉 鎖 したキウォーニ 発 電 所 の 例 では この PPA 契 約 が 2013 年 に 期 限 切 れとなる 中 で 卸 電 力 価 格 が 低 迷 している 環 境 下 で 採 算 性 を 確 保 できる PPA 契 約 の 更 新 が 出 来 なかったことが 閉 鎖 決 断 に 至 った 主 要 な 理 由 の 一 つとして 挙 げられていた 3 マーチャントプラントは 自 由 化 された 競 争 市 場 環 境 で 電 力 販 売 を 行 う 発 電 プラントを 指 すもので 米 国 では 一 般 に 用 いられている 用 語 4 同 プラントは Duke 社 を 含 む 共 同 所 有 のプラントで 2008 年 の 売 買 で Saluda River Electric Cooperative, Inc.という 規 制 事 業 者 から Duke 社 が 約 6.7%の 持 ち 分 を 購 入 し 19.25%の 持 分 となっている ( 他 に 3.3% 分 は 別 の 規 制 事 業 者 電 力 組 合 が 購 入 ) 5 州 の 公 益 事 業 委 員 会 の 決 定 による 12

15 表 規 制 州 / 非 規 制 州 の 原 子 力 発 電 プラント 自 由 化 / 州 規 制 プラント 名 運 転 者 コネチカット Millstone Dominion Generation Braidwood Byron Clinton イリノイ Dresden Exelon Generation Co. LLC LaSalle Quad Cities メリーランド Calvert Cliffs Constellation Generation マサチューセッ ツ ミシガン ニューハンプシ ャー ニュージャージ 自 由 化 州 ー ニューヨーク オハイオ ペンシルバニア Pilgrim Entergy Nuclear Northeast Cook American Electric power Co. Inc. Fermi 2 Detroit Edison Co. (The) Palisades Entergy Nuclear NextEra Energy Resources Seabrook, Seabrook LLC Hope Creek PSEG Nuclear, LLC Oyster Creek Exelon Generation Co. LLC Salem PSEG Nuclear, LLC Indian Point James A. Entergy Nuclear Northeast Fitzpatrick Nine Mile Point Constellation Generation Robert E. Ginna Davis-Besse Perry FirstEnergy Nuclear Operating Co. Beaver Valley Limerick Exelon Generation Co. LLC Peach Bottom Susquehanna PPL Susquehanna, LLC Three Mile Exelon Generation Co. LLC Island テキサス Comanche Peak Luminant Generation 13

16 自 由 化 / 州 プラント 名 運 転 者 規 制 South Texas STP Nuclear Operating Co. Project アリゾナ Palo Verde Arizona Public Service Co. Arkansas アーカンソー Entergy Nuclear South Nuclear One 小 売 自 由 化 カリフォルニア Diablo Canyon Pacific Gas & Electric Co. を 中 断 North Anna Dominion Generation バージニア Surry Browns Ferry Tennessee Valley Authority Turkey Point 3 & フロリダ 4 Florida Power & Light Co. St. Lucie Edwin Hatch ジョージア Southern Nuclear Operating Co. Vogtle カンザス Wolf Creek Wolf Creek Nuclear Operations Corp. River Bend ルイジアナ Entergy Nuclear South Waterford 3 Monticello ミネソタ Northern States Power Company Prairie Island ミシシッピ Grand Gulf Entergy Nuclear South 規 制 州 ミズーリ Callaway AmerenUE ( 規 制 プラ Cooper Nebraska Public Power District ネブラスカ ント) Fort Calhoun Omaha Public Power District Brunswick ノースカロライ Progress Energy Shearon Harris ナ McGuire Duke Power H.B. Robinson 2 Progress Energy サウスカロライ Oconee Duke Power ナ Catawba Summer South Carolina Electric & Gas Co. Sequoyah テネシー Tennessee Valley Authority Watts Bar ワシントン Columbia Energy Northwest 14

17 州 バーモント アイオワ ウィスコンシン 自 由 化 / 規 制 プラント 名 運 転 者 Vermont Yankee Entergy Nuclear Vermont Yankee, LLC 規 制 州 NextEra Energy Resources Duane (マーチャ Duane Arnold Arnold, LLC ント プラ NextEra Energy Resources Point Beach, ント) Point Beach LLC ( 出 典 )NEI, "Nuclear Plants in Regulated / Deregulated States" "US Nuclear Plant Sales " 等 より 作 成 競 争 的 卸 電 力 市 場 と 原 子 力 発 電 自 由 化 州 に 立 地 するなどのマーチャント プラントにおいては 発 電 事 業 者 は 短 期 / 長 期 の 電 力 契 約 (PPA)による 相 対 取 引 か ISO 等 が 運 営 する 1 日 前 市 場 等 の 卸 電 力 取 引 所 におけるスポット 取 引 により 発 電 電 力 を 販 売 することになる 電 力 取 引 市 場 における 1 日 前 市 場 等 のスポット 取 引 では 一 般 に 各 発 電 プラントの 限 界 供 給 曲 線 に 基 づいた 入 札 / 電 源 調 達 が 行 われ 時 間 帯 毎 の 需 要 に 応 じた 限 界 供 給 プラント の 費 用 などに 基 づいて 市 場 価 格 が 決 定 される このとき 運 転 中 の 原 子 力 発 電 プラントは 変 動 費 が 小 さく 停 止 起 動 に 係 るコストが 大 きいこともあり 基 本 的 にゼロ 価 格 で 入 札 す ることになる 卸 電 力 市 場 では 自 流 式 水 力 や 風 力 太 陽 光 など 他 にもゼロ 価 格 で 入 札 を 行 う 電 源 があるが ゼロ 価 格 での 供 給 量 が 需 要 量 を 上 回 る 時 間 帯 には 卸 電 力 価 格 はマイ ナスになることもあり 得 る 特 に 近 年 の 再 生 可 能 エネルギー 促 進 策 などで 風 力 発 電 の 規 模 が 大 きくなった 市 場 では 需 要 が 低 い 水 準 となる 深 夜 などのオフピーク 時 には マイナ ス 価 格 の 出 現 頻 度 が 高 くなることもあり 原 子 力 発 電 プラントの 収 益 に 直 結 する 問 題 とな り 得 る 2012 年 に 閉 鎖 を 決 定 したドミニオン 社 のキウォーニ 発 電 所 の 例 でも 同 プラント が 立 地 するウィスコンシン 州 では 風 力 発 電 の 伸 張 が 著 しく 夜 間 にはしばしばマイナス 価 格 が 出 現 する 状 況 となっていたことも 同 プラントの 採 算 性 に 影 響 を 与 えたと 考 えられる 6 また 原 子 力 発 電 は 米 国 においても 温 暖 化 ガス(GHG) 排 出 のないクリーン 電 源 で 安 定 供 給 系 統 信 頼 度 に 貢 献 する 電 源 の 一 つと 位 置 付 けられるが 自 由 化 電 力 市 場 におい てはこうした 外 部 性 は 市 場 価 格 に 反 映 されないため 原 子 力 発 電 の 特 性 便 益 が 正 当 に 評 価 されていないとの 見 解 が 原 子 力 産 業 などから 示 されている 例 えば 原 子 力 協 会 (NEI) は 2013 年 8 月 にバーモントヤンキー 発 電 所 が 運 転 認 可 更 新 を 得 てから 程 なく 経 済 性 を 理 由 として 閉 鎖 を 決 定 した 際 に 競 争 市 場 は 信 頼 性 ある 長 期 的 な 電 力 供 給 能 力 を 確 保 する 6 キウォーニ 発 電 所 の 閉 鎖 の 理 由 としては 電 力 価 格 の 低 迷 期 に 電 力 供 給 契 約 (PPA)の 更 新 期 を 迎 えた こと 及 び 同 地 域 で 原 子 力 発 電 プラントを 拡 大 して 規 模 の 経 済 による 優 位 性 を 確 保 しようとした 計 画 が 実 現 出 来 なかったことが 挙 げられている 元 所 有 者 である 公 益 電 気 事 業 者 らとの PPA の 更 新 が 不 調 に 終 わっ た 最 大 の 理 由 は 天 然 ガス 価 格 の 低 下 と 見 られる 15

18 ためにキャパシティペイメントを 提 供 するよう 設 計 されるべき ニューイングランド 地 域 のような 卸 市 場 の 設 計 の 欠 陥 は 人 為 的 に 低 い 電 力 容 量 価 格 に 繋 がる などと 述 べ 競 争 市 場 の 制 度 設 計 見 直 しを 訴 えている 伝 統 的 な 電 気 事 業 規 制 の 下 での 総 括 原 価 方 式 とは 異 なり 競 争 市 場 における 価 格 変 動 の 不 確 実 性 が 存 在 するのは 原 子 力 のみではなく 全 電 源 に 共 通 のリスクではあるが 例 えば 原 子 力 発 電 プラントは 燃 料 交 換 等 の 停 止 時 以 外 は 連 続 運 転 を 行 うことにより 経 済 性 が 発 揮 さ れることなどもあり 自 由 化 電 力 市 場 の 設 計 や 電 源 ミックスにより その 経 済 性 は 大 きな 影 響 を 受 ける 特 に 原 子 炉 新 設 プロジェクトについては 投 下 資 本 費 が 大 きく 工 期 も 長 いこと 自 由 化 州 などマーチャント プラントの 建 設 プロジェクトは 競 争 市 場 における 電 力 価 格 の 不 確 実 性 が 大 きいこと 規 制 変 更 の 可 能 性 が 相 対 的 に 大 きいことなどから 金 融 界 などにおい ても 高 いリスクが 認 識 されている モルガンスタンレーなどからの 情 報 でも 長 期 の 大 規 模 のプロジェクトを 考 えたとき 殆 どの 電 気 事 業 者 は 資 金 調 達 を 行 うこと 自 体 は 可 能 だが 資 金 調 達 コストの 上 昇 を 余 儀 なくされ 慎 重 な 計 画 が 必 要 となると 見 られている 現 時 点 では シェールガス 革 命 による 天 然 ガス 価 格 の 低 下 が 著 しいため そもそも 原 子 力 発 電 プ ラントの 経 済 競 争 力 は 失 われた 状 態 と 見 られるが 2007~2008 年 に 一 括 建 設 運 転 許 認 可 (COL) 申 請 が 相 次 いだ 状 況 においても 連 邦 政 府 による 債 務 保 証 等 の 支 援 策 が 不 可 欠 と 考 えられていた 原 子 炉 新 設 に 係 るリスク 認 識 問 題 については 2.4 節 において 報 告 する 16

19 2.2 原 子 力 発 電 事 業 体 制 原 子 力 発 電 事 業 者 の 事 業 体 制 米 国 では 歴 史 的 経 緯 もあり 電 気 事 業 者 の 数 は 非 常 に 多 い 原 子 力 発 電 事 業 者 の 数 も 世 界 の 主 要 国 の 中 で 見 ると 多 いが 統 合 の 動 きも 見 られ 傾 向 として 事 業 者 数 は 減 少 して いる 現 時 点 では 原 子 力 発 電 事 業 者 は 30 社 以 上 あり 2014 年 1 月 現 在 で 表 の 30 州 で 100 基 の 原 子 炉 が 運 転 中 である このうち 設 備 容 量 の 合 計 値 の 上 位 10 社 について 表 にその 保 有 原 子 力 プラントと 各 プラントにおける 所 有 比 率 を 示 す ( 所 有 比 率 が 100% の 場 合 は 表 記 していない) iii 表 主 要 電 力 会 社 と 原 子 力 プラントの 所 有 比 率 主 要 電 力 会 社 原 子 力 プラント( 所 有 比 率 %) 1 エクセロン 社. Braidwood-1,2, Byron-1,2, Calvert Cliffs-1,2(50.01%) Clinton, Dresden-2,3, Ginna ( %), LaSalle-1,2, Limerick-1,2, Nine Mile Piont-1,2(1 号 機 50.01, 2 号 機 %), Oyster Creek, Peach Bottom-2,3(50%), Quad Cities-1,2(75%), Salem-1,2(42.59%), Three Mile Island-1 2 エンタジー 社. Arkansas Nuclear One-1,2, Grand Gulf(90%), Indian Point -2,3, James A. FitzPatrick, Palisades, Pilgrim-1, River Bend-1, Vermont Yankee, Waterford-3 3 デューク エナジー 社 Brunswick-1,2 ( %), Catawba-1 ( 38.5 %), H.B.Robinson-2, McGuire-1,-2, Oconee-1,2,3, Shearon Harris 1(83.82%) 4 TVA Browns Ferry-1,2,3, Sequoyah-1,2, Watts Bar ドミニオン リソーシ ズ 社. ネクストエラ エナジ ー 社. フィースト エナジー 社 Millstone-2,3(3 号 機 93.47%), North Anna-1,2,(88.4%) Surry-1,2 Duane Arnold ( 70 %), Point Beach-1,2, Seabrook-1 (88.23%), St. Lucie-1,2(2 号 機 85.11%), Turkey Point-3,4 Beaver Valley-1,2, Davis-Besse, Perry-1 8 サザン 社 Edwin I. Hatch-1,2 ( 50.1 %), Joseph M. Farley-1,2, Vogtle-1,2(45.7%) 17

20 9 主 要 電 力 会 社 原 子 力 プラント( 所 有 比 率 %) パブリック サービ Hope Creek-1, Peach Bottom-2,3, ( 50 %), Salem-1,2 ス エンタープライ (57.41%) ズ グループ 社 10 ルミナント 社 Comanche Peak-1,2 ( 出 典 )NEI, U.S. Nuclear Power Plant Operators, Owners and Holding Companies, Updated: 5/13 また 原 子 力 発 電 事 業 者 の 事 業 体 制 について その 展 開 エリアと 規 制 / 非 規 制 の 事 業 部 門 の 構 成 などについて 見 ると 大 手 事 業 者 を 中 心 として 原 子 力 発 電 プラントの 売 買 や M&A などを 通 じて 広 域 化 してきている 大 手 事 業 者 に 共 通 する 一 つの 特 徴 は 小 売 配 電 発 電 などの 機 能 別 及 び 展 開 地 域 別 に 子 会 社 体 制 を 構 築 していること 近 年 のプラント 買 収 等 により 事 業 活 動 展 開 地 域 を 競 争 市 場 で 拡 大 している 社 は 多 いものの 何 れの 会 社 も 旧 電 気 事 業 規 制 下 の 公 益 電 気 事 業 者 時 代 からの 小 売 配 電 会 社 が 中 核 子 会 社 として 継 続 していることなどが 挙 げられる 表 のうち 設 備 容 量 ベースで 上 位 5 社 の 発 電 事 業 者 の 概 要 を 表 に 整 理 した 18

21 表 主 要 な 原 子 力 発 電 事 業 者 の 事 業 体 制 等 ( 設 備 容 量 ベースで 上 位 5 社 ) 発 電 事 業 者 名 ( 親 会 社 ) 原 子 力 発 電 設 備 容 量 基 数 原 子 力 プラントの 立 地 州 ( 規 制 状 況 ) エクセロン ジェネレーション (エクセロン) 1,873 万 kw 24 イリノイ ペンシルベニア メリーラ ンド ニュージャージー ニューヨー ク( 自 由 化 ) エンタジー アーカンソー 同 ルイジ アナ 同 ミシシッピ 同 テキサス 同 ホールセール コモディティ 社 (エンタジー) 1,012 万 kw 11 アーカンソー 州 ルイジアナ 州 ミシ シッピ 州 ( 規 制 ) バーモント 州 (マーチャント) ニューヨーク 州 ミシガン 州 マサチ ューセッツ 州 ( 自 由 化 ) デューク エナジー カロライナス プログレス エナジー カロライナ ス デューク エナジー フロリダ (デューク エナジー) 817 万 kw 10 ノースカロライナ サウスカロライ ナ フロリダ( 規 制 ) ドミニオン ジェネレーション(ド ミニオン) 535 万 kw 6 バージニア ウィスコンシン( 規 制 ) コネチカット( 自 由 ) ( 出 典 ) 各 事 業 者 資 料 NEI 資 料 等 同 系 列 の 小 売 事 業 者 名 売 上 高 (2012 年 ) コモンウェルス エジソン 社 235 億 ドル PECO エナジー 社 ボルティモ ア ガス&エレクトリック 社 エンタジー アーカンソー 同 ル 103 億 ドル イジアナ 同 ミシシッピ 同 テキ サス デューク エナジー カロライナ 196 億 ドル ス プログレス エナジー カロライ ナス デューク エナジー フロリダ ドミニオン バージニア パワー 131 億 ドル TVA 671 万 kw 6 テネシー バージニア( 規 制 ) -( 発 電 専 業 ) 112 億 ドル 19

22 表 に 示 した 5 社 のうち 上 位 3 社 の 事 業 体 制 の 概 要 について 下 記 に 示 す 1エクセロン 社 エクセロン 社 は 2000 年 10 月 に PECO エナジー 社 ( 本 社 :ペンシルバニア 州 フィラデル フィア)とユニコム 社 ( 本 社 :イリノイ 州 シカゴ)が 合 併 して 誕 生 した また 同 社 は 2012 年 3 月 にコンステレーション エナジー グループ(CEG) 社 を 買 収 している 2013 年 末 時 点 での 主 な 財 務 指 標 は 下 記 の 通 りである 総 資 本 :799 億 2,400 万 ドル 自 己 資 本 :229 億 4,000 万 ドル 自 己 資 本 比 率 :28.7% 売 上 高 :248 億 8,800 万 ドル 当 期 純 利 益 :17 億 1,900 万 ドル 総 資 産 利 益 率 (ROA) :2.15% 株 主 資 本 利 益 率 (ROE) :7.49%iv エクセロン 社 は 電 力 及 びガス 事 業 を 行 っており 電 力 660 万 口 ガス 120 万 口 の 需 要 家 への 供 給 を 行 っている 電 気 事 業 では 全 米 大 で 多 数 の 州 で 発 電 プラントを 保 有 している 原 子 力 発 電 プラントの 保 有 は 自 由 化 州 のみで イリノイ 州 (11 基 ) ペンシルバニア 州 (6 基 ) メリーランド 州 (2 基 ) ニューヨーク 州 (3 基 ) ニュージャージー 州 (2 基 )の 計 24 基 を 保 有 している このうち 以 下 の 11 基 は 各 会 社 と 共 同 保 有 している Berkshire Hathaway 社 イリノイ 州 :クオドシティーズ 1, 2 号 機 (75% 運 転 も 行 う) EDF メリーランド 州 :カルバートクリフス 1, 2 号 機 (50.01%) ニューヨーク 州 :ギネー(50.01%) ナインマイルポイント 1, 2 号 機 (50.01% と 41%) パブリック サービス エンタープライズ グループ(PSEG) 社 イリノイ 州 :ピーチボトム 2, 3 号 機 (50% 運 転 も 行 う) ニュージャージー 州 :セイラム 1, 2 号 機 (42.59%) エクセロン 社 の 2013 年 における 総 供 給 電 力 量 は 約 2,491 億 kwh であり その 電 源 種 類 別 の 構 成 は 図 の 通 りとなっている 20

23 再 生 可 能 エネルギー 3% 化 石 燃 料 12% CENGから の 購 入 分 28% 原 子 力 57% 電 力 売 買 契 約 に 基 づく CENG 社 からの 購 入 分 ( 卸 市 場 での 購 入 量 は 含 まない) 図 エクセロン 社 の 供 給 電 力 の 構 成 (2013 年 ) エクセロン 社 は 原 子 力 発 電 プラントを 保 有 する イリノイ 州 ペンシルバニア 州 メ リーランド 州 においては 子 会 社 の ComEd 社 PECO エナジー 社 ボルティモア ガス& エレクトリック(BGE) 社 により 送 配 電 小 売 事 業 を 行 っている なお イリノイ 州 ペ ンシルバニア 州 では 原 子 力 発 電 所 の 運 転 も 行 っているが メリーランド 州 では 運 転 は 行 っ ておらず 運 転 者 である EDF 子 会 社 のコンステレーション エナジー ニュークリア グ ループ(CENG) 社 から 売 買 契 約 に 基 づいて 電 力 を 購 入 している またニューヨーク 州 ニュージャージー 州 では 原 子 力 発 電 所 を 一 部 保 有 しているが 配 電 小 売 事 業 は 行 ってい ない 以 上 の 他 に 図 の 通 り 全 米 の 広 い 地 域 に 原 子 力 以 外 の 発 電 所 を 保 有 して 発 電 事 業 卸 取 引 を 行 っているが 配 電 小 売 事 業 は 前 述 のペンシルバニア 州 イリノイ 州 メリー ランド 州 以 外 では 行 っていない v 発 電 資 産 原 子 力 天 然 ガス/ 石 油 ガスタービン 石 炭 再 生 可 能 エネルギー 地 域 送 電 機 関 (RTO) 配 電 区 域 本 社 競 争 的 な 小 売 市 場 又 は ガス/ 電 力 卸 事 業 区 域 図 エクセロン 社 のエネルギー 供 給 区 域 発 電 資 産 (2012 年 末 現 在 ) 21

24 以 上 の 自 由 化 州 及 び 規 制 州 におけるエクセロン 社 の 事 業 体 制 のイメージを 模 式 的 に 示 す と 図 に 示 す 形 となる 自 由 化 州 (ヘ ンシルヘ ニア イリノイ 等 ) 規 制 州 (ミネソタ ミス ーリ 等 ) 発 電 エクセロン ジェネレーション ( 発 電 子 会 社 ) 他 の 電 気 事 業 者 エクセロン ジェネレーション ( 発 電 子 会 社 ) 他 の 電 気 事 業 者 送 電 ISO( 系 統 運 用 事 業 者 ) RTO( 地 域 送 電 機 関 ) 他 の 電 気 事 業 者 ( 送 電 部 門 ) ISO( 系 統 運 用 事 業 者 ) RTO( 地 域 送 電 機 関 ) 配 電 小 売 コモンウェルス エジソン PECOエナジー ( 配 電 小 売 子 会 社 ) 他 の 電 気 事 業 者 ( 配 電 部 門 ) 他 の 電 気 事 業 者 / パワー マーケター ( 小 売 事 業 者 ) 他 の 電 気 事 業 者 ( 配 電 部 門 ) 他 の 電 気 事 業 者 ( 小 売 部 門 ) 需 要 家 図 自 由 化 州 及 び 規 制 州 における 発 電 事 業 の 体 制 (エクセロン 社 ) 2エンタジー 社 エンタジー 社 は ルイジアナ 州 に 本 社 を 置 き 米 国 北 部 を 中 心 に 展 開 する 総 合 エネルギ ー 企 業 である 2013 年 末 における 同 社 の 財 務 状 況 は 以 下 の 通 りである 総 資 本 :434 億 640 万 ドル 自 己 資 本 :99 億 3,720 万 ドル 自 己 資 本 比 率 :22.9% 売 上 高 : 113 億 9,090 万 ドル 当 期 純 利 益 :7 億 1,190 万 ドル ROA :1.64% ROE :7.16% vi 同 社 は 電 力 及 びガスの 小 売 事 業 を アーカンソー 州 ルイジアナ 州 ミシシッピ 州 テ キサス 州 で 電 力 約 280 万 口 ルイジアナ 州 でガス 20 万 口 の 需 要 家 に 対 して 展 開 している 2012 年 の 同 社 の 総 発 電 電 力 量 は 約 821 億 kwh であり 電 源 種 別 の 発 電 電 力 量 は 図 の 通 りである 22

25 石 炭 16% 天 然 ガス 石 油 38% 原 子 力 46% 図 エンタジー 社 の 電 源 種 別 の 発 電 電 力 量 (2012 年 ) 規 制 州 であるアーカンソー 州 ルイジアナ 州 ミシシッピ 州 バーモント 州 及 び 自 由 化 州 であるニューヨーク 州 ミシガン 州 マサチューセッツ 州 で 原 子 力 発 電 プラントを 保 有 している このうち バーモント 州 を 除 く 規 制 州 では 原 子 力 発 電 プラントを 含 む 発 電 事 業 及 び 送 電 配 電 小 売 事 業 を 行 っている 一 方 バーモント 州 と 自 由 化 州 では 原 子 力 プラントを 保 有 運 転 しているが 送 配 電 事 業 は 行 わず 卸 市 場 等 で 発 電 電 力 を 販 売 している エンタジー 社 は これらの 事 業 を 以 下 の 各 子 会 社 で 行 う 体 制 をとっている ( 公 益 事 業 部 門 ) エンタジー アーカンソー 社 システム エナジー リソーシズ 社 エンタジー ガルフ ステーツ 社 エンタジー ルイジアナ 社 エンタジー ミシシッピ 社 ( 原 子 力 発 電 所 は 保 有 せず) エンタジー ニューオーリンズ 社 ( 原 子 力 発 電 所 は 保 有 せず) エンタジー テキサス 社 ( 原 子 力 発 電 所 は 保 有 せず) ( 卸 事 業 部 門 ) エンタジー ホールセール コモディティ 社 なお 規 制 州 のバーモント 州 で 保 有 するバーモントヤンキー 原 子 力 発 電 所 は 2002 年 11 月 に 旧 公 益 事 業 者 であるバーモントヤンキー 原 子 力 発 電 会 社 からエンタジー 社 が 購 入 した もので マーチャント プラントとなっており 旧 所 有 者 への 長 期 販 売 契 約 の 他 卸 市 場 での 販 売 を 行 っている vii 3デューク エナジー 社 デューク エナジー 社 は 1997 年 のデューク パワー 社 ( 電 気 事 業 者 )とパンエナジー 社 23

26 (ガス 事 業 者 )の 合 併 により 誕 生 した 電 力 ガス 供 給 事 業 者 である 2012 年 のプログレス エナジー 社 ( 本 社 :ノースカロライナ 州 ) 吸 収 合 併 に 伴 い デューク エナジー 社 は 現 在 米 国 最 大 の 電 気 事 業 者 となっている 2013 年 末 における 同 社 の 財 務 状 況 は 以 下 の 通 りであ る 総 資 本 :1,148 億 ドル 自 己 資 本 :414 億 ドル 自 己 資 本 比 率 :36.1% 売 上 高 :246 億 ドル (うち 204 億 ドルが 規 制 州 における 電 力 事 業 5 億 ドルが 規 制 州 におけるガス 供 給 事 業 36 億 ドルが 自 由 化 州 での 電 力 ガス 事 業 その 他 事 業 による 売 上 ) 当 期 純 利 益 :26.7 億 ドル ROA :2.3% ROE :6.45% る デューク エナジー 社 の 米 国 内 における 電 源 種 類 別 の 電 力 供 給 量 の 構 成 は 次 の 通 りであ 電 力 購 入 に よる 供 給 13% 水 力 及 び 太 陽 光 1% 石 油 天 然 ガス 21% 石 炭 36% 原 子 力 29% 図 デューク エナジー 社 の 電 源 別 電 力 供 給 (2013 年 ) viii 同 社 はノースカロライナ 州 サウスカロライナ 州 インディアナ 州 ケンタッキー 州 フロリダ 州 ( 以 上 規 制 州 ) オハイオ 州 ( 自 由 化 州 )で 電 力 供 給 を 行 っている 同 社 は 事 業 部 門 を 規 制 対 象 事 業 を 行 う 米 国 内 フランチャイズ 電 力 ガス 部 門 (USFE&G) と 自 由 化 対 象 事 業 を 行 う マーチャント 電 源 部 門 に 分 けている これに 加 えて 同 社 は 子 会 社 のデューク エナジー インターナショナル 社 を 通 じて ラテンアメリカ 地 域 を 中 心 と した 国 外 での 電 力 事 業 も 展 開 している 24

27 米 国 内 の 電 気 事 業 においては 規 制 州 では 同 社 の 各 地 域 子 会 社 が 担 当 する 供 給 地 域 内 の 発 送 配 電 小 売 を 担 っている 一 方 自 由 化 州 のオハイオ 州 では デューク エナジー オハイオ 社 が 子 会 社 であるオハイオ T&D 社 を 通 じて 担 当 供 給 区 域 内 の 送 配 電 事 業 ( 規 制 対 象 )を 行 っている 自 由 化 されている 小 売 部 門 に 関 しては デューク エナジー リテー ル 社 が 競 争 市 場 に 参 加 している なお デューク エナジー 社 は 主 にオハイオ 州 において 石 炭 ガス 火 力 を 中 心 とした 発 電 設 備 を 所 有 し 電 力 卸 売 事 業 を 展 開 しているが 2014 年 2 月 競 争 市 場 下 における 発 電 事 業 で 安 定 的 な 利 益 を 確 保 できないとの 理 由 から 今 後 1~2 年 をめどにこれらのプラン トなどを 売 却 する 計 画 を 発 表 している 再 生 可 能 エネルギー 発 電 事 業 を 行 うデューク エ ナジー リニューアブル 社 は 電 力 卸 売 分 野 での 活 動 を 継 続 する 新 設 プロジェクトの 現 状 原 子 炉 の 新 設 に 関 して 2007 年 ~2009 年 のいわゆる 原 子 力 ルネッサンス 期 には 合 計 で 18 件 の 一 括 建 設 運 転 許 認 可 (COL) 申 請 が NRC に 提 出 された そのうち サザン 社 ら によるヴォーグル 3 4 号 機 に 係 る COL が 2012 年 2 月 に 及 びサウスカロライナ エレ クトリック&ガス(SCE&G) 社 らによる V.C.サマー2 3 号 機 に 関 する COL が 2012 年 3 月 に 発 給 された なお 1973 年 に 建 設 が 開 始 され 電 力 需 要 の 見 通 しを 踏 まえて 建 設 が 中 断 されていたワッ ツバー2 号 機 については テネシー 渓 谷 開 発 公 社 (TVA)の 取 締 役 会 が 同 機 の 完 成 させるこ とを 2007 年 8 月 に 承 認 しており 建 設 活 動 が 再 開 されている ただし 費 用 見 積 もりやスケ ジュールはその 後 変 化 しており 2012 年 4 月 時 点 で 建 設 費 用 が 40~45 億 ドル(2007 年 8 月 時 点 では 25 億 ドル) 完 成 時 期 が 2015 年 9 月 ~12 月 ( 同 時 点 では 60 カ 月 後 すなわち 2012 年 8 月 )となっている ただし TVA は 追 加 費 用 を 考 慮 しても ワッツバー2 号 機 は 依 然 として 競 争 力 のあるクリーンなベースロード 電 源 にであるとして 建 設 活 動 を 継 続 して いる ix これらの 新 規 原 子 力 プロジェクトの 状 況 は 表 の 通 りである 25

28 表 新 規 原 子 力 プロジェクトの 状 況 (2014 年 1 月 ) 事 業 者 サイト( 州 ) 原 子 炉 設 計 ESP COL 建 設 中 (5 基 ) サザン 社 サ ウ ス カ ロ ラ イ ナ エレクトリック &ガス(SCE&G) 社 テネシー 渓 谷 開 発 公 社 (TVA) 2006 年 年 10 月 申 ヴォーグル(ジョー 月 提 出 請 AP1000(2 基 ) ジア) 2009 年 年 3 月 発 月 承 認 給 2008 年 3 月 申 V.C.サマー 請 ( サ ウ ス カ ロ ラ イ AP1000(2 基 ) 2012 年 2 月 発 ナ) 給 ワッツバー(テネシ Gen Ⅱ PWR ー) COL 審 査 中 :8 件 (12 基 ) デトロイト エジソ フェルミ ESBWR 2008 年 9 月 申 ン 社 (ミシガン) (1 基 ) 請 2003 年 9 ノースアナ US-APWR 月 提 出 2007 年 11 月 申 ドミニオン 社 (バージニア) (1 基 ) 2007 年 請 11 月 承 認 ウィリアム ステー デューク エナジー 2007 年 12 月 申 ツ リー(サウスカ AP1000(2 基 ) 社 請 ロライナ) フロリダ パワー& ターキーポイント 2009 年 6 月 申 AP1000(2 基 ) ライト 社 (フロリダ) 請 STP ニ ュ ー ク リ サウステキサスプロ 2007 年 9 月 申 ア オペレーティン ジェクト(テキサス) ABWR(2 基 ) 請 グ 社 (STPNOC) PPL 社 /UniStar ベルベンド U.S.EPR 2008 年 10 月 申 社 (ペンシルベニア) (1 基 ) 請 ハリス デューク エナジー 2008 年 2 月 申 ( ノ ー ス カ ロ ラ イ AP1000(2 基 ) 社 請 ナ) カルバートクリフ U.S.EPR 2007 年 3 月 申 UniStar 社 (メリーランド) 1 (1 基 ) 請 26

29 事 業 者 サイト( 州 ) 原 子 炉 設 計 ESP COL COL 審 査 中 断 :6 件 アメレン UE 社 キャラウェイ U.S.EPR 2008 年 7 月 申 (ミズーリ) (1 基 ) 請 デューク エナジー レビー 郡 2008 年 7 月 申 AP1000(2 基 ) 社 (フロリダ) 請 エンタジー 社 リバーベンド 未 定 2008 年 9 月 申 (ルイジアナ) (ESBWR) 請 2003 年 エ ン タ ジ ー 社 グランドガルフ 未 定 10 月 提 出 2008 年 2 月 申 (NuStart 社 ) (ミシシッピ) (ESBWR) 2007 年 4 請 月 承 認 ルミナント 社 コマンチピーク US-APWR 2008 年 9 月 申 (テキサス) (2 基 ) 請 TVA(NuStart 社 ) ベルフォント 2007 年 10 月 申 AP1000(2 基 ) (アラバマ) 請 COL 申 請 取 り 下 げ:2 件 エクセロン 社 ビクトリア 郡 (テキサス) ESBWR (2 基 ) 2010 年 3 月 提 出 2008 年 9 月 申 請 2012 年 2010 年 6 月 取 10 月 申 請 り 下 げ 取 り 下 げ 2008 年 9 月 申 UniStar 社 ナインマイルポイン U.S.EPR 請 ト(ニューヨーク) (1 基 ) 2013 年 11 月 取 り 下 げ ESP 申 請 エクセロン 社 クリントンサイト 2003 年 9 (イリノイ) 月 提 出 2007 年 3 月 承 認 パブリック サービ セイラム 2010 年 5 ス エンタープライ ズ グ ル ー プ (PSEG) 社 ( ニ ュ ー ジ ャ ー ジ ー) 月 提 出 カルバートクリフについては 外 国 支 配 に 関 する NRC 規 制 への 抵 触 していることが NRC 27

30 により 決 定 されており COL 発 給 が 不 可 能 な 状 態 である またサウステキサスプロジェク トについても 同 規 則 への 抵 触 が 指 摘 されている 表 に 示 すように これまで 提 出 された 18 件 の COL 申 請 のうち COL の 発 給 され たヴォーグル 及 び V.C.サマーを 除 く 16 件 について 8 件 は 現 在 も 申 請 が NRC により 審 査 中 であるが 残 る 6 件 は 事 業 者 の 要 請 で 審 査 が 中 断 されている 残 りの 2 件 の エクセロ ン 社 によるテキサス 州 ビクトリアでの ESBWR の 2 基 建 設 及 び UniStar 社 によるニュー ヨーク 州 ナインマイルポイントで EPR を 1 基 建 設 するプロジェクトに 係 る COL 申 請 につ いては 申 請 が 取 り 下 げられている エクセロン 社 は ビクトリア 郡 の COL 申 請 について 国 内 の 不 確 実 な 経 済 情 勢 や 連 邦 債 務 保 証 を 得 る 見 込 みがほとんどないことを 理 由 に 挙 げて 2010 年 6 月 に 取 り 下 げていた また 同 社 は COL 申 請 を 取 り 下 げる 代 わりとして 2010 年 3 月 に ESP を 提 出 していたが この 申 請 も 2012 年 10 月 に 取 り 下 げており その 理 由 として 天 然 ガス 価 格 が 低 い 水 準 にあ り 現 在 の 経 済 情 勢 や 市 況 に 鑑 みて 新 たなマーチャント プラントを 競 争 市 場 において 建 設 することは 当 面 は 非 経 済 的 であることを 挙 げている x また Unistar 社 は 2013 年 11 月 にナインマイルポイントの COL 申 請 を 取 り 下 げたが そ れ 以 前 の 2009 年 2 月 に カルバートクリフス 3 号 機 の COL 申 請 に 注 力 する 方 針 に 基 づい て ナインマイルポイントの COL 申 請 の 審 査 開 始 を 延 期 するようにNRC に 要 請 していた また 同 社 は 連 邦 債 務 保 証 申 請 の 選 考 課 程 でも 2009 年 2 月 までに 同 プロジェクトの 申 請 を 取 り 下 げ カルバートクリフスに 一 本 化 していた COL 申 請 の 審 査 はその 後 も 開 始 されな いまま COL 申 請 が 取 り 下 げられた なお Unistar 社 は EDF の 完 全 子 会 社 となっており NRC の 外 国 支 配 の 規 制 に 抵 触 するため 現 在 は COL の 発 給 が 行 えない 状 況 にある xi 28

31 2.3 原 子 力 関 連 政 策 施 策 本 節 では 電 力 自 由 化 後 の 米 国 において 原 子 力 発 電 プラントの 新 規 建 設 が 可 能 となる 環 境 の 整 備 などのため 検 討 導 入 された 原 子 力 関 連 政 策 施 策 について 報 告 する なお 米 国 においては 原 子 力 発 電 プラントの 建 設 費 や 資 金 コストの 早 期 回 収 を 認 めている 州 が あり 原 子 炉 新 設 プロジェクトを 支 援 する 有 効 な 施 策 として 認 識 されているが 本 調 査 で は 自 由 化 市 場 も 対 象 となる 連 邦 政 府 の 施 策 を 対 象 として 報 告 する 米 国 の 原 子 力 関 連 政 策 の 概 要 米 国 における 原 子 力 発 電 関 連 政 策 の 経 緯 概 要 米 国 では 1950 年 代 に Atoms for Peace 政 策 により 民 間 部 門 での 原 子 力 発 電 が 奨 励 され 知 見 の 移 転 を 含 め 政 府 が 積 極 的 に 民 間 部 門 の 原 子 力 発 電 を 推 進 する 動 きが 見 られたが 軽 水 炉 技 術 が 確 立 され 原 子 力 発 電 が 基 幹 電 源 の 一 翼 を 担 う 地 位 を 占 めて 以 降 は 新 型 炉 等 の 研 究 開 発 プログラムを 除 き 原 子 炉 の 新 規 建 設 を 直 接 的 に 支 援 する 政 策 は 採 られて 来 な かった 米 国 では 原 子 炉 新 設 プロジェクトの 発 注 は 1978 年 を 最 後 に 途 絶 え また 1970 年 代 に 発 注 された 多 くのプラントの 建 設 がその 後 キャンセルされた この 理 由 としては 1979 年 3 月 に 発 生 したスリーマイルアイランド 2 号 機 ( 以 下 TMI-2) 事 故 の 影 響 もあるが 基 本 的 には 経 済 性 の 悪 化 が 主 因 とされている 年 代 以 降 原 子 炉 の 建 設 運 転 に 係 る 許 認 可 手 続 が 訴 訟 を 含 め 長 期 化 し 折 からの 物 価 上 昇 も 相 俟 って 建 設 費 が 高 騰 したこと 1969 年 国 家 環 境 政 策 法 (NEPA)の 制 定 や 様 々な 環 境 訴 訟 を 通 じて 1970 年 代 に 環 境 規 制 が 強 化 されたこと 二 度 の 石 油 危 機 等 の 影 響 もあり 電 力 需 要 の 伸 びが 鈍 化 する 見 通 しとなったこ となどが 要 因 として 挙 げられる こうした 中 で 原 子 炉 新 設 の 大 きなリスクの 一 つとされた 許 認 可 手 続 について 建 設 許 可 と 運 転 許 可 を 一 括 で 発 給 し 建 設 後 の 運 開 遅 延 の 回 避 を 図 る 一 括 建 設 運 転 許 認 可 (COL) プロジェクトの 早 い 段 階 でサイト 固 有 の 環 境 適 合 を 確 認 しサイト 許 可 を 発 給 する 早 期 サイ ト 許 可 (ESP) 原 子 炉 設 計 を 原 子 炉 許 認 可 と 切 り 離 して 承 認 する 設 計 認 証 (DC)を 導 入 する NRC 規 則 10 CFR Part 52 xii が 制 定 された 10 CFR Part 52 は その 後 原 子 力 法 に よる NRC への 授 権 の 範 囲 を 超 えているなどとして 違 法 とされたが 1992 年 エネルギー 政 策 法 により 有 効 とされている 年 以 降 に 発 注 されたものはすべてキャンセルされているが それ 以 前 に 発 注 されたプラントについ ては 建 設 が 継 続 されたものもあり TMI-2 事 故 後 1980 年 以 降 1996 年 までにわたり 51 基 が 順 次 運 開 を 迎 えている (IAEA PRIS 等 による) 29

32 しかしながら 許 認 可 手 続 の 改 善 も 具 体 的 な 原 子 炉 新 設 の 動 きには 結 び 付 かない 状 況 が 続 いた 2001 年 に 誕 生 したブッシュ 政 権 は 原 子 力 発 電 の 推 進 方 針 を 示 し チェイニー 副 大 統 領 を 中 心 とした 国 家 エネルギー 政 策 策 定 グループによる 検 討 が 進 められ 2001 年 5 月 に 発 表 された 国 家 エネルギー 政 策 (NEP) xiii では 国 内 エネルギー 供 給 の 拡 大 と 多 様 化 北 極 圏 野 生 生 物 保 護 区 におけるエネルギー 掘 削 エネルギー インフラの 改 善 拡 張 エ ネルギー 効 率 化 の 推 進 原 子 力 発 電 の 拡 大 などが 掲 げられた 特 に 原 子 力 発 電 について は NRC による 原 子 力 発 電 プラントの 運 転 許 可 更 新 や 出 力 増 強 に 係 る 許 可 手 続 の 促 進 新 規 原 子 炉 建 設 に 係 る 許 認 可 手 続 の 迅 速 化 大 気 質 改 善 に 係 る 原 子 力 発 電 の 貢 献 の 評 価 プ ライス アンダーソン 法 の 延 長 原 子 力 発 電 プラント 売 却 時 の 廃 止 措 置 基 金 課 税 問 題 への 対 応 など 新 設 を 含 む 原 子 力 発 電 拡 大 のための 具 体 的 な 施 策 が 提 案 されている また 2001 年 10 月 には 2010 年 迄 に 新 規 原 子 力 発 電 プラントを 実 現 するためのロードマップ xiv も DOE から 示 されている 米 国 では 1990 年 代 後 半 から 多 くの 州 で 電 力 自 由 化 が 進 展 しつつあり また 2001 年 の カリフォルニア 州 電 力 危 機 を 契 機 に 電 力 の 安 定 供 給 の 必 要 性 や 天 然 ガス 価 格 高 騰 への 懸 念 が 高 まったこともあり その 後 も 原 子 力 発 電 の 新 設 に 向 けた 検 討 が 連 邦 議 会 でも 本 格 化 し 2010 年 に 原 子 炉 新 設 を 実 現 するという NP2010 イニシアチブの 開 始 2005 年 エネルギー 政 策 法 (EPAct-2005)の 制 定 へと 繋 がった 約 30 年 に 亘 り 新 設 が 途 絶 えていた 米 国 では 原 子 炉 新 設 プロジェクトが 抱 えるリスクの 低 減 が 必 要 と 考 えられており 規 則 の 策 定 後 に 実 際 の 適 用 例 のない 10 CFR Part 52 の 下 での 許 認 可 手 続 の 実 証 リスクの 大 きさから 懸 念 される 資 金 調 達 コストの 低 減 建 設 後 の 運 開 遅 延 リスクへの 対 応 初 号 機 のコスト 低 減 な どが 課 題 として 検 討 された 最 終 的 に 2005 年 8 月 に 可 決 制 定 された EPAct-2005 では NP2010 プラグラムの 拡 充 の 他 連 邦 債 務 保 証 プログラム 待 機 (スタンバイ) 支 援 (リス ク 保 険 ) 生 産 税 控 除 廃 止 措 置 基 金 の 税 制 措 置 原 子 力 損 害 賠 償 に 係 るプライス アンダ ーソン 法 の 延 長 など 一 連 の 原 子 力 発 電 推 進 施 策 が 制 度 化 された 次 節 以 降 では これら の 諸 施 策 について 報 告 する 原 子 力 発 電 年 1 月 に 発 足 したブッシュ 政 権 下 において 新 規 原 子 力 発 電 プラントの 早 期 の 建 設 開 始 と 2010 年 までの 実 用 化 を 目 指 す 新 たな 取 り 組 みとして 原 子 力 発 電 2010 プログラム (NP2010)が 実 施 された NP2010 は DOE の 原 子 力 科 学 技 術 局 の 下 に 設 置 された 原 子 力 研 究 諮 問 委 員 会 (NERAC)の 報 告 書 xiv で 示 された 提 言 に 基 づくプログラムであり 2003 会 計 年 度 (FY2003)( 2002 年 10 月 ~2003 年 9 月 )から 2010 会 計 年 度 (FY2010)(2009 年 10 月 ~2010 年 9 月 )まで 予 算 が 配 賦 された 30

33 原 子 力 2010 の 概 要 NP2010 の 目 的 は ブッシュ 政 権 の 国 家 エネルギー 政 策 の 目 標 であるエネルギー 供 給 多 様 化 とエネルギー 安 全 保 障 を 達 成 するため 2005 年 までに 民 間 の 事 業 者 が 新 規 の 原 子 力 プラントの 建 設 を 開 始 できるように 新 型 炉 技 術 の 開 発 及 び 新 しい NRC 規 則 10 CFR Part 52 に 基 づく 許 認 可 プロセス すなわち 早 期 サイト 認 可 (ESP) 設 計 認 証 (DC) 一 括 建 設 運 転 許 認 可 (COL)の 許 認 可 プロセスの 実 証 を 行 うことである 特 に DOE は 新 型 プラン トの 実 用 化 を 妨 げる 大 きな 障 害 は NRC の 規 制 プロセスに 関 連 した 不 確 実 性 の 存 在 それ により 生 じる 経 済 的 又 はスケジュールリスクであるとして NP2010 によりこれらの 障 害 を 克 服 することを 目 指 した また DOE は 新 規 プラント 建 設 の 経 済 性 の 評 価 も 行 った 具 体 的 には 許 認 可 の 実 証 及 び 技 術 開 発 に 関 する 競 争 的 な 選 定 プロセス 同 プログラム に 関 する 活 動 を 産 業 界 とのコスト 分 担 ( 事 業 者 がコストの 50% 以 上 を 負 担 )を 行 うもので ある DOE は 選 定 プロセスを 通 じて 発 電 事 業 者 及 びベンダーからなる 事 業 体 が 形 成 され ることを 期 待 した コスト 分 担 の 対 象 とされるプロジェクトの 選 定 では DOE が 提 案 要 請 を 公 示 して 応 募 者 の 中 から ESP 及 び COL それぞれで 2 プロジェクトに 係 る 事 業 者 又 はコンソーシアムが 選 定 された 選 定 された 事 業 者 らとの 間 で 契 約 が 締 結 され プロジェクトの 費 用 分 担 が 行 われた なお COL プロセスの 実 証 に 関 する 事 業 者 との 契 約 は COL プロセスの 実 証 に 関 する 契 約 と DC プロセスの 実 証 に 関 する 契 約 の 計 4 本 の 契 約 に 組 み 直 されている xv プログラムの 全 体 の 管 理 を 含 むプログラムの 実 施 主 体 は DOE の 原 子 力 (NE) 局 が 行 っ た 産 業 界 のコンソーシアムは DOE との 契 約 に 基 づき プロジェクトの 管 理 及 び 完 了 に 責 任 を 持 ち コントラクタの 活 動 の 監 督 プロジェクトの 進 捗 や 資 金 調 達 の 状 況 について DOE との 情 報 交 換 や 報 告 を 行 った また 電 力 研 究 所 (EPRI)は DOE と 協 力 契 約 を 結 び COL 申 請 書 に 関 する 一 般 的 な 指 針 の 策 定 許 認 可 実 証 プロジェクトに 影 響 する 共 通 課 題 の 解 決 などにあたった また 国 立 研 究 所 は NP2010 プログラムに 関 する 支 援 を 行 っており ブルックヘブン 国 立 研 究 所 は 研 究 開 発 実 証 実 用 化 に 係 る DOE の 歳 出 に 関 する 便 益 についての 評 価 を 行 った またアイダホ 国 立 研 究 所 は 使 用 済 燃 料 の 輸 送 の 影 響 といった 技 術 的 評 価 またプ ロジェクト 選 定 に 関 わる 要 請 契 約 締 結 などを 支 援 した DOE による NP2010 プログラムを 通 じた 費 用 分 担 額 ( 歳 出 予 算 額 )は 下 表 の 通 りである FY03 FY04 FY05 FY06 FY07 FY08 FY09 FY10 歳 出 予 算 133,77 177,50 101,96 額 ( 千 ド 31,579 19,359 49,605 65,340 80, ル) 31

34 次 節 に 示 すように NP2010 プログラムを 通 じて 3 つの 事 業 者 が ESP を 取 得 していたも のの DC 及 び COL は 許 認 可 発 給 までには 至 っていなかったが 所 期 の 目 的 は 達 成 したな どとして 2009 年 1 月 に 誕 生 したオバマ 政 権 により FY2010 に 同 プログラムの 終 了 が 発 表 された DOE は DC については 選 定 されたベンダーが 民 間 事 業 として 活 動 するのに 十 分 な 出 資 と 推 進 力 が 得 られる 見 込 みであるとしている 一 方 COL については 選 定 された 事 業 者 の 一 部 が 申 請 を 停 止 している DOE は FY2010 の 予 算 要 求 書 において 同 プログラムの 目 標 達 成 には 外 部 要 因 が 影 響 したとして 以 下 の ように 述 べている 究 極 的 には 原 子 力 発 電 プラントの 建 設 に 関 する 決 定 は 事 業 者 が 行 うものである そ の 決 定 は 電 力 需 要 及 び 経 済 的 環 境 的 な 要 因 に 依 存 するものであり DOE の R&D プログラムの 対 象 範 囲 を 超 えるものである より 短 期 的 には 産 業 界 による 複 雑 な 経 営 的 判 断 に 依 存 する xv ESP プロセスの 実 証 DOE は NP2010 開 始 以 前 の 2001 年 8 月 から ESP プロセスの 実 証 のための 事 業 者 との 共 同 活 動 に 着 手 し 2002 年 にエクセロン 社 (クリントンサイト) エンタジー 社 (グランド ガルフサイト) ドミニオン 社 (ノースアナサイト)との 活 動 を 開 始 した これらの 活 動 は 官 民 での 費 用 分 担 プログラムの 形 で 開 始 され NP2010 に 引 き 継 がれた プロジェクトに 参 加 した 事 業 者 には DOE への 定 期 的 な 進 捗 報 告 NRC の ESP 申 請 の 審 査 結 果 についてコスト スケジュール 教 訓 改 善 点 ガイドライン 等 を 盛 り 込 んだ 最 終 報 告 書 の 提 出 が 求 められた 3 サイトの ESP は 2007 年 11 月 までに 発 行 された DC 及 び COL プロセスの 実 証 COL プロセスの 実 証 について DOE は 2003 年 11 月 にプロジェクトへの 参 加 を 募 る 提 案 要 請 を 発 行 した 提 案 要 請 では DOE は 選 定 するプロジェクトに 資 金 提 供 を 行 うことと され 発 電 事 業 者 又 はチームによる 新 型 炉 の 開 発 プラント 立 地 の 決 定 建 設 プロジェク トの 詳 細 なコスト 見 積 の 作 成 COL 取 得 までの 活 動 に 要 するコストの 50%を DOE が 負 担 するとされた この 提 案 要 請 には 下 記 の 3 つの 会 社 又 は 企 業 連 合 が 提 案 書 を 提 出 し 2004 年 11 月 に 以 下 の 2 者 が 選 出 された DOE は 両 社 とそれぞれ COL 申 請 支 援 に 係 る 契 約 を 締 結 した 32

35 企 業 連 合 NuStart Energy Development(NuStart エナジー) ( 参 加 企 業 ) エクセロン ニュークリア 社 コンステレーション エナジー 社 エンタジー ニュークリア 社 サザン 社 EDF インターナショナル ノースアメリカ デュー ク エナジー 社 TVA ウェスティングハウス(WH) 社 ゼネラル エレクトリ ック(GE) ( 炉 型 )ESBWR と AP-1000 のいずれか (サイト) 未 定 ドミニオン 社 を 中 心 とする 企 業 連 合 ( 参 加 企 業 ) ドミニオン リソーシズ 社 日 立 アメリカ ベクテル 社 カナダ 原 子 力 公 社 (AECL) の 子 会 社 の AECL テクノロジーズ 社 ( 炉 型 )ACR-700(AECL の 次 世 代 CANDU 炉 設 計 ) (サイト)ノースアナサイト xvi NuStart エナジーは 2005 年 9 月 に 未 定 であったサイトについて エンタジー 社 のグラ ンドガルフサイト(AP1000) 及 び TVA のベルフォントサイト(ESBWR)を 選 定 し 両 サ イトでの 各 原 子 炉 建 設 に 係 る COL 申 請 を 提 出 することを 決 定 した なお NuStart エナジ ーに 参 加 する 各 事 業 者 は 単 独 でも COL 申 請 を 提 出 している xvii DOE は 2005 年 エネルギー 政 策 法 の 成 立 後 に 原 子 炉 発 注 を 促 進 するためにプロジェ クトの 契 約 を 変 更 した すなわち NuStar エナジー 及 びドミニオン 社 との 2 件 の 契 約 を NuStar エナジー 及 びドミニオン 社 との 間 での COL 実 証 プロジェクトに 関 する 2 件 の 協 力 協 定 と WH 社 および GE 社 との 間 の 原 子 炉 技 術 開 発 プロジェクトに 関 する 2 件 の 協 力 協 定 の 4 つに 分 離 した xviii 2005 年 12 月 末 には AP1000 の 設 計 認 証 に 係 る 最 終 規 則 の 発 行 が 承 認 された しかし 航 空 機 影 響 解 析 (AIA)に 係 る 規 則 の 追 加 を 受 け WH 社 は 改 めて 設 計 認 証 申 請 を 提 出 し 最 終 的 に 2011 年 12 月 末 に AIA 規 則 にも 対 応 した AP1000 の 設 計 認 証 規 則 が 発 行 された その 後 2012 年 2 月 にヴォーグル 3 4 号 機 の COL が 発 給 された NuStart エナジーは これらにより 所 期 の 目 的 を 達 成 したとして 2012 年 6 月 末 付 で 解 散 した ただし ESBWR の 設 計 認 証 規 則 は 2014 年 1 月 現 在 も 発 行 されておらず またグラ ンドガルフ ベルフォントの COL 申 請 については 事 業 者 の 要 請 により 審 査 自 体 が 中 断 して いる 状 況 である なお ドミニオン 社 のノースアナで 建 設 される 原 子 炉 は ESBWR に 変 更 されており COL 申 請 は 継 続 中 である 33

36 2.3.3 連 邦 債 務 保 証 プログラム 連 邦 債 務 保 証 プログラムの 概 要 前 述 の 通 り 米 国 では 原 子 炉 新 設 プロジェクトの 実 現 には 資 金 調 達 コストの 低 減 が 重 要 な 課 題 と 認 識 されており EPAct-2005 において 連 邦 債 務 保 証 制 度 が 導 入 された EPAct-2005 では 再 生 可 能 エネルギー 向 けの 連 邦 債 務 保 証 とともに 第 XVII 編 において 米 国 で 商 業 利 用 されている 技 術 に 比 べて 大 気 汚 染 または 人 為 的 な 温 室 効 果 ガス 排 出 を 大 幅 に 抑 制 する 新 技 術 または 既 存 技 術 を 改 善 したものを 用 いるプロジェクトについて エ ネルギー 長 官 に 債 務 保 証 権 限 を 与 えることが 規 定 され 改 良 型 原 子 炉 もこの 対 象 に 含 まれ ることが 明 記 された また 債 務 保 証 枠 は 歳 出 法 において 規 定 されるものとされた DOE は EPAct-2005 を 受 けて 2007 年 10 月 に 債 務 保 証 規 則 (10 CFR Part 609) xix を 制 定 した 但 し この DOE 規 則 では プロジェクトコストの 80% 以 内 であっても 負 債 の 100%の 保 証 は 行 わないなどとしていたことから EPAct-2005 の 規 定 を 誤 って 解 釈 してい るなど 産 業 界 等 の 反 発 も 強 く DOE は 2009 年 12 月 に 規 則 を 全 面 改 正 している 原 子 力 プ ラントに 適 用 される 連 邦 債 務 保 証 制 度 の 概 要 は 以 下 の 通 りである 対 象 プロジェクト 大 気 汚 染 物 質 / 温 室 効 果 ガスを 回 避 / 削 減 可 能 で 保 証 が 発 行 される 時 点 において 米 国 で 使 用 されている 商 業 技 術 と 比 べて 新 しいか 著 しく 向 上 している 技 術 を 用 いて いるプロジェクト 先 進 的 原 子 力 施 設 や 再 生 可 能 エネルギー 施 設 を 含 む 10 技 術 は 対 象 として 認 定 プログラム エネルギー 長 官 は プロジェクトコストの 80%を 限 度 として 1990 年 連 邦 信 用 改 革 法 (FCRA)における 債 務 保 証 を 行 う 債 務 は 30 年 あるいはプロジェクト 期 間 の 90% の 何 れか 短 い 期 間 内 までに 全 額 が 支 払 われなければならない 財 源 債 務 保 証 コスト( 保 証 料 に 相 当 )は 歳 出 予 算 あるいは 借 り 手 からの 支 払 いの 組 み 合 わせで 賄 われる 但 し 原 子 力 については 歳 出 予 算 の 手 当 は 無 く 全 額 を 借 り 手 が 負 担 する 審 査 料 など 管 理 コストは 申 請 者 が 支 払 う 実 施 要 件 債 務 保 証 コスト 全 額 が 払 い 込 まれるまで 債 務 保 証 契 約 の 締 結 は 出 来 ない 債 務 の 利 子 は 同 様 の 債 務 やリスクに 対 する 民 間 セクターの 一 般 の 利 子 を 考 慮 してエネルギー 長 官 が 適 切 と 認 めるものである 必 要 がある 34

37 エネルギー 長 官 は 借 り 手 の 元 本 利 子 返 済 に 合 理 的 な 見 通 しがあること 債 務 額 が 他 の 資 金 と 合 わせプロジェクト 実 行 に 十 分 であること 等 の 確 認 決 定 をしなければな らない なお 保 証 料 に 相 当 する 債 務 保 証 コストは 連 邦 信 用 改 革 法 (FCRA)の 規 定 に 基 づき 行 政 管 理 予 算 局 (OMB)が 計 算 しており 推 定 される 政 府 支 出 を 現 在 価 値 換 算 したものと なる つまり 債 務 保 証 の 対 象 となる 事 業 者 の 破 綻 リスクを 想 定 した 上 で 債 務 保 証 契 約 に 基 づく 破 綻 時 の 連 邦 政 府 の 支 払 い/ 利 息 補 助 /その 他 要 件 による 支 払 い 担 保 等 を 含 め た 想 定 回 収 額 / 債 務 保 証 開 始 時 の 支 払 い/その 他 料 金 や 罰 金 などによる 政 府 への 支 払 いが 現 在 価 値 換 算 され 保 証 料 が 計 算 されている なお 割 引 率 は 同 期 間 のゼロクーポン 財 務 省 証 券 の 利 率 が 用 いられる 具 体 的 には 債 務 が 発 生 する 会 計 年 度 の 予 算 における 経 済 前 提 で 使 用 された 利 率 が 用 いられ OMB の 信 用 助 成 計 算 ツール(CSC)2 で 使 用 する ファイルとして OMB から 提 供 される また DOE 規 則 10 CFR Part 609 では 以 下 のようなポイントが 規 定 されている 債 務 保 証 プログラムは DOE による 適 用 案 件 の 募 集 により 申 請 を 受 け 付 け 審 査 の 後 に DOE がタームシートを 提 案 し 条 件 付 コミットメントの 合 意 最 終 契 約 へと 段 階 的 に 進 められる 規 則 では 事 前 申 請 制 度 も 用 意 されているが 原 子 力 施 設 で は 本 申 請 が 二 段 階 に 分 けて 行 われた 対 象 となるプロジェクトは 債 務 保 証 に 関 する 合 意 が 締 結 される 時 点 において 米 国 で 商 業 利 用 されている 技 術 に 比 べて 大 気 汚 染 または 人 為 的 な 温 室 効 果 ガス 排 出 を 大 幅 に 抑 制 する 新 技 術 または 既 存 技 術 を 改 善 したものを 用 いなければなら ない 保 証 契 約 締 結 に 際 しエネルギー 長 官 は DOE の 保 証 料 計 算 について OMB の 審 査 承 認 を 受 け 債 務 保 証 の 条 件 について 財 務 長 官 と 協 議 する 債 務 の 100%を 保 証 する 場 合 は 連 邦 融 資 銀 行 (FFB)が 融 資 する なおシンジケー ト 引 受 けや 譲 渡 等 の 場 合 には 債 務 の 90% 以 下 の 保 証 であれば 保 証 付 債 務 と 非 保 証 債 務 を 分 離 可 能 である プロジェクトにおけるプロジェクト 実 施 者 の 資 本 支 出 (エクイティ 資 金 )が 十 分 でなければならない 債 務 が 返 済 不 能 になった 場 合 DOE は 保 証 債 務 の 支 払 により 担 保 等 を 含 む 債 権 者 の 権 利 を 代 位 する エネルギー 長 官 は 対 象 債 務 返 済 の 妥 当 な 見 通 しがあることを 確 認 決 定 しなけれ ばならない DOE は 当 該 保 証 の 管 理 費 を 十 分 に 賄 えるだけの 手 数 料 を 請 求 徴 収 しなければな 35

38 らない 借 り 手 が DOE に 支 払 う 信 用 保 証 料 と 管 理 手 数 料 は プロジェクトに 対 する 保 証 額 を 決 定 する 際 の 総 プロジェクトコストの 中 に 含 めることはできない プロジェクトが 他 の 連 邦 支 援 を 受 けていても 債 務 保 証 を 受 けることができる ただし DOE は 債 務 保 証 の 申 請 を 評 価 するときに 当 該 プロジェクトが 他 の 連 邦 支 援 ( 助 成 金 税 額 控 除 他 の 債 務 保 証 など)をどの 程 度 受 けるのかを 考 慮 する 36

39 図 は 連 邦 債 務 保 証 制 度 の 構 造 流 れを 図 示 したものである エネルギー 長 官 (DOE) 協 議 財 務 長 官 (Treasury) 連 邦 議 会 債 務 保 証 枠 決 定 保 証 料 計 算 等 の 提 示 行 政 管 理 予 算 局 (OMB) 連 邦 政 府 各 組 織 の 役 割 (DOE) 債 務 保 証 適 用 規 則 の 制 定 適 用 申 請 者 の 募 集 審 査 選 定 債 務 保 証 条 件 の 交 渉 決 定 (Treasury) 債 務 保 証 条 件 の 交 渉 決 定 (OMB) 債 務 保 証 料 計 算 の 審 査 承 認 連 邦 債 務 保 証 のメカニズム ( 先 進 的 原 子 力 施 設 ) 募 集 審 査 適 用 決 定 保 証 料 計 算 の 審 査 承 認 債 務 保 証 契 約 支 払 協 定 申 請 手 数 料 保 証 料 納 付 保 証 (Pjコストの80% 限 度 ) 借 り 手 (プロジェクト 実 施 者 ) 融 資 銀 行 等 の 融 資 者 返 済 30 年 又 はPj 期 間 の 90% 内 に 完 済 債 務 の100%の 保 証 を 受 ける 場 合 は 連 邦 融 資 銀 行 (FFB) が 融 資 連 邦 議 会 債 務 保 証 枠 の 決 定 ( 歳 出 法 で 規 定 ) 債 務 保 証 コストの 政 府 支 給 の 決 定 ( 歳 出 予 算 を 決 定 しない 限 り 事 業 者 負 担 原 子 力 は 事 業 者 負 担 ) 手 続 の 流 れ DOEによる 公 募 パートⅠ 申 請 審 査 パートⅡ 申 請 審 査 デューデリ 実 施 タームシートの 提 示 交 渉 条 件 付 合 意 締 結 条 件 の 最 終 化 合 意 債 務 保 証 契 約 図 米 国 の 先 進 的 原 子 力 施 設 の 債 務 保 証 制 度 連 邦 債 務 保 証 プログラムの 適 用 EPAct-2005 で 導 入 された 連 邦 債 務 保 証 プログラムに 対 し 2008 会 計 年 度 ( 以 下 FY08) のエネルギー 水 資 源 開 発 歳 出 法 において 先 進 原 子 力 発 電 施 設 に 対 し 185 億 ドルの 債 務 保 証 枠 が 認 められた DOE はこれを 受 け 2008 年 7 月 に 債 務 保 証 申 請 の 引 き 合 い xx を 実 施 した 前 項 で 示 した 通 り 連 邦 債 務 保 証 の 受 付 審 査 は 二 段 階 で 行 われることとなっており 2008 年 9 月 が 締 切 とされた Part I 段 階 では 17 の 電 力 会 社 から 19 件 /21 基 申 請 ベースで 約 1,200 億 ドルの 債 務 保 証 申 請 が 行 われた DOE の 募 集 要 項 によれば Part I では 申 請 者 はトップレベルの 情 報 を 提 供 するものとされ Part II では が 要 求 する 情 報 の 残 りすべて 及 びその 他 デューデリジェンスに 必 要 な 情 報 として DOE から 要 求 があったもの を 提 出 することとされている なお 債 務 保 証 を 申 請 する 者 は 審 査 等 に 要 する 費 用 を 支 払 うことが 必 要 とされており 申 請 料 ( 初 回 料 金 )については Part I 申 請 段 階 で 25% Part 37

40 II 申 請 時 に 全 額 を 支 払 うものとされ 1 申 請 当 り 80 万 ドルとなっている 8 Part I 申 請 を 受 けた DOE は 2008 年 10 月 に 初 期 のプロジェクト 順 位 表 を 作 成 し 申 請 者 が Part II でフルスコープの 申 請 書 に 進 むかどうかの 判 断 材 料 が 提 供 されることとされた 但 し DOE は この 順 位 表 の 目 的 は 実 質 的 進 展 ある 有 力 プロジェクトの 同 定 と 促 進 を 図 る ためのものであり 後 位 にある 申 請 者 を 断 念 させるものではなく 最 初 に 交 渉 対 象 となら なかった 申 請 者 も その 順 で 列 に 残 ること その 後 の 変 化 により DOE 独 自 の 判 断 で 順 位 見 直 しもあり 得 ることなどを 示 している なお Part II 申 請 については 料 金 の 支 払 いは 申 請 時 に 全 額 必 要 となるものの 当 初 の 申 請 資 料 情 報 の 提 出 は 部 分 的 であっても 良 く その 後 90 日 ごとに 情 報 更 新 を 行 うものと されている Part II 申 請 書 の 提 出 は 2008 年 12 月 19 日 で 締 め 切 られ 10 件 /16 基 が 申 請 を 行 った Part II 申 請 後 は DOE が OMB 等 との 協 議 を 含 め 審 査 を 行 い 適 格 なプロジ ェクト 候 補 についてデューデリジェンス アンダーライティング 交 渉 を 経 て DOE から タームシートが 提 示 され 条 件 付 きコミットメントが 行 われることになるが これまでに 条 件 付 コミットメントが 与 えられたのはサザン 社 らによるヴォーグル 3 4 号 機 増 設 プロジ ェクトのみである DOE は Part II 申 請 を 行 ったプロジェクトの 中 から 2009 年 5 月 に 最 終 候 補 となる 以 下 の 4 プロジェクトを 選 定 した ヴォーグル 3 4 号 機 増 設 (サザン 社 等 ) V.C.サマー2 3 号 機 増 設 (SCANA 社 等 ) カルバートクリフス 3 号 機 増 設 (コンステレーションエナジー 社 ) サウステキサスプロジェクト(STP)3 4 号 機 増 設 (NRG エナジー 社 等 ) 多 くの Part II 申 請 が 為 された 中 で 債 務 保 証 枠 は 185 億 ドルに 留 まっていたため オバ マ 政 権 は FY2010 予 算 要 求 において 360 億 ドルの 保 証 枠 増 額 を 連 邦 議 会 に 要 請 したが 結 局 連 邦 議 会 では 対 応 が 行 われず 債 務 保 証 枠 は 185 億 ドルのまま 今 日 まで 据 え 置 かれてい る この 間 2010 年 2 月 には 初 めての 条 件 付 コミットメントがヴォーグル プロジェクト に 対 して 発 行 され 同 6 月 には 条 件 付 コミットメントの 合 意 が 行 われたが 最 終 的 な 債 務 保 証 の 合 意 は 2014 年 2 月 と 遅 れた 同 プロジェクト 向 けの 債 務 保 証 の 内 容 については で 報 告 する また 2010 年 10 月 には カルバートクリフスに 対 する 連 邦 債 務 保 証 の 適 用 について 事 業 者 が 支 払 う 保 証 料 が 法 外 に 高 いなどとしてコンステレーション エナジー 社 が 債 務 保 証 申 請 プロセスからの 離 脱 を 表 明 し 約 100 億 ドルの 債 務 保 証 枠 を 残 したまま ヴォーグ ルに 続 く 進 捗 は 見 られない 状 況 が 続 いている このように 当 初 は 高 い 期 待 が 寄 せられていた 連 邦 債 務 保 証 プログラムが 所 期 の 期 待 通 り 8 その 他 にもプログラム 維 持 等 の 料 金 がある 38

41 には 順 調 に 適 用 されなかった 理 由 背 景 については 次 項 で 報 告 するが 上 記 4 プロジェク トの 具 体 的 な 状 況 については 事 例 報 告 として 2.4 節 でも 紹 介 する なお ヴォーグルへの 債 務 保 証 発 行 後 に 約 100 億 ドル 残 る 債 務 保 証 枠 に 関 して エネル ギー 長 官 は 小 型 モジュール 炉 (SMR)プロジェクトへの 適 用 可 能 性 を 示 唆 する 発 言 を 行 っ ている 産 業 界 の 強 い 支 持 もあり またプロジェクト 規 模 が 相 対 的 に 小 さく 複 数 プロジェ クトへの 展 開 が 見 込 める SMR は 大 型 炉 に 比 べ 債 務 保 証 制 度 の 適 用 に 馴 染 む 特 性 を 持 つと 考 えられることから EPAct-2005 による 制 度 創 設 時 に 想 定 されていたものではないが 債 務 保 証 制 度 が 有 効 に 機 能 する 可 能 性 はあると 考 えられる 待 機 支 援 ( 許 認 可 遅 延 リスク 保 険 ) 待 機 支 援 制 度 の 概 要 待 機 支 援 (Standby Support)は リスク 保 険 とも 称 され 原 子 炉 新 設 時 の 許 認 可 手 続 等 の 長 期 化 により 建 設 後 の 運 転 開 始 が 遅 延 した 場 合 に その 遅 延 による 損 失 を 補 填 する 制 度 で EPAct-2005 の 第 638 条 で 規 定 された 前 述 の 通 り 原 子 炉 新 設 プロジェクトにおいて は 許 認 可 手 続 の 遅 れが 建 設 費 増 加 の 大 きな 要 因 の 一 つとされており 特 にプラントの 建 設 後 に 運 転 許 可 を 取 得 し 運 転 を 開 始 するまで NRC 許 認 可 手 続 におけるヒアリングの 開 催 や 訴 訟 などによる 運 開 の 遅 れは 大 きなコスト 増 に 繋 がるものであり 許 認 可 手 続 の 不 確 実 性 は 金 融 界 でも 懸 念 を 抱 かれていた 待 機 支 援 制 度 の 概 要 は 以 下 に 示 す 通 りである 対 象 施 設 NRC が 1994 年 以 降 に 承 認 した 炉 設 計 の 原 子 力 施 設 ( 先 進 的 原 子 力 施 設 ) プログラム 骨 子 エネルギー 長 官 は 最 大 3 種 類 の 原 子 炉 設 計 について 合 計 6 基 の 原 子 炉 の 発 注 者 と 遅 延 補 償 に 係 る 契 約 を 締 結 可 能 対 象 となる 遅 延 COL 手 続 における NRC による 検 査 試 験 解 析 承 認 基 準 (ITAAC) 9 完 了 の 遅 れ 又 は ITAAC 決 定 前 のヒアリング 開 催 や 訴 訟 による 全 出 力 運 転 の 遅 延 ( 原 子 炉 発 注 者 が 法 規 上 の 要 求 措 置 を 講 じなかったこと 原 子 炉 発 注 者 の 責 任 範 囲 の 要 因 あるいは 通 常 の 事 業 リスクに 起 因 する 遅 延 は 除 外 ) 9 NRC 規 則 10 CFR Part 52 で 導 入 された COL 制 度 では 建 設 許 可 と 運 転 許 可 は 一 括 して 発 給 され 許 可 の 発 給 後 に 建 設 期 間 を 通 じて 行 われる 検 査 試 験 解 析 の 承 認 基 準 (ITAAC)を 満 たしたことの 確 認 に より 原 子 炉 の 運 転 が 可 能 となる ITAAC 確 認 時 にヒアリングの 実 施 は 義 務 付 けられていない 39

42 補 填 範 囲 COL を 取 得 し 建 設 が 開 始 された 最 初 の 2 基 の 原 子 炉 : 1 契 約 当 たり 5 億 ドルを 超 えない 範 囲 で 遅 延 コストの 100% 次 の 4 基 の 原 子 炉 : 1 契 約 当 たり 2 億 5,000 万 ドルを 超 えない 範 囲 で 50%まで 補 填 補 填 対 象 コスト 対 象 となる 遅 延 に 起 因 するコストで 原 子 炉 発 注 者 が 負 っている 債 務 の 元 本 と 利 子 及 び 契 約 済 供 給 契 約 の 契 約 販 売 価 格 と 代 替 購 入 電 力 の 公 正 な 市 場 価 格 との 差 額 を 含 む 財 源 2 つの 勘 定 項 目 が 設 定 され 10 それぞれ 以 下 の 異 なる 財 源 が 充 てられる 待 機 支 援 プログラム(Standby Support Program) 歳 出 予 算 と 債 務 関 連 コスト 11 をカバーする 債 務 保 証 手 数 料 の 組 み 合 わせ 待 機 支 援 助 成 (Standby Support Grant) 歳 出 予 算 と 原 子 炉 発 注 者 からエネルギー 長 官 への 納 付 金 の 組 み 合 わせ 待 機 支 援 制 度 の 詳 細 は 2008 年 6 月 に 制 定 された DOE 規 則 10 CFR Part 950 xxi に 定 め られている 同 規 則 に 規 定 された 待 機 支 援 の 手 続 の 流 れと 審 査 の 概 要 のポイントは 以 下 に 示 す 通 りである 待 機 支 援 は 条 件 付 合 意 と 最 終 的 な 待 機 支 援 契 約 の 二 段 階 で 手 続 が 進 められる COL 申 請 者 は COL 申 請 書 の NRC での 受 理 後 COL 取 得 までの 間 に 待 機 支 援 の 条 件 付 合 意 を 要 求 可 能 条 件 付 合 意 では 補 填 対 象 コストの 算 定 とともに 必 要 金 額 の 払 込 みや 詳 細 情 報 の 提 出 など 停 止 条 件 等 を 規 定 した 上 で 待 機 支 援 契 約 の 締 結 を 合 意 待 機 支 援 契 約 では 目 的 補 填 対 象 施 設 申 請 者 の 払 込 金 額 補 填 金 額 上 限 期 間 キャンセル 規 定 申 請 者 による 解 約 申 請 者 の 権 利 の 譲 渡 紛 争 処 理 年 次 の 債 務 コスト 再 推 定 などを 規 定 待 機 支 援 契 約 締 結 の 条 件 :COL 発 給 建 設 開 始 に 必 要 な 全 ての 許 認 可 取 得 建 設 開 始 両 勘 定 への 必 要 金 額 払 込 み 契 約 90 日 前 までに 詳 細 情 報 (ITAAC スケジ ュール 詳 細 な 建 設 スケジュール 詳 細 最 新 の 資 金 計 画 など) 10 補 填 対 象 により 二 つの 勘 定 項 目 が 設 けられているもので 待 機 支 援 プログラムは 遅 延 期 間 における 事 業 者 の 債 務 返 済 資 金 の 支 払 い 待 機 支 援 助 成 は 遅 延 期 間 における 事 業 者 の 電 力 供 給 契 約 価 格 と 公 正 市 場 価 格 の 差 額 を 補 填 する 11 債 務 関 連 コストは 政 府 による 元 本 利 子 等 の 支 払 額 と 政 府 への 手 数 料 等 納 付 額 の 将 来 キャッシュフロー の 現 在 価 値 40

43 図 は 待 機 支 援 制 度 の 全 体 像 を 図 示 したものである 予 算 申 請 許 認 可 状 況 を 四 半 期 報 告 連 邦 議 会 運 転 開 始 遅 延 の 損 失 補 償 のメカニズム ( 先 進 的 原 子 力 施 設 ) エネルギー 長 官 (DOE) 待 機 支 援 (リスク 保 険 ) 二 つの 勘 定 で 全 出 力 運 転 開 始 遅 延 による 損 失 を 補 填 最 初 の2 基 5 億 ドルを 超 えない 範 囲 で 損 失 の100% 次 の4 基 2.5 億 ドルを 超 えない 範 囲 で 損 失 の50% 補 填 対 象 財 源 歳 出 予 算 承 認 審 査 適 用 決 定 待 機 支 援 プログラム 遅 延 期 間 における 事 業 者 債 務 返 済 資 金 の 支 払 い 歳 出 予 算 又 は 債 務 保 証 手 数 料 待 機 支 援 契 約 申 請 手 数 料 納 付 COL : 建 設 運 転 一 括 許 認 可 ITAAC: 検 査 試 験 解 析 承 認 基 準 NRC 規 則 では COL 発 給 後 は 建 設 期 間 中 を 通 じて 確 認 されるITAACの 完 了 をNRCが 決 定 すると 運 転 が 可 能 となる ITAAC 決 定 前 の 公 聴 会 開 催 は 必 須 ではない 待 機 支 援 助 成 事 業 者 (COL 申 請 取 得 者 ) 遅 延 期 間 における 事 業 者 の 電 力 供 給 契 約 価 格 と 公 正 市 場 価 格 の 差 額 補 填 歳 出 予 算 又 は 事 業 者 からエ ネルギー 長 官 への 納 付 金 図 待 機 支 援 制 度 のメカニズム COL 申 請 ITAAC 報 告 COL 発 給 ITAAC 決 定 遅 延 による 損 失 を 補 填 事 業 者 の 責 任 範 囲 の 要 因 等 による 遅 延 は 除 外 NRC COL 申 請 待 機 支 援 条 件 付 合 意 COL 発 給 待 機 支 援 契 約 締 結 NRC 審 査 手 続 の 遅 れ 公 聴 会 開 催 訴 訟 ITAAC 決 定 運 転 開 始 待 機 支 援 プログラムの 適 用 前 述 の 通 り DOE は 2006 年 8 月 に 待 機 支 援 規 則 (10 CFR Part 950)を 制 定 し 数 件 の 条 件 付 合 意 を 検 討 していること 2008 年 には 条 件 付 き 合 意 が 目 指 されていることなどが 伝 えられていたが 成 約 に 至 ったプロジェクトは 無 い この 手 続 の 遅 れは 事 業 者 が DOE に 支 払 う 納 付 金 ( 保 険 料 に 相 当 ) 等 について OMB の 承 認 が 得 られていないためと 2009 年 10 月 時 点 で 報 告 されている NEI によれば 待 機 支 援 プログラムは 産 業 界 の 支 持 を 受 けておらず 最 終 的 な 申 請 を 行 った 社 はなく また 申 請 を 真 剣 に 検 討 する 意 向 を 示 した 社 もないとされている また DOE は 本 プログラムのための 歳 出 権 限 も 連 邦 議 会 から 得 ていないことも 指 摘 しており 実 施 ス テージには 遠 いプログラムであったとの 評 価 をしているものと 見 られる 41

44 2.3.5 生 産 税 控 除 生 産 税 控 除 プログラムの 概 要 生 産 税 控 除 は EPAct-2005 の 第 XIII 編 エネルギー 政 策 税 制 インセンティブ 第 1306 条 で 規 定 された 制 度 で 1986 年 内 国 歳 入 法 典 (IRC)を 修 正 し 対 象 となる 原 子 力 発 電 プ ラントについて 販 売 電 力 量 1kWh 当 り 1.8 セントの 税 額 控 除 を 認 めるものである この 税 額 控 除 は 再 生 可 能 エネルギー 発 電 に 対 するものと 同 様 の 制 度 12である 生 産 税 控 除 プログ ラムのポイントは 以 下 の 通 りである 対 象 施 設 EPAct-2005 発 効 後 から 2021 年 1 月 1 日 迄 に 運 転 を 開 始 した 改 良 型 原 子 力 発 電 プラン ト 但 し 税 額 控 除 の 適 用 は 全 米 で 600 万 kw が 上 限 プログラム 骨 子 対 象 発 電 プラントの 発 電 電 力 に 対 し 8 年 間 に 亘 り 1.8 セント/kWh の 税 額 を 控 除 控 除 範 囲 100 万 kw 当 り 課 税 年 度 内 1.25 億 ドルを 上 限 とする その 他 控 除 額 はインフレ 調 整 されない 生 産 税 控 除 プログラムについては 財 務 省 / 内 国 債 入 庁 (IRS)が 2006 年 5 月 に 暫 定 指 針 xxiiを 発 行 している 同 指 針 発 行 時 点 では 多 くのプロジェクトで COL 申 請 が 予 定 されてい たこともあり 同 指 針 では 最 終 的 に 600 万 kw を 超 える 原 子 力 発 電 プラントが 控 除 の 対 象 要 件 を 満 たした 場 合 には 2008 年 末 までに 許 認 可 申 請 を 行 ったプラントで 2021 年 まで に 運 転 を 開 始 したプラントを 対 象 として 比 例 配 分 により 割 り 当 てを 行 うものとしていた 生 産 税 控 除 プログラムの 適 用 米 国 では 2007 年 から 2008 年 にかけて 多 くの COL 申 請 が 提 出 され 生 産 税 控 除 につい ても 前 述 の 通 りプラント 間 の 比 例 配 分 ルールが IRS 指 針 で 示 されることとなった しかし ながら その 後 のシェールガス 革 命 による 大 幅 な 天 然 ガス 価 格 の 低 下 連 邦 債 務 保 証 の 不 12 IRC では 第 45 条 で 再 生 可 能 エネルギーによる 発 電 電 力 について 税 額 控 除 規 定 を 置 いており EPAct-2005 による 原 子 力 発 電 プラント 向 けの 税 額 控 除 は 第 45J 条 の 追 加 により 規 定 された なお 第 45 条 規 定 の 再 生 可 能 エネルギー 電 力 の 税 額 控 除 は 1.5 セント/kWh である 42

45 調 2008 年 9 月 のリーマンショックを 契 機 とした 金 融 財 政 危 機 の 影 響 などもあり 原 子 炉 新 設 プロジェクトは 停 滞 し 最 終 的 に 2021 年 1 月 1 日 時 点 で 運 転 開 始 が 見 込 めるプロジ ェクトはヴォーグル 及 び V.C.サマーの 2 プロジェクト(4 基 約 440 万 kw)のみとなり 600 万 kw の 範 囲 内 に 収 まる 見 通 しである xxiiixxiv 生 産 税 控 除 については それが 新 設 プロジェクト 実 施 に 係 る 判 断 の 決 定 的 な 要 素 になる ことはないとの 声 もあったが 産 業 界 に 拠 れば ヴォーグル 及 び V.C.サマー 両 プロジェク トは 生 産 税 控 除 は 確 実 な 収 入 をもたらすものであり DOE を 通 す 必 要 もなく 発 電 すれ ば 税 額 控 除 を 得 られる 魅 力 的 なプログラムと 評 価 している xxv その 他 廃 止 措 置 基 金 の 税 法 上 の 取 り 扱 い 電 気 事 業 規 制 環 境 下 での 税 制 優 遇 措 置 EPAct-2005 では 廃 止 措 置 資 金 確 保 に 係 る 税 制 上 の 優 遇 措 置 に 係 る 規 定 も 制 定 された 廃 止 措 置 に 係 る 制 度 については 2.5 節 で 報 告 するが 米 国 では 廃 止 措 置 資 金 の 確 保 につ いては 原 子 力 安 全 の 観 点 から NRC が 規 制 し 原 子 力 施 設 の 許 認 可 保 有 者 に 廃 止 措 置 資 金 確 保 の 財 務 保 証 要 件 を 課 しており 多 くの 事 業 者 が 外 部 減 債 基 金 による 資 金 確 保 を 行 って きた 米 国 では 伝 統 的 な 電 気 事 業 規 制 の 下 で 運 転 期 間 を 通 じて 電 気 料 金 からの 回 収 が 行 わ れる 廃 止 措 置 費 用 の 基 金 については 税 制 上 の 優 遇 措 置 が 1984 年 財 政 赤 字 削 減 法 により 導 入 され 内 国 歳 入 法 典 (IRC) 第 468A 条 として 規 定 されている IRC468A 条 及 びその 公 的 解 釈 を 示 す IRS 規 則 26 CFR Part 1.468A では 発 生 主 義 によ る 課 税 原 則 の 例 外 として 原 子 力 発 電 プラントの 廃 止 措 置 費 用 について NRC 規 則 10 CFR Part 50.75(e)に 規 定 される 廃 止 措 置 基 金 への 拠 出 が 行 われた 場 合 には 損 金 として 課 税 控 除 を 認 めることが 定 められている IRC468A 条 に 基 づく 適 格 廃 止 措 置 基 金 の 概 要 は 以 下 に 示 す 通 りである 適 格 廃 止 措 置 基 金 の 概 要 ( 要 件 ) 適 格 廃 止 措 置 基 金 は 納 税 者 が 自 身 の 資 産 とは 分 離 した 形 で 設 定 する 基 金 使 途 は 廃 止 措 置 費 用 基 金 収 益 に 対 する 税 金 及 び 基 金 管 理 費 用 の 支 払 い 投 資 に 限 定 適 格 基 金 の 積 立 額 は 適 格 基 金 が 存 在 する 期 間 13の 原 子 力 発 電 プラントの 廃 止 措 置 13 適 格 基 金 制 度 は 1984 年 に 制 定 されたため 制 度 発 足 前 に 積 み 立 てられた 基 金 はすべて 非 適 格 とな る 43

46 費 用 に 引 き 当 てるため 必 要 な 金 額 に 限 定 損 金 計 上 可 能 な 拠 出 金 以 外 は 受 入 禁 止 対 象 となる 原 子 力 発 電 プラントの 所 有 権 が 移 転 された 場 合 には 適 格 基 金 も 委 譲 ( 税 制 上 の 優 遇 措 置 ) 適 格 基 金 の 収 益 に 対 する 税 率 を 軽 減 14 (1992~1995 年 :22% 1995 年 12 月 31 日 ~:20%) 総 括 原 価 規 制 を 受 ける 事 業 者 が 徴 収 する 場 合 適 格 基 金 への 年 間 拠 出 金 は 損 金 計 上 が 可 能 プラント 移 転 に 伴 う 適 格 基 金 の 譲 渡 は 譲 受 人 が 総 括 原 価 規 制 を 受 ける 場 合 には 非 課 税 取 引 電 力 自 由 化 による 問 題 前 項 に 示 した 通 り 廃 止 措 置 基 金 の 税 務 上 の 優 遇 措 置 は 総 括 原 価 による 廃 止 措 置 費 用 の 徴 収 を 必 要 としていたことから 1990 年 代 に 電 気 事 業 規 制 緩 和 が 進 む 中 で IRC468A 条 の 総 括 原 価 要 件 が 問 題 となった 1999 年 の 連 邦 議 会 上 院 におけるヒアリングでは 電 力 会 社 から 以 下 の 問 題 点 が 指 摘 されている 規 制 緩 和 が 実 施 された 州 の 電 力 会 社 は 総 括 原 価 方 式 から 外 れるため 適 格 基 金 への 拠 出 が 不 可 能 となる 総 括 原 価 規 制 を 受 ける 事 業 者 から 規 制 を 受 けない 事 業 者 へのプラント 売 却 の 際 に 同 時 に 行 われる 適 格 廃 止 措 置 基 金 の 譲 渡 に 課 税 されるため プラント 売 買 の 障 害 となる IRC468A 条 は 1984 年 以 前 の 積 立 基 金 を 非 適 格 としており 電 力 市 場 での 原 子 力 の 競 争 力 を 弱 める 可 能 性 がある また 財 務 省 からも 適 格 廃 止 措 置 基 金 の 立 法 趣 旨 からすれば 総 括 原 価 要 件 の 廃 止 は 必 要 であり 適 切 との 証 言 が 行 われた その 後 2001 年 に 発 足 したブッシュ 政 権 は 前 述 の 2001 年 5 月 公 表 の 国 家 エネルギー 政 策 において 原 子 力 発 電 プラントの 売 却 時 に 適 格 廃 止 措 置 基 金 の 譲 渡 は 非 課 税 とする 法 律 制 定 への 支 持 を 表 明 し エネルギー 政 策 法 の 検 討 の 1 項 目 として 位 置 付 けられた 年 エネルギー 政 策 法 (EPAct-2005)における 税 制 措 置 変 更 前 項 に 示 した 議 論 などを 受 け EPAct-2005 は 第 1310 条 において IRC468A 条 を 修 正 14 適 格 基 金 制 度 が 導 入 された 当 時 は 基 金 収 益 に 対 する 税 率 は 法 人 税 の 最 高 税 率 とされた(1984 年 時 点 では 最 高 税 率 は 46%で その 後 1986 年 に 34% 1993 年 に 35%)が 1992 年 エネルギー 政 策 法 により IRC468A 条 が 改 正 され 軽 減 税 率 が 設 定 された 44

47 し 適 格 廃 止 措 置 基 金 の 要 件 を 緩 和 した 修 正 の 主 なポイントは 以 下 の 通 りである 総 括 原 価 要 件 の 廃 止 IRC468A 条 (b)(1)に 規 定 された 総 括 原 価 要 件 を 廃 止 し 適 格 廃 止 措 置 基 金 への 拠 出 を 行 うすべての 事 業 者 が 拠 出 金 の 損 金 計 上 が 可 能 となる 1984 年 以 前 の 廃 止 措 置 費 用 に 関 する 適 格 廃 止 措 置 基 金 への 拠 出 の 承 認 廃 止 措 置 費 用 見 積 り 総 額 の 現 在 価 値 までは 適 格 廃 止 措 置 基 金 への 拠 出 が 可 能 なお 廃 止 措 置 資 金 の 確 保 について 規 制 する NRC においても 自 由 化 に 伴 う 規 則 変 更 が 行 われた NRC 規 則 10 CFR Part では 廃 止 措 置 費 用 確 保 の 財 務 保 証 として 外 部 減 債 基 金 を 利 用 できる 条 件 として 総 括 原 価 方 式 が 適 用 される 公 益 事 業 者 であることが 必 要 と されていたが 自 由 化 が 具 体 的 に 進 展 し 始 めた 1998 年 にこれを 改 正 し 回 避 不 能 費 用 によ り 廃 止 措 置 費 用 の 確 保 が 見 込 まれる 電 気 事 業 者 も 公 益 電 気 事 業 者 に 準 ずる 者 として 外 部 減 債 基 金 の 利 用 が 可 能 とされている プライス アンダーソン 法 の 延 長 米 国 における 原 子 力 損 害 賠 償 法 であるプライス アンダーソン 法 ( 以 下 PA 法 )は 原 子 力 発 電 プラントの 許 可 保 有 者 に 対 し 3 億 ドルの 原 子 力 損 害 賠 償 責 任 保 険 の 付 保 を 要 求 するとともに 遡 及 的 プレミアムによる 相 互 扶 助 方 式 の 第 二 次 の 賠 償 措 置 が 制 度 化 されて いる PA 法 は 1957 年 に 1954 年 原 子 力 法 の 一 部 改 正 により 同 法 第 170 条 などとして 制 定 された PA 法 は 時 限 立 法 とされ ほぼ 10 年 毎 に 更 新 改 正 が 行 われてきたが 1988 年 の 改 正 により 2002 年 8 月 1 日 迄 の 延 長 が 行 われた 後 同 期 限 を 過 ぎても 更 新 延 長 が 行 わ れない 状 態 が 続 いていた PA 法 が 延 長 されない 場 合 既 に PA 法 の 適 用 を 受 けてきた 既 設 プラントの 損 害 賠 償 は 引 き 続 き 有 効 であり 問 題 とはならないが 新 たに 許 可 を 受 ける 新 設 プラントには PA 法 の 原 賠 制 度 が 適 用 されないことになり 実 質 的 に 原 子 炉 新 設 を 阻 むものとして 産 業 界 などから 強 く 更 新 を 望 まれていた 最 終 的 に EPAct-2005 において PA 法 の 改 正 及 び 延 長 が 認 められ 第 601 条 以 下 において 以 下 のポイントに 示 すような PA 法 改 正 が 行 われた 15 補 償 権 限 の 延 長 1954 年 原 子 力 法 第 170 条 (c)に 規 定 された NRC の 補 償 権 限 の 期 限 を 2025 年 12 月 31 日 迄 延 長 最 大 措 置 額 の 増 額 15 PA 法 では DOE コントラクタの 原 子 力 損 害 賠 償 についても 規 定 されているが ここでは NRC 許 可 に 係 る 原 子 力 発 電 プラントに 関 連 する 内 容 のみ 報 告 する 45

48 10 万 kwe 以 上 の 原 子 力 発 電 プラントにおける 第 二 次 賠 償 措 置 額 となる 遡 及 的 保 険 料 に 係 る 金 額 を 1 事 故 当 り 9,580 万 ドル( 改 正 前 は 6,300 万 ドル) 1 年 当 り 1,500 万 ドル( 同 1,000 万 ドル)に 変 更 モジュラー 式 原 子 炉 施 設 単 位 とされている PA 法 の 賠 償 措 置 額 について モジュラー 式 の 原 子 炉 の 特 例 を 設 定 し 同 一 サイト 内 の 10 万 kwe 以 上 30 万 kwe 未 満 の 原 子 炉 は 130 万 kwe を 超 えない 場 合 には 全 体 で 一 つの 10 万 kwe 以 上 の 施 設 と 見 做 すよう 変 更 46

49 2.4 原 子 炉 新 設 プロジェクトと 資 金 調 達 スキーム 米 国 における 原 子 炉 新 設 プロジェクトの 資 金 調 達 の 概 要 原 子 炉 新 設 プロジェクトは 投 資 規 模 が 大 きく また 長 期 に 亘 るプロジェクトであり 許 認 可 手 続 の 遅 延 や 建 設 費 高 騰 などリスクも 大 きく さらに 米 国 の 原 子 力 発 電 事 業 者 の 規 模 が 相 対 的 に 小 さいこともあり その 資 金 調 達 は 最 大 のハードルの 一 つと 考 えられた その 背 景 には 1970~1980 年 代 に 多 くの 原 子 炉 新 設 プロジェクトで 遅 延 や 建 設 費 の 大 幅 増 加 が 見 られたことに 加 え 1990 年 代 以 降 に 多 くの 州 で 電 気 事 業 規 制 緩 和 が 進 められ 所 謂 マー チャント プラントとして 電 気 料 金 による 投 資 の 回 収 が 確 実 に 見 込 めない 市 場 環 境 の 変 化 がある 原 子 炉 新 設 プロジェクトにおいて 特 に 懸 念 される 主 要 なリスクとしては 以 下 のような 項 目 が 挙 げられる これらリスクの 存 在 が 資 金 調 達 コストを 押 し 上 げ いわゆる 原 子 力 プレミアム が 認 識 されることになる これらのリスクの 多 くは 過 去 の 原 子 炉 建 設 プロ ジェクトで 認 識 された 問 題 点 であり 既 に 制 度 的 対 応 が 取 られた 項 目 もあるが 約 30 年 に 亘 り 建 設 プロジェクトが 途 絶 えていた 米 国 ではリスクの 実 際 の 減 少 が 現 実 に 確 認 されては おらず リスク 懸 念 の 低 下 原 子 力 プレミアムの 低 減 には 数 プロジェクトの 実 績 による 実 証 が 必 要 と 言 われている 1 運 転 開 始 の 遅 れ 特 に 建 設 が 完 了 した 後 の 運 転 開 始 の 遅 れは 投 資 に 対 する 金 利 コストや 維 持 コス トなどプロジェクト 費 用 を 増 加 させるとともに 営 業 収 入 確 保 の 遅 れを 意 味 し プロジェクト 収 益 を 大 きく 悪 化 させる a. 許 認 可 手 続 の 不 確 実 性 1960~1970 年 代 に 原 子 炉 建 設 を 決 定 したプロジェクトの 多 くで 環 境 規 制 を 含 む 規 制 の 強 化 や 反 対 組 織 の 介 入 などによる 許 認 可 手 続 の 遅 延 が 見 られた 特 に NRC 16 の 建 設 許 可 を 得 て 建 設 が 完 了 したプラントにおいて 運 転 許 可 の 許 認 可 手 続 が 遅 延 し あるいは 訴 訟 等 により 運 転 開 始 が 大 幅 に 遅 延 する プロジェクトも 見 られた 17 b. 建 設 の 遅 延 1960~1970 年 代 の 建 設 プロジェクトでは 建 設 期 間 中 の 設 計 変 更 なども 含 め 16 初 期 は 原 子 力 委 員 会 (AEC) 17 その 典 型 的 な 例 として 建 設 が 完 了 し 試 運 転 も 行 われていた 状 態 ながら 立 地 地 域 の 反 対 による 緊 急 時 避 難 計 画 の 問 題 等 で 運 転 許 可 発 給 が 大 幅 に 遅 延 し 最 終 的 に 廃 炉 となったショアハム 原 子 力 発 電 プラント がある 同 プラントの 事 例 については で 報 告 する 47

50 工 期 の 遅 れがしばしば 発 生 していた 2 工 期 の 長 さ 及 び 建 設 費 の 不 確 実 性 1で 示 した 建 設 の 遅 延 は 大 きな 建 設 費 の 超 過 に 繋 がる 他 建 設 資 材 の 高 騰 費 用 見 積 りやプロジェクト 管 理 上 の 問 題 などから 建 設 費 が 当 初 予 定 を 超 過 するプロジ ェクトが 過 去 には 多 く 見 られた 原 子 力 発 電 プラントの 建 設 は 工 期 が 長 く 発 注 も 一 般 に 設 計 調 達 建 設 (EPC) 契 約 となり 例 えば 天 然 ガス CCGT プラントのようなターンキー 方 式 での 契 約 は 困 難 であることなどから 建 設 期 間 中 の 市 場 環 境 の 変 化 や 建 設 費 増 加 の 不 確 実 性 が 高 くなる また 安 全 要 件 の 強 化 など 規 制 変 更 のリスクも 他 電 源 と 比 較 すると 大 きいものと 考 えられる 3 プロジェクトの 収 益 性 2で 示 した 建 設 費 の 増 加 とともに 運 転 開 始 後 の 原 子 炉 の 稼 働 率 は 収 益 に 直 結 す る また 今 後 マーチャント プラントとして 建 設 される 原 子 炉 については 販 売 電 力 価 格 の 水 準 も 問 題 となる 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 を 受 けての 強 化 され つつある 安 全 規 制 への 対 応 も コスト 上 昇 要 因 となる 4 大 規 模 投 資 による 財 務 状 態 の 悪 化 米 国 の 電 気 事 業 者 は 比 較 的 規 模 が 小 さく 新 規 原 子 力 発 電 プラントへの 投 資 がバ ランスシートに 与 えるインパクトは 大 きい 自 己 資 本 / 他 人 資 本 の 調 達 比 率 を 含 め 企 業 としての 安 全 性 収 益 力 が 損 なわれるリスクがある こうしたリスク 要 因 に 対 し NRC 規 則 10 CFR Part 52/1992 年 エネルギー 政 策 法 によ る 許 認 可 プロセスの 改 革 原 子 炉 設 計 の 標 準 化 と 設 計 認 証 制 度 の 確 立 既 設 炉 の 高 い 設 備 利 用 率 で 示 された 運 転 経 験 の 向 上 など 様 々な 対 応 が 官 民 で 取 られてきた 特 に NRC 許 認 可 プロセスの 改 革 により 建 設 許 可 発 給 時 に 運 転 許 可 も 一 括 して 発 給 し その 後 は ITAAC 各 項 目 の 承 認 により 運 転 が 可 能 となったことにより 建 設 後 に 許 認 可 手 続 や 訴 訟 等 で 大 き な 遅 延 が 生 じるリスクは 基 本 的 に 解 消 された 形 となっている しかしながら これらの 対 応 が 有 効 に 機 能 するかについて 実 際 のプロジェクトで 確 認 された 訳 ではないため 金 融 界 などは 最 初 の 数 基 のプロジェクトで 実 証 されることが 必 要 と 考 えている EPAct-2005 が 制 定 された 2005 年 当 時 原 子 炉 新 設 プロジェクトの 資 金 調 達 については 概 ね 以 下 のような 認 識 がなされていた xxvi 規 制 公 益 事 業 者 伝 統 的 な 総 括 原 価 方 式 の 下 での 投 資 が 可 能 で 電 気 料 金 からの 投 資 の 回 収 が 適 正 報 酬 48

51 も 含 め 安 定 的 に 見 込 めることから 財 務 戦 略 としても デットファイナンス( 負 債 調 達 ) 及 びエクイティファイナンスによる 調 達 の 確 実 性 は 高 く 債 務 保 証 や 担 保 付 貸 付 の 必 要 性 は 低 いと 見 込 まれる 社 債 等 の 投 資 家 や 貸 手 も 公 益 電 気 事 業 者 の 全 資 産 及 び 収 入 への 償 還 請 求 が 可 能 なことから 懸 念 はないと 考 えられる こうした 伝 統 的 な 資 金 調 達 により 格 付 低 下 の 圧 力 は 生 じる 可 能 性 があるが 料 金 規 制 当 局 との 協 定 締 結 やコンソーシアム 方 式 の 採 用 などによりリスクの 軽 減 は 可 能 であ る 財 務 的 インセンティブとして 債 務 保 証 のメリットは 必 ずしも 高 くないが 初 号 機 (FOAKE)の 高 コストを 相 殺 するメカニズムは 有 効 と 考 えられる 非 規 制 のマーチャント 発 電 会 社 マーチャント 発 電 会 社 が 規 制 公 益 事 業 者 の 子 会 社 であるか 独 立 の 企 業 であるかなどに よっても 変 わるが マーチャント 事 業 ではコモディティ 価 格 リスク( 電 力 料 金 の 不 確 実 性 )が 大 きく 格 付 を 維 持 するためには 格 付 機 関 もバランスシートのレバレッジ を 低 く(デットファイナンスを 減 じ 自 己 資 本 調 達 を 高 める) 抑 えることを 要 求 すると 考 えられる 規 制 電 気 事 業 者 等 への 長 期 電 力 販 売 契 約 (PPA)によりリスクを 緩 和 する ことも 可 能 だが マーチャント 事 業 者 にはより 高 い 投 資 収 益 率 も 必 要 となる デットファイナンスを 可 能 とするためには 事 業 者 の 規 模 や 資 産 構 成 収 益 力 親 会 社 のサポート 等 が 必 要 であり これらが 十 分 でない 場 合 には 債 務 保 証 や 担 保 付 借 入 が 不 可 欠 となる プロジェクトファイナンス 方 式 は 負 債 比 率 を 高 めるなどにより 資 金 調 達 コストを 低 減 できる 可 能 性 を 持 っているが 破 綻 リスクに 対 する 保 護 が 無 い 場 合 には 貸 付 / 投 資 は 困 難 と 金 融 界 は 見 ており 債 務 保 証 又 は 担 保 付 借 入 が 必 須 となる こうした 認 識 の 下 で EPAct-2005 において 新 規 原 子 力 発 電 プラントに 対 する 連 邦 債 務 保 証 プログラムが 導 入 されたが 保 証 料 等 の 問 題 があり 最 も 債 務 保 証 が 必 要 と 考 えられて いたマーチャント プロジェクトには 有 効 に 機 能 せず 折 しもの 経 済 環 境 悪 化 もあって 新 設 プロジェクトは 規 制 事 業 者 の 2 プロジェクトを 除 き 実 現 していない この 連 邦 債 務 保 証 の 問 題 については で 報 告 する 電 気 事 業 規 制 緩 和 と 原 子 力 プレミアム 前 項 でも 述 べたように 1990 年 代 以 降 の 電 気 事 業 規 制 緩 和 電 力 市 場 自 由 化 により 原 子 力 発 電 プラントの 新 規 建 設 プロジェクトについても 自 由 化 市 場 に 特 有 の 問 題 リスク が 生 じることとなった したがって 資 金 調 達 における 原 子 力 プレミアムも 電 気 事 業 規 制 緩 和 の 影 響 により 増 幅 されることになる 49

52 電 気 事 業 規 制 緩 和 により 増 加 するリスクの 最 大 のものは 販 売 電 力 の 価 格 が 競 争 市 場 に おいて 決 定 されることによる 不 確 実 性 と 言 える 特 に 原 子 力 発 電 プラントは 固 定 費 の 割 合 が 圧 倒 的 であり また でも 述 べたように その 運 転 特 性 から 典 型 的 なベースロ ード 電 源 として 年 間 を 通 して 24 時 間 の 稼 働 が 前 提 となる 例 えば 1 日 前 市 場 などでは 全 時 間 帯 における 平 均 市 場 価 格 がプラントの 販 売 電 力 価 格 となるため 原 子 力 発 電 プラント は 卸 市 場 の 設 計 とともに 変 動 費 が 基 本 的 にゼロとなる 再 生 可 能 エネルギーの 増 加 によ り 収 益 性 に 大 きな 影 響 を 受 ける 可 能 性 がある こうした 市 場 価 格 の 変 動 リスクに 対 応 する 手 段 として 事 前 に 長 期 電 力 販 売 契 約 (PPA)の 締 結 確 保 が 目 指 されることになり マー チャント プラント 新 設 プロジェクトの 収 益 性 評 価 においては この PPA の 確 保 状 況 が 重 要 な 要 素 となる PPA 価 格 は 足 許 の 電 力 市 場 価 格 に 大 きく 影 響 されるため 現 在 の 市 場 価 格 状 況 では マーチャント 原 子 力 発 電 プラントの 新 規 建 設 は 一 般 に 困 難 と 考 えられている 電 気 事 業 規 制 緩 和 による 資 金 調 達 プレミアムを 客 観 的 に 示 すデータはないが 規 制 / 非 規 制 の 事 業 者 別 の 収 益 率 や 体 力 を 反 映 すると 考 えられる 株 価 及 び 格 付 を 見 ても 図 及 び 表 に 示 されているように 自 由 化 市 場 における 電 気 事 業 者 と 規 制 事 業 者 には 明 確 な 差 が 現 れている 50

53 EEI 指 標 利 益 率 (%) (20.93) EEI 指 標 累 積 収 益 ($) 規 制 :EEI 指 標 利 益 率 (15.59) 規 制 :EEI 指 標 累 積 収 益 殆 ど 規 制 : 指 標 利 益 率 (27.00) 殆 ど 規 制 : EEI 指 標 累 積 収 益 自 由 化 :EEI 指 標 利 益 率 (33.90) 8.07 (5.16) 自 由 化 : EEI 指 標 累 積 収 益 * 累 積 収 益 とは 2007 年 末 に 100 ドルを 投 資 した 場 合 の 各 年 末 時 点 の 投 資 価 値 ( 出 所 :Standard & Poor's, SNL Financial, and EEI Finance Department) xxvii 図 規 制 区 分 別 に 見 た 電 気 事 業 者 の 収 益 性 ( 累 積 投 資 収 益 ) 51

54 表 規 制 区 分 別 に 見 た 電 気 事 業 者 の 格 付 の 推 移 # % # % # % # % # % # % 規 制 A 以 上 5 13% 3 8% 3 7% 3 9% 3 8% 2 6% A- 2 5% 4 10% 6 15% 5 14% 5 14% 6 17% BBB % 9 23% 9 22% 6 17% 7 19% 5 14% BBB 8 21% 9 23% 11 27% 11 31% 13 35% 13 36% BBB- 7 18% 9 23% 8 20% 6 17% 5 14% 6 17% BBB- 未 満 6 16% 5 13% 4 10% 4 11% 4 11% 4 11% 合 計 % % % % % % 殆 ど 規 制 A 以 上 1 5% 1 5% 2 11% 1 5% 1 5% 1 6% A- 3 16% 5 26% 2 11% 3 15% 3 16% 2 12% BBB+ 4 21% 2 11% 5 26% 6 30% 6 32% 7 41% BBB 6 32% 8 42% 6 32% 4 20% 3 16% 3 18% BBB- 4 21% 3 16% 4 21% 6 30% 6 32% 4 24% BBB- 未 満 1 5% 0 0% 0 0% 0 0% 0 0% 0 0% 合 計 % % % % % % 自 由 化 A 以 上 0 0% 0 0% 0 0% 0 0% 0 0% 0 0% A- 2 22% 0 0% 0 0% 0 0% 0 0% 0 0% BBB+ 3 33% 2 29% 1 17% 2 40% 1 25% 1 33% BBB 1 11% 2 29% 2 33% 0 0% 0 0% 0 0% BBB- 2 22% 2 29% 2 33% 2 40% 2 50% 1 33% BBB- 未 満 1 11% 1 14% 1 17% 1 20% 1 25% 1 33% 合 計 9 100% 7 100% 6 100% 5 100% 4 100% 3 100% * 合 計 は 100 に 一 致 しない 場 合 がある ( 出 所 :Standard & Poor's, SNL Financial, and EEI Finance Department) xxvii 52

55 原 子 力 産 業 や 投 資 銀 行 に 対 するヒアリングでも 原 子 力 プレミアムの 具 体 的 なレベルは 確 認 されていないが 連 邦 債 務 保 証 の 適 用 を 目 指 していたマーチャント プラントのカル バートクリフス 3 号 機 の 増 設 プロジェクトを 巡 る 状 況 で その 一 端 が 示 唆 されている 後 述 するように 同 プラントの 債 務 保 証 に 適 用 される 保 証 料 は DOE から 11.6%と 提 案 されて いたとされており 一 方 で 規 制 事 業 プラントのヴォーグルに 対 しては 交 渉 過 程 で 5~6%の 水 準 が 提 案 されていたと 見 られており 単 純 に 比 較 すると 極 めて 大 きな 格 差 となる 18 但 し この 保 証 料 率 は 前 述 の 通 り OMB の 計 算 モデルによるもので 市 場 におけるプレミアム 評 価 と 必 ずしも 一 致 しない 一 方 事 業 者 が 期 待 していた 保 証 料 レベルは ヴォーグルでは 0.4% 程 度 であったとされるのに 対 し カルバートクリフスについては 2~3%の 水 準 との 産 業 界 情 報 が 得 られており 仮 に 単 純 に 比 較 を 行 うと 2% 前 後 のプレミアムが 認 識 されているとい える 連 邦 債 務 保 証 など 諸 施 策 の 効 果 と 課 題 米 国 では 約 30 年 を 経 ての 原 子 力 発 電 プラントの 新 設 に 向 けた 資 金 調 達 が 大 きな 課 題 と 認 識 される 中 で 前 節 で 示 したように 連 邦 債 務 保 証 や 待 機 支 援 などの 施 策 が EPAct-2005 により 導 入 されたが 結 論 から 言 えば 連 邦 政 府 の 諸 施 策 は 有 効 に 機 能 したとは 言 えない 結 果 となっている 以 下 では 連 邦 債 務 保 証 待 機 支 援 生 産 税 控 除 に 係 る 適 用 上 の 問 題 課 題 などについて 米 国 原 子 力 産 業 界 投 資 銀 行 議 会 スタッフ 等 に 対 して 行 ったヒアリン グ 調 査 の 結 果 も 含 めて 報 告 する なお ヒアリング 報 告 書 は 巻 末 に 示 している 連 邦 債 務 保 証 の 適 用 を 巡 る 問 題 債 務 保 証 プログラムの 必 要 性 の 認 識 EPAct-2005 で 導 入 された 先 進 原 子 力 施 設 向 けの 連 邦 債 務 保 証 プログラムは 前 項 までに 示 した 資 金 調 達 上 の 問 題 に 対 応 するものとして その 必 要 性 は 強 く 認 識 されていた 債 務 保 証 は ハイリスクで 高 資 本 コストの 技 術 のための 資 金 調 達 プラットフォームとして 計 り 知 れない 可 能 性 を 持 つものであり 特 に 非 規 制 のマーチャント 発 電 事 業 者 による 原 子 力 発 電 プラント 建 設 を 支 援 するために 必 要 不 可 欠 であるとみなされていた 実 際 の 動 きとしても カルバートクリフス 増 設 プロジェクトを 計 画 していたコンステレ ーション エナジー 社 は 連 邦 債 務 保 証 の 適 用 が 許 容 できる 条 件 で 得 られないことを 理 由 18 ヴォーグルの 5~6%という 保 証 料 率 は DOE 提 示 のネット 保 証 料 をサザン 社 がグロスで 評 価 したもの であり カルバートクリフスで 事 業 者 が 公 表 した 11.6%については 詳 細 が 不 明 のため 同 一 尺 度 で 比 較 可 能 とは 限 らない 19 両 者 の 保 証 料 率 は 比 較 を 前 提 に 示 されたものではないこと 事 業 者 の 財 務 状 態 評 価 や 出 資 者 構 成 など 他 の 要 因 も 反 映 されたものであることに 留 意 は 必 要 53

56 として 2010 年 9 月 に 債 務 保 証 プログラムからの 離 脱 と 建 設 プロジェクトからの 撤 退 を 表 明 している 一 方 で 規 制 環 境 下 にある 事 業 者 建 設 プロジェクトでは 連 邦 債 務 保 証 プログラムの 必 要 性 は 必 ずしも 強 い 訳 ではない 2014 年 2 月 に 債 務 保 証 の 最 終 的 な 適 用 を 得 たヴォーグ ル プロジェクトのサザン 社 は 仮 に 連 邦 債 務 保 証 が 得 られなくともプロジェクトの 遂 行 に 問 題 はないことを 表 明 していた また 同 じく 現 在 建 設 中 のサウスカロライナ 州 の V.C. サマー 発 電 所 プロジェクトの SCANA 社 は 連 邦 債 務 保 証 の 申 請 は 行 い また 最 終 候 補 の 4 社 に 残 っている 状 態 ではあるが 連 邦 債 務 保 証 は 良 い 条 件 が 得 られるのであれば 有 効 だが 必 要 という 訳 ではないなどとしており 今 後 も 債 務 保 証 を 求 めることはないと 見 られてい る 連 邦 債 務 保 証 の 取 り 組 み 体 制 と 課 題 連 邦 債 務 保 証 は DOE のプログラムであり DOE が 適 用 申 請 者 を 募 集 し 審 査 契 約 に 当 たるが 審 査 及 び 保 証 料 の 計 算 などに 際 しては OMB の 審 査 承 認 を 受 けることとされて いる すなわち DOE はプログラムの 管 理 に 責 任 を 有 するが 資 金 提 供 に 係 る 判 断 では OMB が 責 任 を 有 している 形 となる 連 邦 債 務 保 証 プログラムは 前 述 の 通 り 必 要 性 の 認 識 が 高 かったマーチャント プラントには 1 基 も 適 用 されておらず また 最 終 的 に 債 務 保 証 が 適 用 されたヴォーグルについても DOE が 2008 年 末 に 二 次 募 集 を 締 め 切 ってから 債 務 保 証 が 最 終 化 されるまで 5 年 以 上 の 期 間 を 要 している 債 務 保 証 が 所 期 の 期 待 通 りに 機 能 しなかった 背 景 として 保 証 料 計 算 の 問 題 とともに DOE 及 び OMB のプログラム 管 理 の 問 題 も 指 摘 されている 但 し ヒアリングによれば DOE は 債 務 保 証 プログラムを 誠 実 に 運 用 しようとしていたとされ 再 生 可 能 エネルギーに 対 する 債 務 保 証 プログラムは 管 理 上 の 問 題 なく 効 果 的 に 機 能 しているとされている これ に 対 し OMB は 原 子 力 プロジェクトに 対 する 支 援 には 積 極 的 でないとされ この OMB の 消 極 的 な 姿 勢 が 債 務 保 証 プログラムが 機 能 するのを 妨 げたとの 見 方 が 伝 えられている OMB の 姿 勢 は 行 政 府 の 様 々なプログラムにおいて 問 題 として 挙 げられることもあるが 再 生 可 能 エネルギーに 対 する 債 務 保 証 は 支 持 している OMB は 連 邦 信 用 プログラムを 運 営 しており どのプログラムが 上 手 く 行 くかという 点 で 影 響 力 を 持 っているとされている なお 連 邦 債 務 保 証 プログラムは ブッシュ 政 権 の 下 で 制 度 化 され DOE による 募 集 も 始 められたが 実 質 的 な 審 査 段 階 に 入 ってからはオバマ 民 主 党 政 権 の 下 で 運 営 されている 連 邦 債 務 保 証 の 適 用 の 遅 れを 民 主 党 への 政 権 交 代 に 帰 する 声 は 聞 かれていないが 民 主 党 政 権 は 原 子 力 プロジェクトへの 債 務 保 証 支 援 を 強 調 することで 原 子 力 支 持 の 姿 勢 を 確 立 しようとしているが 債 務 保 証 は 一 切 提 供 されていないのが 現 実 との 評 価 も 見 られた また ヴォーグルを 含 めた 原 子 力 プロジェクトの 債 務 保 証 の 審 査 過 程 で 太 陽 光 プロジ ェクトの 債 務 保 証 適 用 を 受 けていたソリンドラ 社 の 破 綻 があったことで DOE が 極 めて 用 心 深 く なるなど 政 治 的 に 厳 しい 目 に 晒 されることによる 影 響 があったとされている 54

57 保 証 料 の 算 定 と 原 子 力 プロジェクトの 評 価 カルバートクリフスの 例 などで 既 に 述 べているように 連 邦 債 務 保 証 プログラムが 初 期 の 期 待 通 りに 機 能 していない 最 大 の 問 題 は 保 証 料 の 算 定 の 問 題 とされている 最 終 的 に 合 意 に 至 ったヴォーグル プロジェクトにおける 各 社 の 保 証 料 は 現 時 点 で 不 明 であるが 保 証 料 の 問 題 は 特 にマーチャント プラントのカルバートクリフスの 撤 退 の 動 き 発 表 で 表 面 化 するに 至 った で 示 したように OMB は 保 証 料 を 債 務 不 履 行 の 可 能 性 不 履 行 時 の 損 失 / 回 収 額 不 履 行 のタイミング 回 収 までの 時 間 等 を 考 慮 した 上 で 計 算 している 原 子 力 産 業 界 は OMB が 保 証 料 算 定 の 際 に 極 端 に 低 い 回 収 率 を 採 用 することに 固 執 したことなどで 保 証 料 が 不 合 理 に 高 くなったとしており 白 書 や 分 析 レポートを 纏 め OMB の 計 算 における 問 題 として 以 下 のようなポイントを 指 摘 している コーポレートファイナンスにおける 債 務 (corporate debt)の 累 積 債 務 不 履 行 確 率 (DOE によって 使 用 される)が 被 規 制 公 益 事 業 者 債 務 の 累 積 債 務 不 履 行 確 率 よりも 著 しく 高 くなっている プロジェクトファイナンスにおける 債 務 の 不 履 行 確 率 は 一 般 的 なコーポレートファ イナンスの 債 務 とは 歴 史 的 に 異 なったものとなっている プロジェクトファインナン スの 債 務 については 債 権 者 が 強 力 に 保 護 されてきたという 歴 史 的 経 緯 がある この ため コーポレートファイナンスの 債 務 不 履 行 確 率 は ノンリコース 型 であるプロジ ェクトファイナンス 体 制 を 採 用 するマーチャント 原 子 力 プロジェクトに 当 てはめるこ とはできない 55%という 標 準 回 収 率 は 被 規 制 事 業 者 の 債 務 やプロジェクトファイナンス 債 務 に 関 す るこれまでの 回 収 率 よりかなり 低 い この 55%という 回 収 率 を 事 業 期 間 ( 建 設 時 から 商 業 運 転 の 開 始 後 )を 通 じて 採 用 す ることは 非 現 実 的 である 回 収 率 は 商 業 運 転 開 始 日 の 前 と 後 では 異 なるため 一 貫 し て 同 じ 値 (one size fits all)という 標 準 的 な 方 法 を 当 てはめるのは 不 適 切 である なお カルバートクリフス 増 設 プロジェクトでは DOE から 11.6%の 保 証 料 が 提 示 され たことが 明 らかにされているが 原 子 力 産 業 界 によれば 保 証 料 は 2~3%であるべきであ ったと 考 えられている 連 邦 債 務 保 証 プログラムについては マーチャント プラントで は 他 にも STP プロジェクトが 最 終 候 補 に 選 定 されていたが DOE との 交 渉 において 保 証 料 額 を 見 積 もる 段 階 にまで 達 していなかったとされている 55

58 その 他 の 債 務 保 証 プログラムの 問 題 今 後 への 課 題 など その 他 の 債 務 保 証 プログラムの 課 題 としては プログラムの 運 用 において 債 権 の 回 収 順 位 などを 含 め 債 権 者 保 護 と 納 税 者 保 護 のバランスをどう 捉 えるかが 前 述 の 保 証 料 の 評 価 問 題 とも 直 結 する 問 題 として 挙 げられる 原 子 力 産 業 界 は 債 権 者 ( 貸 手 )の 保 護 が 優 先 されるべきとするが 政 府 は 納 税 者 保 護 を 優 先 しているため 貸 手 のリスクを 増 大 さ せる 債 務 保 証 は 金 利 上 昇 に 繋 がり 債 務 保 証 の 利 点 を 否 定 することになるとの 指 摘 もある また 例 えば 再 生 可 能 エネルギープロジェクト 向 けの 債 務 保 証 は 比 較 的 順 調 に 運 用 され ているのに 対 して 原 子 力 プロジェクト 向 けのプログラムは 有 効 に 機 能 していない 点 につい て そもそも 債 務 保 証 制 度 に 内 在 する 問 題 点 などが 行 政 監 視 院 (GAO)により 指 摘 されて いる GAO の 主 張 のポイントを 以 下 に 示 す 連 邦 債 務 保 証 は その 特 性 から 保 証 料 の 推 定 が 困 難 なプログラムであり しかも DOE のプログラムは 多 種 で 規 模 が 大 きい 先 進 的 プロジェクトが 主 のため DOE 内 にノウハ ウも 蓄 積 せず 対 応 が 難 しい ( 破 綻 率 や 回 収 率 は 規 制 や 市 場 環 境 など 多 くの 不 確 実 な 条 件 に 依 存 するため 正 確 な 予 測 は 不 可 能 ) プロジェクトを 最 も 良 く 知 るのは 申 請 者 であるため DOE の 推 定 がリスクを 過 小 評 価 した 場 合 には 事 業 者 が 受 入 れ 過 大 評 価 した 際 には 辞 退 することになり 内 在 のリス クが 大 きい そうした 中 で DOE は 体 制 の 充 実 よりプログラムの 促 進 を 優 先 したため 納 税 者 はリスクに 晒 されることになり 明 確 な 評 価 基 準 の 確 立 など DOE は 体 制 整 備 が 必 要 である 待 機 支 援 プログラムの 適 用 を 巡 る 問 題 で 示 したように 待 機 支 援 プログラムについては 初 期 段 階 で 数 件 の 条 件 付 合 意 を 検 討 していることも 伝 えられていたが 原 子 力 産 業 界 によればプログラム 適 用 を 真 剣 に 検 討 した 事 業 者 はなく 申 請 事 例 もないと 言 われている 本 プログラムは NRC 許 認 可 手 続 や 訴 訟 により 運 転 開 始 が 遅 延 した 際 に リスク 保 険 を 提 供 する 目 的 で 策 定 されたが 遅 延 の 責 任 をどこに 帰 するかを 決 定 しがたいことなど プログラムの 持 つ 構 造 的 な 問 題 が 主 要 な 阻 害 要 因 となっているといった 見 解 がヒアリングでは 得 られている 例 えば 産 業 界 によれば 待 機 支 援 プログラムは どう 規 制 遅 延 及 びその 原 因 を 認 定 す るのかなど 事 務 手 続 等 を 考 慮 すると 現 実 的 なプログラムとは 言 えず 誰 も 真 剣 に 検 討 し ていないとされている また 議 会 スタッフからも 待 機 支 援 は 技 術 的 に 法 制 化 が 難 しい 制 度 であるとの 評 価 が 示 され また 立 法 過 程 で 産 業 界 との 詳 細 な 検 討 も 行 われていなかった ことが 示 唆 されている こうした 中 で 保 険 を 請 求 するために 遅 延 が 連 邦 政 府 の 責 めに 帰 するものとの 証 明 は 事 実 上 不 可 能 であるし さらに 支 払 いの 請 求 方 法 支 払 時 期 も 不 明 確 である 他 支 払 い 可 否 が 訴 訟 になったときの 費 用 も 不 明 であることなどが 指 摘 されてい 56

59 る 原 子 炉 新 設 プロジェクト 事 例 と 資 金 調 達 スキーム 以 下 では DOE の 債 務 保 証 プログラムに 応 募 し 最 終 審 査 に 進 んだ 4 プロジェクトを 対 象 として 各 プロジェクトの 資 金 調 達 方 法 及 び 調 達 方 法 の 決 定 における 考 慮 事 項 などを 整 理 する 各 プロジェクトの 概 要 は 表 の 通 りである 57

60 表 連 邦 債 務 保 証 プログラムの 最 終 候 補 に 選 定 されたプロジェクトの 概 要 プラント 所 有 者 NRC 許 認 可 状 況 プラントの 特 徴 資 金 調 達 概 要 など ヴォーグル ジョージア パワー 社 (サザン 社 ) 45.7% オグルソープ 電 力 30% ジョージア 公 営 電 力 22.7% ダルトン 市 電 力 1.6% V.C.サマー SCE&G 社 (SCANA 社 ) 55% サンティ クーパー( 州 営 電 力 ) 45% 建 設 中 2006 年 8 月 ESP 申 請 提 出 2009 年 8 月 ESP 発 給 2009 年 10 月 COL 申 請 提 出 2011 年 12 月 AP1000 の DC 規 則 が 最 終 化 2012 年 2 月 COL 発 給 建 設 中 2008 年 3 月 COL 申 請 提 出 2012 年 3 月 COL 発 給 規 制 州 (ジョージア)の 規 制 事 業 プラント 運 開 前 の 早 期 料 金 回 収 が 認 められている Southern 社 の 資 金 調 達 は 5 割 強 が 借 入 金 ( 連 邦 債 務 保 証 予 定 ) 連 邦 債 務 保 証 無 しでもプロジェクト 遂 行 に 問 題 無 し 規 制 州 (サウスカロライナ)の 規 制 事 業 プラント 運 開 前 の 早 期 料 金 回 収 が 認 められている 連 邦 債 務 保 証 無 しでもプロジェクト 遂 行 に 問 題 無 し サウステキサス プ ロ ジ ェ ク ト (S.T.P.) カルバート クリフス NINA 社 % CPS エナジー 社 7.625% NINA:NRG 社 が 88% 米 国 東 芝 (TAME)が 12% Unistar ニュークリア エナジ ー 社 : 当 初 はコンステレーション エ ナジーと EDF が 各 50% 現 在 は EDF が 100% COL 許 認 可 手 続 中 2007 年 9 月 COL 申 請 提 出 2011 年 10 月 ABWR( 変 更 版 ) の DC 規 則 が 最 終 化 東 芝 主 導 で 進 展 を 図 るが 外 国 支 配 問 題 審 査 中 COL 許 認 可 手 続 は 技 術 審 査 のみ 継 続 2007 年 7 月 COL 申 請 提 出 CEG 社 の 撤 退 後 外 国 支 配 問 題 により COL は 発 給 されない 決 定 自 由 化 州 (テキサス)のマーチャント プラント 資 金 調 達 計 画 の 詳 細 は 不 明 だが 80% 借 入 金 (JBIC と 連 邦 債 務 保 証 )の 予 定 )と 考 えられる 自 由 化 州 (メリーランド)のマーチャント プラ ント 資 金 調 達 計 画 の 詳 細 は 不 明 だが 80% 借 入 金 ( 連 邦 債 務 保 証 と 仏 輸 出 入 銀 行 保 証 )と 考 えられる 58

61 ヴォーグル プロジェクト 概 要 ヴォーグル 3 4 号 機 (AP 基 )は 規 制 州 (ジョージア 州 )の 規 制 事 業 として 既 存 のヴォーグル 1 2 号 機 所 有 者 の 事 業 者 らが 計 画 した 増 設 プロジェクトである 出 資 者 は ジョージア パワー 社 (GPC)(45.7% 出 資 ) オグレソープ 社 (OPC) 20 ( 同 30%) ジョージア 州 自 治 体 電 力 (MEAG) 21 ( 同 22.7%) ダルトン ユーティリティズ 社 22( 同 1.6%)である ジョージア 州 では 建 設 中 の 資 金 コストなどについてプラントの 運 転 開 始 前 から 電 気 料 金 による 回 収 を 認 める 州 法 が 2009 年 に 制 定 されている ヴォーグル プロジェクトも 2009 年 3 月 にジョージア 州 公 益 事 業 委 員 会 (GPSC)から 公 益 性 必 要 性 の 認 定 を 受 け また 費 用 の 早 期 回 収 も 認 められることとなっている 最 大 出 資 者 (45.7%)である GPC は 2008 年 8 月 1 日 に GPSC の 認 定 を 求 めて 申 請 して いる GPSC が 2009 年 3 月 17 日 にプロジェクトを 承 認 した 際 の 骨 子 は 以 下 の 通 りである GPC の 認 定 コストは 億 ドル( 全 プロジェクトコストの 45.7%) GPC は 建 設 期 間 中 毎 年 60 万 ドルを 独 立 の 建 設 監 視 のために 支 払 う GPC は 四 半 期 毎 の 状 況 報 告 と 半 年 毎 の 建 設 監 視 を 行 う GPC は NRC の COL 申 請 上 で 必 要 とされる 財 務 要 件 については 10 CFR 50.2 に 定 義 される 公 益 事 業 者 に 該 当 するため NRC の 規 定 により 免 除 された また GPC 親 会 社 のサ ザン 社 の 子 会 社 であるサザン ニュークリア オペレーティング 社 (SNC) 23 が プラント の 運 転 安 全 について 全 所 有 者 のために 責 任 を 持 って 運 営 する 形 が 取 られ ヴォーグルの 建 設 者 許 認 可 保 有 運 転 者 となることとされた その 他 のプラントの 所 有 者 に 関 しては GPC が 窓 口 となって 取 り 纏 めており EPC 契 約 に 関 しては GPC が 全 オーナーの 代 理 で EPC 契 約 を 締 結 した その 後 2010 年 2 月 25 日 に 建 設 仮 勘 定 (CWIP)の 財 務 コスト 早 期 回 収 を 反 映 し GPSC 認 定 のプロジェクトコストを 億 ドルに 引 き 下 げることで GPC と GPSC が 合 意 した また GPC OPC MEAG の 3 社 は DOE の 債 務 保 証 プログラムに 申 請 しており 2010 年 2 月 16 日 に DOE から 条 件 付 きコミットメントが 提 供 され その 後 交 渉 は 長 期 化 したが 2014 年 2 月 20 日 に GPC 及 び OPC は DOE と 債 務 保 証 の 契 約 を 締 結 した 残 る MEAG も 20 家 庭 業 務 用 産 業 需 要 家 などを 顧 客 とする 公 益 事 業 者 で 資 産 発 電 量 等 のベースで 全 米 最 大 の 電 気 事 業 協 同 組 合 である なお OPC 自 体 は 非 営 利 事 業 者 であり 組 合 員 との 間 で 2050 年 までの 引 き 取 り 契 約 を 締 結 しており 資 本 費 も 比 率 に 応 じて take or pay で 引 き 取 り 義 務 を 有 している 21 ジョージア 州 が 配 電 事 業 を 持 つ 自 治 体 等 への 供 給 のため 発 電 所 を 保 有 する 目 的 で 設 置 したもの 22 市 営 の 公 益 事 業 (ガス 上 下 水 道 情 報 ネットワーク 等 )を 行 う 事 業 者 23 SNC の 資 金 は GPC が 提 供 している 59

62 契 約 締 結 に 向 けた 作 業 を 継 続 している なおダルトン ユーティリティズ 社 は 連 邦 債 務 保 証 の 申 請 は 行 っていない プロジェクトの 実 施 体 制 は 下 記 の 通 りである EPC 及 び 運 転 に 係 る サザン ニュークリア オ ペレーティング 社 の 所 有 者 は 合 意 NRCの 許 認 可 ESP 及 びLWA(2009 年 8 月 ) COL 申 請 (2008 年 3 月 提 出 ) 設 計 認 証 申 請 (2008 年 9 月 提 出 ) 所 有 率 ( 不 可 分 権 益 ) GPC MEAG 39 市 が 参 加 A/A2 OPC A/Baa1 (38 社 が 組 合 員 ) Dalton AAA/Aa3 SPV: 特 別 目 的 会 社 SPV1(JEA/MEAG) A+/A1 SPV2(PowerSouth/MEAG)A-/Baa1 SPV3(MEAG) A+/A1 ヴォーグル3 4 号 機 : (ジョージア 州 Burke 郡 ) AP1000 ( 年 ) 債 務 保 証 の 合 意 GPC 社 OPC 社 MEAGのSPV 連 邦 融 資 銀 行 (DOEの 債 務 保 証 ) 2005 年 エネルギー 政 策 法 第 1703(a) 条 に 基 づく 適 格 者 図 ヴォーグル 増 設 プロジェクトの 実 施 体 制 資 金 調 達 計 画 以 下 では COL 申 請 当 初 及 び 債 務 保 証 タームシート 締 結 時 の 資 金 調 達 計 画 について 報 告 する 1COL 申 請 当 時 の 資 金 調 達 計 画 GPC の 建 設 資 金 は 内 部 資 金 と 外 部 資 金 の 組 み 合 わせを 予 定 しており 外 部 資 金 は 負 債 ( 社 債 借 入 ) 株 式 発 行 の 組 み 合 わせとなる GPC は プロジェクト 固 有 の 資 金 調 達 では なく 建 設 中 の 金 融 市 場 の 状 況 を 考 慮 しつつ 安 定 的 な A 格 付 け 維 持 という 財 務 的 目 標 を 損 なわない 形 で 全 体 的 な 資 金 構 造 を 変 えない 中 での 一 般 の 社 債 エクイティによる 調 達 を 計 画 していた なお 申 請 時 の GPC の 社 債 格 付 けは A2(Moody s) A(S&P) A+(Fitch) 60

63 であった OPC のプロジェクトの 資 金 調 達 は 基 本 的 に 外 部 資 金 を 予 定 していた OPC は 郊 外 電 化 法 の 適 格 借 り 手 で 郊 外 公 益 事 業 サービス(RUS)から 融 資 借 入 が 可 能 である 融 資 が 不 十 分 な 場 合 は 市 場 で 社 債 を 発 行 予 定 していた なお 申 請 時 の OPC の 担 保 付 き 長 期 債 権 の 格 付 けは A3(Moody s) A(S&P)であった MEAG は 発 行 権 限 を 有 している 歳 入 担 保 債 ( 参 加 自 治 体 及 び 第 三 者 への 売 電 契 約 が 担 保 )での 資 金 調 達 を 予 定 していた また Dalton は 内 部 資 金 と 将 来 の 債 券 発 行 の 組 合 せにより 調 達 する 予 定 であった なお 申 請 当 時 の 同 社 は 総 資 産 8 億 9,000 万 ドルに 対 して 7,100 万 ドルしか 債 務 が 無 く 公 債 の 格 付 けは 無 担 保 で Aa3(Moodys) A+(S&P)と 財 務 体 質 は 強 力 であった 2 債 務 保 証 に 係 るタームシート 締 結 時 の 資 金 調 達 計 画 GPC に 示 されたタームシートでは 連 邦 融 資 銀 行 (FFB)が 融 資 を 実 行 することとされ 融 資 額 ( 債 務 補 償 額 )は 34 億 6,240 万 ドルであった これは GPC 分 の 建 設 費 49 億 4,629 万 ドルの 70%であり 建 設 費 が 下 がった 場 合 は 融 資 額 も 70% 相 当 まで 減 額 することとされ た 融 資 年 数 は 30 年 間 であり また 金 利 は 資 金 貸 出 時 の 財 務 省 証 券 利 率 に 契 約 で 決 定 す るスプレッドを 加 えたものとされた また GPC から DOE へは 下 記 の 申 請 料 ローン 費 用 DOE 管 理 費 DOE 変 更 費 用 が 支 払 われることとされた 申 請 料 : 第 1 回 =200 千 ドル(2008/8/6) 第 2 回 =600 千 ドル(2008/12/23) ローン 費 用 : 保 証 額 の 0.5%( 支 払 いは 20%をタームシート 締 結 時 残 りはクロ ージング 時 ) DOE 管 理 費 :1 年 目 200 千 ドル~2 回 目 の 燃 料 再 装 架 まで 労 務 費 指 標 スライド 以 降 は 100 千 ドルから 労 務 費 指 標 スライド DOE 変 更 費 用 : 訴 訟 など 通 常 の 監 視 以 外 のニーズの 発 生 に 応 じて 決 定 また 債 務 保 証 の 信 用 保 証 料 については FFB のスプレッドを 考 慮 に 入 れた 上 で DOE が 決 定 することとされた ただし OMB の 審 査 と 承 認 が 必 要 である 2009 年 1 月 の DOE から GPC への 通 知 では 暫 定 保 証 料 が 17~52 百 万 ドルと 示 され GPC は 高 い 推 定 で 95%の 資 金 の 調 達 を 考 えることが 必 要 とされた タームシート 発 行 直 前 の 2010 年 初 頭 時 点 では GPC は 保 証 料 をグロスで 0.41% 程 度 と 想 定 していた これに 対 して DOE から 与 えられた 暫 定 保 証 料 はネット 0.5~1.5%で こ れはグロスでは 5.1~6.1%の 水 準 となり 12~15 倍 高 いと GPC は 主 張 した 24 同 社 は こ の 水 準 の 保 証 料 は Moody s のレポートに 基 づく 87%の 回 収 率 を 前 提 とすると BB-の 破 綻 24 GPC の 計 算 では 財 務 省 証 券 に 対 しスプレッド 3/8%の 場 合 の 正 味 現 在 価 値 は 少 なくとも 4.6%となる なお 割 引 率 は 4.5%を 使 用 している 61

64 率 曲 線 となる 25 が GPC は A であるため 整 合 しないと 主 張 した また 他 のプロジェクト 出 資 者 の 保 証 料 (ネット)は GPC の 保 証 率 より 更 に 高 い 水 準 が オファーされた OPC :2.3~4.3% ( 格 付 け:A) MEAG :5~11% ( 格 付 け:A+/A-) また 2013 年 2 月 時 点 では 雇 用 者 退 職 年 金 保 証 法 (ERISA) 法 への 適 合 災 害 損 失 によ る 繰 上 げ 返 済 知 的 財 産 権 の 扱 いなど 契 約 条 件 の 6 項 目 が 未 合 意 であった 他 所 有 者 等 直 接 合 意 書 (Owner s Direct Agreement) 関 連 事 項 などが 未 解 決 事 項 として 挙 げられていた 本 プロジェクトの 債 務 保 証 については 最 終 的 に 2014 年 2 月 19 日 に GPC と OPC に 対 する 債 務 保 証 の 発 行 が DOE から 発 表 された 保 証 対 象 の 金 額 はタームシート 等 に 示 され た 通 りで GPC については 同 社 分 のプロジェクトコストの 70%に 相 当 する 34.6 億 ドル OPC には 30.6 億 ドルとなる また サザン 社 からは GPC 向 けに 初 回 の 10 億 ドルの 貸 付 が 実 施 されたことも 発 表 されている なお MEAG 分 については 更 に 手 続 が 必 要 であり 夏 迄 には 保 証 が 発 行 される 予 定 とされていることから SPV を 対 象 とすることによる 技 術 的 な 対 応 と 考 えられる なお Moody s は 2013 年 7 月 の 評 価 で 工 期 の 遅 れは 懸 念 されるものの DOE 債 務 保 証 が 仮 に 成 立 しない 場 合 でも GPC の 資 金 調 達 力 には 問 題 なく また 市 中 金 利 も 現 時 点 で は 低 いため ネガティブ 評 価 は 僅 かに 留 まるとしている 但 し 規 制 政 治 公 衆 等 の 支 持 の 低 下 や GPSC による 相 当 費 用 の 否 認 NRC 規 制 による 建 設 の 遅 延 などがあれば 格 付 け 低 下 に 繋 がり 得 ることも 指 摘 している 図 は Moody s による GPC 社 の 格 付 の 推 移 を 示 したものであるが ヴォーグル プロジェクトが 確 定 的 になった 2011 年 に 格 付 は 低 下 している A2 A3 Baa 図 Moody's による GPC 社 格 付 けの 推 移 25 GPC によると 回 収 率 を 55%に 下 げても BBB-となるという 62

65 V.C.サマー プロジェクト 概 要 V.C.サマー2 3 号 機 (AP 基 )の 建 設 は 規 制 州 (サウスカロライナ 州 )の 規 制 事 業 として 既 存 の V.C.サマー1 号 機 の 所 有 者 が 計 画 したものである プロジェクト 出 資 者 は SCANA 社 子 会 社 のサウスカロライナ エレクトリック&ガス(SCE&G) 社 (55% 出 資 ) 及 び 州 営 電 力 のサンティ クーパー 社 26( 同 45%)である サウスカロライナ 州 では 2007 年 にベースロードレビュー 法 が 制 定 され 原 子 力 発 電 を 含 む 一 定 のベースロード 電 源 について 運 開 前 時 点 での 財 務 費 用 回 収 等 が 認 められている SCE&G は 2008 年 3 月 に NRC に COL 申 請 を 行 い 2012 年 3 月 に COL が 発 給 された また 2008 年 5 月 に 環 境 適 合 公 益 必 要 性 認 定 及 びベースロードレビューの 申 請 を 行 い 2009 年 2 月 にサウスカロライナ 州 公 益 事 業 委 員 会 ( 州 PSC)に 承 認 された 承 認 の 骨 子 は 以 下 の 通 りである SCE&G 負 担 分 の 資 本 費 は 億 ドル(2007 年 価 格 その 後 インフレ 調 整 ) 事 業 報 酬 率 は 11% ベースロードレビュー 法 に 基 づき 建 設 中 利 子 の 電 力 料 金 への 早 期 反 映 両 機 の 商 業 運 転 開 始 は 当 初 は 2016 年 4 月 /2019 年 1 月 の 予 定 であったが 2013 年 9 月 時 点 の 見 通 しでは それぞれ 2017 第 4 四 半 期 ~2018 第 1 四 半 期 /2018 第 4 四 半 期 ~2019 第 1 四 半 期 とされ 2 号 機 の 完 成 が 遅 れる 見 込 みである 資 金 調 達 計 画 州 PSC での 審 査 段 階 では 資 金 調 達 計 画 について a) 資 金 調 達 計 画 の 具 体 性 b) 資 金 調 達 能 力 c) 金 融 危 機 の 中 での 対 応 能 力 の 3 点 を 懸 念 する 声 も 聞 かれたが 以 下 の 資 金 調 達 方 針 が 示 された SCE&G は 当 面 は 短 期 借 入 で 足 許 の 資 金 需 要 に 対 応 し 後 に 一 定 額 に 達 した 時 点 で 中 長 期 借 入 金 に 代 替 する 方 針 書 換 えの 時 期 規 模 条 件 は 市 場 と 資 金 需 要 によるが 調 達 構 造 としては 株 主 資 本 比 率 に 留 意 した 上 で 借 入 / 資 本 比 率 を 50:50 となるよう 増 資 等 を 計 画 ( 増 資 の 時 期 規 模 は 市 場 による) 以 上 は SCE&G の 主 要 投 資 プロジェクトにおける 標 準 的 な 取 組 み( 本 ケースに 限 らず 将 来 の 借 入 / 増 資 の 時 期 規 模 は 具 体 的 な 予 想 不 可 能 ) 26 正 式 には サウスカロライナ 州 公 益 事 業 公 社 で 州 の 機 関 の 一 つである 2012 年 の 販 売 電 力 量 は 26,756 百 万 kwh で 発 電 量 は 23,393 百 万 kwh である 同 社 は 全 米 でも 有 数 の 公 営 事 業 者 で 売 上 資 産 規 模 も 大 きく 社 債 は 主 要 格 付 機 関 で AA を 常 に 維 持 している 63

66 負 債 の 元 利 返 済 / 増 資 に 見 合 う 収 益 にはベースロードレビュー 法 に 基 づく 料 金 改 定 を 活 用 ( 改 定 料 金 での 回 収 は 11%の ROE を 予 定 ) SCE&G の 上 記 計 画 は 格 付 機 関 や 投 資 分 析 家 機 関 投 資 家 ヘッジファンド 投 資 家 等 か らも 支 持 されており SCE&G の 社 債 の 強 い 格 付 け 株 価 に 現 れており 強 い 投 資 グレード を 有 していると 言 える これはすなわち 資 金 調 達 能 力 に 問 題 がないことを 明 確 に 示 して いると 考 えられる 増 設 プロジェクト 投 資 について 年 に 約 20 億 ドル( 全 体 の 34%)を 支 出 済 み で 2014 年 迄 では 約 40 億 ドル( 同 70%) 2015 年 迄 には 全 体 の 85%の 支 出 を 予 定 してお り 2014 末 までに 約 20 億 ドルを 負 債 / 増 資 により 調 達 する 必 要 がある SCE&G は 資 金 需 要 について 合 理 的 条 件 での 調 達 能 力 の 可 否 は 電 気 事 業 の 収 益 性 に 掛 か っているとして ROE の 回 復 を 含 め 電 気 料 金 の 値 上 げを 申 請 し 州 PSC も 申 請 を 承 認 した 申 請 における SCE&G の 見 解 は 以 下 の 通 りである 金 融 界 は SCE&G と SCANA を 一 体 としてみており どちらでの 調 達 を 図 るにし ても 中 核 の 電 気 事 業 での 収 益 性 は 原 子 炉 建 設 の 資 金 調 達 能 力 と 切 り 離 せず ROE は 約 20 億 ドルの 調 達 能 力 条 件 を 決 定 するものとして 重 要 最 近 の 資 金 調 達 実 績 では 好 条 件 を 確 保 できているが その 理 由 としては 金 融 市 場 は 超 低 金 利 市 場 の 不 確 実 性 が 高 まる 中 で 質 への 逃 避 傾 向 があり 安 定 経 営 の 公 益 事 業 者 は 良 い 逃 避 先 として 好 条 件 を 確 保 できる 他 には 規 制 の 品 質 も 重 要 であり 投 資 家 はベースロードレビュー 法 を 含 め 予 見 可 能 性 と 規 制 の 確 実 性 に 満 足 しているということだが この 市 場 条 件 はユニークで 長 くは 維 持 されない 今 後 の 具 体 的 な 資 金 計 画 としては 年 で 約 20 億 ドルの 新 規 社 債 発 行 を 予 定 している 他 SCANA は 約 10 億 ドルの 増 資 (SCEG の 資 金 需 要 のためだけの 増 資 )を 予 定 している 他 は 利 益 の 再 投 資 など 内 部 資 金 を 充 当 する 10.95% の ROE を 確 保 することにより SCE&G/SCANA の 資 本 コストを 下 げら れる なお SCANA 社 の 格 付 は V.C.サマー 増 設 プロジェクトが 確 定 進 捗 する 中 で 下 図 に 示 すように 低 下 している A3 Baa1 Baa2 Baa 図 Moody s による SCANA 社 格 付 の 推 移 64

67 カルバートクリフス 3 号 機 プロジェクト 概 要 カルバートクリフス 3 号 機 建 設 は 自 由 化 州 (メリーランド)のマーチャント プラン トとして 既 存 の 1 2 号 機 の 増 設 として 計 画 された プロジェクト 主 体 は コンステレーション エナジー グループ(CEG)とフランス 電 力 (EDF)が 50%ずつ 出 資 した 合 弁 会 社 UniStar ニュークリア エナジー(UNE) 社 で あり 2007 年 7 月 に COL 申 請 を NRC に 提 出 した 同 社 は 仏 AREVA 社 が 設 計 認 証 申 請 を 提 出 している U.S.EPR(160 万 kw)1 基 の 建 設 を 計 画 している プロジェクトコストについて CEG は 2008 年 8 月 時 点 では 均 等 化 発 電 コスト(LCOE) を 4,500 ドル~6,000 ドル/kW すなわちプロジェクトコストを 72 億 ドル~96 億 ドルと 想 定 していた ただしその 詳 細 については CEG は 企 業 機 密 情 報 として 非 公 開 としており 公 益 事 業 委 員 会 による 公 開 文 書 などでは 墨 消 しとされている なお UNE 社 は 当 初 は CEG と EDF が 50%ずつ 保 有 していたが 2010 年 11 月 に EDF が CEG の 所 有 分 を 購 入 し EDF の 100% 子 会 社 となっている 資 金 調 達 計 画 資 金 調 達 は 債 務 保 証 を 前 提 として 計 画 されており 2008 年 8 月 の 州 公 益 事 業 委 員 会 での ヒアリングにおいて CEG は プロジェクトコストの 80%を DOE の 債 務 保 証 残 る 20% を 仏 輸 出 入 銀 行 からの 融 資 で 賄 う 計 画 としていた UNE 社 は 2008 年 の 秋 までに 債 務 保 証 を 申 請 2009 年 5 月 に 最 終 審 査 の 対 象 となる 4 プロジェクトのうちの 1 つに 選 出 された しかし CEG は OMB が 提 示 した 信 用 保 証 料 が 非 合 理 なまでに 高 く かつ 受 容 しがたいリ スクとコストを 発 生 させうるとし 2010 年 10 月 8 日 に 同 様 の 条 件 では 債 務 保 証 の 申 請 プ ロセスを 進 めない 方 針 を DOE に 通 知 した CEG によると OMB が 当 初 提 示 した 信 用 保 証 料 は 保 証 総 額 の 11.6%にあたる 約 8 億 8,000 万 ドルであった 27 CEG の 撤 退 に 伴 い EDF が CEG の 所 有 分 を 取 得 して UNE 社 は EDF の 100% 子 会 社 となった 27 この 数 値 を 逆 算 すると 保 証 総 額 が 約 76 億 ドル 債 務 保 証 対 象 の 融 資 比 率 を 80%とすると プロジェ クトの 総 費 用 は 約 95 億 ドルと 計 算 される 65

68 2008 年 7 月 時 点 2012 年 3 月 現 在 出 典 上 図 :Combined License Application, Revision 3, Part I General Information, July 2008 下 図 :Combined License Application, Revision 8, Part I General Information, March 2012 図 プロジェクトの 実 施 体 制 の 変 化 66

69 なお COL 申 請 の 提 出 者 である UNE 社 は 原 子 力 法 28 及 び 関 連 する NRC 規 則 29に 抵 触 す ることが 決 定 されている NRC 規 則 では 海 外 企 業 又 は 海 外 政 府 による 許 認 可 の 保 有 者 の 所 有 管 理 又 は 支 配 が 禁 じられており 2013 年 3 月 に NRC は COL 不 発 給 を 確 定 してい る また CEG の 社 債 格 付 けは 2008 年 まで Baa1(Moody's)を 維 持 していたが 2008 年 8 月 と 同 年 12 月 にそれぞれ 1 段 階 引 き 下 げられ Baa3 となっていた なお CEG は 2012 年 3 月 にエクセロン 社 との 合 併 を 確 定 させ これにより CEG の 格 付 は Baa2 に 引 き 上 げられ 逆 にエクセロン 社 の 格 付 は Baa1 から 引 き 下 げられた Baa1 Baa2 Baa 図 Moody's による CEG の 格 付 けの 推 移 28 第 103 条 及 び 第 104 条 29 NRC 規 則 (10 CFR Part 50)の 38 条 Ineligibility of certain applicants. 67

70 サウステキサスプロジェクト 3 4 号 機 プロジェクト 概 要 サウステキサスプロジェクト 3 4 号 機 の 建 設 プロジェクトは 自 由 化 州 (テキサス)の マーチャント プラントとして 既 存 のサウステキサスプロジェクト 1 2 号 機 の 増 設 として 計 画 されている ニュークリア イノーベーション ノース アメリカ(NINA) 社 が 主 体 となり 2007 年 9 月 に ABWR( 各 150 万 kw)2 基 の 建 設 に 係 る COL 申 請 が 提 出 された なお NINA 社 は NRG エナジーが 88% 東 芝 が 12% 出 資 する 合 弁 会 社 である プロジェクトへの 出 資 者 は 当 初 はニュークリア イノーベーション ノース アメリ カ(NINA) 社 及 びサンアントニオ 市 営 電 力 の CPS エナジー 社 が 50%ずつ 出 資 する 計 画 であった またプロジェクトコストは 一 括 建 設 コストが 3,229 ドル/kW すなわち 総 額 約 98 億 ドルと 見 積 られていた しかし 2009 年 末 の 東 芝 子 会 社 による 試 算 では プロジェクト 費 用 は 115 億 ドルまで 上 昇 し これを 受 けた 両 社 は NINA 社 の 保 有 率 を % CPS エナジーを 7.625%に 変 更 することで 2010 年 2 月 に 合 意 した その 後 2010 年 5 月 に 東 京 電 力 がプロジェクトの 一 部 を 購 入 する 投 資 及 びオプション 契 約 を NINA 社 と 締 結 し 1.55 億 ドルを 出 資 した これによりプロジェクト 保 有 率 は NINA83.137% 東 京 電 力 9.238% CPS エナジー7.625%となった なお 東 京 電 力 は 所 有 率 を %まで 引 き 上 げるオプションを 保 有 していた しかし 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 を 受 け 東 京 電 力 が 撤 退 を 決 定 し 更 に NRG エナジー も 2011 年 4 月 に NINA 社 への 追 加 投 資 の 打 ち 切 りを 決 定 した 現 在 許 認 可 申 請 は NINA 社 が 行 っているが 東 芝 のみが 追 加 投 資 を 行 う 状 態 である 68

71 NRG は 追 加 投 資 の 打 ち 切 りを 決 定 (2011 年 4 月 ) ただし 現 在 も NINA 社 株 式 の 約 90% 分 を 保 有 図 プロジェクトの 出 資 比 率 の 変 化 (2012 年 7 月 ) 資 金 調 達 計 画 本 プロジェクトも カルバートクリフス 同 様 に DOE の 債 務 保 証 プログラムに 申 請 してい た 2009 年 時 点 において NINA 社 は 同 プロジェクトにとって 債 務 保 証 が 重 要 であること また 日 本 政 府 を 通 じた 追 加 の 融 資 を 検 討 する 方 針 を 示 していた これは 国 際 協 力 銀 行 (JBIC)からの 融 資 を 予 定 していたものと 見 られる すなわちカルバートクリフス 同 様 に プロジェクト 費 用 の 80%を DOE の 債 務 保 証 残 る 20%を JBIC からの 融 資 で 賄 う 計 画 で あったと 考 えられる NRG エナジー 社 の 想 定 では DOE の 条 件 付 コミットメントの 取 得 を 2011 年 4 月 JBIC からの 条 件 付 きコミットメントの 取 得 を 同 年 6 月 COL 取 得 を 2012 年 第 1 四 半 期 として いた その 後 同 社 の 想 定 より 審 査 の 進 みが 遅 く NRG エナジー 社 は 2010 年 初 めには DOE からの 債 務 保 証 がタイムリーに 得 られない 場 合 には 投 資 を 打 ち 切 るとの 方 針 を 示 して いた しかしその 後 もプロセスは 進 まず さらに 日 本 での 事 故 発 生 等 により 不 確 実 性 が 高 69

72 まったとして 2011 年 4 月 に NINA 社 への 追 加 投 資 の 打 ち 切 りを 決 定 した なお NRG エナ ジーは 追 加 投 資 の 打 ち 切 りを 決 定 したが 2013 年 10 月 現 在 も 同 社 が NINA 社 の 約 90%を 所 有 している また 市 民 団 体 などから 外 国 支 配 を 禁 ずる 規 則 への 抵 触 が 指 摘 されており NRC スタッフ は 2011 年 12 月 に 東 芝 が NINA 社 の 所 有 権 の 最 大 90%を 取 得 する 可 能 性 があるなどとし て 要 件 不 適 合 である 旨 を NINA 社 に 通 知 した 市 民 団 体 らの 申 立 てを 受 け 原 子 力 安 全 許 認 可 会 議 (ASLB)によるヒアリングが 2014 年 1 月 に 開 催 された ヒアリングを 経 た 決 定 で 外 国 支 配 が 認 定 されれば COL 発 給 は 不 可 能 となる 但 し 技 術 審 査 継 続 は 可 能 で 外 国 支 配 関 係 を 改 善 した 後 に 申 請 変 更 を 行 えば COL 発 給 は 可 能 である なお NRG エナジーの 格 付 けは 2004 年 12 月 に B2 から B1 に その 後 2006 年 1 月 に Ba3 に 格 上 げされており 現 在 まで Ba3 を 維 持 している Ba3 B1 B 図 Moody's による NRG エナジーの 格 付 けの 推 移 70

73 2.5 電 力 自 由 化 に 伴 うバックエンド 費 用 の 取 り 扱 い 本 節 では 米 国 におけるバックエンド 資 金 確 保 制 度 の 概 要 を 簡 単 に 示 した 上 で 電 力 自 由 化 に 伴 う 資 金 確 保 問 題 への 対 応 関 連 するストランデッドコストの 回 収 枠 組 みの 概 要 な ど 前 提 となる 情 報 概 要 を 整 理 した 後 に 議 論 の 中 心 となる 廃 止 措 置 資 金 確 保 の 問 題 に 焦 点 を 当 てる 廃 止 措 置 資 金 確 保 については 制 度 の 概 要 を 示 した 上 で 自 由 化 に 伴 う 対 応 に ついていくつかの 事 例 における 実 際 の 適 用 状 況 を 含 めて 報 告 する 電 力 自 由 化 とバックエンド 費 用 の 資 金 確 保 バックエンド 資 金 確 保 制 度 の 概 要 と 電 力 自 由 化 米 国 では 商 業 用 原 子 力 発 電 所 から 発 生 する 使 用 済 燃 料 の 再 処 理 は 1970 年 代 を 最 後 に 行 われておらず バックエンド 費 用 の 問 題 は 使 用 済 燃 料 管 理 処 分 と 廃 止 措 置 が 対 象 とな る このうち 使 用 済 燃 料 処 分 については 1982 年 放 射 性 廃 棄 物 政 策 法 (NWPA)により 連 邦 政 府 が 地 層 処 分 場 を 建 設 操 業 し 民 間 事 業 者 から 使 用 済 燃 料 を 引 取 り 処 分 すること この 費 用 を 確 保 するために 原 子 力 発 電 プラントの 販 売 電 力 量 に 対 し 1 ミル 30 /kwh の 拠 出 金 を 徴 収 し 放 射 性 廃 棄 物 基 金 (NWF)に 蓄 積 することなどが 規 定 されている DOE と 原 子 力 発 電 事 業 者 は NWPA の 規 定 に 沿 って 契 約 を 締 結 しており 使 用 済 燃 料 の 引 取 り 及 び 拠 出 金 の 支 払 いは 契 約 関 係 としても 確 立 されている この NWF への 拠 出 は 全 事 業 者 に 共 通 のものであり 拠 出 金 単 価 が 大 きくないことも 関 係 してか 電 気 事 業 規 制 緩 和 により 徴 収 が 懸 念 されるなどの 問 題 は 生 じていない なお 米 国 ではオバマ 政 権 がユッカマウンテ ン 処 分 場 プログラム 中 止 の 決 定 を 行 うなど 処 分 場 プログラムは 大 幅 に 遅 延 しており 事 業 者 は 主 にサイト 内 乾 式 貯 蔵 により 長 期 貯 蔵 を 余 儀 なくされている 廃 止 措 置 が 終 了 したプ ラントにおいても 使 用 済 燃 料 貯 蔵 の 独 立 貯 蔵 施 設 (ISFSI)のみがサイト 内 に 残 り 貯 蔵 が 続 けられている 事 例 もあるが こうした 貯 蔵 にかかる 費 用 は 本 来 は 1998 年 から 使 用 済 燃 料 の 引 取 りを 開 始 するとした 契 約 上 の 債 務 不 履 行 に 当 たるとして 連 邦 政 府 から 事 業 者 に 支 払 いを 命 ずる 判 決 が 確 定 しており 最 終 的 には 原 則 として 事 業 者 の 負 担 とはならない 一 方 原 子 力 プラントの 廃 止 措 置 費 用 については 原 子 力 安 全 の 観 点 から NRC が 廃 止 措 置 資 金 確 保 の 財 務 的 保 証 を 原 子 炉 運 転 許 可 等 の 条 件 としており NRC 規 則 に 基 づく 形 で 廃 止 措 置 資 金 の 確 保 が 行 われている 廃 止 措 置 資 金 の 確 保 制 度 においては 次 節 で 詳 細 に 報 告 するが 伝 統 的 な 電 気 事 業 規 制 の 下 では 殆 どの 事 業 者 が 運 転 期 間 を 通 じての 電 気 料 金 から の 回 収 拠 出 を 前 提 として 外 部 減 債 基 金 方 式 による 資 金 確 保 体 制 が 取 られてきた この 30 1 ミルは 0.1 セント 71

74 廃 止 措 置 費 用 の 資 金 確 保 制 度 については 電 気 事 業 規 制 の 下 での 総 括 原 価 方 式 が 前 提 とさ れていたため 電 力 自 由 化 の 進 展 に 伴 って 制 度 見 直 しの 必 要 性 に 迫 られることとなった 電 気 事 業 の 規 制 緩 和 の 観 点 から 米 国 のバックエンド 費 用 を 見 ると 使 用 済 燃 料 処 分 につ いては 発 電 電 力 量 に 応 じた 費 用 負 担 となることから 規 制 緩 和 によっても 負 担 構 造 の 変 化 な どは 生 じない しかしながら 廃 止 措 置 費 用 については 将 来 の 発 電 量 に 拘 わらず 費 用 の 発 生 が 確 定 していることから 規 制 緩 和 によりその 回 収 が 保 証 されなくなる 場 合 には 廃 止 措 置 費 用 は 回 収 不 能 (ストランデッド)となる 可 能 性 がある 電 力 自 由 化 に 伴 う 移 行 措 置 ストランデッドコスト 米 国 では 1990 年 代 からの 発 送 電 分 離 を 含 めた 電 力 自 由 化 の 際 の 移 行 措 置 として 規 制 変 更 により 発 生 する 回 収 不 能 費 用 (ストランデッドコスト)の 将 来 の 電 気 料 金 からの 回 収 が 大 きな 議 論 となった FERC は ストランデッドコストの 回 収 が 保 証 されない 状 態 では 電 気 事 業 者 が 規 制 緩 和 に 協 力 的 に 臨 むことは 期 待 出 来 ないことなども 踏 まえ ストランデ ッドコストの 全 額 回 収 方 針 を 示 したが 競 争 市 場 移 行 による 価 格 低 下 を 阻 害 / 遅 延 させる 価 格 指 標 を 歪 める 非 効 率 的 意 思 決 定 を 生 む 非 効 率 的 事 業 者 の 厚 遇 に 繋 がり 公 正 でない などの 批 判 も 寄 せられた これらの 批 判 に 対 し FEERC は ストランデッドコスト 回 収 は 移 行 プロセスにおいて 不 可 避 のものであり 電 気 事 業 の 規 制 緩 和 に 際 しては 電 気 事 業 者 が 信 頼 性 あるサービスを 継 続 するための 安 定 的 な 財 務 能 力 を 損 なう 恐 れや 需 要 家 間 の 負 担 の 公 平 性 過 去 の 規 制 上 の 合 意 の 尊 重 などの 観 点 から ストランデッドコストの 回 収 を 認 めて 事 業 者 との 協 議 を 進 めるなどとして 早 期 自 由 化 実 現 が 図 られた ストランデッドコ ストを 回 収 する 背 景 には 伝 統 的 な 規 制 上 の 盟 約 31 の 概 念 がある 最 終 的 には FERC が 1996 年 のオーダー888 等 で 卸 電 力 自 由 化 によるストランデッドコスト 回 収 を 認 め また 小 売 自 由 化 を 進 めた 州 の 殆 どでもストランデッドコスト 回 収 の 機 会 が 与 えられた ストランデッドコストは 従 来 の 原 価 主 義 に 基 づく 料 金 規 制 の 下 で 回 収 が 認 められてい た 費 用 のうち 競 争 環 境 では 回 収 が 不 可 能 になる 以 下 のようなものとなる 大 きな 投 資 規 模 と 廃 炉 費 用 から 原 子 力 発 電 プラントのストランデッドコストは 最 も 大 きいが ストラ ンデッドコストの 回 収 は 原 子 力 特 有 の 制 度 ではない 31 電 力 会 社 は 適 正 費 用 の 回 収 と 投 下 資 本 に 対 する 公 正 な 報 酬 を 保 証 されることで 財 務 上 の 健 全 性 を 維 持 し その 見 返 りとして 域 内 の 電 力 需 要 を 満 たすため 適 正 な 規 制 価 格 での 電 力 供 給 義 務 を 負 ってきたという もの 72

75 代 表 的 なストランデッドコスト 発 電 資 産 ( 簿 価 と 市 場 価 値 との 差 分 など) 長 期 燃 料 調 達 契 約 (PPA)( 契 約 価 格 と 市 場 価 格 の 差 ) 再 生 可 能 エネルギー 等 の 義 務 的 買 電 契 約 規 制 資 産 ( 将 来 回 収 予 定 として 繰 り 延 べた 費 用 ) 社 会 政 策 費 用 ( 低 所 得 者 補 助 等 の 公 益 目 的 費 用 )など 自 由 化 移 行 費 用 など こうしたストランデッドコストの 自 由 化 後 における 回 収 のメカニズムとしては ストラ ンデッドコストの 年 間 回 収 額 を 決 定 した 上 で 系 統 にアクセスする 者 全 てが 負 担 する 回 避 不 能 費 用 の 形 で 競 争 移 行 費 用 (CTC)などとして 回 収 される 形 が 一 般 的 である 但 し 電 気 事 業 規 制 は 州 の 権 限 に 属 するため 州 毎 に 規 制 緩 和 に 係 る 制 度 も 異 なっており スト ランデッドコストの 回 収 について 特 に 定 めない 州 回 収 期 限 や 回 収 額 上 限 を 規 定 した 州 対 象 となる 発 電 プラントの 売 却 などを 条 件 とした 州 など 様 々である 各 州 におけるスト ランデッドコストの 取 扱 いについては で 報 告 するが 一 般 に 廃 止 措 置 費 用 はストラン デッドコストの 一 つとして 自 由 化 後 も 規 制 料 金 となる 送 配 電 料 金 の 一 部 として 回 収 され ている 米 国 における 廃 止 措 置 費 用 の 確 保 制 度 米 国 の 廃 止 措 置 規 制 の 概 要 米 国 における 原 子 力 施 設 の 廃 止 措 置 とは 一 般 に NRC による 原 子 力 施 設 の 運 転 等 の 許 可 の 終 了 サイトの 解 放 を 意 味 する 32 原 子 炉 の 廃 止 措 置 は NRC 規 則 10 CFR Part 50 で 規 定 されており 施 設 等 を 撤 去 し 無 制 限 のサイト 解 放 又 は 制 限 付 きのサイト 解 放 が 可 能 な レベルにまで 残 留 放 射 能 を 低 減 し 許 認 可 を 終 了 すること と 定 義 されている 原 子 炉 の 廃 止 措 置 は 一 般 的 に 無 制 限 のサイト 解 放 が 行 われているが 規 則 上 は 1997 年 の 改 正 により NRC の 放 射 線 防 護 規 則 10 CFR Part 20 xxviii サブパート E の 許 認 可 終 了 規 則 に 規 定 する 制 限 用 途 の 解 放 も 可 能 となっている 33 これら 規 則 の 下 廃 止 措 置 に 関 する 指 針 と して 規 制 指 針 (RG)1.184 発 電 原 子 炉 の 廃 止 措 置 xxix などが 発 行 されている NRC 規 則 では 廃 止 措 置 の 方 式 として 即 時 解 体 (DECON) 安 全 貯 蔵 (SAFSTOR) 及 び 密 閉 管 理 (ENTOMB)が 認 められているが NRC 規 則 では 廃 止 措 置 の 完 了 期 限 を 60 年 以 内 と 定 めているため 原 子 力 発 電 プラントの 場 合 には ENTOMB は 事 実 上 選 択 が 不 可 32 事 業 者 が 環 境 規 制 や 地 元 との 約 束 などに 基 づいて 完 全 な 緑 地 化 等 を 行 う 場 合 も 多 いが NRC 規 制 上 の 廃 止 措 置 は 原 子 力 法 に 基 づく 許 可 の 終 了 放 射 線 学 的 なサイトの 解 放 までである 33 制 限 付 き 解 放 の 場 合 は 最 終 的 な 用 途 を 示 し その 後 の 制 度 的 管 理 などを 含 めて 承 認 を 得 る 必 要 がある 73

76 能 である DECON と SAFSTOR の 間 の 移 行 については 特 段 の 制 約 はなく DECON で 一 部 を 解 体 してから SAFSTOR に 移 行 或 いは 一 定 期 間 の SAFSTOR 後 に DECON で 解 体 な ど 移 行 組 み 合 わせが 可 能 である なお 米 国 では 使 用 済 燃 料 の 引 取 り 義 務 のある DOE の 要 請 を 受 けて 使 用 済 燃 料 は 乾 式 貯 蔵 前 に 5~7 年 間 はプール 貯 蔵 することとされており 34 この 間 の DECON には 制 約 がある 原 子 炉 の 廃 止 措 置 を 行 う 場 合 には 原 子 炉 の 恒 久 停 止 から 2 年 以 内 に 閉 鎖 後 廃 止 措 置 活 動 報 告 書 (PSDAR)を 提 出 することが 必 要 とされている PSDAR では 事 業 者 の 具 体 的 な 廃 止 措 置 計 画 廃 止 措 置 活 動 のスケジュール 費 用 見 積 り 環 境 影 響 が 許 容 範 囲 である と 判 断 可 能 な 根 拠 などを 示 すものとされている 事 業 者 は PSDAR 及 び 燃 料 撤 去 証 明 の 提 出 から 90 日 後 に 廃 止 措 置 活 動 が 実 施 可 能 となる 廃 止 措 置 期 間 中 は DECON や SAFSTOR など 廃 止 措 置 活 動 の 状 況 に 合 わせて NRC の 検 査 が 行 われる 事 業 者 は 廃 止 措 置 の 完 了 = 許 可 終 了 の 2 年 前 までに 許 可 終 了 計 画 (LTP)を 提 出 することが 必 要 とされており その 後 最 終 サイト 調 査 で 残 留 放 射 能 が 確 認 され 基 準 が 満 たされていれば 許 可 の 終 了 すな わち 廃 止 措 置 の 完 了 となる なお 次 項 で 報 告 するように 廃 止 措 置 資 金 の 確 保 を 確 実 にするため 事 業 者 は 運 転 期 間 を 通 じて 2 年 毎 の 財 務 保 証 状 況 報 告 が 必 要 とされている 他 土 壌 や 地 下 水 のモニタリン グを 行 うことなどが 義 務 付 けられている 地 下 水 等 の 確 認 義 務 は 2012 年 の 規 則 改 定 で 規 定 されたもので 産 業 界 は 規 則 改 定 に 先 立 って 地 下 水 防 護 イニシアチブ(GPI) 指 針 を 策 定 し ている 米 国 における 廃 止 措 置 資 金 確 保 制 度 米 国 では 安 全 な 廃 止 措 置 ( 原 子 力 法 上 の 許 可 終 了 ) 実 施 のための 十 分 な 資 金 確 保 は 原 子 力 施 設 許 可 の 要 件 であり NRC 規 則 規 定 の 最 低 保 証 額 以 上 の 財 務 的 保 証 が 許 可 期 間 を 通 じ て 求 められる 財 務 保 証 としては 前 払 いや 保 証 等 の 他 規 制 料 金 からの 回 収 が 可 能 な 公 益 事 業 者 では 毎 年 の 拠 出 により 資 金 を 確 保 する 外 部 減 債 基 金 方 式 が 認 められる また 総 括 原 価 ベースの 公 益 事 業 者 など 一 定 の 要 件 を 満 たした 適 格 廃 止 措 置 基 金 については 基 金 への 拠 出 金 の 非 課 税 及 び 基 金 収 益 の 軽 減 税 率 などの 税 制 優 遇 措 置 がある なお NRC 規 制 に 係 る 資 金 確 保 要 件 は 放 射 線 に 関 する 廃 止 措 置 に 対 するものであり さらなる 緑 地 化 のための 費 用 などは 州 等 の 規 制 による 以 下 では NRC 規 則 における 発 電 要 原 子 炉 の 廃 止 措 置 資 金 確 保 の 具 体 的 な 制 度 連 邦 法 人 税 の 優 遇 措 置 について 報 告 する NRC 資 金 確 保 制 度 の 概 要 原 子 炉 の 廃 止 措 置 の 資 金 確 保 については 原 子 炉 許 認 可 に 係 る NRC 規 則 10 CFR Part 50 において 廃 止 措 置 資 金 確 保 のための 財 務 保 証 の 存 在 を 原 子 炉 の 許 認 可 要 件 として 定 めて 34 乾 式 貯 蔵 時 のクラッディングの 損 傷 回 避 のため 74

77 いる また 規 制 ガイドとして RG 原 子 炉 廃 止 措 置 のための 資 金 の 利 用 可 能 性 の 保 証 xxx が 発 行 されている 先 ず 同 規 則 50.33(k)では 運 転 許 可 又 は COL の 申 請 書 において に 規 定 する 要 件 に 従 い 廃 止 措 置 を 実 施 する 資 金 が 利 用 可 能 との 合 理 的 な 保 証 を 示 す 報 告 書 の 提 出 が 義 務 付 けられている は 廃 止 措 置 計 画 の 記 録 保 管 と 報 告 に 関 する 規 定 で 事 業 者 が 備 え るべき 合 理 的 な 保 証 の 要 件 を 定 めるとともに 運 転 期 間 を 通 じての 記 録 保 管 義 務 や 報 告 義 務 などを 定 めている これにより 事 業 者 は 廃 止 措 置 資 金 の 財 務 保 証 要 件 について 許 認 可 申 請 時 のみでなく 許 可 期 間 を 通 じて 2 年 毎 に( 原 子 炉 恒 久 停 止 の 5 年 前 からは 毎 年 ) 財 務 保 証 要 件 の 充 足 状 況 について 証 明 報 告 を 行 うことが 必 要 とされている NRC 規 制 ガ イド(RG-1.159)では 2 年 毎 の 状 況 報 告 で 財 務 保 証 の 不 足 が 確 認 された 場 合 規 制 料 金 からの 回 収 が 行 えない 非 規 制 事 業 者 は 次 の 2 年 毎 報 告 までに 状 況 を 是 正 することが 必 要 と し 一 方 規 制 料 金 からの 回 収 が 可 能 な 事 業 者 は 不 足 金 額 解 消 に 向 け 公 益 事 業 委 員 会 等 への 料 金 改 定 申 請 等 を 行 うものとしている 2 年 毎 の 財 務 保 証 の 状 況 報 告 で 必 要 とされる 情 報 は 以 下 の 通 りである 廃 止 措 置 資 金 の 必 要 額 ( 最 低 保 証 額 ) 報 告 直 前 の 年 末 時 点 での 廃 止 措 置 資 金 の 蓄 積 額 今 後 の 年 間 回 収 の 予 定 スケジュール 廃 止 措 置 費 用 の 物 価 上 昇 率 廃 止 措 置 基 金 の 収 益 率 及 び 基 金 予 測 に 係 るその 他 の 要 因 の 年 率 に 関 する 前 提 条 件 廃 止 措 置 資 金 確 保 に 関 して 事 業 者 が 依 存 する 契 約 関 係 前 回 の 状 況 報 告 以 降 に 財 務 保 証 提 供 方 法 の 変 更 が 行 われた 場 合 はその 変 更 信 託 契 約 に 係 る 実 質 的 な 変 更 最 低 保 証 額 とは 廃 止 措 置 資 金 確 保 の 合 理 的 な 保 証 として 50.75(c)に 示 す 最 低 保 証 額 以 上 の 金 額 について 財 務 的 保 証 が 提 供 されることの 保 証 が 求 められているものである この 最 低 保 証 額 は 表 に 示 す 通 り 炉 型 別 に 定 められたフォーミュラにしたがって 計 算 され 所 定 のデフレータにより 毎 年 物 価 調 整 を 行 うこととされている なお このフォー ミュラによる 計 算 金 額 に 替 えて サイト 固 有 の 費 用 見 積 りを 行 うことも 可 能 とされている 75

78 表 廃 止 措 置 基 金 確 保 のための 最 低 保 証 額 ( 百 万 ドル 1986 年 1 月 ドル 価 値 ) 炉 型 出 力 ( 熱 出 力 ) 最 低 保 証 額 加 圧 水 型 炉 340 万 kw 以 上 $105 (PWR) 120 万 kw 以 上 340 万 kw 未 満 $( P) 沸 騰 水 型 炉 340 万 kw 以 上 $135 (BWR) 120 万 kw 以 上 340 万 kw 未 満 $( P) *P は 出 力 を 示 す ただし 120 万 kw 未 満 の BWR については P=1200MW とする ( 出 所 :10 CFR Part 50.75(c)(1)より 作 成 ) したがって 1986 年 ドルベースでは PWR の 最 低 保 証 額 は 8,556 万 ~1 億 500 万 ドル BWR の 最 低 保 証 額 は 1 億 1,480 万 ~1 億 3,500 万 ドルと 計 算 される この 金 額 は 以 下 に 示 す 調 整 係 数 により 毎 年 物 価 調 整 される 調 整 係 数 = 0.65L E B 但 し L: 労 務 費 デフレータ( 労 働 省 労 働 統 計 局 の 地 域 データ) E:エネルギーデフレータ( 同 上 ) B: 廃 棄 物 埋 設 処 分 デフレータ(NRC NUREG-1307) B の 廃 棄 物 埋 設 処 分 デフレータとは 廃 止 措 置 活 動 から 発 生 する 低 レベル 放 射 性 廃 棄 物 (LLW) 処 分 費 用 に 係 るデフレータであり NRC から 定 期 的 に 更 新 版 が 発 行 されている NUREG-1307 廃 棄 物 埋 設 費 用 の 報 告 xxxi で 示 されている NUREG-1307 では 米 国 で 利 用 可 能 な LLW 処 分 場 における 処 分 費 用 一 般 的 な LLW 処 分 場 を 想 定 した 処 分 費 用 等 が 評 価 されるとともに の 規 定 による 廃 止 措 置 資 金 の 最 低 保 証 額 の 計 算 例 も 示 されてい る 表 は NUREG-1307 で 示 された 最 低 保 証 額 の 計 算 例 から 最 低 及 び 最 高 金 額 の 計 算 例 を 整 理 したものである 表 で 示 されているように LLW 処 分 コストにより 最 低 保 証 額 は 大 きく 変 わる 76

79 表 廃 止 措 置 資 金 の 最 低 保 証 額 の 例 (NUREG-1307 rev 15) 例 1 北 西 部 州 間 協 定 内 LLW 処 分 シナリオ 基 準 最 低 保 証 額 調 整 係 数 廃 止 措 置 コスト 炉 型 熱 出 力 プラント 立 地 処 分 方 法 処 分 場 所 PWR 340 万 kw 米 国 西 部 直 接 処 分 ワシントン 州 1 億 500 万 ドル L=2.38 E=2.704 B= 億 6,900 万 ドル 例 2 大 西 洋 州 間 協 定 内 で LLW 処 分 シナリオ 基 準 最 低 保 証 額 調 整 係 数 炉 型 熱 出 力 プラント 立 地 処 分 方 法 LLW 処 分 場 所 PWR 340 万 kw 米 国 北 東 部 直 接 処 分 サウスカロライナ 州 1 億 500 万 ドル L=2.52 E=2.704 B= 廃 止 措 置 コスト 9 億 1,500 万 ドル * 州 間 協 定 とは 1985 年 低 レベル 放 射 性 廃 棄 物 政 策 法 (LLWPA)の 規 定 に 基 づく 複 数 州 が 共 同 で LLW 処 分 場 の 確 保 を 行 うための 州 間 の 協 定 現 在 10 の 州 間 協 定 があるが 利 用 可 能 な LLW 処 分 場 は 4 カ 所 のみである ( 出 所 :NUREG-1307, Rev. 15 より 作 成 ) また 事 業 者 は 原 子 炉 の 恒 久 停 止 予 定 から 5 年 前 の 時 点 で 廃 止 措 置 費 用 に 影 響 し 得 る 主 要 な 要 因 についての 最 新 評 価 を 含 む 廃 止 措 置 費 用 の 前 提 見 積 り 金 額 を 報 告 することが 必 要 とされ また PSDAR においてはサイト 固 有 の 詳 細 な 費 用 見 積 り 金 額 を 報 告 すること が 必 要 とされている この PSDAR の 見 積 りでは 地 下 の 汚 染 に 対 する 対 策 などを 含 める ことが 必 要 とされている 他 その 後 は 毎 年 3 月 に 廃 止 措 置 資 金 の 財 務 保 証 状 況 に 係 る 年 次 報 告 書 で 以 下 の 項 目 を 報 告 することが 必 要 とされている 廃 止 措 置 活 動 に 係 る 支 出 金 額 及 び 廃 止 措 置 基 金 など 財 務 保 証 方 策 の 残 高 過 去 1 年 間 の 見 積 り 対 比 を 踏 まえた 今 後 の 廃 止 措 置 費 用 見 積 り 及 び 今 後 の 廃 止 措 置 方 法 財 務 保 証 の 提 供 に 係 る 変 更 信 託 契 約 や 保 証 契 約 等 における 重 要 な 変 更 事 業 者 は こうした 最 新 の 見 積 りに 基 づいて 財 務 保 証 が 十 分 で 無 い 場 合 には 他 の 何 ら かの 財 務 保 証 策 を 追 加 し 不 足 をカバーすることが 求 められている なお 原 子 炉 恒 久 停 止 後 の 使 用 済 燃 料 貯 蔵 費 用 は NRC の 廃 止 措 置 費 用 には 本 来 含 まれな いが 2012 年 の 規 則 改 正 により DOE に 引 き 渡 しを 行 うまでに 必 要 と 想 定 される 使 用 済 77

80 燃 料 管 理 費 用 についても 同 様 に 費 用 想 定 を 行 い 財 務 保 証 を 提 供 することが 必 要 とされ ている また この NRC 規 則 が 定 める 廃 止 措 置 資 金 の 財 務 保 証 要 件 は FERC 又 は 州 の 公 益 事 業 委 員 会 が 廃 止 措 置 資 金 確 保 について 定 める 規 定 に 付 加 的 に 適 用 されるものであり 代 替 するものではない 廃 止 措 置 資 金 の 財 務 保 証 の 提 供 方 法 NRC 規 則 (50.75(e))では 前 項 で 示 した 廃 止 措 置 資 金 の 財 務 保 証 を 提 供 する 方 法 とし て 以 下 の 6 種 類 を 認 めている 前 払 い 方 式 事 業 者 が 自 身 の 資 産 とは 区 分 され かつ 自 身 の 運 用 管 理 外 にある 口 座 に 事 前 に 払 込 みを 行 う 方 式 信 託 基 金 エスクロー 勘 定 譲 渡 性 預 金 証 書 政 府 預 金 その 他 の 証 券 等 によっ て 払 い 込 まれる 政 府 基 金 又 はその 他 NRC が 認 める 方 法 を 利 用 可 能 外 部 減 債 基 金 方 式 事 業 者 が 自 身 の 資 産 とは 区 分 され かつ 自 身 の 運 用 管 理 外 にある 口 座 に 定 期 的 に 積 立 を 行 う 方 式 信 託 基 金 エスクロー 勘 定 譲 渡 性 預 金 証 書 政 府 預 金 その 他 の 証 券 等 によっ て 払 い 込 まれる 政 府 基 金 またはその 他 NRC が 認 める 方 法 を 利 用 可 能 外 部 減 債 基 金 を 利 用 可 能 な 事 業 者 は 総 括 原 価 方 式 等 により 規 制 料 金 を 通 じて 廃 止 措 置 コストの 見 積 り 総 額 を 直 接 的 又 は 間 接 的 に 回 収 している 者 及 び 回 避 不 能 料 金 を 外 部 減 債 基 金 の 財 源 とする 者 保 証 方 式 保 証 書 保 険 その 他 NRC が 認 める 方 法 により 廃 止 措 置 コストの 支 払 いを 保 証 す る 方 式 10 CFR Part 30 付 属 A 財 務 審 査 の 基 準 及 び 廃 止 措 置 資 金 の 財 務 保 証 目 的 での 親 会 社 保 証 の 取 得 基 準 の 財 務 審 査 を 実 施 する 場 合 は 親 会 社 保 証 の 利 用 も 可 能 主 旨 書 方 式 主 旨 書 とは 必 要 時 に 廃 止 措 置 資 金 を 調 達 できることを 示 す 政 府 機 関 によ る 主 旨 書 で 連 邦 政 府 が 保 証 する 連 邦 事 業 者 のみ 利 用 可 能 契 約 上 の 義 務 方 式 事 業 者 の 顧 客 が 契 約 により 負 う 義 務 であり 契 約 期 間 中 事 業 者 が 回 収 に 失 敗 し た 廃 止 措 置 資 金 の 合 計 額 を 顧 客 が 支 払 う 方 式 その 他 の 方 式 または 複 数 の 方 式 の 併 用 78

81 なお 前 払 い 方 式 及 び 外 部 減 債 基 金 方 式 では 基 金 の 積 立 残 高 からの 収 益 を 原 則 として 年 間 実 質 2%まで 織 り 込 むことが NRC 規 則 で 可 能 とされている また 州 の 公 益 事 業 委 員 会 がより 高 い 利 率 を 前 提 として 費 用 回 収 を 認 めている 場 合 には その 利 率 を 用 いることも 可 能 とされる 電 力 自 由 化 と 廃 止 措 置 資 金 確 保 制 度 前 項 までに 示 した NRC の 廃 止 措 置 資 金 の 確 保 制 度 は 電 気 事 業 規 制 緩 和 による 環 境 変 化 に 対 応 するため 改 定 が 行 われてきた NRC の 原 子 炉 許 認 可 規 則 10 CFR Part 50 は その 公 益 電 気 事 業 者 の 定 義 に 見 られ たように 自 身 又 は 別 の 規 制 機 関 により 設 定 される 料 金 を 通 して 直 接 又 は 間 接 的 に 電 力 のコストを 回 収 する 事 業 者 を 念 頭 に 構 築 されていた しかしながら 1990 年 代 に 電 気 事 業 規 制 緩 和 電 力 自 由 化 の 議 論 検 討 が 進 む 中 で 競 争 環 境 でコストの 回 収 が 保 証 されず 発 電 部 門 が 他 部 門 と 切 り 離 されるなど 公 益 電 気 事 業 者 には 該 当 しない 事 業 者 が 増 加 す ることが 見 込 まれ NRC は これらの 規 制 改 革 が 原 子 力 安 全 に 影 響 を 与 える 可 能 性 を 懸 念 していた こうした 中 で NRC は 1997 年 8 月 には 10 CFR Part 50 の 政 策 声 明 xxxiiを 発 行 し NRC 規 則 は 総 体 としては 電 気 事 業 規 制 緩 和 によっても 十 分 な 規 制 枠 組 みと 判 断 できる ものの 廃 止 措 置 資 金 の 財 務 保 証 要 件 の 規 則 改 定 を 検 討 する 方 針 を 表 明 した 同 政 策 声 明 では 特 に 電 気 料 金 自 由 化 と 電 気 事 業 者 再 編 が 進 められる 中 で 原 子 力 発 電 プラントが 閉 鎖 される 状 況 になった 場 合 には 閉 鎖 後 のプラントからは 収 入 を 見 込 むことが 出 来 ないた め 廃 止 措 置 資 金 の 適 切 な 財 務 保 証 が 確 保 されなくなる 可 能 性 があるとの 懸 念 が 表 明 され ていた こうした 懸 念 を 背 景 に NRC は 10 CFR Part 50 の 廃 止 措 置 資 金 確 保 に 係 る 改 定 規 則 xxxiii を 1998 年 に 発 行 した 35 この 規 則 改 定 では 原 子 炉 の 運 転 期 間 を 通 じて 廃 止 措 置 資 金 の 財 務 保 証 の 状 況 を 2 年 毎 に( 恒 久 停 止 から 5 年 以 内 のプラントは 毎 年 ) 報 告 することが 義 務 付 けられた また では 財 務 保 証 として 外 部 減 債 基 金 を 利 用 できる 条 件 として 総 括 原 価 方 式 の 公 益 事 業 者 に 準 じるものとして 回 避 不 能 費 用 により 廃 止 措 置 費 用 の 確 保 が 見 込 まれる 電 気 事 業 者 も 外 部 減 債 基 金 の 利 用 を 可 能 とするなどの 改 正 が 行 われている また 2012 年 には 土 壌 汚 染 が 確 認 されたことにより 廃 止 措 置 費 用 が 大 幅 に 増 加 したハ ダムネック 発 電 所 の 事 例 36の 教 訓 などを 踏 まえ 土 壌 や 地 下 水 の 残 留 放 射 能 の 監 視 体 制 強 化 PSDAR における 費 用 見 積 りの 詳 細 化 の 要 求 PSDAR 提 出 から 廃 止 措 置 完 了 までの 年 次 報 告 書 の 義 務 付 けと( 必 要 な 場 合 の) 適 切 な 財 務 保 証 の 確 保 などが 新 たに 規 定 されている なお 廃 止 措 置 資 金 の 財 務 保 証 では 2008 年 の 所 謂 リーマンショックを 契 機 とした 信 託 基 金 の 評 価 額 低 下 の 後 規 制 料 金 からの 回 収 が 十 分 に 行 われないプラントが 出 現 する 中 で 35 なお 同 規 則 改 定 については 1996 年 4 月 時 点 で 規 則 策 定 事 前 通 知 (ANPR)が 官 報 告 示 され コメン トの 募 集 も 行 われていた 36 同 事 例 における 廃 止 措 置 費 用 回 収 については で 報 告 する 79

82 親 会 社 による 保 証 問 題 が 2012 年 規 則 改 定 では 焦 点 の 一 つとなった NRC は 親 会 社 保 証 について 当 初 は 廃 止 措 置 全 額 について 保 証 者 ( 親 会 社 )が 連 帯 責 任 を 負 うとの 規 則 案 を 提 案 したが 産 業 界 は 強 く 反 発 し 最 終 的 にこの 条 項 は 規 則 化 され ていない 一 方 信 託 基 金 残 高 における 扱 いと 同 様 に 親 会 社 保 証 についても 現 在 価 値 への 割 引 を 認 めるべきとの 産 業 界 の 主 張 を 反 映 した 規 則 案 は NRC の 委 員 会 により 退 けられて いる 米 国 における 廃 止 措 置 費 用 確 保 の 現 状 前 項 までに 示 したように 米 国 で 運 転 中 の 原 子 力 発 電 プラントは NRC 規 則 にしたがっ て 2 年 に 一 度 の 廃 止 措 置 資 金 の 財 務 保 証 状 況 報 告 書 を NRC に 提 出 している 直 近 の 状 況 報 告 書 は 2013 年 3 月 提 出 のもので 2012 年 末 時 点 での 廃 止 措 置 資 金 の 財 務 保 証 状 況 が 報 告 されている 事 業 者 が 提 出 した 状 況 報 告 書 については NRC スタッフによるレビューが 行 われ 2013 年 10 月 にその 総 括 レポート xxxiv が 公 表 されている 同 レポートによれば 運 転 中 の 104 基 の 原 子 力 発 電 プラントにおける 廃 止 措 置 資 金 蓄 積 額 は 457 億 ドルで 前 回 の 2010 年 報 告 から 約 13%の 増 加 となっている また 104 基 の プラントの 内 廃 止 措 置 資 金 の 財 務 保 証 が 確 認 されたプラントは 100 基 で 以 下 に 示 す 4 基 については 3 月 提 出 の 状 況 報 告 書 では 全 額 の 保 証 が 提 供 されていなかったが 何 れもそ の 後 の NRC の 確 認 対 応 により 問 題 は 解 消 されている なお これら 4 プラントは 何 れ も 自 由 化 州 立 地 のマーチャント プラントで 今 後 の 電 気 料 金 等 からの 廃 止 措 置 費 用 回 収 は 予 定 されていない 表 廃 止 措 置 資 金 の 財 務 保 証 の 不 足 プラント(2012 年 ) プラント 名 立 地 州 財 務 保 証 方 式 最 低 保 証 額 ビーバーバレー1 ペンシルバニア 前 払 い 親 会 社 保 証 財 務 保 証 額 ( 百 万 ドル) 対 応 親 会 社 保 証 増 額 パリセーズ ミシガン 前 払 い 基 金 増 で 充 足 ペリー オハイオ 前 払 い 親 会 社 保 証 増 額 親 会 社 保 証 ポイントビーチ 2 ウィスコンシン 前 払 い 基 金 増 で 充 足 なお 前 回 (2010 年 ) 廃 止 措 置 資 金 財 務 保 証 状 況 の 総 括 レポートでは プラント 1 基 37に ついて 未 解 決 状 態 が 報 告 されていた 他 前 々 回 (2008 年 )の 報 告 では 多 くのプラントで 37 エクセロン 社 のリムリック 1 号 機 (ペンシルバニア 州 )で 最 終 的 に 2012 年 2 月 に 親 会 社 保 証 を 含 め て 解 決 された 同 機 の 事 例 については で 報 告 している 80

83 財 務 保 証 要 件 の 未 充 足 が 指 摘 されていた 2008 年 末 は 金 融 財 務 危 機 の 影 響 により 有 価 証 券 市 場 が 暴 落 状 態 にあったため 信 託 基 金 の 積 立 金 の 評 価 額 は 激 減 し NRC 規 則 の 最 低 保 証 額 を 全 額 確 保 したプラントは 14 基 のみとなり NRC は 個 々のプラント 毎 にケースバイ ケースで 財 務 保 証 の 適 切 性 を 評 価 した は 2008 年 末 の 廃 止 措 置 資 金 確 保 の 状 況 について 事 業 者 のタイプ 別 に 纏 めたものであるが 財 務 保 証 要 件 が 未 充 足 と 判 断 されたプラントの 多 くは 規 制 電 気 料 金 からの 廃 止 措 置 費 用 回 収 が 行 われない 事 業 者 のものであった 表 年 末 時 点 での 廃 止 措 置 資 金 の 確 保 状 況 (プラント 数 ) 公 益 事 業 者 非 公 益 事 業 者 混 合 * 合 計 原 子 炉 数 適 正 資 金 確 保 ** 資 金 確 保 不 足 年 からの 平 均 減 少 率 11% 18% 15% 13% * 複 数 事 業 者 所 有 プラントで 少 なくとも 1 事 業 者 が 公 益 事 業 者 のもの ** 資 金 確 保 状 況 が 適 切 とされた 77 プラントのうち NRC が 規 定 する 最 低 確 保 金 額 を 全 額 確 保 したプラントは 14 箇 所 (NRC 廃 止 措 置 資 金 財 務 保 証 の 2009 年 総 括 レポート xxxv より 引 用 ) また この 2008 年 NRC レポートでは 廃 止 措 置 資 金 の 財 務 保 証 の 不 足 は マーチャン ト プラントを 多 く 抱 えるなど 一 部 の 事 業 者 に 集 中 していた 様 子 が グラフで 示 されてい る エクセロン(8 プラント) 第 1 図 事 業 者 別 に 見 た 廃 止 措 置 資 金 確 保 不 足 額 (2008 年 末 ) TVA(6 プラント) エンタジー(5 プラント) FPL エナジー(3 プラント) コンステレーション(4 プラント) FENOC(1 プラント) 百 万 ドル ( 出 所 :NRC 廃 止 措 置 資 金 財 務 保 証 の 2009 年 総 括 レポートより 引 用 ) 81

84 2.5.4 電 力 自 由 化 と 廃 止 措 置 費 用 の 資 金 確 保 米 国 では 1990 年 代 から 電 力 自 由 化 が 各 州 で 検 討 される 中 で 従 来 の 総 括 原 価 方 式 によ る 電 気 事 業 規 制 下 では 回 収 が 認 められてきた 費 用 で 自 由 化 による 競 争 市 場 移 行 後 は 回 収 が 保 証 されなくなる 費 用 (ストランデッドコスト)については 移 行 措 置 として 回 収 を 認 める 制 度 が 検 討 導 入 された 多 くの 州 では ストランデッドコストを 一 定 の 基 準 で 認 定 した 上 で 競 争 移 行 費 用 など の 名 目 で 離 脱 需 要 家 も 回 避 不 能 な 費 用 (non-bypassable charge)として 送 配 電 の 規 制 料 金 から 回 収 している 原 子 力 発 電 プラントの 廃 止 措 置 費 用 もストランデッドコストの 一 つ となるが 自 由 化 後 の 廃 止 措 置 費 用 の 確 保 について 特 別 に 規 定 している 州 もある 表 は 電 力 自 由 化 を 行 った 各 州 における 廃 止 措 置 コスト 及 びストランデッドコス トの 回 収 に 係 る 制 度 について 原 子 力 協 会 (NEI)が 2001 年 12 月 に 纏 めたものである xxxvi その 後 に 制 度 の 進 展 変 更 が 見 られた 州 や 自 由 化 が 停 止 された 州 もあるため 必 ずしも 現 状 を 示 したものではないが 各 州 における 電 力 市 場 自 由 化 の 制 度 設 計 の 中 で 廃 止 措 置 費 用 の 資 金 確 保 がどのように 手 当 てされたかを 示 すものであり 以 下 に 掲 載 する なお 廃 止 措 置 費 用 は ストランデッドコストの 中 でも 発 電 プラントの 建 設 費 等 のサンクコストとは 異 なり 自 由 化 後 に 相 当 の 時 間 が 経 過 した 時 点 で 費 用 の 増 加 が 見 込 まれる 場 合 もあり 得 る そうしたケースを 含 む 詳 細 な 回 収 状 況 については においていくつかの 事 例 における 取 扱 いを 報 告 する 表 自 由 化 実 施 州 等 38における 廃 止 措 置 コスト/ストランデッドコスト 回 収 制 度 州 ストランデッドコスト 廃 止 措 置 コスト アリゾナ ( 委 員 会 ) 算 入 対 象 コスト: 自 由 化 決 定 前 から 存 在 した 電 力 供 給 に 必 要 な 資 産 や 契 約 関 係 ( 発 電 資 産 電 力 購 入 契 約 燃 料 契 約 規 制 資 産 ) 関 連 規 則 では 軽 減 措 置 を 講 じ た 上 で 事 業 者 別 にストランデ ッドコストの 回 収 を 認 める 方 式 を 採 る 自 由 化 顧 客 が 支 払 うシステムベネ フィット 料 金 を 通 じて 徴 収 システムベネフィットコスト: 公 共 公 益 の 目 的 に 要 するコスト 回 収 メカニズム: 自 由 化 市 場 に 参 加 する 全 顧 客 に 対 して 課 される 回 避 不 能 料 金 ( 送 配 電 料 金 公 租 公 課 など 全 顧 客 に 適 用 される 料 金 ) 等 を 通 38 公 益 事 業 委 員 会 等 による 方 針 決 定 や 州 法 による 自 由 化 実 施 後 に 自 由 化 の 動 きを 中 断 した 州 についても 制 度 設 計 の 参 考 情 報 としてそのまま 記 載 している 82

85 州 ストランデッドコスト 廃 止 措 置 コスト じて 回 収 委 員 会 が 認 めているストランデ ッドコスト 回 収 オプション 資 産 売 却 財 務 健 全 化 送 配 電 料 金 による 回 収 (5 年 ) 上 記 方 策 の 組 み 合 わせ その 他 事 業 者 提 案 も 可 証 券 化 : 委 員 会 命 令 には 記 載 なし 回 収 期 間 : 5 年 から 10 年 アーカンソー ( 州 法 ) カリフォルニ ア ( 委 員 会 命 令 州 法 ) 算 入 対 象 コスト: 廃 止 措 置 費 用 は 算 入 対 象 外 なお 廃 止 措 置 費 用 の 回 収 手 段 で もある 競 争 移 行 費 用 の 適 用 期 間 は コストがすべて 回 収 されるま で 算 入 対 象 コスト: 市 価 と 比 較 した 全 発 電 資 産 の 簿 価 発 電 資 産 の 評 価 期 限 は 2001 年 末 競 争 移 行 費 用 に 算 入 する のは 事 業 者 所 有 の 発 電 設 備 既 存 の 電 力 購 入 契 約 規 制 関 連 費 用 事 業 者 は 可 能 な 限 りの 軽 減 措 置 をとり 委 員 会 がその 実 施 状 況 を 事 業 者 個 別 にチェックす る 回 収 メカニズム: 競 争 移 行 料 金 を 通 じてストラン デッドコスト 全 額 を 回 収 料 金 設 定 は 複 数 段 階 に 分 けて 委 員 会 が 設 定 (1998 年 :2.4 セン ト/kWh) 証 券 化 : 可 能 ( 例 ) 1997 年 9 月 PG&E 小 売 自 由 化 後 委 員 会 による 料 金 規 制 は 廃 止 されるが 廃 止 措 置 費 用 の 確 保 や 払 い 戻 しに 関 し ては 委 員 会 が 承 認 権 限 を 持 ち 続 ける ストランデッドコスト 及 び 原 子 力 発 電 所 の 廃 止 措 置 費 用 につい ては 競 争 移 行 料 金 から 回 収 ( 廃 止 措 置 費 用 はストランデッド コストに 算 入 しない) 委 員 会 命 令 : 最 終 消 費 者 に 課 す 電 気 料 金 から 回 収 原 子 力 発 電 所 所 有 者 変 更 の 場 合 は 基 金 に 関 する 残 高 は 新 所 有 者 へ 移 行 自 由 化 後 も 配 電 事 業 者 が 所 有 権 を 保 持 する 場 合 は 基 金 への 拠 出 にかかるコ ストは 競 争 移 行 費 用 に 加 算 され る 州 法 : 廃 止 措 置 費 用 は 全 額 回 避 不 能 料 金 により 回 収 83

86 州 ストランデッドコスト 廃 止 措 置 コスト SCE,SDG&E に 対 し 73 億 ドル を 上 限 とする 債 券 発 行 を 許 可 コネチカット ( 州 法 ) イリノイ ( 州 法 ) メイン ( 州 法 ) メリーランド ( 委 員 会 命 令 州 法 ) 回 収 期 間 : 2002 年 1 月 1 日 まで( 廃 止 措 置 費 用 は 例 外 ) 廃 止 措 置 コストは 算 入 対 象 外 算 入 対 象 コスト: 自 由 化 開 始 に 伴 う 顧 客 移 転 コス ト 回 収 メカニズム: 競 争 移 行 料 金 により 供 給 事 業 者 を 変 更 した 顧 客 からも 回 収 証 券 化 : 可 能 委 員 会 承 認 が 必 要 回 収 期 間 : CTC の 課 金 は 原 則 2006 年 12 月 31 日 まで 一 定 条 件 を 満 たせば 延 長 申 請 可 能 算 入 対 象 コスト: 処 分 した 資 産 の 売 却 額 が 未 処 分 の 回 収 不 能 発 電 資 産 価 値 総 額 に 対 する 簿 価 を 上 回 る 場 合 にお ける 処 分 した 資 産 の 正 味 の 価 値 総 額 回 収 メカニズム: 送 配 電 料 金 から 回 収 証 券 化 : 不 可 回 収 期 間 : 2000 年 にストランデッドコスト 算 出 予 定 003 年 2006 年 に 見 直 し 予 定 算 入 対 象 コスト: 取 り 得 る 限 りの 緩 和 措 置 実 施 を 条 件 に 検 証 可 能 かつ 常 識 的 な 範 囲 でストランデッドコスト 回 収 が 可 能 全 ての 電 気 料 金 課 金 顧 客 から 送 配 電 料 金 に 含 まれる システ ムベネフィット 料 金 として 徴 収 原 子 力 発 電 所 の 廃 止 措 置 に 責 任 を 有 する 事 業 者 は 廃 止 措 置 費 用 徴 収 を 目 的 とした 別 個 の 料 金 表 を 公 益 事 業 委 員 会 に 提 出 エ リア 内 顧 客 に 対 し 当 該 事 業 者 の 供 給 エリア 内 の 顧 客 に 供 給 され た 電 力 量 に 応 じて 課 金 (kwh ベ ース) 当 該 事 業 者 は 廃 止 措 置 関 連 コストを 含 まない 基 本 レー トに 廃 止 措 置 レートを 上 乗 せし た 料 金 を 請 求 1999 年 5 月 27 日 に 法 改 正 によ り 廃 止 措 置 費 用 回 収 の 加 速 化 を 目 的 として 1 事 業 者 につき 1 基 の 原 子 炉 売 却 が 認 められた 送 配 電 料 金 に 含 まれる 法 令 : 廃 止 措 置 に 関 する 言 及 なし 委 員 会 命 令 : ストランデッドコス ト の 項 目 において 廃 止 措 置 コ ストに 関 する 概 要 を 規 定 詳 細 はスタッフレポートに 記 載 84

87 州 ストランデッドコスト 廃 止 措 置 コスト 回 収 メカニズム: 事 業 者 が 回 収 に 係 る 計 画 を 委 員 会 に 提 出 委 員 会 が 指 定 した 期 間 競 争 移 行 料 金 により 回 収 証 券 化 : 可 能 委 員 会 承 認 が 必 要 回 収 期 間 : 各 事 業 者 が 回 収 期 間 を 提 案 ( 委 員 会 が 決 定 ) スタッフレポートの 記 載 : 廃 止 措 置 費 用 を ストランデッ ドコスト として 取 り 扱 うこと に 異 論 廃 止 措 置 費 用 は 市 場 価 格 で 回 収 される 営 業 費 用 と 主 張 不 足 分 については 当 該 ユ ニットから 供 給 を 受 けている 消 費 者 が 負 担 すべき 原 子 力 発 電 所 運 転 者 は 原 子 炉 閉 鎖 まで 廃 止 措 置 基 金 への 払 い 込 みを 続 ける マサチューセ ッ ツ ( 規 則 州 法 ) 算 入 対 象 コスト: 委 員 会 が 事 業 者 に 対 し 個 別 に 競 争 移 行 コストを 聞 き 取 り 査 定 回 収 可 能 と 考 えられるものには 以 下 が 含 まれる 発 電 関 連 資 産 非 原 子 力 設 備 を 売 却 した 事 業 者 の 原 子 力 発 電 に 係 る 利 権 発 電 に 関 する 規 制 資 産 について 発 生 した 正 当 な コスト 回 収 メカニズム: 配 電 費 用 で 回 収 回 収 が 認 めら れるのは 発 電 資 産 売 却 や 小 売 自 由 化 等 を 行 い ストランデッ ドコストを 15% 削 減 した 場 合 の み 証 券 化 : 可 能 ただし 発 電 資 産 売 却 を 含 む 全 てのコスト 削 減 対 策 実 施 後 に 限 る 原 子 炉 早 期 閉 鎖 あるいは 基 金 が 不 足 する 場 合 は 原 子 炉 運 転 者 が 公 益 事 業 委 員 会 に 対 し 廃 止 措 置 完 遂 に 必 要 な 追 加 費 用 を 賄 うため サービスを 受 ける 全 顧 客 に 対 するサーチャージ 課 金 を 申 請 することができる 廃 止 措 置 費 用 は 原 子 炉 運 転 期 間 に 回 収 する 通 常 は 回 避 不 能 料 金 である 接 続 料 から 回 収 ストランデッドコストや 廃 止 阻 止 費 用 について IOU が 個 々に 申 し 立 て ( 例 )Boston Edison 廃 止 措 置 費 用 を 接 続 料 におけ る 変 動 費 と 位 置 づけ 消 費 者 から 回 収 ( 例 )Eastern Utilities 接 続 料 を 通 じた 3.04 セント/ kwh の 課 金 により ストランデ ッドコストを 100% 回 収 原 子 力 発 電 所 への 出 資 分 売 却 後 も 廃 止 措 置 に 係 る 責 任 を 保 持 回 収 期 間 : 委 員 会 がケースバイケースで 競 争 移 行 料 金 の 適 用 期 間 を 決 定 85

88 州 ストランデッドコスト 廃 止 措 置 コスト ミシガン ( 委 員 会 命 令 ) 算 入 対 象 コスト: 競 争 移 行 期 に 生 じた 市 場 価 値 を 上 回 るコスト 全 て 回 収 メカニズム: コストベースの 競 争 移 行 料 金 を 通 じて 回 収 ( 金 額 調 整 有 り) 証 券 化 : 可 能 委 員 会 承 認 が 必 要 15 年 以 内 命 令 には 明 記 せず 1996 年 スタッ フ レポートにおける 概 要 は 以 下 の 通 り 基 金 設 立 あるいは 必 要 費 用 確 保 完 了 までの 間 回 避 不 能 費 用 の 形 で 消 費 者 から 徴 収 することを 勧 告 ニューハンプ シ ャー ( 委 員 会 命 令 州 法 ) ニュージャー ジ ー ( 委 員 会 命 令 州 回 収 期 間 : 委 員 会 が 決 定 算 入 対 象 コスト: 顧 客 が 供 給 事 業 者 の 変 更 を 認 め られる 場 合 に 回 収 不 能 となる 正 味 の 発 電 関 連 サンクコスト 回 収 メカニズム: 地 域 標 準 料 金 において スト ランデッドコスト 回 収 に 係 る 賦 課 金 を 電 力 使 用 量 に 応 じて 徴 収 徴 収 額 は 資 産 売 却 や 分 社 化 等 の 状 況 により 変 化 する 資 産 等 の 売 却 はオークションにより 行 う 委 員 会 はケースバイケー スで ストランデッドコスト 回 収 をチェックする 証 券 化 : 可 能 2000 年 のケースでは 立 法 措 置 により 承 認 ( 州 知 事 署 名 ) 回 収 期 間 : 初 期 設 定 : 各 事 業 者 2 年 最 終 的 な 期 間 は 事 業 者 ごとに 委 員 会 が 決 定 算 入 対 象 : 発 電 所 コスト 長 期 短 期 の 電 力 購 入 契 約 の 100%(1997 年 4 月 廃 止 措 置 費 用 はストランデッドコ スト 回 収 の 枠 組 みでの 回 収 も 可 能 必 要 額 確 保 まで 継 続 (その 他 将 来 費 用 については 上 記 措 置 は 認 められない) 原 子 炉 早 期 閉 鎖 等 発 電 が 停 止 さ れた 場 合 消 費 者 への 課 金 が 停 止 する こうした 場 合 のコスト 回 収 オプション 例 は 以 下 の 通 り 電 気 料 金 への 再 課 金 所 有 者 による 持 ち 出 し 連 邦 州 の 財 源 ただし 議 会 が 本 当 に 施 設 の 恒 久 停 止 に 伴 う 廃 止 措 置 費 用 の 全 て を 消 費 者 が 負 担 しなければならな いと 考 えているのかは 不 明 2000 年 州 知 事 署 名 による 州 法 成 立 に 基 づ き PSNH は Seabrook 及 び Vermont Yankee 原 子 力 発 電 所 の 持 ち 分 売 却 Millstone 3 の 株 式 の 関 連 会 社 へ の 譲 渡 を 命 じられた PSNH は 上 掲 の 原 子 炉 に 関 する 廃 止 措 置 基 金 への 払 い 込 みを 続 ける 基 金 への 払 い 込 みには ストラン デッドコスト 賦 課 金 をあてる 州 法 に 基 づき 委 員 会 が 当 該 事 業 者 の 全 顧 客 に 課 される 社 会 利 益 賦 課 金 について 定 める 権 86

89 州 ストランデッドコスト 廃 止 措 置 コスト 法 ) 30 日 より 前 のレート) 合 理 的 と 認 められる 範 囲 で 最 大 限 のスト ランデッドコスト 軽 減 対 策 を 講 じることが 求 められる 限 を 有 する 回 収 メカニズム: 配 電 事 業 者 の 全 最 終 顧 客 に 市 場 移 行 料 金 を 課 金 ストランデッ ドコスト(の 額 )については 市 価 に 応 じケースバイケースで 決 定 証 券 化 : 可 能 ストランデッドコストの 75%が 上 限 (15 年 を 上 限 電 気 料 金 抑 制 が 目 的 ) GPU 社 は 1997 年 2000 年 9 月 までにオイスタークリーク 原 子 力 発 電 所 を 閉 鎖 する 計 画 を 委 員 会 に 提 出 廃 止 措 置 費 用 は 系 統 使 用 料 金 で 回 収 ニューヨーク ( 委 員 会 命 令 ) 回 収 期 間 : 原 則 8 年 まで ( 例 外 )オイスタークリーク: 未 償 却 残 高 分 の 回 収 が 終 わらない 場 合 4 年 ~11 年 の 期 間 で 回 収 算 入 対 象 コスト: 軽 減 対 策 実 施 の 上 でなお 競 争 移 行 期 間 中 に 回 収 不 能 な 正 当 な コスト 回 収 メカニズム: 配 電 事 業 社 が 課 す 接 続 料 系 統 使 用 料 などを 通 じて 回 収 額 や 時 期 は 個 々の 事 業 者 の 手 続 の 中 で 決 定 される 委 員 会 命 令 には 記 載 なし 1997 年 8 月 の 原 子 力 発 電 に 関 する 意 見 募 集 通 知 には 以 下 のような 記 述 がある: 競 争 移 行 期 以 降 廃 止 措 置 費 用 は 送 配 電 顧 客 から 回 収 さ れる 原 子 力 発 電 設 備 の 第 三 者 への 売 却 を 推 奨 証 券 化 : 規 定 なし 回 収 期 間 : 規 定 なし 交 渉 に 基 づき 1998 年 から 2001 年 にかけて 回 収 開 始 オハイオ( 州 法 ) 算 入 対 象 コスト: 競 争 市 場 下 で 回 収 不 能 となった (しかし 競 争 市 場 下 でなければ 回 収 の 可 能 性 があった)コスト や 規 制 資 産 回 収 メカニズム: 既 存 の 配 電 事 業 者 から 供 給 を 受 ける 顧 客 の 場 合 は 固 定 料 金 か 原 子 力 発 電 資 産 を 有 する 電 気 事 業 者 は 廃 止 措 置 基 金 について NRC の 要 求 を 満 たしていることを 示 さ なければならない 州 法 の 規 定 では 規 制 資 産 につい ても 将 来 のバックエンドコストに 含 め これらの 費 用 については 移 行 料 金 の 一 部 として 回 収 すること 87

90 州 ストランデッドコスト 廃 止 措 置 コスト ら 供 給 者 を 変 更 した 顧 客 の 場 合 は 市 場 移 行 期 間 について 競 争 移 行 料 金 を 課 す とされている 証 券 化 : 言 及 なし ペンシルバニア ( 州 法 ) 回 収 期 間 : 発 電 関 連 資 産 :2001 年 初 から 5 年 間 規 制 資 産 : 同 10 年 間 算 入 対 象 コスト: 規 制 資 産 不 経 済 な 発 電 資 産 ( 主 に 原 子 力 ) 使 用 済 燃 料 処 分 原 子 力 施 設 の 廃 止 措 置 及 び 企 業 再 編 に 係 るコストのうち 正 当 かつ 軽 減 不 可 能 なもの 回 収 メカニズム: 事 業 者 及 び 資 産 の 種 類 により 異 な る 自 由 化 後 に 供 給 事 業 者 を 変 更 し た 顧 客 競 争 移 行 料 金 で 回 収 未 変 更 顧 客 規 制 料 金 から 回 収 証 券 化 : 可 能 ( 年 次 調 整 有 り) 回 収 期 間 : 競 争 移 行 料 金 の 徴 収 : 最 大 9 年 間 例 外 ( 委 員 会 との 個 別 交 渉 ): PECO 12 年 (ストランデッド コストのうち 52.6 億 ドルの 回 収 許 可 最 大 40 億 ドルの 証 券 化 で 委 員 会 と 合 意 ) Alleghney power 10 年 (6.7 億 ドルの 回 収 許 可 で 合 意 ) PP&L 11 年 (29.7 億 ドルの 回 収 許 可 で 合 意 ) GPU 11 年 (10 億 ドルの 回 収 許 可 で 合 意 ) 州 法 は 廃 止 措 置 コストのうち 積 み 立 て 不 足 分 について 競 争 移 行 料 金 による 回 収 を 認 めている 各 社 対 応 : PECO: 引 き 続 き 規 制 料 金 から 回 収 PP&L:ストランデッド コストと して 競 争 移 行 料 金 から 回 収 GPU: 同 上 ロードアイラ ン ド( 州 法 ) 算 入 対 象 コスト: 下 記 に 関 連 する 正 当 なストランデ ッドコスト 廃 止 措 置 コストに 関 する 義 務 を 果 たすまで コスト 回 収 が 認 められ る 88

91 州 ストランデッドコスト 廃 止 措 置 コスト 発 電 関 連 の 規 制 資 産 1997 年 末 に 施 設 閉 鎖 する 場 合 に 生 じる 原 子 力 施 設 の 廃 止 措 置 並 びに O&M コスト 電 力 購 入 契 約 事 業 者 所 有 の 発 電 所 ( 具 体 的 方 策 等 記 述 なし) 回 収 メカニズム: 2000 年 まで: 競 争 移 行 料 金 (2.8 セント/kWh) 2001 年 以 降 : 委 員 会 規 定 のスト ランデッドコスト 回 収 料 金 証 券 化 : 可 能 回 収 期 間 : 原 子 力 施 設 廃 止 措 置 以 外 は 2009 年 末 まで テキサス( 州 法 ) 算 入 対 象 コスト: 電 力 購 入 及 び 発 電 に 関 連 する 正 当 かつ 軽 減 不 能 なストランデッ ドコスト 全 て 廃 止 措 置 コストは 全 ての 小 売 り 顧 客 から 回 収 される バーモント( 委 員 会 命 令 ) 回 収 メカニズム: 全 電 力 消 費 者 に 対 し 競 争 移 行 料 金 を 課 金 ストランデッドコス トは 売 上 高 株 式 の 評 価 資 産 交 換 などを 通 じて 算 出 原 子 力 資 産 については 当 局 指 定 の 方 式 で 査 定 証 券 化 : 規 制 資 産 の 100% ストランデ ッドコストの 75%について 15 年 を 超 えない 範 囲 で 可 能 回 収 期 間 : 委 員 会 がケースバイケ ースで 決 定 算 入 対 象 コスト: 従 来 の 規 制 対 象 事 業 者 が 持 つ 既 存 契 約 原 子 力 を 含 む 発 電 資 産 規 制 資 産 等 に 係 る 検 証 可 能 かつ 正 当 なストランデッドコスト 回 収 可 能 額 は 事 業 者 の 軽 減 策 ( 不 採 算 設 備 の 閉 鎖 売 却 交 換 など) 実 施 状 況 により 変 動 委 員 会 によれば 発 電 市 場 の 構 造 改 革 に 起 因 して 回 収 不 能 となった 原 子 力 発 電 に 関 する 埋 没 費 用 は 公 平 に 補 償 さ れるべき 一 方 将 来 的 な 費 用 増 加 ( 将 来 的 な 廃 止 措 置 費 用 増 大 )に 係 る 89

92 州 ストランデッドコスト 廃 止 措 置 コスト 回 収 メカニズム: 競 争 移 行 料 金 として 配 電 料 金 から 回 収 証 券 化 : 競 争 移 行 料 金 による 収 益 を 担 保 と した 歳 入 債 による 調 達 が 可 能 コストはストランデッドコスト 回 収 の 対 象 には 算 入 できない なお 委 員 会 は バーモントヤンキ ーの 廃 止 措 置 費 用 の 大 部 分 につい て 不 可 避 の 埋 没 費 用 と 認 識 競 争 移 行 料 金 による 回 収 可 能 バージニア ( 州 法 ) 回 収 期 間 : 5 年 から 10 年 原 子 力 発 電 所 の 廃 止 措 置 コストに ついてはより 長 期 の 設 定 が 可 能 算 入 対 象 コスト: 委 員 会 決 定 に 基 づく 正 当 かつ 合 理 的 な 正 味 のストランデッドコスト 回 収 メカニズム: 供 給 者 を 変 更 する 顧 客 電 力 使 用 量 に 応 じた 賦 課 金 あるいは 系 統 使 用 料 により 回 収 供 給 者 を 変 更 しない 顧 客 委 員 会 が 定 める 上 限 料 金 規 制 の 範 囲 内 で 回 収 証 券 化 : 州 法 における 規 定 なし 回 収 期 間 : 料 金 は 2001 年 ~2007 年 まで 有 効 上 限 料 金 規 制 適 用 期 間 中 (2007 年 まで) 事 業 者 は 委 員 会 に 対 し 以 下 の 報 告 を 求 められる 原 子 力 施 設 の 廃 止 措 置 費 用 の 拠 出 義 務 履 行 に 関 する 計 画 廃 止 措 置 費 用 への 充 当 を 目 的 と して 規 制 料 金 あるいは 系 統 使 用 料 を 通 じて 徴 収 した 金 額 ( 出 所 :NEI, Stranded Cost, Decommissioning xxxvii より 引 用 ) 電 力 自 由 化 後 の 廃 止 措 置 資 金 確 保 等 の 事 例 前 節 に 掲 載 した NEI の 一 覧 表 でも 示 されているように 廃 止 措 置 費 用 の 回 収 は 一 定 の 制 約 が 課 されるケースもあるものの 基 本 的 に 全 ての 州 で 自 由 化 後 も 規 制 料 金 からの 回 収 が 認 められている 以 下 では 電 力 自 由 化 後 の 実 際 の 廃 止 措 置 費 用 回 収 の 状 況 を 示 すもの としてペンシルバニア 州 及 びテキサス 州 の 事 例 を 報 告 する また 廃 止 措 置 費 用 が 著 しく 増 加 した 事 例 であり 連 邦 規 制 と 州 の 規 制 の 議 論 も 見 られるハダムネック 立 地 自 治 体 と 州 の 反 対 により 閉 鎖 に 追 い 込 まれたショアハム 本 年 末 で 閉 鎖 予 定 のマーチャント プラ ントであるバーモントヤンキー 各 発 電 所 の 事 例 についても 併 せて 報 告 する 90

93 ペンシルバニア 州 電 力 自 由 化 と 廃 止 措 置 費 用 回 収 制 度 の 概 要 ペンシルバニア 州 では 1996 年 12 月 に 制 定 された 電 力 顧 客 選 択 競 争 法 (HB1509) により 1999 年 から 電 気 事 業 の 規 制 緩 和 電 力 市 場 の 自 由 化 が 進 められ 2000 年 には 小 売 市 場 も 全 面 自 由 化 されている HB1509 は 産 業 の 再 編 電 気 事 業 規 制 緩 和 に 際 してストランデッドコストを 移 行 費 用 と して 回 収 することを 認 めており ストランデッドコストには 原 子 力 発 電 プラントの 未 確 保 の 廃 止 措 置 費 用 が 含 まれることを 明 示 している ストランデッドコストは 競 争 移 行 費 用 (CTC)として 送 電 / 配 電 網 にアクセスした 全 需 要 家 に 対 し 配 電 会 社 への 支 払 いが 義 務 付 けられるほか 一 定 の 自 家 発 電 設 備 を 導 入 した 需 要 家 からも 徴 収 される( 回 避 不 能 費 用 ) CTC の 回 収 期 間 は 原 則 として 9 年 間 とされている HB1509 は ペンシルバニア 州 法 典 州 法 典 第 66 巻 公 益 事 業 者 第 I 部 : 公 益 事 業 者 法 典 の 第 28 章 電 気 事 業 者 として 編 纂 されている 電 力 自 由 化 後 の 廃 止 措 置 費 用 の 回 収 に 関 連 する 規 定 のポイントを 以 下 に 示 す 2803 条 定 義 移 行 又 は 回 収 不 能 (ストランデッド) 費 用 ストランデッドコストは 規 制 環 境 では 伝 統 的 に 回 収 が 認 められてきたが 競 争 的 発 電 市 場 では 回 収 可 能 でない 可 能 性 がある 費 用 で PSC が 適 切 と 認 めたもの 規 制 資 産 及 びその 他 繰 延 費 用 で 現 行 の 規 制 慣 行 として 回 収 が 認 められているもの と 並 んで 公 益 事 業 者 の 原 子 力 発 電 プラント 廃 止 措 置 費 用 の 内 で 未 確 保 の 部 分 を 定 義 で 明 示 競 争 移 行 費 用 公 益 事 業 者 の 移 行 費 用 /ストランデッドコストの 回 収 のために 設 計 された 送 電 配 電 系 統 にアクセスする 全 ての 顧 客 に 適 用 される 回 避 不 能 費 用 として 定 義 2804 条 電 気 事 業 再 編 の 基 準 (4)(F) 公 益 電 気 事 業 者 の 再 編 計 画 承 認 及 び 移 行 プロセスの 監 督 等 に 係 る 基 準 を 規 定 した 条 項 で (4) 項 において 法 施 行 直 後 の 54 カ 月 及 び 9 年 間 について 2 段 階 の 料 金 上 限 を 設 定 しているが 料 金 上 限 の 例 外 措 置 を 申 請 可 能 とする 要 件 の 一 つとして 以 下 を 規 定 ((F) 号 ) 過 去 の 料 金 決 定 時 に 得 られなかった 情 報 を 反 映 した 廃 止 措 置 費 用 の 増 加 で 競 争 初 電 子 錠 では 回 収 不 能 で 競 争 移 行 費 用 等 でカバーされず 公 益 事 業 者 の 公 正 報 酬 確 保 を 困 難 となるとして 回 収 額 の 増 加 を 求 める 場 合 91

94 2808 条 競 争 移 行 費 用 (c)(1) 第 2803 条 の 定 義 と 同 様 に 未 確 保 の 廃 止 措 置 費 用 について 回 収 が 認 められるべ き 競 争 移 行 費 用 として 規 定 廃 止 措 置 費 用 回 収 の 適 用 例 前 項 で 示 した 州 法 HB1509 に 基 づき 自 由 化 後 における 見 積 り 費 用 の 増 加 分 も 含 め 廃 止 措 置 費 用 の 電 気 料 金 からの 回 収 が 行 われている 例 として 現 エクセロン 社 の 小 売 事 業 部 門 の 子 会 社 である PECO エナジー 社 の 事 例 を 報 告 する 前 述 の 通 り ペンシルバニア 州 では 電 力 自 由 化 を 実 現 した 州 法 の 規 定 により 廃 止 措 置 費 用 はストランデッドコストの 一 つとして 位 置 付 けられ 一 定 の 条 件 の 下 で 自 由 化 後 も 回 避 不 能 な 競 争 移 行 費 用 (CTC)として 回 収 が 認 められている しかしながら PECO エ ナジーについては 同 社 の 提 案 を 受 け 廃 止 措 置 費 用 はストランデッドコストの 回 収 メカ ニズムには 拠 らず ( 配 電 送 電 に 関 連 する) 規 制 料 金 としての 回 収 を 続 けることが 1997 年 末 の 規 制 緩 和 計 画 決 定 時 にペンシルバニア 州 公 益 事 業 委 員 会 (PAPUC)により 決 定 され ている また 回 収 される 廃 止 措 置 費 用 は 自 由 化 後 も 見 直 しが 行 われる PECO エナジ ーの 廃 止 措 置 費 用 の 見 直 し 手 続 は 原 子 力 廃 止 措 置 費 用 調 整 (NDCA)として 制 度 化 され 5 年 毎 に 事 業 者 が 見 直 し 費 用 に 基 づいた 料 金 改 定 を 申 請 し PAPUC の 審 査 を 経 て 回 収 金 額 が 見 直 されている xxxviii, xxxix PECO による NDCA 方 式 の 提 案 の 理 由 としては 電 力 自 由 化 により 総 括 原 価 規 制 から 外 れる 場 合 は IRS 規 則 の 要 件 を 満 たせず 廃 止 措 置 基 金 の 税 法 上 の 適 格 性 が 失 われて 税 法 上 の 優 遇 措 置 が 受 けられなくなると 考 えられること 及 び NRC 規 制 においても 公 益 事 業 者 認 定 (= 電 力 料 金 からの 信 頼 できる 回 収 が 見 込 める)が 受 けられなくなることから NRC 規 則 の 廃 止 措 置 資 金 確 保 の 財 務 保 証 要 件 充 足 の 手 段 として 外 部 減 債 基 金 の 利 用 が 出 来 なくな る 問 題 が 挙 げられていた xl なお 同 じペンシルバニア 州 でも PPL 社 と GPU 社 は 廃 止 措 置 費 用 をストランデッ ドコストとして CTC を 通 じて 回 収 している また 廃 止 措 置 費 用 の 電 気 料 金 からの 回 収 は 自 由 化 後 も 旧 規 制 公 益 電 気 事 業 者 ( 配 電 事 業 者 )によって 行 われており 例 えば リムリック/ピーチボトム 発 電 所 については 旧 公 益 事 業 者 の PECO エナジーが 同 社 の 親 会 社 で 発 電 資 産 を 現 在 所 有 運 転 しているエ クセロン ジェネレーション 社 (EGC)の 外 部 減 債 基 金 に 拠 出 する 資 金 を 回 収 している 自 由 化 に 伴 う 発 送 電 分 離 により PECO エナジー 社 が 両 発 電 所 の 廃 止 措 置 資 金 確 保 のため 維 持 していた 外 部 減 債 基 金 は 両 プラントと 共 に EGC に 移 管 され 規 制 料 金 から 回 収 される 廃 止 措 置 費 用 は EGC との 契 約 により EGC の 外 部 減 債 基 金 に 払 い 込 まれている xli なお PECO エナジー 社 は 自 由 化 後 に 発 電 プラントを EGC に 移 管 した 後 も 毎 年 の 廃 止 措 置 費 用 について 減 価 償 却 費 を 計 上 している( 相 対 勘 定 は 累 積 減 価 償 却 費 ) この 会 計 処 理 は 電 気 料 金 からの 廃 止 措 置 費 用 の 回 収 額 に 見 合 う 形 で 規 制 資 産 の 償 却 を 行 っているも 92

95 のと 考 えられるが 同 社 の 財 務 報 告 書 においても 詳 細 は 明 示 されていない なお 減 価 償 却 費 を 損 金 計 上 することにより 電 気 料 金 からの 廃 止 措 置 費 用 回 収 額 が 利 益 として 課 税 さ れることはなくなるものと 考 えられる 一 方 EGC においては PECO エナジー 社 から 受 領 した 廃 止 措 置 費 用 分 の 収 入 は 適 格 廃 止 措 置 基 金 への 拠 出 をすることで IRS 規 則 により 非 課 税 になっていると 考 えられる PECO エナジー 社 が 回 収 する 廃 止 措 置 費 用 について 最 新 の NDCA による 料 金 改 定 は 2013 年 1 月 から 適 用 されたもので 2008 年 1 月 から 適 用 されていた 717 万 ドル/ 年 から 増 額 され 毎 年 万 ドルが 回 収 されている xlii この 間 2008 年 9 月 の 所 謂 リーマンショックに 端 を 発 する 金 融 経 済 危 機 により 多 く の 事 業 者 の 廃 止 措 置 信 託 基 金 財 産 が 毀 損 した 例 えば ペンシルバニア 州 立 地 のエクセロ ン 社 のリムリック 1 2 号 機 についても 2008 年 末 時 点 での 廃 止 質 資 金 確 保 は NRC 規 則 の 最 低 保 証 額 を 下 回 っていたが エクセロン 社 は 廃 止 措 置 費 用 の 電 気 料 金 からの 回 収 額 は PA-PUC との 取 り 極 めにより 5 年 毎 に 改 定 されることから 不 足 額 は 将 来 の 電 気 料 金 から の 回 収 で 確 保 されるとして 以 下 により 財 務 保 証 上 の 問 題 はないことを 主 張 していた 2008 年 末 /2010 年 末 の 最 低 保 証 額 未 達 への 対 応 廃 止 措 置 の 財 務 保 証 は 引 き 続 き 外 部 減 債 基 金 方 式 により 提 供 される 外 部 減 債 基 金 の 収 入 源 となる 資 金 確 保 メカニズムは EGC の 廃 止 措 置 資 金 を 引 き 続 き 回 収 することを PA-PUC が PECO エナジー 社 に 承 認 した 回 避 不 能 費 用 による リムリック 発 電 所 については PA-PUC に 対 する 次 回 の NDCA 申 請 により 必 要 な 調 整 が 行 われる 費 用 の 調 整 は PA-PUC の 電 気 料 金 取 決 めにより 5 年 に 一 度 行 わ れる 前 回 の 調 整 は 2008 年 1 月 1 日 に 有 効 となった これに 対 し NRC からは 最 新 の 料 金 からの 回 収 予 定 など 追 加 情 報 が 要 求 され エクセロ ン 社 は2012 年 2 月 上 記 の 資 金 確 保 メカニズムを 改 めて 説 明 した 上 で PA-PUC との NDCA 事 前 協 議 で 見 込 まれる 2013 年 1 月 からの 廃 止 措 置 費 用 回 収 金 額 では NRC 規 則 の 最 低 保 証 額 計 算 をクリアすることが 出 来 ないとして その 差 額 分 を 埋 めるため エクセロン 社 によ る 1.15 億 ドルの 保 証 を NRC に 差 し 出 すことで NRC 規 則 への 適 合 を 図 っている テキサス 州 電 力 自 由 化 と 廃 止 措 置 費 用 回 収 制 度 の 概 要 テキサス 州 では その 面 積 の 約 4 分 の 3 を 占 めるテキサス 電 力 信 頼 度 協 議 会 (ERCOT) エリアにおいて 1990 年 代 から 電 力 自 由 化 が 進 められた 先 ず 1995 年 に FERC の 要 件 に 93

96 適 合 する 形 で 同 州 の 卸 電 力 事 業 の 再 編 規 制 緩 和 が 州 法 SB 373 により 決 定 され 1996 年 に ERCOT-ISO がテキサス 州 公 益 事 業 委 員 会 (PUCT)により 承 認 された その 後 1999 年 6 月 には 州 法 SB 7 xliii が 制 定 され 2002 年 1 月 からの 小 売 市 場 全 面 自 由 化 が 決 定 された SB 7 は 自 由 化 移 行 に 際 して ストランデッドコストの 100% 回 収 を 認 めている 他 原 子 力 発 電 プラントの 廃 止 措 置 費 用 についても 自 由 化 後 も 規 制 料 金 による 回 収 を 認 めてい る また テキサス 州 では その 後 の SB 7 の 改 正 により 自 由 化 後 に 建 設 される 原 子 力 発 電 プラントについても 事 業 者 の 破 綻 時 等 には 廃 止 措 置 費 用 の 規 制 料 金 からの 回 収 を 一 定 の 条 件 で 認 める 制 度 が 導 入 されている 1999 年 6 月 に 制 定 された SB 7 は テキサス 州 公 益 事 業 法 典 (TUC) 第 39 章 電 気 事 業 の 再 編 xliv の 第 条 において 自 由 化 後 も 廃 止 措 置 費 用 の 回 収 は 規 制 料 金 として 行 うとの 規 定 を 以 下 の 通 り 定 めている 94

97 条 料 金 凍 結 期 間 後 の 費 用 の 規 制 料 金 凍 結 期 間 の 終 了 後 原 子 力 施 設 の 廃 止 措 置 義 務 に 関 連 したいかなる 費 用 残 額 も 引 き 続 き 総 括 原 価 料 金 規 制 に 従 うものとし 小 売 顧 客 に 課 される 回 避 不 能 費 用 に 含 ま れなければならない 委 員 会 (PUCT)は 廃 止 措 置 のための 金 額 が 適 切 に 徴 収 管 理 及 び 所 期 の 目 的 のために 使 用 され 廃 止 措 置 完 了 後 の 残 金 は 小 売 顧 客 に 戻 されること を 確 実 にするため 規 則 を 制 定 することが 出 来 る 39 すなわち 廃 止 措 置 費 用 は 自 由 化 に 伴 うストランデッドコストとしてではなく 自 由 化 後 も 送 配 電 の 規 制 料 金 の 一 部 として 域 内 の 全 顧 客 から 回 収 されるメカニズムが 採 用 され ている SB 7 では 電 気 事 業 者 が 毎 年 PUCT に 提 出 する 年 次 報 告 における 記 載 事 項 の 一 つ として この 廃 止 措 置 費 用 について 最 新 の PUCT 料 金 手 続 で 承 認 された 廃 止 措 置 費 用 で 適 用 される 連 邦 規 制 要 件 に 適 合 するため 調 整 される 可 能 性 がある 金 額 と 定 義 しており NRC の 財 務 保 証 要 件 にしたがって 認 識 される 可 能 性 がある 将 来 の 費 用 増 についても 手 当 て する 形 となっている 40 また 2004 年 には 条 に 基 づく 廃 止 措 置 費 用 確 保 の 一 環 として 原 子 力 発 電 プラ ントの 譲 渡 後 も 事 前 に PUCT の 審 査 を 経 るなど 一 定 の 条 件 を 満 たした 場 合 には 廃 止 措 置 費 用 の 規 制 料 金 からの 回 収 は 継 続 されることが PUCT の 規 則 xlv 条 41で 規 定 されて いる これにより 州 管 轄 内 の 原 子 力 発 電 プラントが 譲 渡 された 場 合 にも 送 配 電 事 業 者 が 廃 止 措 置 費 用 を 回 避 不 能 費 用 として 回 収 を 続 け プラントの 譲 受 人 との 間 の 契 約 に 基 づ き 信 託 基 金 に 払 込 みを 行 うこととなる さらに テキサス 州 では サウステキサスプロジェクト 発 電 所 3 4 号 機 の 増 設 やエクセ ロン 社 等 による 原 子 炉 新 設 プロジェクトが 検 討 され NRC への COL 申 請 も 行 われる 中 で 自 由 化 後 に 新 設 される 原 子 力 発 電 プラントについては 事 業 者 が NRC の 廃 止 措 置 資 金 財 務 保 証 要 件 を 満 たすに 際 して 州 が 一 定 の 関 与 を 行 うメカニズムが 州 法 HB 1386 によって 提 供 された HB 1386 によって 公 益 事 業 法 典 条 として 導 入 された 制 度 のポイントを 以 下 に 示 す 自 由 化 後 に 原 子 力 発 電 プラントを 建 設 運 営 する 事 業 者 ( 以 下 新 規 事 業 者 )は NRC 規 則 に 適 合 する 廃 止 措 置 信 託 基 金 を 外 部 に 設 置 し 営 業 収 入 の 中 から 所 定 の 年 間 拠 出 金 を 払 い 込 む 新 規 事 業 者 は 廃 止 措 置 費 用 の 見 積 りを 定 期 的 に 実 施 し PUCT はそれを 審 査 す る PUCT は 年 間 拠 出 金 の 変 更 等 を 命 じることが 出 来 る 39 第 2 文 は 2005 年 改 正 で 追 加 されたもの 40 公 益 事 業 法 典 (TUC) 第 条 41 テキサス 州 規 則 (TAC)の 実 体 規 則 第 25 章 L 節 原 子 力 施 設 の 廃 止 措 置 に 自 由 化 後 の 廃 止 措 置 関 連 の 規 則 が 置 かれている 95

98 新 規 事 業 者 は 破 綻 時 にも 廃 止 措 置 基 金 への 拠 出 義 務 を 免 れない また 破 綻 後 も 16 年 間 の 拠 出 が 可 能 となる 財 務 保 証 を PUCT に 提 供 する 新 規 事 業 者 が 基 金 への 十 分 な 拠 出 を 行 えなかった 場 合 は 消 費 者 が 不 足 金 額 を 負 担 するが その 後 プラントが 操 業 される 場 合 には 新 規 事 業 者 又 は 新 たな 運 営 者 が 消 費 者 負 担 分 を 弁 済 する 新 規 事 業 者 による 本 制 度 の 採 用 は 任 意 とする テキサス 州 は 本 制 度 を 採 用 する 新 規 事 業 者 について 州 が 所 有 者 である 場 合 に 準 じて NRC の 財 務 保 証 要 件 を 満 たす 方 策 を NRC と 設 定 する この 制 度 は 新 規 事 業 者 が NRC の 廃 止 措 置 費 用 の 財 務 保 証 要 件 を 満 たすに 際 し 外 部 減 債 基 金 の 利 用 を 可 能 とするものであり STP3 4 号 機 の COL 申 請 においても 本 制 度 に 基 づ いた 財 務 保 証 要 件 充 足 が 示 されている 廃 止 措 置 費 用 回 収 の 適 用 例 テキサス 州 における 電 力 自 由 化 後 の 廃 止 措 置 費 用 の 回 収 の 実 際 の 状 況 について 電 力 自 由 化 後 にプラントの 所 有 権 が 変 更 され また 新 設 プロジェクトの 申 請 も 行 われている STP 原 子 力 発 電 所 の 事 例 を 報 告 する STP1 2 号 機 は 各 々1988 年 1989 年 に 運 転 を 開 始 した PWR で ヒューストン パ ワー&ライト(HP&L) 社 セントラル パワー&ライト(CP&L) 社 サンアントニオ 市 オースチン 市 の 共 同 出 資 プロジェクト(サウステキサスプロジェクト)により 建 設 された HP&L 社 及 び CP&L 社 の 持 ち 分 は 後 に AEP テキサスセントラル 社 (AEP TCC)やテキ サス GenCO 社 を 経 て NRG エナジー 社 ( 以 下 NRG)へ 移 転 された STP の 持 ち 分 の 内 サンアントニオ 市 とオースチン 市 では 電 力 自 由 化 が 行 われていないが 残 りの 持 ち 分 は ERCOT 管 内 に 属 し 自 由 化 が 行 われている 両 市 営 電 力 以 外 の 自 由 化 移 行 時 の 所 有 者 は CP&L 社 と AEP TCC であり その 後 の 所 有 者 持 ち 分 は 現 在 の NRG も 含 めマーチャント 事 業 となっているが 廃 止 措 置 費 用 の 回 収 につ いては テキサス 州 法 に 基 づき ERCOT 管 内 で 送 配 電 事 業 を 継 続 している HP&L 社 ( 後 にセンターポイント エナジー ヒューストン エレクトリック 社 )と AEP TCC が 引 き 続 き 回 避 不 能 の 規 制 料 金 として 徴 収 している 42 また 回 収 された 廃 止 措 置 費 用 は NRG が 引 き 継 いだ 廃 止 措 置 信 託 基 金 に 払 い 込 まれている さらに NRG の 財 務 報 告 書 では 仮 に 廃 止 措 置 基 金 の 残 高 が 最 終 的 に 不 足 するという 事 態 になったときは 送 配 電 会 社 が 必 要 金 額 を 電 気 料 金 支 払 者 から 回 収 すること PUCT の 規 則 を 遵 守 し 信 託 基 金 の 規 則 に 従 う 限 り NRG の 負 担 義 務 はないこと 廃 止 措 置 終 了 後 に 残 金 がある 場 合 には 送 配 電 会 社 から 電 気 料 金 支 払 者 に 還 元 されることが 説 明 されている xlvi また 2 年 に 一 度 NRC に 対 して 提 出 するものとされている 廃 止 措 置 資 金 確 保 の 報 告 書 xlvii 42 具 体 的 には PUCT 規 則 第 条 に 基 づく 形 と 考 えられる 96

99 では 今 後 回 収 予 定 として 示 した 金 額 は PUCT の 料 金 認 可 の 中 で 回 避 不 能 の 廃 止 措 置 費 用 が 承 認 されていることが 示 されている なお PUCT ウェブサイトに 示 された 消 費 者 向 けの 請 求 書 を 理 解 する とのページで も 原 子 力 廃 止 措 置 基 金 料 金 が 示 されており 安 全 に 原 子 力 発 電 施 設 を 除 去 し 土 地 を 制 約 なく 解 放 可 能 なレベルまで 放 射 能 を 低 減 し 許 可 を 終 了 するための 費 用 地 域 送 配 電 会 社 のみが 消 費 者 に 電 力 を 供 給 するために 系 統 を 利 用 する 如 何 なる 者 にもこの 料 金 を 課 す ことが 出 来 る との 説 明 が 行 われている また 新 規 に 建 設 される 原 子 力 発 電 プラントの 廃 止 措 置 費 用 確 保 のメカニズムについて は 最 終 的 な NRC の 許 可 承 認 が 行 われたものではないが 例 えば STP3 4 号 機 の COL 申 請 で 2007 年 に 導 入 された 州 法 の 規 定 が 参 照 されている 同 プロジェクトの COL 申 請 書 では NRG/NINA は 通 常 は 電 気 料 金 支 払 者 から 廃 止 措 置 費 用 を 回 収 するものではないが 拠 出 金 を 毎 年 の 電 力 売 上 から 分 けて 確 保 しており ( 中 略 )NRG/NINA の 拠 出 が 計 画 通 り 行 われない 場 合 には 電 気 料 金 支 払 者 が 廃 止 措 置 費 用 の 支 払 義 務 を 持 つことをテキサス 州 法 が 規 定 している として 外 部 減 債 基 金 方 式 による 財 務 保 証 要 件 充 足 が 可 能 としている ハダムネック(コネチカットヤンキー) 発 電 所 ハダムネック( 通 称 コネチカットヤンキー) 発 電 所 は 1968 年 1 月 に 商 業 運 転 を 開 始 し た 出 力 1,825MWt の PWR で コネチカット 州 に 建 設 された 同 プラントは 1962 年 にニ ューイングランド 地 域 の 公 益 事 業 者 10 社 が 共 同 出 資 によりコネチカットヤンキー 原 子 力 発 電 会 社 (CYAPC)を 設 立 し 建 設 した 発 電 所 で 出 資 各 社 は 出 資 比 率 に 応 じた 電 力 引 取 を 行 い 廃 止 措 置 を 含 めた 費 用 を 負 担 することが 合 意 されていた 出 資 会 社 及 び 出 資 比 率 は 以 下 に 示 す 通 りとなっている xlviii Connecticut Light and Power Company (34.5 %); New England Power Company, for itself and as successor in interest to Montaup Electric Company (19.5 %); Boston Edison Company, (9.5 %) United Illuminating Company, (9.5 %) Western Massachusetts Electric Company (9.5 %); Central Maine Power Company (6 %); Public Service Company of New Hampshire (5 %); Cambridge Electric Light Company (4.5 %); Central Vermont Public Service Corporation (2 %) ハダムネックは 1996 年 12 月 に 運 転 を 恒 久 停 止 し 廃 止 措 置 が 開 始 された 廃 止 措 置 97

100 費 用 は 1996 年 の 運 転 停 止 後 廃 止 措 置 活 動 報 告 書 (PSDAR)では 約 4.27 億 ドル(1996 年 価 格 ) 2000 年 提 出 の 許 認 可 終 了 計 画 (LTP)では 独 立 使 用 済 燃 料 貯 蔵 施 設 (ISFSI)の 建 設 費 が 上 乗 せされて 約 5.23 億 ドル 43 であったのに 対 し 2006 年 提 出 の LTP 第 4 版 では 約 9.38 億 ドル 44 と 上 昇 した 費 用 の 増 加 は 当 初 は 確 認 されていなかったサイト 内 汚 染 が 発 見 されたことなどが 大 きく 影 響 している ( 金 額 はインフレ 調 整 前 インフレ 調 整 後 の 倍 率 では 2006 年 想 定 額 は 1996 年 想 定 額 の 約 2.4 倍 となる) xlix 廃 止 措 置 費 用 の 負 担 については 1997 年 に FERC への 届 出 が 行 われ 検 討 されていたが 2000 年 7 月 28 日 2000 年 1 月 以 降 の 活 動 に 係 る 費 用 想 定 額 (3.933 億 ドル 2000 年 1 月 価 格 ) l に 基 づき 2000 年 9 月 から 2007 年 6 月 迄 の 期 間 について 年 間 1,670 万 ドルの 資 金 を 10 社 が 拠 出 する 合 意 が FERC に 承 認 された この 費 用 想 定 は 1999 年 に 競 争 入 札 を 実 施 して 選 定 されたベクテル 社 のターンキー 方 式 での 固 定 金 額 契 約 での 解 体 廃 止 措 置 活 動 が 前 提 とされており ISFSI 建 設 費 用 も 含 んでいた li その 後 廃 止 措 置 費 用 の 大 幅 な 増 加 に 伴 い 2004 年 8 月 には 年 間 拠 出 金 額 を 2005 年 2 月 以 降 は 従 来 の 5 倍 以 上 の 9,300 万 ドルとすることが 決 定 された コネチカット 州 当 局 らは 費 用 増 の 大 部 分 は CYAPC の 管 理 不 足 による 不 適 正 な 費 用 であ るとして 同 州 内 の 最 終 消 費 者 への 転 嫁 に 反 対 する 申 立 てを 行 ったが FERC は 却 下 した 同 州 当 局 らは FERC が 承 認 した 電 力 購 入 契 約 と 廃 止 措 置 費 用 負 担 等 の 合 意 書 により ハ ダムネックの 廃 止 措 置 費 用 は FERC が 適 正 でないと 判 断 した 金 額 を 含 め 全 額 が 卸 電 力 購 入 者 ( 共 同 出 資 10 社 )に 転 嫁 されること 但 し 卸 電 力 購 入 者 は(FERC が) 適 正 と 決 定 した 金 額 についてのみ 小 売 価 格 に 転 嫁 できることの 確 認 を FERC に 求 めていた 卸 電 力 購 入 者 が 負 担 する 廃 止 措 置 費 用 は 各 社 の 電 気 料 金 に 転 嫁 されることとなる CYPAC の 最 大 株 主 であるコネチカット 電 灯 電 力 会 社 (CL&P)の 例 では コネチカット 州 では 電 力 市 場 が 自 由 化 されていることから FERC が 承 認 した 廃 止 措 置 費 用 の 増 加 額 につ いて 競 争 移 行 費 用 評 価 (CTA)の 改 定 を 承 認 している (CTA は 回 避 不 能 費 用 として 離 脱 需 要 家 からも 徴 収 される) lii 米 国 では 連 邦 電 力 法 の 規 定 による FERC の 卸 電 力 料 金 決 定 の 権 限 は 排 他 的 であり 州 の 規 制 当 局 には 再 評 価 の 余 地 はなく したがって FERC 承 認 の 卸 電 力 料 金 は 電 力 消 費 者 に 転 嫁 されねばならないことが 2003 年 6 月 の 連 邦 最 高 裁 判 決 で 確 定 している liii ハダムネックは 元 々プラントの 共 同 出 資 者 であった 電 力 購 入 者 が 廃 止 措 置 費 用 の 負 担 に も 合 意 していたという 意 味 で 契 約 義 務 として 費 用 増 を 負 担 することも 当 然 と 考 えられる ケースではあるが 自 由 化 市 場 において FERC の 料 金 決 定 により 回 収 が 行 われた 事 例 であ 年 PSDAR の 見 積 りは 1996 年 12 月 に FERC に 提 出 されたもので 自 社 での 廃 止 措 置 実 施 を 前 提 とし 使 用 済 燃 料 と GTCC は 2022 年 まで 湿 式 貯 蔵 することが 想 定 されていた 2000 年 LTP の 見 積 り も FERC に 提 出 されたもので 1999 年 迄 の 支 出 済 み 金 額 (1.69 億 ドル 1997~1999 名 目 価 格 )と 2000 年 以 降 の 費 用 想 定 (3.54 億 ドル 2000 年 価 格 )の 合 計 で ベクテル 社 へのターンキー 契 約 価 格 を 反 映 した ものとなっている ~2006 年 の 名 目 支 出 額 (7.53 億 ドル)と 2007 年 以 降 の 想 定 額 (1.65 億 ドル 2006 年 価 格 )の 合 計 98

101 り また FERC の 卸 料 金 決 定 と 各 州 における 小 売 料 金 への 反 映 について 示 す 事 例 となって いる ショアハム 発 電 所 ニューヨーク 州 ショアハム 発 電 所 は ロングアイランド 電 灯 会 社 (LILCO)が 1965 年 に 建 設 を 決 定 し 1969 年 に NRC に 許 認 可 申 請 を 行 った その 後 LILCO による 更 なる 原 子 力 発 電 所 建 設 計 画 の 表 明 に 住 民 らの 反 対 運 動 が 高 まり ショアハム プロジェクトも 遅 延 し 1973 年 に 建 設 が 開 始 された その 後 TMI 事 故 を 受 けて 原 子 炉 許 認 可 には 州 及 び 立 地 自 治 体 と 協 力 して 緊 急 時 計 画 を 策 定 することが 必 要 となったが ショアハムの 地 元 のサッフォーク 郡 は 事 故 時 の 迅 速 な 避 難 は 困 難 として 反 対 し 1983 年 2 月 には 同 郡 議 会 が 安 全 な 避 難 は 不 可 能 との 決 議 を 採 択 し ニューヨーク 州 知 事 に 新 たに 選 出 されたクオモ 知 事 も 郡 の 見 解 を 支 持 し LILCO の 緊 急 時 計 画 を 承 認 しないよう 命 令 した 一 方 NRC は 1981 年 にショアハムにおける 原 子 炉 運 転 の 安 全 性 を 確 認 し 1985 年 に は 5% 出 力 での 運 転 を 認 めた その 後 約 2 年 間 に 亘 りプラントは 間 歇 的 に 運 転 を 行 ったが 州 及 び 地 元 郡 の 反 対 は 変 わらず 州 と 自 治 体 が 承 認 しないままの 緊 急 時 計 画 の 有 効 性 が 争 われるなどの 状 況 が 続 いていた こうした 中 で プラントの 廃 止 を 求 める 州 と LILCO の 交 渉 が 続 き 最 終 的 には 1989 年 2 月 にニューヨーク 州 と LILCO の 合 意 が 成 立 し ショアハムは 同 6 月 に 恒 久 停 止 した ニューヨーク 州 と LILCO の 合 意 により ショアハム プラントはニューヨーク 州 の 特 別 法 45により 設 立 されるロングアイランド 電 力 公 社 (LIPA)が 1 ドルで 購 入 し 廃 止 措 置 に 責 任 を 持 つこと LILCO がプラントコストを 回 収 して 投 資 グレードの 状 態 に 復 帰 できるよう に LILCO の 電 気 料 金 に 割 増 金 を 認 めることなどが 決 定 された この 合 意 では LILCO に 対 し 1989 年 ~1990 年 は 約 5%の 値 上 げを 認 め その 後 1998 年 迄 の 期 間 について 4.5~ 5%の 料 金 値 上 げを 目 指 すものとされ この 合 意 に 沿 った 形 で 1991~1993 年 の 料 金 につい て 約 4.1%の 値 上 げが NY-PSC により 認 められた 46liv 1989 年 合 意 を 受 け LILCO は 料 金 ベースに 含 まれる 規 制 資 産 として 貸 借 対 照 表 上 に 財 務 資 源 資 産 約 42 億 ドルを 計 上 し 47 原 則 として 40 年 間 に 亘 り 償 却 し 電 気 料 金 による 回 収 を 行 う 形 が 取 られた この 財 務 資 源 資 産 は LILCO が 支 援 として 将 来 受 領 出 来 るキャッ シュフローの 正 味 現 在 価 値 (NPV)である その 後 1992 年 にショアハム 発 電 所 が LIPA 子 会 社 に 譲 渡 された また 1998 年 には 45 Long Island power authority Act(NY 州 法 典 1020 条 ~) 46 LIPA ウェブサイトでは 電 気 料 金 上 乗 額 (surcharge)は 3%で 30 年 間 と 記 されており 本 文 に 記 載 し た LILCO 財 務 報 告 書 情 報 とは 不 整 合 だが 詳 細 は 不 明 47 正 確 には 財 務 資 源 資 産 (FRA)は 1989 年 6 月 時 点 で 約 40 億 ドルの 基 本 財 務 要 素 (BFC)と 料 金 緩 和 要 素 (RMC)から 構 成 され 料 金 ベースに 含 まれるのは BFC 99

102 LIPA 子 会 社 が LILCO を 買 収 合 併 して 電 力 公 社 (LIPA) 48 となっている プラントの LIPA への 譲 渡 によりその 後 の 廃 止 措 置 費 用 は LIPA の 責 任 となったが (1998 年 の LILCO 買 収 までは)LILCO で 既 に 発 生 していた 廃 止 措 置 費 用 は 資 産 化 され 40 年 間 に 亘 り 電 気 料 金 か ら 回 収 されることとされた なお 1991 年 末 時 点 で 未 発 生 の 廃 止 措 置 費 用 の 見 積 額 は 1.86 億 ドルであった ニューヨーク 州 では 1998 年 以 降 に 電 力 市 場 自 由 化 が 進 められたが LIPA はショアハム 関 連 費 用 が 大 半 を 占 める 取 得 調 整 費 用 を 資 産 計 上 し LIPA の 電 気 料 金 から 回 収 してい る なお LIPA の 電 気 料 金 は NY-PSC ではなくニューヨーク 州 が 決 定 することが LIPA 設 置 法 で 規 定 されている 自 由 化 による LIPA の 顧 客 離 脱 状 況 は 確 認 できていないが 他 地 域 からの 電 力 購 入 時 の 取 得 調 整 費 用 付 加 ( 託 送 料 金 )に 関 するサッフォーク 郡 電 力 公 社 によ る FERC 申 立 て 事 例 によれば FERC も 取 得 調 整 費 用 の 付 加 を 認 めている lv この 申 立 て 事 例 では LIPA は 取 得 調 整 費 用 を 全 て 託 送 料 金 ( 配 電 費 用 )に 付 加 して 回 収 するとしたのに 対 し サッフォーク 郡 は 取 得 調 整 費 用 はショアハム 関 連 のコストが 殆 どで ストランデッド 発 電 資 産 の 費 用 であり したがってストランデッドコストとしての 認 定 が 必 要 などと 主 張 し FERC に 申 立 てが 行 われた FERC での 審 理 では サッフォー ク 郡 は 仮 に 取 得 調 整 費 用 の 付 加 が 認 められるとしても 配 電 部 分 のみに 割 り 当 てるので はなく 発 電 送 電 部 門 にも 比 例 配 分 すべきことも 主 張 したが 最 終 的 に LIPA の 取 得 調 整 費 用 は LILCO 送 電 配 電 資 産 取 得 のための 費 用 であるとの LIPA の 主 張 が 認 められ LIPA 小 売 価 格 算 定 の 基 準 に 基 づいた 取 得 調 整 費 用 の 付 加 が FERC により 認 められた なお ショアハムの 建 設 費 は 当 初 は 約 7 千 万 ドルと 見 積 もられていたが 1969 年 に NRC に 申 請 を 行 った 時 点 で 約 2.2 億 ドル 建 設 も 進 んだ 1978 年 には 約 13 億 ドルと 著 しく 増 加 し 最 終 的 には 廃 止 措 置 コストを 含 めて 約 60 億 ドルとなっていた ニューヨーク 州 に よれば 仮 に 運 転 を 行 っていた 場 合 には 発 電 単 価 は 全 米 一 の 高 さになったとされ ニュー ヨーク 州 PSC は LILCO には 建 設 管 理 の 不 備 があるとして 費 用 の 内 14 億 ドルについて 電 気 料 金 からの 回 収 を 否 認 した lvi ショアハム プロジェクトについては 規 制 経 済 環 境 の 懸 念 から LILCO 社 内 でも 1968 年 時 点 でプロジェクト 延 期 の 意 見 も 出 されていたが プロジェクト 実 施 が 役 員 会 で 決 定 さ れた その 後 原 子 炉 建 屋 の 拡 張 は 行 わないまま 原 子 炉 を 大 型 化 する 設 計 変 更 ストーン &ウェブスター 社 への 高 価 格 での 発 注 など 問 題 があったが 原 子 力 委 員 会 (AEC) 許 認 可 の 1969 年 国 家 環 境 政 策 法 (NEPA) 遵 守 義 務 を 認 めた 1971 年 の 判 決 の 後 に 建 設 に 向 けた 作 業 は 停 止 され 1973 年 4 月 の 建 設 許 可 取 得 までプロジェクトは 実 質 的 に 停 止 状 態 に 置 か れるなど プロジェクトは 遅 延 し 建 設 コストも 大 幅 に 上 昇 した これに 対 し NY-PSC は ショアハムの 建 設 費 の 適 正 (prudence) 審 査 の 結 果 約 14 億 ドルは 不 適 切 な 費 用 とする 決 定 を 1985 年 に 行 い 1987 年 のニューヨーク 州 最 高 裁 判 決 で 48 特 別 法 で 設 立 された 州 機 関 (LIPA)の 子 会 社 となるが 同 じ LIPA の 名 称 とされている なお 合 併 後 の 存 続 会 社 は LILCO 100

103 NY-PSC 決 定 が 確 定 した 本 決 定 で 参 照 された 1984 年 末 の 建 設 費 見 積 金 額 は 約 38.7 億 ド ルで 不 適 正 と 認 定 された 金 額 は 以 下 となっている 過 剰 な 工 学 的 コスト 140.8( 百 万 ドル 以 下 同 ) 過 剰 な 建 設 労 務 費 緊 急 ディーゼル 修 理 取 替 95.0 遅 延 コスト 総 額 の 2 分 の 否 認 額 合 計 1,394.6 プラントは 事 業 者 から 州 が 買 い 取 った 形 であり したがってその 後 の 廃 止 措 置 等 の 費 用 も 州 公 社 =ロングアイランド 地 区 の 電 気 料 金 により 回 収 されているが 当 初 は 建 設 に 反 対 をしていなかったニューヨーク 州 が 知 事 交 代 により 建 設 反 対 に 転 じ 法 的 要 件 に 基 づく 停 止 命 令 などではなく 交 渉 による 合 意 成 立 を 受 けてプラントの 商 業 運 転 開 始 前 に 廃 止 に 至 っ た 特 殊 な 事 例 と 考 えられる なお ショアハムの 事 例 は 建 設 が 完 了 した 時 点 でも 商 業 運 転 の 開 始 が 極 端 に 遅 れ また 実 現 しなかった 実 例 として 原 子 力 発 電 プラントの 新 設 に 係 る 許 認 可 リスクを 広 く 認 識 させることになったと 言 われている バーモントヤンキー 発 電 所 バーモントヤンキー 発 電 所 は 1972 年 に 商 業 運 転 を 開 始 した 出 力 1,912MWt の Mark I 型 BWR プラントで 2002 年 に 旧 公 益 事 業 者 であるバーモントヤンキー 原 子 力 発 電 会 社 か らエンタジー 社 に 売 却 され マーチャント プラントとなった 同 プラントの 売 却 に 際 し ては 州 政 府 とエンタジー 者 間 で 契 約 が 締 結 され プラントの 運 転 延 長 に 際 しては 州 の 公 益 性 証 明 (CPG)が 得 られることを 条 件 とするなどが 合 意 された 売 却 価 格 は 1.45 億 ドル( 燃 料 を 除 く)と 伝 えられ 旧 公 益 事 業 者 が 保 有 していた 廃 止 措 置 基 金 もエンタジー 社 に 譲 渡 され 以 後 の 廃 止 措 置 責 任 はエンタジー 社 が 負 うこととなっ た なお バーモント 州 は 非 自 由 化 州 で エンタジー 社 への 売 却 までは 廃 止 措 置 資 金 は 規 制 電 気 料 金 から 回 収 されていた その 後 バーモントヤンキーでは 冷 却 塔 一 部 の 崩 落 事 故 やトリチウム 漏 洩 事 象 時 の 偽 証 問 題 などが 相 次 いだこともあり バーモント 州 では CPG 発 給 に 際 して 州 議 会 の 承 認 が 必 要 とする 州 法 (Act 160)が 制 定 されるなど 同 プラントの 運 転 延 長 に 反 対 する 動 きが 強 まり エンタジー 社 が 州 法 は 違 憲 として 提 訴 し 係 争 が 続 いていた また NRC での 運 転 認 可 更 新 の 審 査 においても NRC 規 則 で 必 要 とされる 水 質 浄 化 法 (CWA)に 基 づく 州 当 局 の 証 明 をバーモント 州 の 公 共 サービス 省 (VTDPS)は 発 給 してお 49 NY 州 最 高 裁 判 決 では 総 遅 延 コストの 2 分 の 1 との NY-PSC 決 定 は 根 拠 詳 細 の 説 明 が 不 十 分 として 決 定 は 保 留 され NY-PSC に 差 し 戻 された 101

104 らず 古 い CWA 証 明 を 添 付 して 行 われた 運 転 認 可 申 請 を NRC が 受 理 し 更 新 を 許 可 した ことは NRC 規 則 に 反 するとして VTDPS は NRC を 提 訴 していた バーモントヤンキーの 廃 止 措 置 については 2007 年 時 点 のサイト 個 別 評 価 で 約 7.3~8.9 億 ドルとの 費 用 想 定 がなされ 2006 年 の 同 社 廃 止 措 置 資 金 状 況 報 告 書 で 示 された NRC 規 則 における 最 低 確 保 額 ( 約 4.8 億 ドル)を 大 きく 上 回 り 資 金 確 保 不 足 が 州 議 会 等 でも 議 論 さ れていた その 後 エンタジー 社 は 州 との 訴 訟 に 勝 訴 し 上 記 州 法 (Act 160)は 違 憲 とさ れたが 2013 年 8 月 には 経 済 性 を 主 な 理 由 として 2014 年 末 でのバーモントヤンキーの 閉 鎖 が 決 定 された 廃 止 措 置 について エンタジー 社 は 安 全 貯 蔵 (SAFSTOR) 戦 略 によることを 表 明 したが 早 期 の 解 体 サイト 解 放 を 求 める 州 との 間 で 交 渉 が 行 われ 2013 年 12 月 23 日 他 の 係 争 案 件 を 含 め 州 とエンタジー 社 の 合 意 が 締 結 された この 合 意 では バーモントヤンキー は 資 金 が 確 保 でき 次 第 早 期 に 解 体 を 開 始 し 廃 止 措 置 完 了 を 図 ることとされている そ の 他 州 は 2014 年 末 までの 運 転 について CPG を 発 給 すること エンタジー 社 は 地 元 郡 へ の 一 定 期 間 の 資 金 供 与 を 行 うことなども 合 意 には 規 定 されている 廃 止 措 置 費 用 について は 特 段 の 取 り 極 めはなく エンタジー 社 が 全 額 を 負 担 する バーモントヤンキーは 天 然 ガス 価 格 低 下 による 経 済 性 悪 化 を 主 な 理 由 として 閉 鎖 され たが 州 が CPG や 水 質 証 明 を 発 給 しないことにより 運 転 延 長 を 阻 止 しようとする 動 きが 続 き 係 争 関 係 が 長 期 化 していたことから 閉 鎖 決 定 には 州 の 影 響 もあったと 考 えられるが 廃 止 措 置 費 用 の 負 担 問 題 などは 事 業 者 責 任 として 大 きな 議 論 にはなっていない 2.6 まとめと 考 察 本 調 査 では 1990 年 代 から 電 気 事 業 規 制 緩 和 / 電 力 自 由 化 が 進 められてきた 米 国 におい て 電 力 自 由 化 が 原 子 力 発 電 事 業 に 与 えた 影 響 を 見 るとともに 競 争 市 場 環 境 下 で 原 子 力 発 電 プラントの 新 規 建 設 を 行 う 場 合 に 認 識 されるリスク 及 びその 結 果 としての 克 服 課 題 そして その 軽 減 等 を 図 るべく 検 討 導 入 された 諸 施 策 の 概 要 と 効 果 などについて 実 際 の 新 設 プロジェクトの 事 例 も 含 めて 調 査 整 理 した また 電 力 自 由 化 により 懸 念 される バックエンド 費 用 の 確 保 についても 米 国 における 制 度 を 踏 まえた 上 で 廃 止 措 置 資 金 確 保 に 係 る 実 際 の 事 例 を 参 照 しながら 報 告 を 行 った 本 調 査 の 対 象 は 広 範 なものとなっており 注 目 すべき 論 点 も 多 岐 に 亘 るが 電 力 自 由 化 による 競 争 市 場 環 境 における 原 子 力 政 策 を 考 える 上 では 競 争 市 場 下 での 原 子 力 発 電 の 経 済 性 自 由 化 で 増 加 するリスクと 資 金 調 達 の 可 能 性 の 2 点 に 大 きく 分 けることが 出 来 る また 視 点 を 変 えれば 廃 止 措 置 費 用 などバックエンド 資 金 の 確 保 問 題 は 原 子 力 安 全 等 に 影 響 し 得 るコストを 社 会 の 中 で 誰 が 負 担 するのが 公 正 かといった 従 来 の 電 気 事 業 規 制 下 では 表 面 化 していなかった 論 点 の 検 討 を 迫 るものと 言 える 102

105 2.6.1 電 力 自 由 化 と 原 子 力 発 電 の 経 済 性 電 気 事 業 規 制 緩 和 / 電 力 自 由 化 により 競 争 市 場 に 移 行 することで 発 電 事 業 の 収 益 は 市 場 価 格 に 依 存 することとなり 不 確 実 性 リスクが 増 大 する しかしながら このこと 自 体 は 全 電 源 に 共 通 するものであり 問 題 となるのは 原 子 力 発 電 に 特 有 なリスク 影 響 であ る この 原 子 力 発 電 の 経 済 性 にとって 特 に 重 要 なポイントとしては ベースロード 電 源 特 性 を 考 慮 したときの 市 場 価 格 の 問 題 資 金 調 達 コストが 上 昇 し 建 設 費 が 増 加 することによ る 発 電 コスト 上 昇 電 源 多 様 性 供 給 信 頼 度 や GHG 排 出 など 外 部 経 済 の 存 在 に 対 する 市 場 の 失 敗 などが 挙 げられる 卸 電 力 市 場 価 格 については 本 文 でも 示 したように 市 場 の 制 度 設 計 にも 依 存 はするが 1 日 前 取 引 市 場 などのスポット 市 場 価 格 は 原 子 力 発 電 の 特 性 から 深 夜 などオフピークの 需 要 が 少 ない 時 間 帯 の 価 格 も 相 対 的 に 重 要 となる その 意 味 で 取 引 市 場 におけるオフピ ーク 負 荷 のレベルとともに 今 後 も 増 加 が 予 想 される 風 力 発 電 の 動 向 取 扱 いを 含 めた 検 討 が 必 要 と 考 えられる なお スポット 市 場 価 格 は 相 対 取 引 などにおける 価 格 の 指 標 に もなるため 通 常 は 中 長 期 の PPA 契 約 等 を 確 保 している 原 子 力 発 電 プラントにおいても 重 要 である 特 に PPA 更 新 時 の 電 力 価 格 市 況 が 大 きなリスク 要 因 となり 得 るのは キウォ ーニ 発 電 所 の 例 でも 見 られた 通 りである なお 米 国 における 原 子 力 発 電 特 にマーチャ ント プラントの 苦 境 は シェールガス 革 命 による 天 然 ガス 価 格 の 大 幅 な 低 下 が 主 要 な 要 因 となっていることから 輸 入 LNG 等 に 依 存 する 現 時 点 の 我 が 国 の 状 況 にそのまま 当 ては まるものとはならないが オフピーク 時 などの 問 題 構 造 は 共 通 と 考 えられる 建 設 費 の 問 題 については 基 本 的 には 次 に 採 り 上 げる 資 金 調 達 リスクに 関 連 するもので あるが 電 力 自 由 化 による 競 争 市 場 への 移 行 は 所 謂 原 子 力 プレミアムを 増 幅 し 資 金 調 達 コストを 押 し 上 げ 建 設 費 が 巨 額 に 上 る 原 子 力 発 電 プラント 建 設 のプロジェクトコスト を 大 きく 増 加 させる 可 能 性 がある 米 国 における 原 子 力 ルネッサンス 衰 退 の 顛 末 を 見 ても 最 終 的 な 新 設 意 欲 の 消 失 はシェールガス 革 命 による 天 然 ガス 価 格 の 低 下 による 影 響 が 大 き いとは 言 えるが カルバートクリフス 増 設 プロジェクトに 見 る 連 邦 債 務 保 証 プログラムの 適 用 不 調 とプロジェクト 撤 退 の 動 きは 天 然 ガス 価 格 低 下 前 の 環 境 においてもマーチャン ト プラントの 新 設 が 困 難 であった 状 況 を 示 すものと 言 える この 問 題 については 次 項 の 資 金 調 達 問 題 の 中 でさらに 検 証 する 外 部 性 については 我 が 国 においても 過 去 からのエネルギー 政 策 論 議 において 採 り 上 げ られてきた 問 題 であり 内 容 的 に 目 新 しいものではない しかしながら 米 国 で 実 際 にプ ラント 閉 鎖 などの 動 きの 背 景 として 見 られ 原 子 力 産 業 界 などが 市 場 設 計 の 欠 陥 と 強 く 主 張 してきているのは 外 部 性 を 競 争 市 場 の 制 度 設 計 に 反 映 することの 困 難 さ すなわち 市 場 の 失 敗 の 問 題 である 例 えば 我 が 国 における 将 来 のエネルギー/ 電 力 供 給 体 制 を 考 え るとき 供 給 安 定 性 /エネルギー 安 全 保 障 GHG 排 出 問 題 系 統 信 頼 度 への 寄 与 など 原 子 力 発 電 プラントが 有 する 外 部 経 済 は 政 策 構 築 に 際 して 考 慮 することが 出 来 るが 競 争 市 場 においては 価 格 決 定 メカニズムに 織 り 込 まれない 限 り これらの 要 素 は 価 格 つまり 最 終 103

106 的 な 意 思 決 定 に 反 映 されない 規 制 州 / 非 規 制 州 が 混 在 する 米 国 における 状 況 は この 両 者 の 差 を 鮮 明 に 表 わしたものとなっている 米 国 では 一 時 は 20 弱 もあった 原 子 炉 新 設 プ ロジェクトの 中 で 実 現 に 至 ったのは 何 れも 規 制 州 に 立 地 する 2 プロジェクトのみとなって いる この 2 プロジェクトが 進 められているジョージア 州 及 びサウスカロライナ 州 では 原 子 力 発 電 プラントは 天 然 ガス CCGT と 比 較 してコスト 的 に 不 利 な 状 況 を 認 識 した 上 で 安 定 性 クリーン 性 及 び 天 然 ガス 価 格 など 将 来 の 不 確 実 性 への 備 えなどを 考 慮 して プ ラントの 建 設 承 認 に 至 ったものと 考 えられる 電 気 事 業 は 電 源 ミックスのダイナミクスを 通 じて 国 の 一 次 エネルギー 供 給 構 造 を 大 き く 規 定 するものとなる 外 部 性 要 因 を 考 慮 した 検 討 のためには 例 えば 容 量 市 場 などの 制 度 設 計 のあり 方 など 政 策 意 思 を 反 映 可 能 な 市 場 制 度 の 構 築 が 必 要 となる 電 力 自 由 化 と 原 子 力 プロジェクトの 資 金 調 達 の 可 能 性 この 論 点 は 本 調 査 の 主 要 なテーマの 一 つであり 米 国 の 関 係 者 へのヒアリングを 含 めて 調 査 を 行 ったが 米 国 では 資 金 調 達 問 題 が 原 子 炉 新 設 プロジェクトの 鍵 を 握 る 問 題 として 早 くから 認 識 され 2005 年 エネルギー 政 策 法 で 連 邦 債 務 保 証 プログラムなどとして 対 応 が 図 られたものの 結 果 として 有 効 に 機 能 しなかったことが 改 めて 確 認 された 連 邦 債 務 保 証 プログラムは 最 終 的 に 2014 年 2 月 にヴォーグル プロジェクトに 対 して 発 行 が 決 定 し たが ヴォーグルは 債 務 保 証 が 得 られない 場 合 でも 実 施 可 能 とされていたプロジェクトで あり 逆 に 債 務 保 証 が 不 可 欠 と 言 われたマーチャント プラントのカルバートクリフスプ ロジェクトでは 債 務 保 証 プログラムは 全 く 貢 献 できずに 終 わった 同 じくエネルギー 政 策 法 で 導 入 された 待 機 支 援 プログラムは そもそも 適 用 が 現 実 的 でないプログラムと 関 係 者 は 評 価 している 特 に 連 邦 債 務 保 証 プログラムの 不 調 は その 規 制 /マーチャント 両 プロジェクトに 対 する 算 定 保 証 率 の 差 の 大 きさで 電 力 自 由 化 による 原 子 力 プレミアムの 問 題 を 奇 しくも 示 した 形 となっている 米 国 で 導 入 された 原 子 力 施 設 向 けの 債 務 保 証 プログラムは 政 府 に よる 補 助 ではない 位 置 付 けとされ 実 際 手 数 料 も 含 め 理 論 上 は 財 政 中 立 のプログラ ムとして 運 用 された しかしながら 財 政 中 立 であるためには 保 証 によるリスクを 保 証 料 に 全 額 反 映 することが 必 要 となるため 当 初 関 係 者 が 期 待 していたマーチャント プラン ト 建 設 への 有 効 策 にはなり 得 ないことになる その 意 味 で OMB の 対 応 で 示 された 政 府 大 での 信 用 供 与 の 大 原 則 を 恣 意 的 に 変 更 することが 望 ましくないと 前 提 するならば 原 子 力 発 電 プラント 向 けの 債 務 保 証 プログラムは 金 融 界 等 が 懸 念 する 様 々なリスクを 消 せる 制 度 として 仕 上 がっていなかったと 言 える これは 原 子 力 発 電 への 補 助 として 施 策 を 導 入 することが 米 国 では 政 治 的 に 成 立 し 得 なかったということなのかもしれないが 何 れにし ても 立 法 者 らの 政 治 的 意 思 とは 別 に 立 法 論 的 な 限 界 が 確 認 された 制 度 と 言 えそうである また 債 務 保 証 プログラムについては 政 府 による 債 務 保 証 制 度 そのものに 内 在 する 問 題 も 確 認 された 債 務 保 証 プログラムによる 納 税 者 負 担 を 最 小 限 に 抑 制 するためには 保 104

107 証 対 象 のプロジェクトや 事 業 者 のリスクの 適 切 な 評 価 が 不 可 欠 になるとともに 仮 に 保 証 先 で 破 綻 が 発 生 した 場 合 においてもプログラム 全 体 としてのリスク 負 担 が 想 定 範 囲 内 に 留 まる 期 待 が 重 要 となる GAO のレポートで 指 摘 されたように これは 少 額 多 件 数 の 再 生 可 能 エネルギープロジェクトには 当 てはまるのに 対 し 原 子 力 プロジェクトでは 少 数 の 巨 額 なプロジェクトが 保 証 対 象 となるため 1 件 の 破 綻 によりプログラム 全 体 が 破 綻 してしま う 可 能 性 が 高 い 50 さらに プロジェクトの 審 査 も 個 別 特 殊 性 が 高 いため 審 査 側 に 知 見 の 蓄 積 が 難 しく また 申 請 者 以 上 のリスク 評 価 は 困 難 なためリスク 過 小 評 価 のプロジェクトの みに 保 証 が 発 行 されやすいという 内 在 的 な 危 険 性 プログラムの 限 界 を 有 していると 考 え られる なお 資 金 調 達 問 題 は 米 国 の 自 由 化 市 場 では 紛 れもなく 最 優 先 の 課 題 であったが 米 国 では 電 気 事 業 者 の 規 模 が 小 さい 市 中 金 利 や 資 本 コスト( 期 待 収 益 率 )が 高 い 自 己 資 本 比 率 が 高 く 許 容 される 財 務 レバレッジが 低 いなど 金 融 界 の 対 応 も 含 め 我 が 国 とは 資 金 調 達 に 関 する 事 情 環 境 には 大 きな 相 違 がある したがって 日 本 型 の 対 応 においては 位 置 付 けや 論 点 も 異 なったものになると 考 えられるが 債 務 保 証 型 のプログラムの 原 子 力 プロジェクトへの 適 用 は 限 界 があると 言 えそうである 電 力 自 由 化 後 のコスト 負 担 のあり 方 2.5 節 で 事 例 を 含 めて 報 告 したように 米 国 では 一 部 で 増 額 費 用 の 制 限 などはあるもの の 電 力 自 由 化 を 行 った 州 の 全 てで 廃 止 措 置 費 用 の 規 制 料 金 からの 回 収 が 認 められている これは 基 本 的 にはストランデッドコストの 回 収 を 認 める 論 理 と 同 様 の 対 応 と 考 えられる が ストランデッドコストの 回 収 については 期 間 金 額 などに 条 件 を 課 しながら 廃 止 措 置 費 用 の 回 収 については 別 枠 として 自 由 化 後 に 増 加 が 判 明 した 金 額 も 含 め 全 額 の 回 収 を 認 めている 州 も 多 い 今 回 の 調 査 では 各 州 における 電 力 自 由 化 の 制 度 設 計 当 時 の 議 論 の 内 容 にまでは 踏 み 込 んでいないため 詳 細 は 不 明 ではあるが 米 国 では 廃 止 措 置 資 金 の 確 保 は 市 民 の 安 全 や 環 境 を 防 護 する 原 子 力 安 全 上 の 要 求 事 項 と 明 確 に 位 置 付 けられていること も 影 響 しているように 考 えられる また 廃 止 措 置 費 用 の 全 額 の 確 保 が 重 要 と 認 識 された 後 は その 費 用 を 誰 が 負 担 すべき かの 問 題 となるが 米 国 では 原 子 力 発 電 の 便 益 を 享 受 した 者 による 受 益 者 負 担 の 原 則 と ともに 発 電 開 始 時 には 既 に 発 生 した 債 務 と 言 える 廃 止 措 置 費 用 については 規 制 環 境 下 で 回 収 を 予 定 していた 全 顧 客 からの 回 収 が 公 正 と 認 識 されているものと 思 われる これは 事 業 者 と 規 制 者 の 関 係 で 言 えば ストランデッドコストの 回 収 に 係 る 規 制 上 の 盟 約 の 概 念 に 基 づくものとなるが 底 流 には 資 産 除 去 債 務 の 扱 いに 見 られる 債 務 の 認 識 があると 考 えられる 50 その 意 味 で 小 型 モジュール 炉 (SMR)は 債 務 保 証 プログラムに 馴 染 みやすい 可 能 性 がある エネルギ ー 長 官 も 債 務 保 証 枠 の 残 額 を SMR に 適 用 する 可 能 性 を 示 唆 している 51 明 示 的 に 補 助 と 位 置 付 ける 場 合 には 保 証 料 問 題 は 解 消 可 能 だが 少 数 巨 額 プロジェクトという 特 性 に よるリスク 問 題 は 依 然 として 存 在 する 105

108 資 産 除 去 債 務 は 国 際 会 計 基 準 (IAS)への 適 合 (コンバージェンス)の 一 環 として 我 が 国 でも 平 成 22 年 度 から IAS-37 号 に 相 当 する 新 会 計 基 準 が 適 用 されているが 米 国 では 既 に 1994 年 から IAS-37 号 に 相 当 する 財 務 会 計 基 準 審 議 会 基 準 (SFAS) 第 143 号 の 検 討 が 開 始 されていた SFAS-143 号 が 最 終 的 に 発 行 されたのは 2001 年 6 月 であるが 1996 年 には 公 開 草 案 が 公 表 され コメント 募 集 も 行 われていた この SFAS-143 号 の 検 討 が 開 始 されたのは エジソン 電 気 協 会 (EEI)の 要 請 が 契 機 となっている EEI が 示 した 論 点 の 多 くは 会 計 上 の 整 合 性 等 からの 議 論 であったが 廃 止 措 置 義 務 は 会 計 上 の 債 務 の 概 念 に 該 当 するものであり 運 転 開 始 時 に 全 債 務 を 認 識 すべきといった 議 論 が 行 われている 米 国 におけるこれらの 議 論 経 緯 を 踏 まえると 電 力 自 由 化 後 の 廃 止 措 置 資 金 の 確 保 問 題 の 検 討 においては 先 ずは 全 ての 費 用 が 電 気 事 業 者 において 認 識 され 開 示 されること が 重 要 と 考 えられる 全 体 として 米 国 では 連 邦 制 を 始 めとして 電 気 事 業 の 体 制 制 度 電 気 事 業 者 の 規 模 体 力 原 子 力 規 制 など 原 子 力 発 電 事 業 を 取 り 巻 く 環 境 は 我 が 国 と 異 なる 点 も 多 いほか 例 えば 契 約 概 念 や 徹 底 した 経 済 性 議 論 など 国 民 性 や 企 業 文 化 に 係 る 相 違 点 も 多 い この ため 本 報 告 で 確 認 された 内 容 や 上 に 示 したポイントなどは 我 が 国 にそのまま 当 てはまら ないものも 多 いが 経 済 性 論 理 が 貫 かれている 米 国 における 動 きは 本 格 的 な 電 力 自 由 化 に 向 けた 検 討 に 様 々な 示 唆 を 与 えてくれるものと 考 えられる 106

109 i Federal Power Act (16 U.S.C. 791a, et al), June 10, 1920, Chapter 285 ii FERC, An Overview of the Federal Energy Regulatory Commission and Federal Regulation of Public Utilities in the United States, December 2010 iii NEI, U.S. Nuclear Power Plant Operators, Owners and Holding Companies iv Exelon Corporation, FORM 10-K, December 31, 2013 v Exelon Corporation, 2012 Fact Book vi Entergy Corporation, FORM 10-K, December 31, 2013 vii Entergy Corporation, 2012 Investor Guide(エンタジー 社 ウェブページ, viii Duke Energy, FORM 10-K, December 31, 2013 ix TVA ウェブページ Watts Bar Nuclear Plant" 2012 年 4 月 5 日 TVA プレスリリース x 2009 年 7 月 1 日 付 エクセロン 社 2012 年 8 月 28 日 付 エクセロン 社 xi NRC, NRC Reschedules Review on New Reactor Application for Nine Mile Point, Cancels Feb. 25 Meeting NRC ウェブページ Application Review Schedule for the Combined License Application for Nine Mile Point, Unit 3 xii NRC, 10 CFR Part 50, Licenses, Certifications, and Approvals for Nuclear Power Plants xiii White House (National Energy Policy Development Group), National Energy Policy, May 2001 xiv DOE (Nuclear Energy Research Advisory Committee), A Roadmap to Deploy New Nuclear Power Plants in the United States by 2010, October 31, 2001 xv DOE, Volume 3 Department of Energy FY 2005 Congressional Budget Request xvi 2004/11/04 付 米 国 エネルギー 省 プレスリリース xvii 2005/09/22 付 エンタジー 社 プレスリリース xviii DOE, Volume 3 Department of Energy FY 2005 Congressional Budget Request xix DOE, 10 CFR Part 609, Loan Guarantees for Projects that Employ Innovative Technologies xx DOE, Loan Guarantee Solicitation Announcement Federal Loan Guarantees for Nuclear Power Facilities, DE-FOA , July 11, 2008 xxi DOE, 10 CFR Part 950, Standby Support for Certain Nuclear Plant Delays xxii Department of the Treasury, Internal Revenue Service, Internal Revenue Bulletin, No , Credit for Production From Advanced Nuclear Facilities, Notice , May 1, 2006 xxiii NRC ウェブサイト xxiv CRS, Nuclear Energy Policy, June 20, 2012 xxv ヒアリング 情 報 xxvi Secretary of Energy Advisory Board (DOE), Moving Forward with Nuclear Power:Issues and Key Factors - Final Report of the Secretary of Energy Advisory Board Nuclear Energy Task Force, January 10, 2005 xxvii EEI, 2012 Financial review Annual Report on the US Shareholder-Owned Electric Utility Industry, May 2013 xxviii NRC, 10 CFR Part 20, Standards for Protection Against Radiation xxix NRC, Regulatory Guide 1.184, Decommissioning of Nuclear Power Reactors, Revision 1, October 2013 xxx NRC, Regulatory Guide 1.159, Assuring the Availability of Funds for Decommissioning Nuclear Reactors, Revision 2, October 2011 xxxi NRC, Report on Waste Burial Charges, NUREG-1307, Rev. 15, January 2013 xxxii NRC, 10 CFR Part Final Policy Statement on the Restructuring and Economic Deregulation of the Electric Utility Industry, Final Policy Statement, Federal Register, Vol. 62, No. 160 / Tuesday, August 19, 1997 xxxiii NRC, 10 CFR Part Financial Assurance Requirements for Decommissioning Nuclear Power, Final Rule, Federal Register /Vol. 63, No. 183/Tuesday, September 22, 1998 xxxiv NRC, Summary Findings Resulting from the Staff Review of the 2013 Decommissioning Funding Status Reports for Operating Power Reactor Licensees, SECY , October 2, 2013 xxxv NRC, Summary of Decommissioning Funding Status Reports for Nuclear Power Reactors, SECY , October 6, 2009 xxxvi NEI, Stranded Costs, Decommissioning Provisions of Commission Order or Legislative Statute, 107

110 December 2001 xxxvii NEI, Stranded Cost, Decommissioning -- Provisions of Commission Order or Legislative Statute, December 2001 xxxviii Pennsylvania Public Utility Commission, Order, December 11, の NDCA 決 定 xxxix PECO Energy Company, Re: Docket No. R Nuclear Decommissioning Cost Adjustment (NDCA) xl PECO Energy Company, Application of PECO Energy Company for Approval of its Restructuring Plan under Section 2806 of the Public Utility Code, Exhibit 1, Volume II, April 1, 1997 xli Exelon Corporation, Application for License Transfers and Conforming Administrative License Amendments, December 20, 1999 xlii Pennsylvania Public Utility Commission, Re: Docket No. R PECO Energy Company Nuclear Decommissioning Cost Adjustment Clause (NDCA) Supplement No. 62 to Tariff Electric Pa. P.U.C. No. 4, December 31, 2012 xliii S.B.7 (76(r)), An Act relating to electric utility restructuring and to the powers and duties of the Public Utility Commission of Texas, Office of Public Utility Counsel, and Texas Natural Resource Conservation Commission; providing penalties, June 18, 1999 xliv Texas Utilities Code, Chapter 39. Restructuring of Electric Utility Industry xlv Public Utility Commission of Texas, Electric Substantive Rules, Chapter 25 Substantive Rules Applicable to Electric Service Providers xlvi NRG Energy, Inc., NRG's Annual Report on Form 10-K for the year ended December 31, 2012 xlvii STP Nuclear Operating Company, South Texas Project Units 1 and 2, Decommissioning Funding Status Report (2001, 2007, 2011, 2013 年 版 など) xlviii FERC, Order xlix NIS, 0803 l Offer of Settlement, Docket No. ER , II. Terms of Settlement, Section B, Decommissioning Issues, filed April 7, 2000 li FERC, Order lii DPUC CLnP Standard Offer and CTA re liii Entergy Louisiana v Louisiana PSC liv LILCO Form lv FERC Initial Decision, March 12, 2003 lvi LILCO v. PUB. SERV. COMMN 108

111 3 英 国 3.1 電 力 市 場 制 度 と 原 子 力 ( 発 電 ) 政 策 の 変 遷 英 国 では 1988 年 に 白 書 電 力 自 由 化 が 発 行 され 同 白 書 にて 事 業 者 競 争 を 導 入 するた めの 新 産 業 構 造 や 競 争 を 促 進 するための 枠 組 みについての 概 要 など 電 力 事 業 の 自 由 化 方 針 が 示 された 同 白 書 では イングランド ウェールズにおいて 発 送 電 事 業 を 独 占 して 担 っ ていた 中 央 電 力 発 電 庁 (CEGB)の 発 電 事 業 の 解 体 と 分 社 民 営 化 送 電 事 業 の 分 離 と 送 電 会 社 の 設 立 が 提 案 された このような 電 力 事 業 の 自 由 化 に 向 け 1989 年 に 電 気 法 が 制 定 され 1990 年 3 月 に 電 力 事 業 を 再 編 するためのの 同 法 の 条 文 が 発 効 した lvii, lviii 1988 年 白 書 の 方 針 通 り 1990 年 に 中 央 電 力 発 電 庁 (CEGB)が 以 下 のとおり 3 社 の 発 電 会 社 と 1 社 の 送 電 会 社 に 分 割 され 以 降 一 部 を 除 いて 段 階 的 に 事 業 が 民 営 化 されていっ た National Power 社 ( 火 力 発 電 事 業 ) PowerGen 社 ( 火 力 発 電 事 業 ) Nuclear Electric 社 ( 原 子 力 発 電 事 業 ) National Grid 社 ( 送 電 事 業 ) 同 様 に スコットランドでも 南 スコットランド 電 力 庁 (SSEB)と 北 スコットランド 水 力 電 力 庁 (NSHEB)が 発 電 送 電 配 電 事 業 を 行 うスコティッシュ パワー(SP) 社 と Scottish Hydro-Electric 社 および 原 子 力 発 電 事 業 を 行 う Scottish Nuclear 社 に 分 割 され 段 階 的 に 民 営 化 された なお 原 子 力 発 電 事 業 の 民 営 化 に 関 しては 主 に 巨 額 の 資 本 費 用 とバックエンド 費 用 に より 化 石 燃 料 発 電 よりも 発 電 費 用 が 高 い 上 に 新 規 に 加 圧 水 型 原 子 炉 (PWR)を 建 設 する ための 資 金 調 達 費 用 や 既 存 のガス 改 良 炉 (AGR)の 運 転 実 績 に 関 する 懸 念 から 民 営 化 の 検 討 は 1994 年 まで 先 送 りにされた 電 力 自 由 化 の 過 程 で 1990 年 から 卸 売 電 力 市 場 の 電 力 プール 制 度 が 導 入 された 英 国 の プール 制 度 は 発 電 事 業 者 と 需 要 家 を 強 制 的 に 市 場 に 参 加 させる 形 で 開 始 され 系 統 運 用 者 の 調 整 のもと 発 電 事 業 者 が 発 電 電 力 のほぼ 全 量 をプールに 投 入 し 配 電 事 業 者 は 原 則 としてプールから 電 力 を 調 達 するという 形 が 取 られた なお 当 初 のプール 制 度 下 では 少 数 の 大 規 模 契 約 を 除 いて 発 電 事 業 者 と 需 要 家 間 での 直 接 の 相 対 取 引 は 認 めらていなかっ た lix, lx, lxi 109

112 プール 制 度 における 電 力 供 給 者 の 選 定 においては 競 争 入 札 プロセスが 導 入 され 発 電 事 業 者 は 毎 日 午 前 10 時 までに 翌 日 の 30 分 毎 の 入 札 価 格 を 提 示 することとなっていた な お 発 電 事 業 者 には 提 示 後 の 入 札 価 格 の 変 更 は 認 められなかったが 供 給 電 力 量 の 変 更 は 常 に 可 能 であった 系 統 運 用 者 は 当 該 需 要 に 対 して 入 札 価 格 の 安 い 供 給 先 から 順 に 発 電 電 力 の 割 当 を 行 う 形 で 落 札 者 を 決 定 していた 原 子 力 発 電 事 業 者 は 系 統 接 続 を 維 持 するため ゼロまたはゼロに 近 い 価 格 での 入 札 を 行 わざるを 得 なかった またガス 火 力 発 電 事 業 者 も テイク オア ペイ 52 のガス 供 給 契 約 を 締 結 していたことから 継 続 的 な 発 電 による 電 力 供 給 のため 原 子 力 発 電 と 同 様 にゼロま たはゼロに 近 い 価 格 での 入 札 を 行 うことが 通 常 となっていた しかし 落 札 した 発 電 事 業 者 による 供 給 電 力 に 対 しては 入 札 価 格 ではなく 系 統 限 界 価 格 (SMP)と 設 備 要 素 価 格 (CE)からなるプール 買 取 価 格 (PPP)が 適 用 された SMP は 入 札 価 格 のうちの 最 高 落 札 価 格 とされ CE は 不 測 の 急 な 需 要 増 や 発 電 事 業 者 の 不 備 によ る 供 給 不 足 をカバーするために 事 業 者 に 供 給 予 備 力 を 保 持 しておくインセンティブを 与 え るために 別 途 設 定 される 価 格 とされていた また プール 制 度 の 開 始 当 初 から プール 価 格 (SMP CE PPP)およびプール 販 売 価 格 ( PSP)の 変 動 リスクをヘッジするために 発 電 事 業 者 と 配 電 事 業 者 は 差 額 決 済 契 約 (CfD) を 締 結 していた なお この CfD には 以 下 のような 2 種 の 契 約 形 態 があった プール 価 格 が 契 約 価 格 を 超 過 した 場 合 に 発 電 事 業 者 がその 差 額 を 配 電 事 業 者 に 支 払 う プール 価 格 が 契 約 価 格 を 超 過 した 場 合 に 配 電 事 業 者 がその 差 額 を 発 電 事 業 者 に 支 払 い プール 価 格 が 契 約 価 格 を 下 回 った 場 合 に 発 電 事 業 者 がその 差 額 を 配 電 事 業 者 に 支 払 う CfD により 発 電 事 業 のプロジェクト リスクが 低 減 され 金 融 機 関 もプロジェクト コ ストの 90%を 超 過 するようなデット ファイナンスを 提 供 するのが 普 通 であった また CfD が 無 ければ 事 業 者 の 新 規 参 入 ペースもより 遅 いものであったとみられている 英 国 政 府 は 1994 年 に 英 国 における 原 子 力 発 電 の 将 来 見 通 しに 関 するレビュー 報 告 書 を 発 行 し その 中 で 原 子 力 発 電 事 業 も 民 営 化 する 意 向 を 示 した 英 国 政 府 は 1995 年 に 国 営 のマグノックス 社 と 民 営 のブリティッシュ エナジー(BE 社 )を 創 設 し この 2 社 に Nuclear Electric 社 の 原 子 力 発 電 事 業 を 実 施 させる 方 針 を 示 した 国 営 と 民 営 の 2 社 にした 理 由 は 採 算 性 の 悪 いガス 冷 却 炉 (GCR)は 国 営 のマグノックス 社 に 採 算 性 の 良 い 改 良 型 ガス 炉 (AGR)と 加 圧 水 型 原 子 炉 (PWR)は 民 営 化 して BE 社 に 移 譲 するためであった 1996 年 3 月 31 日 に 原 子 力 発 電 事 業 が 民 営 化 され 創 設 された BE 社 は Nuclear Electric 社 から 6 カ 所 の 原 子 力 発 電 所 (AGR 5 カ 所 PWR 1 カ 所 ) Scottish Nuclear 社 から 2 カ 所 の 原 子 力 発 電 所 (AGR)を 引 き 継 いだ 52 発 電 所 で 実 際 にガスを 利 用 したか 否 かにかかわらず 事 前 に 合 意 したガスの 年 間 供 給 量 に 対 して 発 電 事 業 者 が 支 払 う 義 務 を 負 う 契 約 条 項 110

113 1997 年 に 入 ると 英 国 政 府 は 価 格 決 定 に 需 要 家 の 参 加 の 余 地 がなく 大 手 発 電 事 業 者 に よる 価 格 操 作 がされやすいメカニズムであることなどの 問 題 点 が 指 摘 された 電 力 プール 制 度 についての 見 直 しを 開 始 した 英 国 政 府 はこの 見 直 しの 結 果 2001 年 3 月 に 新 電 力 取 引 制 度 (NETA)を 電 力 プール 制 度 に 代 わる 制 度 として 導 入 することした なお 2005 年 4 月 からは 2004 年 エネルギー 法 によって 導 入 された 英 国 電 力 取 引 送 電 (BETTA) 制 度 によ り イングランド ウェールズ スコットランドにおける 単 一 卸 売 電 力 市 場 が 誕 生 してい る 現 在 では 約 98%の 取 引 が 相 対 取 引 または 取 引 所 での 取 引 となっている 2001 年 の NETA の 導 入 以 降 卸 売 電 力 市 場 では 発 電 事 業 者 と 需 要 家 が 相 対 での 取 引 を 行 えるようになった 電 力 市 場 での 自 由 取 引 と 競 争 を 促 進 する NETA の 導 入 は ベースロー 電 源 であり 負 荷 追 従 など 柔 軟 性 の 乏 しい 原 子 力 発 電 には 不 利 益 に 働 いた NETA の 導 入 以 降 2002 年 10 月 までに 卸 売 電 力 価 格 は 20% 以 上 も 急 落 した 主 にこの 価 格 急 落 によって また 同 時 期 にいくつかの 原 子 力 発 電 所 が 計 画 外 停 止 をし 設 備 利 用 率 が 下 がったこと 等 も 影 響 して 小 売 事 業 を 持 たず 原 子 力 発 電 事 業 にほぼ 全 面 的 に 依 存 していた BE 社 の 財 務 状 況 は 急 激 に 悪 化 した BE 社 は この 状 況 下 で 2002 年 9 月 に 英 国 政 府 に 対 して 緊 急 財 政 支 援 を 求 めた 英 国 政 府 は 当 時 発 電 電 力 量 の 20%を 占 めていた 原 子 力 発 電 の 安 全 と 電 力 安 定 供 給 の 面 から BE 社 に 短 期 緊 急 融 資 を 実 施 することを 決 定 し BE 社 の 立 て 直 しに 着 手 した lxii, lxiii その 後 英 国 政 府 は 2003 年 2 月 エネルギー 白 書 英 国 のエネルギーの 将 来 : 低 炭 素 経 済 の 創 設 を 発 行 した 同 白 書 では 2050 年 までに 二 酸 化 炭 素 の 排 出 を 1990 年 比 で 約 60% 削 減 すること エネルギーの 安 定 供 給 の 維 持 持 続 可 能 な 経 済 成 長 率 と 生 産 性 の 向 上 のた めのエネルギー 市 場 の 競 争 促 進 適 正 価 格 での 適 切 な 暖 房 の 家 庭 への 供 給 確 保 の 4 つの 目 標 が 掲 げられた また 同 白 書 では 原 子 力 発 電 は 経 済 性 や 放 射 性 廃 棄 物 の 問 題 を 理 由 に 推 進 はしないが 将 来 のエネルギー ミックスに 貢 献 できるオプションとして 今 後 も 維 持 す るという 方 針 (KNNO:Keep the Nuclear Option Open)が 示 された KNOO のもと 英 国 政 府 は 原 子 力 発 電 に 関 する 研 究 開 発 等 は 継 続 して 実 施 していくとした lxiv しかし 北 海 での 石 油 ガスの 生 産 量 の 減 少 エネルギー 価 格 の 高 騰 電 力 純 輸 入 の 増 加 将 来 の 発 電 所 の 閉 鎖 による 電 力 安 定 供 給 への 懸 念 や 地 球 温 暖 化 対 策 としての 再 生 可 能 エネルギーの 拡 大 が 予 定 通 りに 進 んでいないことから 英 国 政 府 はエネルギー 政 策 のレビ ューを 開 始 した このレビューの 結 果 を 受 けて 英 国 政 府 は 2008 年 1 月 に 原 子 力 白 書 を 発 行 し 以 下 のような 考 えを 示 して エネルギー セキュリティと 地 球 温 暖 化 対 策 のため 原 子 力 発 電 を 推 進 していく 方 針 を 以 下 のとおり 示 した lxv 英 国 政 府 は 気 候 変 動 とエネルギー セキュリティの 脅 威 という 非 常 に 難 しい 課 題 に 111

114 対 応 するため 新 規 原 子 力 発 電 所 の 建 設 を 認 める 決 定 をした 英 国 政 府 は 原 子 力 発 電 を 以 下 のように 結 論 づける 低 炭 素 である: 気 候 変 動 の 悪 化 を 最 小 限 化 するのに 貢 献 できる 適 正 価 格 である: 原 子 力 は 現 在 最 も 安 価 な 低 炭 素 発 電 技 術 の 1 つであり 費 用 対 効 果 に 優 れ 我 々の 目 的 を 達 成 するために 貢 献 できる 信 頼 性 がある: 立 証 済 みの 近 代 的 な 原 子 炉 技 術 があり 信 頼 性 のある 発 電 が 可 能 で ある 安 全 である: 非 常 に 効 果 的 な 規 制 枠 組 みによって 支 援 される 電 源 を 多 様 化 でき 特 定 の 技 術 国 へのエネルギー 燃 料 供 給 の 依 存 度 を 下 げるこ とができる したがって 英 国 政 府 は 新 規 原 子 力 発 電 所 が 他 の 低 炭 素 電 源 とともに 将 来 のエネルギ ー ミックスにおいて 役 割 を 果 たせること 事 業 者 に 新 規 原 子 力 発 電 所 への 投 資 オプショ ンを 与 えること 英 国 政 府 が 新 規 原 子 力 発 電 所 の 建 設 への 道 を 切 り 開 くために 積 極 的 な 活 動 を 行 うことは 公 衆 の 利 益 になると 考 える ( 原 子 力 白 書 より 抜 粋 ) その 後 英 国 政 府 は 政 府 支 援 を 受 け 2005 年 1 月 にロンドン 株 式 市 場 に 再 上 場 し 業 績 も 回 復 してきた BE 社 について 新 規 原 子 力 プラント 建 設 を 行 う 技 術 力 や 財 務 基 盤 が 乏 しい として 政 府 が 所 有 する BE 社 株 式 ( 全 株 式 の 約 36%)の 売 却 を 含 め BE 社 が 他 事 業 者 に 売 却 されることを 認 める 意 向 を 示 した 最 終 的 に BE 社 は 2009 年 にフランス 電 力 (EDF) に 買 収 され EDF の 英 国 子 会 社 である EDF エナジー 社 に 吸 収 統 合 された lxvilxviilxviii 英 国 政 府 は 2008 年 原 子 力 白 書 で 示 した 2018 年 頃 からの 新 設 原 子 炉 の 運 開 に 向 けて その 他 の 制 度 で 示 すような 原 子 炉 の 一 般 設 計 評 価 (GDA)の 実 施 や 2008 年 計 画 法 制 定 に よる 許 認 可 プロセスの 効 率 化 などの 推 進 施 策 を 実 施 した lxix さらに 英 国 政 府 は 原 子 力 発 電 を 含 む 低 炭 素 電 源 の 開 発 によって 電 力 の 安 定 供 給 と 温 室 効 果 ガス 排 出 削 減 についての 目 標 を 達 成 するため 低 炭 素 発 電 電 源 の 投 資 を 促 進 する 施 策 を 含 む 電 力 市 場 改 革 (EMR)を 行 う 方 針 を 2010 年 に 示 し 2011 年 に EMR の 実 施 に 関 する 白 書 を 発 行 した lxx 2011 年 EMR 白 書 では EMR の 実 現 のために 重 要 なメカニズムとして 固 定 価 格 買 取 差 額 決 済 契 約 (FIT CfD) 制 度 と 容 量 市 場 の 導 入 等 が 挙 げられた これらのメカニズムについて の 枠 組 みを 定 めたエネルギー 法 案 が 2012 年 11 月 に 議 会 に 提 出 され 約 1 年 の 審 議 を 経 て 2013 年 エネルギー 法 として 12 月 に 制 定 された なお 2014 年 7 月 には 同 法 の 下 位 法 令 が 112

115 制 定 され FIT CfD 制 度 など EMR におけるさまざまな 施 策 の 実 施 のための 詳 細 が 決 定 され ることになっている lxxilxxiilxxiii 主 要 発 電 事 業 者 の 概 要 英 国 における 発 電 事 業 者 は 100 社 以 上 に 及 ぶが 前 述 のように 自 由 化 された 卸 売 電 力 市 場 でも Big6 と 呼 ばれる 6 大 電 力 事 業 者 によるシェアは 高 い 以 下 に Big6 体 制 が 形 づくら れた 経 緯 等 について 簡 単 に 紹 介 する 英 国 では 1990 年 の 電 力 事 業 再 編 後 に 発 電 事 業 の 民 営 化 が 進 められ 民 営 化 された 発 電 会 社 は 吸 収 合 併 を 経 て 現 在 の 6 大 電 力 事 業 者 が 形 成 された 1990 年 に 設 立 された National Power 社 と PowerGen 社 は 1991 年 にロンドン 証 券 取 引 所 に 上 場 した National Power 社 は 2000 年 に Innogy 社 と International Power 社 に 分 割 されたが ドイツの RWE 社 が 2002 年 に Inngoy 社 を 買 収 した 後 吸 収 合 併 を 経 て 2004 年 から RWE Npower 社 となった また PowerGen 社 は 2002 年 にドイツの E.ON 社 に 買 収 され その 後 の PowerGen 社 は 吸 収 合 併 を 経 て 2007 年 から E.ON UK 社 となった lxxiv, lxxv 1990 年 に 設 立 され 1991 年 にロンドン 証 券 取 引 所 に 上 場 したスコティッシュ パワー (SP) 社 も 2007 年 にスペインのイベルドローラ 社 に 買 収 され 同 社 のグループ 会 社 とな っている また スコティッシュ アンド サザン エナジー(SSE) 社 は 1998 年 に Scottish Hydro Electric 社 と Southern Electric 社 が 合 併 して 設 立 された 会 社 である lxxvi, lxxvii セントリカ 社 は 1997 年 にブリティッシュ ガスから 分 割 される 形 で 設 立 され その 後 火 力 発 電 所 の 買 収 等 により 発 電 事 業 に 参 入 した EDF エナジー 社 は フランス 電 力 (EDF) が 1998 年 から 複 数 の 発 電 事 業 者 や 発 電 所 の 買 収 を 続 け 買 収 した 3 社 の 発 電 事 業 者 を 合 併 させる 形 で 2002 年 に 設 立 された さらに 2009 年 にはブリティッシュ エナジー(BE) 社 を 買 収 し EDF エナジー 社 に 吸 収 している lxxviii, lxxix 表 に 各 社 の 従 業 員 数 売 上 高 資 本 金 総 資 産 発 電 電 力 量 を 示 す lxxxlxxxilxxxiilxxxiiilxxxivlxxxv 113

116 表 英 国 Big6(6 大 電 力 事 業 者 )の 事 業 状 況 電 気 事 業 者 従 業 員 売 上 高 資 本 金 総 資 産 発 電 電 力 量 ( 括 弧 内 は 主 な 資 本 元 ) ( 人 ) ( 億 円 ) ( 億 円 ) ( 億 円 ) ( 百 万 kwh) RWE Npower(ドイツ) 10,000 12,180 43,900 E.ON UK(ドイツ) 11,556 13,379 25,900 EDF エナジー(フランス) 15,183 13,134 20,863 47,591 83,400 スコティッシュ アンド 19,769 46, ,983 36,600 サザン エナジー( 英 国 ) スコティッシュ パワー 7,085 12,875 1,439 22,773 4,400 (スペイン) セントリカ( 英 国 ) 38,642 39, ,221 21,500 また 各 社 の 2012 年 度 の 総 発 電 収 入 総 発 電 支 出 利 益 率 を 表 に 示 す lxxxvi ( 百 万 ポンド) 表 英 国 Big6(6 大 電 力 事 業 者 )の 総 発 電 収 入 支 出 利 益 率 114

117 3.2 原 子 力 発 電 事 業 体 制 英 国 における 原 子 力 発 電 事 業 は 原 子 力 廃 止 措 置 機 関 (NDA)が 所 有 するウィルファ 原 子 力 発 電 所 のガス 冷 却 炉 (GCR)1 基 を 運 転 するマグノックス 社 7 カ 所 の 原 子 力 発 電 所 で 改 良 型 ガス 炉 (AGR)14 基 と 加 圧 水 型 原 子 炉 (PWR)1 基 を 所 有 運 転 する EDF エナジ ー 社 が 担 っている NDA は 政 府 外 公 共 機 関 (NDPB)であり EDF エナジー 社 はフランス 電 力 (EDF)の 100% 子 会 社 である lxxxviilxxxviii 英 国 において 現 在 運 転 されている 原 子 炉 の 炉 型 設 備 容 量 (MW) 系 統 接 続 日 規 制 機 関 が 承 認 している 運 転 期 限 事 業 者 が 希 望 している 運 転 期 限 についての 一 覧 を 表 に 示 す lxxxix 表 英 国 で 運 転 中 の 原 子 炉 原 子 炉 名 炉 型 設 備 容 量 (MW) 運 開 年 現 行 運 転 承 認 期 限 事 業 者 希 望 期 限 ウィルファ-1 GCR ダンジネス B-1 AGR ダンジネス B-2 AGR ハートルプール A-1 AGR 延 長 予 定 ハートルプール A-2 AGR 延 長 予 定 ヘイシャム A-1 AGR 延 長 予 定 ヘイシャム A-2 AGR 延 長 予 定 ヘイシャム B-1 AGR 延 長 予 定 ヘイシャム B-2 AGR 延 長 予 定 トーネス-1 AGR 延 長 予 定 トーネス-2 AGR 延 長 予 定 ハンターストン B-1 AGR ハンターストン B-2 AGR ヒンクリー ポイント B-1 AGR ヒンクリー ポイント B-2 AGR サイズウェル B PWR 1, ,902 ( 出 所 :EDF エナジー 社 マグノックス 社 ウェブサイトなど) 英 国 においては 原 子 炉 運 転 期 間 を 定 めた 法 律 等 は 無 い 運 転 期 間 については 事 業 者 が 各 原 子 炉 について 運 転 開 始 後 約 10 年 目 に 原 子 力 規 制 局 (ONR)による 最 初 の 定 期 安 全 レ ビュー(PSR)を 受 け 以 後 は 10 年 ごとに 同 様 のレビューを 受 けて 次 の 10 年 間 (また は 事 業 者 が 希 望 した あるいは ONR が 承 認 した 10 年 以 内 の 年 数 )の 運 転 が 承 認 されるこ 115

118 とで 最 終 的 な 運 転 期 間 が 決 定 されていくことになっている 現 在 EDF エナジー 社 がヒンクリー ポイント C 原 子 力 発 電 所 とサイズウェル C 原 子 力 発 電 所 に 仏 AREVA 社 制 の 160 万 kw 級 の 欧 州 加 圧 水 型 炉 (EPR)をそれぞれ 2 基 計 4 基 建 設 する 計 画 を 進 めている また 日 立 GE の 100% 子 会 社 であるホライズン 社 がウィルフ ァ 原 子 力 発 電 所 に 日 立 GE 社 製 の 130 万 kw 級 の ABWR をそれぞれ 2~3 基 建 設 し 最 低 でも 600 万 kw の 設 備 容 量 を 確 保 する 計 画 である さらに 東 芝 と 仏 GDF-Suez 社 がそれ ぞれ 60%と 40% 出 資 している NuGeneration 社 がセラフィールド 近 郊 のムーアサイドにウ ェスティング ハウス(WH) 社 製 の AP1000(100 万 kw 級 )を 3 基 擁 する 新 規 原 子 力 発 電 所 の 建 設 計 画 を 進 めている 新 設 の 状 況 については で 報 告 する xcxcixcii 英 国 の 2012 年 の 総 発 電 電 力 量 は 3,640 億 kwh であり 2011 年 の 3,670 億 kwh に 比 べ て 約 1% 減 少 している 各 電 源 のシェアは 図 のグラフの 通 りであり 原 子 力 発 電 は 総 発 電 電 力 量 の 約 19%を 占 めている 再 生 可 能 エネ ルギー 9.4% 2011 年 その 他 2.4% 再 生 可 能 エネ ルギー 11.3% 2012 年 その 他 2.5% 石 炭 30% 石 炭 30% 天 然 ガス 40% 原 子 力 19% 天 然 ガス 28% 原 子 力 19% 図 英 国 の 2011 年 2012 年 の 総 発 電 電 力 量 の 電 源 別 シェア 116

119 3.3 原 子 力 関 連 政 策 施 策 低 炭 素 電 源 への 投 資 促 進 のための 電 力 市 場 改 革 (EMR) 英 国 においては2011 年 時 点 の 発 電 設 備 容 量 の 約 20%にあたる 火 力 発 電 所 や 原 子 力 発 電 所 が 寿 命 を 迎 えるなどして 今 後 約 10 年 にわたり 順 次 閉 鎖 されていく 予 定 である しかし 電 力 需 要 は 増 加 が 見 込 まれており 2050 年 におけるピーク 需 要 対 応 のためには 現 在 の 約 2 倍 の 発 電 設 備 容 量 が 必 要 になるとされている このため 英 国 政 府 は 適 正 な 価 格 の 安 定 的 かつ 柔 軟 な 電 力 の 供 給 確 保 のため 発 電 施 設 の 新 増 設 による 電 力 供 給 力 の 増 強 を 望 んでいる また 同 時 に 英 国 政 府 には 2008 年 気 候 変 動 法 で 規 定 されている 2050 年 までに 1990 年 比 で 80%の 温 室 効 果 ガス 排 出 量 を 削 減 する 国 内 目 標 や 欧 州 連 合 (EU)における 再 生 可 能 エネ ルギーの 利 用 率 の 目 標 を 達 成 する 義 務 が 課 せられている xciiixciv こうした 発 電 設 備 への 投 資 促 進 の 必 要 性 とエネルギー 分 野 の 低 炭 素 化 といった 課 題 に 対 応 するため 英 国 政 府 は 再 生 可 能 エネルギー 発 電 のみならず 原 子 力 発 電 や 炭 素 回 収 貯 留 (CCS) 付 火 力 発 電 を 対 象 とした 低 炭 素 電 源 への 投 資 を 実 現 させる 電 力 市 場 改 革 (EMR) を 行 う 意 向 を 2010 年 に 表 明 した 同 年 12 月 英 国 政 府 は EMR の 実 施 内 容 案 に 関 する 協 議 文 書 を 公 表 し 公 開 協 議 を 実 施 して 広 く 公 衆 からの 意 見 を 求 めた 公 開 協 議 で 寄 せられた 意 見 も 踏 まえて 英 国 政 府 は 2011 年 7 月 に 白 書 英 国 の 将 来 の 電 力 計 画 を 発 行 して EMR の 実 施 内 容 を 示 した その 後 も 政 府 は EMR の 施 策 内 容 につい て 利 害 関 係 者 との 複 数 回 にわたる 協 議 や 公 開 協 議 によって 政 府 の 施 策 案 についての 意 見 募 集 プロセスを 重 ねた その 結 果 として 2012 年 11 月 英 国 政 府 は EMR の 実 施 枠 組 みの 詳 細 を 示 したエネルギー 法 案 を 議 会 に 提 出 した 同 法 案 は 約 1 年 の 審 議 を 経 て 2013 年 12 月 18 日 に 2013 年 エネルギー 法 として 制 定 された xcv 2013 年 エネルギー 法 における EMR に 関 する 規 定 は 第 2 部 電 力 市 場 改 革 (EMR) において 示 されており 第 2 部 は 以 下 のような 構 成 となっている xcvi 第 2 部 電 力 市 場 改 革 (EMR) 第 1 章 全 般 第 2 章 差 額 決 済 契 約 (CFD) 第 3 章 容 量 市 場 第 4 章 投 資 契 約 第 5 章 利 益 相 反 不 測 事 態 調 整 117

120 第 6 章 市 場 へのアクセス 第 7 章 再 生 可 能 エネルギー 購 入 義 務 (RO): 移 行 措 置 第 8 章 排 出 性 能 基 準 値 (EPS) 第 9 章 雑 則 なお 2013 年 エネルギー 法 の 一 部 は 未 だ 発 効 していないが 第 2 部 の EMR に 関 する 条 文 は 全 て 発 効 済 みである 英 国 政 府 は EMR の 実 施 計 画 書 を 5 年 ごとに さらに 毎 年 その 更 新 版 の 計 画 書 を 作 成 する 方 針 である 最 初 の EMR の 実 施 計 画 書 は 2013 年 12 月 19 日 に 公 表 されており 同 計 画 書 では EMR の 実 施 目 的 として 改 めて 以 下 のような 点 が 示 されている xcvii 電 力 安 定 供 給 需 要 を 十 分 に 満 たせるような 発 電 設 備 容 量 を 構 築 し 電 源 を 多 様 化 させ 化 石 燃 料 への 依 存 度 を 下 げながら 安 定 供 給 を 確 保 する 持 続 可 能 な 低 炭 素 電 源 への 十 分 な 投 資 2050 年 までに 炭 素 排 出 量 を1990 年 比 で 少 なくと も80% 削 減 する 国 内 目 標 とEUにおける2020 年 ま での 再 生 可 能 エネルギーの 導 入 目 標 の 達 成 のた め 低 炭 素 発 電 事 業 に 必 要 な 支 援 を 行 い 事 業 者 が 安 定 した 収 入 見 通 しをたてられるようにするこ とで 低 炭 素 発 電 設 備 への 投 資 を 促 進 する 便 益 最 大 化 と コスト 最 小 化 前 例 にない 規 模 のエネルギーインフラ 施 設 への 投 資 適 正 なレベルの 電 気 料 金 の 実 現 に 向 け 市 場 の 力 を 活 用 して 競 争 プロセスを 導 入 するEMRの 実 施 により 国 内 経 済 成 長 や 納 税 者 消 費 者 の 便 益 を 最 大 化 しながらも そのために 必 要 となるコス トを 最 小 化 する 図 3.3-1EMR の 目 的 英 国 政 府 は EMR の 中 核 は 2013 年 エネルギー 法 で 規 定 された 固 定 価 格 買 取 差 額 決 済 契 約 (FIT CfD) 制 度 と 容 量 市 場 制 度 という 2 つの 新 しいメカニズムにあり EMR の 目 的 の 実 現 には 欠 かせないものとしている 以 下 の 低 炭 素 発 電 電 力 に 対 する 固 定 価 格 買 取 差 額 決 済 契 約 (FIT CfD) 制 度 において FIT CfD 制 度 について また 容 量 制 度 については 容 量 市 場 制 度 において 報 告 する 118

121 3.3.2 低 炭 素 発 電 電 力 に 対 する 固 定 価 格 買 取 差 額 決 済 契 約 (FIT CfD) 制 度 FIT CfD 制 度 の 概 要 英 国 では 2010 年 度 から 政 府 によって 事 前 に 認 定 された 小 規 模 の 再 生 可 能 エネルギー 発 電 設 備 において 発 電 された 電 力 を 固 定 価 格 で 買 い 取 る 固 定 価 格 買 取 (FIT) 制 度 が 適 用 さ れている 英 国 政 府 はこの FIT 制 度 に 差 額 決 済 取 引 の 仕 組 みを 組 み 入 れた 固 定 価 格 買 取 差 額 決 済 契 約 (FIT CfD) 制 度 の 開 始 に 向 けた 作 業 を 進 めている xcviii, xcix FIT CfD 制 度 は 低 炭 素 発 電 電 源 への 投 資 を 検 討 する 事 業 者 について 事 業 者 が 発 電 した 電 力 を 政 府 側 が 固 定 価 格 で 長 期 間 買 い 取 る 契 約 を 設 備 投 資 前 に 締 結 し 発 電 事 業 者 の 事 業 リスクを 下 げることで 投 資 を 促 進 しようとする 制 度 である 制 度 運 用 のための 原 資 は 電 気 料 金 に 低 炭 素 電 力 利 用 に 対 する 賦 課 金 を 上 乗 せすることで 消 費 者 から 回 収 される さ らに 消 費 者 が 支 払 う 費 用 については その 総 額 に 上 限 を 設 ける 賦 課 金 管 理 枠 組 み(LCF) を 通 して 英 国 政 府 が 管 理 することによって 低 炭 素 電 力 促 進 のための 消 費 者 負 担 を 一 定 の 金 額 以 下 に 抑 える 仕 組 みを 取 り 入 れている c FIT 制 度 においては 小 規 模 の 再 生 可 能 エネルギー 発 電 設 備 だけが 対 象 となっていたが FIT CfD 制 度 では 再 生 可 能 エネルギー 発 電 設 備 の 他 新 規 原 子 力 発 電 設 備 CCS 付 火 力 発 電 設 備 大 規 模 水 力 発 電 設 備 などの 低 炭 素 発 電 設 備 が 対 象 とされている 低 炭 素 電 源 による 発 電 事 業 者 は 英 国 政 府 から FIT CfD の 適 用 資 格 を 獲 得 して 政 府 指 定 の 機 関 (CfD Counterparty)と 契 約 を 結 び 契 約 期 間 中 に 長 期 電 力 購 入 契 約 (PPA)を 含 め 通 常 の 方 法 で 市 場 において 契 約 に 応 じた 電 力 を 販 売 する 事 業 者 は 電 力 を 販 売 した 結 果 別 途 設 定 される MWh 当 たりの 参 照 市 場 価 格 (リファレンス プライス)と MWh 当 たりの 基 準 価 格 (ストライク プライス)との 差 額 がマイナスの 場 合 差 額 分 を CfD Counterparty から 補 填 される 逆 に 差 額 がプラスの 場 合 は CfD Counterparty に 事 業 者 が 差 額 分 を 支 払 うことになっている なお ストライク プライスは 消 費 者 物 価 指 数 に 完 全 に 連 動 することとされている FIT CfD 制 度 により 事 業 者 はストライク プライスと 発 電 電 力 量 によって 契 約 期 間 中 に 得 られる 収 入 について 高 い 確 実 性 を 持 って 予 測 をたてられることになり 低 炭 素 発 電 施 設 への 投 資 がよりし 易 くなるとされている 一 方 小 売 事 業 者 は 計 量 された 電 力 使 用 量 に 基 づくマーケット シェアに 応 じて FIT CfD 制 度 のために 必 要 となるコストの 支 払 い 義 務 を 負 う 小 売 事 業 者 は 最 終 消 費 者 への 電 気 料 119

122 金 に 賦 課 金 を 加 えて 同 コストを 回 収 する 英 国 政 府 はその 一 方 で エネルギー 集 約 産 業 の 賦 課 金 負 担 を 免 除 するため その 免 除 資 格 メカニズムなどの 免 除 条 件 等 の 設 定 に 向 けて 今 後 検 討 を 進 めていくとしている 英 国 政 府 は 免 除 条 件 等 についての 提 案 内 容 を 協 議 文 書 として 公 表 し 公 開 協 議 によって 公 衆 からの 意 見 も 求 めるとしている ただし 最 終 的 にエネルギー 集 約 産 業 に 対 して 賦 課 金 負 担 が 免 除 されるようになるためには 免 除 条 件 等 について 欧 州 委 員 会 による EU の 国 家 補 助 (State Aid) 審 査 を 通 過 することが 前 提 にな るとしている ci 英 国 政 府 は 系 統 運 用 者 であるナショナル グリッド 社 に FIT CfD 制 度 の 実 施 統 括 を 任 せることにしている 同 社 が 現 在 責 任 を 負 っている 系 統 運 用 において 全 体 的 な 設 備 容 量 の 見 積 と 評 価 を 実 施 し 競 争 入 札 プロセスにおいて 短 期 的 な 電 力 需 給 バランスを 取 ってい るため 英 国 政 府 は 同 社 を 実 施 統 括 者 として 適 任 であるとしている 図 に FIT CfD の 実 施 体 制 を 示 す cii DECC FIT CfD の 実 施 統 括 を 委 託 ナショナル グリッド 社 資 格 について 評 価 発 電 事 業 者 契 約 支 払 発 電 設 置 費 用 等 についての 分 析 結 果 を 報 告 実 施 状 況 につ いての 報 告 契 約 管 理 等 を 委 託 CfD Counterparty Body 支 払 い 業 務 小 売 事 業 者 支 払 等 の 管 理 を 委 託 決 済 機 関 図 FIT CfD 実 施 体 制 また 2013 年 エネルギー 法 では FIT CfD 制 度 下 での 再 生 可 能 エネルギー 発 電 事 業 者 の 市 場 へのアクセス ルートの 確 保 に 関 する 枠 組 みについても 規 定 されている 英 国 政 府 は 電 力 市 場 を 地 域 独 占 垂 直 統 合 している EDF エナジー 社 をはじめとする Big 6 と 呼 ばれる 6 大 電 力 事 業 者 や 主 要 な 発 電 事 業 者 以 外 の 独 立 系 の 再 生 可 能 エネルギー 発 電 事 業 者 は FIT CfD 制 度 下 でも 引 き 続 き 長 期 電 力 購 入 契 約 (PPA)に 主 に 依 存 すると 想 定 している この 120

123 ため 英 国 政 府 は これらの 事 業 者 が 長 期 PPA やその 他 の 販 売 ルートを 確 保 できない 場 合 に 備 えて 最 後 の 引 取 り 手 (OLR:Off-taker of Last Resort)メカニズムを 構 築 するための 検 討 を 行 っている ciii FIT CfD 制 度 は まずは 再 生 可 能 エネルギーのみを 対 象 として 2015 年 に 実 際 の 差 額 決 済 が 開 始 される 予 定 である 英 国 政 府 は 新 規 原 子 力 発 電 所 やその 他 の 低 炭 素 発 電 施 設 (CCS 付 火 力 発 電 大 規 模 水 力 発 電 等 )への FIT CfD 制 度 の 適 用 に 当 たっては 新 設 プロ ジェクトごとに 事 業 者 と 協 議 を 行 い 個 々にストライク プライスや 契 約 期 間 等 の 詳 細 内 容 を 決 定 していく 意 向 である FIT CfD 制 度 の 予 算 枠 と 競 争 プロセスの 導 入 英 国 政 府 は 消 費 者 を 電 気 エネルギー 料 金 における 賦 課 金 の 負 担 増 から 保 護 すること を 目 的 として 政 府 の 歳 出 枠 組 みの 一 部 である 賦 課 金 管 理 枠 組 み(LCF)によって FIT CfD 制 度 等 の 予 算 を 管 理 している 53 LCF の 対 象 とされる 低 炭 素 電 源 の 促 進 のための 施 策 は FIT CfD 制 度 のほか 再 生 可 能 エネルギー 購 入 義 務 制 度 (RO 制 度 ) 小 規 模 の 発 電 設 備 を 対 象 とした 現 行 の FIT 制 度 (ss-fit 制 度 ) FIT CfD の 契 約 締 結 に 先 だって 事 業 者 の 最 終 投 資 決 定 を 可 能 にする 投 資 契 約 制 度 の 4 つの 制 度 である なお 容 量 市 場 制 度 で 後 述 する 容 量 市 場 制 度 も 将 来 的 には LCF の 対 象 になるとされている 英 国 政 府 は LCF の 年 間 予 算 枠 を 設 定 しており 今 後 の LCF の 予 算 枠 は 表 のとお り 定 められている 表 LCF の 予 算 枠 と 内 訳 ( 単 位 : 百 万 ポンド 2011 年 度 価 格 ) 2015 年 度 2016 年 度 2017 年 度 2018 年 度 LCR の 上 限 額 対 象 は 以 下 の 制 度 再 生 可 能 エネルギー 購 入 義 務 (RO) FIT CfD FIT 制 度 (ss-fit) 4,300 4,900 5,600 6,450 LCF は 2011 年 に 2014 年 度 までの 予 算 枠 が 設 定 されていたが EMR の 実 施 と 投 資 家 に 対 して 将 来 の 支 援 レベルについての 不 確 実 性 を 低 減 するために 期 間 が 延 長 され 2020 年 度 53 LCF は 電 気 料 金 に 上 乗 せされる 賦 課 金 によって 回 収 された 資 金 を 資 金 源 とする 複 数 の 制 度 の 実 施 予 算 総 額 を 管 理 する 仕 組 みである 例 えば 対 象 となる 複 数 の 制 度 に 関 する 総 支 出 が LCF の 予 算 上 限 を 超 えた 時 点 で 新 たに 低 炭 素 発 電 設 備 に FIT CfD 制 度 を 適 用 することはできなくなる 121

124 までの 上 限 額 が 決 定 されている なお 2019 年 度 の LCF 上 限 額 は 60 億 ポンド 2020 年 度 は 76 億 ポンドとなっている 2021 年 度 以 降 の LCF の 上 限 額 や FIT CfD への 割 当 額 等 は 2014 年 3 月 時 点 で まだ 決 定 されていない 模 様 である civ 前 述 のように FIT CfD 制 度 に 係 る 費 用 は 小 売 電 気 料 金 に 上 乗 せされる 賦 課 金 の 一 部 と して 電 力 消 費 者 から 回 収 され その 費 用 総 額 については 英 国 政 府 が LCF により 上 限 を 設 け て 管 理 することになっている 英 国 政 府 は FIT CfD 制 度 が 機 能 し 政 府 側 と 固 定 価 格 買 取 差 額 決 済 契 約 (FIT CfD)の 締 結 を 望 む 事 業 者 が 増 えれば 次 に LCF のもとに 限 られた FIT CfD 制 度 の 予 算 枠 を 巡 って 事 業 者 間 を 競 争 させるプロセスを 同 制 度 に 持 ち 込 めるとし ている この 競 争 プロセスにより 事 業 者 は 契 約 を 獲 得 するためにより 低 いストライク プライスを 設 定 しなければならなくなり 結 果 として 総 発 電 コストの 減 少 が 見 込 まれる 英 国 政 府 は 将 来 的 には 低 炭 素 電 源 が 電 力 市 場 において 政 府 支 援 が 無 くても 他 電 源 と 競 争 できるような 価 格 競 争 力 を 持 つようになることを 目 指 している 図 に 英 国 政 府 が 目 指 す 最 低 コストでの 2050 年 低 炭 素 化 目 標 達 成 に 向 けて FIT CfD 制 度 におい て 事 業 者 間 での 競 争 プロセスを 導 入 していくステップについて 示 す 第 1 段 階 FIT CfD 導 入 段 階 -ストライク プライスは 原 則 英 国 政 府 が 事 前 に 設 定 する -ただし 予 算 制 約 がある 場 合 は 競 争 プロセスのもと ストライク プライスが 決 定 される 可 能 性 はある 第 2 段 階 低 炭 素 発 電 技 術 の 成 熟 段 階 - 競 争 プロセスに 入 ることができる 低 炭 素 電 源 事 業 者 の 出 現 第 3 段 階 発 電 技 術 が 成 熟 した 低 炭 素 電 源 間 での 事 業 者 による 競 争 の 段 階 - 事 業 者 が 契 約 獲 得 に 向 け より 低 価 なストライク プライスを 提 示 - 英 国 政 府 は 技 術 革 新 の 支 援 のみ 実 施 第 4 段 階 全 事 業 者 による 競 争 段 階 - 発 電 技 術 の 成 熟 と 高 炭 素 価 格 のもと 全 発 電 事 業 者 が 英 国 政 府 による 支 援 無 しで 契 約 獲 得 に 向 け より 低 価 なストライク プライスを 提 示 - 英 国 政 府 は 低 炭 素 電 源 の 研 究 開 発 を 支 援 するのみ 図 FIT CfD 制 度 における 競 争 プロセスの 導 入 段 階 なお 英 国 政 府 は 新 規 原 子 力 発 電 所 に 関 しては CCS 付 火 力 発 電 所 や 大 規 模 水 力 発 電 所 等 と 同 様 に 当 分 の 間 は 競 争 プロセスを 持 ち 込 むことは 現 実 的 でないとしている しかし 122

125 将 来 的 に 原 子 力 発 電 事 業 者 間 での 競 争 環 境 が 構 築 されれば 競 争 プロセスを 通 じた FIT CfD 制 度 の 適 用 を 行 うとしている また 英 国 政 府 は 将 来 的 に 競 争 プロセスを 持 ち 込 める 可 能 性 のある 低 炭 素 電 源 のみ 支 援 するとしている FIT CfD 制 度 の 適 用 前 の 投 資 契 約 制 度 英 国 政 府 は FIT CfD 制 度 の 詳 細 実 施 に 関 して 定 めた 2013 年 エネルギー 法 の 下 位 法 令 の 発 効 等 を 経 て FIT CfD 制 度 が 完 全 に 整 備 され 政 府 側 と 事 業 者 との 固 定 価 格 買 取 差 額 決 済 契 約 契 約 (FIT CfD)の 締 結 が 可 能 になるのは 2015 年 以 降 になるとみている 契 約 締 結 後 から 事 業 者 は 低 炭 素 発 電 設 備 の 投 資 を 決 定 し 建 設 を 開 始 するが これでは 運 転 開 始 が 遅 くなってしまう そこで 英 国 政 府 は FIT CfD の 契 約 締 結 前 に 事 業 者 が 最 終 投 資 決 定 (FID)をし 事 業 を 開 始 できるよう 事 業 者 との 間 で 事 業 者 が 投 資 決 定 できるための 条 件 (FIT CfD 制 度 適 用 時 のストライク プライスや 契 約 期 間 等 )を 定 めた 投 資 契 約 を 結 ぶ 方 針 である 2013 年 エネルギー 法 ではこの 投 資 契 約 制 度 に 関 する 規 定 が 定 められており 英 国 政 府 は 投 資 契 約 を FIT CfD の 事 前 契 約 として 位 置 付 け FIT CfD の 契 約 締 結 が 可 能 とな るまでの 移 行 措 置 としている なお この 投 資 契 約 は Early CfD とも 呼 ばれている FIT CfD は 今 後 新 たに 設 置 される Counterparty と 事 業 者 とが 契 約 を 締 結 する 予 定 で あるが 投 資 契 約 (Early CfD)については 担 当 大 臣 と 事 業 者 が 契 約 を 締 結 する 英 国 政 府 は 投 資 契 約 には FIT CfD の 標 準 契 約 内 容 と 可 能 な 限 り 同 様 の 内 容 を 組 み 入 れるとい う 方 針 のもと FIT CfD 及 び 投 資 契 約 の 両 内 容 の 最 終 化 を 進 めているところである cv 他 の 低 炭 素 電 源 に 先 行 して 進 められている 再 生 可 能 エネルギー 発 電 に 関 しては この 投 資 契 約 が 2014 年 4 月 から 政 府 と 事 業 者 との 間 で 締 結 され 始 められるとみられている 2014 年 後 半 には 事 業 者 から FIT CfD の 適 用 申 請 の 提 出 が 開 始 され 2014 年 11 月 から 2015 年 初 めに FIT CfD が 締 結 されていく 見 込 みである 英 国 政 府 は 原 子 力 発 電 についても FIT CfD の 本 格 運 用 に 先 立 って 現 在 新 設 計 画 を 進 めている EDF エナジー 社 やホライズン 社 とも この 投 資 契 約 に 関 する 協 議 を 行 っている cvi HPC に 関 する 投 資 契 約 EDF エナジー 社 と 英 国 政 府 は 同 社 が 新 設 するヒンクリー ポイント C 原 子 力 発 電 所 (HPC)に 関 する 投 資 契 約 の 内 容 についての 協 議 を 2012 年 3 月 から 非 公 式 に また 2013 年 2 月 からは 公 式 に 開 始 していた 英 国 政 府 は この 投 資 契 約 締 結 の 目 的 を EDF エナジ 123

126 ー 社 が HPC の 想 定 発 電 量 と 適 用 されるストライク プライスから 契 約 期 間 における 収 入 を 予 測 できることで 同 社 が HPC の 新 設 投 資 決 定 をし 建 設 を 開 始 することにあるとして いる 両 者 は 2013 年 10 月 21 日 EDF エナジー 社 が 計 画 を 進 めている 英 国 で 初 となる 欧 州 加 圧 水 型 炉 (EPR)2 基 を 建 設 する HPC に 関 して その 投 資 契 約 等 の 内 容 について 合 意 に 至 ったことを 発 表 した しかし EDF エナジー 社 は この 合 意 内 容 に 含 まれている FIT CfD 制 度 や 政 府 債 務 保 証 ( 重 要 なインフラ 施 設 の 建 設 のための 資 金 調 達 における 政 府 債 務 保 証 制 度 を 参 照 )などにより 同 社 に 与 えられる 政 府 からの 支 援 が 欧 州 委 員 会 によって EU の 国 家 補 助 (State Aid) 規 則 に 抵 触 しないと 認 められることが 同 社 が 投 資 契 約 を 英 国 政 府 と 最 終 的 に 締 結 するための 前 提 条 件 の 一 つとしている cvii 英 国 政 府 が 委 託 した KPMG 社 の 調 査 によれば 投 資 契 約 で 示 されているような 条 件 が 無 い 場 合 には 事 業 者 が 新 規 原 子 力 発 電 所 への 投 資 を 決 定 するために 必 要 とする 期 待 収 益 率 (IRR)は 10%をゆうに 超 える 可 能 性 がある としている しかし 政 府 は そのような 高 い 期 待 収 益 率 を 達 成 することは 現 実 的 ではなく したがって 投 資 契 約 で 示 されているよう な 条 件 が 与 えられない 限 り HPC への 投 資 は 実 現 されないと 考 えている EDF エナジー 社 は 英 国 政 府 との 合 意 に 至 った 内 容 であれば IRR は 約 10% 程 度 になる 見 込 みで EDF グ ループの 投 資 基 準 にも 沿 っているとしている 両 者 の 合 意 内 容 によれば EDF エナジー 社 が HPC のみを 建 設 した 場 合 FIT CfD にお けるストライク プライスを 92.5 ポンド/MWh にするとされた さらに 同 社 がサイズウ ェル C 原 子 力 発 電 所 (SWC)に 同 じく EPR を 2 基 建 設 した 場 合 は 費 用 削 減 効 果 を 踏 ま えて 両 発 電 所 に 対 するストライク プライスを 89.5 ポンド/MWh にするとされた な お どちらのストライク プライスにも 約 2 ポンド/MWh の 廃 止 措 置 放 射 性 廃 棄 物 管 理 のための 費 用 分 が 含 まれている 英 国 政 府 は ストライク プライスは EDF エナジー 社 に よる 建 設 運 転 コスト 合 理 的 な 利 益 を 基 に 算 出 したとしている このストライク プライスの 決 定 の 際 に 想 定 された HPC のコスト( 特 に 建 設 運 転 コス トの 大 部 分 )は EDF エナジー 社 によって 提 供 された 情 報 に 基 づいているとされている ま た HPC のコスト 見 積 は EDF エナジー 社 と 英 国 政 府 との 間 での 投 資 契 約 の 締 結 の 際 に 見 直 しが 行 われることになっている なお 想 定 されている HPC の 建 設 コストと 年 間 運 転 コ ストについては 現 時 点 では 非 公 表 54とされている また 運 転 開 始 後 に 91%の 設 備 利 用 率 が 達 成 されることが 前 提 となっているが 同 率 が 達 成 できると 見 込 まれる 想 定 期 間 ( 年 数 )に 54 欧 州 委 員 会 が 公 表 した 英 国 政 府 への 2013 年 12 月 18 日 付 の 書 簡 においては 企 業 秘 密 については 非 公 表 扱 いとして[ ]と 示 されている 一 方 EDF エナジーが 投 資 家 向 けに 公 表 している 一 部 資 料 などには 建 設 費 を 140 億 ポンド 総 費 用 を 160 億 ポンドと 置 いているものもある 124

127 ついても 現 時 点 では 非 公 表 とされている EDF エナジー 社 と 英 国 政 府 はストライク プライスの 調 整 を 適 宜 行 うことに 合 意 して いる HPC の 建 設 において またはリファイナンスや 株 式 販 売 を 通 じて HPC の 関 連 コス トが 節 約 された 場 合 節 約 分 については 両 者 が 利 益 共 有 (Gained Share)するものとして ストライク プライスが 低 く 設 定 しなおされる また HPC の 運 転 開 始 後 15 年 25 年 時 点 での 再 評 価 を 含 めた 運 転 コストやその 他 のコスト( 送 電 料 金 や 事 業 資 産 税 等 )について の 定 められた 時 期 におけるレビュー 結 果 を 反 映 し 必 要 に 応 じてストライク プライスが 調 整 されることになっている さらに 原 子 力 発 電 への 特 別 課 税 や 燃 料 発 電 税 など 将 来 の 法 制 度 の 変 更 によって 生 じるコストの 変 動 もストライク プライスに 反 映 されることに なっている EDF エナジー 社 が 計 画 している HPC と SWC の 両 発 電 所 の 設 計 運 転 寿 命 は 60 年 とされ ている しかし 同 社 と 英 国 政 府 が 合 意 したストライク プライスの 適 用 期 間 は 運 転 開 始 から 35 年 間 である これは 運 転 寿 命 の 約 6 割 に 当 たる 期 間 だが 同 様 に FIT CfD 制 度 が 適 用 される 再 生 可 能 エネルギー 発 電 施 設 についても 適 用 期 間 はほぼ 同 程 度 の 割 合 になって いる なお ストライク プライスが 適 用 される 販 売 電 力 量 についても 上 限 が 設 けられて おり この 上 限 値 を 超 えて 販 売 された 電 力 は FIT CfD 制 度 が 適 用 されず 通 常 の 市 場 での 取 引 として 扱 われる 英 国 政 府 は 35 年 間 にわたるストライク プライスの 適 用 期 間 は 実 際 に 新 規 原 子 炉 建 設 において 資 金 調 達 を 行 う EDF エナジー 社 の 子 会 社 である NNBG 社 が 適 切 な( 安 定 的 な) 資 金 調 達 先 を 確 保 する 上 では 合 理 的 な 期 間 であるとしている また 英 国 政 府 は 適 用 期 間 が 30 年 よりも 短 ければ NNBG 社 が 債 務 返 済 のための 費 用 をカバーするための 十 分 な 収 入 を 得 ることも 信 用 格 付 けで A ランクを 維 持 することも 困 難 になるとみている さらに 英 国 政 府 は 同 社 が 2004 年 エネルギー 法 の 規 定 にそって 実 施 する 廃 止 措 置 資 金 確 保 プログラムにおいて 新 規 原 子 力 発 電 所 に 関 して 将 来 必 要 となる 廃 止 措 置 及 び 放 射 性 廃 棄 物 管 理 のための 資 金 を 別 途 確 保 しておく 義 務 があることから この 資 金 確 保 のためには 35 年 間 の 安 定 した 収 入 が 必 要 であるとも 指 摘 している 英 国 政 府 と EDF エナジー 社 との 合 意 内 容 では 新 規 原 子 炉 の 運 転 を 開 始 できるように なる 目 標 約 束 期 間 を 同 社 が 設 定 し 同 期 間 の 終 了 後 からの 追 加 期 間 が 経 過 して 以 降 は 政 府 が 契 約 を 破 棄 することが 可 能 とされている なお どちらの 期 間 についてもその 具 体 的 な 年 数 に 関 しては 現 時 点 では 非 公 表 となっている 125

128 また 同 社 には 新 規 炉 の 運 転 を 開 始 させるまでの 目 標 約 束 期 間 を 設 ける 義 務 が 課 せられ るだけでなく 同 社 は 同 期 間 においてのみ FIT CfD 制 度 のもとでの 売 電 による 差 額 決 済 を 開 始 できることになっている そのため 同 期 間 の 最 終 日 までに 売 電 を 開 始 することがで きず 数 年 遅 れて 売 電 が 開 始 できた 場 合 は 差 額 決 済 を 受 けられる 契 約 期 間 が 35 年 から 当 該 年 分 だけ 短 くなるリスクを 負 うことになる さらに 目 標 約 束 期 間 の 終 了 後 に 始 まる 追 加 期 間 の 終 了 後 は 政 府 が 契 約 を 破 棄 することができるようになるため 同 社 は 追 加 機 関 の 終 了 までに 売 電 を 開 始 できないと 政 府 による 契 約 破 棄 というリスクも 負 うことになる 英 国 政 府 と EDF エナジー 社 は 投 資 契 約 の 内 容 の 他 に 投 資 契 約 に 付 随 する 条 件 について の 合 意 にも 至 っている その 一 つの 条 件 として 保 健 安 全 セキュリティ 環 境 輸 送 安 全 保 障 上 の 問 題 やその 他 の 特 定 な 状 況 以 外 で 政 治 的 な 決 定 によって 新 設 した 原 子 力 発 電 所 を 閉 鎖 しなければならない 場 合 に 関 する 取 り 扱 いがあるとされている 政 治 的 な 決 定 によって 新 設 した 原 子 炉 の 閉 鎖 を 余 儀 なくされた 場 合 には 英 国 政 府 が 新 設 を 実 際 に 行 う EDF エナジー 社 の 子 会 社 である NNBG 社 の 株 式 を 政 府 (または 政 府 指 定 機 関 )に 移 転 させるコールオプション( 買 う 権 利 ) または NNBG 社 を 所 有 する 持 株 会 社 が NNBG 社 の 株 式 を 政 府 (または 政 府 指 定 機 関 )に 移 転 させるプットオプション( 売 る 権 利 )があるとされている なお その 場 合 に 同 社 が 得 られる 補 償 レベルについては 現 在 交 渉 中 とのことである 重 要 なインフラ 施 設 の 建 設 のための 資 金 調 達 における 政 府 債 務 保 証 制 度 英 国 政 府 は 2012 年 7 月 インフラ 施 設 への 投 資 促 進 のため 民 間 事 業 者 がインフラ 投 資 のために 市 場 から 資 金 を 調 達 する 場 合 に 政 府 がその 債 務 保 証 を 行 っていく 方 針 を 発 表 し た 英 国 政 府 は 各 インフラ プロジェクトの 商 業 性 経 済 性 によるものだけでなく 世 界 的 な 金 融 危 機 によって 資 本 金 融 市 場 の 制 約 が 増 大 し また 借 入 が 認 められるまでに 非 常 に 長 期 間 を 要 することなどを 背 景 に 事 業 者 による 資 金 調 達 が 困 難 となっており 結 果 として 国 家 にとって 重 要 なインフラ 施 設 への 投 資 が 進 んでいないことを 踏 まえ このよう な 支 援 を 行 うとしている cviii 2012 年 10 月 31 日 インフラ プロジェクト 投 資 のための 事 業 者 による 資 金 調 達 におい て 政 府 が 債 務 保 証 を 実 施 できる 制 度 について 規 定 したインフラ 法 が 制 定 され 同 日 に 発 効 した 同 法 において 政 府 による 債 務 保 証 制 度 の 対 象 となるインフラ プロジェクトは 水 電 力 ガス 通 信 下 水 鉄 道 道 路 交 通 施 設 保 健 施 設 教 育 施 設 裁 判 所 刑 務 所 住 居 施 設 とされている また 本 制 度 の 財 源 は 統 合 国 庫 資 金 ( 日 本 の 一 般 会 計 に 相 126

129 当 )であり その 予 算 額 は 500 億 ポンドとなっているが 既 にそのうちの 100 億 ポンドは 住 居 施 設 用 として 充 当 されている なお 本 制 度 の 開 始 当 初 は その 適 用 期 限 は 2014 年 12 月 までとされていたが 2013 年 6 月 に 2016 年 12 月 までに 2 年 間 延 長 されることが 決 定 している cix, cx, cxi 英 国 政 府 によるインフラ 投 資 に 対 する 債 務 保 証 制 度 の 概 略 図 を 図 に 示 す cxii 図 英 国 政 府 による 債 務 保 証 制 度 本 制 度 では 英 国 政 府 により 事 業 者 の 債 務 についての 無 条 件 取 消 不 能 の 保 証 が 提 供 さ れる また 事 業 者 発 行 の 債 権 を 購 入 する 投 資 家 も 貸 手 と 同 様 に 債 務 保 証 される なお 保 証 料 率 は 市 場 レートで 請 求 されることとなっているが 保 証 料 率 及 びその 決 定 方 法 等 に ついての 情 報 は 現 時 点 で 公 表 されていない 模 様 である 英 国 政 府 は 前 述 の 500 億 ポンドの 予 算 枠 の 中 で 債 務 保 証 を 行 うプロジェクトを 選 定 して いる 債 務 保 証 の 対 象 となるプロジェクトは 表 に 示 すように 4 つの 段 階 を 経 て 決 定 されることになっている cxiii 表 英 国 政 府 が 債 務 保 証 を 行 うプロジェクトの 選 定 段 階 第 1 段 階 事 業 者 がプロジェクトを 英 国 財 務 省 に 申 請 第 2 段 階 プロジェクトが 保 証 制 度 の 対 象 となる 可 能 性 があるかについて 財 務 省 の 担 当 大 臣 が 決 定 予 備 承 認 (Pre-qualification) 第 3 段 階 プロジェクトに 対 する 評 価 及 びデュー デリジェンスの 実 施 第 4 段 階 財 務 省 内 部 のリスク 委 員 会 にて 審 議 財 務 大 臣 がプロジェクトを 承 認 127

130 英 国 財 務 省 によるプロジェクトの 予 備 承 認 (pre-qualification)に 向 けた 審 査 においては 信 用 度 開 発 段 階 保 証 の 必 要 性 重 要 度 費 用 対 効 果 等 が 考 慮 される 予 備 承 認 後 本 審 に 入 り 貸 付 側 と IUK(Infrastructure UK という 財 務 省 内 の 一 部 署 )による 一 般 的 な デュー デリジェンスが 行 われる 最 終 段 階 では プロジェクトは 財 務 省 内 部 のリスク 委 員 会 に 諮 られた 後 財 務 大 臣 に 承 認 されて 債 務 保 証 が 受 けられる 資 格 を 得 る 新 規 原 子 力 発 電 所 に 関 しては 2013 年 6 月 に 英 国 政 府 が EDF エナジー 社 が 計 画 するヒ ンクリー ポイント C 原 子 力 発 電 所 (HPC)への 債 務 保 証 制 度 の 適 用 が 可 能 であるとの 予 備 承 認 をしたことを 公 表 している HPC への 債 務 保 証 額 は 数 10 億 ポンド 以 上 (multi-billion とされている)になると 見 込 まれている なお 債 務 保 証 の 詳 細 内 容 は 未 だ 決 定 されてい ない 模 様 だが 保 証 内 容 は EDF エナジー 社 の 子 会 社 の NNBG 社 が 実 際 に 得 られる 信 用 格 付 けにリンクするとみられている 一 方 NNBG 社 は 資 金 調 達 内 容 ( 借 入 や 株 式 による 調 達 割 合 )をまだ 決 定 していないとされている cxiv 英 国 財 務 省 は 2013 年 10 月 時 点 で 計 40 総 額 330 億 ポンド 相 当 のエネルギー 道 路 鉄 道 のインフラ プロジェクトの 予 備 承 認 をしており そのうちの 半 分 以 上 がエネルギー 関 連 とされている また 2014 年 2 月 3 日 時 点 においては 3 つのプロジェクトが 最 終 承 認 されている cxv, cxvi 英 国 政 府 が 最 終 承 認 予 備 承 認 し 事 業 者 が 公 開 を 認 めているプロジェクトの 一 覧 を 参 考 までに 表 に 示 す 128

131 表 英 国 政 府 による 債 務 保 証 の 資 格 を 得 たインフラ プロジェクト ( 事 業 者 公 開 承 認 のプロジェクトのみ 2014 年 2 月 3 日 時 点 ) プロジェクト 名 セクター 進 捗 状 況 Drax Power エネルギー 承 認 (7,500 万 ポンド) Hinkley Point C(ヒンクリー ポイントC 原 子 力 発 電 所 ) エネルギー 予 備 承 認 Chinook Energy - Renewable Energy from Waste エネルギー 予 備 承 認 Eggborough Power Limited エネルギー 予 備 承 認 Five Quarter Energy Holdings Limited - Deep Gas Winning エネルギー 予 備 承 認 Helius Energy - Avonmouth biomass power generation エネルギー 予 備 承 認 Intergen UK Development Limited - Gateway Energy Centre エネルギー 予 備 承 認 Intergen UK Development Limited - Spalding Energy Expansion エネルギー 予 備 承 認 Islandmagee Gas Storage Facility エネルギー 予 備 承 認 Neart Na Gaoithe エネルギー 予 備 承 認 Tilbury Green Power - waste wood fired power generation エネルギー 予 備 承 認 West of Duddon Sands Offshore Transmission Link エネルギー 予 備 承 認 Sustainable Development Capital - UK Energy Efficiency Investments Fund 運 輸 承 認 (880 万 ポンド) Northern Line Extension 運 輸 承 認 (7 億 5,000 万 ポンド) Able Marine Energy Park 運 輸 予 備 承 認 Gasrec plant and fuelling stations 運 輸 予 備 承 認 Ineos Grangemouth Ethane Import and Storage Facilities 運 輸 予 備 承 認 Intercity Express Programme (IEP): East Coast Main Line 運 輸 予 備 承 認 Mersey Gateway Bridge 運 輸 予 備 承 認 University of Northampton 教 育 予 備 承 認 University of Roehampton 教 育 予 備 承 認 Countesswells 住 宅 予 備 承 認 Mill Group 住 宅 予 備 承 認 * 本 表 に 含 まれている 原 子 力 発 電 所 プロジェクトはヒンクリー ポイント C のみ 原 子 力 支 援 施 策 に 対 する 欧 州 委 員 会 の 国 家 補 助 (State Aid) 審 査 前 述 のように 英 国 政 府 と EDF エナジー 社 は 2013 年 10 月 21 日 同 社 が 計 画 するヒ ンクリー ポイント C 原 子 力 発 電 所 (HPC)への 投 資 を 実 現 するための 政 府 支 援 等 を 含 む 投 資 契 約 の 内 容 及 びその 他 の 条 件 等 について 合 意 に 至 った なお 実 際 に 英 国 政 府 と 投 資 契 約 を 締 結 し 支 援 を 受 けるのは HPC の 建 設 運 転 主 体 となる EDF エナジー 社 の 子 会 社 である NNBG 社 である 英 国 政 府 は 翌 22 日 EU 機 能 条 約 第 1 章 競 争 規 則 第 2 部 国 家 補 助 の 第 108 条 (3) の 規 定 に 従 い 欧 州 委 員 会 に 対 して 政 府 が 商 業 プラントである HPC での 発 電 電 力 に 対 し て 適 用 される 固 定 価 格 買 取 差 額 決 済 契 約 (FIT CfD)の 内 容 や HPC 建 設 のために NNBG 社 が 資 金 調 達 を 行 うに 当 たって 政 府 が 債 務 保 証 を 行 うことが 同 条 約 第 107 条 で 定 められ ている 国 家 補 助 (State Aid)に 該 当 しないことを 説 明 した 文 書 を 送 付 した cxvii, cxviii 欧 州 委 員 会 は 英 国 政 府 が 提 出 した 書 類 について 予 備 審 査 を 行 った 結 果 HPC に 関 する 支 129

132 援 内 容 が State Aid に 該 当 する 可 能 性 があるとして 第 108 条 (2)に 基 づき 詳 しく 審 査 する ことを 決 定 した 欧 州 委 員 会 は 12 月 18 日 に 英 国 政 府 に 審 査 実 施 について 書 簡 で 伝 える とともに 欧 州 委 員 会 が 求 める 追 加 情 報 を 書 簡 の 受 領 から 1 カ 月 以 内 に 提 出 することを 要 請 した 欧 州 委 員 会 は 英 国 政 府 による 説 明 内 容 に 関 して 以 下 のような 点 を 疑 問 視 している EU の 目 標 である 電 力 安 定 供 給 電 源 多 様 化 低 炭 素 化 を 達 成 させるために 必 要 なもの か 新 規 の 原 子 力 発 電 に 関 して 市 場 の 失 敗 が 本 当 に 存 在 するのか 市 場 の 失 敗 を 解 消 するために 適 切 かつ 正 当 化 されうるものなのか また 欧 州 員 会 は FIT CfD のもと HPC での 発 電 電 力 に 対 して 適 用 されるストライク プ ライス(92.5 ポンド/MWh)とその 適 用 期 間 (35 年 間 ) 及 び HPC 建 設 のための NNBG 社 による 資 金 調 達 における 政 府 による 債 務 保 証 が 過 剰 支 援 であり NNBG 社 のプロジェク ト 実 施 上 のリスクがほとんど 全 て 回 避 されることになる 点 等 を 指 摘 し 政 府 による 支 援 内 容 が 過 剰 である 可 能 性 を 示 唆 している 特 に 欧 州 委 員 会 は FIT CfD と 債 務 保 証 の 両 方 の 支 援 があることも 支 援 過 剰 ではないかとみている 欧 州 委 員 会 が 英 国 政 府 に 送 付 した 書 簡 においては 具 体 的 には 以 下 のような 点 について 英 国 政 府 から 追 加 情 報 の 提 供 や 詳 しい 説 明 を 求 めている 英 国 における 電 力 供 給 不 足 は 2020 年 前 の 段 階 で 生 じることが 懸 念 されているが 早 く ても 2023 年 に 運 開 する HPC に 対 する 支 援 が 必 要 である 理 由 についての 情 報 が 不 足 し ている 英 国 政 府 が 説 明 した 複 数 ある 試 算 モデルの 中 には FIT CfD 制 度 が 適 用 されなくても 2027~2030 年 には 原 子 炉 が 新 設 されうるという 結 論 が 示 されているものがある HPC に 関 する 投 資 契 約 は 全 電 源 を 対 象 とした 競 争 入 札 の 結 果 として 選 ばれたもので はなく 最 低 コストが 達 成 されているのか 疑 問 であり また 同 契 約 が HPC と 同 様 の 役 割 を 果 たすことができる 大 規 模 バイオマス 発 電 や 原 子 力 発 電 と 競 合 可 能 な 代 替 電 源 を 排 除 することになっていないか フィンランドのオルキルオト 発 電 所 フランスのフランマンビル 発 電 所 では 既 に HPC で 建 設 が 予 定 されている EPR が 政 府 の 支 援 無 くして 建 設 されているが HPC とこ れらの 発 電 所 建 設 プロジェクトとの 根 本 的 な 違 いに 関 する 情 報 が 不 足 している HPC プロジェクトに 関 する 費 用 見 積 額 と 英 国 政 府 が 示 した 全 ての 市 場 価 格 シナリオか ら 同 プロジェクトは FIT CfD により 35 年 間 で 約 億 ポンドの 見 積 収 入 額 が 保 証 されなくても 利 益 が 出 るプロジェクトである また 見 積 収 入 額 の 算 出 のために 適 用 130

133 された 割 引 率 55の 適 切 性 に 疑 問 がある 英 国 政 府 は FIT CfD において 適 用 される 参 照 市 場 価 格 ( 前 述 参 照 )の 設 定 方 法 見 積 もられた 市 場 価 格 平 均 よりも 高 く 設 定 されているストライク プライスの 見 直 し 方 法 等 の 詳 細 についてまだ 決 定 しておらず 最 終 的 かつ 詳 しい 情 報 が 必 要 である HPC の 合 理 的 な 利 益 レベルは 英 国 政 府 と EDF エナジー 社 との 間 の 協 議 ベースで 決 定 されており 通 常 使 われる 資 本 利 益 率 を 基 に 決 定 されていない 政 府 支 援 を 受 けた HPC が FIT CfD の 契 約 終 了 後 の 運 転 期 間 において 多 くの 利 益 を 出 したとしても それを 調 整 するメカニズムは 無 く また HPC の 運 転 期 間 を 通 しての 総 利 益 は 不 明 であるため 過 剰 支 援 にならないという 保 証 はできない HPC への 支 援 の 理 由 の 1 つに 電 力 の 低 炭 素 化 が 挙 げられているが 既 に 導 入 されてい るより 市 場 原 理 を 活 かした 炭 素 価 格 メカニズム( 後 述 参 照 )で 同 様 の 目 的 が 達 成 でき るのではないか HPC への 支 援 が 再 生 可 能 エネルギー 電 源 への 投 資 支 援 や 英 国 と 海 外 とを 結 ぶ 国 際 送 電 網 への 投 資 支 援 が 犠 牲 になる 可 能 性 がある NNBG 社 への 債 務 保 証 に 関 して NNB 社 の 借 入 予 定 額 や 資 金 調 達 構 成 ( 借 入 株 式 発 行 等 ) 政 府 の 保 証 額 についての 情 報 が 無 い また 債 務 保 証 料 率 は 市 場 レートに 基 づ くことになっているが そのための 具 体 的 なベンチマークや 料 率 の 決 定 者 などの 情 報 が 示 されていない FIT CfD 制 度 と 債 務 保 証 の 両 支 援 を 行 うことによる 偶 発 利 益 の 発 生 と 過 剰 支 援 を 限 定 する 方 法 を 示 してほしい 欧 州 委 員 会 は 英 国 政 府 による 支 援 が 競 争 市 場 を 歪 めないか 支 援 の 必 要 性 や 支 援 が 過 剰 な 規 模 になっていないかなどについての 調 査 を 進 めるとしている なお 欧 州 委 員 会 は 審 査 結 果 を 出 す 期 限 は 設 けられていない 重 要 なインフラ 施 設 の 立 地 自 治 体 への 支 援 策 新 しい 自 治 体 支 援 策 英 国 政 府 は 原 子 炉 新 設 を 受 け 入 れる 立 地 自 治 体 は 国 家 の 電 力 と 成 長 炭 素 排 出 削 減 に 多 大 に 貢 献 するとして 2013 年 7 月 に 新 設 立 地 自 治 体 に 財 政 支 援 を 実 施 することを 発 表 し た cxix 55 欧 州 委 員 会 が 公 表 した 英 国 政 府 への 2013 年 12 月 18 日 付 の 書 簡 においては 企 業 秘 密 については 非 公 表 扱 いとして[ ]と 示 されている 131

134 この 支 援 における 支 援 額 は 発 電 設 備 容 量 に 応 じて 決 定 され 最 高 で 年 間 1,000 ポンド /MW(1 ポンド/kW) また 支 援 期 間 は 40 年 間 とされている 英 国 政 府 は 例 としてヒン クリー ポイント C 原 子 力 発 電 所 (HPC)を 挙 げており HPC の 場 合 は 総 支 援 額 が 最 大 で 約 1 億 2,800 万 ポンドになると 見 込 んでいる なお HPC で 計 画 されている 発 電 設 備 容 量 は 約 320 万 kw である また 支 援 は 2 段 階 で 実 施 されることになっている 第 1 段 階 は 運 転 開 始 から 10 年 間 (2020 年 から 2030 年 までの 期 間 を 想 定 )で 2012 年 地 方 政 府 財 政 法 によって 2013 年 4 月 から 導 入 された 事 業 資 産 税 の 50%を 自 治 体 に 留 保 できる 制 度 の 適 用 により 支 援 すると されている つまり 新 設 された 原 子 力 発 電 所 関 連 資 産 に 対 して 課 税 される 事 業 資 産 税 の 地 元 自 治 体 での 増 収 を 介 した 支 援 である なお この 第 1 段 階 の 支 援 の 対 象 は 新 規 原 子 力 発 電 所 だけでなく 他 の 事 業 資 産 も 対 象 となっている, cxx, cxxi 同 法 の 施 行 までは 地 方 自 治 体 による 事 業 用 資 産 への 課 税 収 入 は 国 庫 に 一 度 プールされ た 後 英 国 政 府 によって 各 自 治 体 に 配 分 されていた しかし 同 法 によって 税 収 のうち 50% を 自 治 体 内 で 留 保 することが 可 能 となっている cxxii, cxxiii 支 援 の 第 2 段 階 は 運 転 開 始 から 10 年 間 を 経 た 後 の 30 年 間 (2030 年 から 2040 年 までを 想 定 )で 英 国 政 府 が 毎 年 定 額 を 自 治 体 に 支 払 うとされている しかし 第 2 段 階 に 関 す る 詳 細 な 支 援 実 施 方 法 については 支 援 開 始 までに 立 地 自 治 体 と 協 議 しながらサイトごとに 決 定 する 予 定 とされており 関 連 情 報 は 2014 年 2 月 末 時 点 では 未 だ 公 表 されていない 既 存 の 立 地 自 治 体 支 援 策 新 しいインフラ プロジェクトを 受 け 入 れる 立 地 自 治 体 は 投 資 雇 用 地 元 サービス の 利 用 といった 地 元 への 経 済 効 果 が 期 待 できる 他 1990 年 都 市 農 村 計 画 法 の 第 106 条 に 基 づき 事 業 者 による 計 画 を 認 めるに 当 たって 事 業 者 との 法 的 拘 束 力 のある 合 意 を 結 び 地 域 における 公 共 サービスやインフラに 関 して 支 援 を 行 うことを 事 業 者 に 求 めることがで きるとされている cxxiv EDF エナジー 社 が 計 画 しているヒンクリー ポイント C 原 子 力 発 電 所 (HPC)の 新 設 に 関 しては 新 設 の 準 備 作 業 の 一 環 として 同 社 と 地 元 ウェストサマセット 市 議 会 等 との 間 で 総 額 3,000 万 ポンドの 財 政 支 援 協 定 が 2012 年 初 めに 締 結 された さらに 2012 年 9 月 には 同 社 とサマセット 州 の 各 議 会 (ウェストサマセット 議 会 セッジムーア 議 会 サマセ ット 州 議 会 )との 間 で HPC 新 設 の 影 響 を 緩 和 するために 約 6,400 万 ポンドの 支 援 を 行 う 追 加 協 定 を 締 結 したことが 発 表 されている cxxv, cxxvi 132

135 これらの 協 定 の 対 象 は HPC 建 設 による 影 響 緩 和 プログラムの 実 施 輸 送 インフラの 改 善 将 来 の 建 設 作 業 への 従 事 希 望 者 のための 住 宅 関 連 支 援 をはじめ 地 元 の 経 済 発 展 人 材 のスキル 向 上 や 職 業 訓 練 観 光 公 共 サービス 地 域 安 全 等 への 支 援 等 多 岐 にわたっ ている その 他 の 制 度 容 量 市 場 制 度 英 国 では 今 後 原 子 力 発 電 所 を 含 め 多 くの 発 電 所 が 閉 鎖 され リプレースや 新 増 設 が 行 われていく 予 定 である 英 国 政 府 は 原 子 力 発 電 所 とともに 主 に 風 力 発 電 を 中 心 とした 再 生 可 能 エネルギー 発 電 設 備 の 新 設 を 促 進 するとしている しかし 原 子 力 発 電 は 出 力 が 大 きく 安 定 している 一 方 電 力 需 要 に 応 じて 供 給 量 を 短 時 間 で 増 減 させることは 難 しく 拡 大 が 見 込 まれている 再 生 可 能 エネルギー 発 電 もその 多 くは 間 欠 性 電 源 である cxxvii 英 国 のように 自 由 化 された 電 力 市 場 においては 発 電 事 業 者 が 積 極 的 に 予 備 供 給 能 力 を 確 保 するインセンティブは 働 かない したがって 英 国 政 府 は 今 後 発 電 所 のリプレース や 新 増 設 が 主 に 低 炭 素 発 電 設 備 によって 行 われたとしても 電 力 の 予 備 供 給 能 力 は 低 水 準 のままになる 可 能 性 があるとしている 再 生 可 能 エネルギー 発 電 の 比 率 が 高 まれば 再 生 可 能 エネルギー 電 源 が 自 然 条 件 等 により 十 分 な 発 電 量 を 確 保 できない 時 間 帯 に 需 要 が 高 ま った 場 合 の 供 給 が 極 めて 不 安 定 になるため 電 力 供 給 を 柔 軟 に 増 減 できる 発 電 設 備 容 量 を 確 保 することが 必 要 であると 政 府 は 認 識 しており 電 力 市 場 改 革 (EMR)において 容 量 市 場 制 度 を 導 入 する 方 針 を 示 している 容 量 市 場 制 度 の 枠 組 みについては 2013 年 エネルギー 法 の 第 2 部 電 力 市 場 改 革 (EMR)の 第 3 章 で 規 定 されている 英 国 政 府 は EMR 及 び 容 量 市 場 制 度 において 特 に CCS 付 ガス 火 力 発 電 が 重 要 な 役 割 を 果 たせるとしている しかし 低 炭 素 発 電 設 備 の 投 資 促 進 のための 政 策 支 援 が 再 生 可 能 エネルギーのコスト 競 争 力 を 相 対 的 に 高 め 既 に 石 炭 火 力 等 に 比 べてもコスト 優 位 性 が 劣 ってきているガス 火 力 発 電 への 投 資 が 損 なわれるとしている そこで 英 国 政 府 は 2012 年 12 月 にガス 火 力 発 電 戦 略 を 公 表 し ガス 火 力 発 電 への 投 資 環 境 整 備 を 進 めている cxxviii 容 量 市 場 制 度 は 信 頼 できる 発 電 設 備 容 量 を 適 切 に 確 保 しておき 消 費 者 を 停 電 等 電 力 供 給 が 不 足 した 場 合 に 生 じるリスクから 保 護 するためのメカニズムである この 制 度 の 仕 組 みは 予 備 供 給 能 力 を 保 有 する 事 業 者 に 同 設 備 での 発 電 量 に 関 わらず 一 定 収 入 を 一 定 期 間 にわたり 政 府 側 が 約 束 し 事 業 者 は 政 府 側 が 求 めた 時 に 同 設 備 から 市 場 に 電 力 供 給 を 行 うこととされている この 制 度 下 では 必 要 時 に 電 力 が 供 給 できなかった 場 合 は 事 業 者 は 政 府 側 に 罰 金 を 支 払 わなければならないことになっている 133

136 容 量 市 場 制 度 における 設 備 容 量 の 確 保 は 消 費 者 負 担 を 最 低 限 に 抑 えるために オーク ション 方 式 で 行 われる オークションにかけられる 設 備 容 量 の 規 模 は 電 力 市 場 での 供 給 信 頼 度 基 準 である 停 電 時 間 期 待 値 (LOLE)3 時 間 / 年 に 基 づいて 決 定 される LOLE は 1 年 間 の 中 で 需 給 バランスが 保 たれずに 生 じる 停 電 リスクとして 受 容 可 能 なレベルとさ れている この 信 頼 度 基 準 は 5 年 ごとに 見 直 され 同 基 準 を 満 たすために 必 要 となる 容 量 がオークションされる 容 量 となるが これは 需 要 予 測 によって 変 動 するとされている 英 国 政 府 は この 信 頼 度 基 準 に 基 づきナショナル グリッド 社 ( 系 統 運 用 者 )にオークショ ン 容 量 についての 分 析 を 行 わせ 同 社 の 分 析 結 果 を 受 けた 後 に 最 終 的 にオークション 容 量 を 決 定 するとしている cxxix 英 国 政 府 は 現 在 容 量 市 場 制 度 の 実 施 のための 詳 細 設 計 についての 検 討 を 行 っており 2014 年 7 月 には 2013 年 エネルギー 法 の 下 位 法 令 を 発 効 させるとしている なお 2014 年 3 月 19 日 には 容 量 市 場 制 度 について 以 下 の 点 を 政 府 が 確 定 したと 発 表 した 新 規 に 設 置 した 設 備 容 量 を 提 供 する 事 業 者 と 契 約 する 場 合 その 期 間 は 15 年 間 とする 既 存 の 設 備 容 量 を 提 供 する 事 業 者 と 契 約 する 場 合 は 1 年 間 ごとの 更 新 を 可 能 とする ただし 大 規 模 改 修 をする 必 要 がある 設 備 については 3 年 契 約 の 締 結 を 可 能 とする 罰 金 は 事 業 者 が 契 約 によって 得 られる 月 収 の 200%または 年 収 の 100%を 上 限 とする オークションの 入 札 額 は 75 ポンド/kW を 上 限 とする 英 国 政 府 は 2018 年 10 月 から 2019 年 9 月 までの 1 年 間 を 対 象 とした 設 備 容 量 について のオークションを 2014 年 12 月 に 実 施 する 予 定 であるが 容 量 市 場 制 度 の 実 施 には 欧 州 委 員 会 による EU の 国 家 補 助 (State Aid)の 審 査 を 通 過 することが 前 提 とされている 炭 素 価 格 の 下 限 値 (CPF) 英 国 では 世 界 で 初 めて 国 内 の 化 石 燃 料 による 発 電 事 業 者 に 対 して 炭 素 排 出 量 に 応 じた 炭 素 価 格 の 支 払 いが 課 せられている 英 国 政 府 は 低 炭 素 発 電 設 備 への 投 資 を 促 進 するこ とを 目 的 として 炭 素 価 格 の 下 限 値 (CPF)を 設 定 している CPF は 2011 年 財 政 法 によ り 2013 年 4 月 から 約 16 ポンド/tCO2 で 導 入 された また 英 国 政 府 は CPF を 年 間 約 2 ポンド/tCO2 程 度 増 加 させ 2020 年 度 の CPF は 30 ポンド/tCO 年 度 の CPF は 70 ポンド/tCO2 とする 予 定 である(いずれも 2009 年 価 格 ) cxxx CPF は EU の 排 出 量 取 引 制 度 (EU ETS)における 炭 素 価 格 に 英 国 独 自 の 炭 素 価 格 支 援 値 (CPS)を 加 えた 値 となっている 英 国 政 府 は 炭 素 価 格 の 目 標 価 格 から 市 場 価 格 を 差 し 引 いたものに 排 出 係 数 を 乗 じて CPS を 算 出 している また CPS は CPF の 2 年 前 に 最 終 134

137 決 定 されることになっており 2013 年 度 の CPS は 2011 年 度 に 決 定 されている また 発 電 事 業 者 のために 2 年 後 の CPS の 最 終 決 定 と 同 時 に 3 年 後 と 4 年 後 の CPS の 予 測 値 も 示 さ れることになっている 2011 年 以 降 の EU ETS の 炭 素 価 格 と 2013 年 度 以 降 の CPS CPF について 図 に 示 す 図 炭 素 価 格 下 限 値 の 設 定 見 込 み 対 象 となる 発 電 事 業 者 は この CPS を 気 候 変 動 税 (CCL)の 一 部 として 支 払 わなければ ならない 英 国 政 府 は 現 在 EU ETS 価 格 が 低 いことや 英 国 経 済 の 競 争 力 維 持 という 点 から CPF の 見 直 しを 進 めており 2016 年 度 から 2019 年 度 までの CPS に 18 ポンド/tCO2 の 上 限 値 を 設 定 することなどが 検 討 されている cxxxi 火 力 発 電 所 への 排 出 性 能 基 準 値 (EPS) 英 国 政 府 は 新 規 に 建 設 される 火 力 発 電 所 に 対 して 二 酸 化 炭 素 排 出 基 準 値 を 課 す 制 度 を 導 入 する 方 針 であり その 導 入 のための 枠 組 みは 2013 年 エネルギー 法 の 第 2 章 電 力 市 場 改 革 (EMR)の 第 8 章 排 出 性 能 基 準 値 (EPS)で 規 定 されている EPS は 化 石 燃 料 による 新 規 の 発 電 所 から 排 出 される 二 酸 化 炭 素 量 を 制 限 することを 目 的 として 導 入 される 英 国 政 府 は 石 炭 火 力 発 電 所 は 炭 素 回 収 貯 留 (CCS) 付 でないと 建 設 できないが ガス 火 力 発 電 所 の 新 設 には 影 響 が 出 ないようなレベルに EPS を 設 定 してい 135

138 る 設 定 された EPS は 新 設 の 化 石 燃 料 による 発 電 所 に 対 して 年 間 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 を 450g/kWh としており 英 国 政 府 は 新 設 の 石 炭 火 力 発 電 所 の 年 間 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 は 約 800g/kWh ガス 火 力 発 電 所 は 400g/kWh 以 下 になると 見 積 っている なお 英 国 政 府 は EPS の 見 直 しを 3 年 ごとに 実 施 する 予 定 である cxxxii, cxxxiii EPS の 適 用 については ガス 火 力 発 電 所 の 新 設 投 資 を 促 進 するため 火 力 発 電 所 の 新 設 が 合 意 された 際 の EPS が 2044 年 まで 継 続 して 適 用 されることになっている また CCS 付 火 力 発 電 所 に 対 しては 運 転 開 始 から 3 年 間 は EPS の 適 用 が 免 除 されることになってい る 英 国 政 府 は 本 制 度 の 実 施 のための 詳 細 規 定 については 2013 年 エネルギー 法 の 下 位 法 令 で 定 めることとしており 現 在 そのための 検 討 が 進 められている 英 国 政 府 は EPS が 適 用 される 新 規 の 火 力 発 電 所 が 運 開 されるのは 早 くても 2017 年 度 になるとみている 一 般 設 計 評 価 (GDA) GDA は 規 制 当 局 である 原 子 力 規 制 局 (ONR)とイングランド ウェールズ 環 境 規 制 機 関 (EA)が 原 子 炉 建 設 サイトの 環 境 に 依 らず 事 前 に 建 設 計 画 の 候 補 となっている 炉 型 に ついて 認 証 するための 原 則 4 段 階 からなる 評 価 プロセスである 英 国 政 府 は GDA を 実 施 し ていくことを 2007 年 1 月 に 公 表 し GDA を 希 望 する 事 業 者 を 対 象 に 2007 年 5 月 からこ れを 開 始 した これまで GDA の 対 象 となった 原 子 炉 ベンダー 炉 型 また GDA の 評 価 状 況 は 表 のとおりである cxxxiv 表 GDA 対 象 の 原 子 炉 ベンダー 炉 型 評 価 状 況 原 子 炉 ベンダー 炉 型 評 価 状 況 仏 AREVA 社 欧 州 加 圧 水 型 原 子 炉 (EPR) 2012 年 12 月 : 最 終 的 な 設 計 認 証 を 取 得 米 ウェスティングハウス (WH) 社 改 良 型 静 的 安 全 加 圧 水 型 原 子 炉 (AP1000) 2011 年 12 月 : 暫 定 的 な 設 計 認 証 を 取 得 カ ナ ダ 原 子 力 公 社 (AECL) 改 良 型 加 圧 重 水 炉 (ACR1000) 2008 年 4 月 :カナダ 国 内 の 新 設 事 業 に 集 中 するために 撤 退 米 ゼネラル エレクトリッ ク(GE) 社 簡 易 型 沸 騰 水 型 原 子 炉 (ESBWR) 2008 年 9 月 : 米 国 内 の 炉 型 の 認 証 作 業 を 優 先 させるた めに 中 断 日 立 GE 社 改 良 型 沸 騰 水 型 原 子 炉 (ABWR) 2013 年 1 月 : 第 1 段 階 開 始 2014 年 1 月 : 第 2 段 階 2017 年 12 月 : 完 了 見 込 136

139 年 計 画 法 英 国 における 許 認 可 プロセスは 複 雑 で 許 認 可 発 給 者 の 権 限 も 分 散 されていたため 事 業 者 が 新 規 プロジェクトの 計 画 許 認 可 を 取 得 するためには 長 期 間 を 要 するなど 非 効 率 的 で あった 許 認 可 手 続 きを 整 備 統 合 するため 2008 年 に 計 画 法 が 制 定 された 同 法 の 対 象 と なるのは 国 家 的 に 重 要 なインフラ プロジェクト(NSIP)である 同 法 により NSIP の 計 画 許 認 可 手 続 きに 要 する 期 間 の 短 縮 や 手 続 きにおける 効 率 性 透 明 性 が 向 上 されてい る cxxxv, cxxxvi NSIP に 含 まれる 原 子 力 発 電 所 の 新 設 計 画 は 同 法 に 沿 って 英 国 政 府 が 発 行 するエネル ギー 国 家 声 明 書 (NPS)の 一 部 として 策 定 された 原 子 力 NPS に 基 づいて 地 域 社 会 地 方 政 府 省 (DCLG)の 計 画 審 査 局 によって 審 査 され 同 局 の 勧 告 を 受 けた DECC 大 臣 が 計 画 許 認 可 として 開 発 合 意 令 (DCO) 発 給 する なお 原 子 力 NPS には 英 国 政 府 が 希 望 サイ トを 対 象 に 2025 年 に 原 子 炉 建 設 が 可 能 か 否 かを 事 前 に 評 価 した 戦 略 的 サイト 評 価 (SSA) における 机 上 調 査 等 により 選 定 されたサイト 8 カ 所 (ヒンクリーポイント サイズウェル ウィルファ オールドベリー セラフィールド 等 )が 含 まれている これにより 最 終 的 な 立 地 サイトの 選 定 プロセスが 効 率 的 に 実 施 できるとされている cxxxvii, cxxxviii EDF エナジー 社 は 2011 年 11 月 にヒンクリーポイント C 原 子 力 発 電 所 (HPC)の 新 設 のための 計 画 許 認 可 を 申 請 し 2013 年 3 月 に 同 許 認 可 を 取 得 している なお HPC 以 外 の 計 画 許 認 可 申 請 はまだ 提 出 されていない cxxxix 137

140 3.4 新 増 設 の 状 況 と 資 金 調 達 スキーム(ケーススタディ) 新 増 設 の 状 況 英 国 における 2014 年 2 月 末 時 点 での 新 増 設 の 状 況 について 表 に 示 す 出 資 者 出 資 割 合 建 設 運 転 者 立 地 サイト 炉 型 EDFグループ 45~50% AREVA 10% 中 国 企 業 30~40% NNBG 社 表 英 国 における 原 子 炉 新 増 設 の 状 況 ヒンクリー ポイ ント 出 力 / 炉 設 備 容 量 運 開 基 数 ( 百 万 kw) ( 百 万 kw) 予 定 EPR 163 未 定 ~15% サイズウェル EPR 年 2025 年 許 認 可 取 得 状 況 許 認 可 発 給 者 支 援 制 度 の 適 用 備 考 原 子 力 サイト 許 認 可 主 要 環 境 許 認 可 原 子 力 規 制 局 (ONR) 計 画 許 認 可 ( 開 発 エネルギー 気 候 変 合 意 令 (DCO)) 動 省 (DECC) 未 申 請 取 得 イングランド ウェー ルズ 環 境 規 制 機 関 (EA) FIT CfDと 政 府 債 務 保 証 ( 欧 州 委 員 会 によるState Aid 審 査 通 過 前 提 ) 等 の 政 府 支 援 内 容 に ついて 合 意 済 み EPRについては 英 国 規 制 機 関 (ONR とEA)による 事 前 認 証 である 一 般 設 計 評 価 (GDA)におい て 最 終 認 証 済 み 日 立 GE 100% ホライズン 社 ウィルファ ABWR 130 オールドベリー ABWR 又 は3 260~ 年 までに 全 年 代 て 取 得 目 標 前 半 又 は3 260~390 年 代 未 申 請 取 得 半 ば FIT CfDと 政 府 債 2サイト 合 計 で 最 務 保 証 ( 欧 州 委 員 低 600 万 kwの 設 備 会 によるState Aid 容 量 確 保 審 査 通 過 前 提 ) 等 ABWRについては の 政 府 支 援 内 容 に GDAの 第 2 段 階 ついて 協 議 中 東 芝 60% Nugeneration 仏 GDF-Suez 社 40% ムーアサイド (セラフィールド 近 郊 ) AP 年 代 前 半 未 申 請 取 得 AP1000については GDAの 暫 定 認 証 済 み 以 下 に 各 社 の 新 増 設 に 関 する 状 況 について これまでの 経 緯 を 含 めて 報 告 する EDF エナジー 社 cxl 2009 年 1 月 にブリティッシュ エナジー(BE) 社 を 買 収 した EDF は BE 社 を EDF の 英 国 子 会 社 である EDF エナジー 社 に 吸 収 統 合 し 現 在 は AGR14 基 と PWR1 基 を 所 有 運 転 している EDF エナジー 社 は ヒンクリー ポイント C 原 子 力 発 電 所 (HPC)とサイズウェル C 原 子 力 発 電 所 (SWC)に 160 万 kw 級 の 欧 州 加 圧 水 型 原 子 炉 (EPR)をそれぞれ 2 基 合 計 4 基 建 設 する 計 画 を 進 めている HPC に 関 して EDF エナジー 社 は 建 設 のために 必 要 となる 主 な 許 認 可 を 既 に 取 得 して いる 同 社 は 2012 年 11 月 に 原 子 力 規 制 局 (ONR)から 原 子 力 サイト 許 認 可 2013 年 3 月 にイングランド ウェールズ 環 境 規 制 機 関 (EA)から 主 な 環 境 許 認 可 2013 年 3 月 にエ ネルギー 気 候 変 動 省 (DECC)から 計 画 許 認 可 を 取 得 (DECC による 開 発 合 意 令 (DCO)) している また 同 社 は 2004 年 エネルギー 法 で 定 められている 新 設 原 子 力 発 電 所 の 廃 止 措 置 プログラム(FDP)について 作 成 をし 英 国 政 府 から 承 認 を 受 ける 必 要 がある なお HPC 138

141 の 建 設 のためには 原 子 力 規 制 当 局 の ONR と EA による 原 子 炉 の 立 地 サイト 環 境 に 依 らな い 事 前 の 一 般 設 計 評 価 (GDA)の 結 果 2012 年 12 月 に 設 計 認 証 を 得 た EPR に 関 して HPC サイトにおけるサイト 固 有 の 原 子 炉 設 計 評 価 と 認 証 を ONR と EA によって 受 ける 必 要 がある 一 方 EDF エナジー 社 は 英 国 政 府 と 同 社 が HPC についての 最 終 投 資 決 定 (FID)を 下 すための 条 件 等 に 関 して 2013 年 10 月 21 日 に 合 意 に 至 っている(HPC に 関 する 投 資 契 約 参 照 ) なお 合 意 内 容 には HPC に 対 する FIT CfD 制 度 の 適 用 や HPC 建 設 のための 資 金 調 達 における 政 府 債 務 保 証 の 付 与 など 政 府 の 支 援 内 容 等 が 含 まれている このため 同 社 は この 政 府 支 援 内 容 が 欧 州 委 員 会 による EU の 国 家 補 助 (State Aid) 審 査 を 通 過 する ことを FID の 前 提 条 件 としている( 原 子 力 支 援 施 策 に 対 する 欧 州 委 員 会 の 国 家 補 助 (State Aid) 審 査 参 照 ) 同 社 は FID を 2014 年 7 月 までに 下 した 後 建 設 を 開 始 し 2023 年 ま でに 初 号 機 の 運 転 を 開 始 する 予 定 である なお HPC については 以 下 のような 経 済 効 果 等 が 見 込 まれている 建 設 期 間 を 通 して 最 高 25,000 人 の 雇 用 ピーク 時 には 建 設 人 員 として 5,600 人 の 雇 用 運 転 に 係 る 人 員 :900 人 の 常 時 雇 用 / 運 転 期 間 (60 年 ) 地 元 への 経 済 効 果 として 建 設 ピーク 時 には 最 高 1 億 ポンド/ 年 年 間 0.4 憶 ポンド HPC プロジェクトのライフタイムに 亘 って 20 億 ポンド 以 上 HPC によって 支 払 われる 法 人 税 収 は 45 億 ポンド 超 2030 年 には 年 間 75 ポンド 以 上 の 電 気 料 金 節 約 2025 年 までに 国 内 電 力 需 要 の 約 7%を 供 給 二 酸 化 炭 素 排 出 の 緩 和 対 策 のないガス 火 力 発 電 と 比 べて 年 間 900 万 トン 削 減 ホライズン 社 cxli ホライズン 社 は ドイツの 電 力 事 業 者 である RWE 社 および E.ON 社 が 英 国 での 新 規 原 子 炉 建 設 のために 共 同 出 資 で 2009 年 11 月 に 創 設 した 会 社 である しかし 2011 年 の 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 後 のドイツ 国 内 での 脱 原 子 力 政 策 や 世 界 経 済 危 機 による 新 設 のための 経 済 的 負 担 増 等 を 背 景 に 両 社 は 2012 年 3 月 にホライズン 社 を 売 却 する 意 向 を 示 した 最 終 的 に 日 立 GE 社 がホライズン 社 の 買 収 先 となり 買 収 手 続 きは 2012 年 11 月 に 完 了 さ れた 日 立 GE 社 のもとホライズン 社 は 引 き 続 き ウィルファとオールドベリーの 両 サイトに おいて ABWR をそれぞれ 2 又 は 3 基 建 設 し 2020 年 代 前 半 には 初 号 機 の 運 転 を 開 始 させ 139

142 る 計 画 を 進 めている 日 立 GE 社 の ABWR については 2013 年 4 月 から 原 子 力 規 制 当 局 の ONR と EA による 原 子 炉 の 立 地 サイト 環 境 に 依 らない 事 前 の 一 般 設 計 評 価 (GDA)が 開 始 されており 2014 年 1 月 からは GDA の 第 2 段 階 に 入 っている GDA は 2017 年 12 月 に 終 了 し 最 終 認 証 が 得 られる 見 込 みである また ホライズン 社 は EDF エナジー 社 と 同 様 英 国 政 府 の 支 援 をうけるため FIT CfD 制 度 において 適 用 されるストライク プライスなどの 条 件 や 建 設 資 金 調 達 などに 関 して 英 国 政 府 と 協 議 を 進 めており 2013 年 12 月 4 日 には 英 国 財 務 省 と 政 府 債 務 保 証 による 資 金 調 達 に 向 けた 協 力 合 意 書 に 署 名 している なお ホライズン 社 は 株 式 と 借 入 による 資 金 調 達 を 検 討 している ホライズン 社 は ウィルファ 原 子 力 発 電 所 の 新 設 により 建 設 時 には 6,000 人 の 雇 用 運 転 時 には 1,000 人 の 雇 用 が 創 出 されるとしており 地 域 経 済 には 23 億 4,000 万 ポンドの 経 済 効 果 が 見 込 まれるとしている NuGeneration 社 cxlii 東 芝 が 60% 仏 GDF-Suez 社 が 40% 出 資 する NuGeneration 社 は セラフィールド 近 郊 のムーアサイドにウェスティング ハウス(WH) 社 製 の AP1000 を 3 基 建 設 する 計 画 を 進 めている WH 社 は ムーアサイドにおける 3 基 の AP1000 の 建 設 により 数 千 人 の 雇 用 が 生 まれる 見 込 みであるとしている NuGeneration 社 は 英 国 スコティッシュ アンド サザン エナジー(SSE) 社 スペ インのイベルドローラ 社 仏 GDF-Suez 社 の 3 社 による 共 同 出 資 で 2010 年 11 月 に 設 立 さ れた しかし 2011 年 9 月 に SSE 社 が 再 生 可 能 エネルギー CCS 付 ガス 火 力 その 他 の 代 替 エネルギーの 開 発 に 注 力 することを 理 由 に NuGeneration 社 から 撤 退 した SSE 社 が 所 有 していた NuGeneration 社 の 25%の 株 式 は 残 りの 2 社 によって 買 い 取 れられ イ ベルドローラ 社 と GDF-Suez 社 がそれぞれ NuGeneration 社 の 50%の 株 式 を 所 有 すること となった さらに 2013 年 12 月 には 非 戦 略 的 事 業 への 投 資 からの 撤 退 を 理 由 にイベル ドローラ 社 が 所 有 する NuGeneration 社 の 全 株 式 を 東 芝 に 売 却 することが 公 表 された 東 芝 は 2014 年 1 月 に 仏 GDF-Suez 社 とパートナーシップを 締 結 し NuGeneration 社 の 株 式 の 60%を 東 芝 が 40%を GDF-Suez 社 が 保 有 することとなった 140

143 3.4.2 資 金 調 達 スキーム 英 国 では 約 30 年 ぶりとなる 新 規 原 子 炉 建 設 の 計 画 が 進 められている 最 も 計 画 が 進 んで いる EDF エナジー 社 のヒンクリー ポイント C 原 子 力 発 電 所 (HPC)である 前 述 重 要 なインフラ 施 設 の 建 設 のための 資 金 調 達 における 政 府 債 務 保 証 制 度 で 示 したように 同 社 は HPC の 建 設 のための 資 金 調 達 において 英 国 財 務 省 による 債 務 保 証 を 得 るための 審 査 を 受 けているところである また 日 立 GE 社 の 100% 子 会 社 であるホライズン 社 もウィルファ 原 子 力 発 電 所 の 新 規 建 設 に 関 して 政 府 債 務 保 証 を 受 けるために 英 国 政 府 との 協 議 に 入 って いる 同 社 は 新 設 のための 資 金 については 株 式 と 借 入 によって 調 達 することを 検 討 して いる cxliiicxliv EDF エナジー 社 は HPC の 運 転 が 開 始 されるまでに 必 要 となる 総 費 用 見 積 額 の 約 160 億 ポンド(2012 年 価 格 )のうち 最 大 で 65%( 約 104 億 ポンド)について 保 証 が 得 られると 見 込 んでいる 約 160 億 ポンドの 内 訳 は 約 140 億 ポンドの 建 設 費 用 に 加 え 建 設 開 始 後 から 運 転 が 開 始 されるまでに 必 要 となる 土 地 代 許 認 可 費 用 使 用 済 燃 料 貯 蔵 施 設 建 設 900 人 の 運 転 チームの 立 上 げ 費 用 等 の 約 20 億 ポンドとされている 一 方 英 国 政 府 は HPC に 対 する 保 証 枠 は 数 十 億 ポンド(multi-billion) 以 上 になるとし ている EDF エナジー 社 の HPC プロジェクトへの 債 務 保 証 に 関 する 英 国 財 務 省 の 審 査 は 予 備 承 認 の 次 段 階 であるデュー デェリジェンスに 入 っているが 最 終 的 な 保 証 額 や 保 証 率 などの 詳 細 な 保 証 条 件 については 今 後 決 定 される 予 定 である また EDF エナジー 社 は HPC の 建 設 を 実 施 する 同 社 の 子 会 社 である NNBG 社 への 出 資 も 募 っている 同 社 による 新 設 計 画 に 関 しては 英 国 の 6 大 電 力 事 業 者 の 1 社 であるセン トリカ 社 が 20%の 出 資 をしていたが 建 設 コストの 増 大 とスケジュール 遅 延 を 理 由 に 2013 年 2 月 に 新 設 計 画 から 撤 退 していた cxlv 2013 年 10 月 17 日 には 仏 EDF グループが 45~50% 仏 AREVA 社 が 10% 出 資 するほ か 中 国 企 業 が 30~40% その 他 から 最 高 で 15%の 出 資 がされる 予 定 であることが 公 表 さ れた なお EDF エナジー 社 は 2013 年 1 月 の 時 点 で 新 設 への 出 資 に 関 する 協 議 を 中 国 企 業 と 開 始 していることを 公 表 していた 中 国 では HPC で 建 設 されることが 予 定 されてい るものと 同 炉 型 である EPR が 2 基 EDF の 協 力 のもと 台 山 サイトで 建 設 されている NNGB 社 への 出 資 が 予 定 されている 中 国 企 業 は EDF がこれまで 30 年 にわたって 事 業 協 力 をしている 中 国 広 核 集 団 (CGN) 中 国 核 工 業 集 団 (CNNC)である 英 国 政 府 は 同 17 日 に 2013 年 10 月 15 日 に 署 名 された 英 国 政 府 と 中 国 政 府 の 覚 書 (MOU)を 受 けて 141

144 安 全 とセキュリティに 関 する 厳 格 な 規 制 基 準 を 満 たす 限 り 原 子 力 発 電 への 中 国 企 業 よる 投 資 を 今 後 認 めていくことを 発 表 していた cxlvi, cxlvii, cxlviii 同 MOU の 構 成 と 投 資 に 係 る 部 分 について 表 に 抜 粋 して 示 す 同 15 日 付 で 北 京 に ある 英 国 大 使 館 が 公 表 した 英 中 第 5 回 経 済 財 政 対 話 :ファクト シート では 今 回 のような 投 資 技 術 活 用 専 門 性 の 共 有 を 通 しての 両 国 原 子 力 関 連 会 社 の 緊 密 な 協 力 を 支 援 する MOU は 初 めてとされている なお 英 国 において 外 資 規 制 をしている 法 律 は 無 い とされている cxlix 表 英 国 政 府 と 中 国 政 府 の 覚 書 (MOU) 序 文 3) 両 国 は 民 生 原 子 力 プロジェクトにおける 投 資 技 術 専 門 性 の 活 用 施 設 建 設 を 通 して 双 方 の 国 内 市 場 における 協 力 を 増 強 させる 意 思 を 表 明 する 第 1 章 協 力 形 態 パラグラフ 2 両 国 の 企 業 が 研 究 計 画 設 計 プロジェクト 管 理 コンサルティング エンジニア リング 建 設 投 資 操 業 メンテナンス 安 全 機 器 供 給 に 限 らず 広 く 民 生 原 子 力 の 分 野 において 投 資 協 力 することを 促 進 する パラグラフ 3 両 国 は 互 いに 投 資 家 及 び 民 生 原 子 力 プロジェクト 参 加 者 の 全 ての 法 的 権 利 を 保 護 する パラグラフ 6 両 国 は 双 方 の 国 における 許 認 可 や 設 計 承 認 要 件 に 限 らず 特 定 の 投 資 プロジェクト に 関 連 する 法 律 政 策 規 制 購 買 手 続 についての 情 報 やガイダンスを 提 供 することで 民 生 原 子 力 分 野 における 協 力 を 促 進 支 援 する 第 2 章 MOU の 実 行 第 3 章 (MOU を 実 行 する 原 子 力 協 力 )ワーキング グループの 目 的 第 4 章 ワーキング グループの 構 成 第 5 章 ワーキング グループの 会 合 への 参 加 者 第 6 章 ワーキング グループの 課 題 142

145 4) 投 資 共 同 プロジェクト 市 場 参 入 に 関 する 難 題 を 解 決 し 障 壁 を 無 くすよう 調 整 努 力 する 第 7 章 ワーキング グループの 資 料 と 会 合 の 準 備 第 8 章 機 密 情 報 3.5 考 察 英 国 では 2008 年 からの 英 国 政 府 の 推 進 政 策 のもと スコットランド 政 府 が 反 対 姿 勢 を 示 しているスコットランドのスコティッシュ パワー(SP) 社 を 除 く Big6 各 社 RWE Npower 社 E.ON UK 社 EDF エナジー 社 スコティッシュ アンド サザン エナジー(SSE) 社 セントリカ 社 が 新 規 原 子 力 発 電 所 プロジェクトに 参 入 した しかし 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 の 事 故 によりドイツ 国 内 での 脱 原 子 力 が 決 定 されたドイ ツの 電 気 事 業 者 の RWE Npower 社 と E.ON UK 社 が 英 国 で 新 設 を 計 画 するホライズン 社 を 2012 年 に 原 子 炉 ベンダーの GE 日 立 に 売 却 した 2011 年 には SSE 社 が 新 設 を 計 画 する NuGeneration 社 の 所 有 株 式 を 共 同 出 資 者 であったスペインのイベルドローラ 社 とフラン スの GDF-Suez 社 に 売 却 して 撤 退 し 2014 年 にはイベルドローラ 社 所 有 する 株 式 を 原 子 炉 ベンダーの 東 芝 に 売 却 した 最 も 新 設 プロジェクトの 実 現 に 近 い NNBG 社 からもセントリカ 社 が 2013 年 に 撤 退 し EDF エナジー 社 は NNBG 社 による 新 設 プロジェクト 出 資 予 定 者 にフランスの 原 子 炉 ベン ダーの AREVA 社 や 中 国 の 原 子 力 関 連 企 業 を 選 定 した このように 原 子 力 発 電 事 業 への 新 規 参 入 を 計 画 していた 英 国 の 電 力 事 業 者 はなくなり また 電 力 事 業 者 もフランス 電 力 (EDF)を 親 会 社 とする EDF エナジー 社 と NuGeneration 社 の 株 式 の 40%( 残 り 60%は 東 芝 )を 所 有 するフランスの GDF-Suez 社 のみとなった EDF エナジー 社 は 以 前 から リスクの 大 きさから 政 府 の 支 援 無 く 市 場 原 理 だけでは 新 設 はできないという 姿 勢 であり 国 家 支 援 (State Aid)についての 審 査 を 行 っている 欧 州 委 員 会 からはリスク フリーに 等 しいと 指 摘 された 固 定 価 格 買 取 差 額 決 済 契 約 (FIT CfD) 制 度 におけるストライク プライスと 契 約 期 間 についての 合 意 内 容 さらに 建 設 資 金 調 達 における 政 府 の 債 務 保 証 の 適 用 が 確 約 されるまで 同 社 は 最 終 投 資 決 定 を 行 わない 予 定 で ある なお 欧 州 委 員 会 の 審 査 対 象 となっているのは 主 にヒンクリー ポイント C 原 子 力 発 電 所 (HPC)への 支 援 で ストライク プライスは 92.5 ポンド/MWh 契 約 期 間 は

146 年 であり 債 務 保 証 額 は 数 十 億 ポンド(Multi-billion)になるとされている 巨 額 の 初 期 投 資 コスト 運 転 までの 長 いリードタイムとスケジュール 遅 延 のリスク 長 期 にわたらざるを 得 ないコスト 回 収 安 全 規 制 許 認 可 の 変 更 リスク 政 策 変 更 リスクや 公 衆 受 容 (PA) 放 射 性 廃 棄 物 処 分 等 の 要 因 による 原 子 力 特 有 のリスクやそのリスク プレ ミアムを 定 量 的 に 図 ることは 難 しいところだが 今 後 欧 州 委 員 会 の State Aid 審 査 の 過 程 で 公 表 される 情 報 や 2014 年 中 に 出 されると 報 じられている 審 査 の 結 果 を 受 けた EDF エナ ジー 社 の 投 資 判 断 に 関 する 情 報 から 関 連 する 情 報 が 得 られる 可 能 性 も 出 てくると 考 えられ る 特 に 英 国 政 府 との 合 意 内 容 である FIT CfD におけるストライク プライスが 下 げられ たり 契 約 期 間 が 短 縮 された 場 合 や 債 務 保 証 のレベルが 想 定 よりも 低 くなった 場 合 に EDF エナジー 社 が HPC の 事 業 リスクやリスク プレミアムを 評 価 したうえで 新 設 投 資 を 決 定 す れば 事 業 者 や 市 場 の 原 子 力 リスク 許 容 レベルをはかる 材 料 になると 考 えられる また 一 方 で 欧 州 委 員 会 が 許 容 する 新 規 原 子 力 発 電 への 国 家 支 援 レベルが 示 されることで 今 後 の 欧 州 における 新 設 リスクの 捉 えられ 方 に 変 化 が 見 られる 可 能 性 もある 144

147 lvii 英 国 政 府 ウェブサイト BE Privatisation Timeline lviii 英 国 政 府 Digest of UK energy statistics 2013 年 7 月 lix ガス 電 力 市 場 規 制 局 (Ofgem)ウェブサイト REVIEW OF ELECTRICITY TRADING ARRANGEMENTS, BACKGROUND PAPER 1, ELECTRICITY TRADING ARRANGEMENTS IN ENGLAND AND WALES, FEBRUARY 1998 lx ガス 電 力 市 場 規 制 局 (Ofgem)ウェブサイト Electricity Wholesale Market - facts and figures lxi Office for National Statistics National Accounts Sector Classification of British Energy 24 September 2004 lxii National Audit Office The New Electricity Trading Arrangements in England and Wales lxiii ブリティッシュ エナジー 社 2002 年 度 年 次 報 告 書 lxiv 英 国 政 府 ENERGY WHITE PAPER: Our energy future - creating a low carbon economy 2003 年 2 月 lxv 英 国 政 府 MEETING THE ENEGY CHALLENGE: A White Paper on Nuclear Power 2008 年 1 月 lxvi EDF エナジー 社 ウェブサイト lxvii 当 時 のブリティッシュ エナジー(BE) 社 ウェブサイト lxviii 当 時 のビジネス 企 業 規 制 改 革 省 (BEER)ウェブサイト lxix エネルギー 気 候 変 動 省 (DECC)ウェブサイト New nuclear power: support for industry development lxx 英 国 政 府 ウェブサイト lxxi 英 国 政 府 Planning our electric future: a white paper for secure, affordable and low-carbon electricity 2011 年 7 月 lxxii 英 国 議 会 ウェブサイト 2013 年 エネルギー 法 lxxiii エネルギー 気 候 変 動 省 (DECC) Electricity Market Reform Delivery Plan 2013 年 12 月 lxxiv RWE npower Corporate Responsibility Report 2008 年 6 月 lxxv Ofgem Energy Supply Probe - Initial Findings Report lxxvi スコティッシュ パワー(SP) 社 ウェブサイト lxxvii スコティッシュ アンド サザンエナジー(SSE) 社 ウェブサイト lxxviii セントリカ 社 ウェブサイト lxxix EDF エナジー 社 ウェブサイト lxxx スコティッシュ アンド サザン エナジー(SSE) 社 2012 年 度 年 次 報 告 書 lxxxi スコティッシュ パワー(SP) 社 2012 年 度 年 次 報 告 書 lxxxii E.ON UK 社 2011 年 度 年 次 報 告 書 lxxxiii RWE UK 社 ウェブサイト lxxxiv RWE UK 社 2012 年 度 年 次 報 告 書 lxxxv セントリカ 社 2012 年 度 年 次 報 告 書 lxxxvi Ofgem The revenues, costs and profits of the large energy companies in 年 11 月 lxxxvii 原 子 力 廃 止 措 置 機 関 (NDA) 2012 年 度 年 次 報 告 書 lxxxviii EDF エナジー 社 2012 年 度 年 次 報 告 書 lxxxix 国 際 原 子 力 機 関 (IAEA) Power Reactor Information System(PRIS) 2014 年 3 月 xc ホライズン 社 ウェブサイト xci Nugeneration 社 ウェブサイト xcii ウェスティング ハウス(WH 社 ) 社 ウェブサイト xciii 英 国 政 府 The Carbon Plan:Delivering ourlow carbon future 2011 年 12 月 xciv 英 国 政 府 Annual Energy Statement 2013 xcv 英 国 議 会 ウェブサイト xcvi 2013 年 エネルギー 法 Energy Act 年 12 月 xcvii DECC ウェブサイト EMR Delivery Plan xcviii DECC ウェブサイト Feed-in Tariffs scheme xcix DECC ウェブサイト Electricity Market Reform: Contracts for Difference c DECC ウェブサイト EMR Delivery Plan ci DECC ウェブサイト Electricity market reform: 'Contracts for Difference' costs exemption eligibility cii 欧 州 委 員 会 State aid SA (2013/C) (ex 2013/N) United Kingdom Investment Contract (early Contract for Difference) for the Hinkley Point C New Nuclear Power Station 2013 年 12 月 145

148 ciii DECC ウェブサイト Electricity Market Reform: Offtaker of Last Resort Advisory Group civ DECC ウェブサイト Annex D: Levy Control Framework Update cv DECC Electricity Market Reform: Update on Terms for the Contracts for Difference 2013 年 12 月 cvi DECC ウェブサイト RE: Freedom of Information Request Reference 13/0294 cvii EDF エナジー 社 ウェブサイト Agreement reached on commercial terms for the planned Hinkley Point C nuclear power station 2013 年 10 月 21 日 cviii Infrastructure UK 2012 年 7 月 Chancellor announces UK Guarantees Scheme cix Infrastructure Act (Financial Assistance) 2012 cx Infrastructure Act (Financial Assistance) 2012 Explanatory Notes cxi HM Treasury Investing in Britain s future 2013 年 6 月 cxii HM Treasury UK Guarantees scheme key documents A brief overview of the standard documentation (prepared by Allen & Overy) cxiii HM Treasury UK Guarantees scheme: prequalified projects cxiv HM Treasury Chief Secretary announces government's new approach to PF2 infrastructure investment 201 年 10 月 cxv HM Treasury New projects pass first hurdle to secure government guarantee for infrastructure 2013 年 10 月 cxvi HM Treasury UK Guarantees scheme: table of prequalified projects 2014 年 2 月 cxvii 欧 州 委 員 会 Competition: State aid procedures cxviii 欧 州 連 合 機 能 条 約 THE TREATY ON THE FUNCTIONING OF THE EUROPEAN UNIONEN Official Journal of the European Union C 83/47 cxix エネルギー 気 候 変 動 省 (DECC)プレスリリース 2013 年 7 月 17 日 付 cxx Local Government Finance Act 2012 cxxi Local Government Finance Act 2012 Explanatory Notes cxxii 地 域 社 会 地 方 政 府 省 ( DCLG) Local Government Resource Review: Proposals for Business Rates Retention Consultation - Government Response 2011 年 12 月 cxxiii 地 域 社 会 地 方 政 府 省 (DCLG)ウェブサイト Greater rewards for local growth under new scheme 2012 年 11 月 cxxiv Town and Country Planning Act 1990 cxxv EDF エナジー 社 ウェブサイト 2012 年 1 月 EDF Energy to spend 30 million to mitigate impact of preparatory works at Hinkley Point C cxxvi EDF エナジー 社 ウェブサイト Hinkley Point C: Landmark agreement signed between councils and EDF Energy 2012 年 9 月 cxxvii DECC Electricity market reform: policy overview 2012 年 11 月 cxxviii DECC Gas Generation Strategy 2012 年 12 月 cxxix DECC ウェブサイト Electricity Market Reform: Capacity Market design 2014 年 3 月 cxxx HM Treasury Carbon price floor consultation: the Government response 2011 年 3 月 cxxxi HM Treasury Carbon price floor: reform and other technical amendments 2014 年 3 月 cxxxii DECC Energy Act: Emissions Performance Standard cxxxiii DECC Annex B: background on supporting and transitional policy arrangements cxxxiv 原 子 力 規 制 局 (ONR)ウェブサイト cxxxv Planning Act 2008 cxxxvi Explanatory Notes to Planning Act 2008 cxxxvii DECC ウェブサイト Consents and planning applications for national energy infrastructure projects cxxxviii DECC National Policy Statement for Nuclear Power Generation(EN-6) 2011 年 7 月 cxxxix EDF エナジー 社 ウェブサイト Decision to approve construction of new nuclear power station at Hinkley Point C in Somerset 2013 年 3 月 cxl EDF エナジー 社 ウェブサイト cxli ホライズン 社 ウェブサイト cxlii Nugeneration 社 ウェブサイト cxliii ホライズン 社 ウェブサイト Co-operation agreement signed on Infrastructure Guarantee Scheme for Wylfa Newydd nuclear power station 2013 年 12 月 cxliv HM Treasury ウェブサイト Insurance industry announces they will invest 25 billion in infrastructure as government publishes UK plan 年 12 月 cxlv セントリカ 社 ウェブサイト Centrica announces decision not to participate in UK nuclear new build 146

149 and launches 500 million share repurchase programme 2013 年 2 月 cxlvi 英 国 政 府 ウェブサイト cxlvii 英 国 政 府 ウェブサイト cxlviii 英 国 政 府 ウェブサイト cxlix JETRO ウェブサイト 147

150 4 ドイツ 4.1 電 力 市 場 制 度 と 原 子 力 ( 発 電 ) 政 策 の 変 遷 電 力 市 場 制 度 ドイツでは 第 二 次 世 界 大 戦 前 から 州 地 域 レベルで 発 送 配 電 小 売 事 業 を 展 開 する 大 電 力 会 社 による 発 送 電 事 業 の 地 域 独 占 が 続 いていた 1996 年 の EU 電 力 指 令 を 受 けて 1998 年 に 電 力 自 由 化 が 開 始 されると 当 時 8 社 あった 大 電 力 会 社 はコスト 削 減 や 規 模 拡 大 によ る 競 争 力 強 化 を 目 的 とした 合 併 を 行 い その 結 果 2000 年 前 後 には 現 在 の 4 大 グループ 体 制 が 形 成 された すなわち ドイツでは 自 由 化 を 契 機 に 大 電 力 による 寡 占 状 態 がより 強 化 される 状 態 となった 配 電 事 業 者 は 約 900 社 電 力 販 売 を 行 う 事 業 者 は 1,050 社 以 上 (う ち 卸 売 専 業 が 50 社 程 度 卸 売 兼 業 を 含 む 小 売 事 業 者 は 1,000 社 程 度 ) 存 在 するが これら の 中 には 4 大 グループと 資 本 関 係 にあるものも 多 い ドイツは 自 由 化 開 始 後 も 発 送 電 分 離 や 託 送 料 金 規 制 には 否 定 的 で 欧 州 委 員 会 から 是 正 を 求 められていたが 2011 年 の 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 後 の 原 子 力 政 策 転 換 に 伴 う 4 大 グループの 業 績 悪 化 も 大 きな 要 因 となり 2014 年 1 月 現 在 4 大 グループ 中 3 者 が 送 電 資 産 を 売 却 している 電 力 市 場 の 変 遷 ドイツでは 州 規 模 で 発 送 配 電 小 売 事 業 を 展 開 する 大 規 模 電 力 会 社 ( 統 合 電 力 会 社 )と こうした 統 合 電 力 会 社 から 供 給 を 受 けて 配 電 小 売 を 行 う 自 治 体 営 電 力 による 地 域 独 占 状 態 が 長 らく 続 いてきた 19 世 紀 末 から 主 として 自 治 体 単 位 で 発 達 してきた 電 気 事 業 は 20 世 紀 初 頭 電 力 供 給 の 拡 大 に 伴 い 合 併 を 繰 り 返 し やがて 広 域 で 発 送 配 電 小 売 事 業 を 行 う 統 合 電 力 会 社 (Verbundunternehmen)と 呼 ばれる 大 規 模 電 気 事 業 者 が 形 成 された 統 合 電 力 各 社 の 営 業 範 囲 が 複 数 の 州 を 含 む 地 域 規 模 に 広 がった 1920 年 代 には 地 域 を 越 える 進 出 がもたらす 過 当 競 争 を 避 けるため 統 合 電 力 会 社 による 境 界 協 定 が 締 結 され 地 域 独 占 状 態 が 確 立 さ れた 第 二 次 世 界 大 戦 後 も 連 邦 政 府 は 電 力 安 定 供 給 の 観 点 から 統 合 電 力 会 社 による 地 域 独 占 を 容 認 する 形 をとり 電 気 事 業 はカルテル 禁 止 の 適 用 対 象 外 とされた ドイツでは 1998 年 のエネルギー 事 業 法 において 欧 州 連 合 (EU)が 1996 年 12 月 に 出 した 電 力 自 由 化 指 令 96/12(1996 年 12 月 発 出 )が 国 内 法 化 されたことにより 電 力 市 場 が 全 面 自 由 化 された 148

151 自 由 化 によって 1920 年 代 の 境 界 協 定 以 来 の 地 域 境 界 を 越 えた 電 力 供 給 が 可 能 にな ったことによる 競 争 激 化 に 対 応 するため(あるいは 競 争 激 化 そのものを 回 避 するため) 当 時 の 統 合 電 力 8 社 は 人 員 削 減 や 余 剰 発 電 設 備 の 整 理 といったコスト 削 減 を 進 めるととも に 規 模 の 拡 大 による 競 争 力 強 化 を 図 るため 積 極 的 に 買 収 合 併 を 図 った その 結 果 2000 年 前 後 には 現 在 の E.ON RWE Vattenfall EnBW による 4 大 グループ 体 制 が 構 築 された 自 由 化 開 始 後 これらの 大 電 力 は 特 に 産 業 向 け 需 要 家 などに 対 し 電 気 料 金 を 引 き 下 げ ることによって 顧 客 離 脱 を 食 い 止 める 動 きを 見 せた 一 方 後 述 の 通 り 垂 直 統 合 型 の 業 界 体 制 が 維 持 され 送 電 事 業 は 引 き 続 きこれら 大 企 業 の 傘 下 にあった こうしたことから 自 由 化 後 に 新 規 参 入 した 電 気 事 業 者 の 多 くが 高 い 託 送 料 金 と 価 格 競 争 に 耐 えられず 次 々 と 市 場 から 脱 落 していった cl 表 に 1998 年 時 点 における 統 合 電 力 会 社 と 現 在 (2014 年 1 月 現 在 )の 4 大 グル ープの 関 係 を 示 す 表 年 時 点 の 統 合 電 力 会 社 と 現 在 の 4 大 グループの 関 係 1998 年 所 在 地 2014 年 ( 本 社 所 在 地 ) VEBA(プロイセン 電 力 持 株 会 ベルリン 社 ) E.ON VIAG(バイエルン 電 力 持 株 会 (デュッセルドルフ) ミュンヘン 社 ) ライン ヴェストファーレン 電 エッセン 力 会 社 (RWE) RWE 合 同 ヴェストファーレン 電 力 (エッセン) ドルトムント 会 社 (VEW) ハンブルク 電 力 会 社 (HEW) ハンブルク フェアク 社 (VEAG) ベルリン( 旧 東 独 ) Vattenfall ベ ル リ ン 電 灯 電 力 会 社 (ドイツ:ベルリン) ベルリン (BEWAG) EnBW カールスルーエ EnBW (カールスルーエ) ドイツでは 連 邦 政 府 がエネルギー 基 本 政 策 を 策 定 する 一 方 産 業 界 内 部 の 詳 細 なルー ルに 関 しては 利 害 関 係 者 間 の 調 整 合 意 に 基 づく 自 主 規 制 に 委 ねる 傾 向 が 強 い 電 力 自 由 化 以 前 から ドイツにおける 電 力 卸 売 料 金 や 大 口 需 要 家 向 けの 電 気 料 金 は 当 事 者 間 の 交 渉 により 決 定 されており 唯 一 低 圧 需 要 家 向 けの 料 金 にのみ 総 括 原 価 方 式 によ る 規 制 料 金 が 設 けられていた 自 由 化 開 始 後 低 圧 需 要 家 向 けの 料 金 に 対 する 規 制 は 連 149

152 邦 電 力 料 金 令 に 基 づく 州 当 局 による 上 限 規 制 に 切 り 替 えられた 事 業 者 は この 上 限 以 下 であれば 自 由 に 料 金 を 設 定 することができた この 上 限 規 制 も 2007 年 までで 廃 止 された ドイツは 託 送 料 金 の 規 制 にはさらに 消 極 的 であった 1979 年 にドイツ 産 業 連 盟 (BDI: 日 本 の 経 団 連 に 相 当 ) 産 業 需 要 家 協 会 (VIK) 電 気 事 業 連 合 会 (VDEW: 現 在 のエネル ギー 事 業 連 合 会 BDEW )が 工 場 等 の 自 家 発 電 設 備 の 余 剰 電 力 を 公 共 の 電 力 網 に 供 給 す る 際 の 託 送 料 金 等 に 関 するガイドラインを 最 初 に 定 めて 以 降 ドイツの 託 送 料 金 はこうし た 団 体 間 の 合 意 に 基 づいて 運 用 されてきた このガイドラインは 連 邦 政 府 の 働 きかけに 応 じて 策 定 されたものであるが あくまで 経 済 界 産 業 界 内 部 における 合 意 であって 連 邦 法 等 に 基 づき 事 業 者 に 規 制 を 課 すものではなかったが 連 邦 政 府 はこれに 替 わる 法 的 な 規 制 を 設 ける 必 要 はないとの 見 方 を 示 していた cli 電 力 自 由 化 に 際 して ドイツは EU 加 盟 国 で 唯 一 交 渉 による 送 電 網 アクセス を 選 択 し 2003 年 の EU 電 力 自 由 化 指 令 の 改 正 を 受 けて 2005 年 に 連 邦 ネットワーク 庁 が 設 置 さ れるまで 託 送 料 金 の 規 制 を 実 施 しなかった 差 別 的 な 料 金 設 定 が 確 認 された 際 には 競 争 制 限 禁 止 法 に 基 づき 連 邦 カルテル 庁 が 事 後 的 に 介 入 した 自 由 化 に 伴 い 1998 年 に 制 定 さ れたエネルギー 事 業 法 の 第 6 条 第 2 項 に 基 づき 託 送 料 金 設 定 に 関 する 従 来 の 団 体 間 合 意 は 団 体 協 定 (VV)の 形 で 引 き 継 がれた clii VV はエネルギー 事 業 法 に 根 拠 を 持 つ 協 定 だが あくまで 業 界 として 託 送 料 金 設 定 に 関 するベストプラクティスを 示 したものであっ て それ 自 体 法 的 拘 束 力 を 有 するものではなかった 1998 年 の 最 初 の VV(VV I)は BDI と VIK VDEW の 間 で 締 結 された VV II(1999 年 ) 以 降 はこれに 自 治 体 地 域 電 力 の 連 合 会 や 系 統 運 用 者 連 合 会 が 加 わった 既 に 述 べた 通 り ドイツでは 自 由 化 開 始 後 競 争 力 強 化 を 目 的 とした 統 合 電 力 会 社 の 合 併 により 4 大 グループが 形 成 されて 発 送 電 事 業 の 寡 占 状 態 が 進 行 し 託 送 料 金 が 高 止 まり した 影 響 で 新 規 事 業 者 の 撤 退 が 相 次 いだ 新 規 事 業 者 の 参 入 に 伴 う 競 争 によりいったん 低 下 した 電 力 価 格 も 2000 年 頃 には 再 び 上 昇 に 転 じ 2003 年 には 自 由 化 前 の 水 準 に 戻 った 独 立 官 庁 による 規 制 を 行 わず 4 大 グループによる 独 占 状 態 を 事 実 上 容 認 するドイツ 政 府 の 姿 勢 は 国 内 外 から 批 判 された 96 年 指 令 を 廃 止 する 形 で 2003 年 に 新 たに 制 定 された EU 電 力 自 由 化 指 令 は 加 盟 各 国 に 対 し 2004 年 7 月 までに 独 立 規 制 機 関 を 設 置 して 託 送 料 金 の 事 前 認 可 制 度 を 導 入 するこ とを 求 めた これを 受 け ドイツでは 2005 年 にエネルギー 事 業 法 が 改 正 され cliii 郵 便 や 通 信 に 関 する 既 存 の 規 制 担 当 官 署 を 統 合 し 新 たに 電 力 ガス 事 業 の 規 制 を 加 えた 独 立 官 庁 連 邦 ネットワーク 庁 が 創 設 された cliv 2005 年 エネルギー 事 業 法 に 基 づき 連 邦 ネット ワーク 庁 による 託 送 料 金 規 制 が 開 始 され 総 括 原 価 方 式 に 基 づく 認 可 を 経 て 2009 年 には 150

153 送 配 電 事 業 の 効 率 化 推 進 を 促 す 目 的 で 総 収 入 に 上 限 を 設 ける 方 式 によるインセンティブ 規 制 が 開 始 された 託 送 料 金 規 制 と 並 んでドイツが 最 後 まで 消 極 的 だったのが 発 送 電 の 所 有 権 分 離 である ドイツの 送 電 系 統 は E.ON RWE Vattenfall EnBW の 4 大 グループの 送 電 事 業 子 会 社 によって 独 占 的 に 運 用 されていた EU はドイツにおける 電 気 事 業 の 寡 占 状 態 が 解 消 されな いことに 懸 念 を 示 し 2006 年 には 欧 州 委 員 会 がドイツの 連 邦 カルテル 庁 と 共 に EU 競 争 法 に 抵 触 しているとの 疑 いでドイツのエネルギー 分 野 に 対 する 調 査 を 開 始 していた clv EU は 2003 年 指 令 を 廃 止 する 新 たな 指 令 2009/72 において 発 送 電 の 所 有 分 離 を 求 めた し かし 同 指 令 では 2009 年 9 月 3 日 時 点 で 垂 直 統 合 型 の 電 気 事 業 者 によって 送 電 事 業 が 所 有 されている 場 合 親 会 社 からの 独 立 性 を 保 証 することで 独 立 送 電 事 業 者 (ITO)として 垂 直 統 合 型 事 業 者 の 傘 下 に 留 まることも 選 択 できるようになっていた EU 指 令 2009/72 は 2011 年 7 月 に 国 内 法 化 された ところが EU からの 圧 力 に 加 え 2011 年 の 福 島 第 一 事 故 後 の 原 子 力 政 策 転 換 による 電 気 事 業 者 の 経 営 状 況 悪 化 等 が 影 響 して ドイツではこの 国 内 法 化 を 待 たずに 急 速 に 発 送 電 の 所 有 権 分 離 が 進 んだ まず E.ON が 2008 年 に 送 電 資 産 の 切 り 離 しを 決 定 して 翌 年 オランダ 系 の Tennet 社 に 売 却 した E.ON は 2008 年 当 時 EU の 反 トラスト 条 項 違 反 の 疑 いで 欧 州 委 員 会 の 調 査 を 受 けていた clvi が この 決 定 の 後 調 査 は 終 了 している その 後 2010 年 には Vattenfall の 送 電 資 産 がベルギー の 送 電 事 業 者 Elia とオーストラリアのファンド 会 社 によるコンソーシアムに 売 却 されて 50Hertz 社 となり 2011 年 の 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 後 には RWE 社 が 送 電 子 会 社 Amprion の 株 式 の 74.9%をドイツ スイスの 金 融 機 関 等 のコンソーシアムに 売 却 した RWE 社 は 将 来 的 には 現 在 保 有 している 同 社 の 株 式 (25.1%) 全 てを 売 却 する 意 向 である 2014 年 2 月 現 在 送 電 資 産 の 保 有 を 続 けているのは 4 大 グループのうち EnBW のみとな っている なお ドイツでは 1998 年 の 電 力 自 由 化 開 始 から 2 年 後 の 2000 年 に 卸 電 力 取 引 市 場 と してフランクフルトに 欧 州 エネルギー 取 引 所 (EEX) ライプツィヒにライプツィヒ 電 力 取 引 所 (LPX)が 開 設 された しかし 十 分 な 取 引 量 を 確 保 できなかったため 両 取 引 所 は 統 合 され 2002 年 にライプツィヒで 統 合 後 の 取 引 を 開 始 した 名 称 は 欧 州 エネルギー 取 引 所 (EEX) を 継 承 した その 後 2008 年 にはフランスの 電 力 取 引 所 である Powernext と 運 用 を 統 合 し スポット 取 引 をパリ(EPEX) 先 物 取 引 をライプツィヒ(EEX)に 集 約 した EPEX におけるスポット 取 引 における 取 引 量 は 2009 年 の 135.6TWh から 2012 年 には 245.3TWh に EEX における 先 物 取 引 も 2009 年 の 257.3TWh から 2012 年 には 445.0TWh に 増 加 した clviii 151

154 ドイツにおける 現 在 の 電 力 市 場 体 制 を 以 下 の 図 に 示 す 図 ドイツの 電 力 市 場 体 制 ドイツ 電 力 市 場 における 問 題 点 電 力 自 由 化 後 のドイツ 電 力 市 場 における 問 題 点 として 挙 げられるのが 4 大 グループによ る 寡 占 状 態 と 電 気 料 金 高 騰 である 4 大 グループによる 寡 占 状 態 は 特 に 発 電 部 門 において 顕 著 である 再 生 可 能 エネルギーの 固 定 価 格 買 取 (FIT) 制 度 対 象 となるものを 除 けば 2012 年 における 自 社 所 有 分 と 他 社 へ の 出 資 分 を 合 わせた 4 大 グループの 発 電 シェアは 78%である clviiclviii 最 終 顧 客 への 電 力 供 給 においては 特 に 家 庭 部 門 で 旧 来 の 自 治 体 電 力 から 離 れる 顧 客 が 少 なく 自 由 化 開 始 以 降 の 供 給 事 業 者 の 変 更 率 ( 電 力 量 ベース)は 自 由 化 開 始 から 10 年 経 過 した 2008 年 時 点 で 11.20%であった 変 更 率 は 徐 々に 上 昇 し 2012 年 末 時 点 では 20.1% が 自 由 化 前 の 供 給 事 業 者 以 外 から 供 給 されている 家 庭 部 門 以 外 の 変 更 率 は 2008 年 時 点 で 47.62% 2012 年 末 時 点 で 58.6%であった 供 給 事 業 者 の 変 更 は 確 かに 増 えているが 最 終 顧 客 に 供 給 される 電 力 に 占 める 4 大 グループの 割 合 は 依 然 高 い ドイツ 国 内 には 現 在 約 1,000 社 の 小 売 事 業 者 があるが 4 大 グループは 系 列 会 社 や 自 治 体 電 力 等 への 出 資 を 通 じて 2008 年 時 点 で 52.01% 2012 年 においてもなお 45.5%のシェアを 保 っている clix 152

155 ドイツの 電 力 市 場 において 4 大 グループの 圧 倒 的 シェア 以 上 に 問 題 視 されているのが 電 気 料 金 の 高 騰 である 1998 年 の 電 力 自 由 化 開 始 から 2000 年 までは 料 金 は 下 降 したが その 後 は 燃 料 費 の 高 騰 に 加 え 自 由 化 と 時 期 を 同 じくして 拡 大 された 再 生 可 能 エネルギー 保 護 策 に 基 づく 賦 課 金 の 増 大 や 税 負 担 の 増 加 により 料 金 が 上 昇 している ドイツの 家 庭 部 門 産 業 部 門 における 平 均 電 気 料 金 推 移 を 以 下 の 図 および 図 に 示 す clx 図 ドイツ 家 庭 部 門 の 平 均 電 気 料 金 推 移 153

156 図 ドイツ 産 業 部 門 の 平 均 電 気 料 金 推 移 また 2013 年 前 半 における 電 気 料 金 ( 税 金 等 含 む)を EU28 カ 国 と 比 較 すると 以 下 の 通 りドイツの 電 気 料 金 が 欧 州 各 国 より 高 い 水 準 にあることがわかる clxi 家 庭 部 門 (2,500~5,000kWh/ 年 ) 産 業 部 門 (500~2,000MWh/ 年 ) 産 業 部 門 (7 万 ~15 万 MWh / 年 ) EU28 カ 国 平 均 ( )デンマーク(30.00 ユーロセント/kWh に 次 ぐ 欧 州 2 番 目 の 高 さ) (ユーロセント/kWh) ドイツ ( ) 特 に 固 定 価 格 買 取 (FIT) 制 度 に 基 づく 賦 課 金 は 再 生 可 能 エネルギーの 設 備 容 量 拡 大 に 伴 い 年 々 増 加 している 2013 年 12 月 に 発 足 した 現 在 の 第 3 次 メルケル 政 権 は 賦 課 金 の 上 昇 ペースの 抑 制 を 目 的 とした 再 生 可 能 エネルギー 法 改 正 の 取 組 を 進 めている 大 グループの 概 要 以 下 に 4 大 グループ(E.ON RWE Vattenfall EnBW) 各 社 の 概 要 を 示 す 株 主 出 資 者 構 成 については 自 治 体 等 の 公 的 機 関 による 出 資 株 式 の 保 有 割 合 が 大 きいもののみ 特 記 する なお 数 値 は 特 記 が 無 い 場 合 2012 年 末 時 点 のものである 154

157 (1)E.ON プロイセン 電 力 会 社 ( 当 時 国 内 2 位 )およびバイエルンベルク 社 ( 同 第 3 位 )の 持 株 会 社 であったフェバ 社 とフィアク 社 が 2000 年 6 月 に 合 併 し E.ON 社 として 新 たに 発 足 した E.ON 社 は 欧 州 を 代 表 するエネルギー 供 給 企 業 であり 欧 州 大 で 電 力 ガス 事 業 を 展 開 して いる 同 社 は ドイツ 株 価 指 数 (DAX)の 30 銘 柄 に 名 を 連 ねる 上 場 企 業 である 2012 年 のグループ 売 上 高 は 1,320 億 ユーロであった E.ON は 4 大 グループの 中 で 最 大 の 売 り 上 げ 規 模 を 有 すると 共 に ドイツ 国 内 に 約 5,400MW の 原 子 力 発 電 設 備 容 量 を 所 有 する 同 国 最 大 の 原 子 力 発 電 事 業 者 でもある 発 電 事 業 全 体 では RWE に 続 く 国 内 2 位 である 従 来 発 送 配 電 小 売 の 全 部 門 を 有 する 垂 直 統 合 型 の 統 合 電 力 会 社 として 活 動 してきたが 送 電 部 門 については 2009 年 に 売 却 ずみである 100% 子 会 社 として ドイツ 国 内 で 5 社 の 発 電 事 業 会 社 7 社 の 配 電 事 業 会 社 (うち 4 社 は 小 売 事 業 も 展 開 )が 活 動 している clxii (2)RWE 現 在 の RWE 社 は ( 旧 )RWE 社 ( 電 力 部 門 国 内 1 位 )と VEW 社 ( 同 6 位 )の 合 併 に より 2000 年 10 月 に 発 足 した RWE 社 は E.ON 社 同 様 DAX30 銘 柄 の 一 つであり ガス 事 業 を 含 めて 国 際 的 に 事 業 を 展 開 するエネルギー 供 給 企 業 である なお 同 社 の 株 式 の 25% は 自 治 体 によって 所 有 されている 2012 年 のグループ 売 上 高 は 532 億 ユーロであった RWE 社 はドイツ 最 大 の 発 電 事 業 者 であり このうち 約 3,900MW が 原 子 力 発 電 所 である 従 来 発 送 配 電 小 売 の 全 部 門 を 有 する 垂 直 統 合 型 の 統 合 電 力 会 社 として 活 動 してき たが 送 電 部 門 については 2011 年 に 子 会 社 の 株 式 の 74.9%を 売 却 し RWE の 保 有 比 率 は 25.1%となった 同 社 の 傘 下 には 発 電 を 行 う RWE パワー 社 RWE ジェネレーション 社 等 に 加 え ドイツ 国 内 の 配 電 小 売 地 域 公 営 供 給 事 業 者 に 対 する 出 資 その 他 発 電 以 外 のサービス 全 般 を 担 う RWE ドイツ 社 等 がある clxiii (3)Vattenfall Vattenfall 社 はスウェーデン 政 府 100% 所 有 の 外 国 公 営 企 業 であり 株 式 の 公 開 はしてい ない ドイツでの 事 業 は 100% 子 会 社 である Vattenfall GmbH( 有 限 会 社 )が 担 当 してい る 前 身 となる Vattenfall Europe 社 は ハンブルク 電 力 会 社 (HEW) フェアク 社 (VEAG) ベルリン 電 灯 電 力 会 社 (BEWAG)の 統 合 により 誕 生 した 2012 年 のグループ 売 上 高 は 1,673 億 スウェーデンクローネ( 約 167 億 ユーロ)であった ドイツ 国 内 における 原 子 力 発 電 事 業 に 関 して Vattenfall 社 はクリュンメル ブルンスビュッテルの 2 つの 原 子 力 発 電 所 を 所 有 していたが これらは 2011 年 の 原 子 力 法 改 正 により 閉 鎖 されたため 現 在 ではブロ ックドルフ 原 子 力 発 電 所 等 への 出 資 を 通 じて 280MW 相 当 の 設 備 容 量 を 所 有 するのみであ る 従 来 発 送 配 電 小 売 の 全 部 門 を 有 する 垂 直 統 合 型 の 統 合 電 力 会 社 として 活 動 し てきたが 送 電 事 業 については 2010 年 に 売 却 済 みである 発 電 以 外 ではドイツ 国 内 では 主 に 首 都 ベルリンにおいて 配 電 小 売 事 業 を 展 開 している clxiv 155

158 (4)EnBW 電 力 自 由 化 前 の 1997 年 バーデンヴェルク 社 とシュヴァーベン エネルギー 供 給 会 社 (EVS)の 合 併 によって 発 足 した 2002 年 以 降 フランス 電 力 (EDF)が 同 社 の 株 式 の 45%を 保 有 していたが バーデン ビュルテンブルク 州 が 2011 年 に EDF の 持 ち 分 を 取 得 した EnBW は 電 力 ガス 事 業 を 中 心 として 事 業 を 展 開 する 上 場 企 業 であるが 現 在 その 株 式 の 46.75%はバーデン ビュルテンベルク 州 またさらに 46.75%は 州 内 の 自 治 体 の 所 有 となっており 公 的 機 関 のシェアが 93%を 越 える clxv 2012 年 のグループ 売 上 高 は 192 億 ユーロであった EnBW 社 は 約 2,500MW 分 の 原 子 力 発 電 の 設 備 容 量 を 所 有 している なお EnBW は 4 大 グループで 唯 一 送 電 部 門 の 売 却 を 行 っておらず 発 送 配 電 小 売 事 業 を 全 て 傘 下 に 収 める 垂 直 統 合 型 の 企 業 形 態 を 維 持 している clxvi 原 子 力 ( 発 電 ) 政 策 の 変 遷 脱 原 子 力 政 策 開 始 以 前 の 原 子 力 政 策 (~1998 年 ) ドイツは 第 二 次 世 界 大 戦 後 東 西 に 分 断 され 占 領 軍 の 共 同 管 理 委 員 会 法 (1946 年 )に より 原 子 力 に 関 する 独 自 の 研 究 開 発 が 禁 じられていた その 後 東 西 ドイツは 主 権 回 復 に 際 して 核 兵 器 の 開 発 保 有 放 棄 を 宣 言 し 1955 年 に 原 子 力 平 和 利 用 の 研 究 開 発 を 開 始 した 旧 西 ドイツでは 1959 年 に 原 子 力 の 平 和 利 用 およびその 危 険 の 防 護 に 関 する 法 律 ( 原 子 力 法 )が 制 定 され 1967 年 に 国 内 初 の 商 業 炉 であるグンドレミンゲン 原 子 力 発 電 所 A 号 機 (25 万 kw BWR)が 運 開 した その 後 原 子 力 発 電 の 普 及 を 図 る 連 邦 政 府 の 後 押 しをう けつつ 西 ドイツの 原 子 力 発 電 事 業 は 民 間 ベースで 進 められてきた しかし 1986 年 のチェルノブイリ 事 故 以 降 原 子 力 発 電 に 対 する 世 論 が 悪 化 し 従 来 原 子 力 発 電 を 推 進 してきた 社 会 民 主 党 (SPD: 当 時 野 党 )は 同 年 原 子 力 発 電 所 を 10 年 以 内 に 段 階 的 に 廃 止 するという 声 明 を 採 択 した 1986 年 以 降 ドイツでは 発 電 用 原 子 炉 の 新 規 発 注 が 途 絶 え 1989 年 のネッカル 2 運 開 を 最 後 に 商 用 原 子 力 発 電 所 の 新 規 建 設 は 行 われていない しかし コール 政 権 (CDU/ CSU FDP: 自 由 民 主 党 )は 原 子 力 を 引 き 続 き エネルギーミックスの 重 要 な 構 成 要 素 と 位 置 付 けていた なお このコール 政 権 下 の 1990 年 にドイツは 東 西 統 一 を 果 たした 旧 東 ドイツにあった 旧 ソ 連 型 VVER は 安 全 性 への 懸 念 から 建 設 中 のものも 含 めて 全 て 閉 鎖 された clxvii 脱 原 子 力 政 策 開 始 から 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 発 生 前 まで(1998 年 ~2010 年 ) ドイツの 原 子 力 政 策 は 1998 年 10 月 に SPD と 緑 の 党 の 連 立 政 権 が 発 足 したことにより 156

159 大 きく 変 わった 連 邦 政 府 と 大 手 電 力 4 社 は 2000 年 に 原 子 力 からの 段 階 的 撤 退 を 取 り 決 める 脱 原 子 力 協 定 clxviii に 合 意 し 2001 年 に 正 式 署 名 した この 協 定 において 政 府 と 事 業 者 は 安 全 性 が 保 たれる 限 り 残 された 運 転 期 間 中 の 原 子 炉 運 転 を 妨 げられないこと を 確 認 する 一 方 で 脱 原 子 力 に 伴 う 一 切 の 補 償 請 求 を 放 棄 することで 合 意 している 翌 2002 年 にはこの 協 定 の 内 容 に 基 づいた 改 正 原 子 力 法 ( 商 業 発 電 のための 原 子 力 利 用 の 秩 序 正 し い 終 結 に 関 する 法 律 clxix )が 制 定 され 原 子 炉 の 新 規 建 設 禁 止 に 加 え 運 転 中 の 炉 につい ても 発 電 電 力 量 の 上 限 を 設 定 して 順 次 閉 鎖 することが 規 定 された ドイツでは 脱 原 子 力 政 策 と 並 行 して 再 生 可 能 エネルギーの 拡 大 加 速 策 が 採 られた 2000 年 には 再 生 可 能 エネルギー 法 (EEG)が 施 行 され 再 生 可 能 エネルギーを 優 先 的 に 供 給 す ると 共 に 全 量 を 固 定 価 格 で 買 い 取 る(FIT) 制 度 が 開 始 された clxx 自 由 化 が 開 始 された 1998 年 を 100 とした 場 合 の 電 気 料 金 ( 家 庭 部 門 )は 2000 年 には 自 由 化 の 効 果 もあって 81 まで 低 下 したが FIT 制 度 による 再 生 可 能 エネルギー 拡 大 に 伴 って 消 費 者 の 電 気 料 金 に 上 乗 せされる 再 生 可 能 エネルギー 賦 課 金 が 急 速 に 上 昇 したこともあり 2003 年 には 自 由 化 開 始 前 の 水 準 に 戻 り 2009 年 には 136 まで 上 昇 した clx こうした 状 況 の 中 気 候 変 動 対 策 と 経 済 性 を 両 立 するという 観 点 から 脱 原 子 力 政 策 開 始 後 も 原 子 炉 の 運 転 延 長 を 巡 る 議 論 がなされてきた 2009 年 に 誕 生 したキリスト 教 民 主 / 社 会 同 盟 (CDU/CSU)と 自 由 民 主 党 (FDP)の 連 立 政 権 ( 第 二 次 メルケル 政 権 ) clxxi は 原 子 力 発 電 を 再 生 可 能 エネルギーへの 橋 渡 し 技 術 と 位 置 づけ 原 子 力 法 を 改 正 して 2002 年 原 子 力 法 で 規 定 された 各 原 子 炉 の 残 存 発 電 電 力 量 にそれぞれ 積 み 増 しを 行 うことにより 原 子 炉 の 運 転 期 間 の 延 長 ( 全 17 基 平 均 で 12 年 )を 可 能 にした なお 事 業 者 には 原 子 炉 の 運 転 延 長 により 生 じる 余 剰 利 益 を 徴 収 するという 名 目 で 新 たに 核 燃 料 税 とエネルギ ー 気 候 基 金 への 拠 出 金 が 課 せられることとなった 核 燃 料 税 については 核 燃 料 税 法 が 制 定 された(2011 年 1 月 1 日 発 効 ) これは 2011 年 1 月 1 日 から 2016 年 12 月 31 日 までの 6 年 間 の 時 限 立 法 であり 炉 心 に 装 荷 された 核 燃 料 について プルトニウム 239 または 241 ウラン 233 または 235 に 対 し 1 グラム 当 たり 145 ユーロ ( 核 燃 料 税 法 第 3 条 )の 率 で 課 税 するというものである 一 方 エネルギー 気 候 基 金 はエネルギー 気 候 基 金 設 置 法 (2011 年 1 月 1 日 発 効 )に 基 づき 設 置 された 基 金 であり 用 途 は1エネルギー 効 率 化 2 再 生 可 能 エネルギー 3 蓄 電 送 電 網 技 術 4エネルギー 利 用 面 からの 建 物 改 築 5 国 内 の 気 候 保 全 6 国 際 的 な 気 候 環 境 保 護 とされている 基 金 への 拠 出 は 原 子 力 発 電 所 を 所 有 する 4 大 電 力 が 基 金 協 定 の 取 り 決 めに 基 づいて 行 う( 原 子 力 発 電 所 にごくわずかの 持 ち 分 を 有 する 公 共 電 力 などは 対 象 外 ) この 取 り 決 めでは 運 転 延 長 が 認 められたことにより 追 加 された 発 電 電 力 量 を 対 象 に 1MWh 発 電 するごとに 9 ユーロの 割 合 で 拠 出 金 を 出 すこととされている 157

160 なお 上 記 の 核 燃 料 税 の 徴 収 額 が 年 23 億 ユーロを 越 えた 場 合 超 過 分 はエネルギー 気 候 基 金 の 原 資 に 組 み 入 れられる 改 正 原 子 力 法 は 2010 年 12 月 に 発 効 した ところがそれからまもなく 2011 年 3 月 に 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 が 発 生 し 状 況 は 大 きく 変 わった 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 後 の 経 緯 (2011 年 ~) 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 発 生 からほどなく メルケル 首 相 (CDU)は 2011 年 3 月 14 日 に 2010 年 改 正 の 原 子 力 法 に 基 づく 運 転 延 長 を 3 カ 月 間 凍 結 し この 間 に 原 子 炉 の 安 全 性 の 検 証 を 行 うと 共 に 包 括 的 なエネルギー 議 論 を 実 施 することを 発 表 した また 翌 15 日 には 原 子 力 発 電 所 立 地 州 の 首 相 らの 同 意 を 取 り 付 け 上 掲 の 3 カ 月 間 1980 年 以 前 に 運 開 した 7 基 の 運 転 を 一 時 運 転 停 止 することを 決 定 した clxxii こうした 連 邦 政 府 の 意 向 に 基 づき ドイツでは 後 に 行 われる 欧 州 連 合 (EU)のストレス テストに 先 立 って 全 炉 の 安 全 検 査 が 行 われ 諮 問 委 員 会 である 原 子 炉 安 全 委 員 会 (RSK) による 評 価 が 実 施 された RSK が 5 月 17 日 に 政 府 に 提 出 した 報 告 書 では 即 時 閉 鎖 が 必 要 なほどの 危 険 性 は 指 摘 されていない clxxiii 一 方 ドイツの 今 後 のエネルギー 政 策 について 社 会 的 な 側 面 から 議 論 する 委 員 会 として メルケル 首 相 は 3 月 下 旬 に 倫 理 委 員 会 を 設 置 した 経 済 学 術 宗 教 を 含 む 各 界 の 代 表 で 構 成 される 同 委 員 会 は 5 月 30 日 に 提 出 し た 報 告 書 において 今 後 10 年 内 に 原 子 力 発 電 から 撤 退 することを 勧 告 した clxxiv その 後 連 邦 政 府 は 州 首 相 らとの 調 整 を 進 め 6 月 3 日 には 2022 年 までに 脱 原 子 力 を 完 了 する 方 針 で 合 意 した この 合 意 を 受 け 6 月 6 日 には 2022 年 までの 脱 原 子 力 完 了 を 盛 り 込 んだエネルギー 政 策 方 針 ならびに 関 連 法 案 パッケージを 閣 議 決 定 した 法 案 パッケージ の 中 心 は 第 13 次 原 子 力 法 改 正 法 案 である 同 法 案 の 主 な 内 容 は 以 下 の 通 りである 各 原 子 炉 の 閉 鎖 期 限 を 以 下 の 通 りとする 2011 年 8 月 6 日 :ビブリス A ビブリス B ネッカル 1 ブルンスビュッテル イーザル 1 ウンターヴェーザー フィリップスブルク 1 クリュンメル 2015 年 12 月 31 日 :グラーフェンラインフェルト 2017 年 12 月 31 日 :グンドレミンゲン B 2019 年 12 月 31 日 :フィリップスブルク 年 12 月 31 日 :グローンデ グンドレミンゲン C ブロックドルフ 2022 年 12 月 31 日 :イーザル 2 エムスラント ネッカル 2 原 子 炉 間 の 発 電 電 力 量 移 譲 は 引 き 続 き 認 められるが 移 譲 を 受 けた 場 合 でも 上 記 の 期 限 を 超 えて 運 転 することはできない 158

161 1980 年 以 前 に 運 開 した 7 基 は 運 転 を 再 開 せず 閉 鎖 されるが 電 力 需 要 のピークである 冬 場 に 電 力 需 給 の 逼 迫 が 予 想 される 場 合 このうち 1 基 については 2013 年 冬 期 まで 再 開 可 能 な 状 態 (スタンバイ)を 維 持 する ピークへの 対 応 には 火 力 発 電 を 優 先 して 充 てるが これで 足 りない 場 合 にのみ 原 子 炉 の 再 稼 働 を 検 討 する スタンバイの 要 否 対 象 炉 は 連 邦 ネットワーク 庁 が 判 断 する なお 連 邦 ネットワーク 庁 が 火 力 発 電 設 備 容 量 等 の 確 保 により 需 要 のカバーが 可 能 であ ると 判 断 したことから 上 記 のスタンバイ 規 定 は 適 用 されず 7 基 は 全 て 恒 久 閉 鎖 された clxxii 第 13 次 原 子 力 法 改 正 法 案 は 2011 年 6 月 30 日 に 連 邦 議 会 を 通 過 7 月 8 日 には 州 代 表 者 会 議 である 連 邦 参 議 院 の 同 意 を 得 て 大 統 領 署 名 ののち 8 月 5 日 付 の 官 報 に 公 示 され 発 効 した 同 法 の 発 効 に 伴 い 政 府 の 指 示 で 運 転 を 停 止 した 7 基 (1980 年 以 前 に 運 開 )に 加 え トラブルのため 当 時 運 転 停 止 状 態 が 続 いていたクリュンメルを 合 わせた 全 8 基 の 原 子 炉 の 運 転 認 可 が 8 月 6 日 付 けで 失 効 した その 他 の 9 基 もそれぞれ 下 記 の 期 限 までに 閉 鎖 される clxxv 2015 年 末 :グラーフェンラインフェルト 2017 年 末 :グンドレミンゲン B 2019 年 末 :フィリップスブルク 年 末 :グローンデ グンドレミンゲン C ブロックドルフ 2022 年 末 :イーザル 2 エムスラント ネッカル 年 2 月 現 在 の 現 政 権 は 2013 年 12 月 に 成 立 した CDU/CSU と SPD による 大 連 立 政 権 である( 第 三 次 メルケル 政 権 ) 現 政 権 発 足 に 伴 う 省 庁 再 編 により 従 来 の 連 邦 環 境 自 然 保 護 原 子 炉 安 全 省 (BMU)は 連 邦 環 境 自 然 保 護 建 設 原 子 炉 安 全 省 (BMU または BMUB)に 名 称 変 更 となった また エネルギー 事 業 の 規 制 等 を 担 当 してきた 連 邦 経 済 技 術 省 (BMWi)は 連 邦 経 済 エネルギー 省 (BMWi: 略 称 同 じ)に 変 更 され エネル ギー 政 策 全 般 を 統 括 する 官 庁 としての 立 場 が 明 確 にされた これまで BMU が 主 として 担 っ てきた 再 生 可 能 エネルギー 政 策 も BMWi のもとに 統 合 された なお 現 在 の BMWi 大 臣 は 第 一 次 メルケル 政 権 下 で 連 邦 環 境 相 を 務 め 原 子 力 発 電 に 批 判 的 な 立 場 をとってきた SPD のガブリエル 党 首 である 現 政 権 は 第 二 次 メルケル 政 権 の 原 子 力 政 策 を 継 承 する 方 針 を 示 している なお 脱 原 子 力 後 の 電 源 として 拡 充 が 進 む 再 生 可 能 エネルギーについては 賦 課 金 の 上 昇 による 電 気 料 金 高 騰 が 問 題 視 されており 現 在 BMWi 主 導 の 下 2014 年 8 月 1 日 発 効 をめざして 再 生 159

162 可 能 エネルギー 法 改 正 の 取 組 が 進 められている clxxvi 4.2 原 子 力 発 電 事 業 体 制 ドイツでは 2011 年 3 月 の 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 後 同 年 8 月 の 原 子 力 法 改 正 に 伴 い 8 基 の 原 子 炉 が 閉 鎖 された 2014 年 1 月 現 在 9 基 が 運 転 中 だが これらの 原 子 炉 も 2022 年 までに 全 て 閉 鎖 される 予 定 である 2011 年 に 閉 鎖 された 8 基 を 含 めたこれらの 原 子 炉 は 全 て E.ON RWE Vattenfall EnBW の 4 大 グループによって 所 有 されている 原 子 力 発 電 事 業 の 概 要 2014 年 1 月 現 在 ドイツでは 9 基 の 原 子 炉 が 運 転 中 である 2012 年 における 原 子 力 発 電 による 発 電 電 力 量 は 9 万 4,000GW で 発 電 電 力 量 全 体 に 占 める 比 率 は 約 16%である clxxvii 原 子 力 による 電 力 の 比 率 は 2010 年 時 点 では 22.5% clxxviii であったが 2011 年 の 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 後 同 年 8 月 の 原 子 力 法 改 正 に 伴 い 8 基 の 原 子 炉 が 恒 久 閉 鎖 されたことか ら 大 きく 低 下 した 残 る 9 基 も 2022 年 までに 順 次 閉 鎖 される ドイツの 電 力 市 場 は 全 面 自 由 化 されているが E.ON RWE Vattenfall EnBW の 4 大 グループが FIT 制 度 対 象 以 外 の 発 電 シェアの 大 半 を 占 めており 2011 年 に 閉 鎖 された 8 基 を 含 めた 原 子 力 発 電 所 も わずかに 自 治 体 等 の 資 本 が 入 っているものの 全 て 4 大 グル ープによって 所 有 されている 表 に 2014 年 1 月 現 在 運 転 中 の 9 基 の 発 電 用 原 子 炉 の 概 要 を 示 す 表 年 1 月 現 在 運 転 中 の 発 電 用 原 子 炉 原 子 炉 名 設 備 容 量 閉 鎖 年 所 有 者 運 開 年 (MW) ( 予 定 ) グラーフェンラ 1,345 E.ON kernkraft:100% インフェルト グンドレミンゲ 1,344 RWE Power:75% ン B E.ON kernkraft:25% フィリップスブ 1,468 EnBW Kernkraft:100% ルク 2 グローンデ 1,430 E.ON kernkraft:83.3% Stadtwerke Bielefeld:16.7% グンドレミンゲ 1,344 RWE Power:75% ン C E.ON kernkraft:25% ブロックドルフ 1,480 E.On Kernkraft:80% Vattenfall Europe Nuclear Energy :20% エムスラント 1,400 RWE Power:87.5% E.ON kernkraft:12.5% イーザル 2 1,485 E.ON kernkraft:75% Stadtwerke München:25% ネッカル 2 1,400 EnBW Kernkraft:98.45% その 他 4 所 有 者 :1.55%

163 4.3 原 子 力 関 連 政 策 施 策 ドイツでは 2011 年 3 月 の 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 後 連 邦 政 府 の 判 断 により 原 子 炉 の 一 時 停 止 や 早 期 閉 鎖 が 実 施 された 原 子 力 発 電 事 業 者 (E.ON RWE Vattenfall EnBW の 4 大 グループ)は 2022 年 までに 全 ての 原 子 炉 を 閉 鎖 する 脱 原 子 力 方 針 については 受 け 入 れるとしているものの 2010 年 にいったん 認 められた 原 子 炉 の 運 転 延 長 を 政 治 的 決 定 に 基 づき 撤 回 する 事 で 事 業 者 が 被 る 経 済 的 損 失 が 補 償 されないことや 事 故 直 後 に 取 られ た 原 子 炉 一 時 停 止 措 置 (モラトリアム)について 異 議 を 呈 し 訴 訟 を 提 起 している また 2010 年 の 原 子 炉 運 転 延 長 に 際 して 導 入 された 核 燃 料 税 が 2011 年 の 運 転 延 長 撤 回 後 も 継 続 されている 事 に 対 しても 事 業 者 らは 不 服 を 表 明 し 裁 判 で 争 っている 以 下 では 原 子 力 事 業 者 に 対 する 損 失 補 償 に 関 連 する 原 子 力 法 等 の 規 定 を 確 認 した 上 で ドイツにおける 2010 年 から 2011 年 にかけての 原 子 力 政 策 変 更 に 係 わる 政 府 と 事 業 者 間 の 折 衝 や 対 立 の 経 緯 最 近 の 動 向 について 報 告 する 原 子 力 発 電 事 業 者 に 対 する 損 失 補 償 に 関 連 する 法 律 規 定 原 子 力 法 18 条 補 償 (1) 規 定 の 内 容 clxxv 原 子 力 法 第 18 条 は 連 邦 や 州 が 発 給 済 みの 許 認 可 を 取 り 消 し 撤 回 した 場 合 における 事 業 者 に 対 する 金 銭 的 補 償 について 定 めている 補 償 額 については 事 業 者 が 支 出 した 関 連 費 用 あるいは 許 認 可 を 受 けた 施 設 の 時 価 が 上 限 とされている 補 償 額 について 争 いがあ る 場 合 は 通 常 裁 判 所 での 訴 訟 が 可 能 である 補 償 の 対 象 外 となるケースについては 以 下 の 通 り 規 定 されている 1. 所 有 者 が 本 質 的 な 内 容 に 関 して 不 正 確 または 不 完 全 な 申 告 に 基 づき 許 認 可 を 取 得 した 場 合 2. 許 認 可 所 持 者 側 の 行 為 が 理 由 で 許 認 可 撤 回 が 行 われる 場 合 特 に 原 子 力 法 や 関 連 法 令 規 定 に 基 づく 当 局 の 指 図 への 違 反 や 各 種 義 務 の 不 履 行 の 程 度 や 頻 度 が 著 しいために 許 認 可 の 撤 回 が 行 われる 場 合 補 償 の 対 象 外 となる 3. 許 認 可 を 受 けた 施 設 や 事 業 が 原 因 で 従 業 員 第 三 者 または 一 般 公 衆 に 対 して( 許 認 可 発 給 時 点 から 見 て) 事 後 的 に 著 しい 危 険 が 生 じたために 撤 回 を 表 明 する 必 要 があったと 161

164 き (2) 参 考 (ドイツ 行 政 手 続 法 における 行 政 行 為 の 撤 回 に 係 る 補 償 規 定 ) clxxix ドイツの 行 政 手 続 一 般 について 定 める 行 政 手 続 法 では 第 49 条 で 適 法 な 行 政 行 為 の 撤 回 ( 行 政 行 為 そのものに 違 法 性 はないが 撤 回 が 行 われる 場 合 )について 定 めている 第 49 条 は 行 政 行 為 が 存 続 すると 信 用 したために 財 産 上 の 損 害 が 生 じた 場 合 利 害 関 係 人 の 申 請 があれば 一 定 の 条 件 のもと 当 局 が 金 銭 的 補 償 を 行 わなければならないと 規 定 してい る ただし 当 該 行 政 行 為 の 撤 回 が 法 令 等 で 明 示 的 に 規 定 されている 場 合 や 利 害 関 係 人 側 に 義 務 の 不 履 行 があった 場 合 は 補 償 の 対 象 外 となる その 際 の 請 求 範 囲 は 当 該 行 政 行 為 の 撤 回 に 関 連 して 発 生 した 損 害 に 限 定 され 金 額 については 行 政 行 為 の 撤 回 を 決 定 した 官 庁 が 決 定 する 行 政 行 為 が 撤 回 されなかった 場 合 に 生 じたと 考 えられる 利 益 ( 逸 失 利 益 ) の 補 償 は 対 象 外 である 原 子 力 法 に 基 づく 許 認 可 の 取 り 消 し 撤 回 は 行 政 行 為 の 一 種 である 原 子 力 法 におけ る 補 償 規 定 は 一 般 法 である 行 政 手 続 法 における 規 定 を 原 子 力 という 分 野 の 性 質 に 照 ら してより 具 体 化 し 限 定 するものであるといえる (3) 原 子 力 法 第 18 条 と 2011 年 の 政 策 転 換 との 関 連 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 後 の 政 治 決 定 に 基 づく 原 子 炉 閉 鎖 を 巡 って 原 子 力 事 業 者 が 提 起 した 裁 判 ( 2011 年 の 原 子 力 政 策 転 換 に 係 る 補 償 に 関 する 訴 訟 の 項 で 詳 述 )では 同 条 項 は 提 訴 理 由 とされていない その 理 由 は 以 下 のように 考 えられる 事 故 直 後 に 連 邦 の 指 図 で 行 われた 原 子 炉 一 時 停 止 (モラトリアム) 運 転 の 一 時 停 止 指 示 であって 運 転 認 可 の 撤 回 取 り 消 し ではない 2011 年 原 子 力 法 改 正 に 伴 う 早 期 閉 鎖 各 原 子 炉 の 許 認 可 の 失 効 期 日 が 2011 年 改 正 原 子 力 法 第 7 条 に 明 記 されている( 行 政 手 続 法 参 照 : 明 確 な 法 律 規 定 に 基 づいて 行 われる 行 政 行 為 の 撤 回 は 補 償 対 象 とならない) 補 償 対 象 は 許 認 可 所 持 者 に 発 生 した 費 用 であって 逸 失 利 益 ではない また 施 設 についても 全 原 子 炉 がすでに 主 要 設 備 の 減 価 償 却 期 間 を 終 了 している clxxx こ のため 上 掲 の 条 件 に 該 当 しないとしても 同 条 項 に 基 づいて 補 償 を 求 めるメリ ットがない (4) 原 子 力 法 第 18 条 とバックフィットの 損 失 補 償 との 関 連 原 子 力 法 第 18 条 における 損 失 補 償 規 定 をバックフィット 損 失 補 償 に 適 用 することは 困 難 であると 考 えられる 理 由 としては 以 下 のような 事 項 が 考 えられる 162

165 18 条 は 事 業 者 に 瑕 疵 が 無 い 場 合 の 許 認 可 取 り 消 し 撤 回 に 関 する 規 定 である し たがって バックフィットの 実 施 に 伴 い 事 業 者 に 事 後 的 に 発 生 した 負 担 を 補 償 するも のではない 現 行 原 子 力 法 第 7d 条 (2010 年 12 月 の 改 正 において 新 設 された 条 項 )では リスクに 対 するさらなる 配 慮 が 許 認 可 所 持 者 の 義 務 とされており これはバックフィットを 運 転 継 続 の 要 件 とする 規 定 とみなされている 事 業 者 は 科 学 技 術 の 発 展 状 況 に 対 応 し 一 般 大 衆 に 対 するリスクについての 更 なる 配 慮 に 少 しでも 貢 献 を 果 すよう そ の 都 度 に 開 発 された 適 切 な 安 全 対 策 が 採 用 されるべく 取 りはからわなければならな い この 規 定 に 費 用 対 効 果 についての 言 及 はない したがって 法 文 の 解 釈 のみに 基 づけば バックフィットに 伴 う 費 用 が 巨 額 になることを 忌 避 し 事 業 者 がバックフ ィットの 実 施 を 拒 否 した 場 合 原 子 力 法 7d 条 を 満 たさないとして 当 局 が 許 認 可 を 取 り 消 す 正 当 な 理 由 となりうる 義 務 不 履 行 による 許 認 可 取 り 消 しは 18 条 による 補 償 の 対 象 外 である なお 理 論 上 は 以 下 のような 条 件 がそろった 場 合 にはバックフィットと 関 連 して 原 子 力 法 第 18 条 の 補 償 規 定 が 適 用 されうると 推 測 される 事 業 者 が 要 求 されたバックフィット 項 目 の 安 全 技 術 上 の 妥 当 性 に 疑 義 を 呈 して 実 施 を 拒 否 許 認 可 当 局 が 当 該 事 業 者 の 許 認 可 を 取 り 消 し 当 該 バックフィット 項 目 が 安 全 技 術 上 問 題 を 含 む( 措 置 の 実 施 によりかえって 危 険 性 が 増 すなど)ことが 科 学 的 に 証 明 される こうした 場 合 には 誤 った 科 学 的 根 拠 に 基 づく 命 令 によって 許 認 可 を 取 り 消 したことに なり (おそらく 判 断 の 正 当 性 を 巡 って 訴 訟 になると 考 えられるが ) 事 業 者 に 瑕 疵 がなく 許 認 可 が 取 り 消 されるケースと 見 なすことも 可 能 である 基 本 法 14 条 3 項 (1) 規 定 の 内 容 clxxxi ドイツの 憲 法 に 相 当 する 基 本 法 では 国 民 の 基 本 権 のひとつとして 第 14 条 に 財 産 権 に 関 する 規 定 を 設 けている 同 条 第 3 項 は 公 権 力 による 財 産 権 の 侵 害 行 為 である 強 制 収 用 と その 補 償 について 規 定 している 強 制 収 用 は 法 に 基 づき 実 施 されねばならず また その 法 律 には 補 償 に 関 する 規 定 が 設 けられていなければならないとしている 補 償 は 公 共 の 利 益 と 当 事 者 の 利 益 を 公 正 に 考 慮 した 上 で 決 定 され 補 償 額 について 争 いがある 際 は 通 常 裁 判 所 に 訴 えることができる 163

166 (2) 同 条 項 と 2011 年 の 政 策 転 換 との 関 連 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 後 の 政 治 決 定 に 基 づく 原 子 炉 閉 鎖 を 巡 って 原 子 力 事 業 者 が 提 起 した 裁 判 ( 原 子 力 法 改 正 に 係 る 憲 法 訴 訟 の 項 で 詳 述 )の 一 部 は 同 条 項 に 基 づく 憲 法 裁 判 として 争 われている 事 業 者 らは 2010 年 の 原 子 力 法 改 正 で 付 与 された 運 転 延 長 分 の 発 電 電 力 量 が 2011 年 改 正 において 撤 回 されたことは 強 制 収 用 に 相 当 するとしており こ れに 対 する 補 償 を 規 定 していない 2011 年 改 正 原 子 力 法 は 違 憲 であると 主 張 している 年 ~2011 年 の 原 子 力 政 策 変 更 に 対 する 事 業 者 の 反 応 ドイツでは 2010 年 の 原 子 力 法 改 正 により 2002 年 原 子 力 法 改 正 時 に 各 原 子 炉 に 割 り 当 てられた 発 電 電 力 量 に 追 加 の 電 力 量 が 上 乗 せされ 全 17 炉 平 均 で 約 12 年 の 運 転 延 長 が 可 能 となった 当 時 の 第 2 次 メルケル 政 権 は 政 権 公 約 において 気 候 エネルギー 基 金 を 設 立 して 運 転 延 長 により 生 じる 余 剰 利 益 を 徴 収 し 再 生 可 能 エネルギー 拡 充 に 役 立 てる 方 針 を 示 していた 連 邦 政 府 は 原 子 力 事 業 者 と 協 定 を 結 び 同 基 金 を 設 立 した しかし 政 府 は この 基 金 に 加 え 政 権 公 約 に 盛 り 込 まれていなかった 核 燃 料 税 を 導 入 したため 原 子 力 発 電 事 業 者 は 反 発 した 2011 年 3 月 に 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 が 発 生 すると メルケル 首 相 は 3 月 14 日 前 年 12 月 に 発 効 したばかりの 原 子 力 法 で 認 められた 原 子 炉 運 転 延 長 を 3 カ 月 間 凍 結 すること を 決 定 した 翌 15 日 には 原 子 力 発 電 所 立 地 州 の 首 相 と 話 し 合 い 1980 年 以 前 に 運 開 した 原 子 炉 の 一 時 停 止 (モラトリアム)について 合 意 をとりつけた 16 日 には 連 邦 政 府 から 立 地 州 当 局 に 対 し 該 当 炉 の 一 時 停 止 に 関 する 指 図 が 出 され これを 受 けて 州 当 局 が 事 業 者 に 対 し 原 子 炉 の 一 時 停 止 を 指 示 した この 措 置 は 立 地 州 の 合 意 を 得 ているものの 議 会 審 議 のプロセスを 経 ておらず また 直 接 影 響 を 受 ける 電 気 事 業 者 との 事 前 交 渉 も 無 かった 全 ての 事 業 者 が 該 当 炉 の 停 止 に 応 じたが RWE 社 はヘッセン 州 当 局 によるビブリス A B 号 機 に 対 する 停 止 指 示 の 正 当 性 を 巡 り 2011 年 4 月 に 行 政 訴 訟 を 提 起 した RWE 以 外 の 事 業 者 はモラトリアムに 対 する 訴 訟 提 起 は 行 っていない この 後 早 期 脱 原 子 力 を 定 めた 2011 年 改 正 原 子 力 法 が 制 定 されるまでのプロセスは 倫 理 委 員 会 など 国 民 の 代 表 者 からなる 社 会 的 議 論 の 結 果 を 踏 まえた 上 で 主 に 連 邦 政 府 と 実 際 の 許 認 可 権 限 を 有 する 州 の 間 で 合 意 形 成 を 図 る 形 で 進 められた これは 脱 原 子 力 政 策 開 始 当 時 社 会 民 主 党 (SPD)と 緑 の 党 が 2002 年 原 子 力 法 改 正 に 先 立 ち 事 業 者 との 間 で 脱 原 子 力 協 定 を 締 結 して 合 意 形 成 を 行 う 一 方 で 原 子 力 法 改 正 に 係 る 議 会 審 議 の 際 には 原 子 力 政 策 は 連 邦 の 専 管 事 項 であるとして 連 邦 議 会 ( 下 院 )の 議 決 のみで 法 案 を 成 立 させ 州 の 代 表 者 で 構 成 される 連 邦 参 議 院 ( 上 院 )での 審 議 を 行 わなかったのと 対 照 的 164

167 である 全 ての 州 との 事 前 合 意 に 基 づき 策 定 された 2011 年 の 原 子 力 法 改 正 法 案 は 上 下 両 院 の 審 議 をスムーズに 通 過 し 8 月 に 官 報 公 示 されて 発 効 した この 改 正 法 の 規 定 に 基 づき 2010 年 に 各 原 子 炉 に 付 与 された 追 加 発 電 電 力 量 ( 運 転 延 長 分 )が 削 除 され さらにモラトリア ム 対 象 となった 原 子 炉 を 中 心 とする 8 基 は 運 転 を 再 開 することなく 2011 年 8 月 6 日 付 で 運 転 認 可 が 失 効 した そのほかの 原 子 炉 9 基 も 2022 年 までに 順 次 閉 鎖 されることになっ た 事 業 者 側 は 原 子 炉 の 早 期 閉 鎖 そのものは 受 け 入 れるとしている しかし RWE E.ON Vattenfall の 3 社 は 政 府 方 針 に 基 づく 早 期 閉 鎖 に 対 する 補 償 が 2011 年 改 正 原 子 力 法 に 規 定 されていないことに 異 議 を 呈 し 基 本 法 の 定 める 財 産 権 の 侵 害 に 当 たるとして 憲 法 裁 判 に 訴 えた 原 子 力 政 策 の 転 換 を 巡 る 事 業 者 への 補 償 に 係 る RWE 社 の 行 政 訴 訟 並 びに 3 社 による 憲 法 訴 訟 については 次 項 で 詳 述 する なお 2010 年 の 原 子 炉 運 転 延 長 に 伴 って 導 入 された 核 燃 料 税 とエネルギー 気 候 基 金 へ の 拠 出 は 2011 年 改 正 による 運 転 延 長 撤 回 後 も 継 続 された 事 業 者 らは 核 燃 料 税 課 税 の 是 非 についても 財 政 裁 判 所 で 係 争 中 である ドイツの 2010 年 から 2011 年 にかけての 原 子 力 政 策 変 更 の 状 況 と これに 対 する 事 業 者 等 の 反 応 および 関 連 訴 訟 等 に 関 する 法 曹 の 見 解 等 の 概 要 を 表 にまとめている 165

168 概 要 事 業 者 反 応 な ど 法 曹 の 見 解 な ど 表 原 子 力 政 策 変 更 の 状 況 事 業 者 の 反 応 法 曹 の 見 解 2010 年 原 子 力 法 改 正 2011 年 3 月 原 子 炉 停 止 2011 年 原 子 力 法 改 正 全 炉 平 均 12 年 の 運 転 延 長 を 実 現 バックフィット 義 務 化 す る(と 解 釈 される) 規 定 ( 第 7d) 新 設 運 転 延 長 と 引 き 替 えに 核 燃 料 税 とエネルギー 気 候 基 金 への 拠 出 を 導 入 ( 核 燃 料 税 法 エネルギ ー 気 候 基 金 設 立 法 ) エネルギー 気 候 基 金 に ついては 政 府 と 協 定 締 結 運 転 延 長 方 針 を 示 した 政 府 の 政 権 公 約 にも 記 載 が 無 かった 核 燃 料 税 につい ては 事 業 者 は 負 担 増 に 反 発 ( 環 境 団 体 は 運 転 延 長 を 認 め る 原 子 力 法 に 反 発 し 憲 法 訴 訟 提 起 ) 同 改 正 法 は 2010 年 12 月 に 発 効 したが 2011 年 3 月 の 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 により 原 子 炉 運 転 延 長 規 定 が 凍 結 さ れたため 環 境 団 体 等 の 訴 訟 は 無 効 に 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 を 受 け メルケ ル 首 相 は 3 月 14 日 に 運 転 延 長 の 3 カ 月 凍 結 と 原 子 炉 安 全 点 検 原 子 力 政 策 再 検 討 方 針 を 発 表 翌 15 日 立 地 州 から 1980 年 以 前 に 運 開 し た 炉 の 一 時 停 止 につ いて 合 意 をとりつけ た 事 業 者 との 事 前 協 議 なし 議 会 審 議 もなし いずれの 事 業 者 も 原 子 炉 停 止 指 示 には 従 った(8 基 は 再 開 する ことなく 廃 炉 ) RWE 社 はビブリス 原 子 力 発 電 所 の 一 時 停 止 の 法 的 正 当 性 を 巡 り 行 政 裁 判 を 提 起 ヘッセン 州 行 政 裁 は 福 島 事 故 後 の 停 止 指 示 が 合 法 的 な 手 続 を 踏 まずに 発 出 された との RWE の 訴 えを 認 めるヘッセン 州 行 政 裁 判 決 を 連 邦 行 政 裁 が 支 持 RWE 勝 訴 が 確 定 2010 年 の 運 転 延 長 を 撤 回 各 原 子 炉 の 運 転 年 限 を 明 示 (2022 年 末 ま でに 全 炉 閉 鎖 ) 核 燃 料 税 基 金 拠 出 な ど 2010 年 に 追 加 され た 賦 課 は 継 続 事 業 者 との 事 前 合 意 ( 賠 償 請 求 の 放 棄 な ど)なし RWE 社 E.ON 社 Vattenfall 社 が 原 子 力 法 改 正 に 関 する 憲 法 裁 判 を 提 起 RWE 社 E.ON 社 EnBW 社 は 核 燃 料 税 の 継 続 を 不 服 として 提 訴 原 子 力 法 改 正 の 違 憲 審 査 は 継 続 中 (2014 年 2 月 現 在 ) 独 弁 護 士 会 は 原 子 力 法 改 正 に 違 憲 性 な し との 見 解 核 燃 料 税 については 法 曹 の 意 見 も 分 かれ ている( 係 争 中 ) 年 の 原 子 力 政 策 転 換 に 係 る 補 償 に 関 する 訴 訟 ドイツには( 民 事 刑 事 を 取 り 扱 う) 通 常 裁 判 所 に 加 え 行 政 裁 判 所 財 政 裁 判 所 労 働 裁 判 所 社 会 裁 判 所 及 び 違 憲 審 査 を 専 門 とする 連 邦 憲 法 裁 判 所 といった 特 別 裁 判 所 が 存 在 する 特 別 裁 判 所 では 行 政 法 や 基 本 法 に 照 らした 行 政 行 為 や 立 法 の 適 法 性 の 判 断 が 行 われる 事 業 者 が 連 邦 や 州 に 対 して 損 害 賠 償 を 求 める 場 合 は まずこうした 特 別 裁 判 所 において 連 邦 や 州 の 行 為 の 違 法 性 を 確 定 した 上 で 賠 償 額 等 については 別 途 通 常 裁 判 所 における 民 事 訴 訟 で 争 われることになる 166

169 すでに 述 べたとおり 事 業 者 らは 2011 年 の 原 子 力 政 策 転 換 に 関 連 して モラトリアムに 関 する 行 政 訴 訟 ( 行 政 裁 判 所 ) 原 子 力 法 に 関 する 憲 法 訴 訟 ( 憲 法 裁 判 所 ) 等 を 提 起 してい る これらは 最 終 的 には 原 子 力 政 策 の 転 換 によって 生 じた 経 済 的 な 損 害 の 補 償 を 目 的 と したものであると 考 えられ 報 道 等 でも 電 気 事 業 者 による 賠 償 請 求 額 が 取 り 沙 汰 されてい るが 2014 年 2 月 現 在 いずれのケースもまだ 通 常 裁 判 所 における 損 害 賠 償 訴 訟 には 至 っていない なお 2002 年 の 原 子 力 法 改 正 で 初 めて 原 子 炉 の 運 転 期 間 制 限 が 導 入 された 際 事 業 者 ら は 損 害 賠 償 請 求 を 行 っていない これは 2000 年 に 締 結 された 脱 原 子 力 協 定 において 連 邦 が 事 業 者 に 対 し 安 全 性 が 確 保 される 限 りにおいて 残 存 期 間 の 原 子 炉 運 転 を 保 証 する とともに 事 業 者 が 脱 原 子 力 に 関 わる 損 害 賠 償 を 求 めないことで 合 意 していたためである clxviii 以 下 では RWE によるモラトリアムに 関 連 した 行 政 訴 訟 と RWE E.ON Vattenfall による 原 子 力 法 に 関 する 憲 法 訴 訟 についてそれぞれ 報 告 する モラトリアムに 関 する 行 政 訴 訟 (1) 行 政 訴 訟 の 経 緯 と 内 容 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 後 連 邦 政 府 による 3 月 16 日 の 指 図 を 受 け ヘッセン 州 の 原 子 力 安 全 規 制 当 局 である 州 環 境 省 は 3 月 18 日 RWE 社 が 所 有 するビブリス A B 号 機 に 対 し 3 カ 月 間 の 一 時 運 転 停 止 (モラトリアム) 指 示 を 発 出 した RWE 社 はこれら 2 基 の 停 止 指 示 に 従 ったが 2011 年 4 月 指 示 の 取 り 消 しを 求 める 訴 訟 をヘッセン 州 行 政 裁 判 所 に 提 起 した しかし 判 決 が 出 ないうちに 6 月 18 日 までのモラ トリアム 期 間 が 終 了 し RWE の 当 初 の 起 訴 内 容 (モラトリアムの 取 り 消 し)は 実 効 性 を 失 った そこで 同 社 は 7 月 26 日 起 訴 内 容 を 州 当 局 によるモラトリアム 指 示 の 違 法 性 の 確 認 に 変 更 する 申 請 を 行 った clxxxii 州 行 政 裁 は 2012 年 7 月 4 日 RWE の 起 訴 内 容 の 変 更 を 認 める 決 定 を 下 した この 裁 判 については 原 告 RWE の 勝 訴 がすでに 確 定 している ヘッセン 州 行 政 裁 は 2013 年 2 月 27 日 ビブリス A B 号 機 それぞれについて 2011 年 3 月 18 日 の 被 告 (ヘッセン 州 )による 指 示 は 違 法 であったことを 確 認 する 上 告 は 認 めない とする 判 決 を 下 した clxxxiiiclxxxiv 被 告 のヘッセン 州 は 上 告 不 可 を 不 服 として 連 邦 行 政 裁 判 所 に 異 議 を 申 し 立 てた が 連 邦 行 政 裁 は 2013 年 12 月 20 日 申 し 立 てを 却 下 した clxxxv 連 邦 行 政 裁 のこの 決 定 に より RWE の 訴 えを 認 める 州 行 政 裁 の 判 決 が 確 定 した 167

170 この 裁 判 では 主 に 次 の 2 つの 側 面 について 検 討 が 行 われた 内 容 面 : 連 邦 は 原 子 力 法 19 条 を モラトリアムに 関 する 州 当 局 への 指 図 の 法 的 根 拠 と しているが これは 正 当 か また 連 邦 の 指 図 に 基 づいて 出 した 指 示 について 州 当 局 は 責 任 を 問 われるのか 形 式 面 :ヘッセン 州 当 局 はモラトリアム 指 示 に 先 立 ち RWE に 対 する 意 見 聴 取 を 実 施 しなかった これは 行 政 手 続 き 上 の 瑕 疵 に 相 当 するのか 以 下 では 上 掲 の 2 つの 側 面 について 原 告 RWE 被 告 ヘッセン 州 並 びにヘッセン 州 行 政 裁 の 見 解 の 概 要 を 示 す < 内 容 面 :モラトリアム 指 示 の 法 的 根 拠 と 州 当 局 の 責 任 > ドイツの 原 子 力 行 政 においては 連 邦 委 託 行 政 という 制 度 に 基 づき 連 邦 環 境 省 (BMU) の 監 督 の 下 連 邦 委 託 を 受 けた 各 州 の 当 局 が 規 制 権 限 を 担 っている なお 原 子 力 法 第 19 条 3 項 は 原 子 力 法 令 規 則 等 への 違 反 が 認 められる 場 合 や 生 命 健 康 財 産 に 放 射 線 による 危 険 が 及 ぶ 可 能 性 があるとき このような 状 態 を 取 り 除 くため の 指 図 を 行 うことができる 原 子 力 施 設 の 設 置 運 転 の 一 時 的 な 停 止 はそのような 指 示 の 具 体 例 の 一 つに 挙 げられている BMU は 原 子 力 発 電 所 立 地 州 の 当 局 に 向 けた 3 月 16 日 の 指 図 において この 原 子 力 法 第 19 条 をモラトリアム 指 示 の 法 的 根 拠 としている しかし 原 告 の RWE は 同 条 項 はビブリス A B 号 機 を 一 時 停 止 させる 法 的 根 拠 になり 得 ないと 主 張 した 指 図 が 出 された 当 時 両 機 に 法 令 違 反 はなかった また BMU は 指 図 の 中 で 日 本 における 事 故 を 引 き 合 いに 出 しているが 日 本 での 事 故 は ドイツの 個 別 具 体 的 な 原 子 力 施 設 の 安 全 性 に 直 接 結 びつくものではなく ビブリス 原 子 力 発 電 所 が 生 命 健 康 財 産 に 危 険 を 及 ぼす 可 能 性 があるということの 具 体 的 な 説 明 にはならないとしてい る RWE はこのように 連 邦 の 指 図 の 適 法 性 に 疑 義 を 呈 した 上 で 3 月 18 日 の 州 当 局 の 指 示 について 原 子 炉 の 運 転 停 止 指 示 という 権 利 侵 害 的 な 行 政 行 為 を 執 行 するにも 拘 わら ず 連 邦 の 指 図 の 具 体 的 な 事 実 関 係 を 自 ら 検 討 することなく 連 邦 政 府 の 政 治 的 な 意 思 に 従 ったとして 州 当 局 の 怠 慢 を 指 摘 した また 2011 年 5 月 16 日 には 連 邦 政 府 の 専 門 家 諮 問 組 織 である 原 子 炉 安 全 委 員 会 (RSK) が 国 内 の 原 子 炉 の 安 全 評 価 結 果 を 報 告 したが ビブリスを 含 む 国 内 の 原 子 炉 について 緊 急 閉 鎖 の 必 要 性 は 指 摘 されなかった RWE は 州 当 局 が 遅 くともこの 時 点 で ビブリス 停 止 指 示 の 違 法 性 を 確 認 できたはずだと 主 張 した 168

171 一 方 被 告 のヘッセン 州 は 連 邦 のモラトリアム 指 図 について 州 はその 適 法 性 を 判 断 する 立 場 にないとしつつも BMU の 指 図 は 日 本 での 事 故 を 受 けてリスク 対 策 の 観 点 から 原 子 炉 の 危 険 性 を 懸 念 して 出 されたものであって 原 子 力 法 19 条 3 項 の 要 件 を 満 たしている との 見 解 を 示 した また RSK 検 査 で 当 該 炉 の 危 険 性 が 否 定 されたからといって 州 が 出 した 一 時 停 止 指 示 そのものが 違 法 ということにはならないとの 考 えを 示 した なお 一 時 停 止 指 示 を 連 邦 の 指 図 に 基 づく 措 置 と 捉 えていた 同 州 は ビブリスの 安 全 評 価 の 暫 定 結 果 が 出 た 5 月 の 時 点 で 一 時 停 止 指 示 の 取 扱 について BMU に 問 い 合 わせた ところが BMU からの 返 答 は 一 時 停 止 指 示 に 関 する 判 断 は 州 の 責 任 で 行 うこと という ものであった しかも BMU からの 返 答 を 州 が 受 け 取 った 時 点 で 6 月 10 日 になっており そこから 停 止 指 示 解 除 の 是 非 を 検 討 したとしても 6 月 18 日 のモラトリアム 期 限 に 間 わな かったとしている こうした 両 者 の 主 張 に 対 し ヘッセン 州 行 政 裁 は 原 子 力 法 19 条 3 項 に 記 された 原 子 炉 等 施 設 の 運 転 の 一 時 停 止 はあくまで 危 険 性 を 取 り 除 くために 取 る 手 段 の 例 を 挙 げた 物 に 過 ぎず BMU がビブリス A B 号 機 の 停 止 を 指 図 する 際 の 法 的 根 拠 とすることはでき ないとの 見 解 を 示 した また 1980 年 以 前 の 運 開 炉 が 一 律 でモラトリアムの 対 象 とされ たことについても 原 子 炉 の 安 全 性 は 年 次 のみで 判 断 されるものではないとして 否 定 的 な 見 方 を 示 した さらに 州 行 政 裁 は 過 去 の 判 例 を 引 いた 上 で モラトリアム 指 示 における 事 業 者 に 対 す る 責 任 は ヘッセン 州 当 局 にあるとしている ヘッセン 州 環 境 省 はビブリスの 規 制 当 局 と して 連 邦 の 指 図 についてビブリス A B 号 機 それぞれについて 個 別 に 事 実 関 係 を 確 認 し 指 図 の 正 当 性 や 一 時 停 止 指 示 の 発 出 や 継 続 について 自 ら 判 断 する 責 任 があったとしている < 形 式 面 : 行 政 手 続 上 の 瑕 疵 の 有 無 > ヘッセン 州 の 行 政 手 続 法 (HVwVfG) 第 28 条 は 関 係 者 の 権 利 に 干 渉 する 行 政 行 為 につ いて 実 施 の 前 に 関 係 者 が 意 見 を 述 べる 機 会 を 設 けることを 義 務 づけている しかし 州 当 局 はモラトリアム 指 示 に 先 立 ちこの 意 見 聴 取 を 実 施 しなかった RWE は 正 当 な 手 続 きを 踏 まずに 出 されたモラトリアム 指 示 は 違 法 であると 主 張 したが 州 側 は モラトリアム 指 示 はあくまで 連 邦 の 意 向 を 受 けて 出 されたものであり 州 法 に 基 づく 聴 取 手 続 きは 不 要 と の 見 方 を 示 した さらに 州 側 は 連 邦 のモラトリアム 方 針 は BMU の 記 者 発 表 その 他 報 道 でも 広 く 取 り 扱 われており こうした 情 報 を 元 に RWE は 意 見 を 表 明 できる 状 況 にあったと 主 張 した この 点 についてもヘッセン 州 行 政 裁 は RWE の 主 張 を 全 面 的 に 支 持 した すでに(1)で 示 169

172 したとおり モラトリアム 指 示 は 州 の 責 任 で 出 されるものであり したがって HVwVfG に 基 づく 意 見 聴 取 手 続 が 必 要 との 判 断 を 示 した また モラトリアム 方 針 が 報 道 等 で 周 知 の ものであったというだけでは 行 政 手 続 の 要 件 を 満 たしたとは 言 えず 州 が 自 ら 意 見 聴 取 の 機 会 を 設 けるべきであったとしている (2) 行 政 訴 訟 終 了 後 の 動 き 2013 年 12 月 に 連 邦 行 政 裁 がヘッセン 州 の 申 し 立 てを 却 下 したことで ビブリス A B 号 機 に 対 するヘッセン 州 当 局 のモラトリアム 指 示 は 違 法 である とするヘッセン 州 行 政 裁 の 判 決 が 確 定 した RWE はこれによりヘッセン 州 に 対 して ( 違 法 な 行 政 行 為 である)モラトリアム 指 示 に よって 受 けた 損 害 の 賠 償 を 求 める 民 事 訴 訟 を 提 起 できることとなった RWE はまだ 訴 訟 を 提 起 していないが 報 道 等 では RWE の 賠 償 請 求 額 について 約 1 億 9,000 万 ユーロとい った 数 字 が 取 り 沙 汰 されている 莫 大 な 賠 償 金 を 請 求 される 可 能 性 が 出 てきたヘッセン 州 では 当 時 モラトリアム 指 示 を 出 した 責 任 者 であるプトリヒ 州 環 境 相 が 引 責 辞 任 に 追 い 込 まれた clxxxvi なお 行 政 裁 判 では 連 邦 のモラトリアム 指 図 についても 原 子 力 法 第 19 条 に 基 づく 指 図 としての 要 件 を 満 たしていないとの 判 断 が 示 された すでに 述 べたとおり モラトリアム に 関 連 して 訴 訟 を 提 起 したのは 原 子 力 発 電 所 を 所 有 する 4 大 グループの 中 でも RWE のみ だが 連 邦 の 指 示 を 受 けて 停 止 されたという 点 では 他 のモラトリアム 対 象 炉 も 同 様 である したがって 法 的 平 等 の 観 点 から これらの 炉 についても 賠 償 請 求 の 道 が 開 かれると 考 え られる ただし ドイツの 国 民 世 論 が 脱 原 子 力 に 好 意 的 な 状 況 の 下 で 大 企 業 であるこれらの 事 業 者 が 州 などに 多 額 の 賠 償 を 請 求 すれば 企 業 イメージの 低 下 に 繋 がる 可 能 性 もあり 慎 重 な 対 応 が 必 要 になると 考 えられる 原 子 力 法 改 正 に 係 る 憲 法 訴 訟 2011 年 8 月 6 日 に 発 効 した 第 13 次 原 子 力 法 改 正 に 対 しては E.ON RWE Vattenfall の 3 社 が 憲 法 訴 訟 を 提 起 した EnBW 社 については バーデン ビュルテンブルク 州 をは じめとする 公 的 機 関 が 株 式 の 98%を 保 有 しており 財 産 権 の 保 護 を 求 めて 憲 法 裁 判 所 に 訴 えを 出 す 権 利 がないことから 提 訴 を 断 念 している なお 連 邦 憲 法 裁 判 所 のウェブサイト によれば これら 3 件 の 訴 訟 は 2013 年 中 に 結 審 する 予 定 であったが 2014 年 2 月 現 在 判 決 は 確 認 されていない このため 以 下 では 法 曹 の 判 断 に 関 する 参 考 として ドイツ 弁 170

173 護 士 会 が 2012 年 12 月 に 出 した 見 解 等 をもとにこれらの 訴 訟 の 内 容 を 確 認 する clxxxvii E.ON 社 RWE 社 Vattenfall 社 は 2011 年 改 正 原 子 力 法 における 早 期 脱 原 子 力 方 針 に ついては 受 け 入 れるとしている 2011 年 の 改 正 により 2010 年 改 正 で 各 原 子 炉 に 付 与 され た 追 加 発 電 電 力 量 が 削 除 された 原 告 側 は これを 連 邦 政 府 の 政 治 的 意 思 に 基 づく 強 制 収 用 に 相 当 すると 主 張 している 基 本 法 第 14 条 3 項 によれば 強 制 収 用 は 法 に 基 づいて 行 われ 同 じく 法 に 基 づいた 金 銭 的 補 償 が 行 われなければならないが 2011 年 制 定 の 現 行 の 原 子 力 法 には 追 加 電 力 量 の 削 除 に 伴 う 損 失 を 補 償 する 規 定 がない 事 業 者 は 現 行 の 原 子 力 法 が 事 業 者 の 財 産 権 等 を 侵 害 しており 憲 法 違 反 だとしている 一 方 ドイツ 連 邦 弁 護 士 会 ( 国 内 の 全 弁 護 士 が 登 録 する 弁 護 士 会 の 全 国 組 織 )は 2012 年 12 月 の 見 解 において 2011 年 原 子 力 法 改 正 を 違 憲 とする 事 業 者 の 主 張 を 否 定 した また 親 会 社 がスウェーデン 政 府 100% 所 有 となっている Vattenfall については 公 的 機 関 の 所 有 する 企 業 とみなされ 私 有 財 産 や 個 人 の 基 本 的 権 利 の 侵 害 を 訴 える 憲 法 訴 訟 を 提 起 する 権 利 がないとしている 弁 護 士 会 は 2010 年 の 第 11 次 原 子 力 法 改 正 で 追 加 された 発 電 電 力 量 について 原 子 炉 の 運 転 延 長 を 図 る 当 時 の 連 邦 政 府 方 針 によって いわば 公 権 力 から 一 方 的 に 与 えられたも のであって 事 業 者 が 獲 得 した 財 産 ではなく 基 本 法 第 14 条 による 保 護 の 対 象 である 私 有 財 産 に 相 当 しないとの 見 方 を 示 している 一 方 で 段 階 的 脱 原 子 力 を 初 めて 規 定 した 2002 年 の 原 子 力 法 改 正 で 割 り 当 てられた 発 電 電 力 量 については 早 期 脱 原 子 力 を 受 け 入 れる 代 償 として 事 業 者 が 政 府 から 手 に 入 れたものであり 私 有 財 産 と 見 なすことも 可 能 としている 2011 年 改 正 において 削 除 されたのは 弁 護 士 会 が 私 有 財 産 とみなしていない 追 加 の 発 電 電 力 量 分 のみである この 改 正 により 即 時 閉 鎖 された 8 基 の 原 子 炉 の 残 存 発 電 電 力 量 (2002 年 原 子 力 法 での 割 り 当 て 分 )については 他 の 原 子 炉 に 移 譲 可 能 な 電 力 量 として 残 されて いる こうしたことを 総 合 すると 2011 年 原 子 力 法 が 事 業 者 の 財 産 権 を 侵 害 しているとは 言 えないというのが 弁 護 士 会 の 主 張 である さらに 弁 護 士 会 は 強 制 収 用 の 概 念 についても 事 業 者 とは 異 なる 見 方 をしている 過 去 の 判 例 に 拠 れば 強 制 収 用 とは 公 共 の 利 益 に 資 する 具 体 的 な 用 途 に 供 するために 特 定 の 財 産 を 公 権 力 が 強 制 的 に 買 い 取 り 調 達 すること である しかし 2011 年 原 子 力 法 改 正 によって 取 り 除 かれた 発 電 電 力 量 は 具 体 的 な 用 途 に 使 う ために 強 制 的 に 調 達 さ れた 訳 ではない この 電 力 量 は 発 電 という 生 産 行 為 のために 使 われるのではなく 反 対 に 原 子 力 発 電 という 生 産 行 為 を 終 了 させる 目 的 で 削 除 されるものであって 強 制 収 用 と 見 なすことはできないというのが 弁 護 士 会 の 見 解 である 171

174 このように 弁 護 士 会 は 2011 年 原 子 力 法 改 正 を 合 憲 と 見 なしているが 憲 法 裁 判 所 がど のような 判 断 を 下 すか 注 目 される 172

175 cl ドイツエネルギー 供 給 事 業 新 規 参 入 企 業 連 盟 (BNE) 資 料 cli 連 邦 議 会 議 事 録 Drs10/ 年 7 月 20 日 clii ドイツ 連 邦 官 報 第 1 部 1998 年 23 号 p.730 エネルギー 事 業 法 改 定 に 関 する 法 律 1998 年 4 月 24 日 cliii ドイツ 連 邦 官 報 第 1 部 2005 年 42 号 p.1970 第 2 次 エネルギー 事 業 法 改 定 に 関 する 法 律 2005 年 7 月 7 日 cliv 2006 年 からは 鉄 道 の 規 制 も 管 轄 に 加 わった clv 欧 州 委 員 会 プレスリリース MEMO/06/ 年 5 月 30 日 clvi 欧 州 委 員 会 プレスリリース MEMO/08/ 年 2 月 28 日 clvii 2011 年 までは 80%を 越 えていた clviii 連 邦 ネットワーク 庁 モニタリング 報 告 書 2013 年 版 2013 年 12 月 17 日 clix 連 邦 ネットワーク 庁 モニタリング 報 告 書 2009 年 版 2009 年 12 月 17 日 clx ドイツエネルギー 水 道 事 業 者 連 合 会 (BDEW) 電 気 料 金 分 析 2013 年 11 月 --- 家 庭 用 産 業 用 2013 年 1 月 20 日 clxi BDEW 欧 州 における 電 気 料 金 比 較 (2013 年 前 半 ) 2013 年 11 月 26 日 clxii E.ON 社 2012 年 年 報 clxiii RWE 社 2012 年 年 報 clxiv Vattenfall 社 2012 年 年 報 clxv 州 自 治 体 とも 100% 所 有 企 業 を 通 じて EnBW の 株 式 を 間 接 的 に 所 有 している clxvi EnBW 社 2012 年 年 報 clxvii IAEA Country Nuclear Power Profiles 2013 Edition ドイツ clxviii 連 邦 政 府 とエネルギー 供 給 事 業 者 による 2000 年 6 月 14 日 の 合 意 2000 年 6 月 14 日 clxix ドイツ 連 邦 官 報 第 1 部 2002 年 26 号 p.1351 商 業 発 電 のための 原 子 力 利 用 の 秩 序 正 しい 終 結 のための 法 律 ( 脱 原 子 力 法 ) 2002 年 4 月 22 日 clxx EEG の 前 身 は 1991 年 施 行 の 電 力 供 給 法 である 同 法 では 送 電 事 業 者 に 対 し 再 生 可 能 エネルギ ーによる 電 力 を 一 定 の 価 格 以 上 ( 小 売 り 平 均 単 価 の 65~90%)で 買 い 取 る 事 を 義 務 づけていた しかし 自 由 化 開 始 後 の 電 力 価 格 低 下 に 伴 い 再 生 可 能 エネルギー 事 業 者 の 収 支 が 悪 化 したため 固 定 価 格 での 買 取 りを 義 務 づける FIT 制 度 への 移 行 が 決 定 された clxxii ドイツ 連 邦 政 府 プレスリリース (2011 年 3 月 15 日 閲 覧 ) clxxiii 原 子 炉 安 全 委 員 会 (RSK) 見 解 : 日 本 の 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 における 事 故 を 踏 まえて 実 施 された ドイツ 国 内 の 原 子 力 発 電 所 における 施 設 個 別 の 安 全 検 査 2011 年 5 月 16 日 clxxiv 安 全 なエネルギー 供 給 のための 倫 理 委 員 会 報 告 書 ドイツのエネルギー 変 革 --- 未 来 のための 協 働 作 業 2011 年 5 月 30 日 clxxv 原 子 力 法 改 正 clxxvi 連 邦 経 済 エネルギー 省 (BMWi)ウェブサイト 再 生 可 能 エネルギー 法 改 革 2014 年 3 月 閲 覧 clxxvii IAEA Power Reactor Information System clxxviii OECD/IEA Energy Balances of OECD Countries 2013 Edition clxxix 行 政 手 続 法 2013 年 7 月 25 日 改 正 clxxx 所 得 税 法 に 基 づく 減 価 償 却 期 間 一 覧 エネルギー 水 供 給 産 業 1995 年 1 月 24 日 制 定 clxxxi ドイツ 基 本 法 2012 年 7 月 11 日 改 正 clxxxii 行 政 行 為 が 既 に 取 り 消 しその 他 の 理 由 により 消 滅 した 場 合 において 原 告 が 行 政 行 為 の 違 法 性 の 確 認 に 関 して 正 当 な 利 益 を 有 する 場 合 裁 判 所 は 原 告 の 申 し 立 てに 基 づき 行 政 行 為 が 違 法 であったことを 判 決 として 宣 言 する とする 行 政 裁 判 所 法 113 条 1 項 の 第 4 文 の 規 定 に 基 づく 申 請 clxxxiii ヘッセン 州 行 政 裁 判 所 判 決 Az. 6 C 824/11.T 2013 年 2 月 27 日 clxxxiv ヘッセン 州 行 政 裁 判 所 判 決 Az. 6 C 825/11.T 2013 年 2 月 27 日 clxxxv 連 邦 行 政 裁 判 所 プレスリリース 2014 年 1 月 14 日 clxxxvi ヘッセン 州 環 境 省 ウェブサイトほか clxxxvii ドイツ 連 邦 弁 護 士 会 E.ON 原 子 力 社 ( 訴 訟 番 号 1 BvR 2821/11) RWE パワー 社 ( 訴 訟 番 号 1 BvR 321/12) Vattenfall ヨーロッパ 原 子 力 社 ( 訴 訟 番 号 1 BvR 1456/12)による 脱 原 子 力 に 係 る 憲 法 訴 訟 に ついて 2012 年 12 月 ( 見 解 第 58 号 ) 173

176 5 フランス 5.1 電 力 市 場 制 度 と 原 子 力 ( 発 電 ) 政 策 の 変 遷 clxxxviii 電 力 市 場 制 度 の 変 遷 フランスでは 1946 年 に 設 立 されたフランス 電 力 (EDF)が 主 要 な 電 気 事 業 者 として 国 内 の 発 電 電 力 量 の 約 8 割 を 供 給 している 安 定 した 電 力 供 給 を 行 うという 国 策 ミッション に 基 づき EDF は 発 電 部 門 にとどまらず 送 配 電 及 び 小 売 り 部 門 においても 独 占 的 な 事 業 展 開 を 行 ってきたが 欧 州 大 の 電 力 自 由 化 の 動 きに 沿 って 90 年 代 後 半 以 降 電 力 市 場 制 度 の 改 編 が 進 められてきた しかし 国 内 全 ての 原 子 力 発 電 所 を 保 有 し 大 規 模 な 発 電 事 業 を 展 開 する EDF の 市 場 における 優 位 性 はゆるがず 垂 直 統 合 型 の 組 織 体 制 も 抜 本 的 には 変 更 されていないため 欧 州 連 合 (EU) 大 での 自 由 化 を 推 進 する 欧 州 委 員 会 から 是 正 を 求 められている 制 度 措 置 もある フランス 電 力 の 誕 生 フランスでは 1946 年 4 月 8 日 付 の 電 力 とガスの 国 有 化 に 関 する 法 律 第 号 に 基 づき 発 送 配 電 及 び 電 力 輸 出 入 に 関 与 する 1,450 の 民 間 企 業 が 国 有 化 され フランス 電 力 公 社 (EDF)が 誕 生 した 同 法 制 定 の 目 的 は 第 2 次 世 界 大 戦 で 疲 弊 した 国 家 を 再 建 する ために 必 要 な 電 力 を 供 給 することであり 燃 料 利 用 の 効 率 化 や 公 共 サービスとしての 電 気 事 業 の 標 準 化 ( 電 線 の 規 格 の 統 一 等 )が 目 指 された また 都 市 部 や 農 村 部 における 送 電 網 建 設 も 進 められた その 後 第 2 次 世 界 大 戦 からの 復 興 に 伴 う 電 力 消 費 の 伸 びに 対 応 するため 政 府 は 大 規 模 な 電 源 開 発 及 び 大 容 量 の 送 電 網 の 整 備 に 乗 り 出 した EDF はマーシャル プランに 基 づ く 資 金 援 助 も 得 て 大 規 模 な 水 力 発 電 開 発 を 中 心 とした 40 以 上 のプロジェクトに 対 する 投 資 を 行 った clxxxix 電 力 市 場 の 自 由 化 の 経 緯 このような 経 緯 で 設 立 された EDF は 垂 直 統 合 型 事 業 者 (VIU)として 50 年 以 上 にわ たって 発 送 配 電 部 門 において 独 占 的 な 事 業 展 開 を 行 ってきた しかし フランスも 加 盟 す る EU では 単 一 市 場 の 実 現 と 競 争 の 促 進 が 進 められており フランスも EU 大 での 方 針 に 沿 って 国 内 電 力 市 場 の 自 由 化 を 進 めることになった 174

177 EU では 1996 年 12 月 に 電 力 自 由 化 指 令 96/92( 以 下 EU 指 令 96/92)が 制 定 され 56 競 争 原 理 の 導 入 による 電 気 料 金 の 低 下 や 資 源 利 用 の 効 率 化 電 気 料 金 の 低 下 による 製 造 コ ストの 引 き 下 げと EU 経 済 の 競 争 力 強 化 などが 目 指 された EU 指 令 96/92 は 1999 年 2 月 までの 国 内 法 化 が 求 められていたが フランスはこの 期 限 から 1 年 遅 れた 2000 年 2 月 に 公 共 サービスとしての 電 気 事 業 の 近 代 化 と 発 展 に 関 する 2000 年 2 月 10 日 の 法 律 第 号 ( 以 下 電 力 自 由 化 法 )を 制 定 した 同 法 では 公 共 サービスを 提 供 する 電 気 事 業 者 に 要 求 される 使 命 として エネルギー 政 策 上 の 課 題 へ の 貢 献 に 加 え 貧 困 家 庭 への 供 給 確 保 などの 社 会 政 策 面 での 使 命 が 挙 げられており 一 般 需 要 家 に 対 するユニバーサルサービスを 保 証 する 義 務 を 負 うことが 明 文 化 された また 同 法 に 基 づき 政 府 から 独 立 して 電 力 ガス 市 場 の 規 制 を 担 当 するエネルギー 規 制 委 員 会 (CRE)が 設 置 された EDF の 垂 直 統 合 体 制 については 統 合 は 維 持 するものの 発 電 送 電 配 電 その 他 の 事 業 別 に 会 計 分 離 がなされることとなり 2000 年 7 月 には EDF 内 に 送 電 系 統 運 用 部 門 (RTE)が 設 置 された cxc また 同 法 に 基 づき 送 配 電 ネットワークへのオープンアクセスの 確 保 のため 需 要 家 と RTE との 仲 介 を 行 い 発 電 側 と 消 費 側 をバランスさせるバランス 責 任 主 体 (BR)と RTE が BR 契 約 を 結 ぶことが 必 要 となり 2000 年 11 月 に 初 の BR 契 約 が 承 認 された また 2001 年 9 月 には 初 の OTC 取 引 ( 相 対 取 引 )が 実 施 され 同 年 11 月 に 電 力 取 引 所 Powernext が 一 日 前 電 力 取 引 を 開 始 した その 後 Powernext では 当 日 電 力 取 引 市 場 も 開 設 されたが こ れらの 市 場 取 引 の 業 務 運 営 は 2008 年 にドイツの 電 力 取 引 所 EEX と 共 同 出 資 の EPEX に 移 管 されている cxci その 後 EU では 2003 年 6 月 EU 指 令 96/92 を 改 正 する 新 たな EU 指 令 2003/54 が 制 定 され 公 共 サービス 提 供 の 義 務 と 消 費 者 保 護 新 規 発 電 設 備 建 設 における 入 札 の 義 務 付 け 送 電 及 び 配 電 事 業 者 の VIU からの 法 的 分 離 などが 規 定 された 同 指 令 を 国 内 法 化 するため フランスでは 電 力 とガスの 公 共 サービスならびに 企 業 形 態 に 関 する 2004 年 8 月 9 日 の 法 律 第 号 が 制 定 され EDF が 株 式 会 社 されると ともに RTE が RTE EDF Transport 社 ( 本 報 告 においては RTE と 記 載 する)として 子 会 社 化 され 送 電 部 門 の 法 的 分 離 が 実 現 した さらに 配 電 部 門 については エネルギー 分 野 に 関 する 2006 年 12 月 7 日 の 法 律 第 号 において 配 電 事 業 者 の 法 的 分 離 が 規 定 され EDF 内 の 配 電 部 門 が 2008 年 1 月 に erdf 社 として 子 会 社 化 され 配 電 部 門 の 法 的 分 離 も 実 現 した その 後 EU では 2009 年 7 月 電 力 域 内 単 一 市 場 の 実 現 を 目 指 し 2003 年 の 指 令 を 改 正 56 EU 指 令 はそれ 自 体 が 加 盟 国 の 政 府 や 事 業 者 の 行 動 を 直 接 規 制 するものではない 指 令 の 内 容 は 一 定 の 期 限 内 に 実 施 される 国 内 法 化 を 通 じて 初 めて 各 加 盟 国 において 実 際 的 な 法 的 効 力 を 持 つことになる 175

178 する 新 たな 指 令 2009/72 が 制 定 され 同 指 令 は エネルギー 法 典 の 再 編 に 関 する 2011 年 5 月 9 日 のオルドナンス によって 国 内 法 化 された 同 指 令 では 送 電 部 門 の VIU からの 所 有 権 分 離 について 規 定 されたが フランスは 同 指 令 の 例 外 として 規 定 されていた 措 置 に 基 づき RTE の 経 営 や 組 織 上 の EDF からの 独 立 性 を 強 化 することで RTE の 法 的 分 離 の 形 態 を 維 持 し これを 欧 州 委 員 会 も 認 めている cxcii57 フランスの 小 売 市 場 における 需 要 家 は 250KVA 以 上 の 大 口 産 業 需 要 家 電 気 容 量 36KVA ~250KVA の 中 口 産 業 需 要 家 電 気 容 量 36KVA 以 下 の 家 庭 用 需 要 家 と 小 口 産 業 需 要 家 の 4 つのカテゴリーに 分 類 されるが 3 件 の EU 指 令 とその 国 内 法 化 に 伴 って 大 口 産 業 需 要 家 は 2000 年 6 月 に 家 庭 用 を 除 く 全 ての 需 要 家 は 2004 年 7 月 に 2007 年 7 月 には 家 庭 用 需 要 家 を 含 む 全 ての 需 要 家 が 自 由 化 対 象 となり 小 売 市 場 は 全 面 自 由 化 された しかし で 後 述 するとおり フランスでは 市 場 料 金 が 原 子 力 をベースに 設 定 される 規 制 料 金 よりも 高 価 格 となっているため 政 府 は 需 要 家 保 護 の 観 点 から 既 存 の 小 売 事 業 者 (EDF や 地 域 の 配 電 事 業 者 )によって 提 供 される 規 制 料 金 体 系 を 維 持 している 現 在 のフランスの 電 力 市 場 の 体 制 は 以 下 の 図 のとおり 図 示 できる 発 電 部 門 EDF 発 電 部 門 その 他 の 発 電 事 業 者 (ローヌ 公 社 :CNR E.ON フランス 等 ) 卸 電 力 取 引 所 (EPEX) 送 電 部 門 RTE(EDF 子 会 社 ) 配 電 部 門 erdf(edf 子 会 社 ) 自 治 体 の 監 督 下 小 売 供 給 部 門 EDF 小 売 部 門 新 規 参 入 事 業 者 地 方 配 電 事 業 者 最 終 需 要 家 図 フランスの 電 力 市 場 体 制 図 57 EU 指 令 2009/72 に 照 らした EDF と RTE の 関 係 については 5.5 を 参 照 されたい 176

179 ユーロ/1,000kWh フランスにおける 自 由 化 の 問 題 点 原 子 力 を 主 要 電 源 と 位 置 付 けるフランスのエネルギー 政 策 により 総 発 電 電 力 量 の 大 半 は 原 子 力 によって 賄 われている 結 果 として 発 電 コストに 占 める 変 動 費 の 割 合 が 少 なく 化 石 燃 料 価 格 の 価 格 高 騰 の 影 響 も 限 定 的 である 等 の 理 由 から EDF は 競 争 力 の 高 い 発 電 コ ストを 実 現 しており 以 下 の 図 に 示 すとおり フランスの 電 気 料 金 は 欧 州 の 中 で 低 い 水 準 にある 2012 年 実 績 で 家 庭 用 需 要 家 向 け 電 気 料 金 はフランスで ユーロ/ 1,000kWh であったのに 対 し EU 平 均 で ユーロ 英 国 で ユーロ/1,000kW ドイツで ユーロ/1,000kWh 最 も 高 いアイルランドでは ユーロにのぼった cxciii EUの 電 気 料 金 価 格 (2012 年 平 均 ) 図 EU の 電 気 料 金 価 格 (2012 年 平 均 ) フランス 政 府 は 競 争 力 の 高 いフランスの 電 気 料 金 を 国 内 の 需 要 家 に 享 受 させるための 措 置 を 講 じており 前 述 のとおり フランスでは 自 由 化 の 権 利 を 行 使 しない 需 要 家 向 けには EDF の 原 子 力 発 電 をベースとして 総 括 原 価 方 式 で 設 定 された 規 制 料 金 が 維 持 されている 実 際 2003 年 以 降 の 燃 料 価 格 の 高 騰 に 伴 う 卸 電 力 価 格 の 上 昇 により 市 場 料 金 は 規 制 料 金 よりも 高 くなっているため 大 多 数 の 需 要 家 は 規 制 料 金 にとどまり 続 けている エネルギ ー 規 制 機 関 (CRE)の 公 表 した 統 計 データでは 2013 年 9 月 末 時 点 で EDF 以 外 の 新 規 事 業 者 と 契 約 している 需 要 家 は 消 費 電 力 ベースでみると 家 庭 用 需 要 家 で 全 体 の 8.5% 家 庭 用 以 外 の 需 要 家 で 全 体 の 20.8%にとどまっている cxciv 177

180 フランスでは 規 制 料 金 の 維 持 の 他 にも 市 場 料 金 の 高 騰 から 国 内 の 需 要 家 を 保 護 する 観 点 から 以 下 のような 措 置 を 講 じられている 電 力 多 消 費 需 要 家 向 け 長 期 電 力 調 達 会 社 (Exeltium 社 )の 設 立 (2006 年 ):Exeltium 社 と EDF は 2008 年 24 年 間 にわたって 3,110 億 kwh の 供 給 を 想 定 した 契 約 を 締 結 市 場 調 整 暫 定 規 制 料 金 (TaRTAM): 自 由 化 後 に 市 場 料 金 に 移 行 した 需 要 家 ( 家 庭 用 需 要 家 を 除 く)に 対 して 規 制 料 金 プラス 25% 以 内 の 価 格 で 電 力 供 給 を 行 う 期 限 付 きの 措 置 である 58 電 気 容 量 36kVA 以 下 の 需 要 家 向 け 市 場 料 金 から 規 制 料 金 への 選 択 変 更 権 これらの 措 置 については で 報 告 するとおり 欧 州 委 員 会 が 市 場 競 争 を 阻 害 して いると 指 摘 している フランスの 自 由 化 の 問 題 点 に 対 する 欧 州 委 員 会 の 指 摘 欧 州 委 員 会 は 1996 年 2003 年 及 び 2009 年 の 電 力 自 由 化 指 令 で 示 された 内 容 について 加 盟 国 における 履 行 状 況 を 監 督 しているが フランスについては 2002 年 EDF が 独 EnBW 社 に 資 本 参 加 することを 認 める 条 件 として 新 規 の 小 売 り 事 業 者 による 市 場 参 入 をより 容 易 にすることを 目 的 とした 仮 想 発 電 設 備 (VPP) 利 用 権 の 競 売 メカニズムを 導 入 するよう 2002 年 に 要 請 した これによって EDF は 440 万 kw 分 のベース 電 源 利 用 権 100 万 kw 分 のピーク 電 源 利 用 権 の 合 計 540 万 kw 分 を 他 の 発 電 事 業 者 や 小 売 り 事 業 者 等 に 提 供 する こととなった EDF は 事 前 に 決 定 する VPP 電 力 価 格 (ユーロ/kWh)と VPP 利 用 権 価 格 (ユーロ/MW)について 取 り 決 めた 契 約 を 結 び 電 力 を 販 売 する VPP による 2012 年 の 電 力 販 売 実 績 は 276 億 kwh となっている VPP のメカニズムは EDF と EnBW 社 が 資 本 関 係 を 解 消 したことで 2011 年 11 月 に 終 了 したが それまでに 締 結 された 契 約 に 基 づき EDF は 2015 年 3 月 までの 間 VPP による 電 力 販 売 を 継 続 する 2015 年 半 ばに 向 けて 利 用 権 枠 は 減 少 し 2013 年 に 150 万 kw 2014 年 40 万 kw 2015 年 に 15 万 kw となる 予 定 であり 2013 年 以 降 の 販 売 電 力 量 は 120 億 kwh と 見 込 まれている cxcv 欧 州 委 員 会 は 一 方 2006 年 4 月 フランスにおいて 規 制 料 金 が 維 持 されていること ま た 規 制 料 金 での 小 売 りサービス 提 供 を EDF が 独 占 していることが 新 規 参 入 を 阻 害 している と 指 摘 し 2003 年 の 自 由 化 指 令 2003/54 の 履 行 状 況 が 不 十 分 であるとして EU 法 違 反 を 是 正 するための 手 続 きを 開 始 した さらに 2007 年 6 月 には 市 場 調 整 暫 定 規 制 料 金 (TaRTAM) が 国 家 補 助 (State Aid)にあたる 可 能 性 があたる 可 能 性 があるとして 欧 州 委 員 会 による 58 後 述 するとおり TaRTAM は 電 力 市 場 新 体 制 (NOME) 法 が 発 効 した 2011 年 7 月 に 廃 止 178

181 調 査 手 続 きが 開 始 された これらの 手 続 きについては 5.3 において 詳 述 する 電 力 市 場 新 体 制 (NOME) 法 の 制 定 施 行 に 伴 って 終 了 された また Exeltium 社 の 問 題 について 欧 州 委 員 会 は 2008 年 12 月 契 約 の 規 模 や 期 間 を 考 慮 すれば EDF が 市 場 における 支 配 的 な 地 位 を 濫 用 し 市 場 から 他 の 事 業 者 を 排 除 すること につながっている 可 能 性 があると 指 摘 した また 契 約 において EDF から 購 入 した 電 力 の 転 売 が 禁 じられていることから Exeltium 社 の 顧 客 の 権 利 を 侵 害 していることも 問 題 であ るとした 欧 州 委 員 会 のこれらの 指 摘 に 対 し EDF は 毎 年 平 均 65%の 顧 客 との 契 約 を 破 棄 してこ れらの 顧 客 が 他 の 事 業 者 から 電 力 供 給 を 受 けることを 可 能 とする 措 置 や 電 力 の 転 売 を 奨 励 する 措 置 等 を 提 案 したことで 欧 州 委 員 会 は 2010 年 3 月 これらの 提 案 内 容 を 承 認 し その 実 施 を EDF に 義 務 付 ける 決 定 を 下 した cxcvi 179

182 5.1.2 原 子 力 発 電 政 策 の 変 遷 フランスでは 1970 年 代 後 半 以 降 積 極 的 な 原 子 力 開 発 が 進 められ 原 子 力 は 総 発 電 電 力 量 の 8 割 近 くを 賄 うベース 電 源 となっている 歴 代 政 権 はこれまで 基 本 的 に 原 子 力 推 進 の 立 場 をとってきたが 2012 年 の 大 統 領 選 挙 及 び 議 会 下 院 総 選 挙 の 結 果 それまでの 中 道 右 派 政 権 から 社 会 党 を 中 心 とする 左 派 政 権 が 発 足 している 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 の 影 響 もあり 現 政 府 は 総 発 電 電 力 量 に 占 める 原 子 力 の 割 合 を 2025 年 までに 50%に 縮 減 する との 目 標 を 掲 げており フランスの 原 子 力 政 策 は 大 きな 転 換 点 にさしかかっていると 言 え る 以 下 では 2012 年 の 政 権 交 代 以 前 と 以 降 とに 分 け 原 子 力 発 電 政 策 をまとめる 年 までの 原 子 力 発 電 政 策 国 内 政 策 フランスにおいてエネルギー 政 策 は 経 済 政 策 外 交 政 策 及 び 環 境 政 策 の 構 成 要 素 にも なっており 重 要 な 公 共 政 策 の 1 つである エネルギー 政 策 はそのときどきのフランスが 直 面 する 国 内 外 の 状 況 をふまえて 政 府 が 決 定 しており 2012 年 までの 政 権 のエネルギー 政 策 を 規 定 していたのは エネルギー 政 策 に 関 する 2005 年 7 月 13 日 の 法 律 第 号 ( 以 下 エネルギー 政 策 法 )である 同 法 は 経 済 成 長 と 1997 年 の 京 都 議 定 書 で 決 定 された 気 候 変 動 対 策 の 両 立 欧 州 エネルギ ー 市 場 の 自 由 化 原 子 力 発 電 の 将 来 と 再 生 可 能 エネルギーの 発 展 などの 課 題 に 取 り 組 むた めの 政 策 の 実 現 を 目 指 したものである cxcvii また 同 法 では 原 子 力 発 電 がエネルギー 安 定 供 給 エネルギー 自 立 市 場 競 争 力 の 維 持 温 室 効 果 ガス 対 策 産 業 技 術 の 維 持 に 寄 与 する 重 要 な 電 源 と 位 置 付 けられており 原 子 炉 のリプレースに 備 えて 欧 州 加 圧 水 型 原 子 炉 (EPR) の 初 号 機 を 2015 年 までに 建 設 することも 規 定 している cxcviii 同 法 の 法 案 を 2004 年 に 議 会 に 提 出 したサルコジ 氏 (2004 年 当 時 は 経 済 大 臣 )が 2007 年 5 月 に 大 統 領 に 就 任 した サルコジ 前 大 統 領 フィヨン 前 首 相 のもと 前 政 権 は 原 子 力 発 電 の 積 極 的 な 推 進 政 策 を 維 持 継 続 し フラマンヴィル 原 子 力 発 電 所 3 号 機 に 続 く 国 内 2 基 目 の EPR をパンリー 原 子 力 発 電 所 3 号 機 として 建 設 する EDF の 計 画 を 承 認 した 国 外 政 策 また 前 政 権 は 国 内 における 原 子 力 推 進 だけでなく 原 子 力 事 業 者 の 海 外 展 開 も 積 極 的 に 支 援 する 方 針 を 掲 げた サルコジ 前 大 統 領 やフィヨン 前 首 相 は 特 に 新 興 国 における 原 子 力 開 発 のニーズを 見 込 んで これらの 国 との 原 子 力 協 力 協 定 の 締 結 を 進 めた 他 EDF や AREVA 社 の 技 術 や 提 案 内 容 を 積 極 的 にアピールしていた このような 新 興 国 向 けの 支 援 窓 口 を 一 本 化 するため 2008 年 には 原 子 力 代 替 エネルギー 庁 (CEA)に 国 際 原 子 力 局 (AFNI) 180

183 が 設 置 されている またサルコジ 前 大 統 領 は 2009 年 に 仏 原 子 力 事 業 者 がアラブ 首 長 国 連 邦 (UAE)における 原 子 炉 新 設 の 国 際 入 札 において 事 業 者 同 士 が 十 分 に 連 携 できなかっ たことを 一 因 として 失 注 したことをうけて 海 外 進 出 体 制 の 立 て 直 しを 検 討 した この 結 果 EDF が 主 導 し AREVA 社 の 炉 を 提 案 する フランス チーム の 体 制 が 最 適 である とされた 年 の 政 権 交 代 以 降 の 原 子 力 発 電 政 策 2012 年 の 大 統 領 選 挙 と 議 会 下 院 総 選 挙 によって 社 会 党 を 中 心 とする 左 派 政 権 が 発 足 し た オランド 大 統 領 はこれまで 原 子 力 発 電 を 積 極 的 に 推 進 してきた 前 政 権 の 方 針 を 改 め 原 子 力 発 電 の 割 合 を 縮 減 し 再 生 可 能 エネルギー 開 発 に 注 力 する 方 針 を 打 ち 出 しており 現 行 のエネルギー 政 策 は 大 きく 転 換 されることとなっている 国 内 政 策 ---エネルギー 転 換 全 国 討 論 会 政 府 は 2012 年 9 月 に 開 催 した 第 1 回 環 境 会 議 においてこのエネルギー 政 策 の 転 換 の 方 針 を 改 めて 確 認 し エネルギー 転 換 に 関 する 全 国 規 模 の 討 論 会 を 開 催 することを 決 定 した cxcix 環 境 会 議 では エコロジー 転 換 に 向 けたロードマップが 採 択 され この 中 で 討 論 会 の 主 要 テーマとスケジュールが 示 された また 討 論 会 の 憲 章 の 中 で 討 論 会 における 見 解 の 多 様 性 の 尊 重 や 公 衆 参 加 の 推 進 等 の 方 針 が 確 認 され 討 論 会 の 実 施 体 制 についても 規 定 された この 憲 章 に 示 された 方 針 に 基 づき 討 論 会 の 全 ての 議 論 を 統 括 する 組 織 である 全 国 評 議 会 が 11 月 に 初 回 の 会 合 を 開 催 し 2013 年 6 月 頃 にかけて 全 国 レベルでの 議 論 59と 並 行 して 地 方 での 議 論 60やインターネットを 通 じた 意 見 募 集 が 行 われた エネルギー 転 換 に 関 する 全 国 討 論 会 では 全 国 評 議 会 を 中 心 とする 中 央 レベルの 討 論 会 と 並 行 して 地 域 レベルでの 討 論 会 も 実 施 された 地 域 における 討 論 は 地 方 評 議 会 に よって 監 督 総 括 されるとともに 地 方 自 治 体 議 員 や 地 方 における 討 論 関 係 者 から 構 成 さ れる 地 方 における 討 論 調 整 委 員 会 によって 中 央 レベルの 議 論 との 調 整 が 行 われた 全 国 評 議 会 は 7 つの 代 表 集 団 (1 労 働 組 合 2 従 業 員 代 表 3 環 境 NGO 4 消 費 者 団 体 と 商 工 会 議 所 5 地 方 自 治 体 議 員 6 国 会 議 員 7 政 府 代 表 )で 構 成 され 主 要 な 討 論 テーマについて 議 論 する 作 業 グル ープが 設 置 された また 同 評 議 会 では 企 業 トップ NGO の 代 表 欧 州 議 会 議 員 社 会 学 者 経 済 学 者 な ど エネルギー 転 換 に 関 わる 関 係 者 に 対 する 聴 聞 も 実 施 された この 他 原 子 力 関 係 機 関 の 代 表 で 構 成 さ れる 専 門 家 グループ が 全 国 評 議 会 に 対 して 議 論 に 必 要 な 専 門 的 知 見 やデータを 提 供 した 60 討 論 のほかにも 発 電 事 業 者 送 配 電 事 業 者 など 関 連 事 業 者 の 施 設 を 一 般 公 開 する エネルギーの 日 等 の イベントが 実 施 され 一 般 市 民 が 参 加 した 地 方 における 討 論 関 連 の 取 り 組 みは 地 方 評 議 会 によって 監 督 総 括 された 他 地 方 自 治 体 議 員 や 地 方 における 討 論 関 係 者 から 構 成 される 地 方 における 討 論 調 整 委 員 会 によって 国 ( 中 央 )レベルの 議 論 との 調 整 が 行 われた また 市 民 委 員 会 が 設 置 され オブザ ーバーの 役 割 を 担 った 61 地 方 における 討 論 調 整 委 員 会 は 2013 年 1 月 に 設 置 され 討 論 会 の 実 施 期 間 中 毎 週 開 催 された 同 委 員 会 は 中 央 レベルの 討 論 会 の 各 機 関 と 協 議 しながら 地 域 における 討 論 会 のフォローアップと 総 括 報 告 書 の 取 りまとめを 行 った 181

184 地 域 における 議 論 では 多 様 な 公 衆 の 参 加 を 実 現 するために 様 々な 主 催 者 による 議 論 が 実 施 された 組 織 的 な 性 格 を 有 するあらゆる 主 催 者 ( 団 体 商 工 会 議 所 エネルギー 分 野 の 労 組 その 他 労 組 経 済 界 の 関 係 者 大 学 等 )に 対 しては 主 催 する 討 論 会 について 地 方 評 議 会 等 に 対 して 申 請 することで エネルギー 転 換 全 国 討 論 会 の 枠 組 みで 実 施 される 討 論 であるとの ラベル 付 け がなされた 討 論 会 の 期 間 中 このようなラベル 付 けがさ れた 討 論 会 等 の 催 しの 件 数 は 全 国 で 850 件 にのぼり これらに 参 加 した 人 数 が 合 計 17 万 人 であったことが 地 域 における 討 論 会 の 総 括 報 告 書 で 報 告 されている 62 地 域 における 個 別 の 討 論 会 の 開 催 状 況 に 関 する 詳 細 な 情 報 は 地 域 におけるエネルギー 転 換 討 論 会 の 総 括 報 告 書 には 示 されていないが 例 えば フランス 中 部 サントル 地 域 圏 議 会 63が 公 表 している 情 報 によれば 同 地 域 圏 において 開 催 されたエネルギー 転 換 公 開 討 論 会 の 枠 組 みでは 29 件 の ラベル 付 け が 行 われ これに 合 計 900 人 が 参 加 したことが 報 告 さ れている cc このような 国 レベル 及 び 地 方 レベルでの 議 論 を 総 括 した 報 告 書 が 2013 年 7 月 に 取 りまと められ 9 月 に 開 催 された 第 2 回 環 境 会 議 で 政 府 に 提 出 された cci 政 府 は 討 論 会 の 総 括 をふ まえ エネルギー 転 換 に 向 けた 計 画 法 案 を 策 定 しており 公 衆 参 加 のプロセスは 経 たうえ で 2014 年 夏 以 降 に 議 会 審 議 が 進 められていくことになる 64 法 案 については 政 府 が 2013 年 12 月 に 以 下 のような 骨 子 を 発 表 している ccii 第 1 編 :エネルギー 転 換 の 目 的 第 1 編 においては エネルギー 転 換 に 関 する 以 下 の 大 方 針 について 将 来 的 に 達 成 すべ き 目 標 とその 期 限 も 含 めて 規 定 される 気 候 変 動 対 策 エネルギー 安 定 供 給 エネルギー 供 給 の 競 争 力 省 エネルギーとエネルギー 効 率 社 会 的 地 域 的 団 結 環 境 と 健 康 の 保 護 新 たな 分 野 の 産 業 開 発 資 源 の 有 効 利 用 62 同 総 括 報 告 書 は 2013 年 6 月 にとりまとめられ 全 国 評 議 会 に 提 出 された 全 国 評 議 会 はこの 報 告 書 内 容 もふまえ 7 月 に 全 国 討 論 会 の 総 括 報 告 書 を 策 定 した 63 地 域 圏 とは 複 数 の 県 で 構 成 される 広 域 行 政 単 位 である フランスには 欧 州 域 内 の 22 の 地 域 圏 海 外 領 土 の 5 つの 地 域 圏 がある 年 のエネルギー 政 策 法 についても 2003 年 春 に 全 国 規 模 のエネルギー 討 論 会 が 実 施 され 政 府 が 法 案 を 作 成 議 会 で 承 認 成 立 するというプロセスを 経 ている 182

185 また EU のエネルギーパッケージに 基 づくフランスの 2020 年 までの 取 組 み 65 と 整 合 す る 形 で 以 下 のような 長 期 的 なエネルギー 転 換 の 目 標 も 規 定 される 温 室 効 果 ガスの 排 出 量 を 2050 年 までに 1990 年 比 で 4 分 の 1 に 削 減 する エネルギー 効 率 の 改 善 により 2050 年 までにエネルギー 消 費 を 50% 削 減 する 2030 年 までに 化 石 燃 料 の 消 費 を 30% 削 減 する 再 生 可 能 エネルギー 開 発 と 2025 年 までの 減 原 子 力 の 実 現 ( 総 発 電 電 力 量 に 占 める 原 子 力 の 割 合 を 50%に 縮 減 )により 電 源 ミックスを 多 様 化 する 第 2 編 :エネルギー 転 換 のガバナンス 手 法 第 2 編 においては エネルギー 転 換 の 様 々な 取 組 みを 主 導 するために 以 下 のような 手 法 について 規 定 される エネルギー 計 画 のツールとしての カーボン バジェット と 低 炭 素 戦 略 - 温 室 効 果 ガスの 削 減 目 標 は カーボン バジェット に 基 づいて 達 成 を 目 指 す カーボン バジェットはフランスの 温 室 効 果 ガスの 排 出 上 限 を 定 め 5 年 毎 に 作 成 評 価 見 直 され 15 年 間 にわたって 作 成 される( 計 画 は 3 回 作 成 される) 予 定 である 作 成 においては 競 争 力 や 経 済 発 展 についても 考 慮 され 低 炭 素 戦 略 が 合 わせて 策 定 される この 低 炭 素 戦 略 では 温 室 効 果 ガス 削 減 目 標 の 達 成 に 向 けた 政 策 の 大 方 針 が 規 定 されることになり これまで 政 府 が 策 定 してきた 気 候 計 画 に 代 わるものとなる またこの 戦 略 には 公 共 政 策 に 関 するエネルギー 効 率 や 環 境 効 率 の 評 価 及 び 社 会 経 済 的 採 算 性 に 照 らした 評 価 を 実 施 するための 指 標 も 含 まれる - エネルギー 分 野 の 計 画 は 5 年 毎 に 策 定 される 多 年 度 エネルギー 計 画 (PPE)によ って 進 められる 現 在 電 力 ガス 熱 の 3 分 野 について 策 定 されている 多 年 度 計 画 に 加 え 再 生 可 能 エネルギー 分 野 の 国 家 行 動 計 画 とエネルギー 効 率 国 家 計 画 が 新 たに 策 定 されることになる また PPE においては エネルギー 分 野 におけ る 低 炭 素 戦 略 の 内 容 が 明 記 される なおこれらの 計 画 は EU や 国 際 的 な 枠 組 みに おけるフランスの 取 組 みのための 期 間 と 整 合 する 形 で 策 定 される - これらカーボン バジェット 低 炭 素 戦 略 及 び PPE は エネルギー 気 候 転 換 指 導 委 員 会 (COTEC)の 見 解 もふまえて 政 府 によって 策 定 され 議 会 に 対 する 報 告 書 が 作 成 される エネルギーミックスの 方 向 付 けのための 措 置 65 EU では 2008 年 末 にエネルギー 気 候 変 動 対 策 に 関 する EU 法 のパッケージの 策 定 について 合 意 され ており EU 全 体 の 目 標 として 温 室 効 果 ガスの 排 出 量 を 2020 年 までに 1990 年 比 で 20% 削 減 し 最 終 エ ネルギー 消 費 に 占 める 再 生 可 能 エネルギーの 比 率 を 20%に 高 め エネルギー 効 率 を 20% 改 善 することが 掲 げられている この 目 標 に 基 づき フランスは 2020 年 までに 最 終 エネルギー 消 費 に 占 める 再 生 可 能 エネル ギーの 割 合 を 23%に 高 め 排 出 権 取 引 に 関 する EU 指 令 2003/87 において 対 象 とされていない 産 業 分 野 か らの 温 室 効 果 ガスの 排 出 量 を 2005~2020 年 にかけて 14% 削 減 し エネルギー 効 率 を 2020 年 までに 20% 改 善 するとの 目 標 を 掲 げている 183

186 - 電 源 ミックスの 方 向 付 けは エネルギーセキュリティ 電 力 供 給 の 競 争 力 電 源 の 多 様 化 需 要 管 理 再 生 可 能 エネルギー 開 発 電 力 系 統 連 系 電 源 の 多 様 化 を 可 能 にするエネルギー 貯 蔵 エネルギー 自 立 などの 方 針 が 示 された PPE に 基 づい て 行 われる - 原 子 力 発 電 の 設 備 容 量 に 上 限 を 設 ける 原 則 を 尊 重 し フランスのエネルギー 戦 略 に 責 任 を 負 うのは 政 府 とする 措 置 を 導 入 する 66 地 域 の 役 割 を 強 調 する 形 でのエネルギー 転 換 のガバナンス 手 法 - エネルギー 高 等 評 議 会 に 代 わり エネルギー 気 候 転 換 指 導 委 員 会 (COTEC)を 設 置 する この 委 員 会 は カーボン バジェット 低 炭 素 戦 略 及 び PPE につい て 政 府 からの 諮 問 を 受 ける - 地 域 レベルにおいては 地 域 圏 気 候 空 気 エネルギー 計 画 (SRCAE) 及 び 地 域 気 候 エネルギー 計 画 (PCET)について 67 国 と 地 域 の 連 携 手 続 きの 簡 素 化 電 力 配 分 管 理 の 近 代 化 の 観 点 から 見 直 される エネルギー 転 換 の 財 政 支 援 手 段 - エネルギー 転 換 の 取 組 みと それに 係 る 費 用 をより 適 切 に 管 理 するため また 公 共 支 出 の 効 率 性 を 向 上 させるため 電 力 公 共 サービス 費 用 (CSPE) 68 の 管 理 枠 組 みは 改 革 される この 改 革 により エネルギー 及 び 気 候 分 野 における 様 々な 支 援 メカニズムはより 明 確 になり 関 連 する 産 業 分 野 の 発 展 と 雇 用 の 創 出 につながる ことが 期 待 される エネルギー 転 換 に 貢 献 する 産 業 分 野 の 発 展 雇 用 の 確 保 エネルギー 分 野 における 研 究 開 発 の 体 制 の 促 進 第 3 編 :エネルギー 需 要 管 理 エネルギー 効 率 一 部 のカテゴリーの 消 費 者 に 関 する 措 置 第 3 編 では 以 下 のような 内 容 が 規 定 される a) エネルギー 効 率 以 下 の 3 分 野 について エネルギー 消 費 の 管 理 に 関 する 措 置 が 規 定 される 電 力 網 のエネルギー 効 率 66 これまでもエネルギー 戦 略 を 主 導 してきたのは 政 府 であったが 原 子 力 発 電 の 設 備 容 量 の 上 限 値 などを 設 ける 原 則 はなかった この 措 置 は オランド 大 統 領 の 公 約 であるフェッセンハイム 原 子 力 発 電 所 閉 鎖 を 実 現 するために 安 全 上 の 問 題 がなく 同 発 電 所 の 運 転 者 であるフランス 電 力 (EDF)も 閉 鎖 する 意 向 が ない 原 子 力 発 電 所 を 政 策 的 な 判 断 によって 政 府 が 閉 鎖 する 決 定 を 下 すことに 法 的 根 拠 を 与 えるための ものであるとみられている 67 SRCAE は 地 域 圏 (フランスの 広 域 行 政 単 位 )レベルで 再 生 可 能 エネルギー 開 発 分 野 も 含 んだロード マップである PCET は 人 口 5 万 人 以 上 の 自 治 体 に 策 定 が 課 される 計 画 であり 自 治 体 の 資 産 や 活 動 に 関 連 する 温 室 効 果 ガスの 排 出 状 況 がまとめられる 67 再 生 可 能 エネルギーの 固 定 価 格 買 取 制 度 に 係 る 費 用 や 非 連 系 地 域 における 追 加 的 費 用 などを 賄 うために 電 気 料 金 の 一 部 に 上 乗 せされて 需 要 家 から 回 収 される 費 用 68 再 生 可 能 エネルギーの 固 定 価 格 買 取 制 度 に 係 る 費 用 や 非 連 系 地 域 における 追 加 的 費 用 などを 賄 うために 電 気 料 金 の 一 部 に 上 乗 せされて 需 要 家 から 回 収 される 費 用 後 段 を 参 照 184

187 建 物 及 び 工 場 におけるエネルギー 効 率 建 物 の 大 規 模 な 改 修 を 行 う 際 に 熱 効 率 を 考 慮 するよう 既 存 の 法 制 度 を 変 更 する このためフランス 預 金 供 託 公 庫 は 熱 効 率 を 改 善 するための 建 物 の 改 修 に 対 する 貸 付 を 行 うための 基 金 を 設 置 する 運 輸 交 通 におけるエネルギー 効 率 - 電 気 自 動 車 やハイブリッド 自 動 車 の 開 発 に 関 する 目 的 を 明 記 する - 低 炭 素 ハイブリッドの 運 輸 交 通 手 段 これらの 交 通 手 段 に 必 要 な 充 電 イン フラ 及 び 先 進 バイオ 燃 料 の 開 発 を 促 進 するための 措 置 を 明 記 する b) エネルギー 転 換 において 支 援 の 必 要 な 一 部 のカテゴリーの 消 費 者 に 対 する 特 別 措 置 エネルギー 転 換 の 実 施 に 際 して エネルギー 価 格 の 上 昇 により 大 きな 影 響 を 受 ける 一 部 のカテゴリーの 消 費 者 向 け 支 援 措 置 について 規 定 する 具 体 的 には 以 下 のような 措 置 である 全 てのエネルギー 源 に 関 する 低 所 得 世 帯 向 け 支 援 措 置 及 びガスと 電 気 の 割 引 料 金 の 維 持 エネルギー 多 消 費 事 業 者 や 国 際 競 争 にさらされる 事 業 者 について エネルギーの 調 達 方 法 やエネルギー 効 率 の 改 善 に 関 する 措 置 第 4 編 : 再 生 可 能 エネルギー 開 発 第 4 編 では 再 生 可 能 電 力 及 び 再 生 可 能 熱 の 開 発 促 進 に 関 する 措 置 について 規 定 される これらの 措 置 には 経 済 的 な 持 続 可 能 性 を 確 保 しつつ これらの 分 野 を 発 展 させ 雇 用 を 増 加 させるため 関 連 する 法 制 度 の 部 分 的 な 修 正 や 簡 素 化 固 定 価 格 買 取 制 度 を 含 む 再 生 可 能 エネルギー 支 援 措 置 の 明 確 化 と 最 適 化 に 関 する 措 置 が 含 まれる 再 生 可 能 エネルギー 向 けの 財 政 支 援 の 枠 組 みは 支 援 の 方 法 を 拡 大 適 正 化 するために 見 直 される この 見 直 しによって 支 援 方 法 の 変 化 に 関 する 検 討 状 況 に 応 じて また 欧 州 委 員 会 が 現 在 検 討 中 の 国 家 補 助 (State Aid)のガイドラインにおいて 示 される 支 援 の 方 針 に 沿 って 柔 軟 に 支 援 の 実 施 が 可 能 となる また 自 家 消 費 及 び 自 家 発 電 / 発 熱 に 関 する 法 制 度 の 整 備 についても 検 討 される 第 5 編 : 原 子 力 第 5 編 では 以 下 のような 措 置 について 規 定 される 原 子 力 安 全 と 原 子 力 基 本 施 設 (INB)の 位 置 づけについて - INB の 所 有 者 と 操 業 者 の 関 係 - 情 報 透 明 性 と 公 衆 への 情 報 提 供 と 2006 年 の 原 子 力 安 全 情 報 開 示 法 に 基 づく 様 々 な 措 置 のアップデート - 原 子 力 安 全 機 関 (ASN)による 処 分 の 手 段 としての 下 請 け 事 業 者 への 指 導 管 185

188 理 の 可 能 性 放 射 性 廃 棄 物 管 理 - 地 層 処 分 場 (CIGEO)の 可 逆 性 - CIGEO の 許 認 可 プロセス - 放 射 性 廃 棄 物 管 理 機 関 (ANDRA)の 使 命 のアップデート - EU 廃 棄 物 指 令 2011/70 の 国 内 法 化 長 期 的 な 原 子 力 バックエンド 費 用 の 管 理 原 子 力 損 害 の 民 事 責 任 に 関 する 国 際 枠 組 みの 活 用 に 必 要 な 措 置 INB の 停 止 と 廃 止 措 置 に 関 する 措 置 放 射 線 源 のセキュリティ 第 6 編 : 技 術 的 措 置 第 6 編 では エネルギー 転 換 を 容 易 にするための 技 術 的 な 措 置 について 規 定 される 具 体 的 には 以 下 のような 内 容 が 含 まれる 手 続 きの 簡 素 化 エネルギー 安 定 供 給 を 保 証 するための 措 置 の 実 施 エネルギー 消 費 ( 輸 送 交 通 も 含 む)に 関 連 した 大 気 の 質 に 関 する 措 置 国 外 政 策 国 内 においては 減 原 子 力 政 策 をとるオランド 大 統 領 と 政 府 であるが 国 外 政 策 について は 前 サルコジ 政 権 の 方 針 を 踏 襲 しており 仏 原 子 力 事 業 者 の 海 外 進 出 を 積 極 的 に 支 援 して いる 2012 年 9 月 末 に 新 政 権 として 初 めて 開 催 した 原 子 力 政 策 審 議 会 では 最 高 レベルの 安 全 性 に 基 づく 原 子 力 輸 出 を 推 進 するとの 方 針 が 確 認 されている さらに 同 審 議 会 は 中 国 との 持 続 的 でバランスのとれたパートナーシップを 強 化 することが 非 常 に 重 要 であるとの 方 針 を 確 認 し cciii 前 サルコジ 政 権 下 から 進 められてきた 仏 中 による 中 型 炉 の 共 同 開 発 の 検 討 は 2013 年 10 月 に EDF AREVA 中 国 広 東 核 電 集 団 公 司 (CGNPC)との 間 で 第 Ⅲ 世 代 の 中 型 炉 開 発 に 関 する 協 力 覚 書 (MOU)の 調 印 に 至 った cciv また 原 子 力 産 業 に 携 わる 異 なる 事 業 者 間 の 協 力 関 係 を 強 化 する 目 的 で 前 サルコジ 政 権 が 設 置 した 原 子 力 戦 略 委 員 会 (CSFN)も 新 政 権 下 でも 活 動 を 継 続 している CSFN は 2013 年 7 月 に 開 催 した 会 合 で 国 際 市 場 におけるフランスの 提 案 の 促 進 を 目 指 し フラン ス 原 子 力 輸 出 事 業 者 協 会 (AIFEN)を 設 置 し 2014 年 にフランスで 初 となる 大 規 模 な 国 際 展 示 会 を 開 催 することを 決 定 した AIFEN は 11 月 に 発 足 し 2014 年 10 月 にパリ 近 傍 の ブルジェで 国 際 展 示 会 World Nuclear Exhibition (WNE)を 開 催 することを 発 表 した 186

189 5.2 原 子 力 発 電 事 業 体 制 運 転 基 数 と 運 転 者 フランスでは 現 在 以 下 の 図 に 示 すとおり 19 カ 所 の 原 子 力 発 電 所 で 合 計 58 基 の 原 子 炉 が 運 転 中 である 原 子 炉 は 全 て PWR であり 出 力 階 層 ごとに 標 準 化 されている 原 子 力 発 電 による 発 電 電 力 量 は 2012 年 実 績 で 4,074 億 kwh であり 総 発 電 電 力 量 の 74.8% を 占 めている ccv これら 58 基 の 原 子 炉 を 運 転 するのは 前 述 のとおり 国 が 8 割 以 上 を 出 資 する EDF であ る ショー 原 子 力 発 電 所 には GDF-Suez 社 が 出 資 しているが 原 子 力 発 電 事 業 は 第 2 次 世 界 大 戦 後 から 一 貫 して 国 有 体 制 となっている EDF 誕 生 の 経 緯 EDF も 含 めたフランスの 電 力 市 場 の 変 遷 や 現 状 については を 参 照 90 万 kw 130 万 kw 150 万 kw EPR 図 フランス 国 内 の 原 子 力 発 電 所 187

190 5.2.2 原 子 力 発 電 事 業 に 関 する 最 新 動 向 で 報 告 したとおり フランスの 現 政 権 は 減 原 子 力 目 標 を 掲 げ 国 内 でもっとも 古 いフェッセンハイム 原 子 力 発 電 所 を 2016 年 末 までに 閉 鎖 する 方 針 である 一 方 で 政 府 は 2025 年 までに 総 発 電 電 力 量 に 占 める 原 子 力 の 割 合 を 75%から 50%に 縮 減 するとの 目 標 に ついて 代 替 電 源 の 確 保 を 含 め 実 現 に 向 けた 具 体 的 なシナリオを 明 らかにしていない フランスでは 原 子 炉 の 設 置 許 可 政 令 において 運 転 寿 命 は 定 められておらず 運 開 から 10 年 毎 に 実 施 される 定 期 安 全 レビュー(PSR)の 結 果 に 基 づき さらに 10 年 間 の 運 転 継 続 の 可 否 が 判 断 されることになっているが EDF はすでに 原 子 炉 の 運 転 期 間 を 40 年 以 上 に 延 長 する 方 針 に 基 づき 必 要 な 保 守 等 のための 投 資 を 計 画 している ccvi EDF は 2010 年 に 運 転 延 長 について 検 討 した 包 括 プログラムを ASN に 提 示 し ASN はこの 内 容 がおおむね 満 足 いくものであるとのジェネリックな 判 断 を 2013 年 7 月 に 示 している ccvii 政 府 は EDF の 原 子 炉 の 40 年 以 上 の 運 転 継 続 については 特 段 の 見 解 など 示 していない EDF の 国 内 58 基 の 原 子 炉 のうち 24 基 は 2019 年 から 2024 年 にかけて 運 開 から 40 年 目 を 迎 えるため 仮 にこれらの 原 子 炉 の 40 年 以 上 の 運 転 継 続 が 認 められ 大 規 模 な 他 電 源 の 開 発 が 実 現 されない 場 合 には 政 府 が 掲 げる 2025 年 までの 減 原 子 力 の 目 標 の 達 成 は 困 難 で あると 考 えられる なお 前 サルコジ 政 権 下 では 政 府 の 委 託 に 基 づき 会 計 検 査 院 (CDC)による 原 子 力 発 電 事 業 のコストについての 検 討 が 行 われ CDC は 2012 年 1 月 に 検 討 結 果 をまとめた 報 告 書 を 公 表 した 同 報 告 書 では 運 転 寿 命 を 40 年 と 仮 定 したうえで 75% 程 度 の 水 準 で 原 子 力 発 電 を 維 持 しようとするならば 11 基 の EPR を 新 設 する 必 要 があるが 短 期 間 でこのよう な 大 規 模 な 投 資 は 実 質 不 可 能 であるとの 見 解 を 示 し フランスに 残 された 選 択 肢 は 既 存 炉 の 運 転 期 間 を 40 年 以 上 に 延 長 するか または 電 源 ミックスに 占 める 原 子 力 以 外 のエネル ギー 源 の 割 合 を 速 やかに また 飛 躍 的 に 拡 大 させるか いずれかであるとしている オランド 大 統 領 は 再 生 可 能 エネルギー 開 発 に 注 力 する 方 針 であるが 2025 年 までに 原 子 力 発 電 の 一 部 を 代 替 するほどの 有 力 な 電 源 に 成 長 する 可 能 性 は 低 い また 火 力 電 源 で 原 子 力 を 代 替 しようとすれば 温 室 効 果 ガス 排 出 削 減 目 標 の 達 成 にも 影 響 する 可 能 性 が 高 く なる ccviii このような 問 題 は 議 会 科 学 技 術 選 択 評 価 局 (OPECST)からも 指 摘 されており 短 期 的 には CO2 を 大 量 に 排 出 する 火 力 発 電 によって 原 子 力 を 代 替 しなければならないという 気 候 変 動 対 策 上 の 問 題 点 及 び 原 子 力 発 電 の 急 激 な 縮 減 による 電 気 料 金 の 上 昇 という 経 済 的 問 題 を 考 慮 すれば 2050 年 時 点 で 原 子 力 発 電 の 割 合 を 50%に 2100 年 時 点 で 30%に 縮 減 する という 比 較 的 緩 慢 なエネルギー 転 換 のシナリオを 提 案 している ccix 188

191 5.3 原 子 力 関 連 政 策 施 策 NOME 法 の 制 定 で 報 告 したとおり フランスでは EDF の 原 子 力 発 電 をベースとする 規 制 料 金 が 市 場 価 格 を 下 回 っているために 2007 年 の 完 全 自 由 化 後 も 自 由 化 の 権 利 を 行 使 する 需 要 家 は 限 定 的 である また 規 制 料 金 の 維 持 や 市 場 料 金 に 移 行 した 需 要 家 に 対 する 政 府 の 救 済 措 置 については 市 場 競 争 を 阻 害 しているとして 欧 州 委 員 会 からの 批 判 対 象 となっていた フランスの 電 力 市 場 が 抱 えるこれらの 問 題 に 対 する 解 決 策 を 検 討 するため 政 府 は 電 子 通 信 郵 便 規 制 機 関 (ARCEP)のシャンソール 委 員 長 ( 当 時 )を 長 とする 委 員 会 ( 以 下 シ ャンソール 委 員 会 )を 2008 年 10 月 に 設 置 した 同 委 員 会 は 電 力 市 場 改 革 に 向 けた 検 討 を 行 い 検 討 結 果 と 提 言 をまとめた 報 告 書 を 2009 年 4 月 に 政 府 に 提 出 した ccx シャンソール 委 員 会 の 報 告 書 内 容 をふまえ 電 力 市 場 の 体 制 に 関 する 2010 年 12 月 7 日 の 法 律 第 号 ( 以 下 NOME 法 )が 制 定 された 同 法 の 措 置 は 基 本 的 にはシ ャンソール 委 員 会 の 提 言 に 沿 ったものであり 同 法 は 以 下 のような 目 的 の 達 成 を 目 指 して いる ccxi 小 売 り 電 力 市 場 における 競 争 の 実 現 EDF の 原 子 力 発 電 所 で 発 電 された 電 力 の 一 部 を 2025 年 までの 期 間 小 売 り 事 業 者 と して EDF が 享 受 しているのと 同 じ 条 件 で 設 定 された 料 金 (ARENH)で 購 入 する 権 利 を EDF 以 外 の 新 規 事 業 者 に 対 して 与 える 対 象 となる 電 力 は 年 間 1,000 億 kwh を 上 限 とする ccxii この 措 置 は 法 案 が 議 会 に 提 出 された 2010 年 から 向 こう 15 年 間 にわた って 実 施 されるものであるが これは 全 ての 事 業 者 が 将 来 の 見 通 しを 立 てることがで きるようにするためであった 一 方 2025 年 には 運 開 から 40 年 を 迎 える 原 子 炉 があ り リプレースが 開 始 されるタイミングであるが フラマンヴィルで EPR の 建 設 が 進 んでいるものの これは 既 存 炉 の 設 備 容 量 の 一 部 を 賄 うためというよりは 既 存 炉 の 運 転 延 長 に 係 る 不 確 実 性 を 考 慮 しながらも 将 来 の 電 力 需 要 増 を 想 定 したものである このため 2025 年 までの 間 に 原 子 炉 の 運 転 延 長 の 決 定 や 延 長 が 決 定 された 場 合 に 必 要 な 投 資 など 不 確 定 要 素 をクリアすることが 想 定 されている ccxiii EDF の 原 子 力 発 電 所 の 維 持 原 子 炉 の 廃 止 措 置 や 放 射 性 廃 棄 物 管 理 既 存 炉 の 運 転 延 長 など EDF が 長 期 的 な 取 組 みを 実 施 できるようにする NOME に 規 定 された 原 子 力 発 電 所 の 維 持 に 関 する 条 文 は 2012 年 の 政 権 交 代 後 も 有 効 であるが 現 在 政 府 が 策 定 を 進 めているエネルギー 転 換 に 関 する 計 画 法 案 では これらの 規 定 が 修 正 される 可 能 性 はある 189

192 最 終 需 要 家 にとって 競 争 力 のある 電 気 料 金 の 維 持 なお NOME 法 の 制 定 により でフランスの 自 由 化 の 問 題 点 として 指 摘 されてい た TaRTAM も 同 法 が 発 効 する 2011 年 7 月 1 日 に 廃 止 された また 2015 年 末 には 小 口 需 要 家 を 除 く 大 口 需 要 家 向 けの 規 制 料 金 は 撤 廃 されることとなっている ccxiv ARENH 価 格 の 設 定 EDF が 適 正 な 報 酬 を 確 保 するとともに 経 済 的 観 点 からみて EDF の 小 売 事 業 部 門 と 同 じ 条 件 で 原 子 力 による 発 電 電 力 を EDF 以 外 の 新 規 小 売 り 事 業 者 も 利 用 できるようにするた めに ARENH は 原 子 力 発 電 の 経 済 条 件 や 発 電 所 に 係 る 全 ての 費 用 を 反 映 し 以 下 を 含 んで 設 定 することとされている ccxv 1 事 業 の 性 質 を 考 慮 した 投 下 資 本 に 対 する 報 酬 2 運 転 費 用 3 運 転 延 長 に 必 要 な 保 守 関 連 投 資 費 用 4 長 期 的 な 放 射 性 廃 棄 物 管 理 に 係 る 費 用 NOME 法 では 規 制 料 金 を 享 受 できなくなる 需 要 家 への 影 響 を 考 慮 して TaRTAM と 同 水 準 の 電 気 料 金 で 新 規 事 業 者 による 供 給 が 行 えるよう ARENH 価 格 を 設 定 することとされ た 政 府 は NOME 法 の 規 定 に 基 づいて ARENH の 運 用 に 関 する 政 令 を 2011 年 4 月 28 日 に 公 布 し さらに 同 年 5 月 17 日 の 省 令 によって 2011 年 7 月 1 日 以 降 の ARENH 価 格 を 40 ユーロ/1,000kWh 2012 年 1 月 以 降 42 ユーロ/1,000kWh とすることを 決 定 した NOME 法 の 制 定 時 点 では TaRTAM と 同 水 準 の 電 気 料 金 で 供 給 が 行 えるように ARENH 価 格 が 設 定 されたため 価 格 フォーミュラは 法 の 制 定 時 点 では 決 定 されてなかった 政 府 は ARENH の 価 格 設 定 方 法 について 規 定 する 政 令 を 2014 年 第 1 四 半 期 までに 制 定 する 方 針 であり 2013 年 11 月 に 関 係 者 に 対 する 意 見 聴 取 を 開 始 している この 政 令 が 制 定 され るまでは 政 府 は 現 行 の ARENH 価 格 (42 ユーロ)を 維 持 する 方 針 である ccxvi ARENH の 運 用 方 法 ARENH の 運 用 に 関 する 2011 年 4 月 28 日 の 政 令 に 基 づき 新 規 事 業 者 が EDF による 原 子 力 発 電 電 力 にアクセスするためには EDF と 新 規 事 業 者 が 電 力 の 売 買 に 関 する 覚 書 を 締 結 しなければならない なお 新 規 事 業 者 の 顧 客 ポートフォリオの 機 密 保 持 のため ARENH の 実 際 の 手 続 きは CRE 預 金 供 託 金 庫 (CDC) 及 び RTE が 仲 介 する CRE は 新 規 事 業 者 と 連 絡 調 整 し ARENH によって 購 入 する 電 力 量 を 試 算 し 電 力 フロ 190

193 ーと 支 払 を 管 理 するために 必 要 情 報 を 新 規 事 業 者 に 伝 える CRE は EDF に ARENH によ って 供 給 する 電 力 量 を 知 らせる EDF と 新 規 事 業 者 間 の 電 力 の 売 買 の 決 済 は CDC を 通 じ て 行 われ 新 規 事 業 者 への 実 際 の 電 力 の 供 給 は RTE が 行 う このように 売 買 の 手 続 きは CRE によって 管 理 されるため ARENH の 権 利 を 行 使 したい 事 業 者 は CRE に 申 請 を 行 う 必 要 がある EDF 新 規 事 業 者 CRE CDC RTE の ARENH 運 用 における 関 係 は 以 下 の 図 のとおり 図 示 できる ccxvii 新 規 事 業 者 CRE CDC 電 力 の 流 れ 精 算 の 流 れ 情 報 の 流 れ 図 ARENH 運 用 における 各 機 関 の 関 係 図 なお CRE ウェブサイトで 2014 年 2 月 現 在 確 認 できる 情 報 では ARENH の 権 利 を 行 使 するために EDF と 覚 書 を 結 んだ 新 規 事 業 者 は 36 社 にのぼる ccxviii ARENH によって 新 規 事 業 者 に 譲 渡 された 電 力 量 ( 半 期 ベース)を 以 下 の 表 に 示 す ccxix 表 ARENH によって 譲 渡 された 電 力 量 期 間 電 力 量 2011 年 後 半 308 億 kwh 2012 年 前 半 302 億 kwh 2012 年 後 半 306 億 kwh 2013 年 前 半 329 億 kwh 2013 年 後 半 314 億 kwh 191

194 なお ARENH によって 購 入 可 能 な 電 力 量 については 国 内 における 電 力 需 要 に 応 じて 決 定 されるため それぞれの 事 業 者 の 顧 客 ポートフォリオの 増 減 見 通 しに 基 づいた 評 価 が 実 施 される ただし 見 通 しどおりに 顧 客 ポートフォリオが 増 加 せず 余 分 な 電 力 が 譲 渡 された 場 合 に 備 えて 遡 及 調 整 メカニズムも 導 入 されている このメカニズムでは 顧 客 ポートフォリオに 比 較 して 余 分 に 譲 渡 された 分 の 電 力 については 追 加 料 金 が 課 せられる こととなり この 追 加 料 金 は 余 剰 分 を 市 場 で 売 却 していた 場 合 の 市 場 価 格 ( 利 息 含 む) と ARENH 価 格 との 差 額 となる ccxx NOME 法 と ARENH による 影 響 と 問 題 点 NOME 法 が 制 定 され ARENH の 価 格 で 新 規 事 業 者 に 原 子 力 発 電 電 力 量 を 売 却 しなけれ ばならなくなったことは EDF への 財 務 的 な 影 響 の 他 最 終 需 要 家 向 けの 電 気 料 金 にも 影 響 が 出 る 以 下 では 経 済 財 政 省 が 2013 年 1 月 に 公 表 した 電 力 市 場 自 由 化 の 進 捗 状 況 に 関 する 資 料 において 示 された NOME 法 及 び ARENH による 影 響 と 問 題 点 についてまとめ る EDF への 影 響 ARENH による 原 子 力 発 電 電 力 の 売 却 は EDF の 事 業 戦 略 とは 相 容 れない EDF はフラ ンス 国 内 における 大 規 模 な 投 資 プログラムに 取 り 組 んでおり 2005 年 時 点 に 30 億 ユーロ だった 投 資 額 は 2011 年 時 点 で 70 億 ユーロに 拡 大 している さらに EDF は 今 後 15 年 間 にわたって 既 存 炉 の 寿 命 延 長 を 見 据 えて 原 子 力 安 全 の 強 化 や 発 電 所 の 保 守 のため 500 億 ユーロ 近 い 規 模 の 投 資 を 計 画 している よって EDF は 自 社 が 提 供 する 電 気 料 金 を 投 資 等 も 含 めた 経 済 原 価 に 近 づけることにより 投 資 に 向 けた 資 金 を 確 保 しようとする 投 資 のための 資 金 確 保 は EDF や EDF の 株 主 である 国 のための 資 金 確 保 の 側 面 だけでなく フランスにおける 電 力 供 給 力 の 確 保 という 戦 略 的 側 面 もある ccxxi このため ARENH の 価 格 決 定 に 際 しては EDF と 規 制 機 関 である CRE との 間 での 考 え 方 の 違 いが 露 呈 した EDF は 供 用 期 間 にわたって 発 電 所 の 当 初 価 値 を 再 評 価 する 計 算 方 法 に 基 づき 自 社 の 原 子 力 発 電 電 力 の 経 済 原 価 が 49.5 ユーロ/1,000kWh であると 主 張 し た 一 方 で 前 述 のシャンソール 委 員 会 による ARENH 価 格 に 関 する 検 討 では 将 来 追 加 的 な 保 守 が 実 施 される 可 能 性 は 排 除 されなかったものの 原 子 力 発 電 所 の 価 値 としてはネ ット 簿 価 ( 価 値 の 大 半 が 減 価 償 却 済 み)のみを 考 慮 した 試 算 が 行 われ 39 ユーロ/1,000kWh との 結 果 が 提 示 され CRE もこの 価 格 が 妥 当 であるとの 見 解 を 示 した 結 果 前 述 のとお り 2011 年 7 月 1 日 以 降 の ARENH 価 格 は 40 ユーロ/1,000kWh と 決 定 され 2012 年 1 月 1 日 以 降 は 42 ユーロ/1,000kWh とされた なお CRE は 2 ユーロの 値 上 げに 反 対 した 192

195 が 政 府 は 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 後 の 安 全 強 化 に 伴 う 費 用 を 考 慮 すれば 必 要 な 値 上 げ であると 結 論 した しかし 42 ユーロ/kWh の ARENH 額 については 経 済 原 価 と 乖 離 があるとして EDF は 不 服 としており 一 方 ARENH 価 格 で EDF から 電 力 を 購 入 する 新 規 事 業 者 は 当 該 価 格 が 高 すぎるとしている ccxxii 最 終 需 要 家 への 影 響 NOME 法 により フランスの 電 力 市 場 の 自 由 化 は 進 展 することが 期 待 される 一 方 で 電 気 料 金 の 値 上 げの 可 能 性 がある 議 会 上 院 が 2012 年 7 月 にまとめた 電 気 料 金 に 関 する 報 告 書 では 2020 年 までに 電 気 料 金 が 50% 上 昇 する 可 能 性 があることが 指 摘 されている CRE の 委 員 長 も 2012 年 3 月 2016 年 までに 電 気 料 金 が 30% 上 昇 するとの 見 方 を 示 しており その 原 因 として 図 に 示 すフランスの 電 気 料 金 の 構 成 要 素 ccxxiiiのうち 以 下 の 要 素 の 上 昇 を 挙 げている ccxxiv 消 費 税 その 他 税 金 発 電 費 用 電 力 公 共 サービス 費 用 (CSPE) 営 業 費 用 託 送 料 金 (TURPE) 図 フランスの 電 気 料 金 の 構 成 要 素 電 力 公 共 サービス 費 用 (CSPE:contribution au service public de l'électricité) 額 の 上 昇 ccxxv CSPE とは 需 要 家 から 一 律 に 電 力 料 金 の 一 部 として 徴 収 される 費 用 負 担 分 回 収 さ れる 費 用 としては 再 生 可 能 エネルギーの 固 定 価 格 買 取 に 係 る 追 加 費 用 や 非 連 系 地 域 における 発 電 に 伴 う 追 加 的 費 用 低 所 得 需 要 家 向 けの 特 別 料 金 制 度 に 係 る 費 用 など がある 193

196 フランスでは 2006 年 の 固 定 価 格 買 取 制 度 の 開 始 により 太 陽 光 発 電 の 導 入 が 急 激 に 増 加 している このため 買 取 費 用 の 増 加 に 伴 い CSPE 額 も 増 加 しており 2007 年 時 点 で 20 億 ユーロであった CSPE 総 額 は 2013 年 には 72 億 ユーロにのぼると 試 算 され ており 6 年 間 で 3.6 倍 になっている 増 大 する 費 用 を 賄 うためには 電 気 料 金 に 占 める CSPE の 負 担 額 を 引 き 上 げる 必 要 があり 2010 年 時 点 で 4.5 ユーロ/1,000kWh であ った CPSE 額 は 2013 年 には 13.5 ユーロ/1,000kWh に 上 昇 している 70 しかも CSPE 額 は 2010 年 まで 需 要 家 への 負 担 の 急 増 を 考 慮 して 実 際 に 発 生 して いる 費 用 に 比 べて 低 い 水 準 で 設 定 されていたため 電 気 料 金 からの 回 収 分 では 賄 いき れなかった 前 年 までの 費 用 の 積 み 残 しがあり これを 調 整 額 として 順 次 電 気 料 金 に 上 乗 せしている 状 況 にある 年 の CSPE 試 算 総 額 72 億 ユーロのうち 21 億 ユー ロは 2011 年 分 の 調 整 額 である CRE は 積 み 残 し 分 の 費 用 を 回 収 するためには 2013 年 の CSPE 負 担 額 を 18.8 ユーロ/1,000kWh に 設 定 する 必 要 があったと 指 摘 している 政 府 は 2013 年 1 月 CSPE に 係 る EDF の 負 債 を 2018 年 までに 解 消 する 方 針 を 明 ら かにしている ccxxvi 規 制 料 金 の 上 昇 その 内 訳 は 以 下 の 2 つである ccxxvii - CRE が 決 定 する 託 送 料 金 (TURPE:Tarif d'utilisation des Réseaux Publics d Electricité)の 上 昇 TURPE は 公 共 送 配 電 ネットワークの 使 用 料 金 であり 送 電 網 を 運 用 する RTE 及 び 配 電 網 を 運 用 する erdf によるネットワークの 運 用 保 守 拡 大 等 に 係 る 費 用 を 賄 うため ネットワーク 利 用 者 から 徴 収 される TURPE は 政 策 方 針 をふまえ て CRE が 決 定 し 政 府 から 特 段 の 指 摘 がなければ CRE の 決 定 内 容 が 官 報 公 示 される TURPE は 4 年 間 有 効 であるが インフレ 率 やネットワーク 運 用 等 に 係 る 費 用 額 をふまえて 毎 年 アップデートされる CRE 委 員 長 は 今 後 ネットワークの 保 守 や 拡 大 のために 必 要 な 投 資 に 係 る 費 用 が TURPE に 反 映 されれば インフレを 考 慮 しない 場 合 でも 毎 年 2%のペースで TURPE が 上 昇 するとの 見 方 を 示 している ccxxviii - 発 電 費 用 の 上 昇 NOME 法 の 制 定 に 伴 い 規 制 料 金 の 設 定 方 法 も 変 更 される NOME 法 では 電 力 需 要 のピーク 時 における 需 給 調 整 を 目 的 として 容 量 保 証 制 度 が 導 入 されること になっている これまで 需 給 バランスは EDF のみが 行 っており そのコストは 規 制 料 金 の 枠 組 みで 回 収 されていたが NOME 法 に 基 づいて 新 規 事 業 者 にも 容 量 保 証 の 義 務 が 課 されることとなる 新 たな 措 置 の 導 入 に 伴 い 規 制 料 金 は1 原 子 力 70 CSPE 額 は 2010 年 までは CRE の 提 案 に 基 づきエネルギー 担 当 大 臣 の 省 令 で 決 定 するが 2011 年 以 降 は エネルギー 担 当 大 臣 が 特 別 に 省 令 を 定 めない 限 り 前 年 の CSPE 額 からの 上 昇 幅 が 3 ユーロ/ 1,000kWh 以 内 であれば CRE の 提 案 がそのまま CSPE 額 となる 71 未 回 収 分 は EDF の 負 債 として 同 社 の 経 営 に 悪 影 響 を 与 えている 状 況 にある 194

197 発 電 をベースとする 供 給 コスト 2 容 量 保 証 に 係 るコスト 等 電 力 供 給 力 の 確 保 に 係 る 追 加 コスト 3 託 送 料 金 4 営 業 費 用 が 加 算 される 形 で 算 定 されることに なる 72 なお 規 制 料 金 を 構 成 する 追 加 費 用 には 新 規 事 業 者 が ARENH によっ て 調 達 する 原 子 力 による 電 力 のほかに 顧 客 ポートフォリオに 即 した 電 力 供 給 量 を 確 保 するために 卸 電 力 市 場 において 調 達 する 電 力 費 用 も 含 まれる 現 在 新 規 事 業 者 による 卸 電 力 市 場 での 調 達 価 格 は 約 55 ユーロ/1,000kWh である このため CRE 委 員 長 は 発 電 料 金 が ARENH と 同 レベルの 42 ユーロ/1,000kWh に 達 す るのはもちろん これをさらに 上 回 る 可 能 性 があると 指 摘 している ccxxix 72 容 量 保 証 制 度 では 発 電 容 量 保 証 書 及 び 負 荷 削 減 容 量 保 証 書 の 保 持 が 義 務 づけられ 最 初 の 保 証 書 は RTE によって 発 行 される その 後 は 事 業 者 間 で 保 証 書 の 取 引 譲 渡 が 可 能 になる 容 量 保 証 制 度 は 2016~2017 年 にかけての 冬 頃 の 運 用 開 始 が 目 指 されている RTE 容 量 保 証 メカニズムについて 2013 年 9 月 les_mecanisme_de_capacite.pdf 195

198 5.4 新 増 設 の 状 況 フラマンヴィル 原 子 力 発 電 所 の 建 設 状 況 フランスでは 2005 年 のエネルギー 計 画 法 において 将 来 的 なリプレースを 見 据 えて EPR を 1 基 建 設 する 方 針 が 規 定 されている 同 法 に 基 づき フラマンヴィル 原 子 力 発 電 所 3 号 機 (EPR)の 建 設 許 可 が 2007 年 4 月 に 発 給 され 同 年 12 月 に 建 設 工 事 が 開 始 された 同 機 は 2012 年 に 運 開 する 予 定 であったが 同 機 が EPR の 初 号 機 であることや フランス 国 内 では 20 年 程 度 建 設 が 途 絶 えていたことなどが 影 響 し で 後 述 するとおり 工 期 は 遅 延 し 建 設 費 用 も 上 昇 している なお 2012 年 の 政 権 交 代 後 も オランド 大 統 領 と 政 府 は 同 機 の 建 設 を 完 遂 する 方 針 を 明 らかにしている 一 方 で 前 政 権 下 で 計 画 されたパンリー 原 子 力 発 電 所 3 号 機 として 国 内 2 基 目 の EPR を 建 設 する 計 画 は 白 紙 撤 回 されている これら 2 基 の EPR を 除 いては フラ ンスにおける 新 増 設 の 計 画 はない EPR の 建 設 費 用 と 資 金 調 達 EPR の 建 設 費 用 の 増 額 EDF は フラマンヴィル 原 子 力 発 電 所 の EPR の 建 設 について 2005 年 10 月 ~2006 年 2 月 にかけて 実 施 された 公 開 討 論 の 場 で 2003 年 価 格 で 30 億 ユーロとの 試 算 額 を 示 してい た この 試 算 額 について EDF は 建 設 に 係 る 契 約 の 発 注 がまだ 実 施 されていないため あ くまで 試 算 であると 断 りつつ 建 設 される 施 設 の 詳 細 な 把 握 設 備 機 器 や 建 物 の 費 用 デー タの 合 計 に 基 づき さらに 過 去 の 原 子 炉 建 設 に 関 する 知 見 も 考 慮 して 算 出 された 数 字 であ るとしている ccxxx しかし この EPR の 建 設 費 用 については 2007 年 12 月 の 着 工 後 工 期 の 遅 延 とともに 上 方 修 正 されてきた ccxxxi 2008 年 12 月 : 建 設 費 用 を 約 40 億 ユーロに 上 方 修 正 2010 年 7 月 : 運 開 時 期 を 当 初 予 定 の 2012 年 から 2014 年 に 繰 り 延 べるとともに 費 用 総 額 を 約 50 億 ユーロに 上 方 修 正 2011 年 7 月 : 運 開 時 期 を 2014 年 から 2016 年 に 繰 り 延 べるとともに 費 用 総 額 を 約 60 億 ユーロに 上 方 修 正 2012 年 12 月 : 運 開 時 期 は 2016 年 のままとしながらも 費 用 総 額 を 20 億 ユーロ 上 方 報 修 正 インフレも 考 慮 すると 費 用 総 額 は 約 85 億 ユーロにのぼる 見 通 し 196

199 度 重 なる 工 期 の 遅 延 とそれに 伴 う 費 用 上 昇 の 原 因 として EDF は 以 下 のような 原 因 を 挙 げている 原 材 料 価 格 の 上 昇 や 安 全 規 制 要 件 の 厳 格 化 国 内 での 原 子 炉 の 建 設 が 過 去 15 年 間 途 絶 えていることや 同 機 が 初 の EPR であるこ とから 特 に 土 木 工 事 作 業 の 規 模 を 再 評 価 2011 年 中 に 建 設 作 業 現 場 で 死 亡 事 故 が 発 生 したことによる 一 部 の 建 設 作 業 の 数 週 間 にわたる 中 断 フラマンヴィル 3 号 機 建 設 に 係 る EDF の 資 金 調 達 ---EDF 社 債 額 の 推 移 から フラマンヴィル 3 号 機 の 建 設 に 対 する EDF の 資 金 調 達 戦 略 は 公 開 情 報 等 では 明 らかに されていない 模 様 である 以 下 では 同 機 の 建 設 に 係 る 資 金 調 達 の 一 部 を 構 成 している 可 能 性 がある EDF の 社 債 発 行 額 についてまとめる フラマンヴィル 3 号 機 の 工 事 は 2007 年 末 に 開 始 されたが 2007 年 末 時 点 での EDF の 社 債 発 行 額 は 以 下 の 表 のとおりである 表 EDF の 2007 年 末 時 点 での 社 債 発 行 額 発 行 者 発 行 年 満 期 額 ( 単 位 :100 万 ) 通 貨 年 利 (%) EDF ユーロ 6.3 EDF ,996 ユーロ 5.0 EDF ,000 ユーロ 5.8 EDF ,100 ユーロ 5.5 EDF ポンド 5.9 EDF ユーロ 5.6 RTE ,000 ユーロ 4.1 伊 Edison ユーロ 独 EnBW ,000 ユーロ 5.9 LIBOR ユーロ 3 カ 月 金 利 2007 年 中 には 社 債 は 一 度 発 行 されたのみであるが 2008 年 には 以 下 の 表 に 示 す 社 債 を 新 たに 発 行 している 社 債 は Euro Medium Term Note(EMTN)プログラムに 基 づ いて 発 行 されており 2008 年 の 上 限 額 は 160 億 ユーロとされている なお 上 限 額 は 毎 年 見 直 されるが 2007 年 の 上 限 額 は 110 億 ユーロであった ccxxxii 197

200 表 EDF の 2008 年 の 社 債 発 行 額 発 行 者 発 行 年 月 満 期 額 ( 単 位 :100 万 ) 通 貨 年 利 (%) EDF ,500 ユーロ 5.0 EDF ユーロ 5.0 EDF ,200 ユーロ 5.4 RTE ,250 ユーロ 4.9 EDF ,000 円 RTE ,000 ユーロ 5.1 EDF ,000 ユーロ 5.6 独 EnBW ユーロ 6.0 独 EnBW ユーロ 6.9 EDF ,000 スイスフラ 3.4 ン EDF スイスフラ 3.4 ン EDF ポンド 6.9 LIBOR 円 3 カ 月 金 利 この 大 規 模 な 社 債 発 行 について EDF は グループとして 集 中 的 に 行 う 子 会 社 への 資 金 提 供 の 増 加 や グループとしての 投 資 計 画 の 資 金 調 達 のためであると 説 明 しているが 例 え ば 資 金 調 達 が 必 要 となった 投 資 計 画 の 詳 細 な 内 容 などは 示 されていない なお EDF の 社 債 発 行 は 取 締 役 会 73が 決 定 承 認 している ccxxxiii 2008 年 に EDF は 海 外 展 開 で 以 下 のような 大 規 模 オペレーションを 実 施 している 2008 年 9 月 英 ブリティッシュ エナジー(BE) 社 の 買 収 案 について BE 社 と 合 意 74ccxxxiv 2008 年 12 月 米 コンステレーション エナジー ニュークリア グループ(CENG) 持 分 の 49.99%を 45 億 ドルで 取 得 することで 合 意 年 と 比 べて 2008 年 に 大 規 模 な 社 債 発 行 が 行 われたことは 上 記 の 大 規 模 オペレー ションに 係 る 資 金 調 達 を 想 定 したものであったと 考 えられるが フラマンヴィル 3 号 機 の 建 設 コストも 前 述 のとおり 同 時 期 に 当 初 予 定 の 30 億 ユーロから 40 億 ユーロに 上 方 修 73 EDF の 取 締 役 会 は 18 名 で 構 成 されるが うち 6 名 は 株 主 総 会 で 選 出 (プログリオ CEO 含 む) 6 名 は 政 令 によって 任 命 される 政 府 代 表 6 名 は 従 業 員 代 表 である 74 BE 社 の 子 会 社 化 は 2009 年 1 月 に 完 了 75 株 式 取 得 は 2009 年 11 月 に 完 了 198

201 正 されている このため 社 債 発 行 には 同 機 の 建 設 コストの 上 昇 に 伴 う 資 金 調 達 の 目 的 もあった 可 能 性 がある なお 2009 年 以 降 も EDF は 社 債 を 毎 年 発 行 し 続 けている 2012 年 末 時 点 での 発 行 済 み 社 債 額 は 表 のとおりである ccxxxv 表 EDF の 2012 年 末 時 点 の 社 債 発 行 額 発 行 者 発 行 年 月 満 期 額 ( 単 位 :100 万 ) 通 貨 年 利 (%) EDF ,000 ユーロ 5.6 EDF ,350 スイスフラ 3.4 ン EDF ,250 米 ドル 5.5 EDF ,269 ユーロ 4.5 EDF ,000 ユーロ 5.1 EDF ,100 ユーロ 5.5 EDF ,500 ユーロ 5.0 EDF ,000 米 ドル 6.5 EDF ,400 米 ドル 4.6 EDF ,200 ユーロ 5.4 EDF ,000 ユーロ 6.3 EDF ,000 ユーロ 3.9 EDF ,000 ユーロ 2.8 EDF ,500 ユーロ 4.6 EDF ユーロ 4.0 EDF ,000 ユーロ 4.1 EDF ,500 ユーロ 4.6 EDF ポンド 5.9 EDF ユーロ 5.6 EDF ,500 ポンド 6.1 EDF ,750 米 ドル 7.0 EDF ユーロ 4.5 EDF ,250 ポンド 5.5 EDF ,000 ポンド

202 上 述 の BE 社 の 買 収 及 び CENG 社 への 出 資 については 実 際 のオペレーションは 2009 年 中 に 実 施 された 上 記 社 債 の 一 部 は BE 社 の 買 収 に 係 るシンジケートローンに 関 する 引 き 出 し(drawings on syndicated loan) 分 の 支 払 いのために 発 行 されたものである 76 その 他 2008 年 と 同 様 の 大 規 模 な 資 金 調 達 が 必 要 なオペレーションとしては 2010 年 10 月 に 米 コンステレーション エナジー 社 が 保 有 している UniStar ニュークリアエナジー(UNE) 社 の 50%の 持 ち 分 を 1 億 4,000 万 ドルで 取 得 し UNE 社 の 全 所 有 権 を 獲 得 することにな ったことが 挙 げられる フラマンヴィル 3 号 機 の 建 設 については 2010 年 以 降 毎 年 コストが 上 方 修 正 されており 社 債 発 行 による 資 金 調 達 の 要 因 となった 可 能 性 も 指 摘 できる なお EDF の EMTN プログラムの 2012 年 時 点 の 上 限 額 は 200 億 ユーロとされている EDF 発 行 の 債 権 の 格 付 け 前 述 のとおり EDF は 2008 年 以 降 社 債 発 行 による 大 規 模 な 資 金 調 達 を 実 施 している が EDF は 国 が 株 式 の 8 割 以 上 を 保 有 する 国 策 会 社 であり 以 下 の 表 に 示 すとおり 業 績 も 好 調 で 近 年 のキャッシュフロー 残 高 は 60 億 ユーロ 前 後 で 推 移 している 表 EDF の 業 績 の 推 移 ( 単 位 :100 万 ユーロ) 年 総 売 上 高 純 利 益 , , , ,928 1, , ,932 5, ,637 5, ,279 3, ,140 4, ,165 1, ,307 3, ,729 3, BE 社 の 買 収 額 は 約 126 億 ポンド(135 億 ユーロ)であり そのうち 約 122 億 ポンド(130 億 ユーロ) は 現 金 により 支 払 われた なお BE 社 の 買 収 については 業 績 連 動 型 の 債 権 Nuclear Power Note も 発 行 されている Nuclear Power Note とは BE 社 原 子 力 事 業 の 業 績 及 び 英 国 における 電 力 価 格 に 連 動 して 2010~2019 年 にかけて 毎 年 1 月 末 に 追 加 的 な 利 益 を 受 け 取 ることのできる 不 確 定 価 額 受 領 権 (CVR) 付 き 債 権 である 200

203 このように 国 策 企 業 であるだけでなく 経 営 基 盤 も 盤 石 である EDF の 格 付 けは 高 めで 推 移 している 近 年 の Standard & Poor s や Moody s による 格 付 けは 以 下 の 表 及 びの とおりである 表 EDF の 格 付 け( 長 期 ) 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 S&P AA+ A+ A+ AA- A+ Moody s Aa1 Aa3 Aa3 Aa3 Aa3* Fitch Ratings AA- A+ A+ A+ A+ *2012 年 の Moody s の 格 付 け 見 通 しはネガティブに 引 き 下 げられている その 他 の 見 通 し は 全 て 安 定 的 との 評 価 表 EDF の 格 付 け( 短 期 ) 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 S&P A-1+ A-1 A-1 A-1+ A-1 Moody s P-1 P-1 P-1 P-1 P-1 Fitch Ratings F1+ F1 F1 F1 F 年 から 2009 年 にかけての 格 付 けの 引 き 下 げは BE 社 の 買 収 によるものであるが その 後 の 格 付 けの 評 価 は 安 定 している 2012 年 に Moody s が 見 通 しをネガティブに 引 き 下 げたのは 2009 年 ~2010 年 にかけての 電 力 規 制 料 金 を 定 めた 政 府 決 定 をフランスの 最 高 行 政 裁 判 所 である 国 務 院 (コンセイユ デタ)が 無 効 とする 判 決 を 2012 年 12 月 5 日 に 下 し たことと EDF グループの 負 債 額 の 増 加 や 2013 年 業 績 の 不 透 明 性 を 考 慮 したためである とされている しかし EDF の 格 付 けが 高 めで 維 持 されていることに 変 わりはなく EDF は 自 社 の 財 務 戦 略 に 基 づいて 金 融 機 関 に 対 しても 主 導 権 を 持 って 比 較 的 広 い 自 由 度 で 資 金 調 達 方 法 を 決 定 することが 可 能 であるものと 考 えられる 政 府 や AREVA 社 の 関 係 者 の 費 用 に 関 する 発 言 フィヨン 前 首 相 は 2009 年 11 月 26 日 アラブ 首 長 国 連 邦 (UAE)における 原 子 炉 新 設 の 入 札 について EPR は 世 界 最 高 水 準 の 原 子 炉 であり 性 能 において 劣 る 原 子 炉 よりも 高 価 である と 発 言 している ccxxxvi 201

204 AREVA 社 のノフ 原 子 炉 サービスビジネスグループ 長 は 2010 年 11 月 同 社 ウェブサイ ト 上 に 掲 載 されたインタビュー 動 画 において EPR の 費 用 について 言 及 し 欧 州 において 建 設 が 進 捗 しているのは EPR のみであるために 建 設 費 用 が 高 額 であるとの 指 摘 があるが 他 の 炉 型 の 建 設 は 開 始 されていないために 実 際 の 建 設 費 用 が 過 少 評 価 されている 可 能 性 がある と 示 唆 した さらにノフ 氏 は EPR は 出 力 が 160 万 kw と 大 きく また 多 くの 安 全 システムを 導 入 し ているため 多 くの 機 器 も 必 要 になるとしている 同 部 門 長 は EPR 特 に 初 号 機 は 高 額 で あると 認 めつつ 台 山 における EPR の 建 設 は 効 率 化 されており EPR の 競 争 力 は 確 保 でき ると 主 張 している ccxxxvii 202

205 5.5 EDF と RTE の 出 資 関 係 と EU 指 令 2009/72 との 関 連 フランスにおいては 垂 直 統 合 型 事 業 者 (VIU)であるフランス 電 力 (EDF)が 発 送 配 電 事 業 を 独 占 的 に 展 開 していた しかし 1996 年 の EU 電 力 自 由 化 指 令 (96/92)が 制 定 されたことで フランスでは 同 指 令 を 国 内 法 化 する 電 力 自 由 化 法 が 2000 年 2 月 に 制 定 され 同 法 に 基 づき EDF 内 の 送 電 事 業 部 門 (RTE)はこの 時 点 で 会 計 分 離 がなされた さらに 1996 年 の EU 指 令 を 廃 止 する 新 たな 指 令 2003/54 が 制 定 されたことを 受 け 同 指 令 を 国 内 法 化 する EDF GDF 株 式 会 社 法 が 2004 年 8 月 に 制 定 された 同 法 の 制 定 により RTE は EDF の 子 会 社 化 となり 法 的 分 離 が 実 施 された さらに 2003 年 の 指 令 を 廃 止 する 新 たな 指 令 2009/72 が 2009 年 7 月 13 日 に 制 定 され 同 指 令 は 2011 年 5 月 9 日 に 国 内 法 化 された 指 令 2009/72 で は 発 送 配 電 事 業 について 所 有 権 の 分 離 まで 規 定 している 一 方 で 2009 年 9 月 3 日 以 前 に 送 電 事 業 が VIU によって 所 有 されている 場 合 には 同 送 電 事 業 者 が VIU に 対 する 財 務 的 技 術 的 人 的 な 独 立 性 が 確 保 されていることを 証 明 することで 当 該 送 電 事 業 者 を 送 電 事 業 者 (TSO)の 1 カテゴリーである 独 立 送 電 事 業 者 (ITO)に 選 定 承 認 できるとされて いる ccxxxviii このためフランスでは VIU からの 送 電 事 業 者 の 独 立 性 を 監 督 するエネルギー 規 制 機 関 (CRE)が 2012 年 1 月 RTE は EDF に 対 する 財 務 的 技 術 的 人 的 な 独 立 性 が 確 保 され た ITO であるとの 判 断 を 下 し 欧 州 委 員 会 もこの 判 断 に 異 論 を 唱 えていない ccxxxix つまり EDF が 持 ち 株 会 社 として RTE の 株 式 の 100%を 所 有 していること また 株 主 として EDF が RTE からの 配 当 を 受 けることについては 電 力 自 由 化 に 関 する EU 指 令 の 枠 組 みにおいては 問 題 とされていない よって EDF が RTE の 株 式 の 半 分 を EDF の バックエンド 資 金 確 保 のために 義 務 付 けられている 資 産 ポートフォリオに 組 み 込 むことも 77 EU 指 令 に 基 づく 国 内 法 による 規 制 対 象 にはならない なお EU 指 令 第 18 条 の 7 に 規 定 される VIU と 送 電 事 業 者 との 財 務 的 商 業 的 関 係 に ついては RTE を ITO として 選 定 承 認 する CRE の 2012 年 1 月 26 日 の 決 定 では RTE による EDF からの 電 力 購 入 契 約 EDF グループ 企 業 との 保 険 契 約 などが 対 象 として 挙 げ 77 フランスでは 2006 年 の 放 射 性 廃 棄 物 等 管 理 計 画 法 に 基 づき 原 子 力 施 設 の 廃 止 措 置 や 放 射 性 廃 棄 物 管 理 等 のための 資 金 確 保 が 義 務 付 けられている 事 業 者 は 将 来 発 生 する 費 用 を 引 当 金 として(バランスシー ト 上 に 負 債 として) 計 上 するとともに これに 見 合 う 資 産 を( 資 産 側 に) 確 保 している EDF は 2010 年 末 時 点 でバックエンド 費 用 の 見 合 い 資 産 のポートフォリオに 同 社 の 保 有 する RTE の 株 式 の 50%を 組 み 込 んでいる ( 見 合 い 資 産 として 認 められるのは 現 金 有 価 証 券 預 託 証 券 などである ) EDF 2011 年 1 月 3 日 付 プレスリリース 203

206 られており 両 社 のそもそもの 出 資 関 係 に 関 するものではない ccxl 204

207 clxxxviii clxxxix EDF ウェブサイト cxc 仏 経 済 財 政 省 電 力 市 場 自 由 化 の 現 状 2013 年 1 月 30 日 cxci CRE 卸 市 場 状 況 に 関 する 2013 年 第 3 四 半 期 データ 2013 年 12 月 cxcii 仏 経 済 財 政 省 電 力 市 場 自 由 化 の 現 状 2013 年 1 月 30 日 cxciii EU 統 計 データ Eurostat cxciv CRE 小 売 市 場 状 況 に 関 する 2013 年 第 3 四 半 期 データ 2013 年 12 月 cxcv EDF 2012 年 報 cxcvi 欧 州 委 員 会 競 争 政 策 ニュースレター 2010 年 第 2 号 cxcvii 仏 政 府 法 律 行 政 公 式 サイト 2003~2005 年 のエネルギー 政 策 cxcviii エネルギー 政 策 法 cxcix 第 1 回 環 境 会 議 オランド 大 統 領 の 開 会 演 説 2013 年 9 月 14 日 cc サントル 地 域 圏 で 実 施 されたエネルギー 転 換 討 論 会 の 総 括 2013 年 7 月 cci エネルギー 転 換 に 関 する 全 国 規 模 の 討 論 会 の 総 括 報 告 書 2013 年 7 月 ccii 仏 エコロジー 持 続 可 能 開 発 エネルギー 省 解 説 付 きエネルギー 転 換 計 画 法 案 2013 年 12 月 10 日 cciii 大 統 領 府 プレスリリース 2012 年 10 月 15 日 cciv 原 子 力 学 会 (SFEN)ウェブサイト ccv World Nuclear Association(WNA) World Nuclear Association(WNA) World Nuclear Power Reactors & Uranium Requirements 2014 年 1 月 ccvi EDF2012 年 業 績 資 料 2013 年 11 月 ccvii ASN プレスリリース 2013 年 7 月 2 日 ccviii CDC 原 子 力 発 電 事 業 費 用 に 関 する 報 告 書 2012 年 1 月 ccix OPECST エネルギー 転 換 に 関 する 報 告 書 2013 年 9 月 11 日 ccx シャンソール 報 告 書 2009 年 4 月 ccxi エネルギー 規 制 委 員 会 (CRE)NOME 法 ウェブサイト ccxii 原 子 力 による 年 間 発 電 電 力 量 の 25%に 相 当 する 1,000 億 kwh/ 年 が 上 限 とされている ccxiii NOME 法 案 2010 年 4 月 14 日 議 会 提 出 時 点 ccxiv CRE2011 年 報 2012 年 1 月 ccxv エコロジー 持 続 可 能 開 発 エネルギー 省 ウェブサイト ccxvi エコロジー 持 続 可 能 開 発 エネルギー 省 プレスリリース 2013 年 10 月 22 日 ccxvii CRE 機 関 紙 Decryptages 2011 年 7 月 ccxviii CRE ウェブサイト ccxix CRE ウェブサイト ccxx エコロジー 持 続 可 能 開 発 エネルギー 省 ウェブサイト ccxxi 仏 経 済 財 政 省 電 力 市 場 自 由 化 の 現 状 2013 年 1 月 30 日 ccxxii 仏 経 済 財 政 省 電 力 市 場 自 由 化 の 現 状 2013 年 1 月 30 日 ccxxiii エコロジー 持 続 可 能 開 発 エネルギー 省 エネルギー 気 候 パノラマ 2013 年 版 ccxxiv 仏 経 済 財 政 省 電 力 市 場 自 由 化 の 現 状 2013 年 1 月 30 日 ccxxv 仏 経 済 財 政 省 電 力 市 場 自 由 化 の 現 状 2013 年 1 月 30 日 ccxxvi エネルギー 転 換 全 国 討 論 会 資 料 ccxxvii 仏 経 済 財 政 省 電 力 市 場 自 由 化 の 現 状 2013 年 1 月 30 日 ccxxviii 仏 経 済 財 政 省 電 力 市 場 自 由 化 の 現 状 2013 年 1 月 30 日 ccxxix 仏 経 済 財 政 省 電 力 市 場 自 由 化 の 現 状 2013 年 1 月 30 日 ccxxx EDF フラマンヴィル 3 号 機 の 建 設 に 係 る 公 開 討 論 資 料 2005 年 ccxxxi EDF 年 報 2008~2012 年 205

208 ccxxxii EDF 2007 年 報 及 び 2008 年 報 ccxxxiii EDF2009 年 報 ccxxxiv BE 社 の 子 会 社 化 は 2009 年 1 月 に 完 了 ccxxxv EDF 2012 年 報 ccxxxvi フィヨン 前 首 相 発 言 2009 年 11 月 26 日 ccxxxvii ノフ 原 子 炉 ビジネス 部 門 長 インタビュー 2010 年 11 月 4 日 ccxxxviii EU 指 令 2009/72 ccxxxix 仏 政 府 ウェブサイト 仏 経 済 財 政 省 電 力 市 場 自 由 化 の 現 状 2013 年 1 月 30 日 ccxl エネルギー 規 制 委 員 会 (CRE) 2012 年 1 月 26 日 の 決 定 206

209 6 フィンランド 6.1 電 力 市 場 制 度 と 原 子 力 ( 発 電 ) 政 策 の 変 遷 フィンランドは 電 力 純 輸 入 国 であり ロシアへの 過 度 の 電 力 エネルギー 依 存 に 対 する 懸 念 も 見 られ 国 内 でのエネルギー 源 の 確 保 (エネルギー 自 立 )が 課 題 となっている 同 国 は 1995 年 の 電 力 市 場 法 に 基 づいて 電 力 自 由 化 を 推 進 し 1998 年 にはノルウェーに 設 立 された 多 国 間 共 通 電 力 市 場 ノルドプール に 参 加 している また 同 国 は 欧 州 連 合 (EU) 大 での 温 室 効 果 ガスの 排 出 削 減 にも 取 り 組 んでおり 欧 州 委 員 会 が 2009 年 に 採 択 した 2020 年 までの 政 策 パッケージにおける 3 つの 20% ccxli を 達 成 することを 目 指 している 欧 州 委 員 会 は 2014 年 1 月 に 2030 年 までの 政 策 パッケージ 案 を 発 表 したが フィンランドはこの 中 で 示 された 温 室 効 果 ガスの 1990 年 比 40% 削 減 といっ た 目 標 の 達 成 にも 意 欲 をみせている 以 上 のような 市 場 環 境 の 下 で フィンランドは 原 子 力 を 再 生 可 能 エネルギーと 並 ぶ 重 要 なエネルギー ポートフォリオの 一 つに 位 置 付 けている 同 国 では 現 在 4 基 が 運 転 中 1 基 が 建 設 中 であり 2010 年 7 月 には 議 会 により 更 に 2 基 の 建 設 計 画 が 承 認 されている 2012 年 の 発 電 実 績 は 図 のとおりであり 国 内 の 総 供 給 電 力 量 に 占 める 割 合 は 原 子 力 が 26% 及 び 水 力 が 19%であるが 一 方 で 輸 入 電 力 量 は 水 力 を 上 回 る 21%を 占 めている ccxlii 2012 年 ( 暫 定 値 ) 供 給 電 力 量 (TWh) 前 年 からの 変 動 率 (%) 原 子 力 総 供 給 電 力 量 におけるシェア(%) 水 力 石 炭 火 力 天 然 ガス % 19% 泥 炭 % 木 材 燃 料 % 26% その 他 合 計 ( 国 内 ) % 7% 8% 輸 入 総 合 計 ( 出 典 )フィンランド 統 計 局 の 公 式 統 計 (OSF) 図 年 の 供 給 電 力 量 に 占 める 各 電 源 のシェア 水 力 原 子 力 石 炭 火 力 天 然 ガス 泥 炭 木 材 燃 料 その 他 輸 入 207

210 6.1.1 電 力 市 場 制 度 の 変 遷 ccxliiiccxliv 自 由 化 前 のフィンランドでは 発 送 電 の 垂 直 統 合 型 の 国 営 の 事 業 者 が 存 在 し これらの 事 業 者 が 卸 電 力 市 場 において 支 配 的 であった また 送 電 網 も 十 分 に 開 放 されておらず 地 域 独 占 的 な 事 業 者 が 配 電 事 業 だけでなく 小 売 り 事 業 も 行 っていた 1995 年 の 電 力 市 場 法 により 市 場 の 開 放 が 進 み 1998 年 には 送 電 網 へのオープンアクセス が 実 現 されるとともに 小 売 市 場 も 完 全 に 自 由 化 された 自 由 化 の 目 的 は 競 争 を 導 入 し て 市 場 を 効 率 化 することや ノルウェー 及 びスウェーデンによる 多 国 間 共 通 卸 電 力 市 場 ノ ルドプール に 参 加 し より 統 合 的 な 北 欧 の 電 力 市 場 を 実 現 すること 等 とされている 電 力 自 由 化 前 の 市 場 制 度 電 力 自 由 化 以 前 の 1997 年 時 点 での 発 電 市 場 では 以 下 の 3 つのカテゴリーの 事 業 者 が 存 在 していた 国 営 の Imatran Voima 社 (IVO: 現 フォータム 社 ): 総 発 電 電 力 量 の 約 45%を 供 給 電 力 多 消 費 事 業 者 の 共 同 出 資 によって 設 置 された 発 電 事 業 者 :このカテゴリーのうち Pohjolan Voima(PVO)グループが 最 大 シェアの 約 35%を 供 給 地 方 自 治 体 が 保 有 する 配 電 小 売 事 業 者 : 残 る 約 20%を 供 給 送 電 事 業 については IVO 社 と PVO が 競 合 する( 平 行 する 送 電 網 を 保 有 する)という 特 殊 な 状 況 であった IVO の 送 電 事 業 は 子 会 社 の IVS が 行 い フィンランドの 送 電 網 全 体 の 約 80%を 占 めていた 一 方 PVO の 事 業 は 1990 年 に 4 つの 地 域 の 送 電 事 業 者 が 統 合 さ れて 設 立 された TVS が 行 っており 残 りの 約 20%の 送 電 網 を 占 めていた なお TVS は 主 に 産 業 界 が 出 資 していた IVO の 送 電 網 は 他 の 事 業 者 にも 開 放 され 固 定 費 に 契 約 期 間 や 託 送 距 離 に 基 づく 金 額 を 加 算 する 託 送 料 金 体 系 が 適 用 されており TVS の 送 電 網 は 主 に 共 同 出 資 する 産 業 界 などが 使 用 していた 配 電 小 売 事 業 は 主 に 地 方 自 治 体 保 有 の 事 業 者 100 社 以 上 が 両 方 の 事 業 を 行 っており エリアごとに 自 然 独 占 の 状 態 にあった 配 電 網 の 保 有 にはライセンスが 必 要 であり ライセンスには 事 業 者 が 供 給 責 任 を 負 うエ リアが 定 義 された 配 電 網 の 建 設 は 基 本 的 には 貿 易 産 業 省 ( 当 時 )の 認 可 が 必 要 である が 事 業 者 が 自 身 のエリア 内 で 建 設 する 際 には 不 要 であった なお 配 電 事 業 者 の 配 電 網 と PVO および IVO の 高 圧 送 電 網 との 間 では それらを 接 続 する 地 域 の 配 電 ネットワーク が 機 能 していた 一 方 小 売 事 業 には 許 認 可 等 は 不 要 である ただし 各 エリア 内 においては 配 電 事 業 者 が 208

211 独 占 的 な 地 位 を 占 めていたため 必 然 的 に 需 要 家 には 小 売 事 業 者 を 自 由 に 選 択 する 余 地 は なかった 卸 電 力 市 場 は 参 入 のための 特 別 な 許 可 などが 不 要 なため 基 本 的 には 自 由 であったが 産 業 との 長 期 契 約 が 主 であることや 送 電 網 へのアクセスが 困 難 であることなどにより 実 質 的 には IVO や PVO による 寡 占 状 態 であった また IVO はその 他 の 電 力 事 業 者 とともに 小 規 模 な 私 的 な 電 力 プールも 運 用 していた 米 国 の 北 米 電 力 信 頼 度 協 議 会 (NERC)のよう な 規 制 主 体 は 存 在 しておらず システムの 信 頼 性 は 事 業 者 間 の 協 力 をベースとした 自 己 規 制 的 な 体 制 によって 維 持 されていた 自 由 化 後 の 制 度 フィンランドでは 効 率 化 や 発 電 及 び 送 電 における 競 争 を 促 進 する 電 力 市 場 法 が 1995 年 に 制 定 された また 同 法 は 1996 年 に 発 令 された EU による 第 一 次 電 力 自 由 化 指 令 (EU 指 令 96/92)を 見 据 えたものであった 同 法 の 目 的 は 効 率 的 に 機 能 する 電 力 市 場 とするための 前 提 となる 状 況 を 確 実 に 実 現 し それにより 合 理 的 な 価 格 で 高 品 質 の 電 力 を 確 実 に 十 分 供 給 することとされた そのために 発 電 事 業 及 び 小 売 事 業 において 競 争 を また 電 力 システムの 運 用 に 合 理 的 で 公 平 なサービ ス 原 則 を 導 入 することが 主 要 な 方 法 とされ 以 下 のような 自 由 化 プロセスが 進 められた 送 電 事 業 については 1995 年 12 月 に IVO 及 び PVO の 送 電 事 業 子 会 社 が 両 社 の 高 圧 送 電 網 を 保 有 する 新 たな 組 織 を 設 立 する 枠 組 みについて 合 意 した 枠 組 みに 基 づき 1996 年 に Fingrid 社 が 設 立 され 翌 1997 年 に 営 業 を 開 始 した Fingrid 社 は 国 境 の 送 電 網 を 含 む 110kV 以 上 の 送 電 網 を 所 有 運 営 する 独 立 した 送 電 事 業 者 (TSO)となったが IVO(1997 年 当 時 で 25% 出 資 )や PVO( 同 25%) 等 による 出 資 関 係 は 維 持 された ccxlv 送 電 事 業 において Fingrid 社 は 1998 年 に 新 たな 託 送 料 金 システムを 導 入 した この 託 送 料 金 システムでは 固 定 費 に 契 約 期 間 等 に 基 づく 金 額 を 加 算 する 体 系 であるが ここで は 従 来 あった 託 送 距 離 に 応 じた 課 金 が 撤 廃 された 託 送 料 金 が 固 定 的 であることで ネ ットワーク 及 び 実 際 の 限 界 費 用 への 影 響 に 関 する 指 標 が 料 金 に 反 映 されないため 完 全 に 効 率 的 な 送 電 網 となってはいないとの 批 判 もあったが 一 方 で 託 送 料 金 体 系 が 簡 略 なもの となり また 設 備 容 量 の 下 限 もなくなり より 自 由 なアクセスが 可 能 となったと 言 える なお 電 力 市 場 法 に 基 づき それまで 送 電 網 等 を 規 制 していた 貿 易 産 業 省 から 独 立 した 電 力 市 場 局 (EMA)が 設 置 され 託 送 料 金 の 監 視 及 び 送 電 事 業 のライセンスの 発 給 を 行 うこと とされた 209

212 また 小 売 事 業 については 1997 年 から 全 需 要 家 が 小 売 事 業 者 を 自 由 に 選 択 できるよう になっていたが 実 際 には 高 額 な 電 力 メーターシステムの 導 入 が 義 務 付 けられており 大 口 需 要 家 のみが 自 由 化 された 状 況 であった 1998 年 に メーター 設 置 の 義 務 化 が 解 かれ 小 口 の 需 要 家 も 含 めて 自 由 に 事 業 者 を 選 択 できることとなった ccxlvi また 電 力 市 場 法 では 400V の 電 線 により 配 電 事 業 を 行 い 3 年 連 続 で 200 百 万 kwh 以 上 を 販 売 する 事 業 者 に 対 し て 2007 年 までに 電 力 取 引 及 び 発 電 事 業 と 法 的 に 分 離 することが 要 求 されていた 2013 年 7 月 までに 対 象 となる 83 の 事 業 者 のうち 52 社 の 分 離 が 実 現 している 卸 電 力 取 引 に 関 しては 1995 年 にフィンランド 電 力 市 場 (EL-EX)が 設 置 され 1996 年 から 1 時 間 前 市 場 での 取 引 が 開 始 された その 後 1998 年 に Fingrid 社 が EL-EX を 買 収 し フィンランド 電 力 市 場 を 運 営 している また Fingrid は 同 年 からノルドプールに 参 加 し ている ノルドプール スポット 市 場 は 2013 年 6 月 現 在 北 欧 及 び 東 欧 の 送 電 系 統 の 運 営 者 により 共 同 保 有 されており ノルウェーの Statnett(28.2% 出 資 ) スウェーデンの Svenska Kraftnät( 同 28.2%) Fingrid(18.8%) デンマークの Energinet.dk(18.8%) その 他 エストニア リトアニア 及 びラトビアが 各 2%ずつ 出 資 している( 図 6.1-2) ( 出 典 )Nord Pool Spot, Europe's Leading Power Markets, June 2013 図 ノルドプール スポット 市 場 の 出 資 比 率 原 子 力 政 策 の 変 遷 と 気 候 変 動 政 策 の 関 係 年 4 月 までの 原 子 力 政 策 フィンランドでは 1980 年 までに 4 基 の 原 子 炉 が 運 開 した その 後 しばらくは 新 設 に 関 す る 動 きはなかったが 電 力 需 要 増 加 への 対 応 国 内 での 電 力 確 保 ロシアへの 電 力 エネ ルギー 源 の 過 度 の 依 存 気 候 変 動 対 策 等 の 必 要 性 から 1990 年 代 後 半 から 議 論 が 再 開 された このような 情 勢 をうけて 原 子 力 事 業 者 であるテオリスーデン ヴォイマ 社 (TVO)は 2000 年 11 月 に 国 内 5 基 目 の 原 子 炉 の 建 設 に 関 する 原 則 決 定 を 申 請 した 政 府 は TVO の 申 請 を 認 めて 2002 年 に 原 則 決 定 を 発 給 し 議 会 もこれを 承 認 したことから 同 基 の 建 設 が 決 定 した 210

213 更 に 政 府 は 気 候 変 動 への 対 応 として 2008 年 11 月 に 2050 年 への 示 唆 も 含 む 2020 年 までの 中 長 期 気 候 エネルギー 戦 略 を 発 表 した 同 戦 略 では 建 設 中 の 5 基 目 の 原 子 炉 に 続 く 新 規 原 子 炉 の 建 設 も 視 野 に 入 れ そのための 原 則 決 定 を 2011 年 までに 行 う 必 要 が あることとされた これを 受 け TVO 原 子 力 事 業 者 である Fennovoima 社 国 営 のフォータム 社 の 3 社 は 6 基 目 以 降 の 原 子 炉 の 建 設 に 関 する 原 則 決 定 を 申 請 した 政 府 は 2010 年 5 月 TVO およ び Fennovoima 社 の 原 子 炉 新 設 計 画 を 認 める 原 則 決 定 を 発 給 した その 後 両 社 の 原 子 炉 2 基 の 建 設 が 議 会 により 承 認 された 年 4 月 の 政 権 交 代 以 降 の 原 子 力 政 策 2011 年 4 月 の 総 選 挙 で 勝 利 した 国 民 連 合 党 社 会 民 主 党 左 翼 同 盟 スウェーデン 人 民 党 緑 の 党 キリスト 教 民 主 同 盟 の 6 政 党 で 構 成 される 連 立 政 権 は 政 権 任 期 中 の 2015 年 まで 原 子 炉 の 新 設 を 認 める 新 たな 原 則 決 定 を 発 給 しない 方 針 である 同 政 権 が 2013 年 3 月 に 承 認 した 国 家 エネルギー 及 び 気 候 戦 略 2013 では 国 内 の 十 分 な 電 源 確 保 や 温 室 効 果 ガスの 排 出 削 減 において 原 子 力 が 引 き 続 き 重 要 な 電 源 として 位 置 付 けられているが 投 資 等 の 新 たな 原 子 力 促 進 策 や 優 遇 策 は 示 されていない 国 家 エネルギー 及 び 気 候 戦 略 2013 は 2008 年 に 策 定 された 国 家 エネルギー 及 び 気 候 戦 略 を 更 新 する 形 で TEM の 作 業 グループが 策 定 したものであり 2013 年 3 月 20 日 に 政 府 により 承 認 された 更 新 目 的 の 主 なものは 以 下 の 2 点 とされている 国 家 目 標 2020 の 達 成 を 確 保 する 欧 州 委 員 会 により 設 定 される 長 期 的 なエネルギー 及 び 気 候 変 動 に 関 する 目 標 を 満 足 す るための 道 筋 を 準 備 する また 2013 年 戦 略 では 2008 年 戦 略 において 議 会 が 重 要 であるとした コスト 効 率 エ ネルギー 自 給 率 の 拡 大 及 び 適 切 な 価 格 での 十 分 な 電 力 供 給 という 3 点 についても 引 き 続 き 考 慮 されている 2013 年 戦 略 には 原 子 力 に 特 別 の 項 目 を 立 てて 論 じている 部 分 は 見 当 たらない 2.4 節 電 源 自 給 の 確 保 においては オルキルオトでの 国 内 3 基 目 の 原 子 炉 が 運 開 するまでは 電 力 輸 入 に 頼 ることとなるとされている ただし 2020 年 代 には 原 則 決 定 のされた 他 の 原 子 炉 も 運 開 し 更 に 小 規 模 な 分 散 型 のエネルギー 源 が 確 保 されることで 国 内 の 電 源 確 保 の 目 標 は 達 成 されるとしている 3.4 節 2020 年 までの 追 加 措 置 では EU が 掲 げた 2050 年 目 標 を 達 成 するための 追 加 措 置 が 複 数 示 されている そのうちの 1 つである クリーンエナジーパッケージ では その 実 施 により 約 20%の 鉱 油 使 用 の 減 少 バイオマスによる 約 10%の 天 然 ガスの 代 替 に 加 え 石 炭 火 力 発 電 の 大 部 分 が 原 子 力 と 風 力 等 ( 計 90 億 kwh)のカーボンフリーなエネ ルギー 源 によりリプレースされるとしている この 目 標 像 を 実 現 するためには エネルギ 211

214 ー 生 産 消 費 装 置 への 大 きな 投 資 が 必 要 で 必 要 な 投 資 額 は 約 200 億 ユーロとされている このパッケージ 実 施 に 対 応 する 2050 年 に 向 けたロードマップ では 輸 送 通 信 省 環 境 省 財 務 省 雇 用 経 財 省 が 協 力 して 同 パッケージに 沿 って 方 策 を 準 備 するとされている また 同 節 ではクリーンエナジーパッケージの 他 に 建 設 分 野 輸 送 分 野 農 業 分 野 廃 棄 物 管 理 分 野 に 関 する 追 加 措 置 が 示 されており これらを 実 施 したシナリオでは 2020 年 代 前 半 には 温 室 効 果 ガスは 大 きく 減 少 し その 最 大 の 要 因 として 原 則 決 定 のされた 原 子 力 プラントの 建 設 が 挙 げられている ccxlvii 1990 年 代 後 半 に 電 力 の 小 売 自 由 化 を 行 ったフィンランドでは 輸 入 電 力 が 国 内 電 源 供 給 において 大 きなシェアを 占 めている 同 国 のエネルギー 政 策 では 温 室 効 果 ガスの 排 出 量 目 標 の 達 成 なども 含 め 原 子 力 発 電 の 重 要 性 が 明 確 に 位 置 づけられている ただし 2013 年 戦 略 のロードマップに 見 るように 同 国 では 明 確 に 原 子 力 の 新 規 建 設 を 促 進 する 優 遇 措 置 的 な 政 策 はない 6.2 原 子 力 発 電 事 業 体 制 現 在 ある 2 カ 所 の 原 子 力 発 電 所 については ロビーサ 原 子 力 発 電 所 (VVER 基 ) は 国 営 のフォータム 社 が 所 有 し 同 社 子 会 社 が 運 転 オルキルオト 原 子 力 発 電 所 (BWR 2 基 )は TVO が 保 有 運 転 している 更 にオルキルオトでは TVO により 原 子 炉 の 増 設 が 計 画 されており また 発 電 専 業 の Fennovoima 社 により ハンヒキビでも 原 子 力 発 電 所 建 設 が 計 画 されている 両 社 はフィン ランド 独 特 の 協 同 組 合 型 事 業 モデルを 採 用 している マンカラ (Mankala) 企 業 である 以 下 では 原 子 力 発 電 事 業 者 である Fortum と TVO の 事 業 体 制 及 びマンカラ モデル の 特 徴 を 示 す なお 運 転 中 及 び 建 設 中 の 原 子 力 発 電 プラントの 一 覧 を 表 に 示 す 表 運 転 中 及 び 建 設 中 のプラント 設 備 容 量 プラント 名 事 業 者 炉 型 状 態 送 電 網 併 入 ( 万 kw) ロビーサ /02 Fortum VVER ロビーサ /11 オルキルオト 運 転 中 /09 1 BWR オルキルオト TVO /02 2 オルキルオト (2005/08 建 設 開 始 EPR 建 設 中 併 入 時 期 未 定 ) ( 出 典 )IAEA, PRIS 212

215 6.2.1 Fortum 社 Fortum 社 は IVO 社 と 国 営 の 石 油 精 製 会 社 Neste Oil 社 が 合 併 し 1998 年 にヘルシン キ 株 式 市 場 に 株 式 を 公 開 1999 年 に 事 業 を 開 始 した 電 力 事 業 者 である 前 身 にあたる IVO は 国 内 の 設 備 容 量 の 約 3 割 を 占 める 発 電 施 設 を 保 有 し また 発 送 電 を 行 う 垂 直 統 合 型 の 事 業 者 であったが 電 力 自 由 化 に 伴 い 送 電 事 業 の 資 産 は Fingrid 社 に 売 却 された 2013 年 末 現 在 で Fortum 社 の 最 大 株 主 は 政 府 であり 50.76%を 首 相 府 が 保 有 する 国 営 企 業 である その 他 26.18%を 外 国 資 本 が 保 有 している なお 議 会 は 同 社 の 政 府 保 有 比 率 を 50% 以 下 とすることを 政 府 に 認 めている Fortum 社 は 発 電 配 電 小 売 等 の 電 力 事 業 を 中 心 に 手 掛 けており さらに 熱 その 他 エネルギー 関 連 サービスも 展 開 している 各 事 業 セグメントの 売 上 高 は 表 の 通 りで ある 表 Fortum 社 の 事 業 セグメント 別 の 売 上 高 事 業 セグメント 売 上 高 ( 百 万 ユーロ) 割 合 (%) 電 力 2, 熱 1, ロシア 1, 配 電 1, 電 力 小 売 その 他 ノルドプール 取 引 (ネッ ト) 連 結 調 整 分 売 上 合 計 6, ( 出 典 )Fortum, Annual Report 2013 また 同 社 の 2013 年 の 電 源 種 別 の 発 電 電 力 量 は 図 の 通 りである 下 記 のように 原 子 力 が 同 社 の 発 電 電 力 の 半 数 を 占 めていることが 分 かる 213

216 2% 4% 水 力 53% 発 電 電 力 量 合 計 447 億 kwh 41% 原 子 力 火 力 火 力 ( 国 外 ) ( 出 典 )Fortum, Annual Report 2013 図 Fortum 社 の 電 源 種 別 発 電 電 力 量 (2013 年 ) 同 社 は 現 在 ロビーサ 1 2 号 機 を 保 有 している 両 機 は IVO 社 時 代 に 建 設 されたロシ ア 製 原 子 炉 VVER であり 設 備 容 量 はいずれも 約 50 万 kw である ロビーサ 発 電 所 の 運 転 は 原 子 力 発 電 事 業 をほぼ 専 業 とする 同 社 100% 子 会 社 の Fortum Power and Heat 社 が 行 っている また Fortum 社 は ロビーサの 全 株 式 に 加 え オルキルオト 原 子 力 発 電 所 を 所 有 する TVO (26% 出 資 ) Oskarshamn 原 子 力 発 電 所 を 保 有 するスウェーデンの OKG AB( 同 46%) 及 び Forsmark 原 子 力 発 電 所 を 保 有 する Forsmark Kraftgrupp AB( 同 26%)の 株 式 の 一 部 を 保 有 している ccxlviii TVO TVO は 1969 年 にフィンランドの 産 業 関 連 の 企 業 により 大 規 模 な 発 電 プラントの 建 設 及 び 運 転 を 実 施 する 会 社 として 設 立 された 有 限 責 任 会 社 である 同 社 はユーラヨキの 原 子 力 発 電 プラント オルキルオト 1 2 号 機 (OL1 2) 及 び 石 炭 火 力 発 電 プラント Meri-Pori を 保 有 運 転 している ccxlix 同 社 の 2013 年 の 発 電 電 力 量 ( 株 主 に 販 売 した 電 力 量 )は 下 記 の 通 りである 214

217 5% 原 子 力 (OL1) 46% 発 電 電 力 量 合 計 億 kwh 49% 原 子 力 (OL2) 石 炭 火 力 (Meri-Pori) 等 注 :Meri-Pori の 値 には 風 力 (100 万 kwh) 及 びガス 火 力 (30 万 kwh)を 含 む ( 出 典 )TVO, Report of the Board of Directors and Financial Statements 2013 図 TVO の 発 電 電 力 量 (2013 年 ) 同 社 は 保 有 株 式 に 応 じて 発 電 電 力 量 を 発 電 原 価 (cost price)で 出 資 者 に 販 売 するいわ ゆる マンカラ であり その 株 式 はプラント 毎 に 3 種 類 に 分 かれている すなわち OL1 2 の 発 電 電 力 の 持 分 を 示 す A シリーズ(680,000,000 株 ) 建 設 中 のオルキルオト(OL3) に 係 る B シリーズ(680,000,000 株 ) Meri-Pori に 係 る C シリーズ(34,283,730 株 )であ る 2008 年 1 月 現 在 の 最 大 株 主 は 水 力 発 電 プラント 及 び 火 力 発 電 プラント 等 を 保 有 する フィンランド 第 2 のエネルギー 企 業 Pohjolan Voima 社 であり 合 計 で TVO の 株 式 57.9% を 保 有 している( 表 6.2-3) なお Pohjolan Voima 社 も 複 数 の 企 業 により 保 有 されるマン カラである ccl 表 TVO の 株 主 及 び 保 有 株 式 (2008 年 1 月 現 在 ) 企 業 名 A シリーズ B シリーズ C シリーズ (OL1 2) (OL3) (Meri-Pori) 合 計 EPV Energia 社 6.5% 6.6% 6.5% 6.6% Fortum Power and Heat 社 26.6% 25.0% 26.6% 26.1% Karhu Voima 社 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% Kemira 社 1.9% - 1.9% 1.2% Mankala Ab 社 8.1% 8.1% 8.1% 8.1% Pohjolan Voima 社 56.8% 60.2% 56.8% 57.9% 合 計 680,000,000 株 680,000,000 株 34,283,730 株 1,394,283,730 株 ( 出 典 )TVO, Application for a Decision-in-Principle - OL4,

218 EPV Energia 社 Fortum Power and Heat 社 Karhu Voima 社 Kemira 社 Mankala Ab 社 Pohjolan Voima 社 (マンカラ) TVO(マンカラ) OL1 2 Meri- Pori OL3 図 TVO の 出 資 構 成 マンカラ モデルの 特 徴 マンカラ モデルとは フィンランド 特 有 のエネルギー 供 給 者 の 所 有 モデルである マ ンカラは 複 数 の 出 資 者 により 共 同 保 有 され 出 資 者 はマンカラの 事 業 費 用 などを 負 担 する 一 般 に 出 資 者 はエネルギーの 卸 売 事 業 者 小 売 事 業 者 エネルギーを 大 量 に 消 費 する 産 業 分 野 の 企 業 である なお エネルギー 分 野 以 外 にも 住 宅 企 業 などにも 適 用 されている マンカラは 会 社 法 に 基 づく 有 限 責 任 会 社 であるが 通 常 の 有 限 責 任 会 社 のように 利 益 追 求 が 事 業 の 目 的 ではない 点 が 特 徴 的 である 一 般 的 なマンカラ モデルでは 出 資 者 が 市 場 価 格 に 関 わらず 原 価 ベースでマンカラからエネルギーを 購 入 することが 合 意 に 基 づいて 規 定 されており この 購 入 量 は 出 資 率 に 応 じた 量 となる ただし 購 入 するエネル ギーの 使 途 に 制 限 はなく 間 接 的 又 は 直 接 的 なノルドプール スポット 市 場 での 販 売 或 いは 自 家 消 費 などが 選 択 可 能 である ccli 例 えば TVO が 金 融 機 関 から 融 資 を 受 ける 場 合 は 図 のような 体 制 となる 出 資 者 EPV Energia 社 Fortum Power and Heat 社 Karhu Voima 社 Kemira 社 Mankala Ab 社 Pohjolan Voima 社 (マンカラ) 運 転 費 及 び 債 務 返 済 電 力 ( 量 及 び 価 格 リスク) TVO(マンカラ) 債 務 返 済 融 資 金 融 機 関 図 金 融 機 関 から 融 資 を 受 ける 際 のマンカラ モデル 216

219 上 記 の 電 力 購 入 に 係 る 義 務 や 権 利 等 も 含 め 約 定 及 び 出 資 者 間 の 協 定 により 規 定 されて おり ケースバーケースでの 規 定 と 言 える 協 定 等 で 規 定 される 項 目 は 例 えば 下 記 のよ うなものがある 非 営 利 の 原 則 及 び 明 確 な 費 用 分 担 資 本 構 造 及 び 資 本 金 の 返 還 に 関 する 原 則 処 罰 ( 出 資 者 からの 確 実 な 支 払 継 続 のために) 出 資 者 及 びマンカラのリスクの 分 配 マンカラ モデルの 主 要 な 目 的 の 一 つは 各 出 資 者 が 単 独 で 行 うには 規 模 が 大 きすぎる プロジェクトを 複 数 で 実 施 することであると 言 える この 出 資 体 制 では 原 子 力 のように スケジュール 遅 延 や 費 用 増 等 に 大 きな 影 響 を 受 けるプロジェクトにおいて 出 資 者 間 で 建 設 完 了 リスクを 分 散 することができるため マンカラ モデルは 本 質 的 に 融 資 を 受 けやす いモデルであるとの 見 方 もある 金 融 関 係 者 は リスクの 分 散 手 法 に 関 連 して 下 記 の 特 徴 を 挙 げている リスクの 異 なる 出 資 者 間 での 分 担 リスクを 引 き 受 ける 出 資 者 の 質 の 高 さ リスクを 共 有 する/ 引 き 受 ける 出 資 者 の 数 の 多 さ リスクを 共 有 する/ 引 き 受 ける 出 資 者 の 結 束 力 また その 他 のリスク 緩 和 の 要 素 として 出 資 者 の 社 会 的 地 位 が 高 いこと プロジェク トが 当 該 地 域 で 重 要 であること 約 定 出 資 者 間 の 協 定 等 が 長 期 的 であることを 挙 げてい る なお 2010 年 春 にフィンランドの 議 員 2 名 は 政 府 が TVO 及 び Fennovoima 社 に 原 子 炉 の 原 則 決 定 を 発 給 したことを 受 け マンカラ モデルが EU の 競 争 及 び 国 家 補 助 規 則 に 抵 触 している 可 能 性 について 欧 州 議 会 に 疑 問 を 提 起 した これを 受 けて EC はフィンラン ド 政 府 に 情 報 要 求 を 求 めているが その 後 この 問 題 に 関 する EC の 見 解 などは 確 認 できてい ない cclii 以 上 のように フィンランドの 原 子 力 発 電 所 は 国 営 の Fortum 社 及 び 協 同 組 合 型 事 業 モデル マンカラである TVO により 保 有 運 転 されている マンカラ モデルは 出 資 比 率 に 応 じて 電 力 購 入 の 権 利 及 び 義 務 を 伴 うものであり 安 定 した 電 力 購 入 に 加 え 融 資 を 受 けやすい 出 資 モデルであるとの 見 方 もある 6.3 新 増 設 の 状 況 と 資 金 調 達 スキーム フィンランドでは 電 源 の 自 給 率 の 向 上 や CO2 削 減 などの 観 点 から 1990 年 代 後 半 から 原 子 炉 新 設 に 関 する 議 論 が 再 開 され 政 府 は 2002 年 1 月 に 国 内 5 基 目 となる OL3 の 建 設 に 関 する 原 則 決 定 ccliii の 発 給 を 認 めた 217

220 また 政 府 は 2008 年 の 気 候 エネルギー 戦 略 において 原 子 力 を 重 視 する 姿 勢 を 示 した これを 受 け Fortum 社 TVO 及 びマンカラの Fennovioma 社 は 6 基 目 以 降 の 原 子 炉 建 設 に 関 する 原 則 決 定 をそれぞれ 申 請 した 2010 年 5 月 に 政 府 は TVO 及 び Fennovoima 社 の 申 請 を 認 める 原 則 決 定 を 発 給 し 6 7 基 目 となるオルキルオト 4 号 機 (OL4) 及 びハ ンヒキビ 1 号 機 (HA1)の 建 設 が 決 定 された 以 下 では 建 設 中 の OL3 及 び HA1 の 両 プロジェクトに 関 して プロジェクトの 状 況 と 資 金 調 達 のスキームについて 報 告 する オルキルオト 3 号 機 OL3 は 2005 年 2 月 に 建 設 許 可 が 発 給 され 世 界 初 の 欧 州 加 圧 水 型 原 子 炉 (EPR)とし て 仏 AREVA 社 と 独 シーメンス 社 のコンソーシアムにより 建 設 が 開 始 された TVO とコ ンソーシアムの 契 約 は 固 定 価 格 のターンキー 契 約 であり AREVA 社 が 2005 年 の 建 設 開 始 当 初 に 示 した 試 算 では 建 設 コストは 30 億 ユーロとされていた cclivcclv 建 設 許 可 申 請 においては 1988 年 原 子 力 令 (2008 年 改 正 ) 第 32 条 の(11)において 原 子 力 施 設 プロジェクトの 経 済 的 実 行 可 能 性 とその 他 の 金 融 要 件 の 記 述 の 提 出 が 求 めら れている これに 対 応 して OL3 の 建 設 許 可 では プロジェクトの 実 施 及 び 運 転 の 実 行 のた めの 財 務 的 な 必 要 条 件 が 評 価 されている cclvi TVO は 2004 年 1 月 の 建 設 許 可 申 請 において 下 記 のような 資 金 調 達 計 画 を 示 した 約 20%を 株 主 が 出 資 約 5%を 株 主 ローン 約 75%を 金 融 機 関 からの 借 入 同 社 は 2003 年 12 月 に 既 に 複 数 の 金 融 機 関 との 間 に 融 資 及 びスタンドバイ クレジッ ト 契 約 を 締 結 したとしている 同 月 18 日 時 点 の 同 社 のクレジットの 適 格 性 は BBB( 長 期 ) 及 び A-2( 短 期 )であり 同 社 は 自 己 資 本 比 率 を 25% 以 上 に 維 持 する 計 画 である また TVO は 運 転 段 階 における 外 部 からの 借 り 入 れも 検 討 するとしており 市 場 の 状 況 を 考 慮 して 建 設 段 階 に 行 う 借 入 を 運 転 段 階 まで 先 延 ばしにするといった 柔 軟 な 対 応 が 可 能 であると している この 申 請 に 対 して 財 務 省 からは 2003 年 12 月 の 融 資 契 約 に 関 する 質 問 がなされたが TVO は 契 約 締 結 前 に 国 際 的 な 金 融 市 場 において 本 プロジェクトへの 融 資 に 関 する 競 争 入 札 を 行 い その 結 果 融 資 契 約 を 結 んだ 金 融 機 関 を 選 定 したと 述 べている また TVO は 融 資 契 約 の 締 結 時 に 金 融 機 関 により TVO の 財 務 指 標 にプロジェクトが 与 える 影 響 及 びプ ロジェクトの 資 金 調 達 に 対 する TVO の 管 理 能 力 についても 検 討 がなされたとしている また TVO は 運 転 後 の 電 力 販 売 に 関 して マンカラ モデルに 基 づき B シリーズの 株 式 保 有 者 に 出 資 額 に 応 じて 電 力 を 供 給 することを 報 告 している 218

221 TEM は 以 上 の 計 画 について TVO の 提 案 した 資 金 調 達 は 実 行 可 能 であり 自 己 資 本 比 率 は 十 分 であり またクレジットの 適 格 性 も 十 分 良 好 であると 判 断 した また 建 設 及 び 運 転 の 実 施 において 十 分 な 資 金 調 達 能 力 を 有 していると 判 断 した cclvii 実 際 の 建 設 においては 度 重 なる 工 期 の 遅 延 等 により 2009 年 という 当 初 の 運 開 予 定 は 遅 れており 追 加 コストが 発 生 している TVO は 2013 年 2 月 に 2016 年 運 開 という 予 定 を 示 していたが 2014 年 2 月 には コンソーシアムから 同 機 の 完 成 に 向 けた 最 新 スケジュー ル 等 が 通 知 されていないため 運 開 時 期 の 見 通 しを 示 せないとしている スケジュールの 遅 延 及 び 追 加 コストを 巡 って TVO とコンソーシアムの 主 張 は 相 反 して おり 国 際 商 業 会 議 所 (ICC)による 仲 裁 手 続 きが 行 われている コンソーシアム 側 は 契 約 上 の 建 設 費 の 未 払 い 分 に 加 え 建 設 遅 延 に 伴 う 追 加 コストの 支 払 いを 求 めたが TVO 側 は 同 契 約 が 固 定 価 格 のターンキー 契 約 であることを 理 由 に 追 加 コストの 負 担 を 拒 否 する とともに 遅 延 に 伴 う 損 害 賠 償 の 支 払 いをコンソーシアム 側 に 要 求 している 詳 細 な 内 訳 は 明 らかにされていないが コンソーシアム 側 は 2011 年 時 点 で 約 19 億 ユーロ TVO は 約 14 億 ユーロの 損 害 賠 償 の 支 払 いを 互 いに 要 求 していた 78 cclviii ハンヒキビ 1 号 機 HA1 の 建 設 を 計 画 する Fennovoima 社 は 原 子 力 発 電 による 安 価 な 電 力 の 獲 得 等 を 目 的 として 後 述 するようにフィンランド 産 業 界 が 設 立 した Voimaosakeyhtiö SF(67% 出 資 ) 及 び 独 E.ON グループの E.ON Nordic AB( 同 34%)の 共 同 出 資 により 2007 年 6 月 に 設 立 された 多 国 籍 コンソーシアムである( 図 6.3-1) Fennovoima 社 は 100~180 万 kw 級 の 原 子 炉 を 2016~2018 年 に 運 開 させ Voimaosakeyhtiö SF 及 び Nordic AB に 出 資 比 率 に 応 じて 電 力 を 供 給 することを 計 画 していた cclix Voimaosakeyhtiö SF は 原 子 力 による 安 価 な 電 力 の 獲 得 及 びその 経 験 を 通 じて 産 業 界 が 原 子 力 発 電 を 有 する 電 力 会 社 と 対 等 な 条 件 を 得 ることを 目 的 とした 会 社 であり 約 55% がフィンランドの 地 元 のエネルギー 会 社 残 りの 約 45%が 電 力 を 大 量 に 消 費 する 産 業 小 売 サービス 企 業 であり 金 属 大 手 スウェーデン 鉱 山 化 学 会 社 のボリデン 社 子 会 社 な どが 含 まれる 原 則 決 定 の 申 請 書 を 提 出 した 2009 年 1 月 においては 63 企 業 が Voimaosakeyhtiö SF に 出 資 していた 78 当 初 の 建 設 コストの 見 積 が 30 億 ユーロであったことを 踏 まえると 単 純 計 算 では 44~49 億 ユーロまで 建 設 コストが 上 昇 した 計 算 である 219

222 ( 出 典 )Fennovoima, Application for a Decision-in-Principle Regarding a Nuclear Power Plant, January 2009 図 Fennovoima 社 の 出 資 者 構 成 (2009 月 1 月 現 在 ) Fennovoima 社 は 原 則 決 定 の 申 請 書 において マンカラであることを 資 金 調 達 能 力 のベ ースとして 挙 げており 多 数 かつ 多 様 な 出 資 者 及 びマンカラ モデルにより Fennovoima 社 は 国 内 及 び 北 欧 の 電 力 価 格 の 変 動 に 過 度 に 依 存 しない 強 固 で 安 定 した 資 金 調 達 ベース が 保 証 されているとした また 同 社 は 許 認 可 取 得 までは 株 主 からの 出 資 により 資 金 を 調 達 するが 建 設 段 階 及 び 運 転 段 階 においては 金 融 機 関 からの 借 入 を 検 討 するとしていた Fennovoima 社 はプロジェ クト 費 用 が 確 定 した 段 階 で 株 主 と 資 金 調 達 方 法 を 決 定 する 方 針 であるとしていた なお 予 備 的 な 費 用 見 積 として 40 億 ~60 億 ユーロという 数 字 を 示 した cclx その 後 2010 年 4 月 の 原 則 決 定 の 発 給 後 建 設 サイトの 選 定 と 原 子 炉 供 給 者 の 選 定 が 行 わ れ 2011 年 10 月 にはハンヒキビ 79 にあるピュヘヨキが 建 設 サイトとして 決 定 された ハンヒキビはピュヘヨキが 位 置 する 半 島 の 名 称 である 220

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