国債管理：その原則と日本の現状

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1 国 債 管 理 :その 原 則 と 日 本 の 現 状 A Revisionis View of he Public Deb Managemen in Japan 上 智 大 学 経 済 学 部 助 教 授 (ニッセイ 基 礎 研 究 所 客 員 研 究 員 竹 田 陽 介 y-aeda@sophia.ac.jp 経 済 調 査 部 門 副 主 任 研 究 員 矢 嶋 康 次 yyajima@nli-research.co.jp < 要 旨 >. 本 研 究 は 日 本 において 緊 急 度 を 増 している 数 量 的 国 債 管 理 政 策 の 理 論 について 包 括 的 に 述 べるとともに 国 債 管 理 の 原 則 から 見 た 日 本 の 現 状 について 指 摘 する 2. 原 則 は 税 率 インフレ 率 がランダム ウォーク 過 程 にしたがう(Barro の 課 税 平 準 化 2 税 率 とインフレ 率 とが 正 の 相 関 を 有 する(Maniw の 最 適 な 貨 幣 鋳 造 益 3 税 率 と 金 融 資 産 収 益 率 とが 無 相 関 である(Bohn の 最 適 な 金 融 資 産 発 行 の 三 つである 3. 国 債 管 理 の 大 原 則 とも 言 うことができる 原 則 に 関 しては 日 本 の 財 政 データが 年 次 で あることから 実 証 手 法 の 違 いによって 結 果 が 左 右 される 統 合 された 政 府 による 最 適 化 を 考 える 原 則 2は 先 行 研 究 によって 確 認 されているが 近 年 のデータを 用 いると 必 ずし も 成 立 していない 最 後 に 政 府 の 発 行 する 金 融 資 産 を 国 債 に 限 定 しない 原 則 3の 観 点 か らは 近 年 の 借 換 え 債 の 発 行 が 平 均 満 期 構 成 を 短 期 化 しているが 利 子 率 の 期 間 構 造 が 順 イールドの 状 態 においてのみ 正 当 化 されるという 意 図 が 財 務 省 にあったかどうかは 疑 わしい 2 平 成 6 年 以 降 計 画 されている 物 価 連 動 債 の 導 入 は 現 在 のデフレ 下 において 望 ましい 方 策 である 388 年 度 以 降 残 高 ゼロとなっている 外 貨 建 て 国 債 は 8 年 代 後 半 以 降 の 急 激 な 円 高 化 の 下 で 原 則 3に 逆 行 する 政 策 であったことを 指 摘 する ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

2 < 目 次 >. 国 債 管 理 の 理 論 と 原 則 49 ( 課 税 平 準 化 49 (2 最 適 な 貨 幣 鋳 造 益 5 (3 最 適 な 金 融 資 産 発 行 日 本 における 国 債 管 理 の 現 状 54 ( 原 則 : 税 率 インフレ 率 がランダム ウォーク 過 程 にしたがう 55 (2 原 則 2: 税 率 とインフレ 率 とが 正 の 相 関 を 有 する 56 (3 原 則 3: 税 率 と 資 産 収 益 率 とが 無 相 関 である 57 3.まとめと 今 後 の 課 題 6 4. 補 論 62 ( Barro (979, 995 の 課 税 平 準 化 62 (2 Maniw(987の 最 適 貨 幣 鋳 造 益 63 (3 Bohn(99の 最 適 な 金 融 資 産 発 行 ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

3 はじめに 日 本 の 財 政 運 営 に 対 する 不 信 が 高 まっている 国 債 の 大 量 償 還 が 28 年 度 に 予 想 されるのに 備 え て 22 年 度 から 27 年 度 にかけて 国 債 の 買 い 入 れ 消 却 が 実 施 されることが 先 頃 発 表 された 国 債 の 償 還 財 源 は 国 債 整 理 基 金 の 取 り 崩 しか 借 り 換 え 債 の 発 行 によって 賄 うしかない 国 債 整 理 基 金 に 前 年 度 当 初 の 国 債 総 額 の.6%を 定 率 繰 り 入 れ の 形 で 積 み 立 てることを 政 府 は 国 債 整 理 基 金 特 別 会 計 法 により 義 務 付 けられているが 8 年 代 以 降 断 続 的 に 停 止 しているのが 現 状 である 買 い 入 れ 償 却 による 借 り 換 え 債 の 累 増 は 国 債 のロール オーバー(Roll-Overが 常 態 化 することを 意 味 している また 財 政 当 局 はデフレ 解 消 のために 長 期 国 債 買 い 入 れ 額 の 上 限 の 撤 廃 を 日 本 銀 行 に 求 めている 国 債 市 場 の 残 高 すべてを 中 央 銀 行 が 買 い 入 れる 政 策 いわゆるマネタイゼーション(Moneizaion まで 主 張 するエコノミストが 現 れる 始 末 である 議 論 を 待 つまでもなく 財 政 当 局 による 国 債 管 理 の 失 政 が 顕 著 になっている こうした 国 債 管 理 の 機 能 不 全 は 日 本 国 債 (JGBへの 信 用 の 低 下 を 招 く 危 険 性 がある JGB の 格 下 げ 大 量 の 発 行 に 伴 う 個 人 向 け 国 債 の 開 始 銀 行 の 大 量 の 国 債 保 有 に 伴 う BIS 規 制 への 影 響 などを 通 じて 日 本 国 債 の 発 行 状 況 が 金 融 市 場 全 般 に 与 える 影 響 は 無 視 し 得 ない( 竹 田 矢 嶋 (22 IMF と 世 界 銀 行 は 997 年 以 降 頻 発 した 東 アジア ロシア トルコ アルゼンチンなどにおける 金 融 危 機 に 対 する 反 省 から 公 的 債 務 管 理 の 指 針 を 発 表 した 多 くの 債 務 をかかえる 日 本 は この 指 針 の 格 好 の 適 用 例 とも 考 えられている 日 本 において 国 債 管 理 の 重 要 性 が 今 ほど 叫 ばれているときは ない それにも 関 わらず 国 債 管 理 という 言 葉 は 定 義 が 曖 昧 なまま 用 いられているのが 現 状 である 数 少 ない 国 債 管 理 に 関 する 最 近 の 文 献 である 黒 田 (996によれば 国 債 管 理 政 策 には 構 造 的 国 債 管 理 数 量 的 国 債 管 理 の 二 種 類 がある 構 造 的 国 債 管 理 政 策 とは 国 債 の 円 滑 な 発 行 消 化 のための 制 度 的 枠 組 みに 関 するものであり 数 量 的 国 債 管 理 政 策 とは 国 債 の 満 期 構 成 操 作 が 国 債 発 行 コストや 有 効 需 要 水 準 に 与 える 効 果 を 分 析 する 政 策 論 である 財 務 省 の 平 成 4 年 度 国 債 発 行 のポイント によれば 国 債 管 理 政 策 の 基 本 的 考 え 方 として 円 滑 かつ 確 実 な 消 化 2 長 期 的 な 調 達 コストの 抑 制 が 挙 げられている は 構 造 的 国 債 管 理 に 対 応 し 2は 数 量 的 国 債 管 理 に 対 応 すると 考 えることもできる ところが 2にあたる 調 達 コストの 抑 制 のための 具 体 的 な 政 策 として 満 期 構 成 に 関 する 政 策 は 一 切 触 れられていない 確 かに 市 場 の 整 備 がまだまだ 十 分 ではない 日 本 において 構 造 的 国 債 管 理 が 必 要 であることは 認 める しかし 数 量 的 政 策 が Tobin(963 以 来 提 唱 されてきたにも 関 わらず 国 債 管 理 政 策 の 中 心 が 未 だ 構 造 的 であり 数 量 的 政 策 がないがしろにされている 日 本 の 現 状 は 財 政 の 閉 塞 状 況 に 繋 がっている 数 量 的 政 策 への 転 換 が 強 く 望 まれる 本 研 究 は 国 債 管 理 に 関 する 理 論 について 概 説 する 国 債 管 理 の 量 資 産 構 成 の 両 面 に 焦 点 をあて る 日 本 における 国 債 管 理 の 問 題 点 として 短 期 化 する 国 債 の 満 期 構 成 (Mauriy Srucure ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

4 2 物 価 連 動 債 (インデックス 債 (Indexed Bondsが 存 在 しないこと 3 過 少 な 外 貨 建 て 債 (Foreign urrency Bondsの 比 率 を 取 り 上 げる 日 本 国 債 に 関 する 代 表 的 な 先 行 研 究 ( 井 堀 加 藤 中 野 中 里 土 居 佐 藤 (2 富 田 (2 浅 子 福 田 照 山 常 木 久 保 塚 本 上 野 牛 来 (993 柴 田 (99とは 異 なり 理 論 的 に 導 かれる 国 債 管 理 政 策 の 原 則 を 包 括 的 に 適 用 する 点 を 特 徴 とす る 原 則 は Barro(979, 995の 課 税 平 準 化 2Maniw(987のインフレ 税 を 考 慮 した 最 適 課 税 3Bohn(99の 政 府 の 最 適 な 資 産 構 成 (Porfolioの 三 つである 第 一 の 原 則 は 国 債 管 理 の 大 原 則 と 言 うことができる 第 二 の 原 則 は 中 央 銀 行 と 財 政 当 局 とが 統 合 された 政 府 を 考 える 点 において 第 一 の 原 則 と 異 なる 中 央 銀 行 財 政 当 局 それぞれが 予 算 制 約 に 直 面 しているが マクロ 経 済 にとって 問 題 になるのは 統 合 された 政 府 の 一 つの 予 算 制 約 である 第 三 の 原 則 は 政 府 の 発 行 する 金 融 資 産 を 国 債 に 限 定 せず 株 式 などのその 他 の 金 融 資 産 にまで 拡 大 して 考 える 点 におい て それまでの 原 則 とは 一 線 を 画 する これらの 原 則 に 照 らし 合 わせて 日 本 の 国 債 管 理 政 策 は 一 体 どのように 推 移 してきたのかについて 概 観 したい 本 研 究 の 構 成 は 第 一 節 で 国 債 管 理 政 策 の 理 論 と 原 則 について 概 説 した 上 で 第 二 節 で 日 本 におけ る 国 債 管 理 の 現 状 を 指 摘 し 最 終 節 でまとめと 今 後 の 課 題 について 述 べる 補 論 では 国 債 管 理 の 理 論 について 詳 細 に 検 討 している. 国 債 管 理 の 理 論 と 原 則 まず 国 債 管 理 政 策 の 理 論 について 直 感 的 な 説 明 を 行 なう( 詳 細 な 説 明 は 補 論 を 参 照 され たい 取 り 上 げる 文 献 は 課 税 平 準 化 に 関 する Barro(979,995 最 適 な 貨 幣 鋳 造 益 に 関 する Maniw(987 最 適 な 政 府 の 債 務 構 成 に 関 する Bohn(99である これらの 基 本 的 な 考 え 方 は 課 税 の 存 在 によって 資 源 配 分 の 上 の 歪 み(Tax Disorionが 発 生 していることを 前 提 としてい る その 意 味 において 短 期 的 なマクロ 経 済 政 策 は 景 気 刺 激 策 としては 有 用 ではあっても 長 期 的 には 望 ましい 結 果 にはならない 国 債 管 理 政 策 の 議 論 では 生 産 量 の 変 動 など 実 体 経 済 の 側 面 は 所 与 として 考 えるのが 通 常 である ( 課 税 平 準 化 Barro(979, 995は 国 債 管 理 政 策 に 関 する 理 論 的 分 析 の 嚆 矢 である 政 府 が 裁 量 的 に 税 率 を 変 更 することは 財 の 相 対 価 格 を 変 え 家 計 の 望 ましい 消 費 の 実 現 を 阻 害 するばかりでなく 無 限 期 間 にわたる 効 用 を 最 大 化 するように 動 学 的 に 決 定 される 消 費 の 経 路 の 平 準 化 (onsumpion Smoohingを 難 しくする その 歪 みを 解 消 するためには 税 率 を 一 定 に 保 つ(Tax Smoohingよ うな 財 政 政 策 が 望 まれる たとえば 戦 争 が 起 こり 戦 費 調 達 が 一 時 的 に 必 要 になる 時 には 税 率 を 不 変 にするように 国 債 発 行 を 行 なう 政 策 が 望 ましい 以 下 の 図 表 -で 説 明 すると 税 率 が 一 定 であるケースにおいては 課 税 のない 経 済 と 同 じ 消 ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

5 費 経 路 いわゆる Firs-Bes の 状 態 が 達 成 される しかしながら 税 率 が 今 後 上 昇 ( 低 下 し ていくと 家 計 が 予 想 しているケースでは 異 時 点 間 の 消 費 決 定 において 将 来 の 財 に 対 する 現 在 の 財 の 相 対 価 格 が 低 い( 高 いことを 意 味 するので 家 計 は 将 来 ( 現 在 よりも 現 在 ( 将 来 の 消 費 を 選 好 するようになる 図 表 - 消 費 の 経 路 税 率 (インフレ 率 が 今 後 低 下 していくと 予 想 されるケース 税 率 (あるいはインフ レ 率 が 一 定 のケース (Firs-Besの 経 路 税 率 (インフレ 率 が 今 後 上 昇 していく と 予 想 されるケース こうした 課 税 平 準 化 が 行 なわれる 場 合 一 期 先 に 予 想 される 税 率 は 今 期 の 税 率 に 等 しいことに なる ファイナンス 理 論 の 用 語 で 言 えば 税 率 はマルティンゲール(Maringale 過 程 あるいはラ ンダム ウォーク(Random Wal 過 程 にしたがう なお 同 じ 論 理 は 税 率 の 代 わりに インフ レ 率 の 場 合 においても 成 立 する( 後 述 の 最 適 な 貨 幣 鋳 造 益 を 参 照 されたい すなわち 国 債 管 理 の 第 一 の 原 則 は 原 則 : 税 率 インフレ 率 がランダム ウォーク(Random Wal 過 程 にしたがう になる 実 際 Barro(979は 米 国 における 国 債 発 行 に 関 する 97 年 以 降 の 長 期 にわたるデー タ( 但 し 976 年 までに 基 づき 大 まかには 原 則 が 満 たされていることを 実 証 している (2 最 適 な 貨 幣 鋳 造 益 政 府 による 課 税 の 形 態 は 通 常 の 租 税 のみではない 中 央 銀 行 による 貨 幣 の 独 占 的 な 発 行 によ って 得 られる 貨 幣 鋳 造 益 (Seigniorageも 代 替 的 な 手 段 である 貨 幣 発 行 によって 生 じるイン フレが 家 計 の 購 買 力 を 低 下 させるために この 手 段 はインフレ 税 (Inflaion Taxと 呼 ばれる ここでの 政 府 とは 予 算 を 運 営 する 財 政 当 局 だけではなく 貨 幣 供 給 を 行 なう 中 央 銀 行 まで ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

6 含 む 統 合 された 政 府 (onsolidaed Governmenを 意 味 する つまり 政 府 の 歳 入 の 手 段 には 租 税 と 貨 幣 発 行 の 両 方 が 考 えられる しかし 二 つの 歳 入 調 達 手 段 はそれぞれ 社 会 的 なコスト を 伴 う 社 会 的 な 損 失 を 最 小 化 する 政 府 にとって 租 税 と 貨 幣 発 行 のバランスをどのように 図 れ ばよいかが 問 題 となる Maniw(987は この 最 適 な 貨 幣 鋳 造 益 の 問 題 について 理 論 的 実 証 的 に 考 察 した 第 一 に 租 税 による 資 源 配 分 上 の 歪 みについて ミクロ 経 済 学 の 余 剰 分 析 にしたがえば 以 下 の 図 表 -2 の 三 角 形 が 歪 みを 近 似 することがわかる 需 要 曲 線 A は 租 税 のない 経 済 における 財 に 対 する 需 要 需 要 曲 線 B は 一 定 の 税 率 で 消 費 に 課 税 される 場 合 の 財 需 要 を 表 わしている 曲 線 A と B の 垂 直 方 向 のシフト 幅 が 税 率 を 表 わしている 租 税 のない Firs-Bes の 状 態 における 均 衡 は 供 給 曲 線 と 需 要 曲 線 A との 交 点 にあり この 場 合 の 総 余 剰 は 供 給 曲 線 需 要 曲 線 A そして( 価 格 に 関 する 縦 軸 とによって 挟 まれる 領 域 によって 表 わされる 一 方 租 税 の 存 在 する 場 合 の 均 衡 は 供 給 曲 線 と 需 要 曲 線 B との 交 点 にあり 配 分 方 法 はともかく 家 計 にすべて 分 配 される 租 税 収 入 まで 含 めた 総 余 剰 は 供 給 曲 線 需 要 曲 線 A 縦 軸 で 挟 まれた 領 域 から 斜 線 で 表 わされる 三 角 形 を 引 いた 部 分 があたる すなわち 三 角 形 が 租 税 による 総 余 剰 の 低 下 分 を 表 わしているこ とになる この 三 角 形 の 面 積 は 需 要 曲 線 A と B のシフト 幅 である 税 率 の 二 乗 に 均 衡 における 供 給 曲 線 の 傾 きの 逆 数 ( 一 定 の 値 をかけ 二 で 割 った 数 字 で 近 似 することが 可 能 である つま り 税 率 の 二 次 関 数 として 近 似 される 図 表 -2 課 税 による 資 源 配 分 上 の 歪 み 価 格 供 給 需 要 A 需 要 B 数 量 第 二 に インフレのコストに 関 しても 租 税 の 歪 みと 同 様 の 議 論 を 行 なうことができる 以 下 の 図 表 -3は 名 目 利 子 率 の 減 少 関 数 である 家 計 の 貨 幣 需 要 関 数 を 表 わす 簡 単 化 のために 実 質 利 子 率 はゼロであると 想 定 する ( 期 待 インフレ 率 がゼロの 場 合 には フィッシャー(Fisher ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

7 方 程 式 により 名 目 利 子 率 もゼロとなる このときの 総 余 剰 は 貨 幣 需 要 関 数 の 下 の 領 域 すべて によって 表 わされる 一 方 正 の 期 待 インフレ 率 がある 場 合 には 名 目 利 子 率 はその 期 待 インフ レ 率 と 同 じ 率 となる その 場 合 の(インフレ 税 の 配 分 まで 含 めた 総 余 剰 は 貨 幣 需 要 関 数 下 側 の 領 域 のうち 期 待 インフレ 率 に 対 応 する 貨 幣 需 要 よりも 左 側 の 部 分 に 該 当 する すなわち ( 期 待 インフレの 発 生 によって 斜 線 で 示 された 領 域 だけのコストが 社 会 的 に 生 じていることにな る インフレによって 手 元 に 置 く 貨 幣 量 が 減 り 銀 行 などの 金 融 機 関 に 足 を 運 ぶ 手 間 が 増 えるこ とから この 領 域 のことを 靴 底 コスト(Shoe-Leaher osと 呼 ぶ その 面 積 は 期 待 インフレ 率 の 二 乗 に 貨 幣 需 要 の 利 子 弾 力 性 をかけ 二 でわった 数 字 で 近 似 される 租 税 の 歪 みと 同 様 イ ンフレ 率 の 二 次 関 数 で 表 わされる 図 表 -3 インフレのコスト( 靴 底 コスト 名 目 利 子 率 期 待 インフレ 率 実 質 貨 幣 需 要 以 上 租 税 の 資 源 配 分 の 歪 みとインフレのコストが それぞれ 税 率 インフレ 率 の 二 次 関 数 で 表 わされることを 見 た 外 生 的 に 決 まる 歳 出 を 賄 うために 政 府 は 歳 入 の 手 段 を 選 ばなければな らないが その 際 社 会 的 な 損 失 を 最 小 化 することを 目 的 とする 最 適 な 歳 入 手 段 の 選 択 におい ては 租 税 による 資 源 配 分 上 の 歪 みとインフレのコストそれぞれに 関 する 限 界 費 用 が 均 等 化 し ている もしそうでなければ 限 界 費 用 の 低 い 手 段 を 増 やし 高 い 手 段 を 減 らすことによって 社 会 的 コストをより 少 なくすることができるからである 二 次 関 数 である 租 税 の 資 源 配 分 の 歪 みとインフレのコストに 関 する 限 界 費 用 は それぞれ 税 率 インフレ 率 の 増 加 関 数 である したがって 限 界 費 用 が 均 等 化 するということは 歳 出 が 確 率 的 に 変 動 する 場 合 に 税 率 とインフレ 率 とは 必 ず 同 じ 方 向 に 変 化 しなくてはならないことを 意 味 する もしそうでなければ 限 界 費 用 の 均 等 が 崩 れることになる すなわち 最 適 な 貨 幣 鋳 造 益 を 達 成 する 政 府 においては ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

8 原 則 2: 税 率 とインフレ 率 とが 正 の 相 関 を 有 する が 満 たされていなくてはならない Maniw(987 は 米 国 に 関 してこの 条 件 が 満 たされている ことを 実 証 している (3 最 適 な 金 融 資 産 発 行 課 税 平 準 化 は 時 間 (Timeに 関 して 税 率 の 変 動 の 安 定 化 を 図 ることを 意 味 する また 政 府 の 最 適 な 金 融 資 産 発 行 は いかなる 状 態 (Saeに 対 しても 税 率 を 安 定 させることを 目 的 にしなけ ればならない 外 国 為 替 や 株 式 などの 金 融 資 産 の 収 益 率 は マクロ 経 済 のみならず 戦 争 や 地 震 など 突 発 的 な 事 件 事 故 などすべての 経 済 状 態 (Saeを 反 映 している したがって 国 債 管 理 の 三 番 目 の 原 則 として 原 則 3: 税 率 と 資 産 収 益 率 とが 無 相 関 である が 挙 げられる 原 則 3は 収 益 率 の 高 い 金 融 資 産 を 政 府 が 発 行 すると 財 政 への 負 担 から 税 率 を 上 げなければならなくなるので 望 ましいとはいえないことを 表 わしている 以 下 日 本 におい て 考 えられる 様 々な 資 産 を 想 定 しながら 原 則 3の 意 味 について 例 を 挙 げながら 考 える たとえば 22 年 度 末 の 時 点 で 顕 著 であるように 投 資 家 の 日 本 国 債 に 対 する 選 好 により JGB の 価 格 が 上 昇 し 収 益 率 が 低 下 している 状 態 において 最 適 な 金 融 資 産 を 考 える 日 本 政 府 は 税 率 への 影 響 を 相 殺 するように 収 益 率 の 低 下 している JGB をより 相 対 的 に 多 く 発 行 することが 求 められる 2 外 国 為 替 市 場 において 円 /ドル レートが 円 高 ( 円 安 化 している 局 面 においては 円 資 産 のドル 資 産 に 対 する 相 対 的 な 収 益 率 の 上 昇 ( 低 下 が 起 こるので 日 本 政 府 の 発 行 する 資 産 形 態 として たとえば 国 債 であれば 円 建 て(ドル 建 て 国 債 よりもドル 建 て( 円 建 て 国 債 を 相 対 的 に 多 く 発 行 することが 望 ましいことになる 3 物 価 連 動 債 (あるいはインデックス 債 (Price-Level Indexed Bondについて 考 える 物 価 連 動 債 の 実 質 収 益 率 はインフレ/デフレに 依 存 しないが 22 年 度 末 時 点 までに 日 本 では 発 行 されていない 一 方 名 目 建 ての 国 債 は 現 在 のようにデフレが 続 く 状 態 においては 実 質 収 益 率 が 上 昇 する そのため 政 府 がデフレ 下 において 名 目 国 債 をより 多 く 発 行 するのは 望 ま しくない デフレの 影 響 を 受 けない 物 価 連 動 債 の 導 入 は 本 来 中 立 的 であるが デフレ 下 で 名 目 国 債 が 好 ましくない 状 況 では 有 り 得 る 手 段 である 4 最 後 に 満 期 構 成 (Mauriy Srucureの 異 なる 債 券 のケースについて 考 える 利 子 率 の 期 間 構 造 (Term Srucure of Ineres Raesに 関 する 理 論 では ある 一 時 点 において 満 期 が 長 くなると 利 子 率 も 一 様 に 高 くなるようなイールド カーブを 順 イールド 利 子 率 が 一 様 に 低 ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

9 くなるようなカーブを 逆 イールドと 呼 ぶ 原 則 3に 従 えば 順 (あるいは 逆 イールドの 状 態 においては 相 対 的 に 収 益 率 の 高 くなっている 満 期 の 長 い( 短 い 債 券 を 政 府 が 発 行 すること は 控 え 満 期 の 短 い( 長 い 債 券 を 発 行 する 方 が 望 ましい このように Bohn(99の 問 題 意 識 は Barro(979の 課 税 平 準 化 の 原 則 を 政 府 の 発 行 する 金 融 資 産 の 選 択 によって 達 成 するということにある しかしながら 上 記 の 考 察 から 原 則 3 は Barro(979の 原 則 というよりはむしろ Barro と 同 じく 国 債 管 理 政 策 に 関 する 研 究 の 嚆 矢 であ る Tobin(963の 分 析 と 類 似 していることがわかる Tobin(963では 金 融 資 産 として 貨 幣 長 期 国 債 短 期 政 府 証 券 のみが 存 在 すると 仮 定 し 流 動 性 (Liquidiyを 一 定 に 保 つように 政 府 が 家 計 の 資 産 構 成 を 決 める 長 期 債 と 短 期 債 それぞれの 限 界 流 動 性 寄 与 率 を 所 与 として 政 府 が 利 子 負 担 を 最 小 化 するべく 長 期 債 短 期 債 の 割 合 を 決 定 する そこでは 長 期 利 子 率 が 短 期 利 子 率 よりも 高 い( 低 い 場 合 には 短 期 債 ( 長 期 債 の 割 合 を 増 やし 長 期 債 ( 短 期 債 の 割 合 を 減 らすことが 利 子 支 払 いの 最 小 化 をもたらす 2. 日 本 における 国 債 管 理 の 現 状 上 述 した 国 債 管 理 の 原 則 に 鑑 み 日 本 の 現 状 はどうなっているのかについて データに 即 して みていく そもそも 国 債 管 理 とは より 広 い 概 念 である 公 的 債 務 管 理 の 一 部 分 を 意 味 す る 公 的 債 務 とは 一 般 政 府 ( 中 央 政 府 地 方 政 府 社 会 保 障 基 金 の 債 務 残 高 を 表 わすが 以 下 の 図 表 -4より 明 らかなように 国 債 の 占 める 割 合 がほとんどである ( 兆 円 図 表 図 -4 4 政 府 一 債 般 務 政 の 府 内 債 訳 務 の 内 訳 政 府 短 期 証 券 借 入 金 国 債 3 総 額 ( 資 料 財 務 省 ( 年 度 また 国 債 全 体 のうち 普 通 国 債 が 大 方 を 占 めており 日 本 の 場 合 公 的 債 務 管 理 は 普 通 国 債 管 理 の 問 題 に 置 き 換 えられる その 普 通 国 債 の 発 行 高 は 9 年 代 に 入 って 増 加 の 一 途 を 辿 り とりわけ 97 年 度 以 降 急 速 なペースで 発 行 が 進 んでいる その 結 果 現 在 高 は 45 兆 円 に 迫 る 勢 ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

10 いである( 図 表 -5 ( 兆 円 5 図 表 -5 普 通 国 債 ( 発 行 償 還 残 高 推 移 図 5 普 通 国 債 ( 発 行 償 還 残 高 推 移 普 通 国 債 発 行 高 普 通 国 債 償 還 高 普 通 国 債 現 在 高 ( 資 料 財 務 省 ( 年 度 こうした 財 政 状 況 の 悪 化 の 過 程 において 日 本 の 財 政 当 局 は 様 々な 国 債 管 理 の 指 針 を 表 明 して きた(たとえば 戦 後 の 国 債 管 理 政 策 の 推 移 (hp:// haou.pdfを 参 照 されたい しかしながら はじめに でも 述 べたように 数 量 的 国 債 管 理 にあたる 政 策 は 皆 無 であると 言 ってよい 現 在 までの 間 構 造 的 政 策 に 終 始 してきた その 反 省 に 立 って 以 下 では 数 量 的 国 債 管 理 政 策 の 観 点 から 原 則 2 3それぞれが 日 本 において 生 かされてきたかどうか データに 即 して 見 ていく ( 原 則 : 税 率 インフレ 率 がランダム ウォーク 過 程 にしたがう 原 則 について 税 率 の 推 移 を 見 る ここで 取 り 上 げる 税 率 とは SNA ベースの 租 税 印 紙 収 入 を 名 目 GDP で 割 った 比 率 である 全 体 における 比 率 と 一 般 会 計 だけの 比 率 が 図 表 -6 で 示 されている 8 年 代 に 入 って 9 年 度 にピークにいたるまで 増 加 の 一 途 を 辿 り 9 年 度 を 境 に して 一 転 して 低 下 傾 向 を 示 した 後 2 年 度 に 再 び 上 昇 に 転 じている 6. (% 図 表 図 -6 6 租 租 税 税 印 紙 印 収 紙 入 収 入 / / 名 名 目 目 GDP GDP 比 率 比 率 租 税 印 紙 収 入 / 名 目 GDP 比 8. 租 税 印 紙 収 入 ( 一 般 会 計 / 名 目 GDP 比 ( 資 料 内 閣 府 財 務 省 ( 年 度 ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

11 国 債 管 理 の 原 則 の 日 本 における 当 否 に 関 する 先 行 研 究 には 浅 子 福 田 照 山 常 木 久 保 塚 本 上 野 牛 来 (993 井 堀 加 藤 中 野 中 里 土 居 佐 藤 (2がある 前 者 の 実 証 研 究 は 889 年 度 から 戦 争 を 挟 み 99 年 度 までのデータを 用 いている いくつかの 推 計 手 法 が 多 用 されているが 主 には 一 変 数 に 関 する 単 位 根 (Uni Roo 検 定 を 行 なっている その 結 果 戦 後 の 日 本 の 財 政 運 営 全 般 に 関 しては 原 則 が 満 たされていたが 赤 字 国 債 が 発 行 されるよう になった 75 年 度 以 降 は 原 則 が 満 たされていないことが 報 告 されている それに 対 して 後 者 の 文 献 では 55 年 度 から 97 年 度 までのデータを 用 いて 政 府 の 通 時 的 な 予 算 制 約 式 まで 考 慮 した 検 定 がなされている その 結 果 全 サンプル 期 間 においても 戦 後 国 債 発 行 を 開 始 した 65 年 度 を 境 にサンプル 期 間 を 採 り 直 しても 課 税 平 準 化 のための 原 則 は 満 たされていないことが 示 されている また 柴 田 (99では 55 年 度 から 88 年 度 までのインフレ 率 に 対 して 単 位 根 検 定 を 行 い 帰 無 仮 説 である 原 則 を 棄 却 している 以 上 のように 税 率 インフレ 率 がランダム ウォーク 過 程 にしたがうという 国 債 管 理 の 大 原 則 に 関 する 実 証 結 果 でさえ 実 証 手 法 に 大 きく 依 存 している 問 題 点 として 日 本 の 財 政 データ が 年 次 でしか 手 に 入 らないために サンプル 数 に 制 約 があることを 認 めなければならない 検 定 力 (Powerに 劣 る 高 度 な 計 量 手 法 に 頼 る 実 証 分 析 が 正 しく 結 果 を 示 すとは 限 らないことに 十 分 注 意 を 払 うべきである (2 原 則 2: 税 率 とインフレ 率 とが 正 の 相 関 を 有 する GDP デフレータで 計 ったインフレ 率 の 推 移 は 以 下 の 図 表 -7の 通 りである GDP 統 計 の 改 訂 に 依 拠 して 二 種 類 の GDP デフレータが 存 在 している 年 の 第 一 次 オイル ショックの 突 起 が 特 徴 的 であり 8 年 代 以 降 はほぼ 一 貫 して 低 下 傾 向 を 示 し 98 年 以 降 デフレ 状 態 が 続 いている ( 前 年 比 % 25 図 表 -7 GDPデフレータの 推 移 図 7 GDPデフレータの 推 移 2 5 GDPデフレータ-(93SNA GDPデフレータ-(68SNA ( 資 料 内 閣 府 ( 年 度 ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

12 原 則 2に 関 する 実 証 研 究 には PoerbaRoemberg(988 竹 田 ( 2 がある PoerbaRoemberg(988は 米 国 英 国 フランス ドイツそして 日 本 に 関 して 55 年 度 から 84 年 度 までのデータにより 当 期 の 税 率 のインフレ 率 に 対 する 説 明 力 について 検 定 している その 結 果 米 国 と 日 本 だけに 関 しては 帰 無 仮 説 である 原 則 2を 棄 却 できないことを 示 している 一 方 竹 田 (2は PoerbaRoemberg(988とは 違 い 日 本 の 税 率 とインフレ 率 との 間 にマ イナスで 有 意 な 相 関 係 数 を 得 ている この 結 果 は 統 合 された 政 府 ではなく 財 政 当 局 と 中 央 銀 行 がひとつの 予 算 制 約 式 の 下 でゲーム 論 的 状 況 にあるとした 場 合 に 生 じる 可 能 性 があり 中 央 銀 行 の 独 立 性 (enral Ban Independenceが 高 まると 税 率 とインフレ 率 との 相 関 が 下 がること を 理 論 的 に 示 し OD 各 国 のクロスセクション データを 用 いて 実 証 している (3 原 則 3: 税 率 と 資 産 収 益 率 とが 無 相 関 である 原 則 3は 政 府 が 歳 入 調 達 のために 発 行 し 得 るすべての 金 融 資 産 を 対 象 とする 国 債 はもちろ ん 株 式 や 複 雑 な 金 融 工 学 の 産 物 である 金 融 派 生 商 品 にいたるまで ありとあらゆる 金 融 資 産 を 考 えることが 理 論 的 には 可 能 である(Shiller(993の 提 案 している マクロ マーケット は その 良 い 例 である Shiller(993は 地 震 や 金 融 危 機 その 他 の マクロ ショック によって 発 生 するリスクをヘッジするための 手 段 として たとえば GDP にリンクした 債 券 (GDP-Indexed Bondのマーケットを 世 界 的 に 整 備 することの 重 要 性 を 指 摘 している しかしながら 現 実 には 日 本 政 府 に 選 択 の 余 地 があるのは 満 期 (Mauriyの 異 なる 国 債 物 価 連 動 債 ( 邦 貨 建 てに 対 して 外 貨 建 て 国 債 などに 絞 られる 以 下 では 国 債 の 満 期 構 成 物 価 連 動 債 外 貨 建 て 国 債 に 関 する 問 題 に 焦 点 を 絞 る 以 下 の 図 表 -8は 普 通 国 債 の 現 在 高 に 占 める 短 期 割 引 中 期 長 期 別 の 割 合 を 示 している 全 期 間 を 通 じて JGB が 長 期 国 債 を 中 心 として 発 行 されてきたことがわかる ( 兆 円 図 表 -8 普 通 国 債 ( 種 類 別 残 高 図 8 普 通 国 債 ( 種 類 別 残 高 短 期 国 債 割 引 国 債 中 期 国 債 長 期 国 債 計 ( 資 料 財 務 省 ( 年 度 ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

13 それと 同 時 に 図 表 -9の 平 均 満 期 構 成 のグラフから 明 らかなように 次 第 に 満 期 が 短 期 化 し ている とりわけ 9 年 代 に 安 定 していた 満 期 が 平 成 (998 年 度 以 降 さらに 短 期 化 する 傾 向 にあることが 顕 著 である この 背 景 には 近 年 財 務 省 が 年 物 などの 長 期 国 債 の 償 還 時 期 に 際 して 借 換 え 債 を 短 期 で 発 行 してきたことが 挙 げられる このことは 原 則 3に 鑑 みて 利 子 率 の 期 間 構 造 が 順 イールドの 状 態 において 正 当 化 される 政 策 である はたして 満 期 構 成 の 短 期 化 を 図 った 財 務 省 にこうした 意 図 があったかどうかは 今 後 の 実 証 分 析 を 待 つ 他 はない ( 年 9. 図 図 表 -9 9 普 通 普 国 通 債 国 平 債 均 平 満 均 期 満 期 ( 資 料 財 務 省 国 債 統 計 年 報 各 年 号 の 普 通 国 債 の 発 行 年 度 別 償 還 年 次 表 により 作 成 ( 年 度 末 次 に 物 価 連 動 債 に 関 する 日 本 の 動 向 を 述 べる 日 本 においては 22 年 度 末 の 時 点 で 発 行 されてはいないが 国 債 市 場 懇 談 会 によれば 平 成 6 年 月 以 降 に 物 価 連 動 債 の 発 行 が 計 画 さ れている 物 価 連 動 債 の 実 質 収 益 率 は 将 来 におけるインフレ/デフレに 依 存 しない 一 方 名 目 建 ての 国 債 は 現 在 のデフレ 下 では 実 質 収 益 率 が 上 昇 する 原 則 3によれば デフレ 下 におい て 政 府 は 名 目 国 債 よりも 中 立 的 な 物 価 連 動 債 をより 多 く 発 行 する 方 が 望 ましいことになる 以 下 の 図 表 - は 物 価 連 動 債 を 既 に 発 行 している 英 国 (98 年 以 降 米 国 (998 年 以 降 における 物 価 連 動 債 の 規 模 を 表 わしたものである 導 入 後 日 の 浅 い 米 国 はともかく 英 国 に おける 物 価 連 動 債 市 場 の 規 模 は 既 に 国 債 市 場 全 体 の 25%を 超 えている 英 国 の 場 合 インフ レに 苦 しんだ 8 年 代 末 を 経 て インフレ 目 標 (Inflaion Targeing 政 策 を 992 年 に 採 用 した その 後 安 定 的 に 推 移 するインフレ 率 を 背 景 にして 英 国 政 府 は 物 価 連 動 債 の 割 合 を 増 やしてい った 先 の 原 則 3が 生 かされたと 言 うことができる ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

14 図 表 図 - 物 価 物 連 価 連 動 動 債 債 の の 市 市 場 場 規 模 ( 英 ( 英 国 国 3% 25% 2% 5% % 5% % ( 注 図 は 国 債 に 占 めるインデックス 債 の 比 率 ( 資 料 DMO ( 年 図 表 図 - 物 価 連 動 債 の 市 場 規 模 ( 米 国 6.% 5.% 4.% 3.% 2.%.%.% 98/4 98/ 99/4 99/ /4 / /4 / 2/4 2/ ( 注 図 は 市 場 性 国 債 に 占 めるインデックス 債 の 比 率 ( 年 / 月 ( 資 料 米 国 財 務 省 最 後 に 国 債 のうち 外 貨 建 て 国 債 の 割 合 を 指 しているのが 以 下 の 図 表 -2 である 驚 くこ とに 88 年 度 以 降 外 貨 建 て 国 債 の 残 高 はゼロになっている 原 則 3によれば 外 国 為 替 市 場 において 円 /ドル レートが 円 高 ( 円 安 化 している 局 面 においては 日 本 政 府 は 円 建 て(ドル 建 て 国 債 よりもドル 建 て( 円 建 て 国 債 をより 多 く 発 行 することが 望 ましい 8 年 代 後 半 以 降 の 急 激 な 円 高 化 に 対 して 日 本 政 府 は 全 く 逆 の 政 策 をしたことになる ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

15 ( 億 円 図 表 図 -2 2 外 外 貨 建 て 国 債 残 高 ( 資 料 財 務 省 ( 年 度 最 適 な 外 貨 建 ての 国 債 比 率 に 関 しては Waanabe(992が 分 析 している Waanabe(992は 世 界 最 大 の 債 務 国 である 米 国 において ドル 建 てによる 国 債 発 行 が 主 流 であった 事 実 を 問 題 意 識 として 最 適 な 外 貨 建 て 国 債 の 比 率 を 理 論 的 に 導 出 している 3.まとめと 今 後 の 課 題 本 研 究 は 日 本 において 緊 急 度 を 増 している 数 量 的 国 債 管 理 政 策 の 理 論 について 包 括 的 に 述 べるとともに 国 債 管 理 の 原 則 から 見 た 日 本 の 現 状 について 指 摘 した 原 則 は 税 率 イン フレ 率 がランダム ウォーク 過 程 にしたがう(Barro の 課 税 平 準 化 2 税 率 とインフレ 率 とが 正 の 相 関 を 有 する(Maniw の 最 適 な 貨 幣 鋳 造 益 3 税 率 と 金 融 資 産 収 益 率 とが 無 相 関 である(Bohn の 最 適 な 金 融 資 産 発 行 の 三 つであった 国 債 管 理 の 大 原 則 とも 言 うことができる 原 則 に 関 し ては 日 本 の 財 政 データが 年 次 であることから 実 証 手 法 の 違 いによって 結 果 が 左 右 される 統 合 された 政 府 による 最 適 化 を 考 える 原 則 2 は 先 行 研 究 によって 確 認 されているが 近 年 のデー タを 用 いると 必 ずしも 成 立 していない 最 後 に 政 府 の 発 行 する 金 融 資 産 を 国 債 に 限 定 しない 原 則 3 の 観 点 からは 近 年 の 借 換 え 債 の 発 行 が 平 均 満 期 構 成 を 短 期 化 しているが 利 子 率 の 期 間 構 造 が 順 イールドの 状 態 においてのみ 正 当 化 されるという 意 図 が 財 務 省 にあったかどうかは 疑 わしい 2 平 成 6 年 以 降 計 画 されている 物 価 連 動 債 の 導 入 は 現 在 のデフレ 下 において 望 ましい 方 策 である 388 年 度 以 降 残 高 ゼロとなっている 外 貨 建 て 国 債 は 8 年 代 後 半 以 降 の 急 激 な 円 高 化 の 下 で 原 則 3 に 逆 行 する 政 策 であった ことを 指 摘 した 以 上 の 分 析 から 今 後 の 課 題 として 以 下 のテーマが 浮 かび 上 がってくる ( 国 債 管 理 政 策 と 金 融 政 策 の 時 間 的 不 整 合 性 (Time-Inconsisency 問 題 との 関 係 および 物 価 水 準 の 財 政 理 論 (Fiscal Theory of Price Levelとの 関 連 ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

16 近 年 盛 んに 研 究 されている 物 価 水 準 の 財 政 理 論 によれば 一 般 物 価 水 準 の 決 定 は 政 府 の 通 時 的 な 予 算 制 約 式 においてなされる その 際 主 体 的 な 役 割 を 金 融 政 策 財 政 政 策 のいずれが 担 うかは 政 策 ルール(Ruleに 依 存 する( 詳 細 は 竹 田 (22を 参 照 されたい 政 策 ルールに は 時 間 的 不 整 合 性 の 問 題 が 伴 う その 理 論 的 解 決 策 として 国 債 管 理 政 策 が 位 置 付 けられてき た(LucasSoey(983 (2 インフレ 目 標 政 策 (Inflaion Targeingを 実 施 しているイングランド 銀 行 と 国 債 管 理 との 関 係 インフレ 目 標 政 策 を 掲 げるイングランド 銀 行 と 国 債 管 理 を 担 当 する 国 債 管 理 局 (Deb Managemen Officeとの 役 割 分 担 は 米 国 の 連 邦 準 備 銀 行 と 財 務 省 との 間 の アコード(Accord に 見 られる 財 政 当 局 と 中 央 銀 行 との 協 調 (oordinaionを 考 える 上 で 多 くの 参 考 を 与 える (3 Shiller(993に 見 られる マクロ マーケット の 実 現 可 能 性 Shiller(993は 金 融 危 機 などの マクロ ショック のリスクをヘッジする 手 段 として GDP リンク 債 など 金 融 工 学 に 基 づく 金 融 商 品 を 世 界 的 に 普 及 させることを 提 唱 している 国 の 財 政 の 将 来 像 に 対 して 深 遠 な 示 唆 を 与 えると 評 価 することができる いずれも 研 究 テーマとして 重 要 なものと 位 置 付 けられる ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

17 補 論 ( Barro (979, 995 の 課 税 平 準 化 まず 課 税 (Taxaionのない 経 済 における 家 計 の 効 用 最 大 化 を 考 える 効 用 関 数 は 時 間 に 関 して 分 離 可 能 (Time-Separableで RRA(onsan Relaive Ris Aversion 型 の 関 数 型 を 採 用 する 線 型 な A 型 の 生 産 関 数 A Y υ を 想 定 する そのとき 資 源 制 約 (Resource onsrainは ( Y δ となる したがって 家 計 の 効 用 最 大 化 問 題 は 以 下 のような 制 約 付 きの 最 適 化 として 記 述 する ことができる A s Max }, { (.. ] [( δ υ θ ρ θ ラグランジュ 乗 数 (Lagrange Muliplier 法 によって 消 費 に 関 する 最 適 化 の 一 階 条 件 (Firs- Order ondiionは θ θ ρ δ υ A ( ] ( [ ( となる この 一 階 条 件 は 課 税 による 資 源 配 分 の 歪 み(Tax Disorionのない Firs-Bes の 状 態 を 表 わしている 次 に 消 費 税 (onsumpion Taxの 形 態 の 課 税 が 導 入 された 経 済 を 考 える このとき 政 府 の 予 算 制 約 式 ( B B G T より 資 源 制 約 式 は ( ( ( B B Y δ となる したがって 家 計 の 効 用 最 大 化 は ( ( (.. ] [( },, { B B B A s Max δ υ θ ρ θ として 記 述 され 消 費 の 最 適 化 の 一 階 条 件 A ρ δ υ θ θ ( ] ( [ (2 が 得 られる 式 (と 比 較 して 式 (2は 課 税 による 歪 みが 生 じている たとえば 消 費 税 率 が 時 間 を 通 じて 上 昇 (あるいは 低 下 していくことが 予 想 される 場 合 ( 任 意 の に 対 して > あるいは ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

18 < ( 任 意 の に 対 して 式 (2は 消 費 税 率 がゼロであり 歪 みがない 場 合 に 家 計 が 選 択 する 消 費 ( 任 意 のに 対 して と 比 較 して 消 費 を 減 らして(あるいは 増 やしていくことによって 効 用 を 増 大 させることができることを 意 味 している つまり 式 (の 表 わす Firs-Bes の 状 態 からの 乖 離 が 生 まれることになる ところが Firs-Bes の 状 態 を 達 成 するためには 必 ずしも 消 費 税 率 をゼロにする 必 要 は なく こうした 課 税 の 歪 みは 政 府 が 課 税 ( 率 を 時 間 に 関 して 平 準 化 する 政 策 ( 任 意 の に 対 して を 通 時 的 に 施 すことによって 解 消 させることができる 式 (2から 課 税 平 準 化 (Tax Smoohing が 望 ましい 資 源 配 分 を 達 成 させることがわかる (2 Maniw(987の 最 適 貨 幣 鋳 造 益 Maniw(987は 課 税 による 資 源 配 分 上 の 歪 み(Tax Disorionを 明 示 的 に 扱 う しかしなが ら 課 税 が 意 味 するのは 通 常 の 租 税 (Taxaionのみではなく 中 央 銀 行 の 貨 幣 発 行 による 貨 幣 鋳 造 益 (Seigniorageを 得 ることによるインフレ 税 (Inflaion Taxも 考 慮 しており それら 両 方 から 資 源 配 分 の 歪 みが 発 生 していると 考 える 財 政 当 局 と 中 央 銀 行 とが 統 合 された 政 府 (onsolidaed Governmenは 以 下 の 社 会 的 損 失 関 数 (Social Loss Funcion L を 最 小 化 する( ρ は 社 会 的 な 割 引 率 L e ρs [ f ( h( π ] Yds 課 税 による 社 会 的 死 加 重 (Deadweigh Social Loss h (π Y ともに 生 産 量 Y の 一 次 関 数 であり f ( >, f ( > h ( π >, h ( π > を f ( Y インフレの 社 会 的 コスト 満 たす 凸 (onvex 関 数 であると 仮 定 する 課 税 の 死 加 重 が 税 率 の 二 次 関 数 で 近 似 されることは ミクロ 経 済 学 の 余 剰 分 析 が 教 えるところである 上 貨 幣 需 要 関 数 のいわゆる 靴 底 コスト(Shoe- Leaher osとして 知 られるインフレのコストは ( 期 待 インフレ 率 の 二 次 関 数 で 近 似 される ことも 分 っていることを 考 えると 以 上 の 理 論 的 仮 定 は 妥 当 である 政 府 の 税 率 とインフレ 率 に 関 する 社 会 的 損 失 関 数 の 最 小 化 は 通 時 的 な 政 府 の 予 算 制 約 式 (Ineremporal Budge onsrain of Governmenの 制 約 の 下 で 行 なわれる e ρs s G s ds B e ρ ( ( T ( s ds 但 し B(, G(, T ( はそれぞれ 期 における 政 府 の 実 質 債 務 残 高 歳 出 歳 入 を 表 す 歳 入 の 中 には 通 常 の 課 税 に 加 えて 貨 幣 鋳 造 益 も 含 まれる 貨 幣 需 要 関 数 が 所 得 に 関 する 一 次 ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

19 関 数 である( 係 数 はいわゆるマーシャルの と 仮 定 し M& ( M& ( M ( T Y Y Y ( g π Y P( M ( P( が 歳 入 を 表 わす( g は 生 産 量 の 成 長 率 歳 出 の 将 来 にわたる 経 路 は 外 生 的 であると 仮 定 する このとき 政 府 の 最 適 化 問 題 は 以 下 の 通 りである min L {, π} s.. e ρs 政 府 の 最 適 化 の 一 階 条 件 は e ρs [ f ( h( π ] Yds G( s ds B( e { f [ ( s]} ρs { h [ π ( s]} h [ π ( ] h [ π ( ] f [ ( ] (3 [ ( g π ] Yds f [ ( ] となる 最 初 の 二 つの 条 件 はそれぞれ 税 率 インフレ 率 がマルティンゲール(Maringale 過 程 にしたがっていることを 意 味 し 先 の Barro(979, 995の 課 税 平 準 化 の 一 般 的 な 性 質 を 表 わし ている 資 源 配 分 上 の 損 失 を 最 小 化 するように 政 府 が 行 動 しているためには 税 率 のみならずイ ンフレ 率 も ランダム ウォーク(Random Wal 過 程 に 従 っている 必 要 がある ここで 注 目 したいのは Barro(979,995では 扱 われていない 最 後 の 条 件 である 課 税 の 死 加 重 を 表 わす f ( インフレのコストを 表 わす h(π とも 二 次 関 数 を 候 補 として 含 む 凸 関 数 であるので それぞれの 二 階 の 導 関 数 とも f ( > h ( π > を 満 たす したがって 外 生 変 数 である 歳 出 G が 確 率 的 なショックにしたがって 変 動 すると 式 (3によれば 内 生 変 数 であ る 税 率 とインフレ 率 π は 必 ず 同 じ 方 向 すなわち 一 方 の 変 数 が 上 昇 ( 低 下 するときには 片 方 の 変 数 も 上 昇 ( 低 下 するはずである つまり 政 府 の 最 適 な 行 動 のためには 税 率 とイン フレ 率 との 相 関 係 数 は 必 ず 正 でなければならないことになる (3 Bohn(99の 最 適 な 金 融 資 産 発 行 最 後 に Bohn(99による 政 府 の 最 適 な 金 融 資 産 発 行 に 関 する 理 論 について 概 説 する Bohn(99は Barro(979 同 様 統 合 された 政 府 による 歳 入 のための 手 段 の 一 つであるインフレ 税 およびインフレのコストについては 明 示 的 には 考 えない しかしながら 政 府 の 発 行 する 金 融 資 産 として 様 々な 資 産 を 考 慮 している 点 が 特 徴 的 である Barro(979, 995および Maniw(987では 政 府 債 務 の 手 段 として 満 期 が 一 期 間 の 国 債 とりわけ 実 質 単 位 で 市 場 におい て 取 引 される 国 債 を 暗 黙 のうちに 想 定 している Bohn(99では 名 目 資 産 価 格 をもち 満 期 構 成 の 異 なる 金 融 資 産 全 般 を 政 府 債 務 の 調 達 手 段 として 扱 っており 政 府 債 務 に 関 するより 一 般 ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

20 的 な 分 析 となっている 簡 単 化 のために 危 険 中 立 的 (Ris Neuralである 家 計 を 仮 定 する U j j ρ c 取 引 される 種 類 (,, の 金 融 資 産 が 存 在 し 資 産 の 時 点 における 購 入 量 を A, 時 点 における 消 費 財 単 位 の( 配 当 落 ちの 価 格 p, 将 来 配 当 されるキャッシュ フロ ー( 利 子 や 配 当 の 流 列 を f j, ( j とする 金 融 資 産 の 時 点 における 収 益 率 r, は p j,,, p, r となる 課 税 による 資 源 配 分 の 歪 みが 税 率 のみの 凸 関 数 h( ( h >, h > として 表 わされると 仮 定 すると 期 における 家 計 の 予 算 制 約 式 は c p, A, Y [ h( ] ( p, f, A. 危 険 中 立 的 である 家 計 による 効 用 最 大 化 に 基 づく 金 融 資 産 選 択 の 結 果 p, ρ ( p, f,, すなわち ( r, f (4 ρ がすべての に 対 して 成 立 している 便 宜 的 に の 金 融 資 産 を 満 期 が 一 期 間 の 安 全 資 産 (Ris- Free Asseであると 想 定 し その 価 格 を p, 収 益 率 を r とする この 安 全 資 産 ρ と 比 べた 余 剰 収 益 率 (xcess Reurnを rˆ, r, 択 の 結 果 である 式 (4は r ˆ, r と 定 義 する そのとき 最 適 な 資 産 選 を 意 味 する 政 府 は 外 生 的 に 決 まる 財 政 支 出 G を 所 与 として 期 において 金 融 資 産 を D, だけ 発 行 する 政 府 の 予 算 制 約 式 は T Y G ( p, f, D. p, D, として 記 述 することができる 政 府 が 最 大 化 するべき 家 計 の 効 用 は 家 計 の 予 算 制 約 式 と 政 府 の 予 算 制 約 式 により ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

21 ]} ( [ { j j j j h Y U ρ となる( 但 し 外 生 変 数 に 依 存 する 部 分 は 省 略 している すなわち 政 府 の 最 適 化 問 題 は j j j j D D p D f p G Y s h Y U,,.,, }, { (.. ]} ( [ { max ρ 一 階 条 件 は ( ] ( ( [ ( ] ( [, h r h h h ρ である 課 税 の 資 源 配 分 上 の 歪 みを 二 次 関 数 2 2 ( h h で 表 わすと 第 一 の 条 件 は 先 と 同 じ く 課 税 平 準 化 を 表 わす ( また 第 二 の 条 件 は 式 (4より ] ( [(, r となる ˆ, とすると (5, ( ˆ ( ˆ ˆ (,,, r ov r r を 意 味 する つまり 税 率 と 各 種 資 産 の 収 益 率 との 共 分 散 がゼロであることが 必 要 になる 共 分 散 がゼロであるとき 相 関 係 数 もゼロとなることから 政 府 の 最 適 な 金 融 資 産 発 行 のための 条 件 は 税 率 と 金 融 資 産 収 益 率 との 相 関 係 数 がゼロであることになる ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67

22 参 考 文 献 [] 浅 子 和 美 福 田 慎 一 照 山 博 司 常 木 淳 久 保 克 行 塚 本 隆 上 野 大 牛 来 直 之 (993 日 本 の 財 政 運 営 と 異 時 点 間 の 資 源 配 分 経 済 分 析 第 3 号 経 済 企 画 庁 経 済 研 究 所 [2] Barro, Rober J., 979, On he Deerminaion of he Public Deb, The Journal of Poliical conomy, Vol. 87, Issue 5, pp [3] Barro, Rober J., 995, Opimal Deb Managemen, NBR Woring Paper Series, No [4] Barro, Rober J. and haipa Sahasaul, 983, Measuring he Average Marginal Tax Rae from he Individual Income Tax, Journal of Business 56, pp [5] Bohn, Henning, 99, Tax Smoohing wih Financial Insrumens, The American conomic Review, Vol. 8, No.5, pp [6] 井 堀 利 宏 加 藤 竜 太 中 野 英 夫 中 里 透 土 居 丈 朗 佐 藤 正 一 (2 財 政 赤 字 の 経 済 分 析 : 中 長 期 的 視 点 からの 考 察 経 済 分 析 政 策 研 究 の 視 点 シリーズ 6 経 済 企 画 庁 経 済 研 究 所 [7] 黒 田 晃 生 (996 日 本 の 国 債 管 理 政 策 : 再 訪 公 社 債 市 場 の 新 展 開 ( 公 社 債 引 受 協 会 編 所 収 東 洋 経 済 新 報 社 [8] Lucas, Rober., and Nancy Soey, 983, Opimal Fiscal and Moneary Policy in an conomy wihou apial, Journal of Moneary conomics 2, pp [9] Maniw, N. Gregory, 987, The Opimal ollecion of Seigniorage: Theory and vidence, Journal of Moneary conomics 2, pp [] Poerba, James and Julio Roemberg, 988, Inflaion and Taxaion wih Opimizing Governmens, Journal of Money, redi, and Baning 22(, pp.-8. [] 柴 田 章 久 (99 先 進 5ヵ 国 における 最 適 な 造 幣 益 課 税 モデルの 検 証 日 本 経 済 研 究 第 2 号 pp 日 本 経 済 研 究 センター [2] Shiller, Rober, 993, Macro Mares: reaing Insiuions for Managing Sociey's Larges conomic Riss, Oxford Universiy Press. [3] 竹 田 陽 介 (2 財 政 当 局 と 中 央 銀 行 の 関 係 日 本 の 経 験 日 本 経 済 の 構 造 変 化 と 財 政 政 策 に 関 する 調 査 研 究 財 団 法 人 財 政 経 済 協 会 [4] 竹 田 陽 介 (22 デフレ 下 における 財 政 政 策 ルールをもとめて フィナンシャル レビュー 第 64 号 財 務 省 財 務 総 合 政 策 研 究 所 [5] 竹 田 陽 介 矢 嶋 康 次 (22 JGB マーケットとゼロ 金 利 政 策 --- How he JGB Mare Has Responded o he Zero-Ineres-Rae-Policy ニッセイ 基 礎 研 究 所 所 報 [6] 富 田 俊 基 日 本 国 債 の 研 究 東 洋 経 済 新 報 社 2 年 [7] Waanabe, Tsuomu, 992, The Opimal urrency omposiion of Governmen Deb, BOJ Moneary and conomic Sudies, Vol., No.2, pp [8] 財 務 省 戦 後 の 国 債 管 理 政 策 の 推 移 (hp:// ニッセイ 基 礎 研 所 報 Vol.27 April 23 Page46-67