目 次 携 帯 通 信 キャリアによるインフラシェアリング( 設 備 共 有 共 用 )の 導 入 拡 大 に 向 けて ~ 市 場 が 飽 和 する 中 コスト 削 減 の 切 り 札 となるか~ 第 1 章.はじめに 2 第 2 章.モバイル インフラシェアリング とは 6 第 3 章.インフラ

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1 2010 年 11 月 30 日 Vol. 91 携 帯 通 信 キャリアによるインフラシェアリング( 設 備 共 有 共 用 )の 導 入 拡 大 に 向 けて ~ 市 場 が 飽 和 する 中 コスト 削 減 の 切 り 札 となるか~ 大 西 健 史 takeshi.ohnishi@mizuho-cb.co.jp 綱 祥 基 yoshiki.tsuna@mizuho-cb.co.jp 要 旨 移 動 体 通 信 市 場 は 定 額 制 の 普 及 や 加 入 率 の 上 昇 に 伴 い 収 益 の 頭 打 ち 傾 向 が 顕 在 化 しつつあ る 一 方 で モバイル 通 信 量 (トラフィック)は 年 率 約 2 倍 のペースで 急 増 し 将 来 的 なネットワーク 費 用 の 増 加 が 懸 念 される 携 帯 通 信 キャリアは 基 地 局 追 加 設 置 や 次 世 代 規 格 への 投 資 等 といったモ バイルインフラ 増 強 の 為 の 投 資 を 迫 られる 一 方 追 加 投 資 による 大 幅 な 収 益 増 を 見 込 めない 厳 しい 現 実 に 直 面 している 今 後 キャリアは 急 増 するトラフィックの 収 益 化 が 課 題 となる 一 方 で コスト 面 の 効 率 化 も 経 営 の 重 要 課 題 となってくるものと 思 われる その 中 でも 経 済 的 な 削 減 効 果 の 高 いインフラシェアリング が 選 択 肢 の 一 つとして 検 討 されるべきであろう 海 外 市 場 では 欧 米 印 を 中 心 にインフラシェアリングの 事 例 が 多 数 存 在 する 具 体 的 には 各 キャリ アは 複 数 キャリア 間 でのインフラ 共 同 構 築 や 独 立 系 インフラ 保 有 会 社 を 媒 介 としたキャリア 間 での 設 備 共 用 を 進 めることで ネットワーク 費 用 の 削 減 を 実 現 している 翻 って これまで 日 本 市 場 においては 海 外 比 で 国 土 が 狭 小 であること キャリア 数 が 限 定 的 である ことの 他 トラフィック 増 大 への 対 応 に 関 して 代 替 手 段 が 進 化 していること キャリアがネットワーク 整 備 を 競 争 力 の 源 泉 と 捉 え 重 視 してきたこと 等 から インフラシェアリングが 進 んでいないのが 現 状 であ る 今 後 の 日 本 でのインフラシェアリング 導 入 可 能 性 については 固 定 オフロード 等 による 手 当 てが 先 行 するため 短 期 的 にはインフラシェアリングが 発 生 し 難 いものと 思 われるが 中 長 期 的 にはネットワー ク 費 用 の 削 減 プレッシャーが 徐 々に 増 大 する 中 700/900MHz の 周 波 数 割 当 や 4G 以 降 の 基 地 局 展 開 のタイミングでインフラシェアリングが 発 生 してくることが 想 定 される 日 本 の 通 信 業 界 の 更 なる 発 展 のため 各 キャリアには 海 外 展 開 の 強 化 が 求 められている そのため には 業 界 全 体 として 国 内 のネットワーク 整 備 については 効 率 的 に 進 め 業 界 全 体 のネットワーク 費 用 削 減 を 図 ることにより 収 益 力 を 向 上 させていくことが 急 務 であろう 効 率 的 な 国 内 ネットワーク 整 備 の 一 方 策 としての インフラシェアリング に 期 待 したい みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部

2 目 次 携 帯 通 信 キャリアによるインフラシェアリング( 設 備 共 有 共 用 )の 導 入 拡 大 に 向 けて ~ 市 場 が 飽 和 する 中 コスト 削 減 の 切 り 札 となるか~ 第 1 章.はじめに 2 第 2 章.モバイル インフラシェアリング とは 6 第 3 章.インフラシェアリングの 進 む 海 外 市 場 15 第 4 章. 日 本 におけるネットワーク 整 備 の 現 状 23 第 5 章. 日 本 市 場 におけるインフラシェアリングの 導 入 拡 大 に 向 けて 34 第 6 章. 結 びに 代 えて 39 1

3 第 1 章.はじめに 問 題 意 識 : モバ イル 通 信 量 (トラ フィック)の 急 増 国 内 では 収 益 に 伸 び 余 地 に 限 界 がある 中 コスト 面 での 施 策 が 重 要 に その 手 段 の 一 つとしてイン フラシェアリング が 存 在 国 内 移 動 体 通 信 市 場 は 定 額 制 普 及 や 加 入 率 上 昇 により 収 益 頭 打 ちが 鮮 明 となりつつある 一 方 で モバイル 通 信 量 (トラフィック)は 年 率 約 2 倍 のペー スで 急 増 している 携 帯 通 信 キャリアは 上 位 レイヤー 分 野 や 海 外 市 場 などで の 成 長 機 会 は 残 されるものの 国 内 市 場 では 定 額 制 の 普 及 により 追 加 投 資 に よる 収 益 増 を 見 込 めない 中 次 世 代 規 格 への 投 資 や 基 地 局 増 設 といったネッ トワークへの 投 資 を 迫 られるという 難 題 に 直 面 している 今 後 は 急 増 するトラフィックの 収 益 化 が 課 題 となる 一 方 で コスト 面 の 効 率 化 も 経 営 の 重 要 課 題 となってくるものと 思 われる コスト 面 における 効 率 化 の 領 域 としては 携 帯 通 信 キャリアの 費 用 の 大 きな 割 合 を 占 めるネットワーク 関 連 の 費 用 が 考 えられ その 中 でも 削 減 効 果 の 大 きいインフラシェアリング ( 設 備 共 有 共 用 )が 選 択 肢 の 一 つとして 検 討 されるべきと 考 える 以 下 で まず 上 記 の 問 題 意 識 を 詳 しく 述 べた 上 で 次 章 でインフラシェアリ ングの 概 念 を 整 理 し 第 3 章 でインフラシェアリングが 進 む 海 外 市 場 の 動 向 を 紹 介 する その 上 で 第 4 章 において 国 内 携 帯 通 信 キャリアのネットワーク 整 備 状 況 を 確 認 し 第 5 章 で 日 本 におけるインフラシェアリング 導 入 拡 大 に 向 けた 展 望 を 述 べ 最 後 に 第 6 章 で 結 びに 代 えて 海 外 展 開 との 関 係 につい て 触 れることと 致 したい 第 2 章 モバイル インフラシェアリ ング とは 第 3 章 インフラシェアリングの 進 む 海 外 市 場 第 4 章 日 本 における ネットワーク 整 備 の 現 状 第 5 章 日 本 市 場 における インフラシェアリングの 導 入 拡 大 に 向 けて 第 6 章 結 びに 代 えて 2

4 携 帯 通 信 キャリ アの 収 益 は 単 価 下 落 加 入 伸 び 悩 みにより 頭 打 ち 傾 向 携 帯 通 信 キャリアの 収 益 は 近 年 頭 打 ち 傾 向 にある 本 業 である 電 気 通 信 事 業 収 益 は 単 純 化 すれば1ARPU(Average Revenue Per User: 一 加 入 者 当 りの 月 間 通 信 料 単 価 ) 2 加 入 者 数 ( 数 量 )で 示 される 1 単 価 は 一 部 底 打 ちの 兆 しが 見 えるものの これまでのところ 下 落 傾 向 にある 今 後 は 1 データ 定 額 加 入 者 のデータ 利 用 が 増 加 するにつれて データ ARPU が 増 加 するものの 定 額 制 が 導 入 されていることから 飛 躍 的 な 伸 びは 期 待 できないと 思 われる 2 数 量 = 加 入 者 数 はデータカードや M2M(Machine to Machine 機 器 間 通 信 )などのモジュール 系 の 市 場 を 除 けば 市 場 飽 和 により 伸 びが 鈍 化 している ( 図 表 1~3 ) 図 表 1 携 帯 /PHS 加 入 者 数 の 推 移 ( 左 : 累 計 及 び 純 増 右 : 純 増 の 事 業 者 別 内 訳 ) 純 増 数 ( 万 ) 1, NTT DoCoMo KDDI Softbank Emobile Willcom DoCoMo PHS その 他 累 積 加 入 数 ( 万 ) 12,000 10,000 8,000 6,000 1, ,505 6,698 9,147 8,706 8, ,648 10,170 10, 純 増 数 ( 万 ) 1,200 11,630 11,205 1, , , (FY) (FY) ( 出 所 ) 電 気 通 信 事 業 者 協 会 各 社 IR 資 料 よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 図 表 2 携 帯 通 信 キャリア 大 手 3グループの ARPU 推 移 ( 円 / 月 ) 8,000 データ 音 声 ( 億 円 ) 80,000 図 表 3 携 帯 通 信 キャリア 大 手 3グループの 電 気 通 信 事 業 収 益 データ 音 声 6,000 60,000 4,000 5,785 5,274 4,911 4,527 3,964 3,224 2,817 40,000 54,793 53,457 52,681 51,199 47,440 40,393 36,496 2, ,712 1,681 1,769 1,884 2,046 2,198 2, (FY) ( 出 所 ) 電 気 通 信 事 業 者 協 会 各 社 IR 資 料 より みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 20, ,214 17,034 18,973 21,308 24,484 27,535 29, (FY) ( 出 所 ) 電 気 通 信 事 業 者 協 会 各 社 IR 資 料 より みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 1 各 社 は いわゆる 最 低 料 金 従 量 料 金 上 限 料 金 を 組 み 合 わせた いわゆる2 段 階 定 額 制 を 導 入 している データ 利 用 が 進 む につれて より 多 くの 加 入 者 が 上 限 に 達 することからデータ ARPU 向 上 に 一 定 の 余 地 は 残 されている 3

5 一 加 入 当 りのデ ータトラフィックは 近 年 急 増 し ネッ トワーク 整 備 も 急 務 今 後 ともトラフィッ クの 急 激 な 増 加 ト レンドは 継 続 する 見 込 み ネットワーク 設 備 に 多 額 の 費 用 が 発 生 すれば 収 支 悪 化 も 固 定 オフロード 等 の 施 策 に 加 え インフ ラシェアリングも 検 討 すべき 一 方 で 一 加 入 当 りのデータトラフィックは 近 年 急 増 しており これに 伴 うネ ットワーク 整 備 も 急 務 となっている AdMob のデータでは 地 域 別 に 違 いはあ るものの 近 年 モバイルデータトラフィックは 急 激 に 増 加 している 日 本 国 内 においては 総 務 省 資 料 に 拠 ると 月 間 のモバイルデータトラフィックは 2010 年 6 月 から 9 月 の 間 で+13.2%( 年 率 換 算 で+64%) 増 加 している また Cisco は 日 本 国 内 のモバイルデータトラフィックは 2009 年 には 18 ペタバイト/ 月 間 であったものが 5 年 後 の 2014 年 には 350 ペタバイトへと 年 率 +80%のペース (5 年 で 約 20 倍 )で 増 加 するものと 予 想 している さらに NTT ドコモは 2010 年 3 月 期 の 決 算 説 明 会 において モバイルトラフィックが 定 額 制 の 加 入 者 の 増 加 に 伴 い 対 前 年 比 約 2 倍 のペースで 増 加 していることを 指 摘 している 日 本 は 海 外 諸 国 に 比 べてモバイルデータ 通 信 の 利 用 が 進 んでいることから 絶 対 的 なトラフィック 量 の 水 準 を 2009 年 単 年 の 数 字 で 見 ると 北 米 市 場 と 比 べて 一 人 当 たりの 月 間 トラフィックは 3 倍 以 上 となっており ネットワークに 大 きな 負 荷 が 掛 かっている 状 況 である( 図 表 4~7 ) このようなモバイルトラフィックの 急 増 は 携 帯 通 信 キャリアによるネットワー クの 高 速 化 とコンテンツプロバイダーによるコンテンツのリッチ 化 が 相 互 に 作 用 し ユーザーのニーズを 喚 起 した 結 果 として 現 れているものである トラフィック を 増 加 させるこのようなスパイラル 構 造 は 今 後 も 変 わらなく 将 来 においても 急 激 なトラフィックの 増 加 トレンドが 継 続 するものと 思 われる 斯 かるトラフィック 急 増 に 対 応 しネットワーク 設 備 に 多 額 の 費 用 が 発 生 する こととなれば キャリアの 収 支 を 圧 迫 する 可 能 性 もある 効 率 的 なネットワーク 整 備 を 実 現 すべく キャリア 各 社 は 固 定 オフロード 2 や 次 世 代 規 格 導 入 によ る 周 波 数 利 用 効 率 の 向 上 等 様 々な 施 策 を 展 開 しつつある このような 施 策 に 加 え 欧 米 印 等 の 海 外 市 場 で 見 られる 携 帯 通 信 キャリア 間 でのインフラシェ アリング( 設 備 共 有 共 用 ) 3 も 検 討 されるべきと 考 える( 図 表 8 ) 本 稿 においては ネットワーク 費 用 削 減 の 一 方 策 として 国 内 携 帯 通 信 キャ リアが 未 だ 取 り 組 みを 殆 ど 実 施 していないインフラシェアリングに 焦 点 を 当 て て 論 じていくこととしたい 2 モバイルトラフィックを 固 定 通 信 網 へ 分 散 して 処 理 することにより モバイルインフラに 対 する 負 荷 を 軽 減 すること 3 本 稿 では 箇 所 によって 共 有 と 共 用 の 2 つの 語 を 区 別 して 使 用 している 各 単 語 の 意 味 は 以 下 の 通 り 共 有 : 複 数 のキャリア 間 にて 共 同 でネットワーク 整 備 を 行 ったり インフラシェアリングの 合 弁 会 社 を 設 立 し 共 同 出 資 したりする シェアリング 形 態 共 用 : 単 独 のキャリアあるいはキャリアではない 第 三 者 事 業 者 が 自 社 で 保 有 するインフラを 他 キャリアに 貸 し 出 すというシェアリ ング 形 態 4

6 図 表 4 モバイルトラフィックの 増 加 率 推 移 ( 地 域 別 ) 図 表 5 日 本 の 月 間 モバイルトラフィック 推 移 400, , ,000 Web/Data/Other VoIP Gaming P2P Video (TB/Month) 250, , ,000 年 率 +80%で 増 加 100,000 50,000 ( 出 所 )AdMob AdMob Mobile Metrics (2010 年 5 月 )よ りみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 ( 出 所 )Cisco Cisco VNI Mobile 2010 よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 ( 年 ) 図 表 6 NTT ドコモのトラフィック 推 移 図 表 7 1 加 入 当 りの 月 間 モバイルトラフィック 比 較 ( 地 域 別 ) (GB/User) ( 出 所 )2010 年 3 月 期 NTT ドコモ 決 算 説 明 会 資 料 より みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 0.00 Japan North America Western Europe Asia Pacific Latin America Central Eastern Europe Middle East & Africa ( 出 所 )Cisco Cisco VNI Mobile 2010 等 よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 図 表 8 モバイルキャリアを 取 り 巻 く 事 業 環 境 の 変 化 と 想 定 されるキャリアの 対 応 事 業 環 境 の 変 化 キャリアの 対 応 策 金 額 トラフィック 量 現 在 モバイル トラフィック ネットワーク 費 用 増? 1 ネットワーク 費 用 削 減 1.ネットワーク 費 用 削 減 1-a. インフラシェアリング 今 後 の 検 討 課 題 1-b. 固 定 オフロード 取 組 中 収 益 1-c. 次 世 代 規 格 取 組 予 定 2 収 益 2. 収 益 増 強 2-a. 上 位 レイヤーの 取 組 取 組 中 時 間 2-b. グローバル 展 開 取 組 中 ( 出 所 )みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 5

7 第 2 章.モバイル インフラシェアリング とは モバイルインフラ の 共 有 共 用 に 関 する 概 念 の 整 理 本 章 では モバイルインフラの 共 有 共 用 に 関 する 類 似 概 念 を 整 理 し イ ンフラシェアリング の 定 義 を 明 確 化 する 続 いて インフラシェアリング の 目 的 効 果 を 論 じ インフラシェアリング の 運 営 会 社 の 類 型 やビジネスの 特 徴 を 整 理 したい (1)モバイルインフラの 共 有 共 用 に 係 る 概 念 整 理 ~ インフラシェアリング の 定 義 類 型 1MVNO 類 型 2ローミング 類 型 3インフラシ ェアリング モバイルインフラの 共 有 共 用 は 以 下 のように 類 型 化 可 能 である( 図 表 9 ) 自 社 でインフラを 構 築 しないケースは 仮 想 移 動 体 通 信 事 業 者 (MVNO=Mobile Virtual Network Operator) としてサービスを 提 供 することで ある すなわち 自 らインフラ 構 築 をせずに 携 帯 通 信 キャリア(MNO=Mobile Network Operator 日 本 では NTT ドコモ KDDI ソフトバンクモバイル イー モバイル 等 が 該 当 )から 土 台 となるモバイルインフラを 借 り 受 けた 上 で 自 社 にて 機 能 を 付 加 した 上 で 加 入 者 に 対 して 通 信 サービスを 提 供 するものであ る 第 二 の 類 型 は ローミング である 自 社 でモバイルインフラを 構 築 し サー ビスを 提 供 する 場 合 (=MNO)であっても 一 部 エリアや 一 部 サービスについ て 他 MNO のネットワークを 活 用 する 場 合 があり この 場 合 ローミングといわれ る 2007 年 に 新 規 参 入 キャリアとしてサービスを 開 始 したイー モバイルは 音 声 サービスを 全 国 的 に 提 供 するに 当 り NTT ドコモからローミングを 受 けてい た(2010 年 10 月 31 日 終 了 ) また 国 内 携 帯 通 信 キャリアが 海 外 で 通 信 サー ビスを 提 供 する 場 合 国 境 を 越 えて 海 外 諸 国 にて 個 別 にネットワークを 建 設 することは 現 実 的 ではないため 海 外 の 携 帯 通 信 キャリアとの 間 で 相 対 にてロ ーミング 契 約 を 締 結 し 加 入 者 に 対 して 通 信 サービスを 提 供 している 第 三 に 自 社 でネットワーク 設 備 を 構 築 するとしても その 設 備 の 一 部 につ き 他 携 帯 通 信 キャリアと 共 同 で 建 設 構 築 し 共 用 を 行 ったり 他 の 携 帯 通 信 キャリアが 既 に 構 築 しているインフラの 一 部 を 借 り 受 けたりする 場 合 がある ま た 携 帯 通 信 キャリアではない 業 態 の 事 業 者 が 設 備 を 構 築 して 複 数 の 携 帯 通 信 キャリアに 貸 し 出 しを 行 うことがある 本 稿 の 中 心 テーマはこの 類 型 にあ たり 本 稿 では インフラシェアリング( 設 備 共 有 共 用 ) と 呼 ぶことにする 図 表 9 モバイルインフラの 共 有 共 用 の 類 型 YES NO MNO 自 社 で 全 地 域 を カバーするか 自 社 内 で 全 て 構 築 するか 全 て 構 築 = 共 用 無 ( 現 状 ) eg. NTTドコモ KDDI (SBM) (イーモバイル) 本 稿 のテーマ インフラシェアリング ( 設 備 共 用 共 有 ) 低 共 用 共 有 の 自 社 でインフラを 構 築 するか ローミング eg. イーモバイル(2010 年 10 月 迄 ) 程 度 MVNO ( 出 所 )みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 eg. WiMAX MVNO 事 業 者 日 本 通 信 SBM(テ ータカート でEM) 高 6

8 (2)モバイルインフラの 構 成 と インフラシェアリング の 対 象 範 囲 この 項 では まず モバイルインフラの 構 成 について 確 認 する モバイルインフラ の 構 成 モバイルインフラは 1 基 地 局 設 置 場 所 ( 以 下 タワー と 呼 ぶこととする) 2アクセスネットワークと 3コアネットワークに 分 けられる( 図 表 10 ) 図 表 10 モバイルインフラの 構 成 例 2 3 アクセスネットワーク コアネットワーク 端 末 基 地 局 基 地 局 制 御 装 置 移 動 交 換 機 中 継 交 換 機 関 門 移 動 交 換 機 電 話 網 インターネット 1 基 地 局 設 置 場 所 パッシブインフラ アクティブインフラ ( 出 所 )みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 構 成 部 位 1 基 地 局 設 置 場 所 (タ ワー) 構 成 部 位 2 アク セスネットワーク 1 基 地 局 設 置 場 所 (タワー): 鉄 塔 コンクリート 柱 ビルの 屋 上 の 支 柱 等 といった 基 地 局 を 設 置 する 構 造 物 を 指 す 設 置 場 所 別 に(a)Ground Based Tower( 地 上 設 置 型 GBT)と(b)Roof Top Tower(ビル 屋 上 設 置 型 RTT)に 分 けられる( 図 表 11 ) (a)gbt は さらに L 型 鋼 材 を 組 み 合 わせた 4 脚 鉄 塔 である アングルトラス 型 複 数 の 円 筒 鋼 管 柱 でできている シリンダー 型 鉄 柱 である パンザ 型 電 柱 のようなコンクリート 製 の 柱 である コンクリート 柱 型 が 存 在 する 市 街 地 などにおいては 比 較 的 高 いビルの 屋 上 に 基 地 局 が 設 置 される 例 が 多 く (b)rtt に 類 型 化 できる 電 源 装 置 や 冷 却 装 置 収 納 箱 等 ( 図 表 12 )も 含 め パッシブインフラ (passive infrastructure)と 呼 ぶこ とが 多 い 2アクセスネットワーク: 基 地 局 (BTS/Node B アンテナ 部 分 を 含 む) や 複 数 の 基 地 局 を 束 ね 無 線 チャネルの 移 動 機 の 割 当 や 切 換 の 制 御 を 行 う 基 地 局 制 御 装 置 (BSC/RNC)などを 指 す 1の パッシブインフラ と 対 照 的 に 後 述 の3とあわせて アクティブインフラ (active infrastructure)と 呼 ぶこと が 多 い 7

9 図 表 11 基 地 局 設 置 場 所 (タワー)の 種 類 Ground Based Tower (GBT) ( 地 上 設 置 タイプ) アングルトラス 型 シリンダー 型 パンザ 型 コンクリート 柱 型 Roof Top Tower(RTT) 型 (ビル 屋 上 設 置 タイプ) 定 義 L 型 鋼 材 を 組 み 合 わ せた4 脚 鉄 塔 円 筒 鋼 管 柱 鉄 柱 コンクリートで できた 柱 ビルの 屋 上 に 設 置 するも の 用 途 エリア 展 開 の 初 期 に 広 範 囲 をカバーする ために 用 いられるも の 中 規 模 のエリアを カバーするために 用 いられるもの 比 較 的 小 規 模 のエリアをカ バーするため に 用 いられるも の 同 左 主 に 都 心 部 で 設 置 するも の 搭 載 可 能 アンテナ 数 3~6 基 (マイクロ 波 アンテナ0.9mΦ 2 基 ) 2~3 基 (マイクロ 波 アンテナ0.9m Φ 2 基 ) 1~2 基 1~2 基 - イメージ 図 ( 出 所 ) 総 務 省 電 気 通 信 市 場 の 環 境 変 化 に 対 応 した 接 続 ルールの 在 り 方 について ( 情 報 通 信 審 議 会 から の 答 申 )(2009 年 10 月 16 日 )よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 アングルトラス 型 シリンダー 型 のイメージ 図 については 那 須 電 機 鉄 工 HP( より みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 コンクリート 柱 型 のイメージ 図 については アトラスコミュニケーシ ョン HP( 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 図 表 12 基 地 局 設 置 場 所 の 各 部 名 称 アンテナ アンテナフィーダー マスト タワー キャビネット/ 電 源 装 置 / 冷 却 装 置 site 基 地 局 ( 出 所 )みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 構 成 部 位 3 コア ネットワーク 競 争 政 策 上 の 観 点 から タワー 共 有 は 認 められや すい 3コアネットワーク: 音 声 やデータの 通 信 路 の 設 定 開 放 交 換 や 移 動 管 理 の 機 能 を 備 えた 移 動 交 換 機 や 電 話 網 ISDN および 他 の 移 動 通 信 網 と 相 互 接 続 するための 機 能 を 具 備 している 関 門 交 換 機 などの 部 分 を 指 す 上 で 述 べたように 2と3は 一 般 に アクティブインフラ (active infrastructure) といわれる 競 争 政 策 上 の 観 点 からは パッシブインフラであるタワーの 共 有 共 用 は 容 認 されやすい タワーは その 設 置 場 所 の 設 計 ( 基 地 局 設 計 )が ネットワ ーク 展 開 上 で 重 要 であるが アクセスネットワークやコアネットワークといったア クティブインフラと 異 なり ネットワーク 構 成 の 技 術 的 な 内 容 に 影 響 を 及 ぼすも のではない 従 って 複 数 キャリア 間 でタワーの 共 有 共 用 を 行 ったとしても 各 キャリアがサービス 内 容 の 差 別 性 を 追 求 することは 可 能 であると 考 えられる 8

10 一 方 で 共 有 共 用 範 囲 がアクセスネットワークやコアネットワークへと 進 むに 連 れて インフラを 共 有 共 用 しているキャリア 間 において 技 術 的 に 独 自 のネ ットワークを 構 築 できなくなるため 技 術 革 新 が 阻 害 され 差 別 化 されたサー ビスを 提 供 することが 難 しくなる よって 競 争 政 策 的 な 観 点 から タワーの 共 有 共 用 は アクセスネットワークやコアネットワークの 共 有 共 用 に 比 べて 容 認 されやすいものと 考 えられる 経 済 効 果 の 観 点 からも タワーの 共 有 は 効 果 が 高 い また 共 有 共 用 のもたらす 経 済 効 果 の 点 からも タワーの 共 有 共 用 は そ の 効 果 が 高 く 認 められる 為 推 進 されるべきである Ericsson 4 に 拠 れば タワ ーを 含 むパッシブインフラの 費 用 は 全 ネットワークの 費 用 の 20%にも 上 る タワ ーは 風 荷 重 に 耐 えるべく 厳 格 な 基 準 に 適 合 することが 必 要 であり 基 礎 工 事 などに 原 材 料 費 人 件 費 の 両 面 で 大 きな 費 用 が 掛 かる 規 模 にもよるが 通 常 郊 外 の 基 地 局 の 場 合 には 数 千 万 円 の 設 置 コストが 必 要 であるといわれ る また ネットワークの 末 端 程 数 も 増 えるため 総 額 は 大 きくなる このよう にタワー 関 連 費 用 は 大 きく その 共 有 共 用 に 伴 う 経 済 効 果 は 無 視 し 得 ない 以 上 より 競 争 政 策 上 の 懸 念 が 低 く 共 有 共 用 の 許 容 性 携 帯 通 信 キャ リアの 視 点 からは 金 額 面 でのネットワーク 合 理 化 効 果 が 高 いため 共 有 共 用 の 必 要 性 1の 共 有 共 用 については 推 進 される 意 義 が 高 いと 考 えられる ( 図 表 13 ) 図 表 13 インフラシェアリング の 範 囲 と 意 義 の 軽 重 高 ( 低 ) 共 有 共 用 の 許 容 性 ( 競 争 政 策 上 の 懸 念 ) 低 ( 高 ) 高 共 有 共 用 の 効 果 ( 設 備 投 資 金 額 ) 低 1 基 地 局 設 置 場 所 2 アクセスネットワーク 3 コアネットワーク 基 地 局 基 地 局 制 御 装 置 移 動 交 換 機 中 継 交 換 機 関 門 移 動 交 換 機 パッシブインフラ アクティブインフラ ( 出 所 )みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 4 ( 出 所 )Ericsson Shared Networks 9

11 (3) インフラシェアリング の 目 的 および 効 果 インフラシェアリ ングの 目 的 効 果 携 帯 通 信 キャリアにとってのインフラシェアリング 推 進 の 目 的 効 果 としては ネットワーク 費 用 の 削 減 機 動 的 なエリア 展 開 の 実 現 単 独 キャリアでは 収 益 性 が 確 保 しづらい 不 採 算 地 域 のエリア 整 備 などが 挙 げられる( 図 表 14 ) 図 表 14 インフラシェアリング の 目 的 効 果 ネットワーク 費 用 削 減 国 民 経 済 に 与 える 付 帯 的 効 果 インフラ シェアリングの 目 的 効 果 機 動 的 なエリア 展 開 の 実 現 不 採 算 地 域 のエリア 整 備 環 境 負 荷 軽 減 ユーザー 料 金 の 低 減 デジタルデバイド 解 消 ( 出 所 )みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 設 備 投 資 および 期 中 のコストの 低 減 が 可 能 ネットワーク 費 用 の 削 減 については 複 数 の 携 帯 通 信 キャリアでインフラを 共 同 構 築 することで 1キャリア 当 りの 設 備 投 資 額 (CapEx)を 削 減 することがで きるほか オペレーション 保 守 電 力 料 金 等 にかかる 期 中 のネットワーク 費 用 (OpEx)を 低 減 することも 可 能 となる 実 際 には 共 有 共 用 の 範 囲 規 模 や 設 置 する 基 地 局 のタイプにより 削 減 の 度 合 は 大 きく 異 なるものの 一 定 の 前 提 を 置 いて 経 済 効 果 の 算 定 を 試 みる 例 えば アングルトラス 型 の 基 地 局 を1 万 基 新 規 建 設 し 2 社 で 共 有 共 用 す る 場 合 においては 10 年 間 において1キャリア 当 りの 設 備 投 資 額 が 2,250 億 円 期 中 のコストが 145 億 円 削 減 できることとなり 2,395 億 円 の 削 減 が 見 込 まれる ( 図 表 15 ) 更 に 共 有 共 用 範 囲 を 基 地 局 アンテナ 等 に 広 げることになれ ば より 大 きな 経 済 効 果 が 得 られることになろう 図 表 15 インフラシェアリング の 1 社 当 たり 経 済 効 果 試 算 マスト タワー アンテナ アンテナ フィーダー キャビネット 電 源 装 置 冷 却 装 置 site 基 地 局 (2 社 で 共 有 する 場 合 ) 共 有 イメージ 前 提 条 件 全 体 共 有 対 象 基 地 局 数 : 新 規 5,000 局 ~2 万 局 対 象 地 域 : ルーラルエリア CapEx 鉄 塔 : 50 百 万 円 ~60 百 万 円 共 有 する 事 業 者 数 に 応 じて 費 用 が 増 加 アンテナ 基 地 局 フィーダー 等 : 共 有 せず OpEx 借 地 代 : 25 万 円 / 年 電 気 代 : 共 有 せず メンテナンス 代 : 5 万 円 / 年 共 有 可 能 部 分 : 80% 試 算 には 10 年 間 の 合 計 を 仮 定 (3 社 で 共 有 する 場 合 ) 共 有 対 象 基 地 局 数 CapEx OpEx (10 年 間 合 計 ) 合 計 共 有 対 象 基 地 局 数 CapEx OpEx (10 年 間 合 計 ) 合 計 5,000 基 1,125 億 円 73 億 円 1,198 億 円 5,000 基 1,500 億 円 97 億 円 1,597 億 円 1 万 基 2,250 億 円 145 億 円 2,395 億 円 1 万 基 3,000 億 円 193 億 円 3,193 億 円 2 万 基 4,500 億 円 290 億 円 4,790 億 円 2 万 基 6,000 億 円 387 億 円 6,387 億 円 ( 出 所 )みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 ( 注 ) 前 提 条 件 ( 図 表 右 上 ) 経 済 効 果 試 算 結 果 ( 図 表 下 部 )については みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 推 計 10

12 機 動 的 なエリア 展 開 や 不 採 算 地 域 のエリア 整 備 が 可 能 国 民 経 済 へのプ ラスの 効 果 も ネットワーク 費 用 削 減 以 外 の 効 果 としては エリア 展 開 の 初 期 において 機 動 的 にエリアを 拡 大 することが 可 能 となる さらに ルーラルエリアなどの 潜 在 加 入 者 数 が 限 られるエリアにおいては 単 独 キャリアによる 展 開 では 損 益 分 岐 点 に 到 達 することが 難 しいものの 複 数 キャリアが 共 同 で 設 備 を 構 築 し 共 同 利 用 することにより 固 定 費 や 変 動 費 を 薄 めること(=1キャリア 当 りの 限 界 費 用 を 低 減 すること)が 可 能 となるため 利 益 を 確 保 することができるようになる さらに 国 民 経 済 に 対 する 付 帯 的 効 果 も 認 められる 共 有 や 共 用 を 行 うこと で 基 地 局 の 設 置 数 を 減 らすことができる 為 景 勝 地 における 景 観 や 自 然 への ネガティブな 影 響 を 抑 制 することができる また ネットワーク 費 用 を 低 減 する ことで ユーザー 料 金 の 低 廉 化 の 余 地 も 生 まれる さらに ルーラルエリアの おけるエリア 整 備 が 進 むことによって デジタルデバイドの 解 消 にも 資 すること となろう (4) インフラシェアリング の 効 果 に 関 する 外 部 要 因 整 理 インフラシェアリ ングの 効 果 を 左 右 する 3 つの 外 部 要 因 あり 上 記 のようなインフラシェアリングの 効 果 を 左 右 する 国 別 の 外 部 要 因 として 一 般 的 に 以 下 の 3 点 が 挙 げられる( 図 表 16 ) 第 1 に 国 土 の 広 さである 国 土 面 積 の 広 い 国 では カバー 率 を 上 げるために 多 額 の 設 備 投 資 が 必 要 と なる よって インフラシェアリングにより 効 率 的 にカバー 率 を 上 げることができ る 第 2 に 携 帯 通 信 キャリアの 数 である 携 帯 通 信 キャリア 数 が 多 い 国 では 設 備 の 二 重 投 資 が 発 生 しがちであるため インフラシェアリングによるコスト 削 減 効 果 が 高 い 第 3 に コスト 削 減 圧 力 である 消 費 者 ニーズや 規 制 競 争 環 境 等 によりコスト 削 減 に 対 するプレッシャーが 大 きい 場 合 インフラシェアリン グに 対 する 各 キャリアのインセンティブが 強 まる 図 表 16 インフラシェアリング の 効 果 を 左 右 する 国 別 の 外 部 要 因 低 インフラシェアリングの 効 果 高 狭 1 国 土 の 広 さ 広 少 2 携 帯 通 信 キャリアの 数 多 低 3コスト 削 減 圧 力 高 ( 出 所 )みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 11

13 (5) インフラシェアリング 運 営 主 体 の 分 類 インフラシェアリングの 運 営 主 体 は インフラシェアリングに 対 する 携 帯 通 信 キャリアの 関 与 度 の 観 点 から 以 下 のように 分 類 できる( 図 表 17 ) 類 型 1 キャリア 支 配 型 類 型 2 キャリア 一 部 支 配 型 類 型 3 複 数 キャ リア 共 有 型 類 型 4 独 立 系 事 業 者 型 類 型 1は キャリア 支 配 型 であり 携 帯 通 信 キャリアの 一 部 門 で 運 営 さ れているかキャリアの 100% 子 会 社 が 運 営 しているものである テナントは 自 社 のみであることが 多 く 共 用 の 程 度 は 低 い( 詳 細 後 述 ) 類 型 2は キャリアが 支 配 しているものの 株 式 の 一 部 をフィナンシャルイン ベスター 等 の 第 三 者 に 売 却 しているケース( キャリア 一 部 売 却 型 )である 基 本 的 に 自 社 キャリアを 主 なテナントとしながらも 他 キャリアへの 貸 出 による 設 備 の 有 効 利 用 を 狙 い 新 たな 収 益 獲 得 を 狙 う インドの 新 興 系 大 手 財 閥 で あるリライアンスグループ 傘 下 の Reliance Infratel や Bharti Airtel がこの 類 型 該 当 する 類 型 3は 複 数 キャリア 共 有 型 である 複 数 のキャリアが 合 弁 会 社 を 設 立 し 自 社 が 現 有 する 構 築 済 の 設 備 を 現 物 出 資 の 形 で 拠 出 する 参 画 キャリ ア 間 でタワーを 相 互 活 用 するほか 新 規 の 構 築 ニーズがあれば 新 規 のタワー 等 の 設 備 を 構 築 し 複 数 キャリアが 利 用 する また 参 画 キャリアに 限 らず 非 参 画 企 業 にも 貸 し 出 すことは 可 能 である インド 最 大 のタワー 所 有 会 社 である Indus Towers はこの 類 型 に 該 当 する 類 型 4は 独 立 系 事 業 者 型 である 携 帯 通 信 キャリアではない 独 立 系 の 事 業 者 が 設 備 を 構 築 し 携 帯 通 信 キャリアに 幅 広 く 貸 し 出 すことで 設 備 を 複 数 キャリア 間 で 共 用 させるケースである 米 国 の American Tower 社 Crown Castle International 社 SBA Communications 社 インドでネットワーク 構 築 等 を 手 がける Global Group 傘 下 の GTL Infrastructure 社 が 典 型 事 例 である な お 日 本 の 電 力 系 事 業 者 については インフラシェアリング 専 業 ではなく 規 模 感 も 限 定 的 であるが 非 キャリアという 意 味 ではこの 類 型 に 属 する 図 表 17 インフラシェアリング 運 営 主 体 の 分 類 類 型 1: キャリア 支 配 型 類 型 2: キャリア 一 部 売 却 型 類 型 3: 複 数 キャリア 共 有 型 類 型 4: 独 立 系 事 業 者 型 株 主 構 成 キャリア100%ま たはキャリアの 一 部 門 キャリアに 連 結 一 部 を 外 部 投 資 家 に 売 却 複 数 キャリアでJV 設 立 キャリアから 独 立 し た 事 業 体 が 設 立 ビジネスモデル テナントは 自 社 が 中 心 であること が 多 く 一 般 的 に 設 備 の 利 用 効 率 は 低 い 基 本 的 に 自 社 キャリアを 主 なテナ ントとしながらも 他 キャリアへの 利 用 を 狙 う 一 部 売 却 でマネタイズ 特 定 のキャリア 間 で 設 備 を 共 用 利 用 効 率 は 中 程 度 複 数 キャリアがテナントに 利 用 効 率 は 高 い 事 例 BSNL(インド)~ 他 社 にも 貸 出 ( 日 系 キャリア) Reliance Infratel (インド) Bharti (インド) Indus Towers (Vodafone, Bharti, Idea 間 のJV) (インド) Crown Castle ( 米 ) American Tower ( 米 ) SBA Comm. ( 米 ) GTL(インド) Tata (WTTI) Quippo(インド) (ケイ オプティコム( 日 )) ( 出 所 )みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 ( 注 ) 欧 州 事 例 については インフラシェアリングの 形 態 が 不 明 であるため 本 図 表 からは 除 いていることに 留 意 12

14 (6) インフラシェアリング 運 営 主 体 (タワー 事 業 者 )のビジネスモデルの 特 徴 ビジネスモデル の 特 徴 この 項 では インフラシェアリング 運 営 主 体 のビジネスモデルの 特 徴 につい て 説 明 する 前 述 のようにインフラシェアリング 運 営 主 体 には 様 々な 形 態 があ るが ここでは 米 国 の American Tower 社 Crown Castle International 社 など のタワー 事 業 者 のようなタワー 貸 出 に 特 化 した 独 立 系 の 会 社 ( 類 型 4)を 念 頭 において 議 論 する 収 益 面 では 以 下 の 特 徴 がある 高 い 契 約 更 改 率 を 有 する 長 期 契 約 顧 客 基 盤 は 少 数 に 集 中 1 高 い 契 約 更 改 率 を 有 する 長 期 契 約 : タワーを 建 設 し 完 成 したら 保 有 の 上 タワーをキャリアに 対 して 長 期 のリース 契 約 を 締 結 し 貸 し 出 すことにな る 通 常 契 約 期 間 は 当 初 は 5 年 から 10 年 程 度 であり 満 期 時 には 5 年 単 位 で 更 改 されることになる リース 料 は 通 常 年 率 で 3-5% 上 昇 するように 設 定 され る キャリア(=テナント)にとってはスイッチングコストが 高 いため 解 約 率 は 1~ 2% 程 度 5 と 極 めて 低 く 長 期 に 亘 って 安 定 的 な 収 益 が 確 保 されることになる 2 少 数 の 携 帯 通 信 キャリアに 集 中 した 顧 客 基 盤 : 顧 客 基 盤 の 分 散 度 の 観 点 からは 少 数 の 携 帯 通 信 キャリアに 偏 っているのが 特 徴 であり リスクであ る キャリアが1 社 でも 破 綻 すれば 大 幅 に 収 益 が 減 少 するおそれがある 一 方 で 費 用 面 では 以 下 の 特 徴 を 有 する 高 い 固 定 比 率 3 高 い 固 定 費 率 : 費 用 の 約 7 割 はタワーの 減 価 償 却 費 等 の 固 定 費 6 とな っており 追 加 でテナントを 受 け 入 れることによる 増 加 費 用 ( 変 動 費 )は 低 い 従 って 損 益 分 岐 点 を 越 えると 収 益 性 が 大 きく 改 善 するのが 特 徴 である タワ ー 事 業 者 は 1タワー 当 りのテナント 数 である tenancy ratio(テナント 率 )を 増 加 させるべく 営 業 活 動 を 行 っている 次 に インフラシェアリング ビジネスを 業 界 としての 魅 力 度 の 観 点 から 米 国 の 市 場 を 念 頭 において Michael E. Porter の 5Forces の 枠 組 みを 利 用 して 分 析 する( 図 表 18 ) タワー 事 業 の 周 辺 業 界 からの 競 争 圧 力 のうち 買 い 手 が 最 大 の 脅 威 1サプライヤー( 鉄 塔 鋼 材 供 給 者 通 建 事 業 者 )が 多 数 分 散 しており サプ ライヤーの 競 争 圧 力 が 低 い 点 は 業 界 の 魅 力 度 を 高 めるのに 寄 与 している 2 新 規 参 入 の 容 易 性 に 関 しては 競 争 圧 力 は 弱 いか 中 程 度 3 代 替 品 の 脅 威 4 業 界 内 競 争 の 点 においては 競 争 圧 力 は 中 程 度 といえる 2 新 規 参 入 の 観 点 では 規 制 上 の 参 入 障 壁 は 低 いものの ビジネスとして 成 り 立 たせるには 一 定 の 規 模 感 が 必 要 であろう さらに 3フェムトセル( 超 小 型 基 地 局 )や 次 世 代 規 格 などの 代 替 的 なネットワーク 整 備 手 法 の 動 向 に 留 意 が 必 要 となる ま た 4 業 界 内 には 多 数 のプレーヤーが 存 在 するが 大 手 事 業 者 に 収 斂 され つつあることから 競 争 の 程 度 は 中 程 度 と 思 われる 5 ( 出 所 )Morgan Stanley Telecom Services Tower Industry Attractive on Strong Fundamentals (2008 年 5 月 19 日 ) 6 ( 出 所 )Delta Partners Tower sharing in the Middle East and Africa: Collaborating in competition (2009 年 4 月 ) 13

15 最 大 の 脅 威 は 5 買 い 手 であろう サービスの 買 い 手 となるキャリア 数 が 少 ないことや キャリア 自 らが 建 設 することが 可 能 であることから 買 い 手 の 脅 威 は 大 きいものと 思 われる 図 表 18 米 国 インフラシェアリングビジネスの 5Forces 分 析 5 Forces Analysis 3 代 替 品 : 中 フェムトセル 次 世 代 通 信 規 格 など 周 波 数 利 用 効 率 を 高 める 新 技 術 の 出 現 が 想 定 され 長 期 的 には 鉄 塔 の 魅 力 が 薄 れる 可 能 性 も 1サプライヤー: 弱 通 建 事 業 者 は 多 数 分 散 して おり サプライヤーのバーゲ ニングパワーは 比 較 的 弱 い 4 業 界 内 競 争 : 中 業 界 プレーヤーは 大 手 を 中 心 に 限 られつつある 5 買 い 手 : 強 キャリア 数 は 限 定 的 資 金 力 は 豊 富 であり 自 社 建 設 もできる 為 バーゲニングパワーは 存 在 2 新 規 参 入 : 弱 ~ 中 規 制 が 無 い 為 参 入 は 容 易 だが 一 方 で 一 定 の 規 模 感 が 必 要 ( 出 所 )みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 14

16 第 3 章.インフラシェアリングの 進 む 海 外 市 場 本 章 においては 国 内 でのインフラシェアリング 導 入 拡 大 に 向 けて 参 考 と すべく シェアリングの 進 んでいる 海 外 の 事 例 を 見 ていきたい (1) 海 外 におけるモバイルインフラ 共 有 共 用 に 関 する 規 制 海 外 においては 日 本 と 同 様 に1タワー 2アクセスネットワーク 3コアネ ットワークのいずれのシェアリングについても 基 本 的 に 周 波 数 をシェアリング しない 限 り 可 能 であることが 多 い 但 し 国 によってモバイルインフラ 共 有 共 用 に 向 けた 取 組 みの 姿 勢 には 跛 行 性 がある 以 下 海 外 の 主 要 国 について インフラシェアリングに 関 する 当 局 の 規 制 方 針 について 紹 介 する 米 国 では 一 般 的 にはインフラシ ェアリングを 規 制 せず インドでは 政 府 がインフラシェア リングを 積 極 推 進 英 国 では 当 局 がインフラシェア リングを 慫 慂 す るも 一 部 規 制 あり 米 国 においては 州 政 府 各 地 方 自 治 体 およびその 補 助 機 関 は 無 線 事 業 者 に 対 し 原 則 として インフラの 設 置 構 築 修 築 に 関 する 制 限 を 設 ける ことが 出 来 ない 7 FCC 8 は 米 国 移 動 体 通 信 業 界 が 十 分 な 競 争 原 理 が 働 いて いるため 一 般 的 にインフラシェアリングを 規 制 しないという 見 解 を 示 している 9 むしろインフラ 共 用 ( 貸 出 )の 促 進 策 として インフラ 保 有 者 が 共 用 を 求 められ た 場 合 過 去 事 例 10 から 共 用 の 可 否 についての 返 答 期 限 を 90 日 とする 方 針 等 が 定 められている インドは インフラシェアリングについて 積 極 推 進 の 姿 勢 を 示 している 携 帯 通 信 キャリア 間 におけるインフラシェアリングが 相 当 程 度 進 行 している 同 国 の 通 信 規 制 当 局 である TRAI 11 は 当 初 はタワー 等 の パッシブインフラ のシ ェアリングのみを 認 めていたが 2007 年 4 月 の 勧 告 文 書 12 では アクティブイ ンフラ および 一 定 のノードにおける 基 地 局 =BSC 間 の バックホール( 伝 送 路 ) のシェアリングも 認 めるに 至 っている 同 当 局 は 急 成 長 を 遂 げつつある 通 信 サービス 産 業 におけるエリア 整 備 ニーズを 背 景 に 携 帯 通 信 キャリアに 対 し 他 社 への パッシブインフラ の 貸 出 義 務 を 課 すには 及 ばないものの キ ャリア 間 でのシェアリングの 緊 急 性 を 訴 えている 但 し 周 波 数 のシェアリング については 認 めていない 英 国 では 2001 年 5 月 に 当 時 電 気 通 信 事 業 を 規 制 していた Oftel 13 が 3G( 第 3 世 代 )のインフラシェアリングに 関 する 初 の 通 達 (note for information) 14 を 出 している 同 通 達 では インフラシェアリングの 類 型 が 整 理 され インフラ シェアリングに 関 する 規 制 の 基 本 的 考 え 方 を 提 示 している 同 当 局 は タワー 7 ( 出 所 )Code of Federal Regulations( 連 邦 規 則 集 ) Title47 332(c)(7) 8 The Federal Communications Commission( 連 邦 通 信 委 員 会 ) 9 ( 出 所 )FCC Contribution of the United States Federal Communications Commission 2008 Global Symposium for Regulators Consultation (2008 年 3 月 ) 10 ( 出 所 )Varnum LLP FCC Tower Siting Shot Clock Order: A Municipal Perspective 11 Telecom Regulatory Authority of India( 電 気 通 信 管 理 局 ) インドの 通 信 規 制 当 局 12 ( 出 所 )TRAI プレスリリース No.33 TRAI recommends Infrastructure Sharing of passive, active and backhaul networks. (2007 年 4 月 11 日 ) 13 Office of Telecommunications( 英 国 電 気 通 信 庁 ) イギリスの 通 信 規 制 当 局 その 後 2003 年 12 月 に 他 規 制 機 関 と 統 合 し Ofcom(Office of Communications 英 国 情 報 通 信 庁 ) 設 立 14 ( 出 所 )Oftel プレスリリース 3G Mobile Infrastructure Sharing in the UK (2001 年 5 月 1 日 ) 15

17 等 のシェアリングを 慫 慂 しているが 周 波 数 や 免 許 の 譲 渡 を 禁 じた Wireless Telegraphy 法 に 違 反 することを 禁 じている また シェアリングによるキャリア 間 の 反 競 争 的 な 行 為 も 禁 じている 2003 年 4 月 には EU( 欧 州 連 合 )が 英 国 における 3G インフラシェアリングを 承 認 している フランスでは イ ンフラシェアリン グを 5 段 階 に 区 分 して 規 制 フランスでは 現 在 の 規 制 機 関 ARCEP の 前 身 である ART 15 が キャリア 同 士 の 適 正 な 競 争 環 境 が 確 保 され 加 入 者 の 利 益 に 資 するという 条 件 の 下 3G インフラのシェアリングを 認 めている 具 体 的 には 3G インフラシェアリングに 関 して シェアリング 範 囲 に 応 じて 5 つのレベルに 区 分 して 規 制 を 定 めている ( 図 表 19 ) これによれば 同 規 制 当 局 は 周 波 数 のシェアリングに 繋 がるコ アネットワークのシェアリングは 認 めていないが RNC に 至 るまでのアクセスネ ットワークのシェアリングは 認 めている また ARCEP 16 は ルーラルエリアにおけるインフラシェアリングを 推 進 して いる 2009 年 4 月 に 同 当 局 が 3G 網 のシェアリングに 係 る 計 画 17 を 提 示 し 2010 年 2 月 には 国 内 の 既 存 携 帯 通 信 キャリア 3 社 (Orange France SFR Bouygues Telecom)が 主 にルーラル 地 域 における 3G サービス 普 及 を 目 的 に 3G 網 のシェアリングに 合 意 している 不 感 地 域 を 中 心 として 3 社 が 既 存 2G ( 第 2 世 代 ) 網 の 再 利 用 も 含 めた 3G 網 の 構 築 を 2013 年 末 までに 分 担 して 進 め 構 築 後 のネットワークを 共 同 利 用 するものである 重 点 地 域 は 人 口 の 10% 以 上 がどの 携 帯 通 信 キャリアのネットワークでもカバーされない 地 域 や 住 民 の1% 以 上 が 地 理 的 問 題 から 移 動 体 通 信 サービスを 利 用 できない 地 域 と なっている これにより 同 当 局 は 3G の 人 口 カバー 率 98%が 達 成 可 能 である と 想 定 している 図 表 19 フランスにおけるインフラシェアリングに 関 する 規 制 インフラ シェアリングの レベル Level 1 インフラシェアリングの 範 囲 土 地 土 木 工 事 建 造 物 鉄 塔 電 源 供 給 冷 却 機 器 BSC/ Node B 間 の 連 結 部 分 等 規 制 内 容 パッシブインフラ 全 般 のシェアリングは 可 能 であり むしろ 推 進 すべき BSC/Node B 間 の 連 結 部 分 については UMTSネットワークに 直 接 繋 がって いない 部 分 に 限 る シ ェ ア リ ン グ 可 Level 2 Level 3 Level 4 アンテナ フィーダー 連 結 部 その 他 周 辺 機 器 のうちパッシブな 部 分 BSC/Node B RNC アンテナおよび 周 辺 機 器 のシェアリングは 可 能 アンテナおよび 周 辺 機 器 はパッシブインフラと 見 なし level1の 延 長 と 考 える BSC/Node Bのシェアリングは 可 能 周 波 数 を 操 作 するNode Bは 各 キャリアで 完 全 に 独 立 して 保 守 運 用 する 必 要 TRX 等 アクティブな 装 置 は 各 キャリアで 独 立 して 保 有 する 必 要 RNCのシェアリングは 可 能 RNCの 保 守 運 用 は 各 キャリアが 独 立 して 行 う 必 要 シ MSCおよび 固 定 網 に 繋 がるルーター 部 分 のシェアリングは 不 可 不 ェ ア 可 リ Level 5 MSC ルーター 周 波 数 のシェアリングのおそれがあるインフラシェアリングの 形 態 は 規 制 の 構 ン 想 上 認 めていないため コアネットワーク 部 分 のシェアリングは 全 般 的 に 認 めら グ れない ( 出 所 )GSMA Mobile Infrastructure Sharing よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 15 Autorité de Régulation des Télécommunications 2005 年 に ARCEP へと 組 織 変 更 16 Autorité de Régulation des Communications Electroniques et des Postes フランスの 通 信 規 制 当 局 17 ( 出 所 )ARCEP プレスリリース Under the aegis of ARCEP, operators sign a 3G mobile network sharing agreement that will enable full nationwide coverage by the end of 2013 (2010 年 2 月 24 日 ) 16

18 (2) 海 外 におけるモバイルインフラシェアリングの 事 例 米 国 では 独 立 系 タワー 事 業 者 により 一 産 業 が 形 成 されている 米 国 では キャリア 間 でのタワーの 共 有 事 例 よりも 独 立 系 タワー 事 業 者 が 多 く 存 在 しており 携 帯 通 信 キャリアに 対 してタワーの 貸 出 (リース)を 行 ってい る( 図 表 20 ) とりわけ American Tower(26,600 タワー) Crown Castle International(24,000 タワー)および SBA Communications(8,324 タワー)の 大 手 3 社 の 存 在 感 が 顕 著 である うち 上 位 2 社 (American Tower と Crown Castle International)は 100 億 ト ルを 超 える 時 価 総 額 を 有 するなど 規 模 感 も 大 きい 米 国 にはタワー 業 界 の 業 界 団 体 である The Personal Communications Industry Association(PCIA)が 存 在 し タワー 業 界 が 一 産 業 を 形 成 している The Wireless Association(CTIA)の 調 査 CTIA Semi-Annual Wireless Industry Survey に 拠 れば 2009 年 12 月 時 点 で 全 米 のタワー 数 は 247, に 上 り タ ワー 業 界 の 売 上 規 模 は 141 億 ト ル( 約 1 兆 3,000 億 円 19 )と 推 定 される(みずほ 推 計 ) 図 表 20 米 国 の 独 立 系 主 要 インフラシェアリング 運 営 主 体 (タワー 事 業 者 )の 概 要 American Tower (AMT) Crown Castle Int l (CCI) SBA Communications (SBAC) Tower 数 (09/12 末 ) 26,600 24,000 8,324 設 立 年 95 年 94 年 89 年 売 上 高 (FYE09/12) $1,724mm $1,685mm $555mm 時 価 総 額 (10/10 末 ) $20.6bil $12.5bil $4.5bil 主 要 顧 客 AT&T SprintNextel Verizon Wireless Grupo Iusacell Nextel International Telefonica Vodafone Idea Aircel 等 Verizon AT&T SprintNextel T-Mobile 等 AT&T SprintNextel T-Mobile Verizon Wireless 等 展 開 国 米 国 メキシコ ブラジル インド 米 国 豪 州 カナダ 米 国 ( 含 むバージン 諸 島 ) カナダ プエルトリコ ( 出 所 ) 各 社 IR 資 料 等 よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 American Tower の 状 況 タワー 業 界 最 大 手 の American Tower は 1995 年 にラジオ 局 である American Radio Systems により 設 立 され 1998 年 に 同 社 が CBS に 買 収 された のを 期 に スピンオフされ IPO を 果 たしている 現 在 米 国 メキシコ ブラジ ル インドの 市 場 において 計 26,600 のタワーサイトを 保 有 している AT&T Sprint Verizon や T-Mobile などの 米 国 大 手 携 帯 通 信 キャリアに 対 してタワー サイトを 貸 し 出 している 2005 年 には SpectraSite(7,800 タワーサイト 保 有 )を 買 収 し 国 内 での 事 業 規 模 を 大 幅 に 拡 大 している また 米 国 市 場 の 飽 和 を 見 越 し 新 興 市 場 であるインドで 積 極 的 な 拡 大 を 志 向 している 同 社 は 2009 年 に 現 地 事 業 者 2 社 (Xcel Telecom および Transcend Infrastructure)を 買 収 した 18 ( 出 所 )CTIA CTIA Semi-Annual Wireless Industry Survey 19 換 算 レートは 1 ドル=92.07 円 (2009 年 12 月 末 TTM)として 計 算 17

19 のに 続 き 2010 年 には Essar Telecom Infrastructure(4,450 タワーサイト 保 有 ) を 4 億 3000 万 ト ルで 買 収 し インドのタワー 数 を 7,000 に 拡 大 させ インドにお ける 大 手 独 立 系 事 業 者 の 一 角 を 占 めるに 至 っている( 図 表 21 ) 図 表 21 American Tower の 顧 客 基 盤 ( 左 )と 国 別 売 上 高 ( 右 ) AT&T 19% Mexico 9% Brazil 5% India 1% Others 39% Sprint Nextel 18% T-Mobile 9% Verizon Wireless (+ALLTEL) 15% US 85% ( 出 所 )American Tower IR 資 料 等 よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 Crown Castle Internationalの 状 況 SBA Communications の 状 況 独 立 系 2 位 の Crown Castle International は 独 立 系 のタワー 事 業 者 であ る タワー 数 は 2009 年 12 月 末 で 24,000 に 上 り 本 国 の 米 国 のほか 豪 州 お よび 加 州 にも 展 開 している 米 国 では Verizon AT&T SprintNextel T-Mobile など 豪 州 では Telstra Optus などのキャリアにタワーを 提 供 している 2007 年 には 同 業 の Global Signal( 買 収 当 時 3 位 10,659 タワーを 保 有 )を 58 億 ト ル( 約 6,621 億 円 20 )で 買 収 し 事 業 規 模 を 拡 大 している 独 立 系 3 位 の SBA Communications は 大 手 2 社 と 比 較 するとタワー 数 は 8,000 と 大 きく 劣 後 している 損 益 状 況 は 税 引 後 利 益 が 1.4 億 ト ルの 赤 字 決 算 (2009 年 12 月 期 )となっており 芳 しくない 2006 年 の ATT(1,850 タワー 保 有 ) に 続 き 2008 年 に Optasite(528 タワー 保 有 ), Light Tower(340 タワー 保 有 )を 2.2 億 ト ル( 約 200 億 円 21 )で 買 収 その 他 同 2008 年 に 複 数 事 業 者 から 計 701 タワーを 4.4 億 ト ル( 約 400 億 円 22 )で 買 収 するなど 積 極 的 な 拡 大 を 志 向 してい る キャリア 系 では AT&T( 自 社 内 部 門 )が 9,940 のタワーを 保 有 するほか T-Mobile( 自 社 内 部 門 )が 約 7,000 タワーを 保 有 している なお Sprint Nextel は 独 立 系 の TowerCo に 対 して 2008 年 に 6 億 7000 万 ト ルで 約 3,000 のタワー を 売 却 している 換 算 レートは 1 ドル= 円 (2007 年 12 月 末 TTM)として 計 算 換 算 レートは 1 ドル=91.01 円 (2008 年 12 月 末 TTM)として 計 算 換 算 レートは 1 ドル=91.01 円 (2008 年 12 月 末 TTM)として 計 算 18

20 インドにおいては 携 帯 通 信 キャリアによるインフラシェアリング 事 例 が 多 数 見 られる( 図 表 22 ) インドでは 多 様 な 形 態 でインフラ シェアリングが 行 われている Reliance Infratel の 状 況 Quippo Telecom の 状 況 GTL Infrastructure の 状 況 2007 年 には 加 入 者 数 で 携 帯 通 信 キャリア 最 大 手 の Bharti Vodafone Aditya Birla(Idea Cellular)が 既 保 有 のタワー(3 社 計 で 70,000)を 拠 出 し Indus Towers を 設 立 している 同 社 は 現 在 恐 らく 世 界 最 大 数 のタワーを 有 するタワー 事 業 者 と 思 われる 主 要 顧 客 は 母 体 キャリア 3 社 に 加 えて BSNL Aircel Reliance Communications Union Loop Tata Teleservices が 含 まれて おり 幅 広 い 顧 客 基 盤 を 有 している 現 在 は 102,696 基 (2009/12 末 )のタワー を 保 有 している 3 大 携 帯 通 信 キャリアの1つである Reliance Communications は タワーを 別 会 社 Reliance Infratel に 切 り 出 した 上 で ファンドに 対 して 株 式 の 5%を 売 却 し ている 顧 客 基 盤 としては 自 社 に 加 え Etisalat S-Tel Aircel Tata MTS な どを 有 する Reliance Infratel は IPO に 関 する 許 可 を 当 局 (SEBI)から 2010 年 1 月 に 取 得 しており IPO が 近 々 実 施 されると 噂 されていたが 同 年 6 月 27 日 には Reliance Infratel と GTL Infrastructure との 合 併 を 発 表 している 独 立 系 の Quippo Telecom( 略 称 QTIL) 23 と Tata Teleservices 傘 下 の Wireless TT Inforservices( 略 称 WTTIL) 24 は 2009 年 1 月 に 両 社 のタワー 事 業 の 統 合 を 発 表 している その 後 同 社 は 2010 年 3 月 に Tata Teleservices 社 の 兄 弟 会 社 である Tata Teleservices (Maharashtra) 社 のタワー 子 会 社 を 買 収 し ムンバイ 等 の 都 市 部 を 中 心 とした 2,535 のタワーを 131 億 インドルピー ( 約 271 億 円 )で 獲 得 タワー 数 は 2010 年 3 月 末 時 点 で 40,000 程 度 まで 達 しているものと 見 られる 統 合 完 了 後 の 同 社 の 株 主 構 成 は Tata Group が 55% SREI グループが 計 11% その 他 のシンガポールやオマーンの 政 府 系 ファンド となる 見 込 みである 独 立 系 の GTL Infrastructure は ネットワーク 構 築 等 を 手 がける Global Group 傘 下 の 企 業 であり 国 内 証 券 市 場 (BSE NSE)に 上 場 している 2010 年 1 月 には 中 堅 携 帯 通 信 キャリア Aircel が 保 有 する 17,500 のタワーを 840 億 インドルピー( 約 1,739 億 円 25 )で 買 収 することを 発 表 し 買 収 後 のタワーサ イト 数 は 32,500 に 上 る 同 社 は 2013 年 までに 50,000 のタワーを 構 築 すること を 目 標 としていた 上 述 の 通 り 2010 年 6 月 には Reliance Infratel との 合 併 を 発 表 している 23 インフラビジネスを 手 がける SREI Infrastructure Finance 傘 下 の 通 信 インフラ 会 社 年 に 設 立 された Tata Teleservices の 100% 子 会 社 25 換 算 レートは 1 ルピー=2.07 円 (2010 年 3 月 末 TTM)として 計 算 19

21 図 表 22 インドの 主 要 インフラシェアリング 運 営 会 社 (タワーカンパニー)の 概 要 Indus Towers Reliance Infratel BSNL GTL Infrastructure Bharti Infratel Tata (WTTI) Quippo タワー 数 102,696 (09/12 末 ) 48,000 (09/9 末 ) 45,000 (09/10 末 ) 32,500 (09/12 末 ) 30,568 (10/3 末 ) 25,000 (09/8 末 ) 設 立 年 07 年 01 年 04 年 06 年 04 年 株 主 構 成 Bharti Infratel 42% Vodafone Essar 42% Aditya Birla16% Rcom 94.5% ファンド 5% 従 業 員 持 株 会 0.5% GTL 約 50% Bharti Airtel 92.51% (09/3 末 ) Tata51% Quippo49% 主 要 顧 客 自 社 (Idea, Vodafone, Bharti)+BSNL Aircel, Rcom Union Loop Tata 等 自 社 (RCom)+ Etisalat, S-Tel, Aircel, Tata, MTSなど 非 開 示 Tata, Aircel, RCom, Bharti, BSNL, Vodafone, Ideaなど 非 開 示 自 社 (Tata)+Idea, Vodafone, Aircel, BSNL, RComなど 類 型 3 複 数 キャリア 共 有 型 2キャリア 一 部 売 却 型 1キャリア 支 配 型 4 独 立 系 事 業 者 型 2キャリア 一 部 売 却 型 4 独 立 系 事 業 者 型 備 考 3 社 によるJV Reliance Communications Infrastructureの 子 会 社 BSNL 本 体 保 有 06 年 上 場 Tower 数 はAircel 含 む Reliance Infratel と 合 併 (10/6 発 表 ) 一 部 ファンドに 売 却 当 初 Tata Tele Infoとして 設 立 05/3にWTTIL 商 号 変 更 09 年 Quippo 合 併 合 併 ( 出 所 ) 各 社 IR 資 料 等 よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 英 国 では 欧 州 他 国 も 含 む 包 括 的 な 提 携 事 例 が 存 在 英 国 では シェアリングに 関 し 3 つの 提 携 事 例 が 存 在 する それぞれ 1 Vodafone UK = Orange UK 間 2T-Mobile = Hutchison 3G 間 ( 英 国 内 のタワ ー アクセスネットワークのシェアリング) 及 び3Vodafone = Telefonica 間 で シェアリング 事 例 が 存 在 する( 図 表 23 ) 1 2の 事 例 では 英 国 内 でのタ ワー RAN のシェアリングを 行 っているのに 対 して 3の 事 例 は 英 国 のみな らず 欧 州 の 他 国 も 含 む 包 括 的 なものである 図 表 23 英 国 におけるキャリア 間 のインフラシェアリングに 係 る 提 携 状 況 O2 (28%) 2 T-Mobile (22%) Vodafone (22%) 3 1 ( 出 所 ) 各 社 IR 資 料 よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 ( 注 ) 括 弧 内 は 2009 年 3 月 末 時 点 の 加 入 者 シェア Orange (22%) Hutchison (6%) 1Vodafone UKと Orange UK の 事 例 年 2 月 に Vodafone UK と Orange UK が 英 国 内 のオペレーションに おける RAN 26 のシェアリングに 関 する 計 画 を 発 表 している( 図 表 24 ) 両 社 のプレスリリースでは RAN には タワー 基 地 局 BSC/RNC を 含 まれるも のと 定 義 し コアネットワークのシェアリングは 行 わないとしている Radio Access Network モバイルインフラにおけるアクセスネットワーク 部 分 ( 図 表 10 ) 27 ( 出 所 )Vodafone プレスリリース Vodafone UK and Orange UK propose radio access network share (2007 年 2 月 8 日 ) 20

22 2 T-Mobile と Hutchison の 事 例 3 Telefonica と Vodafone Group の 事 例 年 12 月 には T-Mobile と Hutchison は 英 国 内 における 3G ネット ワークのシェアリングに 係 る 提 携 を 発 表 した シェアリングの 対 象 はタワー 及 びアクセスネットワークのみであり コアネットワークのシェアリングは 行 わ ない 本 件 により 5,000 タワーが 削 減 でき 財 務 的 なコスト 削 減 効 果 は 10 年 間 で 20 億 ポンド( 約 4,561 億 円 28 )と 想 定 両 者 は 折 半 出 資 で 合 弁 会 社 Mobile Broadband Network Limited 社 を 設 立 し 同 社 がアクセスネットワーク の 管 理 を 行 う 3 更 に 2009 年 3 月 には Telefonica と Vodafone Group の 両 社 が 欧 州 の 複 数 国 におけるモバイルインフラのシェアリングに 関 する 提 携 を 発 表 してい る 向 こう 10 年 間 のコスト 削 減 見 込 額 は 数 億 ポンドとしている 対 象 国 は ドイ ツ アイルランド スペイン 英 国 で 基 本 的 にパッシブインフラのシェアリングだ が シェアリングの 範 囲 方 法 は 各 国 により 異 なっており その 内 容 は 以 下 の 通 りとなっている プレスリリースを 見 る 限 りでは 対 象 設 備 は1 2に 比 べると 基 地 局 の 設 置 場 所 (サイト)のみとなっており 範 囲 が 限 定 的 であるようで 基 地 局 や BSC/RNC まで 踏 み 込 んだ 内 容 ではないのが 特 徴 である 図 表 24 Telefonica と Vodafone Group 間 のインフラシェアリングにかかる 合 意 内 容 対 象 国 ドイツ アイルランド スペイン 英 国 共 有 の 内 容 既 存 2G 3Gのサイトを 共 有 共 有 対 象 の 鉄 塔 は 無 線 バックホール 通 信 の 用 途 にも 利 用 全 サイトを 相 互 に 共 有 新 規 建 設 分 についてもエリアの 拡 張 計 画 が 一 致 する 部 分 において 共 同 にて 実 施 2007 年 以 来 存 在 している 既 存 のサイト 共 有 に 関 する 合 意 を 延 長 こ れには 電 源 装 置 キャビネットおよびmastの 共 有 が 含 まれる 新 規 サイトの 共 同 建 設 および 既 存 2G 3Gのサイトの 統 合 を 推 進 ( 出 所 )Vodafone Group プレスリリース(2009 年 3 月 23 日 )よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 外 部 要 因 および インフラシェアリ ングの 形 態 も 規 制 面 同 様 国 に よって 跛 行 性 あり 以 下 では 各 国 のインフラシェアリングの 事 例 を 第 3 章 にて 整 理 したインフ ラシェアリングの 効 果 を 左 右 する 外 部 要 因 ( 図 表 25 )と 合 わせて 総 括 する 米 国 は 国 土 も 広 く また 携 帯 通 信 キャリアの 数 も 多 いことから インフラシェア リングへのニーズが 高 いという 需 要 側 の 要 因 が 存 在 する 加 えて 比 較 的 早 い 時 期 から 独 立 したタワー 事 業 者 が 立 ち 上 がっており 一 大 産 業 を 形 成 して いる インドでは 国 土 が 広 い 上 に 携 帯 通 信 キャリアの 数 が 非 常 に 多 く 競 争 環 境 面 から 見 てもコスト 削 減 圧 力 が 高 い よって インフラシェアリングへの ニーズが 高 いという 需 要 側 の 要 因 が 存 在 する 急 速 に 高 まるネットワーク 整 備 ニーズを 背 景 とし 規 制 当 局 の 後 押 しを 受 ける 形 で 事 業 者 がインフラ 部 分 を 切 り 出 し 自 らまたは 他 と 共 同 してタワー 事 業 者 を 作 り 他 キャリアに 貸 出 を 行 っている 英 国 を 含 む 欧 州 は 飽 和 する 市 場 環 境 の 中 ネットワーク 費 用 の 低 28 換 算 レートは 1 ポンド= 円 (2007 年 12 月 末 TTM)として 計 算 21

23 減 の 観 点 3G エリア 整 備 の 観 点 から 複 数 事 業 者 間 での 共 同 展 開 シェアリン グ 事 例 が 見 られる 状 況 である 既 存 キャリアもタワー 資 産 有 効 活 用 の 観 点 から 他 社 に 対 して 貸 出 を 行 っている 図 表 25 各 国 間 のインフラシェアリングの 現 状 および 外 部 要 因 比 較 英 国 インド 米 国 インフラシェアリングの 現 状 キャリア 間 での 共 有 共 用 が 中 心 (1Vodafone UK Orange UK 2T-Mobile Hutchison3G 3Vodafone Telefonica) キャリア 間 での 共 有 事 例 と 独 立 系 タワー 会 社 が 並 存 国 内 最 大 手 (Indus Tower)は10 万 基 超 のタワーを 保 有 国 内 の 上 位 キャリア7 社 中 5 社 は 他 キャリアやファンド 等 との 共 同 出 資 によりタワー 事 業 者 を 設 立 タワー 事 業 者 群 による 一 大 産 業 が 形 成 キャリア 間 での 共 用 事 例 も 存 在 1 国 土 の 広 さ 狭 い (24 万 平 方 km) 広 い (329 万 平 方 km) 広 い (937 万 平 方 km) 外 部 要 因 2 携 帯 通 信 キャリアの 数 中 程 度 (5 社 ) 非 常 に 多 い (10 社 以 上 ) 多 い (4 強 + 多 数 ) 3コスト 削 減 圧 力 中 程 度 高 い 中 程 度 ( 出 所 ) 各 社 IR 資 料 等 よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 22

24 第 4 章. 日 本 におけるネットワーク 整 備 の 現 状 国 内 では ネット ワークの 整 備 は 相 当 程 度 進 んで いる 翻 って 日 本 国 内 では 国 土 の 狭 さや 高 収 益 体 質 に 支 えられ 加 入 者 シェア 首 位 の NTT ドコモを 中 心 に 相 当 程 度 ネットワーク 整 備 が 進 んでいる また 3G を 世 界 に 先 駆 けて 同 社 が 2000 年 代 初 頭 に 導 入 したこともあり 主 要 3 キャ リアについては 3G 網 の 整 備 も 進 んでいる ネットワーク 整 備 に 要 した 金 額 面 でみると 携 帯 通 信 キャリア 主 要 3 社 (NTT ドコモ KDDI( 旧 ツーカー 分 含 む) ソフトバンクモバイル)の 2000 年 度 以 降 2009 年 度 までの 10 年 間 の 設 備 投 資 累 計 額 は 約 14 兆 にも 上 る 内 NTT ド コモは 8.6 兆 円 の 設 備 投 資 を 行 っており 群 を 抜 いている( 図 表 26 ) ( 億 円 ) 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 図 表 26 携 帯 通 信 キャリアの 設 備 投 資 金 額 ( 左 : 単 年 度 右 :2000 年 度 以 降 累 計 ) NTTドコモ KDDI SBM イーモバイル ( 億 円 ) 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 NTTドコモ KDDI SBM イーモバイル ( 年 度 ) ( 出 所 ) 各 社 IR 資 料 よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 ( 年 度 ) ネットワークの 面 的 拡 大 にお いては 山 間 部 を 中 心 に 整 備 余 地 あり そもそも ネットワーク 整 備 には 面 的 拡 大 と 質 的 充 実 の 2 面 がある ( 図 表 27 ) 面 的 拡 大 は 文 字 通 り 通 信 サービスが 利 用 可 能 である 地 域 (エリア)を 基 地 局 新 設 により 拡 大 することである 代 表 的 な 指 標 としては 人 口 カバー 率 が 用 いられる 人 口 カバー 率 は 市 町 村 の 役 場 が 所 在 する 地 点 に おける 通 信 が 可 能 か 否 かを 基 に 算 出 29 されている つまり 役 場 で 通 信 ができ るようであれば 自 宅 で 通 信 が 可 能 か 否 かにかかわらず その 市 町 村 の 人 口 の 全 てが 人 口 カバー 率 の 分 子 に 含 まれることになり 実 態 よりも 高 く 出 る 傾 向 にある この 人 口 カバー 率 で 算 出 したカバー 率 は 2007 年 に 市 場 参 入 を 果 た し 現 在 もなおエリア 整 備 の 途 上 にあるイー モバイルを 除 けば 大 手 3 キャリ アともほぼ 100%を 達 成 しており 確 かに 数 字 の 上 ではエリア 整 備 は 完 了 した かに 思 われる( 図 表 28 ) 29 ( 出 所 )NTT ドコモ 2010 年 4 月 携 帯 電 話 カタログ 23

25 図 表 27 ネットワーク 整 備 の 類 型 整 理 インフラシェアリング 面 的 拡 大 未 整 備 ルーラルエリアへの 基 地 局 展 開 屋 内 の 不 感 エリア 対 策 屋 外 基 地 局 建 設 フェムトセル ネットワーク 整 備 既 設 エリアの 小 セル 化 質 的 充 実 (キャパシティ 増 強 ) 固 定 網 へのオフロード 無 線 LAN 対 応 端 末 次 世 代 投 資 LTE 展 開 ( 出 所 )みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 図 表 28 国 内 における 基 地 局 整 備 およびタワー 共 用 の 状 況 NTTドコモ KDDI SBM emobile Willcom UQ Com. 基 地 局 数 84,947 47,705 73,196 9,508 約 16 万 13,060 通 信 規 格 W-CDMA HSDPA HSUPA CDMA2000 1x EV-DO Rev.A EV-DO Rev.A MC W-CDMA HSDPA W-CDMA HSDPA HSUPA HSPA+ PHS/XGP (マイクロセル) モバイル WiMAX 人 口 カバー 率 100% 99.9% 99.98% 90% 超 99% 76% 共 用 の 状 況 1% 未 満 (アングルトラス 型 以 外 には 例 がない) 1% 未 満 1% 未 満 n/a n/a n/a ( 出 所 )NTT ドコモ KDDI ソフトバンクモバイル イー モバイル UQ コミュニケーションズの 基 地 局 数 について は 総 務 省 電 波 利 用 ホームページ ( 年 10 月 30 日 時 点 )よりみずほコー ポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 ウィルコムの 基 地 局 数 については ウィルコム IR 資 料 よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 共 用 の 状 況 については 総 務 省 電 気 通 信 市 場 の 環 境 変 化 に 対 応 した 接 続 ルールの 在 り 方 について ( 情 報 通 信 審 議 会 からの 答 申 )(2009 年 10 月 16 日 )よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 しかし 実 際 には 通 信 可 能 な 地 域 は 山 間 部 を 中 心 に 依 然 として 未 整 備 な 地 域 が 存 在 する( 図 表 29~32 ) キャリア 毎 の 整 備 状 況 を 仔 細 に 見 比 べると NTT ドコモとそれ 以 外 では 大 きく 整 備 状 況 が 異 なり ルーラルエリアにおける NTT ドコモの 優 位 性 が 際 立 っている 一 方 で 他 キャリアはまだ 今 後 整 備 ニー ズが 高 い また 電 波 特 性 により 屋 内 やビルの 陰 など 都 市 部 であっても 電 波 が 入 ら ない 地 域 があり そういったスポットへの 肌 理 細 かいエリア 整 備 も 求 められると ころである 24

26 図 表 29 NTT ドコモのエリア 整 備 状 況 ( 出 所 )NTT ドコモ HP( 年 11 月 29 日 )よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 図 表 30 KDDI のエリア 整 備 状 況 ( 出 所 )KDDI HP( (2010 年 11 月 29 日 )よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 25

27 図 表 31 ソフトバンクモバイルのエリア 整 備 状 況 ( 出 所 )ソフトバンクモバイル HP( 年 11 月 29 日 )よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 図 表 32 イー モバイルのエリア 整 備 状 況 ( 出 所 )イー モバイル HP( 年 11 月 29 日 )よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 26

28 ネットワークの 面 的 拡 大 に 加 え て 質 的 充 実 においても 各 社 積 極 的 に 取 組 一 方 質 的 充 実 面 でのネットワーク 整 備 は データトラフィックの 増 大 に 対 応 すべく ネットワークキャパシティを 充 実 させることが 狙 いである 既 に 基 地 局 展 開 しているエリアにつき 電 波 の 干 渉 を 起 こさないようにセル 設 計 ( 基 地 局 配 置 設 計 )を 改 めた 上 で 新 たに 基 地 局 を 設 置 する これにより 一 つの 基 地 局 が 負 担 するトラフィックを 分 散 させネットワーク 全 体 のキャパシティを 増 強 すると 共 に 実 効 速 度 (スループット)を 高 めることが 可 能 となる( 小 セル 化 ) また 屋 外 の 基 地 局 を 利 用 せず 屋 内 に 設 置 した 超 小 型 基 地 局 (フェムト セル 基 地 局 )や 無 線 LAN ルーターで 携 帯 端 末 からの 電 波 を 拾 い 固 定 ブロー ドバンド 網 に 逃 がすという 固 定 オフロード も 効 果 的 である 既 に 無 線 LAN 系 のサービスについては 各 社 が 取 組 みを 始 めており 現 在 のサービス 状 況 は 下 表 ( 図 表 33 )の 通 りとなっている NTT ドコモは 2008 年 6 月 に ホーム U サービスの 提 供 を 開 始 し 2009 年 5 月 には 値 下 げを 発 表 ソフトバンクモバイルは 同 月 に 無 線 LAN サービス ケータイ 無 線 LAN を 発 表 し その 後 11 月 には ケータイ Wi-Fi に 改 称 の 上 無 料 キャンペーンを 実 施 した Wi-Fi を 2009 年 冬 商 戦 の 重 要 テーマに 位 置 付 け 積 極 展 開 した KDDI は 2009 年 5 月 に 電 子 書 籍 にフォーカスした 端 末 biblio 上 における 書 籍 コンテンツのダウンロード 利 用 を 想 定 し 無 線 LAN サービス Wi-Fi WIN を 発 表 している 図 表 33 各 キャリアの 無 線 LAN 系 サービスへの 取 組 み 状 況 キャリア ドコモ KDDI SBM サービス 名 ホームU Wi-Fi WIN ケータイWi-Fi 開 始 時 期 主 なサービス 内 容 キャンペーン( 料 金 面 ) の 内 容 08/6 1,029 円 にて 開 始 09/5 490 円 に 値 下 げ 発 表 ( 適 用 は09/6から) ホームU 間 の 通 話 は24 時 間 無 料 それ 以 外 も3 割 引 2 段 階 定 額 サービスが 利 用 可 能 専 用 コンテンツを 用 意 公 衆 無 線 LANは 原 則 使 用 できず 申 込 月 +1ヶ 月 分 無 料 09/5 発 表 525 円 2 段 階 定 額 サービスが 利 用 可 能 公 衆 無 線 LANは 原 則 使 用 できず 11/6まで 月 額 無 料 ( 出 所 ) 各 社 IR 資 料 等 よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 09/5 ケータイ 無 線 LAN 発 表 (1,029 円 で 発 表 するもドコモに 対 抗 し 490 円 に 値 下 げ) 09/11 ケータイWi-Fi に 改 称 無 料 キャンペーン 実 施 ソフトバンクモバイルの 公 衆 無 線 LANサービス ソフトバンクWi-Fiス ポット ( 当 初 はソフトバンクテレコム の BBモバイルポイント のみ) 利 用 可 能 専 用 コンテンツ ケータイWi-Fiチャ ンネル を 用 意 定 額 プラン( 月 額 4,410 円 2 段 階 定 額 ではない)に 加 入 が 必 須 10/12までの 加 入 を 条 件 に 月 額 無 料 フェムトセルサービスについては NTT ドコモが 2009 年 11 月 に 先 行 ( 図 表 34 ) その 後 ソフトバンクモバイルが 2010 年 3 月 に 電 波 改 善 宣 言 を 打 ち 出 し 電 波 が 入 らない 加 入 者 向 けに 2010 年 5 月 以 降 フェムトセル 基 地 局 を 無 料 で 提 供 することを 発 表 ( 図 表 35 ) また KDDI も 不 感 地 帯 対 策 として 2010 年 7 月 からフェムトセルを 無 償 提 供 しており 大 手 3 社 のフェムトセルサ ービスが 出 揃 った 後 二 者 の 動 機 は 一 義 的 には 高 層 マンションなどの 宅 内 環 境 改 善 を 狙 ったものであるが 副 次 的 に 移 動 体 から 固 定 へのオフロード 効 果 も 認 められる 27

29 図 表 34 各 社 のフェムトセルサービスの 概 要 ドコモ KDDI SBM サービス 名 マイエリア auフェムトセル ホームアンテナFT 開 始 時 期 2009 年 11 月 2010 年 7 月 2010 年 5 月 目 的 付 加 価 値 サービス 提 供 不 感 地 対 策 不 感 地 対 策 月 額 利 用 料 金 980 円 無 料 無 料 備 考 初 期 費 用 2100 円 (キャンペーン 適 用 後 無 料 ) 月 額 利 用 料 金 は 割 引 後 490 円 工 事 費 無 料 ( 出 所 ) 各 社 IR 資 料 よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 ( 注 )KDDI の 月 額 無 料 は au ひかり 利 用 が 条 件 工 事 費 17,850 円 図 表 35 フェムトセル 基 地 局 イメージ(ソフトバンクモバイルの 例 左 :ホーム 用 右 : 店 舗 用 ) ( 出 所 )ソフトバンクモバイル 2010 年 3 月 期 決 算 説 明 会 資 料 よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 さらに 周 波 数 利 用 効 率 を 高 めビット 単 価 ( 単 位 トラフィック 当 りのコスト)を 低 減 すべく 利 用 効 率 の 高 い LTE(Long Term Evolution 第 3.9 世 代 の 通 信 規 格 ) 等 への 次 世 代 通 信 規 格 へ 投 資 を 行 うことも 考 えられる 各 社 とも 現 行 規 格 をどの 程 度 使 い 切 るかについてのスタンスの 違 いや 技 術 開 発 力 の 優 劣 から LTE の 導 入 時 期 が 異 なるものの 最 終 的 に 下 表 ( 図 表 36 )の 通 り LTE への アップグレードを 予 定 しているものと 思 われる 図 表 36 各 キャリアの 次 世 代 規 格 アップグレード 計 画 2010 年 2011 年 2012 年 HSDPA HSUPA LTE EV-DO Rev.A EV-DO Rev. A Multi Carrier LTE ドコモ HSDPA HSPA+ DC-HSDPA LTE HSPA+ DC-HSDPA LTE ( 出 所 ) 各 社 IR 資 料 等 よりみずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 ( 注 )2010 年 11 月 現 在 このような 質 的 な 充 実 面 を 図 る 指 標 については 各 社 から 公 開 されていな いが 面 的 拡 大 に 加 え 各 社 ともデータトラフィックの 急 増 に 伴 って 質 的 充 実 面 での 対 応 を 急 いでいる 28

30 (2) 国 内 におけるモバイルインフラ 共 有 共 用 に 関 する 規 制 現 状 においては 携 帯 通 信 キャリアの 裁 量 によって 相 互 にモバイルインフラ を 共 有 共 用 することは 認 められている 他 方 自 社 インフラを 他 社 と 共 用 せ ねばならないという 義 務 は 規 制 上 規 定 されていない 但 し 2010 年 4 月 に 改 定 された 電 柱 等 の 貸 出 に 係 るガイドラインの 対 象 物 に 鉄 塔 (タワー)が 新 たに 加 えられ 義 務 面 での 規 制 当 局 のスタンスに 変 化 が 見 られるところであ る( 図 表 37 ) 以 下 詳 細 に 解 説 する 図 表 37 モバイルインフラ 共 有 共 用 に 関 する 規 制 の 状 況 論 点 : 共 有 共 用 できるか 権 利 論 点 : 共 用 する 義 務 があるか 義 務 NO= 共 用 の 義 務 なし YES= 事 業 者 間 で 共 有 共 用 可 能 ( 周 波 数 は 不 可 ) 但 し 2010/4 改 正 の ガイドラインに 鉄 塔 が 対 象 に ( 出 所 )みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 規 制 面 では 共 有 共 用 可 能 共 用 義 務 はなし 事 業 者 間 協 議 の 円 滑 化 の 観 点 か ら ガイドライン 改 正 共 有 共 用 の 権 利 有 ( 共 有 禁 止 の 規 制 はなし): キャリア 間 でインフラを 共 有 共 用 することは 認 められる 共 有 共 用 の 対 象 については 当 然 のことな がら 周 波 数 帯 域 は 競 争 政 策 上 の 観 点 から 認 められていない 周 波 数 を 除 け ば 上 記 1タワー 2アクセスネットワーク 3コアネットワークのいずれの 類 型 においてもキャリア 間 の 協 議 によって 自 主 的 に 共 有 共 用 することは 禁 止 さ れていないのが 現 状 である 自 社 のインフラを 他 社 と 共 用 する 義 務 は 無 し: 他 方 で インフラの 共 用 義 務 ( 貸 出 義 務 )については 現 状 においては 義 務 化 されていない 2009 年 10 月 16 日 付 の 情 報 通 信 審 議 会 答 申 においても 鉄 塔 等 の 共 用 は これま でキャリア 間 協 議 を 通 じた 自 主 的 な 取 組 として 行 われてきたところであり これ を MNO に 義 務 付 けることまでは 必 要 ない としている その 理 由 として 移 動 通 信 事 業 は 限 られた 周 波 数 の 割 当 を 受 けて 行 うものであるため 原 則 として 自 ら 全 国 ネットワークを 構 築 して 事 業 展 開 を 図 ることが 必 要 であり また 鉄 塔 等 の 共 用 を 義 務 付 けると 自 ら 鉄 塔 等 を 設 置 して 設 備 競 争 を 行 っている MNO が 不 利 となり 設 備 競 争 を 阻 害 する 懸 念 が 示 されているからである と 論 じてい る ガイドラインの 改 正 で 鉄 塔 共 用 に 関 する 手 続 を 規 定 : 一 方 で 同 答 申 は 鉄 塔 等 を 設 置 する 物 理 的 スペースが 限 られており また 景 観 条 例 等 によって 複 数 の 鉄 塔 建 設 が 制 限 される 場 合 がある 中 で 自 ら 鉄 塔 等 を 設 置 しようとして 29

31 もできない 場 合 がある とし 事 業 者 間 協 議 が 円 滑 に 行 われず 鉄 塔 等 が 共 用 できない 場 合 は 当 該 エリアでのサービスが 提 供 されないこととなる 結 果 利 用 者 利 益 の 阻 害 につながる ため 事 業 者 間 協 議 を 通 じた 自 主 的 な 共 用 という 現 行 の 枠 組 みをベースとしつつ 事 業 者 間 協 議 の 一 層 の 円 滑 化 を 図 る ことにより 鉄 塔 等 の 共 用 の 促 進 を 図 ることが 利 用 者 利 便 の 向 上 の 観 点 から 必 要 とされる としている この 答 申 の 流 れを 受 け 公 益 事 業 者 の 電 柱 管 路 等 使 用 に 関 するガイドラ イン が 2010 年 4 月 に 改 正 され( 図 表 38 ) 当 ガイドラインでは 携 帯 電 話 基 地 局 の 設 置 を 目 的 とした 鉄 塔 の 共 用 に 関 する 事 業 者 間 の 手 続 きが 規 定 されることとなった その 効 果 は 未 知 数 ではあるものの 共 用 事 例 の 拡 大 に 向 けて 一 歩 前 進 したものと 評 価 できる 図 表 38 公 益 事 業 者 の 電 柱 管 路 等 使 用 に 関 するガイドライン の 改 正 の 内 容 規 定 事 項 対 象 設 備 設 備 保 有 者 事 業 者 調 査 回 答 改 正 前 電 柱 管 路 とう 道 ずい 道 その 他 の 線 路 を 設 置 するために 使 用 することができる 設 備 電 気 通 信 事 業 者 電 気 事 業 者 鉄 道 事 業 者 認 定 電 気 通 信 事 業 者 原 則 2ヶ 月 以 内 に 回 答 改 正 後 ( 追 加 部 分 ) 鉄 塔 その 他 の 空 中 線 を 設 置 することができる 設 備 電 気 通 信 事 業 者 同 左 (ただし 携 帯 電 話 の 基 地 局 の 設 置 を 目 的 と するものに 限 る) 同 左 貸 与 拒 否 事 由 貸 与 期 間 空 きスペースが 無 い 場 合 技 術 基 準 に 適 合 し ない 場 合 等 原 則 5 年 同 左 同 左 貸 与 の 対 価 原 価 に 基 づく 適 切 な 設 備 使 用 料 同 左 ( 出 所 ) 総 務 省 公 益 事 業 者 の 電 柱 管 路 等 使 用 に 関 するガイドライン の 一 部 改 正 について より みずほコーポレート 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 従 前 は 事 業 者 間 で 特 に 基 準 を 設 けることなく 鉄 塔 共 用 が 行 われていたが 当 ガイドラインにより 事 業 者 間 の 鉄 塔 共 用 に 一 定 の 基 準 が 定 められている 対 象 設 備 を 保 有 する 電 気 通 信 事 業 者 は 他 事 業 者 から 貸 し 出 しの 要 請 を 受 けた 場 合 空 きスペースがあるか 技 術 基 準 に 適 合 するか 等 を 確 認 の 上 貸 与 の 諾 否 に 関 する 回 答 を 原 則 2ヶ 月 以 内 に 行 うことが 求 められる 貸 与 期 間 は 原 則 5 年 間 とされ 貸 与 の 対 価 は 原 価 に 基 づく 適 切 な 設 備 使 用 料 と 定 められている 30

32 (3) 国 内 におけるモバイル インフラシェアリング の 現 状 現 状 国 内 のイン フラシェアリング の 度 合 は 低 い 本 項 では 日 本 におけるインフラ 共 有 共 用 の 現 状 について 整 理 を 行 う 外 部 要 因 ( 図 表 16 )については わが 国 では 米 国 やインドと 異 なり キャリア 数 が 大 手 3 強 グループ+ 新 規 参 入 1 社 (イー モバイル)と 僅 か 4 社 であり 少 数 に 留 まる(1) 上 に カバーすべき 国 土 が 38 万 平 方 キロメートルと 諸 外 国 に 比 べて 狭 い(2)のが 特 徴 である 他 方 今 後 国 内 市 場 が 頭 打 ちとなる 中 で 国 内 キャリアのネットワークに 関 するコスト 削 減 の 必 要 性 は 高 まりつつある(3) これら 外 部 要 因 から 従 前 は 日 本 におけるインフラシェアリング 効 果 は 低 く 現 状 では 国 内 のインフラシェアリングの 度 合 は 低 い インフラシェアリングの 事 例 については 第 1 に キャリア 間 では 全 基 地 局 の1% 未 満 しか 共 用 されていな い 第 2 に 社 団 法 人 移 動 通 信 基 盤 整 備 協 会 が 主 導 し トンネル 内 等 の 特 殊 な 場 所 においてキャリア 間 で 共 有 共 用 させている 例 が 存 在 する 第 3 として 非 携 帯 通 信 キャリア= 独 立 系 の 事 業 者 は 海 外 においては 相 応 の 存 在 感 を 示 すものの 日 本 国 内 では 一 部 の 電 力 系 事 業 者 に 留 まる( 図 表 39 ) 以 下 詳 細 につき 述 べていきたい 図 表 39 国 内 におけるモバイルインフラの 共 有 共 用 事 例 の 整 理 キャリア 間 1% 未 満 日 本 での 共 有 事 例 移 動 通 信 基 盤 整 備 協 会 主 導 トンネル 内 地 下 鉄 地 下 街 独 立 系 ( 非 キャリア) ケイ オプティコム 550 程 度 中 電 プラント 04 年 11 月 開 始 ( 出 所 ) 総 務 省 電 気 通 信 市 場 の 環 境 変 化 に 対 応 した 接 続 ルールの 在 り 方 について ( 情 報 通 信 審 議 会 からの 答 申 ) (2009 年 10 月 16 日 ) 社 団 法 人 移 動 通 信 基 盤 整 備 協 会 HP( ケイ オプティコム HP( 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 キャリア 間 での 共 用 は 全 鉄 塔 の 1% 未 満 にすぎな い キャリア 間 での 共 用 については 事 例 はあるものの 限 定 的 である 2009 年 10 月 16 日 付 電 気 通 信 市 場 の 環 境 変 化 に 対 応 した 接 続 ルールの 在 り 方 につ いて ( 情 報 通 信 審 議 会 答 申 ) 資 料 に 拠 れば NTT ドコモ KDDI ソフトバン クモバイルの 3 社 とも タワー 共 用 数 は 全 鉄 塔 の 1% 未 満 の 模 様 である NTT ドコモによる 他 社 へのタワー 貸 出 ( 共 用 ) 実 績 は エリア 展 開 の 初 期 に 広 いエリ アをカバーする 為 に 用 いられる アングルトラス 型 において 見 られる 既 に 設 置 している 基 地 局 アンテナの 重 量 を 支 えることを 前 提 とした 設 計 ないしタワー タイプの 選 定 を 行 っているため 新 たなアンテナを 設 置 するためには 補 強 を 行 ったり 建 替 えを 行 ったりする 必 要 があることが 多 い 31

33 第 三 者 機 関 が 媒 介 する 形 での 共 用 事 例 も 存 在 協 会 ( 第 三 者 ) 主 導 の 例 : 一 方 キャリア 間 相 互 の 協 議 による 設 備 共 用 で はなく 第 三 者 機 関 が 媒 介 する 形 での 共 用 ( 一 部 設 備 を 共 有 ) 事 例 が 国 内 に 存 在 する 30 社 団 法 人 移 動 通 信 基 盤 整 備 協 会 31 は 複 数 の 携 帯 通 信 キャリア の 通 信 設 備 整 備 に 関 する 取 り 纏 め 役 を 果 たす 形 で 電 波 が 届 きにくい 場 所 や 地 域 において 複 数 キャリア 間 でのタワー 等 の 設 備 共 用 を 実 現 している( 図 表 40 ) 同 協 会 は 1994 年 に 当 時 の 郵 政 省 ( 現 在 の 総 務 省 )および 建 設 省 ( 現 在 の 国 土 交 通 省 )を 主 務 官 庁 として 設 立 され 高 速 道 路 トンネル 鉄 道 ト ンネル 地 下 駅 公 道 の 地 下 にある 地 下 街 地 下 駐 車 場 等 について 携 帯 電 話 の 中 継 施 設 を キャリアの 合 意 の 下 共 同 して 計 画 的 かつ 効 率 的 に 整 備 し ている このような 形 の 設 備 共 有 共 用 を 引 き 続 き 進 めていくことには 意 義 があると 考 えられる 例 えば トンネル 内 の 電 波 遮 蔽 対 策 のために 設 備 共 有 共 用 の 形 で 敷 設 する 場 合 携 帯 通 信 キャリアが 個 別 に 複 数 の 設 備 を 設 置 する 場 合 に 比 べ 1 設 置 工 事 に 伴 う 交 通 規 制 の 頻 度 を 抑 制 可 能 であり(i.e. 交 通 渋 滞 の 回 避 ) 2トンネル 内 の 限 られた 設 置 スペースを 有 効 利 用 でき かつ 3 景 観 環 境 へのマイナスの 影 響 を 最 小 限 に 留 めることができるからである このよ うな 事 情 は 地 下 駅 地 下 街 や 駐 車 場 における 設 備 共 有 共 用 事 例 について も 当 てはまる 図 表 40 社 団 法 人 移 動 通 信 基 盤 整 備 協 会 の 概 要 と 事 業 内 容 会 社 名 設 立 年 主 務 官 庁 代 表 者 役 員 会 員 数 事 業 内 容 社 団 法 人 移 動 通 信 基 盤 整 備 協 会 1994 年 総 務 省 国 土 交 通 省 理 事 ( 会 長 ) 入 江 恵 理 事 8 名 (キャリア4 名 通 建 2 名 機 器 メーカ2 名 ) 監 事 2 名 ( 通 建 1 名 キャリア1 名 ) 正 会 員 17 社 ( 内 キャリア8 社 他 に 通 建 事 業 者 等 ) 賛 助 会 員 37 社 1. 高 速 道 路 等 の 道 路 トンネル 地 下 通 路 等 における 移 動 通 信 サービスの 利 用 に 必 要 な 中 継 施 設 の 整 備 保 守 管 理 及 び 提 供 2. 情 報 格 差 の 是 正 が 必 要 とされた 地 域 における 移 動 通 信 サービスの 利 用 に 必 要 な 中 継 設 備 の 保 守 管 理 及 び 提 供 3. 移 動 通 信 サービスの 不 感 対 策 に 関 する 調 査 研 究 4.その 他 本 協 会 の 目 的 を 達 成 するために 必 要 な 事 業 電 波 遮 へい 対 策 事 業 ( 主 な 事 業 内 容 ) 無 線 システム 普 及 支 援 事 業 格 差 是 正 事 業 トンネル 地 下 鉄 駅 地 下 街 ルーラルエリアの 整 備 ルーラルエリアの 整 備 ( 解 散 法 人 の 施 設 受 入 ) ( 出 所 ) 社 団 法 人 移 動 通 信 基 盤 整 備 協 会 HP( 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 30 オーストラリアにも 業 務 範 囲 は 異 なるものの 類 似 の 業 界 団 体 である Mobile Carriers Forum( 存 在 する 31 旧 称 は 社 団 法 人 道 路 トンネル 情 報 通 信 基 盤 整 備 協 会 2005 年 に 現 在 の 社 名 に 改 称 同 協 会 は 通 信 キャリア(7 社 ) 通 信 建 設 事 業 者 (28 社 ) 装 置 ケーブル 製 造 会 社 (18 社 ) 等 計 50 超 の 会 員 企 業 から 構 成 される 32

34 一 部 の 電 力 事 業 者 は 独 立 系 事 業 者 としてタワー 貸 出 しビジネスを 行 っている 独 立 系 事 業 者 による 事 例 : また 携 帯 通 信 キャリアではない 事 業 者 が 独 立 系 (= 非 携 帯 通 信 キャリア) 事 業 者 としてキャリアに 対 してタワーの 貸 出 ビジ ネスを 行 っているものが 見 られる 一 つのタワーに 複 数 キャリアが 基 地 局 を 設 置 し 共 用 を 実 現 している 例 もある 関 西 電 力 傘 下 の 100% 子 会 社 で 固 定 系 ブ ロードバンドサービスを 中 心 とした 電 気 通 信 事 業 を 営 むケイ オプティコムは 約 600 箇 所 強 の 通 信 タワーを 保 有 し 約 550 箇 所 につき 携 帯 通 信 キャリア 3 社 に 対 して 貸 出 を 行 っている( 図 表 41 ) また 中 国 電 力 グループは 工 事 やメインテナンスを 行 っている 中 電 プラントが 携 帯 通 信 キャリアの 窓 口 となり 中 国 電 力 が 保 有 する 送 電 タワーの 貸 出 を 行 っている 図 表 41 ケイ オプティコム( 関 西 電 力 100% 子 会 社 )によるタワー 貸 出 ビジネスの 内 容 ( 主 な 事 業 内 容 ) 通 信 サービス 事 業 ( 個 人 向 け) 通 信 サービス 事 業 ( 法 人 向 け) 通 信 放 送 用 の 鉄 塔 設 備 の 賃 貸 等 のサービス ( 出 所 )ケイ オプティコム HP( 銀 行 産 業 調 査 部 作 成 33