日本内科学会雑誌第104巻第9号

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1 招請講演 プリオン病の現状とその克服への展望 水澤英洋 Key words プリオン病, クロイツフェルト ヤコブ病 (CJD), 伝達性海綿状脳症 (TSE), 牛海綿状脳症 (BSE),α シヌクレイン プリオン 1. プリオン病とは? プリオン (prion) 病は, 正常プリオン蛋白 (PrP C ) が構造変換し, 伝達性 (transmissibility) のある異常プリオン蛋白 (PrP Sc ) となり, 神経細胞が変性 脱落することにより発症する疾患である 1,2). プリオンとは感染性蛋白粒子 (proteinaceous infectious particle) の意味で, ウイルス感染粒子ビリオンに準えてPrusinerにより造られた名称でPrP Sc そのものということになる. 発症すると, 我が国では平均約 1.5 年で100% 死に至る致死性疾患である. 伝達性と病理組織学的に海綿状変化を呈することから, 本来は伝達性海綿状脳症 (transmissible spongiform encephalopathy:tse) と呼ばれる. 本症は, 成因によりPrP Sc の由来が不明の孤発性クロイツフェルト ヤコブ病 (sporadic Creutzfeldt-Jakob disease:scjd), 他の個体由来が明瞭な獲得性プリ オン病 (environmentally-acquired prion disease) [ 感染性プリオン病 ], プリオン蛋白遺伝子 PRNP 変異による変異プリオン蛋白由来である遺伝性プリオン病 (genetic prion disease) の 3 つに大別される ( 表 1). いずれの病型のPrP Sc も基本的には伝達 ( 感染 ) 性があると考えられており, 我が国では行政的には第 5 類感染症に分類されていて診断してから7 日以内に保健所に届け出なければならない. また, 羊のスクレーピー (scrapie), 牛の牛海綿状脳症 (bovine spongiform encephalopathy:bse), 鹿の慢性消耗病 (chronic wasting disease:cwd), ネコ海綿状脳症, 伝染性ミンク脳症など動物にもある人獣共通感染症で, 変異型 (varinat)cjd(vcjd) はBSEの種の壁を超えた伝達として大きな問題となった. 国立精神 神経医療研究センター病院, 東京医科歯科大学 112 th Scientific Meeting of the Japanese Society of Internal Medicine:Invited Lecture:5. Prion diseases:the present status and prospect of overcoming. Hidehiro Mizusawa:National Center Hospital, National Center of Neurology and Psychiatry, Japan and Tokyo Medical and Dental University, Japan. 本講演は, 平成 27 年 4 月 12 日 ( 日 ) 京都市 みやこめっせ ( 京都市勧業館 ) にて行われた. 1783

2 招請講演 表 1 ヒトのプリオン病の原因による分類 特発性プリオン病 : 孤発性 Creutzfeldt-Jakob 病 ( 孤発性 CJD) 古典型 [MM1,MV1], 失調型 [MV2,VV2] 視床型 [MM2A], 皮質型 [MM2A], 皮質型 [VV1] プロテアーゼ感受性プリオン病 (vpsp) 獲得性プリオン病 (environmentally-acquired Prion disease) クールー (Kuru) 医原性 CJD( 硬膜移植後 CJD, 下垂体製剤投与後 CJD, 他 ) 変異型 CJD(vCJD)[MM2B] 遺伝性プリオン病 (genetic Prion disease) 遺伝性 CJD Gerstmann-Straeussler-Scheinker 病 (GSS) 致死性家族性不眠症 (FFI) ([ ] 内のMMI 等はコドン129のメチオニン (M) とバリン (V) の多型とPrP Sc 蛋白型 (1 あるいは 2 型 ) の組み合わせ ) 2. プリオン病研究の歴史 1920 年にCreutzfeldtが1 例, 翌年 Jakobが5 例の急速に進行する認知症例を報告,1936 年には Gerstmann らが Gerstmann-Sträussler-Scheinker 病 (GSS) の家系を,Sternらは1939 年に視床変性症を報告した.1957 年にはZigusとGajdusek がパプアニューギニアのKuruを報告し, その病因として1954 年にSigurdssonがslow virus infectionを提唱したこともあり,1966 年にはGaj- dusekがkuruのチンパンジーへの伝達に成功した.1968 年にはGibbsらがCJDのチンパンジーへの伝達に成功して, この感染因子を探求する多くの研究の中で,1982 年にPrusinerらは, 感染因子はウイルスやファージのように核酸を含まず蛋白そのもの, すなわちプリオンであるというプリオン仮説を提唱した. これらの業績により,GajdusekとPrusinerは各々 1976 年,1997 年にノーベル賞を受賞している. 動物のプリオン病では羊のスクレーピーが 18 世紀中頃から知られており, 我が国では 1981 年に北海道で確認された. 牛海綿状脳症がいつ頃から始まったかは不明であるが, 確認さ れたのは英国で1986 年が最初であり, その後急激に増加し, ヒトに感染し変異型 CJDを引き起こすことも明らかとなった. これは飼料に用いられていた牛などの肉骨粉がプリオンに汚染されていたこと, また汚染された臓器を含む食品からヒトにも感染したと考えられた. そのため, 各国が協力して撲滅対策を行った結果, 感染によると思われる定型 BSEの新規発生はほとんどなくなり, 異なるプリオンによる非定型 BSEが散発する程度となった. この非定型 BSEはヒトにおけるsCJDに相当すると思われている. 現在は, 北米で汚染地域が拡大しているシカの CWDが注目されている. 3. 我が国のプリオン病の疫学とサーベイランス体制 我が国では, 英国で変異型 CJDが発生した 1996 年から2 度にわたって厚生省が緊急全国調査を行い,1999 年以降は 遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班, 後に プリオン病及び遅発性ウイルス感染に関する調査研究班 内にサーベイランス委員会を組織して全例調査を目 1784

3 表 2 プリオン病サーベイランス委員会によるプリオン病の診断基準 (1) 孤発性クロイツフェルト ヤコブ病 (scjd) 1. 確実例 ( 特徴的な病理所見又はウェスタンブロットや免疫染色で脳に異常 PrPを検出 ) 2. ほぼ確実例 ( 病理所見がない症例で, 進行性認知症を示し, 脳波でPSDを認める. 更に, ミオクローヌス, 錐体路 / 錐体外路障害, 小脳症状 / 視覚異常, 無言 無動状態のうち 2 項目以上 ) 3. 疑い例 ( ほぼ確実例と同じ臨床症状を呈するが,PSDを欠く*) (2) 獲得性プリオン病 1) 医原性クロイツフェルト ヤコブ病 (scjdと同様の診断基準による) 1. 確実例 2. ほぼ確実例 3. 疑い例種類 :1. 硬膜移植 2. 角膜移植 3. その他 ( ) 2) 変異型クロイツフェルト ヤコブ病 (vcjd)(who2001 診断基準による ) 1. 確実例 2. ほぼ確実例 3. 疑い例 (3) 遺伝性プリオン病 1. 確実例 ( 特徴的な病理所見を有する又はウェスタンブロット法や免疫染色法で脳に異常 PrPを検出し,PrP 遺伝子変異を有するもの ) 2. ほぼ確実例 ( 病理所見はないが,PrP 遺伝子変異を認め, 臨床所見が矛盾しないもの ) 3. 疑い例 ( 病理所見がなく,PrP 遺伝子変異も証明されていないが, 遺伝性プリオン病を示唆する臨床所見と家族歴があるもの ) 種類と変異 :1. 家族性 CJD 2.GSS 3.FFI[PrP 遺伝子変異 ( )] * 拡大診断基準 (WHO1998): 上記の診断基準の3. の疑い例 (possible) に入る例で, 脳波上 PSDがなくても, 脳脊髄液中に 蛋白が検出され臨床経過が 2 年未満の場合, ほぼ確実例 (probable) とする, に準拠. ( プリオン病サーベイランス委員会 ) 獲得性 87(3.5%) 変異型 CJD:1 例 (<0.1%) 硬膜移植後 CJD:86 例 (3.4%) 遺伝性 465(18.6%) 遺伝性 CJD: 387 例 ( 15.5%)* GSS: 99 例 ( 4.0%) FFI: 4 例 ( 0.2%) 特発性 (76.6%) 孤発性 CJD:1,913 例 * 遺伝子変異未同定の 6 例を含む 7 例 (0.4%) は未分類 2 例は挿入変異 図 1 日本におけるプリオン病の病型別頻度 1999 年 4 月 ~2015 年 1 月に調査した 4,936 例中プリオン病と認定された 2,499 例の分析結果である. 男 : 女比は 1,075:1,424(43:57%), 発症年齢は 68.4±10.4(15~95) 歳, 罹病期間 (n=1,846)18.7±20.0(1~260) 月. 1785

4 招請講演 罹患者数 ( サーベイランス ) 死亡者 ( 人口動態調査 ) ~ 図 2 我が国のサーベイランスによる年次別プリオン病罹患者数と人口動態調査による死亡者数 2015 年 2 月のCJDサーベイランス委員会までのデータによる. 近年の患者数が少ないのは調査が未完なためである. 暦年 指して活動している. また,2010 年からはサーベイランスを専門とする プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班 を立ち上げ, 感染の可能性のある事例に対応するためのインシデント委員会も設置された. これらの委員会は, 我が国で唯一のvCJD 症例を発見し診断を確定するなど多くの成果を挙げ 3,4), その活動は高く評価されているが, 我が国は剖検率が約 16% と欧米の60~70% に比べて極めて低く, プリオン病へのより一層の理解の向上が望まれる.WHO(World Health Organization) の 3 段階の診断基準 definite,probable,possibleで definiteは病理学的 生化学的な検査のみでなされるものであり ( 表 2), 現在常識となりつつあるPrP Sc の蛋白型の診断にとっても, 剖検は必須である. 我が国のvCJD 症例は, 英国のサーベイランスユニットの専門家との協議で scjd と臨床診断しており, 剖検により初めてvCJDの診断が確定した. 剖検は, 定められた手順で行えば感染の危険はなく, ぜひ剖検への理解と協力をお願いしたい 5,6). サーベイランス委員会では,1999 年 4 月から 2015 年 2 月までに,4,936 例を調査 検討し, 2,499 例をプリオン病と認定した. その内訳は scjd76.6%, 遺伝性プリオン病 18.6%, 獲得性プリオン病 3.5% で, 女性が57% とやや多く, 平均発症年齢は68.4 歳, 平均罹病期間は18.7カ月である ( 図 1). 近年は毎年 200 名を超える症例が調査されており, 死因統計の数字に近づいている ( 図 2). 4. 孤発性クロイツフェルト ヤコブ病 (CJD) 単にCJDと言うときには, 古典的な病像を示すsCJDを指す. これは我が国の全てのプリオン病の中で約 75% を占めるプロトタイプともいうべき病型で, 臨床症候, 検査所見, 病理所見ともに極めて特徴的で, 他疾患との鑑別は容易である.PrP Sc の由来は不明で, 強いて言えば原因不明, あるいは特発性, 原発性に相当する 1,7). 頻度は全世界的に約 100 万人に1 名といわれて 1786

5 おり, 極めて希な疾患である. 我が国では, 特定疾患の制度による医療券が約 500 件発行されており, その約 77% と推定される. 臨床的には, 急速に進行する認知症症状とミオクローヌスを特徴としており, 罹患平均年齢が67.1 歳であり, 臨床病期は3 期に分類されて Fp F at mt pt C P O 図 3 CJD で認められる脳波の周期性同期性放電 (PSD) いる. 第 I 期は発症から1~2カ月の間, 食欲低下などの不定愁訴, 歩行障害, 変形視などの視覚異常を呈し, 医療機関を受診してもうつ病などの診断を受けていることが多い. また, 視覚異常で発症するHeidenhain 型は眼科を受診することも稀ではない. 第 II 期になると急激に認知症が進行し, 数週間以内に会話も歩行も不可能となる. 錐体路徴候, 錐体外路徴候, 小脳失調, ミオクローヌスなども出現し, 典型例では脳波で周期性同期性放電 (periodic synchronous discharge:psd) を認める ( 図 3). 脳 MRI 拡散強調画像で大脳皮質や基底核に非対称性の高信号を認める ( 図 4) 8). 髄液検査では 蛋白やタウ蛋白が高値となり,PrP Sc がRT-QUIC(real-time quaking-induced conversion) 法で陽性となる 9,10). 3~7カ月で第 III 期となり, 無動性無言, 除皮質硬直や屈曲拘縮を呈するようになり, 経口摂取が不可能となり, 感染症などで死亡することが多い. 神経病理学的に海綿状脳症を認め, シナプス パターンのPrP Sc の沈着を認める ( 図 5). この古典的な病像のほか, 表 3に示すようにコドン129のメチオニン (M) とバリン (V) の T1WI 図 4 プリオン病の脳 MRI 画像孤発性 CJDではT1 強調画像 (TIWI) で異常がない時期にすでに拡散強調画像 (DWI) では, 大脳皮質と基底核に斑 ( ムラ ) のある高信号を認める. DWI 1787

6 招請講演 図 5 古典型孤発性 CJDの病理所見 HE 染色では, 海綿状変化すなわち空胞変性, 神経細胞減少, アストログリオーシスを認め, プリオン蛋白の免疫染色ではシナプス パターンと呼ばれる灰白質にびまん性の陽性所見を認める.( 現金沢大学脳老化 神経病態学山田正仁教授のご厚意による ) 表 3 孤発性 CJD のコドン 129 多型 PrP Sc 蛋白型と臨床病型 臨床型発症年齢進行経過ミオクローヌス PSD tau MRI-DWI 高信号 MM1 古典型 60 代亜急性 シナプス型 MV1 古典型 60 代亜急性 シナプス型 PrP SC その他 MM2th 視床型 50 代緩徐 ( シナプス型 ) SPECT MM2c 皮質型 60 代緩徐 + まれ (+) (+) + ( シナプス型 ) MV2 失調型 60 代緩徐 + まれまれ (+) +th プラーク型 VV2 失調型 60 代緩徐 + まれ (+) (+) +th プラーク型 VV1 皮質型 40 代緩徐 + - (+) (+) + シナプス型 vpsp 皮質型 60 代緩徐 - - -? - 小プラーク 1 型 :21kD* 2 糖鎖断片 < 糖鎖 (-) 断片 MM1,MV1: 古典型 CJD 2B 2A 1 2 型 :19kD* 2A:2 糖鎖断片 < 糖鎖 (-) 断片 MM2A: 視床型 CJD MV2A: 失調型 CJD VV2A: 失調型 CJD 2B:2 糖鎖断片 > 糖鎖 (-) 断片 MM2B: 変異型 CJD (*Proteinase K で処理後の断片の大きさ ) 19KD- -21KD 図 6 コドン 129 の多型 (M/V) と蓄積異常プリオン蛋白型 (1/2) での分類 ( 遅発性ウイルス感染に関する調査研究班報告書,2002) 1788

7 正常多型 M129V E219K 切断サイト 小胞体移行シグナル S-S NH COOH Insertions (2-24 repeats) Deletion (2 repeats) 病的変異 P102L P105L P105T G114V A117V S132I A133V Y145Stop R148H Y163Stop D167G N171S D178N V180I T183A M187R E196K 図 7 プリオン蛋白 ( 遺伝子 ) の正常多型と病的変異 F198S V210I R208H E200K V203I M232R Q217R E211Q Q212P 1. 遺伝性クロイツフェルト ヤコブ病 ( 遺伝性 CJD) R148H,Q160stop(AD 様 tau 病理 ),D178N-129V,V180I( 緩徐, 低浸透率, 日本特有 ),T183A( 経過 2 ~ 9 年 ),T188A( 高齢発症 ),T193I, E196K,E200K-129M,E200K-129V,V203I,R208H,V210I( 低浸率 ), E211Q,M232R( 緩徐 / 急速, 低浸透率, 日本特有 ),Codon51-91 ins 2. ゲルストマン シュトロイスラー シャインカー病 (GSS) P102L( 失調, 経過約 5 年 ),P105L( 痙性麻痺 / パーキンソニズム, 経過 7 ~ 11 年 ),G114V( 若年発症, 認知症, 経過 1 ~ 4 年 ),A117V( 経過 1 ~ 11 年 ), G131V,M187R,H187R( 経過 8 ~ 12 年,curlyPrP),F198S( 経過 3 ~ 11 年,NFT), D202N,Q212P,Q217R( 経過 4 年以上,NFT),Codon51-91 ins 3. 致死性家族性不眠症 (FFI) D178N-129M 4. その他 Y145stop( 認知症, 脳血管 PrP Sc, 経過 21 年 ) HDL1( ハンチントン病様 1 型 )[8 24=192 bp Ins] 2 bp-del at 178 [195stop],Y163stop( 感覚自律神経ニューロパチー ) 図 8 遺伝性プリオン病の臨床病型末梢神経障害など極めて稀な病型があることに注意が必要である. 多型 PrP Sc 蛋白型 (1 型あるいは2 型 )( 図 6) に対応して非典型的な病象を示すものがある. すなわち, プリオン病はこの多型のように分子的に強く特徴づけられているといえる. 近年, コドン127のV 多型がプリオンの感染を阻害することが報告され, 注目されている 11). さらに最近,PrP Sc の重要な特徴であるプロテアーゼ抵抗性のないPrP Sc の蓄積するタイプのプリオン 病が発見されvPSP(variously protease-sensitive prionopathy) と呼ばれている. 5. 遺伝性プリオン病臨床病型により, 遺伝性 CJD,Gerstmann- Sträussler-Scheinker 病, 致死性家族性不眠症 (fatal familial insomnia:ffi), その他に分類さ 1789

8 招請講演 日本 欧州 Insertion 6 42 P102L P105L 11 0 A117V-129V 0 12 D178N-129M 6 64 D178N-129V 1 16 V180I E200K V203I R208H V210I 1 69 M232R 65 0 V180I+M232R 4 0 他の変異 3 不明 :20 15 ( サーベイランス委員会 2015 年 2 月 ) (Kovacs, et al., 2005.) 図 9 遺伝性プリオン病 : 日本と欧州の比較 赤 : 日本に多い病型, 青 : 欧州に多い病型, 緑 : 両者で多い病型. れ, 現在までに30 種類以上の遺伝子変異と15 種類の欠失 挿入が報告されている ( 図 7,8). 我が国ではV180I,M232R,E200K,P102Lの 4つの変異 ( 疾患 ) でほとんどを占め, さらに日本に特有なV180I,M232R,P105Lの 3 疾患で半数以上を占めている ( 図 9). 遺伝性プリオン病は常染色体優性遺伝形式をとるが, 浸透率はタイプにより異なっており, 家族内発症者の確認ができないことが稀ではないので注意が必要である. 本邦で高頻度に認められるタイプを紹介する 12,13). 1)V180I 変異 CJD プリオン蛋白遺伝子コドン180のValine(V) からIsoleucine(I) への変異による家族性 CJD で, 本邦では遺伝性プリオン病全体の40% を占めている. 発症年齢は44~93 歳で, 平均約 76 歳である. 初発症状は記銘力障害以外に, 失語や失行などの高次脳機能障害で発症することが多いのが特徴で, 緩徐に進行するため,Alzheimer 病と誤診されている例もある. 経過中には小脳失調は約 39%, 視覚障害は約 13%, ミオ クローヌスは約 48% で出現するが, これらの神経徴候は早期には出現しないか, 出現しても軽微なため気づかない例も多い. 全経過の平均は約 1.9 年であるが, 無動性無言になってから数年にわたる場合もある. 遺伝子変異はあるが, 家族内発症が確認された例がほとんどなく, ほぼ全例が孤発性の発症様式である. プリオン病としては非典型的な経過と症状のため, 診断にはプリオン病遺伝子検索が必須である. 脳波で PSDを認める例は10% 程度であるが, 脳 MRIの拡散強調画像では, ほぼ全例に後頭葉と中心溝前後を除いたほぼ全域に大脳皮質のリボン状の高信号と基底核領域の高信号と, 大脳皮質全体が浮腫状に腫脹する像を呈する ( 図 10A). 最近では孤発性と同様にこのMRI 所見でプリオン病を疑われる例が多い. 髄液検査では 蛋白の陽性率は約 70% で, タウ蛋白は約 62% で陽性となる.QUIC 法によるPrP Sc の陽性率は約 39% と低い. 本症のPrP Sc は非常に少なく免疫染色では染まらず, ウエスタンブロットでもごく少量である ( 図 10B,C,D). 1790

9 A C kda B HE 染色 : 海綿状脳症 D MM2 MM1 PrP 免疫染色 (-) 図 10 V180I-gCJD 症例の検査所見 A:MRIではDWIにてほぼ左右対称的な大脳皮質と基底核の高信号がみられる. B:#2のレーンに示すようにPrP Sc はウエスタンブロッテイングでも極めて少量である. ( 東北大学病態神経学分野北本哲之教授のご厚意による ) C:HE 染色では細かい海綿状変化がみられる. D: 免疫染色ではプリオン蛋白は検出されない. 2)P102L 変異 GSS プリオン蛋白遺伝子コドン102のProline(P) からLeucine(L) への変異によるGSS(GSS 102 ) はGSSのうちで最も頻度が高くGSSの原著の変異である. ただし,4 人に1 人の割合でCJD 型の病型が認められる. 遺伝性プリオン病全体の約 16% を占める. 発症年齢は平均 53.7 歳で, 特定の地域に偏って発症する傾向がある. 浸透率は高く, 約 85% に認知症の家族歴を認め, 約 42% の症例で家系内に同じ遺伝子異常が確認されている. 約 90% が小脳症状で発症し, 歩行障害を主訴とする. その後に認知症を伴って両者が緩徐に進行する. 神経学的には四肢の小脳失調, 眼振, 構音障害, 下肢異常感覚, 腱反射の低下, 病的反射, 認知症が認められる. ミオクローヌスは約 30% で認める. 平均罹病期間は4.5 年で, 脳波では約 20% にPSDを認める. 髄液検査では約 1/4の症例で 蛋白やタウ蛋白が陽性である.QUIC 法による異常プリオン蛋白陽性率は約 88% である. 早期の脳 MRIでは変化を認めないことが多いが, 全経過中には約 39% の症例で大脳皮質と大脳基底核の高信号が認められる. 3)E200K 変異 CJD プリオン蛋白遺伝子コドン200のGlutamate (E) からLysine(K) への変異による遺伝性 CJD である. 遺伝性プリオン病のうちでは我が国で 1791

10 招請講演 表 4 我が国の硬膜移植後 CJD: 手術年と潜伏期 ( 年 ) ごとの症例数 潜伏期 ( 年 ) 移植年 不明 合計 # 合計 # (CJDサーベイランス委員会,2015 年 2 月 ) は2 番目, 欧米では最も頻度が高い. 浸透率はほぼ100% とされているが, 本邦では家族歴が確認されている例は約 54% で, 同一遺伝子変異が家系内に確認されている例は約 18% にとどまっている. 発症平均年齢は58.6 歳で, 症状は上述の古典型孤発性 CJDに類似している. 我が国での平均罹病期間は1.1 年である. 特定の地域に多発していることが知られている. 脳波では約 92% でPSDを認め, 脳 MRIでは約 94% で古典型孤発性と同様の大脳皮質 基底核の信号変化を拡散強調画像で認める. 髄液検査では約 2/3の症例で 蛋白とタウ蛋白が陽性となる.QUIC 法での異常プリオン蛋白の陽性率は約 50% である. 6. 獲得性 ( 感染性 ) プリオン病以前は感染性プリオン病と呼ばれていたが, 現在では獲得性プリオン病 ( 欧米で用いられている environmentally-acquired prion diseases の日本語訳 ) と呼ばれており, クールー (Kuru), 医原性 CJD, 変異型 (varinat)cjdの 3 種類に大別される. 本邦では2015 年 2 月の時点で,2004 年に報告された変異型 CJD1 例以外は全て硬膜移植による医原性 CJDである. 1) 医原性 CJDと硬膜移植によるCJD( 硬膜 CJD, dcjd) 医原性 CJDの感染源として報告されているものには, ヒト屍体乾燥硬膜, 成長ホルモン,CJD 1792

11 BSE 頭数 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 BSE( 牛海綿状脳症 ) vcjd( 変異型 CJD) vcjd 患者数 ,000 10,000 5, 日本における BSE 日本における vcjd 年 図 11 英国と日本のBSEおよびvCJD 発生 ( 死亡 ) 数症例数は異なるが,vCJDはBSEに約 8 年遅れて減少に転じ, 近年はほぼ発生はなくなった. BSEも激減し,2006 年からは横軸上に頭数を示すが,2014 年には1 頭にまで減少している. 患者由来の角膜, 深部脳波電極, 脳外科手術の際の手術器具,vCJD 患者における献血由来の輸血などがある. 脳外科手術時のヒト死体由来乾燥硬膜の移植によりCJDに感染した例で, アルカリ処理をしていないドイツ製の製品 ( 商品名 :Lyodura) を使用していたことが証明されている. これまでに調査された148 例のうち,135 例で使用硬膜が確認され (2015 年 2 月時点 ), 全てLyoduraであった. 潜伏期間は1~30 年 ( 平均 12) 年で ( 表 4), 発症年齢は50 歳代が多く, 孤発性 CJD よりも若年者に多い. これは手術を要した疾病が若年者に多かったためと思われる.dCJD 患者における硬膜移植手術歴は1975 年から1993 年までで, アルカリ処理が行われるようになってからは発症が激減した. ちなみにLyoduraの製造が中止されたのは1987 年だが, 日本での Lyoduraの使用が禁止になったのは1997 年で, その間に手術を受けた患者の中にLyoduraが使 用された例があったため,1987 年以降に手術を受けた患者でもdCJDを発症している. 原因疾患には脳腫瘍, 脳血管障害などの他, 顔面痙攣や三叉神経痛などの予後良好な小手術も多く含まれ, それが我が国でdCJDが多い理由の1つと考えられている 14). 大部分は, 古典型孤発性 CJD と同様の臨床症状, 神経病理所見を呈し,PrP Sc は1 型である. 約 33% の患者は非典型的で, 小脳失調症で発症し, 緩徐進行性でミオクローヌスやPSDは稀である.PrP Sc はクールー斑として沈着 ( プラーク型 ) し, ウエスタンブロットで 1と2の中間型を示す. 各種のマウスモデルへの移植実験から硬膜に含まれていた元のPrP Sc はVV2と推定されている. 2) 変異型 CJD(vCJD) BSE 罹患牛由来の食品の経口摂取によって牛からヒトに伝達したと考えられている.1994 年よりイギリスを中心に発生しており,2015 年

12 招請講演 A B C D 図 12 vcjdの本邦第 1 例のMRI 所見発症 2 年目にはvCJDに特徴的なホッケー スティック サイン (A,FLAIR), カット オフ サイン (B,T2WI) を示していたが, 発症 3 年目にはそれらは消えてsCJD にみられるような大脳皮質と基底核の高信号がみられた (C,D,DWI). 月現在, 累積患者数は229 名うち英国で177 名である ( 図 11).vCJD の全例でプリオン蛋白遺伝子 Codon 129 多型はMM 型であるが,MV 型で潜伏感染が知られており, 保因者ということになる. 発症年齢は12~74 歳で, 平均 29 歳と若年者に圧倒的に多い. 初期には抑鬱, 焦燥, 不安, 自閉, 無関心, 興奮, 性格変化, 異常行動, 記憶障害などの精神症状が中心である. 進行すると認知症や失調症状が徐々に顕著となる. 顔面や四肢の痛み, 異常感覚, 感覚障害も高頻度に認められる. ミオクローヌスも認められるが, 古典型 CJDにみられるほどはっきりとしておらず, 出現期間, 頻度ともに少ない. 経過は緩徐進行性で罹病期間は平均 1.5 年である. 末期には約半数が無動性無言となる. 脳波ではほとんどの症例でPSDを認めず, 髄液検査では約半数で 蛋白が陽性となる. 脳 MRIでは拡散強調画像やFLAIR 画像で視床枕に高信号領域が認められ ( 視床枕徴候 :pulvinar sign), 視床内側も同時に高信号領域を呈することもある ( ホッケー杖徴候 :hockey stick sign)( 図 12). 大脳基底核も高信号領域を呈することがあるが,vCJD では視床の病変の方が大脳基底核よりも明瞭で 1794

13 FP1 FP2 C3 C4 T3 T4 O1 O2 図 13 vcjd の本邦第 1 例の脳波発症 4 年目にはここに示すように PSD といえる所見を呈した. A B 図 14 vcjdの本邦第 1 例の神経病理所見海綿状変化, 神経細胞減少, グリア増生のほか, アミロイドのコアを空胞が取り巻くような特徴的なflorid 斑がみられる (A:HE,B: プリオン蛋白の免疫染色 ) あり, 大脳皮質のリボン状の高信号領域は認められない. しかし, 我が国のvCJD 例が示したよ うに長期に経過したときにはsCJDのようなMRI 所見や脳波上のPSDを呈することもあり, 注意 1795

14 招請講演 が必要である ( 図 13). 病理組織では, 大脳および小脳皮質に異常プリオン蛋白が斑状に沈着した周囲に空胞形成があり, 花弁状になっている像が特徴的であり,florid plaqueと呼ばれている ( 図 14). 7. プリオン病の診断孤発性 CJD, 遺伝性プリオン病, 変異型 CJDに関しては, 世界的にWHOの診断基準を用いて診断されている ( 表 2). そのポイントは, 認知症, ミオクローヌス, 錐体路 / 錐体外路症状, 小脳症状 / 視覚異常, 無動 無言状態, 脳波のPSD という頻度の高い症候 検査所見の存在である. ただ, 非典型的な病像を呈する病型があり, 注意を払う必要がある. 具体的には,MM2 皮質型やV180I 遺伝性 CJDでは高齢発症で認知症が前景に立ち, 経過もゆっくりでAlzheimer 病と間違えやすい. 後者は遺伝性でありながらふつう家族内に発症者はなく孤発性として発症する. 脳波のほかに,MRI 拡散強調画像, 髄液, 遺伝子の検査を行って診断を確定する. 視床型 MM2 ではこれら全ての検査で異常がなく,SPECTや PETで視床の取り込み低下を確認することが重要である.GSS-P105Lは我が国に特有の遺伝子変異で痙性対麻痺やパーキンソニズムが前景に立つ. また, 極めて稀であるが, 感覚自律神経末梢ニューロパチーを主徴とする遺伝性プリオン病が我が国や欧米でも報告されており, 末梢神経組織や髄液のPrP Sc も陽性である 15,16). 以上, 典型的な症候でなくとも, 認知症, 小脳失調症, 痙性対麻痺, パーキンソニズム, 錐体路徴候, 意識障害, 精神症状などの症候をみたときは必ずプリオン病も鑑別に入れる. さらに,PRNP 遺伝子変異では極めて希な症候も報告されており, 末梢ニューロパチーも含め, 診断困難例では例外なく一度はプリオン病を考慮すべきである. 一方,MRIでの皮質の高信号は, 急性期脳梗塞, 痙攣重積, ミトコンドリア病, 低酸素脳症, 低血糖脳症など, 髄液の 蛋白, タウ蛋白の高値は, 脳血管障害, 髄膜炎 脳炎, てんかん, 低酸素脳症など多くの疾患でもみられ, 決してプリオン病に特異的ではない. 特徴的な症候, 検査所見で積極的に疑うとともに, 同様な所見を呈する他疾患の鑑別と除外が重要である. 8. プリオン病の治療とケアこれまで, 細胞モデルや動物モデルで抗プリオン作用のある薬物の開発が研究されており, 動物モデルで有効なキナクリン, ペントサンポリサルフェート, フルピリチン, シンバスタチン, ドキシサイクリンなどがヒトでも試されたが, まだ有効性は証明されていない. 現在, いわゆる低分子化合物のほか, 抗体治療, 遺伝子治療, 細胞移植治療など様々な試みがなされており, 一日も早い開発が望まれる. 我が国では, プリオン蛋白に結合するように設計されたシャペロン分子を用いた治験の準備が進められており臨床効果が期待される. このような現状から, 実際的な治療としては対症療法とケアが中心で, ミオクローヌスの薬物コントロール, 不随意運動による外傷の予防, 関節拘縮予防, 栄養 排尿 排便の管理, 唾液 喀痰 褥瘡などのケア, 合併症の治療, 家族への心理的サポートなどが挙げられる. 通常の診療行為や介護では感染の危険は全くなく, 誤解に基づく差別などがないように正しい知識の普及が望まれる. 9. プリオン病の感染予防 PrP Sc は従来の洗浄 滅菌法では効果がないか不十分で, 確実な滅菌方法は焼却のみであるが, 変異型 CJDを除いて中枢神経系以外では感染力は無視し得る. 体液や排泄物を介した感染もないので, 医療や介護に際して過度に不安に 1796

15 ならないようよく説明することが重要である. 現在, 感染の可能性があるのは未診断症例の偶発的な脳外科手術事例であり, 脳外科手術の後しばらくしてから, 当該症例がプリオン病と診断されるまでに, 術後使用した手術器具, 手術室などの消毒をプリオン病対応でなく通常方法でしかしていなかったという事例がこれまで 10 件ほどある. インシデント委員会では, 当該施設において, 当該手術器具で手術を受けた患者についてリスク保有可能性者としてその説明をするとともに,10 年間のフォローアップを行うよう指導している. 委員会では厚生労働省とともにプリオン対応の消毒 滅菌法を定めており, 緊急手術時などプリオン病ではないということが不明なときは, 予防的にその消毒法を行うなどの対応を推奨している. 具体的な消毒 滅菌方法と各処置別の対応方法や剖検時の対応方法については プリオン病感染予防ガイドライン (2008 年版 ) に詳しいのでご参照いただきたい ( html). 10. プリオン病の 3 つの謎プリオン病の最大の特徴は伝達 ( 感染 ) 性と, その感染因子がPrP Sc という蛋白そのもの, すなわちプリオン仮説ということである. プリオンは核酸を含まずウイルスやファージなどのようにいわゆる生物学的な感染病原体ではない. したがって, 感染とは区別して伝達 (transmission) と呼ぶべきであるとの意見もある. ちなみに, 病原体同定のためのコッホの原則は,1ある一定の病気には一定の微生物が見出されること, 2その微生物を分離できること,3 分離した微生物を感受性のある動物に感染させて同じ病気を起こせること,4その病巣部から同じ微生物が分離されることであり, この 微生物 をPrP Sc に変更すれば全て成立している. すなわち, PrP Sc を動物に接種することにより, その動物に 同じプリオン病を発症させることができる. また,BSEと変異型 CJDのPrP Sc は, ウエスタンブロッテイングなどで同じ蛋白であることが判明している. すでに述べたように, プリオン病研究ではこれまでに2つものノーベル医学生理学賞受賞者が出ているが, まだまだ謎は多く, 第三, 第四のノーベル賞の可能性も十分あると思われる. まず,PrP C とPrP Sc とはアミノ酸配列は全く同一で, 変化しているのは2~3 次構造だといわれているが,βシートが増加しているということ以外, どのようにして, どのような構造に変換するのか不明である. このPrP C からPrP Sc への異常化のメカニズムが分かれば, 治療法開発へも大きな一歩になると期待される. ヒントは遺伝性プリオン病のPrP Sc であるように思われる. なぜならこの場合アミノ酸置換などの変異により, 変異プリオン蛋白ができており,1 次構造に違いがあるからである. なお,PrP C はコドン 231 のGPI(glycosyl-phosphatidyl inositol) アンカーにより膜に係留されている分子で,253 個のアミノ酸から成り,2 つの糖鎖結合部位,8 アミノ酸リピート, コドン120,219での多型など分子構造はよくわかっているが, その機能については細胞死を防ぐなど多くの論文はあるものの, ノックアウトマウスが大きな異常を示さないこともあり, よくわかっておらず, これも大きな課題である 17).PrP C は全身に分布しているが特に脳に多く, プリオン病でのPrP Sc の沈着や細胞死はほとんど大脳で起きており, 例外はあるものの, 脳幹, 脊髄, 末梢神経となるにしたがって検出されなくなる. ただし, 硬膜移植例の分析では移植部位に近いところの症状が出やすいなどの報告はある 18). 次の疑問は, 神経細胞変性のメカニズムである. プリオン病では広汎な領域の神経細胞が変性 脱落する.PrP Sc は主に大脳灰白質に広汎に蓄積するシナプス パターン, あるいはクールー斑として存在するが, 中には視床型 scjdや 1797

16 招請講演 V180I 遺伝性 CJD のように PrP Sc が免疫染色では ほとんど認められない病型が存在する. また, コドン231のGPIアンカーから先を除去した分泌型のプリオン蛋白からなるトランスジェニックマウスはプリオン病に感染して脳内に大量のアミロイド斑ができるが, 神経症状はほとんどない. すなわち,PrP Sc の蓄積のみでは神経細胞死を説明できないのである. 実はアミロイド前駆体蛋白の変異による遺伝性 Alzheimer 病でもアミロイドβが蓄積しないタイプ大阪変異 (E693 ) の存在が知られており, 興味深い 19). 第 3の疑問は株 (strain) の存在とその決定要因である. 各々のプリオン, すなわちPrP Sc は1 種類ではなく各々特有の生物学的特徴を持っており, 株と呼ばれ, それは伝達でも維持される. 例えばPrP Sc の1 型,2 型の区別はその1 例である. 注目したいのは経口摂取による伝達性という特徴である. 孤発性 CJDは古くから知られ, 伝達性があることが判明した後も社会的には全く問題にならなかった.Kuruそのものも経口感染するということを知っていたにもかかわらず, である. すなわち, 脳内にPrP Sc を移植する, 感染者の脳を食するといったことはあり得ないことだからである. ところが,1986 年に変異型 CJDが出現して世界は驚愕した. それはBSE 罹患牛のPrP Sc によって汚染された食物によって経口的に, 種の壁を越えて伝達したからである. すなわち同じプリオン病でも経口伝達するものとしないものがあり, 我々はまだそのメカニズムが何かを全く知らない. 経口伝達を可能としている因子の解明なくして, 牛海綿状脳症や変異型 CJDを制圧したことには全くならないということを銘記しなければならない. 11. Alzheimer 病や Parkinson 病はプリオン病か Alzheimer 病ではアミロイドβ 蛋白とタウ蛋白,Parkinson 病ではαシヌクレイン蛋白が異常 凝集を呈して, 神経細胞死を来たすことが知られている. 蛋白の異常凝集という点で古くから類似性が指摘されていたが, 最近の研究はこれらの凝集性蛋白はいずれもPrP Sc のように 自己増殖 し, 伝達 可能であることが示されている 20,21). 例えば,αシヌクレイン蛋白を患者脳から調整, あるいは合成してマウスに移植するだけで, 接種された野生型マウス脳内に異常化されたマウスのαシヌクレインが蓄積してくることが確認されている ( 図 15) 22). これはプリオン仮説が検証されるときの経過と同様で有り, 当初はプリオン様 (prionoid) などと呼ばれていたが, 最近はαシヌクレイン プリオンなどと呼び本来のPrP Sc についてはTSEプリオンと区別しているほどである. プリオン病あるいはTSEには明瞭な伝達に関する特徴があり, Alzheimer 病をプリオン病の1つだと不安を扇ぎ立てるのはよくない 23). しかし, 我々は不可能と思われていた種の壁がいとも簡単に越えられ,BSEが発生し,BSEから変異型 CJDが発生したことを忘れてはならない. 12. 今後の展望 : 人類とプリオン病プリオン病は確かに難病である. 人格の源である脳の破壊,100% という致死率, 平均でも 1.5 年と極めて短い罹病期間, 伝達 ( 感染 ) 性, 人獣共通感染症, 遺伝性でもあることなどを考慮すると, 現在最も悲惨な疾患の1つということができる. その克服は可能であろうか. 著者はエイズの勃興期である1986~1988 年の2 年半, 一大集積地であったニューヨークにて神経病理学の研究をしており, エイズについても 100 例以上の患者の脳を検索した. 当時は, 原因ウイルスがようやく同定されたものの治療法がなく, メディアは20 世紀のペストなどと書き立て, 全世界がパニックに陥ったような状況であった. しかし,WHOを中心として世界各国が協力し合うことで, 着実にウイルスとその感染 1798

17 図 15 マウス脳におけるαシヌクレイン病変の広がり野生型マウスの脳内に合成したヒトのαシヌクレインを試験管内で線維化したものを接種すると, 接種後 3カ月頃からリン酸化 αシヌクレインが蓄積し始め ( 上段の免疫染色 ), 接種後 15カ月で脳全体に広がる ( 中 下段のシェーマの赤い点々で示す ). 接種したヒトのαシヌクレインは約 1 週間で消失し, 異常化したαシヌクレインはマウス由来である.( 東京都医学総合研究所長谷川成人博士のご厚意による ) メカニズムの解明が進み, 今やほぼ制圧されたといえる. すなわち, やればできるのである. プリオン病はどうであろうか.BSE 感染牛からの食物により変異型 CJDが多発し, 全世界がパニックに陥ったのはつい先日のことである. そして,BSE も変異型 CJDもほぼ発生はなくなったが, これは感染者が全員死亡し, 感染牛と疑 いのある牛を全て瘏畜したからであって, 変異型 CJDのPrP Sc がなぜヒトに経口伝達するようになったかなど, ほとんどの問題は未解決のままである. しかし, 人々はもうBSEや変異型 CJDのことは忘れ, 研究費も大きく削られようとしている. プリオン病の克服は, 稀とはいえ, 最も悲惨な疾患に苦しむ人々を救うのみならず, 多 1799

18 招請講演 くの神経変性疾患の克服にも役立ち, 蛋白質に関わる全く新しい原理を明らかにすることになると期待される. 日本が率先して先進国をはじめとする世界各国に呼びかけて, プリオン病の克服に立ち上がるべきと考える. 研究班, 特にサーベイランス委員会とインシデント委員会, プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班, 都道府県プリオン病担当専門医, そして多くの患者とご家族の皆様に深謝する. 謝辞 : 本研究についてお世話になった厚生労働省の プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査 著者の COI(conflicts of interest) 展示 : 本論文発表内容に関連して特に申告なし 1800

19 文献 1 ) 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等克服研究事業プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班編 : プリオン病と遅発性ウイルス感染症. 金原出版, 東京, ) Colby DW, Prusiner SB : Prions. Cold Spring Harb Perspect Biol 3 : a006833, ) Nozaki I, et al : Prion protein gene M232R mutation as a cause of genetic prion disease(reply to the Letter to the Editor : Beck et al. Prion protein gene M232R variation is probably uncommon polymorphism rather than a cause of inherited prion disease).brain 135 : e210, ) Yamada M, et al : The first Japanese case of variant Creutzfeldt-Jakob disease showing periodic electroencephalogram. Lancet 367 : 874, ) 黒岩義之, 水澤英洋編 : プリオン病感染予防ガイドライン (2008 年版 ). 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等克服研究事業プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班, 東京, ) 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等克服研究事業プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班 日本神経病理学会プリオン病剖検 病理検査推進委員会編 : プリオン病の安全な剖検と病理検査のために. 東京, ) 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等克服研究事業プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班, プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班編 : プリオン病診療ガイドライン 東京, ) Fujita K, et al : Multicentre multiobserver study of diffusion-weighted and fluid-attenuated inversion recovery MRI for the diagnosis of sporadic Creutzfeldt-Jakob disease : a reliability and agreement study. BMJ Open 2 : e000649, ) Atarashi R, et al : Ultrasensitive human prion detection in cerebrospinal fluid by real-time quaking-induced conversion. Nat Med 17 : , )Orrú CD, et al : A test for Creutzfeldt-Jakob disease using nasal brushings. New Engl J Med 371 : , )Asante EA, et al : A naturally occurring variant of the human prion protein completely prevents prion disease. Nature 522 : , )Higuma M, et al : Relationships between clinicopathological features and cerebrospinal fluid biomarkers in Japanese patients with genetic prion diseases. PLoS One 8 : e60003, )Sano K, et al : Early detection of abnormal prion protein in genetic human prion diseases now possible using realtime QUIC assay. PLoS One 8 : e54915, )Hamaguchi T, et al : Insight into the frequent occurrence of dura mater graft-associated Creutzfeldt-Jakob disease in Japan. J Neurol Neurosurg Psychiatry 84 : , )Matsuzono K, et al : A novel familial prion disease causing pan-autonomic-sensory neuropathy and cognitive impairment. Eur J Neurol 20 : e67 69, )Themistocleous AC, et al : Late onset hereditary sensory and autonomic neuropathy with cognitive impairment associated with Y163X prion mutation. J Neurol 261 : , )Westergard L, et al : The cellular prion protein(prpc):its physiological function and role in disease. Biochim Biophys Acta 1772 : , )Sakai K, et al : Graft-related disease progression in dura mater graft-associated Creutzfeldt-Jakob disease : a cross-sectional study. BMJ Open 3 : e003400, )Nishitsuji K, et al : The E693Delta mutation in amyloid precursor protein increases intracellular accumulation of amyloid β oligomers and causes endoplasmic reticulum stress-induced apoptosis in cultured cells. Am J Pathol 174 : , )Jucker M, Walker LC : Pathogenic protein seeding in Alzheimer disease and other neurodegenerative disorders. Ann Neurol 70 : , )Morales R, et al : De novo induction of amyloid-β deposition in vivo. Mol Psychiatry 17 : , )Masuda-Suzukake M, et al : Prion-like spreading of pathological α-synuclein in brain. Brain 136 : , )Beekes M, et al : Is there a risk of prion-like disease transmission by Alzheimer- or Parkinson-associated protein particles? Acta Neuropathol 128 : ,

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