対し被験者による評価実験を実施したり 3), 標準色の選定を試みる 6} など, 多数の報告がある 1970 年代に入ると, 建築外観の色彩, 街路, 地域など公共空間の色彩にも関心が高まり, 伝統的な街並みや自然景観を乱さない色彩のあり方が模索されたこのような状況の中で登場した環境色彩計画

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とよみわたぬき
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1 カテゴリー 1 日本建築学会計画系論文集第 521 号,89 94,1999 年 7 月 J.Archit.Plam.Enviren Eng.,AIJ,No. 521,S9 94 Jul.,1999 国内主要野球場の色彩現況調査 ASURVEY ON USED COLORS IN DOMESTIC BASEBALL STADIUMS 宇治川正人 *, 望月菜穂子 Masato UflGA WA and Nahoko MOCHII )UKI The authors surveyed used colors in principa } baseball stadiums in Japan.Thecolors were measured based on the comparison and matching of a surface with the 亅 IS cohors 重 andards.ten baseball stadiums were divided into five types by their seat color pat 重 erns ; 1 ) Single color ( R Y dqminan 重重 ype),2 ) Single color (GY G CIominan 重 type ),3 ) Single color ( BG 噌 PB dominant type ),4 ) Three color type,5 ) Plural type,used colors Qf elements such as fences,wahs,seats,were similar 重 one1 ( a kind of sca 且 e shown wi 重 h Value and Chroma ). Keyirords basθba stadium,ba park, CO or SUtvey, 野球場, 測色調査, 色彩計画 COlor scheme 1. 研究の背景と目的野球は国民的スポーッと称されるほど大衆化した競技であるが, 野球場そめものは屋外のフィールドを木造の観客席で囲む形態から始まり. 大規模化や鉄筋コンクリート造による不燃化という変遷があったが, 施設の目的や用途に大きな変化はなかったしかし, 全天候型屋内球場の登場 (1988 年 ) により, 屋根を伴う多目的競技場あるいは大規模イベント空間としての機能を獲得し, その後, 福岡, 名古屋, 大阪など主要都市でも屋内野球場が建設された地方都市においても, 余暇生活の充実という社会生活上の要求や, 地域活性化のための集客施設としての期待などから, 多くの屋内多目的施設が建設されている野球場は, フィールドなど寸法については, 日本野球機構による公認野球規則によって厳格な基準が設けられているが, 色彩につい色彩は古来から建築空間の重要な要素であるが, 科学的な分析の対象となったのは, 第二次大戦時を契機とする色彩調節 (CDIor conditioning ), 以来とされている D 米国, 英国, フランスなどを中心に, 能率の向上や誤作業の低減などを目的として, 色彩が人間に与える効果についての実験が盛んに実施され, 生理的補色, 温度感覚重さ感覚などに関する知見が数多く報告されたそして, 手術室の壁を血液の補色である青緑にして白い壁に浮かぶ青緑の幻影を抑制したり, 居室の内装を暖色に塗り, 寒さ感を緩和させるなど, 実際の色彩計画にも適用されたわが国でも, その影響を受け, 色彩調節の考え方に基づいた色彩計画が広範に導入された病院の内部を区分して配色するゾーニング技法の普及や,JIS 安全色彩使用通則などは, その成果に挙げられている :} しかし,1960 年代には, 効果の測定方法, 複数のては, 基準や標準となる指針が定められておらず, 建設者や管理者の自由な裁量に任されているそのために, 施設の計画に際しては, 色彩計画として競技の遂行や観戦という本来の使用目的への適合, および既存のあるいは競合する施設に比べて特徴のある空間の創出という観点から, 検討することが求められている 1.1 色彩計画に関する研究 1 竹中工務店技術研究所主任研究員博士 ( 工学 ) 竹中工務店技術研究所研究員工修目的に対する効果が不確であることなどから限界が指摘されるようになり, 建築空間としての全体的なバランスや, 空間用途との関連も加味して検討されるようになったわが国における初期の色彩研究としては, 小木曽, 乾らによる映画館 3} やホテルのロビー, 病院 4), 住宅居間の色彩測定調査が挙げられるこれらは, 空間の属性や部位ごとに現況の色彩を測定し, その分布の特徴をらかにしたものであるまた, それらの結果に Chief Researcher,R & D Institute,Takenaka Corporatien,Dr.Eng. Researcher,R & D Institu 仁 e,takenaka Corporation,M.Eng. 一 89 一

対し被験者による評価実験を実施したり 3), 標準色の選定を試みる 6} など, 多数の報告がある 1970 年代に入ると, 建築外観の色彩, 街路, 地域など公共空間の色彩にも関心が高まり, 伝統的な街並みや自然景観を乱さない色彩のあり方が模索されたこのような状況の中で登場した環境色彩計画の考え方は, 周辺の環境を構成する色彩を把握した上で, 計画の目標とする色彩の範囲を定め,

2 対し被験者による評価実験を実施したり 3), 標準色の選定を試みる 6} など, 多数の報告がある 1970 年代に入ると, 建築外観の色彩, 街路, 地域など公共空間の色彩にも関心が高まり, 伝統的な街並みや自然景観を乱さない色彩のあり方が模索されたこのような状況の中で登場した環境色彩計画の考え方は, 周辺の環境を構成する色彩を把握した上で, 計画の目標とする色彩の範囲を定め, 抑制すべき色と積極的に用いる色とを管理していくもので lj, 計画方法を含めた指針の作成にも多数の実例がある L2 米国における野球場の色彩計画の変遷わが国の野球場の建築計画や色彩計画の変遷に関する文献は少なく, 学術的な調査研究の資料は皆無である野球の誕生の地である米国の野球場 (ballpark ) の変遷にっレては, J.Lewryev が 3 段階に概略的に区分して解説しているその概要は, 以下のようなものである (1 > 古典的野球場の時代 (classic ball park) 野球場は, フィールドの周囲に木製ベンチの観客席を並べる形態から始まった初期には, 木造という可燃性材料による構造物という制約により, 観客席に屋根は無く, 規模も小規模であった 1910 年代に入り, 職業野球の興行的な人気が高まり, 観客数が増加するにつれ多数の観客席を有する本格的な野球場が建設されたこの時期に.FenwayPark,Boston( 竣工 1912 年 ),TEgerStadiu1,Detroit(1912 年 ),WrigleyField,Chicage(1913 年 } など, 数多くの野球場が建設されているこの時期には, 鉄骨を構造材に使用し, 観客席を複数階とすることが可能となった多くの野球場の敷地は都 L 郡に選ばれ, 敷地の事情から左右が非対称のものも少なくなかった色彩的には深緑やえんじ色など落ち着つきのあるダークなものが用いられた (2 ) スーパースタジアムの時代 (super stadium ) 自家用車の普及や #Yd から郊外への人口移動という市民社会の大きな変化を背景に,1960 年代には, 郊外に大規模な駐車場を持っ野球場が建設されたスポーツファンの要求の多様化から, また, コンピュータによる構造計算, コンクリート材料や屋根の膜材の技術革新によって, 複雑な形状の大規模屋内多目的球場 ( スーパースタジアム ) が建設されるようになった代表的な施設に, 幾層にも重なる観客席を持つ DDdgerStadium,Los hngets(1962 年 ) や, 世界初の大規模全天候型施設である TheAstrodo 皿 e, Housten(1965 年 ) などが挙げられる. 施設の多目的利用という要求から, フィールドには人工芝が採用されるようになった色彩的には, オレンジ色や赤, 黄など非常に鮮やかな色彩を用いたり, 観客席の階ごとに座席を塗り分けるなど, 意図的な配色を採用した例が多いことが特徴である低層階で鮮やかな黄色を用いたために, ボールが見にくいと野球選手から苦情の出る球場もあった回帰の時代そして,1990 年以降に OrioleParkat CamdenYards,Baltimere ( 1992 年 ), acobs Field,Cleveland(1994 年 ) など再び多数の野球場が建設されているこれらは, 多目的競技場ではなく, 野球専用のスタジアムであることが大きな特徴でもある設計面では,191G 年代に建設された初期の野球場を回帰するような外観を採用し, 外壁には煉瓦, フィールドは人工芝ではなく天然芝を用いている色彩でも, 座席は紺, フェンスは深緑など古典的野球場で使われた色彩が選ばれ, 落ち着いた雰囲気を形成しているこのように, 野球場の色彩は, 野球興行の発展, 生活様式, 建設技術などに影響を受けながら変化を遂げてきた J.Lowry の解説は, 色彩の現況が, 色彩の特性だけでなく, 社会の変化や技術の進歩などと深い関連を有していることを確に示している 1.3 本研究の目的競技の遂行や観戦の用途から要求される特性と. 各球場の個性 ( 特徴 ) の創出という野球場の色彩計画に資するため, 現状の色彩の全体的な傾向や, 主要な区域 ( 部位 ) の傾向を把握すること, また, その背景や要因を把握することを本研究の目的としたなお, 色彩の測定と分析は, 小木曽ら Stg} による各種室内の調査分析方法に倣い, 現地における色彩実測と, 色相などの頻度集計の方法を適用することにした 2. 方法 2.1 測色調査年間の観客数の多い, 国内のプロ野球団の本拠地に使われている 10 球場を調査対象に選定した調査対象球場の概要を表 1. に示す野球場の色彩環境は. 改修工事や座席の交換などにより, 改変される竣工年の古い 3 球場については, 改修内容について資料調査および施設担当者へのヒアリング調査を補足調査として実施した表 1 調査対象球場の概要名称所在地収容人数竣工年阪神甲子園球場兵庫県西宮市 55, 治神宮球場東京都新宿区 48, ナゴヤ球場愛知県名古屋市 35, 広島市民球場広島県広島市 32, 横浜スタジアム神奈川県横浜市 30, 西武ライオンズ球場埼玉県所沢市 37, 東京ドーム東京都文京区 56, グリーンスタジアム神戸兵庫県神戸市 35, 千葉マリンスタジアム千葉県千葉市 30, 福岡ドーム福岡県福岡市 48,GOO 注 ; 福岡ドームは, 色彩の施工用資料 ( 注 1 ) から測色した測色調査は, 視感測色法を用いたこれは, 測定対象物の表面すく近くに色票を並べ, 色票と同じ大きさの四角い穴の空いたマスキングカードを対象物と色票の両方に当てながら, 対象物に最も近い色票を判定者の目で比較判定する測定方法である Jis 標準色票は, 色相で 2.5, 彩度と度で 1.O おきの値で色票が構成されているため, 色相では 2.5 おきに, 度と彩度は隣り合う色票の中間 (0,5) まで判定した測色箇所は, 野球場内部を, フィールド ( 選手がプレイするグラウンドおよびベンチなどを含む周辺部分 ), 観客席 ( 階段状に座席が並んでいる観客が観戦する区域 ), トンネル通路 ( コンコースから観客席への短い通路, コンコース ( 通常, 観客席の下部にある回廊入場ゲートから各席までの主要な動線であるとともに, 売店やトイレなど, 観客へのサービスを提供する区域の 4 区域に分け, それぞれ表 2 に示す箇所を測定した. 広告や店舗の看板は, 主要な色彩のみを対象とし, 微細な部分は除外した一 90 一

調査期間は 1995 年 4 月から 1996 年 3 月である測定者は視感測色の経験者により 1 3 名が分担して測定した ( 注 2) 贓表 2 測色箇所測色個所ブイールドスコアボード, バックスクリーン, 外野フェンス, ファウルポール, 広告観客席座席, 床壁, 階段手すり, 金網フェンス, サイン標識トンネル通路コンコース 2.

3 調査期間は 1995 年 4 月から 1996 年 3 月である測定者は視感測色の経験者により 1 3 名が分担して測定した ( 注 2) 贓表 2 測色箇所測色個所ブイールドスコアボード, バックスクリーン, 外野フェンス, ファウルポール, 広告観客席座席, 床壁, 階段手すり, 金網フェンス, サイン標識トンネル通路コンコース 2.2 分析方法 (1) スタジアム内部の色相分布 ( 通路や座席方向を示すもの ), 広告床, 壁, 天井, 幅木, サイン標識, 広告一床, 壁, 天井, 幅木, 扉, 手すり, 備品 ( ゴミ箱, 灰皿など ), 店舗の看板やカウンターなど各球場の測色調査結果から, 観客席からの主要な視環境であるスタジアム内部 ( フィールドおよび観客席 ) について, 色相分布を集計した色相は R ( 赤 ),Y ( 黄 ),G ( 緑 ),B ( 青 ),P ( 紫とその中間色,PB,RP ) の計 10 段階に区分し, 頻度を集計し鵡 (YR,GY, なお, 各球場の特徴を確化するために, ほとんどグレーに見える彩度 1.0 以下のデータを除外して集計した本分析では, 小木曽ら 3 ) ; ] による各種室内の調査分析で採用された色相の度数を用いたが, 観客にとっては, 面積比率の及ぼす影響が大きいと考えられる実際に用いられている色彩の面積を実測することは容易でないため, スタジアム内部のカラー写真を撮影し, その映像を併用して度数の数 (2 ) 主要区域のトーン比較フィールド, 観客席, コンコースなどの主要区域について, 色彩の印象上の特徴を把握するため, 測色データをトーン図により集計したトーンは度と彩度の 2 属性で色を表現する方法で, この組合せは色相に関わらず共通の印象を与えるといわれている 9> 例えば, 度が高く彩度が中程度の色 αd は, ピンク, 青, 緑といった色相に関係なく, 澄んだ, 楽しい感じがするとされる 9} 本研究では, 都市景観の環境色の分析方法として提案されたトーン図に集計する方法 9 を用いた 3. 結果 3.1 スタジアム内部の色相分布竣工年の古い順に, 各球場のスタジアム内部について, 色相分布の概要を述べる阪神甲子園球場 ( 図 2 ) は, 全体的には G と Y の頻度が座席は赤や黄, 緑など縦方向に区画し確に塗り分けている ( 写真 D この配色は 1985 年の改装によるものである ( 表 3 ) 神宮球場 ( 図 3 ) は, 座席は PB ( 青紫 ) のみの単色で, 他の部分も B PB を中心に構成され, 統一感の 14 ) ある配色である治神宮外苑七十年誌によれば, 打ち放しコンクリートに木材の無塗装のベンチ ( 竣工時 1926 年 ) という色彩の少ない囃竟が長期間続き, 内野席に赤青黄色のプラスチック椅子が導入 (1967 年 ) されたが, 褪色や学生野球の中心地という性格を考慮して一旦, 全座席を茶色に統一し,1993 年に現況の配色となっある ( 表 4 ) たもので値の妥当性を考慮し属集計結果のグラフでは, 背景となる大面積の区域と, アクセント的に用いられる小面積の区域を分け, 観客席内で面積の大きい座席については, 他の部位と区別して分布を表示するなど, 面積による効果を考慮して検討を進めた O 座席 10 座席 RYYGGBBP. PR RPPPBBBGGGYYYRRO 図 2 阪神甲子園球場の色相分布即糖嬲の餬笳度おしゃれなちじまった厳粛なカ亠級な ) li たい静的 tx 彩度 N = ユートラノ L 低彩度 M 中彩度 H 高彩度図 1 トーンの与える印象 ( 都市づくりハ卩ブリックデザインセンター u) による ) 表 3 阪神甲子園球場の改装竣工甲子園大運動場と命名 (RC 造一部木造 ) ツタ植栽,71934アルプススタンド建設 ( 木造 20 段をRC 造 50 段に改造 ) 外野中央にスコアボード完成.H1951 外野スタンド改築.81985内野スタンドに大屋根 ( 銀傘 ) 復活.2 各スタンド改造および周辺改良工事甲子園 HISTORYj ( 阪神甲子園球場 ) より作成一 91 一

表 4 神宮球場の改装 1926.101931 治神宮外苑野球揚竣工 (RC 造収容 31000 名 ).619521967 第 1 次改造 ( 内外野増築, アーケード型通路 ) 第 2 次改装 ( スタンド腰掛け板, バックネット設置 ).41978 スタンド改装 ( 指定席に赤青黄のプラスチック椅子採用 ).31983外野スタンド改修 ( 芝生からプラスチックの椅子席に ).

4 表 4 神宮球場の改装治神宮外苑野球揚竣工 (RC 造収容名 ) 第 1 次改造 ( 内外野増築, アーケード型通路 ) 第 2 次改装 ( スタンド腰掛け板, バックネット設置 ) スタンド改装 ( 指定席に赤青黄のプラスチック椅子採用 ).31983外野スタンド改修 ( 芝生からプラスチックの椅子席に ).2L990外野ラバーフェンス塗色変更 ( 緑から青に ).2199L21993 外野椅子取り替え第 2 内野椅子改修.5 ボックスシート席椅子取り替え治神宮外苑七十年誌 ( 治神宮外苑 ) より作成西武ライオンズ球場 ( 図 7 ) は, 座席が GY の単色で, フィールドの G とも一体感がある彩度 LO 以下の箇所も多いが, 全体的には av G 付近に集中した緑色系の特色のある分布である 0RYYGGBBPPR RPPPBBBGGGYYYRRO ナゴヤ球場 ( 図 4 ) は, 座席も他の部分にも多くの色彩が用いられ, 幅図 6 横浜スタジアムの色相分布図 7 西鰍広い範囲に色相が分布している支配的な色相はなく, にぎやかな印象を与えるこの配色は 198 了年の改装によるものでは青と緑の 2 色であった広島市民球場場とも座席を塗り分けている蜘 ( 回 ) 瓦 864 ( 表 5), それ以前の座席 ( 図 5 ) も, ナゴヤ球場に類似した色相分布であり, 両球膕座席 RYYGGBBPPR 図 4 ナゴヤ球場の色相分布辱, 8 6 [ ( 回 ) 圖一. 麟 4 2. i :... ORYYGGBBPPR 図 5 広島市民球場の色相分布師東京ドーム ( 図 8) は, 座席が PB ( 青紫 ) のみで, 他の部分も BG ( 青緑 ) PB を中心とした構成であるただし彩度 1 0 以下の箇所も少なくないグリーンスタジアム神戸 ( 図 9 ) は,G と Y の頻度が高く, 座席は,Y の代わりに GYが使われ,B が加わった色相で, やはり縦方向に塗り分けている地理的にも近い阪神甲子園球場 ( 図 2 ) と類似した分布である千葉マリンスタジアム ( 図 10) は, 全体的に R Y と B PB の 2 つの群からなる構成であり, 横浜スタジアムで塗り分けている ( 図 6 ) に類似している座席は 3 色擂岡ドーム ( 図 ID は, 座席が G の単色であり, 度数としては Y が多い GY 周辺に色相が分布している西部ライオンズ球場 ( 図 7 ) に近い色相分布である 10 8 鬮座席 ORYYGGBBPPR RYGBP RYGBP 図 8 東京ドームの色相分布図 9 グ尸職ジアム褥の色相分布團座席 1 86 圃座席写真 2 ナゴヤ球場観客席 ( 外野席から撮影 ) 表 5 ナゴヤ球場の改装中日スタジアム竣工 ( 木造,1951,8 に火災で全焼 ).41955新球場 (RC 造, 収容人員 30,000 人完成.3196L31967 外野席拡張 ( スタンド21 段から37 段に.41968特別席拡張.41986指定席改修中央スタンド改造 ( 記者席, 放送室, 特別席の拡張, フェンスのラバー張り替え, 外野看板改修完了球場本館, 内野,2 階席, 正面入口など改造工事完了オレンジ, レッド, ブルーシートなど導入 Dragens50 ( 中日ドラゴンズ,1986) より作成 O RYYGGBBPPR 図 IO 千葉マリンスタジアムの色相分布 RYYGGBBPPR 図 11 福岡ドームの色相分布. 1 横浜スタジアム ( 図 6 ) は, 座席は R のみの単色で, 全体的には R Y,B PB の 2 つの色相群に分布しており,Y から BG までが全く使われていない暖色系の色相分布が特微的である写真 3 福岡ドーム観客席 ( 外野席から撮影一 92 一

5 3,2 主要区域のトーン比較 (1 ) フィールド周辺 ( 図 12) フィールド周辺の区域は, 客席からの視野の大半を占め, 競技の背景となる区域であるバックスクリーンやフェンス, スコアボード, ネットなどは, 度の個所を主とする分布である白いボールは, 図 12 では Nl の領域に属し, それと度や彩度で対比的な色彩が選ばれている一方, ホームランを判定するファウルポール ( 境界を示すポール ) や外野フェンス上端のラインなどは, 高彩度の色彩が主で, これらは,. 蛍光色に近い黄やオレンジでが使われている観客で背景が雑然となっても視認性を確保しやすい (3) コンコースコンコースは, 観客の入退場の主要動線であり, 店舗などサービス施設のある区域である床や壁, 天井などの建築部位は, コンクリート打ち放し仕上げ, あるいはそれに近い色彩で塗装された仕上げが多く, 度の高い色彩が中心になっている観客席の建築部位 ( 図 13 左図 ) に類似した分布であるそれに対し, 店舗の看板やゴミ箱灰皿などの備品, サインなどは高彩度が多く, 建築部位と対比の強い配色である建簗齢位床. 壁天井 ) サイ. ン備品高し高高しバックスクリーンフェンススコアボード高レファウルポールフェンス上辺 N1 Ll 度度灘. L2 N3 o 3L ooua Ho o N2 M ] L2.. 扎. N3 L3 M2 低レ彩度低 tt い影度 N4 N4 図 14 コンコースのトーン分布低しい 4. 考察彩度彩度図 12 フィールドのトーン分布 4.1 スタジアム内部の色相分布スタジアム内部の色彩は, 色相の種類の多さや, 特定の色相への集中な (2 ) 観客席 ( 図 13) 観客席の柱, 壁, 階段などの建築部位は, 殆どがコンクリート打ち放しの仕上げであり, その上にペンキが塗装されている部分も, 度が高く低彩度の色彩が多い中高彩度の個所もあるが, これらはメインの通路や, 階段の段鼻に塗られたもので, 避難路の所在や注意を促す一種のサインとして用いられているものであるこれに対して, 座席は高彩度, 中彩度に集中した分布となっている建簗邵位 ( 柱壁. 幕板. 階段 ) 高高どが各球場の特徴を形成している色相の種類の多さは, 座席の塗り分け方式の採用不採用が大きく関わっており, 座席を塗り分けた阪神甲子園球場, ナゴヤ球場, 広島市民球揚, グリーンスタジアム神戸, 千葉マスタジアムは, いずれも色相の種類が多いリンこの方式は,1985 年前後に各球場が座席の大型化などと共に, 客席を大改装した際に採用されたもので ( 表 3, 表 5 ), 褪色や劣化の少ない高密度ポリエチレンの座席が導入されたことが契機となっているまた, 照設備や電光掲示板などと同様に, 他球場の動向が改装の動機として作用している ( 注 3 ) 一方, 特定の色相に集中させた配色は, 全体的な統一感を優先させた色彩計画であり, それらは,R なと暖色系 ( 横浜スタジアム ),B や田などの度度艶系 ( 聴暢棘ドーム ), またはG などの雛剽猷ライオンズ球場, 福岡ドーム ) などがある座席の塗り分け方式は, 観客の誘導など管理運営上の便宜性を重要視した考え方でありこの方式を採用している阪神甲子園球場, ナゴヤ球場, 広島市民球場などぽ竣工年が古いこと, 名古屋以西にあることが共通点で低低あるしかし, 近年建設されたグリーンスタジアム神戸や千葉マリンスタ彩度図 13 観客席のトーン分布彩度ジアムでも採用されており, 時代的あるいは地理的な傾向と括ることはできない全体的な統一感を優先させた配色は, 治神宮球場, 横浜スタジアム, 西部ライオンズ球場, 東京ドーム, 福岡ドームで採用されている東京ドームと福岡ドームは, 多目的型の屋内競技場で, 観客席を野球観戦の用途. のみで区分できない事情がある他の球場は全て首都圏にある球場である 4.2 主要区域のトーン地較座席は高彩度, 外野フェンスやバックスクリーンは低度など, 部位ごとに共通する特徴がみられた写真 4 サインの例 ( トンネル出口付近阪神甲子園球場 ) 一 93 一

商業施設などの特殊な例を除くと, 日常体験する多くの建築空間は, 壁や天井など視界の広い面積を占める部分に高度かつ低彩度の色彩を用い, 家具などの小さな面積にアクセントカラーと呼ばれる高彩度の色彩を配すのが, 一般的な色彩計画である野球場のコンコースは, 一搬建築と同様に, 広い面積の建築部分に高度低彩度の色彩を用い, 小さな部分が高彩度の色彩環境となっているが,

6 商業施設などの特殊な例を除くと, 日常体験する多くの建築空間は, 壁や天井など視界の広い面積を占める部分に高度かつ低彩度の色彩を用い, 家具などの小さな面積にアクセントカラーと呼ばれる高彩度の色彩を配すのが, 一般的な色彩計画である野球場のコンコースは, 一搬建築と同様に, 広い面積の建築部分に高度低彩度の色彩を用い, 小さな部分が高彩度の色彩環境となっているが, コンコースからトンネルを抜け, 観客席に出ると, 一面に広がる高彩度の座席が視界の多くを占め, その面積と色彩また調査分析技術として撮影した画像情報の画素単位の解析により. 面積を考慮した集計も可能になると思われるがそのためには天候や日変化による変動についての基礎的な研究の蓄積が課題にあげられよう本研究で測定した球場の中には, 既に球場が新設され取り壊しが予定され測色調査が困難な施設もある経年的な変化を把握するには正確な過去の調査記録が不可欠であり. そのために野球場のみならず多くの施設で現況を調査し, 記録することが急がれるの関係は逆転する座席は高彩度な色彩および中高彩度でやや低度な色彩が用いられている. 高彩度の色彩は, 華やかで動的なな印象を与えるとされ, 狭いコンコースから突然, 広大な空間へ導かれた変化とともに, 非日常的な雰囲気を演出する効果を高めると考えられる 4.3 今後の観客席の配色竣工年の古い球場の改装年表 ( 表 3, 表 4, 表 5 > から, それらの球場の竣工当時は, コンクリート打ち放し仕上げに, 大部分は木製ペンチの観客席という形態が永く続き,1985 年頃から座席のカラー化が始まっている補足調査のヒアリングによると, この座席は, 米国からの輸入, あるいは技術提携によるものであり,Lo 町 y の時代区分ではスーパースタジアムの時代に米国で開発されたカラフルな座席が, やがて日本に及ぼした影響であると推測される多目的競技場の場合, 野球以外の競技にも使われるので, 野球観戦用の区分で塗り分けることはできないこのことは観客の誘導という機能上の制約から離れて, 建築デザイン上の褫点から自由に計画できる条件が生じたと受けとめることもできよう米国の多目的競技場で試みられているような, 同系色の濃淡を同心円状にグラデーションで塗り分けるなど, 様々な事例が登場する可能性もある一方, 座席の塗り分けは, 千葉マリンスタジアムでは,R と YR のように近い色相で変化させる例もあり, 球場全体の統一感と両立させることも可能と思われるなおそのような配色は LDwry の時代区分ではスーパースタジアムの時代の考え方に近い配色と言えよう e 5. まとめ国内 10 球場の色彩の現況を測定し, 各球場の特徴をスタジアム内部の色相分布で把握した全体的な傾向としては, 特定の色相に集中しない, 座席を多くの色相で塗り分けた球場 ( 阪神甲子園球場ナゴヤ球場, 広島市民球場, グリーンスタジアム神戸, 千葉マリンスタジアム ) と, 全体的な統一感を優先し, 特定の色相に集中する球場とに大別され, 特定の色相に集中する場合 } よ R など暖色系 ( 横浜スタジアム ),B や PB などの寒色系宮球場, 東京ドーム ), または G などの緑色系 ( 西武ライオンズ球場, 福岡ドーム ) がある ( 神注 li 福岡ドームの色彩は, 福岡ドーム新築工事共同企業体設計室, 日本ペイント株式会社, 九州ニッペ販売株式会社編,FUKUOKA DOME アーキテクトカラーマニュアル ( ]993> から調べた注 2 ; 測定を担当した 3 名のうち.i 名 ( 副著者 ) は全施設を測定したまた, 測色調査には財団法人 E1 本色彩研究所の協力を得た注 3 ; 施設担当者へのヒアリングによる参弯文献 1) 吉田慎吾, 藤井経三郎 ; 都市と色彩 ( 洋泉社 ),pp,20, ) 乾正雄 : 建築の色彩設計 ( 鹿島出版会 ),pp, ,198S 3) 小木曽定彰, 乾正雄 : 映画館ロビー色彩計画の現状分析日本建築学会論文報告集, 第 63 号,pp.]93 L96, > 小木曽定彰, 乾正雄 ; 病院病室外来診察室並びに手術室の色彩調査報告, 日本建築学会論文報告集, 第 66 号, pp ,19bO.10 5) 乾正雄小木曽定彰 :Setiantic FtteLor ( 意味分子 ) に関する建物の色との対応にもとつく考察, 日本建築学会論文報告集, 第 69 号,pp ,196L10 6) 卜木曽定彰, 乾正雄標準色の選定に関する研究, 日本建築学会論文報告集, 第 70 号, pp. 駆一 74, ) 東恵子 ; 清水港湾色彩計画の調査研究 (1), 東海大学短期大学紀要 25 号,pp , IY i8 >HhMp j.lowty;greencathedruls (Addi.gon Wesley fi b!ishing Co.,Inc,), pp.6 12,1992 9) カラープランニングセンター : 都市における快適な色彩景観の形成 ( 財団法人都市づくりパブリックデザインセンター,pp 38,48, ) 佐藤邦夫 : 日本色彩風土論,JAPAN LANDSCAPE ( 株式会社プロセスアーキテクチュア ),No.19, 叩.12 13, > 小町谷朝生 : 色をとらえる (2), 人間工学,Vo1.23,ND 6,pp.397 LOI,1987 且 2> 日経アーキテクチュアブックス福岡ドーム ( 日経 BP 社 ),pp ],1993 ]3) 阪神甲子園球揚 : 甲子園田 STORY ( 阪神甲子園球場, ) 治神宮外苑 ; 治神宮外苑七十年誌 ( 治神宮外苑 ), ) 中日ドラゴンズ : Dragons50 ( 中日新聞社 ) t l986 (1998 年 9 月 10 日原稿受理 1999 年 2 月 12Ll 採用決定 ) 主要な区域ごとの傾向として, 背景的な部位 ( フィールド周辺のバックスクリーンやフェンス, スコアボード, ネット, 観客席やコンコースの建築部位は低度, ファウルポールや外野フェンス上端のラインなど境界となる部分, 座席, 店舗の看板やゴミ箱灰皿などの備品, サインなどは高彩度の色彩が多く用いられている傾向が把握された本論は測色調査による物理的特性から分析と考察をおこなったが, 今後の調査研究の課題として, 物理的な特性と観客の受ける印象との対応関係の解があげられる一 94 一

2-1-5 屋外広告物の制限

2-1-5 屋外広告物の制限第 2 章景観法の活用による新しい取組 5 屋外広告物の表示等の制限 ( 景観法第 8 条第 2 項第 4 号イ ) 屋外広告物は自然の風景や都市の景観に大きな影響を与える要素の一つである東京の街を歩くとき目に映るのは建築物の壁面又は屋上に設置された数多くの広告物である無秩序に設置された屋外広告物が良好な景観形成の阻害要因として扱われる例も多い一方近年は地域のまちづくりと連携し建築物との調和や街並みとしての統一感を意図した