(Microsoft PowerPoint -

Size: px

Start display at page:

Download "(Microsoft PowerPoint -"

あやかつまがみ
5 years ago
Views:

( 資本コストを考える ) 経営者に求められているもの - 日本企業の成長戦略と資本コスト - 2018 年 11 月 23 日 2018 年度ファイナンス入門 ( 第 9 回 ) 松村勝弘 1 今回講義のポイント

ファイナンス論の中心的課題である,CAPM( 資本資産評価モデル ) や WAC C( 加重平均資本コスト ) について学ぶ本日の講義に役立つ参考文献紹介企業価値 = 期待キャッシュフロー期待収益率貸借対照表

1 ( 資本コストを考える ) 経営者に求められているもの - 日本企業の成長戦略と資本コスト年 11 月 23 日 2018 年度ファイナンス入門 ( 第 9 回 ) 松村勝弘 1 今回講義のポイント資本コストを理解するそれは資本提供者の期待であるその際, 会社は誰のものかを考える現在価値について学ぶ将来キャッシュフローの割引現在価値としての資産価値を学ぶコーポレートファイナンス論の中心的課題である,CAPM( 資本資産評価モデル ) や WAC C( 加重平均資本コスト ) について学ぶ本日の講義に役立つ参考文献紹介企業価値 = 期待キャッシュフロー期待収益率貸借対照表 1 ク何トらをか実の施プすロるジェ負債資産資本利益資産の増加負債資本増加 4 期待に応えられるか 2 投資に対応する調達ただし, 企業に期待を寄せているのは, 投資家だけか, という疑問は残る 3 投資家の期待配当等のリターン

1. 銀行の求めているもの, 株主投資家の求めているもの, そして経営者の立場 (1) 投資意志決定にあたって ROE 階層別会社数 2009 年四季報 2011 年四季報 2013 年四季報 2015 年四季報 2018 年四季報 ROE 階層別場会場会場会場会場会構成比構成比構成比構成比社社社社社構成比 0% 以下 1105 36.3% 456 15.2% 391 13.

2 1. 銀行の求めているもの, 株主投資家の求めているもの, そして経営者の立場 (1) 投資意志決定にあたって ROE 階層別会社数 2009 年四季報 2011 年四季報 2013 年四季報 2015 年四季報 2018 年四季報 ROE 階層別場会場会場会場会場会構成比構成比構成比構成比社社社社社構成比 0% 以下 % % % % % 0% 超 5% 以下 % % % % % 5% 超 10% 以下 % % % % % 10% 超 20% 以下 % % % % % 20% 超 % % % % % 合計 % % % % % ( 注 ) 会社四季報 CD-ROM 版 2009 年 3 集, 2011 年 3 集,2013 年 3 集,2015 年 3 集,2018 年 3 集, でデータのそろっている会社をもとに作成 (2) 投資家は何を求めているか - 資本コストを考える i) 投資家はリターンを期待しているいずれにせよ, 経営者はこれら株主の期待に応える必要がある期待ベース 1 銀行の求めているもの,2 株主の求めているもの ii) 投資家の期待と経営者の裁量権従来の日本企業ー株式相互持合いに基礎づけられた経営者支配 ( 補論参照 ) iii) 外国人投資家の持株比率増加に伴う変化 10 年もの国債利回り 0.05% % を下回っている銘柄 252 銘柄ある投資家の期待に応えていないのでは 5? 6 2. 資本構成と資本コスト (1) 資本コストとは投資家の要求水準である i) 経営者の立場からみた資金コストと株主の立場, さらには企業維持コスト [ 後述 ] 考えよう株主は利益全部が自分達の支払ベース配当性向 30% 台ものだと主張する経営者は支払ベースでの資金コスト意識留保性向 70% 積立金 [ リスクバッファー ] 配当性向 = 配当金税引後利益 ii) 株主の立場と機会費用の考え方経営者支配企業は, 収益性よりむしろ成長性を重視する経営者はその勢力拡大のため, 自由気ままに低収益の投資プロジェクトに投資してよいということにはならない得べかりし利益を得ないで放置する損失を機会費用といい, これを避けるべき株主は企業が黒字であれば満足するのではなく, 機会費用以上の利益を期待する留保性向 = 積立金税引後利益 7 8

3 (2) 負債コストの計算 - まずは負債コストから考える負債コスト = 14% 12% 10% 8% 6% 4% 2% 0% 支払利息 ( 含む社債利息 CP 利息 )+ 支払割引料社債 + 長期借入金 + 短期借入金 +CP+ 受取手形割引高負債コストの推移法人企業統計年報 ( 製造業, 全企業 ) 支払ベースで考えられる確定利付でもあり期待と一致 1960 年度 1962 年度 1964 年度 1966 年度 1968 年度 1970 年度 1972 年度 1974 年度 1976 年度 1978 年度 1980 年度 1982 年度 1984 年度 1986 年度 1988 年度 1990 年度 1992 年度 1994 年度 1996 年度 1998 年度 2000 年度 2002 年度 2004 年度 2006 年度 2008 年度 2010 年度 2012 年度 2014 年度 9 (3) 現在価値の評価 i) 現在価値の評価 - 自己資本コストを考える前に 1 割引キャッシュフロー ( 割引現在価値 ) の考え方 ( その 1 将来価値 ) 5% の金利の時代だと仮定する 1 年満期の 100 万円の譲渡可能な定期預金証書があるとするこの定期預金証書の 1 年後の価値 ( 将来価値 ) はいくらか, 当然それは 105 万円であろう将来価値 = 現在価値 100 万円 (1+ 利率 0.05) =105 万円 10 2 年据え置きの定期預金証書であったとすると将来価値 = 現在価値 100 万円 (1+0.05) (1+0.05) =100 万円 (1+0.05) 2 = 万円将来価値 =future value=fv 現在価値 =present value=pv k= 利子率, として将来価値 (FV 1 )= = 現在価値 (PV)+ + 利子 (I) =PV+PV k=pv (1+ (1+k) 1 年後の将来価値 FV 1 = 100(1+0.05) = 100(1.05)= 年後の将来価値 FV 2 =FV 1 (1+k)=PV( 1+k)(1+k)=PV(1+k) 2 = (1.05)= 100(1.05)(1.05) = 100(1.05) 2 = 100(1.1025)=

4 2 割引キャッシュフロー ( 割引現在価値 ) の考え方 ( その 2 現在価値 ) 現在価値 =1 年後のキャッシュフロー 105 万円 (1+ 利率 0.05)=100 万円現在価値 = 将来価値 (1+ 利率 0.05) であり, 将来価値 = 現在価値 (1+ 利率 0.05) である将来価値 (FV) と現在価値 (PV) FV n =PV(1+k) n n 年後の将来価値 = 現在価値 (1+ 利率 ) n 現在価値 =n 年後の将来価値 (1+ 利率 ) n FV PV n = (1+k) n ii) 債券の評価 - 下記国債について元本償還を含めて計算する表面金利 :3% の場合 10, =300 図表国債の元利の現在価値表面金利 3% 償還期限 10 年市中金利 3% 年目 /05 1/06 1/07 1/08 1/09 1/10 1/11 1/12 1/13 1/14 元利支払金利金利金利金利金利金利金利金利金利金利元金 =300 (1+0.03) =300 (1+0.03) =300 (1+0.03) = 現在価値国債価格券面に 1 万円と書いてあるから 1 万円で流通するわけではない 15 投資家株主は何を求めているか, 改めて考えてみよう投資家 ( 株主 ) はリターンを期待している 1 株主は配当 ( ならびに値上がり益 ) 2 債権者は利子 ( 確定利付 ) 株価は何によって決まるか 1ファンダメンタル分析 = 企業価値 2テクニカル分析 =ケイ線分析など 16

5 (4) 自己資本コストを考える負債のコストはきわめてわかりやすい利子率がコストということになる新株発行に伴うコストはいくらになるのか増資の場合でも, かつては配当のみがコストだという意識が強かった会社は株主のものと考えれば, 配当部分だけではなく積立金部分 ( 値上がり益, 将来性 ) についても経営者は何らかの責任を負っていると考えなければならない株価は何によって決まるのか, 株式価値の問題を考えておく必要がある理論的には, 株価は配当金を投資家の期待収益率で除したものである配当割引モデル (DividendDiscount Model,DDM) 自己資本コストを考えるために i) 株式価値の計算を学習する 1 株式と債券の性格の違い 2 株式の現在価値 ( ゼロ成長の場合の株価 ) 3 配当割引モデルの意味 4 株価を決めるのは利益か配当か ( 後述 ) 株価 = 配当金期待収益率 ( 利子率に類似 ) D D D P= (1+r) (1+r) (1+r) DDM) である P= D r 2 n P= ファイナンス入門頁参照 (A-1) 図表株式の現在価値株主の期待収益率 5% 年目 n 1/1/05 1/06 1/07 1/08 1/09 1/10 1/n 支払残余価値 (residual value) = 現在価値株価株価 = 配当金期待収益率 200 5% いま仮に 1 株配当金毎年 200 円と仮定する株主の期待 =この場合の自己資本コスト 19 企業価値と株主価値を図解してみる ( ここでは負債を利用した場合を想定 ) 企業の B/S( 時価 ) ( 負債 ( 資産 ) 資本 ) 現預金等借入金株主価値企業価値 1 年目 2 年目 3 年目 4 年目キャッシュフロー ( 注 ) 企業価値創造実務研究会編企業価値創造ファイナンス金融財政事情研究会,2004 年,18 頁より作成 n 年目 20

6 3 成長株の場合の株価 D P= r-g D= 配当金,r=,g= 成長率 g は内部留保による利益配当の増加実は, ここでの配当金は将来の期待配当 D0(1+g) D0(1+g)2 D0(1+g)3 D0(1+g)n P0= (1+r) (1+r)2 (1+r)3 (1+r)n 計算式の詳細はファイナンス入門頁参照 21 株主の期待株価 P5000 万円 = 配当金 D200 万円 ( 期待収益率 r5%- 成長率 g1%) 年目支払 /1/05 1/06 1/07 1/08 1/09 1/10 1/n 年目 (1+ 1% ) n = 現在価値このような市場の期待に応えて ( 資本コストを負担して ) 始めて現在の株価が維持できる 22 4 配当割引モデルの意味将来配当の割引現在価値の総計が株式価値であると考えるわけであるしかし将来配当はあくまでも予測であり, 期待収益率も現在の株主の期待であり, 成長率も予測ないし期待であるこれはあくまでもモデルであって, 実際ではないしかしある程度の予測を行わないと株式価値は算定できないし, それにもとづいて割安割高を判断して株式投資を行うわけである (5) 投資家の期待, 株式の資本コストを計算する i) リスクと不確実性下の経営者の意志決定ファイナンス論はここだけを見ている 23 24

7 (5) 投資家の期待, 株式の資本コストを計算する ( 個別企業の資本コスト ) CAPM, ベータ値を考える市場全体の自己資本コスト =10 年国債利回り + 株式リスクプレミアム (6%?) 個別企業の自己資本コスト = リスクフリーレート + 市場全体の株式リスクプレミアムその企業のベータ値その背後にある CAPM( 資本資産評価モデル ) E(Ri)=RF+βi[E(RM)-RF] 25 個別企業の資本コスト -CAPM, ベータ値を考える E(Ri)=RF+βi[E(RM)-RF] 証券の期待収益率 = 無リスク利子率 + ベータ ( 市場ポートフォリオの期待収益率 - 無リスク利子率 ) = 個々の銘柄の自己資本コスト無リスク利子率は通常 10 年物長期国債の市場利回りによる投資家は上記のリスクを分散しつつ, リターンをねらういわゆる分散投資であるファイナンス論ではリスク = ボラティリティ ( 変動 ) 市場のトレンドと全く同じ方向のリスクの銘柄の場合, ベータ値が 1 であるといい, 市場のトレンドと全く逆の方向のリスクの銘柄の場合, ベータ値がマイナス 1 ということになる当然これは会社は株主のものであって, その要求に応えなければならないという前提での理論であるその場合, 株主の要求水準が自己資本コストであると認識される 26 個々の会社の自己資本コストの計算さきの算式からわかるように, ベータ値がわかれば個々の会社に対する株主の期待収益率がわかります通常無リスク利子率には国債金利をあてはめ, 市場ポートフォリオの期待収益率には東証平均などの投資収益率をとります平均配当利回りプラス TOPIX の値上がり率を加えれば平均収益率となります今仮に東証の平均利回りが 2%,TOPIX の値上がり率 5%, つまり合計して 7% の投資収益率で, 国債金利 3% であり, ある銘柄のベータ値が 1.5 であるとすれば, その銘柄の期待収益率は 9% となりますつまりこれがその企業にとっての自己資本コストになります証券の期待収益率 = 無リスク利子率 + ベータ ( 市場ポートフォリオの期待収益率 - 無リスク利子率 ) =3%+1.5 (7%-3%)=9% この会社の株主の要求水準がこれで計算できるこれに応える必要があるという認識を表している β と株価の動きとの関係 β= 個別株式の変動株式市場全体の変動 β>1 市場の動きより大きい 0<β<1 市場の動きより小さい β<0( マイナス ) 市場と反対の動き例 1 例 2 例 3 TOPIX が10% 成長 TOPIX が10% 成長 TOPIX が10% 成長 A 銘柄が 15% 上昇 A 銘柄が 10% 上昇 A 銘柄が 15% 下落 A 銘柄の β 値 =1.5 A 銘柄の β 値 =1.0 A 銘柄の β 値 =-1.5 市場で 10% % の値動きの時,A 銘柄は 15% % 変動する 28

例解してみる β= 個別銘柄の変動率と市場変動率の共分散市場変動率の分散 3. 資本構成と資本コストの計算資本構成と加重平均資本コスト A 社株ベータ値 =COVAR(C4:C15,E4:E15)/VARP(C4:C15) = 1.358511544 B 社株ベータ値 =COVAR(C4:C15,G4:G15)/VARP(C4:C15) = -0.

企業は債権者の期待と株主の期待の加重平均の資本コストを負担しなければならないから 30 WACC の計算式 D E WACC = RD (1- T)+ R D + E D + E ただし, WACC = 加重平均資本コスト RD RE D E T = 負債コスト ( 税引前 ) = 株主資本コスト = 負債総額 = 株主資本総額 = 法人税率それぞれのコストを加重平均している負債コスト (

8 例解してみる β= 個別銘柄の変動率と市場変動率の共分散市場変動率の分散 3. 資本構成と資本コストの計算資本構成と加重平均資本コスト A 社株ベータ値 =COVAR(C4:C15,E4:E15)/VARP(C4:C15) = B 社株ベータ値 =COVAR(C4:C15,G4:G15)/VARP(C4:C15) = COVAR= 共分散 VARP= 標本分散をあら 29 わす Excel 関数 WACC-( -(Weighted Average Cost of Capital ) 加重平均資本コスト加重平均資本コストの計算なぜなら, 企業は, 現実には自己資本と他人資本のミックスで運営されているからつまり, 企業は債権者の期待と株主の期待の加重平均の資本コストを負担しなければならないから 30 WACC の計算式 D E WACC = RD (1- T)+ R D + E D + E ただし, WACC = 加重平均資本コスト RD RE D E T = 負債コスト ( 税引前 ) = 株主資本コスト = 負債総額 = 株主資本総額 = 法人税率それぞれのコストを加重平均している負債コスト ( 債権者の期待 ) 株主資本コスト ( 株主の期待 ) E 31 WACC を中心に資本コストを考える WACC(Weighted Average Cost of Capital 加重平均資本コスト ) 計算式 :WACC(%) = 株主資本コスト ( 期待収益率 ) [ 株主資本 ( 株主資本 + 有利子負債 )] + 平均借入利率 (1- 実効税率 ) [ 有利子負債 ( 株主資本 + 有利子負債 )] 実際は負債も活用しているので, 負債提供者の期待と株主の期待の加重平均値を計算して, 企業が最低稼ぐ必要のある利益水準を計算している 32

9 ( 補論 ) 会社は誰のものか, そして最近の市場万能論をどう考えるべきか i) 会社は誰のものかための ii) 株主至上主義と日本的経営は両立するか経営者従業員共同体人本主義 ( 伊丹 ) 株主至上主義, 伊丹氏の言葉を借りれば資本主義ということになる ( 検討課題 ) 株主重視経営はわが国で根付くであろうかわが国企業では株主重視経営に向かうべきだろうか 33 カルロスゴーン氏の報酬をめぐって 2018 年 3 月期 2014 年 3 月期 34 質問票感想でも構いません ( 必須ではありません用紙は適宜自分でノートを切り抜いて提出しても構いません ) 学生番号 ( ) 氏名 ( ) 35

Microsoft PowerPoint - 05zaimukanri11.ppt

Microsoft PowerPoint - 05zaimukanri11.ppt 財務管理 [11] 資本コスト中村学園大学吉川卓也目次 11-1 資本コストの意味 11-2 企業が達成しなければならない利益とは 11-3 加重平均資本コスト 11-4 投資資金の一部を増資で調達する場合 11-5 機会費用 1 2 11-1 資本コストの意味 (1) 企業が投資プロジェクトを評価する際そのプロジェクトのキャッシュフローの現在価値合計から計算される正味現在価値を用いる投資決定をおこなう際