マクロ経済動向分析４月 成長減速の中に見える安定 ソフトランディング体勢へ

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1 マクロ経済動向分析 4 月 安定成長への手探り 痛みを伴う政府の改革 1

2 4 月のポイント 社会消費品小売額の比較的安定 就業者 所得の増加傾向 第三次産業比率の増加 地方財政の緊迫 固定資産投資の減速 輸出入総額伸び悩み GDP 成長率は減速か 安定か? 2

3 0. 今月の目次 GDP P.4 株価 P.17 投資 P.7 4 月中国マクロ経済 貿易 P.14 消費 P.9 財政 P.12 3

4 1. 第 1 四半期の GDP 成長率 国内評価は安定と前向き 図表 1 四半期別の GDP 成長率 ( 単位 :%) 政府目標値 (7.5%) 国家統計局の盛来运報道官は 足元の成長はやや鈍化しているものの 経済規模は依然として拡大しており 労働力の需要も増えている と述べた ( 出所 ) 中国国家統計局より作成 2012 年第 3 四半期以来 1 年半振りの低水準となるが 政府目標値の誤差範囲内 4

5 1. 第 1 四半期の GDP 成長率 国内評価は安定と前向き 図表 2 製造業購買担当者景気指数 ヵ月ぶりの上昇 HSBC が発表した新規輸出指数も 4 ヵ月ぶりに 50 を上回り 上昇幅はこの 1 年あまりの最高を更新した ( 出所 ) 中国国家統計局より作成 四半期ベースでは停滞が見られるも PMI では景気持ち直しの兆し 5

6 1. 第 1 四半期の GDP 成長率 国内評価は安定と前向き 減速? 安定? 都市部で 300 万人 農村部で 288 万人の増加 固定資産投資前年同期比 3.3 ポイント減 都市部で 10.1% 農村部で 7.2% 増加 前年同期比 0.1 ポイント減 減過剰設備の廃棄が進む 前年同期を 1.1 ポイント 第二次産業を 4.1 ポイント上回る 上記に加え PMI は 0.1 ポイントの持ち直しで全体的には安定指向か 6

7 2. 過剰設備投資 不動産価格上昇の 落ち着きが固定資産投資の減速へ 図表 3 固定資産投資伸び率 ( 単位 :%) 2002 年 12 月以来の低水準 重工業 エネルギー 不動産産業を中心に投資が減速が原因と考えられる ( 出所 ) 中国国家統計局より作成 固定資産投資は 12 年ぶりの低水準で 依然下降傾向 7

8 2. 過剰設備投資 不動産価格上昇の 要因 落ち着きが固定資産投資の減速へ 政府による過剰設備対策 造船 鉄鋼などの過剰設備の廃棄 またこうした産業に対して銀行融資を制限 不動産価格の安定 販売に至らない物件が積み上がり 値下げ 財源確保のため地方政府を中心に大体的に土地が売却される 環境問題への配慮 政府は企業に環境投資を増すように圧力をかける 大手石油会社を中心に投資を絞り込む動き 重工業 エネルギー 不動産産業を中心に投資が減速した 8

9 3. 自動車産業やネット市場拡大が 消費の安定 GDP 成長にやや貢献 図表 4 社会消費品小売総額伸び率 ( 単位 :%) 前月と比較してやや持ち直しの傾向 盛来运報道官は 1-3 月は消費が最も GDP に貢献した と述べた ( 出所 ) 中国国家統計局より作成 昨年の水準と比較すると未だ減速気味だが 若干の持ち直しが見られる 9

10 3. 自動車産業やネット市場拡大が 消費の安定 GDP 成長にやや貢献 2014 年 3 月の自動車生産 販売台数は過去最高を記録 4 月 20 日 世界最大の自動車展示会 北京国際自動車ショー開催 世界の大手自動車メーカーの更なる投資拡大 中国政府はエコカーに対して 1 台あたり日本円にして 25 万円の補助 中国における自動車ブームはいまだ健在 海外の投資に応じ 政府も拡大支援 10

11 3. 自動車産業やネット市場拡大が 消費の安定 GDP 成長にやや貢献 ネット通販の急速拡大 生活レベルの向上とともにインターネットも急速普及 2013 年は 1 兆 8000 億元 2014 年は 3 兆元を超え 小売総額の 10% を占める見込み 中国の通販シェアの 8 割を握る アリババ がアメリカで資金調達史上最大規模の大型上場の可能性 インターネットの普及を背景に 格安スマートフォンの出荷も第 1 四半期は前年同期比の 2.5 倍に増加 インターネットという新しくかつ大規模な市場が 中国の市場の一部を担うレベルにまで発展 11

12 4. M2 12 年ぶりの低水準 16 地方政府の厳しい資金繰り状況 図表 5 通貨供給量 (M2) 伸び率 ( 単位 :%) 考えられる原因として 人民元の下落で資本流入と外貨準備の積み増しペースが鈍った ( 出所 ) 中国国家統計局より作成 2001 年 5 月以来 12 年ぶりの低水準を記録 背景には人民元の下落 12

13 4. M2 12 年ぶりの低水準 地方政府の厳しい資金繰り状況 地方財政の逼迫 人民元の下落を背景に M2 減少 M2 減少を背景に地方財政が逼迫 融資平台増加に伴う弊害 新たな資金調達法 地方の財源として融資平台の利用 融資平台の不透明な使われ方が不良債権を増加 地方は土地の譲渡収入に頼り出す しかしこれは不動価格の下落を招き 景気が冷え込む恐れがある 2014 年 5 月現在 政府は地方の債権直接発行の規制緩和を審議 不動産バブルの崩壊 デフォルト増加を防ぐため 地方の金融規制緩和が検討される 13

14 5. 諸外国との宥和と軋轢 輸出入落ち込むも人民元は世界で拡大 図表 6 輸出の伸び推移 ( 単位 :%) 図表 7 輸入の伸び推移 ( 単位 :%) ( 出所 ) 海関総署より作成 輸出入ともに減少傾向 しかしこれは昨年同期の水増し報告が原因とみられる 14

15 5. 諸外国との宥和と軋轢 輸出入落ち込むも人民元は世界で拡大 宥和 EU が太陽光パネルのダンピング問題で和解 中国が EU に対し多結晶シリコン ワインのダンピング調査停止 中国のレアアースの輸出規制を WTO が不当と判決し 日欧米の勝訴 商船三井の輸送船差し押さえ問題 軋轢 EU が通信機器のダンピング調査停止 欧州との宥和が進む中 日米との軋轢が目立つようになってきている 15

16 5. 諸外国との宥和と軋轢 輸出入落ち込むも人民元は世界で拡大 欧州との自由貿易協定 (FTA) 交渉 欧州は中国の最大の貿易取引国で 中国は欧州のアメリカに次ぐ貿易取引国 現在協議中の投資協定が締結に至った場合 自由貿易協定 (FTA) 交渉の開始を検討することで合意 欧州諸国との通貨取引決済システムの充実化 中国の台頭に安全保障上の懸念が薄い欧州各国で 新興通貨の人民元を商売の種にしようとする動き メルケル独首相は中国の習近平国家主席との間で 人民元で貿易や投資の支払いをしやすくするシステムをフランクフルトに作ることに合意 英国と中国の中央銀行は 人民元取引決済サービスに向けた合意書に署名 人民元で決済される中国貿易は現在の 18% から 3-5 年後には 30% に拡大すると予想 (HSBC) 欧州とは貿易面だけでなく 通貨面でも強い提携を深め 今後の貿易にも追い風 16

17 6. 中国株 GDP 成長率は景気低迷反映 投資家惑わし続落傾向 図表 8 上海総合指数 ( 終値 )(2014/3/ /4/25) 3 月下旬 4 月上旬銘柄により動きに差が出るも PMI 発表値小幅改善受け 買い優勢に 4 月中旬 GDP 発表値 判断難しく小幅な値動き ( 出所 ) サーチナファイナンス作成 4 月下旬 IPO 企業数増 金融引き締め警戒により続落 市場予測をわずかに上回って発表された GDP 値が 逆に投資家の判断を惑わすことになった 17

18 6. 中国株 GDP 成長率は景気低迷反映 投資家惑わし続落傾向 図表 9 ハンセン指数 ( 終値 ) (2014/3/ /4/25) 3 月下旬インターネット関連 銀行株に買いが入り続伸 3 月末 ~4 月上旬 ネット関連株売却 不動産市況下落するも 米低金利政策継続で望み ( 出所 ) サーチナファイナンス作成 4 月中旬 ~4 月下旬 GDP 発表値予測上回り買い安心感も イースター明け反落 ポイント台低迷 GDP 発表で買いが入るも イースター休暇明け後は買い材料に乏しく反落した 18

19 4 月のまとめ GDP 2012 年第 3 四半期以来 1 年半振りの低水準となるが 政府目標値の誤差範囲内 投資 重工業 エネルギー 不動産産業を中心に投資が減速した 消費 財政 貿易 昨年の水準と比較すると未だ減速気味だが 通信 自動車分野で底上げ M2 12 年ぶりの低水準を記録 背景には人民元の下落 不動産バブル崩壊 デフォルト増加を防ぐため 地方の金融規制緩和が検討される 輸出入ともに減少傾向 しかしこれは昨年同期の水増し報告が原因とみられる 株価 市場予測をわずかに上回って発表された GDP 値が 逆に投資家の判断を惑わすことになった 19