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1 平成 24 年度発電用原子炉等利用環境調査 ( 東京電力福島第一原子力発電所事故後の 各国の動向調査 ) 報告書 平成 25 年 3 月 日本エヌ ユー エス株式会社

2 概要 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故後の国内関係機関の動向を調査 分析し 今回の事故に対する各機関の分析結果 規制当局による対応状況 事業者における対応状況 その他の先進的な取組等について整理した また 原子力発電所の安全性向上に関して先進的な事例を有すると考えられる米国 仏国に加え 英国 フィンランド及び欧州連合 (EU) 国際原子力機関(IAEA) などの国際機関における取組等を調査した 国内の動向に関する調査から得られた主な知見を以下に示す 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故後の各種事故調査委員会及び関係機関による事故の分析結果 教訓 提言などを 主に政府報告書の構成に沿って シビアアクシデント (SA) 防止策の強化 SA への対応策の強化 原子力災害への対応の強化 安全確保基盤の強化 安全文化の醸成 新規制組織 その他に分類し 比較した SA 防止 対応策など 技術的な分析は日本原子力技術協会 日本原子力学会 Team H2O の報告書 原子力災害に関しては政府事故調報告書 新規制組織については内閣官房顧問会議と国会事故調の報告書で多く分析されている 原子力安全 保安院は 事故の発生及び事故の進展について判明している事実関係を工学的な観点から事故シーケンスに従って出来る限り深く整理 分析することにより 事象の各段階における技術的知見を体系的に抽出し 主に設備 手順に係る必要な対策の方向性について検討し 今後の規制に反映させるべき 30 項目の対策を提示した また 原子力安全 保安院の廃止にあたり それまでの取組と残された課題を取りまとめた 30 項目の対策は 主に SA 防止策及び対応策の強化に関わるものである 原子力安全委員会は 福島第一原子力発電所の事故以前から安全設計審査指針の見直しを行なっていたが 事故後 今回の地震及び津波に係る知見や事故の教訓 これまでに蓄積された知見 国際的な考え方を踏まえ 安全確保策や防災対策の抜本的な見直しを図る必要があると考え 事故を踏まえた指針類の見直しを実施し 原子力規制委員会への引継ぎ事項をまとめた これらの検討内容は我が国の安全審査の基礎を与えるものであり 事故対応と並行して 事故以前に検討しつつあった規制構造全体を俯瞰した検討も進める必要があると考えられる 2012 年 9 月 19 日に発足した原子力規制委員会は 福島事故の教訓や最新の技術的知見 IAEA 等の国際機関の定める安全基準を含む海外の規制動向等を踏まえた 2013 年 7 月に新安全基準を公布 施行する予定で検討を進めている この作業では海外の規制動向 ( 国際機関及び主要国の安全基準 各種報告書 ) との比較も行なわれる 検討に際しては事業者からのヒアリング パブリックコメント募集 有識者ヒアリングなどを組み込み公開の議論を行なっており このような形式は新しい取組みである 事業者は事故後 1 ヶ月以内の緊急安全対策 2012 年 6 月の経済産業省の指示に基づく i

3 SA 対応措置及び各種安全性向上策を実施している 諸外国における取組に関する調査から得られた主な知見を以下に示す 米国では 原子力規制委員会 (NRC) が短期タスクフォース (NTTF) の勧告に基づき 実施項目の重要度に見合った優先度 (Tier 1~3) で対策を実施している この対策には 事業者に対応を求めるものだけでなく 規則改定など NRC 自身のアクション項目も含まれている NRC は 実施項目の優先度を以下のように分類しており 最も優先度の高い Tier 1 でも実施にあたりリソースが十分であることを確認している Tier 1 十分なリソースの柔軟性を持ち 不必要な遅滞なく開始すべき項目と判断されたもの Tier 2 更に技術的評価や調整が必要 Tier 1 の問題の解決状況に関連する または必要な技能が整わないため短期的に開始できない問題 ( 使用済燃料プールへの給水能力 緊急時対策に関する規制対応の一部 ) Tier 3 更に研究が必要 長期的措置の通知が完了している必要がある 勧告 1 ( 深層防護とリスクの知見を適切にバランスした規制枠組みの策定 ) 及び勧告 8 の解決に依存する問題 ( 地震 洪水ハザードの 10 年毎の確認 地震起因の火災 洪水防止能力強化 MarkⅠ/Ⅱ 以外の耐圧ベント 水素制御 ERDS 緊急時計画 ROP への反映 NRC スタッフ 検査官の訓練など ) その他更なる検討及び優先度付が必要となる可能性があるもの ( 地震監視計装 緊急時計画区域 (EPZ) の広さの根拠 10 マイルを超える地域でのヨウ素剤の準備 使用済燃料のドライキャスク保管への移行 最終ヒートシンクの喪失 ) 上記の実施項目に対応するため 産業界は NEI が中心となって産業界大のガイダンス文書を作成している また NRC も事業者の対応を審査及び検査するため 審査スタッフ用の暫定ガイダンスや検査官用の短期的な指示書などを整備し公開している このような検討及び文書整備は我が国では実施されていない フランスでは 事業者が提出した追加安全性評価 (CSA) 報告書の評価を踏まえ 原子力安全規制機関 (ASN) が 2012 年 6 月 26 日付で各事業者に具体的要求事項を送付した EDF に対しては発電所別に各 30 件ほどの要求事項が送付された これらは 設計基準を超える安全裕度を高める中核 ( ハードコア ) の整備 複数施設に影響を及ぼす大規模事象に耐える緊急時の組織や設備の強化などを求める内容である EDF は 2012 年 6 月 28 日付のプレスリリースで バンカー配置の電源系 (2018 年まで ) 追加の非常用ディーゼル発電機 (2013 年末まで ) 原子力事故即応チーム(FARN) の創 ii

4 設や訓練の強化などを実施することを公表した イギリス及びフィンランドも EU のストレステストに合わせて原子力発電所の安全評価を実施し その結果に基づき対策を進めている また 欧州委員会 (EC) は EU 域の各国からストレステストの結果を集め 総括を行なった 2012 年 4 月 26 日に EC と欧州原子力安全規制者グループ (ENSREG) はストレステストのレビュー結果について共同声明を発表し 自然ハザード対策 定期安全レビューの重要性強調 格納容器健全性を防護する手段の導入など 欧州全体で追及すべき改善項目を挙げた EC は 2012 年 10 月 4 日付でストレステスト及び関連活動に基づく結論や勧告事項を欧州理事会及び欧州議会へ提出した EC は 欧州における原子力発電所の安全性は一般に高いが ほとんど全ての原子力発電所でさらなる安全性の改善が勧告されたとし 特に以下の教訓を明らかにした 地震及び洪水リスク : 確認した 145 基のうち リスク計算の現行基準は地震に関して 54 基 洪水に関して 62 基で適用されていない リスク計算は 年の期間をベースとすべきである 所内地震計装 : 全ての原子力発電所で地震を測定し警報を発する計装が必要である このような計装は 121 基で導入または改善が必要である 格納容器フィルタ ベンティング系 : 事故時に原子炉格納容器を安全に減圧できる当該系統を有すべきである 32 基はこのような系統を有していない シビアアクシデント対応設備 : 一般的な災害に対して防護された場所に保管し 速やかに入手できるようにすべきである 81 基はこのような状態になっていない バックアップの非常用制御室 : 事故により主制御室に滞在できなくなった場合に利用可能とすべきである これは 24 基で利用できる状態にない IAEA は 2011 年 5 月 24 日から 6 月 2 日に福島第一及び福島第二原子力発電所に調査団を派遣して調査を行い 日本政府に報告書を提出し 閣僚会議や原子力安全条約に基づく臨時会議を招集して事故の教訓を加盟国で共有した また 加盟国の原子力安全の枠組みを強化するため ピアレビューを強化するなど 12 項目のアクションプランをまとめた 以上から 福島事故を教訓として国内外で実施されている様々な検討を把握した 今回の事故は地震起因の津波による被害が大きいため 欧米で同様の事故は起こりにくいと考えられるが 問題を地震 津波に限定せず 電源対策 炉心冷却能力の強化 ベントの信頼性 SA マネジメント 緊急時の広域支援体制 緊急時計画区域など 各国で同様に安全性向上に向けた検討が実施されている チェルノブイリ事故後に欧州各国の発電所でフィルタベントや触媒型水素装置が導入され また 同時多発テロ後に米国で B5b と呼ばれる対策が講じられた 我が国はそれらを知る機会があったにも関わらず 国内に反映することができなかった この経験を踏まえると 現在の福島事故後の諸外国の積極的な姿勢から iii

5 我が国が学ぶべきことは多い 我が国の規制者及び産業界は 継続的に国際動向を把握し 諸外国と共に国際動向を形成する立場になることが理想である 諸外国の規制動向との比較は 言語や比較のベースとなる規制インフラの相違などがあり常に容易ではない 海外調査では 文献調査は入り口として有効であるが 実際に意見交換を行なうことにより理解が深まることは少なくない 欧州の規制者が WENRA で実施しているように 原子力発電所に要求している安全性向上措置や新安全基準の根拠について 原子力規制庁の職員は NRC ASN IAEA などの担当者と定期的に直接意見交換を行なう機会を設け 徐々に状況を変えていくことを期待する また 国内外比較を試みる場合 我が国の検討課題に対して諸外国の状況を横並びに書き出す形をとることが多い しかしながら 重要課題に集中すればするほど 全体像が見えなくなりがちである 重要課題の検討と並行して 事故前に原子力安全委員会で取り組みつつあった安全審査指針の見直し 安全目標 リスクの活用 性能規定化の検討など 規制インフラ全体の整備を意識した検討も必要である 海外との比較の視点で我が国の検討状況を見ると 例えば火災防護は米国の規制を参考にしていると説明されているが 米国の火災防護要件は仕様規定だけでは規制要件として成立せず 免除規定により規制に柔軟性を与えて運用してきたが それでも不十分で長年の検討を経てより柔軟性の高いパフォーマンスベースの規制を取り入れた しかしながら 新安全基準骨子案の火災防護は 米国の火災防護規則の仕様規定の部分を参考にしていると説明されており 米国の火災防護規則のコンセプトについてさらに理解を深める余地がある TMI 事故後 NRC は多数の規制要求が出したが 同時に累積する規制の影響を評価するため事業者から意見を聴取する取組みも行なった また テロ対策が多数要求された頃 セキュリティとセイフティの両立を慎重に検討する必要があるという議論が行なわれた 規制要件は何らかの規制目的を達成するために作成するが それに伴う意図しない影響を事前に把握することは難しい 複数の規制要件が同時に多数要求される場合 慎重に全体の安全性を評価する必要がある 様々な施策の効果を検討する背景には 安全目標があるべきである 我が国では安全目標の検討が中断したままであるため 規制の効果を評価することが難しい 諸外国では ストレステストの結果や安全性向上措置の効果を考える場合にリスクを共通のものさしとして用いているが 我が国の検討ではリスクの活用が明確ではない 規制の変更による事業者への影響が大きい場合 どのような変更であればバックフィットを即時または時間余裕をもって要求できるか あるいは要求できないかといった判断基準を定性的及び定量的 両方の視点で検討すべきである また 届出制度について 届出を認める設備をポジティブリスト化する検討が行なわれているが 設備毎に規則に書き込むよりも どのようなものは届出を認めるといった性能規定を検討すべきではないだろうか iv

6 欧米では規制が先行して物事を決めるのではなく 事業者が対策を提案し 規制者がそれを承認するというプロセスが取られることが多い これは 安全性の責任は一元的に事業者にあるという思想と整合している 規制者が細部まで舵取りを行なうと 実質上 安全性の責任を規制者が負うことになりかねない このような観点は 欧米諸国の規制や IAEA のガイド類から議論を深める必要があると考えられる v

7 目次 概要目次略語 ⅰ ⅵ ⅷ 1. はじめに 国内の動向に関する調査 各種事故調査委員会及び関係機関による事故の分析結果 教訓 提言等 原子力安全 保安院の 30 項目の対策 原子力安全委員会の指針類の整備方針 安全審査指針類の整備方針 ( 福島事故前 ) 安全審査指針類の整備方針 ( 福島事故後 ) 原子力安全委員会の廃止に伴う引継ぎ事項 原子力規制委員会による発電用軽水型原子炉の新安全基準等の検討状況 発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討状況 教訓 提言等に基づく検討課題と発電用軽水型原子炉の新安全基準 事業者の対応状況 先進的取組等 事業者の対応状況 先進的取組 諸外国における取組に関する調査 米国の取組 事故直後 ~ 短期タスクフォースの設置 短期タスクフォースの勧告 短期タスクフォース勧告の実施状況 仏国の取組 追加安全評価 (CSA) EDF 向けの要求事項 英国の取組 教訓報告書 教訓の進捗報告書 アクション プラン フィンランドの取組 短期的措置とストレステスト 事業者向けの要求事項 欧州連合 (EU) の取組 ストレステストの実施 3-68 vi

8 3.5.2 ストレステストの総括 国際原子力機関 (IAEA) の取組 初期の緊急理事会 調査団等 原子力安全条約 (CNS) 会議 アクション プラン まとめ 4-1 vii

9 略語 ABB Asea Brown Boveri アセア ブラウン ボバリ社 ABWR Advanced Boiling Water Reactor 改良型沸騰水型原子炉 AC Alternating Current 交流 ACRS Advisory Committee on Reactor Safeguards 原子炉安全諮問委員会 (NRC) AGR Advanced Gas Cooled Reactor 改良型ガス炉 AM Accident Management 事故マネージメント APWR Advanced Pressurized Water Reactor 改良型加圧水型原子炉 ASN Autorite de Surete Nucleaire 原子力安全規制機関 ( フランス ) ATWS Anticipated Transient Without Scram スクラム不能事象 AV Allowable Value 許容値 AV Apparent Violation 見かけの違反 BWR Boiling Water Reactor 沸騰水 [ 型原子 ] 炉 CEA Commissariat a l'energie Atomique 原子力庁 ( フランス ) CFR Code of Federal Regulations 連邦規則 ( 米国 ) CLI Local Information Commission 地方情報委員会 ( フランス ) CMS Contents Management System コンテンツ管理システム COL Combined License コンバインド ライセンス CP Construction Permit 建設許可 CP Contrat Programme CP シリーズ ( フランス ) CRD Control Rod Drive 制御棒駆動系 CV Containment Vessel 原子炉格納容器 DB Design Basis 設計基準 DBE Design Basis Earthquake 設計基準地震 DBE Design Basis Event 設計基準事象 DBF Design Basis Fire 設計基準火災 DC Design Certification 設計証明 DC Direct Current 直流 DG Diesel Generator ディーゼル発電機 EA Environmental Assessment 環境アセスメント EAL Emergency Action Level 緊急時アクションレベル EC Eddy Current 渦電流 EC European Committee 欧州委員会 ECC Emergency Core Cooling 非常用炉心冷却 ECCS Emergency Core Cooling System 非常用炉心冷却系 viii

10 EDF Electricite de France フランス電力 EDG Emergency Diesel Generator 非常用ディーゼル発電機 EDMG Extensive Damage Mitigation Guideline 大規模損傷緩和ガイドライン EDO Executive Director for Operations 運営総局長 (NRC) ENSREG European Nuclear Safety Regulator Group 欧州原子力安全規制者グループ EOP Emergency Operating Procedure 緊急時操作手順書 EP Emergency Plan 緊急時計画 EP Expert Panel 専門家パネル EPR European Pressurized Water Reactor 欧州 PWR EPR Evolutionary Power Reactor 革新的原子炉 ( 米国版 EPR) EPRI Electric Power Research Institute 電力研究所 ( 米国 ) EPZ Emergency Planning Zone 緊急時計画区域 ERDS Emergency Response Data System 緊急時対応データシステム ESBWR European Simplified Boiling Water Reactor 欧州版単純化 BWR EU European Union 欧州連合 FEMA Federal Emergency Management Agency 連邦緊急事態管理庁 FP Fission Product 核分裂生成物 FR Federal Register 官報 FSAR Final Safety Analysis Report 最終安全解析書 GPR Groupe Permanent Reacteur 原子炉担当常設グループ ( フランス ) GPU General Public Utility ゼネラル パブリック ユーティリティ社 GPU GPU Nuclear GPU ニュークリア社 HCLPF High Confidence of a Low Probability of 低破損確率の高信頼性 Failure HCVS Hardened Containment Vent System 耐圧格納容器ベント系 HPCI High Pressure Coolant Injection 高圧注水 ( 系 ) IAEA International Atomic Energy Agency 国際原子力機関 ICRP International Commission on Radiological 国際放射線防護委員会 Protection INSAG International Nuclear Safety Group 国際原子力安全グループ (IAEA) IP Inspection Procedure 検査手順書 IPE Individual Plant Examination 個別プラントの体系的安全解析 IPEEE Individual Plant Examination for External 外部事象に対するプラント個別解析 Events IR Industry Report 運転認可更新に関する産業界の報告 書 ix

11 IRSN Institut de Radioprotection et de Surete Nucleaire 放射線防護 原子力安全研究所 ( フランス ) ISG Interim Staff Guidance 暫定スタッフ ガイダンス JAEA Japan Atomic Energy Agency 日本原子力研究開発機構 JANUS Japan NUS Co., Ltd. 日本エヌ ユー エス ( 株 ) JNES Japan Nuclear Energy Safety Organization 独立行政法人原子力安全基盤機構 ( 日本 ) LCO Limiting Condition for Operation 運転制限条件 LERF Large Early Release Frequency 早期大規模放出頻度 LOI Loss of Inventory インベントリ喪失 LOSP Loss of Offsite Power 外部電源喪失 MCC Motor Control Center モータ コントロール センター MP Monitoring Post モニタリング ポスト NEA Nuclear Energy Agency 原子力機関 (OECD) NEI Nuclear Energy Institute 原子力エネルギー協会 NISA Nuclear and Industrial Safety Agency 原子力安全 保安院 ( 日本 ) NRC Nuclear Regulatory Commission 原子力規制委員会 NTTF Near Term Task Force 短期タスクフォース OECD Organization for Economic Cooperation and 経済協力開発機構 Development OIL Operational Intervention Level ( 防護措置の ) 実施介入レベル OL Operating License 運転認可 ONR Office for Nuclear Regulation 原子力規制局 ( 英国 ) PAR Passive Autocatalytic Recombiner 静的触媒型水素再結合器 PAR Protective Action Recommendations 防護措置勧告 (NRC) PCV Primary Containment Vessel 原子炉格納容器 PGA Peak Ground Acceleration 最大地盤加速度 PRA Probabilistic Risk Analysis 確率論的リスク解析 PRA Probabilistic Risk Assessment 確率論的リスク評価 PSA Probabilistic Safety Analysis 確率論的安全評価 ( 解析 ) PSR Periodic Safety Review 定期安全レビュー PWR Pressurized Water Reactor 加圧水型軽水炉 RCIC Reactor Core Isolation Cooling 原子炉隔離時冷却系 (BWR) RFS Regles Fondamentales de Surete 基本安全規則 ( フランス ) RG Regulatory Guide 規制指針 (NRC) RHR Residual Heat Removal 余熱除去 (PWR) 残留熱除去(BWR) x

12 RHRS Residual Heat Removal System 余熱除去系 (PWR) 残留熱除去系 (BWR) RIS Injection De Securite 安全注入系 ( フランス ) RIS Regulatory Issue Summary 規制問題サマリー ROP Reactor Oversight Process 原子炉監視プロセス RPV Reactor Pressure Vessel 原子炉圧力容器 RUHS Reserve Ultimate Heat Sink 代替ヒートシンク系 ( 英国 ) SA Severe Accident シビアアクシデント 苛酷事故 SAM Severe Accident Management シビアアクシデント マネージメント SAMG Severe Accident Management Guideline シビアアクシデント マネージメント ガイドライン SAP Safety Assessment Principles 基本安全原則 ( 英国 ) SBO Station Blackout 全交流電源喪失 SE Safety Evaluation 安全評価 SE System Engineer システム エンジニア SECY Office of the Secretary 秘書室 (NRC) SFP Spent Fuel Pool 使用済燃料プール SG Steam Generator 蒸気発生器 SGTS Standby Gas Treatment System 非常用ガス処理系 (BWR) SR Stability Ratio 安定性比 SR Surveillance Requirement サーベイランス要件 SRV Safety Relief Valve 逃し安全弁 SSC Structure, System and Component 構築物 系統及び機器 SSE Safe Shutdown Earthquake 安全停止地震 STUK Radiation and Nuclear Safety Authority フィンランド放射線原子力安全本部 TBD To Be Determined 後日決定 TI Temporary Instruction 暫定検査要領 TMI Three Mile Island スリーマイル アイランド原子力発電所 TVO Teollisuuden Voima Oy TVO 社 ( フィンランド ) UHS Ultimate Heat Sink 最終ヒートシンク V&V Validation & Verification 検証及び妥当性確認 WENRA Western European Nuclear Regulators' Association 西欧原子力規制者会議 xi

13 1. はじめに 1.1 事業名平成 24 年度発電用原子炉等利用環境調査 ( 東京電力福島第一原子力発電所事故後の各国の動向調査 ) 1.2 事業目的東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故を受けて 原子力発電に対する信頼を取り戻し 我が国の原子力発電所の安全性を世界最高水準に高めることが政府の方針となっている その方針は 平成 24 年 9 月 14 日に決定された革新的エネルギー 環境戦略においても 原子力の安全確保は至上命題であり 高度な技術と高い安全意識を持った人材が それを現実に支えていく使命を担う とされている こうした方針を受けて 福島第一原子力発電所事故後の国内関係機関の動向を整理するとともに 諸外国政府における原子力発電所の安全性向上に係る先進的な取組について調査をすることにより 研究開発や人材育成等 原子力利用に係る施策の企画 立案に資することを目的とする 1.3 事業内容 (1) 国内の動向に関する調査東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故後の関係機関の動向を調査 分析し 今回の事故に対する各機関の分析結果 規制当局による対応状況 事業者における対応状況 その他の先進的な取組等について整理する (2) 諸外国における取組に関する調査 (1) における調査を踏まえ 我が国の議論に関係する諸外国の各機関における取組の事例について 取り組むに至った背景 概要 効果 政府 事業者等に発生したコスト 関係機関との調整 我が国に適用するに際し想定される課題等について 調査 分析を行う 調査対象国は 原子力発電所の安全性向上に関して先進的な事例を有すると考えられる米国 仏国に加え 英国 フィンランドとする また 欧州連合 (EU) 国際原子力機関(IAEA) などの国際機関の取組みも調査対象とする 1.4 実施方法 1.3(1) の調査については 各事故調査委員会や原子力規制委員会 事業者の公表資料等及び新聞等のメディアからの情報収集を実施するとともに 原子力規制委員会や各論について議論されていく会議体等 オープンな場における議論を詳細に追い 必要に応じて原子力規制委員会 原子力規制庁 電気事業者 企業 研究機関等にヒアリングを行い その結果を基に調査 分析を行う ヒアリングを行う際は 先方へのアプローチの仕方を含 1-1

14 め その詳細内容等について資源エネルギー庁と協議の上 実施する 1.3(2) の調査については 諸外国の政府機関 議会 企業 大学 研究機関 シンクタンク その他の有識者等による評価 見解等について 公表資料及び新聞等のメディアからの情報収集を実施するとともに 必要に応じ ヒアリングやレポートの作成依頼を実施し その結果を基に調査 分析を行う また 調査期間中にその他の国での原子力政策に関する大きな変更がある場合等には 現地調査を必須とする対象国の追加 変更をすることは排除しない この場合には資源エネルギー庁と調整の上 追加 変更が行われる なお 特定の国でより詳細な調査が必要となる場合には 専門性を有する調査機関へ外注する 1.5 報告及び報告書の作成上記 1.3(1)~(2) の調査結果について 定期的な報告を行う ( 月に 2 回程度 ) ほか ヒアリングを実施した際には 速やかにその報告を行うなど 状況に応じた報告を適宜行う 1.4 による調査結果は報告書として取りまとめ提出する なお 報告内容の原文が外国語である場合には 当該内容の和訳を添付する 1.6 事業期間委託契約締結日から平成 25 年 3 月 29 日 1.7 納入物調査報告書の電子媒体 (CD-R) 一式 1.8 納入場所資源エネルギー庁電力 ガス事業部原子力政策課 1-2

15 2. 国内の動向に関する調査 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故後の関係機関の動向を調査 分析し 今回の事故に対する各機関の分析結果 規制当局による対応状況 事業者における対応状況 その他の先進的な取組等について整理する 2.1 各種事故調査委員会及び関係機関による事故の分析結果 教訓 提言等 以下の文献に関して 事故の分析結果 教訓 提言などをそれぞれ表 2.1-1~ 表 に示す 1 原子力安全に関する IAEA 閣僚会議に対する日本国政府の報告書 ( 平成 23 年 6 月 ): 表 内閣官房原子力事故再発防止顧問会議の提言 ( 平成 23 年 12 月 ): 表 東京電力福島原子力発電所における事故調査 検証委員会 ( 政府事故調 ) 報告書 ( 平成 24 年 7 月 ): 表 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会 ( 国会事故調 ) 報告書 ( 平成 24 年 7 月 ): 表 日本原子力技術協会 : 東京電力福島第一原子力発電所の事故の検討と対策の提言 ( 平成 23 年 10 月 ): 表 日本原子力学会 : 福島第一原子力発電所事故からの教訓 ( 平成 23 年 5 月 ): 表 大前研一 Team H2O プロジェクト最終報告書 : 表 また 上記報告書で言及している提言などを技術的課題 制度上の課題等に分類整理した結果を表 に示す 同表には 提言などの原文での整理番号とタイトルのみを記載した 2-1

16 表 原子力安全に関するIAEA 閣僚会議に対する日本国政府の報告書 から抽出された教訓 分類 教訓 内容 備考 1. シビア (1) 地震 津波への対 今回の地震は複数震源の連動による極めて大規模なものであった その結果 福島第一原子力発電所においては 地震 津波 アクシデント防止策の強化 策の強化 原子炉建屋基礎盤上で観測された地震動の加速度応答スペクトルが 基準地震動 Ss による原子炉建屋基礎版の応答の加速度応答スペクトルに対して 一部の周期帯で超えた 地震によって外部電源に対して被害がもたらされた 原子炉施設の安全上重要な設備や機器については 現在までのところ地震による大きな損壊は確認されていないが 詳細な状況についてはまだ不明であり更なる調査が必要である 福島原子力発電所を襲った津波は 高さ 10m の防波堤を越えており 設置許可上の設計及びその後の評価による想定高さを大幅に超えるものであった 浸水高さも14~15m に達した この津波によって海水ポンプ等の大きな損傷がもたらされ 非常用ディーゼル電源の確保や原子炉冷却機能の確保ができなくなる要因となった 手順書においては 津波の侵入は想定されておらず 引き波に対する措置だけが定められていた このように津波の発生頻度や高さの想定が不十分であり 大規模な津波の襲来に対する対応が十分なされていなかった 設計の考え方の観点からみると 原子力発電所における耐震設計においては 考慮すべき活断層の活動時期の範囲を12~13 万年以内 ( 旧指針では5 万年以内 ) とし 大きな地震の再来周期を適切に考慮するようにしており さらにその上に 残余のリスクも考慮することを求めている これに対して 津波に対する設計は 過去の津波の伝承や確かな痕跡に基づいて行っており 達成するべき安全目標との関係で 適切な再来周期を考慮するような取組みとはなっていなかった このため 地震の想定については 複数震源の連動の従来からの取扱いを考慮するとともに 外部電源の耐震性を強化する 津波については シビアアクシデントを防止する観点から 安全目標を達成するための十分な再来周期を考慮した津波の適切な発生頻度と十分な高さを想定する その上で この十分な高さを想定した津波による敷地への浸水影響を防止する構築物等の安全設計を 津波のもつ破壊力を考慮に入れて行う さらに深層防護の観点から 策定された設計用津波を上回る津波が施設に及ぶことによるリスクの存在を十分認識して 敷地の冠水や遡上波の破壊力の大きさを考慮しても重要な安全機能を維持できる対策を講じる (2) 電源の確保 今回の事故の大きな要因は必要な電源が確保されなかったことである その原因は 外部事象による共通原因故障に係る脆弱性を克服する観点から電源の多様性が図られていなかったこと 配電盤等の設備が冠水等の厳しい環境に耐えられるものになっていなかったことなどがあげられる さらに電池の寿命が交流電源の復帰に要する時間に比べて短かったこと 外部電源の回復に要する時間の目標が明確でなかったことなどもあげられる このため 空冷式ディーゼル発電機 ガスタービン発電機など多様な非常用電源の整備 電源車の配備等によって電源の多様化を図ること 環境耐性の高い配電盤等や電池の充電用発電機を整備することなどにより 緊急時の厳しい状況においても 目標として定めた長時間にわたって現場で電源を確保できるようにする SA( 電源確保 ) 2-2

17 分類 教訓 内容 備考 (3) 原子炉及び格納容器の確実な冷却機能の 今回の事故において 海水ポンプの機能喪失によって 最終の熱の逃し場 ( 最終ヒートシンク ) を失うことになった 注水による原子炉冷却機能が作動したが 注水用水源の枯渇や電源喪失により炉心損傷を防止できず ま 最終ヒートシンク 確保 た格納容器冷却機能も十分に働かなかった その後も原子炉の減圧に手間取り さらに減圧後の注水においても 消防車等の重機による原子炉への注水がアクシデントマネジメント策として整備されていなかったこともあって困難が伴った このように原子炉及び格納容器の冷却機能が失われたことが事故の重大化につながった このため 代替注水機能の多様化 注水用水源の多様化や容量の増大 空気冷却方式の導入など 長期にわたる代替の最終ヒートシンクの確保により 原子炉及び格納容器の確実な代替冷却機能を確保する (4) 使用済燃料プールの確実な冷却機能の確 今回は電源の喪失により使用済燃料プールの冷却ができなくなったため 原子炉の事故対応と並行して 使用済燃料プールの冷却機能喪失による過酷事故を防止する対応も必要となった これまで使用済燃料プールの大きな SA(SFP 冷却 ) 保 事故のリスクは 炉心事故のリスクに比べて小さいとして 代替注水等の措置は考慮されてこなかった このため 電源喪失時においても 使用済燃料プールの冷却を維持できるよう 自然循環冷却方式又は空気冷却方式の代替冷却機能や 代替注水機能を導入することにより 確実な冷却を確保する (5) アクシデントマネ 今回の事故はシビアアクシデントに至ったものである シビアアクシデントに至る可能性をできるだけ小さくし SA(SA) ジメント (AM) 対策の徹底 又はシビアアクシデントに至った場合でもその影響を緩和するための措置として アクシデントマネジメント対策は福島原子力発電所においても導入されていた 今回の事故の状況をみると 消火水系からの原子炉への代替注水など一部は機能したが 電源や原子炉冷却機能の確保などの様々な対応においてその役割を果たすことができず アクシデントマネジメント対策は不十分であった また アクシデントマネジメント対策は基本的に事業者の自主的取組みとされ 法規制上の要求とはされておらず 整備の内容に厳格性を欠いた さらに アクシデントマネジメントに係る指針については1992 年に策定されて以来 見直しがなされることなく 充実強化が図られてこなかった このため アクシデントマネジメント対策については 事業者による自主保安という取組みを改め これを法規制上の要求にするとともに 確率論的評価手法も活用しつつ 設計要求事項の見直しも含めて シビアアクシデントを効果的に防止できるアクシデントマネジメント対策を整備する (6) 複数炉立地における課題への対応 今回の事故では 複数炉に同時に事故が発生し 事故対応に必要な資源が分散した また 二つの原子炉で設備を共用していたことやそれらの間の物理的間隔が小さかったことなどのため 一つの原子炉の事故の進展が隣接する原子炉の緊急時対応に影響を及ぼした このため 一つの発電所に複数の原子炉がある場合は 事故が起きている原子炉の事故時操作が 他の原子炉の操作と独立して行えるようにするとともに それぞれの原子炉の工学的な独立性を確実にし ある原子炉の事故の影響が隣接炉に及ばないようにする 併せて 号機毎に原子力安全確保の責任者を選任し 独立した事故対応 複数基サイト 2-3

18 分類 教訓 内容 備考 が行える体制の整備などを進める (7) 原子力発電施設の配置等の基本設計上の 今回は 使用済燃料プールが原子炉建屋の高い位置にあったことから事故対応に困難が生じた また 原子炉建屋の汚染水がタービン建屋に及び 建屋間の汚染水の拡大を防ぐことができなかった 位置的分散 考慮 このため 今後は原子力発電施設の配置等の基本設計において 重大な事故の発生を考慮しても冷却等を確実に実施でき かつ事故の影響の拡大を防止できる施設や建屋の適切な配置を進めることとする その際 既存の施設については 同等の機能を有するための追加的な対策を講じる (8) 重要機器施設の水 今回の事故の原因の一つは 補機冷却用海水ポンプ施設 非常用ディーゼル発電機 配電盤等の多くの重要機器 浸水防止 密性の確保 施設が津波で冠水し このために電源の供給や冷却系の確保に支障をきたしたことである このため 目標とする安全水準を達成する観点から 設計上の想定を超える津波や 河川に隣接立地して設計上の想定を超える洪水に襲われたような場合でも重要な安全機能を確保できるようにする 具体的には 津波や洪水の破壊力を踏まえた水密扉の設置 配管等浸水経路の遮断 排水ポンプの設置などにより 重要機器施設の水密性を確保できるようにする 2. シビアアクシデ (9) 水素爆発防止対策の強化 今回の事故では 1 号機の原子炉建屋で3 月 12 日 15 時 36 分に 3 号機の原子炉建屋で3 月 14 日 11 時 01 分に それぞれ水素による爆発が起こったとみられる さらに4 号機でも3 月 15 日 06 時頃に原子炉建屋で水素が SA( 水素爆発 ) ントへの対応策の強化 原因とみられる爆発が起こった すなわち 1 号機における最初の爆発から有効な手だてをとることができないまま 連続した爆発が発生する事態となり これが今回の事故をより重大なものにした 沸騰水型軽水炉では 設計基準事故に対して格納容器の健全性を維持するため 格納容器内を不活性化し 可燃性ガス濃度制御系を設置している しかしながら 原子炉建屋に水素が漏えいして爆発するような事態を想定しておらず 原子炉建屋における水素対策はとられていなかった このため 発生した水素を的確に逃すか減じるため 格納容器における水素対策に加えて シビアアクシデント時に機能する原子炉建屋での可燃性ガス濃度制御系の設置 水素を外に逃すための設備の整備等の水素爆発防止対策を強化する (10) 格納容器ベントシステムの強化 今回の事故では シビアアクシデント発生時の格納容器ベントシステムの操作性に問題があった また 格納容器ベントシステムの放射性物質除去機能が十分でなかったため アクシデントマネジメント対策として効果的に SA( 格納容器ベント ) 活用できなかった さらに ベントラインの独立性が十分でないため 接続する配管等を通じて他の部分に悪影響をもたらした可能性もある このため 今後は 格納容器ベントシステムの操作性の向上や独立性の確保 放射性物質除去機能の強化などにより 格納容器ベントシステムを強化する (11) 事故対応環境の 今回の事故時に 中央制御室は放射線量が高くなり一時は運転員が立ち入れなくなるとともに 現在も長時間の SA( 事故対 2-4

19 分類 教訓 内容 備考 強化 作業が困難であるなど 中央制御室の居住性が低下した また 緊急時対策実施の中心になる原子力発電所緊急 応環境 ) 時対策所においても 放射線量の上昇 通信環境や照明の悪化など 様々な面で事故対応活動に支障をきたした このため 中央制御室や緊急時対策所の放射線遮へいの強化 現場での専用換気空調系の強化 交流電源によらない通信 照明等の関係設備の強化など シビアアクシデントが発生した場合にあっても事故対応活動を継続的に実施できる事故対応環境を強化する (12) 事故時の放射線被ばくの管理体制の強 今回の事故では 津波により多くの個人線量計や線量読み取り装置が海水に浸かって使用できず 適切な放射線管理が困難になる中で 放射線業務従事者が現場作業に携わらざるを得ない状況となった また 空気中の放射 SA( 被ばく管理 ) 化 性物質の濃度測定も遅れ 内部被ばくのリスクを増大させることになった このため 事故時用に個人線量計や被ばく防護用資材を十分に備えておくこと 事故時に放射線管理の要員を拡充できる体制とすること 放射線業務従事者の被ばく測定を迅速に行うことのできる体制や設備を整備することなどにより 事故時の放射線被ばくの管理体制を強化する (13) シビアアクシデ シビアアクシデントが発生した場合に 原子力発電所における事故収束の対応や関係機関の的確な連携を実現す SA( 訓練 ) ント対応の訓練の強化 るための実効的な訓練がこれまで十分には行われてこなかった 例えば 今回の事故において 発電所内の緊急時対策所と原子力災害対策本部 原子力災害現地対策本部との連携や 事故対応において重要な役割を担う自衛隊 警察 消防等との連携体制の確立に時間を要したが こうした点も的確な訓練の実施によって未然に防止できた可能性がある このため シビアアクシデント発生時に 事故収束のための対応 発電所の内外における状況把握 住民の安全確保に必要な人材の緊急参集などを円滑に行い 関係機関が連携して機能するため シビアアクシデント対応の訓練を強化する (14) 原子炉及び格納容器などの計装系の強 原子炉と格納容器の計装系がシビアアクシデントの下で十分に働かず 原子炉の水位や圧力 放射性物質の放出源や放出量などの重要な情報を迅速かつ的確に確保することが困難であった SA( 事故時計装 ) 化 このため シビアアクシデント発生時に十分機能する原子炉と格納容器などの計装系を強化する (15) 緊急対応用資機材の集中管理とレスキュー部隊の整備 今回の事故では Jヴィレッジを中心として 事故や被災対応の関係者 資機材を結集し懸命な後方支援を行っているが 事故当初は 周辺においても地震 津波の被害が発生していたため 緊急対応用資機材や事故管理活動を支援するレスキュー部隊の動員を迅速かつ十分に行うことができず 現場での事故対応が十分に機能しなか 緊急時対応資機材管理 った このため 過酷な環境下でも緊急時対応の支援が円滑に行えるよう 緊急対応用資機材の集中管理やこれを運用するレスキュー部隊の整備を進める 3. 原子力 (16) 大規模な自然災 今回は 大規模な自然災害とともに原子力事故が発生したため 連絡 通信 人の参集 物資の調達等の面で極 防災 2-5

20 分類 教訓 内容 備考 災害への対応の強 害と原子力事故との複合事態への対応 めて困難が生じた また 原子力事故の長期化に伴って 本来は短期的措置として想定していた住民の避難等の措置も長期化せざるを得なくなっている 緊急時対応準備 化 このため 大規模な自然災害と原子力事故が同時に発生したような場合の対応として 適切な通信連絡手段や円滑な物資調達方法を確保できる体制 環境を整備する また 原子力事故が長期化する事態を想定して 事故や被災対応に関する各種分野の人員の実効的な動員計画の策定などの対応を強化する (17) 環境モニタリングの強化 現在は 緊急時の環境モニタリングは地方自治体の役割としているが 地方自治体の環境モニタリング機器 設備等が地震 津波によって損害を受けたこと 緊急事態応急対策拠点施設から避難せざるを得なかったことなどから 事故当初 適切な環境モニタリングができない状況となった これを補うため 文部科学省等が関係機関 防災 モニタリング の協力を得てモニタリング活動を実施してきた このため 緊急時においては 国が責任をもって環境モニタリングを確実かつ計画的に実施する体制を構築する (18) 中央と現地の関係機関等の役割の明確化等 事故当初 情報通信手段の確保が困難であったことなどから 中央と現地を始め 関係機関等の間の連絡 連携が十分でなく また それぞれの役割分担や責任関係が必ずしも明確ではなかった 具体的には 原子力災害対策本部と原子力災害現地対策本部との関係 政府と東京電力との関係 東京電力本店と現場の原子力発電所との関係 政府内部の役割分担などにおいて 責任と権限の体制が不明確な面があった 特に 事故当初においては 防災 緊急時組織の役割など 政府と東京電力との間の意志疎通が十分ではなかった このため 原子力災害対策本部を始めとする関係機関等の責任関係や役割分担の見直しと明確化 情報連絡に関する責任と役割 手段等の明確化と体制整備などを進める (19) 事故に関するコミュニケーションの強 周辺住民等への情報提供については 事故発生の当初 大規模震災による通信手段の被害等により困難が伴った その後の情報連絡についても 周辺住民等や自治体に対して適切なタイミングで実施できないことがあった さ 防災 情報提供 化 らに 周辺住民等にとって重要な放射線 放射性物質の健康への影響や 国際放射線防護委員会 (ICRP) の放射線防護の考え方の分かりやすい説明も十分でなかった また 国民への情報公表という点については 現在までは 正確な事実を中心に公表しており リスクの見通しまでは十分には示してこなかったため かえって今後の見通しに不安をもたれる面もあった このため 周辺住民等に対して 事故の状況や対応等に関する的確な情報提供 放射線影響等についての適切な説明などの取組みを強化する また 事故が進行している中での情報公表について 今後のリスクも含めて示すことを情報公表の留意点として取り入れる (20) 各国からの支援等への対応や国際社会への情報提供の強化 今回の事故の発生後 海外各国からの資機材等の支援の申出に対しては 支援を国内のニーズに結びつけていく政府部内の体制が整っておらず十分な対応ができなかった また 低レベル汚染水の海水への放出について近隣国 地域への事前の連絡がなされなかったことなど 国際社会への情報提供が十分でなかった 防災 情報提供 国際社会 2-6

21 分類 教訓 内容 備考 このため 事故時の国際的な対応に関して 事故対応に効果的な資機材の在庫リストを国際協力により作成しておくこと 事故時の各国のコンタクトポイントを予め明確にしておくこと 国際的な通報制度の改善を通じて情報共有の体制を強化すること 科学的根拠に基づく対応を可能にする一層迅速で正確な情報提供を行うことなど など 国際的に効果的な対応の仕組みを国際協力を通じて構築すべく貢献する (21) 放射性物質放出の影響の的確な把握 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム (SPEEDI) は 事故時の放出源情報が得られなかったため 本来の活用方法である放出源情報に基づく放射能影響予測を行うことができなかった 一方 文部科学省 原子 モニタリング 予測 力安全 保安院及び原子力安全委員会は 内部検討のため放出源等に関し様々な仮定をおいた上で試算を行っていた 放出源情報に基づく予測ができないという制約下では 一定の仮定を設けて SPEEDI により放射性物質の拡散傾向等を推測し 避難行動の参考等として本来活用すべきであったが 現に行われていた試算結果は活用されなかった また SPEEDI の計算結果については 現在は公開されているものの 当初段階から公表すべきであった このため 事故時の放出源情報が確実に得られる計測設備等を強化する また 様々な事態に対応して SPEEDI などを効果的に活用する計画を立てるとともに こうした SPEEDI の活用結果は当初から公開する 4. 安全確保の基盤 (22) 原子力災害時の広域避難や放射線防護 今回の事故において 事故発生当初 避難区域と屋内退避区域を設定し, 周辺住民をはじめ 地方自治体 警察等の関係者の連携した協力により, 避難や屋内退避は迅速に行われた 他方, 事故の長期化に伴い 屋内退避期 防災 避難対策 の強化 基準の明確化 間も長期に及ぶこととなった その後 計画的避難区域や緊急時避難準備区域を設定するに当たっては ICRP や IAEA の指針を急きょ活用することとした なお 今回の事故で設定したこれらの防護区域の範囲は 防護対策を重点的に充実すべき地域の範囲とされていた8~10km を大きく上回ることになった このため 今回の事故の経験も踏まえ 原子力災害時の広域避難の範囲や放射線防護基準の指針を明確化する取組みを強化する (23) 安全規制行政体制の強化 経済産業省原子力安全 保安院による一次規制機関としての安全規制 内閣府原子力安全委員会による一次行政機関の規制の監視 緊急時における関係の自治体や各省による環境モニタリングの実施など 原子力安全確保に 新規制機関 関係する行政組織が分かれていることにより 国民に対して災害防止上十分な安全確保活動が行われることに第一義的責任を有する者の所在が不明確であった また 現行の体制は 今回のような大規模な原子力事故に際して 力を結集して俊敏に対応する上では問題があったとせざるを得ない このため 原子力安全 保安院を経済産業省から独立させ 原子力安全委員会や各省も含めて原子力安全規制行政や環境モニタリングの実施体制の見直しの検討に着手する (24) 法体系や基準 指針類の整備 強化 今回の事故を踏まえて 原子力安全や原子力防災の法体系やそれらに関係する基準 指針類の整備について様々な課題が出てきている また 今回の事故の経験を踏まえ IAEA の基準 指針に反映すべきことも多く出てく 原子力安全 防災規 2-7

22 分類 教訓 内容 備考 ると見込まれる このため 原子力安全や原子力防災に係る法体系と関係する基準 指針類の見直し 整備を進める その際 構造信頼性の観点のみならず システム概念の進歩を含む新しい知見に対応する観点から 既存施設の高経年化対策のあり方について再評価する さらに 既に許認可済みの施設に対する新法令や新知見に基づく技術的な要求 制体系 関連基準 指針類の整備 すなわち バックフィットの法規制上の位置づけを明確にする 併せて 関係するデータを提供することなどにより IAEA の基準 指針の強化のため最大限貢献をする (25) 原子力安全や原子力防災に係る人材の確保 今回のような事故においては シビアアクシデントへの対応を始め 原子力安全 原子力防災や危機管理 放射線医療などの専門家が結集し 最新 最善の知見を活かして取り組むことが必要である また 今回の事故の収束に留まらず 中長期的な原子力安全の取組みを確実に進めるため 原子力安全や原子力防災に係る人材の育成が極めて重要である 原子力安全 防災人材の確保 教育訓練 このため 教育機関における原子力安全 原子力防災 危機管理 放射線医療などの分野の人材育成の強化に加えて 原子力事業者や規制機関などにおける人材育成活動を強化する (26) 安全系の独立性と多様性の確保 安全系の信頼性の確保については これまで多重性は追求されてきたが 共通原因故障を避けることへの対応が不足しており 独立性や多様性の確保が十分でなかった このため 共通原因故障への的確な対応と安全機能の一層の信頼性向上のため 安全系の独立性や多様性の確保を強化する 共通原因故障 独立性 多様性 (27) リスク管理にお 原子力発電施設のリスク低減の取組みを体系的に検討する上で これまでPSA が必ずしも効果的に活用されてこ PSA 活用 ける確率論的安全評価手法 (PSA) の効果的利用 なかった また PSA においても大規模な津波のような稀有な事象のリスクを定量的に評価するのは困難であり より不確実性を伴うが そのようなリスクの不確かさなどを明示することで信頼性を高める努力を十分に行ってこなかった このため 今後は 不確かさに関する知見を踏まえつつ PSA をさらに積極的かつ迅速に活用し それに基づく効果的なアクシデントマネジメント対策を含む安全向上策を構築する 5. 安全文化の徹底 (28) 安全文化の徹底 原子力に携わる全ての者は安全文化を備えていなければならない 原子力安全文化 とは 原子力の安全問題に その重要性にふさわしい注意が必ず最優先で払われるようにするために 組織と個人が備えるべき統合された認識や気質であり 態度である (IAEA) とされている これをしっかりと我が身のものにすることは 原子力に携わる者の出発点であり 義務であり 責任である 安全文化がないところに原子力安全の不断の向上はない しかし 今回の事故に照らし 我が国の原子力事業者は 組織も個人もともにその安全確保に対して第一義的な責任を負う者として あらゆる新知見に対して目を凝らし それが自らのプラントの脆弱性を意味するか否かを 安全文化 2-8

23 分類 教訓 内容 備考 確認し プラントの公衆安全に係るリスクが十分低く維持されているとの確信に影響があると認めるときには 安全性向上のための適切な措置を講じることに真摯に取り組んできたかを省みなければならない また同様に我が国の原子力規制に携わる者は 組織も個人もともに国民のために原子力安全の確保に責任を有する者として 安全確保の上でわずかな疑念もないがしろにせず 新しい知見に対して敏感にかつ俊敏に対応することに真摯に取り組んできたかを省みなければならない このため 今後は 原子力安全の確保には深層防護の追求が不可欠であるとの原点に常に立ち戻り 原子力安全に携わる者が絶えず安全に係る専門的知識の学習を怠らず 原子力安全確保上の弱点はないか 安全性向上の余 地はないかの吟味を重ねる姿勢をもつことにより 安全文化の徹底に取り組む 2-9

24 表 内閣官房原子力事故再発防止顧問会議 の提言 提言 内容 備考 原子力安全規制組織の独 新しい原子力安全規制組織 原子力安全庁 ( 仮称 ) と原子力安全審議会 ( 仮称 ) は それぞれに国民の信頼を回復する 新規制機関 立性の確保 に足りる能力と その能力を十分に発揮することが可能な独立性を備えたものでなくてはならない 原子力安全庁 ( 仮称 ) は 原子力を利用 推進する組織はもとより 他の如何なる不当な圧力によっても影響を受けることがあってはならない 原子力安全庁 ( 仮称 ) が行う事業者に対する監督については 法令上明確な根拠と基準を設定し 独立して判断を行える仕組みを整えておかなくてはならない 原子力安全審議会 ( 仮称 ) の最大の役割は 第三者的な見地から 原子力安全規制行政全体の実効性を監察し 規制行政の独立性を確認することにある 審議会は 国会同意人事により委員を選任し 環境大臣及び原子力安全庁 ( 仮称 ) 長官 さらには他省庁に対して勧告する権限を有するべき 原子力安全規制組織等の 原子力安全行政に対する国内外の信頼を十分に確保し 機能を向上させるため 改革の7 原則 :1 規制と利用の分離 新規制機関 改革の7 原則 2 一元化 3 危機管理 4 人材の育成 5 新安全規制 6 透明性 7 国際性 を提案する 1 規制と利用の分離 原子力安全庁 ( 仮称 ) は 原子力安全規制によって事故を未然に防止し 危機管理体制の構築 維持によって原子力災害を防止 ( 被害の拡大防止等を含む ) することを最重要の任務とする 原子力安全規制活動においては 原子力利用への配慮により安全確保の実効性が低下してはならず 規制と利用の分離を徹底して行う 2 一元化 関係行政を一元化し 限られたリソースを結集することが不可欠であり 原子力安全庁 ( 仮称 ) は 一体的に指針 基準策定 審査 検査 危機管理 モニタリング 研究 研修に関する行政実務を実施すべき 原子力安全庁 ( 仮称 ) が 原子力安全に関する予算 法律 人材を一体として責任を持って担うことができる実効性のある体制を確立すべき 3 危機管理 災害時においては 特定の大臣の指揮の下で 政府一体となって迅速に対応することが可能な体制を構築 維持することが必要であり これを確実に支える緊急事態対応のエキスパートを原子力安全庁 ( 仮称 ) に置くべき 大規模な事故が起こった際に オンサイト オフサイトのそれぞれにおける迅速な対応が可能となるよう 国 自治体 事業者の役割分担の明確化 連携体制の強化を行い 万全の準備をすべき オンサイトでは 過酷事故対策として 原子炉の冷却機能を長期間維持できるよう 事業者に必要な資機材の整備 事故発生時の対応要領の策定 実効的な防災訓練を実施させ それらを確認すべき オフサイトでは 原子力災害現地対策本部が中心となって 自治体や実力組織と緊密に連携 協力し 平時における原 子力防災訓練の成果を活かしつつ 住民避難等を迅速確実に行えるようにすべき 2-10

25 提言 内容 備考 オフサイトセンターを含む原子力防災体制の強化については 今回の事故でも課題が浮き彫りになっており 必要な予算を確保し 迅速に対応すべき 原子力事故に対処する強力な危機管理体制に加え 万が一の事故が起こった場合に国民への被害を防止し 速やかに事故の被災者 被災地を支援することが可能となるよう 万全の体制を整備すべき 4 人材の育成 人材育成の体制を立ち上げるため 原子力安全研究と研修の相乗効果を通して科学的 技術的専門能力の高い人材の育成を可能とし さらには国際展開や国際的なネットワーク作りにも貢献する国際的な研究 研修機関の構想 ( 国際原子力安全研修院 ( 仮称 ) の設置 ) の検討を具体的に進めるべき 原子力安全庁 ( 仮称 ) が安全文化を醸成 堅持できるよう 確固たる行動規範を策定し これに基づく自らの安全行動を常に確認できるシステムを構築するなど あらゆる機会を通じた取組を進めるべき 5 新安全規制 原子力安全規制の実効性を高めるため これまでの形骸化した規制から脱却し 最新の知見をベースとして 常に原子力の安全を高めることを促進する新しい規制体制への変換を進めるべき 原子力安全規制の安全目的としては 放射線の有害な影響から人と環境を守ることを最優先に考える必要があり 科学技術水準に照らして適切な安全対策が取られていることを確保し 放射性物質の大量放出につながるような過酷事故を起こさないことを最重要目的とする 安全上の新知見や新技術を既存の施設及びその運用に確実に反映する法的な仕組み ( いわゆるバックフィット制度 ) を導入するべき 原子炉の安全性 リスクを評価 公表することにより 事業者の安全確保に対する取組を 見える化 し 国民の監視の下での事業者の自主的 継続的な安全向上の取組を促す仕組みを導入するべき 施設設計のための技術基準の抜本的強化 保守管理や事故防止 緩和 ( アクシデントマネジメント ) 対策の強化等について 法令要求化を行うべき 規制の実効性の向上 検査官の処遇及び質の向上 研究 研修体制の充実については 三位一体となって 原子力安全審議会 ( 仮称 ) の監視の下で しっかりと取り組んでいかなければならない 6 透明性 原子力安全行政を実施するに当たっては その取組や規制の内容について常にわかりやすく国民に公表し 政策の透明性を確保すべき 原子力のリスクを的確に評価し 十分に管理し 国民との積極的なリスクコミュニケーションを進めるべき 7 国際性 原子力安全庁 ( 仮称 ) の職員等については 国際交流等を通じて人材の国際化を進め 常に国際的な最新かつ多様な知見を取り入れる体制を構築すべき 国際原子力安全研修院 ( 仮称 ) は 我が国の安全規制について他国が学習する機会を提供することで 我が国の求心力 を支えるだけでなく 我が国の基準をグローバルスタンダード化する戦略的な拠点として位置付けるべき 2-11

26 表 東京電力福島原子力発電所における事故調査 検証委員会( 政府事故調 ) の提言 分類 提言 内容 備考 (1) 安全対策 防災対策の基本 1. 複合災害を視野に入れた対策に関する 今後 原子力発電所の安全対策を見直す際には 大規模な複合災害の発生という点を十分に視野に入れた対応策の策定が必要である SA 防災 的視点に関するもの 提言 ( 最終報告 Ⅵ2 (2)) 2. リスク認識の転換を求める提言 ( 最終報告 Ⅵ2(3)) 1 日本は古来 様々な自然災害に襲われてきた 災害大国 であることを肝に命じて 自然界の脅威 地殻変動の規模と時間スケールの大きさに対し 謙虚に向き合うことが必要である 2リスクの捉え方を大きく転換することが必要である 今回のような巨大津波災害や原子力発電所のシビ 地震津波 SA 防災 アアクシデントのように広域にわたり甚大な被害をもたらす事故 災害の場合には 発生確率にかかわらずしかるべき安全対策 防災対策を立てておくべきである という新たな防災思想が 行政においても企業においても確立される必要がある 3 安全対策 防災対策の範囲について一定の線引きをした場合 残余のリスク 残る課題 とされた問題を放置することなく 更なる掘り下げた検討を確実に継続させるための制度が必要である 3. 被害者の視点からの欠陥分析 に関する 事故が起きると広範囲の被害をもたらすおそれのある原子力発電所のようなシステムの設計 設置 運用に当たっては 地域の避難計画を含めて 安全性を確実なものにするために 事業者や規制関係機関によ SA 防災 提言 ( 最終報告 Ⅵ2 (4)) る 被害者の視点 を見据えたリスク要因の点検 洗い出しが必要であり そうした取組を定着させるべきである なお 住民の避難計画とその訓練については 原発事故による放射性物質の飛散範囲が極めて広くなることを考慮して 県と関係市町村が連合して 混乱を最小限にとどめる実効性のある態勢を構築すべきである 4. 防災計画に新しい知見を取り入れることに関する提言 ( 最終報告 Ⅵ2(5)) 1 地震についての科学的知見はいまだ不十分なものであり 研究成果を逐次取り入れて防災対策に生かしていかなければならない 換言すれば ある時点までの知見で決められた方針を長期間にわたって引きずり続けることなく 地震 津波の学問研究の進展に敏感に対応し 新しい重要な知見が登場した場合には 適時必要な見直しや修正を行うことが必要である 2 発生確率が低いかあるいは不明という理由により 財源等の制約からある地域が防災対策の強化対象から外されていた場合 万一 大地震 大津波が発生すると被害は非常に大きくなると考えられる 行政は 少数であっても地震研究者が危険性を指摘する特定の領域や 例えば津波堆積物のような古い時代に大地震 大津波が発生した形跡がある領域については 地震の実態解明を急ぐための研究プロジェクトを立ち上げるとか 関係地域に情報を開示して 行政 住民 専門家が一体となって万一に備える新しい発想の 地震津波 2-12

27 分類 提言 内容 備考 防災計画を策定する等の取組をすべきである 3 今後は原発立地の領域における災害リスクを注視すべきである 原子力発電所の防災対策は保安院の担当とされてきたが 中央防災会議の方針は原子力発電所の防災対策にも密接に関連することから 中央防災会議においても原子力発電所を念頭に置いた検討を行うべきである (2) 原子力発電 5. 事故防止策の構築 福島第一原発における事故対処や 国や東京電力等による事前の事故防止策に関わる技術的 原子力工学 SA の安全対策に関するもの に関する提言 ( 最終報告 Ⅵ2(1)) 的な問題点を解消 改善するためにどのような具体的取組が必要かは 原子力全般についての高度な専門的知見を踏まえた検討が必要なものも少なくない これについては 原子力発電に関わる関係者において その専門的知見を活用して具体化すべきであり その検討に当たっては 当委員会が指摘した問題点を十分考慮するとともに その検討の経緯及び結果について社会への説明責任を果たす必要があると考える 6. 総合的リスク評価 施設の置かれた自然環境は様々であり 発生頻度は高くない場合ではあっても 地震 地震随伴事象以外 SA の必要性に関する提言 ( 最終報告 Ⅵ1(4) a(b)) の溢水 火山 火災等の外的事象及び従前から評価の対象としてきた内的事象をも考慮に入れて 施設の置かれた自然環境特性に応じて総合的なリスク評価を事業者が行い 規制当局等が確認を行うことが必要である その際には 必ずしもPSA の標準化が完了していない外的事象についても 事業者は現段階で可能な手法を積極的に用いるとともに 国においてもその研究が促進されるよう支援することが必要である 7. シビアアクシデン 原子力発電施設の安全を今後とも確保していくためには 外的事象をも考慮に入れた総合的安全評価を実 SA ト対策に関する提言 ( 最終報告 Ⅵ1(4) a(c)) 施し 様々な種類の内的事象や外的事象の各特性に対する施設の脆弱性を見いだし それらの脆弱性に対し 設計基準事象を大幅に超え 炉心が重大な損傷を受けるような場合を想定して有効な対策 ( シビアアクシデント対策 ) を検討し準備しておく必要がある また それらのシビアアクシデント対策の有効性について PSA 等の手法により評価する必要がある (3) 原子力災害に対応する態勢に関するもの 8. 原災時の危機管理態勢の再構築に関する提言 ( 最終報告 Ⅵ2 今回の事態を教訓に 原子力事故と地震 津波災害との複合災害の発生を想定した原災マニュアルの見直しを含め 原子力災害発生時の危機管理態勢の再構築を早急に図る必要がある その検討に当たっては オフサイトセンターの強化という観点に加えて そもそも現地対策本部に関係機関が参集して事故対処に 防災 NISA 体制など (6)) 当たるという枠組みでは対応できない事態が発生した場合に どのような態勢で対応に当たるべきかについても具体的に検討し 必要な態勢を構築しておく必要がある 9. 原子力災害対策本部の在り方に関する提言 ( 最終報告 Ⅵ1 (2)b(a)) 一般に 原子力災害が発生した場合 できる限り情報入手が容易で 現場の動きを把握しやすい 現場に近い場所に対策の拠点が設置される必要がある 正確な情報を迅速に入手することは いうまでもなく原子力災害対策の基本である 電力事業者の本社本店に移動することなく 官邸等 政府施設内にいながら より情報に近接することのできる仕組みの構築が検討されるべきである NISA 体制など 2-13

28 分類 提言 内容 備考 10. オフサイトセンターに関する提言 ( 中間 政府は オフサイトセンターが放射能汚染に十分配慮していなかったことにより使用不能に陥ったことを踏まえ 大規模災害にあっても機能を維持できるオフサイトセンターとなるよう 速やかに適切な整備を オフサイトセンター 報告 Ⅶ3(1)a) 図る必要がある 11. 原災対応における 原子力災害においては その規模の大きさから 県が前面に出て対応に当たらなければならず この点を 県の役割 県の役割に関する提言 ( 最終報告 Ⅵ1(2) c) 踏まえた防災計画を策定する必要がある (4) 被害の防 12. 広報とリスクコミ 国民と政府機関との信頼関係を構築し 社会に混乱や不信を引き起こさない適切な情報発信をしていくた 情報提供 止 軽減策に関するもの ュニケーションに関する提言 ( 最終報告 Ⅵ 2(7)) めには 関係者間でリスクに関する情報や意見を相互に交換して信頼関係を構築しつつ合意形成を図るというリスクコミュニケーションの視点を取り入れる必要がある 緊急時における 迅速かつ正確で しかも分かりやすく 誤解を生まないような国民への情報提供の在り方について しかるべき組織を設置して政府として検討を行うことが必要である 広報の仕方によっては 国民にいたずらに不安を与えかねないこともあることから 非常時 緊急時において広報担当の官房長官に的確な助言をすることのできるクライシスコミニュケーションの専門家を配置するなどの検討が必要である 13. モニタリングの運用改善に関する提言 1モニタリングシステムが肝心なときにデータ収集ができないなどの機能不全に陥らないよう 単に地震のみでなく 津波 高潮 洪水 土砂災害 噴火 強風等の様々な事象を想定してシステム設計を行うと モニタリング ( 中間報告 Ⅶ5(2) d) ともに それらの事象の二つ以上が重なって発生する複合災害の場合も想定して システムの機能が損なわれないような対策を講じておく必要がある また モニタリングカーについて 地震による道路の損傷等の事態が発生した場合の移動 巡回等の方法に関して必要な対策を講じるべきである 2モニタリングシステムの機能 重要性について 関係機関及び職員の認識を深めるために 研修等の機会を充実させる必要がある 14.SPEEDI システムに関する提言 ( 中間 被害住民の命 尊厳を守る視点を重視して 被害拡大を防止し 国民の納得できる有効な放射線情報を迅速に提供できるよう SPEEDI システムの運用上の改善措置を講じる必要がある 今後は 様々な複合 モニタリング 報告 Ⅶ5(3)c) 要因に対して システムの機能が損なわれることのないよう ハード面でも強化策が講じられる必要がある 15. 住民避難の在り方に関する提言 (1~4 は中間報告 Ⅶ5(4) c 5は最終報 1 重大な原発事故が発生した場合に 放射性物質がどのように放出され 風等の影響でどのように流され 地上にはどのように降ってくるのかについて また 放射線被ばくによる健康被害について 住民が常日頃から基本的な知識を持っておけるよう 公的な啓発活動を行うことが必要である 2 地方自治体は 原発事故の特異さを考慮した避難態勢を準備し 実際に近い形での避難訓練を定期的に 防災 避難対策 2-14

29 分類 提言 内容 備考 告 Ⅵ1(4)b) 実施し 住民も真剣に訓練に参加する取組が必要である 3 避難に関しては 数千人から十数万人規模 26の住民の移動が必要になる場合もあることを念頭に置いて 交通手段の確保 交通整理 遠隔地における避難場所の確保 避難先での水 食糧の確保等について具体的な計画を立案するなど 平常時から準備しておく必要がある 特に 医療機関 老人ホーム 福祉施設 自宅等における重症患者 重度障害者等 社会的弱者の避難については 格別の対策を講じる必要がある 4 以上のような対策を地元の市町村任せにするのではなく 避難計画や防災計画の策定と運用について 原子力災害が広域にわたることも考慮して 県や国も積極的に関与していく必要がある 5 今回の事故以前の原子力防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲は 原子力発電所から8~10km 圏内とすることを大前提に 仮想事故を相当に上回る事故の発生時でも十分対応可能であるとみなして設定されていたが 今回の事故に鑑み どのような事故を想定して避難区域等を設定するのか再検討することが必要である また 原子力災害の際の国の責任の重要性に鑑み 単に住民 26 中間報告においては 数千人から数万人規模 としていたが 今回の事故における避難者数に鑑み訂正する なお 事故の規模によっては 更に多数の住民の避難が必要となる場合もあり得る 避難等の原子力施設敷地外の対応にとどまらず 事業者と協議しつつ原子力災害の際に事業者への支援や協力として国が行うべきことの内容を検討すべきである 16. 安定ヨウ素剤の服用に関する提言 ( 最終報告 Ⅵ1(3)e(c)) 現在 安定ヨウ素剤の服用については 基本的に国の災害対策本部の判断に委ねる運用となっているが 各自治体等が独自の判断で住民に服用させることができる仕組み 事前に住民に安定ヨウ素剤を配布することの是非等について 見直すことが必要である 17. 緊急被ばく医療機 今回のようなシビアアクシデントが発生した場合においても緊急被ばく医療が提供できるよう 緊急被ば 関に関する提言 ( 最終 く医療機関を原子力発電所周辺に集中させず 避難区域に含まれる可能性の低い地域を選定し そこに相 報告 Ⅵ1(3)e(f)) 当数の初期被ばく医療機関を指定しておくとともに 緊急被ばく医療機関が都道府県を超えて広域的に連 携する態勢を整える必要がある 18. 放射線に関する国 個々の国民が放射線のリスクについて正確な情報に基づいて判断できるよう すなわち 情報がないため 民の理解に関する提 にいたずらに不安を感じたり 逆にリスクを軽視したりすることがないよう できる限り国民が放射線に 言 ( 最終報告 Ⅵ1(3) 関する知識や理解を深める機会が多く設けられる必要がある e(g)) 19. 諸外国との情報共 諸外国 とりわけ日本国内に多数の市民が在住する国や近隣国に対する情報提供は 我が国の国民に対す 有や諸外国からの支 るそれと同様に極めて重要であり 迅速かつ正確な情報提供ができるよう 言語の違いにも配慮した上 ヨウ素剤緊急時医療情報提供情報提供 国際社会 2-15

30 分類 提言 内容 備考 援受入れに関する提言 ( 最終報告 Ⅵ1 (3)g(a) (b)) 積極的かつ丁寧な対応が求められる 原子力災害発生時に諸外国から支援物資の提供があった場合は できる限り早くこれを受け入れることが 国際礼譲の点からも 国内における支援物資の必要性を迅速に満たすという点からも必要である 今後は 今回のような初期段階での混乱と不適切な対応が生じないよう 支援物資の受入態勢について 担当官庁のマニュアルや原子力事業者防災業務計画等において対応方法を定めておく必要がある (5) 国際的調和に関するもの 20.IAEA 基準などとの国際的調和に関す 原子力発電の安全を確保するためには 国内外の原子力に関する知見の蓄積や技術進歩に合わせて国内の規制水準を常に最新のものとしていくことが必要である そのためには IAEA 等の国際基準の動向も参 海外知見導入 る提言 ( 最終報告 Ⅵ1 (7)) 照して 国内基準を最新 最善のものとする不断の努力をすべきである 今回の事故への反省を踏まえて 原子力安全に関する教訓を学び それを我が国のみならず他国での同様の事故の発生防止に資するよう 事故から得られた知見と教訓を国際社会に発信していく必要がある また 国内基準の見直しを行う場合 それを国際基準として一般化することが有効 有益なものについては IAEA 等の基準に反映されるように努めるなどして国際貢献を行うべきである (6) 関係機関の在り方に関するもの 21. 原子力安全規制機関の在り方に関する提言 1 独立性と透明性の確保 ( 中間報告 Ⅶ8(2)a) 原子力安全規制機関は 原子力安全関連の意思決定を実効的に独立して行うことができ 意思決定に不当な影響を及ぼす可能性のある組織から機能面で分離されていなければならない 新たな規制機関は このような独立性と透明性を確保することが必要である 新たな規制機関に対し 原子力安全に関与する組織として自律的に機能できるために必要な権限 財源と人員を付与すると同時に 国民に対する原子力安全についての説明責任を持たせることが必要である 2 緊急事態に迅速かつ適切に対応する組織力 ( 中間報告 Ⅶ8(2)b) 原子力災害の社会への影響の大きさに鑑みれば その対応の中心となるべき原子力安全規制機関にあっては 災害発生時に迅速な活動が展開できるよう 平常時から防災計画の策定や防災訓練等を実施しておくことのみならず 緊急事態において対応に当たる責任者や関係機関に対して専門知識に基づく助言 指導ができる専門能力や 組織が有するリソースを有効かつ効率的に機能させるマネジメント能力の涵養が必要である また 規制機関においては 責任を持って危機対処の任に当たることの自覚を強く持つとともに 大規模災害に対応できるだけの体制を事前に整備し 関係省庁や関係地方自治体と連携して関係組織全体で対応できる体制の整備も図った上 その中での規制機関の役割も明確にしておく必要がある 3 国内外への災害情報の提供機関としての役割の自覚 ( 中間報告 Ⅶ8(2)c) 新たな原子力安全規制機関にあっては 情報提供の在り方の重要性を組織として深く自覚し 緊急時に適 NISA 体制など 2-16

31 分類 提言 内容 備考 時適切な情報提供を行い得るよう 平素から組織的に態勢を整備しておく必要がある 4 優秀な人材の確保と専門能力の向上 ( 中間報告 Ⅶ8(2)d) 新たな原子力安全規制機関は 優れた専門能力を有する優秀な人材を確保できるような処遇条件の改善 職員が長期的研修や実習を経験できる機会の拡大 原子力 放射線関係を含む他の行政機関や研究機関との人事交流の実施など 職員の一貫性あるキャリア形成を可能とするような人事運用 計画の検討が必要である 5 科学的知見蓄積と情報収集の努力 ( 中間報告 Ⅶ8(2)e) 新たに発足する原子力安全規制機関は 関連学会や専門ジャーナル ( 海外も含む ) 海外の規制機関等の動向を絶えずフォローアップし 規制活動に資する知見を継続的に獲得していく必要がある また その知見の意味するところを理解し これを組織的に共有した上で十分に活用するとともに その成果を組織として継承 伝達していく必要がある 6 国際機関 外国規制当局との積極的交流 ( 最終報告 Ⅵ1(5)) 国の行政機関の定員措置については行政機関全体の問題であることから保安院等のみに関する検討で済むものではないが 原子力安全の重要性に鑑み 新たに設置される原子力安全規制機関の定員措置については十分に考慮する必要がある また 新設の規制機関においては 前記定員措置のほか 国際貢献を果たすにふさわしい態勢整備に努めるとともに 国際機関 外国規制当局との人的交流を担える人材の育成に努めるべきである 7 規制当局の態勢の強化 ( 最終報告 Ⅵ1(5)) 原子力発電の安全を確保するためには 単に発生した個別問題への対応にとどまらず 国内外の最新の知見はもとより 国際的な安全規制や核セキュリティ等の動向にも留意しつつ 国内規制を最新 最善のものに改訂する努力を不断に継続する必要がある 原子力災害の社会への影響の大きさに鑑みれば 災害発生時に迅速かつ有効な活動が展開できるよう 平常時から防災計画の策定や防災訓練等を実施し緊急時の対応に万全を期すべきである さらに 緊急事態において専門知識に基づく的確な助言 指導ができる専門的技術能力や 組織が有するリソースを有効かつ効率的に機能させるマネジメント能力の涵養に努めなければならない そのためには それにふさわしい予算 人的スタッフの在り方の検討が必要である 22. 東京電力の在り方に関する提言 ( 最終報告 Ⅵ1(6)e) 東京電力は 原子力発電所の安全性に一義的な責任を負う事業者として 国民に対して重大な社会的責任を負っているが 津波を始め 自然災害によって炉心が重大な損傷を受ける事態に至る事故の対策が不十分であり 福島第一原発が設計基準を超える津波に襲われるリスクについても 結果として十分な対応を講じていなかった 組織的に見ても 危機対応能力に脆弱な面があったこと 事故対応に当たって縦割り 東京電力 2-17

32 分類 提言 内容 備考 組織の問題が見受けられたこと 過酷な事態を想定した教育 訓練が不十分であったこと 事故原因究明への熱意が十分感じられないことなどの多くの問題が認められた 東京電力は 当委員会の指摘を真摯に受け止めて これらの問題点を解消し より高いレベルの安全文化を全社的に構築するよう 更に努力すべきである 23. 安全文化の再構築に関する提言 ( 最終報告 Ⅵ2(8)) (7) 継続的な原 24. 事故原因の解明継因解明 被害調査続に関する提言 ( 最終に関するもの報告 Ⅵ2(9)a) 25. 被害の全容を明らかにする調査の実施に関する提言 ( 最終報告 Ⅵ2(9)b) 一旦事故が起きると 重大な事態が生じる原子力発電事業においては 安全文化の確立は国民の命に関わ安全文化る問題である 我が国において 安全文化が十分に定着しているとは言い難い状況にあったことに鑑みると 今回の大災害の発生を踏まえ 事業者や規制当局 関係団体 審議会関係者などおよそあらゆる原発関係者には 安全文化の再構築を図ることを強く求めたい 国 電力事業者 原子力発電プラントメーカー 研究機関 関連学会といったおよそ原子力発電に関わる関係者 ( 関係組織 ) は 今回の事故の検証及び事実解明を積極的に担うべき立場にあり こうした未解明の諸事項について それぞれの立場で包括的かつ徹底した調査 検証を継続するべきである 特に国は 当委員会や国会に設置された東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の活動が終わったことをもって 福島原発災害に関する事故調査 検証を終えたとするのでなく 引き続き事故原因の究明に主導的に取り組むべきである とりわけ 放射線レベルが下がった段階での原子炉建屋内の詳細な実地検証 ( 地震動の影響の検証も含む ) は必ず行うべき作業である 未曽有の原子力災害を経験した我が国としてなすべきことは 人間の被害 の全容について 専門分野別の学術調査と膨大な数の関係者 被害者の証言記録の収集による総合的な調査を行ってこれらを記録にまとめ 被害者の救済 支援復興事業が十分かどうかを検証するとともに 原発事故がもたらす被害がいかに深く広いものであるか その詳細な事実を未来への教訓として後世に伝えることであろう 福島原発災害に関わる総合的な調査の結果を踏まえて記された 人間の被害 の全容を教訓として後世に伝えることは 国家的な責務であると当委員会は考える 人間の被害 の調査には 様々な学問分野の研究者の参加と多くの費用と時間が必要となるだろうが 国が率先して自治体 研究機関 民間団体等の協力を得て調査態勢を構築するとともに 調査の実施についても必要な支援を行うことを求めたい 継続的事故検証人体健康影響 2-18

33 表 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会( 国会事故調 ) の提言 提言 内容 備考 1: 規制当局に対する国会 国民の健康と安全を守るために 規制当局を監視する目的で 国会に原子力に係る問題に関する常設の委員会等を設置する 1) この委員会は 規制当局からの説明聴取や利害関係者又は学識経験者等からの意見聴取 その他の調査を恒常的に行う 国会の規制当局監視 の監視 2) この委員会は 最新の知見を持って安全問題に対応できるよう 事業者 行政機関から独立した グローバルな視点を持った専門家からなる諮問機関を設ける 3) この委員会は 今回の事故検証で発見された多くの問題に関し その実施 改善状況について 継続的な監視活動を行う ( 国会による継続監視が必要な事項 として添付 ) 4) この委員会はこの事故調査報告について 今後の政府による履行状況を監視し 定期的に報告を求める 2: 政府の危機管理体制の見直し 緊急時の政府 自治体 及び事業者の役割と責任を明らかにすることを含め 政府の危機管理体制に関係する制度についての抜本的な見直しを行う 1) 政府の危機管理体制の抜本的な見直しを行う 緊急時に対応できる執行力のある体制づくり 指揮命令系統の一本化を制度的に確立する 2) 放射能の放出に伴う発電所外 ( オフサイト ) の対応措置は 住民の健康と安全を第一に 政府及び自治体が中心となって 政府の危機管理機能のもとに役割分担を行い実施する 3) 事故時における発電所内 ( オンサイト ) での対応 ( 止める 冷やす 閉じ込める ) については第一義的に事業者の責任とし 政治家による場当たり的な指示 介入を防ぐ仕組みとする 防災 NISA 体制など オフサイトセンター 避難対策 情報提供 モニタリング ヨウ素剤 国際社会 3: 被災住民に対する政府 被災地の環境を長期的 継続的にモニターしながら 住民の健康と安全を守り 生活基盤を回復するため 政府の責任において以下の対応を早急に取る必要がある 被災住民への政府対応 の対応 1) 長期にわたる健康被害 及び健康不安へ対応するため 国の負担による外部 内部被ばくの継続的検査と健康診断 及び医療提供の制度を設ける 情報については提供側の都合ではなく 住民の健康と安全を第一に 住民個々人が自ら判断できる材料となる情報開示を進める 2) 森林あるいは河川を含めて広範囲に存在する放射性物質は 場所によっては 増加することもあり得るので 住民の生活基盤を長期的に維持する視点から 放射性物質の再拡散や沈殿 堆積等の継続的なモニタリング 及び汚染拡大防止対策を実施する 3) 政府は 除染場所の選別基準と作業スケジュールを示し 住民が帰宅あるいは移転 補償を自分で判断し選択できるように 必要な政策を実施する 4: 電気事業者の監視 東電は 電気事業者として経産省との密接な関係を基に 電事連を介して 保安院等の規制当局の意思決定過程に干渉してきた 国会は 提言 1に示した規制機関の監視 監督に加えて 事業者が規制当局に不当な圧力をかけることのないように厳しく監視する必 国会の事業者監視 2-19

34 提言 内容 備考 要がある 1) 政府は電気事業者との間の接触について ルールを定め それに従った情報開示を求める 2) 電気事業者間において 原子力安全のための先進事例を確認し その達成に向けた不断の努力を促す相互監視体制を構築する 3) 東電に対して ガバナンス体制 危機管理体制 情報開示体制等を再構築し より高い安全目標に向けて 継続した自己改革を実施するように促す 4) 以上の施策の実効性を確保するため 電気事業者のガバナンスの健全性 安全基準 安全対策の遵守状態等を監視するために 立ち入り調査権を伴う監査体制を国会主導で構築する 5: 新しい規 規制組織は 今回の事故を契機に 国民の健康と安全を最優先とし 常に安全の向上に向けて自ら変革を続けていく組織になるよう 新規制機関 制組織の要件 抜本的な転換を図る 新たな規制組織は以下の要件を満たすものとする 1) 高い独立性 :1 政府内の推進組織からの独立性 2 事業者からの独立性 3 政治からの独立性を実現し 監督機能を強化するための指揮命令系統 責任権限及びその業務プロセスを確立する 2) 透明性 :1 各種諮問委員会等を含めて意思決定過程を開示し その過程において電気事業者等の利害関係者の関与を排除する 2 定期的に国会に対して 全ての意思決定過程 決定参加者 施策実施状況等について報告する義務を課す 3 推進組織 事業者 政治との間の交渉折衝等に関しては 議事録を残し 原則公開する 4 委員の選定は第三者機関に1 次選定として 相当数の候補者の選定を行わせた上で その中から国会同意人事として国会が最終決定するといった透明なプロセスを設定する 3) 専門能力と職務への責任感 :1 新しい規制組織の人材を世界でも通用するレベルにまで早期に育成し また そのような人材の採用 育成を実現すべく 原子力規制分野でのグローバルな人材交流 教育 訓練を実施する 2 外国人有識者を含む助言組織を設置し 規制当局の運営 人材 在り方等の必要な要件設定等に関する助言を得る 3 新しい組織の一員として 職務への責任感を持った人材を中心とすべく ノーリターンルール を当初より 例外なく適用する 4) 一元化 : 特に緊急時の迅速な情報共有 意思決定 司令塔機能の発揮に向けて組織体制の効果的な一元化を図る 5) 自律性 : 本組織には 国民の健康と安全の実現のため 常に最新の知見を取り入れながら組織の見直しを行い 自己変革を続けることを要求し 国会はその過程を監視する 6: 原子力法規制の見直し 原子力法規制については 以下を含め 抜本的に見直す必要がある 1) 世界の最新の技術的知見等を踏まえ 国民の健康と安全を第一とする一元的な法体系へと再構築する 2) 安全確保のため第一義的な責任を負う事業者と 原子力災害発生時にこの事業者を支援する他の事故対応を行う各当事者の役割分担を明確化する 3) 原子力法規制が 内外の事故の教訓 世界の安全基準の動向及び最新の技術的知見等が反映されたものになるよう 規制当局に対して これを不断かつ迅速に見直していくことを義務付け その履行を監視する仕組みを構築する 4) 新しいルールを既設の原子炉にも遡及適用すること ( いわゆるバックフィット ) を原則とし それがルール改訂の抑制といった本 地震津波 防災 海外知見導入 NISA 体制など 2-20

35 提言 内容 備考 末転倒な事態につながらないように 廃炉すべき場合と次善の策が許される場合との線引きを明確にする 7: 独立調査委員会の活用 未解明部分の事故原因の究明 事故の収束に向けたプロセス 被害の拡大防止 本報告で今回は扱わなかった廃炉の道筋や 使用済み核燃料問題等 国民生活に重大な影響のあるテーマについて調査審議するために 国会に 原子力事業者及び行政機関から独立した 民間中心の専門家からなる第三者機関として ( 原子力臨時調査委員会 仮称 ) を設置する また国会がこのような独立した調査委員会を課題別に立ち上げられる仕組みとし これまでの発想に拘泥せず 引き続き調査 検討を行う 継続的事故調査独立調査委員会 2-21

36 表 日本原子力技術協会 東京電力福島第一原子力発電所の事故の検討と対策 の教訓 課題 内容 備考 4.1 自然ハザードに対す 本報告書では 地震とそれに伴う津波に関して検討を行った 地震 津波 る備え 地震の規模に関しては概ね設計条件の中に含まれており 得られた地震波を使った東京電力の事後評価でも 安全系機器は健全であったとの結果となっている 津波に関しては 新知見である複数の領域の連動という事象が今回の津波高さを大きくしており 今後 この新知見に基づき 複数の領域の連動の可能性がある場合には津波高さの再評価が望まれる また 津波により電源が喪失する事態になったのは 当時の知見で評価した結果 津波高さが敷地高さを超えることはないという結果であったため 敷地高さを超えて海水が浸入して来た場合の影響について結果的に考慮しておらず そのような事態に対する備えが弱かったためである このことから 津波だけではなく台風など種々の自然ハザードに対して その規模の完璧な予測は有得ず 設計条件を超える巨大なハザードが現実に起こりえることを明確に認識して備えを厚くしておくことが望まれる 如何に発生確率が低くとも 原子力発電所の過酷事故に至るような被害をプラントに与える可能性があれば 既設設備の防護と仮設設備の配備による強化を合わせて行うことにより プラントの脆弱なポイントに対する備えを厚くしておくべきである 4.2 電源の準備 電源に関しては プラントの発電が停止したら外部電源で電力を供給し 仮にそれが駄目な場合は非常用 DG 電源確保 が起動して安全系の機器に電力を供給することとしている 基本的に 非常用 DG は100% 容量が2 系列 炉型によっては3 系列となっており 電源は多重性 多様性を考慮した設計となっている 福島第一の事故では 外部電源が地震により供給停止となり 更に敷地内に侵入してきた津波により電源盤及び非常用 DG が浸水して全交流電源が喪失した また 直流電源も浸水を免れたものもあったが 蓄電池容量に限りがあり 電源が復旧する前に枯渇した その結果 各設備の機能喪失に至り 事故が拡大した 一方 福島第一 6 号機の空冷式非常用 DG1 台は津波の影響を免れ機能を維持できたため 停止中で崩壊熱が比較的小さく時間的に余裕があったこともあるが 事故に至ることなく冷温停止まで事態を収束出来ていることは 今後の対策に活かすべき良好事例である 電源に関しては 既設設備のハザードに対する備えを厚くするとともに 更にそれらが機能を喪失した場合を考慮して別の手段で電力供給ができるように手当てを行っておくことが求められる 例えば 津波に対しては 設置区画の水密化により防護するなどの対策が考えられる また 既存の設備の機能喪失に対しては 電源車の配備による電力の供給などの対策が考えられる 4.3 ヒートシンク喪失対 前段に記したように 福島の事故の拡大は電源喪失によるものであり 非常用 DG の機能喪失が原因のひとつ 最終ヒートシンク喪失 2-22

37 課題 内容 備考 応 である 非常用 DG の機能喪失は 電源盤の浸水やDG 本体の浸水で機能喪失したものだけではなく 到来した津波により海水ポンプが冠水し機能喪失したことで冷却水の供給が途絶えて運転継続が不能となったものがある このように 今回の事故では電源の喪失により多数の機器が機能を喪失したために 海水ポンプの機能喪失による問題が見えてこないが この機能喪失は 冷却水を供給する先のポンプ 熱交換器など多数の機器の同時機能喪失という事態を招来することになり 事故の拡大を引き起こす要因となりえる このため 津波に対して海水ポンプの機能が喪失しないように防護を施すことが求められる また 機能喪失した際にすぐに復旧できるような対策も講じておくことが望ましい 更に 海水ポンプが機能喪失した場合の原子炉の冷却手段の確保が必要である 停電の状態での冷却手段を考慮して 既設設備の活用もしくは仮設設備の配備による代替注水手段の確保及び十分な冷却の継続が可能なよう水源の確保といった対策を講じることが望まれる 4.4 水素対策 福島原子力発電所の事故では 号機の原子炉建屋で水素によると思われる爆発が起き 建屋上部の屋 水素爆発 根及び壁が破壊され その後の事故の収束に大きな支障を及ぼした 従って 炉心損傷が起きたかどうかにかかわらず 原子炉の冷却あるいは冷却努力を継続することは最重要使命であるが プラントの緊急状態においては炉心の情報が不正確な場合もあると認識し 炉心損傷が既に起こり水素が発生している可能性があることを強く意識して対応する必要がある 更に 水素は漏えいしやすい物質であり プラントの緊急状態においては 通常の閉じ込め範囲を超えて漏えいしている可能性を強く意識する必要がある 本来は PCV で封じこめることとしており PCV に窒素を封入して不活性化し再結合器を備えている しかし PCV も 設計条件を超える高温 高圧条件では 貫通部やフランジガスケットのシール部から漏えいして原子炉建屋に蓄積し 更に 格納容器ベントに伴い排気筒に繋がる配管類にも水素が回りこむことを考慮すべきである 水素に関しては 漏えいしてくるものと考えて 予め滞留防止 放出のための対策 積極的に管理しながら燃焼させるための対策 回りこみ防止の対策などを講じておくことが望まれる また これらの対策は 電源が喪失した場合に機能を要求される場合も想定しておくことが求められる 4.5 緊急時に対する準備 ( 特に訓練 ) 福島第一の所員及び協力会社員は 事故対応に際して 停電による暗闇 計器類の機能喪失 通信設備の機能喪失 高放射線量 高汚染状態 瓦礫の存在 仮設ホースやケーブル類の手配 放射線管理機材の配備 津波警報 複数号機の同時事故発生など種々の極限的な制約条件の中 緊急時体制を組んでそれに応じた指揮命令 系統のもと作業を行った これらはほとんど経験がない条件での初めての作戦であり 使命達成に時間を要し 2-23

38 課題 内容 備考 た一因である 発電所のみならず 本店での指揮命令系統も突然の事故発生と急速な事故の拡大のために 種々の困難な状況に遭遇することとなった これらの諸制約条件に対して それぞれに考えられる対策を講じることが求められる 今回の事故の対策において 免震重要棟は緊急指令所として有効に機能したことは 他プラントへの良好事例としてあげることができる また 今回の事故対策として種々の設備を追加で配備し 更に 事故時対応マニュアルを新たに制定している このため 想定される厳しい条件の中で 実際に配備している機材とマニュアルを使った訓練を行い 事故時対応に習熟しておくことが求められる また 訓練を通して 体制や命令系統の確認 各対策の有効性を確認し 必要に応じて改善をしていくことが望まれる 訓練 今回の事故対応現場では 照明や通信手段がほとんど使用できず また瓦礫等が散乱し高線量という過酷な作 SA( 訓練 ) 業環境下での作業となり 電源車からのケーブル敷設 つなぎ込み 代替注水用ホースの敷設等の現場作業に多大な困難が伴った これら現場作業は 通常相当の時間と手間を要するものであったにもかかわらず 今回は作業員の尽力により比較的短時間のうちに対応できたが 今回必要となった現場作業は これまでの過酷事故対策訓練では前提とされていないものであった また 今回の事故は 従来の訓練では想定されていない複数ユニット同時事故であり 限られた人員で刻一刻と変化する状況の中での速やかな判断 対応が求められた 教訓 シビアアクシデントに係る過酷事故対策訓練には 過酷な状況下での現場作業を想定した現場活動訓練を含め 実活動をベースとしたものとし 事故時に体系立てた活動ができるよう常時から備えておく必要がある 各種の事態を想定した訓練を実施し 事象進展時間に応じた対応ができるよう常時から備えるとともに 各自の事故対応活動が事象進展に与えうる影響を要員に理解させておく必要がある 中央制御室空調 遮へい 今回の事故では MCR の放射線量が上昇し 運転員が立ち入れない または 長時間の滞在が不可能となった また 長期間の電源喪失により よう素除去用チャコールフィルタを有するMCR 換気系が機能せず MCR 内においても全面マスク等の着用が必要となった これらにより MCR の居住性が低下し 事故対応活動に支障をきたした 教訓 長期間の電源喪失により MCR 換気系が機能しなかった このような事態への対策の検討が必要である MCR 内の線量が高くなり 運転員が立ち入れない または 長時間の滞在が不可能となった このような MCR 居住性 2-24

39 課題 内容 備考 事態への対策の検討が必要である 事故時計測 今回の事故では 長期に亘る全交流電源の機能喪失及び直流電源設備の機能喪失により計器電源を喪失した 事故時計装 これにより 原子炉の水位 圧力 温度等の重要パラメータが計測不能や記録喪失となり 注水状況等の原子炉の状態が把握できなくなったことから 計器を復旧するため 車両からバッテリーを集め 仮設電源として MCR の計器盤につなぎ込む対応が必要となった また 計測データの信頼性の観点からは 原子炉水位計が 計器によって指示値の相違が見られ 計器の信頼性確認のために仮設水位計を設置し比較評価した結果 原子炉水位は燃料域水位計の測定レンジを下回っていると推定された このため 水位計の基準面器水位の傾向監視を実施したところ格納容器温度の影響による蒸発によって基準面器の水位が継続的に低下していると推定された 事故進展に伴い 使用済み燃料プールではプール水蒸発に伴う水位計測 原子炉建屋では格納容器からの水素漏洩 蓄積を確認するための水素濃度計測など想定外の要求が発生した しかしながら 計測手段がなかったため 事故時の対応を困難にした また 建屋内が高放射線環境に晒され 計器への接近が阻害され 計測システムの復旧が困難となった 教訓 ( 電源確保 ) 長期間にわたる電源喪失によりMCR の監視機能が喪失する事態を想定していなかった このような事態を考慮した検討が必要である ( 計測仕様拡大 ) シビアアクシデント発生時において 原子炉水位が計器の測定レンジを下回ったなど プラント状態把握に必要な重要パラメータの計測システムに対し シビアアクシデント発生時を考慮した検討が必要である ( 計測パラメータ追加 ) 従来の想定事象では要求されない原子炉建屋内水素濃度など想定外の計測要求に対応できなかった このような事態を考慮した検討が必要である ( 計測信頼性確保 ) シビアアクシデント発生時の条件下において 原子炉水位等重要パラメータの計測システム ( 計測データ ) の信頼性確認手段がなかった このような事態を考慮した検討が必要である 緊急時対策所 緊急時対策所は 事故時において必要な対策指令を発する設備として安全設計審査指針の要求に基づき設置されている しかし 今回の事故では 緊急時対策所とMCR の通信手段は 全交流電源喪失以降 ホットラインと固定電話のみとなり また緊急時対策所と現場ではほとんど通信ができないなど 通信環境の悪化が生じ 対策の検討 指令に支障をきたす事態となった また 全交流電源喪失下での格納容器ベント操作の手順を検討するために 余震の中 立入禁止となった事務本館に弁図面を入手に行っており 緊急時対策所に備え付けておくべき資料を検討する上で参考にすべきである 緊急時対策所免震重要棟 2-25

40 課題 内容 備考 緊急時対策所の放射線管理の観点では 当初において緊急時対策所が設置された免震重要棟に放射線防護装備着脱の緩衝エリアが設定されていなかったことなどにより 4 月 3 日まで棟内の空気中放射性物質濃度が法令限度値を超えており 棟内での放射性物質の体内取り込みによる被ばくを低減できなかった さらに 多くの要員の長期間にわたる作業の休憩場所等として 十分なスペースを提供できなかった しかし 免震重要棟は今回の地震及び津波に耐え 独立した非常用電源や空調設備を有しており 上記のような問題点はあったものの事故対応活動のための拠点として機能した点には注目すべきである 教訓 緊急時対策所は 事故時において必要な対策指令を行う設備であり 全交流電源喪失などの過酷な状況においても MCR や現場との通信手段が確保され 対策検討に必要なプラントパラメータが取得できることが必要である また 緊急時対策に必要な資料については 緊急時対策所で容易に入手できるように準備することが必要である 緊急時対策所は 放射性物質の放出を含む緊急時に要員が滞在して使用する設備であり 内部への放射性物質の滞留防止も含め 使用時の外部環境を踏まえた適切な放射線防護が行われることが必要である 放射線管理 / 作業管理 今回の事故では 津波の影響により 個人の被ばく管理に用いるAPD が海水に浸かったため数量が不足し 代表者のみしか携行できない状況となった また 被ばく管理システムも電源喪失により機能喪失したため手書きでの線量管理を実施せざるを得ない状況となった ヨウ素吸着能力を有するチャコールフィルタ付のマスクの配備が困難となり内部被ばくの可能性が高まった 内部被ばくを測定するWBC( ホールボディカウンタ ) は構内の放射性物質のバックグラウンド上昇等により使用できない状況となり 移動型 WBCや他発電所での測定を実施したが測定が追いつかない状況になるなど 種々の放射線測定器 防保護具の配備が困難な状況 機能喪失による混乱が発生した このような混乱の中 線量限度を超える被ばくも発生した 緊急作業に従事した複数の職員が線量限度である 250mSv を超えたことを確認した また 免震重要棟に滞在していた女性職員 2 名も外部被ばくと内部被ばくの合算値で線量限度 (5mSv/3 ヶ月 ) を超えていた また 作業にあたった協力会社作業員 3 名がAPDの警報が発信したにもかかわらず170mSv を超える線量を受け その内 2 名については短靴で滞留水に足を入れたため放射性物質の付着によるベータ線熱傷の可能性があると判断され 病院へ搬送後 放射線医学総合研究所に搬送された 免震重要棟において 放射線防護装備着脱のための緩衝エリアが設定されていなかったことなどにより 4 月 3 日まで棟内の空気中放射性物質濃度が法令限度値を超えていた 放射線管理 作業管理 2-26

41 課題 内容 備考 今回の事故では 格納容器ベントや水素爆発による放射性物質の環境への放出や線量の高いがれきの発生などにより 環境測定を含む放射線管理業務が急激に増大し 放射線管理業務の対応が困難を極めた 教訓 津波や長期間の電源喪失によりAPD 等の個人線量測定器が大量に使用不能となる事態を想定していなかった また 事故の急速な展開によるマスク等の防保護具の配備が困難な状況になったことや線量の上昇等によりWBCが使用不能となる事態を想定していなかった 事故時には格納容器ベントなど環境中に放射性物質が放出される場合もあるため マスク等の防保護具が配備されないとヨウ素による想定以上の内部被ばくの可能性がある また 対応の拠点にも放射性物質が流入する状況や作業現場においては事故の進展により局所的な線量率の上昇や汚染があり得ることから 外部被ばく 内部被ばくの両面からの状況に応じた適切な被ばく管理が必要である また 作業管理からもそのような状況を想定した対応が必要である 事故時においては 急激に放射線管理業務が増大する可能性があるため より迅速に対応できる体制を備えておく必要がある 今回 足にベータ線熱傷の可能性がある作業員 2 名に対し 免震重要棟に滞在していた医師が緊急被ばく医療の知識を有しており 比較的迅速に放射線医学総合研究所に搬送されたことは良好事例であり 引き続き緊急被ばく医療にかかる理解促進をはかる必要がある 組織 / 指揮 命令 格納容器ベントの操作については 従来から 社内マニュアルにて 判断は 所長が行う旨記載されていた 組織 / 指揮 命令 その上で 今回の事故では 格納容器ベント操作の実施にあたり 結果的に実施が避けられない状況となってから 国の了解の取得 自治体との調整が行われることとなった 対外調整には避難完了の確認など時間を要した また 1 号機への海水注入にあたり 当初 社長の確認 了解を得て実施した後に 本店 - 発電所間で協議の結果 一旦海水注入の停止を決定したが 発電所長の判断で海水注入を継続するなど 指揮命令系統に混乱が見られた 教訓 緊急時の対応操作について 事故後の混乱の中で関係各所との調整が必要となることから 実施判断に遅れや混乱が生じる可能性がある 通信 今回の事故対応においては 津波による浸水や全交流電源喪失状態の長期化に伴い 現場と対策本部及びMCR 間の通常の通信手段である構内 PHSやページング装置等がほとんど使用できなくなった また 現場作業員は 防護服 全面マスク着用等重装備であったため 過酷な環境かつ相互の意思疎通が図り 通信 2-27

42 課題 内容 備考 にくい状況下で作業に従事せざるをえなかった これらのことから 現場状況確認や現場への指示に時間を要する等 事故対応活動に大きな困難が生じた 一方 発電所と外部との通信に関しては 今回の事故では社内外関係機関との専用回線は確保されていたが 発電所構内と同様 地震や津波等により寸断されるリスクは常にある 教訓 発電所構内及び外部との通信手段については 地震や津波等による損壊の影響を受けず かつ全交流電源喪失状態が長期化した場合でも電源が確保される手段を構築 維持しておく必要がある シビアアクシデント発生時の過酷な装備 環境下での使用を想定した現場作業員同士のコミュニケーション手段 現場作業員と対策本部及び MCR 間の3 者間相互の通信手段を整備しておく必要がある 環境モニタリング 国の防災基本計画では 原子力災害が発生した場合の環境モニタリングについては 敷地境界及びその内側を事業者が 敷地境界の外側を自治体が主体となって実施することになっている 今回の原子力災害では 事業者が実施することになっている発電所敷地内及び敷地境界の環境モニタリングにおいて 津波による外部電源の喪失に伴い発電所敷地内及び敷地境界のMP での計測ができなくなった このため 外部電源が復旧するまでの間 モニタリングカーや仮設 MP サーベイメーター等により 環境モニタリングを継続した また その計測結果については 手作業等でまとめられる範囲の限られた内容となったものの 適宜 インターネットで公表された また 自治体による環境モニタリングについても 停電 通信回線不通 津波による局舎流出による影響を受け 必要な環境モニタリング機器 設備等が使用できなかった また 自治体関係者が 広範囲に生じた地震及び津波による災害への対応に注力しなければならなかったことや 現地対策本部が オフサイトセンターから福島県庁へ移転しなければならなかったことなどにより 環境モニタリング活動に大きな支障を生じた さらに 自治体からの要請等に基づき モニタリングの実施や支援を行うこととなっている関係省庁も 広範囲にわたる多数の行方不明者の捜索など他の震災対応に従事していたため 震災直後からの環境モニタリング体制の構築が困難であった 一方 東京電力以外の事業者は 原子力事業者間協力協定に基づき要員を遣し モニタリングカー等を使用して自治体が実施する敷地外の環境モニタリングを支援した 上述のとおり 事業者 自治体双方の環境モニタリング活動においては モニタリング設備や要員の確保等にさまざまな問題があったものの 可能な限り モニタリング活動を継続して実施した しかしながら 一部の報道機関などから モニタリングデータの公表の遅さや 海域モニタリングデータの信頼性の低さなどについての批判を受け また 東京電力が実施したモニタリングカーによる測定データのうち 補完的に測定してい 環境モニタリング 2-28

43 課題 内容 備考 た2 分間隔データが未公表であったといった対応について 問題視されている 教訓環境モニタリングについては 敷地境界の内外で実施主体が異なるため ここでは事業者が実施する部分についてのみ記載する 津波による停電の影響で 事業者の恒設モニタリング設備が使用不能となったことから 代替手段を活用する必要があった 事業者間協力協定に基づく応援の受け入れや 自治体が実施する環境モニタリング活動への協力等を適宜行いながら モニタリング活動を継続して実施しているが 甚大な自然災害と原子力事故が重複して発生した状況下での環境モニタリング活動を行うための体制の構築に時間がかかった 事業者によるモニタリングデータについては 適宜 インターネットや報道等を通じ公表されたが 公表の迅速性 公表値の信頼性に関する一般の方々や報道機関への理解は必ずしも十分ではなかった 災害対策への備 今回の事故では 甚大な自然災害とともに原子力災害が発生した このため 連絡 通信 人の参集 物資の 災害対策準備 え ( 重機 レスキュー ) 緊急時の協力体制 調達等の面で極めて困難な状況となり 事故初動対応に必要な緊急対応用資機材や事故管理活動を支援するレスキュー部隊等を迅速且つ十分に受け入れることができなかった また 現場における高い放射線が人的対応の障害となった その他 余震やこれに伴う津波への警戒 暗闇 高汚染状態 汚染水など環境条件の悪化を見越した電源確保 資機材の手配や仮設工事 敷地内外の通行障害の排除等を行いながらの活動が必要となり その後の事故対応に大きな影響を与えている 教訓 発電所構内 外における地震 津波によるアクセスルートの損壊等により 事故対応に必要な資機材等の搬入や応援要員の動員が迅速に行えず 円滑な事故対応に支障が生じた また 種々の作業の制約となるような条件を緩和できるような資機材の配備が望まれる 今回のような複数ユニット同時事故に対する備えが十分ではなく 事故対応に必要な防護服 線量計 マスク等の資機材の配備が困難となった また 高放射線下での長期間に及ぶ人的作業については具体的に想定されておらず このような状況下での作業に対する備えがなく 迅速な事故対応ができなかった 4.11 使用済燃料の健全性確保 地震の影響により全ての外部電源が喪失したが 点検中の1 台を除き非常用 DG が全台起動した しかし その後 発電所を襲った津波の影響により 6 号機の6B 非常用 DG を除いた全ての非常用 DG が停止した また 海水ポンプが津波の襲来により機能喪失したため 全号機において 使用済燃料プールの冷却機能を喪失した なお 使用済燃料プールにおける燃料の露出はなかったと考えられる 教訓 SFP 冷却 2-29

44 課題 内容 備考 使用済燃料プール冷却機能を喪失した場合には 使用済燃料プール水位の確保が極めて重要であり 使用済燃料プール水位 さらには プール水温度の監視機能の維持 強化が重要である 使用済燃料プール冷却機能喪失に伴うプール水位低下及び使用済燃料の損傷を防止する観点からも 今回の事故を契機として 隣接号機も含めた複数ユニットでの全交流電源喪失時 また 海水ポンプ機能喪失時の使 用済燃料プールの冷却機能を維持するための対策を新たに追加で整備する必要があると考える 2-30

45 表 日本原子力学会 福島第一原子力発電所事故からの教訓 の提言 分類 教訓 提言 備考 1. 地震の揺れに a. 地震の揺れに対する従来の対策は おおむね有効であっ 提言 ( 短期 ) 地震 対する教訓 た可能性が高いと推定される 2006 年改訂の耐震指針に関するバックチェックなどにより 基準地震動 Ssが見直され さらには 耐震補強などが実施されていた 今回の地震の規模は おおむね基準地震動 Ssの範囲内であったと推定される さらに 機器構造としての余裕が十分に見積もられていたこと 及び 津波が来るまでの1 時間は安定して冷却が継続されていたことから S クラス機器についてはおおむね健全であったと推定される 但し 福島第二発電所 1 号機で地震後に格納容器圧力上昇が観測されるなどの事象もあり 今後詳細な耐震評価を行う必要がある 一方 C クラス機器や配管などについては 一部損傷していたものがあると推定され 今後 詳細な評価や 破損の影響についても調査の必要がある b. 外部電源系の地震対策が十分でなく 事故の拡大を防げなかった 地震によって架線が揺れたり 鉄塔 (C クラス ) が損傷したりし 外部電源が喪失した (1) 一部基準地震動 Ssを越えた女川原子力発電所 東海第二原子力発電所については 地震の揺れによる影響について 定量的な評価を実施することが必要である 再起動に向けて 必要があれば安全強化を行うこと (2) 福島第一及び福島第二原子力発電所について 今回の地震に対する耐震評価を実施し 得られた知見を耐震設計の改善に資すること 提言 ( 中期 ) (3) 日本国内の発電所について 今回の地震のメカニズムから 必要があれば基準地震動 Ssの見直しを行い バックチェックを急ぐこと (4) 外部電源の耐震性の考え方について 再度検討する必要がある 2, 津波に対する教訓 a. 耐震設計で考慮していた津波の規模が不十分であった 耐震設計で考慮していた高さ (5m 程度 ) を大幅に超える津波 (15m 程度 ) が襲った b. 海水の浸水により 安全上重要な機器が停止し 事故の拡大を防げなかった 5m 程度の津波高さを想定して海側に配置されていた 海水ポンプやタンクなどが津波により破壊された 結果として海水冷却式の非常用ディーゼル発電機が停止し 全交流電源喪失に陥った また 海水冷却系の機能が失われ 全冷却系喪失に陥った 標高 10m 程度に設置されていた建屋の浸水防止が不十分であり 多くの機器が水没した 特に電源盤が津波により水没し損傷した 提言 ( 短期 ) (1) 津波が襲った場合にも 安全上重要な機器の損傷を防ぐため これらが配置されている建物に海水が入らないようにするなどの ハードウエア対応が必須である 具体的には 扉のシールを行う ケーブルトレーや電線管のシール性をチェックし必要に応じて強化する トレンチなど地下構造物から建屋への浸水経路をチェックし水密性を高める事などがあげられる 提言 ( 中期 ) (2) 今回の知見に基づき 津波の想定を見直す 津波 2-31

46 分類 教訓 提言 備考 事により電気系の復旧が困難となった c. 地下構造物の浸水防止が不十分であり復旧作業を妨げている トレンチやピットなど 地下構造物に海水が大量に流れ込み 電源ケーブルや海水冷却系電気品が浸水するとともに 海水の排水作業などが必要になり復旧作業を妨げている リスク評価手法を取り入れるとともに 想定する津波に対する標準化を進める (3) 津波が敷地内に浸入しないように 防潮堤を作る (4) 想定以上の津波が襲った場合にも 安全上重要な機器を守るように 建物の水密性を高める 水密扉だけではなく 電線管や小口径配管など すべての浸水経路を塞ぐ事を徹底する (5) 津波によって機器 構造物や瓦礫が流され 建屋に障害を与える可能性を考慮した対応を考える (6) 排水ポンプをあらかじめ設置しておく (7) 津波で流出もしくは故障する可能性のある機器の予備品を 津波に影響を受けない場所に準備しておく (8) 津波により散乱する瓦礫を除去する重機などをあらかじめ準備しておく (9) 安全重要度が低いピットであっても 海岸に近いものについては水密性を高め 津波が侵入しないようにする 必要があれば耐震性についても見直す 3. 全電源喪失に対する教訓 a. 安全審査が不十分であった 安全審査指針で短時間の全交流電源喪失しか想定しないこととしていた b. 全電源が長期間喪失してしまう事態となり 事象の進展が防げなかった 交流電源である外部電源 非常用ディーゼル電源が喪失したことに加えて 電源盤も機能喪失し 復旧が困難となった また 電源車などの手配や電源車からのつなぎ込みに時間がかかった 直流電源であるバッテリーの容量が約 8 時間であり それ以降は 制御盤や計測器に加え タービン駆動給水系や各種弁を動かすことが困難になった 結果として安全上重要なシステムが十分に動かなかった c. 原子炉内の状況把握が困難となった 計測器の電源が無くなり 炉の情報が十分に得られなくなった 提言 ( 短期 ) (1) すべての交流電源を喪失することの無い様 電源車 小型発電機など多様な方法で電源を供給する (2) 交流電源がすべて喪失した場合を想定し 重要な機器および炉心の監視系への電力供給を行えるようにする 特にアクシデントマネジメントで利用する弁などへの電源供給をあらかじめ考えておくことが必須である (3) 発電機を複数機設置する場合は あらかじめ電源ケーブルを接続しておく 提言 ( 中期 ) (4) 安全審査指針などの見直しをすすめる (5) ガスタービン発電機など 多様な発電機を導入する 配置 SA( 全電源喪失 ) 2-32

47 分類 教訓 提言 備考 d. 電源が一部でも残っていれば 事象の進展を食い止められる可能性がある 空気冷却式ディーゼル発電機が動いたため 5,6 号機の原子炉及び燃料プールは冷却ができた にも多様性を求め 固定式のものは免震床などを考慮する (6) 海水冷却に頼らない 空冷式発電機を準備する (7) 予備の電源盤を準備する 高圧分電盤などの浸水防止と 万一の場合に制御電源を速やかに切るなどの対応策の策定を行う (8) 他の発電所 ( 例えば水力 ) との電源融通を行う また 常設の電源融通ケーブルや電源車のケーブル接続用の端子盤を常設しておく (9) 蒸気タービン駆動炉心注水ポンプには小型の発電機を取り付け 制御用のバッテリーの充電を行う 4. 全冷却系喪失に対する教訓 a. 海水冷却は津波に対して脆弱性がある 海水ポンプが使えなくなったため 炉心除熱機能が喪失した 現状 福島 提言 ( 短期 ) (1) 消防車などを用いた冷却系への注水訓練の実施とハード SA( 全冷却系喪失 ) 第一原子力発電所では 海水冷却が困難なため 空気冷却が検討されている b. 電源があれば炉心損傷までの時間的余裕が比較的ある 福島第二原子力発電所では海水ポンプが使えなくなったが 外部電源が使えたため 原子炉への注水を安定かつ継続的に行うことができた この時間的余裕を活用し 海水ポンプモータを交換もしくは修理することで冷却が実施できた ウエア整備 提言 ( 中期 ) (2) 海水ポンプモータなどの予備品をあらかじめ 津波の影響を受けない場所に準備しておく (3) 海水ポンプに対する浸水防止対策 例えば防水壁や専用建屋の設置を行う (4) 海水に頼らない冷却システムを準備し冗長性を担保する 海水冷却系が全く使えなくなることを想定して 崩壊熱除去が可能な容量の空気冷却機などを設置しておく事も重要である (5) 動力の要らない自然循環冷却システムを考案する これによりいかなる場合でも崩壊熱を受動的に除去できる 過去のさまざまな設計研究や次世代炉の研究が参考となる (6) 水源を多様化しておく ( 河川 ダム 防火用水など ) 必要に応じて送電線をさらに多重化する 5. アクシデント a. アクシデントマネジメント (AM) 対策が事故の大幅な悪 提言 ( 短期 ) SA(AM) 2-33

48 分類 教訓 提言 備考 マネジメントに対する教訓 化を防いだ あらかじめAM 対策をしていたことにより 代替注水系が整備されており 消防車 消防ポンプによる淡水 / 海水注入が可能であった この注入系統が無かった場合 事故はもっと深刻であったと推定される なお 津波による瓦礫等がホース敷設の妨げになったので ピット内へのホースの設置をしておく等の事前準備は必要であった b. 全電源喪失を考慮したアクシデントマネジメント (AM) が不十分であった可能性がある 淡水 / 海水注入と格納容器ベントにより除熱を行う事となっていたが 十分に実施できていない 電源が無かったため ベントラインの弁を開けるのに手間取った これらの弁を開けるために必要な 空気圧縮機や電磁弁には多量の電源は不要であるが それを準備することが困難であった 電源喪失によって原子炉や格納容器内のパラメータ計測 ( 温度 圧力 水位など ) が十分機能していなかった なお 隔離時復水器 隔離時冷却系などの非常用冷却システムがどのように機能していたのかを調査し AM 対策の改善に繋げることが重要である c. 炉心が損傷した後 放射性物質が放出された後のAM 対策が十分に検討されていなかった 炉心損傷を起こさないためのAM 対策は事前にある程度検討されていた 炉心損傷が起きた後のAM 対策や 実際に放射性物質が放出された後のAM 対策の検討が必ずしも十分ではなく 混乱が生じたように思われる (1) シビアアクシデントの AM 対策として 下記目的のため 数日間使用可能な予備電源を準備する また 空気作動弁操作のために窒素ボンベを常備しておくことも有効である i) 炉心の重要なパラメータおよび排気塔放射線モニター計測用電源 ベントラインの制御が行えるように電源ラインを準備する 例えば電磁弁開閉用 モータ弁用および予備コンプレッサ用の予備電源 ii) 水素再結合機及び非常用ガス処理系電源 (2) ベント実施が現地責任者の判断でできるようにする (3) AM 対策の訓練を実際の状況 ( 津波により瓦礫が散乱している状況など ) を想定して実施する なお 瓦礫の散乱を考慮し ピット内へ炉心給水用ホースの設置をしておく等の事前準備が必要である 提言 ( 中期 ) (4) 全電源喪失以外の起因事象による AM を見直すとともに 必要な常設の設備対応を実施する なお 今回の事故における具体的なAM 対応やプラントの挙動を評価し AM の改善に繋げることが重要である (5) ベントラインにゼオライトの砂と水を入れたフィルタードベント等を設置する (6) 同一敷地内に複数立地している場合の AM 同時対応策について評価する (7) 大量の汚染水が発生する可能性がある事を考慮し 移動式汚染水処理設備をあらかじめ準備しておく ( 事故後に発災事業所に輸送 ) (8) 炉心損傷が起きた後の 炉心冷却手法や閉じ込め手法を系統的に検討する また 必要なハードウエア対応を考慮する (9) 放射性物質を放出した後の 炉心冷却手法や閉じ込め手法 SA( フィルタードベント ) 2-34

49 分類 教訓 提言 備考 を検討する また 必要なハードウエア対応も考慮する 6. 水素爆発に対 a. 水素爆発により原子炉建屋が破損した 閉じ込め機能の 提言 ( 短期 ) SA( 水素爆発 ) する教訓 一部が損なわれ また復旧作業に支障が生じた b. 格納容器外の水素爆発は考慮されていなかった 格納容器内の水素爆発については 多くの研究があるが 原子炉建屋内での水素爆発は考慮されていなかった 水素結合器や水素濃度計なども 電源喪失時は稼動していなかったと考えられる c. 格納容器外への水素漏洩経路が不明 ベントラインからの漏洩 過圧による格納容器ヘッドフランジやハッチなどシール部からの漏洩などが考えられており 今後の検証が必要である (1) 格納容器パラメータ計測システムや水素結合器などへ 予備電源を供給できる仕組みと パラメータの遠隔モニターができるようにする (2) ベントラインの再チェックと漏洩検査を行う また ベントの訓練を実施する 提言 ( 中期 ) (3) 格納容器外水素爆発のメカニズムを評価する (4) 格納容器外に水素が漏れないような AM 対策を行う 例えば 静的触媒再結合器の設置などが考えられる 7. 使用済み燃料貯蔵プール冷却に対する教訓 a. 使用済み燃料貯蔵プールの冷却に失敗した 全電源喪失後 使用済み燃料貯蔵プールの水位が低下し 使用済み燃料の除熱が不十分となり 燃料破損に至るまでには最低数日間の時間的余裕がある 使用済み燃料の崩壊熱によりプールの水が沸騰 被覆管が酸化し水素が発生した可能性がある 使用済み燃料の発熱量はわかっていたため 時間的余裕を見誤ったか 他号機の事故対応に手一杯で対応できなかった可能性がある なお 4 号機原子炉建屋破壊の原因は 現状ではまだ特定されていない b. 建屋が破損した後の使用済み燃料の閉じ込めに課題がある 水素爆発で建屋が破損し 使用済み燃料が万一破損した場合 放射性物質が大気に直接放出される この場合 水位を確保することが重要となる 提言 ( 短期 ) (1) 使用済み燃料貯蔵プールに対する AM を見直す 具体的には 電源喪失直後に 消防車による注水ができるように準備する プールのある運転床にある消火栓から注水ができるように準備する あらかじめフレキシブルホースなどを設置して地上からの注水が容易になるようにしておくことなどが考えられる (2) 電源喪失しても予備電源などで燃料プール温度及び漏洩監視モニターを監視できるように電源を準備する 提言 ( 中期 ) (3) 使用済み燃料貯蔵プールの自然循環冷却システムを導入する 電源が無くても崩壊熱除去が可能となる (4) 空冷の中間貯蔵設備を導入する (5) シミュレーションによって事故挙動を評価し 4 号機建屋破損の原因を調査 特定する またファイバースコープなどを用いて 使用済み燃料貯蔵プールの状況を調査する SA(SFP 冷却 ) 2-35

50 分類 教訓 提言 備考 8. 安全研究の推進に対する教訓 a. シビアアクシデント研究と成果の活用が不十分であった 炉心損傷状況の推定がはっきりしていない 緊急時対 提言 ( 短期 ) (1) JAEA や ( 独 ) 原子力安全基盤機構 (JNES) を通じた 既存の SA 安全研究 人材育成 策支援システム (ERSS) や緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム (SPEEDI) が 電源喪失によるデータ不足などで想定していたほど活用できていない ( 独 ) 日本原子力研究開発機構 (JAEA) において安全基盤研究が重視されておらず 今回の事故に対して 十分に対応できたかどうかは今後検討を行う必要がある b. 国家予算の使い方に無駄が多い 国家プロジェクトにより研究開発したものが 予算の関係から目的外使用を認めておらず 研究終了後に廃棄されることが多い 災害時での活用を想定し 開発品の有効な活用が可能なように 重要な成果は維持していくことが必要であった シビアアクシデント研究成果の規制への反映 提言 ( 中期 ) (2) 人材育成シビアアクシデントを含む安全研究 安全設計に係わる人材育成を体系的に実施する (3) シビアアクシデント研究の推進 特に 水素挙動解析 水素燃焼 使用済み燃料プール評価など (4) モデリング シミュレーション技術の推進特に 原子力安全の高度化 V&V( シミュレーションの検証と妥当性確認 ) など (5) 災害時に必要な研究成果については 予算措置を行い 維持していくことが必要である 場合によっては法律改正も必要である 9. 安全規制と安全設計に対する教訓 a. 外的事象に対する安全設計の考え方が不十分であった b. 極まれに発生するが 影響が大きな事象に対する評価が不十分であった c. 共通要因故障への備えが不十分であった 津波など 影響が大きいが 不確実性の高い事象への対応が十分に考慮されていなかった 内的事象については 共通要因故障の原因となるのは ヒューマンファクターなどソフト的な課題が主であり これらに対する研究は TMI 以降大きく進歩した また 研究の成果として 内的事象に対する多重防護思想 ( 深層防護思想 ) は 十分に確立されてきた この内的事象に対する多重防護思想を 外的事象にも同様に適用してきたが ここに共通要因故障への認識の甘さがあったと考えられる 外的事象においては ハード的な共通要因 提言 ( 短期 ) (1) 津波に対するアクシデントマネジメント (AM) 対策を評価する 提言 ( 中期 ) (2) 外的事象に対する定量的リスク評価手法の確立 特に 起因事象として地震及び津波を考慮した 確率論的リスク評価手法を確立すること 津波の発生確率に関する標準化を進めること (3) 内的事象に対する深層防護の再確認と定量的リスク評価の高度化 (4) 不確定性が大きく 影響が巨大な事象に関するリスク評価手法確立 安全規制 ( 安全規制体系の全面的見直し ) 安全設計 ( 外的事象設計基準 安全重要度 多様性 多重性 共通要員故障 ) 2-36

51 分類 教訓 提言 備考 故障が主となりえる また 外的事象は 発生確率は格段に低いが その確率の不確定性が大きい このような場合は 従来の3 層の多重防護では不十分であり シビアアクシデントのアクシデントマネジメント (AM) 防災までを含めて十分な対策を取っておくことが重要である 外的事象に対しては 定量的なリスクを中心とした 確率的リスク評価 (PSA) によって評価を実施することが必要と考えられる 但し PSA の不確かさに関する議論を行うことが必要になる この不確定性をカバーするのは やはりアクシデントマネジメントである さまざまな天変地変を想定し AM と防災を含めた 原子力発電所の安全論理を再構築する必要がある d. 日本の安全規制の仕組みが不十分であった 具体的には プラントの現状設計を審査する仕組みが無い事や 確率的リスク評価の取り込みが遅れたこと 新知見の反映が十分でなかったことなどがあげられる なお シビアアクシデントを規制に取り入れようとする動きが始まっていたが 間に合わなかった さらに 今回の事故では 原子炉等規制法の規制範囲が狭く 直ぐに原災法の対象領域となった 基本設計 ( 設置許可申請 ) の審査が 運転管理との結びつきが弱く また変更要件が本文事項の変更と形式的に定められ 変更された設置許可申請書がプラントの状態を反映していない さらに 設置許可や工事計画認可と使用前検査が 構造強度規制に重点がおかれ 機能性能や解析 / 確率的リスク評価 (PSA) が軽んじられた 安全研究や諸外国の規制動向などの新知見の反映が遅れた また 規制の無謬性にこだわるあまり 前例踏襲主義に陥り 安全性を常に追及するという規制の見直しに消極的であった (5) 定量的リスク評価でカバーできない事象に対する AM 対応策策定 (6) 安全重要度 多様性多重性の見直し 特に電気系の見直し (7) 日本の安全規制システムの全面的な見直し i) 法律体系を見直し 原子炉等規制法に電気事業法を統一する ii) 原子炉等規制法の目的や許可の基準を 国民を放射線障害から防止すること と改め シビアアクシデントを原子炉等規制法の規制範囲に取り込むとともに AM 手順の実効性 ( 組織 役割 多数号機への対応 手順の妥当性 実現可能性 訓練 資機材等 ) を確保する iii) 設置許可に包括的安全解析書を導入し 運転管理の条件を前提とした解析を重視するとともに その変更要件を原子炉安全の観点から定め プラントの変更を包括的安全解析書に反映することにより 常にアズビルトされた図書とする iv) 構造強度に関する工事計画認可や使用前検査に民間第三者認証制度を導入し その実施状況及び包括的安全解析報告書の遵守状況を監査的に検査する統合された検査制度を導入する 2-37

52 分類 教訓 提言 備考 10. 組織 危機管 a. 責任体制が不十分であった 提言 ( 短期 ) 新規制機関 理に対する教訓 縦割り行政のため 原子力の各分野における専門的な知識を持った人材が分散し責任者がいない 法規制が分散化されており 全体を統括する専門組織が無い 特に 放射線規制と原子力規制の組織が分離されている 専門家の活用が不十分であった b. 停電や情報伝達の問題などにより緊急時の円滑な対応がうまくいかなかった 例えば 緊急時対応要員の連絡や集合が遅れた また海外の声が大きく 日本の優れた知識が使えていない ( 例えばロボットや水処理など ) 緊急時対策支援システム (ERSS) が停電で動かなかった (1) 専門性を持った責任者がすべての責任を統括する 提言 ( 中期 ) (2) 専門性を持った規制組織を作る 例えば i) 原子力安全委員会を三条機関化し 保安院 文科省に分かれた原子力及び放射線規制を三条機関のもとに統合 一元化するとともに 原子力安全基盤機構 (JNES) や核管センターなどの専門家を要している機関も統合し 日本版 NRC( 米国原子力安全規制委員会 ) のような専門性の高い規制組織を作る ii) 原子力規制機関の統合一元化により 隙間のない 網羅的な安全規制が実施可能となる また 環境放射線モニタリングを原子炉等規制法に取込み 都道府県が法定受託事務として実施することで 原子力施設の第三者の監視を強化し かつモニタリングの質と透明性の向上を図るとともに 放射線計測体制の原災法への円滑な橋渡しを図る iii) 規制の一貫性を保ち高い専門性を維持するために 同機関の役職に応じた資格制度を導入するとともに 職員の人事の固定化を図る iv) 原子力安全委員会の法定ダブルチェックを廃止するとともに 三条機関に NRC のACRS のような規制監査機関を作り 委員会の意向をも踏まえ事務局の監査を行う v) 同機関は 最新の海外の知見を我が国に生かしていくために 諸外国の規制機関との連携を緊密に保つとともに IAEA の活動に能動的に参画する 11. 情報公開に対する教訓 a. 情報公開が十分ではないと見られている 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム (SPEEDI) の公開が遅れた まだ十分な情報は公開されていない これらの背景から 統合本部が情報を隠していると見られており信頼性 提言 ( 短期 ) (1) SPEEDI の全面的な公開 (2) プレス発表における技術的な説明の改善 (3) 統一された放射線安全の考え方に基づいた防護措置の発 情報提供 2-38

53 分類 教訓 提言 備考 を失っている b. 技術的な説明が不十分であった データを羅列するだけでその評価がなされていない情報が提示されている 表 提言 ( 中期 ) 原子力災害対策法の見直し c. 放射線安全に対する説明性が低い 放射線安全に関しては もともと考え方が複雑でわかりにくい 緊急時と通常時 線量率と線量さらには人に対する放射線の健康影響の考え方が正しく伝わっておらず 無用な混乱を招いている d. 避難区域の設定が段階的に拡大した 当初 3km を10km, 20km と順次拡大した e. 避難区域などの設定に関する自治体との連携不足計画的避難区域や自主避難など わかりにくい説明で自治体を混乱させた 一方 米国は80km(50mile) を設定し これらの情報が錯綜することで より混乱を増大させた f. 自治体と災害本部の意思疎通が無い 関連する自治体が多くなっているため 必ずしも十分な意思疎通ができているとは思いにくい (4) 原子力災害対策法の見直し 特に国と自治体の役割を実態に合わせて明確化 (5) 見直された原子力災害対策法にのっとり 事故が起こることを前提とした訓練の実施 (6) ERSS やSPEEDI の高度化と利用法に関する議論を明確化 (7) 原子力透明化法の制定 12. 緊急時安全管理に対する教訓 a. 構内の放射線量に関する情報一元化 共有化に課題がある 緊急時の従業員 作業員に対する 安全管理 労務管理 被ばく管理が不十分であったと考えられる 具体的には 3 号機タービン建屋での電源復旧作業中の水たまりでの被ばく事故や 当初 個々の作業員が放射線量計を携帯できなかった事などが挙げられる 緊急時だからこそ 安全に留意した作業が必要と考える b. 免震重要棟の設計条件に放射性物質の流入は想定されていなかった 震災後 2 週間 免震重要棟内での放射性物質濃度を測定していなかった 免震重要棟での緩衝エリア設定 ( 防護服を脱ぐところ ) の遅れ 女性職員の被曝 ( 内部被曝が外部被曝より多かった ) 提言 ( 短期 ) (1) 情報共有化の徹底 提言 ( 中期 ) (2) 緊急時における放射線管理要員の確保および資機材の調達の事前計画と実行可能性確認 (3) 緊急時の人間行動など行動科学および健康科学面からの分析とその知見の反映 緊急時安全管理免震重要棟 2-39

54 分類 教訓 提言 備考 c. 緊急事態での従業員 作業員への健康等への影響の認識が不足 衣食住の劣悪な状態が当初より相当期間継続した 健康 ( メンタル面を含む ) 上の不調への対応の不足や遅れ 2-40

55 表 Team H2Oプロジェクト 福島第一原子力発電所から何を学ぶか 最終報告書の提言 項目 対策 ( 発生防止 ) 対策 ( 影響緩和 ) 備考 電源の確保 外部支流電源の確保 開閉所の水密性 耐圧性の向上 開閉所設置位置を高い位置とする もしくは 津波が襲来しても設備保護できる防潮壁を設置する 送電鉄塔 発電所開閉所の耐震性向上 を評価するとともに耐震性向上を設計指針にて要求する 対変電所からの送電線の多重引き込み( 最低 2 回線 ) を実施することにより外電喪失頻度を極端に低減 また外部電源は各プラントと連携させる ( 中長期対策として ) 変電所からの送電を架空線から地下ケーブル送電方式を採用する 遠隔操作: 電源車から遠隔で原子炉へ電源供給する為の送電経路 ケーブル等の確保 ( または 無線供給できないか?) 変電所側の耐震性を向上させるとともに設計指針にて要求する 非常用 DG の確保 DG 室給気口からの浸水防止策を実施する DG 室の水密性 耐圧性の向上 DG 室間での電源問融通が可能となるよう制御 電源ケーブルを配備しておく ( 中長期対策として ) DG 関連一式の設置場所の高所設置 (DG 電源盤等の一式) DG 電気融通機能の強化 : 全ての DG を 全ての原子炉に共有できる多重化を計る (5 6 号機は融通できたが 1-4 号機には融通できなかった ) 多少の水没では機能喪失しない設計とする 定期検査中は DG が点検している可能性が高いため 停止中の 外部交流電源確保 なし非常用 DG の確保 ( 中長期対策として ) 地震スクラム時の DG 自動起動インターロックへの変更非常用 DG の確保 なし直流電源の確保 なし交流電源の確保 なし 電源確保 2-41

56 項目 対策 ( 発生防止 ) 対策 ( 影響緩和 ) 備考 脆弱性を払拭する必要あり DG1 台を追加する 増設にあたっては 空冷式 DG ガスタービン等を高台に増設する 空冷式の場合 海水ポンプ 海水循環系が不要 なお 淡水による冷却系は津波被害を避けるため高台設置とする 津波による影響がでないよう重油 軽油タンクを高所に配置する 直流電源の確保 津波による浸水が発生しないように部屋の中に移設するとともにその部屋の耐圧 水密性を確保する 直流電源が被災し使用できなくなった場合のための移動式バッテリー車 ( 直流 125V 24V 250V) およびケーブルの配備を実施する ( 中長期対策として ) 直流電源の設置位置を高い位置に移設する 直流電源の容量アップ(8 時間から 24 時間以上の長時間対応 ) 支流電源の確保 交流電源設備の水密性 耐圧性の向上する 電源車の強化 - 常設 増台 ( 必要負荷容量から必要電源車台数を確保 ) 設置場所 ( 例 高台 ) の見直し - 電源車の種類を増やす : 直流 交流 直 交流混載 発電機付き DG 搭載など 電源車から電源盤の接続箇所の複数設置と耐水性の確保 電源車以外の予備電源の増設 交流電源の早期復旧のため 電源ケーブルの配備 端末処理が迅速に出来るための冶工具最適配備 ( 中長期対策として ) 2-42

57 項目対策 ( 発生防止 ) 対策 ( 影響緩和 ) 備考 制御室機能の確保高圧冷却系の確保 交流電源の融通( 全号機とも M/C 問 P/C 間での融通可能となるよう接続 ) 電源車 予備電源等の津波 地震が去ったあとの空輸移動の積極活用 ( 原子炉建屋屋上 周辺にヘリパッドを設置 ) 交流電源の設置位置を高い位置に移動する制御室機能の確保 運転員の居住性 監視性確保 - 緊急時における放射線の影響を受けないようにするために 中央制御室の遮蔽効果を向上させる ( 中長期対策として ) - 中央制御室の換気空調系の維持を確実にするために中央制獅室用のガスタービン等の非常用電源設備を配備する 高圧冷却系の確保 HPCI RCIC は原子炉建屋最地下階に般置されている 今回の津波では電源系の影響により使用不能となったが ポンプやモータの健全性確保のためにも部屋の機密性 耐圧性を維持できることが必要 高圧での原子炉への注水手段としては SLC 系 CRD 系 CUW 系でも可能であることから この系統の電源確保も重要である これらの電源確保のための仮設電源容量も考慮する必要がある 制御室機能の確保制御室居住性 運転員の居住性 監視性確保事故時計装 - 計器類が監視不能となった場合でも対応可能となるようバッテリーを予備として準備する - 防護服 防護マスク 線量計等については 対応操作が何日間も継続したことから適正な日数分は保管しておくこと ( 中長期対策として ) - 電源喪失により原子炉水位や原子炉圧力等のパラメータ監視が不明となった 原子炉水位 圧力 温度等について 監視不能となった場合には 携帯用計器や代替計測が可能となるよう開発が必要 高圧冷却系の確保高圧冷却系 夜間においては 高圧系冷却系の復旧遅れにつながりプラントの状態を悪化させ 低圧系冷却実施の準備の遅れにも繋がることになった 少しでも 対応操作に遅れが生じないよう 繰作すべき弁 機器には蛍光塗料の塗布により現場での操作や発見がし易いようにしておくことも効果的である また 仮設ケープルにも蛍光塗料を塗布しておくことにより 設置場所を明確にできる ( 中長期対策として ) 高圧冷却系の運転状態の確認の際 現場に近づけなかった場合には時間を要し 判断遅れにも繋がる 現場状態の監視する手段を冗長化しておくことが有効と考えるため 電源の 2-43

58 項目対策 ( 発生防止 ) 対策 ( 影響緩和 ) 備考 ベント機能の確保 格納容器ベント機能の確保 なし SR 弁操作による減圧 なし 確保を前提に 遠隔でのポンプ 計器 弁開度等の状態確認が取れるよう ITV( 可視 ) 音響モニター 振動検出器等の設置を実施する 格納容器ベント機能の確保格納容器ベント 電源喪失時でもベントライン構成が迅速に出来るよう仮設電源 駆動用ボンベ等の準備が直ぐに出来るよう事前に準備しておくことが有効 2 号機の格納容器ベント失敗事象に鑑み ベント開始圧力値の再検討 ( ラプチャーディスク作動圧力値の再検肘 ) が必要 ( 中長期対策として ) メルトダウン時の炉内挙動の状況把握のため中性子そニタを格納容器内に配備する 駆動用供給空気圧力やベントラインの信頼性確保のため 多重化や 安全系への格上げによる信頼性の確保について再検討する ベントのライン構成に時間を要していることから 手動での開操作を簡単に実施できる場所への弁設置場所の変更を検討する 2 号機でラプチャーディスクが動作しなかったことに鑑み 弁開閉方式によるベントの採用を検討する SR 弁操作による減圧 直流電源の喪失により SR 弁による減圧操作が不能となった 中央操作室にパッテリーを持ち込んでの操作となったことからパッテリーを準備しておくことが有効 ( 中長期対策として ) 直流電源だけに頼らない SR 弁の仕組み検討 原子炉の減圧機能が複数手段することの検討 2-44

59 項目対策 ( 発生防止 ) 対策 ( 影響緩和 ) 備考 低圧冷却系の確保最終ヒートシンクの確保 低圧冷却系機能の確保 低圧状態で使用する非常用炉心冷却系ポンプは津波で浸水しないよう 水密性 耐圧性を確保することもしくは高所設置が必要 消防車の選定にあたっては 給水源 注水範囲及び注水能力を考慮した適切な消防車台数や必要ホース本数を確保し 高台への配備とすることが必要 消防車からの注水接続箇所の複数設置 ディーゼル駆動消火ポンプの故障原因の究明とその対策の反映 ( 中長期対策として ) 水源の強化: 冗長性をもたせ 貯水槽 ダム 貯水池 湖 河川 海などからの複数個所からの給水を可能とすることが必要 また その給水手段と確保できる容量が十分であるかの検制も必要 冷却水として使用する場合には以下のことも考慮すること -ほう酸の注入ができること - 建屋内汚染水なども循環冷却用に使える構造にすること - 冷却ルートも複数用意されていること 入り江に立地している事から 海水からの取水 放水系統の多様性 多重性の強化 プラントの生命線となる補助給水ポンプ 直流電源の より一層の多重化 多様化 低圧冷却系機能の確保 給水経路の強化: 消防車以外での給水手段の確保 ( 例 : 空輸 海洋輸送 ) 使用済燃料プールの状態が監視できなかったことから 電源確保を前提に 温度 水位監視計器を設置するとともに 測定不能となった場合を想定し 携帯式の非接触温度計や水位計を準備しておくことが必要 使用済燃料プールの冷却システムの多重化による信頼性確保 ( 長期対策として ) 火災時の対応も考慮し 低圧注水専用の水源確保も必要 低圧冷却系事故時計装 海水冷却系機能等の確保 津波により海水冷却系ポンプが使用不可能となった場合のために可搬式の水中ポンプ及び仮設電源を準備しておくことが必要 海水建屋にあった海水冷却ポンプが浸水により 機能喪失となった 建屋の水密性 耐圧性を向上させるとともに 大津波注意報発生後の扉の開操作運用の徹底等を実施することも重要 ( 中長期対策として ) 非常用電源増設やリプレイス時には海水冷却に頼らない空冷式の冷却ラインを予備系統として確保する ウエットウェル ベントによるフィード アンド ブリードの 海水冷却機能等の確保 サイト内にモータ巻線洗浄設備の設置 予備品準備 ( 中長期対策として ) 津波により海水系の冷却ポンプモータが使用不可能となったことから 密閉性モータの採用 ( 耐圧 水密性の強化 ) についても検討が必要 最終ヒートシンク 2-45

60 項目対策 ( 発生防止 ) 対策 ( 影響緩和 ) 備考 水素爆発 / 放射能漏えい防止災害対策マニュアル / インフラ等 実施 ( 冷温停止移行までのヒートシンク確保 ) 防波堤 防潮壁の設置 代替炉心冷却系( 水源 電源 注水系統等 ) を有すること水素爆発の防止水素爆発の防止 水素充満状態となる前に 原子炉建屋の水素ベント装置を設置 ラプチャーディスク誤動作 不動作防止のため 定期的する ( リモート駆動 + 手動駆動 + 放射性物質の吸着フィノレター機な点検 交換を検討する 能をもたせたベント方式の設置 ) 福島第一での事故対応に際し 1 号機では放射性物質の 格納容器の気密性の機能強化:DW フランジ 電気ペネトレー放出についての懸念は検討していたが 水素爆発についてション ハッチ等のシール部の部材見直し 高温 高圧への耐性の想定はされていなかった 水素発生時の対応についてマ強化 ニュアルに反映するとともに確実な対応が可能となるよう 万一水素が大量発生した場合の 建屋閉鎖空間での滞留防止訓練の実施が必要 - 水素検出器の閉鎖空間への設置 ( 独自電源または RF で信号発信 ) -ベントを実施した場合には 格納容器内に窒素封入する等発生防止の確実な実施をする ( 中長期対策として ) - 原子炉 格納容器 建物の上部 / 天井の形状を蓄積しにくい形状へ ( 例 天井を斜めにして 気体が抜けられる様にする ) 圧力容器をデブリが貫通した場合には ペデスタルにおけるデブリ コンクリート反応に至ることも想定し コンクリート補強やデブリ キャッチャー等の設置を検討する 放射能漏えい防止 ( 中長期対策として ) 水素爆発により放射性物質の拡散をまねいたことから ウエットウェル ベントの有効性を評価するとともにベントフィルターの設置検討を実施する 災害対策マニュアル (AM) の整備 AM の再設計 : 常設する水源 電源で何時間もたせるか? それまでに いかに外部からの応援体制を完了するか? 等の確実な実施のために 水素爆発フィルタード ベント手順書整備 緊急時対応インフラ強化 2-46

61 項目対策 ( 発生防止 ) 対策 ( 影響緩和 ) 備考 - 現場にある水源 電源で 最悪でも何時間もたせるか? について明確に数値設定し その運用のマニュアルを設計 - 同時に 前項の時間内で 追加の電源 水源 資材等の供給 現場での設置完了等を 必ず実施する為の体制整備と運用マニュアルの設計 - 定期的な訓練の実施 : 準備段階までを訓練と称して実施し終了させないよう ケーブル端末処理などの必要な作業も実施することが必要であり その仕組みも反映させる 電源復旧手頗の見直し: 短期間での電源復旧を想定したものから 数日間の対応を想定した手順書に整備する 地震 津波は発電所全号機に襲い掛かることから 訓練も全号機同時訓練や夜間 休日訓練の実施が必要 組織の見直し 地震 津波評価手法 ( 中長期対策として ) 複数プラント同時事故を想定した原子力災害体制の見直し 津波エネルギーの大きさによるリスク評価の導入 定期的に津波 地震評価を実施する仕組み検討 インフラの強化 夜間 休日も含め地震後の発電所への運転員の集合 緊急時対策室要員確保など( 必ず X 時間以内に来れる手配 ) 運転員や事故復旧班の作業者との緊急時対策室や中央制御室との通信手段が切断され タイムリーな報告が不可能であった 対応遅れにも繋がることから 情報手段の確保 適切な必要数配備が重要である 緊急時対策室の環境改善として 仮眠スペース 寝具の準備を実施する 免震重要棟の津波耐性の向上( 非常用電源の確保 ) 地震後 津波発生後のプラント聞のアクセス性向上のため - 瓦磯除去用重機の適切台数配備と運転者の確保 - 重油タンクの固定 ( 中長期対策として ) - 基幹道路の補強 ( 液状化対策含む ) - 地震 津波に強い移動経路の確保 ( 地割れ 流動化しない マンホールの無い等の移動通路 経路の建設 発電所までのアクセス道路 橋梁補強の実施 作業者の安全確保: 遠隔 で 少人数 で対応可能操作とすることの検討 ( 例 ホースの長距離事前配備化 クレーン車の様にホース運転席からリモート操作化等 ) 2-47

62 2-48

63 表 各種事故調査委員会及び関係機関による事故の分析結果 教訓 提言等の比較 ( 教訓等のタイトルのみ記載 ) 課題 項目 IAEA 向け政府報告書 内閣官房顧問会議 政府事故調報告書 国会事故調報告書 日本原子力技術協会報告書 日本原子力学会報告書 Team H2O 報告書 1.SA 防止 1. 全般 5. 事故防止策の 6: 原子力法規 策の強化 構築 制の見直し 7. シビアアクシ デント対策 2. 地震 津波 (1) 地震 津波へ 4.1 自然ハザー 1. 地震の揺れに 災害対策マニ 対策 の対策の強化 ド 対する教訓 ュアル / インフ 2, 津波に対す ラ等 る教訓 3. 電源確保 (2) 電源の確保 4.2 電源準備 3. 全電源喪失に 電源の確保 対する教訓 4. RPV CV (3) 原子炉及び 4.3 ヒートシン 4. 全冷却系喪失 高圧冷却系の 冷却機能確 格納容器の確実 ク喪失対応 に対する教訓 確保 保 な冷却機能の確 低圧冷却系の 保 確保 最終ヒートシ ンクの確保 5.SFP (4)SFPの確実 4.11SFP 健全性 7.SFP 冷却に対 な冷却機能の確 確保 する教訓 保 6.AM (5)AM 対策の徹 4.5 緊急時に対 5. AMに対する 災害対策マニ 底 する準備 ( 特に 教訓 ュアル 訓練 ) 7. 施設配置 (7) 原子力発電 施設の配置等の 基本設計上の考 慮 8. 浸水対策 (8) 重要機器施 備考 2-49

64 課題 項目 IAEA 向け政府 報告書 内閣官房顧問会議 政府事故調報告書 国会事故調報告書 日本原子力技術協会報告書 日本原子力学会報告書 Team H2O 報告書 備考 設の水密性の確 保 9. 複数炉立地 (6) 複数炉立地における課題への対応 2.SAへの対応策の強化 1. 全般 2.CV 破損 ( 水素爆発 ) (9) 水素爆発防止対策の強化 4.4 水素対策 6. 水素爆発に対する教訓 水素爆発/ 放射能漏えい防止 3. CV 破損 (CVベント) (10) 格納容器ベントシステムの強化 4.4 水素対策 ベント機能の 確保 4. 事故対応環境 (11) 事故対応環境の強化 中央制御室空調 遮へい 緊急時対策所 通信 12. 緊急時安全管理に対する教訓 制御室機能の確保 5. 事故時被ばく管理 (12) 事故時の放射線被ばく管理体制の強化 放射線管理 / 作業管理 12. 緊急時安全管理に対する教訓 インフラ 6. 事故時計装 (14) 原子炉及び格納容器などの計装系の強化 事故時計測 7. 環境モニタリング (17) 環境モニタリングの強化 13. モニタリングの運用改善 2. 政府の危機管理体制の見直し 環境モニタリング 2-50

65 課題 項目 IAEA 向け政府 報告書 内閣官房顧問会議 政府事故調報告書 国会事故調報告書 日本原子力技術協会報告書 日本原子力学会報告書 Team H2O 報告書 備考 8. 訓練 (13)SA 対応の訓練の強化 訓練 組織 / 指揮 命令 9. 資機材管理 (15) 緊急対応用資機材の集中管理とレスキュー部隊の整備 災害対策への備え ( 重機 レスキュー ) 緊急時の協力体制 インフラ 3. 原子力災害への対応の強化 1. 全般 (16) 大規模な自然災害と原子力事故との複合事態への対応 1. 複合災害を視野に入れた対策 2. リスク認識の転換 3. 被害者の視点からの欠陥分析 5. 事故防止策の構築 2. 政府の危機管理体制の見直し 6. 原子力法規制の見直し 2. 防災体制 (18) 中央と現地の関係機関等の役割の明確化等 4. 防災計画に新しい知見取入れ 8. 原災時の危機管理態勢の再構築 9. 原子力災害対策本部の在り方 11. 原災対応における県の役割 3. 住民避難 ( 避難基準 ) (22) 原子力災害時の広域避難や 15. 住民避難の在り方 2-51

66 課題 項目 IAEA 向け政府 報告書 内閣官房顧問会議 政府事故調報告書 国会事故調報告書 日本原子力技術協会報告書 日本原子力学会報告書 Team H2O 報告書 備考 放射線防護基準の明確化 16. 安定ヨウ素剤の服用 4.FP 拡散影響予測 (21) 放射性物質放出の影響の的確な把握 予測 14.SPEEDI システム 5. オフサイトセンター 10. オフサイトセンター 6. 緊急被ばく医療 17. 緊急被ばく医療機関 7. 広報 情報提供 (19) 事故に関するコミュニケーションの強化 12. 広報とリスクコミュニケーション 18. 放射線に関する国民の理解 19. 諸外国との情報共有や諸外国からの支援受入れ 11. 情報公開に対する教訓 8. 海外からの支援 (20) 各国からの支援等への対応や国際社会への情報提供の強化 19. 諸外国との情報共有や諸外国からの支援受入れ 4. 安全確保基盤の強化 1. 全般 5. 事故防止策の構築 6. 総合的リスク評価の必要性 6: 原子力法規制の見直し 8. 安全研究の推進に対する教訓 2. 規制体制強化 (23) 安全規制行政体制の強化 10. 組織 危機管理に対する教 2-52

67 課題 項目 IAEA 向け政府 報告書 内閣官房顧問会議 政府事故調報告書 国会事故調報告書 日本原子力技術協会報告書 日本原子力学会報告書 Team H2O 報告書 備考 訓 3. 法体系の整備 強化 (24) 法体系や基準 指針類の整備 強化 20.IAEA 基準などとの国際的調和 9. 安全規制と安全設計に対する教訓 4. 安全系の独立性と多様性 (26) 安全系の独立性と多様性の確保 9. 安全規制と安全設計に対する教訓 5.PSA 活用 (27) リスク管理におけるPSAの効果的利用 9. 安全規制と安全設計に対する教訓 6. 人材確保 (25) 原子力安全 や原子力防災に 係る人材の確保 5. 安全文化醸成 1. 安全文化 (28) 安全文化の徹底 23. 安全文化の再構築 6. 新規制組織 1. 原子力安全規制機関の在り方 独立性の確保 (1 規制と利用の分離 2 行政実務の一元化 3 危機管理 4 人材育成 5 新安全規制 6 透明性 7 国際性 ) 21. 原子力安全規制機関の在り方 5: 新規制組織の要件 ( 行政文書の適切管理を含む ) 2. 行政文書の適切管理 5: 新規制組織の要件 ( 行政文書の適切管理を含む ) 7. その他 1. 国会の規 1: 規制当局に 2-53

68 課題 項目 IAEA 向け政府 報告書 内閣官房顧問会議 政府事故調報告書 国会事故調報告書 日本原子力技術協会報告書 日本原子力学会報告書 Team H2O 報告書 備考 制当局監視 対する国会の監視 2. 政府危機管理体制 8. 原災時の危機管理態勢の再構築 9. 原子力災害対策本部の在り方 2: 政府の危機管理体制の見直し 3. 被災住民対応 3: 被災住民に対する政府の対応 4. 電気事業者監視 4: 電気事業者の監視 5. 事故原因解明 24. 事故原因の解明継続 7: 独立調査委員会の活用 6. 被害調査 ( 健康影響など ) 25. 被害の全容を明らかにする調査の実施 7. 東京電力の在り方 22. 東京電力の在り方 8. 福島事故 の収束 2-54

69 2.2 原子力安全 保安院の 30 項目の対策 2.1 節の結果および以下の文献等から 事故の分析結果 教訓 提言等と原子力安全 保安院の 30 項目の対策の関係および組織廃止に伴う引継ぎ事項を把握する 1 原子力安全 保安院 : 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見について ( 平成 24 年 3 月 ) 2 原子力安全分野における原子力安全 保安院としての改善に向けた取組と残された課題について~ 事故調査委員会 ( 国会 政府 ) からの指摘を踏まえて~( 平成 24 年 9 月 ) 原子力安全保安院は 事故の発生及び事故の進展について判明している事実関係について 工学的な観点から 事故シーケンスに従って出来る限り深く整理 分析することにより 事象の各段階における技術的知見を体系的に抽出し 主に設備 手順に係る必要な対策の方向性について検討し 今後の規制に反映させるべき 30 項目の対策を以下の通り提示した 外部電源対策 1 外部電源系統の信頼性向上 2 変電所設備の耐震性向上対策 3 開閉所設備の耐震性向上 4 外部電源設備の迅速な復旧 所内電気設備対策 5 所内電気設備の位置的な分散 ) 6 浸水対策の強化 7 非常用交流電源の多重性と多様性の強化 8 非常用直流電源の強化 9 個別専用電源の設置 10 外部からの給電の容易化 11 電気設備関係予備品の備蓄 冷却 注水設備対策 12 事故時の判断能力の向上 13 冷却設備の耐浸水性確保 位置的分散 14 事故後の最終ヒートシンクの強化 15 隔離弁 SRV の動作確実性の向上 16 代替注水機能の強化 17 使用済燃料プールの冷却 給水機能の信頼性向上 格納容器破損 水素爆発対策 18 格納容器の除熱機能の多様化 19 格納容器トップヘッドフランジの過温破損防止 20 低圧代替注水への確実な移行 21 ベントの確実性 操作性の向上 22 ベントによる外部環境への影響の低減 23 ベント配管の独立性確保 24 水素爆発の防止 ( 濃度管理及び適切な放出 ) 管理 計装設備対策 25 事故時の指揮所の確保 整備 26 事故時の通信機能確保 27 事故時における計装設備の信頼性確保 28 プラント状態の監視機能の強化 29 事故時モニタリング機能の強化 30 非常事態への対応体制の構築 訓練の実施 下線の対策については主に BWR のみを想定 福島第一原子力発電所事故の技術的知見について に示されている要件と対策の概要を表 に 事故の発生 進展と対策の関係を図 に示す また これら 30 項目の対策と事業者が実施した緊急対策 ( 短期的対策 ) と現在も実施中の信頼性向上対策 ( 中長期的対策 ) との関係を図 に示す 原子力安全保安院の廃止にあたって 福島事故以後それまでの原子力安全 保安院の取組と 残された課題について取りまとめた 原子力安全分野における原子力安全 保安院としての改善 2-55

70 に向けた取組と残された課題について から原子力規制委員会への引継ぎ事項を表 に示す また 各種教訓 提言などと原子力安全 保安院の 30 項目の対策との関係を表 に示す 2-56

71 表 今後の規制に反映させるべき原子力安全 保安院の 30 項目の対策要件対策外部電源設備に関する技術的知見とそれを踏まえた対策要件 1. 原子力発 第一発電所では 後述のとおり津波により施設内の電気設備が水没 被水により機能喪失したため 外部電源が機能していたとしても受電を継電所の外部電源の続することは難しかったと考えられるが 外部電源の喪失が復旧作業を困難にする一因となるなどシビアアクシデントの進展防止を阻害する信頼性向上要因の一つとなった また 外部電源を含む何らかの交流電源を利用することができた女川発電所 第二発電所及び東海第二発電所では 地震後の津波による被害を受けてもシビアアクシデントに至ることなく冷温停止に移行する等の緊急時対応を実施できたことに留意する必要がある 外部電源の信頼性については 地域全体の停電や山間部を通る送電線路の途絶などによる外部電源喪失のリスクがあるため 原子力発電所の安全確保を外部電源に過度に依存することは適当ではない しかしながら 東北地方太平洋沖地震に際し 交流電源確保の成否が原子力発電所の安全確保の結果に大きな差異をもたらした 従って シビアアクシデントのリスク低減及び事故後の復旧作業容易化のため 外部電源の信頼性を向上させることが必要 対策 1 外部電源系統の信頼性向上 現状では 原子力発電所外の施設は原子力安全確保の観点からの規制対象ではないが なくとも原子力発電所に直接繋がる変電所までを規制の視野に入れた上で 異なるルート ( 送電線及び変電所 ) からの給電を確保するなどにより 1 つのルートを失っても当該発電所が外部電源喪失にならないよう外部電源系統の信頼性を高いものとすることが求められる 対策 2 変電所設備の耐震性向上 変電所設備の信頼性を向上させるため 原子力発電所に直接接続される全送電線路の直近変電所引出口に施設される断路器について 今般の地震で損傷した新福島変電所の断路器と同型の断路器の構造改良並びに高強度がいし及びガス絶縁機器の採用を行うなどにより 耐震性を強化した断路器の回線を 2 回線以上確保することが求められる 要件 2 原子力発 原子力発電所の開閉所設備の耐震性を向上する必要がある 電所の開閉所設備 なお 変電所では 電気設備の多重化が図られており 一部の機器に損傷が発生しても当該箇所の切離し等により機能を維持できる可能性があの耐震性向上る 原子力発電所の開閉所については 第一発電所において一部の遮断器及び断路器が地震により損傷し これが外部電源喪失の一因となった 開閉所内の個々の送電設備は多重化されていないため より系統のどこかに損傷が発生すると外部電源喪失に繋がる可能性が高い 対策 3 開閉所設備の耐震性向上 開閉所の電気設備( 遮断器 断路器等 ) の地震による機能喪失のリスクを低減させるため 耐震性の強化及び設備の多重化等を組み合わせるなどにより 耐震性を向上させることが求められる また がいし型遮断器 ( 空気遮断器 (ABB) 等 ) については地震による機能喪失リスクを評価した上でタンク型遮断器 ( ガス絶縁開閉装置 (GIS) 等 ) 等への設備の更新等を行うことが求められる 要件 3 外部電源 東北地方太平洋沖地震では 遮断器のトリップによる送電の停止が多数発生した他 変電所又は送電線の電気設備が損傷したため 例えば東海の復旧の迅速化第二発電所に接続する送電線路では設備を復旧し 送電を再開するまでに数日以上の時間を要したケースがあった ( 注 : 東海第二発電所では非 2-57

72 要件対策常用 DG により電源を確保 ) また 外部電源による安定的な電力供給を回復できれば シビアアクシデント等の重大な事故に至るリスクを低減することができる 従って 地震等により損傷した外部電源設備の復旧を迅速化することが必要である 対策 4 外部電源設備の迅速な復旧 外部電源設備の復旧に要する時間を短くするため 損傷した場合に復旧に時間を要する外部電源設備の予備 又はそれらを迅速に復旧する作業のための資機材の確保及び手順をまとめた事故対応マニュアルの整備等を準備しておくことが求められる また より早期に復旧作業に着手できるようにするため 電線路が長い場合には 損傷箇所を迅速に特定できる設備 ( フォルトロケータなどの事故点標定装置 ) を導入することが求められる 所内電気設備に関する技術的知見とそれを踏まえた対策要件 4 所内電気 海に近く海水が流入した T/B や C/B の地下など低い階に設置されていた電気設備は そのほとんどが被水等により機能を喪失した また 同設備の共通要因故一建屋の同一階に設置されていた機器は 今回は津波による被水 水没という共通要因により 同時に機能を喪失した 更に 津波が共通要因故障による機能喪失障を引き起こし 多重故障による 1~4 号機間を通じた電気設備の機能喪失が生じたため 代替機能を短時間で用意することができず復旧にの防止長時間を要した (5 6 号機は 1~4 号機とは電力融通ができるようにはなっていなかった ) 従って 共通要因故障による機能喪失を防止することが極めて重要であり 非常用電気設備の十分な多様性と独立性を確保する必要がある また 電気系統の各階層 (M/C P/C MCC 等 ) のいずれにおいても当該階層が電気系統が同様に故障することにより 電気系統全体が機能を喪失することを防止する必要がある 対策 5 所内電気設備の位置的な分散 所内電気設備が共通要因によって同時に機能を喪失することを防止するため 非常用の交流系及び直流系の電源及び配電盤を含め 電気設備一式の多重性を強化するとともに 配置場所について 位置的な分散 ( 例えば 配置建屋 建屋内の位置 ( 海側 / 陸側 高所 / 低所 ) の分散等 ) を確保することが求められる 対策 6 浸水対策の強化 想定津波高さに備えた防潮壁等の設置に加え 多重防護の観点から建屋の水密化 特に重要な非常用電気設備を地下階など浸水の可能性がある場所に設置している場合には部屋単位での水密化 更には浸水時に備えた排水機能の用意等により確実な耐浸水性を確保することが求められる 要件 5 非常用交 非常用 D/G が津波により機能喪失に至ったため 非常用 D/G から電気の供給を受けるはずであった各種の安全設備が機能を失った 非常用流電源の強化 D/G は設備自体が被水 水没していなくとも ディーゼル機関等の冷却系の一部である海水ポンプが津波により破損したため 機能しなかったと推定される また 燃料供給 起動 制御に必要な直流電源 送電先の配源盤のいずれかが機能喪失しても使用できなくなった 従って 上記の共通要因故障の防止に加え 更なる非常用交流電源の多重性と多様性の強化が必要である 対策 7 非常用交流電源の多重性と多様性の強化 2-58

73 要件要件 6 非常用直流電源の強化要件 7 事故 事故後の対 復旧の迅速化 対策 非常用交流電源の多重性に関し 設備面のみならず運営面においても 点検保守による待機除外 それに加えて自然災害等による機能喪失や故障を考慮した 多重性の強化を図ることが求められる また 本設非常用交流電源の多様性に関し 空冷及び水冷等による冷却方式の多様性を強化することにより共通要因による非常用交流電源の喪失を防ぐことが求められる 加えて 非常用交流電源全般について 外部電源の復旧期間を見込んだ十分な燃料を確保することが求められる 長期間の全交流電源喪失下での直流電源喪失により 原子炉の状態を検知する計器類が機能を喪失し 状態把握が著しく困難になった また 弁開閉のみならず RCIC や HPCI の起動 制御ができなくなったことを踏まえ 交流電源が使用できない状況下では直流電源を維持することが必要不可欠であった 今回の事故では 交流電源が喪失してから長期に亘り復旧させることができず これに備えるべき非常用直流電源の蓄電容量が数時間と短かったため 冷却機能等を長時間維持することができなかった 従って 蓄電池の大容量化を含めた抜本的な非常用直流電源の強化が必要である 対策 8 非常用直流電源の強化 電源車や別途の非常用発電機の設置を前提として 非常用直流電源の各系統において 蓄電池が枯渇する前の充電などにより長期間の機能維持を可能とすることが求められる その上で 一系統の蓄電池の蓄電容量 ( 注 : 独立した一システムの蓄電容量を含む ) のみで負荷の切り離しを行わずに なくとも 8 時間 ( 事態の正確な把握 冷静な判断 作業の準備 実施に必要な時間 ) さらに不必要な負荷の切り離しを実施した上で なくとも 24 時間 ( 注 : 電源車や別途の非常用発電機など外部からの給電に時間を要する事態を考慮 ) プラントの特性に応じて必要な時間の稼働を可能とするよう蓄電容量を確保することが求められる 対策 9 個別専用電源の設置 原子炉の状態把握には計装電源が必須であるが 直流電源喪失により隔離弁の開閉状態 圧力容器 格納容器等の温度が確認できず正確な判断ができなかったことを踏まえ シビアアクシデント時などにおいて特に重要な計装に専用 ( 計装と作動が同一電源の場合を含む ) の電源を 充電システムや蓄電池を既設及び代替電源とは別途用意するなどにより確保することが求められる 交流電源の復旧作業は 地震や津波 爆発等による 悪な環境の中 P/C や電源車等から仮設の配電盤やケーブル等を機器毎に敷設することになり 長時間を要した 交流電源の復旧に時間を要する中 計器類の直流電源はバッテリーを収集することから始める必要があった このため 直流電源が機能していた 3 号機においても交流電源が復旧する前にバッテリーが枯渇し 炉心損傷等への進展を招くこととなった 従って 全電源喪失時等の緊急事態において 別途用意されている電源車や発電機などの給電口への繋ぎ込みで即時に対応できることが基本であるが その上で更に種々の困難な状況を想定し マニュアルを整備するとともに 所内電源設備の復旧作業を迅速に行うための必要資機材の備蓄が必要である 対策 10 外部からの給電の容易化 電源喪失又はその可能性がある場合 電源車( 交流 交流 + 整流装置 ) などのバックアップ設備による給電を確実かつ容易に行えるようにすることが必要 例えば 建屋外の給電口を規格化した上で 2 か所以上に分散させ 被水対策 ( 塩水対策含む ) を実施することが求められる この際 2-59

74 要件対策地落側負荷等の切り離しも容易にできる措置を講じる必要がある さらに 建屋外から給電が行えない場合など困難な状況を想定し マニュアルを整備する必要がある 対策 11 電気設備関係予備品の備蓄 様々な状況に対応できる M/C P/C ケーブルなど電気設備関係の予備品について これらを保管する緊急用資機材倉庫等を確保し 備蓄しておくことや予備設備を設置しておくことが求められる また 事故時の対応や事故後の復旧を迅速に行うため 可搬型の照明設備を用意するなど復旧作業環境の確保を行うとともに 既存設備及び事故時用の資機材等に関する情報やマニュアルが即時に利用できるよう普段から準備し訓練を行うことが求められる さらに訓練に加え 普段から保守点検活動を自ら行って部品交換などの実務経験を積むことが求められる 冷却設備に関する技術的知見とそれを踏まえた対策要件 8 初期対応 1 号機では中央制御室での監視 操作機能が喪失し また現場が照明を失うなど劣悪な環境にあったため 状況把握に時間を要し IC の状況確における的確な判認 対応操作などを早期に行うことができなかった PCV 圧力の確認ができるようになった時点では既に最高使用圧力の 1.5 倍を超える状断況に至っており 炉心状態の把握の遅れが操作の遅れに直結した また 整備されている手順は 全電源喪失などの状況を想定したものはなく 現場での作業を前提としていなかったことから高線量下の現場で作業を行う際にも装備の準備等で時間を要するなど運転員の負荷も大きかったと考えられる したがって 全電源喪失時など対応時間に余裕のない状態 特に崩壊熱の大きい初期などにおいて 的確な判断を行えるハードとソフトが必要である 対策 12 事故時の判断能力の向上 炉心損傷を防ぐための炉心冷却等を最優先すべき状況の判断基準を予め明確化しておくことが求められる また 前兆事象を確認した時点での事前の対応 ( 例えば大津波警報発令時の原子炉停止 冷却操作 ) などができる手順を整備することが求められる この判断を可能とするために ハード( 電源 計装系 状況を確認に行くための装備 ( 線量計 マスク等 )) と ソフト ( その際の操作を明記したマニュアルや関連機器の設計図書等 ) を整備することが求められる さらに 前兆事象をできる限り速やかに確認できるシステム ( 津波予測システムなど ) の研究開発が望まれる 緊急時対策所等において事故時の条件下でも確実にプラント状況を把握できるよう通信設備を含めた関係施設の整備 改善も重要 要件 9 冷却設備 津波により 注水設備等のポンプ本体には被害がほとんどなかった場合でも 電源や 補機冷却系の海水ポンプが機能喪失するなどにより 原の共通要因故障に子炉冷却系の多くが機能を喪失した さらに注水のための水源が限定され 水源確保に時間を要した RCIC HPCI は R/B の地下階に設置さよる機能喪失の防れており 事象進展の初期においては浸水で機能喪失したわけではないが 最終的には浸水した 止 2 3 号機では RCIC や HPCI がしばらく機能していたが 残留熱除去系が機能喪失した状態が続いたことから S/C はその間に温度 圧力が上昇し 圧力抑制機能を喪失した 一方で残留熱除去系の復旧ができた第一発電所 5 6 号機 第二発電所 号機においては 一時的に圧力抑制機能が喪失したプラントがあったが 最終的には冷温停止に移行することができた 従って 共通要因故障による機能喪失を防止することが極めて重要であり 冷却機能の維持には 注水設備だけではなく 水源 補機 残留熱 2-60

75 要件 要件 10 注水機能の強化 対策除去系 最終ヒートシンク等の関連機器を含めた冷却設備全体の多様性及び独立性を確保する必要がある 対策 13 冷却設備の耐浸水性確保 位置的分散 冷却設備( 原子炉注水設備 原子炉減圧設備等 ) に関連する設備 機器を水没 被水させないため これらが設置されている建屋 ポンプ室等については水密化 排水設備の設置 配備などにより確実な耐浸水性を確保することが求められる また 代替設備を含めて 浸水などの共通要因によって機能を完全に喪失することがないよう 各設備の位置的分散等を図ることが求められる 対策 14 事故後の最終ヒートシンクの強化 事故時の安全対策上重要な補機の冷却及び残留熱の除去に関して 海水ポンプなどが共通要因によって機能を完全に喪失することがないよう 防潮壁やスクリーンなどにより RHRS RHRC 等の最終ヒートシンクを確保するための海水冷却 固定式機器の津波への耐性を強化することが求められる また 可搬型代替 RHRS の導入や空冷機器の設置などによる最終ヒートシンクの多重性及び多様性を確保することが求められる 冷却系統( 原子炉注水設備 原子炉減圧設備等 ) のうち蒸気を抽出する IC HPCI RCIC において 放射性物質の閉じ込めの観点から当該系統での漏えいの可能性を検知した場合 蒸気を抽出する系統の隔離弁が閉止するものがある これらの隔離弁は駆動用電源等が喪失すると作動させることができず 有効なシビアアクシデント対策を講ずるのに大きな障害となることがある 低圧による注水を行うためには原子炉圧力容器の減圧が必要であるが 電源不足により SRV を直ちに動作させることができなかった なお 圧力容器を減圧することは 炉心損傷後の格納容器直接加熱 (DHC) を防止する上でも重要である 設計上の本来目的ではないが 原子炉冷却のためのバックアップとして交流電源がなくても注水できる D/D-FP もタービン建屋 (T/B) 地下に設置されていたため 津波で被害を受け最終的には使用できなかったものがある D/D-FP に代わる消防車についても燃料切れで注水停止や注水遅れが発生した また 消火系の配管からの漏えいなどによる水圧低下を防止するための隔離作業なども必要であった 従って シビアアクシデント時に迅速に注水できるよう 隔離弁 SRV の動作確実性を向上させるとともに 代替注水機能を強化する必要がある 対策 15 隔離弁 SRV の動作確実性の向上 隔離弁の駆動源が喪失していても 原子炉冷却が必要な時には強制的に確実に動作させることができるメカニズム( 外部から個別に電動弁に給電するなど ) を導入することが求められる また 個別に操作する場合にあっても 事故時に迅速かつ安全かつ確実に当該操作ができるよう アクセスが容易な場所で簡易にできるよう対策することが求められる また 駆動用空気系のバックアップシステム( 可搬型コンプレッサー等 ) 電源等を確保することや手動操作を可能にする等により SRV の作動を確実に行えることが求められる なお SRV 開による減圧を続けるためには 格納容器の除熱 減圧が必要である ( 最終ヒートシンクについては対策 14 ベント操作については対策 21 参照 ) 対策 16 代替注水機能の強化 2-61

76 要件対策 既設の注水設備も含めた注水設備全体として駆動源の多様化を図るためには 代替注水設備の駆動源は 蒸気駆動 ディーゼル駆動等とすることが求められる また 代替注水設備は 地震時やシビアアクシデント時の環境にも耐えられるものとし 水源についてもタンク 貯水池 ダム等の多重性 多様性を持たせることが求められる 更に 注水までの時間を短縮し 確実な注水実施を可能とするため 原子炉の減圧を確実に実施できるようにすることはもちろんのこと できるだけ吐出圧力の高い ( 例えば 1MPa 以上 ) ポンプや建屋外の注水口を整備し 注水手順を定め日常的に訓練することが求められる 消火系のように別目的の設備を原子炉冷却に使用する場合には 通常のライン構成から原子炉注水ラインに簡易に切り替えられるように設備面及び運用面で改善するとともにバックアップポンプを用意しておくことが求められる 要件 11 使用済燃 各号機の使用済燃料プールでは 電源喪失 水素爆発による冷却浄化系配管の損傷等により冷却 水補給機能が喪失し また 海水系も津波料貯蔵における異により機能喪失した結果 水冷による冷却機能は容易に復旧できなかった 一方で 空冷であった共用プールは電源回復とともに冷却が可能常時の除熱性能のとなり また 乾式貯蔵キャスクは冷却に問題は生じなかった 号機では建屋上部から冷却水を補給することができたものの 高確保所への継続的な注水手段の確保には時間がかかった 使用済燃料プールの冷却については 原子炉に比べると時間余裕はあるものの 貯蔵している燃料に含まれる放射性物質の総量が炉心よりも多くなることもあり また原子炉のような閉込機能がないことから 冷却機能を喪失し 貯蔵していた燃料が損傷した場合には環境に与える影響がより大きくなる可能性を有している 従って 使用済燃料プールの冷却 給水機能の信頼性向上が必要である 対策 17 使用済燃料プールの冷却 給水機能の信頼性向上 使用済燃料プールの冷却 給水機能の信頼性向上のため 機能の多重性及び多様性を確保することが求められる また その際 貯蔵している燃料の崩壊熱等を踏まえ 冷却対応が必要となるまでの猶予期間が十分確保できるように 冷却水量の確保 貯蔵の分散化 空冷設備の設置 乾式貯蔵の採用などについて検討することが求められる 閉込機能に関する技術的知見とそれを踏まえた対策要件 12 格納容器 第一発電所 1~3 号機においては PCV ベント操作を行う前に PCV からの漏えいが生じた可能性が高い 漏えいが生じた可能性のある箇所との過圧 過温破損しては トップフランジ 格納容器貫通部 機器ハッチ等が考えられる 漏えいのメカニズムについては 過去の安全研究成果によれば過圧のみ防止による破損の可能性は考え難く 過圧に加えて トップフランジ 格納容器貫通部 機器ハッチ等に使用されている有機シール材 ( シリコンゴム エポキシ樹脂等 ) が熱輻射等による高温 (250 以上 ) 下において 化して漏えいが生じた可能性が高い 従って PCV の過圧と過温を防止する必要がある 対策 18 格納容器の除熱機能の多様化 代替電源などの設置をした上でも 全交流電源喪失の場合に備え PCV の過圧と過温を防止するため 交流電源に頼らない PCV スプレイ ( 注 : CV 内放射性物質の除去効果もある ) 及び RHR 等による除熱機能を追加確保することが求められる また 今回の事故で津波により取水ポン 2-62

77 要件要件 13 着実なベント操作の実施による低圧注水への移行 対策プ等が損壊したことも考慮すれば 海水冷却以外又は津波により同時に損壊しない位置的な分散を確保できる格納容器代替除熱機能などによる格納容器除熱機能の多様性を確保することが求められる 対策 19 格納容器トップヘッドフランジの過温破損防止対策 ( 主にBWR のみを対象 ) BWR マークI 型格納容器のように PCV トップヘッドフランジが圧力容器に近く熱輻射の影響を受けやすいにもかかわらず PCV スプレイの効果が期待しがたい場合などには PCV トップヘッドフランジなどの過温破損対策を検討することが必要 その一つの方法としてトップヘッドの外部からの冷却が考えられるが 過温の程度の評価 本対策によるマイナスの効果がないかどうかあるいは 多の対策の可能性を個別のプラント毎に検討し 措置することが求められる ベントには 格納容器内の蒸気や非凝縮性ガス等を外部に排出し除熱と減圧を行う機能が期待されている ベント弁操作において 電源喪失により照明が無くなったこと 事故により現場環境が悪化したこと 圧縮空気の系統での漏えいによるボンベの枯渇などにより作業が困難となった 特に 3 号機では HPCI を停止させた後 代替低圧注水 (D/D-FP: ディーゼル駆動消火水ポンプを用いた注水 ) への移行を行うため SRV の開操作を行ったものの動作しなかったため 原子炉圧力が上昇し 代替低圧注水 (D/D-FP) の吐出圧では注水ができず 水位が低下し炉心の露出に至った なお 海外では フィルタベントを前提として早期にベントによる減圧を行うこととしている例 ラプチャーディスクを PCV 設計圧力以下で作動させる設計としている例がある 従って ベントの実施及び代替低圧注水への移行をできるだけ早期に確実に行えることが必要である なお ベントの実施時期とラプチャーディスクを含めたベントシステムの考え方を適切なシビアアクシデント対策の実施という観点から見直す必要がある 対策 20 低圧代替注水への確実な移行 ( 主にBWR のみに適用 ) 低圧代替注水への移行を確実に行うためには 代替注水待機 PCV ベント実施 SRV 開 注水開始 HPCI 等停止 というような基本的な手順を明確化することが求められる また 完全電源喪失など幅広い状況に対応してマニュアルを整備することが求められる PWRについても 具体的な手順はBWRとは異なるものの 低圧代替注水への移行を確実に行うという観点から適切な手順の明確化を行うことが求められる SRVの動作確実性の向上については 対策 15を参照 対策 21 ベントの確実性 操作性の向上 ベントの確実性を向上させるため ベント設備の多重性及び耐震性を向上させることが求められる また コンプレッサー バッテリーの配備や手動開を可能とするような設備対応などにより 確実にベント弁の開操作を実施できることが必要 更に 事象進展に応じて早期のベントを機動的に実施する観点から ラプチャーディスクの弁付きバイパスラインについて検討することが求められる ベント操作が必要な事故では ベント弁が設置されている R/B 地下は放射線量率が高い状況になっている可能性があることから そうした状況下におけるベント弁の操作性を向上させるため R/B 内外の放射線量率の低い位置の操作が可能とするなどにより弁の設置位置や操作場所を再検討することが求められる 対策 22 ベントによる外部環境への影響の低減 2-63

78 要件要件 14 ベントによる建屋への水素の逆流防止要件 15 水素爆発の防止 対策 ウェットウェル(W/W) ベントにより放射性物質がある程度放出されたことは否定できない また PCV に外部から注水を続ければ W/W は水没し D/W ベントに依存せざるを得ない状況が考えられる このため D/W ベントは当然のことながら W/W ベントにも放射性物質除去 ( フィルタ ) 効果のある設備を付けることが求められる その際 フィルタでの水蒸気の凝縮により水素爆発を起こさない工夫を行うことが求められる 4 号機については 3 号機で発生した水素が 4 号機の SGTS 建屋換気系に流入し 水素爆発を起こしたと考えられる 流入の原因は 3 号機と 4 号機が排気筒を共用しているにも関わらず 3 号機のベント操作時に 4 号機側の SGTS 出口弁を隔離する手順となっておらず 実際に隔離操作が実施されていなかったこと 及び 4 号機のみ逆流防止ダンパが設置されていなかったことが考えられる その他の号機について なくとも 3 号機については SGTS 出口弁の隔離操作が実施されていなかったこと また 3 号機 SGTS フィルタの線量率が入口側と出口側で大きく変化しておらず明確な方向性が見られないことから 建屋側への一方向的な逆流はないものの 逆流そのものは否定し難いと考えられる 従って ベント実施時に建屋への水素の逆流を防止することが必要である 対策 23 ベント配管の独立性確保 ベントを実施した際に PCV 内に滞留していた水素が SGTS や他号機のベント配管を逆流して R/B 内に流入することがないよう ベント配管を SGTS から独立させるとともに 号機間でベントの排気筒を共有しないことなどによりベント配管の独立性を確保することが求められる なお 号機間でベントの配管系統が繋がるようなことは禁止する 今後 その他の設備についても号機間共有の考え方を整理する必要がある JNES による解析の結果によれば R/B 最上階にブローアウトパネル相当の放出口 (φ5m) を仮定した場合には 各階の水素濃度が爆轟条件である 15% を下回る さらに 1 階に 2m2 の開口部を追加すると より厳しい水素漏えい率 (100kg/h) を想定したとしても 各階の水素濃度は 4% を下回る結果となった したがって 水素爆発防止の観点からは 最上階に放出口及び 1 階に開口部を設けることが有効と考えられる しかしながら ブローアウトパネルの開放は放射性物質を含んだ建屋内の気体が直接放出されることを意味するため 放射性物質の放出を抑制する機能をもった水素排出設備又は再結合装置等を整備することを前提とした上で 対応の方向性について検討するべきである 対策 24 水素爆発の防止 ( 濃度管理及び適切な放出 )( 主にBWR のみに適用 ) 水素爆発を防止するためには 前述の PCV の健全性を維持するための対策 ( 対策 21~23) により水素の管理された放出を図ることが求められる 加えて 建屋側に漏えいした水素については 非常用ガス処理系の活用や水素再結合装置等の処理装置の設置などにより 放射性物質の放出を抑制しつつ水素濃度を管理することが求められる 更に 建屋から水素を排出する必要がある場合には プラント毎に定量的な評価を行った上で十分な大きさの開口部を設けるとともに 防爆仕様の換気装置及び放射性物質除去機能を持った装置などにより 水素爆発の防止及び放射性物質の放出抑制を行った上での排出とすることが求められる この際には 水素濃度検出装置の設置などにより R/B 内の状況を正確に把握することが求められる 2-64

79 要件対策 その上で 今般のように大量の水素が発生し 上記のような対応策を講じても対応できない場合に備えて 最後の手段として ブローアウトパネルの開放 ( 地上部による開口部の設置等を含む ) 等による水素滞留対策を検討することについては引き続き検討が必要 指揮 通信 計装制御設備及び非常事態への対応体制に関する技術的知見とそれを踏まえた対策要件 16 指揮 通 通信設備のほとんどが電源喪失等により使用できなくなり 中央制御室と現場との連絡に大きな支障を生じたため 本来であれば迅速な対応信設備の信頼性向が必要とされる事故時において 復旧作業等に多大な時間を要することとなった また 事故時におけるプラント状態把握のための緊急時対上応情報システムについても それ自身は免震重要棟に設置されていたため損傷は免れたが 1 2 号機では津波の影響でプロセス計算機が機能喪失し 3 号機等ではパケット回線での伝送がで不安定な状態にあったため 結果として活用することができなかった また こうした通信機能を活用するための前提となる中央操作室等の作業環境についても 事象の進展に伴い放射性物質が流入し 事故時対応に支障が生じた 第一発電所 1~3 号機において 全交流電源喪失 冷却機能喪失 閉込機能喪失の各段階で 事故時対応の遅延や作業環境の悪さにより適時の対策を講じることができず 事象の進展をくい止められなかった状況が多々見られる 事故事象の進展には 直接的には 電源設備 冷却設備 閉込設備等の設備 機器の不全が影響しているが その背景には指揮 通信設備が十分に機能しなかったことの影響も大きいと考えられる 従って 自然災害及び事故等の非常時においても通信機能を確保するとともに こうした通信機能を活用するための前提となる中央操作室や事故時の指揮所が十分に機能を発揮できるよう環境を整備する必要がある 対策 25 事故時の指揮所の確保 整備 地震等の自然災害などによっても機能喪失しない緊急時の指揮所を確保 整備することが求められる その際 必要人員の収容スペース 事故時においても中央操作室や指揮所が十分に機能を発揮できる必要な電源の確保 放射性物質の流入防止 ( 換気空調系機器の機能確保 ) カメラ等による建屋等の周辺状況の監視機能及び通信機能の確保を担保することが求められる 対策 26 事故時の通信機能確保 通信設備の信頼性を向上させるため 非常時における電源の確保を着実に実施するとともに 地震や津波といった非常時を想定した上でも 主要通信基地等の機能維持が可能となるよう耐震性を考慮した機器の設置や浸水対策を行うことが求められる また 緊急時対策所や関係機関での対応を迅速かつ適切に行うため 伝送系を含めて緊急時対応情報システムやテレビ会議システム等の設置を進めるとともに 事故時における機能確保を図ることが求められる 要件 17 計装設備 津波による電源喪失によりプラント状態を把握する計器が使用できず 持ち込んだバッテリーを接続して測定を行わざるを得なかったため の信頼性向上につ監視機能は限定的になった いて 後からの校正結果によれば 原子炉水位などは基準水位が変動し適切な値が示されなかったものと考えられる 更に PCV 内が高温 高圧の水蒸気雰囲気となり 測定できない計器が出るとともに 測定された指示値にもばらつきが見られた さらに 計器の点検等は R/B に入る必要があり 高線量作業になるなど困難であった なお 校正条件と測定時の環境の相違から 補正が必要な計器もあった 2-65

80 要件対策 従って 事故時においても計装設備の信頼性を確保しプラントの状況を正確に把握することが必要である また 施設外の状況を確認する上で重要な役割をもっているモニタリングポストは 複数の常用電源に接続した無停電電源装置から給電していたが 電源喪失により中央制御室等での監視ができなくなり 使用できなくなった 電源復旧後も 周囲の汚染によりバックグランドが高くなり 原子炉からの放射性物質の放出の影響に対する監視が難しくなった 従って 全交流電源喪失などにおいても 外部への放射性物質の放出を的確に把握するため 事故時にモニタリング機能が喪失することがないよう措置する必要がある 対策 27 事故時における計装設備の信頼性確保 電源の確保に加えて 計装専用の蓄電池( 対策 9 再掲 ) 予備計測器の設置や予備品の確保を行うことが求められる また 事故時に的確に使用できるように 補正等が必要なものについての情報整理を行い 確実に運用可能とすることが求められる 対策 28 プラント状態の監視機能の強化 更なる円滑な状況把握のための PCV 内も含めた監視カメラやロボットの活用や 炉心損傷時にも水位等のプラント状態を確実に把握できるよう 計器仕様の範囲を拡大するための研究開発を進めることが求められる 対策 29 事故時モニタリング機能の強化 発電所敷地境界等のモニタリングポストについては 排気筒以外からの放射性物質の放出の可能性に対応するため 非常用電源からの供給や専用電源の設置などにより モニタリング機能が維持されるように手当することが求められる また モニタリングポスト周囲が汚染しても正確なモニタリグを可能とするよう対応を検討しておくことが求められる 要件 18 非常事態 今回の事故においては 事故状況下において必要となる設備について 予備品の確保や使用時の状況を想定した事前の操作訓練等が必ずしもへの対応整備十分とは言えず また被害を被った設備の復旧作業に必要な人材を迅速に招集するなど 事故対応時の体制も事前に適切に構築されていなかった そのため シビアアクシデントへの対応も含めて あらゆる状況を想定した上で 事前に必要なマニュアルや情報の整備 人員配置等の体制の構築 設備系統に熟知し適切な運転操作等を担保する訓練の実施等を適切に実施することが必要 対策 30 非常事態への対応体制の構築 訓練の実施 非常事態時においても事態対応に必要な機器が確実に動作するようポンプ等の適切な予備品を確保する( 対策 再掲 ) とともに各地域の気象条件等を考慮した設備対応 ガレキ撤去等のための重機の確保や夜間対応を想定した照明機器等の配備を行うことが求められる シビアアクシデントへの対応も含めて あらゆる状況を想定した上で 幅広い事態に対応したマニュアル 設計図面等の必要な情報の整備 関連資料の保管 緊急時に必要となる人員の確保 招集体制等を構築することや高線量下 夜間や悪天候下等も含めた事故時対応訓練を行うことが求められる また 日常の保守等を通じてプラント及び予備品等に熟知しておくことが求められる 今後の規制に反映すべき視点 1. 規制機関とし (1) 安全性を向上させるシステムの欠如 2-66

81 要件て安全確保に取り組む上で反省すべき点 2. 規制の体系に関して反映すべき視点 対策 平成 23 年 6 月の 原子力安全に関する IAEA 閣僚会議に対する日本国政府の報告書 でも指摘されたように アクシデントマネジメント対策は第一発電所においても導入されていたが 役割を果たすことができず 不十分であった また アクシデントマネジメント対策は基本的に事業者の自主的取組みとされ 法規制上の要求とはされておらず 設備及び手順の整備の内容に厳格性を欠いた 第一発電所の事故を受け シビアアクシデント対策については 事業者による自主的取組に委ねるのではなく これを法規制上の要求とする法案が今国会で審議される 安全規制担当機関としては 事故がなくとも 安全性の確保 リスク低減に必要な対策を法律上位置づけ事業者に要求を行っていくということが必要であった また 事業者が自主的に対策を整備し安全性を向上させる制度も不十分であった 今後 シビアアクシデント対策を法規制上の要求とすることとなるが 事業者は法規制上の要求を満たすだけでではなく 国内外のベストプラクティス及び研究開発成果から学び より高い安全性を目指すよう努力し 必要な対策を実施すべきである また この努力を奨励するシステムが必要である (2) 想定に縛られた対策 原子炉施設の設計や運営にあたっては 予見した想定に過度に囚われ その想定範囲での安全確保ができればいいとの固定観念に陥っていた しかしながら 予見した想定に過度に囚われたため 想定を超える事象には対応できない場合があることも今回の事故で強く認識された したがって 予め想定を超えることを考えて対策を取ることが必要である 海外では 航空機落下やテロ等による大規模破損への対応に取り組んでいる国もある 深層防護の考え方に基づき まずは十分な想定に対する評価により安全性を確保するとともに 想定を超えることは起こりえるとの前提にたち 想定を超えたものは次の層で事故進展等を防止できるよう厳格な 前段否定 ( 故障 事故の発生を防止するため必要十分な対策を実施するが その効果を否定し 故障 事故が発生したと想定し次なる対策を実施すること ) を適用する必要がある (3) 最新 海外の知見の反映 運転経験 安全研究の成果等最新の知見を収集 共有し 国内規制に反映する必要がある 規制情報についても同様である 我が国では 事故が起こった際の安全評価では 単一故障を仮定し評価している 一方 海外では 多重故障をも仮定している国がある 我が国の格納容器ベントにはフィルタは付いていないが 海外では シビアアクシデントに備えフィルタ付きベントを設置している国がある また 非常用交流電源及び直流電源を失った状態でも冷却を継続する手順を検討している国もある 確率論的安全評価 (PSA) においても 我が国は取組が遅れていると言わざるを得ない 原子炉施設に残るリスク ( 残余のリスク ) を直視し そのリスク低減のための効果的な安全対策の立案に PSA を活用する必要がある 海外の安全規制 研究について情報収集を怠らないことは当然であり 常に海外の規制機関と安全性向上等について議論を行い その結果を国内規制に反映する必要がある (1) 深層防護の考え方の徹底 シビアアクシデント対策を効果的かつ包括的に整備するには 深層防護の考え方に基づく 厳格な 前段否定 の考え方を適用する必要がある 2-67

82 要件 対策 第一段として 停止 冷却 閉込の機能を喪失しないよう 適切な設計上の想定に対して 共通要因故障の発生及びこれによる安全機能の喪失を防止しなければならない 例えば 適切な津波の想定高さを設定し この津波の想定高さに対して安全機能を喪失しないよう施設を設計しなければならない 第二段として 第一段における設計上の想定を超えたとしても 安全機能の喪失を防止しなければならない 例えば 津波が想定高さを超えた場合においても 電気設備が共通要因故障を起こし 安全機能の喪失につながらないよう 建屋の水密化 電気設備の位置的分散などが必要である 第三段として 前段の対策を取ったにもかかわらず共通要因故障及びこれによる安全機能の喪失が発生した場合においても シビアアクシデント ( 炉心損傷 ) の発生を防止しなければならない 例えば 全交流電源喪失に陥った場合には 電源車等の代替電源により外部から電気を迅速 確実に供給する必要がある 第四段として 前段の対策を取ったにもかかわらず炉心損傷が発生した場合においても 炉心損傷の進行を止め 止まらなくともできるだけ長時間 PCV の健全性を維持し PCV の破損を防止することにより大量の放射性物質の放出を防止しなければならない 例えば 交流電源以外で駆動する PCV スプレイによる冷却及びフィルタ付きベントにより除熱 減圧し PCV の健全性を維持することなどが必要である 注 :IAEA 安全基準 NS-G-2.15 原子力発電所のシビアアクシデントマネジメント計画 では アクシデントマネジメントの目的を 重大な炉心損傷を防ぐこと 炉心損傷が一旦始まったならば 炉心損傷の進行を終止させること できるだけ長く格納容器の健全性を維持すること 放射性物質の放出を最小にすること 長期の安定状態を達成すること と定義している (2) シビアアクシデント対策の多様性 柔軟性 操作性 第一段及び第二段としての共通要因故障による安全機能喪失の発生防止対策は 設計対応として 多様性及び独立性に加えて位置的分散等の確保が必要である 一方 第三段及び第四段としての対策は 今回の事故の経験を踏まえれば 想定した事故シーケンスに確実に対応できることはもとより 様々な事故シーケンス 広範かつ限界的な事故状態に対応できる多様性 柔軟性及び操作性が重要である そのためには 設備のみならずマニュアル等の幅広い整備や日常的な訓練が必要である 例えば 多様性については 作動原理 方式の多様性のみならず 耐震設計において頑健性のみを追求するのではなく 免震施設や移動施設のもつ耐震性の考慮など様々な方式を柔軟に取り入れるべきである また 安全機能を有する従来型の固定設備は想定した事象には確実に対応できる設計となっているが 想定外の事象には対応できない場合があり柔軟性に欠ける面があることも今回の事故の中で強く認識された 可搬設備や応用操作の手順書を整備しておくなどにより様々な事故に対応できる柔軟性を確保することが必要である 加えて 真に重要なシビアアクシデント対策施設は 電源喪失や高線量雰囲気など過酷な状況においても 操作性が確保されなければならない (3) シビアアクシデント対策の包含範囲 シビアアクシデント対策が包含すべきシビアアクシデントに至る事故シーケンス及び炉心損傷後 PCV 破損に至る事故シーケンスは 第一発 2-68

83 要件対策電所で経験したものは非常に重要なものであるものの それ以外 ( 例えば 制御棒挿入失敗 ECCS 注水失敗 コアコンクリート反応等 ) にも存在する また PWR には BWR とは異なる特徴があり 想定される事故シーケンスも異なる さらに 起因事象は地震 津波に加えて その他の自然現象 ( 日本及び地域の特性を考慮する必要がある ) 航空機落下や火災 テロ等もある そのため これらについても 広く包含したシビアアクシデント対策が必要である (4) 国際的整合性の向上 上述のとおり シビアアクシデント対策を中心として 日本の原子力安全規制は 海外と比べて遅れていたと言わざるを得ない IAEA の基本安全原則 安全基準及び海外の安全規制を参考にし 国際的な整合性を高めて行かなければならない (5) 新たな体制 制度下での原子力安全規制への期待 本取りまとめでは 第一発電所の事故シーケンスから得られた技術的知見を基にボトムアップの方法論により原子力安全 保安院として対応が必要となるシビアアクシデント対策を抽出し その方向性を示したものである 抽出されたものの中には 従来の規制と同様に設計基準として含めるべきもの 従来の規制の枠を超えるものが混在している このため 各々の対策間の関係や重要度の比較 システム全体としての安全性向上については今後検討する必要がある その他にも より広く起因事象を包含したシビアアクシデントへの対応も含め今後更なる検討を要する事項もある 今後 シビアアクシデント対策についてトップダウンの方法論により体系的に検討 整理する必要がある 具体的な規制要求の方法は 先般 閣議決定された原子力組織制度改革法案が今後国会で審議された結果を受けて 規制体系や運用方針も含めて新規制庁の下で決定されるべきものである シビアアクシデント対策の実効性は 決定論的評価に加え システム全体の安全性向上の確認や対策間の優先度を評価する上で確率論的評価も行うことが望ましい また シビアアクシデント対策の実施に当たっては 既存の安全機能に悪影響を与えないかの評価が必要であり プラント毎のチェックを厳重に行わなければならない 今回の第一発電所の事故から得られた技術的知見に加え これまでの安全研究 国際的な知見なども踏まえ シビアアクシデント対策が抜本的に強化し 安全性を向上させなければならない さらに 今回の検討が終わりではなく 継続的に安全性を向上させなければならない 出典 : 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見について (30 項目の対策など )( 平成 24 年 3 月 ) 2-69

84 表 原子力安全 保安院廃止に伴う引継ぎ事項 項目 改善に向けた取組状況 ( 再 は再掲の意味) 残された課題 ( 再 は再掲の意味) 1. 事故前の安全対策に関する指摘と改善に向けた取組 1.1 地震 津波に関する取組 1 平成 23 年 11 月 11 日に 電力事業者に対し 津波評価も含めた耐震バックチェックの再開を指示 併せて 2ヶ月を超えない範囲内で実施状況を定期的に報告するよう指示し 進捗状況を管理 2 地震 津波に関する意見聴取会 ( 平成 23 年 9 月から平成 24 年 9 月までに計 39 回開催 ) 東京電力福島第一原子力発電所等で観測された今回の地震 津波等について調査 検討を行い その結果を踏まえ 平成 24 年 2 月 16 日に今回の地震 津波の知見について中間取りまとめ 今回の地震 津波の知見を踏まえ 津波の発生頻度と高さを十分に想定した設計基準や 1 今回の地震 津波で得られた知見の継続的な整理 その知見を踏まえた地震動評価や 津波対策の基準の検討など 2 南海トラフの巨大地震に関する新たな知見の検討 3それらの知見の規制への反映 バックフィット制度の下での着実な適用の推進 4 事業者による総合的安全性の評価 向上に向けた取組の促進 津波の持つ破壊力を考慮した構造物等の安全設計基準等の 手引き の検討を実施 上記指示を踏まえた事業者による耐震バックチェック報告書の評価を再開 活断層の連動性の再検討や 破砕帯の再点検等を実施し 対応方針を平成 24 年 9 月 7 日に取りまとめ 破砕帯の再点検においては 調査の透明性を高めるため 原子力安全 保安院として事業者の調査状況を日常的に監理 監督 3 建築物 構造に関する意見聴取会 ( 平成 23 年 9 月から平成 24 年 8 月までに計 12 回開催 ) 今回の地震が東京電力福島第一原子力発電所の建屋等に与えた影響等の評価について検討を行い その結果を踏まえ 平成 24 年 2 月 16 日に中間取りまとめ その後も 代表プラントとして同発電所 5 号機を対象に 主要な施設等以外の耐震 Sクラスの施設について検討を実施 4 高経年化技術評価に関する意見聴取会 ( 平成 23 年 11 月から平成 24 年 8 月までに計 18 回開催 ) 今回の事故における経年劣化の影響について検討を行い その結果を踏まえ 平成 24 年 2 月 16 日に取りまとめ 5 設計上の想定を超える地震 津波に対する施設の頑健性を評価するため 海外の取組を参考に 平成 23 年 7 月 22 日ストレステストの実施を全原子力事業者に指示するとともに 同年 10 月 28 日以降 事業者から提出された評価結果を順次 確認 1.2 シビアアクシデント 1 本事故を踏まえ 緊急安全対策及びシビアアクシデント対策等を電気事業者等に指示し 実施状況を確認した 1シビアアクシデント対策の具体化と 規制への反映 また バックフィット制度の下での 着実な適用の推 2-70

85 項目 改善に向けた取組状況 ( 再 は再掲の意味) 残された課題 ( 再 は再掲の意味) に関する取組 ( 緊急安全対策 : 平成 23 年 3 月 30 日に指示 5 月 6 日に確認 ) ( シビアアクシデント対策 : 平成 23 年 6 月 7 日に指示 6 月 18 日に確認 ) 2 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見に係る意見聴取会 ( 平成 23 年 10 月から平成 24 年 2 月までに計 8 回開催 ) 今般の事故の技術的知見について検討を行い その検討結果を踏まえ シビアアクシデ 進 2 今回の事故に関する技術的知見の継続的な整理および国際的な基準の動向も踏まえた安全規制の不断の見直し 3 再 1.14 ントの回避策とシビアアクシデントに至った際の対策について 今後の規制に反映すべきと考えられる30の対策を 平成 24 年 3 月 28 日に取りまとめ 3 発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策規制の基本的考え方に係る意見聴取会 ( 平成 24 年 2 月から8 月までに計 7 回開催 ) 海外の知見も踏まえたシビアアクシデント対策規制の基本的な考え方について検討し シビアアクシデント対策を含めた深層防護 厳格な前段否定の考え方 内的事象 外的事象を広く包含した対策の実施 総合的なリスク評価と継続的改善 を含めて整理し 現時点での検討結果として取りまとめ 平成 24 年 8 月 27 日に原子力安全委員会に報告 4 再 防災に関する取組 1 複合災害の想定やPAZ( 緊急事態宣言後直ちに避難を開始する区域 ) UPZ( 事態の進展状況を踏まえ避難等の防護措置を開始する地域 ) の導入等による新たな防災体制構築に向け 平成 24 年 1 月に関係道府県への説明会を開催し その後も関係道府県との定期的な連絡会議を実施するなどして 地方自治体による地域防災計画の改定や広域の避難計画策定に向けた検討作業を支援 2 内閣総理大臣を本部長として官邸に設置される 原子力災害対策本部を中心とした情報収集 意思決定の体制及び現地の対応体制 通信機能強化 オフサイトセンターの機能強化など 今後の防災基本計画や原子力災害対策マニュアルの見直しにおける中核的事項として 複合災害も想定した原子力防災に関する改善事項について 平成 24 年 4 月 13 日に四大臣会合において報告 官邸( 情報集約 意思決定 ): 原子力災害対策本部事務局のオペレーションルームを設置し その主力となる原子力安全 保安院長及び専門職員が参集 官邸の情報集約と意思決定を補佐し 迅速な初動対応を図る 原子力安全 保安院緊急時対応センター (ERC) は 官邸に設置された原子力災害対策本部事務局の業務を支援 1 原子力災害対策への対応指針の策定 PAZ UPZ EAL( 原子力施設の緊急事態の区分と判断基準 ) OIL( 防護措置を講じる際の線量基準 ) 等の考え方を含む 2 防災基本計画を踏まえた原子力災害対策マニュアルの改正 複合災害や過酷事故を想定した内容へ 3 原子力総合防災訓練等の実施や 国内外の新たな知見の取り入れによる 原子力災害対応体制の不断の見直し 改善 関係者の連携強化も含めた訓練や研修による危機管理能力の向上 4 地方自治体による地域防災計画の改定や広域の避難計画策定に向けた検討作業に対する支援の継続 避難訓練等による地域住民の方の理解増進も含めた 地域 2-71

86 項目 改善に向けた取組状況 ( 再 は再掲の意味) 残された課題 ( 再 は再掲の意味) 事業者対応拠点( 政府 事業者の連絡調整 ): オンサイト対応 ( プラントの事故収束対応 ) のため 電力本店等に事業者との連絡調整拠点 ( 原子力施設事態即応センター ) を設置し 原子力安全 保安院審議官等を派遣 現地対応拠点( 政府 自治体の連絡調整 ): オフサイト対応 ( 住民の放射線防護 生活支援 ) のため オフサイトセンターに自治体等との連絡調整拠点 ( 現地対策本部 ) を設置して 経済産業省の政務や原子力安全 保安院審議官等を派遣 こうした拠点間の迅速 正確な情報共有のため 平成 24 年 3 月に各原子力発電所及び各電力事業者の本店への回線を配備することにより 官邸 ERC 原子力発電所及び各電力事業者本店と オフサイトセンター 自治体 原子力安全委員会等を結ぶテレビ会議システムを整備 オフサイトセンターや県庁で使用できる専用回線を用いた衛星電話の配備や 通信途絶に備え 持ち運び式の中継局による移動体通信 ( モバイルネットワーク ) を配備するための予算を措置し 通信回線を多重化 ( オフサイトセンター向け : 平成 23 年度 3 次補正予算 県庁向け : 平成 24 年度予算 ) 平成 24 年 3 月末までに オフサイトセンターにおける放射線防護服 マスク等の装備や飲食料の備蓄を拡充 また 代替オフサイトセンター用の可搬型通信資機材を整備 PAZの考え方を踏まえ実際の緊急事態宣言時には直ちに避難指示を行う 3 今回の事故に係る広聴 広報活動の課題と今後の取組について 有識者の意見も踏まえ 平成 24 年 4 月 26 日に取りまとめ 4 オフサイトセンターの在り方に関する意見聴取会 ( 平成 24 年 5 月から7 月までに計 4 回開催 ) オフサイトセンターの在り方について検討を行い その結果を踏まえ 平成 24 年 8 月に 立地地点や施設機能要件に関する基本的考え方を取りまとめた 5なお 既に改善の方向性が定まっている情報収集 通信機能強化や 原子力発電所から 30km 圏外における代替オフサイトセンターの複数確保といったオフサイトセンターの機能強化のため オフサイトセンターの要件に係る省令改正を実施すべく 平成 24 年 7 月 18 日から8 月 16 日にかけてパブリックコメントを実施し 平成 24 年 6 月 26 日公布の原子力災害対策特別措置法と同時に施行予定 6 今回の事故を踏まえ 複合災害や原子力災害の大規模化 長期化等も想定した防災基本 防災体制の更なる改善の支援 5 通信インフラ等 必要な資機材の継続的な整備 2-72

87 項目 改善に向けた取組状況 ( 再 は再掲の意味) 残された課題 ( 再 は再掲の意味) 計画や原子力災害対策マニュアルの見直しに向けた政府部内の検討作業において 中心的に検討を実施 7 平成 24 年 9 月 6 日 複合災害や過酷事故を想定した内容へ防災基本計画を修正 1.4 海外からの知見の導入等に関する取組 1 再 平成 23 年 5 月から6 月にかけて 各国の専門家及びIAEAの専門家で構成された東京電力福島第一原子力発電所事故に係るミッション団をはじめ IAEAから数次にわたり専門家ミッションを受け入れ その時点における教訓等を国際社会と共有 3 平成 23 年 6 月及び9 月に それまでに得られた東京電力福島第一原子力発電所事故の知見 教訓等に関する政府報告書をIAEAに提出し IAEA 総会等で報告 その他にも IAEA 等が主催する各種国際会議等 ( ) において 東京電力福島第一原子力発電所事故に係る技術的知見や広聴 広報に関する教訓といった知見 教訓等について 随時 情報発信 ( ) 国際会議等の例 原子力安全条約第 5 回検討会合 ( 平成 23 年 4 月 ) OECD/NEA 運営委員会 ( 平成 23 年 10 月 ) IAEA 専門家会合 ( 平成 24 年 2 月 6 月 9 月 ) 放射性廃棄物等安全条約第 4 回検討会合 ( 平成 24 年 5 月 ) 4 平成 24 年 7 月から8 月にかけて IAEA 等の専門家で構成された女川原子力発電所の調査ミッションを受け入れるとともに 調査データをIAEAの耐震データベースに反映するなど 得られた知見を国際社会と共有 5 平成 23 年 11 月及び平成 24 年 7 月に 内外の各機関間で今回の事故に係る研究成果を共有するため 技術ワークショップを開催 6 平成 24 年 1 月に ストレステストにおける原子力安全 保安院の評価手法に対するIAEA レビューを受け入れ 7 海外で得られた運転経験に係る知見を安全規制に反映するための取組として 今回の事故以前から実施していた安全情報検討会を 原子力安全に係るクリアリングハウス会合として平成 24 年 6 月に再構築して取組を再開し これまでの取組状況を総括して公表 1 国内外の知見を踏まえたシビアアクシデント対策や地震 津波対策の規制への反映 2クリアリングハウス会合の充実などによる 国内外の新たな知見の迅速な取り入れ 安全対策や防災対策の不断の見直し 3 今回の事故で得られた知見や教訓についての国内外への継続的な発信 情報提供 原子力安全に関する福島閣僚会議 (IAEA と日本の共催 平成 24 年 12 月に福島県で開催予定 ) における発信 情報提供など 2. 事故後の対応 (1) 事故後の政府の対応 2.1 保安院 1 再 防災基本計画を踏まえた原子力災害対策マニュアル 2-73

88 項目 改善に向けた取組状況 ( 再 は再掲の意味) 残された課題 ( 再 は再掲の意味) ( 原子力災害対策本部事務局 ) について 2 再 再 原子力災害対策本部等の議事内容の記録について整理を行い 平成 24 年 3 月 9 日に公表 同日 官邸及び経済産業省のウェブサイトに掲載 また 平成 24 年 3 月 30 日の第 24 回原子力災害対策本部会合において 会議の議事要旨及び議事録を公表すること等を決定 の改正 再 1.32( 過酷事故などを想定した内容 ) 関係機関の役割分担 実施手順を明確化 2 再 専用回線によるテレビ会議システムネットワーク等の資機材の継続的な整備 2.2 オフサイトセンターについて 1 再 再 再 再 再 防災基本計画を踏まえた原子力災害対策マニュアルの改正 再 1.32( 過酷事故などを想定した内容 ) 現地本部要員の参集手続き等( 参集要員 自治体への関係機関との連携方法等 ) 及び 原子力災害合同対策協議会に参加できない市町村についても情報共有を行うこと等の明確化 2 再 再 2.13 (2) 事故後の被害拡大防止策等の改善に関する取組 2.3 避難対応に関する取組 1 再 再 PAZの考え方を踏まえた避難指示など 避難対応の改善も含めた防災基本計画や原子力災害対策マニュアルの見直しに向けた政府部内の検討作業において 中心的に検討を実施 4 平成 24 年 9 月 6 日に防災基本計画を修正し PAZについて追記 また SPEEDIの予測結果の公表手順の明確化等を記載 1 原子力災害対策への対応指針の策定 再 1.31(PAZ OIL 等の考え方を含む ) 計画的避難区域の設定の経験を踏まえた放射線量の状況等に応じた避難区域設定の基準の考え方の検討 記載 2 防災基本計画を踏まえた原子力災害対策マニュアルの改正 SPEEDIによる試算結果とモニタリング結果を避難実施により有効に活用する方策の検討及びマニュアルへの反映 3 再 再 再

89 項目 改善に向けた取組状況 ( 再 は再掲の意味) 残された課題 ( 再 は再掲の意味) 2.4 情報提供や広報に関する取組 1モニタリング情報やERSS SPEEDIの結果等は原災本部として迅速に公開することや 迅速かつ適切な広報活動のため 保安院の専門スタッフが閣僚の会見に同席して専門的な説明を補佐することなど 情報提供や広報に関する改善事項について 平成 24 年 4 月 13 日に四大臣会合において報告 2 今回の事故に係る広聴 広報活動の課題と今後の取組について 有識者の意見も踏まえ 平成 24 年 4 月 26 日に取りまとめ 課題としては 情報収集とその分析評価が十分でなかった 関係機関との役割分担が不明確であり連携が不足していた 国際広報を含め 広報担当者 担当班の研修 訓練やマンパワー等が不足していた 分かりやすい広報が十分にできなかった 報道関係者等への平常時からのコミュニケーション不足 想定を超える事象への対応能力不足等を提示 これに対する今後の取組の方向性として 研修や訓練等による対応能力の向上 緊急時の広報内容 手順 手段等を含むマニュアル整備 関係機関との役割 1 防災基本計画を踏まえた原子力災害対策マニュアルの改正 対住民リスクコミュニケーション 海外記者向け会見 在日大使館への情報提供の必要性 役割分担等についての明確化 情報提供内容の整理 モニタリングデータやSPEEDIの活用 公表 総合評価の実施 公表 役割分担等についての明確化 2 訓練や研修による広報担当者の能力向上 3 原子力総合防災訓練等の実施や 国内外の新たな知見の取り入れによる 原子力災害対応体制の不断の見直し 改善 分担の明確化や連携の向上 平時からの報道関係者とのコミュニケーション等を提示 3 国内外への情報提供 広報の役割分担や対住民リスクコミュニケーションの必要性など 情報提供や広報の改善も含めた防災基本計画や原子力災害対策マニュアルの見直しに向けた政府部内の検討作業において 中心的に検討を実施 4 再 モニタリ 1 再 防災基本計画を踏まえた原子力災害対策マニュアル ン グ や 2モニタリング情報やERSS SPEEDIの結果等の迅速な公表等の改善も含めた防災基本計 の改正 SPEEDI に 画や原子力災害対策マニュアルの見直しに向けた政府部内の検討作業において 中心的に 原子力規制委員会設置法で定められた モニタリン 関する取組 検討を実施 3 再 ERSS 及びSPEEDI 端末装置の官邸への整備や ERSSデータ伝送用通信回線の多重化 多様化と伝送内容等の検討を実施 グ業務の規制委員会への一元化など関係機関の役割分担 再 2.41( モニタリングデータやSPEEDIの活用 ) SPEEDIによる試算結果とモニタリング結果を避難実施により有効に活用する方策の検討 マニュアルへの反映 2 再 再 ERSS SPEEDI 端末装置の官邸への整備 5ERSSデータを伝送する通信回線 ( 一般地上回線 ) 2-75

90 項目 改善に向けた取組状況 ( 再 は再掲の意味) 残された課題 ( 再 は再掲の意味) の多重化 多様化 2.6 その他 (a) 安定ヨウ素剤に関する取組 1 安定ヨウ素剤の服用指示に関する改善も含めた防災基本計画や原子力災害対策マニュアルの見直しに向けた政府部内の検討作業において 中心的に検討を実施 2 平成 24 年 9 月 6 日 安定ヨウ素剤の配布等の具体的な実施手順について防災基本計画へ追記 1 安定ヨウ素剤の活用の仕方についての更なる改善策の検討 2 防災基本計画を踏まえた原子力災害対策マニュアルの改正 安定ヨウ素剤の予防的服用について 自治体の判断を可能とするための具体的な実施基準 手順等 安定ヨウ素剤の配布等に係る関係機関の役割分担 実施手順の明確化 3 再 1.33 (b) 国際社会からの支援受け入れに関する取組 1 海外等からの支援受入れも含めた防災基本計画や原子力災害対策マニュアルの見直しに向けた政府部内の検討作業において 中心的に検討を実施 2 平成 24 年 9 月 6 日 海外からの支援物資の受け入れの連絡調整や具体的な手順等について防災基本計画へ追記 1 防災基本計画を踏まえた原子力災害対策マニュアルの改正 支援物資の受け入れの連絡調整や手順等の検討およびマニュアルへの反映 2 再 1.33 (c) 東京電 1 原子力安全 保安院においては 事故収束のための東京電力の取組について その作業 1 新たな原子炉等規制法に基づく規制の着実な実施 力福島第一原子力発電所事故の収束に関する取組 の進捗や安全性の確認を実施 平成 23 年 7 月 19 日には 東京電力株式会社福島第一原子力発電所 事故の収束に向けた道筋 ( 平成 23 年 4 月 17 日付 東京電力 ) におけるステップ1 の 同年 12 月 16 日にはステップ2の完了を確認 2ステップ2が完了し 冷温停止状態の達成を確認したものの その後 仮設設備からの漏水が発生したこと等を受け 平成 24 年 3 月 28 日に 東京電力に対し 例えば 自然災害等の想定される様々なリスクについて適切に評価し 十分な余裕をもって対応可能とすることや 継続的に信頼性を向上させる組織及び管理体制を構築すること等を目指した中長期的な信頼性向上策について 具体的な実施計画の策定を指示 3 東京電力から提出された実施計画については 専門家の意見聴取も踏まえて評価するとともに 評価結果を中長期ロードマップに反映 (d) 行政文書の適正な 1 再 原子力規制委員会の発足に伴い 原子力安全 保安院から原子力規制庁に移管するべき 1 会議の議事要旨等をはじめとする行政文書の適正な管理 保管と情報公開の徹底の継続 2-76

91 項目 改善に向けた取組状況 ( 再 は再掲の意味) 残された課題 ( 再 は再掲の意味) 管理と情報開示の徹底等に関する取組 行政文書について 行政文書ファイル管理簿と文書実物の突合を確実に行うなど 行政文書ファイルの徹底的な確認を実施 なお その過程で 原子力安全 保安院の行政文書ファイル管理簿に登録されている1 万 3,411 件のうち142 件の存在が確認できなかった これらは 科学技術庁において作成され 平成 13 年 1 月 6 日の原子力安全 保安院発足時に引き継がれた文書の一部と 平成 15 年 10 月 1 日の ( 独 ) 原子力安全基盤機構検査発足に合わせ 検査業務を経済産業局から原子力安全 保安院に一元化した際に 経済産業局から原子力安全 保安院に引き継がれた文書の一部であった 3 東京電力福島第一原子力発電所等の事故対応に関する情報について 国民に対する透明性の高い情報公開を改めて徹底するため 行政文書開示請求者へ開示した行政文書を平成 24 年 8 月 24 日以降 HPに原則掲載 3. 未解明部分の検証について 1 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見に係る意見聴取会 ( 平成 23 年 10 月から平成 24 年 2 月までに計 8 回開催 ) 1 今回の事故に関する調査 分析の継続 2 再 1.43 今般の事故における地震の影響については プラントパラメータの調査 プラントの挙 動解析 地震応答解析 5 号機の現場調査等を実施した上で 本意見聴取会において検討し その結果を踏まえ 平成 24 年 3 月 28 日に技術的知見について取りまとめ 2 再 再 1.43 出典 : 原子力安全分野における原子力安全 保安院としての改善に向けた取組と残された課題について ~ 事故調査委員会 ( 国会 政府 ) からの指摘を踏まえて~ 2-77

92 表 各種教訓 提言などと原子力安全 保安院の 30 項目の対策 引継ぎ事項との関係 検討課題 項目 原子力安全 保安院の30 項目の対策 引継ぎ事項 0. 地震 津波の知見 1. 全般. 1.1 地震 津波に関する取組 1.SA 防止策の強化 1. 全般 1.2SAに関する取組 2. 地震 津波対策 外部電源対策 1 外部電源系統の信頼性向上 2 変電所設備の耐震性向上対策 3 開閉所設備の耐震性向上 4 外部電源設備の迅速な復旧 3. 電源確保 所内電気設備対策 7 非常用交流電源の多重性と多様性の強化 8 非常用直流電源の強化 9 個別専用電源の設置 10 外部からの給電の容易化 4.RPV CV 冷却機能確保 冷却 注水設備対策 14 事故後の最終ヒートシンクの強化 15 隔離弁 SRV の動作確実性の向上 16 代替注水機能の強化 5.SFP 冷却 注水設備対策 17 使用済燃料プールの冷却 給水機能の信頼性向上 6.AM 冷却 注水設備対策 12 事故時の判断能力の向上 7. 施設配置 所内電気設備対策 5 所内電気設備の位置的な分散 冷却 注水設備対策 13 冷却設備の耐浸水性確保 位置的分散 8. 浸水対策 所内電気設備対策 6 浸水対策の強化 冷却 注水設備対策 13 冷却設備の耐浸水性確保 位置的分散 2-78

93 検討課題 項目 原子力安全 保安院の30 項目の対策 引継ぎ事項 9. 複数炉立地 2.SAへの対応策の強化 1. 全般 1.2SAに関する取組 2.CV 破損 ( 水素爆発 ) 格納容器破損 水素爆発対策 18 格納容器の除熱機能の多様化 19 格納容器トップヘッドフランジの過温破損防止 ( 主に BWR) 20 低圧代替注水への確実な移行 ( 主にBWR) 24 水素爆発の防止 ( 濃度管理及び適切な放出 ) 3. CV 破損 (CVベント) 格納容器破損 水素爆発対策 21 ベントの確実性 操作性の向上 22 ベントによる外部環境への影響の低減 23 ベント配管の独立性確保 4. 事故対応環境 管理 計装設備対策 25 事故時の指揮所の確保 整備 26 事故時の通信機能確保 5. 事故時被ばく管理 管理 計装設備対策 25 事故時の指揮所の確保 整備 6. 事故時計装 管理 計装設備対策 27 事故時における計装設備の信頼性確保 28 プラント状態の監視機能の強化 7. 環境モニタリング 管理 計装設備対策 29 事故時モニタリング機能の強化 8. 訓練 管理 計装設備対策 30 非常事態への対応体制の構築 訓練の実施 9. 資機材管理 所内電気設備対策 11 電気設備関係予備品の備蓄 3. 原子力災害への対応の強化 1. 全般 1.3 防災に関する取組 2. 防災体制 2.1 保安院 ( 原子力災害対策本部事務局 ) について 2-79

94 検討課題 項目 原子力安全 保安院の30 項目の対策 引継ぎ事項 3. 住民避難 ( 避難基準 ) 2.3 避難対応に関する取組 2.6(a) 安定ヨウ素剤に関する取組 4.FP 拡散影響予測 2.5モニタリングやSPEEDI に関する取組 5. オフサイトセンター 2.2オフサイトセンターについて 6. 緊急被ばく医療 7. 広報 情報提供 2.4 情報提供や広報に関する取組 8. 海外からの支援 2.6(b) 国際社会からの支援受け入れに関する取組 4. 安全確保基盤の強化 1. 全般 1.4 海外からの知見の導入等に関する取組 2. 規制体制強化 3. 法体系の整備 強化 4. 安全系の独立性と多様性 5.PSA 活用 6. 人材確保 5. 安全文化醸成 1. 安全文化 6. 新規制組織 1. 原子力安全規制機関の在り方 2. 行政文書の適切管理 2.6(d) 行政文書の適正な管理と情報開示の徹底等に関する取組 7. その他 1. 国会の規制当局監視 2. 政府危機管理体制 3. 被災住民対応 4. 電気事業者監視 2-80

95 検討課題 項目 原子力安全 保安院の30 項目の対策 引継ぎ事項 5. 事故原因解明 3. 未解明部分の検証について 6. 被害調査 ( 健康影響など ) 7. 東京電力の在り方 8. 福島事故の収束 2.6(c) 東京電力福島第一原子力発電所事故の収束に関す る取組 2-81

96 図 事故の進展と対策の関係 ( 出典 : 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見について 原子力安全保安院 ( 平成 24 年 3 月 )) 2-82

97 図 項目の対策と事業者が実施する緊急対策の関係 ( 出典 : 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見について 原子力安全保安院 ( 平成 24 年 3 月 )) 2-83

98 2.3 原子力安全委員会の指針類の整備方針 原子力安全委員会が公表した以下の文献等から 福島第一原子力発電所の事故以前から検討されてきた原子力安全委員会の安全審査指針類の整備方針および組織廃止に伴う引継ぎ事項を把握する 1 原子力安全委員会の当面の施策の基本方針について ( 平成 22 年 12 月 ) 2 東京電力株式会社福島第一原子力発電所等における事故への対応に関する原子力安全委員会の活動について ( 平成 24 年 9 月 ) 3 原子力安全委員会の廃止に際して ( 平成 24 年 9 月 ) 各種教訓 提言などと原子力安全委員会による審査指針類の見直し ( 福島事故後 ) および引継ぎ事項との関係を表 に示す 安全審査指針類の整備方針 ( 福島事故前 ) 原子力安全委員会は 現在までに検討された今後考慮すべき重要項目等を踏まえて 平成 16 年 9 月に策定した 原子力安全委員会の当面の施策の基本方針 を平成 22 年 12 月に改定し 原子力安全規制制度の運用のさらなる改善等を図るため 以下の活動を行うことが決定された 当面の施策の基本方針の概要を表 に示す A. 原子力安全の基本的考え方の提示 (1) 原子力安全の基本原則の明文化 (2) 安全目標の明確化とリスク情報活用に向けた検討 (3) 発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策の高度化 (4) 安全評価の高度化に向けた安全余裕の定量化 (5) 放射線防護の考え方を踏まえた原子力施設の安全の考え方の高度化 (6) その他 基本的考え方の検討 B. 原子力安全規制制度の運用のさらなる改善等 (1) ダブルチェック機能の高度化に向けた検討 (2) 指針類の策定 改訂等のあり方に関する検討 (3) 規制調査の充実 (4) 次世代に導入が見込まれる原子炉等の安全規制上の考え方の整理 (5) 安全規制のあり方に関する議論の活性化 C. 原子力安全規制を支える環境整備等 (1) 関係者間の対話の積極的実施 (2) パブリックコミュニケーションのあり方の検討 (3) 安全研究 人材育成のあり方の検討 (4) 安全文化の定着に向けた恒常的な取組み (5) 原子力新規導入国等への協力の充実 安全審査指針類の整備方針 ( 福島事故後 ) 平成 22 年 12 月に改訂された 原子力安全委員会の当面の施策の基本方針について の一部について検討が開始されたが 平成 23 年 3 月 11 日に福島事故が発生した この事故では 地震及び津波により長期間にわたる全交流電源喪失及び原子炉の冷却機能の喪失に陥ったことにより 原子炉炉心が損傷して大量の放射性物質が環境中に放出されるという深刻な事態に至った 原子力安全委員会は 今回の地震及び津波に係る知見や事故の教訓 これまでに蓄積された知見 国際的な考え方を踏まえ 安全確保策や防災対策の抜本的な見直しを図る必要があると考え 平成 23 年 6 月 16 日 原子力安全委員会は 安全審査指針類の見直しの検討及び防災指針 関連指針類に反映させるべき事項の検討等を原子力安全基準 指針専門部会に指示した 検討の結果 原子力安全 2-84

99 委員会に以下の報告がなされた (1) 発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針及び関連の指針類に反映させるべき事項について ( とりまとめ ) ( 平成 24 年 3 月 22 日 ) (2) 発電用軽水型原子炉施設に関する耐震設計審査指針及び関連の指針類に反映させるべき事項について ( とりまとめ ) ( 平成 24 年 3 月 22 日 ) (3) 原子力発電所に係る防災対策を重点的に充実すべき地域に関する考え方 ( 平成 23 年 11 月 17 日 ) (4) 原子力施設等の防災対策について の見直しに関する考え方について ( 中間とりまとめ ) ( 平成 24 年 3 月 22 日 ) また 原子力安全委員会は 以下の取りまとめも行なった (1) 発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策について ( 平成 23 年 10 月 20 日原子力安全委員会決定 ) (2) 発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策について ( 想定を超える津波に対する原子炉施設の安全確保の基本的考え方 ) ( 平成 24 年 3 月 12 日原子力安全委員会決定 ) 原子力安全委員会が福島事故後に行なった活動内容を表 に示す 原子力安全委員会の廃止に伴う引継ぎ事項原子力安全委員会の廃止に伴って今後の原子力安全の確保のために引継ぐべき事項として以下の各項が挙げられた 各引継ぎ事項の概要を表 に示す (1) 国際的動向との整合性の確保 1 国際的動向を踏まえて 基本的考え方や指針類の時宜を得た策定や改訂の実施 2 原子力安全対策における国際水準との整合性の確保 世界最高の安全水準を目指す (2) 環境モニタリングの実施 除染作業等の被ばく低減対策 各種復旧対策 周辺住民等の放射線防護の最適化などに対する基本的考え方 (3) 新原子力規制組織での法令要件化や技術基準等の検討に当たって 取り込むべき事項 (2.3.2 項に示した中間取りまとめ事項など ) (4) 総合的安全評価の取組の定着 (5) 事業者への要望 1 電力会社等事業者による原子力施設の安全確保に関する一義的責任の自覚 2 国の安全基準への適合と自らの施設の相対的脆弱性の客観的な評価 安全性向上対策の継続的な実施 その内容の国民への説明 (6) 原子力規制組織への要望 1 中長期的な規制政策及び最新の知見に基づいた安全基準の設定 事業者が安全基準を満足しているにとどまらず最高の安全水準を目指して努力していることの確認 2 審査や検査等の日常的な規制活動が前例踏襲や形式偏重にとらわれることなく施設の安全性向上に実質的に寄与しているかの検証 事業者自身による安全性向上努力を促すものとなるよう絶えざる見直し これらの検証結果や見直しについて国民への説明 (7) 規制に当たる者の能力と成果が 安全確保という使命に照らして正当に評価され 実際の職務を通じて能力が育成されるような仕組みの構築 2-85

100 表 各種教訓 提言などと原子力安全委員会による審査指針類の見直し ( 福島事故後 ) および引継ぎ事項との関係 検討課題 項目 審査指針類の見直し 引継ぎ事項 0. 地震 津波の知見 1. 全般. 1.SA 防止策の強化 1. 全般 3. 当面の施策の基本方針の推進に向けた外部の専門家との意見交換の実施 (1) シビアアクシデント対策について (2) 想定を超える津波に対する原子炉施設の安全確保の基本的考え方 (3) 新原子力規制組織での法令要件化や技術基準等の検討に当たって 取り込むべき事項 1 平成 23 年 10 月 20 日付 発電用原子炉施設のシビアアクシデント対策について 平成 24 年 9 月 10 日付 発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策 - 多重防護の考え方について- の検討内容 3 想定を超える津波に対するシビアアクシデントの発生防止及び影響緩和の対策についての基本的考え方の検討内容 2. 地震 津波対策 3. 電源確保 4.RPV CV 冷却機能確保 5.SFP 6.AM 7. 施設配置 8. 浸水対策 9. 複数炉立地 2.SAへの対応策の強化 1. 全般 (3) 新原子力規制組織での法令要件化や技術基準等の検討に当たって 取り込むべき事項 3 想定を超える津波に対するシビアアクシデントの発生防止及び影響緩和の対策についての基本的考え方の検討内容 2.CV 破損 ( 水素爆発 ) 3. CV 破損 (CVベント) 4. 事故対応環境 5. 事故時被ばく管理 6. 事故時計装 7. 環境モニタリング 8. 訓練 2-86

101 検討課題 項目 審査指針類の見直し 引継ぎ事項 9. 資機材管理 3. 原子力災害への対応の強化 1. 全般 2. 防災指針の見直し (3) 新原子力規制組織での法令要件化や技術基準等の検討に当たって 取り込むべき事項 4 平成 23 年 11 月 17 日付 原子力発電所に係る防災対策を重点的に充実すべき地域に関する考え方 平成 24 年 3 月 22 日付 原子力施設等の防災対策について の見直しに関する考え方について ( 中間とりまとめ ) の検討内容 (2) 環境モニタリングの実施 除染作業等の被ばく低減対策 各種復旧対策 周辺住民等の放射線防護の最適化などに対する基本的考え方 2. 防災体制 3. 住民避難 ( 避難基準 ) 4.FP 拡散影響予測 5. オフサイトセンター 6. 緊急被ばく医療 7. 広報 情報提供 8. 海外からの支援 4. 安全確保基盤の強化 1. 全般 4. 既設の発電用原子炉施設の安全性の確認 (2) 発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価 (1) 国際的動向との整合性の確保 1 国際的動向を踏まえて 基本的考え方や指針類の時宜を得た策定や改訂の実施 2 原子力安全対策における国際水準との整合性の確保 世界最高の安全水準を目指す (4) 総合的安全評価の取組の定着 2. 規制体制強化 3. 法体系の整備 強化 1. 安全審査指針類見直し (1) 安全設計審査指針 (2) 地震 津波関連指針 (3) 新原子力規制組織での法令要件化や技術基準等の検討に当たって 取り込むべき事項 2 平成 24 年 3 月末までに中間とりまとめが行なわれた 安全設計審査指針 耐震設計審査指針 の検討内容 4. 安全系の独立性と多様性 2-87

102 検討課題 項目 審査指針類の見直し 引継ぎ事項 5.PSA 活用 6. 人材確保 5. 安全文化醸成 1. 安全文化 6. 新規制組織 1. 原子力安全規制機関の在り方 (6) 原子力規制組織への要望 1 中長期的な規制政策及び最新の知見に基づいた安全基準の設定 事業者が安全基準を満足しているにとどまらず最高の安全水準を目指して努力していることの確認 2 審査や検査等の日常的な規制活動が前例踏襲や形式偏重にとらわれることなく施設の安全性向上に実質的に寄与しているかの検証 事業者自身による安全性向上努力を促すものとなるよう絶えざる見直し これらの検証結果や見直しについて国民への説明 (7) 規制に当たる者の能力と成果が 安全確保という使命に照らして正当に評価され 実際の職務を通じて能力が育成されるような仕組みの構築 2. 行政文書の適切管理 7. その他 1. 国会の規制当局監視 2. 政府危機管理体制 3. 被災住民対応 4. 電気事業者監視 5. 事故原因解明 6. 被害調査 ( 健康影響など ) 7. 東京電力の在り方 8. 福島事故の収束 9. 事業者への要望 (5) 事業者への要望 1 電力会社等事業者による原子力施設の安全確保に関する一義的責任の自覚 2 国の安全基準への適合と自らの施設の相対的脆弱性の客観的な評価 安全性向上対策の継続的な実施 その内容の国民への説明 2-88

103 基本原則方針背景と実施内容 表 原子力安全委員会の当面の施策の基本方針 1. 原子力安全の基本的考え方の提示 (1) 原子力安全の基本原則の明文化 (2) 安全目標の明確化とリスク情報活用に向けた検討 (3) 発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策の高度化 (4) 安全評価の高度化に向けた安全余 これまで委員会が策定した指針類は いずれも原子力安全に関する基本原則を踏まえたものであるが 基本原則そのものは必ずしも明示されていない 基本原則を明文化することは 新たな指針類を策定する際に役立つのみならず たとえば基本設計段階と運転管理段階における規制要求内容の関係を適切に整理して安全規制に役立てることができるものと考えられる また このような個別規制要求と基本原則との関係について 事業者と規制行政庁等の間で共通認識を持つことは 安全規制活動の実効性を高めるために特に重要であると考えられる 指針類には必ずしも書かれていない基本原則は リスクの抑制水準を把握することなどによって 合理的に実行可能な限りの安全性の向上努力を継続すべきことなどである 委員会ではその重要性に鑑み 最も基本的な原則を明示した文書を策定することとする 安全目標専門部会による 安全目標に関する調査審議状況の中間とりまとめ ( 平成 15 年 12 月 ) においては 我が国の安全規制活動によって達成し得るリスクの抑制水準 ( 以下 安全目標案 という ) を提案し 将来 安全目標の適用経験が積まれ かつ リスク評価結果に対する信頼性が一層高まれば 個別施設の安全性を安全目標に照らして判断するような利用や さらには 原子力施設の設計手法において安全目標が活用されることもあり得ると考えられる としている また 発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針 の改訂に当たっては 安全規制要件と安全目標案との関係が議論された結果 同指針の解説において 残余のリスク を合理的に実行可能な限り小さくする努力を求めている 一方で 我が国において主に原子力施設の運転管理 ( 保守保全等を含む ) においてリスク情報の活用が進展してきており 国際的にも安全規制活動におけるリスク情報の活用が進んでいる これらを踏まえ 安全目標案の位置付けをより明確化するとともに 施設の設計から運転に至るまでの各段階におけるリスク情報の活用のあり方について 原子力安全の基本原則と関係付けた方針を示すこととする 原子力施設については これを災害の防止上支障のないよう設計 建設 運転管理することが求められている たとえば 発電用軽水型原子炉施設の基本設計段階では各種の事故 ( 設計基準事象 ) を想定し 万一それらが発生したとしても 炉心は著しい損傷に至ることはなく 周辺の公衆に対して著しい放射線被ばくのリスクを与えないこと を確認している それでもなお 同原子炉施設のシビアアクシデント ( 設計基準事象を大幅に超える事象であって 安全設計の評価上想定された手段では適切な炉心の冷却または反応度の制御ができない状態であり その結果 炉心の重大な損傷に至る事象 ) に至る可能性は 極めて小さいもののゼロではない 委員会では平成 4 年に 発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策としてのアクシデントマネージメントについて を決定し 事業者による自主努力によるシビアアクシデントへの設計上及び運転上の対処を求め それまでの対策によって十分低くなっているリスクをさらに低減してきた その後現在までにおいて シビアアクシデントに関する知見が充実してきたことを踏まえ 今後 発電用軽水型原子炉施設について合理的に実行可能な限りリスクを小さくすることを明確かつ体系的に求めるべく シビアアクシデント対策の一層の充実を目指した方策について検討する 原子力施設の安全評価においては 保守的な想定や仮定に基づいて安全が確保され得ることを確認しているが 実際に建設 運転管理される原子力施設が具備することになる安全余裕を定量的に明らかにすることについては 現状において 安全評価の手 2-89

104 基本原則方針背景と実施内容 2. 原子力安全規制制度の運用のさらなる改善等 裕の定量化 (5) 放射線防護の考え方を踏まえた原子力施設の安全の考え方の高度化 (6) その他 基本的考え方の検討 (1) ダブルチェック機能の高度化に向けた検討 (2) 指針類の策定 改訂等のあり方に関する検討 段として採用されているわけではなく また 安全評価の目的として求められているものでもない この安全余裕を定量的に把握することができれば より科学的合理性に基づいた安全規制活動が可能となるばかりでなく 事業者による設計や運転管理における自由度に対する過度な制限や新たな技術の導入に対する無用な障壁を排除できる可能性がある 今日では 技術の進展により種々の分野で詳細な解析の実施が可能になっていることから 異常事象の想定 運転状態の想定 解析手法 判断基準等における安全余裕の定量化を目指した長期的かつ大局的な視点での検討を国の開発側や事業者をも含むすべての関係者の参画を得て開始することにより 評価技術開発への努力を促し 得られた成果の安全評価の高度化への反映を目指す 指針類においては 従来からの放射線防護の考え方を基礎とし 種々の原子力施設の特性等に応じて 安全審査における判断基準としての一般公衆の放射線被ばくのめやす線量等を定めている 一方 国際放射線防護委員会 (ICRP) 勧告等では 防護の最適化 ( 被ばくする可能性 被ばくする人の数 及びその人たちの個人線量の大きさは すべて 経済的及び社会的な要因を考慮して 合理的に達成できる限り低く保たれるべきであること ) を放射線防護の基本原則のひとつとして示し 事故時の安全評価において適用される線量規準は その事故の発生確率を考慮することによって リスク拘束値 ( 最低限達成されるべきリスクの抑制水準 ) から導かれるべきであるとしている 今後の指針類の策定や改訂においても 放射線防護の考え方と齟齬を生じることがないよう 専門家間の十分な共通理解の構築を図る必要があり 広く専門家を集めた議論を開始する 原子力技術の多様な広がりや技術の進展 国際基準の整備等に伴い 安全確保のための新たな考え方を提示すべき分野が現れてきている 指針類の策定等による基本的な考え方の提示は委員会の使命のひとつであり その重要性を勘案しつつ対処することが望まれている 具体的には 1 放射性廃棄物処分に関する指針類の拡充 2 防災指針への国際基準の取入れの検討 3 放射性物質輸送の課題整理などについて検討を進める 規制行政庁による規制活動の妥当性を確認するために行っているダブルチェックは 我が国の安全規制活動に対する国民の信頼を構築する観点からも 委員会の最も重要な任務であることは言うまでもない このダブルチェックのひとつである規制行政庁が行った安全審査の妥当性に関する二次審査については 原子力施設の設計技術の定型化や新たな技術 知見の活用の増大等に対応した審査の重点化及び高度化の必要性が指摘されている 有限の規制資源の下で委員会の使命を着実に果たしていくため 特に二次審査のあり方について検討し ダブルチェック機能の実効性の向上を図る 委員会ではこれまで多くの指針類を策定し 自らが行う安全審査 ( 二次審査 ) 等における判断の基礎として活用してきている ただし 原子力安全に関わる新規技術の導入に当たっては 安全確保の具体的方策について委員会自らが提示すべきと求められる場合があり 現行の指針類における規定はそのような背景 経緯を反映しているものがある 一方で 国際原子力機関 (IAEA) 2-90

105 基本原則方針背景と実施内容 3. 原子力安全規制を支える環境整備等 (3) 規制調査の充実 (4) 次世代に導入が見込まれる原子炉等の安全規制上の考え方の整理 (5) 安全規制のあり方に関する議論の活性化 (1) 関係者間の対話の積極的実施 においては安全基準類の整備が進み 国際的にもこれらを参照する形で 各国における関係指針 基準類についての整合性に関する議論がなされている また 多くの産業分野においては 国 ( 政府機関 ) は基本的な規制要求事項のみを自ら策定する指針 基準類で規定し 規格等に関する技術的な詳細規定のレべルについては 国が策定した指針 基準類を踏まえた学協会等による民間基準を活用することによって より機動的な安全規制活動の実現を目指す傾向が見られる 以上に鑑み 国内外の状況変化を踏まえつつ 今後の技術の進展や成熟に合わせた指針類の見直しを適時 適確に行っていく必要があり 指針類の策定 改訂等のあり方に関する今後の方針を審議するとともに 学協会等の関係機関との連携のあり方についても検討を開始する 規制行政庁が行う後続規制を含む規制活動の科学的合理性 実効性及び透明性の向上を促すことにより 事業者が行う安全確保レベルの向上を図るとともに 併せて 二次審査の際に摘出した重要事項 ( 後続規制において安全確保上重要であるとの観点から当該規制行政庁が確認すべき事項 ) に関して 原子力施設の安全確保を確実なものとすべく 規制行政庁が行う安全規制活動の妥当性を確認するための規制調査活動を着実に実施する さらに その実施方法を継続的に改善し 規制調査の充実を図る 調査の実施に当たっては 必要に応じて前広に規制の改善の方向性などを検討し 委員会としての意見表明を行う また 規制調査の結果なども踏まえ 科学的合理的な規制に資するため 後続規制を含む規制制度の運用の改善を提言する 次世代軽水炉については 国の支援のもと国内メーカーが主体となり 先進技術を採用して高い安全性 経済性を有する国際標準炉とすることを目指した開発が進められている また 高速増殖実証炉については文部科学省と経済産業省の連携により高速増殖炉サイクル実用化研究開発が実施されている これらについては 開発段階において安全上の目標が設定され これを達成するための基本的な考え方と 安全規制のあり方について 関係者間の合意形成を図ることが強く望まれる このため 開発計画の進捗状況を踏まえ まず安全確保についての開発側の考え方の提示を求め これを参考として 必要に応じ 委員会としての考え方の整理を行う 我が国の原子力安全の水準は国際的に見ても十分高い水準を維持しているものの ここ 10 年の間に原子力安全規制の体制が大きく変化しているにもかかわらず 規制制度の基本的な骨格は変わっていない このため我が国の規制制度には 国際的な動向と必ずしも合致してない面があることから 我が国の原子力安全の実態を世界に正しく伝えるとともに 世界と協調して一層高い水準の原子力安全を実現していくため 安全規制の国際的整合性に留意する 原子力利用のグローバル化が進む中で 規制制度の改革は喫緊の課題であり 委員会としても後続規制を含む安全規制活動全体の現状や今後の課題を把握し 規制制度のあり方を見据えた解決策について関係者間での検討を開始する 原子力安全規制の実効性を向上させるためには 事業者が安全規制に係る規制行政庁の方針について正確に理解している必要があるばかりでなく 規制行政庁も事業者の意見をよく聞いて実効性を確認しながら安全規制活動を実施する必要がある 委員会としては 規制行政庁と事業者の対話が十分に行われていることを確認するとともに 自ら今まで以上に規制行政庁や事業者と対話し 委員会を含む関係者間の相互理解の促進に努める 2-91

106 基本原則 方針 背景と実施内容 (2) パブリックコミュニケーションのあり方の検討 原子力安全規制に対して 原子力施設が設置されている地元をはじめとする公衆の信頼が構築されるためには 安全規制活動の透明性を高めるとともに説明責任を果たすことにより 公衆が自ら安全性について判断できる環境を整えること 公衆の意見を安全規制活動に活かす仕組みを工夫することなど 関係者の継続的努力が必要である このため 委員会は その役割に照らしたパブリックコミュニケーションのあり方等について広く検討するとともに 可能なものから実行する (3) 安全研究 人材育成のあり方の検討 委員会は国として行うべき安全研究について 原子力の重点安全研究計画 として定めている 原子力安全規制を支える安全研究は様々な機関で実施されており その研究成果はこれまでも我が国の安全規制活動に反映されるとともに 国際的にも活用され 安全確保のための科学技術的基盤を提供するなど貢献している しかしながら 発電用軽水型原子炉施設を始めとする原子力技術の成熟に伴い 安全研究の必要性 中長期的研究課題等について 我が国全体として認識が共有されているとは言えない面があり 研究活動の縮小 研究施設等の基盤の衰退等の懸念がある 将来にわたって安全の確保と向上を図るためには さまざまな科学技術的知見を統合して規制や設計 運転等に反映する能力や 安全上の課題を適確に把握して解決のための研究開発を企画 遂行する能力などの専門的能力を有する組織と人材の役割が特に重要であり 安全研究はこのような能力の開発と維持のためにも必要である 一方 新たな原子力利用の進展に対応した安全研究も必要となっており 開発側の計画との整合性を確保しつつ 安全研究の課題が我が国全体として適切に選定され 研究の実施体制が維持される必要がある このような状況を踏まえ 本基本方針に沿って 安全研究や人材育成のあり方について 長期的 大局的視点で委員会の考え方の検討を開始する (4) 安全文化の定着に向けた恒常的な取組み 安全文化の重要な要素は 継続的な自己評価と改善努力である この意味で 安全に係る活動が時間とともに進化しているか否かが 安全文化定着の指標となる 委員会は このことが事業者のみならず規制行政庁及び委員会自身にも当てはまることを認識し 我が国全体としての安全文化醸成 維持のために努力する (5) 原子力新規導入国等への協力の充実 世界的に原子力利用を再評価する動きが拡大し これまで原子力発電の経験がない国での新規導入計画が発表されている 我が国が実現している高い安全水準とこれまで蓄積してきた原子力安全確保の方策を活かし 委員会としてもこれらの国の求めに応じて積極的に対応する また 国際的な安全基準の策定に積極的に関与するなど 安全確保に関する国際協力の一層の充実を図る 出典 : 原子力安全委員会の当面の施策の基本方針について ( 平成 22 年 12 月 ) 2-92

107 項目 2. 事故を踏まえた指針類 基準等の見直し 3. 当面の施策の基本方針の推進に向けた外部の専門家との意見交換の実施 表 原子力安全委員会の安全審査指針類の整備活動など ( 福島事故後 ) 活動概要 (1) 安全審査指針類の見直しについて (a) 安全設計審査指針等安全設計審査指針類に関連する事項については 安全設計審査指針等検討小委員会の場を中心に 喫緊の課題である全交流動力電源喪失及び原子炉の熱を最終的な熱の逃し場に輸送する機能の喪失に関する対策を中心に検討が行われ 基本的な考え方を整理したほか 水素の漏洩対策や施設の状況監視等の今後も継続して検討すべき課題が抽出され 平成 24 年 3 月 14 日に安全設計審査指針等検討小委員会から原子力安全基準 指針専門部会に対して さらに平成 24 年 3 月 22 日に原子力安全基準 指針専門部会から原子力安全委員会に対して 発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針及び関連の指針類に反映させるべき事項について ( とりまとめ ) として検討結果の報告がなされた (b) 地震 津波関連指針等耐震設計審査指針類に関連する事項については 地震 津波関連指針等検討小委員会の場を中心に検討が行われ 津波について従来は地震随伴事象として取り扱ってきたところ 津波に対する安全設計のための独立した項目立てを行う等の耐震設計審査指針類の改訂案が取りまとめられ 平成 24 年 3 月 14 日に地震 津波関連指針等検討小委員会から原子力安全基準 指針専門部会に対して さらに平成 24 年 3 月 22 日に原子力安全基準 指針専門部会から原子力安全委員会に対して 発電用軽水型原子炉施設に関する耐震設計審査指針及び関連の指針類に反映させるべき事項について ( とりまとめ ) として検討結果の報告がなされた (2) 原子力施設等の防災対策について ( 防災指針 ) の見直しについて防災指針の見直しについては 原子力施設等防災専門部会が防災指針検討ワーキンググループを設置し 防護対策実施の基本的考え方や 防護措置実施の判断基準 防災対策を重点的に充実すべき地域等についての検討を行われ 平成 23 年 11 月 17 日に原子力施設等防災専門部会及び防災指針検討ワーキンググループから原子力安全委員会に対して 原子力発電所に係る防災対策を重点的に充実すべき地域に関する考え方 について報告がなされた また 被ばく医療のあり方については 原子力施設等防災専門部会被ばく医療分科会において検討を行い 平成 24 年 2 月 24 日に安定ヨウ素剤予防服用の指標と実施手順 住民の避難に伴うスクリーニングレベルの取扱 及び緊急被ばく医療体制の実効性向上に関する 緊急被ばく医療のあり方について の改訂に向けた提言をとりまとめ その後 防災指針検討ワーキンググループにおいても緊急時の対応拠点のあり方 緊急時モニタリング等について検討が進められ 平成 24 年 3 月 22 日に原子力安全委員会に対して これらの考え方や提言等を踏まえた 原子力施設等の防災対策について の見直しに関する考え方について ( 中間とりまとめ ) の報告がなされた (1) シビアアクシデント対策について平成 22 年 12 月 2 日に 原子力安全委員会の当面の施策の基本方針について を改定し その中でシビアアクシデント対策の在り方等について再検討することとし これを受け 平成 23 年 2 月に シビアアクシデント対策の高度化等の検討を行うため 外部の 2-93

108 項目 4. 既設の発電用原子炉施設の安全性の確認について 活動概要専門家との積極的な意見交換を開始した しかし その直後に福島第一原子力発電所等における事故が発生し それまでの リスクが十分に低く抑えられている という認識や 原子炉設置者による自主的なリスク低減努力の有効性について 重大な問題があったことが明らかとなったことから これらを踏まえて 平成 23 年 8 月に外部の専門家との意見交換を再開し シビアアクシデント対策の新たな枠組みについての基本的な考え方について検討を進め IAEA-INSAG の多重防護策の定義による第 4の防護レベルに相当する シビアアクシデントの発生防止 影響緩和 におけるシビアアクシデント対策の強化や シビアアクシデント対策における原子炉設置者と規制の役割 法令要求化の範囲等の シビアアクシデント対策の新たな枠組みについての考え方などを盛り込んだ 発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策について ( 平成 23 年 10 月 20 日原子力安全委員会決定 ) を取りまとめた (2) 想定を超える津波に対する原子炉施設の安全確保の基本的考え方自然科学の観点からは想定を超える津波が発生する可能性が否定できないため そのような想定を超える津波に対するシビアアクシデントの発生防止及び影響緩和の在り方についても別途 外部の専門家を交えて検討を行った その結果 原子力安全委員会は 基準津波を超える津波に対して原子炉施設が高い頑健性を持つよう 多重防護の考え方に基づき 建屋の水密化 施設の耐水性の強化 高所への配置変更等 津波の早期検知及び津波来襲に備えた措置並びに施設の安全機能の復旧措置や代替策の整備等の対策を講ずることが必要であるとの基本的な考え方 発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策について ( 想定を超える津波に対する原子炉施設の安全確保の基本的考え方 ) ( 平成 24 年 3 月 12 日原子力安全委員会決定 ) を取りまとめた (1) 耐震安全性の確認に対する追加指示について原子力安全委員会では これまで 発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針 ( 平成 18 年 9 月改正 ) 等を踏まえた既設発電用原子炉施設等の耐震安全性の確認 ( 以下 バックチェック という ) に関し 原子力安全 保安院における検討に際して必要な意見を述べてきているが 平成 23 年 4 月 28 日には 東北地方太平洋沖地震等から得られた知見等を踏まえ 引き続き 原子力安全 保安院がバックチェックの確認を行うに当たり これまで示してきた意見に加え 原子力安全 保安院に対して 新耐震指針に照らした既設発電用原子炉施設等の耐震安全性の評価結果の報告に係る原子力安全 保安院における検討に際しての意見の追加について として検討することを求めた (2) 発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価原子力安全委員会は 平成 23 年 7 月 6 日に発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価 ( 以下 総合的安全評価 という ) の実施を経済産業大臣に要請した その後 平成 23 年 7 月 11 日に内閣官房長官 経済産業大臣及び内閣府特命担当大臣が示した 我が国原子力発電所の安全性の確認について ( ストレステストを参考にした安全評価の導入等 ) においては 総合的安全評価は一次評価と二次評価に分けて実施することとされ 原子力事業者が行った原子力発電所の安全評価の結果について 原子力安全 保安院が確認し さらに原子力安全委員会がその妥当性を確認することとされた 2-94

109 項目 活動概要 なお 原子力安全委員会が平成 23 年 7 月 6 日に要請した総合的安全評価の趣旨は 事業者が自らのプラントの頑健性 あるいは相対的な脆弱性などを評価することにより 事業者自らが国の基準以上に自主的に安全レベルを高める取組を促すことであり この趣旨から 総合的安全評価は二次評価まで含めて速やかに実施されることが重要である 出典 : 東京電力株式会社福島第一原子力発電所等における事故への対応に関する原子力安全委員会の活動について ( 平成 24 年 9 月 18 日 ) 2-95

110 引継ぎ事項 概要 表 原子力安全委員会の廃止に当たっての要望など 国際的動向を踏まえて 基本的考え原子力安全委員会は これまで 安全確保や障害防止等に係る基本的考え方や 必要に応じ安全審査指針類や防災指針等を示方や指針類の時宜を得た策定や改してきた しかしながら それらの策定や改訂が国際的動向を踏まえ時宜を得て実施されてきたとは言えず この点を踏まえ 訂の実施原子力安全委員会は 平成 22 年 12 月 2 日に自らの当面の施策の基本方針を改定し 原子力安全の基本原則の明文化や指針類の見直しに着手していたが 事故が発生し 結果的に見直しが間に合わなかった 参考 -1 今回の原子力緊急事態の発生に対応し 原子力安全委員会は 緊急事態応急対策調査委員等を招集し 事故に関する情報の収集 分析を行い 原子力災害対策特別措置法の規定に基づき 原子力防災対策上の防護区域の設定や飲食物の摂取 出荷制限等の多岐にわたる技術的事項に関して 原子力災害対策本部等に対して約 200 件を数える意見の提示及び技術的助言等を行った 参考 -2 環境モニタリングの実施 除染作業上記の意見や技術的助言等の基礎となる原子力安全委員会の 基本的考え方 等を定例会議や臨時会議の場において示してき等の被ばく低減対策 各種復旧対た これらの中には 環境モニタリングの実施 除染作業等の被ばく低減対策 各種復旧対策において 引き続き適用 応用策 周辺住民等の放射線防護の最適可能なものが含まれている また 放射線防護に関する 基本的考え方 は 緊急被ぱく状況から現存被ばく状況への移行と化などに対する基本的考え方 その状況の継続への対処に係るものであり 今後とも周辺住民等の放射線防護の最適化に向けて 関係機関が共有することを要望する 参考 -3 発電用原子炉施設のシビアアク平成 22 年 12 月 2 日に改定した当面の施策の基本方針に基づき 外部の専門家を含めて最初に検討を始めたシビアアクシデシデント対策について 発電用軽ント対策については 事故後の平成 23 年 8 月に検討を再開し 強化策の具体化や法令要求化の方針を含む 発電用原子炉施水型原子炉施設におけるシビアア設のシビアアクシデント対策について を平成 23 年 10 月 20 日に原子力安全委員会決定した また 原子炉施設における事クシデント対策 - 多重防護の考え故の発生防止及び影響緩和の主要な手段である 多重防護 の概念については 発電用軽水型原子炉施設におけるシビアア方について- の検討内容の取り込クシデント対策 - 多重防護の考え方について- を平成 24 年 9 月 10 日に原子力安全委員会としてとりまとめた 参考 4 み新原子力規制組織での法令要件化 安全設計審査指針 耐震設計審査指針 類については 原子力安全委員会として 平成 23 年 6 月以来 今回の事故及びや技術基準等の検討に当たって 最新の知見を踏まえて 関連する指針類の見直し作業を進め 平成 24 年 3 月末までにいずれも中間とりまとめに至っている 安全設計審査指針 耐震設計審 参考-5 査指針 類の検討内容の取り入れ シビアアクシデントの発生防止想定を超える津波に対するシビアアクシデントの発生防止及び影響緩和のあり方についても別途 外部の専門家を交えての検及び影響緩和の対策についての基討を進め 対策についての基本的考え方 のとりまとめを行った 参考 -6 本的考え方 の検討内容の取り込み新原子力規制組織での法令要件化原子力防災対策関連の指針類も 今回の事故により変更の必要な項目があることが明らかになった そこで この事故からのや技術基準等の検討に当たって 教訓及び国際的な考え方を取り入れ 防災対策の抜本的な見直しを図る必要があると考え 防護対策実施の基本的考え方や 2-96

111 原子力施設等の防災対策につい防護措置実施の判断基準 防災対策を重点的に充実すべき地域等についての検討を行い 平成 23 年 11 月 17 日に 原子力発て の見直しに関する考え方につい電所に係る防災対策を重点的に充実すべき地域に関する考え方 について さらに平成 24 年 3 月 22 日に 原子力施設等のて ( 中間とりまとめ ) の検討内容の防災対策について の見直しに関する考え方について ( 中間とりまとめ ) のとりまとめに至った 参考-7 取り込み上記のシビアアクシデント対策に関する基本的考え方や各種指針類の見直しに関する中間とりまとめについては 現時点での専門家による最新の知見や安全に関する考え方を踏まえたものであることから 新たな原子力規制組織における法令要件化や技術基準等の検討に当たっては これらの検討内容が取り入れられるよう要望する 総合的安全評価の取組の定着総合的安全評価は 原子力安全 保安院が実施計画で設定した二次評価の内容を含め速やかに実施することが重要であり また このような評価を施設の供用期間中を通して繰り返し実施することが 原子力安全対策の継続的改善の観点から極めて重要である 新たな原子力規制組織においては 総合的安全評価の取組を定着させ 安全対策の継続的改善の実現を確保するよう要望する 参考 -8 事業者への要望 ( 右記参照 ) 電力会社等事業者による原子力施設の安全確保に関する一義的責任の自覚である 事業者自らが安全確保のため最大限の努力を払わなければならない このため 国が求める安全基準を満足することはもちろん 自らの施設の相対的脆弱性を客観的に評価して安全性を向上させる対策を継続的に実施するとともに その内容を国民に対し説明することが求められる 原子力規制組織への要望 ( 右記参原子力規制組織は 中長期的な規制政策及び最新の知見に基づいて安全基準を定めるとともに 事業者が安全基準を満足して照 ) いるにとどまらず最高の安全水準を目指して努力していることを確認しなければならない 審査や検査等の日常的な規制活動についても 前例踏襲や形式偏重にとらわれることなく施設の安全性向上に実質的に寄与するものとなっているかを自ら検証し また事業者自身による安全性向上努力を促すものとなるよう絶えず見直していかねばならない これらの検証結果や見直しについて国民への説明が必要なことは言うまでもない 原子力安全対策における国際水準我が国ではこれまで 原子力発電に伴う潜在的危険性について明確に議論することを意識的に避けてきており この結果 周との整合性の確保 世界最高の安全辺住民をはじめとする一般公衆を放射線リスクから防護するための具体的な方策に正面から取り組む姿勢に欠けていた 今後水準を目指すは 事業者及び原子力規制組織を含む関係者は まず 原子力安全対策における国際水準との整合性を確保することはもちろんのこと さらに世界最高の安全水準を目指していく必要がある 規制に当たる者の能力と成果が 安新たな原子力規制組織を中心とする今後の体制については 安全確保のための効果的 効率的な組織 制度の構築が期待され全確保という使命に照らして正当る その中核となる要素は 人 J である 原子力安全規制に当たる者には 安全確保に対する強い使命感はもちろん 安全確に評価され 実際の職務を通じて能保のための基礎知識 応用能力 判断能力が要求される 規制に当たる者の能力と成果が 安全確保という使命に照らして正力が育成されるような仕組みの構当に評価され 実際の職務を通じて能力が育成されるような仕組みの構築を期待する 築出典 : 原子力安全委員会の廃止に際して ( 平成 24 年 9 月 ) 2-97

112 2.4 原子力規制委員会による発電用軽水型原子炉の新安全基準等の検討状況 2.1~2.3 節の結果を用いて 事故の分析結果 教訓 提言等 原子力安全 保安院の 30 項目の対策および組織廃止に伴う引継ぎ事項 原子力安全委員会の安全審査指針類の整備方針および組織廃止に伴う引継ぎ事項などを 安全基準等の検討課題として整理する 発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討状況福島第一事故を契機に原子力安全規制の体制が抜本的に改革され 規制行政を一元的に担う新たな組織として原子力規制委員会が 2012 年 9 月 19 日に発足した また 原子力規制委員会の設置と同時に原子炉等規制法が改正され 規制行政の責任機関を一律に原子力規制委員会とするとともに 発電用原子炉に関して 以下の規定が追加された 1 重大事故対策の強化 2 最新の技術的知見を既存の施設 運用に反映する制度 ( バックフィット ) の導入 3 型式証明制度の導入 4 運転期間の制限 ( 使用前検査に合格した日から起算して 40 年 運転期間の満了に際し 1 回に限り 20 年を超えない期間で延長が可能 ) 等 この改正原子炉等規制法に基づき 福島事故の教訓や最新の技術的知見 IAEA 等の国際機関の定める安全基準を含む海外の規制動向等を踏まえた新たな規制を導入するための作業が開始された この規制の実施に当たっては シビアアクシデント対策を含めた基準等を策定するとともに 旧原子力安全委員会が策定した安全設計審査指針等の内容を見直した上で 上記のシビアアクシデント対策に関する基準と合わせて 原子力規制委員会が定める基準 ( 原子力規制委員会規則 ) として定める必要がある このような背景に基づき 担当の原子力規制委員会委員 外部専門家 原子力規制庁及び独立行政法人原子力安全基盤機構の職員から構成する 発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム が組織され 公開の場での議論により 新安全基準骨子案の策定が行われている また 発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム 以外に以下の検討チームが設立されたが ここでは 発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム のみを対象とする 1 発電用軽水型原子炉施設の地震 津波に関わる新安全設計基準に関する検討チーム 2 原子力災害事前対策等に関する検討チーム 3 緊急被ばく医療に関する検討チーム 4 緊急時モニタリングの在り方に関する検討チーム 5 東京電力福島第一原子力発電所事故による住民の健康管理のあり方に関する検討チーム 発電用軽水型原子炉の新安全基準の検討に当たっての基本方針は以下の通りである (1) 事故の教訓の反映福島事故において 1 津波に対する設計上の想定 ( 設計基準 ) に最新の知見が反映されていなかったこと 2 設計基準を上回る津波が来襲したこと 3 同一建屋の同一階に設置されていた機器が津波による被水 水没という共通要因により同時に機能を喪失したこと等を踏まえ 次の基本認識の下に検討を進める 地震 津波に関する設計基準 ( 設計基準地震 津波 ) の見直しが必要 ( 別の場で検討 ) 設計基準を超える自然現象が発生することを想定した対策が必要 多重故障 共通要因故障による設計基準事故を超える事故の発生を考慮した対策が必要 - 大規模自然災害の他 テロリズム 火災等に起因する共通要因故障を考慮することが必要 - 重大事故の発生防止 拡大防止を考慮することが必要 2-98

113 (2) 海外の規制動向との比較国際機関 (IAEA WENRA) 及び主要国 ( 米 英等 ) の安全基準 各種報告書等との比較を実施する 上記の基本方針に従って検討が行われる主要項目は以下の通りである 外部事象に対する安全対策 考慮すべき外部事象 ( 自然現象 意図的な航空機衝突 テロリズム等 ) 設計基準の考え方 設計基準を超える外部事象への対応 設計基準事象への対応 指針等の見直し 規則化 設計基準を超える事故として考慮すべきもの 確率論的リスク評価等の知見に基づき考慮すべき事故 - 著しい炉心損傷に至る事故シナリオ - 格納容器破損モード シビアアクシデント対策の基本方針 設計基準を超える外部事象に対する頑健性 恒設設備と可搬設備による対応 シビアアクシデント対策設備の信頼性 耐環境性 対策の実現可能性 シビアアクシデント対策の安全評価 前提条件 評価方法 判断基準 個別設備の配慮事項 主な検討スケジュールは以下の通りである 年月検討内容 平成 24 年 10 月平成 25 年 1 月平成 25 年 2 月平成 25 年 3 月平成 25 年 4 月平成 25 年 7 月 検討開始事業者ヒアリング 基準骨子案とりまとめ基準骨子案のパブリックコメント 有識者ヒアリングパプリックコメントを踏まえた基準骨子案の見直し新安全基準案作成 パブリックコメント実施新安全基準の公布 施行予定 発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム による検討会議の実施状況を表 に示す 教訓 提言等に基づく検討課題と発電用軽水型原子炉の新安全基準 2.1~2.3 節の通り 事故の分析結果 教訓 提言等 原子力安全 保安院の 30 項目の対策および組織廃止に伴う引継ぎ事項 原子力安全委員会の安全審査指針類の整備方針および組織廃止に伴う引継ぎ事項などを包絡する検討課題 ( 及び検討項目 ) を絞り込むことができた 当然のことではあるが SA 防止策の強化 と SA への対応策の強化 の 2 分野においては 原子力安全 保安院の 30 項目の対策と発電用軽水型原子炉の新安全基準 ( 骨子案 ) との対応関係は非常に密であることから 検討課題 ( 及び検討項目 ) と原子力安全 保安院の 30 項目の対策 現在作成中の新安全基準 ( 骨子案 ) の項目について整理した結果を表 に示す また 前記 2 分野以外の分野では 新安全基準 ( 骨子案 ) との対応関係が疎であることから 検討課題 ( 及び検討項目 ) と原子力安全 保安院の組織廃止に伴う引継ぎ事項 現在の検討状況 ( 引継ぎ事項をベースに分かる範囲で記載 ) について整理した結果を表 に示す 2-99

114 表 発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チームでの検討状況 会議 開催日 議事内容 1 H24/10/25 (1) 発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チームについて (2) 外部事象への対応について 2 H24/10/31 (1) 外部事象への対応について (2) 設置許可基準 (SA 対策規制に係るものを除く ) の策定に向けた検討について 3 H24/11/9 (1) 設置許可基準 (SA 対策規制に係るものを除く ) の策定に向けた検討について (2) 炉心損傷及び格納容器破損防止対策の有効性の評価について 4 H24/11/21 (1) 炉心損傷及び格納容器破損防止対策の有効性の評価について (2) 設置許可基準 (SA 対策規制に係るものを除く ) の策定に係る個別論点 ( 火災対策 位置的分散 多様性 ) について 5 H24/11/29 (1) 使用済燃料プールの燃料損傷防止対策の有効性の評価について (2) 停止中の原子炉の燃料損傷防止対策の有効性の評価について (3) SA 対策における要求事項 ( 個別対策別の主な設備等について ) 6 H24/12/13 (1) SA 対策における要求事項 ( 個別対策別の主な設備等について )( 前回の続き ) (2) 新安全基準 ( 設計基準 ) 骨子 ( たたき台 ) について 7 H24/12/20 (1) SA 対策における要求事項 ( 個別対策別の主な設備等について )( 前回の続き 制御室 緊急時対策所 計装設備 モニタリングポスト 通信連絡設備等 ) (2) 特定安全施設の目的 機能及び外部事象に対する頑健性についてに対する整理について ( 案 ) (3) 新安全基準 ( 設計基準 ) 骨子 ( たたき台 ) について 8 H24/12/27 (1) 設計基準を超える外部事象への対応について (2) 複数基立地において考慮すべき事項について (3) 新安全基準骨子 ( たたき台 ) について 9 H25/1/11 (1) SA 対策における要求事項 ( 個別対策別の主な設備等について ) (2) ATWSに対する要求事項について (3) 原子炉立地審査指針について (4) 新安全基準骨子 ( たたき台 ) について 10 H25/1/18 (1) 設計基準とSA 基準の連続性について (2) 新安全基準骨子 ( たたき台 ) に関する事業者ヒアリング 11 H25/1/21 (1) 新安全基準骨子案について 12 H25/1/25 (1) 新安全基準骨子案に関する事業者ヒアリング 13 H25/1/31 (1) 新安全基準骨子案について 14 H25/2/8 (1) 新安全基準骨子案に関する有識者ヒアリング 15 H25/2/15 (1) シビアアクシデント対策の有効性評価について (2) 内部溢水防護評価ガイドについて 16 H25/2/27 (1) 設計基準における評価ガイド等について (2) その他 17 H25/3/8 (1) 信頼性に関する要求の適用範囲について (2) 設計基準における評価ガイド等について (3) 炉心損傷防止対策及び格納容器破損防止対策における確認事項について (4) 発電用軽水型原子炉施設における制御室及び緊急時対策所の居住性に係る被ばく評価ガイド ( 設計基準事故を超える事故 ) について 18 H25/3/19 (1) 内部火災に対する防護について (2) 原子炉冷却材圧力バウンダリの考え方について (3) 新安全基準骨子案に対する意見募集の結果について 2-100

115 表 原子力安全 保安院の 30 項目の対策と新安全基準 ( 骨子案 ) との対応関係 (DB: 新案全基準 ( 設計基準 ) SA: 新案全基準 ( シビアアクシデント対策 )) 検討課題 項目 原子力安全 保安院の30 項目の対策 検討状況 ( 新基準案条項 ) 1.SA 防止策の強化 1. 全般 SA2 シビアアクシデント対策における要求事項 ( 個別対策別の主な設備等について ) SA2(1) 共通事項 (1 代替設備に対する要求事項 2 可搬式代替設備に対する要求事項 3 復旧作業に対する要求事項 4 恒設代替設備に対する要求事項 5その他の要求事項 ) 2. 地震 津波対策 外部電源対策 1 外部電源系統の信頼性向上 2 変電所設備の耐震性向上対策 3 開閉所設備の耐震性向上 DB3(7)1 原子炉施設としての電気系統の安全設計に係る基本的要求事項 2 原子力発電工作物に係る基本的要求事項 DB3(8) 全交流動力電源喪失に対する設計上の考慮 発電用軽水型原子炉施設の地震及び津波に関わる新安全設計基準 4 外部電源設備の迅速な復旧 3. 電源確保 所内電気設備対策 7 非常用交流電源の多重性と多様性の強化 8 非常用直流電源の強化 SA2(15) 電源確保対策 外部からの給電の容易化 は いずれの条項の電源に関しても可搬式電源への接続可能性を要求 9 個別専用電源の設置 10 外部からの給電の容易化 4.RPV CV 冷却機能確保 冷却 注水設備対策 14 事故後の最終ヒートシンクの強化 15 隔離弁 SRV の動作確実性の向上 16 代替注水機能の強化 SA2(4) 原子炉冷却材高圧時の冷却対策 SA2(5) 原子炉冷却材圧力バウンダリの減圧対策 SA2(6) 原子炉冷却材低圧時の冷却対策 SA2(7) 事故後の最終ヒートシンク確保対策 SA2(14) 補給水 水源の確保対策 5.SFP 冷却 注水設備対策 SA2(13) 使用済燃料貯蔵プールの冷却 遮へい 未臨界確保対策 17 使用済燃料プールの冷却 給水機能の信頼性向上 6.AM 冷却 注水設備対策 SA2(2) 手順書の整備 訓練の実施 体制の整備 12 事故時の判断能力の向上 7. 施設配置 所内電気設備対策 5 所内電気設備の位置的な分散 冷却 注水設備対策 SA(1)1 代替設備に対する要求事項 発電用軽水型原子炉施設の地震及び津波に関わる新安全設計基準 2-101

116 検討課題 項目 原子力安全 保安院の30 項目の対策 検討状況 ( 新基準案条項 ) 13 冷却設備の耐浸水性確保 位置的分散 8. 浸水対策 所内電気設備対策 6 浸水対策の強化 SA(1)1 代替設備に対する要求事項 発電用軽水型原子炉施設の地震及び津波に関わる新安全設計基準 冷却 注水設備対策 13 冷却設備の耐浸水性確保 位置的分散 9. 複数炉立地 2.SAへの対応策の強化 1. 全般 SA2 シビアアクシデント対策における要求事項 ( 個別対策別の主な設備等について ) SA2(1) 共通事項 (1 代替設備に対する要求事項 2 可搬式代替設備に対する要求事項 3 復旧作業に対する要求事項 4 恒設代替設備に対する要求事項 5その他の要求事項 ) 2.CV 破損 ( 水素爆発 ) 格納容器破損 水素爆発対策 18 格納容器の除熱機能の多様化 19 格納容器トップヘッドフランジの過温破損防止 ( 主に BWR) SA2(8) 格納容器の冷却 減圧 放射性物質低減対策 ( 格納容器スプレイ ) SA2(11) 格納容器内の水素爆発防止対策 SA2(12) 原子炉建屋等の水素爆発防止対策 20 低圧代替注水への確実な移行 ( 主にBWR) 24 水素爆発の防止 ( 濃度管理及び適切な放出 ) 3. CV 破損 (CVベ 格納容器破損 水素爆発対策 SA2(9) 格納容器の除熱 減圧対策 ント ) 21 ベントの確実性 操作性の向上 22 ベントによる外部環境への影響の低減 23 ベント配管の独立性確保 4. 事故対応環境 管理 計装設備対策 25 事故時の指揮所の確保 整備 26 事故時の通信機能確保 SA2(17) 緊急時対策所 SA2(20) 通信連絡設備 SA2(21) 敷地外への放射性物質の拡散抑制対策 5. 事故時被ばく管 管理 計装設備対策 SA2(17) 緊急時対策所 理 25 事故時の指揮所の確保 整備 6. 事故時計装 管理 計装設備対策 27 事故時における計装設備の信頼性確保 28 プラント状態の監視機能の強化 SA2(18) 計装設備 SA2(16) 制御室 2-102

117 検討課題 項目 原子力安全 保安院の30 項目の対策 検討状況 ( 新基準案条項 ) 7. 環境モニタリン 管理 計装設備対策 SA2(19) モニタリング設備 グ 29 事故時モニタリング機能の強化 8. 訓練 管理 計装設備対策 SA2(2) 手順書の整備 訓練の実施 体制の整備 30 非常事態への対応体制の構築 訓練の実施 9. 資機材管理 所内電気設備対策 SA2(1) 共通事項 3 復旧作業に対する要求事項 11 電気設備関係予備品の備蓄 3. その他 言及なし SA2 シビアアクシデント対策における要求事項 ( 個別対策別の主な設備等について ) SA2(3) 原子炉停止対策 SA2(10) 格納容器下部に落下した溶融炉心の冷却対策 言及なし SA3 設計基準を超える外部事象への対応 SA3(1) 可搬設備等による対応 SA3(2) 特定安全施設 言及なし SA4 シビアアクシデント対策の有効性の評価 SA4(1) 炉心損傷防止対策の有効性評価 SA4(2) 格納容器破損防止対策の有効性評価 SA4(3) 使用済燃料貯蔵プールにおける燃料損傷防止対策の有効性評価 SA4(4) 停止中の原子炉における燃料損傷防止対策の有効性評価 2-103

118 表 原子力安全 保安院の引継ぎ事項と検討状況 検討課題 項目 原子力安全 保安院の引継ぎ事項 検討状況 0. 地震 津波の知見 1. 全般. 1.1 地震 津波に関する取組 1 今回の地震 津波で得られた知見の継続的な整理 その知見を踏まえた地震動評価や 津波対策の基準の検討など 2 南海トラフの巨大地震に関する新知見の検討 3それらの知見の規制への反映 バックフィット制度の下での着実な適用の推進 4 事業者による総合的安全性の評価 向上に向けた取組の促進 1.SA 防止策の強化 2.SAへの対 1. 全般 1. 全般 1.2SAに関する取組 1SA 対策の具体化と 規制への反映 また バックフィット制度の下での 着実な適用の推進 2 今回の事故に関する技術的知見の継続的な整理および国 応策の強化 際的な基準の動向も踏まえた安全規制の不断の見直し 3 事業者による総合的安全性の評価 向上に向けた取組の促進 3. 原子力災害への対応の強化 1. 全般 1.3 防災に関する取組 1 原子力災害防止指針の策定 2 防災基本計画を踏まえた原子力災害対策マニュアルの改正 複合災害や過酷事故を想定した内容へ 3 原子力総合防災訓練等の実施や 国内外の新たな知見の取り入れによる 原子力災害対応体制の不断の見直し 改善 関係者の連携強化も含めた訓練や研修による危機管理能力の向上 4 地方自治体による地域防災計画の改定や広域の避難計画策定に向けた検討作業に対する支援の継続 避難訓練等による地域住民の方の理解増進も含めた 地域防災体制の更なる改善の支援 5 通信インフラ等 必要な資機材の継続的な整備 原子力災害事前対策等に関する検討チーム 緊急被ばく医療に関する検討チーム 2-104

119 検討課題 項目 原子力安全 保安院の引継ぎ事項 検討状況緊急時モニタリングの在り方に関する検討チーム 2. 防災体制 2.1 保安院 ( 原子力災害対策本部事務局 ) について 1 防災基本計画を踏まえた原子力災害対策マニュアルの改正 複合災害や過酷事故を想定した内容へ 関係機関の役割分担 実施手順を明確化 2 原子力総合防災訓練等の実施や 国内外の新知見の取り入れによる 原子力災害対応体制の不断の見直し 改善 関係者の連携強化も含めた訓練や研修による危機管理能力の向上 3 専用回線によるテレビ会議システムネットワーク等の資機材の継続的な整備 3. 住民避難 ( 避難基準 ) 2.3 避難対応に関する取組 原子力災害防止指針の改定 2.6(a) 安定ヨウ素剤に関する取組 4.FP 拡散影響予測 2.5モニタリングやSPEEDIに関する取組 原子力災害防止指針の改定 5. オフサイトセンター 2.2オフサイトセンターについて 原子力災害防止指針の改定 6. 緊急被ばく医療 原子力災害防止指針の改定 7. 広報 情報提供 2.4 情報提供や広報に関する取組 1 防災基本計画を踏まえた原子力災害対策マニュアルの改正 対住民リスクコミュニケーション 海外記者向け会見 在日大使館への情報提供の必要性 役割分担等についての明確化 情報提供内容の整理 モニタリングデータやSPEEDIの活用 公表 総合評価の実施 公表 役割分担等についての明確化 2 訓練や研修による広報担当者の能力向上 3 原子力総合防災訓練等の実施や 国内外の新知見の取り入れによる 原子力災害対応体制の不断の見直し 改善 8. 海外からの支援 2.6(b) 国際社会からの支援受け入れに関する取組 1 防災基本計画を踏まえた原子力災害対策マニュアルの改正 支援物資の受け入れの連絡調整や手順等の検討およびマニ 2-105

120 検討課題 項目 原子力安全 保安院の引継ぎ事項 検討状況ュアルへの反映 2 原子力総合防災訓練等の実施や 国内外の新知見の取り入れによる 原子力災害対応体制の不断の見直し 改善 関係者の連携強化も含めた訓練や研修による危機管理能力の向上 4. 安全確保基 1. 全般 1.4 海外からの知見の導入等に関する取組 盤の強化 2. 規制体制強化 1 原子力規制委員会 原子力規制庁として設立 3. 法体系の整備 強化 1 新安全基準の策定 ( 設計基準 SA 対策 ) 4. 安全系の独立性と多様性 1 新安全基準の策定 ( 設計基準 SA 対策 ) 5.PSA 活用 1 新安全基準の策定 (SA 対策 ) 6. 人材確保 5. 安全文化醸 1. 安全文化 成 6. 新規制組織 1. 原子力安全規制機関の在り 1 原子力規制委員会 原子力規制庁として設立 方 2. 行政文書の適切管理 2.6(d) 行政文書の適正な管理と情報開示の徹底等に関する取組 1 会議の議事要旨等をはじめとする行政文書の適正な管理 保管と情報公開の徹底の継続 7. その他 1. 国会の規制当局監視 2. 政府危機管理体制 3. 被災住民対応 4. 電気事業者監視 5. 事故原因解明 3. 未解明部分の検証について 1 今回の事故に関する調査 分析の継続 2 今回の事故で得られた知見や教訓についての国内外への継続的な発信 情報提供 原子力安全に関する福島閣僚会議 (IAEAと日本の共催 平成 24 年 12 月に福島県で開催 ) の実施など 6. 被害調査 ( 健康影響など ) 7. 東京電力の在り方 2-106

121 検討課題 項目 原子力安全 保安院の引継ぎ事項 検討状況 8. 福島事故の収束 2.6(c) 東京電力福島第一原子力発電所事故の収束に関 1 新たな原子炉等規制法に基づく規制の着実な実施 する取組 9. 事業者への要望 2-107

122 2.5 事業者の対応状況 先進的取組等 事業者のホームページ 事業者が発行するプレスリリースなどの公開情報により 事業者の対応状況 先進的取組などを調査する 事業者の対応状況を原子力規制委員会の安全基準などと関連付ける 事業者の対応状況平成 23 年 3 月 30 日 経済産業省は福島事故と同様な事態の発生を防止するために事業者に対して約 1 ヶ月の期間を目処に緊急安全対策の実施を指示した また 平成 23 年 6 月 7 日 シビアアクシデントへの対応に関しての措置の実施が事業者に指示された これらの対策実施の結果は経済産業省の検査を受けていずれも問題無しとされた これらの対応策に加えて 各事業者は安全性向上策を計画し 実施中である 各事業者の対応状況を表 2.5-1~ 表 に示す 先進的取組日本の事業者の先進的取組は 要求事項を超えて実施する安全性向上措置と定義すると 例えば 以下の取り組みをあげることができる 対策 電力会社 発電所号機 完了予定など 充てんポンプ自冷化によるほう酸注入 (*1) PWR 電力 ( 不明 ) ( 不明 ) CV スプレイポンプ自冷化による CV 注水 (*1) PWR 電力 ( 不明 ) ( 不明 ) 高圧注入ポンプの海水冷却機能追加 (*1) PWR 電力 ( 不明 ) ( 不明 ) 格納容器下部 ( ペデスタル ) 注水ラインの設置 (*2) 中部電力 ( 不明 ) ( 不明 ) 一次冷却材ポンプ耐熱シールの採用 ( 改良型耐熱シールへ順次交換 )(*3) 九州電力 川内 : 玄海 : 川内 :H25~26 年度玄海 : 検討中 テロ対策の強化 ( 防護壁の設置や侵入監視装置を強化 ) (*3) 九州電力 川内 : 玄海 : H26.3 完了 H26.3 完了 (*1) 福島第一事故を踏まえた原子力発電所の安全確保の考え方(PWR) ( 第 10 回発電用軽水型原子炉の新 安全基準に関する検討チーム会合事業者提出資料 ) に依る PWR 電力としての共同提案であり 具体的 な導入発電所 導入時期などは不明 (*2) 中部電力ホームページに依る (*3) 九州電力ホームページに依る 2-108

123 表 北海道電力 ( 泊 1~3 号機 ) の対応状況 1. 緊急安全対策 (2012 年 12 月現在 ) 経済産業省指示 対応状況 備考 電源確保 非常用ディーゼル発電機が起動できず 交流電源が全て喪失した場合に備え 移動発電機車を配備 蓄電池が切れる (5 時間 ) 前に移動発電機車より給電することで 中央制御盤などでプラントを監視が可能 浸水対策 原子炉の安全を確保するために重要な以下の設備が設置されている部屋の水密性を向上 プラントを監視する中央制御盤などに電気を供給する分電盤 蒸気発生器に給水するタービン動補助給水ポンプ 非常用ディーゼル発電機 蒸気発生器水源確保 泊発電所ではタービン動補助給水ポンプを介して 蒸気発生器に冷却水を供給することで原子炉を冷却できる 送水ポンプ車 ホース( ホース延長 回収車含む ) を配備し 代替給水方法を確立することにより ろ過水タンクや原水槽 屋外給水タンク 海水からも給水できる 使用済燃料ピット水源確保 送水ポンプ車 ホース( ホース延長 回収車含む ) を配備し 代替給水方法を確立することにより ろ過水タンクや原水槽 海水 防火水槽からも給水できる 訓練の強化 移動発電機車による電源確保 蒸気発生器や使用済燃料ピット水源確保などの対策が確実に実施できるよう 以下の措置を実施 体制の確立 ~ 必要な要員を宿直させるなどにより夜間休日でも対応できる体制とする マニュアルの整備 ~ 泊発電所津波による電源機能等喪失時対応要領 を制定 移動発電機車の運転や水源の確保などについての訓練を昼間 夜間 冬季に実施し 適切に実施できることを確認 2. 中長期対策 (2012 年 12 月現在 ) 対策 実施内容 予定 電源確保対策 1 支持がいしの耐震対 泊発電所につながる送電線のうち 支持がいし が設置され H23.9 完了 策 た鉄塔 4 基について 耐震対策を完了 2 移動発電機車の追加 1,600kW の移動発電機車 1 台を高台へ追加配備済 H24.6 配備済 配備 3 電気設備の浸水対策 1 2 号機予備変圧器および 66kV 開閉所を高台へ移設 平 H27 年度上期目途 成 24 年 8 月から高台の土地造成を開始 設備移設に向け着手 3 号機の 非常用所内高圧母線 へ供給している電力を 1 2 号機の 非常用所内高圧母線 へ給電するための新たなケー ブルを敷設 4 発電所外部からの電 3 号機にも 66kV 送電線を接続 H27 年度上期目途 力供給信頼向上 5 非常用発電機の配備 非常用発電機を高台に配備する 平成 24 年 8 月から高台の土 H27 年度上期目途 地造成を開始 発電機配備に向け着手 冷却機能確保対策 6 代替海水取水ポンプ 1,320m3/h の代替海水取水ポンプ 1 台を高台へ配備済み (1 H24.9 配備済 2-109

124 の確保 ( 送水車 ) ~3 号機共用 ) 7 海水ポンプ電動機予備機の確保 冷却機能確保対策 8 発電所後背地高台への新規貯水設備の設置 浸水防止対策 9 安全上重要な設備が設置されたエリアの浸水対策 10 敷地海岸部への防潮堤の設置 その他の対策 11 水素爆発防止対策 ( 水素濃度の低減 ) 12 原子炉格納容器フィルタ付ベント設備の設置 13 事故時の指揮所 ( 免震重要棟 ) の設置 海水ポンプ電動機の予備機を高台へ配備済み (1 2 号機用 H24.4 配備済 2 台 3 号機用 2 台 ) 淡水を貯蔵する新規貯水設備 (5000m3 3 基 ) を発電所後背 H26 年度目途 地の高台に設置 H26 年度目途 水密性の高い扉への改造 建屋出入口周辺の防潮壁など H25 年度目途 1~3 号機出入管理建屋の入口部を水密性の高い扉へ改造 H23.10 完了 1~3 号機循環水ポンプ建屋の出入口周辺に防潮壁を設置 H24.3 完了 1 2 号機原子炉補助建屋入口部 原子炉建屋入口部を水密 H24.9 完了 性の高い扉に改造 高さ海抜 16.5m の防潮堤を敷地海岸部の全長約 1.3km にわ H26.12 目途 H24.8 たり設置 着工済 原子炉格納容器内に触媒式水素再結合装置などを設置 H25 年度目途 原子炉格納容器フィルタ付ベント設備を設置 H27 年度目途 事故時の防災拠点として免震構造で放射線防護機能を有した H27 年度目途 免震重要棟を設置 平成 24 年 11 月から免震重要棟設置に向 けた地質調査開始 2-110

125 3. シビアアクシデント対策 (2012 年 12 月現在 ) 対策と実施内容 高放射線量に対応した防護服などの配備 がれき撤去用重機の配備 水素爆発防止に向けた対策の実施 1 原子炉格納容器からアニュラスに漏えいした水素を外部に放出する手順の整備 2 触媒式水素再結合装置などの格納容器内設置 (2013 年度目途 ) 中央制御室内の放射性物質を除去し 作業環境を保つための手順の整備 移動発電機車等から PHS へ電源供給できるようにするなど 緊急時の発電所構内通信手段の確保 予定 4. 安全対策の充実 (2012 年 11 月 30 日までに実施済 ) 対策 実施内容 予定 炉心燃料冷却手段の多様化 1 蒸気発生器直接給水ポンプ ( 海抜 31.3m) および信号計測盤の設置 ( 海抜 32.3m) 2 炉心への直接注入手段の整備 緊急安全対策設備の浸水対策の強化 以下のエリアの浸水対策の強化 タービン動補助給水ポンプ室( 海抜 24.8m) 分電盤室 中央制御室( 海抜 20.0m) 2-111

126 表 東北電力 ( 女川 1~3 号機 東通 1 号機 )(2013 年 1 月末現在 ) の対応状況 2-112

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132 表 東京電力 ( 柏崎刈羽 1~7 号機 ) 1. 緊急安全対策 (2013 年 2 月現在 ) 対策 実施内容 予定 Ⅰ. 防潮堤 ( 堤防 ) の設置発電所構内の海岸前面に防潮堤 ( 堤防 ) を設置し 津波の H25 年度第 1 四浸入 衝撃を回避して敷地内の軽油タンクや建屋 構築物半期頃等を防御する Ⅱ. 建屋等への浸水防止 (1) 防潮壁の設置 ( 防潮板含む ) 安全上重要な機器が設置されている原子炉建屋に防潮壁を 設置し 津波による電源設備や非常用ディーゼル発電機な H24 年度下期頃 どの浸水を防ぎ 発電所の安全性を確保する (2) 原子炉建屋等の水密扉化原子炉建屋やタービン建屋 熱交換器建屋の扉を水密化することにより 建屋内の機器の水没を防止する H24 年度下期頃 (3) 熱交換器建屋の浸水防止対熱交換器建屋の止水対策により 15m 想定の津波に対して策 も 本設備が使用できるように 更なる安全性を向上する H25.3 頃 (4) 開閉所防潮壁の設置 外部電源喪失時においても 緊急用高圧配電盤と空冷式ガ スタービン発電機車の配備によりプラントへの緊急電源の 供給は可能であるが 開閉所設備に安全対策工事を施すことにより 外部電源によるさらなる供給信頼性を確保する H25.2 頃 開閉所設備の安全対策として 海抜 15m 高さの津波を防潮 壁にて防御する (5) 浸水防止対策の信頼性向上 1) 発電機から変圧器の間の電線 ( 相分離母線 ) ダクトの損傷を想定し ダクトを通じてタービン建屋内へ浸水するこ とを防止するために ダクト周辺に防潮板を設置 2) 壁の貫通部の母線 ( 相非分割母線 ) をケーブル化するこ とにより 原子炉複合建屋内の電源盤の設置エリア内への 浸水防止の信頼性向上を図る 3) 屋外構築物の主排気ダクトが損傷を受けた場合 主排気 H25.5 頃 ダクトの損傷開口部から原子炉建屋内へと浸水し ダクト などを通じて拡散する可能性があることから 主排気ダク トの損傷 落下を想定し 原子炉建屋地下階から主排気ダ クトに接続されるダクトの廻りにコンクリート受台付きの 防潮壁を設置することにより主排気ダクトの落下や建屋へ の浸水を防止する Ⅲ. 除熱 冷却機能の更なる強化等 (1) 水源の設置 発電所敷地構内に緊急時の水源となる淡水の貯水池を設置 し 原子炉や使用済燃料プールへの冷却水の安定的な供給 H24 年度下期頃 を確保する (2) 空冷式ガスタービン発電機 大容量ガスタービン発電機車等を追加配備して 全交流電 H24.3 配備完了 車等の追加配備 源喪失時でも電源供給を行い 残留熱除去系ポンプを運転できるようにする (3) 緊急用の高圧配電盤の設置 緊急用の高圧配電盤を設置するとともに 原子炉建屋への と原子炉建屋への常設ケーブ常設ケーブルを布設することにより 全交流電源喪失時にルの布設おける電源供給ラインを常時確保し 残留熱除去系ポンプ H24.4 完了 等に電力を安定供給できるようにする (4) 代替水中ポンプ及び代替海代替の水中ポンプ等を配備し 海水系の冷却機能が喪失し水熱交換器設備の配備た場合においても残留熱除去系を運転できるようにする H24 年度下期頃 2-118

133 (5) フィルタベント設備の設置 (6) 原子炉建屋トップベント設 トップベント設備を設置して 原子炉建屋内での水素の滞 H24 年度上期頃 備の設置 留を防止する (7) 環境モニタリング設備等の増強 モニタリングカーの増 緊急時の情報収集に万全を期すため 発電所周辺の放射線量を継続的に計測するため モニタリングカーの追加配備 H23.10 配備完了 設 を行う (8) 高台への緊急時用資機材倉庫の設置 高台に緊急時用資機材倉庫を設置し 津波により緊急時に必要な資機材の喪失を防止する H25 年度第 1 四半期頃 (9) 大湊側純水タンクの耐震強 純水タンク ( 各タンク約 2000m3) は プラントに供給す 化 る純水を貯蔵するためのもので シビアアクシデント発生 H25 年度第 1 四時には原子炉及び使用済燃料プールへ注水するための水半期頃源のひとつとなる 側板や底板の厚さを増すことにより耐 震強化を図る (10) コンクリートポンプ車の配備 使用済燃料プールへの注水等 注水手段の多様化を目的として導入 H25 年度第 1 四半期頃 (11) アクセス道路の補強 電源車 消防車等の緊急車両の配備位置までの構内アクセスルート上の 地下埋設構造物 ( ケーブル洞道等 ) が構築されている箇所において 地震による不等沈下等で発生するおそれのある段差を抑え より迅速に緊急車両が目的地 H25.3 頃 に到達出来るよう あらかじめ道路表面または路盤に段差抑制対策を講じ アクセスルート確保に万全を期す (12) 免震重要棟の環境改善 免震重要棟内での活動時における被ばく量を低減するために 1 階および2 階の窓に遮蔽材を設置 また 万が一建屋内が汚染した場合でも 除染が行いやすいよう 床面の H25.5 頃 仕上げ材を取替 (13) 送電鉄塔基礎の補強 H25.3 頃 追加実施中の安全対策 2-119

134 表 中部電力 ( 浜岡 3~5 号機 ) の対応状況 1. 緊急安全対策 (2013 年 2 月 28 日現在 ) 対策 実施内容 予定 浸水防止対策 (1) 発電所敷地海側への防波壁の 防波壁の設置により津波の敷地内への直接浸入を防止 H24.10 完了 設置 ( 海抜 18m 総延長 1.6km) 追加工事 海抜 22m へ嵩上げの追加工事 H25.12 (2) 発電所敷地前面の砂丘堤防及 津波の局所的な集中を防止するために 砂丘堤防の高さ 各 H24.10 び東側西側盛土の嵩上げ を海抜 18m 以上とする H24.12 完了 海抜 22m 以上への嵩上げの追加工事 追加工事 H25.12 溢水対策 (1) 海水取水ポンプエリアへの防 津波発生時に 取水槽など海に繋がっている箇所から敷 H24.12 完了 水壁の設置 地内に水が溢れ 海水取水ポンプが浸水し停止しないよ 追加工事 うに 海水取水ポンプの周囲に高さ 1.5m の防水壁を設 H25.12 置 高さ 3m の防水壁設置の追加工事 (2) 放水ピット 放水路開口の閉止 津波による水位上昇時に放水ピット 放水路開口部から 各 H24.12 完了 水ができるだけ溢れないように開口部を閉止 海水冷却機能の維持 (1) 緊急時海水取水設備 (EWS) の 海水取水ポンプの代替として EWS を 3~5 号機の防水 H25.12 設置 構造の新設ポンプ室に設置 25 号機の取水槽連絡トンネルと接続し主水源の多重化 を図る (2) 取水槽への漂流物流入防止対 引き津波の際に取水トンネルへ漂流物の流入を防止す H25.3 策 るため 流入防止ネットを設置 建屋内浸水防止 (1) 建屋外壁の防水構造扉の信頼 原子炉建屋外壁の防水構造扉を水密扉に交換しその外 H24.12 完了 性強化 側に強化扉を設置 原子炉建屋大物搬入口の防水構造扉を水密扉に交換し その外側に強化扉を設置 (2) 建屋外壁の給排気口 ( 開口部 ) 原子炉建屋外壁に設置してある換気空調用の給排気口 H23.5 完了 からの浸水防止対策 や非常用 DG 排気口の形状をシュノーケルタイプに変 更 3~5 号機熱交換器建屋の給排気口からの浸水防止対 H25.12 策 建屋開口部自動閉止装置の設置 (3) 建屋貫通部からの浸水防止 ( シ 配管など建屋貫通部についても 隙間に閉止板の設置や H25.12 ール性向上 ) 対策 止水材の追加により防水性能向上を図る (4) 地下配管ダクト点検口 入口扉 海水取水ポンプから原子炉建屋に冷却水を送水する配 H25.9 閉止 管は地下階の屋外配管ダクトを通じて原子炉建屋と繋 がっている 敷地内に浸水した場合を想定して 配管ダ クトの点検口や入口扉を水密蓋や防水構造の扉に変更 (5) 建屋構造強化 (4 5 号機海水熱 建屋外壁に設置している換気空調用の給排気口の形状 H25.12 交換器建屋 ) 変更や扉の二重化を実施 機器室内浸水防止 2-120

135 (1) 建屋排水対策の強化 ( 排水ポンプ設置 ) 万一の建屋内への浸水を想定し 浸入した海水を排水するポンプ確保 (2) 水密扉の追加設置 補強 万一の建屋内への浸水を想定し 建屋内の重要な設備周 辺の水密区画を補強 (3) 機器室貫通部からの浸水防止 配管など機器室貫通部についても 隙間に閉止板の設置 ( シール性向上 ) 対策 や止水材の追加により防水性能向上を図る H25.12 H25.6 H 緊急時対策の強化 (2013 年 2 月 28 日現在 ) 対策 実施内容 予定 電源設備対策 (1) ガスタービン発電機の高台設置 外部電源および EDG が使用できない状況に備えて 高台にガスタービン発電機 ( 定格 3200kW 3 台 ) を設置 H25.10 建屋の免震構造基礎工事は H25.1 完了 (2) 電源盤等の上層階及び高台へ 炉心冷却などの電力を供給するための電源盤および配 H25.10 の設置 電盤を建屋の屋上層階へ移設 (3) 災害対策用発電機の建屋屋上 H23.6 への設置 (4) 予備蓄電池の確保 原子炉隔離冷却系 主蒸気逃がし安全弁へ電源を供給す H25.10 るための蓄電池の予備を確保 注水設備対策 (1) 高圧注水系を運転可能とするための機器冷却の代替確保 ( 空冷式熱交換器設置 ) (2) 可搬式動力ポンプによる水源の確保 (3) 水源の多様化 ( 水タンクの増設 ) (4) 取水源の多様化 ( 新野川からの取水 ) (5) 補給水系等の耐震強化 注水配管の追加設置 除熱設備対策 全交流電源喪失時や海水冷却機能喪失時においても高 H25.6 圧注水系が運転可能となるようポンプに空冷代替冷却機能を新規に追加 電源も高台に設置するガスタービン発電機から受電する 原子炉隔離冷却系の水源を圧力抑制室から水源タンク H25.12 に切り替えたとき 水源タンクの水位を確保するために可搬式動力ポンプを用いて他のタンクや新野川から冷却水を供給する 原子炉及び使用済み燃料貯蔵プールへの注水するため H25.12 に設置している復水貯蔵槽に加えて発電所敷地高台地下水槽を設置 新野川からの取水を可能とする大容量送水システム ( ハ H25.12 イドロサブ : ポンプ車 ホース車 ) を 3 セット配備 既設の供給ラインの耐震性向上あるいは耐震 S クラス H25.12 の供給配管を新設 (1) 格納容器ベントの遠隔操作化 速やかなベント操作実施に向け中央制御室からの遠隔 H25.12 操作化 (2) 格納容器ベント弁操作用窒素 全ての交流電源喪失時に原子炉格納容器のベントが必 H23.4 完了 ボンベの設置 要な場合 現場で速やかにできるよう窒素ボンベなどの 資機材を配備 (3) 原子炉機器冷却海水系 海水系ポンプ電動機予備品に加えて 原子炉を冷やすた H25.1 完了 (RCWS) 原子炉機器冷却水系 めに必要な機器の故障に備え 必要な予備品を確保 (RCCW) 余熱除去系(RHR) ポンプおよび電動機の予備品確保 (4) 水中ポンプの確保 (RCWS ポン 海水取水ポンプの復旧に加え 海水取水の代替手段とし H25.12 プの代替 ) て水中ポンプを確保 2-121

136 その他 (1) ブルドーザーなどの重機の配 津波による漂流物等を除去し 予備品の搬送等の作業環 H23.6 完了 備 境を確保するために重機を配備 (2) 緊急用資機材倉庫の高台設置 専用の資機材倉庫を津波の影響のない発電所敷地内の H25.8 高台に設置 緊急時の予備品の資機材もここに保管 外部電源の信頼性強化 (1) 5 号機の受電回路の増設 (2 系統 外部電源の早期復旧は重要であることから 信頼性向上 H 系統 ) 対策として 5 号機の受電回路を 2 系統から 3 系統へ変更 (3 ルート 6 回線 ) (2) 送電鉄塔の支持碍子の交換 地震の揺れに強い支持碍子へ取り換え H23.12 完了 (3) 受電変圧器の高台への設置 新規の受電用変圧器を発電所構内の高台に設置 H25.8 (4) 移動式変圧器の設置 移動式変圧器の設置 H25.12 (5) 一般構内配電線からの受電ルート強化 外部電源の更なる信頼性確保のために発電所近傍の変電所から一般高圧配電線による供給ルートを確保 H

137 3. シビアアクシデント対策 (2013 年 2 月 28 日現在 ) 対策 実施内容 予定 放射性物質の大規模な放出の防止対策 (1) フィルタベント設備の設置 フィルタを介して格納容器のベントを行うことで 放 出される粒子状の放射性物質 (Cs 等 ) を低減し 長期の土 壌汚染を防止 また ベントによって格納容器を減圧し 格納容器破損も防止 格納容器の破損防止対策 (1) 格納容器ペデスタル注水ラインの設置 格納容器ペデスタル( 格納容器下部 ) に落下した溶融炉心を冷却し 格納容器破損を防止 (2) 格納容器代替スプレイ機能の強化 溶融炉心等によって発生する蒸気を冷却( 凝縮 ) し 格納容器破損を防止 (3) 格納容器トップヘッドフランジの冷却機能の確保 格納容器上蓋接合部( トップヘッドフランジ ) を冷却し 格納容器破損を防止 ( フランジ部からの水素等の漏 えいを防止 ) (4) 長期冷却のための代替熱交換器の配備 既設の海水熱交換器を利用せず 格納容器を長期循環冷却し 格納容器破損を防止 ( 炉心損傷防止としても使 用が可能 ) 非常用直流電源対策 (1) 蓄電池容量の増強 重要計器等に電源を供給できる時間を延長( 負荷切り 離し無しで 8 時間以上 負荷切り離しで 24 時間以上 ) (2) 重要計器等への個別専用電源の配備 可搬型の蓄電池や専用測定器で原子炉の水位や圧力などの測定が可能 2-123

138 表 北陸電力 ( 志賀 1 2 号機 ) の対応状況 1. 緊急安全対策対策 実施内容 予定 電源確保 非常用電源の確保 H23.4 完了 冷却機能確保 消防車による注水手段の強化 H23.4 完了 格納容器ベントの信頼性向上 H23.4 完了 その他強化策 津波に起因する緊急時対応のための機器 設備の点検 H23.4 完了 緊急時対応手順の確認 H23.4 完了 緊急時対応訓練の実施 ( 動画あり ) H23.4 完了 敷地内への浸水防止策 原子炉建屋の防水機能の確認 H23.4 完了 2. 更なる対策 ( 平成 24 年 9 月末時点 ) 対策 実施内容 予定 電源確保 非常用電源 ( 大容量 ) の配備 手配中 外部電源早期復旧による所内電源の確保 H23.6 完了 外部電源の信頼性確保 すべての送電線の各号機への接続 工事中 赤住線復旧資機材 手順書整備 H23.6 完了 免震金具の取り付け H23.6 完了 冷却機能確保 浸水した原子炉補機冷却系ポンプの機能回復手段の整備 原子炉補機冷却海水ポンプ及び原子炉補機冷却水ポンプの予備 H24.3 完了 電動機の配備 水源の多様化 大坪川ダム水取水用の水中ポンプ ホース等の配備等 H23.9 完了 復水貯蔵タンク トレンチの耐震信頼性向上 一部完了 耐震性貯水槽の追加設置 H24.8 完了 原子炉補機冷却海水ポンプ代替品の配置 H24.3 完了 消防車追加配備 消防車を1 台追加配備 H23.11 完了 消防車を更に2 台追加配備 H24.3 完了 ディーゼル駆動消火ポンプ燃料タンク大容量化 H24.7 完了 配管等の耐震裕度向上 消火系配管 H24.2 完了 原子炉補機冷却系 主蒸気系等 H24.2 完了 非常用ガス処理系配管トレンチ H24.5 完了 格納容器ベント専用電源の設置 H24.3 完了 その他強化策 防災施設 資機材等の強化 緊急時対策棟の設置 工事中 防災資機材専用倉庫の設置 工事中 モニタリング設備の強化 手配中 個人線量計の追加配備 高線量対応防護服の配備 H23.6 完了 構内主要アクセス道路の補強 工事中 復旧作業用クレーン車の常設 H23.6 完了 緊急時協力会社集合棟の設置 準備中 敷地内への浸水防止策等 防潮堤の構築 H24.9 完了 2-124

139 取水槽及び放水槽廻りへの防潮壁の設置浸水対策の強化 ( 扉の水密化 配管貫通部の水密性強化 ) 海水熱交換器建屋タービン建屋 原子炉建屋等 H24.9 完了 工事中 H24.3 完了 3. シビアアクシデント対策 ( 平成 24 年 9 月末時点 ) No. 対策 予定 1 中央制御室の作業環境の確保 H23.4 完了 2 緊急時における発電所構内通信手段の確保 H23.4 完了 3 高線量対応防護服等の資機材の確保及び放射線管理のための体制整備 H23.6 完了 4 原子炉建屋水素排出設備の設置 5 ブローアウトパネル開放機材設置 H24.7 完了 6 水素検知器設置 手配中 7 がれき撤去用重機の配備 8 ホイールローダの配備 H23.4 完了 9 ブルドーザーの配備 H23.12 完了 2-125

140 表 関西電力 ( 美浜 1~3 号機 大飯 1~4 号機 高浜 1~4 号機 ) の対応状況 1. 緊急安全対策 (2012 年 12 月末現在 ) 対策 実施内容 予定 1. 外部電源系統の信頼性向上 1 ルート喪失しても外部電源を喪失しないこと 1-1 を確認 H23 年度完了 kV 長幹支持がいしの免震対策を実施 H23 年度完了 1-3 鉄塔基礎盛土崩壊や地すべり 急傾斜地の土砂崩壊の影響を評価し 必要な対策を実施 H24.9 完了 1-4 大飯 3 4 号機の安全系所内高圧母線に大飯支線 (77kV) を接続 H25.12 完了予定 2. 変電所設備の耐震性向上ガス絶縁開閉装置により耐震性を強化した回 2-1 線を 2 回線確保されていることを確認 完了 2-2 変電所において耐震性強化を図るため 高強度がいしへ取替 H25 年度完了予定 3. 開閉所設備の耐震性向上 3-1 開閉所電気設備の安全裕度を確認 H23 年度完了 3-2 開閉所電気設備の耐震性評価を行い 必要に応 H25 年度耐震性評じ耐震性向上対策を実施価完了予定 3-3 がいし型遮断器は設置されていない 対策不要 4. 外部電源設備の迅速な復旧損傷箇所を迅速に特定できる設備が導入され 4-1 ていることを確認 完了 4-2 復旧手順を定めたマニュアルを整備 必要な資機材を確保 H24.8 完了 5. 所内電源設備の位置的な分空冷式非常用発電装置を津波の影響を受けな 5-1 散い高所に配備 H23.9 完了 5-2 既設受電設備が使用できない場合も想定し 緊急用高所受電設備を設置 H27 年度完了予定 6. 浸水対策の強化重要な機器が機能喪失しないよう建屋の浸水 6-1 防止対策を実施 H23 年度完了 6-2 水密扉への取替えの実施 H24.9 完了 6-3 防波堤のかさ上げ 防潮堤の設置 H25 年度完了予定 6-4 予備変圧器防油堤かさ上げ 電路他浸水対策 H25 年度完了予定 6-5 可搬式ポンプ他確保 H24.9 完了 6-6 非常用ディーゼル発電機空調用ダクトかさ上げ H24.6 完了 7. 非常用交流電源の多重性と 7-1 空冷式非常用発電装置の配備 対策 5-1 で完了 多様性の強化発電所内燃料活用により約 85 日の継続運転が 7-2 可能 H23 年度完了 7-3 空冷式非常用発電装置の配備 ディーゼル発電機への海水供給用可搬式エンジン駆動ポンプ H23 年度完了 の配備などにより多重化 多様化 7-4 大容量の恒設非常用発電機を津波の影響を受けない高所に設置 H27 年度完了予定 8. 非常用直流電源の強化空冷式非常用発電装置の配備により蓄電池へ 8-1 の充電が可能 (5 時間以内 ) H23.9 完了 8-2 常用系蓄電池から安全系蓄電池への接続可能 H24 年度完了予定 2-126

141 な改造 8-3 蓄電池を追加設置 H27 年度完了予定 9. 個別専用電源の設置重要なパラメータを監視する予備の可搬型計 9-1 測機器等を手配 対策 27-1 で完了 9-2 重要なパラメータを監視する予備の可搬型計測器等を配備 対策 27-2 で完了 10. 外部からの給電の容易化高台に空冷式非常用発電装置及び給電口を配 H23 年度完了 訓練は 10-1 備 手順を整備 訓練を実施継続実施 10-2 緊急用高所受電設備の設置 対策 5-2 で実施 10-3 給電口への接続困難時のマニュアル整備 H24 年度完了予定 11. 電気設備関係予備品の備海水ポンプモータ予備品などを津波の影響を 11-1 蓄受けない高所に保管 H23 年度完了 11-2 ハンドライト他配備 H23 年度完了 11-3 資機材に関する情報を加味した全交流電源喪 H23 年度完了 訓練は失時の復旧マニュアル整備 訓練継続実施 11-4 緊急用高所受電設備の設置 対策 5-2 で実施 12. 事故時の判断能力の向上 事故時操作所則に最優先すべき状況の判断基 12-1 準が明確化されていることを確認 大津波警報 H23 年度完了 発令時の手順を追加 12-2 線量計 マスク 防護服他の資機材整備 H23 年度完了 12-3 緊急時対策所などの事故時通信機能確保 対策 26-1 で完了 冷却設備の耐浸水性 位置 13-1 的分散 13-2 引き津波発生時の対応手順書が整備されてい完了ることを確認現場操作機器などのマニュアルへの情報追加 教育の実施 線量予測図の作成 シビアアクシ H25 年度完了予定デント対応マニュアルへの反映 重要な機器が機能喪失しないよう建屋の浸水防止対策を実施 対策 6-1 で完了 消防ポンプなどの資機材を津波の影響を受けない場所にて保管 H23 年度完了 13-3 水密扉への取替えの実施 対策 6-2 で実施 13-4 防波堤のかさ上げ 防潮堤の設置 対策 6-3 で実施 14. 事故後の最終ヒートシン主蒸気逃がし弁から大気へ原子炉の崩壊熱を 14-1 クの強化放出する手段等の多重性 多様性を確保 H23 年度完了 14-2 非常用炉心冷却系統の健全性確認 H23 年度完了 隔離弁 SRV の動作確実 15-1 性の向上 非常用炉心冷却系統の耐震サポート タンク基礎ボルトの健全性確認 H23 年度完了 水源となるタンク周りに防護壁を設置 防波堤のかさ上げ 防潮堤の設置 対策 6-3 で実施 冷却に必要な系統の弁は電源喪失時にも開状態維持のため対策不要 対策不要 主蒸気逃がし弁の手動操作性 アクセス性を確認 H23 年度完了 弁作動用空気確保のためのコンプレッサー等 H24 年度完了予定の確保 16. 代替注水機能の強化 16-1 代替注水設備の駆動源の多様化として エンジ H23 年度完了 2-127

142 使用済燃料プールの冷 17-1 却 給水機能の信頼性向上 ン駆動の消防ポンプを配備 16-2 水源の多重化 多様化 H23 年度完了 16-3 海水接続口の整備 H23 年度完了 16-4 補助給水ライン改造 H23 年度完了 復水ピットから蒸気発生器へ直接補給できる中圧ポンプの配備 H24.5 完了 海水を含む複数の水源から複数の給水手段を確保 H23 年度完了 17-2 外部支援がない場合の冷却期間確保 H23 年度完了 17-3 冷却 給水機能の信頼性向上 H23 年度完了 17-4 使用済燃料ピットポンプ健全性確認 H23 年度完了 17-5 監視強化 対策 28-1 で完了 17-6 使用済燃料ピット広域水位計の設置 H23 年度完了 18. 格納容器の除熱機能の多大容量ポンプ 空冷式非常用発電装置により原 18-1 様化子炉補機冷却機能を確保 H23 年度完了 18-2 大容量ポンプの高台への配備 H23.12 完了 18-3 ディーゼル駆動ポンプによる格納容器スプレイを用いた減圧機能を確保済み 完了 18-4 格納容器スプレイリングの健全性確認 H23 年度完了 18-5 フィルタ付ベント設備の設置 対策 22-2 で実施 19. 格納容器トップヘッドフ PWR プラントにトップヘッドはないため 対 19 ランジの過温破損防止対策象外 対象外 20. 低圧代替注水への確実な主蒸気逃がし弁による減圧手段の手順を確立 20-1 移行済み 完了 20-2 中圧ポンプの配備に伴う更なるマニュアルの充実 H24.6 完了 21. ベントの確実性 操作性の PWR では炉心冷却を蒸気発生器からの冷却で 21-1 向上行うための 主蒸気逃がし弁の手動操作は可能 対策 15-2 で完了 21-2 フィルタ付ベント設備の設置の際に操作性を考慮 対策 22-2 で実施 22. ベントによる外部環境へ 22-1 格納容器スプレイによるよう素除去 H23 年度完了 の影響の低減 22-2 フィルタ付ベント設備の設置 H27 年度完了予定 23. ベント配管の独立性確保 23-1 格納容器排気筒はユニット毎に独立 完了 水素爆発の防止 ( 濃度管理 24-1 及び適切な放出 ) フィルタ付ベント設備はユニット毎に排気筒を設置 対策 22-2 で実施 水素がアニュラス内に漏れ出ることも想定し アニュラス排気ファンの運転手順を整備 H23 年度完了 24-2 静的触媒式水素再結合装置の設置 H25 年度完了予定 25. 事故時の指揮所の確保 整緊急時対策所被災時には利用可能な施設に本 25-1 完了備部を設置することを確認 25-2 中央制御室横指揮所機能の確保 H23 年度完了事故時の指揮機能を強化するため 免震事務棟 H27 年度運用開始予 25-3 の設置定 26. 事故時の通信機能確保通信設備 ( トランシーバー 衛星携帯電話など ) 26-1 H23 年度完了を確保するとともに分散配備 26-2 緊急時対応支援システムへのデータ伝送系増 H25 年度完了予定 2-128

143 強 26-3 TV 会議システムの導入検討 H25 年度完了予定 26-4 衛星携帯電話の外部アンテナの設置 オフサイトセンターへの衛星電話の配備 衛星可搬局の H24.11 完了 設置 26-5 免震事務棟への通信設備移設 対策 25-3 で実施 27. 事故時における計装設備重要なパラメータを監視する予備の可搬型計 27-1 の信頼性確保測器等を手配 H24.4 月完了 27-2 重要なパラメータを監視する予備の可搬型計測器の配備 H24.6 完了 28. プラント状態の監視機能非常用電源から電源供給される使用済燃料ピ 28-1 の強化ット監視カメラの設置 H23 年度完了 28-2 非常用電源から電源供給される使用済燃料ピット広域水位計の設置 H25 年度完了予定 28-3 格納容器内監視カメラの活用検討 H26.9 完了予定 28-4 過酷事故用計装システムに関する研究 H26.9 完了予定 29. 事故時モニタリング機能の強化 29-1 モニタリングポストの電源対策として 非常用電源からの供給 バッテリー容量の増加 専用 H23 年度完了 のエンジン発電機を設置 29-2 モニタリングポスト汚染時の対応訓練 H23 年度完了 訓練は継続実施 29-3 モニタリングポストの伝送ラインの 2 重化 H25 年度完了予定 29-4 可搬型モニタリングポストの追加配備 H25 年度完了予定 30. 非常事態への対応体制の 30-1 消防ポンプなどの必要な資機材 予備品の確保 H23 年度完了 構築 訓練の実施 30-2 マニュアル整備 H23 年度完了 30-3 体制強化 要員召集方法強化 H23 年度完了 30-4 夜間等より厳しい状況を想定した訓練 H23 年度完了 訓練は継続実施 30-5 指揮命令系統の明確化 特命班の設置 H23 年度完了 30-6 発電所常駐要員の増員 H24.4 月完了 30-7 更に必要な資機材や予備品の検討 確保 H24 年度順次配備予定 2. 一層の取組みを求められた事項 (2012 年 12 月末現在 ) 対策 実施内容 予定 1. 要員召集体制の構築および 1-1 常駐要員の強化 H24.4 完了 強化 1-2 協力会社支援体制の構築 H24.3 体制構築済み 1-3 対策本部要員のより確実な召集 H24.3 運用開始 2. 免震事務棟の前倒し設置及 H27 年度運用開始予 2-1 免震事務棟の早期設置び より確実な代替措置の構定 築代替場所の指揮所としての機能充実および指 H23 年度完了 訓練は 2-2 揮所機能の訓練継続実施 3. 空冷式非常用発電装置の分 3-1 落石防護柵を背後斜面に設置 H24.6 完了 散配置落石による共通要因故障回避のための分散配 3-2 置 H24.10 完了 4.3 号機浸水口の津波による 4-1 浸水口手前に車両等の漂流物進入を防止する H24.9 完了 2-129

144 漂流物防護柵の強化 鋼製門扉を設置 4-2 浸水口である防潮扉をより信頼性の高い水密扉に取替 H24.5 完了 トンネル内の頂部にある耐震クラスの低い未 5. 陀羅山トンネル内の未使用配管の撤去 5 使用配管については地震時に落下し 緊急車両の通行を阻害する可能性があることから これ H24.6 完了 らを撤去 6. 消防ポンプの代替の取水地点の検討 6-1 取水ポイントの漂着物等撤去用の重機 ( 油圧ショベル ) 配備 H24.2 配備済み 6-2 地震等の影響を受けにくい代替取水ポイントを複数選定し訓練実施 H24.4 完了 訓練は継続実施 2-130

145 表 中国電力 ( 島根 1~3 号機 ) の対応状況 1. 緊急安全対策 (2012 年 12 月現在 ) 対策 実施内容 予定 (1) 建屋への浸水防止対策 建屋の中にある安全上重要な機器が津波により冠水す H23.12 完了 ることを防止するため 建屋外側にある出入口扉等に浸水防水対策を実施 (2) 高圧発電機車等の配備 非常用ディーゼル発電機が使用できなくなった場合に H23.12 完了 も電源を確保できるよう 高圧発電機車および可搬式発電機を配備 (3) 発電機等の燃料補給手段確 緊急時に非常用ディーゼル発電機および高圧発電機車 H23.12 完了 保 に燃料を補給する手段を確保 ( タンクローリー確保等 ) (4) 消防ポンプ車の追加配備 新たに消防ポンプ車を追加配備 H23.12 完了 (5) 原子炉 使用済燃料プールの冷却機能強化 原子炉および使用済燃料プールの冷却手段がなくなった場合に備え 代替注水手段を確保 ( 注水配管設置 ) H23.12 完了 (6) 原子炉格納容器ベント用資 H23.12 完了 原子炉格納容器内の圧力上昇を防ぐため 電源がなく機材 ( 窒素ガスボンベ等 ) の配ても圧力が下げられるよう 現場に資機材を配備 備 2. 更なる安全対策 (2012 年 12 月現在 ) 対策 実施内容 予定 (1) 海水系ポンプエリアへの浸 原子炉補機海水系ポンプが浸水することを防止するた H23.12 完了 水防止対策 め, 海水系ポンプエリアに 1,2 号機は防水壁,3 号機は防水蓋を設置 (2) 建屋の浸水防止対策の強化 建屋内へ浸水させないため 水密性を高めた扉への取 H23.12 完了 替 追加設置 (3) 防波壁の強化 発電所の主要設備への浸水を防止するため, 発電所構 H25 年度内 内の海側全域について防波壁を海抜 15 メートルに強化 (4) 高台 (40 メートル級 ) への 非常用ディーゼル発電機のバックアップとして, ガス H23.12 完了 緊急用発電機の追加設置 タービン発電機を発電所敷地内の高台に設置 (12MW 級ガスタービン発電機 2 台 ) (5) 海水系ポンプ用予備品 代替品の確保 原子炉補機海水系ポンプが津波により浸水した場合に備え, 予備品 代替品を確保 H24.1 完了 2-131

146 3. シビアアクシデント対策 (2012 年 12 月現在 ) 対策 実施内容 予定 (1) 原子炉建屋水素爆発防 炉心が損傷し発生する水素が原子炉建屋へ蓄積する可能性 H24.9 完了 止対策 がある場合 原子炉建屋天井の一部を開けるよう必要な資機材 手順書を整備 原子炉建屋から水素を放出する設備および水素検知器を設置 (2) がれき撤去用の重機の配備 緊急時に構内のがれき撤去作業が迅速に行えるよう 発電所構内にホイールローダを配備 H23.6~H24.5 完了 (3) 中央制御室の作業環境 全交流電源喪失時でも, 中央制御室の空調を運転できるよ H23.12 完了 確保 う 緊急安全対策として配備した高圧発電機車 (500kVA)2 台に加え, 新たに高圧発電機車 (500kVA)1 台を配備 (4) 緊急時における発電所 発電所構内の通信手段として配備している PHS やトランシ H23.12 完了 構内通信手段の確保 ーバに加え 新たに有線の簡易通話装置 ( 乾電池式 ) 等を配備 (5) 防護服等の資機材の確保および放射線管理のための体制整備 高線量対応防護服を 10 着配備 H23.6 完了 4. その他の対策 (2012 年 12 月現在 ) 対策 実施内容 予定 (1) 外部電源の信頼性確保 全ての送電回線を各号機に接続 送電線の一部がいしについて耐震性強化対策を実施 屋外変圧器周辺に防水壁設置(2 3 号機 : 完了 ) H24 年度内 H24.2 完了 H23.12 完了 地震に対する送電鉄塔の基礎安定性等について評価を実施 (2) 緊急時対応訓練 地震 津波によりすべての電源が喪失した場合等の過酷な - 状況を想定した 緊急時対応訓練 ( 昼間 夜間 ) を当社および協力会社社員により実施 (3) 免震重要棟( 仮称 ) 大規模地震が発生しても緊急時対応に支障をきたすことが H26 年度内 の設置 ないよう プラント監視や通信機器などの重要な設備を集合させた免震重要棟 ( 仮称 ) を発電所構内の高台 (40 メートル以上 ) に設置 (4) 3 号機屋外タンク周辺 H26 年度内 への防水壁設置 (5) 非常用ろ過水タンクの H26 年度内 設置 (6) 代替注水配管の敷設 原子炉 使用済燃料プールを冷やす対策の更なる強化策と H25 年度内 して 消防ポンプ車等による注水をより迅速に行えるよう 原子炉建屋外に接続口を有する代替注水配管を敷設 (7) 移動式代替熱交換設備 原子炉 使用済燃料プールを冷やす対策の更なる強化策と H25 年度内 の配備 して 万一 冷却用ポンプが機能喪失した場合でも 機動的に代替冷却が行えるよう 移動式代替熱交換設備を配備 (8) フィルタ付ベント設備の設置 万一 炉心が損傷した場合でも 放射性物質の放出量を大幅に低減できるようフィルタ付ベント設備を設置 H27 年度内 2-132

147 表 四国電力 ( 伊方 1~3 号機 ) の対応状況 1. 緊急安全対策 (2013 年 1 月現在 ) 完了した対策現在実施中の対策浸水防止 配管貫通部や建屋入口扉等をゴムやシリコン等でシール 建屋入口を水密扉に変更加工電源確保 大容量の電源車を配備 配電線を敷設 送電鉄塔等を補強 変圧器等を配備 変電所の容量を増強原子炉等冷却 消防自動車 ポンプを配備 水中ポンプを配備 海水ポンプモーターの予備品を配備地震対策 安全上重要な機器が 基準地震動に対し 2 倍程度 - の耐震裕度を持つことの確認 対策シビアアクシデント対策 がれき撤去用重機を配備 発電所内の通信手段の多様化 - 高線量防護服の配備訓練実施 すべての電源喪失を想定したシミュレータ訓練 各対策の実行性能検証 実地訓練 総合訓練 訓練継続による習熟度向上出典 : 伊方発電所での大規模災害に備えた取り組み 2013 年 1 月 四国電力 2-133

148 2. 更なる対策 (2013 年 1 月現在 ) 対策 実施内容 予定 浸水防止 海水ポンプエリア等安全上重 H26 年度 要な機器を設置しているエリアのさらなる水密化 浸水対策 電源確保 非常用外部電源受電設備の設置 恒設非常用発電機の追加設置冷却注水機能確保 代替注水ポンプの設置格納容器破損防止 水素爆発防止装置の設置 フィルタ付ベント設備の設置 非常用の外部電源受電設備を新たに高所に設置し 事故時に既設 H27 年度の開閉設備 変圧器が使用できなくなった場合に 当該設備を使用し 所外から電気を受電する 非常用電源に関する更なる信頼性向上のため 既設非常用ディー H27 年度ゼル発電機と空冷式恒設非常用発電機を津波の影響を受けない高所に新たに設置する また 非常用給電設備の設置および蓄電池 (24 時間給電可 ) の増設を行う 補助給水ポンプが使用できなくなった場合に 蒸気発生器が十分 H24 年度に減圧されていない状態でも 代替手段による注水が可能となるように 吐出圧力の高いポンプ ( 代替注水ポンプ ) を設置し 代替注水機能を強化する ポンプは電気駆動とし 電源車から給電する 水素再結合器の設置 放射性物質を低減する フィルタを備えたタンクを含むフィルタ H27 年度付ベント設備を設置する 2-134

149 表 九州電力 ( 玄海 1~4 号機 川内 1 2 号機 ) の対応状況 1. 緊急安全対策 ( 国指示 )(2013 年 1 月末現在 ) 福島第一原子力発電所の事故後 直ちに国の指示を受け 緊急安全対策を実施し 炉心損傷等の発生防止に必要な安全性は確保している [ 平成 23 年 4 月完了 ] 高圧発電機車の配備( 電源の確保 ) 完了 仮設ポンプ ホースを配備( 冷却水源の確保 ) 完了 重要機器があるエリアの扉 シャッター 配管貫通部のシール施工による水密性向上対策( 浸水を防ぐ ) 完了 配備した機材を使って 電源供給訓練や仮設ポンプによる冷却水供給訓練など緊急安全対策訓練を実施 平成 23 年 5 月 国より 適切に実施されているとの評価が示された 2. シビアアクシデントへの対応に関する措置 ( 国指示 )(2013 年 1 月末現在 ) 万一 想定を超えるような事故 ( シビアアクシデント ) が発生した場合でも 迅速に対応するため取り組むべき措置を 国の指示を受け 実施した [ 平成 23 年 6 月完了 ] 平成 23 年 6 月 国より 適切に実施されているとの評価が示された 放射線防護等による中央制御室の作業環境の確保 完了 発電所構内通信手段の確保 完了 高線量対応防護服等の資機材の確保及び放射線管理のための体制の整備 水素爆発防止対策 完了 がれき撤去用の重機( ホイールローダ等 ) の配備 完了 2-135

150 3. 中長期対策 ( 自主 )(2013 年 2 月現在 ) 対策 実施内容 予定 川内 玄海 移動式大容量発電機の配備 H24.4 完了 H24.4 完了 大容量の仮設ポンプの追加配備 H23.5 完了 H23.5 完了 海水ポンプ用モータ予備品の確保 H24.3 完了 H24.3 完了 海水ポンプ予備品の確保 H25 年度下期 H26 年度初め 重要機器があるエリア扉の水密扉への取替え H26 度初め ( 実施中 ) H26 年度初め ( 実施中 ) 水タンク等の冷却水源の信頼性向上対策 H24.8 完了 H26 年度初め 4. 更なる安全性 信頼性向上対策 ( 自主 )(2013 年 2 月現在 ) ( 国が示した技術的知見等を踏まえた自主的な取り組み ) 1. 電源設備対策 対策実施内容予定 (1) 非常用発電機の追加設置空冷式の非常用発電機を追加設置検討中検討中 (2) 外部電源の信頼性確保予備変圧器等を高台に移設 H31 年度 H25 年度 (3) 蓄電池能力の強化プラント監視計器等の電源である蓄電池の容量増加等 (4) 移動式大容量発電機との接続用電源ケーブルの恒設化 2. 冷却 注水対策 高台に配備している移動式大容量発電機から接続先への電源ケーブルを恒設化 (1) 海水ポンプエリアの防水対策海水ポンプエリア周囲に津波の防護壁を設置 (2) 移動式大容量ポンプ車の配備多目的に使える移動式の大容量ポンプ車を配備 (3) 空気作動弁の駆動源の多様化原子炉冷却系に使用する空気作動弁の駆動源を多様化 ( 窒素ガス ) (4) 使用済燃料ピット冷却機能の強化 3. 格納容器破損防止対策 (1) 格納容器フィルタ付ベント装置の設置 仮設ポンプから使用済燃料ピットへの給水配管を恒設化 事故時の格納容器内圧上昇を抑制し 放射性物質の放出量を大幅に低減する装置を設置 (2) 格納容器内水素対策の強化事故時の格納容器内の水素濃度を低減する触媒式水素再結合装置を設置 4. その他の対策 (1) 使用済燃料ピット周辺エリアモニタの強化等 川内 検討中 玄海 検討中 H24.9 完了 H24 年度 H26 年度 H25 年度上 H25 年度上 H26 年度 H26 年度 H25 年度 H26 年度 H26 年度 H28 年度 H28 年度 H25 年度上 H26 年度 放射線監視装置の予備器を配備検討中検討中 (2) 免震重要棟の設置免震構造で放射線管理機能を有する事故時の指揮所を設置 H27 年度 H27 年度 (3) 大型重機等の追加配備がれき撤去用の大型重機等を追加配備 H24 年度 H24 年度 (4) 津波対策のための発電所高台 免震重要棟設置や予備変圧器等の移設のた 各対策にあ 各対策にあ 敷地の整備 めの高台敷地を整備 わせて実施 わせて実施 (5) 一次冷却材ポンプ耐熱シール 改良型耐熱シールへ順次交換 H25~26 年 検討中 2-136

151 の採用 度 (6) 原子力防災の強化 ( 総合拠点機 電事連大の原子力緊急事態支援組織への参 H24 年度 H24 年度 能拡充等 ) 画や本店の総合拠点機能の拡充等 (7) テロ対策の強化 防護壁の設置や侵入監視装置を強化 H26.3 H

152 表 日本原電 ( 敦賀 1 2 号機 東海第二 ) の対応状況 敦賀 1 2 号機対策 実施内容 予定 ( 完了 実施中か実施予定 ) 浸水防止対策 安全上重要な建屋の扉や貫通部のシール施工 安全上重要な建屋の扉を水密扉に交換 標高 8m の防潮堤の設置 海水ポンプエリアに防護壁設置 電源確保対策 非常用 DG 冷却用の可搬式ポンプの配備 非常用 DG 発電機の代替となる高圧電源車と低圧電源車の 配備 1 2 号機間の融通用電源ケーブルの設置 外部電源からの受電回線の多重化 恒設空冷式発電装置の設置 77kV 開閉所施設を高台へ移設 冷却機能確保対策 消防自動車 消防ポンプ ホースの配備 ( 発電所内の複数 のタンクを給水源として使用 ) 大容量ポンプ車の配備 1 号機非常用復水器への専用配管を新設 使用済み燃料プールへの専用給水配管を新設 海水ポンプモーターの予備品の配備 シビアアクシデント対策 中央制御室の作業環境の確保 発電所構内通信手段の確保 高線量対応防護服の配備など資機材の確保と放射線管理 体制の整備 がれき撤去用重機の配備 水素爆発対策 運用面強化 免震構造 耐放射線性を有する緊急対策室建屋の新設 資機材運搬手段の多様化 ( 継続実施 ) 原災時の初動体制の強化 指揮命令系統の明確化 運転員の SA 対応能力の向上 途絶しない情報通信網の確立 災害対応資機材の充実 2-138

153 3. 諸外国における取組に関する調査 本章では 第 2 章における調査を踏まえ 我が国の議論に関係する諸外国の各機関における取組をまとめた また 指定の調査事項について整理した 3.1 米国の取組 本節では 東京電力福島第一原子力発電所事故後の米国の取組について 特に NRC の短期タスクフォース (NTTF) の設置に至るまでの経緯 NTTF が発行した短期レビュー報告書 (2011 年 7 月 12 日付 ) に示された 12 項目の勧告の内容及びこれら勧告の 2013 年 2 月末までの実施状況などについて 時系列に沿って概説する また 特に 短期レビュー報告書に示された 12 項目の勧告と 2013 年 2 月末までの実施状況を表 にまとめる 事故直後 ~ 短期タスクフォースの設置 (1) 事故直後の対応と日本に対する支援 2011 年 3 月 11 日の東日本大震災直後 NRC は 同日付ニュース (NRC News No 及び 044) で 日本の要請に応じて可能な限りの支援を行う方針を表明し NRC 本部内の運転管理センターで 24 時間体制での対応を開始した また 3 月 12 日には 日本の規制機関 (NISA) に対して BWR の専門家である NRC スタッフ 2 名を派遣した (NRC News No ) 日本政府が米国に対して正式に支援要請したため 14 日には 日本に到着した NRC スタッフが東京で技術的支援を開始するとともに さらに 9 名の専門家を追加で派遣した 日本政府が 3 月 11 日の段階で半径 3km 圏内の避難指示 半径 10km 圏内の屋内退避指示を発令した後 1 号機の水素爆発 (12 日 ) を受けて半径 20km 圏内の避難指示に さらに 3 号機 (14 日 ) 2 号機及び 4 号機 (15 日 ) の水素爆発を受けて半径 30km 圏内の屋内退避指示に拡大されていった これについて NRC は 15 日の段階では 報告されている放射線測定値によれば これらの防護措置によって線量限度 ( 全身 1rem 甲状腺 5rem) を十分に下回る と述べていた (NRC News No ) しかし 16 日になって 米国大使館は NRC に勧告に従って 福島第一原子力発電所から 50 マイル (80km) 圏内の米国人に対して避難を勧告した NRC は 16 日に根拠とした試算結果を公表したが その入力条件はこの時点で示されなかったため 日米で避難勧告の範囲が異なることが問題視された これについて NRC 委員長は翌 17 日の記者会見で 各国の規制は異なるため このような状況での対応方法も異なる NRC は現時点で得られる情報から 我々であればどの 3-1

154 ように対処するか検討した結果 50 マイルの避難勧告を出した と述べている なお NRC が用いた入力条件は 2 号機の 100% 燃料損傷で 格納容器が完全に破損し フィルタを介さずに放出されたというものであった これは 当時 NRC は 1~4 号機の状況について以下のように認識していたためである 1~3 号機 : 外部電源喪失及び所内ディーゼル発電機が津波によって利用不能となったことで ある程度まで炉心が損傷している 2 号機 : 炉心冷却は不安定だが 格納容器の機能は維持できていると考えられる 使用済燃料プール (SFP) の水位は低下している 3 号機 :SFP の健全性は損なわれ ジルコニウム- 水反応が起こっていると考えられる 4 号機 : 事象時は原子炉停止していたが SFP で燃料が露出し 水素爆発が起こったと思われる 原子炉建屋が破損し SFP に水はないと考えられる その後 4 号機 SFP には水があることが判明し 爆発も 3 号機で発生した水素が流入したことが原因と推定された NRC スタッフは 50 マイルの避難勧告を出した背景について 2011 年 4 月 7 日開催の第 582 回 ACRS ミーティングで 4 号機の原子炉建屋で爆発があり 緩和措置が講じられていないと思われたため 大きな懸念があった 限定的で不確かな情報しかなかったため 保守的な勧告となった と振り返っている (2) 事故直後における米国発電所の妥当性検証 NRC は 原子力発電所の設置者に対し Information Notice 日本における東北 - 太平洋沖地震の原子力発電所への影響 を 2011 年 3 月 18 日付で発行し 設計基準を超える自然現象に起因する火災 爆発に対応するために米国内の規制要件を再確認している そして 産業界が各サイトで自主的に開始した活動 ( 設計基準を超える事象を緩和する能力 航空機衝突等に起因する火災 爆発によるプラント大規模喪失時の対応能力 SBO 及び洪水に対処する能力などを検証するための評価及び踏査活動 ) について 各プラントでの取り組みを個々に評価するための暫定検査要領 (TI:Temporary Instruction) を作成中であると述べた ( その後 3 月 23 日付で TI 2515/183 福島第一原子力発電所燃料損傷事象のフォローアップ を公表し 2011 年 4 月末まで各プラントの検証活動を確認した結果 通常の安全系統が利用できなくなるような事象であっても安全を確保できることを確認できたと結論付けた (NRC News No )) (3) 短期タスクフォースの設置による規制見直しの開始 NRC スタッフは 3 月 21 日に開催された NRC 委員会とのミーティングで 短期的な 90 日の活動を実施することを提案した また その評価結果に応じて 何らかの規制措置 ( 命 3-2

155 令等 ) を講じる可能性があると言及した Jaczko 委員長 ( 当時 ) は 同日付 COMGBJ で福島事故に対応するための短期 長期レビューを実施することを他の 4 名の NRC 委員に提案し 同意を得たため 3 月 23 日付で短期 長期レビューの実施を NRC スタッフに指示した これに従い NRC 運営総局長 (EDO) は短期レビューを実施するためのタスクフォース (NTTF: 短期タスクフォース ) の担う上級管理職 6 名を 3 月 30 日に任命した これに従い NTTF は 短期レビューとして以下を実施した 全交流電源喪失 (SBO) や 2001 年の大規模テロへの対応措置について NRC 委員会に説明した NRC スタッフは SBO 規則を緊急に改定する必要はないと考えるが NRC 委員会からバッテリが 4 時間しか持たない点については見直しが必要との見解が示された シビアアクシデント マネジメント ガイドライン (SAMG) の管理状況に対する暫定検査 (TI 2515/184) を 4 月 29 日付で公表し 5 月 27 日までに実施した 2011 年 6 月 6 日に公表された検査結果では いくつか課題 ( 例 : 一部手順書の保管場所が不適切 定期的な演習が不十分など ) はあったが 安全上重要な問題は確認されなかったと結論付けている Bulletin を 5 月 11 日付で発行し 運転中プラントに対して大規模テロ後の対策 ( いわゆる B.5.b) に関する情報提出を要求した これに関連して NEI 06-12, Rev.2(2006 年 12 月付 : 当時非公開 ) を 5 月 5 日に公開した 短期タスクフォースの勧告 (1) 短期レビュー報告書と 12 項目の勧告 NTTF は 短期レビューの結果をまとめた報告書を 2011 年 7 月 12 日付の SECY で NRC 委員会に提出するとともに 翌 13 日の NRC News No で公表した この中で NTTF は大きく 12 項目の勧告内容を示し NRC が規制枠組みの改善を検討すること 設置者に対して事象の緩和及び対応能力を強化するよう命令等を発行することなどを推奨した 短期レビュー報告書に示された 12 項目の勧告を以下に示す なお これらの項目には さらに詳細な内容が示されているものもある ( 詳細内容は表 を参照 ) 勧告 1 - 深層防護とリスク知見をバランスさせた規制枠組みの策定勧告 2 - 地震 洪水ハザードの再評価 更新勧告 3 - 地震による火災 洪水の防止または緩和能力の長期的強化勧告 4 - 設計基準を超える外部事象による SBO の緩和能力の強化勧告 5 - Mark I/II BWR に対する信頼性の高い耐圧ベントの設置勧告 6 - 水素制御及び緩和に関する長期的検討 3-3

156 勧告 7 勧告 8 勧告 9 勧告 10 勧告 11 勧告 12 - 使用済燃料プールへの給水能力と計装の強化 - 所内緊急時対応手順書の強化 統合 - 長期的な SBO 及び複数ユニット事象に対する緊急時計画の強化 - 緊急時計画における追加課題の長期的検討 - 意思決定 モニタリング 公衆教育における追加課題の長期的検討 - 原子炉監視プロセス (ROP) の強化 また NTTF は 7 月 19 日に同報告書を NRC 委員会に説明した際 新設炉への適用にあたって以下の方針を示した ( 表 3.1-2) ABWR AP1000 及び ESBWR: 建設運転一括認可 (COL) 発給までに勧告 4 及び 7 への適合性を確認し 運開までに勧告 8 及び 9 への適合性を確認する EPR 及び US-APWR: 設計証明 (DC) 審査において勧告 4 及び 7 の適合性を確認する 運開までに勧告 8 及び 9 への適合性を確認する Watts Bar-2 及び Bellefonte-1: 運転認可 (OL) 発給までに勧告 及び 9 への適合性を確認する (2) 12 項目の勧告に対する実施方針の決定 NRC 委員会は NTTF 報告書と勧告の内容を 2011 年 8 月 19 日付で承認し NRC スタッフに対して勧告を詳細に評価し 勧告 2~12 のうち遅滞なく実施すべき項目を検討して それらに優先度を付け 10 月 3 日までに報告するよう指示した さらに 最も多岐に亘る勧告 1 については その実施方針を検討し 18 ヶ月以内に報告するよう指示した この指示を受けて NRC スタッフは 遅滞なく実施すべき項目として以下を提案し 2011 年 9 月 9 日付の SECY として NRC 委員会に報告した (NRC 委員会は これを 2011 年 10 月 18 日付で承認した ) 勧告 2.1 地震及び津波ハザードの再評価 勧告 2.3 地震及び津波に関する踏査 勧告 4.1 SBO 規制対応 勧告 CFR 50.54(hh)(2)( いわゆる B.5.b) でカバーされる機器の防護強化 勧告 5.1 Mark I 格納容器に対する信頼性の高い耐圧ベント ( その後 後述する SECY で Mark II も追加された ) 勧告 8 EOP SAMG EDMG の充実及び統合 勧告 9.3 緊急時対策に関する規制対応 また NRC スタッフは 全ての勧告に優先度付けを行った結果 ( 上記の遅滞なく実施す 3-4

157 べき項目を含む ) を 実施スケジュール案と共に 2011 年 10 月 3 日付 SECY として NRC 委員会に報告した この中で NRC スタッフは 各勧告に対して以下の 3 段階の優先度を付けた ( 各項目に対する優先度及び実施スケジュールは表 を参照 ) 第一段階 (Tier 1) は 十分なリソースの柔軟性を持ち 不必要な遅滞なく開始すべき項目である Tier 1 には SECY で指摘された に加えて 新たに 7.1( 使用済燃料プール計装 ) が分類された 第二段階 (Tier 2) は 更に技術的評価や調整が必要 第一段階の問題の解決状況に関連する あるいは不可欠な技能の利用可能性の面から 短期的には開始できない問題として指定された項目である Tier 2 には 7( 使用済燃料プールへの給水能力 : ) 及び 9.3(ERDS 性能に関しては除く (Tier 3)) が分類された 第三段階 (Tier 3) は 更に研究が必要 長期的措置の通知が完了している必要がある 勧告 1( 深層防護とリスクの知見を適切にバランスした規制枠組みの策定 ) 及び勧告 8 の解決に依存する問題として指定された項目である Tier 3 には 以下の項目が分類された 2.2 地震及び洪水ハザードの 10 年毎の確認 ( 勧告 2.1 に依存する ) 3 地震に起因する火災及び洪水の防止能力の強化 ( 長期的評価 ) 5.2 Mark I/II 以外の格納容器に関する信頼性の高い耐圧ベント ( 長期的評価 ) 6 格納容器 その他の建屋内の水素制御 緩和 ( 長期的評価 ) 9.1/9.2 長期的 SBO 及び複数ユニットの事象への対応に関する緊急時計画 (EP) の強化 ( 長期的評価 ) 9.3 ERDS の性能 ( 勧告 10 に関連する長期的評価 ) 10 長期的 SBO 及び複数ユニットの事象に関する追加 EP 課題 ( 長期的評価 ) 11 意思決定 放射線監視 及び公衆の教育に関する EP 課題 ( 長期的評価 ) 12.1 勧告された深層防護の枠組みを反映した原子炉監視プロセス (ROP) の変更 ( 勧告 1 に依存 ) 12.2 シビアアクシデントに関する NRC スタッフの訓練及び SAMG に関する NRC 駐在検査官の訓練 ( 勧告 8 に依存 ) さらに NRC スタッフは これら勧告の他に 更なる検討及び優先度付が必要となる可能性があるものとして以下の項目を挙げた ( 詳細は表 を参照 ) 格納容器フィルタベント 地震監視計装 緊急時計画区域 (EPZ) の広さの根拠 10 マイルを超える地域でのヨウ素剤の準備 使用済燃料のドライキャスク保管への移行 最終ヒートシンクの喪失 3-5

158 NRC 委員会は 上記優先度付に関する票決を行い その結果が 2011 年 12 月 15 日付で公表された これによれば NRC スタッフが示した優先度について NRC 委員の全員が賛成している なお フィルタベントについては Tier 1 に分類されている 5.1(Mark I/II の耐圧ベントに関する対応 ) の一環に含めて フィルタベントの設置を要求すべきかどうかを決定するための解析 検討を行うことが指示された 短期タスクフォース勧告の実施状況 上述の実施方針の決定を受けて NRC スタッフは 勧告毎に検討を開始した これらの検討状況を以下に概説する また 各勧告の実施スケジュール 予定 2013 年 2 月末までの実施状況を表 にまとめる (1) 命令 情報提出要求 規則作成の事前通達の発行 NRC は 早急に実施すべき項目として Tier 1 に分類された項目について早期に対応を開始した 特に 2012 年 3 月頃より以下の命令 情報提出要求及び規則作成の事前通達がそれぞれ発行された ( これらの内容は表 3.1-3~9 を参照 ) 命令 (2012 年 3 月 12 日付 ) EA : 設計基準を超える外部事象の緩和戦略 ( 勧告 4.2) EA :Mark I/II BWR に対する信頼性の高い耐圧ベント ( 勧告 5.1) EA : 信頼性の高い使用済燃料プール計装 ( 勧告 7.1) 情報提出要求 (2012 年 3 月 12 日付 ) 地震及び津波ハザードの再評価 踏査 ( 勧告 2.1/2.3) 緊急時計画における通信 スタッフィング ( 勧告 9.3) 規則作成の事前通達 10CFR50.63 SBO 規則改定の事前通達(2012 年 3 月 20 日付 )( 勧告 4.1) 所内緊急時対応手順書 (EOP SAMG EDMG) の強化 統合に関する規則作成の事前通達 (2012 年 4 月 18 日付 )( 勧告 8) (2) 実施ガイダンスの作成 NRC と産業界は 上述の命令及び情報提出要求に示された内容を実施するためのガイダンスについてミーティング等で議論しており 2013 年 2 月末までに以下のガイダンス 暫定検査要領を発行している 3-6

159 ガイダンスタイトル発行日勧告 JLD-ISG JLD-ISG JLD-ISG JLD-ISG 設計基準を超える外部事象の緩和戦略 ( タイトル ) Mark I/II BWR の信頼性の高い耐圧ベント 信頼性の高い使用済燃料プール計装 耐震裕度評価 (SMA) の実施ガイダンス 2012 年 8 月 29 日 年 8 月 29 日 年 8 月 29 日 年 11 月 16 日 2.1 JLD-ISG 洪水総合評価ガイダンス 2012 年 11 月 30 日 2.1 JLD-ISG 案 津波 高潮 静振ハザード評価 2012 年 10 月 18 日 ( ドラフト ) TI 2515/187 洪水踏査の暫定検査要領 2012 年 6 月 27 日 2.3 TI 2515/188 地震踏査の暫定検査要領 2012 年 7 月 6 日 2.3 NEI 信頼性の高い SFP 計装ガイダンス 年 8 月 7.1 NEI FLEX 対応ガイダンス 2012 年 8 月 4.2 NEI 洪水踏査ガイドライン 2012 年 6 月 18 日 2.3 EPRI 地震踏査ガイダンス 2012 年 6 月 2.3 EPRI 案 地震評価ガイダンス 2012 年 11 月 ( ドラフト ) 2.1 ( 注 ) ISG(Interim Staff Guidance) NRC の審査スタッフ向けの短期的なガイダンス JLD は Japan Lessons- Learned Project Directorete の略 TI(Temporary Instruction) NRC 検査官向けの短期的な指示書 NEI ガイダンス NEI の元で事業者が共通の規制課題を解決するために検討グループを立ち上げて作成する産業界の自主的なガイダンス EPRI ガイダンス事業者またはオーナーズグループなどの委託を受けて専門性の高い技術的課題を解決するために作成されるガイダンス 議会 規制行政庁 民間組織 法律 規則 ガイダンス一般通達文書 民間規格産業界のガイドライン 1954 年原子力法 ( 軍事 平和利用の基本理念と行政組織 ) 1974 年エネルギー再編成法 (NRC のミッション 権限等 ) Code of Federal Regulation(CFR) ( 事業者の遵守義務等 ) Reg. Guide Generic Letter 等 ( 規則を満足する具体的な方法や要求事項 ) ASME IEEE ANS 等の規格 NEI EPRI 等のガイドライン (Reg. Guide 等で参照される ) 3-7

160 表 NTTF 勧告の内容 優先度 実施状況等 (2012 年 12 月末時点 )(1/10) (SECY SECY SECY SECY 等 ) No. 勧告内容 優先度 予定 実施状況 関連文献 1 深層防護とリスク知見を適切にバランスさせた 適切 な防護のためのロジカル 系統的 かつ一貫した規制枠組みを策定する 1.1 適切な防護を確保するための必須要素として NRC の規制に拡大設計基準要件を含む リスク情報を活用した深層防護の枠組みを言及した NRC 政策声明書を作成する 1.2 上記の NRC 政策声明書に対応した リスク情報 公開ミーティング NRC と産業界が以下の 3 つの方針案について議論 方針 1: 既存枠組みの利用継続と その都度改善方針 2: 既存枠組みの利用継続と 一部を改善方針 3: 既存枠組みの改訂 ( 設計基準カテゴリの拡大やリスク情報 を活用した深層防護の枠組みを実施する規則作成を開始する を活用したパフォーマンス ベースの規制枠組みなど ) 1.3 規制上の分析ガイドラインを見直し 深層防護フィロソフィを 現在力点を置いているリスクベース指針とバランスさせ より有効に実施できるようにする NEI コメント NEI が まずは Tier 1 の解決に注力すべき などのコメントを NRC に送付 1.4 NUREG-1560 及び NUREG-1742 で概説されている IPE 及び IPEEE の知見を評価し 潜在的な共通規制またはプラント個別規制を摘出する - 今後 2013 年 3 月頃までに公開ミーティングや ACRS ミーティングでさらに議論予定 3-8

161 表 NTTF 勧告の内容 優先度 実施状況等 (2012 年 12 月末時点 )(2/10) (SECY SECY SECY SECY 等 ) No. 勧告内容 優先度 予定 実施状況 関連文献 2 設置者に対し 各運転中原子炉における構築物 系統及び機器 (SSC) の設計基準地震及び洪水防護を再評価及び必要に応じて更新するよう求める 当該サイトでの地震及び洪水ハザードを現行の NRC 要件及びガイダンスに対して再評価し 必要に応じ 更新されたハザードから防護すべく 設計基準及び安全上重要な SSC を更新するよう求める 年毎に地震ハザード及び洪水ハザードを確認し 新規及び重大な情報に対処するよう設置者に要求する規則作成を開始する 必要に応じ 更新されたハザードから防護すべく 安全上重要な SSC の設計基準を更新する 2.3 外部事象の設計基準を更新する長期措置が完了するまでの暫定期間 プラント個別の脆弱点を特定 対処し 水密バリア シールといった防護特性の監視 維持の妥当性を検証する地震及び洪水防護の踏査を行うよう求める 3 長期レビューの一部として NRC が地震による火災及び洪水を防止または緩和する能力を向上する可能性について評価する Tier 1 1. 情報要求を発行 ( 発行済 ) 2. 回答評価 (SE または NUREG 発行 ) 3. 命令の発行 ( 必要な場合 )( 決定より 3 ヵ月 ) 4. 検査 (TBD) 5. 完了レター ( 最終検査後 1 ヵ月 ) NRC と産業界は地震 洪水ハザードの再評価に関するガイダンスを順次発行中 今後 実際の評価が進められる見通し 地震再評価 EPRI 案 JLD-ISG 洪水再評価 JLD-ISG JLD-ISG 案 Tier 3 1. 将来的な規則作成に必要な準備作業を開始する - 2. 勧告 2.1 及び上記 1 に関する十分な経験が得られた後 規則作成 計画を完成させる Tier 1 上記 2.1 と並行して検討中 NRC と産業界は地震 洪水ハザードの踏査に関するガイダンスを順次発行中 今後 実際の踏査が実施される見通し 地震踏査 TI 2515/188 EPRI 洪水踏査 TI 2515/187 NEI Tier 3 1. 地震に起因する火災及び洪水の PRA 手法開発を開始する - 2. Tier 1 及び上記 1 の活動により十分な情報が得られた後 本勧告 の再評価を実施する 3-9

162 表 NTTF 勧告の内容 優先度 実施状況等 (2012 年 12 月末時点 )(3/10) (SECY SECY SECY SECY 等 ) No. 勧告内容 優先度 予定 実施状況 関連文献 4 全ての運転中及び新規原子炉で 設計基準及び設計基準を超える外部事象に関して SBO の緩和能力を強化する 各運転中及び新規原子炉の設置者に対して Tier 1 1. 規則作成 発行 (4 年 3 ヵ月 ) - (1)SBO に対して最低 8 時間という想定時間を設定する (2) 炉心及び使用済燃料プール冷却 及び必要に応じて原子炉冷却系及び格納容器健全性のため 72 時間という 拡大 SBO 想定時間を適用するため必要な設備 手順書及び訓練を設定する (3) 重大な自然災害により所外輸送インフラが大幅に低下する条件下で 継続的な炉心及び使用済燃料プール冷却 及び必要に応じて原子炉冷却系及び格納容器健全性のための所外リソースを 拡大想定時間の範囲内で設備を所内に運び込む能力を含め 事前計画及び事前準備するよう求める 10CFR の規則改定を開始する 2. 設置者の対応 (TBD) 3. 検査 (TBD) 事前通達 NRC が規則改定を開始する事前通達を発行し 規則改定で考慮すべき事項について公衆コメントを募集 4.2 設計基準外部事象の影響から 現在 10CFR 50.54(hh)(2) に基づき導入されている設備を適切に防護し 必要に応じ 他の要件が改定 実施されるまでの間 複数ユニット事象に対処するための設備を追加するよう求める Tier 1 1. 命令の作成及び発行 ( 発行済 ) 2. 設置の対応 (4 ヵ月 ) 3. 検査 (TBD) 4. 完了レター ( 最終検査後 1 ヵ月 ) 命令 EA ガイダンス JLD-ISG NEI NRC と産業界がガイダンスをそれぞれ発行 NRC は JLD-ISG で NEI をエンドース 3-10

163 表 NTTF 勧告の内容 優先度 実施状況等 (2012 年 12 月末時点 )(4/10) (SECY SECY SECY SECY 等 ) No. 勧告内容 優先度 予定 実施状況 関連文献 5 MarkⅠ 及び MarkⅡ 格納容器を有する BWR 施設で信頼性の高い耐圧ベント設計を要求する BWR MarkⅠ 及び MarkⅡ 格納容器で信頼性の高い耐圧ベントの設置を求める 5.2 福島事故を考慮し 他の格納容器設計における耐圧ベントの必要性を再評価する 再評価の結果を踏まえ 耐圧ベントを必要とする格納容器設計に対して適切な規制活動を講じる 6 長期レビューの一部として 福島第一事故の更なる検討により追加情報を得て NRC が格納容器または他の建屋内の水素制御及び緩和に関する知見を特定する Tier 1 1. 命令の作成及び発行 ( 発行済 ) 2. 設置の対応 (TBD) 3. 検査 (TBD) 4. 完了レター ( 最終検査後 1 ヵ月 ) NRC は JLD-ISG で Mark I/II BWR の容認可能な耐圧ベントに関する見解を示した NRC と産業界は Mark I/II BWR へのフィルタベント設置に関して検討中 産業界及び ACRS は必要に応じて各プラントで設置することを推奨 NRC スタッフは全プラントへの設置を推奨 命令 EA ガイダンス JLD-ISG Tier 3 Mark I/II のシビアアクシデント時のベント及びフィルタベントの - 必要性に関する結論が出るまで 検討を延期する Tier 3 1. 福島事故のシナリオを特に水素の発生の面から評価し 米国内 - のプラントの事故シナリオと比較する 2. 水素の格納容器外への流出経路を評価する 3. 追加の水素制御手法及び潜在的な水素の近接建屋への流入経路 を フィージビリティ 安全上の重要度 リスクの観点から評価 する 4. 現行の水素制御要件 (10CFR50.44) の技術ベースを評価する (5 年 ) 3-11

164 表 NTTF 勧告の内容 優先度 実施状況等 (2012 年 12 月末時点 )(5/10) (SECY SECY SECY SECY 等 ) No. 勧告内容 優先度 予定 実施状況 関連文献 7 使用済燃料プールに関し 使用済燃料プール補給能力とその計装を強化する 制御室から主要な使用済燃料プールのパラメータを監視する上で十分な 設計基準自然現象に耐えられる 安全関連計装の設置を求める 7.2 使用済燃料プール補給系に安全関連交流電源の設置を求める 7.3 使用済燃料プールに照射済燃料がある場合 原子炉の運転モードに関わらず 使用済燃料プール補給及び使用済燃料プール計装のための所内非常用電源が 1 トレインオペラブルであるよう Tech.Spec. で規定するよう求める 7.4 使用済燃料プールに水をスプレイする耐震保証された方法を 建屋外側から水を供給する ( 可搬ポンプまたはポンプ車を利用 ) ための容易にアクセスできる接続部を含め 導入するよう求める 7.5 使用済燃料プールに関わる措置を要求する規則作成または許認可活動または両方を開始する Tier 1 1. 命令の作成及び発行 ( 発行済 ) 2. 設置の対応 (4 ヵ月 ) 3. 検査 (TBD) 4. 完了レター ( 最終検査後 1 ヵ月 ) 命令 EA ガイダンス JLD-ISG NEI NRC と産業界がガイダンスをそれぞれ発行 NRC は JLD-ISG で NEI を概ねエンドース Tier 2 規制対応を詰めるには さらなる検討が必要 - Tier 2 Tier 2 Tier

165 表 NTTF 勧告の内容 優先度 実施状況等 (2012 年 12 月末時点 )(6/10) (SECY SECY SECY SECY 等 ) No. 勧告内容 優先度 予定 実施状況 関連文献 8 緊急時操作手順書 (EOP) シビアアクシデント マネージメント ガイドライン (SAMG) 大規模損傷緩和ガイドライン (EDMG) といった所内の緊急時対応能力を強化 統合する EOP 技術ガイドラインを見直し (1)EOP SAMG Tier 1 1. 規則作成 発行 (4 年 3 ヵ月 ) - 及び EDMG を統合したものとし (2) 実施のため明確な命令及び管理方策を規定し (3) 緊急時に決定を行う要員に対する適切な資格付与及び訓練を明記するよう求める 2. 設置者の対応 (TBD) 3. 検査 (TBD) 8.2 各運転中炉型の標準 Tech.Spec. における 5 章 運 Tier 1 営管理 を見直し 当該炉型で承認された EOP 技術ガイドラインを参照する 8.3 EOP 技術ガイドラインを参照している部分に関 Tier 1 し 各プラントの Tech.Spec. を変更するよう求める 8.4 緩和方策を実施すると想定されている全スタッフ 及び緊急時コーディネータや緊急時ディレクタを含む 緊急時に意思決定を行うと想定されるスタッフに対し より現実的で実際に関与する SAMG 及び EDMG の訓練及び演習を要求する規則作成を開始する Tier

166 表 NTTF 勧告の内容 優先度 実施状況等 (2012 年 12 月末時点 )(7/10) (SECY SECY SECY SECY 等 ) No. 勧告内容 優先度 予定 実施状況 関連文献 9 NRC が施設緊急時計画で長期的 SBO 及び複数ユニット事象に対応するよう要求する 要員及びスタッフィング 線量評価能力 訓練及 Tier 3 1. 勧告 9.1~11 に関して 一件の規則作成の事前通達を発行する - び演習 設備及び施設の分野について 複数ユニット事象に関して緊急時計画 (EP) を強化するよう求める規則作成を開始する 2. スタッフィング及びコミュニケーションに関する情報提出要求への回答を評価する 9.2 通信能力 緊急時対応データシステム (ERDS) Tier 3 1. 勧告 9.1~11 に関して 一件の規則作成の事前通達を発行する - 能力 訓練及び演習 設備及び施設の分野について 長期的 SBO に関して EP を強化するよう求める規則作成を開始する 2. スタッフィング及びコミュニケーションに関する情報提出要求への回答を評価する 9.3 規則作成が完了するまで 以下を実施するよう求める Tier 1 ( 通信及 1. 情報要求を発行 ( 発行済 ) 2. 回答評価 (SE または NUREG 発行 ) - - 複数ユニット事象に対応するため必要な全ての役職を埋めるよう 担当者を決定 - 複数ユニット及び長期 SBO シナリオに関して定期訓練及び演習を実施 -EP 設備及び施設が複数ユニット及び長期 SBO シナリオに対して十分か確認 - 長期 SBO 時に所内と所外の通信に必要な通信設備給電手段を確保 - 事故の全期間における ERDS 能力の維持 びスタッフィング関連 ) Tier 2 (EP) Tier 3 (ERDS) (SHI で予定決定 ) 3. 命令の発行 ( 必要な場合 )( 決定より 3 ヵ月 ) 4. 検査 (TBD) 5. 完了レター ( 最終検査後 1 ヵ月 ) 9.4 複数ユニット サイトの監視能力を確保するため ERDS 更新イニシアチブを 2012 年 6 月までに完了させるよう求める Tier 3 1. 勧告 9.1~11 に関して 一件の規則作成の事前通達を発行する 2. スタッフィング及びコミュニケーションに関する情報提出要求 (50.54 レター ) への回答を評価する

167 表 NTTF 勧告の内容 優先度 実施状況等 (2012 年 12 月末時点 )(8/10) (SECY SECY SECY SECY 等 ) No. 勧告内容 優先度 予定 実施状況 関連文献 10 長期レビューの一部として NRC が複数ユニット事象 及び長期的 SBO に関して緊急時の備えに関わる追加の課題がないか検討する 10.1 福島事故による知見を踏まえ 緊急時対応者及び Tier 3 現在の防護設備要件の再解析 - ガイダンスにおける現行の防護設備要件を分析する 10.2 指揮命令系統及び意思決定者の資格を評価し 長 Tier 3 指揮命令系統 意志決定者の資格認定の評価 悪条件下での機器の調達を含めた 緊急時対応の強化の必要性を決定するための研究 期 SBO または複数ユニット事故または両方に関して正しい施設に適切なレベルの権限及び監視があるか確認する 10.3 ERDS を評価し 以下を行う - 過酷な自然災害中に利用できなくなりうる有線インフラに依存しない ERDS データ発信の代替手段 ( 衛生経由等 ) を評価 - 各サイトから受信しているデータセットが現在の評価ニーズに即したものか評価 -ERDS は連続でデータを発信し 緊急時に運転員操作を不要とすべきか評価 Tier 3 意思決定の枠組み強化のための連邦緊急管理庁(FEMA) との作業 リアルタイムの放射線モニタリングの有効性の研究 他の連邦組織との協力による 放射線安全 ヨウ化カリウムの適切な利用に関する訓練 3-15

168 表 NTTF 勧告の内容 優先度 実施状況等 (2012 年 12 月末時点 )(9/10) (SECY SECY SECY SECY 等 ) No. 勧告内容 優先度 実施スケジュール及び実施状況 関連文献 11 長期レビューの一部として NRC が意思決定 放射線 モニタリング及び公衆教育に関して緊急時の備えに関わる追加の課題がないか検討する 11.1 所外インフラの劣化や対応の優先度により所外からの支援が送れるまたは阻害されうる重大な自然事象の条件下で所内へ設備を搬送できる能力を含め 設置者の緊急時計画を有効に実施するため 所内緊急時対応リソースの拡大が必要か検討する Tier 3 現在の防護設備要件の再解析 指揮命令系統 意志決定者の資格認定の評価 悪条件下での機器の調達を含めた 緊急時対応の強化の必要性を決定するための研究 意思決定の枠組み強化のための連邦緊急管理庁(FEMA) との作業 連邦緊急事態管理庁 (FEMA) 州及び他の外部利害関係者と福島での EP 実施による知見を評価し 復旧及び再入域の概念を含め 米国の意思決定枠組みにおける潜在的な改善点を特定する 11.3 所内及び緊急時計画区域 (EPZ) のリアルタイムでの放射線モニタリングの有効性を検討する ( 電源の独立性やインターネットのリアルタイムでの利用可能性を含む ) 11.4 適切な連邦組織と調整の上 各原子力発電所付近の地元コミュニティにおける放射線 放射線安全 ヨウ化カリウム (KI) 利用に関する訓練を実施する Tier 3 リアルタイムの放射線モニタリングの有効性の研究 他の連邦組織との協力による 放射線安全 ヨウ化カリウムの適切な利用に関する訓練 Tier 3 Tier

169 表 NTTF 勧告の内容 優先度 実施状況等 (2012 年 12 月末時点 )(10/10) (SECY SECY SECY SECY 等 ) No. 勧告内容 優先度 予定 実施状況 関連文献 12 勧告した深層防護の枠組みに即した深層防護要件によ り注意を向けることにより 設置者の安全パフォーマンスに対する規制監視 (ROP: 原子炉監視プロセス ) を強化する 12.1 年次 ROP 自己評価及び隔年の ROP 再配置にお Tier 3 現在の防護設備要件の再解析 - ける範囲を拡大し 深層防護の考え方をより完全に取り込む 12.2 SAMG に関する駐在検査官の訓練を含め シビアアクシデントに関する NRC スタッフの訓練を拡大する Tier 3 指揮命令系統 意志決定者の資格認定の評価 悪条件下での機器の調達を含めた 緊急時対応の強化の必要性を決定するための研究 意思決定の枠組み強化のための連邦緊急管理庁(FEMA) との作業 リアルタイムの放射線モニタリングの有効性の研究 他の連邦組織との協力による 放射線安全 ヨウ化カリウムの適切な利用に関する訓練 略語 :SE: 安全評価書 SHI: ステークホルダの関与 RG: 規制指針 EOP: 緊急時操作手順書 SAMG: シビアアクシデント マネージメント ガイドライン EDMG: 大規模損傷緩和ガイドライン EP: 緊急時計画 ERDS: 緊急時対応データシステム TBD: 未定 優先度 : Tier 1: 十分なリソースの柔軟性を持ち 不必要な遅滞なく開始すべき項目 Tier 2: 更に技術的評価や調整が必要 Tier 1 の問題解決状況に関連する あるいは不可欠な技能の利用可能性の面から 短期的には開始できない問題 Tier 3: 更に研究が必要 長期的措置の通知が完了している必要がある 勧告 1( 深層防護とリスクの知見を適切にバランスした規制枠組みの策定 ) 及び勧告 8 ( 所内緊急時対応手順書の強化 統合 ) の解決に依存する問題 3-17

170 表 NTTF 勧告の新設炉への適用方針 更なる検討が必要な項目 < 新設炉への適用方針 >(2011 年 7 月 19 日ミーティング ) ABWR AP1000 ESBWR EPR US-APWR Watts Bar-2 Bellefonte-1 建設運転一括認可 (COL) 発給までに勧告 4 及び 7 への適合性を確認し 運開までに勧告 8 及び 9 への適合性を確認する 設計証明 (DC) 審査において勧告 4 及び 7 の適合性を確認する 運開までに勧告 8 及び 9 への適合性を確認する 運転認可 (OL) 発給までに勧告 及び 9 への適合性を確認する < 更なる検討が必要な項目 >(SECY ) 格納容器フィルタベント Tier 1 に分類し 勧告 5.1 の一環として検討 NRC スタッフが Mark I/II BWR へのフィルタベント設置を推奨 する案を NRC 委員会に提出 (SECY ) 最終ヒートシンク (UHS) 喪失 その他の外部ハザード再評価 緊急時計画区域 (EPZ) の広さの根拠 Tier 1 に分類し 勧告 2 の一環として検討する Tier 2 に分類し その他の外部ハザード ( 竜巻 ハリケーン 干ばつなど ) の再評価について検討する Tier 3 に分類し 検討までに更なる研究や長期的措置が必要 10 マイルを超える地域でのヨウ素剤の準備 Tier 3 に分類し 検討までに更なる研究や長期的措置が必要 使用済燃料のドライキャスク保管への移行 地震監視計装 Tier 3 に分類し 検討までに更なる研究や長期的措置が必要 更に検討が必要な問題だが 現時点で優先度は分類せず 3-18

171 表 命令 EA 設計基準を超える外部事象の緩和戦略 要旨 現在の規制要件及び既設炉の機能に鑑みれば NRC は 米国内で福島第一事故のような事象シーケンスは起こりにくいと結論付けることができる 従って 運転の継続及び認可活動の継続は 公衆の健康と安全に対する差し迫った脅威を与えるものではない しかしながら NRC スタッフは 福島第一での事象から得られた新知見を評価した結果 設計基準を超える外部事象を緩和する原子力発電所の機能を向上させるために 認可取得者及び CP 取得者に対して 追加の要件を課さなければならないと結論付ける 本命令では 設計基準を超える外部事象を緩和するために 3 段階のアプローチを要求する 初期段階は 炉心冷却 格納容器及び SFP 冷却の維持または復旧のために 既存の設備及びリソースの利用を要求するものである 移行段階は サイト外からのリソースにより上記機能が達成されるまでの間 これらの機能を維持または復旧するのに十分な量の可搬式機器及び消耗品をサイト内に準備するよう要求するものである 最終段階は 上記機能を無期限で維持するために十分な量のリソースをサイト外に準備するよう要求するものである (1) 認可取得者または建設許可 (CP) 取得者は 設計基準を超える外部事象後に炉心冷却 格納容器及び SFP 冷却機能を維持または復旧するためのガイダンス及び戦略を策定 実施及び維持しなければならない (2) これらの戦略は 全ての交流 (AC) 電源の同時喪失及び最終ヒートシンクへの通常アクセスの喪失を緩和する機能を有し 本命令の対象となるサイトの全ユニットにおける炉心冷却 格納容器及び SFP 冷却機能に対する影響に対処する能力を有していなければならない (3) 認可取得者または CP 取得者は これらに関連する設備に対して外部事象から合理的に防護しなければならない これらの防護は 本命令の対象となるサイトの全ユニットにおいて炉心冷却 格納容器及び SFP 冷却機能に対する影響に対処できる能力があることを実証しなければならない (4) 認可取得者または CP 取得者は 全ての運転モードでこの戦略を実施できる能力を有していなければならない (5) 本命令を完全に遵守するために 手順書 ガイダンス 訓練を策定し 本戦略に必要な設備を調達 準備または設置しなければならない 本命令で要求される戦略は 原子炉と SFP にある燃料の損傷を防止するための電源 動力源及び最終ヒートシンクへの通常のアクセスが喪失し サイト内の全てのユニットが同時に影響を受ける場合に 有効と考えられる NRC は 10CFR50.109(a)(4)(ii) のバックフィット規則の規定に従い 公衆の健康と安全を適切に防護することを保証するために これらの措置が必要不可欠と判断し 認可取得者及び CP 取得者に対して措置を講ずるよう要求する さらに 10CFR2.202 に従い NRC は 公衆の健康 安全及び関心の観点から 本命令を即時発効とする 実施スケジュール 全ての OL 取得者は 命令実施のための総合計画提出 (2013 年 2 月末まで ) から 2 回目の燃料交換停止終了 あるいは 2016 年 12 月 31 日のどちらか早い方までに本命令に従った措置を完了すること CP 取得者は OL 発給までに措置を完了すること COL 取得者は最初の燃料装荷までに措置を完了すること 3-19

172 表 命令 EA Mark I/ II BWR に対する信頼性の高い耐圧ベント 要旨 1. 耐圧ベントシステム (HCVS) の機能要件 Mark I/II BWR は 格納容器の熱除去能力の喪失あるいは長期の全交流電源喪失 (SBO) に至る事象の発生後 崩壊熱を除去し 格納容器圧力を適切な制限値内に維持するための信頼性のある耐圧ベントを備えていなくてはならない HCVS は 長期 SBO 時及び格納容器冷却が不十分な条件下でもアクセス可能で運転可能なものでなくてはならない 1.1 HCVS 設計では 以下の性能目標を考慮しなくてはならない 運転員操作への依存を最小限にする 操作時に運転員が受ける熱影響などの危険を最小限にする 事象対応時に必要な活動により運転員が受ける放射線影響を最小化する 1.2 HCVS には 以下の設計機能を含めなければならない 定格熱出力の 1% 相当の蒸気 / エネルギをベントし 格納容器設計圧力未満に維持する 運転員がアクセス可能で 継続運転中に遠隔操作 あるいは手動操作できる 意図しない起動を防止する 制御室他からベント系の状態 ( 弁の位置表示など ) を監視する 監視系は 長期 SBO 時においても動作可能な設計でなければならない HCVS の運転により放出される可能性のある放射性核種を監視する 監視系は 制御室他でその値を表示し 長期 SBO 時でも動作可能な設計でなければならない ユニット内あるいはユニット間のベントされた流体の意図しないクロス フローを最小化する 機能及び性能の信頼性を維持するために適切な運転 試験 検査 及び保守のための機能及び規定がなくてはならない 系統の起動による動的負荷と最大格納容器設計圧力を考慮した設計圧力でなくてはならない 主要プラント構造物より上の放出ポイントに排気しなくてはならない 2. HCVS の品質基準信頼性のある HCVS は 以下の品質基準を満たす必要がある 2.1 二次格納容器隔離バリアまでのベントパスは プラントの設計基準と整合した設計でなくてはならない これらの項目には 配管 配管サポート 格納容器隔離弁 同アクチュエータ 及び格納容器隔離弁位置表示機器が含まれる 2.2 その他の全ての HCVS 機器は 地震後に HCVS 機能を保証できる信頼性 頑丈さがなければならない これらの項目には 電源 弁アクチュエータの圧搾空気供給及び計装機器が含まれる 3. HCVS プログラム要件 3.1 HCVS の安全運転に必要な手順を作成し 実施 維持しなければならない 常用及び非常用電源が利用可能なケースと SBO 状態の両方について手順を確立しなければならない 3.2 HCVS の運転に適切な職員の訓練をしなければならない その訓練カリキュラムには 常用及び非常用電源が利用可能なケースと SBO 状態での運転を含めなければならない 実施スケジュール全 Mark I/II BWR の OL 取得者は 容認可能なアプローチの詳細を示した最終的な暫定スタッフ ガイダンス (ISG)(2012 年 8 月発行予定 ) 発行後 60 日で最初の状況報告を提出し 総合計画提出以降 6 ヵ月毎に状況を報告すること 2013 年 2 月 28 日までに 命令実施のための総合計画を NRC に提出し 審査を受けること 総合計画提出から 2 回目の燃料交換停止終了まで あるいは 2016 年 12 月 31 日のどちらか早い方までに本命令に従った措置を完了すること 3-20

173 表 命令 EA 信頼できる使用済燃料プール計装 要旨 < 要求事項 > 水位表示要件 (3 段階 ) 以下の 3 段階の水位を表示できることを要求する (1) SFP プール冷却の通常運転に十分な水位 (2) SFP の作業デッキに立つ人を実質的に放射線から遮蔽するのに十分な水位 (3) 燃料は引き続き覆われているが給水を行なう操作をそれ以上遅らせてはならない水位 設計特徴要件 (9 項目 ) 計装 : 常設の固定された一次計装チャンネルとバックアップ計装チャンネル ( バックアップは可搬式でもよい ) から構成すること 可搬式計装は強化された性能を備えていること 配置 :SFP 水位計装チャンネルは SFP 上の構造物の損傷で生じる飛来物に対して合理的に防護すること 一次計装チャンネルとバックアップ計装チャンネルの固定部分 ( そのような部位がある場合 ) を分離すること 取付け :SFP 構造物の設計で考慮される最大地震地盤動に対してその設計構成を保持すること 保証 : 長期の飽和状態での SFP 水温 湿度 放射線レベルでの信頼性を保持すること 拡大品質保証プロセスにより確認すること 独立性 : 一次計装チャンネルはバックアップ計装チャンネルと独立していること 電源 : 常設される計装チャンネルはそれぞれ別の電源から電力を供給すること 可搬式発電機や交換式蓄電池などプラントの交流及び直流配電系統から独立した電源であること 外部リソースが利用可能となるまで水位指示機能を維持する十分な容量を備えていること 精度 : 停電または電源変更後に再較正なしで設計精度を維持すること 試験 : 定期検査と較正が可能であること 表示 : 訓練を受けた職員が制御室 代替停止盤 またはその他の適切で接近可能な位置から水位を監視できること 水位表示は 要求時または連続的な表示であること 開発 維持要件 (3 項目 ) 訓練の実施 手順書の策定 / 維持 試験及び較正の計画 / 実施を要求している NRC は 本命令についてバックフィット解析を実施していない これは 現在 SFP 計装に関する十分な情報がないためである しかし これまでも例外的な状況においてバックフィット解析を実施せずとも要求を課してきた例があり 本件はそれに該当する NRC は 本命令で要求される SFP 計装により公衆の健康と安全に対する防護を大幅に強化することができると判断し 本命令を発行した 実施スケジュール 全ての OL 取得者は 命令実施のための総合計画提出 (2013 年 2 月末まで ) から 2 回目の燃料交換停止終了 あるいは 2016 年 12 月 31 日のどちらか早い方までに本命令に従った措置を完了すること CP 取得者は OL 発給までに措置を完了すること COL 取得者は最初の燃料装荷までに措置を完了すること 3-21

174 表 情報提出要求 地震及び津波ハザードの再評価 踏査 要旨 (1/5) < 地震ハザードの再評価 > (1) あるレンジのスペクトル周波数を上回るサイト固有のハザード曲線 ( 共通フラクタイルと平均 ) と年間超過頻度 (2) 制御点 (control point) 高さにおける新たなサイト固有の地震ハザード曲線から作成したサイト固有のパフォーマンス ベースの地盤動応答スペクトル (GMRS) (3) 制御点における安全停止地震 (SSE) による地盤動の値 (4) GMRS と SSE の比較 (GMRS が SSE に完全に包絡される場合は 暫定措置計画あるいはリスク評価は不要である GMRS が高周波数においてのみ SSE を超える場合は 高周波数に対する感受性のある SSC の機能性に関する情報が必要である ) (5) NRC のスクリーニングと優先度付のための 勧告 2.3 の踏査により得られる知見の様な追加情報 以前のリスク評価から得られたプラント耐震性能の予測 (6) 以下のリスク評価を完了する前に 設計基準と比較して高い地震ハザードを検討するために実施するあるいは計画されている暫定評価及び措置 (7) 特定のリスク評価アプローチ ( 必要な場合 ) (8) 耐震裕度評価 (SMA) または地震 PRA(SPRA)( 前記の基準による ) A. SMA を用いるプラントは 以下の情報を提出すること (1) 高信頼度低破損確率 (HCLPF) の SSC の耐震裕度を定量化する方法と主要な仮定の説明 (2) SSC の耐震裕度の詳細一覧 耐震性能保証の方法 支配的な損傷モード 情報源 (3) 解析した各 SSC について 耐震裕度を定義するパラメータ値 (HCLPF 容量 加速度中央値や対数標準偏差といったその他パラメータ値 ) とその値の技術的根拠 (4) SSC のスクリーニングのベース (5) SMA の説明 ( 論理モデル 地震応答解析 格納容器パフォーマンスの評価結果 スクリーニング解析の結果 プラントの地震踏査の結果 各 SSC の重大な故障モード及び SMA の論理モデルに含まれる各 SSC の HCLPF 容量の算出を含む ) (6) SMA が技術的に妥当であることを保障するために用いた手順の説明 ピアレビューの実施日と得られた知見 (7) プラント固有の脆弱性とそれに対処するために計画している措置 B. SPRA を実施するプラントは 以下の情報を提出すること (1) 各地震加速度における 地震による炉心損傷頻度 (SCDF) に対する重大な寄与因子の一覧 (2) SCDF 及び早期大規模放出頻度 (LERF) の評価に用いた手法の概要 ( 以下の情報を含む ) ⅰ. SSC の地震フラジリティーの定量化手法と主要な仮定 ⅱ. SSC のフラジリティーの値と引用した地震性能保証の手法 支配的な故障モード 情報源 ⅲ. 地震フラジリティーに関するパラメータ ⅳ. プラント踏査から得られた重要な知見及び取られた是正措置 ⅴ. 地震プラント応答解析及び定量化において用いられた手順 ⅵ. 格納容器パフォーマンスに関する仮定 (3) SPRA の技術的妥当性を保障するために用いた手順の説明 (4) 評価で指摘されたプラント特有の脆弱性及び計画されている措置 (9) SFP 評価 A. SFP 健全性評価で用いた手順の説明 B. 評価結果 C. SFP 健全性に関する脆弱性及び計画されている措置 3-22

175 表 情報提出要求 地震及び津波ハザードの再評価 踏査 要旨 (2/5) 実施スケジュール 1. NRC がスクリーニング及び優先度付の基準 リスク評価の実施に関する詳細に関するガイダンス ( 準備中 2012 年 11 月 30 日までに完了予定 ) 発行後 60 日以内にリスク評価アプローチを 容認基準を含めて提出すること 2. 米国中東部のプラント運転者は 本レター発行後 1.5 年以内に 上記地震ハザード評価に関する項目 (1)~(7) に関する情報を提出すること NRC スタッフは 約 30 日以内に提案されたリスク評価アプローチの容認性を決定し 必要に応じて完了の優先度付を行う 3. 米国西部のプラント運転者は 本レター発行後 3 年以内に 上記地震ハザード評価に関する項目 (1) ~(7) に関する情報を提出すること NRC スタッフは 約 30 日以内に提案されたリスク評価アプローチの容認性を決定し 必要に応じて完了の優先度付を行う 4. NRC が 優先度が高いと判断するハザード再評価については 優先度決定から 3 年以内にリスク評価 ((8)A (8)B 及び(9)) を完了すること 5. NRC スタッフが 優先度が高いとは判断しなかったハザード再評価については 優先度決定から 4 年以内にリスク評価 ((8)A (8)B 及び(9)) を完了すること < 地震ハザードの踏査 > NRC は NTTF 勧告 2.3 に関する情報 プラントの地震踏査の方法及び容認基準の審査に必要な情報を要求し 是正措置を通じた機能低下状態 不適合 解析されていない状況を確認し 監視及び保守手順の妥当性を確認するために 以下の情報提出を要求する 1. 産業界が策定し NRC がエンドースした地震踏査手順 ( 準備中 2012 年 5 月までに完了予定 ) を利用するか 以下の項目を含むプラント固有の踏査手順を説明すること (a) 地震踏査のスコープ及び複合的影響の特定 (b) NUREG-1742(IPEEE 知見報告書 ) EPRI NP-6041( 耐震安全余裕評価手法 ) 一般問題プログラム TI 2515/183( 福島事故対応に関する暫定検査要領 ) の報告で議論されている共通問題及び知見 (c) 踏査前の活動 ( 例 : データ収集 図面や手順のレビュー 認可ベースの確認 現在の地震防護レベルの確認等 ) (d) 地震防護が必要で 原子炉及び SFP の防護に必要な SSC の確認 ( 最終ヒートシンク (UHS) を含む ) (e) 踏査チームの構成及び資格の説明 (f) 踏査時に収集すべき情報 ( アクセス性を考慮 ) (g) 監視 保守プログラムの効果の評価手順 (h) 静的防護システムの評価手順 (i) 動的防護システム ( 運転員が対応可能か 運転員訓練 対応の適時性 設備の保守とオペラビリティ バックアップのアベイラビリティ 様々なサイト条件下での運転員のアクセス ) の評価手順 (j) 緩和戦略を含む防護策の実行可能性を確認するための手順や容認基準 (k) UHS を含む緩和又は防護系の保守及び信頼性 (l) 文書化要件及びピアレビュー要件 2. NRC による踏査手順のエンドース後 踏査を実施し 以下の項目を示した最終報告書を提出すること (a) プラント個別のハザード認可条件に関する情報及びその認可条件の評価で考慮された防護及び緩和機能の説明 (b) 踏査プロセスの実施に関する情報 (c) IPEEE によって摘出されたプラント固有の脆弱性のリスト ( これには 地震の異常 異常値 他の知見が含まれる ) 及び脆弱性の除去や低減のために講じられた措置の説明( 措置完了日を含む ) 3-23

176 表 情報提出要求 地震及び津波ハザードの再評価 踏査 要旨 (3/5) (d) 踏査により得られた主な知見 機能低下 不適合状態 解析されていない状態 RIS ,Rev.1 NRC 検査手順書 (IP)9900, Rev.1( 品質や安全性に悪影響を与えるオペラビリティ条件 ) を利用して取られた あるいは計画されている措置の説明を含めること (e) 計画されている あるいは新たに設置された防護及び緩和設備 (f) ピアレビューの結果 及びその後取られた措置 実施スケジュール 1. 本レターの発行から 120 日以内に NRC がエンドースした地震踏査手順を用いるつもりであることを確認するか 踏査の実施及び必要な情報の作成に用いるプロセスの説明を提出すること 2. NRC が踏査プロセスをエンドースしてから 180 日以内に アクセス性の面から検査ができない領域 踏査の完了期日を含めた最終回答を提出すること < 洪水ハザードの再評価 > 1. ハザード再評価報告書洪水ハザードの再評価を行い その結果及び関連のサイト情報や詳細な解析を記載した最終報告書を提出すること (a) 洪水ハザードに関するサイト情報 この再評価の範囲には 関連の安全上重要な SSC や最終ヒートシンクが含まれるため これらの SSC に関する関連データも含めるべきである 他の関連するサイトデータには 以下が含まれる i. 詳細なサイト情報 ( 設計時 現状 ) 現在のサイトのレイアウト 安全上重要な SSC の評価 サイトの知見 空間的 経時的データを含む ii. 全ての洪水原因メカニズムに関する現在の設計基準洪水高さ iii. 認可取得以降の洪水関連の認可ベースの変更及び洪水防護 ( 緩和を含む ) の変更 iv. 認可取得以降の流域及び周辺領域の変化 v. サイトにおける現行認可ベースの洪水防護及び洪水緩和機能 vi. 洪水ハザードを評価するために必要な詳細な敷地データ ( 水深測量結果 踏査結果 等 ) (b) 現在の手法及び規制ガイダンスに基づく 各洪水原因メカニズムによる洪水ハザードの評価結果 局所的集中降雨とサイトの排水 小川や河川の洪水 ダム決壊や破損 高潮や静震 津波 流路の変動または分流及びこれらの複合影響等の サイトに影響を及ぼし得る各洪水メカニズムの解析を提出すること サイトに当てはまらないメカニズムは 除外してもよいが それを正当化する理由を示す必要がある 使用された情報や仮定 方法やモデル ( 入力 出力ファイルや他の関連データを含む ) の根拠も示すこと (c) サイトでの現行の洪水原因メカニズムと再評価された洪水原因メカニズムの比較 各洪水原因メカニズムについて 現行の設計基準洪水位と再評価された洪水位との比較評価を提出する 勧告 2.3 ( 洪水踏査 ) から得られた知見がこの判断をどのように裏付けるかを記入する 全ての洪水原因メカニズムの再評価されたハザードが現行の設計基準洪水を超えない場合は その知見がどのようにして得られたかを記入する (d) 暫定評価 設計基準と比較して高い洪水ハザードに対応するために 必要に応じて 後述する総合評価完了前に取られたまたは計画されている措置 (e) 上記 1(d) を超える措置が取られて / 計画されていれば それを示すこと 2. 総合評価報告書全ての洪水原因メカニズムの再評価されたハザードが現行の設計基準洪水を超えないとは限らない場合は 以下の情報を提出すること 3-24

177 表 情報提出要求 地震及び津波ハザードの再評価 踏査 要旨 (4/5) (a) サイトが洪水状態にある全期間についてプラントの健全性を評価するために用いた総合的な手法の説明 (b) 支配的洪水メカニズムやその影響 及び既存の対策や計画されている対策がどのように効果的な防護や緩和をもたらすかを説明したプラント評価結果 想定されたシナリオを超える裕度があるかどうかも記載すること (c) 設置された あるいは計画されている追加的な防護及び / または緩和設備 ( ハザード再評価中に設置したものも含む ) 設備とその機能を説明すること (d) プラント固有の脆弱性に対応するために取られた または計画されているその他の措置 実施スケジュール 1. NRC による総合評価報告書の詳細 脆弱性確認のための基準に関するガイダンス ( 準備中 2012 年 11 月 30 日までに完了予定 ) 発行から 60 日以内に 総合評価報告書 ( 脆弱性の摘出基準を含む ) を提出すること 2. NRC スタッフは 本レター発行後約 60 日以内に 各サイトのハザード再評価実施の優先度付を行う その優先度付に従い 本レター発行後 1~3 年以内にハザード再評価報告書を提出すること 情報要求 1(d) で要求される暫定措置計画も含めること 3. ハザード再評価報告の提出から 2 年以内に 情報要求 2 で要求される対応を完了し 回答を提出すること < 洪水ハザードの踏査 > 1. 産業界が策定し NRC がエンドースした洪水踏査手順 ( 準備中 2012 年 5 月までに完了予定 ) を利用することを確認するか 以下の情報を含むプラント個別の踏査手順を提出すること (a) 運転員操作及び暫定的な洪水緩和策査への過度の依存 及び水位の僅かな上昇が洪水リスクの急増につながるという クリフエッジ 効果に関する NTTF 報告書の知見への対応 (b) NUREG-1742(IPEEE 知見報告書 ) の外部洪水の定性的評価結果 (4.3.3) TI 2515/183( 福島事故対応に関する暫定検査要領 ) の報告の 節で議論されている共通問題及び知見 INPOSER 1-01 で示された重大な知見 (c) 新しい関連の洪水ハザード情報 及び Fort Calhoun の事象等の最近の洪水関連の踏査から得られた知見 (d) 同時に発生すると合理的に予想できる強風 雹 雷等の他の悪条件と洪水との複合影響 例えば 暴風雨状態のために支障なく評価が行えなかったサイト外の系統や機器の操作を必要とする洪水防護手順のステップ (e) 現在のサイト地形データ ( 当初の認可以降の変更 ( 例 : セキュリティ面の改善や仮設構築物 ) を含む ) の収集 現状の図面 現在の設計基準洪水位のレビュー 外部バリア 内設バリア 仮設洪水バリア等の洪水防護設備や関連の洪水緩和設備のレビュー等の踏査前の活動 (f) Reg. Guide 1.29( 耐震設計クラス分類 ;RG 1.59( 設計基準洪水 ) 及び RG 1.102( 洪水防護 ) で設計基準洪水に耐え 機能が維持できるよう設計すべき SSC の摘出に用いるよう勧告されている ) で示された設計基準ハザードに耐えるよう設計すべき SSC の高さ (elevation) のリスト (g) 踏査チームの構成及び資格の説明 (h) 洪水防護システムの利用可能性 機能 様々なサイト条件下での機能性を確認するために 以下の状況をレビューする i. 運転員が対応可能か 運転員訓練 対応の適時性 設備の保守とオペラビリティ バックアップのアベイラビリティ 様々なサイト条件下での運転員のアクセス 3-25

178 表 情報提出要求 地震及び津波ハザードの再評価 踏査 要旨 (5/5) ii. 外部バリア ( 定義 ;RG 参照 ) の評価方法と容認基準 iii. 内設バリア ( 定義 ;RG 参照 ) の評価方法と容認基準 iv. 仮設洪水バリア ( 定義 ;RG 参照 ) の評価方法と容認基準 v. 悪天候条件に対する備え (i) 洪水緩和戦略や洪水緩和機器の状態と妥当性を定期的に検証するプログラム (j) 踏査結果の効率的で統一されたレビューや評価を可能とする 文書化テンプレート ( ピアレビュー要件を含む 後述の報告要件も考慮 ) 2. NRC による踏査手順のエンドース後 踏査を実施し 以下の項目を示した最終報告書を提出すること (a) 全ての洪水原因メカニズム ( 地下水侵入を含む ) の設計基準洪水ハザード水位 (b) 認可基準評価において 安全上重要な SSC への外部からの水の侵入を防護すると考えた防護 緩和設備 (c) 安全上重要な部屋への水の浸入を検知する警報システム (d) 洪水防護システム 外部洪水バリア 内設洪水バリア 仮設洪水バリアの効果 情報要求 1 (h) で示された容認基準を用いてこれらのシステム バリアがどの様に評価されたかを示す (e) 情報要求 1 (j) で示された文書テンプレートを用いた踏査プロセスの実施に関する情報 ( 踏査チーム及び手順の選定の詳細を含む ) (f) 踏査により得られた主な知見 機能低下 不適合状態 解析されていない状態 RIS , Rev.1 NRC 検査手順書 (IP)9900, Rev.1( 品質や安全性に悪影響を与えるオペラビリティ条件 ) を利用して取られた あるいは計画されている措置の説明を含めること (g) 特定されたクリフエッジ効果と関連の基準 是正措置プログラムに記入されたクリフエッジ効果を明記する また クリフエッジ効果に対応するために講じられた措置や計画されている措置の詳細な説明 (h) その他の計画されている あるいは新たに設置された洪水防護及び緩和設備 ピアレビューの結果 及びその後取られた措置も含める 実施スケジュール 1. 本レターの発行から 90 日以内に NRC がエンドースした洪水踏査手順を用いるつもりであることを確認するか 踏査の実施及び必要な情報の作成に用いるプロセスの説明を提出すること 2. NRC が踏査プロセスをエンドースしてから 180 日以内に アクセス性の面から検査ができない領域 踏査の完了期日を含めた最終回答を提出すること 3-26

179 表 情報提出要求 緊急時計画における通信 スタッフィング 要旨 <スタッフィング> 1. 上記の条件に適合する大規模自然現象への対応に必要なサイト職員と増補員の評価を実施すること この評価には EP 及び / またはプラントの運転手順書に記載されている戦略を実施するために利用可能なサイト職員と増補員に関する議論を含めること 下記の機能に対する評価が要求される : 2. サイト職員が NTTF 勧告 4.2 の命令に示されるような 代替保管施設からバックアップ機器 ( ポンプ 発電機など ) を補修位置まで移動する方法 NUREG-0654 の表 B-1 に示される主要機能領域 ( プラント運転 運転評価 緊急時の指揮命令 通報連絡 被ばく評価及び事故評価支援 ) に関する検討を含めること 評価結果に基づいて特定された新たな職員や機能 付随する職務 ( 任命された機能のタイムリーな実施を妨げない職員 ) 3. サイト職員及び増補員の評価を実施するために必要な時間スケジュールを提出すること また 変更が必要だと判断された場合は 当該変更の実施スケジュールを含めること 4. 連絡機能の劣化を考慮し どのように増補員に連絡するのか特定すること 5. 大規模自然現象後に利用可能であることが期待される サイトへのアクセス方法を特定すること ( 例 道路 航行可能水域と港湾施設 空輸 ) 6. スタッフィング評価完了前に講じられる または計画される暫定措置を特定すること 7. 全交流電源喪失及び複数ユニット事象に対応するために必要な EP の変更内容を特定すること これには 外部リソース提供者 ( スタッフィング 設備 輸送等 ) との協定の新規締結または変更を含む < 通信 > 1. 緊急時に使用される既存の通信システムや設備を評価し 大規模な自然現象発生時に通信が維持されることを保証するために必要な強化策を特定すること 評価には以下の情報を含めること 既存のサイト内通信システム及びそれらに必要な常用及び / またはバックアップの電源供給について 計画している改良点または潜在的な改良点 既存のサイト外通信システム及びそれらに必要な常用及び / またはバックアップの電源供給について 計画している改良点または潜在的な改良点 前述で想定した条件に基づいて導入される新規の通信システムまたは技術 新規及び / または改良されたシステムや電源供給によって どのようにして SBO 時に通信が確保されるのか 2. 評価の結果講じられる措置が完了するまでに 既存の通信システムの電源を強化するために講じられた または計画されている暫定措置があれば それについて説明すること 3. 評価結果に基づいて措置を講じる場合のスケジュールを示すこと 3-27

180 表 CFR50.63 SBO 規則改定の事前通達要旨 (1/2) (2012 年 3 月 20 日付官報 ) < 規則改定スコープ> 1. SBO 設備は現在想定していない自然現象に対して耐えられるように設計すべきか SBO 緩和戦略ではそのような自然現象を考慮すべきか どれくらい過酷な自然現象を考慮するか ( 復旧時間または現象継続時間 ) 例えば 洪水のリスクでは クリフエッジ効果が懸念され 洪水水位の少しの上昇により影響が著しく拡大する 従って 不確かさや追加の深層防護のために SBO 解析では想定している水位を超える水位を考慮すべきか その場合 どのような基準を用いるべきか 2. 上記の解析が妥当な場合 設計に包絡される追加の裕度としてどのようなものを考慮すべきか そのような解析に既存の近隣のダムや水源を含めるべきか 3. 設計に包絡されないが SBO に至る可能性のある事象に対し 設置者は緩和措置の成功確率を高めるために早期に対応する必要がある SBO 緩和要件を策定する上で重要な時間的制限は何か 4. 米国では 場所によって SBO に至る自然現象が異なる NRC は検討すべき自然現象を決定するための新たな基準を確立すべきか そのような基準が必要な場合 基準はどのようなものにすべきか 5. 10CFR50.63 は単一ユニットの SBO を想定しているが 福島第一事故を受けて複数基サイトではサイト全体の SBO を想定する必要があると考えている これに対する考えはどのようなものか また 新たな規則でどのように対応すべきか 6. 新たな規則では SBO 時に使用済燃料プール (SFP) に対する長期冷却及び給水を要求すべきか 7. SBO 規則では外部事象が現行の SBO 想定時間に与える影響を検討すべきか 8. このセクションで議論している新たな要件を課す場合 どのような効果またはコストがかかると予想されるか < 規則改定の目的 / 成功基準 > 1. SBO 規則の目的は何を達成するために設定すべきか a. 長期 SBO による炉心損傷頻度を低減すべきか それとも SBO に至る低発生確率の外部事象による早期大規模放出頻度の低減に注力すべきか b. SBO 規則は深層防護のような定性的な安全性の向上に努めるべきか c. SBO 規則は SBO 事象時に安全に停止し その状態を維持することをさらに保証すべきか d. NRC は SBO 規則をよりパフォーマンス ベースの規則とし SBO 時間または対応能力を決定する際に考慮しなければならない事象を明確にするべきではないか e. SBO 規則は事象の発生確率に応じて成功基準または要件を定めるべきか 2. 短期タスクフォースの勧告 4.2(10CFR50.54(hh) の強化 ) の対応を SBO 緩和要件策定にどのように生かすべきか 3. SBO 緩和手法の考え方として 初期段階は緩和戦略の準備 移行段階は所外から支援が到着するまでの緩和戦略の実施 最終段階は所外支援が到着し安全停止状態に至るというものが良いか 4. 短期タスクフォースの勧告 8(EOP SAMG EDMG の統合 ) の対応と SBO 緩和要件はどのように統合させるべきか 5. 短期タスクフォースの勧告 5.1(Mark I/II の耐圧ベント設置 ) の対応と SBO における負荷遮断緩和措置はどのように統合させるべきか 6. 短期タスクフォースの勧告 7.1(SFP 計装の強化 ) の対応と SBO 緩和計画はどのように統合させるべきか 3-28

181 表 CFR50.63 SBO 規則改定の事前通達要旨 (2/2) (2012 年 3 月 20 日付官報 ) < 関連する構造物 系統及び機器 (SSC) や手順書に対する要件 > 1. どのような要件 ( 設計 検査 試験 品質保証 是正措置 ) を重要な安全機能 ( 炉心冷却 SFP 冷却 格納容器 ) を維持するための SBO 緩和 SSC に適用すべきか 2. 支援手順書 ガイドライン 戦略 及び訓練に対するどの要件を SBO 規則に含めるべきか 3. SBO 規則では単一ユニット以上の事象に対する SBO 緩和に関するスタッフィング要件を取り扱うべきか 4. NRC は SBO 事象を緩和するためにクレジットした設備の一部または全部に対するサーベイランス試験及び運転制限条件 (LCO) を要求すべきか 5. NRC は新たな SBO 要件のための SSC 支援手順書及びプログラムを FSAR に記載することを要求すべきか または 特別な変更管理要件を検討すべきか 6. 上記の要件が課された場合 どのような効果及びコストが発生するか < 手法 > NRC は 新たな SBO 規則と現行の SBO 規則 (10CFR50.63) の関係について以下の 3 通りを検討している 手法 1( ベースケース-SBO 規則の補足 ) 新たな規則 (10CFR50.XX) を策定する 10CFR50.63 は基本的には変更しない 10CFR50.63 とは別の問題を取り扱い シナリオも 10CFR50.63 を超える 手法 2( 単一の SBO 規則 ) 新たな規則を 10CFR50.63 に含める 新たな SBO 規則は 10CFR50.63 とは別の問題を取り扱い シナリオも 10CFR50.63 を超える ( 手法 1 と同じ ) 手法 1 との違いは 各プラントが適合しなければならない問題 事故 プラント条件 性能条件に関して単一の統合された手法とすることである 手法 3( 現行の SBO 規則の破棄 ) 新たな規則 (10CFR50.XX) を策定する 10CFR50.63 は破棄する 新たな SBO 規則は 10CFR50.63 より過酷な SBO 条件及びスコープを取り扱う 設置者は 現行の SBO 認可ベースを変更する必要がある (FSAR Tech. Spec. 認可条件の変更または削除 ) 3-29

182 表 所内緊急時対応手順書 (EOP SAMG EDMG) の強化 統合に関する 規則作成の事前通達 (2012 年 4 月 18 日付 ) 要旨 NTTF 勧告 8 を実施するのに望ましいアプローチはどのようなものか? 規則を新設すべきか 改定すべきか それ以外の方法とすべき どのようなガイダンス文書を発行するのが最も有効か 等 EOP SAMG 及び EDMG を改定及び維持するために最も良い方法はどのようなものか? 産業界で SAMG を標準化すべきか EOP SAMG EDMG を統合するのに最も有効なアプローチはどのようなものか 等 設計基準を超える事象時の指揮命令系統を確保するために最も良い方法は何か? 指揮命令の規定を別文書に規定すべきか Tech.Spec. に含めるべきか それを産業界全体で標準化すべきか 等 3-30

183 3.2 仏国の取組 追加安全評価 (CSA) 福島第一の事故を受けて Fillon 首相は 原子力安全規制機関 (ASN) の Lacoste 局長に宛てた公開書簡 (2011 年 3 月 23 日付 ) で フランス国内の原子力施設の安全評価を実施するよう ASN に要請した この要請を受けて ASN は追加安全性評価 (CSA) を実施することになった また フランスは EU の原子力発電所のストレステストにも参加したことから ASN は CSA とストレステストの整合性と相互補完性に留意しながら実施した CSA の仕様は EU ストレステストの仕様を越えており フランスにとって CSA は EU ストレステストに代わり実施された安全性評価という位置づけである EDF の原子力発電所を含め 重要と判断された 80 の施設については 2011 年 9 月 15 日までに事業者が CSA 報告書を提出した ASN は 放射線防護 原子力安全研究所 (IRSN) に報告書の専門的レビューを要請し IRSN は 11 月 4 日にレビュー報告書 (Rapport N 679 概要版は Rapport N 708) を ASN に提出した IRSN の結論を以下に示す 審査した施設から その承認安全基準に対する適合違反が幾つか発見された CSA の枠内で発見された違反は 施設の安全性を直接脅かすことはないにしても 事故シーケンスの発生を想定すると施設の脆弱化因子となり得る恐れがある 電源喪失或いは冷却源喪失事故状況で使用される機器全体を対象に 2012 年末までに施設の適合性検査を追加するとした事業者側の約束について IRSN は満足できるものと評価した 施設の適合性を常に確保するための取組みを継続するよう勧告する 福島の事故も また CSA も 通常は 10 年毎の定期安全レビュー (PSR) の際に行われている施設の一部安全基準の高度化を速やかに進める必要性を明らかにしている これは 環境面の不測事態に関する知見が役立つと思われる不測事態の特性化だけでなく 施設の火災防護 更に同一サイトの複数の施設に影響を与えかねない長期の電源喪失または冷却源喪失に対する防護など複数の分野に関係している 日本で発生した事象は 講じられた措置から見て 施設外部の自然現象でシビアアクシデントは起こり得ないという施設設計時の前提条件の再検討を迫っている 事実 施設の設計または PSR の際に取り上げられた現象を超える大規模自然現象の発生を完全に無視することはできない 同様に 安全基準も 同一サイトの複数施設を巻き込む可能性のある極めて長期の電源喪失または冷却源喪失状況が大規模な外部ハザードで起こり得ることを想定していない IRSN は 解析結果や事業者からの改善措置案を通じて また IRSN 自体が行ったレビューや研究も使用して 設計時の想定レベルを超える施設外部の不測事態または起こり得る不測事態の組合せ 更に安全機能の喪失に関する影響に対するこれらの防護の感度について検討した IRSN は 深層防護の各レベルを強化する必要があると考え 深層防護の維持に不可欠な 構築物 系統及び機器 (SSC) を特定し 設計を超える規模の不測事態に対してこれらの SSC を 強化する ための措置を提案するよう勧告した ASN はこれを受け 原子炉に関する専門家諮問委員会 (GPR) 及び研究所及びプラントに関する専門家諮問委員会 (GPU) を 2011 年 11 月 8~10 日に招集し 事業者から提出された CSA 報告書及びそれらに対する IRSN のレビュー結果の検討を依頼した 両諮問委員会は ASN に対して 11 月 10 日付で意見書を提出し IRSN のレビュー結論に同意しつつ PSR の重要性を再認識し 一部の PSR は前倒しで実施する必要があるとした EDF の原 3-31

184 子力発電所については 同一サイトの複数の施設に長時間にわたって影響を及ぼす恐れがある冷却源喪失と電源喪失を想定した状況で炉心溶融が発生するのを防止するために 現行基準の想定を超えるレベルのハザードに対する補足の防衛線 ( シビアアクシデント防止 CSA ハードコア ) を決定するという EDF の提案に賛同するとした これを受け ASN と IRSN は 11 月 17 日の共同会見でレビュー結果を発表した ハードコアの概念を図 に示す 上記プロセスには 原子力安全に関する透明性及び情報提供高等委員会 (HCTISN) や地域情報委員会 (CLI) も関与した HCTISN は 12 月 8 日に見解書を 全国地域情報委員会 (ANCCLI) や各 CLI も評価結果を ASN に提出した ASN は 上記の検討を踏まえ 2012 年 1 月 3 日に以下を首相に提出した CSA 報告書 ASN 見解 2012-AV-0139 また ASN は同じ資料を EU ストレステストの最終報告書として 2012 年 1 月 5 日に EC へ提出した CSA 報告書の概要を表 に示す EDF 向けの要求事項 ASN は CSA に対する ASN 見解を踏まえ 原子力施設毎の具体的な要求事項を 2012 年 6 月 26 日で各事業者 (EDF AREVA 及び CEA) に送付した EDF に対する要求事項はプラント別に送付され 各 30 件ほどの要求事項が含まれる これらは 設計基準を超える安全裕度を高める内容である 各原子力発電所では中核 ( ハードコア ) を整備することが求められており 複数施設に影響を及ぼす大規模事象に耐えられるよう 緊急時の組織や設備を強化することとなる 原子力発電所のハードコアには バンカー配置の電源系 (2018 年までに設置要 ) 追加の非常用ディーゼル発電機 (2013 年末までに設置要 ) が含まれる また 原子力事故即応チーム (FARN) の創設や訓練の強化も求められている 各事業者は 自身が整備するハードコアの具体的内容や実施スケジュールについて 2012 年 6 月 30 日までに ASN に提出することが求められている ASN 要求事項の実施スケジュールを図 に示す EDF は 2012 年 6 月 28 日付のプレスリリースで 必要な作業の実施を誓約するとした 2012 年 8 月 日に IAEA の原子力安全条約第 2 回特別会合が開催され 福島事故を受けた諸活動について各国から説明が行われた 本会合に向けたフランスの報告書 (2012 年 5 月付 ) では 以下の実施状況がまとめられている 外部事象 - 地震 - 洪水 - 極端な気象条件 設計に係る課題 シビアアクシデント マネジメント ( 所内 ) 国内組織 3-32

185 緊急時及び事故後状況における所外組織 国際協力 その後 ASN が 2012 年 12 月 20 日に公表した国別アクション プランの構成を以下に示す 1. 欧州ピアレビューによる勧告の実施状況 1.1 自然ハザード 1.2 安全系の喪失 1.3 シビアアクシデント マネジメント 2. CNS で議論された追加項目の実施状況 2.1 国内組織 2.2 事故後の緊急状態における所外組織 2.3 国際協力 3. ASN が規定した他の対策の実施状況 4. 実施スケジュール 上記 1 章は ENSREG による勧告事項まとめ (2012 年 9 月付 ) の区分に沿って ピアレビュー等によるフランスへの勧告事項 対応する ASN から EDF への要求 (2012 年 6 月 26 日付の ECS-1~30) と実施状況が整理されている ハードコアの設定を求めた ECS-1 は 1.2 節 安全系の喪失 全般に関わる対策と位置付けられ 以下の状況が示されている ハードコアを成す物理的及び組織的措置を示した情報提出は 2012 年 6 月 30 日までとされていたが 当該情報を受領し 評価を進めている 原子炉に関する専門家諮問委員会 (GPR) が 2012 年 12 月 13 日に開催される予定であり 以下を決定する予定である - ハードコアとその周辺機能に関する目的 - ハードコアを規定する際に考慮した起因事象のタイプとレベル - 事象を考慮する際に採用した それら起因事象が施設やハードコアに与える仮定条件 - ハードコアの適用条件 ハードコアの利用が可能となる施設状態 - ハードコア設備に関する要件 - 要件を満たすことを示すため用いた方法と基準 - ハードコアの適用に際して考慮した組織的 人的因子 - ハードコアの要件を満たすため計画されている緊急時管理 ECS-1 のⅣ 項の 5 点目では 十分な量の線量計 放射線防護のための計装 個人及び全体の防護手段を 2012 年末までに利用可能とするよう求めているが その期限に変更はない 3-33

186 地震についての評価 表 追加安全性評価 (CSA) 報告書の概要 (1/3) CSA によって EDF の原子力発電所の現在の耐震裕度は十分であることが示された 全ての原子力発電所において安全停止地震 (SSE) の 1.5 倍の地震までに対して 燃料集合体の重大な損傷及び格納容器の健全性喪失は起こらないことが確認された フランスの原子力発電所では 10 年毎に定期安全レビュー (PSR) が実施されている CSA では 10 年毎の PSR の地震リスクの定期的な見直しの効果が確認された 今後の安全性強化策としては 地震リスクに関して ASN は EDF に以下を要求する予定である 地震時の火災防護機能を有する機器の耐震性能を保証すること 主要な火災防護設備は 現在 RFS における地震に対して耐震設計されていない 原子炉の毎日の運転において 地震リスクを考慮する方法を増やすこと 例えば 運転員訓練の強化 地震計装 ( 保守 運転員の機器への精通 校正 ) に関する基本安全規則の遵守がある 多くの原子力発電所で 地震リスクに対して施行されている RFS の適用について不備があることを ASN は確認した 洪水についての評価 フランスの Le Blayais 原子力発電所で 1999 年 12 月に 暴風雨と高潮位が重なったため 冷却水を取水するジロンド川の水位が発電所サイトの堤防を乗り越える洪水事象が発生した この Le Blayais 原子力発電所の洪水事象後に 洪水安全裕度レベル (CMS) の更新及び発電所における洪水対策が講じられた フランスでは サイトの洪水防護設備の設計で考慮すべき最高水位として 洪水安全裕度レベル (Cote Majorée de Sécurité;CMS) が基本安全規則 RFS I.2.e で定められている この Le Blayais 原子力発電所の洪水事象後に CMS の更新及び発電所における洪水対策がなされた CSA の結果 各原子力発電所の洪水リスクに対する防護レベルが高いことが確認された しかしながら CSA に関連して ASN による検査が実施され その結果 ASN は 洪水防護に関する要件を満足するための対策がまだ完全には実施されていないことに気付いた ASN は 以下を EDF に要求する予定である 2007 年の洪水再評価後に定められたスケジュールに従って 遅くとも 2014 年までに 洪水対策を完了すること 施設の洪水防護 ( 密閉性等 ) の管理を改善すること 実際に ASN による検査によって 検査された複数のサイトで施設の洪水防護 ( 密閉性等 ) の管理を改善する必要があることが指摘された 2009 年のクリュアスでの取水口閉塞事故後に開始されたヒートシンク設計評価 ( 特に閉塞防止に関する評価 ) を完了すること 現在の RFS を越える洪水のリスクに対して施設の防護を強化すること CSA では 現在の基準を越えて想定される不利な仮想的極限事象として 1000 年間の最大増水水位 (CMM) に対する流量をさらに 30% 加算させた河川洪水について 感度解析が行われた 流量を 30% 増加させた場合に生じるサイト周辺への流出量 水位 浸水範囲を求めた このような河川洪水の場合 例えば 変電所が冠水して変圧器を喪失することにより 所外電源の喪失に至る可能性がある 対策として 現在の RFS を越える洪水に対する防護措置の強化が考えられる 極端な気象条件についての評価 フランスでは次の極端な気象条件について評価がなされた - 強風 - 雹 ( ひょう ) 3-34

187 - 落雷 表 追加安全性評価 (CSA) 報告書の概要 (2/3) 原子力発電所の建屋は全てがサイト外爆発に耐えられるよう設計されていることから 極端な強風に対して十分な余裕で耐えることができる これらの建屋とは 原子炉建屋 燃料建屋 原子炉補助建屋 電気建屋及び電気室 ディーゼル発電装置建屋 蒸気発生器への補助給水を行う設備のある建屋 ポンプ ステーション を指す サイト外爆発に耐えられるように設計されていない建屋についても 想定される強風でユニットの原子力安全に有害な影響が生ずるとは考えにくい 福島後の追加安全性評価 ( ストレステスト ) の枠内で想定される状況の管理に必要な建屋の頑健性について クリフエッジの懸念はない また 風による飛来物による影響についてもクリフエッジは特定されていない 洪水を引き起こしそうな激しい雷雨を伴うことがある雹は ユニットの設計時点で考慮されていない これは 比較的稀な局地的で短時間の気象現象である 安全上重要な機器は大部分が建屋内に設置されており 雹に因る劣化リスクから保護されている 雹に対する建屋の頑健性については 最大の衝撃でも外壁を劣化させる程度で 貫通することはない 落雷に関して 既に EDF が採用している取組み ( 落雷保護装置 ) に依れば 落雷が施設の安全に及ぼす影響は ユニットの初期設計時に確定された影響で包絡されるので クリフエッジは特定されていない 電源の喪失及び最終ヒートシンクの喪失 EDF は 現在の RFS で検討された状況を越えるヒートシンク喪失と電源喪失の状況について解析した 特に 長期間にわたってサイト内の全原子炉に影響すること さらに 現在の RFS で考慮されているよりも高いレベルを含むサイト外の地震や洪水の影響について 仮想的な状況を考慮した EDF の CSA 報告書では ヒートシンク喪失及び電源喪失の幾つかのシナリオで 何も介入 ( 運転員操作 ) がない場合 最悪ケースで数時間以内に炉心溶融に至る可能性があることが示された クリフエッジは摘出されなかった サイトの全原子炉に影響を及ぼす可能性のある 長期間にわたる電源喪失またはヒートシンク喪失の状況を対処できる方法を講じて 発電所の頑健性を強化する必要性があると ASN は考えており 強化された対策の立案 実施を EDF に要求する予定である 但し そのような措置を高ずるには数年を要するため それまでの間 ASN は 可搬式発電機セットのような暫定的措置の実施を EDF に対して 2012 年に要求する意向である シビアアクシデント マネージメント TMI 事故以降の作業によって 運転中原子力発電所の改善が実施され EPR の設計にも反映された ( 炉心溶融の有無にかかわらず ) どのような事故についても環境中への放射性物質放出の抑制が プラント安全性の継続的改善の主な目的であることを保証する作業を ASN も継続している フランス国内でのこのプロセスは RFS を強化するため 特に PSR で 10 年毎に定期的に取り上げられている 評価から クリフエッジは摘出されなかった しかしながら シビアアクシデント マネージメントに関連して ASN は フィルタベント設備が耐震設でないことから フィルタベント設備の耐震性の強化を EDF に求める予定である さらにフィルタの除去効率を高める改善措置についても EDF に求める意向である 3-35

188 表 追加安全性評価 (CSA) 報告書の概要 (3/3) ASN は 緊急に果たすべき任務を全うするために 事業者は 特に CSA で検討された極限状況に対して頑健な組織を有していなければならないと考えている 緊急時管理施設は 現在の RFS を超えるハザードを想定して設計しなければならない 緊急時管理施設は 長期間の緊急時にもアクセスでき 居住できなければならず 長期間のサイト管理に必要なチームを受入れられるように設計する必要がある 制御室も同様に緊急時管理には不可欠なエリアであり 従って 危険物や放射性物質の放出が発生した際に同一サイト内の全原子炉の運転及び監視ができるように そのアクセス性や居住性を確保することが重要である ASN は 専門チームと機材で構成される介入策 (JANUS 注 : 原子力緊急時対応組織 (Force d Action Rapide Nucléaire;FARN) ) を 2013 年末までに創設することも要求する予定である この体制は 動員発動から 12 時間以内にサイトでの活動を開始し 24 時間以内に事故サイトのチームと交代し 追加の緊急時介入リソースを展開できるものである 下請け企業との関係 フランスのストレステスト (CSA) では 下請け企業との関係も評価項目である これは ENSREG の仕様にはない フランス独自の追加評価項目である 評価に際して EDF は 下請け企業の選定方法 適格性要件 教育 仕様書 契約方法を示した また EDF は 下請け企業が 原子力安全及び放射線防護に関してどのように責任を負うかの説明を行った 下請け企業との関係に関するクリフエッジについては 報告書に記載はない 評価の結果 ASN は 緊急時に必要となる要員のスキルのリストを明らかにし それらの作業を下請け企業が実施できるかを示すよう 今後 EDF に要求する予定である 3-36

189 表 ASN から既設発電所への要求事項 ( 要求範囲は発電所により異なる )(1/6) Title III: 事故リスクの管理 Chapter 1: 総論 [ECS-1] I. 事業者は 2012 年 6 月 30 日までに ECS で検討した極端な状況について 以下の目的を持つ 中核 ( ハードコア ) を成す頑強な物理的及び組織面の措置を ASN に提案すること : a) 燃料溶融事故を阻止する 又はその進行を制限する b) 大量の放射性物質の放出を制限する c) 危機管理の面で課せられる使命を事業者が確実に実施する II. 同じ期限内に 事業者は このハードコアに適用される要件を ASN に提出すること 要件の決定に際して 事業者は 2012 年 1 月 1 日時点で適用されている要件に対して一律加算した大きな余裕を採用する これらの措置の一部を成す系統 構造物及び機器 (SSC) は 特に追加安全性評価 (ECS) で検討した極端な状況においてもその機能を維持しなければならない これらの SSC は極端な状況が引き起こす内部及び外部ハザード 例えば重量物の落下 他の機器や構造物からの衝撃 爆発等から防護される III. ハードコアについて 事業者は 共通モードリスクを制限するため 既存の SSC から独立し 多様化された SSC を導入する 事業者は 多様化されていない又は既存の SSC を使用する場合には 必要に応じてその妥当性を証明する IV. 事業者は 同じサイトの施設の全部または一部に影響する事故の際の危機対応組織及び手段の運用可能性を確保するため必要なあらゆる措置を講じる このため 事業者は本項の I に定めるハードコアにこれらの措置を組み入れ 特に 本項の II に従って以下に関する諸要件を決定すること : ハザードに対して高い強度を持ち 放射性物質の放出の場合も含めた長期に及ぶ危機の間常に立入りでき 居住できる緊急事態の管理室 ; これらの管理室は 緊急時対応チームに対して 施設の状態診断やハードコア手段の操作を提供できなければならない 危機管理に不可欠な可搬式手段の入手可能性及び操作可能性 危機管理に不可欠な連絡手段 特に危機対応チームや公権力への警報及び情報提供手段 また必要ならば 県知事の委任を受け対応段階で個別介入計画を発動する際の住民への警報体制 施設の状態の診断を可能とするパラメータの入手可能性 更に作業員や住民への放射線影響の評価や予測を可能とする ( 緊急事態管理室内外の放射線や化学的な ) 放射線及び環境計測データの入手可能性 作業時線量測定手段 放射線防護用の計測器具 個人及び集団防護手段 ; これらの手段は 2012 年 12 月 31 日までに十分な量を確保しなければならない [ECS-19] I. 各発電所における作業展開が制約されることを考慮しできるだけ速やかに またどのような事情があろうとも 2016 年 12 月 31 日までに 事業者は 炉容器の貫通を検知できる多重化手段を炉容器ピットに また水素の存在を検知できる多重化手段を格納容器内に配備する 計装設備は コリウムの炉容器貫通を制御室に知らせることができること II 年 12 月 31 日までに 事業者は これらの措置に関する最終的な要件を またこれらの措置がハードコアに属する場合にはその旨を ASN に提案すること [ECS-20] I 年 6 月 30 日までに 事業者は 一方では燃料貯蔵プールの状態 ( 使用済燃料プールの水温及び水位 ) の計測を また他方では燃料建屋ホールの放射線雰囲気の計測を可能ならしめる変更工事内容を ASN に提出すること 3-37

190 表 ASN から既設発電所への要求事項 ( 要求範囲は発電所により異なる )(2/6) II. 変更工事が実施されまでの間 事業者は 遅くても 2012 年 12 月 31 日までに 冷却全喪失の際に使用済燃料貯蔵プール内に貯蔵されている燃料の余熱に応じて沸騰に至るまでの猶予時間を明らかにする計算図表を全国の緊急時対応組織に提供する 事業者は 遅くても 2013 年 12 月 31 日までに 電源全喪失の際の水位計測を確保する Chapter 3: リスクの管理 [ECS-4] 事業者は 2014 年 12 月 31 日までに 文書 ETDOIL G に記される施設の洪水防護工事を施工する [ECS-5] 事業者は 遅くても 2012 年 6 月 30 日までに 文書 D / 版に記された周囲の防護の再適合化を実施する 事業者は 時間が経過しても周囲の防護が安全の証明で与えられている効果を確実に維持するよう 2007 年 10 月 12 日付文書 D / 版に示される組織及びリソースを動員する [ECS-6] 遅くても 2013 年 12 月 31 日までに 事業者は 2012 年 1 月 1 日時点の基準を上回る洪水リスクに対する施設の防護を 2016 年 12 月 31 日までに強化するために予定している変更工事 例えば周囲の防護の嵩上げを ASN に示し 特に下記の設計外シナリオにおけるヒートシンク又は電源の全喪失事態の発生に備えること : 加算降雨量 地震に因るサイト内機器の故障で発生する洪水 [ECS-7] 2012 年 12 月 31 日までに 事業者は 洪水時の施設の孤立化に対処可能な組織体制並びにリソースを配備したことを ASN に証明すること [ECS-8] 2012 年 9 月 30 日までに 事業者は 安全報告書でその適用が示されている基本安全規則 (RFS)I.3.b の諸規定に対する施設の適合性を検証すること 事業者は この審査並びに是正された違反を漏れなく ASN に報告し 残された違反事項の是正期限を記すアクション プランを提出すること [ECS-9] 遅くても 2012 年 12 月 31 日までに 事業者は 安全の証明で使用可能性が必要とされている機器が地震によって他の機器から被害を受けることがないよう必要な措置を講じること 事業者は 2013 年 12 月 31 日までにこの措置の実施報告書を また 2013 年 6 月 30 日までに中間報告書を ASN に提出すること [ECS-10] 遅くても 2012 年 6 月 30 日までに 事業者は 地震への備えの強化を可能とする運転チーム教育プログラムを ASN に提出すること プログラムは 特に 現実の状況に即した内容を正規教科としなければならない 遅くても 2012 年 12 月 31 日までに 地震時計装及び関連運転措置を担当する原子炉運転スタッフはこのプログラムを履修しなければならない その他のサイトの運転チームは 2012 年 12 月 31 日までに情報を受けて 遅くても 2013 年 12 月 31 日までにはこのプログラム全体を履修していなければならない [ECS-11] 2013 年 12 月 31 日までに 事業者は 堤防や施設のその他洪水防護構築物の耐震頑強性レベルを明らかしに この頑強性レベルに応じて下記の要素を紹介する評価結果を ASN に提 3-38

191 表 ASN から既設発電所への要求事項 ( 要求範囲は発電所により異なる )(3/6) 出すること : 洪水防護構築物の不備がもたらす影響 先述の [ECS-1] の措置の対象となるハードコア設備を防護するために予定されている技術解決策 堤防については その実際の構造 ( 地層及び使用材料の特性 ) と起こり得る変化 並びに現場の特異性とこの特異性が堤防の劣化メカニズムの中で果たすと思われる役割をこの評価で明らかにすること [ECS-12] 2012 年 12 月 30 日までに 事業者は ASN に下記を提出すること : 防火区画の原子力安全に寄与する構造物及び機器 更に設計地震の半分程度の規模の地震に耐えることが求められる火災検知及び固定消火システムの安全停止地震に対する強度を評価した検討結果 安全停止地震に対する強度が立証できない要素については 安全停止地震に伴う火災から安全機能を保護するための変更工事プログラム [ECS-13] 2012 年 12 月 31 日までに 事業者は 地震応力で起動する原子炉自動停止系の導入に伴うメリット及びデメリットの検討結果を ASN に提出すること この原子炉自動停止系は サイトの設計スペクトルの半振幅のスペクトルに相当する地震レベルを超えた場合に 原子炉を安全停止状態に戻すことができなければならない [ECS-14] I. 遅くても 2013 年 12 月 31 日までに 事業者は 追加安全性評価で検討された極端な状況の中で また施設周辺の事業活動 ( 原子力施設 環境保護指定施設 又はリスクを抱える他の施設 ) の事業者との関係で これらの事業がもたらすリスクを考慮し現行評価を補完すること この評価結果を受けて自分の施設又はその運転方法を変更する場合 事業者は 同じ期限までにその旨提案すること II. 遅くても 2013 年 12 月 31 日までに 事業者は 取り決めを交わしたり検知 警報システムを介して 自分の施設に対して外部ハザードとなり得るあらゆる事象について速やかな通報を受け これらのハザードから人員を保護し 隣接事業者と調整のとれた危機管理を行うためのあらゆる措置を講じること [ECS-15] 2012 年 6 月 30 日までに 事業者は 水の質や流れに影響を及ぼすハザード並びにヒートシンクの閉塞リスクを踏まえて ヒートシンクの設計を総合的に見直し その結果を ASN に提出すること [ECS-16] I. 遅くても 2012 年 12 月 31 日までに 事業者は ヒートシンク喪失時に原子炉及び燃料貯蔵プールの余熱を持続的に除去できる非常用の技術的措置を導入する変更工事内容を ASN に提出すること これらの措置は先述の [ECS-1] で取り上げたハードコアに関する諸要件を満足しなければならない [ECS-18] の II 項に示す非常用電源が使用できるまでの間 これらの措置は 必要ならば一時的な電源を使用し 電源全喪失が長引いた場合でも機能を維持しなければならない II 年 12 月 31 日までに 事業者は 1 次系開放時にサイトの電源全喪失が発生した場合にほう酸水の炉心注入を確保する措置を特に理由がない限り 2013 年 6 月 30 日までに導入するため予定する工事内容を ASN に提出すること 2013 年 6 月 30 日までに 事業者は これらの措置に関する最終的な要件を またこれらの措置がハードコアに属する場合にはその旨を ASN に提案すること 3-39

192 表 ASN から既設発電所への要求事項 ( 要求範囲は発電所により異なる )(4/6) [ECS-17] 遅くても 2013 年 12 月 31 日までに 事業者は 耐熱性 地震や洪水に対する強度及びこれらのハザードが施設にもたらす作用に対する強度について ヒートシンク又は電源の全喪失時に必要な機器に適用すべき諸要件を検討すること 2013 年 12 月 31 日までに 事業者はこの検討の報告書を ASN に提出し その際 特に長期のシナリオにおいてこうした事態に対処するため 安全基準の改定案とこれに伴う施設の強化策も同時に提案すること [ECS-18] I 年 6 月 30 日までに 事業者は 内部及び外部電源喪失時に使用されるバッテリの持続時間を 2014 年 12 月 31 日までに大幅増強するため予定する変更措置を ASN に提出すること II. 各発電所における作業展開が制約されることを考慮しできるだけ速やかに またどのような事情があろうとも 2018 年 12 月 31 日までに 事業者は サイトの原子炉それぞれに追加電源を配備し その他の内部及び外部電源が喪失した場合に 先述の [ECS-1] で取り上げたハードコアに属する系統及び機器への給電を確保できるようにすること これらの措置は先述の [ECS-1] で取り上げたハードコアに関する諸要件を満足しなければならない III. それまでの間 また遅くても 2013 年 6 月 30 日までに 事業者は下記への給電を確保する暫定措置を各原子炉に導入すること : 内部及び外部電源が喪失時に必要な計測制御 制御室の照明 [ECS-27] I 年 12 月 31 日までに 事業者は コリウムが炉容器を貫通するシビアアクシデントの際に放射能汚染が地下水に波及するのを また地下水の流れを介して地表水へと波及するのを阻止する土質工学的密閉容器タイプの技術的措置又は同様の効果を持つ技術的措置の導入又は革新のための実現可能性調査の結果を ASN に提出すること II 年 6 月 30 日までに 事業者は 現在の地質及び水理地質データを統合するサイトの水理地質シートの更新版を ASN に提出すること [ECS-29] 2013 年 12 月 31 日までに 下記の点を考慮しながら U5 フィルタ - ベント装置の改善可能性に関する詳細検討結果を ASN に提出すること : ハザード強度 水素燃焼リスクの制限 2 基の原子炉で同時使用する場合のろ過効率 核分裂生成物 特にヨウ素のろ過の改善 装置の開放が特にサイトのアクセス可能性や危機対応室及び制御室の雰囲気に及ぼす放射線影響 Title V: 原子力施設の廃棄物及び使用済燃料の管理及び処分 Chapter 4: 廃棄物及び使用済燃料の貯蔵 [ECS-21] 2012 年 12 月 31 日までに 事業者は ECS で検討された極端な状況を組み入れながら使用済燃料輸送容器の落下事故がもたらす影響を評価する報告書を ASN に提出すること 2013 年 12 月 31 日までに この落下事故の影響を阻止又は制限するために想定可能な追加措置に関する検討結果を明らかにすること 表 ASN から既設発電所への要求事項 ( 要求範囲は発電所により異なる )(5/6) 3-40

193 [ECS-22] 2012 年 6 月 30 日までに 事業者は 燃料建屋プールの偶発的な排水リスク防止措置を強化するため施設に講じるべき変更措置を ASN に示すこと これらの措置とは 接続配管破損の場合にサイホン作用によってプールが短時間で完全に空になるのを回避する措置 冷却系吸入ラインの隔離自動化 接続配管破損の場合にサイホン作用によってプールが短時間で完全に空になるのを避けるための措置は 2014 年 3 月末までに講じること 冷却系吸入ラインの隔離自動化は 2016 年 12 月 31 日までに実現すること [ECS-23] 2012 年 6 月 30 日までに 事業者は 電源の全喪失と偶発的なプール排水時に 区画への立ち入りができなくなるような雰囲気条件が確立する前に 燃料建屋内で取り扱い中の燃料集合体を安全な位置にセットするために考えられる措置についての検討結果を ASN に提出すること [ECS-24] 2012 年 12 月 31 日までに 事業者は 排水及び冷却喪失状況の中で使用済燃料貯蔵プール内に存在する水と燃料の挙動が時間とともにどのように変化するかについての評価結果を ASN に提出すること 事業者は その中で 特にプール沸騰状況での放射線雰囲気 並びに燃料建屋ホールの換気喪失状況の中で計測され得る放射線分解に因る水素の濃度を評価する 同じ期限で 事業者は導入可能な措置を提案し その妥当性を証明すること [ECS-25] I 年 12 月 31 日までに 事業者は 原子炉建屋と燃料建屋のプール間の移送管又はコンパートメントの排水管の破断に伴う取り扱い中の燃料の露出を回避するため想定可能な物理的変更措置ないしは運転条件についての検討結果を ASN に提出すること II 年 12 月 31 日までに 事業者は 原子炉建屋と燃料建屋のプール間の移送管又はコンパートメントの排水管の破断に伴う 貯蔵燃料集合体の露出に至る急激な水収支喪失の阻止策を 2013 年 6 月 30 日までに実現する上で想定可能な物理的変更措置ないしは運転条件についての検討結果を ASN に提出すること Title VI: 緊急事態の管理 Chapter 1: 総論 [ECS-31] 2012 年 12 月 31 日までに 事業者は 危険物質の放出時或いはフィルタ - ベント系 (U5) の開放時に サイト内で施設全体を運転 監視して持続的な安全状態を達成するために予定されている変更措置について記した書類と 対応する実施スケジュールを ASN に提出すること [ECS-32] 2012 年 12 月 31 日までに 事業者は サイトの施設の全部または一部を同時に巻き込む事故状況を考慮し 物理的及び組織面の措置を強化すること [ECS-34] 事業者は 隣接する医療センターと取り交わす協定を 5 年毎に更新するよう監督すること これらの協定は 緊急時訓練の際に 定期的に試験される [ECS-35] I. 遅くても 2012 年 12 月 31 日までに 事業者は 追加安全性評価で検討した極端な状況の管理に必要な人的対応措置を確定すること 事業者は これらの対応措置がこの種のシナリオで考えられる介入条件を考慮し効果的に実現できるかを検証する 事業者は 特に 緊急時対応 3-41

194 表 ASN から既設発電所への要求事項 ( 要求範囲は発電所により異なる )(6/6) チームの交替並びに介入に必要な兵站を考慮する 事業者は 物理的又は組織面で予定される適応化を明確にする 期限満了時点で 事業者は この作業の報告書と予定の措置を提出すること 2012 年 6 月 30 日までに 事業者は中間総括を ASN に提出すること II 年 12 月 31 日までに 事業者は 緊急事態の管理に必要な専門職のリストを ASN に提出すること この際 これらの専門職を下請業者に任せられるかを明らかにする 事業者は 自らの組織体制が 下請業者を使用する場合も含め 緊急時に必要な専門職の動員可能性を確保していることを証明すること III 年 9 月 30 日までに 事業者は 極めて緊張を強いる事故状況の中での動員 対応作業を目的とする関係人員の準備 教育を行う 事業者は 緊急事態の管理に関わる可能性のある下請業者がその人員の準備及び教育について同じ要件を採用することを確かめる IV 年 9 月 30 日までに 事業者は 家族環境を考慮し 極めて緊張を強いる事故状況で適用される緊急事態対応チームメンバーの社会的及び精神的な支援措置を制定し できる限り効率的な危機管理を可能とする労働条件を保証する [ECS-36] I 年 6 月 30 日までに 事業者は 当直チームを引き継ぎ 動員から 12 時間以内に作業に着手し 24 時間未満で緊急時対応手段を実施するために介入する能力を持つ専門チームを用意するために予定している措置を ASN に報告すること この組織は事業者の複数の原子力サイトで共有可能とする 専門チームはサイトの原子炉全てに介入できるような規模とし 到着と同時に展開可能な測定器具を保有していなければならない 事業者はこの専門チームの組織体制と規模を明らかにすること 特に 動員基準 彼らの使命 保有する物的及び人的手段 個人防護機器 物的手段の保守 使用可能性 入手可能性を確保するための制度 メンバーの訓練及び能力維持プロセス II 年 12 月 31 日までに この組織はサイトの 1 基の原子炉での介入を想定できること また 2014 年末までには 全ての原子炉での同時介入を達成できなければならない III 年 6 月 30 日までに 事業者は この組織を複数の原子力サイトでの同時介入に適応化させる措置も報告すること [ECS-30] I. 事業者は 緊急事態の管理室が安全加算水位に達する場合にも洪水に耐えられることを検証すること 2012 年 6 月 30 日までに 事業者は この検証の結論並びに必要ならば予定の変更措置を ASN に報告すること 場合によって 事業者は 2013 年 6 月 30 日までに必要な強化工事を実施すること 事業者は緊急事態の管理室が安全停止地震に耐えられることを検証すること 2012 年 6 月 30 日までに 事業者は この検証の結論並びに必要ならば予定の変更措置を ASN に報告すること 場合によって 事業者は 2013 年 6 月 30 日までに必要な変更工事を実施すること II. 遅くても 2012 年 6 月 30 日までに 事業者は 2005 年 4 月 7 日の省間指針に規定される全国規模の危機対応組織にサイトから直接連絡できる自立式通信手段を導入すること III. 遅くても 2013 年 6 月 30 日までに 事業者は 安全停止地震にも また安全加算水位に達する洪水にも耐えられる適応化された部屋ないし区域内に 危機管理に必要な可搬式手段を保管すること 3-42

195 (a) 現状 (b) CSA 後のアプローチ 図 追加安全性評価 (CSA) の結果を反映した深層防護の強化の概念 3-43

196 3-44 図 欧州ピアレビューによる勧告の実施スケジュール

197 3.3 英国の取組 教訓報告書 教訓の進捗報告書 英国原子力規制局 (ONR) は 福島第一の事故の教訓報告書をとりまとめることとし 2011 年 4 月中旬までに入手可能な情報に基づき 中間報告書がまとめられた その後 ONR の Mike Weightman 博士の福島視察も含め 中間報告書以降に得られた情報が追加され 中間報告書の知見の検証が行われた ONR の福島第一の事故の教訓に関する最終報告書は 2011 年 9 月付でエネルギー気候変動省 (DECC) に提出され 同大臣は 2011 年 10 月 11 日にこれを議会に提出した 最終報告書では 福島事故の分析結果から 英国の原子力産業に根本的な安全上の脆弱性があるとは認められなかったことが述べられ 中間報告書と同様に 事故の教訓を学ぶことによって安全性を一層向上させることができる と結論付けている 教訓報告書で示された 38 項目の勧告を表 に示す ONR は 2012 年 10 月 31 日付で教訓の進捗報告書を公表した 本報告書では英国における全ての原子力施設が扱われており ストレステストによる勧告事項 (19 件 ) への対応状況も含まれている Sizewell B(PWR) を運転する EDF NGL の進捗状況を表 に示す ストレステスト ENSREG のスケジュールに従って 事業者は 2011 年 8 月 15 日までに進捗報告書を ONR に提出し ONR は それらをまとめた英国のストレステストの進捗報告書を 2011 年 9 月 15 日までに EU/EC に提出した 事業者は作業を継続し 各サイトのストレステストの報告書を作成して 2011 年 10 月 31 日までに ONR に提出した ONR は 事業者が行なった評価をレビューして 英国のストレステストの最終報告書を作成し 2011 年 12 月 31 日までに EU/EC に提出した ONR が行なった評価では 専門家チームによって重要な項目 / 領域についての詳細な評価を行ない また 事業者と様々な技術ミーティングを行ない 改善策の検討課題についてもレビュー / 検討が行なわれた ONR による最終報告書の概要を表 に示す アクション プラン ONR が 2012 年 12 月 31 日付で公表した国別アクション プランの構成を以下に示す 1 章 1.1 外部事象 1.2 安全系の喪失 1.3 シビアアクシデント マネージメント 2 章 2.1 国内組織 3-45

198 2.2 緊急時対応及び事故後管理 ( 所外 ) 2.3 国際協力 3 章 3.1 追加トピックス 4 章スケジュール及びマイルストン 上記 1 章は ENSREG による勧告事項まとめ (2012 年 9 月付 ) の区分に沿って 以下への対応状況が整理されている ストレステストでの指摘事項 (19 件 ) ストレステスト ピアレビューでの指摘事項 ( 英国向け及び欧州全体向け ) ENSREG によるまとめで示された考慮事項 3-46

199 表 ONR 最終報告書に示された 38 項目の勧告 (1/4) 一般事故対応のための国際的調整 国際的な原子力安全 国内の緊急時対応策 計画管理 公開性及び透明性 安全評価手法 勧告 IR: 中間報告書で得られた教訓勧告 FR: 最終報告書で得られた追加の教訓 勧告 IR1: 政府は他国と協力し 国際原子力機関 (IAEA) に対して 世界のいずれかの国や地域で発生した原子力事故に関する根拠のある情報が適時に伝達されるよう 国際的な調整が適切なものにするため 働きかけを行うべきである 勧告 FR9: 政府 原子力産業界並びに ONR は IAEA やその他の関連する原子力安全基準の再評価及び適用の過程の改善に向けた国際的な取り組みを支援すべきである 勧告 IR2: 政府は 英国の幅広い緊急時対策にとって教訓になることを特定するため 日本の緊急事態について再評価を行うべきである 勧告 IR3: 原子力緊急事態対応連絡グループは 日本の経験をもとに 英国内の原子力緊急事態に関する取り決めについて再評価を行うべきである 勧告 FR6: 原子力産業は 放射性物質の放出源を推測する適切な技術の再評価を行い 環境中に放出された放射性物質の基本的特性をもとに 様々な状況を考慮してリアルタイムの情報提供を行う可能性を追求する研究を進めるべきである 勧告 FR7: 政府は 環境放射線の測定方法や 拡散予測 公衆の放射線被ばく線量や環境影響に関する取り組みについて再評価し 緊急時対応の決定を支援するため 最新の情報を適切に入手できるようにすべきである 勧告 FR5: イングランド ウェールズ スコットランドの関連政府機関は 認可された原子力施設の外における商業地及び住宅地開発に関する既存の計画管理制度の適切性について 再検討すべきである 勧告 IR4: 原子力産業界と ONR は 一般市民やステークホルダーとの情報交換や関係性を よりオープンで透明性や信頼性のあるものとするための方策を検討すべきである 勧告 FR8: 新たな組織の設置を規定する法案が ONR に対して決定過程をより公開性 透明性を求めるものとなるように 政府は検討すべきである 勧告 IR5: より詳細な情報を入手し 調査を終えた後 ONR は 安全評価原則 (SAP) に従い 追加のガイダンスの必要性を判断するための再評価をすべきである 勧告 IR6:ONR は シビアアクシデントについて どの程度の期間まで 規制側が監督する緊急事態対応訓練計画で網羅できるか またはすべきであるかについて検討すべきである 勧告 IR7:ONR は極めて稀な事故に対処するためにさらなる取り組みを行うべきか判断するため 英国で発生し得るシビアアクシデントの対応策について再評価すべきである 3-47

200 一般研究 原子力産業関連オフサイト施設の復旧 自然災害の影響 複数原子炉施設 使用済燃料戦略 サイト及び施設の配置 燃料プールの設計 耐震性 表 ONR 最終報告書に示された 38 項目の勧告 (2/4) 勧告 FR10:ONR は 技術的な有用性に加え 英国における有用性について戦略的視点を提供するため 原子力安全に関する研究への監督を拡大すべきである 勧告 IR8: 原子力産業界は 深刻な状態となった場合において 原子力の安全性がオフサイト施設にどの程度依存するかを再評価し 送電網の信頼性を確保できるように サイト自体の能力の強化が必要であるか検討すべきである 勧告 IR9: 原子力産業界は さらに詳細な情報が明らかになり次第 福島第一及び第二原子力発電所の事故を比較して どのような教訓が得られるか再評価すべきである 勧告 IR10: 原子力産業界は 日本の事故の経験に鑑みて 原子力サイトにおける設計基準や洪水への安全裕度を確認するため 津波を含む洪水研究のレビューを開始すべきである 定期安全レビュー プログラムの一部として 及び新規設置される原子炉の審査のために サイト固有の洪水リスク評価を改善する必要性についても再評価すべきである これには 高潮対策も含めるべきである 勧告 IR11: 原子力産業界は 複数基の原子炉の設置を検討している新規サイトについて サイト外で発生した災害によって引き起こされる深刻な同時発生事故に対応するための能力が備わっていることを確認すべきである 勧告 IR12: 原子力産業界は 使用済燃料戦略の妥当性について 受動的安全性及び安全評価原則で期待されている内容と照らし合わせ 検討すべきである 勧告 IR13: 原子力産業界は 既存のプラントや新設炉のサイトのレイアウトについてレビューし 安全系や基本的な供給 管理体制が 深刻な洪水等の外部事象に対して 十分な頑強性を有していることを確認すべきである 勧告 IR14: 原子力産業界は 原子炉の近くに設置する燃料プールを新しく設計する際に 底部の貫通部やサイフォン式配管の設置を最小限にすべきである 使用済燃料貯蔵プールそれ自体が堅牢性を持つのと同様に 必要とされる全てのものが欠陥に対する堅牢性を有するべきである 勧告 IR15: コンクリート その他の構造物及び機器類等 施設の性能についての詳細が入手できるようになった段階で 原子力産業界は関係する設計や解析に改善の余地があるか考察すべきである 3-48

201 表 ONR 最終報告書に示された 38 項目の勧告 (3/4) 極端な外部事象勧告 IR16: 原子力産業界は 本報告書の勧告について検討する際に 特に安全関連設備のレイアウトや設計に重点を置き 全ての極端なハザード要素に照らしあわせて考察すべきである 勧告 FR2: 原子力産業界は 制御室をはじめ 事故対応の管理等に必要な構造物 システム 構成要素が災害に対して適切に防御されることを明らかにすべきである 勧告 FR3: 事故対応等の管理に必要な構造物 システム 構成要素は シビアアクシデントの状況を含め 必要な時に適切に運用可能となるようにすべきである サイト外からの電力供給勧告 IR17: 原子力産業界は 送電会社と協力して 過酷な災害状況下でサイト外からの電源供給が利用できない可能性を調べ 堅牢性を確保できるよう さらなる取り組みを進めるべきである サイト内での電力供給勧告 IR18: 原子力産業界は 厳しい条件下でサイト内の電力供給が失われた状況を想定し 長期間にわたり十分な堅牢性をもってサイト内の電力供給を行うために 独立した多様な電源供給のための追加手段を用意する必要があるか再評価すべきである 冷却供給勧告 IR19: 原子力産業界は 発電所サイト外で過酷な事象が発生した際に 長期にわたり冷却材を補給する能力を持つ必要があるか また要求された時にその能力を発揮できるかについて再評価すべきである そのレビューに際して サイト内における補助供給能力の強化やサイト外部からの補給能力の強化も考察すべきである この検討は 消火用二酸化炭素及び淡水の供給について 既存のプラントと新規提案中のプラントの相応に対して行うべきである 勧告 IR20: 原子力産業界は シビアアクシデント条件下における燃料貯蔵プールに関係する緊急時計画を再評価し 福島の経験をもとに 計画通りで良いか それとも改善すべきかを検討すべきである 可燃性ガス勧告 IR21: 原子力産業界は 濃度の高い可燃性ガスが漂うまたは蓄積するかもしれない原子力施設に関して ガスの換気 排出用経路について再評価し 施設の保護のために改善が必要かを決定すべきである 緊急時管理センター 機器及勧告 IR22: 原子力産業界は サイト内外で長期間にわたび情報連絡り広範囲な破壊 シビアアクシデント時の施設内の環境等の観点から 施設内における非常時の措置 機器及び情報連絡の備えについて再評価すべきである 勧告 IR23: 原子力産業界は 必要に応じて 他の組織と連携して 広範囲な損傷を伴うシビアアクシデントの際に必要となる, サイト外部との連絡手段の堅牢性を再評価すべきである 3-49

202 表 ONR 最終報告書に示された 38 項目の勧告 (4/4) 人材の能力と役割勧告 IR24: 原子力産業界は 特に長期間にわたり施設内で従業員が取る行動について 物理的 組織的 行動的 心理的 文化的側面から検討を行い 既存のシビアアクシデント対応の取り決めや訓練等について再評価すべきである 勧告 FR11: 原子力産業界は 原子力に係るナショナル技能アカデミー等も活用して 従業員の間で高いレベルの安全文化が保持されるように継続して促すべきである 安全設備勧告 IR25: 原子力産業界は 長期にわたるシビアアクシデントに関して 一連の事故の分析結果を再評価すべきである これにより 安定状態の達成に向けた 適切な修復 復旧に関する戦略を特定すべきである 勧告 FR1: 原子力施設の認可を受けた者は全て 定められた基準 期間に沿った定期安全レビュー (PSR) を完了し 合理的で実行可能な改善を行うことを 妥当かつ一貫した優先事項とすべきである 勧告 FR4: 原子力産業界は 適切なレベル 2 の確率論的安全性解析 (PSA) を 施設外に重大な影響を与える事故の発生可能性がある全ての原子力施設で行い その結果に基づき シビアアクシデント対策について更なる検討を行うことを明らかにすべきである 今後の取り組み勧告 IR26: 中間報告書で示された様々な勧告への対応は 報告書が公表されてから1ヶ月以内に明らかにすべきである これらの勧告を実行するための適切な計画も必要である 対応内容は ONR のウェブサイトで取りまとめる 勧告 FR12: 本最終報告書の勧告に対する取り組みの進捗状況の報告は 2012 年 6 月までに ONR にすべきである 報告には その時までに講じられた改善の詳細とともに 計画の位置付けも含めるべきである 3-50

203 表 英国 EDF NGL の実施状況 (1/2) (2012 年 10 月 31 日付 ONR 報告書 ) EDF NGL による戦略の第一段階では 広い範囲のハザードや問題に対して全てのサイトで柔軟性を強化できるよう 比較的速やかに導入でき 他に影響を及ぼさない改善を行う これには 所外のバックアップ設備や他に影響を及ぼさない改善が含まれる ONR は 第一段階については良好に進捗していると考える 戦略の第二段階では 更なるプラント改善を特定 実施する解析的作業に着目する 例えば 外部ハザードに対する裕度解析が含まれる ONR は 基本的に優先度に沿っているが いくつかの分野は進捗が遅れていると認識している ただし EDF NGL は勧告や指摘事項の全ての側面に適切に対処すると誓約している 所外の緊急時バックアップ設備 緊急時バックアップ設備を特定し 調達する作業を実施中 設備は 3 箇所の AGR 倉庫及び今後 Sizewell B に建設する緊急時対応センター (ERC) に貯蔵する これらの倉庫では 以下の設備を保管する : - オフロード車両 - デブリ除去用車両 - 人員保護設備 - ディーゼル駆動発電機 - ディーゼル駆動水ポンプ ( 原子炉及び燃料の冷却用 ) - きれいな水を得るための逆浸透設備 - 損傷補修用設備 - ディーゼル駆動排水ポンプ - 排水処理施設 - 対応調整や要員の生活用の一時的構造物 - 計装設備を含む 可搬の通信設備 - 不活性ガス - 燃料備蓄を含め これらの設備を用いる上で必要な補助的設備 Sizewell B の ERC は 2013 年末までに サイトから数 km の場所に建設する ERC には バックアップの緊急時管理センター (ECC) を含める 全体として 2014 年 3 月に完了する予定 Sizewell B のプラント改造 ストレステストの結果として Sizewell B では以下の妥当性評価を完了させることとされている - 静的触媒型再結合器 (PAR) - 格納容器フィルタ ベンティング - 格納容器への水注入 妥当性評価は順調に進んでおり PAR の導入は 2013 年の燃料交換停止から開始される予定 フィルタ ベンティングについては 技術的解決とセーフティ ケース戦略をまとめるチームが検討を進めている この追設が妥当とされた場合 2014 年末までに設置 起動を完了させる予定 外部ハザード 多くの勧告及び指摘事項があるが 優先順位付けによりいくつかは遅い進捗となっている EDF NGL は ONR に対し 適切な結果を出すとの誓約を示している これまでに公式に ONR に報告されたものは僅かである サイト洪水セーフティ ケースについては 福島事故直後に検討が開始され 全 EDF NGL サイトの洪水ハザードが再計算されている 地震ハザード評価手法の評価や裕度評価については あまり進捗していない ONR は 設計基準による裕度の確認やクリフエッジ効果の特定は重要と考えている 3-51

204 表 英国 EDF NGL の実施状況 (2/2) (2012 年 10 月 31 日付 ONR 報告書 ) 長期的な研究 / 国際的なデータ収集に関して EDF NGL が示した範囲は妥当である 人的能力 EDF NGL は 人的能力に関する勧告に対し 詳細な回答を提供した EDF NGL は既に着手済みの作業に加え 以下の作業プログラムを特定した : - 地震及び極端なハザードシナリオにおける運転員操作要件のレビュー - 設計基準を超えるタスクの考慮等を含め 緊急時配置のレビュー - 系統ベース緊急時対応ガイド (SBERG) 及びシビアアクシデント ガイド (SAG) のレビューと更新 - 新燃料に関わる SBERG/SAG の作成 - 現状の緊急時対応配置の妥当性レビュー - 新たな対策に関わるものを含め 主要スタッフの訓練 演習のレビュー及び更新 - シビアアクシデント状態で必要とされるリソースや生活サポート要件の考慮 これらの作業は 2014 年初期に完了予定であり 引き続き訓練を行う 緊急時の制御 計装及び通信 所内の緊急時制御 計装及び通信に関する勧告に対する EDF NGL の対応は 既存通信システムにおける問題 ECC 代替表示センター (AIC) 及び緊急時表示センター (EIC) といった主要施設の柔軟性向上 自然ハザード対策のシステムに着目したものである 上記のように Sizewell B の近くに設置する ERC については大いに進捗している 既存の制御及び計装系を強化することにより主要なプラント パラメータ ( 例 : 原子炉温度 圧力 ボイラー圧力と流量 ) を得る可能性について 妥当性評価を行う 原子力産業界の良好事例に照らし AGR の AIC/EIC Sizewell の ECC 等の能力をレビューしている PSA 及びシビアアクシデント解析 Sizewell B のレベル 2 PSA では 設計基準を超える事象も対象としており PSA に関わる勧告は Sizewell B に関しては解決している 3-52

205 地震についての評価 表 ストレステスト国別報告書の概要 (1/3) 英国では 1980 年初めまでは プラントの構造物の耐震設計は考慮されていなかった その後 定期安全レビュー (PSR) のプロセスにおいて 耐震荷重についての評価が行なわれた 事業者が示した設計基準地震の説明及び現在適切性に関する証明について ONR は広く支持する 地震ハザード評価の方法については 今後 レビュー / 見直しが必要と考える 地震のセーフティー ケースについての説明は ストレステストの要件を満足するために一般的に十分であると考える 事業者の提出物で 耐震設計において固有の安全余裕があることが示されているが 十分体系化され包括的な方法で示されてはいない このため 設計基準地震を超えるハザードに対してプラント頑強性を向上させる方法が十分摘出されていない ONR は 地震による火災を含めて体系的にレビューすることを勧告した また 設計基準を超える事象について PSA を用いたアプローチが有用と考える 洪水についての評価 洪水に関して 設計基準洪水の定義とその適切性 セーフティー ケースの適切さと頑強性 及び設計基準を超える洪水についての安全余裕 が検討された 英国の安全解析では 洪水 ( 及びその他の外部 ) ハザードは 保守的な 10-4 / 年レベルあるいは安全評価原則 (SAP) に従った厳しさとして定義され サイトに適用されている 設計基準洪水 (DBF) の防護については 防潮堤 / 砂丘あるいはサイトのプラットフォーム高さによってなされ また それを超える場合でも地形的に自然に排水されることが必要とされる 安全上重要な機器が防護されることが重要である また 対応の手順書があり 機材を用いた防護あるいは冷却水喪失に対する対応措置がとられる 設計基準を超える洪水についての事業者の安全余裕の検討は 洪水ハザード解析及び防護の設計に含まれる保守性の評価に限定されている 事業者は 強固で目的に即した洪水ハザードの評価を行なったこと 洪水ハザードのセーフティー ケースは設計基準レベルまで強固であること また 手法に含まれる保守性及び洪水防護の設計から 設計基準を超える安全余裕があること を主張した ONR は 概して これらの主張を支持するが 次のような所見を示す 洪水の水がシステム 機器のある建屋に入る可能性について より詳細な解析が行なわれるべきである より包括的なクリフエッジの解析が行なわれるべきである 洪水時及び洪水後に運転員が安全関連のタスクを行なえるかどうかに関して より詳細に解析されるべきである 極端な気象条件についての評価 極端な気象条件を含めた自然ハザードについての英国の設計基準は SAP で保守的に 10,000 年に 1 回 (10-4 / 年 ) 以下の頻度を有するものとして定義されている 極端な気象条件は 必須の安全系を含めてプラントの運転に影響を与える可能性がある 事業者は 設計基準の極端な気象条件及び頻度 10-4/ 年に対する防護の備えをレビューした ONR は 設計基準及び防護の備えは基本的に妥当であると考える 悪い気象条件は サイトへのアクセス及びサイト内での措置実施に悪影響を与える可能性がある 一般的に 極端な悪い気象条件では外部送電網が喪失することを想定する ONR 3-53

206 表 ストレステスト国別報告書の概要 (2/3) は サイトへのアクセスの問題 及び運転員措置全体について更にレビューすべきと考える 設計基準を超えた設備の故障に関しては 現在定量化された情報が非常に少ない ストレステストの期間において そのようなデータを収集 分析して使えなかったのはやむをえなかったと考える 今後の課題として 外部ハザードに適用される設計事故を超える故障のシーケンス及びクリフエッジについて理解するために 安全上重要な構造物 システム 機器すべてについて体系的な方法で安全余裕を評価する必要がある ストレステストによって 極端な気温の高温あるいは低温に関する潜在的なクリフエッジが同定された 設計基準を超える評価において このような作業プログラムが検討されるべきである 雪は サイト内及びサイト外でのアクセス サイトでの排水 及び冷却及び排気設備に影響を与える可能性がある 設計基準を超える評価において これらを扱う作業プログラムが検討されるべきである 気候の変動は 気象ハザードの厳しさに影響を与える可能性がある 気候の変動は比較的ゆっくりしたものであり 設計基準への影響に不確かさが伴なうので 気候変動の影響については PSR の中で継続して取り扱うのがよいと考える 電源の喪失及び最終ヒートシンクの喪失 (1) 電源の喪失英国のプラントは 少なくとも 2 つの外部送電網との接続を有するように要求されている また それらが喪失した場合に安全機能を満たすために 交流 (AC) 及び直流 (DC) 電源を供給する非常用電源系が要求されている また バッテリーでバックアップされるシステムに充電する設備がある ONR は 事業者によるプラントのシステムの記述は適切であると考える また 事業者が検討中の改善策案は適切であると考える 特に 可搬式設備を接続できる建屋外部の接続点を設けることは有益と考える さらに シビアアクシデントの際の開閉器の健全性をレビューすることを検討に含めるべきである プラントでの必須の冷却のための水と燃料の貯蔵は十分であるが 福島での事象を考慮して 水と燃料の貯蔵を増やすこと及びシステムの回復時間を向上させることを事業者は検討すべきである また 事業者は計装制御系の回復能力を向上させる ( バッテリーが使用できる時間を引き延ばす ) ことを検討するとしており これは適切であると考える また 安全機能に関係する発電機及びそのサポート系 ( バッテリ 燃料 水 オイル ) のレビューが行なわれるべきである シビアアクシデント シナリオのトランジェント解析に含まれる保守性を見直して 事故の進行と防止策に関する時間スケールを把握しておく必要がある 別の送電網への接続の信頼性及び回復時間について 事業者はレビューを行なうべきである (2) 崩壊熱除去能力 / 最終ヒートシンクの喪失主最終ヒートシンクの喪失 及び主最終ヒートシンクと代替ヒートシンクの喪失 について検討が行なわれた Sizewell B の 1 次系及び 2 次系への注水のためのポンプには十分な冗長性及び多様性があり プラントの設計は頑強であり 設計基準内の事象に対して高いレベルの防護がある しかしながら EDF NGL は シビアアクシデントの際には共通原因故障などによってプラントが脅かされる可能性があることを認識している 設置されているシステムに依存しない更なる対策について検討が行なわれる このよう 3-54

207 表 ストレステスト国別報告書の概要 (3/3) なことから ONR は EDF NGL のアプローチを支持する (3) 全交流電源喪失と組み合わさった最終ヒートシンクの喪失 Sizewell B で 全交流電源喪失 (SBO) によって主ヒートシンクの喪失に至る SBO 事象については前述している すべての交流電源が喪失する事象において 必須のバッテリーは 2 時間もつが その後 計装制御系が喪失する 主復水器及び RUHS は初めから使えないが タービン駆動の補助給水系を SG の補助給水にあてることが可能である (1 次系が健全で適度な圧力で蒸気が発生する場合 ) タービン駆動のポンプは 交流電源の供給がなくても継続運転する DC 供給が喪失すると このシステムの状態の情報が運転員に伝わらないが 弁は適切なミニマム フロー状態になる あるいは手動で操作できる このように 短期的にポンプは運転継続できる 中期的には 十分に制御するために DC 電源が必要となる可能性がある 燃料交換停止の際で原子炉圧力バウンダリが健全でない場合 SG は有効なヒートシンクではない このような状態の下で 炉心で大量の蒸気が発生し 燃料取替え用水タンクからの重力ドレンによって炉心が効果的に冷却される圧力を超えない圧力で加圧器に排出される可能性がある RHRS のために電源が回復されない場合 原子炉の水位が徐々に下がり 燃料が露出して損傷する 圧力容器のヘッドが閉じているが 1 次系が加圧されていない場合 最悪ケースが生じる 電源が回復されない場合 炉心損傷によって圧力容器が脅かされるのは時間の問題である 時間は短いが 炉容器が加圧できない場合で燃料交換キャビティに対して開いている状態が リスクが最も高い期間である EDF NGL は 可搬式設備を用いて 1 次系に注水する手段を検討中である 電源の喪失及びヒートシンクの喪失に関する評価について ストレステストの要件に適切に注意が払われているかどうか 及び事業者の対応が ONR の理解と一致しているかどうか の観点から ONR は 全般的に これらの要件は満たされていると考える ONR の評価のプロセスにおいて 多くの質問が事業者に送られ 事業者から回答が示された ストレステストの適用によって 事業者は電源系に関する多くの改善策案を摘出し 検討中である ONR は これら対策の多くの実施によって 設計基準を超える事象に対処できる追加の深層防護の能力が与えられると考える シビアアクシデント マネージメント シビアアクシデントに対処するための組織面及び事故マネージメント策について検討が行なわれた プラントは設計基準事象に対して頑強であるが 設計基準を超える事象については バックアップ設備を備え また SBERG/SAG を向上させることが有益である 適切な事故マネージメント対策を特定するために シビアアクシデント シーケンスについて更に解析 / 検討する必要がある また 現在の備えに燃料プールを含めるように拡張する必要がある また 格納容器が耐える時間を引き延ばす対策が必要であると考える Sizewell B では 格納容器を保つために 格納容器フィルタ ベンティングの設置 静的触媒型水素再結合器の設置 及び注水のためのフレキシブルな手段 のフィージビリティを検討して 適切な改善を行なう予定としている 事業者は 設計基準を超える状況について摘出した安全性向上策案について検討するとしている 適切な検討によって安全性向上策が実施されることを望む 3-55

208 3.4 フィンランドの取組 短期的措置とストレステスト フィンランドでは 福島第一原子力発電所の事故の直ぐ後に 雇用及び経済省 (MEE) が放射線原子力安全機関 (STUK) に この事象に関連したフィンランド原子力発電プラントでの安全確保の備えを調べて報告するように指示した これを受けて STUK は短期的な安全性レビューを実施し その結果を MEE に報告した この短期的レビューのフォローオン作業は 2011 年 6 月から開始された EC ストレステストと合わせて行われることになった STUK は 提出された事業者のストレステストの報告書 (2011 年 10 月末 ) のレビューに基づいて フィンランドでのストレステストの評価結果をまとめた報告書を作成し 2011 年 12 月末に EC に提出した この概要を表 に示す 事業者向けの要求事項 STUK は Loviisa 及び Olkiluoto の設置者に対して各々 14 件 17 件の情報提出要求を行い 提出された回答に対するレビューを進めた そして 一部未提出の項目やレビューが済んでいない項目があるものの 2012 年 7 月 19 日付で表 に示す指示を両設置者に対して行った STUK は その後も更に追加の指示を行う可能性があるとした 2012 年 8 月 日に IAEA の原子力安全条約第 2 回特別会合が開催され 福島事故を受けた諸活動について各国から説明が行われた 本会合に向けたフィンランドの報告書 (2012 年 5 月付 ) では 以下の実施状況がまとめられている 外部事象 設計に係る課題 シビアアクシデント マネジメント ( 所内 ) 国内組織 緊急時及び事故後状況における所外組織 国際協力 その後 STUK が 2012 年 12 月 21 日に公表した国別アクション プランの構成を以下に示す 1. 導入 2. トピック 1: 自然ハザード 3. トピック 2: 電源喪失及び最終ヒートシンク喪失 ( 設計問題 ) 4. トピック 3: シビアアクシデント マネージメント ( 所内 ) 5. トピック 4: 国内組織 6. トピック 5: 緊急時の備えと対応 及び事故後管理 ( 所外 ) 7. トピック 6: 国際協力 8. 実施状況 上記の 1~3 章では ENSREG による勧告事項まとめ (2012 年 9 月付 ) の区分に概ね沿った形で事業者 (Olkiluoto 及び Loviisa) の対応状況が示されている 3-56

209 8 章では国レベルの対応状況 Loviisa の対応状況 Olkiluoto-1/2 の対応状況 ( 表 参照 ) Olkiluoto-3 の対応状況 ( 表 参照 ) が表形式で示されている 3-57

210 表 ストレステスト国別報告書の概要 (1/4) 地震 土木構造物について フィンランドの建築基準には耐震設計に関する一般的な要件はない フィンランドの原子力安全規制において 耐震設計に関する要件は 1988 年に初めて規定された ( 規制指針 YVL 2.6) 耐震設計に関する要件がなかったこと及び南フィンランドでは地震活動が低いことから フィンランドで運転中のプラントの当初の設計で耐震性は考慮されなかった 最初の地震 PSA 研究が Loviisa-1,2(VVER の改良 ) について 1992 年に Olkiluoto-1,2 (BWR) について 1997 年に完了した これらの研究で 地震荷重に耐えるために強化すべき構造物が特定され ( 前述の耐震の要件注に適合するように ) 耐震性が強化された 最新の PSA(Loviisa 2010 年 Olkiluoto 2008 年 ) で 地震リスクは小さいことが示されている ストレステストからは新たな疑問が呈せられ 使用済燃料プールの構造物や消火水系のような重要な構造物の頑強さを確かめるために さらに検討が行なわれる予定である Olkiluoto-3( 建設中の EPR) では 当初の設計で地震が考慮されており ストレステストから設計改善の必要性は摘出されなかった 洪水 Loviisa 及び Olkiluoto のサイトは 共に海の近くにある バルト海は 海面水位の変動が穏やかな閉鎖性の海である バルト海は浅く ( 平均の深さ約 55m) 通常の波高を超える大きな津波の可能性は考えられない バルト海は 北海の大陸棚及びデンマーク海峡によって 大西洋で起こる可能性のある津波の大きな影響から守られている また バルト海では潮汐効果も小さい 海面水位の変動は バルト海の総海水量 気圧 風 及び静振 ( バルト海盆での定常波 ) によって決められた 長期的 ( 数十年 ) に 土地の隆起及び地球温暖化による海洋水位上昇の可能性も 海面水位に影響を与える 最大の海面水位は 最も悲観的な方法で評価されている このような研究に基づいて Olkiluoto サイトでクリティカルな海面水位 +3.5m を超える可能性は極めて低い 一方 Loviisa では プラントが冷温停止状態にあり 海水系が保守のために開放された場合 海面水位が高いことに対してより脆弱である このような状況の場合 クリティカルな海面水位は +2.1m である しかしながら 燃料交換停止は通常 8 月から 10 月の期間に予定されており この時期は海面水位が冬に比べてかなり低い また 海水系のオープン ハッチは 海面水位が上昇する前に閉じることができる しかし このような状況において洪水のリスクを低くするための措置が必要とされる 出力運転時は Loviisa での洪水に関してクリティカルな海面水位は +3.0m である Loviisa では Olkiluoto よりも安全余裕は小さいが 前記の水位は観測された最大値及び評価された理論的な最大値に比べて十分高い 事業者は 安全上重要な場所の防護あるいは洪水堤防について検討中である STUK は 事業者が提案した様々な措置についてレビュー中である 極端な気象条件 フィンランドで運転中のプラントの当初の設計では 起こりうるすべての気象現象あるいはそれらの組み合わせまでは考慮しなかった 気象現象及びプラント サイトに関係する現象の組み合わせを含めたその他の極端な外的な条件は PSA の一部である気象 PSA において包括的に解析されてきた 気象 PSA 解析の結果 及びプラントの運転に関する極端な気象現象の影響の運転経験が プラントの技術的な変更改善及び手順書を含めた予防策 3-58

211 表 ストレステスト国別報告書の概要 (2/4) の設計に考慮されてきた また このストレステストに基づいて いくつかの変更改善が行なわれる予定である Olkiluoto-3 の設計では 気象現象に関する最近の検討結果が使われている フィンランドの安全研究プログラム (SAFIR2010 SAFIR2014) の中では 気候変動及び地球温暖化を含めた 極端な気象条件及び極端な海面水位の研究も行なわれている この研究結果は 極端な気象現象 特に 気温 風 雨 についての安全余裕の再検討で考慮されている 電源の喪失及び最終ヒートシンクの喪失 (1) 電源の喪失フィンランドのプラントで基本安全機能を提供するシステムへの信頼できる電源の供給は 深層防護の概念によって確保されている 様々なレベルでの電源の多重性及び多様化の結果 すべての電源供給系が喪失する確率は フィンランドのプラントにおいて非常に低い 通常運転状態において 安全関連系統の交流 (AC) 電源は プラントの主発電機から供給される プラントの発電に障害が生じた場合には AC 電源供給の 2 番目の深層防護として 2 つの外部送電網のうちの 1 つを使うことができる それらが使用できない場合には AC 電源供給の次の深層防護として 4 台の冗長な非常用ディーゼル発電機 (EDG) があり そのうちの 1 台で重要な安全機能をサポートできる 非常に低い確率の事故において 2 台の EDG が必要となる可能性がある また EDG のほかに サイトに追加の電源供給ユニット -Olkiluoto サイトにはガスタービン発電設備 Loviisa サイトには大型の空冷ディーゼル発電機 - がある また フィンランドのプラントは 近くの水力発電所から電力の供給を受けることもできる 前述したすべての電源系が喪失した場合 プラントの状況は炉心損傷 すなわちシビアアクシデントに至る 深層防護の第 4 レベルとして 格納容器の健全性を守り シビアアクシデントの際の大規模な放射能放出を防止するために 独立した電源供給系がある あるいは電源に依存しない事故マネージメント策を備えている Olkiluoto-1,2 では シビアアクシデント マネージメント策は AC 電源に依存していない Loviisa-1,2 では シビアアクシデントの状況のマネージメントに AC 電源が必要であるが 他の電源供給及び配電系と分離 独立した 2 台の DG がある これらは シビアアクシデント マネージメントのためのシステムへの電源供給に適切な性能を有している 場合によって これら DG は 炉心損傷を防止するためのシステムにも接続して電源を送ることができる Olkiluoto-3 では Loviisa と同様に いわゆる SBO 用 DG 2 台を有しており それらは 4 台の EDG とは異なるメーカー 性能 電圧 である これらの SBO 用 DG は シビアアクシデントが起こった際の格納容器の健全性を守るほかに シビアアクシデントの防止のための最後の備えとして使うことができる 電源供給がすべて喪失した場合 Loviisa-1,2 では 燃料の損傷が起こる前に AC 電源を回復させるための時間余裕が長い この状況で ディーゼル駆動の給水ポンプを使用して時間余裕をさらに引き伸ばすことも可能である Olkiluoto-1,2 では 炉容器への注水について独立した方法が計画されている これは 非常に起こる可能性が小さいと考えられているが 電源がすべて喪失した場合に炉心損傷までの時間余裕が短いためである STUK は システムの詳細な技術設計をレビューする予定である Olkiluoto-3 では 電源供給がすべて喪失した場合に SG に給水する独立した方法を検討中である Olkiluoto-3 では 全電源喪失の場合の時間余裕は Olkiluoto-1,2 よりも長い 3-59

212 表 ストレステスト国別報告書の概要 (3/4) すべてのプラント ユニット (Olkiluoto-3 も含む ) での AC 電源供給の信頼性向上のためのそのほかの措置では サイトのすべての非常用電源ユニットの長時間の燃料及び潤滑油の備蓄の向上 可搬式電源ユニットを用いる必要性 可能性の検討 適切なバッテリー容量の確保 を扱っている バッテリーに関しては ユニットによるが 重要なバッテリーの容量の増加 バッテリーの充電の改善の可能性 バッテリーの保護の可能性の検討 が扱われている 特に Loviisa では 重要な安全系のバッテリーの適切な容量の再評価が必要である (2) 崩壊熱除去能力 / 最終ヒートシンクの喪失通常の最終ヒートシンクが喪失した場合 すべてのプラント ユニットで 残留熱を除去するいくつかの可能性を有している また 海水の様々な混入物及び氷晶による冷却水取水の閉塞に対して予防策がとられている 事業者は 代替の最終ヒートシンクに関していくつもの改善策を検討中である 例えば Loviisa では 代替のヒートシンクとして 独立した空冷の冷却塔の設置の可能性を検討している Olkiluoto-1,2 では 通常の最終ヒートシンクが喪失した場合 補助給水系 ( スウェーデン製 BWR では高圧注入系のことをこう呼んでいる ) の運転を確保する案を示している STUK は これらの案をレビュー中である また サイトの複数のユニットに影響を与える事故の可能性を考慮して 残留熱除去のための原水の長期的な供給を確保するために追加の措置が必要とされる シビアアクシデント マネージメント (1) シビアアクシデント マネージメント (SAM) ストラテジ Olkiluoto-1,2 及び Loviisa-1,2 の両方で 包括的なシビアアクシデント マネージメント (SAM) ストラテジが開発され 取り込まれている ストラテジの開発は 1986 年の Chernobyl 事故の後に始められた 最新の対策は 2003 年に取り込まれている これらのストラテジは 現在の規制で要求されている格納容器の健全性を確保することに基づいている STUK は これらストラテジをレビューし それらの取り込みのすべての段階で検査した Olkiluoto-3 では シビアアクシデントが当初の設計で考慮されている STUK は 全体の SAM ストラテジをレビューし そのアプローチを承認した ストレステストの結果から このアプローチの変更改善は必要とされていない (2) 使用済燃料プールすべてのユニットで 使用済燃料プールについてのアプローチは 燃料損傷の可能性を実質的に排除することである これは 使用済燃料プールの十分な水位を確保することで達成される 通常のプール冷却系が喪失した場合 使用済燃料のヒートアップには比較的長い時間遅れがあるので 燃料損傷を実質的に排除するためのストラテジは プールにある燃料の冷却を確保するために一時的な接続を行なうことに基づく 各ユニットで (Olkiluoto-3 も含めて ) 詳細な措置を検討して それを取り込む必要がある また プールの計装 ( 水位 温度 ) の改善も必要となるであろう (3) 緊急時計画同時に複数のユニットに影響を与える事故は 緊急時計画において明示的に考慮されていなかった シビアアクシデントのリスクは単一ユニットの場合小さいが 複数ユニットの事故について既存の緊急時計画の適用可能性を評価することが賢明であると考えられる 特に 組織的な面 及び人的及び物的なリソースについて より詳細に分析する必要がある さらに そのような分析において 状況を悪化させる可能性のある地域のインフラの劣化の可能性を考慮する必要がある 3-60

213 表 ストレステスト国別報告書の概要 (4/4) 全体的な結論 フィンランドでは 福島第一原子力発電所の事故の直後に この事故からの知見に焦点をあてた安全性レビューを行なった この評価から フィンランドで運転中のプラントにおいて直ちに措置を必要とするハザードあるいは欠陥は特定されなかった また 欧州のストレステストからも 直ちに必要とされる措置は出てこなかった 安全性の継続的な向上が重要な原則であり これは フィンランドの運転中プラントで効果的に実施されている 事業者はプラントの運転認可を得た後も 国内及び国際的な運転経験 技術の進歩 及び安全問題に関する研究に従って 安全性の向上に新たな知識を適用すべきことの明示的な要求がある 安全性の継続的な向上の原則に従って 事業者は プラントの経年化マネージメント プラントの設備近代化 安全性向上 のための長期的なプログラムに取り組んでいる シビアアクシデントに対処するために必要なストラテジ及び措置が フィンランドの運転中プラントで取り込まれている また この原則に従って ストレステストに基づいて安全性をさらに向上させるために 運転中プラント及び建設中プラントで いくつかの措置が行なわれる予定である これらの措置は 環境条件が劣化した場合 及び 3 つの基本安全機能 - 反応度制御 崩壊熱除去 放射性物質の密閉 - が喪失した場合の シビアアクシデントの防止に焦点をあてている 福島事故からの経験はまた 現在進行中のフィンランドの規制ガイド (YVL ガイド ) の更新においても考慮されている このドラフト版では 原子炉及び格納容器から崩壊熱を除去できる自立したシステム 及び貯蔵燃料の十分な冷却を確保するための備え を要求している 崩壊熱の除去は プラントの AC 電源系が利用できない場合でも 72 時間行なえなければならない YVL の更新版は 新たなプラント (Fennovoima-1 Olkiluoto-4) で考慮する必要があるが 運転中及び建設中のプラントへの適用に関しては 別途決められる また 福島事故の教訓は フィンランドの安全研究プログラム (SAFIR 2011~2014 年 ) の中で注意が払われる予定である 3-61

214 表 Loviisa-1/2 の設置者 (Fortum) に対する STUK の指示 (1/2) 自然現象及び電源喪失に関わる安全性向上の公的監視を構築し 今後の報告書による知見を活用するため : 1. Fortum は 前回及び今回の指示に基づき計画及び達成した全ての改善策を記述した全体実施計画及び実施スケジュールを 6 ヶ月ごとに STUK に提出すること 最初の報告書の期限は 2012 年 11 月 30 日とする STUK は評価に基づき 海水系から独立した除熱に関し 以下の要件を指示する : 2. Fortum は 原子炉及び燃料プールの燃料から残留熱を除去する冷却塔の設計を 2012 年 9 月 30 日までに STUK の承認を求めて提出すること 設計では 崩壊熱を除去する上で必要な海水水位について示すこと STUK は 前回指示の回答として Fortum が示した洪水防護の提案を 以下の条件付で認める : 3. Fortum は 報告書 LOI-K を更新し 様々な洪水水位及び他の対応する状況下で利用できる熱放出系の洪水影響について 例えば表形式で明確に示すこと 報告書の更新版は 2013 年 3 月 31 日までに STUK に提出すること 4. Fortum は 洪水により水没するケーブル 及び 110kV 配管の水没により送電網との接続が失われると想定される洪水水位についてより詳細に評価すること 評価結果は 2013 年 12 月 31 日までに STUK に提出すること 5. Fortum が洪水防護を高めるため防潮提を建設する場合 以下を説明すること : a. ポンプ ステーションの海水取水トンネルを解した洪水を防止する計画と発電所と海の間にありえる他の開放接続部 b. 防潮提により囲まれるエリア内から雨 嵐及び雪解け水を排出する計画 温度変化による融解と結氷を含め 閉塞に至りうる様々な状況を考慮すること 局所的な防御を行う場合 防御する設備の選定要件を示すこと これらの洪水防護改善計画は 2013 年 12 月 31 日までに STUK に提出すること 6. 洪水防護の設計原則を評価する上で Fortum は極端な海水水位とその発生頻度 ( 停止操作に必要な月次データを含む ) が最新か確認すること 7. Fortum は排水側海水ダムを 3.0m かさ上げすることにより停止中の洪水防護を高める妥当性について評価すること 検討では 取水側水路ゲートを越える洪水の重大性を考慮し 排水側水路ゲートに関する人的エラー確率 及びそれを最小化するため用いうる運営上及び技術上の方法を評価すること 8. 全ての計画では 報告書 LOI-K で言及された参照高さ座標を示すこと 9. Fortum は Loviisa 発電所で用いられている全ての海水水位測定装置の場所 型式 測定エリア及び較正に関わる情報を 2013 年 3 月 31 日までに STUK に提出すること 以下の要件は 燃料プール冷却の確保に関するものである : 10. Fortum は 燃料プール冷却を確保するための実施計画を 2013 年 3 月 31 日までに STUK の承認を求めて提出すること 11. Fortum は 燃料プールの高温環境 及び格納容器内の場合は高圧環境における耐久性について評価報告書を 2012 年 9 月 30 日までに STUK に提出すること 以下の要件は 耐震性の評価に関するものである : 12. Fortum は 前回指示の要件 4 に関わる評価報告書及び結論を 2012 年 12 月 31 日までに STUK の承認を求めて提出すること この結論では 他の冷却水使用要件を考慮すること 以下の要件は 事故長期化時のディーゼル燃料供給に関するものである : 13. Fortum は 報告書 LOI-K で列挙したディーゼル設備を稼動させるため適切なバイオ燃料に関する評価報告書を 2012 年 12 月 31 日までに STUK に提出すること 3-62

215 表 Loviisa-1/2 の設置者 (Fortum) に対する STUK の指示 (2/2) 以下の要件は バッテリ容量の改善に関するものである : 14. Fortum は 追加の保護された給電バッテリ容量を高める計画を作成すること バッテリ容量の目標は 2 時間である これはシール水系の稼働時間を増加させるため特に重要である 計画は 2012 年 12 月 31 日までに STUK の承認を求めて提出すること 以下の要件は 原水供給に関するものである : 15. Fortum は SG または XU/VU 系を解した原子炉冷却と格納容器建屋及び使用済燃料貯蔵施設内の燃料プール冷却を同時に行うため必要な状況での全水消費量と供給の十分性に関して検討を追加すること 本検討は 外部電源が喪失し代替電源も喪失した状況でのシナリオをカバーするよう拡大すること 追加評価の結果は 2012 年 12 月 31 日までに STUK に提出すること 以下の要件は 緊急時対策に関するものである : 16. Fortum は 輸送ルートの復旧に関する計画を 2013 年 6 月 31 日までに STUK に提出すること 代替ルート及びアレンジの実効性 ( 例えば 容量 対応時間 気象関連因子 変則的な着陸点 ) は 2013 年 12 月 31 日までに STUK に提出すること 17. 緊急対応組織に要員を割り当てる場合 緊急状態の個別要件に対する個人の妥当性を考慮すること 考えられる出発点は 例えばクラス A 放射線作業の資格で 要員の遂行能力を十分検証すること Fortum は 評価結果を 2013 年 3 月 31 日までに STUK に提出すること 18. Fortum は 1 ユニット以上で同時に生じる緊急事態に対して余裕を得るため 緊急時対応計画や緊急時組織を 2013 年 6 月 30 日までに更新すること 更新では特に 責任分担 通信ルート 及び緊急事態の拡大や長期化の可能性を考慮すること 19. Fortum は プラント施設に出入りする人員を記録し 例えば自然現象によって各ユニットに通常割り当てられたプロセスや施設が動作不能の状況で ( 人員 車両及び物質の ) 避難 放射線測定及び除染を行う計画を作成すること この計画は 緊急時対応計画に取り込み 2013 年 3 月 31 日までに STUK に提出すること 計画した手順の訓練は 2013 年 12 月 31 日までに実施すること 3-63

216 表 Olkiluoto-1/2/3/4 の設置者 (TVO) に対する STUK の指示 (1/2) 自然現象及び電源喪失に関わる安全性向上の公的監視を構築し 今後の報告書による知見を活用するため : 1. TVO は 前回及び今回の指示に基づき計画及び達成した全ての改善策を記述した全体実施計画及び実施スケジュールを 6 ヶ月ごとに STUK に提出すること 最初の報告書の期限は 2012 年 11 月 30 日とする STUK は評価に基づき 残留熱除去に関して以下の追加要件を指示する : 系を介して実施する追加の水供給の提案に関し a. 必要とされる弁への給電は通常接続されている系統から独立させること 電力喪失状態で要求される計装の同様 b. 原子炉の圧力放出能力に関する評価を行うこと c. 系統の計画要件に 風圧耐力をクラス EF3 に引き上げる可能性の評価を入れること d. 系統を動作可能とするための通常操作に必要な時間と人的リソースの評価を それらが圧力放出に十分かどうかの評価と合わせて実施すること 3. TVO は 代替電力供給系が喪失した状態で高圧の原子炉を冷却する妥当性について追加の評価を行うこと 上記 2 及び 3 に対応する評価報告書は 2013 年 2 月 1 日までに提出すること STUK は報告書のレビュー後 追加の残留熱除去水供給系の基本設計に関してフィードバックを行う可能性がある 以下の要件は 耐震性の評価に関するものである : 4. TVO は 前回指示の要件 4 に関わる評価報告書及び結論を 2013 年 2 月 1 日までに STUK の承認を求めて提出すること この結論では 他の冷却水使用要件を考慮すること 以下の要件は 使用済燃料貯蔵施設の海水水位高対策に関するものである : 5. TVO は 海水配管トンネルと海水ポンプ施設との間のシールの妥当性を評価すること 評価報告書は 2012 年 10 月 31 日までに提出すること 以下の要件は 予備発電機の燃料供給に関するものである : 6. TVO は 事象が長期化した状態で連続動作を確保し制御を維持するために予備発電機ディーゼルエンジンを稼動させるため一般に利用できるバイオ燃料の妥当性について報告すること 危機状態で一部バイオ燃料を使用する可能性が高い場合 所定の手順書を用いて状態を制御できるよう 前もって影響を評価しておく必要がある 評価結果は 2012 年 11 月 30 日までに STUK に提出すること 以下の要件は 可搬設備に関するものである : 7. TVO は 前回指示の要件 15 に関わる評価報告書を 2012 年 12 月 31 日までに STUK の承認を求めて提出すること 以下の要件は 原水供給に関するものである : 8. TVO は Olkiluoto 原子炉の全水消費量を 通常の熱交換機能が喪失した長期化した災害状態で 全原子炉 燃料プール及び使用済燃料貯蔵施設を同時に冷却するため必要な水供給の利用可能性と妥当性と合わせて評価すること 外部電源が喪失し代替電源も喪失した状況でのシナリオを評価すること 評価結果は 2012 年 11 月 30 日までに STUK に提出すること 以下の要件は 緊急時対策に関するものである : 9. TVO は 輸送ルートの復旧に関する計画を 2012 年 12 月 31 日までに STUK に提出すること 代替ルート及びアレンジの実効性 ( 例えば 容量 対応時間 気象関連因子 変則的な着陸点 ) は 2013 年 12 月 31 日までに STUK に提出すること 3-64

217 表 Olkiluoto-1/2/3/4 の設置者 (TVO) に対する STUK の指示 (2/2) 10. TVO は 放射線測定パトロール要員の緊急時対応計画を更新すること 様々な事象時に放射線測定パトロールに従事しうる要員は 緊急事態で想定される作業の訓練を受け 慣れておく必要がある 教育及び訓練は一定の期間で継続し 特に通常でない放射線環境及び要員安全を重視すべきである 緊急時対策及び訓練計画の更新期限は 2013 年 3 月 31 日とする 11. TVO は 通常の従業時間外で移動演習を実施することにより 緊急時対応クルーのアクセス可能性を確認すること 緊急時対応クルーは警報への対処に必要な教育及び訓練を受けていること 教育及び訓練は一定の期間で継続し 特に通常でない放射線環境及び要員安全を重視すべきである 緊急時対策及び訓練計画の更新期限は 2013 年 3 月 31 日とする 12. 緊急対応組織に要員を割り当てる場合 緊急状態の個別要件に対する個人の妥当性を考慮すること 考えられる出発点は 例えばクラス A 放射線作業の資格で 要員の遂行能力を十分検証すること TVO は 評価結果を 2013 年 3 月 31 日までに STUK に提出すること 13. TVO は 1 ユニット以上で同時に生じる緊急事態に対して余裕を得るため 緊急時対応計画や緊急時組織を 2013 年 3 月 31 日までに更新すること 更新では特に 炉型の違い 責任分担 通信ルート 及び緊急事態の拡大や長期化の可能性を考慮すること 14. TVO は プラント施設に出入りする人員を記録し 例えば自然現象によって各ユニットに通常割り当てられたプロセスや施設が動作不能の状況で ( 人員 車両及び物質の ) 避難 放射線測定及び除染を行う計画を作成すること この計画は 緊急時対応計画に取り込み 2013 年 3 月 31 日までに STUK に提出すること 計画した手順の訓練は 2013 年 12 月 31 日までに実施すること 15. TVO は 栄養及び休養が必要な緊急時対応組織が機能する上で十分な緊急時の供給を盛り込むため 緊急時対応計画を 2012 年 12 月 31 日までに更新すること 16. 衛星電話の使用ガイドを作成し 2012 年 12 月 31 日までに緊急時対応計画に反映すること Olkiluoto-4 については 計画が十分進捗した段階で 前回指示の項目を個別にレビューする 現在のところ 4 号機に関する別途要件はない 3-65

218 表 Olkiluoto-1/2(BWR) の対応状況 (2012 年 12 月 21 日付の国別アクション プラン ) 番号 措置 / 活動 状況 完了時期 トピック 1 自然ハザード 201 使用済燃料プール及び消火系の地震フラジリティ解 実施中 2013 年 2 月 析の更新 202 使用済燃料中間貯蔵の冷却系における異常な海水水 評価中 2012 年 12 月 * 位高に対する改善 203 設計基準を超える低温及び高温の影響解析 実施済 2011 年 12 月 204 プラント構造及び系統に対するトルネード及びダウンバーストの影響解析 実施済 2011 年 12 月 トピック 2 設計問題 205 独立した炉容器注水方法の概念設計 評価中 2013 年 1 月 * 206 補助給水系 ( 独立海水冷却 ) 過熱防止の概念設計と 実施中 年 改造実施 207 ディーゼル発電機へのバイオディーゼル適用性評価 実施中 2012 年 12 月 208 可搬電源の適用 ( 直流バッテリ再充電を含む ) 実施中 2013 年 209 脱塩水貯槽の評価 実施済 2011 年 12 月 210 所内の全ユニット及び使用済燃料プールにかくぁる 実施中 2012 年 11 月 事故における脱塩水利用の評価 211 使用済燃料プールへの注水及びプール状態モニタリングの確保 実施中 2013 年 トピック 3 シビアアクシデント マネージメント 212 複数ユニットにおけるシビアアクシデント対応能 実施中 2013 年 3 月 力 ; 緊急時計画及び組織の更新 213 蒸気を逃す原子炉建屋頂部ベント ; 本経路により水 実施中 2013 年 素も排気されうる 214 サイトへのアクセス経路復旧計画 実施中 2013 年 12 月 215 放射線測定パトロールに関する緊急時計画改善 実施中 2013 年 3 月 216 緊急時における保守要員の十分性改善 実施中 2013 年 3 月 217 緊急時対応要員のその使命に対する適切性改善 実施中 2013 年 3 月 218 極端な自然ハザードにおける要員のアクセス管理及 実施中 2013 年 12 月 び放射線モニタリング 並びに除染方法の計画 219 通信能力の改善 実施済 2012 年 12 月 *: 評価の完了時期であり その後事業者は対策及びその完了時期を特定する 3-66

219 表 Olkiluoto-3(EPR) の対応状況 (2012 年 12 月 21 日付の国別アクション プラン ) 番号 措置 / 活動 状況 完了時期 トピック 1 自然ハザード 301 設計基準を超える低温及び高温の影響解析 実施済 2011 年 12 月 302 プラント構造及び系統に対するトルネード及びダウンバーストの影響解析 実施済 2011 年 12 月 トピック 2 設計問題 303 独立した崩壊熱除去系に必要な改造の評価 評価中 未定 304 可搬ポンプを用いた使用済燃料プールへの注水確保 実施中 運転開始まで トピック 3 シビアアクシデント マネージメント 305 複数ユニットにおけるシビアアクシデント対応能力 ; 緊急時計画及び組織の更新 (1,2 号機と合わせて ) 実施中 2013 年 3 月 3-67

220 3.5 欧州連合 (EU) の取組 ストレステストの実施 福島第一原子力発電所の事故を重く受け止め 欧州における緊急時計画や安全措置について 欧州委員会 (EC) の Öttinger 委員 ( エネルギー担当 ) は 2011 年 3 月 14 日に 加盟 27 ヶ国の安全当局 原子力発電所の運転者との会合を 3 月 15 日に開くよう EC に要請した この要請を受けて 3 月 15 日にブリュッセルで EC 緊急会合が開かれ 欧州の政府機関 産業界 規制当局から 100 名以上の参加があった この EC 緊急会合では 地震及び高水位によるプラント損傷に対するリスク評価も含め EU 加盟国の原子力発電所で安全性再評価を行うため ストレステスト を実施することが確認された 西欧原子力規制者会議 (WENRA) は ストレステストの仕様案を作成し 2011 年 3 月 23 日付で公表した また 欧州原子力安全規制者グループ (ENSREG) は WENRA と協力してストレステストの準備を進めることとなった ストレステストの仕様案について テロ対策のような安全保障に関連する評価を含めるかで 加盟国間で議論や反対があったが テロ対策のような安全保障関連については 全て評価を分けて実施し 機密保持のため 結果は公表せず 加盟国で討議を行うことになり 2011 年 5 月に仕様が決定した 2011 年 6 月 1 日から EU 域内の 143 の原子力発電所で ストレステストが行われた これは包括的な試験評価であり 地震や洪水のような自然災害と人為的ハザード ( 航空機落下やテロ攻撃 ) の双方について 原子力発電所の安全裕度について評価を実施した ストレステストの評価項目を に示す 事業者は安全に対する第一の責任を負うことから ストレステストの実施は事業者の責 務であり 規制機関は独立した審査を行うものとされた これらの実施のスケジュールは 次の通りである 進捗状況報告書 最終報告書 事業者の報告書 2011 年 8 月 15 日 2011 年 10 月 31 日 各国規制機関の報告書 2011 年 9 月 15 日 2011 年 12 月 31 日 各国規制機関が EC/ENSREG に提出する国別最終報告書は ピアレビューの対象となる ENSREG の支援を受けて欧州委員会は 2011 年 12 月 9 日に予定されている欧州理事会でストレステストの進捗状況について報告し さらに 2012 年 6 月に予定されている欧州理事会で最終報告を行う WENRA はメンバー国が行ってきた福島対応活動について 2012 年 3 月 21 日に協議し 技術的問題のみならず組織的側面や文化的側面も重要視すべきとの結論に達した これを踏まえ 今後は表 に示す項目に対処していく必要があるとの見解を同年 5 月 24 日付で公表した WENRA は これらのうち I.4 T.1 T.2 及び T.3 の重要度が高いと認識し それらについて検討するワーキンググループを原子炉ハーモナイゼーション ワーキンググループ (RHWG) の下に創設し 検討を開始した 3-68

221 ENSREG は 2012 年 4 月 26 日に以下のピアレビュー報告書を公表した 全体報告書 国別報告書 (17 件 ) また 同日に ENSREG EC の共同声明が発表され 以下が言及された 福島事故以降に実施した作業は 量的にも質的にも突出したものだった EU 及び参加国の全原子力発電所をカバーする 17 件の国別報告書が 24 カ国からの 80 名のレビュー者により評価された 全体報告書では 欧州全体で追求していくべき改善として以下が示された - 既存の IAEA ガイドラインを踏まえた 自然ハザードや裕度の評価に関する WENRA ガイドラインの作成 - 定期安全レビューの重要性強調 - 格納容器健全性を防護する一般的手段の実施 - 自然ハザードによる事故の最小化と影響の限定 ENSREG と EC は 以下に関わるアクションプランを提案していくことで合意した - ピアレビュー報告書の勧告事項実施 - 原子力安全に関わる IAEA アクションプランの実施 - 原子力安全条約拡大会議の成果 - 合意により追加のサイト訪問 ENSREG と EC は 所外緊急時対応のような原子力安全以外の分野でも作業が必要になりうるとの認識を共有している 全体報告書は 6 月に欧州理事会へ提出される ENSREG は 2012 年 7 月 3 日の第 19 回 ENSREG ミーティングで タスクフォースが作成したアクション プラン案について協議した そして 翌 7 月 4 日付で以下の声明を公表した 国別規制機関と EC は ピアレビュー プロセスは完了とし ENSREG アクション プランという形でフォローアップを実施することで合意した アクション プランの内容についても合意し 2012 年 7 月に最終化される 国別規制機関は 訪問先のサイト候補を提案し ENSREG アクション プラン タスクフォースが合意する アクション プラン及び事実確認サイト訪問が完了し次第 ENSREG アクション プラン タスクフォースは ENSREG 原子力安全ワーキンググループに吸収される ENSREG が 2012 年 7 月 25 日付で公表したアクション プランを表 に示す ストレステストの総括 EC は ストレステスト及び関連活動に基づく結論や勧告事項を特定し 以下を 2012 年 10 月 4 日付で欧州理事会及び欧州議会へ提出した (1) EU における原子力発電所の包括的なリスク及び安全評価 ( ストレステスト ) 及び関連活動に関する EC から欧州理事会及び欧州議会への報告 (COM(2012) 571) (2) EU における原子力発電所の包括的なリスク及び安全評価の実施に関する技術サマリ (SWD(2012) 287) 上記 (1) では ストレステストの実施内容 得られた知見 今後のフォローアップ活動が 3-69

222 簡潔に示されており 以下が主な勧告事項としている 地震の安全評価では 10,000 年に 1 回より小さい超過確率に対応する外部ハザードを用いるべき 洪水の安全評価では 10,000 年に 1 回より小さい超過確率に対応する外部ハザードを用いるべき 少なくとも最大地盤加速度 (PGA)0.1g に対応する設計基準地震 (DBE) を用いるべき 原子力発電所の設計は 少なくとも PGA 0.1g を生じる地震に耐えるべき 事故対応で必要となる手段は 外部事象から適切に防護された場所に保管すべき 所内地震計装を導入または改善すべき 全電源喪失及び / または最終ヒートシンク喪失時に安全機能を復旧するため運転員が利用可能な時間は 1 時間以上あるべき 緊急時運転手順書 (EOP) は全プラント状態をカバーすべき ( 全出力運転から停止時まで ) シビアアクシデント マネージメント ガイドライン (SAMG) は全プラント状態をカバーすべき ( 全出力運転から停止時まで ) シビアアクシデント時に水素 ( または他の可燃性ガス ) 爆発を防止する静的手段 ( 静的触媒型水素再結合器 (PAR) または他の代替物 ) を有するべき 事故時に格納容器外へ放出される放射性物質の量を制限すべく 格納容器フィルタ ベンティング系を有するべき シビアアクシデントによる放射性物質放出 主制御室の火災 または極端な外部ハザードにより主制御室に滞在できない場合に バックアップの非常用制御室が利用できるべき 上記 (2) では 国毎により具体的な勧告事項と良好事例が示されている また 上記勧告事項に対する該当状況が表 のように整理されている EC は上記報告書の提出 公表について同日付でプレスリリースを行った ここでは 欧州における原子力発電所の安全性は一般に高いが ほとんど全ての原子力発電所でさらなる安全性の改善が勧告されたとし 特に以下の教訓が得られたとした 地震及び洪水リスク : 確認した 145 基のうち リスク計算の現行基準は地震に関して 54 基 洪水に関して 62 基で適用されていない リスク計算は 年の期間をベースとすべきである 所内地震計装 : 全ての原子力発電所で地震を測定し警報を発する計装が必要である このような計装は 121 基で導入または改善が必要である 格納容器フィルタ ベンティング系 : 事故時に原子炉格納容器を安全に減圧できる当該系統を有すべきである 32 基はこのような系統を有していない シビアアクシデント対応設備 : 一般的な災害に対して防護された場所に保管し 速やかに入手できるようにすべきである 81 基はこのような状態になっていない バックアップの非常用制御室 : 事故により主制御室に滞在できなくなった場合に利用可能とすべきである これは 24 基で利用できる状態にない EC による今後の活動としては 上記 (1) の中で以下が言及されている ストレステストの勧告事項を速やかに実施するよう 欧州理事会が EU メンバー国に明言し また第三国に依頼するよう期待する EC は 現行の法規制では 原子力発 3-70

223 電所の安全性の評価に法的責任を有していない EC が ENSREG と協力して作成する報告書をベースに 欧州理事会が 2014 年 6 月までに 勧告実施状況を評価することを提案する メンバー国は ENSREG アクション プランのスケジュールに従い 全ての勧告事項を遅滞なく実施し 大半の安全改善策を 2015 年までに実施することを期待する メンバー国の科学 技術専門家から意見を聴いた上で EU 原子力安全指令を大幅に改訂し 遅くとも 2013 年初期までに欧州議会及び理事会に対して提出する また その後の 2013 年中に 原子力保険及び損害賠償の提案 食品及び飼料の放射能汚染に対する許容レベルの提案も行う 原子力分野で活動しているスタッフ間の交流を促進する提案を ホライズン 2020 ユーラトム プログラムの中で行う 原子力安全条約を改善する IAEA の枠組み内で 有効性及び透明性に関するワーキンググループに積極的に関与し 2014 年 3 月に開催される次のレビュー ミーティング向けに欧州合同提案を作成することを提案する 引き続き EU における原子力安全評価及び実施をさらにハーモナイズしていく活動を進める 引き続き 化学 生物 放射性物質 核兵器 (CBRN) に関わる現行作業に即した形で 核セキュリティに関わる建屋の強化に寄与していく ENSREG は アクション プランの 7 で言及していた ピアレビューの勧告及び推奨事項のまとめ を 2012 年 9 月付で公表した この内容を表 に示す 各国はこれを踏まえ 同年 12 月末までに国別アクション プランを作成 公表した 3-71

224 表 ストレステストの評価項目 (1/6) 地震 Ⅰ. 設計基準 a) 地震に対するプラント設計 - 地表面の最大加速度 (Peak Ground Acceleration;PGA) で表される設計基準地震 (Design Basis Earthquake;DBE) のレベルとその選定理由 また 当初の認可ベースで考慮された DBE を示すこと ( 現行値と異なる場合 ) -DBE の評価手法 ( 発生間隔 考慮された過去の地震 選定理由 追加された裕度など ) 及び時間経過に伴うデータの有効性 - 設計基準の妥当性に関する結論 b)dbe に対するプラント防護対策 - 安全停止状態の達成に必要であり 地震後にも使用可能と想定する重要な構築物 系統及び機器 (Structure, System and Component;SSC) の摘出 - 地震の際に原子炉炉心及び使用済燃料の損傷を防止する主要な運転面の対策 ( 緊急時操作手順 可搬式機器など ) - 以下に示すような 地震による間接的な影響が考慮されているか : 1.DBE に耐えるように設計されていない SSC の損傷による 機能が維持される必要のある SSC の 2 次的な損傷 2. 外部電源の喪失 3. サイトへの人員及び機器のアクセスを妨げるかまたは遅延させるプラント外部の状況 c) プラントの現行認可ベースの遵守 - 遵守を担保する事業者の一般的プロセス ( 例 : 定期的な保守 検査 試験 ) - 緊急時手順書において考慮されている所外の可搬式機器 / 補給物資が利用可能であり 供用性を維持していることを保証する事業者のプロセス - 既知の逸脱 これらの逸脱の安全性への影響 是正措置の計画立案 - 福島第一原子力発電所事故後に事業者が既に着手した具体的な遵守状の確認 Ⅱ. 裕度の評価 d) 利用可能な情報 ( 地震確率論的安全解析 (Probabilistic Safety Analysis;PSA) 耐震裕度評価またはその他の工学的評価 ) に基づき 基本安全機能の喪失または燃料 ( 炉容器内 燃料貯蔵施設内 ) の重大損傷が回避できなくなる地震強度の範囲を評価すること - 地震の強度に応じた弱点を示し クリフエッジ効果があれば特定すること - クリフエッジ効果を防止する またはプラントの頑健性を強化する対策 ( 設備改造 手順書の変更 組織面の対策等 ) を示すこと e) 利用可能な情報 ( 地震 PSA 耐震裕度評価 工学的判断を支援するその他の地震工学解析 ) に基づいて 閉じ込め機能の健全性を喪失することなくプラントが耐える地震強度の範囲を示すこと f)dbe を超える地震及びその結果もたらされる設計基準洪水 (Design Basis Flood;DBF) を超える洪水 - プラントの位置及び設計を考慮して DBE を超える地震や DBF を超える洪水が物理的に起こりうるかを示すこと このために とりわけプラント内外の構築物 ( ダム 堤防 プラント建屋及び構造物 ) の重大損傷がプラントの安全性に影響を及ぼしうるかを確認すること - 危険なプラント状態をもたらす破損モードと弱点を示し クリフエッジ効果があれば特定すること また 影響を受ける建屋及び設備を特定すること - クリフエッジ効果を防止する またはプラントの頑健性を強化する何らかの対策が考えられるならば 示すこと 3-72

225 表 ストレステストの評価項目 (2/6) 洪水 Ⅰ. 設計基準 a) 洪水に対するプラント設計 -DBF のレベルとその選定理由 また 当初の認可ベースで考慮された DBF を示すこと ( 現行値と異なる場合 ) -DBF の評価手法 ( 発生間隔 考慮された過去の洪水 選定理由 追加された裕度など ) 洪水の原因 ( 津波 高潮 ダムの決壊 ) 及び時間経過に伴うデータの有効性 - 設計基準の妥当性に関する結論 b)dbf に対するプラント防護対策 - 安全停止状態の達成に必要であり 洪水後にも使用可能と想定する重要な SSC の摘出 これには 取水機能維持及び非常用電源供給維持のための SSC が含まれる - 洪水からサイトを防護するための主要な設計対策 ( プラットフォームの標高 堤防 障壁など ) 及び関連するサーベイランス計画 ( 計画が存在する場合 ) の摘出 - 洪水の警告を行い その影響を緩和する主要な運転 / 運用面の対策 ( 緊急時操作手順 可搬式機器 洪水監視及び警報発令システムなど ) 並びにこれらのサーベイランス プログラム ( 存在する場合 ) - 以下に示すような 洪水自体から生じたその他の影響または洪水から生じた現象が考慮されているか 外部電源の喪失 サイトへの人員及び機器のアクセスを妨げるか または遅延させるプラント外部の状況 c) プラントの現行認可ベースの遵守 - 遵守を確保する事業者の一般的プロセス ( 例 : 定期的な保守 検査 試験 ) - 緊急時手順書において考慮されている所外の可搬式機器 / 補給物資が利用可能であり 供用性を維持していることを保証する事業者のプロセス - 既知の逸脱 これらの逸脱の安全性への影響 是正措置の計画立案 - 福島第一原子力発電所事故後に事業者が既に着手した特定の遵守状況のチェック Ⅱ. 裕度の評価 d) 利用可能な情報 ( 工学的判断を支援する工学的評価 ) に基づいて 燃料 ( 炉心内 燃料貯蔵施設内 ) の重大損傷を生じることなくプラントが耐える洪水の範囲の評価を行うこと - 警報から実際に洪水が到達するまでの時間を考慮して 追加の防護措置の検討 / 実施が可能かを示すこと 最初に冠水する建屋及び設備を特定すること - 洪水に対する弱点を示し クリフエッジ効果があれば特定すること - クリフエッジ効果を防止する またはプラントの頑健性を強化する対策 ( 設備改造 手順書の変更 組織面の対策など ) を示すこと 3-73

226 表 ストレステストの評価項目 (3/6) 電源喪失及び最終ヒートシンク喪失交流電源には 外部電源 ( 電力網 ) プラントの発電機 通常の非常用発電機 ( ディーゼル発電機 ガスタービン発電機など ) 多様化バックアップ電源系 ( 一部のプラント ) がある これらの一連の電源の喪失が考慮されなければならない 最終ヒートシンク (Ultimate Heat Sink;UHS) は 原子炉の余熱が原子炉から輸送される媒体である 一部のケースにおいて プラントは主 UHS( 海洋 河川 ) に加えて 代替 UHS( 例えば 湖 帯水層 大気 ) により補われる これらのヒートシンクの連続的な喪失を考慮しなければならない a) 外部電源喪失 (Loss of off-site power;losp) - 外部電源喪失が設計においてどのように考慮されているか そして外部電源喪失に対処するために設計されている所内のバックアップ電源について述べること - 外部からの支援なしに 所内電源が供給できる時間を示すこと - 外部からの支援なしに 所内電源供給の時間を延伸するために必要な備えを述べること ( 例えば ディーゼル発電機の燃料補給など ) - プラントの頑健性を高めるための対策を示すこと なお 蒸気駆動ポンプ ガスタンクなどに蓄積されたエネルギーを用いるシステムは 喪失すると想定される電源に依存しない限り そして初期事象 ( 例えば 地震 ) に耐えるように設計されている限り 機能するとみなせる b) 外部電源及び所内バックアップ電源の喪失 ( 全交流電源喪失 ) 次の二つの状況を考慮しなければならない - 外部電源喪失 + 通常のバックアップ電源の喪失 - 外部電源喪失 + 通常のバックアップ電源の喪失 + その他の多様化バックアップ電源の喪失 これらの各々の状況について 下記の情報を示すこと - 蓄電池容量及び供用可能時間 - 上記の状況に対する設計対策 - 外部からの支援を受けることなしにサイトが全交流電源喪失に耐える時間 ( 燃料の重大損傷が回避できなくなるまでの時間 ) - 燃料損傷を防止するため 予想される外部からの措置を特定する サイト内の既存設備 ( 例えば他の原子炉の設備 ) の利用 サイト内の全原子炉が同様に損傷と仮定 サイト外の利用可能な設備 専用直接回線を経由した近傍の発電所 ( 水力 ガスタービン ) からの電力の利用 上記の各システムの利用に要する時間 例外的な接続に必要とされる人員の利用可能性 クリフエッジ効果とその発生時期の特定 - クリフエッジ効果を防止するか プラントの頑健性を高める対策 ( ハードウェアの改造 手順の変更 組織面の措置など ) の見込みを示すこと 3-74

227 表 ストレステストの評価項目 (4/6) 電源喪失及び最終ヒートシンク喪失 c) 主最終ヒートシンクの喪失 - 最終ヒートシンクの喪失を防止する設計対策を示すこと ( 例えば 異なる場所での主最終ヒートシンクからの種々の取水など ) - 次の二つの状況を考慮すること 主最終ヒートシンクの喪失 ( 河川か海洋の水へのアクセス ) 主最終ヒートシンク及び代替最終ヒートシンクの喪失 これらの状況の各々について - 外部からの支援を受けることなしにサイトが耐久できる時間 ( 燃料の重大損傷が回避できなくなるまでの時間 ) 及びこれらの状況に対する設計対策を示すこと - 燃料損傷を防止するために予想される外部からの行動を示すこと サイト内に既に存在する設備 例えば他のユニットの設備 サイト内の全原子炉が同様に被害を受けたと想定する場合 所外の利用可能機器 これらのシステムの運転に要する時間 適切な人材の存在 クリフエッジ効果と発生時期の特定 - クリフエッジ効果の防止とプラントの頑健性を高めるために考えられる対策 ( 設備の改造 手順の変更 組織面の対策など ) d) 全交流電源喪失を伴う主最終ヒートシンクの喪失 - 外部からの支援を受けることなしにサイトが全交流電源喪失を伴う主最終ヒートシンクの喪失に耐える時間 ( 燃料の重大損傷が回避できなくなるまでの時間 ) を示すこと - 燃料損傷を防止するための外部からの措置の特定 サイト内にすでに存在する設備 例えば他の原子炉からの設備 サイト内の全原子炉が同時に被害を受けたと想定する場合 所外の利用可能な機器 人材の存在 これらのシステムの運転に要する時間 主要なクリフエッジ効果の発生時期の特定 - クリフエッジ効果の防止とプラントの頑健性を高めるために考えられる対策 ( 設備の改造 手順の変更 組織面の対策など ) 3-75

228 表 ストレステストの評価項目 (5/6) シビアアクシデント マネジメント本項では 主に状況の緩和に関わる項目を取り扱う 事象の発生頻度が非常に低いとしても 格納容器の健全性を脅かす負荷から格納容器を防護する手段を評価すべきである シビアアクシデント マネージメントは 深層防護の最終ラインを形成するが これは炉心損傷の防止措置及びプラントの全体的な安全アプローチと整合していることが望ましい a) 炉心冷却機能喪失シナリオの種々の段階に存在するアクシデント マネージメント (AM) 措置を示すこと : - 原子炉圧力容器 / 多数の圧力管内の燃料損傷前 燃料損傷予防のための最終手段 高圧下における燃料損傷の可能性の排除 - 原子炉圧力容器 / 多数の圧力管内の燃料損傷後 - 原子炉圧力容器 / 多数の圧力管内の破損後 b) 燃料損傷発生後の格納容器機能防護のためのアクシデント マネージメント措置及びプラント設計特徴 - 水素爆燃及び水素爆轟の防止 ( 不活性化 再結合器またはイグナイタ ) ベンティングプロセスも考慮 - 格納容器の過圧防止 格納容器の保護のために環境への放出が必要ならば フィルタ経由で放出するかを評価することが望ましい このような場合に環境へ放出される放射性物質の量を推定する手段の利用可能性も記載すべきである - 再臨界の防止 - 格納容器ベースマットの溶融貫通の防止 - 格納容器健全性の確保に用いる設備への交流及び直流電源並びに圧縮空気の必要性と供給 c) 格納容器健全性喪失の影響緩和のために実施済のアクシデント マネージメント措置の説明 d) 燃料貯蔵施設の冷却機能喪失シナリオの各段階に現在適用されているアクシデント マネージメント措置の説明 ( 下記事項は燃料プールに関係する ) - 適切な放射線遮蔽の喪失前 / 後 - 燃料プール内の燃料頂部露出の発生前 / 後 - 燃料プール内の燃料損傷の発生前 / 後 ( 水素発生を伴う急速な被覆管の酸化 ) a) から d) における各段階に関して - クリフエッジ効果が存在するならばそれを特定し その状況に至るまでの時間を評価すること - シビアアクシデントに対処する手順ガイダンスを含む 既存の管理措置の妥当性を評価し そして追加措置の可能性を評価すること とりわけ 事業者は下記事項の考慮が望まれる 必要とされる計装の適切性と使用可能性 プラントの枢要エリア ( 制御室 緊急時対応施設 現場制御及びサンプル採取場所 ) の居住性とアクセス性 ( 補修の可能性 ) 格納容器以外の建屋内における水素蓄積の可能性 次の側面に取り組まなければならない - 下記を含む状況を管理する事業者の組織 要員配置 リソース及びシフト管理 事故及び防護管理のための所外の技術支援の利用 ( 利用不能になった場合の非常事態対応 ) 手順書 訓練及び演習 3-76

229 表 ストレステストの評価項目 (6/6) シビアアクシデント マネジメント - 既存設備の利用の可能性 - 可搬式設備の使用の備え ( 入手可能の有無 サイト搬入及び使用準備に要する時間 サイトへのアクセス可能有無 ) - 補給品の準備及び管理 ( ディーゼル発電機の燃料 水など ) - 放射能放出管理及び放出制限対策 - 作業員被ばく管理及び被ばく制限対策 - 通信及び情報システム ( 所内 外部 ) - 事故後の長期的な活動 想見されるアクシデント マネージメント措置は サイトの状況を考慮して評価しなければならない - 通信を含む プラント周辺の基盤施設の広範囲にわたる破壊 - 施設 ( 外部からの技術的及び人的支援を一層困難にするような状況 ) - 局所的な高線量率及び放射能による作業パフォーマンスの悪化 ( 主制御室及び予備制御室並びにプラントの緊急時 / 危機管理センターへのアクセス性と居住性への影響 ) - サイト内の一部施設の汚染及び破壊 - 外部ハザード ( 地震 洪水 ) 状態下におけるアクシデント マネージメント措置の実現可能性と有効性 - 電源が利用できない状態 - 計装の損傷 / 故障の可能性 - サイト内の隣接ユニットからの影響 事業者は どのような条件において 主制御室 予備の制御室または緊急時 / 危機管理センターでの活動が妨げられるのか どのような措置を講じることでそのような状態の発生を回避できるかを特定しなければならない 3-77

230 表 WENRA の参照レベル見直し方針 1. 組織的側面 (Institutional) I.1 独立性原子力規制機関は 十分なリソースを有することを含め 事実上及び法令上 独立であるべきである I.2 役割及び責任原子力事故への対応における政府 原子力規制者及び事業者の役割及び責任は 国及び組織の法律 機能及び法体系を考慮し 明確であるべきである I.3 定期安全レビュー (PSR) 十分な PSR 及び適切に実施可能な改善を適時に実施する必要があることは 明確な要件とすべきである I.4 相互支援 WENRA は あるメンバー国で原子力事故が発生した場合に 対応する規制機関の間で相互支援を行える枠組み作りを行う 2. 文化的側面 (Cultural) C.1 継続的改善により原子力安全を高い標準で維持するためのフィロソフィを強化する 標準がどんなに高くても 適切に実施可能な改善の追求をやめてはならない そのような改善策の特定は 安全運転のベースを無効化するものではない 3. 技術的側面 (Technical) T.1 自然ハザード WENRA は 自然ハザードの特定 それらの評価 及び対応するクリフエッジ ( 裕度 ) 効果の評価に関する共通ガイダンスを改訂する それに基づき 安全参照レベルも改訂する T.2 シビアアクシデント時の閉じ込め WENRA は 水素緩和及び格納容器ベントを含め 格納容器の過圧を防止するため特定された様々な方策に関して安全参照レベルをレビューし 必要に応じて変更する T.3 アクシデント マネージメント WENRA は 重大な放射性物質放出を防止または緩和するための組織及び資材配置に関して特定された様々な方策に関して安全参照レベルをレビューし 必要に応じて変更する 3-78

231 表 ENSREG のアクション プラン (1/2) ビジョン 年 6 月 28~29 日に開催された欧州理事会で ENSREG 報告書で示された勧告事項を完全に 適時に実施し 原子力安全ストレステストを完了させることが確認された 欧州委員会及び ENSREG は 追加の作業が必要であることに合意した 2. ENSREG のアクション プランは ストレステスト及びそのピアレビューによる結論が欧州原子力発電所の安全向上につながるよう支援する また 追加のピアレビューを通じ ストレステストのピアレビューによる勧告事項や推奨事項が各国規制機関や ENSREG により一貫した方法で対処されるよう支援する 3. アクション プランは 既存リソースを有効に用いるという目標の下 原子力安全条約 (CNS) のような既存の方法を用いて構築されている アクション プランでは 継続的改善による世界の原子力安全に向けた標準の利用 公開性及び透明性に対する明確なコミットメントといった欧州の役割促進を意図している ピアレビューのフォローアップ メンバー国及び ENSREG の措置 4. 各国規制機関は ENSREG が全体及び国別報告書として発行したピアレビューの結果を考慮する 5. 各国規制機関は 2012 年末までに 福島の教訓及びストレステスト ピアレビューの勧告及び推奨事項に関して国別アクション プランを作成 公開する 国別アクション プランでは CNS 特別会合の結果も考慮する 6. 国別アクション プランでは 以下の実施状況を示す : a. 国別報告書で文書化されている 国別規制機関による国別ストレステストの結論 b. ENSREG の全体及び国別ピアレビュー報告書で示された勧告事項 c. CNS で提起された追加の勧告事項 d. 国別レビュー及び関連する決定から導かれた追加の活動 7. ENSREG は 2012 年 9 月までに 国別規制機関が国別アクション プランを作成またはレビューするのを支援するため ピアレビューの勧告及び推奨事項のまとめを作成する 8. ENSREG ワークショップを 2013 年 2 月または 3 月に開催する ワークショップの主な目的は 国別アクション プランを発表し 議論を通じてピアレビューを行うことにある これにより 欧州各国が CNS への報告を行うための知見を提供し 一貫性をもたらし 良好事例を共有する WENRA の措置 9. ENSREG は 2012 年 5 月 24 日付で公表された WENRA の結論で示された措置を強く支持する ENSREG は作業の進捗について定期的に WENRA と情報共有する また WENRA に対し 欧州で最良の専門家を関与させ 以下の結論による措置の策定に注力するよう期待する 自然ハザード (T.1) シビアアクシデント時の閉じ込め (T.2) アクシデント マネージメント (T.3) あるメンバー国での原子力事故対応における制機関同士の相互支援 (I.4) 10. ENSREG は 定期安全レビュー (PSR) の重要性を認識している ENSREG は WENRA に対し 欧州で最良の専門家を関与させ 特に外部ハザードに関し 参照レベルに関するレビューを実施するよう期待する 11. ENSREG は WENRA が上記措置の結果を公開することが重要であると考える フォローアップ 事実確認サイト訪問 12. 本アクション プランに基づき ENSREG は一連のフォローアップ 事実確認サイト訪問を実施する これらのサイト訪問では 国別アクション プランの一環として安全性向上のため実施 計画または検討中の措置に関して情報交換を行う 13. フォローアップ 事実確認サイト訪問では 欧州各国の更なる協力と信頼構築も推進する 3-79

232 表 ENSREG のアクション プラン (2/2) 14. 訪問するサイトは 各国規制機関が提案し ENSREG が同意する サイト一覧は 関連する各国規制機関が確認する 15. 一貫性のため フォローアップ 事実確認サイト訪問のチームメンバーは 対応する規制機関の同意を前提に 以前の国別レビューチームの一部 ( 概ね 3 名 ) とする 16. 国別アクション プラン策定支援 及び欧州理事会に対する 10 月の EC 報告書に向け 2012 年 9 月までに十分な数の訪問を実施する 追加の措置 所外の緊急時対策 17. 福島事故では 強力な所外緊急時対策の必要性が明らかとなった ENSREG は 本件の優先度を高とする 改善のため 以下の措置が提案されている a. ENSREG が規制機関同士の相互支援ガイダンス作成を 欧州放射線防護機関管理者連合 (HERCA) 及び WENRA に依頼する (WENRA 項目 I.4) b. ENSREG が 複数の欧州国に放射線影響を与えるシビアアクシデント時の ( 相互支援を超える ) 欧州レベルでの所外緊急時対策を実施するために扱うべき問題を特定するため EC ENSREG 等を含む合同欧州研究を勧告する 18. ENSREG は EC が EU メンバー国にまたがる所外緊急時計画の調整をレビューする検討を始めていることを認識している 19. ENSREG は 本件が IAEA 緊急時対策レビュー (EPREV) に関連することを認識している 航空機衝突 20. 公衆とのやりとりから 意図的な航空機衝突というトピックに関心が示されている 21. 本件は 原子力セキュリティに関わるアドホック グループにより検討され 設計基準事故及び 9/11 後の解析として既に作業が行われたことが認識されている 22. 追加のフォローアップ活動が行われる場合 ENSREG は支援を行う用意がある ストレステストで安全系喪失やシビアアクシデント マネージメントに関して行われた作業は 航空機衝突を含め 起因事象に関わらない全ての大事故に関連する 原子力安全に関わる IAEA アクション プラン 23 本 ENSREG アクション プランは 以下を含め 多くの分野で IAEA アクション プランに寄与できる a. 福島による新たな教訓の評価 b. 緊急時対策の標準及びガイダンス c. IAEA 安全標準 d. 情報の伝達及び周知 e. IAEA ピアレビュー プロセスの策定及び実施 f. 研究及び開発 透明性及び公衆の関与 年 5 月 13 日付の ENSREG 及び EC 宣言で言及した公開性及び透明性の原則は 欧州ストレステスト及びピアレビューで既に適用されている これらは フォローアップのアクション プランでも適用される 25. 全ての国別アクション プラン及び ENSREG のアクション プランは 各国の法律や国際的な義務による セキュリティといった他の利益を阻害しないのであれば 各国の法律や国際的な義務に基づき 公開しなければならない ENSREG ウェブサイトでは 国別アクション プランのリンクを提供する 26. 上記 8 で言及したワークショップの結果は公開し その後 2013 年に行われる ENSREG の会議で議題とし ENSREG アクション プランを含む多数の規制分野における進捗を対象とする アクション プランの実施 27. アクション プランの提出に関わる活動は ENSREG の原子力安全ワーキンググループが調整する 3-80

233 表 ピアレビューによるユニット別の勧告事項と良好事例 : 凡例課題 (I) または内容 ( 該当する場合は表中で X と表示 ) 良好事例 (GP) I1 安全評価で 10,000 年に 1 回より小さい超過確率に対応する外部ハザードを用いるべき ( 地震 :I1a 洪水:I1b) I2 少なくとも最大地盤加速度 (PGA)0.1g に対応する設計基準地震 (DBE) を用いるべき I3 事故対応で必要となる手段は 外部事象から適切に防護された場所に保管すべき I4 所内地震計装を導入すべき I5 全電源喪失及び / または最終ヒートシンク喪失時に安全機能を復旧する時間が 1 時間未満 I6 緊急時運転手順書 (EOP) は全プラント状態をカバーしていない ( 全出力運転から停止時まで ) I7 シビアアクシデント マネージメント ガイドライン (SAMG) は全プラント状態をカバーしていない ( 全出力運転から停止時まで ) I8 シビアアクシデント時に水素 ( または他の可燃性ガス ) 爆発を防止する静的手段 ( 静的触媒型水素再結合器 (PAR) または他の代替物 ) がない I9 フィルタ ベンティング系がない I10 シビアアクシデントによる放射性物質放出 主制御室の火災 または極端な外部ハザードにより主制御室に滞在できない場合に バックアップの非常用制御室が利用できない GP1 代替の完全に独立した最終ヒートシンクあり GP2 通常の安全系から完全に独立し 外部事象に対して十分防護された区域に追加の安全系階層あり ( 例 : バンカー配置 安全系のハードコア ) GP3 通常のディーゼル発電機から物理的に分離され 全交流電源喪失 外部事象またはシビアアクシデント状態への対策専用の追加ディーゼル発電機 ( または燃焼タービン ) が導入されている GP4 全交流電源喪失 外部事象またはシビアアクシデント状態への対策専用の可搬設備 特にディーゼル発電機が導入されている GP5 緊急時対応活動の調整が行える 追加の所内緊急時管理センターが利用可能であり 放射線ハザード及び外部自然ハザードに対して適切に防護されている 他の問題本資料 (SWD(2012) 287) の文中でサイト / ユニット個別の課題が言及されている 3-81

234 表 ピアレビューによるユニット別の勧告事項と良好事例 (1/13) 3-82

235 表 ピアレビューによるユニット別の勧告事項と良好事例 (2/13) 3-83

236 表 ピアレビューによるユニット別の勧告事項と良好事例 (3/13) 3-84

237 表 ピアレビューによるユニット別の勧告事項と良好事例 (4/13) 3-85

238 表 ピアレビューによるユニット別の勧告事項と良好事例 (5/13) 3-86

239 表 ピアレビューによるユニット別の勧告事項と良好事例 (6/13) 3-87

240 表 ピアレビューによるユニット別の勧告事項と良好事例 (7/13) 3-88

241 表 ピアレビューによるユニット別の勧告事項と良好事例 (8/13) 3-89

242 表 ピアレビューによるユニット別の勧告事項と良好事例 (9/13) 3-90

243 表 ピアレビューによるユニット別の勧告事項と良好事例 (10/13) 3-91

244 表 ピアレビューによるユニット別の勧告事項と良好事例 (11/13) 3-92

245 表 ピアレビューによるユニット別の勧告事項と良好事例 (12/13) 3-93

246 表 ピアレビューによるユニット別の勧告事項と良好事例 (13/13) 3-94

reference3

reference3 国会事故調 政府事故調提言の構造化 ( イメージ ) 文化知識教育オフサイト対策オンサイト対策原子力規制の強化 ( 組織の独立性 透明性 ) 危機管理態勢の強化その他組織の見直し専門性向上制度の見直し組織の見直し制度の見直し人材育成事故原因の解明継続東京電力 事業者の取組被災住民への対応防災訓練の強化組織の強化役割分担の明確化ソフト面の強化関係機関における人材育成ハード面の強化国会事故調 政府事故調における個別具体的な提言住民

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