Arsenic ore deposit of the Takumi mine in Kamikawa town, Hyogo Prefecture, Japan Masahiko HASHIMOTO Shigeru MATSUUCHI 1. はじめに

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ありあいいはた
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1 Arsenic ore deposit of the Takumi mine in Kamikawa town, Hyogo Prefecture, Japan Masahiko HASHIMOTO Shigeru MATSUUCHI 1. はじめに図 X 2. 琢美鉱山の沿革 t t

154 橋元正彦松内茂図 1 琢美鉱山位置図は国土地理院発行 20 万分の 1 地形図姫路を利用は国土地理院発行 2 万 5 千分の 1 地形図長谷を利用中の 2 本の実線は琢美鉱山の鉱床位置武市ほか 1956 を表しているわれ砒鉱の採掘や製錬が再び本格的に行われた昭和 31 年当時の従業員数は坑内 4 名坑外 9 名製錬 3 名の計 16 名であった

2 154 橋元正彦松内茂図 1 琢美鉱山位置図は国土地理院発行 20 万分の 1 地形図姫路を利用は国土地理院発行 2 万 5 千分の 1 地形図長谷を利用中の 2 本の実線は琢美鉱山の鉱床位置武市ほか 1956 を表しているわれ砒鉱の採掘や製錬が再び本格的に行われた昭和 31 年当時の従業員数は坑内 4 名坑外 9 名製錬 3 名の計 16 名であった武市ほか 1956 昭和 38 年 4 月に鉱況不良のために閉山し昭和 58 年から 3 ヵ年に渡って鉱山の跡地に鉱害防止工事が実施された森岡 1984 ただし神崎郡誌兵庫県神崎郡教育会 1942 には上記と異なる沿革が記されているそれによると本鉱山は明治 13 年に発見同年 10 月より採掘を開始明治 22 年に亜砒酸鉱山として出願大正 10 年頃に新式製造窯を築いたまた亜砒酸のほか金も少量に産していた

兵庫県神河町の琢美鉱山の砒素鉱床 155 3 昭和 17 18 年頃の琢美鉱山 4 枚の琢美鉱山の写真が残されているこれらの写真は当時の鉱山長木下守一氏によって撮影され草壁照治氏神河町川上在住昭和 3 年生まれが保存していたものである草壁照治氏は昭和 18 年 4 月 15 歳のと

機械小屋などの建物と沈殿池が写っている建物の屋根は杉皮で葺かれていて石で押さえられている背後の山は排煙によって植物が枯れて禿げ上がっている図 3 は鉱山の冬景色である中央の建物が機械小屋でその右奥に竪坑の櫓が組まれている写真の右端の煙突のある建物は粗製のための製錬所である

草壁照治氏から聞き取った昭和 18 年頃の琢美鉱山の様子である ①の櫓の下には竪坑が掘られていてその深さは約 60m であった竪坑の周囲は四角の木枠で補強され内部が垂直方向に板で 2 図 3 昭和 17 年頃の琢美鉱山 2 つに区切られていた一方は人道と呼ばれ

3 兵庫県神河町の琢美鉱山の砒素鉱床昭和年頃の琢美鉱山 4 枚の琢美鉱山の写真が残されているこれらの写真は当時の鉱山長木下守一氏によって撮影され草壁照治氏神河町川上在住昭和 3 年生まれが保存していたものである草壁照治氏は昭和 18 年 4 月 15 歳のときに琢美鉱山に鉱夫として従事した主な仕事はディーゼルエンジンよるポンプを操作して坑内の水を揚げることだった日当は 80 銭仕事をしているとすぐ下で発破があったりして危険なこともたびたびあったという図 2 には選鉱所精製のための製錬所機械小屋などの建物と沈殿池が写っている建物の屋根は杉皮で葺かれていて石で押さえられている背後の山は排煙によって植物が枯れて禿げ上がっている図 3 は鉱山の冬景色である中央の建物が機械小屋でその右奥に竪坑の櫓が組まれている写真の右端の煙突のある建物は粗製のための製錬所である位置的には図図 2 昭和 17 年頃の琢美鉱山 1 2 の右側と図 3 の左側がそれぞれ半分以上重なっている図 2 図 3 とも昭和 17 年頃の写真である 2 枚の写真を基にして琢美鉱山の施設を図 4 に描きそれぞれの施設に① ⑦の番号を付けた以下に記すのは草壁照治氏から聞き取った昭和 18 年頃の琢美鉱山の様子である ①の櫓の下には竪坑が掘られていてその深さは約 60m であった竪坑の周囲は四角の木枠で補強され内部が垂直方向に板で 2 図 3 昭和 17 年頃の琢美鉱山 2 つに区切られていた一方は人道と呼ばれ鉱夫が下りるためのはしごが掛けられていた 1 本のはしごの長さは 3 m 前後である竪坑の中の向かい合った側壁に踊り場を互い違いに作りそれらをつないで掛けられた何本ものはしごをつたって下へ降りた他の一方は車道と呼ばれ採掘した鉱石や水を揚げるためのケージが敷設されていた竪坑の途中から鉱脈の走向方向に 3 本の図 4 昭和 17 年頃の琢美鉱山 3

4 m cm

兵庫県神河町の琢美鉱山の砒素鉱床 157 鉱山事務所は③の選鉱所の左にあって同じ建物内の倉庫に製造された亜砒酸が収納された亜砒酸はここで 15 貫入り約 56kg の箱詰めにされこれを人夫がかついだり馬が荷車を引いたりしてふもとに下ろし川上の酒屋に集積した図 5 は昭和 18 年頃の写真である草壁照治氏は右から 2 人目 4 名の鉱夫が持っている丸太は坑木で 1

日常生活の中で燃料の重油が使えなくなっても鉱山には重油が供給されたこの重油は質が悪く朝になると固まるなどしてそのままでは燃えなかったが温めると図 6 琢美鉱山の従業員 2 火がついた戦局が激しくなると多くの鉱夫が兵隊に出ていき働き手がいなくなった亜砒酸の生産は大きく落ち込み残されたもので鉱山の保守にあたったが坑道に水がたまって採掘が不可能となり昭和 20 年 5

5 兵庫県神河町の琢美鉱山の砒素鉱床 157 鉱山事務所は③の選鉱所の左にあって同じ建物内の倉庫に製造された亜砒酸が収納された亜砒酸はここで 15 貫入り約 56kg の箱詰めにされこれを人夫がかついだり馬が荷車を引いたりしてふもとに下ろし川上の酒屋に集積した図 5 は昭和 18 年頃の写真である草壁照治氏は右から 2 人目 4 名の鉱夫が持っている丸太は坑木で 1 本が約 2 m の長さである坑木は坑内に持って入り坑内支保に用いられた図 5 琢美鉱山の従業員 1 図 6 は昭和 18 年当時の鉱山従業員の写真である砥峰高原を背景に 17 名が写されている鉱夫のほとんどが川上の住人で自宅から鉱山へ通っていたまたエンジンの調整や修理に他所から技術者が来ていたがそれらの人のための鉱山住宅が近くに建てられていた戦時中日常生活の中で燃料の重油が使えなくなっても鉱山には重油が供給されたこの重油は質が悪く朝になると固まるなどしてそのままでは燃えなかったが温めると図 6 琢美鉱山の従業員 2 火がついた戦局が激しくなると多くの鉱夫が兵隊に出ていき働き手がいなくなった亜砒酸の生産は大きく落ち込み残されたもので鉱山の保守にあたったが坑道に水がたまって採掘が不可能となり昭和 20 年 5 月か 6 月頃に休山となった戦後しばらくの間新たな採掘は行われなかったがそれまでの廃石から銅や錫が小規模に製錬された 4 琢美鉱山の砒素鉱床本鉱山の砒素鉱床は上部白亜系峰山層山元ほか 2002 とそれに貫入する花崗閃緑岩体に胚胎した熱水鉱脈鉱床である武市ほか 1956 によると粘土脈の中にレンズ状の鉱体が 2 つ連続して存在しているこの粘土脈は断層破砕帯に形成されたもので走向はＮＥ傾斜は NW である鉱体の規模は第 1 鉱体では走向延長 50m 傾斜延長 100m 第 2 鉱体では走向延長 80m 傾斜延長 150m と推定され幅は両鉱体とも数 cm 150cm である鉱石の平均品位は砒素銅 1 2 であった武市ほか年 8 月と 9 月本鉱山の砒素鉱床主要部および周辺の地質について調査を行った本鉱山の砒素鉱床の主要部はタクミ沢に注ぐ支谷に沿って延びる断層に伴って形成されている 2009 年 8 月の台風 9 号による豪雨によってこの谷は大きく削られ新しい露頭が現われたまたそのとき崩落した鉱脈中の岩石が新しい岩屑に混じって流れ出た選鉱所や製錬所などの鉱山施設や竪坑の入り口は閉山後の鉱害防止工事で土地が改変された

6 m 870m 880m 3 870m 880m 880m 130m 30cm ホルンフェルス No 図 7 1mm 2mm 2.8mm 0.1mm 0.2mm 0.3mm デイサイト質溶結凝灰岩 No mm 2mm 0.5mm 花崗閃緑岩 No 図 7 2.8mm 0.6mm 0.8mm 2.5mm 1.5mm 0.7mm

7 兵庫県神河町の琢美鉱山の砒素鉱床図 7 調査地域のルートマップ 159

橋元正彦松内茂 160 石に変化している普通角閃石は自形半自形で淡褐色帯褐緑色の多色性を示す結晶の一部が緑泥石に変化しているカリ長石は他形で他の鉱物の間を充填しているパーサイト構造を示すものがあり絹雲母化が進んでいる本鉱山の砒素鉱床主要部の野外調査における観察結果を

に渡って追跡できる以上の産状から考えてこの粘土層は断層粘土とその中の硫砒鉄鉱脈がすぐ近くの露頭から崩落し壊れながら数 m 移動して二次的に堆積し固結したものと考えられる露頭があったと考えられる付近は岩屑や表土におおわれている Point 2 ではホルンフェス中に粘土脈がレンズ状に入っている

8 橋元正彦松内茂 160 石に変化している普通角閃石は自形半自形で淡褐色帯褐緑色の多色性を示す結晶の一部が緑泥石に変化しているカリ長石は他形で他の鉱物の間を充填しているパーサイト構造を示すものがあり絹雲母化が進んでいる本鉱山の砒素鉱床主要部の野外調査における観察結果をルートマップとして図 7 に図 8 粘土層とその中の硫砒鉄鉱の岩塊表した Point 1 では露頭のホルンフェルスに密着して 250cm の幅で粘土層が堆積しその中に硫砒鉄鉱の集合した岩塊が礫状に含まれている図 8 粘土層は淡緑色多孔質でもろいが十分に固結している硫砒鉄鉱の集合した岩塊は小さいもので 0.5cm 程度大きいもので 20cm に及び亜角礫の外形を示している表面は酸化によって黒ずんでいるこれらの岩塊に同心円状や放射状の構造は認められない粘土層中の礫の種類図 9 硫砒鉄鉱脈を伴うレンズ状の粘土脈はこの硫砒鉄鉱の岩塊に限られているこの粘土層は N25 W の走向で長さ 4 m に渡って追跡できる以上の産状から考えてこの粘土層は断層粘土とその中の硫砒鉄鉱脈がすぐ近くの露頭から崩落し壊れながら数 m 移動して二次的に堆積し固結したものと考えられる露頭があったと考えられる付近は岩屑や表土におおわれている Point 2 ではホルンフェス中に粘土脈がレンズ状に入っている図 9 この粘土脈は長さ 50cm 幅の最大 15cm で内部に図 10 硫砒鉄鉱を伴う断層角礫岩の転石破断面硫砒鉄鉱の鉱脈を伴っている粘土も硫砒鉄鉱も破砕されてもろくなっている母岩のホルンフェルスには割れ目が発達しこの粘土脈の伸長方向はその割れ目に調和的である走向 N10 W 傾斜 65 W Point 3 には断層角礫岩の転石 40 25cm が見られた図 10 礫は絹雲母化した花崗閃緑岩 5 cm で圧砕されてレンズ状に引き伸ばされている基質は暗灰色でここに硫砒鉄鉱が濃集して生成している硫砒鉄鉱は最大 4 mm で菱形長柱状の自形を示している少量の黄鉄鉱黄銅鉱を伴っている

兵庫県神河町の琢美鉱山の砒素鉱床図 11 硫砒鉄鉱を伴う断層破砕帯図 13 硫砒鉄鉱写真横 14mm 161 図 12 断層粘土と硫砒鉄鉱脈矢印図 14

わたって割れ目が卓越し岩石が破砕されている岩石はホルンフェルスが絹雲母化したものでこの破砕帯の中に硫比鉄鉱が産出する Point 5 は走向 N 15

5 1 cm の硫砒鉄鉱脈が数本入っている図 12 硫砒鉄鉱は表面が黒く変質しているが鉱脈中に菱形の結晶面が認められる断層粘土には青黒い層と白い層があり

黄銅鉱黄鉄鉱絹雲母水亜鉛銅鉱珪孔雀石スコロド石石英方解石が確認された鉱脈中の硫砒鉄鉱は数 mm の半自形結晶がモザイク状に集合していることが多い

9 兵庫県神河町の琢美鉱山の砒素鉱床図 11 硫砒鉄鉱を伴う断層破砕帯図 13 硫砒鉄鉱写真横 14mm 161 図 12 断層粘土と硫砒鉄鉱脈矢印図 14 硫砒鉄鉱とその間を埋める絹雲母写真横 12mm Point 4 は断層破砕帯である図 11 断層破砕帯の走向は NS 傾斜は 75 W で幅 1 m にわたって割れ目が卓越し岩石が破砕されている岩石はホルンフェルスが絹雲母化したものでこの破砕帯の中に硫比鉄鉱が産出する Point 5 は走向 N 15 E 傾斜 80 W に走る 1 本の断層である断層粘土の幅は 15 20cm でこの中に幅 cm の硫砒鉄鉱脈が数本入っている図 12 硫砒鉄鉱は表面が黒く変質しているが鉱脈中に菱形の結晶面が認められる断層粘土には青黒い層と白い層がありこの中にも少量の硫砒鉄鉱と黄鉄鉱が散点状に産出する 5 産出鉱物調査地域の露頭および露頭から崩落した転石中に砒素鉱床に関連する鉱物として硫砒鉄鉱黄銅鉱黄鉄鉱絹雲母水亜鉛銅鉱珪孔雀石スコロド石石英方解石が確認された鉱脈中の硫砒鉄鉱は数 mm の半自形結晶がモザイク状に集合していることが多い図 13 また結晶形を示さず塊状に集合して生成している場合もある鉱脈中の空隙に晶出した硫砒鉄鉱は大きさが最大 2 5 mm に及び菱餅形菱形柱状の自形を示している図 14 銀白色で金属光沢を有し菱形面には条線が発達している単晶が多

橋元正彦松内茂 162 いがさまざまな形態の接合双晶あるいは貫入双晶も見られる鉱脈周辺の母岩中に産する硫砒鉄鉱は黄鉄鉱と共存し 1 mm 程度の大きさで銀白色の菱形面を有している黄銅鉱は鉱脈中や母岩中の硫砒鉄鉱に伴って生成している黄鉄鉱は主として鉱脈周辺の絹雲母化した母岩中に硫砒鉄鉱に伴って生成している絹雲母は樹脂光沢をもった微細な葉片状結晶の集合体として

脈石として鉱床中に産出する 6 団鉱の製錬残渣図 16 団鉱の切断面 Ar 硫砒鉄鉱 Py 黄鉄鉱左下の礫は絹雲母化した花崗閃緑岩前述のように本鉱山では主に砒素を含む団鉱を焙焼して亜砒酸の製錬を行ったこの団鉱の製錬残渣は鉱山跡の地表や新しい岩屑の下に見ることができる図 15 直径 6 cm 程度の大きさで形は球に近いが底が平らなものもある表面の色は黄土色あるいは褐色

10 橋元正彦松内茂 162 いがさまざまな形態の接合双晶あるいは貫入双晶も見られる鉱脈周辺の母岩中に産する硫砒鉄鉱は黄鉄鉱と共存し 1 mm 程度の大きさで銀白色の菱形面を有している黄銅鉱は鉱脈中や母岩中の硫砒鉄鉱に伴って生成している黄鉄鉱は主として鉱脈周辺の絹雲母化した母岩中に硫砒鉄鉱に伴って生成している絹雲母は樹脂光沢をもった微細な葉片状結晶の集合体として硫砒鉄鉱図 15 堆積物に埋まった団鉱製錬残渣の結晶間を埋めている無色透明あるいは白色淡緑色を呈する絹雲母が多いがピンク色の絹雲母が特徴的に存在している鉱脈中や母岩中に数種類の二次鉱物が確認された水亜鉛銅鉱は淡青緑色で皮膜状に産出する珪孔雀石は半透明の帯緑青色で皮膜状に産出するスコロド石は淡緑色淡褐色でぶどう状に集合している石英と方解石は脈石として鉱床中に産出する 6 団鉱の製錬残渣図 16 団鉱の切断面 Ar 硫砒鉄鉱 Py 黄鉄鉱左下の礫は絹雲母化した花崗閃緑岩前述のように本鉱山では主に砒素を含む団鉱を焙焼して亜砒酸の製錬を行ったこの団鉱の製錬残渣は鉱山跡の地表や新しい岩屑の下に見ることができる図 15 直径 6 cm 程度の大きさで形は球に近いが底が平らなものもある表面の色は黄土色あるいは褐色赤褐色で水亜鉛銅鉱やスコロド石が付着している場合がある内部は多孔質で大きさ 2 8 mm 程度最大 25mm の礫を含みその間を細粒の基質が埋めている内部の色は黄土色褐色赤褐色黒色などがまだらになっていて焙焼によって融けた部分が樹脂光沢をもつ皮膜をつくっているまた硫砒鉄鉱や黄鉄鉱が分解されずに残っていることがある図 16 今回団鉱に含まれる元素の分布と濃度を検討するため京都大学理学研究科の堀場製作所製 X 線分析顕微鏡 XGT-2000 を用いて団鉱切断面の元素分布マッピングを行なった分析した元素は鉄銅亜鉛の金属元素と硫黄砒素珪素カリウムであるこのうち鉄および砒素硫黄の分布マッピング像を図 17 に示すマッピングを行った試料は図 16 と同じものであるが切断面が異なっている元素分布マッピングの結果著量の砒素が検出された砒素の濃度が高い部分は団鉱の周縁部と内部の一部である硫黄は団鉱の内部に濃集した部分があり周縁部には少ない鉄は団鉱の全体にわたって分布しているが散点的に濃度の高い部分がある以上の結果の中で砒素が団鉱の周縁部に濃集していることが特徴的であるこれは焙焼に因るものと考えられるが焙焼後長く放置されている間に富化した可能性もある

兵庫県神河町の琢美鉱山の砒素鉱床 163 図 17 琢美鉱山砒素団鉱切断面の元素分布マッピング像堀場製作所製 X 線分析顕微鏡 XGT-2000 を用いた鉄および砒素硫黄の分布マッピング像スケールバーは 1 cm 団鉱の内部で砒素濃度の高い部分が鉄および硫黄の高い部分と重なっているところがあるこの部分は硫砒鉄鉱と考えられるまた砒素濃度が低く鉄および硫黄が高い部分があるが

11 兵庫県神河町の琢美鉱山の砒素鉱床 163 図 17 琢美鉱山砒素団鉱切断面の元素分布マッピング像堀場製作所製 X 線分析顕微鏡 XGT-2000 を用いた鉄および砒素硫黄の分布マッピング像スケールバーは 1 cm 団鉱の内部で砒素濃度の高い部分が鉄および硫黄の高い部分と重なっているところがあるこの部分は硫砒鉄鉱と考えられるまた砒素濃度が低く鉄および硫黄が高い部分があるがこの部分は黄鉄鉱と考えられる銅や亜鉛は偏在しわずかに含まれるのみであるまた珪素の分布は鉄の分布に相反していて団鉱に含まれる花崗閃緑岩などの礫に多いカリウムは団鉱の全体にほぼ一様に分布している 7 川上花崗閃緑岩の鉱化作用峰山層の火砕流堆積物の本質岩片から 64.9±3.2Ma の全岩 K-Ar 年代が得られている山元ほか 2002 これに貫入する川上花崗閃緑岩も一連の火成作用で形成され山元ほか 2002 このとき琢美鉱山の砒素鉱床が生成したと考えられる兵庫県中央部には明延と生野に大規模な多金属鉱脈が分布しているがその南西側にも後期白亜紀古第三紀の花崗岩類に伴う鉱脈がいくつも分布しているその中でも川上花崗閃緑岩に伴う鉱脈は多く繁松鉱山川上鉱山寺谷鉱山平石鉱山鉉赤つるあか鉱山丈山鉱山などがあったいずれも銅鉄砒素などの小規模な熱水鉱脈鉱床である川上花崗閃緑岩は磁鉄鉱系に属している石原 2002 はこの地域の磁鉄鉱系花崗岩類が火山岩類を伴い一部でグラノファイアと斑岩状を呈していることから深成岩の浅成部が現在露出していると考え基本的な鉱化条件を満たしているとしているこの地域の磁鉄鉱系花崗岩類の中でも鉱床を伴う花崗岩類は帯磁率が高い傾向にあるが川上花崗閃緑岩体の帯磁率は特 3 に高く平均 SI 鉱化作用と酸素フュガシティとの関連が示唆されている石原 2002 今後花崗岩類の産状や化学的性質および付随する鉱床の特徴を明らかにすることは花崗岩類の鉱化作用を検討する上で重要だと思われる 8 まとめ本研究は以下のように要約される 1 琢美鉱山は砒素を生産目的として稼行された鉱山である残された写真と当時の従業員の

12 謝辞 18 X X 引用文献 B

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<95CA93598E9197BF E8EBF92B28DB88E9197BF2E786477> 孔名 Br1 孔口標高 357.74m 掘進長 15.00m Br1 GL-0.00~0.10mは褐灰色表土層 DL 0 0 2 GL-0.10~2.00mは土砂状砂質粘土 2.00 砂は細砂主体 DL 0 0 5~9 土砂状となっている粘土質砂砂は細 ~ 粗砂混入する 4.00 粘土分多く混入し部分的に粘土分卓越孔内水位はGL-1.50m 土砂状となっている粘土混じり砂 DL 0 0