第6課 輻射の方程式　ＩＩ

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1 007 年 0 月 日 単 位 名 学 部 : 天 体 輻 射 論 I 大 学 院 : 恒 星 物 理 学 特 論 IV 教 官 名 中 田 好 一 授 業 の 最 後 に 出 す 問 題 に 対 し レポートを 提 出 成 績 は レポート+ 出 欠 でつける 授 業 の 内 容 は 下 のHPに 掲 載 される

2 007 年 0 月 日 B: 熱 平 衡 007 年 0 月 5 日 C: 線 吸 収 007 年 0 月 日 D: 連 続 吸 収 007 年 0 月 9 日 E: ダストの 吸 収 007 年 月 5 日 F: 輻 射 強 度 007 年 月 日 G: 黒 体 輻 射 007 年 月 9 日 H: 等 級 007 年 月 6 日 I: 色 等 級 図 007 年 月 3 日 J: 星 間 減 光 007 年 月 0 日 K: 輻 射 方 程 式 007 年 月 7 日 L: エディントン 近 似 008 年 月 7 日 M: 吸 収 線 の 形 成 008 年 月 日 N: 星 のスペクトル 008 年 月 8 日

3 A.. 水 素 原 子 のエネルギー 準 位 (I) 水 素 は 宇 宙 で 最 も 多 い 元 素 である 水 素 は 核 反 応 によりじわじわと 減 っていくが 現 在 でも 原 子 の 総 質 量 の70% 原 子 数 では90%が 水 素 である 宇 宙 空 間 での 水 素 は 下 の 図 に 示 すように 水 素 分 子 H 水 素 原 子 H 水 素 イ オン( 陽 子 プロトン)Pの3つの 形 態 をとる 水 素 イオンはH - とも 書 く 天 文 特 有 の 用 語 として HをHI(エイチワン) H - をHII(エイチツー)とも 呼 ぶ H 星 間 雲 H H P 星 分 子 雲 molecular cloud HII 領 域 HII region P

4 水 素 原 子 は 右 の 図 に 示 すように 陽 子 の 周 りを 一 つの 電 子 が 回 っている p 電 子 は 運 動 エネルギー K と ポテンシャルエネルギー U をもつ 総 エネルギー E=K+U を 求 めてみよう の 持 つエネルギーEを 水 素 原 子 Hのエネルギー と 呼 ぶ a 陽 子 と 電 子 との 間 には+と-の 電 荷 の 間 のクーロン 力 Fが 働 いている 簡 単 のた め 電 子 は 陽 子 から 距 離 a 離 れた 円 軌 道 を 速 度 Vで 回 っているとする 力 の 釣 り 合 いの 式 は 電 子 の 運 動 エネルギーKと ポテンシャルエネルギーUは F K 4 e a 0 mv v m a U 4 0 e a

5 総 エネルギー E=K+Uは U U K E U a e mv K 4 0 前 の 式 を 角 運 動 量 L=mVaを 使 って 書 き 直 しておくと L e m a e U E L m e a ma L a m a e F ここまでは 古 典 物 理 学 の 範 囲 である

6 一 方 量 子 力 学 では 電 子 の 角 運 動 量 L が 次 のように 量 子 化 されている L=nh/(π) n=,,3,... : 量 子 条 件 (h=プランク 定 数 ) このように L が 飛 び 飛 びの 値 を 取 るために 前 頁 のEの 式 は E m e L 4 m e nh 4 m 8 e h n n L (ε L =3.6 ev ) 水 素 原 子 のエネルギーは 上 の 式 のnに,,3...を 入 れると 決 まる ーε L /9 ーε L /4 n= n=3 n= 第 励 起 状 態 第 励 起 状 態 ーε L n= 基 底 状 態

7 A.. 原 子 のエネルギーレベル 水 素 原 子 のエネルギー 準 位 は 主 量 子 数 nで 簡 単 に 表 現 された 他 の 原 子 のエネルギー 準 位 は 水 素 と 次 の 点 が 異 なる ). 電 子 が 一 つ 以 上 付 いているので 各 電 子 の 状 態 を 指 定 する 必 要 がある nで 指 定 される ). 各 電 子 が 持 つ 角 運 動 量 l スピン s を 合 成 した 値, L, Sがエネルギーに 影 響 3).LとSを 合 成 した 総 角 運 動 量 Jもエネルギーに 影 響 する 影 響 の 大 きさは 下 へ 行 くほど 小 さいので ),),3) それぞれでグループ 分 け をしている その 名 前 と 詳 しい 解 説 がここから しばらく 続 く

8 エネルギーグループの 名 前 電 子 配 列 原 子 のエネルギー 状 態 はまず その 原 子 に 属 する 個 々の 電 子 がどんな 軌 道 を 占 めているかを 指 定 することで 大 きく 規 定 される 項 与 えられた 電 子 配 列 に 属 する 電 子 の 総 軌 道 角 運 動 量 L と 総 スピン 角 運 動 量 S が 指 定 された 原 子 の 状 態 順 位 L,Sに 加 えて 総 角 運 動 量 Jまで 指 定 された 原 子 の 状 態 状 態 L,S, J に 加 えて 総 角 運 動 量 のZ 成 分 Mまで 指 定 された 原 子 の 状 態 名 前 電 子 配 列 項 準 位 状 態 (configuration) (term) (level) (state) 指 定 値 (n,l )(n,l )...(n k,l k ) S, L S, L, J S, L, J, M 状 態 数 (S+)(L+) J+

9 A.3. 電 子 配 列 (configuration) 原 子 内 の 電 子 を いくつかの 量 子 数 で 指 定 する n: 主 量 子 数 (principal quantum number),, 3, 4,... l: 方 位 量 子 数 (azymuthal quantum number) 0,,..., n- m: 磁 気 量 子 数 (magnetic quantum number) -l, -(l-), -, 0,,...(l-). l 主 量 子 数 nの 状 態 は 殻 (シェル shell)とも 呼 ばれ 名 前 は 下 からK,L,M,... 方 位 量 子 数 lにも 名 前 が 付 いている l=0はs l=はp l=はd... 主 量 子 数 n (K) (L) 3(M) 方 位 量 子 数 l 0(s) 0(s) (p) 0(s) (p) 磁 気 量 子 数 m スピン 主 量 子 数 n 3(M)( 続 き) 方 位 量 子 数 l (d) 磁 気 量 子 数 m スピン この 先 は n=4(n), 5(O),6(P)

10 同 じnでも l 小 ( 遠 心 力 ポテンシャル 低 い)では 中 心 付 近 にたまるので 他 の 電 子 の 遮 蔽 効 果 が 弱 くなり エネルギーレベルが 下 がる n+l(エル)がレベルの 目 安 (nl)レベルをエネルギーの 低 い 順 にならべると n l s s p 3s 3p 4s 3d 4p 5s 4d. n+l 実 際 原 子 の 基 底 状 態 の 電 子 配 列 は 上 の 式 に 従 って 決 まっている H He s (s) Li Be (s) s (s) (s) B C N O F Ne (s) (s) p (s) (s) (p) (s) (s) (p) 3 (s) (s) (p) 4 (s) (s) (p) 5 (s) (s) (p) 6

11 ( 続 き) ( 下 線 のあるCrとCuのところで 飛 びがある) Na Mg..(p) 6 (3s)..(p) 6 (3s) Al Si P S Cl Ar.(3s) 3p.. (3s) (3p).. (3s) (3p) 3.. (3s) (3p) 4.. (3s) (3p) 5.. (3s) (3p) 6 K Ca (3p) 6 4s (3p) 6 (4s) Sc Ti V Cr Mn (3p) 6 3d(4s) (3p) 6 (3d) (4s) (3p) 6 (3d) 3 (4s) (3p) 6 (3d) 5 4s (3p) 6 (3d) 5 (4s) Fe Co Ni Cu Zn (3p) 6 (3d) 6 (4s) (3p) 6 (3d) 7 (4s) (3p) 6 (3d) 8 (4s) (3p) 6 (3d) 0 4s (3p) 6 (3d) 0 (4s)

12 A.4. 殻 (shell) Kα 線 主 量 子 数 n=の 一 番 内 側 の 殻 (シェル)をKシェルと 呼 ぶ X 線 を 浴 びてKシェル(n=)にある 電 子 が 叩 き 出 されると そこに 上 のLシェルか ら 電 子 が 落 ちてくる この 時 LシェルとKシェルのエネルギー 差 に 相 当 するX 線 が 放 射 される これをKα 線 と 呼 ぶ MシェルからKシェルへの 落 下 の 場 合 はKβ 線 である また Lシェル 電 子 が 叩 き 出 されてそこに 上 のMシェルから 落 下 した 場 合 は Lα 線 と 呼 ばれる 以 下 同 様 Kα 線 X 線

13 汚 染 土 壌 の 蛍 光 X 線 スペクトル E=6.4KeVの 鉄 FeのKα 線 が 強 い

14 籾 殻 の 蛍 光 X 線 分 析 珪 素 SiのKα 線 が.7KeVで 強 い

15 銀 河 団 のX 線 スペクトル 珪 素 Siと 鉄 FeのKα 線 が 地 上 の 汚 染 検 査 と 同 じ 位 置 に 出 ている Feは 高 温 の ためHe-likeなイオンで Kα 線 は 6.7KeVで 中 性 原 子 の6.4Kevより 高 い KeV 付 近 の 鉄 はMシェルからLシェル へのLα 線 ISASホームページから 引 用

16 A.5. 項 (term), 準 位 (level), 状 態 (state), k 個 の 電 子 を 持 つ 原 子 では まずk 個 の 電 子 状 態 のセットを 指 定 する これが 電 子 配 列 (configuration)であった そのk 個 の 状 態 から 作 られる 合 成 角 運 動 量 をL Sとした 時 に 共 通 のLとSを 持 つ 状 態 の 組 を 項 (term)と 呼 ぶ 総 角 運 動 量 Jは LとSのベクトル 合 成 J=L+S である 一 般 には 原 子 のエ ネルギー 準 位 はJの 値 により 分 裂 する これを 準 位 (level)と 呼 ぶ 最 後 に JのZ 成 分 Mまで 指 定 すると 原 子 の 量 子 状 態 は 完 全 にきまる これを 状 態 (state)と 呼 ぶ 名 前 量 子 数 状 態 数 電 子 配 列 ( configuration) (n l ) (n l ) (n k l k ) 項 ( term ) (n l ) (n l ) (n k l k ) SL (S+)(L+) 準 位 (level) (n l ) (n l ) (n k l k ) SLJ J+ 状 態 ( state) (n l ) (n l ) (n k l k ) SLJM S= s + s + + s k L= l + l +. + l k J=S+L M=MJ

17 名 前 指 定 値 状 態 数 項 (term) L,S (L+)(S+) 準 位 (level) L,S,J (J+) 状 態 (state) L,S,J,M multiplet line 合 成 軌 道 角 運 動 量 L= lの 名 前 は L= 0 3 名 前 S P D F 項 (term)は S+ L という 形 で 表 記 する (L,S) (,0) (,) (0,0) S+ L D 3 P S

18 項 (Term) 最 外 殻 の 電 子 は 通 常 共 通 の 主 量 子 数 を 持 っている 殻 のエネルギー 準 位 は L=Σlによって 分 裂 する これを 項 (term) と 呼 ぶ 項 は(n l ) (n l ) (n k l k ) SL で 指 定 される 項 の 決 定 法 : 多 電 子 系 : L=Σl, S=Σs, J=L+S (LS 結 合 ) g L S(LS 相 互 作 用 ) (S+) 準 位 (L+) 準 位 S<Lの 場 合 S>Lの 場 合 通 常 内 側 の 殻 (shell)はl=0,s=0の 状 態 で 閉 じている 最 も 外 側 の 殻 に 属 する 電 子 だけでLとSを 決 める その 電 子 は 同 じ(n l)を 持 つかどうかで 扱 いが 尐 し 異 なる (a) p 電 子 (l=)+d 電 子 (l=) つの 軌 道 角 運 動 量 lが 異 なる( 不 等 価 電 子 ) ので L=+ S= /+/ S =, 0 L=3 (F), (D), (P) S+ L = P, D, F, 3 P, 3 D, 3 F (SとLの 任 意 の 組 み 合 わせ)

19 (b) 個 のp 電 子 (l=)の 例 ( 個 のp 電 子 の 場 合 は P 項 ) 等 価 電 子 [ 同 じ(n,l) ]にはパウリ 排 他 率 の 考 慮 が 必 要 つのp 電 子 (l=)は 同 じ 磁 気 量 子 数 m l (=,0 -)とm s (=/ -/) を 持 つことが 出 来 ない まず 可 能 な 組 み 合 わせを (m s =+/), (m s = - /) を 使 い 表 にし 各 組 み 合 わせの 合 成 磁 気 量 子 数 M L とM S を 書 き 込 む m l + 0 Σ m l =M L Σm s =M S ( m l m s ) 0 (, /) (, -/) (, /) ( 0, /) 0 (, /) ( 0, -/) 0 (, -/) ( 0, /) - (, -/) ( 0, -/) 0 (, /) (-, /) 0 0 (, /) (-, -/) 0 0 (, -/) (-, /) 0 - (, -/) (-, -/) 0 0 (0, /) ( 0, -/) - ( 0, /) (-, /) - 0 ( 0, /) (-, - /) - 0 ( 0, -/) (-, /) - A: 原 子 のエネルギー - 準 位 ( 0, -/) (-, -/) (-, /) (-, - /)

20 前 頁 の 表 から p 電 子 個 には 計 5 個 の 独 立 な 状 態 があることが 判 る L,Sの 固 有 関 数 も 計 5 個 で 前 頁 5 個 関 数 の 一 次 結 合 で 表 わされる Σ m l =M L の 列 を 見 ると 最 大 がで そのM S =0である これは L= S=0の 状 態 が 出 来 ていることを 意 味 する (L=,0から M L =は 生 じないし L=3が 出 来 れば M L =3があるはず )そこで L=,S=0 状 態 に 寄 与 し 得 る 関 数 に をつけ る 実 際 にはMs=0で ML=,,0 - -を 一 つずつ 選 ぶ m l + 0 Σ m l =M L Σms=M S 0 D (L= S=0) 3 P (L=, S=) S (L=0, S=0) A: 原 子 のエネルギー - 準 位 - - 0

21 ところで ( m l m s )= (, /) (, -/) は(L S)の 固 有 関 数 でもあるので (L,S)の 次 の 固 有 関 数 を 作 る 際 にはこれはもう 使 えない 残 った 中 で(ML, MS) の 最 大 値 を 探 すと (M L, M S ) =(,)があるので L=,S= 状 態 があること が 判 る そこで (M L, M S ) =(,) (,0) (,-) (0,) (0,0) (0,-) (-,) (-,0) (-,-) となる( m l m s )9 組 に 印 をつける 最 後 には(M L, M S ) =(0,0)が 一 組 だけ 残 る したがって これはL=0,S=0 を 表 わすと 考 える このようにして 個 の 等 価 p 電 子 からは (L,S)=(,0) (,) (0,0)の 項 が 出 来 ることが 分 かった (,)や(,0)はできない (c) 3 個 以 上 の 等 価 電 子 の 場 合 (b)と 全 く 同 様 にできる 例 えば p 電 子 の 場 合 3 個 4 S, P, D 4 個 D, 3 P, S 5 個 P

22 準 位 (level) 項 (term)は 異 なる J 毎 に 準 位 (level) へと 分 裂 する 準 位 は S,L,Jが 指 定 され S+ L J の 形 で 表 記 される 準 位 への 分 裂 を 微 細 構 造 (fine structure)と 呼 ぶ 例 : 個 の 等 価 p 電 子 の 系 では D S, 3 Pの 項 が 存 在 する D 項 (L=,S=0)は J=L+S=+0=のみ 同 様 に S 項 もJ=0のみ 3 P 項 (L=,S=)は J=L+S=+=,,0が 存 在 する 電 子 配 列 項 準 位 状 態 (configuration) (term) (level) (state) S S 0 JM=0 (p) D D JM=,,0,-,- 3 P 3 P JM=,,0,-,- 3 P 3 P 0 JM=,0,- JM=0

23 A.6. 項 (term)と 準 位 (level)の 例 d G l M [ s 型 原 子 :アルカリ 金 属 Li, Na, K, Sc,.. のように 閉 殻 の 外 にs 電 子 がつ 付 加 電 離 エネルギーが 低 い 存 在 比 は 小 さいが 電 離 しやすいので 有 効 温 度 Te < 5000 K (K 型 より 晩 期 ) の 星 ではKとNa が 電 子 の 主 な 供 給 源 である d G l M [ 元 素 Eion(eV) Li(s) 5.4 Na(3s) 5. K (4s) 4.3 Rb(5s) 4. Cs (6s) He 5 Ne 0 Ar 5 H 0 B 5 Li Na Al K q Ô

24 s 型 の 例 :Na (s) (s) (p) 6 (3s) S / 基 底 状 態 3s 電 子 > L=0, S=/, J=/ S / 第 励 起 状 態 3p 電 子 > L=, S=/, J=/, P / > L=, S=/, J=3/, P 3/ (4s) S / P 項 (term) (3p) P 3/ 準 位 (level) S=/,L=,J=3/ g=4 S=/, L= (3p) P / 準 位 (level) S=/,L=,J=/ g= S 項 (term) S=/, L=0 D line (multiplet) (3s) S / 準 位 (level) S=/,L=0,J=/ D line 5889 A D line 5895 A g=

25 (s) 型 の 例 : Ca II Ca II 基 底 状 態 の 電 子 配 列 は (s) (s) (p) 6 (3s) (3p) 6 (4s) S その 上 に (s) (s) (p) 6 (3s) (3p) 6 (3d) D と (s) (s) (p) 6 (3s) (3p) 6 (4s) P がある (4p) P 3/ (4p) P / 8498 CaII triplet (3d) D 5/ 3933 K 線 3968 H 線 (3d) D 3/ (4s) S /

26 (p) 型 原 子 (p) 型 の 例 :NII Ground -level = (s) (s) (p) 3 P NII (p) S 0 (p) 型 なので D, 3 P, S 項 (term) が 出 来 る D P 3 P 3 P 0 μ 76μ

27 (p) 型 の 例 :OIII (p) D, 3 P, S S D P 3 P 3 P 0 5μ 88μ

28 (p) 3 型 原 子 (p) 3 型 の 例 : OII (p) 3 P / P 3/ D 3/ D 5/ S 3/

29 (p) 3 型 の 例 :SII SII (3p) 3 P 3/ P / D 5/ 0370 A=0.08/s 0336 A=0.6/s 030 A=0.8/s 086 A=0.3/s D 3/ A=0.09/s 4068 A=0./s 4 S 3/

30 A.7. 天 体 スペクトル 中 のラインの 例 電 離 しやすい s 型 原 子 は 000K 以 下 の 恒 星 大 気 に 多 く 存 在 する そのような 原 子 は 強 い 吸 収 線 を 生 み 出 すことが 多 い NaのD D 線 と CaIIのH,K 線 はそのよい 例 である 一 方 p p 3 型 のイオンは 高 温 のネビュラに 多 い OIIIの4959,5007A 禁 制 線 はそのよい 例 である

31 G 型 星 吸 収 線 g Hβ Mg b D Hα CaII triplet Hγ B K, H A

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33 A.8. 水 素 原 子 のエネルギー 準 位 (II) A-で 水 素 原 子 のエネルギー 準 位 が 主 量 子 数 nだけで 決 まることを 導 いた さらに 詳 しい 値 は 以 下 のように 与 えられる E L 3 n n J 4n この 式 を 見 るとLもSも 入 っていず nとjでeが 決 まっている nは 殻 (シェル) を 定 め Jは 微 細 構 造 (ファインストラクチャー)を 決 める 量 である L,Sは 項 を 定 める 量 であるがそれがEに 入 っていない 従 って 水 素 原 子 は 項 による 準 位 の 分 裂 がないという 珍 しい 原 子 である

34 水 素 のエネルギー 準 位 殻 (shell) n=3(m 殻 ) (3s), (3p), (3d) n=(l 殻 ) (s), (p) n=(k 殻 ) (s) 項 (term) D P S P S S 準 位 (level) D 5/ D 3/ P 3/ P / S / P 3/ P / S / S / 項 が 分 裂 していない のが 珍 しい 微 細 構 造 Lが 違 うから 違 う 項 に 属 す 普 通 はJが 同 じでも 準 位 は 違 う 水 素 は 特 別

35 水 素 のスペクトル 線 水 素 のエネルギー 準 位 自 由 バルマー 系 列 (Balmer) 電 子 H α: n=3 n= β: n=4 n= γ : n=5 n= n= Hα Hβ Hγ hν L =3.6 ev ライマン 系 列 (Lyman) Lyman α: n= n= β: n=3 n= γ : n=4 n= n= Lyα LyβLyγ n n n3 n4 Lyman Balmer Paschen Brackett

36 ライマンα 線 Lyα (ライマン アルファ 線 ):H ( 水 素 原 子 ) p P 3/ p P / s S / A s S / A Two Photon A(S)=8.3/s 共 鳴 線 ( resonance line)の 最 初 の 例 共 鳴 線 = 基 底 状 態 > 遷 移 可 能 な 第 励 起 状 態 通 常 最 も 強 い A(P)= / sec で 短 時 間 で 放 出 される 吸 収 もされやすく,したがって 高 温 ガス 星 雲 内 ではLyαフォトンはS 状 態 のH 原 子 により 散 乱 を 受 けながら 拡 散 していく

37 水 素 原 子 の 超 微 細 構 造 水 素 原 子 核 は 核 スピン I により 磁 気 モーメント μ =gμ N I をもつ ここに g= μ N =(eh/4π Mp c)=(me/mp)(eh/4π Me c)=(me/mp)μ B その 結 果 水 素 の 準 位 はF=J+Iによって 微 細 構 造 の 約 (Me/Mp)=(/840) 倍 の 大 きさに 分 裂 する これを 超 微 細 構 造 (super-fine structure)と 呼 ぶ その 大 きさはF=J+Iとして Δ E=g(Me/Mp) (hν L α / n 3 ){[F(F+) I(I+) J(J+)] / J(J+)(L+)} 水 素 原 子 (I=/)の 基 底 状 態 S / では J=/, I=/なので F=I+J=, 0 F= 0 遷 移 は g(me/mp) (hν L α )(x-0x)/[(/)(3/)(0+)] I=/ J=S=/ =g (3.6eV) (/840) (/73) (x4/3) = ev 水 素 cm 電 波 線 F= S / F=0

38 A.9. 分 子 のエネルギー 準 位 E=Er + Ev + Ee = 回 転 + 振 動 + 電 子 E Electronic state vibrational level rotational level

39 回 転 エネルギー L h E R I 8 I J JJ JJ B I= 慣 性 モーメント(moment of inertia) = [m A m B /(m A +m B )]r J= 回 転 量 子 数 (rotational quantum number) ΔJ=± が 許 される 遷 移 E h 8 I J E J E J J JB R R R 例 SiO maser J=3 J= J= J=0 J= to J= 86 GHz J= to J=0 43 GHz

40 振 動 エネルギー Ev=hν o (v + /) Δ v=± が 許 される 遷 移 ( 調 和 振 動 ポテンシャルが 良 い 近 似 の 範 囲 で) Fundamental bands = 0,, 3, First overtones = 0, 3,.. 例 :CO 4.6μ m v=3 v= v= v=0 CO:.3μ m v=

41 振 動 回 転 遷 移 (rotation and vibration band) v= J =3 R-branch P-branch J (J +)B J =0 R() R() P() P() v=0 J 0 =3 R(0) of the (,0) band P(0) of the (,0) band J 0 =0 J 0 (J 0 +)B 0

42 E E V R Branch E E E P Branch E E E J V V V V ( J ( J J = J =5 J =4 J =3 J = J J B J J B0 B B J B B J ( J J JB J J B0 B B J B B J ) B J J J ) ) 0 ( J 0 0 ) B 0 0 hν R-branch J =0 J =4 J =3 J = P-branch J 0

43 問 題 A 出 題 平 成 9 年 0 月 日 解 答 レポートの 第 頁 には 氏 名 学 科 学 年 提 出 月 日 を 忘 れず 記 入 せよ (なるべく) 翌 週 の 授 業 に 提 出 すること A. 等 価 p 電 子 が3,4,5,6 個 の 各 系 について その 項 (term)を 定 めよ A. 等 価 p 電 子 個 と5 個 個 と4 個 の 系 が 同 じ 項 を 持 つのはなぜか?