1 単元名 武士の世の中 小学校第 6 学年社会科学習指導案日時平成 26 年月日 ( ) 第校時 : ~ : 対象第 6 学年 組 名学校名 小学校授業者職 氏名会場 階 ( 組 ) 教室 2 単元の目標源平の戦い 鎌倉幕府の始まり 元 との戦いを調べることを通して 源頼朝が幕府を開き 武士による政治が始まったことが分かる 3 単元の評価規準ア社会的事象への関心 意欲 態度 1 源平の戦い 鎌倉幕府の始まり 元との戦いなどに関心をもち 意欲的に調べようとしている イ社会的な思考 判断 表現 1 源平の戦い 鎌倉幕府の始まり 元との戦いなどについて調べたことを比較 関連付けたり統合したりして 平清盛や源頼朝 北条時宗の願いや業績について考え 適切に表現している ウ観察 資料活用の技能 1 地図や年表 その他の資料を活用して 源平の戦い 鎌倉幕府の始まり 元との戦いなどに関わる人物の働きについて必要な情報を集め 読み取ってノートにまとめている エ社会的事象についての知識 理解 1 武士による政治が始まったことについて理解している 4 指導観 (1) 単元観ア小学校学習指導要領における位置付け本単元は 学習指導要領の第 6 学年の目標 (1)(3) 内容 (1) のウに基づいて設定した 学習指導要領社会科第 6 学年の目標 (1)(3) (1) 国家 社会の発展に大きな働きをした先人の業績や優れた文化遺産について興味 関心と理解を進めるようにするとともに, 我が国の歴史や伝統を大切にし, 国を愛する心情を育てるようにする (3) 社会的事象を具体的に調査するとともに, 地図や地球儀, 年表などの各種の基礎的資料を効果的に活用し, 社会的事象の意味をより広い視野から考える力, 調べたことや考えたことを表現する力を育てるようにする 学習指導要領社会科第 6 学年の内容 (1) ウ (1) 我が国の歴史上の主な事象について, 人物の働きや代表的な文化遺産を中心に遺跡や文化財, 資料などを活用して調べ, 歴史を学ぶ意味を考えるようにするとともに, 自分たちの生活の歴史的背景, 我が国の歴史や先人の働きについて理解と関心を深めるようにする ウ源平の戦い, 鎌倉幕府の始まり, 元との戦いについて調べ, 武士による政治が始まったことが分かること この内容は 源頼朝が平氏打倒の兵を挙げた頃から鎌倉に幕府が置かれた頃までの時期のうち 源平の戦い 鎌倉幕府の始まり 元との戦いの三つの歴史的事象を取り上げ これらを具体的に調べることを通して 武士による政治が始まったことが分かるようにすることをねらいとしている 1
イ内容 (1) ウに対して学習指導要領解説が示す具体的に調べる事項と それによって分かるようにする事項 源平の戦い について平清盛や源頼朝の活躍などを取り上げて調べ 平氏と戦った源氏が勝利を収めたことが分かるようにする 鎌倉幕府の始まり について朝廷から認められ全国に守護 地頭を置いた源頼朝が鎌倉に幕府を開いたことを取り上げて調べ 武士による政治が始まったことが分かるようにする 元との戦い について北条時宗が全国の武士を動員して元の攻撃を退けたことなどを取り上げて調べ 幕府が全国的に力をもってきたことが分かるようにする 実際の指導に当たっての学習として 源平の戦いにおける源義経の活躍の様子やエピソードを調べる学習 肖像や人物年表 エピソードから 都を離れて鎌倉に幕府を開いた源頼朝の業績について考える学習 元との戦いの様子から武士の戦いぶりを調べる学習が挙げられている また 武士による政治が始まったことが分かる とは 源頼朝が鎌倉に幕府を開き 武士が勢力をもつようになったことが分かるようにすることとしている (2) 児童観略 (3) 教材観児童はこれまで 聖徳太子の政治や大化の改新によって政治の仕組みが整えられてきたこと 聖武天皇によって大仏が造営されたことを調べ 天皇中心の政治が確立されたことを学習してきた また 藤原道長や貴族の暮らしについて調べることで 貴族が次第に力を付けて政治の中心となったことや 紫式部や清少納言の活躍に代表される 国風の文化が起こったことも学習してきた 本単元では まず 貴族の暮らしと武士の暮らしを比較させることで 武士が領地を大切にしながら武芸に励んでいたことを押さえる その上で 源平の戦いや鎌倉幕府の政治 元寇と幕府の衰退について具体的に調べさせて 土地を仲立ちとして結ばれた主従関係である御恩と奉公の重要性や 武士が政治の中心となっていったことを捉えさせる また 源頼朝や竹崎季長などの人物のエピソードを通して 児童の関心を高めるとともに 武士による政治が始まったことをより具体的に理解させる 2
5 知識の構造図 中心概念 貴族の時代から武士の時代に変わり, 源平の戦いを経て鎌倉幕府が開かれ, 武士による政治が始まった そこでは幕府と武士のつながりが大事にされたが, 元との戦いによってその関係は弱まった 源平の戦いの経過と結果 源頼朝による鎌倉幕府の創設 元寇と鎌倉幕府の衰退 具体的知識 平治の乱に勝利した平氏は貴族を抑えて政治の実権を握った 平氏の政治に不満をもつ武士を従えて源頼朝が挙兵し, 源義経の活躍などにより源平の戦いに勝利して平氏を滅ぼした 源頼朝は鎌倉幕府を開き 有力な御家人を守護や地頭として各地に置き 武士による政治体制を整えた 幕府と武士は 御恩と奉公 の関係で結ばれていた 源氏が 3 代で途絶えると北条氏が政治の実権を握った 元の大軍が二度に渡って九州北部に攻めてきた 元との戦いの後 御家人は幕府から恩賞の土地をもらえず 御恩と奉公 の関係が崩れて幕府の力は衰えた 用語等 平治の乱 一の谷の戦い 鵯越 屋島の戦い 壇ノ浦の戦い 平清盛のエピソード 源頼朝のエピソード 源義経のエピソード 幕府 征夷大将軍 鎌倉幕府の立地 御恩と奉公 鉢の木物語 守護 地頭 執権 源氏と北条氏 承久の乱と北条政子 元寇 集団戦法 てつはう 文永の役 弘安の役 北条時宗のエピソード 防塁 ( 石塁 ) 竹崎季長のエピソード 6 単元の指導計画と評価計画 (5 時間扱い ) 過程 時 指導のねらい 主な学習活動 予想される児童の反応 つ 1 か 本 む時 武士の館の絵や 平治物語絵巻 を読み取り 単元を貫く学習問題を考える 武士の館の絵から 武士の暮らしについて読み取る 弓や刀の稽古をしている 弓の手入れをしている 平治物語絵巻 を読み取り どのような様子を描いたものなのか予想する 武器を持った人が行進している 貴族が道を譲る 武士が戦いに行くところではないか 平治物語絵巻 の説明から武士が中心の世の中に変わったことを知り 学習問題を考える 貴族が権力をもっていたのにどうして武士に道を空けるようになったのだろう 3 指導上の留意点 具体的な評価基準 ( 評価方法 ) 資料 貴族の暮らしと比較しながら考えさせる 武士の館 ( 絵 ) 人物や服装に注目させて どのような場面か考えさせる 平治物語絵巻 ( 絵 ) 貴族が権力をもっていたことについて振り返らせる 武士の世の中に関心をもち 学習問題に対して予想を立てて調べようとしている
争いが起きて武士が力を付けたのではないか どのようにして武士が中心の世の中になっていったのだろう ア -1( 発言 ノート ) 調べる 2 平治の乱 源平の戦いについて調べ 貴族の世の中から武士の世の中に移り変わったことを理解する 3 鎌倉幕府の政治と幕府と武士とのつながりについて調べ どのような国づくりが行われたのかを理解する 4 元との戦いの様子を調べ 幕府と武士の関係が崩れ 幕府の力が衰えたことを理解す 平氏にあらずんば人にあらず という言葉から 当時の武士の立場について考える 平氏の一族が強い力をもっていたのだろう 貴族は衰えて武士が政治を支配していたのだろう 源平の戦いの流れや人物の働きを年表や絵図 エピソードから読み取る 平氏は西へ西へと追いやられて滅びてしまった いくさを 源頼朝は関東の武士を味方に付けて戦進めたようだ 読み取った事実から源氏が平氏に勝利した理由を考える 平氏の政治は藤原氏の政治と似ているので 武士としては 権力差異が弱かったのではないか 関東の有力な武士を味方に付けたことが大きいのではないか 承久の乱と北条政子の言葉について知り 源頼朝と鎌倉幕府の政治に関心をもつ 亡くなっているのに影響力があるなんてすごい 領地や恩賞を与えて武士の心をつかんだのではないか 鎌倉幕府の政治について調べる 守護や地頭を置いて幕府の命令が全国に行き渡るようにしている 頼朝がなぜ御家人をまとめることができたのかを考える 頼朝は御恩と奉公の関係をもって全国の御家人をまとめていた 元との戦いの絵から元寇に関心をもつ 集団戦法の元軍に日本の武士が一人で向かっている 元軍は爆弾のようなものを使っている 元との戦いについて調べる 二度も攻めてきているが どちらも暴風 言葉の意味を現代語で訳す 平清盛人物絵 平清盛の政治について 資料集 教科書より意図的に抜粋した資料を配る 年表 武士団 ( 絵 ) 源義経エピソード 年表や地図 エピソードより 源平の戦いの流れや人物の働きを読み取ってノートにまとめている ウ -1( ノート ) 調べた事実をもとに考えさせる 源氏が勝利した理由について考えている イ -1( 発言 ノート ) 承久の乱の経緯と北条政子の呼びかけについて解説する 北条政子の言葉 資料集 教科書から意図的に抜粋した資料を配る 鎌倉幕府の仕組み ( 図 ) 鎌倉幕府の立地 ( 絵 ) 御恩と奉公 ( 図 ) 鎌倉幕府の政治について理解している エ-1( 発言 ノート ) 頼朝が御家人をまとめられた理由について考えている イ-1( ノート ) 戦い方や持ち物に注目させる 元との戦い ( 絵 ) 年表 地図 4
まとめる る 雨にあって引き上げている 元軍に備えて石塁を築いている 5 調べたことを基に どのようにして武士が中心の世の中になっていったのかを自分なりの言葉でまとめる 幕府の力が衰えていった理由を考える ほうびがもらえず 武士は幕府に不満を抱いている 今まで調べてきたことを基にして新聞にまとめていくことを理解する ノートの記述を基に どのようにして武士が中心の世の中になっていったのかを新聞にまとめる 源平の戦いに源氏が勝利したことで武士の力は確実なものになった 源頼朝が鎌倉に幕府を開き 武士による政治の仕組みができた 頼朝は 御恩と奉公の関係で全国の御家人をまとめて武士の世の中を安定させた 元との戦いの後 御恩と奉公の関係が崩れて鎌倉幕府の力は衰えていった 石塁 ( 写真 ) 北条時宗エピソード 年表や地図 エピソードより元との戦いや人物の働きを読み取ってノートにまとめている ウ-1( ノート ) 御恩と奉公の関係について振り返らせる 竹崎季長エピソード 幕府の力が衰えていった経緯を理解している エ-1( 発言 ノート ) 今まで調べてきたことを振り返り まとめる内容について示す ノートの記述を資料として活用させる 児童のノート 学習問題に対する自分なりの考えをまとめようとしている ア -1( 発言 ノート ) 貴族の時代から武士の時代に変わり 源平の戦いを経て鎌倉幕府が開かれ 武士による政治が始まった そこでは土地を仲立ちに幕府と武士のつながりが大事にされたが 元との戦いによってその関係は弱まった 7 指導に当たって 班テーマ 児童が主体的に追究する社会科学習 ( 仮 ) との関連 児童が主体的に追究する ためには児童が なぜ どうして といった問題意識をもって調べたいと思えるような資料提示が必要である 単元の導入で示す資料は 小単元の目標に沿った学習問題に児童を導けるものを用意していく 本実践では 平治物語絵巻 を資料として扱う 都大路を行進する武士と道を空ける貴族の様子から 貴族の世の中から武士の世の中に移り変わったことを読み取らせる そして 栄華を極めた貴族の時代から どのようにして武士が中心の世の中になっていったのだろうという問いをもたせて 単元を貫く学習問題へつなげていく 教科書 資料集の資料活用教科書や資料集の絵図や年表を抜粋して主な資料として扱うようにする 見開きで構成されている紙面は情報量が多いので 見せたい資料のみ抜粋して扱う 提示の際はパソコンとプロジェクターを用いて拡大したりデータ化して複数の資料を比較できるようにしたり ねらいに沿った加工をして活用する 本実践で扱う 平治物語絵巻 は 資料集の解説や注釈を抜いたものを提示する 児童が資料の読み取りを十分に行い 問いが生まれたところで資料集を活用した調べ学習へと移っていく 5
学習問題解決へ向けてノートの活用学習問題に対する予想や 資料から読み取った事実 自分なりの考えや学習感想などをノートにしっかりと記録させる 毎時間の主な資料は 児童のノートに貼れる大きさに印刷して配り 一人一人がじっくり資料を読み取り ノートに記録を残せるようにする 問題解決へ向けて ノートを活用して調べたことや考えたことを整理したり 振り返ったりしながら学習を進めていけるようにする 8 本時 ( 全 5 時間中の第 1 時間目 ) (1) 本時の目標武士の館の絵や 平治物語絵巻 を読み取り 単元を貫く学習問題を考える (2) 本時の展開 つかむ 10 分 調べる 15 分 学習活動 予想される児童の反応 資料を読み取り 単元の学習問題を考えよう 武士の館の絵と貴族の館の絵を比較しながら武士の暮らしについて読みとる 弓や刀の稽古をしている 馬を飼っている 貴族の暮らしより地味な感じがする 武士の起こりや特徴についてつかむ 土地を大切にしていた 貴族の用心棒のような存在だった 平治物語絵巻 を読み取る 武器をもった人が行進している 牛車に乗った貴族が道をあけている 武士が戦いに行くところではないか 平治物語絵巻 に描かれた場面について知り 武士が台頭してきたことを理解する 貴族中心から武士が中心の世の中になった なぜ どうして と感じることをノートに書く 藤原氏は大きな力をもっていたのに どうしてこのようなことになったのだろう 武士と貴族の立場はなぜ逆転したのだろう 児童の意見を集約して学習問題をつくる どうやって武士が力をもったのだろう どのように武士と貴族の立場が逆転したのだろう 指導上の留意点 資料 学習活動に即した具体的な評価規準 ( 評価方法 ) 武士の館 ( 絵 ) 貴族の館 ( 絵 ) 貴族の暮らしと比較しながら考えさせる 人の様子や物に注目させる 武士の起こりや武士の生活について説明して武士の特徴をつかませる 平治物語絵巻 ( 絵 ) 人物や服装に注目させて どのような場面か考えさせる 平治物語絵巻 の様子について解説する 貴族が権力をもっていたことについて振り返らせる 資料より なぜ どうして と感じることはないか問いかけ 学習問題へつなげる 書き出せない児童への配慮として班で意見を交流させる どのようにして武士が中心の世の中になっていったのだろう まとめる 20 分 学習問題への予想と学習問題を探究するために調べたいことを考えてノートに書く 藤原氏への不満が高まり 戦いに備えて訓練していた武士が反乱を起こして貴族を破り 力をもったのではないか 反乱や戦いについて調べたい 力のある武士が藤原氏のように天皇と親戚になったのではないか どのように武士が力を付けていったのか調べたい 6 学習問題に対する自分なりの予想と調べてみたいことを書かせる 教科書や資料集を確認することも許容して 見通しをもたせる
おそらく源頼朝や平清盛という人物が関係しているので調べたい 学習計画を立てる 児童の意見を集約して大まかな学習計画を立てる 武士の世の中に関心をもち 学習問題に対して予想を立てて調べようとしている ア -1( 発言 ノート ) (3) 板書計画 資料を読み取り, 単元の学習問題を考えよう 武士の館絵 武士 : 土地を守るため地方の豪族が武装命がけで土地を守っていた武士団 貴族の屋しきの警備 平治物語絵巻 絵 武士中心の世の中へ どのようにして武士が中心の世の中になっていったのだろう 学習問題解決へ向けて調べてみたいこと 大きな戦があって力をもったのではないか 戦いがあったのか調べてみたい 武士が行進? 戦いに行く途中では 貴族のように天皇との関わりを強めたのではないか 周囲は貴族? 道を空けている? 政治の様子を調べたい 源平の戦いについて調べたい 都大路を行進する武士 武士が通り過ぎるのを待つ貴族 7