2 ブドウの病害虫

Similar documents
リンゴ黒星病、うどんこ病防除にサルバトーレME、フルーツセイバーが有効である

**************************************** 2017 年 4 月 29 日 日本植物病理学会殺菌剤耐性菌研究会 耐性菌対策のための DMI 剤使用ガイドライン 一般的な耐性菌対策 1. 薬剤防除だけに頼るのではなく 圃場や施設内を発病しにくい環境条件にする 1)

5月の病害虫発生予想と防除のポイント

PowerPoint プレゼンテーション

ブドウ 1. 黒とう病 Elsinoe ampelina < 生態と防除のねらい > 病原菌は結果母枝や巻ひげ等の病斑部で越冬し 4 ~ 5 月から降雨のたびに胞子を作り 新梢や新葉 巻ひげ等に感染し発病する この新病斑が二次伝染源となり 次々に伝染を繰り返す 発病は 4 月下旬頃から認められるが

平成19年度事業計画書

トンネル博多ベリー防除暦

本剤の使用に当たっては 使用量 使用時期 使用方法を誤らないように注意し 特に初めて使用する場合には病害虫防除所等関係機関の指導を受けることをおすすめします 安全使用上の注意事項 本剤は眼に対して刺激性があるので眼に入らないよう注意してください 眼に入った場合には直ちに水洗し 眼科医の手当を受けてく

11ブドウ

ネギ 防除法

08びわ

カンキツ病害 1. かいよう病 Xanthomonas campes tris pv.citri 生態と防除のねらい 病原菌は 枝葉や樹上果実の病斑部で越冬するが 秋の病斑と秋季感染の潜伏越冬病斑は翌春の病原菌の増殖力が強く 伝染源の主体をなしている 平均気温 28 前後で最も増殖力が大きく 雨媒伝

中晩柑の病害虫

冷蔵貯蔵中のぶどう「シャインマスカット」に発生する灰色かび病防除に、オンリーワンフロアブルの7月中~下旬散布が有効である

.

カンキツ病害 1. かいよう病 Xanthomonas campes tris pv.citri 生態と防除のねらい 病原菌は 枝葉や樹上果実の病斑部で越冬するが 秋の病斑と秋季感染の潜伏越冬病斑は翌春の病原菌の増殖力が強く 伝染源の主体をなしている 平均気温 28 前後で最も増殖力が大きく 雨媒伝

ダイコン 防除法

白紋羽病の病徴 果樹の地上部にこんな症状が出ていたら要注意 春先の発芽が遅れ 花芽分化が多く 開花時期が早まる 徒長枝の本数が少ない または伸長が悪い 梅雨明け後期に 葉が萎れたようになる 秋期に葉の黄化や 落葉が早くなる 果実の肥大が悪く 熟期が早まる 徒長枝の伸長が悪い 菌 糸 束 秋期の葉の早

5月の病害虫発生予想と防除のポイント

< F2D C18EEA95F182518D C834D E838D836F836C834C836D F E6A7464>

○H29-3 表紙_バジルべと病(案2)

月中旬以降の天候によって塊茎腐敗による被害が増加する事例も多い 平成 28 年度は疫病の発生面積率は19.9% と例年に比べてやや少なかったものの 塊茎腐敗の発生面積率は 14.8% と例年に比べてやや多かったとされる ( 平成 現在 北海道病害虫防除所調べ ) かつては 疫病には

01イチジク

バンカーシート 利用マニュアル 2017年版(第一版)

本年 10 月 11 日 ~11 月 10 日の間に登録登録されたされた新農薬 ( 適用拡大を含む は 次の通りですりです 下線部が適用拡大適用拡大になりましたになりました 登録日 薬剤名 10/24 テルスタ - フロアブル 登録内容 ( 適用拡大を含む のあらまし 対象作物内容 もも 対象害虫の

わかっていること トマトすすかび病について

PowerPoint プレゼンテーション

76 キク品種の白さび病抵抗性と白さび病菌レース 胞子で 7 22 である 両胞子のこのような性質から 噴霧器 発病は担子胞子形成の適温に支配され 最適な条件は 7 前後で 湿度が高く葉面が濡れている状態である キク白さび病菌レースと白さび病抵抗性 キク品種 罹病葉 植物病原菌では 同じ菌であっても

Ⅱ りんご生産情報 1 生育 作業の進み 病害虫の動き (1) 生育ステージふじの落花日は 黒石 ( りんご研究所 ) で平年より2 日早い5 月 15 日 五戸 ( 県南果樹部 ) で平年より2 日早い5 月 18 日であった 満開日 ( 月. 日 ) 地域年つがるジョナゴールド王林ふじ 黒 石

隔年結果

( ウ ) 薬剤散布後の状況 マシン油乳剤 3 通りの倍率でマシン油乳剤を散布し 定期的に状況を観察した 本種はチョコレート色の蝋物質 ( 殻 ) に覆われており 外観は月日の経過とともに少しずつ黒ずんできたように思われたが 内部の成虫の生死や産卵の有無などの判断は難しく 防除効果の確認は幼虫発生期

140221_葉ネギマニュアル案.pptx

情報01-1.xlsx

<4D F736F F D D836789A989BB97748AAA956182CC8CBB8FF382C691CE8DF42E646F63>

水稲いもち病当面の対策                   

チャレンシ<3099>生こ<3099>みタ<3099>イエット2013.indd

スプレーストック採花時期 採花物調査の結果を表 2 に示した スプレーストックは主軸だけでなく 主軸の下部から発生する側枝も採花できるため 主軸と側枝を分けて調査を行った 主軸と側枝では 側枝の方が先に採花が始まった 側枝について 1 区は春彼岸前に採花が終了した 3 区 4 区は春彼岸の期間中に採

スダチ栽培におけるマイナー害虫の被害と防除 徳島県立農林水産総合技術支援センター病害虫防除所兼田武典 Takemichi Kaneda はじめに スダチ (Citrus sudachi Hort.ex Shirai; 図 1) は徳島特産の緑色が美しい小型の香酸カンキツである 近年の食生活の多様化と

スライド 1

長期講習会(平成24年野崎修正)資料

Japan Diamide WG

140221_ミツバマニュアル案.pptx

2. 青枯病 Ralstonia solanacearum 生態 ナスの青枯病の項参照 (1) 発病のおそれがあるほ場では栽培を避ける やむをえず栽培する場合は土壌消毒を行う (2) 抵抗性品種を選んで栽培する 詳しくは 指導資料 Ⅵ ナス トマト キュウリの主要品種の病害虫抵抗性 の項参照 青枯病

営農のしおり(夏秋キク)

平成16年度農作物有害動植物発生予察情報

独立行政法人農業 食品産業技術総合研究機構 果樹研究所編 2013 年改訂版白紋羽病温水治療マニュアル 温水を使って安全 簡単に白紋羽病を防ぐ 目 次 1. 温水治療とは (1) はじめに... 1 (2) 温水治療の概要 温水治療の処理手順 (1) 点滴器具の準備と設置... 3

うどんこ病 被害樹種サルスベリ, マサキ, カエデ, カシ, ナラ類など 病気の生態と被害の発症 若い葉や茎の表面をうどん粉を振りかけたように, 白いカビが一面を覆う 菌の種類により, 褐色や紫褐色に出るものもある 若い枝は萎縮して縮れ, 生育が阻害されることがある 通風や日当たりの悪い場所に多く発

一方 写真 -2 のような症状が出たときは培養室の清掃が必要になります 方法は 水道水や井水による洗浄が基本です 加湿器などを設置している場合は その内部まで徹底的に洗浄します おが屑培地の殺菌不良が疑われる時には 殺菌釜の点検が必要になります 温度計などを使用して内部温度の管理には常に気を配ってく

ながいもIPM実践指標(最終原稿 A4縦 ver2).xls

植物防疫03月号(343号).indd

果樹の生育概況

untitled

表 1. 農業用殺菌剤の作用機構による分類 1 FRAC コードリストより日本国既登録殺菌剤を抜粋 改変 作用機構作用点とコードグループ名化学グループ有効成分名耐性リスク FRAC A: 核酸合成 B: 有糸核分裂と細胞分裂 C: 呼吸 D: アミノ酸および蛋白質合成 E: シグナル伝達 A1:RN

仙台稲作情報令和元年 7 月 22 日 管内でいもち病の発生が確認されています低温 日照不足によりいもち病の発生が懸念されます 水面施用剤による予防と病斑発見時の茎葉散布による防除を行いましょう 1. 気象概況 仙台稲作情報 2019( 第 5 号 ) 宮城県仙台農業改良普及センター TEL:022

圃場試験場所 : 県農業研究センター 作物残留試験 ( C-N ) 圃場試験明細書 1/6 圃場試験明細書 1. 分析対象物質 およびその代謝物 2. 被験物質 (1) 名称 液剤 (2) 有効成分名および含有率 :10% (3) ロット番号 ABC 試験作物名オクラ品種名アーリーファ

Transcription:

1 黒とう病 ( ブドウ ) 1 病原菌は巻きづるやり病枝で越冬し 展葉初期から感染を始める 2 伝染源の除去と初期防除に重点をおく 1 巻きづる及びり病枝を除去する ( 休眠期ならびに 5 から 6 月 ) 2 新梢がおそ伸びしないよう施肥 せん定に考慮する 4 月 有機硫黄剤 M3 ( 開花前 ) ジチアノン剤 M9 5 月中旬 ~ 下旬 ( 開花期 ~ 落花期 ) ベンゾイミダゾール系チオファネート系 1 1 ジカルボキシイミド系 2 DMI 剤 3 QoI 剤 11 フルアジナム剤 29 グアニジン類 抗生物質混合剤 M7 19 2 晩腐病 1 病原菌は結果母枝や巻きひげ等で菌糸の形で越冬し 落花期頃から感染を始める 2 伝染源の除去と初期防除に重点をおく 1 園内の排水ならびに通風採光を図り 加湿にならないよう注意する 2 本病の発生が多いほ場では 袋かけを早めに行う また 袋かけは果房が濡れた状態では行わない 3 雨水が袋内にしみこまないよう袋は丁寧にかける 袋掛け前の防除は 果実への薬害防止のため 動力噴霧器の圧力を下げ 小豆大期までに行う 6 月上旬 ~ 中旬 QoI 剤 11 ( 落弁期 ~ 袋掛け前 ) フタルイミド類 CAA 殺菌 有機硫黄系混合剤 M4 40 M3 袋掛け後 アニリノピリミジン系 フェニルピロール類混合剤銅剤 9 12 M1

3 うどんこ病 ( ブドウ ) 1 葉の他に花穂や房軸 果実に発生する 2 高温多湿の条件下で多発し 6 月下旬から 7 月上旬に発病する 3 わずかな病斑があると袋内でも伝染を繰り返す 園の通風採光を図り 被害果房は早めに除去する 6 月上旬から中旬にかけて袋掛け前の防除を徹底する 使用時期農薬系統 一般名 FRAC コード 6 月上 ~ 中旬 QoI 剤 11 ( 落花後 ~ 袋掛け前 ) DMI 剤 3

4 べと病 1 展葉初期 ~ 梅雨期および秋期に低温で雨が多い年に発病が多い 2 5 月から 6 月頃に発病葉から発生した卵胞子が発生源となり 気孔感染する 1 り病組織内で越冬するため落葉を園外に処分する 2 枝のおそ伸びや 軟弱徒長にならないよう肥培管理に注意する 1 発病後の防除は難しいので予防散布に努める 2 耐性菌発生のおそれがあるので同一系統薬剤の連用を避け ローテーション散布を行う Q o I 剤 (F RACコード :11) は 他県において耐性菌の発生が確認されており 本県においても感受性低下の恐れがあるため 単剤の使用は年 1 回まで ( その他成分との混用もしくは混合剤は1 年 2 回まで ) とする 3 袋かけ前の防除は果実への薬害防止のため小豆大期までに散布する なお 散布時期が遅れると果粒を汚染しやすい 4 果実への薬害防止のため 動力噴霧器の圧力を下げる 5 銅剤と他の剤との散布間隔は アリエッティ水和剤は14 日 その他は7 日以上あける 開花前 ジチアノン剤 M9 有機硫黄剤 M3 開花期 QoI 剤 11 ~ 袋掛け前 アメトクトラジン カルボン酸アミド類混合剤 45 40 ベンズアミド類 カルボン酸アミド類混合剤 CAA 殺菌 有機硫黄系混合剤 43 40 40 M3 梅雨期 ~ 収穫期 銅剤 M1 袋掛け後 有機リン系剤 33 シモキサニル QoI 混合剤 27 11 シアゾファミド剤 21 収穫後 有機硫黄 アミド系殺菌混合剤 M3 4

5 褐斑病 樹勢の維持を図り 初期防除に重点をおく 1 落葉 巻きづるを処分し 園の排水を図り 梅雨期の通風採光に努める 2 結果過多にならないよう結果量を調整する 1 袋掛け前の防除は 果実への薬害防止のため 小豆大期までに行う 2 耐性菌発生のおそれがあるので同一系統薬剤の連用を避け ローテーション散布を行う Q o I 剤 (F RACコード :11) は 他県において耐性菌の発生が確認されており 本県においても感受性低下の恐れがあるため 単剤の使用は年 1 回まで ( その他成分との混用もしくは混合剤は1 年 2 回まで ) とする 6 月上 ~7 月中旬 QoI 剤 11 ( 落花期 ~ 梅雨期 ) DMI 剤 3 ベンゾイミダゾール系 1 6 灰色かび病 開花期前後に梅雨が続く年に発病が多い 薬剤散布だけでなく耕種的防除に努める 1 園内の通風採光を図り 過湿にならないように注意する 特に施設栽培では 開花期前後は換気を図っ て乾燥状態に保つ 2 落花後の花かすやり病花 花 ( 果 ) 房は取り除く 1 花房ならびに花柄部を主体に散布する 2 耐性菌発生のおそれがあるので同一系統薬剤の連用を避け ローテーション散布を行う 5 月中 ~6 月上旬 ジカルボキシイミド系 2 ( 開花 ~ 落弁期 ) SDHI 剤 7 アニリノピリミジン系 フェニルピロール類混合剤 9 12 QoI 剤 11 アミド系 17 抗生物質 19 フルアジナム剤 29 フタルイミド類 M4

7 枝膨病 1 本病は 結果母枝や巻ひげなどで越冬し 病斑上に形成された柄胞子が雨水によって媒介される 2 欧州系の品種や巨峰群品種はり病性である 1 雨よけなどの被覆栽培を行う 2 り病苗木を持ち込まないようにする 3 通風採光をはかり 園内の過湿を避ける 4 り病枝 枯死枝 巻ひげはせん定時に除去し ほ場外で処分する 4 月中旬以降 QoI 剤 11 フルアジナム剤 29 銅剤 M1 ジアチノン剤 9 8 白紋羽病 本病は 地下部に発生し 樹勢低下として症状が現れる 1 り病苗を持ち込まないようにする 2 発病して枯死した根やせん定枝は 園内に放置すると伝染源となるので 園外に処分する 発病が疑われる場合は株元を堀り上げ 早期発見 早期防除に努める 感染樹は 病根を除去した後に薬 剤処理をする 使用時期農薬系統 一般名 FRAC コード 収穫後フルアジナム剤 29

9 チャノキイロアザミウマ 1 本種は多食性で多くの果樹を加害する 加害部位は 葉 茎 果実である 2 ブドウ果房の被害は 幼果期に加害されるとその部位がコルク状となる症状や 穂軸の褐変が一般的である 緑色系品種では 収穫期の果実も加害され 果粒表面に褐色の斑点やシミ状の褐変が発生し 品質低下につながるため 収穫直前まで防除が必要となる 園周辺の寄生植物チャ マサキ サザンカ ツバキは 発生源となるため ほ場周辺にある場合はでき るだけ除去する 幼果期の防除では効果が低いため 落花後約 1 ヶ月間に重点的に防除する 使用時期 農薬系統 一般名 IRACコード 落花期 ~ 袋かけ期 ピレスロイド系 3A 袋かけ後 ピレスロイド系 3A ネオニコチノイド系 4A 10 ヒメヨコバイ類 ( フタテンヒメヨコバイ等 ) ブドウには数種のヒメヨコバイ類が寄生する ほとんどの種が年 3 回の発生である 下草の雑草で発生するヒメヨコバイ類もいるため 除草を徹底する 5 月下旬から 7 月までの第 1 世代幼虫発生期に重点的に防除する 5 月下旬 ~7 月ピレスロイド系 3A

11 ブドウスカシバ ( ブドウ ) 老熟幼虫が枝内で越冬する 1 休眠前に被害枝を園外に処分する 2 食入した幼虫は見つけしだい捕殺する 5 月下旬から 6 月下旬の産卵期の防除を徹底する 5 月下旬 ~6 月下旬ジアミド系 28 12 ブドウトラカミキリ 幼虫が結果母枝の樹皮下で越冬する 1 せん定時 幼虫が食入している部分は ( 芽の付近 樹皮が黒ずんでいる ) 表皮を削り捕殺する 2 せん定枝は発生源となるため園外に処分する 収穫後から 10 月上中旬の秋期防除に重点をおく 収穫後 10 月上旬 ~ 下旬ネオニコチノイド系 4A 落葉後 ~ 萌芽前有機リン系 1B

13 コガネムシ類 1 ブドウには数種のコガネムシ類が寄生する マメコガネは 5 月から 7 月 ドウガネブイブイは 6 月から 8 月 ヒメコガネは 6 月から 9 月 アオドウガネは 7 月から 9 月に発生しそれぞれ葉を中心に加害する 2 特定樹に集中する傾向があるので発生初期に注意し早期に防除を行う 加害樹が限られているときは 早期に捕殺する 5 月 ~9 月ピレスロイド系 3A 14 ハスモンヨトウ 1 本種は雑食性で多くの野菜 花卉等を加害し 近年 ブドウ カキ カンキツ類等への加害が目立つ 2 8 月から 10 月頃に多発し 幼虫が葉や果実表面を食害する 3 被害発生初期には 葉裏に産卵された卵塊から多数の孵化幼虫が発生し 葉がスカシ状に食害される 被害葉は見つけ次第 付着している卵塊や若齢幼虫ごと処分する 8 月 ~10 月ジアミド系 28