地質調査の役割 基盤技術設計論 建設 Construction 地質調査 清田隆 ( 生産技術研究所 ) 基礎の種類 ( 杭基礎 or 直接基礎?) 支持力 地耐力 ( 計画構造物を支えられるか?) 地下ライフライン工事計画に必要な地盤強度 地質調査の役割 地質調査の役割 地盤挙動予測 Prediction 地盤災害メカニズム Damage survey 近接施工による周辺地盤への影響盛土時の沈下地震時の地盤の振動液状化の可能性斜面崩壊の可能性 http://miyabi sek.co.jp/wpcontent/themes/freecloudtpl_001/images/a09ebf9593ae67d458dbff8b63cbb10d.jpg なぜそこで発生したのか? その原因は? どのような対策をすればよいのか? ボーリング調査 : 基本的な調査で 第一級の情報が得られる 地層の分布と地下水位が分かる ボーリング調査 柔らかい地盤なら掘れそう 深くなると拘束圧が増加するサンプリングできない http://www.technoearth.co.jp/geo_contamination/investigation/phase3.html
ボーリング調査 このような土が垂直に自立するか? 更に 地下水があったらどんどん崩れる ボーリング調査 http://www.kk fuso.co.jp/kano/btools1.htm 先端ビット http://www.geocoredrill.ru/ja /casing tube products.html 比重の大きいベントナイト泥水を孔内で循環させて 先端で削った土を地上に排出 排出された土で掘削中の地盤種別を確認 ベントナイトが壁にこびりつく 掘削したらすぐにケーシングを挿入し 孔壁を守る 高比重のベントナイト泥水が 孔壁の崩れに抵抗する しかし 土砂 ( 砂 砂礫 ) はコアチューブではうまく取れない ( 中に入っても持ち上げるとすぐ落ちる ) 更に ケーシングを何十 mも挿入するのは大変 ベントナイト泥水 適切に比重調整されたベントナイト泥水を循環させることで ケーシングなしで深く掘削できる 江戸川周辺の地層断面図 ボーリング孔を利用して 断面図作成 標準貫入試験 Standard Penetration Test, SPT 世界で最も広まっている原位置試験 63.5kg のおもり ( モンケン ) を 75cm の高さから自由落下させ ロッドを 30cm 打ち込むのに必要な落下回数 : N 値 N 値は最大 50 回 ( それ以上はカウントしない ) 当然 N 値が大きいほど 地盤は固い 強い 標準貫入試験では N 値だけでなくその地盤の試料が採取される ボーリング掘削時の地層判読 および採取試料の粒度分析により 調査地の地層断面図が完成次は地盤強度 変形特性 https://www.ybm.jp/product/tools/sanpulingtool.htm ボーリング掘削とほとんど必ずセットで実施される ( やるのが当然 ) https://www.techno chubu.co.jp/ash/coal ash/ 標準貫入試験 Standard Penetration Test, SPT ボーリング柱状図を作成する 地盤の強度 変形特性とは せん断応力 複雑な非線形性 この挙動が ピーク強度 拘束圧( 深度 ) 密度 粒子間の構造残留強度 粒度分布 粒子形状変形特性 含水状態( 地下水位 ) 地震時か 平常時かダイレイタンシー特性によって大きく変化する http://www.toko d.jp/tech/standard_penetration.html 貫入試験時に採取された土土質判読に利用される 体積ひずみ せん断ひずみ いくつかの原位置試験が開発されている 原位置せん断試験 杭の載荷試験 平板載荷試験 孔内水平載荷試験 PS 検層 http://www.st shikoku.co.jp/business/survey.html しかし 一般的には ほとんど N 値だけしか計測されない なぜ?
N 値だけで設計できるから 地盤強度 本来であれば 例えば杭の設計杭材料の許容応力度から求まる許容支持力地盤の強度から求まる許容支持力 いずれか小さい方を採用する 杭の載荷試験 http://am system.server shared.com/enchoku.html http://www.systemkeisoku.com/contents/business/load_test.html 原位置せん断試験 建築基準 建築基準 杭の極限支持力, R u 全部 N 値で求められる 粘性土は実験により求める必要? 例えば直接基礎 変形の問題については? 分布荷重, p 0 分布荷重, p 0 近接施工による周辺地盤への影響盛土時の沈下地震時の地盤の振動 杭の極限支持力, R u テルツァーギの支持力係数 1 1 ピーク強度残留強度 1 2 2 1 1 1.4 応力 変形特性, E, G http://miyabi sek.co.jp/wpcontent/themes/freecloudtpl_001/images/a09ebf9593ae67d458dbff8b63cbb10d.jpg 大崎の式 20 15 ひずみ
変形特性 本来であれば E b N 値と変形係数の関係 孔内水平載荷試験 E 0 E b 応力 ひずみレベルにより変形特性は異なる 応力 E 0 ひずみ ひずみレベルにより変形特性は異なる 700 中 ~ 大ひずみレベル http://www.chikatansa.co.jp/tansa kensou_01.html ひずみ 2800 微小ひずみレベル 孔内 PS 検層 2 1 板たたき法 サスペンション法 地震時の地盤応答解析には 各地層の Vs が必要 100 80 粘性土砂質土 両対数軸! FL 値による詳細予測法 凍結サンプリング 各深度の R 各深度の L 地下水位以深の液状化対象層 チューブサンプリング 21 実務者のための液状化予測と地盤の地震応答解析入門 22 FL 値による簡易予測法 液状化強度比 道路橋示方書 (2012) 地震動特性による補正係数三軸試験による液状化強度比 各深度の R 各深度の L 地下水位以深の液状化対象層 実務者のための液状化予測と地盤の地震応答解析入門 23 24
液状化ポテンシャル P L PL 値 :FL 値の深さ方向の変化から, 地盤の液状化の激しさの程度を表す指数 (Iwasaki et al, Estimation of soil liquefaction during earthquakes,1980) F L 値 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 0 深さ方向の重みづけ 1 10 0.5 Fl 値 深さ方向の重みづけ 深さ z (m) -5-10 -15 PL=0 0<PL 5 5<PL 15 液状化危険度はかなり低い. 液状化に関する調査は一般に不要液状化危険度は低い. 重要構造物の設計に際して詳細調査が必要. 液状化の危険度が高い. 液状化対策が一般に必要 Matsuo, O. (2004) J of JSCE 25 III -20 15<PL 液状化の危険度が極めて高い. 液状化対策は不可避 26 PL 分布図 ( 東日本大震災相当 ) 直下型地震 プレート境界型地震 PL 174.3gal(K-NET 浦安 ) 200gal( 石川ら,2014) 道路橋示方書 (2012) に基づいた浦安市の PL 値分布 27 28 標準貫入試験以外で N 値を求める 1 スウェーデン式サウンディング試験 Swedish Wight Sounding 我が国の戸建て住宅では一般的な原位置試験 先端がキリ状になっているスクリューポイントを取り付けたロットに 100kg の荷重をかけて 地面にねじ込み 25 センチねじ込むのにハンドルを何半回転させたか : N sw 0.030.05 0.02 0.067 粘性土 砂 礫質土 直接土を採取することができないので 土質の判定はロッドの回転する音に頼ることになり 測定者により判定のバラツキが発生しやすい http://www.polaris hs.jp/zisyo_syosai/sws.html 標準貫入試験以外でN 値を求める 2 簡易動的コーン ( 土研式 ) 貫入試験 世界で最も広まっている原位置試験 5kg のおもりを 50cm の高さから自由落下させ ロッドを 10cm 打ち込むのに必要な落下回数 : N d 値 N d >4 1.7 0.34 1.1 0.30 N d <4 0.75 0.66 粘性土砂 礫質土 粘性土砂 礫質土 打撃エネルギーが小さいため 貫入抵抗の大きい地盤には使用不能スウェーデン式サウンディング試験よりも おもりやロッドが軽く 運搬に便利 http://bunken.rtri.or.jp/pdf/cdroms1/0004/2015/0004006384.pdf
スウェーデン式サウンディング試験 簡易動的コーン貫入試験の適用について ただでさえ設計に使うには怪しいN 値を さらに間接的に求めている しかも試験深度が浅い ( 最大でも数 m) 試験の構造上 試料のサンプリングは不可能 地盤の種類の判別も困難 重要度の低い構造物が対象 例えば上水や一般住宅など 重要構造物ではほとんど用いられない 緊急に調査したい場合やボーリング調査の補完としては非常に有効 自然災害の初期調査 地層分布の把握 弾性波探査 地表の振動センサーは 表層と基盤を伝搬する波のうち 早く到達した波の到達時間を計る 臨界角 θcr で基盤に入射した振動は 境界に沿って下の層の弾性波速度 V 2 で進みつつ 各所で上の層に向かって 同じく臨界角 θcr で振動を発する 地表の振動センサーの反応から 表層と基盤の伝搬速度が求まる 起振点から振動到達傾向の変化する点までの距離より 表層の層厚が求まる 表層 V 1 基盤 V 2 最近の現場地質調査 熊本地震調査 ネパール ポカラの地盤陥没調査 南阿蘇村の宅地被害調査 緩い盛土 硬い基盤 Pokhara project, 2014 2018 まとめ 南アジアの地形 地質に起因する地盤災害の発生メカニズムについて ネパールの観光地ポカラにて研究を続けている 現在は Sinkhole と液状化に着目して現場調査継続中 ( 桑野研と合同 ) 標準貫入試験とその他の原位置試験について焦点を当てた なんでもN 値で表現することに 多くの人が違和感を感じている しかし 現在の設計体系はN 値で出来上がっている N 値からの脱却が課題であるが 脱却しようとしないのは N 値の設計で問題が無いから? 過剰設計の可能性 質の良い調査 過剰すぎない適切な性能評価 経費削減 LiDAR 構造物の設計は高度化しているのに 地盤は遅れている? Drone Surface wave test 35