(2011 年 2 月 4 日第 1 版公開 ) やさしい解説 では 病気について 一般の方向けにやさしく解説しています どんな病気なのか どんな人がかかりやすいのか 病気に関係する臓器のしくみやはたらき 症状や検査の方法 治療の種類 日常生活上の留意点などをわかりやすい言葉と図を用いて解説しています この やさしい解説 は Minds が作成しており 専門医による監修を受けています 実際の診療にあたっては 主治医をはじめとする医療者に相談されることをお勧めします
潰瘍性大腸炎 ( かいようせいだいちょうえん ) とは? 潰瘍性大腸炎とは 大腸大腸の粘膜粘膜に炎症炎症が起こるこる病気です 炎症により 大腸の粘膜に潰瘍 [ 粘膜が破れてくずれる ] やびらん [ ただれ ] ができ それによって下痢下痢や粘血便 ( ねんけつべん ) と呼ばれる血液や粘液などが混じったやわらかい便がくり返し起こります 炎症は肛門に近い側から奥に向かって広がり 治まったり [ 寛解 ( かんかい ) 期 ] 再び起こったり[ 活動期 ] をくり返す 長く付き合っていくことになる病気です 大腸だけでなく発熱や貧血などの さまざまな症状を引き起こすこともあります 原因はまだはっきりとは分かっておらず 厚生厚生労働労働省によりにより特定疾患 * のひとつに指定指定されています 数十年前はとても珍しい病気でしたが 1980 年代から患者さんの数が増え始め 現在は11 万人以上と報告されています 図 1 潰瘍性大腸炎潰瘍性大腸炎の患者患者数 ( 出典 : 難病情報センター特定疾患医療受給者証交付件数より作成 ) * 特定疾患とは 病気の原因原因が不明不明で治療法治療法が確立確立しておらずしておらず 長期 長期にわたってにわたって療養療養が必要必要になるいわゆるになるいわゆる 難病 のうち 国の調査研究の対象になっているになっている病気ですです 潰瘍性大腸炎は 1973 年からから特定疾患特定疾患のひとつにのひとつに指定指定されていますされています
大腸のつくりとはたらき 大腸は 食べたものを運んだりんだり 吸 吸収したりするしたりする消化管消化管の一部一部で 小腸から続く長さ約 1.5mの管状の臓器です 胃や小腸に引き続いて 消化 吸収の最後の仕上げを行って便をつくります 大腸は 盲腸 ( もうちょう ) 結腸 ( けっちょう ) 直腸 ( ちょくちょう ) で構成され 肛門に続いています 結腸は さらに次のように分けられます 上行 ( じょうこう ) 結腸 横行 ( おうこう ) 結腸 下行 ( かこう ) 結腸 S 状 ( えすじょう ) 結腸 大腸の壁はいくつかの層に分かれていて 一番内側が粘膜 一番外側が漿 ( しょう ) 膜となっています 図 2 大腸大腸と大腸壁大腸壁の構造
どんな症状がでるの? 5 潰瘍性大腸炎 ( かいようせいだいちょうえん ) のおもな症状は くりくり返し起こるこる下痢下痢や血便 [ 血の混じった便 ] などです 血便以外にも 症状が進んでくると膿 ( うみ ) や粘液が混じった粘血便粘血便 ( ねんけつべん ) と呼ばれる便が出ることがあります また 排便の前後には腹痛腹痛が伴います 図 3 潰瘍性大腸炎潰瘍性大腸炎のおもなのおもな症状 < 活動期と寛解期 > 下痢や粘血便粘血便などのなどの症状は 活動期 と呼ばれるばれる炎症炎症が起こっている時期にみられますにみられます 一方 炎症が落ち着いていて症状が現 かんかい れない時期時期は 寛解期 と呼ばれます 潰瘍性大腸炎は 活動期 活動期と寛解期が交互交互にくりにくり返し起こりますこります 下痢がひどくなると 発熱や体重の減少 貧血 さらに吐き気や吐くといった症状が現れることもあります また 腸に炎症が起きる病気でありながら 関節炎や皮膚症状など 腸とは関係のない場所にもさまざまな症状がみられることがあります これらの症状は 腸の症状と一緒に良くなったり悪くなったりすることが多いといわれています
どんな人がかかりやすいの? 潰瘍性大腸炎 ( かいようせいだいちょうえん ) は 10~80 代まで幅広い層に起こりますが もっとも多いのは 20 代とされています 親兄弟で起こることもありますが 遺伝性の病気ではありません 潰瘍性大腸炎の原因はまだはっきりと分かっていませんが からだを守っている免疫の機能に何らかの異常が生じるために 大腸に炎症が起きているのではないかと考えられています また 発症に影響を及ぼす要因として 動物性脂肪中心などのかたよった食生活 非ステロイド性抗炎症薬 [NSAIDs] などの炎症を抑える薬の服用などが指摘されています
潰瘍性大腸炎 ( かいようせいだいちょうえん ) の分類分類は? 潰瘍性大腸炎は 肛門に近い直腸 ( ちょくちょう ) から炎症が始まり その後徐々に 奥に向かって広がって大腸全体に及ぶと考えられています 炎症の広がった範囲から 潰瘍性大腸炎は直腸炎型 遠位 ( えんい ) 大腸炎型 左側 ( さそく ) 大腸炎型 全大腸炎型の4つのタイプに分類されます 図 4 潰瘍性大腸炎潰瘍性大腸炎の4 つのタイプ このタイプはいつも同じであるとは限らず 変化することもあり 炎症がより広い範囲のタイプへ移行したり 逆に狭い範囲のタイプへ戻ることもあります 炎症の範囲が広いタイプの方が 狭いタイプよりも重症になりやすいとされています
どんな検査をするの? 診察 医師から 便の状態や下痢などの症状の程度 そのほかの症状の有無 症状がどのくらい繰り返されているかなどが聞かれます 合わせて 最近海外旅行に行ったか 抗菌薬の服用をしていないか タバコを吸うか 家族に潰瘍性大腸炎 ( かいようせいだいちょうえん ) になった人はいないかなどが尋ねられることもあります 検査診察を行って潰瘍性大腸炎の可能性が疑われるときは おもに以下の検査が行われます 表 1 潰瘍性大腸炎潰瘍性大腸炎のおもなのおもな検査 検査の種類 内容 内視鏡と呼ばれる小さなカメラを肛門から大腸に入れて モニターに映し出される大腸の中を観察したり 大腸粘膜の一部分を取り それを顕微鏡で観察して性質などを調べる 肛門から造影剤を注入し エックス線で撮影をして大腸の状態を調べる 便中の細菌や寄生虫の有無を調べ 感染による炎症であるかどうかを確認する 潰瘍性大腸炎は 同じようにじように大腸大腸に炎症炎症が起きるほかのきるほかの病気と症状が非常非常によくによく似ているているので 問診やさまざまな検査の結果をもとに診断されます
どんな治療治療をするの? 5 瘍性大腸炎 ( かいようせいだいちょうえん ) と診断されたら 炎症の範囲や重症度を判定して それぞれに合った治療が行われます 潰瘍性大腸炎は原因がはっきりと分かっていないため 病気を根本から治すというのではなく 大腸の炎症を抑えて症状をやわらげ 炎症炎症のないのない状態 [ 寛解 ( かんかい ) 期 ] を長く維持維持するすることが治療の目的となります 多くの場合 薬による治療で症状が軽くなりますが 薬が効かない場合などには 炎症を起こす原因となる活性化した白血球を血液中から取り除く白血球除去療法白血球除去療法や大腸を切除する手術手術が行われることもあります < 医療費療費の援助援助について > 潰瘍性大腸炎の患者患者さんはさんは 保健所 保健所で所定所定の手続きをきを行えばえば特定疾患医療受給者証療受給者証を交付交付されされ 公費負 公費負担によりにより医療費療費の援助を受けることができますけることができます ただし 診 診断前の治療費治療費にさかのぼってにさかのぼって援助援助を適用適用することはできませんので 潰瘍性大腸炎 潰瘍性大腸炎と診断されたらされたら すみやかにすみやかに市役所などで手続きをきを行いましょういましょう 薬物療法潰瘍性大腸炎にはおもに薬物療法が行われます 表 2 潰瘍性大腸炎潰瘍性大腸炎のおもなのおもな治療治療薬 種類炎症を抑えるえる薬免疫機能を調節調節するする薬 内容 大腸の炎症を持続して抑える薬 潰瘍性大腸炎の基本治療薬として使用する 飲み薬や お尻から投入する薬 [ 坐薬 ] お尻から注入する液状の薬 [ 注腸薬 ] などがある からだの免疫のはたらきを調節する薬 炎症を抑える薬で効果が不十分な人や 炎症を抑える薬が使えない人に使用する 白血球除去療法 免疫において中心的なはたらきを担う 白血球白血球を血液中血液中からから取り除いていて炎症炎症を抑えるえる治療法治療法です 静脈から体外へ血液を取り出し 白血球除去装置を通過させて白血球を取り除き また血液を体内へと戻します 白血球は からだの中でつくられ 治療後まもなく正常な数に戻ります この治療方法は2000 年から保険適応になっています
手術療法 手術は 次のような場合に検討されます 症状が重く炎症炎症が粘膜粘膜よりもよりも深い部分部分にまでにまで及び 腸管 腸管の壁に孔 ( あな ) があいている 大量の出血出血が起こっている 長期にわたるにわたる薬物療法物療法でもでも効果がみられない 最も主流なのは 大腸と直腸を取り除き 肛門と小腸をつなげ 回腸のうという直腸の代わりをする袋を造る方法です 患者さんが自力で排便することが可能なうえ 大腸を完全に切除するため潰瘍性大腸炎の再発も防ぐことができます < 手術後の症状について > 水分を吸収し便を肛門肛門へ運ぶはたらきをぶはたらきを担う大腸大腸がなくなるためがなくなるため 便の水分量水分量が多くなりくなり 下痢 下痢や排便回排便回数の増加といったといった症状が現れます しかし 時間 時間が経つにつれてつにつれて徐々に適応し 1 日 5~6 回の排便排便に落ち着くことがくことが多いようですいようです
潰瘍性大腸炎の診断からから治療治療までのまでの流れ
日常生活ではどんなことにではどんなことに気をつければいいの? 5 潰瘍性大腸炎 ( かいようせいだいちょうえん ) になってしまっても 基本的に食事や飲み物の制限はありません ただし 炎症を起こしている活動期にはアルコールを控える 腸を刺激するものは避けるなど そのときの状態に合わせて対応していくことが必要です それほど神経質にならずに 食物はよくかんで バランスのとれた規則正しい食生活を送りましょう また 過度のストレスは症状を悪化させることがあります 心身の安静が保てるよう 十分な休息をとることも大切です < 定期的な大腸大腸がんがん検診の必要性 > 潰瘍性大腸炎は 病 病気の診断を受けてから 10 年以上になるとになると 大腸 大腸がんをがんを合併する患者患者さんがさんが段々増々増えていきますえていきます 大腸がんはがんは初期初期の自覚症状が乏しくしく 潰瘍性大腸炎ともとも症状が似ているためているため 病気の発見が遅れがちですれがちです そのため 潰瘍性大腸炎 潰瘍性大腸炎の診断を受け かんかい た人は 寛解期であってもであっても定期的定期的に大腸がんがん検診を受けることがけることが大切大切ですです
1 2 参考資料 Minds ホームページエビデンスとコンセンサスを統合した潰瘍性大腸炎の診療ガイドライン難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班プロジェクト研究グループ 2006 年 1 月 (http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0029/1/0029_g0000071_0001.html) 難病情報センターホームページ難病とは? 特定疾患医療受給者証交付件数昭和 49 年度 ~ 平成 21 年度までの推移 (http://www.nanbyou.or.jp/what/nan_kouhu1.htm) 3 笹子三津留編集. インフォームドコンセントのための図説シリーズ胃がん. 初版. 大阪 : 医薬ジャーナル社 ;2007 4 福島恒男. 潰瘍性大腸炎不安を解消し 元気な生活をおくるために. 初版. 東京 : 保健同人社 ;2007 5 飯野四郎, 陣田泰子監修.Nursing Selection(2) 消化器疾患. 初版. 東京 : 学習研究社 ;2006 6 沼田光弘監修.Q&A でわかる看護に役立つからだの正常 / 異常ガイドブック改訂 増補版.1 版. 東京 : 医学芸術社 ;2006 7 小学館 家庭医学館編集委員会編集. ホーム メディカ家庭医学館. 初版. 東京 : 小学館 ;2003 8 堺章. 目でみるからだのメカニズム.1 版. 東京 : 医学書院 ;2000