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2018年度税制改正大綱 - 資産税関連の主な改正点

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

コピー又は web からダウンロードしてご使用ください 答案用紙 Chapter1 問題 1 個人とみなされる納税義務者 Ⅰ 相続人及び受遺者の相続税の課税価格の計算 1 遺贈財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 取得者財産の種類計算過程金額 2 生前贈与加算される贈与財産の額の計算 ( 単位 :

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2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

事業承継税制の全体像は ( 図表 1) の通りである ( 図表 1) 事業承継税制の全体像 経営者 1 代目 経営者 2 代目 一括贈与 大臣認定 贈与税の課税 贈与税の納税猶予の適用 相続税の納税猶予制度と同様 雇用確保を含む 5 年間の事業継続を行い その後も株式を継続保有 生前贈与により株式の

平成 22 年 12 月 7 日 資料 ( 資産課税 )

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

5 適用手続 ⑴ 相続時精算課税の適用を受けようとする受贈者は 贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期間内に 相続時精算課税選択届出書 ( 贈与者ごとに作成が必要 ) を贈与税の申告書に添付して 納税地の所轄税務署長に提出する ( 相法 21の92) なお 提出された当該届出書は撤回することができない

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一戸建ての自宅を所有している人のデータ 東京都内やその近郊など路線価の高い宅地に一戸建ての自宅を所有し その他に預貯金や有価証券を保有している人の相続税シミュレーションになります 路線価が高いと自宅の敷地の面積が広くなくても その宅地の評価額は高額になりますので この宅地に対して小規模宅地等の特例が

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法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

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(2) 父母 ( 祖父母 ) から子 ( 孫 ) への住宅取得等資金の贈不 父母 ( 祖父母 ) など直系尊属から その子 ( 孫 ) へ居住用の家屋の新築 取得または増改築のための金銭 ( 住宅取得等資金 ) を贈不した場合 表の通りの金額について贈不税が非課税となります また 贈不税の基礎控除

配偶者がいる人の一次相続と二次相続のデータ 被相続人に配偶者がいる一次相続と 配偶者がいない二次相続の相続税シミュレーションを行います 配偶者の税額軽減は その節税効果が大きいために一次相続で相続税を大幅に減額することができますが 次の二次相続では想定外の相続税が発生することがあります 配偶者がいる

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5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

2. 控除の適用時期 Q. 12 月に取得した自宅の所在地に 年末までに住民票を移しましたが 都合で引っ越しが翌年になってしまった場合 住宅ローン控除はいつから受けることになりますか A. 住宅ローン控除の適用を受けるためには 実際に居住を開始することが必要です したがって 住民票を移した年ではなく

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課税遺産総額 = 各人の課税価格 ( ア ) の合計額 - 遺産に係る基礎控除額ウ相続税の総額の計算 1 課税遺産総額を法定相続人が法定相続分に応じて取得したものと仮定し 各人ごとの取得金額を計算する 2 1に税率をかけ 各人の税額を合計する (= 相続税の総額 ) エ各人の相続税額の計算相続税の総

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の範囲は 築 20 年以内の非耐火建築物及び築 25 年以内の耐火建築物 ((2) については築 25 年以内の既存住宅 ) のほか 建築基準法施行令 ( 昭和二十五年政令第三百三十八号 ) 第三章及び第五章の四の規定又は地震に対する安全上耐震関係規定に準ずるものとして定める基準に適合する一定の既存

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である 12 遺留分とは 遺言の内容にかかわらず一定の相続人が確実に受け取ることができる一定の 割合のことである 直系尊属のみが相続人である場合は 被相続人の財産の 1/3 その 他の場合には 被相続人の財産の 1/2 である ただし 兄弟姉妹には遺留分はない 13 相続の放棄は 被相続人の生前に行

(3) 年金所得者公的年金等の収入金額が400 万円以下であり かつ その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる場合において公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20 万円以下である場合には 確定申告の必要はありません また 上記 (2) 又は (3) に該当する方であっても 医療費控除や住宅借入金

Ⅰ ワンルームマンション経営と節税 税務署 確定申告 税金還付 20 万 ~30 万円 ワンルーム家賃収入ローン元利返済サラリーマンマンション A 氏 1 戸所有月 70,000 円月 60,000 円 銀行 年 30,000 円 月 8,000 円 固定資産税 管理会社 1 ワンルームマンション投

野村資本市場研究所|顕著に現れた相続税制改正の影響-課税対象者は8割増、課税割合は過去最高の8%へ-(PDF)

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Japan Tax Newsletter デロイトトーマツ税理士法人 2015 年 10 月 1 日号 広島事務所パートナー春木伸治 ( 税理士 ) 平成 27 年から始まる相続税の改正 1 はじめに近年 新聞雑誌等で 相続税増税 相続対策 といった相続税 贈与税を取り上げた記事を見ることが多くなった これは 平成 25 年度税制改正 平成 27 年度税制改正により相続税 贈与税の改正が平成 27 年 1 月から適用になるためである これまで相続税に関心がなかった方も 財産次第で課税の可能性があり 今まで以上に意識する必要がある また オーナー経営者にとっても 事業承継 ( 経営承継と財産承継 ) の観点から 財産承継について相続対策の再検討が必要と考えられる 本ニュースレターでは 相続税の最初の申告時期 ( 平成 27 年 11 月 2 日 ) が目前であり 今回改正された相続税の概要について紹介する 2 平成 27 年 1 月以降に適用となる主な相続税 贈与税の改正平成 27 年に適用となる相続税 贈与税の改正は 平成 25 年度および平成 27 年度の税制改正から構成される 相続税 贈与税に関するものとして主なもの項目関連条文適用時期 相続税の基礎控除の縮小 相法 151 相続税の税率構造の見直し相法 16 小規模宅地等の特例の適用面積拡大 措法 69 の 4 未成年者 障害者控除の見直し 相法 19 の 31 相法 19 の 41 事業承継税制の見直し 措法 70 の 7 の 2 70 の 7 の 4 70 の 7 贈与税の税率構造の見直し 相法 21 の 7 措法 70 の 2 の 51 平成 27 年 1 月 1 日 以降 相続時精算課税制度の適用対象拡大相法 21 の 9 措法 70 の 2 の 6 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置等の見直し 結婚 子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置 措法 70 の 2 H27 改正法附則 97 措法 70 の 2 の 3 平成 27 年 4 月 1 日以降 1

今回の改正のうち 相続税の基礎控除の縮小 相続税の税率構造の見直し 小規模宅地等の特例の適用面積拡大 について紹介する 3 相続税の基礎控除の縮小平成 25 年度税制改正により 平成 27 年 1 月 1 日以降の相続から相続税の基礎控除が縮小された ( 相法 15 1) 平成 26 年 12 月 31 日以前の相続については基礎控除額が 5,000 万円 法定相続人 1 人につき 1,000 万円であったが 平成 27 年 1 月 1 日以降の相続については基礎控除が 3,000 万円 法定相続人 1 人につき 600 万円と 6 割に縮小された 定額控除 5,000 万円 定額控除 3,000 万円 比例控除 1,000 万円 法定相続人の数 比例控除 600 万円 法定相続人の数 この改正により 下記の例のとおり 7,000 万円の財産を法定相続人 2 人 ( 配偶者と子 1 人 ) が法定相続分で取得する場合 であれば基礎控除額 7,000 万円 ( 定額控除 5,000 万円 + 法定相続人比例控除 2 人 1,000 万円 ) 以下であり 相続税の課税対象とはならなかった しかし では基礎控除額が 4,200 万円 ( 定額控除 3,000 万円 + 法定相続人比例控除 2 人 600 万円 ) となり 後で比較すると基礎控除額が 2,800 万円 ( 7,000 万円 - 4,200 万円 ) 減少し 結果 相続税の課税対象は 2,800 万円 ( 2,800 万円 - 0 円 ) 増加する さらに 相続税が新たに 160 万円発生することとなる 例 : 財産 ( 課税価格 )7,000 万円 法定相続人 2 人 ( 配偶者と子 1 人 ) 法定相続分で取得 課税対象 0 円 =7,000 万円 -7,000 万円 2,800 万円 =7,000 万円 -4,200 万円 相続税 0 円 160 万円 = 配偶者 0 円 + 子 160 万円 ( 配偶者に対する相続税額軽減適用有 ) 2

4 相続税の税率構造の見直し相続税の基礎控除の縮小に合わせて 相続税の税率構造の見直しが行われた ( 相法 16) 最高税率が 平成 26 年 12 月 31 日まで 50% であったが 平成 27 年 1 月 1 日以降では 55% に引き上げられた さらに税率構造についてもの 6 段階から 8 段階になった 課税価格が 1 億円以下の段階では 後で変更はない しかし では 3 億円以下の段階が 2 億円以下と 3 億円以下に分かれることになり 3 億円以下の段階の税率が 45% と引上げになっている さらに 3 億円超の段階もは 6 億円以下の段階と 6 億円超の段階に分かれ 6 億円超の段階の税率は 55% と引上げになっている 法定相続分に応ずる各人の取得金額 税率 控除額 法定相続分に応ずる各人の取得金額 税率 控除額 1,000 万円以下 10% 1,000 万円以下 10% 1,000 万円超 ~ 3,000 万円以下 15% 50 万円 1,000 万円超 ~ 3,000 万円以下 15% 50 万円 3,000 万円超 ~ 5,000 万円以下 20% 200 万円 3,000 万円超 ~ 5,000 万円以下 20% 200 万円 5,000 万円超 ~ 1 億円以下 30% 700 万円 5,000 万円超 ~ 1 億円以下 30% 700 万円 1 億円超 ~ 3 億円以下 40% 1,700 万円 1 億円超 ~ 2 億円以下 40% 1,700 万円 3 億円超 ~ 50% 4,700 万円 2 億円超 ~ 3 億円以下 45% 2,700 万円 3 億円超 ~ 6 億円以下 50% 4,200 万円 6 億円超 ~ 55% 7,200 万円 5 小規模宅地等の特例の適用面積拡大個人が相続または遺贈により取得した財産のうち 相続の開始の直前において 被相続人等の事業の用または居住の用に供されていた一定の宅地等で 下記の限度面積までの部分につき 下記割合を相続税の課税価格に含めないことができる ( 措法 69 の 4) ただし 相続開始前 3 年以内に贈与により取得した宅地等や相続時精算課税に係る贈与により取得した宅地等については この特例の適用を受けることはできない (1) 特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積の拡大特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積は まで 240 m2が限度面積であったが は 330 m2と拡大された 3

(2) 特定事業用等宅地等および特定居住用宅地等を併用する場合の適用対象面積の拡大までは 特定事業用等宅地等 ( 特定事業用宅地等または特定同族会社事業用宅地等 ) および特定居住用宅地等を特例の対象として選択する場合 限度面積は合計 400 m2までであった しかし は それぞれの適用対象面積までの併用が可能となり ( 特定事業用等宅地等 400 m2 特定居住用宅地等 330 m2 ) 最大 730 m2となる ただし 貸付事業用宅地等を選択する場合には これまでどおりの計算となり 200 m2 ( 併用の場合も同様 ) が最大となる 相続開始の直前における宅地等の利用区分要件限度面積減額割合 貸付事業以外の事業用の宅地等 特定事業用宅地等 被相続 400 m2 人等の事業の用に供されていた宅地等 貸付事業用の宅地等 一定の法人に貸し付けられ その法人の事業 ( 貸付事業を除く ) 用の宅地等一定の法人に貸し付けられ その法人の貸付事業用の宅地等被相続人等の貸付事業用の宅地 特定同族会社事業用宅地等貸付事業用宅地等 200 m2 50% 等 被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 特定居住用宅地等 330 m2 ( 240 m2 ) ( 出典 : 国税庁ウェブサイトタックスアンサー 4124) 4

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