土木学会技術功労賞受賞記念講演会 コンクリート構造物の塩害対策 平成 26 年 1 月 29 日 中日本ハイウエイ エンジニアリング名古屋 ( 株 ) 金沢支店 青山實伸 1
構 成 1. 塩害とのかかわり 2. 塩害の基礎知識 3. 実構造物の塩害劣化と塩分浸透状況 4. 塩害の調査 診断 対策 5. 塩害劣化事象の解明 6. 防錆剤を活用した塩害対策とその適用事例 7.RC 連結ジョイント 2
1. 塩害とのかかわり 塩害とは 塩害とのかかわり 北陸道 ( 上越 ~ 朝日間 ) 塩害対策指針 親不知海岸高架橋の塩害対策 3
コンクリート構造物の塩害とは コンクリート表面に付着した塩分は次第に内部に浸透して, 鋼材 ( 鉄筋,PC 鋼材 ) 位置である塩化物イオン濃度 ( 塩分 ) になると 鋼材は腐食を生じ, 腐食によって生じた錆は元の体積の約 2.5 倍になり その膨張圧によって コンクリートにひび割れが入り鉄筋との付着力低下 かぶりコンクリートの浮き はく離 鉄筋断面の減少を招き 構造物の耐荷力や安全性が低下する現象 コンクリート中の鉄筋 かぶり 表面 Cl - Cl - Cl - コンクリート 鉄筋 浮き はく離の発生 鉄筋断面の減少 Cl - Cl - 内部側鉄筋下面 腐食が少ない 表面側鉄筋下面 腐食が著しい 4
参考 橋梁での劣化し易い部位 桁端部 桁端部 桁端部 橋台 高欄 張出部 中間橋脚 掛違橋脚 鋼橋 RC 床版 橋面 床版 中間橋脚 橋台 赤枠 : 劣化が早い ( 水 + 塩分 ) 路面水や雨水による乾湿繰り返しの影響を受ける部位 劣化進行は 環境 コンクリート強度 かぶり厚によって異なる 5
塩害とのかかわり 年所属等調査 研究等成果等 1981 ~84 日本道路公団新潟建設局 北陸道 ( 上越 ~ 朝日間 ) の海岸部の橋梁の塩害対策 飛来塩分 塩分浸透量 北陸道 ( 上越 ~ 朝日間 ) 塩害対策指針 作成 1985 ~88 同上魚津工事事務所 親不知海岸高架橋を担当 各種塩害対策に係わる 塗装, エポ筋, 防食パネル 1998 ~ 28 ( 株 ) クエストエンジニア 金沢大学大学院 (22~23) 22 試験研究室を設置 海岸橋の塩害対策の評価 各種塩害調査 防錆剤混入モルタルによる塩害対策の研究凍結防止剤による塩害対策 塗装等の有効性を確認塩分浸透性を把握 海岸橋上部工の塩害予防保全対策への適用 NEXCO 設計要領への反映 28 ~ 中日本ハイウエイ エンシ ニアリンク 名古屋 ( 株 ) RC 連結ジョイント RC 部材の中性化対策 中小コンクリート橋のシ ョイントレス化 6
北陸道 ( 上越 ~ 朝日間 ) 塩害対策指針 7 塩害の原因である飛来塩分調査 ( 上越 ~ 小松間 ) 年間飛来塩分量 (g/ m2 / 年 ) 6 5 4 3 2 1 割合 (%) 2 15 1 5 1 年間 :1%(4 地点平均 ) 1, 2, 3, 4, 海岸からの距離 (m) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 飛来塩分量は, 海岸付近で多く 1 km 程度まで影響 冬期間の飛来塩分量は, 約 7 割を占める 7
コンクリート橋の塩害対策と構造型式 工費指数 11 15 合成桁箱桁中空床版 L=3m W=1m 中空床版 1 3 4 5 6 7 8 9 1 かぶり (mm) 塩害対策 : 経済的な鉄筋かぶり厚の増による対策を適用 表面積の大きい多数桁はかぶり増に伴う工費増が大 維持管理段階に塗装を行っても, コスト削減を図れる表面積の小さい中空床版や単一箱桁型式を適用 8
既設構造物の塩害環境と塩分浸透状況の関係 コンクリート中への塩分浸透の分布状況 フイックの拡散方程式 C = Co (1-erf(X/ D T ) Co: 表面 Cl - 濃度 (kg/m 3 ),D: 拡散係数 (cm 2 /s),t : 経過時間 C = 環境条件の程度 D= 塩分浸透のしやすさの程度 C 値 (kg/m 3 ) 2 15 1 5 213 コ示多項式 (1984 調査 ) Co= -.19x 2 + 1.31x Co= -.16x 2 + x + 1.7 5 1 15 2 飛来塩分量 (mg/dm 2 /day)) 塩化物イオン濃度 (kg/m 3 ) 14 12 1 8 6 4 2 測定 Co 値 フイックの拡散方程式 C=Co(1-erf ( x/2 D/t ) D 値 2 4 6 8 1 12 表面からの深さ (mm) 飛来塩分量と C 値の関係を黒線で推定 ( 現示方書とほぼ同じ ) 既設構造物の W/C と D 値の関係 ( 現示方書 D 値は概ね包括する線 ) D 値 ( 1-8 cm 2 /s) 5 4 3 2 1 1984 年調査 213 コ示普通.35.4.45.5.55.6.65 水セメント比 (W/C) 9
塩分浸透予測による鋼材かぶり厚の検討 橋梁計画地点の飛来塩分量の測定値 塩分浸透予測設計かぶり厚を検討 塩分浸透予測例 鉄筋腐食調査から腐食が発生する塩分濃度当時は 3.5kg/m 3 と推定 5 年間鋼材を腐食させない コンクリート中の塩分量 (%) 表面塩化物イオン濃度境界塩分濃度 Co(kg/m (kg/m 3 ) 3 ) 1. 14.8.6.4.2 7. T=5 年後 C=5g/ 年,Dc=1.6E-8 C=34g/ 年,Dc=1.6E-8 C=34g/ 年,Dc=5E-9 腐食発生塩化物イオン濃度 3.5kg/m 3 2 4 6 8 1 表面からの深さ (mm) (mm) 現コンクリート標準示方書の耐久性能照査の手法 1
親不知海岸橋 ( 海岸橋 ) の塩害対策 富山側 親不知 IC 海上部 汀線部 砂浜部 海上部 新潟側 11
主な塩害対策 海上部 :6m スパンの PC 箱桁 砂浜部 :3m スパンの PC 中空床版 設計上の対応 : かぶり増厚 ( 上部工 7mm, 橋脚 1mm) 橋脚基部に橋脚耐磨耗層 ( 鋼板 + ゴム ) の設置 施工上の対応 : 最小セメント量 3kg/m 3, コンクリートの水セメント比 ( 橋脚.55, 上部工.46,.41) 試験施工 ( 維持管理段階の塩害対策を想定 ) コンクリート塗装, エポキシ樹脂塗装鉄筋, 防食パネル 12
建設の状況 着手前 親不知 IC 付近 完成状況 13
富山側海上部橋脚は海上から施工 基礎の掘削 2,2 t / 基 耐磨耗層 ( 鋼板 + ゴム圧着 ) 浮力活用 1,2 t / 基 フーチング据付け 14
新潟側海上部橋脚の締切り工施工 締切り工 開削施工 1 開削施工 2 ニューチックケーソン工法 15
上部工の施工 張出し架設 大型移動支保工 IC 部の特殊支保工 設置式支保工 16
波浪の状況 工事中の大波 施工ヤードへの越波 富山側海上部 新潟側海上部 17
各種塩害対策の試験施工と評価 新潟 エホ キシ樹脂塗装鉄筋富山 曝露試験体置場 防食パネル コンクリート塗装 表面被覆工範囲 浸透型塗膜 IC ランプ橋で試験施工 & 曝露試験 コンクリート塗装 エポキシ樹脂塗装鉄筋 繊維補強ポリマーセメント モルタル板 ( 防食パネル ) 18
曝露試験の評価結果 表面被覆の効果 (2 年経過 ) エポキシ樹脂塗装鉄筋 (15 年経過 ) ひび割れ部 はつり調査 塗装 防食パネルは 2 年間塩分浸透を抑制している 15 年経過したエポキシ樹脂塗装鉄筋は良好な状態 19
2. 塩害の基礎知識 塩害発生のメカニズム 発生原因と塩害環境 塩害による劣化進行過程 2
塩害発生のメカニズム 外部からコンクリート内部への塩分移動 コンクリートの内部構造 細骨材未水和セメント気泡空隙 コンクリート断面の反射電子像 塩化物イオン 濃度差により塩分の拡散浸透 表面に付着 塩化物イオン濃度 (kg/m 3 ) 6 4 2 2 4 6 8 1 表面からの深さ (mm) 塩分分布 C=Co(1-erf(X/ D T ) フイックの拡散方程式で近似 空隙が繋がり, 溶液で満たされている 塩分濃度 : 表面部大 深部小 21
コンクリート中の鋼材腐食 コンクリート Cl - Cl - Cl - Cl - 鉄筋 錆 O 2 H 2 O Fe(OH) 2 O 2 H 2 O 不動態皮膜 カソード ( 陰極 ) OH - Fe + OH - e - e - Fe アノード ( 陽極 ) カソード ( 陰極 ) 腐食電池の形成 アノード反応 Fe Fe 2+ +2e - カソード反応 O 2 +2H 2 O+4e + 4OH - 健全なコンクリート : 高アルカリ (ph12~13 ): 不動態被膜 鋼材位置で腐食発生塩分濃度に達すると不動態皮膜が破壊され, 腐食電池が形成されて鋼材腐食がはじまる 22
腐食発生限界塩化物イオン濃度 鋼材の腐食発生 ( が始まる ) 塩分濃度 3. 213 コ示 ( 普通 ) 以前のコ示 ( 普通 ) 腐食発錆限界塩化物イオン濃度 (kg/m 3 ) 2.5 2. 1.5 1..5. 4 45 5 55 6 水セメント比 (%) コンクリート標準示方書従来 1.2kg/m 3 213 年見直し 維持管理では 現地調査結果から求めるのが原則 23
ひび割れ発生パターン 表面ひび割れ かぶり小 (2tp+φ)/φ<3. 浮き状ひび割れ 鉄筋間隔小 lp ほとんどが 浮き状ひび割れパターン ひび割れ進行は, 外観から確認できない 24
塩分の浸透 塩害発生原因と塩害環境 塩害の発生原因 海岸部 飛来塩分 内陸部 凍結防止剤 内在塩分 海砂の使用 25
海岸部の飛来塩分による塩害 CI - CI - 山側 調査箇所海側 T.P21m T.P14m CI - CI- CI 風波飛沫 - 風付着浸透 CI - T.P 8m 海水面 26
日本の地域による塩害の発生度合い 道路橋示方書 地域区分 B の塩害対策 海岸からの距離 (m) ~1 ~3 ~5 ~7 最小かぶり等 7mm+ 塗装等 7mm 5mm W/C 低減等 地域区分 A: 全域,B: 海岸から 7 m,c : 海岸から 2m 27
凍結防止剤中の塩分 凍結防止剤散布 2~3g/m 2 / 回 すべり抵抗値 (BPN) 12 1 8 6 4 2 NaCl 散布 -25-2 -15-1 -5 5 1 路面温度 ( ) 塩分濃度 水.3.5.1.15 NaCl 濃度 (%) 凍結防止剤 : 路面水が凍結して路面のすべり抵抗が急激に低下するギャップを解消し, 冬期路面の安全を確保するため散布される 6 5 4 3 2 1 路面塩分濃度の経時変化の測定例 Cl - イオン濃度 3kg/m 3 6 12 18 24 3 36 経過時間 ( 分 ) 路面水の塩分濃度 5~6% 塩化物イオン濃度 3~36kg/m 3 高濃度の塩化物イオンが路面水に含まれる 28
飛散塩分量 (g/m 2 ) 5 4 3 2 1 低盛土のリ尻部での飛散塩分量測定結果 凍結防止剤による塩害 年間飛散塩分量 16 g/m 2 y =.1 x R 2 =.59 2 4 6 散布回数 ( 回 ) 16g/m 2 年間飛来塩分量 (g/ m2 / 年 ) 参考 飛散量は海岸部の飛来塩分に比べ小さい値 8 6 4 2 ジョイント部の漏水による塩害発生 2, 4, 海岸からの距離 (m) 橋脚 伸縮装置の漏水伸縮装置部漏水 床版 漏水が床版や橋脚を伝劣化い, コンクリート表面に 塩分が付着し塩化物イ オンが浸透し塩害損傷 を発生させる. 凍結防止剤の大気飛散塩分が構造物に与える影響はない 塩害は 塩分を含む路面水が直接付着する部位のみに発生 29
塩害の劣化進行過程 部材の性能低下塩害による劣化 外観変状なし 鋼材の腐食開始 潜伏期 進展期 コンクリートに腐食ひび割れ発生 加速期 使用期間 劣化期 劣化進行過程期 Cl - 1.2~2.5 Kg/m 3 1 潜伏期 : 鋼材の腐食が開始するまで 2 進展期 : 腐食開始から腐食ひび割れ発生まで 3 加速期 : 腐食ひび割れの影響で腐食速度が増加する 4 劣化期 : 鋼材の断面減少などによって耐荷力が低下する 3
3. 実構造物における塩害劣化と 塩分浸透状況 海砂による塩害 飛来塩分による塩害 凍結防止剤による塩害 31
海砂による塩害 塩化物イオン濃度 大 中性化領域 移動 当初塩化物イオン混入量 除塩不足の海砂を使用 塩化物イオン濃度 (kg/m 3 ) 3 2 1 コンクリート表面からの距離 大 中 性 化 領 域 塩分濃度分布中性化深さ ( 平均 ) 中性化深さ ( 最大 ) 25 5 75 1 125 15 表面からの深さ (mm) 中性化による塩分移動の現象 深部まで一様な塩分濃度分布 32
飛来塩分による塩害 PC 橋 RC 橋 橋脚の浮き PC 鋼材の破断 飛来塩分による塩害は構造物表面全体に発生 33
海岸橋上部工の塩分濃度分布の事例 14 塩分量 (kg/m 3 ) 12 1 8 6 4 海上部 (W/C=.41) 護岸部 (W/C=.46) IC 部 (W/C=.46) 砂浜部 W/C=.46) 2 2 4 6 8 1 表面からの深さ (mm) 17 年経過 塩分浸透量 : 海上部 護岸部で多く, 砂浜部では少ない 同じ海岸でも塩害環境 ( C 値 ) が大きく異なる 同じ塩害環境 ( 同じ C 値 ) でも W/C の違いによって塩分浸透量が異なる 34
海岸橋海上部橋脚の塩分濃度分布事例 調査位置 海上部橋脚 :1 年経過時.21m 14m 8m 塩化物イオン濃度 (kg/m 3 ) 16 14 12 1 8 6 4 2 海面からの高さ 8m 海面からの高さ 14m 海面からの高さ 21m 海側海面 2 4 6 8 1 表面からの深さ (mm) 高さ ( 波飛沫の影響度合い ) によって塩分浸透量が異なる 35
海岸橋箱桁各部位の塩分濃度分布 海岸橋海上部箱桁の事例 2 壁高欄 塩化物イオン濃度 (kg/m 3 ) 1 8 6 4 2 1 8 6 4 2 2 4 6 8 1 張出 2 4 6 8 1 側面 1 8 6 4 2 底面 1 8 6 4 2 1 8 6 4 2 張出 2 4 6 8 1 側面 2 4 6 8 1 2 4 6 8 1 2 4 6 8 1 深さ (mm) 箱桁側面や底面の浸透量が大きく, 張出し部は少ない 壁高欄は 雨水の洗い流し作用によって浸透量は少ない 36
凍結防止剤による塩害 漏水跡 浮き 床版橋桁端部 鉄筋露出 張出部 漏水 ジョイント部の橋脚 橋台 トンネル側壁 鋼橋 RC 床版 発生経路 : ジョイントの漏水 車両等の飛散水 路面水の浸透 37
米原 伸縮装置部付近 (RC 中空床版橋端部 ) 5 1=5 4 1=4 A 12 11 1 9 8 7 6 5 15 13 14 4 橋脚部 3 2 16 1 追越車線 走行車線 A B C D E F G H I J K 1.7 % B C D E F G H I J K 劣化および漏水範囲 新潟 1 張出部下面 1 1 中空床版側面 中空床版下面 9 中空床版側面 張出部下面 米原 13 ( 隅角部 ) 1 1 1 8 7 6 5 4 ( 隅角部 ) 3 2 1 5 5 2 7 =14 8 1=8 2 7 =14 A B C D E F G H I J K 1 橋脚から 2m 以上 橋脚から 2m 以内 16 年平均散布量 15 18t/km 14 13 12 11 1 9 8 7 6 5 4 3 2 橋脚から 2m 以上 22 年経過 1.7 % 3. 以上 2.5-3. 2.-2.5 1.5-2. 1.-1.5.5-1..-.5 : データは参考値 JCI 24 青山他 表面部塩分浸透 = 漏水範囲 端部 2m 新潟 38
下部工 ( 橋脚 ) 橋脚の塩分濃度分布 16 年経過年平均散布量 37t/km 試料採取位置 上段 中段 下段 1~1.5m h/2 h/2 h 1~1.5m 12~ 13m 塩化物イオン濃度 (kg/m 3 ) 漏水範囲 : 多くの塩分が浸透している 15 1 5 25 5 75 1 表面からの深さ (mm) 浮 ( 劣化 ) 部の塩分浸透量は大きい 上段中段下段浮部 39
床版張出下面 1,5 5 15 6@2=1,2 1 調査位置 1 塩化物イオン濃度 (kg/m 3 ) 8 6 4 2 表面部 (~2mm) 塩分濃度測定位置 張出床版下 下り下り上り上り 路肩中分中分路肩 35 1 5 4 8 12 16 地覆端部からの距離 ( mm ) 55 中空床版側面 ( 表面部の塩分浸透状況 ) 22 年経過年平均散布量 18t/km 塩分浸透範囲 = 漏水範囲 4
トンネル壁面 16 年経過年平均散布量 37t/km 121 2 調査位置 走行車線 追越車線 42 25 6 57 トンネル側面の高さごとの塩分濃度分布 塩化物イオン濃度 (kg/m 3 ) 1 8 6 4 2.6 m 2.5 m 4.2 m 天井 2 4 6 8 1 表面からの深さ (mm) 塩分浸透 : 路面付近大 天井小 ( 飛散水の影響度合が関係 ) 41
4 塩害の調査 診断 対策 調 診 対 査 断 策 42
塩害の調査 診断 対策の検討の流れ 調査試験 劣化状況の調査 鉄筋腐食範囲の調査 塩分浸透状況調査 塩害の劣化過程期の判定等 評価検討 塩害環境評価 コンクリート性能評価 塩分の浸透予測 対策検討 塩害劣化予測 対策工の検討 補修図作成 43
調 査 劣化範囲の調査 赤外線カメラ ひび割れ調査 打音点検 ひび割れ & 浮き はく離の劣化状況の把握 44
塩分浸透状況 コア採取 採取コアの分割 ドリル法による試料採取 塩分分析 コアの分割 粉砕 ドリルによる深さごとの試料を塩分分析 塩分浸透情報は 劣化過程期判定 補修設計に不可欠 45
携帯型成分分析計 測定原理 : 蛍光 X 線分析法検量線設定により直接読み取り 仕様 測定可能元素 : マグネシウムより重い元素塩素 : Clが測定可能表示 出力部 : カラー液晶タッチパネ対象試料寸法 : 直径 8mm 本体質量 : 本体 1.65kg 測定時間 : 約 2 秒 JIS 法測定塩分濃度 (kg/m 3 ) 2 15 1 5 3 点計測 ( 差 1.5 倍未満 ) 平均値 y =.44x + 2.6 R 2 =.7 5 1 15 2 成分分析計測定塩分濃度 (kg/m 3 ) 塩分濃度の概略値や塩分浸透範囲を現地で把握できる 46
鉄筋腐発生範囲の調査 ( 自然電位 ) 浮き範囲 自然電位測定値の分布図 自然電位 ECSE(mV) -2<E -35<E -2 E -35 鉄筋腐食の可能性 9% 以上の確率で腐食なし不確定 9% 以上の確率で腐食あり 鉄筋腐食範囲 : 補修範囲や工法決定に関する有用な情報 47
元素のマッピング EPMA 分析 EPMA 塩素などの劣化因子の分布を観察することができる 塩素の分布 劣化事象や補修材料の効果等の評価に有益な情報が得られる 未中性化領域への塩素の濃縮 拡散 48
診断 診断 : 現状の劣化過程期の判定 & 塩分浸透度を評価 部材の性能低下塩害による劣化 劣化進行過程期 鋼材の腐食開始 潜伏期 進展期 コンクリートに腐食ひび割れ発生 加速期 使用期間 劣化期 塩化物イオン濃度 (kg/m 3 ) 14 12 1 8 6 4 2 塩化物イオン濃度分布より Co 値 D 値を求める 測定 Co 値 11.8kg/m 3 フイックの拡散方程式 C=Co(1-erf ( x/2 D T ) D 値 2.73 1-8 cm 2 /s 2 4 6 8 1 12 概ね適用する対策工法を選定 表面からの深さ (mm) 塩分浸透度は Co D 値を求めて評価し, 劣化予測を行う 49
海岸橋の Co 値の分布状況 Co 値 (kg/m 3 ) 2 15 汀線部 1 砂浜部 5 W/C=.55: 海上部 W/C=.55: 砂浜部 海上部 W/C=.55: 汀線部 橋脚 近似曲線 W/C=.46: 汀線部 W/C=.41: 海上部 W/C=.41: 砂浜部橋桁側面 W/C=.46: 砂浜部 W/C=.41: 汀線部 5 1 15 2 25 3 海面からの高さ (m) 5 1 15 2 25 3 示方書の Co 値 (kg/m 3 ) 飛沫滞汀線部 1m 13. 9. 4.5 砂浜部 < 汀線部 < 海上部 高さ 15m まで大 同じ高さ : 橋桁 > 橋脚より大きい ( 雨水の影響 ) 5
海岸橋の D 値の分布状況 1 1 8 8 度数 6 4 W/C=.55(n=319) m:3.6 1-8 cm 2 /s s:2.7 1-8 cm 2 /s W/C=.46(n=184) m:1.3 1-8 cm 2 /s s:1.2 1-8 cm 2 /s W/C=.41(n=295) m:.5 1-8 cm 2 /s s:.3 1-8 cm 2 /s 6 4 累加比率 (%) 2 2. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9..2.6 1. 1.4 1.8 2.2 2.6 3. 3.4 3.8 Dc D 値 ( 1-8 cm 2 /s).1.3.5.7.9 1.1 1.3 1.5 1.7 1.9 対数正規分布を示し W/C 小 D 値 ばらつき小 D 値の示方書との比較 W/C が大きい場合 示方書の D 値は小 D 値 ( 1-8 cm 2 /s) 5 4 3 2 1 213コ示 ( 普通 ) 213コ示 ( 高炉 ) 海岸橋 ( 平均値 ) 海岸橋 ( 高炉セメント ) 35 4 45 5 55 6 W/C (%) 51
凍結防止剤散布量と Co 値の部位ごとの関係 15 主版部 平均 Co=4.5 kg/m 3 張出部 平均 Co=2.3 kg/m 3 1 Co 値 (kg/m 3 ) 5 15 1 パラペット部 平均 Co=4.4 kg/m 3 橋脚 平均 Co=4.4 kg/m 3 張出部 5 主版部 ハ ラヘ ット部 2 4 6 8 1 12 2 4 6 8 1 12 橋台 凍結防止剤散布量 (ton/km 年 ) Co 値 : 張出し部 < パラペット部 < 主版部の順で大きくなる傾向 Co 値と凍結防止剤散布量との間には明確な相関が見られない 52
劣化予測 ( 各種イオンの移動予測 ) 予測例 差分法による予測 表面部 x x I(xi-1,t) I(xi,t) x ( 単位 :cm) x x I(xi+1,t) A I(xi,t+ t ) = D ( x )2 t +I(x,,t) ただし I : 各種イオン濃度 (kg/m 3 ) D 見かけの拡散係数 (cm 2 /s) 塩化物イオン濃度 (kg/m 3 ) 12 1 8 6 4 2 13 年後 2 年後 3 年後 5 年後 2 年後 ( 塗装 ) 3 年後 ( 塗装 ) 5 年後 ( 塗装 ) Co 値 : 1 kg/m 3 D 値 :1.5 1-8 cm 2 /s 2 4 6 8 1 12 表面からの深さ (mm) 塗装の有無による塩化物イオン濃度分布の変化 各種イオンのコンクリート中の移動予測は, 差分法を用いる 53
塩害対策工 各劣化過程期と標準的な塩害対策工法 部材の性能低下塩害による劣化 コンクリートに腐食ひび割れ発生鋼材の腐食開始 供用期間 潜伏期進展期加速期劣化期 補修工法 予防保全 表面被覆 事後保全表面被覆併用脱塩 電気防食断面修復 潜伏期 ~ 進展期の対策が予防保全, それ以降が事後保全に該当 54
標準的な塩害対策工法 予防保全 表面被覆工法 ( 塗装 ) Cl - 電気防食工法 +(D) Cl - e 事後保全 断面修復工法 +C 鉄筋周囲の劣化部除去 脱塩工法 +C+(D) Cl - 新しい補修材料に置換 ひび割れ注入 Cl- C : 表面被覆を併用 (D) : 部分的断面修復 鉄筋腐食なし 腐食開始 ひび割れ発生 浮き はく離 ( 潜伏期 ) ( 進展期 ) ( 加速期 ) ( 劣化期 ) 55
塩害対策の問題点 ( 補修後の再劣化 ) 海岸付近の PC 橋 健全度の程度 1 次補修 2 次補修 3 次補修 補修履歴 補修範囲劣化部のみ劣化部のみ全面鉄筋背面 断面修復材 塗装 1 2 3 4 経過年数 ブレーカーエポキシ樹脂等 ホ リフ タシ ェン + アクリルウレタン系 サント フ ラストホ リマー系無収縮モルタル エポキシ + ポリウレタン系 ウオータシ ェットホ リマーセメント系 エポキシ + ポリウレタン系 56
塩害対策後の再劣化 マクロセル腐食による再劣化 発さび部 マクロセル腐食電流 断面修復材 既設コンクリート せん断補強筋 残存塩分量が多いほど腐食電流大 断面修復による補修で, 既設コンクリートに残存する塩分により, 補修しなかった部分の鉄筋がマクロセル腐食を生じることが原因 補修後の再劣化リスクを小さくする対策が必要 ( 調査 設計が重要 ) 57
5. 塩害劣化事象の解明 試験研究室 実構造物での鉄筋腐食の進行 中性化した部位における塩分移動 鋼橋 RC 床版の凍結防止剤による塩害 58
弊社の試験研究室 22 年試験研究室を設置 塩害 ASR に関する各種試験の実施体制の構築 劣化診断技術の高度化 塩害事象の解明等の取組み EPMA 複合サイクル試験設備 試験研究室 登録番号 14358JP 電位差滴定装置 アルカリシリカ反応試験設備 59
実構造物での鉄筋腐食進行 劣化部 深くまで多くの塩分が浸透 腐食量 (mg/cm 2 ) 4 35 3 25 2 15 1 5 塩化物イオン濃度 (kg/m 3 ) 劣化過程期を模擬した分割鉄筋を用いた腐食実験 1 2 3 4 12 1 8 6 4 2 Co 表面 最大値最小値 内部側鉄筋 表面側鉄筋 進展期 5 1 15 2 時間 ( 年 ) 平均値腐食発生限界値 N=9 2 4 6 8 コンクリート表面からの深さ (mm) 表面側鉄筋下側 加速期 劣化期 内部側鉄筋下面 腐食が少ない 表面側鉄筋下面 腐食が著しい 実験結果 加速期以降は表面側鉄筋下面の腐食進行が激しい ( 鉄筋下面がアノード, 他の鉄筋がカソードとなる腐食回路が形成されることによると考える ) 鉄筋腐食は表面側鉄筋下面が著しく 内部の鉄筋腐食は小 劣化 ( ひび割れ 浮き ) は表面側鉄筋付近で発生している 6
中性化した部位における塩分移動 中性化の事象 コンクリート :PH12~13 炭酸ガスの作用 PH8.2~1 以下 ( 中性化 ) 中性化領域 25mm 北陸の実構造物の中性化速度係数 中性化深さ = 中性化速度係数 経過年数 中性化速度係数 (mm/ 年 ) 4 3 2 1 示方書 ( 雨水影響 ) 示方書 ( 乾燥環境 ) 桁 床版等 橋脚 橋台 高欄.4.45.5.55 水セメント比 雨水の影響を受けない RC 床版等の部位は, 雨水の影響を受ける部位に比べ, の中性化進行は約 3 倍と早い 61
中性化領域と塩分移動 濃縮現象 床版下面からの距離 (mm) 塩化物イオン濃度 (kg/m 3 ) 16 14 12 1 8 6 4 2 1 8 6 4 2 No.1 中性化領域 No.3 中性領域 No.2 塩分濃度 No.2 中性化領域 No.1 塩分濃度 No.3 塩分濃度 1 2 3 4 5 6 塩化物イオン濃度 (kg/m 3 ) No.1 促進試験直後 No.1 曝露 1 ヶ月後平均中性化深さ最大中性化深さ 16 14 12 1 8 6 4 2 中性化深さ (mm) 貫通コア採取 No.2 促進試験直後 No.2 曝露 3 ヶ月後平均中性化深さ最大中性化深さ 未中性化領域 中性化領域中性化曝露面 塩分浸透促進試験 促進試験後断面を 2 分 自然曝露試験 自然曝露面 各 1,3,6 ヶ月 No.3 促進試験直後 No.3 曝露 6ヶ月後平均中性化深さ最大中性化深さ 2 4 6 8 1 2 4 6 8 1 2 4 6 8 1 表面からの平均深さ (mm) 劣化した RC 床版では, 下側鉄筋付近の塩分濃度が高い事例が多い 曝露 3 ヶ月後には, ほとんどの塩分が未中性化領域に移動する 62
水分移動性試験結果 飽和度の変化 非中性化領域 中性化領域 吸水 乾燥による質量変化から飽和度を算定 試験体の作成 試験体 試験体 38 年経過した RC 床版 (W/C=.51, セメント量 3kg/m 3 ) よりコア採取 空隙の飽和度 (%) 1 8 6 4 2 飽和度の変化 中性化部 吸水中性化部 水分逸散 非中性化部 吸水非中性化部 水分逸散 6 12 18 24 3 36 42 48 経過時間 (hr) 中性化部分 : 乾燥過程で水分が短時間に内部空隙から外に逸散する 非中性化部分 : 短時間に飽和状態になり, 内部空隙の水分が逸散しにくい 両者の水分の移動性状が大きく異なっている 63
塩分移動 濃縮現象のメカニズム 細孔の模式図による考察 コンクリート表面に付着した塩分は水分に溶けて細孔中に吸収される 乾燥過程で, 短時間に表面側から外部に順次水分は逸散し 残った細孔水に塩分が順次濃縮されながら非中性化領域に移動すると推察される 非中性化領域では常に飽和状態にあり 濃縮された塩分は中性化領域側に移動せず 内部に濃度差拡散すると推察される 64
鋼橋 RC 床版の凍結防止剤による塩害 疲労と塩害を受けた RC 床版の劣化 疲労劣化の進行 床版中の塩化物イオン濃度分布 床版下面からの距離 ( mm ) 健全な床版 上面劣化床版 中性化深さ 2 15 1 5..5 1. 1.5 2. 2.5 塩化物イオン濃度 (kg/m 3 ) 黒く変色した部分は, 硝酸銀に反応した塩分の浸透範囲 床版疲労が進行し塩分が RC 床版下面に到達すると, 中性化が進んだ状態で塩分は急速に内部の鉄筋付近に移動 濃縮して 鉄筋腐食を加速させる 65
6. 防錆剤を活用した塩害対策とその適用事例 防錆剤混入モルタルを活用した塩害対策工法 防錆混入モルタルの特徴 複合防食工法 適用事例 海岸橋での予防保全対策 C-Bx 構造トンネル壁面の事後保全 RC 中空床版橋桁端部の事後保全 66
防錆剤を活用した塩害対策工法 鉄筋腐食進行の特徴を踏まえた, 高濃度の防錆剤混入モルタルを活用する塩害対策工法 予防保全 防錆剤混入モルタルによる表面部の断面修復 P 防錆剤混入モルタル Cl - 表面側鉄筋背面までの断面修復 or 犠牲陽極材を組合せた複合防食工法 Cl - No 2 - 補修用モルタル 犠牲陽極材 防錆剤混入モルタル 事後保全 P P : 表面被覆 断面修復厚 ( 劣化期 ) 鉄筋腐食なし腐食ひび割れ発生浮き はく離 特徴 : 防錆成分を浸透させて鉄筋を防食し マクロセル腐食を防止できる 防錆材は 補修モルタルへの混入性や施工性より亜硝酸リチウム溶液を使用 67
工法と防錆機能 工法の基本 : 実験結果を基づく 断面修復深さ : 劣化グレードに応じて変化 高濃度の防錆剤混入モルタル ( 亜硝酸リチウム 55kg/m 3 を混入 ) 既設コンクリート塩化物イオン Cl - Cl - Cl - NO - 2 筋防錆剤混入モルタル Cl - 腐食環境下にある鉄筋に対して, 防錆成分を濃度差で拡散浸透させ, 鉄筋位置で防錆雰囲気 ( モル比 (NO 2- /Cl - ).8 程度を形成 鉄亜硝酸イオンは不導態被膜を修復 Fe 2+ +2OH - +2NO 2 - Fe 2 O 3 +H 2 O+2NO 防錆成分 NO 2 - NO 2 - NO 2 - 防錆成分は高濃度であるほど, 防錆雰囲気が早く形成できる 加速期では, ひび割れが発生している表面側鉄筋背面まではつり, 3 年未満に内部鉄筋で防錆雰囲気が形成できる場合に適用 68
防錆剤混入モルタルの特徴 ( 実験結果 ) 市販の補修用モルタルへの亜硝酸リチウム (LiNO 2 )55kg/m 3 および 7kg/m 3 混入した場合のコンシステンシーと強度に及ぼす影響 フロー値 (cm) 25 2 15 1 5 JIS R 521 A B C D E 防錆剤量 kg/m 3 55 kg/m 3 7 kg/m 3 1 5 圧縮強度 (N/mm²) 8 6 4 2 材齢 28 日 (JIS A 1999) A B C D E 補修モルタル材料 付着強度 (N/mm²) 4 3 2 1 JIS A 1171 A B C D E フロー値や圧縮強度, 付着強度に及ぼす影響は小さい 69
防錆成分の浸透性の定量的評価 モルタル中の塩化物 & 防錆成分 (37 ヶ月後の浸透量を比較 ) 5 塩化物イオン (5 kg/m 3 ) 混入モルタルモルタル W/C = 45 % コンクリート W/C = 5 % 防錆成分 (5 kg/m 3 ) 混入モルタル 鉄筋 D16mm 2 mm 1 mm 鉄筋 D16 mm 貼付面 : 下面と横面に配置 2 2 13 塩化物 防錆成分濃度 (kg/m 3 ) 25 2 15 1 5 NO2- 下面 NO2- 横面 Cl- 下面 Cl- 横面 CI - 予測 D 値 4 1-8 cm 2 /s NO 2 - 予測 D 値 3.3 1-8 cm 2 /s 1 2 3 4 5 6 7 コンクリート表面からの深さ (mm) 防錆成分は, 塩化物イオンと同様に濃度差によって浸透 貼付面の方向による差はない 防錆成分の浸透量は塩化物イオンより大きい (D 値が大 ) 7
防錆剤混入モルタルの防食効果 試験体 屋外曝露 37 ヶ月促進曝露 1 ヶ月 促進曝露条件 : 乾湿 繰り返し (4 4 日間乾燥 -3 日間湿潤 ) 屋外試験 No.3 試験体防錆剤混入モルタル (t=2mm) 鉄筋 D16 促進試験 8 ( 低濃度 Cl - 2.5kg/m 4 4 ( 高濃度 Cl - 7kg/m 2 (Cl - 2.5kg/m 3 )(Cl - 7kg/m 3 ) 試験後に解体した鉄筋の腐食状況 2 2 1 7 8 15 No.2 試験体のみ防錆剤混入 No.3 試験体 2 防錆剤混入モルタル 1 (t=15mm) 鉄筋ステンレス 15 8 試験の種類 No.1 低高防錆剤混入なし No. 低高防錆剤混入 No. 2 3 防錆剤混入モルタル貼付け 低高防錆剤混入なし No1 試験体 : 無混入は腐食が激しい No.2 試験体 :.8モル相当の防錆剤混入した場合, 防食効果を確認 No.3 試験体 : 防錆成分の浸透によって防食効果の発現が始まる 71
No.3 試験体曝露後の防錆成分の浸透状況 3 屋外曝露試験体 :37 ヶ月後 促進曝露試験体 :1 ヶ月後 25 防錆剤を混入した普通モルタル 亜硝酸イオン濃度 (kg/m 3 ) 2 15 1 5 鉄筋位置 NO 2-5kg/m 3 2mm 貼付け経過期間 37 ヶ月 鉄筋亜硝酸イオン浸透深さ ( 赤色の線 ) 2 4 6 8 コンクリート表面からの深さ (mm) 両試験体とも, 防錆成分が鉄筋付近まで浸透しているこが確認 72
複合防食工法 防錆材と流電陽極方式の電気防食 ( 犠牲陽極材 ) を組合せた工法 犠牲陽極材 ( 亜鉛線 ) 既成品 ( 亜鉛 ) 犠牲陽極材の事例 亜鉛と鉄筋の電位差 亜鉛がなくなれば 効果なし (1 年程度 ) 多くの塩分がコンクリート中に浸透していて, 防錆剤混入モルタルのみでは防錆雰囲気形成に時間がかかる場合に適用する 補修後 ~ 短期 塩分鉄筋浸鉄筋透域犠牲陽極材防錆剤混入 断面修復材 コンクリート表面 鉄筋 鉄筋 長期 防錆成分浸透 犠牲陽極材防錆剤混入断面修復材 短期間有効 長期的 :NO 2 - 浸透による防錆機能持続 ハツリ深さ 表面側鉄筋背面まで ( 断面修復厚を最小 ( ひび割れ発生部 )) 鉄筋防食 補修後は犠牲陽極材で, 長期的には防錆成分で持続させる 73
亜鉛線の犠牲陽極材としての防食効果 試験体 補修前後の腐食速度 総腐食電流密度の最大値 (μa/cm 2 ) 25 2 15 1 5 15 2 試験の種類 12 Cl - 濃度 15kg/m 3 打設面 35 No.1 無対策 H 1 H 2 N 1 N 2 12 12 No.1 対策無 No.2 高濃度防錆 No. 3 高濃度防錆剤混入モ 13.3 剤混入モルルタル+ 亜鉛線取付け Cl - 濃度 13.25 D19 D13 Cl - 濃度 D1 D13 Cl - 濃度 D1 1kg/m 3 D13 1kg/m 3 1kg/m 15 3 15 13.2 y =.8x + 13.19 LiNO LiNO 2 混入 PCM 2 混入 PCM 13.15 表面 表面側 内部側鉄筋 D19 17 18 19 2 16 12 かぶり厚 12 表面 促進 8 週間後 + 補修 8 週間後 亜鉛線 φ2 No.2 高濃度防錆剤混入モルタル (LiNO 2 :55kg/m 3 ) H 1 H 2 N 1 N 2 鉄筋断面位置 12 12 11 4 5 12 6 13 14 159 1 2 3 7 8 1 表面側鉄筋 鉄筋断面位置の記 N 2 N 1 H 2 H 1 かぶり厚 12 表面 ph 値 13.4 13.35 No.3 高濃度防錆剤混入モルタル + 亜鉛線 H 1 H 2 N 1 N 2 防錆剤混入モルタル中の ph 防錆成分混入量 48 kg/m3 防錆成分混入量 kg/m3 5 1 15 2 細孔溶液中の防錆成分濃度 (g/l) 亜鉛線が犠牲陽極材としての鉄筋防食効果を発現する 74
塩分 防錆成分量 (kg/m 3 ) 防錆雰囲気形成時期と犠牲陽極材の寿命の関係を検討する 5 4 3 2 1 適用性の検討事例 塩分防錆成分モル比.8 モル 7 年 塩分濃度分布 2 4 6 8 1 12 補修後の経過年数 ( 年 ) コンクリート (Co=15kg/m 3 D= 3.5 1-8 cm 2 /s) 断面修復材 (D= 3 1-9 cm 2 /s) 残存 Cl - 3.8kg/m 3 6.8kg/m 3 コンクリート表面 2.5 2. 1.5 1..5. 防錆剤混入モルタ 2mm (NO 2- :48kg/m 3 ) モル比 鉄筋 補修用モルタル 35mm 鉄筋 犠牲陽極材補修条件 : 断面修復厚 :55mm 結果 防錆雰囲気形成 7 年 < 犠牲陽極材推定寿命 1 年複合防食工法 OK 残存塩分濃度が高い環境にも対応できる 2 3 55 75
複合防食工法のコスト比較 電気防食複合防食工法 従来工法 補修コスト指数 2 175 15 125 1 75 5 2 4 6 8 1 施工面積 (m2) 犠牲陽極材 : 既成品 従来工法に比べ補修コストを大幅に削減 凍結防止剤による塩害 : 施工面積が小さい場合に特に適する 76
適用例 1 海岸橋での塩害予防保全対策 建設時の上部工の塩害対策かぶり 7mm モニタリングの結果 多くの塩分浸透量 予防保全対策 コンクリート塗装 基本 : 今後 1 年間鉄筋を腐食させない 塩化物イオン 予防保全対策 防錆剤混入モルタル (LiNO 2 55kg/m 3 )+ 塗装 貼り付け 防錆剤混入モルタル 亜硝酸イオン 表面部断面修復 防錆剤混入モルタル亜硝酸イオン 脱塩工法 + 塗装 Cl - 電解質溶液 Cl - - + Cl - - 小塩化物イオン浸透総量大 77
予防保全対策工の設計方法とコスト評価 鉄筋位置での塩化物と防錆成分の移動予測 塩化物 防錆成分濃度 (kg/m 3 ) 4 3 2 1 モル比塩化物イオン ( 無対策 ) 塩化物イオン ( 対策 ) かぶり5cm Co:4.9kg/m 3 D: コンクリート1 1-8 cm 2 /s モルタル.3 1-8 cm 2 /s LiNO 2 混入量 55kg/m 3 鋼材腐食発生限界濃度 1.2kg/m 3 モル比.8 防錆成分 (NO2-) 1 2 3 4 5 補修 ( 建設後 19 年目 ) 後の経過年数 ( 年 ) 鉄筋位置で, 腐食発生塩分濃度に達する時期と防錆雰囲気が形成できる時期との関係から, 工法の適用性を判定する 防錆剤混入モルタルを活用 : 従来工法 ( 塗装工と脱塩工と ) のコストギャップを解消でき,LCC の低減を図ることができる 4 3 2 1 NO2 - /Cl - モル比 補修コスト ( 千円 /m 2 ) 15 125 1 75 5 25 劣化過程 補修のライフサイクルコスト ( 千円 /m 2 ) 6 5 4 3 2 1 劣化過程期 塗装貼付表面脱塩工断面修 + 断面修 + 脱塩工 潜伏期 進展期加速期 塗装 貼付 表面断修 脱塩工 断修 + 脱塩 条件 :Co:4 kg/m 3 D:1 1-8 cm 2 / 1 2 3 4 5 6 建設後の経過年数 潜伏期 コスト評価 防錆剤の活用 進展期加速期 k 期 劣化期 78
海岸橋の予防保全対策の工種 対策部位の単位 海上部箱桁 :2 部位 / 径間 6m 1 2 3 4 張出部側面底面 側面張出部 海上部での対策工の適用例 径間長 6m 径間長 6m 径間長 6m 波飛沫の影響を受ける橋脚付近の塩分浸透量が多く 脱塩工や防錆剤混入モルタルによる対策が必要 対策範囲と対策工種 対策不要 今後実施 実施済み 45% 54% 2 4 6 橋体表面積 ( 千 m2) 14% 橋脚橋脚橋脚橋脚 3 6% 3 7% 箱桁表面の展解図 凡例 : コンクリート塗装 : 防錆剤混入モルタル吹付け1cm+コンクリート塗装 : 防錆剤モルタル断面修復 1cm+コンクリート塗装 : 脱塩工法 +コンクリート塗装 2 5% 1; 1% 対策実施済 44 千 m 2 36 81% 塗装工貼付け 1mm 表面断修 1mm 表面断修 2mm 脱塩工 予防保全は全体の 55%, 防錆剤混入モルタルによる対策は面積比で 14% 79
施工状況 防錆剤混入モルタルによる表面部断面修復 (1mm) (a) ウオータシ ェット (1mm 深さ ) によるはつり完了 (b) 防錆剤混入モルタル吹付け状況 (b) 塗装完了 脱塩工法 (a) 陽極材の取付け (b) セルローズファイバーの吹付け (b) 通電状況 8
適用例 2 C-Bx 構造トンネル壁面の事後保全 トンネル壁面の塩害による鉄筋腐食 浮きの発生 深さ別の塩化物イオン濃度分布 -1.25 1.25-2.5 2.5-3.75 3.75-5 5-6.25 6.25-7.5 7.5-8.75 8.75-1 ( 単位 :kg/m 3 ) 4. m 深さ 3mm 3.5 m 3. m 2.5 m 2. m No.15 No.13 No.11 No.9 No.7 No.5 No.3 No.1 1. m 4. m 深さ 5mm 3.5 m 3. m 2.5 m 2. m 深さ 9mm の位置で高さ 4 m 程度まで,2 kg/m 3 程度の塩化物イオン濃度 No.15 No.13 No.11 No.9 No.7 No.5 No.3 No.1 1. m 4. m 深さ 9mm 3.5 m 3. m 2.5 m 2. m No.15 No.13 No.11 No.9 No.7 No.5 No.3 No.1 1. m 入口 車の流れ 出口 81
保全対策の修復断面の構造と施工高さ 4 mm 修復断面の構造 総はつり厚 9 mm 手はつり 5 mm WJ はつり 4 mm 実施高さ 壁面 ( 路面から高さ 4m) 断面増 躯体 4m 高流動コンクリート (12 mm) 総修復厚 13 mm 防錆剤混入モルタル吹付 1 mm 高さ 4m の範囲, はつり深さ 9mm,4mm の断面増を伴う断面修復 9mm 厚を表面を人力フ レーカと鉄筋周辺をウオータシ ェットではつり取り 防錆剤混入モルタル1mm 吹付け後, 鉄筋補強による厚さ12mm の高流動コンクリートを打設する 82
施工状況 ブレーカはつり主筋表面 1 cmまで 機械によるウオータジェットはつり主筋背面まで 人力ウオータジェト仕上 防錆剤混入モルタル吹付け 1 mm コンクリート打設完成 83
適用例 3 RC 中空床版橋桁端部の事後保全 桁端部の鉄筋配置 桁端部の劣化傾向 端部の劣化面積と箇所数 8 1 桁端部の数 6 4 2 劣化部 (1,31 箇所 ) 75 5 25 累加比率 (%) ~1 ~2 ~4 ~6 ~1~2 2~ 鉄筋断面減少率 (%) 4 3 2 1 鉄筋断面減少率 As= -.14x 2 + 1.24x + 1.27 R 2 =.6 1 2 3 4 桁端 2m の劣化発生率 (%) 桁端部の劣化面積 (m 2 ) 桁端部 : 軸方向 横方向 せん断の各補強鉄筋が配置 劣化端部数は多いが, 劣化面積は小さい 端部 2m の劣化発生面積率が大きくなると, 鉄筋断面減少率が大きくなる 84
RC 中空床版橋桁端部劣化の調査事例 軸方向鉄筋背面 ( 深さ 85mm) の塩化物イオン濃度は 4 kg/m 3 はく離 浮きの劣化が広範囲に発生し, 内部に多くの塩化物イオンが浸透 85
調査箇所の複合防食工法の検討 断面修復構造 (2 層 ) ( 既設コンクリート ) 表面側鉄筋 内部側鉄筋 防錆剤混入モルタル (t = 2 mm) 補修用モルタル (t = 35 mm) 床版下面 ( コンクリート表面 ) 55 mm 修復断面深さ 塩化物イオン濃度 (kg/m 3 ) 1 8 6 4 2 塩化物イオン : 鉄筋背面位置 ( 深さ 85 mm) モル比 コンクリート C = 21.4 kg/m 3,D = 3. 1-8 cm 2 /s モルタル LiNO 2 混入量 55 kg/m 3,D=.3 1-8 cm 2 /s 犠牲陽極有効期間 腐食発生限界塩化物イオン濃度 2. kg/m 3 1 2 3 4 5 経過年数 ( 年 ) 移動予測結果 : 防錆雰囲気形成約 8 年 4 3.2 2.4 1.6.8 NO2 - /Cl - ( モル比 ) 犠牲陽極材配置量 :13 個 /m 2 犠牲陽極材の有効期間約 9 年 86
RC 橋桁端部での施工状況 ウオータジェットハツリ 犠牲陽極材 犠牲陽極材の設置 防錆剤混入モルタル吹付 87
7. RC 連結ジョイントの開発 橋台パラペットと上部工を RC 構造で連結するノージョイント工法 基本構造 温度変化による橋体の挙動 RC 連結構造舗装 7.RC 連結ジョイント コンクリート 盛土 鉄筋 上部構造 橋台 確実な漏水防止による塩害発生抑制 連結部の細部構造 けたの伸縮を基礎地盤の変位で吸収 適用範囲 1 桁長 3~5m 程度までのコンクリート橋 基礎が岩盤でないこと 88
RC 連結ジョイント化に伴う挙動 連結鉄筋の発生応力度 温度変化に伴う橋台傾斜角の変化 橋台傾斜角の変化 ( ) 6.m.25.2.15.1.5 可動支承側の橋台傾斜角 固定支承側の橋台傾斜角 固定側近似線 y =.15x R2 =.76 可動側近似線 y =.12x R2 =.71 5 1 15 2 上部構造の温度変化 ( ) 連結鉄筋の発生応力度は, 通過車両は僅かで, 温度変化が支配的温度変化による桁の伸縮に伴い, 橋台の傾きが変化する 89
RC 連結ジョイントの検討 21 年技術検討会 ( 委員長長岡技術科学大学長井教授 ) 審議実験 要求性能と照査法 1. 構造安全性能 2. 使用性能 3. 耐久性能 4. 社会 環境適合性 5. 施工性 6. 維持管理性 設計 I B I I I I J I P 施工 技術検討会の成果を 設計 施工の手引き ( 案 ) にまとまる 9
RC 連結ジョイントの効果 ジョイント止水 走行性の改善 Before After 手前車線を RC 連結ジョイント 確実な止水による桁端部 支承 下部工の塩害発生を抑制 走行性の改善 ( ジョイント付近の応答速度が低下 ) ジョイント本体のコスト削減と耐久性向上が図れる 91
施工状況 既設ジョイントの状況 既設ジョイント撤去 鉄筋配置 & 接着剤塗布 コンクリート打設 舗装による暫定復旧 完成 コンクリートは繊維入り超速硬コンクリートを使用 施工時間は, 約 1 時間 92
RC 連結ジョイント デザイン賞 を受賞 国際会議 ( イギリス ) Structural Faults & Repair -212 RC 連結ジョイント の論文 ( 弊社石川裕一氏発表 ) が デザイン賞 を受賞しました 93
終わり ご静聴ありがとうございました 94