従来のペプチド免疫療法の問題点 樹状細胞 CTL CTL CTL CTL CTL CTL CTL CTL 腫瘍組織 腫瘍細胞を殺す 細胞傷害性 T 細胞 (CTL) の大半は 腫瘍の存在に気づかず 血管内を通り過ぎている! 腫瘍抗原の提示を考えると それは当然! 2

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1 In vivo 抗腫瘍活性の高い Th/CTL 誘導法の開発 高知大学 医 免疫教授宇高恵子

従来のペプチド免疫療法の問題点 樹状細胞 CTL CTL CTL CTL CTL CTL CTL CTL 腫瘍組織 腫瘍細胞を殺す 細胞傷害性 T 細胞 (CTL) の大半は 腫瘍の存在に気づかず 血管内を通り過ぎている! 腫瘍抗原の提示を考えると それは当然! 2

3 がん細胞ウイルス感染細胞 内因性抗原の提示経路 樹状細胞 (DC) B 細胞 血管内皮細胞? 外因性抗原の提示経路 キラー T 細胞 CTL Th ヘルパー T 細胞

我々が見つけたこと 腫瘍内に浸潤した Th 細胞 腫瘍が縮小する場には CD4 T(Th) が浸潤 DC が提示した抗原を認識し Th が IFN-γ を分泌 CTL がケモカイン依存性に腫瘍内へ浸潤 樹状細胞 DC CTL Th 1 死んだ腫瘍細胞 Th Th 2 CTL 腫瘍細胞を貪食した EC 4

5 腫瘍血管 ECには HLA class II 分子の発現がみられる anti-von Willebrand factor anti-i-a d in the EL4 tumor merged, DAPI EC anti-cd11c anti-i-a d merged, DAPI for nuclei DC

6 骨髄キメラ (MHC class II - 欠損マウス正常マウス ) キメラ 1 キメラ 2 血管内皮細胞 : MHC-II + - 樹状細胞 (DC) 骨髄由来 : - + キメラ 1 キメラ 2 骨髄由来 DC 固形腫瘍 Th Th CTL

Th の腫瘍内浸潤には 血管内皮細胞 樹状細胞による抗原提示が両方とも必要 1 切片 2 視野 x1 切片に浸潤した Th 細胞の総数 平均細胞数 /1 視野 平均細胞数 /1 視野 5 45 4 35 3 25 2 15 1 5 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 腫瘍内へ浸潤した DO11.1 の数 EL4 E.G7-OVA DC:MHC-II - 血管内皮細胞 :MHC-II - CBF1 KO KO F1 F1 KO n=4 n=3 n=3 n=3 宿主のマウス Spleen 内に侵入した DO11.1 の数 CBF1 KO KO CBF1 CBF1 KO 宿主マウス 7

8 腫瘍特異的 Th 細胞が腫瘍内に浸潤した結果 腫瘍血管内皮細胞が CTL を呼び込む走化性因子 I-TAC を分泌していた! EL4: 腫瘍特異抗原が出ていない腫瘍 EG7: 腫瘍特異抗原を出している腫瘍

in vivo ペプチド免疫 腫瘍接種 tumorsize (mm 2 ) 3 25 2 15 1 EL4 PBS tumorsize (mm 2 ) 7 6 5 4 3 2 EG7 PBS PBS 5 1 腫瘍接種 tumor size (mm 2 ) 3 25 2 15 1 4 6 8 1 12 14 16 18 2 days after tumor inoculation OVAI tumorsize (mm 2 ) 7 6 5 4 3 2 4 6 8 1 12 14 16 18 2 days after tumor inoculation OVAI CTL EG7: 腫瘍抗原として OVA を発現する EL4 tumor tumor size (mm 2 ) 5 3 25 2 15 1 5 1 4 6 8 1 12 14 16 18 2 days after tumor inoculation OVAI+ tumor size (mm 2 ) 7 6 5 4 3 2 1 4 6 8 1 12 14 16 18 2 days after tumor inoculation OVAI+ CTL+ 第 3 者抗原特異的 Th CTL; OVA-I Th: OVA-II あるいは peptide tumor size (mm 2 ) 3 25 2 15 1 5 4 6 8 1 12 14 16 18 2 days after tumor inoculation OVAI+OVAII tumor size (mm 2 ) 7 6 5 4 3 2 1 4 6 8 1 12 14 16 18 2 days after tumor inoculation OVAI+OVAII CTL+ 腫瘍抗原特異的 Th 4 6 8 1 12 14 16 18 2 4 6 8 1 12 14 16 18 2 days after tumor inoculation days after tumor inoculation 9

1 ヘルパー T 細胞誘導型ワクチンの開発 ー MHC class II 分子結合性ペプチドのデザインー 抗原提示細胞の膜会合性 peptidase に対する消化耐性を付与する末端修飾をペプチドに導入 生きた抗原提示細胞へのペプチド結合能を測定 HLA-DRB1*4:5 結合性ペプチド自動予測法の開発

11 MHC class II 分子に対する定量的競合結合実験 非標識ペプチドが速やかに分解され 競合結合実験は困難 そこで 測定したいペプチドの末端に 消化耐性を付与する修飾 を加えた PE-streptavidin 抗原提示細胞樹状細胞 B 細胞血管内皮細胞? Biotin- 標識ペプチド MHC class II

12 Competitive binding assay 末端修飾ペプチド 未修飾ペプチド no staining PE-SA alone 1 M competitor 5 M 25 M 12.5 M 6.25 M 3.13 M 1.57 M at ph6. 1.5 TR175 1.5 T175 log (y/1 y).5-6. -5.5-5. -4.5-4. log (y/1 y).5-6. -5.5-5. -4.5-4. 1 log peptide concenteration (M) 1 log peptide concenteration (M) log (y/1 y).5 at ph7.4 1 TR175.5-6. -5.5-5. -4.5-4. log (y/1 y) 1 T175.5-6. -5.5-5. -4.5-4..5 1 log peptide concenteration (M) 1 log peptide concenteration (M)

13.5 TR175-6. -5.5-5. -4.5-4..5 1 1.5.5-6. -5.5-5. -4.5-4..5 1 1.5.8.6 2 Peptide HS39 1 1.5 1.5-6. -5.5-5. -4.5-4. 1 Peptide M182 2 Peptide M1193.5-6. -5.5-5. -4.5-4..5 1.8 Peptide M144 4 Peptide De6 5.4.2.4.2-6. -5.5-5. -4.5-4..2.4-6. -5.5-5. -4.5-4..6 任意のアミノ酸配列のペプチドについて HLA-DRB1*4:5 への結合競合活性を log IC5 値として定量測定できるようになった HLA-DRB1*4:5 結合性ペプチドの自動予測法を開発 NIH IEDB の予測サイトを大きく上回る予想能を達成!

末端修飾をした MHC class II 結合性ペプチドを用いた in vivo Th cell 誘導実験 CD69 + among KJ1.26 + CD4 + cells (%) 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 PbOVIIbPβ 末端修飾 1 末端修飾 2 POVIIPβ 末端修飾なし OVII アジュバントのみ Wc alone PBS.5.5 5 foot pad immunization Lymph node cells を回収 CD69+ DO11.1 cells を解析 peptide concentration (μm) 14

15 MHC class II 結合性ペプチドを用いて in vivo Th 誘導をしたい MPLA (a TLR-4 ligand)-liposome にペプチドを封入 リンパ節の抗原提示細胞に集中して届けられないか? 1. OVA (I-A d 結合性 ) のモデル抗原系で in vivo Th 誘導活性を比較した tovii : 末端修飾なしの OVA epitope peptide PtOVII : 末端保護 (Protected-) ありの tovii 2. 自然な腫瘍抗原ペプチドの実験系 WT1 腫瘍抗原由来のペプチドを同定しマウスを免疫した

Efficient induction of Th cells by using an end protected PtOVII peptide Proliferation (cpm) 14 12 1 8 6 4 2 in vivo imm : tovii in/w lipo. in vivo : tovii in/with lipo in vitro : tovii in vitro : tovii tovii tovii in lipo in lipo. tovii with lipo w/ lipo. tovii tovii PBS PBS 14 12 1 8 6 4 2 in vivo imm : PtOVII in/w lipo. in vivo : PtOVII in/with lipo in vitro : tovii in vitro : tovii PtOVII in lipo in lipo. PtOVII w/ lipo. PtOVII with lipo PtOVII PtOVII PBS Proliferation (cpm) 14 12 1 8 6 4..1 1. 1. 1. in vivo imm : tovii in/w lipo. vivo : tovii in/with lipo in vitro : PtOVII in vitro : PtOVII tovii in lipo in lipo. with lipo tovii w/ lipo. tovii tovii PBS 14 12 1 8 6 4..1 1. 1. 1. in vivo imm : PtOVII in/w lipo. in vivo : PtOVII in/with lipo in vitro : PtOVII in vitro : PtOVII PtOVII in lipo. PtOVII in lipo PtOVII w/ lipo. PtOVII with lipo PtOVII PtOVII PBS PBS 2 2..1 1. 1. 1. peptide concentration (mm)..1 1. 1. 1. peptide concentration (mm) 16

Induction of Th cells by liposome encapsulated WT1 peptides 14 12 a. Wh 1peptide Wh 1.1 C57BL/6 mice s.c. in foot pads proliferation (cpm) 1 8 6 4 Wh 1.2 PBS.1 PBS.2 In vivo immunization 1 2 3 2 14 12..1 1. 1. 1. concentration of peptide ( M) b. Wh 2peptide Wh 2.1 14 12 In vitro proliferation c. Wh 3peptide Wh 3.1 proliferation (cpm) 1 8 6 4 Wh 2.2 PBS.1 PBS.2 proliferation (cpm) 1 8 6 4 Wh 3.2 PBS.1 PBS.2 2 2..1 1. 1. 1. concentration of peptide ( M)..1 1. 1. 1. concentration of peptide ( M) 17

18 新技術の特徴 従来技術との比較 CTL のみならず 腫瘍特異的 Th を誘導することにより 血管内から腫瘍組織へと T 細胞を積極的に動員し 高い抗腫瘍活性を引き出す免疫法を開発した HLA class II 分子のペプチド結合特性を解析するため ペプチドに抗原提示細胞の膜会合性ペプチダーゼに対する消化耐性を付与する修飾法を考案し ペプチド結合能の定量測定を簡便にできるようにした 消化耐性を付与する末端修飾を加えたペプチドを用いて in vivo における Th 誘導効率を数百倍に高めた MPLA liposome に HLA 結合性ペプチドを包むことにより in vivo T 細胞誘導活性を高めた

19 想定される用途 任意の悪性腫瘍に対して HLA class I および HLA class II 結合性の腫瘍抗原ペプチドをそれぞれ同定して 高い抗腫瘍活性をもつ免疫療法を開発することが可能 Th が認識する HLA class II 結合性ペプチドを予測 同定し 腫瘍免疫のみならず アレルギーや自己免疫疾患の標的抗原を同定することができる

2 実用化に向けた課題 任意の抗原タンパク質について CTL Thが認識するHLA 結合性ペプチドを同定する技術まで開発済み 今後 より高いT 細胞誘導効率を実現するため liposome 製剤のデザインを至適化し 免疫する全個体でT 細胞が誘導できるよう 工夫が必要 Invivoで誘導した腫瘍抗原特異的 T 細胞の体内での存続状況や活性化の程度をモニターする方法の開発が必要 これは 世界でも共通の懸案となっている

21 企業への期待 世界で腫瘍腫ごとに免疫チェックポイント阻害抗体製剤の導入が進んでいる しかし 治療に応答しない症例では エフェクターとなるT 細胞が誘導されていないことが大きな課題となっている それを補完すべく 腫瘍抗原特異的 T 細胞を誘導する技術の開発を進めたい Liposomeを含め DDSの技術を持ち 臨床試験に積極的な企業との共同研究が理想的 ペプチドワクチンを開発中の企業には 我々のペプチド解析技術がお役に立つと思う

22 本技術に関する知的財産権 1 発明の名称 : ヘルパー T 細胞誘導性ポリペプチドの改変 国際公開 :WO/213/89252 出願人 : 高知大学 発明者 : 宇高恵子 2 発明の名称 : 癌の治療剤 特許番号 : 特許第 523941 号 (213.4.12) 米国特許 :No.9,45,556(June 2,215) 出願人 : 阪大微生物病研究会 日本電気株式会社 高知大学 発明者 : 石橋正英 宇高恵子

23 産学連携の経歴 23 年 -26 年日本電気株式会社と共同研究 27 年 -29 年 JST 育成研究に採択 21 年 JST A-STEP(FS) に採択 21 年大塚製薬株式会社と共同研究 211 年 JST A-STEP(FS) に採択 212 年 - 日本電気株式会社と共同研究 214 年 -215 年 JST A-STEP(FS) に採択 214 年 - アストリム株式会社と共同研究

24 お問い合わせ先 高知大学教育研究部医療学系基礎医学部門 ( 免疫学 ) 教授宇高恵子 TEL: 88-88-2317 FAX: 88-88-232 E-mail: udaka@kochi-u.ac.jp 高知大学地域連携推進センター客員教授藤本茂 ( コーディネーター ) E-mail: sfuji@kochi-u.ac.jp