3-(2) 災害対応編を策定する 平成 25 年の台風第 18 号, 平成 26 年 8 月の台風第 11 号,8 月 16 日豪雨と, 京都市内においても, 大きな被害が発生しました 水災害は, 地震に比べて事前予測がある程度可能なので, 災害に備えることができます まず, 地域で想定される浸水想定を把握し, いつ ( 時間, 状況 ) 何を ( 防災行動 ) 誰が ( 実施者 ) をあらかじめ決めておき ( このような事前計画を タイムライン式行動計画 といいます ), 早めに対応することができれば, 災害発生時には避難行動が完了し, 被害を最小限にとどめることができます 京都市防災マップで浸水深が50cm 以上になる地域があれば, 水災害対応のマニュアルを策定しましょう タイムライン式行動計画とは? 浸水などの被害が発生することを前提として, 発災前から関係機関が実施すべき対策を時系列でプログラム化したもの いつ, 誰が, どのように, 何をするかをあらかじめ明確にし, 発災時には全ての者が避難を完了するように行動することで, 被害を最小限に抑えることができるとして, 国土交通省が推進しています 2012 年アメリカを襲ったハリケーンサンディでは, タイムラインに沿って, 地下鉄の運行停止や証券取引所の休場, 避難の呼び掛けなどが実際に行われ, 被害の軽減につながりました 1 浸水深ごとの避難基準 避難基準については, 京都市防災マップの浸水想定に基づいてあらかじめ決めておきます 浸水深 3m 以上緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 浸水深 50cm~3m 河川沿いの家屋緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難平屋建て緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 2 階建て以上上階へ垂直避難 浸水深 50cm 未満河川沿いの家屋緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難河川沿い以外の家屋自宅に待機 40
浸水深 自宅の状況による避難基準 河川沿いの家屋平屋建て 2 階建て以上 浸水深 3m 以上 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 浸水深 50 cm ~3m 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難上階に垂直避難 浸水深 50 cm未満 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 自宅に待機 災害図上訓練で作成した様式 1 で, 各自主防災部の避難基準について確認しましょう 様式 1( データ CD 参照 ) 〇 学区自主防災会 自主防災部名一覧表 地域の集合場所 避難所 緊急避難場所 広域避難場所 ( 平成年月日現在 ) 自主防災部名地震水災害 土砂災害 地域の集合場所ブロック集合場所避難所 水災害時の緊急避難場所 土砂災害時の緊急避難場所 広域避難場所 注 1 内容に変更があった場合は速やかに自主防災会長まで連絡してください 注 2 それぞれの場所について, 住民に周知しておいてください 浸水深 土砂災害 注 3 地震 水災害 土砂災害欄について, 該当する自主防災部に を付けてください 0~0.5m 未満 危険箇所 注 4 水災害欄は, 浸水深に応じて, 土砂災害欄は特別警戒区域 警戒区域に応じて色分けしてください 0.5~3m 未満 警戒区域 注 5 不要な箇所は削除し, 必要な箇所があれば追記してください 3m 以上 特別警戒区域 作成した一覧表は防災行動マニュアルの資料 3 として添付します 41
② 水災害発生までの流れと主な活動 水災害発生までの大まかな流れは次のようになります ただし 事象と行政の対応は目安であり 一致しないこともあります また 気象情報や避難情報は 必ずしもこの順序で発令されるわけではなく 避難準備情 報が発令されずに避難勧告や 避難指示が発令されることがあります 42
防災用語集 5 資料編を策定する P102 を参照 43
マニュアル作成で, まず決めなくてはいけないこと 3 いつ緊急避難場所を開設するか 学区内に避難に関する情報が発令されたり, 地域住民の方々が自主避難をされる場合は, 緊急避難場所を開設していただかなければなりません 自主防災会として, いつ緊急避難場所を開設するのかを決めておく必要があります きっかけとなる 避難に関する情報 は, 大きく 避難準備情報 避難勧告 避難指示 の3つがあります 避難に関する情報 (5 資料編を策定する P103) を参照 ただし, 必ずしもこの順番どお避難準備情報が発令されれば, 要配慮者りに発令されるとは限らず, いきの方が避難行動を開始するので, 緊急避難場所の開設準備をしなければなりません なり避難勧告, 避難指示が発令されることもあります 京都市からの発令は最終的なきっかけとし, にも, 緊急避難場所の開設及び避難を開始するきっかけとなる事象, 避難の伝達方法などを具体的に考えておきましょう 緊急避難場所を必ず開設するときは 避難準備情報が発令されたとき ( 避難準備情報の発令がなく ) いきなり避難勧告が発令されたとき ( 避難準備情報 避難勧告の発令がなく ) いきなり避難指示が発令されたとき 自主防災会で決める緊急避難場所を開設する基準は 例 ) 区役所からの緊急避難場所開設が可能かどうかの事前確認の連絡があったとき 学区内に被害を及ぼす河川の水位情報が発表されたとき 洪水に関する情報 (5 資料編を策定する P103) を参照 1 台風の通過が予測できる状況で, 気象警報が発令されたとき 気象に関する情報 (5 資料編を策定する P106) を参照 予備的避難について 台風はその大きさや規模, 進路の予報からいつ最も接近し, 被害の発生のおそれが高くなるのか予測することができます 日没前に自主避難を完了し, 被害を防ぐというのが予備的避難です 山間部や河川沿いでは暗くなってからの避難はかえって危険ですので予備的避難の取組を進めましょう また, 孤立するおそれのある地域では, 早期に避難が完了できるよう取組を進めましょう 44
地域に伝わる過去の水害の教訓 ( ここまで水が来たら危ないなど ) や過去の水害発生時の河川水位などから決めた基準に達したとき 2 川の水位が m になったときなど, 具体的に記載しましょう 地域住民から, 身の危険を感じるような現象の報告があったとき 3 地域住民から, 自主避難の報告があったとき 3 地域内での被害が発生したとき が浸水したときなど, 過去の経験や言い伝えから具体的に記載できる場合は記載しましょう 必要事項 4 モデル学区自主防災会等の事例紹介 平成 25 年台風時の水位を参考に, 学区内の 川の水位が, mになったら緊急避難場所を開設することを決めており, 河川の水位は, 自主防災会の役員が確認に行っています 学区内で一番初めに浸水する箇所を知っているので, そこの居住者と連絡を取り合い, 緊急避難場所開設のタイミングと決めています テレビやラジオの気象情報や時間雨量等を緊急避難場所の開設や, 避難開始のタイミングの参考としています 緊急避難場所を開設する状況になれば, 各自主防災部長に自主避難場所として各公民館も同時に開設するよう連絡することとしています 45
4 誰が何をするのか いざというときのために役割分担を決めておきます 役割分担表 ( 水災害 )( 様式 3 2) 作成例に, 必要事項を記載していきましょう ( 地震編, 土砂災害編で既に作成した役割分担があれば, それを基に作成します ) 役割分担表ができれば, 防災行動マニュアルの資料 4として添付します 緊急避難場所の開設 緊急避難場所の名称とそこを開設する担当者を記載してください 5 水防活動に使用する資器材の点検 準備 資器材の点検 準備をする担当者を決める場合は記載してください 6 パトロール パトロールする箇所を決めている場合は, その箇所と担当者, いつ実施するのかを記載してください 7 モデル学区自主防災会等の事例紹介 河川パトロールは危険なので実施しませんが, 河川沿いの高層マンションの上階に居住する住民と連絡を密にとり, 河川状況を確認することにしています 上流の降雨状況により水位が急上昇する危険があるので, 河川パトロールは避難準備情報発令までと決めました 毎回溢水する箇所, 過去に被害があった箇所の事前確認 ( パトロール ) と, 土のうの事前配備を実施しています 二次災害のおそれもあり危険なので, 自主防災会から自主防災部へパトロールは依頼しませんが, 消防団が実施されるパトロールの結果について, 情報をいただき共有することにしています 台風では災害発生前に時間的余裕があったので, 自主防災会役員により学区内の水路及び下水溝の点検を実施しました 46
要配慮者に対する情報伝達 要配慮者の方へ誰がどのようにして情報を伝えるか記載してください 8 要配慮者の安否確認 避難支援 (4 日常対策編を策定する P86) を参照 決めなければならない役割があれば記載してください 9 モデル学区自主防災会等の事例紹介 社会福祉協議会等と取り決めがされている地域では独居老人宅へ事前確認等を実施されています 要配慮者をその方の自宅 2 階へどうやってあげるか, 自治会員以外の要配慮者についてもどうやって把握するのか, 日頃から情報をつかむ仕組みが必要です アンケートを配布して, 自治会への加入を促すとともに, 災害時に支援が必要かどうかを記載してもらう取組を開始しました 台風では災害発生前に時間的余裕があるので, 事前に作成している注意喚起ビラに, 緊急避難場所の情報など必要事項を追記して, 要配慮者宅へ配布しました 47
作成例 様式 3 2( データ CD 参照 ) 役割分担表 ( 水災害 ) 氏名 役職氏名 役職備考 緊急避難場所 1 開設 緊急避難場所 2 開設 緊急避難場所 3 開設 資器材の点検 準備 パトロール箇所 1 いつまで パトロール箇所 2 いつまで 48