震災対策編第 3 章震災応急対策計画第 19 節災害時要援護者への配慮 第 19 節災害時要援護者への配慮 災害時においては 災害時要援護者 は行動等に制約があり 迅速 的確な行動を取りにくく 自力による危険回避活動や避難行動に困難を伴うことが多いことから 被災しやすい このため 災害時要援護者に対し 安全確保や各個人の心身の健康状態 ニーズ等に特段の配慮を行い 地域住民等とも連携を取りながらきめ細かな各種支援対策を積極的に推進する 主な実施担当 ( 福 ) 総務班 ( 福 ) 避難収容班 ( 各 ) 応援班 ( 福 ) 援護班 防災関係機関等 東部保健福祉事務所 石巻警察署 河北警察署 石巻地区消防本部 各消防署 地域災害拠点病院 その他防災関係機関 1 高齢者 障害者等への対応災害時には 一般的に災害時要援護者と考えられる 高齢者 障害者 乳幼児 妊産婦等 ( 以下 要援護者 という ) に加え 災害を契機に新たに要援護者となる者に対し 救助 避難誘導 福祉サービスの提供等を状況変化に応じて的確に行うことが必要である このため 市は 災害の発生に備え 個人情報保護に配慮しつつ 災害時要援護者名簿を整備し 災害発生時に効果的に利用することで 要援護者に対する援護が適切に行われるよう努める (1) 安全確保ア社会福祉施設等在所者市は 施設在所者 ( 入所者 従事者等 ) の安否確認を迅速に行い 施設の構造や利用者の身体的特徴を考慮した避難誘導等を行うとともに 施設の危険箇所等の応急修理を行う 県は 状況を把握し 必要な支援を行う イ社会福祉施設等以外の要援護者市は あらかじめ登録された要援護者の在宅情報に基づき 在宅の要援護者の安否確認を 社会福祉協議会 民生委員 町内会等の自主防災組織等との連携支援のもの迅速に行うほか 状況に応じ避難誘導等を行い 避難所等を中心に被災による新たな要援護者を把握する また 未登録の要援護者に対しても 自治会や町内会などとの連携により把握に努める 県は 状況を把握し 必要な支援を行う (2) 援護体制の確立と実施 ア施設従事者及び必要な物資の確保 市は 施設従事者の不足や 日常生活及び福祉サービスに必要な物資の不足状況 - 237 -
震災対策編第 3 章震災応急対策計画第 19 節災害時要援護者への配慮 を把握し 関係機関と連携し確保する 次の緊急援護を実施する場合にも 必要と なるマンパワー 日常生活及び福祉サービスに必要な物資を同様に確保する 県は 状況を把握し 関係機関との調整及び必要な支援を行う イ緊急援護 ( ア ) 受け入れ可能施設の把握 市は 関係機関と連携し 被災による要援護者の受入れ可能な社会福祉施設 民間賃貸住宅 旅館 ホテル等を把握する 県は 状況を把握し 必要な支援を行う ( イ ) 福祉避難所の開設 市は 福祉避難所の対象となる避難者がおり 福祉避難所の開設が必要と判 断する場合は 福祉避難所を開設し 関係機関及び各避難所に対し 福祉避難 所の開設について周知するよう努める ( ウ ) 相互協力体制 市は 社会福祉協議会 民生委員 ケアマネジャー 介護職員等の福祉サー ビス提供者 障害者団体等の福祉関係者 要援護者の近隣住民 ( 自主防災組織 等 ) ボランティア組織などとの連携により 要援護者の安全確保に関する相互 協力体制により援護を行う ウ対策実施上の時期区分 災害時要援護者支援対策については 市災害時要援護者支援マニュアルに基づき 実施し 災害発生後の事態の推移によっては その都度市社会福祉協議会その他協 力団体並びに民生委員等と協議して決定し 概ね次の 3 つの時期区分に基づき段階 的に行う 区分期間の目安措置の目安 災害発生初期の緊急措置 ( 避難所開設初期 ) 住宅移転 帰宅等の準備措置 ( 避難所開設後期 ) 住宅移転 帰宅期 ( 避難所閉鎖以降 ) 災害発生後 7 日目まで 災害発生後 8 日目以降 1 4 日目まで 災害発生後 1 5 日目以降 災害時要援護者 の安否確認 所在把握 避難所その他所在地における応急的な介助支援 災害時要援護者専用避難所の確保及び必要な移送措置 避難所その他所在地における設備の補修 新設 災害時要援護者向け住宅供給ニーズの把握と供給の推進 災害時要援護者向け広報活動及び相談業務 避難所その他所在地における設備の補修 新設 避難所その他所在地における巡回ケアサービス 災害時要援護者専用避難所の確保及び必要な移送措置 災害時要援護者向け住宅供給計画の作成及び建設等 災害時要援護者向け広報活動及び相談業務 仮設住宅その他所在地における巡回ケアサービス 長期ケアサービス体制確立に関して必要な措置並びに平常時地域福祉システムへの移行計画の検討 その他災害時要援護者に関する広報活動及び相談業務 - 238 -
(3) 福祉避難所の設置 ア目的 津波災害対策編第 3 章津波災害応急対策第 19 節災害時要援護者への配慮 一般避難所において 生活が困難な高齢者 障害者等介助を要する避難者 ( 災害 時要援護者 ) を収容し 避難生活を支援する イ設置基準 一般避難所に災害時要援護者が多数避難した場合 災害対策本部長は二次避難所 として福祉避難所を設置する 福祉避難所は 原則的に障害者施設 介護保険施設など設備が充実した民間の施 設を優先的に設置することとする ただし 民間施設の収容人数等により収容が困 難な場合は 公共施設への設置を行う ウ体制 福祉避難所は 災対健康部及び災対福祉部が運営し 医師 看護師の派遣を必要 とする場合は 災対病院部等と協議し派遣を要請する エ活動内容 ( ア ) 要援護者受入要請の受付 ( 避難収容班 ( 保護課 ) 又は避難所運営班から受け る ) ( イ ) 要援護者の受入搬送 ( 搬送車の運行 ) ( ウ ) 要援護者の搬送用車両及び燃料の確保 ( エ ) 介護 援護用資機材の調達 ( 介護ベッド 簡易トイレ等 ) ( オ ) 要援護者の介護支援 ( ただし 原則 介護は家族が行う ) ( カ ) 医療機関への交通手段の確保 ( バスの運行など ) (4) 避難所での援護ア援護体制と支援市は 要援護者が避難所に避難した場合には 福祉団体関係者や福祉ボランティアに加え 必要に応じガイドヘルパーや手話通訳者などによる援護体制を確立する 特に 障害者用の装具 医薬品 育児用品 介護用品などの福祉用品は代替が難しく 被災直後は確保が難しい面もあることから 近隣福祉施設へ支援を要請するなど速やかに対処する イ健康状態への配慮アレルギー症状や糖尿病 高血圧などの食事療法が必要な要援護者に対しては 事前の聞き取り調査等から得られる情報をもとに個別に対処する 特に避難場所での健康状態を把握し 応急仮設住宅や高齢者 障害者向け応急仮設住宅等への優先的入居に努める また 要援護者に向けた情報の提供についても 十分配慮する ウ専門職による相談対応市は 被災地及び避難所における要援護者等に対し 災害によるショック及び避難生活の長期化に対応するため 社会福祉士 介護福祉士 児童相談員等の専門職による相談等の対応を行う エ福祉避難所への移送 - 239 -
津波災害対策編第 3 章津波災害応急対策第 19 節災害時要援護者への配慮 市は 指定避難所に避難した要援護者について 福祉避難所への移送が必要と判 断する場合は 開設した福祉避難所に移送を行う (5) 応急仮設住宅の設置応急仮設住宅への入居に当たっては 要援護者に十分配慮し 特に高齢者 障害者は避難所等での健康状態に応じて 応急仮設住宅への優先的入居や 高齢者 障害者に配慮した応急仮設住宅の設置等に努める また 入居者が従来のコミュニティーを維持できるよう配慮する (6) 被災者総合支援センターの活用災対福祉部長は 災害時要援護者対策 の一環として 関係各部長と連携し関係団体 専門ボランティア等の協力を得て 市本庁舎内に設置される予定の被災者総合支援センターに 高齢者や障害者 日本語を話さない外国人 人工透析者等のいわゆる 災害時要援護者 が 市の行う救助救援サービスや生活復旧支援サービス等を支障なく受けられるよう必要な要員の確保その他の措置を講ずるよう努める (7) 児童の保護等のための情報伝達市は 被災者に対し 掲示板 広報紙等の活用 報道機関の協力 インターネット等の活用により 要保護児童を発見した際の保護及び児童相談所等に対する通報への協力を呼びかけるとともに 利用可能な児童福祉サービスの状況 児童福祉施設の被災状況及び復旧状況等について的確な情報提供を行う 2 外国人支援対応県及び市は 災害時に迅速に外国人の安否確認を行うとともに 外国人が孤立しないよう必要な情報を収集し 提供を行うものとする (1) 市は 把握している在住外国人の現状やニーズを基に作成した防災計画に従い必要な対策を講じる (2) 市は 外国人の迅速な安否確認を行うと共に 大使館及び日本赤十字社等を通して 照会のあった在住外国人について安否確認を行い 調査結果を依頼先に連絡する (3) 市は 状況に応じ広報車や防災無線等により 外国語による広報も行い 外国人の 安全かつ迅速な避難誘導を行う (4) 市は ライフライン等の復旧状況 食糧 水 生活必需品の配布 避難所 医療 ごみ 入浴等の生活や災害に関連する災害情報等を掲示する場合 災害時多言語表示 シート等による外国語での掲示も行い 外国人の不安の解消を図る (5) 県は テレビ ラジオ インターネット等を活用し 外国語による災害情報を提供 し外国人の不安の解消を図る - 240 -
津波災害対策編第 3 章津波災害応急対策第 19 節災害時要援護者への配慮 (6) 県は 通訳ボランティア制度を活用し 必要に応じ 市に通訳者を派遣する また この制度により通訳者が充足できない場合は 必要に応じ 他都道府県 地 域国際化協会 国際交流団体 大学等に通訳者の派遣を要請する (7) 県は 在日外国大使館や日本赤十字社等を通して外国から照会のある在住外国人の 安否確認について 市町村や関係機関の協力を得て調査し 回答する また 外国人 の被災が確認された場合は 直ちに母国の在日大使館に連絡するものとする (8) 県及び市は 宮城県国際化協会 地域の国際交流団体等と協力し 相談窓口を設け るなど 外国人からの身近な相談に対応することにより 外国人の不安の解消や問題 の解決を図る 3 旅行客への対応県は 災害時の旅行客の被災状況について 日本旅行業協会東北支部及び全国旅行業協会宮城県支部から情報を収集し 状況の把握に努めるとともに 災害応急対策の実施に際して関係機関等から情報提供の要請があった際には 迅速に提供する また 旅行社向けの宿泊情報や交通情報等を様々な言語や方法により県の施設やホームページ 観光地 主要ターミナルへ提示し情報提供を行う 市内の旅館 ホテル等の観光施設管理者は 災害時は的確に観光客の避難誘導を行い 安全確保に努める また 災対産業部は 災害時の観光客の被災状況について 日本旅行業協会東北支部及び全国旅行業協会宮城県支部から情報を収集し 状況の把握に努めるとともに 災害応急対策の実施に際して関係機関等から情報提供の要請があった際には 速やかに提供を行う 道路損壊等により孤立した観光客等の救出 移送活動について 関係機関と連携を図り迅速かつ的確に行う 4 社会福祉施設等に係る対策 (1) 入所者 利用者の安全確保ア各社会福祉施設等の管理者は あらかじめ定めた避難誘導方法に従い 速やかに入所者 利用者の安全を確保する イ個々の入所者 利用者のニーズに応じた医療施設及び社会福祉施設等の受入先を確保し 施設入所者の移送を援助する また 援護の必要性の高い被災者を優先的に隣接する地域の社会福祉施設等に入所させる (2) 市への応援要請等 ア社会福祉施設等の管理者は 日常生活用品及び人員の不足数について 市に対し 他の施設からの応援のあっせんを要請する - 241 -
津波災害対策編第 3 章津波災害応急対策第 19 節災害時要援護者への配慮 イ社会福祉施設等の管理者は それぞれの施設で保有する資機材を相互に活用する ことにより 被災地の社会福祉施設等の支援を行う (3) 市及び県の支援活動ア市と県は ライフラインの復旧について 当該社会福祉施設等の早期の機能回復が図られるように優先的な対応を各事業者へ要請する イライフラインの復旧までの間 施設管理者は 社会福祉施設等で備蓄している水 食糧 生活必需品等を入所者に配布するなどの対応をとるものとする ただし それらが不足する場合は 施設管理者の協力要請に基づき 市及び県が当該物資等を提供するなど必要な措置を講ずる ウ市は ボランティア 自治会組織 近隣住民等へ情報提供などを実施し 人員を確保する 5 応援要請先となる県その他関係機関 団体等の目安 災対保健福祉部長及び災対総務部長は その他災害時要援護者 の災害時における当 面の応急的措置対策を迅速かつ適切に行うため 次に示す事項を目安として速やかに応 援 協力を要請する 項目 観光客及び外国人 難病患者 人工透析患者 食物アレルギー 応援要請先となる機関 団体 要請先機関 団体等 外務省 ( 各国大使館 公使館 領事館等への連絡 仲介を含む ) 県 ( 保健福祉部 産業経済部 ) 県警本部 石巻警察署 河北警察署 ユネスコ協会 周辺各大学 各種支援 相互扶助組織 日本放送協会 仙台放送局 新聞 テレビ ラジオその他報道機関 県国際交流協会 国際交流団体 日赤宮城県支部 日本旅行業協会東北支部 全国旅行 業協会宮城県支部 その他各支援 相互扶助組織 厚生労働省 県 ( 保健福祉部 東部保健福祉事務所 ) 日赤宮城県 支部 宮城県医師会 石巻市医師会及び桃生郡医師会 石巻市社 会福祉協議会 市ボランティアセンター ミヤコーバス ( 株 ) 各 支援 相互扶助組織 県 ( 保健福祉部 東部保健福祉事務所 ) 日赤宮城県支部 日本透 析医学会 日本透析医会 宮城県医師会 石巻市医師会及び桃生 郡医師会 全国腎臓病患者連絡協議会 その他各支援 相互扶助 組織 ミヤコーバス ( 株 ) 県 ( 保健福祉部 東部保健福祉事務所 ) 日赤宮城県支部 石巻市 医師会及び桃生郡医師会 その他各支援 相互扶助組織 - 242 -