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資料1-1 HTLV-1母子感染対策事業における妊婦健康診査とフォローアップ等の状況について

はじめての子どもが生まれる前に 赤ちゃんの世話をしたことがある割合 (25 年度と 20 年度の 比較 ) 利用ニーズ把握のための調査 ( 平成 20 年 ( 市民意識調査 ) 25 年 ( 未就学児 )) < 平成 20 年 > 無回答 2.9% < 平成 25 年 > 無回答 %

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

豊川市民病院 バースセンターのご案内 バースセンターとは 豊川市民病院にあるバースセンターとは 医療設備のある病院内でのお産と 助産所のような自然なお産という 両方の良さを兼ね備えたお産のシステムです 部屋は バストイレ付きの畳敷きの部屋で 産後はご家族で過ごすことができます 正常経過の妊婦さんを対

Ⅲ 各種施策及び事業の動向 第 1 妊娠 出産期から乳幼児期にかけての子育て支援 4 乳児健康診査 (1) 根拠法令等 母子保健法 厚生省児童家庭局長通知 仙台市乳児健康診査実施要領 (2) 制度の概要 事業目的 対象者 実施機関 一般健康診査 精密健康診査 乳児の心身の異常を早期に発見し, 早期に

系統看護学講座 クイックリファレンス 2012年 母性看護学

併せて 妊娠 出産 更年期など女性特有の生涯にわたる健康問題を気軽に相談できるよう 対 応を充実させる必要があります はじめての子どもが生まれる前に 赤ちゃんの世話をしたことがある割合 (25 年度と 20 年度の 比較 ) 横浜市利用ニーズ把握のための調査 ( 平成 20 年 ( 市民意識調査 )

資料 3 全国精神保健福祉センター長会による自殺予防総合対策センターの業務のあり方に関するアンケート調査の結果全国精神保健福祉センター長会会長田邊等 全国精神保健福祉センター長会は 自殺予防総合対策センターの業務の在り方に関する検討チームにて 参考資料として使用されることを目的として 研修 講演 講

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

医科診療報酬点数表関係 別添 1 在宅患者支援療養病床初期加算 在宅患者支援病床初期加算 問 1 療養病棟入院基本料の注 6の在宅患者支援療養病床初期加算及び地域包括ケア病棟入院料の注 5の在宅患者支援病床初期加算の算定要件に 人生の最終段階における医療 ケアの決定プロセスに関するガイドライン 等の

Microsoft PowerPoint - 参考資料

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会場対象者申込み方法 刈谷市保健セン初妊婦とその夫保健師 助産師 保育士電話または来所で予約ふれあい遊び 沐浴体験 妊婦体験 ハイリスク者向け事業 ( 多胎児 外国人 転入者対象 MCG 等 ) 名称時期 回数会場対象者申込み方法 マタニティサロン 広場等 名称フレッシュ ママクラスマタニティーサロ

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多くの大学においては 新入生のオリエンテーション時やサークルの代表者に 未成年者の飲酒の防止と イッキ飲み 等過剰飲酒の禁止に関する指導や啓発が行われています また 平成 27 年度からは 県保健所 精神保健福祉センター等が中心となり 大学生向けのアルコール健康障害や適正飲酒の知識に関する出前講座を

深夜勤務の制限 5 妊産婦の時間外 休日 妊娠中の女性が 母体または胎児の健康保持のため 深夜勤務や時間外勤務等の制限を所属長に請求できます 病院助手専攻医臨床研修医 6 妊娠中の休息 妊娠中の女性は 勤務時間規程に規定する 職務に専念する義務の免除 を利用して 母体または胎児の健康保持のため 勤務

公的医療保険が対象とならない治療 投薬などの費用 ( 例 : 病院や診療所以外でのカウンセリング ) 精神疾患 精神障害と関係のない疾患の医療費 医療費の自己負担ア ) 世帯 ( 1) における家計の負担能力 障害の状態その他の事情をしん酌した額 ( しん酌した額が自立支援医療にかかった費用の 10

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系統看護学講座 クイックリファレンス 2013年7月作成

Ⅰ 基本構想の策定 1 策定の趣旨魚津市では 平成 14 年から毎年 1 か所ずつ分娩施設の休業等が続き 平成 18 年 8 月には 市内には分娩できる施設がなくなりました 以来 魚津市民や里帰りされる方々は 止むを得ず市外で出産せざるを得ない状況となっていました この間 多くの市民からは 市内で安

07佐渡


別添 1 抗不安薬 睡眠薬の処方実態についての報告 平成 23 年 11 月 1 日厚生労働省社会 援護局障害保健福祉部精神 障害保健課 平成 22 年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業 向精神薬の処方実態に関する国内外の比較研究 ( 研究代表者 : 中川敦夫国立精神 神経医療研究センタートラン

3 歯科医療 ( 救護 ) 対策 管内の歯科医療機関の所在地等のリスト整理 緊急連絡網整備 管内の災害拠点病院 救護病院等の緊急時連絡先の確認 歯科関連医薬品の整備 ( 含そう剤等 ) 自治会 住民への情報伝達方法の確認 病院及び歯科診療所での災害準備の周知広報 - 2 -

目次 1 目的 4P 2 運用 5P 3 妊婦 親子連絡票を用いた連携手順 6P 資料 [ 別紙 1] 気がかりな妊婦 親子管理台帳 [ 別紙 2] 妊婦 親子連絡票 ( 発信用 ) [ 別紙 3] 妊婦 親子連絡票 ( 返信用 ) [ 別紙 4] 気がかりな妊婦 親子管理台帳 ( 受信 ) [ 添

301226更新 (薬局)平成29 年度に実施した個別指導指摘事項(溶け込み)

スライド 1

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医薬品の添付文書等を調べる場合 最後に 検索 をクリック ( 下部の 検索 ボタンでも可 ) 特定の文書 ( 添付文書以外の文書 ) の記載内容から調べる場合 検索 をクリック ( 下部の 検索 ボタンでも可 ) 最後に 調べたい医薬品の名称を入力 ( 名称の一部のみの入力でも検索可能

添付文書情報 の検索方法 1. 検索条件を設定の上 検索実行 ボタンをクリックすると検索します 検索結果として 右フレームに該当する医療用医薬品の販売名の一覧が 販売名の昇順で表示されます 2. 右のフレームで参照したい販売名をクリックすると 新しいタブで該当する医療用医薬品の添付文書情報が表示され

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市町村名 岡崎市 窓口 岡崎市保健部健康増進課 住所 岡崎市若宮町 2 丁目 1 番地 1 電話 FAX URL

妊産婦のメンタルヘルスケア

Taro-【新旧】医療観察診療報酬告

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氏名:野崎 律子 (のざきりつこ)

緩和ケア研修会における e-learning の導 について 市 札幌病院精神医療センター副医 上村恵 ( 特定 営利活動法 本緩和医療学会委託事業委員会委員 )

医療連携ガイドライン改

乳幼児健康診査について


⑤5 地方公共団体における検証等に関する調査結果

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中国人ママの育児用品の購入に関する調査(2016)

【第6回】資料3岡井先生4

1 現状と課題

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問 3 問 2 で と回答した方は 上記対策で何を見て知ったか ( 複数回答可 ) % 問 4 問 2で と回答した方は 下記対策で利用したいまたは既に利用しているものは 問 4 何か ( 複数回答可 ) 特定健診 特定保健指導対策 10 (41.9%) がん ( 婦人


2 医師不足等に対応した地域における周産期医療の確保について 周産期医療に携わる医師の不足や偏在には 産科 産婦人科を専攻する医師が減少していること 小児科医師のうち新生児医療を専攻する医師が少ないこと 医師が限られた都市部の病院に集中しがちであること 小児科 産婦人科共に女性医師の割合が増加してい

4 月 17 日 4 医療制度 2( 医療計画 ) GIO: 医療計画 地域連携 へき地医療について理解する SBO: 1. 医療計画について説明できる 2. 医療圏と基準病床数について説明できる 3. 在宅医療と地域連携について説明できる 4. 救急医療体制について説明できる 5. へき地医療につ

Microsoft Word _ソリリス点滴静注300mg 同意説明文書 aHUS-ICF-1712.docx


練馬区国保における糖尿病重症化 予防事業について 平成 29 年 3 月 6 日練馬区区民部国保年金課 1 東京都糖尿病医療連携協議会配布資料

保健師管理栄養士 窓口 電話 FAX メール 保健師 栄養士の会に分けることで よりきめ細かな内容になっている 就労している方にも参加しやすいように 土曜日開催日を設けている ハイリスク者向け事業 ( 多胎児 外国人 転入者対象 MCG 等 ) ティーンズママの会 ( 子ども ノーバディズパーフェク

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3 母子保健事業の量の見込みと提供体制 1 安心して妊娠期を過ごし出産を迎えることができる 親になるための準備と産じょく期の支援 子どもや母親の健康の確保 (1) 母子健康手帳の発行 現状と課題妊娠 出産期から子育てまでの途切れない支援の出発点として 母子健康手帳の交付を保健師が行うことで 妊婦の健

Microsoft Word - 退院後生活環境相談員

時期場面子ども自身の問題 乳 児 期 乳児訪問 1~2 か月訪問 乳児健診 (3~4 か月 7~8 か月 10 か月 ) 健診時に要チェック項目がある ( 体重増加が悪い 先天性の疾患がある等 ) 既往歴がある ( 硬膜下血腫 頭蓋骨骨折 ) 気持ちを苛立たせるような泣き声 あやしても泣き止まない

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)各 職場復帰前 受入方針の検討 () 主治医等による 職場復帰可能 との判断 主治医又はにより 職員の職場復帰が可能となる時期が近いとの判断がなされる ( 職員本人に職場復帰医師があることが前提 ) 職員は健康管理に対して 主治医からの診断書を提出する 健康管理は 職員の職場復帰の時期 勤務内容

受付 母子受付 妊婦受付の設置 各書類と筆記用具 書類箱の準備 リーダー * 具体的な責任者名 あるいは役職を書くを確認する 受付と案内 (* 具体的な場所を書くに配置 ) の要員振り分け < 母子 妊婦到着時 > 母子は母子受付 妊婦は妊婦受付へ案内する 父親は体育館に入る * 家族の部屋を明記す

< 目次 > Ⅰ 基本構想の策定 1 策定の趣旨 2 基本構想の位置づけ 3 現状と課題 めざす姿 4 基本理念 5 基本方針 6 基本方針を実現するために 7 新施設のイメージ Ⅱ 各機能の概要 1 分娩できる施設 ( 産科施設 ) (1) 整備の背景 (2) 整備の概要 (3) 新生児への対応

がんの診療の流れ この図は がんの 受診 から 経過観察 への流れです 大まかでも 流れがみえると心にゆとりが生まれます ゆとりは 医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう あなたらしく過ごすためにお役立てください がんの疑い 体調がおかしいな と思ったまま 放っておかないでください な

Sanyo Gakuen University 山陽論叢第 19 巻 (2012) 論文 我が国の産後うつ病に関する文献の検討 梅﨑みどり * 富岡美佳 * 國方弘子 ** キーワード : 産後うつ病 妊産婦のメンタルヘルス 養育態度 要旨 : 本研究の目的は, 産後うつ病に関する文献を概観し, 産

安心して育 子育てに自信 集計後設定 児ができる母が持てない母 親の増加 親の割合 父親の育児参加に満足する母親の割合 産後うつ病のリスクのある産婦の割合 子どもの健やかな成長のためには 母親が安心かつ自信を持って育児することが重要である 引き続き 育児不安の軽減や虐待予防に取り組む必要があり 健や


Microsoft PowerPoint - 拡大2010.1月_web [互換モード]

スライド 1

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妊娠 出産 不妊に関する知識の普及啓発について 埼玉県参考資料 現状と課題 初婚の年齢は男女とも年々上昇している 第一子の出生時年齢も同時に上昇している 理想の子ども数を持たない理由として 欲しいけれどもできないから と回答する夫婦は年々上昇している 不妊を心配している夫婦の半数は病院へ行っていない

精神科救急情報センターの機能等

目 次 Ⅰ 子育てのサポート 1 妊娠前 妊娠中のサポート 1 生理休暇 2 不妊治療の受診 3 妊娠障害 ( つわり ) 休暇 4 健康診査及び保健指導に係る休暇 5 危険有害業務の就業制限 6 深夜勤務及び時間外勤務の制限 7 通勤緩和措置 8 職員の休息等 2 出産前後のサポート 1 産前 産


< HTLV 1 ウイルスについて > HTLV 1 ウイルスはヒト T 細胞白血病ウイルス 1 型と呼 ばれ 成人 T 細胞白血病などの原因であることが分かっています 日本は先進国の中でHTLV 1 抗体の陽性者が最も多く 100 万人を越えています 西日本に多くみられましたが 人口の移動とともに

2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

乳児家庭全戸訪問事業(一部改正)

○国民健康保険税について

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別紙様式 (Ⅱ)-1 添付ファイル用 本資料の作成日 :2016 年 10 月 12 日商品名 : ビフィズス菌 BB( ビービー ) 12 安全性評価シート 食経験の評価 1 喫食実績 ( 喫食実績が あり の場合 : 実績に基づく安全性の評価を記載 ) による食経験の評価ビフィズス菌 BB-12

障害児・発達障害支援_

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赤ちゃんのために 出生届 生まれた日から 1 4 日以内に届け出てください 出生地 本籍地 住所地のいずれかの区市町村窓口で受け付けます 出生届 をご覧ください 帰島後訪問 出産後に帰島されたお子様の発育 栄養 生活環境 疾病予防等必要に応じて保健師が訪問し 相談を行います また 村の母子健康事業の

甲状腺機能が亢進して体内に甲状腺ホルモンが増えた状態になります TSH レセプター抗体は胎盤を通過して胎児の甲状腺にも影響します 母体の TSH レセプター抗体の量が多いと胎児に甲状腺機能亢進症を引き起こす可能性が高まります その場合 胎児の心拍数が上昇しひどい時には胎児が心不全となったり 胎児の成

4 父親も育児参画しよう! 父親となる職員に, 配偶者出産休暇や男性の育児参加休暇を取得するよう働き掛けましたか 対象の職員全てに働き掛けは行われている 回答数 76 0 全人数割合 (%) 対象者なし 293 配偶者出産休暇 (3 日 ) 数値目標 31 年度までに配偶者出

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(1) 庁内外の関係機関と密に連携を図りつつ必要に応じてひとり親家庭を訪問 1 背景ひとり親家庭からの相談窓口に寄せられる相談件数は増加傾向にある また養育に問題を抱える父母からの相談 父母や子どもが精神的に不安定であるケースに関する相談等 相談内容やその背景も複雑化してきていることから 碧南市では

高齢者の健康及び長寿医療制度アンケート調査のご協力のお願い

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平成 30 年 2 月号 2 皆で支える地域医療シリーズ周産期医療の現状と取り組み医療機関と地域住民が手を取り合ってより良い地域社会を築いていくためにできることをシリーズで考えていきます 今回のテーマは 妊婦の産前と産後の期間をみる 周産期医療 です 市内の周産期医療に関わる方々のお話などを通して

( 注意 ) 1 用紙の規格は 日本工業規格 A 列 4 番とする 2 1~3 の欄は 申請に係る疾病について医療を受けた者の氏名 性別 生 現住所及び電話番号を記入する 3 4~11 の欄は PMDA( 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 ) から障害児養育年金 障害年金の認定において疾病に係る医

4 受けられる手当 助成 児童手当 子ども課 ( ) 児童を養育している方に手当を支給することにより 家庭における生活の安定に寄与 し 次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的として支給されます * 支給対象 中学校卒業まで (15 歳の誕生日後の最初の 3 月 31 日ま

■● 糖尿病

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Microsoft Word - 日薬連宛抗インフル薬通知(写).doc

News Release 報道関係各位 2015 年 6 月 22 日 アストラゼネカ株式会社 40 代 ~70 代の経口薬のみで治療中の 2 型糖尿病患者さんと 2 型糖尿病治療に従事する医師の意識調査結果 経口薬のみで治療中の 2 型糖尿病患者さんは目標血糖値が達成できていなくても 6 割が治療

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平成 29 年 11 月 27 日 ( 月 ) 社会的ハイリスク妊娠の支援によって児童虐待 妊産婦自殺を防ぐ公開シンポジウム 大阪府妊産婦こころの相談センター 活動報告 ( 公 ) 大阪精神科診療所協会会長 堤俊仁

大阪府妊産婦こころの相談センターの概要

事業のターゲット 大阪府こころの健康総合センター平山照美医師提供 育児支援 連携 ココ 妊産婦 精神科救急の対象 精神疾患合併の妊産婦 事業のターゲット 精神障がい障がい福祉 精神疾患精神科医療 メンタルヘルス

妊産婦への周知方法 行政 母子健康手帳を交付時にカードを配布 大阪府のホームページに掲載 このような検索ワードで 産科医療機関 ポスターの掲示 カードの配布 大阪 上位にヒット産後うつ

過去 1 年の統計 (H28.10~H29.9) 相談件数 45 42 40 35 33 34 30 28 25 20 15 16 17 13 18 22 23 21 25 10 5 0 5 4 4 4 3 2 1 1 1 1 0 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 4 電話相談件数 医師面談件数

過去 1 年の統計 (H28.10~H29.9) 関係機関, 15 友人, 4 家族, 10 相談者 妊婦 / 褥婦 不明, 9 対象外, 22 妊婦 褥婦, 9 妊婦, 98 本人, 135 褥婦, 154

過去 1 年の統計 (H28.10~H29.9) 医師面談, 8 対応方法 相談員面談, 0 電話コンサル, 32 相談時間 1 時間以上, 16 その他, 0 他機関連絡, 48 他機関紹介, 140 電話対応, 280 30 分 -60 分未満, 107 30 分未満, 169

社会的背景の相談内容 母乳がう まくでき ない なぜ泣い てるかわ からない 泣きながらの電話が多い 母乳は 足りて いるの 育児書の とおりに 行かない 夫が理解 してくれ ない 一人で いるの が不安 実家の 親に頼 れない 自分の育家事がし児が正しんどいいか心配 姑との 関係 子どもが 病気じゃ ないか 社会か らの疎 外感 心理社会的背景 = 家族関係の葛藤 孤立 = 支援者の不在

保健センター 妊産婦および家族 産婦人科医療機関 相談相談相談 強化依頼 大阪府妊産婦こころの相談センター 大阪精神科病院協会大阪精神科診療所協会 大阪府立母子保健総合医療センター ( 産科拠点機関 ) 大阪府こころの健康総合センター 精神科医の派遣 精神保健 福祉領域でのサポート 市町村福祉窓口 保健福祉センター 妊産婦および家族への相談支援適切な支援機関へのつなぎ関係機関への助言 産婦人科医療機関 保健所 子ども家庭センター こころのサポートが必要な妊産婦やその家族 精神科医療機関

大阪府内精神科医療機関を対象とした 妊産婦メンタルヘルスに関する現状調査 2016 年 2 月 18 日大阪府委託事業 妊産婦こころの相談センター 開設 同センターでは 精神的に不安定な妊産褥婦とその関係者 機関からの相談に応じ 必要時には精神科医療機関へ繋ぐことを目的としている センター開設に合わせて 大阪府内精神科医療機関での妊産褥婦の診察の現状や問題点 課題を知るために 現状調査を行った

結果 : 回答施設 有効回答数 :128(23.8%) 1% 2% 1% 9% 9% 78% 総合病院 ( 産科併設 )n=11 総合病院 ( 産科無 ) n=3 精神科病院 =11 有床診療所 n=1 無床診療所 n=101 その他 n=1

精神症状を伴う妊産婦の診療で困難を感じる点 ( 複数選択可 ) 120 100 80 60 40 20 0 困難な点なしその他妊産婦特有の精神症状家族への対応産科症状への対応産科との連携薬に関して

精神症状を伴う妊産婦の診療で整備が求められるシステム ( 複数選択可 ) 100 80 60 40 20 0 その他妊産婦特有の精神症状他の精神科との連携薬の勉強会薬の相談サービス産科との連携

妊産婦こころの相談センター支援事業大精診の取り組み 平成 27 年 2 月より大阪府の 妊産婦メンタルケア連携事業 に参画 活動内容 週に 1 回相談センターにて 精神科医による面接相談 ( 大精診 大精協で交代制 ) 精神科医の立場から相談員へのアドバイス

妊産婦メンタルストレス支援事業の新たな展開 平成 29 年 10 月より 産後 2 週間から 1 か月での産褥婦健診事業が大阪府下の一部の市町村でスタート 今後全市町村に展開される 健診項目にエジンバラ産後うつ病質問票を含むメンタルヘルスに関する質問項目が設定された 一定の支援が必要と判定された方の一部が最寄りの精神科医療機関に受診を勧められることとなった 大精診の会員診療所にも 緊急に受診が必要と判定された産褥婦の受診依頼が来る可能性が生じる

アンケート調査の概要妊産婦メンタルストレス支援に関して 妊産婦 産褥婦メンタルケアに関して 大精診会員の意識調査を行い 回答の傾向や会員の意見から今後の課題を抽出する あわせて本事業についての大精診会員への啓発を目的としてアンケート調査を企画 調査項目は全 11 問すべて選択肢方式一部自由記載 発送数 ; 311 回答数 ; 94 回答率 ; 30.2% アンケートの結果は 平成 29 年 11 月 11 日に実施予定の大阪府妊産婦こころの相談センター主催研修会の場で発表する

アンケートの内容 1 1. 通院中の患者から挙児希望を相談されたらどう対応しますか 2. 通院中の患者さんから妊娠を告げられた時どう対応しますか 3. 妊娠をした通院患者の治療を続けると回答した方にお尋ねします 投薬をどうしますか ( 複数回答 ) 4. 設問 3 で 病状や疾患によって対応が異なる または その他 と回答された方にお尋ねします 疾患ごとの対応について 5. 妊娠中の患者さんを新患として治療を引き受けますか ( 複数回答 ) 6. 産褥期 ( 産後 1 年以内 ) のメンタルストレスの緊急事例の治療を引き受けますか ( 複数回答 )

アンケートの内容 2 7. 妊娠と薬情報センターについて知っていますか? ( 複数回答 ) 8. 平成 28 年の児童福祉法改正に伴い 支援を要する妊婦等 が把握された場合 特定妊婦 として市町村に情報提供することが努力義務となったことをご存知ですか 9. 妊産婦 授乳期の女性に対する向精神薬治療についての研修を受けたことがありますか 10. 大精診の卒後研修のテーマとして 向精神薬と妊娠 授乳 に関する研修には関心がおありですか 11. 妊産婦 授乳期のメンタルヘルスに関して ご意見を自由記載

アンケートを通じて明らかとなった点 1 通院中の患者の挙児希望には 90% 以上の精神科医が自身で対応すると回答 妊娠を告げられた場合には引き続き治療を担当するものは 63% 程度だった リスクを説明し判断を患者に委ねるが 21% あった 妊娠中の向精神薬の投薬に関しては 単剤化や病状や疾患によって対応が異なるという回答が 80% 以上を占めた 初回うつ病では 投薬しない 妊娠初期は投薬しない が 50% 以上を占め 疾病リスクよりも向精神薬投与によるリスクを多くとる傾向があることがうかがわれた 新患として妊婦を引き受けるかという設問に 51% が引き受けると回答 産褥期の緊急事例についても 地域の産科医療機関からなら引き受けるというものが 34% あり 緊急時入院先の確保や家族の協力という条件があれば引き受けるを加えると 72% が協力的であった 一方で授乳しないという条件を付けたものが 14% あった

アンケートを通じて明らかになった点 2 妊娠と薬情報センターについては 知らないと利用したことがないという回答が 63% を占め 十分に活用されていない実情 支援を要する妊婦等 が把握された場合の市町村への通報努力義務を知らなかったものが 70% 以上を占めており 精神科医にも児童福祉法改正の啓発が必要 向精神薬と妊娠 授乳に関しての研修にはほとんどの精神科医を強い関心があることが分かった

設問 4 病状や疾患によって対応が異なる 場合

5. 妊娠中の患者さんを新患として治療を引き受けますか ( 複数回答 )

6. 産褥期 ( 産後 1 年以内 ) のメンタルストレスの緊急事例の治療を引き受けますか ( 複数回答 )

妊娠 授乳期の添付文書の問題点 投与禁 ( 投与しないこと等の文言がある ) と記載された医薬品が諸外国と比べて多い 日本全医薬品の約 25% FDA ( 米国食品医薬品局 ) 約 5% 諸外国では妊娠 授乳期に安全とされている医薬品の一部が 特に根拠も示されずに 製造業者や輸入業者の判断で 日本では禁忌となっている 有益性投与 と記載された医薬品も多い 一般的に医師は危険性が有益性を上回る物質を患者に投与しないので判断根拠にならない ( 向精神薬と妊娠 授乳南山堂 )

産褥期の精神症状の調整と授乳の両立 日本 母乳中に薬物が移行する という理由でほとんどの向精神薬で禁止 諸外国 一部の薬物を除いて新生児の血中濃度 ( 母体の 1% 以下 ) は低く 薬物濃度は乳児の摂取量のみに依存せず排泄能力も重要とされ 授乳婦に対する向精神薬使用を問題視することはほとんどない ( 向精神薬と妊娠 授乳南山堂 )

周産期うつ病 時点有病率妊娠期 11% 産後 ( 出産から 3 か月以内 ) 13% 産後うつ病の半数は妊娠期から始まっている 妊娠期にうつ病を有する患者は産後にも高率にうつ病を有する 妊娠期の抑うつ 不安は胎生期のみならず新生児期 幼児期 学童期を通じて子供の心身両面で発育障害の重大なリスク因子である 東京都監察医務院などの調査で自殺で亡くなった妊産婦が東京 23 区で 2005 14 年の 10 年間に計 63 人 ( 妊娠中 の女性 2 3 人と 出産後 1 年未満 の女性 40 人 ) が分かった 出産数に占める割合は 10 万人あたり 8.5 人となり 出血などによる妊産婦死亡率の約 2 倍に上る. 自殺の時期では 妊娠 2 カ月 の 12 人 出産後 4 カ月 の 9 人が多かった ( 兵庫医大清野仁美先生のスライドより改変 )

妊娠中のうつ病治療 疾患と薬物治療のどちらも 妊婦及び胎児へのリスクを伴う 妊婦と胎児に対する疾患リスクを最小化するための症状の緩和が治療の目標となる 向精神薬使用の最適化のためのポイント 1 妊婦が許容できる副作用の範囲内で最良の効果がある用量を探る 2 妊娠中の薬物動態の変化を考慮して 定期的 継続的に症状判定を行い 最適な効果を維持するための調整をおこなう 3 出産後 母乳育児期に際してあらためて容量調整を行う (Angelotta C, et al Birth Defects Res. 2017;109:879-887)

診療報酬上のインセンティブが必要ではないか うつ病等で自殺のおそれのある妊産婦を地域の医療連携で支えることが求められている 現在の診療報酬でも 精神科医に患者を紹介した産科医は 診療情報提供料 250 点と精神科医療連携加算 200 点が算定できるが 紹介を受け診療を行う精神科医にはまったく手当てがない うつ病等の精神障害の疑いにより精神科医連携加算を算定されて紹介された患者を積極的に受け入れ 早急に診察した場合には 精神科医もかかりつけ医等連携加算 200 点を算定できるようにしていただきたい