Microsoft Word - 肺癌【編集用】

Similar documents
肺癌の放射線治療

094 小細胞肺がんとはどのような肺がんですか んの 1 つです 小細胞肺がんは, 肺がんの約 15% を占めていて, 肺がんの組 織型のなかでは 3 番目に多いものです たばことの関係が強いが 小細胞肺がんは, ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため, 手術 可能な時期に発見されることは少

4DCTを用いたITV(internal target volume)の検討

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

外来在宅化学療法の実際

スライド タイトルなし

がん登録実務について

<4D F736F F F696E74202D2088F38DFC B2D6E FA8ECB90FC8EA197C C93E0292E B8CDD8AB B83685D>

1)表紙14年v0

Microsoft PowerPoint - 印刷用 DR.松浦寛 K-net配布資料.ppt [互換モード]

「             」  説明および同意書

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病

頭頚部がん1部[ ].indd

限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する ( 手術と同

スライド 1

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

スライド 1

スライド 1

<4D F736F F D208A6582AA82F182CC82DC82C682DF81698AAE90AC816A815188F38DFC97702E646F63>

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73>

平成20年度 大学院シラバス(表紙)

ASTRO 2010 報告会 <肺癌>

Microsoft PowerPoint - Lung Cancer Slide Kit(修正版)

32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73>

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

70% の患者は 20 歳未満で 30 歳以上の患者はまれです 症状は 病巣部位の間欠的な痛みや腫れが特徴です 間欠的な痛みの場合や 骨盤などに発症し かなり大きくならないと触れにくい場合は 診断が遅れることがあります 時に発熱を伴うこともあります 胸部に発症するとがん性胸水を伴う胸膜浸潤を合併する

00467TNM悪性腫瘍の分類日本語版第7版

Microsoft Word - 頭頸部.docx

PowerPoint プレゼンテーション

第71巻5・6号(12月号)/投稿規定・目次・表2・奥付・背

PowerPoint プレゼンテーション

原発不明がん はじめに がんが最初に発生した場所を 原発部位 その病巣を 原発巣 と呼びます また 原発巣のがん細胞が リンパの流れや血液の流れを介して別の場所に生着した結果つくられる病巣を 転移巣 と呼びます 通常は がんがどこから発生しているのかがはっきりしている場合が多いので その原発部位によ

8 整形外科 骨肉腫 9 脳神経外科 8 0 皮膚科 皮膚腫瘍 初発中枢神経系原発悪性リンパ腫 神経膠腫 脳腫瘍 膠芽腫 頭蓋内原発胚細胞腫 膠芽腫 小児神経膠腫 /4 別紙 5( 臨床試験 治験 )

性黒色腫は本邦に比べてかなり高く たとえばオーストラリアでは悪性黒色腫の発生率は日本の 100 倍といわれており 親戚に一人は悪性黒色腫がいるくらい身近な癌といわれています このあと皮膚癌の中でも比較的発生頻度の高い基底細胞癌 有棘細胞癌 ボーエン病 悪性黒色腫について本邦の統計データを詳しく紹介し

2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

院内がん登録について 院内がん登録とは がん ( 悪性腫瘍 ) の診断 治療 予後に関する情報を収集 整理 蓄積し 集計 解析をすることです 登録により収集された情報は 以下の目的に使用されます 診療支援 研修のための資料 がんに関する統計資料 予後調査 生存率の計測このほかにも 島根県地域がん登録

70 頭頸部放射線療法 放射線化学療法

1-A-01-胸部X線写真の読影.indd

研究協力施設における検討例 病理解剖症例 80 代男性 東京逓信病院症例 1 検討の概要ルギローシスとして矛盾しない ( 図 1) 臨床診断 慢性壊死性肺アスペルギルス症 臨床経過概要 30 年前より糖尿病で当院通院 12 年前に狭心症で CABG 施行 2 年前にも肺炎で入院したが 1 年前に慢性

1. 来院経路別件数 非紹介 30 他疾患経過 10 自主受診観察 紹介 20 他施設紹介 合計 患者数 割合 12.1% 15.7% 72.2% 100.0% 27.8% 72.2% 100.0% 来院経路別がん登録患者数 がん患者がどのような経路によって自施設を受診し

はじめに 前立腺癌に対する永久留置法による小線源療法は一口で言うと 弱い放射線を出す小さな線源を前立腺内に埋め込み 前立腺内部から癌の治療を行うものです ただし すべての前立腺癌に適応できるものではありません この説明書は小線源療法についての概説です よくお読みになった上で ご不明の点があれば担当医

130724放射線治療説明書.pptx

<4D F736F F D F90D290918D64968C93E08EEEE1872E646F63>

前立腺癌に対する放射線治療

スライド 1

平成28年度第11回治験審査委員会開催記録の概要

Microsoft Word - 眼部腫瘍.doc

H + e - X (

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer (

がんの治療

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft PowerPoint - 【資料3】届出マニュアル改訂について

第58回日本臨床細胞学会 Self Assessment Slide

Microsoft PowerPoint 病期分類概論 ppt[読み取り専用]

福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

< A815B B83578D E9197BF5F906697C38B40945C F92F18B9F91CC90A72E786C73>

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専


Transcription:

肺癌の放射線治療 広島大学病院放射線治療科 (2013 年 ) 1. 肺癌について肺癌は発症率に比して死亡率が比較的高く 難治癌の一つです その種類は比較的進行の早い小細胞肺癌とそれ以外の非小細胞肺癌の 2 つに大別できます 1) 非小細胞肺癌 : 肺癌全体の約 85-90% を占め 扁平上皮癌と腺癌に代表される非扁平上皮癌に大別できます 扁平上皮癌; 比較的中枢側の気管 気管支から発生しやすく 所属リンパ節へ連続的に進展しやすいことから 局所制御により長期生存の可能性が高くなる可能性があります 非扁平上皮癌; 末梢 ~ 発生しやすく 腺癌 大細胞癌などが含まれます 所属リンパ節へ非連続的に進展しやすことから 遠隔転移の頻度が高くなります 2) 小細胞肺癌 : 肺癌全体の 10-15% を占め 悪性度が高く 急速に増大 進展かつ所属リンパ節への転移や遠隔転移も早いうちから生じやすい特徴があります 一方で放射線治療や化学療法の感受性が高いことも特徴です 2. 肺癌の病期肺癌に限らず 癌の病期は局所の大きさや転移の程度によって進行度を分類します これには TNM 分類が用いられ T: 原発巣の大きさ N: リンパ節転移の程度 M: 遠隔転移の有無の組み合わせにより病期が決定します 詳細は以下の通りです T- 原発腫瘍 Tx: 原発腫瘍の存在が判定できない あるいは画像上または気管支鏡的には観察で きないが 喀痰または気管支洗浄液中に悪性細胞が存在する T0: 原発腫瘍を認めない Tis: 上皮内癌 T1: 腫瘍の最大径が 3cm 以下で 肺組織または臓側胸膜に囲まれており 気管支鏡的 注 1) に癌浸潤が葉気管支より中枢に及ばないもの ( すなわち主気管支に及んでない ) T1a: 腫瘍の最大径が 2cm 以下 T1b: 腫瘍の最大径が 2cm を超え 3cm 以下

T2: 腫瘍の最大径が 3cm を超え 7cm 以下 ; または進展度が以下のいずれかであるもの : 主気管支に浸潤が及ぶが 腫瘍の中枢側が気管分岐部より 2cm 以上離れているもの 臓側胸膜に浸潤があるもの 肺門に及ぶ無気肺あるいは閉塞性肺炎があるが一側肺全体に及ばないもの T2a: 腫瘍の最大径が 3cm を超え 5cm 以下 T2b: 腫瘍の最大径が 5cm を超え 7cm 以下 T3: 腫瘍の最大径が 7cm を超えるか 隣接臓器 すなわち胸壁 (superior sulcus tumor を含む ) 横隔膜 縦隔胸膜 壁側心膜のいずれかに直接浸潤する腫瘍; または腫瘍が気管分岐部から 2cm 未満に及ぶ注 2) が 気管分岐部に浸潤のないもの ; または無気肺あるいは閉塞性肺炎が一側肺全体に及ぶものまたは同一肺葉内に存在する腫瘍結節 T4: 大きさと無関係に縦隔 心臓 大血管 気管 反回神経 食道 椎体 気管分岐部に浸潤の及ぶ腫瘍 ; 同側他肺葉内に存在する腫瘍結節 N- 所属リンパ節 N0: 所属リンパ節転移なし N1: 同側気管支周囲および / または同側肺門リンパ節および肺内リンパ節転移で 原発腫瘍の直接浸潤を含む N2: 同側縦隔リンパ節転移および / または気管分岐部リンパ節転移 N3: 対側縦隔 対側肺門 同側または対側斜角筋前 または鎖骨上窩リンパ節転移 M- 遠隔転移 M0: 遠隔転移なし M1: 遠隔転移がある M1a: 対側他肺葉内に存在する腫瘍 胸膜結節 悪性胸水または悪性心嚢水を伴 注 3) う腫瘍 M1b: 遠隔転移がある

病期分類 潜伏癌 TX N0 M0 0 期 Tis N0 M0 IA 期 T1a,b N0 M0 IB 期 T2a N0 M0 IIA 期 T2b N0 M0 T1a,b N1 M0 T2a N1 M0 IIB 期 T2b N1 M0 T3 N0 M0 IIIA 期 T1a,b, T2a,b N2 M0 T3 N1, N2 M0 T4 N0, N1 M0 IIIB 期 T4 N2 M0 T は関係なし N3 M0 IV 期 T は関係なし N は関係な し M1a,b また 小細胞肺癌の場合には上記の TNM 分類以外に 限局型と進展型の 2 つに大別する方法も用いられています 限局型 進展型に大別する方法も使われています 1) 限局型 : 癌は片側の肺と所属リンパ節 ( 肺門 縦隔のリンパ節 鎖骨上リンパ節も含む ) にとどまる場合をいいます 2) 進展型 : 癌が肺の外に拡がり 遠隔転移のある場合をいいます 3. 肺癌における放射線治療の役割どの組織型 病期を問わず放射線治療の適応となる可能性があります 特に ここ数年は高齢化を反映して 放射線治療を受ける患者さんが増加しています 非小細胞肺癌の場合 病変の広がりから IA 期から IIIA 期の一部までは手術が第一選択となりますが IIIA 期の一部と IIIB 期は根治的放射線治療の対象となります この場合 化学療法と併用することが通常です 遠隔転移のある IV 期では転移巣の症状緩和を目的に脳や骨への照射を行う場合があります また 手術が行える病期 (I-IIIA 期の一部 ) でも高齢や合併

症のため手術が出来ない患者さんの場合 根治的放射線治療の対象となります 小細胞肺癌の場合 進展が早く 放射線や化学療法に感受性が高いことから I 期の一部を除く限局型では根治的化学放射線治療の対象となります 遠隔転移のある IV 期 ( 進展型 ) では非小細胞肺癌の場合と同様 転移巣の症状緩和を目的に脳や骨への照射を行う場合があります また 限局型で化学放射線療法により病変が消失した場合 脳転移の発症予防として 全脳照射を行います 4. 広島大学での放射線治療の特色広島大学放射線治療科では呼吸器外科 呼吸器内科と連携して 患者さんごとに最も適した方法で治療を行っています その中で より高精度な放射線治療を行うことを心がけており 以下のような特徴があります 1)I 期非小細胞肺癌に対する定位放射線治療 : 手術適応がない もしくは手術を拒否された患者さんに定位放射線治療を積極的に行っています ( 詳しくは体幹部定位照射の項を参照下さい ) 2) 進行非小細胞肺癌に対する予防的リンパ領域照射を省いた限局照射野での放射線治療 : 従来行われていた予防的な肺門 縦隔照射を省いた限局照射を用いることで 病変部により高線量を安全に投与することを行っています 3) 呼吸同期照射 : 呼吸性移動の大きな場合 なるべく正常肺への余分な照射を避けるため に ある呼吸相 ( 多くは終末呼気相 ) に来た場合に選択的に照射を行う呼吸同期照射を積極 的に行っています

4) 化学併用の同時併用 : 小細胞肺癌 非小細胞肺癌とも 呼吸器内科と連携して積極的な化学療法の同時併用を行っています 適切な化学療法の同時併用により局所制御率の向上のみならず 遠隔転移の制御も目指します 5) 臨床試験の実施 : 新たなエビデンスの確立のため 肺癌放射線治療における様々な臨床試験を実施 企画しています ( 詳細は多施設共同研究の項を参照下さい ) 5. 放射線治療の実際組織型 病期に応じて以下のスケジュールで治療を行っています 1)I 期非小細胞肺癌 ( 体幹部定位照射 ):48Gy/4 回 1 日 1 回 /1 週間 2) 局所進行非小細胞肺癌 :70-74Gy/35-37 回 1 日 1 回 /7 週間呼吸性移動が 1cm 以上の場合は呼吸同期照射併用 3) 限局型小細胞肺癌 :45Gy/30 回 1 日 2 回 /3 週間呼吸性移動が 1cm 以上の場合は呼吸同期照射併用 4) 限局型小細胞肺癌の予防的全脳照射 :25Gy/10 回 1 日 1 回 /2 週間 6. 合併症 1) 照射中もしくは照射直後に起こるもの ( 基本的に治療終了とともに消失します ) 1 皮膚炎 : 照射範囲内の日焼け様症状 発赤 かゆみ 色素沈着 2 食道炎 : 嚥下時違和感 嚥下痛 3 肺臓炎 : 照射中に起こることはまれ 咳 発熱 呼吸困難 2) 照射後数か月 数年で起こるもの 1 肺臓炎 : 基本的に照射野内に限局して発生 一過性に咳を認めることもありますが 経過観察のみで軽快することがほとんど 症状に応じて咳止めや内服のステロイド剤を処

方することがあります 照射野が広い場合や化学療法を併用した場合などで まれに照射野外に肺臓炎が広がることがあります この場合 発熱や呼吸困難をきたし 入院治療が必要になることがあります 2 食道狭窄 : まれ 通過障害 3 脊髄炎 : 極めてまれ 上下肢のしびれ 麻痺 4その他 : 肺尖部では腕神経障害 ( 上肢のしびれ 不全麻痺 ) がまれに発生 7. 治療成績 1)I 期非小細胞肺癌 ( 体幹部定位照射 ) 広島大学で行った組織型が確定した I 期非小細胞肺癌 67 例の治療成績 3 年局所制御率 84.7% 3 年全生存率 58.9%

2) 局所進行非小細胞肺癌 ( 限局照射野での放射線治療 ) 広島大学を含む関連 6 施設における III 期 10 例が対象 CBDCA+PTX 併用で 1 回 2.5Gy で 62.5-70Gy を照射し 3 年生存率 43.8% 照射野外リンパ節再発 0 例 2) 限局型小細胞肺癌 広島大学で行った限局型小細胞肺癌 33 例の治療成績 2 年生存率は 54.4% であったが 33.3% に脳転移が出現 8. 今後の展開当科の特徴でも述べた様々な臨床試験の実施 企画の他に以下のような研究を行っています 1) 強度変調放射線治療 (IMRT) の肺癌への応用強度変調放射線治療 ( 以下 IMRT) はコンピュータ技術を用いて 従来不可能であった

線量分布を作成し これを照射する技術です ( 詳細は強度変調放射線治療の項を参照下さい ) 当科では前立腺癌 頭頸部癌などにルーチンに用いていますが 肺癌の場合 呼吸性移動や肺野の線量評価が確立していない現状からルーチンでの治療としては施行していません ただ 呼吸性移動が少なく 肺野が多く含まれない肺尖部などで用いています ( 図 ) 右肺尖部で脊柱管に浸潤する腫瘍に対して IMRT を使用 脊髄線量を効率よく軽減 2) 機能的画像を用いた肺癌に対する高精度放射線治療計画 ( 当院倫理委員会承認済み ) 本研究では 慢性閉塞性肺疾患 (COPD) に代表される低肺機能肺癌患者の正常肺への放射線照射体積を減少させ安全性を向上する目的で 各種肺機能画像を用いた高精度放射線治療計画法の開発を行います まず 放射線治療計画に最適な肺機能画像の検証を行い 描出された低肺機能領域を治療計画装置上で認識させ 正常肺への照射線量を低減させる計画を立案することが可能となります これは現行の IMRT にも応用可能であり 肺癌放射線治療の安全性の向上に貢献するものと考えます

( 図 ) 水色の部分が低肺機能を表した部分 同部を除いた部分を機能肺として認識し 治療 計画に応用する予定です 9. おわりに肺癌の放射線治療は技術の進歩に伴い 手術や化学療法など他の方法とともに選択肢の一つとして良好な成績をあげています 肺癌と診断された場合には 専門の医師の説明をよく聞き 十分に納得した上で 治療法を選択されることをおすすめします