被災地保健師支援活動チェックリスト区分出発前現地での準備活動支援活動第3部活動項目 1. 携行用物を準備する 2. 当該自治体の基本情報 ( 年齢階級別人口 面積 保健医療施設 ) を確認する 1. 当該市町村衛生主管部 課 保健センターに行き 支援ニーズを確認する 2. 市町村保健衛生主管部 課が

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大規模災害対策マニュアル

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資料1 受援計画策定ガイドラインの構成イメージ

大津市避難所運営マニュアル

DPAT活動要領

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アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

事務連絡平成 24 年 4 月 20 日 都道府県各指定都市介護保険担当主管部 ( 局 ) 御中中核市 厚生労働省老健局総務課高齢者支援課振興課老人保健課 大規模災害時における被災施設から他施設への避難 職員派遣 在宅介護者に対する安全確保対策等について 平成 23 年 3 月 11 日に発生した東

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☆配布資料_熊本地震検証

災害救助法による応急救助の実施概念図

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( 社会福祉施設用作成例 ) (4) 施設管理者は, 緊急時連絡網により職員に連絡を取りましょう (5) 施設管理者は, 入所者の人数や, 避難に必要な車両や資機材等を確認し, 人員の派遣等が必要な場合は, 市 ( 町 ) 災害対策本部に要請してください (6) 避難先で使用する物資, 資機材等を準

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第3回検討会_質の向上WG検討状況報告

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登庁した保健師は, 先に登庁していた事務職員とともに職員の安否確認や関連施設の被害確認などあらかじめ定めてあった保健所としての対応や, 県庁からの電話応答に従事しました 発災 2 日目 (7 月 17 日 ) 県内応援保健師による保健所保健師の強化 2 日目にようやく 5 名の保健師が揃い, 柏崎市

新潟中越地震における行政機関の初動対応.doc


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1. まとめ 1 災害医療の現状と課題 災害時に 防ぎ得た死 を少なくするのが最大の課題だ だが東日本大震災を受けた 災害医療等のあり方に関する検討会報告書 が生かされているとは言いがたい 2 計画 予算など対策の現状と課題 被災自治体だけでは対応できない大規模災害に備え 広域医療搬送を含めた都道府

第3編 災害応急対策

要配慮者支援班の業務 1 配慮が必要な人の情報把握 (1) 情報把握 総務班名簿係と連携し 避難所利用者 ( 避難所以外の場所に滞在する人を含む ) のうち 配慮が必要な人を グループごとに把握する 避難支援のための個別計画がある場合は 内容を確認する (2) 聞き取り 避難所利用者でつくるグループ

事業者名称 ( 事業者番号 ): 地域密着型特別養護老人ホームきいと ( ) 提供サービス名 : 地域密着型介護老人福祉施設 TEL 評価年月日 :H30 年 3 月 7 日 評価結果整理表 共通項目 Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織 1 理念 基本方針

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国土技術政策総合研究所 研究資料

周南市版地域ケア会議 運用マニュアル 1 地域ケア会議の定義 地域ケア会議は 地域包括支援センターまたは市町村が主催し 設置 運営する 行政職員をはじめ 地域の関係者から構成される会議体 と定義されています 地域ケア会議の構成員は 会議の目的に応じ 行政職員 センター職員 介護支援専門員 介護サービ

日本医師会ニュース「平成28 年熊本地震」:情報提供第五報

職員の運営能力の強化 避難所担当職員研修の実施 全庁対象の避難所担当職員研修(5 回開催で約 400 名参加 ) 区毎の避難所担当職員研修 男女共同参画の視点に立った避難所づくり 共助による災害時要援護者支援の取り組みについて説明 各区災害対策本部との連絡 避難所内の課題解決の調整など 地域団体等へ

4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

して減少し 震災発生後 3 か月半から急激に減少する経過であった 県北 県中では 震災発生後約 3 か月からはほとんど相談対応が行われていなかった 相談者の性別 年齢 症状については 地域 時期別の差はほとんど見られなかった 研究 Ⅱ. 局所災害 広域災害とも 窓口が未確定である自治体が約 6 割

資料1-1 HTLV-1母子感染対策事業における妊婦健康診査とフォローアップ等の状況について

( 災害医療調整本部の所管事務 ) 第 4 条災害医療調整本部は 次の事務をつかさどる (1) 全県域を対象とした医療資源の配置調整及び患者搬送調整に関すること (2) 国や他都道府県等に対する医療支援の要請及び受入れと その派遣調整に関すること (3) 地域災害医療対策会議の支援に関すること (4

4 災害時における他機関 他施設との協定の締結状況災害時に他機関 他施設との協定を結んでいる施設は 97 施設で 1 か所と締結している施設が多くありました 締結先は 地元自治会 町内会 病院 近隣施設 社会福祉施設 物流会社 福祉ネットワーク 市町村等でした 図 2 災害時における他機関 他施設と

1. 設置について Q 全国老施協 D-WAT 設置の目的は何か A 大規模かつ広域自然災害発生時の被災地域における高齢者福祉施設に対し 迅速かつ的確な専門職種による福祉ニーズの把握 支援等を 公益社団法人全国老人福祉施設協議会 ( 以下 全国老施協 という ) および都道府県 指定都市 ( 以下

平成18年度標準調査票

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平成 30 年度救急業務のあり方に関する検討会報告書の概要 消防庁救急企画室 はじめに 消防庁救急企画室では 高齢化を背景として救急需要が増大する中 救急車の適正利用の推進や救急業務の円滑な実施と質の向上等 救急業務を安定的かつ持続的に提供し救命率の向上を図ることを目的に 平成 30 年度救急業務の

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二戸市地域防災計画 ( 震災編 ) の一部修正の新旧対照表現行改正案 目次 ( 震災編 ) 目次 ( 震災編 ) 第 1 章総則 第 1 章総則 第 1 節 計画の目的 351 第 2 節 計画の性格 352 第 2 節の2 災害時における個人情報の取り扱い 352 第 3 節 防災関係機関の責務及

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下の図は 平成 25 年 8 月 28 日の社会保障審議会介護保険部会資料であるが 平成 27 年度以降 在宅医療連携拠点事業は 介護保険法の中での恒久的な制度として位置づけられる計画である 在宅医療 介護の連携推進についてのイメージでは 介護の中心的機関である地域包括支援センターと医療サイドから医

障害者 ( 児 ) 防災アンケートの主旨 アンケートの概要 Ⅰ 避難に関すること Ⅱ 情報伝達に関すること Ⅲ 避難所及びその環境に関すること Ⅳ 日頃の備えに関すること 障害者 ( 児 ) 防災アンケート < 配布用 >

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目 次 Ⅰ 総則 1 1 目的 1 2 関係者等 1 3 適用災害 1 Ⅱ 医薬品の確保 供給について 2 1 基本的な考え方 2 2 県が備蓄する震災時用医薬品等 2 3 市町による医薬品の確保 2 4 医薬品等の調達及び供給パターン 3 5 医薬品等の調達 供給 (1) 医薬品等の供給に係る情報

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第1回東京都区西部災害リハビリテーション研修会

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宮城県総合防災情報システム(MIDORI)

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更に 県内各地に誕生した傾聴ボランティア団体の活動がより活発になるようネットワーク形成 に向けて 当団体が中心となってとりまとめを行っている 3 活動の特徴 (1) 活動の中で見られた工夫や活動が上手く進んだポイント 電話相談 傾聴茶話会 傾聴サロンまで 被災者のニーズに応じた対応が可能な仕組みの構

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はじめに 道では 北海道行政基本条例 に基づき 道政の基本的な方向を総合的に示す計画として 新 北海道総合計画 を策定し 政策展開の基本方向の一つとして 安心で心豊かな北海道ライフスタイル を掲げ 安全 安心な生活の確保 に向け 防災 減災の体制づくり を進めています 保健福祉部では 特に 子ども

チェック式自己評価組織マネジメント分析シート カテゴリー 1 リーダーシップと意思決定 サブカテゴリー 1 事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている 事業所が目指していること ( 理念 ビジョン 基本方針など ) を明示している 事業所が目指していること ( 理念 基本方針

2013 年度 統合実習 [ 表紙 2] 提出記録用紙 5 実習計画表 6 問題リスト 7 看護過程展開用紙 8 ( アセスメント用紙 1) 9 ( アセスメント用紙 2) 学生証番号 : KF 学生氏名 : 実習期間 : 月 日 ~ 月 日 実習施設名 : 担当教員名 : 指導者名 : 看護学科

)各 職場復帰前 受入方針の検討 () 主治医等による 職場復帰可能 との判断 主治医又はにより 職員の職場復帰が可能となる時期が近いとの判断がなされる ( 職員本人に職場復帰医師があることが前提 ) 職員は健康管理に対して 主治医からの診断書を提出する 健康管理は 職員の職場復帰の時期 勤務内容

1.1 阪神 淡路大震災環境省は 阪神 淡路大震災 ( 平成 7 年 1 月 17 日発生 ) の際に兵庫県及び神戸市の協力を得て 大気中の石綿濃度のモニタリング調査を実施した 当時の被災地における一般環境大気中 (17 地点 ) の石綿濃度の調査結果を表 R2.1 に 解体工事現場の敷地境界付近に

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居宅介護支援事業者向け説明会

目次 はじめに P3 1 災害 緊急の範囲 P3 2 時間と場所を考慮した対応の必要性 P3 3 時間ごとの対応 P4 4 場所ごとの対応 P5 5 デジタルサイネージの提供コンテンツ P6 6 緊急時を意識したデジタルサイネージシステム P6 7 情報の切替 復帰の条件 P7 8 緊急運用体制 P

なお 本通知は 地方自治法 ( 昭和 22 年法律第 67 号 ) 第 245 条の 4 第 1 項の規 定に基づく技術的助言として発出するものであることを申し添える 2

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「南九州から南西諸島における総合的防災研究の推進と地域防災体制の構築」報告書

地域の絆からスタート ~様々な課題を克服~

地震被害予測システムにより建物被災度を予測 また 携帯電話と地図を利用した 被害情報集約システム では GPS 機能と地理情報システムとの連係により 現在位置周辺にある同社施工済物件を検索し 物件や周辺の被害状況を文字 静止画 動画を添付して報告することができる これら被害情報を地理情報システムに集

九州における 道の駅 に関する調査 - 災害時の避難者への対応を中心としてー ( 計画概要 ) 調査の背景等 道の駅 は 平成 16 年 10 月の新潟県中越地震 23 年 3 月の東日本大震災において 被災者の避難場所 被災情報等の発信や被災地救援のための様々な支援の拠点として活用されたことなどか

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の課題フェイズごとの食に関する問題 大規模な水害や地震が起きると ライフラインが寸断されたり家屋が倒壊 損傷したりして自宅で食事を摂ることができなくなります しばらくすると支援物資が運ばれてきますが 道路の寸断により時間がかかり食料が手に入りにくい状況も想定されます また 避難所や野外へ避難する人が

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マニュアル制定の目的 本 県 で は 平 成 7 年 1 月 1 7 日 に 発 生 し た 阪 神 淡 路 大 震 災 を 契 機 と して 福島県災害時医薬品等備蓄供給事業 を起ち上げました このマニュアルは 関係者の役割分担を中心に 県薬務課 保健福祉 事 務 所 (保 健 所 ) 医 薬 品

168 資料編 Ⅱ 東日本大震災での活動日赤の救護活動は国や地方公共団体との連携のもと 前述のとおり被災地に派遣された救護班による救護所の設置や避難所への巡回診療といった医療救護を中心に行われる しかし 今回の震災では被害が甚大で 特に太平洋沿岸では広域にわたり行政機能が失われたことから これまでの

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(6) 八丈町役場 青ヶ島村役場 八丈町災害対策本部 青ヶ島村災害対策本部の設置 7 訓練の様子 (1) 八丈町避難誘導訓練地震時における総合的な避難訓練と火山噴火時における避難訓練を併せて行い 八丈町及び防災関係機関並びに住民がとるべき防災処置を実践し 地震災害 火山噴火災害に対応した防災対策の習

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平成 26 年度版 第三者評価結果概要版 ( 居宅介護支援 ) 基本情報 法人名 社会福祉法人多摩同胞会 事業所名 泉苑居宅介護支援センター 所在地 東京都府中市武蔵台 1 丁目 10 番 4 号 連絡先 事業者が大切にしている考え ( 事業者の理念 ビジョン 使命など )

Transcription:

第 3 部 被災地保健師 支援活動 目的 地元保健師の能力が最大限発揮される環境を作る 心得 多くの自然災害時 被災者の健康課題解決のための支援調整を行ってきたのは地元の保健師である 被災市町村の震災前後の状況に最も精通しているのは 地元の保健師である 現場で活動している人に余計な負担をかけない配慮も支援である 保健師に寄り添い 一緒に課題を整理し 優先順位をつけ 方向性をつけていくこと その姿勢を持ち続けることが大切である 住民に対する公平性の視点に留意する 保健師も被災者であることを忘れない 54

被災地保健師支援活動チェックリスト区分出発前現地での準備活動支援活動第3部活動項目 1. 携行用物を準備する 2. 当該自治体の基本情報 ( 年齢階級別人口 面積 保健医療施設 ) を確認する 1. 当該市町村衛生主管部 課 保健センターに行き 支援ニーズを確認する 2. 市町村保健衛生主管部 課が災害時の保健活動の体制を確認する 3. 被災地における保健医療活動の指揮系統を確認する 4. 被災地における保健医療活動の全体像を把握する 1. ニーズに応じて 保健師の業務を軽減するあらゆる支援を行う 2. 余計な調整業務を生じさせないように 興味本位の調査や活動は慎む 3. 医療救護チームの活動情報などが保健師に集約されるように支援する 4. 保健師も被災者であることを忘れずに できるだけ継続的な支援を行う 5. 精神的サポートを行う 被災地保健師支援 その地域の状況に精通した地元保健師が持っている能力を最大限に発揮できる環境を作ることは 多くの外部支援により成り立つ自然災害時の保健医療活動の効果と効率を最大化する上で重要である 被災地保健師支援活動55 災害時の保健師の役割とは これまでの大規模災害時 被災地域の市町村の保健師は非常に多岐にわたる活動を行ってきた 言ってみれば 災害時の保健師は保健医療活動の要である 派遣された医療救護チームが災害時の地元保健師の業務を理解しておくことは それらの業務への直接的な支援を行うためだけでなく 彼らの調整業務における負担を軽減する上で 自らがどのような行動をとるべきかを知るためにも必要である 被災地保健師支援活動

第3部被災地保健師支援活 活動 の の 地 の 活支援 保健師の支援活動 大規模災害における保健師の活動マニュアル ~ 阪神淡路 新潟県中越大地震に学ぶ平常時からの対策 ~ より 保健師は担当市町村の全住民の健康に責任を持っており 住民に対する公平性を保障しなくてはならない 災害時は避難所の避難者に注意が偏りがちになるため 在宅避難者のニーズ把握等が疎かにならぬよう 保健師活動を支援する者も公平性の視点を持って支援に臨む必要がある 東日本大震災における東松島市保健師の活動例 発災直後 24 時間 8 人の市保健師が災害対策本部の指示下に置かれ 発災当日は保健師 2 名と事務 1 名のチームを編成して大きな避難所の初期巡回を開始し 傷病者への対応を行うと共に避難者数とハイリスク者 の把握を行った また 透析患者や負傷者の搬送要請に対応しつつ 東松島市矢本保健相談センター内に救護所を設置し 津波に巻き込まれ低体温や負傷した被災者の処置を行った 動56 被災地保健師支援活動 発災後 1 日 -3 日到着した災害派遣医療チーム (DMAT) の避難所巡回診療に同行し 発災翌日と同様にニーズの把握を含む避難所の状況把握を行った 発災後 3 日 -2 週間全避難所の巡回診療実施のため 朝と夕方石巻赤十字病院で開かれる石巻合同救護チーム本部会議に出席して更なる救護チームを確保し アクセスが困難な宮戸地区と赤井地区の巡回診療には 陸上自衛隊と航空自衛隊衛生班にヘリコプターや特殊車両による避難所巡回を要請した 避難所巡回には保健師も同行し ハイリスク者の把握や水 衣類 食糧 薬品 生活物資等の必要物資の把握を行い各担当課につなげた これらの活動体制の整備として 各避難所との連絡方法や医療救護チームとの引継ぎ方法などを順次定めていった 発災後 3 週間 -2 ヵ月 4 機関から避難所巡回診療に対して長期支援を取り付け 保健師がまとめ役となりこれらの医療 救護チームとの連絡会を定例化し 医療救護チームより把握された避難所の課題や要支援者への個別対応が組織的に管理運営される体制を整えた 石巻圏合同救護チーム本部が導入した避難所アセスメントシートを用いて避難所状況のモニタリングを行いつつ 保健師による避難所健康管理 ( 感染症対策 食中毒予防 食生活 栄養管理 ) を開始した 震災後のこころのケア相談窓口を開設し

第3部避難所ハイリスク者への個別支援を開始した 小 中学生に対しては 状況把握のための全学校を対象にしたアンケート調査を東京大学のこころのケアチームと行い 同チームによる学校訪問や教員 保育士を対象にしたこどものこころのケア研修会を開催した 発災後 2 ヵ月以降 4 月 26 日より浸水地区在宅者を対象にした全戸訪問 健康支援調査 を開始し 服薬中断 高血圧 うつや PTSD 疑いのスクリーニングと医療救護チームによる医療提供や保健師による個別支援を行った また 地区別に公衆衛生介入を行うため 調査データの分析を開始した 避難所入居者に加えて 健康支援調査で把握されたハイリスク者へのこころのケアも開始した 6 月には 乳幼児健診を再開し 巡回診療が終了した 7 月以降は 国立国際医療研究センターと 東松島市の保健衛生活動における復興対策のための協力に関する協定 を締結し 在宅居住者や仮設住宅居住者への健康相談会 こころのケア 発災前から取り組んでいた自殺予防のための体制整備 自殺ハイリスク者支援の強化などを行っていった 出発前の準備 1. 携行用物を準備する 2. 当該自治体の基本情報 ( 年齢階級別人口 面積 保健医療施設 ) を確認する 出発前に最低限おさえておきたい当該自治体の基本情報として以下のものがある 人口および年齢階級別人口 面積 保健医療施設 平時の医療統計 現地の地図 現地での活動準備 1. 当該市町村保健衛生主管部 課 保健センターに行き 支援ニーズを確認する 災害現場の前線基地は市町村の災害対策本部であり 保健医療活動の担当は保健福祉部などの市町村衛生主管部 課である 震災後を含めその土地の保健医療状況 情報に通じているのは 地元の保健師である 市町村衛生主管部 課が災害時の保健活動の前線基地として機能しているかを確認する 被災地保健師支援活動57 2. 市町村保健衛生主管部 課が災害時の保健活動の体制を確認する 前線基地として機能している場合 そこに配属されている保健師や栄養士の人数 その時点で活動可能な人数を把握しておく 多くの自治体が平常時より保健師の数は不足しており 活動可能な人数を把握しておくことは 外部からの支援者が意図せず無配慮な要求を行ってしまったり 地元の貴重なリソースを消耗させてしまうことを回避する上で大切である 保健師は災害時は平常時とは異なるチーム編成となることが一般的である それらを把握しておくこと 被災地保健師支援活動

第3部被災地保健師支援活が 不必要な摩擦を避け 円滑な保健医療支援活動を行うために重要である 3. 被災地における保健医療活動の指揮系統を確認する 混乱する現場では 必ずしも県の災害対策本部を頂点とする指揮命令系統が市町村まで行き渡るわけではない 外部から駆けつけた医療救護チームに対する指揮命令系統と自治体災害対策本部のそれとが並列して存在する場合もある ( 保健医療支援活動の体制 図 1 参照 ) 4. 被災地における保健医療活動の全体像を把握する 自然災害時の保健医療支援ニーズが数日間で終わることはない 東日本大震災では約 3ヵ月にわたる避難所巡回診療が必要となった 単に割り振られた避難所を巡回診療するだけでなく 災害規模 避難所数 外部からの支援状況等を把握し全体像を理解することは 数ヵ月に及ぶ被災地の保健医療活動を支えていく上で重要である 活動開始前に以上の情報を掴んでおくことが理想だが これらの情報が現場ですぐに入手できない場合 それは地元の保健師がそこまで手が回っていない現状を反映しており それ自体が支援ニーズである 収集した情報を自分達のチーム内で使うだけでなく 他の支援チームも使える形に編集し保健師の支援者受け入れ業務に役立ててもらう 自分達に必要なことは 外部からくる他の支援者にも必要である と考え自ら積極的に行動する 独りよがりの独善的な行動とならぬよう 保健師への ほうれんそう ( 報告 連絡 相談 ) の原則はおさえておく 支援活動 1. ニーズに応じて 保健師の業務を軽減するあらゆる支援を行う 地元保健師の活動は多岐に及んでおり 災害規模 種類 保健師の数や経験年数などにより支援ニーズは変わる 基本的に 現地にて保健師の支援ニーズを聞き出し それに対して柔軟に対応することが望まれる 保健師に寄り添い 一緒に課題を整理し 優先順位をつけ 方向性をつけていく姿勢を持ち続けることが大切である 平常時業務の再開も支援する Good practice! 健康支援調査への支援 動宮城県東松島市では 東日本大震災が発生した1ヵ月後 在宅避難者への支援のために 家屋が完全に流出した地域を除いた浸水地域の 7,804 世帯を対象とした全戸訪問による健康支援調査を実施した 国立国際医療研究センターの医療救護チームは この大規模調査の企画 実施 データ処理 分析を支援した また 訪問調査時に医療介入が必要と判断された場合は 避難所巡回診療を行っている2つの医療救護チームのうちの片方の医師と看護師を直ちに現場に向かわせ診療を行った 58 被災地保健師支援活動

第3部2. 余計な調整業務を生じさせないように 興味本位の調査や活動は慎む 外部者が被災地の外でいろいろと考えをめぐらし 良かれと思って持ち込もうとした支援が 返って保健師の負担となることは避けなければならない 特に 情報が不足する中で決断をせまられることが多い災害現場時は 現状把握のための調査を外部者が持ち込むケースがしばしば見受けられる 外部者が地元の協力なしに調査準備を行うことは困難であり 保健師の協力が必要になる また 調査はその結果が活動として現場に還元されて初めて意味をなすが その活動を行うのは往々にして地元の保健師である 3. 医療救護チームの活動情報などが保健師に集約されるように支援する 被災範囲が広範囲で避難所数が多い場合 限られた数の保健師だけでは定期的に避難所情報を更新するのは困難である また その他の行政の部署でも 多種多様な業務に忙殺され定期的に避難所情報を更新するのは難しい 救護チームによる避難所巡回診療は 避難所の最新の情報を得る上で貴重な機会である 救護チームが入手した情報は 全て地元の保健師に報告し 情報の一元化に協力する 断片化し一見有用とは思えない情報も 地元のリソースに精通した保健師に集約することで貴重な情報に変わることがある ( 図 4) 巡回救護チーム 避難所のリー ーや保健担当者 市災害対策本部 日報告を受ける要 ー 者 齢 害 精神市担当課へ成人 物 市担当課へ 情報から ー 作り避難所 セスント情報を 合同救護チーム 被災地保健師支援活動59 図 4. 保健情報の保健師への集約と発信 ( 尾梶由紀 大災害時における現地保健師の役割 調整とマネジメント 宮城県東松島市の取り組み 月刊地域保健 42(11) 2011 より ) 4. 保健師も被災者であることを忘れない 地元の保健師は被災した住民の支援者であるが 同時に被災者でもある 多岐にわたる活動に邁進している保健師は 一見精神的にも肉体的にも健常に見えることがあるが 被災した人が他者を支援することがいかに大変なことであるか忘れてはならない 精神的サポートを行う 被災地保健師支援活動